ハイスクール・クロニクル (いるふぃ)
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オリキャラ設定&用語

暁 朔夜(あかつき さくや)/ルーガ・ルキフグス

 

【挿絵表示】

 

身長:168cm

体重:58kg

誕生日:5月21日

種族:ハーフ悪魔

本作の主人公。駒王学園高等部2年生。

基本的に「朔夜」と呼ばれることが多いがごく稀に「ルーガ」と呼ぶものがいる。

両親は幼い頃に他界しており、現在はとあるドラゴンと一緒に暮らしている。

体格は逞しく引き締まった体型。

神滅具「時空龍の籠手(クロニクル・ギア)」の所有者。

決めセリフは「ここからは、俺がお前の運命をジャッジする」

 

趣味・嗜好

ゲームが大好きで、ゲームセンターのクレーンゲームやアーケードゲームをほとんど遊び尽くしており、自身を「天才ゲーマー」と自称するほど。

ラムネが好物。

 

性格

日中に活動することを嫌い、そのため気だるいような様子を見せることも多いがその実かなり熱血なところがあり、妹や後輩などに対する面倒見も良い。 

また本人は無自覚だが即座の決断力やそれを実行に移す胆力なども備わっている。 

仲間思いで友人や家族が危険な目に遭いそうになるとなりふり構わず助けに行く。 

自身を取り巻くさまざまな事件を通してロスヴァイセから好意を寄せられているが、彼女の気持ちに気づかない鈍感な面がある。

 

対人関係

両親からは大切にされており、自身も「最高の親」と語るなど家族仲は非常に良好。

妹の暁 朔音のことを大事にしている。それ故か異性交遊については過敏になるなど、若干シスコンの気がある。

ヴァーリと初めて戦った際に妹を殺すと宣言された時には、初めて明確な殺意を抱き、暴走寸前まで力を引き出した。

相棒であるクロノスとも確かな信頼関係を結んでいる。

なお歴代時空龍神ではクロノスへ語りかける頻度が最も多いらしく、きちんと一つの存在として認識していることを感謝されている。

 

周囲からの印象・評価

暁財閥の当主「暁 弦十郎」からは「暁の名を汚した男」と非難されている。

妹の暁 朔音からは「面倒見のいい兄」と評され、アーシアたち外国人の転校生に親切にしていることもある。

同じルキフグス家のグレイフィアからは「冥界を背負えるほどの逸材」して大きな期待を掛けており、いずれ魔王になってほしいと思われている。

 

学力・特技

偏差値が高く、入学も難関といわれている駒王学園に入学できたのは、「妹と同じ学園に行くため」という理由からシスコンによる猛勉強をした成果が実を結んだためであるが、もともと学力は高い。しかし、朝方が苦手なためかサボることが多いため、課題が多い。

唯一数学が得意で、期末テストも数学だけ90点以上取る。しかし、他の科目でも70点近く取るなど、勉強ができない訳ではない。

 

能力・使用技

中学の頃までバスケ部に入っていたこともあってか運動神経は良く、人間離れした身体能力を持つ。

単純な魔力砲撃しか能力がなく、戦闘では近接での肉弾戦が主体である。

一方で不屈の精神の持ち主で、例え大量出血しようと心臓が貫かれようと、仲間のために立ち上がる。そのため、「時空龍の籠手」と相性がいい。

命を削る覇龍とは違ったアプローチで力の向上を模索し始め、従来の時空龍神とは違う驚異的な成長を見せる。それは「歴代でも最も危険な時空龍神」として敵対する「禍の団」に脅威を与えるなど、冥界・天界のみならず他勢力からも注目されている。

 

クロニクル・サクリファイス

魔力を手に纏わせ刃の形にして敵を切り裂く技。

丸鋸型の魔力刃を放つバージョンも存在する。

 

クロニクル・レクイエム

無数の魔力弾を相手の周囲に配置し退路を断ち、それらを一斉に相手にぶつける技。 

 

クロニクル・ジャッジメント

強力な魔力砲撃を周囲にばら撒くように放つ。

 

クロニクル・クルセイド

足元に魔力を蓄え、回し蹴りを繰り出す。

 

弱点

弱点としては、サポートも多少できるとはいえかなり純粋なパワータイプであるため、テクニックタイプのハメ技に非常に弱いということ。また、神滅具の力に頼りすぎているところがあり、時間干渉を受けない特異点相手には圧倒的に不利。

ハーフ悪魔とはいえ悪魔なので光や聖なる物品も当然弱点。また「時空龍の籠手」の影響で龍殺しの力も弱点である。

妹に非常に弱い。

 

時空龍の光刃(クロニクル・エッジ)

所有者:暁 朔夜

声-諏訪部順一

「時空龍神」クロノスの魂が入った光刃。神滅具の一つ。不死身の悪魔「ディアボロス」に唯一対抗できる伝説の神滅具。「時間」のみと「2種類以上の能力をあわせ持つ」特徴がある神滅具とは思えない神滅具だが、この神滅具にとってはこれだけで十分である。

その能力は「Stop The Time」と言う掛け声で時間を静止させ、「Restart」と言う掛け声で再び動かすことが可能。

停止できる時間に制限はない。

止まった時の中で死を迎えた者は死という瞬間のまま永遠に止まり続ける仕様になっている。

即ち、”終わりのない終わり”という『死』をもたらせるということである。時間停止中にクロニクル・サクリファイスを受け倒されたラリカはディアボロスにも関わらず復活できず、断末魔も上げることなく“死亡”している。 

さらに、時間経過で防御力が上昇し、攻撃を与えるごとにパンチ力・キック力を倍加させる機能があり、戦いが長引けば長引く程更に強力になっていく。 

その上、禁手「時空龍の鎧」は攻撃を安全に受け止められる為、他の能力と併せると倒すどころかダメージを与える事すら非常に困難である。 

神器に封じられた際にクロノス生前の能力の1つに「初期化」という力があり、朔夜の成長によりそれも発動させることが可能となった。これは「Reset」の掛け声で発動し、触れたものを初期状態に巻き戻す。例えば「赤龍帝の籠手」で倍加した自身の能力を初期状態に戻す、倍加したことをなかったことにする。恐ろしい能力であり、その気になれば「赤龍帝の籠手」 の誕生すらなかったことにすることも可能らしい。

しかし、この神滅具を動かすには所有者が特異点でなくてはならないため、扱えるものはごく限られている。

さらに、時間干渉を受けない特異点と他者が籠手に触れている場合は影響を受けず、時間停止されない。

朔夜は元々特異点であるため、この神滅具を使うことが出来る。

戦いを重ねるうちに右腕に別の籠手が現れる。両腕の籠手が揃って初めて完全な神器として機能する。

イメージモデルは仮面ライダークロノス。(もしも仮面ライダークロノスが正義側だったら?をイメージしてます。)

 

 

暁 朔音(あかつき さくね)

3サイズ:73/53/76

身長:158cm

体重:46kg

誕生日:9月10日

種族:人間

朔夜の従妹。

現在は両親に捨てられたため、実質的に朔夜とイシュタルの3人暮らしである。そのため、家事をほぼ単独でこなせ、特に料理の腕は高い。性格は人懐っこくとてもおしゃべりで、気に入った相手に対しては感情が昂ぶると、相手が圧倒されるほどまくし立ててしまう。朔夜やイシュタルを「ルーガくん」「イシュタルちゃん」と名前で呼ぶ。

朔夜のことを悪魔と知っている人物の一人。

両親に捨てられた理由は「魔力が非常に乏しかった」ことと「女であった」ため。5歳年齢の離れた姉がおり、姉は魔術師であり、姉に憧れを持っていた。しかし、暁家が代々受け継いできた魔術を受け継ぐ際に、魔術をコントロール出来ず死亡してしまう。

その後、両親に処分されそうになったところを朔夜に助けられる。

朔音にとって朔夜は「自分を救ってくれた正義の味方」であり、唯一の家族でもある。

その後、朔夜と放浪生活を送っていくうちに、イシュタルと出会い、彼女に朔夜と一緒に拾われる。

一様、基本的な魔術は出来るものの魔力が他の魔術師に比べて乏しいため、一定の魔力を使うとすぐに倒れてしまう。しかし、イシュタルは「魔術師として育てれば必ず最高の魔術師になれる才能を持ってる」と豪語している。

イシュタルの手解きもあってか拳法を扱い戦うことも可能で、兄に負けず劣らずの強さを誇る。

兄と同じくゲームが大好きで、時々兄とゲームセンターで遊ぶ。

 

 

イシュタル

3サイズ:不明

身長:170cm

体重:不明

種族:ドラゴン

女神の名を持つドラゴン。朔夜と朔音の育ての親。普段は人間体で過ごしている。容姿は黒髪・碧眼・スレンダーな体型。司る色は金と赤。性格は自分にも他人にも厳しく冷徹であろうとするが、基本的には姉御肌でつい他人の世話を焼いてしまうお人好し。 

朔夜と朔音に戦い方(主に接近戦)を教えた師でもある。主に接近戦での戦闘を得意としており、中国拳法のほとんどの門派を扱える。接近戦に特化しているため、遠距離戦は不得意に見られがちだが魔術も扱えるという、朔夜曰く「なんでもありの女神」。朔音にとっては魔術の師でもある。

しかし、機械に弱い。ケータイを触らせると必ず壊す。

 

ルキア・ユイ

3サイズ:88/56/86

身長:167cm

体重:58kg

誕生日:1月2日

種族:人間(?)

朔音と変わらないくらいの年齢の少女。長いダークブラウンの髪に青い瞳、混沌龍の光輪(カオス・クリエイト・ユナイテッド)の所有者。

幼少期から暗殺者として育てられた。暗殺では主に銃を好んで使用していた。理由は「使いやすく、かっこいいから」らしい…。

暗殺者として育ってきたためか、身体能力は朔夜より上で彼女もまた人間離れした身体能力の持ち主。

無口で無愛想で無鉄砲な性格で「機械のような少女」と呼ばれることも。常に丁寧語口調で、相手を呼ぶときは常にフルネームである。

無口ではあるが、動揺し取り乱す場面や、感情的な行動も多く見られる。 また重度の中二病。

また幼い頃から暗殺者として育ったため一般人と接する機会が少なかったせいか空気が読めないことや羞恥心に関しては全くない。

注射が大嫌いで、普段からは想像もつかないほど絶叫する。彼女曰く「死ぬほど痛い」。

冷静で的確な判断能力の持ち主。障害になると判断した者は、かつての恩人や味方ですら殺したことが何度かあった。 

好物はたい焼き。本人は生きてる鯛にあんこを入れて焼いているのだと本気で思ってる。

 

 

 

混沌龍の光輪(カオス・クリエイト・ユナイテッド)

所有者:ルキア・ユイ

「混沌龍」ケイオスの魂が入った光輪。神滅具の一つ。

時空龍と対になる存在。不死身の神魔族に対抗できる数少ない神器の一つ。

「空間」と「創造」の力を宿している。

「Silencio」の掛け声で空間のつながりを自在に操り、 遠く離れた異空間へも自由に行き来することが出来る。  

禁手は「混沌龍の光鎧」で「混沌龍」の力を具現化させた青い鎧。背中に光輪と共に4枚の天使のような翼が現れる。

この状態では「Genesis」の掛け声で異空間を創り出したり、空間を歪めて新世界を創造することも可能。

他者を異空間に閉じ込めて置くことも可能で閉じ込められた者はルキアでもどうなるかわからないらしいが、ケイオス曰く「暗い闇のなかで生を終える」と語っている。

 

暁家

名門の魔術師一家。宝玉を使用した魔術が得意。

冷酷な性格の持ち主が多い。暁財閥という世界企業の会社がある。

 

暁 神人(あかつき かみと)

暁 朔音の父親。冷酷な性格の持ち主。暁家の中で2番目に魔術の腕がいいとされている。朔音を捨てた張本人で、娘のことでさえ道具と考える。人工神滅具「時空龍の閃光銃剣」を扱うために神魔族の血を引く適合手術を受けている。そのため、仮面を破壊しない限り不死身の存在となっている。

 

暁 神音(あかつき かのん)

暁 朔音の母親。夫の幼なじみで神人と性格が真逆で心優しい性格。

 

暁 弦十朗(あかつき げんじゅうろう)

暁 朔夜と朔音の祖父。暁財閥の現・当主。朔夜が最も嫌う人物。朔夜のことを「暁の名を汚した男」と評している。

朔夜の母親を殺した張本人。

子供に対する愛情は殆ど抱いておらず、道具の一部としか見ていない冷酷な性格の持ち主。

朔夜の持つ「時空龍の籠手」を奪うためにはぐれ神魔族と手を組むがはぐれ神魔族でさえ道具の一部としか見ていない

 

 

・神魔族(ディアボロス)

異世界の悪魔。いわゆる 『悪魔のような』 風体に変わり果てた人間。

氏族ごとに異なる特徴的な仮面で表情を隠しているが、この仮面こそある意味ディアボロスの本体だろう。

仮面が壊されない限り、神魔族は死ぬことのない不死の存在。しかし、時空龍の籠手と混沌龍の光輪は仮面を破壊せずとも神魔族を倒すことが可能。

下級の神魔族でもD×D世界の上級悪魔に匹敵するほどの力を持っている。

 

・人工神滅具

暁財閥が開発したシステム。発案者は暁 神人。

 

時空龍の閃光銃剣(クロニクル・ドラゴン・ブラスター・セイバー)

主な所有者:暁 神人

暁財閥が開発した人工神滅具。

現時空龍の朔夜から奪い取った「時空龍の籠手」の宝玉を使用して作り出した。

ガンモードとソードモードが存在し、ガンモードの銃口から放たれる砲撃は悪魔が苦手とする光のビームで、かするだけでも大ダメージとなる。

ソードモードでも、光の刃を伸ばし、敵を断ち切る。断ち切られたものは粉々になる。

禁手は「時空皇帝龍の閃光銃剣」。金と黒の全身鎧。

しかし、この人工神滅具は「とりあえず禁手できてしまうが、適合しているか否かを判別する機能が無い上に、不適合だった場合は禁手解除後に死に至る」という致命的な問題点がある。この人工神滅具は純血神魔族、神魔族の血を受け継ぐハーフ神魔族しか使用できない仕様になっている。暁 神人が使用できたのは神魔族の血が身体に流れていたから。一様、人間や悪魔やその他の種族でも使用は可能だが、上記の通り、一度使用すると使用者は死に至る。

このような使用者の命を省みない危険性から、時空龍の閃光銃剣は「呪いの人工神滅具」とも形容されている。 




物語が進むに連れて更新予定。


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第0章 時空龍覚醒
1話 審判の刻


駒王学園に入学してから2年経ったある日のことだった。俺、暁 朔夜は身体に異変を感じていた。
気になった俺は育ての親のイシュタルちゃんに相談した。するとイシュタルちゃんはこう言った。
「あなたの体には神器が眠っている。それが何かまではわからない」
神器?なんだそれ?俺はよくわからないまま普段通り学園生活を送っていた。
そしてある休みの日、何かに引かれるように公園をうろうろしていると、黒い羽が生えた女に駒王学園の生徒が殺される瞬間を目撃する。
そして次第に左手が疼きはじめた。


俺の名前は暁 朔夜。こう見えてもハーフ悪魔である。両親は幼い頃に他界して今は自称女神のイシュタルちゃんのとこで暮らしている。

俺は駒王学園の生徒だ、もうこの学園に入学して2年経った。時ってのは経つのがあっという間だ。あー。ダルい。ダルい。朝方はやっぱりダルい。これも悪魔の体質のせいか?

 

いや、俺の問題か。俺には一人の妹がいる。

名前は暁 朔音。俺たちは異父兄妹だ。朔音の父親は暁財閥の当主。

両親が忙しいがために俺に預けて、ほったらかしの状態である。全く、親が聞いて呆れる。

 

「ルーガくん!朝ごはんできたよー」

 

妹が朝食の準備が出来たと俺を呼ぶ。ルーガってのは悪魔名の俺の名だ。

悪魔としての俺の名はルーガ・ルキフグス。まぁ、悪魔とかの事情はよく知らないんだが。

 

「あぁ、今行く。先に食べててくれ」

「早くしないとスープ冷めちゃうよー!いただきまーす!」

 

俺は服を着替え、リビングへ行く。

今日も妹が元気で何より。俺も朝食食って早く学校行かないとな。

 

朝食を終えた俺たちは駒王学園へ向かう。

 

「なぁ、朔音。学校はどうだ?もうだいぶ慣れたか?」

 

「うん!友達もたくさんできたよ!ルーガくんは?」

 

「俺か?あぁ…まぁそこそこ」

 

嘘である。正直学園に行くのはかなり久々である。

1年の頃はほとんど学園サボって先生に怒鳴られたっけか。

妹が入学するとなるともう休めん。

 

とは思ったものの、正直誰が誰なのかさっぱりだ。

当然、俺に友達と呼べるものはいない。そう、ボッチである。

 

「じゃあルーガくんまた放課後にねー!」

 

妹を教室まで送ったあと、俺は自分の教室に向かう。

席に座り外を見るとまた兵藤たち3人が女子どもに追いかけられている。

あいつらも懲りないな。

 

兵藤を見ていると突然身体に異変を感じる!

何だ…!左手が疼く……。今までこんなことなかったのにな。

 

――――――――――

 

放課後、妹を向かいに来た俺。

「ルーガくん、今日はちゃんと最後まで学園に居たんだね!」

「いつも一緒に帰ってるだろ。てか今日はって何だよ。とにかく帰るぞ」

 

俺は妹と一緒に家に帰っていた。

その途中、兵藤を見かけた。

ん?誰かと一緒だな。

兵藤は俺の見知らぬ学生服を着た少女と一緒にいた。

何か驚いてるな。

すると妹が言う。

「あれ兵藤くんだよね?誰だろあの子?知らない制服だけど、どこの学校だろ?」

「さぁな?それにしても兵藤が女と一緒にいるなんてな。珍しいこともあるもんだ」

「本当だね~。今日のルーガくんみたい」

「だから最近は一緒に帰ってるだろうが!」

すると再び、左手が疼く!

またか!妹が近くにいるってのに!

「ルーガくんどうかした?顔色悪いよ?」

「心配すんな…。少しお腹痛いだけだ。早く帰るぞ、イシュタルちゃんが待ってる」

 

何とか誤魔化して俺は家に帰った。

 

そしてその晩。

俺はイシュタルちゃんにこのことを伝えた。

「なるほど。左手が疼くねー…。いつ頃から?」

「今日から突然だ」

「ふーん…。で、どんな状況で疼くの?まさかずっとじゃないでしょ?」

「そうだな…。俺のクラスに兵藤ってやつが要るんだが、そいつが近くに来ると疼くんだ」

「まさかあなたゲイなの?」

「んなわけあるか!はっ倒すぞ駄女神!!」

大爆笑するイシュタルちゃん。ったくこの人の冗談は度が過ぎる。

爆発するイシュタルちゃんに俺は言う。

「で!どうなんだよ!何か知らないのか?いつまでも笑ってんじゃねぇよ」

「ゴメンゴメン…!あまりにいいノリ突っ込みだったからツイ!で、あなたの疼きの原因だけど、恐らく神器(セイクリッド・ギア)のせいでしょうね」

せい……なんだって?

俺が首をかしげるとイシュタルちゃんは言う。

神器(セイクリッド・ギア)っていうのはね。不思議な能力を所持者へ与える異能の一種よ。まぁそのうちわかるわ。あなたがその兵藤くんが近づくと疼くってことは彼も神器(セイクリッド・ギア)を宿しているってことでしょうね。まぁ残念なことにどんな能力なのかはわからないわ」

兵藤が俺と同じ?その神器(セイクリッド・ギア)ってのを宿している?

「どうやったらそのせい何とかは使えるんだ?」

「いいわ、教えてあげる」

俺はその晩、イシュタルちゃんに神器(セイクリッド・ギア)について教わった。

 

お陰様で寝不足になったが……

 

 

――――――――――

今日は休みの日であった。

 

暇だなー。

 

そう思っていると……

 

『解放しろ……』

 

頭の中に声が聞こえた。

 

誰だ!

 

その一言のみで声は聞こえなくなった。

 

俺は暇潰しにゲームセンターに向かった。

アーケードゲームにクレーンゲーム。

遊びまくったが気がつけば財布が空だ。はぁ~。帰るか……。

 

帰る途中、近くの公園をうろうろしていると、黒い羽を生やした女がいた。

 

目の前には誰か倒れている?俺はその顔を見ると……。

 

 

「兵藤!!!」

 

俺はあまりの驚きに声をあげて名前を叫んだ。

すると女がこちらに振り向き言う。

 

「おや?人間が1人紛れ込んでいたようね」

俺は女に言う。

「テメェ何もんだ……?人間じゃねぇことは確かだよな?」

「あなたが知る必要はないわ。だってここで死ぬんですもの……」

 

女が手から光の槍を出現させる。

「見られたからには死んでちょうだい……」

 

女は光の槍を俺に目掛けて投げる!

殺される……!?

こんなとこで殺されて……たまるかぁぁぁ!!!!!

 

そう想った時、左手が光だした!!

 

 

 

『Stop The Time』

 

 

気がつくと目の前で槍が止まっていた。

辺りを見回すと、女も静止していた。女だけじゃない、葉っぱも、噴水も、何もかもが静止していた。

 

『当然だ、ここは止まった時の中』

誰だ!その声…昼間俺に語りかけたときの!

『いかにも。私の名前はクロノス。時空を支配するドラゴンだ。現在は君の左腕にある籠手に魂を封印されている』

籠手…?俺は自分の左腕を見ると、そこには緑色の龍の籠手があった。

『そう、それが今の私だ。よろしく頼むよ、ルーガ・ルキフグス。君が特異点で良かった』

特異点?何だよそれ。

『細かい話は後だ。今はここから退散しろ。話はそれからだ』

でも兵藤が!

『無駄だ。あの男はすでに死んでいる。助けても無駄だ』

くっそ……!俺はまた見捨てるのか……!

 

俺はそのまま無我夢中で走って逃げた!

そして家の近くにたどり着いた。

すると……

『Restart』

音声のあと、静止していた全てのものが動き始めた。

 

今度は動いてる……?

『我が神器(セイクリッド・ギア)時空龍の籠手(クロニクル・ギア)の能力はあらゆるものの時間を静止させる。例えそれが神であってもだ』

 

クロニクル……ギア。それが俺の神器(セイクリッド・ギア)!?

 

 

ここから俺の物語は始まるのであった!




次回

「堕天使と聖女」


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2話 堕天使と聖女

あれから数日が過ぎた。

 

イシュタルちゃんや朔音には神器のことは話した。

二人は対して驚くこともなく朔音にいたっては「ルーガくん凄いよ!」と褒めてくる。

俺はイシュタルちゃんにあの事を話した。

そう、兵藤一誠が黒い羽の女に殺されていたことを。

イシュタルちゃんはこう言った。

 

「恐らく、そいつらは堕天使ね。何かの目的で兵藤一誠くんってのを殺したんでしょう。でも、もったいないわね…アザゼルに言えば興味を持ったでしょうに…」

 

「アザゼル…聞いたことあるぞ。確か堕天使の総督だったっけ?」

 

「えぇ。ルーガくん以外と詳しいわね」

 

「まぁ、一様親父が悪魔だったしな…てか、アザゼルが神器に興味を持つとはどういう意味だ?」

 

俺は不思議に思っていた。どうして堕天使の総督が神器に興味を持っていたのかを。普通なら危険分子は排除するべきだ。それなのにどうして…。

 

イシュタルちゃんは俺の質問にこう答えた。

 

「アイツは少し変なのよ。研究気質で…まぁ簡単に言うとマニアってことよ」

 

「堕天使の中にもそんなやつがいるんだな…」

 

「ルーガくんの神器とか見たら興味津々なんじゃないかしら?」

 

アザゼルか…。会えるなら一度会ってみたいもんだな。俺の神器について詳しく知りたいもんだ。

 

そして現在、俺はいつも通り学園に登校してるわけだが…

 

朔音が俺に言う。

「ねぇ、ルーガくん。あそこにいるの一誠先輩だよね?」

 

「あぁ…。そうだな。あれ?アイツ死んだんじゃ…」

 

間違いない、俺はあの時確かに見た。兵藤が殺される瞬間を。

 

でもアイツは生きてる。どういうことなんだ?しかも、兵藤の隣にいるのって…。

 

「ルーガくん。一誠先輩の隣にいるのってリアス先輩だよね?どうしてリアス先輩と一誠先輩が一緒に?」

 

「さぁ…?俺にもさっぱりだ」

 

俺たちが二人を見ているとリアス先輩が俺の方を見て、妖艶な笑みを見せた。

 

何だ?今の笑みは…?

 

「ルーガくん!今、リアス先輩こっち見て笑ったよね!?ね?ね?」

 

「あぁ、笑ってたな。何だったのかはわからないが…」

 

その後の休み時間。別のクラスの生徒、木場祐斗が俺の教室にやって来た。

 

「「「「キャー!木場くーん!」」」」

 

木場は女子に人気の生徒だ。いつも通り、女子が彼の周りに寄ってくる。

 

「暁 朔夜くんっているかな?」

 

一人の女子生徒が俺の方を見て言う。

 

「暁ならあそこにいますよ。あの銀髪の人です」

 

木場は俺の方へやってくる。

 

そして俺に言う。

 

「君が暁 朔夜くんかい?」

 

「そうだけど…。何か用かよ?」

 

「放課後僕たちの部室に来てほしいんだ」

 

「お前の部活って…。あぁ、オカルトなんとかって部活か。確か部室は旧校舎だったよな?」

 

「うん。部長が君のことを呼んでいるんだ」

 

部長が俺を?なんでまた俺なんだよ。

 

放課後。

 

俺は旧校舎に向かい、部室にたどり着く。

 

扉を開くとそこにいたのは、一人の白い髪の小さな女の子。

 

この子は確か…塔城小猫だっけか?

 

塔城は俺を方を向いて少し頭を下げる。

 

俺も彼女に頭を下げた。

 

「来たみたいね」

 

奥の方にいた赤い髪の女性が俺の方を見る。

 

リアス先輩がこの部活の部長だったとは…。驚きだ。

 

リアス先輩は俺に構わず続ける。

 

「ごきげんよう、暁 朔夜くん。私はリアス・グレモリー。以後、お見知りおきを」

 

「ご丁寧な挨拶どうも。俺は暁 朔夜。で、俺を呼び出した理由はなんだよ?」

 

「まぁ立ち話も何だからそこの椅子に座りなさい」

 

俺は椅子に座り、リアス先輩に言う。

 

「さて、呼び出した理由を聞かせてもらおうか?」

 

「もう少しでここに兵藤一誠が来るわ。彼が来てから理由を話すわ」

 

「わかった。なら兵藤が来るまで待つとしよう。その前に聞きたいんだが…リアス先輩。アンタ、悪魔か何かか?リアス・グレモリーってなんて名前外国の人の名前にしては少し独特過ぎるんじゃねぇか?」

 

「どうしてそう思うの?」

 

「いや、何。俺も悪魔なもんで。そのくらいは知ってる」

 

「へぇ~…。やっぱりそうなのね。あなたも悪魔なのね。それなら話は早いわ。あなたの言う通り私は悪魔よ。そしてここにいる人達もみんな悪魔よ。私の眷属悪魔よ」

 

マジかよ…。木場も塔城もみんな悪魔かよ…。ん?待てよ…だとしたら……。

 

「もちろん、今から来る兵藤一誠も私の眷属悪魔よ」

 

やっぱりか~……。なるほど。だいたい理解した。

つまり、兵藤が生きてる理由は悪魔に転生したからか…。

 

すると、部室の扉が開き兵藤が入ってくる。

 

兵藤は俺を見て言う。

 

「あれ?暁?なんでお前がここにいるんだよ」

 

「そこの先輩に呼び出されたんだよ。それにしてもお前が悪魔に転生してたとはな…」

 

「なんでその事知ってるんだよ!?」

 

「俺も悪魔なんだよ。そういや悪魔としての名前言ってなかったな。悪魔としての名前はルーガ・ルキフグス。番外悪魔のルキフグス家の出身だ。とは言っても母親が人間で父親が悪魔。俺はハーフ悪魔だ。」

 

それを言うとリアス先輩が驚いた表情で言う。

 

「ルキフグスですって!?」

 

「さすがに知ってるようだな。リアス先輩」

 

「えぇ…。まさかあなたがルキフグス家の血を受け継いでいるなんて…」

 

「まぁその話は後だ。俺をここに呼んだ理由はなんだ?」

 

リアス先輩は少し落ち着いたあと、俺に言う。

 

「単刀直入に聞くわ。あなた、兵藤一誠が殺される瞬間を目撃したわね?」

 

「あぁ。見た。それが何か?」

 

「偶然とはいえ、どうしてあそこにいたの?」

 

「言っても信じねぇかも知れねぇけど…、俺は何か引き寄せられる感じだった。気がついたら目の前で兵藤が死んでいた」

 

すると兵藤が俺に言う。

 

「お前あの時いたのかよ!」

 

「まぁ話を最後まで聞け。兵藤を助けようとしたとき、俺の中の神器が発動した」

 

俺は時空龍の籠手を発動させ、リアス先輩に見せた。

 

「これは一体どんな神器なの?私も初めて見るわ」

 

「時空龍の籠手って言うらしい。能力は単純だ。時間を止める」

 

「時間を止める?」

 

「あぁ、だが一つ欠点がある。これを動かせるのは時間の干渉を受けない特異点だけらしい。俺はその特異点だ。だからこの神器を動かせる」

 

「なるほど。じゃあ、あなたはその力を使ってあの場を生き抜いたと…?」

 

俺は頷いた。正直言って、あの場で戦えば面倒なことになる。そんなことになったら朔音にもイシュタルちゃんにも迷惑がかかる…。

 

「わかったわ。答えてくれてありがとう」

 

「じゃあもう帰っていいか?妹が家で待ってるんで」

 

俺は椅子から起き上がり、部室を出ようとすると…。

 

「帰る前に一ついいかしら?」

 

俺は立ち止まり、リアス先輩の方を振り替える。

 

「あなた、オカルト研究部の部員にならない?」

 

「………考えておく。それじゃあ」

 

俺はそう返答し、家へ帰った。

 

 

家に戻ったあと、イシュタルちゃんにこのことを話した。

 

「ふ~ん。まさかルーガくんの学園にグレモリー一族の娘がいるなんてね。じゃあ、兵藤くんを襲った堕天使は相当ヤバいとこで危ないことしてるようね」

 

「どういうことだ?」

 

「あの堕天使相当危ないことしてるわよ。下手すればまた戦争……なんてこともあり得るわ。確か…神器を奪うとか何とか言ってたわね、とにかく監視した方がいいわ」

 

「神器を奪うだと!?それをすると所有者はどうなる?」

 

「100%死ぬわね」

 

「なんだと!?」

 

「まぁ、グレモリー一族の娘も今は様子見って所でしょう。今はなにもしない方がいいわ。それよりルーガくんは神器の使い方をマスターしなさい」

 

 

 

イシュタルちゃんと話し合ったあと、俺は自分の部屋に戻り、神器を発動させた。

 

なぁ、クロノス。聞きたいことがある。

 

『何かね?』

 

お前の力をマスターするまで俺はどれくらいかかる?

 

『難しい質問だな。君次第だが、私を一番上手く扱えた者は1年で私の使い方をマスターした』

 

一年か……もっと早くは無理か?

 

『それは君次第だ』

 

そっか……。なぁ、クロノス。時間静止以外には能力はないのか?

 

『そうだな。隠れ能力と言うべきだろか?時間経過で防御力が上昇する能力や攻撃を与えるごとにパンチ力・キック力を倍加させる機能が一様ある。しかし、あるものは強くなりすぎて体を壊した』

 

時間経過で防御力上昇、攻撃すればするほど力が倍加する…それってかなり強くないか?

 

『そのぶん私を扱えるものは限られている。そもそも特異点しか私を使えない。そういう意味では他の神器の方が誰でも扱えて強い。それに、宿主の身体能力が弱かったら私が目覚めたと同時に死ぬ』

 

死ぬ!?どういうことだよ!

 

『そのままの意味だ。私の能力は強すぎるが故に所有者がその力に耐えきれずに死ぬ。君は運がいい。元々身体能力が人間離れしている。だから私が目覚めても死なずに済んだ』

 

なるほどな。そういやイシュタルちゃんから聞いたんだけど、神器は宿主の思いで動くんだよな?

 

『その通りだ。思いが強ければ強いほど強くなる』

 

わかった。じゃあ少し荒事に付き合ってくれるか?クロノス。

 

『何をするつもりだ?』

 

暁家はな、以外と宝玉を使った魔術が得意でな。

これを使った新しい俺だけの魔術を作る!

 

『ほう。面白い。それなら付き合おう。だがしかし、覚悟はいいか?』

 

心配すんな!痛いのなら今まで散々我慢してきた!

 

『いい覚悟だ!では私も覚悟を決めるとしよう!』

 

俺はこの日から神器を上手く扱うための特訓が始まった!

 

 

[朔音 side]

私の名前は暁 朔音。訳があって今はルーガくんとイシュタルちゃんと一緒に暮らしてるの。

 

昨日からルーガくんが部屋にこもって出てこなくなっちゃった…。

イシュタルちゃんに言っても「そっとしておきなさい」って言って…。ルーガくん大丈夫かな…?

 

私は初めて一人で学園に登校していた。

 

登校途中、私は一人の女の子に出会った。

私と同じくらいの身長の女の子はどうやら道に迷ってる感じだった。

 

「ねぇ!どうかしたの?周りキョロキョロしてるけど?道に迷ったの?」

 

「えっ!?あっ…その………はい……」

 

「じゃあ私が案内してあげる!どこ行きたいの?」

 

「教会に…」

 

私はその子と一緒に教会に向かった。

 

「もしかしてシスターさんなの?」

 

「はい!今日からこの町に」

 

「そうなんだー!あ、この道を真っ直ぐ行けば教会に着くよ!」

 

「ありがとうございます。日本に来て貴女のような親切な方に出会えてよかったです。私はアーシア・アルジェント。アーシアと呼んでください」

 

「私は暁 朔音。朔音でいいよ!アーシアちゃんまた会ったら遊ぼうね!」

 

「あの…!よかったら教会に来ませんか?お礼もしたいですし…」

 

「ごめーん!私これから学校なんだ!また今度ね!」

 

そう言って私は走って学園に向かった!それもそのはず!だって早くしないと遅刻しちゃうもん!

 

ギリギリ授業に間に合った私はそのまま何も変わらず授業を受けていた。

 

アーシアちゃん……また会えるかなー…。

そんなことを考えながら授業は全て終わり、私はいつも通り家に帰ろうとしていた。

階段を降りる途中、私は兵藤一誠くんとばったり会った。

 

「こんにちは、兵藤先輩!」

 

「こんにちは、朔音ちゃん。今日朔夜のやつ来てなかったけど風邪か何かか?」

 

「あ、いえ!そういう訳ではないです!ただのサボりです!」

 

「そっか。ありがとう。じゃあ朔夜に伝えておいてくれ、あんましサボるんじゃねぇぞって!」

 

兵藤一誠くんはそのままどこかへ行ってしまった。

 

そして私は家へと帰ってきた。

 

「あ、朔音ちゃんおかえりー」

 

イシュタルちゃんが出迎えてくれた。

 

「イシュタルちゃん、ルーガくんはまだ部屋から出てこないの?」

 

「そうねー…。あれからずっと出てこないわ。呼び掛けても修業の邪魔だの何だのって言うばかりで…」

 

「もー!このままサボってばかりだとまた課題やらされちゃうよ!」

私は少し怒り気味で言った。

ルーガくん!絶対明日は学園に行ってもらうんだから!

私はルーガくんの部屋の前に立ち、叫んだ!

 

「ルーガくん!いい加減に出てきなさい!」

 

「朔音か?悪い、もう少しで終わるからリビングで待っててくれ」

 

ルーガくんのもう少しって長いんだよね!もうこうなったら突撃!

 

私は強引に扉を開けた!

 

「ルーガくん!サボってるとまた課題やらされちゃうよ!!」

 

目の前にいたルーガくんは座りながら左手に神器を発動した状態で何やら丸い玉を持っていた。

ルーガくんが不機嫌そうな顔で言う。

 

「勝手に入ってくんなよ…。あと少しで終わるって言ったろ?」

 

「ルーガくんそれってもしかして…?」

 

「ん?ああ、これか?宝玉だ。朔音も知ってるだろ?宝玉魔術。あれをこの神器を使ってオリジナルの魔術がつくれないかと思ってな」

 

オリジナルの魔術?そんなことが可能なの?

すると、ルーガくんは一つの宝玉を私に渡した。

 

「これ持ってろ。お守りだ。お前の身に危機が迫った時、必ずこれが守ってくれる」

 

「あ、ありがとう…」

 

ルーガくんは起き上がり、私の頭を撫でながら言う。

 

「心配かけて悪かったな。明日からはちゃんと学校に行くさ。……ってもうこんな時間か。夕飯、今日は一緒に作るか!」

 

「うん!」

 

 

[朔音 side 終]




次回


「拐われた朔音」


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3話 拐われた朔音

[朔音 side]

休みの日。私は気分転換に町を散歩していた。

最近のルーガくんなんだか変だなー…。

 

せい何とかってもの持ってから休みの日はいっつもイシュタルちゃんと修業修業ばっかで全然私とゲームで遊んでくれない!

 

「朔音さん…?」

 

自分の名前を呼ばれた気がした私は「はい?」と振り向いた。

 

「やっぱり朔音さんですね!」

 

「もしかしてアーシアちゃん!?」

 

私の前にいたのは金髪のシスター、アーシアちゃんだった!

 

「こんなところでアーシアちゃん何してるの?」

 

「あ、その…散歩です!この町をもっとよく知りたくて」

 

「そうなんだー。じゃあ私が案内してあげるよ!」

 

「本当ですか!?」

 

こうして私はアーシアちゃんに町の案内をした。

色々な場所で買い物したり、食べたりと何だかデートをしている感じだった。

 

今、私とアーシアちゃんはゲームセンターに来ている。

ゲーム好きの兄の影響で私もゲームは大好きだった。

UFOキャッチャーで遊んだり、アーケードゲームをしたりしてたくさん遊んだ。

 

ゲームセンターを出ようとしたとき、アーシアちゃんはあるUFOキャッチャーの前でじっと止まった。

 

そのUFOキャッチャーを見てみるとそこにあった景品はラッチューくんのぬいぐるみがあった。

 

「アーシアちゃんはラッチューくん好きなの?」

 

「え!?いや、その………はい…」

 

アーシアちゃんは照れくさそうにそう言った。

よし!ならこの朔音ちゃんに任せなさい!!

私はUFOキャッチャーの機械にお金を入れ、機械を操作し、ラッチューくんを見事GET!!

 

ラッチューくんをアーシアちゃんに渡した。

「ありがとうございます朔音さん!このラッチューくんは一生の宝物にします!」

 

「大げさすぎるよー。照れるな~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう……今日だけの……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か言った?」

 

「いえ、何でもないです」

 

その後、私は噴水広場のベンチで座っていた。

 

「今日は楽しかったね~!アーシアちゃんはどうだった?」

 

「はい!こんなに楽しいのは生まれて初めてです」

 

「よかった~」

 

すると一人の女性が私たちの前に現れる。

 

「み~つけた」

 

誰だろこの人?アーシアちゃんの知り合いかな?

私はアーシアちゃんの方を見ると、見るからにアーシアちゃんは震えていた。

 

「ラリカ様……!?」

 

「全く……逃げるなんて酷いじゃない。レイナーレも激おこぷんぷんよ?さぁ早く帰りましょう?」

 

「嫌です!人を殺めるところへは戻れません!」

 

人を殺める?つまりアーシアちゃんは悪い人たちから逃げてきたってこと?

 

「すいません朔音さん、私……」

 

「大丈夫だよ。アーシアちゃんは悪い人たちから逃げてきたんでしょ?だったらここから逃げよう!!」

 

私はアーシアちゃんの手を握り、必死に走った!

 

 

 

[朔音 side 終]

 

 

 

 

イシュタルちゃんと修業を終えた俺は家へと帰ってきた。

 

「朔音~!今帰ったぞ~!」

 

しかし、朔音からの反応はなかった。

あれ?出掛けてるんか?

靴を見てみると、朔音のだけなかった。

やっぱりどこかに出掛けてるのか。

 

「もしかしたら買い物にでも行ったのかもしれないわね。少しの間待ってみましょ?」

 

「そうだな。とりあえず風呂入るか……。疲れた~…」

 

俺はそのまま風呂場へと向かい、風呂に入った。

 

風呂からあがるもまだ、朔音は帰ってこなかった。

 

「朔音のやつまだ帰って来てねぇのか?」

 

「えぇ。心配ね…そろそろ日も沈むころだし…」

 

それから俺たちは1時間、2時間と朔音の帰りを待った。

 

しかし、朔音は帰ってこなかった。

 

不安になった俺はイシュタルちゃんに言う。

 

「イシュタルちゃん、俺朔音を探してくる。こんな時間になって帰ってこないなんて何かあったに違いねぇ…」

 

「確かにそうね…。いくらなんでも遅すぎるわね…。でも気を付けるのよ?堕天使はまだこの町にいるわ。見かけても戦闘なんてことにならないように…」

 

「ああ、わかってる」

 

俺はそのまま家を飛び出し、朔音を探しに行った。

 

 

「さくねぇぇーーーーー!!!!」

 

俺は朔音が行きそうな場所を必死に探した。

 

しかし、朔音はいなかった…。どこにもいない…。

 

どこに行っちまったんだよ…。

 

俺はあることを思い出した。それはこの間、朔音が会ったというシスターの少女の話だ。

朔音は彼女のことを嬉しそうに話していた。

もしかしたらそのシスターの少女なら何か知ってるんじゃねぇか…?だけどその少女がどんな姿でどんな顔なのか俺にはわからねぇ…。

一体どうすれば……。

 

 

そう思った時だった。

オカルト研究部……。あいつらに聞けば何か知ってるかも知れねぇ…!

 

俺は急いで学園の方へ走った!

 

学園に着いた俺はオカルト研究部の部室に駆け込んだ!

 

 

「ダメなものはダメよ!」

 

入ると何やらお取り込み中であった。

 

「貴方は確か……暁くん?」

 

「………取り込み中のとこ悪い。お前らに聞きたいことがある!」

 

俺は朔音が行方不明になったことをオカルト研究部の全員に話した。

 

「なるほど。事情は大体わかったわ。そのシスターはもしかしたらイッセーが会った…」

 

「アーシアだ…。間違いない!」

 

アーシア?それが朔音が言ってたシスターの名前か?

 

「そのアーシアって少女は今どこにいるんだ!?」

 

俺はリアス先輩に突き詰めた。そして先輩は俺にこう言った。

 

「恐らく堕天使のところにいるはずよ…堕天使の目的が何なのかはわからないけど」

 

「その堕天使はどこにいる?」

 

「教会よ。……もしかして行くつもり?」

 

「当然だ…。朔音は俺の大切な妹だ」

 

それを聞いた先輩はある提案をする。

 

「それじゃあ私たちに協力してくれる?」

 

「何をすればいい?」

 

「私たちはこれから教会に向かうわ。貴方にはイッセーたちと一緒に動向してほしいの。私と朱乃は裏口に向かうわ。貴方とイッセー、子猫、祐斗は正面から向かってちょうだい」

 

俺は兵藤たちと共に教会に向かった。

 

茂みに隠れる俺たち。俺は兵藤に言う。

「悪いな……俺のワガママに付き合ってくれて…」

 

「気にすんなよ。それに俺もここに用がある…」

 

「用…?なんだ?」

 

「アーシアは俺の大事な友達だ。だから俺はアーシアを助け出す」

 

兵藤がそう言うと、塔城が立ち上がる。

 

「子猫ちゃん…?」

 

「……向こうもこっちに築いているはずです」

 

そう言って塔城は教会の扉を蹴り飛ばした!

 

マジかよ…あんな小さい体であんな馬鹿力。信じられねぇ…。

 

感心していると三人は教会の中へ入る。

 

俺も置いていかれないようにあとを追う。

 

すると……

 

「やあやあやあ。再会ですね~。感動的ですね~」

 

神父の格好をした一人の男が現れた。

 

「誰だアイツは?」

 

「フリード・セルゼン……はぐれエクソシストだ」

 

はぐれエクソシスト?はぐれって悪魔だけじゃねぇのか…。

 

「おや~?見慣れないお顔の方がいらっしゃいますけど、どちら様~?」

 

俺のことか?そういやイッセーたちは面識あるようだが俺は初対面だったか。

 

俺はフリードに言う。

 

「俺の名前は暁 朔夜!俺の妹……暁 朔音はどこにいる!!」

 

怒鳴り声で言うもののフリードはびびる様子すらなく…。

 

「あぁ~。あのクソシスターと一緒に付いてきたクソ人間ならこの教会の地下にいらっしゃいますよ~」

 

地下か……それがわかれば充分だ!

 

フリードは続ける。

 

「まぁ…行けたらの話ですが。何しろ俺ほら。めちゃくちゃ強いんで」

 

俺は兵藤たちの前に立ち、三人に言う。

 

「この汚ならしい口調のシスターは俺が引き受けた。お前らは先に地下に行きな」

 

俺の言葉に祐斗が言う。

 

「君一人では危険だ!僕たちも…」

 

「いいから行け!……心配すんな。こんな野郎に負けてたらルキフグスの名が泣くぜ…」

 

さぁ~て。相棒、準備はいいか?

 

『もちろんだ。しかし、良いのか?イシュタルには戦闘は控えろと』

 

な~に。気にすんな。どうせ嫌でもこうなるはずだったんだ。今はとにかく朔音を取り戻す……!

 

『了解した』

 

 

 

行くぜ、時空龍の籠手!!

 

 

 

「禁・手!!!!!!」

 

 

 

 

[イシュタル side]

 

ルーガくんが朔音ちゃんを探して数時間が経過した。

まだ見つからないのかしら……?

 

私はただ二人の帰りを待つことしかできなかった。

 

その時、微細な波動を感じた。

 

これは……ルーガくんの中にいるドラゴンのもの?

 

 

ということはまさか……。堕天使と戦ってる?

全く、人の言うことろくに聞かないんだから。

 

とにかく今はこのことを彼に報告しておくべきね。

 

私はある人物に通信をした。

 

「お久しぶり。イシュタルよ。元気にしてる?」

 

『おぉ!誰かと思えばイシュタルか!ああ、俺は元気にしてるさ。お前のとこはどうだ?』

 

連絡に応じたのは中年の男性。

相変わらずのノリね、全く。

 

「ええ、お陰さまでね。それより、堕天使が何人かこの駒王町にいるのだけど何か知らない?」

 

『なに?知らねぇな。初耳だぜ』

 

「そう……。じゃあ今起きてることを説明するわ。この駒王町に4人の堕天使や大勢のはぐれ神父がいるわ。何も起こさなければ私もこんな連絡入れなかったのだけど……」

 

『その言い方だと何か問題を起こしたそうだな』

 

「ええ、ルーガくんの妹が拐われたわ」

 

『なるほど。それで俺にどうしろと?』

 

「その4人の堕天使の処分はこっちで済ませても問題ないわよね?」

 

男は少し間を開けてから私に言う。

 

『……ああ。お前に任せる』

 

「わかったわ。感謝するわ。また近いうち会いましょう。会わせたい人もいるし」

 

『ああ。待ってる。じゃあな』

 

こうして男との連絡は終わった。

感謝するわ、堕天使の総督。

 

よし、これで心置きなく暴れなさいルーガくん。

 

[イシュタル side 終]



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4話 弾け飛んだ歯車

俺は今、はぐれエクソシストと戦っている。

 

「クソが!何がどうなってやがる!?」

 

フリードは自分の身で起きていることにイラついているようだ。

それもそうだ。弾丸を撃てばいつの間にか俺が背後におり、光の剣を振るえば、いつの間にか吹っ飛ばされているのだから…。

 

「無駄だ。テメェじゃ俺は殺せねぇし、テメェの攻撃は一生俺には届かない。俺の神器は時間を支配する能力を持っている。さぁ、 "時間"が見るユメの中で安らかに眠れ!」

 

「なんだよそれ……!そんな設定いらねぇんだよ!!」

 

 

 

『Stop The Time』

 

 

 

 

 

 

 

 

「しーっ………。少し静かにしていろ」

 

俺は魔力を手に纏わせ、刃の形にしてフリードを切り裂く。

 

じゃあな。先に進ませてもらう。

 

 

 

 

 

『Restart』

 

 

 

 

 

 

その音声と共にフリードはその場で倒れた。

 

禁手(バランス・ブレイカー)を解除し俺は兵藤の後を追って地下へ向かう。

なんだ…?何だか生臭いな…。

地下にたどり着いた俺が目にした光景はとんでもないものだった。

 

 

「おい……なんだよこれ……」

 

そこには全身傷だらけの二人の姿があった。

 

木場が口から血を流しながら俺に言う。

 

「にげるんだ……あかつきくん…」

 

俺は木場に寄り添い彼に言う。

 

「しっかりしろ木場!何があった!?」

 

木場は今にも気を失いそうになりながら俺に言う。

 

「だてんしとは……ちがう…なにかが……ぼくたちを………ひょうどうくんがいま……そとで……」

 

堕天使とは違う何か…?なんだよそれ…。

 

「堕天使とは違う何かって何だよ…?朔音は?アーシアってシスターはどうした!?」

 

木場はそのまま気を失った。

 

隣を見れば塔城のやつも気を失っていた。

他のはぐれ神父と思われるやつらは血を流して死んでいた。

 

奥へ進むも誰もいない。あるのは黒い羽があちらこちらにあるのみ。

恐らくこれは堕天使の羽。しかし、肝心の堕天使の姿はなかった。そして兵藤の姿もなかった。

 

 

とにかく二人を安全な場所まで運ばねぇと…。

 

そう思った時、魔方陣が現れそこから二人の女性が現れた。

 

リアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩だ。

 

「これはどういうこと!?何があったの?」

 

リアス先輩が走ってこちらに向かってくる。

それを追うように姫島先輩もこちらへ向かってくる。

 

「わからねぇ…。俺が着いたときにはもう」

 

「酷い怪我……急いで病院へ!」

 

木場たちは姫島先輩が冥界の病院へ連れていった。

 

「とりあえず祐斗たちはこれで大丈夫のはずよ。それにしても酷い有り様ね……」

 

リアス先輩は残酷な殺され方をしたはぐれ神父を見てそう言った。

はぐれ神父の中には顔の形が変形しているものもいた。

 

「木場たちが殺ったと言うよりかは仲間ごと木場たちを殺った……って感じか?」

 

「多分そうでしょうね……」

 

「そういえば木場が『堕天使とは違う何かが僕たちを…。兵藤が外で』って言っていた。早く外に行こう」

 

「わかったわ。急ぎましょう!」

 

俺とリアス先輩は教会の外へ出た。

 

辺りを見る限り兵藤の姿はない。

 

するとリアス先輩があることに気づく。

 

「この羽は…もしかして堕天使のもの?」

 

羽はまるで道のように続いていた。

明らかに罠に見えた。しかし、今はそんなことどうでもいい。早く朔音を…。兵藤のことも心配だ!

俺はリアス先輩に言う。

 

「行くぞ。罠かも知れないが今はそんなこと考えていても仕方ねぇ」

 

「ええ。行きましょう!」

 

羽が落ちている方角へ向かっていくと……。

 

 

「ご機嫌よう。あら?二人だけかしら?残念ね」

 

 

そこには女の堕天使がいた。

 

アイツは兵藤を殺した堕天使?

堕天使も俺のことを思い出したのか俺の方を見て言う。

 

「あなたは確か…あの時消えたガキね。どんなトリックを使ったか知らないけど、今度は死んでもらうわ!」

 

「ふざけんな!そんなことより兵藤はどうした!?朔音とアーシアはどこだ!?」

 

「兵藤?ああ、あの悪魔のクソガキならあそこにいるじゃない」

 

堕天使の女はある方向を指差した。

その方を見ると、血だらけの兵藤の姿があった。

嘘……だろ…?兵藤まで…。

 

「イッセー!!!」

 

リアス先輩は涙を流しながら兵藤の方へ走る。

 

「ぶちょう……」

 

よかった…兵藤はどうやらまだ生きている。

 

「おい女…。朔音はどこだ………」

 

「朔音?もしかしてアーシアにくっついていたあの人間の女のこと?さぁ知らないわ。それはラリカに聞いてちょうだい」

 

「そのラリカってのはどこにいる!?」

 

俺が怒鳴り声で言うと、木の奥から一人の女性が現れる。

 

「私が……ラリカよ」

 

何だコイツ…?頭から角…?それに尻尾みたいなものが生えてる?

女は仮面を被っており素顔は見えない。

 

俺の驚いた表情を見たラリカは続ける。

 

「はじめまして。私は神魔族(しんまぞく)のラリカと申します。以後お見知りおきを…。さて、確か……朔音って女の子がどこにいるか知りたいのよね?」

 

「どこだ……?どこにいる……」

 

「私の後ろにいるわ。まぁ命までは保証できないけど。あ、ちなみにシスターの女の子なら死んだわ。死体なら朔音って女の子と一緒よ。ちなみにそこにいる堕天使が神器を奪ってシスターを殺したわ」

 

何だと…!?シスターは死んだ…?

 

するとラリカはあることを語りだす。

 

「そこにいる堕天使、レイナーレがシスターから神器(セイクリッド・ギア)を奪ったあとにね、そこの坊やが殴り込んで来たのよ。レイナーレや私の計画の邪魔だったしとりあえず殺そって思って。でもね、案外しぶとくてね。あんなにボロボロでもまだ生きてるのよ?あ、そうそう。朔音って女の子もシスターが死んだってことわかった途端に大激怒。でも所詮は人間よね。私たちに勝てるわけないじゃない」

 

 

黙れ……。

 

 

ラリカは俺のことなどお構いなしに煽るように続ける。

 

「そうそう。女の子はこんなことも言ってたわね。『ルーガくんが必ずアンタたちをやっつける』とか。もしかしてあのルーガくんってあなたのことかしら?みたところあなたもただの悪魔なんでしょ?それじゃあ私にはけ勝てないわ。ねぇ?あなたもそう思わない?レイナーレ」

 

レイナーレもラリカと同じく煽るように言う。

 

「ええ。あなたと至高の堕天使となった私たち二人相手じゃ勝てるわけないわ。逃げるのなら今のうちよ」

 

 

黙れ……。何が至高の堕天使だ……。

 

俺は二人に殺意を剥き出しにして睨み付けた。

 

「やだ~…!怖い怖い。そんなに殺意剥き出しにしちゃって」

 

ラリカは怯えるどころか煽ることを止めない。

 

クロノス……俺はアイツを……。

 

 

 

アイツを……。

 

 

 

殺したい。

 

 

『好きにしたまえ。しかし、今の君では殺されるだけだ』

 

 

うるせぇ!!黙って俺に力を貸せ!!!

 

俺は左腕を天高く掲げ、叫んだ。

(バランス)(ブレイク)!!」

 

『Chronos Dragon Balance Breaker!!!!!!!』

 

その音声と共に、俺の身体はエメラルドグリーンの光に包まれる。

 

 

それを見たラリカが言う。

 

「この光は一体何なの?」

 

その後にレイナーレが驚いた表情で言う。

 

「この光は…まさか…!?」

 

光は足元から徐々に解けていき、そこには緑と黒のカラーリングに、背中からは大きなドラゴンの翼を持った俺の姿があった。

 

「ここからは、俺がお前たちの運命をジャッジする…!!」

 

「私たちの運命をジャッジする?アッハハハ!!!!笑わせないでよ。そんな変身で!!」

 

ラリカが高速で俺めがけて襲いかかってくる!

 

お前だけは……絶対に許さない。

 

 

 

『Stop The Time』

 

 

 

全ての"時間"が静止し、俺以外のものは全て動きを止めた。

当然ラリカの動きも止まっている。

 

神魔族だが何だか知らないが、所詮お前も止まった時の中では無謀なものだ。

 

 

「止まった"時間"の中で眠れ……」

 

 

『Chronicle Crusade!!!!!』

 

俺は足元に魔力を蓄え、そのままラリカめがけて回し蹴りを繰り出す。

 

「永遠に……」

 

 

『Restart』

その音声と共に、ラリカは爆発と共に断末魔も上げることなく粒子となり、粒子は籠手の宝玉に吸い込まれた。

 

今の粒子はなんだ?

 

『私の能力で倒されたものはその後、粒子となり私の宝玉に吸い込まれる仕様になっている。まぁマスターも近いうちにわかるはずだ。残留思念となった彼女に会えば…』

 

残留思念?なんだよそれ!?

 

その後、クロノスからの返事はなかった。

 

消えたラリカを見て、レイナーレは…

 

「何が起きてるの…!?いつの間にかラリカは消えて……」

 

俺はレイナーレの方を振り向く。

 

「ひぃ!!?い、嫌ぁ!!!」

 

レイナーレは光の槍を投げてくる。

 

俺はそれを振り払い、レイナーレに近づく。

 

「お前も永遠に眠れ」

 

『Chronicle Crusade!!!!!』

俺は再び足元に魔力を蓄え、そのままレイナーレめがけて回し蹴りを繰り出す。

 

レイナーレは黒い羽を散らばしながら消えた。

そしてレイナーレが奪ったアーシアの神器と思われるものが現れる。

 

「リアス先輩……この神器は?」

 

「恐らく、シスターが持っていた神器でしょうね…」

 

俺はそれを手に持つ。

 

「こんなもののために…。人の命を…」

 

そうだ……朔音は?

 

 

俺は朔音を探す。ラリカが現れた場所の付近を捜索すると、そこには服がボロボロの朔音とアーシアの姿があった。

 

「おい朔音!しっかりしろ!」

 

俺は朔音を抱えて声をかける。

何度も何度も声をかけた。

 

すると…

 

「う…ん……アーシア……ちゃん……」

 

小声だが朔音はシスターの名を呼んだ。

よかった……朔音は生きている。

 

俺は涙を流しながら喜んだ。たった一人の俺の家族……。生きていてよかった…。俺は心からそう思った。

 

するとリアス先輩が兵藤を背負ってこちらに来る。

 

「妹さんは無事のようね…」

 

「ああ、でもシスターは……」

 

となりで目をつぶっているシスターはもう死んでいる。何の罪もないというのに。

 

「とにかく二人を連れて冥界の病院へ行きましょう。話はそこでしましょう」

 

「わかった……」

 

リアス先輩は転移魔法を展開し、俺たちは冥界の病院へ転移した。

 

 



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6話 動きだす運命

ラリカとレイナーレとの戦いの後、俺とリアス先輩は朔音や兵藤たちを連れて冥界の病院へ来ていた。

 

セラフォルー記念病院…?

何だか変な名前の病院だな…大丈夫か?

 

疑心暗鬼だった俺を裏切るかのごとく、その病院は冥界でも屈指の医療設備とスタッフが揃った高名な病院らしい。

 

医者が朔音をベッドに寝かせ、治療を開始する。

 

「なぁ、朔音は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。命に問題はありません。明日には元気になると思いますよ?」

 

よかった…。俺はホッとした。

 

すると医者が俺の方を見て言う。

 

「どちらかと言うとお兄さんの方が心配です。無理はなさらないように」

 

「わかった。気を付けよう。ところでアンタ……どっかで見たことあるような…」

 

「え?多分あなたとは初対面だと思いますよ?それじゃあ…」

 

そう言って医者は部屋から出ていった。

 

可笑しいな……どっかで見たことあるんだよな~…。

あ!思い出した!数々のゲームを全てノーコンティニューでクリアした伝説のゲーマー…!

するとリアス先輩が部屋に入ってきて俺に言う。

 

「彼と知り合いなの?」

 

「知り合いと言うより…憧れの人……」

 

「彼、そんなに有名なの?まぁこの病院ではかなりの腕って聞いてるけど…」

 

「突如ゲーム界から姿を消したと思ったけど……まさか冥界で医者になってたなんてな……」

 

そう、彼こそ!俺が幼い頃憧れた伝説のゲーマー!!

 

コードネーム『W』。

俺がゲームにのめり込んだのも彼のような天才ゲーマーになりたかったからである。

 

「それより、妹さんの様子はどう?」

 

「ああ…。命には問題ないようだ。そっちはどうだ?」

 

「子猫と木場はもう治療が済んだわ。でもイッセーはまだ治療中よ。傷が深いみたい」

 

「そうか……。なぁ、リアス先輩。神魔族って聞いたことあるか?」

 

リアス先輩は首を横に振ったあと俺に言う。

「私にはわからないわ。そんな種族聞いたことないもの」

 

リアス先輩でも知らねぇことなのか……。

 

「わかった。ありがとな。俺は一旦家に帰って…」

 

何だ!?頭がくらくらする…。

 

「大丈夫!?暁くん!?」

 

俺は段々意識が遠くなっていく……。

リアス先輩の声が段々聞こえなくなっていく……。

 

 

 

 

気がつくと俺は見知らぬ教室にいた。

 

何だここ?

 

「ここは君の神器の中よ」

 

誰だ?見知らぬ声が聞こえる。

 

「私はこの神器にいる残留思念よ」

 

残留思念?

 

「ええ、私もかつてあなたと同じ神器を使っていた者よ。まぁ、簡単に言うとあなたの先輩よ」

 

すると教室に一人の女性が入ってきた。

 

白い髪に赤い瞳。体型はかなりのスレンダー。

 

すると女性が俺に言う。

 

「はじめまして。私はアイリス。かつてあなたと同じ神器を宿していた者よ」

 

アイリスと名乗る女性は礼儀正しくお辞儀をする。

 

俺もそのあと、お辞儀をした。

 

「で…アイリスさん?どうして俺はこんなとこに?」

 

「それは簡単よ。あなたは気を失ってここに迷いこんで来たのよ」

 

迷いこんだ!?俺が?

あ、そう言えば俺、病院に居たんだよな…。それでそこで朔音の安全がわかったあとにリアス先輩と話してる最中に気を失ったのか…。

 

するとアイリスさんは懐から眼鏡を取りだし、それを身につける。

 

「さて、これから時空龍について勉強しましょうか!」

 

「いや、結構です」

 

「何でよー!いいじゃない!まだあなたの知らないことだっていっぱいあるのよ?」

 

「いや…だって俺ここから出たいだけなんだけど…」

 

「まぁまぁ!いいじゃない!損な話はしないから!」

 

アイリスさんはノリノリで俺を椅子に座らせる。

まぁ…いいか。少しくらい。

 

「まずはあなたも気になってたあれについて説明しましょう!」

 

あれ…?俺なにか気になってたっけか?

 

「どうして時間静止中に倒された相手が粒子となって宝玉に取り込まれるのか…。それは単純な魔力補給です」

 

「魔力補給?そんな能力俺は知らないぞ」

 

「神器は宿主の想いに答えて進化するわ。つまり、無意識のうちにあなたが望んだのよ!」

 

そういや修行中にそんなこと思ってたっけな…?

魔力補給も出来れば便利だとは思ってたけど、まさか敵を倒して魔力補給するなんてな…。

 

「そしてあなたは知らないかも知れないけど、時空龍にはね、宿敵が存在するの」

 

「宿敵?ライバルってことか?」

 

「そうよ!二天龍ってご存知?」

 

「赤い龍と白い龍のことか?それならイシュタルちゃんに聞いたことある」

 

「そう。それなら話は早いわ。時空龍にもそんな感じのライバルがいるのよ」

 

おいおい嘘だろ…?勘弁してくれよ。

 

「そのライバルは空間を自由自在に操ることができるわ。突然空がガラスのように割れたら気をつけて。それはきっとアイツの仕業よ」

 

「アイツ?アイツって誰だよ?」

 

アイリスさんは黒板にある漢字を書いた。

 

黒板に書かれた漢字は…

 

混沌龍

 

こんとんりゅう…?

 

するとアイリスさんはあることを語りだす。

「混沌の龍と書いてケイオス・ドラゴンと呼ぶわ。彼は時空龍と対になる存在。かつて時間を司る神のドラゴンが居たわ、そしてそれと同じく空間を司る神のドラゴンも存在していた。二匹のドラゴンが出会ったとき、お互いの存在を賭けた次元をも巻き込んだ大きな戦争が始まる。二匹のドラゴンの戦いは熾烈を増していき、ついには次元に穴をも開けるほどになり、このままでは世界が消滅してしまう。神はこれ以上被害を拡大させないために二匹のドラゴンは神の手によって神器に封印された。こうして穴は閉じられ世界消滅の危機は救われた…これが私が知ってる時空龍と混沌龍の歴史よ」

 

ずいぶん難しい話だな……。

 

「一つ聞いてもいいか?お互いの存在を賭けた戦いって言ってたよな?二匹のドラゴンが和解する道はなかったのか?てか、どうしてどちらか一方しか存在できねぇんだよ?」

 

「いい質問ね。少しアホらしい話なんだけど、私がクロノスから聞いた話だと、喧嘩してたそうよ」

 

は…?喧嘩してた?

 

アイリスさんは続ける。

 

「空間の狭間にいたケイオスのところに誤ってクロノスは入ってきてしまったらしいのよ。クロノスも最初は謝ったそうなのだけど、ケイオスは侵略者だともう聞く耳持たずだったらしくてね。クロノスも逆ギレしたらしいのよ」

 

「なんだよそのくだらねぇ喧嘩……」

 

二匹のドラゴンが出会ったときって誤ってケイオスの領地に入ったときかよ。

 

「ホントよね~。そんなくだらない喧嘩に私たち巻き込まれちゃったのよ。あはは」

 

あははじゃねぇよ。ったく、何かと思えばただの喧嘩かよ!

 

「そもそも時間と空間、そのどちらかが消滅してしまったら世界そのものが無くなってしまうわ。解りやすく言えば、映画の映写機を止めて映るのが静止画、これが空間の概念よ。映写機が回り始めると生き生きと画像内の全てのものが動く。これが時間の概念ね。2つの事象があって初めてこの世界があるという関係ということよ。不思議なものよね~…。つまりそのどちらかが消滅すると…?」

 

「つまり、時間と空間は密着した関係だといいたいのか?」

 

アイリスさんは指を鳴らしたあと俺に言う。

「その通り!つまり私が言いたいこと、わかるわよね?」

 

「仲直りしろってことか?」

 

「わかってる~!そういうこと!」

 

はぁ~……。とんだアホらしい喧嘩に巻き込まれたもんだ……。

 

あ、そうだ。アイリスさんにあの事聞いてみるか。

 

「なぁ、アイリスさん。神魔族って聞いたことあるか?」

 

「しんまぞく?……ん~。聞いたことないわね~」

 

アイリスさんでも知らないのか…。

 

「それにしても封印するのはいいけど赤龍帝と同じ籠手って何だか嫌よね~。せめて別のに封印して欲しかったわ。ケイオスの方は光輪なのにどうしてクロノスは籠手なのよ!光の剣とかあったでしょ!今すぐ変えてほしいわ」

 

突如として神器の形について愚痴を吐くアイリスさん。

 

その話は何時間と続いた。

 

 

 

 

頼む……早く俺をここから出してくれ…

 

 

[??? side]

 

私は今、ある任務で駒王町に来ています。

 

ケイオス、ここにあなたの宿敵がいるのですか?

 

『ああ、匂うぜ。これは間違いなく野郎の匂いだ』

 

さすがは優秀な犬ですね。

 

『犬って言うな!!俺様は立派なドラゴンだ!!』

 

さて、とりあえず泊まる宿を探さないといけませんね。

 

私はどこか泊まれそうな宿はないかと探していると。

あのお爺さんどこかで見たことがあります。

 

私の目の前には眼帯姿をしたお爺さんと近くに銀髪の女性と茶髪の少年と黒髪の女性がいました。

 

「オーディンさま!こ、このような場所をうろうろとされては困ります!か、神さまなのですから、キチンとなさってください!」

 

「よいではないか、ロスヴァイセ。お主、勇者をもてなすヴァルキリーなんじゃから、こういう風景もよく見て覚えるんじゃな」

 

「どうせ、私は色気のないヴァルキリーですよ。あなたたちもお昼からこんなところにいちゃダメよ。ハイスクールの生徒でしょ?お家に戻って勉強なさい勉強」

 

すると銀髪のロスヴァイセという女性がこちらに気づき、私に近づき言う。

 

「あなたもハイスクールの生徒でしょ?だったら…」

 

「…違います。私はただ泊まる宿を探していただけです」

 

「えっ…?」

 

ロスヴァイセという女性が驚いたあと、後ろの方からオーディンというお爺さんが私の方へやってくる。

 

「ほっほっほ。どうじゃ、ワシと一緒にこのホテルに泊まらんか?」

 

「……二人は困ります。私は一人が好きなもので。それに二人文の料金を払えるほどお金を持っていません。すいません」

 

「そうなのか?残念じゃわ」

 

「オーディンさま!ご自重してください!」

 

「全くお前は堅いの~…」

 

「……失礼します」

 

私は静かにその場を去ろうとした。

 

お金も少ないし、なるべく安いところを……。

 

「お主、少し待て。泊まる宿がないんじゃろ?ならワシのとこに来るか?」

 

私はお爺さんの方を振り向き言う。

 

「……お誘いありがとうございます。しかし、私にはこの町でやらなければならないことがあるので」

 

私はそう告げたあと、その場を後にした。

 

『さっきの爺さん、北欧の神様じゃねぇか』

 

わかってます。北欧の神、オーディン。どうしてこの町に?

 

『近くにいたお前くらいの男と女なんだがよ』

 

悪魔と言いたいのですか?

 

『なんだよ、知ってたのかよ』

 

見てすぐにわかりました。男の方はどうやら赤龍帝のようですね。

 

『そこまで気づいていたのか……。ったく可愛くないやつだな』

 

そんなことより、安い宿を探してください。このままだとろくに作戦も立てられませんよ?

 

『はいはい。わかりましたよー』

 

すると、どこからか香ばしい匂いが……。

 

くんくん……これは、たい焼きの匂い!?

 

匂いのする方へ向かうと、そこにはたい焼きを焼いている店があった。

 

近くには私と同じくらいの黒髪の少女と黒髪のスレンダーな女性がいた。

たい焼きを買おうと店に近づき、財布の中身を見ると……

 

「……たい焼きを買うと、宿に泊まるお金がなくなってしまいますね」

 

お金が……ない。

 

「はい!これあげる!」

 

私くらいの少女が私にたい焼きを差し出す。

 

「……しかし、これは貴女のたい焼き。……私がもらうわけには」

 

「いいよー!お金ないんでしょ?だったらあげる!」

 

少女はまんべんな笑みを浮かべてそう言った。

 

私はたい焼きを手に持ち、少女に言う。

 

「……ありがとうございます」

 

「気にしないで!ここのたい焼き美味しいんだよ~!あ、私は暁 朔音!あなたは?」

 

「…………ルキア。ルキア・レイ」

 

「ルキアちゃんか~!よろしくね!」

 

これが私、ルキア・レイと朔音の出会いだった。

 

しかし、私は暗殺者。そんな私に友達なんて許されるはずない……。

 

[??? side 終]

 

 

 

 

もう何時間いや、何日経っただろうか……。

俺はこの謎の教室に来てから。

 

 

「頼む、もう現実世界に返してくれねぇか?」

 

「え~…。帰っちゃうの?まぁ、あなたの体ももう大丈夫そうだしいいわ。返してあげる。ここを出ると扉があるわ。そこから現実世界に帰れるわ」

 

やっと現実世界に帰れる~~!!

俺は嬉しさのあまり、小さくガッツポーズをする。

 

「わかった!それじゃあ、もう会わないかもしれないけど元気でな!」

 

俺は教室から出て左右を見る。

すると、アイリスさんが俺に言う。

 

「ケイオスに会っても喧嘩しちゃだめよ~!」

 

しねぇよ!とにかく、さっさとここを出よう!

俺は扉がある方へ走った。

ガチャっと扉を開けると真っ白な光が俺を包んだ。

 

 

…………はっ!

目が覚めるとそこはよく見る俺の部屋の天井だった。

 

あれ?俺確か冥界の病院にいたんだよな……?なんでここに?まさか、まだ夢の続きか!?うそーん……。

 

俺は起き上がり、下のリビングへ向かう。

そこにはイシュタルちゃんがいつも通りテレビを見ていた。

 

「イシュタルちゃん、ここって夢の中か?」

 

俺の声に反応して、イシュタルちゃんがこちらを振り返ると、イシュタルちゃんは驚いた表情をして俺に言う。

 

「ルーガくん!?あなたいつ目が覚めたの!?」

 

「いや…さっきだけど……」

 

「一ヶ月以上も目を覚まさなかったから死んじゃったんじゃないかと思ったわよ」

 

勝手に人を殺すなよ……。夢から覚めてもこの人は相変わらずだな。

イシュタルちゃんはテレビを消して、キッチンに向かう。

 

「お腹空いてるでしょ?何か作るわ」

 

そういや、あれからなんも食ってねぇな…。

イシュタルちゃんが料理する姿を見るなんて子供の頃以来だな……。

そう思っていた時、聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「ただいま~!イシュタルちゃん友達連れてきたよー!」

 

この声は、朔音か?そうか、もう怪我も治ってるようだな。

 

リビングに朔音が入ってくると…

 

「えっ…!?ルーガ……くん?」

 

驚いた表情をしていた。

俺は朔音に言う。

 

「おかえり、朔音」

 

すると朔音の目から涙がぼろぼろ出てくる。

 

「ルーガくーーーーーーーーーーーーん!!!!!」

 

朔音は買い物したものを投げ飛ばして俺の方へ飛び付いて来る!

朔音!苦しいぃ…!!!

 

「わかった朔音!心配かけて悪かった!だからもう放してくれ…!苦しいぃ…!」

 

「ごめんルーガくん!でもよかったよ……ルーガくん死んだのかと思ったよ…」

 

俺は朔音の頭に手を置き、彼女の頭を撫でる。

 

「心配かけたな……。今イシュタルちゃんが飯作ってる。お前も食べるだろ?」

 

「うん!あ、そうだ!友達連れてきたよ!」

 

そう言って朔音は走ってどこかへ行ってしまう。

相変わらず元気なやつだな。

 

そして数分後。

朔音は一人の女の子を連れてきた。

 

その女の子は長いダークブラウンの髪に青い瞳、朔音と変わらないくらいの年齢の子だった。

しかし、朔音より圧倒的に胸の発育がよかった。

 

すると女の子は言う。

「今日からここに泊まることになりました。ルキア・レイです。よろしくお願いします」

 

礼儀正しくお辞儀までする。

礼儀正しい子だな~。ってか泊まる!?

 

「朔音、泊まるってどういうことだ!?」

 

「泊まる宿を探してたんだって!だから少しの間泊めてあげようと思って。ほら、一つ部屋空いてるでしょ?」

 

確かに空いてるけども…。いきなり友達を泊めるって…。

 

そしてルキアと名乗る少女と朔音は上へ上がっていった。

 

ったく……あ、そういや今何月だ?

 

俺はふと思いカレンダーを見た。

 

8月12日か……。

 

 

 

!?

8月!?

 

もう夏休み間近じゃねぇかよ!

そう、俺が気を失ってからもう2ヶ月以上経っていたのであった。




次回

新章突入

ついに本作のヒロインであるロスヴァイセが本格参戦!

神魔族の謎についに迫る朔夜。その先に待っているものとは…?

そしてぶつかり合う混沌の龍と時空の龍!
二人は和解することができるのか?


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第1章 異世界との邂逅
第0話 悪魔を超越した悪魔


これはこれから始まる物語の序章に過ぎない…


紫の空。この景色を見るのはもう慣れた。

私が人間をやめてからどれくらい経つのだろう?他の魔王に聞けばもう50年以上前のことらしい。

人間をやめてから1万3000年……もし私がまだ人間なら長い年月と感じるだろう。

しかし、今の私はそうは感じない。長いと言うより、短い。

人間で言えば一週間のような感覚。嗚呼、私は本当に人間をやめてしまったのね。

 

 

 

「クロエ様、はぐれディアボロスの居場所が特定できました」

 

「どこにいるの?」

 

「この世界ではなく、別の世界に逃げ込んだ模様です」

 

別の世界。つまりは異世界ってことね。はぁ~…。私の甘さが招いたこととは言えまさか時空超越するなんてね。異世界に行けば人間は食い放題。血もたくさん摂取できると考えたのね。

 

「しかしクロエ様。ラリカですが、生命反応が停止しているようです」

 

生命反応がない…?不死身なのに?まさか。

私は信じられなかった。私たち神魔族(ディアボロス)は仮面が破壊されない限りは不死身の存在。例えはぐれでもそれは同じなはず…それなのにどうして?

 

「ルシアが作ったあの装置はもう直りそう?」

 

「ルシア様によると、もう間もなく修理完了とのことです」

 

「では修理完了次第すぐに後を追うわ。あなたはここに残りなさい」

 

「しかし、魔王が自ら出向くなど!」

 

「これは私の甘さが招いた事態よ!私が責任を持って彼女たちを排除するわ」

 

そう、これは私の甘さが招いた事態。魔王である私自らやらなければ意味がない。

手に持っていた仮面を見ながら私は思っていた。

 

やっぱり、私にはこの人生向いていなかったのかな?お姉ちゃんは本能のままに人間を食らって生きて、はぐれと同じ存在となって今は煉獄の牢獄の中。

私もいつかお姉ちゃんみたいに……。そう思う度手が震えた。

あの時、やっぱりそのまま死ぬべきだったのかな?でも私は死ぬのが怖かった…。

 

「な~に暗い顔してるのクロエ?」

背後からルシアの声が聞こえる。

 

「修理は終わったの?こんなとこでサボってないで早く…」

すると、ルシアが背後から私を抱きしめた。

 

「まだ後悔してるの…?」

 

「ゴメン…私やっぱり……」

 

「大丈夫。私も一緒に行くから」

 

「でも……」

 

「大丈夫よ!もうみんなには言ったし、イリアも私たちに任せるって。私とクロエはいつでも一緒だよ」

 

私の目には涙が溢れていた。

 

「ありがとう……ルシア。じゃあ、一緒に行こう」

私は彼女と共に異世界へ行くことを決意した。

 

 

そしてそのときは来た。

 

私とルシアは時空超越装置で異世界へ旅立った。

 

目を開けるとそこは私たちと変わらない世界だった。

 

辺りを見回すと人間が多く見られた。

 

「どうやら人間界のようね。にしても……本当に異世界かしら?私たちの世界の人間界にそっくりね」

 

私は一枚のポスターを見た。そこには

 

駒王町……?まさか町の名前まで一緒だなんて…。



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第1話 時間と空間

夏休みに入った駒王学園

長く楽しい休みの日!

しかし、朔夜は大量の課題が。

そんな中、イシュタルが会わせたい人がいると朔夜を誘うが…


俺が目が覚めてから一週間が過ぎた。

気がつけば学園は夏休み真っ只中。しかし……俺は大量の課題に苦戦を強いられていた。

 

「ああ~…ダルい…暑い~…焼ける~…焦げる~…なんで俺だけ課題と夏休みの宿題両方あるんだよ」

 

嘆く俺を見て出かける準備をしながら朔音が言う。

 

「仕方ないよルーガくん。ルーガくんずっと学園休み扱いだったし」

 

「はぁ~…最悪だ。てかどっか出かけるのか?」

 

朔音は大きなカバンに大量の私物を積み込んでいた。

まるでどこかへ旅行しに行くかの如く。

 

「合宿に行くって言ったはずだよ?」

 

「え?ああ、そういえばそんなこと言ってたな。気をつけて行けよ」

 

「うん!ルーガくんも課題と夏休みの宿題サボっちゃダメだよ?」

 

へいへい。わかってるよ。

朔音はそのまま家を出て合宿へ向かった。

暑い自室の中黙々と課題を進めている俺。

すると誰かがノックをする。

 

「ルーガくん。ちょっといいかしら?」

 

この声はイシュタルちゃんか?なんだ?

俺は扉を開ける。

 

「なんだよ」

 

「ちょっと会わせたい人がいるのよ」

 

会わせたい人?誰だ?

 

俺はイシュタルちゃんに付いて行き、ある場所に来た。

 

「まさか漁師とか……?」

 

「ちょっと違うわ。確かこの辺で釣りをしてるって聞いたけど……」

 

イシュタルちゃんが辺りを捜索していると……

 

「おお!こっちだ!」

 

声がする方を振り返るとそこには釣りをしていた中年のおっさんがいた。

 

あれが俺に会わせたい人?

 

俺とイシュタルちゃんはそのおっさんの方へ行く。

 

「久しぶりだなイシュタル。お前は全然姿が変わらねぇな」

 

「久しぶりねアザぜル。貴方はずいぶんと変わったわね」

 

何やら親しげに話すお二人さん。もしかして知り合いか?

 

するとおっさんは俺の方を見て言う。

 

「そこの坊主が朔夜か?」

 

「ええ、大きくなったものでしょ?」

 

え?俺の名前を知ってる?どういうことだ?

俺はこのおっさんと会うのは初対面のはず…。

 

「お前は覚えちゃいねぇだろうが、俺はお前が赤子だったころに一度会ってるんだぜ?」

 

「悪いが記憶にねぇな…。アンタみたいな有名人に会ってたら鮮明に覚えてるはずだしな」

 

てか赤子の頃の記憶なんて全部覚えてねぇよ。両親の顔でさえ、覚えてねぇのに…。

 

「アンタ、俺が赤子の頃から知ってるって言ってたな?ってことは、俺の両親のことを知ってるよな?」

 

おっさんは釣りを止め、立ち上がる。

 

「ああ。知っている。お前の母親とは良く会っていたからな。父親のことも良く知っている」

 

「なら…教えてくれないか?俺は両親との思い出が全くない。物心つく前に死んだ。だから知りたいんだ」

 

少しの沈黙の後、イシュタルちゃんがおっさんに言う。

 

「教えてあげたら?そのために連れてきたってのもあるし」

 

おっさんは大きくため息を吐いた後、俺に両親について話してくれた。

 

「お前の母親の名前は暁 明日香。暁家の娘で次期当主。明るくいつも笑顔で笑っていた…。父親の名前はディア・ルキフグス。番外の悪魔であるルキフグス家出身の数少ない生き残りの一人。口は荒っぽかったが、仲間想いのやつだった」

 

おっさんの口から語られる俺の両親についてのこと。

俺は黙ってじっとおっさんの話を聞いていた。

 

「お前の両親は暁家の現当主である暁 弦十郎によって殺された。殺される前、明日香とディアは俺に赤子であるお前を託した」

 

おっさんは懐から一枚の紙を出し、俺に渡した。

 

「お前を預かった時に一緒に預かった手紙だ。お前が高校生くらいになったときに渡せって言われてな…。お前を預かったあと俺はそこにいるドラゴンにお前を預けた」

 

「最初は断ったんだけどね…。ルーガくんの両親の話聞いたら断れなくなっちゃって」

 

えっ…?ちょっと待て!?ええええ!!

イシュタルちゃんが……ドラゴン?

 

「イシュタルちゃんがドラゴン……だと…?」

 

「ええ、気づかなかったの?」

 

「うそーん……。でもその姿は人間…」

 

「私は人間の姿に化けてるだけよ?ここでは元の姿に戻れないけど、元の姿に戻ればそれは大きなドラゴンよ?」

 

初耳だぞおい…。つーかそういうこと早く言ってくれよ!

するとおっさんが俺に言う。

 

「ところで朔夜。お前さん神器(セイクリッド・ギア)の力に目覚めたそうじゃねぇか」

 

「ああ、まぁ」

 

「俺に見せてくれねぇか?」

 

俺はイシュタルちゃんの顔を見る。イシュタルちゃんは頷く。

 

「わかった。ちょっと待っててくれ」

 

久しぶりだからな…。頼むぞクロノス!!

 

時空龍の籠手(クロニクル・ギア)!!!

 

 

俺は左腕を空に掲げる。

 

しかし、籠手は現れなかった……。

 

「あれ……?出ない…?」

 

おかしいな…。なんで出ない?

 

 

俺はその後何度も左腕を空に掲げるも籠手は現れなかった。

 

「なんで出てこない!?」

 

まさかの事態にイシュタルちゃんも俺の方により左手を掴み、じっくり見る。

 

「おかしいわね……。確かに左手からクロノスの波動は感じるんだけど…。どうして出てこないのかしら?こら!!クロノス!!さっさと出てきなさい!!!」

 

俺の左手に叫ぶイシュタルちゃん。そんなことしても出て来ねぇよ…。

 

「アザゼル。あなた神器に詳しかったはずよね?時空龍の籠手って聞いたことあるかしら?」

 

時空龍の籠手(クロニクル・ギア)?聞いたことはあるが……まさか本当に存在してたとはな。俺もてっきりその神器は都市伝説かと思ってたが…」

 

そんなに存在薄いのかよ俺の神器って!

アザゼルは俺の左手をじっくり見る。

 

「イシュタル。本当にドラゴンの波動は感じるのか?」

 

「当たり前じゃない。嘘をあなたに言ったことある?」

 

「だとしたら機能不全か何かだろうな……」

 

機能不全だと!?嘘だろ…。

こんな大事なときに機能不全って。

 

『まぁそう言うなマスター』

 

左手に宿るクロノスが喋りだした!

 

「ほう。本当に存在してたとはな。お前さんが時空龍か?」

 

『ああ。時間を司る神のドラゴン。時空龍クロノスだ。以後お見知り置きを堕天使の総督殿』

 

「ところで、機能不全とはどういうことだ?」

 

『近くに"ヤツ"がいる。』

 

ヤツ?一体誰だ?

するとおっさんは後ろの方を見て言う。

 

「もしかしてヴァーリに反応して出てこねぇのか?」

 

おっさんが振り返った方を見ると、一人の青年がいつの間にかいた。

 

誰だ…?

 

するとイシュタルちゃんが言う。

 

「ヴァーリ・ルシファー。ルーガくんと同じハーフ悪魔よ」

 

ルシファーだと!?しかも俺と同じハーフ悪魔。

 

『白龍皇ではない。もっと強い力だ。私が一番嫌う"ヤツ"が』

 

ヴァーリはこちらに向かって歩いてくる。

歩きながら彼は言う。

 

「そこでこそこそと隠れているヤツがいる。そいつに聞いてみたらどうだ?」

 

ヴァーリが見る方角を見ると、一人の少女がいた。

 

あれは確か……。ルキア?

そこには朔音が連れてきた少女、ルキアがいた。

ヴァーリはルキアに言う。

 

「君は一体何者だ?」

 

「……私はルキア。そこの男に着いてきただけです」

 

そう言ってルキアは俺の方を指差す。

 

『アイツだ!アイツの中に"ヤツ"がいる!』

 

ルキアが?嘘だろ?どう見たってただの女の子だぞ?

 

するとルキアの背中から光輝く光輪が現れた。

 

なんだ?あの背中のものは!?

 

『久しぶりじゃねぇか!!クロノス!!今日と言う日は必ず決着を着けさせてもらうぜ?』

 

『やはり貴様か…。しつこいんじゃないか?』

 

光輪が喋った!?それに反応してクロノスも。

 

ルキアは言う。

「……この子はケイオス。空間を司る神のドラゴン。空間龍と言うのは本当なのですが、ダサいので改名しました。混沌龍の光輪(カオス・クリエイト・ユナイテッド)。それが私の神器です」

 

まさかこんなとこで宿敵と出会うなんて……今日は最悪な日になりそうだ…。




ー次回ー

激突する時間を司る神のドラゴンと空間を司る神のドラゴン。

その戦いは次元をも歪める壮絶な戦いであった。

第2話
『激突する神のドラゴン』


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第2話 激突する神のドラゴン

俺の目の前に現れた宿敵。

空間を司る神のドラゴン…。俺は時間を司る神のドラゴン…。

でも戦う理由が単純な喧嘩って。

「なぁ、ルキアちゃん。俺たちはどうしても戦わなきゃいけねぇか?」

 

「……当然です。暁 朔夜、貴方がその神器を手にした時点で私と戦うことは運命だったのです。例えそれがどのような理由があろうとも…」

 

「二匹のドラゴンのただの喧嘩だとしてもか?」

 

「……そのようなこと……」

 

ルキアちゃんは肘を地面に付き、少し低い声で言う。

 

「……口が避けても言えません…!」

 

………え?

 

それってもう言ってるようなもんじゃ…。

 

「……まぁとりあえず戦いましょう。話はそれからです。貴方がどのような力を持っているのか……私も興味があります」

 

そう言うとルキアちゃんは立ち上がり鎧を身に纏った。

 

『マスター。もうこれは戦うしかない』

 

わかった。とりあえずルキアちゃんが満足するまで戦うしかないみたいだな。

 

 

 

ーーーーー禁手!!!ーーーーー

 

 

 

俺も神器を起動させ、禁手を発動させた。

 

 

「さぁ、かかってきな!」

 

すると、ルキアちゃんは魔方陣から二つの銃を取り出した。

二拳銃か…。つまり遠距離での戦いが得意ってことか?

 

そのままルキアちゃんは俺目掛けて二つの拳銃で撃つ。

 

間一髪で避ける俺。しかし、その隙をついてルキアちゃんが懐に回り込む。

 

そのまま、回し蹴りで俺を吹き飛ばす。

 

っ…!!結構効くな…。ルキアちゃん一体何者だ?とりあえず普通の女の子じゃないってことだけはわかった。

 

俺は立ち上がり、ルキアちゃん目掛けて走り出す!

正面突破だ!!

 

「……真っ向から向かってきますか」

 

そう言い拳銃を再び俺に向けるルキアちゃん!

弾丸を撃たせるわけには!!

 

『Stop The Time』

 

その音声と共にすべては制止した。

 

もらった!!

 

そう思った時だった…。

 

 

『Silencio』

 

 

ルキアちゃんの光輪からその音声がなった途端、彼女の姿が消えた。

 

何!?どこ行った!

 

辺りを見渡しても彼女の姿はなかった。

 

逃げた……?

 

 

『マスター上だ!!』

 

クロノスの声に反応して上を振り向くと、空が鏡のように割れ、そこからルキアちゃんが現れた!

 

「……ターゲット・ロックオン」

 

ルキアちゃんは2つの銃を平行連結させ、そのままビームのような光を発射した!!

 

ヤバイ!!あんなの食らったら人溜まりもねぇぞ…!!

 

逃げようとするも間に合わず、そのまま直撃!

 

 

『Restart』

 

その音声が鳴ったあと…

 

ドゴゴゴゴォォォォォ!!!!!!!!

 

 

 

激しい爆発音が鳴り響く!!

 

 

倒れこむ俺に近づくルキアちゃん。

 

「……あの攻撃を受けて生きているなんて頑丈なのですね。驚きです」

 

「そりゃどうも……。でも、なんで止まった時間の中で動けた…?」

 

「……暁 朔夜、あなたが時間停止させた時に私もこの神器の能力を使ったのです。私の神器の能力の一つ、空間に穴を開けること。その開いた穴に私自身が入ることも可能。そしてあなたが止められる時間は恐らくこの世界のみ。つまり私の逃げ込んだ空間の時間は止めることができない。わかっていただけましたか?」

 

すると遠くで俺たちの戦いを見ていたアザゼルが言う。

 

「随分と面白い能力じゃねぇか。空間に穴を開けてそこに逃げ込んで時間停止を回避したと」

 

「……そう言うことになります。堕天使の総督アザゼル。その顔だと、私の神器に興味がある様子ですね」

 

「まぁな。何しろ見たことのない神器なもんでな」

 

「……今、私は任務中です。その任務が終わればじっくり見せてあげますよ」

 

「それは楽しみだ。ところでお前さんの神器の能力はそれだけじゃないだろ?」

 

「……それは言えません」

 

すると、ルキアちゃんは鎧を解除した。

そして俺の方に寄り、手を差しのべた。

俺はその手を掴み、起き上がる。

 

「……暁 朔夜。あなたの強さはだいたいわかりました。もう少しあなたが強くなってから戦いましょう。と言いたいのですが、私も正直に言ってくだらない喧嘩に振り回されたくないです」

 

「やっぱり知ってたのか?何で時空のドラゴンと空間のドラゴンが戦ってるのか…」

 

「……ええ、ケイオスから聞きました。馬鹿馬鹿しです」

 

『おいおい嬢ちゃん。それはねぇだろ?』

 

光輪が現れ、それが喋った!恐らく中にいるドラゴン、ケイオスだろう。

 

「……元々あなたとクロノスは兄弟のようなものなのでしょ?それなら戦う意味はありません。それにクロノスがもし消えたらこの世界は崩壊します。あなたもわかってるはずです」

 

『それはそうだけどよ…』

 

「……これ以上文句を言うつもりですか?」

 

ルキアちゃんの声が少しドスのきいた声になった。

この声を聞いたケイオスは…。

 

『はい。すいませんでした。もう文句は言いません。あなたに従います』

 

「……わかればいいのです」

 

完全に向こうは主従関係じゃねぇかよ…。

振り向くとイシュタルちゃんが走ってこちらに向かってくる。

 

「ルーガくん!!大丈夫?」

 

「ああ、まぁ何とか」

 

「まさか空間のドラゴンがこの場に居たなんてね…気づかなかったわ」

 

その時、俺はあることを思い出した。

そうだ、アザゼルに聞かなきゃいけねぇことが…。

 

俺はアザゼルにあることを聞いた。

 

「堕天使の総督、あなたに聞きたいことがある」

 

「ん?なんだ?まだ両親のことが聞きたいのか?」

 

「それもあるが、少し違う。神魔族って聞いたことあるか?」

 

「しんまぞく…?聞いたことねぇ種族だな。それがどうかしたのか?」

 

「いや、アンタのとこの部下が神魔族と手を組んでたもんで」

 

そう、確かレイナーレとかいう堕天使が手を組んでたはず。

俺は何とか神器があったから倒せたけれど、あの強さは尋常じゃない。

普通の悪魔じゃ勝てるか…。

 

「そうだったのか…。いや、うちの部下が悪いことしちまったな」

 

「気にしないでくれ」

 

するとアザゼルは俺の籠手をじっと見て言う。

 

「ところでお前さんの神器をじっくり見せてくれねぇか?」

 

「ああ。それは別にいいんだが……」

 

俺は辺りを見渡す。

気がつけば白龍皇もルキアちゃんの姿もなかった。

 

そして俺とイシュタルちゃんはアザゼルが人間界で住んでいる家に行った。

数時間、アザゼルは俺の神器を調べていた。

気がつけばアザゼルはクロノスと話していた。

 

『どうして赤龍帝の籠手にそっくりか…?難しい質問だ。この姿はまだ完璧な姿ではない。と言えば納得してもらえるかな?堕天使の総督殿』

 

「つまり、今のお前の姿は蛹のような姿ってことか?」

 

『まぁそのようなものだ。本来の形になれば右腕にも籠手が現れる』

 

「つまり本来のお前の姿は両腕に籠手があるってことか?」

 

『そういうことだ。まだマスターが完璧でないため、本来の力が出せないでいる』

 

するとアザゼルが俺を見て言う。

 

「だそうだ。朔夜、お前確かイッセーと同じ駒王学園に通ってたよな?」

 

「あ、ああ。それがどうかしたか?」

 

「なーに、簡単なことだ。お前もオカルト研究部の部員になれってことだ」

 

 

はぁぁぁぁぁ!?俺が!?

 

 

「なんで俺があの部に入らないといけないんだよ」

 

「まぁ簡単に言えば特訓だ。イシュタルと特訓するのもいいが、それじゃ限界があるだろ?だから俺が鍛えてやる」

 

俺は数分間考えた。確かに神器の力がうまく扱えれば朔音を守ることができる……。でも面倒事は嫌いだしなぁ~……。

そんなに言うほど戦闘マニアって訳でもねぇし…。

 

そして俺が出した答えは…

 

「一つ条件がある」

 

「なんだ?」

 

「入るのはいいが、俺が力を使うのは今は朔音のためだ。それ以外でこの力を使うつもりはない。それでどうだ?」

 

少しの沈黙のあと、アザゼルは少しため息を吐いたあと、答える。

 

「良いだろう。あ、でもちゃんと部に顔は出せよ?そもそも学園に来いよ?」

 

「っ…。痛いとこついてくるな。わかってる。言われなくても行く」

 

「ならいい。じゃ俺は帰るわ。良いもん見れたしな。じゃあな」

 

そう言いながらアザゼルは帰っていった。

 

「それじゃ、私たちも帰りましょうか」

 

「ああ。課題終わらせないと……。このままじゃ留年だ…」

 

俺はイシュタルちゃんと一緒に家へと帰った。

 

 

[??? side]

 

「神人よ、例の計画はどうなっている?」

 

「心配はないさ。順調に進んでいる。それよりも、2日ほど前に次元の歪みがあったようだが…。どういたしましょう?」

 

「次元の歪みか……。いよいよ君たちの言っていた魔王がやって来たのかも知れないようだ」

 

顔の左半分を仮面で隠した女が言う。

 

「この魔力は恐らくルクスリアとアーケディアでしょう。心配ありません。あの力を貸していただけるのであれば」

 

「神人。アレはまだ完成しないのか?」

 

「時空龍の籠手。それのデータと宝玉があれば、今すぐにでも」

 

そして私は女に言う。

 

「では君に一つ頼むとしよう。時空龍の籠手のデータの収集と宝玉を奪ってこい」

 

「わかったわ。ラリカの敵討ちもしたかったし、丁度良いわ」

 

そう言うと女は転移魔法でどこかへ消えた。

 

「神魔族……。まさに悪魔を超越した存在。そのようなものが本当にいるとはな」

 

「父よ。確か、時空龍の籠手の現在の所有者は……」

 

「ああ、わかっている。悪魔に惚れた哀れな娘明日香の息子らしい」

 

「良いのか?孫を殺してしまっても」

 

「なに、悪魔の名を持つ暁など不要。明日香の息子は暁の名を汚した男だ」

 

そうだ、私の忠告を無視したあの駄目娘の明日香息子など私には不要。

 

私に必要なものは時空龍の籠手の力のみ。力こそ全て。

 

[??? side 終]

 

 

あれから数日が経った。

俺は久しぶりに兵藤とリアス先輩に会うことになった。

 

「よお朔夜!久しぶりだな。身体のほうはもう大丈夫なのか?」

 

「ああ。もう問題ない。ところでリアス先輩は?」

 

「その事なんだけど……」

 

俺は兵藤にある場所に連れていかれた。

 

着いた場所は……。

 

「なんだこの家!?ホテル見たいじゃねぇか…!?つか本当に家か?」

 

兵藤の家だった。とにかくデカイ!ホテルと見間違えるくらいデカイ!目を疑うくらいだ…。

 

俺は兵藤の家にお邪魔することになった。

 

「お…お邪魔します…」

 

すると迎えてくれたのは金髪の見覚えある美少女だった。

 

「あ、朔夜さん!お待ちしてました!」

 

「俺の目が確かならそこにいらっしゃるのってアーシア…?」

 

そう俺が聞くとアーシアは笑顔で「はい!」と答えた。

 

「えぇぇぇぇぇ!!!?だって!アーシアって!し、し、死んだんじゃ!?どういうことだ兵藤!」

 

「まぁ色々あって…。とにかく詳しいことは部屋の中でってことで。アーシアお茶とか用意いしてくれるか?」

 

「わかりました!さぁ、朔夜さんあがってください」

 

そう言われ、俺は家の中へ入っていく。

それにしても大きい。俺の家も大きい方だが、比べ物にならねぇなこりゃ…。

 

俺が兵藤の個室に行くため、エレベーターに乗っているとエレベーターが止まった。

 

誰かが乗ってくるのか?

 

エレベーターの扉が開くとそこにいたのは、俺と同じ銀髪の髪の美少女だった。

 

「えぇぇぇぇ!?先生!?なんで?」

 

「あれ?あなたは確か……朔夜くん?」

 

俺に課題を終わらないくらい出した先生がなぜここにぃぃ!?

 

「おいイッセーどうなってる!?なぜ先生がここにいるぅぅ!!?」

 

まさか俺が課題をサボってることバレたのか!?

 

「慌てるなよ朔夜。後でちゃんと説明する」

 

すると先生が俺に言う。

 

「そういえば朔夜くん、課題は順調ですか?」

 

「は…はいっ…!順調ですぅ!!」

 

ダメだ…!言えるわけねぇ…サボってるなんて言えるわけねぇ!

 

「それは良かったです!もしサボると留年してしまうかも知れないのでしっかりやるように」

 

「も、もちろんです!サボるわけないじゃないですかー!」

 

そしてエレベーターが動き、兵藤の部屋がある階へ止まった。

歩き出してすぐ、兵藤の部屋へと着いた。

 

俺は兵藤の部屋へと入る。そこには見たことない面子が数名いた。

 

誰だ…?全く知らない顔が数名いる…。

 

するとリアスが言う。

 

「待っていたわ。アザゼルから話は聞いているわ。ようこそオカルト研究部へ。私たちはあなたを歓迎するわ」





ー次回ー

第3話
『運命の出会い…?』


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第3話 運命の出合い……?

俺は今、同級生の兵藤の家にお邪魔していた。

 

そこは驚きの連続だった。死んだはずのアーシアがいたり、学園の先生がいたり、知らない顔が数名いたりと。

俺の頭の中は大混乱。一体何がどうなってるんだよ。

 

「突然呼んでしまってごめんなさいね。貴方には色々話しておかないといけないことがあって…」

 

「ああ、正直何がなんだがさっぱりだ…」

 

そしてリアス先輩は俺が眠っている間の事を話してくれた。

 

そこである言葉が気になった。

 

「神魔族がいたってのは本当か?」

 

「ええ、間違いないわ。あの時貴方が倒した神魔族と同じ姿をしていたわ。私が気づいたと同時にどこかへ消えてしまったけれど…」

 

リアス先輩が言うには、どうやら兵藤と白龍皇が戦っているのを影でそっと見ていたそうだ。

何故、あんな場所にいたかは定かではないが、なにかを企んでいる事は間違いないだろう。

 

すると先生が俺に聞く。

 

「朔夜くんが長い間学園の方に顔を覗かせなかったのはもしかしてその神魔族が原因なんですか?」

 

「いや、単純に力の使いすぎ……かな?戦闘なんて初めてだったし、何しろあの時妹のことで頭が一杯で…」

 

「妹…?もしかして朔音さんのことですか?」

 

「ああ。そうだが…」

 

「やっぱりお二人は兄妹だったのですね」

 

「いや、従妹だ。両親に捨てられた彼女を俺が拾った」

 

「どういうことですか?」

 

「話は長くなるんだが…」

 

俺は妹との出会いを話した。

 

あれは寒い真冬のことだった。俺は両親がいなくなってからずっとイシュタルちゃんの家で暮らしていた。

そんなある日、久しぶりに暁家の豪邸にひっそりと様子を見ていた。

幼い頃はもしかしたら親は俺を捨てたんじゃないか?何て事を考えていた。もし、そうだとしたら一度この目で親の顔を見てやりたい。そう思っていた。

すると、一人の女の子が近くで泣いていた。

俺はその子に「どうしたの?」と聞いた。すると女の子は「パパとママが出ていけって言うの!私もう家に帰れないの!」と泣きながら言ってきた。

もしかしたらこの子は暁家の娘なんじゃないか?と思った俺は女の子に「名前はなんて言うんだ?」と聞いた。

すると、女の子は「暁 朔音」と答えた。

間違いない。この子は俺の従妹。

俺はイシュタルちゃんの家まで彼女を案内した。

そしてイシュタルちゃんに頼んで彼女も一緒に暮らすことにしてもらった。俺が彼女を守り、面倒を見ることを条件に。

 

「とまぁ…こんな話だ。まぁ最近じゃ俺が面倒見られてる所あるけどな」

 

すると兵藤が…

 

「へぇ~…。お前と朔音ちゃんにそんなことがあったのか…良い妹じゃねぇか」

 

 

「で、なんでお前の家にこんなに女子が住んでいるんだ?説明してくれ」

 

「そうだったな。実はな…」

 

 

兵藤は自分に起きた出来事を俺に話してくれた。

堕天使の幹部との戦いで出会ったゼノヴィアのことや、白龍皇との対峙、そしてつい先日オーディンがこの国に来ていたらしい。

そこで一緒に来たのが銀髪の戦乙女のロスヴァイセ先生。

先生はどうやらオーディンにリストラされたらしい。

 

「大体どういうことかわかった。俺が寝ている間にそんなことがあったなんてな。で、このパーティーみたいな状況は俺の歓迎会と…」

 

「そういうことだ!これからよろしくな朔夜!」

 

「ああ~…めんどくせ…」

 

俺は小声で本音をもらした。

 

俺の歓迎会は夜まで続き、今日は兵藤の家に泊まることになった。

 

風呂からあがって、ベランダで夜景を見ながらラムネを飲んでいると……

 

「朔夜くん…?」

 

誰かが俺の名を呼び、俺はそちらを振り返る。

 

そこにいたのは先生だった。

 

「先生。どうしてここに?」

 

「あなたこそどうしてここに?」

 

「いや、ちょっと考え事を……」

 

「考え事?先生でよかったら話してくれますか?」

 

俺は先生にある考え事を話した。

内容は……

 

 

朔音のことだった。彼女は今、幸せなのかどうか。

 

両親に捨てられて彼女の心は深い傷を負っている。そんな彼女のあの笑顔は本当に笑顔なのか?

 

すると先生は答えてくれた。

「きっと幸せだと思いますよ?だってあの時朔夜くんが朔音ちゃんを助けなかったら彼女は今頃どうなっていたか……。確かに深い傷を負っているとは思いますが、朔夜くんと一緒に生活していってきっといつかその傷が癒えると思いますよ?」

 

「だと良いんだけどな……。ありがとう先生。少し楽になった。またもしかしたら相談するかも知れないけど、その時はよろしくお願いします」

 

「私なんかで良ければいつでも相談に乗りますよ」

 

そういって先生は笑みを浮かべた。

 

そして夜は明けて朝。

俺は朝食を食べたあとに兵藤の家を後にした。

 

家に帰ると……

 

「朔夜くんお帰りなさい!兵藤先輩の家どうだった!?子猫ちゃんいた!?」

 

いつも通りテンションが高い朔音を見て安心する俺。

 

「ちょっと待て。順番に話す!少し休ませてくれないか?」

 

「じゃあ起きたらちゃんと聞かせてね!約束だよ!」

 

そういって朔音は自分の部屋へと走っていった。

 

こんな日がずっと続けばいいのにな……

俺はそう思いながら自分の部屋へと向かった。

 

 



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