タイトル保持者のおしごと! (霧島ナガツキ)
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一手

 夏は過ぎるとも、未だに暑いこの季節。玉座戦は冷房の効いた部屋の中でゆっくりと進む。

 そして俺は現玉座相手に王手をかけた。

 相手はそれに対応し、それに対して俺は思わずニヤリとした。

 ―――読み通り。後はここにこれで……。



 その後、4手で相手が投了。

 俺は玉座、盤王、棋帝の三冠を有する事となった。






 ―――という夢を見たわけではなく、実際にそうなっている。現在3冠。ちなみに竜王戦もあったが、そちらはクズ竜王に負けた。



「確か今日は、清滝九段と九頭竜の対局だったな……」
 寝起き直後、それを一番に思い出し将棋会館に向かう準備をする。準備が整うとすぐに自宅を出る。ちなみに自宅は九頭竜の隣。どうでもいい? 知ってた。
「―――の。あの!」
「あ? 九頭竜の家の前でどしたん?」
 思わず岡山弁が……。いやまぁそんな事よりも、今18手程読んだ。
「九頭竜竜王は今どこに?」
「九頭竜……不在なら今将棋会館にいると思うよ。取り敢えず―――」
 九頭竜の部屋のドアを開けると、鍵は開いていた。
「九頭竜の部屋の中に入って、九頭竜待っとこうか。君はもしかして、九頭竜の弟子になりに来たん?」
「はい! ところであなたは?」
「あー、俺? 俺は伊沢。一応将棋やってるから、相手欲しい時は言ってくれたら、相手するよ。今日は用事があるからこれで失礼。のどが渇いたら俺の部屋に入って冷蔵庫から適当に持って行って。一番上にあるのは酒類だから持って行っちゃダメだけどね」
「ありがとうございます!」
 ニコ生の将棋解説以上に懇切丁寧に説明をすると、お礼を言われたが、時間的にそんなにのんびりできない。
「じゃ、俺はこれで」
 5度くらい頭を下げて、すぐに走って将棋会館に向かう。
 対局開始まで後8分。



 対局開始5分前に将棋会館に着くと、すぐに中継室に向かう。
 到着すると、持参したやっすい将棋盤に駒を並べ、そしてモバイルルーターと2chを開いたスマホも用意して対局を見守る。
 数十分して、2chで実況しながら対局を見守っているが、九頭竜の1手を機に読み切った。そして2chにその読み切りを書いていく。
 ちなみに信憑性を増すために、『伊沢三冠』と名前を付けて投稿している。
 ちなみに2chのタイトルは、『【師弟】九頭竜恩返しなるか【対決】』となっている。
『流石伊沢先生、早いww』
『ちょ、俺まだ考えてたんだけどw』
『伊沢先生の読みの速さには、ほとんどの人は敵わない』
 といった感じである。
『はい、では簡単に解説していくぞ。まず―――』
 といった感じで解説をしていき、ものの5分で解説が終わる。その後少し九頭竜や九段の打ち手が外れながらも、概ねその通りになった。
『やっぱすげーよ、伊沢三冠は』
『その調子で竜王奪取期待してます!』
 それに対する回答が、『あんまり竜王は気持ちが向かないなぁ。幾ら九頭竜といえど、調子を巻き返せば負けるからな』いや確かに21で九段だけどさ。
『それでも期待してます!』
『泥船に乗った気持ちで待ってろ』
 と逃げ台詞を投稿して、片付けをして4階の騒動を止めに向かった。


 その後、尿意から解放された清滝九段は入ってきた俺が三冠として説教をしておいた。
 この後も騒動に巻き込まれることを俺はまだ知らない。




書き終わって一言。納得がいかない。主に原作を全部読んでいないのと、将棋が分からないのが悪い。つまり全部俺の所為。


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二手

2018/04/04
賢王戦に関して修正。


 自宅に帰り、少女の存在を思い出した俺は九頭竜の家に赴く。といっても隣であるが。
「九頭竜。居るんだろ?」
『伊沢さん! ちょっと聞きたいことが! 入っていいですから』
「はいよ」
 九頭竜が何やら切羽詰まった様子だが、何かあったのだろうか。部屋に入ると、やはりというか、何というか今日遇った少女がいた。俺の午後ティーを持って。いや確かに俺の冷蔵庫には午後ティーのストレートか、レモンティーしかなかったけどさ。
「どうした。将棋やって負けたか?」
「そんな訳ないでしょう! それよりこの子をどこで!?」
「あー、今朝対局見に行く時に家出たら遇ったんだよ。それでずっと外にいさせるのは、その子的にも、お前の棋士生命的にもまずいかと思ってな。鍵の開いてたお前の部屋に入れた。そういう事だ。で、1局打つか?」
 九頭竜の弟子になりに来たのだから、兄弟子の俺がこいつの強さを確認するのも悪くないだろう。
「お願いします」
「平手でいいかな?」
「はい、それで大丈夫です」
 なーんか、舐められてる気がするなー。
「伊沢さん、大丈夫ですか?」
 九頭竜が小声で俺に聞いてくる。
「あ? 何が?」
「いや、伊沢さんって三冠の割には認知度ないじゃないですか。多分あいちゃん知りませんよ。それに始めたばかりですからね」
「へー。へー、へーへー。そう、知らない? いや別にいいよ。将棋やってる癖に九段とかの名前知らないとか、どうなん? とか思っとらんよ。仕方ないよね、始めたばっかだし。うん、全然」
「思いっきり思ってるんじゃないですか。はぁ……。やり過ぎないでくださいね」
 心外である。そんなに俺がひどい事をするように見えるのか。
「俺が後手でいい。持ち時間は1時間30、切れたら10秒。九頭竜、対局時計」
「分かりました」
 対局時計の設定がされて、九頭竜の「始めてください」の声で始める。
 まずは定跡通り。まぁ当然だろう。




 42手目。これをこうやって、こうやってこうやって、こうこうこうこうこうこう――――
 以降この思考を打ちながら片隅で考え、読み切った。
 持ち駒を使い尽くさんばかりに打ち込み相手の陣地に攻め込む。穴熊に対して矢倉で攻め込み、投了を狙う。
 その後77手。
「ま、負けました……」
「よしっ」
 無事に勝った。58手目あたりで俺の勝勢だった戦況に、変化が出てきたのは焦った。だがそこは三冠である俺の実力である。何とか互角となりつつある戦況を立て直した。本当は71手で勝ちの予定だった。
「さて、感想戦やるか。あー、九頭竜。俺名人戦出る事になったからー」
「本当ですか!? 凄いじゃないですか」
「いや、もうね。これに勝てば名人を名人じゃなくできるんだよ。いや、もう楽しみ」
「ロクでもないな……」
 そんな会話を感想戦前に続けた。
「えっと、37手目からやるぞ。まずあいちゃんの打ったその手が―――」
 と2時間程感想戦を続け、あいちゃんがここに打ったらどうなりますか。という質問が18程あったが、どれを打っても、結局はあいちゃんの負けである事を説明した。





 伊沢とあいが感想戦を終わらせて3分後。伊沢は改めて自己紹介をした。
「玉座、盤王、棋帝の三冠を保有している伊沢です。段位は九段。さっきそこのドラゴンキングと話した通り、名人戦を控えています。九頭竜の兄弟子なので今後とも宜しくね」
「……え?」
 何かを察した伊沢は耳をふさぐ。九頭竜はその行動に疑問符を浮かべた。
「えええぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 部屋中にあいの叫び声が響く。その後この事について伊沢は八一に「まるで飛行機が50m上空を飛んだようなうるささだった。そんな近くから飛行機のエンジン音を聞いた事はないが」と答えたとか、答えなかったとか。
「あ、あああの! サインください!」
 何処から取り出したのか、色紙とペンを伊沢に向けていた。無言でそれを手に取ると、己の力を信じろ、と書きそして名前の伊沢八十九と書き込んで、あいに渡した。
 ちなみに三冠、三冠と言っているが、賢王戦の第一期を優勝しているた
 め賢王であるが、タイトルではないので、第三期優勝までやはり三冠である。

 その後、3人で将棋を指し続け、2人が寝た後は朝まで1人で将棋を指していた。所謂研究である。ちなみに次の相手は名人である。四冠だったが俺に負けて一冠になってしまったかわいそうな人である。

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三手

 今回は神鍋歩夢六段と九頭竜八一竜王の対局日である。え? 銀子? あぁ、確か俺がオールして家帰って風呂入って冷蔵庫の賞味期限切れのサンドイッチを食べて九頭竜の部屋に戻った10分後くらいに来た。取り敢えず銀子を……え? その場面が見たい? 仕方がないな。



「はいはい、どなたですか?」
「私よ」
 外から銀子の声がした。
「あー、銀子。ちょっと待ってくれ。八一、タオル脱衣所に持って来て!」
「は、はい!」
「すまんが銀子、ちょっと待ってくれ。すぐに出るから」
「暑いので早くしてください」
 そんな急かす声が聞こえる。
 兄弟子であるためか、銀子は俺に対して敬語を使う。まぁいつもの事だからいいのだが。あ、風呂に今入っているのはあいである。決して俺ではない。
「サンキュー」
 タオルを受け取って脱衣所のドアを開けて、そろそろ出てくるであろうからと、風呂場のドアの前に置いた。そして1分ほどして玄関のドアを開けた。
「すまんな。暑かっただろ、お茶出すから待っててくれ」
「何で伊沢さんがいるんですか?」
 何やら些か不機嫌そうだ。何かしただろうか。
「いや、九頭竜の部屋で名人戦の研究してたら夜が明けたんだよ。それで風呂を借りたんだ。ところで銀子は対局か?」
「はい、そうです。ところで帝位戦の研究はしなくていいんですか?」
「いや帝位戦は別に問題はないんだよ。どうせ名人とは当たらないからな」
「そうなんですか。お大事に」
「あぁ、ありがとう」
 ふむ、そのまま死ね的な目で見られたが気のせいだろうか。
「ところでそのランドセルは誰の「師匠! タオルありがとうございます!」です……か?」
 やばい、銀子の俺を見る目が犯罪者を見る目に……。
「まぁ待て。これはあれだ。その、えっと、りゅ、りゅ、竜王の弟子(仮)だ」
「八一の?」
「そ、そう、そうだ。だから俺は関係がない」
 怖すぎ。銀子怖すぎ。俺の周りに凍り付いてるように見えるんだが……。
「じゃ、じゃあ俺は祭神とVSくる」
「いや、ちょっと待ってくださ……」
 俺は一目散に逃げ出して、自室で準備をしてさいかち(祭神)のところへ向かった。あ、洗濯物を洗濯機の中にほっといたままだ……。もう一回洗う事になるのか……。



 このくらいである。さいかちとどこで知り合ったかと言えば、ネット将棋の方である。さいかちが中学生の頃に俺はまだネット将棋をしていた。勿論リアルでも研究や清滝一門でのVS、他の棋士とのVSもしていたが、やはり都合が合わなかったりするのでそのころはネット将棋をしていた。さいかちとはそのころからの付き合いで、とはいえその時はどちらも、プロと女流だとは知らなかった。そして仕事の都合でネット将棋をしばらく指さなかったのだが、久しぶりに起動したときにチャットで『会いたい』と言われ、会うつもりはなかったので『俺に勝ったらな』と適当に言ったところ、本当に勝ちやがって週末に仕事の合間で管東将棋会館に9時集合と相成った。そのころはさいかちも高校生で地元岩手県から都会に出ていた。それでその日にさいかちに会ってビックリ。まさか女流とは思わないじゃん。さいかちの方も対戦相手が、当時竜王と盤王、棋帝の三冠だった俺とは知らず、向こうもビックリ。
 そして東京観光をしてその日は別れた。そして俺が玉座を獲得した時に告白された。確か新宿御苑だったか……。
 条件としては公式戦よりさいかちとの練習対局を優先。高校卒業後に東京で同居。つまりは関西から関東への異動。そして財布や眼鏡等々を捨てようとしていた。というか眼鏡を捨てた時に止めた。「分かったから、分かったからそういう事は止めてくれ!」と言った。その後にこうも言った。「今、妹を俺の弟子にとっている。来年のまいなび女子オープンで妹と当たって勝つこと。そして俺と3局対局して勝ち越す事。後、東京での同居は不可能だから勘弁してくれ。公式戦と被らない日ならしてほしい時にしてやる」と。同居に関しては仕方がないと言っていたが、最後に関しては譲ろうとしなかった。だから、「これが飲めないならお前とは永久的に付き合う事は不可能だ」というと、結局さいかちが折れた。
 ちなみにさいかちとは3局対局を既に17回程したが、昨日とうとう負けてしまった。1勝2敗。恐らく相当研究をしたのだろう。それで負けたなら仕方がない。俺の怠慢だ。後は妹に勝つことを残すのみ。
 ちなみにさいかちがよく爪を噛んだり、椅子に座って対局をすると貧乏ゆすりをするので、それは矯正させた。噛もうとするたびに「噛まない!」とか「ゆするな!」というと、ピクッとして噛むのを止めたり、貧乏ゆすりを止める姿は可愛かった。後はあの怖い笑顔の矯正もした。頬を掴んでムニムニと弄り回した。そして笑顔をしてもらったが、改善は見られなかった。
 このくらいだな。
 そして昨日は仕事の関係でさいかちが関西に来ていたので、さいかちのいるホテルで指した。
 後さいかちの由来だが、単に祭神を言い間違えて気づけばさいかちと言っていた。向こうが何も言ってこないのでそのままである。ちなみに俺はさいかちよりも万智の方が好きだ。

「では本日の解説者の紹介です。昨年玉座を奪取しそして同年12月に竜王の失冠によって、四冠から三冠になった伊沢八十九(いざわやそく)玉座です。そして私が聞き手を務める鹿路庭珠代です。よろしくお願いします」
 グサッときた。その昨年の件グサッときた。
「よろしくお願いします」
「さて、今回は竜王対変人の対局となっております。私としましてはやはりここは竜王がどんな手を使ってでも勝って、調子を取り戻してほしいところではあります」
「なるほど。伊沢玉座は竜王の兄弟子でありますが、竜王と練習対局を指す事があると思いますが、最近はどのような感じでしょうか」
 どういったものか……。まぁ、どういっても俺に被害はないから関係ないか。
「最近ですか……。最近は弟子になりたいと女子小学生が竜王の家に押しかけまして、それで朝私が対応してその夕方時に私も彼女と一局指したんですが、強かったですね。知名度がないのか私の名前を知らなかったことには悲しみを覚えました。一応竜王戦で竜王と対局したんですけどねぇ……」
 そんな事を言っていると、ニコ生のコメントが女子小学生に関する話で埋まった。
「えっと、それは一体どういう?」
 近い。近いよ、胸、胸見えてるから。いや、どういうわけでもないが……。なるほど研究会潰しとはこういう事か。
「いや、色々あってその翌日に空女流二冠がVSで竜王の家に来まして、私は巻き込まれるのを嫌って逃げたんですが、その夜に電話で内弟子(仮)にすると話を聞きました。最も春休み限定らしいですが。ちなみに知らない人向けの解説ですが、内弟子となった者は師匠の家に住み込みで将棋を教授してもらいます。私の場合は17歳の妹を18の時に弟子として取らされ……いえ、取りましたが今は岡山の方にいて時折実家での修行の成果を将棋会館で見る事になっています。つまりは、その女子小学生は通い妻的状態ですかね。とはいえ(仮)ですので、これからの進捗が気になるところではあります」
 ここまで言い終わると、さらにコメントが荒れた。再生回数は120万、コメント数は32万を超えた。
「さて対局に戻りたいと思いますが、今回の対局は第60期帝位戦紅白リーグ。棋士は先手・神鍋歩夢六段と後手・九頭竜八一竜王の対局となっており、九頭竜竜王は今季順位戦でC級2組への降格が決まっています。今回の対局を見てどうでしょうか?」
「そうですね、今回は相矢倉となっていますが、恐らくは神鍋六段が矢倉穴熊へとするのではないかと思います。さらに言えば、神鍋六段を倒すのは調子を落としている竜王は容易ではないかと思います。しかし、汚くても何であっても、神鍋六段の隙をつけば竜王にも勝ち目があると思います」
「という事は、その隙さえつけば勝てるという事ですか?」
「はい、私はそう思います。というかこれ、竜王が六段に負けたらすごく恥ずかしいです。いや、ホントに。私も神鍋六段と竜王位を持っていた時に対局しましたが、六段に負けるわけにはいかないと思いながら指してました。その為に無駄に時間がかかって122手もかかってしまいました。指しミスが無ければ81手で神鍋六段の投了までは読んでいたんですが……」
 俺の言葉に、周囲はしーんとなった。
 その後は順調に進んで、40数手で昼休憩となった。俺達も昼休憩なので、飯を食べるのだが今日はコンビニのカツサンドと午後の紅茶ストレートティーのみという、質素な食事であるため、解説の場で食べることにした。その間ずっと生放送に晒され続けたが、別にどうという事はなかった。
【これからの展開をどう思いますか】と書かれたフリップを見せられてカツサンドを食べながら考える。そしてカツサンドを食べ終えて、紅茶を飲んで一息つくと解説をする。
「私としては未だに読み切れてないんですよね。63手までは読んだんですけど、詰みまでは時間がかかります。まぁこのくらいですかね。もう少し言うとしたら、このままいくと神鍋六段の勝ちです」
 とだけ言って、本当の昼休憩に入る。といっても売店で自分のグッズにサインをしただけだが……。
 昼休憩が終わる5分前に戻って、その後対局が再開される。そして3時になると、両対局者におやつが運ばれ、解説である俺達にもおやつであるケーキが4つ運ばれてきた。協議の結果イチゴショートと抹茶のケーキを俺が。同じくイチゴショートとチョコショートを鹿路庭二段が取った。少しだけフォークで切り分けて食べる。
「あ、甘い。美味しい」
 というと会場内が笑いに包まれた。同じく生放送の方もコメントが笑いに包まれた。
「伊沢玉座は甘いものが好きなんですか?」
「そうですね。プロフィールの方には好きなものはアイスと書いてある様に、甘いものは好きです。対局後に食べるアイスは最高です。ただ甘すぎるのはあんまり。ほどほどが一番いいです」
「よかったらこっちのチョコをどうぞ。あ~ん」
「あーん」
 といった具合に、鹿路庭二段の切り分けたチョコショートを食べる。
「ありがとうございます。とても美味しかったです」
 うん、美味しい。いやコメントが俺に対する殺害予告で不穏だがいいだろう。
 後、感想を言った時に微笑んだ鹿路庭二段は可愛かったとだけ言っておこう。

 その後、俺達は午前3時過ぎまで対局に巻き込まれた。取り敢えず夜に買い物に行く予定で車で来た俺は、鹿路庭二段を家まで送って、買い物を諦めて帰った。
 家に帰ってLI○Eを確認すると、さいかちからの今日の解説のおやつに対する着信が120件近かったのは怖かった。
 このまま九頭竜も調子に乗って、再起してくれればいいのだが……。



・原作との相違点
祭神雷と九頭竜八一の関係を祭神雷と伊沢八十九に変更


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四手

 九頭竜が奨励会の入会試験で、雛鶴の夫妻と相土下座をしてしばらく。
 今回は月光会長の指令で夜叉神という家の娘さんと対局をしに来ていた。子供と聞いていたので、素直に喜ぶだけならさっさと負けて帰ろうと思うが、勝って人を馬鹿にするのなら、感想戦でちょっと痛い目に遭ってもらおう。
 そんな事を考えながら、使用人について行き、夜叉神天衣のいるところに連れて来られる。
「アンタが今日私と対局する雑魚ね?」
 初対面でこの言い回しはひどい。銀子でももっと丁寧だったぞ。というかめっちゃ恥ずかしがっていたな。
「そうですね。私は「どうでもいいわ、どうせ前の奴らと一緒なんでしょ?」そうかい」
 ならば言葉は不要だろう。後は戦うのみだ。
「律儀にも並べてたのか。そっちが先手でいい。平手で時間は無制限。すみませんがこの棋譜に私が言う事を順番に書いてください。例えば3四歩といったら、まず最初に数字で3と書いて、次の四を漢数字で書いてください。後歩などの漢字はこちらに。ではお願いします」
「分かりました」
 準備は整った。始めよう。三冠として負けるとしよう。所詮は子供の考えだ。こっちが手を抜かない限り勝てんよ。



 179手。俺は投了した。最後は7八竜。意外と時間がかかった。予想では133手目あたりの投了かと思っていたが。
「ふん、小学生に負けるなんてプロ棋士なんてたかが知れてるわね」
 カチンときた。流石にこれはカチンときた。
「すみません、ありがとうございました。では棋譜を」
 棋譜を受け取って、81手の状態に戻していく。
「何よ。感想戦はお断りよ」
「まぁ聞けよ。まずこうこうこうこうこう、こうこうこうこうでこうで13手詰め。次に103手のここで5手詰め。さらに言えば71手のここで23手詰め」
「っ……」
 言葉に詰まって何も言えないらしい。結局相手が言った言葉はこれだった。
「何よ、そうだとしてもそれを見落として負けてるんじゃない」
「そうだな。その負けが仕組まれたものじゃなければな。いいか、ここまでプロ棋士が合わせてくれた時点で負けてんだ。プロ棋士に1勝しただけで驕るな。それとアマチュア名人やタイトルを持っていないプロ棋士や女流棋士と、三冠保持者を一緒にするな。実力は一定じゃない。始める前から驕るな、油断するな。いつか足元を掬われるぞ。それが直らないようなら、俺は弟子になんて取らないし取れない。精々別の奴のとこにでも行くんだな」
 それだけ言うと、持っていた鞄を持って立ち上がる。
「棋譜はやる。弟子入りしたいというのなら、その棋譜を見て何処が問題だったか関西将棋会館まで来て言うんだな」
 そう言って踵を返して歩き出した。
 ここでふと思い出した。そう言えば―――
「明日は将棋会館でテレビの取材があったな」
 おっと、思わず声に出してしまった(ニヤニヤ)
 そんなミスをしてからこの家を後にした。俺はちょっとした用事で清滝家に行くことにした。



 清滝家に到着して部屋の襖を開けると、その中はまるでシベリアだった。
「どうしたんですか? こんな空気の中」
「八一君は?」
「いや、知りません。その内帰ってくるんじゃないですか? 知りませんけど」
「そう……」
 そしてまた沈黙。この空気はよろしくないと、何とか立て直すために頭を使う。
「もしかして、九頭竜の指導が甘いせいであいちゃんが弱くなったか?」
 それが閃き言うと、二人がピクッとした。図星か。
「そんな予感はしとったけど、まさか本当だとは思わんかった。で、どこまでやった?」
 若干岡山弁交じりで銀子に問う。
「一番手直りで六枚落ちになりました」
「あー、そらよおー(弱く)なっとる事で。そげんなっとるんは指導が甘すぎるんやろ。もちっと厳しゅうせんと。ところで銀子今日は対局で静岡じゃなかったか?」
「八十九君、これ」
 うわ、俺の仕事増えそう……。しかし持ち時間2分消費のみで負けたんは屈辱だろうな。それに駒がこれ以上おけんから畳の上に置くって……、可哀そうだな。
 そう思っていると、LI○Eに着信が入った。
 予想通り月夜見坂からで『大阪着いた。ちょっと付き合って』だった。そしてさらに目的地を指示された、面倒な事になったと思って、頭を掻くとスマホをズボンにしまった。
「すまんが、俺は所用で外す。これ、今日用事で行った家の人から貰ったもんだが、食っていい」
 俺は寿司折りを置いて、目的地に走って行った。これでも毎朝の運動は欠かしてないので、これくらい苦ではない。




 目的地のファミレスに到着すると、月夜見坂がやけ食いをしていた。金を払わされるんだな、と思って店員に連れが先に来ているといって、月夜見坂のもとへ向かう。
「惨敗したんだって?」
 それだけ言ったのに、月夜見坂は机に頭を打ち付けた。
「持ち時間を2分消費されただけで負けたんだぞ! お前にこの気持ちがわかるか!」
「知らねーよ。というか銀子なんてそこまで強くないだろ。それにお前が強いから万智も含めて研究会やってんだろ」
「どうせ、オレなんて万智のついでだろ!?」
「うん」
 正直に答えると、また机に頭を打ち付けて泣き出した。
「少しは隠せよーー! 悲しいじゃねぇか! あの時四冠だったお前に誘われて嬉しかったんだぞ!」
 そうだったのか。あの時「ふん、お前がそういうんじゃ仕方がねぇな」って言ったから、嬉しくなかったのかと……。
「そうだったのか……。それは悪かったな」
「今更謝るなぁぁぁ!」
 一体俺にどうしろと……。取り敢えず注文しよう。
 ボタンを押して店員を呼び寄せる。
「すみません、このツインハンバーグとカルボナーラ。それとここからここまでください」
 では注文を繰り返しますと、注文の確認をして店員は去って行く。ちなみにここからここまではデザートの部類である。静かだと思って月夜見坂の方を見れば、無言でやけ食いをしていた。こわっ……。
 その後、電話がかかってきて「あいについて聞きました」と九頭竜から電話が来た。そして「夜叉神天衣ちゃんの方に行ったら、対局したら泣いてどっか走って行かれました。伊沢さん何かしましたか」とも聞いた。取り敢えず俺はその時の事を説明しておいた。
 月夜見坂に関しては、やけ食いが終わり帰るかと思いきや、俺についてきて勝手に俺の布団で寝やがった。絶対許さねぇ。



原作改変難しいです。うがぁぁぁぁぁぁぁ(強制終了)


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五手

 今日はテレビ取材。タイトルは『ナニコレ! 将棋の新常識』である。九頭竜のプロ入りで人気急上昇の将棋について、色々な棋士から詳しく聞くというものである。
「さて、今回やってきたのは関西将棋会館です。今回、スペシャルゲストがいるという事で早速入ってみましょう」
 慎重に対局室の襖を開ける進行役・ハトリ。伊沢はそれを緊張した面持ちで待っていた。
「うわっ、凄い方がいますよ」
 ハトリは一度カメラの方を向いて驚くような仕草を取って言った。そして襖を開けた。
「失礼します。ちょ、ちょっとこちらに来てもらっても……」
 今回はハトリに加え、ツチヤという芸能人の中でも将棋が強い人が来ていた。伊沢は呼ばれるままに行くと、真面目な顔でハトリの方を向いた。
「今回のスペシャルゲストは、伊沢八十九三冠です。今回はよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします。バラエティー初出演でとても緊張しています」
「あ、そうなんですか。伊沢先生の事ですから、バラエティー番組にも引っ張りだこかと思っていましたが」
 伊沢はないないといった感じで手を振って、苦笑いをしながらこう答えた。
「そんなことないですよ。まだ七冠が取れてないのにそんな事ありませんよ」
「そうですか。ところで伊沢先生は三冠ですが、タイトルは何を?」
 ハトリは話題を変えて聞いた。
「今は……盤王、棋帝、玉座を保持しています。昨年12月までは竜王位も保持していましたが、今は弟弟子の九頭竜八一九段が竜王位を保持しています」
「伊沢三冠はですね、名人位以外のタイトルは全部取っているんですよ。ですよね先生」
「えー、まぁそうですね。今年は名人戦挑戦が決定しましたので、名人位を取れるように頑張っています。帝位戦の方は既に負けてしまったので、他のタイトル奪取や防衛に力を入れています」
 と当たり障りのない話をして、ハトリが次の話を進める。
「さて、今回は伊沢先生に色々と将棋について教えて頂くのですが、伊沢先生にとって将棋とは何でしょうか?」
「そうですね、やはり将棋は仕事でありますが、私は体の一部。人生の一部という風に考えています。やはり引退しても一生ついてくるものですから、将棋が好きだ、楽しいといった感情は忘れないようにしています」
「なるほど。あら? そちらの子供は伊沢先生の娘さんですか?」
「いや、あの娘は昨日仕事で対局をしたんですよ。それについての話でしょうね。地上波での顔出しは一般人ですのでまずいですけど、話だけなら構いません。よかったら聞いていってください」
「あ、そうですか。では私達は端の方で聞いています」
 そう言ってハトリ達が離れると、天衣が伊沢に近づく。
「さて、ちゃんと分かったか?」
「相手の事を自分より弱いと考えては駄目だという事がよく分かりました」
「いや、そうじゃなくて。力の差を考えないとどうなるかについて、だ」
 え? といって、考えだしそして結論を出してかのように顔を上げた。
「力の差を考えずに対局すると、対局前の研究が疎かになって、負けた後の反省も疎かになって次につながらない……ですか?」
「そう。相手の実力を考えないと、負けた後の反省が疎かになって、次同じことをしても負ける。そしてそれが負の連鎖となって、すぐに引退する羽目になる。だからこそ、相手の実力が決して自分より低くないと考えて対局する事が重要になる。それだけ考えるだけでも、研究に対する熱の入れようが変わってくる。後昨日は俺が勝ちの詰みしか言わなかったが、実はお前が早々に勝てるときがあった。62手目の時にあれは実は俺が打ち間違えた。その時にその手についてしっかりと考えていれば、勝つ可能性もあるほどのミスだった。だが自分が優勢という事で見落とした。つまりだ、相手の実力を頭の中に入れて覚えておくことは、盤を注意深く見てその手がどういう手か考えることにつながり、それがミスだと分かればそこをついて勝つこともできる。だからこそ昨日言ったように始める前から驕るな、油断するな、と言ったんだ。分かったか?」
「は、はい!」
「よし。ならお前を弟子にする。内弟子ではなく弟子だ。1ヶ月に一度将棋会館で力を試す。そこで俺が先月に指導したことが出来なければ破門、出来れば師弟関係を続行する。分かったか?」
「ふ、ふん、破門なんてされる訳ないじゃない! 私は師匠に一回勝ったんだから!」
 そう言って走り去っていった。
 伊沢はそういうところを直せと言っているんだがなぁ……、と天を仰いだ。そして深呼吸をすると先程の様な真面目な雰囲気に戻った。
「ご迷惑をお掛けしました。もう大丈夫です」
「伊沢三冠はあの娘に一回負けたんですか?」
「あー、よくあるじゃないですか。将棋教室とかで、棋士が子供に負けてあげるって奴。それですよ。私はそれで弟子志望の人が、驕ってないか、油断してないか、試験するんです。それで自分の思う一定値に達するなら弟子にする。将棋の強さは二の次なんですよ」
「なるほど。ここで思わぬことが聞けました」
 その後も将棋会館を歩き回って話を続け、昼はイレブンで食事をとり最後はツチヤと平手で指す事になった。二十秒の早指し。記録係たちもいたりと本格的である。
 その後2時間ほどに渡って将棋を指す事になった。ちなみに後手が伊沢である。94手目2四金でツキヤ玉が詰み投了した。その後供御飯万智と篠窪大志が解説したことを知って、少しビックリした伊沢だった。






賢王戦……もとい叡王戦は2017年からのタイトル棋戦でしたね。失礼しました。


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六手

投稿後追記:
ネタに困ってクロスオーバーに手を出しました。アイドルマスターシンデレラガールズとバーチャルyoutuber2つです。登場頻度は高くありませんが、そういうの嫌いな方には本当に申し訳ないです。
この2つの理由は単純明快で私がハマったからです。


 天衣の指導を九頭竜に任せ4月半ば。名人戦第一局を落とし、第二局が今日執り行われる。
 第一局は相居飛車の将棋となり、伊沢が雁木、名人が矢倉という戦形となった。結果は181手で伊沢が投了した。
 当事者以外が見れば大熱戦となった第一局だが、当事者の伊沢は「不甲斐ない将棋を指した」と八一達に語ったが、それ以上のことは言わなかった。
「それでは定刻になりましたので、伊沢三冠の先手でお願いします」
「「お願いします」」
 伊沢は始まって30秒ほどして、パチンではなく、バチンと力強く7六歩と指した。
 そして盤面は思いもよらない状況になった。
 四間飛車から幾らか手が進み、3八銀として美濃囲いを組むと思われたが、3六歩と指し、五十嵐名人が指した後に3七桂馬と跳ねる定跡外の手を打った。名人はそれの手に2時間ほど指すことができなかった。名人の次の手は昼食後の対局再開後指された。

 ちなみにこれは現実でいうところの藤井システムで、この世界では似たようなものがあったが、完全には確立されていなかった。

 そして第一局前の伊沢曰く、
「名人? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。でも俺は負けないよ」
「駒たっ……駒達が躍動する将棋を皆さんに見せたいね」
 ということである。





 ―――伊沢―――
 新戦術は上手くいったか……。しかし油断は禁物……。相手は名人だ。ここからが正念場……。





 その後も指しに指し、2日目午後8時。全くが未知のこの将棋には時間がかかり、現在俺が残り時間12分。名人が秒読みという展開だ。
 そして現在139手。ここからはまだ分からない。ただ一度でもミスをすれば最悪勝ちを逃すだろう。
「50秒。1、2、3、4、5―――

「負けました」

 」
「どうも失礼しました」
 俺の頭を下げた。
 名人の投了。このままいけば勝てるだろうとは考えていたが、やはり思いと、まさか勝てるとはと思いの2つで頭の中は一杯である。
 その後は記者に質問をされたが、意外と早く終わり、俺は自室に戻って畳の上に転がった。
「勝ったー」
 やはり実感が沸かない。何度勝っても……だ。盤王戦、棋帝戦、玉座戦など多数のタイトル戦で名人と対局をしたが、今日の一勝ほど嬉しいものはない。
 今後ともこの調子でいこう。



 ――――――
 第三局は伊沢が右四間飛車左美濃、名人が角換わり四間飛車の戦形となった。両者ともに譲らぬ攻防戦となり、70手程度指しても未だに均衡状態であったほどだ。
 しかし、伊沢の一手から全てがガラリと変わり、伊沢の攻守の両方は屋根に積もり崩れる雪のようだった。
 119手目に伊沢が投了。感想戦終了後、伊沢は自宅にトンボ帰りしてカップ麺と水、紅茶をコンビニで買い込むと、1週間自宅に籠城して外には出なかった。



 伊沢を除く清滝一門は清滝邸に集まり、全員で夕食をとっていた。
「最近伊沢さんを見てないんだけど、八一何か知らない?」
「え? あぁ、伊沢さんは部屋から一歩も出ずに、コンビニで買い込んだ食料頼りにソフトを使って将棋指してるらしいですよ。なんでも10秒将棋で一日30局指してるとか。本人曰く大丈夫らしいですけど、実際は知りません」
 銀子の問いに八一が答えると、桂香は何か心配そうな顔をして何か考えている。
「そうなの……明日行ってみようかしら」
 結論が出たのか、桂香はそう言ってまたお好み焼きを焼き始める。
 翌日、伊沢の家に行った桂香は部屋の汚さに驚いたという。



 1週間ほど経って、将棋の研究も程々に最近流行りのアイドルである神崎蘭子とやらがテレビに出ていたので、のんびりとみていた。
 伊沢は基本的にテレビを見ない。まずここ3か月テレビをつけた記憶がない。その3か月間は詰将棋をするか、研究をするかしていただけである。
「へー、最近の歌ってこんなんなのか。ふーん。えっと、経歴……はっ!? えっ!? 中学生なん!? うっそだろおい」
 人をダメにするソファに座って……というよりは寝転がっていたが、思わず飛び上がった。
「いやまぁ、あり得るか。それを言ったら俺や八一、名人がその部類だもんな……。しっかし、何ともねぇ……」
 そんなことを考えていると、突如として電話が鳴りだした。
「はい、伊沢です」
『あ、伊沢三冠、ご無沙汰しています月光です』
「あ、どうも。どうされました?」
『先ほどテレビ局の方から、伊吹三冠にテレビ出演の依頼が来てます』
「こんなバカ忙しいのにですか?」
『えぇ。もちろん断ることもできますが……どうしますか?』
 伊沢はしばし考え、結論を出した。
「先方にお受けしますと伝えて下さい」
『わかりました。伊沢三冠の電話番号を伝えておきますので、今度からそちらにかかってきますので』
「あ、はい。了解しました。それでは失礼します」
 そう言って電話を切ると、また人をダメにするソファに寝転がった。

 その日、伊沢vが目を覚ますことはなかった。






 名人戦第四局。第三局までの対局までとは違い、ゆったりとした将棋になった。
 それもそのはず、攻め将棋の伊沢が今回は鉄壁の受け将棋を展開したからだ。検討室は大荒れであった。
 名人の攻めも、伊沢の短い期間で調整したとは思えない頑強な受けには攻め手を欠いた。100手を超えたあたりから伊沢吹の受けが徐々に攻めに転換され、受けの難しい名人はじりじりと押され、結果171手で投了した。
 記者からの質問に対して、伊沢は「名人の棋譜を見て研究するよりも、受け将棋を学びどう勝つかに心血を注いできました」と答えたという。



 名人戦第五局。相掛かりという、あまり面白みのない将棋となった。名人戦の中で一番伊沢が厳しい表情をしていた。そして幾らか進んだとき、伊沢が定跡外の一手を指した。25手目3五歩。前例のない将棋となった。
 ここからは誰にも分からない、二人だけの世界、初めての将棋となった。持ち時間10時間の2日制という時間を両者フルに使った。112手目6一角。
 そこで名人の投了となった。
 色々と終わり、八一から電話がかかってきた時、眠すぎて死にそうだったため、適当に「いやー、勝ててよかった」といって電話を切ると、携帯の電源を落としそのまま寝てしまった。




 6月中旬
 ここまで3勝2敗。
 名人のタイトルを勝ち取るのは、次回の第6局になるのか、それとも最終戦第7局になるのか……。
 終盤戦に差し掛かった今期名人戦を制するのはどちらになるのか。
















最近は若干説明文ありきになっているような気がするので、次回からは気を付けたいと思います。

6月くらい追記:
名人に名前追加したのを報告するのを忘れてました。すみません。
そしてなぜ主人公の名前をすべて間違えたのか。全くもって不思議である。


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