風笠癒空 (パピヨン。)
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敬具

追伸、あなたの瞳はとても綺麗だったと思います。


兄さんが手紙を書いた。

 

いったい誰に宛てたものなのか、ラブレターかなにかだったのか気になって見てみることにした。

 

『拝啓、ロールキャベツへ。』

 

……???

見間違い?ふざけているのでしょうか。

どうしてロールキャベツに宛てた手紙なのでしょう。

そもそも拝啓の使い方違いません?

 

しかしこの時点でなにか惹かれるものがあって読み進めることにした。

 

 

 

───ああ、これはきっと。

あの涙の意味はきっと。

そういうことなのでしょうか。

 

覚えていなくても、ぼんやりと兄さんの中に居るのですね。■■。

兄さんの問いかけに答えてくれたんですね。

あなたは今、幸せなのかという問いに。

どうして片目だけ涙が流れたのか、その答えはあなたが兄さんの問いかけに答えたから。

そうですよね。

 

そう思ったらなんだか私も手紙を書きたくなってきた。

ただ、私は昔の事は覚えているので自分に宛てた手紙を書く必要は無い。聞きたいこともないから。

 

ならば兄さんと同じ相手に書こうではないか。

あの大馬鹿者に書いてやろう。

……言うほど馬鹿でも無かったか。

 

ただ、兄さんが自分で思い出したいという感じだったので宛名は変えて書かなければいけない。万が一見られた時の為に。

兄さんがロールキャベツと書いたなら、■■の瞳の色に合わせてトマト煮込みを付け足してやろう。

 

「拝啓、ロールキャベツのトマト煮込みへ」

 

よしよし、ばっちりです。きっとこれなら大丈夫ですね。

あの異端者ですから、このくらいがちょうど良くてしっくりきます。

まあ、私は嫌いじゃないですけど。

 

しばらく書き進めていくうちに、とてもやるせない気持ちになってきた。

どうしてなのかはわからない。ただ凄くやるせなくなってしまった。

このまま手紙を書き進めることはできない。

しかし、この手紙を書ききってしまわないといけない気がして。

 

「──あ、癒空!!」

「へっ?!」

 

目に飛び込んできたのは私のマスター、月宮永澄だった。

 

「え、あ、ど、どうかしましたか?マスター」

「どうかしたのか聞きたいのはこっちだよ。そんなにぼーっとして、何かあったの?」

「い、いえ、別に……なんでもないです。」

「そう?なんでもないならいいんだけど…」

 

心配をかけてしまった。いけないいけない。

しかし、どうして私の部屋にいるのか。なにか用事でもあるのか。

 

「なにか私に用事があるのでしょうか?」

「ああ、そうそう。この写真のことなんだけど、何か知らない?」

「写真……ですか?」

「煌矢っぽいからさっき聞いてみたんだけど、癒空に聞いてくれって言われちゃって。」

 

たしかにこれは兄さん……というより、今書いている手紙の宛先の人だ。

しかしこんなもの、いったいどこから出てきたのか。

 

「あー……私のですね。ありがとうございます。」

「癒空のだったなら良かった。もう夜も更けるし、癒空も早く寝た方がいいよ。それじゃあ、おやすみ。」

「はい。おやすみなさい。マスター。」

 

私のものではないのだが、とりあえず貰っておくことにした。

夜が更けると言われたが何時なのだろうか。

ふと、時計を見るともう日付が変わってしまっていた。

時間的にもう手紙を書くのは止した方がいいだろう。

 

私は書きかけの手紙を机に仕舞って眠る事にした。




風笠煌矢の拝啓と対になるようなタイトルですけど中身は別にそんなでも無かったですね!
ちょっと思いついたので書きなぐってみました。
やっぱりあやふやで覚えてる部分も多いので、本当にこれであってるのか気になるところもたくさんあります。

なので、原作者さんの設定資料がいつか来る事を待っています。⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ピョンピョン


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めりーくりすます!!

まだです


世間はクリスマス一色。

街には色とりどりの電飾が施され、場所によってはテレビで話題にもなったり。

通販やショッピングモールはクリスマス商戦が勃発、夜の街には沢山のカップルがうじゃうじゃ湧く。

 

ああ鬱陶しい。実に鬱陶しいです。

 

なのに、なのに……

 

「どうして待ち合わせがここなんですか…」

 

私は今、兄さんと待ち合わせをしています。

しかし、待ち合わせ場所がカップルがたくさんいる駅前と来ました。頭湧いてるんですかあの人。

今日は兄さんとクリスマスの買出しに行くだけなのですが、用事があるようで急遽待ち合わせになったのです。

しかし、わかりやすいからという理由だけでここに設定されては非常に困る……というかこんな人混みでわかるんですかあの人。

 

「お、お待たせ……癒空……」

 

そうこうしているとゼーゼーと息を切らしている兄さんが来ました。

こんな寒い場所でよく1時間もか弱い乙女(?)を待たせましたね。あとでなにか奢ってもらいましょう。

 

「遅いです!寒すぎて凍え死ぬかと思いました!ほら、早く行きますよ。みんな待ってるんですから。」

「わっ待ってよ癒空〜!」

 

 

買出しにやってきたのはどこにでもあるようなショッピングモール。やはりここもクリスマスムードの様で。しかし、ショッピングモールということもあり家族連れの方が多いですね。

 

「さて、兄さん。クリスマスにはロールキャベツと何が食べたいですか?」

「えっむしろなんでロールキャベツ確定なの……?」

「え?だってこの間手紙に書いてたではありませんか。『拝啓 ロールキャベツへ』って。」

「あっあれを見たの?!!」

 

兄さんの顔が真っ赤に染まった。相当恥ずかしいみたいです。

 

「大丈夫ですよ。読んだのはそこだけなので。」

「よ、よりによってそこを読んじゃったの……」

 

まあガッツリ読みましたけどね。

ケーキの材料とロールキャベツの材料、クリスマスといえばこれ!という感じの鶏肉を買い、帰る道中に小さな雑貨屋さんを見つけました。

 

「わあ……かわいい……」

 

小さな丸いガラスが施されたピンを見ていると、兄さんはこういうのが好きなんだーとかなんとか言っていました。なんか恥ずかしいですね。

 

「癒空はクリスマスに何が欲しいの?」

「子供じゃないんですから、欲しいものは自分で買います」

「えー夢がないなー」

「……まあ、あえていうならこういう実用的な、【普通】の女の子っぽいものが欲しいですね。」

「じゃあ、それサンタさんにお願いしちゃおうか!」

「は?」

「うっその一文字は心に突き刺さるのでやめてください…!」

 

藪から棒になにを言い出すかと思えば……馬鹿なんですか……この人……

 

「お願いなんてしませんから!ほら、早く帰りますよ!」

「わー待ってよ癒空!!」

 

──────────────────────

 

クリスマスイブ、紀奈さんと一緒に料理を作り、クリスマスパーティの準備が整いました。

少し大きなケーキに、いつもよりちょっぴり豪華な料理、男子勢が頑張って飾り付けた室内で、小さなパーティ。

とても小さくて、ささやかな幸せ。

クリスマスも存外悪いものではありませんね。

 

さて、みんな各々が用意してきたクリスマスプレゼントを持ち、プレゼント交換です。

私は誰でも使えるようにマフラーを編みました。が、皆さんなんだか若干ゲテモノ臭がするのは気のせいでしょうか。

 

「それじゃ、プレゼント交換スタート!!」

 

紀奈さんの掛け声で音楽が始まりプレゼントを回し出す。そして音楽とともにプレゼントも止まる。

私が当たったのは薄い緑の大きな包み。

中にはクマのぬいぐるみ。

 

「あ、それ俺のやつだ!」

 

桜川さんが用意したものみたいです。

とても可愛いぬいぐるみ、これ兄さんとかに当たってたらどうするつもりだったんでしょうか。

 

私が編んだマフラーは紀奈さんに当たったようです。

桜川さんは化粧品、マスターは絵の具セット、兄さんは何故かフリルいっぱいのワンピース。

……一体誰が入れたんでしょう。

 

パーティも片付けも終わり、みんなが寝静まった時間にドアをノックする音が。

 

「どうぞー」

「あ、よかった。まだ起きてた」

「どうしたんですか。兄さん。」

「これ、僕から癒空に個人的なクリスマスプレゼント。」

「へっ?え、あ、ありがとうございます…」

 

中には買い出しの時に見ていたヘアピンと、小さな飾りのついた紺碧色のリボン。

 

「癒空に似合うかと思って。それじゃあおやすみ。」

「あ、おやすみなさい……」

 

すごく綺麗な色のリボン。頑張って選んでくれたのでしょうか。

私にとってのサンタさんは、兄さんなのかも知れませんね。

 

「ふふっ」

 

明日、早速このリボンをつけてみよう。うまくつけられるかわからないけれど、きっと大丈夫です。

 

あの頃なら、絶対に感じることの出来なかった幸せなのですから。




まだクリスマスじゃないんですけど、時期的にも丁度いいですね。
私は今月の頭に中古の3DSLLを買ってもらったので充分です。
ただ、携帯と一緒にカバンに入れると同じ色なのでわからなくなってしまうのがちょっとw

煌矢くんの誕生日は過ぎましたがおめでとうございました 


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