私とテストと幻想郷 (KuromeBright)
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幻想郷

お久しぶり。初めてのかたは初めましてKuromeBrightです。ついに2作目を投稿することになりました。ゆっくりしていってくださいね


12月25日。クリスマス。こんな特別な日でも多くの人間は普段と変わらない一日を過ごす。照りつける太陽。建ち並ぶ高層ビル。絶えず行き交う人間。そう、現代では当たり前のいつも通りの光景

 

「(・・・つまらないわね)」

 

そんな気持ちを覚えながらも私はベンチに座りながらその光景を眺めている。彼らは毎日毎日同じことを繰り返す。あんな生活送りたくないなと思いながら再び人混みを眺めていると一人の少年・・・いや少女が目に留まった。私は何故かその娘から目が離せなくなった。まるで吸い寄せられるように、こちらが眺めているだけなのに何かに包まれるような感覚に襲われた

 

「(何故かしらね。不思議と嫌な気分じゃないわ・・・)」

 

私がずっと見つめていたからだろう。少女もこちらに気付き駆け寄ってくる・・・え?駆け寄ってきた?そんなはずはない。私の周囲には結界が貼られているから人間が私を認識できるはずないわ。でも少女はまっすぐこちらに向かってくるから間違いなく気づかれている。結界を越えてくるなんてこの子は一体・・・?

 

「おねーさん、何してるの?」

 

少女は私に話しかけてきた。やはりこの子には私が見えている・・・いや結界が効いていないというのが正しいのか?いえ、それは一先ずおいておきましょうか

 

「私はこの景色を眺めていただけよ」

 

「そっかー!ところでおねーさんはどこから来たの?」

 

「私はね、幻そ?!・・・いえ何でもないわ。おねーさんは遠いところから来たの」

 

あぶない、私は今なんてことを言いかけたんだろう。普段口を滑らせたりしないのに。この子の前では何故か無条件に本音が出てしまいそうになる

 

「遠いところかー。私が知らない場所かな?うーん・・・あ!そうだおねーさん名前は?なんて言うの?」

 

「・・・紫、八雲紫よ」

 

「紫さん?うん、覚えた!もう忘れないよ!」

 

やっぱり思ったことをそのまま言ってしまう。この子には隠し事はできそうにないわね。聞かれたらすべて答えてしまいそう・・・

 

「ふふふ、ありがとう。ところで、あなたの名前はなんて言うのかしら?」

 

「あ!まだ言ってなかった。あはは!私は明奈!吉井明奈だよ!」

 

「明奈・・・いい名前ね」

 

「うん!えへへ」

 

明奈、明奈か。本当に言い名前ね。にしても、この子は気づいないのだろうか?それとも受け入れているのだろうか?

 

「ねぇ明奈、私から何か感じるかしら?」

 

まぁ気づいてないだけでしょうね。私は明奈との会話を始めたときから少しだけ妖力を出している。人間は妖力に恐れて私達に近づこうとしない。だからもし近づいてくる者がいればそれは妖力に気づいていないだけだ

 

「うん、なんかぶわーって。でも嫌じゃないよ」

 

「!?」

 

気づいてたのしかも妖力を嫌わないなんて・・・もしかしたらこの子になら

 

「ねえ明奈、あなたは・・・神や妖怪っていると思う?」

 

我ながらとんでもないことを聞こうとしているとは思っている。それでも聞かずにはいられない。私の理想の理解者になってくれるかもと感じてしまったから

 

「かみさま?ようかい?うーん、よくわかんないけどもしいたら楽しそう!みんなで遊んでみたい!」

 

明奈は無邪気な笑顔で答えてくれた。やっぱり、この子ならそう言ってくれると思った。みんなからは無謀だなんだと言われてきた私の理想の完成形。この子がいれば作り上げられるかもしれない

 

「なら・・・会ってみたくない?神様や妖怪に」

 

まぁ私も妖怪だから既に会ってるのだけど

 

「え?会えるの?」

 

「えぇ、私に着いてきてくれるのなら」

 

あれ?これってなんだか誘拐のセリフっぽい?そう感じたのは私だけかしら

 

「うーん・・・わかった!紫さんと一緒にいくよ!」

 

「そう、それじゃあ行きましょうか。最後の楽園『幻想郷』へ」

 

そう言って私は明奈を連れてスキマを開き中へ入った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~幻想郷、マヨヒガ~

 

「明奈、着いたわよ」

 

「ここがげんそうきょう?」

 

「えぇ。人間、妖怪や神々が住まう最後の楽園『幻想郷』よ。そしてここは私の家があるマヨヒガ」

 

それから私は明奈に幻想郷についていろいろと説明した。私の説明が良かったかは分からないけど明奈は理解してくれたみたいね

 

「私はね明奈、人間と妖怪が本当の意味で共存出来る世界を望んでいるの。あなたは私の夢は無理だと思うかしら?」

 

「よく分からないけど、紫さんがやりたいことは私も応援するよ!」

 

「そう?ありがと。それじゃあそろそろ移動しましょうか。幻想郷を回ってみましょう」

 

「うん!」

 

この子がいれば、いつか私の理想は現実になる。そんな確信が私にはあった。私が素を隠せないような不思議な子。どうか私の理想をこの子が導きますように




いかがだったでしょうか?今作はプロローグだけ先行投稿なので次回はしばらく空くと思います。詳しいことは活動報告にあるので見ていただけると助かります。それではまた!


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お散歩

お久しぶりです!受験が一段落したのでやっと活動再開です!

今回は明奈と紫が幻想郷のあっちこっちをうろうろと。ではどうぞ!

2018/2/22 誤字修正 明久→明奈
ご指摘ありがとうございます


初めまして。私、紫様の式神の八雲藍と言います。突然ですが私の話を聞いていただけないでしょうか?

 

私の主人である紫様は普段何をするのも億劫だというオーラを振り撒いていて行動を起こさない方です。式の私が言うのもなんですがあれはダメ人間(妖怪ですが)といっても過言ではありません。そして基本的に本音を喋らない方です。いつもどこかふくみのある、要は胡散臭いんですよ

 

何故こんな話を突然するのか。それは・・・

 

「「~♪」」

 

「・・・・・・」パクパク

 

「ちょっと藍?何故世界の終わりを見たような顔をしているのかしら?」

 

「い、いえ、スミマセン。あまりにも普段のお姿からはかけ離れていたので・・・」

 

あの怠惰で胡散臭い紫様が、見知らぬ女の子と楽しそうに会話しながら何処かへ出掛けようという場面に出くわしていたからです。ありえない、私の知ってる紫様じゃない!?

 

「ねぇ藍、今失礼なこと考えなかったかしら?」

 

「いえそんなことは」

 

「ゆかりさん、このお姉ちゃんは誰?」クイクイ

 

「(お、お姉ちゃん・・・)私は八雲藍。紫様の式神だ」

 

「しきがみ?」

 

「フフフ、私の家族みたいなものよ」

 

「ゆかりさんの家族?わたしは明奈だよ!」

 

「明奈、いい名前だね。よろしく」

 

どうやらこの少女は明奈と言うらしい。にしても不思議な子だ。おそらく外来人・・・外の世界から来たのだと思うが、普段外来人の事など気にもしない紫様がまるで我が子のように溺愛(普段の紫様を見ているとそう思える)しているし、私もなんというか・・・とても落ち着くのだ。彼女の側にいるだけで包み込まれるような感覚になり安心感を覚える。それに、何故だかこの子には勝てないような気がした。何がどう勝てないのか、具体的なことは分からないが勝てない・・・いや、追い付けない。そんな感じがした

 

「それじゃあ藍。私は明奈と出かけてくるから留守番お願いね」

 

「あ、はい、お気をつけて」

 

もう行ってしまうのか。もう少しゆっくりしていけばいいのに

 

「らんさん!またね!」ヒラヒラ

 

・・・フッ、「またね」か。そうだな。どうせまた会えるのだ。また会いに来たときに話せればいいか

 

「あぁ、またね。気をつけてな」

 

そして紫様は明奈を連れて何処かへ出かけた。そういえばどこに行くのか聞いてなかったな...まあいいか。さて、留守を頼まれたはいいが何をしようか。掃除は終わってるし、特にやることがない

 

「・・・たまにはお昼寝でもしますか」

 

たまにはいいですよね、紫様みたいにだらけても。私は普段頑張ってるんですからたまには紫みたくダメ人間(式神)になったって...ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・!?」

 

「ゆかりさん?どうしたの?」

 

「あ、ううん、なんでもないの」

 

何かしら、今、誰かにバカにされたような気がしたわね。まあいいわ。そんなことよりも今は楽しい時間なのだから

 

「これからどこに行くの?」

 

「白玉楼よ。私の友人がいるの」

 

「そっかー。楽しみだなー♪」

 

フフフ、ホントにかわいい子ね。普段の私だったらいちいち気に止めないんでしょうけど・・・やっぱりこの子には不思議な魅力があるわ。藍も少し気になってたみたいだし

 

そうこうしてるうちに私たちは白玉楼の入り口、冥界へと続く門の前まで来た

 

「明奈、これを渡しておくわね」

 

「これなぁに?」

 

今渡したのは護符。冥界に入るのに生身の人間では危険だからさっき明奈と会話していたときに片手間で作っていた。もちろん片手間だからって手抜きではないわ。万が一がないよう念入りに作ってあるから心配はないはず

 

「お守りよ。ちょっと危ないとこだから、明奈を守ってもらえるようにね」

 

「へー・・・ありがと!ゆかりさん」

 

「フフ、それじゃ行きましょうか」

 

私は冥界の門を開いて階段を登り始めた

 

 

 

 

 

 

 

何百段あるのかという長い階段を登り終えると一軒の大きな屋敷が現れた

 

「ゆかりさん、ここ?」

 

「えぇ、ここが白玉楼。私の友人が住んでるところよ」

 

「まてい!何奴!?」

 

「ビクッ!!」

 

あらあら、明奈が驚いちゃった

 

「妖忌さん、私よ」

 

「ん?なんじゃお主か。また遊びに来たのか?」

 

「えぇ。この子の挨拶回りでね」

 

「む?そういえば見ない顔だな・・・外のものか?」

 

「この子は明菜。私が連れて来た外来人よ」

 

私達が話している間明菜はずっと私の陰に隠れていた・・・かわいい

 

「ほぉ、お主が連れてきたのか。明奈、儂は魂魄妖忌。この屋敷で庭師をしている、よろしくな」

 

妖忌さんは目線を明菜に合わせ、優しい顔で挨拶をした。明菜も怖くないと認識したのか私の陰から出てきて言葉を交わした。明菜が妖忌さんと楽しそうに話している姿を私は穏やかな笑みを浮かべて見ている・・・・・・ことは出来なかった。明奈が私以外の人と楽しそうにしているのを見るとこう、胸のあたりがモヤモヤとした。なぜかしら?今までこんな感覚を覚えたことはない、初めてのことに私は軽く驚いていた。でも今はこの気持ちを理解できそうにないので一先ず忘れ、本来の目的に戻ることにしましょう

 

「妖忌さん、悪いけどそろそろ行かせてもらうわ」

 

「ん?そうか、少々名残惜しいが、仕方あるまい。明奈よ、また会おうな」

 

「またね、妖忌おじいちゃん!」

 

「うふふ、行きましょうか」

 

妖忌さんと別れ私たちは屋敷の中に入――――らない。あの子のことだから多分こっちにいるはず。そう考えて屋敷の外を少し歩きやがて大きな桜の木がある場所までやって来た

 

「あらあら?お客さんかしら?」

 

声がした方向へ目を向けると

 

「やっぱりここにいたのね、久しぶり幽々子」

 

「紫?随分久しぶりね」

 

「?」

 

白玉楼の主で私の親友である西行寺幽々子。見た目は成人かどうかといった感じだが彼女も普通の人間というわけではないので実年齢はも(ry

 

まぁそんなことはいっか

 

「あら?この子は・・・」

 

幽々子は興味を惹かれたのかまじまじと明奈のことを見つめる。明奈も見つめられて少し恥ずかしくなったのかまた私の影に引っ込んでしまった

 

「この子は明奈、外の子よ」

 

「へぇ、私は西行寺幽々子よ。にしても、あなたが外来人を連れてきただけでなく面倒まで見てるなんて・・・何か変なものでも食べた?」

 

あなたにだけは食べ物関連で言われたくなかったわよこの暴食娘。あ、私ご飯食べるの忘れてた

 

「あなたと一緒にしないで頂戴。それと明奈は協力者みたいなものよ」

 

「明奈ちゃんが?何の?」

 

「この子、私の理想の話をしたら応援してくれるって言ったの。あなたは私の理想のことは知ってるでしょ?」

 

私の理想、人妖の共存について知っている・理解を示してくれている人は限られているけど、幽々子はその内の一人

 

「そういうことね~。てっきり誘拐でもしてきたのかと思ってたわ(笑)」

 

「な訳ないでしょ!?全く」

 

笑えない冗談はやめて欲しいわ・・・冗談よね?

 

「・・・幽々子おねぇさん」クイクイ

 

「あら?何かしら?」

 

「よろしくね!」ニコッ

 

「!?え、えぇ、よろしくね」ニコッ

 

ちょっと待て。幽々子、あなたなんで恋する乙女みたいな顔してんの?そりゃ明奈はかわいいけど・・・ってそうじゃないわ

 

「明奈そろそろ次行くわよ」

 

「えー」

 

「明奈ちゃんはまだ帰りたくないみたいよ?」

 

「こっちもあまり時間が取れないのよ。明奈、ここにはまた来れるわよ。取り敢えず次の場所に行きましょう」

 

私としても無理矢理は嫌だけど、あまり時間がないのも事実。ここらでお開きにしないといつまで滞在するかも分からないわ

 

「うーん、分かったよ。幽々子おねぇちゃん、またね!」

 

「えぇ明奈ちゃん、また会いましょう」ヒラヒラ

 

幽々子に見送られながら私達は白玉楼を後にした。さて、次は・・・一応「下」にも行きましょうか

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふぅ」

 

紫と明奈ちゃんを見送った後私は少し考え事をしていた。紫は気づいていないのだろうか?基本、外来人が幻想郷に足を踏み入れると『能力』に目覚める。詳しいことまでは現状分からないけれど当然明奈ちゃんにも『能力』はある。それも、一歩間違えれば危険なんて言葉で済ませられない程強大なものが

 

「――――ま、私が言わなくても自分で気づくか親切な人が教えてくれるわよね♪そんなこよりもお腹が空いたわ~」

 

取り敢えず『能力』の件は誰かに丸投げということで。空腹を感じた私は屋敷に戻り食べ物を物色した




次回かその次ぐらいで幻想郷旅行を終わりにしてついにバカテス世界でのお話をスタートしようかと考えてます。

次回!「明奈の能力」お楽しみに!


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明奈の能力

大変遅くなりました。というのも実は作者、受験に失敗しましてwもう一年勉強生活ですので今まで余裕がなかったんですよ。それになかなかモチベも上がらずで、一先ず現状報告のために急ぎ書いた次第でございます。この話も進めたいと思うけど早く美穂とのイチャイチャも進めたいよ~

さて、長話もここまでにして本編行きましょうか、どうぞ!


「ゆかりさん、次はどこに行くの?」

 

「次は地底ね。あんまり行きたくはないけど・・・」

 

「???」

 

私達が向かうのは地底。ホントは行きたくないんだけどねぇ、あそこの連中面倒くさいし。いつも宴会テンションだし。でも取り敢えず出向いとかないと明奈が一人のときが心配なのよねぇ。私もいつだって一緒にいられるわけじゃなし・・・一緒にいたいけど

 

「うだうだ考えても仕方ないわね。さっさと挨拶済ませて帰りましょうか」

 

「?わかったー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~地底~

 

「ん?なんだ、妖怪の賢者様じゃあないか。なんでまた地底にいるんだい?」

 

「・・・・・・」

 

あぁ~、やっぱり絡まれたわ。地底の館の主に挨拶を済ませてさあ帰ろうとした矢先、目の前にいる妖怪・・・鬼に絡まれた。てか酒臭い。まだ夜にはなってないはずなんだけれど

 

「地底じゃ朝も夜もありゃしないよ」

 

「それもそうね、って心を読まないでくれるかしら?」

 

「んなこと心読まんでも検討はつくさ。ん?そっちのちっこいのは?」

 

「外来人よ。名前は明奈」

 

「へぇ~、外来人ね~・・・よっ明奈!アタシは星熊勇儀、見ての通り鬼だ。よろしくな!」

 

件の鬼...勇儀は自信の額から伸びたたくましい角を指さしながらニッ笑ってみせた。明奈は危険な相手ではないと認識したらしく初めて見る鬼に目を輝かせてるわね。でもコイツ既に酔ってるから危ないと思うんだけど…

 

「・・・・・・」

 

「あら?どうかしたの?」

 

「賢者、コイツの能力は分かるのか?」

 

「いいえ、私にはまだ分からないわ」

 

「なんだ、まだ知らなかったのかい?それとも普段本心を隠し本心を探らないアンタには分からなかっただけか…」

 

ん?どういうこと?私には分からないけど勇儀には明奈の能力が分かってるってこと?え?

 

 

「・・・まあいい、賢者、手のひらサイズの石ころを2つくれ」

 

「石ころ?それは構わないけど、何に使うつもりかしら?」

 

「ちょいとした確認だよ」

 

何をするのかは理解しかねるけど取り敢えず私はスキマを使って適当な石ころを2つ勇儀に渡した

 

「おい明奈」

 

「?なーにゆうぎさん?」

 

「今からアタシがやることと同じことをやってみろ」

 

「???わかったー」

 

明奈にも同じ石ころを持たせて何をするの?

 

「いいかー明奈、よーく見てよろ・・・」

 

そう言うと勇儀は体の力を抜いて目を閉じて…

 

「・・・・・・せいっ!!」グシャ!、パラパラ

 

「!?」

 

石ころを粉々に握りつぶした

 

「ゆうぎさんすごい!」

 

「お前もやってみ。いいかい?今の私をイメージしながら思いっきり力を入れんだ」

 

「わかった!」

 

「え?ちょ、勇儀?明奈がそんなことできるわけ・・・」

 

グシャ!パラパラ

 

「えぇ!?」

 

割れた・・・粉々に。明奈はまだ子供なのに何処からそんな力が・・・それ以前にあれは勇儀の能力あってのことだし…能力?

 

「気づいたみたいだね、賢者様」

 

「明菜にも怪力の能力があるのかしら?」

 

「(賢者様とは思えない程安直な回答だね)」

 

「そうじゃないよ・・・。明奈、さっき紫が出してたスキマを出してみな。紫がやってことをよーくイメージするんだよ」

 

「は〜い・・・えぃ!」スッ

 

「なっ・・・(パクパク)」

 

「条件まではアタシにも分からんが、明奈は他人の能力を使える。この幻想郷の中で最も危険な力だわなこりゃ。だが、その力を正しく使えりゃそれはとてつもない抑止力にもなりうるってとこだね」

 

「ゆうぎさん、わたしすごいの?」

 

「あぁ、お前さんはすごいよ」なでなで

 

「えへへ〜」

 

他人の能力を使える、確かに強力な能力ね。その強大な力は悪さを企む一部の連中には大きな抑止力になる。でも逆に悪事に利用されたら?…私達では到底太刀打ち出来ない最大の脅威になりうる。これは諸刃の剣。たまたま出会って連れてきたこの子がこれ程の力を持っていたなんて、完全に予想外だわ

 

「明奈の能力は危険だけど、だからといって縛り付けることはしたくないね。今の内に力のある連中には知らせに行くべきだろう」

 

「そ、そうね。まぁ今は幻想郷中を回ってるから丁度いいわ、そのついでに話をしてきましょう」

 

「そうかい。じゃ、アタシはそろそろ失礼するよ」

 

「ゆうぎさんもう行っちゃうの?」

 

明奈は勇儀に随分懐いたみたいね・・・ヤな感じ

 

「悪いね。でもお前さんにもまだ行くとこがあるだろ?大丈夫、また会えるよ」

 

「分かった・・・またね、ゆうぎさん!」

 

「あぁ、またな!じゃあ賢者様、後のことはおまかせするよ」

 

「えぇ、任されたわ。それじゃ明奈行きましょうか」スッ

 

「は〜い」|)彡 サッ

 

「・・・明奈が本当の意味で強くなったら是非とも手合わせ願いたいね〜。こりゃ楽しみが一つ増えたってもんだ」

 

『お〜いゆうぎ〜?何してたんだ〜?』

 

「何もないよ。ささ、飲み直しだ!」

 

『あいよ〜!』

 

「(明奈、アンタとやり合える日をアタシは待ってるよ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~太陽の畑~

 

「ゆかりさん、大丈夫?」

 

「はぁ〜、散々な目にあったわ」

 

地底で勇儀と別れた後、私と明奈は閻魔、四季映姫のところに行ったのだけれどそこで問題が起きた。タイミング悪く部下の説教中だったらしく、何故か飛び火して私まで説教を食らってしまった。確かにフラッと連れてきた外来人が幻想郷の運命を決めてしまうほど強力な力を秘めているなんてこと私達にとっては大問題だから仕方ないといえば仕方ないのだけれど…

 

「えっと・・・もう怒らないであげて?」

 

「?!しかしですね、う〜ん・・・。分かりました、今回はこれぐらいにしておきましょう。ですが!次はありませんよ?」

 

「「はい・・・」」

 

明奈がお願いすると映姫はあっさりと引き下がった。おかげで私と先に説教を受けていた死神の小野塚小町は早々に解放されることになったわ。全く明奈様々ね

 

そんなこんながあったけど一通り挨拶は済ませて今は最後の目的地、太陽の畑に来ている。正直ここが一番大事なところだ。ここに住んでいる大妖怪、風見幽香は基本おとなしいんだけど、彼女は自分のテリトリーや所有物が犯されること人一倍嫌う。だからもし明奈が何かこの場所で問題を起こそうものなら暴走した幽香に襲われかねない。明奈の行動には気をつけておかないと

 

「明奈、絶対に私の側を離れちゃダメ…」

 

シーン・・・

 

「よ・・・」

 

シーン…

 

「・・・あれ?明奈!?どこいったの?」

 

そ、そんな、いつまに明奈がいなくなってる!マズい、とてもマズいわ。余計なことする前に早く見つけないと、無事でいてよ、明奈!

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日もお花達に水を上げましょうか♪」

 

私はこの花畑で暮らしているしがない妖怪。今日も日課の水やりをしようとしていたんだけどいつもとはなんだか様子が違うことを察した

 

「(花達がいつもより元気ね、それに気配がある)」

 

花達が怯えていないから悪意を持った存在ではないでしょうけど、周囲を警戒してみると向日葵畑の方で人影が見えた

 

「あれは・・・人間?しかもまだ幼いわね、どうしてこんなところにいるのかしら?」

 

「?あ、おねーさんおねーさん!」

 

「え?わ、私?どうかしたのかしら」

 

急に声をかけられて対応が遅れてしまった。いや、それよりも、今の私は警戒心から妖気を出しならがら接しているのにこの子はまるで気にしていない。気づいてないわけではないようだし…私が怖くないのかしら?

 

「おねーさんもここのお花さんキレイだと思わない?」

 

「へ?」

 

「ほかの他もみんなキレイだったけどこのひまわりが一番キレイ!」

 

普通人間は私達妖怪を忌み嫌う。ま、妖怪=人間が恐れる存在なのだからそれは当然なのだけど、この子は全く恐ることなく、むしろ友好的に接してくる。いえ、友好的とかそんなものじゃない。この子の目、とても澄んでいてまっすくだ。悪い子ではない、本能で察したのか気づけば私は無意識に彼女に答えていた

 

「えぇ、そうね。私も一番素敵だと思うわ」

 

「ホント?!えへへ」

 

「っ!?」

 

「?おねーさんどうしたの?」

 

「いえ、なんでもないわ・・・」

 

いけない、あまりに無邪気でとても可愛らしい笑顔だったから思わずドキッとしてしまった。でも私は女の子同士の趣味なんて持ち合わせてない。これは・・・そう、性別云々ではなくこの子そのものが愛おしいと感じているのだろう。私はさっきから出会ったばかりのこの子に惹かれ続けている。あ、そういえばまだ名前を聞いてなかったわね

 

「ところであなた、お名前はなんて言うのかしら?」

 

「明奈だよ!おねーさんは?」

 

「え?・・・あっ」

 

ここに来て自分も名乗っていないことに気づいた。どうも今私の心には余裕が無いらしい。そんな自分が面白かったのか私は軽く笑みをこぼして自己紹介をする

 

「フフッ、私は・・・幽香、風見幽香よ」




う~ん...なんかすごい変な文章になってる気がする(中身が薄いのはいつものこと)
次で幻想郷sideは終わりを迎えてバカテスsideに移るきっかけを作る予定です。ただし投稿がいつになるかは分からない。明久×美穂も進めたいからなー...受験勉強の合間でなるべく書き進めようとは思います。更新の確認はたまーにでいいんです(なんなら急かしに来てください笑)
また次回お会いしましょう!


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追憶の終わり、物語は幕を開ける

月単位で放置したり約10日で更新したりとなんとまぁガバガバな作者だ、うん

今回は前回の続きが少しとそこから数年後、高校2年生になる直前のお話。進むにつれて訳わかんない文章になってると思いますがそれでも良ければ本編へどうぞ


「明奈!どこに行ったの明奈、返事して!」

 

どうしよう、あれから探し回っても見つからないなんて・・・あの子はまだ小さいし、そう遠くには行けない。まだこの花畑のどこかにいるはずなんだけど

 

「(お願い明奈、どうか無事でいて・・・!)」

 

明奈の無事を祈りながら私はまだ探してない最後の場所、向日葵が一面に咲き誇るエリアに向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ひまわり畑〜

 

「あれは・・・紫かしら?」

 

「…あ!そうだ、ゆかりさんと来てたの忘れてた」はわわ

 

「あらあら、忘れん坊さんね。紫!こっちよ」

 

「え、幽香?それに隣にいるのは・・・明奈!?」

 

あぁ、よかった!無事でホントによかった!というか既に幽香と一緒にいたのね・・・

 

「ゆかりさんごめんね、勝手に離れちゃって」

 

「ううん、いいのよ。あなたが無事ならそれでいいの」

 

「ゆかりさん・・・えへへ」

 

私は明奈を抱き寄せる。あぁ、確かに感じる、明奈はちゃんとここにいるのね。私が感傷に浸っていると横から声がかかった

 

「・・・アンタ、ホントに紫?」

 

「なんか前にも似たようなこと言われたわね、紛れもなく私よ」

 

『へっくし!』by式神

 

「そう、いつもの胡散臭さを感じないから人違いかと思ったわ。といってもあんたみたいなのが複数いたら大変でしょうけど」

 

「ねぇ、私の認識ってそんなのばっかなの?」

 

なんか調べたら不名誉な渾名(あだな)がたくさん出てきそうな気がする。これ以上聞かない方が私のためになるのかしら、でもちょっと興味あるし・・・

 

「ゆかりさんはいい人だよ!」

 

「え?明奈、ホントにそう思ってくれてるの?」

 

「うん!だってさっきもわたしのこと探してくれてたんでしょ?やっぱりいい人だよ!」

 

「明奈だけは私の味方よね〜♪んん〜大好きよ明奈〜♪」

 

「えぇ・・・(困惑)」

 

「ゆかりさん苦しいよー」

 

あぁ、明奈はなんていい子なのかしら、もう私の子にしてしまいぐらいだわ」

 

「紫、途中から声に出てるわよ」

 

「え?みんなもそう思うの?ありがとねー♪」

 

「???明奈、誰と話してるの?」

 

「え?お花さん達だよー」

 

「え?話せるの?ちょっと紫、どういうことかしら?」

 

「私にも詳しいことは分からないけど、明奈は他人の能力を使えるみたいなのよ。ここで言えばあなたの『花を操る程度の能力』ね」

 

「他人の能力ってそんなことー」

 

「出来るのよ、この子には。実際、私の『境界を操る程度の能力』と勇儀の『怪力乱神を持つ程度の能力』も使えたわ」

 

「・・・普段のアンタだったら到底信じられなかったけど、今のアンタはそれなりに信じられるし何より植物たちも明奈と話せてるみたい。本当に他人の能力を使えるらしいわね」

 

「最初の部分は余計だけど、まぁいいわ。分かってくれたならそれで」

 

にしても本当に他人の能力をホイホイと・・・でも具体的にはどういった能力なのかしら?他人の力を得るわけだから何かしらの条件はあるはずだし、どのレベルまで能力を扱えるのか、それに・・・

 

「(分からないことが多すぎるわね)」

 

少ない情報で無駄に考えても仕方ない、取り敢えずこの件は保留ね。ポイっと放り出して意識を明奈に向ける。明奈は植物達と楽しそうに会話していた(私には分からないけど)

 

 

「・・・」

 

「?どうしたの幽香」

 

さっきから黙って明奈を見つめていた幽香が気になって声をかける

 

「・・・ねぇ明奈」

 

「なぁに幽香さん?」

 

「これから毎日私の所に顔出しなさい」

 

「ほぇ?」

 

「幽香、どういうつもりかしら?」

 

「明奈に修行付けてあげるわ。あなたの能力は強すぎる、使い方を間違えれば危険なんてレベルではすまなくなるわ。だから私が力の使い方を教えてあげる」

 

なるほど、確かにそれは必要だ。強大な力を制御するには本人が実力をつけなければならない。私は『戦争』は出来ても『戦闘』はあまり得意ではないから、『戦闘』が得意な幽香に任せるのはいいかもしれない(ちょっと心配だけど)...ちょっと的はずれなこと考えてた自分が恥ずかしいわ・・・何とは言わないわよ?

 

「明奈はそれでもいいかしら?」

 

「いいよ〜」

 

明奈はあっさりとOKを出した

 

「決まりね。それじゃあ明日からちゃんと来るのよ」

 

「は〜い」

 

こうして明奈は毎日幽香の下で修行することになり私と明奈の時間は短くなるのであったマル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数年後、太陽の畑〜

 

「ほらほら、もっと動かないと届かないよ!」

 

「くっ!まだまだ!」

 

「遅い!」

 

「ぐぅっ!こ、降参よ、明奈」

 

「ほーい、じゃあ今日はここまでだね」

 

「全く、気づいたら私より強くなってるんだもの、これだとあなたじゃなくて私の修行ね」

 

「あ、あはは(笑)」

 

幽香に修行を付けてもらうことになって数年、気づけば私は幽香に勝てるレベルまで成長していた。始めのうちはホントにキツかったけど、文字通り血のにじむ様な努力を続けて今に至る(紫が心配のあまり殴り込みに来たこともあった)幻想郷の住人にとって紫が他人に構うことは異変レベルの事態だったらしく、あの日以降も誰かと会う度に様々な反応があり、その都度彼女が落胆する光景は見慣れた光景になった。...私の紫に対するイメージが揺らいだ瞬間でもあったのは本人にはナイショである

 

「はぁ、別にいいわ。いつかは負けると思ってたから。それより、早く戻って朝食にしましょう」

 

「りょーかい、何かリクエストはある?」

 

「おまかせするわ。あ、出来れば軽いものがいいわね」

 

「うーん、じゃあサンドウィッチでいいか。楽だし」

 

「お願いするわ」

 

「ほーい、それじゃ先に戻って準備しとくね」たったったっ

 

「・・・ケガ人の師匠置いて帰るとか酷くない?」

 

「(まぁかすり傷ぐらいしかないけどね。私もさっさと戻りましょうか)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~幽香の小屋~

 

 

紫&幽々子「「o(`・ω´・+o) ドヤァ…!」」

 

「いや何でアンタらがここにいんのよ」

 

「あら、来ちゃいけなのかしら?」

 

「私は明奈のごはんが食べたかったから〜」

 

「あはは(笑)」

 

私が幽香の小屋帰ってきたら何故か紫達がいて、話があると言われたから取り敢えず中に入れて朝食を作っていたら幽香が帰ってきて、今に至る

 

「別に来るなとは言わないわ。ただ唐突に来られても困るだけなのよ」

 

「まぁまぁ、はい幽香、サンドウィッチ。紫達の分もちゃんとあるよ」

 

あんまり険悪なムードにして欲しくないので出来上がったサンドウィッチで一先ず意識を逸らしてみる(※幽々子のサンドウィッチは特大サイズ)

 

「あら、ありがとう。じゃあ一先ず席に着きましょうか」

 

「「「「いただきま(〜)す」」」」

 

「ん〜♪やっぱり明奈のごはんは美味しいわ〜♪」

 

「幽々子は美味しそうに食べてくれるから作りがいあるんだよねー」

 

「・・・・・・」

 

「どうしたの、紫」

 

「・・・今更だけどなんかすごい時間をすっ飛ばした気がームグ!?」

 

「おっと、それ以上はいけないよ紫」

 

何かを言いかけた紫の口を明菜が抑え込む。何なのかしら?

 

「にしてもホントに上手よね、料理。私もそれなりには出来るけど・・・」

 

「私は全く出来ないわ!」

 

「そこは誇らしげに言うところじゃないよ」

 

「あら?」

 

「ところで紫、話って何?それで来たんでしょ?」

 

サンドウィッチを一通り食べ終えたところで紫に聞いてみる

 

「えぇ、明奈は明後日から学校だからね。色々と話しておきたかったのよ」

 

「そういえば明後日からだったわね、忘れてたわ」

 

「というかよく許してくれたよね、私が外の世界で高校生活をするの」

 

「私だって本当は行かせたくなかったのよ?でも明奈ったらスキマ使って勝手に外の世界に行っちゃうんだもの。友達まで作って挙句の果てには学校行きたいなんて言いだすし。あなたの願いは断れないわ」

 

「あはは、ごめんなさい」

 

「去年から学校に行ってたのは誰だったかしら?」

 

「私の他には幽香・フラン・文だよ。今年からは誰か増えるんだっけ?」

 

私が高校に行くことが決まった時、一緒に着いてきたきたのがフランたちだ。フランは紅魔館の主レミリア・スカーレットの妹で訳あって私のことも姉として慕ってくれている。文は趣味でブン屋をしている烏天狗で、のほほんとしてるけど実は紫達と同じく千年以上生きてる大妖怪らしい

 

「妹紅と咲夜、それと教師側で慧音が行くことになってるわ...あのメイド長が居なくなったら紅魔館はどうなるのかしら」

 

咲夜は紅魔館のメイドを束ねるメイド長。慧音は人里で寺子屋で子供たちに勉強を教えていて妹紅はたまに慧音の手伝いをしている

 

「大丈夫だと思うよ。前に咲夜に聞いたら妖精メイドだけでも本当は足りてるんだって」

 

「へぇ〜、妖精でも出来るやつは出来るってことかしら」

 

「私だって明奈と一緒に学校行きたかったわ〜」

 

「幽々子が居なくなったら誰が冥界を管理するのよ。流石にあの半霊剣士には務まらないわよ」

 

「それもそうなのよね、残念〜」

 

幽々子がいなくなったら冥界の魂の管理が出来なくなっちゃうもんね。残念だけど我慢してもらうしかない

 

「さて、明奈、幽香。そろそろ行って準備したほうがいいんじゃない?他のみんなはもう向こうで部屋の整理始めてるわ」

 

「え!?もうみんないってるの?幽香!私達も早くいこう」

 

「え?ちょ、そんな慌てないで・・・」

 

ガチャ、バタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・・。」」

 

「行っちゃったわね」

 

「えぇ、まったくあの子は・・・」クスッ

 

「また寂しくなるわね~、次はいつ泣き出すかしら?」クスクス

 

「な!?そ、そんな泣いたりなんかしないわよ!」←前科あり

 

「うふふ~、じゃあ私も帰るわね~」ひらひら

 

ガチャ、パタン

 

「・・・はぁ、みんないっちゃった。てか、なんで幽香の小屋を最後に出るのが私なのかしら」(笑)

 

「明奈、精いっぱい高校生活を楽しんできなさい。あなたが笑顔でいることが私の、みんなの願いだから」

 

誰もいなくなったこの場所で、私は明奈の素敵な人生をひっそりと祈るのだった




なんだこれ?(作者の率直な感想)何とか高二まで引っ張らないと話が進まなかったんで無理な時間経過は許してください何でもしますから!

はい、次回からバカテスワールド入りまーす。作者はフランとの絡みが多めになるように作っていくつもりですが他のキャラをないがしろにしない事だけはここで誓います!

後、明奈は学校では基本明久(つまり男装女子)としてやっていこうと思いますのでご理解のほどよろしくお願いいたします

それではまた次回お会いしましょう!


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学年首席?誰が?

今回からバカテスワールド突入!まずはクラス分け・AとFの自己紹介です


春、桜吹雪が舞い、誰もが足を止めて魅入ってしまうこの季節。先程まで多くの学生や大人が桜の写真を撮ったり談笑していたが今は散った花びらだけが残されている。現在の時刻は8時30分、大半の生徒は学校に着いており、これからHRといったところだろう。しかし・・・

 

「「ち・こ・く・だぁ〜!!!」」

 

桜には到底似合わない言葉を叫び、桜に目もくれず疾走する2人の生徒がいた

 

「もー!お姉さまなんで起こしてくれなかったの?!」

 

「アラームが壊れてたの!後こっちでその呼び方はダメだよフラン」

 

「あっ、ゴメン明久」

 

「学校では特に気を付けてね。それより急がないと...」

 

そう、私こと吉井明久とフランドール・スカーレットである。私は吉井明久と名乗り男子生徒を演じている。何故かというと、単に私がそうしたかったからだ。幻想郷(あっち)では気にならなかったけど外の世界(こっち)で派手に動き回るのに女の子のままではめんどくさかった。だから紫にも頼んで私が男子として高校に入学したのだ(実際、紫の男装を見たいという欲望による所もある)。ただ、一年の時のフラン達は私達に混じって騒いでたからどの道関係なかったのかもしれない

 

「校門が見えた!急げー!」

 

「遅刻だぞキサマら!!!」

 

「うわっ!鉄じ・・・西村先生、おはようございます」

 

「あぁ、おはよう。ところで吉井、今鉄人と言わなかったか?」

 

「あはは、気のせいですよ(汗)」

 

私たちが通っている高校『文月学園』の教師で、私が女子であることを知ってる数少ない人物の1人が西村先生だ。特定の教科にはついておらず、補習担当の西村先生は趣味がトライアスロンであることとそれゆえの並外れた身体能力から『鉄人』『伝説の傭兵』などの渾名がつけられている。そして、1年のときに『いろんな面で』お世話になった人だ

 

「いいじゃん、鉄人ってあだ名カッコよくない?」

 

「フラン・・・」

 

「はぁ、お前達は・・・まぁいい、振り分け試験の結果だ。受け取れ」

 

そう言って渡されたのは割と大きめの茶封筒

 

「ありがとうございます。にしてもこれを1人1人にって大変じゃないですか?」

 

「それはそうなんだが、ウチは世界から注目されている試験校だからな、これもその一環ってわけだ」

 

「へー、そんなもんですかね」

 

「それよりお前達、早くクラスを確認しろ」

 

「あ、はーい」ペリペリ

 

「明久〜私Aだったよ〜」

 

「おめでとフラン。なら僕もAクラスがいいなっと」

 

この学校は振り分け試験の結果でAからFのクラスに分けられる。余程のヘマを踏んでなければAクラスにはなれてるとおもうんだけど・・・

 

 

 

2年 吉井明久 Aクラス 首席

 

 

 

・・・へ?

 

「あの、鉄人、学年首席って誰ですか?」

 

「鉄人と呼ぶな。それと自分の目で確認しただろ。お前だ吉井」

 

「えぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aクラス前廊下

 

「まさか僕が学年首席になるとは・・・」

 

「よかったじゃん明久、1番だよ?」

 

「嬉しいけどね、まだ実感ないんだよ」

 

現在8時45分、HRはとっくに始まってるし今頃自己紹介の時間かな?

 

「初日から首席が遅刻か〜」ボソッ

 

「フラン!聞こえてるよ」

 

「アハハ♪明久が怒った」

 

「まったく、入るよフラン」

 

「はーい」ガラガラ

 

「失礼しまーす。遅くなりましたー」

 

「ましたー!」

 

「遅刻ですよ。私はAクラス担任の高橋洋子です。今自己紹介が全員終わったところなのであなた方もお願いします」

 

「フランドール・スカーレットです!好きなことは体を動かすこと、よろしく!」

 

「吉井明久です。趣味は料理です。よろしく」

 

(吉井って観察処分者のか?)(なんでAクラスにいるの?)(カンニングでもしたのか?)ザワザワ

 

うーん、やっぱりそういう反応になるか。『観察処分者』、学内外で問題を起こした生徒に与えられる不名誉なレッテル。教師の雑用を手伝わされたり、クラス間で行われる戦い『試験召喚戦争』でのペナルティが課される。ちなみに観察処分者が認定されたのは僕が初らしいく、稀代の問題児として一部の生徒や職員からは冷たい目で見られることもある

 

「静粛に、試験監督は私と西村先生で行っていましたから、その中でカンニングなど不可能です。吉井くんの実力は本物ですよ。それに、観察処分者に関しても・・・いえ、あれは吉井くんの自業自得でしたね」

 

「ちょ、高橋先生!最後だけ全然フォローになってないですよ?!」

 

そこはフォローしようよ!?

 

「では何か言い訳でも?」

 

「善行を積んだだけです」キッパリ

 

「善行のために悪行を働いては元も子もありませんよ」

 

「おっしゃる通りです・・・」

 

人助けのためとは言え、処分予定の古本と間違えて西村先生の私物を売り払ったのは事実だもんね。けどあれは仕方ない、仕方なかったんだ

 

『あの〜高橋先生、今更なんですけどAクラスの首席って誰なんですか?』

 

『首席どころか次席も分からないんですけど』

 

「そうでしたね。では首席と次席の方には名乗り出てもらいましょうか、どうぞ」

 

え、この状況で?物凄く言い出しにくいんだけど。でもこのままだと話が進まないし・・・仕方ない、後が大変そうだけどね

 

「えっと、改めまして学年首席の吉井明久です・・・」

 

「次席のフランドール・スカーレットで〜す♪」

 

『『『なにぃぃぃぃぃ!?』』』

 

『吉井が学年首席だと!?』

 

『代表って霧島さんじゃなかったんだ』

 

ワイワイガヤガヤ

 

あぁーほら、騒がしくなった。でもそれより気になるのが...

 

「フランが次席!?」

 

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

「Aクラスとしか聞いてないよ・・・」

 

私にとってはフランが学年次席だったことの方が衝撃だ。というか真面目にテスト受けてたのか

 

「明久と同じクラスがよかったから頑張ったらこうなった」

 

心の声を読まないで下さい。っとそうだ

 

「高橋先生、僕達の席ってどこですか?」

 

「窓側の空いている席が吉井くん達の席です」

 

「ありがとうございます。フラン、行くよ」

 

「うん!」

 

クラスメイトの確認とかは落ち着いてから確認すればいいか。みんなはどこのクラスに言ったのかなー?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fクラス

 

遅い。いくらあのバカでも初日から欠席なんてしないはずだ。どこほっつき歩いてやがる

 

ガラガラガラ

 

ちっ、やっと来たか

 

「遅せぇぞうじm「みなさん席に着いてください」っと先生でしたか」

 

明久(バカ)が未だに来ないことを頭の片隅に置いて俺は教師の話に耳を傾ける

 

 

「えー、私がFクラスの担任になりました・・・福原慎です」

 

担任は黒板に名前を書こうとしてやめた。チョークすら用意されていないのかここは!?ホントに教室か?

 

「それでは自己紹介をしてもらいます。廊下側の人からどうぞ」

 

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる、よろしく頼むぞい」

 

秀吉か。あいつは俺の遊び仲間もとい親友の1人で演劇部のポープと呼ばれている。そして・・・

 

「後、わしは男じゃ」

 

『バカな!?秀吉が男だと!?』

 

『神は我らを見捨てたのか!?』

 

『いや待て、男だとは言ったが女子ではないとは言っていない。つまり第3の性別"秀吉"なんだ!』

 

『『お前天才か!』』

 

「わしは男じゃ!!!」

 

中性的(と言うより女寄り)な顔立ちのせいで男だとは認識されない可哀想なやつだ。おっ、秀吉が諦めの表情で席に着いたな。次のやつは...

 

「・・・土屋康太」スッ

 

終わりか!?短ぇよ!康太も相変わらずだな。土屋康太は普段は寡黙で明るいタイプではないが女子が関わると人が変わる。康太は並外れたスケベ心を持ちながらもそれを否定していることから『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』の異名を持っている。まあ、土屋康太=ムッツリーニの事実を知ってる奴は少ないがな。やつの諜報能力はプロ並みだから、これからの『戦争』では期待してるぜ

 

「ーです。趣味は・・・」

 

ん?女子か、珍しいなこんな底辺クラスにいるなんて。でも待てよ?この声聞き覚えが・・・

 

「吉井明久を殴ることです☆」

 

こんな危険な趣味を持ってるやつは1人しかいねぇ!見るとやはり明久の天敵、島田美波だった。島田は帰国子女で1年の頃明久に助けて貰ったらしいんだが、どういうわけか最近では明久に暴力を振るうようになった。本人曰く「お仕置き」らしいがにしてはやり過ぎだし、なにより理由が無茶苦茶だ。正直明久に近づいて欲しくない、要注意人物だ

 

「(何よ、吉井のやついないの?後でお仕置きね...!)」

 

また何か企んでやがんな。悪いがそんなことはさせねぇよ

 

「すいません、遅くなりました!」

 

『え?』

 

クラスの中からそんな腑抜けた声が聞こえたが無理もない

 

「ちょうど自己紹介をしていたところです。貴方もお願いします」

 

「あ、はい。姫路瑞希です、よろしくお願いします!」

 

『あの、どうしてここに居るんですか?』

 

聞き方は少し悪いがこれも仕方ないだろう。姫路瑞希は入学以来学年トップクラスの実力を持つ才女で、本来Fクラスなるようなやつじゃない。何か事情があるのか?

 

「実は、試験中に熱が出てしまって」

 

なるほど、ウチの試験は厳しい。体調不良だろうがなんだろうがテストを受けていなければ問答無用で0点扱いされる。しかしとんでもないカードが舞い込んだもんだな。これは嬉しい誤算だ

 

『なるほど、俺も熱(の問題)が出たから』

 

『化学だろ?むずかったな』

 

『俺は弟が事故にあったと聞いて・・・』

 

『黙れ一人っ子』

 

『前の晩彼女が寝かせてくれなくて』

 

『『『今年一番の大嘘をありがとう』』』

 

想像を超えたバカばっかりだ

 

「え〜、では最後に代表の坂本君お願いします」

 

やっと俺の番か

 

「代表の坂本雄二だ。代表でも坂本でも好きに呼んでくれ」

 

 

「お前ら、自分の設備を見てみろ。ちゃぶ台に座布団。このクラスには机すら与えられていない、それに比べてAクラスはどうだ。システムデスクにリクライニングシート、個人のエアコンや冷蔵庫まである」

 

俺は一呼吸入れて問う

 

「不満はないか?」

 

『『『おおありじゃあ!!!』』』

 

「そうだろう不満だろう!そこでだ・・・」

 

想像以上に強いクラスの意思を確認したところで俺は本題を持ち出す

 

「試召戦争をやらないか?」




雄二の戦力解説と残りの幻想郷メンバーの登場は次回に。またお会いしましょう


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Fクラスの戦力

Fクラス以外のメンバーまで手が回らなかった...なので今回はFクラスの戦力紹介から開戦までです

ちなみにFクラス、Dクラス共に東方メンバーいます


「試召戦争をやらないか?」

 

俺の一言でFクラス内が静まり返る。そして、

 

『は?試召戦争?』

 

『どことやるんだよ』

 

「俺達Fクラスが目指すのはAクラスだ!」

 

『無理だ!』

 

『勝てるわけない!』

 

『姫路さんがいれば何もいらない!』

 

姫路にラブコールを送っているやつはどうでもいいが、予想通りの反応だ。『試験召喚戦争』略して『試召戦争』は生徒の学力を用いたクラス間の戦い。底辺のFクラスが頂点のAクラスに挑むなんて無謀もいいとこだ。だが

 

「いや勝てる!このクラスにはAクラスを倒す為の戦力が揃っている!」

 

『そうなのか?』

 

「あぁ、1人ずつ紹介してやる。まずは秀吉だ」

 

「む?わしかのぅ?」

 

「秀吉は演劇部のホープだ。その演技力は試召戦争でも役に立つだろう」

 

『『『秀吉ー!好きだー!』』』

「・・・・・・。」

 

『『『無視!?』』』落ち込み

 

「そして・・・康太、いつまでも姫路のスカートを覗いてないでこっちに来い」

 

「!?(ブンブン)」

 

「はッ、はわ!?」

 

「コイツがかの有名な寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ」

 

「・・・!!」ブンブン

 

『馬鹿な・・・奴がそうだというのか?』

 

『だが見てみろ、バレバレの証拠を未だに隠そうとしている』

 

『あぁ、ムッツリの名に恥じない姿だ・・・』

 

そこは恥じるべきだと思うがな さて、次いくか

 

「そして姫路だ。皆もその実力はよく知っているはずだ」

 

「へ?私ですか?」

 

「ウチの主戦力だ。期待してるぞ」

 

『俺達には姫路さんがついてるんだ!』

 

『姫路さんはAクラスレベルだしな!』

 

『彼女さえいれば何もいらない!』

 

誰ださっきから姫路にラブコールを連発してる奴は。だがここで話の腰を折るわけにもいかねぇ、ここはスルーだ

 

「当然だが俺も全力を出そう」

 

『坂本ってなんかやってくれそうな雰囲気あるよな』

 

『確か小学校の頃神童って呼ばれてたんだろ?もしかして坂本もAクラスレベルなんじゃないか?』

 

『おいおい、ホントにいけるんじゃねーか!?』

 

だいぶ乗ってきたな。だが残念なことに今の俺にはAクラスレベルの学力なんてないんだが、余計なことを言って戦意を失くすようなことはしない

 

「それに吉井明久だっている!」

 

シーン・・・

 

『誰だ吉井って?』

 

『そんな奴いたか?』

 

「今日は来てないみたいだが、知らない奴らのために教えてやろう。アイツの肩書きは『観察処分者』だ!」

 

『『『な、何ィィィィィ!?』』』

 

「あの、観察処分者ってどういうものなんですか?」

 

「あぁ、優等生の姫路には無縁な世界だから知らないのも無理はないな。観察処分者ってのは言ってしまえば『バカの代名詞』だ。教師の雑用係が主だが、力仕事なんかのために特例として物理干渉が出来る召喚獣を扱えるんだ」

 

「なるほど、召喚獣は力が強いみたいですからね。でもそれが試召戦争にどう関係するんですか?」

 

「観察処分者の召喚獣ってのは本人に何割かのフィードバックがつくデメリットがあるが、繋がりが強い分他人よりも操作がしやすい。それに教師の雑用でよく召喚してるから他の奴らと比べても操作技術は比べ物にならない。奴の操作技術は恐らく学年一だ。戦場では相手の撹乱に大いに役立つはずだ!」

 

『すげえ!これはいけるぞ!』

 

『あぁ、Aクラスも夢じゃない!』

 

「そうだ!俺達には力がある!そこでだAクラスに挑む前にまずは俺らの力の証明としてDクラスを落とそうと思う。皆、この境遇は大いに不満だろう!?」

 

『『『当然だ!』』』

 

「ならば(ペン)をとれ!出陣の準備だ!」

 

『『『おぉ〜〜〜!!!』』』

 

「お、ぉ〜」

 

流石はFクラスだ、単純すぎるぜ。そして姫路、無理に頑張らんでもいいぞ

 

「Dクラスへの大使は・・・そうだな、須川!逝ってこい」

 

「ふざけるな!下位勢力の大使は酷い目に会うんだろ!?」

 

「お前は映画や本の話をしてるのか?そんなことあるわけないだろ。それに、宣戦布告でカッコイイとこ見せれば女子が寄ってくるかもしれんぞ?」

 

「行ってこよう!」キラキラ

 

すげえな、女子が絡んだ途端目の色変えて飛び出して行きやがった。ま、

 

「もちろん冗談だがな」

 

「お主は鬼畜じゃのう」

 

「さすがにアレは騙される方の責任だと思うがな」

 

「ねえ坂本」

 

「ん?お前は・・・誰だ?」

 

「風見幽香よ。それとこっちがー」

 

「藤原妹紅だ。よろしく」

 

声がした方を向くと二人の女子生徒がいた。うちのクラスか?自己紹介のときには気づかなかったが・・・いや、そもそも女子がいればクラスの奴らが騒ぎ立てるはずだ、気づかないはずがねぇ。コイツら何者だ?

 

「あら?どうかしたのかしら代表?」

 

「俺を代表呼びってことはクラスの奴か、だがお前ら自己紹介のときいなかったよな?」

 

「私らはさっきまで別の場所にいたからな。それより試召戦争が終わったら話がある」

 

「話?俺にか?」

 

「えぇ。そうね、明久のことと言えば分かるかしら?」

 

「何?お前ら、明久のこと知ってるのか?アイツがどうしたってんだ」

 

「落ち着きなさい。試召戦争が終わったら話すと言ったでしょう。今は目先のことに集中なさい」

 

「・・・すまない、少し熱くなったな」

 

何なんだコイツら、明久のことを知ってるし、何より明久の話をする時の覇気?が並の人間に出せるもんじゃねぇ。明久の名前を口にした瞬間、縛り上げられるような感覚になった。俺が『悪鬼羅刹』なんて二つ名付けられて暴れてた頃からしても感じたことのないレベルだ。コイツらの前で余計なことをするのは得策じゃねぇな

 

「それじゃあ代表、また後でね」

 

「あぁ」

 

風見とのやりとりを終えて数分後、ボロ雑巾のように変わり果てた須川が帰ってきた

 

「坂本!よくも騙したな!奴ら凄い形相で掴みかかってきたぞ!?」

 

「まさか本当に襲いかかってくるとはな(すっとぼけ)

それで、宣戦布告はしてきたんだろうな?」

 

「あ、あぁ、開戦は1時からだ」

 

「そうか、よくやった。お前ら、昼飯はしっかり食っとけよ。後で力が出ませんでしたなんて許さんぞ。それから秀吉・康太・島田・姫路、それから風見に藤原、この後屋上に来てくれ」

 

「何をするのじゃ?」

 

「作戦会議だ。つっても、俺の作戦を伝えるだけだがな」

 

「既に作戦が決まってるってことは始めから試召戦争をやるつもりだったみたいね」

 

「そういうこった。行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上

 

「へぇ、結構いい所じゃない」

 

「風邪が気持ちいいですね」

 

「全員集まってるな?早速会議を始めるが、まずお前らを呼んだのは他でもない、今回の戦争ではそれぞれに幹部に担ってもらうためだ」

 

「幹部とな?部隊の指揮でも取ればいいのかのう?」

 

理由としてはそうだ。それと、俺には1つ確認したいことがある

 

「部隊指揮に関しては島田・秀吉が主になってもらう、ムッツリーニは諜報だ。そして、今回の鍵である姫路」

 

「は、はい!」

 

「姫路は点数がないだろう。俺達がDクラスを抑えてる間に回復試験を受けてもらって最後に一気に叩く!やれるな?」

 

「わ、分かりました、頑張ります!」

 

「それと風見、藤原。俺はお前達の実力を知らないある程度点数があれば遊撃を任せたいんだがどうだ?」

 

「そうね、私たちは特に問題ないわよ。Fクラスの中では高い点数だと思うわよ?」

 

「私もそれでいいぞ」

 

自信あり、か。だかそれならありがたい。作戦を練り直す必要はなさそうだ

 

「そうか、なら今回の作戦を大まかに伝える。今回のスタイルは持久戦だ。さっきも言った通り、姫路の回復試験が終わるまで粘って一気にケリをつける。秀吉には前衛部隊、島田には中堅部隊を率いてDクラスの足止めをしてもらう。」

 

「分かったわ。でも坂本、なんでDクラスなの?格上って意味なら先ずEクラスじゃないの?」

 

「Eクラスに関しては戦うまでもないからだ、今のFクラスには『例外』が多いからな。真正面からぶつかったってまず負けることは無い」

 

「Dクラスはそうはいかないってこと?」

 

「その通りだ。確かにここにはFクラスとしては規格外のメンバーが集まってるが、それでも大半の奴らはDクラスに圧倒的に劣っている。だからこそ、確実とは言えない相手に勝つことでモチベーションの向上を図ろうって訳さ」

 

「へぇ、結構考えてるのね」

 

「当然だ。俺は勝算のない戦いはしない主義だが勝算さえあればあらゆる手段を使って最前を尽くす」

 

キーンコーンカーンコーン

 

おっと、もうすぐ時間か。そろそろ戻った方がいいな

 

「よし、会議はここで終了だ、教室に戻るぞ」

 

「明久は結局来なかったのう」

 

「明久といえば、あいつ今年の昼飯はどうなるんだろうな」

 

「え?吉井くん、お昼ご飯に何かあったんですか?」

 

「なんというか、あれはなぁ・・・」

 

明久の昼飯は基本的に『水と塩』だったからな。アレを初めて見た時は流石に哀れに思えたな

 

「・・・・・・。」

 

姫路やつ急に黙り込んだがどうしたんだ?変なこと考えてなきゃ別にどうでもいいんだがな

 

「「・・・(クスクス)」」

 

風見と藤原は何故か笑ってるし、俺らの会話におかしなとこがあったか?いや、明らかにおかしいとこはあったが奴らは俺よりも明久との関わりが深そうだし、あの惨状知らんはずはないだろう。ほんとによく分からん奴らだ

 

「・・・早く戻ろう」

 

ムッツリーニの一言で俺らは足早に教室へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試召戦争開始時刻

 

「もうすぐ開戦だ!戦意は十分か!」

 

『『『おぉ〜〜〜!!!』』』

 

キーンコーンカーンコーン

 

「行け!Dクラスの奴らに最底辺の底力を見せつけてやれ!!」

 

『『『うぉぉぉぉぉ!!!』』』

 

こうしてFクラス対Dクラスの戦いが始まった




というわけでFクラスの東方メンバーは幽香と妹紅でした!Dクラスに誰がいるかは後々分かります。が、今回主人公の明久くんが一切出てこなかったので次回にAクラスの話を挟んでその後Dクラス戦にしたいと思います

ではまた次回!


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Aクラスの会合

今回はAクラス主要メンバーの自己紹介とFクラスの分析です。そして今回も始まらないバトルシーン



Aクラス

 

「以上でHRを終わります。次に本日の時間割ですが・・・」

 

流石は文月学園、初日から授業とはなんという鬼畜さだろう

 

「一限は(prrrrr)はい高橋です。はい、はい・・・分かりました、では失礼します(ピッ)」

 

急に電話か、なんかあったのかな?

 

「FクラスがDクラスに試召戦争を仕掛けたようなので本日の授業は自習とします。各自、学習を怠らないで下さいね」ガラガラ、パタン

 

自習!?つまりは・・・

 

「寝よう」

 

「明久寝るの?」

 

「だって自習だよ?寝なきゃ損でしょ」

 

「うーん、そうだね!私も寝る!」

 

「いや、自習なんだからしっかり勉強しなさいよ」

 

寝ようと思って目を瞑ろうとしたら声をかけられた。声のした方を向くと僕がよく知っている顔が視界に入った

 

「ん?秀吉?なんでAクラスに・・・って違うか。もしかして秀吉のお姉さん?」

 

「えぇ、アタシは木下優子よ。秀吉と被るでしょうから私のことも名前で呼んでちょうだい」

 

秀吉じゃなくてお姉さんの方だったか。にしても本当に秀吉と瓜二つだなー、なんとなく雰囲気が違うから気づけたけど、確証は持てなかったし初見で見分けるのは至難の技だよ。

 

「分かった。よろしくね、優子さん。あ、僕のことも明久でいいよ」

 

「私はフランだよ!」

 

「よろしく、明久くん、フラン。それから自習中に寝ちゃダメよ」

 

「あはは、善処します」

 

「お、優子はっけーん!ボク達も混ぜてよ♪」

 

「・・・私も入る」

 

「楽しそうだね。僕も入らせてもらおうかな」

 

なんだなんだ、優子さんと話してたらぞろぞろ集まってきた

 

「なんか集まってきちゃったわね」

 

「私は楽しいからいいよー♪」

 

「とりあえず自己紹介だよね。改めて、僕は吉井明久、こっちはフランドール・スカーレットだよ」

 

「よろしくね!」

 

「僕は1年の終わりに転校してきた工藤愛子だよ。よろしくね、アッキー、フランちゃん♪」

 

見覚えないと思ったら転校生だったのか。ていうかアッキーってなに

 

「・・・霧島翔子。久しぶり、明久」

 

うん、短くて簡潔でよろしい...って違う!流石に短すぎでしょ。翔子さんは私の悪友である雄二の幼なじみ。2人とは高校に入る前からの付き合いで私がこっちに来た時はちょくちょく顔を合わせてたんだけど、高校に入ってからはクラスも違ったから会う機会は減っていった。まさか2年で同じクラスになれるとはね

 

「久しぶり翔子さん、元気だった?」

 

「うん、ありがとう明久。それより、学年首席おめでとう」

 

「自分が一番びっくりしたよ、てっきり翔子さんが代表だと思ってたから」

 

「・・・私じゃ相手にならない。明久も、フランも」

 

「明久はチートだもん」

 

「フラン、僕は不正なんかしてないよ」

 

「そういう意味じゃないよ」

 

「?」

 

「本人は気づかないものよ」

 

「だね〜♪」

 

「なんなのさ・・・それより、最後は久保くん、だっけ?」

 

「あぁ、久保利光だ。よろしく、代表」

 

「うん、こちらこそよろしく」

 

なんかみんないい人そうだな。観察処分者の肩書きなんか気にせず接してくれるし、この1年間楽しめそうだな。さて、自己紹介も終わったし

 

「寝よう」

 

「学ばないのは明久のクセね。少しは改善の努力をした方がいいんじゃない?」

 

「ん?咲夜、Aクラスだったんだ。全然気づかなかったよ」

 

また寝ようとしたら声をかけられた。ここまで邪魔されるといい加減厄日なのではと疑う(違う)。ま、冗談はさておき、声をかけてきたのは十六夜咲夜、紅魔館のメイド長、つまり幻想郷の住人だ。ただ、メイドと言っても紅魔館の住人にとって立場は形だけのものなようで、住人はみな家族という認識らしく、確かにそこには家族の温かさがあった。ちなみにフランも紅魔館の住人で、館の主の妹だ。今度向こうに戻ったら寄っていこうかな、みんなに会いたいや

 

「明久はもう少し周りに目を配るべきね。私は妹様がいらっしゃるからAクラスに来たのよ。文はDクラス、幽香と妹紅はFクラスに入ったわ」

 

「へぇ〜、そうなんだ・・・ってDクラスFといったら」

 

「これから試召戦争やるクラスだね」

 

「全く、初日から戦争を仕掛けるなんてFクラスの代表は何を考えてるのかしら」

 

「・・・Fクラスの代表は雄二」

 

「え?翔子さん、雄二ってFクラスなの?」

 

「(コクッ)やりたいことがあるって」

 

雄二は頭がよく回る。やる気のないFクラスを焚きつけるなんてアイツにとっては朝飯前だ。そして試召戦争を起こした理由は予想がつく

 

「狙いは、ここか」

 

「ここ?FクラスがAクラスを目指してるってことかい?」

 

「本気でそんなこと考えてるのかしら」

 

「その前にDクラスに勝つことを意識した方が良くないカナー? 」

 

 

「Dクラスは相手にならない、雄二達は必ずここに来るよ、工藤さん」

 

「愛子でいいよー♪」

 

「分かったよ愛子さん。それで、Fクラスが勝てる理由だけど、最大の理由は姫路さんだね。彼女は多分Fクラスだ」

 

「そういえば姫路さんを見かけなかったな。本当にFクラスにいるのかい?」

 

「振り分け試験のとき退出するのを見たから恐らくは」

 

文月学園の振り分け試験は厳しい。体調不良、事故、いかなる理由であっても試験を受けられなかった生徒は問答無用で0点扱い、Fクラスへ招待される。流石に厳しすぎると思うけど規則な以上仕方ない

 

「なるほど、それじゃあ姫路さん以外の理由は何かしら」

 

「1つはFクラスに幽香と妹紅、僕の知り合いが2人いること。2人も単教科ならAクラスを狙える実力を持ってる。後は保健体育の帝王ムッツリーニ、そして何よりそのFクラスを指揮するのが雄二だってことだね。雄二の指揮能力はズバ抜けてる。何より負け戦はしない主義のアイツが戦争を起こしたんだ。絶対勝つよ」

 

「へぇ、随分買ってるのね。そういえば翔子もなんだか知ってる風だったけど」

 

「・・・雄二は幼なじみ」

 

「なるほとね、納得いったわ。そんなキレ者がいるなら私達も戦争の準備をしといた方が良さそうね、油断は禁物だわ」

 

優子さんの言う通り、油断はできない。Fクラスは私達に勝つための手段を揃えてくる。なら私達に出来るのはこちらの戦力を向こうの予想以上まで引き上げること。ただ、既に学年トップであるAクラスに学力面での成長はあまり望めないし、単純な学力だけで勝てるほど雄二の率いるFクラスは甘くないはずだ。召喚獣の操作は意外と難しいもので、慣れていなければ直線的で単調な動きになりがちだ。だからこそ雄二はDクラス戦を通して召喚獣の操作に慣れさせたいんだろうね、Fクラスの勝率を少しでも上げるために。でも、

 

「優子さん、クラスのみんなにすぐ動けるよう準備してもらっておいてくれないかな。フラン、『アレ』の許可もらいに行くから着いてきて」

 

「はーい!」

 

「え、ちょ、どこ行くのよ!?」

 

「Fクラスを倒すための準備だよ。じゃ、後はよろしく」

 

Fクラスが勝率アップに動くなら、こちらも動くのみだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園長室

(コンコン)

 

『誰だい』

 

「Aクラス吉井とスカーレットです」

 

『・・・入りな』

 

「失礼します」ガチャ

 

学園長室に入るとそこにいたのは当然学園長・・・ではなく妖怪がいた

 

「えっと、妖怪に用は無いです、学園長はどちらに?」

 

「アタシが学園長だよ!」

 

「そんな馬鹿な!?」

 

「アンタ・・・アタシを何だと思ってるんだい?」

 

「冗談ですよ学園長」

 

気を取り直して、文月学園の学園長、藤堂カヲル。以前は優秀な学者だったらしく、試験召喚システムのもとになる原理を発見した人だ。実はすごい人なんだよね『実は』

 

「アンタ今失礼なこと考えなかったかい?」

 

「気のせいですよ。それより、今回はお願いがあって来ました」

 

「お願い?・・・そういえばスカーレットも居たんだったね。てことは『アレ』の許可を取りに来たのかい?」

 

「はい、Aクラスで操作技術を磨くために模擬戦をやりたいので、学園長にも立ち会いをお願いします」

 

「なーるほど、いいだろう、許可するよ。アタシも久しぶりにアンタの力を見たいしね。スカーレット、西村先生と高橋先生からも許可をもらってきな。吉井は少し残んな、『腕輪』の確認をするよ」

 

「「はい(はーい)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aクラス

 

「ただいま〜」

 

「ただいまー!」

 

「邪魔するよ」

 

「あ!明久くんどこに行ってたの・・・って学園長、どうしてAクラスに?」

 

「吉井からの要望だ。今からクラス内で模擬戦をやるからさっさと準備しな」

 

「「「え?」」」

 

「・・・明久、どういうこと?」

 

「翔子さん、事情は後で説明するから、今は言う通りにして欲しい」

 

「・・・分かった。みんな、準備しよう」

 

「え、えぇ、分かったわ」

 

よかった、とりあえずは落ち着いたみたいだ。やっぱり翔子さんが代表だったほうがやりやすかったんじゃなかろうか

 

「メンバー分けはさっき聞いた通りでいいんだね?」

 

「はい、それでお願いします」

 

今回はあくまで操作技術向上が目的だ。この人選が一番やりやすい「キーンコーンカーンコーン」ちょうどFクラスとDクラスの試召戦争が始まったね。こちらも始めようか!

 

「それじゃ、Aクラス吉井、スカーレット 対 他48名の模擬試召戦争を始めるよ!」

 

「「「「「試獣召喚(サモン)!!!」」」」」




『アレ』とは一体・・・?

次回からF対Dに戻りますが、そろそろ前作を更新しないとマズいのでこちらは少しの間お休みという感じで(すいません)

また次回お会いしましょう


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雄二「Dクラスなんぞ唯の踏み台だ」

こっちも2ヶ月以上空いちゃいました。そして8月中に投稿するという希望的観測はやはり成し遂げられませんでした、ほんとすいません!

今回の一本でDクラス戦は終わり!文章は余り期待しないでくださいね(笑)
※作者は物忘れが激しく結構書こうとしてたものを忘れたりしてるので出来る範囲は脳内補完でお楽しみください


「いたぞ!Dクラスだ!」

 

「結構多いぞ?」

 

「構わん、突撃!」

 

「Fクラスのバカどもだ!」

 

「返り討ちにしてあげる!」

 

「「「試獣召喚(サモン)!!!」」」

 

化学

2-F×10   vs   2-D×10

  平均55点   vs   平均90点

   

ウォォォォォォォ・・・

 

「...前衛部隊がDクラスと交戦開始」

 

「敵の数は?」

 

「10人。こちらも同数」

 

「そうか、なら作戦に変更はなしだ。後衛部隊とローテーションしながら少しずつ後退、苦戦を演じるよう島田と秀吉に伝えろ」

 

「・・・承知」サッ

 

一瞬で消えやがった、アイツ忍者か?まぁ今そんなことはどうでもいい。さて、開幕の戦況は俺の読み通りだ。Dクラスの連中は俺達Fクラスをバカの集まりだと甘く見ている。特に、姫路や限定的だがムッツリーニのような高得点者がいるなんて夢にも思っちゃいないだろう。本来なら数人に抑えるべき威力偵察隊に10人も割いてるのがいい証拠だ。恐らく、予め多めに配置しておいていけそうであれば全戦力で突撃、短期決戦を狙っているんだろう。だが、それならこちらはその流れを利用するまでだ

 

(鍵となるのは姫路の回復試験、そしてそれまで耐えられるかは遊撃を任せたあの2人にかかってる。細かい事が分からねぇから不安は残るが、本人が平気だと言ったんだ、今は信じるしかねぇ。頼むぜ風見、藤原)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦線後方

「妹紅、戦況はどんな感じ?」

 

「んー、抑えきれてはいないみたいだな。少しずつ後退してる、いや、わざとか?」

 

「作戦に変更はなさそうね。前線が危うくなったら加勢に入るわよ」

 

「わかったよ、幽香」

 

坂本って頭は回るほうなのね。去年明久・・・明奈から聞いたときはあまり信じられなかったけど、今回の作戦立案や読みが当たってるのを見た今なら納得がいくわね。でも、頭が回るのは明久も同じね

 

『雄二は多分Fクラスに入ってAクラスを目指すと思う、でも私が雄二の隣で戦う訳にはいかない。雄二に気付かせる為にも私は迎え撃つ側じゃないと。だから、皆にはいろんなクラスに散ってもらって、試召戦争で雄二をサポートしてほしい』

 

振分け試験の直前、明奈はそう言った。坂本がどうとかいうのはよく分からなかったけど、あの時の明奈の目は真剣だった。だからそのお願いを飲んで文はDクラス、フランと咲夜は明奈を支えるためにAクラス、そして私と妹紅は坂本をAクラス戦まで送り届けるためにFクラスに入った。結果坂本は本当に試召戦争を起こした。明奈って怖いわ(笑)

 

「たいへーん!押し切られるー‼」

 

「島田がああ言ってるぞ。そろそろいくか?」

 

「そうねいきましょうか。明奈の為、坂本の手伝いをしてあげましょうか」

 

「おい、こっちでは明久だろ。バレたりしたら説教くらうぞ」

 

「それは嫌ね、気を付けないとね」

 

明奈の説教は怖いのよ。あのスキマが泣き出すぐらいね

 

「さて、それじゃあひと暴れしましょうか♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たいへーん!押し切られるー!!」

 

「ぬぅ、流石に厳しいのじゃ・・・」

 

ワシらがいるのは渡り廊下。Dクラスのある新校舎とワシらのFクラスがある旧校舎を繋ぐ場所。ここを押し切られると一気に不利になってしまう。作戦の結構までもう少しかかるというのに、もう戦力が枯渇しておる。2クラス上の相手に善戦したとは思うがの、せめて増援が来てくれれば・・・

 

「木下〜、助けに来たぞ〜」

 

「おぉ!藤原に風見、助太刀感謝じゃ」

 

ナイスタイミングなのじゃ

 

「うふふ、さて、補修室に送られたいのは誰かしら?」

 

「ひっ!?」

 

「怯むな!相手はFクラスだ、畳み掛けろ!」

 

「「試獣召喚(サモン)」」

 

現代社会

2-F 藤原・風見 VS 2-D クラス×15

287点・97点 VS 平均95点

 

「「「な、なにぃぃぃぃ・・・ん?」」」

 

「・・・幽香?」

 

「・・・倫理の割合が多かったのよ」

 

「あー、そりゃ無理だ」

 

そういえば、1年の頃にAクラス並の学力を持ちながら1部の科目が壊滅的な生徒がいると聞いたことあるのう。藤原との会話からすると、あれは風見のことじゃったのか

 

「ま、私も人のことは言えないけどな。さて、まずはコイツら片付けるぞ」

 

「といっても私は厳しいわよ、大部分は任せるわ」

 

「ちっ、しょうがねぇな、私が10人やる。5人は任せるぞ」

 

「はいはい了解よ。ま、厳しいと言っても比較対象は明久なんだけどね。雑魚が何人集まっても雑魚、いくわよ!」

 

風見の武器は傘?かのう、花のような形じゃの。藤原は素手じゃがその拳には炎を纏っておる。どちらもあまり見慣れないスタイルじゃな

 

「ふふ、いい悲鳴(こえ)を聞かせてちょうだい?」

 

「「「ぎゃーーー!」」」

 

「おら、避けねーと消し炭にしちまうぞー」

 

「「「ひぃぃぃぃ!に、逃げろー!」」」

 

風見が傘を振れば敵が吹っ飛び、藤原が手を振ると纏っていた炎が撒き散らされじわじわと点数を削られる。Dクラスはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図じゃ。まさかこれ程の実力を持っているとはのう、なぜFクラスなのじゃ?姫路と似たような理由なのかのう

 

「戦死者は補修~!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!鉄人!?」

 

「いやだ!鬼の補修は嫌だ!」

 

「あれは補修なんかじゃない!洗脳だ!」

 

「何を言う、あれは立派な教育だ。趣味は勉強、尊敬する人物は二宮金次郎という理想的な生徒にしてやるから覚悟しておけ」

 

鉄人よ、人はそれを洗脳と呼ぶのじゃ・・・

 

「さあ来い!」

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・!」」」

 

うーむ、憐れDクラス、洗脳に負けずに頑張るのじゃ

 

「おい!先行部隊がやられてるぞ」

 

「構うな!Dクラスの全戦力を持って突破する!」

 

なっ!?Dクラス、もう決着をつけに来たのじゃ。あれは間違いなくDクラスの残りの全戦力を連れてきておる。こちらは姫路の回復試験にまだ時間がかかるというのに!

 

「おいおい、流石にこの数はさばけねぇぞ」

 

「まずいわね・・・」

 

「!もしやそこにいるのは美波お姉さまですか?」

 

「美春!?」

 

「お姉さまは美春のお姉さまです、誰にも渡しません、試獣召喚(サモン)!」

 

島田が捕まってしまったのじゃ

 

「くっ、やるしかないわね!」

 

ガキィィィィィィン!

 

現代社会

 

2-F島田美波vs 2-D清水美春

27点 vs 94点

 

「数学以外は無理よー!」

 

・・・島田は恐らくもう無理なのじゃ、儂らも物量に押されて助けに行く余裕がない。このままでは押し切らてしまうぞ。せめて科目を変えられれば仕切り直しが効くのじゃが・・・

 

♪~♪~♪~♪

 

『え~、数学の船越先生』

 

この声は、須川かの?

 

『吉井明久くんが体育館裏で待っています』

 

ん?

 

『なんでも、生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです』

 

な、何を言っておるのじゃ須川!?船越女史といえば仕事で婚期を逃しXX歳、今では単位を盾に男女問わず生徒を襲う「あの」船越女史じゃぞ!?

 

『繰り返します。船こーバァァァァァン!だ、代表!?いや、これはちがぎゃー!』

 

ゆ、雄二なのかの?

 

『あー船越先生、さっきの情報は誤りです。放送室で伸びてるバカを好きにしていいんでこちらに来てください。それからFクラスの全メンバーに告ぐ、本体の準備が整った。合流するまで何としてでも戦線を維持するように、以上だ』

 

GJじゃ雄二!

 

「総員!本体の合流まで死んでもこの場を守りきるのじゃ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「工藤が戦死した!」

 

「西村、総合残り40点!」

 

「森川が帰って来ない!戦死したのか?」

 

「藤原、風見、点数に問題はないが、操作の疲れの方が厳しい」

 

ぬぅ、後少しじゃというのに!

 

「秀吉!またせた、今合流する!」

 

「雄二!遅いのじゃ!」

 

「悪かったな、お前ら!総員突撃だ!」

 

「「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」」

 

「くっ!一度後退しろ!」

 

「させるな!多対一で挑んで戦力を分断しろ!」

 

Dクラス代表の平賀が撤退を指示、それをさせまいと雄二が追撃の命令を出す。というか、どっちも代表が最前線にいるのはおかしいじゃろう。平賀は自身を戦力に加えてでも早く勝負を決めたいのじゃろうが、雄二はー

 

「今だ姫路!突っ込め!」

 

「は?」

 

「あ、あの」

 

「姫路さん?どうしたんだいこんなところで。Aクラスはここを通ってないはずだけど」

 

普通は成績優秀な姫路はAだと思うじゃろうな

 

「えっと、Fクラスの姫路瑞希です。Dクラス代表に現代国語で勝負を申し込みます!」

 

「は、はぁ」

 

雄二は姫路を隠すための囮。そして、この勝負が成立した瞬間、

 

「さ、試獣召喚(サモン)です!」

 

現代国語

2-F姫路瑞希vs 2-D平賀源二

352点   vs 137点

 

儂らの勝利なのじゃ

 

「あ、あれ?」

 

「ご、ごめんなさいっ」

 

ズバァァァァァン

 

姫路の大剣に為すすべなく真っ二つにされた平賀の召喚獣は点数をすべて失いポリゴン片となって消滅した

 

「戦争終結!勝者、Fクラス!」

 

「「「わぁぁぁぁぁぁぁあ!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦後対談

 

流石に姫路がFだなんて誰も思うまい。作戦はまんまと成功したな

 

「お疲れじゃ、雄二」

 

「おう、そっちも良くやってくれた。ムッツリーニも裏方ご苦労」

 

「・・・。」グッ

 

相変わらずだな

 

「さて、Dクラス代表、早速戦後対談といこうじゃないか」

 

「あぁ・・・規約通りクラスを明け渡すよ。でも今日は遅いから明日でもいいかな?」

 

そう、基本的に試召戦争に負けた上位クラスは下位クラスに教室を明け渡さなければならない。普通試召戦争は上位クラスの設備を手に入れるために行われるものだが、俺の目的はそこではない

 

「いや、今日教室の交換はしなくていい」

 

「「「!!!?」」」

 

「代表!なんで交換しねーんだよ!?」

 

「そうだよ、せっかく勝ったんだぜ?」

 

「アホか、俺達の狙いはあくまでAクラスだ。今お前らにマシな設備を与えたらどうなる?まず間違いなく現状に満足して戦意を無くすだろう」

 

「「「・・・・・・」」」

 

ま、だろうな。こいつらに満足な設備を与えてしまえばたちまちやる気を無くしてしまう。Aクラスに勝つまでは設備の交換はしない

 

「そ、それはありがたいが、いいのか?」

 

「あぁ、ただし、こちらの条件を飲んでくれればな」

 

「・・・何をさせるつもりだ?」

 

ま、クラス替えを無くせば怪しまれるわな

 

「別に不味いことをやらせるつもりはない。ただ、こちらの指示するタイミングでアレを壊して欲しい」

 

そう言って俺は外にある室外機を指さした

 

「教師からは睨まれるだろうが、そう悪い取引でもあるまい?」

 

「まぁ、それで設備を守れるなら安いもんだが・・・わかった。その提案を飲もう」

 

「交渉成立だな」

 

これで今回の作戦は全て終了だ

 

「Fクラス諸君、今日はよくやってくれた。今後も忙しくなる、今日はもう解散して各自体を休めてくれ」

 

「「「おつかれさ〜ん」」」

 

クラスの奴らが粗方帰って、今教室に残っているのは俺・秀吉・ムッツリーニ・姫路・藤原・風見、そして補修室帰りの島田だ

 

「さて風見、朝の件話してもらうぞ」

 

「ん?朝の件とはなんじゃ?」

 

「・・・気になる」

 

「そうね、それじゃあAクラスに行きましょうか」

 

は?Aクラス?

 

「おい待て、なんで明久の事を知るのにAクラスが出てくる」

 

「吉井がどうかしたの?」

 

「関係があるから行くんだろうが。いいからさっさと着いてこい」

 

そう言って風見と藤原はさっさと教室を出ていった。俺達は何が何やら分からず混乱しながらも足早に風見たちを追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aクラス教室

 

「・・・なんだ、これ」

 

風見たちを追ってAクラスまで来て見たのは異様な光景だった。まず目に入ったのは入口付近のプラズマディスプレイ(黒板)にもたれかかってクラス内を眺めている学園長(ババア)、その眼前に広がるAクラスと思われる生徒の壊滅した様。そして・・・

 

「あ、明久・・・?」

 

「ん?あれ、雄二。どうしたのこんなところで?」

 

その中心で1人の女生徒と並んで立っている明久(バカ)の姿だった




微妙に姫路・平賀の点数が高かったりするけど特に深い意味はないです

Aクラスで何があったのかは次回、その後は設定回ですかね

最近は勉強に少し余裕が出来てきたんでゲームや動画の誘惑に負けなければ更新速度が上がるかもしれません。期待しないで待っていてくださいね(笑)


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Aクラスでの出来事

遅くなりました。ホント申し訳ない

今回はAクラスで何があったのかについてですが、肝心の明久の出番は少ないのです


「・・・・・・はぁ」

 

俺は今、屋上で一人考え事をしていた。そして決まりきった結論が浮かび上がり思わずため息をつく

 

「雄二よ、ここにおったか」

 

「んぁ?なんだ、秀吉か」

 

寝転がって再び思考の世界に落ちようとしたところで少し慌てた様子の秀吉がやってきた

 

「なんだではないのじゃ。明日はBクラスとの試召戦争じゃというのにお主がなんの指示も出さんからみな困っておる」

 

そういえばそうだったな。言った本人が忘れてたぜ

 

「・・・すまん、少し別のことを考えたんだ」

 

「別のこと・・・もしかして明久のことかのう?」

 

「あぁ・・・」

 

秀吉の言った通り、俺が考えたのは明久の事。そう、昨日のDクラス戦の後、Aクラスでの出来事だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~回想~

 

「あ、明久?何でお前がAクラスに・・・いや、それよりもこの状況は何なんだ」

 

「何って、見ての通り(模擬)試召戦争が終わった後だけど・・・ねぇ? 」

 

『〜♪』

 

その問いかけに明久の頭の上で垂れていた召喚獣が答える

 

「それは見りゃ分かる!そうじゃなくて、なんでお前と隣の奴以外が全滅してんだって聞いてんだ」

 

「それはアタシから説明してやるさね」

 

声がした方を向くといつのまにか学園長(ババア長)が俺たちのところまで来ていた

 

「ほう、ババア長も一枚噛んでるわけか」

 

「誰がババアだって?随分生意気だねクソガキ。それで、聞くのかい?聞かないのかい?」

 

生徒クソガキ呼ばわりとはコイツホントに学園長か?

 

「雄二よ。ここはしっかり聞くべきだと思うがの?」

 

「・・・同感」

 

「そうだな。んじゃババア長、納得いく説明を頼むぞ」

 

「さ、坂本君・・・」アハハ

 

「まったく口の減らないジャリだね・・・まぁいい、それじゃ最初から説明するよ。」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「そうだね、まず始めにお前さんたちはなんで吉井がAクラスにいると思う?」

 

唐突に投げられる質問。でも確かに俺も気になっていた。学園始まって以来初の『観察処分者』になるほどバカな明久がなんでAクラスにいるのか

 

「ふむ、誰も分からないって顔だね。いいかい、吉井はそもそもバカじゃない。表の顔は『観察処分者』としての姿。そして裏、本当の顔は当校始まって以来の天才、歴代でも主席の実力者だよ」

 

「なっ!?」

 

「それは本当なのかの!?」

 

「本当さね。だから吉井がAクラスにいるのは何の不思議もないんだよ」

 

あの明久(バカ)が主席、しかも歴代トップだという学園長の発言を俺たちはにわかには信じられなかった。その事実に困惑している中で話題の中心になっている明久はというと

 

 

「おーい明久ー」

 

「あ、妹紅に幽香、いらっしゃーい」

 

「お邪魔してるわ」

 

「ねーねー明久、私頑張ったよ?褒めて!」

 

「フランは頑張ったよ、ありがとね」

 

「えへへー」

 

「妹様、明久、あちらで座って待っていましょう。妹紅達も」

 

「「「はーい」」」

 

とまぁ自分の話題だってのに随分マイペースだ。どうやら事は学園長に丸投げらしい。しかし明久が主席とはな・・・ん?それならなんでアイツは・・・

 

「あの~」

 

「ん?なんだい姫路」

 

「いえ、吉井くんの事なんですけど。吉井君が学年主席ならなんで観察処分者なのかなって」

 

姫路の疑問は俺と同じものだった。観察処分者ってのは本来、成績が悪く学習意欲欠ける問題児に与えられる肩書であって、本当に明久の学力が優秀なら観察処分者になんかならないはずだ。何か別の理由があるのか?

 

「あぁ、そのことかい。ま、確かに成績にはなんの問題もないよ、ただ問題だったのは生活態度の方さね。吉井の一年時の行動、一緒にいたアンタらなら分かるんじゃないのかい?」

 

「それは・・・」

 

「なるほどのう、だんだん分かってきたのじゃ」

 

「・・・明久は俺達と一緒によく問題を起こしていた」

 

「そういうことさね。後、吉井本人の希望でもあったんだよ」

 

「は?明久の?」

 

「確か没収品を奪い返そうとした時だったね」

 

あぁ、あの時か

 

「あの後吉井がアタシのところに来てね、『先生方の役に立つことは出来ないか』って言ったのさ。誰から言われたのでもない、自分から手伝いたいと言ってきたんだ。いきなりで迷ったけど、アタシは吉井に観察処分者にならないかと提案した。頭は良くてもバカばかりやってた吉井は教師の間でも問題になっていたからちょうどよかったんだ。利害の一致ってやつかね、そんなわけで吉井は観察処分者に任命された。理解できたかい?」

 

 

なるほど。今まで明久が観察処分者になったのは文字通り『バカ』だからだと思ってたがそういう訳ではなかったらしい。誰かの為に、か。底なしのお人好しなアイツらしい

 

「明久がAクラスなのと観察処分者になった経緯は分かった。それじゃあ最後の疑問だ。今のAクラスの惨状、俺達が試召戦争をしていた間に何があったんだ?」

 

「それは簡単な話だよ。アンタらが新学期早々戦争をしていた間、ココではクラス内の模擬試召戦争をやっていた」

 

「は?模擬試召戦争だと?なんでまたー」

 

「ねえ坂本、模擬試召戦争って?」

 

続きを促そうとすると島田が口を挟んできた

 

「模擬試召戦争ってのはそうだな、お試し版の試召戦争とでも思えばいいだろう。細かい違いはあるが基本は試召戦争と変わらない。ペナルティの設備交換なんかもないから気軽に出来るってメリットなんかもあるな」

 

「へー、そうなんだ・・・ん?でも戦争は2クラス間でやるものよね?」

 

「そこが細かい違いってやつだ。試召戦争は設備がかかってるから原則2クラス間でのみ成立するが、そういったペナルティがない模擬戦での原則は2者間の対決であること。つまりクラス内で行うことも出来るんだ」

 

「ほぉ、さすがかつて神童と言われただけあるね。よく調べてるじゃないか」

 

「使えるものは何でも使わねぇと話にならないクラスなんでね。それで、俺らが来た時には明久と隣にいた・・・スカーレットだったか?以外は戦死してたようだが、いったいどんな対戦カードを組んだんだ」

 

「僕とフラン対Aクラス全員だよ、雄二」

 

「「「・・・は?!」」」

 

唐突に会話に入ってきた明久(背中にスカーレットが垂れ下がっている)の発言は一瞬俺たちの思考を停止させた

 

「そ、それは本当なのか明久!?」

 

「・・・2対48」

 

「うん、といっても、頑張ったのはフランだけどね」

 

「嘘は良くないぞ、どうせ明久が8割方やったんだろ」

 

「お、妹紅正解!でも私だって頑張ったんだよ!」

 

「あぁ、妹様の無邪気なお姿・・・///」

 

「帰ってきなさい駄メイド長」

 

コイツらホント自由だな。こっちはまだ話してるってのに

 

 

「し、信じられんのじゃ」

 

「いくら吉井君の点数が高くても流石に人数差が」

 

「それは僕の腕輪のおかげ。まあ詳しくは言えないけどね」

 

「もう聞きたいことは無いかい?無ければさっさと帰んな。もうすぐHRだよ」

 

 

どうやらからり長いこと話し込んでたようだ。いつの間にか帰りのHRの時間になっていた

 

「え?あ、あぁ。それじゃお前ら、引き上げるぞ」

 

「んじゃ明久、またなー」

 

「邪魔したわね」

 

「うん、また後でね」

 

「バイバーイ!」

 

それぞれが疑問を抱きながらも今はどうしようもないということで進まない足をFクラスに向けた

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は今回の試召戦争で観察処分者の明久をジョーカーだと思ってた。だが実際にはジョーカーどころか敵のキング、誤算もいいとこだ。正直、今の俺にはAクラスに勝つビジョンが見えない。どうすれば明久の率いるAクラスに勝てるのか分からねぇんだ」

 

「珍しく弱気じゃのう。勝てるかどうかではなくどうやって勝つかを考えるのが普段の雄二ではないかの?ムッツリーニもそう思うじゃろ?」

 

「は、ムッツリーニ?」

 

どうやらムッツリーニも陰で聞いていたらしく、呼ばれて出てきた

 

「・・・同感。常にどっしり構えて策を巡らせるのが俺の知っている坂本雄二だ。」

 

秀吉、ムッツリーニ・・・ハハッ確かにそうだ。やる前から弱気になるなんてらしくねぇ。少しビビりすぎてたな

 

「すまねぇ秀吉、ムッツリーニ。おかげで吹っ切れたわ」

 

「・・・礼など無用」

 

「その通りじゃ。それで、方法はあるのかの?流石に勝てる手段なんてものは期待できんが、可能性ならあるのではないか?」

 

「・・・確かに可能性が無いわけじゃねぇんだ。明久曰くな」

 

「明久が自分からヒントを出した、ということかの?」

 

「あぁ、昨日の帰り際、明久からヒントを貰ったんだ『雄二たちはここを目指すんでしょ?それならなら少しだけヒントをあげるよ。僕とフランは2人であって2人じゃない、ちょっと難しいけど雄二ならこれで答えにたどり着くと信じてる。頑張ってね』ってな」

 

「2人であって2人じゃない・・・ふむ、いったいどういうことじゃろうか」

 

「これの意味が分かれば勝利に少なからず近づけると思うんだが、よく分からなくてな。頑張って答えを見つけるしかねぇ。そしてもう1つ、次のBクラス戦だが、どうやら代表は根本らしい」

 

「根本というと『あの』根本か?」

 

根本恭二。カンニング・相手に一服盛った・喧嘩に刃物はデフォなどろくな噂がない男だ

 

「あぁ、『あの』根本だ。色々と黒い噂が絶えないやつだし、充分警戒して望む必要がある」

 

「策はあるのかの?」

 

「そっちは考えてある。さて、そろそろ教室に戻るか。クラスの奴らにもBクラス戦の説明をする」

 

「「了解(じゃ)」」

 

明久のヒント、Aクラス戦までに見つけられるだろうか。いや、見つけなくちゃならねぇ。俺の目的を達成する為、Aクラスに勝つために

 

「待ってろ明久。必ず答えを見つけて、お前達を倒してみせる!」

 

拳を空高く突き上げて宣言し、俺たちは屋上を後にした




次回、キャラ設定(の予定)


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設定資料(随時更新)

失踪だけはしないので許してください(反省)

モチベーションが全く上がらず大分空いてしまいましたがやっと設定回です。作者は力尽きて妥協してしまったので一旦投稿しますが、今後必要事項が出てきたら追記していきます

原作とは異なる独自設定なので「この子はこんなんじゃない!」と言ったコメントはお控えください。よろしくお願いしますm(_ _)m


吉井明奈 2-A(主席)

 

容姿:栗色のロング(原作7.5巻表紙のアキちゃんのようなイメージ)。身長は160弱で胸もそれなりにある(基本サラシを巻いてるので気づきにくい)

 

能力:幻想を内包する程度の能力

 

幻想郷の住人が持つ能力を使用・応用できる能力。一部例外はあるが複数の能力を同時に扱うことも可能で、幻想郷そのものに干渉する力もあるため今のところ幻想郷最強の能力として認知されている(能力がハッキリするまでは単に『他人の能力を扱う能力』だと思われていた)。難点として『能力者とその能力を知っていること』、『相手の信頼を得ていること』という制約があるものの、大半の住人は明奈と顔見知りであり、心を開いていない住人を探す方が難しいといった状態。制約が意味を成しているかは微妙なところ

 

主な活動場所:マヨヒガ・紅魔館・人里 ※幻想郷全土で目撃情報アリ

 

友好度:?

 

幼少期、家族で出かけた際に偶々外の世界に来ていた八雲紫と出会い、紫の理想実現に協力するために幻想郷の住人となる。当初は子供心からの単純な思いつきだったが今は明確な意思を持って紫に協力している。しかし黙っていなくなった為に紫が話を付けに行くまでの数日間、家族は大混乱に陥った。幻想郷に渡った際に獲得したのは『幻想を内包する程度の能力』。幻想郷のシステムにもアクセス出来るこの能力は紫の理想実現に適しており、明奈は手に入れるべくして手に入れたといった感じ。性格は明るく活発でとても優しい。小さい頃は妖精や人里の子供たちと一緒によくいたずらをしていた(今でも時々やってる)。たまに人里の寺子屋を手伝っており、子供たちと仲がいいのはそのため。自分のことに関して怒ることは滅多にないが、誰かが道を踏み外しそうな時は叱って止めるし大切な人を傷つけられた時は本気で怒る。ちなみに、住人の共通認識として『幻想郷において最も怒らせてはならないのは吉井明奈である』らしい。また、その優しい性格故に誰かのための自己犠牲に一切の躊躇いがなく、実際その行動によって死にかけたこともあるため、周囲の面々からよく心配されている。恋愛方面のスキルはゼロ

 

 

吉井明久としての姿

 

得意科目:日本史・世界史(900点前後) 家庭科(総合科目には入っていない)

苦手科目:なし(450〜700点)

総合科目:8188点

 

召喚獣:白とオレンジを基調とした太極服、武器は棒術具(イメージは英雄伝説 軌跡シリーズのエステルやカシウス)

 

腕輪:麒麟 消費点数200~所持点数-1点

発動に使用した点数に応じて召喚獣のパワーとスピードが上がる。最低値の200点では大した恩恵は受けられないが元の点数が高い日本史などで最大消費値で発動すれば並の召喚獣ではまず渡り合えない。対抗策としては人海戦術や無差別飽和攻撃などがある(出来るとは言ってない)

 

封印の腕輪:文字通り召喚獣の力を封じ込める腕輪。高い点数と観察処分者としての操作技術を持つ明久が試召戦争でバランスの崩壊を招かないように作られたもので、これがある限り明久の召喚獣の点数は上限が250点に固定され、腕輪も使えない。特定条件下で封印を解除できる(後述)

 

文月学園での明奈の姿。男として生活している理由は主に二つ。「外の世界では男の方が活発に動きやすいだろう」という明奈の偏見(?)と紫の「男装したカッコイイ明奈が見たい」という欲望である。翔子を初めとするAクラス上位組、雄二や秀吉、康太の問題児組、幻想郷組で行動することが多い。『観察処分者』の称号を持つ筋金入りのバカで、日頃から雄二やフラン達と問題を起こしている。(学力があるのに観察処分者なのはこのため)男装しているが中世的な顔立ちや身長などのせいで女子扱いされることも結構あるため、いつ本当に女子だとバレるか少しヒヤヒヤしている

 

 

 

フランドール・スカーレット 2-A(次席)

 

容姿:見た目は原作通り。身長は145cm程

 

能力:ありとあらゆるものを破壊する程度の能力

 

得意科目:保健体育(700点台)・世界史

苦手科目:古典

総合科目:6570点

 

腕輪:分身

召喚獣を複数に分身させられる。点数は2体に分身すると1/2、4体に分身すると1/4になり、個々の身体能力は分身後の点数に依存する

 

解放の腕輪:明奈(明久)の封印の腕輪を解除出来る特別な腕輪。使用時の消費点数が300点とバカにならないため明奈の力が必要でもない限り使用は憚られる

 

紅魔館の主、レミリア・スカーレットの妹。事情があり生まれてから495年もの間地下に幽閉されていたが、姉が異変を起こした際に地下から脱走、異変解決に来ていた明奈達と出会う。その時の事故でフランは明奈を殺しかけてしまい、罪悪感から明奈を避けるようになってしまう。その後、他ならぬ明奈の説得で自分を許すことが出来た。それからは明奈にべったりで明奈のいるところには大抵フランも一緒にいる。明奈のことを実の姉と同じ『お姉さま』と呼ぶ。とても無邪気で幼い部分があり、明奈を巻き込んで(本人はノリノリ)館でいたずらしては怒られている。単純なパワーとスピードは幻想郷でも最強クラスだが、『闘い方』というものを知らないため実際の戦闘力はそこそこ。最近は明奈や門番の美鈴に『闘い方』を教わっている。学校でもいたずらっ子はあまり変わらず問題児組の一人として認識されており、明奈と同じ『観察処分者』の称号を持つ。意外に賢く、学年次席であるため、学年の2トップが観察処分者という事態を招いている(そんなとこで明奈に似なくていいのに)

 

 

 

十六夜咲夜 2-A

 

能力:時間を操る程度の能力

 

得意科目:なし

苦手科目:なし

総合科目:4817点

 

紅魔館のメイドを束ねるメイド長。明奈とは主の起こした異変の際に知り合い、それ以来休みの日は主に明奈探しで外に出かけることが多くなった。レミリア曰く、「以前は休日でも働いてばかりだったからいい傾向」とのこと。明奈に対してもメイドとしての立場で接することが多いがこれは一種の職業病であり本心では友人として接したいと思っていて、努力している。何事もそつなくこなし学校での成績も平均して高得点を取る。ただし、基本完璧超人だが明奈やスカーレット姉妹に対する忠誠心は鼻から出る。要するに駄メイd・・・

 

 

 

射命丸文 2-D

 

能力:風を操る程度の能力

 

得意科目:古典・現代社会

苦手科目:理系全般(200点前後)

総合科目:4045点

 

妖怪の山に住む烏天狗。趣味でブン屋をやっていて普段はネタを求めて幻想郷の各地を飛び回っている。明奈とは早い段階で知り合い、ネタに困らない人物としてよく追いかけるように。1000年以上生きる大妖怪だがフランクで接しやすいため人間にも人気がある。文月学園では2-Dに所属し、また放送部の広報担当としても活動している。幻想郷でも学園でも文の記事にはガセネタやゴシップが多く、やりすぎて明奈のお説教を食らうこともしばしば

 

 

 

風見幽香 2-F

 

能力:花を操る程度の能力

 

得意科目:生物

苦手科目:現代社会(150点を切る)

総合科目:3766点

 

花をこよなく愛し、1年を通して花と行動を共にするしがない妖怪。かつては自分のテリトリーに入るものを容赦なく襲う暴君で、人間に対する友好度は最悪とまで言われていた大妖怪。が、明奈と出会ってからは性格が軟化。今では人里でも受け入れられるようになり、良く花を買いに訪れている。明奈に『力の使い方』を教えた最初の人物で現在も師弟の関係は続いている。学校では基本大人しいが、明奈に害をなすようなことがあれば率先して排除行動をとる

 

 

 

藤原妹紅 2-F

 

能力:老いることも死ぬことも無い程度の能力

 

得意科目:古典

苦手科目:英語(150点前後)

総合科目:3760点

 

迷いの竹林で案内人をしている人間(蓬莱人)。少々やさぐれた言動が特徴的だが、根はお人好しで姉御肌な一面を持つ。明奈が竹林で迷子になった時に出会い、助けるつもりで声をかけたもののその時は空腹で倒れそうになったところを逆に明奈に助けられる。以来明奈に対しては非常に友好的になった。普段は迷いの竹林でひっそりと生活しているが、時々人里にやってきて親友の上白沢慧音が開いている寺子屋を手伝っている。

 

 

 

坂本雄二 2-F(代表)

 

得意科目:化学

苦手科目:現代社会

 

Fクラス代表で明奈の悪友。明奈とは高校からの付き合いで、始めの頃は意見の対立からよくいざこざがあったが今ではいがみ合いながらもお互いを信頼している。過去には『神童』『悪鬼羅刹』としていろんな意味で噂の人物だった。かなりの切れ者で相手の考えまで作戦の一部に組み込んだり奇策を次々と巡らせていくタイプ。問題児組の一人で計画を立てるのは大体雄二である。原作と比べて明奈への態度は大分軟化している。明奈の正体に関しては知らない

 

 

 

木下秀吉 2-F

 

得意科目:なし

苦手科目:古典

 

明奈達の親友で演劇部のホープ。地頭はあるが演劇に熱中し勉強が疎かになったためFクラスに。問題児組の中では比較的常識人だが少しズレている面も。Aクラスの姉、優子との関係は原作より良好。明奈の正体は知らない

 

 

 

土屋康太 2-F

 

得意科目:保健体育

苦手科目:物理・化学

 

寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』の異名を持つ保健体育の帝王。明奈達を除けば右に出るものはいない程の実力を持つが、他の科目がFクラス下位並なのでFクラスとなった。特技は盗聴と盗撮で撮られた写真は『ムッツリ商会』の商品として取引される。問題児組の中でも危ない方。明奈の正体を知らない

 

 

 

島田美波 2-F

 

得意科目:数学

苦手科目:古典・現代国語

 

本作のアンチ1。ドイツからの帰国子女で日本語が読めないためFクラスに、読めればそれなりの学力がある。会話もままならなかった頃、明奈に助けられたことで明奈に好意を持つようになる(正体を知らない為)。しかし、いつからか好意が空回りして暴力に走るようになり、フラン達からの印象は悪い。問題なのは彼女が自身の行動を暴力だと認識していないこと

 

 

 

姫路瑞希 2-F

 

得意科目:数学

苦手科目:なし

 

本作のアンチ2。本来ならAクラス上位の実力を持つ才女だが、振り分け試験当日に体調を崩してしまいFクラスになってしまった。1年の頃は至って模範的な生徒だったがFクラスになってからは徐々に毒され、『お仕置き』と称して明奈に暴行を働くようになる(予定)幻想郷のメンバーからは危険人物としてマークされることに。また、料理の腕が壊滅級で彼女の作る料理はもはや料理だった『何か』である

 

 

霧島翔子 2-A

 

得意科目:なし

苦手科目:なし

総合科目:4938点。(原作より強化)

 

Aクラス三人娘の一人。明奈、フランに次いで学年3位の実力を誇る天才で、得意不得意はなく平均して高い点数を取るオールラウンダー。中学生の頃に幻想郷に迷い込み、その時に明奈と出会っており明奈の正体を知る数少ない人物。明奈から口止めされているのでその関係を幼馴染の雄二にすら隠している。明奈にご執心のため本作に雄二との夫婦漫才はない(ない)。今でも明奈について幻想郷に行くことがあり、住人とは仲がいい。よくフランと明奈争奪戦をしている

 

 

木下優子 2-A

 

得意科目:数学

 

Aクラス三人娘の一人。演劇に夢中でFクラスになった弟の秀吉をよく思っていない。ただ、原作よりは性格が軟化していて折檻を仕掛けたりなどはあまりない(なくはない)。明久として過ごす明奈の容姿を見て「実は女なのでは?」と疑っているものの、本人としては美少年でも美少女でも可愛ければ問題ないと考えているためさほど気にしていない

 

 

 

工藤愛子

 

得意科目:保健体育

 

Aクラス三人娘の一人。保健体育(実技)が得意なムッツリーニのライバルで、自己紹介でスリーサイズを言ったりスカートめくりあげたり結構アブナイ子。明奈の正体は知らず、保健(意味深)に無知な明奈がからかってもつまらいため代わりとしてよくムッツリーニが生贄にされている

 

 

FFF団

 

Fクラスの男子によって構成されるリア充撲滅宗教団体。団員は血の盟約で結ばれており、異端者は裁判にかけられ基本有罪で断罪される(異端審問会)。原作との相違点として、雄二らは所属しておらず、会長の須川が明奈関連では過激派でない

 

 

 

藤堂カヲル

 

文月学園の学園長。生徒からは『ババア長』だの『妖怪』だの言わているが、本人も生徒に対して『クソジャリ』やら『クソガキ』と言っているためお互い様といったところ。基本態度は悪いが自身に過失があれば生徒に頭を下げるといった面も見受けられる。明奈の正体に関しては入学の際に紫から知らされている

 

 

 

西村宗一

 

文月学園で補修担当をしている教師で生徒からは『鉄人』と呼ばれている。人間離れした身体能力や何処からともなく現れることから伝説の傭兵扱いされることもある。厳しい性格だが生徒を差別することはなく優等生だろうが問題児だろうが平等に接する。学園長を除く教師で唯一明奈の正体を知っている

 

 

 

上白沢慧音

 

日本史・世界史担当。幻想郷の住人で半人半妖のワーハクタク。人里の寺子屋で教師をしており、その流れで文月学園でも教師として活動している。怒らせると極めて強烈な頭突きが飛んでくることから鉄人程ではないが恐れられている。明奈との接触が減ると寂しくなり妹紅に泣きつくことがある

 

 

 

 

 

 

 




次回からはBクラス戦ですね。下準備やら明奈のヒントやらで開戦まで持っていけないかもしれないな...

誤字・脱字報告お待ちしてます。感想はもっと待ってます(作者のモチベにつながるかも)


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開戦!VS Bクラス

復活しました。ここで長話もアレなんで失踪未遂の理由等を知りたい方は活動報告をご覧ください

これからもよろしくお願いします


「よーしお前らこれからBクラス戦の説明始めるぞー」

 

「全くどこ行ってたのよ坂本。早くしてよね」

 

教室に戻って早々に作戦会議を始める。島田の小言は無視だ

 

「いいか、始めに言っておくが今回はDクラス戦程甘くない。今回の勝率は高く見ても五分五分、それを理解した上で聞いてもらいたい」

 

「やっぱりBクラスとの点数差ですか?」

 

「その通り。FクラスとBクラスとではレベルが違いすぎる。多対一で挑んでも被害は大きいだろうし姫路の存在も既に全クラスに知れ渡ってるから切り札になりえない」

 

「しかし切り札の1枚や2枚持っとらんとワシらは勝負にならんぞ。どんな策があるのじゃ?」

 

姫路の存在がバレてる以上決戦火力にはなれない。元々火力でゴリ押しなんて戦い方をするつもりは無いが可能性の1つが始めから潰れているのは大きい

 

「今回の切り札はムッツリーニだ。そして作戦の御膳立てに姫路・風見・藤原を使う」

 

「・・・俺か?」

 

「ほー、土屋がジョーカーねぇ。今回は情報戦なのか?」

 

察しがいいな・・・まだ信じられねぇが明久の知り合いなだけあるってことなのか?

 

「そうだ、Bクラスの代表は根元恭二。お前らも名前くらい聞いたことあるだろ?」

 

「あぁ、勝つためなら手段を選ばないっていう卑怯な奴な」

 

「いい話は聞かないわね」

 

「卑怯な手を思いつくのは頭がキレるという面も持つ。情報戦無しに半端な作戦で仕掛ければ確実にやられるだろう」

 

そこでムッツリーニだ。情報戦・裏工作置いては奴の右に出るものはいない。根元を出し抜くならムッツリーニの力は必要不可欠だ

 

「土屋が鍵なのは分かったわ。それで、瑞希達がお膳立てっていうのは?」

 

「情報戦が鍵と言ってもそれを有利に進めるには開戦直後の純粋な力比べで主導権を握る必要がある。そこで姫路には開戦から前線に出向いて戦線を押し上げてもらう。近衛兵数人以外は全員投入するから渡り廊下での攻防は絶対に負けるなよ?Bクラスを教室内に押し込めれられれば理想だな。風見と藤原に関しては戦局に応じて動いてもらうことになる。決行前に説明するからそれまでは待機だ」

 

「つまんないなぁ」

 

「それで、作戦は理解したところで今回の死者は誰かしら?」

 

「字が違うぞ幽香〜」

 

まぁ間違いでもないだろう

 

「今回はそうだな・・・須川!お前が行ってこい」

 

「はいはい了k・・・ん?おい待て坂本!なんで俺なんだよ!?」

 

ここまで全く関係のなかった須川は突然の死刑宣告に反発してきた。まあ「死ね」と命じられて「はい、喜んで」なんて言う奴はそういないわな

 

「安心しろ須川、Bクラスは美少年好きが多いらしい。お前なら問題ないだろう」

 

「な、なるほど。確かに俺は365°どこから見ても美少年だからな!」

 

「おうだから自信もって逝ってこーい」

 

「あぁ行ってくるぜ!」

 

須川は機嫌よく教室を飛び出した。ホントバカは扱いやすくて助かる

 

「5°多かったな」

 

「実質5°じゃな」

 

秀吉も藤原もそんなこと言ってやるな。本人はあれで幸せなんだからよ

 

「さて、お前らBクラス戦に備えて勉強しとけよ〜」

 

「「「うぃ〜っす」」」

 

当然、須川はボロボロになって帰ってきたがそんなことには構いもせず準備を進める。そして時は流れ

 

キーンコーンカーンコーン

 

「開戦だな。姫路、前線で指揮を取れ。前に進むためなら捨て駒にして構わん」

 

「は、はい・・・み、皆さん、頑張りましょう!」

 

「「「ウオォォォォォ!姫路さんのために!姫路さんのために!!!」」」

 

姫路と一緒に戦えるとあってか士気は素晴らしいものだ。これなら前線は確保できるだろう

 

「よしお前ら!姫路を最前線に送り届けるために逝ってこい!」

 

「「「オォォォォォォオ!!!!」」」

 

コイツらはホント扱いやすくて助かるぜ。戦力としては微々たるもんだが指揮が高ければそう簡単には負けないし捨て駒にはピッタリだ

 

「風見と藤原は指示があるまでここで待機だ。ムッツリーニ、戦局は逐一報告しろ」

 

「了解・・・」

 

「待機かー、暇だな」

 

「あら、私達は動かないに越したことはないわよ?」

 

「本音は?」

 

「早く暴れたいわ」

 

「だろ?」

 

コイツらは・・・頼むから好き勝手暴れるのはやめてくれよな?

 

「突撃部隊が敵前衛部隊と接触。戦闘開始」

 

「会話をこちらにも聞こえるようにしてくれ」

 

「了解」

 

・・・・・

 

『ザザッ…いたぞ!Bクラスだ!』

 

『生かして返すなー!』

 

『Fクラスの雑魚が!試獣召喚(サモン)!』

 

『な、なにーーー!?』

 

『バカな!?実力が違いすぎる!』

 

「なぁ坂本、Bクラスの連中そんなに強いか?」

 

「Bクラスの成績は150点~200点といったところだ。70点も取れれば上出来なFクラスとは文字通り強さの桁が違う」

 

「ふーん」

 

得意不得意もあるがAクラス、それも上位に入れる成績の奴からすれば大した脅威ではないんだろうが、Fクラスの奴ら(バカ共)には荷が重いか

 

『お、遅れ、ました。ごめ・・・なさい』

 

『来たぞ!姫路瑞希だ』

 

お?やっと到着か。殺る気の奴らの足に着いていけなかったか

 

『姫路よ、来て早速ですまぬが』

 

『は、はい。行ってきますね』

 

『長谷川先生、Bクラス岩下律子、Fクラス姫路瑞希さんに数学勝負を申し込みます!』

 

『姫路瑞希受けます。よろしくお願いします』

 

『律子、私も手伝うよ』

 

『『『試獣召喚(サモン)!』』』

 

ほう、姫路を相手に2人で挑むのか。だが姫路がこの前受けた数学の出来は確か・・・

 

 

数学

2-F姫路瑞希VS  2-B岩下律子&菊入真由美

 412点  VS    189点&151点

 

 

400点超えてるから『腕輪持ち』だったよな

 

『う、腕輪!?』

 

『そんなの勝てるわけ――――』

 

『いきます!』

 

キュボッ!

 

『きゃあぁぁーっ!』

 

『律子!』

 

姫路の腕輪は『熱線』。広範囲の直線状に光線を放出して攻撃する、だったか。かわいそうにBクラスもここまで圧倒的な差を見せつけられるとは思ってなかっただろう

 

『な、なんて強さだ!?』

 

『姫路瑞希、噂以上に危険な相手ね』

 

『ごめんなさい!これも勝負ですので、皆さん頑張りましょう!』

 

『『『おおーーー!!!』』』

 

・・・・・

 

「さて、前線の方は一先ず大丈夫そうだな」

 

ここまでは順調だ。後は士気の高い奴らがどれだけ頑張ってくれるかが重要になってくるが・・・

 

「4だ」

 

「5よ」

 

「6」

 

「7だ」

 

「妹紅、ダウトよ」

 

「ぐっ」ガサガサ

 

「・・・お前らは何をやっている?」

 

「見たらわかるだろー、ダウトだよ」

 

「いくら何でも暇すぎるわ」

 

「何でムッツリーニまで混じってんだ?」

 

「欲望には抗えない」

 

コイツらは・・・

 

「何かアクシデントでも起こらないかなー。こう、突然の来客とか」

 

「今は戦争中よ?来客なんてそうそう来n「失礼する、俺はBクラスの使者だ。代表からFクラス代表への伝言を預かっている」・・・来たわね」

 

「悪い、フラグだった」

 

伝言か。根本の奴何考えてやがる?

 

「話を聞こうじゃないか」

 

ともかく、俺たちに利があればいいんだが果たして何が出るやら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~Bクラス前廊下~

 

「むぅ、Bクラスもしぶといのう」

 

「あと少しで教室に押し込めるのにね」

 

姫路の活躍でBクラスを教室前まで押すことに成功したもののそこからが攻め切れない。厳しいのじゃ

 

「行って来たぞ(小声)」

 

「ご苦労(小声)」

 

ん?あ奴はBクラス?どっから来たのじゃ?『次のBクラス戦だが、どうやら代表は根本らしい』・・・何だか嫌な予感がするのじゃ

 

「島田よ、悪いが一旦教室戻る。ここは頼むのじゃ」

 

「?わかったわ。早く戻ってきなさいよね」

 

「すまぬ」ダッ

 

わしの考えすぎならいいのじゃが、考えすぎであって欲しいのじゃ

 

 

~Fクラス~

 

「これは・・・!?」

 

教室に戻ってきたわしの目に入ったのは壊さた卓袱台と筆記用具じゃった。まさかこうくとはのう、根本のことを少し甘く見てたのじゃ

 

「そういえば雄二はどこじゃ?それに風見や藤原も「ガラガラ」ん?雄二!」

 

「秀吉か、いったいどうしt・・・なるほど」

 

教室に戻ってきた雄二は状況を見てすぐに理解したようじゃ。雄二と一緒に入ってきた風見と藤原も同様じゃ

 

「雄二よ、お主いったいどこに行っておったのじゃ?ここにいたならこんな事態にならんかったじゃろうに」

 

「根本から協定を結びたいとの申し出があってな。調印の為に教室を開けていたんだが、してやられたな」

 

「協定じゃと?」

 

「ああ。四時までに決着がつかなかった場合、戦局をそのまま翌日の午前九時に持ち越し。その間試召戦争に関する一切の行為を禁止する。とな」

 

「お主はそれを承諾したのかの?」

 

「ああ、この条件はこちらにもメリットがある」

 

「メリットじゃと?」

 

「姫路だよ。このまま体力勝負を続けるのは姫路が主戦力の私らにはリスクがあるからね」

 

それは確かにそうじゃな

 

「今日はBクラスを教室に押し込めて終了。作戦の本番は明日だ」

 

「では何としても押し込めねばならぬわけじゃな。それならわしは早く前線に戻ろうかの」

 

「筆記用具はこっちで何とかする。頼んだぞ」

 

「了解じゃ」

 

「た、大変だ!島田が人質に取られた!」

 

「はあ!?」

 

「なんじゃと!?」

 

「そのせいで敵は後二人なのに攻めあぐんでる」

 

「・・・すぐ行くのじゃ」

 

島田には前線を任せていたはずなんじゃが、どうしてこうなったのじゃ

 

 




次回
  根本 死す
        デュエルスタンバイ!(嘘)


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怪しい?情報提供者

何と前回の投稿から2年も経過していた!?でも更新したから失踪じゃないよね!



・・・マジでごめんなさい

とりあえず本編へ


「く、来るな!それ以上近づいたらコイツを補修室送りにするぞ!」

 

「くそっ、どうすれば・・・」

 

幽香、木下と一緒に前線に戻ると情報通り、島田がBクラスの生徒に捕まっていた

 

「すまぬが状況を説明してくれぬか?」

 

「おお木下!それが、さっきまでBクラスを抑え込んでたんだが、島田がいきなり戦線を離脱。理由も言わずに行かれても困るから後を追ったんだが、その先でBクラスの待ち伏せに会って・・・」

 

「はぁ?戦線離脱だぁ?」

 

「・・・どういうことかしら?」

 

「へへっ、Aクラスの吉井が保健室に運ばれたって偽情報を流しただけさ。こんなにあっさり引っかかるとは流石に思わなかったけどなw」

 

作戦が上手くいったことが嬉しいのか、聞いてもいないのにBクラスの生徒は得意げに解説をしてくれた。明久への執着が強い島田だからこそ引っかかったってわけか

 

「へぇ、つまり明久を出汁にしたわけね」

 

「(ビクッ!)な、なんだよ…」

 

あーあ、幽香のやつキレてるよ。幽香は明久がくだらないことに利用されるのが嫌いだからな。あー、一応裁きが下る前に確認しとくか

 

「んで、島田はどんな情報に騙されたんだ?ま、どんな事情にしろ戦線離脱なんて論外だが」

 

「だって…」

 

「だって?」

 

「だって、吉井がスカーレットのパンツ見て倒れたって言うから!お仕置きに行こうとしたのよ!」

 

・・・・・・は?

 

「・・・総員、突撃なさい」

 

「え!?」

 

「聞こえなかったのかしら?突撃と言ったのよ」

 

「じゃ、じゃが風見よ、島田はどうするのじゃ?」

 

「知らないわ。島田まとめて潰した方が早いじゃない」

 

「ちょっ!?」

 

島田が待てと言わんばかりに反応するが幽香は気にせず続ける。当然だ。私でも同じ指示を出す

 

「私はね、明久が誰かの陰謀に利用されるのが大嫌いなの。それだけで私が動くには十分なのよ」

 

「同感だな。それに島田、これはお前のくだらない勘違いで起きたことだ。そんな戦犯にくれてやる慈悲なんかない。木下、指示をくれ」

 

「はぁ、お主たちは血の気が多いのう・・・総員、突撃!島田には悪いが、一気に前線を押し上げるのじゃ!」

 

もはや止まらないと判断した木下が改めて突撃を指示。一人(+人質)相手に10人弱でぶつかるのは気が引けるが、これは戦争だ。気にする方が負けだろう。

 

「戦死者は補修~~~!!!」

 

「「ぎゃあああああ~~~!」」」

 

どこからともなく表れた鉄人によって戦死者が連れていかれる。いつもどこから出てくるんだか・・・やはり蛇か

 

「さーてここから一気に押し上g『キーンコーンカーンコーン』・・・っと今日はここまでか」

 

「面倒ごとは片付いたし、前線もだいぶ押し上げたわ。十分でしょ」

 

「そうじゃの。姫路も温存できたしこれなら明日も上手く戦えるじゃろう」

 

クラスに戻って被害状況を確認すると思ったよりもこちらの戦死者が少ない。倍以上の実力差がありながら戦死率ではほぼ互角か…大したもんだな

 

「お前ら、今日はもう解散だ。明日は早いからな、しっかり休んどけよ」

 

「「「うぃ~す」」」ゾロゾロ…

 

「それじゃ私らも変えるかー」

 

「そうしましょうか」

 

「あやや~、幽香さんに妹紅さんじゃないですかお久しぶりですね~」

 

帰ろうとしたところで聴き慣れた少女の声がしたので振り返る。射命丸文。私らと同じ幻想郷の住人で今は2-Dの生徒だ

 

「ん?文じゃん、なんか用か?」

 

「私は放送部ですからね、Dクラスを下しBクラスに挑むFクラスの取材ですよ〜。それと、耳寄りな情報を授けに」

 

後者が確実にメインだろ。コイツがふらっと絡んでくるなんてどうせ明久関連だろうし

 

「ならうちの代表に・・・」

 

「おいムッツリーニ!しっかりしろ!」

 

「雄二!AEDの準備完了じゃ!」

 

「よし、300Jチャージ!」

 

バリバリバリバリバリ!!

 

ふと坂本達の方を見るといつの間にか倒れていた土屋をAEDで蘇生していた。何処に命に関わるようなシーンがあったのだろうか

 

「・・・お忙しそうですねぇ」

 

「何やってんだか」

 

「ちょっと坂本、こっち来なさい」

 

「あ?何だよ風見・・・って誰だお前」

 

「これは失礼、私は射命丸文。放送部所属で先日あなた方にやられたDクラスの生徒ですよ」

 

「はぁ?Dクラスが今更何の用だ。言っとくが、戦後対談の件なら変更はなしだぞ」

 

「いえいえ、今回は放送部の取材で来てるのでご安心を」

 

「そうか、ならいいが」

 

「えぇ。では早速、今回試召戦争を仕掛けたきっかけから・・・」

 

その後は20分程だらだらと前回の試召戦争の話が続いた

 

「おい文、そろそろ本題を話してくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本題?何の話だ」

 

「おっとそうですね、では取材はこの辺にして。さてFクラス代表、今日はあなた方に有益な情報提供二来たのですよ」

 

「情報提供?」

 

「ですです。あなた方の目標、つまりAクラスの情報ですよ」

 

!?コイツ、何で俺達の最終目標がAだと知ってやがる?それにAの情報を提供するだと?

 

「話が見えないな。まず何故俺たちの目標がAクラスだと?それにどうして急にAの情報を提供するなんて言い出したんだ」

 

いきなりやってきて何の見返りもなくおいしい話だけ渡しに来たなんてできすぎてる。何を企んでやがる

 

「あやや、疑われてますねぇ。まあ当然でしょう。では説得も面倒なのでこうしましょう。ここからは私の独り言です。どう捉え、どう活かすかは自由です」

 

「は?おい待t」

 

急展開についていけない俺に構わず、射命丸はつぶやき始める

 

「学年次席フランドール・スカーレット。鍵になるのは彼女です。元々信頼関係があり且つ学年のトップ2である二人が組めばどんな相手でも勝ち目はないでしょう。それと、一口に試召戦争といっても『戦争』である必要は無いんですよ」

 

明久も自分とスカーレットがどうのと言っていた。やはりスカーレットをどうにかしないといけないのか。それに試召戦争が戦争である必要はない?・・・ダメだ今は情報が多くてまとまらん

 

「こんなところですかねぇ。では、私はこれで失礼します。取材のご協力感謝です!」

 

いうだけ言って射命丸はとっとと教室を去ってしまった。ってかいつの間にほかのやつらもいねぇじゃねーか

 

「・・・俺も帰るか」

 

奴がもたらした情報は確実に有益なものだろう。ゆっくり考えるためにも明日の戦争はさっさとカタをつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今はいろんな情報が絡まって悩んでいるでしょうが、それでも頭はキレるみたいですし。これからが楽しみですねぇ!っとと、まずは報告に行かねば」

 

文は誰もいない廊下でそう呟きながら目的の人物のいる場所に向かった




ということで短いですが今回はここまで

今までもこれからもリアルが多忙でもともな投稿頻度を確保できるわけでは無いんですが、それでも更新を諦めるつもりはありません!たとえ何年かかろうとも活動は続けます!(笑)

それから同じく更新が止まってる前作なんですが、あちらは完全に筆が止まってしまって(汗

設定やストーリーをいじってリメイク作品として書き直そうかなんて考えています。

読者の皆様に忘れ去られないよう頑張るつもりなのでこれからも応援していただければ幸いです!それではまた次回!



あ、誤字脱字等の報告感想もお待ちしてます!


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目には目を 卑怯には裏技を

今後また超絶多忙期に入って活動どころではないので早めに更新しとこうと思った次第です


「一人にならないよう気を付けるのじゃ!常に多対一の状況を崩してはならぬ!」

 

「「「了解!」」」

 

Bクラスとの戦争二日目。開幕から数の暴力で相手を教室内に押し込み、少しずつしか外に出られないBクラスの戦力を削いで優位に立つというのが今回の作戦だ。切り札である土屋を最高のタイミングで投入するためにも、ここで一人でも多く敵兵力を減らさなければいけないわけだ

 

「にしても、闇雲に突っ込まずリスクとリターンの勘定が出来る坂本はやっぱり切れ者だな」

 

「ええ、個人では勝負にもならないこのクラスでよく戦えるものだわ」

 

「全くだな.....ん?」

 

「どうしたの妹紅?」

 

ふと自分達と反対側の扉から攻めている生徒の一人が気になり目を止める

 

「いや、姫路の様子がちょっとな」

 

私の言葉につられて幽香も姫路の方を見る。

 

「くっ、姫路さん!こっちの応援頼む!」

 

「あ、は、はい!行きま.....うぅ」

 

加勢に行こうとはするのだか何となく全力を出せていないというか.....どうしても気になり姫路の視線を追ってみることにした。するとそこには

 

 

「くくく.....」ヒラヒラ

 

おかっぱの男子生徒が男が持つには似つかわしくない可愛らしい封筒をヒラつかせながらこちらを見て笑っていた。奥で堂々と構えてる辺り、アイツが代表の根本とやらだろう

 

「.....おい、幽香」

 

「多分同じこと考えてるわ」

 

「だろうな、行くぞ」

 

「む?おい風見、藤原!どこに行くのじゃ!」

 

「悪い木下、すぐ坂本のとこに行かねーとなんだわ。少しの間前線を頼めるか?」

 

「!.....わかったのじゃ。早く戻ってくるのじゃぞ、そう長くは持たん」

 

「あぁ、すぐに」

 

木下に前線の指揮を任せ、私と幽香は足早にFクラスの教室を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!坂本!」ドン!

 

「うぉっ!なんだお前ら急に」

 

勢いよく扉を開けたせいで坂本は困惑しているがどうでもいい。言いたいことは一つだ

 

「坂本、すぐにでも根本を打ちに行かせてほしい」

 

「はぁ!?いきなり何を!」

 

「アンタは一言『分かった』といえばいいのよ。ま、許可が出なくても関係ないのだけれど」

 

「おまっ.....」

 

坂本は私たちをまっすぐ見つめてくる。変な意味はない。じっと、こちらの考えを見定めるような、そんな目だ。少しして坂本は「はぁ」とため息をつき

 

「詳しくは言えないが急ぎの用事ってところか、いいだろう。だが条件がある。本来はもっと削りを入れて攻め込むのが理想だったんだ。計画を壊すというなら穴埋めをしてもらう必要がある。最後の作戦、こちらのタイミングに合うようにうまく立ち回ってくれ。そして、何としてでも勝て。それが出来るなら行かせてやる」

 

どうやら私たちがどうしたいのかを正確に読み取ったようだ。それにすぐに新しい作戦の段取りまで考えた。ホント良く頭の回るやつだ。でも今はそれがありがたい

 

「愚問だな。行くぞ幽香」

 

「えぇ。上手く繋げてみせるわ」

 

「あぁそれと、前線のやつらにも動いてもらうからそれも伝えてくれ」

 

坂本の言葉に頷き、私たちは再びBクラスの戦場へと歩き始める

 

「「待ってろよ(なさい)、根本(クソ野郎)!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソっ、木下、限界だ!俺達だけじゃもう押し込めない!」

 

「すみません、私もカバーが.....」

 

「むぅ.....藤原達はまだ戻って来ぬのか」

 

早めに戻ってきたつもりだったんだが、戦況は思ったよりひっ迫していた。むしろ桁違いの戦力相手によく頑張った方だ

 

「悪い遅くなった!坂本からの指示だ、全生徒右手の扉に集合!最終作戦まで切り崩されないよう踏ん張れ!」

 

戻ってきて早々、時間もないので手短に坂本の作戦を伝える

 

「それはいいがもう一方の扉はどうするのじゃ?」

 

「そっちは私達だけでやらせてもらうわ。要は邪魔だから引っ込んでいろってことよ」

 

幽香はそう言いながら一瞬姫路の方を見る。見られたことは姫路も自分が足手まといなことがわかっているのか顔を暗くしていた。全く、わざわざキツい言い方しなくたっていいのに

 

「おぬしらもおぬしらじゃが雄二も雄二じゃ.....よし!皆の者、何としても最後まで戦線を守り通すのじゃ!」

 

「「「了解!!!」」」

 

部隊の指揮は十分、あれならしばらくは持ってくれるだろう。それに私達だって時間をかけるつもりはない!

 

「Fクラス藤原」

 

「同じく風見」

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

  Fクラス   数学  Bクラス

藤原妹紅 風見幽香 VS   モブ

 247点  281点     平均180点

 

「邪魔だ!雑魚に用はない!」

 

「アンタらなんかに構ってる暇はないのよ!」

 

「「「ぎゃあああああああ!!!」」」

 

まだ残っていた雑魚を蹴散らし教室内を見渡す

 

「根本のやつは.....いた!」

 

「うおっ!?貴様らいつの間に.....お前たち、いけ!」

 

「「「試獣召喚(サモン)!」」」

 

 Fクラス   数学  Bクラス

藤原妹紅 風見幽香 VS   近衛兵

 139点  197点     平均200点

 

「チッ、近衛兵か」

 

そのまま根本を狙えれば良かったがが、根本はきっちり手元に近衛兵まで残していた。保身には周到な奴だ

 

「驚かせやがって。だが残念だったな、お前らの奇襲は失敗だ!ハハハ!」

 

「ぐっ.....(かかった!)」

 

根本が上手く引っかかってくれたことに内心ガッツポーズをする。だがそれを悟られないように悔しそうな表情を浮かべながら携帯で合図を送る

 

「さて、貴様らにはここで退場してもr『ガシャーーン!!!』な、なんだ!?」

 

「ま、マジかよ」

 

「ここまで思い切ったことをするとわね」

 

突然教室の窓ガラスが割れ、ロープ伝いに二人の男が入ってくる。一人は鉄人こと西村先生。そしてもう一人が.....

 

「な、お、お前は.....!」

 

「Fクラス土屋康太、Bクラス根本に保健体育で勝負を申し込む」

 

寡黙なる性識者(ムッツリィニィ)ーー!」

 

 Fクラス 保健体育 Bクラス

 土屋康太  VS  根本恭二

  446点       0点 

 

「そこまで!勝者、Fクラス!」

 

鉄人の口から出た言葉は私達クラスの勝利宣言だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱小の俺達に負けた気分はどうだ、Bクラス代表さん?」

 

「.....」

 

だんまりか。戦争が終結したから嬉し恥ずかし戦後対談と思ってきたんだが、存外根本のやつがおとなしい。Fクラスに負けたのがよっぽどショックだったのか。教室の端の方では鉄人が「はぁ、コイツらはまた.....」とつぶやいている。あの作戦についてこれる教師なんて鉄人ぐらいしか思いつかなかったがこれは後が怖いな。今のうちに言い訳を考えておこう

 

「さてBクラスの諸君。本来であればクラス交換で俺達の素敵なちゃぶ台をプレゼントしてやるところだが、条件次第では免除してやってもいい」

 

「何をやらせる気だ」

 

「簡単なことだ。それh「おい坂本ちょっといいか」何だよこのタイミングで」

 

条件を伝えようとしたところで藤原に割って入られる

 

「実はな.....というわけなんだが」

 

「ふむふむ.....なるほどな」

 

要約するとFクラスの設備破壊の際、根本が姫路の私物を盗んでおり、それがきっかけで姫路は前線で力を振るえなかった。そして姫路の私物を取り返すために藤原たちは勝ちを急いだということだ。最初から言えとも思ったが、まあ個人的な事情だしためらったのだろう、1秒でも急ぎたいのもわかる

 

「それなら.....ふむ」

 

妙案が浮かび俺はニヤリと笑う

 

「改めて条件を言おう。根本、お前がAクラスに言って『戦争の準備がある』とだけ言ってこい。間違っても布告はするなよ」

 

「そんなことでいいのか?ほっ」

 

「ただし、お前がこれを着ていくことが条件だ」

 

そう言って俺はいつの間にかムッツリーニが用意した女子生徒の制服を突き出す。ムッツリーニはどこからこの制服を手に入れたんだ?

 

「ばっ!ふざけるな!誰がそんなこt」

 

「俺達に任せてくれ!」

 

「Bクラス全員で協力するわ!」

 

「おい貴様ら!何を言っtごふっ」

 

根本は拒否しようとしたが仲間にあっさり裏切られ制服を脱がされていく。クラス内でも信用無かったんだな、コイツ。ちなみに根本の制服さえ手に入れれば良かったのであって、Aクラスへの宣言なんて実はどうでもいい。どうせ、あっちは分かってて塩を送ってきてたんだ。どの道俺たちが戦う舞台は整う

 

「さて、藤原、これでいいか」

 

脱ぎ捨てられた根本の制服から1通の封筒を取り出し、藤原に渡す

 

「おう、サンキュー」

 

「姫路さん、ちょっといいかしら」

 

「?はい、何でしょう」

 

向こうはあのまま任せればよさそうだな。さて、これでBクラス戦は事後処理まで決着だ。次はいよいよ.....

 

「待ってろよ、Aクラス(明久)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねーねー、やっぱりFクラスが勝ったってー」

 

「そりゃあ勝ってもらわないと。でもそっか、やっとだね」

 

予想通りの結果に安堵し、またこれからの展開にボク()の気分は高揚する

 

「負けないよFクラス(雄二)!」




Bクラス戦決着!

早くAクラス戦を書き上げて明奈に主人公らしいポジションについてほしいですがしばらく先のことになりそうです、トホホ.....

感想、誤字、脱字報告等いつでもお待ちしてます


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