私のMSアカデミア (和原)
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第0話:プロローグ

 私は死んだ。いや、何言ってるんだ?とお思いだろうが事実である。

ではお前は誰だと?私は私だ。何者でもない。ただ人よりも不運なだけである。

それはそうだろう。たかが齢18年で死ぬなど不幸としか言えない。

 

さて、そんな不幸な死を遂げた私ではあるが、やや──は違うな。

かなり面倒くさい事態に陥っていると言っていいだろう。

それと伝え忘れたが、今私がいるのは“無”と表現すべき場所だ。

視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚が機能しない場所など私が生きていた時には全く未経験である事だから、兎に角気持ち悪い。

それに今の私には肉体と呼べるべきものがないから体を動かそうにも動かないというある種の拘束──「魂の拘束」とも呼べるだろう。…嗚呼、しかしこの言い方は非常に、私の中に眠る思春期真っ盛りの学生によく見られる病気が再発してしまいそうな。

…いやいや待て待て。私はなんの話をしているのだ。死んでしまってパニックになっているのだろうか?やたらと無駄なことが多い。

 

《愚かしいことよのぉ…》

 

 私の頭の中に直接語りかける蛆虫(自称神)の声に霹靂しつつ思考の海から抜け出す。

そう、面倒くさい事態というのは私の目の前にいる上半身裸族の癖っ毛どころ騒ぎではないくらい、モジャモジャ髪の自称神と名乗る存在の事だ。

しかし、いつまでも言われているまま引き下がる私ではない。

 

《五月蝿い自称神、もしくはG(ゴキブリ)。》

《……貴様、儂は創造神だぞ?……ここまで酷いとは貴様の───人間共の道徳心を疑ってしまうのう》

《なら、貴方はどうなんだ。世界という名の会社に雇用した人達の面倒を見なければ信頼なぞ生まれんぞ。面倒も見ないくせに偉そうにするな》

《き、貴様ァ…!》

《なんです?文句ありますか?》

 

 いつもはここで終わるが今回は違った。

私はいい加減処遇を決めないことについて、自称神は年々経つ信仰心の希薄さに。

お互いがそろそろ我慢の限界だった。

 

《貴様がいつまでもそうだから───》

《貴方がいつまでもそんなのだから───》

《愚図なんですよ/なんじゃ!》

 

 私と自称神の声が被った。

 

《貴様、前に言いおったよな?過酷な状況では無いと信仰心は生まれないと》

《は?ええ、まぁ》

 

 どうした、さっきの言い合いの熱が冷めやまぬうちに新しい話題とは。

…なんか嫌な予感しかしない。

けど悲しいかな…、私の予感と会うのは嫌でも当たるものなのだから。

 

《貴様に信仰心が生まれるよう新たに生をくれてやるわい》

 

いや、待て、待ってください。

何故そうなるのか甚だ理解に苦しむのですが?

 

《新たな生て信仰心が生まれるのを待っておるぞ!》

 

 話を聞け!この蛆虫(うじむし)がぁぁぁぁあ!!

 そして私は穴から落ちるように転生されました。

はぁ、私の不幸度が留まるとこを知らないようです

 




後半早急感が否めないなぁ、若しかしたら視点変更とかめちゃくちゃになると思いますがご勘弁を_|\○_


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第1話:雄英高校入試・上

な、何とか2話目にこぎつけた…(白目)

こ、これも読んでくださる読者のため、頑張りますぅ(キチガイスマイル)


 どうも皆さん私です。

さて、いきなりですが私の性別というのが気になる方がいるようなので一応、そう一応報告として上げておこう。

 前世では男として務めさせていたのですが、どうやら今世でも男のようで。

 ですが…遺憾な事に、ま・こ・と・に遺憾な事ながら私の容姿というのが男性平均身長より低く、顔も中性的。下手をすれば美男子、ではなく俗に言う「おとこの娘」という奴である。

 

 さてさて、本題に入りますがあのクソッタレの自称神に転生と言う名の島流しを受けた日から約15年が経ち、今は次の進路を決めるため、私──城堂は進路調査用紙を片手に私のクラス担任である佐山速人(さやまはやと)先生と話していた。

 

「さて城堂、お前は高校どこに行くつもりだ?」

 

 そう言われたので、私は手に持っている進路調査用紙を手渡し、その場を後にする。

え?お前、終始無言だと?では逆にむしろ無言だと何か問題でも?と聞きたい。

 

「……なるほど、な…いや、確かにお前の“個性”を考えたら妥当かな…」

 

 こう呟いた先生に渡した進路調査用紙の記入欄に私は『国立雄英高等学校 ヒーロー科』と────。

 

 

 

 では、まず私が転生してきた世界について説明しようではないか。

 この世界の文明を一言で言うなら地球文化と、というかもろ地球。

歴史にも対して変化とかも無く、前世の歴史知識と比較しても特に遜色無かった。

さて、皆様もお気づきか思うが前世知識を持つ私は中学校で周りから『神童』と言われた。

更には私が中学生らしからぬ言動もしていた為、『神童』という称号ととある事情も相まって同年代の少年少女から遠巻きに見られた。

だが、別にそれは問題ない。一人で過ごすのには慣れている。

むしろ一人でないと落ち着かないまである。すまぬ、脱線した。

 

 さて、話を戻すとしよう。

今世の地球は私の前世の地球とは違うのが一つ。

そう、地球の総人口約8割が何かしらの超能力──『個性』を持っているということだ。

この事についてまず一言、総人口8割が『個性』もち?個性個性言いすぎてゲシュタルトが崩壊するまである。

 もちろん私にもちゃんと『個性』ある。え?その前に私は誰であるかと?

…ああ、どうやら自己紹介が遅れてしまっていたようだ、すまないすまない。

私の今世での名前は『城堂(きどう) 千司(せんし)』という名で誕生した。

…皆様もおわかりかと思うが私の名前を分けずに読むと『機動戦士』。

そう、私の個性はあの『モビルスーツ』だという事だ。

 

 ちなみに父の名前は丹功(たんく)、母は亜真理(あまり)

父に関してはもろモビルタンク、母はイントネーションによってはモビルアーマー。

…何だ、私の両親の名前に文句あるのなら聞こうではないか。

 

 その事から分かる通り、両親の個性はそれぞれ『戦の狼(ヒルドルブ)』『恐姫(クィン・マンサ)』である。

両親の個性がヤバすぎてナンバーワンヒーロー『オールマイト』ですら「城堂家だけは敵に回って欲しくないものだ!HAHAHAHA!」と言わしめるまである。

 ただ、両親はヴィランでもヒーローではなく軍人(と言うより傭兵)なのだが…。

つまり私は軍人家系の人間(?)であるのだ。

 

 さて、話は変わるが今日は佐山先生に進路調査用紙を出した日から約3ヶ月が経った雄英高校の入試の日である。

 しかしまぁ、どうでもいいことを考えたら学校のテストの全日程が終わってしまっていた、なんてよくある話ではないだろうか。

正しく私がその状況に陥ってはいるのだが。

 

…何が言いたいと?

では質問しよう。今日はなんの日かな?…結構、そうだ雄英の入試日だ。

 

…ん?考え事しすぎて解答欄が埋まっていないのではないのかって?

私がそんなミスをするはずがない。もちろん全ての解答欄は埋まっている。合っているとは限らないが。



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第2話︰雄英高校入試・中

 今回は試験説明回。
ここら辺はほぼ原作通りになってます。


雄英高校入学試験2日目。

今日の試験内容は実技である。なに?普通は面接でないのかと?

何を勘違いしているのかは定かではないがわざわざ『ヒーロー科』と言っているのだから普通な訳がない。そもそも一般の学校には───美少年説明中───という訳だ。

 

 だが人とは不思議なものだ。

考え事に夢中になっていると時間の経過が早いというが正しくそう思う。

実際に体験したから断言出来るまである。

 

 さて、雄英高校入学試験に当たって少し雄英高校について説明しよう。

雄英高校とは、正式名称『国立雄英高等学校』で正面から見たら「HERO」の頭文字に見える建造物で、雄英高校が所有している敷地は広大である。

 そして校訓としては「さらに向こうへ(Plus ultra)!!」であり、スペインのカルロス1世のモットーでもある。

更には一学年11クラスというボッチには厳しいマンモス校でもあるのだ。

 

「今日は俺のライヴにようこそ!!エヴィバディセイヘイ!」

 

 そんな雄英高校のヒーロー科を受けるおおよそ全ての受験生を集めた講堂に、首元にスピーカーを付けたボイスヒーロー「プレゼント・ボイス」、名実ともにプロのヒーローが立っていた。

 

「こいつぁシヴィーーー!!!受験生のリスナー!」

 

 彼は気づいているのだろうか、彼の言葉が、行動が場を白けさせているのを。

彼は知っているのだろうか、さっきから彼についてブツブツ言っている緑髪の天パ少年のことを。

 だがしかし、これは────

 

「実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!Are You Ready!?」

 

 なんというか────

 

「YEAHHHHHHHHHHHH!!!」

 

 ええい、(やかま)しい!!

と思えるくらい喧しい。発声した後であっても高等学校内で声が響いているレベルである。

 だが、確かにこの『個性』はいい個性だろう。

活動内容とか全く知らないが。むしろ誰か教えてほしいまである。

 

 「さて!受験生のリスナー!!入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!」

 

 模擬市街地演習。

つまり実際に(ヴィラン)との戦闘及び民間人の避難と救助をやると際「O.K!?」、ここの立地的に基本都市部の市街地戦が多くなるから…か。

 

「演習場には”仮想(ヴィラン)“を3種(・・)・多数配置してあり!それぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!!」

「各々なりの“個性”で“仮想(ヴィラン)”を行動不能(・・・・)にしポイントを稼ぐのが君達(リスナー)の目的だ!!」

 

 私はこの説明を聞いて思ったことだが…、ゲーム要素が強い…。

果たしてこれに隠された意図はなんだろうな…。

 

「もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

 

 他人への攻撃がアンチヒーロー、つまりヒーロー活動の1つである(ヴィラン)のと戦闘だが、プレゼント・マイクが言う通りに解釈するならばとどのつまり(ヴィラン)は他人である。つまり逆説的に他人である(ヴィラン)に攻撃するということはアンチヒーローになるのではないだろうか…。

 もしそうならば全人類ガンジーなればいい。

そうすればヒーローとかアンチヒーローとか(ヴィラン)も争う必要ないと考えるのは私だけだろうか。

え、私だけ?あっそう。

 

「それでは皆良い受難を!!」

 

 …しまった、また悪い癖が出てしまった。

話を全く聞いてなかったぞ…。

 

 

 




 次回はいよいよ城堂の個別が発覚します。
これからも蒼い死神(か第四の騎士)をよろしくお願いします。


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第3話︰雄英高校入試・後

 だいぶ遅くなっただ〜⤴︎(癖訛)

 んじゃ、雄英高校入試編はこれで締めますだ。
 ゆっくりしていってね!


 ワイワイガヤガヤ。

私がいる試験会場の雰囲気は正しく盛況な、悪い言い方をすれば騒がしいと言える。

だが、それを言い換えれば会場は今、最も熱気を帯びているとも言える。

 ああ、青春だな。例え、今この瞬間、雄英高校に受からなくても彼ら彼女らは青春の1ページとして新たに記憶として残るだろう。

だが、私は?この感覚を共有できない私はどうすればいいのか。

 答えは簡単、私の中ではこの試験が消化試合を行うようなものだと見ているかにほかならない。

ではなぜ、私はこの試験が消化試合と称するのか。

 今回のこの模擬市街地演習の目的として2つターニングポイントと4つの必要とされる能力が試される。

 

 1つは市街地演習という名目上、人の視界に制限が発生し、戦闘による建築物等の崩落による聴覚制限、民間人が多数いると想定した視野の広さと行動の制限、これらをハンデがヒーロー活動としていかに影響を受け、どう判断するのかという現場把握力。

 2つは圧倒的な力に対して個人ではなし得ない事をいかに協力し、打倒もしくは民間人の避難誘導及びその救出を手早く出来るか。

 

 そして4つの必要とされる能力であるが、1つは現状起こってる状況をいち早く把握する情報力、2つ状況に入ってからの初動対処及び機動力、3つすべての状況に対しての冷静かつ確実な判断力、そして、4つ状況打破する為の戦闘能力である。

 

 それらが私が講堂から会場間の移動で導き出した解でもあるのだ。

 だが、今騒いでいる人達はその事に気がついているのか?……いや、そんなのは日を見るより明らかである。恐らく誰も疑問に感じてすらないだろう。

むしろほかの人は目の前の事象に完全に囚われているとも言えるまである。

 

 そんな彼ら彼女らではあるが、各々のやる気は十分申し分ないと言える。

私は、この仕組みに気がつけたためにほぼやる気などないが。

 

 私は試験が始まる前に『個性』の発動する。

発動すると言っても、大方50%くらいにまで抑えるのだが。

私が『個性』を発動させると足の裏から徐々に蒼い装甲が膝まで覆い、胸から肩にかけて装甲を展開、カチューシャの様なバイザーヘルメットを装着して開始の合図を待つのである。

…50%の『個性』発動でなぜ、へそが出るのかが一番の疑問だな…。

 

──────────────────────

 

 はじめまして、俺は|津田幽斗(つだゆうと)。個性は『土星エンジン』。

実は俺自身、この個性については把握しきれていないのだ。

俺のこの個性を長時間使い過ぎると四肢が分裂してしまうくらい痛くなるのだ。

長時間使えてもせいぜい15分から20分くらいしか使えない。

だけど、その代わり全身体能力(ただし頭脳以外)が一時的に飛躍してくれるため、ここぞとばかりに使えば効果は絶大である。

 それ故に俺の姿形は背中に四角い箱っぽいやつにでっかいロケットの噴射口がひとつ。小さい噴射口は四角い箱っぽいやつの四隅と両足にはふくらはぎ、土踏ますの中にと計9つ噴射口を駆使して身体能力の底上げを行うのだけど。

 あれ?自分で言ってて案外把握してる?やっぱ俺って天才なんかな?

あたいってさいきょうね!

 

 そんなさいきょうな俺は今、俺の自慢の弟でおる津田霊斗(れいと)と共に日本最高峰の入試倍率を誇る雄英高校に来ていて、今はストレッチをしていた。

 

「にいさんにいさん!あの子可愛くない?」

 

弟が指さす人物を見るまでは。

 

 …その人物とは白髪に青みがかった髪を肩口までに切りそろえ、瞳は翡翠色、顔つきは幼さを残しつつ凛とした花のように可憐な女の子(・・・)

 

俺は彼女に話しかけようと近づいて話しかけようとしたのだが、その足を止めてしまう。

理由は単純、彼女は変身(・・)したのだから。

何言ってるかわかんないって?俺も何言ってるんか分からない。

 

 話は戻すがその変身は膝まで覆い尽くす蒼い無骨な装甲を纏い、胸から肩にかけて広がっていく脚と同じ色の無骨な装甲、白無垢な肌が目立つ腹部、カチューシャの様に頭の一部に蒼い装甲と彼女の翡翠色の瞳と同じ色の光が装甲のやや真ん中辺りから覗いていた。

 

 俺はその姿を見て可憐と思うとともに底知れぬ恐怖を無自覚に感じていたのだった。

 

──────────────────────

 

 『ハイスタートー!!』

 

 合図が出た。

そう判断した私は背部スラスターを吹かして他の受験生を置き去りにしていく。

それに先程の声はプレゼントマイクだろう。

 カウントダウンがなかったのは恐らく実戦を想定したものだろう。

現にプレゼントマイクは『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』と言っているのだ。

 

 その言葉を切っ掛けに他の受験生も走り出した。

だが、正直遅い。圧倒的に行動が遅い。なんだ、私はこんなヤツらと一緒に勉学に励むのか。

正直御免こうむる。とある軍人が言っていたが愚図とノロマは要らない、居ただけで国に対して不利益となると言っていたからだ。

 なら私がやることは?ここにいる有象無象(受験生)排除(選定)である。

 無論、直接的なことはしない。誰にもポイントを取らせなければいい。

 そう決めた私の行動は早かった。

私の『個性』の一部であるパッシブソナーを使って位置を大まかに特定、サーマルセンサーとで位置を完全に捉えることが出き、検索結果はARで表示されたマルチセンサーディスプレイ(MSD)として網膜に反映されるのだ。

 その検索結果を元に仮想敵を時には引き裂き、時には貫手で貫き時には地面に叩きつけ、考えうるあらゆる方法で数を減らしていく。

 

 私の体感で試験終了間際と思われるところで、これまでの仮想敵とは違い、サイズが桁違いの仮想敵が建物を倒壊させながら現れた。

流石に私と言えどアレを素手縛りで破壊仕切るのは骨が折れそうではあるが。

 

 ええ、ここに私以外が居なければ破壊するのもやぶさかではないが。

足元に人が居たらねぇ?本来であればそんな愚図は放ておけば良いのだが、生憎ヒーローと謳われるのであれば助けなければならない。ええ、不可抗力ですよ。助けられるのに助けず目の前で死なれるほど厄介なものは無い。

 

 

 

だから私は───足元で倒れている愚図を助けるためにスラスターの火を吹かすのだ。

 




 次話は雄英高校教師陣と入試後日談です。

 次は城堂の個性の答え合わせ(?)になるのかな


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第4話︰雄英高校入試アフター

 リアルの仕事が忙しすぎてなかなか執筆時間が取れなかったが何とか投稿…。

 予定次第ではさらに伸びる可能性が高そう…


 あの試験から約1週間経った日。

 私は1人しか居ない我が家に居た。

両親はどうしたかと?大方、中東に蔓延ってるテロリスト諸君と仲良死子良死してるのではないでしょうか。テロリスト諸君、骨も残らないと思いますね。まさに南無三です。

 ちなみに仲良死子良死と言ってはいるが別に誤字ではありません。たまに両親のどちらかから国際線で電話が来ますが、遠くから爆発音やら発砲音・叫び声が聞こえるし、元気にテロリスト諸君と戯れているに違いないでしょう。

 

 さて、私の話ですね。

もうそろそろ来るであろう雄英高校からの手紙が今日届いた。

が、手紙と言う割には中央部がやけに膨らんでおり、それに重かった。

これは明らかに紙媒体を使用して無いという事が明らかに分かるものだった。

 封を切ると中から出てきたのは何かしらのデバイス。

わかりやすく言うとへぇへぇボタンみたいなものである。

 そのデバイスだが、つい先程眠っていた私はついうっかりしてしまったせいか床に落としてしまった。

 ええ、それはもうなかなかいい感じの音で落ちてしまいまして。

慌てて拾おうとしたらブォンと言う効果音と共に空中に映像が投影された。

 

『ンッウン!私が!映し出された!』

 

 そこに映っていたのは『平和の象徴』『NO.1ヒーロー』と称される圧倒的人気のオールマイトでした。

 だが、当のオールマイトはいつものヒーローコスチュームではなく、筋肉のせいでピチピチとなったスーツを着ていました。

 

『どうも!初めまして、城堂千司くん!私はオールマイト!今年から雄英で教師として赴任することになってね!御両親はお元気かい?』

 

 もちろん、今映っているオールマイトはただの記録なので返答はしないだろうが、あえて心の中で答えるなら「中東でテロリスト諸君と仲良死子良死しています」と答えたでしょう。

 

 うっすらとほかの先生から『オールマイト先生、今その質問は非合理的ですよ』と注意されているのも聞こえていますし。

 

 『あ、相澤くんゴメンね!?ウッホン!では気を取り直して城堂千司君!君は合格だ!しかも、他の受験生を差し置いてぶっちぎりのトップだ!いやまぁ、あの2人の子だからこれくらいは朝飯前だったかな?』

 

 まぁ、あれくらいは余裕と言うかなんと言うか…、母との訓練よりかはだいぶ…いや、かなり楽勝と言えました。

母の個性の性質上、四方八方からの攻撃───俗に言うオールレンジ攻撃と言うやつと比べたらどうしてもですね?

 

『さて、雄英高校に入学に伴ってきみには入学式3日前に来てほしい。話す内容としては君たの個性についてだ』

 

 ……ああ、やはりと言えばいいのか、試験最後のアレが不味かったのだろうか。

自身でも思い当たるのはあの時しか無い。ああ…、これは面倒なことになった。

 

──────────────────────

 

 雄英高校入試試験官室、とプレート部分にセロハンテープで張り付けられた一室で複数人の人達が集まっていた。

 

「いやー、今年の子はなかなか豊作じゃないか?」

「まぁ…、その意見は反対では無いが…」

「特に0Pの仮想(ヴィラン)を殴り飛ばした子と切り裂いた子!!いいわね!」

「だが、まだまだ改善の余地があるな…」

 

 等など彼らは目の前に複数併設されたモニター画面を見ながら自らが思った事を述べていく。

 

「過去に立ち向かったものはいましたが、ああになるまで壊されたのは初めてです。…まぁ、殴られた方はまだ修復が可能でしたが」

 

 彼らの内の1人が報告を行うと2つのモニター画面に映されたのは顔面部が激しく凹んだ仮想敵と頭から股まで融解したように切り裂いた仮想敵。

この2体が映されていた。

 

「うーん、物の見事に壊されているねぇ…」

 

その報告をした者と聞いた者達は挙って顔を見上げた。

 

(((来年の予算委員会荒れるだろうなぁ…)))

 

 そう、今ここにみんなの気持ちがひとつになった瞬間であった。

 

「んん!では気を取り直して爆豪勝己という少年ですが、ヴィランポイントは高かったのだがレスキューポイントが0というのもある意味すごいですな」

「…資料によると緑谷君と爆豪君は同じ中学校らしく…」

「ほう。それはそれは……」

 

 そして、話の中心は緑谷と爆豪の2人に焦点が当てられた。

 

誰も、城堂の話題に触れることもなく、その危険性を理解出来ずに…。いや…、あえて誰も認識をしようとはしなかった。

画面の片隅に映る、その蒼き鋼に宿る狂気を…。

 



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第5話︰呼び出されて雄英高校

 うん、タブタイと本編関係ないと思うかもしれんがそれは自分がよく知ってるから言わないで。

 あと投稿遅れで許してクレメンス


 入学3日前、私は雄英高校に来ていた。

 理由としてはまぁ、雄英高校から直々呼び出しを受けたしだでありまして。

 あらやだ!私何もしてないわ!…ええ、私自身やった事だけど自身でもおぞましいと思えてくる。きっと、もしこれが他人に見られたら軽く自己嫌悪に陥るまである。

恐らく、雄英高校からの呼び出し理由としては多分私自身の個性…。メイビー。

 

 それに三日後にはここの生徒になると言ってもまだ部外者であるため、私は絶賛正門前にいるのだ。

かれこれ、30分くらい。あともう10分したら私は帰る。え、帰ってはダメだと?いや、普通に嫌なのですが。

 

「…お前が城堂千司か?」

 

 私が1人で自問自答をしていると正門から1人の男性が来る。

 その人物は髪がボサボサで髭も無造作に生やし、目付きがやたらと悪い。

この人は本当にヒーローか何なのだろうか。だが、質問の答えには答えねばなるまい。

私は縦に首を振った。

 

「そうか。それと考えているところ悪いが着いてきてもらおう。時間の無駄だ」

 

 私はそう言い、踵を返し進む男性に追随していく。

まだ見ぬ校舎を見るために。

 

 そして、しばらく先を進む男性について行くととある一室に着いた。

その部屋のプレートにはやたら達筆で『校長室』と書かれているから今から会うのは雄英高校の校長だろう。

はてさて、どんな人物なのだろうか。

 …と思っていた私がいました。

校長先生はまさか人ではなく動物でした。

何言っているのか分からないと?大丈夫、私もわからない。

 

「あの人(?)が校長先生?」

 

 だから思わず連れてきた人に聞いてしまっても仕方か無い。

 

「YES!ネズミなのか犬なのか熊なのかかくしてその正体は──校長さ!」

 

 見た目、思いっきりネズミでした。

 

「さて、早速本題に入らせてもらうよ…。君の、『個性』について…。」

 

 …ああ、今日の晩御飯はファミレスで済ましてしまおうか。

私はこの話が長くなる予感が確信した瞬間であった。

 

 

 

 早速だが私の個性についてだ。なお、この話の席には先程の校長を含めた数名の教師が同じく在室しており、その中にはオールマイトの姿が見受けられた。

 

「早速だが、君の正式な『個性』は何かな?」

 

 そう質問してくる校長先生。

わたしは雄英高校に提出している個性登録表には「機甲化」としている。

だが、目の前の人物(?)にはそれが嘘だと分かってしまっているのだろう。

現にこういう形で尋ねるとなればほぼ確信して言ってると見て間違いなさそうではある。

そして、校長が破棄ほどの質問してから室内に張り詰めた空気とほんの少しだけのスパイシーさが効いた殺気が部屋の中を満たしていく。

だかまぁ、私はそれを恐怖と感じる訳ではなくむしろある種の心地良さを感じるまでであるのだが。

 

「『個性』について話をする前に1つ。皆さんは…、“ニュータイプ”と言うのをご存知ですか?」

 

 “ニュータイプ”、これは私の個性上この話は切っても切り離せないほど重要な役割を持っている。

主に好みに宿るモノのせいで。

 

「にゅ、ニュータイプ?なんだそれは?」

 

 私の後ろで控えてるこの部屋に連れてきた人は威圧するように訪ねてきた。

まぁ、当然の事ながら『個性』の話をしろと言われて関係なさそうなことを言われたら誰だってそうなるだろう。

 

暫くして。

 

「ふむ、“ニュータイプ”にそれを打倒する為の」

「先生」

 

 たった一言で私は根津校長がその先にある言葉を発する前に釘を刺す。

 

「その名前は今はまだ、秘匿でお願いします」

「ッ!?だがそれではッ!」

 

 私がこの事を秘密にしてくれと言ったらいち早く反応したのは筋肉モリモリマッチョヒーローことオールマイトが口を挟む。

 

「分かってます、時期が来ればいずれ私の口から」

 

 私の決意の前に先生方は押し黙るほかなかった。

まるで、何を言っても無駄であるかのように。

 




 誤字脱字があればご報告下さい。
皆さんのコメントが私の活力ですから


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第6話︰始まりの始まり

どうも、和原です

今回こんなに早く投稿できたのは初めてではないだろうか。いや、初めてである。

今回もまぁ、短めであるが何卒ご了承ください。


 あれから三日後、私は雄英高校へ入学するため、制服を着ようとするのだがその制服は何故か女性用の制服。おかしい、確か私の記憶違いではなければ雄英高校へ提出した書類にきちんと、それも達筆で男と記入したはず。

 

 それなのに、私の手元に来たのは女性用の制服。

ほぼ確実に誰かが仕込んだのだろう。

身長と顔付で判断されてる。明らかにそれで判断されてる。

クラスメイトからには確実に色物枠として覚えられるだろう。

 薔薇色学生生活から灰色学生生活にクラスチェンジした瞬間である。誠に遺憾だ。

 しかし、初日から遅刻というのもいただけない。

ならばどうするのか。頭の中で高性能メガネをかけた小学生に「真実はいつもひとつ」と言われてるかのようだ。

そうなのだろうか、果たしてそれだけなのだろうか、教えてくれコ○ン!

 

 と、いつまでも脳内でアホなやり取りしていたが現実問題、私はこれを着て衆目に晒せというのか。

…ええい私よ。今は恥を忍んで行くのが重要ではないか!

 

 

 …私はしばらく逡巡した後、女性用の制服を着て雄英高校に向かった。

 

──────────────────────

 

 やはりと言うべきか、雄英高校に向かう最中衆目環視に置かれてるせいもあるがいつも以上に視線を感じる。通勤中の戦死達(サラリーマン)からランニングしている若者に登校中の学生達。あげればキリがないが私を向けてくる無遠慮な視線をビシビシ感じてしまう。…今一瞬えっちぃ事を考えた奴は放課後体育館の裏に来い。話し合い(殴り合い)をしようではないか。

 

閑話休題(それはともかく)

 

 まぁ、何が言いたいのかと言うと、ランドセルのスラスターで雄英高校まで飛んで行きたいという事だ。

まぁ、それやった日にはもれなく御用されるが。

そうやって暫く悶えながら雄英高校に着くと走って教室まで向かった。

 そして、1-Aに向かう途中。

緑色のボサボサヘアーの少年と出会った。

 

「えっあっと、僕は緑谷出久…君は?」

 

 そんな彼からたとたどしい声で名前を尋ねられたので「…………………………城堂」と少年───緑谷くんに答えた。

 それからどうも彼とは今から向かう教室が一緒と言うので一緒に行動するのだが、如何せんコミュ障の私は彼から一方的に話しかけられてそれに頷くとしかしていなかった。

…当の彼も滅茶苦茶噛みながら喋っていたからお互い様なのだろうか。

 

 

 そして私達は、今日から私が通う教室の扉に手を掛け、開け

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」

 

る途中でやめた。

ああ、私は多分疲れてるのだろう。それもそうだ、朝からこんな女装するような事をし、周りからは無遠慮な視線をぶつけられては精神的に疲れて幻覚幻聴を起こしてしまってもおかしくはない。だが、(老害)は言っている。ここで諦める運命ではないと。

 もう一度、私は意を決して再び扉を開け

 

「くそエリートじゃねぇかぶっ殺し甲斐がありそだな」

 

るのを再度中断しようとするが誰かに掴まれてそれは実行できなかった。

 

「なんだね、君達は!クラスはどこだ!?」

 

 眼鏡をかけた、いかにも委員長の役割が似合うやつに話しかけられた。

だが、当の私は前世も含め、他人との付き合いが苦手な私にとって彼のコミュニケーション能力の高さに脱帽である。私であれば絶対真似出来ない。

そんな私の悪いくせが出てしまい、「…………………城堂、…………1-A」としか話せない自分に嫌気をさし、そそくさと緑谷くんを置いてその場から離れた。

 だが、緑谷くんはあの委員長っぽいやつに捕まったせいかなかなか席に座れないでいる。

 

私は大変心苦しい(大嘘)が委員長っぽいやつの対応は緑谷くんに任せて席に着こうとしたが、緑谷くんの後から「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」と咎める…芋虫?というかよく見たら三日前私を案内してくれた目つきがやたら悪い人ではないか。

 ああ、この人が担任なのか。

 

「ハイ静になるまでに8秒かかりました」

 

どうやらここにいる人は彼が先生だということに大変驚いているようだ。いや、諸君たちの気持ちはよく分かるよ。

私も3日前に感じたことだから。

 

「時間は有限、君たちは合理性に欠くね。担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 …どうやら私たちの担任の先生は過度な合理主義者らしい。

果たしてこれからどうなっていくことやら、今の私には分からなかった。

このクラスが様々な激動に飲まれていくことか。

 




 今回は教室入るまで。
次は身体測定。多分、城堂くん無双ができ…あ、爆轟くんがいるわ


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第7話:個性把握テスト・上

 よし、久々の投稿だ!

………え、最終投稿日去年の7…月…?

 あ さ は か な
    だ れ が エ タ る と
       い う の で す

          ─和原、心の俳句─

(言い訳タイム)
 えぇ…いや、決してエタってた訳じゃないんだよ!?
 ここんとこ忙しかったかって今まで出来なかったけど最近ちょっと時間取れたから書いてただけだから!!

 それと前回爆豪無双と言ったな? 
騙して悪いが 作者なのでな 納得してもらおう 


「さて、これから君たちには体操服(コレ)を来てグランドに出てもらう」

 

 そうい髪がボサボサの目が腐った男────相澤が取り出したのは雄英高校指定ジャージ。それに伴ってクラスからざわめきが消えた。これが果たしてどういう意図があるのだろうか。

 

「諸君にはこれから身体測定(個性把握テスト)を行ってもらう」

 

 相澤先生がそう言うと静かになった教室が再びざわついた。

あの、私、入学式やったことないです。中学?いつから最初から居たと勘違いしていた。

途中編入故に入学式をやったことないのだ。では、小学校は?と聞かれればこれもNO。

何故かって?……やむを得ない事情があるのだ。

 

「「「個性把握テストぉぉ!?」」」

「はぁ!?入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 皆が驚いている中、何とか硬直から抜け出せた頭髪が棘々しい生徒が反論するが相澤先生は開いていた眼を細め「確かに入学式やら授業ガイダンスは重要だ」と前置きを置いた。

 

「お前達はヒーローを目指しているのだろう?ならば、そんな事をしている暇があるのならば一刻でも早く個性を使い慣らす為の努力をしなければならない。故にそんな悠長な事をしている暇などない」

 

 まぁ、確かに一理ある。相澤先生の返しに頭髪が棘々しい生徒は理解はしたが納得がいかない顔をして押し黙った。

いやしかし、相澤先生の合理的主義、というかあれだな。

合理的主義が行き過ぎて合理性お化けと化しているな。妖怪『合理主義』と名付けよう。口癖はもちろん「合理的であれ」だな。

 

「さて、文句は終わったか?それとお前ら、ここがどこだが忘れたか?ここは雄英高校、『自由な校風』が売り文句だ。これが適用されるのは何もお前達生徒だけではない。教師側も然りだ。」

 

 相澤先生がそう締めくくると教室の空気は先程まで和気藹々したものではなく、張り付いたものとなった。

「ふぅ、無駄な時間を過ごした。ではそろそろお前達は体操服に着替えろ。個性使用を禁止された体力テスト。学校でもやってきただろう?それを今からグラウンドで行う。直ちに着替えてそこに向かえ。以上だ」

 

 そう言い終えた相澤先生は教室から出ていく。

その後ろ姿は引き止める事すら許さない空気が漂っていた。

 

 

 

 

 

雄英グランド。

異形系個性を想定された広大なグランドに新入生の1-A約21名の姿があった。

 そこではHR前で仲良くなったであろう女子のグループと男子のグループ、孤高を気取って距離を置く爆発頭と紅白頭、そして、コミュニケーション能力が著しく欠落している緑谷出久と私と言う構成になった。

つまり教室に着いたのが最後になってしまったが故に起こるヒエラルキー、もといクラスカースト順位がハッキリした結果でもある。

ましてや私に関しては自己紹介すらまともに出来ていない為、下手をするとカースト順位は緑谷出久以下になっている可能性がある。

いや待て、まだそうと決まり切った訳では無い、はず…。

 ん?何故そこまでネガティブになっているのかと?

…考えても見ろ、私は男だ。だが、なんの手違いか知らないが女子生徒の制服を着ていた。つまり、体操着に着替える際に教室で着替えようとしたらクラスの男子はこっちを凝視してくるわ、女子からは女子更衣室に連れていかれそうになるわで大変だったのだ。

それとひとつ、ぶどう頭のチビ、お前は後で覚えていろ。死ぬより酷い目に遭わせてやる。

 

 

 

 私のつまらない思考(閑話休題)はある人物が来ることによって終わった。

 

「さて、これからお前達にはHRでも言った体力テストを行ってもらう、おい爆豪、中学時のソフトボールの距離はどんぐらいだ?」

 

 相澤先生から指名された爆発頭──爆豪はただ淡々と…嫌済まないなんかよく見たら凄い怪訝そうな顔で「67m」と答えた。

 

 「よし、爆豪。サークルの中に入って個性を使用して投げてみろ」

 

 相澤先生の指示に爆豪はソフトボール投げのサークル内に入ると「死ねぇ!!!」と叫び投げる。その際に手から爆発音と共にボールは彼方へ飛んで行った。

私のセンサー有効範囲からの検知をロストしたということは少なくとも640m以上は飛んでいるはずだ。

それを裏付けるように相澤先生の手に持つタブレット端末から飛距離を示しているでろう705mと言う数字が何よりも証左であろう。

 その証拠に爆豪が出した記録に私と緑谷君と紅白頭以外の生徒は歓声を上げ、また楽しそうにしていた。

 

「小~中学生の個性使用を禁止した体力テストなんぞ全く持って無駄だ。全くもって合理的では無い。ヒーローになるにあたって今自分がどの程度の実力を把握する必要がある」

 

 相澤先生は合理的過ぎる故にきつい言い方もあるが、全体的に通していいことを言っているので大変参考になる。

が、話を聴いていたのは全体の4分の1程度で他は聞いてはいない。

今まで個性使用を抑制されていたためかは知らないが個性が体力テストとはいえ制限無く使える為か「面白そう」という声も出てくる始末だ。

 

 だが、流石は妖怪『合理主義』。今の発言を聴き逃しはしなかった。

 

「面白い…か。お前達はヒーローになろうと言うのにそんな腹積もりで3年間無為な時間を過ごすつもりか?御生憎様、みんな仲良くジャンクフード店によって駄べる暇はないゾぞ。そうだな……よし、ではこうしよう、この体力テストのトータル最下位はヒーローになる見込みがなかったと言う判断をさせてもらおう。つまり除籍処分だ」

 

 相澤先生の話を生きていた他の生徒達は最初の方は楽観的な雰囲気があったが話が進むにつれ、顔色が悪くなり最終的にはほぼ青ざめている。

流石は妖怪『合理主義』。あらやだ、なんかデジャブ。しかし、この打撃は思いのほかでかい。

 

「生徒の如何は教師次第…。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 相澤先生はボサボサの前髪を掻き揚げ嘲笑し、凄んだ。

さて、どうする、他の生徒達よ。恐らくこれが我々新入生の最初の壁であるのは間違いない。

でもさ、君らいつまで文句を言うつもりだ?こういう時こそ思考の切り替えが大事では無いだろうか。見てみろ、相澤先生は文句を聞く耳を持ってないぞ。

 我々はヒーローになる為にここに教育指導を受けるため気のだろう?

自然災害、大事故に犯罪行為に手を染める敵。身の回りにはいつ起こるとも知れない災厄に対してもう少し緊張感を持って欲しいところだ。

 もちろん、この事はきちんと今、相澤先生の口から説明された。

 

「このような理不尽(ピンチ)を覆し、成し得るのがヒーローだ。Plus(プルス) ultra(ウルトラ)。全力で乗り越えて来い、お前達ならそれが出来るはずだ」

 




次は体力テスト中という事で4種目位を目処に下に行こうかと思いますのでよろしくお願いします


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第8話︰個性把握テスト・中1

だいぶ遅れた、すまぬ


── 一種目・50m走 ──

 

 あの後私達は体力テストを行う事となった。

順番的には、その他クラスメイトの後に最後から2番目に紅白頭と誰か、次に爆豪と緑谷出久、最後に私のみとなった。

 私が最後になった理由としてはスラスターの噴射炎をもろに浴びてしまう可能性があると判断──つまり安全管理上、最後にならざるを得なかったとも言う。

 そして、最後という事は嫌でも注目を浴びてしまう訳だが…。

これはいい成績を出せば後で体育館裏に呼び出されるのでは?主に爆豪あたりに。

いや、さすがにヒーロー目指そうというのだからそれは無いはずだ…。多分、恐らく、メイビー。

 

 そう考えているうちに私の出番が近づいてきたので、ここで個性を発動。

私は『半装甲型(ハーフスキンモデル)』と自らそう呼んでいる形態となる。

 詳しく言うと、頭にカチューシャみたいに装甲と頭部センサーが、胸部には見えては行けないものを隠すように、肩には包むように、腕にはオペラグローブのように、腰にはたて丈が短いスカートみたいに、脚にはタイツみたいに現れる。

 

 おいそこのぶどう頭、こっちみてハァハァするな気持ち悪い。

男に言い寄られても嬉しくは…あっ、なんかカエルっぽい女子が舌でぶどう頭の目を潰しを行った。ざまぁみろ、である。

 

 ぶどう頭がしばかれているのを尻目に私は正面を向くと爆豪が緑谷出久に対して凄んでいたと思うと、スタートと同時に両手から緑谷出久を巻き込むように爆風を起こし、飛んで行った。

もちろん、爆風の煽りを受けた緑谷出久は個性を一切(・・)発動させずにそのまま走り切った。

 

 だが、その緑谷に対して周りの生徒は訝しんだ。((なんでこんな奴が雄英高校に受かったのだろうか、本当にまぐれ合格なのか?))と。

正直な話、私もそう思ってしまった。

 

「おい城堂、準備はいいか」

「いつでも」

 

 相澤先生から急かさせるが私に関しては既に準備は完了している。

あとは先生からの合図でいつでも行ける。

「それじゃぁよーい…」

 

 私は相澤先生の言葉に合わせて背部ランドセルのスラスターに火を入れる。

スラスター周りの熱量を背中に感じながら、合図を待つ。

 

「どん」

 

 相澤先生の合図と共にスラスターを限界まで吹かす。

その時の光景は数刻も経たず、ゴールラインを通り過ぎていく。

 弾き出された結果は「1.58秒」である。

この結果も当然と言えば当然の結果である。

先程爆豪と言い合っていた委員長タイプの生徒の脹ら脛からエンジン始動音が聞こえていたから速度系の個性、爆破の推進力を利用した爆豪とジェットスラスターを搭載している私と比べるとどうしても私の方に軍配上がるのは致し方ないだろう。

 

 それにしてもどうしたのだろうか、揃いも揃って呆けた顔をしてからに。

甚だ疑問なのだが誰か教えてくれないか?

 

── 二種目・握力測定 ──

 

 私が50mを終えた後、呆けていたクラスメイトを相澤先生の一言で戻って来させ、握力測定を行っていく。

 

 その中でも腕から触手(?)を生やした異形系個性の生徒が「540kg」を出した為、私の中の訳の分からない対抗心を刺激されそうになるが、あのぶどう頭のせいで一気にやる気がなくなった。

何が「タコって………エロいよね………」だ。いい加減にしないとアタマをかち割ってやろうか。

お前の心無い一言でどれだけの触腕系個性の人達を陥れたか、分からないのであろうか。

 顔には出さないが、それでいていつかあいつの頭をかち割ろうと心の中で誓い、握力計測定を行おうとしていたが、何故か手中には丸められたスクラップが。

そのスクラップとなったのは哀れな握力計である。

どうやら私は気付かぬうちに握力計を渡され、怒りのあまりに握り潰してしまったようなのだ。

 思わず私は辺りを見回すと私と目が合った生徒達はそのこと如く顔を逸らした。

いや、何故である。

 

 

── 三種目・立ち幅跳び ──

 

 三種目は立ち幅跳び。

 相澤先生は当然もかくやと言うように最後に回され些か咎めるように見るが、当の彼は何処吹く風である。解せぬ。

 だが、いつまでも気にしていては時間の無駄だと感じ、意識を変え立ち幅跳びに望む。

 だが、先程から爆豪がしていることはなんなのだろうか。

緑谷の邪魔をしているようにしか見えない。前世と今世の中学で嫌な程人間観察をしてきたが、爆豪のそれは己よりも能力が劣る侮蔑する様な視線と態度である。

正直にいえば気に食わない(目障り)奴である。嗚呼───

 

「おい、城堂。次はお前だ早くしろ」

 

 相澤先生から声を掛けられられ、一瞬だけ何かに意識がを飲み込まれ掛けたがすんでのところで踏みとどまる。

 あのまま飲み込まれていたら取り返しのつかない事になりそうな予感があった。

一体…何故だ…?

 

「はぁ、城堂。何をしている早くしろ」 

「すいません、少し考え事を」

「……思考を巡らすのはいいが、今は体力測定だ。こっちに集中させろ、いいな?」

「……以後気をつけます」 

 

 相澤先生からの注意を受け、私は考えるのをやめた。

あ、そうだ。1度推進剤がなくなるまで飛んでみようそうしよう。

 

「はぁ〜、城堂のやつはどこまで飛ぶんだろう…?」

 

 他の生徒達は三度呆けた表情をしたとかしてないとか。




個性把握テスト・中1に関しては中2ができ次第ひとつにまとめる予定ですのでよろしくお願いします


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第9話︰個性把握テスト・中2

 前半はオリ主、後半は緑谷がメインになる…のかね。

 誤字脱字があれば報告お願いします。


── 四種目・反復横跳び ──

 

 クラスメイトだけでなく、相澤先生までもが呆れさせた立ち幅跳びを終え、次は反復横跳び。

だが、これに関しては脚部のスラスターを繊細に、かつ微調整しつつやっても記録は「125回」が限度だった。いや、あれである。スラスター使うと思った以上に出力が高過ぎてオーバーしてしまう。

私の記録がでた時の他の生徒たちのホッとした表情は、何だか釈然としなかった。

 

 話は変わるが緑谷はこの体力測定が始まった時よりも憔悴しているようにも見える。

絶望してヤケを起こさないといいが。

 

── 五種目・ハンドボール投げ ──

 

 ハンドボール投げでゆるふわ系の女子が「∞」──つまり測定不能値を出した。

 

これまでの生徒達が各々の個性を使って人離れした記録を出していく中、依然顔色が優れない緑谷は未だにそれらしい記録を出せずにいた。

 

そしてハンドボール投げでゆるふわ系の女子の次が緑谷だった。

 

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…」

「ったりめーだ!無個性の雑魚だぞ!」

 

委員長タイプ(七三メガネ)不良タイプ(爆発頭)が緑谷について話していたが一つ、気になる情報があった。

 

緑谷が…無個性…?

 

その話が本当なら正直な話ではあるが、雄英高校の運営形態に問題があるといいようがないが…。

だが、この思考が無駄となるのは七三メガネが放った一言だった。

 

「無個性!?彼が入試時に何を成したのか知らないのか!?」

「は?」

 

つまり、緑谷はあの七三メガネが言うように、何かを成したとするのならばそれを今発揮すればいいだけの話だ。

それをしないという事は何かしらの制限があるという事、であろうか。

 

「46m」

 

思考を巡らすうちに私の耳に緑谷が一投した事を告げる情報が入ってきた。

それと同時に先程の考えは、考えすぎかと訝しんだ。

 そう思った私は緑谷を見たら彼は、絶望していた。

まるで希望を掴まんとして、己が持ちうる全力を出そうとし、それが叶わなかった者の表情と気配。

 

「『個性』を消した」 

 

 それを告げ面倒くさそうに頭を搔きながら緑谷に視線を向ける相澤先生だった。

だが、その視線は決して好ましいとは言い難いものだった。

 

「やはりあの試験は非合理的過ぎる。お前みたいに運良く入学出来てしまうくらいには」

「…『個性』を消す…それにあのゴーグル…アングラ系ヒーローの〈イレイザーヘッド〉!!」

 

 緑谷の発言によりクラスメイトはざわつき始めた。はて…イレイザーヘッドなんてヒーローなんていたのか?

 

「お前ら、うるさい。ざわめくな。」

 

 睨みをきかせながらその一言でクラスメイトたちからざわめきが消えた。

そして、緑谷に近づいて

 

「緑谷、一度しか言わない。お前はこれから先でヒーロー活動で己の個性を制御出来ず『大怪我をして守るべき存在を守れませんでした』と言うつもりか。もしそうなら直ちに雄英高校から出ていけ。己に限界を感じてしまったのなら出ていけ。次が、お前の最後の挑戦(ラストチャンス)だ」

 

 先生はそう言うと緑谷から距離を取る。

その様子を見ていたクラスメイトたちは静寂していた雰囲気を再びざわつかせた。

 

───なぜ、もう一度やらせる?

───彼は今まで一度も個性をしてないのに?

───これ以上やらせる必要があるのか?

───無個性の雑魚の癖に煩わせやがって…!

 

 そんな思いに駆られているのだと思う。

クラスメイトたちの雰囲気がそう物語っているようなものだ。

 しかし、緑谷は顔は俯いていたものの目は死んではいなかった。

確かに先生が言っていた事は正しい。過ぎたる力は相手も己も、ましてや守るべき存在さえも傷つける。

なら、どうするべきか。

解はただ一つ。己が出来ることをやればいいだけ。

 

「見せてみろ、お前の可能性の力を」

 

 今、この瞬間から審判の幕が切って落とされるのであった。

 




 たかが1500文字でどれだけ投稿期間を開けているのかっていう、自己嫌悪。

次で個性把握テストは終わる(終わる終わる詐欺にならないよう気ぃつけます)


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第10話︰個性把握テスト・後『思想と決意』

 閑話書いてないではよ本編書けやって話だよな。
でも、緑谷くん視点も書きたかった、後悔はしていないさ(ドヤァ)


── side:緑谷 ──

 

 50m走最後の生徒、城堂千司君。

彼とは1-Aの教室に向かう時に出会った時から不思議な雰囲気を纏っていた。

しかもその不思議な雰囲気と言うのは決して能天気な…言い方は悪いけど不思議ちゃんのような雰囲気ではなくそこにいるだけで背筋が寒くなる様な冷酷な雰囲気を醸し出していた。

 

 だけど話してみると案外(?)会話は弾んだような気もしなくもない。

まぁ、僕が一方的に語りかけていると言っても過言ではないがけどね。

 

 そんなこんなで城堂君と一緒に教室の前に着いて扉を開くとかっちゃんとプレゼントマイクの説明の時に僕に注意した、僕が今一番関わりたくないツートップが言い争っていたんだけど、なんと城堂君、開けて直ぐに扉を閉めてしまい、目頭に手を当てもう一度開いて直ぐに閉めようとしたら阻止されてしまった。

 

 案の定と言うべなんだろうか、かっちゃんと言い争ってた男子は僕らに向かって注意と誰何(すいか)されていたため、城堂君は聞き取れるかどうかの声量で「…………………城堂、…………1-A」と答え、そそくさと席に向かった。

 

「まともに挨拶も出来ないとは雄英生の風上にもおけんな。おっと済まない、ぼ…俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ。これからよろしく」

「ちっ、これだから雑魚(モブ)が…」

 

 多分そうじゃないと思うけどなぁ…。あとかっちゃんは誰彼構わず喧嘩売らない方がいいよ。

 

「緑谷くん…君は…あの実技試験の構造(システム)に勘づいたのか…」

 

 え、いや、待ってなんの話?実技試験の構造(システム)?もしかして…

 

「俺は気づけなかった…。認めるしかない!君の観察力を!」

「は…はぁ…」

「俺は君の事を見誤って物見遊山と言ってしまった…。大変申し訳ない…」

「えぇ!?あっいや、僕はそんなに気にしてないので大丈夫と言いますか恐縮と言いますかえぇっと…僕も悪かったからお相子…じゃだめかな?」

「緑谷くん…ありがとう…」

 

 飯田くんは無駄に暑苦しいと言うか真面目と言うか、委員長キャラが似合う人ってなかなかいないと思う。…僕は何をしてもダメダメだったけど…。

 

「あー!モジャモジャ頭くんだ!良かったー受かってて!」

 

 飯田くんと和解していたら後ろから声をかけられ振り返ると試験の時に助け助けられたホンワカした子がいた。もしこの子が直談判をしてくれなかったら僕は多分、ここにはいなかったって言って過言ではなかった。

 

「うちは麗日お茶子!よろしくねー!」

 

 そう言って笑顔で自己紹介をされたが…。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

 僕らの足元でおことの人の声が聞こえ、視線をそちらに向けると寝袋を被った僕達の担任だという相澤先生がいた。

しかし、相澤先生の名前を聞いて脳内ヒーローライブラリに検索かけるけどなかなか出てこない。非常にもどかしい。

 

「さて、これから君たちには体操服(コレ)を来てグランドに出てもらう」

 

 そう言って相澤先生が取り出したのは雄英高校指定ジャージ。

だがその前に行われる入学式とガイダンスはどうするのだろうか?僕の思考は海に沈んだ。

 

「も、モジャモジャくん…?なんか急にブツブツ言い出してなんか怖いよ?」

「あ、ごめんね?考え事しだすと癖でやってしまうんだ…」

 

 麗日さんには申し訳ないけどこれは簡単に治るとは思えないんだよね。

…趣味が趣味だから、とも言えるけど。

 

 

「諸君にはこれから身体測定(個性把握テスト)を行ってもらう」

 

 相澤先生がそう言うと静かになった教室が再びざわついた。その雰囲気はこれ以上何も言わせないような気迫を感じるほどだった。

しかし、身体測定なんて入学式やガイダンスをやった後でも十分な気がするけど、何故相澤先生はそこまで拘るのかが今の僕には分からなかった。

 

「「「個性把握テストぉぉ!?」」」

「はぁ!?入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 皆が驚いている中、何とか硬直から抜け出せた頭髪が棘々しい生徒が反論するが相澤先生は開いていた眼を細め「確かに入学式やら授業ガイダンスは重要だ」と前置きを置いた。

 

「お前達はヒーローを目指しているのだろう?ならば、そんな事をしている暇があるのならば一刻でも早く個性を使い慣らす為の努力をしなければならない。故にそんな悠長な事をしている暇などない」

 

 まぁ、一理ある。そう思った。確かにいざと言う時に自分の個性がどこまでできるか掌握していないと実力発揮ができませんでした、なんて日々人々の安心と安全を護るヒーローとしてあってはならない事だ。

けど相澤先生の言っていることはなんと言うか…合理性を突き止めた結果、と言っていいのかな?

 

「さて、文句は終わったか?それとお前ら、ここがどこだが忘れたか?ここは雄英高校、『自由な校風』が売り文句だ。これが適用されるのは何もお前達生徒だけではない。教師側も然りだ。」

 

 相澤先生がそう締めくくると教室の空気は先程まで和気藹々したものが壊されは、緊張感が肌に張り付く様なものとなった。

 

「ふぅ、無駄な時間を過ごした。ではそろそろお前達は体操服に着替えろ。個性使用を禁止された体力テスト。学校でもやってきただろう?それを今からグラウンドで行う。直ちに着替えてそこに向かえ。以上だ」

 

 

────────────────────

 

 

 体操服に着替えてグランドへと向かう。

だけど僕自身はオールマイトから受け継いだ個性を未だ上手く扱うことが出来ない。

なまじ扱えたとしても0か100でしか使えない。オールマイトから助言を受けた筈なのに。

 他のクラスメイトは個性持ちよろしく超常的な記録を取っていくが僕に関しては『個性無し』みたいに平凡な記録しか取れていない。

 

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ」

「ったりめーだ!無個性の雑魚だぞ!」

 

 意識の外でかっちゃんと飯田くんが言い争っていたが、今の僕には周りを気にかけるほど余裕はなく、焦りが生じていた。

 

 そして5種目のハンドボール投げ。

この種目は『ワンフォーオール』の特性が1番生きる。

ここでチャンスを掴めなかったらいよいよ持って入学して早々退学になんてなりかねない。

 だから僕は!今ここで!記録を残さないと!オールマイトみたいにはなれない!

 

 ボールを投げる時にワンフォーオールを使って投擲をした。

この時まではそう思っていた。その認識が間違っていたとわかるのはそう長くはなかった。

 先程投げたボールは綺麗な放物線を描きながら落ちていった。

 

「46m」

 

 先生からの抑揚のない声が聞こえた。

だが、そんな事よりも大事な事がある。そう、『個性』が発動しなかった。

なぜ!?どうして!?入学試験の時には問題なく使えたはずなのに!

 

その答えは案外呆気なかった。

 

「『個性』を消した。やはりあの試験は非合理的過ぎる。お前みたいに運良く入学出来てしまうくらいには」

「…『個性』を消す…それにあのゴーグル…」

 

 『個性』を消す。簡単に聞こえるようだが本質は無理だ。

だけど僕はそんな芸当ができる人を知っている。

 

「アングラ系ヒーロー〈イレイザーヘッド〉!!」

 

 こと相澤消太先生。

最初の自己紹介の時に感じたモヤモヤはこれだったのか。

ちょっとスッキリしたがそれとこれは別問題でもある。

 …違うそうじゃない。考える事はそんなことではなくて以下に効率よく個性を使うかだ。

 そう考えていると相澤先生(イレイザーヘッド)が近づいてきているのが分かった。

 

「緑谷、一度しか言わない。お前はこれから先でヒーロー活動で己の個性を制御出来ず『大怪我をして守るべき存在を守れませんでした』と言うつもりか。もしそうなら直ちに雄英高校から出ていけ。己に限界を感じてしまったのなら出ていけ。次が、お前の最後の挑戦(ラストチャンス)だ。見せてみろ、お前の可能性の力を」

 

 そんな風に言われたからはいそうですかなんて言えるわけがないだろう。

むしろ俄然やる気が出てきたと言ってもいいくらいだ。ここで立ち止まる訳には行かないんだ!

 

「うぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

 僕はその決意を胸に抱き、2度目の投擲を行ったのだ。

 




 次は個性把握テスト終わってオールマイトの授業の入りまで行けたらなぁって思いますはい。


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