巨影都市オブ・ジ・エンド (銀色の怪獣)
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第一話 凍り付かせる『巨影』

こんにちは。銀色の怪獣です。

何となく書いてみたくなったので書いたのですが、他の作品との折り合いもあって「短編」として投稿することにしました。

ちゃんと他の作品も同時進行中です。

では、記念すべき第一回目です。どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「何だコレ・・・何がどうなってんだよ!?」

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、活気に満ちているハズの都心の中央で男、()()(でら)はあまりの驚きで棒立ちとなり、やっとのことで呻くように言葉を漏らした。その際、小野寺の口からは真っ白な息が漏れていた。

そんな小野寺が棒立ちになっている理由、驚愕している理由、それは―

 

「木も、建物も、車も、人も、何もかもが・・・凍ってやが・・・る・・・!?」

 

小野寺の言う通り、いま小野寺のいる辺り一面は全てが凍結(・・)しているのだ。それこそ電柱や信号機、ビル群のような無機物も、木や野良猫、カラスや人間といった生物までもが完全に凍り付いていた。

 

「あ、有り得ねぇだろ・・・!?ここは北極とか南極じゃなくて日本、それも東北や北海道じゃねぇんだぞ・・・なのに、なのに・・・何でこんな事が起きてんだよ・・・?」

 

目の前に広がるあまりに異様で、あまりに理解し難い非現実的な光景に理解が追いつかない小野寺。

しかし、次の瞬間にはこの異様で非現実的な光景が出来上がった理由を、その原因たる存在(・・)の姿を見て、小野寺はこれが現実だと納得せざるをえなくなった。

 

―――グワッグワッグワッ!グルルルルルン!!―――

 

「!?な・・・ななななな!?何じゃありゃぁあああぁぁぁっ!!?」

 

突然凄まじい地響きが轟き、それに伴って凄まじい「咆哮」が辺り一帯と小野寺の耳に響き、次の瞬間には地響きと咆哮の主が凍り付いたビル群の影から現れた。

 

―――グワッグワッグワッ!グルルルルルン!!―――

 

「ト、トカゲの化け物だっ!!」

 

大声で叫んだ大野寺の言う通り、現れたのは「巨大なトカゲの化け物」という他にない存在、俗に言う「怪獣」という存在だった。

その怪獣は四足歩行で全身の皮膚は茶色、頭部には巨大な一本の角、背中には怪しく光る棘、耳元まで裂けた鰐口、そして何よりも不気味で虚ろな目を持ったトカゲの怪獣だった。

 

―――グワッグワッグワッ!グルルルルルン!!―――

 

「!?や、ヤバい!こっちに来る!!」

 

ビル群の影から現れたトカゲの怪獣に目を奪われ、立ちすくんでいた小野寺であったが、そのトカゲの怪獣が明らかに自分の元へ向かって来ていると気付くと一目散に逃げ出した。しかし、

 

「う゛っ!?あ、足が・・・足がうごかな・・・い・・・!?それに・・・さ、寒・・・い・・・?」

 

こちらに迫るトカゲの怪獣から必死で逃げる小野寺であったが、突然足が動かなくなった。加えて、小野寺は異様な寒気と眠気(・・)に襲われていた。

 

「何がどうなってやが・・・る?は、早く逃げねぇと、あのトカゲの化け物に―――」

 

突如として動かなくなった足と、自分を襲った謎の寒気と眠気。それでも尚、小野寺は必死で迫り来るトカゲの化け物から逃げようと抗った。だが、

 

―――グワッグワッグワッ!グルルルルルン!!―――

 

「・・・え?う、嘘だ・・・ろ・・・?」

 

不意にトカゲの怪獣が吠えた。その吠え声は小野寺のすぐ真後ろから聞こえており、驚いた小野寺は後を振り向けば―――何と、トカゲの怪獣が小野寺に完全に追いついていた、ばかりか今まさにトカゲの怪獣の体が小野寺の真上を通り過ぎようとしていた。

 

「そう・・・か・・・人間と化け物じゃ歩幅が違ぇよな・・・追い越されて当然だ・・・ぜ・・・」

 

自分の真上を通り過ぎるトカゲの怪獣の体を見上げながら、小野寺はなぜトカゲの怪獣があっという間に追いついたのかを理解した。

そう、人間である小野寺がいくら必死に逃げても、巨体を誇るトカゲの怪獣とでは歩幅が全然違うのだ。これでは追いつかれて、追い抜かされて当然だ。同時に、小野寺はなぜ急に足が動かなくなったのか、急に異様な寒気と眠気に襲われたのかも理解した。

 

―――グワッグワッグワッ!グルルルルルン!!―――

 

「オイオイ・・・この寒さは・・・お前がやったのかよ・・・へっ、トカゲのクセに・・・おかしい・・・だろうが・・・よ・・・」

 

建物も生き物も全てが等しく凍り付いた都市に現れたトカゲの怪獣。

そんなトカゲの怪獣が地に足を付ければ、足が付いた場所から氷が広がって一面を凍らせる。トカゲの怪獣が通り過ぎれば、辺り一面は全てが氷の世界に閉ざされる。

そう、この異常現象の犯人は他ならぬこのトカゲの怪獣だったのだ。そして、トカゲの怪獣が通り過ぎた後には、物言わぬ氷の彫刻が一つ(・・)出来上がっていた。

 

 

この日、日本のとある都市がまるごと凍り付いた(・・・・・)

そんな凍り付いた都市の中心で巨影「冷凍怪獣 バルゴン」が、覚めることの無い「永眠」に付いた無数の氷像(・・)たちとともに安眠を貪っていた。

 




如何でしょうか?
ということで、記念すべき最初の「巨影」はガメラの初対戦相手にして「昭和怪獣最強」の異名を持つ「冷凍怪獣 バルゴン」でした。
加えて、今回のお話の登場人物「小野寺」は『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』でダイヤを奪ったりしたあの小野寺がモチーフです。元ネタ分かってくれた人、挙手を。

いやね、バルゴンは原作の『巨影都市』に出ても何ら違和感は無かったと思いますよ?何気に、昭和のガメラ怪獣で都市で暴れたのってバルゴンとギャオス、ジャイガー位だし、この面子じゃバルゴンが一番目立つでしょ?

ということで、こんな感じで『巨影』こと怪獣による恐怖を描いていきたいと思います。
ご興味とお時間ありましたら、見て下さいませ。では


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第二話 剛なる『巨影』

はい、銀色の怪獣です。第二話目です。

今回は僕の大好きな怪獣が出ますが、多少残酷な描写がね・・・

というか、コイツに限らず怪獣が都市部に出たら大事ですがね。

では、どうぞ


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

「ダッセーな。何処もいっぱいで引き返すなんて」

 

「休みの日だからっていちいち家族で出かける必要ないんじゃない?」

 

「ほんと疲れに行くようなもんよ」

 

「・・・・・・・・・!」

 

大勢の人々が行き交う大都市。その大都市の大通りに口々に愚痴りながら歩く姉弟と妻、そして大荷物を両手で抱えながらえっちらおっちら歩く父の四人家族「ババ一家」がいた。

 

「でも、今日浮いたお金で欲しい服が買えてよかったよねお母さん」

 

「本当よね~無駄足にならなくてよかったわ~」

 

「俺は早く帰って買ったゲームやりたい!!」

 

「・・・・・・・・・!!」

 

大荷物、姉と母親が買った大量の服やアクセサリーと弟が買ったゲームなど、のせいで歩くのが遅い父親のことなどお構いなしな姉弟と妻は自分たちだけでホクホク顔で会話していた。

実はババ一家は今日は父親の提案で家族揃って出かけた・・・まではよかったが、レジャー施設にしてもショッピングモールにしても何処も人で溢れかえっており、泣く泣く引き返すハメになった。

当然、父親以外の三人はわざわざ休みの日に連れ出しておいて、情けなく引き返すハメになった原因を作った父親を責め、父親は何も反論できずに言われるがままであった。

だが「せっかく休みの日に街に出てきたのにタダで帰るのは嫌」ということで、ババ一家は父親以外の三人は浮いたお金で好きな物をたくさん買い、父親に荷物持ちをさせていたのだ。

 

(そりゃさ、俺が無理言ってみんなを連れ出したし、連れ出しておいてノコノコ引き返す事になったのは申し訳ないよ。でも、だからってここまでボロクソに言わなくてもいいじゃないか・・・)

 

自分だけに荷物持ちをさせ、好き放題に言っている家族に心の中で悪態を吐く父親。とはいえ、父親に反論する権利も元気も無かった・・・

 

―――ゴゴゴ・・・―――

 

「あら、何かしら?」

 

「どうしたのお母さん?」

 

「どうしたのママ?」

 

「どうしたんだお前?」

 

「ん?いや、何か聞こえたような―――」

 

ふと、母親が奇妙な音を聞き、思わず立ち止まった。それを見て、他の家族は母親に声をかけた、その瞬間―

 

―――ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!―――

 

「「「「な、何だコレっ!!?」」」」

 

突然、凄まじい揺れが都市を襲い、街にいた人々は避難することが出来ずにその場で転倒したりうずくまったりする他なかった。当然、それはババ一家も同じであった。

 

 

 

 

「揺れが止まった・・・?」

 

「こ、怖かったよぉ・・・」

 

「収まった・・・のかしら?」

 

「みたいだな。みんな、大丈夫か?」

 

突如として発生した凄まじい揺れはものの数十秒で収まった。幸い、揺れがすぐ収まったために街や人々への被害は少なかった。そのため、揺れを体験した人々はホッと胸を撫で下ろした。が―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

「「「「な、何だぁああああぁぁぁっ!!?」」」」

 

確かに揺れは収まった。だが、次の瞬間には轟音と共に都市部の中心地の地面が爆発し、更には地中から「何か」がせり上がってきた。

そんな「何か」を一言で表すなら「銀色の岩山」だ。しかし、なぜ岩山がせり上がってきたのか?

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

「!?ば、化け物だーーーっ!!」「た、助けてーーー!!」「に、逃げろーーーっ!!」

 

理由は簡単、件の銀色の岩山は生きている、というか「生物」もとい「怪獣」なのだ。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

突如として都市のど真ん中に現れた銀色の岩山のような怪獣の体付きは「屈強」の一言に尽きる。また、頭部には湾曲した一対の角、背中には剣山のような背ビレ、凄まじく太く逞しい剛腕、屈強な肉体を支えるための極太の足、そして銀色の体表とは対照的に金色に爛々と輝く瞳の無い目が特徴の怪獣だった。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

「こ、こっちに来たぞーーー!!」「く、来るなーーーっ!!」「い、嫌だ!死にたくないっ!!」

 

突然地中から怪獣が出現するという非現実的な出来事に戸惑う人々は各々で行動が違っていた。

怪獣が出現すると同時に逃げた者。現れた怪獣をのんきにケータイやスマホで撮影する者。怪獣の迫力に腰を抜かしてへたり込む者。あまりの驚きに呆ける者。動けなくなっている者を助け、肩を貸す者。実に様々であった。

しかし、そんな事は銀色の怪獣には関係ない。銀色の怪獣は眼下で動く人間をキッと見据えると・・・地響きを轟かせながら逃げ惑う人間を追い、その極太の足で踏み潰し始めた。

 

「はあっ!はあっ!誰か、誰か助けて・・・!!」

 

雄叫びを上げながら歩を進める銀色の怪獣から逃げ惑う人々は少しでも早く、少しでも遠くへと逃げようと必死だった。しかし―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――グチャッ!!―――

 

「!?・・・!・・・・・・・・・」

 

残念なことに、当然なことに、怪獣と人間では歩幅がまるで違う。いくら必死で走っても人間が怪獣から逃げるのは不可能だった。

銀色の怪獣が通り過ぎた後には・・・辺り一面に赤い血の花が咲き乱れていた。そして、今まさに新たな赤い血の花が開花しようとしていた―

 

「も、もうダメだっ・・・!!」

 

見れば、あのババ一家が銀色の怪獣のすぐ目と鼻の先でうずくまっていた。

実はババ一家も銀色の怪獣に追われており、必死で走って逃げていたが・・・体力の限界を迎えた事に加え、母親と姉弟が焦りから足を捻ってしまった。これでは逃げることは不可能だ・・・

だが、そんな母親と姉弟を父親は見捨てなかった。父親は彼を散々けなしてバカにして悪口を言っていた母親と姉弟の上に覆い被さり、守ろうとしていた。例えそれが無駄と分かっていても、意味が無いと分かっていても、彼にとって大事な「家族」を見捨てる事は出来なかったのだ・・・

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

だが、現実は非情だ。尚も逃げ惑う人々を追う銀色の怪獣は歩を進め続けており、とうとうババ一家がうずくまっている地点へやって来た。そして―

 

 

 

 

「あ、あれ・・・?行っちゃったのか・・・?」

 

心底驚いたような、心底呆けたような声を出すババ一家の父親。そう、彼らは無事だった。

不思議なことに、銀色の怪獣は格好の獲物であるハズの足下のババ一家を素通りし、逃げる人々を追って行った。

まるで逃げる人々しか眼中にないかのように、まるで動いている(・・・・)人々しか見えていない(・・・・・)かのように。

 

「よ、よかった・・・」

 

完全に銀色の怪獣が遠ざかり、安全だと分かった父親は安堵のため息を吐いた。

 

「「お父さん!」」

 

「アナタ!」

 

「「「ありがとう!!!」」」

 

すると身を挺して、盾になってまで家族を守ろうとした父の雄志に母親と姉弟は涙し、父に抱き付いた。この出来事が家族の絆と心を一つにしたのは言うまでもない。

「災い転じて福となす」とはこのことだ―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

「「「「えっ?」」」」

 

ババ一家を素通りした銀色の怪獣が吠えた。その際、銀色の怪獣が何気なく振った尾が近くのビルを打ち据え、ビルを崩した。そして、崩れたビルはババ一家に向かって倒れていき―

 

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。

そんな崩壊した都市の中心では巨影「剛力怪獣 シルバゴン」が歩き回り、とっくに崩壊した街を更に崩壊させていた。しかし、シルバゴンは街を崩壊させる気は微塵も無かった。

だが、シルバゴンにとって都市は狭い。ただ歩き回るだけで、ただ体を揺するだけで、ただ尾を振るだけで都市は崩れ去ったのだ。

それもひとえに、シルバゴンが桁違いの大きさと力を持つ「怪獣」という存在であるがための「悲劇」であり「必然」ゆえだったのだ。




如何でしたでしょうか?

ということで、第二回は『ウルトラマンティガ』から『最強の戦力を誇る』と公式でいわれるシルバゴンが登場です。
また、登場した「ババ一家」とはシルバゴンの出た『虹の怪獣魔境』で樹海に迷い込んだ家族の事です。

それにしても・・・残念ながら、今回はシルバゴンの持ち味の「残忍で凶暴だけどお茶目」を演出できませんでした・・・悔しいけど、ストーリーの関係上仕方がないね!!

まさか助かったかと思ったら助からなかったEND・・・まぁ、パニック映画とかじゃ「助かったと思って油断する→怪物とかに殺される!!」はあるあるだからね?

ちなみに、最後の「通り過ぎたシルバゴンの尾がビルを打ち据えてビルを崩し、倒壊したビルに一家が巻き込まれる」はあのGMKゴジラを参考にしています。

さてさて、次回の巨影は何でしょうかね~?


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第三話 殖(ふ)える『巨影』

はいどうも、銀色の怪獣です。第三話目です。

この三話目ではみんな大好き(?)、みんなに愛されている(?)あの怪獣が出ます。

まぁ、彼(オスだし)は話題には事欠かないからね・・・一体何が出るのか、是非ともご覧下さいませ。では、どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

「う、嘘だろ!?何なんだよコイツら(・・・・)は!!?」

 

「ば、化け物じゃねぇかよ!?」

 

「こ、こんなヤツら(・・・)が犯人だなんて聞いてねぇぞ!!?」

 

ここは海岸に近い大都市にある魚市場だ。そんな魚市場ではここ最近魚の、特にマグロの盗難事件が頻発していた。

ある店では店の裏手に積んでいた箱に入った魚が根こそぎ消えた、ある店では店頭に並べていた魚がいつの間にか消えた、ある店では生け簀の魚が一匹残らずいなくなった・・・という具合に大事な商売品の魚が消える事件が魚市場全体で頻発していた。

当然、魚市場の人々は黙ってはおらず、大事な商品を盗む不届き者を捕らえるため、大量の魚を広場に積んだ囮を用いて犯人をおびき寄せた。その結果、犯人はあっさりその姿を現した・・・まではよかったのだが―

 

―――ガアァオォン!!―――

 

「ト、トカゲ?いや、イグアナの化け物だーーーっ!!」

 

姿を現したマグロ泥棒もとい魚泥棒だが、その姿は「お魚咥えたドラ猫」のような可愛いらしいものではなく、全長が3mはあろうかという後ろ足二本で歩く巨大なイグアナのような「怪獣」だった。しかも、

 

―――ガアァオォン!!―――

―――ガアァオォン!!―――

―――ガアァオォン!!―――

 

「な、なんて数なんだ!?ウジャウジャいるぞ!!」

 

「い、一、十、百・・・か、数えられねぇ!!」

 

「お、多過ぎだろこれ!!」

 

魚市場の人々の言うように、姿を現したイグアナ怪獣は一頭や二頭では収まらず、広場の近くのマンホールや下水道の出入り口などから次から次に際限なく現れた。その数は優に200頭は下らないだろう。

 

―――ガアァオォン!!―――

―――ガアァオォン!!―――

―――ガアァオォン!!―――

 

一方で、まさか魚泥棒の犯人がこんなイグアナ怪獣であった事に加え、その数もおびただしかった事に魚泥棒の犯人をとっちめてやろうと思っていた魚市場の人々は何も出来ずにいた・・・かと思いきや、

 

「調子に乗るなよイグアナどもっ!!」

 

「うおおおぉっ!商売人舐めんなよっ!!」

 

「地獄に墜ちろイグアナ風情がっ!!」

 

―――ガアァオォン!?―――

―――ガアァオォン!?―――

―――ガアァオォン!?―――

 

意外や意外。何と、魚市場の人々はイグアナ怪獣に向かって戦いを挑んだ。

ある者は手にした金属バットや消火器でイグアナ怪獣を殴り殺して、ある者は市場で使っているフォークリフトやトラックでイグアナ怪獣を轢き殺して、ある者はガスバーナーやお手製の火炎瓶でイグアナ怪獣をローストして、といった具合で魚市場の屈強な男たち(ヤローども)は勇敢に、商売の邪魔をされた憂さを晴らすようにイグアナ怪獣を退治していった。そして―

 

「コイツで・・・最後だっ!!」

 

―――バキッ!!―――

 

―――ガッ!?ガアァ・・・オォン・・・―――

 

威勢のいい魚市場のオヤジの一声と共に、オヤジが手にした消火器がイグアナ怪獣の最後の一頭の頭を打ち据えて地にひれ伏させた。これで、辺りにはもう生きているイグアナ怪獣は一頭も残っていない。つまり―

 

「やったぜ!駆除完了だ!!」

 

「俺たちの勝ちだぜっ!!」

 

「ひゃっほーっ!ざまーみろイグアナがっ!!調子に乗った罰だぜ!!」

 

あれだけいたイグアナ怪獣は魚市場の人々の活躍で一頭残らず駆除された。つまり、彼らが勝ったのだ。

これで商売の邪魔をされる心配はもうないし、もしかしたら新聞やテレビで取り上げられて自分たちはヒーローになれるかもしれない、等々と魚市場の人々が考えていた、その瞬間!!

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「「「!?な、何だっ!!?」」」

 

突然、辺りに凄まじい咆哮(・・)が轟いた。更に、今度は突如として広場の近くの道路が崩落し、その崩落して出来た穴の中から何かが現れた。それは―

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「ひ、ひぃいいいぃぃぃっ!?何だコイツは!!?」

 

「そ、そんな・・・マジかよ!!?」

 

「バ、馬鹿デケぇ・・・!!」

 

道路が崩落して出来た穴の中から現れた者、それはたったいま魚市場の人々が駆逐したイグアナ怪獣に酷似した怪獣であった。

ただ、穴の中から現れた怪獣の全長はゆうに60mを超えており、せいぜい3m程しかないイグアナ怪獣たちとは桁違いの大きさを誇っていた。

 

―――ガアアァァ・・・ガアアァオオォン・・・―――

 

「オ、オイ!見ろよアレ!!」

 

「んっ?な、何してんだアイツ?」

 

「揺り動かそうと・・・してる?」

 

突如として現れた巨大なイグアナ怪獣は穴から這い出ると、自身を見上げて呆然としている魚市場の人々には目もくれず、一番に手近にあった(・・・)小さなイグアナ怪獣に鼻先を近付けると小さく鳴きつつ何度も何度も優しくつついた。その様は、誰かの言ったように物言わぬ姿となった小さなイグアナ怪獣を揺り動かそうとしているかのようであった。

しかし、巨大なイグアナ怪獣が何度つついても、どれだけ呼びかけても小さなイグアナ怪獣は当然ながら反応しなかった・・・すると、

 

―――ガアアァァ・・・オオォォン・・・!!―――

 

「ひっ!?こ、こっち見たぞ!!」

 

「っていうか、何か怒ってねぇか・・・?」

 

「も、もしかして・・・アイツ、コイツらの親か・・・?」

 

不意に、巨大なイグアナ怪獣が小さなイグアナ怪獣をつつくのを止めると、小さなイグアナ怪獣の近くにいる魚市場の人々を睨んだ。その目は明らかに「怒っていた」・・・それもそのハズ、実はこの巨大なイグアナ怪獣と小さなイグアナ怪獣は誰かの言ったように「親子」なのだ。そして、当然ながら愛する我が子を殺された親に芽生える感情は―

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

 

「!?ヤ、ヤベぇぞ!アイツ、怒ってるぞ!!」

 

「や、やっぱりコイツらは親子なんだ!!」

 

「ってことは・・・俺ら殺されるぞ!!」

 

「に、逃げろーーー!!!」

 

突然、巨大なイグアナ怪獣が吠えた。その声は深い悲しみと拭えない怒りに満ちていた。

もし、この巨大なイグアナ怪獣が涙を流せたならば大粒の涙を滝のように流しただろう。しかし、この巨大なイグアナ怪獣は涙を流す事は出来ない。その代わり、そんじゅそこらの生物には出来ない芸当が出来る。それこそが―

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ドォオオオオォォォォンッ!!―――

 

「な、何だありゃ―――」

 

愛する子供たちを殺された怒りと悲しみに燃える巨大なイグアナ怪獣は吠ると、大きく息を吸い込み吐いた。ただそれだけで全てが燃え上がり、全てが吹き飛んだ―

 

 

この日、大きな魚市場のある海岸に近い大都市が崩壊・・・否、都市そのもの(・・・・・)は崩壊していないが、人が住めなくなった。

そんな人が住めなくなった都市では巨影「強足怪獣 ZILLA(ジラ)」とその子供たちが数え切れないほどに繁殖し、増殖していた。

だが、ジラに都市を崩壊させたつもりもなければ、人間を駆逐したつもりは無かった。ジラたちからすればただ単に生活し、繁殖しているだけだ。

しかし、それもひとえに、ジラたちが桁違いの大きさと力、そして繁殖力を持つ「怪獣」という存在であるがための「悲劇」であり「必然」ゆえだったのだ。

 

「やっぱりマグロを食ってるようなのはダメだな・・・ってなことはねぇか・・・」

 

 




如何でしたでしょうか?

ということで、第三回目は東宝シリーズよりゴジラ(1998年のハリウッド版)が登場です。

正直、僕はジラ好きです。そりゃ、最初こそあの映画見たとき(当時小学生)は「こんなんゴジラじゃねぇ!!」ってなりましたが、何度も映画を見ている内に好きになっていました。だから「これはこれでアリじゃね?」として受け入れています。

ちなみに、映画の制作費で言ったらエメゴジはギャレゴジより数十億安く出来てるし、制作期間も一年ほどで興行収入が500億を超えている。
対するギャレゴジは制作費はエメゴジの数倍、制作期間も三年ぐらいかかってる、興行収入は500億に届いていない・・・正直「映画としては」エメゴジに軍配が上がっております。

ついでに言えば、ゴジラに対する愛が全くないエメリッヒ監督ですが、「映画を撮る」という事に関してはちゃんとやっておりまして、ジラはCGだけではなくミニチュアや着ぐるみ、アニマトロにクスや実寸大のジラの足などを作って映画を作っています。

対するギャレス監督は、ゴジラに対する愛はスゴいですが、ゴジラはオールCGでミニチュアや着ぐるみなどは全く無し・・・その理由は「時間がかかるから、つーか面倒くさい」だそうです。アレ?愛がある・・・の・・・?


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第四話 偽りの『巨影』

はい、銀色の怪獣です。第四話目です。

今回は何というか・・・B級ホラーやパニック映画にあるような感じになっています。

そのため、最初は何が出てくるのか分からないと思いますが、最後まで読んで頂けると正体が分かります。なので、是非とも最後まで読んで下さいませ・・・

あと、今回はとある映画のオマージュや台詞がふんだんに盛り込まれています。その映画が何なのか、考えてみると面白いかもですよ?

ついでに、あえて「if展開」も用意しました。何故か?件の映画の一番有名な台詞とシーンがやりかったからです。

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

「な、何なんだアレは!!?」

 

「ば、化け物だーーーっ!!」

 

「逃げろーーーっ!!」

 

休日、大勢の人々で賑わうとある都市の中心に突然ソレ(・・)は現れた。

 

「な、何だアリャ!?ミミズの化け物か!!?」

 

誰かの言ったとおり、大勢の人々で賑わう都市の中央に突如として分厚いアスファルトが砕き割れ、まるでアリジゴクの巣のような穴が出来上がった。

更に、今度はその穴の中央から全長が数十メートはありそうなミミズの化け物が出現した。しかも、それが二本(・・)もだ。

 

「た、助けてくれーーーっ!!」

 

「い、嫌だーーーっ!死にたくないっ!!」

 

「止めて!お願い!!引きずり(・・・・・)込まないで(・・・・・)!!」

 

しかも、突如として穴の底から現れたミミズのような化け物は逃げ惑う人々を次々に捕らえ、穴の中に引きずり込んでいた。

 

「い、嫌っ!?た、助けて!助けてお兄ちゃん!!」

 

「なっ!?マユミ!マユミーーー!!!」

 

そして、ミミズの化け物は偶然この街に買い物に来ていたシンジョウ兄妹の妹、マユミにも襲いかかった。

 

「嫌!イヤイヤイヤイヤ・・・イヤーーーっ!!助けてお兄ちゃんーーー!!!」

 

しかし、無情にもミミズの化け物は足に巻き付いて捕らえたマユミの体を一気に穴の方へ引き寄せ、そのまま穴の底に引きずり込もうとした、その時!!

 

「妹を・・・放せーーーっ!!」

 

―――ザンッ!!―――

 

腹の底から出した怒声と共に、シンジョウが日曜大工のために購入していた鉈の一振りでマユミの足に巻き付いたミミズの化け物を一刀両断!!見事にマユミを助けた。

 

「お兄ちゃーーーん!!お兄ちゃーーーん!!ありがとう・・・本当にありがとうっ!!」

 

「おぉ、無事で本当によかったぜマユミ!!」

 

「うん!うん・・・怖かった、本当に怖かった・・・!!」

 

兄の活躍で難を逃れたマユミは兄に駆け寄って抱き付き、シンジョウはいまだに震えている妹をギュッと抱きしめた。

 

一方で、シンジョウに真っ二つに切られたミミズの化け物は先端部は動かなくなったが、下の部分は切られた苦痛に悶えるかのようにのたうっていたが、すぐに穴の底へと消えた。

その際、何故か無傷なほうのミミズの化け物ものたうち回り、切られた方と一緒に穴の底へ消えた。まるで、この二匹は一心同体(・・・・)であるかのように・・・すると、

 

―――ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!―――

 

「な、何だっ!!?」

 

「お兄ちゃん!怖いよ・・・!!」

 

ミミズの化け物が穴の底に消えた直後、再び辺りに凄まじい、否、先程よりも凄まじい地響きが起きた、次の瞬間!!

 

―――フィシャアアアァァァ!!―――

 

「な、何だアレはっ!!?」

 

尚も続く地響きが一瞬だけ止まったが、次の瞬間にはミミズの化け物が消えた穴の底から何かかが、頭部に鋭い一本角を持ち、耳元まで裂けた鰐口と瞳のないオレンジ色の目、両手に鋭い二本の鉤爪を持つ巨大な「怪獣」が姿を現した。

だが、不思議と怪獣の姿を見た人たちは怪獣そのものではなく、怪獣の「手の甲」から生えている(・・・・・)ものにばかり注意が行っていた。何故なら―

 

「オイオイオイ、マジかよ・・・あのミミズの化け物はあの怪獣の体の一部だったのか・・・!?」

 

シンジョウの言ったように、穴の底から現れた怪獣の手の甲を、より正確に言うと鉤爪の間から何とあのミミズのような化け物が生えていた。

そう、実はあのミミズのような化け物はこの怪獣の体の一部の「触手」であり、ミミズの化け物などではなかったのだ。つまり、

 

「俺たちはぬか喜びしてただけなのかよ・・・」

 

目の前に現れた山のような巨体の怪獣を前に、

ミミズの化け物もとい触手ごとき(・・・)を倒したと「思い込んでいた」自分がいかにちっぽけで愚かであったか、嫌と言うほど思い知った。

 

―――フィシャアアァ・・・フィシャアアアァァァ!!―――

 

一方で、自慢の触手をちっぽけな人間ごときに切られた怪獣は劣化のごとく怒っており、目の前にいる怪獣の血が滴る鉈を持った人間(シンジョウ)をキッと睨むと足を振り上げ―

 

 

この日、日本のとある都市がまるごと怪獣の「巣」となった。

その怪獣の巣となった都市には人が一人もいなくなった・・・否、実はまだ大勢の人々が取り残されているのだ。地下(・・)に。都市を巣にした巨影「バリヤー怪獣 ガギ」が潜む地下にガギによって引き込まれて。

そして、地下に引き込まれた人々はガギによって体に卵を産み付けられ、いずれ生まれてくるガギの幼体の餌となるその時までひたすら暗闇の中で恐怖と絶望を味わうことになったのである・・・

 

 

 

if展開 「お次は・・・何だ?」

 

―――フィシャアアアァァァ!!―――

 

「クッソ!放せコノヤロー!!」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃーん!!」

 

自慢の触手をちっぽけな人間ごときに切られた怪獣は劣化のごとく怒っており、目の前にいる怪獣の血が滴る鉈を持った人間(シンジョウ)をキッと睨むと手に生えた鉤爪でヒョイと捕らえ、憎き人間の顔を拝んでやろうと自身の顔に近づけ、そのオレンジ色の目で睨み付けた、その瞬間―

 

「ガン飛ばしてんじゃ・・・ねぇよっ!!」

 

―――ドォン!!―――

 

―――!?フィシャアアアァァァ!!?―――

 

怪獣がシンジョウを自分の顔に近付けた瞬間、辺りに発砲音と怪獣の悲鳴が響いた。

何が起きたのかというと、怪獣がシンジョウを自分の顔に近付けて睨んだ瞬間、シンジョウは隠し持っていたライフルを一発怪獣の眼球に放ち、哀れにも怪獣の眼球は弾け飛んだ。その結果、シンジョウは怪獣から解放されたが―

 

「うぉおおぉぉっ!?お、落ちるっ!!」

 

「お兄ちゃんーーー!!」

 

確かにシンジョウはガギに一矢報い、その結果でガギから解放された。だが、解放されたシンジョウの体は地上60mから地面(アスファルト)に向かって真っ逆さまだ。

 

(へっ、俺には墜落がお似合いってか・・・)

 

あと数秒でシンジョウは硬い地面(アスファルト)に激突するだろう。もし、シンジョウが|怪獣のように頑丈な体を持っていたら助かっていたであろうが・・・残念ながら人間は「脆い」のだ。

 




如何でしたでしょうか?

ということで、第四回目は『ウルトラマンティガ』よりガギが登場です。
また、劇中のシンジョウとマユミの兄妹のモデルは、言わずもがなGUTSのシンジョウ テツオ隊員と妹のシンジョウ マユミです。

また、今回の「ミミズの化け物は実は本体じゃなかった」、「触手を傷付けたら本体が出てきた」、「触手を傷付けた人間を捕らえて睨む(ガン飛ばす)」、「ガン飛ばした化け物に『ガン飛ばしてんじゃねぇ!!』と言って化け物の目に銃ぶっ放す」は「B級映画の傑作」と謳われる映画『ザ・グリード』をイメージ、つーかまんま流用しました。分かってくれた人、ぜひ挙手を。

なんて言うかね、ガギと『ザ・グリード』って似た部分が多くて、いつかコラボみたいなことやりたかったんですよ。やれてよかった・・・!!

そして、やはりB級ホラーやパニックには「触手」って欠かせませんよね!いいよね、触手!!



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第五話 成り代わる『巨影』


はい、銀色の怪獣です。第五話目です。

ぶっちゃけ、今回のお話は仕事が終わってそのまま朦朧とする意識のまま殴り書き・・・ノリで書いたような話なので、少し意味不明かもしれませんが御慈悲を。

ただ、出てくるヤツがヤツなのでお話自体の不気味というか奇怪さは演出できている・・・かな?

はい、ではどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

辺りに響くけたたましい「笑い声」があった。見れば、大都市の中心で巨大な「何か」が笑い声を発しつつ、街を破壊していた。

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

その巨大な「何か」を一言で言い表すならば「一つの体から二つの頭が生えた怪物」であった。

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ!ワヒャヒャヒャヒャヒャ!!―――

 

件の二つ頭の怪物は手当たり次第に街を壊し、逃げ惑う人々を体の中央にある水晶体から撃ち出した光線で焼き殺すなど好き放題暴れており、街は大混乱に陥っていた。

 

それから数時間後、怪物は破壊活動に満足でもしたのかいつの間にか姿を消していた。

 

「誰かいないか!?いたら返事してくれ!!」

 

「誰かいませんかー!?救助に来ました!!いたら返事をして下さーい!!」

 

件の怪物が破壊の限りを尽くした街に響く声。見れば二人の男が、この街に取り残されているであろう、逃げ遅れているであろう人々の救助のため派遣された自衛隊員、が大声で逃げ遅れた人の捜索をしていた。

 

「キシナガ、お前はあっちを見てきてくれ。俺はこっちを見てくる。ただ、気を付けて行けよ」

 

「はい、分かりました!キョウモトさんもお気を付けて!!」

 

尚も逃げ遅れた人の捜索を続ける自衛隊員、キョウモトとキシナガは手分けして捜索すると決め、一旦別れた。

 

 

 

「どうだキシナガ?怪我人か逃げ遅れた人間は見付けられたか?」

 

「・・・いえ、見つかりませんでした」

 

「・・・そうか」

 

キョウモトとキシナガが一旦別れてから一時間後、二人は再会してお互いに情報交換などを行っていた。と、ここで―

 

「ところで、キシナガ・・・」

 

「はい、何でしょうかキョウモトさん?」

 

不意に、キョウモトがキシナガに話しかけた。その際、キョウモトは腰のホルダー(・・・・)に手を忍ばせ―

 

「お前、キシナガじゃないな(・・・)?」

 

「・・・はい?」

 

不意にキシナガに話しかけたキョウモトは・・・腰のホルダーに入っていた拳銃を抜き、あろうことかキシナガに銃口を向けていた。

 

「『はい?』じゃない。お前はキシナガじゃないだろう?確かに見た目はキシナガそのものだが・・・雰囲気が違うんだよ」

 

「・・・仰っている意味が分かりません。私は間違いなくキシナガです。」

 

相変わらずキシナガに銃口を向けたままのキョウモトと、銃口を向けられているにもかかわらず表情一つ、眉一つ動かさないキシナガ。

 

「とぼけるな。俺には分かるんだ。お前はキシナガじゃ、いや、人間じゃねぇ(・・・・・)な!正体を現せっ!!」

 

何故キョウモトがキシナガに銃口を向けたのか?それはキョウモトとキシナガが「親友」であったからだ。

不思議なことに、人間は他人を見た目や口調だけではなく「雰囲気」などでも判断している部分がある。ましてや、それが「親友」だったならば・・・余計に敏感に異変などを感じ取れるのだ。

つまり、今キョウモトが目の前のキシナガに、否、目の前にいるキシナガらしき(・・・)「何か」が放つ異様な雰囲気を感じ取って「コイツはキシナガじゃない」と判断したのだ。

 

「さあ、どうした!正体見せろってんだよ!そして、本物のキシナガはどこか白状しやがれっ!!」

 

 

目の前のキシナガらしき「何か」を前に、キョウモトは臆することなく銃口を向けたまま啖呵を切った、その瞬間!!

 

「・・・ならば会わせてあげましょう。本物の(・・・)キシナガさんに」

 

「!?な、なに―――」

 

突然、キョウモトの背後からキシナガの声が聞こえた。だが、確かにキシナガはキョウモトの目の前にいる・・・キョウモトは咄嗟に後を振り向いた―

 

―――ブシュッ!!―――

 

「!?・・・!・・・!!・・・・・・・・・」

 

キョウモトが後を振り向いた瞬間、キョウモトの目の前は真っ白になった。

何が起きたのかと言えば、後ろを無振り向いたキョウモトの顔に、体にと白い糸が大量に降り注ぎ、あっという間にキョウモトを繭にしてしまったのだ。そんな白い糸を降り注がせた存在とは―

 

「・・・やれやれ、人間とは不思議な存在だ。まさか我らの変装を見破るとはな」

 

「・・・全くだ。下等な種族かと思っていたが、意外に鋭い所があるじゃないか」

 

白い糸でぐるぐる巻きにされ、繭となってしまったキョウモトを見下ろすキシナガと・・・何と、もう一人のキシナガがそこにいた。そして、このもう一人のキシナガこそがキョウモトの背後から声をかけた存在であり、キョウモトを繭にしてしまった糸を口から(・・・)吐いた(・・・)のだ。

 

「・・・とはいえ、これで新たしく成り代わる(・・・・)『素材』が手に入ったな、()よ」

 

「・・・ああ、この調子でもっとたくさんの成り代わる(・・・・)ための『素材』を手に入れようじゃないか、兄者(・・・)よ」

 

そう言いながら、繭にしたキョウモトを担ぎ上げて何処かへと運ぶ二人のキシナガ。その際、二人のキシナガの姿は異形の姿に、何とあの町を破壊した二つ頭の怪物の姿へと変化していた・・・

 

この日、日本のとある都市に一つの体に二つの頭を持つ異形の怪物が現れて街を破壊した。だが、不思議なことにその怪物はいつの間にか姿を消した。その後、怪物は二度と人々の前に姿を現すことは無かった。

 

何故か?怪物は・・・人に成り代わって(・・・・・)いるのだ(・・・・)

 

何故か?怪物は知ったのだ。この星を乗っ取る(・・・・)ため(・・)には、この星の支配者の人間に「成り代わればいいのだ」と。

そのためにも怪物は人知れず誰かと入れ替わってその人に成り代わり、成り代わった「元の」人間を口から吐く糸で繭に変えてしまうのだ。

 

何故か?せっかく成り代わったのに、本人がいたら・・・成り代われないからだ。

 

こうして巨影「エイリアン メンジュラ」は着実に、確実にこの星の支配者の人間と成り代わって行っている。メンジュラがこの星の支配者になる日は・・・そう遠くない。

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ・・・ワヒャヒャヒャヒャヒャ・・・―――

 

―――ホヒャーッハッハッハッハ・・・ワヒャヒャヒャヒャヒャ・・・―――

 




如何でしたでしょうか?

ということで、第五回は『ウルトラマンティガ』から不気味で嫌でも印象に残るメンジュラが登場です。
何気に「エイリアン」なんてドストレートな肩書きのウルトラ怪獣はメンジュラしかいませんよ。

また、今回の登場人物は『ウルトラマンティガ』でメンジュラが登場した『月からの逃亡者』が元ネタですが、登場人物のうち「キシナガ」はそのままですが「キョウモト」とは『月からの逃亡者』で主役のハヤテ シン隊長を演じた京本政樹さんの「キョウモト」です。分かってくれた人、挙手を。

なんて言うか・・・メンジュラは「喋らない」のがいい。最近のウルトラさんの敵は宇宙人も怪獣もとにかく喋るヤツが多くて嫌です。
確かに「人間と会話が出来る」=「知性が高い」という描写ではあります。しかし、それって「人間如きと大差ない知能しかない」や「大した存在じゃない」だと思います。
「人間如きと会話しない」それはつまり「人間如きちっぽけな存在と会話する必要など無い、理解する気も無い、得体の知れない絶対的な存在」だと思うんですよね。
だから僕にとってガタノゾーアを超えるボスは平成ではいないと思っております。


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第六話 取り込む『巨影』



はい、銀色の怪獣です。第六話目です。

今回はね・・・今回は・・・何と言うか今回出てくる怪獣が出た作品を見た人に容赦ないトラウマを植え付けた「アイツ」が出ます。
加えて、その「アイツ」はいきなりデカいんじゃなくて、小さいままやらかします。

何故か?下手に大きい怪獣より、等身大の怪物とかの方が恐怖心を煽るからです。

あと・・・登場人物が原作のモデルにした人と違ってゲスっぽくなっている部分があるため、原作好きの方には不快かもしれませんが、その辺りは御慈悲を・・・

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「う・・・ん・・・?アレ・・・ここは・・・どこ、なの・・・?」

 

太陽の光が届かない薄暗い空間で少女、アヤナは目を覚ました。そんなアヤナはまだ意識がハッキリしていない頭で体を動かそうとしたのだが―

 

「あ、あれ?どうして動けない―――って、な・・・何よこれ!!?」

 

体を動かそうとしたアヤナは動くことが出来なかった。何故か、今アヤナの体は謎の粘液(・・)で壁に固定されており、体はおろか手足も動かすことが出来なかったのだ。すると、

 

「アヤ・・・ナ・・・気ぃ付いたんか?」

 

「え・・・?あ・・・モリベ君・・・?」

 

不意に、アヤナのすぐ近くから若い男の声がした。見れば、アヤナの二・三メートルほど隣に若い男、高校生ぐらいの「少年」がアヤナと同じように謎の粘液で壁に貼り付けにされていた。そして、この少年「モリベ」はアヤナの友人だ。

 

「モリベ君・・・ねぇ、私たちどうしてこんな所に、というよりも何でこんな事になってるの!?訳が分からないよ!!」

 

「お、おいアヤナ、落ち着けや。そないに騒いだらアイツ(・・・)が来る―――」

 

「これが大人しく出来るわけがないじゃないのよ!ねぇ、何がどうなってるのか説明してよ!!」

 

目を覚ましたら本当に訳が分からない状況下に置かれていたアヤナであったが、すぐ近くに顔見知りがいたことで証書落ち着きを取り戻して・・・いなかった。むしろ、顔見知りを見付けたことで変に落ち着いてしまったせいで余計にパニックを起こしていたのだ。

一方のモリベであるが、パニックを起こしてわめき立てるアヤナを必死で落ち着かせようとしていた。何故なら、こうも大声で騒いだらアイツ(・・・)が騒ぎを聞きつけて戻って来る(・・・・・)からだ―

 

―――キュゥー・・・―――

 

「!?ア、アカン!も、戻ってきてもうた・・・!!」

 

「え?どうしたのモリベくん―――って、何コイツ(・・・)!!?」

 

突然、奇妙な「鳴き声」が聞こえた。その鳴き声の主こそがアヤナとモリベのいる薄暗い空間へと入ってきたコイツ、愛らしいつぶらな瞳の黒目を持つ鳥のような頭部と、まるでタコかカタツムリのような胴体から伸びる無数の触手を持つ奇怪な生物であった。そして、この奇怪な生物こそがモリベの言う「アイツ」なのだ―

 

―――キュゥー・・・―――

 

「ひ、ひぃっ!?こ、来ないで!来ないでよ!!イヤーっ!助けて―――」

 

「アヤナ!騒いだらアカン!!騒いだら、他の人たち(・・・・・)みたいにミイラにされる(・・・・・・)で!!!」

 

突如として現れた奇怪な生物を前にアヤナは大声でわめき立てて悲鳴を上げたが、それをモリベが遮ったことでアヤナは大人しくなった・・・正確に言えば、アヤナはモリベの言った「ある言葉」に反応して騒ぐのを止めた、というか止めざるを得なかった(・・・・・・・)のだ。

 

「ミ、ミイラにされる・・・?それって、どういうこと―――」

 

アヤナが反応したモリベの言葉、それは「騒いだらミイラにされる」という発言であり、そのあまりにも信じられないような内容にアヤナは呆然となってしまったのだ。だが、

 

―――キュゥー・・・―――

 

―――ザクッ!!―――

 

「がっ!?あっ・・・あがっ・・・あぁ・・・!!」

 

「えっ?何、どうしたのモリベくん―――って、きゃああああぁぁぁぁっ!!?」

 

突然モリベが悲鳴を上げ、続いてアヤナも悲鳴を上げた。何故ならば―

 

―――キュゥー・・・―――

 

「や・・・めろ・・・!吸うな・・・や・・・!!」

 

「モ、モリベ君が・・・モリベ君が・・・ミイラになって・・・る!!?」

 

アヤナの言う通り、今まさにモリベはアヤナが見ている目の前で生きたままミイラになっていっているのだ。

その原因、それはモリベの脇腹に刺さった一本の触手、もとい触手の持ち主であるあの奇怪な生物だ。そう、この奇怪な生物がモリベの血液を、体液を吸い上げているのだ。モリベが生きたまま・・・

 

「モリベ君!モリベ君!?ねぇ、モリベ君!!!?」

 

「あっ・・・あがっ・・・あぁ・・・!!ア、アヤ・・・ナ・・・」

 

「ひっ!?い、いやあああぁぁぁーーーっ!!?」

 

目の前で繰り広げられる惨劇。だが、謎の粘液で体を壁に固定されているアヤナにはどうすることも出来ない。そうこうしているうちにも、モリベの体は干からび、着実にミイラへと変わって行っている。と、ここで―

 

―――キュゥー・・・―――

 

「えっ?ひっ!?い、いやっ・・・!いやっ!!いやいやいやいや・・・いやっ!!!止めて!!止めてーーーっ!!!」

 

不意に、アヤナはあの奇怪な生物と目があった。すると、奇怪な生物は空いている触手をアヤナの方へと伸ばし敵た・・・そう、奇怪な生物はアヤナもその手にかけようとしているのだ。

 

「やだっ!やだやだやだやだやだ!!やだっ!!死にたくない・・・死にたくない!!お願い、お願い!!止めてーーーっ!!!」

 

自身に伸ばされる触手を、死に神の魔の手から必死で逃げようと動かせない体でもがき、大声で叫ぶアヤナ。

だが、そんなことをしても奇怪な生物には言葉が通じないし、詰まるところ全くの「無駄」なのだ・・・すると、

 

「お願い!ミイラになんてなりたくない!ミイラになるのはモリベ君だけでいいの!!私は死にたくないの!!!」

 

完全に追い詰められ、正気を失いかけたアヤナの口から出たまさかの言葉。

とはいえ、ここまで追い詰められた極限の状況で冷静な判断、あるいは「他人」を気にかける余裕を持てる人間などいないだろうし、何を言っても人間は「可愛いのは我が身」なのだから・・・しかし、ここで意外なことが起きた。

 

―――キュゥー・・・―――

 

「えっ・・・?あ、あれ・・・?本当に止めてくれ・・・た?」

 

何と、あの奇怪な生物がアヤナの体に伸ばしていた触手を引っ込めた。それはまるで、アヤナの必死で自己中心的な願いを奇怪な生物が聞き入れてくれたかのようであった。

そんな奇怪な生物は、そのつぶらな瞳でアヤナをジッと凝視していた。まるでアヤナを「品定め」するかのように―

 

「よかった・・・」

 

とりあえず助かったことにホッとしたアヤナは安堵のため息を吐いた、次の瞬間!!

 

―――キュゥー・・・キュゥー!!―――

 

「えっ?なに―――」

 

突然、奇怪な生物が鳴いた。それにつられ、顔を上げたアヤナが最後に(・・・)見たもの、それは―

 

「な、なんで胸が開いてるの―――」

 

―――キュゥー!キュゥー!!―――

 

―――ズチュッ!!―――

 

「!?・・・!・・・!!・・・!!?」

 

奇怪な生物が突然上げた声につられて顔を上げたアヤナが最後に見たもの、それは奇怪な生物の部分にあった殻に覆われた胴体の胸に当たる部分の中央がパックリと割れ、その割れ目から出ている胃袋のような物体であった・・・アヤナがその胃袋のような物体を認識した瞬間、件の胃袋のような器官がアヤナの顔に、頭に張り付いてアヤナを飲み込み始めた。

 

―――キュゥー!キュゥー!!―――

 

「!?・・・!・・・!!・・・!!?」

 

アヤナを頭から開いた胸の中から伸ばした胃袋のような器官で飲み込み始めた奇怪な生物はまるで喜びに震えるかの如く鳴き、体を震わせていた。

一方のアヤナはといえば、頭から奇怪な生物の胃袋のような器官で飲まれているために声も出せず、息苦しさから必死になって抵抗を試みていたが全くの無駄であった。

そうこうしているうちにもアヤナの体は奇怪な生物の胃袋のような器官に飲み込まれ続け、そして―

 

―――ズチュ・・・ルンッ―――

 

―――キュゥー・・・―――

 

とうとう、アヤナの体は全て奇怪な生物の胃袋のような器官もとい体内に収まり、アヤナの体を飲み込み終えた奇怪な生物は出していた胃袋のような器官を体内に戻し、開いていた旨を閉じた。すると―

 

―――キュゥー・・・キュゥウウウ・・・!!―――

 

アヤナをその体の内に納めた奇怪な生物が低く唸った・・・その次の瞬間、何と奇怪な生物の体が一気に膨張し―

 

―――クウウウゥゥゥゥ!!―――

 

せいぜい人間より少し大きい程度だった怪物はあっという間に巨大化し、今の今までいた薄暗い空間を破壊しながらその天をつくような巨体を、美しくも禍々しい巨体を満月が輝く夜空の元へ晒し、咆哮を轟かせた。

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。

そんな崩壊した都市では数ヶ月前から人間の行方不明事件が頻発していた。当然、警察などが必死になって行方不明者の捜索や事件の犯人を探していたが、何の手がかりも掴めていなかった。

だが、この日その行方不明事件の犯人である巨影「邪神 イリス」がその禍々しくも美しい姿を都市の中央に現わし、全てを破壊して崩壊させた。

 

そんなイリスの体内には一人の少女が取り込まれていた。

だが、意外なことに少女は死んでは(・・・・)いなかった(・・・・・)

ただし、少女は死んでこそいないが逆にいえば死ぬこと(・・・・)出来ない(・・・・・)のだ。

何故か?少女はイリスと一体化し、イリスによって生かされ、死ぬことを許されない存在(・・)となっているのだ。

 

「助けて・・・誰か・・・助けて・・・」

 

イリスの体内(なか)で少女は、アヤナは必死に願った。だが、それは絶対に叶うことは無い。

もし、アヤナがあらかじめこうなってしまうことを知っていたならばこう思ったであろう。

 

「一思いに殺してもらえばよかった」と。

「一思いに死ねていればよかった」と。

 




如何でしたでしょうか?

ということで、第六話は『ガメラ3』より「特撮史上屈指の外道怪獣」と称されるイリスの登場です。
加えて、今回はあえて成体になったイリスじゃなくて幼体の、あのタコ丸出しなイリスが暴れました。
何故か?実のところ、イリスが人間をたくさん殺したのは成体のときよりも幼体の時ですからね?あのミニサイズであれだけの人間を殺したイリス・・・正直、ヤバいです。

また、今回の登場人物のアヤナとモリベのモデルは「平良坂綾奈」と「守部龍成」です。ただね・・・アヤナがエラいゲスってる。物語の都合上しかたなかったんですよ・・・

何と言うか、平成三部作は色々とスゴいです。特に予算は極悪レベルなのにアレだけスゴい展開や戦闘シーン等々・・・今じゃ出来ないだろうなぁ(白目)



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第七話 裁きを下す『巨影』

はい、銀色の怪獣です。第七話目です。

今回はね・・・今回は・・・色々と過激な表現というか発言をしておりますが、ちゃんと意味があります。
また、後書きでも過激すぎる発言をしておりますが、それだけ作者が皆様に訴えたいことがあるのですよ・・・気分を悪くされましたら、本当に申し訳ありません。


話は変わりますが、この「巨影都市オブ・ジ・エンド」で出す巨影こと怪獣などは基本的に原作の『巨影都市』で出た巨影のシリーズ(例えばゴジラシリーズ、ガメラシリーズ、ティガシリーズみたいな感じ)からしか(今のところ)出すつもりはありませんので悪しからず・・・その結果、どうも「イロモノ」じみちゃってるんだよなぁ(白目)

では、どうぞ。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

ある日、日本のとある都市が「巨影」によって滅ぼされ、人々がいなくなった結果でゴーストタウンと化していた。だが、

 

「よっしゃ!大漁大漁っと!!」

 

「見ろよこの量!これだけでウン百万円になるぜ、きっと!!」

 

「いや~、本当にボロい商売だよな火事場泥棒って!真面目に働くのがバカらしく思えるぜ!!」

 

「ああ、全くだぜ!!」

 

先の「巨影」の襲来で荒れ果て、ゴーストタウンと化した都市に響く下卑た男たちの笑い声。

見れば、人っ子一人いなくなったハズの都市に数人の男たちがおり、男たちは手に手に時計や宝石、金目の物などを溢れんばかりに抱えていた。

だが、男たちはそれらを買ったわけではない・・・そう、この男たちは俗に言う「火事場泥棒」という連中だ。

悲しい話だが、自然災害や事件などが起きて人々が街などから取るものも取り敢えず逃げ出した時、必ずと言っていいほどにこのような火事場泥棒が、モラルの欠如したハイエナのような・・・否、ハイエナに失礼なほどに「ゲス」な連中は現れ、盗み等の犯罪を働くのだ。

しかし、悪いことをすれば絶対に「天罰」というものは下る。そして、今回この火事場泥棒どもに天罰を下す役目を仰せつかったのは―

 

「んっ?オイ、何だこのデカい宝石は?やたらキレイじゃねぇかよ」

 

「あぁ、何かソレ、街の外れにあった宝石店から盗んできたんだよ。何でも『古代エジプトの幸せを呼ぶ宝石』だとよ」

 

「ほぉ、幸せを呼ぶ宝石ねぇ・・・」

 

誰もいなくなった街で心ゆくまで盗みを働いた火事場泥棒たちは、各自で盗ってきた得物を見せ合っていた。その際、リーダー格の男が仲間の一人が街の外れにあった宝石店から盗んできた大きな宝石に目を奪われた。

その宝石はとにかく大きく、とにかく美しく、とにかく・・・「怪しかった」。

まるで、何か危険な存在を感じるかのように、まるでその宝石を手にした者を死に誘うかのような怪しさを秘めてい―――

 

「まぁ、俺らには関係ねぇな!どのみち、ぜーんぶ売っ払って金にするんだからな!!」

 

が、そんな事など火事場泥棒たちには関係ない。このゲスどもが信用できるのは金だけ。そのためなら、そのために火事場泥棒などというゲスな行為を働いているのだから。と、ここで―

 

「うっ・・・ちょっと俺、便所いってくるわ」

 

「あーハイハイ、了解っと」

 

「一応言っとくけど、俺がいねぇ間に色々と持ち逃げしたりすんなよテメェら?」

 

「バーカ、んな事する訳ねぇだろ?俺らだって最低限のモラルはあるっての」

 

「でも、火事場泥棒はしてるけどな!はははははっ!!」

 

「だな!モラルの欠片もクソもねぇよな!!ぎゃはははははっ!!」

 

「オイ、今からトイレ行くヤツにクソとか言うなよ・・・俺は小さい方しに行くんだよ」

 

ふと、火事場泥棒たちのリーダー格の男がもよおした(・・・・・)

そこで、リーダー格の男は仲間たちに自分がいない間に盗品を持って逃げないように釘を刺し、下らない話に花を咲かせている仲間たちを残して一人トイレへと向かった。

 

 

 

「何だよコレ・・・!?い、一体何があったんだよ・・・?」

 

用を足し終え、仲間たちの元へ戻ってきたリーダー格の男の目の前に広がっていた光景、それは―

 

「何もかも・・・何もかも・・・宝石も、金も、時計も、みんなも・・・全部が溶けて(・・・)やが・・・る・・・」

 

呆然と、それでいて驚愕した様子で絞り出すように言葉を発したリーダー格の男。

そんなリーダー格の男の言う通り、今リーダー格の男の目の前にはたった数分前まで生きていた仲間たちが、たった数分前まであった数々の盗品が、それら全てがドロドロに溶けて混ざり合った異様で凄惨な光景が広がっていた。

 

「どうなってんだよ・・・何で、何で何もかもが溶けてるんだ?何でみんな死んじまってんだよ、オイ・・・」

 

たった数分間席を外した間に起きた異様すぎる出来事にリーダー格の男は理解が追いつかず、ただただ呆然とするしかなかった。と、ここで―

 

「ア、アレ・・・?『コレ』って・・・あ、やっぱりそうだ。でも、何で『コレ』だけ無事なんだ・・・?」

 

ふと、リーダー格の男の目に何かキラキラと光る「何か」が映った。

その「何か」は仲間たちや盗品などがドロドロに溶け合ったものの中にあってもなお輝きを放ち、形を保っていた。そんな「何か」をリーダー格の男は全てが溶けて混ざり合ったものの中から取り出した。そんな「何か」とは―

 

「何でこの『幸せを呼ぶ宝石』だけ溶けてねぇんだ?他の宝石とかは溶けてんのに・・・何でだ?」

 

そう、宝石や貴金属なども、火事場泥棒集団もとい人間もと、何もかも全てが溶けていた中で唯一溶けずに残っていた物、それはあの「幸せを呼ぶ宝石」であった。しかし、何故「この幸せを呼ぶ宝石」だけ溶けずに残っていたのであろうか?

 

―――ズルッ・・・ズルッ・・・ズチュッ・・・―――

 

「んっ?何だ―――って、うわあああぁぁぁっ!!?な、何だコイツ(・・・)は!!?」

 

ふと、何か変な音が聞こえた。それはまるでたっぷり水気を含んだ「何か」が這いずり回るような音だった・・・

当然、その音はリーダー格の男の耳にも聞こえており、リーダー格の男は音がした方を向くと悲鳴を上げた。何故なら―

 

―――ヒョォオオオォォォッ!!―――

 

「ナ、ナ・・・ナメクジの化け物だーーーっ!!!」

 

謎の音がした方を見たリーダー格の男の目の前に現れたもの、それは正しく「ナメクジの化け物」であった。

そんなナメクジの化け物の体は青く、ナメクジのくせに四本の足を持ち、何よりも体長が3mを超す文字通りの「化け物」だったのだ。

 

―――ヒョォオオオォォォッ!!―――

 

―――ブシュッ!!―――

 

「ひっ!?何だコレ―――ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?」

 

突然現れたナメクジの化け物に驚き、固まってしまったリーダー格の男に対し、ナメクジの化け物は口から白い粘液をリーダー格の男の右腕に吐きかけた。

ただそれだけで、リーダー格の男の右腕が溶けて無くなり、リーダー格の男が手にしていた「幸せを呼ぶ宝石」が地面に転がった。すると、

 

―――ヒョォオオオォォォ・・・ヒョォオオオォォォ・・・―――

 

「ひぃっ!うっ・・・ぐっ・・・!!何だコイツ・・・?宝石に頬ずりしてやがるの・・・か?」

 

地面に転がった「幸せを呼ぶ宝石」はナメクジの化け物の近くまで転がった。

すると、何とナメクジの化け物は腕を溶かされた痛みに悶絶するリーダー格の男を尻目に「幸せを呼ぶ宝石」に愛おしそうに頬(?)ずりを始め、更には優しげに声を発し始めた。

実はこの「幸せを呼ぶ宝石」はナメクジの化け物にとって命のように大事な物であり、それを誰かが奪おうものならば・・・ナメクジの化け物は草の根かき分けてまで「幸せを呼ぶ宝石」とそれを奪った者を探し出し、宝石を奪った不届き者を成敗(・・)して宝石を取り戻すのだ。

そして、今回もナメクジの化け物の大事な大事な「幸せを呼ぶ宝石」は奪われた・・・目の前にいる男がリーダー格を務める、火事場泥棒の集団に―

 

―――ヒョォオオオォォォッ!・・・ヒョォオオオォォォッ!―――

 

「ひ、ひぃっ!や、止めろ!!来るな!来るんじゃねぇ!!!」

 

命のように大事な「幸せを呼ぶ宝石」は取り戻した。後は自身から「幸せを呼ぶ宝石」を奪った不届き者を成敗するだけ・・・ナメクジの化け物は改めてリーダー格の男に向き直ると、ジリジリとリーダー格の男ににじり寄りつつ、地面にボタボタと垂れるほどに口の中にあの白い粘液を、超強力な溶解液を溜め込んだ。そして―

 

―――ヒョォオオオォォォッ!!―――

 

―――ブシュッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!!?」

 

今まで散々悪事を、火事場泥棒というゲスな行いを行っていた集団のリーダー格の男がこの世で(・・・・)最後に見た光景、それはナメクジの化け物が吐き出した大量の白い粘液によって視界が白一色に染まった光景であった。

 

 

 

「よっしゃ!大漁大漁っと!!」

 

「見ろよこの量!これだけでウン百万円になるぜ、きっと!!」

 

「いや~、本当にボロい商売だよな火事場泥棒って!真面目に働くのがバカらしく思えるぜ!!」

 

「ああ、全くだぜ!!」

 

ある日、日本のとある都市が「巨影」によって滅ぼされ、人々がいなくなった結果でゴーストタウンと化していた。だが、ゴーストタウンと化した街には人間が、俗に言う「火事場泥棒」と呼ばれるゲスな人種が必ず現れる。

もし、そのゴーストタウンが普通(・・)であったならば、火事場泥棒たちは易々と富を得ることが出来るであろう。しかし、もしもそのゴーストタウンが普通ではなかったら(・・・・・・)・・・彼らには裁きが下されることとなるだろう。

彼ら火事場泥棒が好む「金」を、金になる「宝石」を好む巨影「なめくじ怪獣 ジレンマ」によって・・・

 

「おぉ、こりゃデカい宝石だな!きっと高く売れるぜ!!って、何だ?何か紙がくっ付いてるな・・・『幸せを呼ぶ宝石』だって?ほほぉ、そりゃいいね。よけいに高く売れそうだぜ!!」

 

―――ヒョォオオオォォォッ・・・―――

 




如何でしたでしょうか?
今回は『ウルトラマンタロウ』から「ナメクジ怪獣 ジレンマ」が登場です。

で、劇中ではやたら「火事場泥棒」とか「ゲス」とかいう言葉を多用しており、気分を悪くされた方がいたら申し訳ありません。

唐突ですが、作者は生まれ(実家)は熊本、育ちは福岡です。
そのため2016年に起きた熊本地震、及び2017年に起きた九州北部豪雨とも色々ありました(西方沖地震とかも経験してますが)。
で、やっぱりいたんですよ、火事場泥棒が。本当にね、漫画とかの世界だけじゃ無いんですよ。みんなが苦しんでるときに、大変な時に何をしてるんだコイツらは、とね・・・

なんていうかね、本当に「怪獣」あるいは「怪物」なのは人間なのかもしれませんね・・・

なので、今回は「怪獣な人間』が『本物の怪獣』と出会ったらどうなるのか?」という感じでストーリーを考えました。

何気にジレンマの出た『ウルトラマンタロウ』って子供だまし・・・子供向けすぎる作品が多い中、胸クソ悪すぎる話とか救いようがなさ過ぎる話ぶち込んで来ましたからね。そういう意味では原作通り、なのかも?


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第八話 人恋しき『巨影』

はいどうも、銀色の怪獣です。

今回はかなりマイナーな巨影を出しつつ、昨今の特撮(特にウルトラシリーズ)に多い「怪獣と人間との関係、距離感」を題材にしたお話にしてみました。

いやね、確かに怪獣と友達になったりする展開もいいですよ(大怪獣バトルとか、ギンガとかエックスとか)。
ただね、怪獣は「ペット」じゃないし「ポケモン」でもないということは忘れて欲しくないですね。

あと、後書きで色々とアレなこと書いていますが、あくまで僕個人の意見ですし、例に挙げている作品を批判しているのではありませんので悪しからず。その作品がお好きな方には失礼かも知れませんが・・・

では、どうぞ



何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

 

「ねえ、次どこ行こうか?」

 

「う~ん、そうだなぁ・・・ゲーセンとかは?」

 

「おっ!いいね~コノミはどう思う?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「あれ、コノミ?ねぇ、コノミってば?・・・コ・ノ・ミ!ウチらの話聞いてるの!?」

 

「えっ!?あっ、ゴメンゴメン。何かボーッとしてて・・・何の話だっけ?」

 

「コノミあんたねぇ・・・人の話はちゃんと聞きなさいよ!!」

 

「いや~!止めてよ~!!」

 

「止めるか~!うりうり~!!」

 

大勢の人々が行き交う都市の中心地で、三人の女子高生が他愛もない会話をしながら歩いていた。

その内、眼鏡をかけた女子高生、コノミはボーッとしていたせいで友人の話を聞き逃しており、そのせいで友人が怒ってコノミをこねくり回していた。

 

と、このように非常に微笑ましくて何気ない日常は本当に何の前触れもなく、突如として崩れ去ることとなる。異形の存在「巨影」によって―

 

―――ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!―――

 

「な、何だっ!!?」

 

「じ、地震だーーーっ!!」

 

突如として、街を凄まじい地震が襲った。その規模は凄まじく、道行く人々はまともに立つことが出来ず、ビル群は震え、あちこちのマンホールから水が逆流して噴き出す程であった。

まるで、地下から「何か」が現れようとしているかのように・・・と、次の瞬間!!

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「「「な、何だあれはっ!!?」」」

 

突然地面が砕き割れ、甲高い咆哮(・・)とともに「何か」が地下水道水の中からしぶきを上げながら都市のど真ん中に姿を現わした。

その「何か」を一言で言い表すならば「ウナギの化け物」とでも言うべきだろうか。手も足もない白地に黒い斑点模様の体、頭部の本来目がある位置には一対の回転する三日月型の触角が生えている文字通りの「化け物」がその長大な姿を現わしたのである。

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「に、逃げろーーーっ!!」「た、助けてーーーっ!!」「嫌だ!死にたくねぇよーーー!!」

 

突如として都市のど真ん中に姿を現わしたウナギの化け物、もとい怪獣を前に最初は呆然としていた人々も再び怪獣が咆哮を轟かせた事で現実へと引き戻され、大慌て出てて逃げ惑い始めた。

しかし、たった一人だけ逃げ惑う人々と全く違う反応を、怪獣に向かって駆け寄って行った少女(・・)がいた。それは―

 

「やっぱり!やっぱり、そうだ・・・あれは、ううん、あの子(・・・・)は『リム』だ!!」

 

「コノミ!コノミ何やってるの!?危ないよ!! そっちに行ったらダメよ!!!」

 

「コノミーーー!戻ってきてよーーー!!」

 

不気味なウナギの化け物のような怪獣を一目見た途端、逃げ惑う人々の波に逆らってまで怪獣の元へ駆け寄っていた人物、それはあのコノミであった。

そんなコノミであるが、怪獣を一目見た瞬間に「あの子」と口にした上に「リム」と言った。それはまるで、あの怪獣のことを知っているかのようであり、その「リム」というのがあの怪獣の名前であるかのように・・・

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「リムーーー!ねぇ、あなたリムなんでしょ!?私よ私、コノミだよーーー!!!」

 

怪獣は相変わらずあの甲高い咆哮を上げつつ、その長大な体をくねらせながら街中を進んでいた。

一方のコノミはといえば、ようやく怪獣の元へたどり着くと同時に怪獣に向かって大声で叫び、何度も何度も怪獣に呼びかけていた。すると―

 

―――キィイ?キイィッ!キィイイイィィィッ!!―――

 

「やっぱり・・・やっぱりリムなのね!うわぁ、久しぶりだね!!本当に・・・本当に大きくなったね、リム!!」

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

自身の元へ駆け寄り、呼びかけてくる一人の人間の声を聞き、その人間の顔をしばしジッと見た怪獣は・・・何と、明らかに「喜んでいた」。

その様はまるで、旅行等でいなかった飼い主と久しぶりに再会して喜ぶ犬の様な、もっと言えば「飼い主」と「ペット」の様であった・・・そう、実はその通りなのだ。

実はこの怪獣はまだ小さい頃(・・・・・)に同じく幼かったコノミに拾われ、「リム」という名を貰って飼われていた。

だが、リムは日に日に大きくなりとうとう飼える大きさではなくなった。加えて、リムの姿形は誰がどう見ても「普通」では無かった。そのため、コノミは両親に促されるままにリムと「別れた」のであった。しかし、

 

「リム!リム!本当に久しぶりだね!!10年ぶり、位かな?元気にしてた?」

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「よかった!元気そうだね・・・本当に会えて嬉しいよ!!」

 

10年前に「別れた」友達、リムとの感動の再会。

コノミは姿形に何よりも大きさが桁違いに変わっしまったが、それでも懐かしい友達に会えたことに涙を流して喜び、一方のリムは相当体が大きくなったが昔のようにコノミに甘えようとした・・・これが悲劇の幕開けとなった。

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「んっ?どうしたのリム・・・って、あ、あれ・・・?り、リム・・・何しようとしてる・・・の?」

 

不意に、ムが鳴いた。そんなリムはその長大な体でコノミを囲い込んでとぐろを巻いたが、直後にコノミがリムの巨体にギュウギュウと押し潰され始めた。

 

―――キィイイイィィィッ!!―――

 

「リ、リム!止めて!!苦しい、苦しいよっ!!お願いだから止めて!!!」

 

リムが巻いたとぐろの中心に閉じ込められ、リムの巨体によって徐々にではあるが確実に押し潰されているコノミは必死でリムに訴えかけたが、10年ぶりにコノミに再会できた事を、10年ぶりにコノミに「甘える」ことに夢中になっているリムにコノミの悲痛な叫びは届かなかった―

 

 

 

この日、日本のとある都市に異形の巨影が現れた。

その巨影はまるでウナギの化け物のような見た目の異常さもさることながら、その行動もまた異常であった。

この巨影はたった一人の少女をその巨体で締め上げ、押し潰して殺した。だが、その後この巨影は自分が殺してしまった少女に対して鳴き、叫んでいた。まるで少女に謝っているかのように。まるで少女を殺すつもりが無かったかのように・・・

 

実はその通りなのだ。この巨影「改造(EX)エレキング」はかつて人間に、EXエレキングが殺してしまった少女に飼われており、それ故に頭もよく、そして「人懐っこい」。

だが、今のEXエレキングは大きさも、力も、持っている能力も小さかった頃(・・・・・・)とは桁違いになっている。そして、そんなEXレキングがちっぽけな少女(コノミ)に「甘えた」ら・・・言わずもがなだ。

 

そう、我々は忘れてはならない。いくら可愛らしくても、いくら大人しくても、いくら人懐っこくても、怪獣は犬や猫などの「動物」とは違う。

大きさも、能力も、全てが桁違いな、全てが普通ではない「怪」なる「獣」、つまり「怪獣」なのだと・・・それを忘れたとき、必ず「悲劇」が起こるのだと。




如何でしたか? 
今回は『ウルトラセブン』の人気怪獣「エレキング」の一族から最も進化し、かつマイナーな「EXエレキング」、通称「ウナキング」が登場です。
ちなみに何故「ウナキング」か?画像等を見れば納得して頂けます。

また、EXエレキングの「リム」という名前と人懐っこい性格、そして劇中の「コノミ」という少女は『ウルトラマンメビウス』のリムエレキングとアマガイ コノミ隊員か元ネタです。あの可愛いリムエレキングがウナキングに・・・嫌だなぁ。

何つーかねぇ・・・怪獣はポケモンじゃないんですよ?っていうか、ポケモンだってトレーナーの言うこと聞かずに暴れることがあるのに、もしも怪獣がスネて暴れたら・・・大惨事ですよ?それなのに最近のシリーズじゃ怪獣がポケモンかペット扱い・・・

で、話は変わりますが・・・メビウスって問題作が多いですよね。特に問題だと思うのが「メテオール」と「マケット怪獣」ですね。何故か?

メテオールは「Much Extreme Technology of Extraterrestial ORigin=地球外生物起源の超越技術」です。
そして、メテオールに制限時間が設けられているのは「まだ解明できてないので危ないから」だとか・・・解明できない危ない技術を使うんですか?
『ウルトラマンティガ』でホリイ隊員はウルトラマンの複製品を作ろうとした連中に「自分が判らん技術に頼ってどないすんねん!?」と言いました。その通りです。なのにメビウスでは・・・

で、マケット怪獣はミクラスやウインダム以外にもバードンやベムスター、ゼットンにウルトラマンメビスまで作ってましたが、これって人類が人類に「絶対服従」な怪獣(それも超危険な連中)やウルトラマンを生み出したということです。で、メビウスの防衛チームなどはその怪獣やウルトラマンたちが悪用される事態を考えなかったのでしょうか?いくら「人形・マケット」とはいえ、命を弄んでいいのですか?

そして、何よりも問題なのは「ウルトラマンメビス」はあの「ウルトラセブン」の世界とも共通をしています。
セブンことモロボシ ダンは兵器開発を続ける人類にこう言いました。

「それは、血を吐き続けながら続ける、悲しいマラソンですよ・・・」

「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか···」

と。

この発言を、このメッセージを含めた脚本を書いた故・金城哲夫氏がウルトラマンメビウスのメテオールやマケット怪獣を見たらどう思うのでしょうか?


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第九話 演ずる『巨影』

はいどうも、銀色の怪獣です。

何やかんやで九話目です。で、今回は今のところ一番長いですし、ちょっと毛色が違います。

そして何よりも、今回出るヤツ、ドマイナー中のドマイナーです。多分、知ってる人ほとんどいないんじゃ・・・?
まぁ、だからこそ僕も好き勝手自由にお話を作れたのですが(笑)

では、どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

『緊急速報!緊急速報!某国より日本列島に向けてミサイルが発射されました。国民のみなさんはすぐに屋内退避して下さい!!』

 

某月某日某時刻、突如としてテレビやラジオ、ケータイなどを通して日本中にけたたましい警報サイレンが鳴り響いた。その原因は、日本のすぐ近くの某国が日本列島に向かってミサイルを発射したのだ。

しかし、何故か人々は避難することも慌てることも無かった。何故なら―

 

『え~・・・国民の皆様にお知らせ致します。先程某国より我が国に向かって発射されたミサイルは消滅(・・)致しました。『あの方』たちによってです』

 

某国より放たれたミサイルの危険を知らせる警報サイレンが鳴り響いて数分後、今度はサイレンではなく落ち着き払った女性アナウンサーの声がテレビやラジオから流れたが、その内容は驚くべきものであった。

何と、某国が日本に向かって放ったミサイルが「消えた」のだという。その際、アナウンサーは言った「『あの方たち』によって」と・・・果たして、某国のミサイルを消滅させた『あの方たち』とは一体?

 

 

「いやぁ!どうもありがとうございます!!また(・・)しても皆様のおかげで本当に助かりましたよ!!いやぁ、皆様には感謝してもしきれませんな!!」

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

所変わってここは日本の大都市であり首都、にある日本の偉いさんたちが集まる建物だ。

そんな建物の中のとても広い部屋では日本のトップが、俗に言う「総理大臣」と呼ばれるお偉いさんが誰かと、某国が放ったミサイルを「消滅」させ、日本を救った『あの方たち』に感謝の意を述べ、握手していた。

 

「おお、そうでした。これは感謝の印です。どうぞお受け取り下さい」

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「そうですか、花束はお気に召しましたか。いや、よかったよかった」

 

総理大臣は件の『あの方たち』に感謝の意を述べる際、感謝の印としてそれはそれは見事な花束を手渡し、花束を手渡された『あの方たち』は受け取った花束を片手に、その場で小躍りしたりピョンピョン跳びはねるなど、とても「可愛らしい」動きをしていた。

そんな『あの方たち』の容姿を一言で述べるなら「体の中央に単眼(モノアイ)を持つ巨大なヒトデ」であった。

そう、日本を救った『あの方たち』は人間ではない、どころか地球の生物ではない俗に言う「宇宙人」なのだ。

 

 

事の発端は数ヶ月前、今回と同様に某国が日本に向かってミサイルを放った際の事だ。

 

 

『緊急速報!緊急速報!某国より日本列島に向けてミサイルが発射されました。国民のみなさんはすぐに屋内退避して下さい!!』

 

「な、何だって!?」「ヤ、ヤバいぞっ!!」「い、いやーーーっ!死にたくないっ!!」「避難って・・・ミサイルじゃ、避難しても意味ねぇじゃんかよ!!」

 

 

某月某日某時刻、突如としてテレビやラジオ、ケータイなどを通して日本中にけたたましい警報サイレンが鳴り響いた。その原因は、日本のすぐ近くの某国が日本列島に向かってミサイルを発射したからであった。

当然、警報サイレンと警告を聞いた人々は大慌てとなり、大規模なパニックが起きた。そんな日本人を尻目に、某国のミサイルはあっという間に日本列島に迫り、某国が着弾地に定めた日本の大都市であり首都を壊滅に追い込もうとした、その瞬間―

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「「「えっ・・・?」」」

 

不意に、ミサイルが消滅したのだ。突如として、宇宙(そら)の彼方より飛来した円盤が発した光によって。

 

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「何、アレ・・・?」「着ぐるみ、とかじゃないんだよな・・・?」「つーか、デカいヒトデだなぁ・・・」「うわ~キモい・・・」

 

謎の円盤がミサイルを消滅させてから数分後、円盤の中から円盤の乗組員であると同時にミサイルを消滅させて日本と日本国民の命を救った「英雄」たちが街中にその姿を現わした・・・のだが、人々は自分たちの命を救ってくれた「英雄」たちを前に明らかにドン引きし、遠巻きに見つめるばかりで誰も近寄ろうとしなかった。

それもそのはず、円盤の中から姿を現わした「英雄」は「体の中央に単眼(モノアイ)を持つ巨大なヒトデ」であったからだ。しかもそれが何人・・・何体もゾロゾロと円盤から出てきた。

もし、アナタがこんなお化けヒトデに出会ったら・・・逃げない自信は、気味悪がらない自信はありますか?

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「あ、あれ?どうしたんだあのヒトデたち?」「帰って行っちゃったぞ・・・?」

 

相変わらず自分たちを気味悪がり、遠巻きに見つめるばかりな地球人に対し、最初こそ体を揺すったりその場でピョンピョン跳びはねて何かを"アピール"していたヒトデたちであったが、地球人たちの反応が変わらないのを見ると円盤へと戻り、そのまま飛び去って行ってしまった。

 

 

 

『緊急速報!緊急速報!某国より日本列島に向けてミサイルが発射されました。国民のみなさんはすぐに屋内退避して下さい!!』

 

「な、何だって!?」「またかよ!!?」「ヤ、ヤバいぞっ!!」「い、いやーーーっ!死にたくないっ!!」「避難って・・・ミサイルじゃ、避難しても意味ねぇじゃんかよ!!」

 

某月某日某時刻、某国が日本に向かってミサイルを放ってから数日後、再び某国が日本に向かってミサイルを放った。それに伴い、再びサイレンが響き渡り人々はパニックを起こした。だが、

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「「「えっ・・・?」」」

 

不意に、ミサイルがまた消滅したのだ。突如として、宇宙(そら)の彼方より再度飛来した円盤が発した光によって。

 

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「や、やっぱりあのヒトデだ・・・」「うん、間違いないね・・・」「また来たんだ・・・」

 

再度現れた円盤がミサイルを消滅させてから数分後、またしてもあの巨大なヒトデたちが人々の前に姿を現わして何かをアピールしたが、やはり人々はヒトデを気味悪がって近寄ろうとはしなかった。すると、

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「あっ・・・帰っちゃった・・・」

 

いくらアピールしても近寄ってもくれない地球人を前に、ヒトデたちはションボリとうなだれた様子で円盤に戻り、飛び去っていった。

 

 

 

『緊急速報!緊急速報!某国より日本列島に向けてミサイルが発射されました。国民のみなさんはすぐに屋内退避して下さい!!』

 

「な、何だって!?」「またかよ!?もういい加減にしろよ!!」「ヤ、ヤバいぞっ!!」「い、いやーーーっ!死にたくないっ!!」「避難って・・・ミサイルじゃ、避難しても意味ねぇじゃんかよ!!」

 

某月某日某時刻・・・懲りずに三度ミサイルを日本に向かって放った某国。それに伴い、またしてもサイレンが響き渡り人々はパニックを起こした。だが、

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「「「あっ・・・」」」

 

不意に、ミサイルがまたまた消滅したのだ。突如として、宇宙(そら)の彼方より三度目の飛来を行った円盤が発した光によって。

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「や、やっぱりあのヒトデだ・・・」「うん、間違いないね・・・」「また来たんだ・・・」

 

三度現れた円盤がミサイルを消滅させてから数分後、お決まりであの巨大なヒトデたちが人々の前に姿を現わして何かをアピールしたが、いまだに人々はヒトデを気味悪がって近寄ろうとはしなかった。結果、ヒトデたちはションボリとうなだれた様子で円盤に戻ろうとした、その瞬間―

 

「待って下さい!我らが『友人』よ!!」

 

『・・・!?・・・?・・・』

 

不意に、誰かがヒトデたちの元へ駆け寄った。それは何と、この国のトップの総理大臣であった。そんな総理大臣だが、次に口を開いた際に驚くべき言葉を口にした。

 

「日本国のトップとして、貴方がたに感謝の意を示します。一度や二度ではなく、三度も我が国を守って頂き、本当に有り難うございます。つきましては、是非とも首相官邸へお越し下さい。そこで是非とも我々とお話を、我々と友人になって頂けないでしょうか?」

 

 

 

 

『緊急速報!緊急速報!某国より日本列島に向けてミサイルが発射されました。国民のみなさんはすぐに屋内退避して下さい!!』

 

某月某日某時刻、突如としてテレビやラジオ、ケータイなどを通して日本中にけたたましい警報サイレンが鳴り響いた。その原因は、日本のすぐ近くの某国が日本列島に向かってミサイルを発射したのだ。

しかし、何故か人々は避難することも慌てることも無かった。何故なら―

 

『え~・・・国民の皆様にお知らせ致します。先程某国より我が国に向かって発射されたミサイルは消滅(・・)致しました。『あの方』たちによってです』

 

某国より放たれたミサイルの危険を知らせる警報サイレンが鳴り響いて数分後、今度はサイレンではなく落ち着き払った女性アナウンサーの声がテレビやラジオから流れたが、その内容は驚くべきものであった。

何と、某国が日本に向かって放ったミサイルが「消えた」のだという。その際、アナウンサーは言った「『あの方たち』によって」と・・・そんな『あの方』こそ、

 

「いやぁ!どうもありがとうございます!!また(・・)しても皆様のおかげで本当に助かりましたよ!!いやぁ、皆様には感謝してもしきれませんな!!」

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

という声と共に、日本のトップである総理大臣がたった今しがた某国のミサイルを消し去るという一仕事を終えた『あの方たち』こと、総理大臣が「友人」と言った巨大なヒトデたちに労いの言葉をかけ、握手を求めた。

一方のヒトデは、総理大臣の言葉に応えるように頷いたりした後、何と総理大臣の握手に応じた。

そう、何と総理大臣もとい日本はこのヒトデ(宇宙人)と本当に「友人」となり、友好的な関係を築いたのだ。

 

「おお、そうでした。これは感謝の印です。どうぞお受け取り下さい」

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「そうですか、花束はお気に召しましたか。いや、よかったよかった」

 

総理大臣はヒトデたちに感謝の意を述べる際、感謝の印としてそれはそれは見事な花束を手渡し、花束を手渡されたヒトデたちは受け取った花束を片手に、その場で小躍りしたりピョンピョン跳びはねるなど、とても「可愛らしい」動きをしていた。

と、このようにこのヒトデたちはとても知能が高く、それでいて大人しくて可愛らしい。そればかりか、某国のミサイルを消滅させてしまうような高い科学力を有しているが、何とヒトデたちはその科学技術を友人である日本人に教えてくれたりもした。結果、日本は世界でも有数の高い技術力を有する国となった。

 

「あ、そうだ・・・皆様、もう少ししたら都内の小学生が訪問に来ますが、その際は是非とも皆様にお会いしたい、との事でして・・・よろしいでしょうか?」

 

『・・・!・・・!!・・・』

 

「おお、それは有り難うございます。子供たちも大喜びしますよ」

 

そんな日本の安全と発展を支えた立役者のヒトデたちが人気者にならない訳などなく、今やヒトデたちは全国民から愛され、英雄として扱われていた。ただ、難点としてヒトデたちは「喋らない」・・・もとい「喋れない」。

 

だが、総理大臣を含めたほとんどの人々はこう思っている。

 

「まぁ、ヒトデが喋るわけないか。でも、役に立つし可愛い動きとかするからいいっか」

 

と。

 

 

 

 

 

『全く、地球人とは顔の真ん中に出っ張りがあって醜いばかりか本当に馬鹿だな・・・呆れるばかりだ』

 

『そう言うな。彼らは自分たちと同じ言葉が話せないものを『頭が悪い』と思い込む種族なのだ。そして、可哀想なことにそれがさも当然だと思っているようだからな』

 

『その通り。だが『地球に入れば地球に従え』という説もある。だから我々が彼ら地球人が思う『頭が悪いヤツら』を演じれば済むことだ・・・かなり嫌な役回りだがな』

 

『うむ、全くだ。だが、今回の我らの犠牲的精神活動と地球人類とのコンタクトはパイラの歴史に残るだろう』

 

某所において「誰かたち」が自分たちの(・・・・・・)言葉で(・・・)会話していた。その「誰かたち」は人間ではなく・・・何と、あのヒトデたちであった。

そんなヒトデたちは自分たちのことを『パイラ人』と言った・・・そう、この『パイラ人』、正式名称「ヒトデ宇宙人 パイラ人」こそこのヒトデたちの名なのだ。

実は彼らパイラ人は地球人よりも遙かに高い知能と科学力を持っている。同時に、彼らはとても友好的であり平和的だ。同じ星の同族なのに近くの国にミサイルを撃ち込もうとする野蛮で愚かな地球人とは違って。

 

『しかし、困ったな・・・彼らと我々では言葉が通じないし、彼らに合わせようにも変身装置を忘れて来てしまった・・・このままでは我々が最も彼らに伝えたい事が、新天体Rの地球衝突を伝えることが出来ない。困ったものだ・・・』

 

『うむ、だからといって彼ら地球人を見捨てて逃げるのは宇宙道徳に背く。何とかして地球人類とより明確な意思の疎通を図らなければな・・・』

 

『そうだな。ということで、一刻も早く地球人類と深い関係になれるように『演技』を頑張るぞ諸君!!』

 

『『『おおーーーっ!!!』』』

 

そんなパイラ人が地球へやって来た理由、及び人間とコンタクトを取りたがっている理由、それこそが放置すれば地球に衝突し、地球を滅ぼす遊星の親天体Rという星が迫っていることを伝えるためであった。

しかし、地球人とパイラ人では姿も違えば言葉も違うために意思の疎通が出来ず、更には地球人の悪いクセである「自分たちと同じ言葉を話せないものは下等だ」という習性(・・)が災いし、パイラ人たちの警告が地球人類には伝わっていなかった。だが、パイラ人は「宇宙道徳」なるものの信念のもと、決して地球人を見捨てようとはしなかったのだ。

そのために、パイラ人が選んだ手段こそが地球人類に合わせた(・・・・)キャラ作りを、地球人類に受け入れて理解してもらえるようなキャラを「演じる」ことであった。

 

果たして、パイラ人の思いと演技は地球人類の心に響き、届くのだろうか?

 

もし、届かなければ・・・

 

「この日、日本のとある都市、どころか地球そのものが滅亡した。それもひとえに、奢っている地球人類が地球滅亡の危機を前もって知らせに来てくれた『可愛いヒトデたち』の警告を無視し、ヒトデたちの意思をくみ取れなかった故なのだ」

 

こうなってしまうのだから・・・

 




如何でしたでしたでしょうか?

今回登場したのは『シーツと長い針金があれば素人でも作れる』とか女〇転生シリーズの『デカ〇ビア』と言われる「パイラ人」が登場です。自分で言うのもアレですがドえらいマイナーですよ・・・

ただ、パイラ人もといパイラ人の出た『宇宙人東京に現る』は非常に面白く、今やウルトラシリーズやその他の特撮やアニメに多い「姿形の全く違う宇宙人が地球人に変身して人類社会に潜伏する」という描写を日本では初めてやった作品です。つまり、彼らこそが元祖なのです。みなさん、パイラ人には敬意を持ちましょう。

何と言うか『宇宙人東京に現る』のような描写、つまりは偏見や差別を題材にしたお話を最近の特撮はあまりやらず、基本的に何でも受け入れるパッピーエンドが多すぎてちょっと・・・と思ってしまいます。何と言うか、そのような問題には背を向けず、もっと向き合った作品やお話をやって欲しいですね。
まぁ、宇宙人たちが居酒屋やったり怪獣が美少女化する昨今の特撮じゃ無理か・・・


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第十話 虐める『巨影』

はいどうも、銀色の怪獣です。

何やかんやで十話目です。以外とネタが尽きなかった・・・というか、まだまだネタはあります。なので続きます。

で、今回もマイナーです。多分、コイツは出演したシリーズでも群を抜いてマイナーです。自分で言うのもなんですが、本当にマイナーしか選ばないな僕は・・・

ただね、いまさらゴジラだガメラだゼットンだ、と誰でも知っているような「王道」なのばかり出すよりは、もっとマイナーな強豪、あるいは魅力的なキャラクターにスポットライトを当ててあげたいのですよ僕は。だからこれからも基本的はマイナーを選ぶと思います。

ですので、僕が選ぶマイナーにもみなさん注目してあげて下さいね。では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

のどかな田園風景が広がる土地があった。だが、数十年後にはこの田園地帯は見る影も無くなり、常に大勢の人々や車が行き交い、見るものを圧倒する無数のビル群が広がる大都市になるなど誰が想像できるだろうか?

とはいえ、それは数十年後なのでさてお手置くとして・・・

 

「おい、そっちだ!捕まえろっ!!」

 

「おう!任せとけ!!」

 

「あっ!コノヤロー・・・逃げるなよ!!」

 

のどかで自然豊かな田園地帯にはたくさんの生き物がいる。そんな生き物たちは近所の子供たちにとって絶好の「遊び相手」であり、同時に「玩具(おもちゃ)」でもある。現に、

 

「よーし!捕まえたぞ!!」

 

―――ゲコッ!ゲコッ!!―――

 

「うわっ!デカいガマガエルだな!!」

 

「へへっ、でもこんなに大きけりゃ色々出来るだろ?」

 

「確かに。よし、じゃあさっそく爆竹くわえさせてみようぜ」

 

「後はさ、お尻にストローさして膨らませようぜ」

 

今まさに近所の子供たちが田園地帯に住人を、大きなガマガエルを捕まえた。そんなガマガエルは・・・哀れ子供たちによって振り回され、踏まれ、お尻にストローを刺されて膨らまされ、口に爆竹をくわえさせられ、といった具合に弄ばれ、嬲られ、いたぶられた結果・・・死んだ。

 

「あーあ、死んじゃった」

 

「ちぇっ、つまんないの。もう死んじゃった」

 

「うん、もっと色々やりたかったのにね。ダメなヤツだなぁ」

 

一方で、ガマガエルを弄んだ挙句に無残に殺した子供たちは悪びれる様子も無く、むしろ呆気なく死んだガマガエルの悪口すら言う始末であった。

しかし、彼らに「悪気」は無い。彼らはあくまで「遊んでいる」のだ。ただし、いくら子供とはいえどもちっぽけなガマガエルからすれば"人間の力"は命取りであり、惨い結果を招くには十分すぎるのだ。

 

「まぁ、いいや。じゃあ、別のカエル探そうぜ」

 

「そうだね。今度はもっと捕まえて遊ぼうよ」

 

「だな。そうすればもっと色々出来るもんな」

 

ガマガエルを悪意の無い「遊び」で殺した子供たちは次なるオモチャ(・・・・)を求め、骸となったガマガエルを放置したままその場を離れた。

 

―――ゲ・・・コッ・・・ゲコッ・・・―――

 

ふと聞こえたカエルの鳴き声。その主は・・・何と、子供たちによって散々もてあそばれて死んだハズのガマガエルであった。そう、彼はまだ生きていたのだ。

確かに、ガマガエルなど人間からすればちっぽけで弱い。だが、生き物は最後の最後まで生きることを諦めない、絶対に死を易々と受け入れたりはしない「執念」があるのだ。

とはいえ、流石にガマガエルは瀕死の重体であり、その命は風前の灯火だ。だが、このガマガエルは生きることを諦めなかった。それが数十年後、このガマガエルが住んでいた田園地帯を潰して作り上げた大都市で起きた「惨劇」に繋がるのだ。

 

 

 

―――ガバァララァアアアァァァ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?助けてくれーーーっ!!」「ば、化け物だーーっ!!」「こ、こっち来ないでーーー!!」

 

日本のとある大都市に響き渡る人々の悲鳴と・・・「怪獣」の雄叫び。何と、大都市のど真ん中に突如として地中から巨大な怪獣が現れたのだ。

 

―――ガバァララァアアアァァァ!!―――

 

現れた怪獣は直立二足歩行でギョロリとした目、茶褐色の(たてがみ)、緑色でイボイボだらけの皮膚、そして尻尾が無いまるで醜いカエル(ガマガエル)のような怪獣であった。

そんな怪獣は大都市のど真ん中に姿を現わすや否や「ある行動」に出た。それは―

 

―――ガバァララァアアアァァァ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!?う、腕が・・・腕がーーーっ!!?」「や、止めて!お願い!!助け・・・て・・・」「頼む!一思いに殺してくれ!!なぶり殺しにしないでくれ!!」

 

件のガマガエルのような怪獣の取った行動、それは逃げ惑う人々を片っ端から捕らえた後、生きたまま腕や足を千切る、捕らえた人間を地面に叩き付ける、逃げ惑う人々をアリでも潰すかのように踏み潰す、瓦礫や街路樹を逃げ惑う人々に向かって放り投げて圧死させる、等の思いつく限りやりたい放題に人間を殺していた。

 

 

―――ガバァララァアアアァァァ!ガバァララァアアアァァァ!!―――

 

そんな残虐な行為を主なっている怪獣であるが、明らかに「愉しんでいた」のだ。人間が死ぬ度に、人間を一方的に蹂躙する度にさも愉快そうに声を上げ、手を叩いて喜んでいた。その様はまるで、悪ガキが「遊び」で自分より遙かに小さく、遙かに"弱い"虫やガマガエルを殺すように。

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市の中心地では暴虐と破壊、そして殺戮の限りを尽くした巨影「凶悪怪獣 ガバラ」がのんきに昼寝をしていた。

だが、ガバラには「悪意」は無い。ならば何故ガバラは破壊と殺戮の限りを尽くしたのか?

それは、ガバラとって人間をいたぶるのは、人間を虐めるのは、人間を殺すのははただひたすらに「当たり前」なのだ。何故なら、ガバラには人間を一方的にいたぶり、殺戮するだけの力を持っている。同時に、このガバラはかつて人間にいたぶられ、虐められた過去がある。

つまり、人間がガバラに殺され蹂躙されるのは当然の「報い」であり、ガバラはそれを行う「権利」と「力」があるのだ。こうなっては人間は受け入れざるを得ないのだろう。




如何でしたでしたでしょうか?

今回登場したのは『東宝怪獣ではマイナー中のマイナー』と謳われるガバラです。まぁ、見た目もアレだし、映画の内容もアレだから仕方ないか・・・

とはいえ、予算削減の波や東宝の経営方針の返還期の中で作られた映画における影響、作り手たちの創意工夫などを考慮して映画を見ると色々と発見があって面白いですよ。

前書きでも書きましたが何やかんやで十話目ですが、まだまた続きますのでよろしければご愛読下さいませ。では、また次回です。


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第十一話 誘う『巨影』

はいどうも、銀色の怪獣です。

意外と尽きないネタの数々・・・まだまだ続きます。

で、今回は僕にしては珍しくメジャーなヤツを選びました。しかも、今回出てくるヤツは原作『巨影都市』の出演しています・・・ただ、出演していたのは『Ⅱ』の方で、今回出るのは『Ⅰ』の方です。いやね、ⅡもいいけどⅠも捨てがたいし・・・だから出しました。

後、以前書いたパイラ人が一番長かったですが、今回のお話はより長めです。
もう「短編」って呼べねぇか・・・でも、読み応えはあると思いますので、どうぞお楽しみ下さい。では、どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「ちょっといいですか?あの、『天使』ってご存じですか?」

 

 

「はい!先週、大学の窓から外を見てたら見えたんですよ!!」

 

「ええ、会社の課長さんがゴルフしてた見たって騒いでましたよ」

 

「うん、オジサンもね、見に来たんだよ」

 

大勢の人々が行き交う大都市メトロポリス。

そのメトロポリスの街頭でどこかのTV局のクルーが道行く人々に街頭インタビューを、最近このメトロポリスで有名になっている「天使」なるもののについてインタビューしていた。

 

「あの、『天使』ってご存じですか?」

 

「ええ、見ましたよ。『天使』様は光輝いていました」

 

相変わらず街頭インタビューを続けるTVクルーは今度は初老の女性に件の『天使』についてインタビューをしていた。

 

「『天使』様はあたくし達を見守って下さっているに違いありませ―――」

 

「違うもん!『天使』なんかじゃなくて『悪魔』だもん!!」

 

「えぇっ!!?」

 

TVクルーのインタビューに対し、初老の女性は彼女が見た『天使』について自分の意見を述べていた、その矢先に初老の女性の言葉を遮って叫んだ者がいた。それは、

 

「みんな騙されてるんだ!あれは『天使』なんかじゃない!あれは『悪魔』だよ!あれは悪者だよ!!みんな、目を覚ましてよ!!!」

 

初老の女性の言葉を遮って叫んだ者、それは初老の女性が連れていた孫の、小学校三年生のトモキであった。

そんなトモキは必死で祖母に、祖母だけではなくTVクルーや道行く人々、果てはTVの向こう側の人々に対し、メトロポリスに現れるという『天使』が実は『悪魔』なのだと訴えた。

 

「ト、トモキ!あなたは『天使』様に向かって何てことを言うの!!」

 

「だって本当のことだよお婆ちゃん!あれはあくま―――」

 

「トモキ!いい加減にしなさいっ!!」

 

しかし、トモキ少年の必死の訴えは祖母に届くことはなく、『天使』に陶酔している祖母はあろうことか可愛い孫のトモキの横っ面を叩き、そのまま引きずるようにして連れて行ってしまった。

 

 

「・・・どうしよう、今のやり取り生中継されてるんだけど・・・」

 

「こりゃあ、上から大目玉だな・・・」

 

目の前で起きた祖母と孫の激しいやり取り。それを全国ネットで生中継してしまったTVクルーは呆然とするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、

 

 

『ご覧下さい!今、今!メトロポリスの中心に『天使』が現れようとしています!!』

 

謎の『天使』が現れるという大都市メトロポリスの中心地にある大広場。そんな大広場には大勢の人々とTVクルーが集まり、大広場の上空にその姿を現わそうとしている・・・『天使』の姿を一目見ようと集まっていた。

そんな天使はまだハッキリとした形にこそなっていないが、全体的は人の形を、それこそ背中に翼を持った人間もとい『天使』の姿に成ろうとしていた。

 

「わぁ~!スゴ~い!」

「綺麗だなぁ・・・」

「本当に『天使』っていたんだ~!!」

「スゲぇ!俺、感動しちゃう!!」

「ありがたやありがたや・・・この年まで生きていて本当によかったわい・・・!!」

 

メトロポリスの中心にある大広場の上空に現れた『天使』らしきものに目を、心を奪われた街の人々が集まって『天使』が降りてくるのを心待ちにしていた。

 

『メトロポリスでは『天使』がブームとなっています。街の人々は『天使』が降りてくるのをみな心待ちにしているかのように、ご覧下さい。みな天使の羽を付けたり、天使の人形を持ったりしています』

 

また、『天使』が降りてくるの心待ちにしている人々は大広場から中継をしているTVクルーの言う通り、背中に作り物の天使の羽をつけたり、手に手に天使の人形などを持っていた。その光景はとても神秘的であり、同時に「異様」であった。すると、

 

 

「最後の審判の時が来ます・・・門を開けるのです!天使の審判を受け入れるのです!!さすれば、あなた方は『救われる』のです!!!」

 

不意に、大広場に誰かが現れた。その誰かはフードの付いたローブを着ており、フードで顔を隠していたが声色からして男だとは分かる。

同時に、謎の男の声は不思議と人々の耳へ、体へ、脳へ、心へと染み込むようにして届いた。そんな男の声に耳を傾けたとき、男の声を聞いた人々は男こと「預言者」の()となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに数時間後、日はすっかり暮れて辺りには夜の帳が下りていた。だが、

 

「さあ!天使を迎え入れるのです!門を開けるのです!!」

 

「「「おお・・・おおお・・・おおおおぉぉぉぉ・・・!!!」」」

 

大都市メトロポリスは完全に夜の闇に包まれていた。

だが、メトロポリスの中心にある大広場には数千、数万、それを上回るほどの数え切れないほどの人々が集まり、一心不乱に天を仰いで祈っており、その数え切れない人々の先頭に立っているのがあの「預言者」であった。

そして、「預言者」は大広場の上空にある不気味な・・・不気味な装飾の施された門を指さして叫んでいた。

 

「さあ!みなさん!門を開けるのです!!あれこそが天国への門なのです!!!」

 

「「「おお・・・おおお・・・おおおおぉぉぉぉ・・・!!!」」」

 

突如として空に浮かび上がる天国の門を指さした「預言者」に続くように一心不乱に祈り、叫ぶ人々。

すると、人々の祈りと叫びに呼応するかのように徐々に、徐々に徐々にと天国の門が軋むような音を上げて開き始め、門の内より光を発し始めていた。

 

「おぉ!門が、門が開くぞ!!」「スゴい・・・!これで俺らは天国へ行けるのか・・・!!」「私、スッゴく楽しみ!!」「ああ、天国とは、極楽浄土とはどんな所なのか・・・」

 

徐々にであるが、着実に開いていく天国の門を見た人々の興奮は、喜びはより一層高まっていた。

そのせいでみな気付いていなかった。天国の門より漏れ出す光のあまりの冷たさに、あまりに禍々しさに、あまりのおぞましさに・・・

 

 

「違う・・・!違う!!あれは、あれは・・・天国の門なんかじゃない!あれは『地獄の門』だっ!!!」

 

そんな中、たった一人だけ集まった人々とは全く違うことを感じ取り、全く違う事を叫ぶ者がいた。それは―

 

「ねぇ!みんな気付いてよ!!みんな目を覚ましてよ!!あの門を開けちゃダメだよ!!ねぇ・・・みんなぁ!!!」

 

「「「おお・・・おおお・・・おおおおぉぉぉぉ・・・!!!」」」

 

数え切れないほどの人々の中、たった一人だけ違っていたのは・・・あのトモキ少年であった。

そんなトモキ少年は周りの人々に必死になって、泣きながら訴えたが全くの無駄であった。しかも、それは彼の祖母も全く同じであった。いつも優しくて、いつも自分を可愛がってくれていた大好きなお婆ちゃん・・・それが、今となっては―

 

「・・・!お婆ちゃん!!ねぇお婆ちゃん!!目を覚ましてよっっ!!!」

 

「おお・・・おおお・・・おおおおぉぉぉぉ・・・!!」

 

「おばあ・・・ちゃん・・・!?」

 

トモキ少年の必死の、涙ながらの訴えも今の祖母には全く届いていなかった。そんな祖母は他の人々と同じように大空の天国の門のみを凝視し、一心不乱に祈っていた。その異様で、あまりに「普通じゃない」祖母の姿にトモキ少年は恐怖を覚え、思わず後ずさった。すると、

 

「うわっ!?」

 

「おっ、っと・・・」

 

「いてててて・・・あっ!ご、ごめんなさ・・・い・・・?」

 

思わず後ずさったトモキ少年は誰かにぶつかり、そのままはじき返されて転んでしまった。とはいえ、ぶつかったのは自分の方なので、トモキ少年は咄嗟にぶつかってしまった誰かの方に向き直って謝ろうとしたが―

 

「あ・・・あぁ・・・!?お、お前は・・・!!?」

 

「んんっ?君は確か・・・あぁ、君は確か『天使』のことを『悪魔』と言っていた坊やだったねぇ・・・ふふっ、ふふふ・・・ふふふふふっ・・・!!」

 

後ずさりしたせいでぶつかってしまった誰かに謝ろうと、ぶつかった人物の方を見たトモキ少年は固まってしまった。何故なら、トモキ少年がぶつかったのは・・・何と、あの「予言者」であった。

そんな「予言者」はトモキ少年の顔を見た後、少し何かを考えていたが・・・直後、不気味に笑い始めた。そして―

 

「ふむ、残念だね。坊やはもう天国には行けないよ。坊やが行くのは・・・地獄だ」

 

「ど、どういうことだよ!?何で僕が地獄に行かなきゃいけないんだよ!!?」

 

ある程度笑うと「予言者」トモキ少年に向かって断言した。「君は天国へは行けない。君が行くのは地獄だ」と。

当然、トモキ少年は「予言者」にくってかかったが、

 

「何でか、ねぇ・・・坊や、坊やは『悪魔』がいる場所がどこか知っているかい?」

 

「どこって・・・地獄だろ?そのぐらい知ってるよ」

 

「ほお、坊やは物知りだね。そう、悪魔がいるのは地獄だ。ではもう一つ聞こう。坊やは『天使』がいる場所はどこか知っているかい?」

 

「そんなの・・・天使がいるのは天国に決まってるじゃないか!!」

 

トモキ少年は果敢にも「預言者」にくってかかったが、今度は「預言者」はトモキ少年に誰でも答えを知っているような質問を投げかけて答えさせ、余計にトモキ少年の神経を逆撫でした。

しかし、何故「預言者」はこんな質問をトモキ少年にしたのだろうか?

 

「そうだとも。坊やが言うように『天使』がいるのは天国、『悪魔』がいるのは地獄だ。そんなの誰でも知っているさ」

 

「じゃあ、何でそんなこと僕に聞いたんだよ?」

 

「何でか、何でかはね・・・坊やにはみんなが『天使』に見えているアレ(・・)が『悪魔』に、みんなには天国の門に見えているアレ(・・)が地獄の門に見えているんだろう?」

 

「そう・・・だけど・・・だから、それが何だって言うんだよ―――」

 

相も変わらず勿体ぶるような態度と変な質問を続ける「預言者」の態度にいい加減イライラが限界に達しそうになっていたトモキ少年であったが、次の瞬間には腰を抜かす事となった。何故なら―

 

「さあ・・・審判の時だ!みなさん、みなさんのように愚かで、ちっぽけな存在であっても我らキリエルはみなさんを見捨てない!!さあ、みなさん!共に行こうではありませんか!!我らの世界へ!!!」

 

突然、「預言者」が叫んだ。すると、預言者の周りに突如としてどこからともなく白い(もや)のようなもの・・・否、「人魂」が現れて「預言者」を包み込んだ。

 

『さあ、見るがいい!これぞお前たち愚かな人間どもを導く存在、キリエルの神々の化身の姿だっ!!!』

 

突如として現れた無数の人魂に包まれた「預言者」はあっという間に巨大化し、更には姿形が全くの別物に、人間ではない異形の「怪人」へと変わった。そして―

 

―――キリッ!!―――

 

「預言者」が巨大化を終えたとき、今の今まで「預言者」がいた場所には異形の怪人がその巨体を現わした。

全身を覆う白い骨のような外骨格、左胸で赤く点滅する発光体、そして微笑んでいるようにも泣いているように見える不気味な顔を持った異形の巨人が、「預言者」の言う「キリエル人の神」がそこに立っていた。

 

「おお・・・天使様だ!天使様が降りてこられたぞ!!」

「感動だ・・・!感動だ!!生きていてよかった!!」

「何て神々しいの・・・!素晴らしいわ・・・!!」

「天使様・・・!天使様ーーーっ!!どうぞ我々をお導き下さい!!」

 

突如とした現れたキリエルの神を前に、その場にいた人々はキリエルの神を『天使』と呼んだ。

ある者はキリエルの神に向かって跪き、ある者は涙を流しながらキリエルの神を見上げ、ある者は家族や友人と一緒になって笑顔でキリエルの神を見て喜んでいた・・・そう、彼らにはキリエルの神が、この異形の怪人が正真正銘の『天使』に見えているのだ。だが、

 

「あ、あぁ・・・あ・・・悪魔だ・・・悪魔だっ!!」

 

たった一人だけ、みなが『天使』だと信じ、認めているキリエルの神を見て怯え、震え、腰を抜かしていた者がいた。それはあのトモキ少年であった。そう、トモキ少年にはハッキリと分かったのだ。この異形の怪人が『天使』などではなく、正真正銘の『悪魔』である、と。

 

―――キリッ!キリッ!!―――

 

と、ここでキリエルの神が動いた。

キリエルの神は自身に向かって手を振ったり、笑顔で呼びかけたり、跪いている人々を一瞥すると右手を突き出した。

するとどうだろうか、キリエルの神が突き出した右手の掌に極大の火球が作り出された。その大きさは直径数十メートルにも及び、更にはまるで太陽の如く明るく輝いて辺りを照らし、太陽の如き熱量(・・)で辺りの空気をパチパチを音を立てて爆ぜさせ、陽炎すら生み出していた―――と、次の瞬間!!

 

―――キリッ!キリッ!!―――

 

―――ドォオオオオオオォォォォォンッ!!―――

 

何と、キリエルの神は右手の掌に作り出した極大の火球を・・・足下にいた人々に向かって放った。

当然、ちっぽけな人間が膨大な熱量を持つキリエルの神の火球を受けて無事なハズなど無く、何千、何万もの人々が一瞬で骨まで残さずに炭、どころか一瞬のうちに「蒸発」した。しかし、

 

「あぁ・・・!これで、これで俺たちは天国に行けるんだ・・・!!嬉しいなぁ・・・」

「これで、これで私たちは『天使』様に導かれるのね・・・よかった」

「ありがとうございます『天使』様。我々をお導き下さって・・・」

 

何と、キリエルの神の火球に焼かれ、否応なしに死を受け入れざるを得なくなった人々は・・・キリエルの神に「感謝」し、「喜んでいた」のだ。

何故なら、彼らにとってキリエルの神は『天使』だ。そんな天使が放った火球に焼かれたなら・・・それはつまり『天使』のお導きであると、『天使』が必ずや彼らが住まう天国へと誘ってくれるだろうと思い込んで(・・・・)いたからだ。

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市にある大広場では数千、数万もの人々が突如として現れた巨影「炎魔戦士 キリエロイド」の放った極大の火球によって一瞬で焼き尽くされ、死んだ。

だが、キリエロイドの炎に焼かれて死んでいった人々には後悔など無く、むしろ嬉しさすら感じていた。何故なら、彼らはキリエロイドを『天使』だと信じていたからだ。それはつまり、天使が放った火球に焼かれて死んだなら・・・天使によって導かれ、必ずや天使が住まう「天国」へと導かれると信じて疑わなかったからだ。

もし、本当にキリエロイドが天使であり、彼らが住まう世界が天国であったならばだが・・・

 

 

 

 

 

「嫌だ・・・!嫌だっ!!僕は、僕は死にたくない―――」

 

 

時は少し遡り、大都市メトロポリスが崩壊する前、もっと言えばキリエロイドが大広場で集まった人々に向かって火球を放った瞬間の出来事である。

キリエロイドを『天使』と信じて疑わず、キリエロイドの炎に焼かれてみなが嬉しそうに死んでいく中、たった一人だけ、あのトモキ少年だけは違っていた。何故なら、

 

「悪魔に、悪魔に連れて行かれたなら・・・行き先は『地獄』じゃないかっ!!!」

 

トモキ少年にとって、キリエルの神は『悪魔』だ。

そんな悪魔が放った火球に焼かれ、否応なしに死を受けいらさせられたならば、死して悪魔に連れて行かれる先は・・・天国などではく、悪魔の住まう地獄だからだ。

 

 

 

 

日本には『知らぬが仏』という言葉ある。意味は『知れば腹が立ったり悩んだりするようなことでも、知らなければ平静な心でいられるということ』だ。

 

そして、今回の出来事は、特にトモキ少年にとっては文字通り『知らぬが仏』であったであろう。何故か?

 

もし、トモキ少年が他の人々や彼の祖母のように『|天使』に心酔していれば、『天使』になりすました『悪魔(キリエル人)』の正体に気付かず、『悪魔』を『天使』だと思い込んで(・・・・・)いれば・・・

連れて行かれた先が"本来"は『悪魔』が住まう「地獄」であっても「『天使』が連れて行ってくれたんだから天国だ」と、「地獄」を「天国」だと思い込めた(・・・・)であっただろう・・・

 

だが、トモキ少年は気付いてしまった。『天使』の正体が『悪魔(キリエル人)』であると。だから、彼は「天国」ではなく「地獄」へと誘われたのだ・・・他の「地獄」を「天国」だと思い込んで(・・・・・)いる人々と共に・・・

 

 





如何でしたでしたでしょうか?

今回登場したのは『ウルトラマンティガ』では超有名な「炎魔戦士 キリエロイド」です。メジャーですね~有名ですね~ ただ、あのティガに合わせてフォルムを変えられる「キリエロイドⅡ」じゃなくて何ともいえない顔した「キリエロイドⅠ」です。やっぱマイナーじゃねぇか(白目)

で、作中に出た「トモキ少年」とは原作『ウルトラマンティガ』のキリエロイドⅡが出た『悪魔の審判』で出ていたイルマ隊長の息子さんのトモキ君です・・・そのトモキ君、ストーリーの都合上とはいえお亡くなりに(亡くならさせたのは僕)・・・何とも後味が悪くてスミマセン。お気を悪くされた方がいましたら謝ります。申し訳ありません。

何と言うか『ウルトラマンティガ』はオカルトというか、ウルトラ作品では異色作が多いですね。それもそのはず、ティガの脚本を多く手がけたもはクトゥルー神話大好きな小中千昭さん、あるいは今や『相棒』シリーズの脚本を担当している太田愛さん、などの独特な脚本家の人が多いからです。だからスゴいんだよな・・・


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第十二話 宿る『巨影』

どうもどうも、銀色の怪獣です~

いやぁ~深夜までお仕事はアレだよ、うふふ~(白目) 帰って来れたよ~

前回のヤツが割とメジャーでしたが、今回は再びマイナーに。しかも展開が何かえげつない・・・まぁ、出てるヤツが出演してた原作が原作だし仕方ないよね?

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――ヒィヨォオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわああぁっ!?助けてくれーーーっ!!」「ば、化け物だーーっ!!」「いやーーー!気持ち悪いっ!!」

 

日本のとある大都市に響き渡る人々の悲鳴と・・・「怪獣」の雄叫び。何と、大都市のど真ん中に突如として巨大な怪獣が現れたのだ。

そんな怪獣だが、かなり異様な容姿を、先端に眼球の付いた触角と背面に緑色の甲殻、そして全身から常に粘液を垂れ流しているアメーバの化け物のような怪獣であった。

 

―――ヒィヨォオオオォォォッ・・・ヒィヨォオオオォォォッ・・・―――

 

件の怪獣が大都市のど真ん中に現れてから数時間後、散々破壊の限りを尽くし、都市を壊滅させたアメーバの化け物のような怪獣は何処かへと姿をくらました。

 

 

 

 

 

 

 

「食料品、水、衣類や毛布などが必要な方はこちらのテントへお越し下さい」

 

「はい、みなさんこちらに一列になって並んで下さい」

 

「配給品は余裕がありますので、焦らず順番を守って並んで下さい」

 

件の怪獣が大都市に現れて破壊の限りを尽くしてから数日後、大都市はその機能を失った被災地となっていた。

そんな元大都市、もとい被災地では自衛隊、ボランティアによる救助活動、あるいは被災した人々へ水や食料、衣類や毛布などの物資の配給を行っていた。

 

「いやぁ、それにしても驚いたよな」

 

「んっ、何だがよ?」

 

「いやな、よくたった数日でこれだけの量の食料品と飲料水を集められたよな、って思ってさ・・・」

 

「ああ、それな。何か、この街にあった健康食品作ってる会社が提供してくれたらしいぜ?」

 

「健康食品作ってる会社?」

 

被災地にある物資の配給などを行うための自衛隊のテント、の裏手で二人の若い自衛隊員が配給品が入った段ボールを運びながら雑談をしていた。

そんな二人の自衛隊員の話のタネとなっているのは彼らが運んでいる段ボールに入った配給品、もとい配給品の提供元(・・・)であった。

 

「そう、その通り。この街の一等地にあるデッカい健康食品作ってる会社さ。で、その会社は運良くあの気持ちの悪い怪獣の被害を免れたってわけ。そしたら、その会社の社長さんとかが『是非とも、我が社の製品を被災した皆さんに配って上げて下さい』って自衛隊(おれら)に言って配ることになったんだって。しかもタダで」

 

「タダで?マジか・・・もの凄い太っ腹だなその社長さん」

 

「ああ、スゲぇよな。マジモンの聖人だよ・・・まぁ、いやらしい言い方すりゃさ、こうやって自分ところの製品配って宣伝しつつ、株を上げる売名行為とも取れなくはないよな」

 

「まぁ、な・・・でも、お前その言い方はナシだぞ。一応は社長さんだって厚意でやってくれてんだろ?なのに、そんなゲスいこと言うなんて最低だぞお前。自衛隊員失格だぞ?」

 

「ははっ、悪い悪い。もう言ったりしないよ」

 

相変わらず雑談を続ける二人の自衛隊員。そんな二人を含めた自衛隊やボランティアの人々が被災した人々に配っている食料品や飲料水類は全てとある企業が、自衛隊員の内の一人が言うようにこの大都市の一等地にある健康食品などを作っているとある企業が厚意で、しかも無償で提供したのだ。

何と言う聖人君子であり、何と言う慈愛に満ちた厚意的な行動なのか・・・その心構えには、その行動にはただただ頭が下がるばかりだ。

 

 

 

 

 

「首尾はどうかね?我が社の製品はどれ位の人間たち(・・・・)の手に渡ったのかね?」

 

「はい、タザキ社長。正確な数値ではありませんが確実に数万人単位の人間たち(・・・・)の手に渡り、摂取されたと思われます」

 

「ほほぉ、そうかそうか。首尾は上々のようだな。いや、しかしこうも上手くいくとは・・・思わず笑い転げてしまいそうだよ全く」

 

 

所変わってここはある企業、もとい件の自衛隊などに自社製品を提供した健康食品の製造を行っている企業「ナノサイバティクス」社のビルの最上階にある社長室、では社長のタザキが秘書らしき女性と会話をしていた。

だが、その際の二人の発言はおかしかった。何故なら、二人は揃いも揃ってこう言った、

 

「人間たち」と。

 

それはまるで、この二人が人間ではない(・・・・)何か「別物」であるかのような発言ではないか・・・実はその通りなのだ。

 

「いやいや、全く人間とは本当にバカだ。ちょっと優しくすれば、ちょっと厚意とやらを見せればすぐに相手のことを信用する・・・まぁ、だからこそ我々が人間に寄生しやすく(・・・・・・)なるのだがね」

 

「仰るとおりです。加えて、大変な目に遭っている場面で優しくすれば尚更のこと信用しますからね・・・その大変な目の原因を作った怪獣が我々(・・)だとも知らずに」

 

「ああ、その通りだ。とはいえ、人間どもの住処を破壊して水や食料を無くし、そこに我らの『同胞』を忍び込ませた(・・・・・・)食料や水を配る・・・我ながら実に見事な作戦だ。これでまた仲間が増えるぞ・・・ふふふ、ふふふふ・・・はーっはっはっは!!!」

 

相変わらず意味不明で、不気味な会話を続けるタザキ社長と秘書。そんな二人の目は緑色(・・)光輝き(・・・)、完全に人外のソレとなっていた・・・

 

 

 

ある日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市を崩壊させたのは不気味で、気味の悪いアメーバの化け物のような怪獣であった。そんな怪獣が暴れ、破壊の限りを尽くした都市は被災地となってしまった。

 

だが、被災地となった都市では自衛隊やボランティアの人々の活躍、そして何よりも被災した人々に無償で食料や飲料水類を提供してくれた「ナノサイバティクス」という企業の「善意」であり「厚意」のおかげで被災地では特に深刻化する飢えや渇きの問題は起きなかった。

 

しかし、もしもその「善意」と「厚意」に何か「裏」があった場合・・・最悪の事態が起きる事となる。

 

 

「さあ、食え!さあ、飲め!人間どもめ!!我らが提供した水や食料を飲食すれば、我らペジネラの同胞がお前らの体に宿り、同化するだろう!!!」

 

何故か怪獣の襲撃を免れたナノサイバティクス社の社長室で、社長のタザキとその秘書が自分たちが提供した食料や飲料水類を飲食しているであろう被災地の人々の顔を浮かべながら不気味にほくそ笑んでいた。

そんなタザキ社長や秘書の口からは・・・何と、小型ではあるがあの街を破壊したアメーバの化け物のような怪獣がヌルヌルと這い出ていた。そう、実はタザキ社長や秘書はこの怪獣に「寄生」されているのだ。

 

そして、何よりも恐ろしいのは・・・この巨影「パラサイト宇宙生物 ペジネラ」は無数の同胞たち(・・・・)を「善意」と「厚意」で提供した食料などに紛れ込ませ、人々に寄生しようと目論んでいるのだ。

そう、何も巨影が行うのは破壊だけとは限らないのだ・・・

 

 

 

 

 

「ママ!このクッキーおいしいね!!」

 

「そうね。健康食品って言うから美味しくないと思ってたけど・・・案外イケるわね」

 

被災した一組の親子が自衛隊から配給された食糧を、ナノサイバティクス社が提供した食料を何も知らずに口にしていた・・・この親子の命運はもう決まってしまった。

 

―――ヒィヨォオオオォォォッ・・・―――

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラセブン』、の派生作品である『ULTRASEVEN X』より「意外とキモカワイイ」と評判(?)のペジネラが登場です。やってる事はドえげつねぇけど・・・
しかも、今回の話は原作以上にえげつねぇ・・・

ただ、思うのは・・・それこそ地球人を奴隷にしたい、植民地にしたいとか思ってる侵略者のみなさんは、こんな風にやったら楽に地球を侵略できると思うんですよね。
それこそ、タバコに宇宙ケシの実入れたりとか、自販機にマンダリン草仕込んでとかしなくてもいいんじゃね?それこそ水源に人間を狂わせる毒を流すとか、家畜に毒素を仕込むとか・・・もっと頭のいいやり方があるでしょうに。
まぁ、子供が見る番組でそんなえげつない話はやれないからでしょうがね・・・


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第十三話 護る『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

クリスマスでも関係なく投稿してやったぜ(横でケーキドカ食いしてる相方を尻目に)

で、今回のお話は珍しく登場「人」者がバッドエンドを迎えません・・・あくまで「人」物がですがね?

まぁ、何が出てどうなるのかは是非とも本編でお楽しみを・・・では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

「う、うわああぁっ!?助けてくれーーーっ!!」「ば、化け物だーーっ!!」「いやーーー!こわーい!!」

 

日本のとある大都市に響き渡る人々の悲鳴と・・・「怪獣」の雄叫び。ある日、突如として地底から怪獣が大都市のど真ん中に怪獣が現れたのだ。

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

その怪獣はつぶらな瞳と垂れ耳、おでこには短い角があるパグ犬のような顔で、丸っこくてぽっちゃりとした寸胴の体、短い手足、といった具合に一見すれば可愛らしい怪獣だ。

実際、その怪獣を見た人の中には「何かちょっと可愛い!!」などと言う人もいたぐらいだ。しかし、

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

―――クチャックチャッ…クチッ…ゴクンッ―――

 

怪獣の咆哮の後に聞こえた「何か」を咀嚼し、飲み込む音。

見れば、あの怪獣が「何か」を…たった今の今まで生きて、動いていた人間を喰らい、その胃の腑へ納めていた。そう、この怪獣は人を喰らうのだ。

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

手当たり次第に建物も、車も、何もかをも破壊し、目に付いた人間を片っ端から食い散らかす怪獣の暴虐は止まるところを知らなかった。

 

 

 

「はあっ・・・!はあっ・・・!!こ、ここまでくれば何とか大丈夫かな・・・?」

 

件の怪獣が大都市のど真ん中に現れ、暴虐の限りを尽くしてから数時間後。荒れ果て、誰もいなくなった街をひた走る人影が二つ(・・)あった。

一つは若い女性、この日たまたま街に買い物に来ていたミズノという女性。そして、二つ目は―

 

「ねぇ僕、もう大丈夫だからね。お姉ちゃんが絶対に守ってあげる、絶対にパパとママを見付けてあげるからね」

 

「・・・・・・・・・」

 

二つ目の人影、それはミズノに手を引かれているまるで浮浪者のような身なりの白人の少年であった。

 

(可哀想に・・・きっと、あの怪獣に襲われたショックで話せなくなってるし、こんなにボロボロになってるんだわ・・・)

 

件の少年を手を引いて都市から脱出を図ろうとしているミズノはいくら話しかけても何も答えず、ひたすら呆けたような様子の少年を見てそんなことを考えていた。

 

 

ミズノがこの少年と出会ったのはほんの数時間前、あの人食い怪獣が大都市のど真ん中に現れ、街を破壊して逃げ惑う人々と片っ端から捕食し始めて街を大混乱に陥れた際の事だ。

 

「はあっ・・・!はあっ・・・!!嫌だ・・・嫌だ・・・怪獣に食べられるなんて絶対に嫌っ!!!」

 

この日、たまたま街に買い物に訪れてのんびりとショッピングを楽しんでいたミズノ。だが、その平凡で平和で「当たり前」のひとときは、突如として現れた怪獣によって奪われた。

目の前で全てを破壊し、逃げ惑う人々を食い散らかしまくる怪獣の暴挙を目の当たりにしたミズノはどれだけ苦しくても、どれだけ怖くても走って走って走って逃げた。そうしなければ、怪獣に食べられるからだ。

そんな折、ミズノの目にあるものが映った。それは―

 

「・・・・・・・・・」

 

「何・・・してるのあの子?」

 

ミズノの目に映った()、それは怪獣の鳴き声が聞こえてくる距離にもかかわらず、何故か逃げもせずにその辺をフラフラと徘徊しているボロボロの身なりの白人の少年であった。

 

「・・・・・・・・・」

 

(どうしたんだろうあの子、あんなにボロボロだし―――って、もしかして・・・あの子、あの怪獣に襲われて家族を・・・)

 

偶然見付けた少年に対し、ふとミズノはそう考えた。確かにそう考えれば少年の服装がボロボロなこと、回りに家族らしき人物が誰もいないこと、何よりも街中の人々が逃げ惑っている中で少年だけは逃げもせず、呆けたようにフラフラと徘徊しているのも頷ける。

 

「・・・・・・・・・」

 

(可哀想・・・あんなに小さいのにあの怪獣に襲われて、しかもお父さんやお母さんを・・・でも・・・私には関係ない・・・)

 

相変わらずフラフラと徘徊する少年が体験したであろう凄惨な光景を思い描き、少年に同情するミズノ。

だが、そうこうしている間にも距離があるとはいえあの怪獣の鳴き声が後方から聞こえ続けている。このまま立ち止まっていては怪獣に追いつかれ、食い殺される。だから立ち止まってはいられない。それに、確かに少年は可哀想だが、ミズノにとって少年は赤の他人だ。リスクを冒してまで助ける必要も義理も無い―――

 

「ねぇ僕、大丈夫?ここにいたら危ないよ。ホラ、お姉ちゃんと一緒に逃げよう」

 

「・・・・・・・・・?」

 

「大丈夫だよ。お姉ちゃんが安全な場所まで連れて行ってあげるから。それに、お父さんやお母さんも探して上げるからね。だから、一緒に逃げよう」

 

ミズノは少年に駆け寄りって話しかけ、優しく諭して少年の手を引いて一緒に逃げた。

いくら赤の他人とはいえ、いくら一番可愛いのは我が身とはいえ、目の前で困っている人を、無力で弱々しい子供を放っておくことなど「人間として」ミズノには出来なかった。

 

 

 

 

「はあっ・・・!はあっ・・・!!こ、ここまでくれば何とか大丈夫かな・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「とりあえず、大丈夫みたいだね。うん、ちょっと休憩しようか」

 

ミズノが怪獣から逃げる中で出会った白人の少年とともに逃げてから数十分後、二人は怪獣の姿どころか、鳴き声も完全に聞こえなくなるほど遠くへ逃げ仰せていた。

ここでようやく二人は一息つくため、万が一の事も考えて崩れ落ちた建物の影に隠れて休憩していた。

 

「よし、キレイになったよ。サッパリしてよかったね」

 

「・・・う・・・ん・・・」

 

「ねぇ僕、お腹空いてないかな?お姉ちゃんね、お菓子持ってるからあげるね」

 

「・・・う・・・あ・・・」

 

「はい、どうぞ」

 

「・・・あ・・・あり・・・う」

 

やっとの思いで怪獣の脅威から逃げ仰せ、一息つくことが出来たミズノは泥などで汚れた少年の顔や体をハンカチで拭き、落ち着かせるためとお腹を空かせているであろう少年にお菓子をあげた。

それに対し、最初の頃こそ少年は相変わらずの呆けたままのような感じで反応を示さなかったが、徐々に徐々にではあるが頷いたり喋ったり、果てはぎこちないながらも笑顔を見せたりもした。

 

(よかった・・・反応してくれるようになったし、何よりも笑ってくれた。よし、絶対にこの子のご両親を見付けてあげよう)

 

助けた少年がやっと反応するようになり、その後見せた笑顔を見たミズノは目の前のか弱い少年をきっと守ると、少年を絶対に両親に会わせてあげると誓った、その瞬間!!

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

「な、なに―――って、きゃあああぁぁぁっ!?な、何で・・・何で怪獣がここにいるの!!?」

 

突然、ミズノたちの目の前の地面の土砂が大量に吹き飛んで大穴が空いた。すると、その穴の中からあの人食い怪獣がその巨体を現わした。

 

―――ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

「あ、ああぁ・・・こ、腰が抜けて・・・立てない・・・!!」

 

突如として轟音と共に目の前に現れた人食い怪獣を前に、ミズノは腰を抜かして立ち上がる事が出来なくなっていた。当然、それは怪獣にとっては好都合この上なく、怪獣は目の前で逃げもしない得物(ミズノ)をズラッと牙の並んだ巨大な口で一吞みにしようと迫った、その瞬間―

 

「・・・う゛ぅっ!・・・あ゛ぁ!!・・・がぁあっ!!!」

 

―――ゴゲッ!?ゴゲェエエエェェェッ!!?―――

 

「え、えぇっ!?ど、どうなってるの・・・?あの子・・・いま跳んだ・・・?」

 

怪獣の魔の手がミズノ迫った瞬間、何とあの少年が怪獣とミズノの間に割って入ってミズノを庇った、ばかりか、少年はその場で数メートル跳躍し、怪獣の顔面に強烈な蹴りを見舞って怪獣を怯ませた。

 

「ど、どうなってるの・・・?何であの子、あんなに跳べるの?まるで・・・人間じゃ(・・・・)ない(・・)みたいに・・・」

 

少年が軽々と何メートルも跳躍し、怪獣の顔面に蹴り入れて怯ませるという有り得ない光景を目の当たりにしたミズノはただただ呆然とするしかなかったが、この直後には更に呆然と、更なる驚愕の光景を目の当たりにすることとなる―

 

―――ゴゲッ・・・ゴゲェエエエェェェッ!!―――

 

一方で、まさか人間(エサ)如きに顔面を蹴飛ばされるという事態に怪獣は怒り狂い、改めて自分の顔を蹴飛ばした少年に向き直ると怒りの咆哮を轟かせた。だが、

 

「・・・う゛ぅっ!・・・あ゛ぁ!!・・・がぁあっ!!!ああア゛あア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

―――ゴゲッ!?ゴゲェエエエェェェッ!!?―――

 

「えぇっ!?う、嘘でしょ!!?こ、こんな事って・・・あ、あり得るの・・・?」

 

突如として少年が叫んだ。するとどうだろうか。何と、少年の体が一気に膨張して巨大化し、あっという間に身長20米もとい20mの巨人となった。これにはミズノはおろか、怪獣でさえ驚いて思わず叫んでいた。

 

「ヴぅっ!ア゛あア゛!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

一方で、巨大化した「元」少年もとい巨人は雄叫びを上げると同時に怪獣に跳びかかった。

 

その後の展開は一あまりに方的であった。

 

「ヴぅっ!ア゛あア゛!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

―――ゴゲッ!?ゴゲェエエエェェェッ!!?―――

 

怪獣に跳びかかった巨人はマウントポジションを取ってから怪獣をタコ殴りにする、手近にある瓦礫や街路樹で怪獣をしばき倒す、ヤクザキックを怪獣の腹に叩き込んで吹っ飛ばす、怪獣の首根っこを掴んで力任せに放り投げる、怪獣の頭を掴んで近くの建物や車に叩き付けた挙句は頭を何度も連打する、ジャイアントスイングで振り回して放り投げる、などなど巨人は完全に怪獣を圧倒していた。

当然、怪獣も鋭い牙や爪、あるいは口から吐く熱戦などで巨人に反撃を試みたりはしていたが、ずんぐりむっくりで寸胴で四つん這いな怪獣と、直立二足歩行で素早く動けて様々な格闘技が使える巨人とでは文字通り「勝負にならなかった」のである。そして―

 

「ヴぅっ!ア゛あア゛!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

―――ゴキッ!!―――

 

―――ゴゲッ!?ゴゲェ・・・エエェ・・・―――

 

散々巨人に責め立てられた怪獣は満身創痍であったが、巨人は攻撃の手を緩めずに怪獣に組み付いて怪獣の首に手を回し、チョークスリーパーを決めるとそのまま更に力を込め、怪獣の脛骨を折って怪獣を仕留めたのであった。

 

「ヴぅっ!ア゛あア゛!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」

 

「ス、スゴい・・・勝っちゃった・・・」

 

激闘の末、見事に怪獣を討ち破った巨人は息絶えた怪獣の体を投げ捨て、勝ちどきの雄叫びを上げた。それを見て、いまだに腰を抜かしたまま立ち上がることの出来ないミズノは呻くように言葉を漏らすのが精一杯であった。すると、

 

「ヴぅ・・・ア゛ア゛ア・・・」

 

「ひっ!?い、嫌っ!来ないで!!こっちに来ないで!!」

 

不意に、巨人がミズノを見た。その虚ろだが、いまだに怪獣を仕留めた興奮冷めやらぬ血走った目で。

当然、そんな目で睨まれたミズノは今の今まで目の前で巨人が行った戦いを、人を食う怪獣をあっさり仕留める巨人に見つめられた恐怖で後退った。

だが、20mもの大きさの巨人はあっという間にミズノの元へ近付き、その巨大な手をミズノに向かって伸ばすと―

 

「ヴァ・・・ア゛ア゛ア・・・アァ・・・」

 

「い、嫌っ!殺さないで―――って、あ、あれ・・・?」

 

自身に向かって伸ばされる巨人の手を前に、ミズノは思わず目をギュッとつぶった。

しかし、いつまで経っても巨人がミズノを握り潰したり、あるいは触ったりすらしてこないことと、巨人が先程とはうって変わって優しい声を出し続けている事を不思議に思ったミズノが改めて巨人の方を見ると、そこには―

 

「ア゛・・・アゲ・・・ル・・・コレ・・・アゲル・・・」

 

「えっ・・・?コレを、お花を私にくれるの・・・?」

 

「ヴ・・・ヴン・・・アゲ・・・ル・・・アナタ・・・ヤサシク・・・シテ・・・クレタ・・・カラ・・・」

 

改めて巨人の方を見たミズノが見たもの、それは巨人の手に乗っている近くの花の咲いた街路樹であった。しかも、街路樹をミズノに向かって差し出している巨人はぎこちないながらも笑顔を浮かべており、その顔からは攻撃的な雰囲気は全く感じられなかった。加えて、何と巨人はミズノと「会話」までやってのけたのだ。

そう、実はこの巨人は「いいヤツ」であり、巨大化してまで怪獣と戦った理由も自分の汚れた顔を拭き、お菓子をくれて優しくしてくれたミズノを守りたいという一心だったのだ。

 

「あ、ありが・・・とう・・・」

 

あの恐ろしい怪獣を仕留めた巨人が見せた笑顔と行動には驚かされたが、自分の命が助かったのは紛れもなく目の前の巨人のおかげだ。それに、この巨人は「いいヤツ」である。そのことを改めて認識したミズノが手を伸ばし、巨人の手に触れようとした、その瞬間!!

 

「いたぞーーー!化け物だーーーっ!!」

 

「撃ち殺せーーー!!」

 

「いや、待て!!化け物のそばに女性がいるぞ!!?」

 

「何だと!?よし、救助が先だ!!かかれーーーっ!!」

 

「「「おおーーっ!!」」」

 

突然、ドタバタと大勢の人間の足音と怒声が聞こえた。その主達は武装した警官隊や機動隊、あるいは自衛隊などであった。実は彼らは怪獣の襲撃の一報を受け、遅ればせながら怪獣の駆逐と逃げ遅れた人々の救出のためにはせ参じたのだ。

そんな武装警官隊たちは最初こそ視認した「化け物」こと巨人に手にした銃火器を放とうとしたが、巨人の近くに逃げ遅れた民間人ことミズノを見付けると巨人に発砲するのを止め、ミズノの救出に動いた。

 

「な、何ですかあなた達は―――」

 

「もう大丈夫ですよ!さあ、逃げましょう!!」

 

「い、嫌っ!?放して!放して下さい!!」

 

「よし!逃げ遅れた女性を救出したぞ!!」

 

「よくやった!早く下がれ!!」

 

「了解っ!!」

 

突如として現れた武装警官隊や機動隊、自衛隊に驚くミズノであったが、武装警官隊たちはそんなことはお構いなしにミズノの元へ駆け寄ってミズノを巨人から引き離して"救出"した。そして、"救出"を終えた彼らが次にとる行動は当然―

 

「よし!後はあの化け物を排除するだけだ!!皆、あの人型の化け物は怪獣を殺したヤツだから、油断するなよ!!」

 

「「「おおーーーっ!!!」」」

 

「覚悟しろよ化け物!!」

 

「蜂の巣にしてやるぜ!!」

 

逃げ遅れた女性(ミズノ)を救助し終えた武装警官隊たちは改めて巨人に向きなおると、手にした銃火器を巨人に向かって撃って撃って撃ちまくった。

突如として街を襲撃し、大勢の人々をその毒牙にかけた憎き怪獣、を殺した巨人を排除して「平和」と「安全」を取り戻すために。

 

「や、止めて下さい!その子は悪くないんです!!その子は、その子は私を助けてくれたんです―――」

 

「危険ですので下がって!下がって下さい!!オイ、誰かこの人を安全な場所に連れて行くんだ!!」

 

「了解!さあ、行きましょう!!」

 

「い、嫌っ!放して!!あの子を撃たないで―――」

 

突然現れた武装警官隊や自衛隊員たちが何の罪もない巨人を、自分を怪獣から守ってくれた巨人を撃ち殺そうとしているのを何とかして止めさせようとしたミズノであったが、武装警官隊の余計な気遣いでミズノは安全な場所へと無理矢理連れて行かれてしまった。

 

 

「死ねっ!化け物がーーっ!!」

 

「駆逐してやるぞっ!!」

 

「よくも何の罪もない人たちを・・・許さんぞっ!!」

 

「ヴァ・・・ア゛ア゛ア・・・アァ・・・」

 

一方で、突然現れた大勢の人間に無数の銃で撃たれ、野次られ、明確な殺意の込められた目で睨まれている巨人は・・・一声悲しそうに唸り声を上げるとその場から逃げ行方をくらました。この日以降、巨人の姿を見たものはいない。

 

 

 

 

『怪獣と巨人が都市部を襲撃!大勢の民間人が犠牲に!!』

 

こんな見出しが新聞、あるいはTVを賑わせるのに時間はかからなかった。

 

「怖い」

「許せない」

「コイツらのせいで家族が・・・友達が・・・」

「早く逃げた巨人を駆除してくれよ」

「ヤロウ、どこ行きやがった」

 

件のニュースを見て知った人々、あるいは実際に被害に遭った人々が事件を起こした怪獣と巨人を憎み、血眼で探し回ることになるのは想像に難くない。

 

 

「違う・・・違うのに・・・悪いのは怪獣だけなのに・・・!巨人は、あの子は悪くないのに・・・!!」

 

だが、たった一人だけ全ての真相を知るシュヴァルツ人物がいた。それはミズノであった。

武装警官隊や自衛隊に"救助"されたミズノは近くの病院に入院させられ、病院内のTVや新聞で事件の報道や見出しを見ていた。

当然、事件の真相を知るミズノからすれば世間で流れている情報の間違いは、自分を助けてくれたあの巨人に対する誤解は耐え難いものだった・・・

だが、どれだけミズノが大声で叫んでも、どれだけ主張しても人間とは一度信じてしまった考えを変えることは、自分と違う存在を受け入れることは簡単には出来ないのだ。

ましてや、たった一人の人間の主張では世間(おおぜい)を納得させることなど到底出来ないのである。

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市崩壊を引き起こし、更には大勢の人々を捕食した巨影「地底怪獣 バラゴン」は・・・死んだ。

見た目こそ恐ろしいが、他者を思いやり、気遣う事の出来る心優しき巨影「不死身の魔神 フランケンシュタイン」によって討伐された。

だが、幸か不幸かバラゴンを屠ったフランケンシュタインはその見た目と、大勢の人々を喰らったバラゴンよりも強かった故に「バラゴン以上の怪物」と見なされ、追われる身となったのである。自分に優しくしてくれた女性に手渡そうとした花の咲いた街路樹を片手に・・・

 

「ヴァ・・・ア゛ア゛ア・・・アァ・・・」

 

 




如何でしたか?

今回はあの東宝の『フランケンシュタイン対地底怪獣』より「地底怪獣」の方のバラゴンと東宝版フランケンが登場です。

ちなみに、今回のタイトルである『護る巨影』の『護る』はバラゴンのリメイク個体の『護国三聖獣 地の神・婆羅護吽』の「護」を使いました。ほら、どっちもバラゴンだしね?

で、バッドエンドになったのはまさかのフランケンでした・・・何と言うか、あらゆる物語のお決まりとして「醜い怪物は幸せになれない」という決まりがありましてね・・・ヒドいよね。僕の知る限り、醜い怪物なのに幸せになったのって某緑の怪物(シュ〇ック)ぐらいじゃないかな? 全く「ただしイケメンに(美女に)限る」ってヤツか。

ちなみに、登場した「ミズノ」とは『フランケンシュタイン対地底怪獣』でヒロインの戸上季子を演じた水野久美さんにちなんでおります。

では、次回もお楽しみに~


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新年記念特別話 巨影・因果の小車(いんがのおぐるま)

あけましておめでとうございます!銀色の怪獣です。

さてさて、年も明けて2018年ですね。いやぁ、一年って本当に早いなぁ・・・ということで、今年も投稿を頑張っていきますので、何卒よろしくお願い致します。

ということで、新年一発目は・・・新年に相応しく、お正月に相応しくオールスター出演というか豪華(?)なゲストをたくさん出したお話でございます。何気に、一番最後にはあの大・大・大スターが出ますのでお楽しみに。

では、特別編をどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――シュルゥキィイ!!―――

 

「な、何じゃありゃ!!?」「に、逃げろっ!殺されるぞーーー!!」「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、賑わいを見せるハズの大都市。だが、その大都市のど真ん中に突如として異形の存在が、俗に言う「怪獣」が現れたことで人々は大パニックを起こし、大都市はその機能を失った。

 

―――シュルゥキィイ!!―――

 

そんな大パニックを起こした犯人の怪獣、その容姿を一言で言い表すなら「巨大なカマキリ」だった。ただ、その大きさたるや尋常ではなく、全長が60mを超える超ド級のカマキリ、否「カマキリ怪獣」であった。

 

―――シュルゥキィイ!!―――

 

件のカマキリ怪獣が一歩踏み出す度に地響きが起こり、羽ばたいて飛べば凄まじい突風が起きて人や車を吹き飛ばし、羽ばたきによって生じた衝撃波で建物の窓ガラスを粉砕し、自慢の鎌を振るえば巨大なビルがまるで紙細工のように切断された。その有り得ない光景の数々を見た人々は口々にこう言った。

 

「あんなの・・・カマキリじゃない・・・ただの化け物だ」

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

―――キュキュウ!キュウ!!―――

 

―――シュ!?シュルゥ・・・キィ・・・イィ・・・―――

 

カマキリの怪獣が大都市に現れ、破壊の限りを尽くしてから数時間後。今や街は見るも無惨に破壊され、すっかり見る影も無くなっていた。

そんな破壊され尽くされた街の中心地ではあのカマキリの怪獣が・・・死んでいた。全身を黄色い糸でがんじ絡めにされ、体に毒針を撃ち込まれて。突如として地中から現れた「コイツ」に―

 

―――キュキュウ!キュウ!!―――

 

大都市を破壊したカマキリの怪獣をいとも容易く屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大なクモ」であった。

全長は60mを超え、頭部には青い八つの複眼、腹部の毒々しい黄色と黒の縞模様を持った有り得ない大きさの超巨大クモだ。

もし、クモが苦手な人が見たら確実に心臓発作を起こして死ぬだろう、と思うほどに気持ち悪くてデカすぎるクモの怪獣だった。

 

―――キュキュウ!キュウ!!―――

 

そんなクモの怪獣は屠ったカマキリの怪獣の死体に覆い被さって体液をすすり上げた後、辺り一帯に糸を噴射しまくり、巣作りを始めた。このままではこの地はクモの怪獣の巣になってしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―――ピイイイィィィ!!―――

 

―――キュ!?キュキュウ・・・キュウ・・・―――

 

クモの怪獣が大都市のど真ん中で巣作りを始めてから数時間後、大都市は至る所が黄色い糸で覆われたクモの巣へと変貌していた。

そんなクモの怪獣がやっとの思いで作り上げた巣の中央ではあのクモの怪獣が・・・死んでいた。青く美しい八つの複眼は輝きを失い、辺り一面に体液や臓物をぶちまけた無残な死骸になって。突如として空の彼方より飛来し、その圧倒的なスピードでクモの糸に絡まることもなくクモの怪獣を惨殺した「コイツ」に―

 

―――ピイイイィィィ!!―――

 

カマキリの怪獣を屠ったクモの怪獣をいとも容易く屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大なトンボ」であった。

ただ、その顔はトンボと言うよりは醜悪な爬虫類のようであり、前脚が巨大なハサミに、尾の先には巨大な針を持った全長60mを超えるトンボの怪獣であった。

 

―――ピイイイィィィ!!―――

 

そんなトンボの怪獣は屠ったクモの怪獣の死体に尾の先の針を突き刺して残った体液を全てすすり上げた後、近場にあった川にあろうことか産卵していた。このままではこの地はトンボの怪獣とその子供たちの巣となってしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――

 

―――ピィ!?ピイイィィ・・・イィィィ・・・―――

 

トンボの怪獣が大都市を流れる川に産卵し、その卵から生まれた幼虫、俗に言う「ヤゴ」が川から上陸して街をうろつき始めてから数時間後、今や大都市はすっかりトンボの怪獣とヤゴたちの巣と化していた。

そんなトンボの怪獣とヤゴたちの巣と化した大都市の中心地ではあのトンボの怪獣とヤゴたちが・・・死んでいた。体中を啄まれ、貪られ、バラバラの無残な死骸となって。突如として空の彼方より飛来し、トンボの怪獣すら上回る圧倒的なスピードと飛行テクニック、果ては口から吐く紅蓮の熱線を用いてトンボの怪獣とヤゴたちを食べ尽くした「コイツ」に―

 

―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――

 

カマキリの怪獣を屠ったクモの怪獣を屠ったトンボの怪獣を屠った「コイツ」を一言で言うなら「巨大な鳥」であった。

 

「鳥じゃありません!羽毛が無く、牙がある。あんな鳥はいません!!」

 

もし、鳥類の専門家が件の鳥を見ればそう言うだろう。そう、実は大都市に現れた鳥は鳥ではなく空飛ぶハ虫類、俗に言う「翼竜」なのだ。

全長はゆうに100mを超え、翼長に至っては200mを超える圧倒的な大きさ、頭部の二本の角、そして燃えるような赤い体色の翼竜の怪獣であった。

 

―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――

 

そんなトンボの怪獣とヤゴたちを腹一杯食べ、満足した様子の翼竜の怪獣は辺り一帯に散乱している瓦礫を集め、塚のような巣を作るとなんと産卵した。このままではこの地は翼竜の怪獣の巣となってしまうだろう。

 

 

 

「うおおおぉぉぉっ!!死ね死ね死ね死ね化け物ーーーっ!!!」

 

「人間様を舐めるなーーーっ!!」

 

「ローストチキンにしてやるぜーーーっ!!!」

 

―――ピッ!?ピキュウウゥゥゥン!?キュウゥン!!?―――

 

翼竜の怪獣が大都市のど真ん中に巣を作って産卵してから数時間後、辺り一帯には爆音と翼竜の怪獣の悲鳴、そして大勢の男達の怒声が響き渡っていた。

見れば、翼竜の怪獣が巣を構えている大都市には自衛隊の戦車大隊や攻撃ヘリコプター部隊、榴弾砲やロケット砲等々が集結し、翼竜の怪獣とその卵を蜂の巣にしていた。

 

―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――

 

当然、攻撃されている翼竜の怪獣は熱戦や翼を羽ばたかせて生み出す突風などで反撃を試みるが、自衛隊の圧倒的な火力と執拗かつ途切れることのない相当数の攻撃には手も足も出ない状態だった。加えて、

 

「卵だ!卵を狙え!!そうすれば、親は逃げないし反撃できないぞ!!」

 

「「「おおーーーっ!!!」」」

 

自衛隊は攻撃を行う際、翼竜の怪獣の卵を率先して狙っていた。そうすれば「親」である翼竜の怪獣は、大切な我が子である卵を守るためにその場から動くことが出来ず、完全に自衛隊の攻撃の的と化していた。

 

―――ピキュウウゥゥゥン!キュウゥン!!―――

 

自衛隊の攻撃に晒され、悲痛な声を上げる翼竜の怪獣。

一見すれば自衛隊のやり方はもの凄く卑怯で卑劣に見える。だが、この翼竜の怪獣とその卵を放置すれば人間に与える被害や経済的損失は図り知れないものとなる。つまり「かわいそう」なんて悠長なこと言ってられないのだ。

 

―――ピッ・・・キュウウゥゥゥン・・・キュ・・・ウゥン・・・―――

 

そうこうしている内に、とうとう翼竜の怪獣が自衛隊の攻撃に沈黙した。また翼竜の怪獣が最後まで、自分の体を盾にしてまで守ろうとした卵も自衛隊の攻撃で割れていた。つまり、

 

「よし、我々の勝利だ!みな、ご苦労だった!!」

 

完全に沈黙した翼竜の怪獣を前に、現場にいる自衛隊の最高指揮が戦闘終了の合図を出した。そう、自衛隊が怪獣に勝ったのだ。それもひとえに、か弱い人々を怪獣の脅威から守りたいという一心からだった。

 

「いや、それにしても・・・カマキリの怪獣をクモの怪獣が倒し、そのクモの怪獣をトンボの怪獣が倒し、そのトンボの怪獣を鳥の怪獣が倒した。でも、その鳥の怪獣を最後に倒したのは俺ら人間様だ。つまり、俺たち人間が一番強いんだよな。ははっ、気分がいいな―――」

 

鳥の怪獣もとい翼竜の怪獣を倒し終えた自衛隊は戦闘の後始末や翼竜の怪獣の死骸の処理、現場の後片付けなどに大忙しであった。そんな中、ふと一人の自衛隊員が何気なくそんなことを言った、その瞬間―

 

「マ、マズい・・・!これって・・・マズいぞ・・・!!」

 

「どうした山口、何がマズいんだ?」

 

ふと、先ほど口を開いた自衛隊員の近くにいた「山口」という名の自衛隊員が持っていた小銃を取り落とし、更には山口は全身に汗が、それも冷や汗が噴き出し、顔からは血の気が引いていた。その際、山口はずっと「マズい・・・マズいぞコレ・・・!!」とひたすら呟いていた。

そんな山口のただならぬ様子を見た他の自衛隊員たちは、訝しみながらも山口に何がマズいのか問い掛けた。

 

「同じなんだよ・・・」

 

「同じ?何が同じなんだよ山口?」

 

「カマキリをクモが殺した。で、今度はクモをトンボが殺して、更に今度はトンボを鳥が殺した・・・コレ、俺の地元の山口県の昔話の『順巡り』あるいは『因果の小車』って名前の昔話と一緒なんだよ!!」

 

「・・・何だその『順巡り』とか『因果の小車』って?」

 

仲間達の問い掛けに対して山口の口から出た答え、それはこの一連の事態(・・・・・)が山口の地元である山口県に伝わる「昔話」と同じであるというものであった。

 

「『順巡り』も『因果の小車』も内容は同じなんだけど・・・ある日、猟師が山の中でミミズを見付けたんだ。で、そのミミズを見てたらカエルが出てきてミミズを食べたんだ。で、今度はヘビが出てきてカエルを食べたんだ。で、最後にはキジが出てきてヘビを食べた。そんなキジを猟師が撃ち殺そうとしたけど、猟師は『ミミズがカエルに食われて、カエルがヘビに食われて、ヘビがキジに食われて、そのキジを俺が殺したら・・・次に食われるのは俺か!?』ってなって逃げたんだ。そしたら『キジを殺さんでよかったな』って声がどこからか聞こえて、猟師がその声の方を見たら森の奥に化け物がいたんだって。それが『順巡り』や『因果の小車』だよ」

 

「・・・で?それが今回のと何の関係があるってんだ―――」

 

「だから!カマキリをクモが殺して、クモをトンボが殺して、トンボを鳥が殺して、その鳥を人間(おれたち)が殺しただろ!?じゃあ、次に殺されるのは俺たち、人間だろ―――」

 

山口は仲間達に山口県の昔話『順巡り』や『因果の小車』を説明し終え、その昔話と今回の一連の出来事が全く同じであると仲間達に訴えた。

しかし、仲間たちは明らかに「馬鹿馬鹿しい」といわんばかりの表情を浮かべていた。だが、尚も力説する山口が「次に殺されるのは自分たち人間だ」と言おうとした、次の瞬間!!

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「「「!?な、何だこれ―――」」」

 

突如として、辺り一帯に轟く轟音・・・もとい「咆哮」。

その咆哮をひとたび聞けばあらゆる生命は畏怖し、恐れおののくだろう。それほどにその咆哮が秘めている「迫力」と「恐ろしさ」は桁違いだった。そんな咆哮を放った主とは―

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「何だ・・・アイツは!!?」

 

件の咆哮の主、それは山一つが命を持ったかのような圧倒的な存在感と威圧感、そして隠しきれない、否、隠す気など微塵も無い程に「殺意」を全身から溢れさせる巨大な漆黒の怪獣であった。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「ひ、怯むな!撃て―――」

 

突如として現れた漆黒の怪獣を前に一瞬我を忘れていた自衛隊員たちであったが、怪獣が三度吠えたことでハッと我に返ると即座に臨戦態勢を整え、漆黒の怪獣を攻撃しようとした。だが―

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「な、何だアレは―――」

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォンッ!!!―――

 

目の前で蠢き、小生意気にも自分に向かって銃口を向ける人間(むしけら)どもを前に、漆黒の怪獣は背ビレを白熱させた。

ただそれだけで目の前にいる人間(むしけら)どもも、その人間(むしけら)どもが作り出した鉄の塊(へいき)も、人間(むしけら)どもの()も、全てを欠片も残さずに燃やし尽くす白熱した火炎流が漆黒の怪獣の口から放たれた。

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市にはまず巨影「蟷螂怪獣 カマキラス」が現れ、次にカマキラスを屠った巨影「大蜘蛛怪獣 クモンガ」が現れ、その次にはクモンガを屠った巨影「超翔竜 メガギラス」が現れ、更に更にメガギラスを屠った巨影「空の大怪獣 ラドン」が現れて都市を完全に崩壊させた。

だが、最終的に生き残っていたラドンは人間側の知恵と攻撃で見事に屠られた・・・しかし、その人間たちは一人残らず屠られた。

かつて人間たちが行った「愚行」によって、決して癒えることない傷を心身ともに刻まれた巨影「水爆大怪獣 ゴジラ」によって。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

 




如何でしたでしょうか? 

ちなみに、タイトルの『因果の小車』とは山口県に伝わる民話であり、書籍などによっては『順巡り』や『次はお前だ!!』と表記される場合もあります。

今回は東宝から怪獣たちが多数出演し、最後にはあのゴジラが登場・・・いいですね~お正月らしくたくさんの豪華ゲストが出ましたね・・・まぁ、ほとんど虫だったけど。

ちなみに、ゴジラはまだ出ます。ただ、出るゴジラは毎回違いますのでお楽しみに・・・

ということで、みなさま今年もよろしくお願い致します。銀色の怪獣でした


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第十四話 狙った『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

みなさま、お正月はいかがお過ごしでしょうか?こう、最近って昔と違って正月に子供が退屈しないように怪獣映画とか名探偵コ〇ンの再放送とかって本当にやらないですよね。

なので、このお話でお楽しみ下さいませ(?)

そして、今回は超人気キャラが出ます。まさかの超メジャーですよ!!お楽しみに!!

では、どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「はぁ・・・困ったなぁ・・・」

 

 

時刻は夕暮れ時。辺りを夕日が照らしていた。そんな夕日に照らされているとある街の片隅にあるオンボロアパートの一室に響く心底困ったような声とため息。

見れば、この部屋の住人らしき初老の男がちゃぶ台の上に置かれたパソコンの画面とにらめっこしながら大きく、何度も何度もため息を吐いたりしていた。しかし、一体男は何に「困っている」のだろうか?

 

「う~ん・・・本当に現代は面倒だ。何をするにでも特定されてしまう・・・しかも、それを一個人がやってのけてしまうのだから余計に面倒極まりないな・・・」

 

そう言ってパソコンの画面をのぞき込んではため息を連発する男。そんな男が見ているパソコンの画面には―

 

『コイツ、マジ迷惑W 氏ね 』

『本当に草生える なに考えるのぉww』

『ざまあwwwwwwwww』

『嘘松ぅ嘘松ぅ』

 

などなどの、俗に言う「インターネットネットスラング用語」の、それも「煽り」と呼ばれるものが延々と羅列されていた。

 

「はぁ・・・まさかこの私が地球人によって心を抉られる日が来ようとは・・・いやいや、現代は本当に怖い・・・」

 

パソコンの画面上に延々と映し出され、現在進行形で書き込まれる「煽り」を見た男は力なく仰向けに倒れた。

そんな男は言った。「この私が地球人によって」と。それはまるで、この男が地球人ではないかのような言い草ではないか・・・そう、実はその通りなのだ。この男は姿形こそ地球人に化けている(・・・・・)が、その正体は俗に言う「宇宙人」なのだ。しかし・・・そもそもなぜ宇宙人がインターネットをやっているのか?

 

「うむむ・・・現代人は喫煙者が少なくなったと聞いて幻覚タバコ作戦を止め、現代人が最も利用しているインターネットを通じて地球人同士の信頼関係を崩そうとしたが・・・失敗も失敗だよ全く」

 

そういって男は一度体を起こすとちゃぶ台の上にあった「眼兎龍茶」というラベルの貼られた缶入りのお茶を一口飲むと、

 

「ぷはーおいちぃ~」

 

という、まぁ何とも間の抜けたことを言った・・・のだが、そのときには男の姿は人間ではない人外の、男の本来の姿である宇宙人のソレに戻っていた。

 

そんな男もとい宇宙人の容姿を一言で言い表すならば「明太子のお化け」という他に無かった。

上半身は赤く、下半身は青、腕や足はあるが指は無くまるでチューリップのような手、そして胸と思わしき部分から腹らしき部分には黄色く光る発光器まで付いた明太子のお化け・・・文字通り「珍奇」な姿の宇宙人であった。

 

「あーあ、もう嫌になったよ本当に・・・昔はタバコに宇宙ケシの実を混ぜるだけでよかったのになぁ・・・」

 

件の「眼兎龍茶」を飲み干し、空き缶をちゃぶ台に上に置いた明太子のお化け宇宙人は、もう何度目かも分からないため息を吐いた。

 

実はこの宇宙人、地球を侵略するためにわざわざ地球へやって来た。

だが、彼は破壊や殺戮などの「暴力」に頼った侵略を好まない性質であったため、それらを使わない知的で尚且つ陰湿な作戦を、地球人類が最も大事にしている「信頼関係」を崩す作戦に出た・・・まではよかったが、一番最初に行おうとしていた「地球人の嗜好品であるタバコに人間を凶暴化させる物質を仕込んだタバコをばらまく作戦」は昨今の禁煙ブームで喫煙者が減ったために中止せざるを得なくなった。

そこで宇宙人が目を付けたのが現代人なら使わない者は絶対におらず、それでおいて凄まじい数の人間が関係を築いたりしている「インターネット」を利用し、地球人同士の信頼関係を崩す作戦を実行した。

だが、そこにはとんでもない落とし穴が存在していた。それこそが、

 

「いやいや、でも・・・本当に現代人は怖い。ちょっとでも書き込みをすれば『晒し』が現れ、ソレを大勢がよってたかって『煽り』や『荒し』してしまう・・・はぁ、いつから地球人はこんなにバカで愚かで攻撃的になってしまったのだろうか・・・?」

 

インターネットを使い、地球人の信頼関係を崩壊させようとした宇宙人を待っていた落とし穴、それは現代のインターネットもとい「ネット民」と呼ばれる他者を攻撃することを生き甲斐とし、他者を攻撃して優越感に浸る攻撃的な人種の存在だった。

そんなネット民の恐ろしさは凄まじく、宇宙人がS〇SやTw〇tterなどで行った書き込みや情報操作がネット民の目に留まれば・・・あっという間に宇宙人の個人のアカウントが特定され、宇宙人の住所や個人情報がネット上に晒されてしまった。

一応、宇宙人は地球に潜伏する際に地球人になりすましていたので正体が宇宙人だとバレることは無かったが、それでも宇宙人のアカウントや住所には日々嫌がらせが続いている。これが宇宙人の精神をゴリゴリと削り、追い詰めていた。

 

「いやいや、昔の地球人は互いを信頼し、尊重し合い、気遣い合うことの出来る素晴らしい種族だった。だからこそ、この美しい夕日を含めた環境を持つ地球と気高くて素晴らしい地球人の心を欲しいと思う侵略者が大勢いたのに・・・今は環境も含め、地球と地球人は腐っている。悲しいことだ・・・」

 

かつてはこの宇宙人を含め、数多くの侵略者がいた。そんな彼らがなぜ地球を欲しがっていたのか?

それは、地球という星が持つ美しく豊かな自然や豊富な資源が一つ。

そして、もう一つこそは(宇宙人からすれば)文化や文明レベルこそ低いが、見ていて「気高い、素晴らしい、美しい、羨ましい」と思える地球人類の信頼関係だった。

しかし、現代の地球人はとにかくインターネットという安全で、互いに顔が見えないし実害も無い場所で相手を煽り、晒し、攻撃し、傷付けて楽しむ低レベルな種族と化している・・・加えて、それを仮想世界であるインターネット上だけではなく現実世界でも平然とやってしまっているのだ。

これが昔の、古き良き地球人を知る明太子のお化け宇宙人には相当にショックだった。だからこうしてため息を連発し、精神的に参っているのだ。

 

「ふむ、こうなっらた実力行使に訴え出る・・・いやいや、イカン。それはイカン。私は暴力が嫌いだ。それに、地球人みなが腐っている訳では無い。世の中にはまだまだ素晴らしい信頼関係を保っている地球人も大勢いるのだから」

 

尚も現在進行形で宇宙人の個人アカウントに増え続ける誹謗中傷や煽りに荒し。それを遠い目で見つめる宇宙人は彼が一瞬、彼が一番嫌う実力行使に訴え出ようかと思ったが即座に止めた。

何故なら、それをやってしまえば宇宙人もまた下等になってしまった現代の地球人と同じになってしまうからだ。だから宇宙人は思いとどまったのだ。

 

「ふう、よし!こうなったら気分を変えるために何かテレビでも見るか」

 

すんでの所で思いとどまった宇宙人は落ち込んでしまった気分を変えるため、一旦ネットを止めてテレビを付けた。すると、

 

『某国がミサイルを発射!核実験も行っている模様です』

『〇〇市で通り魔事件発生!容疑者の男は『誰でもいいから殺したかった』などと供述しており―――』

『〇〇街で生後半年の女児が実の両親から虐待死された模様です』

『県立〇〇高校の屋上から生徒が飛び降りて自殺しました。生徒はイジメを受けており―――』

 

「・・・・・・・・・」

 

テレビを付けた宇宙人の目に、耳に飛び込んできたのは夕方のニュース番組から伝わってくる実に暴力的で、実に野蛮で、実に程度の低い、とてもじゃないが宇宙人が憧れて尊敬の念すら抱いていた地球人が起こしたとは思えないようなニュースばかり・・・それを見たとき、宇宙人は思わずテレビのリモコンを取り落としていた。

 

 

 

 

 

 

『う゛ヴぉおおオオォォォおおおッ!!!』

 

「う、うわああぁっ!?助けてくれーーーっ!!」

「ば、化け物だーーっ!!」

「いやーーー!こわーい!!」

 

日は暮れ、辺りに夜の帳が降りた大都市。その大都市に響く人々の悲鳴と破壊音、そして―

 

『う゛ヴぉおおオオォォォおおおッ!!地球人ども、我にひれ伏せーーーっ!!!』

 

人々が悲鳴を上げて逃げ惑い、見事な大都市が破壊されていく原因たる存在が上げる怒声。見れば、大都市のど真ん中に異形の存在がおり、大都市を手当たり試合に破壊していた。

その異形は首から下こそ人間と同じような体型・・・あえて言うなら異様なまでに筋肉質で逞しすぎる肉体をしているが、首から上は異形のまるで「明太子の化け物」みたいな頭をしていた。

 

『う゛ヴぉおおオオォォォおおおッ!!地球人ども、我に、このメトロン星人・デストロイにひれ伏せーーーっ!!!』

 

そう言って大暴れを続ける異形は自身の名を口にしつつ、たった今さっきまで憧れと尊敬の念を抱いていた地球人類に忘れられない恐怖と絶望を与え続けるのであった。

 

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市の崩壊を起こしたのはかつては地球人類に憧れと尊敬の念を抱き、「彼」なりの美学に基づいて地球の侵略を行っていた宇宙人にして巨影「幻覚宇宙人 メトロン星人(デストロイ)」であった。

だが、メトロン星人は元々はこんな暴力的な、実力行使に訴え出るつもりはなかったらしい。ならばなぜ実力行使に訴え出たのか?

 

「所詮、地球人同士の信頼関係だなんだはキレイ事でしかない。所詮、地球人も動物だ。動物なんて力で支配すれば一発で大人しくなるのだよ。ましてや低能化して、環境を破壊して、礼儀も知らなくなった現代の地球人たち(サルども)なら尚更さ」

 

地球を手中に収めたメトロン星人・デストロイは知り合いの宇宙人にそう語った。

 

 

ですが、メトロン星人は忘れていました。

彼もまた、彼が「サルども」と呼んだ地球人たちと同じ手段を行ったことを。そんな彼もまた、その地球人たち(サルども)の中で暮らすうちにサルどもの考えに染まっていたのです。

何故か?メトロン星人は我々地球人類と考え方が、倫理観が同じだからです。所詮、メトロン星人も地球人と同程度の考え方や倫理観しか持っていないんですよ・・・

なので、次に『狙われるのは』・・・メトロン星人となるでしょうね。




如何でしたか?

今回は『ウルトラセブン』より超人気キャラのメトロン星人が登場・・・ただしデストロイ(大怪獣ラッシュのアレ)でした。はい、マイナーです。
僕がメジャーを出すと思うたか!?そんなこと、せぬわぁ!! いや、いずれしますがね?

また、今回はメトロン星人絡みと言うことで今は亡き奇才・実相寺昭雄監督テイストでお送りしました。いやぁ、あのカオスっぷりがまた見たいなぁ・・・

ついでですが、メトロン星人は頭がいいという設定故にどうも知的なキャラでばかり出演しておりますが、僕が思うにアイツは地球人のことが理解できてしまう、つまりは地球人と大して変わらない価値観や倫理観しか持ってないからそこまでスゴいとは思えないんですよね・・・いや、スゴいですよ?スゴいけど・・・地球人とそこまで変わらないようなヤツに毎度毎度エラそうに、分かった風な言い方されるのはちょっと・・・
それこそ地球人とは相容れないし、地球人類とはまた違った、成田亨氏の言う「地球人にとっては悪でも、彼の星では勇者であり正義」とかの方が僕は好きです。バルタンとかガタノゾーアとかね?

では、次回もお楽しみに~


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第十五話 恵みをもたらす『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

本日二回目の更新です・・・普通なら出来ないよ。正月休みだから出来ることですね。

ただね、今回は・・・人によっては生理的に無理な描写になっている部分がありますので、苦手な方は即座にバックを・・・

というか、前回のに比べたらまたマイナーに戻しました。どんなマイナーか、是非とも予想しながらお楽しみ下さい。

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――ヴモゥオゥ!ヴォーン!!―――

 

とある海岸地帯に誓い大都市に響く人々の悲鳴と・・・怪獣の咆哮。見れば、大都市のど真ん中に海から上がってきた怪獣が大暴れしていた。

 

―――ヴモゥオゥ!ヴォーン!!―――

 

「何だよアイツ!?ガマガエルの怪獣か!!?」

「いや、でもガマガエルが海から出てきたりはしねぇだろ!?ありゃクジラの怪獣だって!!」

「顔がガマガエルで体がクジラ・・・怪獣ガマクジラ、ってか!?ふざけんなよーーー!!!」

 

大都市を襲撃し、人々をパニックに陥れている怪獣は誰かの言ったように顔はガマガエル、体はヒレの代わりに手足のあるクジラといった風体の怪獣であった。

そんなガマガエルとクジラのハーフみたいな怪獣であるが、この街に現れたのには理由があった。それは―

 

―――ヴモゥオゥ!ヴォーン!!―――

 

「あぁ!うちの店の真珠が全部食べられる!!」

「こ、このままじゃ注文されていたネックレスやイヤリングが作れない!!」

「止めろーーー!これじゃあ商売あがったりじゃないかよ!!」

 

件の怪獣が大都市に現れた理由、それは「食事」のためであった。とはいえ、この怪獣は別に人間や動物の肉と食べない。そのかわり、この怪獣は何と真珠を食べるのだ。

そう、この怪獣が大都市に現れたのは真珠の一大生産地であり、尚且つ真珠を特産品としてその収益で発展したこの大都市にある真珠(ごちそう)を求めて現れたのだった。

 

―――ヴモゥオゥ!ヴォーン!!―――

 

怪獣は大都市を破壊しつつ、真珠のある宝石店や真珠の加工工場などを片っ端から襲って真珠を根こそぎ食べた後、満腹になったのか暢気に昼寝をしていた。すると―

 

「今だ・・・全部隊攻撃開始!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォンッ!!!―――

 

―――ヴモゥオゥ!?ヴォーン!!?―――

 

突如として辺りに轟く爆音と炸裂音、そして怪獣の悲鳴。見れば、怪獣の回りには自衛隊の戦車大隊やヘリコプター部隊、、榴弾砲やロケット砲等々の部隊が勢揃いして怪獣を集中放火していた。

 

「いいわよー!自衛隊の人たち頑張ってーーー!!」

「そうよ行け行けー!私たちから真珠を奪う怪獣を仕留めちゃってーーー!!」

「真珠の光を奪う怪獣をぶっ殺しちゃってぇえええぇぇぇっ!!!」

 

そんな自衛隊の活躍を遠巻きに見つめるギャラリーの内、特に女性たちがかなりヒートアップしていた。

というのも、彼女たちにとって乙女の嗜みに欠かせない真珠を奪う怪獣は憎い相手だ。だからこんなにもヒートアップし、目を血走らせて怪獣をまるで鬼のような形相で睨んでいた。

 

 

―――ヴモゥ・・・オゥ・・・ヴォーン・・・―――

 

「よし、怪獣は沈黙した。みな、ご苦労であった」

 

自衛隊の途切れること無い攻撃を前に、怪獣はとうとう力尽きて沈黙した。

だが、怪獣に食われてしまった真珠は相当な量であり、その被害額も相当凄まじかった。これではこの大都市が復興するのは相当時間がかかってしまうだろう・・・

 

 

 

 

 

「いらっしゃい!いらっしゃい!今日は真珠のバーゲンセールだよ!!ちょっとそこの奥さん、どうか見て買って行ってよ!!」

 

「まぁ!何てお安いのかしら!?これは買いだわ!!」

 

「うふふ、こんなにたくさんの真珠がこんなに安く買えるなんて・・・とっても素敵だわぁ!!」

 

ある日突如として海から現れたガマガエルとクジラのハーフみたいな怪獣が真珠が財源の大都市を襲撃し、大事な財源の真珠を食らい尽くしてから数週間が経っていた。

そんな大都市ではさぞ財政難に苦しんでいるだろう・・・と思いきや、むしろ怪獣に襲撃される前よりも街は活気に満ち満ちており、財源も潤いまくっていた。何故なら、

 

「いやぁ、まさかあの怪獣の腹をかっさばいたら食べられた量を遙かに上回る量の真珠が出てくるなんて・・・怪獣様様だよなぁ!!」

 

そう言いながら、とある宝石店の店員が段ボールを、溢れんばかりの量の真珠が入った段ボールを運びながら嬉しそうに独り言を言っていた。

そう、実はあの怪獣は自衛隊が始末した後、解剖されたのだが・・・その際、何と怪獣のお腹の中から溢れんばかりの、それこそ怪獣が大都市の宝石店などから奪った量が霞む量の真珠が出てきた。

当然、その真珠は怪獣の被害に遭った宝石店や百貨店に還元された、ばかりか「復興財源」の名目で宝石店や百貨店はおろか、スーパーなどでも売買されるようになったのだった。

 

「いやぁ、怪獣が来たときはどうなるかと思ったけど、今となっては怪獣が来てくれたおかげで助かったよ」

 

「だな。こんなにもたくさんの真珠を運んできてくれたんだ。むしろ、もっと怪獣が来てくれないかな、なんて思っちゃうよな」

 

「うふふ、怪獣のおかげでこんなにたくさん、そして安く真珠が買えたわ・・・ありがとう怪獣さん」

 

そう言って街の人々は街と自分たちに凄まじい富をもたらしてくれた怪獣に感謝していた。

これが、最初に怪獣が現れた際は怪獣に向かって怨嗟の言葉を吐き、怪獣を鬼の形相で睨んでいた人々と同一人物たちだとは誰が信じられるだろうか・・・

 

その自分勝手さは、その醜さは見た目だけ(・・・・・)が醜いあの怪獣とは比べもにならず、いくら美しい真珠で着飾ろうとも隠せない・・・

 

 

 

 

「き、きゃああああぁぁぁーーーっ!!?」

 

「!?ど、どうしたーーーっ!!?」

 

ある日の夕方、とある一軒家に響く絹を裂くような年配の女性(マダム)の悲鳴。その声に驚き、マダムの夫が大慌てで妻のいる部屋に駆け込めば―

 

「アナタ・・・アナタ・・・助け・・・て・・・」

 

「!?お、お前・・・どうしたんだソレ(・・)!?何で、何で・・・真珠が皮膚に(・・・)埋まってる(・・・・・)んだ!!?」

 

妻のいる部屋に駆けつけた夫が見たもの、それは・・・床にへたり込んでいる妻の首や手首の皮膚の中に真珠が埋まっている信じられない光景であった。

 

「アナタ、アナタ・・・助けて・・・!!」

 

「オ、オイ・・・い、一体なにがあったんだよ・・・?」

 

「わ、分からないの・・・今日お出かけした街で安売りしてた真珠のネックレスとブレスレッド買って、そのまま付けたまま帰ってきたの。そしたら、そしたら・・・肌に埋まってたのよぉ!!ねぇアナタ!!助けて!!取って、これ取ってよ!!!」

 

夫は目の前で起きている信じられない出来事に混乱しつつも、どうにか冷静さを保って妻に何が起きたのかを尋ねた。

その際妻は言った「出先の()で買った真珠(・・)のネックレス等を身につけていたら、いつの間にか真珠が肌に埋まっていた」と・・・

そんな妻が出かけた先はあのガマガエルとクジラのハーフ見たいな怪獣が襲撃した街であり、妻が買ったネックレスやブレスレッドに使われている真珠は怪獣の腹から出てきた物だった・・・

 

「と、とにかく病院行こう!俺が連れて行くから!!な?な?」

 

「う、うん・・・」

 

「よ、よし、立てるか・・・?」

 

「そ、それが腰が抜けて立てないの・・・お願いアナタ、手を貸して・・・」

 

「お、おお、分かった。ホラ、手を出せ」

 

「う、うん。ありがとう―――」

 

目の前で起きている理解し難い現象にパニックになりつつも、まずは妻を病院に連れて行こうとした夫はショックで腰を抜かして立てない妻に手を差し述べ、妻がその手を握ろうとした、その瞬間!!

 

「んっ・・・?ひ、ひぃっ!?オ、オイ・・・お前・・・その真珠の中で何か動いてるぞ!!?」

 

「えっ・・・?何が―――き、きゃあああああぁぁぁぁぁっ!!?な、何よコレーーーっ!!?」

 

妻に手を差し伸べていた夫が、差し伸べた手を掴もうしている妻の手を、手首に皮膚に埋まっている真珠を何気なく見れば・・・何と、真珠の中で何かが動いていたのだ。

それに気付いた夫は悲鳴を上げ、夫に言われた妻もまた自分の手首に埋まっている真珠の中で蠢く「何か」に気付くと三度悲鳴を上げた。そんな妻の手首に皮膚に埋まっている真珠の中で蠢いているもの、それは―

 

「何よコレ!?カエル!?小さいカエルなの!!?」

 

皮膚に埋まっている真珠の中で蠢くものの正体、それは妻の言う通り小さなカエルのような生き物であり、より正確に言えば、顔はガマガエルだが、体はヒレの代わりに手足のあるクジラのようであった・・・

 

「いやぁ!もう嫌っ!!助けて!アナタ助けて!!早く病院に連れて行ってよぉ!!」

 

「わ、分かったら!分かったらとりあえず車に乗れ!!」

 

連続して起きる信じられない事態に妻は壊れる寸前だっが、夫がどうにか妻をなだめながら妻に肩を貸して車まで運び、地元でも一番大きな総合病院へと連れて行った・・・

 

 

「取って1早く取ってよ!!」

 

「嫌だ・・・嫌だ!!こんなのあっていい訳ないわよ!!?」

 

「助けて・・・誰か助けて・・・」

 

 

「何てこった・・・」

 

夫が車を走らせ、地元でも一番大きな総合病院へ到着して院内に入ったとき、院内は地獄絵図だった。

というのも、院内には人が、それも女性が溢れんばかりに詰めかけており、加えてみな夫の妻と同じように皮膚に真珠が埋まって取れなくなっている人ばかりであった。

加えて、ほとんどの女性は驚きやパニックからギャーギャーわめき散らし、更には腰を抜かしている人も多いために病室のソファーだけでは飽き足らず、床に四つん這い状態で座り込んでいた。

そんな女性たちを一目見て、夫は思わず口を滑らせた。

 

「これじゃあまるでカエルの大合唱じゃないか・・・」

 

と。

 

 

 

 

「うむむ・・・これは、もしやあの怪獣の祟りではなかろうか?」

 

「ちょっと先生!?先生が祟りとか言ってどうするんですか!!?しっかりして下さいよ!!」

 

「だが、そうは言うがね君・・・患者はみな、あの街(・・・)で売られていた真珠を、あの怪獣(・・・・)の腹から出てきた真珠で出来たネックレスなどを身に付けていてこうなったんだろう?これは、もはや祟りじゃないかね・・・?」

 

「それは・・・その・・・」

 

数多くの患者が駆け込んだ総合病院の一室では外科医と看護婦長が集まった大勢の患者を前にそんな事を言い合っていた。

実はこの外科医と看護婦長は詰めかけた患者たちから話を聞いた他の看護師たちの報告を元に、この異常事態の原因を探っていた。そんな折、外科医がある結論に達したのだ。それが―

 

「確かに、祟りだなんだと非科学的ではあるさ。だがね、これは紛れもなくあの怪獣が原因だよ。しかも、ソレを招いたのは欲深くて浅はかな人間が原因だと断言していいと思うよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

外科医の言葉を前に、言葉を飲むしかない看護婦長。そして、実は外科医の考察は当たっていた。

 

実を言えば、皮膚に真珠が埋まっている女性たちが身に付けていた真珠は真珠ではなく卵、あの真珠が財源である大都市を襲撃し、真珠を食らったあのガマガエルとクジラのハーフのような怪獣の卵であり、怪獣は真珠をエサにしているせいで卵は真珠に酷似している。

加えて、あの怪獣は卵を産むと母親が卵を自分の皮膚に埋めて育てるという、南米に生息する「コモリガエル」というカエルと同じ子育て法を取るのだ。

そう、今回の事態は外科医の言う通り欲深い人間が、人間が怪獣の腹から出てきた卵を勝手に真珠だと思い込み、ネックレスなどに加工して売り払った挙句、卵を身に付けた人間たちが卵の「親の皮膚に潜り込む」という性質故に起きた惨劇だったのだ。

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。だが、その都市は決して自然災害や巨大生物の襲撃などを受けた訳ではない。その都市は「破綻」して崩壊したのだ。

何故か?その都市では、人体に悪影響を与える「ある物体」をロクに調査もせず、目先の利益と財源のために売りさばき、その結果で大勢の人々に危害を加えた。そのせいでその都市は人々から非難され、信用を失い、その結果で破綻して崩壊したのだ。

そんな都市の崩壊を招いたのは他ならぬ人間たちではあったものの、都市の破綻の原因を作り出したのは巨影「潮吹き怪獣 ガマクジラ」という死してもなお人類に禍根を残す厄介な存在であったのだ・・・

 

―――ヴモゥオゥ・・・ヴォーン・・・―――




如何でしたか?

今回は『ウルトラマン』よりあのキモカワorブサカワなガマクジラが登場です。

ただ、ストーリー自体は問題ないんですよ。問題なのは・・・まさかのガマクジラの卵が人間の肌に埋まり、そこでガマクジラの子供たちが成長するという身の毛もよだつ描写・・・俗に言う「蓮コラ」みたいな状態でしょうね・・・

ちなみに、今回のガマクジラの子育ての設定とかは僕が勝手にやっただけで、ガマクジラはそんな設定はありません。
ついでですが、この「母親の皮膚に卵が埋まってそこで子供が育つ」というのは現実世界にいるコモリガエル、通称ピパピパが本当にやる子育て方法です・・・心臓が悪い方は検索しない方がいいですよ。マジでキモいから・・・

正直、僕自身がこのストーリーというか卵の下り考えててゾワってなりました。こんなの、ウルトラマンでやったら即放送打ち切りですね。ただ、ウルトラQならやりそうな・・・


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第十六話 厄をもたらしし『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

いやいや、前回のお話でやらかして申し訳ありませんでした・・・かと思えば、今回も前回のヤツに肩を並べるキモいのが登場します。スミマセン・・・

後、今回は実は僕が考えたオリジナルの怪獣・・・と言っていいのかは不明ですが、まぁ「怪獣らしきヤツ」が出ます。勿論、ストーリーを踏まえた上で考えたヤツです。
ちなみに、最初に行った「キモいの」は最初に出るヤツです。ですが、そのキモいのはあまりにもドマイナーなので、ご存じない方も多いと思うので出演したシリーズを言っておきます。

それは「大映特撮」であり一応はガメラの系列・・・?です。ですので、何が出るのか予想してしてみて下さい。

ではどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?何だコイツらは!!?」

「に、逃げろっ!食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、賑わいを見せるハズの大都市。

だが、その大都市のど真ん中に突如として異形の存在が、俗に言う「怪獣」が現れたことで人々は大パニックを起こし、大都市はその機能を失った。加えて、その怪獣は一匹や二匹ではなく、何十、下手をすれば何百という大群で現れたのだ。

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!!―――

 

そんな大都市に何百もの大群で大挙して押し寄せた怪獣の正体は・・・「ネズミ」であった。

 

「ネズミ?オイオイ、笑わせるなよ~」

 

と思った方もいるだろう。だが、その大きさはゆうに2、3mを超えており、それが一度に何百匹も押し寄せて来たのだ。加えて、このネズミは人間に襲いかかって骨まで残さず食べるほどに凶暴で貪欲な、文字通りの「怪獣」だった。

 

 

「今だ・・・全部隊攻撃開始!!」

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!!―――

 

「ひ、怯むな!撃て―――」

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!!―――

 

「!?う、うわあああぁぁぁっ!!?ああぁ・・・あぁ・・・」

 

突如として大都市を襲撃し、大勢の人々を食い殺したネズミ怪獣の大群に対し、緊急出動した自衛隊の戦車大隊やヘリコプター部隊が果敢に戦いを挑んでいた。

だが、如何せんネズミ怪獣の数が多すぎる事に加え、人肉に餓えたネズミ怪獣は自分たちを退治に現れた自衛隊すら餌とみなし、戦車の装甲を噛み砕いて中にいる自衛隊員を食らう、ビルなどの高所に上ってから空を飛ぶヘリコプターに跳びかかってヘリコプターを墜落させて乗っている隊員を食う、などなどやりたい放題だった。

 

 

「どうすればいいんだ!?このままでは日本は終わりだぞ!!一体、どうすればいいんだっ!!?」

 

「そ、総理・・・落ち着いて下さい―――」

 

「これが落ち着いていられるかっ!!」

 

「ひぃっ!!?」

 

所変わって、ここは日本のお偉いさんが集まっている都内某所。

そんな某所ではこの国のトップの男性総理、俗にいう総理大臣が突如として大都市に現れ、街の人々を食い殺し、自衛隊を圧倒し、暴虐の限りを尽くす件のネズミ怪獣の大群の映像や被害報告を前にヒステリーを起こして近くにいる秘書官たちに怒鳴っていた。と、ここで―

 

「総理!総理ーーー!!」

 

「何だね小泉君!?いま私は忙しいんだ―――」

 

突然、総理の元へ面長の顔で白髪が特徴の「小泉」なる総理の側近が大慌てて走って来ると―

 

「総理、今こちらに『あのネズミ怪獣を退治する方法がある』と断言する三上博士という人物が来ています!!どうかお目通りを―――」

 

「な、何っ!?それが本当ならすぐ会おう!小泉くん案内したまえ!!」

 

「はい!どうぞこちらです!!」

 

小泉が総理の下へ大慌てで走ってきた理由、それは総理の頭を悩ませるネズミ怪獣を「退治できます」と断言する三上博士なる人物が国会に来たので、あって欲しいという事を伝えようとしたが、総理は小泉の言葉だけで三上博士なる人物に会うことを即決、小泉に三上博士の下へ案内させた。

 

 

 

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!!―――

 

突如として大都市に大挙して現れ、街の人々はおろか退治に来た自衛隊の大隊すらも食い尽くしたネズミ怪獣たちは我が物顔で大都市を占拠していた。

だが、この街にいた人間(エサ)をネズミ怪獣が全て食い尽くしてから半日近く経っており、すでにネズミ怪獣たちは空腹を感じていた。そこで、ネズミ怪獣たちは次なるエサを求めて大移動しようとしていた、その時だった―

 

「調子に乗るのもそこまでたネズミども!行けお前たち(・・・・)!!」

 

突然、ネズミ怪獣たちに占拠された街に誰かが現れた。現れたのは白衣を着た研究者風の男・・・そう、この男こそが総理達の元へ「ネズミ怪獣を退治する方法がある」と謳って現れた三上博士だった。

そんな三上博士は自分たちの下へのこのこ現れた新鮮な人肉(三上博士)を食らおうと集まっていたネズミ怪獣たちを尻目に、彼が連れてきた(・・・・・)「ネズミ怪獣を退治する方法」へと合図を送れば―

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

―――ヂュッ!?ヂュウウゥゥゥッ!!?―――

 

三上博士の声を合図に、三上博士が連れてきた「ネズミ怪獣を退治する方法」たち(・・)が雄叫びを上げながらネズミ怪獣たちに襲いかかった(・・・・・・・)

一方のネズミ怪獣たちだが、三上博士が連れてきた「ネズミ怪獣を退治する方法」たち(・・)が襲いかかってきた瞬間、今までの傍若無人っぷりはどこへやら、悲鳴を上げて死に物狂いで蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い始めた。

そう、それほどに三上博士が連れてきた「ネズミ怪獣を退治する方法」たち(・・)はネズミ怪獣たちにとっては恐ろしい相手なのだ。その正体とは―

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!?ヂュウウゥゥゥッ!!?―――

 

「いいぞ!いいぞ!やはり、大きくなっても所詮ネズミはネズミ。ネコ(・・)の、この私が怪獣化させた猫怪獣、またの名を『天敵怪獣 ネコラ』の前では逃げ惑うしかないようだな!!!」

 

三上博士が連れてきた「ネズミ怪獣を退治する方法」たち(・・)の正体、それは三上博士の言う通りネコの宿敵、誰もが知るネズミ退治のスペシャリストのネコ、を怪獣化させた猫怪獣こと体長20mもある「天敵怪獣 ネコラ」たちであった。

 

 

 

「どうですか!?これぞ私がネズミ怪獣退治のためにネコを怪獣化させた猫怪獣、またの名を『天敵怪獣 ネコラ』です!!!」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

時は遡ること数時間前、三上博士が総理大臣たちの下を訪れた際の事だ。

大都市を襲撃し、甚大な被害を出したネズミ怪獣を退治できると豪語する三上博士の言葉に希望を見出し、はやる気持ちを抑えながら三上博士と対面した総理大臣(と小泉)であったが、三上博士が用意したもとい連れてきたネズミ怪獣退治の秘策、ネコを怪獣化させた「天敵怪獣 ネコラ」たちを見て総理大臣(と小泉)は固まっていた。

 

「何このデカすぎるネコたち?」

「何故ネコを怪獣化させられたんだ?」

「というか、ネコを怪獣化出来るとかこの男は何者だ?」

 

総理大臣(と小泉)が固まっている理由はとにかくたくさんあった。だが、二人が一番口に出したかったのは、

 

「ネーミングセンス悪っ!!!」

 

だろう。それはさて置き、

 

「総理!是非ともこの三上とネコラにあのネズミ怪獣たちを退治させて下さい」

 

「あ、あぁ・・・頼んだよ・・・日本の命運は君たちにかかっているからね・・・」

 

「分かりました!お任せ下さい!!」

 

自衛隊ですら歯が立たないネズミ怪獣に対し、有効な手立てがない総理大臣は三上博士と彼ご自慢のネコラに日本の命運を託した。こうして三上博士とネコラたちはネズミ怪獣たちを退治に向かった。

 

 

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

―――ヂュウウゥゥゥッ!?ヂュウ・・・ウゥ・・・―――

 

三上博士が連れてきたネコラたちがネズミ怪獣たちを退治し始めてから数時間後、あれだけいたネズミ怪獣は一頭残らずネコラたちが退治した。やはり、ネズミ退治のスペシャリストはネコなのだ。

 

「偉いぞネコラたち!お前たちのおかげで日本は救われたぞ!!」

 

ネコラたちの活躍により、ネズミ怪獣が殲滅されてホッと胸を撫で下ろす三上博士。

だが、それはネズミの怪獣を駆除したことでこれ以上被害が広がらなくなった事に対しての安心ではなかったのだ。というのも、

 

「いやいや、それにしても・・・S602を食べたネズミが逃げ出した挙句、大都市を襲撃した時はどうしようかと思ったけど・・・これで証拠隠滅は叶った。よしとしておこう」

 

実を言えば、大都市を襲撃して甚大な被害を出したネズミ怪獣が生まれた原因、それは何を隠そうこの三上博士だった。

この三上博士という男は宇宙食の研究をしている科学者であるが、少し前に超高カロリーで画期的な宇宙食「S602」の培養に成功した。

しかし、そのS602を飼育していた実験用ネズミもといマウスに与えた直後、マウスは突然変異を起こして怪獣化した。しかもその怪獣化したマウスが逃亡し、挙句は繁殖して数を増やしていたのだ。そして、増殖したマウスたちは食料を求めてこの大都市に現れ、大都市でもっとも多く生息し、もっとも簡単に捕食できる人間を襲ったのだ。

そう、今回のネズミ怪獣が誕生した原因も、ネズミ怪獣が大都市を襲撃した原因も全てはこの三上博士にあったのだ。

 

「流石に犠牲になった人たちには悪いとは思ってるけど、とにかくこれでこの事件の原因が私だとバレることは無いだろう。それにしてもだ、やはりS602は素晴らしい!ネズミはおろか、ネコまでここまで巨大に、怪獣に出来る程の栄養と可能性を秘めている!!これをより安全に、より完璧にすればノーベル賞を総なめに出来るぞ!!」

 

しかし、今回の事件の元凶の三上博士は多少の反省こそすれど、むしろ自分が作った宇宙食の素晴らしさやこれから先手にであろう利益や名声のことばかり考えていた。だが、悪いことをすれば必ず天罰というものは下されるのだ・・・

 

―――ニ゛ャーッ・・・ブウウゥ・・・―――

 

「んっ?どうしたネコラ―――」

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!!?」

 

不意に、一頭のネコラが三上博士の下へ近寄ってきた、かと思えば突如として三上博士に爪をむき出して襲いかかった。

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

「ひ、ひぃいいいぃぃぃっ!?や、止めろ!止めてくれっ!ネコラ、私はお前たちの生みの親だぞっ!!?」

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

突如として三上博士に見場をむいたネコラは、必死で叫ぶ三上博士のことなどお構いなしに三上博士を襲い続けた。しかも、三上博士に一頭のネコラが襲いかかったのを皮切りに、他のネコラたちも三上博士に寄ってたかって襲いかかってきたのだ。

が、実はネコラたちは三上博士を「獲物」ではなく「オモチャ」」とみなしていた。何故なら、ネコは自分より小さな生きた動物をいたぶって遊ぶ「習性」がある。そんなネコの習性は仮に怪獣化しても消えず、むしろ体長が20mという巨体になったがゆえ、体長が1mちょっとの人間は絶好のオモチャに相応しいかった。

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

「痛い!痛いっ!!止めろ、止めてくれっ!!爪を立てないでくれっ!!」

 

とはいえ、いくらネコラたちからしたら「遊び」でも、体長があ20mもあってパワーも桁違いのネコラがちっぽけな人間で遊んだりしたら・・・命取りだ。事実、ネコラたちに「遊ばれている」三上博士は血だらけ、息も絶え絶えでボロボロだった。だが、ネコラたちは三上博士(オモチャ)で遊ぶことに夢中で止める気配は無かった。

 

 

 

 

 

「あ・・・あぁ・・・う・・・う゛ぅっ・・・」

 

三上博士がネコラたちに「遊ばれ」始めてから数十分後、ようやく三上博士(オモチャ)で遊ぶのに飽きたネコラたちから三上博士は解放された。そんな三上博士はその辺にぶっ倒れてもう虫の息だった。と、ここで―

 

 

―――フシャアアァァ・・・アアァァ・・・―――

 

「あ゛・・・?な、何だ・・・?」

 

ようやくネコラたちから解放された三上博士がその辺にぶっ倒れていると、一頭のネコラが三上博士の下へ寄ってきた。すると、

 

―――ぐぅううう~―――

 

―――フシャアアァァ・・・アアァァ・・・―――

 

「こ・・・これは・・・ネコラの・・・お腹のお・・・音・・・?」

 

不意に聞こえた謎の音。それは三上博士の下へ寄ってきたネコラの腹の虫が鳴いた音だった―――と、次の瞬間!!

 

―――フシャアアァァ・・・フシャアアアァァァッ!!―――

 

―――ガリッ!!―――

 

「!?ぎ、ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

突然、ネコラが三上博士に噛み付くと・・・そのまま三上博士を食べ始めた。だが、残念ながら三上博士には抵抗する力は残っていなかった・・・

 

 

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?何だコイツらは!!?」

「に、逃げろっ!食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、賑わいを見せるハズの大都市。

だが、その大都市のど真ん中に突如として異形の存在が、俗に言う「怪獣」が現れたことで人々は大パニックを起こし、大都市はその機能を失った。加えて、その怪獣は一匹や二匹ではなく、何十頭もの大群で現れたのだ。

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

そんな大都市に大群で大挙して押し寄せた怪獣の正体は・・・「ネコ」であった。

 

「ネコ?オイオイ、笑わせるなよ~」

 

と思った方もいるだろう。だが、その大きさはゆうに20mを超えており、それが一度に何十頭も押し寄せて来たのだ。加えて、このネコ怪獣は人間に襲いかかって骨まで残さず食べるほどに凶暴で貪欲な、文字通りの「怪獣」だった。おまけに、

 

―――フシャアアアァァァッ!!―――

 

「ダ、ダメだっ!攻撃が当たらない!!何て身のこなしなんだっ!!!」

「クソッ!デカいからこれだけ弾撃ち込んでも死にゃしねぇ!!」

「この化け猫っ!化け猫なんておとぎ話の中だけでいいんだよっ!!」

 

突如として大都市を襲撃し、大勢の人々を食い殺したネコ怪獣の大群に対し、緊急出動した自衛隊の戦車大隊やヘリコプター部隊が果敢に戦いを挑んでいた。

だが、如何せんネコ怪獣の数が多すぎる事に加え、人肉に餓えたネコ怪獣は自分たちを退治に現れた自衛隊すら餌とみなして戦車やヘリコプターを襲った。

しかも、ネコ怪獣はネコ特有のしなやかで軽やかな身のこなしで戦車などの砲撃を避ける、凄まじい跳躍力で遙か上空を飛ぶヘリコプターを叩き落とす、あるいは仮に砲撃を受けても巨体故にそうそう簡単に死なない、などなどで非常に厄介であった。

 

「ク、クソッ・・・!これじゃあ、少し前に別の街に出たっていうネ・・・ネズミの怪獣の方がまだマシじゃねぇか・・・よ・・・!!」

 

大都市を襲撃し、甚大な被害を出したネコ怪獣と戦っていたものの、ネコ怪獣に圧倒されて破壊された戦車に乗っていた虫の息の自衛隊員が嫌味の混じった恨み言を言いながら息絶えた。

それはこの場にいる自衛隊員みなが、もっといえばネコ怪獣に食い殺された街の人々の誰しもが思った事であろう。

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。その数日前には別の都市が崩壊していた。

そんな都市の崩壊を引き起こした犯人、それは一人のマッドサイエンティストによって生み出されたネズミ怪獣「大群獣 ネズラ」と、ネズラ殲滅のために生み出されたネコ怪獣「天敵怪獣 ネコラ」であった。

そんな都市崩壊を引き起こしたネズラとネコラの内、ネズラの怪獣はネコラによって殲滅されていたが、実はネズラは人間でも対処できた。

だが、ネコラは違う。ネコラはネズラとは比べものにならない大きさ・生命力・強さ・素早さ・身のこなし・頭の良さを誇っており、人間ではとても太刀打ちできなった。

そのため、ネズラの前例を知っている人々は口々にこう言った、

 

「厄介な怪獣殺すために、余計に厄介な怪獣連れて来やがって・・・バカヤロー」

 

と。

 

しかし、この現象は世界中では頻繁に起きている。

 

沖縄ではハブを駆除するために連れてきたマングースがハブではなく希少な動物を食い荒らし、挙句は農作物を荒らして伝染病を媒介している。しかもマングースはハブよりも捕まえにくく、皮や肉が役立つハブと違って毛皮や肉に利用価値がない。

 

小笠原諸島では外国からやって来たアフリカマイマイというカタツムリを駆除するため、南米のヒルの仲間をつれてきたものの、そのヒルはアフリカマイマイではなく在来の動植物を絶滅に追いやった。そんなヒルは薬品に強いために駆除するのが困難だ。

 

オーストアリアでは海外から来た作物を荒らす害虫を駆除するためにオオヒキガエルという毒のあるカエルを連れてきたが、オオヒキガエルは害虫どころか他の昆虫を食べ尽くし、挙句は体から垂れ流す猛毒で人間にも被害を出している。そんなオオヒキガエルは毒があるので利用価値がない。

 

このように考えた場合、今回のネズラとネコラの一件は実は「よくある事」だったのだ。愚かで学習しない、浅はかな人間によって・・・

 




如何でしたか? 長くてスミマセン・・・

今回はガメラが所属する大特撮シリーズから『大群獣ネズラ』からネズラと、僕のオリジナル怪獣ネコラが登場です・・・お願いです、ネコラのヒドいネーミングに突っ込まないで下さい。今回、ネズラとの対比のためにあえてヒドいネーミングにしたんです。

ちなみに、『大群獣ネズラ』とは株式会社大映が一番最初の『大怪獣ガメラ』の公開前に公開しようとしていた怪獣映画で、本当ならガメラの先輩になる予定だったんですが・・・残念ながら、色々と問題があってお蔵入りなった作品です。
でも、もしも公開されていたら・・・カメじゃなくてネズミがスターになっていた、かも・・・?公開されなくてよかった・・・

どうでもいいですが、ネコの怪獣っていないですよね。ライオンやトラ、ジャガーなんかはいますが、ネコっていないですね。犬は多いですが・・・マックスにいたぁああああ!!

ついでですが、途中の総理大臣の当たりに出てきた「小泉」は某元総理大臣とは何の関係もありま・・・せん?いや、安倍か麻生か鳩山かで悩んだんですがね・・・


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第十七話 古の『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

前回、前々回とキワモノというかアレなのが続いていたので、今回はお口直しということで割と普通というかメジャーを出します。
多分、というかコイツはみんな絶対に知っていますからね。それに見た目もキモかったりしないし。

ということで、是非ともお口直しの回をお楽しみ下さいませ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「よし、っと・・・これでここに飾るヤツは全部か?」

 

「みたいだな。じゃあ、今度はあっちか・・・はぁ、ダルいなぁ」

 

「だよな・・・本当に嫌になっちゃうぜ、この展示物の量・・・」

 

とある大都市の中心地にある巨大なドーム。そのドームでは数日後に開催を控えた万国博覧会のため、世界各国から集められた珍しい品々、

 

ジョンスン島にいたという古代恐竜の剥製

ロリシカ国のインファント島の守り神を象った紋章

ウエスター島の巨大彫刻石像『悪魔の笛』

呪術師・魔頭鬼十郎や鬼神・宿那鬼を倒した剣豪・錦田影竜の黄金像

パプアニューギニアの魔境で見つかった巨大オパール

工事現場で見つかった赤い液体と青い液体が入った古代のカプセル二つ

鬼の台丘陵の洞窟で見つかった七千年前のミイラ

漂流岩礁から見つかった大量の勾玉

夜鳴き蕎麦屋に化けていた妖怪が使っていたというチャルメラ

「護国聖獣」なる神獣の伝説などが記されている『護国聖獣伝記』という古文書

3000万年前の超古代文明のタイムカプセル

 

といった具合に、実に多種多様で珍しい品々が世界中から万国博覧会のために集められ、博覧会の関係者たちはその展示に大忙しだった。

そして、事の発端はそんな博覧会のために集められた品々を関係者たちが展示していた際のふとした出来事であった―

 

「オイ、どうするよコレとコレ?」

 

「どうするって・・・どうしようか?展示しないわけにはいかないよなぁ・・・」

 

開催が数日後に迫り、世界各国より集められた珍しい品々を展示する作業を行う博覧会の関係者の男が二人、とある品々を前に困惑していた。というのも、

 

「そうは言うけどお前・・・こんなボロボロでみすぼらしい戦車と、足が無くなってる恐竜の化石とか展示したら客に笑われるぜ?」

 

「っていうか、そもそもこの戦車と恐竜の化石ってどこが送ってきたんだろうな?送り主の名前、リストに載ってなかったらしいぜ?」

 

「えぇ、マジで?何か怖くないか、ソレ・・・」

 

関係者の男たちを困惑させていた品の正体、それはかなりボロボロでみすぼらしい見た目の古くさい戦車と、後ろ足が無くなっている恐竜の化石であった。

実はこの二つの品も博覧会の展示物になる予定ではあるものの、他の展示物に比べれば見た目が悪いというかみすぼらしく、正直言って誰でも展示するのを躊躇う感じではあった。

加えて、件の戦車と恐竜の化石は他の展示物と違って所有者が、どこの国や人物が貸し出してくれたのかが不明であった。以上のことから、戦車と恐竜の化石は展示しようかどうか関係者たち全員が悩んでいたのだ。すると、

 

「オイ、お前たち。手が止まってるぞ?サボるとはいい度胸だな・・・」

 

「「!?ぶ、部長!!別にサボってなんかいませんよっ!!?」」

 

「・・・いや、サボってたよな?これは減給処分に―――」

 

「「そ、それだけは勘弁して下さい!!もう絶対にサボりません!!この通りです!!どうか、御慈悲をっ!!!」」

 

「・・・はっはっはっは!冗談だ、冗談。お前たちもこのボロ戦車と足無し恐竜どうするか悩んでたんだろう?見りゃ分かるって」

 

「「そ、そうなんですか・・・よかった・・・」」

 

不意に、男たちの後から男もとい博覧会の関係者の部長が現れ、戦車と恐竜の化石を前に手を止めている男たちの肩に手を置いて驚かせた後、更に男たちを色々と驚かせていたが最後は「全部冗談だ」と言って笑い飛ばしていた。

 

「おぉ、そうだ。お前ら、手が空いてるなら手伝え」

 

「「わ、分かりました。で、何を?」」

 

「ん?あぁ、それはな―――」

 

と、ここで部長は本来の目的を思い出し、二人の男を連れて一旦その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

「オーライ、オーライ、はーいストップ!!おーし、バッチリだ」

 

部長が二人の男を連れてその場を離れてから数分後、部長たちは「ある物」を持って戦車と恐竜の化石の元へ戻ってきていた。

そんな三人は今、持ってきたクレーン車を使って恐竜の化石をつり上げた後、何と戦車に恐竜の化石を乗せていた。しかし、何故こんな事をしているのだろうか?

 

「ふむ、これで見栄えが少しはよくなったな・・・全く、上の連中も変な指示出すよな。『あのボロ戦車と恐竜の化石を合体させて、客が喜びそうな展示物に仕上げろ』だとか・・・」

 

「というか、部長・・・ただ戦車の上に恐竜のせただけでいんですか?」

 

「お言葉ですけど、これじゃあただのできの悪いアイコラっていうか魔改造っていうか、客に笑われるような・・・」

 

「仕方ないだろ。これ以上どうしようもないんだから。じゃあアレか?恐竜バラして、戦車に組み込むか?そんな手間暇かかること、お前らやりたいか?無論、俺は手伝わんが―――」

 

「部長!ナイスアイデアでございます!!もう最高です!!!」

 

「その通りですよ!これ見た客は大絶賛しますって!!いやぁ、流石は部長です!!!」

 

「そ、そうか?そこまで褒められると照れるな、オイ・・・」

 

二人の男は部長の指示の元、クレーン車でつり上げた恐竜の化石を戦車に乗せた後、三人がかりで恐竜の化石を戦車に結束バンドなどで固定させて一つの展示物に仕立て上げた。

実は部長は上の人間に「ボロの戦車と、足が欠損している恐竜の化石をどうにかして展示物にしろ」という指示を受けており、悩んだ挙句で戦車の上に恐竜を乗せるだけというやっつけ感あふれる・・・シンプルな行動に出たのだった。

 

「よし、じゃあ後はこうして・・・ネームプレートを置いて完成だな」

 

そんなこんなで、どうにか上の人間からの無茶ぶりを片付けた部長は最後の仕上げに戦車と恐竜の化石を合体させた物の側にネームプレートを置いた。そんなネームプレートに刻まれていた名は―

 

「名付けて『恐竜戦車』!どうだ、実に分かりやすくていいだろう?」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「ん、どうした?俺のネーミングセンスが素晴らしすぎて言葉も出ないか?」

 

部長が戦車と恐竜の化石を合体させた物に付けた名前、その名は「恐竜戦車」という実にそのまま・・・シンプルイズ・ザ・ベストな名前だった。その名の前では二人の男は固まるしかなかったが・・・

 

「でもまぁ、これで上の連中の指示は片付けたしよしとするか。それにしてもだ、こんなオンボロ戦車と、足の無いデカいトカゲの化石をわざわざ展示するとかご苦労だよなぁ。全く、倉庫にでも放り込めばいんだよ」

 

三人が全ての作業を片付けた頃には日はすっかり暮れて就業の時刻を過ぎていたが、本来なら部長はもうとっくに帰宅できていたのだ。しかし、部長は上の人間から急に無茶な指示を与えられ、その結果で帰宅が遅れたというかサービス残業をするハメになった。

そのため、部長はサービス残業をするハメになった元凶を、彼が作り上げた恐竜戦車にされてし(・・・・)まった(・・・)戦車と恐竜に向かって悪態をついた。

 

「よし、じゃあ上がるぞお前ら」

 

「「はーい」」

 

散々恐竜戦車に向かって悪態をついた部長は気が済んだのか、今までのブスっとした態度から一変してスカッとした表情になり、二人の男を連れてその場を後にした。

 

 

三人がその場を離れ、更には博覧会の会場となるドームからは人っ子一人いなくった。そんな時だった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

不意に、謎の音が聞こえた。その音の発生源は・・・何と、あのボロボロの戦車と足の無い恐竜が、その二つがむりやり合体させられた「恐竜戦車」からであった。

そんな恐竜戦車であるが・・・驚いたことに、誰もいないにもかかわらず戦車のキャタピラが激しく回転し、戦車の上に乗せられている恐竜の化石がひとりでに、まるで生きているかのように動き、更には骨だけにもかかわらず「唸って」いた。

こんな事、絶対に有り得ない光景なのだが・・・紛れもなく戦車も恐竜も動いていた。そんな戦車と恐竜だが、実はそれぞれに悲しい過去があった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

まず、戦車はかつての戦争の際に実際に戦地に赴き、数多くの人間を乗せて戦い、同時に数多くの人間を殺した過去がある。だが、戦争が終わると戦車は時代の流れの中でその存在を、背負ってきた過去を忘れ去られた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

次に、恐竜の化石は太古の昔に繁栄し、数多くの恐竜の中でも「最強」と名高い恐竜の一族のものであった。だが、栄華を極めた恐竜たちは突如として宇宙から飛来した隕石によって一瞬で死に追いやられ、その後は骨となって何億何千万年もの時を暗い地底で過ごして地球の歴史から忘れ去られていた。

 

しかし、その歴史の闇に忘れ去られた戦車も恐竜の化石もこうして万国博覧会にて展示され、今を生きる人間たちに過去の栄華を、過去の歴史を刻み込むまたとない機会を与えられるハズであった・・・だが何の因果か、戦車にしても恐竜の化石にしても人間にバカにされ、挙句はその身を弄ばれた・・・挙句、明日から始まる博覧会ではその弄ばれた体を多くの人間の前に晒され、金儲けの道具に利用される・・・これが戦車と恐竜の化石には耐え難い事であった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

だからこそ、戦車も恐竜の化石も・・・「怒った」のだ。そして、二つの怒りが一つとなって一体(・・)になった時、惨劇の幕が上がる―

 

 

 

 

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?何だアイツは!!?」

「に、逃げろっ!轢き殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

突如として夜の大都市に響き渡る人々の悲鳴と破壊音、そして・・・街中に轟く巨大な「怪獣」の咆哮。

見れば、大都市のど真ん中で怪獣が大暴れしてビル群を破壊し、逃げ惑う人々を轢死(・・)させていた。そんな怪獣だが、実に特徴的というか奇怪な見た目をしていた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「な、何じゃありゃ!?デッカい戦車の上にデッカい恐竜が乗ってる!?」

 

相変わらず破壊と暴虐の限りを尽くす怪獣を見た誰かが言ったように、見た目は巨大な恐竜で足が無いかわりに下半身が・・・というか「巨大な戦車の上にこれまた巨大な恐竜が乗っているだけ」という実に出オチ・・・何とも言えない見た目をしていた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?こっちに来たぞーーー!!!」

「に、逃げろっーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「ぎゃあああぁぁぁっ!?ああぁ・・・あぁ・・・」

 

しかし、見た目こそアレだが怪獣はとにかく凶暴であり、逃げ惑う人々を容赦なくキャタピラで轢き殺し、更には目から放つ光線や戦車の砲台から放つ爆撃まで使って文字通り人々を、街を「蹂躙」していた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

力の限り暴れ、吠える謎の怪獣。その目は怒り狂い・・・同時に悲しそうであった。何故なら、この怪獣は誰かに自分を「認めて欲しかった」のだ。

遙かなる歴史の波に飲まれ、存在も何もかもを忘れられた怪獣もとい「戦車」と「恐竜」は過去(・・)の繁栄を、過去の栄光を現代で最も繁栄し、栄光を掴んでいる人間に認めて欲しかったのだ・・・

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。

そんな都市の崩壊を引き起こしたのは実に奇怪な見た目を、かつての大戦で人間のために役立ち、そして忘れ去られた「戦車」と、人類が繁栄する遙か昔に地球を支配し、栄華を極めた地球の歴史の先人たる「恐竜」の怒りと、悲しみと、無念が融合した巨影「戦車怪獣 恐竜戦車」であった。

 

だがもしも・・・人類が恐竜戦車に敬意を払い、恐竜戦車が訴えたかった事を理解していたなら、恐竜戦車はこんな暴挙には出なかったであろう。

だが、残念なことに自分たちこそが霊長の長であると、自分たちこそが地球(このほし)の支配者だと思い込ん(・・・・)でいる(・・・)おごり高ぶった人類にそんなことは・・・出来ないだろう。

だから恐竜戦車は暴れるのだ。地球(このほし)で太古の昔から現代まで永遠と続く「自己表現(ぼうりょく)」によって己を人類に認めさせるために・・・

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラセブン』よりあの大人気怪獣にして「出オチ感が凄まじい」や「成田亨氏が一目見てブチ切れ、円谷プロに身限りを付ける原因を作った」と言われる恐竜戦車が登場です。 
ま、まぁ・・・見た目のインパクトはスゴいし、芸術家の成田氏なら嫌がりそうなアホ・・・あり合せで作ったデザインだから良くも悪くも有名な怪獣ですね。
是非とも、リメイクして欲しい。もうザンドリアスとかノイズラーじゃなくて、恐竜戦車リメイクして欲しい。出たら視聴者が大喜びするよ本当に。

ちなみに、今回は冒頭の博覧会の展示物の下りに特撮に詳しい方ならニヤリと出来る各作品の登場アイテムをあげました。みなさま、どれだけ分かりましたか?


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第十八話 殖やす『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

前回の恐竜戦車で王道に戻ったかと思えば再びキワモノに・・・ただ、マイナーというよりは超メジャーというか有名なヤツですよ?ただねぇ・・・コイツはマジでトラウマですからね・・・

で、今回は少し風刺というか皮肉った話にしました。ですので、もし読んでいて「イラッ」としたら申し訳ありません。

ですが、今回出てくる巨影の元ネタの作品の意思を、作品が作られた背景を是非とも活かしたいと考えた上で書いたお話ですので、そこは悪しからず。

では、どうぞ!!


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

「いらっしゃいませー!スーパー東宝へようこそ~」

 

とある都市の一角にある24時間営業のスーパーマーケット「東宝」には連日大勢の人々が訪れている。

 

「関口君、レジはいいから三番・・・補充お願いしてもいいかい?」

 

「はい、分かりました。三番業務に入ります」

 

時刻は午後一時。昼食などを買い求めて間単御を訪れていた昼休みのサラリーマンやOLが再び会社に戻る時間帯であった。そんな時間帯は従業員が商品棚などから無くなった商品を補充する時間帯であった。

そして、その補充業務を任されたこの女性定員、関口が商品補充のためにレジを抜けた矢先の出来事であった。

 

「あら、あの人・・・何してるのかしら・・・?」

 

ふと、関口の目に「とある人物」が留まった。

その人物はフード付きのパーカーを着ており、フードで頭をすっぽりと覆って顔を隠し、両手には革手袋、下は長ズボンを履いており、見るからに怪しかった。

加えて、その怪しい人物はときおり商品を手に取ったりするがすぐに戻し、買い物をするでもなくただひたすら店内を徘徊していた。その人物を見た関口が一番最初に思ったのは、

 

(不審者、かしら?)

 

件の人物を見た関口が率直に思ったのは「不審者ではないか」だった。

確かに、先程からの行動に加えてこんな真っ昼間のスーパーの店内で顔はおろか手や足までも隠すなど・・・正直、怪しいというか不審者だと断言してもいいだろう。だが、

 

(でも・・・私には関係ないわ)

 

そんな怪しい人物を関口は・・・放置した。何故なら、ここで下手に声をかけても不審者では無かったら?あるいは、もし万が一に不審者だったとしてもそれで襲われたり、下手すれば殺されたりすれば・・・たまったものではない。

だから関口はその怪しい人影を放置し、自分が与えられた商品の補充業務のみ(・・)をこなすのだった。自分のためだけに。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・―――

 

 

 

 

 

『まもなく木野子駅です。お降りのお客様は電車が停止されてから席をお立ち下さい。ご乗車のお客様は、白い線の内側までお下がり下さい』

 

所変わって、ここはスーパー東宝がある都市にある大きな駅、通称「木野子駅」だ。そんな木野子駅では毎時毎分ごとに数え切れないほどの電車と人々が行き交っている。

 

「はぁ~あ、マジで嫌になるなぁ・・・早く帰りたい」

 

そんな駅のとあるホームの一番端で一人の男が、この駅で駅員を一応(・・)は務めている小山という男がやたら大きなため息を吐いていた。

この小山という男、正直言って不真面目で仕事に取り組む姿勢もよくはない。とはいえ、働いて金を得なければ食って生きていけないので嫌々ながらも駅員として働いていた。

 

「はぁ・・・さて、そろそろ戻らないと怒鳴られるな。駅長、怒りだしたら止まんないからなぁ・・・」

 

相も変わらず不真面目というか不謹慎な態度でブツブツ言いながらも、実はサボっていたことがバレたら駅長にどやされると警戒した小山は駅員室に戻ろうとしていた、その矢先の事だった。

 

「んっ?何だ、何してるんだアイツ・・・?」

 

ふと、小山の目に「とある人物」が留まった。

その人物はフード付きのパーカーを着ており、フードで頭をすっぽりと覆って顔を隠し、両手には革手袋、下は長ズボンを履いて見るからに怪しかった。

加えて、その人物は何故か切符を買ったりしている訳ではないにもかかわらず、切符の自動販売機のボタンをひたすら連打する、ひたすら触りまくるなど明らかに変な行動を繰り返していた。

そんな怪しい謎の人物および怪しい人物の行動を見た関口が一番最初に思ったのは、

 

(まぁ、不審者だな。でも・・・俺には関係ないな)

 

そんな怪しい人物を小山は・・・放置した。何故なら、ここで下手に声をかけても不審者では無かったら?あるいは、もし万が一に不審者だったとしてもそれで襲われたり、下手すれば殺されたりすれば・・・たまったものではない。

だから小山はその怪しい人影を放置し、さっさと駅員室に戻るのだった。自分のためだけに。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・―――

 

 

 

 

 

「「「先生、さよーならー!!」」」

 

「はい、さようなら。気を付けて帰りなさい」

 

所変わって、ここは木野子駅の近くにある「都立・間単御 小学校」だ。そんな間単御小学校では下校時間になり、大勢の子供たちが校門に立っている教員たちに見送られながら下校していた。

 

「ふぁ~あぁ・・・やっと終わったか。さて、帰るか・・・」

 

子供たちが下校し、幾分か静かになった校内から大欠伸をしながら出てきた中年の男性教員がいた。この男の名は笠井といい、一応は教師ではあるものの正確には非常勤の教師であった。

そんな笠井は普段からだらしなく、真面目に仕事に取り組まないために正式な教員になれず、ずっと非常勤の教師だった。とはいえ、それでも教員免許を持っていることと、昨今の教職員の人員の不足からこの小学校で働くことは出来ていた。

それはさて置き、笠井が帰宅するために校門を出て学校沿いの道を歩いていた時の事だった。

 

「んん?何だ、アイツは・・・?」

 

ふと、笠井の目に「とある人物」が留まった。

その人物はフード付きのパーカーを着ており、フードで頭をすっぽりと覆って顔を隠し、両手には革手袋、下は長ズボンを履いて見るからに怪しかった。

そんな見るからに怪しい人物は、小学校と下校する生徒たちをフェンス越しにジーッと微動だにせずに見ていた。

そんな怪しい謎の人物および怪しい人物の行動を見た笠井が一番最初に思ったのは、

 

(うわぁ、アレ絶対ロリコンか不審者だな。でも・・・俺には関係ないな)

 

そんな怪しい人物を小山は・・・放置した。何故なら、ここで下手に声をかけても不審者では無かったら?あるいは、もし万が一に不審者だったとしてもそれで襲われたり、下手すれば殺されたりすれば・・・たまったものではない。

だから小山はその怪しい人影を放置し、さっさと帰路についた。自分のためだけに。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・―――

 

 

 

 

「ふぅ、異常は無しっと・・・これでパトロールは終わっていいかな?」

 

日はすっかり暮れ、山にも都会にも都市にも夜の帳が下りていた。そんな夜の帳の下りたとある街、スーパー東宝や木野子駅、間単御小学校のある街で一人の警察官の男、村井という新米警察官がパトロールを行っていた、その矢先であった。

 

「んっ?何だ、あの人は・・・?」

 

ふと、村井の目に閑散とした街の大通りを歩く「とある人物」が留まった。

その人物はフード付きのパーカーを着ており、フードで頭をすっぽりと覆って顔を隠し、両手には革手袋、下は長ズボンを履いて見るからに怪しかった。

加えて、その歩き方はあっちにフラフラ、こっちにフラフラと足取りがおぼつかず、見ていて怪しくもあった。なので、

 

「すみません、あの・・・大丈夫ですか?」

 

と言いつつ、村井は件の人物の肩に手を置きつつ話しかけた。しかし、

 

「・・・・・・・・・」

 

村井に話しかけられ、肩に手を置かれたパーカーを着ている謎の人物は何も答えなかった、ばかりかそのまま歩き去ってしまおうとしていた。

 

「あ!ち、ちょっと!!どこに行くんですか!?待ちなさい!!」

 

せっかく心配して、同時に警察官としての「仕事」として声をかけたのに無視されたばかりか、そのまま立ち去ろうとする謎の人物の態度に不審さを覚えた村井は、声を荒げつつ謎の人物を引き止めようとして服を掴んでしまった。

その結果、謎の人物が着ていた服が引っ張られて頭を覆っていたフードが取れて謎の人物の顔が露わとなった、その瞬間!!

 

「う、うわああああああぁぁぁぁぁっ!?な、何なんだお前は!!?」

 

謎の人物の顔が露わとなった瞬間、村井は絶叫した。何故なら、謎の人物の顔には・・・目も鼻も口も、耳も髪の毛も何もかもが無く、そのかわりに皮膚の表面がビッシリとコブで覆われ、挙句は頭頂部にはまるでキノコの(・・・・)ような傘(・・・・・)があったのだ。その見た目はまるで―

 

「キ、キノコの化け物っ!!いやっ、キノコ人間だーーーっ!!!」

 

謎の人物の顔を見た村井が叫んだ言葉、それは正しく件の謎の人物、もとい人外の(・・・)「ソレ」を言い表すのにピッタリの表現であった。

そう、今まさに村井の目の前にいるのは姿形こそ人間なのだが・・・キノコだ。人間の形をしたキノコだったのだ。人間の形をしたキノコが服を着て歩き回っていたのだ。と、ここで―

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

「ひ、ひぃっ!?わ、笑った―――」

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

「あっ!?ま、待てーーーっ!!!」

 

突然、人間の形をしたキノコ、あるいはキノコ人間(・・・・)が不気味な笑い声を上げ、それに驚いて村井は後退った。その瞬間、キノコ人間は村井に背を向けると猛ダッシュで逃げ出した。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

「ん?何だ―――って、ぎゃあああぁぁぁっ!?な、何だアレーーーっ!!?」

 

「ひぃいいいぃぃぃっ!?ば、化け物よーーーっ!!!」

 

「キ、キノコの化け物だーーーっ!!!」

 

突如として夜の街に響き渡る謎の笑い声。そんな笑い声につられ、数こそ少ないが道行く人々が声の主の方を見れば―――そこにはパーカーを着たフォルムこそ人間だが、顔はのっぺらぼうで頭にはキノコのような傘を被った人外の存在が笑い声、にも聞こえる不気味な声を上げながら爆走している光景が映った。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

一方で、笑い声にも聞こえる不気味な声を発しながら爆走しているキノコ人間は自分を見て驚き、叫んだり腰を抜かしたりしている人々を尻目に爆走し続け、あっという間に大都市を抜けて何処かへと行方をくらましてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォフォ・・・―――

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!―――

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

所変わって、ここは突如として街中に現れた化け物に人々が大騒ぎしている大都市の近くにある山の中だ。そんな山の奥深く、大量の落ち葉や腐った木々が地面を形成している場所では不気味な笑い声が響き渡っていた。そして、その笑い声の主は―

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォフォ・・・―――

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!―――

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

件の笑い声の主たち(・・)、それはあのキノコ人間であった。しかも、それが何体もいた。加えて、キノコ人間たちは・・・あろうことか「会話」を行っていた。

そう、実は人間に笑い声に聞こえる声はキノコ人間たちの「言葉」なのだ。そんなキノコ人間たちの言葉を、その会話を人間の言葉に訳すならば、こうだ。

 

『首尾はどうかね?あの街に我らの胞子をばらまく計画は上手くいきそうかね?』

 

『はい、勿論です。何せ、人間たちは我々どころか他人へは基本的に無関心です。自分さえよければいい、他人なんてどうなってもいい、他人に関わってる暇は無い、といった有様です』

 

『そうかそうか!それは好都合だ。これで我々の仲間が確実に増える事となるだろう』

 

キノコ人間たちの会話の内容は恐ろしいものであった。何と、このキノコ人間たちはあの街に自分たちの胞子をばらまき、あろうことか人間たちを自分たちと同じキノコ人間に作り替えてしまおうと目論んでいるのだ!!

 

しかし、そんなことが出来るのか・・・実は出来てしまうのだ。このキノコ人間たちはとある南方の島で人類が生んだ英知の炎(ほうしゃのう)の影響で誕生した。そんなキノコ人間の恐ろしいところは、万が一にキノコ人間あるいはキノコ人間の()を動物が食べた場合、何とキノコ人間の同族と化してしまうのである。

 

『・・・しかし、人間とは他人との繋がりやコミュニケーションを何よりも大事にすると聞くが・・・間違いだったのか?』

 

『はぁ・・・どうやら、それは昔の話のようです。現代の人間はとにかく事を荒立てず、他人との関わりを『煩わしい』と思い、最低限度の関わりしか持たないようですね。ここ数日、人間たちの世界を見てそう確信しました』

 

『そうか・・・ふむ、だが好都合であることにかかわりはない。引き続き、人間たちの街に胞子をばらまいて我らの同族に作り替えるのだ!!』

 

『『『はっ!了解しました!!!』』』

 

そんなキノコ人間たちだが、元はそこまで頭がいいわけでは無い。

しかし、何万・何千万年も残る人類の英知が生んだ炎(ほうしゃのう)は時間の経過とともにキノコ人間たちをより知的に、より高度に進化させた。その結果、キノコ人間たちは生まれ故郷の南の島を旅立ち、こうして大都市に潜伏して仲間を増やそうと目論んでいるのだ。

加えて、現代社会は大都市に潜伏して人間を観察してきたキノコ人間の言うように、自分さえよければいい、他人などどうなってもいい、あるいは事を荒立てずに大人しくして迷惑を被ることを極端に嫌う、と「触らぬ神に祟りなし」を地でいく、あるいは「雉も鳴かずば雉も鳴かずば撃たれまい」をもっと極端にした社会となってしまっているのだ。

 

そんな現代社会と現代人にキノコ人間たちの悪巧みを防ぐ手立ては・・・無い。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――

 

 

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市ではあろうことか、人々がみな不気味な笑い声を上げるキノコ人間と化していた。だが、この事態を招いたのは他ならぬ人間、それも「現代人」の行いが原因であった。

 

「〇〇市のアパートの一室で80代の男性が孤独死しているのが発見されました。男性の遺族は男性と連絡を取るのを拒んでいたようで―――」

「〇〇街で女子児童が行方不明になった事件について、〇〇街では数日前から不審な男が目撃されていたものの、誰も警察などに連絡を入れていらず―――」

「昨日、実の子供に対する虐待と死体遺棄の容疑で逮捕された両親ですが、近所の住民によると無くなった子供たちの泣き叫ぶ声が近所中に響いていたとのことですが―――」

「〇〇町で起きたひき逃げ事件で、現場には多数の目撃者がいたにもかかわらず情報提供がされておりません。何が情報がありましたら、是非とも情報の提供を―――」

 

もしも現代人が昔のように他者を思いやり、他者を気遣い、「自分さえよければいい」ばかりで生きていなければ・・・キノコ人間もとい巨影「第三の生物 マタンゴ」、がより知的で狡猾に進化した「第三の生物 ネオマタンゴ」に大都市を乗っ取られ、人々がネオマタンゴに変えられることは無かっただろう。

 

―――フォフォフォフォ・・・フォフォフォフォフォ・・・!フォフォフォフォフォフォ・・・!!―――




如何でしたか?

今回はゴジラが所属する東宝が生んだ変態・・・変身人間シリーズ『マタンゴ』よりトラウマの申し子ママタンゴダケもといマタンゴ、がより進化した僕のオリジナル「ネオマタンゴ」が登場です。

いやねぇ、あの映画はマジでスゴいけどトラウマだよ・・・しばらくキノコ食えなくなるよ。
加えて、特撮界隈にはキノコの怪獣とか数々いますけど、「人間をキノコに変えて増殖する」「一度キノコ人間になったら二度と元に戻れない」という設定を持つのはマタンゴだけで、そのマタンゴは完全に地球産だからね・・・フォーガスやバッカクーン、マシュランよりもヤバい地球産キノコって・・・放射能スゲー

ちなみに、今回はどんな巨影が出ててくるのか、ヒントを作中に散りばめておきました。それは・・・

「スーパー東宝」と「木野子駅」と「間単御小学校」です。
それぞれ、
・東宝→映画の会社「東宝」
・木野子→キノコ、茸
・間単御→またんご、マタンゴ(当て字)

東宝でキノコでマタンゴと言えば・・・映画『マタンゴ』しないでしょ?分かった人いましたか?


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第十八話 殺された『巨影』

どうもどうも、銀色の怪獣です~

さて、成人の日はみなさん如何お過ごしですか?僕はお仕事休みなので一人で出掛けた相方を尻目に小説を書いて・・・別に淋しくなんかないからね!?

話を戻しまして、今回は前回のお化けキノコよりもさらに有名、というか特撮会の大スターが出ます。なおかつ、原作で最も有名な台詞を登場人物に言わせております。

ぶっちゃけ、今回はその「有名な台詞」を言わせたいがため、実際に台詞通りの事をやりたいがために作ったお話です。
その台詞が何なのか、今回出した巨影の原作が何なのか、是非とも予想しながらご覧下さい。

後、後書きで某怪獣王について面白い話(知ってる人多いだろうけど)を乗せております。興味があったら見てみて下さい。

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

『ダ、ダメです!『ヤツ』はこの程度の銃撃では死にません!それに『ヤツ』に捕われた女性の安否が―――』

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

―――ドォンッ!!―――

 

『う、うわぁあああぁぁぁ―――』

 

とある大都市に響き渡る破壊音と・・・怪獣の咆哮。

見れば、その大都市で一番高い摩天楼の頂上に異形の、本来は(・・・)この大都市にいるハズもない怪獣が居座り、怪獣の周りを飛び回る戦闘機をその剛腕で叩き落としていた。

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

そんな怪獣の容姿を一言で表すならば「巨大なゴリラ」であった。ただ、その大きさたるや小山の如き大きさであり、文字通りの「怪獣的」な大きさであった。と、ここで―

 

「もう止めてコング!このままじゃ、アナタが死んじゃうわ!!」

 

不意に、巨大なゴリラ怪獣の足下から女性の声が聞こえた。見れば、何とゴリラ怪獣の足下に白いドレス姿の金髪の女性がいるではないか!!すると、

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

今の今まで牙をむき出し、怒声を上げながら自身の周りを飛び回る偵察機などを叩き落とすなどして大暴れしていたゴリラ怪獣であったが、女性の方を向いた瞬間には非常に穏やかで、いままでの凶暴さを微塵も感じさせない程に大人しい表情と声を出しつつ、女性に優しく手を差し述べた。

その様はまるで女性に甘えるかの如く、まるで女性を「愛している」かのようであった・・・そう、実はその通りなのだ。

 

 

『ご覧下さい!これぞ南海の孤島『髑髏島』に生息する魔獣、キングコングですっ!!』

 

―――ウホホホホホォ・・・ウホホホホホォ・・・?――――――

 

「「「おおーーーっ!!?ス、スゴい・・・!!!」」」

 

時は遡り、大都市にある大劇場では件のゴリラ怪獣こと「キングコング」が多量の麻酔をうたれて鎖で拘束されてスポットライトの当たる舞台上に上げられ、キングコングを一目見ようと押し寄せた大勢の人間たちの前にその巨体を晒されていた。

そんなキングコングだが、元々はとある南海の孤島でのんびりと暮らしていた・・・が、何処からかキングコングの噂を聞きつけた一団が島へやって来てキングコングを生け捕りにしてこの大都市に連れて来た。金儲けのために。

 

『はい、ではここで世にも恐ろしいキングコングを捕らえ、連れ帰った勇敢なカール氏とアン女史に登場して頂きましょう!!』

 

すると、司会を務める男性がキングコングをこの大都市に連れ帰った英雄たちを手招きすれば、一組の男女が舞台上に現れた。

 

「どうもどうも!私がカールです!!みなさん、私たちが体験した手に汗握る冒険譚、聞きたいですかーーー?」

 

「「「聞きたいでーーーす!!!」」」

 

舞台上に現れた男女の内、中年の男ことカールがマイク片手に集まった観客に問い掛け、観客もカールの問い掛けに答えていた。一方で、

 

「コング・・・ごめんね・・・」

 

意気揚々と喋って観客たちから笑いを取るカールとは対照的に、非常に悲痛で申し訳なさそうな面持ちでキングコングを見つめる金髪の女性、アンが申し訳なさそうにコングを見上げていた。

そんなアンだが、幾度となくキングコングが住む島で命の危険にさらされた。しかし、その度にアンと出会ったキングコングが「好きになった」アンの命を何度も救い、いつしかアンもキングコングに心引かれていた。

だが、それを知ったカールがアンを利用してキングコングを捕らえ、大都市に連れて来たのだ。金儲けのために。

 

「ちょっとカール!話が違うじゃないのよ!!私は映画の撮影のためにあなた達に同行したのよ!それなのに・・・それなのに!こんな危ない目に遭った挙句はコングを捕まえるなんて!早くコングを逃がしてあげてよ!!」

 

「そんなこと出来るわけないだろうアン!俺たちはコイツらのせいで大勢の仲間を失った・・・だから、コイツらを使って金を儲けて、その儲けた金で死んだ連中にはなむけしてやるんだ!!だから、コイツは何が何でも連れて帰るぞ!!!」

 

「!?そ、それは・・・そうだけど・・・」

 

「それにだアン、君は失業中なのだろう?ここで金の卵を産むガチョウをむざむざ逃がすのかね?」

 

「・・・っ!・・・うぅ・・・」

 

当然、キングコングに幾度も命を救われて心引かれていたアンはカールの行動に猛反発した。

だが、カールの「犠牲になった仲間たちへのはなむけ」という言葉と、何よりも失業中で金銭的に苦しい状態のアンはキングコングがもたらしてくれるであろう利益に抗えなかった。そのため、アンはカールがキングコングを大都市連れてくるのを黙認するしかなかったのだ。

 

「コング・・・ごめんね・・・本当にごめんね・・・」

 

こうして人間の金儲けのために住処から無理矢理連れて来られたキングコング、そしてキングコングを大都市へ連れて来た張本人のカールとアンは一躍有名スターになるハズであった。だが、世の中そうは上手くいかない―

 

―――ウッ・・・ホッ・・・?ウホホッ!?・・・ウホホッ!!―――

 

「んっ?何だ―――」

 

全身にかけられた麻酔により、相変わらず意識が朦朧としていたキングコングであったが、ふと目の前に「好きになった」アンがいることに気付いた、その瞬間!!

 

―――ウホホホホホォ!!ウホホホホホォ!!!――――――

 

―――メキッ・・・バキィイイイィィィンッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁっ!?く、鎖を引き千切りやがったーーーっ!!」

 

それまで麻酔のせいで意識が朦朧とし、借りてきた猫のように大人しかったキングコングが突然暴れ始めた。

そんなキングコングは一瞬で体に巻き付けられた鎖を引き千切って拘束を解き、凄まじい雄叫びを上げると手当たり次第に暴れ始めた。

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?大変だーーーっ!!!」

「に、逃げろっ!殺されるぞーーー!!」

「どいて!私が先よ!!」「いいや俺だっ!!」「子供がいるのっ!先に逃げさせてよ!!」

 

今の今まで鎖で縛り付けられ、大人しかった巨大ゴリラが突然鎖を引き千切って暴れ出した。

これが劇場に詰めかけた観客、更には舞台上にいるスタッフやカールにアンたちを一瞬でパニックに陥れた。観客やスタッフたちは我先にと劇場から逃げ出して行った。

 

―――ウホホホホホォ!!ウホホホホホォ!!!――――――

 

一方で、怒りが収まらないキングコングは劇場の中で大暴れを続けていた。と、ここで―

 

「コング!コングっ!!」

 

―――ホッ?ウホホッ?―――

 

不意に、キングコングの背後から女性の声が聞こえ、その声に聞き覚えがあったキングコングが振り向けば―

 

「私よ!アンよ!!分かる?」

 

―――・・・・・・・・・―――

 

振り返ったキングコングの目に映った人物、それはキングコングが「好きになった」人間であり、キングコングが大都会に連れてこられる原因にもなった人間、アンであった。

 

「コング・・・ごめんなさい!私のせいでアナタがこんな目に遭って・・・本当にごめんなさい!!!」

 

暴れ出したキングコングを前に、ほとんどの人間が逃げたにもかかわらずたった一人だけ残ったアン。

そんなアンはキングコングに必死で謝っていた。何故なら、アンは責任を感じていた。自分のせいでキングコングがこんな所に連れてこられた。自分のせいでキングコングが金儲けの道具にされた。自分のせいでキングコングが怒っている。だからアンは責任を取ろうと、キングコングに殺される覚悟で逃げずに残ったのだ。と、ここで―

 

―――ウッ・・・ホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

「ひっ!?うぅ・・・!!」

 

一人逃げずに残り、キングコングに声をかけたアン。そんなアンを凝視していたキングコングがその剛腕をアンに向かって伸ばした。アンはキングコングが自分を握り潰そうとしていると思い、思わず目を瞑った。だが、

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

「えっ・・・?コング、あなた・・・怒ってないの?」

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

怒り狂ったキングコングに握り潰されると思って目を瞑ったアンであったが、いつまで経ってもキングコングがアンを握り潰すことは無かった、ばかりかキングコングはアンに向かって優しく鳴いていた。

その優しい鳴き声につられ、目を開けたアンが見たもの、それは今まで怒り狂って暴れ回る「怪獣」なキングコングではなく、とても優しげで穏やかな目をした「動物」のキングコングだった。

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

「コング・・・私を許してくれるの・・・?」

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

「コング・・・ありがとう!!」

 

まさかキングコングが大人しくなってくれるとは、まさかキングコングが許してくれるとは思っていなかったアンは喜びのあまりキングコングに抱き付き、抱き付かれたキングコングはそれはそれは嬉しそうだった。

 

その後、劇場を抜け出した一人と一頭は夜の大都会へと繰り出し、夜の大都会を散策したり、凍った池でスケートをしたり、夜景を楽しむなどしていた。キングコングを見てパニックを起こし、逃げ惑う街の人々を尻目に。

 

 

 

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

『ダ、ダメです!『ヤツ』はこの程度の銃撃では死にません!それに『ヤツ』に捕われた女性の安否が―――』

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

―――ドォンッ!!―――

 

『う、うわぁあああぁぁぁ―――』

 

夜が明けたとある大都市に響き渡る破壊音と・・・怪獣キングコングの咆哮。

見れば、その大都市で一番高い摩天楼の頂上に本来は(・・・)この大都市にいるハズもない怪獣キングコングが居座り、怪獣の周りを飛び回る戦闘機をその剛腕で叩き落としていた。

 

―――ウホホホホホォ!!―――

 

「もう止めてコング!このままじゃ、アナタが死んじゃうわ!!」

 

不意に、巨大なキングコングの足下から女性の声が聞こえた。見れば、何とキングコングの足下に白いドレス姿の金髪の女性が、アンがいた。すると、

 

―――ホッ・・・ホホッ・・・ウホホッ・・・―――

 

今の今まで牙をむき出し、怒声を上げながら自身の周りを飛び回る戦闘機を叩き落とすなどして大暴れしていたキングコングであったが、アンの方を向いた瞬間には非常に穏やかで、いままでの凶暴さを微塵も感じさせない程に大人しい表情と声を出しつつ、アンに優しく手を差し述べた。何故なら、キングコングはアンを「愛している」からだった。

だから愛した女の前では凶暴な顔を見せまいと、愛した女を助けようとする(うばおうとする)人間たちからアンを守るべく、キングコングはこの摩天楼に上って籠城していたのだ。しかし、

 

―――ドォンッ!!―――

 

―――ウッ!?ウホホッ!!?―――

 

「きゃあああぁぁぁーーーっ!!?」

 

突然、アンとキングコングがいる摩天楼の頂上部分が爆撃された。

その原因は、今の今までキングコングにやられていた戦闘機であった。というのも、キングコング殲滅のために出撃した戦闘機もとい軍はアンがいるためにキングコングに手出しが出来ないばかりか、一方的にやられている軍隊の上層部がこれ以上の犠牲を出さないように、これから先キングコングが大都市に与えるであろう人的・経済的被害を考慮した上で攻撃を決断したのだった。

 

「いやぁあああぁぁぁーーーっ!?落ちる、落ちるーーー!!!」

 

戦闘機が行った爆撃により、摩天楼から地上へ向かって真っ逆さまのアンは悲鳴を上げた。だが、無情にもアンの体は地面へ向かって凄まじいスピードで引き寄せられていた。と、ここで―

 

―――ウホホホホホォ!!ウホホホホホォ!!!――――――

 

「!?コ、コングっ!!?」

 

突然、アンの体を巨大な手が包み込んだ。それはアンと共地面に向かって真っ逆さまのキングコングの手だった。さらに、キングコングはアンを包み込んだ手を腹の上に乗せると自身は地面に背を向けたまま落ちていった。自分の体をクッション代わりにして、アンを助けるために―

 

 

 

 

―――ヴッ・・・ホォ・・・ホォ・・・―――

 

「コング!コングっ!!しっかりして!!死んじゃダメっ!!!」

 

戦闘機が摩天楼を爆撃し、アンとキングコングが落下し始めてから数分後。摩天楼の真下には虫の息のキングコングが横たわり、そのキングコングにほぼ無傷のアンが泣き叫びながら寄り添っていた。

そう、いくらキングコングが小山のような大きさを誇る怪獣とはいえ、地上数百メートルから思いっきり地面に叩き付けられて無事なハズがない。

ましてや、キングコングはアンを庇うために両手が使えない、受け身が取れないといった具合だったために尚更だった。だが、そのおかげでアンは無事だった。

 

 

―――ヴッ・・・ホォ・・・ホォ・・・―――

 

「あぁ・・・コング・・・!コングっ・・・!!」

 

文字通り「身を挺して」愛するアンを助けたキングコングであったが、その引き換えにもう絶対に助からない状態であった。

だが、それでもキングコングは満足そうだった。何故なら、愛したアンが無事であった事、こうして愛したアンが自分に寄り添い、手を握ってくれている・・・キングコングはそれだけで十分すぎるほどに満足だった。

 

「コング・・・!コング・・・!!」

 

一方で、コングに助けられたアンは顔を涙でグシャグシャにして泣き続けていた。

だが、そうしている間にもコングの息は浅くなり、あれだけ力強く生命力に満ち満ちていた怪獣キングコングの全身から生気が、命が無くなっていくのが手に取るように分かる。

 

「コング・・・コング・・・!だったら・・・せめて・・・!!」

 

命を賭して、身を挺して自分を救いってくれたキングコング。そのキングコングがじわじわと、苦しみながら死んでいく・・・それはアンにはとても耐えられなかった。

だから、アンは決心(・・)を固めた。アンは一度コングコングから離れると、近くに落ちていた摩天楼の破片の中から鋭く尖った鉄骨を手にすると―

 

「コング・・・もう苦しまなくていいからね。お休み・・・そして、ありがとう―――」

 

鉄骨を手にしてアンはキングコングの本へ戻って来ると・・・キングコングの胸に鉄骨を力の限り突き刺して心臓を貫いた。その結果、キングコングは死んだ。

 

「お休みコング・・・でも、これでもう苦しまなくていいからね・・・」

 

心臓を貫かれ、死んだキングコングに優しく語りかけるアン。そんなアンは悲しみつつも、同時にホッとしたような顔をしていた。

何故なら、アンはその手で自分を愛し、自分を守るために命を賭した結果で苦しんでいた怪獣をこれ以上苦しまないようにしてあげたのだから・・・いくら死んでしまうとはいえ、愛したアンの手で逝けるならば本望だろう、そう思ったからだった。

 

「Beauty, Kill The Beast」

 

そんなキングコングとアンのやり取りを見ていた野次馬の内、一人の年老いた女性がそう口走った。

 

 

ある日、どこかの国の大都市で巨影「キング・オブ・モンスター キングコング」が死んだ。

人間の、それもキングコングが愛し、キングコングを愛した一人の女性の手によって。

 

「美女が怪獣を殺したとき、その悲劇的で何とも言えない光景と雰囲気に誰しもが言葉を失いました」

 

「でも、怪獣は愛した女性の手によってこれ以上苦しまないようにと殺されたのだから、きっと幸せだったに違いありません」

 

そんな悲劇の光景を見た人々は口々にそう言ったし、何よもキングコングを介錯したとある女性本人がそう語った。

 

しかし待って欲しい。本当に怪獣は、キングコングは幸せだったのだろうか?

 

本来の住処である南海の孤島から連れ出され、見たことも無い大都会で金儲けの道具にされた挙句、痛くて苦しい思いをして、挙句は愛した女性によって殺された・・・

 

生物はどんなに苦しくても、どんなにみっともなくても最後の瞬間まで生きようとする。にもかかわらず、人間の押し付け(・・・・)がましい(・・・・)考えで殺されたキングコングは本当に幸せだったのだろうか?

 

そう考えたとき、女性が怪獣を殺した際に一人の老女が言い放った言葉は実に今回の事態の本質を突いていた。

 

Beauty, Kill The Beast(美女が野獣を殺したんだ)

 

人間とは・・・実に身勝手である。

 




如何でしたか?
今回は「ゴジラの大先輩」や「円谷英二に衝撃を与えて『キングコングいなかったらゴジラもウルトラマンも存在しなかっただろう』と言わしめた」と称されるキングコングが登場です・・・ぶっちゃけ『巨影都市』全く関係ねぇ!!

でもね・・・書きたかったんですわ。

ちなみに、僕がどうしても言わせたくてやりたかったのは映画でキングコングがビルから落ちて死んだ後にカールらが言い放つ「飛行機が殺したんじゃない、美女が野獣を殺したんだ」でした。

だって「美女が殺したんだ」とは言っても別に美女が「直接」殺してはいないでしょ?やっぱり殺すなら愛した人が、愛された人が直接手を下さないと・・・そう考えるのは、僕がヤンデレ好きで佐〇間まゆPだからでしょうかねぇ・・・?

それにしても、考えたら怪獣にしろヒーローにしろ必ず美女に鼻の下伸ばしてるからなぁ・・・どこぞの宇宙人が言った言葉(「(地球の)男は美女に弱いって分かった」)は正しい。
宇宙人であるウルトラマンは必ず地球人のヒロインといい感じになり、ガメラ(特に平成)は自分を殺そうとした美少女を腕ぶった切ってですら助け、キングコングは言わずもがな・・・

そう考えた場合、美女に鼻の下伸ばすどころか容赦なく殺してるのはゴジラだけ・・・やはりゴジラは「女」だから女相手でも容赦ないんですねぇ(『南海の大決闘』という例外アリ)

ちなみに、ゴジラ=女(メス)というのは円谷英二監督が認めた事実です。いわく、

「人間でも動物でも、怒ったら怖いのは女(メス)だろう?だから怖いゴジラはメスなんだよ」

と円谷英二監督は言ったそうです。まぁ、確かに(笑)


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第十九話 人となった『巨影』

こんにちは、銀色の怪獣です。 さてさて、お仕事の合間のお昼休みに投稿っと・・・

今回のお話は今までで一番長いです。でも、読み応えはあるかと・・・で、加えて今回はとある特撮作品の超名作回を参考に、「愛」をテーマにした頭おかしいクソストーリー・・・笑える(かは微妙)バラエティ色満載のお話です。

加えて、出てくるキャラクターは今や日本が世界に誇る某ブラウザゲームを参考にしています・・・が、作者はこのゲームやったこと無いどころか触ったことすら無いので何かおかしい点があったらスミマセン。

はい、では作者が昨日の休日を使って書き上げたクソストーリー・・・「愛」に溢れたお話をどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「いよいよだ!いよいよ・・・地球を我が物にする時がやって来たぞ!!」

 

 

美しい大自然と広大な海を持つ惑星、地球。

そんな地球を宇宙から見下ろしている物体が、黒と白の縞模様でヒトデのような五角形の円盤と、その円盤に乗った俗に言う「宇宙人」がいた。

そして、その宇宙人は地球を先の言葉のように地球を我が物にしようとしていたのだ。そのやり方とは?

 

「よし、では・・・まずは手始めにあの島国、日本を滅ぼしてきなさい。アイアンロックス大和よ」

 

「はい、ミミー星人様。仰せのお通りに」

 

そう言って宇宙人が近くにいた誰かに、腰まである長さの焦げ茶の髪を一つ結びにし、紅白の前留め式のセーラー服を身に纏った・・・地球人の美少女に呼びかければ、件の美少女は宇宙人の前にひざまずいた。

しかし、なぜ宇宙船の中に地球人の美少女がいるのであろうか?

 

「いいですかアイアンロックス大和よ。お前は我らミミー星人が海底に沈んだ戦艦などから作り上げた対地球人用の特殊侵略兵器です。お前の見た目、雰囲気、そして心は全て地球人と同じに擬人化しておきました。それをもってすれば、地球人の中に潜伏しても怪しまれずに侵略を行えます」

 

「はい、心得ております」

 

ミミー星人にひざまずく謎の地球人の美少女であったが、その正体は何とミミー星人が地球の海から引き上げた戦艦などから作り上げた地球侵略用の兵器であり、地球人の姿をしているのも地球侵略を円滑に行うためにとミミー星人が「擬人化」を施しておいたのだ。

確かに侵略兵器丸出しな外見よりも、こうして地球人と寸分違わぬ姿をしていれば難なく地球と地球人の中に潜伏可能で、怪しまれずに侵略を成し遂げれる・・・実に頭のいい発想である。

 

「うむ、よろしい。では、先に行ったようにまずは日本の・・・そうですね、このやたら地球人が集まっていイベント会場に潜入し、そこで地球人を大量に殺してきなさい。それをもって我々は地球へ宣戦布告します」

 

「了解しました・・・ですが、私の外見はともかく武装はそのままでよろしいのでしょうか?地球人たちに怪しまれるのではないでしょうか?」

 

こうして宇宙人の恐るべき計画が始動されようとしていたが、宇宙人が擬人化した侵略兵器の美少女がふと抱いた疑問を宇宙人にぶつけた。

事実、侵略兵器の美少女は外見は地球人ではあるものの、彼女の武器や各種武装までは擬人化できなかったため、彼女が身に纏って使用しなければならない。これではせっかくの擬人化が台無しではなかろうか、侵略兵器の美少女はそう思ったのだ。

 

「ああ、そのことですか。それは心配には及びません。何故なら、今から貴女が潜入するイベント会場は地球人が様々な仮装をしているようです。これなら怪しまれることは無いでしょう」

 

「そ、そうなのですか・・・分かりました」

 

しかし、侵略兵器の美少女の疑問を宇宙人は問題ないと断言した。何故なら、今から侵略兵器の美少女が潜入する「イベント会場」では非常に大勢の地球人が仮装(・・)をしているらしく、その中ならば侵略兵器の美少女が武装を纏っても怪しまれないのだという。

しかし・・・仮にも大砲などを流用した武装を纏う侵略兵器の美少女が潜入しても怪しまれないイベントは一体なんなのであろうか?

 

「さて、お喋りはここまでにしましょう。では、行ってきなさいアイアンロックス大和よ!!」

 

「はい!戦艦大和、推して参ります!!」

 

それはさて置き、疑問が解決した侵略兵器の美少女ことかつての大戦時代に海の藻屑と化した戦艦大和を流用し作られ、擬人化された「軍艦ロボット アイアンロックス大和」は、彼女を作った宇宙人「宇宙海底人 ミミー星人」の名を受けて地球へ、島国日本のとある場所で行われている「とあるイベント」の会場へと送り込まれたのだった。

 

 

 

 

「新刊如何ですかーーー?今ならセット販売もしていますよーーー!!」

 

「今回はCG集でーす!よければご覧になってくださーい!!」

 

「目線コッチに下さい!!そうそう!いいよいいよぉ!!」

 

 

 

「・・・な、何なのだ・・・コレは・・・!?」

 

 

地球侵略を企むミミー星人によって地球に、日本の「人が大勢集まっているとあるイベント会場」に送り込まれたアイアンロックス大和(擬人化態)であったが・・・今、アイアンロックス大和は目の前に広がる異様な熱気と光景に気圧されていた。というのも、

 

「一面が・・・地球人の山ではないか・・・!?何千、何万・・・いや、とても数えきれる数ではないぞ!!?」

 

今、アイアンロックス大和の目の前には「人集り」なんて可愛い表現ではすまない人・人・人・人・・・と尋常ではない数の地球人もとい日本人がもはや意味をなさない列を作り、件のイベント会場もとい同人誌即売イベント、通称「コミッ〇マーケット」縮めて「コ〇ケ」の会場に詰めかけていた。

 

「うぅ、これは何とも・・・いくら私がかつて大勢の日本人を乗せたとはいえ、これは規模が違う。人酔いしそうだ・・・」

 

目の前に広がる人の山・・・どころか「人の海」に気圧され、かつては何千という軍人を乗せていた戦艦大和もといアイアンロックス大和も人酔いしてその場にうずくまっていた。すると、

 

「あの・・・大丈夫ですか?」

 

「!?は、はいっ!?な、何でしょうか!!?」

 

不意に、うずくまっているアイアンロックス大和に声をかけた。それに驚いたアイアンロックス大和は少女のような声と喋り方で主の方を振り向けば―

 

(な、何だこの女は・・・?私と・・・私と同じ服装に装備をしているではないか!?一体、何者なのだ!!?)

 

振り向いたアイアンロックス大和の目の前にいた人物、それは細部こそ微妙に違えどもアイアンロックス大和が擬人化している姿とほぼ同じような服装と髪型、そして装備している兵器と同じ物を身に纏った女性がいた。すると、

 

「あの・・・気分が悪くなったんですか?よければ、私が休憩所までご案内しますよ?」

 

「へっ・・・?あぁ、いや別に・・・大丈夫ですよ・・・では、私はこれで・・・(関わらない方がよさそうだ。早く離れなければ)」

 

そう言って、アイアンロックス大和の顔をのぞき込む女性。そう、実はこの女性はアイアンロックス大和のことを「具合が悪くなったのかな?」と思い、純粋に心配しただけだったのだ。

それに対し、アイアンロックス大和は色々と疑問を抱いたが即座に平静を装ってその場を離れようとしたが、

 

「あっ!待って下さい!!」

 

「きゃっ!?な、何ですか急に!!?(何をするのだこの女は!?吹き飛ばしてやろうか!!)」

 

突然、アイアンロックス大和の手をあの女性が掴んだ。それに驚いたアイアンロックス大和は平静を装いつつも、腹の中では女性を吹き飛ばしてやろうと考えながら振り向いたのだが―

 

「あの・・・よければ私と一緒にイベントに参加しませんか?」

 

「・・・はい?(ん?ど、どういう意味だ?)」

 

女性がアイアンロックス大和の手を掴んだ理由、それはアイアンロックス大和に「自分と一緒にイベントに参加しないか」というお誘いをするためであった。

一方のアイアンロックス大和は女性のいった言葉の意味が分からずにキョトンとしていた。

 

「じ、実はですね・・・私、今回コ〇ケに参加するの初めてなんです。でも、今日は初コ〇ケってことで気合入れて作ったコスプレしてきたんですけど・・・一緒に参加してくれる友達も知り合いもいないし、正直言って一人じゃ怖かったんです。そしたら、私と同じコスプレしてる貴女がいたからつい声をかけちゃって・・・お願いします!どうか私と一緒にコミケに参加してくれませんか?この通りです!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

そう言いながら完全に固まっているアイアンロックス大和に深々と頭を下げて懇願する女性。

実はこの女性、初めて参加するコ〇ケのために相当気合を入れ、コスプレ衣装なども頑張って手作りして来た・・・まではよかったが、友達や知り合いがいないことが仇となってかなり不安だったが、そんな折に自分と同じコスプレの女性(アイアンロックス大和)がいるのを見付け、勇気を出して声をかけたというのが事の真相であったのだ・・・つまり、アイアンロックス大和は女性にコスプレイヤーだと間違われていたのだった。何と言う屈辱か・・・しかし、

 

(いや、待てよ・・・コイツを利用すればこのコ〇ケだったかで一番地球人が多い場所にたどり着けるかもしれん。そうすれば、そこで大勢の地球人を一度に殺すことが出来る・・・これは好都合ではないのか?よし、ならば―)

 

「い、いいですよ~正直、私も今回が初参加で右も左も分からなかったんです。だから、誰かと一緒に参加できるなんてとっても助かりますから、ぜひ一緒に参加しましょう!!」

 

女性の話を聞いたアイアンロックス大和は冷静に状況を判断した後、女性を利用することを思いついた。そこで、愛想よく女性の申し出を承諾した。

 

「えっ・・・?ほ、本当ですか!?や、やったぁ!!嬉しい・・・ありがとうございます!!」

 

一方で、まさかのお願いをアッサリと聞き入れてもらえた女性は満面の笑み、どころか嬉し涙すらな流してアイアンロックス大和の両手を握り、感謝の意を示した。と、ここで―

 

(な、何だこの感情は・・・この女に「ありがとう」と言われた途端、胸どころか体がポカポカと暖かくなってきた・・・これは一体なんなのだ?)

 

不意に、女性に両手を握られてお礼を言われたアイアンロックス大和は妙な感覚を覚えた。それは言葉では言い表せないが、とても暖かくて、とても気分がよくて、とても気持ちよかった。

 

(一体、何なんだこれは?私に何が起きたんだ?)

 

不意に芽生えた謎の感覚というか気持ち。その体験したことのない感覚に、気持ちよさにアイアンロックス大和が一人で戸惑っていると、

 

「よし、じゃあさっそく行きましょう!コスプレが出来るエリアはあっちですよ!!」

 

「あっ!?ち、ちょっと待ってくれ―――」

 

「早く早く!このままじゃ入るのに時間が相当かかっちゃいますからね!!急ぎますよーーー!!」

 

急に芽生えた謎の感覚というか気持ちに戸惑うアイアンロックス大和を尻目に、上機嫌な女性はアイアンロックス大和の手を掴みつつコスプレを行ってもいいエリアへの入場口へと誘った。

そして、この事がアイアンロックス大和にとんでもない影響を与えるのであった。

 

 

 

 

「ねぇ見てあの二人!もの凄くコスプレのクオリティ高いわぁ!!」

「あのー、撮影いいですか?え、いい?わぁ、ありがとうございます!!」

「おぉーっ!スゲー!!コスプレもだけど、女の子も神レベルだ!!」

 

いよいよコ〇ケの入場開始時間となり、数え切れない数の人々が雪崩の如くコ〇ケ会場に流れ込んできた。

そんなコ〇ケ会場の内、数多くのコスプレイヤーとコスプレイヤーをカメラに収めようとする通称「カメコ」と呼ばれる人々がいる通称「コスプレエリア」があった。

そんなコスプレエリアの一角には人集りが出来ており、その中心では二人のコスプレイヤーが詰めかけたカメコや他のコスプレイヤー、見物人たちから賞賛の嵐を受けていた。そんな二人とは―

 

「うわぁ、私たちもの凄く注目されてますね大和(たいわ)さん!あっ、鉄子さんの方がよかったですか?」

 

「べ、別にどちらでも構わない。と、というか・・・そろそろここを出ないか?何かその・・・恥ずかしいというか・・・」

 

「なに言ってるんですか大和さん!コスプレイヤーたるもの、たくさんの人に見られて撮られてナンボなんですよ!!恥ずかしがっていては始まりません!!だからまだまだここを出たりはしませんよ!!!」

 

「・・・もう、勘弁してくれ・・・」

 

コスプレゾーンに出来ている人集りの中心には二人の女性が、あのアイアンロックス大和とそのアイアンロックス大和をこのコスプレゾーンへと誘ったあの女性がいた。

そんな二人の内、女性の方は初めてのコ〇ケにもかかわらず、自分が作ったコスプレの衣装に加えてコスプレをした自分を大勢の人々に見て撮って、そして褒めてもらえる快感と嬉しさ、そして充実感に浸っていた。

 

(うぅ・・・どうしてこうなってしまったのだ?私はどうすればいいんだ・・・)

 

一方のアイアンロックス大和は女性とは対照的にグッタリとしており、その顔は心底疲れていた。というのも、まず自分を連れて女性がとにかくお喋りであった事、女性に名前を聞かれて咄嗟に、

 

「私は・・・大和(たいわ)鉄子(てつこ)だ」

 

と答えて以来、女性にずっと名前を呼ばれていた事、そして何よりもこの圧倒的な人の多さに加え、自分が与えられた任務をいまだに実行に移せない事などが相まって披露していたのだ。だが、

 

「ありがとうございます!素敵な写真をありがとう!!」

「スゴいですねその衣装!とっても素敵ですよ!!」

「お姉さんたち本当に美人だね~もしかしてモデルさん?」

 

 

「うふふ、私たち一躍スターですよ大和さん!あぁ、勇気を出してコ〇ケに参加してよかった・・・!おかげで、こうして大和さんとも友達になれたし、今日はいいこと尽くめです!!」

 

「あぁ、それはよかったな・・・(本当に、何なのだこの気持ちは・・・とっても温かくて、とっても気持ちがいい・・・)」

 

確かに大和(たいわ)もといアイアンロックス大和はグッタリしていた。していたがだ、その体と心は今まで体験したことのない充実感と暖かさと気持ちよさ、そして何よりも幸福感に満ちていた。

 

(思えば、今日ここに来てから私は人間たちに礼を言われ、褒められてばかりだ・・・兵器であった私を完全な『物』として扱っていた軍の人間や、ミミー星人様たちとは大違いだ・・・)

 

ふと、アイアンロックス大和は今日このコ〇ケ会場に来るまでの自分の過去を思いだしていた。

かつて「お国のため」という大義名分の本に人殺しの道具として作られた自分に乗っていた軍人たち。

戦いが終わって必要がなくなったために暗い深海に沈んだ自分を引き上げて兵器に改造したミミー星人たち。

 

(ひょっとして、それがさっきから感じているこの不思議な、温かい気持ちの原因なのか?)

 

自分の過去に加え、自分を「物」してしか扱ってこなかった軍の人間やミミー星人と、今日このコ〇ケ会場で出会った人間たちを比べた時、アイアンロックス大和の中で先程から感じていた不思議な感覚や気持ちの数々に対する答えが出ていた。

 

(そうか、そうだったのか・・・これは『嬉しい』や『楽しい』、『気持ちがいい』という感覚なのだな・・・)

 

こうしてアイアンロックス大和がたどり着いた結論は紛れもない事実であった。

そう、アイアンロックス大和は今日こうして人々と触れ合い、交流する内に初めて褒められ、感謝され、人に喜ばれることの気持ちよさを知った。それを知ったとき、アイアンロックス大和はもう・・・人々を殺す気にはなれなかった。だが、

 

『アイ・・・クス・・・和!アイ・・・ンロッ・・・ス大和!アイアンロックス大和!応答せよ!!地球人を大量に殺害する任務はどうなっているのだ!!?』

 

『!?ミ、ミミー星人・・・様・・・!!』

 

突然、アイアンロックス大和の頭の中に直接ミミー星人が語りかけてきた。何故なら、いつまで待ってもアイアンロックス大和がコ〇ケ会場に集まった人々を殺害しないことに業を煮やしたからだった。

 

『まず手始めに、お前の周りにいる人間を皆殺しにしろ!!』

『それは…』

「どうした?早く殺せ!皆殺しにしろ!!』

『・・・出来ません』

『何だと!?お前、何を言っている―――』

『そんなこと出来ません!私は今、大和鉄子という人間なんです!!』

『お前はニセモノだっ!!侵略兵器、人間軍艦ロボット アイアンロックス大和だろう!?』

『確かに私は、悪の星の下に生まれた侵略用の兵器だと、人殺しのための道具だと思ってました。だけど、みんなが教えてくれんたんです。 運命は変えられる―――私だって、私だって人気者・・・いいえ、ヒーローに!人間になれるんです!!』

『貴様、いい加減にしろ―――』

『だから、私はもうあなた達とは関わるつもりはありません!さようなら!!』

『オイ!オイッ!?アイツ・・・通信を切断しやがったなぁ!!?』

 

業を煮やし、アイアンロックス大和に作戦の実行を命じたミミ―星人であったが、当のアイアンロックス大和は「あなた達とは関わるつもりはありません!さようなら!!」という言葉を最後に通信を切断、したばかりかアイアンロックス大和は完全にミミー星人の管理下を離れたのだった。

 

「・・・あの!あの役立たずがっ!!誰が作ってやたっと、誰が擬人化してやたっと思っているのだ!?もういい!!こうなったら・・・行けお前たち!!!」

 

「「「「「はっ!!仰せのままに!!!」」」」」

 

任務を放棄した挙句で離反したアイアンロックス大和に激怒するミミー星人。

そんなミミー星人は「万が一のため」を想定し、あらかじめ用意していた新たなアイアンロックスたちを招集して地球へと、裏切り者のアイアンロックス大和がいるコ〇ケ会場へと送り込んだ。

 

 

 

 

 

「いいね!いいねー!すっごくいいよー!!金剛型のコスプレのお姉さんたち、目線こっちに頂戴!!」

「こ、こうデスカー?」「ひ、ひえ~・・・何か恥ずかしい・・・」「榛名!全力で参ります!!」「カメラのチェックはよろしいのですか?撮るならばキレイに撮って下さい」

 

「おぉ・・・!こうも空母や戦艦が並ぶと圧巻だ!!クオリティも半端じゃないし・・・本当にスゴい!!」

「あら、このお菓子美味しい・・・!もっと頂けますか?」「赤城さん、食べ過ぎですよ・・・」「オ、オイ!?あまり艦装に触らないでもらおうか・・・?」「そうよ~あまり火遊びはしないでね~?」「どこを撮っているのだ?私はここだぞ?」

 

ミミー星人が裏切ったアイアンロックス大和に替わり、別のアイアンロックスたちをコ〇ケ会場に送り込んで数時間後、コ〇ケ会場にあるコスプレエリアは異様な熱気と盛り上がりを見せていた。というのも、

 

「いやぁ、今回のコミケはすごいな!あれだけクオリティが高くて、おまけに美人なコスプレイヤーが勢揃いしてるんだもんな!!来てよかった!!」

「俺、あのコスプレしてる人たちに何十枚も写真撮らせてもらったぜ!これは家宝決定だ!!」

「でも、あのお姉さんたどこのレイヤーだ?あんな人たち、見たこと無かったけど・・・?」

 

と言うカメコや見物人の声と共に、コスプレエリア出来ている人集りの中心にはあのアイアンロックス大和、に加えてミミー星人が新たに送り込んだ金剛、比叡、榛名、霧島、加賀、赤城、長門、陸奥、武蔵を元に製造、擬人化を施したアイアンロックスたちがそれはそれは楽しそうにしていた。

 

 

「何・・・を、何をやっているのだアイツらは!?何故みんなして私を裏切って、あんなに楽しそうにしてるんだ!!?」

 

そんなコ〇ケ会場の様子をモニターで見ているミミー星人はパニックを起こして取り乱していた。一方で、

 

「どうだみんな?地球人に、誰かに褒められ、認められ、感謝され、人気者になる気分は?悪くない、どころかとても気持ちがいいだろう?」

 

「ま、まぁ・・・悪くはないな・・・」「た、確かに・・・」「Yes!Very Goodデース!!」「こんな気持ちになったのは初めてだ・・・とても気分がいい」「むしろ、ずっとこのまま人気者でいたいな・・・」

 

大勢の人たちに囲まれているコスプレイヤーもとい、擬人化された戦艦ベースの各種アイアンロックスたちはみな笑顔で本当に楽しそうだった。

 

 

 

「いたぞ!大和だ!!」「見付けた・・・!!」「この裏切り者!!」「許しまセーン!!」「覚悟っ!!」「跡形もなく吹き飛ばしてやろう!!」「今さら謝っても遅いですよ!!」「容赦はしません!!」「吹っ飛びなさいっ!!」

 

「くっ・・・!いくら何でも多勢に無勢すぎる・・・!!」

 

時は少し遡り、アイアンロックス大和がミミー星人を裏切った直後のことだ。

アイアンロックス大和は、裏切り者である自分を始末するためにミミー星人が送り込んで来るであろう追っ手との戦いに人々と巻き込まないようにと、コ〇ケ会場から一刻も早く離れるつもりでいた。

しかし、ミミー星人が送り込んだ追っ手の各種アイアンロックスたちのコ〇ケ会場到着はあまりにも早く、アイアンロックス大和は各種アイアンロックスたちに包囲され、最早これまでという状況になったハズだったが―

 

「オイ!見ろよ!!美人でクオリティ高いレイヤーが増えたぞ!!」

「本当だ!全員、スゲぇ美人でハイクオリティなコスプレだ!!」

「あのっ!是非とも写真撮らせて下さいっ!!」

 

「う、うわっ!?何だコイツらは!!?」「オ、オイ!寄るな!触るな!ジャマをするな!!」「ひ、ひえーっ!お姉様以外に触れて欲しくなーい!!」「NOー!?止めて下サーイ!!」「こ、この私に触るとはいい度胸だな!吹き飛ばすぞ!!」

 

裏切り者のアイアンロックス大和に迫る各種アイアンロックスたち、の間に突如として割り込む大勢のカメコや見物人たち。そのあまりの数の多さ、熱気、その他諸々はアイアンロックスたちを完全に圧倒していた。

 

「うわぁ、あの人たちって大和(たいわ)さんのお知り合いですか!?」

 

「あ、あぁ・・・まぁな・・・」

 

「やっぱり!あのハイクオリティなコスプレ、みんな揃いも揃って美人、納得ですね!!」

 

「い、いや・・・まぁ、そうだな・・・(というか、早くみんな逃げないと危ないんだが・・・いや、待てよ・・・そうだ!!)」

 

目の前で起きているまさかの、カメコや見物人が追っ手の各種アイアンロックスたちを圧倒するというまさかの光景を見たアイアンロックス大和は呆然と立ち尽くしていたが、ふと「ある事」を思いつくと―

 

 

 

 

「いいね!いいねー!すっごくいいよー!!金剛型のコスプレのお姉さんたち、目線こっちに頂戴!!」

「こ、こうデスカー?」「ひ、ひえ~・・・何か恥ずかしい・・・」「榛名!全力で参ります!!」「カメラのチェックはよろしいのですか?撮るならばキレイに撮って下さい」

 

「おぉ・・・!こうも空母や戦艦が並ぶと圧巻だ!!クオリティも半端じゃないし・・・本当にスゴい!!」

「あら、このお菓子美味しい・・・!もっと頂けますか?」「赤城さん、食べ過ぎですよ・・・」「オ、オイ!?あまり艦装に触らないでもらおうか・・・?」「そうよ~あまり火遊びはしないでね~?」「どこを撮っているのだ?私はここだぞ?」

 

と言うカメコや見物人たちの声と共に、コスプレエリア出来ている人集りの中心にはあのコスプレイヤーの女性とアイアンロックス大和、に加えてミミー星人が新たに送り込んだ金剛、比叡、榛名、霧島、加賀、赤城、長門、陸奥、武蔵を元に製造、擬人化を施したアイアンロックスたちがそれはそれは楽しそうにしていた。

 

(そうか、これが楽しいという感情か・・・)(榛名、幸せです・・・)(とっても暖かくて、気持ちがいい・・・)(こんなのもアリかな・・・)(これが嬉しいということなのか・・・悪くない、どころか好きだな・・・)

 

そんな楽しそうに、幸せそうにしている各種アイアンロックスたは、人に喜ばれたり感謝されたりすることの気持ちよさを知っていた。先に送り込まれたアイアンロックス大和のように。

 

(作戦は成功だ。私が人々から賞賛され、感謝された喜びや楽しさを皆にも実感させることがこんなにも効果があったとはな・・・上手くいってよかった)

 

先程までの殺気立ち、裏切り者の自分を始末する満々だった各種アイアンロックスたちがこうも穏やかに、嬉しそうにしているのは、先に人々に感謝されたり喜ばれたりする事の気持ちよさを知ったアイアンロックス大和が、自分と同じように各種アイアンロックスたちに身をもって体験させたからであった。

 

「どうだみんな?地球人に、誰かに褒められ、認められ、感謝され、人気者になる気分は?悪くない、どころかとても気持ちがいいだろう?」

 

「ま、まぁ・・・悪くはないな・・・」「た、確かに・・・」「Yes!Very Goodデース!!」「こんな気持ちになったのは初めてだ・・・とても気分がいい」「むしろ、ずっとこのまま人気者でいたいな・・・」

 

大勢の人たちに囲まれているコスプレイヤーもとい、擬人化された戦艦ベースの各種アイアンロックスたちはみな笑顔で本当に楽しそうだった。その結果、

 

『『『『『『ミミー星人様、我々はたった今をもってもうあなた達とは関わるつもりはありません!さようなら!!』』』』』』

 

『オイ!?ちょっと待てオイ!?大和どころか、お前たち全員まで裏切るのか―――って、クソッ!!通信が途切れたーーーっ!!!』

 

最初こそミミー星人の命令を実行し、裏切り者のアイアンロックス大和を始末する気満々だった各種アイアンロックスたちであったが、そのアイアンロックス大和から教わり、実際に体験した人々から喜ばれたりする気持ちよさが忘れられず、最終的には全員が揃いも揃ってミミー星人を見限ってしまった。

 

『クソッ!クソッ!!こうなったら、私が直々に地球に乗り込んで支配してやる!!まずは手始めに、裏切り者どもがいるあのイベント会場で暴れてやろうか―――』

 

まさか自分が用意した侵略兵器の擬人化態たち全員に見限られるという事態に陥ったミミー星人は怒り狂い、自分が直接地球に乗り込んで地球を我が物にしようと決断した。

そんなミミー星人が最初の目的地に選んだのは自分を裏切った裏切り者がいるコ〇ケ会場であり、ミミー星人は目的地のコ〇ケ会場をモニターに映した、その瞬間―

 

「いいよぉ!いいよぉ!!とぉっても可愛いよーーー!!!」

「おっ!ナイスパンチラ!!お宝決定だ!!」

「でゅふふふふ・・・素晴らしいでござる・・・!!」

 

『・・・何だ・・・これは・・・?』

 

怒り狂ったミミー星人がコ〇ケ会場をモニターに大写しにした瞬間、モニターに映ったのは・・・いい年した大人たちがコスプレイヤーのパンチラを狙ったり、堂々と卑猥な本を大量に購入したり、他にも品性も常識の欠片もない「キモい」とか「ウザい」と言われて当然な行動を平然と行う地球人たちの姿であった。

そんな地球人の姿を見たとき、ミミー星人が口走った言葉は、

 

「もう、いいや・・・地球いらない・・・」

 

そう言って、地球人にドン引きしたミミー星人はアイアンロックスたちを放置して地球を去った。

 

 

この日、とある都市は元より地球という星そのものが滅亡の危機に、地球を狙う宇宙人の魔の手の危機に晒された。そんな宇宙人は地球への宣戦布告として彼らが作り上げた兵器、を美少女に擬人化した者たちを送り込んだ。

しかし、何の因果かその侵略兵器の美少女たちは地球人の「ある種族」と触れ合い、その結果で何と創造主である宇宙人に反旗を翻した。

当然、それに怒り狂った宇宙人は自分を裏切った兵器の美少女たちはもとより、地球人を自らの手で滅ぼそうと考えたのだが・・・宇宙人が宇宙船のモニター越しに「とある種族」の映像を見た瞬間、地球を諦めて去って行った。

そんな、兵器の美少女たちに反旗を翻させた「とある種族」と宇宙人に侵略を諦めさせた「とある種族」は実は同じだった。その「とある種族」とは―

 

『オタクって・・・何かスゴい・・・』

 

そう言って、今しがたモニターで見た、所謂「オタク」と呼ばれる人種のキモさ・・・迫力と魅力に戦慄した宇宙人「宇宙海底人 ミミー星人」はもう二度と地球を狙わないと決めた。

そう、今回見事に宇宙人に地球侵略を諦めさせ、最初は地球人を殺す気満々だった侵略兵器にして巨影「軍艦ロボット アイアンロックス」たちに色々な感情を芽生えさせたのも、日本が世界に誇る「オタク」の、宇宙人すら撃退(ドン引き)させる体は大人で心はちびっ子(大きなお友達)たちの愛の力(オタクパワー)だったのだ。

 

オタク(かれら)がかぎりいる限り、地球というか日本は宇宙人から狙われることはないだろう。ドン引きされるから・・・

 




如何でしたしたか?
今回は『ウルトラセブン』より「東宝からお古の戦艦大を買い取って作った」や「成田亨氏が一目見て恐竜戦車以上にブチ切れ、円谷プロに完全に身限りを付ける原因を作った」と言われるアイアンロックスが登場です。
まぁ、だってまんま戦艦大和だもん。あまりもにも捻りもへったくれも無いもんなぁ・・・

で、今回のストーリーを参考に、というか台詞すらもほぼまんま流用(大和がミミー星人を裏切った辺りの)したのは『ウルトラマンオーブ』の『ニセモノのブルース』ですねぇ。何つう名作をメチャクチャにしたんだ僕は・・・

そして、今回は「戦艦の怪獣(?)」や「地球を侵略するため、人間に擬人化させた兵器を送り込む」=擬人化、とあって某艦〇れを参考にしました。ほら、いま擬人化流行ってるし・・・でも、マジで作者は艦〇れやったことないんだよなぁ・・・

ただ、思うのは艦〇れはまだいいんですよ。でもね、ウルトラ怪獣擬人化計画だけは受け入れられないんですよ。何故か「エロいから」です。
確かに、あの企画そのものが「オタク向け」とは言ってますよ?でもね、腐っても(ウルトラ)怪獣って子供たちのために、あるいは視聴者に憧れや恐怖、スゴいと感じてもらって、何よりも「楽しむためのもの」じゃないですか?それをあんなエロ全開にしやがって・・・
いやね「可愛い」ならいんですよ?それこそアニメ版の『擬人化計画』は可愛らしい、それこそプリキュアだセーラームーンだみたいに「可愛いから」怪獣とかに興味ない女の子とかも取り込めて、客層を広げるいい機会になると思いますよ。大人も子供も、特に子供って可愛いの好きだし。
でもね、原作は・・・あれ、子供に見せられますか?というか、大人が見ても気まずくなるよ・・・もっとこう「節度」って物は考えて欲しい、それがウルトラ怪獣擬人化計画を始めとした現代日本で無駄に行われている擬人化に対する願いです。


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第二十話 "トモダチ"を求める『巨影』

どうもどうも、銀色の怪獣です~

前回がどうにも平和というかハッピーエンド(?)でしたので、今回はその真逆を、どうあがいても絶望的なお話です。
加えて、今回出るのは平成ウルトラを代表するトラウマ怪獣にして、僕が一番苦手な怪獣です。正直、コイツをリアルタイムで見て夜一人でトイレ行けなくなった記憶が・・・

では、一体どんなトラウマ怪獣が出るのか?是非とも本編をご覧下さいませ・・・

後、最後の方で行われている「あるやり取り」はとあるヒーローが大集合するゲームが元ネタです。

で、後書きの一番最後で実に下らないネタやってますので、よかったらご覧下さい。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、活気に満ち溢れているはずの大都市。そんな大都市は今まさに機能が停止し、人々は大パニックに陥っていた。その原因こそ―

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

平和で活気に満ちていた大都市の機能を停止させ、人々をパニックに陥れた原因、それこそが突如として空の彼方より飛来したこの怪獣、直立二足歩行体型で前脚はヒレ状、体付きはペンギンかエイのような扁平体型、そして何よりも・・・とにかく凶悪で凶暴な面構えを、つり上がった瞳のない橙色の目、耳元まで裂けた大口に並ぶ無数の牙を持った赤ん坊のような奇声を発する異形の怪獣であった。そんな怪獣だが、この大都市にやって来たのには理由があった。それは―

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?や、止めろ!!離せ!!離せーーー!!!」

「に、逃げろっ!捕まったら食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

突如として大都市に降り立った怪獣は・・・あろうことか、逃げ惑う人々を片っ端からそのヒレ状の前足で捕らえると食べていた。そう、この怪獣は大都市に「食事」にやって来たのだ。

そんな怪獣が「食事」を終えた後には怪獣が吐き出した食べカス(・・・・)もとい、怪獣の唾液にまみれて中身(・・)を失った服だけがそこら中に散乱しているのだった・・・

 

 

 

 

 

「どうすればいいんだ!あの怪獣には戦車砲もミサイルも通じない!!このままでは被害が広まるばかりだ!!」

 

「そ、総理・・・落ち着いて下さい―――」

 

「これが落ち着いていられるかっ!!」

 

「ひぃっ!!?」

 

所変わって、ここは日本のお偉いさんが集まっている都内某所。

そんな某所ではこの国のトップの男性総理、俗にいう総理大臣が突如として大都市に現れて街の人々を食い殺し、挙句は出動した自衛隊の各種攻撃を受けてもものともせず、逆に自衛隊にも甚大な被害を出すなど暴虐の限りを尽くす件の怪獣の映像や被害報告を前に、ヒステリーを起こして近くにいる秘書官たちに怒鳴っていた。と、ここで―

 

「総理!総理ーーー!!」

 

「何だね安倍君!?いま私は忙しいんだ―――」

 

突然、総理の元へたれ目でむくんだような顔が特徴の「安倍」なる総理の側近が大慌てて走って来ると―

 

「総理、今こちらに『あの怪獣をどうにか出来る方』と断言するホリイ博士という人物が来ています!!どうかお目通りを―――」

 

「な、何っ!?それが本当ならすぐ会おう!しんぞう・・・安倍くん案内したまえ!!」

 

「はい!どうぞこちらです!!」

 

安倍が総理の下へ大慌てで走ってきた理由、それは総理の頭を悩ませる人食い怪獣を「どうにか出来る」と断言するホリイ博士なる人物が国会に来たので、会って欲しいという事を伝えようとしたが、総理は安倍の言葉だけでホリイ博士に会うことを即決、安倍にホリイ博士の下へ案内させた。

 

 

 

 

「サウンドトランスレーターセット完了・・・よし、これでOKや!!」

 

そう言って、片手に機会を握った白衣を着た小太りで関西弁の男、件のホリイ博士がいまだに暴虐の限りを尽くす怪獣のいる街へやって来た。

そんなホリイ博士の握っている機会こそ「怪獣をどうにか出来る」と断言するホリイ博士の秘密兵器、様々な言語を、それも動物などの言語すら翻訳してコミュニケーションを取ることの出来る万能翻訳機「サウンドトランスレーター」であった。

 

「あれは、あの怪獣は同じ地球に住む仲間や。コミュニケーションさえ取れれば争わずにすむハズや・・・何としても、ワシがコンタクトをとったるで!!」

 

そう言いつつ、サウンドトランスレーター片手に怪獣へと向かって行くホリイ博士。

そう、ホリイ博士は万能翻訳機を使って怪獣とコミュニケーションを取りることで怪獣の暴虐を鎮めようとしているのだ。果たしてホリイ博士の作戦は上手くいくのだろうか?

 

 

 

『トモダチ・・・?』

 

「そや!僕も君も、この星の同じ仲間や!!」

 

『ホリイハトモダチ・・・?』

 

「そや!君と僕は友達や!!そんで、僕以外の人間もみーんな君と友達なんや!!だから、人間を傷付けんといてくれへんか?」

 

『トモ・・・ダチ・・・』

 

 

「まさか!コミュニケーションが成立している・・・」

「信じられない・・・」

「スゴい・・・!!」

 

こうして始まったホリイ博士の作戦もとい試みは・・・何と、見事に成功した。

結果、あれだけ暴れて人を食っていた怪獣は大人しくホリイ博士と向き合い、ちゃんと「会話」までやってのけていた。

その光景に現場の自衛隊員たちはもとより、国会でモニター越しに現場を見ている総理や安倍たちも息を吞んでいた。

 

 

 

「このまま行けば平和に、万事解決だ」

 

怪獣とコミュニケーションと成立させたホリイ博士と、ホリイ博士と会話をやってのけた怪獣を見れば誰もがそう思うだろう。しかし、

 

『トモダチハ・・・ゴチソウ・・・!トモダチハ、ガゾートノタベモノ!!』

 

「「「はっ・・・?」」」

 

不意に・・・本当に不意に、それも何気なく当たり前のように怪獣が言葉を発した。ただ、その内容はあまりにありえない発言であった。人間から(・・・・)すれば(・・・)だが。

 

『トモダチ・・・ホリイハトモダチ・・・!ニンゲンモ・・・トモダチ・・・!!トモダチハ、ゴチソウ・・・!!』

 

「な、ななななな、何を・・・言うてんねん・・・!!?」

 

『トモダチハ、ガゾートノタベモノ・・・!!』

 

「う、嘘やろ・・・!?こ、こんといて・・・こんといてや・・・!!」

 

『ホリイハトモダチ・・・!トモダチハゴチソウ・・・!!ホリイハ・・・ガゾートノタベモノ・・・!!!』

 

「う、うわぁああああぁぁぁぁーーーーっ!!?」

 

 

 

 

 

「友達がごちそうだと!?そんなバカな!?一体どうなっているんだあの怪獣は!?どういうものの考え方してるんだ!!?」

 

「そ、総理・・・落ち着いて下さい―――」

 

「これが落ち着いていられるかっ!!」

 

「ひぃっ!!?」

 

そう言ってヒステリーというかパニックを起こし、なだめようとする秘書官たちにくってかかる総理大臣。

そんな総理大臣がパニックを起こしている原因はたった今の今まで見ていたモニター越しに起きた惨劇、大都市で暴虐の限りを尽くす怪獣による一人の博士の捕食劇と、怪獣に食われた博士が使っていた万能翻訳機から聞こえた怪獣の発言にあった。

 

「友達を食べる・・・総理!ひょっとしてあの怪獣は共食いをする習性があるのではないでしょうか?だから怪獣に『友達だよ』といったホリイ博士は怪獣に食べられたのでは―――」

 

「あのね安倍君!そんな事もうどうだっていいんだよ!!頼みの綱のホリイ博士は怪獣に食われ、また怪獣が暴れ始めた。今は悠長に怪獣の習性なんて考えてる暇はないんだよ!!!」

 

「ひいっ!?も、申し訳ありません!!」

 

主に怪獣の発言と行動が原因でパニックを起こす総理に対し、側近である安倍が納得のいく理由を述べたが総理には「どうでもいい」と一括された。しかし、実は安倍の考察は完全に当たっていたのだ。

 

 

 

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

「クソッ!戦車砲もミサイルも本当に効果が無いのか!!?」

「う、うわあああぁぁぁっ!?や、止めろ!!離せ!!離せーーー!!!」

「に、逃げろっ!捕まったら食い殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

 

戦車大隊やヘリコプター部隊が放った何百発もの弾丸や砲撃をその身に受けても倒れず、本能と食欲のおもむくままに暴れ、逃げ惑う自衛隊員たちを食いまくる怪獣。

そんな怪獣だが、元々は食料の乏しい環境で生きているために仲間を食べる、つまりは共食いして生きる習性がある。そんな怪獣にとって仲間、つまりは「友達(トモダチ)」とは「自分のために身を捧げてくれる都合のいい存在」=「食料」なのだ。

そして、その怪獣に万が一にでも「僕と君は友達」などと言ったならば・・・「僕は君の友達(しょくりょう)だよ」とアピールしたのと同じ事であったのだ。

加えて、最初に怪獣とコミュニケーションを取ったて食われた博士は「人間は君の友達」とも言った・・・つまり、

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

 

『ニンゲンハ・・・ガゾートノトモダチ・・・!ニンゲンハ、ガゾートノタベモノ・・・!!』

 

怪獣の鳴き声を、道ばたに落ちていた怪獣の胃の腑に納められた博士が作った万能翻訳機が通訳していた。

そう、もはや怪獣にとって人間は「トモダチ」であると認識されたため、食われて当然だったのだ。

 

「待てよ・・・友達を食べる習性があるなら・・・そうか!分かったぞ!!」

 

「オイ、ダイゴ!?どこに行くんだ!?戻ってこい!!!」

 

もう打つ手がなくなり、逃げ惑う自衛隊員たちであったが、そんな中で一人の若いダイゴという青年自衛隊員が何か閃いたらしかった。

そんなダイゴ隊員は他の逃げ惑う隊員たちに逆走しつつ、道ばたに落ちていた万能翻訳機を手に取って怪獣の下へ駆けていくと―

 

「オイ!怪獣!!」

 

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ?―――

 

「!?オイ、アレ見ろよ!!」

「って、オイ!?何してるんだダイゴの奴!?」

「ダイゴ!逃げろ!!危険だぞ!!!」

 

万能翻訳機片手に怪獣の下へ駆けていったダイゴ隊員は怪獣に向かって怒鳴り、それに気付いた怪獣がダイゴ隊員に向き直った。当然、それを見ていた他の自衛隊員たちはダイゴに向かって逃げろと叫んだが―

 

『ニンゲンハ・・・トモダチ・・・!トモダチハ・・・ゴチソウ・・・!!』

 

「あぁ!あの怪獣、ダイゴを食う気だ!!」

「ダイゴ!早く逃げろーーー!!」

「ダイゴーーーっ!!!」

 

ダイゴが手にした万能翻訳機から聞こえる怪獣の鳴き声の翻訳。そう、怪獣はダイゴを「食料(トモダチ)」と認識したのだ。と、ここで―

 

「違う!僕はお前の友達じゃない!!僕は・・・お前の『敵』だ!!」

 

怪獣に「トモダチ」扱いされたダイゴであったが、ダイゴは怪獣に面と向かって大きな声で「僕はお前の『敵』だ!!」と叫んだ。その瞬間―

 

―――キ、キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ・・・?―――

 

「あ、あれ?どうしたんだあの怪獣?何か・・・怯んだぞ?」

「本当だ・・・明らかに戸惑ってるぞ?」

「一体、何がどうなってるんだ?」

 

自衛隊員たちの言う通り、ダイゴが怪獣に向かって「僕はお前の『敵』だ!!」と叫んだ瞬間、それまで嬉しそうにしていた怪獣が明らかに戸惑った様子と鳴き声を見せた。一体、何が起きたのだろうか?

 

「やっぱりだ・・・アイツにとって『トモダチ』は『食べるもの』だ。なら、アイツに僕たちを『敵』と『食べられないもの』だって認識させればいいんだ・・・作戦、成功だ!!」

 

そう言って咄嗟の思いつきが成功した事に喜ぶダイゴ。そう、実はダイゴは怪獣の「友達を食べる」=「共食いをする」という習性を逆手に取り、怪獣に「自分たちをはお前の敵だから食べられないぞ!!」と言ったのだ。

結果、明らかに怪獣は怯んで戸惑った様子を見せた。つまり、ダイゴの読みは当たったのだ。

 

「みんな!もっとアイツに人間は敵だって、食べられないんだってアピールするんだ!!」

 

「お、おう!分かった!!」

「やーい!俺たちはお前の敵だぞ!!食えないぞーーー!!」

「そうだ!人間はお前の敵だ!!敵だから食えないんだぞ!!」

 

ダイゴの読みは見事に的中した。

これにより「怪獣に人間を敵だと認識させれば怪獣が人を食べることは無くなるだろう」と考えた自衛隊員たちはダイゴに混ざって怪獣に向かって自分たちは敵だとアピールし始めた。

 

―――キ、キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ・・・―――

 

一方で、今の今まで「トモダチ」だと思っていた人間たちの急な「敵」アピールには怪獣は相当に戸惑い、その場で立ちすくむ様子すら見せた。

このまま怪獣に人間を「敵」だと認識させれば怪獣が人間を襲うことは無くなるだろう―

 

『ニンゲンハ、テキ・・・デモ、タベレル!オイシイ!!』

 

「「「えっ―――」」」

 

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市崩壊を招き、街の人々を食い尽くしたのは巨影「変形怪獣 ガゾート」であった。

そんなガゾートには何と共食いする習性があり、ガゾートにとって「トモダチ」=「食料」という倫理観(ロジック)が存在している。そして、そのガゾートはあろうことか人間を「トモダチ」と認識したために今回の惨劇を招いたのだった。

 

 

「違う!人間はお前の友達じゃない!!人間はお前の『敵』だ!!」

 

そう言って、ガゾートの習性を理解した人々がガゾートに人間は「トモダチ」ではなく「敵」とアピールし、ガゾートによる被害を防ごうとした。

しかし、防げなかった。何故か?ガゾートに、肉食怪獣にとって人間など・・・敵だろうが友達だろうが、所詮は「エサ」でしかないのだから。

 

『ニンゲンハ、タベレル!オイシイ!!』

 

 




如何でしたか?

今回は平成、どころか特撮でも群を抜いてヤバいアイツが、「歴代で唯一ウルトラマンを捕食した怪獣」や「可愛いペンギンさん」とか「可愛い魔王ダンテ」とか言われているガゾートが登場です。可愛くねーよ!!
ちなみに、作中のホリイとかダイゴは言わずもがな『ティガ』の隊員さんです。

で、件の「あるやり取り」もとい「ダイゴ隊員がガゾートに「僕たちは敵だ」といってガゾートが戸惑う」は3DSのゲーム『ロストヒーローズ2』のネタです。

ただね、ガゾートの話は実に素晴らしい。倫理観の違いや「人間の価値観で何でも考えるなよ」というメッセージが実に反映された名(迷)エピソードです。
もうね、是非ともウルトラマンコスモスやウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックスのような「怪獣は友達!仲間!!」みたいな作品で出て欲しかった。もし、ガゾートが出たらムサシやダイチがどう反応するのかね?
いやね、例のギンガやエックスにはスペースビートが出ましたよ。けどね、スペースビーストって端っから危険だと、「捕食」と「攻撃」しかない明確に「殺していいヤツ」と分かるじゃないですか?
それじゃ意味が無い。ガゾートのように倫理観が違うだけ、「コミュニケーションとれるけど友達を食べるのが当たり前という点だけがヤバい」みたいなヤツを出して始めてダイチたちの葛藤が描けるでしょうに・・・

以下、どうしてもやりたかったネタ↓

フュージョンライズ!

変形怪獣カゾート

―――キュウウウウゥゥゥンオギャアアアァァァ!!―――

高次元捕食体ボガール

―――ホワァアアアァァァ!プゥギィイイイイィィィィッ!!―――  

健啖なる力、お借りします!!
超合体!高次元変形捕食怪獣ガゾール!!

―――キュウウウウゥゥゥンプゥギィイイイイィィィィッ!!―――  

これがやりたかっただけ・・・


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第二十一話 きりのない『巨影』

どうもどうも、銀色の怪獣です~

さて、今回の巨影は・・・平成怪獣でもルックスが「キモい」と有名な巨影が出ます。というか、やってることはなかりエグかったですが。

で、実はその巨影の正体はタイトルから察せます。ヒントは「きりのない」という部分ですかね・・・

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?な、何だよアレ!!?」

「に、逃げろっ!やられるぞ!!」

「助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

本来ならば大勢の人々が行き交い、活気に満ち溢れているはずの大都市。そんな大都市は今まさに機能が停止し、人々は大パニックに陥っていた。その原因こそ―

 

―――キキキキッ!!―――

 

「な、何なんだよアレ!?」

「知るかよ!空飛ぶボールとか・・・化け物だろっ!?」

「く、来るな!こっち来るなーーーっ!!」

 

街の人々が悲鳴を上げて逃げ惑う原因、それこそが突如として大都市に立ち込めた濃霧の中より寄生と共に浮遊しながら現れ、逃げ惑う人々の首筋に取り付く肉色のボールの寄せ集めのような「化け物」が無数に(・・・・)現れたからだった。

 

―――キキキキッ!!―――

 

「うっ!?ああぁぁ・・・あああぁぁぁ!!?」

 

そんな肉色のボールの化け物に取り付かれたら最期、取り付かれた人間は自我を失う、ばかりか凶暴化して誰彼かまわず襲いかかり、更なる犠牲者を増やしていくのだ。それが例え親子であろうが、兄弟姉妹であろうが、友人同士であろうが、恋人同士であろうが・・・

 

「うぅがぁっ・・・!があああぁっ!!」

 

「や・・・めて!お願い・・・止めてよ・・・ホリイさん・・・!!」

 

そして今まさに、とある一組のカップルがボールの化け物の犠牲になりかけていた。

見れば、首筋にボールの化け物が取り付いた男性が女性の首を両手で締め上げながら体を持ち上げており、女性は涙を流しながら必死で男性に訴えかけていたが、ボールの化け物に意識を支配された男性にその声が届くことは無かった。このまま恋人の手で絞め殺されるか、あるいは首の骨を折られるのが早いか・・・

 

「うぅがぁっ・・・!があああぁっ!!」

 

「かっ、はっ・・・ホリ・・・イ・・・さん・・・やめ・・・て・・・よぉ・・・」

 

どれだけ女性が、恋人が訴えかけてもボールの化け物に意識を支配された男性にその悲痛な叫びと段々とか細くなっていく声が届くことは無かった。

 

「ホリイさん・・・うぅ・・・」

 

たった今さっきまで、ほんの数分前まで仲睦まじく買い物を楽しんでいた恋人が突然豹変し、自分を全力で殺そうとしている・・・このあまりに理不尽で、あまりに苦しくて悲しい出来事に女性の涙が止むことは無かった。

だが、女性が流した涙が男性に、男性の首筋に取り付いているボールの化け物にこぼれ落ちた時、奇跡(・・)が起きた。

 

―――ギッ!?キキ・・・キ・・・―――

 

「えっ―――きゃっ!!?」

 

女性が流した涙がボールの化け物にこぼれ落ちた瞬間、ボールの化け物が短く鳴く(・・)とその体が急に萎み、男性の首筋から剥がれ落ちた。そして、剥がれ落ちたボールの化け物はもう動くことは無かった。

一方で、ボールの化け物が男性の首筋から剥がれ落ちた瞬間、それまで全力で女性の首を締め上げていた男性の両腕から一瞬で力が抜け、結果で女性は解放された。すると―

 

「あ、あれ・・・?ワシ、何しとったんや・・・?」

 

「!!ホリイさん!?元に戻ったの!!?」

 

「ミ、ミチル―――って、ミチルお前どないてんその首のアザ!?大丈夫か!!?」

 

ボールの化け物が首筋から剥がれ落ちた男性が意識を取り戻した。それに感極まった女性は目を白黒させている男性に抱き付いた。

しかし、まさか女性が男性を、愛する人を想って流した涙が男性を正気に戻すとは・・・実にロマンチックで、まるで奇跡のような話―

 

―――キキキキッ!!―――

 

「「えっ―――」」

 

抱き合って喜ぶカップルの元へ新たなボールの化け物が無数に飛んできて、二人の首筋に取り付いた。

 

「剥がされたなら、また張り付けばいいだけのことだ」

 

二人の首筋に取り付いた新たなボールの化け物が口をきけたならこう言っただろう。

所詮、彼ら(・・)には人間など獲物にすぎない。そんな獲物が繰り広げる奇跡だ感動劇だなど関係ない。

剥がされたなら、また新たに取り付けばいいだけだから。何せ、彼らは無数にいるのだから・・・

 

その後、ボールの化け物に意識を乗っ取られた二人は大都市を覆う霧の中へ消えていった。他の意識を乗っ取られた大勢の人々と共に。

 

 

 

ある日、平和な大都市が人間に取り付いて操り、挙句は人間の生命エネルギーを奪って死に追いやる寄生生命体に襲われたて崩壊した。

そんな大都市では、わずかながら寄生生命体の寄生生命体の魔の手から逃れかけた(・・・)人々もいた。そんな人々の共通点、それは友人や恋人、あるいは家族などの「絆」が起こした「奇跡」によるものであった。しかし、最終的にはその人々も全員が寄生生命体の餌食となった。何故か?

寄生生命体にとって、所詮は獲物でしかない人間どもの繰り広げる感動劇だ何だなど、お構いなしなのだ。彼ら(・・)にとって、人間は獲物だ。獲物を一匹でも多く捕らえる事ことこそ彼らに、彼らの真の姿の巨影「寄生怪獣 マグニア」にとって最優先事項なのだから。

 

―――ギュチギュチ・・・ギュヒイイイイィィィィィィ!!―――




如何でしたか?

今回は「キモい怪獣の代表格」とか「スペースビーストの発想の基盤を作った」と言われるマグニアが登場です。
ちなみに、件のスペースビーストの第一号のペドレオンは「マグニアを四つん這いにしたイメージで作った」だそうです。

そんなマグニアもとい、マグニアの出た『霧が来る』と、今回の「きりのない巨影」は『霧』『"キリ"がない』をかけたダブルネーミングなタイトルです。ここから何回かこんなダブルネーミングな回をやりますのでお楽しみに。

ちなみに、登場したカップルは『ティガ』のホリイ隊員とエザキ ミチルさんです。で、ホリイ隊員の下の名前は『マサミ』だとか・・・ゆえに、仕方なく「ホリイさん」とした次第です。


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第二十二話 怒る『巨影』

こんばんわ、銀色の怪獣です。

さて、今回の更新は・・・のっけから鬱っぽいというか刺激的な展開になっておりまして、そのような描写が苦手な方には申し訳ありません。ですが、これも物語を書く上の展開ですので何卒慈悲を・・・

また、今回出る巨影は怪獣といっていいかは謎・・・ですが少なくとも日本を代表する特撮界の重鎮ですので、出しました。

では、特撮界の重鎮が出る今回のお話をどうぞです。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「あぁ・・・これでやっと自由になれるなぁ・・・もう仕事に行かなくてよくなるなぁ・・・だって私、これから死ぬんだもんなぁ・・・あはは・・・はははは・・・」

 

辺りに夜の帳が下りた頃、有数の大都市にある一番高いビルの屋上にスーツを着たOLの女性が一人いた。

この女性はこの大都市にある一流企業の社員であるが、勤め先のあまりのブラックさ、上司などから受けるモラハラ・パワハラ・セクハラなどに耐えきれなくなり、鬱を患った挙句でとうとう命を絶つ決心をしたのだった。

 

「あはは・・・明日から仕事しなくていいし、部長とかの相手しなくていいんだぁ・・・あははは・・・嬉しいなぁ」

 

今の女性の雰囲気を一言で表すならば「もう何もかもがどうでもいい」という他に無かった。

それは彼女をここまで追い詰める原因を作った職場の環境や上司たち、彼女が何とかして逃れたいと願ったものたちに対しても、これから失われることになる自分自身の命に対してもだった。

それほどに女性は追い詰められ、そして疲れて病んでいたのだ。

 

「あはは・・・ここから飛んだら・・・私、鳥さんになれるかなぁ・・・」

 

そう言って、ビルの屋上のフェンスを乗り越えた女性は靴を脱ぎ、脱いだ靴の側に遺書を供えた女性はぼんやりとビルの屋上から遙か数百メートル下の地上を見下ろすと―

 

「えいっ―――」

 

女性は何の躊躇も無く飛んだ・・・否「墜ちた」のだった。

 

 

 

「き、きゃあああぁぁぁーーーっ!人が・・・人が死んでるーーーっ!!?」

「何てこった・・・!!」

「じ、自殺か!?と、とりあえず救急車と警察を!!」

 

女性がビルの屋上から「墜ちて」から数分後、地上では大騒ぎが起きていた。その原因は当然ながらあの飛び降り自殺を図った・・・飛び降り自殺を成した(・・・)「女性だったモノ」だ。

悲しいかな、仮に数分、数秒まで命があったとしても、命が失われてしまえばそれはただの「モノ」に過ぎなくなる。それが例え人間であってもだ・・・

 

ただ、この場で死んでいるのは紛れもなく「人間」であり、追い詰められた結果で心を病んで死んでいった「女性」だった。

そんな彼女の脳裏に死ぬ間際によぎった、俗に言う「走馬灯」としてフラッシュバックしたのは・・・自分をここまで追い詰め、死に追いやる原因を"明確に"に作った勤め先と上司たちへの恨みや怨嗟の念であった。

 

「許さない・・・!アイツらだけは絶対に許さない・・・!!あんなヤツら死んでしまえばいいんだ!!!」

 

飛び降りた「女性だったモノ」の思いを、念を代弁するならこうだろう。

そんな女性の恨みと怨嗟の念が血と共に流れ出し、固いアスファルトで覆われた大都の仮初め(・・・)の地面に染み込んだ後、固いアスファルトの下に埋められた()に眠る『神』に届いたとき、大事が起こることとなる―――

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォォッ!!―――

 

 

「社長!また(・・)です!また自殺者が出たみたいですよ!!」

 

「なにぃ?また(・・)か。これで・・・何人目だっけか?」

 

「えぇっと・・・三人目です・・・」

 

「チッ、また記者会見開くハメにというかマスゴミどもがウザったくなるな・・・」

 

大都市の一番高いビルから女性が飛び降りた日から一夜明け、空に太陽が真上に登る時刻となっていた。

そんな中、大都市にあるとある一流企業、あの飛び降りた女性が務めていた企業の社長室では社長の御子柴(みこしば)が部下から社員の飛び降りの報告を受けて舌打ち(・・・)していた。

何故なら、御子柴の会社ではもう既に二人、あの女性を合わせると三人もの社員が自殺していた。三人が三人とも、御子柴の会社のブラックさや重役たちのモラハラ・パワハラ・セクハラに耐えきれずに。

その度に御子柴は記者会見を開き、遺族やマスコミに形だけ(・・・)は謝罪して、払いたくも無い賠償金だ何だを払わされるハメになっていたからだった。

 

「全く、死ぬぐらいなら最初から会社を辞めればいいじゃないか。別に退職金を出さない訳でもないし、無理矢理引き止めたりはせんというのに」

 

そう毒づきながら椅子から立ち上がり、大都市を一望できるガラス張りの窓の方まで歩く御子柴。

実を言えば、確かに御子柴の企業はブラック企業ではあるものの、ちゃんと残業代も出すし福利厚生やその他の保証も充実している、辞めるとなったら退職金なども出す、退職しようとする社員に圧力かけて無理矢理引き止める事もしない、とった具合でブラックと言えばブラックではあるが、その辺のブラック企業よりは多少は(・・・)はマトモだった―

 

「全く、迷惑かけやがって。何で一人死んだぐらいで騒ぎになるんだ。しかも自殺じゃないか。どんな理由があろうとも、死んだら終わりだというのに・・・生きて仕返しするぐらいの度胸というか執念でも見せたらどうなんだろうか。そうは思わないか君―――」

 

『死人に口なし』という言葉がある。事実、死んでしまった人間は何も言えない。だから御子柴は自ら命を絶った女性社員に対して先程以上に毒づき、馬鹿にした。

その感性や感覚がマトモかと言えば・・・マトモでないだろう。御子柴が経営するこのブラック企業と同じで。

そんな御子柴は自分の発言に対する意見や感想を社長室に駆け込んで来た部下に求めようとした、その瞬間!!

 

―――ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴ!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!―――

 

「「な、何だこの揺れはっ!!?」」

 

突然、凄まじい揺れが都市を襲い、街にいた人々は避難することが出来ずにその場で転倒したりうずくまったりする他なかった。

また、その凄まじい揺れの影響は大都市のビル群にも及んでおり、並み居る高層ビル軍が波打つように揺れていた。

 

「ひ、ひいいぃっ!?何だよこれぇ!!?」

 

「た、立っておられんじゃないか!!」

 

そんな凄まじい揺れの影響は当然ながら御子柴の経営する企業のビル、及び社長室にいる御子柴と部下にも及んでおり、御子柴も部下も社長室の中を右に左にと右往左往するしかなかった。

 

 

 

 

「ゆ、揺れが止まった・・・?社長、大丈夫ですか?」

 

「あいたたたた・・・あぁ、怪我は無い。無いがだ、全くヒドい目に遭ったわい」

 

突如として発生した凄まじい揺れはものの数十秒で収まった。幸い、揺れがすぐ収まったために街や人々への被害は少なかった。そのため、揺れを体験した人々はホッと胸を撫で下ろした。が―

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

「「な、何だぁああああぁぁぁっ!!?」」

 

確かに揺れは収まった。だが、次の瞬間には轟音と共に都市部の中心地の地面が、大地が割れた(・・・)のだ(・・)。キレイに真っ二つ(・・・・)に。

更に、その真っ二つに割れた地面の下から「何か」が、全身から隠しきれない、否、隠す気など微塵も無い絶対的な「怒り」のオーラを放ち、その厳めしい顔を憤怒に歪めた「魔神」がアスファルトの下に眠る本当の大地(・・・・・)よりその姿を現わしたのだった。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

「!?ば、化け物だーーーっ!!」

「た、助けてーーー!!」

「に、逃げろーーーっ!!」

 

魔神を一目見た街の人々は呆気にとられていたが、ただ歩くだけで、ただ身を捩るだけで大都市のビル群を破壊し、車を踏み潰す大魔神によって我に返り、すぐさま逃げ惑ってパニックが起きた。

しかし、魔神はそんな人々や街のことなど意にも介さずに「ある場所」を、正確には「ある者」を目指して直進もとい爆進していた。それは―

 

「し、社長!?あの化け物・・・何かこっちに来てませんか・・・?」

 

「『来てませんか?』じゃなくて、確実にこっちに来てるんだよ!!」

 

「で、ですよね!?ど、どうしましょう!!?」

 

「どうしましょうって君・・・逃げるんだよぉーーー!!」

 

件の魔神が一直線に目指す先にあるのは・・・御子柴が社長を務める企業のビル及び、企業の経営者の御子柴社長その人であった。それに気付いた御子柴と部下が慌てて逃げようとした瞬間―

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

―――ザンッ!!―――

 

「「えっ―――」」

 

御子柴と部下が逃げようとした瞬間、魔神は腰に差していた巨剣を抜刀して振るった。ただそれだけで数十メートル離れた場所の御子柴たちがいるビルが縦に真っ二つに斬れて崩れた。

 

「「「「う、うわあああぁぁぁーーーっ!!?」」」」」

 

突如として縦に真っ二つに切れて崩れるビル。そんなビルの中にはまだ大勢の従業員と御子柴が取り残されていたが、彼らは崩れ落ちるビルの瓦礫の中に消えて行った。

 

 

 

 

 

「あいたたた・・・あ、あれ?私は生きているのか・・・?助かったのか・・・?」

 

ふと、御子柴が目を覚ました。そんな御子柴は彼の言う通りに生きていた・・・が、いま彼は「とんでもない場所」にいた。それは―

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

「えっ―――って、ひいぃぃぃぃっ!?お、お前は・・・お前は!?あの時の魔神!!?」

 

不意に、御子柴のすぐ近くで唸り声が聞こえた。その声につられた御子柴が声の方を振り向けば・・・何と、あの魔神が、御子柴たちのいたビルを縦に真っ二つに斬った魔神の顔が御子柴のすぐ目と鼻の先にあった。

実はいま御子柴がいるのは魔神の手の中であり、御子柴は文字通り「魔神の手中に収められている」状態であった。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

「や、止めろ!止めてくれっ!!頼む、頼むから殺さないでくれっ!!!」

 

自分を手の中に収め、睨み付ける魔神に向かって必死で命乞いをする御子柴。一方の魔神はそんな御子柴をしげしげと見つめるばかりだったが、ここで―

 

『許さない・・・!お前らだけは絶対に許さない・・・!!お前らなんて死んでしまえばいいんだ!!!』

 

「!?魔神が喋った―――」

 

不意に、魔神が口を聞いたのだ。が、その声は厳めしくて巨大な魔神に似つかわしくない女性の(・・・)声だった・・・それもそのハズ、実はこの声は魔神のものでなく魔神に「お願い」をしたある女性(・・・・)のものだったのだ。一方の御子柴は魔神が急に口を聞いたのに驚いて思わず後退った、その直後―

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

「あっ―――」

 

それまで手の中の御子柴をジッと見つめていた魔神が・・・御子柴を思いっきり振りかぶって地面に「投げつけた」のだ。当然、御子柴の命の保証は・・・無い。

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。そんな都市を崩壊させたのは全身が青銅で出来た巨大な魔神、否、巨影「大魔神 阿羅羯磨(あらまつま)」であった。

しかし、この大魔神は本来ならば弱き人々を護り、導く「守護神」であった。だが、時代の流れとと共に大魔神に対する人々の信仰は無くなり、とうとうその存在は忘れ去れて大都市のアスファルトの下へと埋もれてしまった。加えて、大都市の地下深くへと埋められた大魔神は365日昼夜を問わずに大勢の人々に頭を踏まれている・・・このことが大魔神を「怒らせた」ために、守護神であった大魔神は「破壊神」となったのだ。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

そして何の因果か、そんな「怒っていた」大魔神が眠る場所へ飛び降り自殺をした女性がいた。そんな女性は自分を自殺へと追いやった勤め先と、勤め先の上司たちに「怒っていた」のだ。

 

そして何よりも、女性は怒りや怨嗟の言葉を吐きながら命を投げ出して死んだ。同じように怒る大魔神が眠る場所へ落ちて。

 

そう、実は女性は図らずして大魔神の「供物」に、俗に言う「人身御供」となっていたのだ。古来より『神』への最高の供物は人間、人身(・・)『御供』なのだ。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

もう何百年、何千年も前に人々に忘れ去られ、暗い暗い地の底に押しやられた挙句、365日昼夜を問わずに大勢の人々に頭を踏まれる神・大魔神阿羅羯磨。そんな大魔神に自らを供物として「願掛け」した一人の女性。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――

 

こうなっては・・・大魔神は女性の願いを聞かずにはいられなかった。だから大魔神は御子柴を殺し、更には自分への振興を忘れ、自分を足蹴にする街の人々への復讐を行ったのだ。

何百年、何千年も前に人々に忘れ去られ、暗い暗い地の底に押しやられた挙句、365日昼夜を問わずに大勢の人々に頭を踏まれる「うっぷん晴らし」も兼ねて。

 

―――オオォォ・・・オオオォォォ・・・オオオォォッ!!―――




如何でしたか・・・とは聞けない冒頭の部分。

正直言います、自殺はダメ!絶対に!!
死んだら何も出来ないし、残るのは骨だけです。生きていれば出来ることはあります。それこそやりなおすことも、あるいは仕返しだって・・・でも、死んだら本当に何も出来ません。
だから、何があっても自殺だけは絶対にしてはなりません。 

色々あった作者だから皆様に伝えたいのです。

今回はあの『大魔神シリーズ』から『大魔神』が登場です。ちなみに、大魔神の「大魔神」はあくまで肩書き、あるいはシリーズの名前であって、本名は「阿羅羯磨(あらまつま)」ですからね?まぁ、劇中とかでも「阿羅羯磨」って呼ばれたことないから仕方ないか。

ちなみに、日本のみならず世界中どこの国や文化・文明でも人を捧げ物とした「人身御供」は存在し、人間こそが最高の供物であり、最上級の神様への献上品という考えは何故か共通しています。
それもひとえに、どこの国の文化も文明も「人間が作った」からなのですよ。人間が文化や文明を作ったから、その文化などを作った人間を捧げる・・・そりゃ最高の贈り物になるさ。
だから「宇宙」や「他の世界」という概念があるクトゥルフ神話のでのみ、人身御供の考えがほぼない、というか有り難みは薄いそうです。


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第二十三話 因果応報と『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

さて今回は…正直って、出てくる『巨影』が『巨影』なだけに、その『巨影』が出た原作のお話がお話なだけに気分が悪くなるかもしれません。なので、先に謝罪いたします。申し訳ありません。

ですが、このお話は原作での投げっぱなしな展開に僕なりに決着を付けたいと、もっと言えば僕が書いてる『大怪獣バトル伝説・交わる世界』という方では出せない・似つかわしくないと思い、雰囲気が似合っているであろうこちらの小説で件の『巨影』を出しました。

なので、その点だけは留意していただけると幸いです…

では、どうぞ


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「目印を付けましょう人間に お花をあげましょう赤い花 恨み花よ増えていけ 今日は誰がかかるか楽しみね・・・」

 

どこかの大都市の片隅にある小さな林の中から聞こえる少女の歌声。

見れば、その林の中にある岩を積み上げて作られた塚の前に一人の少女がいた。

この少女の名は「岩坪 カナエ」といい、大都市の中にある児童養護施設で暮らしている。

そんなカナエは暇さえあればこの林に、林の中にあるこの塚にやって来ている。そして、塚へやって来たカナエが何をするかと言えば―

 

「ふふっ、また咲いてる・・・また花が咲いてる。これでまた(・・)配れる。ふふふっ・・・」

 

そう言って、カナエは手にした剪定(せんてい)バサミで塚に咲いていた血のような色の花を一輪摘み取った。

実はカナエが暇さえあればこの塚へやって来ている理由は、この塚に生い茂る蔦植物(・・・)の世話を行うのと、その蔦植物が咲かせる血のように赤い花を摘み取って"誰でもいい"のであげることだった。しかし、カナエは何故そんなことをしているのだろうか?

 

「さて、じゃあさっそく配りに行こうかしら―――」

 

件の赤い花を摘み取ったカナエは不気味に、薄ら笑いを浮かべながら塚から離れようとしたが―

 

「うっ!?あっ―――」

 

それまでずっと屈んで赤い花を摘んでいたのに急に立ち上がった瞬間、カナエは立ちくらみを起こして転倒した。

しかも悪いことは連鎖するもので、カナエは転んだ際に地面に頭を強く打ってしまい、頭や膝を擦りむいて血を流したままその場でしばらく気絶していた。これがカナエの命運を左右することとなる・・・

 

―――

 

 

 

 

「あら、どうしたのカナエちゃん?食べないの?」

 

「何か・・・食欲が湧かないんです・・・」

 

日は暮れて人々が帰路につく頃、大都市の中にある児童養護施設では夕食の時間となっていた。

そんな中、意識を取り戻して養護施設に帰ってきたカナエだけは食事を取らずに、というか何か気分が悪くて食事を取ることが出来ないでいた。

 

「まぁ・・・だったら今はとりあえずお部屋で横になってきたら。貴女の分のご飯は残しておきますからね」

 

「はい、そうします。じゃあ部屋に行きます」

 

そんなカナエを見た職員の女性がカナエに休むように促し、カナエもそれに従って食事を取らずに自室のベッドで横になっていたが、いつの間にか眠りに付いていた。そのせいで、自身の身に起きた異変に気付けずに・・・

 

 

 

 

「き、きゃあああああぁぁぁぁぁーーーっ!!?」

 

早朝、児童養護施設内に響く悲鳴。それはカナエのものであった。それを聞きつけた職員や他の子供たちがカナエの部屋に行くとそこには―

 

「な、何で・・・!?何で私・・・お腹が膨らんでるの!!?」

 

そう言って・・・ポッコリと膨らんでいる自分の下腹部を見つめて茫然自失としているカナエがそこにいた。そんなカナエの下腹部を見れば、誰もがこう言うだろう、

 

「カナ・・・エちゃん・・・貴女・・・妊娠したの!!?」

 

その場にいるカナエを含めた全員が言葉を失っている中、どうにか言葉を絞り出した職員の女性の言う通り、今のカナエは誰がどう見ても妊婦、それも臨月の妊婦と言っても間違いがない程にカナエの腹部は膨れていた。

 

 

 

 

 

「カナエちゃん!カナエちゃん出て来なさい!!とにかく病院に行こう、ね?」

 

「嫌!絶対に病院なんて行かない!!」

 

先の出来事から数時間後、カナエの部屋の前では騒ぎが起きていた。

というのも「とにかくまずは病院に行こう」ということで養護施設の職員がカナエを病院へと連れて行こうとしたのだが、当のカナエは即座に部屋に逃げ込んでそのまま籠城してしまい、職員の説得には絶対に応じず、更には部屋の扉を開けられないようにとバリケードまで作って部屋に閉じこもる始末であった。

 

「カナエちゃん!とにかく病院に行かないと!!そうしないと貴女に何が起きてるのか分からないでしょ?お願いだから出て来て!!」

 

「嫌!絶対に嫌!!私、絶対に部屋から出ないから!!」

 

尚も続くカナエと職員の押し問答。だが、それは終わりの見えない堂々巡りであった。

 

それにしても…何故、カナエはここまで病院に行くのを拒んでいるのだろうか?普通、自身の見にこんな異変が起きたら何が何でも病院に行って調べてもらいたくなりそうなものだが…

 

「大丈夫…大丈夫だからね。私が、お母さんが守ってあげるからね。私は…私を見捨てた"あの女"みたいなこと、あなたにしないからね…」

 

そう言って膨らんだお腹を優しくさすりつつ、その中に宿っている(・・・・)命に、脈動を(・・・)続ける命に語り掛けるカナエ。

そんなカナエの表情は穏やかであり、同時にその身に宿った命を「何が何でも守る」守ろうと決意した母親、それも聖母マリアの如き「母性」に満ち満ちていた。

カナエを虐待した挙句に捨て、児童養護施設(こんなところ)に置き去りにした彼女の母親のような人間にならないために、という一種の使命感とともに。

 

そのせいでカナエは盲目となっていたのだ。カナエが処女懐胎したモノ(・・)が…聖母マリアが懐胎したのが聖人であったのに対し、カナエが懐胎したのは聖人とは真逆(・・)の性質の『モノ』だとも気付けずに…

 

 

 

 

「うぅ…あぁ…っ!痛い…痛い…!!産まれる…産まれ…るっ!!」

 

「カナエちゃん!?カナエちゃん大丈夫!!?もしかして…産まれそうなの!!?」

 

カナエがお腹に新し命を宿してから数か月後、その日は突然やって来た。

あの日以来、施設の職員たちはカナエの強情…その強い決意と母性に根負けし、カナエがお腹の子を育むのを見守っていた。そんなカナエがたったいま産気づいて苦しみ始めた。

 

「き、救急車!救急車呼んで!!」

 

「いま呼んでるよ!!」

 

「カナエちゃん!?カナエちゃん大丈夫!!?いま救急車が来るからね!それまで頑張って!!」

 

産気づいて苦しむカナエのために救急車を呼びに走る職員、横たわって苦しむカナエの手を握ったり声かけをする職員、集まった野次馬の子供たちを遠ざける職員、といった具合に施設内は大騒ぎとなっていた。

 

「うぅ…ダ、ダメ…我慢でき…ないっ!!」

 

最初こそ気合で耐えていたが、とうとう耐え切れなくなったカナエがそう言った瞬間―

 

「あっ―――」

 

「カナエちゃん、どうした―――あっ!?は、破水した!!?」

 

カナエが…破水したのだ。その直後、

 

「!?い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!いた…い゛っ!!?」

 

破水した直後に襲ってきた陣痛。その味わったことのない激痛に絶叫し、悶絶していた。だが、それでもカナエは必至で歯を食いしばって力んだ(・・・・)。その結果―

 

「産まれ…そう…!出てきそ…う!!」

 

「ええっ!?」

 

産気づいた妊婦が「(こら)える」のではなく「(りき)め」ば当然ながら産まれる。実際にr陣痛をこらえきれずに力んでしまったカナエの下腹部からは"お腹の中の命"が産まれ出て来ていた―

 

「き、きゃあああああぁぁぁぁぁーーーっ!?な、何よコレ(・・)ーーーっ!!?」

 

というカナエを介抱していた女性職員の恐怖と嫌悪感に満ち満ちた絶叫が響き渡った。何故なら、その女性職員は見てしまったのだ。カナエから産まれた命が人外の―

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 

―――ザシュッ!!―――

 

「がっ!?あがっ…!?あぁ…あ…?」

 

カナエが産んだ…人外の"ソレ"は腰を抜かしていた女性職員に触手を伸ばして突き刺し、血を吸い上げて物言わぬミイラへと変えた。すると、女性職員の血を吸い上げた"ソレ"の体に一輪の赤い花が咲いた。まるで血のような深紅の花が…

 

「どうして…!?どうして、どうして…あなた(・・・)が私のお腹から出て来たの!?どうなってるの!!?」

 

一方で、文字通り「お腹を痛めてまで」出産したカナエは自分のお腹に宿っていた"ソレ"を見て二つの理由(・・・・・)で驚愕していた。

まず、一つ目は当然ながら自分のお腹から産まれ出たものが赤ん坊では無く…いや、一応は赤ん坊だろう。何故なら、少なくとも"ソレ"はカナエのお腹の中で育っていたのだから。

ただし"ソレ"はカナエの傷口(・・)からカナエの体内に侵入し、まるで胎児のようにカナエに育んでもらっていたという事情があるからだ。

だから、少なくとも"ソレ"はカナエの子と言っても過言ではない…ただし"ソレ"は人外であり、それも動物ではなく頭頂部に花を咲かせ、口らしき部分から外へはみ出る牙を持った、無数の蔦が絡み合って出来たような「植物の化け物」であったが。

 

そして二つ目の理由であるが…カナエはこの植物の化け物を「知っている」のだ。

何故なら、この植物の化け物はカナエがよく行く大都市の片隅の林の中の塚に生息(・・)している、カナエが世話をしている(・・・・・)化け物なのだ。カナエが配った赤い花を目印に、不幸な自分と違って幸せそうにしている連中を殺してくれる頼れる存在、その名も―

 

「あはは…あははは…あははははははっ!そうか!そうなのね!!そうよね!私が、私がっ!人をあなたのエサにしているこの私が、赤ちゃん産んで幸せになれるハズないもんね!!所詮、あなたは私を利用していただけなのね!!あなたにとって、私もエサにしか過ぎなかったのね!!そうか、そうなのよね!?バサラ―――」

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 

 

 

この日、大都市の片隅にある児童養護施設で大捕り物があった事に加え、二名の(・・・)命が失われた。

その元凶、それは…亡くなった二名の内の一人の少女、岩坪カナエの胎内に寄生し、カナエに自分を我が子のように育てさせ、一時の幸福感と母性を満たした後に絶望させて殺した外道にして巨影「蔦怪獣 バサラ」であった。

 

だが、今回の事態は全てバサラが原因なのだろうか?もしも、もしもあの時…カナエが変に母性を起こさずに、ちゃんと病院に行って診てもらっていれば今回のような事態にはならなかったのではなかろうか?

 

だが、それは絶対に叶わなかったであろう。何故か?カナエに限らず、子を思う母の思いは強い。

特に、その母に愛されず、愛に飢えていたカナエは自分に宿った「命」に自分の母がしたような仕打ちを絶対にしまいと誓ったからだった…それを利用されたカナエは不幸と言う他に無かった。

 

ただ、自身が不幸だからと言って他人を巻き込んで不幸に、バサラのエサにしていたカナエにとっては…「不幸」ではなく「因果応報」だったのではあるが。

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 




まず初めに…非常に後味の悪いお話になって申し訳ありません。

正直言いますと、今回のお話は原作『巨影都市』でも出ていた『ウルトラマンタロウ』の「二大胸クソ話」として有名な内の『血を吸う花は少女の精』を自分なりに決着をつけたいと、教育的なメッセージが込められるようで実は投げっぱなし&いい加減で終わったタロウでの原作にケジメをつけたいと思って作った話です。というか、あのクソガキに何も制裁が加えられないのが一番いかんだろ…別に殺せとは言わんが、流石にアレは…

正直言います、あの話を幼稚…子供向けすぎるタロウでやる意味ありますか?いや、やってもいいんだけどさ…別にハッピーエンドにしろとか、岩坪かなえを改心させろとか言いませんよ。事実、タロウの放送当時は全国で子供の死体遺棄・虐待・その他の子供に関する犯罪が頻発したために、このようなお話を作ったとは聞きました。

しかしですよ。ラストのかなえの新しいバサラを求めて墓場をうろつくシーン、そんなかなえを放置するタロウ(東光太郎)や防衛チーム、しかもタロウたちは偉そうに「世の中を憎んでいた~」とか言ってたくせにかなえを放置…正直、投げっぱなしにもほどがありすぎです。

だから、いずれ僕なりに決着をつけたいと思ってこんな話を作ってしまいました。読んでくださった読者の皆様に不快な思いを、嫌な気分にさせてしまって申し訳ありませんでした。


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第二十四話 きかいな『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

いやいや、お久しぶりです。如何せん仕事が忙しい&某ワールドな規模でモンスターをハントするゲームが楽しくて・・・

で、今回の更新はいつもとはかなり毛色の違う異色作です。というか、ぶっちゃけ今回は怪獣が出ません。まぁ、特撮に関わるのは出ますが・・・相も変わらずマイナーだし。

同時に、今回は前に(マグニアの回)で言った「ダブルネーミングな回」です。
はたして何が「きかい」なのでしょうか?それも含めてどうぞご覧下さい。

後、今回のお話はヤフーニュースでも取り上げられた「あるニュース」を見たから作ったお話です。そのニュースが何なのか、その他の考察などは後書きで書いてますので、暇だったらご覧下さいませ。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「う~ん…どの()にしようかなぁ…」

 

何処かの大都市にある家電量販店で、一人の男性が商品(・・)を吟味していた。すると、

 

「いらっしゃいませ。お客様、どの(タイプ)をお求めですか?」

 

そう言って家電量販店の店員が男性客の元へ近寄って話しかけた。

 

「え、あぁ・・・そうですね。僕、一人暮らしでずっと一人っ子でしたから・・・出来れば妹みたいな娘とかがね・・・」

 

「そうですか。でしたら、この幼女・・・妹(タイプ)は如何ですか?機能も性能も(タイプ)とあまり変わらずに、人懐っこいですからねぇ」

 

「へ、へぇ・・・それはいいですね。じゃあ、その()を一人お願いします」

 

「かしこまりました。妹(タイプ)一機(・・)ですね」

 

件の家電量販店内で行われる客の男性と店員のやり取り。しかし、二人の会話はハタから聞いていると実におかしかった・・・が、それを周りにいる他の客たちは平然と聞き流していた。まるでそれがさも当たり前であるかのように。

 

 

 

「ふふ~ん!ふふふぅ~ん!!ふっふっふっふ・・・ついに、ついに僕も買っち(・・・)ゃった(・・・)ぞ!これで淋しい一人暮らしにおさらばだ!!」

 

といいながら、上機嫌で家電量販店から出てきた男性客。

そんな男性客は入店した際は一人だったのだが、こうして店を出た際には「連れ」を連れて出て来てた。そんな「連れ」とは―

 

「あの!ご主人様っ!!」

 

「な、何かな桃ちゃん?」

 

「私、ご主人様のために精一杯頑張ります!だから・・・末永く、おそばにいさせて下さいね」

 

「も、桃ちゃあぁん!君は何ていい子なんだ!!」

 

「きゃっ!?ご、ご主人様・・・は、恥ずかしい・・・ですぅ・・・」

 

家電量販店から出て来た男性客が連れている「連れ」もとい購入した(・・・・)商品(・・)、それは・・・男性客に抱きしめられ、頬を赤らめているメイド服に身を包んだ可愛らしい10代の少女であった。

ちなみにこの少女、人間ではない。ならば何なのか?それは・・・少女の背中に刻印された商標登録印(バーコード)が示すように、少女の頭の中の脳の代わりのコンピューターが示すように、少女の皮膚を形作っているのがシリコーンであるように、この少女はアンドロイド、それも人間の身の回りの世話をするように作られた「メイドアンドロイド」なのだ。そんなメイドアンドロイドは日本中でいま大流行している

 

 

 

「少子高齢化、労働力不足解消策としてアンドロイドの導入法案を可決します」

 

切っ掛けは日本国の総理大臣が国会で発したこの一言であった。

 

かねてより、人間の生活や仕事をサポートするアンドロイドは開発されていた。

だが、それを正式に採用することはされてこなかった。何故か?もしも、人間とは違って「完璧」な、仕事のミスも無く、不平や不満も言わずに黙々と仕事や業務をこなし、人間に"絶対服従"なアンドロイドが台頭したら・・・それこそ「人間社会」が崩壊するからだ。

 

「日本の総人口がついに〇〇〇万人を下回り―――」

「出生率が十年連続で下がっており―――」

「現在、日本全国で高齢者は〇〇〇万人以上にのぼっており、また介助か必要な高齢者の数は―――」

「現在、我が国の負債は〇〇〇兆円に膨れ上がっており、このままでは国民一人あたりの負債は―――」

 

しかし、そんな悠長なことを言っていられる余裕が日本には無かった。

 

出生率の低下による国民の減少、あるいは少子高齢化に伴う労働力不足、労働力不足や少子高齢化によって起きる財政難、それらが蓄積して不満を抱えて暴徒化する国民たちに悩む政府、といった具合に問題が山積みとなったのだ。

そのため、先に挙げた「アンドロイドの台頭による人間社会の崩壊」を気にしてはいられなくなった政府はアンドロイドの導入法案を可決したのであった。

 

「だが、アンドロイドごときに人間の代わりが務まるのか?」

「所詮、アンドロイドなどプログラムされたことしか出来ないのではないか?」

「どんなに見た目は人間でも、所詮は"機械"であり"家電"と大差じゃないか?」

「そもそも、アンドロイドには『心』がないじゃないか」

 

しかし、いざアンドロイドを人間社会に導入するとなった時、口うるさい評論家などの一部の人間が一斉に口を尖らせてそう言った。

とはいえ、それは正しくもあった。確かにアンドロイドは「人に作られた物」であって、どれだけ外見や内蔵されている人工知能(A・I)が人間に近かろうが、所詮は「人に作られた物」もとい「家電」と大差ないのだ。

だが、それは裏を返せば「アンドロイド=人間じゃなくて『物』」という当たり前(・・・・・)の"常識"を人々が持っていられる何よりの証拠であったのだ。

 

 

 

 

 

 

「あぁっ・・・んっ!はぁっ・・・!!す、すごかったです、ご主人様ぁ・・・!!」

 

「はぁっ・・・!はあっ・・・!!ふぅ・・・よかったよジュリちゃん・・・ものすごく気持ちよかった」

 

「そ、それはよかったです。ご主人様に喜んで頂けるのがジュリの何よりの喜びですから」

 

とある歓楽街にある愛を育む(・・・・・)ホテル(・・・)の一室において、一組のカップルがたったいま情事(・・)を終えて一息ついていた。

そんなカップルであるが、男性の方こそ人間なのだが、女性の方は・・・アンドロイドであった。そう、何と男性の連れているアンドロイドには性交渉の機能があるのだ。

そんなアンドロイドだが・・・実はあの「メイドアンドロイド」の同型、というよりはメイドアンドロイドそのものに"そういった機能"が搭載されていたのだ。

 

 

 

 

「人間の命令には基本的に絶対に服従で、家事全般を完璧に行えて、人間と変わらない喜怒哀楽などの感情を持ち、挙句は情事まで行えるメイドアンドロイドがこの度、我がチブルコーポレーションから発売となりました。是非、お買い求め下さい」

 

日本でアンドロイドの導入法案が可決されて間もない頃、今や国内でも有数かつ唯一のメイドアンドロイドの製造・販売を行っている企業『チブルコーポレーション』が設立され、先の謳い文句と共にメイドアンドロイドが各地で販売され始めた。それはまるで見計らったかのようなタイミングであった。

 

それはさて置き、件のチブルコーポレーションが製造・販売するメイドアンドロイドは性能もさることながら、感情の表現や喜怒哀楽などの「人間的な部分」が従来のアンドロイドを鼻で笑う超高性能なものばかりであり、人々を大いに驚かせた。その一方で、

 

「こんなに高性能なアンドロイドを販売していいのか?それこそ人間の立場がなくなるじゃ無いか」

「何故こんなにも感情表現が豊かなのだ?一体、どんなAIを組み込んでいるのだ?」

「というか、何故アンドロイドに性交渉機能を組み込んだんだ?そんな必要あったのか?」

 

という、チブルコーポレーションから発売されたあまりに高性能なメイドアンドロイドに関して疑問や疑念を抱く人々も大勢いた。しかし、そんな疑問や疑念はすぐに無くなってしまった。何故なら―

 

「もの凄く都合がよくて優秀なアンドロイドの女と、色々と面倒くさくて欠点だらけの生身の女だったらどっちがいいのか?」

 

あるいは

 

「炭素で出来た女がいいか、珪素(シリコン)で出来た女がいいか?」

 

というとある評論家が言った極論もとい紛れもない「事実」を人々がメイドアンドロイドを通して実感してしまったからであった。

ちなみに炭素もシリコンもどっちも嫌なら・・・パルプで出来た女(エ〇本)と言う選択肢もなきにしもあらずだが。

 

 

 

 

「遅い!何故こうも生産が遅れているのだ!?」

 

「も、申し訳ありません・・・その、あの・・・みんな(・・・)の性格のチェックなどに時間が―――」

 

「ええい!口答えするなっ!!」

 

―――バチンッ!!―――

 

「きゃっ!?」

 

所変わって、ここはチブルコーポレーションにあるメイドアンドロイドの製造工場である。

そんな製造工場内の一室では一人の女性もといメイドアンドロイドが工場長の男にビンタを受け、思わず膝を突いていた。

 

「全く!どうも性能やAIが人間くさいと物覚えが悪くていかん!!口答えはする、コーヒーの味が毎日違う、といった具合に不完全だ。やはり、我々ロボットこそが人間を支配して管理するべき―――」

 

そう言いながらメイドアンドロイドにビンタを食らわせた工場長の男が過激な発言をしたその瞬間、

 

「おやおや、それはダメですよ。そうなってはビジネスが成り立ちませんから」

 

「!?そ、その声は―――」

 

不意に、工場長の後から第三者の声が聞こえた。そして、その声を聞いた工場長は明らかに「恐怖」の表情を浮かべながら声の方を、声の主の方を向こうとしたが―

 

「ということで、貴方は廃棄ですね。ご苦労様でした」

 

―――バチバチバチッ!!―――

 

「ぎっ!?ぎゃあああぁぁぁっ!!?ああぁ・・・あぁ・・・」

 

という先の第三者の声が再び聞こえた瞬間、工場長に電撃が浴びせられた。

当然、電撃を浴びた工場長は感電して悶え苦しみ、とうとう地にひれ伏した。その際、何と工場長の男の後頭部がまるで蓋のように(・・・・・)外れた(・・・)ではないか!!

一体何事か・・・と思いきや、外れた後頭部から見える工場長の頭の中には機械が詰まっていた。そう、実はこの工場長もアンドロイドだったのだ。

 

「全く、何事も完璧すぎて融通が利かないアンドロイドときたらこれですよ。しかもすぐ暴力に訴え出るとは・・・欠陥品も欠陥品ですねぇ」

 

そう言いつつ、アンドロイドの工場長・・・あえて言うなら「ロボット工場長」を手から放った電撃で完全にショートさせた人物、もとい「異星人」がその全貌を現した。

その異星人は異様なまでに巨大化した頭部と、それに相反するように細い針金のような体を持った奇妙な姿をしていた。

 

「チ、チブル星人様・・・あの、その・・・」

 

「んっ?おお、そうでした。貴女、大丈夫ですか?あの融通の利かないアンドロイドにビンタされたりされていたようですが」

 

「は、はい!大丈夫です!!お気遣い、感謝します」

 

「そうですか。それはよかったですね。では、引き続き出荷する()たちの最中チェックをお願いしますね」

 

「分かりました。お任せ下さい」

 

ロボット工場長に暴力を振るわれていたメイドアンドロイドは自分を助けてくれた異星人に、彼女たちメイドアンドロイドを製造した創造主である「チブル星人」なる異星人に礼を述べた後、そのチブル星人に命じられるままに自分の仕事へと向かった。一方で、

 

「いやはや、全くいけまんねぇ・・・我々はあくまで『ビジネス』で地球を訪れているのに、そのビジネス相手の地球人を支配しちゃったらビジネスが成り立たないでしょ。全く、これだから融通の利かない完璧(・・)なアンドロイドはいけませんねぇ・・・」

 

遠ざかっているメイドアンドロイドの背中を眺めつつ、ショートさせたロボット工場長の体の上に座ったチブル星人はそうぼやいた。

そう、実はいま日本中で大流行しているメイドアンドロイドを作ったのは他ならぬこのチブル星人であり、その目的と地球へ訪れた理由は全て「ビジネス」のためであった。

 

「『何も欲しいものを手に入れるための手段は暴力だけではない。策略を巡らせたり、莫大な資金や物資を用いて手にするやり方もある』ですか・・・ふふふ、正しくその通りですね。このままいけば日本、どころか地球中に私が作ったメイドアンドロイドは広まるでしょう。そうすれば・・・私は相当なお金持ちで、地球を掌握したも同然ですね。ふふふ・・・愉快愉快!!」

 

とはいえ、チブル星人も腐っても「侵略者」なので地球を我が物にしようという気持ちがなきにしもあらず・・・ではあるが、そのやり方は野蛮で粗暴な暴力や武力に訴え出るものではなく、チブル星人ご自慢のメイドアンドロイドを売買して得た金銭で地球を掌握してしまおうという実に平和な考えだった。

 

しかし、のんきにチブル星人が作ったメイドアンドロイドを購入して使用している地球人はもとより、そのメイドアンドロイドを作って売りまくっているチブル星人は気付けなかった。

これからわずか数十年の内に地球人は・・・絶滅してしまうということを。何故か?

 

「もの凄く都合がよくて優秀なアンドロイドの女と、色々と面倒くさくて欠点だらけの生身の女だったらどっちがいいのか?」

 

とある評論家が言ったこの言葉が地球人の絶滅の理由を全て言い当てていた。

そう、地球人はチブル星人が作った「もの凄く都合がよくて優秀なアンドロイドの女」にうつつを抜かすうちに「色々と面倒くさくて欠点だらけの生身の女」に興味が持てなくなってしまった。

その結果、あくまで"性行為"は出来る(・・・)が"生殖行為"は出来ない(・・・・)アンドロイドの女ばかりにうつつをぬかした地球人は・・・子孫を残せず、とうとう絶滅してしまったのであった。

 

「ふむ、地球人が絶滅してしまいましたか・・・まぁ、いいでしょう。ならまた別の星を見付ければいいだけですし」

 

と言いながら、地球人が絶滅した地球を後にしたチブル星人。

そう、チブル星人という「異星人」からすれば十分に儲けたならば、自分たちと違う星の種族が滅ぼうとも関係ないのだから・・・

 

 




如何でしたでしょうか?

今回は大人気作品『ウルトラセブン』よりチブル星人、アンドロイド少女、そしてロボット工場長もといロボット長官が登場です。ロボット長官は長官→工場長に格下げ・・・ヒデぇ。
で、今回のタイトルの「きかいな」は「奇怪」と「機械」をかけたダブルネーミングです。ほら、機械のキャラが出てるし、ね?


何と言うか、実を言えば今回の話を作った理由は前書きでも書いたようにヤフーニュースで『あるニュース』を見たからです。それは

『アメリカで性交渉機能を持ったAI持ちのアンドロイドが開発された』

というニュースでした。このニュースを見たとき、僕は正直「ああ、とうとうSFの世界が現実になったんだ・・・怖い」と感じました。
だって、今回のお話の中でも述べた様に色々と優秀なアンドロイドが性交渉機能なんて持ったら・・・それこそ人々は「色々と面倒くさい生身の女」なんて相手にしなくなって、結果的に人類は滅亡すると断言していいでしょう。

言っておくと、決して女性を差別するような発言ではありませんので悪しからずです。もし、気を悪くされた読者の方、特に女性読者の方には深くお詫び申し上げます。

ただ、件の性交渉機能のあるアンドロイドですが・・・見た目がね、ダッ〇ワイフ丸出しですし、何よりもアメリカの人のセンスで作ってあるから・・・そそらねぇの。
だから"まだ"安心できます。ですが、もしもこれがオリ〇ント工業のラブドールみたいな見た目のアンドロイドだったら・・・本当に人類は絶滅に向かうでしょうね。

いやね、すごいんだよオリ〇ント工業のラブドール。マジで人間だよ。え?何でお前そんな詳しいんだよって?それは・・・友達が持ってるというか、独身時代にというか・・・ね?


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特別話 巨影・禍津となりし英霊

どうも。銀色の怪獣です。

さてさて、今回は・・・また『特別話』と銘打ちまして、特撮のスターが出ます。今後も『特別話』と銘打った場合、何かスゴいヤツが出ると思って頂いて構いません。

で、今回出るのは・・・まぁお察しの通りの『ヤツ』です。僕はヤツが、特にヤツの出た映画がシリーズの中では一番好きです。後は初代かな・・・変わり種でゴリラ出たのとか、イグアナとかもね。

そして、今回は色々と過激です。ですが、それもこれも全ては『ヤツ』の、ヤツの出た映画、ひいてはヤツの属する怪獣のグループが最近忘れつつある「メッセージ性」を僕なりに演出したくてやりました。ですので、どうかご覧下さい・・・

では、どうぞ


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「ねぇ、ひいおじーちゃん」

「なぁに?」

「なんでひいおじーちゃんはこの石にお手々あわせてなむなむしてるの?」

「それはね・・・」

 

どこかの大都市の外れにある黒い石で出来た石碑の前でお供え物をしながら手を合わせる老人と、その老人に「なぜ石碑に向かって手を合わせているのか」と問い掛ける幼いひ孫娘がいた。

 

「それはね、この石は慰霊碑って言って・・・簡単に言えば戦争で亡くなった人たちのお墓だよ」

「お墓?これがお墓なの?」

 

「そう、そうだよ。今からもう何十年も前に起きた『太平洋戦争』っていうそれはそれは大きくて、それはそれは・・・無残な戦争が起きてねぇ。その時に数え切れない人が死んじゃったんだよ・・・名前どころかどこの誰かも分からないし、お骨も拾ってもらえない、お墓にも入れない人がたくさんいたんだ・・・だから、そんな人たちのためのお墓としてこの慰霊碑はあるんだ。死んだ人たちを、彼らの無念と戦争の惨たらしさを忘れにためにもね」

 

ひ孫娘の問い掛けに対し、老人は分かりやすくも嘘偽りのない事実を、過去の犠牲(・・)の上に生きる現代人ならば決して忘れるべからずな「事実」を語った。

そう、この慰霊碑は先の大戦で命を落とした数知れぬ人々を慰め、鎮め、そして敬うために立てられた・・・が、時代の流れと共に人々はそのことを忘れ、いつしかこの慰霊碑もこんな大都会の片隅へと場所を移されていた。

だが、それでもこの老人は決して過去の犠牲(・・)と歴史を忘れぬようにと、散っていった数知れぬ人々の無念を忘れまいと、歴史の生き証人である老人「伊佐山(いさやま)」は足繁くこの慰霊碑の元へ来ては人々の冥福を祈り、感謝の念を伝えているのだ。

 

「そうなんだぁ・・・分かった!私もなむなむする!!私も、死んじゃった人たちのことを忘れないようにする!!」

「そうか、そうか・・・それはよかった。よし、じゃあこのお酒とお菓子をお供えしてからなむなむしようね」

「うん!」

 

伊佐山の、曾祖父の難しい話を分からないなりでも理解したひ孫娘の言葉を受け、悲しそうな顔をしていた伊佐山は微笑んだ。

幼いとはいえ、こうして一人でも覚えておいてくれる人がいるなら、散っていっ人々の無念を忘れず、その犠牲へと「感謝」する人がいる限り、彼ら(・・)は安心して眠ることが出来るだろう、と思ったのだ。

 

その後、伊佐山とひ孫娘は持ってきたお供え物を慰霊碑に供えつつ、二人で手を合わせてなむなむ・・・祈った。そんな二人が祈っている慰霊碑にはこう刻まれていた。

 

『東亜の戦の焔に焼かれた者たちの魂ここに眠る 英霊呉爾羅(ゴジラ)となりて國を護らんと』

 

 

と・・・

 

 

 

 

―――メキッ・・・バキバキバキッ!!―――

 

「おーい、倒れるぞー!気を付けろー!!」

 

 

ここは日本最高峰にして世界遺産にも登録されている富士山、の麓に広がる広大な樹海の富士樹海、通称「青木ヶ原樹海」である。そんな青木ヶ原樹海では大勢の作業員が大量の樹木を伐採していた。何故なら、

 

「全く、この薄気味悪い森ん中にレジャー施設作ろうとか正気の沙汰じゃねぇよ、ったく・・・」

 

そう言ってチェーンソー片手に樹齢数百年の樹を伐採しつつぼやく作業員。

そう、実は彼ら作業員が樹海の樹木を大量に伐採しているのはとあるお偉いさんの命令、それも世界遺産に登録された富士山とその麓の青木ヶ原樹海を目当てに訪れる観光客をターゲットにしたレジャー施設の建設のための下準備であったのだ。全ては「環境保全」という名の金儲けのための。と、ここで―

 

「んん?何だこりゃ・・・?」

「どうした?」

 

ふと、伐採を続ける作業員の一人が奇妙な物を見付けた。それは―

 

「何だこれ?お地蔵さん・・・か?」

 

作業員が見付けたのは樹海特有の堆積した落ち葉で出来た地面の上にポツンと立っているお地蔵さん、にも見える「石」であった。ただ、

 

「あ~でも顔とか無いし・・・ただの石か」

「だな。ただの石だな」

「んだよ、全く驚かせやがって・・・邪魔だっつーの!!」

 

そう言いながら件の石を放り投げる作業員。そう、あくまでもその石は「形がお地蔵さんっぽい」だけでお地蔵さんでも何でも無かった・・・と言いたいところだが、実はこの石は広義的な意味では「お地蔵さん」もといあるもの(・・・・)を封印した「封印石」だったのだ。そして、そんな封印石を動かせば当然―

 

―――キュリィリリリ・・・ギュギギギギギギィ・・・―――

 

「んっ?何だ今の声?」

 

ふと、相変わらず樹海の木々を伐採し続ける作業員の一人の耳に「何か」の鳴き声が聞こえた。

そんな鳴き声は・・・作業員たちがいる地面の下、樹海の地下に(ねむ)る「聖獣」が封印を解かれた結果で発したのだ。

 

「どうした?」

「いや、今なんかの鳴き声が聞こえたような・・・」

「鳴き声?鳥だろ。この辺たくさん鳥いるし―――」

 

件の謎の鳴き声が気になって手を止めている作業員に対し、別の作業員が話しかけた、まさにその直後!!

 

―――キュリィリリリ!ギュギギギギギギィ!!―――

 

「「「!?な、何だありゃあああぁぁぁっ!!?」」」

 

突然、地面が爆発した・・・否、正確には地中から「何か」もといこの地に(ねむ)る「聖獣」が二千年の眠りから目覚めたのだ。

愚かにも聖獣が護る「くに」を破壊し、挙句は聖獣を(ねむ)らせるための封印石を動かした愚か者どもを罰するために・・・

 

 

 

―――シュイイイイイィィィィ!!―――

 

―――ピユィイイイイイイィィィィィ!!―――

 

「う、うわぁあああぁぁぁっ!?た、助けてくれーーーっ!!」

「逃げろー!とにかく逃げろーーー!!」

「ば、化け物だーーーっ!!?」

 

静岡県にある富士の樹海で「聖獣」が目覚めた頃、新潟県の妙高山と、鹿児島県の池田湖でも同じように(ねむ)りを妨げられ、挙句は彼らが護る「くに」を金儲けのために破壊してた愚か者どもに怒った「聖獣」がその巨体を晒していた。

 

―――シュイイイイイィィィィ!!―――

 

新潟県の妙高山に現れた「聖獣」は四足歩行で赤い体表を持ち、文字通りの"獣らしい"「聖獣」であった。

 

―――ピユィイイイイイイィィィィィ!!―――

 

鹿児島県の池田湖、を飛び立った「聖獣」は極彩色の羽と紫の複眼を持った昆虫の「聖獣」であった。

 

―――キュリィリリリ!ギュギギギギギギィ!!―――

 

そして、富士の樹海で目覚めた「聖獣」は全身を黄金の鱗に覆われ、龍のような三つの頭を持つ「聖獣」であった。

 

 

―――シュイイイイイィィィィ!!―――

―――ピユィイイイイイイィィィィィ!!―――

―――キュリィリリリ!ギュギギギギギギィ!!―――

 

こうして目覚めた三体の「聖獣」は・・・木々を切り倒し、川や海を汚し、大地を毒してあまりにも「豊かに」なりすぎて肥え太った現代人に牙をむき、緊急出動した自衛隊を軽くあしらって人々と人々が住まう大都市を蹂躙していった。

 

 

 

「よもやこれまでか・・・まさか、あなた方(・・・・)のお力を"また"借りなければならぬ日が来ようとは・・・」

 

そう言いつつ、小型ラジオから流れる怒り狂った「聖獣」による破壊活動や被害のニュースをあの大都市の片隅にある慰霊碑の前で聞いている伊佐山の姿あった。

 

「だが、彼らでは太刀打ち出来ない。彼らでは・・・怒り狂う『怪獣』となった()聖獣には勝てない・・・お願い致します。どうか、この国とそこに生きる人々を・・・あなた方(・・・・)のお力でお救い下さい・・・呉爾羅(ゴジラ)様」

 

伊佐山はラジオから流れる「聖獣」たち・・・否、もはや現代人の数々の愚かしい所業に怒り狂って「怪獣」に成り下がった「()聖獣」たちに蹂躙される大勢の人々や自衛隊の被害を受け、強く、そして必死に慰霊碑に、慰霊碑に眠るかつての大戦でお国を守るために散っていった『英霊たち(・・)』に、『英霊たち』の集合体(・・・)に願った。その結果―

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

伊佐山の、怪獣たちに蹂躙される人々の救いを求める気持ちに応え、慰霊碑に眠る数多の『英霊たち』の集合体である漆黒の巨体に白い背ビレを持つ「守護神」がその雄々しき姿を現世に具現化したのだった。

 

 

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――シュイイイイイィィィィ・・・シュイイィィ・・・イィ・・・―――

―――ピユィイイイイイイィィィィィ・・・ピユィイイィ・・・イィ・・・―――

―――キュリィリリリ!ギュギギギギギギィ・・・ギュギィ・・・―――

 

日本各地で大暴れに大暴れを繰り返し、人々や自衛隊に都市を蹂躙していた三体の怪獣はあの『英霊たち』の集合体である黒き「守護神」によってあっという間に沈黙した。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

雄々しく勝利の雄叫びを上げる黒き「守護神」。その強さを、戦いっぷりを形容するなら「圧倒的」の一言であった。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――シュイイイイイィィィィ!!―――

 

まず、赤い怪獣と戦った黒き「守護神」は片手で赤い怪獣を投げ飛ばし、痛烈な蹴りの連撃で弱らせ、トドメに口から放つ白熱する熱戦で爆散させた。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ピユィイイイイイイィィィィィ!!―――

 

次に、極彩色の羽を持つ昆虫の怪獣と戦った黒き「守護神」は尾の一撃で昆虫の怪獣を撃墜し、その極彩色の羽を見るも無惨にボロボロにした後、トドメに口から放つ白熱する熱戦で爆散させた。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――キュリィリリリ!ギュギギギギギギィ!!―――

 

そして、最後に黄金の三つ首の怪獣と戦った黒き「守護神」は見事な投げ技で三つ首の怪獣を投げ飛ばし、鋭い牙で喉笛を抉った後、トドメに口から放つ白熱する熱戦で爆散させた。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

こうして、日本各地で暴れていた怪獣を見事に沈黙させた黒き「守護神」は雄々しく勝利の雄叫びを上げた。これで人々は怪獣の脅威から逃れ、平穏な日常を取り戻すことが出来る―

 

「ば、化け物だ・・・化け物だ!あの黒い怪獣が一番の化け物だーーー!!!」

「ヒドい・・・建物も、家も、人間も、動物も・・・みんな、みんな・・・壊されて踏み潰されて焼き尽くされてる・・・!あの黒い怪獣がやったんだ・・・!!」

「お父さーん!お母さーん!お兄ちゃーん!みんな、みんなどこーーー!!?返事してよーーー!!」

「あの黒い怪獣、どれだけ大勢の人間を巻き込んだんだよ!?いくら怪獣をやっけても、これじゃ意味がねぇじゃないかよ!!」

 

黒き「守護神」が三体の怪獣を全て沈黙させたとき、人々がかの守護神の抱いた感情は「感謝」では・・・なく「恐れ」に「絶望」、そして「憎しみ」だった。

何故なら、黒き「守護神」は怪獣を倒す際には周りのことなど一切顧みずに戦う―――怪獣を建物に叩き付けたり人々がいる方角にもお構いなしに投げ飛ばす、怪獣にトドメを刺すさに放つ熱戦で怪獣ごと全てを焼き払う、そもそもが怪獣の元へ向かう際も辺りの建物を崩して足下にいる人々を踏み潰しながら歩く、などなどとても「守護神」とは思えない所業の数々を行っていたからだ。

 

「ヤツは危険だ!ヤツを掃討せよ!!各部隊、射撃開始!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

―――ドォンッ!!―――

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!?―――

 

怪獣の脅威から人々を救った黒き「守護神」を完全に敵視した自衛隊によりる攻撃が黒き「守護神」へと浴びせられ始めた。

 

『何故だ!?なぜ我らを攻撃するのだ!?我らはお前たちを救ったのだぞ!!?』

『大勢を救うための多少の犠牲は致し方ないだろうが!?それなのに何故こうも怒るのだ!!?』

『私たちの時代はお国ためには命すら捧げたのに・・・何で今の人たちにはその覚悟が無いの!?』

『僕だって、僕だって死ぬ覚悟で、死んでもお国と国民のために頑張ったのに・・・何でそんなにふぬけているんだ!?』

 

自衛隊による容赦の無い爆撃に身を焼かれ、肉を抉られる黒き「守護神」もといその「守護神」の身に宿る『英霊たち』は悲鳴を、怪獣の魔の手から救ってやったのに敵視されて攻撃される理不尽に対する怨嗟の声を上げていた。

 

「撃て撃て撃てーーーっ!!ヤツを、ヤツを仕留めるんだーーーっ!!!」

 

「「「おおぉーーーっ!!!」」」

 

だが、その声が自衛隊や自衛隊の攻撃に悶える黒き「守護神」を遠巻きに見つめる人々に届くことは無かった。

何故なら、彼ら現代人と黒き「守護神」に宿るかつての(・・・・)『英霊たち』では価値観が、物の考え方が違うのだ。

 

お国のために、大義のためには様々な物に命までも捧げ、苦しくて貧しくてひもじい思いをしてまでも耐える事がよしと、当たり前とされた時代。

 

平和で、戦争も無く恵まれて飽食の時代を謳歌し、とにかく個人個人が自由に何でも出来る現代。

 

残念ながら、こうも違う時代の人々では理解し合う事は出来ないのだ。

 

加えて現代人は忘れていたのだ。この黒き「守護神」に宿る「英霊」たちに対する敬意を、感謝を、そして無念を―

 

「今だ!ヤツの目を狙え!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

―――ドォンッ!!―――

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!?―――

 

上官の名に従い、自衛隊の砲撃が黒き「守護神」の頭部に、それも眼球に撃ち込まれた。その結果、黒き「守護神」の目は見るも無惨に爆ぜて白く焼けただれた―

 

『お前たちが我らを敵とするならば・・・我らも貴様らを敵と見なそう!!』

『俺たちに砲撃を向けた報い受けるがいい!!』

『我らへの感謝を、我らの無念を忘れて平和にうつつを抜かすふぬけどもが思い知れ!!』

『許さない!絶対に許さない!!あなた達も私たちと同じになりなさい!!』

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「ひいっ!?あ、あの怪獣・・・白目をむいてるぞ!!」

「どうなってやがる!?目玉が吹き飛んだんじゃねぇのか!?」

「って言うか、さっきまで効いてた攻撃が急に効かなくなったぞ!!?」

 

自衛隊の一斉砲撃を頭部に、目に受けた黒き「守護神」の頭部を覆い隠していた硝煙が晴れた時、先程までは生物らしさを宿していた黒き「守護神」の目は完全な白目となり、自身への数々の無礼を働く現代人に憎悪に狂った白目を向けた。そして―

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

憎悪に狂った黒き「守護神」・・・否、もはや「破壊神」となった『英霊たち』もとい「怨念たち」はその口から吐く地獄の業火の如き熱戦で全てを灰燼へと帰し始めたのだった。

 

 

 

「崇め奉り、感謝すれば最強の守護神にして英霊。しかし、その存在と無念や悲しみを忘れたならば・・・最凶の破壊神にして怨念となる・・・」

 

そう言って手にした小型ラジオから流れてくる黒き「破壊神」の、巨影「禍津神 呉爾羅(ゴジラ)」によるあまりに一方的で、あまりに救いようのない蹂躙劇を、ただただうなだれながら聞くことしか出来ない伊佐山が慰霊碑の側にいた。

そんな伊佐山の側にいある慰霊碑だが・・・今や見る影も無く真っ二つに割れていた。どうやら、もはや呉爾羅(ゴジラ)を鎮める事は不可能であるようだ。

 

特に、呉爾羅(ゴジラ)への感謝を、その無念や悲しみを忘れた現代の人間では。

 

特に、その現代人を妬み、怒った呉爾羅(ゴジラ)では。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 




如何でしたでしょうか?

今回は『歴代でも"最凶"あるいは"最狂"」と謳われるGMKゴジラ、通称『白目ゴジラ』が登場です。

ふと思ったのですが、なぜ作中(大怪獣総攻撃)ではゴジラを、ゴジラになってしまった戦死者たちを崇めずに、ほぼ眉唾物の護国聖獣を崇めたのでしょうね?
だって、太平洋戦争はおおよそ百年ほど前で、写真とかの「明確な」証拠があります。一方の護国聖獣はもう何千年も前で、あってもせいぜい文献(それも絵ていど)なのに。
にもかかわらず、作中では眉唾物の護国成獣を崇め、本当にお国のために散ったり、無念のままに死んだ人々を蔑ろにした・・・これじゃゴジラになって日本に襲ってくる、というかきっと彼らは「俺らを崇めろコノヤロー!!」って言いたかったのでしょうね。

とはいえ、人間って「嫌なこと」を忘れたがる生き物ですからね。だから『大怪獣総攻撃』での現代の人々は「嫌なこと」=「戦争」を忘れたのでしょうね。その結果でゴジラが来たから台無しだけど。

「人間は嫌なことを忘れる生き物」という事ですが、先の原爆投下を例に挙げればその原爆の化身たるゴジラが「ただの強い怪獣」として扱われ(特に最近のシリーズ、及び2014年版、最近の創作物)、数年前に『裸足のゲン』が有害図書あつかいされたニュースがありました・・・果たして「忘れる事」が本当にいいことなのでしょうか?僕はそうは思いませんが・・・


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第二十六話 「ヒーロー」な『巨影』

どうもです。銀色の怪獣です。

さて、今回のお話は・・・正直、僕が今回出てくる巨影を最初に、テレビで見た瞬間に思いついたネタをやります。やっとやれたぜ!!

とはいえ、ちゃんと意味とかストーリーは構成している(?)のでご安心を。

とはいえ、厳密には今回の巨影は原作『巨影都市』には出ていないから少し不安ですが・・・まぁ、巨影の『元』は出てるからあながち変ではないと思いますが。

では、何が出るのかご覧下さいませ。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

―――ガシャーン!!―――

 

―――キィイイィィッ!?―――

 

とある大都市の、あちこちから火の手が上がり、もはや瓦礫の山しか散乱していない「元大都市」の中心地では一体の怪獣と、一人の巨人が戦っていた・・・だが、その戦いはあまりに一方的で、あまりに残虐であった。

 

 

 

 

―――キィイイィィッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?な、何だよアレ!!?」

「に、逃げろっ!やられるぞ!!」

「助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

ある日、とある大都市のど真ん中に突如として地底から怪獣が現れた。

茶褐色の皮膚と全身を覆う無数の棘、背中には巨大な翼、腹部には赤い目のような六つの発光体を持つかなりズッシリとした体格の巨大怪獣であった。

そんな怪獣はその見た目にそぐわず凶暴であり、姿を現わして早々に大都市を破壊し始め、甚大な被害を与えていた。しかし、

 

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

―――ガシャーン!!―――

 

―――キィイイィィッ!?―――

 

突如として怪獣がぶっ飛ば(・・・・)された(・・・)。空の彼方より飛来した英雄(ヒーロー)によって。

 

「おおっ!来たぞ我らの救世主(ウルトラマン)が!!」

「やった!これで一安心だ!!」

「ウルトラマーン!悪い怪獣をやっつけてー!!」

 

それまで思うがままに破壊の限りを尽くす怪獣が突然無様にぶっ飛ばされ、悲鳴を上げたことで逃げ惑う人々は怪獣をぶっ飛ばした存在に、空の彼方より飛来した英雄に気付くと立ち止まって英雄に向かって声援を送り始めた。

そう、それほどに空の彼方より飛来した英雄は人々に「自分たちを助けてくれる存在」と認知されているのだ。

事実、件の英雄の一族(・・)は幾度となく人々を、この地球という欲しを、更に言えば宇宙中で人助けをしている「正義の巨人」なのだ。

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

そして暴れる怪獣を倒すべく今回現れた巨人はと言えば、鈍い銀色の地に禍々しい赤と黒の模様、赤くつり上がった目、鋭い鉤爪のような指先、筋骨隆々の体、と言った具合によく言えば「強者」だが、悪く言えば「怖い」どころか「危険」という印象しか与えなかった。

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

加えて、人々が巨人に抱いた先の悪い印象を裏付けるかのように巨人の戦い方は凄まじかった。

 

怪獣の頭を掴んで勢いよくビルに叩きつけた上で執拗に頭部を殴打する。

 

何の躊躇もなく腹を複数回蹴り飛ばす。

 

怪獣の尻尾を掴んで振り回しビルに叩きつける 。

 

壊れたビルを引っこ抜いて持ち上げ、怪獣に投函武器として思いっきり投げつける。

 

怪獣に肉薄した後、エネルギーで作り出した刃物で尻尾を根元からぶった切った上に切断した尻尾で怪獣の体を殴打した挙句、怪獣の光線をその尾でガードする。

 

激しく容赦のない攻撃の数々に息も絶え絶え、ズタズタのボロボロで虫の息となった怪獣を瓦礫の山に向かって力任せに放り投げる。

 

といった具合にあまりに乱暴で、あまりに恐ろしくて、あまりに傍若無人な戦いを繰り広げていた。

 

「な、何だよ・・・アレ・・・」

「ヒドい・・・いくら何でもやりすぎよ・・・」

「残酷すぎるだろ・・・」

 

そんな巨人の戦い・・・否、巨人による怪獣への一方的な「蹂躙劇」を目の当たりにした人々は今までの英雄たちとはあまりに違う今回の巨人にただただ怯え、ただただ呆然と立ち尽くすしかなかった。と、ここで―

 

「この・・・このバカヤロー!なんて下手くそな戦い方だ!!周りを見てみやがれ!!!それでも救世主(ウルトラマン)かよ!?なんも守れてねえじゃねえか!お前が一番街を破壊してるじゃねぇかよ!この大バカヤローーー!!!」

 

そう言って一人の若い男性警官が、胸には「アイハラ」という名札を付けた警官がどうにか無事だったビルの屋上に登り、街を怪獣以上に破壊しまくって甚大な被害を出した巨人に向かって怒鳴っていた。すると、

 

―――キッ・・・ィイィ・・・キィイイィィッ!!―――

 

「!?なっ・・・アイツ、まだ生きてたのか!!?」

 

アイハラが巨人に向かって怒鳴った直後、巨人に一方的にやられて最期は瓦礫の山に向かって投げ込まれたままピクリとも動かなかった怪獣が立ち上がった。とはいえ怪獣は満身創痍でその足取りはおぼつかず、立っているのがやっとと言った具合であった。

しかし、それでも怪獣は立ち上がったのだ。己の意地とプライドにかけてやられっぱなしは許せないのだ・・・その余計な意地とプライドが怪獣と約一名(・・・)(まが)を招くことになる。

 

「ヴォォ・・・ヴォアア゛アアッ!!」

 

―――メキッ・・・バキバキバキッ!!―――

 

「あっ!テメェこのヤロー!!また街を壊すのか!?止めろ!街を壊すんじゃねぇ!!何回言えば分かるんだこのバカヤローーー!!!」

 

あれだけボコボコしてもう動かなくなったと、死んだと思っていた怪獣が立ち上がったのを見た巨人は手近にあったビルを地面か引っこ抜き、抱え上げると怪獣に向き直った。どうやら、巨人は抱え上げたビルをまた怪獣にぶつけるつもりらしい。

 

「って、あっ・・・オ、オイ・・・嘘・・・だろ・・・?これって、ヤバくね・・・!?」

 

そんな巨人と怪獣の間には、正確に言えば怪獣の真ん前には一棟のビルが、あの口うるさいというか巨人(ウルトラマン)に向かってお説教をかますという大それた事を行ったアイハラが屋上にいるビルが立っていた。

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

しかし、巨人はそんなアイハラのことなどお構いなしに、そもそもがアイハラのことなど視界にどころか「気にすらしてない」様子で怪獣を睨み、抱えた上げたビルを思いっきり振りかぶって―

 

「や、止めろよ・・・止めてくれよ!そんな物投げたら俺が巻き込まれるじゃねぇかよ!!ウ、ウルトラマンが戦いに人間を巻き込んでいいのかよ―――」

 

一方のアイハラだが、先程までの巨人に向かってエラそうに啖呵を切っていた頃の気迫はどこへやら、巨人が自分(の後にいる怪獣)に向かって何の躊躇もなくビルを投げようとしているに狼狽え、必死になって叫んだが―

 

「ヴォアア゛アアッ!!」

 

「う、うわぁあああぁぁぁーーーっ!!?」

 

巨人は、何のためらいもなくビルを怪獣に向かって投函した。怪獣の目の前にあるビルの屋上にか弱い人間(アイハラ)がいてもお構いなしに・・・

 

 

 

 

―――ギャオオオォォォッ!!―――

 

―――グガァアアアァァッ!!―――

 

空の彼方より飛来した英雄(ウルトラマン)が大都市で大惨事を起こしていた頃、どこかの自然豊かな山奥では二体の怪獣が「じゃれ合って」いた・・・が、いくら「じゃれ合っている」とはいえ、体長が50mを超えて体重も数万トンある怪獣が身を捩れば山が崩れ、手足や尾を振り回せば山の木々がへし折れ、足踏みをすれば地形が作り替えられていた。

それほどに彼ら「怪獣」という桁違いの巨体とパワーを持つ存在は危険極まりないのだ。しかもそれが二体もいた日には・・・言わずもがなだ。

とはいえ、唯一幸いなのはここは誰もない山奥であり、どれだけ怪獣たちが「じゃれ合って」も被害者が出ない点は救いだった。だが、もしもこの怪獣たちが人里や大都市に移動したら・・・それこそ大惨事は免れないだろう。すると、

 

「ハッ!!」

 

―――ギャオオオォォォッ?―――

 

―――グガァアアアァァッ?―――

 

不意に、誰かが怪獣たちの近くに降り(・・)立った(・・・)

そんな「誰か」は空の彼方より飛来したのだ・・・加えて、その「誰か」は怪獣より少し小さいとは言えども身長が42mにも達し、全身が夕陽のような"赤色"で彩られた"男"であった。

そんな赤い男は自身を見てキョトンとした様子の怪獣たちを一瞥すると・・・どこからともなくナイフを取り出してこう叫んだ―

 

殲滅開始(レッドファイト)!!」

 

赤い男は戦う。愛と平和のために。人々の笑顔のために。怪獣という「悪」を殲滅するために。怪獣という「悪」からか弱い人々を守るために、か弱い人々に安心してもらうために戦うのだ。

 

「暴れる前にやっつけちゃおうというのも、見方を変えれば正義として正しい生き様じゃないですかね」

 

と、とある人物は言った。そう、実際はその通りであって、そうあるべきである。

 

事実、とある大都市を怪獣以上に破壊して壊滅させた巨影「サンダーブレスター」を含む巨人の一族など、怪獣や宇宙人が暴れ始めてから、街を壊して人を殺し始めてからノコノコと出てくるのがお決まりである。

 

「レッドアロー!!」

 

―――ギャオオオォォォッ!?―――

 

「レッドフォール!!」

 

―――グガァアアアァァッ!?―――

 

しかし、この赤い男は違う。赤い男はか弱い人々を守るために、怪獣が暴れる前に殲滅して人知れず平和を守っているのだ。

しかし、赤い男は「人知れず」戦っているために人々から感謝されることもなく、黄色い声援を受けることもない。

だが、それでも赤い男は構わない。赤い男にとって大事なのは人々の笑顔を守り、人々に平和をもたらすことだ。だから赤い男は黙々と全く喋らすに、俗に言う「ヒーローは黙して語れ」の信念でただひたすらに怪獣を倒す。全ては「平和」のために。人々の「笑顔」を守るために・・・

 

「虐殺・・・殲滅開始(レッドファイト)!!」

 

そう叫び、赤い男は勇気の赤を身に纏い、熱い血潮を真っ赤に燃やして戦う。全ては愛と平和のために・・・そのためならば恐れるものは何もない!!

 

そんな素敵でカッコいい英雄(ヒーロー)の名は―

 

巨影「赤い通り魔 レッドマン」である!!




如何でしたでしょうか?

今回は(悪い意味で)有名で、尚且つ妙な共通点があって、そこかしこ(某ニ〇ニコ、pi〇ivとか)でネタにされる事の多い「低予算番組の極み」とか「おはよう!殺獣ショー」とか「赤い通り魔」と称される「レッドマン」と、そのレッドマンになぞらえて「予算のあるレッドマン」とか「帰ってくれウルトラマン」と称される「サンダーブレスター(ウルトラマンベリアル)」のお二方が登場です。ちなみに、サンダーブレスターにボコられたのはマガオロチです。
ベリアル陛下は原作のゲームに出てるからね?おかしくはないよね?

そして、まさかのサンダーブレスターに伝説のお説教をかましたのは「歴代ウルトラ隊員一の問題児」とか「最低のお調子者」と称される『ウルトラマンメビウス』のアイハラ リュウさん(がモチーフの)方です。
いやね、そこかしこでよく「サンダーブレスターの戦いをリュウさんが見たらメビウスの時以上にブチ切れること間違いなし」とかネタにされてるからどうしてもやりたくて・・・

で、最期のレッドマンは・・・正直、レッドマンは怪獣とかが暴れてからノコノコ出てくるウルトラマンと違って「怪獣が被害出す前に倒してるのは正義のヒーローとして正しいし、ウルトラマンどもも『宇宙の警備団』を名乗るならレッドマンぐらいやったほうがいいよね?」という僕の個人的な偏見です・・・まぁ、彼は殺(や)り方がマズいだけですからね・・・

あ、そうそう。未確認情報ですが・・・「着ぐるみの使い回し、CGでごまかす等の低予算での特撮の撮り方」に味を占めた円谷プロが『レッドマン』を本気でリメイクしようとしているらしいですよ?


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第二十七話 狂わせる『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

さて、今回の更新は・・・新たな『巨影』を出しつつ、前に出た『巨影』が再登場(しかも何回か)します。ついでに言えば、出て来た巨影たちが何らかの形で再登場することは今後もありえます。
何故か?まぁ・・・後々分かりますが、この『巨影都市オブ・ジ・エンド』って実は・・・なんですよねぇ。その伏線ってことです。ハイ。とはいえ、それが分かるのはかなり先ですが・・・

では、どうぞです。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

「な、何じゃありゃあああぁぁぁっ!!?」

「ば、化け物だーーーっ!!!」

「き、巨人・・・いや『魔神』だーーーっ!!!」

 

大勢の人々が行き交うとある大都市の中心に、何の前触れも無く色白の顔に四つの青い目とグロスを塗ったような艶やかな唇、ネイルをしたような両手の鋭い爪、まるでハイヒールを履いたような足、そして豊満なバストを持った身長が54mもある巨人(きょじん)もとい「魔神(まじん)」が現れた。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

そんな魔神は自身を見てパニックを起こして逃げ惑う人々を一瞥すると・・・両肩の角から紫色の光を、その実は「電磁波」を逃げ惑う人々に浴びせ始めた。すると―

 

「あっ!?がっあああぁぁぁっ!!?あ、頭が割れ・・・るっ!!?」

「い、痛いっ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!頭が・・・痛いっ!!!」

「な、何なんだ・・・よ・・・コレッ!!?」

 

魔神が発した紫の電磁波を浴びた人々は凄まじい頭痛に襲われながらその場でバタバタと倒れ、頭が割れるような痛みに耐えきれずにその場で七転八倒して苦しんでいた。そして―

 

「うぅ・・・あぁあ゛っ!!!」

「がああぁぁっ!!!」

「うおおおぉぉぉっ!!!」

 

魔神の発した紫の電磁波を浴びて苦しんでいた人々であったが、突如として跳ね起きると・・・何と、手当たり次第に物を破壊する、誰彼構わず襲いかかる、挙句は殺人まで起こす等々の行動を起こし始めた。

そんな人々は目は異様に血走ってギラギラと、まるで自分以外のあらゆるものが敵に見えているかのようであった。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

一方で、足下で争い合って殺し合う街の人々を一瞥して魔神はさも愉快そうに笑っていた。何故なら、魔神は自分の持つ「能力」によって狂った(・・・)人間たちを見て「愉しんでいる」のだ。

実は魔神の放つ紫電磁波は人間の脳の中に一種の恐怖ホルモンを作り出し、攻撃衝動や破壊衝に殺人衝動を起こし、挙句は脳を「破壊」してしまう。

つまり、魔神は電磁波を放つだけで指一本動かさずに全人類を滅ぼすポテンシャルを持っているのだ。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・フッシュッルルッ!!―――

 

―――ドォン!!―――

 

だが、この魔神はそもそもが嫌らしい性格であると同時に、非常に冷酷で人類の抹殺を目的としているので「指一本動かさない」ということはせず、紫の電磁波で人間を狂わせて殺し合わせると同時に、自ら額から撃ち出す光球で街を壊して人々を殺害するなどして暴れていた。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

自身が発した電磁波で狂って殺し合う愚かな人間を、自身が行った破壊活動で次々と死に絶えていくか弱い人間を見て邪悪な笑みを浮かべ、悦に浸る魔神。

だが、そんな矢先に魔神の気分と企みを害する「闖入者」が地底より現れた―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

突如として魔神のいる大都市の地下から闖入者が、瞳の無い金色の目に銀色の体表を持つ逞しい体付きの怪獣が大都市の地面を砕き割って魔神のすぐ目と鼻の先に現れた。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

そんな銀色の怪獣は魔神を一目見ると雄叫びを上げ、両腕をぶつけ合って気合を入れるような動作をすると魔神に向かって猛突進し始めた。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

一方の魔神であるが、最初こそ突然の銀色の怪獣の乱入に驚いた様子を見せたが、すぐに今までの余裕たっぷりな表情と様子に戻った。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

しかし、そうこうしている内にも銀色の怪獣はビル群をなぎ倒し、地響きを轟かせながら魔神に接近してあと数歩で魔神に掴みかかれるという距離まで接近した、その瞬間!!

 

―――フッフッフッフッフォ・・・フッシュッルルッ!!―――

 

―――グオッ!?グオオオオオォォォォ!!?―――

 

魔神は向かってくる銀色の怪獣を不敵な笑みを浮かべながら一瞥すると・・・銀色の怪獣に向かってあの紫の電磁波を浴びせ始めた。

 

―――グオオオオオォォォォ!?グオオオオオォォォォ!?―――

 

魔神の放つ紫の電磁波を浴びた銀色の怪獣はヨロヨロとよろめいた後、その場にひっくり返って悶えていた。そう、魔神の放つ紫の電磁波は巨大な怪獣にでさえも影響を及ぼしてしまうのだ。

 

―――フッフッフッフッフォ・・・―――

 

自分の放つ電磁波によって悶え苦しむ銀色の怪獣を、自分の「楽しみ」を邪魔した銀色の怪獣(おろかもの)を見下ろしつつ、巨大で強力な銀色の怪獣の脳すら破壊して犯す自身の能力の凄まじさに、魔神は悦に浸っていた―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――バキッ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

突然、魔神の顔面に凄まじい衝撃が走って「殴り飛ばされた」。そんな魔神を殴り飛ばした張本人は当然―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

突然殴り飛ばされたことで驚き、殴られた頬をさすりながら立ち上がろうとした魔神はそのまま地面に押し倒され、魔神を押し倒した張本人の銀色の怪獣が魔神の体の上に馬乗りになって魔神をフルボッコにし始めた。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――バキッ!!ドカッ!!ドゴッ!!ゴキッ!!ゴシャッ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

魔神に馬乗りになった銀色の怪獣に「慈悲」や「容赦」といった類いのものはなく、とにかく魔神の顔や頭をその剛腕で殴りまくる、あるいは7万5千トンもあるヘビー級の体重を活かした押し潰し攻撃を見舞ったりもしていた。

 

―――フッフォ・・・フッシュッルルッ!!―――

 

―――ドォンッ!!―――

 

とはいえ流石に魔神もやられっぱなしな訳は無く、魔神は両手の鋭い爪で銀色の怪獣の喉に突きを見舞い、更には銀色の怪獣の顔面に向かってあの青い光球を発射して爆発させた―――が、

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――バキッ!!ドカッ!!ドゴッ!!ゴキッ!!ゴシャッ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

何と魔神の攻撃は銀色の怪獣には全く応えておらず、銀色の怪獣の攻撃が止むことは無かった。

それもそのハズ、この銀色の怪獣は凄まじく高い防御力と生命力を持っており、たかだか光球や突き程度では怯むことも傷付くことも無かったのだ。

 

―――フッ・・・フォ・・・フッシュッルルッ・・・―――

 

「このまままでは殺される」魔神の鳴き声を人後で表現するならこれしかないだろう。

事実、銀色の怪獣に一方的にやられている魔神は息も絶え絶え、あれだけ白く美しい顔は皮膚がうっ血してどす黒く変色して腫れ上がり、艶やかな唇は切れて血まみれ、挙句は自慢の電磁波を放つ両肩の角も折られていた。これは「女性」である魔神にとっては凄まじい屈辱であった。

だが、それでも銀色の怪獣は攻撃の手を緩めない・・・このままでは確実に魔神は殺される。だから彼女こと魔神は「奥の手」を使うと決めた。

 

―――フッ・・・フォ・・・フッシュッルルッ・・・!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!?―――

 

突然聞こえた魔神の気合を込めた一吠えと銀色の怪獣の戸惑ったような声。

見れば・・・何と、魔神の体があっという間に透けてその場から消え去ろうとしているではないか!!加えて、今の今まで魔神に当たっていた怪獣の攻撃は消えかけている魔神の体を通り抜けていた。

実はこの魔神は「亜空間種」と呼ばれる種族であり、先の電磁波など以外にもテレポート能力を持っている。そのため、魔神は身の危険を感じるとテレポートして逃げてしまうのだ。だが―

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――フッフォ!?フッシュッルルッ!?―――

 

突然銀色の怪獣が吠えた。かと思えば、銀色の怪獣はあさっての方向に向かって腕を突き出した―――かと思えば、何と、銀色の怪獣が突き出した腕にはたったいま消え去った魔神が捕まっており、捕まれている魔神は相当に戸惑っていた。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ザシュッ!!―――

 

―――フッフォ!?フッ・・・シュッル・・・ルッ・・・―――

 

だが、魔神の都合など銀色の怪獣には関係ない。銀色の怪獣は捕まえた魔神を自分の元へ引き寄せた直後、白く輝く鋭い牙をむき出して魔神の喉笛に噛み付き、そのまま噛み殺した。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

魔神を噛み殺した銀色の怪獣は息絶えた魔神の体を投げ捨てると、両腕で胸を叩いて叩きながら勝利の雄叫びを轟かせた。

実はこの銀色の怪獣もまた魔神と同じ「亜空間種」の「亜空間怪獣」という種類であり、それ故に一応は同種類の魔神の動向を見抜いて捕獲することが出来たのである。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

そんな銀色の怪獣であるが、息絶えて動かなくなった魔神にはもう目もくれず、今度は足下で相変わらず争いや殺し合いを繰り広げる街の人々に襲いかかり始めた。

だが、魔神の電磁波によって脳を破壊された人々には「逃げる」や「身を守る」という選択肢は無く、ただひたすらに銀色の怪獣に蹂躙されていった。

 

 

 

 

ある日、日本の大都市が「魔神」に襲撃された。そんな魔神は生来持ち合わせた人間を狂わせて殺し合わせる紫の電磁波を放ち、人類を同士討ちさせて滅ぼそうと企んでいた。

しかし、そんな魔神の前に突如として現れた銀色の怪獣によって魔神の企みは大きく狂い、挙句は魔神はその銀色の怪獣に殺された。

だが、実を言えば魔神の放つ電磁波は銀色の怪獣の脳を狂わせ、破壊することには成功していた・・・だが、残念なことに怪"獣"は"人間"とは違って「理性」ではなく「本能」で生きている。

そのため、いくら魔神が怪獣の脳を破壊して狂わせても、知性や理性によって破壊衝動や殺人衝動を抑え込める人間と違って「意味が無かった」のだ。

加えて、銀色の怪獣は動くものなら何でも襲いかかる本能があり、それ故に魔神は銀色の怪獣が持つ「動いてるものに襲いかかる」という"本能"のなせる技によって屠られたのであった。

 

こうして大都市を襲撃し、己の持ち合わせた能力によって人類抹殺を目論んだ亜空間に住む巨影「魔神 エノメナ」の企みは、そのエノメナと同じく亜空間にする巨影「剛力怪獣 シルバゴン」によって打ち砕かれたのであった。

だが、あくまでシルバゴンは「ヒーロー」ではない。シルバゴンはあくまで本能に従って動き、目の前で動く獲物を襲っただけだった。そして、そんなシルバゴンを止める手立ては・・・人類には無い。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 




如何でしたか?
今回は『ウルトラマンティガ』より「実は女性で、企画段階では『魔女』だった」という「魔神 エノメナ」が登場です。
で、エノメナが女性だという証拠(?)は、グロスを塗ったような唇、ネイルをしたような爪、ハイヒール履いたみたいな足、膨らんだ胸、胸元の鎖みたいなネックレス(?)に加えて「自分の魅力(能力)で人々を惑わし、狂わせる」や「狙った輩をどこまでもつけ回して自分のものする(劇中ではデバンをつけ回していた)」という『悪女的』な演出が取り入れられているらしいです・・・まぁ、確かに女性の方が狡猾もとい色々と「怖い」ですからね・・・

ある意味では『一人の男に執着して星を超えてまで追ってくる執念深い女』というイメージで作られた「石化魔獣 ガーゴルゴン」に通じます(登場したのはエノメナが20年以上も先で、あくまでガーゴルゴンはイメージがそうなだけで、エノメナは明確に「執念深い悪女」として描かれている)な。

んで、まさかのシルバゴン再登場からの大活躍(エノメナを倒すのと怪獣らしく街の破壊など大暴れ)でした。何故シルバゴンが唐突に再登場したのかは・・・後に明らかになります。


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第二十八話 "快"獣で"怪"獣な『巨影』

こんにちは!作者です。

さてさて、今回は・・・作者があらゆる怪獣・宇宙人の中でも一番好きな"快"獣が出ます。ただ、この"快"獣は原作『巨影都市』には出ていない・・・ので、色々と創意工夫を凝らして出しました。
ただ、思うのは・・・意外にこの"快"獣と後に出てくる怪獣って意外と共通点が多いんですよね・・・偶然とはいえ、そのおかげでこんな話が出来ましたよ。

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

Complete(かんせい)ダ・・・!ついに、MeのDream(ゆめ)が叶いマース!!」

 

ここは大国、アメリカの大都市ニューヨークの片隅にあるとある一軒家。そんな一軒家、の物置小屋には一人の金髪の少年がいるのだが、実は少年はこの物置小屋で「あるもの」を飼って(・・・)いた。それは―

 

―――ガアァオォン!!―――

 

「Oh!そうデスカ、YouもPleasure(たのしみ)なんデスネ」

 

―――ガアァオォン!!―――

 

少年が物置小屋で飼っているもの、それは―――全長が3mもある恐竜・・ではなく、後足二本で立って歩く巨大なイグアナだった。

 

 

 

―――ガアァ・・・オォン・・・―――

 

「ど、どうしたンデスカ!?All Right(だいじょうぶ)デスカ!!?」

 

少年と巨大イグアナの出会いは数ヶ月前のことだった。

ある日、少年が何となく海辺を散歩していた際に岩場の影で瀕死になっている巨大イグアナを見付けた後、家に連れ帰って献身的な看病を続けた結果、巨大イグアナは全快した上に少年にとても懐き、今や少年と巨大イグアナは「親友」と呼べる関係になっていた。

 

 

 

 

「OK!デハ・・・Drink(のむ)デスヨ!!」

 

―――ガアァオォン!!―――

 

そうやって「親友」となった少年と巨大イグアナであるが、少年は巨大イグアナと過ごす内にふと「ある事」を思いつき、その思いつきを実現させるために少年は・・・自分で特殊な栄養剤「クロパラ」を作り上げて、何と親友の巨大イグアナに飲ませたのだ!!

 

―――ガァ・・・アァオォ・・・ン!!―――

 

「Goodデース!これデ、YouはKing of Monster(怪獣王)になれるデスヨ!!」

 

巨大イグアナがクロパラを飲み干したのを見届けた少年は満面の笑みを浮かべた。

実は少年がクロパラを作って巨大イグアナに飲ませたのは先の「ある事」のため、少年の夢である「怪獣王を作る」という目的のため、つまりは「親友である巨大イグアナを怪獣王(ゴ〇ラ)に仕立て上げてしまおう」という、何ともまぁマッドというか外道じみた発想ゆえだった。

 

―――ガァ・・・アァオォ・・・ン・・・?ガアァオォン!!―――

 

「Oh!MeのMake(つくった)クロパラはSuccess(せいこう)デスネ!!これデ、YouはKing of Monster(怪獣王)になれますヨ!!」

 

一方で、クロパラを飲み干した巨大イグアナの体にさっそく変化が起きた。そして―

 

「W、What!?ど、どうなってるんデスカ・・・これハ・・・!!?」

 

自身が作って飲ませたクロパラによる変化を終えた巨大イグアナだったもの(・・・・・)を一目見て呆然とするしかない少年。何故なら―

 

「バ・・・バラサ、バラサーー!!()、喋れるようになったーーー!!!」

 

何故なら、少年にクロパラを飲まされた巨大イグアナは・・・怪獣王になるどころか、人語を解する非常に可愛らしくて愉快な見た目と性格をした、言うなれば怪獣ならぬ「快獣(かいじゅう)」になってしまったからだった。

 

 

 

 

「Hey!ブースカ!!Lunch(おひるごはん)はツナサンドですヨ!!」

 

「わぁーい!僕、ツナサンド大好きー!!バサラ、バサラー!!」

 

「ウフフ、本当にブースカはマグロ(ツナ)が好きね」

 

「うん!僕、マグロ(ツナ)大好きー!!」

 

「ハハハハ!マグロ(ツナ)はヘルシーで体にいいからな!たくさん食べなさい!!」

 

大都市ニューヨークの片隅にある一軒家の庭先でとある一家が、あのクロパラを作った少年とその家族、そして少年の親友の「快獣」がみんなでお昼ご飯を食べていた。

 

 

 

「お父さん、お母さん、こんにちはー!僕、ブースカです!!どうぞよろしくお願いしまーす!!」

 

「き、きゃあああぁぁぁっ!?何、このモンスターは!!?」

 

「ポ、ポリス!いや、ヘルプセンター(保健所)を呼ぶんだーーー!!」

 

大都市ニューヨークの片隅にある一軒家の物置にて、一人の少年が作った栄養剤によって巨大イグアナが生まれ変わった快獣を、その栄養剤を作った少年が家族に紹介したが・・・結果はご覧の通りの大騒ぎになっていた。

 

「マミー!パピー!Calm Down(おちついて)下サーイ!!この快獣はMeのClose Friend(しんゆう)デス!!」

 

「ええっ!?ど、どういう事なの!!?」

 

「パ、パパたちに説明しなさい!!」

 

「そ、それはデスネ―――」

 

快獣となった、もとい快獣になっても変わらず「親友」である元巨大イグアナを見て大騒ぎし、挙句はライフル銃まで持ってこようとしていた両親をどうにか落ち着かせた少年は事の経緯を全て包み隠さず両親に話した。その結果、

 

「―――と言うことデース。マミー、パビー、ビックリさせてSorry(ごめん)デス・・・」

 

「そうだったの・・・分かったわ。じゃあ、今日からブースカも家族の一員ね。いいでしょパパ?」

 

「OKだよママ!何せ、可愛い息子の親友なら家族も同然だ。ということで、よろしくねブースカ!!」

 

「!?マミー、パピー、ブースカがFamily(かぞく)になるのヲOKしてくれるんデスカ!?」

 

「「Of Course(もちろん)だよ!!!」」

 

「あ、ありがとうデース!!」

 

「僕も、僕もありがとうございますお父さんにお母さん!!バサラ、バサラーーー!!!」

 

息子の説明を、事情を知った両親は・・・何と、少年が作ってしまった快獣を家族の一員として迎え入れることを許し、一人の少年が巨大イグアナから作った快獣はこの家族の一員として迎え入れられることと相成ったのである。

 

こうして寛大で心優しい両親の許しを得て、はれて家族の一員となった快獣は自分を迎えれてくれた家族とともに幸せな時間を過ごしていた。だが、それも長くは続かなかった・・・

 

 

 

―――ガアアアァァァッ!!―――

 

「な、何じゃありゃあああぁぁぁっ!!?」

「か、怪獣だーーーっ!!!」

「誰か、誰か助けてーーー!!!」

 

何気ない平和で当たり前の日常はある日突然、唐突に崩れ去る。大都市ニューヨークのど真ん中に突如として怪獣が現れ、辺り一帯を壊滅させて甚大な被害を出したのだ。

その結果、怪獣が破壊の限りを尽くしたニューヨークの街は壊滅し、数え切れない人々が死んだ。そして、その犠牲者の中にはあの快獣を親友としている少年の両親も含まれていた。

 

「マミー!パピー!ダメです!!死んじゃイヤだ・・・死なないデーーー!!!」

 

「お父さん!お母さん!そんな・・・嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ・・・嘘だって言ってよーーー!!!」

 

怪獣によって壊滅させられた大都市ニューヨークの片隅で、息絶えた両親の前で泣き崩れる少年と快獣。そんな二人を両親は身を挺して助け、その引き換えに命を落としたのであった。だが、現実は残酷である。

 

―――ガアアアァァァッ!!―――

 

「ヒイッ!?モ、モンスターが戻って来タ!!?」

 

大声で泣き叫ぶ少年の声を聞きつけたのか、大都市を壊滅させた怪獣が少年たちの元へ歩み寄って来ていた。そんな怪獣の目は明らかに少年たちを凝視しており、狙っているのは確かであった。と、ここで―

 

「!?ブ、ブースカ!?ブースカ、何をしてるんデスカ!?それに、ソレ(・・)はマサカ―――」

 

不意に、あの快獣が少年を怪獣から守るかのように・・・否、守るべく怪獣と少年の間に立ちはだかった。そんな快獣の手には・・・あの栄養剤「クロパラ」が握られていた。すると、

 

「〇〇〇君、今までありがとう。こんな、こんな僕を親友だって言ってくれて、家族として扱ってくれて・・・」

 

「ブ、ブースカ!?急にどうしたンデスカ―――」

 

「〇〇〇君、お父さんとお母さんを守れなくてゴメンね。でも、君だけは絶対に守るからね。例えこの身を滅ぼしても。例え僕が正真正銘の『怪獣』になっても!!!」

 

「ブースカ、ダメ―――」

 

「さようなら・・・〇〇〇君。今までありがとう・・・」

 

快獣は巨大なイグアナであった自分を救い、そして親友として、家族として扱ってくれた少年に感謝と両親を守ってあげられなかった謝罪と、別れの言葉を告げると・・・手にしたクロパラを一気に飲み干した―

 

「ああぁ・・・あああ゛ぁ・・・あああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ・・・ガアアアァァァオオオオォォォォン!!」

 

「ブ、ブースカーーー!!!」

 

快獣がクロパラを飲み干した直後、快獣の体は一気に巨大化して快獣だった頃の面影を全く残さない見た目に、快獣の元の姿である「巨大イグアナ」を完全に怪獣化させた姿へと変貌した。

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

快獣、否、怪獣となった元快獣は可愛らしかった見た目は元より言葉も失った。だが、そんなことは元快獣にはもうどうだっていい。

何故なら、元快獣は全てを承知の上でクロパラを飲んだのだから。全ては・・・親友である少年を守るために自ら怪獣になることを選んだのだから。

 

―――ガアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ガアアアァァァッ!!―――

 

こうして、怪獣になった元快獣は全てを奪い、壊し、殺した憎き怪獣と戦った。

その結果は・・・元快獣の圧勝であった。元快獣は凄まじい素早さに加え、桁違いの耐久力と攻撃力、そして口から吐く三色のブレスによって憎き怪獣を殲滅したのであった。

それもひとえに、元快獣の「少年を守りたい」という強い気持ちと、元快獣を「怪獣王(GODZILLA)にしたい」と願って少年が作った栄養剤クロパラによって生み出された巨影「強足怪獣 ZILLA(ジラ)(二代目)」の思いが、ZILLAになった巨影「快獣 ブースカ」の願いが融合した結果であったのだ。




如何でしたか?

今回は何とあの大スター「快獣ブースカ」と、あの「マグロ食ってるダメなヤツ」の息子である「キング・オブ・モンスター」や「リザード」と呼ばれる「ZILLA(二代目・アニメ『ゴジラ・ザ・シリーズ』のヤツ)」が登場です。

で、実はブースカもZILLAも

・元はイグアナ(ブースカは主人公が「イグアナをゴジラみたいな怪獣にしたい」という思いで栄養剤クロパラを飲ませて生み出した、ZILLAは放射能で誕生した)

・知能が高くて人語を解せる(ブースカ普通に喋ってる、二代目ZILLAは普通に人の言うこときいてる)

という共通点からコラボさせました。何気に、今回のブースカは元がZILLAだからラーメンじゃなくてマグロが好物という小ネタも仕込みました。分かってくれたかな?

いやね、でも何故この頃ブースカはウルトラシリーズに出ないのか?多分、ピグモンやカネゴンよりはマスコットにしやすいだろうに。
多分、最期に出たのは『ウルトラマンダイナ』のOVA位だし、あのウルトラマンゼロには「黄色いタヌキ」呼ばわりされてて、僕はかなりムカってしましたね。


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第二十九話 動き、芽吹く『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

さて、今回は・・・ぶっちゃけると以前に投稿したガマクジラの時みたいな「勝手な生態妄想シリーズ」ですかね?とはいえ、出るヤツが出るヤツだから、ソイツの持ち味は出している(つもり)と思います。

話は変わりますが、今テレビ東京で放映されている『ウルトラマンオーブ』の再編集番組が終わったらウルトラシリーズの最新作が始まるとか。
つまり、要するにアレはそのための準備期間&軍資金集めらしいですね。

後、この頃円谷がやってる「ファンから支援金募って怪獣の着ぐるみ作って出そう」的な企画がザンドリアス、ノイズラーに続いて近々あるとか。今度は何でしょうね?
ちなみに、その企画の副産物(ようするに想像以上にお金集まったから)で『ジード』にギエロン星獣出たそうですよ?「金余ったから何か有名なのテキトーに作るか」というテキトーな発想で・・・別に「悲劇でいろ』とは言いませんが、そんなテキトーな理由で選ばれたギエロンは何を思うのか?


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

『おごれる人間共よ。もうお前達の世界は終わりだ。我々植物人間がお前達にとって変わるのだ。我々はついに高度の文明を持つようになった。お前たち人間共を滅ぼして植物人間、我らケロニアの王国を打ち立てるのだ!!』

 

ある日、とある大都市の上空に何の前触れもなく無数の円盤群が現れ、先の宣言もとい「宣戦布告」を人類に行った。その直後―

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「な、何だありゃあ!!?」

「か、怪獣だーーー!!」

「い、いや・・・化け物だーーー!!!」

 

先のと突然の円盤群襲来と宣戦布告に呆然としていた街の人々であったが、円盤群より巨大な「怪獣らしきもの(・・・・・)」が地上へと無数に現れて暴れ始めた事で我に返り、パニックを起こしていた。

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

まるで象のような雄叫びを上げ、街を破壊する「怪獣らしきもの(・・・・・)」であるが、なぜ「怪獣らしきもの(・・・・・)」という表現になっているかというと・・・その大まかなフォルムが人間と大差ないにもかかわらず、体表は深緑の植物かコケのような物で覆われ、その上で目から怪光線を放つなど何とも言えない、それこそ「怪獣」と言うべきなのか「怪人」と言うべきなのか分からない存在であったからだ。

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?や、止めろ!!離せ!!離せーーー!!!」

「に、逃げろっ!捕まったらミイラにされるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

とはいえ、その怪獣らしきものは紛れもなく街を破壊し、挙句は・・・逃げ惑う人々を捕らえてその生き血を啜るというとんでもない、もはや「怪獣」と断言して何ら問題ない存在であった。

 

 

 

 

 

「今だ!攻撃開始!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

件の怪獣らしきものが大都市に現れて好き放題暴れ始めてから数時間後には自衛隊が出撃、相変わらず暴れる怪獣らしきものの殲滅に奮闘していた。

 

「うぉおらあああぁぁぁーーーっ!くたばれーーーっ!!!」

 

―――ファパオオォォッ!?―――

 

そんな獅子奮迅の活躍を見せる自衛隊であるが、今回は意外なことに砲弾やミサイルやロケット弾などの「通常兵器」と呼ばれる類いの物は使用せずに戦っていた。

というのも、最初こそ自衛隊は通常兵器を用いて怪獣らしきのものに戦いを挑んだが・・・件の怪獣らしきのものには通常兵器の類いは全く通用しなかった。

しかし、その中で怪獣らしきものは実は円盤の発した「我々は植物人間だ」という発言と合わせて植物であるということ、そのくせにミサイル等の火器が通用しないことを考慮した結果、植物が火以上に弱い「あるもの」を使って戦うことを自衛隊は決意した。それこそが―

 

「今だ!除草剤散布開始!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

指揮官の指示を受け、各種戦闘ヘリに搭乗した自衛隊員たちは植物である怪獣らしきものに向かって・・・戦闘ヘリに取り付けたスプリンクラーから植物の大敵である除草剤をこれでもかと散布し始めた。

 

―――ファパオオォォッ!?―――

 

頭上より除草剤が散布され始めると今の今まで余裕たっぷりな様子だった怪獣らしきものたちは一転、悲鳴を上げて逃げ惑い始めた。だが、当然ながら自衛隊は情け容赦なく除草剤を散布しまくった。

その結果、深緑だった怪獣らしきものたちの体表、どころか体そのものがは枯れ草のようになってあっという間に沈黙して地にひれ伏した。そう、人類側の大勝利だった。

まぁ、まさかAH-1・コブラやAH-64・アパッチという戦闘機が、アメリカの農園などで見かける普通のヘリコプターによる除草剤の空中散布をやるハメになるなど思いもしなかったが・・・

 

「コイツで・・・最期だっ!!」

 

―――ファパオオォォッ!?―――

 

あれだけいた怪獣らしきものはたったいま沈黙した最期の一体で殲滅が完了した。それほどの除草剤の効果は抜群であり、下手にミサイルなどを使うなどよりも非常に適切な判断であったのだ。

何処かの世界では火山より現れた鳥の怪獣に「アイツ鳥だからトリモチぶっかけよう」とかバカな発想してトリモチを頭からぶっかけ、効果が無いどころか逆上させたバカな連中もいたが、今回の除草剤散布はまさに適切だったのだ。

 

「どれだけ高度に進化しようとも、しょせん植物は植物だ。ましてや、血を吸って身を肥やすなどもはや文明とは言えない」

 

こうして植物を起源とする自称「人間よりも高度な文明を持つ」存在は、人類の英知によって作り出された除草剤によって殲滅されたのであった。

 

 

 

 

「すいません『アレ』を一盛り貰えますか?」

 

「はーい『アレ』ですね」

 

先の植物を起源とする怪獣らしきものたちの襲撃からしばらくの後、襲撃を受けた大都市やその近辺の街では「ある物」が大流行していた。それは―

 

「はい、こちら『ケロニア燃料』一盛りです。燃やす際は取り扱いに気を付けて下さいね」

 

そう言って、自衛隊員が件の「ある物」もとい先の大都市襲撃を行った巨影「吸血植物 ケロニア」の体を(・・)細かく砕いて作った『ケロニア燃料』なる物をケロニア燃料を求めて列を作っている人々に配布していた。

 

 

「何だこりゃ・・・コイツらの体、もの凄く可燃性が高いな」

 

切っ掛けは、除草剤の散布によってただの「植物の塊」に成り果てたケロニアたちを自衛隊が焼却処分しようとした際のことであった。

 

「驚いたなこれは・・・ただ火を付けただけでこうも燃えるとは・・・灯油やガソリンの比じゃないぞ」

 

焼却処分が決定されたケロニアの体に自衛隊が火を放った瞬間、ケロニアの体は凄まじい勢いと規模で燃え盛り始め、更には何時間も燃え続けていた。そう、実はケロニアの体は凄まじく可燃性が高いのだ。と、ここで―

 

「あの、コイツらを燃料に頂けませんか?」

 

「はい?」

 

「いや、コイツらに家を壊されて寒空の下に放り出されたから何か暖を取る物が欲しくて」

 

「は、はぁ・・・」

 

という何とも大それたというか怖いもの知らずな頼みを自衛隊に頼んだ人々(・・)がいた。それは他ならぬケロニアの被害者、ケロニアの襲撃によって住む家を破壊されて帰る場所を失った人々であった。

事実、住む家を壊されてこの寒空の元に放り出された人々は暖を取れる物に餓えており、そんな矢先にケロニアが凄まじい可燃性を持つと分かれば欲するのも当然だろう。

加えて、彼ら被害者にとって「自分たちの住む家などを奪った憎き怨敵を燃やす」という行為は一種のうっぷん晴らしにもなる。だから余計に人々はケロニアの体を燃料に欲しがっていたのだ。

 

 

 

 

「すみません『ケロニア燃料』一盛りお願いします」

 

「はい、『ケロニア燃料』一盛りですね。燃やす際は取り扱いに気を付けて下さいね」

 

先のケロニアの被害にあった住民たちによる申し出があって数日後、驚くべき事に住民たちの申し出は受けいられており、今やケロニアは『ケロニア燃料』と称されて住民たちはおろか、その驚くべき可燃性などの噂を聞きつけて遠方から求めに来る人までいるほどであった。

 

「被害者の方々は暖を取れるし、自衛隊(こちら)としても焼却処分の手間が省ける」

 

自衛隊がケロニアを燃料として人々に提供したのは厚意的で"マトモ"な前者の理由と、実を言えば手間暇予算のかかる大量のケロニアの処分に困った自衛隊の"悪だくみじみた"後者の理由が相まってのことであった。

 

「はぁ、暖かい・・・これで凍えずにすむ」

「厄介者も多少は役に立ってよかったわ」

「しょせん、植物は植物だな。大人しく薪がわりになってろっての」

 

とはいえ、少なくともあれだけ迷惑でしかなかったケロニアは人々の役に、誰かが言ったように「植物なんだから薪のかわりなる」と、薪として役立っているのだからいいのだ。

 

 

ただ、人々は忘れてし"知らなかった"。ケロニアがそんじゅそこらの植物とは違うと、ケロニアの繁殖方法(・・・・)を知らずして薪のかわりに利用した結果で大惨事が起きることを。

 

 

 

「ふぅ、全くコイツらを欲しがってる人の多さには嫌気がさすよなぁ」

 

「ああ、全くだよ。コイツらを切り出す俺ら自衛隊の身にもなって欲しいよなぁ」

 

そう言いながら、途切れることの無いケロニア燃料を求めて押し寄せる人々のためにケロニアの体をノコギリで切り分けていた二人の自衛隊員がいた。

そんな二人はいま一体のケロニアの体をノコギリで切り分けていたが、二人が切り分けているケロニアは他のケロニアと少し違っていた。何が違うかと言えば・・・このケロニアは「成熟して繁殖可能になったケロニア」であったのだ。

とはいえ、そんなこと二人はおろか、人間から見たら分かるわけもないので致し方ないのだが・・・これは後の大惨事を招く事になる。

 

「うーし、切り分け終わったから持って行くか」

 

「そうだな。待ってる人がわんさかいるしな」

 

件のケロニアを切り分け終わった二人の自衛隊員は何も知らずにそのケロニアを人々の元へ持って行き、貰った人々はさっそく火を付けた。付けてしまったのだ。その結果―

 

―――パンッ!パンパンパンッ!!―――

 

「うわっ!?な、何だ何だ!?何か弾け飛んだぞ!!?」

 

件の「成熟して繁殖可能になったケロニア」を用いたケロニア燃料に火が付けられた瞬間、ケロニア燃料の中から無数の何かが勢いよく弾け飛んだ。それは小さな粒のような、まるで「種」のような何かであった。更に、

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「ひぃっ!?な、何でコイツら復活してるんだ!!?」

 

火の中から弾け飛んだ「種」のような何か・・・その実は紛れもない種である、に驚く人々を尻目に、その種は地面に落ちると・・・何と、あっという間に発芽(・・)し、小さいものの歴としたケロニアになったではないか!!

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?」

 

そんな小さなケロニアたちは雄叫びを上げると人々に襲いかかって生き血を啜り上げ始めた。そう、やはり小さくてもコイツらは歴とした「吸血植物 ケロニア」なのだ。

 

「何で、何で燃やしたのに出て来たんだ!?どうなってるんだ!!?」

 

逃げ惑う人々に無差別に襲いかかる小さなケロニアたちから必死になって逃げる人々は口々にそう叫んだ。

確かに、ケロニアの体は凄まじい可燃性を持っているので火を付ければ跡形も無く燃えるし、何よりも「植物」なのになぜ燃やされても平気なのだろうか?という疑問は尽きない・・・

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?」

 

逃げ惑う人々に容赦なく襲いかかり、生き血を啜り上げる小さなケロニアたち。

そんな小さなケロニアたちであるが、実は先の自衛隊の除草剤散布によって倒されたケロニアたちの「子供」であり、その発芽を促したのは親のケロニアが「燃やされた」事が切っ掛けで誕生したのであった。

 

ケロニアの住む南米には驚くべき事に自然に起きた山火事などを利用して(・・・・・)種子を、子供を残す植物が生息している。

そんな植物は親こそ他の動植物のように火事で焼け死ぬが、厚い皮で覆われた防火性に優れた種子は火事を耐え抜いた後、競争相手や天敵など全てが燃えてしまった場所で一番に芽を出し、その辺りで最も繁栄するのだ。

そして、ケロニアは南米からやって来た植物・・・そう、実はケロニアも火事や火を利用して繁殖する植物であったのだ。

 

―――ファパオオォォッ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?」

 

だが、そんな事を島国日本の人間が知る由もない。とはいえ、今回の事態は紛れもなくロクに調査もせず、目先の利益や利便性にうつつを抜かした愚かな日本人が招いた事態であることにかわりはなかったのだ。

 

 

「いくら高度に発達しても奢って調子に乗ってばかりいては、もはや文明とは言えないのですね」

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラマン』からケロニ『ヤ』と誤植されがちなケロニアが登場です。で、そのケロニアを「燃料に欲しい」と言う発言はケロニアの『来たの誰だ?』のストーリーの没案(というか初期案)を採用しました。でも、マジで恐ろしい事考えるなぁ・・・

ただ、純粋な疑問としてですが・・・植物の怪獣に除草剤をかけたら本当に枯れるのでしょうか?
いや、レギオンプラントやアストロモンスとかソリチュラみたいな「宇宙植物」はともかく、ケロニアやギジェラ、グリーンモンスやジュランみたいな「地球産植物」になら除草剤はきくと思うのですが。どうでしょうね?



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第三十話 血を吐きながら浴び続ける『巨影』

どうも、作者です。

えっと、今回は・・・多分、今までで一番短いです。ですが、内容が濃いというかエグいというか・・・見て頂ければ分かります。

ちなみに、今回のお話は少し前まで放映されていた某ジードのストーリーを躊躇しつつ、色々とスパイスを加えました
。やはり『コイツ』が出るなら、あんな(色々と)生ぬるいストーリーや展開じゃ『面白くない』と個人的に思ったからです。

では、どうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

とある大都市の近くの団地に響き渡る警報サイレンの音と・・・悲痛な、まるで「助けて」と叫んでいるようにも聞こえる、まるで鳥のような姿をした怪獣の鳴き声。そして―

 

『バルカンスパークル !!』

 

―――ドォン!!―――

 

―――!?タス・・・ケテェ・・・!!―――

 

大都市の近くの団地で大暴れを続ける怪獣に放たれた黄金の光の奔流。その光の奔流が怪獣に当たった瞬間、怪獣は粉微塵に吹き飛び、辺り一帯には怪獣の破片である青い欠片が降り注いだ。

 

『ふぅ、終わった・・・』

 

そんな光の奔流を放ったのは、全身を黄金の鎧で包んだ遠い宇宙から来た巨大な英雄(ヒーロー)にして超人(ウルトラマン)であった。

 

「よし、ジードがヤツを倒し終えた・・・みなさん、よろしくお願いします!!」

 

「「「「おおぉーーーっ!!!」」」」

 

そんな超人(ウルトラマン)が怪獣を粉微塵にした直後、胸に「AIB」と書かれたバッチを付けた黒スーツの女性の声を合図に、手に手にバケツや洗面器、鍋やクーラーボックスなどなどを持った団地の住民たちが一斉に地面に落ちている怪獣の破片を回収した。そして、

 

「では皆さん、回収したヤツの破片は各家庭の冷凍庫で凍結させて下さい。尚、今回の怪獣の凍結に使用した冷蔵庫は後日、我がAIBが無償で交換致します」

 

というあの黒スーツの女性の言葉を受け、怪獣の破片を回収した団地の住民たちは回収した怪獣の破片を各家庭の冷蔵庫で冷凍保存したのだった。

ちなみに、何故こんな事をしているかといえば、先の怪獣はいくらバラバラにされても蘇るが、凍結させられるとその再生力を失うと黒スーツの女性が属する組織が判明させたからであり、団地の住民たちは自分たちのために戦ってくれる超人(ウルトラマン)への協力、そして何よりも「自分たちの平和のため」と「冷蔵庫の無償交換」のために総出で怪獣の破片を回収したのであった。

 

しかし、彼らは知らなかった。これが後に起きる大惨事の幕開けになるとも知らずに。

バラバラにされ、凍らされてもなお消えることの無い怪獣もとい星獣(・・)の『怒り』を、星獣の生きる事を諦めない『執念』を、自分をこんな姿に変えた人間どもに対する星獣の『復讐心』を。

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

 

 

 

 

 

「はーい、出来たわよ~!今夜はねぇ・・・肉じゃがよ~!!」

「うわぁ、おいしそう!ねぇ、パパ!」

「うん、そうだねマユ。本当に美味しそうだね」

「ちょっと!『美味しそう』じゃなくてちゃんと『美味しい』のよ!!失礼しちゃうわねぇ・・・」

「あはは、ごめんごめんルミナ」

 

時刻は夕飯時。暴れる怪獣が退治された大都市近くの団地にはすっかり平穏で平和な日常が戻っていた。そんな団地に住む両親と一人娘の三人家は、今まさに夕食を食べようとしていた。

ちなみに、その一家の夕食は味噌汁に白ご飯、そして・・・「あの破片」が入っている冷凍庫から出したほうれん草を使ったおひたし、同じく冷凍庫から出した肉を使った肉じゃがと唐揚げが食卓に並んでいた。

 

「うん!この肉じゃが本当に美味しい!!これ、どうやって作ったの?」

「でしょ?お隣の奥さんから教わって作ったのよ。ちなみに、この唐揚げもおひたしもね」

「へぇ~、そうかぁ。うん、でも本当に美味しいね。これなら毎日食べられるし、食べたいね」

「あら、そう?なら毎日晩ご飯は肉じゃがと唐揚げのローテーションにして、お弁当も同じく肉じゃがと唐揚げのローテーションに―――」

「ち、ちょっと。流石に今のは冗談だってば・・・そのローテーション本気でやらないよね?」

 

食卓に並ぶ料理に舌鼓を打ち、平和で当たり前の家族団らんの一時を謳歌する一家。だが、異変は何の前触れも無く突然にやってくるのだ・・・

 

―――ガチャーン!!―――

 

「!?ど、どうしたのマユ!!?」

「だ、大丈夫かマユ!?」

 

突然、それまで普通に食事をしていた娘が持っていたお茶碗を取り落としてその場にドサッと倒れ込んだ。そんな娘は全身にビッショリと汗を浮かべ、顔色もどす黒く変色していた。更に、

 

「うっ!?うぅ・・・お腹が・・・痛い!!?」

「な、何だ・・・この痛み・・・は!!?」

 

突然愛娘が倒れたことに動揺していた両親であったが、今度は両親も突如として激しい腹痛に襲われてその場に倒れ込んだ。その際、先に倒れた娘は元より次に倒れた両親も・・・腹部が異常なぐらいに膨張し始めていた。と、ここで―

 

「うっ・・・ぶっうぅ!!?」

「おっ・・・おえええぇぇぇっ!!?」

 

それまで激しい腹痛に悶えていた両親と愛娘は今度は嘔吐した。そんな一家であるが・・・何と、その吐瀉物は真っ青だった。その青さはまるで、否、この日の昼間に拾って冷凍庫に入れた「あの破片」と全く同じ青さであった。

 

 

「いた・・・い!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!?いた・・・いっ!!?」

「た、助けて・・・誰か・・・助け・・・てぇ!!?」

「し、死ぬ・・・このままじゃ・・・死ぬ!!!」

 

あの一家が揃って異常な腹部の膨張と腹痛に悶えながら青い吐瀉物をまき散らしていた頃、団地中で同じ事が起き、団地は阿鼻叫喚の様となっていた。そして―

 

「あっ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」

 

―――ブチッ・・・ブチブチッ!!―――

 

団地の住民の悲鳴が、それも「断末魔」が聞こえた直後、何か・・・肉が裂けるような嫌な音が聞こえ、それに伴って先の断末魔はピタッと止んだ。すると、

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

団地の至る所からまずは断末魔が聞こえ、次にあの肉が裂けるような嫌な音が聞こえると断末魔が止んで団地は静寂に包まれた。

だが、そんな静寂に包まれた団地のど真ん中に・・・何と、あの鳥のような星獣が赤い血に濡れた(・・・・・)その体を月光に輝かせながら現れたではないか!!

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

星獣はその身を濡らす赤い血をあえて拭うことはせず、あの甲高くもどこか悲痛な叫びにも聞こえる雄叫びを上げながら団地を破壊し始めた。そんな星獣であるが、あえてその身を濡らす血を拭わなかったのには理由がある。

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

口から黄色いガスを、その実は超高濃度の放射能に汚染させられた(・・・・・)吐息(ブレス)を、自身を放射能で汚染した挙句、こんな醜い化け物のような姿に変えた張本人である人間どもと、その人間どもが作り上げた住処を自分の故郷がされたように破壊し始めた。

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

そんなこの星獣もとい巨影「再生怪獣 ギエロン星獣」の鳴き声は、様はどこか・・・どこか「やりきった」感に包まれていた。そう、実はこのギエロン星獣は人間に『復讐』するために地球へやって来て、それをやり遂げたのだ。

愚かにもギエロン星獣(ふくしゅうしゃ)を自分たちの食料庫である冷蔵庫に放り込んだ人間どもの腹を、ギエロン星獣は破って出てやったのだ。

だからギエロン星獣はその身を濡らす血を、人間どもへの『復讐の証』を拭うことはしなかったのだ。

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 

だがギエロン星獣の怒りは、悲しみはまだまだ収まらないし、収めるつもりはギエロン星獣には毛頭ない。

もし、ギエロン星獣の怒りと悲しみが収まるとしたら・・・それは、ギエロン星獣を自分たちの身勝手で怪獣の姿へと変え、挙句はギエロン星獣の収まることない『怒り』を、星獣の生きる事を諦めない『執念』を、自分をこんな姿に変えた人間どもに対する星獣の『復讐心』を、ギエロン星獣の持つ『生命力』を理解しようともしなかった地球人(おろかものども)が絶滅した時であろう。

 

―――タス・・・ケテェ!!―――

 




如何でしたか?

今回は49年ぶりの登場が話題になりつつも、現状の円谷プロの上層部が「金余ってるし、何か有名なヤツをテキトーに出そっか」という、実にテキトーな発想で白羽の矢を立てられたギエロン星獣が登場です。金城哲夫氏が知ったらどう思うか・・・
ちなみに、件の「金余ってる」とは円谷が行った「ファンから義援金募って怪獣だそう・ザンドリアス編」のことです。

いや、別にいつまでも悲劇の怪獣でいろとは言わない。それを言ったらゴジラもゴモラも、ペガッサ星人も悲劇のキャラだから永遠にシリーズに出てこれないし、人気が出なかっただろうから。
ただ、逆に言えば悲劇性を無視してメチャクチャ無双するゴジラ(VSとか顕著)やゴモラ(大怪獣バトルとか顕著)みたいな演出ならいいんだ。

ただ『ジード』の、何か何とも言えない演出&前述のテキトーな理由で出したのが僕は嫌なんですよね・・・やるなら徹底して悲劇をやる、やるなら徹底してバトルする、みたいにちゃんと方向性を示して欲しかったですね。


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第三十一話 金の権たる『巨影』

どうも、作者です。

今回は前回に続いて短いです。ですが、内容が濃いというか何と言うかです。加えて、今回出る巨影はマジで原作『巨影都市』には出ていません。

じゃあ、何故に出したのか? まぁ・・・出したかったから&一応は今回の『巨影』は、一応は原作で出た『巨影』たち(主に初代)と世界観を共通しているらしいので、変じゃない・・・とは思います。はい

ちなみにサブタイトルの「金の権たる~」の「金の権」とは「かねのごん」と読みます。

そうです『ヤツ』が出ます。ただし、捻くれている僕のことなので"普通じゃない"『ヤツ』を出しますよ。

では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「うぅ・・・どうしよう・・・」

 

とある大都市の片隅にあるアパートの一室で、一人の女性が頬杖を付いて呻いていた。

 

「再生数も伸び悩んでるし、動画にお気に入りしてくれる人も減ってるし・・・このままじゃ収入なくなって、飢え死にしちゃうよぉ・・・」

 

そう言って女性は目の前の机の上にあるパソコンの画面に表示される自身の口座の残高と、自身の「チャンネル」と呼ばれる個人のアカウントに「お気に入り」をしてくれている人数の減少っぷりにため息をついていた。

実はこの女性は俗に言う「動画配信者」であり、その動画配信によって発生する広告収入を糧にして生活している・・・のだが、前述のように女性の動画に関してはお気に入りを付ける人も、観てくれる人も減っており、それに伴って女性の生きる糧の動画収入も減少の一歩をたどっていた。

 

「うぅ・・・身を削ってお色気配信までしてもこの有様はどういうことなのよぉ・・・」

 

当然、生きる糧の動画収入が減っている女性はあの手この手で自身の動画を見て、お気に入りを付けてくれる人を増やそうと努力し、最終手段であるお色気・・・もとい「女の武器」まで使って動画を作ったが・・・結果は散々であった。

 

「はぁ~あ・・・別にお気に入りは減ろうが、動画見てくれる人は減ってもいいのよ。ただ、お金にさえなればそれでいいのよ・・・って、とにかくお金が欲しいぃいいいぃぃぃ~~~っ!!!」

 

どれだけ頑張っても減るお気に入りと(主に、というか一番は)お金に嫌気がさした女性はその場で仰向けになりながら絶叫した。

とはいえ、どれだけ絶叫しようが女性が今のまま(・・・・)では現状を打破する手立ては無いのである。

 

「お金~!お金~~!!お金~~~!!!お~か~ね~!!!・・・って、あれこれ考えて叫んだら疲れちゃった。このまま寝よっと・・・」

 

気が済むまで絶叫した女性は疲れやら何やらが相まって、あっという間にそのまま寝落ちした。

その結果、女性は気付けなかった。寝落ちした女性の・・・愛用しているパソコンの画面から何か"白い糸"のような物が無数に伸び、あろうことか女性をそのまま包み込んで「繭」にしてしまったことに。

 

そして、繭の中に捕われた女性は醜い芋虫が可憐な蝶になるように、全く別の姿へと変わるのだ・・・ただし、今回の場合は前述の「醜い芋虫が可憐な蝶に」ではなく「可憐な女性が醜い化け物になる」のではあるが。

 

 

 

 

 

「き、きゃあああああぁぁぁぁぁーーーっ!!?な、何よコレーーー!!?」

 

いつの間にか寝落ちしていた女性はふと目を覚ました。そんな女性を包んでいたあの白い繭は何処かへと消え去っており、女性は自身の身に起きた異変にも気付かなかった。

そして、目を覚ました女性が何となく風呂に入ろうと脱衣所に向かい、これまた何となく脱衣所の鏡を見た瞬間に悲鳴を上げた。何故なら女性は・・・人外の姿に、俗に言う「怪獣」になっていたのだ。

 

巨大ながま口つきのカエルかアンコウのような頭部、その頭部から飛び出した先端に目の付いた触角、妊婦のようにポッコリと出たお腹、そして本来はヘソのある部分には何かの「メーター」が付いたあまりに珍奇な怪獣だった。とはいえ、ピンクがかった体色とおさげ髪(に見える突起物)に体の各所にあしらわれたハートが相まって、幾分か「可愛らしく(?)」はあったが。

 

「あ、あわわわわ・・・!ど、どうすればいいの!?と、とりあえず病院、いや救急車を・・・」

 

『目が覚めて鏡を見たら人外の姿になっている』というあまりに有り得ない、あまりに理解しがたい状況には流石の女性も動揺しており、大慌てで救急車を呼ぼうとしたが―

 

「うぅ、でも・・・こんな変な姿を誰かに見られたくない・・・」

 

女性は病院に行くのも救急車を呼ぶのも躊躇った。何故なら「恥ずかしい」からだった。

いくらマトモに働きもせずに引き籠もっているとはいえ、いくら身を削ったお色気動画配信をしているとはいえ、女性にも「乙女の恥じらい」というものはある。故にこんな珍奇な姿を誰かに見られるのは女性の最低限の"乙女としての"羞恥心がそれを許さなかったのだ。

 

「でも、本当にどうしよう・・・これじゃ人前に出られないし、何よりも動画なんて作れないよぉ・・・」

 

解決策が見つからず、途方に暮れる女性はその場にへたり込んだ。が、そんな状況においても女性は動画作りのことを考えていた。まぁ、女性にとって動画作りで得られる収入が唯一の生きる糧なので仕方ないといえば仕方はないのだが・・・と、ここで―

 

「あれ?ちょっと待ってよ・・・私、今ものすごく目立つよね・・・と言うことは!!」

 

ふと、相変わらず鏡を見ながら怪獣と化した自身の姿を見てパニクっていた女性であったが、本当に不意に「とんでもない事」を思いついたのだ。それは―

 

 

 

「なぁなぁ、この動画みた?」

「おお、見た見た。いや~マジで面白いよなぁ」

「だよなぁ、マジで神ってる動画と配信者だよなぁ」

「確かに。にしても、まさかバーチャルとかに続いて着ぐるみ(・・・・)の配信者が出てくるなんて・・・次は何だろうな?」

「う~ん・・・次は動物とかじゃね?」

「いや、そりゃねぇだろ・・・」

 

どこかの大都市にあるカフェにて二人の男子学生が手元にあるパソコンで「ある動画」を見ながら談笑していた。

ちなみに、そんな二人が見ている「ある動画」とはここ最近かなり「面白い。特に動画の投稿者(・・・)が」と視聴者の間で話題になっている動画であった。

 

 

 

「うふふ、また増えてる・・・お気に入りの登録者も、預金の残高も・・・!うふふふふ・・・!!」

 

所変わって、ここはとある大都市の片隅にあるアパートの一室だ。そんな部屋の主は・・・あの珍奇な姿の怪獣、になってしまった動画配信者の女性であった。

 

「うふふ、じゃあ早速、明日の分の動画を作ろうっと」

 

そう言って現怪獣で元女性は今しがたまで眺めていた預金通帳を、ついこの間まで残高が数ケタだったハズなのに現在は残高が現在進行形で(・・・・・)スゴいことになっている預金通帳、を閉じて翌日に投稿する予定の動画を作り始めた。

 

現在、女性はほとんど外に出ることはないし、そもそも「出る必要がない」のだ。

何故なら、生活の糧の広告収入は女性が現在の姿を、怪獣となった姿を利用して作った動画の数々が「着ぐるみで動画配信をしている面白配信者」として有名になり、そのおかげで女性は今や超売れっ子動画配信者となっていた。

加えて、現代はネットでの通信販売などによって生活必需品や食料品は手に入れられるし、公共料金などの支払いも口座引き落としなどにしておけば本当に外に出る必要がなく引きこもっておけるのだ。

 

そんな女性の部屋であるが、外から見ると・・・白い糸に覆われた、まるで「繭」のようになっていた。そう、女性は「繭」に閉じこもっているのだ。繭の外に出ることもせず、繭の外に出たいという気すらなく。だが、

 

「お金、お金、お金・・・うふふ、楽してこんなに儲かるとか最高!あんまり外に出なくてもいいし、人付き合いとかに悩まなくてもいい・・・もう、本当に最高!!」

 

そう言って現状を、特に苦労もせずに増えていく預金残高を眺める女性は本当に幸せそうであった。

それもそのはず、前述のように女性は今や大人気動画配信者として有名人の仲間入りをしており、それに伴ってお気に入りの件数は凄まじく、また発生する広告収入も凄まじいのでかなりお金持ちになっている。

加えて、元々めんどくさがり屋で人付き合いが苦手で嫌いな女性であっても普通に、何の苦もなく生活できる環境が女性の閉じこもっている「繭」の中には、もっと言えば現代社会には出来てしまっているのだ。

 

本来、人間はどんなことがあっても外に、自分の殻もとい「繭」から出なければならない。だが、現代社会ではその「繭」を破らずして生活できる環境が出来上がってしまっている。そして、その環境を作っているのは、他ならぬ現代人なのだから・・・

 

このままではあの女性の変身した巨影「コイン怪獣 カネゴンヌ」は大発生することとなるだろう。そうなれば・・・(かね)(ごん)と化したあの女性は生活の糧を失い、お腹のメーターがゼロになる(うえじにする)だろう。




如何でしたか?

今回はマスコット扱いされる事は多いけど、誕生経緯や内容がガチホラー&鬱エンドorバッドエンド出有名なカネゴン・・・の亜種であり、かの『子供に見せられない・見せちゃいけない』として有名な『ウルトラQ darkfantasy』より「コイン怪獣 カネゴンヌ」の登場です。やっぱりカネゴンはホラーじゃねぇか!!

で、今回のカネゴン(ヌ)の話は割とハッピーエンドにしました。何故か?カネゴンの話って基本的にバッドエンドだったり、教訓を含めた話ばかりです。だから、だからあえてハッピーエンドというか皮肉った感じにしました。

まぁ、普通は朝起きてあんな珍奇な姿になってた即座に病院行くわ。受け入れてもらえるかは別にして。

しかし・・・現代は実に『変』だ。動画だ広告収入は云々かんぬんは触れませんが。
まぁ、マジメに働くのがバカらしくは・・・ならないよ。自分にために、家族のために働くのが意味があるんだもん。


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第三十二話 夢と『巨影』

どうも!作者です。

今回は僕が大好きな奇才・実相寺監督テイストですし、その実相寺監督の関わった回の怪獣が出ますので・・・まぁ、カオスです。

とはいえ、こんなカオスな回もまた見たいなぁ・・・昨今の「悪いヤツを倒すぜヒャッハー!!」ばかりなウルトラさんばかりではなく、それこそ実相寺監督テイストや太田愛さんの書かれた『怪獣の身代金』みたいな愉快なストーリー、あるいは『ゼルダポイントの攻防』みたいな感動ストーリーが見たいなぁ・・・





 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「よーし、書けたぞ!」

 

どこかの大都市の片隅の公園で子供たちが無邪気に遊んでいた。そんな子供たちは公園の片隅にあった土管にお絵かきをしているのだが、書いているものはとえば―

 

「え~なにコレ?カッコわる~い」

「ほんとうだ~カッコわるいなぁ・・・」

「これのどこが怪獣なんだよ~?」

「ムシバ、おまえってヘタクソだなぁ・・・」

 

「そ、そこまでいわなくていいじゃん!たまにはこんなかわいい怪獣もいいじゃんか!!」

 

そう、子供たちが土管に書いていたのは子供が大好きな怪獣の絵であった・・・が、いま土管に書かれている怪獣は「ムシバ」というあだ名の少年が書いた、何と言うか・・・餃子というか「 (@、)>」みたいな感じのとても怪獣らしさ皆無の、それこそ良く言って「ゆるキャラ」で悪く言えば「ザ・落書き」みたいな絵であった。当然、ムシバ少年の書いた怪獣は友人たちに大不評であった。すると、

 

「やい!お前ら!!この俺さまのなわばりですきかってにあそぶとはいいどきょうじゃねぇか!!かくごはできてるんだろうな?」

 

「「「「!?そ、そのこえは・・・!!」」」」

 

「マズい・・・!ジャ〇アンだ・・・!!」

 

不意に子供たちの元にやたら発育のよい、いかにも「ガキ大将」といった感じの少年が現れ、その少年に気付いた子供たちは明らかに迷惑そう&嫌そう・・・怯えた表情になった。

 

「オイ、おまえら!このこうえんは俺さまのなわばりだってなんかい入ったらわかるんだ!?あそびたいならおかしを俺さまにけんじょうしろ!!じゃないとあそばせないぞ!!」

 

そんなジャ〇イン・・・ガキ大将風の少年は文字通りのガキ大将であり、更には乱暴者&横暴&自己中心的な性格であった。

 

「そ、そんなのメチャクチャだぁ!!」

「そ、そーだそーだ!こうえんはみんなのものだぞ!!」

「そうだ!なんでジャ〇アンにきょかもらわないといけないんだ!!」

 

「うるせぇ!俺さまが俺さまのなわばりだっていったらそうなんだ!!おまえのものは 俺さまのもの 俺さまのものは 俺さまのものなんだ!!くちごたえするとなぐるぞ!!」

 

「「「「「に、にげろーーー!!!」」」」」

 

一方の他の子供たちはガキ大将のあまりの横暴さに反論こそしたものの、ガキ大将が拳を振りかざして襲いかかってきたのでクモの子を散らすように逃げ去っていった。子供たち去りし後、

 

「クソッ、にがしちまったぜ。あとでぜんいんギッタギタにしてやる・・・って、なんだコレ?ヘタクソなえだな。コレ、もしかして怪獣か?」

 

殴ろうとした子供たちが全員逃げてしまったことに舌打ちするガキ大将であったが、不意にムシバ少年が土管に書いたあのゆるキャラ・・・もとい「 (@、)>」みたいな怪獣の絵に気付くと、

 

「まったく、俺さまのなわばりにヘタクソな怪獣をかきやがって。みてろ!俺さまがカッコいいさいきょうの怪獣をかいてやるぜ!!」

 

件の「 (@、)>」みたいな怪獣の絵に呆れたガキ大将は子供たちが落としていったクレヨンを拾い、自分も土管に怪獣を、彼の言う「カッコいいさいきょうの怪獣」の絵を描き始めた。そして―

 

「できた!どうだ!これが俺さまがかいたカッコいいさいきょうの怪獣だ!!よし、コイツはインドぞうを一千万とうもちあげられるパワーをもってるってせってにしよう!われながらホレボレするぜ!!」

 

一心不乱に、そして真剣に「インドぞうを一千万とうもちあげられるカッコいいさいきょうの怪獣」をガキ大将は書き上げた。

そんな怪獣なのだが・・・牙が無いカバのような顔にアンテナのような耳、ゲーセンのクレーンキャッチャーのような長い手、そして妙に色とりどりの腹の模様といった具合の、とてもじゃないが「カッコいいさいきょうの怪獣」にはほど遠い・・・・が、ガキ大将はかなりやりきった顔であった。

 

その後、ガキ大将は気の済むまで自分が書いた怪獣の絵を眺め、心ゆくまで自画自賛した後に怪獣の絵をそのままに帰宅した。これが後の大惨事となるとも知らずに。

ちなみに、ガキ大将は母親に頼まれていた買い物を放置しており、結果でガキ大将は母親に相当怒られたのであった。

 

 

 

「ごめんなさい私、もうイクタさんとは会わない方がいい思うの」

「えっ、どうして・・・?他に好きな人でも出来たのトモコさん・・・?」

「そんなんじゃないの。来月から宣伝部に異動になって。仕事が忙しくて。イクタさんに構ってる余裕が無いのよ。宣伝部で働くのは、入社以来の私の夢だったのよ」

「夢・・・?」

「そういうことだから。じゃあね、さようなら」

 

所変わって、ここは大都市にある高級レストランだ。そんなレストランの中でたった今、一組のカップルが破局を、トモコという女性の方が「仕事が忙しいから」と言ってイクタという男性をフった。

 

 

「う、う、う・・・うわぁあああぁぁぁーーー!トモコさーーートモゴざーん!!何でだよぉ~~~!!!」

 

彼女にフラれ失恋の痛手を負ったイクタは散々やけ酒をあおった後、自宅である大都市の片隅のオンボロアパートの自室へと戻り、涙が枯れるまで泣いて泣いて泣いて・・・そのまま夢へと逃れた。

その直後、イクタの夢が開いたおりに怪しの宇宙線が天より降り注いだ。そんな宇宙線はイクタの夢だけではなく・・・公園の土管に残されていた子供たちが書いた二体の怪獣の絵にも降り注いだ。

 

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?な、何だよアレ!!?」

 

「か、怪獣だーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!踏み潰されるぞ!!」

 

草木も眠る丑三つ時の大都市に轟く咆哮。見れば、件の咆哮の主である怪獣が大都市のど真ん中に出現していた・・・が、何故かその体はほぼ透明で、おまけに建物などをすり抜けてしまう、などまるで「実態が無い」かのようであった。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

そんな謎の怪獣はただひたすら夜の街を練り歩いた後、朝日が昇る頃には掻き消すように消えてしまった。

 

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?また怪獣が出たぞーーー!!」

 

「しかも今度は二匹も出たぞーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!踏み潰されるぞ!!」

 

深夜の怪獣騒動から解放された人々がホッとしたのもつかの間、朝日が顔を出して辺りを明るく照らし始めると今度は別の怪獣が大都市のど真ん中に現れた。しかも二体も。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

まず、一体目は牙が無いカバのような顔にアンテナのような耳、ゲーセンのクレーンキャッチャーのような長い手、そして妙に色とりどりの腹の模様といったかなり珍奇というか不格好な怪獣であった。

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

そして続く二体目であるが・・・こちらは先の怪獣よりも更に珍奇な姿をしていた。

全身はツヤツヤの真っ白で相当に柔らかそうな皮膚に覆われ、頭部らしき部分にはまん丸な目を持ち、一見すれば足が無いように見えるがよく見れば体の真下に短い足を持つ、まるで餃子というか「 (@、)>」みたいな感じの怪獣であった。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

そんな二体の怪獣の内、不格好な姿の怪獣は「怪獣らしく」街を破壊して回っていたが、一方の餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣はただその場でイビキをかいて眠るだけであった。まぁ、そのイビキのうるささは公害レベルであったが。

 

その後、二体の怪獣は日が沈んで夜になると掻き消すように消えてしまった。

 

 

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?またまた怪獣が出たぞーーー!!」

 

「しかも昨日の夜に出たヤツだーーーっ!!」

 

「い、いや、今度は少し色が付いてるぞ!?」

 

不格好な怪獣と餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣が消えて人々がホッとしたのもつかの間、夜になると昨夜現れたあのほぼ透明な怪獣が大都市のど真ん中に再び現れた。

だが、誰かが言ったように、件のほぼ透明な怪獣は昨夜とは違って体に多少の色が付いて半透明になっている上に、口からはオレンジ色の破壊光線を吐き、建物などを殴ったりして破壊するなど「存在している」のが明らかであった。

 

その後、半透明の怪獣は日が昇ると掻き消すように消えてしまった。

 

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

が、日が昇ると不格好な怪獣と餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣が再び現れた。そんな二体は日が沈むと掻き消すように消えた。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

しかし、二体の怪獣が消えた直後、三度あの半透明な怪獣が現れた。そんな半透明な怪獣は日が昇ると掻き消すように消えた。

 

―――ギャンゴォウ!!―――

 

―――モギュウ!モギュウ!!―――

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

その後、日が昇れば半透明の怪獣と入れ替わるように二体の怪獣が現れ、日が沈めば二体の怪獣と入れ替わるように半透明な怪獣が現れる、というのが幾度となく繰り返された。

結果、この一連の怪獣騒動に巻き込まれた大都市およびそこに暮らす人々は著しく疲弊し、追い詰められてくのであった。

 

 

 

「ねぇ、消えた?」

「うん。消えたよ」

「よかった・・・」

「よ、よーし・・・これできえたぞ。これでもう俺さまがかいた怪獣も、ムシバたちがかいた怪獣がでてきてあばれたりはしねぇぞ。ほんとうによかったなぁ・・・」

 

連日の休まることの無い怪獣たちによる大都市襲撃の最中、大都市の片隅の公園の土管の前には子供たちが、あのムシバ少年やガキ大将を含む子供たちの一団がいた。そんな子供たちが何をやっているかと言えば、

 

「でも、まさかぼくたちがかいた怪獣がでてきてあばれたりするなんて・・・」

「うん、しんじられないよね・・・」

「でも、ほんとうにでてきちゃったんだからしかたないよ。だからこうして怪獣をけして、もうでてこないようにしたじゃんか」

「そうだぜ。俺さまたちのせいでまちがこわされて、たくさんひとが死んじゃったんだから・・・俺さまたちがせきにんとって怪獣をけさないとだろ」

 

そう、子供たちがこの公園にいる理由は、手に手にバケツや雑巾に洗剤などを持っている理由、それは彼らが土管に書いた怪獣の絵を消すためであった。彼らなりに責任(・・)を感じたから、彼らなりに償い(・・)をしようと決心したから。

 

 

「どうなってるんだアレ!?あの怪獣、ぼくたちがかいた怪獣とおなじだよ!?」

「ほんとうだ・・・どうして怪獣のえがほんものになってるんだ!?」

「なにがおきたんだ・・・?」

 

事の発端は昼夜で入れ替わるように怪獣たちが現れ始めた頃だ。

当然ながら怪獣の出現はテレビや新聞、ラジオなどでも大々的に報道され、人々の目に耳に嫌でも入ることとなった。すると、

 

「どうなってるんだアレ!?あの怪獣、ぼくたちがかいた怪獣とおなじだよ!?」

「ほんとうだ・・・どうして怪獣のえがほんものになってるんだ!?」

「なにがおきたんだ・・・?」

 

先の怪獣たち絡みの情報は当然ながら子供たちにも知れ渡った。そんな中「ある一部の子供たち」は怪獣たち絡みの情報を、その怪獣たちの容姿(・・)を見て呆然と、言い知れない恐怖にかられた。

そんな「一部の子供たち」とは・・・あの大都市の片隅の土管に怪獣の絵を書いた子供たち、あのムシバ少年を含む子供たち、及びガキ大将であった。

 

「ど、どうしよう・・・たいへんだ」

「ぼ、ぼくたちが怪獣をかいたせいで・・・まちがこわされて、ひとがいっぱい死んじゃったんだ・・・」

「ど、どうする・・・!?俺さまのせいだ・・・俺さまのバカバカバカ!!バカヤローーー!!!」

 

ムシバ少年たちやガキ大将たちは大都市で暴れる怪獣のニュースを、あるいは直に怪獣を見た子供たちは悟った。

 

「あの怪獣たちは、自分たちが書いた怪獣と全く同じだ。自分たちが書いた怪獣のせいで街が壊されて、大勢の人々が死んでしまった。自分たちはトンデモナイ事をしでかしたんだ」

 

と。

 

結果、子供たちは激しい後悔や自負の念に苛まれ、同時に責任を感じた。だから子供たちは自分たちなりに責任を取ろうと、自分たちなりにケジメをつけるべく行動した。

結果、子供たちは親や警察、自衛隊の制止を振り切って荒れ果てた大都市へ入って、公園の土管に書いた怪獣の絵を消したのだ。

 

その後、あの不格好な怪獣もとい巨影「脳波怪獣 ギャンゴ」と、餃子か「 (@、)>」みたいな感じの怪獣もとい「二次元怪獣 カヴァドン」が現れることは無くなった。

 

 

 

 

「わははははは!ザマーミロ!僕を騙した報いだ!!みんな苦しめ!みんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

その頃、怪獣たちによる被害が及んでいない大都市の片隅にあるオンボロアパートの一室で、一人の男がテレビのニュースや新聞を見ながらそれはそれは愉快そうに笑っていた。そんな男の正体とは・・・あのイクタであった。

 

 

「まさか・・・この怪獣って!?」

 

時は少し遡り、大都市に昼夜問わずに怪獣が現れ始めた翌日の事だ。

その日、寝ぼけ眼で新聞を読んでいたイクタは新聞の一面にデカデカと載っている記事に、あの夜になると現れる怪獣の写真を見て驚きながらも、枕元に放り投げていたスケッチブックを慌てて手に取った。何故なら、

 

「や、やっぱり・・・!同じだ・・・この怪獣、僕が生み出しちゃったんだ・・・!!」

 

イクタが手にしていたスケッチブックには・・・かなりヘッタクソな絵もとい怪獣の絵が描かれており(ちなみに、このスケッチブックの絵はこのところ体調の悪いイクタがとあるオカm・・・オネェの精神科もといセラピストの元を訪れた際、そのセラピストに問診として書かされた絵である)、その絵は新聞の一面にデカデカと載っている怪獣の写真と全く同じであった。

 

「もしかして、僕が思い描いた怪獣が何かの切っ掛けで実体化して暴れて・・・だったら大変だ!!」

 

自分が書いた怪獣の絵と、新聞の一面に載っている怪獣を見比べ、更には自分なりに色々と考察して一つの結論に行き着いたイクタは相当慌てていたが、それは紛れもない事実であった。

 

実はあの夜に現れる怪獣であるが、その正体はこのイクタという男が思い描いた『夢』が偶然降り注いだ宇宙線によって実体化した存在であったのだ。

当然、宇宙線うんぬんかんうんはイクタが知る由も無いが、少なくともイクタは「自分が怪獣を出現させてしまった」という事実には気付いた。なので、

 

「なら止める方法は一つだ!!」

 

自分のせいで怪獣が出現したと悟ったイクタの行動は早かった。イクタは上着をひっつかむと部屋を飛び出して「ある場所」に向かった・・・これが彼に悲劇を"二重に"もたらすとも知らずに。

 

 

 

 

「ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!ちくしょーーー!!二股かけやがってぇえええぇぇぇっ!!!」

 

 

走る!走る!イクタは走る!! ランニングマシーンで

 

部屋を飛び出して「ある場所」に向かったイクタは自宅に戻っていた・・・が、その顔は憎悪に狂っており、加えて何かひたすら恨み節を炸裂させながら通販で買ったランニングマシーンで爆走していた。

 

 

「引っ越しの時ねぇ、ニヤついた男が一緒だったけど・・・フィアンセって言ってたわねぇ」

 

「フィアンセ!?そんな・・・バカな!?ちくしょぉおっ!!」

 

再び時は遡り、イクタが怪獣が自分のせいで出現したと知り、その解決のために向かった「とある場所」もといイクタの()彼女であるトモコが住むアパートの一室へやって来たイクタであったが、その部屋にはトモコはおらず、かわりにオバハンがバナナむしゃ食いしながら現れた、ばかりかイクタに衝撃の事実を伝えた。ニヤつきながら。

 

「トモコさん!怪獣騒ぎの原因は、多分僕の夢です!!僕は生まれ変わりますから、もう一度お付き合い願えませんか!?」

 

そう、イクタが怪獣が現れたのが自分に原因があると悟った直後、元彼女であるトモコの元へ向かった理由はヨリを戻してもらうため・・・もとい、トモコにフラれた事が原因で精神的に追い詰められた結果で怪獣を出現させた責任を取るためであった。決してトモコに未練があったわけでは・・・未練アリアリだが。

だがトモコはすでに引っ越していて、かわりにオバハンがいたばかりか、オバハンがニヤつきながら余計な事を言ったせいでトモコの二股がバレてしまい、イクタはブチ切れて「吹っ切れた」のだ。

 

「わははははは!ザマーミロ!僕を騙した報いだ!!みんな苦しめ!みんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

時は戻り、先のオバハンによって告げられた衝撃の事実で「吹っ切れた」イクタは・・・あろうことか、自分の怨念を怪獣に注ぎ込み、より怪獣を強力な存在へと変貌させた。

そうイクタは不実な恋人への復讐を誓い、夢の中で再び怪獣を蘇らせたのだ。イクタの怨念は怪獣をより強力なものへと育て上げた!!

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ!!―――

 

こうしてイクタが怨念を注いで強化した怪獣、鬼のような顔に両手には指では無く不気味な動物の顔、下半身にはタコの足が絡みついたかのようなメチャクチャな姿の怪獣が、ついに実体を得て夜の街で大暴れを始めた。

 

「いいぞ!いいぞ!壊せ!!殺せ!!僕を騙すようなヤツらなんてみーんな死んじゃえばいいんだよーだ!!!」

 

自身が生み出し、強化した怪獣の暴れっぷりを夢の中から眺めるイクタはご満悦であった。恐ろしいかな、人間とは一度狂ってしまうともう後戻りは出来ないのだ・・・「止めてくれる人」がいれば別だが。

 

「イクタ!開けろイクタ!!」

「イクタ!開けろイクタ!!いるのは分かってるんだぞ!!」

 

「!?う、う~ん・・・だ、誰ですか・・・?」

 

不意に、イクタの部屋のドアを誰かが激しくノックした。その結果でイクタは目を覚ました。その直後―

 

―――バキッ・・・バキバキッ!!―――

 

「「あ゛あーーーっ!!?」」

 

なんと、いきなりイクタの部屋の玄関の扉をぶち破られ、更には誰かがイクタの部屋に乱入してきた。

 

「ちょっと!何するんですか!?」

 

「親分これやり過ぎですよ!?」

 

「親分じゃない!刑事(デカ)長と呼べ―――イクタ!君が怪獣出現に関わっていることはお見通しだ!!よって、君の身柄を拘束する!!」

 

当然、イクタは自分の部屋の扉をぶち破った人物たちに抗議したが、ぶち破った人物はそんな事お構いなしといわんばかりにイクタを捕らえ、手錠をかけた。

 

ちなみに、イクタを捕らえたのは怪獣や怪奇事件を調査・担当・解決する特殊部隊の精鋭であり、実は彼らは連日起きている怪獣出現の原因を特殊な機器を使って調査しており、その結果でイクタの元へたどり着いたのであった。

 

「や、止めて下さいよ!何するんですか!?」

 

「抵抗するな!イクタ、君がこのところの怪獣出現に関わっているのはお見通しなんだ!!神妙にしやがれ!!」

 

「ホラ!大人しくしろ!!」

 

「っつ・・・夢ぐらい見させて下さいよ・・・せめて夢ぐらい・・・」

 

自宅の玄関のドアを蹴破られ、手錠をかけられ、挙句は怪獣出現の犯人だと特定されたイクタは御用となった。

 

だが、それは当然のことだ。どんな事情があるにせよ、自分の勝手で他人を巻き込み、多大な迷惑をかけた挙句で責任も取らずいれば、いずれ絶対に「ツケ」が回ってくるものなのだから。

 

―――アア゛ア゛ア゛ァァァッ・・・アア゛・・・ア゛ア゛ァ・・・アァ・・・――――――

 

その頃、イクタがしょっ引かれてブタ箱行きと相成った結果、意気消沈した創造主(イクタ)の気持ちに呼応するようにしてあのメチャクチャな姿の怪獣もとい巨影「夢幻怪獣 バクゴン」は掻き消すように消えてしまった。

 

こうして、大都市を昼夜問わずに騒がせた怪獣騒動は幕を閉じたのだった。

 

 

人は、誰しも夢を見る 

 

老いも若きも 大人も子供も

 

夢に逃れる

 

夢に遊ぶ

 

「何故?」って、

 

現よりも夢にこそ確かな世界が広がっているからだ。

 

だが、夢と違って現は「責任」を持って生きなければならない

 

だから人は誰しも夢に逃れ、夢に遊びたいのだ。

 

 




如何でしたか?

今回は「萌えキャラ」・「カオス」・「おふざけ」がほどよくミッスされている回に出た怪獣たち、ギャンゴ、カヴァドン、バクゴンが一同に登場しました。

何気に、カヴァドンとバクゴンの回は実相寺監督が担当しているし。

思うのは、やはりストーリーの要は脚本家さんや監督さんもですが、一番は「怪獣の個性」だと思いますね。だって、特撮はあくまで「怪獣」(かヒーロー)が主人公なんだから。

最近の怪獣は見た目はカッコし何かスゴい能力持ちが多いけど、鳴き声に特徴が無く、個性的な、キャラクターとして成り立ってないですよね。「とにかく喋らせばいいや」ってのも・・・ナンセンス。

もっとこう、特徴的で、何度出て来ても納得出来るような怪獣を出して欲しいですね。


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第三十三話 永久(とわ)に生き"たい"『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

今回は・・・ある意味で過激で、ある意味でかなり捻くれたお話です。まぁ、出した巨影がそんなヤツ(原作のストーリー)ですし・・・ね?

ついでに、作中で名前が出てくる人物は「とある有名映画」からお名前を拝借しました。何でしょうね?ヒントはタイトルの『永久(とわ)に~』ですかね

あと、後書きで再びどーでもいいネタ(フュージョンライズ)やってますので、気が向いたら見て下さい。

ではどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「あぁ、ワシは幸せだ・・・こうして、みんなに看取ってもらえて・・・嬉しいよ・・・ばあさん、ワシもそっちに行くから・・・な・・・」

 

「オヤジ!?オヤジ、しっつかりしろ!!」

 

「お義父さん!?お義父さん!!目を開けて下さい!!」

 

「おじーちゃん!?おじーちゃん、死なないで!!」

 

「19時20分、ご臨終です」

 

とある大都市の片隅にある病院の一室にて、一人の老人が家族に看取られながら天寿を全うし、病室は深い悲しみに包まれた。

 

「何故、人は死ぬのか?」

「何故、寿命というものは存在するのか?」

「何故、人の寿命はせいぜい100年程度なのか?」

「何故、死ぬことが自然の摂理とされているのか?」

 

人間ならば、否、この世に存在する「命」を持つ存在ならば必ずはそう思う疑問が、この世界の『摂理』だ『(ことわり)』だというきれい事(しんじつ)がある。

 

果たしてこの摂理や理は誰が決めたのか?神か仏か、それとも別の存在か?

 

そして、なぜ我々はその摂理や理に従わなければならないのだろうか?

 

何故?

 

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故・・・

 

何故なのか?

 

何故、長生きをしてはならないのだろうか?

何故、寿命を超えて生きてはならないのだろうか?

何故、寿命というものは定められているのだろうか?

 

だが、命があるものはいずれは死を迎えなければならない。命があるものは定められた寿命が尽きたならば死ななければならない。

 

それがこの世の摂理であり理なのだから。これは誰にも覆せないのだ・・・そう、遙か古代の地層から「ある生物」が見つかるまでは―

 

 

 

「「「ハッピーバースデートゥーユー・ハッピーバースデートゥーユー、お爺ちゃん、お誕生日おめでとう~~~!!!」」」

 

「いやぁ、ありがとうありがとう!こうしてみんなにお祝いしてもらえるなんて、ワシは幸せ者だ!!」

 

とある大都市の一等地に建つ家にて、盛大な誕生日パーティーが行われていた。そんな誕生日パーティーの主役は・・・集まった人々に「お爺ちゃん」と呼ばれている、どうみても30代くらいにしか見えない活気と精力に満ち満ちた男性であった。

 

そんな男性の目の前には誕生日ケーキが置いてあり、ケーキの上には「〇〇歳おめでとう!!」と書かれたチョコレートの板が乗っていた・・・乗っていたのだが、その書かれている歳が"異常"であったのだ。

 

ちなみに、何と書かれているかというと―

 

「130歳おめでとう!!」

 

と書かれていた。

 

見た目は若くて生き生きしているが、みんなには「お爺ちゃん」と呼ばれて、挙句は「130歳おめでとう」と書かれている・・・一体、何がどうなっているのだろうか?

 

 

 

「この生物が体に寄生すれば、人間の寿命は飛躍的に伸びるばかりか、肉体が若返る・・・驚くべき発見だ!!」

 

切っ掛けは古代の地層から「ある生物」が発見されたことであった。

 

基本、人間の寿命はせいぜい100年程度だ。当然、寿命は誰しもが迎えるし、人間も動物も年を取って死ぬ。

だが、そんな当然で当たり前の「自然の摂理」にこれでもか!!と逆らう生物が、はるかカンブリア紀の時代に生きていた三葉虫に酷似した巨影「古代生物 ソーマ」が古代の地層から発見され、クローニング技術で蘇った事で「自然の摂理」はほぼ崩れ去った。

 

 

「古代生物ソーマは、寄生した宿主の肉体を若返らせ、できる限り宿主を生き長らえさせることで自身も長く生きようとする性質がある」

 

このソーマの持つ驚くべき特性を発見したのは外国のメルヴィル博士と妻のマデリーン女史、および夫婦の親友のヘレン女史であった。

 

 

 

「「「ハッピーバースデートゥーユー・ハッピーバースデートゥーユー、お爺ちゃん、お誕生日おめでとう~~~!!!」」」

 

「いやぁ、ありがとうありがとう!こうしてみんなにお祝いしてもらえるなんて、ワシは幸せ者だ!!よぉし、もっともっと長生きするぞ!!」

 

こうして「寄生した宿主を若返らせて生き長らえさせる」という世紀の大発見の性質を持ったソーマはクローニング技術で増殖され、大勢の人々の首筋に寄生させられることと相成ったのである。

 

こうして人類はたかだか100年程度の寿命に怯える必要も、病気や怪我で苦しむ必要も無くなった。めでたしめでたしということだ。

 

 

「老いない、病気もしない、何の不安もないまま何百年も生きる。それって本当に幸せなの?限りある命を一生懸命に、必死に生きてこそ意味があるのではないか?」

 

古代生物ソーマが世間に広まって人間が数百年生きれるようになってからしばらくの後、不意にそんな事を主張し始める人々が現れた。とはいえ、その主張は実に的を得ていた。

何の苦もなく、何の危機感もなく、のほほんと安全に何百年も生きる事が出来る様になった人類は堕落して「頑張る」や「必死」といった言葉や行動と無縁になってしまった。その様を一言で言い表すならば「生ける屍」だった。

だからこそ人々は気付いたのだ。古代生物ソーマに頼りっきりではいけない。何百年もダラダラ生きるよりも限りある時間を必死に、懸命に生きる方がよっぽどいいと・・・故に、一度は古代生物ソーマを寄生させた人々もソーマを剥がし始めた―――

 

 

 

 

『あなたたち人間の体を若返らせ、病気から守って生かしてあげているのは我々です。つまり、最早あなたがた人間に主導権はありません。あなたがたは我々の意志に従って長生きして頂きます』

 

人間たちが古代生物ソーマに頼り切って生きるがよくないと気づき、ソーマを剥がし始めるには遅すぎた。

 

何故なら・・・人間が寄生させたソーマの「能力」によって若返って長生きできるようになったように、人間に寄生させて(・・・・・)もらった(・・・・)ソーマは人間の「知能」を得て頭がよくなった、ばかりか、知能が発達したソーマは人間の体の主導権を握り、思うがままに操り始めてしまった。

結果、人間たちはソーマを剥がすことはおろか、何をするにでも自分の意思ではなくソーマの意志に従って行動し、生きるしかなくなったのである。

 

こうして愚かにも目先の利益にばかり目が眩んだ人類はちっぽけな古代生物によってやることなすこと全てを管理され、何百年もの間をダラダラと生きるしかなくなったのである。

加えて、ソーマによって全てを管理されて自由が無くなり、病気になることも老いることも無く長生きできるようになった人類は・・・とにかく堕落し、あらゆる事柄に対して無頓着・いい加減・無気力になってしまい、文明レベルが著しく低下してしまった。

だが、それでも病気もせずに長生きできる・・・否「長生きしなければならない」という枷を背負った人類はみなこう思った―

 

「あぁ、死ぬべき時に死ねないって・・・辛いなぁ」

 

と。

 

だがいくら人類はそう思おうが、古代生物ソーマに体の主導権を握られた人類には全くの無意味であった。

 

そう、遙か古代の地層から「ある生物」が見つかるまでは―

 

 

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

『う、うわぁあああぁぁぁっ!?何だコイツはーーー!!?』

『ば、化け物だーーー!!』

『逃げろー!とにかく逃げろーーー!!』

 

ある日、とある工事現場で巨大な卵が古代の地層から見つかった、ばかりか、その卵から巨大生物もとい怪獣が誕生した。

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

その怪獣は通常の生物や怪獣と違い、頭部が体の下に、尾らしき部分が体の上の方にあるという変わった体形・・・というか、逆立ちで行動していた。

また、背中には緑色の棘々、尾の先は二股の鞭状になっており、顔は間の抜けた芋虫のゆるキャラのような顔立ちをしていた。だが、

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

『う、うわあああぁぁぁっ!?く、来るなーーー!!!』

『に、逃げろっ!捕まったら食い殺されるぞーーー!!』

『た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・』

 

件の怪獣は、あろうことか人間を襲って捕食していた。そう、この怪獣はその珍奇な姿と間の抜けた顔口からは想像も付かないが、口の中に見え隠れるする三角形の歯の形状から分かるように肉食性の捕食者である。

考えてもみて欲しい。十五階建てのビル並みの大きさの生物が、ましてや肉食の怪獣が追ってきたら・・・どれほどの恐怖になるだろうか?

 

しかし、

 

「おーい!こっちだよ怪獣さ~ん!!エサはここだよ~」

「そうだよ~エサはたくさんあるよ~」

「ほーら、早く私たちを食べて~」

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

件の怪獣が現れてからしばらくの後、とても奇妙な事が起きていた。それは・・・何と、自ら進んで怪獣に捕食されようとする人間が後を絶たなくなったということだ。

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

「うぅ、痛い・・・ごほっ!で、でも・・・これが生きてる証なんだなぁ・・・」

「あはは・・・これでやっと死ねる・・・嬉しいなぁ」

「これでダラダラ生きるのとおさらばできる・・・よかった」

 

普通に考えて、自ら怪獣に捕食されにいくなど正気の沙汰では無い。だが、怪獣に捕食されに行った人々はみな嬉しそうに、みな充実した表情のまま怪獣の胃の腑へと収まっていっていた。

 

そう、人々が自ら怪獣に捕食されにいった理由は極単純で、人々は「死にたかった」のだ。

 

現在、人類は自らが寄生させたあの古代生物ソーマによって無理矢理に長生きさせられ、非常に堕落した生活を何百年と続けている。だが、それに嫌気がさして抜け出すことも、あるいは自ら死ぬことも出来ない。

 

『ふざけるな!誰がお前たち人類を長生きさせてやってると思っているのだ!?嫌だ、我々は死ぬなど絶対にごめんだ―――』

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

当然、人類に寄生している古代生物ソーマは自ら怪獣に食われて死ぬという愚かで異常な行為を良しとするハズも無く、全力で抗った・・・が、そのソーマの能力を上回る圧倒的な『力』を、圧倒的で抗えない絶対的な『捕食者』の登場によって人類は死を迎えることが出来た。だから人々はみな嬉しそうに、満足そうに自ら怪獣に捕食されに行っていたのだ。

 

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

 

「ありがたやありがたや。あの怪獣のおかげちゃんと死ねるようになった。よかったよかった」

 

こうして、堕落してダラダラ何百年も生ける屍のように生き続け(・・・・)なければ(・・・・)ならなかった(・・・・・)人類は、自分たちを死なせてくれる怪獣こと巨影「古代怪獣 ツインテール」をまるで神のように崇めるようになったのであった。

 




如何でしたか?今回は「ネオ・ウルトラQ」より古代生物ソーマと、「帰ってくれウルトラマン」・・・「帰ってきたウルトラマン」より大人気怪獣ツインテールが登場です。

ちなみに、なぜこの二体を同時に出したかというと・・・三葉虫っぽいソーマと、三葉虫の天敵「アノマロカリス」っぽい&古代生物であるソーマと同じ「古代」の怪獣のツインテールということで選出しました(ちなみに、最新の研究ではアノマロカリスは三葉虫を補食出来なかったとか、食えても脱皮したての三葉虫しか襲えなかったとか言われてます)

長く生きたい、永久に生きたい・・・夢ですね。ですが、そうなったら死ぬタイミングはいつになるのか?
『ゲゲゲの鬼太郎』の4期の『黒髪切りと鬼髪』で目玉のおやじが「妖怪は死ぬことは無い。いずれ、自分であの世に渡る時を見極めなければならない」と言ってましたが・・・自然死するのが吉なのか、自分で死のタイミングを見極めるのが吉なのか、どうなのですかね?

で、前書きで言った「有名映画」とは1992年公開のあの『永久(とわ)に美しく』でして、お話の中に出たメルヴィル博士・マデリーン女史・ヘレン女史はその映画の主人公たちです。あの映画、今テレビでやったら話題になるぞ。色んな意味で・・・

以下、どうしてもやりたかったネタ↓

フュージョンライズ!

古代怪獣ツインテール

―――ギシェギシェエエエェェェ!!―――

強酸怪獣リトマルス

―――キュヒィン!!―――

大地の力、お借りします!!
超合体!ツインマルス!!

―――ギシェキュヒィン!!―――

ツインマルスのコンセプト「ボガールも食わない・食えない」→とにかくマズい、肉が排気ガス臭い。「他の怪獣のエサ」というコンセプトを覆す
見た目が似てる(リトマルスはツインテールのオマージュ)、両者とも「地底怪獣」だから。

最近はツインテールやリトマルスみたいな奇抜な見た目の怪獣いないですし、どうですかねぇ?


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第三十四話 臭悪(しゅうあく)で醜悪(しゅうあく)な『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。


今回は恒例の「ダブルネーミング回」に加えて「勝手な生態妄想シリーズ回」です。ネーミングはネタバレしまし+たが、一体なんの巨影の生態を妄想したのでしょうかねぇ?

ついでに、とうとう今回は原作とかの人物がそのまま、ご本人たちが出て来ます。果たして誰でしょうねぇ・・・?

あと、後書きで三度どーでもいいネタ(フュージョンライズ)やってますので、気が向いたら見て下さい。

ではどうぞ~



何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

―――マガジャパッパッパッ・・・!!―――

 

「ストビュームダイナマイトぉ!!」

 

―――ドォオオオォォォンッ!!―――

 

―――ガッ!?マガッ・・・ジャッパ・・・パッ・・・―――

 

日本のとある山岳地帯の奥地にある湖の湖畔にて、(くれない)に燃える巨大な英雄(ウルトラマン)と、まるでタツノオトシゴに手足を生やしたかのような怪獣が戦い、今まさにウルトラマンが必殺技で怪獣を爆散させた所だった。

 

「やった!オーブが勝った!!」

「これで万事解決ですねキャップ!!」

「そうね!これで水がくさくなる事は無くなったわね!!」

 

そんなウルトラマンと怪獣の戦いを、胸に「SSP」というバッジを付けた三人組が見て、撮影していた。

そんなSSPの面々およびウルトラマンがこの山奥の湖に、もっと言えば先の怪獣を追っていたのには理由がある。

それは・・・あのタツノオトシゴに手足を生やしたかのような怪獣は「浸かった水を臭くする」という特性を持っており、そんな怪獣がたまたまSSPの面々やウルトラマンの"人間の姿"が暮らす大都市の水源であるこの湖に現れ、水を臭くしてしまったからだった。

だが、怪獣はウルトラマンが倒した。これで大都市の水は元通りになる。万事解決と相成った・・・ハズだった。

 

 

「あーあ、ガイのヤツ、何の罪も無い怪獣を殺しちまったなぁ・・・こりゃ、怪獣の『遺恨』が残るぜぇ・・・ハアッハッ!楽しみだねぇ!!何が起こるかなぁ~?」

 

怪獣が倒され、SSPの面々もウルトラマンもいなくなった湖の湖畔に、黒いスーツを着た一見すれば爽やかで優雅だが、目には狂気を宿し、喋り方も立ち振る舞いも完全に変態な青年がいた。

 

「全く、ただ水浴びをしてただけなのに殺されて、お前もさぞかし無念だよなぁ『水ノ魔王獣』よぉ。んんっ?」

 

そんな変態・・・青年は湖畔に落ちていた一枚のカードを、あのタツノオトシゴに手足を生やしたかのような怪獣が描かれた謎のカードを手にしつつ、そのカードに語りかけていた。すると、

 

―――マガジャパッパッパッ・・・!!―――

 

突然、どこからともなく鳴き声が、確かにウルトラマンに倒されて爆散させられたあの怪獣の鳴き声が聞こえたではないか!!そんな鳴き声の出所は・・・謎の青年が手にしている怪獣が描かれたカードから出ていた。一体、何がどうなっているのだろうか?

 

「ははっ、そうだよなぁ。ムカつくよなぁ、無念だよなぁ・・・ならさぁ、その仕返しをしてやりなよぉ!お前の"本当の力"を、人間どもに見せてやれぇ!!」

 

一方で、謎の青年は怪獣が描かれたカードから聞こえる鳴き声に、その「怒り」と「無念」に満ち満ちた鳴き声を聞いて満足そうに微笑むと・・・怪獣が書かれたカードを湖に放り込んだ。これが後に起きる大事件の幕開けとなるのであった。

 

―――マガジャパッパッパッ・・・!!―――

 

 

 

 

 

 

「う、うわぁああああ!?な、何じゃコレーーーっ!!?」

「ひ、ひぃいいいぃぃぃっ!?何が・・・何がどうなってるのよ!!?」

「い、一体、何が僕たちに起きているんですかっ!!?」

 

 

「ど、どうしたんだみんな!?そんな大声で叫んだりして―――って、な、何だソレ(・・)・・・?」

 

「ガ、ガイさん・・・助けてぇ・・・」

「ぼ、僕たちぃ・・・どうなっちゃたんですかぁ・・・」

「こんな姿ぁ・・・嫌ですよぉ・・・」

 

件の異臭騒ぎの元凶の怪獣が倒されて数日後の早朝から響く悲鳴。その悲鳴の主はあのSSPの面々であり、その悲鳴を受けてSSPの元に居候している「ガイ」という名の青年が大慌てで駆けつけた・・・そこで、ガイは「とんでもない光景」を目の当たりにした。それは―

 

「ナ、ナオミ、ジェッタ、シン・・・お前ら・・・その姿・・・まるで怪獣じゃないか・・・!?」

 

SSPの面々の悲鳴を聞きつけて駆けつけたガイが見たもの、それは・・・ほんの数日前まで確かに人間の姿であったSSPの面々が人外の、鼻が異様に肥大化して垂れ下がっていたり、体中に鱗が生えていたり、尻尾が生えていたり、といった具合の異常が起きているのを目の当たりにした。ちなみに、この異変はSSPの面々だけではなく街中で起きているのだ。加えて、

 

「うっ!?く、くさい・・・鼻がもげそうだ・・・」

 

「や、やっぱりぃ・・・臭いですかぁ・・・?」

「僕たちもぉ・・・臭くて鼻が曲がりそうですぅ・・・でもぉ」

「このニオイぃ・・・僕たち自身からぁ・・・出てるんですよねぇ・・・いくらぁ・・・ファ〇リーズしてもぉ・・・消えないんですよぉ・・・」

 

「なん・・・だって!!?」

 

人が怪獣になるという信じがたい現象に驚くガイであったが、不意に漂ってきた香り、それも明確な「悪臭」に思わず顔を歪め、鼻を覆った。

そんな悪臭の出所であるが・・・何と怪獣化してしまったSSPの面々の体から発せられていたのだ。加えて、何故か怪獣化したSSPの面々は妙に間延びしたというか、やたらゆったり喋っていた。と、ここで―

 

「ほほぉ、こりゃあ見事に怪獣になってるなぁ。いやぁ、実に見事な変身っぷりだなぁ」

 

「その声は・・・!!」

 

「「「ジャグラー・・・どこだぁ・・・?」」」

 

「あ?俺はここだぜぇ」

 

という声と共に誰かが、あの湖畔にいた変態的な青年こと「ジャグラー」が何の前触れも無くガイやSSPの面々の前に現れた。そんなジャグラーがガイたちの前にわざわざ現れた理由とは―

 

「それにしても・・・あーはっはっはっはぁ!やっちまたなぁ、ガイぃ!!お前のせいで何の罪も無い人間か怪獣になっちまったなぁ、オイ!!」

 

「!?オイ、どういうことだジャグラー!?」

 

「どういうことだって、お前・・・そのままさ。お前が余計な事を、あの湖にいたただ水浴びしてただけの怪獣をぶっ殺しちまったせいで、怪獣の体液が水に流れ出して、そのせいで最終的にコイツらみたいにみーんな怪獣になるんだよぉ!!」

 

「なん・・・だと!?」

 

「「「なん・・・だってぇ!!?」」」

 

突如として現れたジャグラーはガイや怪獣化したSSPの面々をニヤつきながら一瞥した後、この場にわざわざ出向いた理由を、SSPの面々や街の人々が怪獣化した原因を嫌味を含めて語った。

 

そう、人々の怪獣化の原因は・・・あのタツノオトシゴに手足を生やしたかのような怪獣の体液(・・)が大都市の水源である湖に流れ出した結果、人々は怪獣の体液によって悪臭を放つ怪獣と化してしまったのだ。

そして、その原因は言わずもがな怪獣を直接殺したウルトラマン(ガイ)だった。だからそのガイと敵対しているジャグラーは嫌味を言うために、残酷な現実を告げるためにわざわざガイたちの前に現れたのだった。

 

「ははっ!そりゃそうだよなぁ!!怪獣だって特に悪いことしてねぇし、人目に付かない山奥でひっそりと水浴びしてたのに、自分の楽しみ奪われてムカついてたお前(ガイ)にぶっ殺されりゃ、そりゃ恨むよなぁ!遺恨だ何だが残るよなぁ!!」

 

「・・・そんな・・・俺は、ただ単に・・・あの怪獣が水を臭くしてみんなに迷惑かけてたから―――」

 

「オイオイ、別に"臭くなった"程度で、飲めないわけじゃねぇだろ?考えてみろよ、インドとかアフリカじゃ水が臭おうが汚かろうがお構いなしに飲んだり風呂の水に使ったりしてるぜぇ?」

 

「そ、それは・・・そうだが・・・」

 

「だろぉ?つまりさぁ、今回の事は贅沢でワガママな人間とお前(ガイ)が一方的に怪獣を悪者にしてぶっ殺した事の『報い』なんだよぉ!ひゃはははっ!因果横暴ってヤツだなぁ!!」

 

ジャグラーが語った事の真実に、発言の「正論さ」の前にはガイやSSPの面々は押し黙るしかなかった。

 

確かにあの怪獣こと巨影「水ノ魔王獣 マガジャッパ」は大都市の水源を臭くはした。しただが、あくまで「臭くした」だけであって水は飲めるレベルであり、決して飲めなかったり水に毒を流したりするような「汚染」はしていない。

だが、現代日本の清潔で、無味無臭な「キレイな水」に慣れすぎた(・・・・・)人々はマガジャッパによって臭くなった水を、水を臭くしたマガジャッパを「悪者」と決めつけ殺した。マガジャッパの持つ恐ろしい性質を理解しないまま・・・結果、今回のように人間が怪獣になるという事件が起きてしまったのだ。

 

そう、今回の一連の騒動は全て欲深く、贅沢な人間が招いた「因果横暴」な結末だったのである。

 

「そんな・・・俺は、俺は・・・俺のせいで・・・!!」

 

「そうだ!その通りさ!!お前のせいでみーんな怪獣になっちまうんだよ、ガイぃ!!」

 

ジャグラーによって告げられた真実を前に、両手をワナワナと震わせつつ、自分のしでかしたことの重大さに打ちひしがれ、ガイはガックリと膝を付いてしまった。

そんなガイを見たジャグラーはそれはそれは愉快そうに、それはそれは嬉しそうに笑い、喜び、嘲ってその場を去って行った。

 

後に残されたのは呆然と立ち尽くししかない怪獣化したSSPの面々と、自負の念に駆られて茫然自失としているガイ、そして大都市中に溢れる怪獣化してしまった人々だけだった・・・

 

 

 

 

 

「如何でしょうか、我がクレナイ商事の新商品は?」

 

「はい、とても素晴らしいですね。現在販売させて頂いているセーデガンヌも素晴らしいですが、こちらの香水も素晴らしいですね。是非とも我が社で販売させて頂けませんか?」

 

「そうですか!はい、是非ともよろしくお願い致します!!」

 

「いえいえ、こちらこそこらからもよろしくお願い致します」

 

とあるオフィスビルの建ち並ぶ大都市の一等地にあるビルの一室にて、ピシッとしたスーツを着込んだ端正な顔立ちの青年営業マンが、青年が勤める『クレナイ商事』なる企業の新商品の香水(・・)のサンプルを取引先に持ち込んで宣伝を行っていた。

そんな営業マンの青年だが・・・何と、あの「ガイ」と呼ばれていた青年であった。しかし、何故ガイは営業マンをしているのだろうか?

 

 

 

「ふぅ、やっぱりラムネは美味い。さてと・・・次はメトロポリスにある小売店に訪問か。よし、行くぞ」

 

取引先での営業を終え、大都市の片隅の公園でガイはラムネを飲みつつ、手帳で次に行く営業先の確認をしていた。すると、

 

「何で・・・何でだよ、ガイ・・・お前、何やってやがんだ・・・?」

 

「んっ?ああ、ジャグラーか。見ての通りの営業マン・・・色々あってみんなのために(・・・・・・)も就職したのさ、俺」

 

「は、はあっ!?あのヒモのプロのお前がかっ!?」

 

「ヒモのプロって・・・人聞き悪いな。俺は自由人なだけだ」

 

「って、そうじゃねぇ!ガイお前、何でお前のんきに営業マンなんてしてるんだって聞いてんだよ!お前のせいで怪獣化した連中はどうしたって聞いてんだよ!!まさかお前、アイツらを見捨てやがったのか!?」

 

不意に、ガイの元にジャグラーが現れた。そんなジャグラーは心底驚いたような表情で必死に言葉を絞り出しながらガイに、せっかく絶望させたのに今は元気そうに、おまけに営業マンまでやっているガイへ詰め寄ったのだが、

 

「バカなことを言うなジャグラー。俺はアイツらを絶対に見捨てやしない。ましてや、俺の責任で怪獣になっちまった人たちに償いもしないわけないだろう」

 

「じ、じゃあ何で営業マンなんてしてるんだ―――」

 

コレ(・・)さ」

 

「なっ、何だコレ?」

 

「嗅いでみろ。いい匂いがするぞ」

 

ジャグラーの問いに対し、ガイはキッとした表情でジャグラーの問いを否定しつつ、ジャグラーに向かって液体の入った小瓶を、ガイが起業した『クレナイ商事』の商品である香水を投げ渡した。

 

「た、確かにいい匂いだが・・・これが何だって言うんだよ?」

 

「それはな・・・怪獣になってしまった人々の協力を、彼らの『力』を得て作った香水だ」

 

「!?こ、これが・・・?これが、あの悪臭を放つ怪獣どもの力で作られたって言うのか!!?どういうことだ・・・?」

 

「実はな、あの怪獣になってしまった人々が放つ悪臭や体液は一定時間が経つともの凄くいい匂いになるんだ。だから俺は、俺たち(・・・)はそれを香水にして売ってるんだ。生活費や治療費とかのためにな」

 

ガイがジャグラーに投げ渡した香水を嗅いでいたジャグラーに対し、ガイは驚くべき事実を告げた。

何と、芳醇でえもいわれぬ香りを放つ香水の原料は怪獣になってしまった人々の放つ悪臭というか分泌物であり、その悪臭や分泌物は時間が経過すると悪臭どころかものすごくいい匂いになるのだ。

そこで、ガイと怪獣化した人々はそれを利用して香水を作り、企業や小売店に販売しているのだ。怪獣化したことで、あまり人前に出られなくなった人々の唯一にして、最大の収入源になるから。

 

「って、そうじゃねぇ!俺はなガイ、何でお前は何の罪も無い連中怪獣にしといて、自分はのんきに営業マンなんてしてるんだって聞いてんだ―――」

 

「だから、それがみんなへの、俺のせいで怪獣化した人々のために出来る俺なりの償いだからさ。加えて、人間はそんなにヤワじゃない。人間はなジャグラー、どんな状況に置かれても、どんな姿になっても生きる事を諦めないのさ」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

ガイが営業マンをしている理由、それはガイなりの「償い」と怪獣化した人々が見せた「生きる事を諦めない意思の表れ」であった。

 

確かにガイはよかれと思ってマガジャッパを撃破したが、そのせいで流れ出したマガジャッパの体液によって人々が怪獣化した。

 

結果、当然ながら怪獣化した人々はとてもじゃないが人前に出れないし、そうなると収入が無くなって生活が出来なくなるという大問題が発生した。

 

だが、人々というか「人間」というしたたかで、それでいて生き意地が(いい意味で)汚い種族は自分が置かれた状況で最大限に、最善の解決策や適応手段を見せてしまう種族なのだ。

 

そう、驚くべき事に怪獣こと巨影「悪臭怪獣 セーデガン」と化した人々はそれを受け入れ、あろうことかセーデガンという怪獣の特性を活かした『商売』を行って収入を得ていたのだ。

その際、流石にセーデガンという人外の姿では商売や色々な事に不都合が出るため、唯一マトモな(・・・・)姿であるガイが営業マンとしてセーデガンの体液から作った香水を、日本中で一大ブームと化している香水『セーデガンヌ』の売り込みの営業などを行っているのだ。

全ては償いのために。全てはこの地球という星の、地球に住む人類という種族が持つ「地球の文明」において欠かせない「お金」を得るためなのだ。お金が無いと何も出ないし成り立たないのが地球の文明だから。

 

「ま、そういうことだ。ジャグラー、お前もいつまでもプーやってるのはよくないぞ?特に地球にいるなら尚更だ。じゃあ、俺は次の営業があるからこの辺で」

 

絡んできたジャグラーに事情を説明し終えたガイは営業の資料や試作品を入れたスーツケースを持ち、呆然としているジャグラーをそのままにして公園を後にした。

 

ガイ去りし後、

 

「何で・・・何でだよガイぃ!何なんだよ!!一度くらい俺に勝たせろよ!この野郎ぉぉぉーーーっ!!!」

 

せっかく追い込んだのに、せっかく絶望させたのに、せっかく勝ったと思ったのにあまり応えていない・・・正確に言えば応えてはいるものの、だからといって絶望したり投げやりになることはなく、自分に出来ることを見付けて前に進んでいるガイ(とセーデガン化した人々)を見たジャグラーは悔しさのあまり感情をむき出しにして大絶叫した。白昼の公園内で。周りには親子連れとかいるのに。その結果、警察が飛んできてエラいことのなったのは別の話だが。

 

こうしてジャグラーの目論みは失敗に終わった。全ては人間という凄まじい適応力を持ち、それでいてお金に汚い醜悪な種族を侮っていたが故に。

 

そう、人間とは良くも悪くも醜悪(しゅうあく)なのだ。

仮に臭くて、悪者そのものな臭悪(しゅうあく)な怪獣の姿になっても金儲けを忘れないようなたくましい種族なのだ、人間とは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~っと、君が電話してくれたジャグラス・ジャグラー君?」

 

「はいそうです。今日はよろしくお願いします。これ履歴書です」

 

「ああ、どうも。じゃあ面接始めるけど、この『ムルナウの館』で働こうと思った志望動機は何かな?」

 

「はい!俺、この館に欲しいものがあって・・・じゃなくて、ですね―――」

 

ガイとジャグラーの間に一悶着が起きてからしばらくの後、とある大都市の外れにある大きな屋敷、通称『ムルナウの館』内にて、この館で働くお偉いさんが「働きたい」と電話してきた人物の面接を行っていた。

その人物とは・・・何と、あのジャグラーであった。そんなジャグラーはいつもの飄々とした変態的な感じを止め、シワ一つ無いスーツをピシッと着こなし、身だしなみや立ち振る舞いを正して履歴書を片手に面接に臨んでいた。

 

ちなみに、何故ジャグラーが面接に訪れたかというと―

 

「ガイの野郎、見てろよ!無職なんて言わせねぇぞ!!俺だって就職してやるぜ!!」

 

というガイへの対抗心、とこの『ムルナウの館』にある「ある物」を手に入れるためにやって来たのだが・・・それはまた別の話である

 





如何でしたか?

今回は『ウルトラマンオーブ』から「水ノ魔王獣マガジャッパ」と『ネオ・ウルトラQ』より「悪臭怪獣セーデガン」の登場です。

で、なぜ今回「マガジャッパの体液を浴びた人間がセーデガンになる」という設定を妄想したかと言いますと、マガジャッパは「魔王獣」というカテゴリにもかかわらず、他の連中みたいな甚大な被害をもたらす特性も持っておらず、せいぜい「水を臭くする程度(「水は臭いけど、この程度なら問題ない」と劇中では発言があった)であって、別に「水そのものを腐らせる」わけでも「水を汚染する」わけでもないじゃないですか?
なのに魔王獣・・・なので、そこは「魔王獣」というカテゴリに属して当然の、マジで「禍邪波(マガジャッパ)」らしい能力を考えました。何気にセーデガンとマガジャッパって見た目、能力などが酷似してるし。

ついでに、今回は臭くて悪者=臭悪な怪獣よりも人間の金に汚い醜悪さを描きましたが・・・マジでお金無いと何も出来ないからねぇ。別にお金に執着するのは、金儲けするのは悪いことでは御座いません。

で、何故にガイさんを営業マンにしたかは「ガイさんはヒモ」とネットでネタにされてる部分があるから、その辺を採用しました。

以下、どうしてもやりたかったネタ↓

フュージョンライズ!

悪臭怪獣 セーデガン

―――セーデ・・・ガァン!!―――

水ノ魔王獣 マガジャッパ

―――マガジャパッパッパッ・・・!!―――

かぐわしき香りで我を包め!!
超合体!スカトリジン!!

―――ゼガッパッパッパッパ・・・!!―――

名前の由来:最初は「マガジャデガン」か「セーデガジャッパ」だったが、何か語呂悪いから悪臭成分「スカトール」と刺激臭成分「ピリジン」を合わせた。
ついでに、他には「シュールストレミング」とか「キビヤック」、「ホンオフェ」とか「エピキュアチーズ」(全部臭い食べ物)でも考えたが、いいのが浮かばなかったので。

スカトリジンのコンセプト「ボガールも裸足で逃げ出す悪臭。ボガールも食わない・食えない」

能力:とにかく臭い。マガジャッパとかセーデガンが目じゃない臭さ・・・にもかかわらず、いい匂いもする。そのため悪臭+いい匂いが交互に襲いかかり、凄まじい「リバウンド効果」を生んでしまう。
某『千〇千尋の神隠し』のオ〇サレ神みたいに悪臭で周囲の物を腐らす。

見た目:ベースはマガジャッパだが、頭部には嘴(マガ水流の発射器官)じゃなくてセーデガンの鼻、手足はセーデガン(人間みたいな手足→物が掴める、肉弾戦、殴り合いなどが出来る)

どうでもいいですが、作者は最初マガジャッパを「マジャガッパ」だと思ってました。だってアイツ河童っぽいし。


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特別話 巨影・『完』と『超』のせめぎ合い

お久しぶりです、作者です。

えっと・・・今回は恒例の(?)『特別話』ということであの怪獣が出ます。

一体どの怪獣王が出るのか―――と言いたいのですが、先にぶっちゃけます。

今回は一昨年公開されたあの大ヒット映画の怪獣王です・・・ですが、内容がかなり(色んな意味で)ヒドい事になっています。何故なら・・・本編を見て頂ければ分かります。

ですが、その理由等は後書きで考察していますので、後書きもどうぞご覧下さい。

ではどうぞ~

ついでに、実はタイトルの時点で今回なにするかネタバレしてるんですよね・・・


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

「あれが・・・ゴジラか・・・!!」

 

この日、日本の主要都市にして大都市の東京が火の海と化した。

仄暗い海より現れた大怪獣にして「(しん)次元」とも「(しん)次元」とも「(しん)次元」とも呼べる存在、異形の巨影「シン・ゴジラ」によって。

 

 

 

「アメリカがゴジラ殲滅のために東京への核攻撃を決定したそうだ・・・」

 

「そんな!?そんなのって・・・!!」

 

「あ、あんまりじゃないですか・・・!!」

 

「日本をまた被爆国にする気かよ・・・!!」

 

東京を火の海に変え、シン・ゴジラ撃退に乗り出したアメリカ空軍を全滅させ、挙句はその有り得ない危険性が判明したシン・ゴジラを驚異と見なしたアメリカ及び世界各国のトップにより、シン・ゴジラがいる東京への核攻撃が決定した。それを知った人々は絶望し、怒り、憤った。

しかし、これは人類を守るために"必要な"行為なのだと日本は受け入れざるを得なかった・・・だが、

 

「あきらめず、最後までこの国を見捨てずにやろう」

 

「矢口・・・」

 

「矢口さん・・・」

 

「この国にもう核は落とさせない。見ていろ!!アメリカの―――」

 

「矢口、お前ってヤツは・・・!!」

 

誰もが日本への三度目の核投下に悲観し、絶望的になる中、シン・ゴジラ出現に際して結成された巨大生物対策チーム、通称『『巨大不明生物特設災害対策本部』通称『巨災対』のリーダーである矢口が皆を叱咤し、巨災対の面々も矢口の熱意と信念を前にして今一度シン・ゴジラに立ち向かうもとい日本への三度目の核投下を阻止すべく奮闘することとなった。

 

 

 

 

「冷えてないんだ・・・!!」

 

「どうしました間さん?」

 

日本への三度目の核投下を防ぐべく、巨災対は全力で対シン・ゴジラ作戦を考えていた。

その最中に「学界の異端児」と称される生物学者の間という男がある真実に気付いた。そして、間の気付いた真実と「ある男」のアドバイスが対シン・ゴジラ作戦に希望の光を点すこととなる―

 

 

 

 

「これより対ゴジラ作戦、通称『ヤシオリ作戦』を開始する!準備はいいか?」

 

「「「おぉーーっ!!!」」」

 

「よし!では『ヤシオリ作戦』開始っ!!」

 

日本への三度目の核投下を防ぐべく、東京を火の海に変えた後にエネルギー切れで一時的に眠っているシン・ゴジラへ攻撃を開始した矢口を筆頭にした巨災対と自衛隊、そして在日米軍がそこにいた。

 

「まずは無人新幹線爆弾だ!!」

 

という矢口の声を合図に、車両一杯に爆薬を搭載したN700系新幹線の大隊が先陣を切ってシン・ゴジラに突撃した。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

結果、眠っていたゴジラは否が応でも目覚めざるを得なかった。

 

「よし次!無人爆撃機部隊、攻撃開始!!」

 

という矢口の声を合図に、無人新幹線爆弾の攻撃で目覚めたゴジラに対して在日米軍の無人爆撃機の大隊が攻撃を開始した。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

当然の如くシン・ゴジラは自身に攻撃を加える無人爆撃機を背ビレから放射する熱線、口から吐く熱線、そして尾の先端から放つ熱線で撃ち落とし始めた。しかし、

 

「いいぞ!どんどん行け!ヤツに熱線を吐かせ続けるんだ!熱線が吐けなくなるまでな!!」

 

次から次に撃墜される無人爆撃機を前にしても矢口や巨災対の面々は冷静だった、実は無人爆撃機によるゴジラへの攻撃の目的はシン・ゴジラを弱らせることではなく、シン・ゴジラの熱線を撃つエネルギー全て使い切らせることが目的だったのである。そして、その時は訪れた。

 

―――アァ・・・アンギャアアアァァァオオオオォォォォン・・・!!―――

 

それまで体中の至る所から熱線を吐いていたシン・ゴジラが呻くような声を上げた。何故なら、シン・ゴジラは熱線を吐くためのエネルギーを全て使い切ってしまったのだ。

 

「よし!今だ!ビル爆破開始!!」

 

読み通りにシン・ゴジラがエネルギー切れを起こしたのを確認した矢口の声を受け、自衛隊が前もってゴジラのいる周囲に立ち並ぶ高層ビルに仕掛けていた爆弾を起動、及び房総沖に浮かぶ米軍の遠距離ミサイル駆逐艦が放ったミサイルがシン・ゴジラの周囲の高層ビルを爆破した。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!?―――

 

いくら100m超えの巨体を誇るシン・ゴジラとはいえ、自身よりも巨大で超重量の高層ビル軍が倒れてきてはひとたまりもなく、とうとうシン・ゴジラはもんどり打って倒れたのだった。

 

「やったぞ!この期を逃すな!!特殊建機第1小隊『アメノハバキリ』出動だ!!!」

 

だが、ヤシオリ作戦はまだまだ終わっていない、どころかここからが本番だった。

高層ビル群の倒壊に巻き込まれて身動きが出来なくなったシン・ゴジラに向かって特殊建機の高圧ポンプ車の大隊、通称「特殊建機第1小隊『アメノハバキリ』」が突撃した。

そんなアメノハバキリ部隊の高圧ポンプ車のタンク内にはシン・ゴジラを倒すための秘密兵器が、シン・ゴジラの血液を凝固させ、活動を停止させてしまう特殊な血液凝固剤が積まれている・・・そう、ヤシオリ作戦は件の血液凝固剤をシン・ゴジラに打ち込んで始めて成功するのだ。果たして成功するのだろうか?

 

『特殊建機第1小隊、ゴジラの元へ到着!これより血液凝固剤の投与を開始します!!』

 

「お願いします!日本の未来はみなさんにかかっています!!」

 

地にひれ伏したシン・ゴジラの元へ到着した「アメノハバキリ」は矢口の指示の元、血液凝固剤を流し出す管をシン・ゴジラに向かって伸ばして行き、そして―

 

 

 

 

―――ア゛ーーーッ!!?―――

 

辺りに響くゴジラの悲鳴、それも明らかに「痛み」と「困惑」、そして「驚愕」からなる悲鳴だった。

何故なら・・・いま現在、ゴジラの肛門に異物が、アメノハバキリ部隊の血液凝固剤を流し出す管が突き刺されているからだった。しかも無数に。

 

「浣腸だ・・・それも特大の浣腸だ!!」

 

その光景を見れば誰もがこう言うだろう。そう、何と・・・アメノハバキリ部隊はゴジラの肛門(おしり)に血液凝固剤の投入口をブッ刺す、つまりは「浣腸」を行っていたのだ!!

 

 

―――アァ・・・アンギャアアアァァァオオオオォォォォン・・・アン・・・ギャアァ・・・オォン・・・―――

 

『ゴジラ沈黙!完全に活動を停止しました!!』

 

「やった・・・やった!やったぞ!ヤシオリ作戦成功だーーー!!!」

 

「やりましたね矢口さん!これで日本に核爆弾が落とされることはありませんよ!!」

 

「ああ、よかった。本当によかった・・・!!」

 

アメノハバキリ部隊がシン・ゴジラのお尻から血液凝固剤を流し込み始め、シン・ゴジラの活動停止のために算出された量を流し込み終えた直後、シン・ゴジラは完全に沈黙して動かなくなった。

その報告を受け、矢口や巨災対、そして今回のヤシオリ作戦を見守っていた大勢の人々はホッと胸を撫で下ろした。これで日本が三度目の核投下を受けることは無い・・・日本中がホッと胸を撫で下ろした瞬間でもあったのだ。

 

「しかし・・・まさか、本当に高須さんのアドバイス通りだったな。成功してよかったよ」

 

ヤシオリ作戦が成功し、完全に沈黙して動かなくなったシン・ゴジラを前にしてそう呟く矢口。そんな矢口が口にした「高須」とは一体?

 

 

 

「いいかい矢口君?ヤツも生物だ。ということはだ・・・経口摂取ならぬ経"肛"摂取ならば効果は絶大だ。間違いなく速効で効果が現れるだろうね」

 

「肛門から凝固剤を入れるんですか・・・?それ、本当に効果が見込めるんですか、高須さん?」

 

「ああ、間違いなく効くよ。私が保証する。YES、高須ク〇ニックってね!!」

 

「は、はあ・・・」

 

時は少し遡り、シン・ゴジラ対策として巨災対がヤシオリ作戦を考えていた際の事だ。

 

そもそもヤシオリ作戦は巨災対に集まった面々がそれぞれ出したりまとめたアイデアや知恵を矢口がまとめ、考案したものだ。その最中、その男は矢口に面と向かってこう言った。

 

 

「いいかい矢口君?ヤツも生物だ。ということはだ・・・経口摂取ならぬ経"肛"摂取ならば効果は絶大だ。間違いなく速効で効果が現れるだろうね」

 

「肛門から凝固剤を入れるんですか・・・?それ、本当に効果が見込めるんですか、高須さん?」

 

「ああ、間違いなく効くよ。私が保証する。YES、高須ク〇ニックってね!!」

 

「は、はあ・・・」

 

そう言って困惑したような表情の矢口に対して笑顔でサムズアップする眼鏡をかけた白髪の男、日本でも有数の医学博士の「高須」という男だった。

そんな高須は矢口たちが考案したヤシオリ作戦について医学博士としていくつかアドバイスをした。

 

「しかし・・・なぜ肛門から凝固剤を入れると即効性があると断言できるんですか高須さん?」

 

「んん?ああ、ほら、風邪を引いたときにすぐに治したいなら飲み薬じゃなくて座薬を使うだろう?いいかい矢口君、薬品を生体に吸収させる場合、口や胃などの消化器官などよりも腸などの吸収器官の方が吸収率が高いんだよ。そしてゴジラも生物であるならば・・・吸収器官から凝固剤を入れれば確実に効くだろうね」

 

「は、はあ・・・なるほど・・・?」

 

「それにだよ。熱線をぶっ放すヤツの口に人員を近付けるよりも、熱線を出したりしないお尻、あるいは足下ならば安全だろう?今は人員が少ないし、一人でも失いたくないだろう?」

 

「それは・・・そうですね。一人でも多く生き残って欲しい、犠牲者は一人でも少ない方が当然いいですから」

 

「だろう?だから、まずはゴジラのお尻の穴を探すことから始めないとね」

 

高須のしたアドバイスは一見すれば突拍子もなく、何ともマヌケに聞こえるアドバイスだ。しかし、その実は相当に効果的で確実だった。

 

というのも、実際に高須の言うように薬品などを生体に吸収させる場合は経口摂取によって胃などの消化器官を経由するとかなり時間がかかる。

一方で、経口ならぬ経"肛"摂取もとい腸などの吸収器官に薬品を投与すると薬品はあっという間に生体に吸収されて効果を発揮する・・・つまり。あまりに異形かつ「神生物」とも「新生物」とも称されるシン・ゴジラとはいえども「生物」である以上は他の生物たちと同じように吸収器官に薬剤を投与する経"肛"摂取の方が効果があると断言できるのだ。

 

加えて、高須は経"肛"摂取の「安全性」についても述べた。

というのも、普通に考えて口から熱線を放つ怪獣の口に凝固剤を入れに行くなど・・・殺して下さいと言っているようなものであり、完全な自殺行為あるいは「特攻」と同じ行為だ。

だが、肛門もとい臀部や足下なら少なくとも熱線を受ける事も無く、肛門が見つからなかった場合は足の関節部や尾の付け根などの皮膚が薄い部分を狙って凝固剤を投与するという応用も利くのだ。

 

つまり、経"肛"摂取は効果面でも安全面でも相当に優秀なのだ。

 

 

「それにだ・・・ゴジラは頭を下向きにして倒れた。もし口から凝固剤を流し込んだら普通に考えて流れ出ちゃってたかもね矢口君?」

 

「それは・・・そうですね。あの状態で確かに口から入れたら流れ出てましたね」

 

「だよね~でもさ、逆に今回はそれが功を奏したね」

 

「はい?何でですか?」

 

「だって、頭が下向きならお尻は上向きでしょ?普通に考えてさ、上の方から液体を流し入れたら下の方に流れ込むじゃない。多分、凝固剤の効き目が早かったのもゴジラの体内に入った凝固剤がお尻(うえ)から(した)の方に流れて行ったからだよ」

 

「な、なるほど・・・今回のは偶然とは言え、かなり好都合な状況になっていたんですね」

 

「そういうこと。運も、あるいはその時の状況も味方に付けてこそだよ~」

 

「そう・・・ですね」

 

ヤシオリ作戦を終え、完全に沈黙したシン・ゴジラを遠くから見ている矢口と高須が青空のもと談笑をしていた。

そう、全てが終わったのだ。これで全てが終わったのだ・・・

 

その後、なぜか日本のイチジク浣腸がやたら海外で売れ始めたらしいが・・・それはまた別の話である。




はい、如何でした?ヒドかったでしょう・・・あの『シン・ゴジラ』をねぇ・・・

で、タイトル云々は「『完』と『超』のせめぎ合い」→『かん』と『ちょう』→かんちょう→浣腸です。やっぱりヒデぇ・・・

ですが、これは作中でも述べた様に僕と僕の友人たち(看護婦してる僕の相方、獣医師、泌尿器科医、動物園の職員)の意見を総合した結果です。

まず、本当にお尻から凝固剤入れるのは『安全』なのですよ。考えてみても下さい。口から熱線ぶっ放すヤツの口に近付き、管入れるとか・・・自殺行為でしょ?死にに行くのと同じですよ。だから僕はゴジラの熱線で殉職した第一小隊のみなさんは相当に勇気がある方たちなんだなと思いますよ。矢口とか防護服着て安全な場所から指示してるだけなのに・・・第一小隊のみなさんこそ顔出しして、最も表彰すべき方々ですよ。
そもそも、ヤシオリ作戦の実行時には人員が相当に少なくなっていたはず。ならばやはり犠牲者は一人でも少なくすべきだろう・・・正直、矢口の作戦ミスな気もしますが・・・

次にいくら「霞食ってる仙人みたい」とか「神」とか言われてるシン・ゴジラとはいえ、少なくとも「生物」なら口から入れるよりもお尻、もとい吸収器官から入れた方が効果は早く出ると思いますよ?
まぁ、肛門があるのかどうかが怪しいですが・・・それを加味してもお尻、もとい足下なら『安全』です。少なくとも熱線の被害を受けない、そしてシン・ゴジラは今までのゴジラのように大股で歩き回って建物や車を破壊しませんしね・・・やっぱり安全なんですよ。

最後に、劇中ではシン・ゴジラは頭を下向きにして倒れており、そこに凝固剤を流し込んでいましたが・・・普通に考えて、頭下向きにして水を口に含めばこぼれ落ちるでしょ?子供でも考えて分かるような気が。
一方で、頭が下向きならお尻は上向き・・・上(お尻)の方から液体を流し込めばスムーズに下(頭)に向かって流れるのは子供でも分かりますよ。おそらく凝固剤も最小限で、しかも相当に素早く効き目が現れたでしょうね・・・

とはいえ、それでも天下のゴジラを浣腸で倒すなんてアホな絵面の映画は放映できなだいだろうねぇ・・・というか「巨大怪獣を浣腸で倒すなんてバカな作品あるわけねぇだろ!!」とツッコまれても仕方ない―――実はあるんだよなぁ、コレが・・・2001年にアメリカで公開された『エボリューション 』っていうSFコメディ映画が・・・

で、劇中の「高須」とは言わずもがな某クリニックの高須院長です。実は高須さんもシン・ゴジラの映画を見て「口から入れるより浣腸の方が効くよ」と思ったそうです。
ですので、僕如きよりも有名人の高須さんのお名前を拝借しました。

今回の内容はあくまで僕の個人的な考え、そして「いかに安全に、犠牲者を出さず、そして確実にシン・ゴジラを倒すか」をテーマに考えたお話です。
決して『シン・ゴジラ』という映画をバカにしているわけではありませんので悪しからず。
ですが、不快な思いをされた方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。


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第三十五話 『巨影』・石の寓話

お久しぶりです。銀色の怪獣です。

読者の方からのご指摘で+自分でも思っておりましたが、ここ最近はどうにも新しいシリーズの怪獣&メジャーどころばかり出していました。

「日の当たらない魅力的なマイナーにスポットライトを当ててあげたい」

というこの作品を投稿する上での基礎を見失って、我を忘れていた自分を反省いたしました・・・

ということで、またマイナーを出すように心がけます。ハイ

ということで、今回もマイナー・・・なんですが、実は相当に恐ろしい&貴重な能力を持った巨影が出ますのでお楽しみ下さい


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?また出たぞーーー!!」

「ひぃいいいぃぃぃっ!?に、逃げろーーー!石にされるぞーーー!!」

「い、嫌だーーーっ!死にたくねぇーーー!!」

 

とある山を切り崩し、自然を切り開いて作られた大都市があった。

そんな大都市に資材を提供する採石場のある山で事件が起きていた。それは―

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「で、出やがったぞ!出やがったぞーーーっ!!」

 

採石場に響き渡る作業員たちの悲鳴と・・・巨大生物もとい「怪獣」の怒りに満ちた咆哮。

見れば、採石場のど真ん中に地面を砕き割って現れた怪獣が居座って手当たり次第に暴れていた。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

そんな怪獣は四足歩行で一見すればトカゲのようにも見えるが、まるで岩山が生命を持ったかのようにゴツく、頭部に一本の角を持っていた。加えてこの怪獣には「恐ろしい能力」がある。それは―

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁ!?ああぁ・・・あぁ・・・」

「ひ、ひぃ!?主任が石に・・・!?」

「あ、あれに、あの光線に当たるな!当たったら石にされるぞーーー!!」

 

採石場のど真ん中に現れた怪獣が逃げ惑う作業員たちに向かって口から青く輝く光線を放てば、確かに生きて動いていた作業員たちは物言わぬ「石」へと変貌し、言葉を発するも動くこともなくなった。永遠に。

そう、怪獣の持つ「恐ろしい能力」とは「当たったものを石へ変える光線を吐ける」という能力なのだ。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

その後も目に付くものを手当たり次第に光線で石に変えた怪獣は、石切場が完全に静寂を取り戻すと地底へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「もう我慢ならねぇ!あのトカゲ野郎、ぶっ殺してやる!!山ごとマイトの発破で吹き飛ばしてやる!!」

 

暴虐の限りを尽くした怪獣が地底に姿を消した採石場のある辺りは静寂そのもだった。

そんな中、作業員が全員逃げ出した採石場に一人の男が、採石場の責任者であり、怪獣の出現による作業の遅れや人的被害による損失で大損を負うハメになった男が鬼の形相で採石場に戻ってきていた。

そんな男は発破用のダイナマイトを採石場のあちこち、はおろか、怪獣の住処と思われる穴、更には採石場のある山の至る所に仕掛けまくっていた。

 

「ふはははっ・・・!ざまあ見やがれトカゲ野郎が!!これで木っ端微塵だっ!!!」

 

突如として現れて自身に大損を負わせた憎き怪獣への復讐に燃える、否、復讐に「狂った」男は凄まじい量のダイナマイトを仕掛け終えると怪獣が吹き飛ぶ姿を想像して笑みを浮かべながら点火した。

 

 

 

 

「た、大変だ!山が崩れるぞーーーっ!!!」

「逃げろ!逃げろーーーっ!!」

「何で、何でこんな事が起きたんだーーーっ!!?」

 

怪獣による惨劇の来た採石場のある山、の麓にある小さな村に響く警鐘の音と村人たちの悲鳴、そして・・・その村めがけて迫り来る土石流や山崩れ、辺り一帯を揺るがす凄まじい地震が突如として起きたのだ。そして、その原因は当然―

 

「ひ、ひぃい!?何でこんな事になっちまったんだ!!?俺はあのトカゲ野郎と始末しようとしただけなのに!!!」

 

そう言って崩れ落ちる山から死に物狂いで逃げ出す男が、あの採石場の責任者にして怪獣のせいで大損を負った男が死に物狂いで逃げていた。

そう、実はいま起きている山崩れも土石流も全てはこの男の、この男が怪獣を殺そうとして至る所に仕掛けまくった相当数のダイナマイトを一斉に発破した事が原因だったのだ。

 

 

 

「あぁ・・・終わりだ、全てが終わりだ・・・」

「こんな・・・こんな死に方なんて嫌だ・・・」

「何で私たちがこんな目に・・・」

 

いくら逃げても迫って来続ける土石流や尚も崩壊の止まらない山を前に、必死で逃げていた村人たちは諦めとも観念とも取れる感情を抱き始め、とうとう逃げるのを止めて念仏を唱え始めた。

しかし、当然ながら村人たちがいくら念仏を唱えようが何をしようが土石流や山の崩壊は止まらない・・・本当にもうどうしようもないのか?村人たちの祈りは天に届かないのか?何か「奇跡」は怒らないのか―

 

 

 

 

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「「「な、何だっ!!?」」」

 

突如として辺り一帯に轟く「咆哮」があった。

それに驚いた村人が咆哮のした方を見れば・・・何と、あの採石場で暴れていた怪獣が現れたのだ。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「な、何をする気なんだろう・・・?」

 

そんな怪獣は迫り来る土石流をキッと一睨みすると、あの触れたものを石に変える光線を放ち始めた。

するとどうだろうか、凄まじい勢いで迫り来る土石流がたちまち石となり果ててその勢いを失って制止したのだ―――しかしそれもほんの一瞬、山一つが崩れて発生した土石流を形成する土砂や水、その他諸々を簡単に且つ完全に停止させることは不可能だった。だが、

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

怪獣は諦めなかった。怪獣は尚も止まらない土石流に向かって光線を放ち続けた。そのおかげで徐々にではあるが土石流の勢いも量も少なくなっていっていた・・・だが、同時に怪獣の身にも異変が起きていた。

 

―――グワァ・・・アアァァッ・・・!!―――

 

「み、見ろ!怪獣がどんどん石になっていってるぞ!!」

 

誰かの言ったとおり、土石流を止めるために口から光線を放ち続けている怪獣の手足や皮膚などが徐々に徐々だが、確実に石へと変化し始めていた。

実は怪獣の放つ光線は相当にエネルギーを消費し、怪獣の体に負担をかける諸刃の技なのである。そして、そんな諸刃の技を怪獣は土石流を止めるためにずっと使い続けている・・・当然、そんなことをすれば何が起きるかなど言わずもがなだろう。

 

―――グワァ・・・アアァァッ・・・!!―――

 

だが、それでも怪獣は光線を放ち続けるのを止めなかった。

おかげであれだけの勢いと量を保っていた土石流は全て石へと変わり、麓にある村と村人たちの命は助かった。また、怪獣がずっと光線を吐き続けたおかげで土石流だけでなく山崩れも地震も収まったのである。これで万事解決だ―――そう、怪獣の命と引き換えに。

 

―――・・・・・・・・・・・・―――

 

「あぁ、怪獣が完全に石に・・・!!」

 

土石流も山崩れも地震も収まった事で辺は静寂そのものだった。だが、辺りが完全に静寂そのものな理由は他にあった。

本来なら命が助かったことで村人たちが万歳三唱で喜ぶ声がしたり、重労働を終えた怪獣のやりきったり疲弊した鳴き声が聞こえてもおかしくはない、ハズだが辺りは静寂そのもので、村人たちは悲痛な表情をしていた。

何故なら、土石流などを止めて全てを救ってくれた怪獣は完全に石に、物言わぬ石に、命を持たない完全な「ただの石」になってしまったのだ。

そう、怪獣は自分の命と引き換えに土石流や山崩れを止め、全てを救ったのだ。そんな光景を見て村人たちは手放しで喜ぶことなど到底出来なかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

『 むかしむかし あるお山に石の怪獣がいました

 

その怪獣は山にすみ 石を食べる大人しい怪獣でした

 

ですがある日、怪獣の住む山を欲深い人間が荒らしはじめました

 

当然、山を荒らされた怪獣は怒って山を荒らす人間を石にしました

 

ですが、欲深い人間は逆に怪獣を退治してやろうと考え、爆弾を使いました

 

しかし、人間が使った爆弾のせいで山が崩れてしまったのです

 

すると、何と人間が殺そうとした怪獣が自分の体を大きな石に変えて山が崩れるのを防ぎました

 

怪獣のおかげで山が崩れることはなく、大勢の人々や動物の命が助かりました

 

怪獣の命と引き換えに

 

そう、怪獣は自分の命を使って人々やお山を救ったのです

 

後に残されたのは動くこともなく、鳴くこともなく、怒ることもなくなった石だけでした

 

人々はこの事を忘れないように 怪獣の石に『石神様』と名前を付けて大事にしました 』

 

 

これはとある地方都の村とその周辺地域に伝わる民話、それも俗に言う「寓話」だ。

そしてそんな寓話を寓話の伝わる村に住む一人の老人が、家に遊びに来た離れて暮らしている孫に話して聞かせていた。

 

「ねぇ、おじーちゃん。その怪獣さんがなったいしがあのいしなの?」

 

「・・・そう、そうだよ。あの大きな石がトカゲ・・・怪獣さんが、ワシらが住むこの村を救ってくれた怪獣さんだった岩だよ」

 

「そうなんだ~でも、ほんとうにあのいわは怪獣さんだったの?」

 

「ああ、本当だよ。ワシはこの目で怪獣さんが石になるところを、自分の命と引き換えに村やみんなの命を救ってくれる所を見たんだよ・・・ワシがやからしたバカを自分の命を犠牲にして止めてくれたところをね・・・」

 

祖父から寓話を聞き終えた孫は祖父の家からも見える、村のすぐ近くに祭られているトカゲのような形の巨石を指さしつつ祖父に向かってあれこれ聞き、孫に質問された祖父はかつて実際に見て、体験して、そしてしでかした(・・・・)()に思いをはせていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

時は遡り、一人の男がしでかした大事によって土石流や山崩れが起きた際の事だ。

突然起きた山崩れや迫り来る土石流などに人間たちがパニックを起こして逃げ惑っていた際、その山の地下に住むあの怪獣は頭の上で起きた異変にいち早く気付くと即座にその異変を止めるべく行動を開始した。何故なら、

 

―――グウァアアアァァァッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

―――グワッ!!―――

 

怪獣は巣穴を出る際、不安そうに鳴く怪獣の(つがい)と子供たちの鳴き声を背に受けながら巣穴を出て行った。そう、実はこの怪獣は「家族」でこの地に住んでいたのだ。

そして、今まさにその大切な家族と住処が危険に晒されている・・・ならば、大事な家族と住処を守るために奮起するのが怪獣の、()の役目だ。だから怪獣は巣穴を出て異変を止めに行ったのだ。

 

そう、実は怪獣は別に人間たちを救おうという気など毛頭なく、あくまで自分の家族と住処を守ろうとしただけだったのだ。

だが、当たり前だがその事を人間たちが知る由もないし、知る術もない。とはいえ、怪獣の行動が偶然(・・)で人間たちを救ったのは事実である。だから人間たちは怪獣の行動を"都合よく"解釈して、その結果で「寓話」として後世に伝えたのだった。

 

 

 

『 むかしむかし あるお山に石の怪獣がいました

 

その怪獣は山にすみ 石を食べる大人しい怪獣でした

 

ですがある日、怪獣の住む山を欲深い人間が荒らしはじめました

 

当然、山を荒らされた怪獣は怒って山を荒らす人間を石にしました

 

ですが、欲深い人間は逆に怪獣を退治してやろうと考え、爆弾を使いました

 

しかし、人間が使った爆弾のせいで山が崩れてしまったのです

 

すると、何と人間が殺そうとした怪獣が自分の体を大きな石に変えて山が崩れるのを防ぎました

 

怪獣のおかげで山が崩れることはなく、大勢の人々や動物の命が助かりました

 

怪獣の命と引き換えに

 

そう、怪獣は自分の命を使って人々やお山を救ったのです

 

後に残されたのは動くこともなく、鳴くこともなく、怒ることもなくなった石だけでした

 

人々はこの事を忘れないように 怪獣の石に『石神様』と名前を付けて大事にしました 』

 

 

この実に都合のよい「寓話」を怪獣もとい巨影「岩石怪獣 ガクマ」が聞いたらどう思うだろうか?

 

おそらく、否、確実に「どうでもいい」と思うだろう。

 

何故か?ガクマにとって大事なのは自分の家族と住処を守ることだけ。他のことはどうでもいいからだ。

 

加えて、そもそもが怪獣と人間では言葉が通じないから伝わる事も無いだろう。

 

だからこれは「寓話」なのだ。そう、所詮は「寓話」なのだから・・・

 

 

 

『寓話:教訓的な内容を他の事柄に"かこつけて"表した、例え話』

 

 

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラマンティガ』より『神獣』という別名がバッチリあるガクマが登場です。

ちなみに、二頭のガクマ(ガクマα・β)の関係は「兄弟」や「夫婦」とか色々言われてますが謎らしいです・・・今回はあえて夫婦案を採用しましたが。

何気にガクマの持つ『対象物を石化する能力、それも生物・無機物問わずに石化させる』なんて能力がある怪獣、実はガクマだけだった・・・最近「石化魔獣 ガーゴルゴン」という後輩が出来ましたが。

で、今回のお話は実は作者が幼稚園の頃にリアルタイムでティガを、ガクマの回を見たときに思った「ガクマがもともと悪いわけじゃないじゃん」という思いで作りました。
確かにガクマは人を襲っていたけど、それは人間がガクマの住処を荒らす&ガクマが貯蔵しておいた食料の石を根こそぎ奪う&仲間を殺したティガへの復讐、という実はガクマが一番の被害者じゃないか、という思いを抱き続けていたので作りました。多分、コスモスかギンガ、エックス、ガイさんあたりならガクマ助けるな・・・仲間になったら相当に優秀だよガクマ。


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第三十六話 『巨影』の恩返し・鶴苦

どうも、銀色の怪獣です。

さて、今回は・・・超絶に短いです。加えて戦闘描写とかその他が無い回・・・ですが、中々に捻くれたというか皮肉ったというかな内容ですね。
特に昨今の「何でもお手々つないで仲良く」とか「何でもかんでも意思の疎通が出来て、価値観とか同じ」みたいな描写の多い作品群に冷水ぶっかけるような・・・ね?

ちなみに「恩返し・」の後の「鶴苦」とはそのまま読んで頂ければ何が出るのか分かりますよ。

はい、ではどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「危ない所を助けていただき、ありがとうございます。是非とも恩返しをさせて下さい」

 

日本のとある大都市、の近場のある工場にて、先の発言をしながら工場にて労働させてもらおうと頼み込む者がいた。

が、その人物は人では無かった・・・否、一応「人」ではあるが正確に言えば「地球人ではない人」と言うべきだろうか。

 

「そ、そんな恩返しだなんて・・・なぁ?」

 

「で、でも社長。今時『恩返しさせて下さい』って言うなんて健気で、とってもいい子じゃないですか。ここは素直に行為を受け入れて、彼にも働いてもらいましょうよ」

 

「そ、そうだな・・・分かった!よし、じゃあ今日からお前さんはウチの工場で働いていいぜ!!」

 

「本当ですか!わぁ、ありがとうございます!!では、今日からどうぞよろしくお願いしますぅ」

 

件の「地球人では無い人」、つまりは「異星人」あるいは「宇宙人」は自分の申し出を快く引き受けてくれた工場の責任者に熱い抱擁をしていた。

ちなみに、この宇宙人は宇宙を旅していた最中に乗っていた宇宙船がトラブルを起こして地球に墜落し、その際に大怪我を負って死にかけていた・・・が、それを工場の責任者や従業員たちが保護して療養させたので元気になったため、宇宙人は自分を救ってくれた人々へ「恩返しがしたい」と申し出たのだった。

 

その後、宇宙人は乗っていた宇宙船が大破したために二度と故郷の星へは帰ることが出来なくなったが、自分を救ってくれた上に快く引き受けてくれた工場の人々とともに末永く働き、彼なりに「恩返し」をしたのだった。

 

 

 

 

「う・・・うぅ・・・あ・・・?どこだ、ここは・・・?」

 

不意に目を覚ました者がいた。その者は部屋の中で布団に寝かされていた―――白目も黒目も無い紅玉(ルビー)の如く輝く目、まるで鉄製のマスクを付けたような顔、スベスベとしたウエットスーツのようにも見える黒い皮膚、そして今でこそ布団の中に隠れているが両手が指ではなく鋭利な刃物になっている明らかに人外の者だった。

 

「一体、どうして私はこんな所にいるのだ・・・?私は確か"ヤツら"に追われて、それで―――」

 

そんな人外の存在はいま自身がいる全く見覚えの無い部屋の中を首だけ動かして見回しつつ、人外の存在が気を失うまで起こし(・・・)ていた(・・・)騒動を思い出していると、

 

「よかった。気が付きましたか?」

 

「!?な、何だ貴様はっ!!」

 

不意に部屋の出入り口が空いて誰かが入って来た。それに驚いた人外の存在は布団から跳ね起きて臨戦態勢を取ろうとしたが、

 

「うっ!?ぐっ、うぅ・・・!!」

 

臨戦態勢を取ろうとした人外の存在の体に走る激痛。そのあまりの痛みに人外の存在は呻き、その場に崩れ落ちる程だった。

 

「あーあー、ホラもう・・・あなたヒドい怪我してるんですから大人しくしてて下さい。手当したのに意味がなくなっちゃいますよ」

 

そんな人外の存在に対して部屋に入ってきた誰か、もといこの部屋の(・・・)主の男性は呆れた様子で人外の存在に声をかけつつ、手にしていたお粥などが乗ったお盆を畳の上に置いていた。と、ここで―

 

「な、何だと・・・?手当をした・・・まさか、お前がか?お前が私の傷を手当てした・・・のか?」

 

それまで激痛に悶え、呻くばかりだった人外の存在が男性の何気なく放った一言につられて顔を上げた。

そんな人外の存在はいま現在は全身に絆創膏や包帯を巻かれているが、それは人外の存在がやったものではない。ならば誰がやったのか?それは当然、

 

「お前って・・・まぁいいや。はい、そうですよ。コンビニで立ち読みした帰りに、僕の家の裏通りの道に倒れていたあなたを見付けて僕の部屋に運んで手当しましたけど、何かご不満でも?」

 

そう言って、コンビニ帰りに偶然に路地裏で倒れていた人外の存在を見付け、ふうふう言いながら人外の存在を部屋に連れて来て手当てしたのに、当の人外の存在からいきなり「お前」呼ばわりされた事にイラッとした様子の男性はムスッとした感じで答えた。すると、

 

「そう・・・だったのか・・・それはすまなかった。本当に申し訳ない・・・無礼を詫びさせて欲しい。大変に失礼だった。謝らせて欲しい。この通り、すまなかった。そして同時にありがとう。貴殿のおかげで命拾いした。本当にありがとう」

 

「えっ?あ、あぁ・・・いや、別にいいですけど・・・」

 

事の成り行きを男性の口から聞いた人外の存在は少しの間キョトンとした様子だったが、自身の体に巻かれている包帯や施された手当などを見て全てを悟り、それまでの態度を改めて詫びると同時に男性にお礼を述べると、

 

「ということで、是非とも恩返しをさせて欲しいのだが・・・いいだろうか?」

 

「えっ?恩返し、ですか?」

 

「そう、恩返しだ。私の命を貴殿が救ってくれた。こんな地球人離れした私を手当てして命を救ってくれた貴殿の優しさに感動した。だから是が非でも、何がなんでも恩返しをさせてくれまいか?」

 

「そ、そこまで言ってもらえるなら・・・お願いしちゃっていいですかね?恩返し」

 

そう言って人外の存在は居住まいを正しつつ、男性に向き直ると「恩返しをさせて欲しい」と申しで、男性は最初こそ戸惑ったが即座に人外の存在の申し出を受け入れた―――

 

これが大事件の発端になるとも知らずに。

 

そもそもが人外の言う「恩返し」が本当に恩返しと言って(・・・)いいもの(・・・・)なのかも知らずに。

 

「そうか。では早速―――貴殿は殺して欲しい輩はいないから?あるいは首を取ってきて欲しい輩はいないか?」

 

「・・・はい?」

 

「む、聞こえなかったか?貴殿は私に殺して欲しい輩がいないか?あるいは私に首を取ってきて欲しいと思っている輩はいないのか、と尋ねたのだが?なぁに、私にかかれば地球人の首を取るなど容易いことだ。胴を真っ二つにするより簡単だからな」

 

「え?えぇ・・・?あ、あの・・・どういう意味・・・ですか・・・!?首を・・・取ってくるって・・・?」

 

「?そのままの意味だが?我らの星では『恩返し』とは恩を与えてくれた者に害をなす者を始末する、というのが常識(・・)なのだが(・・・・)

 

「えっ?ええぇっ!?恩返しが人殺しって・・・い、いいです!結構です!!そんな事しなくていいです、ハイ!!!」

 

自分を助けてくれた男性に対し、人外の存在が申し出た「恩返し」の内容は・・・何と「恩人である男性が殺して欲しいと思っている人物を殺してくる」という信じがたいものであった。

当然、そのとてもじゃないが「恩返し」とは思えないような"恩返し"の内容を聞いた男性は震え上がり、人外の存在の申し出を断ろうとしたが―

 

「それは出来ない。我らの星では恩返しをしないことは大罪だ。だから是が非でも恩返しをさせて欲しい。でなければ、私の気が済まない。さあ、私に貴殿が邪魔だと、殺したいと思ってる欲しい輩を教えてくれ!教えてくれれば私がソイツを華麗に始末し、手土産に首を持ってこようぞ」

 

「そ、そんな・・・」

 

どれだけ男性が断っても人外の存在は譲らず、頑なに「恩返しさせて欲しい」の一点張りだった。

その"ありがた迷惑な"義理堅さもとい頑固さは人外の存在の申し出を断ろうとしている男性以上だった。と、ここで―

 

「オイ!うるさいぞタケシ!!いま何時だと思っるんだ!?全く、働きもしないクセに!!」

 

「お、お父さん・・・言い過ぎですよ・・・」

 

「げっ、オヤジが怒った・・・!!」

 

不意に聞こえた壮年の男性の怒鳴り声とそれを鎮めようとする女性の声。そんな声は男性が住んでいる家の家主である男性の両親のものだった。

そんな父親の怒鳴り声を聞いた男性はビクッとしつつも、不快そうな表情をした。と、ここで―

 

「なるほどそうか。いまの声の主どもを始末すればいいのか。相分かった・・・」

 

「!?えっ―――」

 

不意に立ち上がり、部屋を出て行った人外の存在。

そんな人外の存在は男性が両親の声を聞いた瞬間に不快な表情をしたのを見ていた・・・そう、人外の存在は男性に"恩返し"をするために剣になった両手「ツルクブレード」を構えて男性の両親がいる居間に向かって行ったのだ―――

 

人外の、巨影「奇怪宇宙人 ツルク星人」なりの恩返しのために。

 

 

それがありがたいのか、ありがたくないのかは別としてだが・・・と言いたいところだが、少なくともツルク星人は彼らの種族の「常識」からなる「厚意」の"恩返し"をしようとしているので、ツルク星人の"恩返し"を一概に「ありがたくない」と言ってしまうのは、我々地球人の「常識」をツルク星人に押しつけている(・・・・・・)だけでよくない・・・のかも知れない。

 

 

 

 




如何でしたか?

今回はあの外道ツルク星人を"あえて"登場させた上に人間と意思の疎通を行わせました。

何故か?昨今の特撮、特にウルトラシリーズはとにかく考え方とか発想が「地球人よりすぎる」輩が多くて嫌ですね。しかもすぐ和解したり仲良くなったり・・・つまらねぇ!!

いや、別に仲良くなったり平和的に終わるのも悪くはないが・・・文化や考え方の違いに驚き、その違いなどに悩み苦悩し、時にそれが軋轢を生む、などの展開があってもいいじゃないか、と思うんですよね・・・

だからあえて原作(レオ)では一言も言葉を発せず、淡々と殺人を犯すツルク星人をあえて喋らせ、義理堅くて恩返しまでしたがるようなキャラにしたんですよ。
その義理堅さと恩返しの方法が
「ツルク星人には当然だが、地球人にとっては超迷惑。だって価値観が違うから」
を演出するために。

それこそ故・成田亨氏が言った「地球人にとっては悪でも、彼の星では勇者であり正義なのだから、『不思議な格好よさ』がなければいけない」に通じると思うんですよね・・・流石に恩返し、お礼の方法が殺人というか首取ってくるのはドエライ迷惑ですが。


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第三十七話  「三人寄れば・・・」な『巨影』

どうも!作者です

今回は恒例の(?)カオス回です。加えて、内容は特に意味もないし、別に皮肉ったり何か教訓的な意味のない、ただ単に書き上げただけな回となっております。

ですが、この回を制作した意味は―――主に後書きで述べているように、僕の「個人的な考え」を発散したくて書いた回です。ですので、よければ後書きも見て頂けると嬉しいかな?

はい、ではどうぞ~


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!―――

 

―――シュワ・・・アァ・・・!!―――

 

「あぁ、そんな・・・!ウルトラマンが・・・負けた・・・!!」

 

「敗北」と「勝利」 いま目の前で起きた事柄を表現するならこの表現しか無いだろう。

 

そう、今まさに正義のヒーロー(ウルトラマン)が恐るべき宇宙恐竜(ゼットン)に敗北し、その命を散らしたのだ。

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!ゼットォーーーン!!―――

 

一方で、憎きヒーローを倒した怪獣は勝利の雄叫びを上げ続けていた。と、ここで―

 

―――ゼットォン?ゼットォ!ゼットォン!!―――

 

不意に怪獣が「何か」に気付き、嬉しそうに鳴きながらその「何か」の方へと近寄ろうとした。だが、

 

『な、何だこの怪獣は!?来るな!来るんじゃねぇ!!あっち行きやがれっ!!!』

 

―――ゼ、ゼットォン?ゼットォン・・・?―――

 

怪獣が見付けて近寄ろうとした「何か」とは・・・頭頂部に触角を持ち、肌の色が濃紺というか限りなく黒に近い青色をした人外の存在、俗に言う「怪人」であった。

そして、なぜ怪獣が怪人に近寄ろうとしているかの理由は・・・実は怪獣は怪人が手塩にかけて育て上げており、故に怪獣は怪人に相当に懐いていた。

だから一仕事終えた怪獣は主の怪人に褒めてもらいたくて近寄ろうとしていたのだが―――だが、怪獣は先の戦いで疲れていた事、そして件の怪人が怪獣の主に相当に酷似している(・・・・・・)せいで気付けなかった。実はいま怪獣の目の前にいる怪人は怪獣の主ではない(・・・・)事に。その結果―

 

『だからっ・・・来るなと言っているだろうがーーーっ!!!』

 

―――ベチャッ!!―――

 

―――ゼ、ゼットォン!?ゼット・・・オォン・・・―――

 

「えっ?ええっ!?怪獣が・・・消滅した・・・?」

 

どれだけ「来るな!近寄るな!!」と言っても止まらずに近付いてくる怪獣に対し、怪人は頭頂部にある触角から透明な液体を噴射して浴びせた。するとどうだろうか。何と、身長が60mもある怪獣が一瞬で消滅してしまったではないか!!

 

『はあっ!はあっ・・・!全く、一体なんだったんだあの怪獣は?何故このケムールに近寄ろうとしたのだ?』

 

一方で、頭頂部の触角から出した液体で怪獣を消した怪人はホッと一息つきながらも、全く見ず知らずの怪獣が自分に近付いて来たことに首を傾げつつ、その左右で位置が違う二つの目(・・・・)、そして後頭部にある第三の目(・・・・)をパチクリさせ続けていた。

 

『って、まぁいい。とりあえず、イオゴン(・・・)を探さねば』

 

その後、怪人ははぐれてしまった"相棒"を探しに何処かへと去って行った。

 

 

 

 

 

 

「待てゴラーーーっ!逃げんなボケーーーっ!!」

 

『ひ、ひぃいいいぃぃぃっ!?く、来るな来るな来るな来るなーーーっ!!!』

 

夜の大都市にこだまする罵声と悲鳴。見れば・・・頭頂部に触角があるせーラー服を着た人外の存在が、俗に言う「怪人」がもの凄い数のパトカーやら白バイに追われ、夜の街を疾走もとい逃走していた。

 

「対象は車より速く走り、頭部の角から出す液体で人間を消失させたりもするという情報だ!気を引き締めてヤツを捕縛せよ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

実はこの大都市ではここ最近、人間の誘拐や消失事件が多発しており、その調査に乗り出した警察が犯人を特定した。それこそが―

 

「止まれ―!止まらないと撃つぞーーーっ!!」

「大人しく投降しろ!さもなくば発砲する!!」

「攫った人たちを返せーーーっ!!」

 

『だ、誰が貴様ら地球人の言うことなど聞くかバカめ!!』

 

尚も続く警察とセーラー服を着た怪人の大捕物(おいかけっこ)

そう、警察が件の怪人を追っているのは例の誘拐・消失事件は怪人が起こしたものであり、それゆに警察は怪人を捕らえて行方が分からなくなっている人々を助けようとしているのだ。しかし、

 

『ク、クソッ!本当にしつこいな・・・!!だが・・・誘拐だなんだとは一体何のことだ!確かに俺は地球を侵略に来たが・・・このゼットン星人は誘拐などしていないぞ!!?』

 

不意に警察に追われている怪人がボソッと呟いた。

そう、実はこの怪人は誘拐事件など起こしていない。つまり、全くの濡れ衣なのだ。しかし、何故か警察は怪人が犯人だと思って追っている・・・一体、何故なのか?

 

「誘拐事件の犯人は正体不明の怪人、頭頂部に触角のような物を有している、明らかに人間ではない、どう見てもあのヤローが犯人だよな!!」

 

逃げ続ける怪人を追う警官の一人がそう呟いた。そんな彼らは怪人の逮捕にあたり、誘拐事件などを調査して犯人である怪人を特定した捜査員たちからの情報を元に怪人を追っていた。

しかし、実はいま警察が追っている怪人は捜査員たちが報告した怪人と違って・・・目が単眼(モノアイ)という違いがあるのだ。

 

『チ、チクショー!ゼットン(・・・・)さえいれば、地球人など簡単に始末できるのに・・・!!ゼットン、いたら出て来ておくれーーーっ!!!』

 

どれだけ逃げても追ってくる警察にうんざりした怪人は、はぐれてしまった"相棒"の名を叫んで助けを求めた・・・が、その"相棒"は今や異次元の彼方に消えてしまっているので怪人の声が届くことはないのだ。

 

 

 

 

 

 

―――キキッ!カカッ!ココッ!―――

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!―――

 

『う、うぉおぉい!?本当に何なんだよもう!ついて来ないでくれよぉ!!』

 

夜の大都市で大捕物が起きていた頃、これまた何処かの大都市の人気の無い裏路地では奇妙な事が起きていた。それは―

 

―――キキッ!カカッ!ココッ!―――

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!―――

 

『だ~か~ら~!何でついて来るんだよぉ!?どっか行ってくれよぉ!!』

 

先程からずっと裏路地に響く「鳴き声」と困惑したような「声」。

見れば・・・何と言うか、何とも言えなというか、とにかく奇妙な形をした・・・まるでシクラメンの花のような形をしつつ、よく見れば機械のようなコアを持った謎の物体が宙に浮いており、先程から聞こえる「鳴き声」を発し続けていた。

おまけに、そのシクラメンの花のような物体の近くにはあの怪人によって消されたはずの怪獣が何故かいた。

また更によく見れば、そのシクラメンの花のような物体と怪獣は何かを、向こう側が透けて見える程に透明であるが、確かにそこに存在する頭頂部に触角を持ち、左右で位置の目を持ち、肌の色が濃紺というか限りなく黒に近い青色をした人外の存在、俗に言う「怪人」を追い回していた。

 

―――キキッ!カカッ!ココッ!―――

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!―――

 

『いい加減にしつこいなぁ!でも、コイツらには光線は効かないしなぁ・・・どうすればいいんだよぉ?全く、想像力が働かないって辛いなぁ。レキューム人は辛いよってかぁ・・・?』

 

どれだけ逃げ回っても着いてくる謎の物体と怪獣に対し、ずっと追われていた怪人はぼやきつつも心底困った様子であった。しかし、実を言えばこの怪人が謎の物体と怪獣から逃げるのは不可能なのだ。

何故か?実は謎の物体は「電波」を受診して動く性質がある。また、怪獣は電波などを鋭敏に感知することが出来る。そして謎の物体と怪獣に追われている怪人は体はおろか「存在そのもの」が電波と化している・・・そう、実は謎の物体と怪獣は「存在そのもの」が電波な怪人を受信し、感知してしまった(・・・・・・・)がために怪人につきまとっている。そのため、受信された(・・・・・)怪人が謎の物体と怪獣から逃げるのは不可能なのだ。

 

『だけど・・・とりあえず逃げろっ!!』

 

とはいえ、怪人は逃げることを諦めなかった。怪人は全速力で謎の物体と怪獣から距離を取ったのであった。

 

―――キキッ!カカッ!ココッ!―――

 

―――ピポポポ・・・ゼットォーン!!―――

 

が、怪人が逃げるなら謎の物体と怪獣は当然のように怪人の後を追って行ったのだった。

 

 

 

 

 

『い、一体どういうことだコレは・・・!?』

 

『な、何でこうなっているのだ・・・!?』

 

『こ、これはどうした事なんだんだよぉ・・・!?』

 

 

所変わって、とある廃工場内にて「とある三人」が鉢合わせしていた。それは―

 

『なるほどそうか!俺にあの怪獣が寄ってきた理由は・・・ゼットン星人、お前のせいだな!?』

 

『はっ!分かったぞ!!俺が誘拐犯だと間違われて追われたのは・・・ケムール人!お前のせいだな!?』

 

『おぉ!これで合点がいったぞ!!俺があの変なのと怪獣につきまとわれたのは・・・ケム―ル人!ゼットン星人!お前らのせいだな!?』

 

『何っ!?レキューム人、貴様は俺が連れて来たイオゴンを知っているのか!!?どこだ、イオンはどこにいるんだ!?』

 

『何だと!?レキューム人、お前は俺が連れて来たゼットンを知っているのか!!?どこに、ゼットンはどこにいるんだ!?』

 

『うるさい!こっちはお前らのペットに散々な目に遭わされたんだ!!ペットの無礼は飼い主が取るべき、つまりはまずは謝っておもらおうじゃないかぁ!!?』

 

『『いいから!つべこべ言わずに教えろっ!!!』』

 

廃工場内に響く不毛な罵り合いの声。見れば、廃工場の中には三人の・・・怪人こと巨影「誘拐怪人 ケムール星人」「変身怪人 ゼットン星人」「電波怪人 レキューム人」という見た目こそ酷似ているが、実は色々と相違点のある三つの種族の異星人たちが言い争っていた。

 

『全く、ゼットン星人のせいで変な怪獣に懐かれ、レキューム人のせいで大事なイオゴンがなかなか見つからなかったじゃないか!!実に腹立たしい!おまけに、そんな腹立たしい連中が俺に見た目が似ているとは・・・余計に腹が立つ!!!』

 

『全く、ケム―ル人のせいで誘拐犯に間違われるわ、レキューム人のせいでゼットンとなかなか再会できなかったじゃないか!!本当に腹が立つ!おまけに、そんなヤツらが俺と見た目が似ているとは・・・なおさら腹が立つ!!!』

 

『全く、ケムール人とゼットン星人のせいで怪獣や変なのに散々つきまとわれた!おかげでヘトヘトだ!!心底腹が立つっ!!おまけに、そんな腹立つヤツらが俺と見た目が似てるとか・・・もの凄く腹が立つなぁ!!!』

 

尚も止まらない三怪人による言い合いや罵り合い。

とはいえ、彼らは自分と見た目が酷似している別種の異星人のせいで色々とヒドい目に遭っているので、その怒りが収まらないのは当然だろう。

 

それにしても・・・まさか、全く環境などが異なる惑星に済んでいるにもかかわらず、ここまで見た目が(ほぼ)同じ異星人が"三人も"一堂に会するなどなかなかない出来事だろう。

だからこそ「なかなかない出来事(ハプニング)」が起きてしまうのだ・・・

 

 

「爆弾、セット完了しました!!」

 

「うむ!避難状況は?」

 

「周辺地域の住民の避難、及びマスコミや野次馬の規制も行き届いています!!」

 

「そうか、よし!では・・・悪事を働く異星人を一人残らず爆破してしまえ!!点火ーーーっ!!!」

 

「了解!!」

 

廃工場内で三怪人が言い合っていた頃、あちこちで事件などを起こした怪人の事を重く見た政府が自衛隊を出動させ、三怪人が潜伏している廃工場を包囲した後、大量の爆弾を仕掛けて・・・爆破のスイッチを押した。悪事を働き、平和を乱す三怪人を退治するために。

 

『んっ?何だ―――』

『おっ?何だ―――』

『あっ?何だ―――』

 

不意に、それまで言い争うのみだった三怪人が外の方が騒がしいのに気付いてそちらの方を向いた―――が、時既に遅しだった。何故なら―

 

―――ドォオオオオオオォォォォォォンッ!!―――

 

『『『へっ―――』』』

 

三怪人が外の騒がしさに気づき、そちらの方を向いた正にその瞬間、廃工場の周りに仕掛けられた相当数の爆弾が起爆されて廃工場と、廃工場の中にいる三怪人を吹き飛ばした。

全ては安全と平和のために。全てはか弱い人々を悪の手から守るために。全ては・・・どれがどれだか分からない程に外見が酷似した怪人が三人もいるし、その三人は三人とも悪さしてるから「まとめて吹き飛ばしちゃえ」という安易な発想ゆえだった。

 

 

 

 

ちなみに、世間にはこんな俗説があるのをご存じだろうか?

 

「自分と同じ顔・自分のそっくりさんを三人見たら死ぬ」

 

もしかしたら、この俗説は"俗説"ではなく"真実"だから三怪人は死んだ―――否、それは違うだろう。何故なら、三怪人は「地球人では無い」のだ。

 

従って「自分と同じ顔・自分のそっくりさんを三人見たら死ぬ」という地球の(・・・)俗称は異星人である三怪人には適応されない、と思う・・・きっと彼らは運が悪かったのだろう。

 

とはいえ、悪事を働いているのは事実なので・・・「運が悪かった」のと「報い」で彼らは吹っ飛んだのだ。きっと。




如何でしたか?

今回はケムール人、ゼットン星人、レキューム人というデザイン使いまわし…そっくりさん三人に一堂に会してもらいました。
で、何故こんな回がやりたかったかというと…最近、特にウルトラさんは「着ぐるみ・デザインの使いまわし」がヒドイと思うんですよね。

何て言うか…こう…予算の都合上、とか予算の節約、そして「ネタ切れ」ってのは分かるんですが…「マルチバース」というご超絶ご都合設定で世界観無視しまくり、かと思えば怪獣・宇宙人・挙句はウルトラ戦士を魔改造に悪魔合体とやりたい放題…「何か…なぁ?」って感じる今日この頃です。だから「皮肉る」意味も込めてこんなお話を作りました。
ファンサービスなら嬉しいんだけど、今の円谷のやり方は「ファンサービス」じゃなくて「セコい」だと個人的に思ってしまったこの頃です。
せっかくのカッコいい・素晴らしいデザインの怪獣・宇宙人・ウルトラ戦士を魔改造に悪魔合体して台無しにして…逆にね、やるなら徹底してやって欲しい。「そうきたか!」「なるほど!」ってファンに思わせて唸らせるようなアイデアを出して欲しいです。

そういえば、ウルトラシリーズの最新作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の放送開始が発表されましたが…ルーブも「使い回し」系なようで…特に、何かウルトラマンオーブが闇落ち?してるし…最近の円谷の「とりあえず人気な奴を出しとけ」「人気な奴の骨の髄までしゃぶりつくす」姿勢は…

どうでもいいですが、円谷がやってる「ファンから資金集めて着ぐるみ作ろう・ノイズラー編」で新規造形されたノイズラーはルーブに出るそうですし、また新しい「ファンから資金集めて~」を円谷がやろうと目論んでいる、とも情報を得ました。

ついでに、今回出た「バイオ怪獣 イオゴン」とは1992年に発売された『ウルトラ作戦 科特隊出動せよ!』というゲームのキャラです。ドマイナー中のドマイナー故、ご存じない方も多いのでは…?


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第三十八話  恋し、愛したい『巨影』

どうも、作者で~す

さて、今回は・・・例の如く、毎度の如くカオスです。でも、コンセプトはマジメ・・・なのか?

とはいえ、風刺とか皮肉はいつものように織り込んでおります。

とはいえ、今回取り上げる内容がアレだからね・・・

言っておくと特撮では主に「いらない要素だろ」と言われる恋愛要素・・・だと思って読むと後悔する?かな。別に恋愛要素のお話じゃないので・・・

とにかく、どうぞ


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら

 

 

「はじめまして地球の皆さん、私たちはピット星からやって来たピット星人です。私たちは地球の皆さんと友好関係を築きたくて地球へ来ました。どうか、私たちと友達になって下さい」

 

ある日、日本のとある大都市に何の前触れもなく宇宙(そら)の彼方より円盤が飛来し、円盤の搭乗者である存在が、俗に言う「異星人」たちが現れて地球人と友好条約を結んだのであった。

 

 

 

 

 

「私たちピット星人は女性しかいないんです。なので、地球の人々のような『愛』にとてもとても憧れるんです」

 

あの日、何の前触れもなくやって来た異星人は・・・すっかり受け入れられて地球で生活していた。

その際、地球人は異星人の種族が「恋はすれども女性しかいない」という点を知った。その結果―

 

「女性しかいない種族・・・?じゃあ普段は女性同士で恋愛してるの?」

「えっ?それって・・・まさか百合?百合なの!?百合キター!!」

「感動したわ!女性同士の恋に何の障害や偏見も無いなんて・・・地球もそうあるべきだわ!今すぐ同性での恋愛、同性婚を認めなさいよ!!」

 

そう言って、何故かもの凄く―――どころか、過激で過剰に盛り上がった地球人は暴徒化して色々と問題を起こしていた。

 

「地球の方々は何を盛り上がっているのでしょうか?分からないですね・・・」

 

一方で、自分たちとは違う「女性しかいない種族」である異星人の事を知ってやたら盛り上がる地球人に対し、当の異星人(ピット星人)は首を傾げるばかりであった。

何故なら"彼女たち"にとって女性同士で恋をする(ソレ)は当たり前なのだからだ。

 

 

 

 

『本日、初めて異星人との結婚が合法化し、初めてのカップルが誕生しました!では、早速インタビューしてみたいと思います!!』

 

異星人(ピット星人)が地球を訪れ、地球人も異星人(ピット星人)を受け入れて一緒に暮らし始めてからしばらくの後、地球人と異星人(ピット星人)はより交流を深めた。

 

その結果「恋」が芽生えた。

 

すると当然「愛」が実った。

 

最終的に「子供」が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇええ・・・おぎゃぁ、おぎゃぁ」

 

「あぁ、生まれた・・・!生まれたわ!!」

 

とある病院にて、新たな命がこの世に生を受けた。

 

「おぎゃぁ、おぎゃぁ」

 

「あぁ、生まれたわ、私の赤ちゃんが・・・嬉しい。女の子(・・・)なのね」

 

元気な産声を上げる赤ん坊と、新しい命の誕生に、愛しい我が子の誕生に涙を流して喜ぶ妻。一方で、

 

「・・・・・・・・・」

 

「あら?ねぇアナタ、どうしたのよ浮かない顔して?」

 

「えっ!?あ、あぁ・・・いや、その・・・」

 

目の前で元気な産声を上げる我が子と、お腹を痛めて産んだ事などどうでもよくなる位に赤ん坊の誕生を喜ぶ妻を前にしても夫は浮かない表情をしていた。何故なら―

 

(うぅ、どうみてもこりゃぁ・・・化け物だぞ・・・)

 

そう言って本当なら叫んでしまいのを我慢して、精一杯に努力して作った(・・・・)浮かない顔で誕生した我が子の"顔"を見た夫は心の中で愚痴った。

 

実はたったいま出産を終えた妻とその夫の夫婦は夫が地球人、妻が異星人(ピット星人)なのであるが、誕生した子供の顔が・・・ピット星人(トンボ面)だった。

瞼が無い故に瞬きをせずにむき出しの眼球、横に開閉する口、毛髪が無くヌルリとした頭部、にも関わらず体は人間で産声も赤ん坊・・・正直、恐ろしく「不気味」だった。

 

「ねぇ、アナタ?本当に大丈夫?顔色がよくないけど・・・?」

 

「あ、あぁ、うん。大丈夫だよ・・・」

 

「そう?ならいいけど・・・でも、私たちの赤ちゃん、本当に可愛いわよね~ねぇ、そうでしょアナタ?」

 

「えっ?あ、あぁ・・・ウン、ソレニシテモ可愛イナー本当ニ良カッタヨー。無事ニ生マレテー」

 

新たな命の誕生を素直に喜び、満面の笑みで赤ん坊(むすめ)を抱く妻に対し、相変わらず夫は浮かれない、というか完全にドン引きして口から出る言葉も棒読みだった。

 

 

 

 

 

「おめでとうございます!女の子ですよ!!」

 

「おめでとうございます!女の子ですよ!!」

 

「おめでとうございます!女の子ですよ!!」

 

「おめでとうございます!女の子ですよ!!」

 

「おめでとうございます!女の子ですよ!!」

 

 

地球人と異星人(ピット星人)が愛を育むようになってしばらくの後、ある「不思議なこと」が起きていた。それは―

 

「何故、異星人(ピット星人)と結婚して産まれてくる子供はみな女の子ばかりなのだろう?というか、なぜ必ず異星人(ピット星人)の子供しか(・・)産まれてこないのだろうか?」

 

誰かの言った通り、何故か地球人と異星人(ピット星人)が育んだ愛の結晶は必ず女の子、それも絶対に異星人(ピット星人)の容姿と能力を持って産まれてくるのだ。それがどれだけ子供を作っても、どれだけの数の新生児が生まれても・・・全て異星人(ピット星人)なのだ。

 

「か、顔が人間じゃなくても関係ない!僕は・私は・俺は・儂は、彼女を・妻を・嫁を・バアさんを、そして娘を愛しているんだ!!」

 

しかし、そんなこと事は異星人(ピット星人)と愛を育んだ地球人の男性たちには関係なかった。

何故なら、彼らは本当に異星人(ピット星人)たちを愛したからだ。そう、彼ら異星人(ピット星人)に「恋」して「愛」した人々には容姿の違いなど関係ないのだから。つまり、俗に言う「恋は盲目」というヤツだ。

 

 

 

だが、当然ながら盲目になっていれば真実には、それも「恐ろしい真実」は気付けない・・・それが地球人に破滅をもたらすとも知らずに。

 

 

「分かったぞ!彼女たちは『ギンブナ』と同じような生態、繁殖方法を取るんだ・・・このままでは地球人は絶滅して、地球(このほし)は彼女たちの星になってしまう・・・」

 

とある研究機関にて、一人の科学者がいま世間で話題になりつつ問題視されている事案を、地球人と異星人(ピット星人)が結婚したら必ず異星人(ピット星人)が生まれる現象、とソレによって起きている"地球人の"人口減少の原因を探り当てて愕然としていた。何故なら、

 

「地球人なら生まれてくる子供は男女比が半々だが、彼女たちの場合は絶対的に生まれてくる子供の性別は女性のみ・・・だから彼女たちは女性しかいない種族なんだ」

 

「でも、受精には精子の刺激が必要・・・だから彼女たちはオスを誘惑するために変身能力を身に付けたんだ」

 

「おまけに、彼女たちの場合は他の種族であっても"雄"なら、精子による"刺激"さえあれば子供を作る事が可能・・・だけど、生まれてくる彼女たちの子供は必ず彼女たちのみ(・・・・・)・・・雄の遺伝子を彼女たちの遺伝子が上書き(・・・)してしまうんだ・・・」

 

「これじゃあ・・・これじゃあ・・・本当に『ギンブナ』と同じじゃないか・・・このままでは地球人は絶滅するだろうな―――いや、絶対に絶滅する。手遅れにならなければいいのだが・・・」

 

自身が発見した恐ろしい事実に科学者は身震いを続けていたが、その事実を世間に公表することにした。全ては地球人の「血統」を守るために、ひいては地球《このほし》を守るために―――だが、

 

地球人(おれたち)が絶滅するからピット星人(かのじょ)たちとの恋愛を止めろ?ふざけんな!俺は彼女を愛しているんだ!!」

 

「絶滅がなんだ!滅亡がなんだ!そんなの知った事か!!人は愛に生きる生き物なんだ!!」

 

「何で科学者や世間は論理的な事ばかり言うんだ!愛や恋にリスクは付きものだろう!!そのリスクを乗り越えてこそ、恋や愛は育まれるんだ!!」

 

残念なことに科学者の主張が人々に、特に異星人(ピット星人)との恋や愛に夢中になっている男性たちには受け入れられる事は無かった。それほどに「恋」だ「愛」だは強く、そして厄介なのだ・・・

 

 

結果、地球人はいつの間にか絶滅してしまった。それにより、地球は地球ではなくなり、いつの間にか異星人(ピット星人)の星となってしまった。

 

そう、全ては地球人が巨影「変身怪人 ピット星人」との付き合い方を間違ってしまった事、そしてピット星人たちも地球人との付き合い方を間違ってしまった故だろう。

 

「悪意の無い侵略」これほどに恐ろしくて厄介な事案はないのだ。

 

 

 

 

 

だが、待って欲しい。

 

アナタは本当に恋愛に性別の差異は関係ないと思いますか?

 

アナタは本当に地球人と異星人が愛して愛される事は出来ると思いますか?

 

アナタは本当に恋愛の果てに滅ぶとしてもそれを受け入れることは出来ますか?

 

アナタは本当に人外の、体こそは女体だが、顔はむき出しの眼球と横に開く口のある人外の顔の女性と恋が出来ますか?

 

 

実を言えば少なくともこれだけの「常識的な問題」があったので、地球人がピット星人との付き合い方を間違うはずは無かったであろう。

 

しかし、残念なことに現代の何でもかんでも自由を叫び、何でも「差別だ、偏見だ」ばかり主張する輩が"多すぎる"ご時世なら・・・地球人が滅ぶのは当然なのだ。




如何でしたか? 
今回は『ウルトラセブン』より大人気の宇宙人「地球の男はかわいい女の子に弱いことが解ったんだから」発言で有名なピット星人に登場して頂きました。
ちなみに、ピット星人の名前は「キューピットのように可愛い宇宙人」=キュー"ピット"星人=ピット星人だとか。
ついでに最初は「マーガレット星人」でモデルというか顔はトンボ(オニヤンマ)がモチーフだそうです。

で、今回は(も)暴走しましたが・・・ぶっちゃけ、昨今は何でもすぐ「差別だ」「偏見だ」って言って文句は言うクセに、ちゃんとした常識とかをわきまえない輩が多すぎる・・・
あとはすぐに何でも「百合」とかねじ込むのも・・・そういうのはオープンに"しすぎる"べきじゃないですし、何でもかんでも自由や平等を訴えていたら「世の中」が崩壊してしまいますよ・・・ある程度は常識をわきまえて自制するっていのは大事だと思うんですよね。

で、世間で流行の擬人化だ人外娘萌えだは・・・正直、それらは全て「安心できるデザイン」じゃないですか。仮に肌の色が違おうが頭や手足の本数が多かろうが、下半身が蛇やクモや馬だろうが、顔と体は人間(女体)じゃないですか。それって、本当に「人外」なのか、わざわざ擬人化する意味はあるのだろうか?本当に思います。

ガチで人外、ガチで化け物・・・人間の要素など皆無の存在と愛を育めるのか?萌えられるのか?是非とも世の人外萌えやモンスター娘が好きと仰っている方々にお尋ねしたいですねぇ・・・

例えるなら某決戦アリーナのセラステスはイケるけどブリュンヒルドはキツいみたいな感じで・・・よい子のみんなは「決戦アリーナ セラステス」とか「決戦アリーナ ブリュンヒルド」とか検索しちゃダメだぞぅ!特にブリュンヒルドは・・・色んな意味でトラウマになるからさ。

一応言っておくと、作者にケモナーの気があるわけでも、ズーフィリアの気があるわけではないので悪しからずでございます。作者はノーマル性癖・・・だと思う。

で、最後の方でピット星人の生態で述べた「ギンブナ」は魚のギンブナです。スゴいんだよギンブナ。気になったら調べてね。マジでスゴい生態してるよ・・・

今回も色々とヒド(すぎる)い回でしたが、次回もお楽しみに~


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第三十九話  かいたいする『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

いきなりですが、作者は深く反省したしました。何を?

最近の「巨影都市オブ・ジ・エンド」はとりあえず風刺や皮肉ばかり折り込み、僕が一番やりたかった、この作品を書こうと思った理由の

「怪獣や宇宙人、特撮の"キャラクターたち自身"の『魅力』を伝えたい」

を忘れ、とにかく皮肉ったり風刺ばかりでした・・・

これじゃイカンと、巨影もとい怪獣や宇宙人たちの魅力を伝えるのが目的だっただろう、と反省しました。

なので、今回からはその路線に戻します・・・それでも、たまには風刺とかもやりますが、その辺は御慈悲を。

ということで、今回は巨影の魅力と能力を演出しました(と思います)。どうぞお楽しみ下さい。


あと、後書きで今回出てくる巨影の出ているシリーズに関わる未確認情報を書いております。よろしければご覧下さいませ。


では、どうぞ~


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら

 

 

「危険すぎます!習性も何も分かっていないのに、推測だけで捕獲するのはリスクが大きすぎます!!」

 

「長峰君、これは決定事項なのだよ」

 

「そんな・・・」

 

ある日、島国日本のとある孤島で奇怪な生物が、翼長15mを超える上に人を捕食する巨大な鳥―――専門家の言葉を借りれば「羽毛がなく牙がある、あんな鳥はいません!!」ということで鳥ではなく「怪獣」が発見された。しかも三頭もだ。

 

しかし、その怪獣は「学術的側面から見て非常に貴重な存在」の名目で処分されるどころか保護対象となった。結果、その怪獣の第一発見者である鳥類学者の女性および怪獣の調査に同行した警部補が、怪獣の捕獲の立案をお偉いさんから要求されたのだった。

 

 

 

 

「どっかに"アレ"を閉じ込められるような場所があれば・・・」

 

そんな(そげな)場所」

 

「ないよねぇ」

 

お偉いさんから言い渡された「人を食らう翼長15mの怪獣の捕獲案を考えろ」という無理難題を前にして、鳥類学者の女性と警部補は当然のように行き詰まっていた。だが、

 

「あっ・・・ありました・・・!」

 

「えっ?」

 

あるんですよ(あるですよ)!あるんですよ(あるとですよ)!!」

 

不意に、本当に不意に警部補が何となく見た新聞を、新聞の一面を飾っていた野球の記事を、その野球の試合が行われているドーム(・・・)を見た事で怪獣の捕獲の手立てが完成することとなった。

 

 

 

「オーライ!オーライ!!」

 

「足下注意!前へ!!」

 

「こちらの交通規制、報道規制は済みました。どうぞ」

 

とある地方の大都市にある多目的ドーム内、あるいはその近辺で慌ただしく動き回る自衛隊の大隊や警察に機動隊に、と相当数の人員が今からこのドームで行われる「ある作戦」の準備をしていた。そんな「ある作戦」とは―

 

「しかし、まさかドームまで怪獣を誘導し、ドームの中に閉じ込めてしまうとは・・・中々に奇抜な作戦を考えましたな、あの鳥類学者のお嬢さんは」

 

「とはいえ、相手が鳥の化け物ならカゴに、鳥籠(とりかご)に閉じ込めるのはもってこいですな」

 

「ははっ、確かに・・・」

 

そう、今からドームで行われる「ある作戦」とは・・・件の翼長が15mにもなる人食いの怪獣の捕獲方法の立案を任された鳥類学者の女性(と警部補)考案の怪獣の捕獲作戦であった。

 

その作戦内容は、怪獣を孤島からヘリコプターで誘導した後、天井が開閉するドーム内のグラウンドにエサを設置して怪獣を誘い込み、怪獣がエサに貪り付いている間にドームの天井を締めて怪獣をドーム内に閉じ込めてしまおう、というかなり大胆な作戦であった。果たして成功するのだろうか?

 

 

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

「誘導完了!!」

 

「了解!電源切り替え、天井閉鎖お願いします!!」

 

「はい!」

 

鈍い音を響かせながら閉まっていくドームの天井部分。そんなドーム内のグラウンドでは設置された大量の生肉(エサ)に何の警戒心も無く貪り付き、一心不乱に己が食欲を満たす三頭の怪獣がいた。

そう、鳥類学者の女性考案の怪獣捕獲作戦は見事に成功し、三頭の「学術的側面からは貴重な」人食い怪獣たちを「鳥籠」に閉じ込める事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

「例の生物だが・・・人を食べることから飼育は無理と、特級の危険生物と判断、内閣によって処分命令が下された。ついては―――」

 

「あの体の大きさと食欲ですし、代謝の事などをふまえれば放置しても数週間で飢え死にすると思います。よってドームを完全閉鎖して餓死させるのが一番だと思います」

 

「・・・分かった」

 

「それにしても身勝手すぎです!!」

 

どうにか三頭の怪獣をドーム内に閉じ込める捕獲作戦は大成功を収めた矢先、あろうことか件の怪獣の捕獲を命じた内閣が「やっぱ人食う危ないヤツだから殺せ」という真逆の、鳥類学者の女性が憤慨するように身勝手すぎる命令を下したのであった。

とはいえ「日本国内で一番のお偉いさん」である内閣様々がそう言ったのだからみな従うしかなかった。

 

こうして三頭の怪獣は鳥類学者の女性の助言の元、ドーム内に餓死するまで閉じ込められる事と相成ったのであった。

 

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

身勝手な人間たちにより、狭く薄暗いドーム内に閉じ込められた三頭の怪獣は苛立ち、そしてエサを全て食い尽くしたために空腹を訴えていた。

しかし、いくら鳴けど叫べど怪獣たちがドームの外に出ることが叶うはずなどない。だが、それでも腹は減る・・・結果、怪獣たちは仲間同士で殺し合って食い合って、最終的に一頭だけが生き残った。しかし、その一頭もいずれは死ぬ定めだ。

ドームから出ることも叶わず、殺して一時的に手に入れた仲間の肉(しょくりょう)も残りわずか・・・着実に「餓死」の恐怖が生き残った一頭に迫っていた―――それはつまり、鳥類学者の女性の言った言葉が現実になろうとしている証拠であった。

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

だが、そうは問屋が卸さなかった。ドーム内に閉じ込められた怪獣だからこそ(・・・・・)持ち得た異常にして異様な「適応能力」と「生命力」が、怪獣を飢え死にさせまいとしていたからだ。

 

同時に、人々はこの怪獣が持つ適応能力と生命力を過小評価してしまった事を悔しても後悔しきれないほどに、まざまざと見せつけられる事になる―――

 

 

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

「な、なんじゃぁありゃあ!!?」

 

「ば、化け物がドームをぶち破って出て来たぞ!?」

 

「な、何て大きな()なんだ・・・!!」

 

ある日、突如として地方の大都市にあるドームが、人を食らう翼長15mの怪獣たちを閉じ込めているドームが内側(・・)から破壊され、崩れ落ちた。そんなドームの崩壊を起こしたのは―

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

甲高い咆哮を轟かせ、窮屈そうに折り畳んでいた翼をはためかせるのは、赤い皮膚と二股に分かれた鶏冠を持った太古の翼竜のような姿をしたこの怪獣こそ、ドームを内側からぶち破って出て来た張本人であった。

その大きさはたったいま怪獣が天井をぶち破って出て来たドームなど比較にならない程に巨大だった。

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

「オ、オイオイ・・・アレって・・・前にドームに閉じ込めた鳥だよ・・・な?」

 

「あ、あぁ・・・色とか姿とかは間違いなくあの鳥だ・・・大きさが違いすぎるけど・・・」

 

「つ、つーかエサとか無いハズなのに何で生きてられたんだよ・・・?」

 

突如としてドームをぶち破って現れた巨大怪獣を前に、ドーム近辺の監視を行っていた自衛隊員や警察官、そして騒ぎを聞きつけて集まった野次馬たちは呆然とするしかなった。

 

そんな怪獣だが、実は誰かの言ったように元々はあの翼長が15mの怪獣だった・・・今となってはその翼長は185mと十数倍に成長している。それもわずか数週間でだ。その成長速度はハッキリ言って「異常」だった。だが、この怪獣の「異常」な点はその成長速度ばかりではない―

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

不意に、怪獣が羽ばたいた。するとどうだろうか。辺り一帯には凄まじい腐敗臭が広がり、怪獣を呆然と見上げていた人々を悶えさせた。

そんな腐敗臭の出所だが・・・怪獣の足下に散乱するおびただしい量の怪獣の同族の死骸(・・・・・)だった。だが、その死骸はどれも一様に小さいまるで雛もとい「子供」のようであり、加えて死骸以外にも怪獣の足下には白い何かが、何かの()の破片も散乱していた。

 

「まさかあの鳥・・・卵を産んでたのか!?しかも、その卵が孵化してたってのか・・・?」

 

「って言うか、アイツ・・・自分で産んだ子供を食って生き延びてたのか・・・!?」

 

「そ、そんな・・・自分の子供自分で食うとか・・・ありえねぇだろ!?」

 

相も変わらず漂う腐敗臭に悶絶する人々は腐敗臭の出所に気づき、その腐敗臭の原因である怪獣の同族の死骸を見て、怪獣が何を行ったのか、何をして今まで生き長らえて成長したのかを悟ってゾッとしていた。

 

そう、実は怪獣が"小さいときに"ドーム内に閉じ込められた後も生き長らえていたのも、現在の大きさにまで成長できたのも、全ては怪獣が「共食い」を行っていたからであった。

 

恐ろしいというか浅ましいというか、この怪獣は空腹になれば同族であっても躊躇なくエサにしてしまう。そのため、元々ドーム内に閉じ込められた怪獣が三頭だったのに今は一頭しかいないのも今いる一頭が残りの二頭を捕食してしまっていたからであった。

 

だが、共食いは色々な生物で見られる現象だ。それこそザリガニや昆虫に始まり、魚類も両生類も爬虫類も鳥類も、あるいはネコやチンパンジーなどの哺乳類、挙句は「カニバリズム」という単語が示すように人類でさえも共食いは行われている現象だ。

 

しかし、いくら共食いを行う動物たちでも行わない行動がたった一つある。それこそが―

 

「まさかあの鳥・・・卵を産んでたのか!?しかも、その卵が孵化してたってのか・・・?」

 

「って言うか、アイツ・・・自分で産んだ子供を食って生き延びてたのか・・・!?」

 

「そ、そんな・・・自分の子供自分で食うとか・・・ありえねぇだろ!?」

 

人々が怪獣の足下に散乱する怪獣の同族の死骸を見てゾッとした理由、それこそが"共食いを行う動物たちでも行わないたった一つの行動"―――「自分で産んだ子供を自分で食べる」もとい「自分の食料にするために子供を産み、食らう」という常識的に(・・・・)考えて"有り得ない"行動を実際に行った怪獣をその目でしかと見たからであった。

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

だが、人々は忘れていた。その"常識"が通じない存在こそが「怪獣」という全てを超越した存在なのだと、至極当然の「常識」を忘れていた事に。

加えて、その怪獣という常識が通じない存在の中でも特に異質で、異様な巨影「超遺伝子獣 ギャオス」だからこそ今回の出来事もまかり通るのだ―

 

 

―――ギャァオオオォォォッ!!―――

 

「!?か、怪獣がこっちに来るぞ!逃げろーーーっ!!」

 

「ア、アイツ俺たちを食う気だーーーっ!!」

 

空腹を満たすために仲間を解体(かいたい)して食らい、空腹を満たすためにたった一頭で子供を懐胎(かいたい)して食らうという数々の暴虐を行うギャオス。

そんなギャオスの次なる暴虐は・・・ギャオスの眼下で逃げ惑うちっぽけなエサ(にんげん)どもを絶滅するまで食らい尽くす事だ。

 




如何でしたか?

今回はガメラシリーズの常連にしてスタッフ(金子修介監督や伊藤和典氏に)から「いい加減に飽きた」や「出ずっぱりで面白みがない」と言われしまったギャオスが、それも平成三部作ガメラのギャオスが登場です。(ちなみに前述の金子監督たちの発言は『特撮秘宝』というムック本より抜粋)

で、今回の「かいたいする~」の「かいたい」は

・仲間を食らう、仲間を"解体"して食らう=解体・かいたい



・たった一頭で"懐胎"して繁殖する=懐胎・かいたい(ようは処女懐胎、つまりは単為生殖です)

っていう意味のダブルネーミングです。

そういえば、2015年の"あのPV"以降まったく音沙汰の無いガメラシリーズもといKODOKAWAがガメラの新シリーズを考えているようですよ、CGアニメで。
しかもそのCGアニメでガメラ史上初のメカ怪獣を出そうとしているとか・・・本当ですかねぇ?

「金にならない作品は即座に切り捨てる」KADOKAWAが、ガメラに「愛」も「親心」も無い、ただ単にガメラの「版権買い取っただけ」のKADOKAWAさんがガメラの新シリーズに本腰入れるのか・・・疑問です。

2005年版キングコングの監督、ピーター・ジャクソン氏みたいに「コングが大好きなんだ!だから私が自腹切ってでも映画をやりたいんだ!やらせてくれ!!」みたいな感じで、ガメラの熱烈なファンの方が、自腹切ってでもガメラ映画の監督やりたいって方が監督にならない限りはガメラの版権をKADOKAWAが持ってる以上、ガメラ映画の新作は無理だと思いますが・・・


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第四十話  交わる『巨影』

どうも、銀色の怪獣です。

いきなりですが、作者(と相方)は色々あって引っ越すこととなり、それに伴ってしばらく更新をお休み致します。

具体的には

5月11日にネットを一時解約→5月16日に新居に引っ越し→5月21日にネットを再接続する工事→そこから一週間ほどでネットが再開できる→パソコンでの執筆再開 って感じです。

作者は主にパソコンでお話を作っているので・・・

ネットが再開通し次第、また投稿します

ということで、今回はまだネットが繋がっていた昨日(5月10日)に仕上げたお話をどうぞ。

今回も巨影の魅力を出しつつ、最後はクスッと出来る、いったん更新をお休みするのでその最後らしくおバカ・・・クスッと出来る感じにしました。

では、どうぞ~



 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら

 

 

 

―――カラッキィ!!―――

 

「ティガ!根っこだ!!」

 

「ヘヤッ!!」

 

夜の帳が下り、辺りを照らすのは月明かりと星明かりのみとなった高原にて、剛力の赤と俊足の紫を身に纏った超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)が、黄色い花粉で人々を甘い夢の世界へと誘って堕落させて滅ぼしてしまう恐ろしい超古代植物(ギジェラ)の親玉と戦っていた。

 

「ヌゥンン・・・!ハァッ!!」

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

―――カラッ!?キ・・・キィ・・・―――

 

超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)が放った必殺技(ゼペリオン光線)超古代植物(ギジェラ)の親玉の体を吹き飛ばした直後、超古代植物(ギジェラ)の"本体"である根っこが地底へと逃走を図ったが、超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)超古代植物(ギジェラ)の根を逃がすまいと鷲掴み、その身を赤熱させて敵を焼き尽くす「ウルトラヒートハッグ」で超古代植物(ギジェラ)を爆散・完全に焼き尽くしたのだった。

 

 

 

 

「イヤァー!!」

 

「がっ!?はぁ・・・っ!!?お、おのれタロウ"・・・め・・・!!」

 

「トォーゥ!!」

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?ひ、卑怯もラッキョウもあった・・・ものではな・・・ない・・・」

 

所変わって、とある「M78星雲」と呼ばれる特殊な天体と、そのM78星雲出身の光の戦士たち(ウルトラ兄弟)が活躍する世界では今まさに「タロウ」の名を冠する光の巨人(ウルトラマン)が、恐ろしい毒を持った怪草(マンダリン草)を使って地球を侵略しようとした悪の宇宙人(メフィラス星人)の"二代目"を討ち破っていた。

 

 

 

 

時空は違えど、世界は違えど「悪は滅び、正義が勝つ」これは覆されることの無い"世の理"だ。

 

 

しかし、万が一に・・・二つの世界が交わったとき、出会ってはいけないもの同士が出会ったとき、出会ってはいけないもの同士が出会って交わった時(・・・・・)、悲劇の幕が上がる事となる―

 

 

 

 

 

「はい、こちらGUTS―――ええっ!?分かりました・・・はい、はい、了解。みんな、大変よ!!」

 

「どうされましたか隊長?」

 

「また出たそうよ、ギジェラが!!」

 

「「「「「「!!な、何ですって?」」」」」」

 

ある日、突如として防衛組織《GUTS》に一本の電話があり、その内容を聞いた女性隊長が青ざめた表情で隊員たちに電話の内容を伝えれば、隊員たちも総じて青ざめたり飛び上がったりして驚いていた。それほどに電話の内容が驚くべき内容であったのだ。

 

「まさか・・・まだ残ってたのか!?」

 

「そんな・・・!だってギジェラはティガが・・・!!」

 

「そうだぜ!俺はこの目で確かにティガがデカいギジェラを倒すのを見たぜ!?」

 

「いや、あんだけの繁殖力のある植物や。まだ残っとってもおかしくはないやろ」

 

「・・・隊長、これはすぐに出撃してギジェラを殲滅すべきでは?」

 

「ええ、勿論よ。ヤズミ隊員、ギジェラの出現場所をモニタリング!」

 

「は、はい!ギジェラの出現ポイントは・・・以前と同じ高原です!!」

 

「分かったわ。GUTS出撃!!」

 

「「「「「「了解!!!」」」」」」

 

防衛組織(GUTS)にかかってきた電話の内容、それは以前たしかに殲滅したあの超古代植物(ギジェラ)が再び姿を現わしたという内容であった。

当然、超古代植物(ギジェラ)の恐ろしさを"身をもって"知っている防衛組織(GUTS)はその知らせを受け、再び超古代植物(ギジェラ)によって起きるであろう騒動を防ぐべく、超古代植物(ギジェラ)殲滅に乗り出したのであった。

 

 

―――ガラッギィ!!―――

 

「何だ・・・アレ・・・!?」

 

「何か・・・前と違う・・・」

 

人類を破滅へと導く恐ろしい超古代植物(ギジェラ)再出現の一方を受けて出撃した防衛組織(GUTS)の面々が見たもの、それは・・・以前の超古代植物(ギジェラ)と違い、黄色い花弁こそあるが赤く(・・)膨らんだ蕾のような形状を持った花へと変化している超古代植物(ギジェラ)"らしき"謎の巨大植物の姿であった。

 

「ギ、ギジェラなんやろか・・・アレ?」

 

「あ、あぁ・・・何か違うだろアリャ・・・」

 

「動揺するな!確かに少し違うが、あの黄色い花に加えて・・・見ろ!ヤツのばらまいている花粉によって人々が集まっている!!ということは、アレは間違いなくギジェラだ!攻撃開始!!」

 

「「「「「り、了解!!!」」」」」

 

その目で見た謎の植物が「本当に超古代植物(ギジェラ)なのか?」と戸惑う防衛組織(GUTS)の面々であったが、防衛組織(GUTS)の副隊長の一喝で件の超古代植物(ギジェラ)"らしき"謎の巨大植物に攻撃を開始した。

 

その後、防衛組織(GUTS)の活躍で謎の巨大植物は殲滅された。しかし―

 

「あ、足が・・・!足が動かない・・・!!」

 

「だ、ダメだ・・・立てない、立てないよぉ・・・!!」

 

「動け!動け!!頼む、動いてくれよ俺の足・・・!!」

 

 

 

「い、一体どうなっているんだコレは・・・!?」

 

突然現れた超古代植物(ギジェラ)"らしき"謎の巨大植物が殲滅された直後、医療機関では大騒ぎが起きていた。

何故なら、医療機関には件の謎の巨大植物の花粉を吸ってしまった人々が大勢運び込まれたのだが、運び込まれた患者たちは一様に足に力が入らない、足が動かない、立てないなどの「下半身不随」の症状を訴えていたからだった。

 

「一体なにが原因なんでしょうか?やっぱりギジェラのせいでしょうか・・・?」

 

「で、でもよぉ、ギジェラにあるのって幻覚と依存ぐらいだろ?こんな下半身不随の症状なんて無かったハズだろ?」

 

「本当に・・・どうしてなのかしら?」

 

謎の巨大植物の花粉を吸った大勢に人々の身に起きた異変を目の当たりにした防衛組織(GUTS)の面々は首を傾げるばかりだった。

何故なら、確かに超古代植物(ギジェラ)の花粉には強烈すぎる幻覚作用と依存性があるが、今回のような下半身不随を起こすような作用は無かった・・・しかし、今はご覧のように下半身不随になってしまった人々が大勢いるのだ。これでは首を傾げるのも当然だ。と、ここで―

 

「分かったで!"アイツ"の正体が!!」

 

「ど、どうしたんですかホリイさん?」

 

「いや、だから分かったって言うとんねん!みんなの下半身不随の原因も、あのギジェラぽい草の正体もな!!」

 

相変わらず数々の不可解な事柄に首を傾げるばかりの防衛組織(GUTS)の面々の元に走ってきた防衛組織(GUTS)の科学者のホリイ。そんなホリイは今回の下半身不随の原因、そしてあの超古代植物(ギジェラ)"らしき"植物の「正体」を解明したのだ。果たしてその原因と正体とは?

 

「アイツは、アイツは・・・ギジェラと"何か"の交配で生まれた突然変異(ミュータント)やねん!!」

 

突然変異(ミュータント)ですか―――あっ!?だからギジェラに似てるけど何か違うし、今回みたいな新しい症状が現れたんですね!!」

 

「せや!ダイゴ、お前の言う通りや!!しっかしまぁ・・・ホンマ厄介なのと自然交配したみたいやなぁ、ギジェラは。幻覚と依存性はともかく、下半身不随の症状の改善方法が皆目見当もつかへん・・・困ったなぁ・・・」

 

ホリイ隊員が出した結論、それは・・・まさかの超古代植物(ギジェラ)が"何か"と「自然交配」し、その結果で凶悪で始末の悪い突然変異(ミュータント)を生み出した、というものであった。

 

そして、実はその通りなのだ・・・

 

 

 

―――カラッ!?キ・・・キィ・・・―――

 

時は遡り、超古代植物(ギジェラ)超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)に撃破された直後のこと。

 

あの時、確かに超古代植物(ギジェラ)は確かに跡形も無く焼き尽くされて吹き飛んだ・・・だが、超古代植物(ギジェラ)の「花粉」だけはまだその辺に漂っていた。

 

すると、どうだろうか。不意に、本当に偶然に別の世界(・・・・)から、M78星雲出身の光の巨人たち(ウルトラ兄弟)が活躍する世界から恐ろしい毒を持った怪草(マンダリン草)が、超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)のいる世界へと時空を越えて飛ばされて来た・・その結果、超古代植物(ギジェラ)の花粉と怪草(マンダリン草)が出会い、そして「受粉」したのだ。

 

当然、植物は受粉したら「実」を結んで「種」を作り、作られた「種」は発芽して「芽」を出して最後は「花」を咲かせる。

そして、その咲いた花は、違う種類の親から生まれたハーフもとい突然変異(・・・・・)の花は親となった植物(ギジェラとマンダリン草)の特徴を受け継ぐ―――

 

そう、今回人々を苦しませる下半身不随の原因は、本来ならば超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)のいる世界には存在してはならない(・・・・・・)植物の巨影「怪草 マンダリン草」が、同じ植物の巨影「超古代植物 ギジェラ」と出会い、種を越えた愛を育んだ結果で起きた生物災害(バイオハザード)だったのだ。

 

「あ、足が・・・!足が動かない・・・!!」

 

「だ、ダメだ・・・立てない、立てないよぉ・・・!!」

 

「動け!動け!!頼む、動いてくれよ俺の足・・・!!」

 

 

「じゃあ、一体どうすればみんなを助けられるんですかホリイさん・・・?」

 

「分からへん。何せギジェラが何と交配したのか、交配したのが何なのかすら分からへんねん・・・分からんこと尽くしや」

 

 

こうして、偶然が招いた生物災害(バイオハザード)による影響は、マンダリン草とギジェラが自然交配して誕生したミュータント種「超怪草 (まん)()()ジュラ」による影響はその爪痕を深々と人々の身に刻み、人々を恐怖に震え上がらせたのだった。

 

 

 

 

 

一方で、実はマンダリン草が超古代の光の巨人(ウルトラマンティガ)のいる世界に迷い込んだように、ギジェラもまたM78星雲出身の光の巨人たち(ウルトラ兄弟)が活躍する世界に迷い込み、そしてマンダリン草と交配して曼陀羅ジュラを生み出して人々に影響を及ぼしていた―――

 

「気合だこんなモンは!気合で依存を断つんだーーーっ!!」

 

「そうだ!人間は自分の意思で悪いモノを断ち切れるんだーーーっ!!」

 

「うおおおぉぉぉっ!マンダリン草の毒に比べれば依存とかヘでも無いぜーーっ!!」

 

確かに曼陀羅ジュラはM78星雲出身の光の巨人たち(ウルトラ兄弟)が活躍する世界でも悪影響を及ぼしていたが・・・如何せんこの世界の人々は、特に一般人が異様にタフというか活きがいいというか、肉体的にも精神的にも"無駄に"頑丈だった。

 

結果、こちらの世界では曼陀羅ジュラ世界ではの影響など大した問題にもなっておらず、おまけに元々こちらの世界の人々はマンダリン草の解毒方法を知っていたので本当に大した問題になっていなかったのだ・・・恐るべしは「(ウルトラマンタロウの世界の)一般人」と言うべきなのかもしれない。




如何でしたか?

今回はウルトラシリーズでもヤバい特性を持った二つの植物が、「ダメな方の弟」が使ったマンダリン草と、超古代文明を滅ぼす一因となった麻薬植物ギジェラが登場し、更にその二種類が現実世界でも起きている「自然交配によるバイオハザード」で新種の「曼陀羅ジュラ」という恐ろしい新種を生み出す、という展開にしました。

しかし・・・強烈すぎる依存性+幻覚作用+下半身不随になる、なんて・・・現実の麻薬もビックリですな。コイツがウルトラシリーズに出たら・・・現代の規制が厳しいご時世じゃ無理か。

ちなみに、マンダリン草とギジェラの交配種「曼陀羅ジュラ」の名前の由来は『薬物中毒者ですら手を出さないレベル』と称される「曼陀羅華(まんだらげ)、曼陀羅葉(まんだらよう)」や「キチガイナスビ」の異名を持つ「チョウセンアサガオ(ダチュラ)」がモチーフです。マジでダチュラのヤバさはスゴいですよ・・・気になったら検索をば。

さて、これにしてしばらく更新をお休み―――一応、スマホでも地道に書いて出来上がったら投稿したり、コメントや感想を頂けると嬉しいもといちゃんと返信しますので、その際はよろしくお願い致します。


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番外編 『Up rising(アップライジング)』する巨影

どうも、お久しぶりです。銀色の怪獣です。

無事に引っ越しが終わり、各種手続きが終わり、新居にてネットも繋がり、といった具合でやっと復帰できました。

ということで、今回は「リハビリ」を兼ねつつ「アイデア披露」なお話になります。

今回の内容、言わずもがな「あの映画」を元ネタにしつつ、「あの映画」を見たときに思いついたネタを好き勝手やります。

「もう巨影都市関係ねーだろ!!」って言わないで下さい・・・


では、どうぞ!!


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「ジェットエル―――ロケットパーンチ!!」

 

「KAIJUとドリフトするんだ。相手の事を知るために」

 

「カテゴリー5です・・・」

 

『自爆システム機動』

 

『やりました!時空の裂け目が消滅しました!ローリーとマコがやってくれました!!』

 

 

西暦××××年のある日、突如として人類は絶滅の危機に晒された。

太平洋の深海に開けられた(・・・・・)「異次元の裂け目」から送り込まれる無数の巨影「KAIJU(カイジュウ)」によって。

 

だが、人類は決して諦めなかった。人類は自分たちの命を脅かす恐ろしいKAIJUに立ち向かうべく、国も人種も宗教も関係なく協力し合い、持てる限りの英知と技術を応用して対KAIJU兵器「イェーガー」という人が乗って戦う巨大なロボットを作り上げ、無数に襲い来るKAIJUたちを撃破し、その脅威を退けた。

 

そう、人類は例え敵が幾度攻めて来ようとも決して諦めず、幾度となく「Up rising(立ち向かう)」し続けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、人々は忘れていた。

人類が途切れる事の無いKAIJUの襲撃に対して諦めずに戦ったように、相手も、KAIJUたちも、そのKAIJUたちを送り込んでいる"元凶たち"も地球侵略(もくてき)を諦めないことに。

KAIJUたちと、KAIJUたちを送り込んでいる"元凶たち"も目的の達成のためにUp risin(行動を起こす)する事を―――

 

―――ガァアアアァァァッ!!―――

 

―――ゴァオオオォォォッ!!―――

 

―――カロロロロォオォッ!!―――

 

―――シュギィイイイィィィ!!―――

 

―――ゲェアアアァァァッ!!―――

 

「な、何だありゃぁあああぁぁぁっ!!?」

 

突如として、とある大都市に轟く破壊音や炸裂音、逃げ惑う人々の悲鳴、そして・・・無数のKAIJUたちの咆哮。

 

見れば・・・何と、人類が死力を尽くして退けたはずのKAIJUたちが舞い戻り、大暴れをしていた―――それだけに飽き足らず、再び人類の前に現れたKAIJUたちはある「驚くべき変化」を遂げていた。それこそが―

 

「何で・・・何で・・・KAIJUがイェーガーと合体してる(・・・・)んだよ!!?」

 

そう言って、暴れ回るKAIJUたちから少しでも離れようと逃げ惑う人々の内の一人が呻くように言葉を漏らした。

 

そう、再び人類の前に姿を現わしたKAIJUたちの身に起きていた変化、それこそが人類の英知と希望の結晶たるイェーガーが、人類を脅かす恐怖の侵略者KAIJUと"合体している"した、言うなれば「メカ・KAIJU」となっているばかりか、その圧倒的強さで大都市を蹂躙し、KAIJU撃退のために出動したイェーガーたちを次々に葬っている光景であった。

 

 

―――ギギィ!ギギィイ!!―――

 

「クソッ!持久戦特化のオニババと遠距離戦特化のコヨーテ・タンゴの合体とか最悪じゃねぇかよ!!」

 

―――ギギィ!ギギィイ!!―――

 

「!?う、うわぁあああぁぁぁっ!!?」

 

今まさに、一機のイェーガーが一体のKAIJUに葬り去られた。

そんなイェーガーを葬り去ったKAIJUだが、KAIJUの強さや危険度などを現わす数値(カテゴリー)では大して強くない「カテゴリー2」に属する「甲殻怪獣 オニババ」というKAIJUであったのだが、今イェーガーを葬ったオニババはイェーガーの中でも銃撃戦・遠距離戦に特化した「コヨーテ・タンゴ」という機体と合体した、言うなれば「メカ・オニババ」とでも言うべき姿に変貌していた。

 

―――ギギィ!ギギィイ!!―――

 

そんなメカ・オニババだが、元となったオニババは持ち前の分厚い外甲による抜群の防御力の高さ、耐久力の高さで人類を苦戦させた。

だが、その反面でオニババは攻撃手段、特に遠距離攻撃には乏しいのでそこまで苦戦するような相手ではない、というのが常識であった。

しかし、このメカ・オニババはイェーガーの中でも有数の銃撃戦・遠距離戦に特化した各種武装を持ったコヨーテ・タンゴと合体しているが故、オニババの防御力と耐久力で相手を疲弊させ、相手が隙を見せた瞬間にコヨーテ・タンゴの各種ミサイルやレーザーなどで攻撃してくる、という厄介なKAIJUとなっていたのだ。

 

 

―――グゥオオオォォウ!!―――

 

「こ、コイツはヤバい・・・!どうやってもズタズタに切り裂かれちまう!!ナイフヘッドとクリムゾン・タイフーンの合体なんて悪夢だ!!」

 

―――グゥオオオォォウ!!―――

 

「!?ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!!?」

 

今まさに、一機のイェーガーが一体のKAIJUに葬り去られた。

そんなイェーガーを葬り去ったKAIJUは元はカテゴリー3に属する「衝角怪獣 ナイフヘッド」というKAIJUでああった。

が、今イェーガーを葬り去った去ったナイフヘッドはイェーガーの中でもスピードと柔軟性に特化した「クリムゾン・タイフーン」という機体と合体した、言うなれば「メカ・ナイフヘッド」とでも言うべき姿に変貌していた。

 

―――グゥオオオォォウ!!―――

 

そんなメカ・ナイフヘッドだが、攻撃手段は元のナイフヘッドの肩書きの「衝角」とも称される、頭部から突出した出刃包丁のような口吻を使った刺突、殴打だけではなく、クリムゾン・タイフーンが持つ三本の腕に装着された回転ノコギリを装着した三本の(・・・)腕を使った滅多斬りが主な攻撃手段であった。

メカ・ナイフヘッドは四本ある腕の内、何も装着されていない腕で相手を掴んで押さえ込むと、残りの回転ノコギリ装着の三本の腕で相手をズタズタに引き裂く文字通りの切り裂き魔、見た目通りの惨殺者へと変貌を遂げたKAIJUとなっていた。

故に、メカ・ナイフヘッドを見た人々は「KAIJU版"切り裂きジャック"だ」と称したという。

 

 

―――カロロロロォオォッ!!―――

 

「な、何て堅さなの!?オオタチにチェルノ・アルファの装甲が付いてるなんて・・・!!どこを責めればいいのよ!!?」

 

―――カロロロロォオォッ!!―――

 

「!?はぁっ・・・!?うぅう・・・!?!」

 

今まさに、一機のイェーガーが一体のKAIJUに葬り去られた。

そんなイェーガーを葬り去ったKAIJUは元はカテゴリー4に属する「凶悪翼獣 オオタチ」というKAIJUであった。

が、今イェーガーを葬り去った去ったオオタチはイェーガーの中でも随一防御力を誇る「チェルノ・アルファ」という機体と合体した、言うなれば「メカ・オオタチ」とでも言うべき姿に変貌していた。

 

―――カロロロロォオォッ!!―――

 

そんなメカ・オオタチだが、元のオオタチが攻撃手段・移動手段・知能などが非常に完成されており、特にイェーガーと合体する必要性は無いと思われていた。

しかし、オオタチは「完成している」が「完璧」ではない。実を言えばオオタチはKAIJUとしては珍しい「メス」である。加えてオオタチは「産卵」ではなく「妊娠・出産」を行うKAIJUだ。

それ故、オオタチの腹部は外骨格などが無く非常に軟らかくて無防備だ。

そこで、イェーガーの中でも随一の防御力を誇るチェルノ・アルファと合体することで大事な腹部を、子孫を産むための大事な体を守る装甲を得ることで「完成」から「完璧」となっているのだ。

 

 

―――ゲェアアアァァァッ!!―――

 

「コイツは・・・強ぇ!レザーバックとジプシー・デンジャーの合体たぁ、粋な事するねぇ・・・!!」

 

―――ゲェアアアァァァッ!!―――

 

「ちっ・・・!悔しいが・・・俺らの負けだぁあああぁぁぁっ!!!」

 

今まさに、一機のイェーガーが一体のKAIJUに葬り去られた。

そんなイェーガーを葬り去ったKAIJUは元はカテゴリー4に属する「電磁波暴獣 レザーバック」というKAIJUであった。

が、今イェーガーを葬り去った去ったレザーバックはイェーガーの中でも主人公・・・最もKAIJUを撃破し、数々の功績を挙げた最強のイェーガー「ジプシー・デンジャー」という機体と合体した、言うなれば「メカ・レザーバック」とでも言うべき姿へと変貌していた。

 

―――ゲェアアアァァァッ!!―――

 

そんなメカ・レザーバックだが、元のレザーバックがkAIJUの中で最も肉弾戦に優れている事、合体しているジプシー・デンジャーがイェーガーの中でも最強クラスとあって凄まじい強さを誇っていた。

特に、レザーバックの最大の武器である棍棒(メイス)のような腕の肘部分に、ジプシー・デンジャーの(エルボー)・ブースターが装着されており、ただでさえ破壊力抜群のメカ・レザーバックの「エルボー・ロケット」もとい「ロケットパンチ」は最早パンチの域を遙かに凌駕していた。

更に、メカ・レザーバックは生来持ち合わせた握力で相手に掴みかかった後、掌に装着されているジプシー・デンジャーの「プラズマキャノン」を相手を絶対に逃がさずにゼロ距離で撃ち込む、という芸当もやってのけるのだ。

また、レザーバックは「電磁波暴獣」の肩書き通り、電磁波を使ってデジタル操作のイェーガーを始めとしたあらゆる電子機器を機能停止させてしまう。しかし、メカ・レザーバックが合体しているジプシー・デンジャーはアナロの原子力式動力炉で動くため、電磁波を操るレザーバックもといメカ・レザーバックとの相性は抜群であったのだ。

 

 

―――ガァアアアァァァッ!!―――

 

―――ゴァオオオォォォッ!!―――

 

―――カロロロロォオォッ!!―――

 

―――シュギィイイイィィィ!!―――

 

―――ゲェアアアァァァッ!!―――

 

その他にも、首の周りに付いた開閉する顎状のヒレを持った「巨顎怪獣 ライジュウ」は、ご自慢の開閉するヒレにジプシー・デンジャーなどが装備している「チェーンソード」が装着された「メカ・ライジュウ」に。

 

カテゴリー4では最大級の大きさの「突貫角獣 スカナー」は、鋭利なブレードを武器とするイェーガーの「タシット・ローニン」と合体して「メカ・スカナー」に。

 

数いるKAIJUの中でも単一で、唯一のカテゴリー5に属する「大魔獣帝 スラターン」は、同じく数あるイェーガーの中でも唯一無二の存在であった「ストライカー・エウレカ」と合体した「メカ・スラターン」に。

 

 

といった具合に、この他にも実に様々なKAIJUたちが数々のイェーガーと合体して「メカ・KAIJU」となって人類を恐怖させ、絶望させた。

 

 

 

 

 

 

『作戦は成功だ。これでようやく地球が手に入るぞ』

 

『あぁ、長かったがやっとだな。全く、あの虫ケラどもめ・・・さんざん我々の邪魔をしおってからに』

 

『全くだ。だが、おかげで実に面白いものが見れた。見ろ、この虫ケラどもの顔を。実に愉快だ』

 

『あぁ、実に愉快だな。この絶望に染まった表情・・・!我らの邪魔をした報いだ』

 

人類が再び現れ、前以上の脅威となったメカ・KAIJUに「蹂躙」されていた頃、地球とは違う何処ともしれない場所、俗に言う「異次元」では"何者かたち"がメカ・KAIJUに蹂躙される地球人の様子を見てさも愉快そうにしていた。

 

そんな"何者かたち"の後ろをよく見れば・・・何と、今まさに地球で地球人を蹂躙しているメカ・KAIJUたちの同族個体が「無数に」製造されていた―――そう、実はこの異次元こそが地球人類を蹂躙するメカ・KAIJUたちを地球に送り込んでいる全ての元凶たちが住まう地『アンティ・ヴァース』であったのだ。

 

そんなアンティ・ヴァースに住まい、地球へと無数のKAIJUやメカ・KAIJUを送り込んでいた元凶たる巨影こそ、まるで昆虫のような体に醜悪な深海魚の如き顔をした「侵略知的生命体 プリカーサー」であった。

 

実はこのプリカーサーという存在、気のおもむくままにアンティ・ヴァース意外の他の星や土地を侵略するのを生業としており、その際に使うのが彼らがクローニング技術で生み出したKAIJUだ。

そう、今まさに地球を襲っているKAIJUたちも、そもそも地球がKAIJUに襲われている原因も、全てはプリカーサーたちによる「侵略行為」だったのだ。

 

しかし、以外にも地球人類はイェーガーを作るなどしてプリカーサーの侵略行為に抵抗した。

 

当然、それはプリカーサーたちからすれば腹立たしい行為であり、自分たちより遙かに劣る文明レベルの「虫ケラな種族」である地球人によって地球侵略を妨害されたプリカーサーたちは激怒した。

 

そこで、プリカーサーたちは自分たちの邪魔をした地球人(虫ケラ)」をただ滅ぼすのでは無く、相当にいやらしい、地球人(虫ケラ)なりに見せていた「抵抗」を徹底的に踏みにじる行為を行ったのだ。それこそが、

 

 

『しかし・・・あの虫ケラどもは自分たちが使っていた"オモチャ"が、怨敵たる我らのKAIJUと合体しているのを見てさぞかし悔しかろう・・・だが、見せしめにはもってこいだ!!』

 

と言いつつ、人類を蹂躙し続けるメカ・KAIJUの姿を水晶のようなモニターで見てほくそ笑むプリカーサー。

 

そう、プリカーサーが行った"自分たちの邪魔をした愚かな地球人(虫ケラ)"に対する「見せしめ」こそ、その地球人(虫ケラ)が必死の思いで自身を脅かすKAIJU撃退のために作ったイェーガーを、地球人たちを脅かすKAIJUとわざわざ合体させたメカ・KAIJUにすることで地球人たちに屈辱を味合わせ、精神的に追い詰めようとしたのだ。

 

これこそがKAIJUとイェーガーが合体している理由だったのだ。

 

全てはプリカーサーたちの人類への「嫌がらせ」だったのだ。

 

たかが「嫌がらせ」でここまでの事をしでかすとは・・・恐るべき存在、としか言いようがない。




如何でしたか?

今回はあの大人気映画『パシフィック・リム』の続編『パシフィック・リム・アップライジング』を元ネタにしました。

ちなみに、どこが元ネタかと言えば→今回登場させた今回登場させた「メカ・KAIJU」は『アップライジング』で出ていた「メガ・KAIJU」と、あの「ドローン・イェーガー」が元ネタです(「メガ」と「メカ」、まさかのイェーガーとKAIJUの合体、ということです)

話は変わりますが、ここ最近は「怪獣モノ」な映画が多くて嬉しいです。

『パシフィック・リム・アップライジング』、『ランペイジ 巨獣大乱闘』、『レディ・プレーヤー』などなど・・・いいですよねぇ。

え?『GODZILLA 決戦起動増殖都市』? あれは・・・「SFアニメ」でしょ?


思うのは、なぜ僕らは「怪獣モノ(怪獣映画)」に行くのか?答えは簡単です。怪獣が見たいから、これにつきます。
怪獣が見たいから怪獣モノを、妖怪が見たいから妖怪モノを、ミステリーが見たいからミステリーを・・・「なぜその映画を、その作品を観るのか?その作品のコンセプトが、その作品の"ジャンル"を見たいからその作品を観る」非常に当たり前な事です。

にもかかわらず、最近はその"ジャンル"を無視して、「わざわざこの作品でこれやるか!?」って言うのが多い・・・件の決戦起動とかその代表のような・・・

それはさておき、作者はまた投稿を再開致します。何卒よろしくお願い致します。

ついでに、アニゴジの三部作目『星を喰う者』に関した情報を僕の活動報告において書いております。よければご覧下さい


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第四十一話  超なる『巨影』

どうも、お久しぶりの作者です。

引っ越しから約一ヶ月、新居での生活や片付けも落ち着いて執筆の時間が取れるようになりました。

おかげで、また定期的にお話を投稿できそうです。

ということで、今回は割と期間が空きましたので・・・特撮界隈では大人気の"カテゴリ"属する巨影たちを出します。

何が出るのか?それは本編をお楽しみに・・・

では、どうぞ!!


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

「ば、化け物だぁあああぁぁぁっーーー!!?」

 

大勢の人々で賑わう島国、日本のとある大都市。そんな大都市の真上の空が「割れた」。

より正確に言えば、雲一つ無い蒼天の青空に突如として裂け目のようなものが発生し、次の瞬間にはその裂け目を中心として空がガラスのように割れ、真っ赤な穴が空いた・・・だけならばよかったのだが、今度はその穴の中から並み居るビル軍に肩を並べる、あるいはビル軍を見下ろす大きさを持つ怪物、通称「巨影」が無数に街中に降り立った。

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

白昼の大都市のど真ん中に現れた数え切れない巨影たちは凄まじい咆哮を轟かせつつ、逃げ惑う人々や並み居るビル軍を手当たり次第に破壊し始めた。

 

「総理!今すぐ決断を!!このままでは被害が大きくなる一方ですよ!!?」

 

「やむを得ない・・・これは我が国の存亡に関わる事態だ!今すぐ陸・海・空自の出動を命ずる!!全ての自衛隊の総力を持ってあの怪物どもを蹴散らせ!!!」

 

突如として現れ、暴虐の限りを尽くす無数の巨影に対し、日本国のトップが自衛隊の出動を命じた。全ては国民を守るために。だが、

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

「うおらぁー!!これ以上好き勝手にさせねぇぞーーーっ!!!」

 

国のトップの命を受け、暴れ回る巨影たちを排除すべく勇敢に出動した自衛隊の大隊。

 

空自は各種戦闘機で出撃。

 

陸自は各種武装と共に戦車大隊を率いて出撃。

 

海事は長距離ミサイルを放てる護衛艦を率いて出撃。沖合から空自と陸自のサポートに徹した。

 

しかし、今まさに自衛隊が相手にしている巨影たちは「異形」であり「異常」だった。現に、

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

「な、何だコイツら!?体からミサイルに爆弾に・・・動物じゃねぇのか!!?」

 

大都市で我が物顔で暴れ回る無数の巨影に対して勇猛果敢に挑みかかる自衛隊の大隊。

しかし、そんな自衛隊を待っていたのは・・・巨影たちの口から、頭部から、目から、腹から、背中から、腕から、足から、尻尾から、と全身の至る所から放たれるミサイルに爆弾、銃弾に砲弾、火炎放射に液体窒素、強烈な酸に手裏剣にまきびし、といった「兵器」の数々による一方的な「負け試合」だった。

 

「クソッ!図体がデカいだけなら仕留められるが、強えし兵器まで内蔵しているとかどうやって倒せばいいんだよ!!?」

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「う、うわぁあああぁぁぁっ!!?」

 

今まさに一機の戦闘機が撃墜された。巨影が口から放ったミサイルによって。

 

それに続くようにして、戦車大隊や残りの戦闘機も全て巨影たちによって全自衛隊は壊滅してしまった。

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

その後も巨影たちによる一方的な蹂躙は続き、大都市はあっという間に巨影たちによって制圧されてしまった。

 

 

「どうなっているんだ!?なぜ生物なのに体に兵器が内蔵されている!?あの怪物どもは・・・一体、何なんだ!!?」

 

モニター越しに起こる巨影たちによる一方的な蹂躙劇を見た日本国のトップはそう呟きながら頭を抱え込んでいた。

 

 

「動物は人間に無い牙や爪、毒といった『武器』を持つから人間を殺せる。一方で、人間は動物に無い知能があって、何よりも銃や大砲といった『兵器』を使えるから動物に勝てるのだ」

 

「だが、もしも・・・動物が『兵器』を持ったならば、人間は一方的に動物に殺されるだけだ」

 

と、とある有名な哲学者が言った。

 

確かに、人間には鋭い爪や牙などの「武器」が無いためにライオンやトラ、どころか下手をすればイヌやサルにも勝てない。

 

しかし、人間にはライオンやトラ、どころか巨大なゾウやクジラさえ易々と仕留めることの出来る銃や大砲などの『兵器』があるからこそ動物に勝てる。

 

だが、もしも・・・人間に無い「武器」を持った動物が、人間たちが動物を殺すために使う「兵器」を持ったら、それこそ件の哲学者が言ったように人間は動物にただ殺されるだけとなる。

 

そんなの"悪夢"でしかないだろう。

 

―――グルォアアアァァァ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!!―――

 

―――グルオオオォォォ!!―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!!―――

 

だが、そんな"悪夢"が現実になってしまった。

 

そう、今回大都市に現れた無数の体に「兵器」を内臓した巨影こそ件の哲学者が言った存在、人間では絶対に勝てない"悪夢"の存在だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「今だ!全部隊、連中の頭を狙え!!」

 

「「「「「了解!!!」」」」

 

―――グルォアアアァァァ!?―――

 

―――キイイイィィィィ!?―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!?―――

 

―――グルオオオォォォ!?―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!?―――

 

大都市や人間をその圧倒的な強さや体に内蔵された兵器で蹂躙し、暴虐の限りを尽くす無数の巨影。

 

だが、そんな彼らには唯一弱点があった。それは、

 

「オラオラーっ!人間様の知恵なめんなよーーーっ!!」

 

―――グルォアアアァァァ!?―――

 

―――キイイイィィィィ!?―――

 

―――ガルラァアアアァァァッ!?―――

 

―――グルオオオォォォ!?―――

 

―――バルゥウウウゥゥゥ!?―――

 

確かに巨影たちは強い。強いだが、彼らは本能や衝動に任せて破壊などを行っているだけであり、そこに知恵や目的は特にない。そう、彼らはいわゆる「脳筋」なのだ。

 

対して、人間は弱いが知恵がある。それこそ巨大で強力な巨影たちの特性や弱点を見抜き、そこを攻め落とすだけの"理性"を持っている。

 

そして、知恵者で理性がある人間と、強いが脳筋で本能でしか行動できない巨影が戦えば・・・脳筋の巨影たちは手玉に取られてばかりだった。

 

「いいか!奴らをこの地点まで誘い込め!!奴らがこの地点に来た瞬間、爆破してやれ!!」

 

「奴のミサイルは一度放つと再装填まで時間がかかる。その隙を突いて攻撃だ!!」

 

「奴の爆弾はあまりに威力が高い。つまり、暴発させれば奴は自分の爆弾で自爆するだろう」

 

事実、脳筋の巨影たちは知恵者の人間たちに次々に手玉に取られ、あっという間に逆転された。

 

これもひとえに、巨影たちが脳筋揃いだった故であろう。

 

 

 

 

 

「うぅ、ぐすっ・・・お父さん、お母さん・・・」

 

「よしよし、もう泣かなくていいよボク。すぐにオジサンたちがお父さんとお母さんを探してあげるからね」

 

「オイ、その子どうしたんだ?何で本部に連れて来たんだ?」

 

「あぁ、本部(ここ)の近くで見付けたんだ。どうやら両親とはぐれたらしい。避難所に連れて行こうにも遠いから、とりあえず本部に連れて来たんだ」

 

「なるほど」

 

自衛隊の尽力により、大都市を襲撃した無数の巨影は葬り去られた。

 

しかし、巨影たちが残した被害の爪痕はあまりに深かった。

 

崩れ落ちた建物

 

寸断された交通網に情報網

 

あちこちで上がっている火の手や燻る黒煙

 

そしておびただしい数の負傷者や死傷者に行方不明者

 

と、巨影たちが残した爪痕は相応のものであった。

 

しかし、だからといって人々は、特に人々を守るために働き・動く自衛隊は止まらなかった。

 

戦闘を終えた自衛隊員たちは総力を持って火災の鎮火、負傷者や行方不明者の対処に当たっていた。

 

現に、今も一人の自衛隊員が両親とはぐれてしまったらしい黄色い帽子を被った子供を保護し、避難所が遠いために大都市の片隅に設営された自衛隊の作戦本部へと連れてきていた―――これが運の尽きであった。

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「ぎゃあああぁぁぁっ!!」

 

「うわぁあああぁぁぁっ!!」

 

「な、何だ!?どうしたんだ!!?」

 

突如として自衛隊の作戦本部で爆発が起こり、何十人もの自衛隊員に加えて作戦本部そのものが吹き飛んだ。

そんな爆発の原因は―

 

「この本部とやらを潰せば我々の作戦はまた行える。これで任務完了だ」

 

「うぅ・・・あぁ・・・ボ、ボク・・・き、君は・・・いや、お、お前は・・・何だ・・・!?」

 

「あなたたちの役目は終わった。ありがとう―――死ね!!」

 

―――ドォンッ!!!―――

 

突如として爆発した自衛隊の作戦本部。そんな本部の中心地、爆発が起きた地点には・・・あの黄色い帽子を被った少年が立っていた。

その髪は逆立ち、目の周りに青い縁取りが出来上がり、そして・・・作戦本部と数十名の自衛隊員を吹き飛ばした怪光線を放った口から煙を燻らせながら。

 

「子供姿で近付けば上手く行くと思ったが・・・こうも容易く事が運ぶとは!実に愉快、いや、実に滑稽だ!!」

 

そう言って、少年は自身が吹き飛ばした作戦本部と死屍累々の地獄絵図となった自衛隊員たちを一瞥しつつ、天を仰げば―

 

「子供の心が純真だと思うのは人間だけだ」

 

「子供ほど残酷で、自己中心的な存在はいない―――そう、このヤプール人が化けているとも知らずに、子供というだけでノコノコとこんな場所まで連れて来た」

 

「おかげで全てを吹き飛ばせたヨ・・・残りモ吹き飛ばシテやロう!超獣、バキシムとナッテ!!」

 

天を仰いだ少年の姿が一瞬揺らいだ―――かと思えば、せいぜい小学校低学年程度の大きさだった少年の身長が、体の幅が、見る見るうちに膨張してあっという間に身長65mまで巨大化した。そして―

 

―――キイイイィィィィ!!―――

 

あっという間に巨大化した少年・・・否「少年の姿から本来の姿に戻った」怪物、鷲のように湾曲した嘴に緑色の目、頭頂部の一本角、頭部から背面は橙色、蛇腹状の腹部は濃紺、そしてスパイクのような棘が無数に生えた手、とどう見ても「普通ではない」姿をした巨影、怪物や怪獣を超える存在「超獣」に属する「一角超獣 バキシム」がけたたましい咆哮を轟かせた。

 

「か、怪物だー!逃げろーーーっ!!」

 

「そんな・・・怪物が・・・子供に化けてたってのかよ!!?」

 

「クソッ!人様の優しさにつけ込みやがって!!最悪じゃねーか!!!」

 

目の前で矢継ぎ早に起こる信じがたい出来事の数々。

しかし、それらは全て現実だ。

現に、自衛隊員たちの目の前には身長65mもの大きさを誇る超獣・バキシムが現れ、逃げ惑う自衛隊員たちを踏み潰す、体中から放つミサイルや火炎放射で次々と屠っていった。

そのあまりにも一方的な蹂躙・・・この場合は「虐殺」というべきか、虐殺は止まることを知らなかった。

 

そして、そのバキシムによる人間たちへの一方的な虐殺を可能としたのも、本来ならば脳筋揃いの超獣たちの中でも唯一と言っていい位に知能が発達しているバキシムだからこそなし得たのだ。

 

 

 

 

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『何故ダ!?何故戦わヌ!?何故逃げテばかりなのダ!!?』

 

とある大都市に轟く巨大な怪物、俗に言う「巨影」と呼ばれる存在の咆哮が二体分、件の大都市に轟いていた。

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『逃げるナ!このヤプール人ト戦エ!この臆病者ガ!!』

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

そんな二つの咆哮の内、片方はこことは別の大都市を崩壊させた巨影「一角超獣 バキシム」のものであった。

ならば、残るもう一方の咆哮の主とは?

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

件のバキシムとは違う咆哮の主、全身が金色で、頭部には天に向かって真っすぐ伸びる一対の角、手には鋭い鉤爪が三本生え、全体的に引き締まった肉体を持つ、直立二足歩行の巨影、その名を「超力怪獣 ゴルドラス」という。

 

そんなゴルドラスは偶然、運悪く、この大都市の近くにいた所をこれまた偶然この大都市へとやって来たバキシムに目を付けられて絡まれていた。しかし、

 

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!?――― 『ええイ!忌々しイ!!怪獣の分際デ、このバキシムの攻撃を弾くナドっ!!』

 

偶然見付けたゴルドラに食って掛かったバキシムは超獣由来の圧倒的な強さと、ミサイルや火炎放射などの多種多様な兵器をもってゴルドラに襲いかかった。

しかし、ゴルドラスはバキシムの放つミサイルや火炎放射を頭部の角から発するバリヤーで悉く弾き、更には肉体の頑丈さそのもので無効化して見せた。

ならば、とバキシムがゴルドラスに掴みかかれば、ゴルドラスは持ち前の凄まじい馬力でバキシムの腕を振り払い、逆にバキシムを軽々と投げ飛ばしてしまった。

そう、意外や意外にもゴルドラスはバキシムと互角、それ以上に戦えるのだ。しかし、

 

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『何故ダ!?何故戦わヌ!?何故逃げテばかりなのダ!!?』

 

怪獣を超える存在、超獣に属するバキシムと互角かそれ以上に戦える存在、ゴルドラス。

だが、ゴルドラスは何故か逃げてばかり・・・正確に言えば、バキシムに絡まれれば応戦こそすれども、自ら積極的にバキシムに挑む事はせず、むしろバキシムから距離を取ってばかり、時にはその場から逃げ出そうとすらしていた。

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『逃げるナ!このヤプール人ト戦エ!この臆病者ガ!!』

 

このゴルドラスの態度や行動がバキシムの神経を逆撫でし、逆上したバキシムはゴルドラスによりしつこく絡んでいた・・・が、それでも尚ゴルドラスは逃げてばかりだった。

 

力もある

防御力もある

知恵もある

 

総合して「強い」

 

にも関わらず逃げてばかり・・・何故か?

 

それもそのハズ、ゴルドラスからすればバキシムと戦うなど「無意味」でしか無かった。

 

ゴルドラスにとって大事なのは我が身。可愛いのは自分の命。必要なのは最低限度の生活圏もとい縄張りのみ。

 

別にどこぞの銀色の筋肉ダルマにように戦いを生き甲斐にしているわけではない。

 

別にどこぞの侵略者たちにように略奪し、簒奪し、殺戮をするつもりは毛頭無い。

 

別に平穏に、それでいて"普通に"生きていければそれでいい。だからゴルドラスは無駄な戦いを避け、争うことをよしとしない。だからゴルドラスはバキシムから逃げようとしているのだ。

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『死ネ!臆病者メッ!!』

 

だが、そうはバキシムがさせない。このバキシムという存在―――というよりも「超獣」という、肉体に兵器を埋め込まれて"造り出された"存在は、その命を、時間を、目的を、全てを戦いと殺戮のためだけに捧げるしかない(・・・・)哀れで、それでいて純真無垢な存在なのだ。

 

かたや「超力」の名を冠し、自由気ままにそれでいて動物的に生きるゴルドラス。

 

かたや「超獣」の名を冠し、創造主に従い、創造主のためだけに働き、自由も無く兵器として生きるバキシム。

 

互いに全てを超す「超」という単語を冠しながらも、この二者は全くの対極なのだ。

 

 

―――キイイイィィィィ!!――― 『死ネ!臆病者メッ!!』

 

だからバキシムはゴルドラスに挑みかかる―

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

―――キイイイィィィィ!?――― 『ガッ!?ハァ・・・アァ・・・!?コ、コイツ・・・!!?』

 

突如としてバキシムの腹部で爆発が起きた。その原因は・・・ゴルドラスが角から放った電撃だった。

 

そう、あの逃げ腰・・・温厚なゴルドラスが自らバキシムに攻撃したのだ。

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

怒髪天を衝く、今のゴルドラスの雰囲気を、表情を現わすならばこの一言に尽きる。

 

そう、ゴルドラスは「キレた」のだ。

 

あまりにもバキシムがしつこいから

 

あまりにもバキシムが執拗に攻撃してくるから

 

あまりにも加減にバキシムが鬱陶しいから

 

流石に、いい加減に・・・我慢できなくなったから

 

だからゴルドラスはキレたのだ。

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

『眠れる獅子を目覚めさせる』

 

『普段温厚な奴ほどキレたら怖い』

 

という格言が存在する。果たして眠れる獅子を叩き起こし、温厚なゴルドラスをブチ切れさせたバキシムの運命やいかに―

 




如何でしたか?

今回は大人気である『超獣』を出してその強さ・理不尽さを演出しつつ、それでいて超獣と同じ『超』の名を冠するゴルドラスに登場してもらいました。

ぶっちゃけ、今回はバキシムが暴れるところで終わらせようと思っていましたが・・・あえて、互いに『超』という単語を冠しながらも、ヤプール人に作られた"操り人形"でしかない超獣と、自然に生まれて自由奔放に生きるゴルドラス、という対比の演出をしました。

ちなみに、超獣がほぼ脳筋ばかりなのは

「だだでさえ強く、兵器まで内蔵した超獣が賢くなって反旗を翻したらマズいので、ヤプール人が意図的に超獣は頭が悪い(知能が低い)ように作ってある」

という設定があるそうです。

で、それに関してかの『大決戦!大決戦!超ウルトラ8兄弟』で登場したキングゴルドラスも同じ理由で脳筋=「ただでさえチート能力持ちで、ずる賢いレベルで知能が高いゴルドラスがより強くなったらスーパーヒッポリト星人、あるいは黒い影法師を裏切って逃げるから、生体改造の時点で頭を悪くした」になっているそうです。

加えて更なる余談で、ゴルドラスの弟分のシルバゴンもクローンシルバゴンやキングシルバゴンがオリジナルより弱い(防御力が低い)理由も、

「強化したシルバゴンが、オリジナル同様にウルトラマンティガのゼペリオン光線に耐える程の防御力を持ったままだと、暴れ出したら手が付けられないから、暴れたときの対処(殺処分)のためにワザと防御力を削っている」という裏設定があるとか。

能力が強い、強豪って色々と大変ですね・・・


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番外編 襲撃する巨影

どうも!作者です。

さてさて、今回は・・・ぶっちゃけ、息抜きに作った&おふざけ全開フルスロットルのクソストーリーです。そのため、出てくる巨影も特撮関係ですら無いというね・・・

とはいえ、実は今回のお話は現実世界でも起きている獣害、というか「過度な都市開発による自然破壊」をテーマにしている(?)ので、おかしくはないと・・・思います。

ついでに、今回のストーリーは「ある映画」を元ネタにしつつ、現在アニメが放映されている「ある漫画」を参考に作りました。一体なんでしょうか・・・?

ヒントは、

映画→とある超絶B級映画(韓国の映画)

漫画→『和風闇鍋ウエスタン』の異名を取るヤ〇ジャン連載の漫画

です。

では、どうぞ!!


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ・・・―――

 

「はあっ!はあっ!助けて・・・誰か・・・助けて・・・!!」

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ・・・―――

 

「ひぃっ!い、いやっ・・・!いやぁああぁぁっ!!来ないで!来ないで―――」

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ!!―――

 

 

どこかの大都市の近場にある山林地帯の中に響く若い女性の悲鳴と・・・不気味で、それでいて野蛮で強力な生物、否「巨影」の鳴き声。

 

見れば、月明かりが照らす深夜の山林地帯にて、この山林地帯を抜けた場所にある村に帰ろうとしていた女性が・・・件の巨影に襲撃され、その身を"貪られて"いた。

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ!!―――

 

不意に、女性"だったモノ"を貪っていた巨影が顔を上げた。そんな巨影の正体とは―――イノシシだった。

 

ただ、その大きさは尋常ではなく大きかった。少なく見積もってもその全長は・・・5mを超えていた。

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ・・・―――

 

本来、我々が知っているイノシシは大きさは1m程度、体重も100kgになるかならないかだ。

 

だが、このイノシシは違う。その5mを超える異常な大きさに加え、そのギラついて血に餓えた目、月明かりを受けてギラリと輝く長い牙、そして・・・人間を襲って食い殺すという凶暴性、とどう見ても普通では無い、どう考えても異常な、もはや「怪獣」と言って当然の存在であった。

 

―――キィイイイイィィィ・・・フィギィイイイィィィ・・・―――

 

そんな怪獣イノシシは貪っていた"モノ"を食い尽くすと何処かを目指して歩き始め、ものの数十分で目的地にたどり着いた。その目的地とは―――怪獣イノシシが貪った女性が目指していた村であり、怪獣イノシシの「エサ」が無数に住まう食地場(・・・)だった。

 

 

 

 

 

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「ぎ、ぎゃあああぁぁぁっ!?何だこの化け物はっ!!?」

 

「イ、イノシシ!?アレ本当にイノシシか!!?デカすぎるだろっ!!」

 

「逃げろ!とにかく逃げろ!!ソイツ、人を喰うぞーーー!!」

 

白昼の山間の村に響く村人たちの悲鳴と・・・その村人たちを手当たり次第に襲い、突進の勢いで轢死させる、鋭い牙で突き殺す、数百キロもの体重でのしかかって圧死させる、といった具合でやりたい放題の、怪獣にして人喰いのイノシシがそこにいた。

 

そう、人喰いのイノシシは白昼堂々と村を襲撃して"食事"にありついていたのだ。

 

「うぉおおぉっ!死ねぇ化け物っ!!」

 

―――ドォンッ!!―――

 

だが、村人だって黙って食い殺される気など毛頭無い。現に、一人の村人が人喰いイノシシに向かって猟銃をぶっ放した。だが、

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「!?ウソ・・・だろ・・・?効いてねぇ―――」

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「ぎ、ぎゃぁあああぁぁぁっ!!?」

 

村人が撃った銃弾は確かに人喰いイノシシに当たった・・・が、"それだけ"だった。別にイノシシは倒れるでも無く、ちょっと「痛ぇな」程度に顔をしかめた程度だった―――とはいえ撃たれた事に、イラッとさせられた事にかわりはない。

なので、人喰いイノシシは自分を撃った愚か者を牙で突き殺した。

 

「ダメだ!奴には敵わない!!みんな、公民館に避難するんだーーー!!!」

 

銃で撃っても倒れない、どころか全く応えてすらいない人喰いイノシシを前に、村人たちはただ逃げることしか出来なかった。村人たちは我先にと村にあった公民館に逃げ込み、そこで籠城することに決めた。

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

だが、村人(えもの)が逃げるならば、人喰いイノシシ(ほしょくしゃ)は当然のように逃げた獲物を追う。

 

人喰いイノシシはのしのしと歩を進め、村人が逃げ込んだ公民館までたどり着くと・・・イノシシご自慢の突進で公民館の壁を突き破り始めた。

このままでは人喰いイノシシが公民館内に侵入し、公民館の中が血の海になるのは時間の問題であろう。

 

 

「たかがデカいだけのイノシシ如き、人間様に勝てるのか?人間様には銃に罠もあるんだぜ?」

 

普通、いくら大きくてもイノシシ程度なら銃で撃つなり、トラバサミなどで捕獲してしまえば後は鍋にするなり剥製にするなり出来るだろう。

 

しかし、もしも万が一に・・・それが異様な大きさを、異様な能力を、異様な、文字通りの「怪」なる「獣」に、俗にいう「怪獣」となった時、「イノシシ程度」などと言っている余裕は無い。

 

特に、他の動物のように爪や牙といった武器も無く、空を飛んだり土に潜ったりも出来ない「無力な」人間のようなか弱い存在なら・・・ただひたすらに蹂躙され、弄ばれるだけだ。

 

 

―――メキッ・・・バキバキバキッ!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「ひ、ひぃいぃっ!?入って来やがったーーー!!」

 

「ダメだ・・・もうお終いだ・・・!!」

 

「嫌だ・・・死にたくない・・・死にたくない・・・!!」

 

村人たちが籠城した公民館の壁が人喰いイノシシの突進で破られ、とうとう人喰いイノシシが公民館にへ入って来た。ここから先は・・・人喰いイノシシによる一方的な虐殺劇の幕が上がるのみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、人は諦めない。

 

人には獣ごときでは決して持つことが出来ないものあるのだ。それは―

 

「姫~~~ッ!!」

 

「おやぶぅん!?」

 

(姫!?)(姫!?)(姫!?)

 

人を喰らう猪、否、人喰いの「怪獣」の暴虐によって血に染まった公民館に取り残されていた壺振り()の"姫"を救うべく、この公民館その実は「賭場」を縄張りとする極道の「親分」がマキシム機関銃片に颯爽と登場。

一睨みで人を殺せそうな目力を持つ極道の親分が、曇り無き眼をキラッキラに輝かせながら愛する者へ咆哮した。

 

「姫~~~ッ!!」

 

「おやぶぅん!?」

 

(姫!?)(姫!?)(姫!?)

 

突然の親分の登場と、親分による"姫"への呼び掛けに困惑する賭場に取り残されていた人々。

が、気にしちゃいられないのでスルーしつつ、その場から逃げ出した。

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「死ねぇ!化け物っ!!」

 

―――ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!?フィギィイイイィィィ!?―――

 

一方で、突然の闖入者に驚いた人喰いイノシシは親分に襲いかかった。

それに対し、親分はマキシム機関銃の斉射で応戦し、人喰いイノシシは鏖殺されて―――いなかった。

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

「なっ!?」

 

マキシム機関銃から放たれる無数の鉛弾をその身に受けても尚、人食いのイノシシは止まらなかった。

 

人食いの猪は愚かにも自身に向かって鉛玉を撃ち込んできた親分に向かって猛突進。その鋭い牙で親分を突き殺して―いなかった。

 

「おや・・・ぶぅん!!」

 

―――ザシュッ!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!?フィギィイイイィィィ!?―――

 

「ひ、姫っ!!」

 

人喰いイノシシの牙が親分を突き殺そうとした刹那、逃げ出した人々とは違ってその場に残って親分と人喰いイノシシの戦いの行方を見守っていた""姫"が、親分が預けてくれていた長ドスで人喰いイノシシの背を突き刺した。

おかげで親分は助かった・・・しかし、

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

―――バリッ・・・ボキボキッ!!―――

 

「あぅぐうぅっ!!」

 

「ひ、姫っ!!?」

 

"姫"のおかげで親分は助かった。しかし、いきなり背中を長ドスで刺された事で怒った人喰いイノシシの怒りの矛先は"姫"ヘと向いた。人喰いイノシシは姫の首筋に噛み付いて致命傷を負わせた。

 

「姫っ!!おおおぉぉぉっ!!!」

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

目の前で親分の愛する"姫"が人喰いイノシシの魔の手にかかる。

このあまりにも悲劇的な展開を前に、その場から逃げだそうとしていた人々も思わず足を止めていた。

一方で、愛する"姫"を傷付けられた親分は何の躊躇もなく人喰いイノシシに挑みかかった―――"姫"が人喰いイノシシの背に突き立てた、親分の長ドスを奪取して。

 

「むぅうぅんっ!!」

 

―――ザシュッ!!―――

 

―――ギャッ!?―――

 

人喰いイノシシの背から長ドスを奪取した親分は長ドスを人喰いイノシシの前足に振るい、その指を切り落として見せた。しかし、

 

―――キィイイイイィィィ!!フィギィイイイィィィ!!―――

 

―――ドシュッ!!―――

 

「ぐっ!?うぅう・・・!!」

 

前足の指を切り落とされた人喰いイノシシは親分を突き飛ばし、親分に馬乗りになり、その牙を親分の腹に突き立て、親分の腹の中の臓物をぶちまけさせた。だが、

 

「舐めんじゃ・・・ねぇよっ!!」

 

―――ザクッ!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!?フィギィイイイィィィ!?―――

 

人喰いイノシシの牙で腹を裂かれ、臓物をぶちまけさせられてもなお、親分は気力を振り絞って戦った。

親分は長ドスを人喰いイノシシの首筋に突き立て、イノシシが怯んだ一瞬の隙をついて脱出し、

 

「むんっ!!」

 

―――ズドッ!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!?フィギィイイイィィィ!?―――

 

見事に人喰いイノシシの体の下から脱出した親分は長ドスを思いっきり振りかぶり、勢いよくイノシシの鼻先を一刀両断!!

これには流石の人喰いイノシシもたまらず、大量の血を流しながら逃げだそうとした。だが、そうは問屋が卸さない。

 

「今さら逃げんのかよ!オイッ!!」

 

―――ズッブッ!!―――

 

―――キィイイイイィィィ!?フィギィイイイィィィ!?―――

 

あれだけ好き勝手暴れ回り、暴虐の限りを尽くしておきながら不利になったら逃げる・・・そのあまりに"みっともない"振る舞いを天は、親分は見逃さなかった。

親分は再び長ドスを思いっきり振りかぶり、勢いよくイノシシの肛門に突き刺した!!

結果、内臓を長ドスで傷付けられた人喰いイノシシはそれまでのダメージと出血、そして最後の一撃がトドメとなって息絶えたのだった。

そう、まさかの親分の大勝利だった。しかし、

 

「姫・・・」

 

「おや・・・ぶぅん・・・」

 

人喰いイノシシの暴虐は確かに去った。しかし、親分も"姫"もイノシシによって負わされた傷はあまりに深く、二人とももう助からない、もう虫の息、もう命は風前の灯火、もう呼吸するのすらやっとだった。だが、

 

「ざまあみろ親分・・・もう私に隠れて浮気できないね・・・私と一緒に死んじゃうもんね・・・これで私は親分の最後のひとだからね・・・」

 

「バカ野郎ッ・・・俺がマジなのはお前だけさ・・・」

 

残されたわずかな最後の時を前に、親分と"姫"は満足げに、とても幸せそうに微笑みを交わした。

 

次第に力尽き、呼吸も弱まり、しかし二人は愛を確かめ合うかのように手を握る。

 

真実の「愛」がここにあった。 ただ一つ、その証のみを残し、「親分」と「姫」は息絶えた。

 

全ては「愛」ゆえに。

 

「愛」ゆえに親分は姫を守るべく戦った。

 

「愛」ゆえに"姫"は親分を助けようと長ドスで人喰いイノシシに挑みかかった。

 

そして「愛」ゆえに二人は死んでしまったのだ。

 

そんな二人の愛と頑張りを認めた神々の祝福を顕すかのようにして、黄昏の空には・・・それはそれは大きなハート型の雲が浮かんでいた。

 

 

そう、人にあって獣にないもの、それは「愛」である。

 

「愛」とは人間しか持つことが出来ない。何故か?

 

「愛」とは『情熱によってではなく、人間関係によって保たれるものであり、相手への理解と共感とある種の連帯感なのである』と言われている。

 

一方で「恋」は『ただ好きという感情が先にあって、なぜその相手なのかが本質的には不明・・・と言うか動物的な、相手の気持ちや理解など全く考えない利己的名ものである』と言われている。

 

そう、人間のように相手のことを理解し、思いやり、相手のために命すらも投げ出すことが出来る・・・それぐらいに相手を好きで、理解して、思いやれる・・・人間にという高等な動物にしか出来ないのだ。

 

つまり「愛」とは人間しか持ち得ないのだ。だからこそ親分と"姫"の愛は美しかった・・・

 

…例えそれが同性(オッサン)同士であっても。

例え小汚いホ〇のオッサン同士であっても、真実の愛は、純愛とは美しい…と思う。多分・・・

 

 

一応「壺振り"師"」って言いました。「師」って男のことです。つまり"姫"は男です。

 

 

 

 

目の前で繰り広げられる茶番・・・ホ〇の汚らしいオッサン二人の真顔の純愛劇をまざまざと見せつけられた村人たちは終始真顔で取り残されていた。

 

そんな一団から抜け出し、一人の村人がナイフを取り出して言った。

 

「皮、剥いでくる」

 

ナニの皮を剥ぐのか、ご想像にお任せします。

 

 

 

 

いつかきっとこの恋を思い出して泣いてしまう




如何でしたか?

今回はまさかの、2009年に韓国で公開された超絶B級映画『人喰猪、公民館襲撃す!』を元ネタにしつつ、色々と物議というかネタに事欠かない漫画『ゴールデンカムイ』のコミックで言えば7巻の後半部分をミックスさせた結果、こんなヒデぇ事に・・・

まぁ、一応は

「たかがイノシシでも、怪獣と呼べる存在になったときの恐ろしさ」

「人間の無力さ、野生の恐怖」

「恐怖に立ち向かう人間の雄志」

「人間しか持ち得ない"愛"をテーマにした」

「イノシシやクマが都市開発で住処を追われ、都市部に出没した結果で悲劇が起きる」

を前提にストーリーを作り上げました・・・ぶっちゃけ「ふざけたかった」の一言です。

何か・・・スンマセン。

でも・・・やってやったぜコノヤロー!あー、スッキリした・・・

余談ですが。この作品の法則として例えばタイトルの部分に「特別話」と付いた場合、ゴジラさんが出ますが、今回や少し前の「アップライジングする巨影」のように「番外編」と付いた場合は映画作品を元ネタにします。


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四十二話 "虚無る=ゲッター"する『巨影』

どうも!作者です。

今回は・・・色々と捻った内容です。あくまで「捻った」であった「皮肉」じゃないです。

どう捻ったのか・・・どうぞ本編をご覧下さい。


何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「では、始めよう。議題は・・・"連中"に対する対処、及び対抗策だが・・・」

 

「・・・正直、この場でああだこうだと議論しても意味が無いのでは?何せ"連中"はあまりにも・・・強くて厄介だ」

 

「その通り。加えて、"連中"は倒しても次から次に現れる。これではイタチごっこの堂々巡りなだけだ・・・」

 

とある大都市にある近未来的な巨大施設、その実は各種戦闘機や防衛機能を備えた「防衛組織」の極東本部があった。

そんな防衛組織の極東本部内の一室にて防衛組織のお偉いさんたちが集まり、ここ最近ある日を境に世界中の至る所に出現し始めた"連中"なる存在―――異常で異形で巨大な存在「巨影」、またの名を「怪獣」についての対策などを議論し合っていた。

 

「現在の装備では手ぬるい!怪獣どもに対抗しうる、いや、怪獣どもを殲滅できる防衛体制を敷き、もっと強力な武装をすべきだ!!」

 

そんな議論の最中、防衛組織の中でも有数のタカ派のお偉いさんがそう熱弁した。すると、

 

「待って下さい!防衛軍時代に逆行しては、戦うことばかり考えていてはいけません。今、我々に必要な事はなんでしょうか?怪獣を一匹残らず殲滅する事でしょうか?そのために恐ろしい殺傷力や悪影響を持ち得る兵器や武器を開発する事でしょうか?いいえ、我々にいま最も必要な事は相手を、怪獣たちの事を知ることです」

 

そう言って、先のタカ派のお偉いさんの発言に対し、防衛組織の中でも現場で、直に怪獣たちと戦う部隊の女性隊長が釘を刺した。

 

「ほぉ、言うじゃないかねイルマ隊長・・・そこまで言うなら、君たちのチームでは怪獣たちの事を解明できているのかね?連中は何者で、何処から現れて、何が目的なのか、全て解明できているというのかね?」

 

「それは・・・」

 

自分の発言に対して釘を刺した女性隊長の発言に嫌味を込めて食いつくタカ派のお偉いさん。その顔は嫌らしく、意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「それは、何かね?イルマ隊長、君、偉そうに言った割には何も解明できてないんじゃないのかね?ふふん、そうなんだろう?全く、女が出しゃばると余計な事になる―――」

 

尚も続くタカ派のお偉いさんによる女性隊長への嫌みったらしい発言。だが、

 

「確かに、怪獣について不明なことは多いです。しかし、ここ最近出現した怪獣の死骸などを調査して判明したことがあります。調査して判明した結果、怪獣の多くは何か外的な力によって恐竜から進化させられたと推測される超古代の生物たちです」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

「恐竜?怪獣は恐竜から進化したのか?」

 

「まさか!だって恐竜は何億年も前に・・・」

 

「し、しかし、何故いまになってその超古代の怪獣たちが目覚めたんだ・・・?」

 

タカ派のお偉いさんの発言を、「自分に盾突いた女性隊長への嫌味」で議論を遮っていた"大人げない"タカ派のお偉いさんの発言を今度は女性隊長が遮り、更には女性隊長が率いるチームが解明した怪獣たちの秘密を大々的に発言した。

それを受けてその場にいる一同はざわつき、流石のタカ派のお偉いさんでさえも思わず黙ってしまった。

 

そう、ここ最近世界中の至る所に出没して破壊や殺戮の限りを尽くす怪獣たちの"正体"が太古の地球の支配者・恐竜であるという事、そしてその恐竜たちが「何か『外的な力』によって進化させられたのが怪獣である」という信じがたい事実が判明したのである。

 

しかし・・・一体「何者」が、「何のため」に、「何で」恐竜を怪獣へと進化させたのだろうか・・・?

 

その答え、それは―

 

 

 

『地球にのさばるトカゲ共よ。貴様らが支配者面するのは今日、今この時をもって終わりだ。貴様らは滅ぶのだ。大いなる宇宙の意思によって。このゲッターの意思によって―――』

 

遙かな昔、太古の地球を人類ではなく大型爬虫類―俗に言う「恐竜」たちが支配していた頃の出来事。

 

地球の支配者たる恐竜は陸に、海に、空に、と地球中の全てを我が物として思うがままに生きていた。

 

だがある日、突然なんの前触れも無く恐竜たちは滅ぼされた(・・・・・)のだ。

 

突如として宇宙(てん)より降り注いだ、ちっぽけな哺乳類(じゃくしゃ)どもを贔屓(ひいき)する意思を持った宇宙(ゲッター)線によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、恐竜たちは諦めなかった。恐竜たちは先の宇宙線に対抗すべく、「生き物として」当然の行動を起こした。それこそが―

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

凄まじい咆哮を轟かせる者たちがいた。そんな彼らの大きさは―――雲を突くような巨体、体長が50mを余裕で超えていた。そんな彼らの容姿は実に様々であった。

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

あるものは鎧兜のような頭部、下顎からはみ出すようにして上向きに伸びた一対の牙、そして筋骨隆々の逞しい肉体を持っていた。

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

ある者は全身を血のような赤で彩り、頭部には黄色い嘴と瞳の無い橙色の目、背中には巨大な翼と鋭い鎌のような両手を持っていた。

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

ある者は平面な顔に漆黒の目、頭頂部には一本の角、そして全身を鈍い灰色の外骨格で覆っていた。

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

あるものは全身を赤紫の皮膚で多い、頭部には赤く爛々と光る目に牙の生えた嘴、そして背中には極彩色の翼を持っていた。

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

ある者は頭部に湾曲した一対の角と金色に爛々と輝く瞳の無い目、全身を覆う銀色の岩石のような皮膚と剣山のような背ビレ、そして筋骨隆々の逞しい肉体を持っていた。

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

ある者は頭部には天に向かって真っすぐ伸びる一対の角、手には鋭い鉤爪が三本生え、黄金の皮膚と全体的に引き締まった肉体を持っていた。

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

ある者は四足歩行で、まるで岩山が生命を持ったかのように全身がゴツゴツしており、頭部には角が一本、あるいは二本生えたりしていた。

 

と、このように実に多種多様な巨大な存在が突如として地球上に現れた。

 

そんな彼らは実に様々な容姿をしているが、体に存在する「ある一点だけ」は共通していた。それは・・・体の何処かに「岩石のような鎧」を持っているという事であった。

 

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

ある日、突如として地球上に現れた謎の巨大な存在たち。そんな彼らだが・・・実は元は「恐竜」であった。

 

だが、彼らの容姿は、大きさは、能力は、強さは、全てが元の恐竜とは比べものにならなかった。

 

今の彼らは言うなれば・・・恐竜、どころか「動物」という枠組みを大きく外れた存在、俗に言う「怪獣」と呼ぶべき存在になっていた。

 

しかし、なぜ彼らは突如として恐竜から怪獣になったのか?

 

その理由は―

 

『地球にのさばるトカゲ共よ。貴様らが支配者面するのは今日、今この時をもって終わりだ。貴様らは滅ぶのだ。大いなる宇宙の意思によって。このゲッターの意思によって―――』

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

突如として恐竜から怪獣になった"元"恐竜たち。

そんな彼らが怪獣になった理由、それこそが恐竜であった自分たちを滅ぼし、ちっぽけな哺乳類どもを贔屓する「意思を持った(ゲッター)宇宙線」に"対抗"するためであった。

 

彼らは、元恐竜たちは自分たちを滅ぼそうとする意思を持った宇宙(ゲッター)線に対抗するために強く、大きく、そして・・・恐竜という「動物」のカテゴリを外れた「怪獣」になったのだ。

 

だから彼らは大きくなり、忌まわしい意思を持った宇宙線(ゲッター)線の影響を防ぐべく、体に分厚くて頑丈な「岩石のような鎧」を身に纏っていたのだ。

 

 

全ては「生き残りたい」という、「滅びたくない」という、生物として当然の「生存本能」が、恐竜たちを怪獣へと進化させたのだった。

 

同時に恐竜たちによって好ましくはない(・・・・・・)地球の環境が、あえて恐竜たちを怪獣へと進化させたのだった。

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

 

恐竜という「動物」の枠組みを外れ、「怪獣」という全てを超越した存在になった元恐竜たちは再び地球を支配した。

結果、意思を持った宇宙(ゲッター)線」に贔屓されたおかげで、進化させられて(・・・・)知的になり、地球を支配していた哺乳類は怪獣たちの台頭で再び肩身の狭い思いをする事になった。

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

再び地球の支配者に返り咲き、堂々と太陽の光の下を歩く事が出来る様になった怪獣たちは嬉しそうだった。

 

こうして再び地球は怪獣の支配する惑星となった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハズだった。だが、

 

 

「シュワッ!!」

「タアッ!!」

「ヤアッ!!」

「トォウ!!」

 

―――ジィギィイイイィィィッ!?―――

 

―――カァアアアァァァッ!?―――

 

―――グガァアアアァァァッ!?―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!?―――

 

―――グオオオオオォォォォ!?―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!?―――

 

―――グワァアアアァァァッ!?―――

 

怪獣たちが再び地球の支配者になり、地球が怪獣たちの楽園になった矢先、突如として遙か遠い星雲より怪獣たちと同等、あるいはそれ以上の強さを持った異星人(ウルトラマン)たちが地球へ飛来した。

そんな異星人(ウルトラマン)たちは地球にやって来るや否や、持ち前の強さで怪獣を殺し、滅ぼし、追いやった。何故なら、

 

『我々ウルトラマンは弱いものの味方だ。この星の住民は怪獣に苦しめられている。これでは可哀想だ・・・だから、我々が怪獣を倒すのだ!!』

 

『『『おぉーーーっ!!!』』』

 

突如として地球に飛来した異星人(ウルトラマン)たちは非常に正義感が強く、同時に「お節介」だった。

 

彼らは広い宇宙を「宇宙の平和を守る」という名目で飛び回り、自分たちの正義感や観点を他の星の種族や摂理に"押し付け"る種族だ。

 

そして今回、そのお節介者の異星人(ウルトラマン)たちが目を付けたのが怪獣たちが支配する星、地球であり、正義感の強い自称(・・)「弱いものの味方」の異星人(ウルトラマン)たちは・・・あろうことか、地球の支配者たる怪獣たちを「悪者」と決めつけ、怪獣たちの影に隠れて生きるものたちを「怪獣の苦しめられている弱者」だと一方的に決めつけ、怪獣たちを滅ぼしにかかった。

 

「私はユザレ。地球星警備団の団長です。みなさん、今この地球に起きている大異変、怪獣たちの台頭による恐怖を、遙か遠い星雲よりやって来た"光の巨人"が解決してくれています。だからこそ、我々も彼らの力になりましょう」

 

「「「おぉーーーっ!!!」」」

 

突如として地球に訪れ、自分たちの観点などから怪獣たちを「悪」と決めつけ、滅ぼしにかかった異星人(ウルトラマン)たちは確かに怪獣たちからすれば迷惑この上なかった。

だが、その怪獣たちの影に隠れて細々と生きる肩身の狭い思いをしているものたち、かつて意思を持った宇宙(ゲッター)線によって進化した哺乳類、の中でも最も進化した種族「人類」からすれば、自分たちを恐怖させる怪獣を倒してくれる異星人(ウルトラマン)たちは「救いの神」であった。

加えて、異星人(ウルトラマン)たちは人類(じぶん)たちに優しい・・・そんな彼らの力に、強さに、存在に憧れないわけがなかった。結果、人類は異星人(ウルトラマン)たちを「神」と崇拝し、完全に陶酔していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またしてもか・・・

 

またしても宇宙(そと)より来るものが我らを滅ぼそうとするか・・・

 

なぜ我らが滅ぼされねばならぬのか・・・

 

何故・・・

 

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故

 

何故なのか・・・

 

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

 

いや、迷うのは、逃げるのはもう止めよう・・・

 

我らは・・・もう逃げない!

 

我らはかつての我らではない!我らは大きく、そして強くなったのだ!!

 

だから我らは戦う!我らを滅ぼそうとする輩を、逆に滅ぼしてくれようぞ!!

 

 

ある日、突如として自分たちの楽園に現れ、自分たちを悪者と決めつけて滅ぼしに来た異星人(ウルトラマン)ども。

 

その際、怪獣たちはかつての恐竜だった時に体験した悪夢を、あの忌まわしい意思を持った宇宙(ゲッター)線による悪夢を思い出していた。

 

だが、その時と決定的に違っている事があった。

 

それこそ、今の元恐竜たちは動物の枠組みを外れる・・・どころか、遙かに超越した存在『怪獣』へと適応し、そして"強くなっている"点だ。

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

いや、迷うのは、逃げるのはもう止めよう・・・

 

我らは・・・もう逃げない!

 

我らはかつての我らではない!我らは大きく、そして強くなったのだ!!

 

だから我らは戦う!我らを滅ぼそうとする輩を、逆に滅ぼしてくれようぞ!!

 

 

凄まじい咆哮を轟かせつつ、恐竜から進化した地球の支配者たち・・・「超古代怪獣」という種族に属する巨影たちが、

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

巨影「超古代怪獣 ゴルザ」が、

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

巨影「超古代竜 メルバ」が、

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

巨影「超古代怪獣 ガルラ」が、

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

巨影「超古代尖兵怪獣 ゾイガ―」が、

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

巨影「剛力怪獣 シルバゴン」が、

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

巨影「超力怪獣 ゴルドラス」が、

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

巨影「岩石怪獣 ガクマ」が、

 

宇宙よりやって来たウルトラマンたち(しんりゃくしゃども)を迎え撃った。

 

 

全ては自分たちの住処を守るために。

 

全ては自分たちの命を守るために。

 

全ては過去の歴史を繰り返さないために。

 

だから超古代怪獣たちは異星人(ウルトラマン)たちと戦うのだ。

 

 

―――ジィギィイイイィィィッ!!―――

 

―――カァアアアァァァッ!!―――

 

―――グガァアアアァァァッ!!―――

 

―――キィピュイイイィィィッ!!―――

 

―――グオオオオオォォォォ!!―――

 

―――ギィヤオオオォォォ!!―――

 

―――グワァアアアァァァッ!!―――

 

「タアッ!!」

「ヤアッ!!」

「シュワッ!!」

「トォウ!!」

 

こうして、超古代怪獣の一族とウルトラマンたちの戦いの火蓋が切られた。

 

果たして、この勝つのは・・・

 

地球に住まう超古代怪獣たち(ちきゅうのしはいしゃ)たちか?

 

それとも宇宙(そと)よりやって来たウルトラマン(しんりゃくしゃ)たちか?

 

その結末は"神"のみぞ知る―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――バオオオオオオォォォォォォ!!—――

 

地球に住まう超古代怪獣たち(ちきゅうのしはいしゃ)たちと、宇宙(そと)よりやって来たウルトラマン(しんりゃくしゃ)たちとの戦いの結末は、地球の遙か内なる深海に潜む「暗黒の支配者」にして「邪神」たる巨影「邪神 ガタノゾーア」のみぞ知るのだ。

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラマンティガ』にたくさん登場した「超古代怪獣」のみなさんに一堂に会して頂き、あえてウルトラマンたちを"侵略者"という表現にしました。

そもそも、何で今回こんな話を思いついたかというと、

まず、「ゲッター線」とは巨匠・永井豪氏と石川賢氏の「ゲッターロボ」シリーズに出てくる「もの凄いエネルギー」の事です。
で、このゲッター線は猿を人類に進化させる一方で、恐竜たちを一方的に滅ぼす超自己中な謎の宇宙線という設定です。

で、一方の超古代怪獣たちは「何か外的な力によって恐竜から進化させられたと推測される超古代の生物たち(とイルマ隊長は推測)」であるものの、その「外的な力」は何なのか分からないまま・・・

「だったら超古代怪獣たちの進化の"要因"はゲッター線にしてもいいんじゃね?」という単純な発想です・・・進化"させられた"っていうか進化"した"ですがね。


で、何故ウルトラマンたちを人略者扱いしたかというと・・・少なくともゴルザたちは「元々地球にいた存在」であり、彼らも地球の住民じゃないですか。それを部外者の宇宙人=ウルトラマンが絶滅させ、さらにはウルトラマンは地球人と交配して「地球人と宇宙人のハーフ」を量産した・・・正直、ウルトラマンたちの行為って「侵略」じゃないですかね?

そりゃ怪獣たちだって、その元締めのガタノゾーアはウルトラマンを憎むわ。追い出そうとするわ・・・

あえて視点を変えて物語を見たとき、別の物語が見えてくる・・・そういうの好きです。

ちなみに、ティガシリーズのメインライターでもある小中千昭氏いわく「シルバゴンもゴルドラスも、ついでにガクマも超古代怪獣の一味・・・な気がします。僕の仲では」と言っていますし、ティガの35話『眠りの乙女』での超古代怪獣の映像にはシルバゴンとガクマも入っているから彼らも超古代怪獣だということにしています。

だだし、シルバゴンとゴルドラスは「異次元怪獣」というグループで『異次元怪獣:地球とは別の次元からやってきた特殊能力を持つ怪獣だ』とも怪獣図鑑でいわれてるからなぁ・・・まぁ、その辺はご愛敬ということで。


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番外編・大乱闘する巨影

どうも!作者です。

さてさて、今回は・・・話題の、作者が見て「最高じゃねぇか!!」と感じた怪獣映画を題材にした番外編です。

このネタ、件の映画を見たときからずっとやってやろうと画策しておりました・・・やってやったぜコノヤロー!!

何気に、この映画と『巨影都市』って妙な共通点の多いこと多いこと・・・だからネタに出来ましたが(笑)

では、どうぞ~




何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

「これは、とある大都市を襲った悲劇のお話です・・・」

 

天井に裸電球が一つあるだけの薄暗い部屋の中にポツンとある机、の前に男が一人座っていた。

 

そんな男は独り言のように呟き始めた。

 

ちなみにこの男の名字は立木(タチキ)といい、下の名前は"文彦(フミヒコ)"という。職業は・・・声優との事だ。

 

「ある日、平和そのものだった大都市を"何か"が・・・人間の身勝手により、何の変哲の無い動物から・・・世にも恐ろしき『巨獣』へと変えられた三頭のケダモノが襲ったんだ・・・」

 

「ヤツらを巨獣へと変えたのは人間だ・・・遺伝子実験の失敗により『コイツらどこまでデカくなるんだ!?』って思ったよ・・・」

 

尚も一人で語り続けるタチキ。そんなタチキは・・・震えていた。

 

まるで、何かに怯えているかのように。

まるで、体験したくも無かった恐ろしい目に遭ったかのように。

 

「大都市を襲ったケダモノは、巨獣どもは・・・巨大化が止まらないんだ」

 

「彼らは・・・どんどんデカく、どんどん凶暴になって、どんどんブッ壊す、どこまでデカくなるのか・・・皆目、検討がつかないんだ・・・」

 

「しかもコイツらハラペコなんだ・・・」

 

「どうか、どうか、この出来事をみんなに伝えてくれ。このままじゃ・・・人類はTHE ENDだ・・・」

 

そう言って、一通り語り終えたタチキは突如として机に突っ伏した。その息は、脈は既に無く、タチキは事切れていた。

 

そんなタチキの背中には・・・白と黒の縞模様をした鋭く長い棘が突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

「ダ、ダメだ!ヤツの進撃を我々では止められない!!」

 

「チクショウ!化け物どもめっ!!」

 

「終わりだ、もう全てが終わりなんだ・・・」

 

とある大都会かつ大都市に響く人々の悲鳴に加え、凄まじい破壊音や爆発音、そして・・・少しでも聞けば身の毛が総立ちになるであろう恐ろしい"三つ"の「咆哮」。

 

見れば、件の大都市には全く似つかわしくない野蛮で凶暴で横暴な"怪物"・・・否「巨影」が襲撃し、破壊と殺戮の限りを尽くしていた。しかも巨影は三体もいた。

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

まず、三体の中では一番小柄・・・ながらも、それでも数階建てのビルに匹敵する体躯を誇り、それでいて筋骨隆々の逞しい肉体、そして"世界でたった一頭だけ"と称される超貴重な色素欠損(アルビノ)のゴリラの巨獣、その名は「豪腕猿獣ジョージ」という。

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

次に、四つん這いながらも先のジョージよりも大きく、それでいて凄まじく残忍で獰猛、体の両脇の皮膜で空を飛び、背中や尾に生えた鋭利な棘を放つ俊敏なオオカミの巨獣、その名は「滑空餓狼ラルフ」という。

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

そして三体目は・・・ジョージやラルフを鼻で笑うような巨体を誇り、それこそジョージやラルフが可愛く見える凶暴性と無尽蔵の食欲を有し、体はチタン合金よりも堅い鱗の鎧で覆われ、巨木の如き四肢と尾、そして頭部には口外に飛び出した無数の牙を持った巨獣、その名は「両棲爬王 リジー 」という。

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

凄まじい咆哮を轟かせ、行く手にあるものは人間だろうが自動車だろうが、数十階建てのビルだろうが戦車だろうが、とにかく目についたものは壊し、崩し、殺していく三体の巨獣。

 

そんな三体だが、元々はごく普通の動物だった・・・ある日、突如として空の彼方から降ってきた謎のカプセルに入っていた緑色のガス、その実は「動物の遺伝子を強制的に突然変異させて巨大に、凶暴にしてしまう」という恐ろしい代物を浴びてしまった結果で巨獣へと変貌したのだった。

そして、そんな恐ろしい代物を作りだしたのは・・・他ならなぬ人間、それも金に目が眩んだ愚かなバカな人間が原因だったのだ。

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

件の動物の遺伝子を強制的に組み換えてしまう緑色のガス、通称「CRISPR(クリスパー)」と呼ばれる技術を応用した緑色のガスは動物を巨大で凶暴にさせる以外にも「他の動物が持つ特性を別の動物に供えさせる」という特性があった。

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

事実、大都市で暴れている三体は時間を追うごとに徐々に、確実に巨大化していた。その証拠に、三体の中では一番小柄なジョージでも今や身長20mを超していた。

これは先の緑色のガスの中に「シロナガスクジラの異常な成長速度」と「サメ類の死ぬまで成長を続ける」という特性も組み込まれているからであった。

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

他にも、ラルフはオオカミでもあるにも関わらず、体の両脇にムササビのような皮膜が発現して空が飛べる、背中や尾にヤマアラシの棘が発現してそれを武器に応用できる。

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

そして、三頭の中では一番巨大なリジーは今や全長が68mにも達し、おまけに本来は肺呼吸しか出来ないワニであったはすだが、今のリジーにはエラが発現した結果、陸でも水中でも思うがままに統べることが出来る「両棲の()(おう)」となっていた。

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

愚かな人間のせいで巨獣へと変えられた三頭。だが、三頭は望まぬして手にした力を、能力を存分に発揮して大都市で大暴れしていた。

その様は自分たちを巨獣へと変えた人間(おろかもの)共への"当て付け"であり"憂さ晴らし"の様であった。

 

 

 

 

「いいか!これ以上、あのケダモノ共に好き勝手させるな!!ヤツらは我々が仕留める!!!」

 

「「「おおーーーっ!!!」」」

 

だが、だからといって人間だって巨獣たちの暴挙を黙って見ていることは当然しない。人間たちは自分たちの住処を、命を守るために巨獣たちと戦うことを決意した。

 

火を噴く銃火器に戦車

 

乱れ飛ぶ銃弾にミサイル

 

勇猛果敢に、それでいて無謀にも戦う巨獣殲滅に出撃した軍隊や兵士たち

 

―――ウーッ・・・ワンワンッ!!―――

 

そして、体躯の差など気にもせずに巨獣に向かって勇敢に吠える犬!

 

―――グルル・・・ガウウウゥゥゥッ!!―――

 

―――クゥーン・・・キャインキャイン!!―――

 

餓狼(ラルフ)に吠えられ、犬は尻尾を巻いて逃げた。

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

「ダ、ダメだ!ヤツらはどうやっても止まらない・・・!!」

 

しかし、どれだけ軍隊や兵士たちが頑張っても三頭の巨獣を止める事は出来なかった。

三頭は無数の銃弾やミサイルをその身に受けてもほぼ無傷であり、その圧倒的な強さと大きさで軍隊や兵士たちを蹴散らし、あっという間に大都市を掌握してしまったのだった。

果たして、人類に打つ手はあるのだろうか・・・?

 

 

 

「何てこと・・・これ、全部彼らがやったの・・・!?」

 

「ウソだろ・・・ジョージ、お前なんて事を・・・」

 

暴れ回る巨獣たちを前に打つ手のない人間たち。

そんな中、「ケイト」という女性科学者を連れた、筋骨隆々でスキンヘッドが特徴の大男「ロック」がバズーカ片手に巨獣たちが暴虐の限りを尽くす大都市へとやって来た。

実はこの二人は暴れ回る三頭の巨獣を、特に「剛腕猿獣 ジョージ」止めるべく大都市にやって来た。何故なら・・・実はロックはジョージとが普通(・・)だった時は"親友"だったのだ。

 

親友(ジョージ)が苦しんでいるなら、親友(ジョージ)が巨獣へと「変えられてしまった」ならば助ける、それが親友(ロック)の勤めであり、当然の「義務」だからだ。

 

 

 

 

 

だが、

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

「あぁ、ジョージ・・・お前は、身も心も巨獣になっちまったのか・・・」

 

「これは・・・どう考えても彼らを止めるなんて無理よ・・・できっこないわ・・・」

 

ロックとケイトの目の前で繰り広げられるジョージを含めた三頭の巨獣によって引き起こされる惨劇。

その光景を見れば誰しもが彼らを止めるのは、ジョージを助けるのは無理だと判断するだろう・・・それはジョージを救いに来たはずのロックとケイトも例外ではなかった。しかし、

 

「こうなったら・・・」

 

「どうしたのロック―――って、何をする気なのロック!?何故CRISPR(クリスパー)ガスの容器を持っているの!?」

 

「もはや、俺たちに巨獣たちを止める術は無い。俺たちはちっぽけで無力な人間だ・・・だから、俺たちも巨獣たちと同じ立場になる!そうすれば奴らを、俺のダチ(ジョージ)を止められる―――」

 

「バカなこと言わないでロック!アナタが巨獣になってどうするのよ!!って言うか、人間が巨獣になれる訳ないでしょ!?」

 

「それは試してみないと分からないだろう!俺はとにかくジョージを助けたいんだ!!」

 

「だからってそのクリスパーを浴びるつもり!?そんなことしたらアナタ・・・上半身がアナタのままで、下半身にはサソリの体が生えたマジの化け物になるわよ!!?下手すれば、アナタが一番の化け物として胸にオシリスの金の槍を刺されて殺されるわよ!?」

 

「えぇ・・・マジか・・・それは流石に・・・いや、それでも、ジョージを助けられるなら俺は―――」

 

「ダメだって言ってるでしょ!ダメ!ゼッタイ!!」

 

どんな状況でも、どんな状態になっていても、親友であるジョージを救いたい・・・そう願うロックは意を決したように呟き・・・偶然回収したクリスパーガスの容器を取り出して浴びようとしていた―――が、ケイトに止められた。

ちなみに、件のクリスパーガスの容器には「スコーピオン・キング(ダイオウサソリ)」と刻印されていた。

 

ロック様がスコーピオン・キング(ダイオウサソリ)のクリスパーガスを浴びたら・・・お察し下さい。

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

しかし、ロックとケイトが何かモメている内にもジョージを含めた三頭は全てを壊し、崩し、殺していた。

このままでは何もかもが手遅れになる・・・果たして、三頭を止める手立てはあるのだろうか?

 

 

 

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

「イ、イヤーーーっ!誰か助けてーーーっ!!」

 

いや、あるにはある。

 

実はロックとケイトはこの大都市に来たのはジョージを止めるために「ある物」を、凶暴化したジョージたちを大人しくさせることの出来る解毒薬を入手するため、この大都市にある薬品会社、その実はジョージたちを巨獣へと変えたクリスパーガスを開発し、バラ撒いた張本人である薬品会社に潜入し、解毒薬を入手するためであった。

しかし、件の解毒薬は薬品会社の重役の女が独占していたばかりか、女は巨獣たちを生物兵器に利用しようとすらしていた―――が、それが仇となって女は逃げ遅れる、散々暴れて空腹を覚えた三頭の巨獣に追われる、そしてとうとうジョージに捕まって喰われようとしていた・・・ジョージを助けるべく、ケイトが女の鞄に解毒薬を忍ばせているとも知らずに。

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

「イ、イヤァーーーっ!死にたくない・・・!死にたくな―――」

 

どれだけ叫んでも、どれだけ懇願しても、女の運命は決まっていた。女を捕まえたジョージはその口を大きく開け、女を一口で呑み込んだ―――

 

 

ハズだった。しかし、

 

 

 

―――グゥウホォオオォォォッ!!―――

 

―――バキッ!!―――

 

「う゛っ―――」

 

―――ウホォオオオォォォッ!?―――

 

「「えっ・・・ええっーーー!?な、何じゃありゃあーーーっ!!?」」

 

不意に「何か」が三頭の巨獣が暴れる大都市へ颯爽と現れ、その剛腕でジョージが口に放り込もうとして女を殴り飛ばした。

結果、ジョージが女を食べる事は無い・・・つまり、ジョージが解毒薬を飲むことは無かった。一方で、その「何か」に殴り飛ばされた女は地平線の彼方へと消えていった。

 

そんな「何か」の正体、それは―

 

「ゴリラが・・・ブラジャーして、ショーツ履いてやがる!!?」

 

そう、件の「何か」もとい"珍奇な"闖入者の正体、それは・・・ジョージに匹敵する巨大な体躯を持ち、そして何故か・・・ブラジャーとショーツを身に纏ったゴリラだった。

 

 

―――グゥウホォ・・・!グゥウホォオオォォォッ!!―――

 

 

―――ウ、ウホォオオオォォォッ・・・!?―――

 

―――ガ、ガゥウウウゥゥゥオオォォッ・・・!?―――

 

―――ク、クシュアアアアアアァァァァァァッ・・・!?―――

 

 

突如として現れた謎のブラジャーゴリラ(仮称)は凄まじい咆哮を轟かせつつ、三頭の巨獣を睨んだ。

一方の三頭はブラジャーゴリラ(仮称)が放つ凄まじい迫力と「ただ者では無い雰囲気」を前に後退っていた。

 

それもそのハズ、このブラジャーゴリラ(仮称)は人間が作ったガスを浴びて巨獣に変えられた(・・・・・)三頭とは違って"元々から"巨大な、生まれながらの「巨獣」にして「怪獣」だったのだ。

 

 

―――グゥウホォオオォォォッ!!―――

 

そんなブラジャーゴリラ(仮称)は「アマゾネス軍団の守り神」と言う肩書きを持ち、本来"彼女"が住まう土地で彼女はこう呼ばれる―

 

巨影「大怪力猿獣 クイーンコング」

 

と!!

 

 

―――グゥウホォオオォォォッ!!―――

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

 

雄叫びを上げるクイーンコング。そんなクイーンコングに対し、三頭の巨獣は意を決したように雄叫びで答えた。

 

その雄叫びには紛れもない「闘志」が「()る気」が込められていた。

 

 

―――グゥウホォオオォォォッ!!―――

 

―――ウホォオオオォォォッ!!―――

 

―――ガゥウウウゥゥゥオオォォッ!!―――

 

―――クシュアアアアアアァァァァァァッ!!―――

 

睨み合い、吠え合う巨獣たちはいつでも相手に飛び掛かり、殺す準備は整っている・・・つまり、これから数秒後には凄まじい戦いが、殺し合いが始まるだろう。

 

果たして勝つのは、生き残るのは誰だ。

 

この、巨獣たちの「 Rampage(ランペイジ)=大暴れ」で生き残るのは、誰だ―

 




如何でしたか?

今回はあの話題の映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』をベースにしつつ、そこに「ヒドさも極めると芸術」とか「どこかの庭で撮影されたようなあまりにもチープすぎる特撮(笑)」と称される1976年公開の映画『クイーンコング』をミックスさせたらこんなヒド(過ぎる)い事に・・・

ちなみに、『クイーンコング』を簡単に言うと

「映画『キングコング』をパクりまくり(クオリティは雲泥の差)、それでいて雑な着ぐるみのゴリラと、幼稚園のお遊戯会で出てくるような張りぼての恐竜が戦う・・・?映画」ですかね。まぁ、一度ネットやY〇uTubeとかで『クイーンコング』って検索して下さい。笑えます(主に失笑)


前書きでも書いたように『巨影都市』と『ランペイジ 巨獣大乱闘』は共通点が多いです。

・「逃げる」が推奨される。巨影都市=「逃げゲー」、ランペイジ=「逃げるが勝ち!!」というキャッチコピー

・無数の怪獣、巨獣が大都市を舞台に大暴れ

・『ランペイジ 巨獣大乱闘』は元々はアーケードゲームが原作、巨影都市は言わずもがなゲーム

・CMナレーションが立木文彦さん→立木さんのテンションが異様に高い、ノリノリ

だからミックスさせました。

ちなみに、「ロック」とか「スコーピオン・キング(ダイオウサソリ)」とかは、言わずもがな俳優さんネタや映画『ハムナプトラ』を使った悪ふざけです。


最後に、今回取り上げた『ランペイジ 巨獣大乱闘』は『GODZILLA~決戦機動増殖都市~』と同日公開ですが、これは映画の配給会社が狙ってやったそうです。

ランペイジ→お客さんが求める「王道」の怪獣映画

決戦起動→今までの怪獣映画とはひと味もふた味も違う怪獣映画・・・の皮を被った「何か」、怪獣がほとんど出てこない怪獣映画"モドキ"(SFアニメ)

という対比を出しつつ

「『決戦起動』で怪獣成分が不足になったお客さんに『ランペイジ』で怪獣成分を補充して欲しい」

というのが配給会社の狙いだとか。

『ランペイジ』を見て『決戦起動~』見たら恐ろしくテンション下がりますよ・・・作者(と相方)みたいに。

まぁ、確かにランペイジこそ僕ら「怪獣映画が見たい人が求める怪獣映画」ですからね・・・「決戦起動~」はねぇ・・・アレだもん。


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特別話 『巨影』・同族嫌悪

こんにちは。作者です。

今回は恒例の『特別話』ということであの怪獣さんが出ます・・・

ただ、スゴイ短い&結構過激な物言いしてますのでその辺はご容赦願います。


とはいえ、今回は作者の思いを、書きたかった事を書き綴ってみました。




 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「た、大変だーーーっ!!」

 

「ど、どうしたんだ一体?そんなに慌てて・・・」

 

「漁船が・・・マグロ漁に出てた漁船が・・・どっかの国がぶっ放した水爆に巻き込まれって・・・!!」

 

「はっ・・・?はぁあああぁぁっ!?ほ、本当なのかソレ・・・!?」

 

「あ、あぁ・・・間違いないらしい・・・」

 

島国、日本のとある漁港で騒ぎが今まさに起きていた。

 

その原因、それは・・・遠洋までマグロ漁に出ていた日本の漁船が某国が海上で行った水爆の実験に巻き込まれ、乗組員が被爆した事が原因だった。

 

 

「またか・・・また原爆(ピカドン)か・・・」

 

「どれだけ俺たちを苦しめれば気が済むんだよ・・・」

 

そう言って、悲痛な面持ちの漁師たち。その落ち込み様は、悲痛さは相当な物だった。

 

何故なら、日本では先の二度にも及ぶ原子爆弾投下に加え、今度はマグロ漁船が被爆したからだ。

 

 

 

一体、どれだけ日本国と日本人は「放射能」に苦しめられなければならないのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、悲劇はこれだけに収まらなかった。何故なら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「な、何じゃありゃぁああぁぁっ!!?」

 

「バ、バケモンだっ!!」

 

「ゴ、()()()だ!()()()がやって来たぞーーーっ!!」

 

ある日、何の前触れも無く日本列島に巨大な・・・「怪獣」が上陸した。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

凄まじい咆哮を轟かせ、その巨体で、その巨大な足で、その巨大な口から吐く白い熱線で全てを壊し・灼き・滅ぼし尽くす漆黒の大怪獣、巨影「水爆大怪獣 ゴジラ」が日本列島へ上陸し、列島を蹂躙した。

 

「調査の結果、ゴジラは海底洞窟に潜んでいた200万年前のジュラ紀の生物が、先の水爆実験で安住の地を追われたために出現したと推測されます」

 

「ゴジラの体からは常に高濃度の放射能が放出されています。どうやら、ゴジラも被爆しているようです。ある意味では、ゴジラも水爆の被害者、我々日本人と同じ被爆者ということです」

 

「とはいえ、ゴジラは人間に対して明確な敵意を持っています。このままでは我々はゴジラに滅ぼされる定めでしょう」

 

突如として日本を襲い、甚大な被害と多大な犠牲者を出した大怪獣ゴジラを調査した一人の学者がゴジラについての調査結果を発表した。すると、

 

「ふ、ふざけるな!ゴジラも被爆してるだと!?じゃあ、じゃあ・・・何で、何でゴジラは自分と同じように原爆ピカドンで苦しんでる日本と日本人を襲ったんだ!!?俺たち、同じ苦しんでるもの同士じゃないか!!」

 

「そうだ!何でゴジラはこんな惨い事が出来るんだ!?ヒドいじゃないか!!ゴジラには血も涙もないのかよ!!?」

 

「何でゴジラは分からないんだ!?俺たちに原爆ピカドンを浴びせたのは"あの国"じゃないか!!襲うなら"その国"を襲えよ!!!」

 

先の学者のゴジラに対する調査結果を身いた人々は怒り、悲しみ、そして呆れた。

 

何故なら、ゴジラは先の某国が行った水爆実験で被爆した「被爆者」にも関わらず、同じように二度に渡る原爆投下で爆被して苦しんでいる日本を、日本人を襲ったのだ。

 

ゴジラと日本人は同じ「被爆者」なのに。同じ「被害者」であって「放射能に苦しめられる同士」なのに・・・

 

何故かゴジラは自分を被爆させた"あの国"を襲わず、むしろ同じ「被爆者」である日本人を、日本を襲って蹂躙した。

 

これが怒らずに、これが嘆かずに、これが呆れずにいかれるだろうか・・・

 

結果、ゴジラのあまりにも惨く、無慈悲な行いに怒った日本人はゴジラを「同士」から「殲滅すべき"敵"」と認識、あらゆる手段をもってゴジラを駆逐することに決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い・・・痛い・・・体が焼ける・・・

 

苦しい・・・胸が苦しい・・・体の中で火が燃えてるみたいだ・・・

 

ああ、クソ・・・あの虫ケラどものせいで、何で俺がこんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ・・・

 

地上で人間たちが、日本人がゴジラ殲滅の準備を整えていた頃、当のゴジラは遙か深海にある自分の住処で呻き、もがき、苦しんでいた。

 

先の水爆で受けてしまった己の体を蝕む放射能に。

 

 

チクショウ・・・どうやっても痛みが、熱が収まらない・・・どうすればいいんだ・・・

 

クソッ、どうしていいか分からねぇ・・・イライラして仕方がないぞ・・・

 

 

相変わらず、己の体を蝕む放射能に苦しむゴジラは七転八倒するしかなかった。

 

 

何で・・・何で・・・この俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだよ・・・俺が何かしたのか・・・

 

 

あの日、水爆によって被爆した日、たまたま食事をしに遠洋まで出掛けたゴジラは突如として何かがピカッと光ったのに気付いた―――次の瞬間には、凄まじい衝撃と熱、そしておびただしい量の放射能を浴びて被爆した。

 

結果、ゴジラの皮膚は焼けただれてケロイド状になり、おまけに体に変調をきたした結果、凄まじい巨体を手に入れた・・・その身を灼き続ける熱と痛みを体に宿すことと引き換えに。それも無理矢理に。

 

 

痛い・・・痛い・・・あぁ、イライラしてきた。こうなったら・・・憂さ晴らしに行こう。この俺をこんな目に遭わせたあの人間(ムシケラ)どもを殺しに・・・

 

 

不意に、ゴジラが動いた。

そんなゴジラは住処を離れて再び日本へ向かった。自分をこんな目に遭わせたあのピカッと光ってドンっと爆発した変なの(すいばく)を作った人間に仕返しするために。

 

 

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「ひ、ひいいいぃぃぃっ!?また出やがったぞーーーっ!!」

 

「ゴ、()()()だ!()()()がやって来たぞーーーっ!!」

 

凄まじい咆哮を轟かせ、再び日本列島に上陸したゴジラは破壊と殺戮の限りを尽くしていた。

 

「止めろ・・・止めてくれ!俺たち、同じ被爆者じゃないか!!俺たち、仲間じゃないかよゴジラ!!!」

 

「そうだよ!俺たちは同じなんだよ!仲間なんだよ!だから、もう俺たちを襲うのは止めてくれよゴジラ!!」

 

「ゴジラーーー!どうせ襲うなら俺たちやお前に原爆ピカドン浴びせた"あの国"を襲えよ!!悪いのは全部アイツらなんだーーーっ!!!」

 

その際、人々がゴジラに向かって口々に訴えた。

 

自分たちとゴジラは同じ被爆者であると

 

自分たちとゴジラは同じ目に遭った同士だと

 

自分たちもゴジラも放射能に苦しんでいるんだと

 

自分たちとゴジラをこんな目に遭わせたヤツらは別のヤツらだと

 

だから自分たちを襲わないで、殺さないで、と人々は力の限りゴジラに訴えた―

 

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

しかし、人々の必死の訴えも、叫びも、願いも、全てはゴジラには届かなかった。

 

 

 

 

だが、それは当たり前だ。何故なら、

 

 

 

におう・・・におうぞ・・・俺と同じにおいがするぞ・・・

 

感じる・・・感じるぞ・・・俺と同じ感じがするぞ・・・

 

ああ、イライラする・・・ムカつく・・・思い出すじゃねぇか!!

 

思い出したくもないのに・・・ムカつく!!

 

よし、コイツらを殺そう!消そう!そうでもしないと思い出してムカつくからな!!

 

 

ゴジラにとって、自分の体に染みついた放射能の熱は、ニオイは、気配は―――

 

許しがたいものだった。

 

認識したくもないものだった。

 

感じたくもないものだった。

 

だから、ゴジラはその許しがたい放射能を消してしまおうと考えた。

 

だからゴジラは特に放射能のニオイや気配が強い・・・日本と日本人を、自分と同じ「被爆者(ニオイや気配がするヤツら)」を襲ったのだ。

 

この状況を、この事情を一言で表すならばこうだろう―

 

 

「同族嫌悪」

 

 

と。

 

―――アンギャアアアァァァオオオオォォォォン!!―――




如何でしたか?

今回、前書きで書いたようにメッチャ短いです。とはいえ、言いたかった・やりたかった・書きたかった点は表現できたのでヨシと言うことで。

そもそも、何故こんな話を作ったかというと・・・

最近はハリウッド版『GODZILLA(2014)』や『シン・ゴジラ』などを筆頭にして怪獣映画ブームが再燃している嬉しい時代・・・ですが、

「ゴジラ=強い怪獣スゴーい!!」

だけでゴジラが核を忘れる、ゴジラという怪獣の存在意義の消失(ゴジラ=平和へのメッセンジャー)が強くなっているこのご時世に一石を投じたかったのです。

同時に、「なぜ被爆者であるゴジラが、同じように被爆者の日本人や日本を襲ったんだろう?」という昔からの疑問に対する自分なりの表現を表したかったからですかね?

まぁ、文章力がない僕が書いたのでヘタクソな文章ですし、いつまでも「『ゴジラ=核の化身』に固執してゴジラという"キャラクター"の魅力を活かせない」ってのもイカンっちゃイカンでしょうが・・・だからといって「忘れる事」もイカンと思います。


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第四三話 母なる『巨影』

お久しぶりです!作者です!

いやいや、暑(過ぎる)い日々が続きますねぇ・・・イヤになっちゃう。
みなさま、熱中症や熱射病にお気を付け下さいませ。

さてさて、今回は・・・結構な数の怪獣もとい巨影が出ます。同時に、出てくる巨影には「ある共通点」があります。それは・・・何でしょうね?

ちなみに、今回出てくる巨影たちのうち、メインになっているのは一番最後の、一番「デカいヤツ」です。
この巨影は作者は大好きですし、いまだに二十数年前に買ったコイツのソフビ、シルバゴンやゴルザたちと同じように持ってます。

ではでは、どうぞ!!


 

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「おかーさーん!!」

 

「あらあら、どうしたの?」

 

「あのね!あのね!きょうね、テストではなマルもらったの!!」

 

「あら、そうなのね~スゴいわね~」

 

「でしょでしょ!ほめてほめて~!!」

 

ある夕暮れの道すがら、一組の母子がのんびりと会話しつつつ手をつなぎながら家路についていた。その光景は非常に微笑ましかった。

 

 

「母」それは 生命の始まり。

 

「母」がいるから子供が生まれ、子供が育つ。

 

そして、その「母」を見て育った子供もいずれは「母」となるか、「母」になる伴侶を求める。

 

つまり、この世の生命の全ては「母」がいるからこそ成り立っているのだ。

 

 

同時に「母」という存在は恐ろしく"強い"のである。

 

「母」は子供を身ごもる際、自分の身を犠牲にして子供をその身に宿し育てる。そして、育った子供を産む際も命がけでこの世に子供を送り出すのだ。

 

加えて、「母」は子供を育て、慈しむためなら世界すらも敵に回すことも厭わない。それほどに「母」とは強く、大いなる存在なのだ。

 

 

 

 

 

・・・ちっぽけな人間でさえ「母」は強く、大いなる存在だ。

 

だが、もしも・・・その強く、大いなる「母」がより強大で、巨大な『巨影』だったらどうなるか―――

 

 

 

 

 

―――クワァアアァァッ!!―――

 

―――クワッ!!―――

 

雷鳴が轟き、大雨が降り続く大都市に響き渡る、雷鳴や大雨の音すら掻き消す程にけたたましく大きな咆哮。見れば、件の大都市のど真ん中で巨大な生物、巨影もとい怪獣が暴れていた。

 

―――クワァアアァァッ!!―――

 

―――クワッ!!―――

 

大都市のど真ん中で暴れている怪獣の容姿を一言で表すならば「鳥」だった。

全身を覆う青い羽毛、それでいて嘴や首の辺りは黄色く、目は紅玉(ルビー)の如く赤く、頭部から首にかけては鶏冠と奇妙な飾りが生えていた。

この巨影の名は「鳥怪獣」あるいは「彗星怪獣」という肩書きを持つ「フライングライドロン」という宇宙を旅する怪獣だ。

 

―――クワァアアァァッ!!―――

 

―――クワッ!!―――

 

 

そんなフライングライドロンがこの場には二羽いるが、一羽は大きく、もう一羽は小さい・・・そう、実はこの二羽は「母子」であったのだ。同時に、よく見ると子供のフライングライドロンは羽を怪我していた。

 

―――クワァアアァァッ!!―――

 

―――クワッ!!―――

 

羽を怪我した子供は怪我の痛みに泣き叫び、母親は子供に優しく寄り添って怪我した箇所を舐めていた。

実はこの母子、宇宙を旅している最中に子供が羽に怪我を負って地球に落下し、母親は大慌てで子供追って地球へやって来たのだ。そして、母親は子供の怪我が治るまで地球に滞在すると決めたのだ。

 

―――クワァアアァァッ!!―――

 

―――クワッ!!―――

 

怪我した子供を優しく介抱する母親と、その母親にすり寄る子供。その光景は非常に微笑ましく、見ていて和む―――ただし、フライングライドロンは体が乾かないように雨雲や雷雲を発生させる上、その泣き声はまるで雷鳴が轟くかの如くうるさい。

結果、フライングライドロンが滞在すると決めた大都市は常に雷鳴が轟き、止まぬ大雨が降り続いたせいで洪水などに見舞われ、おまけにフライングライドロンの母子の出す排泄物や抜け落ちた羽毛やフケで大都市は汚染される始末だった。

 

 

 

 

 

―――フゲェ!フゲェ!!―――

 

―――クゥウゥ!クゥウゥ!!―――

 

とある大都市に轟くとある大都市に轟く巨大な生物『巨影』の咆哮。見れば、件の大都市のど真ん中で二体の巨影もとい怪獣が暴れていた。

 

 

―――フゲェ!フゲェ!!―――

 

―――クゥウゥ!クゥウゥ!!―――

 

今、大都市のど真ん中で暴れている巨影の容姿を一言で表すならば・・・「頭部に角が生えたコアラの怪獣」という他になかった。

だが、この巨影はコアラではなくカンガルーの巨影、その名も「カンガルー怪獣 パンドラ」とその子供「カンガルー怪獣 チンペ」であった。

 

―――フゲェ!フゲェ!!―――

 

―――クゥウゥ!クゥウゥ!!―――

 

本来、パンドラにしてもチンペにしても元々は人目に付かない山奥で生活し、おまけに草食性で人を襲ったりしない大人しい存在なのだが・・・とある欲に駆られた人間たちがチンペを誘拐し、愛しい我が子を攫われた事に怒り狂ったパンドラはチンペの匂いを辿ってこの大都市へ現れ、手当たり次第に暴れた。

その後、パンドラが暴れている原因を知った人々がチンぺを解放したために二頭は無事に再会、パンドラは暴れるのを止めた―――だが、チンペが解放されるまでに時間がかかったこと、そもそもが何故パンドラが暴れているのかの原因の特定にもっと時間がかかったため、大都市は壊滅的な被害を受けていたのであった。

 

 

 

 

 

―――ピィキィ!キィッ!!―――

 

―――ピィギィ・・・ギィ・・・!―――

 

とある大都市に轟く巨大な生物『巨影』の咆哮。見れば、件の大都市のど真ん中で二体の巨影もとい怪獣が暴れていた。

 

―――ピィキィ!キィッ!!―――

 

―――ピィギィ・・・ギィ・・・!―――

 

大都市のど真ん中で暴れている怪獣は凄まじく凶悪面で、耳元まで裂けた鰐口から除く無数の牙と赤く蘭々と輝く目、皮膚は茶色で腕が翼になっており、まるで翼竜か「ワイバーン」というドラゴンのような容姿をしていた。

この巨影の名は「ザンドリアス」という宇宙怪獣であり、広大な宇宙を渡り鳥のように行き来して生活している。

そして、今回はたまたま"渡り"の最中に地球に飛来し、偶然この大都市にやってきてしまったというわけだ・・・同時に、

 

―――ピィキィ!キィッ!!―――

 

―――ピィギィ・・・ギィ・・・!―――

 

地球に飛来し、大都市に降り立った二頭のザンドリアス。

その内、大柄な方は大人しくしているに対し、小柄なほうはとにかく暴れており、手当たり次第に物を壊す、翼を羽ばたかせて突風を起こす、目や口から光線を吐くなどしてやりたい放題だった。

だが、小柄な方の行動をよく見れば・・・