東方混沌神 (スライムパフパフ)
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第一章 God Only Knows
第一話 目が覚めるとそこは雪国で(ry


本作が処女作となります。

主人公最強ものでありますので、苦手な方はブラウザバックを推奨します。


一、ふと目を覚ますとそこは雪国でした

 

長い眠りから目を覚ますと、そこは雪国であった。

 

「知らない天井だ…」

 

それが俺の第一声だった。

正直なところを言えば視界に天井と呼べるものはなかったのだが、なんとなく言わねばならない気がした。

それどころか、今自分のいる空間には上下左右という概念が存在していなかったのである。

見渡す限りの純白の世界。

意外と最初に感じた雪国ってのもあながち間違いではないのかな、と考えていると目の前におっさんがいた。

突然目の前にサラリーマン然としたおっさんが現れるのである。恐怖だ。

 

「うおっ!なんだいきなり!」

 

「驚かせてしまったかね?申し訳ない。」

 

そりゃあ、目の前にフワッと見たことのないおっさんの姿が浮かび上がったらビビる。

俺はやけに緊急来日したがる超能力捜査官でも、霊能探偵でもなんでもないのだ。

 

「なかなかに混乱しているようだが、事情を説明させてもらいたい。少々落ち着いてくれるかね?」

 

「混乱しているのは七割ほどあなたのせいなんですが…」

 

だが、少しは落ち着いた。

 

「それはすまなかった。では、少しは落ち着いてくれたようだし、君の今の状況を説明させてもらおう。

 ここは死後の世界。死者がまず最初に行き着くあの世への休憩所のようなものだ。」

 

「Oh…」

 

まさかの死亡宣言であった。

え?

ちょっとなにも考えられない。

マジっすか?

 

「マジっす。」

 

心を読まれた。するとあれか?俺は生涯童貞を貫いて死ぬのか。

彼女すら一人も作らずに?

魔法使いにすらなれずに?

死兆星は見てないのに?

おお俺よ、死んでしまうとは情けない。

 

「言い方が悪かったか。そう落ち込まないで欲しい。実を言うと、君は我々のミスで死んだのだ。」

 

「ミス?もしかして…?」

 

「そう、そのまさかだ。君は私の部下の記帳ミスによって、死ぬはずでない要因で死んでしまったのだよ。具体的に言えばこうなる。」

 

つまり、俺の死因は

 

1、俺、横断歩道で信号待ち

2、スマホをいじっていて赤信号に気づかないサラリーマンが車道に飛び出す

3、俺、止めようとするも、あと一歩及ばず、サラリーマンは轢かれる

4、【悲報】俺氏、死亡のお知らせ←今ココ

 

「Oh…」

 

本日二度目の溜息がこぼれ出た。

溜息も付きたくなる。

なにせ、まったく自分の関わらないところで死んでしまったというのだから、無念にもほどがある。

しかも死因が全く不明だ。なぜサラリーマンが轢かれて俺が死ぬのだろうか。3と4の間に何があったのか。

 

「君と、あのサラリーマンの名簿の名前が入れ違っていたのでな。それについては、本当に申し訳ないと思っている。」

 

ごめんなさいですんだら警察はいらないんじゃボケェ!

どないせいっちゅーんじゃタコォ!

東京湾沈めたろかボケナス!

 

とかいろんなセリフが頭の中をよぎったが、よく聞けば、ミスを犯したのはおっさんの部下だ。

監督責任だ、とか言い出したらきりがないが、ここは一つ深呼吸でもして落ち着こう。

 

だが、そうなると俺はどうなるのだろうか。

流石にこのまま生前の行いを閻魔にジャッジメントされるのは勘弁してほしい。

とはいえ、死んだ人間の行き先といえば、極楽浄土か地獄と相場が決まっている。

 

「それについては安心してほしい。君には転生という形で新たな体と命、それに君の望むものをプレゼントさせてもらう。」

 

「それは、生き返るということでいいんですか?」

 

「いや、そういうわけではない。既に君の死亡事件で君の死に方が注目されてしまったし、君の体は火葬済みだ。

 このまま生き返るとなると、ただでさえ意味のわからない死に方をした上に骸骨の体で蘇ることになる。

 肉体を再生しても、骨しか入っていないはずの墓から君が生身で出てくることになる。」

 

「それは勘弁してくださいお願いします。」

 

まさかの人生ハードモードでの復活であった。

なんの脈絡もなく死んだ上に骸骨で動き回るとか、今時どんなB級ホラーでもやらないだろう。

 

「真に謝罪すべきなのはこちらの方だ。本当に申し訳ない。その詫びというとなんだが、君の転生には最大限の便宜を図ろうと思っている。

 なにせ、天界始まって以来の大事件だ。せめてもの罪滅ぼしとして君の要望をフルに叶えさせてもらおう。」

 

それなんて神様転生?ここまでテンプレってやつっすか?

だがとりあえず言う事といえば

 

「だったら…まず、俺の家族に俺の死因がそんな間抜けなアレなのを忘れさせてやってください。

 自分の家族の死因が意味不明だなんて、そんなアホらしいことはないんですから。

 あとは………そうですね、頑丈な体を下さい。少なくともトラックに撥ねられても大丈夫なぐらいのを。」

 

「ふむ、了解した。他にも何かないか?美人の幼馴染が欲しいでも、財閥のお坊ちゃまに生まれたいでもなんでもいいぞ?」

 

「いやいいです。幼馴染は自分で作るものだし、財閥のお坊ちゃまになんてなったら性格歪んじゃいそうですし。

 でも、赤ちゃんからの転生は何とかなりませんか?」

 

魔法使い予備軍の俺でも赤ちゃんプレイの素養はないのだ。

 

「異世界へのトリップという形であれば肉体の再生は不自然にはならないから、問題ない。では、最後に希望する転生先の世界を指定してくれ。」

 

「ええっと…その転生先の世界っていうのは、創作の世界でも大丈夫なんですか?」

 

「ああ、Hellsingでも北斗の拳でもドラゴンボールでもなんでも構わない。」

 

何故そんな死亡フラグの満載な世界に行かなきゃならんのか…

 

「ううむ…じゃあ、東方projectの世界って可能ですか?」

 

「うむ、大丈夫だ…では、最後に本当にすまないことをしたな。君の次なる人生に幸あることを祈っているよ。」

 

「それはどうもありがとうございます…なのかな?」

 

「礼を言う事はない。これはほんのささやかな謝罪の気持ちなのだからな。では、転生させるぞ。」

 

 

不意に目の前が暗くなって、神様の姿もぼやけてきた。

実はテンプレ通りに穴に落ちるのかと覚悟を決めていたのだがその心配はないらしい。

 

「そっちがお好みならそうするとしようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも余分なことを思ったらしい。

目まぐるしく移り変わる視界の中落下する浮遊感を感じながら、俺の意識はブラックアウトしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、俺こと五百蔵俊介の長い人生が始まることになった…




なんとまあ無欲な男なのだ、アレは。
結局のところ、あの男が求めたものは頑丈な体だけである。

天界を揺るがす大事件の最大の被害者があれでは、神の名が廃るというもの。
ここはひとつ出血大サービスといくとしよう。

頑丈な体が望みと言っておったが…


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