亜種特異世界 蒼穹航路 グランブルー (メンタル豆腐)
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特異点 フェードラッヘ
特異点 第1節 到達


生暖かい目で見ていただけたら、メンタル豆腐なんですいません


亜種異世界 蒼穹航路グランブルー

 

 

特異点 フェードラッヘ

 

 

澄み渡る蒼穹はどこまでも美しくどこまでも青かった。

 

吹き荒む風にぶるりと身体を震わせると、黒髪の青年はへくちとくしゃみをする。薄着ではないが、押し寄せる強い風は思いの外冷たい。

 

黒髪の青年 藤丸立香は鼻水を啜ると眼下の光景にため息をこぼした。

 

「空に浮かぶ島とか、どんな世界? ラ◯ュタ?ラピュ◯なの?ダ・ヴィンチちゃん」

 

『リツカくん。そこは異世界。名付けるとしたら亜種特異世界というべきかな。並行世界とは別物の世界だと思ってくれたまえ。』

 

ウヘェと乾いた声をあげると、リツカは今から2時間前の出来事を思い出す。

 

 

 

2時間前

 

 

「次の特異点はどうやら特殊な場所に出現したようだ。」

 

「どの時代ですか?」

 

「あー…うん、それが行ってみないとわからないんだよね。トリスメギストスはすでに霊子演算を修了してて、道筋が出来てるみたいなんだけど、そこに行く過程がこれまた微妙なんだよねこれが。」

 

珍しく言い淀むダヴィンチにマシュと立香は首を傾げた。

 

「はっきり言うと、行けるのは立香だけなんだ。演算がだした結論は完全たる人間しか到達出来ないというもの。つまり、デミ・サーヴァントもだめなわけ。今回の特務任務(ミッション)は彼がマシュの盾を持って先行して転移して、特異点の近くまで移動、それから英霊召喚するかんじかな。」

 

「そ、そんな。それでは先輩の身はどうなるのです!?」

 

「あはは〜戦闘力皆無だもんね。彼。」

 

「あはは〜ウケるー(怒)」

 

「笑い事じゃないですよ!て言うか先輩分かってます!?どんな危険な場所なのかわからないですよ!?」

 

嘆くマシュに立香は肩を竦める。こんな危険な事はもう慣れてしまっている彼の神経が図太いのか、麻痺しているのか分からないが、立香の瞳はもう行く事を受け入れていた。

 

人理継続保障機関カルデア 2016年に人類ざ滅びると観測され設立した機関。魔術回路を有するマスターを選抜、サーヴァントと呼ばれる英霊を召喚し、霊子演算をもとに人類が滅びるきっかけをもたらした特異点へ転移して人理修正を行う。それこそがカルデアの使命であった。

 

藤丸立香はその中でも数合わせに選ばれたマスターのひとりであり、カルデア機関唯一生き残りてもあった。彼は魔術の魔の字もしらない素人だが、潤沢な魔術回路と数々の英霊達と友誼を結び、特異点への干渉を行い歴史の修復を果たしてきた。いくつもの危機、いくつもの悲劇、いくつもの経験の上に立ち、既に人類の存亡をその背に背負う者、それが藤丸立香なのだ。

 

「と言うか、宝具って持ち運びできるもんなの?」

 

「マスターとサーヴァントの契約の繋がりがある限り、その宝具は消失はしない。それか、体内に埋め込むかね?」

 

「うぇ、できんのそんなの?」

 

「できるんだなぁこれが。ぐふふ」

 

「ぎゃあああ!なんか変なスイッチ入ってる!?」

 

「身体を差し出せ!」

 

「翁に謝れ!とにかく俺は背負ってく!」

 

と、ぎゃあぎゃあと騒いだ2時間前の事である。結局、通りがかったマーリンにマシュの宝具を縮小してもらい立香が運べるサイズにして貰ったのだった。

 

 

 

改装が終了し、立香は立ち上がり。空気を吸い込むと、黒いローブをはためかせながら、歩き出す。

 

『立香くん朗報だ。』

 

「朗報ー?嫌な予感しかしないんだけど。」

 

『未確認のサーヴァントを発見。やく二騎だね。あと、特異点への道筋も大体掴めたよ。』

 

「へぇ、それは重畳。で何処へ行けば良い?」

 

『詳細は不明、取り敢えず西の方角にある船を目指したまえ。』

 

「何だかなー。」

 

立香は溜息を零すと脱力したようにふらふらと歩き出す。

 

未知の世界、その中で立香は西を目指し歩きだした。

 

『あ、そっちは南だよ。』

 

「え、まじで?」

 

 

 

 

 

 



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特異点 第2節 騎空士

「っダヴィンチちゃーん!!モンスターいるなんて聞いてないんだけどー!」

 

 

藤丸立香は爆走していた。守りを駆け抜け、道無き道をひたすらに背後も見ずに走り抜ける。

 

後ろにはキノコの仲間みたいなモンスターと、ケルベロス擬きの犬が立香に追いすがる。戦闘力皆無な彼だけど、足だけは強健だった。

 

いくら強力なサーヴァントに守られているとはいえ、自陣のサーヴァントと敵が衝突する場合、宝具のぶつかり合いになり巻き込まれるのは必至。故に流れ弾を全力で回避しつつ、魔術と令呪による支援をするという奇妙な技を覚えていた。現在魔術に関しては回復系、強化系しか習得していない。エルメロイ二世曰く「馬鹿にハサミはまだ持たせられん。」と禁じられていた。解せぬ。

 

 

「っ…あ、出口!」

 

樹々の先に光が見える。おそらく、森の出口で間違いない。

 

全速力で駆け上がる。ラストスパートになり、迷いなく木の枝をかいくぐりジャンプする

 

「よっしゃああ!!ってっうわぁ!」

 

「きゃあ!」

 

「ルリア!? ふぎゃ!」

 

青く澄んだ空みたいな髪の毛が見えて、「人だ!」と慌てて避けた先に赤いナマモノがいた気がしたが、気のせいだろう。

 

「ビィ!」

 

「ビィさん!、大丈夫ですか!?」

 

「っつう、おいこら!お前!おいらの上からどけよな!」

 

 

立香は慌てて周りを見渡したが、やっぱり人がいた。空色の髪の少女と、薄茶の少年が慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた。二人とも14〜16ぐらいの風体だろうか、漸く第一村人を発見したなと安堵したら、腕の何か蠢いている。

 

身体を起こし持ち上げると、喧々轟々に怒るちっちゃなドラゴンが涙目で立香を睨みつけていた。

 

「フニフニだ。」

 

「遊んでんじゃねえ!おいらはぬいぐるみじゃねえんだぞ!」

 

「しかも喋る。」

 

「こらあ!聞いてんのか!」

 

「あ、あの、その辺で、ビィさんを放してくれませんか?」

 

立香はフニフニとビィというドラゴンを蒼い少女に渡すと、じいとビィを観察する。喋るドラゴンだなんて御伽噺みたいだな。フォウとは違う愛らしさだ。なんか駄犬ぽい感じが実にいい。フニフニだし。

 

「ねぇコレ、君のペット?」

 

「へ?ペットだなんて!ビィさんは大事なお友達ですよ。」

 

「へー」

 

「おめぇ絶対分かってないだろ!」

 

「っプクク、ビィ、怪我はない?」

 

「グラン!笑うなあ!」

 

『なかなか、カオスな状態だけど、君達、モンスターが来るけど良いの?』

 

 

ダヴィンチちゃんの声にその場の空気をが、がらりと変わる。

 

「グラン!」

 

「分かってる!」

 

グランと呼ばれた少年は迷いなく背中にあった戦斧を引き抜くと、迫ってきたケロベロス擬きを斬りつけ、そのまま6メートルぐらい吹き飛ばす。その次に追ってきたキノコ擬きも、その流れで横一線に胴体を真っ二つに斬り捨てる。無駄がない見事な斬撃に、立香は思わずヒューと口笛を吹いて拍手する。

 

この少年、細身だが相当な手練れだ。判断力も速いし精神的にも冷静だ。多分、イスカンダルあたり、余に仕えぬか?と勧誘するぐらい強いし、下手なサーヴァントより強いかもしれない。

 

「 グラン、大丈夫ですか?」

 

「ありがとうルリア、俺は大丈夫だよ。あ、これ、お兄さんを追ってきたの?」

 

「いやー、ごめん。そいつに追われてたの忘れた。助けてくれてありがとう。俺は、藤丸立香。君は?」

 

「俺はグラン。よろしく」

 

朴訥な感じで朗らかな好青年だ。あの童話作家あたり「これはまた見事な王道主人公属性だな!つまらん!」とか言いそうだ。ゲルマン系の顔立ちに蒼い服に甲冑姿からして中世ヨーロッパに似た世界なのだろうか。

 

 

「私はルリアです!で、こちらが、」

 

「おう!オイラがビィだぜ!トカゲじゃないからな!オイラはドラゴンだから、そこんとこ間違えないでくれよな!」

 

えへへと笑うその笑顔は、薄汚れた某黒髭海賊とか某青髭野郎とか某日輪の騎士とか某淫乱尼僧とか近づけたくない感じの天使ちゃんである。胸には大きな宝石のネックレスに白いワンピース姿が寒々しい。寒くないのかねチミぃ。

 

 

何だろう、一瞬マシュとフォウに会いたくなった。ホームシックかな。とりあえず彼等から情報貰わなくちゃな。と立香はコホンと咳払いする。

 

「少し、聞きたい事があって。と言うか君強いね、えっとグラン君だっけ?」

 

「ハイ。」

 

「君は何者なんだい?」

 

その問いに少年はキョトンと幼い顔を向けると、ニッと年相応の眩ゆい笑顔を立香に向けた。

 

 

「俺は騎空士、イスタルシア騎空団団長 グランです。」

 

その声はよく通って聞こえた。

 

 

そう、これが人理修復を目指す魔術師と星の島へ向かう騎空士との最初の出会いとなる。

 

 

 

 

 




グラブル主人公

グラン(男)

ジョブ: ウェポンマスター Level20

たぶんスキンはファイターのまんま仕様。剣と斧が得意
バリバリの前系





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