仮面ライダー電王 (桂ヒナギク)
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第01話:未来とモモタロス

 自転車をこいでいる少女、坂上 未来(さかがみ みらい)の中に入り込む黄色い光の球体。

 すると、未来の体から白い砂がこぼれだした。その砂は鬼のような格好をしたイマジンの幻体に姿を変えた。

「おい、お前!」

 その声に気付いた未来は自転車を止めて振り返った。

「お、お化け!?」

 未来はびっくりしてその場でひっくり返った。

「お化けじゃねえ! イマジンだ!」

暇人(ヒマジン)?」

「イマジンだ! マジンしか合ってねえじゃん! いいか、今から俺はお前の望みを叶える。どんな願いでもいい」

「うーん……、今のところ願い事はないわね」

「じゃあ考えが浮かぶまで待っててやる」

 イマジンは消失した。

 未来は自転車を起こし、跨がって再びこぎだした。

プーッ!──車のクラクション。

 未来が音の方を見ると、車が接近していた。

ドーン!──撥ねられる未来。その先には不良グループの輪。

 未来は不良グループの輪の中央に落下した。

「何だお前?」

「こいつ、天高の坂上だぜ」

 ケンカ腰になる不良グループ。

「やっちまえ!」

 全員で襲いかかる。だが、イマジンが未来に憑依し、圧倒的な力で不良グループをねじ伏せた。

「やべえ、殺される!」

 不良グループは一目散に逃げていった。

 未来は足下に落ちているキーホルダーに気付く。

「うん?」

 未来はキーホルダーを拾った。

(さっきの人たちのかな?)

 未来の体からイマジンの幻体が出て来る。

「戦利品だ、もらっとけ」

「ダメよ」

 と、そこに実体を持ったイマジンが現れた。

「そのキーホルダーで最後だ。こっちによこせ」

「おっと? ちょっと面白いことになってきたな」

 未来は懐からライダーパスを取り出し、ベルトを装着した。

「お前、電王だったのか?」

「何、電王だと?」

 未来はライダーパスをバックルにセタッチした。

 光に包まれ、電王・プラットフォームに姿を変える未来。

「行くわよ!」

 デンガッシャーを剣状に組み立て、イマジンへと攻撃を仕掛ける電王。

「何だか面白そうじゃねえか。俺にもやらせろ!」

 鬼イマジンが電王の中に飛び込んだ。

「ちょっ、また!?」

 バックルの赤いボタンを押してライダーパスをセタッチする電王。

{Sword form}

 その電子音声と同時に電王はアーマーを装着し、デンカメンが仮面の上に現れ、ソードフォームに移行した。

「俺、参上!」

 決めポーズを取り、敵に攻撃を仕掛ける。

「おりゃ!」

「貴様、本来の目的を忘れたか!?」

「目的? 知らねえな。俺はこういうのがやりたくて来たんだ!」

 電王はパスをセタッチ。

{Full charge}

「必殺、俺の必殺技、パートワン!」

 電王は飛び上がり、デンライダーキックをイマジンに浴びせ、粉砕した。

 と、そこにデンライナーが現れた。

 扉が開き、ハナが出て来る。

「未来、その姿は……?」

 ベルトを外して変身を解く未来。

「イマジンが憑依してたのよ」

 未来は車内に乗り込み、食堂へと入る。

「よう!」

「何でいんの!?」

 鬼イマジンの姿を見て驚く未来。

「お前に憑依したからな。願い事を言うまでどこへでもついて行くぞ」

「あの世にも?」

「さあな」

「それより、モモタロスって呼んでいい?」

「あ? いいけど」

「よし、決まりね、モモタロス」

 



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