捻くれぼっちの筈の彼の死は、何人もの心を締め付ける。 (あなさ)
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お詫びの報告
これから、私事で暫く作品の更新が出来ません。
期間は大体2~3週間程度です。
実は、私学生でして、この作品の次話を執筆していたら、父にやり過ぎだとスマホを取り上げられてしまいました。
現在、父に頼み込んで皆様へのお詫びを書かせてもらっている次第でございます。
2~3週間というのは、父が私に出した取り上げの期間です。
私の作品を読んでいただいている読者の皆様、誠に申し訳ございませんでした。
虫がよいかも知れませんが、今後とも、この作品を読んでいただけると幸いです。
本日は誠に、申し訳ございませんでした。
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最後の記号は字数稼ぎです。
鬱陶しくてすいません。
これを投稿した後、コメントに返信して父に渡します。
それでは皆様、暫くの間さようならです。
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伝達編
死亡
ごゆっくりどうぞ!
【小町 高校三年】
時がたつのは早いもので、小町ももう高校三年生、といっても、今日が卒業式なんだけれどね。
いつものようにお母さんにたたき起こされ、みたいなことは無く朝早くに目を覚まし、グーーッと背伸びをした。
朝の伸びはやっぱり気持ちがいいなぁ。
そうやって制服に着替えて、少しロングに伸ばした髪と伊達めがねをかけて、ご飯を食べに下に降りる。
そこには、親の姿は無かった。
まぁ、仕事に行っただけなんだけどね。
お父さんは学校に向かったけど……
はぁ……
小町「相変わらず小町に甘いなぁ」
正直、ちょっとウザい。
そして、のそのそと朝食を食べ、歯磨きをして鞄をもった。
そして、日課の仏壇に向かう。
線香にひを付けて灰に差し込み、三回チーンと鳴らして
南無阿弥陀物と唱えて一礼をする。
小町「おじいちゃん、おばあちゃん、小町ももう卒業です。結衣さんと雪乃さんにアドバイスもらったこのロングとメガネ、似合うかな?」
小町は、見せつけるように髪をかきあげ、眼鏡をくいっと上げる。
何だか呆れられた気がする……
さてと、次はーー
小町「お兄ちゃん、小町もう卒業するんだよ?総武の奉仕部もついで、お兄ちゃんみたいに過ごせたかな?あ、でも小町ぼっちじゃないや。……あれから二年もだったけど、まだ小町は寂しいなぁ……。あと、向こうでぼっちじゃないかも心配。それじゃ、行ってきます。」
そう言って、立ち上がった。
その時、何となくだけど、『おう、いってこい』って、お兄ちゃんの声が聞こえた気がした。
小町は、誰も居ない家に、その空耳に答えるようにーー
小町「うん、いってくるであります!お兄ちゃん!」
満面の笑みで、そう言って、玄関をあけて、学校へと向かったーーー
─────────────────────────
【二年前】
それはーー突然だったーー
比企谷八幡は、世界中で最愛の妹、比企谷小町とららぽーとに買い物に(強制的荷物持ち)出掛け、その帰りの最中だ。
今も、どーしようもない下らない話をしながら帰っているのだ。
小町は、口を開けばやれあの二人とはどうだー、とか、やれこれだからごみいちゃんは、とか。
八幡の方もやれなにいってんだ、とか、うぜぇ、だとか、捻くれた返答しかしていない。
だが、それが二人にとっての心地良い距離感で、この先も続くと思われていた。
だからこそ、この後に起こった事は、全くの予想外なのである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー【八幡side】
8/1、月曜日。
学校も終わり、夏休みの本番に差し掛かった今日この頃。
時刻は夕方六時、朝の七時に叩き起こされてから今の今まで買い物につき合わされていたなんて、マジ最悪。
まぁいっか、小町だし。
戸塚だったらむしろWelcome、いや、foreverでもかまわねぇわ、うん。
てな訳で今俺は、大事な、本当に大事で大切な休日を、小町の買い物の荷物持ちという役割によって潰されている。
ったく、休日も外に出るとか、どこの社畜ですか俺は。やっぱ専業主夫最強だな、QED,証明完了。
働きたくないでござる。
てか、両手が重い……
なに?今の女子中学生ってそんなに買い物好きなの?俺から見たら頭悪そうな本とか何が面白いの?って感じなんだけど。
小町「お兄ちゃん、重くない?代わろうか?」
八幡「え?マジで?サンキュ小町」
流石小町、俺のことを良く分かっていらっしゃる。
小町「はぁ、これだからごみいちゃんは…そこは『いや、全然大丈夫だ。心配かけてごめん、ありがとうニコッ』って言う所だよ?ま、そんなお兄ちゃんも好きだけど~。あ!今の小町的にポイント高い!!」ニヒッ
と思ったら全然そんなこと無かった。
小町ちゃん、お兄ちゃんはそんな事言わないよ、て言うか言えないよ。何で俺がそんな事言わなきゃあかんのや。葉山か。
八幡「うぜぇ……ま、んなこといわねぇけど、ま、持つのは任せとけ。」
小町「お?捻デレ発動ですなぁ!」ニヤニヤ
何?その呼び名定着してんの?
ちょっと、お宅の娘さんどうなっているの?あ、妹か。
八幡「何だよその謎言葉。コナン君の事件の暗号なの?馬鹿なの?死ぬの?てか、デレてねぇし、呆れただけだし。」
小町「何でコナン君にそんな言葉が出てくるのさ?それに小町馬鹿でもないし、お兄ちゃんの目みたいに死んで腐るのもまだ先だよー。」
八幡「おい、絶対一言余計だろ。」
小町「フン!小町は知らないのです!……時にお兄ちゃん、最近結衣さんとか雪乃さんとかとはどうなのさ?」ワクテカ
来たよ、何でかコイツはあの二人をやたらと気にかける。何故だ?あれか?兄がいつもお世話になっております的な?その割にはやたらと恋愛方面に関する事なんだよな。まさか、あの二人……!
でも、八幡強い子。勘違い、ダメ、ゼッタイ。
八幡「は?何であいつらが出てくんだよ。特に何もねーし、何か有ってもそれは偶然で、勘違いをしてはいけないんだ。そもそもーーー」
小町「あーもー分かった、はぁ、これだからごみいちゃんは……小町はお二人が不憫で仕方ないよ」ヨヨヨ
うざっ。
でも小町可愛い。戸塚と二人で大天使コンビ組んでくれねぇかな?トツカエルとコマチエルで。
小町「お兄ちゃん?今絶対失礼な事考えてたよね?」
うわなにこいつ、エスパーなの?テレパシストなの?
コマチストって呼ぼうかな。
……いや、止めておこう。もしそんな事したら地に着いている俺の好感度が、マントルまで到達しちゃうよ。あらやだ怖い。
ま、適当に言い訳するか。
八幡「ふ、小町よ、俺がそんな事考える奴に見えるか?お兄ちゃん傷つくぞ?」
小町「え?違うの?」キョトン
コイツ、本気でキョトンとしていやがる。
このガキャァァ……でも、可愛いから許す!
俺達は、こんな会話のキャッチボールならぬドッチボール(主に俺が被害者)を繰り広げながら家路を進む。
もう日の暮れる時間で、夕方の夕日が俺達を照らして、小町の顔がいつもよりも赤く見える。俺の顔も、夕照りしてさぞかし赤くなっているだろう。
これは妹じゃなかったら惚れてますね、はい。
ーだが、そんな幸せな時間は、長くは続かなかったー
家の数百メートル先、曲がり角を曲がった所で事件は起きる。
何百メートルか先に、こちらに向かってくる影が見える。
いや、それだけならまだいい。
だが、明らかに様子がおかしいのだ。挙動不審で、妙に殺気立っていて、足取りも覚束ないようだ。
不意に、ピタッと目があってしまった。俺は、恐らくこの人生の中で、ここまでの悪寒を感じたことは無いだろう。まるで、自分の中の何かが、最大限の警告音を発しているかのようだ。
こっちくんなよな……こないよな?
しかし、願いも虚しくその陰はこちらに向かってくる。
猛スピードで、おそらく、全力疾走で。
小町「ヤバい、何か分かんないけどヤバいよお兄ちゃん!」
小町も、異常を感じ取ったようだ。ま、誰でもきずくわな、そりゃ。
そして、段々とその姿が見えてくる。
黒いコート、黒のニット帽、サングラスにマスクをつけて、典型的過ぎんだろ……ん?今手元が光ったような‥?
まさか!!
気付いた時には、時既に遅し。その男は、もうすでに数メートル先までちかずいてきていた。
その目線は俺ではなく、小町をとらえていた。
マズい!!
どうする?我が身かわいさに見捨てるか?
いや、そんな事したら俺は自殺する。
なら助けるか?
痛いのが、傷つくのが怖いか?恐ろしいか?
今更だ。
なら、決まりだな。
八幡「小町ぃぃ!!」
男に背を向ける形で、小町の前に立ちふさがり、突き飛ばす。そしてーー
男『ちぃっ、邪魔するなぁ!!』ブンッ
八幡「っあ……!逃げろ!!小町!!」ズブリ
逆上した男の手に握られたナイフが、俺の身体を貫いた。
こんな時なのに、意外と俺は冷静で、激しい痛みが身体を襲う、だが、ここで倒れたら、小町も死ぬ。
俺みたいなゴミが死ぬのは構わん、だが、小町は駄目だ!
小町「きゃっ……え?」
八幡「早くしろ!!死にたいか!!」
小町「でも、お兄ちゃんが!!」
こんな時でも俺の心配か。優しいな小町は。やっぱり俺の最愛の妹なだけはある。あ、今の八幡的にポイント高い。
だが、ここは何としてでも逃がさないと、何とか、…よし。
八幡「大丈夫だ…」
小町「……でも……!」
八幡「小町……必ず後を追う、だから、行け。」
小町「ッ……うん、絶対だよ?」
ーーーいいんだ、これでーーー
八幡「ああ、約束だ」
ーーーこれで、小町は助かるんだーーー
ーーーたとえ嘘をついてでもーーー
ーーー俺の大嫌いな欺瞞を使ってでもーーー
小町「っ」ダッ
男『待て!』ダッ
八幡「それは、こっちの台詞だ。」ガシッ
さて、逃がさないようにしないとな。
俺は、男のズボンの裾を握り締め、引っ張る。
男『離せっ!クソっ!!』
そうこうしてると、小町の姿は見えなくなっていた。
もう大丈夫だ。
これが正しいんだ。
ーーー死んでも誰も傷つかない、俺が死ぬべきだーーー
ーーーほら、簡単だろ?ーーー
八幡「誰も傷つかない世界のーーー完成だ」
男『クソがぁ!!』
ーーー8/1、くしくも誕生日の一週間前、俺、比企谷八幡の17年は、ぷつりと、死に際だけはカッコつけて、幕を閉じたーーー
どうでした?
面白かったら評価お願いします。
それでは、どうぞご贔屓に~
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発見と伝達~8/1~2~
これは、八幡が三年生になった後の話です。
小町はある程度逃げた所で、近くの交番に駆け込んだ。
目を真っ赤に腫らして、泣きじゃくりながら。
【小町side】
ーーーー八幡が死んでから3分後ーーーー
何だろう、さっきから妙な胸騒ぎがする。
心の奥が森林になったみたいに、ザワザワって。
早く、早く助けなきゃ!
【交番】
小町「助けてハァ…さい!!おハァ……んが、死んじゃ……!」
早く、早くお兄ちゃんの所へ!!お兄ちゃんが死んじゃう!!
お巡り「どうしたんですか!?一回落ち着いて下さい!!」
あーもー、落ち着いて何てられないよ!!このアホ!
まどろっこしい説明なんてしてたら遅いよ!
小町「とにかく来てください!!」グイッ
小町は、お巡りさんの手を掴んで走り出します。
お巡り「え!?え!?ちょ、え!?」オドロキ
小町「急いでください!!」
キョドりすぎてるけど気にしないのです。
そんな事よりもお兄ちゃんが……
お巡り「は、はいっ!」
小町(お兄ちゃん……生きてて…)
気が付いたら、いつの間にか小町の頬に涙が伝っていました。
小町はやっぱり、お兄ちゃんが大好きなんだなぁ、と自覚するとともに、今までの不安が更に重く感じました。
大好きな人が死ぬって、考えただけでも心が握りつぶされそうです。
お巡り「あのぉ……」
警察の人が聞き辛そうに申し上げてくる。
あぁもう、うじうじしないでよ!!
小町「何ですか!?早くしないとお兄ちゃんが……」
お巡り「私、まだ連れ出された理由を聞いていないので、職務上色々聞かないと……連絡する必要も有りますし……」
あ、本当だ、小町説明してない。
いや、厳密に言えばしてるんだけど、息切れして上手く話せなかったし、それどころじゃなかったし。
小町「走りながら返事するので端的にお願いします!」
お巡り「はい、では、理由を」
小町「お兄ちゃんが……不審者に私を庇って刺されました」
あっ、と声に詰まる警察の人の声が聞こえる。
でも、すぐにコホンと咳払いをして続ける。
お巡り「では、その時の状況、場所をお願いします。」
小町「買い物の帰り、刺されそうになった私をお兄ちゃんが突き飛ばして逃がしてくれました。場所は家の近くの曲がり角!住所は○○○~▼▼▼~◇です!」
あれ?小町街中で大声で住所言っちゃってるけど大丈夫でしょうか?
いや、気にしたら負けだよ!
お巡り「あなたのお名前は?」
小町「比企谷小町!」
お巡り「あなたのお兄さんの名前は?」
小町「比企谷八幡!」
お巡り「分かりました。ご協力、感謝します。」
そう言うと、警察の人はおもむろにトランシーバーを取り出します。
多分、さっき言っていた応援を呼ぶのだろう。
何だかドラマのワンシーンみたいです。
……本当に、ワンシーンだったら良かったのに。
そんな事を考えて走ること五分、さっきの場所が見えて来ました。
小町「………お兄ちゃん!!」
小町は、警察の人の手を離して走り出します。
小町(お願いします神様………お兄ちゃん……どうか無事で……!)
後はこの曲がり角を曲がればお兄ちゃんが……
そこまで来た所で、小町の足が止まってしまいました。
さっきまでの勢いを追い越されて、八分前の情景が蘇ってきたのです。
刺された時のお兄ちゃんの苦悶の表情、滴り落ちる血液、血走った目でこちらに睨みを効かせてくる男の顔、
リアルに何度も頭の中に蘇って、脚が竦んでしまったのです。
でも……それでも…
小町「…………っ」
小町は、一歩踏み出しました。
ゆっくりと、顔を曲げてーーーーーー
小町「………お兄………ちゃん?」
小町はーーーーー
小町「あ、……あぁ……」
その目に入れていまいましたーーーーーーー
小町「あぁぁ……」
背中にナイフが刺さっていて、チャームポイントのアホ毛がだらしなく垂れ下がった、お兄ちゃんの姿を。
小町「いやぁぁぁぁああああ!!!ああああああああああああああああああああ!!!!!!あ」
プツリ
と、小町の中で何かが切れる音がした気がして、そこからの記憶は有りません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気が付いたら、小町はベットに横たわっていた。
視界がぼんやりと霞む中でーー
ーー何だ、夢だったのか。
そう思い、むくりと身体を起こす。
でもー
親父「小町!」
母親「小町!?目が覚めたの!?」
涙に顔を歪めた両親と、ツンとくる消毒の匂い、白い壁とピンクのカーテン。
それを目視して、あぁ、此処は病院か、と認識する。
置いてある日めくりカレンダーは、8/2になっていた。
どうやら、丸一日も寝ていたらしい。
その思考と並行して、お兄ちゃんの事が頭に浮かんでくる。
何となく、答えは分かっているけども、それでも、聞かずにはいられなかった。
小町「ねぇ……お兄ちゃんは…?」
そう、問い掛けた。
やっぱり、二人は首を横に振った。
分かっていた、分かっていた。
この返答は分かっていた。
でも、分かったからと言っても、受け入れることは容易ではないのだ。
心が、締め付けられた。
小町「う、うぁ……ぁぁ…」
ポロリと、大粒の、一滴の涙が、小町の瞳から、零れ落ちた。
小町(小町のせいで、お兄ちゃんが……小町が、お兄ちゃんを無理矢理買い物になんか連れて行ったから………)
小町(あれ?もしかして、お兄ちゃんを殺したのってーーーーーー小町?)
そう考えたら、涙は、もう、止まらなくなっていた。
その涙には、兄の死に対する悲しみ、拒絶、兄との十六年間の思い出、もう兄と一緒に居ることが叶わなくなった現実に対する絶望も含まれていた。
だが、最も小町の涙腺から涙を溢れさせたのは、兄の死は自分のせいだ、という強く、重く、圧してくる、罪悪感からだった。
小町「う、うぁぁぁ……あああ……!ぁああ……お……にいちゃ…ん…おにいぢゃん……おにいぢゃんおにいぢゃん……あぁぁぁ……ぅぁ……っ」
それから、ひとしきり泣いた後、兄との会話の最中に出て来た二人の顔が浮かんできた。
そう、由比ヶ浜結衣と、雪ノ下雪乃だ。
ぼっちで卑屈だった兄、比企谷八幡を、受け入れ、歪んだやり方しか出来ない兄に真っ向からぶつかって、逃げないで、兄の求める〖本物〗に、最も近い場所、奉仕部の部員だ。
小町も受験に受かって、お兄ちゃんとあの二人も三年生になって大学受験に向かって勉強してたから、活動してたかどうかは知らないけど、少なくとも、家でその話題が出ていたし、関わりはあるのだろう。
ならば、学校で知らされる前に、あの二人には伝えておこうと、そう思った。
小町「電話、しなきゃ……」
小町は、震える手で鞄から携帯を取り出して、電話帳のアプリから二人の名前を探して、まず、最初に見つかった結衣さんのほうに電話をかける。
二コールもせずに電話に出た。
結衣『小町ちゃんやっはろー!!』
相変わらずのハイテンションで、何だかいつもと変わらない日常みたいだ。
小町(でも、小町には、いつもどうりに返す気力はないです)
小町「こんにちは結衣さん……あの、大事な話があるんです……」
それを聞くと、結衣さんも何となく分かってくれたみたいです。
流石に空気を読むのが得意と言っているだけはあります。
結衣『なにかな?小町ちゃん』
軽く深呼吸をしてーーーー
小町「あのーーーーー
お兄ちゃんが、死にました。」
結衣「…………え?」
どうでしたか?
指摘があれば、遠慮をせずにコメントして下さい。
何分あまりなれていないものでして。
それでは、どうぞご贔屓に~
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お兄ちゃんなら
あと、毎度更新遅くてすいません。
そこから十秒程、由比ヶ浜由衣からの返信は無く、ようやく、返ってきた返信も、弱々しい声だった。
結衣『……小町ちゃん、冗談、だよね?』
小町(結衣さんからは、そんな言葉が返ってきた。
まぁ、誰だってそうなるよね。
いきなり、知り合いが死んだ、何て聞かされたら。
でも、これは、これだけには、向き合ってもらわないと。)
小町「冗談だったら、どれだけ良かったことか……」
結衣『っ……も、もう……あ!分かったよ!ヒッキー、どうせそこで聞いてるんでしょ!?私の取り乱し方を見ようとか思ってるんでしょ!?小町ちゃん、ヒッキーに変わってくれる?今日はもう怒っ「結衣さん!!!」っ………』
小町は、結衣の声を遮って、ここ最近一番の声で叫んだ。
そして、
小町「小町だって…ごんなこと、みどめだぐはないでずけど……!!お兄ちゃんは…本当に!!……死んじゃったんですよ……うぁ」
次は、さっきとは対照的に、消え入るような声で、堪えていた筈の涙をボロボロとこぼしながら、ろれつも回らなくなりながら、伝えた。
そして、電話の奥から聞こえてきたのはーー
結衣『……本当に……ヒッキー、死んじゃったの…?』
いつもの結衣と違う、しおらしい声だった。
その声は、聞いているだけでも心が痛むような、締め付けられるような、普段の彼女を知らない人でも、知っているなら尚更そう感じさせる声だった。
小町「えぇ……本当です」
一方、小町の方は、力強い声のようで、どこか取り繕った、空っぽの、虚空に投げかけるような声だった。
結衣『…………そっかぁ……ヒッキー………死んじゃったのかぁ………ごめん、ちょっと電話切るね、あ、ゆきのんには私から連絡しておくから……じゃあね』
ピッ
そして、結衣は一方的に電話を切った。
それから少しして、カラカラと扉の開く音がした。
そこには、目を真っ赤に腫らした母と、必死に隠しているけども、まだ目の赤い父がいた。
どうやら、気を使って外に出てくれていたらしい。
そして母達に続き、直ぐにスーツ姿で中年頃見受けられる大柄な男性と、白衣を来た若いお兄さんが入って来た。
二人はズカズカと私の方に歩み寄ってきた。
最初に口を開いたのは、大柄な男性の方だった。
???「比企谷小町ですね。私、警察庁捜査一課課長、近藤敦と申します。お兄さんの事について、お訊きしたいのですが」
その男性は、近藤敦と名乗った。
声は、人情何で籠もっては無く、ただただ仕事で訊いているだけという、何だかぞっとするような、小町とは違うタイプの空っぽの声だった。
そこに、白衣の若い男が口を挟む。
???「刑事さん、今比企谷さんはとても答えられる状態ではありません。二、三日時間を置いて、それから事情聴取を行って下さい。」
こちらは、強い使命感と、医師としての責任感を強く含んだ声だった。
しかし、
近藤「しかし澤畑先生、此方側として早期解決の為に素早い事情聴取が必要なのです。」
相変わらずの淡々とした返答をする。
どうやら、白衣の人は澤畑先生というらしい。
澤畑先生は、それに対して
澤畑「いえ、此方としても患者が心に大きな傷を負っている以上、見過ごす訳には生きません。」
こう、返答した。
小町(あ、いい人だなぁ)
小町の衰弱した脳でも、それはすっと分かった。
でも、近藤という人も引いてはくれない。
近藤「先生、あなたなら、多くの命と、死にはしないけれど心の病んだ一人の患者、どちらを救いますか?」
小町は、何となくだが、この近藤という人は、兄に似ていると、そう思った。
誰だって救おうと、本質を分からない愚か者、世間から見たら立派な善人達は、必死に意味なくもがいて、勝手に解決した気になって、目に見えない位下のたった一人には目を向けない。
その一人が、自分以外全員を救い、自分を犠牲にしたことを知らずに。
この人は、その考えを、兄と似てはいるが、少し違って、それを他人に当てはめる事が出来る人なんだろう。
小町(これが分かったのも、全部お兄ちゃんから教わったものの産物だね)
小町(まぁ、こんなのお兄ちゃんなら絶対認めないけどね。)
小町(お兄ちゃん、自分が傷つくのは全然気にしないのに、他人が傷つくのはスッゴい嫌いだからなぁ……)
小町(でも)
小町(今日からは、出来る範囲で、お兄ちゃんになってみようかな)
澤畑「しかし!!「あの……」どうしました?」
小町「私、受けます」
近藤「話が早くて助かります。それでは此方へ」
私がそう答えると、少し驚いた顔を見せた後、すぐにまた無表情に戻り、私を扉まで連れて行ってくれた。
そこで、澤畑さんが呼び止めてきた。
澤畑「比企谷さん?アナタはまだ病院で療養するべきです。じっくりと治療しないと、アナタの心の傷は癒えませんよ?」
そんな、最もらしい先生の呼び止めに、小町は立ち止まって振り返り、
小町「いいえ、大丈夫です。確かにまだ辛いですけれど、他の人が死んじゃうのも嫌ですし。なんか、自分のせいだーってなっちゃうかも知れないので。それにーーー」
ーー兄なら、きっとそうします
もう既に涙を堪えられてない両親と先生に、不思議と出た、多分お兄ちゃんのお陰ででた、満面の笑みを見せつけるようにして、私は病室をでた。
次回は由比ヶ浜と雪ノ下編です。
次回は時系列もしっかりと分かりやすく書き入れられるように頑張ります。
では皆さん、これからも、どうぞご贔屓に~
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由比ヶ浜結衣と雪ノ下姉妹 《前編》
あと、時系列を書くのが苦手です。
良かったら感想でアドバイスお願いします。
時は物語から少々遡り、小町からの通話が終わって直ぐの事ーーーー
─────────────────────────
【結衣side】
あたしは、手に持っていた携帯がスルリと落ちたことにさえ気付かない位、現実を受け入れられなかった。
本当は、本当にドッキリか何かだと信じたいけど、さっきの小町ちゃんの感じから多分本当なんだろうな。
本当に、ヒッキー死んじゃったんだ。
私の思い人は、私の友達は、私達の『本物』を作って、守って、傷ついてくれていた人は、私の部活メートは、私のクラスメートは、本当の本当に、いなくなっちゃったんだろうな。
それを自覚しなきゃという自分と、認めるのが怖い自分が心と頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜる。
頭の中に、ヒッキーと過ごした、ゆきのんと過ごした、三人で過ごした、あの辛くて、悲しくて、楽しくて、本音を言えて、あたしの人生で最高に幸せだった時間が、その一瞬一瞬が忙しく、せわしなく過ぎり続ける。
その時、ほっぺに熱い何かがツゥ、とつたった。
涙だと、自覚したときにはもう止まらなかった。
結衣「う、……あぁぁぁ……ぁああああああああ!!うぁああああああああああああああああ!!……ふぇっく…うぁぁ……」
途端に体の力が抜けて、膝から崩れ落ちた。
ゴンと膝を床に打ち付けたけど、痛みを感じない位に、私は泣いている。
涙も嗚咽も絶叫も、まだまだ止まらない。
結衣「ああああ!っあ……うぁぁあ!!わぁぁあああ!!やだよ、嫌だよぉ!!ヒッギー死んじゃやだよぉ!!やだやだやだやだやだやだやだぁ!!あぁぁ!!なんで!なんで!なんで!なんでヒッキー死んじゃったの!?なんでよ!!なんでよぉ!!あぁぁぁ!!」
それから私が泣き止むまで、五分位かかったと思う。
でも、コレは私の感じた時間で、実際はどれ位経ったのか分からないけど……
あぁ、もう三人で過ごせないのか……
………こんなこと考えちゃ駄目だ、涙が止まんなくなっちゃうよ。
結衣「あ、ゆきのんに電話しないと」
ふっと、小町ちゃんに言った事を思い出して、私は床に落とした携帯を涙でびしょびしょに濡れた手で持って、電話帳のアプリを何とか開く。
画面に度々水滴がポタポタ垂れて、そのたびに拭くけどまた水滴は垂れてきて、上手く操作が出来ないや。
それでも何とかゆきのんの名前を探し出して、タップして電話をかけた。
一コールの途中で、ゆきのんは電話に出た。
雪乃『もしもし、由比ヶ浜さん?どうしたのかしら?』
今からヒッキーが死んじゃったのを、私の口から伝えないといけないのか……
辛いなぁ……凄いな、小町ちゃん。
これをやったんだから。
やっぱりヒッキーと似てるな、そういうとこ。
私も、ゆきのんにだけは、少なくとも、ゆきのんにだけは、伝えなきゃ。
スゥーハァー、スゥーハァー
よし。
雪乃『あの、由比ヶ浜さん?要件がないなら切っていいかしら?今姉さんが部屋に来て対処が………『何々ガハマちゃん?ひゃっはろー!』ちょっと姉さん!?電話中よ?常識的な判断を『えー?いいじゃーん!それでそれで~?どしたのガハマちゃん』はぁ……』
…………陽乃さん…まぁ、どうせ伝わるし……
でも、今はゆきのんにだけ伝えたいな。
分かんないけど、直接伝えないと行けない気がするから。
そうしないと、私は多分一生、後悔するから。
結衣「あの……ゆきのんに変わって頂けますか?今回はどうしてもゆきのんに直接伝えたいんです。」
苦手意識を持つ陽乃さんに、私は意を決して言ってみた。
陽乃『えー?そんな事言われたらお姉さん気になっちゃうな~?ほらぁ言ってみなよ♪』
でも、分かっていたけど陽乃さんは簡単には引いてくれない。
それはそうだよね、陽乃さんはこういうことに物凄い興味を示すからなぁ~、特にゆきのんに関する事だし……
でも、これだけは譲れない。
これは、私達奉仕部が向き合わないといけない、認めたくない現実なんだから。
そう、現実なんだから、受け止めないといけない。
だからこそ、これはゆきのんに早く伝えないといけない。
だから、今日だけは、陽乃さんに突っかかる。
結衣「すいません陽乃さん…今回ばかりは、今回だけはどうしても譲れないんです。
もしも気になるならゆきのんから聞いてください。
お願いします、これは、私達奉仕部が、長い時間を掛けて乗り越えなきゃいけない
そこまで言うと、陽乃さんはぶつくさ言いながらも、ため息をついてーー
陽乃『はぁ…分かったよ。今回だけだよ?雪乃ちゃんの友達のガハマちゃんだから許してあげる。
特例だよ?』
そう言って、OKしてくれた。
結衣「ありがとうございます」
いつもの私なら大声で喜んでるだろうけど、今回ばかりは暗く沈み込んでいて、淡々と、お礼を言った。
それからちょっとばかしして、ゆきのんが出た。
雪乃『ごめんなさい由比ヶ浜さん、姉さんが迷惑をかけてしまったみたいで……それで、どうしたのかしら?』
いざ伝えるとなると緊張するなぁ…
心臓がバクバクいって、でも恥ずかしいとかじゃ無くて、悲しくて、辛くて、胸が張り裂けそうな、そんな感じ。
……でも、言わないと。
今、伝えないと。
スゥー…ハァー…
スゥー…ハァー…
……………よし。
結衣「ゆきのん…悪いお知らせがあるの、スッゴい悲しいお知らせ。
でも、絶対に逃げないで、お願い」
そういうと、ゆきのんは何秒か開けてから返事をした。
雪乃「……分かったわ、何があろうと絶対に逃げない。約束するわ」
強い声で、そう言った。
言ってくれた。
それだけで、ほんの少しだけ心が楽になった。
………よし。
結衣「じゃあ…言うね?実はーーーーー
ヒッキーが………死んじゃった。」
そして、私は、ゆきのんに伝えた。
伝えたくない、でも伝えないといけない、認めたくない現実を、投げかけるように、伝えた。
それを伝えた時、私の心の中の何かが、崩れて、消えちゃったような感じがした。
次回は雪乃陽乃回です。
どうからませようか迷っているので、更新が何時もより遅くなる可能性が大いにあります。(早くなる、いつもどうりの可能性もあります)
読んでくれている皆様、誠に申し訳ございません。
今後とも、どうぞ宜しくお願いします。
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由比ヶ浜結衣と雪ノ下姉妹 【後編】
それではご覧ください。
【雪乃side】
私は、言葉を発することが出来なかった。
と言うより、言おうとした言葉を詰まらせてしまった、というのが正しい表現なのかもしれない。
私は、『あら、由比ヶ浜さんもそんな冗談を言うのね、脳がレベルアップしたのかしら?小学生に。』と言おうとした。
でも、それは恐らく逃げないという約束を破ることになる。
つまり私は、虚言をはいたことになってしまう。
そんな事は絶対に認めない。
それと、それを言おうとした瞬間の、電話の奥から聞こえてきた音のせいでもあった。
そうそれは、私が答える前の、由比ヶ浜さんの、はしたないようだけれども、鼻水を『ズズッ』と啜ったような音。
単なる鼻風邪かとも思ったが、特に彼女の声は鼻声でもないし、夏風邪ならば、わざわざ誰かに電話するような頭に響く事はしないだろうし。
ということは………
雪乃「由比ヶ浜さん…あなた、泣いているの?」
こういうことかしらね。
結衣『っ…あはは、やっぱ分かっちゃう?これでもさっきスッゴい泣いたんだけどね……』
ヒックと、泣くときの人特有のしゃっくりが由比ヶ浜さんから聞こえた。
ということは、やはり、本当なのね。
雪乃「そう…本当に比企谷君は……」
何だか、身体の半身をもがれたような気がした。
心の中の核のような、中心の半分が急に虚無に消えたような、今までにない感情が湧き上がる。
でも、彼女の前でこの感情をさらけ出してはいけないと思った。
何故かと問われれば、直感としか言いようが無いのだけれど。
今までの彼女と過ごしてきた、甘く、苦い時間。
そこからの経験と言うべきなのかどうか迷うところだけれども、何となく、私の頭に浮かんできたのだ。
ーーー由比ヶ浜結衣は、今私が泣いたら、取り乱したら、罪悪感に潰されてしまう、と。
───由比ヶ浜結衣は優しくて、強くて、でもつい空気を読んで他人と自分を傷つけないようにして来た、弱い女の子だ────
───それは、私達奉仕部の中でも変わらず、というわけでも無く、彼女は彼のおかげで『本物』に近づいてからは本当の本心を話すようになった───
───欺瞞に溢れた
───少し言い方が悪いかも知れないが、それが本心というものだ───
───しかし、それでも稀に、偽物の彼女の顔が覗く─
─────怯えて震える、弱い彼女が、──────
恐らく彼女は、奉仕部の仲間として伝えねばならないという強い使命感と、傷付けたくないという感情が、頭のなかでせめぎ合っている感じなんだろう。
ならば、せめて私だけでも、
雪乃(平静を保たなければならないわね…)
そう、思った。
そうしなければならないと。
例えそれが欺瞞で、私の大嫌いな虚ともなろうとも、彼女を傷付けないための最善の策を演じなければ、と。
心の底から、自分を嫌悪する感情が湧き出る。
これではまるで、私が、私達が最後まで否定し続けた、彼のやり方じゃない。
なにが、『アナタのやり方、嫌いだわ』よ。
今の私がそれじゃない。
でも、やっぱり彼も嘘つきだったのね。
私も、あなたの言葉を借りるなら、ぼっちというものだけれどもーーーー
ちっとも、大丈夫じゃ無いじゃないじゃない。
でも、彼はやり抜いた。
私も、やり抜かないといけないわね。
例え、由比ヶ浜さんと先程交わしたばかりの、逃げないという約束を破ることになろうとも。
雪乃「そう、比企谷君の御家族様もご愁傷様ね。彼が死んでしまったのは何時なのかしら。まぁでも、事件に巻き込まれた訳じゃないだろうし、死亡時刻もわからないわよね。それにしても、彼は一体どのように死んでしまったのかしら?いつもいつも死にそうな顔をしていた彼がどのように『ゆきのん』……ごめんなさい、失言だったわ。」
由比ヶ浜さんは、何時もとは違う、少し威圧感のある声色で私の言葉を遮った。
そして、
結衣「あの……なんていうか、その、ゆきのんが私のことを心配してくれてるのは嬉しいんだけどさ…そのせいでゆきのんが辛いの我慢するのも、私的にはちょっと辛いかな‥?」
今度は優しいというより、悲しみの割合の強い声色で、そう言った。
……ふふ
由比ヶ浜さんには、私のことはお見通しね。
ちょっと悔しいけれど……
その時に私はまだまだだとおもった。
彼女の真の
でも、どんなに泣きたくても、姉の前で弱さを見せたくない自分がいた。
いつもいつも追いかけてばかりの背中に、弱さを晒したくはなかった。
雪乃(そうね……姉さんには席を外して貰いましょう……まさか、自分が泣くために姉を追い出すなんて、甘い理想を抱くのね、私も。……傲慢ね。)
雪乃「姉さん、悪いのだけれど席を外して貰っても…っ!?」
そこまで言った所で、姉さんが私に抱きついてきた。
そして─
陽乃「雪乃ちゃん、ごめんね?お姉ちゃん話全部聞いちゃったの。だからさ、雪乃ちゃん…無理せず、弱さを見せてくれないかな?」
そう言ってきた。
姉さんに弱さを晒す?
冗談じゃないわ。
そんなことしたら、また、姉さんから突き放されてしまう。
大体ーー
そんな考えを遮って、姉さんは、私が想像しなかったことを口走った。
陽乃「私も、雪乃ちゃんに、弱さを、見せるから……だから、今の気持ちを、殺さないで?」
そこまで言われると、なんだか、耐えている自分がちっぽけに思えて、途端に、秘めた感情が膨らんで、もう、ダメだと思った。
そしてーーー
雪乃「姉さん……ちょっとだけ、胸をかして貰えるかしら?」
陽乃「うん、その代わり、私も抱き締めさせてもらうからね…」
雪乃「えぇ……構わないわ」
ギュッ
陽乃「……っう」
雪乃「……ぁあ…」
そして、この日二人は、まるで仲の良い兄弟のように、いや、悲しみを分かち合う親友のように、永く、永く、悲しみのまま、泣いていたーー
部屋には、携帯から聞こえる微かなすすり泣きと、二人の姉妹の泣き声が、静かに、響き渡ったーーー
どうでしょうか?
あ、長く、長くを永く、永くに変えたのは、そっちの方がより長い時間を表現出来るかなぁと思っての事なので、誤字では御座いません。
アドバイス、評価、登録、お待ちしております。
厳しい指摘も歓迎です。
それでは皆さん、どうぞご贔屓に~
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友情の再確認
実は最近充電がうまくいかないことが多々ありまして…
言い訳のようなんですが、信じてくれると嬉しいです。
これからは、父の機嫌を損ねて投稿の遅れることのないよう、気をつけたいと思います。
それでは、本編です。
私と姉さんが泣き始めて、どれくらいの時が経ったのかは分からないけれど、私はようやく落ち着いて思考を巡らせることが出来るようになってきた。
何となく、誰に見られている訳でもないのだけれど、なんだか姉さんと抱き合っているのが気恥ずかしくなって、ゆっくりと密着した身体を離した。
こんな状況でも羞恥心は働くのかと、素直に驚いている。
姉さんの顔を覗くと、スゥスゥと寝息を立てていた。
何時も何時も完璧な、背中ばかりを見ていた私の姉の顔は、相変わらずの美貌に、涙の跡と隈が浮かんでいた。
泣くなど慣れないことをして、身体的に疲れて寝てしまったのかしら。
それに、今日はお母様からの呼び出しもあったようだし……
それにしても…
雪乃「姉さんが泣くだなんて、とても意外だったわ……」
彼のことは、精々面白いオモチャ程度としてしか扱っていなかったと思っていたのに…
いや、だからこそ泣いたのかしら?
…そんな子供じみた理由で姉さんが泣くわけもないわ。
雪乃(姉さんが起きたら聞いてみましょう……)
むくりと身体を起こし、立ち上がった。
ヨロリ
しかし、急に立ち上がったせいか立ち眩みしてしまい、小指の先をテーブルの足にぶつけてしまった。
雪乃「キャッ!!……私としたことが、少々ドジを踏んでしまうなんて…比企谷君に笑われてしまうわね…」
はぁ、と溜め息をつく。
幸い、誰も見ても聞いてもいないので、恥を書くことが無かったのが幸いーーーー
結衣『キャッ!!って、ゆきのんもそんな声出すんだね~、確かに、ヒッキーが聞いてたり見てたりしたら、笑われちゃうね?』
……え?
まさかと思い携帯をみると、未だに通話が切れていなかった。
雪乃「わ、忘れて頂戴……」
ま、まさか由比ヶ浜さんに失態を見せてしまうなんて……
うーんと、唸り声が聞こえた後に、由比ヶ浜さんがしゃべり始めた。
結衣『やだ、忘れない。だって初めて聞いたゆきのんのドジった声だもーん!』
雪乃「あなたねぇ……」
はっ、と。
そこまで言って、私は思った。
なぜ彼女は、こんなにも明るいの?と
彼女は大切な人を失ってすぐに立ち上がる事が出来るほど強いとは思えない。
まぁでも、それも私の推測なのだけれど。
それでも、彼女の事は全てとは言わないまでも、それなりには理解しているつもりではいるわ。
それを用いて考えても、やはりこの答えしか思いつかなかった。
由比ヶ浜さん、あなたーーー
雪乃「……無理をしているの?」
私のために?
結衣『……っ…あ、あはは~、そんなことないよ~ゆきの~ん』
由比ヶ浜さん、一瞬言葉を詰まらせたわね…ということはやはり当たっていたのね。
雪乃「……はぁ、図星のようね。あなたが私を知っているように、私もあなたを理解しているつもりよ?少しは信用して欲しいわ……」
結衣『う、うん…でも、何で分かったの?』
雪乃「そんなの簡単よ。一つ、比企谷君のことが有ったのに、あなたがそんなに明るい訳ないから。二つ、私の問いかけに対し、一瞬言葉を詰まらせたから。そして三つ目はーー」
…まさか私がこんなことを言うことになるとは、思いもしなかったわね。
こんな性格で、高飛車で、友達なんて出来るはずもないいじめられっこだった私が、言うはずは無かったもの。
こんな、葉山君みたいな恥ずかしい言葉。
でも、やはり言わなければいけないと思った。
誰かに聞かれるわけでも無く、言わなければ今後の私の人生にそれほど大きな障害が残るわけでも無いけれども。
ただ、後悔したくないから。
恥を捨てて、正直な気持ちを、伝えるべきだと思ったから。
…なんだか、昔興味本位で手にとって、あまりの馬鹿らしさに二度と読まなくなった恋愛小説みたいね、私。
私は、二、三度深呼吸をして、伝えた。
雪乃「その、私はアナタのことを、友人だと思っているから。」
……恥ずかしいわ。
覚悟していたつもりだけれども、いざ言葉にすると予想を遥かに上回ってくるわね。
……そういえば、由比ヶ浜さんさっきから黙っているけれど、どうしたのかしら……
雪乃(ま、まさか、そう感じていたのは私だけで、私が
あんなことを言ったせいで)
結衣『へ?何言ってるの?ゆきのん』
雪乃「え?」
結衣『あたし達が友達な訳ないじゃん』
………そうだったのね。
私、舞い上がってしまっていたのかしら?
初めて私とまともに喋ってくれて、拒絶しないでくれた由比ヶ浜さんの優しさを、友情だと勘違いしてしまっていたのね。
そうよ、よく考えれば分かることじゃない。
……本当、滑稽ね。
結衣『友達じゃなくて、親友じゃん!』
雪乃「……は?」
結衣『あんなに本音が言えて、楽しくて、喧嘩もしたけどまたくっついて、こんなの、親友じゃなきゃなんなんだー!って話だよ!!
ゆきのんは、優美子よりも姫奈よりも隼人君よりもとべっちよりもいろはちゃんよりも、ずーーっと仲のいい親友だよ!』
由比ヶ浜さんは、力強く、耳が痛くなるくらいに、大声で叫んだ。
途端に、耳まで身体が熱くなるのを感じた。
ああ、そういうことだったのね。
さっきまで自分を卑下していた自分に寒気が走るわ。
初めてね。
嬉しさで顔が緩んでしまうのは。
比企谷君を亡くしたショックが無くなることは無いけれども、彼女のおかげで少し和らいだわ。
それにしても親友…私に親友……
雪乃「…ふふっ」
結衣『あー!ゆきのん笑ったー!!』
あ、
雪乃「あ、いえ、その、これは…その、」
こ、この私がしどろもどろになってしまうなんて…
羞恥心とは恐ろしいわね…今日二度目の辱めを受けてしまったわ。
こ、こんな時はなんて言えば良いのかしら?
こんな経験は無いから分からないわ…
結衣『あ、そーだゆきのん、お願いがあるんだけど…』
雪乃「え、ええ、何かしら?由比ヶ浜さん」
結衣『あたしのこと、名前で呼んでくれない?』
雪乃「…は?」
何故かしら?何故由比ヶ浜さんは突然こんなことを…
結衣「だめ…かな?」
雪乃「いえ、それは良いのだけれど…理由を聞かせてもらえるかしら?」
結衣『いやぁ、せっかくゆきのんと、お互いに親友同士って確認出来たんだしさ、この際名前呼びの方が良いなぁって思ったんだけど…さ。』
なる程、そういうことだったのね。
それでは由比ヶ浜さんの期待に応えなくてはいけないわね。
だって、他でもない、私の唯一の親友だもの。
雪乃「おほん、それでは……ゆ、結衣…」
結衣『うん!宜しくね、ゆきのん!』
……何で今日はこんなにも辱められなければいけないのかしら。
もしかして比企谷君の陰謀かしら。
せっかく収まった身体の火照りがまたぶり返して来てしまったじゃない。
今頃幽霊にでもなって笑っているのでしょう。
根拠もないのに腹が立つなんて、あなたすごいわね、比企谷君。
というか……
雪乃「あなたは名前呼びでは無いのね…」
結衣『私のは愛称だからいいの!』
雪乃「そういうものなのかしら」
結衣『そういうものだよ!』
こうして、数十分前とは打って変わって、私の凍てついた心は、ほんの少しだけ、温もりを取り戻すことが出来た。
どうでしたか?
次回は、出来れば小町の事情聴取、もしくは戸塚&材なんとかへの伝達にしたいと思います。
それでは、今後とも、どうぞご贔屓に~。
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