レヴォルフの男の娘・・・おい! (クッペ)
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入学式は大変だよ・・・
嫌あああああーーーー!!!怖い怖い怖い!!
あ、どうも、今作の主人公です。名前は後程。今はそれどころじゃないので!何故かって?それは・・・
「待ちなさい・・・」
王竜星武祭二連覇で『孤毒の魔女』と呼ばれている”元”レヴォルフ黒学院の序列一位のオーフェリア=ランドルーフェンさんに追いかけられているからです。
何故こうなったかって?そんなの僕にも分からない・・・心当たりがあるとすれば三日前の入学式の・・・
* * * * * * * * * *
皆さんこんにちは、僕の名前は花園日向。誰に自己紹介してるかって?これを読んでくださってる皆さんです。
今僕は、レヴォルフ黒学院の入学式に参加しています。何か統合企業財体のお偉いさんが話をしているけど、まともに話を聞いている生徒はかなり数が少ないです。かくいう僕も今は全く違うことを考えていました。
(やっぱり制服大きすぎるな・・・一番小さいサイズなのにズボンぶかぶかだよ・・・帰ったら裾詰めておかないと)
僕は今16歳。世間一般でいえば高校一年生の年だ。そんな僕の身長は150ちょっと。顔もかなり女の子っぽくて、よく女の子と間違えられてしまう・・・僕は立派な男の娘だ!・・・おい作者!字違うよ!!
入学式が終わると、勝手に各自解散という流れになっていたらしい。この辺がかなり放任のレヴォルフらしいな。僕もこの流れに乗って帰ろうとしたら、入学式に参加していたガラの悪い男子生徒に絡まれた。
「なぁ嬢ちゃん、この後一緒に遊ばねえか?」
「・・・・・・」
嬢ちゃん?一体誰のことを言ってるんだろう?僕は男の子だ。そんなことよりも、僕は早く帰ってズボンの裾を詰めなくちゃいけないんだ・・・今も転びそうで大変なんだから。
「おい!無視するとはいい度胸じゃねえか!」
「え?僕の事だったんですか!?」
驚いた。まさか男子用の制服を着ているのに、それでも女子と間違えられるなんて・・・
「あの・・・申し訳ないんですけど、僕、男の子だよ?」
「はぁ?こんなかわいい男がいるわけ・・・」
そういうので、入学式前に貰った学生証を見せる。学生証には所属クラスと、性別がしっかりと書いてあるのだ。そこの性別に書いてあるのはM、つまりは男である証拠である。
「・・・わ、悪かったよ・・・じゃあ、またな・・・」
なんだか絶望しきったような顔で去っていく・・・僕は何もしていない、勝手に間違えられただけなのに、なんか申し訳なくなってきた。
そう言えば前にもこんなことがあったよな・・・確かあれは昔通っていた道場で・・・
「ねぇ、あなた、花園日向?」
今度は何なのさ?一体僕は何回声をかけられればいいの?
声がした方を振り返ると、真っ白な髪に、赤い目をした女の子が立っていた。
「えっと・・・君は・・・?」
「私はオーフェリア=ランドルーフェン。今から私と一緒に彼の所に来て」
オーフェリア?誰だろう?有名な人なのかな?そういえば何か周りに人が少なくなっているような・・・
「ええっと、僕今日はちょっと忙しいんだ・・・また今度じゃダメかな?」
「今すぐ来て、彼が呼んでるの」
彼って誰さ?まぁ別に予定があるわけじゃない。行っても構わないのだが、正直言って気が進まない。早くズボンの裾詰めて身軽になりたいのだ。
「いや、今日はちょっと都合が悪いんだ」
「そう、なら実力行使しかないのね・・・我、オーフェリア=ランドルーフェンは汝、花園日向に決闘を申し込む」
え?入学初日に決闘?・・・しょうがないな・・・戦うことは得意じゃないし、あまり気が進まないが、戦わないと連れていかれてしまうのなら、ここで適当に戦って今日はお暇させてもらおう。
「はぁ・・・我、花園日向は汝、オーフェリア=ランドルーフェンの決闘を受諾する」
そう言って僕は常時携帯している剣型の煌式武装を展開する。
「決闘開始!」
機械音が決闘の始まりを告げたので、まずは先手必勝とばかりに剣を構えてオーフェリアさんに突っ込む。
しかしそこで制服のズボンの裾を踏みつけてしまい、派手にすッ転びそうになる。僕はオーフェリアさんの胸に飛び込んでしまった。
「・・・!?」
オーフェリアさんが反射的に僕を受け止めてしまったようだ。受け止めた後で、機械音が決闘の終幕を告げる。
「校章破損、決闘終了、勝者、花園日向」
・・・は?どういうことだろう?恐る恐る顔を上げてみると、オーフェリアさんの校章が砕けていた。どうやら胸に飛び込んでしまった際に、僕の剣の持ち手が校章に当たって砕けてしまったようだ。
「ごごごご、ごめんなさい!!」
僕は抱きしめられたままの状態だったことにようやく気づき、慌てて飛び去る。なんかこの決闘を見ていた人が全員唖然としているが、そんなこと今の僕には関係ない。居た堪れなくなってきたので、僕は早々にこの場を立ち去って、寮へと帰ることにした。
レヴォルフ黒学院の序列一位の所に僕の名前が載っていたことと、ネットのニュースでオーフェリアさんが負けたことが騒ぎになっていることに気付くのは、僕が寮に帰ってズボンの裾を詰め終わった後の事である。
* * * * * * * * * *
そして冒頭の所に戻る。あれから毎日僕はオーフェリアさんに追いかけられていた。そんなに序列一位を返して欲しいなら返したい。僕が序列一位になったことでレヴォルフ黒学院だけでなく、六花中が大騒ぎになっている。
後で調べて分かったことなのだが、オーフェリアさんは『王竜星武祭』っていう個人戦のフェスタで二連覇をしているらしい。つまり六花最強の生徒ということである。
そんな生徒が入学式に新入生の僕に負けたとなれば、そりゃあ六花が大騒ぎになってもおかしくは無い。
いろんな人から取材で追い掛け回され、この学園以外の情報系クラブに追いかけまわされ、挙句の果てにオーフェリアさん本人に追いかけまわされて、もうヘトヘトである・・・なんか取材とかは学園側に対処をお願いし出来るらしいんだけど、なぜか生徒会長のディルクって人が受理してくれないらしい・・・今度からあの人は豚って呼ぶことにしよう。
ここ二日間は何とか逃げられたのだが、さすがに疲れが出ている僕はオーフェリアさんに追いつかれてしまう。
「さぁ、もう一度私と戦って」
「嫌だよ!あの時は君があんな強い生徒だって知らなかったけど、今はあの時と状況が違うんだ!今やったら確実に殺される!」
僕は昔、自衛目的ということで道場に通わされていた。天霧辰明流ってところと、刀藤流ってところだ。
天霧辰明流では”識”って領地にたどり着いたってことと、奥伝って技を習った。刀藤流では連鶴って技が使えるようになったけど、それだけだ。そんな小手先の技ではオーフェリアさんに敵うはずがない。
僕の魔術師としての能力『対象の思考を読み取る』っていうのと合わせても勝てる要素がどこにもない・・・
そもそも僕がレヴォルフに来たのはゲームをするためだ。レヴォルフはなんかいっぱいゲームができるらしい。だから僕はレヴォルフに来たのに、これじゃあ僕の目的がパーだ!
とそこで、僕はあることを思いついた。
(ゲーム・・・これだ!)
「いいよ、オーフェリアさん。君の決闘を受ける。ただし君が僕に決闘を挑むんだ!ルールは僕が決めさせてもらう!」
「別に構わないわ。で、何をするの?」
「これ!」
そう言って胸のポケットに常に忍び込ませているトランプを取り出す。
「ポーカーのルールは分かるよね?」
「ええ、わかるわよ」
「決闘の前にこれで勝負をする。負けたほうがこの決闘の負けってことだ。それ以外の勝負は、僕は受け付けない」
そうでもしないと確実に殺される!
「・・・わかったわ・・・それでいいから、早く始めましょう。私の運命は、誰にも届かないもの」
やばい強そう・・・でも僕の目的は勝つことではない。ぶちゃけ負けたって構わないのだ、むしろ負けて序列一位なんて看板捨てたいくらいなんだ。
そうして近くにいた三つ編みの女子生徒にディーラーを任せる。三つ編みの娘が何だか泣きそうになっていたが・・・ごめん、あとで何か奢る。さぁ、勝負!
なんか書いてて面白くなってきちゃったww
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思ってたのと違う・・・
早速トランプが五枚配られる。取りあえず手札の役を確認するのだが
(何も揃っていない・・・ものの見事に豚だ・・・)
正直言って勝ちたくはないが、豚なのに手札交換をしないとなると、それはそれで後が面倒そうなので、とりあえず手札全捨てで三つ編みの子に五枚カードを貰う。全部交換したので、手札はみないことにする。見ても見なくても結果は変わらないからだ。
オーフェリアさんは二枚交換するらしい。カードを受け取ったことを確認すると、こちらにカードを見せてくる。
「フルハウスだわ。そっちは手札を見てないようだけどいいの?」
「全部交換したんだよ?それにそっちがフルハウスじゃあ、こっちはもう殆ど勝ち目なんて・・・」
そう言いながら手札を見せると、ロイヤルストレートフラッシュが出来上がってしまっていた。
「「「・・・は?」」」
思わずその場にいた三人が声を上げてしまう。全部交換してロイヤルストレートフラッシュなんて、どんな確率なのさ!
「えっと・・・僕の勝ち・・・だね・・・」
「・・・・・・」
何も言わずにオーフェリアさんはどこかに行ってしまった。本当に居た堪れない・・・どうしてこうなった・・・
僕はもともとゲームは弱いし、運も悪い。ババ抜きなんかは四回やれば三回は最初にジョーカー持ちだったり、七並べなんかは七の隣の数字があることの方が少ない。カードゲームに限らず、ソーシャルゲーム、携帯ゲームなんかもやったりするが、ソシャゲのガチャなんかは基本的に雑魚ばっかりだし、RPGとかだと低確率の攻撃がバンバン当たるのに、こっちの高確率の攻撃はスカスカ外す。こんな感じで僕はゲームが好きだけど得意じゃないんだけど・・・初めてこんなことが起こってしまい自分が一番驚いている。
「えっと・・・これ、お返ししますね」
「あ、うん、巻き込んじゃってごめんね。えっと・・・」
「私、プリシラ=ウルサイスです。序列一位の人がどんな怖い人かと思っていたんですけど、えっと、その、とても可愛らしい方なんですね。いえ、あなたが男性の方だとは分かってはいるのですが・・・」
「いや、大丈夫。女の子扱いされたり、間違えられたりすることにはもう慣れちゃったから・・・自分で言ってて悲しくなってきた・・・そうだ、巻き込んじゃったお詫びに何か奢るよ」
「い、いえそれはいいんですけど・・・」
「プリシラーーー!!!!」
誰かがプリシラさんの名前を叫びながらこっちへ走ってきた。えっとたしかあの人はイレーネさんだったかな?序列一位になっちゃった後に少しレヴォルフの序列について調べてみたことがある。確か三位の人だったかな・・・
「おい、お前!プリシラに手ぇ出してねえだろう・・・な・・・」
なんか語尾が弱くなっていく。どうしてだろう。ちなみに手は出してない。少しだけ話していただけだ。
「お前!この前序列一位になった花園日向か!?なんでお前みたいなやつがプリシラと!?」
「ええっと、まぁちょっとかくかくしかじかいろいろあったんだよ。君はイレーネさんだよね?よろしくね」
「え、お、おう」
なんだろう・・・レヴォルフの一位=おっかないみたいな公式でも成り立っているのだろうか・・・確かにオーフェリアさんに追いかけられてるときのオーフェリアさんの威圧感はとんでもなかったけど
「お姉ちゃん、ホントに少し話してただけなんだよ。だから喧嘩はしないで。それにこの人、あのオーフェリアさんに勝った人なんだよ?いくらお姉ちゃんでも、返り討ちに合うかもしれないんだよ?」
「お、おう。悪い、早とちりした・・・」
プリシラさんはどうやら実力で勝ったと勘違いしているらしい。本当に申し訳ないんだけど、僕なんかじゃあ普通は相手にならない。勝ったのは完全にまぐれだ。
それを知っているのかイレーネさんは微妙な表情をしていたが・・・
「なんかいろいろごめんね?じゃあ僕はこれで帰るけど」
「あ、はい、さようなら日向さん」
そう言ってお辞儀をするプリシラさん。礼儀正しくていい子だな。
* * * * * * * * * *
そう言えば、昔通っていた道場の天霧辰明流の道場の息子で僕の幼馴染の綾斗君が、星導館に入学したらしい。今でもたまに連絡を取り合ってるんだけど、今日は綾斗君から連絡がきたんだ。
何でこんな脈略もないことを言い出したのかって?そんなことでも考えてないと、現実逃避出来ないからだ。
・・・目の前のオーフェリアさんのプレッシャーから・・・
「・・・・・・」
あれから約二か月、毎日僕とオーフェリアさんは決闘という名のゲームをしている。結果は分かるだろう、僕の全勝である・・・
流石に二か月もやっていると申し訳なくなってくる。それにネタがもうなくなりそうだ。手を変え品を変えて、ソシャゲとか引っ張り出してきて何とかネタが被らないようにしてきたけど、そろそろ限界である。
何でこんなに勝ち越してるか、オーフェリアさんどうやらゲーム苦手らしい。初日にやったポーカーのフルハウス、あれがオーフェリアさんの全盛期だった。何というか、僕の魔術師としての能力を使うまでもなく考えてることが分かりやすい。普段は無表情なのに、ゲームをやっている間は表情がころころ変わって可愛い。
そう言えばそろそろ『鳳凰星武祭』があるね。レヴォルフは『王竜星武祭』に特に力を入れている、というか校風的に『王竜星武祭』しか得意じゃないんだろう。協調性が無さすぎる人たちの集まりみたいな学校だからね。
「ねぇ、オーフェリアさんってどうして序列一位に拘るの?」
「え・・・?」
「なんていうか、オーフェリアさんって確かに強いし、本来の序列一位はオーフェリアさんであるべきだと思う。けど、オーフェリアさんの性格的に一位に拘る理由が僕にはよく分からないんだよね・・・」
「私は彼、ディルク=エーベルヴァインのものなの」
「え?ものってどういうこと?」
「そのままの意味よ、私の所有権は彼が持っているの。だから私の運命は彼のもの、私の行動は彼の命令で成り立つもの」
「それって――」
「この学校の生徒会長の決め方は序列一位の人の指名制。彼が何を企んでいるかはわからないけれど、私が一位の間は彼が生徒会長。六花の生徒会長にはいろいろな権限が与えられているわ。だから、私が一位じゃないと、彼が困る。だから彼の命令で私はこの学園の一位の座にいたの」
思っていたよりもずっと重い理由だった・・・なんか申し訳ないことを聞いた気もする。それにオーフェリアさんが物扱いされているのは納得がいかない。
「オーフェリアさん、序列一位、返すよ」
「・・・え?」
「でも一つお願いがある。僕と一緒に『鳳凰星武祭』に出て」
オーフェリアゲーム弱い設定とか、捏造しました
次回はいつになるんだろう・・・他作品が行き詰まったらまた投稿します
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『鳳凰星武祭』出場決定しました!
「僕と一緒に『鳳凰星武祭』に出て」
たった今、僕には叶えたい願いが出来た。それも恐らく星武祭の優勝で叶えなくちゃいけないレベルのもの。
とりあえずオーフェリアさんが会長さんのものだってことは理解した。今まで『王竜星武祭』に出ていた理由は分からないけど、恐らくはそれが一番優勝できる可能性が高いから。もしくはオーフェリアさんペアやチームを組んで『鳳凰星武祭』や『獅鷲星武祭』に出てくれる人がいないからだろう。
恐らくオーフェリアさんが『王竜星武祭』で優勝しても、その願いはオーフェリアさんのものではなく、会長さんの願いをオーフェリアさんが代わりに叶えているだけなのだろう。
つまり星武祭に優勝さえできてしまえば、『王竜星武祭』でも『鳳凰星武祭』『獅鷲星武祭』でも問題は無いはず。
次に僕がどの星武祭で優勝できるかだけど、これは『鳳凰星武祭』が一番確率が高いと思う。
『王竜星武祭』にはオーフェリアさんはもちろん、クイーンヴェールの生徒会長さん・・・名前は忘れてしまったけど・・・もいるし、他の学校の高序列の人たちもこぞって出場してくるだろう。
『獅鷲星武祭』に関しては二つの意味で論外だ。まずこの学校で『獅鷲星武祭』に出ようと思ってる人がそもそも少ない、もしくは一発にかけてロクに連携の練習をしないんだろう。それにやる気のある人が集まらないと思う。
『鳳凰星武祭』だったらペアの人との連携が取れてて、双方の実力があれば、かなりいい線行くんじゃないだろうか。この場合オーフェリアさんに殆ど任せちゃうことにもなりそうだけど、僕だって全く戦えないわけじゃない。確かに戦闘は得意じゃないけど、剣は昔ちょっとやってたからね。何とかなると信じたい。
「さっきも言ったでしょ。私の運命は彼のもの。私に決定権は無いの」
「じゃあ僕を会長さんに会わせて。初日に僕の所に来た時に言ってた”彼”って会長さんなんでしょ?」
「・・・はぁ、分かったわ」
僕だって会長さんには個人的に恨みがあるんだ。マスコミ対応放置したことの恨みは忘れていないぞ!
* * * * * * * * * *
「会長さん!僕『鳳凰星武祭』にオーフェリアさんと出場したいので許可して下さい!」
やばい、会長さんの事見るのこれが初めてだけど、思っていたよりも迫力があって怖い・・・とてもじゃないけどマスコミ対応の文句を言えそうもない・・・
「あぁ?こいつと『鳳凰星武祭』に出させろだ?駄目に決まってるだろ?」
まぁ予想はしていたけど、やっぱり断られるよね・・・
「ねぇ会長さん、もしもこのまま僕が序列一位に居座り続けたら、会長さんも困るんじゃないの?」
「あ?」
「この学校の生徒会長の選出方法は、序列一位の指名制。今まではオーフェリアさんが一位だったから会長さんが会長でいられたけど、僕が気紛れで誰か違う人を会長に指名しちゃうかもしれないよ?」
「・・・・・・」
「もしも会長さんが『鳳凰星武祭』に出ることを許可してくれるんだったら、僕はオーフェリアさんに序列一位を返してもいいよ。そしたら会長さんも会長のままでいられるしね」
「・・・てめえの目的は何だ?なぜ星武祭に出て優勝したい?お前の願いは何だ?」
「今は言えません。それに人の願いは基本的にプライバシーですよね?」
「そいつは確実に『王竜星武祭』に優勝できる駒だ。お前なんかと『鳳凰星武祭』に出て、お前は優勝できるんだろうな?」
「出来るよ」
嘘でもいいからここはできると言っておかなければならない。それにやはり、優勝できればどの星武祭でも構わないようだ。
「もしお前が優勝できなかったら、どうする?こっちは星武祭に優勝できる回数が一回減るんだ。それに見合った対価はあるんだろうな?」
「僕が君の計画に協力する。君は入学式の日に、オーフェリアさんに僕を連れてくるように頼んだんじゃないの?君の計画が何かは知らないけど、僕の『魔術師』としての能力は、会長さんの計画に役に立つはずだよ。何なら僕の所有権を、会長さんに与えたってかまわない。僕を会長さんの駒にしてくれたって構わない。それじゃ駄目かな?」
「・・・ちっ!好きにしろ」
そう舌打ちをしながらも、、僕とオーフェリアさんに『鳳凰星武祭』の出場許可をしてくれる。約束通り、形だけの決闘をオーフェリアさんとして僕の序列を、オーフェリアさんに返上した。
* * * * * * * * * *
何で何で何で何でーーーーーーー!?!?!?!?
僕とオーフェリアさんが『鳳凰星武祭』に出場することが決定したことと、オーフェリアさんが再び序列一位になったことは、すでに学院にも六花中にも広がっている。
今まではオーフェリアさんが一位じゃなかったから僕が追いかけられていた。もう僕がオーフェリアさんに追いかけられる理由は無いはずなのに、あれからもオーフェリアさんとの追いかけっこは続いていた。
周りの学生や教師たちの僕を見る目が可哀想な人を見る目になってきている。そんな目で見るなら僕を助けてよ!
「ちょっとオーフェリアさん!なんでまだ僕のこと追いかけてくるのさ!?」
「あんな形の決闘で勝って、納得できると思っているのかしら?」
「だってお互いに痛いのは嫌じゃないか!お互いっていうか、僕が一方的にやられる未来しか見えないんだけどさ!」
どうやらちゃんと決着をつけようとしているらしい。そんなことしている暇があったら、連携のチェックとか、作戦とか立てたほうがいいんじゃないの!?
そう思って一回オーフェリアさんに聞いてみたのだが、
「私が一人倒している間に、あなたはもう一人を足止めしておいてくれればいいわ。私が一人倒したら、もう一人も倒すから。つまり連携は不要ね」
いやいやいや、それが確かに一番勝率は高いだろうけど、その理論はおかしい!
つまり、オーフェリアさんは連携の練習をするつもりは一切ないらしい。圧倒的な力って素晴らしいや。
とりあえず捕まったら殺されるのは確実だ。今日は幸い休日。なんで休日なのに学院にいるかって?寮で一人でゲームしてても暇だから、誰かいないかと思って学院に来たら、オーフェリアさんにばったり会いました・・・
これが平日なら休み時間中、学院内を逃げ回ればいいんだけど、休日ということで街に逃げても問題は無いはず。時間無制限というデメリットこそあれ。広い街中を逃げている方が圧倒的に有利だ。
そう結論付けて、僕は空いてる窓から外に飛び出した。すかさずオーフェリアさんも飛び出してくるが、そんなことに構っていられない。僕は全力で逃げる。人にぶつからないように”識”を使いながらだ。
当てもなく逃げていると、ファーストフード店で見たことのある人影を見つけた。
「綾斗君!助けて!」
「え!?日向!?」
綾斗君出てきましたね
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邂逅
「綾斗君!助けて!」
「え!?日向!?」
オーフェリアさんから逃げていた僕は、ファーストフード店で昼食を取っていた綾斗君に助けを求めた。綾斗君は僕よりもすっごく強いから、何とかしてくれると信じてる!
「おい!お前いきなり何なんだ!?」
綾斗君と一緒にいたピンク髪の女の子が話しかけてきた。
「えっと・・・もしかしてデート中だった?」
「違う!どうしてそうなるのだ!?」
顔を赤くして否定してくる。
いやだって、休日に男女が二人で出かけてたらそれはもうデートなんじゃ・・・ってそれどころじゃない!
「綾斗君助けて!」
「ちょっと落ち着いて、何があったの?」
「見つけたわ」
ギャーーー!!追いつかれた!?まずい、殺される!
「オーフェリア・・・?」
「・・・ユリス・・・」
あれ?なんかいつもとオーフェリアさんの様子が違う?なんか悲しそうな表情を浮かべてる・・・
オーフェリアさんは僕を追いかけるのを中止して、その場を去ってしまった。
「待て、オーフェリア!」
そう言ってユリスさん?もオーフェリアさんを追いかけてしまった。もしかしなくても、二人って知り合いだったりするのかな?
「ユリス!ちょっと待って!」
そう言ってユリスさんを慌てて綾斗君は追いかける。僕もその場に止まるわけにも行かず、追いかけることにする。
* * * * * * * * * *
ここは再開発エリア。昔なんかテロ事件みたいなことがあって、そのまま放置されている。ここにいる学生はほとんどがレヴォルフだ。
やっとオーフェリアさんたちに追いついた僕と綾斗君だったが、そこではユリスさんとオーフェリアさんが戦っていた。
ユリスさんは炎を操る魔女らしい。強力な技を次々と放っているが、オーフェリアさんはそれをすべて星辰力だけで防いでいる。星辰力は確かにガードに回せばダメージを減らせるが、星辰力だけでガードをするのは、一体どれだけの星辰力が必要になるのだろうか・・・いや!そうじゃない!
「オーフェリアさん!ちょっと待って!」
「ユリス!いったん落ち着いて!」
何とかして止めなくちゃいけないという結論に至った僕は、オーフェリアさんの前に立ちふさがる。綾斗君も同じ結論に至ったらしく、ユリスさんの前に立ちふさがっていた。
「オーフェリアさん、一体どうしちゃったのさ?」
「どいて、あなたには関係ないわ。ユリスとはこうなる運命なの・・・」
「とりあえずいったん落ち着いてよ。そんな悲しそうな表情で運命とか言われても、そんなの受け入れられないよ」
「あなたに受け入れられなくても、これは私の運命。私が受け入れればいいだけなの」
「だから、そんなの納得できない!ユリスさんの事は、僕は知らないけどオーフェリアさんの知り合いなんじゃないの?なのに、こんな殺伐とするのは、間違ってる」
オーフェリアさんと話をしていると、後ろで万能素の揺らぎを感じた。咄嗟にブレード型の剣を抜いて、後ろからの攻撃を切りつける。何とか火球を切ることに成功したが、急に攻撃されたら、警戒せざるを得ない。
「ユリスさんだっけ・・・?どういうつもり?」
「貴様らこそどういうつもりだ?なぜ私とオーフェリアの決闘の邪魔をする?」
「急にこんなことになったんだ。放ってはおけないな」
「私はオーフェリアに勝たなくてはならないんだ!そうしなきゃ、オーフェリアはいつまでたっても・・・」
なるほど、オーフェリアさんに勝って、うちの会長さんの支配から解き放とうとしたのか。そこまでの事情を把握しているかは分からないが・・・
「ユリスさん、君の目的ってオーフェリアさんを助けることでいいのかな?」
「そうだ」
「だったらここは引いてくれない?オーフェリアさんとユリスさんがここで戦う理由は無いよ」
「お前に一体何の関係がある!?レヴォルフの元序列一位のお前に!」
「ここでオーフェリアさんに勝ったからって、それはオーフェリアさんを助けることにはならないって言っているんだよ。そんな簡単にオーフェリアさんを助けられるんだったら、僕がもう助けているからね。それに君のその願い、僕の願いと同じなんだ」
「どういうことだ?」
「次の『鳳凰星武祭』に、僕はオーフェリアさんと出場する」
「何!?オーフェリアは『王竜星武祭』に出るのではないのか?」
「オーフェリアさんが次に出でる星武祭は『鳳凰星武祭』だよ。もうすでに出場登録は済ましてある。僕とオーフェリアさんはそこで優勝して、僕は僕の願いをかなえる。そしてその願いは、君の願いでもある」
その言葉にユリスさんとオーフェリアさんが同時に驚愕する。そういえば、僕はオーフェリアさんに僕の願いを言っていなかったな。
「だからここは引いてくれないかな?頼む」
そう言って僕は頭を下げる。ここでユリスさんとオーフェリアさんが戦う理由は、僕たちが『鳳凰星武祭』に優勝しない限りないんだから。
「・・・分かった、ここは引く。一つ、聞いていいか?」
「何?」
「さっき貴様は私の炎を切ったが、どうやった?」
「普通に切り払っただけだよ。でも僕は戦闘とかそういうことがあんまり得意じゃないからね、あんなことができたのは正直驚いてる」
そういうと綾斗君が苦笑いしている。なんでや・・・
「ふん、まぁいい。お前も存外食えないやつだな。私も『鳳凰星武祭』には出るつもりだ。もしぶつかったときは、本気で行かせてもらう」
「勘弁してよ・・・」
そう言ってユリスさんと綾斗君はその場から立ち去った。
* * * * * * * * * *
「ねぇ、さっきの話、本当なの?」
「ん?さっきの話って?」
「私を解放するっていう・・・私はこの運命を受け入れているわ。なのに、あなたはどうしてこんな私を・・・自分のために願いを使おうとしないの?」
「さっきも言ったけど、これは僕の願いだよ。オーフェリアさんが自分の運命ってやつを受け入れていても、僕はそんなの認めない。だって、受け入れているとか言っても、そんな悲しそうな表情で言われても説得力が無いよ。だからこれは僕の願いなんだ。会長さんには内緒にしてね。今日はもう遅くなっちゃったし、帰ろうよ」
「えぇ、そうね」
そう言ったオーフェリアさんは微笑んでいた。
「うん、やっぱりオーフェリアさんはいつもの悲しそうな表情じゃなくて、笑っている方が似合ってるし、かわいいよ」
「!」
あれ、どうして顔が赤くなってるんだろう・・・?夕日の所為かな?
この前3DSの思いで記録帳でFEifのプレイ時間見たら1357時間くらいでした・・・
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邂逅②
現在僕は逃走中だ。誰からかは、もう言うまでもないだろう。
「ちょっと!僕もう追いかけられる理由ないでしょ!この前、結局ちゃんと決闘して僕負けたじゃん!」
あの後、綾斗君とユリスさんと別れた後、レヴォルフに帰って来てから僕とオーフェリアさんは決闘をした。
曰く、『ユリスの炎あんなにあっさり切り捨てるんだから、結構実力あるんじゃないか?』とのことだ。
あんなのまぐれだって言ったんだけど、聞き入れてもらえずなんだかんだ決闘をすることになってしまったのである。
とりあえずこのまま適当にやって負けたら、また追いかけられるのは目に見えているので、今度はちゃんと戦った。オーフェリアさんは何度か冷や冷やしていた場面があったらしいが、結果的にはオーフェリアさんの圧勝だろう。
あの星辰力の量はズルい。連鶴とかやっても途中で星辰力でガードされちゃうし、天霧辰明流の方でも結果は同じ。奧伝まで使ったのに結局勝てないってことは、やっぱりオーフェリアさんは僕よりもすっごく強いってことだろ。
決闘が終わった後、『王竜星武祭』の決勝が終わった時よりも疲れてるみたいだったけど、それもきっと気のせいだ。
「とにかく、僕はもう追いかけられる理由は無いと思うんだけど!」
「最近、あなたを追いかけているとなぜか心が落ち着くの。追いかけていないと何故かざわつく・・・何でかしら?」
「ドSか!!」
でも追いかけられてても以前のような威圧感は無い。全力ではないのだろう。かくいう僕も、依然追いかけられているときは全力で逃げているわけじゃない。
この光景はレヴォルフで最早日常の光景になっているようで、すれ違った生徒からは
「おう、また追いかけられてるのか?まぁ精々頑張れや」
とか言われる始末。変わってあげようか?っていうと全力で避けられるんだけどね・・・
とはいえここはレヴォルフの外、しかも時間は夕方だ。星導館の近くまで来てしまったようだし、そろそろ帰ろうかと思っていたところ、見たことのある二人の人影が見えた。
「おーい、綾斗君!」
「あれ、日向?どうしてこんなところに?」
「綾斗君こそどうしてここに?このあたりって星導館の女子寮付近じゃないの?」
「この子を女子寮まで送っていた最中なんだ」
「そうなんだ。久しぶり、綺凛ちゃん!」
「え?日向さん?」
* * * * * * * * * *
僕は昔、刀藤流の道場に通っていたことがある。そこで僕と綺凛ちゃんは出会った。
出会った時点で僕の身長は当時の綺凛ちゃんと同じくらい。しかもこんな顔だから、僕は綺凛ちゃんに女の子の同い年の子と勘違いをされていたらしい。
僕が男の子で、年上だということを告げると、顔を真っ赤にして謝り倒してその場から逃げ去ってしまったけれど、その後は普通に仲良くさせてもらっていた。
「綺凛ちゃん、星導館に通ってたんだ」
「はい、どうしても叶えたいことがあるので・・・」
「えっと、二人は知り合い?」
「うん、昔綺凛ちゃんの家の道場に通わせてもらってたことがあって、そこで知り合ったんだ。仲良くさせてもらってたよ。綺凛ちゃん、僕よりもずっと強かったからなぁ・・・今もすっごく強いんだろうね」
「いえいえ、日向さ・・・日向先輩の方が強かったですよ。自分なんて日向先輩と比べたらまだまだです・・・」
「そんなことないって。綾斗君も綺凛ちゃんも、僕よりもすっごく強いと思うけどな」
そう言うと顔を合わせて苦笑いされる。なんでや・・・
「今帰ってる途中だったんだっけ?今とある人から逃げてる最中なんだけど、しばらくは何とかなりそうだから、僕も一緒に行って良い?」
「私は構いませんよ。綾斗先輩は?」
「俺も構わないよ。日向、逃げてる人ってもしかして・・・」
「オーフェリアさんだよ。この前決闘してもう追いかけられる理由は無いはずなんだけど・・・それにもう慣れちゃったよ・・・アハハ」
「え!?あの『孤毒の魔女』ですか!?」
「入学式以降、何かと縁があってね・・・今度の『鳳凰星武祭』一緒に出てもらえることになったんだ。二人は『鳳凰星武祭』に出場するの?」
「俺はユリスと組んで出場する。もし当たっても、全力でやらせてもらうよ」
「私は・・・恐らく出れないと思います。ペアもいませんし・・・」
「そうなんだ。じゃあ綾斗君は、僕のライバルだね」
そんな感じで雑談をしていると、綺凛ちゃんが過ごしている寮に到着した。
「では先輩方、送っていただきありがとうございました!」
そう言って綺凛ちゃんは頭を下げて寮に入っていく。やっぱり礼儀正しくていい子だな。
「僕たちも帰ろっか」
「そうだね。じゃあまた」
そう言って綾斗君とも別れる。帰る途中でオーフェリアさんに見つかったので、そのままレヴォルフまで一緒に帰ることにした。なんで追いかけてくるか、やっぱり理由は分からないらしい。
まぁ最近は追いかけられるのも悪くないと思えてきてしまった。
今回は結構短いですね
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鳳凰星武祭開幕!・・・いきなり本戦!?
11/21加筆させてもらいました
時は過ぎて、今日は『鳳凰星武祭』の開催日だ。
今は開会式の最中で、ちょうどマディアス=メサっていう人が話している。星武祭実行委員長?なんだっけ?
なんかいろいろ話してるけど、大事そうなのは自立起動の機械人形の代理出場を認めるとかなんとか。機械ってことはアルルカント以外考えられない。普通の機械人形なら星脈世代を相手にしたら速攻でスクラップになるんだろうけど、わざわざここで出場を認めているってことは、よほど勝ち残る自信があるということだろう。
話聞いてるだけなのは苦手だ。だから別の事を考えていようかな・・・そういえば綾斗君が星導館で序列一位になったらしい。それと純正煌式武装の『黒炉の魔剣』に適合したらしいね。
それと綺凛ちゃんもどうやら『鳳凰星武祭』に出場することになったらしい。ペアが紗夜ちゃんだっていうことが驚きだった。というか紗夜ちゃん、星導館に通ってたんだね。昔綾斗君のとこの道場に通ってた時、よく遊んでたなぁ。
今年は星武祭25周年ってことで『鳳凰星武祭』が終わった後に、『BC(バトル・セレモニア)』っていう他校同士で組んでもいい『鳳凰星武祭』があるらしいね。事前に通達されてたらしいんだけど、全く知らなかったし、僕は戦うのは苦手だから出るつもりはない。なんか願い事は叶えられるらしいんだけどね。統合事業在体太っ腹過ぎない?
そんなことを考えていたら実行委員長さんの話は終わったようだ。その後も各学園を運営している統合事業在体のお偉いさんとか、各学園の校長先生の話とか、とにかく話が長すぎる・・・若干立ちながら寝ちゃってたよ・・・
ようやく長い開会式が終わって、この後は早速各ペア指定された会場に移動して試合が始まるらしい。僕とオーフェリアさんはEブロック、特に有望な学生がいるわけじゃないらしい。まぁ序列を見ただけだからひょっとしたらすっごく強い学生もいるかもしれないけど・・・
* * * * * * * * * *
予選は特筆事項は無かった。事前に決めていた通り、僕が片方の学生を足止めしている間に、オーフェリアさんがもう片方を始末して、始末し終わったら僕と二人で倒すっていう戦法を取る、つもりだった。
僕が足止めに使っていた技は”連鶴”。途切れることのない連続攻撃によって一方的に攻め立てる剣技なんだけど、足止めのはずが予選はすべて”連鶴”とオーフェリアさんの圧倒的な力によってねじ伏せていた。
オーフェリアさんは僕が敵を倒したときは当然みたいな表情をしていたけど、僕としては倒すたびに驚いている。まぁ相手が油断でもしていたんだろうと思う。
今日からは本戦だ。一回戦の相手はアルルカントの機械人形たちだった。
「オーフェリアさん、機械人形だけどどうする?アルディ?のあの障壁って結構厄介だよね・・・予選は相手に一分の猶予を与えたうえで全試合圧勝してるんだもん・・・」
「私が先に女の方を破壊するわ。それまであなたはロボットの方を相手していて。あなたなら倒せるかもしれないけど、あの障壁の防御力は普通の煌式武装じゃ突破できないかもしれないから、今回は本当に足止めに専念してくれればいいわ」
「うん、分かった。じゃあ、行こうか」
「えぇ、そうね」
『皆さん!お待たせいたしました!『鳳凰星武祭』本戦第一試合、いよいよ始まります!大戦の組み合わせはアルルカントの擬形態≪アルディ・リムシィ≫ペアー!もう片方はレヴォルフの現序列一位で『王竜星武祭』二連覇の≪オーフェリア=ランドルーフェン≫、入学初日に序列一位になった≪花園日向≫ペアー!オーフェリア・花園ペアは今回の優勝候補筆頭となっております!今までの予選では、連携らしい連携を見せずに個人の実力だけで相手を下してきております!片やアルルカントの擬形態ペアは予選全てを一分のハンデをつけたうえで圧勝しております!今大会最大の注目カードと言っても過言ではないでしょう!!』
わーお・・・元一位の事は黙っててほしかった・・・あんなの完全に事故じゃないですか・・・
「フハハハハ!貴公らとの対戦、実に楽しみであった!何せ『王竜星武祭』二連覇の≪孤毒の魔女≫に、入学初日からいきなりそのオーフェリア上に勝ち、序列一位の座を奪った花園殿との対戦であるからな!そなたらの実力に敬意を表して、今回も一分のハンデを――」
「いつまで喋っているのですか、この木偶の坊。この方たちとの対戦は、今までみたいに一分のハンデなどを上げていたら、すぐにやられてしまいます。ハンデ無しで、全力で勝ちにいくに決まっているでしょう」
「むぅ・・・仕方がない・・・」
なぜか急に目の前で漫才を繰り広げ始める機械人形ペア。というか序列に関しては本当に触れないでほしい・・・僕が序列一位だったことが蒸し返されるたびにオーフェリアさんの機嫌が悪くなっているのが分かる・・・今はかなり不機嫌だ・・・正直怖い・・・
『それでは『鳳凰星武祭』本戦第一試合!開始!』
今回は主人公君の考えの描写が多いですね・・・会話少な!
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鳳凰星武祭~本戦~①
『それでは『鳳凰星武祭』本戦第一試合!開始!』
その合図とともに僕は先手必勝と言わんばかりに、アルディ君?に切り込む。しかしアルディ君の防御障壁はやはり厄介だ。僕の煌式武装じゃびくともしないや・・・
この防御障壁を破れるのって、それこそ綾斗君の『黒炉の魔剣』とかの純正煌式武装とか、オーフェリアさんの圧倒的火力とかなんじゃないの?
今度は星辰力を多めに込めて切りかかる。流星闘技ギリギリの星辰力を込めるが、やはり防御障壁は破れそうになかった
「やっぱり、君の防御障壁は厄介だね。僕じゃあ破れそうにないや・・・今まで一分のハンデをあげていたのも、納得できる固さだね」
「フハハハハ!並みの煌式武装では我輩の障壁は絶対に突破できないのである!純正煌式武装でもモノによっては突破できないのだから、貴殿の煌式武装でどんなに攻撃を与えても無駄である!」
「確かにそうかもしれないね。僕じゃあどうあがいても君の障壁を、火力で突破できそうにないや。僕の魔術師としての能力も、機械の君には分が悪いしね。でも、僕の目的は君を倒すことじゃないんだ。勿論倒せれば一番良いんだけど、君の障壁を突破するのは僕とオーフェリアさんの二人の力だよ!」
「それまでに貴殿を倒せば問題ないのである!」
ハンマー型の煌式武装で殴りかかってくる。しかしハンマーの重い打撃は動きが読みやすい。暗器などは持ってはいないと思うが、念のためそれを躱せる、余裕を持った距離感で攻撃を回避する。
攻撃後の隙をついては斬撃を入れているが、やはり単調な攻撃では通じないようだ。
いったん僕は大きく距離を取って一息入れる。
「ヌ?何をするつもりだ?」
「君にはどうやら単調な切込みは通じなさそうだからね。それに君は人工知能、学習能力もかなり高い。でも、今まで見てこなかったパターンに関しては、対応が遅れるんじゃないかな!」
そう言って星辰力を使って一時的に移動を爆発的に高める。その移動の力を加えたままアルディ君に切りかかる、と見せかけていったんフェイントを入れて再び切りかかる。この速さにはついてこれなかったのか、フェイントが効いたのか、どっちにしてもアルディ君たちが今まで戦ってきた中で高速移動をしながら戦ってきた学生はいなかった。さらに機会という特性を利用して、簡単なフェイントにも引っ掛かりやすいらしい。それを織り交ぜた攻撃をすれば、防御障壁を展開する前に攻撃を与えられた。
「ヌ!我輩が攻撃を食らうとは」
「力任せに戦うだけが君の障壁を突破する手段じゃないってことだよ。戦いが苦手な僕でも、フェイントを入れたり速く移動することならできるんだ」
「貴殿が戦いが苦手?冗談は止すが良い!貴殿は我輩がこの星武祭で戦ってきた中で、間違いなく最強である!」
まぁ確かに攻撃を入れられたのは僕が初めてらしいから、君の中ではそうなのかもしれないけど。
でも今の一撃で校章を破壊できなかったのは痛かったな・・・学習能力が高いってことは、二度は同じ手は通じないということだ・・・
「どうやら無駄話をしていられるのはここまでのようである!では続きと――」
アルディ君がそう言って武器を構えると、オーフェリアさんとリムシィさんが戦っている方で、なんか戦闘中になってはいけない音が鳴った。
なんかジュワ~って音が聞こえたんだけどどういうこと?
気になったのでオーフェリアさんの方へ目を向けてみると、首だけを残してリムシィさんの身体が消滅していた・・・
『カミラ・パレード、意識消失』
あれ・・・?パーツが転がってないってことは、もしかして溶かした?そうしないとさっきの音とこの状況のつじつまが合わない・・・
オーフェリアさんがこっちは片付いたと言うようにこちらを見てくる。しかしアルディ君からしたら、次はお前の番だ、とでも解釈したのだろう。これは流石に・・・
「ええっと・・・続ける?」
「・・・投了してもよろしいだろうか?」
『試合終了ー!勝者は≪オーフェリア・ランドルーフェン、花園日向≫ペアだー!』
* * * * * * * * * *
「お疲れ、オーフェリアさん・・・えっと、どうやって倒したの?」
「敵の攻撃を全部防いで、私の毒で身体を溶かしたわ」
やっぱり!あの音って溶かした音だったのか!これって弁償とかなのかな・・・?流石にパーツが無いんじゃ修復は不可能だろうし・・・
控室で頭を悩ませていると、来客があった。誰が来たのかを確かめると、アルルカントのエルネスタさんとカミラさんだった。後ろにはアルディ君が控えていて、エルネスタさんはリムシィさんの首をもって泣きそうになってる・・・
「入ってもいいだろうか?」
カミラさんの方がそう尋ねて来たので、オーフェリアさんに確認を取ると首を縦に振った。
「えぇ、どうぞ・・・」
正直このタイミングでくるって、文句言われるに決まってるじゃん!来てほしくなかったし、できればこのまま帰ってほしかった・・・
「失礼する」
「ええっと・・・その・・・修復不可能な状態にしてしまって申し訳ないです・・・」
何で僕が謝ってるんだろう。謝るとしたらオーフェリアさんのはずなのだが、我関せずの状態を崩さないので、しょうがないから僕が謝っておく。
「・・・か・・・」
「え?」
「ここまですることないじゃんか!」
はい!おっしゃる通りでございます!ただこのことを僕に行っても仕方がないとは思いませんかね!?
「なんでここまでしたのさ!これじゃあ修復できないじゃんか!ある程度壊されるのは覚悟の上だったけど、ここまでとは思わなかったよ・・・」
そう言って泣き始めるエルネスタさん。いや、この状況をどうしろと?
「言いたいことはそれだけかしら?」
え?オーフェリアさん?
「それで終わりなら、私はこれで失礼させていただくわ」
そう言って部屋を出ていくオーフェリアさんを見送る僕たち。
「すまない、エルネスタがどうしてもっていうから連れて来たんだが・・・」
「いえ、こっちも申し訳ないことをしたと思いますので・・・アルディ君もごめんね?あんな形で試合が終わっちゃって」
「日向殿の所為ではないのである。今回負けたのは我々の力が及ばなかっただけの事。また貴殿と戦える機会があったら、ぜひお相手いただきたい」
「え?ま、まぁ機会があったらね」
正直戦っても勝ち筋が見えない。だがまぁ、こういう風に挑まれるのも、たまにはいいのかもしれないや。
エルネスタさんはカミラさんが連れて帰った。僕も次の試合に備えて、帰らせてもらおうかな。次の試合は特に問題なさそうだから、その次に当たる可能性が高い、綺凛ちゃんと沙夜ちゃんのペアの方が大変そうだな・・・
他のヒロイン希望とかありますかね?ありそうなら活動報告の方に載せておくので、そこに書き込んでください。極力入れられるように努力します
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鳳凰星武祭~本戦②~
シャイニングレゾナンスの主題歌が変わって序盤からジーナスとエクセラを使えるらしいのですが・・・
あとはDLC完全網羅?らしいです
前作のシャイニングレゾナンスはプレイ動画見ただけなのでこれを機にリフレインの方を買いたいと思うけどお金が無いのです・・・
次は準決勝。相手は綺凛ちゃん、紗夜ちゃんペアだ。
準々決勝?予選と同じような勝ち方したから、別にいいかなって。
綺凛ちゃんは星導館の元序列一位、刀藤流の”連鶴”を使える。僕も一応使えるけど、本家本元が相手だと恐らく相手にならないと思う・・・紗夜ちゃんは正確な射撃が得意なんだよね。しかもその一撃の火力が馬鹿みたいに強い・・・でもその手の攻撃は連射できないっていうデメリットがある。でも銃で白兵戦されると、少し辛いかな・・・
今回は剣だけだと少し辛いかもしれない。だから予備の、別の武装を使うことになるかもしれない。そのことはすでにオーフェリアさんと話がついているから大丈夫。
『皆さんお待たせいたしました!いよいよ「鳳凰星武祭」準決勝第一試合です!対戦の組み合わせは星導館の刀藤綺凛選手、佐々宮紗夜選手!刀藤選手は日本刀による高速な攻撃を得意としており、佐々宮選手は銃による遠距離攻撃を得意としております!もう一方は、レヴォルフのオーフェリア・ランドルーフェン選手、花園日向選手です!ここまでほとんど一方的な試合を見せてきております!あのアルルカントの擬形態が手も足も出なかったほどです!』
『両方とも優勝候補っすからねえ。単純な戦力としてはオーフェリア選手、花園選手ペアの方に軍配が上がるでしょうが、コンビネーションとしては星導館の刀藤選手、佐々宮選手の方が上手ってところっすかね』
そりゃ今まで僕とオーフェリアさんは僕が足止め、オーフェリアさんが止めっていう戦法を取ってきたからね。コンビネーションらしいコンビネーションは何もしていない。正直個人戦を同じフィールドでやっているようなものだ。
そう意味では、前衛と後衛の役割がはっきりしている向こうのペアは、少々厄介かもしれない。
でもなんか向こうのペアの様子がおかしい、気がする。心ここにあらずっていうか、早く試合を終わらせたいっていうか。なんか慌ててる?
でも相手がどんな状態でも、こっちは全力で戦うだけだ。叶えたい願いがある以上、その考えは譲れない。相手がたとえ、昔馴染みでもだ。
僕は剣型の煌式武装を抜いて構える。それぞれがそれぞれの装備を出して、臨戦態勢に入る。
『それでは『鳳凰星武祭』準々決勝第一試合!開始!』
そう告げられると同時、僕は綺凛ちゃんに切りかかる。僕が綺凛ちゃんの相手をしている間に、オーフェリアさんが紗夜ちゃんを倒す。いつも通りの戦い方だ。
綺凛ちゃんも僕に切りかかってくる。恐らくは早々に僕を倒して、オーフェリアさんに二人で挑もうとしているんだろう。僕の戦闘力を考えたら、綺凛ちゃんが先に僕を倒そうとするのは納得だ。
そう考えていると、綺凛ちゃんが早速連鶴を仕掛けてきた。僕は連鶴の形を知っているので何とか対抗する。
しかしここで違和感を感じた。今の綺凛ちゃんがどれだけ強いかはわからないが、少なくとも、昔手合わせした時よりも強くなっているのは間違いない。何せ星導館の元序列一位なんだから。
でも今の綺凛ちゃん、昔と同じ、もしくはそれよりも弱くなってる?やっぱり何かがおかしい。
僕は綺凛ちゃんの”連鶴”を同じ”連鶴”で無理やり止めて、鍔迫り合いに入る。
「ねぇ、綺凛ちゃん。なんか変じゃない?」
「変、というのは?」
「なんていうか、心ここにあらずっていうか、昔の綺凛ちゃんより弱くなってない?」
「・・・そうでしょうか?」
「自分でも気づかない?今の綺凛ちゃんなら、僕に”連鶴”を止められることは無いんじゃない?綺凛ちゃんは僕よりも強いんだから」
「いえ、私は日向先輩の足元にも及びません。今も昔も・・・だから、弱くなっているというのは日向先輩の勘違いじゃないでしょうか?」
やっぱり何かが変だ。こんな使い方をするもんじゃないけど、僕は魔術師としての力を使う。
「・・・なるほど。『フローラ』?」
「どうしてその名前を!?」
そう言って綺凛ちゃんはバックステップで僕から距離を取る。
「僕の『魔術師』としての能力を忘れるの?フローラちゃん?誘拐されたらしいね。僕はそのフローラちゃんは分からないけど、きっと綺凛ちゃんと何らかの関係があるのかな?」
「えぇ、リースフェルト先輩の国から来た少女です。それが星武祭の最中に何者かに誘拐されました。ですからこの試合を早く終わらせて、早く捜索に向かわなくてはいけないのです」
なるほど、だからこの試合を早く終わらせようとしているわけか。
でも綺凛ちゃん、それは甘い。
「綺凛ちゃん、この試合を早く終わらせたいっていうのは、この試合に集中しきれてないんじゃないの?だから君の剣には迷いが生じている。それが君の今の弱さだ。君は僕よりもずっと強い。でも今の君じゃ、僕には勝てないんじゃないの?」
「・・・・・・」
「君が『鳳凰星武祭』に出ている理由は僕には分からない。でも、勝てるかもしれない試合を捨てるかもしれないこの状態で、フローラちゃんを助けられて、それで君は後悔しないの?」
何も言えなくなる綺凛ちゃん。
本来、敵に塩を送る様な真似はするべきではない。それでも幼馴染が叶えたい願いがあって、それで星武祭に出てて、この試合の後に後悔するような真似はしてほしくない。
綺凛ちゃんの目つきが変わった。どうやら本気になってしまったらしい。
すると、向こうで戦っていたオーフェリアさんと紗夜ちゃんの方から光線が飛んできた。僕は何とか回避する。
流石にあれを防御するのは危ないと判断したらしい。
綺凛ちゃんと紗夜ちゃんが合流して何やら話している。僕もオーフェリアさんと合流する。
「ごめんなさい・・・流石にあれだけの攻撃を真っ正面からガードするのは危ないと思ったの」
「いや、怪我が無くて良かったよ。で、あの武器の特性とか何かわかる?」
「今までにあの銃で攻撃してきた回数は二回。一回目から二回目にかけてかなりのインターバルがあったわ。だから連射性はかなり低いみたい。それに移動もかなりしづらいでしょうね。一回目打って、その後は小銃の煌式武装に切り替えて来たわ」
「分かった。じゃあ次にあの銃で攻撃して来たら、僕と交代してほしい。多分それで、紗夜ちゃんの校章は壊せると思う」
「・・・えぇ、分かったわ」
「綺凛ちゃんの方は、オーフェリアさんの星辰力なら防げると思う」
どうやら向こうも作戦会議は終わったらしい。綺凛ちゃんが、僕の方へ切りかかってきて、紗夜ちゃんはオーフェリアさんに小銃形態の煌式武装を構えて向かっていった。
しばらく綺凛ちゃんと”連鶴”で切り合っていると、”識”の境地に紗夜ちゃんがさっきの双銃を撃とうとしているのが引っ掛かった。僕は綺凛ちゃんの”連鶴”を抜け出した。
「オーフェリアさん!」
そう言ってオーフェリアさんと相手を変える。紗夜ちゃんが打つのをキャンセルしようとしているが、もう遅い。双銃からは光線が発射された。
僕は星辰力のブーストを使って、後ろに高く飛ぶ。そして剣型の煌式武装を仕舞って、予備の『弓の煌式武装』を起動させて、二矢つがえて、綺凛ちゃんと紗夜ちゃんの校章を狙って射出する。
オーフェリアさんと戦っていた綺凛ちゃんの方は、咄嗟に切り落としたようだが、その隙をオーフェリアさんに突かれた。
『刀藤綺凛、校章破損』
そして紗夜ちゃんは打ったばかりで僕の矢を打ち落とすことが出来ず、僕の矢で校章を撃ち抜かれた。
『佐々宮紗夜、校章破損』
『勝者、オーフェリア=ランドルーフェン、花園日向ペア』
機械音が、僕たちの勝利を告げた。
長い、大分長くなったなぁ・・・
そして戦闘シーンが雑!
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迷子の捜索
まぁヒロイン云々以前に柚陽とはどこかで絡ませようとしていたし、弓を使う予定はあったので結果オーライってことで
『勝者、オーフェリア=ランドルーフェン、花園日向ペア』
機械音が、僕たちの勝利を告げた。
「ふぅ・・・」
弓を使ったのは相当久しぶりだ。昔綾斗君と、宗家の道場に一緒に行ったときに少しだけやらせてもらった程度だったけど、うまく行ってよかったよ。
精々百メートル離れてる的の中央に当てるのが精一杯だったから、動きながら打つのは半分以上賭けだったんだけど。
「お疲れ様、オーフェリアさん。ホント、うまく行ってよかったよ。外れたらまた違う方法取らなくちゃいけなさそうだったからね」
「あなた、外すかもしれないと思っていたの?呆れたわ・・・」
何でや・・・僕は自分の矢の命中率を予め話していただけだ。外したらごめんってことも一緒に伝えておいた。
でもオーフェリアさんは外さないと確信していたらしい。なんか嬉しいな。
「参りました、日向先輩。あそこで弓を使ってくるのは、想定外でした・・・」
「悔しい。日向が弓を使えるのは知っていたけど、ここで使ってくるのはズルい。今までなんで使ってこなかった?」
試合が終わって紗夜ちゃんと綺凛ちゃんが話しかけてきた。
「何でって、使う理由が無かったからかな?」
僕だって弓を使うことになるとは思わなかった。弓を使うのは本当に久しぶりだったから、危なかったよ。
少しだけ話して綺凛ちゃんと紗夜ちゃんは舞台から去っていった。僕とオーフェリアさんは勝利インタビューを受けた後に解散した。
* * * * * * * * * *
僕たちの準決勝の後、入れ替わるように綾斗君とユリスさんのペアが、ガラードワースのペアと準決勝を戦い、見事に勝利していた。
綾斗君は何故か『黒炉の魔剣』を使っていなかった。ガラードワースのエリオット君?の戦闘スタイル的に、『黒炉の魔剣』みたいな大剣だと戦いにくいのかな?
僕は寮で休みながら、ゲームをして時間を潰していた。SRPGみたいに一人で没頭できるゲームは、時間つぶしに持って来いだ。
しかし、いつもはミスしないようなところで何度もミスを重ねてしまう。ゲームの方に集中しきれていない。
やっぱりフローラちゃんが気になるのかもしれない。会ったことは無いけれど、誘拐されたということなら心配だ。それを探しているのが僕の友達たちっていうことも、拍車を駆けているのかも知れない。
このまま時間を潰しているよりも、やっぱり手伝ったほうがいいかもしれない。僕の魔術師としての能力を使えば、少しは手掛かりがあるかもしれない。
そう思って通信ユニットを開いて、電話をかける。
「もしもし。今どこにいる?」
* * * * * * * * * *
さっき電話を掛けたのは綾斗君だ。現在は再開発エリアの歓楽街にいるらしい。誘拐なら、やっぱり再開発エリアに身を潜めるのだろう。再開発エリアの方は、逃走中に何回か来たことがあるから、少しは分かるんだけど、歓楽街の方だとちょっとわからないところが多い。
イレーネさんはよくカジノで暴れてるってプリシラさんが愚痴をこぼしてたけど、僕はカジノには行ったことが無いからね。
僕は星導館の人たちとは一緒に行動せずに、個人で動いていた。
魔術師としての能力で、歓楽街の人たちから情報を集めるが、誘拐された少女の情報は見つからない。
三十分くらい情報集めをして手がかりが無いことに途方に暮れていると、何やら騒がしくなってきた。どうやら歓楽街にいる極道の人たちが、誰かを探しているらしい。
少し気になったので、極道の人たちの思考を読み取ってみる。どうやら追われているのは綾斗君らしい。
(綾斗君何やらかしたの・・・?)
僕は綾斗君の捜索に切り替えた。ここは全く見つからないフローラちゃんよりも、歓楽街にいることが分かってる綾斗君を探した方が賢明だと思う。
五分ほど探し回ると、パーカーのフードをかぶってこそこそ隠れているしぐさをしている人を見つけた。体格と今の現状からして、綾斗君だと思う。
「綾斗君?」
「!・・・日向か・・・驚かせないでよ・・・」
「ごめん、追われてるんだよね?あの怖い人たちはこっちの方にはあんまりいなかったよ」
綾斗君と一緒に人が少ない方に逃げる。しかし綾斗君を探している間に捜査網が敷かれたらしい。厄介だな・・・
「ねぇ君たち、もしかしてあの人たちから逃げてるの?」
僕たちに声をかけてきたのは栗色の髪を伸ばして、帽子を被った少女だった。
基本的にコメディのタグ外そうかと思う今日この頃
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世界の歌姫って誰の事?
僕らは声をかけられた。栗色の髪を伸ばして、帽子を被ってる少女に。
見た目不良じゃないのに、再開発エリアにいるのは何故だろう?しかも歓楽街に。ここは夜遊び歩いているレヴォルフの生徒くらいしかいないものだと思っていた。
「ねぇ君たち、追われてるんじゃないの?逃げなくてもいいの?」
「えっと、君は?」
綾斗君が尋ねたが意に介さずに背を向けて歩き出す。僕と綾斗君が呆気に取られていると、振り返ってきた。
「ほら、こっちなら監視の目も少ないよ。早く逃げないと、また面倒なことになるんじゃないの?」
この人は味方なのだろうか?完全に巻き込まれに来ている。ここの極道の人たちが雇った人という可能性もあり得なくはないから、この人の思考を読んでみることにする。
すると、とある名前?が浮かんできた。
(シルヴィア=リューネハイム・・・?)
どうやらこの人はシルヴィアさんというらしい。それとここにいるのは人を探していたかららしいんだけど、どうやら敵ではないらしい。
そうしてシルヴィアさんについて行くと、再開発エリアの人が少ないところに出られた。
「ありがとう、シルヴィアさん」
僕は何の気もなしにお礼を言った。いや、この場合言ってしまったというべきか・・・
「「え!?」」
綾斗君とシルヴィアさんが同時に驚く。何でや・・・
「日向、シルヴィアってあの――」
「なんで私の名前知ってるのかなぁ?」
シルヴィアさんがすごい剣幕で聞いてくる。少し怖いんだけど・・・
「僕の魔術師としての能力で、少し君の頭をのぞかせてもらったんだ。そしたらシルヴィア=リューネハイムって名前が浮かんできて・・・」
でも何でこんなに怒っているんだろう?それに綾斗君は呆然としているし・・・
「君はレヴォルフの花園日向君だよね?『鳳凰星武祭』に『孤毒の魔女』と出てる」
気を取り直してシルヴィアさんは僕に向かってそんなことを聞いてきた。
「そうだけど、何で知ってるの?」
「そりゃ『鳳凰星武祭』の決勝進出者だもん。それに『孤毒の魔女』をペアにしてるっていうのもすっごく話題になってるし。それに君は星導館の天霧綾斗君だよね?それって変装のつもりなのかもしれないけど、変装するならもうちょっと気を使ったほうがいいんじゃないかな?」
シルヴィア=リューネハイムって名前、どっかで聞いたことがある気がするんだけど・・・どこだっけ?
「ねぇシルヴィアさん、どっかで会ったことってある?僕君の名前に聞き覚えがあるんだけど、どこで聞いたか全く思い出せなくてさ・・・」
そう言うと綾斗君とシルヴィアさんがぽかんとした表情になる。次いでシルヴィアさんが再びすごい剣幕で迫ってきた。
「ねぇ君、本当に私のこと知らないの?天霧君は気付いているようだけど、君本当に私のこと知らないんだ?からかってるんじゃなくて?」
「知ってたらこんなこと聞かないよ」
何でこの人は自分の事を知っていることを前提で話してくるのだろう?そんなに自分が有名だと思っているのかな?
「本当に知らないんだ、呆れた・・・名前だけ知られて正体には気づかないなんて・・・」
そんなこと言われても・・・知らないものは知らないんだ。
「私は世界の歌姫って言われてるアイドルなんだけどな・・・」
「アイドル!?」
「やっと分かった?私って世界的に有名な――」
「アイドルってあれでしょ?顔の良さと握手会とか舞台の優先申し込みチケットだけでCD売って、オリコンの上位掻っ攫っていく、自分の歌唱力だけじゃ碌にCDが売れない人たちの蔑称でしょ!?ごめん!僕アイドルって言葉がもうすでに無理なんだ・・・」
「はーーーー!?今なんて言った!?」
今までで一番の迫力で迫ってくる。なんか綾斗君なんかは僕を見て若干引いてるし・・・解せぬ・・・
「いやホントアイドルって存在が僕本当に苦手なんで勘弁してくれませんかね・・・」
「言っておくけど、顔の良さとか中身の特典でCD売ってるアイドルなんてA〇Bとかだけだからね!私はちゃんと歌唱力とか評価してもらってますーー!」
そんな感じで目的を忘れてアイドル談義をしていると、なんかヤバそうな人そうな人が絡んできた。
「おい!てめえら!ここがどこか分かってんだろうな!?ここはお前らみたいな真面目ちゃんが来るような所じゃ――」
「「ちょっと黙ってて!」」
僕とシルヴィアさんがハモる。そのことで睨みあうことになる。
「あの二人とも・・・今の状況分かってる・・・?」
綾斗君が僕たちに声をかけてくるが、熱くなっている僕たちには届かない。
「お前ら、ここにいるってことは覚悟できてんだろうな?」
「「うるさい黙れ」」
そう言ってしつこいガラの悪い人をシルヴィアさんが蹴り上げる。その蹴り上げられたのを、僕は剣型の煌式武装で”修羅月”を放って黙らせる。
「うわぁ・・・」
なんか綾斗君がドン引きしているけど、知らない。
「君と話してても埒が開かないや」
それからしばらく談義していたが双方意見を捻じ曲げないのでここは一旦終わりにするらしい。
「ところで君たち、ここで何をしていたの?」
あ、そういえばフローラちゃんって子探してたんだった。完全に忘れてた・・・
綾斗君がシルヴィアさんに状況を説明をしている。するとシルヴィアさんが協力すると言い始めた。
「私の能力で居場所を特定できるかもしれないけど、協力しようか?」
僕と綾斗君は顔を合わせて首を縦に振る。せっかくの協力の申し出を受けない理由は無いと思う。
「じゃあここから移動しよっか。ここじゃ探知なんてできないし・・・ところで、ここで伸びてるお兄さんはどうしたの?」
そう言えば足元に気絶してるガラの悪い人がいる。何で倒れてるの?
「二人がやったのに覚えてないの・・・?」
なんか頭を押さえてそんなことを呻いていた・・・僕とシルヴィアさんが?相性最悪なのにこんなことできるわけないじゃないか、アッハッハ
* * * * * * * * * *
僕たちは高層ビルの屋上まで移動してきた。どうやら人目が少ないところでやる必要があるらしい。
シルヴィアさんは綾斗君に地図を展開するように求めていた。六花の地図を拡大して展開する。
するとシルヴィアさんはここで起こったことを秘密にすることを求めてきた。なんか今更な気もするけど・・・
そうしてシルヴィアさんは歌い始める。どうやら歌を媒介にして能力を発動させるのが、シルヴィアさんの魔女としての能力らしい。
すると歌い始めた時に待っていた羽が、地図上に落ちる。どうやらここにフローラちゃんがいるらしい。
「ここだね。じゃあ私はこれで帰るけど、ここで起こったことは秘密にしておいてね?」
「あ、待って、何かお礼がしたいから連絡先を教えてほしいんだけど・・・」
綾斗君がそう言っったが、途中で自分の失言を悟ったらしい。しかしシルヴィアさんはくすくすと笑いだした。
「いやー、ごめんごめん、こんなに直接的なアプローチは初めてだったからさ。はいこれ、私のプライベートアドレス。君にもね」
「別に要らないよ」
いやほんと、勘弁してください。アイドル云々以前に、どうやらシルヴィアさんは本当に有名なアイドルらしい。そんな人のプライベートアドレス持ってたら、ファンの人に刺されるんじゃないだろうか?
アイドル嫌いなのに、アイドルがらみで殺されるなんて僕は御免だ。
しかしシルヴィアさんは無理やり押し付けてきた。どういうつもり?
「じゃあね」
そう言ってビルから飛び降りてその場から去っていく。
フローラちゃんの居場所が分かったことを、他の人たちに綾斗君が伝えている。僕は今日の決勝に向けて、少しでも休むために綾斗君に決勝で会おうてきなことを言って、寮へ帰った。
みんな大好きシルヴィアさんですね
界龍の人憐れ・・・
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鳳凰星武祭決勝前
僕がフローラちゃんの捜索から帰ったのは、空が明るんできた明け方の事だ。
夜更かしは慣れてるんだけど、完徹は慣れてないんだよね。それに今日は『鳳凰星武祭』の決勝戦だ。
相手は星導館の綾斗君とユリスさんのペアだ。
フローラちゃんが見つかるまでは綾斗君は『黒炉の魔剣』は使えないみたい。言い方は悪いけど純正煌式武装なんか使われたら、僕は瞬殺されそうだから、勝ち目があるとしたら純正煌式武装を使われる前に綾斗君を倒すことだろう。
とりあえず決勝戦の事は後でオーフェリアさんに相談しよう。オーフェリアさんの場合、ユリスさんとの因縁の対戦なのかな?どちらかというとユリスさんからオーフェリアさんに因縁がありそうなんだけどね。
今はそんなことよりも、言い方が悪いけど休息を取らないと。試合は午後からだから、少しは寝れるはず。
あと一回勝てばオーフェリアさんを自由にしてあげられるんだ。絶対に勝たないとね。
そう言えば、何で僕はオーフェリアさんを自由にしようと思ったんだろう?う~ん、よく分からないや・・・
考えても仕方がないから、ベッドに入って少しでも寝よう。
* * * * * * * * * *
あれから数時間眠って眠気は取れた。今回は『黒炉の魔剣』を使われた場合の事を考えて、剣型の煌式武装を三本、弓の煌式武装を一つ持って行く。弓は使うかどうかわからないけど、念のためにね。
昔宗家に行った時の知り合いみたいには扱えないけど、射るだけなら何とかできるからね。
決勝戦の会場に向かおうとする前に、綾斗君に連絡を取ることにする。戦い云々の前に、自分が関わったことは確認はしておいたほうがいいと思うからね。
綾斗君に電話をかけてみる。何コールかして、綾斗君は電話に出た。
「もしもし、綾斗君?」
「あれ、日向?どうしたの?決勝前に」
「いや、あのアイドルと別れた後の事、僕あんまり知らないから、今の状況はどうなってるかなって思って」
「今は綺凛ちゃんと紗夜が向かってる。まだ仕掛けてないみたいだけど、多分決勝戦が始まったあたりで仕掛けるんじゃないかな?」
「綺凛ちゃんと紗夜ちゃんが向かってるなら安心だよ。それだけだから、決勝戦負けないから」
「こっちこそ。『黒炉の魔剣』が無くても、勝ってみせるさ」
綾斗君との連絡はそこで終わった。そしてシリウスドームに到着したので、控室に向かう。
控室にはすでにオーフェリアさんが来ていた。
「おはよう、オーフェリアさん」
「えぇ・・・」
緊張してるの?『王竜星武祭』に二連覇してるんだから、こういったことに慣れてるんだと思ってたけど、違うのかな?
「オーフェリアさんどうしたの?」
「いえ・・・少し、昔の事を思い出していたの」
「そっか・・・何でオーフェリアさんって、ユリスさんと喧嘩?してるの?」
「ユリスが私の運命を受け入れていないだけ。私はこの身体になってから、私の運命を受け入れているわ・・・」
そう言ってオーフェリアさんは俯いた。その表情は陰りが見えている。
「オーフェリアさんって、戦うのに自分の寿命をすり減らしているって、本当?」
「!?あなた、どうしてそれを?」
「噂で聞いたんだよ。その反応からして、本当みたいだけど・・・」
本当ならオーフェリアさんを戦わせるべきではなかった。本当なら僕が誰か違う人と『鳳凰星武祭』に出るか、無謀だけど『王竜星武祭』に出て優勝するのが一番好ましい。オーフェリアさんを自由にする前に、オーフェリアさんの寿命をすり減らしてるんじゃ、本末転倒だ。
「ごめん・・・そのことを知らなかったとはいえ、本来ならオーフェリアさんを戦わせるべきじゃなかった」
「気にしないで、これが私の運命。星脈世代にされたあの時から、私はこうなる運命だったの・・・」
「星脈世代にされた・・・?それって・・・」
「少し、昔話をしましょうか。私はリーゼルタニアという国の孤児院で暮らしていたわ。ユリスとはそこで出会ったわ。でも、その孤児院、というよりもリーゼルタニア自体が裕福ではなかったわ。孤児院も例外ではなかった。私が暮らしていた孤児院の負債がいよいよ返却できない額まで膨れ上がったとき、私は私自身を売ったわ。その売った先での実験で、私は星脈世代にされた。アルルカントの『大博士』によって。その時の実験場は、私のこの毒の力が暴走してしまったときに崩壊してしまったわ。そして彼に買われて、今に至るの」
全く分からなかったオーフェリアさんの過去を知った。ユリスさんとはその時はさぞ仲が良かったんだろう。じゃなかったら、あんなに心配して、勝ち目がないというのにオーフェリアさんに挑んでくることは無いだろう。
そして、そんな運命とやらからオーフェリアさんを解放してあげなくてはならない。改めてそう思った。
「オーフェリアさん、改めて言わせてもらう。僕はこの『鳳凰星武祭』にオーフェリアさんと一緒に優勝する。そしてそんな運命から、オーフェリアさんを解放する。そしたら、この星武祭の報酬で、オーフェリアさんには、自分の叶えたい願いを叶えてほしい。それが、僕がこの星武祭に懸ける覚悟だ」
話しているうちに決勝の時間が迫ってきたようだ。
「じゃあ、行こうか。願いをかなえるための、最後の戦いに」
* * * * * * * * * *
『皆さん!大変長らくお待たせいたしました!『鳳凰星武祭』決勝戦、いよいよ始まります!決勝戦の組み合わせは星導館学園の序列一位の『叢雲』、天霧綾斗!序列五位の『菓焔の魔女』、ユリス=アレクシア=フォン=リースフェルト!対してはレヴォルフ黒学院の序列一位の『孤毒の魔女』、オーフェリア=ランドルーフェン!元序列一位の花園日向!天霧選手は準々決勝でどうやら封印の制限時間を克服したようです!準決勝では『黒炉の魔剣』は使いませんでしたが、どうやら凍結封印処理申請が行われたとの噂が・・・ユリス選手も今まで多彩な攻撃とコンビネーションを見せてくれてます!オーフェリア選手は言わずもがな『王竜星武祭』二連覇の猛者!花園選手も剣術の腕と弓の腕前は目を見張るものがあります!ここまでコンビネーションらしいコンビネーションを見せたのは、準決勝の刀藤、佐々宮ペアの時だけですが、決勝ではどのように戦うのでしょうか!?』
「オーフェリア・・・勝たせてもらうぞ。私にも、譲れない願いがあるからな!」
「ユリス・・・あなたでは私の運命は覆せない。あなたでは私に勝てないの。唯一勝てそうなのは・・・」
そう言って僕の方を見てくるオーフェリアさん。その流れだと、僕がオーフェリアさんに勝てるかもしれないってことになっちゃうんだけど。
「綾斗君、『黒炉の魔剣』まだ使えないの?」
「うん、どうやら間に合わなかったようだけど、それでも全力で行かせてもらう。負けられないからね!」
「僕は綾斗君には多分敵わない。封印?の制限時間も克服したみたいだしね。それでも、僕は絶対に負けない、絶対に!」
そう言ってそれぞれが各々の装備を起動させる。
『それでは『鳳凰星武祭』決勝戦!勝負開始!』
次回で『鳳凰星武祭』の本戦は終了させます
その後に願いを叶えて、アスタリスクのゲームに会ったバトル・セレモニアを書きたいと思います。
その先はほっとんど考えてないですwww
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鳳凰星武祭~決勝戦~
分けわからんルビ振るなや!
「咲き誇れ!六弁の爆焔花!」
先制はユリスさんの攻撃だった。火炎球が飛んでくるが、オーフェリアさんが前に出て星辰力でガードする。手袋は灰となっていたが、オーフェリアさん自身には全くダメージが入っていないようだ。
相変わらず人外みたいな星辰力だね・・・
「ユリスは私に任せて。あなたは天霧綾斗をお願い」
「分かった。無理はしないでね・・・」
「えぇ、分かってるわ」
剣を構えて綾斗君に特攻する。綾斗君はユリスさんと協力してオーフェリアさんを打破しようとしているが、一旦分断させないといけない。
「させないよ、綾斗君。君の相手は僕だよ」
「そういうわけにも行かないんだけど。でもやっぱり、最初に日向を倒さないと、オーフェリアさんとは戦わせてもらえなさそうだね!」
綾斗君は上段から切り掛かってくる。僕はそれを受け流して距離を取る。剣の煌式武装を一旦仕舞って、弓の煌式武装を起動させて矢を射出して牽制をする。しかしその矢はあっさりと切り払われる。
また弓の煌式武装を仕舞って、剣の煌式武装を起動させる。やっぱり近接戦でどうにかするしかないみたいだ。
最初は”連鶴”を仕掛ける。しかし綺凛ちゃんと決闘をしたからか、あまり効果があるとは思えない。全て防がれて、隙が生まれそうではない。だからと言って中断する理由は無いんだけどね。でも”連鶴”は綾斗君の星辰力で防がれたことによって、抜け出されてしまった。
「天霧辰明流剣術初伝!貳蛟龍!」
綾斗君が攻撃に出た。でも天霧辰明流は互いが互いにどんな技かを把握してるから、決め手としては欠ける。綾斗君の場合、何故かは知らないけど技を叫びながら放つから何をやるかはすぐにわかる。
僕は一旦距離を取る。そこから僕も攻撃を仕掛ける
(十昆薊、貳蛟龍、九牙太刀の強制接続!)
技の強制接続。本来は技一つ一つで完結するのだがそれでは綾斗君には通じない。ここは技を強制的に接続することによって、技と技に隙間を作らないで攻撃を仕掛ける。
十昆薊で距離を詰めつつ攻撃、懐に飛び込んだところに貳蛟龍で仰け反らせる、仰け反ったところに九牙太刀による連続攻撃で校章を破壊、っていう流れにしようと思ったんだけど、そこは綾斗君だ。仰け反ったところまでは良かったんだけど九牙太刀の攻撃の八回を剣でさばいて残りの一回は星辰力で防がれた。
「今ので決まらないのか・・・さすがは綾斗君だね、やっぱり強いや」
「今のは素直に驚いたよ。一つ一つで完結するはずの技を繋げてはなってくるなんてね。しかもあんなに滑らかにされるとは思わなかった。一体どうやって?」
「僕は刀藤流の方にもお世話になってたからね。”連鶴”は技の連携がカギだからね。それの応用だよ」
「他の剣術と賭け合わせてくるなんて、全く予想外の事をしてくれるね。でも、このまま好きには――!?」
「ゲホッ・・・!」
一体何!?いきなり咳き込むなんて・・・オーフェリアさん?何でこっち見てるのかな?よく分からないけど、とりあえず能力を使ってみる。
(動きを制限させる毒をステージに放ったわ。あなたは”識”の境地とやらで、毒の効果範囲が少ないところまで下がってて。その間にユリスを倒すわ)
僕は頷いて”識”の境地を使ってステージ上で毒の範囲が少ない所まで下がる。綾斗君も異変に気付いたのか、”識”の境地を展開して毒の範囲から脱する。
「っく!咲き誇れ!九輪の舞焔花!鋭槍の白炎花!」
火球と炎の槍が一斉にオーフェリアさんを襲う。しかしオーフェリアさんはその場から動かない。右手を前にかざしたかと思うと、攻撃をすべて受け止めた。星辰力でガードをする。やはりオーフェリアさんにダメージは無い。
「咲き誇れ!極楽鳥の燈翼!」
ユリスさんから炎の翼が生えて空中へと舞い上がる。
「咲き誇れ!呑竜の咬焔花!」
空中から炎の竜をオーフェリアさんに向かって放つ。今までの攻撃とは威力がケタ違いだが、やはりオーフェリアさんは躱さずに受け止める。
「『塵と化せ』」
オーフェリアさんが何かを呟くと、毒の腕が空中にいるユリスさんを襲う。僕は剣の煌式武装を仕舞い弓の煌式武装を起動させて、空中にいるユリスさんを狙う。綾斗君は遠距離攻撃手段が無いから、傍観することしかできない。
弓で進路を制限させて動きを制限させたところに、オーフェリアさんの毒の腕がユリスさんを襲う!
「あああああぁぁーー!!」
『ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト、意識消失』
ユリスさんは空中で気を失った。そのまま落ちてくるユリスさんを綾斗君が下に潜り込んで抱きかかえる。
「天霧綾斗・・・後はあなただけよ。投了する気は・・・?」
「全く勝てる気はしないけど、あいにく諦めるのは自分の性分に合わなくてね」
「そう・・・でもあなたでは、私には、私たちには勝てないんじゃなくって?」
そうしていると何故か実況の方が騒がしくなっている。
『え、ちょ、ちょっと。ここは関係者以外立ち入り禁止で・・・』
『あー、あー、綾斗?聞こえてますか?フローラは無事救出されました。全員無事ですので、御存分に』
「『千見の盟主』・・・」
「オーフェリアさん、今のって?」
というかフローラちゃん見つかったんだね。その点は嬉しいけど・・・
「星導館の生徒会長よ。彼女、何がしたかったのかしら?」
「オーフェリアさん、多分これから綾斗君、『黒炉の魔剣』を使ってくる。僕が前衛で気を引くから、オーフェリアさんはサポートを頼める?一応、僕の能力は常にオーフェリアさんに向けておくから」
「・・・えぇ、事情はよく分からないけれど。分かったわ」
作戦会議をしていると綾斗君は『黒炉の魔剣』を起動させる。
「さぁ行くよ、『黒炉の魔剣』!」
『黒炉の魔剣』は防御不可能な純正煌式武装。普通の煌式武装では壊されるらしい。一応剣型の煌式武装は三本用意してあるから、一本はお釈迦になってもらおう。
「『塵と化せ』」
オーフェリアさんが毒の腕を展開させて綾斗君を拘束しようとする。しかし綾斗君は『黒炉の魔剣』を構えて特攻する。『黒炉の魔剣』を振り払うと、毒の腕が消え去った。
「・・・それが『黒炉の魔剣』・・・でも、ほかにもやりようはあるわね」
『黒炉の魔剣』は見た目は大剣だ。あんまり小回りは効かないだろう。それに天霧辰明流はあんなに大きな剣を使うことは前提としていない。
僕は様子見を兼ねて”修羅月”を放つ。しかしそれは『黒炉の魔剣』に阻まれてしまい、煌式武装はお釈迦になってしまった。
(つまり、剣に触れないように躱しつつ、剣で防がれないようにしつつ、綾斗君の気を引いて、オーフェリアさんと協力して綾斗君の校章を破壊する・・・)
なにこれ無理ゲー・・・でもここで諦めるわけにはいかない。
残っている煌式武装を二つとも起動させて、二刀流で構える。二刀流での連続攻撃、”奈落蜘蛛”を高速で叩きこみつつ、剣で防がれそうになったら身を引いて、隙をついて校章を狙う。
これしか手は無いだろう。純正煌式武装があれば話は別なのだろうが、僕もオーフェリアさんも純正煌式武装は持っていない。
僕は綾斗君に攻め入る。”奈落蜘蛛”による連続攻撃、それを綾斗君は躱したり防ごうとしてくる。防ごうとしたところで剣を引き、切りかかって来たところを回避する。
オーフェリアさんは綾斗君が僕に切りかかって来た隙をついて毒の腕で攻める。
(もう一度動きを制限する毒を放つ、あなたはいったん下がって)
そう思念が送られてきたが、僕は首を横に振る。
「僕ごと巻き込んでも構わない!このままじゃいつまでたっても決着が着かない!どっちかがジリ貧になるから、僕ごと巻き込んで、綾斗君の動きを制限して!」
オーフェリアさんにそう伝えると、一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに頷いた。
するとまた咳き込みそうになる。僕じゃあこれを防ぐ手立てはないけど、それは綾斗君も同じだろう。毒の腕みたいに単一のものを切り伏せることはできても、大気を切り伏せることはできない。
厳密にいえばできるのだろうが、そっちに気を取られていると僕に校章を破壊されて終わりだ。ここからは我慢比べだ。
もう一度二刀流で構え直して二つの煌式武装に星辰力を流し込んで『流星闘技』を発動させる。刀身が長くなると、そのまま”奈落蜘蛛”で切りかかる。
僕は動きが緩慢になっているが、それは綾斗君も同じだ。さっきと同じようには動けない。
「天霧辰明流奥伝!修羅月!」
それをあえて剣で受け止める。剣で受けることによって意表を突かせてもらう。
綾斗君から距離を取って弓の煌式武装を起動させて、『流星闘技』を発動させて校章に射る。綾斗君はそれを『黒炉の魔剣』で弾き落とす。
しかし弾き落としたことによって、致命的な隙が生まれてしまった。オーフェリアさんがその隙をすかさず狙って、煌式武装を構えて突っ込んで校章を攻撃する。
『天霧綾斗、校章破損』
機械音がそう告げると、僕は意識を失った。
相変わらずの戦闘シーンへたっぴ・・・
鳳凰星武祭のユリスがオーフェリアと戦ったらこんな感じになりますよね?
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鳳凰星武祭の終幕
意識が朦朧としている。ここはどこだろう?僕は勝たなくちゃいけないのに。オーフェリアさんとそう約束したんだ。身体に力が入らない・・・どうして?決勝ってもう終わったの?
そうだ!決勝!結果はどうなったの!?決勝の記憶が全くない。戦っていたことは覚えているんだけど、結果に関しては記憶が無い。急いで起きて、戦わなくちゃ。決勝だけは、負けられないんだ・・・!
そう思って意識を暗闇から浮上させる。目が覚めると最初に目に入ってきたのはオーフェリアさんだった。
「・・・オーフェリア・・・さん?」
「日向!?目が覚めたの!?」
「うん・・・そうだ!決勝戦!」
そう言って体を起こそうとするが、力がほとんど入らない。
「まだ起きちゃダメ。星辰力切れ、それと私の毒のダメージがまだ抜けきってないわ・・・」
「そう・・・決勝ってどうなったの?」
「私が天霧綾斗の校章を破壊して、私たちの優勝よ」
「そっか・・・良かったぁ・・・」
そう言えば何でオーフェリアさんを見上げているんだろう?そう思って今の状況を見てみた。
(これって・・・膝枕!?)
控室でオーフェリアさんに膝枕されている。どうしてこうなってるんだろう。
「ごめん!すぐど・・・!」
そう言って体を起こそうとするが、全く力が入らない。そう言えば星辰力切れ起こしてるんだった。
「・・・ごめんなさい・・・やっぱり、あそこで毒を散布したのは間違ってたわ・・・」
「・・・え?」
「あそこまでしなくても、多分あの戦いには勝てていたわ・・・あそこであの毒を使うことが最善だとはとても思えないわ・・・ねぇ、なんで自分が苦しい思いをしてまで、あそこで戦えたの・・・?」
悲しそうな表情を浮かべながら、オーフェリアさんは僕に問う。でも僕は、この質問に対する答えを持ち合わせていない。これは決勝前に考えても、答えが出なかった問いだ。
「オーフェリアさんを自由にするって約束したから・・・じゃダメかな?」
「あなたは・・・どうして自分の身を犠牲にしてまで、私を助けようとするの・・・!私は・・・自分の運命をもう受け入れているの!なのにどうして!今になってそんなに希望を持たせるようなことをしてきたの!」
驚いた・・・泣きながらそんなことを言われるとは思わなかった・・・いつも悲しげな表情を浮かべていて、ゲームをしてるときはほんの少し楽しそうな表情を浮かべていて、僕を追いかけていたときは・・・よく分からない。
でも、オーフェリアさんがここまで感情を表に出しているのは、初めて見る。
「泣かないでよ・・・僕は、オーフェリアさんが泣いているところなんて、見たくないな・・・」
そう言って人差し指でオーフェリアさんの涙を拭う。その行動にオーフェリアさんは驚いた表情を浮かべる。
「僕がオーフェリアさんを助けたいと思ったのは、よく分からないんだ。君の過去を聞いたときに、同情してしまったからかもしれない。今の君がとても可哀相なものだと、勝手に見下しているからかもしれない。それでも、君の笑顔が見たいと思ったことは今までに何度もあった」
僕は何を言っているんだろう。とりとめもない、意味も通じてなくて、話が飛び飛びだ。
「最初に君の置かれている状況を聞いた時の表情は、酷く悲しげだった。運命を受け入れていると言って、自分を誤魔化しているように感じたんだ。でも僕には、とてもそうだと思えなかった。君がそうして自分にそう言い聞かして、騙していないとやっていけないって感じたんだ。」
「・・・・・・」
「でも、僕はそんな君の表情は見たくない。儚げで素敵かもしれないけど、それでも君の笑顔が見たいと思ったんだろうね。君の笑顔はきっととても魅力的だと思う。君の笑顔が、花が咲いたような笑顔は、きっと僕はとても好きだと思うんだ」
「あなた・・・何を・・・!?」
「だから、僕は君のために戦いたいと思った。僕の見たい、僕の好きなものを見たいと思ったからなんだろうね・・・」
少し疲れた。疲れで動けない状態で、長く喋りすぎたかもしれない・・・
「だから、笑ってよ、オーフェリアさん・・・僕は・・・君が・・・」
駄目だ・・・意識が・・・
「日向・・・!?ひ・・・た・・・!・・・!」
* * * * * * * * * *
身体が揺らされている・・・?あれからどれくらい眠っていたんだろう・・・でも、ずっと寝ているわけにはいかない・・・そろそろ起きないと・・・
「ん・・・」
「・・・目が、覚めたかしら・・・?起きて早々悪いのだけど、そろそろ閉会式が始まってしまうわ。行きましょう」
そっか・・・あれからまた、寝ちゃったのか・・・その間ずっと膝枕をしていてくれたのかな・・・?
「うん、分かった」
起き上がって動ける程度には回復したようだ。オーフェリアさんが立ち上がるために手を貸してくれた。オーフェリアさん顔少し赤い?
「オーフェリアさん顔赤いけど・・・?大丈夫?」
「え、ええ・・・大丈夫、気にしないでいいわ・・・さ、早くいかないと遅れてしまうわ」
そう言って僕の手を引いて控室を出る。ステージに出るちょっと前に、綾斗君とユリスさんと鉢合わせた。
「あ、日向。体調は大丈夫?試合が終わってすぐに倒れちゃったから心配だったんだ」
「うん、ちょっと怠いけど、大丈夫だよ。ユリスさんは大丈夫なの?オーフェリアさんの攻撃直で喰らってたけど」
「ふん、問題ない。次戦う時は、遅れは取らんぞ」
うん、元気そうでよかったよ。
でもこれから表彰式なんだよね・・・しかも決勝戦直後に僕が倒れたから、インタビューみたいなのってまだやってないんだよね・・・あれって試合より疲れるからパスしたいんだよな・・・
というか、なんか全学園の生徒会長?ここに揃ってるな。うちの会長さんは不機嫌そうに立ってる。自分の所の生徒が優勝したんだから、もう少し機嫌良さそうにしてもいいと思うんだけど・・・
それと白を基調としているのは、ガラードワースの会長さんかな?イケメンだ・・・ああいう貴公子みたいな容貌は憧れるなあ・・・女の子扱いされる身として、すごく羨ましい。その隣は、界龍かな?中華服着てるし・・・あれって小学生かな?他と比べて背が低いな・・・僕より小さいんじゃないかな?その隣にうちの会長さんがいて、その隣はアルルカントかな?消去法で・・・その隣に星導館の生徒会長がいる。なんか笑ってはいるけど、腹の底は見えなさそう。そして最後にあのアイドル会長さん。僕の方を見てウィンクをしてきたが、興味が無いので無視。なんかむっとしてる雰囲気は伝わって来たけど・・・
そんなことを考えていたら、表彰式は淡々と進んでいき、マディアス・メサ実行委員長から、優勝トロフィーを受け取るところまで進んでいた。
「オーフェリア=ランドルーフェン選手、花園日向選手、両名の輝かしい功績を讃え、ここに賞する。見事な戦いぶりだった。そして一週間後のバトルセレモニアにもぜひ出場してほしい。皆さま、ここに優勝者を讃える惜しみない拍手を!そして、『鳳凰星武祭』に出場した全選手を讃えて、惜しみない拍手を!」
こうして、『鳳凰星武祭』は幕を閉じる。一週間後のバトルセレモニア。これには優勝ペアは誰か違う人と組んで強制出場らしい・・・解せぬ・・・
シルヴィを適当にあしらっているのは今後のフラグってことにしておいてください
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星武祭の願いとバトルセレモニア
タグを一新しようかとさえ思ってしまうレベル
あの後、僕とオーフェリアさんは星武祭実行委員に呼び出しを受けた。星武祭の優勝特典の願いをかなえるための確認だ。
道中黒猫機関?とかいう連中に襲われたけど、返り討ちにした。多分僕の願いを叶えないための、うちの会長さんからの妨害だろう。オーフェリアさんはうちの会長さんの最大の戦力だって言ってたから・・・
そんなことは置いておいて、僕は僕の願いである『オーフェリア=ランドルーフェンのディルク=エーベルヴァインからの解放』を訴えた。オーフェリアさんの方はどうやら思いつかなかったらしく保留。バトルセレモニアの時に改めて叶えたい願いを言うらしい。
次の日、僕は会長さんに呼び出された。やっぱりオーフェリアさんの解放を望んでいるわけがなかった。でも統合企業在体には逆らえないのか、最終的には解放を認めた。
そして目下問題なのはバトルセレモニアだ・・・『鳳凰星武祭』の優勝者は強制出場らしい。ペアは誰でもいいらしいんだけど、オーフェリアさんはどうやら組む人を決めたらしい。僕は綾斗君と組もうかな・・・
prrrr――prrrr――
ん?電話?誰からだろう・・・?
「もしもし?日向君?」
アイドル会長さんだった。即切り!
prrrr――prrrr――
同じ番号なんですが・・・
「ねぇ!何で切るのさ!」
「宗教、新聞及び勧誘は一切お断りしていますので」
うん、これで良し。というか僕は君にナンバーを教えた覚えはないんだけど。押し付けられた記憶はあるけれど・・・
prrrr――prrrr――
しつこい!
「ちょっと、いい加減話聞いてよ!」
「いや、ほんと何なの?というか何で君が僕の電話番号知ってるのさ?僕は君に電話番号教えた覚えが無いんだけど?」
「綾斗君から聞いた」
綾斗君!何勝手に教えてるのさ!これ絶対厄介ごとの種持ち込んでくる電話でしょ!
「はぁ・・・で、用件は何?僕これからバトルセレモニアのペアを綾斗君と組もうかと思って電話しようと思ってたところなんだけど」
「思ってたってことはまだ組んでないんだよね?ねぇ、私と組まない?」
「え、何でさ?」
「私にもバトルセレモニアの出演依頼が来ててさ。誰と組もうかと思ってたんだけどね?」
「それでどうして僕と組むことになるのさ?」
「最初は綾斗君と組もうと思ってたんだけどね?なんか綾斗君、バトルセレモニアに出る気が無いみたいなの・・・」
つまり僕が誘ってたとしても断られていたわけか・・・
「それで私と組もうとして騒がない人って言ったら、もう君しかいないってわけ。ほら、私世界の歌姫だから。それに私と組んでくれたら、いいものあげるよ?」
「そんなお菓子につられていく子供じゃあるまいし・・・で、ちなみに何をくれるの?」
「私の次のライブのチケット」
うん、ぶっちゃけどうでもいい。何なら転売して一儲けしたいとさえ思う。
「開催地は?」
「欧州!」
「ふざけろ」
電話を切る。欧州まで態々興味が無いライブなんて行くわけ無いでしょ・・・つい語尾が乱れたが、仕方がないと思う。
prrrr――prrrr――
ここまで来ると執念さえ感じる。
「ねぇお願い!私と組んでください!ぶっちゃけ『孤毒の魔女』に勝ちたいの!君が『孤毒の魔女』と『鳳凰星武祭』出ちゃったから『王竜星武祭』でリベンジできなくなっちゃったし・・・」
「分かったよ、君と組めばいいんでしょ・・・ここまで言われて断るのは無理だと思うし、確かにこのまま行くと僕もペアが見つからなさそうだし。言っておくけど僕戦闘苦手だから、オーフェリアさんに勝てるとは限らないからね?それでもいいんだね?」
「星武祭優勝者が戦闘苦手って本気で言ってるの?ていうか君充分強いから。『王竜星武祭』でもベスト4位は行けるんじゃないの?」
「暗に僕が君に勝てないって言ってるのかな?泣かすぞ」
「おお怖い怖い。それじゃ出場手続きとかはこっちでやっておくから。それじゃまたね」
こうして、バトルセレモニアには世界の歌姫『戦律の魔女』、クイーンヴェール女学院序列一位、前回の『王竜星武祭』準優勝者のシルヴィア=リューネハイムと組むことになった。
どうしてこう僕と組む人って『王竜星武祭』でいい成績残してるんだろう・・・
主人公口悪いなwww
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バトルセレモニア①
あれから数日たって、いよいよ今日バトルセレモニアの開催日となった。
僕のペアはアイドル会長、シルヴィだ。本人にそう呼べって言われただけだ、他意は無い。
バトルセレモニアは基本的に違う学校同士でペアを組む、というかそれが売りなんだと思う。でもやっぱり同じ学校同士でも組んでる人は結構見かける。一番目についたのは界龍の双子だ。
そして他校と組むのはやっぱり敷居が高いのか、『鳳凰星武祭』よりも参加者は少ないみたい。そりゃあそうだ・・・
そして今は開会式の最中だけど、参加者の視線がこっちを向いているというか、ちらちらとこちらを窺う視線が多すぎる。開催委員の話なんかは全く聞く気はないんだけど、ここまで露骨にチラ見されるとイライラしてくる。
まぁこの視線が僕に向いて無いことが救いかな。この視線のほとんどはシルヴィに向いている。やっぱりアイドルだけあって、しかも世界の歌姫ってことで注目されるのは仕方がない事なんだろう。しかも腐っても『鳳凰星武祭』優勝者と『王竜星武祭』の準優勝者のペアだ。僕はともかくシルヴィの方は警戒されるに決まってる。
「以上で開会式を終わります。本日試合のペアは、各会場へ移動を開始してください」
やっと開会式が終わったよ。なんかお偉いさんの話ってどうしても眠くなるんだよね。何でだろ・・・
「日向君、私たち移動だよ?突っ立ってないで行こ?」
そう言えば会場移動だ。さて、行こうか。
* * * * * * * * * *
所変わって、今日から本戦だ。ん?予選はどうしたかって?そろそろタグを働かせようと思ってね・・・メタぁ・・・
本戦一回戦はガラードワースのエリオット君、星導館の綺凛ちゃんペアだ。何でこの二人が組んでるのかはわからないけど、学院側からの圧力だろう。おぉ怖い怖い・・・
でも二人とも剣の才能は馬鹿げてるからね・・・あんなの中学一年生レベルじゃないって・・・
「本戦一回戦の相手、いきなり強敵だけど大丈夫?」
「大丈夫っていうのは勝てそうかって意味?それともコンビネーションの問題?」
「コンビネーションは腹立たしいほど息がぴったりだからそこまで気にしてないよ。あの二人ってまだ中学生だよね?あれであの強さって何なの?」
「エリオット君はどうかは知らないけど、綺凛ちゃんの方は僕が相手をするよ。綺凛ちゃんが使う剣術は僕も使えるからね。それに剣速は綺凛ちゃんの方が上だ。君の煌式武装だと対抗しづらいんじゃないの?そんな掃除機みたいな煌式武装じゃ、あの速さに対応するのは厳しいと思うけど?」
「ねぇ、私の煌式武装馬鹿にしてるでしょ?何よ掃除機って。喧嘩売ってる?」
「見たままの感想を言っただけだよ。銃剣一体の掃除機みたいな煌式武装だね・・・ぷッ・・・!」
「やっぱり馬鹿にしてるよね?次の対戦相手よりも先に君を泣かしてもいいんだよ?」
「今までの対戦成績からそう思えるなら、君の知能指数はその掃除機型の煌式武装に吸い取られてるのかな?」
「うぐぐ・・・」
今までも何度かこうした下らない言い合いの後に決闘になったことがある。僕の方は受ける理由は無いんだけど、シルヴィの方がしつこいからオーフェリアさんとやったゲーム決闘じゃなくて、普通に決闘をした。
少なくとも五回以上はやってるけど、いまだに僕は無敗。あれ?『王竜星武祭』優勝行けるんじゃないの?とか思ったのは秘密だ。
というか最近戦闘が苦手なのか分からなくなってきた。僕は苦手だと思ってるんだけど、意外と勝てるものなんだね。
こんな感じに仲が悪い僕たちだけど、なぜか戦闘になると腹立たしいくらい歯車が噛み合うんだよね。
「とりあえず僕は綺凛ちゃんとやるから、君はエリオット君を頼むよ。歌姫さん」
「・・・了解」
しょぼくれながら了承される。大丈夫なのだろうか・・・
次回は戦闘します・・・
戦闘シーンって書くの大変なのよね・・・しかも自分の場合技術が無いっていうおまけ付き
誰か助けて!
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バトルセレモニア②
『皆さまお待たせいたしました!バトルセレモニア本戦一回戦、いよいよ開幕です!それでは出場ペアのご紹介をいたします!まずは星導館の刀藤綺凛選手、聖ガラードワースのエリオット・フォースター選手!どちらもまだ中等部ですが、剣技の才能は中学生レベルを遥かに上回っております!片やレヴォルフ黒学院の花園日向選手、そしてクイーンヴェールの世界の歌姫!シルヴィア=リューネハイム選手です!シルヴィア選手は前回の『王竜星武祭』の準優勝者で、花園選手は今期の『鳳凰星武祭』の優勝者の片割れです!今バトルセレモニアの優勝候補です!』
「ねえねえ、優勝候補だって!優勝候補だって!!」
「なんでそんなに盛り上がってるのさ?言っておくけど、今回結構厳しいからね?綺凛ちゃんは元序列一位だし、エリオット君もガラードワースの十一位だからね?君が『王竜星武祭』の準優勝者ってのは知ってるけど、これペアだからね?」
「分かってるよ。それでも私に決闘で勝ち越せる君と組んでるんだもん。こんなところで負けられないしね」
「勝ち越してるんじゃなくて負けてないんだけどね?そこのところちゃんと理解してるよね?」
「うぐ・・・」
何で戦う前からこんな漫才もどきをしているんだろう?
「花園日向・・・なんか女の子みたいな容姿をしていますね?俗にいう男の娘っていうやつですね」
なんかエリオット君がすんごく失礼なこと言っている気がする。隣でシルヴィが爆笑しそうになって堪えているんだろうけど、めっちゃ肩が震えてて全く隠せてないよ?
「エリオット君、僕の性別が男って認識してくれてるのは嬉しいんだけど、男の娘っていうのは失礼なんじゃないかな?」
「あぁ、すいません。つい思ったことを口に出してしましました。花園さんも剣術に秀でているので、ぜひ一度お手合わせ願いたいと思っていたんですよ?」
「僕よりも、君のペアの綺凛ちゃんの方がすごいと思うけど?」
「い、いえいえ!そんなことないです!日向先輩の剣は、とても鋭く綺麗で、とても尊敬してます!」
「じゃあそんな尊敬してくれてる君たちと、手合わせ願おうかな」
そう言って剣型の煌式武装を起動させる。各々が煌式武装を起動させ臨戦態勢に入った。
『それではバトルセレモニア本戦一回戦、試合開始!』
* * * * * * * * * *
手筈通りに僕が綺凛ちゃんと戦っている間に、シルヴィがエリオット君を倒して綺凛ちゃんを二人で倒す、予定だったが、それは開始相応に実現が厳しくなった。
エリオット君と綺凛ちゃんが同時に僕に対して攻撃を仕掛けてきた。咄嗟の事だったので、綺凛ちゃんの剣を受け流した後に、エリオット君の細剣を回避する。そのまま二人と距離を取ろうとするが、二人とも僕を真っ先に倒そうとしているのか、シルヴィの方に構わずに、僕の方へと向かってくる。
二人の剣技相手に一本の剣では流石に分が悪い。距離を取りながら剣型の煌式武装をもう一本起動させて二人の剣を迎え撃つ。
ここで厄介なのが、二人の剣技は全く違う攻め方をしてくることである。綺凛ちゃんは日本刀で切り、エリオット君は細剣で突きを主体とした攻撃をしてくる。ここまで攻撃の仕方が違うと、流石に少し厄介だ。
何とか二人の攻撃を捌いていると、後ろからなんだか嫌な予感がしたから強引に二人の攻撃を躱して横へ飛ぶ。すると僕が立っていたところにカマイタチが飛んできた。どうやらシルヴィの攻撃らしい。万能って便利なんだろうけど、流石に僕ごと巻き込んで攻撃しなくちゃいけないほど、自分の攻撃をコントロールできないとは思えない。つまりわざと?
「あれ、ごめんごめん、巻き込みそうになっちゃった」
「念のため聞くけど、わざとじゃないよね?」
「それは勿論、いくら戦いの前に掃除機だのなんだの言っても、試合中に仲間ごと蹴落とすような真似するわけないじゃない?」
(半分はあの二人を倒すためだけど、ついでにやられてくれればよかったな・・・)
わざとじゃん!
「ねぇ、僕の前で嘘をつけないの知らないの?僕には本音ダダ漏れだけど?」
「あらあらごめんねー?それにしても良く躱せたね?ついでにやられててくれたら面白かったのに」
「あっはっは!そんなに泣かされたいならはっきりとそう言えばいいじゃないか・・・後で覚えておきなよ?」
「茶番は終わりましたか?」
そう言えば試合中でしたね・・・申し訳ない・・・
「君がふざけてるから怒られたじゃないの」
「君の校章から破壊してあげてもいいんだよ?むしろ今校章を壊されていないことに感謝するべきだと思うんだけど?」
「そんなにあっさりやられるわけないじゃん。君私の事嘗め過ぎじゃない?」
そんな言い争いをしている中、じらされることに我慢の限界を迎えたのか、単身エリオット君が攻撃を仕掛けてきた。しかしその攻撃はシルヴィが軽くいなし、体勢を崩されたところを僕の剣で校章を攻撃する。
『エリオット・フォースター、校章破損』
「・・・え?」
訳が分からずに混乱しているエリオット君。うん、目の前で喧嘩しているペアに攻撃して校章破壊されたら誰だってこうなると思う。
「とりあえず、この戦いを早く終わらせようか?話は控室に戻った後でもゆっくりできるわけだしね?あとで泣かす」
「そんな喧嘩腰で話すことなんて、私にはないんだけどなあ?上等」
全力で殺気を向け合ってる僕たちに混乱して動けなくなっている綺凛ちゃん。悪いけど、長々と試合を続けるのは互いの精神衛生上あんまりよろしくないからここで決めさせて貰おう。
剣型の煌式武装を一本仕舞って、綺凛ちゃんと対峙する。
右袈裟切り、そのまま切り上げ、切り上げた勢いを使って半回転しながら薙ぎ払い、バク中をしながらの切り上げ、着地した勢いを殺さずに突きを星辰力でブーストを駆けて放つ。
切り上げた際に体勢を崩されており、その状態で最後の突きを防げずに、最後の突きで校章へダメージを与えることができた。
『刀藤綺凛、校章破損』
『勝者、シルヴィア=リューネハイム、花園日向ペア』
後でタグ増やしておきます
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バトルセレモニア③
タグが全く仕事していなかったので
今日はバトルセレモニア本戦の二回戦だ。一回戦の後?決闘しましたよ?なんか初めて本気で戦った気がするよ・・・結果は僕の勝ちでした。
次の相手は黎沈雲、黎沈華さんたち、界龍の双子だ。『鳳凰星武祭』で綾斗君とユリスさんたちを苦しめていたから油断はできない。というか本戦に残ってる時点で油断できる相手ではない。
そして現在、控室で時間が来るまで待っているのだが、ペアのシルヴィがさっきから、というか本戦の一回戦の後からずっと不機嫌だ。理由は恐らく僕に負けたからだろう。
「いつまで機嫌悪いのさ?いい加減機嫌直したら?」
「君がそれを言うのかぁ・・・君に負けてこんなにいじけてるのに、その原因作った君がそれを言うのかぁ・・・」
(めんどくさい!)
「第一喧嘩売ってきたのは君じゃないか?ていうか今まで僕に負け続けてたのになんで今回は勝てると思ったの?戦闘中にペアの妨害してくるとか普通にありえないでしょ。今回は君の自業自得だね」
「うるさいよ」
「逆ギレすんなよ」
いけない。つい語尾が荒れてしまった。
「それよりも、次の相手、どうするの?」
「いつも通りでいいんじゃないの?君と私が一人ずつ相手をすれば」
「それでいいならいいんだけど、前回それで失敗してるんだけど?」
「いざとなったら狙われるのは多分君だから大丈夫・・・私よりも強いくせに序列入りを全くしていない、自分の実力を隠している君が狙われるからね・・・」
(うぜぇ・・・)
「もうそれでいいや。君が狙われたら僕はそっちを援護する。それでいい?」
「私が狙われるわけないじゃない。私これでも『王竜星武祭』準優勝者なんだよ?君には全く勝てないけど」
(しつけえ・・・)
そんな感じの作戦会議でした。
* * * * * * * * * *
『皆さまお待たせいたしました!バトルセレモニア本戦二回戦、いよいよ開幕です!それでは出場ペアのご紹介をいたします!まずは界龍第七学院の黎沈雲、黎沈華ペア!『鳳凰星武祭』ベストエイトの実力者です!今回も見事な幻術のコンビネーションが見れるのでしょうか!?片やレヴォルフ黒学院の花園日向選手、そしてクイーンヴェールの世界の歌姫!シルヴィア=リューネハイム選手です!本戦一回戦でどうやら仲間割れみたいなことをしていたのですが、それはもう終わったのでしょうか?ああいったのはあんまり見たくはありませんね!!』
僕たちの紹介文酷すぎない?会場中笑ってるし、目の前で双子さんたちも大爆笑してるし。
「ちょっと、笑い過ぎじゃないの?」
「いやこれは失礼、まさか仲間割れを起こしたペアがここまで勝ち上がってくるとは」
「全く思っていなかったもの」
うん、それはそうだろう。というかあんなの前代未聞だろう。
「『王竜星武祭』の準優勝者と『鳳凰星武祭』の優勝者のペアだと聞いて期待はしていたんだけど」
「どうやら連携に関しては点でダメみたいね」
「「僕(私)達には勝てないよ」」
やっぱり双子だから息ピッタリだね。ここまで息ピッタリなものなの?というか性格悪いな!
そして隣のシルヴィは特に何も言わずに煌式武装を起動している。
僕も剣型の煌式武装を起動させて構える。相手は呪符?を使うらしいからまだ何も出していない。
『それではバトルセレモニア本戦二回戦、試合開始!』
* * * * * * * * * *
早速敵が呪符を取り出した。なんか唱えてるけど何を言っているのかはわからない。
そう思っていると沈華さんの方の姿が消えた。そして沈雲君の持っている呪符は見えなくなっていた。
これは綾斗君たちと戦っていたときの、触れると爆発する呪符と、見えないところからの攻撃だね。
「シルヴィ、闇雲に突っ込んじゃだめだよ?多分見えない呪符に触れると爆発する仕組みだから。それとどこからか沈華さんの方が攻撃してくると思うから注意を・・・」
そう言いながら”識”の境地を使う。そうすると沈華さんがどこにいるのかわかるし、沈雲君がばらまいた呪符の位置も全部が見えてしまった。
(・・・あれ?これって・・・)
「日向君、急に黙ってどうしたの?」
僕は剣型の煌式武装を仕舞い、弓型の煌式武装を起動させる。
「予定変更だよ。君は沈雲君に突っ込んで。援護は僕が全部やるから任せて。それと、星辰力を防御に回しておくことを強くお勧めするよ」
「ねぇ、不意打ちとかしてこないよね?というか君はなんで援護なの?」
「僕と(彼ら)の相性が最悪なんだ・・・」
本当、このまま僕が突っ込んでいったらすべての呪符を切り裂きつつ、沈華さんを倒して、沈雲君を倒してそれで試合終了だ。いくら何でも味気なさすぎる・・・
「・・・後で聞かせてもらうからね」
そう言ってシルヴィは沈雲君に特攻する。途中で沈雲君が仕掛けた呪符があるが、喰らう直前に僕が矢を放ち、それを起爆させる。
「あっはっはっはっは!どうしてこう何も考えずに突っ込んでくるかな『戦律の魔女』!君みたいに何も考えずに突っ込んできたのは君が初めて・・・」
どうやら僕が矢を放ったことには気が付かなかったらしい。爆風から出てくるシルヴィは全くダメージを受けていない。
そのことに沈雲君は驚愕している。その後もシルヴィは距離を詰める。途中である呪符は僕が全て処理をしている。
「花園、日向ぁ・・・!」
なんか沈雲君の怒りがこっちに向いている。そりゃあそうだろう。
僕が援護に徹していると、姿を隠していた沈華さんが距離を詰めて攻撃を仕掛けてきた。しかし”識”の境地でそれが見えているため、その攻撃は危なげなく躱す。
「まさか、見えている?」
見えないものを幻術で見えるように錯覚させる、見えるものを見えないようにする。これらは”識”の境地の前では完全に無力だ。
追い詰められていることを自覚したのか、沈雲君が大量の呪符を取り出し、一つにまとめる。それを幻術で数を増やし、どれが本物か分からないようにしている。どうやら綾斗君にやったやつと同じやつらしい。
いったん弓を仕舞って剣を取り出し、沈華さんを迎え撃つ。体術はそこまで得意ではないのか、あっさりと校章を破壊できた。
『黎沈華、校章破損』
シルヴィは僕がいるところまで下がってきており、飛びながら何か歌を歌っている。どうやら彼女の能力の何かを使うつもりらしい。
シルヴィが歌っていると、大量の水が出現し、全ての呪符を水浸しにして使えなくする。最後の切り札みたいな攻撃をしようとしていた呪符も例外なく、全ての呪符が水にぬれて使い物にならなくなる。
ところで、ステージ全体の呪符を流すための大量の水を出して僕を巻き込まないだろうか?答えは否。つまり僕もその大量の水に巻き込まれた。そしてそんなことを全く予期していない僕と沈雲君は回避も出来ない。そしてステージ端にいた沈華さんも巻き込まれた。
シルヴィ絶許!!
『花園日向、意識消失』
『黎沈雲、意識消失』
『勝者、シルヴィア=リューネハイム、花園日向ペア』
終わらせ方雑すぎる!
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幕間~控室にて~
僕は今、人生でかなり上位に来るレベルで怒っている。普段自分では結構温厚な方だと思ってるんだけど、今回に関しては僕は全くもって悪くない。これは断言できる。
ちなみに、ここの控室で鬼のような形相になっているのは僕だけではない。先ほど戦った黎双子も一緒である。水浸しで・・・
そして目の前にこの現状を作った自称世界の歌姫は、地面に直接正座している。
「・・・何か言いたいことはある?」
「ちゃんと躱せなかった君たちが悪いと思います。私は悪くないと思うの」
「「「ざけんな」」」
いやあのね?沈雲君の方は百歩譲って戦闘中だったから仕方がない事だと割り切れる・・・まぁ割り切れていないから今ここにいるんだけどね。
僕と沈華さんは完全に被害者だろう。僕はペア、沈華さんはすでに校章を破壊されてたから戦えない。その関係ない二人を溺死させかけた。
これは完全にギルティ。
「あそこまでの大洪水を起こす必要あった?しかも僕を巻き込む必要は無かったよね?」
「それは勿論わざとだよ?今までの恨みとか」
「泣かすぞ」
「私に関しては完全に被害者なんですが?あんまり言いたくないのだけれど、私は既に戦えなかったんですよ?」
「自分だけ確実に当たらないところにいたのがまたムカつくね。僕たち三人は溺死しかけて、あなたは全くの被害なしですか?」
「二人に関しては申し訳ないと思ってるの・・・さすがに日向君を泣かせるためだったとはいえ、あれは流石にやり過ぎだと思いました・・・ごめんなさい・・・」
「「なんでこの人とペア組んでるの?」」
「こっちが聞きたい」
ここまであからさまに戦闘中に裏切る宣言してくるとは思わなかったよ。
「これって多分珍事として後世まで語り継がれる星武祭の伝説になるんだろうね。仲間を裏切ってまで敵を倒す自称世界の歌姫」
「自称言うな!ちゃんと世界の歌姫です!」
「世界の歌姫さんにもお笑いの才能が御有りなようだ。良かったねアイドルさん?仕事が増えるかもよ?」
「そこまであからさまに煽られて、私が乗らないとでも思ってるの?それに君は今回、私によって泣かされてるんだからね?それを分かってて挑発するんだったら、それに乗らせてもらうけど?」
「対戦中の不意打ちで倒してそこまで余裕ぶれるとか、僕だったら恥ずかしくて自慢なんてできないや!随分と余裕がないようだね、歌姫さん。そんなに泣かされたい?何なら、ここで私怨として黎双子と協力して君を泣かしてもいいんだよ?」
「ふーん、君一人じゃあ私には勝てないんだね?あれれ?今までの結果ってまぐれだったの?別に君が一人で来ようが三人で来ようが返り討ちにしてあげる。かかってきなよ?」
「「僕(私)達を巻き込まないでくれる(かしら)?」」
「それに星武祭中は決闘禁止だよ?」
「大丈夫、訓練中の不測の事故だから」
「「・・・・・・」」
界龍の双子も、自分達より性格が悪い人に会ったのはこれが初めてらしい。あとで言われた。
黎双子とは仲良くなれました。溺死同盟として・・・名前が不名誉過ぎる!
やばい、シルヴィのキャラ原型が全くなさすぎるwww
書いててヤバいと思いつつ、ついつい面白くなっちゃうwww
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バトルセレモニア準決勝
おかしい・・・何で準決勝の相手は、彼らなんだろう。
「ねぇ、シルヴィ。何で準決勝の相手って、彼らなんだろうね?」
「・・・・・・」
シルヴィはこちらを見ようとしない。ちなみに、冷や汗だらだらの状態である。
「僕か君が彼と組んでれば、今までの喜劇は起こりえなかったんだけど・・・」
「・・・・・・」
「何で準決勝の相手、綾斗君なのさ!!」
準決勝の相手、それは星導館の天霧綾斗、クローディア・エンフィールドの序列一位二位の、純正煌式武装持ちのペアだ。
確か、シルヴィが綾斗君を誘った際に『バトルセレモニアは参加する気が無い』って言って断られたんじゃなかったっけ?
これどこまでが本当なんだろう?
「綾斗君、バトルセレモニア出たんだね」
「あはは・・・最初は出る気なかったんだけど、学校側から出るように言われてね・・・ペアがいなかったんだけどクローディアが組んでくれて助かったよ」
出る気が無かったのは本当らしい。
「ペアのお誘いの連絡、シルヴィから来た?」
「来たけど、その時はもうクローディアと組むことになってたからね。ごめんね、シルヴィ」
「い、いや・・・大丈夫・・・だよ?」
「ねぇ」
「・・・・・・!」
そこでびくっとするシルヴィ。そこまで威圧感は出してないけど、ビビる要素無いと思うんだけど・・・
「綾斗君、バトルセレモニア出る気が無かったんだって」
「そ、そうらしいね・・・」
「でも君が断られて理由って、綾斗君が出る気が無いからじゃなくって、すでに綾斗君がペアを決めてたから、らしいね」
「そ、そうだね・・・」
「見栄張ってただけじゃん!綾斗君に断られて理由、単純に振られてるだけじゃん!なーに見え張ってるのさ!」
「し、仕方ないじゃない!世界の歌姫の私が、男の子を勧誘して振られたとか、そんなの私のプライドが許さないじゃない!」
「開き直らないでよ、別に怒ってはいないから。僕相手に見栄を張る理由が思いつかないだけだよ」
「あらあら、また仲間割れですか?綾斗、準決勝は意外と楽に突破できるかもしれないですね?」
またって部分が気になるが、否定はできない。僕は普通に聞き流したけど、シルヴィの方はそうはいかなかったらしい。
「言ってくれるね『千見の盟主』。楽に勝てると思われてるなら心外だなあ」
「あら、そうですか?本戦に入ってからというものの、仲間割れしかしていないと思うのですが?特に界龍の双子との戦いの終わらせ方には笑いを禁じえませんでしたよ。あれは星武祭始まって以来の珍事ですね」
会場からも噴き出す声がちらほらと聞こえる。まぁ相手を倒すために味方と戦闘不能者をまとめて溺死させかければ、そりゃあ笑われるわ。しかもわざとっていう質の悪いことをしてくれた。
いけない・・・思い出したらまたイライラしてきた・・・あの後三人で協力して折檻しました。
「日向君、私が『千見の盟主』をやるから、綾斗君はお願いね」
「了解、戦闘中背中には気を付けてね」
「うん、君もね」
そうしてそれぞれが各自の装備を出して構える。
『それではバトルセレモニア準決勝!試合開始です!』
* * * * * * * * * *
シルヴィとクローディアさんが戦闘を始めた。僕と綾斗君も戦闘を始める。
今回の僕の武装は剣型の煌式武装と、腕に取り付けるタイプの弓の煌式武装。恐らくクロスボウっていうのが一番近いと思う。
対する綾斗君は『黒炉の魔剣』は使わずに、通常の剣型の煌式武装を使っている。
「綾斗君、『黒炉の魔剣』は?」
「日向の剣速だと、『黒炉の魔剣』じゃあ対応しきれないからね。今回は小回りが利くこっちを使わせてもらうよ」
よかった。正直防御不可の『黒炉の魔剣』はもう二度と敵に回したくない。僕も純正煌式武装を使えればいいんだろうけど、あいにく僕は魔術師だ。恐らく純正煌式武装との相性は軒並み悪いだろう。
今回も僕から攻めさせてもらう。と言っても今回は天霧辰明流の技や連鶴は恐らく使わない。囮程度には使うかもしれないが、恐らく綾斗君には通じないと思う。
剣をだらりと下げたまま、綾斗君と距離を詰める。逆袈裟、これは上段の構えの剣を自分に引き寄せることによりガードされる。体勢が崩されたところを、バク中をしながら切り上げる。しかしこれも防がれてしまった。
「今の技は?」
「ゲームの動きの模倣!」
腰を落として距離を詰めながら切り上げる。そのまま前中をしながら斬る。これも防がれてしまうが、綾斗君は僕から距離を取った。
綾斗君が距離を取ったところを、シルヴィの煌式武装から放たれた弾丸が綾斗君を襲う。体勢を立て直していたところを狙われたので、躱しきれずにダメージを食らう。
シルヴィが銃を放った隙をついて、クローディアさんがシルヴィに向かって。双剣で切りかかっている。僕は腕に取り付けてある弓の煌式武装でクローディアさんを攻撃する。こちらの攻撃を想定していなかったのか、それともシルヴィに攻撃をしていて僕の攻撃に対応できなかったのか、その弓はクローディアさんを襲った。
先ほどの『背中に気を付けて』、という言葉は『援護に被弾するなよ?』という意味である。決して『同士撃ちには気をつけろよ?』ではない・・・はずだ。
次回決着!
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バトルセレモニア準決勝②
奇跡的?いや、バトルセレモニアの予選ではコンビネーションはかなり良かったんだ。だからこれは本来のコンビネーションだ。
今までのは今回の布石?それは無いね。あれは完全にシルヴィの裏切りだ。
本戦からのコンビネーションとはおおよそ呼べないコンビネーションからの、互いを見ない連携をしたんだ。綾斗君とクローディアさんにはかなりの衝撃だったと思う。
このまま綾斗君と戦ってても、多分決着はつかないと思う。それは向こうも同じらしい。
ここで僕はクローディアさんの方へと切り替える。シルヴィも同じ結論に至ったらしく、シルヴィは綾斗君の方へと攻撃の対象を変えた。
「あらあら、あなたの相手は私には少し荷が重いのですが・・・」
「『パン=ドラ』って未来予知ができる純正煌式武装なの?」
『パン=ドラ』の能力は噂では未来予知、らしい。
「さて、どうでしょうか?」
クローディアさんなら”天霧辰明流”の技も”連鶴”も通じる、はずだ。取りあえず様子見の”連鶴”を仕掛ける。最初の方は対応されるが攻め続けていくとだんだん対応が遅れてくる。
勝機だと判断して校章へと攻撃を仕掛けるが、それは躱されてしまい”連鶴”もそこで終了してしまう。
「ふぅ、まさか『パン=ドラ』の能力を使わされると思いませんでしたよ。『獅鷲星武祭』のために取っておきたかったのですが、仕方がないですね」
「やっぱり未来予知?そうでもないと、あそこから躱せるとは思えないんだけど?身体能力強化だったらもっと早く連鶴から抜けだされてるだろうし」
「ええ、あなたのおっしゃる通り、『パン=ドラ』の能力は未来予知です。これ以上は言えませんが」
「構わないよ。そこまで話す義理も理由もないもんね」
話しながらシルヴィと綾斗君が戦ってる中に、援護射撃を放つ。早いところ決めないと、綾斗君の剣技と『黒炉の魔剣』は一人だと対応できないからね。
「君を早く倒さないと、シルヴィが危なさそうだから今まで以上に全力を出させてもらうよ。未来予知ができるなら、未来予知をする前に攻撃を仕掛ければいいかな?」
「あなた何を――」
”識”の境地を全力で開放する。今からやろうと思ってることは、恐らく肉眼だけだと事故を起こす可能性がかなり高い。
クローディアさんが何かを言いかけていたが、話の途中で星辰力のブーストを使って全力で走る。星辰力で足場を作りながらクローディアさんの周りを縦横無尽に移動する。クローディアさんは僕の姿を必死にとらえようとするが、肉眼では恐らく視認は不可能だろう。恐らく僕も”識”の境地を使ってないとこんな動きはできない。
クローディアさんは僕を捉えることを諦めて、直感と『パン=ドラ』の未来予知で対応しようとしてるみたいだけど、そんな暇は与えない。
未来予知ができると言っても一瞬で見れるわけではない、と思う。未来予知をしている一瞬のスキをついて校章へと攻撃をすれば、校章を破壊できる、はず。
高速移動をしながらさらにスピードを上げる。自分が制御できるぎりぎりの速度になったら、クローディアさんの校章を狙って攻撃をする。
クローディアさんは少しだけ対応できたようだが、それでも僕のスピードに完全には対応できていなかった。
『クローディア=エンフィールド、校章破損』
クローディアさんの校章を破壊したままの勢いを利用して、綾斗君とシルヴィの戦いへと乱入をする。星辰力のブーストを残したまま、綾斗君に飛び蹴りをする。
綾斗君は急な攻撃に両腕をクロスしてガードしたようだけど、衝撃を完全に殺すことはできずに、そのまま後ろへふっ飛ばされてステージの壁へ叩きつけられる。
「おまたせ、綾斗君の相手ご苦労様」
「なんで上から目線なのかな?『千見の盟主』の撃破、お疲れ様。それよりも・・・あの高速移動は何?あそこまで早く動ける人見たことないんだけど」
そんな感じで話していたら、綾斗君が起き上がって剣を構えてくる。『黒炉の魔剣』じゃなくて、剣型の煌式武装を構えていた。
「ふぅ、あそこまで早く動けるのは知らなかったな。まだ腕が痺れてるよ」
「そりゃあんな速度で蹴り入れられたら、普通腕が折れててもおかしくはないと思うんだけど、咄嗟に星辰力をガードに回したんだね。綾斗君の星辰力の量なら、あそこまでダメージを軽減できたわけか」
「軽減出来て左腕が感覚無くなりかけてるってのも、おかしいけどね・・・それでも、負けたくはないんだ」
「負けたくないのは僕たちも同じだよ。シルヴィ、僕が前衛、シルヴィが後衛でいいよね?」
「・・・え、あ、うん、それで大丈夫・・・」
「何ボーっとしてるのさ?あんまり油断しないでよ?」
「ねぇ、今『たち』って・・・」
「じゃあ行くよ!」
もう一本煌式武装を起動させて二刀流の構えを取って特攻をする。やはり先ほど防いだ際の左腕が痛むのか、ほとんど右腕だけで二刀流を捌いてくる。
しかし僕の攻撃を捌きながら、シルヴィの援護を捌くのはやはり厳しいらしく、徐々に僕の攻撃が当たり始める。
そしてとうとうシルヴィの援護による電撃が綾斗君に当たり、綾斗君の動きが止まる。
煌式武装を一本仕舞い、一本の煌式武装を綾斗君へとむける。その煌式武装を上絵と放り投げる。その剣に気を取られている間に放り投げた剣を取りに行き、そのまま空中で剣を取って降下しながら斬る。一撃目は何とか防ぐが、防がれたままの姿勢では下からくる剣には対応できない。
バク転をしながら校章を切る。
『天霧綾斗、校章破損』
『勝者、シルヴィア=リューネハイム、花園日向ペア』
バトルセレモニアもそろそろ終わりですね
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バトルセレモニア~決勝~①
今日はバトルセレモニアの決勝戦だ。相手はオーフェリアさん、そしてペアのユリスさんだ。オーフェリアさんはユリスさんとペアを組んだようだ。今は自由の身のオーフェリアさんが幼馴染のユリスさんと組んでも不思議ではない。
そしてオーフェリアさんはシルヴィの因縁の相手でもある。前回の『王竜星武祭』の決勝で敗北しているからそのリベンジに燃えていた。
「というわけで、『孤毒の魔女』は私にやらしてくれない?」
いつもよりも真剣な表情でそう言い放つ。
「じゃあ僕はユリスさんの相手をしていればいいんだね?」
「『華焔の魔女』は決勝で戦ったから大丈夫だよね?それに空中に逃げられても、君なら追いつけるでしょ?」
「それは追いつけるけどさ、機動性に関しては期待しないでよ?あの時はかく乱だったから適当に動いてたけど、今回は方向性をちゃんと決めて移動しないといけないんだから」
「それに関しては心配してないから大丈夫。多分今の君は六花で一番早いだろうね。界龍の『天苛武葬』よりもね」
「『天苛武葬』?だれそれ?」
「君って本当に星武祭とか他校生に興味ないんだね。何で六花に来たのよ?しかもレヴォルフなんかに」
「だってレヴォルフって遊び歩いてても学院側から文句言われないんでしょ?僕はゲームをしながら学園生活を送るためにレヴォルフに来たから、星武祭なんて本当は一回も出る気はなかったんだ」
「じゃあなんで君は『冒頭の十二人』に入っていないのよ?『冒頭の十二人』に入れば、学園側から報奨金をもらえたり、いろいろと便宜を取り計らってもらえるようになるんだよ?」
「え!?お金貰えるの!?これが終わったら誰かから序列掻っ攫おうかな・・・レヴォルフの『冒頭の十二人』でシルヴィが勝てないのってオーフェリアさんだけ?」
「そうだけど・・・何で?」
「だってシルヴィに勝てるってことは、そのシルヴィが勝てる相手は僕でも勝てるでしょ?どうせならいい順位に居座ろうかなって思ってさ」
「ホント君って私を挑発するの好きだよね?決勝前だから大目に見てあげるけど、決勝が無かったら今すぐ君を泣かせてあげようか?」
「今から決勝の時点でそれは無理だし、君一回も僕に勝ててないのにどこからその自信が沸いて来るのか僕に教えてほしいんだけど」
「あんなの正式な決闘じゃないんだから無効よ!無効!君今度の『王竜星武祭』に出なさい!そこであなたに圧勝してあげるから!」
「え?普通に嫌だけど?僕もうこれ以降の星武祭出るつもり無いし」
「いいから出て!さもないと・・・」
「さもないと?」
「君と付き合ってるって、全世界に公表しちゃうよ?」
「ざけんな」
「そんなに即否定しなくてもいいじゃない、少し傷つくなぁ・・・よよよ・・・」
「世界中から敵視されるかもしれなくなるこっちの身にもなれよ。それにそんな出鱈目言いふらしたら、君にもダメージが行くことを忘れてない?」
「はぁ・・・どうしても出る気はないんだね」
「最初からそう言ってるじゃん」
そんな下らない、いつも通りの言い争いをしているうちに決勝戦の始まる時間が近付いてきてしまった。
* * * * * * * * * *
やはり決勝ということもあってか、それともここに立っているの人が有名人ばっかりだからか、今までで一番の歓声が上がっている。
『戦律の魔女』クイーンヴェール女学院序列一位、世界の歌姫のシルヴィア=リューネハイム
『孤毒の魔女』レヴォルフ黒学院序列一位、『王竜星武祭』二連覇『鳳凰星武祭』優勝のオーフェリア=ランドルーフェン
『華焔の魔女』星導館学園序列五位、リーゼルタニア国の第一王女のユリス=アレクシア=フォン=リースフェルト
二つ名無し、序列外、『鳳凰星武祭』優勝の花園日向
・・・僕だけすごく場違いな気がする。というか僕以外の人たちの肩書きがおかしいだけだよ!僕は悪くない!はずだ・・・
あの選手紹介のやつ要らないですよね?あれ書くの面倒なんすよ・・・
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バトルセレモニア~決勝~②
なんかもう訳が分からない。前も同じこと書いてる
試合開始のコールが鳴る。僕の相手はユリスさんだ。シルヴィがオーフェリアさんと戦いたいから、その間僕はユリスさんの足止め、あわよくば撃破だ。
そのため剣柄の煌式武装を起動させてユリスさんに特攻をする。それを分かっているのか、ユリスさんは後ろに飛びながら
「咲き誇れ!極楽鳥の燈翼!」
決勝でも使ってた炎の翼で空を飛ぶあれを使った。予想通り、地上ではまともに戦ってくれないらしい。
地上で戦ってくれないなら弓で狙撃、してもいいのだがどうせなら早目にシルヴィの援護に回ったほうがいいだろう。相手はあのオーフェリアさんだ。
そのため弓でちまちまと追い詰めるのではなく、準決勝でクローディアさんに使った星辰力のブーストを利用して空中戦をする。しかし空中で自由に動けるユリスさんと違って、僕は直線的な動きしか取れない。そのため時間がかかるであろうことは想像に難くない。
「咲き誇れ!九輪の舞焔花!」
そしてこの空中戦の性能がきつい。僕は移動しながら斬る程度以外碌に出来ないけど相手は魔女。炎を操る魔女だ。それは空中でも問題なく使えるため、厄介なことこの上ない。
九つの火炎球がそれぞれ違う軌道で攻めてくる。そのため全てを切り捨てることができないため、回避に専念するしかない。
一度地上に降り、向かってくる火球を回避。どうしても回避できないものは切る。それですべての火球を凌いでまた空中に躍り出る。
「咲き誇れ!鋭槍の白炎花!」
今度は炎の槍だ。絶え間なく続く攻撃に嫌気がさしそうになるがここは耐えるしかない。シルヴィがオーフェリアさんと戦ってる間は時間稼ぎに専念した方が良さげだ。
鋭槍の白炎花を凌ぎ切ったところで今度はこちらから攻める。星辰力での高速移動をしながらトン出るユリスさんを追いかける。決定的な隙は見せないが、近接戦闘は恐らくそこまで得意ではないのだろう。現に一度も細剣型の煌式武装で攻撃されていない。
一度星辰力のブーストを乗せて攻撃を仕掛けてみる。
「クッ・・・!咲き誇れ!隔絶の赤傘花!」
一度は炎の盾で防がれたが僕の攻撃は一度で終わらせない。今度は流星闘技をしながら攻撃を仕掛ける。これで校章を破壊してシルヴィと共闘。と思っていたのだが、展開させていた”識”の境地でシルヴィがかなり追い詰められていることを察知した。流星闘技を維持したまま剣をオーフェリアさんに投げつける。咄嗟に星辰力を防御に回し防がれるが、その隙をついてシルヴィはオーフェリアさんから距離を取る。
「ちょっと、仕方ないこととはいえタイミング悪すぎない。もう少し粘ってればユリスさん倒せたかもしれないんだけど?」
「うん・・・ごめん」
素直に謝るなんてシルヴィらしくない。いつもはここから喧嘩になるのだが、流石に責任を感じているのだろうか?
「ここまで来たらもう一対一を維持することはほとんど不可能だ。だからここはペア対ペアに――」
「『塵と化せ』」
会議中にオーフェリアさんが毒の腕を六本こちらへと向けてきた。
「ちょっと!まだ作戦会議中だったんだけど!」
そう言いながらシルヴィを後ろへ突き飛ばし、剣型の煌式武装を展開し即流星闘技を発動させる。
(ユリスさんの炎は前に切れた。あれとは恐らく威力もケタ違いだけど、ここは一か八かで賭けるしかない!)
そのまま毒の腕を煌式武装で切り付ける。やはり大量の星辰力が練り込まれているが全く切れないこともない。五本の腕を切ったところで流星闘技の時間切れになってしまう。
このままでは回避が不可能なため、剣型の煌式武装を投げ捨てて、弓型の煌式武装を取り出し起動させる。そのまま二本の矢を生み出し流星闘技を発動させて射貫く。狙いはあわよくば腕の破壊と、ユリスさんの校章の破壊だ。星辰力の補充が甘かったのか、威力が均一にならなかったが高い威力の方をユリスさんの校章へと向かわせる。
「咲き誇れ!隔絶の赤傘花!」
ユリスさんが回避できないと悟ったのか、さっき僕の攻撃を防いだ技を展開する。しかし僕の放った矢はその盾を貫通し、ユリスさんの校章へに直撃する。
『ユリス=アレクシア=フォン=リースフェルト、校章破損』
そしてもう一本の矢は毒の腕を破壊することがかなわずに霧散してしまい。毒の腕が僕を襲う。
「あああああぁぁあーーー!!」
『花園日向、意識消失』
そこで僕は意識を手放した。
(ここまで御膳立てをしてあげたんだ。オーフェリアさんにリベンジしなよ、シルヴィ)
はいはい、三十分の超低クオリティ
でも時間をかけたからっていい作品が生まれるわけではないんだよ!って言い訳をしておく
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バトルセレモニアの終わり
目が覚めると、まず視界に入ったのは天井だった。そういえば決勝戦で僕はオーフェリアさんの攻撃を食らって、意識を持っていかれたんだっけ。
「目、覚めた?」
「・・・そう聞くってことは、わかってるよね?」
「念のための確認だよ」
「僕って決勝が終わるといっつも意識無くなってるんだよね。まだ二回目だけど、二回中二回って結構ひどいんじゃないかな」
鳳凰星武祭の時といい、バトルセレモニアの決勝といい、どうしてこうも意識がなくなるんだろう。二回とも原因はオーフェリアさんの毒っていうのがまた・・・
というか、天井?なんで視界に天井が入ってるんだ?それにこの柔らかい感触って・・・
「あんっ・・・急に動かないでよ」
「ねえ、なんで君は膝枕をしているのかな?」
「世界の歌姫が膝枕してあげてるんだから、もう少し感謝したらどうなの?」
「今まで感謝してたけど、今の一言でありがたみがなくなりました。恩着せがましいんだよ」
これはいつもの喧嘩の流れだ。しかも今の僕じゃ確実に勝てない。
「はいはい、ありがとうございます、感謝感激雨あられ」
「ちょっ・・・!それ古すぎ・・・!」
ふざけた感謝に笑いを堪えている。でもいつもならここでまた喧嘩になりかけるのだが、どうも今日は喧嘩にならないな。
「そういえば、あの後オーフェリアさんに勝てたの?」
「ううん、負けちゃった・・・」
「ということは準優勝か・・・まぁ即席のペアにしてはなかなかいい所まで行けたんじゃないの?」
正直な話、あそこまで御膳立て出来たことがそもそも奇跡だったと思う。オーフェリアさんが僕と戦ってたら僕は速効でやられてただろうし。僕はオーフェリアさんが普段出している瘴気程度なら、星辰力で耐えられる。でも戦闘時に出すレベルの瘴気だと、星辰力じゃあどうしようもない。それは鳳凰星武祭の決勝でもバトルセレモニアの決勝でも証明されていることだ。
「ねえ、君はどうしてあの場面で私を助けてくれたの?あのまま君がユリスさんを倒して、その後に君とオーフェリアさんが戦ってれば、もしかしたら勝てたかもしれないのに・・・」
「何で君がそれを言うのかな・・・僕とペアを強制的に組ませたとき、君はオーフェリアさんに勝ちたいって言ってたでしょ。それで僕がオーフェリアさんに勝ったら君と組んだ意味なかったじゃないか。それに、僕じゃあオーフェリアさんの毒の瘴気が見えても、それを防ぐ手立てはない。綾斗君の『黒炉の魔剣』があるなら話は別だけど、普通の煌式武装じゃ精々流星闘技で切り裂くのが精一杯だよ」
「流星闘技とはいえ普通の煌式武装で切り裂いていることがそもそもおかしいんだけどね。というか、君は『孤毒の魔女』の瘴気が見えるの?」
「あれ?言ってなかったっけ?オーフェリアさんの瘴気も見えるし、沈雲君の呪符も見えてたし、沈華さんがどこに隠れているのかも、僕には全部見えてたよ」
「・・・あなたのそれって、能力なの?」
「違うよ、これは技みたいなものだね」
そうして天霧辰明流の”識”の境地についての説明をする。
「つまり戦いながらフィールドで何が起きているか、僕には全部見えていたんだよ。じゃなかったら、あんなやられるギリギリのタイミングで、君の方を見ないでオーフェリアさんに剣を投げつけることなんてできるわけないじゃないか。僕の魔術師の能力は思考を読むだけ」
すべての説明を終えて一息ついていると、シルヴィが何やら言いたいことでもありそうにソワソワとしていた。
「何か聞きたいことでもあるの?」
「!・・・何で君は、私の事を助けてくれるの?」
「またその質問?ボケちゃったの?それは――」
「違う。決勝だけじゃない。決勝に来るまでに、私は君に何度も助けられてる。私は君の事を助けてあげられない。私の事を見捨てて、一人で戦った方が良かったんじゃ・・・」
「・・・そんな下らない事を聞いてくるとは思わなかったよ」
「そんな!下らないって――」
「君を助けるのに理由が必要?」
「・・・え?」
「目の前で害されそうになっている人を助けることに、理由なんて必要ないと思うんだけど。それがたとえ、戦いの場面で仕方がないとしても」
「でも君は、私の事嫌ってるんじゃ・・・?」
「好き嫌いで助ける人を選り好みしないよ。それに、僕は個人としてのシルヴィア=リューネハイムのことは、そこまで嫌っていない。寧ろ好感さえ持てるね。僕はアイドルっていう存在が嫌いなだけだよ」
「~~~~~ッ!!!」
何やら絶叫みたいなことをして顔を真っ赤にして急に立ち上がるシルヴィ。そして急に立ち上がることによって膝枕されている僕は当然転がり落ちて、
「ブッ!!」
地面に叩きつけられる。これは必然。
「何するのさ!」
そして文句を言うのもまた必然。
「知らない!閉会式始まるから早く行くよ!」
そう言い残して控室を出て行くシルヴィ。何とか動けるまで回復はしてるけど、ここまでの仕打ちをされる筋合いはないと思う。あとで泣かす。
ラブコメ?戦闘シーンの方が書くのって簡単なんじゃないか?
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とある休日の一幕
バトルセレモニアも終わり、学校の授業も終わり、今年ももうすぐ終わる。冬休みの期間は特に何をやるかは決まっていないが、実家に帰るのもいいかもしれない。
とりあえず今日の休日は何もせずに寮の部屋で一日ゲームでもしていいよう。こんな暇なときは某SRPGのファイアー〇ムブレムifでもやろうかな。王族最強戦、あれまだ全部の隊クリアできてないんだよね。カミラ隊とサクラ隊が鬼門すぎる。それに最強戦とか言いながら全部の隊で一つの隊をフルボッコにしてくるのはどうかと思う。
そんな下らない事を考えていたら、電話がかかってきた。誰からか確認するとオーフェリアさんからだった。珍しいこともあるもんだ。
「もしもし、オーフェリアさん?どうしたの電話なんかして、珍しいね?」
『ええ、少しね。あなた、冬休みはどうやって過ごすつもりなの?』
「特に何も考えてなかったんだけど、どこか行きたいところでもあるの?」
『リーゼルタニアに行かないかしら?』
「リーゼルタニア?どうして?」
『この前の鳳凰星武祭の願いで、私がいた孤児院に多額の寄付金を送ったの。それに私も、その・・・あなたのおかげで自由になれたから、お世話になってたシスターたちに挨拶がしたくて・・・』
オーフェリアさんが鳳凰星武祭で願ったことは孤児院にお金を送ること。借金を確実に返済出来て、尚且つ今後も不自由することなく暮らしていける多額のお金。バトルセレモニアでは自分の魔女としての能力を押さえられないかどうか、という願いらしい。これに関しては綾斗君のお姉さんの遥さんの魔女としての能力、『万物を戒める禁獄の力』で綾斗君の力に枷をしていたみたいに、オーフェリアさんの能力を弱体化させることができるらしい。
ユリスさんの願いが遥さんの捜索らしい。オーフェリアさんのためっていうのもあるらしいんだけど、綾斗君のためでもあるらしい。
「分かった。じゃあ日にちとか決まったらまた連絡してくれる?」
『ええ、分かったわ』
そうして通話が終了する。
やっとゲームができると思ったら、また電話がかかってきた。相手はシルヴィだった。
(・・・なんだろう、すごく嫌な予感がする)
ずっと放置するわけにもいかないのでとりあえず出る。
『ヤッホー、日向君。元気?』
「さっきまで元気だったけど、今の一言で何か色々と萎えた。というわけで僕は一休みしたいから電話を切ろうと思うんだけど構わない?」
『いいわけないでしょ!どうしてそんなに私の扱いが雑なの?!』
「はぁ・・・いったい何の用?」
『冬休み暇?』
「冬休み?ついさっきオーフェリアさんとリーゼルタニアに行くことになったけど、日にちによっては暇」
『じゃあ私の欧州ツアー見に来てよ』
「普通に嫌だけど」
『ちょっと!どうしてすぐに断るの!』
「だって面倒だし」
『酷い!私とは遊びだったんだ、よよよよ・・・』
「ああはいはい、それでいつなの?日にちによっては行けるかもしれないけど?」
『最終日だよ。もうチケットは君の寮の部屋に送ってあるから、多分今日中に届くんじゃないかな?』
「どっちにしろ選択肢ないじゃん!」
『まあまあ、本来ならとんでもない倍率との勝負なんだけど、ペトラさん、クイーンヴェール理事長に無理言ってチケット確保したんだから、絶対見にきてよね』
「転売すれば儲かる。どうしよっかな~?」
『そんなことしたら泣かす。レヴォルフに乗り込んで泣かす』
「言っておくけど、君には個人的な恨みがまだいくつか残ってるんだからね?乗り込んで来るんなら手加減しないよ?掃除機みたいな煌式武装を携えて乗り込んでくればいいさ!」
『君本当に覚えておきなさいよ・・・用件はそれだけ、じゃあね』
通話が終了する。どうしてこうも不毛なやり取りが繰り返されるんだろうか・・・
なんか本当にゲームをやる気がなくなってきた・・・特にやりたいこともあるわけじゃないし・・・今日は一日寝て過ごそう
良いお年を!(残り三時間)
なお作者は王族最強戦は全部の隊クリアしてます
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冒頭の十二人に入りたい!
そしてひとこと言わせてもらおう。どうしてこうなった・・・
今日も今日とてやることは無い。寮の部屋でゲームでもしようと思ってふと気付く。そう言えば、寮って普通ルームメイトがいるはずなのにあまり見たことが無い・・・実質僕の一人部屋みたいになっている・・・
僕のルームメイトは藻舞崎武君、通称モブ崎君だ。そう言えば入学して最初に寮の部屋で何であんまり寮の部屋にいないのか聞いたところ
『お前といると・・・こうなんていうか、男じゃなくて女といるみたいでムラムラしてくるんだよ』
とか言ってたような気がする。聞いた瞬間、僕の貞操が危ない!と本気で危惧したが藻舞崎君は基本的に部屋にいないのであんまり問題は無かった。でもそうなると普段どこにいるかという疑問が思い浮かんでくるが、これは普通に宿泊施設に泊まっているのだろうか?
まさか公園で寝てるなんてことは無いんだろうけど、それにしても僕が部屋にいることによって帰ってこれないなんてなかなかに理不尽すぎるような気もする。
そうだ!冒頭の十二人になろう!藻舞崎君はこの寮で寝泊まりできる、僕は個室がもらえて、学園からは報奨金がもらえて互いにwin-winじゃないか!
そうと決まれば早速冒頭の十二人の誰かに喧嘩を売りにいかないといけないんだけど・・・誰にしようか迷う。
オーフェリアさんは論外だ、勝てる要素が無い。イレーネさんは・・・知り合いから個室奪うのってなかなかに気が引けるよね・・・なんかもうめんどくさいから十二位の人に犠牲になってもらおう。名前は・・・モーリッツ・ネスラーか・・・確かアルディ君に瞬殺されてたから問題なく勝てるはず。というかシルヴィに勝てる時点で僕が勝てないのは多分オーフェリアさんだけなのかもしれないが・・・あれ?『王竜星武祭』優勝行けるんじゃ・・・?
今はそんなことどうでもいい。とりあえずモーリッツ君がどこにいるか聞かないと・・・
* * * * * * * * * *
いろんな人からモーリッツ君がどこにいるか聞いて回ったら、再開発エリアによくいるっていうことを聞いたから早速行ってみることにする。
再開発エリアはあんまり足を運んだことは無いかな、ユリスさんとオーフェリアさんの喧嘩を止めに行った時くらいかな・・・
再開発エリアに到着し、しばらく歩き回ってモーリッツ君を探し回っていると、意外と早く見つかった。舎弟みたいなのもいるみたいだけど、僕の目的はモーリッツ君ただ一人だ。
「モーリッツ君って君?」
「そうですが・・・君は花園日向?」
「そうそう、突然で悪いんだけどさ、僕と決闘してくれない?」
「おうおうてめえ、モーリッツさんに決闘挑むとはいい度胸してるじゃねえか?まずは俺たちを倒してからにしてもらおうか?」
面倒だけど仕方がない、速攻で終わらせられればそれでいいか
「いいよ、やろうか。どうせここにいる人全員と戦わないといけないんだろうし、一人一人相手にするのは面倒だから全員まとめてかかってきてよ」
戦闘はあんまり得意じゃないけど、ぼろを出さないうちに早く仕留めたほうがいいに決まってるからね。
「ほう・・・俺らをなめてるのか?これでもモーリッツさんに実力を買われてるんだぜ?そんな俺らを全員まとめて倒そうだなんて、いい度胸だな!」
そう言って十人くらいの舎弟が一斉に押しかかってくる。剣だったり銃だったり斧だったりと多種多様な武器が揃っているが、逆にそこまで人数が多いとチームワークが取れないものなんだよなあ・・・
剣型の煌式武装を二本展開し、”識”の境地を広げて全員の動きを把握する。最初に向かってきた二人をいなして校章を破壊する。その隙をついて三人が銃を撃ってくるが銃弾を切り落として星辰力のブーストを使い一気に距離を詰めて三人の校章を破壊。四人が左右同時に攻め込んでくるが、『逆羅刹』を使って同士撃ちを狙う。二人ずつが互いにぶつかり大きな隙が生まれる。その隙に四人まとめて校章を破壊する。残った一人はその様子を呆気にとられて何もできずに校章を破壊した。
その様子をモーリッツ君は軽い驚きをもって見ていた。そして何度か手を叩いたかと思うとおもむろに口を開いた。
「なかなかやるようですね。流石は腐っても『鳳凰星武祭』の優勝と『バトルセレモニア』の準優勝者。オーフェリアとシルヴィアの金魚の糞かと思っていましたが、あなた自身もなかなかどうしてやるものですね。いいでしょう、彼らが勝手にあなたに勝負を挑み返り討ちにされたようですが、その決闘、受けて差し上げましょう。まぁ、あなたは僕には勝てないと思いますが」
「長々と演説をありがとう。正直半分以上聞き流していたよ。じゃあ、花園日向は汝、モーリッツ・ネスラーに決闘を申し込む」
「受諾します」
機械音が決闘の開始を宣言し、決闘が始まる。
両腕に暴風が纏わり付き、僕に対して突進を仕掛けてくる。これだけなら直線的な動きなので躱しやすい。危なげなく躱し切りかかる。腕に星辰力を纏ってガードをされ、煌式武装も半壊しそうになる。
あの風に触れないようにしつつ、校章を狙えばいいだけのこと。半壊した煌式武装を投げ捨てて一本になった煌式武装を構える。この場合連鶴はあまり効果的でなないし・・・あれをやってみようかな。
上段の構えを一旦と解き、刀を鞘にしまう構えを取る。
『刀藤流抜刀術・折り羽』
実際には抜刀をしていないが、相手には抜刀したように見えるだろう。だが実際は剣を抜いてすらいない。居合によって切られたように錯覚するだろう。その隙をついて一気に距離を詰めて校章を破壊する。
『モーリッツ・ネスラー、校章破損』
『勝者、花園日向』
「そう言えば言ってなかったけど、バトルセレモニアで組んだシルヴィとは何故か相性が最悪でね、よく口喧嘩の末に決闘なんて流れが十回近くあったけど僕は一回も負けてないんだよね」
そう言ってその場を立ち去る。レヴォルフの在名祭祀書を調べてみると十二位に僕の名前があった。早速学院側に個室の申請をして報奨金もいただくとしよう。
なお個室はマンションの一室だった。余談だが後日にモーリッツ君とその舎弟が僕の舎弟になりたいと言ってた。僕は別に興味が無かったので断っていたが、どうしてもというので舎弟にしておいた。
それと藻舞崎君は僕が寮の部屋からいなくなっってから普通に寮暮らしが出来ているらしい。めでたしめでたし
こういうどうでもいい戦闘の戦闘シーンはかなり適当ですwww
そして藻舞崎君は今後出番はありません
藻舞崎武(もぶさきたけし)、ホモではない
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勘弁してほしい…
オーフェリアさんから連絡が入り、リーゼルタニアには明後日から行くことになった。ユリスさんと綾斗君とクローディアさんと紗夜ちゃんと綺凛ちゃんもリーゼルタニアに行くらしくて、向こうで合流することになったらしい。
そこでふと思い出す。リーゼルタニアに行くための旅行鞄を持っていないし、そもそも僕すっごい高所恐怖症で乗り物酔いも酷いと来た。飛行機なんて言う飛ぶ乗り物なんて大っ嫌いでしたまる。
旅行鞄に酔い止め薬、その他諸々準備しないといけないものとかあるから、今日はその買い出しに行こう。商業エリアのデパートに行けば揃えられるし、今から出かけることにする。
そう、買い物を今日行かなければこんな面倒なことに巻き込まれずに済んだというのに、後悔後を絶たずだ・・・
商業エリアに向かっている最中とある幼女から声をかけられる。
「うぬ、そこのうぬ、ちと待ってくれんかえ?」
「・・・?」
うぬ?うぬって誰の事を言ってるの?
「そこの周りをきょろきょろしているうぬじゃよ」
「ええっと・・・僕の事?」
「そう、うぬじゃ。うぬの名は確か・・・花園日向だったかえ?」
「ええ、レヴォルフの花園日向ですが・・・何か御用でしょうか?」
「なに、大したことではない。ちと儂に付き合ってくれんかのう?」
「付き合うって、買い物か何かですか?それくらいなら構いませんが・・・」
「ああ、違う違う。儂とちょいと戦ってくれんかのう、ということじゃ」
「お断りさせていただきます」
なんなんだこの幼女。僕は今から買い物があるっていうのに、戦えって?いやだよそんなの。第一戦闘は苦手なんだってば。
「ほう、誰の誘いを断っているか、分かっておるのかえ?」
「第一僕君の名前知らないし。中華服着てるってことは界龍の生徒さん?・・・そう言えばどこかで見たことあるような・・・!」
「その表情を見るに、やっと気づいた様じゃな。では改めて聞くが、儂と戦う気は――」
「全力でお断りさせていただきます!」
この子あれだ!界龍の生徒会長で序列一位の茫星露、『万有天羅』っていうやばい人じゃん!
これは勝てない以前に厄介ごとの匂いしかしない。厄介ごとに関する嗅覚はシルヴィのせいで異常に発達したけど、今だけは全力で感謝してあげよう。ありがとうシルヴィ!愛してる!
その場から全力で逃げるために”識”の境地を展開し、星辰力のブーストを全力で使って逃げる。多分オーフェリアさんに追いかけまわされているときよりもガチのスピードだこれ・・・
だがしかし”識”の境地に何やら引っ掛かる。なんか高速で僕の事を追いかけてくる。
「なぜ逃げるのじゃ?一戦だけ戦ってくれればそれでよいのじゃ!」
「勘弁してよ!僕じゃ勝てるわけないじゃん!僕の序列分かってるの!?十二位だよ十二位!君はあの規模が最大の界龍で一位なんでしょ!?勝てるわけないじゃん!」
「別に儂はうぬに勝ちたいから戦うのではない、ただうぬと戦いだけじゃ!」
「こんの戦闘狂がー!!!」
さらにスピードを上げる。これ以上スピードを上げると正直コントロールが効かなくて危ない。
「ふむ・・・この追いかけっこも飽きてきたのう・・・疾く諦めよ!」
「ちょっと!?」
なんで!?さっきまで後ろにいたよね!?なんで急に前に出てくるのさ!全力で走っていたため急に止まることも出来ずに、星露ちゃんに突っ込む。しかし星露ちゃんは自ら後ろに飛んで衝撃を殺し、僕を抱きかかえながらどこかへ向かっていく。
「ちょっと放してよ!第一どこに向かってるのさ!?」
「少し黙っておれ、舌を噛むぞ」
「何ならここで舌噛んで自殺してやろうかちくしょう!」
ここまで来ると最早自棄だ。言動もおかしくなってくるが、星露ちゃんは全く意に介さずに移動を続ける。
この方角って・・・
「着いたぞ、界龍第七学院じゃ」
「やっぱり・・・」
「では早速行こうかのう」
「・・・どこへ?」
「我が学院のコロシアムじゃ。そこで思う存分やりあおうではないか」
「・・・はい」
うん、これは逃げきれない。諦めるしかないな・・・
「師父ー!どちらに行ってらっしゃったんですか・・・え!『思考の魔術師』!なぜ師父と一緒にいるんですか」
『思考の魔術師』。それが僕に着いた二つ名だ。無難で助かった。魔女や魔術師は『〇〇の魔術師』とか『〇〇の魔女』とか呼ばれることが多いから無難な二つ名で助かった。
そして今僕に突っかかっているのは・・・誰?
「ええっと・・・どちら様で?」
「虎峰よ、こやつは儂の客人じゃ。怪しいものではないから、通してやれ」
「申し訳ありません、師父。界龍第七学院序列五位、『天苛武葬』、趙虎峰です。先ほどは失礼をいたしました」
なんだろう、この子の容姿といい声といいすっごく女の子っぽいんだけど、なんだか同じ属性に属するというか、同じ境遇な気がする。
あれ?そう言えば・・・『天苛武葬』?何かシルヴィがバトルセレモニアの決勝前に控室で言ってた人ってこの人・・・?
「『天苛武葬』?六花最速って言われてる?」
「最速かどうかは存じ上げておりませんが、恐らくその『天苛武葬』かと・・・そう言えば師父、なぜ彼がここに?」
「儂と戦うためじゃ。そやつも了承しておるぞ」
「嘘をつくな嘘を。逃げてるところを追いかけて捕まえて来たじゃないか!」
「細かいことを気にする出ない、禿げるぞ?」
「もう一偏黙れよ」
「師父に何という口の利き方を・・・!許しませんよ!」
だーもう!ややこしすぎる!救世主!救世主早よ!
次回へ続く・・・
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本来の目的・・・?あ・・・
何も面白みのない二つ名になったことを今更後悔しています・・・
「虎峰~帰るの遅いけどどうしたのー?」
また誰か来た・・・正直これ以上状況をややこしくしないでほしいから、まともな人であることを切に願う。そう思ってた時期が懐かしかったです・・・
「うわー!何でこの子がここにいるの!?私セシリー・ウォン!よろしくね、『思考の魔術師』君!」
そのまま僕を抱きしめてくる。まただよ・・・この学校って碌な奴いないんじゃないかな・・・というか星導館とガラードワース以外まともな人がいないんじゃないかと思えてきました・・・
いや待てよ・・・この状況うまく使えれば・・・この際恥は捨てよう。一刻も早くこの場から離脱したい。
「助けてセシリーお姉ちゃん!この人たちが僕のこと虐めてくる!」
「お、お姉ちゃん・・・!よーし!お姉ちゃんに任せて!!」
「「な!?」」
ちょろい・・・なんか逆に申し訳なくなってきた・・・
「ちょっと虎峰と師父、何でこの子虐めてるの?」
「ちょっと日向さん!猫被るの辞めて下さいよ!このままだと僕が被害を被ることに・・・」
知らんな、こっちは被害者だ。特に星露ちゃんの
「問答無用!急急如律令!」
呪符を出したかと思うと何やら呪文を唱えた。すると雷が降ってきて危うく虎峰君に直撃しそうになっていた。ギリギリの所で回避する辺りすごい反射神経だな・・・
「セシリー、話を聞いて――」
「こんなかわいい子虐めるなんて最低だよ!それにお姉ちゃん・・・うふふふふ・・・!」
なんか危なくなってきた・・・自分で引き起こしておいてなんだけど、そろそろ止めたほうがいいのかな?
「止めるのかえ?こんなに面白いことになっておるのに」
「君からしたら面白いのかもしれないけど、流石にここまでなるとは思わなかったよ・・・」
「あそこまで怒ってるセシリーを見るのは初めてじゃわい。それに、あの二人は前回の鳳凰星武祭の準優勝ペアじゃし、うちの水派と木派のトップでもあるのじゃ。なかなか面白い戦いが見れると思うが?」
「君って本当に戦闘狂だね・・・というか本当に小学生?喋り方とかはまあいいとして、小学生でここまで戦闘狂だとこの先苦労しかしないと思うんだけど・・・」
「余計なお世話じゃ、それに儂は長生きしとるからのう。楽しみと言ったら強者との戦いくらいしかないのじゃ」
そんな雑談をしているうちに向こうもすごいことになっている。雷が次々に落ちてくるが、虎峰君はすべて躱している。しかもその速さはとんでもない。六花最速って言われるのも頷ける気がする。
「飽きたわい」
「え?」
突然何言いだすんだこのガキ・・・じゃなくて!
「そこいらにしておけ、そもそも儂がこやつと戦うためにここにこやつを連れてきたというのに、なぜおまえらが戦っておるんじゃ?」
わーお怖い怖い、何でここまで威圧感を出せるのか不思議だ。
「も、申し訳ありません、師父!でももとはと言えば・・・」
「いやいや、僕完全に被害者だからね?連行されて来ただけだからね?」
僕に罪を擦り付けようとする虎峰君に先立って釘を刺しておく。虎峰君は言い返せずにうぐ・・・!と黙ることしかできない。
「そう言えば、何でここに彼がいるの?」
さっき来たばかりのセシリーさんが疑問に思ったのか、この場にいる全員に訊ねる。
「連行された」
「戦いたいから連れて来た」
「らしいです」
「師父、師父って部屋に買い置きしていた茶葉が無いからって商業エリアに言ってたんじゃないんですか?」
「・・・おお!そう言えばそうじゃったのう!」
しばらく思案し、思い出したというかのように手をポンと叩く。お頭弱すぎ・・・あれ・・・そう言えばぼくも何か忘れているような・・・
「あ・・・」
僕も明後日のリーゼルタニアに行くための準備のために買い物に行くんだった・・・まずい、人のこと言えない・・・
「じゃあ僕は用事を思い出したのでこれで失礼しますね」
「うむ・・・儂も買い物に行くとしようかの」
星露ちゃんはお頭が弱い。おかげでこの場を離脱することに成功した。
帰る直前にその場にいた全員からアドレスを渡された。別にもう会うことは無いと思うんだけどな・・・
かなり短めですね、これなら前回の所に突っ込んでも問題レベル
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いざ!リーゼルタニアへ!
着いたとしても緑かな~?とか思ってたらオレンジと赤って…!ビックリして笑いました
今日からリーゼルタニアへと向かう。買い物は昨日全部済ませて荷物も全部無理やりキャリーバッグへと突っ込んだ。買い物は一昨日済ませようと思ってたのに・・・星露許すまじ・・・
煌式武装の検査とか面倒だから持って行かなくてもいいかと思ったけど、念のため剣を二本と弓を持って行く。
リーゼルタニアに滞在する最終日の次の日がシルヴィの欧州ツアー最終日だから、オーフェリアさんは六花に直接帰るらしいけど僕はそのままライブに行かなくてはならない・・・もう行くこと自体はいいんだけど、飛行機とかいう乗り物は本当に嫌いだ。
欧州ツアー先の宿泊先についてはシルヴィから心配いらないとか言われたけど、どういうこと?日帰りで帰れと?
空港の最寄り駅を降りたところでオーフェリアさんと待ち合わせをしている。ちなみに今は私服だ。校章だけはしているが。下着にTシャツに黒のワイシャツを着てその上にトレーナーを着てマフラーを巻いたうえでコートを着ている。下はジーパンにスニーカーだ。何でこんなに厚着しているかって?寒がりなんだよ・・・
「待たせてごめんなさい」
「あ、おはようオーフェリアさん。その服可愛いね!似合ってるよ!」
「あ、ありがとう」
僕は服の事はあんまり詳しくないんだけど、黒を基調とした服はオーフェリアさんの白い髪と相まってよく似合っていると思う。
「えっと、確かリーゼルタニアでユリスさんたちと合流するんだよね?」
「ええ、ユリスたちは先にどこかに寄ってから行くらしいけど、向こうの空港で会う手筈になっているわ」
「そっか、じゃあ・・・行こうか・・・」
「?ええ」
いきなり盛り下がった僕を怪訝に思ったのか、少し首を傾げながら頷くオーフェリアさん。
搭乗手続きを終えてゲートを潜り飛行機へと乗る。酔い止めは一時間前に飲んではいるが、効き目があるかどうかは不明だ・・・
「さっきからどうしたの?顔色が悪いようだけど・・・?」
「ああ、大丈夫・・・なのかな?」
「体調でも悪いの?」
「体調不良ではないんだけど、僕って乗り物がすっごい苦手なんだよね・・・それで高所恐怖症も相まって飛行機が大っ嫌いなんだよ・・・」
いやホント、乗り物全般は弱いがバスと飛行機、お前らだけは許さない。
「到着するまで寝ていたらどうかしら?着いたら起こすわ」
「ごめん、そうさせてもらうよ・・・」
そうして僕は目を閉じる。ただこういう時に限って眠気とは来ないものだ。学校の授業を受けている時とか、教科書を読んでるときは速効で眠気が襲ってくるのに・・・いったいこれは何なんだ・・・
寝るために悪戦苦闘していると飛行機が走り出したのが分かる。そして離陸した瞬間意識が覚醒してしまい
「やっぱ無理!」
周りに迷惑にならない程度の声量で叫んでしまう。飛行機、お前だけは末代まで呪う・・・飛行機の末代ってなんだよ・・・
「本当に乗り物が苦手なのね」
「こればっかりはどうしようもない・・・ああ、瞬間移動できる能力があればいいのに・・・」
ぶつくさ文句を言っているとオーフェリアさんが僕の側頭部を押さえオーフェリアさんの方へと倒してくる。
「少し横になったらどうかしら?椅子に座りながら寝るよりは、こっちの方が気分も楽じゃないかしら?」
顔を赤くしながらそんなこと言われても・・・というか恥ずかしいなら辞めればいいのに、とか思ったけど折角の好意だ。遠慮なく乗らせてもらおう。
「そうだね・・・ごめん」
「別にこれくらい構わないわ。あなたには返せないほどの恩があるもの」
「そういうことにしとくよ・・・これって周りの客から見たらカップルに見えたりするのかな?」
「・・・馬鹿なこと言ってないで早く寝なさい。それ以上馬鹿なことを言うようなら・・・分かるわよね?」
「ハイ、ワカリマシタ」
怖い!シルヴィ何か比じゃない!これは寝よう!寝るという逃避行動だ!
これ読んでくれてる人って多分自分がシルヴィのこと嫌いなんじゃないかなって思ってるかもしれませんが、シルヴィはアスタリスクに出てくるキャラで三番目に好きですよ
一番目と二番目は綺凛ちゃんと綺凛ちゃんの母親が争ってて三番目にシルヴィが来ます。綺凛ちゃんのお母さんめっちゃ美人じゃないですか!?ぶっちゃけ自分の好みにドストライクすぎる
オーフェリア?別に普通ですけど・・・好きでも嫌いでもないです
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リーゼルタニアに到着・・・らしい
本当に申し訳ないです!
ここはどこだろう?いや、分かってはいる。リーゼルタニアに到着して今は空港でユリスさんたちを待っているところだ。ただいつ着いたかは全く記憶にない。気が付いたら到着していたと言う感じなのだ・・・
今日はユリスさんたちと一緒にパーティーに出席することになっているらしい。ユリスさんのバトルセレモニア優勝記念だとかなんとか。ペアであるオーフェリアさんも一緒に出ることになっている。
僕はそう言った堅苦しいことは苦手だから辞退しようと思ってたんだけど、フローラちゃんの捜索に一応は協力したということで感謝の意を示して出席することになっている。感謝の意を示すのならば欠席させてもらうことが一番何だけど・・・
特にすることもなく、オーフェリアさんも積極的に会話をするタイプではないのでボーっとして時間を潰しているとメイド服を身に纏った少女がこちらに近づいてきた。
「すいません、花園日向様とオーフェリア=ランドルーフェン様で間違いないでしょうか?」
誰だろう?と思って少し記憶をたどってみると『鳳凰星武祭』の時に聞いていた特徴と一致する子だ。というか少し前に名前が出てきてましたわ・・・
オーフェリアさんは昔の知り合いのようだが、形式上『様』を付けたのだろう。
「ええ、間違いないわ。久しぶりね、フローラ」
「あい!お久しぶりです!花園様は初めまして!私フローラ・クレムと申します!フローラと呼んでください」
「初めまして、フローラちゃん。それと様ってつけるのできれば辞めて貰いたいんだけど・・・なんていうか慣れてなくて背中がぞわっとするんだよね・・・」
「そう言うわけにはまいりません。こちらが招待させていただいたお客様ですから!」
言っておくが僕は年下の女の子に様付けをさせて喜ぶ趣味は無い。ただこういうタイプの子は、失礼だけど変なところでプライドを持ってるから頑として譲らないだろう。こっちがなれるしかないのかな・・・
「フローラ。ユリスたちがあとどれくらいで到着するかわかるかしら?」
「恐らくはもう少しで到着なさるかと・・・あ、噂をすればというやつですよ!姫様ー!」
搭乗口からは綾斗君たち、計五人が降りて来た。フローラちゃんは真っ先にユリスさんの元へと向かい抱き着いた。
それを眺めて少し経ったところで綾斗君たちがこっちに歩いてきた。
「久しぶり、日向」
「綾斗君、久しぶりだね」
「日向、君に伝言を預かってるんだけど」
「ふーん、誰から?」
「シルヴィからだけど――」
「僕は何も聞いてない、というか聞きたくない」
「いや、頼むから聞いてくれよ。俺の方も伝えないと大変なことになるかもしれないんだから」
「・・・一応聞いておくけど、なんて言ってたの?」
「春先の文化祭、三人で回らないか?って」
「三人ならいいか・・・シルヴィと二人なら断ってた」
「あはは・・・相変わらずだね」
「そりゃあバトルセレモニアであれだけ仲間割れさせられれば嫌でもこうなるよ?」
本戦一回戦では僕ごとカマイタチで吹き飛ばそうとしてくるし、二回戦なんて完全に意識持って行かれた。沈雲くんと沈華さんはまだあの時の恨みを忘れていない・・・いずれ復讐すると三人で誓った。
「それでは王宮に向かいましょう。皆さん、こちらの車に乗ってください!」
綾斗君と談笑しているとフローラちゃんの言葉で空港のターミナルに待っていた黒塗りのリムジンに乗る。
あまり時間はかからないとのことだが、乗り物酔いに弱い僕としてはできるだけ早く到着してほしい。
なぜか一直線に王宮へと向かわない。なんか広い街道の方へ向かっている気がするんだけど・・・
メインストリートと呼ぶべき広い街道に入ると車が徐行運転を始める。運転席の人が車の窓操作して窓を開けると、外からは歓声が飛び込んできた。
「ユリス様ー!」「星武祭準優勝とバトルセレモニアの優勝おめでとうございます!」「天霧綾斗様ー!」「こっちに手を振ってくださいましー!」
これって優勝記念パレードってやつ?あれ?そう言えば僕一応『鳳凰星武祭』優勝したけど、実家から何もお祝いの言葉を貰ってなかったような気がする。
これはこのままリーゼルタニアの宿泊が終わったら実家に帰るしかないな。うん、そうしよう。そう思った矢先何やら寒気がしてきた・・・なにこれ?シルヴィからの呪い?
正直このまま欧州ツアーとか行きたくないんだよね。飛行機苦手だし・・・
それはともかく、綾斗君が何やら戸惑いながらユリスさんと話していた。ユリスさん自身も困惑している様だったが、こういったことには慣れているのか。窓から顔をのぞかせ群衆に手を振り返す。
ユリスさんが手を振ると歓声はひときわ大きくなり、綾斗君も観念したのか手を振っている。
そうこうしているうちにパレードの終着点に到着し、王宮へと到着する。
この国の王様に挨拶をするらしいんだけど、切りが良いから次回かな!・・・次回ってなんだ?
なんかいい感じに話考えてたけど結局思いつかなくてすごく中途半端になってしまいました・・・
駄作すぎるなあ・・・
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リーゼルタニアの王子と合成獣?
「皆さん初めまして、僕はヨルベルト・マリー・ヨハネス・ハインリヒ・フォン・リースフェルト。リーゼルタニア王国の王子をやらせていただいています。以後お見知りおきを」
……はい?え?ちょっと待って、名前長すぎじゃない?ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトの比じゃないんだけど。
僕が後ろで頭に?を浮かべているとユリスさんがヨル何とか王子に噛みついていた。
「兄上!先ほどのあれは一体どういうおつもりですか!?」
「先程のあれというと?」
「凱旋パレードです。私と綾斗は何も聞いていないのですが?」
「だって話したらユリス確実に逃げるじゃないか」
「ぐっ……それはそうですが……」
ダボッとしたズボンをだらしなく履き、王冠を指でくるくると回しながら、女の人に膝枕をされつつ答える。
いろいろと突っ込みどころが多すぎる!まず服装が客人を迎えるような服装じゃないだろ!それに王冠指で回してるとか扱い雑すぎる!それと膝枕羨ましいです!
そんなことを考えているとオーフェリアさんからの視線が痛い。何でや……
「後ろにいる人たちはフローラの捜索を手伝ってくれた人かな?皆さん、フローラの捜索をお手伝いいただきありがとうございます」
億劫そうに起き上がり、それでも胡坐をかきながら軽く頭を下げていけしゃあしゃあと言い放つ。
「それと、花園日向君だっけ?オーフェリアを助けてくれてありがとう。ユリスがずっと心配しててね、それにこの国の国民だった彼女は僕個人としても心配だったんだ。改めてお礼を言わせてくれ」
「は、はあ……」
あれ?見た目ちゃらんぽらんだけど実はいい人とかなの?
「そうだ、この後ユリスの『バトルセレモニア』優勝祝いのパーティーがあるんだ。皆さんも是非出席して下さい」
はあ……パーティーか……
* * * * * * * * * *
「あら、かわいいわね。僕、私と一緒に遊ばない?」
「いやいや、こんな女よりも私といる方が楽しいわよ?」
「是非僕と一緒に踊っていただけませんか!?hshs」
「お、お断りします!」
なんなんだよこれ!?今どきの貴族ってこんなんばっかか!?最初の二人はまだいい、最後の男!誰だか知らないけど僕は君を許さない!
隅っこの方でドリンクを適当にちびちびと飲んでいると次々と貴族の人たちから話しかけられる。貴族の人たちが嫌いなわけじゃない。ただ目がギラギラしてて怖いんだよ……
ちゃんとタキシード来てるから男だって分かるはずなんだけど、男にhshsとか言われると本気で殴りたくなってくる。
会場をぐるっと見回し綾斗君を探す。なんとなくだけど綾斗君もどっかに避難している筈だと思った。
中庭のバルコニーに綾斗君の姿を見つけると、綺凛ちゃんと何か話していた。綺凛ちゃんやけに顔真っ赤じゃない……?
「大分疲れているようね」
「あ、オーフェリアさん。楽しんでる?」
「ええ……あなたは大変そうね。さっきから見ていたけどあの貴族たちは何なのかしらね」
「ホントだよ、目がやけにぎらついていて怖いんだよね……あ、ドレス綺麗だね」
「え、ええ……ありがとう……」
そんな感じでオーフェリアさんと暫く雑談に耽っている。オーフェリアさんと話している間は誰も話しかけてくることは無かったな……オーフェリアさんバリアー様様。
すると突然中庭で大きな爆音が鳴った。目を向けてみると何やら身体みたいなものが見える。
「オーフェリアさん、あれってパーティーの出し物か何か?」
「そんなわけないじゃない。誰かが襲撃でもしてきたのかしら?」
襲撃らしきものが来たというのになんでこんなに落ち着いているのかって?綾斗君たちが何とかしてくれるんじゃないかと思ってるから。
「あなたは行かないの?」
「言ったほうがいいかな?」
「様子だけでも見てきたらどうかしら?多分天霧綾斗やユリスが何とかしてくれているとは思うけど、念のため」
「オーフェリアさんはどうする?」
「私はやめておくわ。私の力は大きすぎて、周りを巻き込んでしまうでしょうから」
「分かった、ちょっと行ってくるね」
お使いに行くかのような軽いノリで中庭の方へと向かう。
先ほどの怪物らしきものの正体は……キマイラ?みたいな生物だ。あれ?キマイラって現実にはいないよね。
放っておくわけにもいかなさそうだったのでバルコニーから空中へ身を躍らせる。
綾斗君がキマイラの懐に入り込み上へと蹴り上げる。
「ちぇすとおおおおおぉーーーー!!」
蹴り上げたタイミングで顔面めがけて踵落としを打ち込む。下にいる綾斗君が巻き込まれそうになっていたが誤差だ誤差。
落下すると中庭はその衝撃で荒れに荒れもはや原形を止めていない。
さらに紗夜ちゃんだと思われる銃の一発が入り、止めと言わん明かりにユリスさんが巨大な火柱をキマイラにぶつける。
キマイラは消滅したが、その代わり王宮の中庭も消滅しました。
……修繕費ってどうなるんだろう?
久しぶり過ぎてこんな感じだったっけ?って思いながら書いてました
なお書くのに掛かった時間は四十分、文字数は2000行ってません
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孤児院行ってきます!
千菅春香さんの歌声って雨宮天さんの地声に似てません?
「いやー、昨日は本当に申し訳なかったね。まさかパーティー会場にテロリストが潜んでるなんて流石に予想外だ」
ヨル何とか王子が昨日パーティーでキマイラの相手をしていた僕たち、六花組を部屋に呼び出して昨日の件について説明をしていた。
「主犯はギュスターヴ・マルロー、昔あった『翡翠の黄昏』の生き残りの一人だ」
『翡翠の黄昏』?なんだっけそれ?聞いたことはあるんだけど概要が思い出せない。
そんな僕の表情を見て、クローディアさんがその『翡翠の黄昏』についての説明をしてくれた。
「『翡翠の黄昏』というのはアスタリスク史上最大のテロ事件です。犯行グループは学生シンパを含んだ七十七人、この事件についてはヘルガ・リンドヴァル警備隊隊長が単独で解決しましたが、七十七人のうち七人が逃走、そのうちの一人がギュスターヴ・マルローということです」
「すごいね、クローでディアさん!詳しいんだね」
「あの……これくらいは通常の講義で扱うことなんですが……」
……へ?なにこれ、六花ではこれが一般常識だって言いたいの?嘘でしょ……
「……話を戻そう。それで、現在ギュスターヴ・マルローは逃走中。国の兵を用いて厳重に警戒をしているけど、未だに見つかっていない。残念ながら手がかりもなしだ」
これってギシュターヴ・マルローの逃走能力が高いの?それともこの国の兵が単純に探すのが下手なの?まあテロリストが今になって出て来たってことは、単純に相手の逃走能力が高いんだろうけど。
「そこでだ、未だに見つかっていない犯人、狙われているのはユリス達だ。それは理解しているかい?」
ヨル何とか王子がこちらを見ながら問うてきた。失礼な!それくらいは理解しているって!
「余り人数は割けないけれど、君たちに護衛を付けようと思うんだが、どうだろうか?」
「必要ない」「はい、お願いします」
「「……は?」」
星導館側を代表したのだろう、ユリスさんの答えと僕の答えが重なった。思わず顔を見合わせる。
「何を言っているの、日向……言っては悪いけれど、この国の兵たちよりも私たちの方が強いじゃない。護衛なんているだけ足を引っ張るだけよ」
オーフェリアさんが中々に辛辣なことを言っている。ヨル何とか王子もあまりの言い種に苦笑いしている。
「いや、だって僕戦うの苦手だし。モーリッツ君なんて、僕のことオーフェリアさんとかシルヴィの金魚の糞程度にしか思ってなかったからね?」
冒頭の十二人に入る時の決闘で言われたことだ。シルヴィはともかく、オーフェリアさんの金魚の糞は言い得て妙だと思う。『鳳凰星武祭』に優勝できたのは殆どオーフェリアさんの御陰だ。
「……モーリッツ・ネスラーには今度説教するとして、ならあなたは私と一緒に行動しなさい。そうすれば護衛は必要ないじゃない」
「あ、はい、分かりました」
僕の腕をつかみ、オーフェリアさんの身体に引き寄せられ睨みつけられるように言われたら、肯定するしかありません……僕は自分の命が惜しいんだ。
「そういうわけだ、兄上。護衛は必要ない。こいつも含めてだ」
「まぁ分かってはいたけど、突然必要と言われたら手配し直さなくてはならないところだったよ」
呆れた目でこっちを見るな。必要なものは必要っていうって小学生のころ習わなかったの?あ、王族って小学校とかあるのかな?そもそもリーゼルタニアに小学校とかあるのかどうかすら知らない。
「話はこれで終わりだ、皆お疲れ様。あぁ、ユリスと綾戸君は残ってくれるかい?」
退出していいといわれたので、ユリスさんと綾斗君を残して僕たちは部屋から出た。各自が自室に向かっていくので、その流れで僕も自室に戻ろうとした所、オーフェリアさんに腕を掴まれた。
「どこに行くの?」
「いや、特にこの後やることもないし、自室で寛ごうかと……」
「つまり暇なのね?」
「そうともいうね」
「なら、私に付き合ってくれないかしら?」
* * * * * * * * * *
雪が深々と降っているリーゼルタニアの街。昨日のパーティー、もっと言うなら凱旋パレードをやっていた国と同じ国とは思えないくらい、この国は困窮している。
雪が降る中碌な防寒具を着られず、おいてあるドラム缶に火をともし暖を取り、頬が痩せこけている人たちばかりだ。
「助けようと思っては駄目よ。辛いかもしれないけど、一人に手助けをすると全員を救わなくてはいけなくなる。今のリーゼルタニアには、そんな余裕はないわ」
「……うん、分かってる」
僕は正義の味方ではない。目に入るものすべてを助ける力も財力も無い。分かってはいても、どうしても罪悪感は拭いきれないものだ……
こちらを縋る様な視線を何とか振り切り、到着した先はユリスさんが大量の金を寄付した孤児院だ。
オーフェリアさんは無意識に毒を放っており、それを抑えることはできない。短時間ならともかく、長時間それを吸ってると体調に異変をきたしてしまう。
僕?僕は実家の関係で毒には慣れているからある程度は我慢できる。それに常に星辰で体を常に覆っているからオーフェリアさんが無意識にはなっている程度の毒ならば防げる。戦闘中の毒?無理無理、二回気絶してることから分かるでしょう?
「あのー……すいません」
オーフェリアさんは外で待っていて、孤児院を訪ねたのは僕だ。
「あらあら、貴方は……」
「えっと、初めまして。花園日向って言います」
「ええ、知ってますよ。オーフェリアと鳳凰星武祭で優勝して、オーフェリアを解放してくれて、ありがとうございます……!」
瞳に涙をにじませながら、出てきたシスター風の女性は頭を下げている。扉の陰でそわそわしている子供たちも、こちらの様子が気になっているようで
「すっげー!本物だ!」「ねぇねぇ、オーフェリアは?」「小っさ!小っさ!ホントに高校生かよ!」
僕に群がる子供たち。揉みくちゃにされるのは分かってました。ちょっと、シスターさん?止めてくれないんですか?
「こーら、そこら辺にしてあげなさい、日向さんが困ってますよ」
はーい、という返事をすると、皆が僕から離れて行ってくれた。この子たちシルヴィよりも強いんじゃなかろうか?
「それで日向さん、オーフェリアはどちらへ?」
「オーフェリアさん?外で待ってますよ」
シスターと子供たちをオーフェリアさんが待っていた場所まで案内する。久々の再開だがオーフェリアさんの発する毒のことを考え、話せる時間はごく限られていた。
双方それは理解しているが、やはり感情と理性はは別物だ。哀しそうな表情を浮かべながら、シスターたちは孤児院の中へ戻っていった。
「……ねぇ、少しついて来てくれるかしら?」
オーフェリアさんに手を引かれ湖畔沿いを歩き続ける。森に入ったと思ったらすぐに更地に出て来た。更地に出てきたというよりも、盛だった場所が更地になったと言うべきか……
「オーフェリアさん、ここは?」
「ここは私とユリスが最初に再会した場所、そして、ここをこんな風にしたのは私」
「…………」
「……ねぇ、日向」
「どうかしたかい?」
オーフェリアさんは躊躇いがちに指をもじもじとさせ、やがて顔を上げてこちらを見据え、
「貴方って『戦律の魔女』が好きなの?」
久しぶり過ぎてヤバい、感覚忘れとる
なぜこれを投稿したかって?そりゃこれが一番楽だからだよ
その場のノリで書いてるから設定継ぎ足し継ぎ足し出来るしな。そうすると、大体駄作が出来上がるんですけどねwww
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