女王領域調査官の四姉妹 (ぱる@鏡崎潤泉)
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任じられた仕事
目指せ!G級


 モンスターハンター

 それは人類と言う枠を超えたバケモノ(ハンター)(正真正銘のバケモノ)の命の取り合いであり、どちらも自らの欲望に身を任せながら今日も世界のどこかで何処かのハンターが何処かの竜と殺しあっているだろう。

 

 そんななかとある四姉妹がG級ハンターになろうととあるクエストを受けようとしていた。

 

「前々から思ってたけどG級に上がるのに女王領域50分生き残れとか頭が逝かれているのではないのかしら?」

「いいか椿姉、今すぐその発言を撤回しろ。ギルマスがすごい殺意を持った目でこっちを見ている」

「榎姉様は心配性じゃな・・・と思っておったがどうやら事実のようじゃ」

「これだから姉さんたちは色々と失敗するのですね」

「「「その三割は柊の仕掛けた罠でしょ(じゃろが)!!!」」」

 四姉妹の装備は皆アカム装備一式であるが横に携える武器たちは全くもって別だった。

 

 長女の椿(ツバキ)は大剣

 次女の(エノキ)は片手剣

 三女の(ヒサギ)は太刀

 四女の(ヒイラギ)はハンマー

 

 見事に近接武器だけだが連携は流石姉妹とつい誉めてしまえるような連携のとれたパーティーだった。

 

 

 つい最近までは上位でコツコツと稼いでいたのだが、最近どこのクエストにも修羅種が出てくるようになってからは、昔は下位クエストだったものでも今では上位でないと受けさせてもらえないというクエストが増えていき『G級』に上がった方がいいのではという結論に姉妹全員が至り、今に至る。

 

「しかし、本当にめんどくさそうなクエストよね」

「クリア条件は生き残ることだが、サブタゲは修羅種一体の討伐だそうだ」

「一体なら簡単じゃろ」

「血の匂いに誘われてほかの修羅種が来ないとは限りないです」

 

 そうは言いながら着々とクエストの契約を済ませる四人。

 

「命の保証はありませんが大丈夫ですね?」

 受付嬢から初めて言われる言葉に早速心が折れそうになる四人だった。

 

 ~☆Now Loading☆~

 

【女王領域】

 かつて絶島と呼ばれた島が、星焔竜によって環境を変えられた事で誕生した。

 湖の大樹を中心に北に凍土、南に火山。

 島全体を囲う様に密林が群生し、東には砂漠が。

 西には特殊なエリア、海水林が存在する。

 浅瀬の海の中に、アマゾンで見られる特殊な木々が生えており、このエリア独自の生態系が見られる。

 また、女王領域に生息するモンスターは9割が特異個体。

 (天地鳴動の星焔竜より抜粋)

 

 

 飛行船から降りた先は修羅種に破壊され、残骸となったベースキャンプ(瓦礫)だった。

「これ五十分間生きてられるかしら?」

BC(ベースキャンプ)がこれなら、ここまで修羅種来るんじゃないか?」

「これじゃ寝れもせんの・・・」

燃鱗(ネンリン)スキル付けてきたけどこれじゃあ効かないよね」

 四人は別々の感想を(いだ)きながらも己の装備を確認し、BCから人類が手こずるバケモノの園に飛び出して行った。

 

 ~☆Now Loading☆~

 

〔エリア1〕

 エリア1は木々が生い茂り、ロクに大剣も振り回せないような大森林だった。

「周囲に気配四つ、全て修羅種と断定」

「It's Show Time!」

「この木は切っても環境破壊の罪で訴えられんじゃろうな?」

「さぁて!どいつから頭蓋叩き割ってやりましょうか!」

 モンスターには困ったことだが、この四人は常に今の戦場を楽しむというとても職業に熱心なハンターだった。

 少しサイコな思考や戦闘狂だが人類としては素晴らしいい性格だった。

 

<クエストスタート!>

 

 少し早目の昼食にしようと四人を狙う哀れな四体のモンスター達はこちら↓

・滅炎 ディノバルド

・黒雷 ジンオウガ

・咆竜 ティガレックス

・颯竜 ナルガクルガ

 

 まず最初に襲ってきたのはディノバルドだった。

 すでに赤くなっている尻尾を口にくわえながらこちらに突進してくる。

 それを椿が自分の大剣をディノバルドの尻尾と刃がぶつかり合うように構え、ディノバルドの突進を受け止める。

 軟らかくなっていた尻尾が大剣に食い込み痛みに顔を歪めるディノバルド。

 しかしそれを見逃さず刃を右に傾けさらに食い込ませる。

 更に追い討ちをかけるように榎がディノバルドの腹を力任せに横一線に切る。

 そして止めとばかりに楸が首を切り落とし柊がハンマーでその頭を叩き潰す。

 

 脳という命令器官を無くしたディノバルドの胴体がドシンという腹の奥まで響く音をたて倒れる。

 切られた首や腹からは赤い血が滴り落ち、大きな血溜まりを作る。

 

 これを見たナルガクルガは撤退に移り、ジンオウガは距離を取る。

 本能的にヤバイと感じて逃げや防御の状態に移ろうとする二体を他所に、たった一体で木々の間を天狗のように跳ねながら襲ってくるティガレックス。

 

 しかし現実は非情だった。

 榎がティガレックスと同じように木々の間を跳ね回り着々と切り傷を増やす。

 ティガレックスは焦れったくなったのか他の三人に襲い掛かろうとするも大剣に腹を刺され、威力が大幅に下がった所に楸が抜刀術でティガレックスを縦に真っ二つに切る。

 二つに切られている時点で絶命しているのだが、それを柊がハンマーで文字道理死体打ちをかます。

 

 

 自分と同じくらいの強さを持つ二体がアッサリ殺されたことに戦意喪失したジンオウガは、素早くその場を去る。

 『負けそうなので逃げる』ある意味賢い生き方ではあるが、ジンオウガは忘れていた。

 森の木々を自由自在に跳ね回る榎のことを。

 

 

 真っ二つに割れ、臓物や血が溢れるティガレックスや、切腹するような形で死んだディノバルドの剥ぎ取りをしているとジンオウガが逃げた方向から物音が聞こえたためそちらを見るとそこには全身が切り傷だらけで死んでいるジンオウガを片手で引きずって帰ってきた榎だった。

 

「ナルガクルガはどうしたのじゃ?」

「毒が全身に行き渡ってはある程度価値が下がりますわね」

「諦めなよ楸姉様、この状況では賭けは私の勝ちです」

 修羅種のジンオウガをたった一人で狩って帰ってきた自分の姉妹にかける言葉としては少しおかしいのかもしれないが、ある意味この姉妹なら普通なのかもしれない。

「ナルガクルガには逃げられた・・・毒は仕掛けたからどっかでくたばってるだろう」

 

 狩った全ての大型モンスターの剥ぎ取りを終わらせ柊の持ってきていた松明で焚き火をつける椿。

 モンスターの血のせいで切れ味が落ちた武器を砥石で研ぐ榎。

 妹に賭けで負け、二千Zを払うはめになった楸

 姉に賭けで勝ち臨時収入を手に入れてホクホク顔の柊

 

 このままこの四人は修羅種があふれる森で50分待つことにした。

 

「案外簡単でしたね」

「ここは飛び跳ねやすいしな」

「儂は抜刀術が使いにくい、ここは嫌じゃの」

「こんなに頭が潰し難いとこは嫌です」

 

<クエストクリア!>

 

~☆Now Loading☆~

 

 50分きっかりにやって来た飛行船に拾われ、バレバレにたどり着く四人。

 晴れて四人は『G級』になったわけだが、優れた資質は、いつも上に振り回されたりするわけで・・・

 

「四人ともよくやってくれた、クエストクリアおめでとう」

「「「「ありがとうございます」」」」

「女王領域を無事で帰ってきて、それも無傷とは恐れ入った」

 そこでギルドマスターは一言区切り四人に向かいちょっとしたお願いをして来た。

「さて、そんな優秀な君たちを女王領域調査官に任命したいと思う」

「丁重にお断りさせてもらいますわ」

「断らせてもらう」

「拒否じゃ」

「姉ならどうぞご自由にしていいですから私だけは」

「残念だが君たちに拒否権はない」

 ギルドマスターの非情なる一言。

 

「「「「あんまりだぁぁ!」」」」

 

 こうして彼女たち四人は晴れて女王領域調査官に任命された。




モンスターなハンターだね


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多分世界で一番会いたくないモンスターに会いました

戦争勃発?


〔エリア1〕

「こんなところに来るのはこりごりですわ」

「まぁそう言うな椿姉、1ヶ月に一回行って地図書くだけで毎月十万貰えるんだぞ」

「あそこがああでここがこうじゃな」

「調査官に就任して三ヶ月たちましたが、修羅種を最近見ませんね」

 

 密林の中にポツポツとある木漏れ日が照らすエリア1

 そんなエリア1の地図を描いたり、見かけたモンスターをメモしたり思い思いに仕事をこなす四人。

 邪魔をする修羅種を一切の情けをかけず切り裂き続けて早いもので数ヶ月、エリア1の修羅種は四人の臭いを覚え四人が来るとすぐさまに逃げるようになった。

 

「そろそろエリア2の方に移りましょうかね」

「エリア1のやつらはあらかたメモったしな」

「まだ地図が書き上がっておらん」

「使えないお姉ちゃんですね」

 

 その会話を聞いた修羅種達はもろ手をあげて喜んだ。

 しかしこの事を聞いて怒った物がいた。

 エリア1の主とも言えるティガレックスだった。

 

 修羅種は進化の仕方が個体によって違う。

 隠密行動に重きを置くナルガクルガもいれば素早さに重きを置くティガレックスもいた。

 エリア1に住む修羅種の中で一番強いティガレックス。

 その進化の方向は自らの能力の強化

 このティガレックスは新たな可能性を捨て、今まで以上の力を手に入れたのだ。

 

 

 

 まず最初にティガレックスの気配に気がついたのは椿だった。

「なにか来ます」

 その次に気付いたのは榎、三番目は柊だった。

「なんじゃ?」

 最後に気付きターゲットにされたのは楸だった。

 

 ティガレックスは右の翼に力を入れ、地面をえぐり飛ばす。

 飛んできた岩は隕石といっても過言ではないスピードで楸に向かう。

 しかし岩は楸に当たる前に柊が投げたハンマーで砕け去る。

 

「案外投げてみるもんだね」

「武器は大事にしないとダメだろ」

「助かったの」

「戦闘態勢!」

 

 四人のいる木漏れ日の場所に素早く入ってくるティガレックス。

 一瞬で距離をとる四人。

 そしてティガレックスは、四人を追うわけでなく大きくそのアギトを開ける。

「グワァァァァァァァッ!!!」

 普段から高級耳栓を着けている四人ですら耳を塞ぐ大音量は周りの地面を揺らすほどであった。

「私達なにか悪いことしました!?」

「してるからこの怒りようなんだろ」

「煩きことじゃ」

「私が何したってんだよチクショー!!」

 四人とティガレックスが完璧に敵対した瞬間だった。

 

 目標を楸のままにして突っ込んでくるティガレックス。

 しかもちゃんと周りも見ながら突進して来るので横から一撃を食らわせようとしても無駄であろう。

 

 突っ込んでくるティガレックスの真正面に立って抜刀の構えを取る楸。

 逸れでもなお突っ込んでくるティガレックス。

 

 そして一人と一匹がそれぞれの間合いに入った瞬間、両者とも己の武器を相手に叩き込む。

「緋天の剣、月影切り!」

「グワァァァァァァァッ!!!」

 上から鋭く尖った爪を降り下ろすティガレックスと下から相手の頭ごと爪を切り落とそうとする楸、しかし両者とも相手の武器に阻まれる。

 

 一旦距離を取る一人と一匹。

 

 もう他の姉妹はお好きにどーぞと言うようにくつろいでいる。

 この姉妹は家族にかける情も持ち合わせていないようだった。

 

 相手の次の手をどう打ち破り倒すかと一旦距離を取ったはいいがにらみ会うだけになる一人と一匹。

 

 他の姉妹はどっちが勝つかに賭けを始めている。

 

 そして先に動いたのは楸の方だった。

 地面を蹴った跡は見えるが姿は見えない、そんなモンスターじみた速さでティガレックスに斬撃を畳み掛ける。

 しかしティガレックスも伊達にエリア1の主的立ち位置にいるわけではなく、応戦するように爪で斬撃を受け止める。

 

 鬼神のような力と速さで大剣の降り下ろしのような重い一撃を刹那の速さで十発以上打ち込む。

 負けじとティガレックスも次々と爪撃を繰り出すが最早焼け石に水であり、少しずつ傷が増えていく。

 

 そして戦いの女神は楸に微笑んだ。

 ティガレックスの爪が折れたのだ。

 苦痛に顔を歪めるティガレックス、しかしそんな隙を見逃すほど楸は間抜けでないし優しくもない。

 一瞬で抜刀術の構えを作った楸は、そのまま全力で刀を抜き放つ。

「これも世の定めさっさと朽ちるがよい・・・」

 今までに切ってきた竜の油が摩擦熱で発火する。

 自らの手に燃え移ることすら気にかけず燃え盛る刃をティガレックスに叩き付ける。

 

 先程の傷口から溢れる血に燃え移り体を包んで行く焔に巻かれ、絶命したティガレックス。

 しかしその顔は清々しい顔であったと回収したギルドの青年は後に語ったという。

 

 

 

 

 

「賭けは私たちの勝ちのようね」

「そりゃあ楸だもんな」

「畜生めぇぇぇ!!!」

「お主らいい度胸じゃのう?」

 

 楸が今日のところはこれで帰ろうと言い出し、BCに向かっていると木の上から声がかけられた。

「流石モンスターなハンターってとこかな?」

 率直に言って奇抜な格好をした少女が面白そうに此方を見下ろしている。

「ハンター憧れの称号に変な接続語を入れるのをやめてもらおうか」

「見ておったなら助けてほしかったのう」

「どうせ最後のとこらへんだけ見ていたのでしょう」

「地図作りの邪魔しないのが本当に不思議だよ」

 四人が思い思いに罵倒したあとに誰が音頭を取ることもなく声を会わせて一つの言葉を紡ぐ。

 

 「「「「星焔竜!」」」」

 

「何でわざわざ助けたり邪魔したりしないといけないのかな?」

 悪戯っ子の笑いと言えば良いのだろうか?取り敢えずそんな顔を浮かべた星焔竜(分体)は宣戦布告ともとれる一言を言う。

 

「貴女達みたいな塵芥共を」

 

 火蓋は切って落とされた。

 さぁ踊ろう、自らの命を掛けた死のワルツを




 この四姉妹は家族にかける情を持ち合わせておりません。
 理由は家柄というべきものです


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修羅の里
特殊な家柄


他の三次制作者さんはあんまり星焔竜を敵対視していないような気がするので・・・



作者はレイアちゃん好きですよ


「貴女達みたいな塵芥共を」

 

 星焔竜の放ったその言葉で四人全員が星焔竜を『絶対に殺す相手(ターゲット)』に認定する。

 しかし四人とも分体にしかけようとはせず、むしろ撤退の動きを見せる。

 

「逃げるの?」

 星焔竜の挑発とも取れる一言に逆上することもせずモドリ玉を使用する四人。

 しかししっかり怒ってはいるようでと挑発は返す。

 

「「「「今でも殺せるとは思うけど今はやめておく、その首切り落とし磨り潰してやるから覚悟しろ」」」」

 

 その殺気は周りに風を起こし、草陰で様子を見ていたジャギイなどを気絶させる。

 覇者の気とでも言うのだろうか、まさに四人の姿は一騎当千の猛者のようだった。

 

「なら最後に忠告してあげる。来月は来ない方がいいよ」

 星焔竜の警告は何を意味しているのだろうか・・・

 

 

 

 

 

 

 BCで四人の帰りを待っていた飛行船に乗り女王領域を離脱する四人。

 

 四人は飛行船の窓から星焔龍の樹に向かって中指を立てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 調査官に就任したときに四人はマイルームが支給された。

 それまではドンドルマに訪れたりフィールドで野宿をしたりと世界を渡り歩いていたのだが公務員になった時に手紙などが不便と言うことで家が支給されたのだ。

 

「あ~疲れましたわぁ~」

「全くだ」

「寝るのじゃ」

「Zzzzz」

 四人の行動は一つ、休息だった。

 マイルームの中には二段ベッドやハンモック、布団など個人の趣味がありありと見て取れる。

 

 そして榎、楸、柊が眠りにつき自分も寝ようとしたとき、窓がコンコンと鳥がつつくような音が聞こえのっそりと二段ベッドから出る。

 布団で眠る柊を​跨ぎハンモックで太刀を抱え恍惚とした表情で眠る楸を躱し窓にたどり着く。

 

 窓を開ければそこには足に手紙を括り付けた鳩がいた。

 

 括り付けてある手紙を取り、内容を読むとそれは故郷からの招集命令だった。

 

 

 年二回の一族研鑽への招集

 我々の一族がどこまで技を磨けたかの確認である。

 力の限りを尽くしたまえ。

 

 

 

 四姉妹の一族は変わっていた。

 

 元々一族の始まりはたった一組のパーティだった。

 強き者に引かれる内に新しく外から強者を婿として迎え入れたり従兄弟などと交わり、強者のDNAを残していく。

 それを繰り返していき今では立派に集落ができあっている。

 

 そして一族の一人一人がそれぞれの武器の技を極め、子から子へと技を改良し伝えていく。

 DNAのこともあり代を重ねるごとにどんどん強くなる一族である。

 

 しかしより良きDNAを残すためなのか何時からか一族は殺し合いの大会を開くようになった。

 年々増えていた一族の数も最近は減っているらしい。

 

『強き者が生き残り弱き者が死ぬ』まさに人間版修羅種と言える。

 そして七歳になれば一族の子供達はたった一人で上位のリオレウスを狩ると言う風習もあり、この一族を知る者はこの一族を修羅の一族と呼んでいた。

 

 




 人間版修羅種なのがこの四姉妹!

 別に転生者じゃ無いんです。
 五歳で天狗なんかのように木を蹴って三次元的移動が当たり前って言う最早人外な集まりなんです。


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修羅の一族

 これが一番更新頻度がいい気がする・・・



 本家、分家と出てきますがこれは始祖の四人の血液の濃さを失ってゆく速さの速さで分けています。

 本家の方も少しずつ薄れはしますが、樹形図のように真中からどんどん離れていくのが分家だと考えてください


 名もなき草原、ギルドですらそこに集落があることは知らない。

 

 その集落に名前はない、しかしその集落のことを知る者は皆その集落のことを『修羅の里』と呼んでいた。

 

 

 

 

「帰ってきましたわね」

「遺憾ながらな」

「めんどくさいのう」

「ちゃっちゃと終わらせて帰ろーよー」

 修羅種から作った軽装備に身を包む四人からはやる気がこれっぽっちも感じられない。

 

 そんな四人に後ろから声がかかる。

「本家の皆さんは暇そうですね」

 振り返ればインテリメガネの名も知らない誰かが居た。

 

 本人が言った言葉で察するにこいつは分家の方なのだろう。

 

 例外はあるが本家は実践的な技術を使い、分家は柔軟な発想のもとで産み出された奇抜な技術を使う。

 分家のインテリは腰につけているハンターナイフが武器だと思われる。

 

 どんな竜にも刺さるハンターナイフはまさに柔軟な発想だと言えるだろう。

 もしかしたらあの星焔竜だって刺さるのではないだろうか。

 

 

「喧嘩は買いませんわよ?」

「無駄にメンドイ奴が言うセリフだな」

「めんどくさいのう」

「ちゃっちゃと終わらせて帰ろーよー」

 全く意に反そうともしない四人。

 その行動は、もはやインテリを注意するまでもないとでも言外に言っている。

「本家の座は、渡してもらいますよ」

 

 

 この集落では本家のみに養子の制度がある。

 理由は単純で跡取りのためである。

 例えば年二回の殺し合いで自分の子供が死んでしまい跡取りが居なくなってしまった場合や、分家の子供で磨けば光る筋の良い者を本家に迎え入れて鍛えるなどの場合である。

 

 本家当主になれば一族を意のままに操ることも可能であるし、富も莫大出はないものの一応大金はある。

 野望に満ちた分家は、最も本家に自分の実力を見せることのできる可能性の高い殺し合いで行動を行う。

 

 

 

「本家の座は貰う」的なことを言ってその場を立ち去るインテリメガネ。

 戦わずして勝つなら暗殺と言う手もある為周りに気を付けるべきだと思う四人。

 

「さて、大会より前に御父様に会うべきだと思うのですが異論は有りますか?」

「ないな」

「義父上に会うのは何時ぶりかのう?」

「義父さんの好物って何だっけ?」

 四人はシリアス何てものとは無縁のようだった。

 

 談笑しながら自宅へと進む四人に向かって迫り来る弓矢と銃弾。

 弓の風切る音は小さく、銃弾には消音機構が備わっている。

 

 しかし流石は本家の四人、弓矢は掴み取り銃弾は向きをそらす。

 殺されかけたのにハイそうですかで引き下がることは出来ないとばかりに四人は近くにいた名も知らない人が引っ提げていた銃を奪い構える。

 相手がこちらを撃った場所はわかっているためそこに銃を向けるがそこにはすでに相手はおらず姿は見えない。

 

「近接だけじゃ本家では生きていけないのですわよ」

「取りあえずなんだ、死ね」

「アイドルはしんどいのう」

「全くだね」

 

 相手はが遠くにまで逃げてるとは時間的に思えず、近くの岩影に隠れていると予測した四人は、見当違いの方向に銃を放つ。

 

 しかし放たれた弾丸は的確に跳ね返り自分達を狙撃した愚かな分家に直撃する。

 狙撃手は二人いたが、四人の放った弾丸は脳と心臓を綺麗に撃ち抜いていたと死体の捜索にあたった集落の者は言っていたと言う。

 

 

 

「死して屍拾うものなし」

「何だっけその台詞」

「東洋の島国の忍びと言われる諜報機関の言葉じゃな」

「楸姉さんはそういうの好きだよね」




このまま強くなっていけばゆくゆくはジェスト級になるのでは?


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修羅の里の中で最も強き者

 緋月さま、本編完結おめでとうございます。

 続編も楽しみにいたしますし、あの女王領域の大混乱の中に触れたいと思っていますので何卒よろしくお願いします。


 修羅の里の中心地、そこにはどこで知ったのか自らを強き者として売り込みに来たハンターや武器や防具の技を極めに来た鍛冶屋など色々な人々がおり、活気に溢れていた。

 

 そんな自然と形成された市場を見守るように市場から少し離れた所に本家当主の家があった。

 

 

「いい買い物はできませんでしたわね」

「どうせ遊び半分だろ」

「柊は何を買ったんじゃ?」

「月刊狩りに生きると週刊モンスターストリートとお土産」

 活気に満ちていた市場を抜け当主の邸宅につく四人。

 

 その顔には懐かしさが浮かんでいた。

 

 

 

 

「「「「只今戻りました」」」」

 そう言って玄関を開けるとそこには一人の初老の男性が立っていた。

 

 ほどよく引き締まり、無駄のない筋肉。

 数々の戦いで武器を握り続けた拳はゴツゴツとした印象を与えるものの、よく見ればその手からは巧みに武器を操ったり改造をし続けた職人の手のような繊細さも感じれる。

 

 髪の毛は白くなりつつあるもののもその蒼き双眼からは全く老いを感じさせることのない意思がかいま見える。

 

「よく帰ってきたなバカ娘共」

 一見辛辣ではあるが優しさを含む声は早く上がれと言外に言っているのかもしれない。

 

「あいにく地獄が満員でして」

「最近空きが二つ空いたようなんだがな」

「義父上元気にしておったかの?」

「お土産に羊羮買ってきたよ~♪」

 

 実は当主の周りには覇気が漂っているのだがそれをまるで何事もないかのように振る舞う四人。

 

 

 四人が当主に付いて歩き、客間に到着する。

 客間は開店したのが明治何年と言う老舗旅館の宴会場かなにかを頭に浮かべてもらいたい。

 そんなだだっ広い客間の床の間には奇抜な形をした武器がおいてある。

 

 床の間にある武器は、かつて先代当主が自由自在に操りモンスターを駆逐していたと伝わる武器である。

 嘘か真かは分からないが先代当主は神から使わされた人間だったと言われており、おいてある武器は神が授けたと言う。

 その武器は、全ての武器の特徴や長所を持っており重いことや整備が面倒なことを除けば短所と言うものがなく全てのバフやデバフを操り属性すら変えることができたとか。

 

 そんな先代も十年ほど前に爆死し、形見としていまは今代の当主が使っている。

 

 

「相変わらずこんな広い家に一人で住んでいるのですね」

「再婚は・・・考えてるわけないよな」

「当たり前だそれは椛への不忠だ」

「義父上は義母上が死んだときからそればっかじゃのう」

「義母さんや義父さんとの思い出って何だっけ・・・家族みんなで楽しくラージャン狩りしたのくらいしか覚えてないよ」

 それからしばらく家族の団欒(米国とソ連の冷戦が温いくらいの団欒)が続いていたときに、当主が四人の使っている武器に目をつけた。

「なんだその切れ味が紫程度の武器は!?」

「「「「ギルド公認の物です」」」」

「お前たち、ちょっと修羅素材出せ」

 そう言うと四人の取り出した素材をもって工房と見事な達筆で書かれた扉を蹴り開けて竈に火を入れる当主。

 竈から十m以上離れていても近距離で修羅種バージョンのリオレイアの火炎を受けたときのような熱さが肌に感じられる。

 

 当主の降り下ろす金槌が工房の外にまでカーンカーンと金属特有の高い音がなる。

 当主の顔はとても真剣で邪魔をすれば殺すと言いたげな目で黙々と素材を叩き続ける。

 

 

 

 

 数時間後、当主はとても晴れ晴れとした表情で四つの武器を四人の前に並べる。

 武器の種類は、【大剣】【片手剣】【太刀】【鎚】で、丁度四人が使う武器であった。

 

「とても良い出来だ、一年に一回あるかないかの確率だな」

 とても晴れ晴れとしたその表情の理由は、本当は武器ではなく四人の愛娘にあることに四人は気づいていない。

 

「この大剣は、刃がノコギリみたいに曲がってますわね」

「先が鍵爪みたいになっていて敵の肉を余計引きちぎることができるぞ」

 

「この形は円月刀?」

「そうだな、それにそいつはナルガクルガやティガレックス共の素材だから今まで以上に立体機動がしやすいぞ」

 

「この素材は・・・」

「そうだ、とあるティガレックスの物しか使っていないがお前には十分だろう」

 

「このハンマーは以外と普通だね」

「何が普通なもんか、こいつは属性を変えたり叩いた部部を爆破したりという機械機構を備え形状を変えることにより表面ではなく内臓等にダメージがいきやすいようにに作ったんだ」




地獄から帰ってきた兄弟がいますので地獄が満員ではなくなりました

ちなみに万能武器のイメージは仮面ライダー電王の武器が元となっている。

先代当主は勿論転生者

今代の当主は実はジェスト叔父様が目立つ数十年前から古龍や危ないモンスターを殺して回っていた実力者でその実力は未知数、イメージは【阿礼狂いに生まれた少年の物語】の信綱の大体五十代ごろですね。

あと四姉妹の武器は私が書いた下手な絵ですがあとでのせるかなんかしておきます


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本家と分家

MHWの新大陸にまでストーリーは広がるのかな?


 実父または義父から新しい装備を貰い、庭で慣らし運転をしていた四姉妹の元にひとつの声が届く。

「風呂が沸いたぞさっさとその汗流してこい」

 その声の主は本家当主であり、四姉妹の(義)父である榊だった。

 

「乙女に向かって何てことを言いますの!」

「了解した!」

「薬膳風呂の匂いがするぞい」

「ありがとね、義父さん」

 姉妹別々の返答にわざわざ返すのが面倒なのか、さっさと行けとでも言うように風呂場を顎で示し、榊は自分の部屋の方向に戻っていってしまった。

 

 

 温泉と言っても良いほど広いお風呂は四人には十分すぎた。

「いい湯ですわね~♪」

「そうじゃのう♪」

「ババンバ、バンバン、ババンバ、バンバン♪」

「榎姉さんその歌なに?」

 広い浴槽にはたっぷりと暖かなお湯が張ってあり、お湯からは修羅の里までの長旅に疲れた筋肉を解したり、腰痛や冷え性に効く薬膳の薫りが漂う。

 

 たまの帰省も悪くないかもと全員が思い始めた頃、遠くで何かが爆発した音が聞こえた。

 

「「「「何事!?」」」」

 

 急いで風呂から上がる四人。

 そして急いで風呂から上がった四人が見た光景は、赤々と燃える当主の部屋だった。

 

 「「「「お父さん!」」」」

 自分達を迎え入れた父親の姿を見渡して探すも、見当たらない。

 まさか本当に当主の部屋で焼け死ぬか爆死したのではないかと四人の頭のなかをよぎった瞬間、後ろから着地音が聞こえ振り替えると、そこには頬などを少し煤で黒くしている榊が立っていた。

 

「死ぬかと思ったな」

 あくまでも、思ったの辺りが父親らしい。

「いったい全体どうなっているのですか!」

「んなことより火消しだ椿姉!」

「こりゃあもう当主の部屋がある離れは諦めるしかないのう」

「じゃあ私消防呼んでくるね!」

 流石に大人と言うべきか四姉妹は迅速な行動で消化を試みる。

 

 結局火は消えたが離れは全焼してしまった。

 

 

 

 次の日、市場の方では昨日のように路上での露店が立ち並ぶのではなく、大きなステージが用意されていた。

「もう、あの殺し合いの時間なのですね・・・」

「昨晩のことがまるで夢のようだな」

「気絶させるか心臓を止めるかのどっちかじゃのう」

「楸姉さんって心臓止めても一定時間過ぎたらまた動き出すようにして殺さないくせに」

 

 そして四人の頭に一人ずつ手をのせ撫でる榊。

「お前たちは死なん、何せこの俺が鍛え上げたんだからな」

「お父様のくださった武器で戦うことはしませんが絶対に勝ちます」

「心配すんな親父!私らは地獄からも天国からも出禁食らってるからな!」

「あのティガレックスの為にも儂はこの刀を自らより弱き者には使わん」

「こんなの女王領域に比べれば楽だよ♪」

 

 

 

 

 

 

そしてこれが榊との最後の会話となる。

 

 

 

 

 

 この大会はそれぞれA.B.C.Dの四つのグループに分けて争われる。

 同じ家系の者はぶつかることのないよう手配はされるのだが、出場者が五人以上いる家系はそうはいかない為、一年ずらす方法もとられている。

 

 四人姉妹は勿論関係のない話だが・・・・

 

・組分け

Aグループ 椿

Bグループ 榎

Cグループ 楸

Dグループ 柊

       である。

 

 1日かけてひとつのグループが終わるため、大会は後夜祭みたいなものも会わせて5日かかる一大イベントである。

 これを見たり便乗商法をしようとくる人間もいるため結構賑わう祭りである。

 

 

 組分けも終わり、開始の式典も終わりついに始まるヒト対ヒトの真剣勝負。

 負ければ大体自分の命が散る。

 勝てば本家になることもできる。

 野心と恐怖心が織り成す最高のショー、お手元には陰謀と復讐心と言うポップコーンとお飲み物があります。

 では、幕が開きますよ。

 

It's show time




 さて意味深なものもありましたがそれは只の予告

 本番は此れからですよ。

 ☆Have nice a red dream☆


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ヒト対ヒトの真剣勝負

関係が有ってないようなものですが、飲んでる薬のせいで頭が痛い。

因みに一戦ごとしか書かないので椿の戦いが終われば次の日になり、榎の番になります。


〔Aグループ:椿 第一戦〕

 

「それでは始めてください!」

 審判(医師免許持ち)がそう叫んだ瞬間目の前の"敵"は、片手剣を横にして水平に持ち突きを繰り出す。

 後で知ったが牙突と言うらしいがそれをなんなくかわす。

 しかし、剣を横に薙ぎ私を刃で切ろうとするのでハンターナイフで受け止める。

 

「乙女の肌に傷をつけるのは紳士的ではありませんわよ?」

「ほざけ、その余裕がいつまで続くかな?」

 

 両者の刃が重なりあえば自然と挑発しあう二人。

 散発的に鳴り響く金属と金属がぶつかり合う音。

 しかし、ぶつかり合う音の感覚は段々短くなって行く。

 

「一回戦ってやっぱり動きにくいですわね」

「煩い、死ね」

 

 一回刃がふれ合う度に少しずつ速くなって行く椿。

 一つ刃がふれ合う音が響けば、踏み込む力が上がり。

 二つ刃がふれ合う音が響けば、剣速が上がり。

 三つ刃がふれ合う音が響けば、脳の回転数が多くなる。

 

 一回一回の伸びは怖くはない、しかし塵も積もれば山となることもできるのだ。対戦相手がその事に気づいたのは最早、刃を重ねなければ一方的に殺られると思える状態だった。

 

 『切れば相手は強くなる』しかし『切らなくてはこっちが死んでしまう』、こうして対戦相手はどうあがいたって結果は確定した。

 

 

 

 

 

「椿姉様はやはり人外じゃのう」

「それ私たちが言える立場じゃないよね、楸姉さん」

「あれ、椿姉まだやってんの?」

 命をとして戦う姉の姿に頑張れの一つもなく人外だと宣う妹たち。

 姉妹の仲はこんなものだった。

 

 

 

 

 

 

「もうそろそろ諦めたらどうですの?」

「・・・」

 最早煽りに対応する余裕すら無くなってしまった対戦相手に少し手加減をして倒すと決める。

 

 刃と刃をぶつけ合わせる攻防戦から一旦ダックステップで後ろに下がり、腰につけたナイフケースの中にハンターナイフをしまい、素手になる。

 相手はその事を不思議がり近寄ろうとはしない。

「素手相手にも敗けを感じるんですの?そうだとしたら本当にお笑い草ね」

「殺す」

 相手は愚考した、相手が油断し慢心したため素手になったのだと。

 しかし本当のところは違った。

 

 椿は勝負をつけに来ていた。

 

 相手は片手剣を逆手にし横方向に走り出す。

 それを視線で追うが首を捻った時には姿が無く、咄嗟に上を向く。

 そして目当ての人物はそこにいた。

 

 普通なら後ろでも向くような場面で上を向いてきた椿にぎょっとする対戦相手。

 しかしもう落下は始まっており、最早避けることは叶わない。

「お休み」

 そう言って落ちて来た相手の手を掴み肘に掌底を打ち込みへし折る。

「グハッ!」

 そのまま遠心力をつけて地面に叩き落とす。

 

 相手の意識はそこで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔Bグループ:榎 第二戦〕

 審判の声が言い終わった途端に素手に移行する榎。

 それを相手は慢心だととったのか顔をにやつかせる。

 

「言っとくが手加減はしてやらん、だから安心してかかってこい」

「生意気な小娘だ」

 

 どこで手に入れたかは分からないが対戦相手の男はマチェットのようなものを装備している。

 そして軽装故のスピードか、それとも不思議な力でも持っているのか男は巨体に似合わずすごい早さで移動しはじめる。

 

 右にいると思って振り向けば既に左へと移動している相手に攻撃はせず、わざと隙を作る。

 

 その隙を罠だとは気づくこと無く死角からの降り下ろしをする相手。

 しかしその腕は掴まり関節が動く範囲以上の向きに変えられ、己のマチェットが腹に刺さる。

 

「そ、その動きはCQC・・・」

 腹部からだらだらと血を流すもマチェットを引き抜き斬りかかる男。

 しかしそれも手首を肘うちされマチェットを取り落とし、腹を蹴りあげられて勢いを殺され地に伏す男。

「そんな、この異世界に、MGSで革命を起こそうとし、た僕の夢はここで終わる、のか?」

「そうらしいな」

 止めを刺すためにマチェットを拾い、男の背中の心臓の辺りの上に刺せるようにマチェットを構える。

「僕は、主人公になるべきなのに、どうしてッ!」

 最早聞くにも見苦しい悲痛に満ちた声で自らの欲望をわめき散らす男。

「どうしてこうも、僕の、邪魔・・を、する、んだ!」

 何となくだがもう少しわめき散らす汚物を生かして見るのも面白そうだと思った榎は相づちをうってやる。

「さぁな」

「異世界転生な・・んて・・主人公・・確定じゃな・・いか」

「そうか?」

「そうさ!」

 そう叫んだ後少し血を吐く男。

「なぁ、一つ私の思ったことを聞いてくれ」

 この台詞を言ったとき男の目は輝いていた、もしかしたらこの子は自分が主人公だと認めてくれるかもしれないと、もうそろそろで力尽きるであろう脳を回転させて思っていたに違いない。

 しかし、現実は非情である。

「あんたは転生者つまり客人だ。そして客人が人の家で起きた親子喧嘩に首突っ込んで無理矢理解決するのはなんか違うんじゃないか?」

「そんな、、、こと、、、ない、、、」

「薄れ行く意識の中悪いが一言言うぞ、こんな殺し合いの大会に出てる時点で手前は主人公になんてなる資格はない。貰えんのは殺人者ってレッテルくらいだろ」

 そう言ってマチェットを心臓に当たるまで深く差し込む榎。

 男の顔が悲痛に堪えきれない苦しみの表情をして死んでいたのは体の傷だったのかそれとも心の傷だったのかそれはもう誰にもわかることはないだろう。




 死んだかどうかは医者が判定するらしいので(医師免許持ち)です。


 四姉妹の【法則】ってどんな感じでしょうかね?
 一人一人の法則と四人一緒の時の法則とで別々な感じでしょうか?


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人間を止めし者

 難読漢字ってどう考えてもまともじゃない。(主人公の名前が難読漢字なやつの戯れ言)


〔Cグループ:楸 第五戦〕

「では、第五戦始め!」

 と言うもう疲れきったと言うような声で開始の宣言をする。

 

 目の前にいるのはついこの間話しかけてきた、インテリメガネ。

 装備武器は恐らく腰についたダガー、防具類は最早身を守るのには目もくれない、ゆったりとした導師服。

「そんなもん着て死にたいのかえ?」

「死に装束としては、そんなむさ苦しい防具を着ているあなたの方が酷いのでは?」

 こちらの煽りにクスリ笑いながら挑発をしてくるインテリメガネ。

 

「戦人は立派な武具を着てこそじゃ」

「脳筋共め!」

 

 楸が柄に手をかけた瞬間、一瞬でインテリメガネがその場から飛び退く。

 インテリメガネが飛び退く前の場所はくっきりとわかるほどに剣筋が残っている。

 

 しかし楸はそんなことを気にしないように、周りに覇気を広げて行く。

 その覇気はフィールドの端まで行き届き、フィールド上の存在をすべて認識出来るようになる。

 

「待ったって獲物は入ってきませんよ?」

 腰に差したダガーを抜くことなく、袖を楸に向けるインテリメガネ。

「?」

 その動きを怪訝そうに見つめる楸に向けて袖から何か黒い棒状のものが数本放たれる。

「?!」

 驚きつつも的確に黒い棒を弾き、最後の一本は素手でつかみとる。

 その黒い棒の正体は、【棒手裏剣】だった。

 先は鋭くとがっていて、先端部は少し油の様なものが塗られている。

 名前の通り棒状の形をしており、後ろの部分には白い布がついている。

 

「驚きましたね、まさか毒の部分を掴まないとは・・・」

 クックックと含み笑いをしながらいつの間にか手には多種多様な暗器をもつインテリメガネ。

 目を凝らせば、インテリメガネの持つ暗器は何れも少し油の様なものが塗られている。

 きっと毒以外にも麻痺や粘菌なども塗られているのだろう。

 

「間一髪じゃったのう」

 そう言って掴んだ棒手裏剣を投げ捨て、構え直す。

「絶対に真っ直ぐになんて突っ込みませんよ?」

 こちらを憐れむような目でこちらを見下すインテリメガネ。

「いやはや、なに、ちと暖めるのに時間がかかっただけじゃ」

 そう言って、構えを保ったまま足に力を込める。

「?」

 今度はインテリメガネの方が困惑し、怪しむ。

 

「一刀の太刀【梓】」

 ようやくなにが起きるか察したインテリメガネだったが時は既に遅い、バックステップで後ろに避けるも、右腕が落ちる。

 神速の如し速度で迫り、刹那の刻に切り伏す。

 相手が反応できる速度を上回り、必ず切る業。

 それが一刀の太刀【梓】

 

「手、お、おっ俺の手が!」

 切り落とされた右腕を残っている左手で触り、また叫ぶ。

 しかし、腐っても修羅の一族らしく殺気は消えない。

 

「で、どうするのじゃ?降参するかえ?」

 一応降参勧告はしてみるがたぶん意味はない。

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す・・・」

 そう言って、ただただ狂気の憎しみに身を堕として行く。

 こいつはこう言う奴なんだともう解ってはいたが、ここまで面倒だとは思わなかった。

 

「二刀の太刀【唐】」

 ゴア・ウイルスに犯されたモンスターのようにただただ突き進んでくるインテリメガネには勿体ないが二刀の太刀まで見せてやろう。

 

「絶 対 回 避」

 しかし、二刀の太刀はかわされる。

 それに、もう一度二刀の太刀を放てど避ける。

 

「三刀の太刀【楸】」

 その一言を呟きながら相手を峰打ちし、その振動で気絶し倒れるインテリメガネの胸に掌底を叩き込み、心臓を止める。

 きっかり一時間後に甦るようにして・・・

 

 

 

「あぁーあ派手にやりましたわね、楸も」

「なんか、首筋がチリチリするんだよな・・・」

「三刀の太刀まで見せちゃっていいのかなー?」

 そうぼやく柊に向かい、椿が楸の業について説明する。

「良いですか、一、二、三、どの太刀の業もあれだけではないのです。あの太刀の一撃は戦う相手を考えて一から編み直すのですよ」

 そんな大事なことをしゃべってもいいのかと思う柊だったが、その表情が出ていたのか榎に補足説明を受ける。

「一から編み直すんだから対抗策はない、一回戦う毎に変わるんだ対抗なんてできないな」

 成る程と納得する柊。

 

 

 そんな中、インテリメガネはフィールド上で心臓が止まりながらも、怨みを脳内に響かせていた。




因みに筆者はモンハンは4しかやったことないし、シャガルマガラ討伐したあとのフラフラした時期までしかやってません。
 ハンターランク?6ですがなにか?


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最終ラウンド

 さぁ、そろそろメインディッシュですよ!


〔Dグループ:柊 決勝戦〕

 

「勝っても負けてもこれがs「「ご託はいいからさっさと始めろ」」

 Dグループ最後の二人に同時に文句を言われしょぼん顔をする審判。

「・・・はじめ」

 その声は小さかった。

 

 

「楽しく過ごしましょう?」

「ケッ、表の顔なンざいらねェ本性だしな」

「つまらない人ですねw」

 

 最初は一旦下がり相手の出方を伺う二人。

 先に動いたのは柊だった。

 

「さーて死ぬとは思えないけど死んで☆」

 そう言いながら振り抜く鎚は亜音速の速さ(比喩的表現ですよ?人間じゃないハンターじゃないんですから)で間一髪で鎚を避ける相手の顔の前をから振る。

 

「チッ、ンなもン当たッかよ!」

 そう言う相手は投げナイフを投げつけてくる。

 

「避けるまでもないですね」

 柊がそう言っているうちに肩と脇腹、太股に刺さるナイフ。

 投げられたナイフは四本、その内三本は上記の通りだが、最後の一本は不思議なことに額に刺さるルートを風もない状態で外れ、フィールドに落ちる。

 

「ハァッ!?」

 絶対にあり得ないと言うように驚く相手。

 しかし、柊は別にずるい技を使った訳でも科学を使った訳でもない。

 理由としては体質と言うものだろうか?

 

 

「あーあ、あれはあの娘のことを何も知らなかった感じですわね」

「未だにあの体質の理由がわかんねえよ」

「『Die・Hard』・・・つまり死ににくい体質ってことなんじゃろうが、死ににくい体質ってなんじゃろうか・・・?」

 相変わらずな戦い方をする妹を見ながら己の疑問を吐露する三人だが、柊から言わせれば姉達も全員おかしな体質を持っているだろ!なのだがフィールドに三人の声は聞こえないのだ。

 

 

 

「それ!それ!さっさと降伏するか死ぬかを決めろぉ!」

 命を懸けた戦いだからか決勝戦だからなのか相手を追い詰める柊のテンションは高い。

「なんで当たンねェンだよ!」

 追い詰められることに怒りを抱くより先に人生をかけて築き上げた自らの技術が効かないことに憤慨する相手。

 しかし、残念なことにその怒りは何処にも届くことはない。

 伝える相手がいないからでもあるが、伝える相手がいても伝わることはない、なぜなら微塵も罪悪感を抱くことなく理解する気持ちすら興さないからである。

 

 これが効かないならあれを試そうと試行錯誤する気持ちと自らの努力不足を嫉む気持ちしか戦闘では発揮しない彼らの思考はダメだったら次、次がない場合はなぜ準備しておかないと怒られるのはこちらである。

 

「畜生、畜生!畜生畜生畜生畜生おおおおおぉぉぉぉぉおおぉぉ!」

 なりふり構わないと数打ちゃ当たるの戦法で、しかし長年の技術の訓練で鍛え上げた行動は、ちゃんとナイフがそこにいかなければならないルート似合わせて飛んで行く。

 

「はいはい、死ぬなら死ぬって方を選択してほしいね」

 ため息をつきながら鎚を構えジリジリとにじり寄る柊、しかし相手の投げるナイフは一つもかすることもない。

 避けるようにどんどん落ちるか逸れていくナイフは次第に飛んでくるナイフの数も減っていった。

 

「さぁ、降伏してくれる?」

 



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消える存在

デザートはとっっても苦く仕上げないと(使命感)


 世界中の修羅の里出身の者が集まり自らの業を極め、更に修羅と成る祭もメインディッシュまで終わりA、B、C、Dグループのトップが名実共にそうであると認められる式が始まる。

 まぁ、言うなれば表彰式のようなものである。

 

 勿論どのグループも優勝者は本家の四姉妹であり、本家を倒したものは居ない。

 しかしその分、四人の後ろには沢山の屍や怨念があるだろう。

 そしてその存在を知らせるために書状は四人の元へ渡される。

 

 

 

 

「里の同胞たちよ!今日を合わせ四日間、十分に己の業を極め望んだと思う」

 壇上の上では榊が表彰式のようなものに参加した里の人たちに向かい演説を始める。

 その声は来ていた者の全員の耳に届き、脳内に染み入る。

 大声や迫力で無理に叫ぶのではなく、人の脳の奥まで浸透する凛とした声で最小限の大声に声を搾っている。

 その声は聴いていて何故か安心感を得られる不思議な声だった。

 

「その探求の中で命を落とすものもいるが、逆に何かを得ることができた者もいる。その犠牲は無駄な犠牲ではない」

 それが本当ならば四人は自分が何を手に入れることができたのか考えるが、殺戮の方法しか思い付くものは無かった。

 

「そしてその中で最も学び、何かを得ることができた四人を表彰しここに認めたいと思う」

 あぁ呼ばれている、行かなくては。

 

 

 

 

 

 呼ばれて壇上に上がって行く四姉妹の顔は優れてはいない。

 表情はばつの悪そうな顔をしている。

 

 そんな四人の顔を見ながらも事務的に進める榊。

「よく頑張った、それを讃えここに認めよう」

 そうして渡そうとしてくる賞状を見て椿が仕方ないと言うように一歩前に出て受け取る。

 普通はここで礼を言うべき所だがそんな空気を砕く声が聞こえた。

 

「流石は榊様、話が上手い--しかしただそれだけです。貴方は真実が語れていない」

 間の空いた挑発のような拍手に聞き覚えのある声、私たちは急いで振り返る。

 そこにいたのは両腕を義手へと変更したあのインテリ眼鏡だった。

 

「久しいな四姉妹」

 インテリ眼鏡の気分の悪くなるような嫌な声が響く。

 その目には楸が両腕を切断する直前まで宿っていた赤く燃え盛るような野望の火は無く、何もかも捨てた濁りきった目をしていた。

 

「君たちは計画に要らない存在なんだ頼むから死んでくれ」

 そう言ってインテリ眼鏡は精巧に作られた人間の手とそっくりの義手を操り小型の銃を取り出す。

「あぁ、マネルガー先生万歳!」

 そう叫び私たちに小銃を打ち放つ。

 生憎授賞式なので武器は携帯できない、すなわちそれは死を意味していた。

 

 

 パンッと乾いた音を響かせ銃から飛び出す弾丸に避けるすべもなく立ち尽くす四人の前に大きな影が出る。

 

「子供を先に死なせられるかバカ野郎!」

 

 そう言いながら四人に向かって放たれた銃弾をすべて受け止めそれでもまだ膝をつかない榊。

「いいかお前らよく聞け、俺はここで死ぬ工房にお前たちの武器の図面があるそれもって逃げろ」

 血を吐きつつ四人にしか聞こえないような声で伝え、インテリ眼鏡に突っ込む。

 

 当然インテリ眼鏡は命の危機を覚え銃撃を放つ。

 しかし、それを避けず敢えて自分の身に当て自分の娘への流れ弾を作らぬように榊は進む。

「お前もよく聞け、別に俺を殺したあとに里の一番上になってもいい、だがな上手くやらねぇとここはいとも容易く滅びる。よーく覚えておけ」

 はひぃと情けない声(息?)を漏らしながら足を撃って動けないようにしようと銃を構え直すも、榊は銃身を掴み自分の額にあてがう。

 

「さぁ、お前の相手は娘たちじゃねぇ、掛かってこい死に損ない一人も倒せないのか?」

 

 その先は見ることはできなかった。

 しかし、そのあとに会場だった方から銃声が何発か聞こえた。

 私たちの目はもう潤んで前がぼやけていた。

 

 

 

 

 

 工房につけばそこは榊の性格からか整理整頓された場所だった。

 見渡せば製図台の上に幾つかの紙があった。

 

「あったわ!」

「見つけたか!?」

「じゃったら荷物まとめて逃げるのじゃ!」

「お義父さん・・・」

 

 

 

 

 それから走り続け近くの村に着き宿を借りる。

 それから自らの武器の図面を見ている幾つかの紙の一番下の紙は榊の遺書だった。

 先回りなものだと驚いたが逃げ切れた今のうちに読んでしまう。

 

『これは今朝見た夢の為に書き残す』

 その言葉から始まり合計五枚の内容だった。

 一枚目は夢の概要とこれからのこと

 二枚目は椿へ向けて

 三枚目は榎に向けて

 四枚目は楸へ向けて

 五枚目は柊に向けて

 一枚一枚達筆に書かれた娘への気持ちは四人を涙ぐませる

 

 

 今朝、夢枕に先代が降りられた。

 内容は俺が死ぬ夢。

 先代の目はそれが今日なのだと語っていた。

 

 これを読んでいるのが娘たちなら嬉しい。

 お前たちは生きろ。

 絶対に立ち止まってはいけない。

 止まればお前たちは修羅と成る。

 絶対に止まるな、進んで行け。

 

 椿

 お前は俺の才能をついで統率力があるし、決断力や責任感も十分だ。

 大剣を使うなら味方を護れる前衛もいいが一歩引いて戦況を判断し手助けする遊撃がお前には向いていると思う。

 

 そしてお前に謝らなければいけないな・・・すまなかった。

 お前に愛情を注ぎきることはできなかった。

 しかし、母さんや榎、楸、柊と何人もお前に愛をもって接してくれたものがいるはずだ。

 『無いものよりも持っているものを数えろ』

 

「お父様には十分に愛を注いで貰ったですのに・・・」

 

 榎

 お前には並外れた身体能力がある。

 これだけで十分な資産だが、お前の本当の資産は姉が支えられることだ。

 何かを椿が悩んだら一緒になって考えろ。

 そして決まったらそれについていけ。

 

 お前にも愛を注ぎきることはできなかったが技術は注ぎきれた。

 だがお前は姉妹の中で一番修羅になりやすくなってしまった。

 その事をとてもすまなかったと思っている。

 『本当に危ないのは安全だと思った瞬間だ気を付けろ』

 

「俺がそそっかしいとでも言うのかよ親父ぃ・・・」

 

 楸

 お前と柊を本家に娘として迎え入れたときからお前たちを養女だと思ったことは一度もない。

 俺の才能を遺伝子じゃなく模倣子としてでも継いだお前は立派な俺の娘だ。

 

 太刀に使った素材からはお前を認めるかのような感じがする。

 これから先その太刀はお前を幾度と無く助けるだろう。

 その太刀筋をもっと早く正確にしていくことでお前の進化は止まることはない。

 『匹夫の勇、一人に敵するものなりと言うものだ』

 

「そんなに儂を死にたがりだとでも思っておったのか・・・」

 

 柊

 お前はハンマー使いとしては異色のハンマーを渡した。

 あんなハンマーはこの世界においては存在しないと自負しよう。

 しかしお前の戦い方を見て安心できた。 

 お前は正しくこいつを使いこなし、自分の技術をあげることができるとな。

 

 そしてお前も楸と同じで遺伝子ではなく模倣子ではあるが俺の才能は継いでいる。

 次はそれをどう伸ばすかだ。

 『高飛の鳥も美食に死す、心の中でメモっとけ』

 

「欲張りすぎるなってどう言うことですか・・・」

 

 

 

 四人は決めた、もう帰りはしないと。

 そして父の遺言を守り、進み続けることを。

 

 帰ろう、ドンドルマに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一ヶ月後修羅の里は消滅する。

 噂によれば神の逆鱗に触ってしまったのだと。

 

 修羅の里の者は大半が死んだが生き残ったものは散り散りになり世界中に広まったらしい。

 そしてその散った中にはインテリ眼鏡を筆頭に四姉妹を殺そうと言うものも出てきた。

 

 しかし、その動乱の中、インテリ眼鏡は危険思想犯として特殊なギルドナイトの部隊に消されたとか・・・




榊さんの声は1/Fゆらぎと言うものですね。
詳しくはめんどくさいのでご自分で調べてください。

そしてこの頃時系列的に同時進行でマネルガーは最終決戦一歩手前という感じです。
まぁ、インテリ眼鏡が修羅の里掌握した頃に決着ついてしまったんですけどね(笑)


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オマケ
ハンター手帳にかかれていたこと


ただの設定集です。 


・女王領域調査官の四姉妹

 この作品は、緋月弥生氏の作品【天地鳴動の星焔竜】を世界観の基本とした三次製作です。

 

 コンセプトは少しヤバい子が女王領域の地図を書く!

 ですかねw

 

 発想の原因は恐らく成田良悟氏の作品【越佐大橋シリーズ(電撃文庫)】ですね。

 あとはMGS(KONAMI)でしょうか?

 

 女王領域は何か細かく描写されているところが少なくないかなと思ったのも書く要因のひとつですね。

 

・四姉妹になった理由

 これついては特に理由はないです。

 気がついたら四人だったとしか言いようがありません。

 着想はやはりMGS(KONAMI)ですね。

 ソリッド、リキッド、ソリダス、ネイキッドの四人を主人公にしたら・・・と言うのが変化した結果です。

 

・修羅の里及び住人

 この修羅の里は主人公に何か力を持たせたい、でもどんな理由があれば超人的になるのかと言うのが理由です。

 

 じゃあ、転生者にしとけという声が上がりそうですが、原作(ここでは天地鳴動の星焔竜を指す)で転生者がいますし、他の三次制作者の方も転生者が多いですしならここは奇をてらっていこうと考えた結果です。

 

 その結果が修羅の里です。

 

 着想は勿論、修羅種からです。

 

 

 

・修羅の祭りについて

 これについては完全に思い付きです。

 この作品を書き始めた頃に原作が対マネルガー戦であり、この作品の始まりはその一寸前から始まります。

 なので先んじて書くわけにもいかず出てきたのがこの修羅の祭り。

 これで話数と時間を稼ぐ寸法でした。

 

 

・登場人物

 人物については参考にしてい方はいるやつといないやつがいます。

 

 参考にしたものがある。

 ・インテリメガネ

  参考元はらんま2/1でムース(分かるかな?)

  参考場所はメガネと暗器

 

 ・榎の対戦相手

  参考元はMGSでスカルズ

  参考場所は武器と戦法

 

 参考にしたものがない。

 ・四姉妹

 ・榊

 ですね。

 

 

 人物設定

*椿

  お嬢様口調の長女。

  武器を大剣にした理由は、直感です(何も考えてないの裏返し)。

 

  父親に素直になれない反抗期な役をやってもらいました。

  榎と同じで榊の実の娘

 

*榎

  男勝りな次女

  武器を片手剣にした理由は、活発な女子→木々を飛び回るようなアクション→片手剣が大きさ的にいいな~です。

 

  姉に従うし、いざというときはアドバイザーや身代わりになるよに言う影武者な役です。

  長女と同じで榊の実の娘

 

*楸

  のじゃ口調の三女

  武器を太刀にした理由は、ズバリ【のじゃ口調】、のじゃのじゃいう娘が甲冑着て刀振るうの結構凛々しいと思い  ませんか?

 

  基本はおっとりしたのんびりやでやるときはやるという風な役です。

  榊の義理の娘

 

*柊

  ぶりっこな末妹

  武器をハンマーにした理由は、思い入れですかね。

  私は恥ずかしながらモンハンは4しかやっていませんがその時に使い込んだのがハンマー・・・だから作中に出す  ために奔走した結果です。

 

  めんどくさいことはやりたがらないが、実力はある。という裏ボス的存在。

  榊の義理の娘

 

*榊

  四姉妹の父親

  圧倒的な武力を持ち、すべての武器の特徴を持った謎の武器を持つ。

  使う武器は全て。

  オールラウンダーで実力もピカイチ。

  噂では星焔竜と対等に戦えるという・・・

 

  厳しいが優しさのある厳格な父という役割。

  できれば死んでほしくないキャラだった。(ここで殺さないと寿命以外で死ななかっただろうが・・・)

 

 

 

 

以上が設定集です。

 これ以上深入りしたい場合は活動報告に質問場所があるのでそこでお願いします。




なお、これを持って女王領域調査官の四姉妹を完結させたいと思います。

理由としては、原作の天地鳴動の星焔竜が消えてしまわれたことと、作者の緋月弥生氏が居なくなってしまわれた為です。

作品上どうしても原作が必要になるため必然的に行き詰まってしまうのでここで完結させたいと思います。

続きが読みたいと言う物好きな方がいらっしゃるなら、活動報告の質問場所で言ってくださるかメッセージをお願いします。

ではこの辺でSee you next dream


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緊急任務! ネルギガンテを討伐せよ!

 復活した原作者さまがお願いするなら書かないといけないですよねぇ・・・


「ギルドマスター!大変なんです!」

 バンッと書類地獄の事務室へ幾枚かのレポートを握りしめ突入する職員。

 

「何事だ!?」

 予めの胃薬を口のなかで噛み砕き、飲み込む。

 

「れッ例の古龍食いの化け物がッ!現在女王領域に向かっているとのこと!」

 

 事務処理を共にしている秘書と一緒に唖然となる。

 新大陸で猛威を振るっていたネルギガンテが凶悪さでは群を抜く女王領域に住み着こうとしている・・・

 最早悠長に考える時間もない。

 

「調査官の四姉妹を召集しろ!今すぐにッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 各地にハンターを送り、また新たなハンターを迎える飛行船のターミナル。

 そこでそれぞれの得意な武器を身に付け、女王領域行きの飛行船を待つ四姉妹の姿があった。

 

「新大陸の調査団は何をしているんでしょうか?」

 砥石を片手に自らの大剣をベストコンディションに仕上げていく椿。

「うーん・・・始末書か辞表かどっちか書いてるんじゃない?」

 バックをごそごそとまさぐり、忘れたものや足りないものは無いかなどを探している榎。

「まぁ、世の中そんなもんじゃろて」

 そう言いながら事前に貰った調査資料を一心不乱に読む楸

「最悪ですね。 本当に何故新大陸なんて場所から女王領域に住み着こうとしてるんですかね?M何でしょうか?」

 柊は自分専用の特殊なハンマーの柄の一部を取り外し、中にある給弾機構にボウガン用の弾薬を改造したものを詰め込む。

 

 そうしてしばらくあと、飛行船が準備できたと言う旨を伝えに来た職員が来る。

 

「「「「一狩り行こうぜ!」」」」

 戦乱の準備はできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広く、蒼く続く海洋上を高速で移動する影があった。

 その影はその凶暴さ故に【滅尽龍 ネルギガンテ】と俗にこう呼ばれる生き物である。

 

 体全体は主に黒で、腹部は赤茶色。

 性格は好戦的であり、他の古龍と違い、主な攻撃は素手による近接戦闘等である。

 

 また、他の古龍と違いとしては、自然干渉の力は少ないが自然回復能力を持つことだろう。

 全身から生えるトゲが折れたり砕けたりした場合でも本体が大丈夫であるならば幾らでも回復ができる。

 

 全く持ってチート性能である。

 

 

 

 

 

 そして硬く、豪快な体を持ったネルギガンテはより多くの食料を求めて女王領域に向かっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてようやく長い飛行時間を終え、女王領域の一部に降り立った時だった。

 

 目の前にチンケな虫けらがいる。 そうネルギガンテは直感的に感じ取った。

 

 我は新しく帝王になる物だ。

 それを邪魔し、行く手を阻むと言うなら・・・良いだろう!遊んでやるッ!

 

 

 数は四名、あの大陸でも食事を邪魔した狼藉者どもと同じハンターというやつか・・・

 何度追い返しても来るのだから面倒くさい・・・

 

 まぁ、一声吠えれば竦み上がるだろう。

「ウッガァッァッァァッァァァァァァッ!」

 緑の美しい大地に降り立つと同時に放たれる咆哮。

 しかしネルギガンテの考えとは別に、その四人のハンターは竦み上がることはなく、寧ろ嬉々としておもむろに武器を取り出した。

 

 

「自らの命を縮めていらっしゃいますわ・・・」

「まずバカじゃないとこんなとこわざわざ外から来ねーよ」

「煩きことじゃ」

「じゃあ早速殺りますか!」

 

 ネルギガンテは驚く、今までどの虫けらであろうとこの咆哮の前に足をついた。

 なのに何でこの虫けらが立っているのか?いや寧ろなぜ恐れもしないのか?それがネルギガンテの思考を少しほどパニックに持ち上げる。

 

 そしてそれに追い討ちをかけるように虫けらの一人が消え、探そうとした瞬間に何か背中を走り抜ける嫌な感覚を受け即座に身を翻す。

 しかし、気付けば背中の羽がもがれ、そこに落ちていた。

 

「本当に古龍なのかえ?」

 愚弄する目付きを携えながら、その羽を切り落とした虫けらがこちらをむく。

 

 いい度胸だッ!その体が地に呑まれるまで殺してやるッ!!

 

 一気に体を動かし、蛮行を働きし虫けらに豪腕が破壊を振るう。

 しかし、その豪腕はあっさりと別の虫けらが盾を使い防がれる。

 

 そして目を放したツケを払わされるように、もう一方の羽を大剣で削ぎ落とされる。

 

 急いで防がれた腕を退こうとするとその腕は動かない。

 羽に向けていた視線を戻せばそこには腕を掴む先程の盾使いが見えた。

 

 しかし、次の瞬間には別の光景が見える。

 真横から迫る大槌の光景が・・・

 

 

 特別製の火薬で速度の増した一撃を顔に食らい、朦朧と意識が一瞬持っていかれる。

 普段ならどうってことも無いことだがこの領域では命が消える行動であった。

 

 ピシッという何かに亀裂が走る音。

 すすっと何かに体を解剖されるかのように切られ、尻尾が骨ごと切り取られる。

 背中に思い切りの一撃を貰い、その衝撃と追加の弾薬ダメージによって大ダメージを食らう。

 

 新大陸では受けたことのない激痛に次ぐ激痛。

 自分が一方的に叩かれる不思議さのなかで、薄く開けることしかできなくなった目は、捉えた。

 

 清々しい笑顔でこちらを殺そうとする悪魔が・・・

 

 逃げなくては!という衝動に追われ、巻く尻尾もないが逃げの一手を選択する。

 しかし、現実は甘くない。

 

 逃げても逃げても、あの四名は必ず前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木々にかこまれた場所、もうそこが何処なのかも分からないがネルギガンテは直感的に感じ取った。

 

 ここが自分の死ぬ場所だと。

 

 目の前の悪魔は一斉に消え、辺りの木を足場にぐるぐると飛び回り、死角からの一撃を叩き込み続ける。

 

 斬撃斬撃斬撃打撃、打撃打撃打撃衝撃、斬撃打撃斬撃打撃、斬撃斬撃打撃打撃

 

 もう数えることすら出来ない速度で身体中が傷ついていく。

 

 最早自然回復なんて追い付かない。

 

 

 そして、最後に食らった頭への打撃と衝撃を最後にネルギガンテは事切れた。




 話変わりますけど私モンハンは4しかやったことないし、シャガル・マガラ後のストーリーすらも全部クリアできてません。

誰か私にハンマーレシピを・・・



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あぁ、無情...

息抜きと腕慣らしだと思ってください。


「何ですかねこれ?」

 緑のポンチョのような服を着た眼鏡の女s...お姉さんが後ろをついて歩く四人の少女たちに質問を投げ掛ける。

 その手には他の場所では見かけたことのないキノコだった。

 

「えーっと確かこのキノコはですわね...?」

「ベニテンヤマキノコだったかな?」

「違うぞい。このキノコはベニジョウロウじゃ」

「まっ特殊なキノコなのは違いありませんね~」

 

 少しづつ埋まってゆく地図や資料を見て確かめる椿に、記憶で答える楸と榎、そして興味無さげに頭の後ろで腕を組んでそっぽを向いている柊。

 

 しかし、急に柊の顔が険しいものとなり左手がポーチに伸び、右手は大槌に伸びる。

 まさに臨戦の構えであった。

 

「おねーちゃんたちー♪彩りゴリラが来たよ~♪」

 まぁ、声は軽いままだが...

 

 妹の報告を聞き、姉たちは迅速に動き出す。

「これより女王領域調査官たちは戦闘状態に突入します。榎は民間人の保護を」

 陣頭指揮をとる椿の命令で、榎は即座に抜刀し護衛対象の民間人、我が団の看板娘を庇うように警戒する。

 

 女王領域のエリア2は森林である。

 それも一つ一つが縄文杉の二倍も三倍もあるような巨木である。

 そして不幸なことに今日は霧が立ち込め、辺りが見にくい状態であった。

 

「えっ!彩りゴリラと言うことはもしかしてババコンガの修羅種ですか!?」

 自分の身が危ないことに気がついているのか榎は疑いの目を向けつつも片手剣だけを片手につかみ、盾は背中にかけたまま空いた片手で看板娘を小脇に抱える。

 

「そうだな!」

「じゃっじゃあ観察をぉぉ!」

 榎は自分の身が危ないことに気がついているのかという疑問に気づいていないという回答を導きだし、全力で離脱することを決める。

 

「じゃあ姉さんに妹共!先に離脱してBCで待ってるよ!」

「この椿了解しました!」

「「合点承知のすけェッ!」」

 

 こう言うときは息がピッタリだなと二人の妹共に苦笑しながら足に力を込める。

 そんなときに自分の腰の辺りから泣き言が聞こえてくる。

「お願いしますッ!我が団のハンターさんは中々こう言うの許可してくれないんです!だから折れてくれた今回を有意義にしたいんです!」

「命と探求心のどっちが大事だバカ!」

 一喝してせめてもエリア1に移動しようともう一度足に力を込める。

 

「来ます!方向十二時真正面ッ!」

 スポッターの役割を今回受け持った柊が叫ぶ。

 BCでの予め決めたことで、スポッターから見ての方向がそのまま叫ばれるのを知っている看板娘を除く四人が一斉に柊から十二時の方向を睨む。

 

 

 

 柊の報告通り十二時の方向から体全体を辺りの景色と似た色にパッパッパッと変えて迫り来るババコンガを発見する。

 

「なんですかあのババコンガ!まるでオオナヅチの様に色が!?」

 こいつの知的探求心は疑いの余地なく命より上だなと察しながら仕方なくこれ以上時間をかけない方法を告げる。

「私のポーチの中に黒っぽい機械があるそれを出せ」

 

 その言葉に目を光らせ、パッと言ったものを取り出す。

 そして、その瞬間に跳び女王杉(仮称)の枝に降り立つ。

 

「それはカメラ?って奴だ使い方はよくわからん直感でやれ」

 早口でそう伝え、木の上にいた漁夫の利狙いのモンスターに小石を投げつけ脅す。

 

 あたふたしつつ、直感で適当にボタンを押しまくった看板娘は渡されたものがどんなものか瞬時に理解した。

「これは、一瞬で絵を描く道具?」

 ・・・まぁ、モンハンの世界の住人なら上出来と言える理解だろう。

 第一これの使い方がわかっていたのは修羅の里の住人でも両手で数えるほどしかいない。

 

「ありがとうございます!看板娘、恐縮です!」

 少し別の世界の人格が混ざりかけたが、それを気にせず看板娘は思いっきりシャッターを切りまくる。

 

 カシャカシャという音が幾つか続き、それが止まった瞬間に榎はタイムアップを表すように高速でBCまで跳んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ったわね?」

「勿論じゃ」

「八艘跳びレベルなんて甘いものじゃなく、四十艘を一ッ跳び出来る榎姉さんじゃあ、まず追い付けないっしょ」

 姉妹一人を欠いた三人の姉妹は全員が特注の武器をとりだし、体毛の色を変化さ、遠近を狂わせ保護色として見えにくくすると人を弄ぶかのようにするババコンガに向ける。

 

「「「さぁ、宴の時間だ(じゃ)」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修羅の太刀、その奥義は常に形を変える」

 そう呟くと共に自分を中心に殺気の円を広げる楸。

「解体の仕方が有りすぎて選べませんわ・・・」

 竜を解体することに主眼が置かれた大剣を片手で持ち上げる椿。

「このエリアからは出られないよ?」

 恐怖を植え付ける妖艶な笑みを張り付け楽しそうにする柊。

 

 ババコンガは今更に気づいた。

 今自分は死への道が確定したことを・・・

 

 だから、ババコンガは確定した死から逃げようとした。

 

 だが最早、諸葛亮孔明であろうと竹中半兵衛であろうと何処の軍学者すらもこの状態を打破する方法は思い付けない。

 

「潔く死ぬことを選べ愚かしい」

 先ほどまでの楸の喋りは消え、その口からはかつて地球上にいた最強の生物の名を冠したモンスターが乗り移ったような王の貫禄が滲んでいた。

 

 凛と張ったよく通る透き通った声とともに殺気の円は消え失せ、その円の円周にそって深い溝が出来る。

「その尾が代償だ、さっさと潔く戦え」

 

 気づけばババコンガの尾は切れ、近くをのたうっていた。

 その痛みに気づけぬうちに、また殺気の円が広がり、今度はババコンガの角を切り落とす。

 

「もう一度だけ宣告する。このまま死ぬか、勇猛な死か選べ」

 

 普段の楸からは想像もできない声はババコンガを円のうちに留まらせ、戦う本能を思い出させる。

 冷ややかで氷のように変わった目線、聞いたものを皆かしずかせるような声は自分専用の太刀を抜き本気を出すと決めた楸のみが使える力。

 

 モンスターであれど人であれど一定の力以上の者以外は命令が聞きやすくなる能力。

 楸のみが使う、天下に一つしかない太刀の材料となったモンスターの種族を考え姉妹誰もが楸のこの状態を『エンペラータイム』と言っていた。

 

 

「では、長女として私が参りましょう・・・」

 牙を剥き、猛々しい息を吐くババコンガの真っ正面に立ち、極限の殺気を出す。

「修羅解放・・・」

 

 淡々と紡がれたその言葉に、椿の血が、遺伝子が力を吐き出す。

 

 自らの限界に挑み続ける『努力の一族』の血が受け継がれ、修羅へと近づく。

 そして、現在では既に生まれながらに殆どの一族は修羅の力を手に入れていた。

 

 しかし、修羅の一族の脳はそれをセーブした。

 でなければ死ぬからだ。

 

 四姉妹は時間をかけ、限界に挑み全員この力を一時的に解放できるようになった。

 楸の『エンペラータイム』も同じく修羅解放である。

 

「さぁ、始めますわよ?『永遠的な世界』」

 自らの体感時間をグッと下げ一秒を一時間に、一時間を2日と12時間にと長考や手数の多さがある椿に向く能力だった。

 

 ババコンガは目の前の人間がスッと消えたように見えた。

 そして刹那の間をおき横腹に異物感を感じ目を向ければそこにはもう紅黒い血が吹き出し、次には反対の横腹に喪失感が沸き立つ。

 

 このままでは何もせずに死ぬ!というのを改めて感じ、その目標を柊に向ける。

 

 ババコンガの決死の突進に、椿の獲物と武器を後ろにしまい、帰りムードとなっていた柊は動きを止める。

 しめたっ!と勢いをまし、突っ込んでいく。

 

 しかし、柊の口から零れる言葉にババコンガの決死の信念は崩れた。

 

「修羅解放『極限強化』」

 その瞬間に柊の身体能力や思考力など多種多様な能力が限界まで高められる。

 勿論、反射と動体視力と筋力もである。

 

 急に止まることのできないババコンガの頭に、音があとに聞こえる速度で大槌が叩き込まれる。

 頭蓋はひしゃげ、目は飛び出すか潰れ、舌は噛みきり、歯が勢い余って砕け散る。

 

 そこにもうババコンガの頭はなくただのミンチがあった。

 

 

 

 

「修羅解放は疲れるわね」

「全くじゃ」

「実際エンペラータイムって霊を降ろす術なんじゃ?」

 

 そう言って三人はBCへ舞い戻った。

 



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