ソレハ――シュゾクヲコエタ デアイ (インデグネイション)
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第壱話
ファンタジー要素アリでお送りします。
――その日、アタシは
――運命の出会いを果たした。
ご飯役兼、毎日散歩してくれている、この群れのリーダー ママさん。
お昼には、散歩に連れ出してくれる為朝はのんびりしている……のだけど。 何やらその子供…… 不快なやつが今日は散歩に行くと言っている。
正直言ってアタシはコイツが苦手だ。 まず第一に…………臭いのだ。見ていると何やらふりかけているみたい、それに、コイツの部屋も臭い。
「ママ、行ってくるねー!」
そんな言葉と共にアタシは外に連れ出された。 正直言って不快なやつだが、あの巣から出れるのは嬉しい。外の匂いの方がアタシは好きだから。
走る 走る 走る走る。
狭い巣の中では思い切り走れない。
だから走った――――――だけど、これが良かったのか悪かったのかと言われれば。
アタシには良くて――彼、あの雄には決して良くは無かったと思う。
アタシの全力疾走に不快なやつが、付いてこれずに転倒した。そして、転んだと同時にアタシを繋ぐ"紐を離した"
(ふんッ!お荷物が居なくなって走りやすくなり清々する)
「待ってぇ!サブレー! そっちは危ないから!!」
不快なやつが何か鳴いている。だけど気にもならなかった。 アイツがアタシの散歩をするのは本当に少ない。"巣に来た当時は毎日"だったケド……"今ではママさんが七回連れて行ってくれる後に一回"なんだから。
私は身体は小さい。 だけれど走る速さは他の子に負けていない自信がある。
広い所に出た。どっちに行こう?そう思ったその瞬間――――――目の前に"デカイモノ"が現れた。真っ黒で大きなモノ。
いきなりの事にアタシは動けなかった……。
本能的にわかる、ああ……アタシはここまでなんだと。
そう思った瞬間に身体に浮遊感。そして次に強い体当たりを受けた感じがして地面を転がった。
ゴロゴロ、ゴロゴロ。 何回、回ったのかわからない。漸く止まり、アタシは目を開けて確認すると見知らぬ雄の前脚に抱えられていた。
匂いを嗅ぐ、良い匂いがした。 アタシには匂いで分かる、この雄は優秀な雄だ。
と――。
「……大丈夫だったか?」
その雄が何やら鳴き始めた。
――顔を歪めていた、あの黒くて大きなモノの体当たりを受けたのだ……無事では済む筈が無い。 今アタシに出来る事は………
「くすぐってえ……」
アタシは顔を舐めた、感謝の印と、良くなってほしくて。雄は、一つ吠えると目を閉じた。
プロローグ編、終わり。
読んでいただきありがとうございました。
では。
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