痛覚のない少年 (START )
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1

ずっと疑問に思ってたことがある。周りは怪我をすると苦しそうにするのに、自分は怪我をしても何も感じないからだ。だがその理由はすぐわかった。

 

 

 

自分は無痛症だということを。

 

 

 

 

俺は誰からも気味悪がられ常に学校ではいじめを受けたり、家でも親には暴力を受けていた。俺は痛みがないからいいが、もしも俺じゃなく小町にも嫌がらせがきたら俺は自分を保てなくなってしまう。小町は俺の唯一の心の拠り所だった。だから俺は小町を避けるようになった。だが俺は小町という心の拠り所を失ったことで俺は脆くなった。そして俺は壊れた。

 

そして壊れた俺は修復された。

 

 

もう傷つかないように······

 

 

 

 

 

無感情になって。

 

 

 

 

 

壊れた俺は何をされても何も感じないようになった。常に見てるだけ。

俺は痛覚がない代わりに人の感情に敏感になった。だから俺は常に人間観察をするようになった。無感情になった俺はどんどん目を濁らせ、遂には完全に目を腐らせた。

 

だから俺がハサミで手を深く切って周りが叫ぼうがどうでもいい。自分は何も感じないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして中学校でも同じことが続いた。だが少し変わったことがある。

 

妹が俺に少しずつ関わるようになった。今では普通に会話出来るようになった。

 

 

そして、

 

 

 

 

「あんたもうちょっとしっかりしなよ」

 

 

 

折本かおりに出会ったこと。

 

最初は折本が俺に告白してきたこと。

もちろん断った。俺には感情がないから。人を好きになる感情がわからなかった。

そのあと理由を聞いていた。だから俺は自分の事をすべて伝えた。折本も最初は信じてなかったが、だから俺は実際に実証した。ハサミを自分の手に刺した。

 

そのあと·····

 

パァン!

 

おもいっきり叩かれた。

 

「何やってるの!バカじゃないの!」

 

そのあと········

 

「?」

 

折本は絶句した。比企谷は自分のやったことをわかっていなかったのである。

その時に折本は理解した。比企谷は狂っていると。

そして折本は確信した。比企谷は危ないと。そして、自分が支えないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで俺は折本を振ったのに次の日になったら友達のように関わってくれた。

そして二人のお陰で俺の中学校ライフがほんの少しだけ楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学校卒業後、俺と折本は総武高に入学することになった。

 

入学式初日。久しぶりに家に親がいて、一秒たりとも親のいるところに居たくないんで、結構早く総武高に向かったが········

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故りました。犬が黒塗りのリムジンに轢かれかけていて、初日にR18グロ注意を見たくないんで助けたら轢かれました。

 

痛くないんでそのまま学校に行こうとしたら救急車につれてかれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




比企谷は原作の十倍目が腐っている設定です。そして比企谷はよく傷に気付かなくて小学校と中学校では気味悪がられてました。


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2

現在俺は病院にいる。医者によると骨折したそうだ。まあ痛覚が無いから痛くないんだけどね。痛くないから普通に歩いたら俺の事を知らない医者は顔を青くしていた。もちろんそのあと滅茶苦茶怒られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入院二日目。

 

折本と小町がお見舞いに来てくれた。また怒られた。理不尽だ。

 

小町と折本が帰った後、ある女性が俺の病室にきた。

 

「こんにちは、比企谷八幡さん。私があなたを轢いた車を持つ家の長女、雪ノ下陽乃です」

 

この人を見たとき、俺はある確信をした。

 

この人は仮面を付けている。しかも強化外骨格のような。

 

俺はこの時にある感情が芽生えた。

感情のない俺が抱いた感情は········

 

一言で言えば、イラッとした。

 

俺は一言、

 

「その仮面みたいな笑顔、見ててイラッとするんですよ」

 

この時、雪ノ下さんの表情は変わった。笑ってはいるが、目は笑っていない。俺を観察しているような目だった。

 

「へぇ。君、面白いね」

 

「面白い事をした記憶は無いんですが」

 

そう。俺は生まれてずっと面白いことなどやったことなんてない。ずっと親から暴力を受け、今も受けている。そして小中では同級生や上級生からの罵詈雑言を受け続けていた。面白いことなんてしている暇はないし、感情を無くした親はそんなことなんてできない。そんな俺をこの人は面白いと言っている。

 

「ううん。君は君が思っている以上に面白いんだよ」

 

「······」

 

「もう時間だからじゃあね」

 

雪ノ下さんはそう言って病室を出ていった。

·······嵐のような人だった。

 

でもひとつだけ分かったことがある。

 

俺とあの人は、どこか似ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪我が治って無事退院した俺は学校では見事にボッチになった。まあ折本が話しかけて来るからいいんだけど。

そして時は経って2年生になったある日。

 

 

 

俺は平塚先生に呼び出された。

 

「比企谷。私が授業で出した課題はなんだったかな」

 

「高校生活を振り返ってという課題でしたが」

 

平塚先生は額に青筋を浮かべている。

 

 

 

「それなのになんだこの作文は。君はテロリストなのか」

 

「俺の人生こんな感じですが?」

 

「なぜ人生レベルまで発展しているんだ。まあ、君の人生を見たら仕方ないかもしれないが」

 

平塚先生はそう言ってため息をついた。

 

「はぁ、仕方ない。ちょっと着いてきたまえ」

 

そう言って俺と平塚先生は職員室を出てある教室に着いた。

 

「雪ノ下入るぞー」

 

「平塚先生。入るときはノックしてください」

 

「ノックをしても君は返事をした試しがないじゃないか」

 

「その前に先生が入ってくるからです」

 

「そして、その灰のように無表情な男は?」

 

「彼は入部希望者だ。自己紹介を」

 

「比企谷八幡」

 

「私は雪ノ下雪乃よ」

 

「君には彼の更正をしてもらいたい」

 

「お断りします。この男の下卑たレイプ目を見ていると身の危険を感じます」

 

「ふむ。さしもの雪ノ下でも怖いものがあるのか」

 

そんな平塚先生の挑発に雪ノ下は、

 

「待ってください。その依頼、受けてあげましょう。あなたのレイプ目と性格、直してあげるわ。覚悟しなさい」

 

俺ってそんなにレイプ目なの?

 

「じゃあ、あとは頼んだぞ」

 

平塚先生は俺を残して出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レイプ目の奴って目立ちますよね。少なくともボッチにはなれないと思う。


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3

「··········」

 

気まずい

 

「座ったら?」

 

そう言われたので俺は近くの椅子に座る。

 

「クイズをしましょう」

 

「えっ」

 

「ここが何部か当ててみなさい」

 

「文芸部?」

 

「へぇ······その心は?」

 

「なんとなくだ」

 

正直どうでもいい。

 

「残念ながら外れよ」

 

「じゃあ何部だよ」

 

念のため聞いてみた。

 

「比企谷君。女子と会話したのはいつぶりかしら。家族はノーカウントよ」

 

最近の記憶を思い出してみる。あれは確か·······

 

「今朝だ」

 

「えっ⁉」

 

雪ノ下が驚愕した表情になり、手に持っている本を落とした。

 

「あなたみたいな強姦魔と話す女子がいたなんて」

 

「人を勝手に強姦魔にするな」

 

俺ってそんなに強姦魔に見えるの?

 

「こほん。とりあえず会話シュミレーションは完了よ」

 

「どこが会話シュミレーションなんだよ?」

 

「私くらいの美少女と会話したのだから誰とでも会話出来るようになったなったわ」

 

「ふーん」

 

「持つものが持たざるに慈悲をもってこれを与える。ホームレスには炊き出しを。発展途上国にはODAを。モテない男には女子との会話を。ようこそ奉仕部ヘ。歓迎するわ」

 

「あなたの性格とそのおぞましいレイプ目。矯正してあげるわ」

 

「別に変えてほしくもないんだが」

 

「あなたの状況は社会に出ても支障をきたすレベルよ」

 

「俺のことを知らない癖に、俺のことを語って貰いたく無いんだが」

 

「自分だけが辛い、何て考えているのであればただの甘え、ただの逃げよ」

 

「変わるのも現状への逃げなんじゃないか?」

 

「ッ········それじゃあ誰も変わらないし、誰も救われない!」

 

雪ノ下が言い終わった後、タイミングを図ったかのようにドアが開き、平塚先生が入ってきた。

 

「ですから先生、ノックを--」

 

「すまんすまん。それより雪ノ下、比企谷の更正にずいぶんとてこずっているようだな」

 

「本人が自分の問題に気づいていないだけです。すみませんが先生、この依頼は長い目で見てもらわないといけないようです」

 

「もとよりそのつもりだ。少し勝負をしよう」

 

「簡単な勝負だ。奉仕部に持ち込まれた依頼をどっちが多く解決し、どっちが人の役にたてるかの勝負だ。勝ったら負けた方になんでも命令できるとしよう」

 

「平塚先生。その勝負は賛同しかねます。負けたらこの男にどれだけ卑猥な命令をされるか考えたくもありません」

 

そんなことを言った後に俺は一言、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けるのが怖いの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、雪ノ下の目が勝負師のような目をした······気がした。

 

 

 

 

「いいでしょう。その勝負、受けてあげましょう」

 

明らかに墓穴を掘った。まあ仕方ないけど。 

 

 

「勝負をするからにはこてんぱんにしてあげるわ」

 

めんどくせぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほとんど会話。

ちなみに今日俺の誕生日。


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4

俺は平塚先生に帰る許可をもらい、自転車を取りに行こうとしたら、

 

 

「遅い!」

 

折本が自転車置き場で顔を赤くして待っていた。

 

「ごめん、部活だったから」

 

「ふーん·······えっ⁉部活!」

 

「なんでそんなに驚くんだよ」

 

「どうしたの!まさか無理矢理······」

 

折本は俺が無理矢理部活に入部させられたと思っているらしい。

 

「大丈夫。自分の意思で入部したから」

 

「えっ、なーんだよかったぁ」

 

折本がものすごい安心した声でそんなことを言ってきた。

 

「比企谷気を付けなよ。あんたの体のことは知ってるけどあんたが何かされるのはいい気がしないし······」

 

「まあ大丈夫だ」

 

「比企谷と喋ってると、なんか人形と喋っている感じするんだけど」

 

そんな会話をしている内に折本の家に着いた。

 

「じゃあな折本」

 

「うん。じゃあね」

 

俺は折本が家に入った後に、自分の家に帰宅した。

 

家に帰り、今日の事を小町に話したら折本と同じように驚かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、

 

「よう」

 

「あら、ほんとに来たのね。もしかしてマゾなの?」

 

「俺はノーマルだ」

 

「その目で?」

 

俺の目ってそんなひどいの?

 

「意外ね」

 

「ん?」

 

「部活何て下らないとか言って逃げるかと思ったから」

 

「まあ、入っちまったもんは仕方ないし」

 

「そう」

 

そう言って雪乃は中断していた読書を開始する。

 

「······そう言えばさ、お前友達いんの?」

 

「そうね。どこからどこまでが友達かの定義してもらえる?」

 

「いないんだ」

 

雪ノ下が俺を睨んでくる。全く怖くない。

 

「で?人に好かれそうな容姿なのになんで一人なの?」

 

「私に近づいてくる男子は大抵好意を抱いていたわ」

 

「じゃあいいじゃん」

 

「小学校の頃、上履きを60回程隠されたことがあったわ。内50回は女子にやられたわ。そのお陰で、私は毎日リコーダーと上履きを持って帰るはめになったわ」

 

「大変そうだな」

 

「人は醜く、すぐ嫉妬するし蹴落とそうとする」

 

「だから変えるのよ。人ごと世界を」

 

すごい事を言ってきた。できたならほんとにすごい。でも·······

 

「できもしないくせにエラそーな事言うんじゃねえよ」

 

俺は否定した。今の雪ノ下じゃあそんなこと出来ない。

 

「今のお前じゃあできねえよ」

 

でも·····

 

「お前はもっとこの世界のことを知れ。お前は綺麗すぎる」

 

「えっ?」

 

雪ノ下は俺が言ったことを理解できずに時間だけが過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった。比企谷は?」

 

部活が終わった後、平塚先生が訪ねてきた。

 

「彼は、私の目標を笑いませんでした。でも、彼と話しているとまるで人形としゃべっているようで、まるで······姉さんみたい」

 

「君もそう思うか」

 

「比企谷の名誉のために控えておくが、あいつは結構特殊でな。そのせいで子供のころからやつを取り巻く環境はひどかった····」

 

「?」

 

「まあとにかく彼を見ていればいずれ答えも見つかるだろう」

 

平塚先生はそう言い残してその場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




折本の口調キツイ‼


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5

次の日、この奉仕部にある依頼が来た。

 

それはクッキー作りだった。

 

依頼人である由比ヶ浜結衣と一緒に家庭科室にいて、早速作ったが·····

 

「マジか····」

 

出てきたのはクッキーではなく木炭だった。

 

錬金術を使うところが間違っている。

 

「どうやったらあんなにミスを重ねられるのかしら」

 

雪ノ下でさえもあきれている。

 

「比企谷君。早速毒味を」

 

「····死なないよな」

 

「死なないわよ··········多分」

 

はっきりしてくれ。

 

そして再度クッキーを見る。俺はなんでも食えるが、これだけは食うなと脳が警笛を鳴らしている。俺は脳の警笛を無視し、クッキーを口に入れた。

 

すると、

 

バタリ

 

「ヒッキー!」

 

意識が強制ログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後、俺は目を覚ました。なんでだろう。記憶が一部すっぽりと抜けていた。

 

「やっぱ私、才能ないのかな」

 

その言葉に雪ノ下が····

 

「ふざけないで」

 

「えっ?」

 

「あなたは才能を羨む程努力したのかしら?努力をしない人間に才能を羨む資格はないわ」

 

雪ノ下はいつも以上に厳しい言葉を由比ヶ浜に投げ掛けた。そして由比ヶ浜は···

 

「···カッコいい」

 

「建前とかそういうの全然言わないんだね!」

 

「え、その、話聞いていたのかしら」

 

「なんか自信沸いてきた。次は頑張るよ」

 

「····ええ、次はちゃんと教えるわ」

 

なんかいつの間にか解決していた。折本や小町には禁止されてるけど俺も料理したくなってきた。

 

「雪ノ下、由比ヶ浜、少しだけ廊下にいてくれ」

 

「「?」」

 

「本物の料理を教えてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はクッキーを作り雪ノ下と由比ヶ浜に食べさせた。

 

「あまり美味しくない」

 

「そりゃお前のクッキーだからな」

 

「えっ」

 

「まあ男は単純でバカだからな。どんなに不味くても貰えただけで勘違いしちまうんだ。つまり、味が悪くでもお前みたいな美人に貰えただけで男は喜ぶんだよ」

 

「····ヒッキーも嬉しいの?」

 

「俺は別に」

 

「でも、そっか。雪ノ下さん。あたし、自分のやり方で頑張ってみるよ!」

 

「え、ええ」

 

「ヒッキーもありがとう」

 

その言葉で大体の人間は満足するだろうが俺はなにも感じない。壊れている俺はなにも感じない。喜びも悲しみもない。今あるのは感情の残り香みたいなものだ。だから心が満たされない。何を言われてもなにも感じない。いや、わからなくていい。俺は痛みを感じないから、心の痛みもわからない。俺は生まれた時から人としてなにかが欠落してるんだ。

 

そんなことを考えながら自転車を取りに行ってたら····

 

「あんた料理したでしょ」

 

今までで一番不機嫌な折本がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回料理禁止の真相が明らかに


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6

俺は学校の駐輪場で折本に睨まれている。理由は、

 

「あんた料理したでしょ」

 

俺が料理したからである。

 

俺は素直に、

 

「うん」

 

答えた。折本は、

 

「········」

 

無言でさらに睨んできた。

 

「そう言えばさ、なんで俺料理しちゃいけないの?」

 

「あんた自覚ないんだ」

 

折本は呆れてため息をついた。

 

「比企谷さ、中二の頃調理実習したじゃん。野菜切っている時に手も切っちゃったじゃん。そしてそのまま鍋の中に入れてお味噌汁が赤くなったじゃん」

 

そう言えばあったな。同じ班の折本がすごく困惑してたな。だが、

 

「でもそれじゃ理由にならないだろ」

 

「なるに決まってるでしょ!あんた手を切ったことに気づかなかったでしょ!出血多量で倒れたらどうするつもりなの。全然ウケないんだけど」

 

「······なんかゴメン」

 

そんな理由あったんだ。そう言えばそのあとは料理をする度にめっちゃ怒られた記憶があったな。

 

「とにかくもう料理はしないこと。わかった!」

 

そんなことを言い残し折本家に帰っていった。

 

 

 

 

 

······あっ!手が火傷してる。

 

 

 

 

 

 

その次の日、奉仕部に、

 

「やっはろー」

 

由比ヶ浜がきた。

 

「なんのようかしら?依頼は解決したのだけど?」

 

「なんかあんまり歓迎されてない?雪ノ下さん、私の事が嫌い?」

 

「嫌いではないわ。少し苦手なだけよ」

 

「ちょっ、それ女子じゃ嫌いと嫌いと同じだからね!」

 

「それで、なんの用かしら」

 

「これ、この前のクッキーのお礼!」

 

懐からクッキーの入った袋を出してきた。

 

「いえ、少し食欲が······」

 

「それでねゆきのん。これからも手伝いに来るから」

 

「いや、私は·····」

 

それとねゆきのん····」

 

由比ヶ浜のマシンガントークに雪ノ下が戸惑っていた。よかったな雪ノ下、友達ができて。

 

「それとヒッキー!」

 

「ん?」

 

由比ヶ浜が渡してきたのはクッキーの入った袋だった

 

「この前のお礼。ありがとう」

 

そう言って由比ヶ浜はまた雪ノ下にマシンガントークを浴びせていた。

 

····うん、俺は由比ヶ浜が苦手だ。どんなに突き放してもついてくるタイプだ。俺が無痛病の事を言ってもついてくるだろう。だがそれは雪ノ下もそうだろう。俺は雪ノ下と由比ヶ浜が苦手だ。

 

そんなことを考えながら俺はベストプレイズで俺のソウルドリンクであるマックルコーヒーと由比ヶ浜のクッキーを袋の中から出した。これは飲み物がなければ食えない。あったとしても食べたくない。でももらったものは仕方ないな。

 

パリッ

 

うん、不味いな。

 

 

 

 



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