魔法少女物語 (すぴてぁ)
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第一部 1章
1話 戦姫の始まり



最近はまったまほいく

自分の脳内で考えたストーリーを小説にしました

ぜひ楽しんで見ていってくださいね〜


1話 戦姫の始まり

 

10年ほど前家が燃えた。

家族はその時に…死んでしまった。

私は7歳という幼さで一人暮らしを始めた。

 

そして高校2年となった私は今日新たな学校へ通うことになった。

 

「新しい学校……友達…できるかな…」

 

私は不安だった。

私は2年ほど病院にもいた。

もともと体が弱く、心臓の病気もあった。

病状もよくなって、中学校は3年間通えた。

けれどもあまり友達ができず、親友と言えるほど仲の良い子はいなかった。

 

『それでは、ホームルームを始めます。まずは転校生を紹介します』

 

来てしまった…

扉越しに聞こえる先生の声を聞いて緊張が走った。

 

『結城さん、入ってください』

 

「はい…」

 

私は恐る恐る扉を開けた

 

「おい、結構美人じゃね?」ボソッ

 

「ホントだ。彼氏とかいるかな?」ボソッ

 

「かわいい〜」ボソッ

 

私が教室に入ると生徒たちがざわつき始めた

 

「はい。静かに、今日からこのクラスに転入する…」

 

「えっと…結城 小乃花 です…」

 

「結城さんは、心臓に病気を抱えていて2年ほど病院にいました。分からないこともあると思うので皆さん、色々教えてあげてくださいね」

 

「よろしく…お願いします」

 

「それじゃあ結城さんは…細波さんの隣ね」

 

「はい…」

 

後ろの方にある自分の席へ向かう

 

「よろしく…お願いします」

 

「…よろしく」

 

 

 

昼休み

 

「結城さん、病院生活って大変じゃなかった?」

 

「大変だったけど…看護婦さん達…優しかった…から」

 

「結城さん髪の毛サラサラだよね〜」

 

「あ…ありがとう。」

 

「結城さん彼氏とかいる?」

 

「えっと…あの…」

 

「ちょっと結城さん困ってるよ」

 

「ごめんな結城さん」

 

「ううん…」

 

クラスメイトの質問責めが始まった。

 

 

放課後

 

「結城さんなんのゲームやってるの?」

 

「魔法少女育成計画っていう…ゲームです」

 

「あぁ知ってる。最近噂が広がってるんだよね〜」

 

「噂…ですか?」

 

「うん。そのゲームをやってると、1万人に1人本物の魔法少女になれるんだって」

 

「そうなんですか…」

 

「ほらこれ、目撃情報がこんなにあるの」

 

「ほぇ〜…こんなに」

 

「まぁ噂だしそこまで信じてる人は少ないけどね」

 

「ねぇねぇ駅前にできたカフェでお茶していかない?」

 

もう1人の女子クラスメイトが来た。

 

「良いねぇ。結城さんもいかない?」

 

「えっ…良いんですか?」

 

「来てよ来てよ。それに結城さんの事もっと知りたいし」

 

「じゃあお言葉に甘えて…」

 

すると細波さんが後ろを通っていった。

 

「細波さんもいかない?」

 

「私は…いい」

 

そういって帰っていった

 

 

自宅

私は帰ってからも魔法少女育成計画をやっていた

 

無課金で遊べるので最初はやってみようかな程度だったけれども、やってみるとハマっていた。

 

病院では本しか読んでいなくてゲームなどはほとんどやらなかった

 

すると、

 

『おめでとうぽん。あなたは本物の魔法少女に選ばれたぽん』

 

「えっ魔法少女に…」

 

『そうだぽん。結城 小乃花、君には魔法少女の素質があるとファブは判断したぽん』

 

「素質…魔法少女とは…具体的に何をするんですか?」

 

『まぁだいたいは人助けぽん』

 

「人助け…私にできるでしょうか…」

 

『君の現状を理解しての頼みだぽん』

 

「…やってみようかな」

 

『その答えを待っていたぽん。それじゃあこの魔法陣をタッチするぽん』

 

私は液晶画面に映った魔法陣をタッチした

 

 

 

 

「……んん…あれ……って本当に魔法少女になってる!」

 

『今日から魔法少女ヴァレンティナとしてこの街で人助けをしてもらうぽん』

 

「でも、私体力ないし…」

 

『そこは大丈夫だぽん。魔法少女になると全体の能力が格段に上がるぽん』

 

「じゃあ病気とかの心配も…ないんですか?」

 

『そうだぽん。それじゃあまず、君の魔法をチェックするぽん』

 

「魔法…」

 

『魔法少女には1人一つ魔法を持ってるぽん』

 

「えっと、これかな…【どんなところにでも大鎌を回せば移動できるよ】です」

 

『試しにこのマンションの屋上に行ってみるぽん。強く念じるぽん』

 

「強く…」

 

 

 

 

「…んん…あ、本当だ屋上にいる」

 

『今は近かったからなんともないと思うけど、遠ければ遠いほど体力がなくなるぽん。よく考えて使うぽん』

 

「あ…はい」

 

『今から先輩魔法少女に色々教えてもらいに行くぽん』

 

「先輩魔法少女…どんな人だろう」

 

 

それから5分後

 

「あ…あれかな」

 

遠くからこちらへ向かってくる人影があった

 

「よーっす新人さん。俺トップスピードよろしく!で、こっちが」

 

「……リップル」

 

「悪いなこいつツンデレなんで」

 

「いいえ…ヴァレンティナです…」

 

「よろしくな。…早速色々教えてやろうと思うんだけど…何から説明したものか」

 

「そんなにあるんですか…」

 

「まぁ簡単に説明すれば魔法少女はn…?どしたリップル」

 

「面倒なのが来た…」

 

「は?…ってあれは」

 

奥からビルを飛び移りこちらへくる人影があった

 

「あいつ…」

 

 

「ようお嬢ちゃん。確か…ヴァレンティナだっけか?」

 

「あ…えっと…あなたは」

 

「あたしか?…あたしはなカラミティ・メアリってんだ。覚えておきな」

 

「はい…」

 

「何の用だ」

 

「新人の指導をと思って」

 

「指導は私達が引き受けた…三人もいらないだろう」

 

「そうだねぇ…じゃあ手合わせと行こうか!!」

 

カラミティ・メアリは私に一発撃って来た

 

「チッ…!!」

 

リップルがクナイではじき返してくれた

 

「ヴァレンティナ下がって」

 

「トップスピードさん…あの人は…」

 

「メアリねぇさんは前にリップルの時も同じようなことをしてな…多分やり合うな…」

 

「そんな…!止めないと」

 

「俺じゃ手に負えねぇ…」

 

「…………………」

 

 

 

 

「どうしたお嬢ちゃん?来ないのか?なら…こちらから行くぞ!!」

 

「……!」

 

リップルは銃弾をはじき返しているだけで攻めていかなかった

 

「……(何か私にできること……!私の魔法なら)」

 

「どうした?ヴァレンティナ」

 

「トップスピードさん私に案があります」

 

「何だ?」

 

「それは…」

 

 

 

 

「これで終わりだぁ!!」

 

「……!?」

 

 

 

「リップルさん!!」

 

「!?ヴァレンティナ」

 

私はリップルさんの腕を引っ張り後ろへ走り出した

 

「何をする気だ?」

 

 

(できるだけ遠くへ…!!)

 

そう念じ私は大鎌を回した

 

 

 

 

「……………消えた…面白いお嬢ちゃんじゃないか」

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…できた遠くへ…」

 

「助かったぜヴァレンティナ」

 

「……ありがとう……!?どうした」

 

「大丈夫かヴァレンティナ!!」

 

「平気…です。私の魔法の弱点…なんです」

 

「弱点…?」

 

「遠ければ遠いほど体力がなくなる…です」

 

「そうだったのか…よし家まで送ってやるよ」

 

「いや…あとは私がやる…」

 

リップルが私の腕を肩に回した

 

「良いんですか?」

 

「お礼…だから」

 

「そっか…じゃあ頼むわリップル」

 

 

 

 

 

私達は自宅のベランダまで到着した

 

「わざわざありがとう…ございます」

 

「別に………あのさ」

 

「はい?」

 

「……結城さん…だよね」

 

「えっ何でそれを…」

 

「そのアバター…学校で見たから」

 

「学校で…もしかして細波さん…ですか?」

 

「あぁ…」

 

「そうだったんですか…よかった知り合いがいて」

 

「……あと学校だと細波さんって堅苦しいからせめて…名前」

 

「…え…でもそんな」

 

「学校でも…色々教える機会…あるし」

 

「……そうです…か。わかりましたじゃあ私のことも名前で…呼んで…ください」

 

「あぁ…ベッドまで運ぶか?」

 

「いいえ…そこまでしていただくわけには」

 

「歩くの辛いだろ?…良いよこのくらい」

 

 

リップルは私をベッドまで運んでくれた

 

「ありがとう…」

 

「いいや…それじゃまた明日」

 

「はい…」

 

 

 

 

いろんな出来事があった1日はあっという間に終わった

 

 

 

 




だいたいはヴァレンティナとリップルがメインです

ちょいちょい百合っぽいのあるかもしれないです

のんびりですがよろしくお願いします


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2話 竜騎士とお姫様

こんにちはClariSです。

前書きで特に言うことないので、本編どうぞ


2話 竜騎士とお姫様

 

私は夢を見ていた。

そう、家が燃えた時のこと、両親がいなくなった時のこと。

 

私は奇跡的に救助隊に助けられた。

その時のショックから心臓に病気を抱え始めた。

一時期外にでたがらなくなったときもあった。

 

「……んん。あっそっか、昨日魔法少女になって…それで…」

 

昨日は色んなことがありすぎた。

 

「……朝ごはん食べて…薬飲んで、学校行かないと」

 

私はベッドから立ち上がった。

 

 

 

 

着替えていると、マジカルフォンからファブが出てきた。

 

『起きたぽん?昨日は色々ありすぎて疲れたんじゃないかぽん?』

 

「うん…でも、昨日はなかったけど、私の力で…誰かが助かるんだよね?」

 

『そうだぽん。君の魔法は事故などに効率的だぽん。マジカルキャンディもいっぱい集まるぽん』

 

「マジカルキャンディって何ですか?」

 

『人助けすると集まるものだぽん。魔法少女達はその数で成績がつくぽん』

 

「成績……あっそろそろ行かないと…」

 

『あとは、トップスピード達に任せるぽん』

 

「わかりました…」

 

そうして私はマジカルフォンを鞄にしまった

 

ガチャッ

 

「…?華乃さん、どうしたんですか?」

 

「…昨日、あれから何ともない?」

 

「!…はい。大丈夫です。お騒がせしました」

 

「いや。別に…一緒に学校行こう」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

私は、華乃さんと屋上でお昼を食べていた

 

「あのあと、トップスピードと話したんだけどさ、」

 

「?何をですか」

 

「私たちと一緒に行動しないかって」

 

「私がですか?」

 

「昨日みたいなことあると思うし…」

 

「……私も、お二人と一緒なら、」

 

「そっか、じゃあ早速今夜色んなとこ回ろっか」

 

「?それって他の魔法少女のところですか?」

 

「うん。私たちの他にもまだいるから」

 

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

マンション屋上

 

「ここで待ってればくるっていってたけど、…あっあれかな」

 

 

 

「おーっす。昨日あのあと大丈夫だったか?」

 

「はい。ご心配お掛けしました。」

 

「……さっきぶり」

 

「はい…」

 

「何だ知り合いだったのか?」

 

「同じ学校なんだよ」

 

「そーだったのか。いいじゃねぇか」

 

「はい。今日も家の前で待っててくれたんです…」

 

「へぇ。やっぱりお前優しいな」

 

「……うるさい」

 

「へいへい。それで今日行くところなんだけど、ここから近い場所によくいる魔法少女に会いに行くよ」

 

「わかりました…」

 

「じゃあまずあそこの鉄塔な」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

そこには竜騎士の姿をした魔法少女がいた

 

「よおラ・ピュセル」

 

「やぁトップスピード、リップル今日はどうしたんだ?」

 

「今日は合わせたい奴がいてな、そろそろくると思うぜ」

 

「?誰だろう」

 

「お待たせしました…」

 

「うわっ!びっくりした」

 

「ごめんなさい…」

 

「いいや。気にしないで…えっと」

 

「あっヴァレンティナ…です」

 

「ラ・ピュセルだ。よろしく」

 

「こちらこそ…」

 

私はラ・ピュセルと握手を交わした

 

「その子昨日入った新人さんなんだぜ」

 

「そうなのか。何か困ったことがあればいつでも声をかけてくれ」

 

「ありがとうございます…」

 

「それでよ、あたしらこれからルーラ達のところ行ってくるよ」

 

「えっルーラ達のところへ行くのか?」

 

「あぁここから近いもう一つの場所だしよ」

 

「そっか…私はあまり勧めたくはないな」

 

「まぁ行ってみなけりゃ分からねぇよ。そんじゃヴァレンティナ次は、あそこの寺院な」

 

「えっあ、分かりました」

 

「気をつけてな」

 

 

 

 

寺院入口前

 

「ふい〜とーちゃく」

 

「あのここは…」

 

「あぁここにはさっき話してたルーラの他に4人の魔法少女がいるんだ」

 

「そんなにいるんですか…」

 

「まぁ大丈夫だって、何にしろあたしとルーラは仲良いからさ」

 

「そうなんですか…」

 

(どうだか…)

 

リップルはルーラとの仲を疑っていた

 

 

 

 

 

ガラララッ

 

「よーっす。ルーラ元気か〜」

 

「お前!何しに来た!」

 

「何って遊びき来たんだよ」

 

「遊びにだと…ふざけるなっ!!」

 

(ちょっと怖い…)

 

私はルーラを少し怖がっていた

 

すると…

 

「あなたは…新しい魔法少女…」

 

「えっと…はい、ヴァレンティナです。」

 

「私は…スイムスイム…よろしく」

 

「はい…よろしくお願いします。」

 

そう言ってスイムスイムはルーラの隣に正座をし始めた

 

「おい…ヴァレンティナ」

 

「何?リップル」

 

「この調子だと終わる気がしない…あのバカを置いて帰るぞ」

 

「えっでも…」

 

私はトップスピードの方を見た

 

「ルーラってば〜」

 

「しつこいっ!!」

 

 

 

「……………帰りましょう」

 

「そうだな」

 

 

私はリップルと寺院を出た

 

 

 

 

寺院入口前

 

「どうだった…近くにいる魔法少女はこれで全員だ」

 

「なんて言うか…魔法少女っぽくないって言うか、個性的だなって思った」

 

「まぁそうだな…」

 

「でも…楽しい」

 

「楽しい?」

 

「うん。こんな風に誰かと話すのが…」

 

「そっか…明日にでも、少し遠い場所にいる魔法少女に会いに行こう…」

 

「いいの?」

 

「うん。他にも、話せる友達欲しいだろ」

 

「うん。ありがとう…」

 

 

 

 

自宅ベランダ

 

「今日はそこまで距離もなかったし大丈夫だろ?」

 

「うん。わざわざありがとう…」

 

「……。それじゃあ私は、トップスピードを連れ戻してくる」

 

「えっ今から?」

 

「あぁ。あいつ門限あるみたいだし」

 

「そうなんだ…それじゃあまた明日」

 

「あぁ…」

 

 

 

 

(明日は休みだし、街に行って…人助け…してみようかな)

 

そう考え2日目の夜を終えた

 

 

 



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3話 白い魔法少女 スノーホワイト

今回から原作スタートです

ストーリーが変わってます。

もしかしたら死亡キャラ一部生存ルートにするかもです。

それではどうぞ


3話 白い魔法少女 スノーホワイト

 

私が魔法少女になって2週間程が経った

 

『今日から新しい魔法少女が仲間になるぽん。』

 

ファブからメッセージが来た

 

 

 

電車 車両内

 

「華乃、今日から新しい魔法少女が来るんだって」

 

「あぁファブからメッセージ来てたね」

 

「うん。どんな子だろうね」

 

「小乃花が魔法少女になる時もこんな風にチャットで話題になってた」

 

「そうなんだ…やっぱり新しい仲間が増えると嬉しいよね…」

 

「あぁ…そうだな」

 

 

私と華乃は、新しい魔法少女について話していた。

 

 

 

 

自宅

 

私はマジカルフォンで他の魔法少女と話していた。

 

トップスピード『確か今日だよな。新しい魔法少女が来るの』

 

シスターナナ『はい。とても楽しみですね。』

 

ファブ『今日くる魔法少女の教育役を決めたいぽん』

 

ヴァレンティナ『そっか…それも決めないと…』

 

ラ・ピュセル『なら、私がやるよ』

 

ファブ『ラ・ピュセルなら隣町だから効率的だぽん。よろしく頼むぽん』

 

ラ・ピュセル『任せてよ』

 

 

スノーホワイトが入室しました

 

スノーホワイト『こ、こんにちは。よろしくお願いします』

 

トップスピード『おっ来たな』

 

スノーホワイト『どうも…』

 

シスターナナ『私はシスターナナといいます』

 

ヴェス・ウィンタープリズン『ヴェス・ウィンタープリズン…』

 

ねむりん『ねむりんで〜す』

 

森の音楽家クラムベリー『私は、森の音楽家クラムベリー』

 

ラ・ピュセル『ラ・ピュセルだ。歓迎する』

 

トップスピード『よろしくな』

 

ヴァレンティナ『よろしく…ね』

 

ラ・ピュセル『君の教育係は私が引き受けることになったから』

 

スノーホワイト『よろしくお願いします』

 

トップスピード『あたしらは高速道路の見回りに行くから』

 

ヴァレンティナ『それじゃあまたね、スノーホワイト』

 

 

 

私は変身をして集合場所に向かった

 

ビルの屋上

 

「おっ来たな」

 

「お待たせしました」

 

「じゃあ、高速道路の方へ向かいますか」

 

「分かりました」

 

「ほら、リップル乗れよ」

 

「チッ……」

 

 

 

 

移動中

 

「(ん?あれって…)トップスピードさん…あれ」

 

「ん?…おっ」

 

私たちは鉄塔の方へ向かった

 

 

鉄塔

 

「おっやってんね〜」

 

「やぁ。トップスピード、リップル…それと…そこか!ヴァレンティナ」

 

「当たりです。もう不意打ちは聞かないですね…」

 

「うわっびっくりした…」

 

「あっこっちは初めてだからびっくりしちゃいましたね…」

 

「あ…初めまして」

 

「どう?新人の教育は?」

 

トップスピードがラ・ピュセルに聞いた

 

「これからさ。三人は?」

 

「高速の見回りにな…」

 

「移動中にお二人を見つけたので寄ってみました…」

 

「そうだったのか」

 

「とっとと行け。夜が明ける」

 

「へいへい。それじゃあな」

 

「頑張ってね…」

 

 

 

高速道路周辺

 

「それじゃあ、あたしらは道路を軽く一周してくるよ、」

 

「分かりました。それじゃあ私はこの辺りを」

 

「ほいよ。きーつけてな」

 

「はい…」

 

 

 

高速道路周辺

 

「どこから見ていこうかな……?」

 

私の視線の前にはタイヤが挟まってしまった車があった

 

「大丈夫ですか?」

 

「あぁ…君は?」

 

「今持ち上げるのでアクセルを踏んだままにしてください…」

 

「わかった……」

 

 

「よいしょっと…」

 

ドゴンッ

 

タイヤが穴から出て進めるようになりました

 

「君……ありがとう助かったよ」

 

「いいえ…それでは、」

 

そう言って私はその場から離れた

 

「ふう。マジカルキャンディも増えてる……?」

 

今度は何か探し物をしている会社員を見つけた

 

「ん?これかな」

 

私は足元に落ちていた車の鍵を見つけた

 

「あの…探しているのはこれですか?」

 

「!はい。探していたんです!ありがとうございます!」

 

「探し物が見つかってよかったです。それでは」

 

私は再びその場から離れた

 

 

「こんなものかな…」

 

「よぉヴァレンティナ。そっちは終わったか?」

 

「はい。だいたい見回りは終わりました」

 

「そうか。じゃあ帰るか」

 

「はい。」

 

 

 

その次の日だった…

 

『魔法少女の数が増えて来たぽん。少し減らすぽん』

 

「減らすって…どういうこと…」

 

『まずは半分の八人に減らすぽん』

 

「半分……」

 

 

その日を境に何かが変わり始めた

 

 

『今週の脱落者を発表するぽん。ねむりんだぽん。』

 

「ねむりん…」

 

確かにねむりんは、ほぼ毎日のようにチャットルームに入り浸っている

 

それにねむりんの魔法は現実では意味がない…

 

 

 

それから2日後…

 

電車 車両内

 

「……ねむりん、どうなったんだろう」

 

「脱落といっても魔法少女を止めるだけだろ」

 

「そうだよね…」

 

 

 

「!?……小乃花」

 

「どうしたの?華乃」

 

「このニュース…」

 

「?…………………えっ」

 

私は華乃に見せられたニュースを見てもしかしたらと思った…

 

 

 

 



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4話 魔法少女ではなくなるというのは…

4話 魔法少女ではなくなるというのは…

 

私はリップルとビルの屋上にいた

 

(もしあのニュースが本当なら…もう、ねむりんは…)

 

『リップル〜さっきから何を見ているぽん?』

 

リップルは私の隣でまとめサイトを見ていた

 

「いや…白い魔法少女、目撃情報多いんだけど」

 

まとめサイトには、スノーホワイトの情報が書いてあった

 

『リップル〜この間もそのサイト見てなかったぽん?』

 

「そうだっけ…」

 

「ライバル意識とかあったりする?」

 

「別に…よくこれだけ働けるなって思っただけ」

 

『ライバル意識は推奨するぽん。みんなで競い合うのは素晴らしいことだぽん』

 

「ふぅん……」

 

するとリップルはスマホをしまいマジカルフォンを持ち私をお姫様抱っこしてビルの下へ降りた

 

「どうしたの?急に飛び降りて…」

 

「鬱陶しいのが来たから…」

 

リップルは私を下ろしてそう言った

 

「鬱陶しい…かな?」

 

私は空の方を見ながら話した。そこには箒に乗った魔法少女がこちらに向かっていた

 

「よぉ。お二人さん」

 

「トップスピードさん…こんばんは」

 

「もう少し早く気付いていれば逃げられたのに…」

 

「魔法少女同士なんだから仲良くしようぜ」

 

「チッ……」

 

リップルは軽く舌打ちをした

 

すると私のマジカルフォンから音がした

 

「?シスターナナからだ…何だろう話したいことって」

 

「行ってみるか」

 

 

私達はチャットルームに入った

 

ヴァレンティナが入室しました

 

トップスピードが入室しました

 

リップルが入室しました

 

ヴァレンティナ『シスターナナ。話したいことって』

 

シスターナナ『はい。全員揃いましたしお話しします』

 

シスターナナが話していたのはねむりんについてだった

 

ねむりんとの思い出を残すために過去ログを見ていたそうだ

 

その時に、見つけてしまったらしい

 

私達全員はその過去ログの映像を見た

 

クラムベリー『お聞きしたいことがあります。』

 

ファブ『何ぽん?』

 

クラムベリー『魔法少女の資格を剥奪されると具体的にどのようなことが起こるのでしょう?』

 

ファブ『資格を奪われた魔法少女は死んじゃうぽん』

 

クラムベリー『魔法少女として死ぬ、という比喩的な意味ですか?』

 

ファブ『生物として息の根が止まるってことぽん』

 

 

 

ウィンタープリズン『ファブとクラムベリーが話していた記録だ』

 

スノーホワイト『そんな…じゃあ、ねむりんは』

 

マジカロイド44『この話が本当なら…もう死んでますね』

 

ラ・ピュセル『どうなんだよファブ』

 

ファブ『その通りだぽん』

 

ラ・ピュセル『そんな…』

 

ミナエル『死ぬくらいだったら魔法少女辞めるわ』

 

ユナエル『辞めるわ』

 

ファブ『それはむりぽん。もう魔法の国と契約してるからできないぽん』

 

ヴァレンティナ『あ、あの…』

 

ラ・ピュセル『どうした?ヴァレンティナ』

 

ヴァレンティナ『このニュースなんですけど…』

 

リップル『もしかして、ねむりんじゃない?』

 

リップルはその記事を拡大した。

 

その記事は、今朝リップルに見せてもらったものだ

 

〔○○市に住む 三条 合歓さん 24歳 が四月二十七日午前0時過ぎ自室のベッドで横たわっているのを母親が発見、起きる気配がなく救急搬送されたところ、死亡が確認された。死因は、心臓発作と見られる。〕

 

リップル『名前といい、日時といい…』

 

トップスピード『ファブどうなんだ…』

 

ファブ『そうだぽん』

 

トップスピード『マジかよ…』

 

ファブ『魔法少女の人数が8人になるまで続けるぽん。来週の結果発表までにみんな頑張るぽん』

 

ファブ『それと、マジカルフォンをアップデートしたぽん。後で確認するぽん』

 

ファブのその言葉を最後にこの話題は終わった

 

 

 

 

「マジかよ…本当に死ぬなんて…」

 

「…………………。」

 

「ヴァレンティナ……大丈夫か?」

 

「…………うん。」

 

「そりゃ驚くよな、急にこんなこと言われれば」

 

「そういえば…マジカルフォンのアップデート確認しなくちゃ」

 

「あっそうだな…」

 

今回のアップデートはマジカルキャンディの移動だった

 

「これって、分けあえるってことだよな」

 

「そうですね…」

 

「今日はもう解散しよう。」

 

「分かりました。」

 

その日は、解散した。

 

 

 

次回「お姫様になるために」

 

 

 

 

 



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5話 お姫様になるためには

私は1人、ビルを飛び移って移動していた。

 

(何だか今日はやる気になれない…)

 

ビルを移動していると、

 

「ヴァレンティナ?」

 

「ラ・ピュセル…」

 

「今日はトップスピード達と一緒じゃないのか?」

 

「活動は夜からなの…」

 

「そっか……ねむりんのこと、気にしてるのか?」

 

「うん…私、これからどうしたら良いんだろう…」

 

「スノーホワイトもそんな風に悩んでたよ…」

 

「そっか…」

 

「そういえば、こうやって話す機会あまりなかったよね」

 

「そういえば…そうだね。」

 

「私さ、まだヴァレンティナのことしらいいことの方が多いからさ、気分転換に色々教えてよ」

 

「うーん…話すって言ってもな……何か聞きたいことある?」

 

「そうだなぁ…家族は?兄弟とかいる?」

 

「ううん。家族は随分前に死んじゃった。兄弟とかもいなったよ」

 

「あっごめん。嫌なこと聞いちゃって…」

 

「気にしないで…」

 

「じゃあこんな風に悩みを聞いてくれる人もいないの?」

 

 

「うん。あまり、他の人に迷惑はかけられないし…」

 

「…私はさ、まだよく知らないけど…何かあれば話してよ」

 

「ラ・ピュセル…」

 

「こんな時だからこそ、こう言う悩みは誰かに話した方がいいよ…」

 

「……ありがとう。少し、元気になれたかも…それに、最下位にならないように頑張らなきゃだよね…」

 

「そうだね。……それじゃあ私はそろそろ行くよ」

 

「うん。ありがとう、ラ・ピュセル」

 

「大したことはできてないけど…お互い頑張ろうね」

 

「そうだね。私も、キャンディ集めに行くよ」

 

「その域だよ。それじゃあ」

 

 

 

私は、ラ・ピュセルと別れ、キャンディ集めに向かった

 

(そうだよね…頑張らないと…)

 

 

 

 

夜 ビル 屋上

 

「リップル、トップスピードさん、こんばんは」

 

「おぉ来たか。」

 

「お待たせしてすみません。今日も見回り…いきましょう」

 

「ちょいリップル」ボソッ

 

「何だよ」

 

「随分と機嫌いいけど、なんかあったんかね?」ボソッ

 

「知るか……でも、昨日よりは元気かも」

 

「まぁ元気が一番ってことで」

 

 

 

「どうかしましたか?」

 

「いや。何でもない。それじゃあ行こうか」

 

「はい。」

 

 

私達はいつもの高速道路の方へ向かっていた

 

「なぁあれって、スノーホワイトとラ・ピュセルじゃねぇか?」

 

「あぁ…」

 

「どうしたんでしょう……?」

 

私は反対側の方を見た。

そこには、スイムスイムとたまがいた。

 

(何か関係してるのかな?)

 

「私、向こうの方を見て来ます」

 

「おぉあたしら、あいつらのとこ行ってるから」

 

「はい」

 

 

 

 

私は2人よりも少し奥の建物の影で話を聞いていた。

 

『マジカルフォンを貸して…』

 

『えっいいけど…何するの?』

 

『キャンディはたまに預けたから』

 

『2万も!?スノーホワイト、1人でこんなに集めてたんだ』

 

『5万あった。半分もあれば十分』

 

『これをどうするの?』

 

『それを、スノーホワイトとラ・ピュセルとルーラ以外の魔法少女に送って』

 

『えっ何で?』

 

『そうすれば、ルーラが最下位になるはず』

 

『えぇ!?どうしてそんなこと…』

 

 

(ルーラを最下位にするためにわざと半分しか取らなかった…でもどうしてルーラを……)

 

「早くして」

 

「あっうん。」

 

「待って…」

 

「えっ!」

 

「ルーラを最下位にして、どうするの?」

 

「私がルーラになるため…」

 

「ルーラに……」

 

「そう…ルーラに、お姫様になるため」

 

「お姫様に……でもどうしてルーラを」

 

「ルーラがいたら、私はルーラになれない。ルーラがいなくなれば、私がルーラになれる」

 

「ルーラがいたらそんなにダメなの?……そんなことないと思うよ」

 

「どういうこと?」

 

「ルーラにさ、お姫様として認められるように頑張ればいいじゃん」

 

「認めて…もらう。」

 

「うん。ルーラに認められたら、それはもうお姫様と一緒じゃん」

 

「ルーラに認めてもらえば…」

 

「ルーラがいなかったら、お姫様として認められないよ」

 

「そっか……わかった。もうやめる。」

 

「それじゃあ、たま、その配るキャンディ…ルーラにも」

 

「あっうん!!」

 

「スイムスイムも…ルーラとスノーホワイトに謝りに行こう」

 

「うん……でも」

 

「私も…一緒に行くから」

 

「うん。」

 

 

寺院

 

「スイムスイム…それはどういうこと?」

 

「私は…ルーラになりたかった…私は、ルーラいたらなれないと思ってた。でも」

 

「でも?」

 

「私をルーラとして、お姫様として…ルーラに認めてもらいたい……だからやめた。」

 

「そう…」

 

「ごめんなさい…ルーラ」

 

「今回の件は、多めに見ておくわ、しばらく反省していなさい」

 

「はい…」

 

「あっルーラちょっと…」

 

「何?ヴァレンティナ」

 

「スイムスイムは、もう1人に謝らないといけないの…」

 

「そう…スイムスイム、行って来なさい」

 

「うん。」

 

 

 

 

ビル 屋上

 

「…………………だから、キャンディを奪ってごめんなさい…」

 

「ううん。気にしてないよ。謝ってくれただけで嬉しいよ。」

 

「ラ・ピュセルも…それでいい?」

 

「あぁ…」

 

「よかったね。スイムスイム」

 

「うん。……ありがとうヴァレンティナ…」

 

「でもよ…」

 

「?」

 

「最下位は、誰になるんだ?」

 

「あっそういえば…」

 

『今週の脱落者の発表だぽん』

 

『今週の脱落者は……』

 

『いないぽん。』

 

『これは驚きだぽん!というわけで来週も頑張って欲しいぽん。あと、来週から新しい魔法少女が来るぽん』

 

「……脱落者がいないって……どういう…」

 

「まぁでも、誰も死なずに済んでよかったじゃねぇか」

 

「そうです……ね…!?」

 

「どうした!!……大丈夫か!」

 

私は、大丈夫というまもなく意識を失った。

 

聞こえるのは、みんなの声だけ…周りの音は、何も聞こえない……

 

 

 

 

 

 

 

『本当に良かったぽん?脱落者を出さなくて』

 

「構いません。……私は彼女に興味があります。……ヴァレンティナに…」

 

 

 

 

 

 

 

 



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6話 クラムベリーのメッセージ

私は病院のベッドに横たわっていた。

何が会ったのかあまり思い出せない。

 

(あのあと…どうなって…)

 

すると、机の上にあるマジカルフォンが鳴った

スイムスイムからだ

 

「えっと…どうしたの?」

 

『やっと繋がった…何回鳴らしても出なかった』

 

「ごめんさっきまで寝てたから…」

 

『それじゃあ仕方ない…話したいことがいくつかある』

 

「?何」

 

『まずひとつめ…新しい魔法少女が来た…名前と特徴を教える…』

 

「そっか、もういるんだよね…」

 

『ハードゴア・アリス……とにかく黒い』

 

「黒い?」

 

『うん…髪も…服も、黒かった』

 

「そうなんだ…ちょっと怖い…」

 

『ふたつめ、明後日…リップルとカラミティ・メアリが会うらしい』

 

「カラミティ・メアリって…」

 

『あの性格だと、何をするかわからない…危険かもしれない』

 

「どうして断らないの?」

 

『後で面倒なことにならないためだって、リップルは嫌がってるみたいだけど…』

 

「そうなんだ…」

 

『今話せることはこれくらい…』

 

「うん。ありがとうスイムスイム…」

 

『それじゃあ…』

 

 

私はマジカルフォンの電源をきり、机に置いた。

 

(気分転換に外に出ようかな…)

 

私は外にある花壇を見に部屋を出た。

 

 

 

 

外に行く途中先生に会った。

私が昨日倒れた理由は、軽い心臓発作だった。

何回目だろう…

先生には、親のいない私にとって家族のように優しくしてくれてる…

でも…何回もこんなことが続いたら迷惑をかけてしまう。

 

先生には返しきれない恩がたくさんある。

 

 

 

 

「小乃花っ!?」

 

「……華乃…」

 

「もう、動いてて良いの?」

 

「うん。もう体は何ともないって…」

 

「そっか…」

 

華乃は私の隣に座った。

 

「……カラミティ・メアリのところ、行くの?」

 

「何で…そんなこと」

 

「スイムスイムに聞いたの………危険だよ…」

 

「行かないと…後々苦労するから」

 

「………………………………………。」

 

「分かった。じゃあ約束するから」

 

「約束……?」

 

「絶対無事に帰って来るから…」

 

「本当に?」

 

「疑ってるの?」

 

「喧嘩っ早いって、この間トップスピードさん言ってた…」

 

「チッ…あいつ」

 

「だから…心配…」

 

「……信じて待っててよ。ここにまた戻って来るから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜 病室

 

机に置いてあるマジカルフォンが鳴っていた。

クラムベリーからだ。

 

『単刀直入に言います。私がこのゲームのマスターです。あなたにだけ教えています。

その理由は、あなたには特別な才能がある気がするのです。

なので私はあなたに興味を持ちました。

なので私はあなたと戦って見たいのです。

私が欲しいのは強敵…なので。』

 

 

 

 

私は訳がわからなかった。

 

(強敵…才能…マスター………どういうこと…)

 

 

「…………華乃…」

 

 

 

 

 



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7話 ラ・ピュセルvsクラムベリー

アニメと話がごっちゃになってますが主の気分です。

ここからちょっとオリジナルストーリー的なのだすかもです

あと、今更ですがヴァレンティナの設定の全体が魔弾より幼くなってます。


明日は、リップルがカラミティ・メアリと戦う日…

 

「……不安、もあるけど…やっぱりベッドの上はつまらないな…」

 

両親もいない私は、家から私物を取りに行くこともできず、ベッドの上でただぼんやりしてた

 

コンッコンッ

 

「はーい」

 

「……………」

 

「……華乃」

 

「はいこれ…クラスの子達から」

 

「?…ノートと、色紙?」

 

「クラス全員のメッセージが書いてある…」

 

「へぇ…嬉しい…初めてもらった」

 

私は色紙を抱いた

 

「あと、ここからは魔法少女の方の話…」

 

「何?」

 

「昨日の夜、ファブから全員に連絡があったの…あんた見てないでしょ?」

 

「うん。就寝時間決まってたから…」

 

「まぁ、知っていても話すつもりだったし……この事件の元凶がわかった」

 

「元凶…それってクラムベリー…なんでしょ」

 

「!なんで知ってるの」

 

「昨日の夜に、こんなメッセージがきて…」

 

 

 

 

 

 

「…何これ、ふざけてる…行かない方がいい」

 

「でも……」

 

「大丈夫。私が行ってくるから」

 

「でもまだ、メアリの件が終わってないのに…」

 

「あいつのところに行ってからでも時間はある…気にするな」

 

「うん…」

 

 

 

 

 

 

「…やっぱり自分でやらないと…そのためには、強くならなくちゃ」

 

誰に聞けばいいのかな…そういえばスイムスイムが新しい武器を持ったって聞いたっけ…あとラ・ピュセルにも聞いてみようかな

 

「とりあえず、ラ・ピュセルに連絡してみようかな…」

 

 

 

 

『なにか御用うポン?』

 

「ラ・ピュセルに連絡したいから繋げてくれない?」

 

『……それはできないぽん』

 

「え?なんで」

 

『今、ラ・ピュセルは戦闘中ぽん。連絡ならそのあとにした方がいいぽん』

 

「戦ってるの……誰と」

 

『クラムベリーぽん』

 

「!?……なんで、キャンディーが目的で争ってるの…?」

 

『クラムベリーは、キャンディーが目的じゃないらしいぽん』

 

「………場所は」

 

『そんな体でいけるのかぽん?』

 

「魔法さえ使わなければ大丈夫……ファブ、一つだけ聞いてもいい?」

 

『何ぽん?』

 

「私の大鎌、強いの?」

 

『かなり強力だぽん。何しろ魔法の国で作られた武器だぽん』

 

「そっか………教えてくれてありがと。」

 

私はファブとの連絡を切った

 

 

 

 

私は魔法少女に変身し、ラ・ピュセルがいるという工場区画に向かった

 

 

「ここが工場区画…なんでこんなところで」

 

私は屋根から降り、足で探すことにした。

 

カキィンッ カキィンッ カキィンッ

 

(この音、刃……!ラ・ピュセル)

 

私は音のなる方へ向かった

 

 

「ラ・ピュセル!!」

 

「ヴァレンティナ!?なんでここに…」

 

そこにいたのは…顔が血で染まったラ・ピュセルと両手を血で染めたクラムベリーだった。

 

「!?クラムベリー…」

 

その瞬間私はクラムベリーに恐怖を覚えた

 

「お会いしたかったです。ヴァレンティナ……では少しお待ちを。話は…こちらのおもちゃを壊してからです!」

 

そう言いクラムベリーはラ・ピュセルに手刀を構える

 

「ダメッ!!」

 

私はラ・ピュセルとクラムベリーの間に割り込み

 

ザシュッ

大鎌を振りかざした。

 

瞑っていた目を開くと…私の持っていた大鎌の先端が赤く染まっていた…

 

「…えっ」

 

その先を見ると、クラムベリーの腹部が赤く染まっていた

 

「…ふふっ見事です。やはり私は間違っていませんでした…」

 

クラムベリーは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「でも、今回はこのくらいでいいでしょう…またの機会にでも」

 

そう言ってクラムベリーは私たちの前から姿を消した。

 

 

「ヴァレンティナ…」

 

「あっラ・ピュセル大丈夫?頭からいっぱい血が…」

 

「平気平気。大したことないよ…でもなんでここが」

 

ラ・ピュセルが額の血を拭きながら私に言った

 

「えっと、私ラ・ピュセルに用があって。それで連絡しようかと思ったら、今戦闘中だってファブが…」

 

「ファブのやつ……それで私に用って?」

 

「えっあっあのね私に戦い方教えて欲しいの!」

 

「…はぁ!!」

 

 

 

 

少女説明中

 

 

 

 

「なるほど、そういうわけか…うんいいよ私でよければ」

 

「本当!!よかった〜あっちょっと待っててもう1人呼ぶから」

 

 

招集中

 

 

 

「お待たせ…」

 

「スイムスイム!!」

 

「よかった〜来てくれて」

 

「ヴァレンティナのため…この間のお礼…」

 

「……………」

 

「?ラ・ピュセルどうしたの?」

 

「あっいや。なんか珍しいなって」

 

「珍しい?」

 

「うん。スイムスイムがルーラ以外のお願いを聞くのがさ」

 

「…………………」

 

スイムスイムが私もジィッと見ている。

 

「えっと、スイムスイム?」

 

「……みたいだから…」

 

「?」

 

「ルーラみたいなお姫様みたいだから…」

 

「お姫様?私が…」

 

「ヴァレンティナ…白い服着てる。白はお姫様の色…」

 

「あっそういうことか…」

 

「だからお願い聞く…」

 

「そっか…ありがとうスイムスイム」

 

 

そんな光景を見ながらラ・ピュセルは…

 

(私…ここにいていいのかな?)

 

不安になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回…【激戦!リップルVSカラミティメアリ】

 

 




遅くなって大変申し訳ありませんでした!

次回も投稿日未定ですが、気長に待っていただけると嬉しいです


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8話 激戦!リップルVSカラミティメアリ

病室

 

(ふぅ。昨日は2人に夜明け近くまで教えてもらっちゃった…これであの鎌の使い方は覚えた)

 

私はベッドから立ち上がり、窓の景色を眺めた。

 

その窓から少し遠くには、多数のビルがそびえ立っていた

 

「確かあそこのあたりで戦うんだよね…カラミティメアリと」

 

 

コンッコンッ

 

「失礼するよ。結城くん」

 

「あっ先生。おはようございます」

 

「おはよう。それとね、まだ退院とまではいかないけど外出許可が降りたよ。少し散歩でも行ってきたらどうだい?」

 

「はい。じゃあ両親に会いに行ってもいいですか?」

 

「わかったよ。それじゃあ外出許可書はこっちで出しておくよ。気をつけてね」

 

「はい…」

 

 

 

 

 

私は近くの花屋によって花束を買い、両親が眠っている墓へ足を踏み入れた。

 

「…………お父さん、お母さん久しぶり。ごめんね最近忙しくてなかなか来れなかった」

 

私は独り言のように最近起こった出来事を話した

 

 

 

 

 

「……………あっもうこんな時間、もう直ぐ門限だから私行くね」

 

両親が眠っている墓に向かって手を振り、その場を後にした

 

 

 

 

病院に戻った私は、病院服に着替え窓からの景色を見ていた。

 

(うーん……やっぱり気になって見ちゃうな…)

 

そう思いながら私はしばし景色を眺めていた。

 

すると、

 

 

(……あれ?高速道路の近くにあるあのビル…何か小さく光ってる…)

 

私はベッドから立ち上がり、窓に顔を近づけた…

 

「…!!カラミティメアリ…あそこで、戦うつもりなんだ…でもなんで、銃口は高速道路に向かってる…」

 

次の瞬間…

一台の車から火がつき、次々に他の車を巻き込んで行く。

 

そして高速道路は一気に火の海に近づいた…

 

(誘き出すんだ…リップルを…)

 

 

すると、マジカルフォンから連絡が来た。

 

ラ・ピュセルからだった。

 

「ラ・ピュセル?どうしたの?」

 

『今、何が起こってるか分かる?』

 

「うん。高速道路で大火事が起こってる、今入院してる病院から見えるの」

 

『そっか…私と、スノーホワイト…それとアリスは民間人の救助に行く』

 

「?アリスって…」

 

『あっあぁ…この間きた新しい魔法少女だよ』

 

「そうなんだ…えっと私は…」

 

『休んでていいよ。ルーラ達も来るらしいから、民間人の救助は大丈夫だ』

 

「うん。分かった…気をつけてね」

 

私は通話を切り、窓からの光景を眺めていた。

 

「……………待ってるだけは、嫌!!」

 

私は変身し、窓を開け病院を飛び出した。

 

 

 

 

 

リップルside

 

「メアリ姉さんのやついかれちまったか?」

 

箒を操縦しているトップスピードがカラミティメアリを見ながら言った。

 

カラミティメアリは、銃撃をやめる様子はない。

 

「狙いは私か…」

 

そう言って、リップルはビルの屋上へと降りて行った

 

「おい!リップル!!」

 

 

 

 

「ふっ遅ェよ、お嬢ちゃん……今日はいないのか?あの大鎌使いのお嬢ちゃんは」

 

「あいつは関係ない…」

 

「まぁいいか…それじゃあ行くぜ!!」

 

 

 

 

 

銃声が鳴り響く中、高速道路では救助が行われていた。

 

「…!!ラ・ピュセル向こうから声が!!」

 

「分かった!!」

 

「こちらの救助、終わりました…」

 

スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴアアリスは協力して民間人の救助をしていた

 

「まだこんなに…」

 

「別の通りはルーラ達がやってるみたいだけど……民間人の数が多すぎる!」

 

「シスターナナ達にも連絡入れたよ!…でも間に合うかどうか…」

 

すると、ラ・ピュセルのマジカルフォンに連絡がきた。

 

「どうした?スイムスイム」

 

『今、ルーラ達と救助中にヴァレンティナがビルに飛び移ってるのが見えた』

 

「はぁ!?さっき連絡したら、病院で大人しくしてるって…」

 

『大人しくしてると思う?』

 

「……ないな」

 

『とりあえず、トップスピードに連絡して…』

 

「あぁ分かったよ…」

 

 

 

スイムスイムに言われた通りトップスピードに連絡をした

 

『ん?どした』

 

「あぁ実はさ、今そっちにヴァレンティナが向かってるんだ。なんとか追い帰してくれないか?一応入院患者だ」

 

『え〜っとあ〜』

 

「どうかしたのか?」

 

『いや〜あの…目の前にいる場合はどうしたらいいかな?』

 

「はぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

トップスピードさんと、ラ・ピュセルが会話をしている。多分私が無断で病院から出て行ったからだろう

 

「だから今目の前にいるんだって!!」

 

ラ・ピュセルに現状を伝えているらしい

私は、トップスピードさんのマジカルフォンを取り、

 

「大丈夫だから!カラミティメアリを倒したらちゃんと戻るから!!じゃあね」

 

『あっちょまt』

 

ツーツーツーツー

 

無理やり通話を切った。

 

「おいおい、ヴァレンティナ…」

 

「トップスピードさん。リップルがいるビルに連れてってください!」

 

「いや待て待て!お前なぁ…」

 

「私だって戦いたいんです!……初めてなんです…誰かのために何かしてあげたいと思ったのは…」

 

「……………」

 

「両親の時は、何もできなかった……もう、守られてるだけは嫌なんです!!」

 

「ヴァレンティナ…………ふぅ。よっしゃ!しっかり掴まってろよ!!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

リップルside

 

無数の銃撃を受け、手足や頬に傷ができ、息切れをし始めた。

 

「なんだ?もう終わりかぁ」

 

「くっ……まだだ…」

 

「そんなんじゃもう戦えねぇよな……今ここで、楽にしてやるよ!!」

 

(……………ごめん…小乃花…)

 

リップルが目を瞑り、死を悟った。

 

 

 

 

 

 

 

(……あれ…)

 

痛みを感じず、意識があることが分かった。

カラミティメアリの方を見ると…メアリが銃を持っていた右手に切り傷があった。

 

「なんだ……」

 

カラミティメアリにも何があったのか分かっていなかった

左側の方へ視点を移すと…

 

 

「はぁ…はぁ……今度は、私が相手になります!!!」

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

「よかった…間に合って…」

 

「ヴァレンティナ……」

 

「よぉ大鎌のお嬢ちゃん…なんだ?今度はお嬢ちゃんが相手か?」

 

「私があなたを倒します!!」

 

「やって見やがれ!!」

 

私とカラミティメアリの決闘が始まった。

 

 

 

 

 

スイムスイムside

 

高速道路の民間人の救助は殆どが完了に近いほどになった。

 

「スイムスイム…」

 

ルーラがスイムスイムに

 

「ヴァレンティナが心配なんでしょ?」

 

「うん…でも、救助が大事…」

 

「行きなさい…」

 

「!?……ルーラ…」

 

「貴方にとって彼女は大事なんでしょ?…なら、行きなさい」

 

「スイムちゃん、後は私達に任せて…」

 

タマもスイムスイムに言った。

 

「うん。行ってくる…」

 

そう言って、スイムスイムは走り出して行った。

 

 

 

 

「ラ・ピュセル…」

 

「スイムスイム!救助は?」

 

「ルーラ達がやってくれてる…ヴァレンティナの所に行こう!」

 

「……でも…」

 

「ラ・ピュセル…行ってきて。後は、アリスと2人で頑張るから…」

 

「スノーホワイト……うん!!行こうスイムスイム!」

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

「オラオラッ!!さっきの威勢はどうした?」

 

「ッ!!」

 

私は、ガードしつつ反撃の時を伺っていた。

 

「遅いっ!!」

 

「いっ…!」

 

銃弾の数発が額に当たった。

 

「これで終わりだ!!」

 

 

グサッ

 

何かが刺さる音がした。

目を開けると、カラミティメアリの方に手裏剣が刺さっていた。

 

「リップル……!今だっ」

 

私はカラミティメアリに向かい走り出し、鎌を振り上げる。

 

「たぁ!!」

 

グサァッ!!

 

「アアアア!!」

 

カラミティメアリの腹部に深く傷をつけた。

その時、カラミティメアリの叫びが上がった。

 

腹部から血が吹き出し、私の顔にも拭き掛かった。

 

「あ……………」

 

後ろから、リップルとトップスピードさんが駆け寄ってきた。

 

「ヴァレンティナ!!」

 

私は立ち上がり、顔を伏せながら

 

「私が……殺しちゃったんだよね…」

 

「ヴァレンティナ…」

 

「…………………………」

 

リップルは、ヴァレンティナを抱き

 

「大丈夫だ……もう…」

 

「あっあっ……うぅ…」

 

 

私は、リップルの胸を借り泣き叫んだ

 

 

 

 

 




いやぁ

なんとか難所を越えた気がした。

では、次回を気長に待っていてください。


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9話 ヴァレンティナの作戦

ビル 屋上

 

「もう…大丈夫」

 

「そうか…」

 

「救助の方も終わったみたいだぞ」

 

トップスピードさんがビルの下を眺めながら言った。

 

「ごめん…私、気分悪いから先に戻るね…」

 

「………………」

 

私は、病院へと戻った。

 

 

 

リップルside

 

「おいリップル…あいつ…大丈夫か?」

 

「…………………………」

 

 

 

 

「トップスピード!!リップル!!」

 

「あぁ…ラ・ピュセルにスイムスイムか…」

 

「…何があったの?……ヴァレンティナは?…」

 

スイムスイムが周りを見回し言った。

 

「あぁ…あれだよ…」

 

トップスピードがカラミティメアリの死体を指差した

 

「!?……まさか…」

 

「…あいつを倒したのは…ヴァレンティナだ」

 

リップルは顔を伏せながら言った。

 

「………今は、1人にさせておこう…」

 

 

 

 

 

 

次の日、1日だけ学校に行っていいと医師に言われたヴァレンティナは学校にきた。

 

 

「小乃花さん…もう体は大丈夫?」

 

「うん。今日だけは学校に行ってもいいって」

 

クラスメイト達から心配されて、声をかけてもらってる。

 

小乃花が自分の席に行こうと、華乃の近くまできた。

 

「………………」

 

華乃に声をかけず自分の席に座った。

 

 

 

そして、今日1日2人が会話することはなかった。

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

「お〜い……ヴァレンティナと何かあったか?」

 

「……別に」

 

「いや…何かあったな…」

 

「何かあった……」

 

後ろ左右にいるラ・ピュセルとスイムスイムが言った。

 

「別に何もないよ……ていうか、あんたらはなんでここにいるの?」

 

「ヴァレンティナが心配だから…」

 

「私達にも少し責任あるし…」

 

「戦い方を教えて欲しいって言われたんだろ?別にお前らが間違いを教えたわけじゃないんだし…」

 

「………………………」

 

「おいリップルも何か言って………!?ヴァレンティナ…」

 

「……皆さん…昨日はすみませんでした…」

 

「こっちこそ悪かった…何も言ってやれなかった」

 

「…私…今から、クラムベリーのところに行ってきます…」

 

「……!!…絶対ダメ!」

 

リップルがヴァレンティナの肩に手をかけ言った。

 

「…言ったはず…行かなくていいって」

 

「うん…言ってたね…でもね…私が行かなきゃ…」

 

「それが…お前が今…やらなくちゃいけないことなのか?」

 

トップスピードさんが私に言った。

 

「はい…」

 

「そっか……よし…俺は行ってもいいと思う…」

 

「トップスピード!?…」

 

「行かせてやろうぜ…俺たちの教え子をさ…」

 

「…リップル…」

 

「………わかった…」

 

「ありがとう……あの…2人に、それとラ・ピュセルとスイムスイムにも…手伝って欲しいことがあるの…」

 

 

 

 

 

数時間後

 

「ここでいいのか?」

 

「はい。後は私だけで行きます…」

 

私は、トップスピードさんに、クラムベリーが拠点としている森の入り口まで箒で送ってもらった

 

「そっか…気をつけろよ…クラムベリーはカラミティメアリよりも厄介だ」

 

「はい。トップスピードさんは私の行った通りに準備を進めてください」

 

「あぁ…でもまだ信じきれねぇ…あいつが…」

 

「私も…です。でもきっと…あいつを倒せばこの殺し合いは終わるはずなんです」

 

「あぁそうだな…それじゃあ…絶対生きて帰ってこいよ…!」

 

「はい!」

 

そう言って私は森の中へ入っていった。

 

 

 

森林

 

「………!あの小屋…多分あれが…」

 

私は、クラムベリーの住処らしき小屋を見つけた。

 

「体制を整えて行かないと……これも…使ってみなくちゃわからない」

 

私が大鎌以外に持ってきたのは、カラミティメアリが使っていた四次元袋、中を確認したら銃以外にもグレネードやロケットランチャーも入っていた。念のためと思って持ってきてみたが、飛び道具として護身用にはなると思う。

 

それと、透明外套と、元気が出る薬。

この二つは、スイムスイムがルーラに頼んで持ってきてくれたもの。

 

スイムスイム曰く、元気が出る薬は、体力や身体能力や攻撃力などが一定時間上がるらしい。

ただし、あまり使いすぎは良くないそうだ。

 

私は、透明外套を被り、薬を一粒飲み込み、右手で鎌を構え戦闘体制に移った。

 

少しずつ前進しながら小屋を目指す。

 

 

すると…

 

「いっ!!………!?」

 

どこからか石が飛んできた。

私の左腕が血で赤く染まる。

 

もうこの腕は使えない……

私は確信した。

 

そして、マントを剥ぎ石が飛んできた方向を向く

 

「なんでわかったの…」

 

私の視線の向こうにいたのは…

 

「私は、人一倍耳がいいんです。さすがですね…片腕が使えない状態になってもビクともしないなんて…」

 

クラムベリーがいた。

 

不敵な笑みで微笑んでる。

 

「…貴方は、なんで…」

 

「前にも言いましたよね?貴方に興味があるんです。さぁ戦いましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

次回…【戦いの終焉】

 

 




次回、無印編最終回!!

お楽しみに!!


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10話 戦いの終焉

ガキンッ ガンッ ガンッ

 

「はぁ…はぁ…片腕だけじゃあ結構辛い…!」

 

休む暇もなく、クラムベリーが迫ってくる。

私はそれを避け、クラムベリーに言った

 

「貴方が…このシステムを作ったマスターなんでしょ!」

 

「なぜ?」

 

「昨日の夜に…はぁ…ファブを問いただしたら…全部話してくれたわ…マスターの存在を…」

 

「それがなぜ私とわかったんですか?」

 

「貴方は気にはしてなかったらしいけど、貴方のマジカルフォン…私たちが持っているのとは違うわね」

 

そう、私はあの日…工場区画であった時に気付いた。

彼女が持っていたものは明らかにマジカルフォンじゃない。

 

「その端末を使って…このシステムのルールを作ったんでしょう?」

 

「えぇそうです…私は、強いもの達と戦ってみたかったのです…そう、貴方のような…」

 

「私は…強くない…誰かがいなくちゃ何もできなかった…でも今は違う!」

 

私は、クラムベリーに視点を変え

 

「今は…誰かのために戦おうと思える…だからここに来た!」

 

「そうですか…ならば!私も全力でいかせてもらいます!」

 

私は鎌を構え、再び戦闘体制に移った。

 

クラムベリーは手刀を構え、私に接近してくる。

 

「はぁっ!!」

 

クラムベリーは私目掛けて手刀を振るった。

 

私は上に飛び避け、クラムベリーの背後に移った。

 

私がいたところに、大きくヒビが入っている。

 

(あれを食らったらひとたまりもない…)

 

私は確信した。

 

「ふふっ…私の思った通り…貴方と戦うとこんなに楽しくなるんですもの!」

 

クラムベリーは再び手刀を構えながらこちらに向かって来た。

 

(!!…今なら使える!)

 

私は、四次元袋に手を入れ、手榴弾を一個手に取り…口でピンを取りクラムベリーに向かって投げた。

 

「なっ!?」

 

クラムベリーが気付いた時には手榴弾が爆発し始めていた。

 

 

 

 

 

手榴弾による爆風であたりには砂煙が上がり、何も見えない状態になった。

 

今のうちにと思い、私は薬をもう一粒飲み込んだ。

 

私は、クラムベリーがいたところを向き、鎌を構え、砂煙が収まるのを待った。

 

 

 

砂煙がなくなったが、クラムベリーの姿は見えなかった。

 

「ふふっ惜しかったですね…!!」

 

「なっ!?……ぐはっ!」

 

私の背後を取ったクラムベリーは手刀で私を左奥にある大木まで投げ飛ばした。

 

「…!いつの間に…」

 

私は腹部を抑えながら、向かってくるクラムベリーを見た

 

「…まさかカラミティメアリの所持していた四次元袋を使うとは…驚きました…」

 

「……いっ!…」

 

腹部のダメージが大きいのか、立ち上がれずにいた。

 

「もうこれで終わりですね…さようなら…」

 

クラムベリーは右足を上に上げ私の頭部目掛けていた

 

「…!こんなところで…終わったりしない…!」

 

私は力を振り絞り、四次元袋から最終兵器を取り出した。

 

「!?まさか…」

 

クラムベリーも驚いていた。

そう、これが奥の手…RPG!

 

「この近距離で使えば、貴方も巻き込まれますよ?」

 

「構わない!…最初から、死ぬ覚悟もあったもの…食らいなさい!!」

 

私は、トリガーを引いてRPGの球を放った。

 

そして次の瞬間、あたりは大きな爆風で覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

「………………いっ………あれ?生きてる…………!?クラムベリーは!」

 

私は辺りを見回し、クラムベリーを探した。

 

すると、砂煙が収まり私の向こう側で、横たわっているクラムベリーがいた

 

私は力を振り絞り、クラムベリーのほうへ向かう。

 

私は、クラムベリーの元に着き、鎌を構えトドメを刺そうとする

 

「……ふふっ…楽しめました…さぁトドメを刺しなさい…」

 

「……その前に…貴方の持っている端末を渡しなさい…」

 

するとクラムベリーは懐から、紫色の端末をとって、私に渡した。

 

「それが…マスター専用のマジカルフォンです…これでいいですか?」

 

「えぇ……さようなら…クラムベリー…」

 

そう言って、私はクラムベリーの心臓目掛けて鎌を振るった。

 

 

 

 

 

森の出口に向かうと、リップルとトップスピードさんが待っていた。

 

「ヴァレンティナ!」

 

リップルは私を見つけると、走り出し倒れそうになった私を受け止めてくれた。

 

「…終わったよ…」

 

「あぁ…」

 

 

「お疲れさん…こりゃひでぇ…また病院送りかもな…」

 

「ですね…それよりも…戻りましょう。まだやってないことがあります」

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

私達は、ラ・ピュセル、スイムスイム…そしてスノーホワイトがいる鉄塔に戻った。

 

私は、クラムベリーから預かった端末を置き、蓋を開けた。

 

すると、

 

『おめでとポン!見事マスターであるクラムベリーを倒したポン!今日から、ヴァレンティナ君が新しいマスターポン〜』

 

「私は…マスターにはならない…」

 

『どうしてポン?マスターになればやりたい放題ポン』

 

「スノーホワイト…お願い…」

 

「うん……マスターになってくれないと困るって言ってる…」

 

そう…スノーホワイトを読んだ理由は、ファブの心の声を聞くため。

きっと、聞かれてはいけないことを聞けると予想した私がラ・ピュセルに頼んだ。

 

「……この、マスター専用端末が壊れたら困るって…」

 

『まぁそりゃそうなんだけど…』

 

「なら…私はこの端末を壊す…」

 

『壊すったって君にそれほどの攻撃力はもう…あ…』

 

ファブは何かを思い出したかのように言った。

 

「そう…魔法の国で作られた武器なら…壊せるよね?」

 

『で、でも君はもうその鎌を振るうほどの体力は残って…』

 

「誰が言ったの?この鎌で壊すって…」

 

『だって他に魔法の国の武器は…もう…』

 

ファブは何かを悟った。

 

そう、この場にはもう一つ魔法の国の武器がある…

 

それは…

 

「スイムスイム…その薙刀…貸して…」

 

「うん…」

 

私は、スイムスイムから薙刀《ルーラ》を受け取った。

 

「これも…魔法の国の武器なんでしょ?なら壊せるよね?」

 

 

「……あれはまずい、すごくまずいって…ヴァレンティナさん!」

 

「もう…逃げられないね…さようなら…ファブ……!!」

 

私は思いっきり、槍を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの事件から数週間後…

 

 

あれから、マジカルフォンにファブが映し出されることはなく、魔法少女達に平穏が訪れた。

 

生き残った魔法少女達は、魔法少女を止めることはなく今でも人助けを続けている。

 

そう、私もだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、新たな戦いが幕をあげる…

 

選ばれた魔法少女達に一通の手紙が届く…

 

 

戦え!!選ばれし七戦姫よ!!

 

 

 

次章 七戦姫編

 

 

近日公開!!

 

 

 




いや〜無印編終わった〜

次回からオリジナルストーリーの七戦姫編が始まります。

ちょっと波が乗ってるので今のうちにいくつか書いて置きたいです。

まぁストーリーもほぼ、オリジナルだから、投稿が遅くなったりするかもですが、

気長に待っていただけるとありがたいです。

七戦姫のうち1人、キャラの設定が理解できてない子がいるので、キャラ崩壊注意です。

まぁその他キャラも崩壊注意でーす(*´∀`*)

そのうちなんか、メインストーリー以外にも、ちょっとした日常回を作りたいなーと思ってます。

オフ会とか…珍しい組み合わせとか…まぁ作って欲しい日常回があればコメントしてください。

できるだけ、答えていくつもりです。

では、次回の新章でお会いしましょう〜


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2章
11話 新たな戦いの始まり


今回から七戦姫編スタートです(*´∀`*)

オリジナルストーリーなので、投稿期間が空いてしまったりしてしまうかもしれません。

主のやる気を戻すために催促してもらっても構いません。

ぜひ、温かい目で見守ってくださいm(_ _)m


あの事件から数週間後、私の元へ一通の手紙が届いた。

 

その手紙の内容は…

 

おめでとうございます

あなたは、七戦姫の1人に選ばれました。

 

選ばれたあなたに、魔法の国からプレゼントです。

 

 

 

 

この内容の手紙には、意味不明な内容とパスワードのような紙が入っていた。

 

「……?紙の裏に何か書いてある……あなたのマジカルフォンに使ってください…」

 

「どうしよう…でも……」

 

またあの戦いが始まるのかと思うと、不安がよぎる

 

すると、

 

「…何をどうするって?」

 

「わっ!?…ってなんだリップルか……て、なんで?」

 

「時間……あと、窓の戸締りしてなかった…」

 

「あっごめん…ちょっと待ってて…」

 

私は、机に置いてあったマジカルフォンをとり、さっきの手紙を懐にしまい変身した。

 

「で?何かあったの…」

 

「何もないよ………!!ごめんやっぱり何かある!だから睨まないで〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

「は?魔法の国から手紙?」

 

合流したトップスピードさんが言った

 

「はい……あの…このパスワード、使ってみてもいいですか?」

 

「いやいやいや!?やめておこうぜ!」

 

「やってみなくちゃわからないじゃないですか!」

 

「……おいリップル…お前が止めろよ…」

 

「もうここに来るまでに何回も止めた…」

 

「それじゃあ俺が止めれるわけねぇよな………しゃーない…いいぜ」

 

トップスピードさんは渋々了承してくれた。

 

私は、パスワードをマジカルフォンに打つ。

 

すると、マジカルフォンが光り出し…

 

『パスワード認証…マスター登録開始します』

 

「……これ…どうしたらいいんでしょう…」

 

「とりあえず、そのままほっぽっておけば何かなるべ」

 

私は、そのままにして暫しマジカルフォンの起動を待った

 

 

 

『マスター登録完了しました。只今、本システムを起動します』

 

「…なんか終わったみたいですね…」

 

『はい。全て完了いたしました。初めまして、私はイストワール…七戦姫達をサポートするAIです』

 

マジカルフォンに映し出されたのは、手のひらサイズの小さな女の子

 

「AI?」

 

「ファブみたいな感じなのか?」

 

『いいえ。あの失敗作のように、勿体振ったりしません。七戦姫全員にしっかり情報を伝達します。もちろん相手にバレてしまうようなことは言いません』

 

「さりげなく毒舌吐いたけど、否定できない…」

 

『えっと…私を起動したと言うことは、この戦いに参加すると言うことですね?』

 

「うん。今回のルールは?」

 

『はい。今回はいわゆる陣取り合戦です。相手が活動している町を陣地としそれをマスターが取るというものです』

 

「それだけでいいの?」

 

『いいえ。ここからは特別ルールです。まず一つ、他の戦姫と協力体制ができます。』

 

「それって、町を共有するってこと?」

 

『はい。その陣は残機が二つになります。どちらかが相手にとられても影響はありません』

 

「なるほど…」

 

『それと、この町の魔法少女とは協力体制は自由です。けれど、他の魔法少女が七戦姫の誰かを倒しても陣地は取れません』

 

「要は、俺たちも手伝えるってわけだな」

 

「そうみたいですね…よかった」

 

『とりあえず今重要なことはすべて話しました。それとマスター…いえヴァレンティナさんとお呼びした方がいいでしょう…早速ですが他の陣地の七戦姫が呼んでおります。マップを出すので行ってみてはどうでしょう』

 

イストワールが出したマップには、7色の色に分かれていた。

 

私たちの陣地は白。そして今、呼んでいる七戦姫がいるのは、水色。

 

隣町のようだ。

 

「私、ちょっと会ってきます」

 

「1人でいいのか?なんだったらついていくぞ」

 

「大丈夫です。少し話をしたらすぐ戻ります」

 

「そっか。気をつけてな」

 

 

 

 

 

 

『ここから先が、水色の陣地…名を、ミーチェリアと呼ばれています。』

 

「ミーチェリア…陣地に名前なんてついてるの?」

 

私とイストワールはビルを飛び移りながら会話をしていた。

 

『ヴァレンティナさんの陣地にも名は付いていますよ』

 

「あれ?そうなの…」

 

『はい。ツェルヴィーデです』

 

「なんかかっこいい……あっもしかしてあの子?」

 

私が見つけたのはビルの屋上にいる1人の魔法少女

 

『はいそうです。彼女がこの町の…ミーチェリアの七戦姫です』

 

 

 

「えっと、私を呼んだのは…貴方ですか?」

 

私は、その子に近付きながら言った

 

「えぇそうよ…」

 

そして彼女は振り返り…

 

「初めまして、私はリュドミラ…このミーチェリアの七戦姫よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いや〜

オリジナルストーリーって難しいねw

でも、なんかめっちゃ楽しい〜

まぁ魔弾を知らない人も楽しんでもらえたら嬉しいです。

これを機に魔弾を読んでみたり、アニメ見たりするのもいいかもしれません

では、また次回お会いしましょう〜


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12話 共同戦線

七戦姫編からオリジナル作品となるので、原作タグを変えました。

まほいくのキャラが出ないわけではないので、ぜひこれからも見てくださいm(_ _)m

皆さんに少しでも楽しんでもらえるように頑張ります!


「えっと…リュドミラさんは、私に何のようでしょうか?」

 

「ミラでいいわ。早速で悪いんだけど、私と協力しない?」

 

リュドミラがてを差し伸べて言った。

 

「えっと、それってさっきイストワールが言ってた…」

 

『はい。先ほど言ったように他の戦姫と協力体制が組めます。そして、自分が治める陣地を共有することができます』

 

「そう。私は貴方と協力したいの。どうかしら?」

 

「えっと…もう少し考える時間をくれませんか?」

 

「そうね……じゃあ明日ここで集合しましょう。もう少しゆっくり話す時間が欲しいわ」

 

そう言って、差し伸べた手を戻し代わりに一枚の紙を私に渡した。

 

そして今日は解散ということになった。

 

 

 

 

 

 

 

家に戻っている時…

 

『ヴァレンティナさん…七戦姫の反応があります…近いです』

 

イストワールが周りを警戒しながら言った。

 

「……誰もいないけど…ミラさんじゃないよね…」

 

『はい。……どうしますか?戦いを避けることもできますが…』

 

「ううん。大丈夫…戦うよ…」

 

私は大鎌を構えて警戒態勢をとった。

 

「………!?っ!」

 

背後から、の攻撃を私は大鎌でガードし攻撃が来た方を見た。

 

「誰?」

 

「ふふっ…見つけた…」

 

周りが暗く、顔は見えない。私は構え…

 

「貴方も…七戦姫のひとりの…」

 

「ふふっ…名だけは名乗っておくよ…エリザヴェータ…イースグリーフを治める戦姫だ!」

 

そう言って、彼女…エリザヴェータは暗闇に消えた。

 

「…何だったの…あっそうだ、イストワール…マップ出して」

 

『了解しました。読み込みます…』

 

そう言ってイストワールが出したマップを見た。

 

(エリザヴェータが言ってたイースグリーフは紫…私のところの反対側…)

 

私はマップを閉じ、イストワールに言った

 

「イストワール…明日のミラさんからの誘い、言ってみようかな?」

 

『わかりました。私からリュドミラさんに行くと伝えておきます』

 

私はマジカルフォンをしまい、家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、私は隣町まで電車で行き、ミラさんから言われた集合場所に向かった。

 

(うーん。華乃には何も言わなかったけど……いいよね!)

 

そんなことを考えながら、わたしは集合場所に着いた。

 

 

 

「うーん…着いたはいいけど、待ってればくるかな?」

 

そう思いながら私は集合場所である銅像の前で待機した。

 

 

 

すると、

 

「貴方…ヴァレンティナ?」

 

「!?…ミラさん…ですか?」

 

「えぇこっちでは初めまして、本名は…雪野伊吹(ゆきのいぶき)ごめんなさい。急だったわよね?昨日会ったばかりの戦姫と会おうなんて…」

 

「いいえ…でも、いいんですか?私がこのことを他の誰かに話したりするかもしれないのに…」

 

「私は貴方を信じるわ。貴方を恨んだりもしない」

 

伊吹さんが優しく微笑んでいる。

 

(わぁ…やっぱりミラさん優しそうな人…)

 

「それで…私をここに呼んだのって…」

 

「あぁえっとね…この近くが私の家なの。よかったらそこで話さない?」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

雪野宅 マンション

 

「どうぞ、上がって」

 

「お邪魔します…」

 

私は、伊吹さんの部屋に入った。

 

内装は落ち着いた雰囲気で、リビングにある棚の上にある水槽には一匹の生き物がいた。

 

「あのー…この水槽にいるのって、ウーパールーパーですか?」

 

「えぇそうよ。可愛いでしょ?」

 

そう言って、伊吹さんはキッチンの方へ行った。

 

(……確かに可愛いかも…)

 

そう思って私は、伊吹さんに用意してもらったクッションに座った。

 

「花音はチャイって好き?」

 

キッチンから伊吹さんが私に言った。

 

チャイは確か、インド、ケニア、トルコ、ロシアで《茶》の意味。

 

「はい。好きです…って作れるんですか?」

 

「えぇ…この道具を使ってね」

 

そう言って、伊吹さんはキッチンから戻り、いくつかの道具を持って来た。

 

「これを使うのよ。」

 

そう言って伊吹さんは、ポットで沸かした湯を多きめの筒のような入れ物に流し込む。

 

「あの…この道具は?」

 

「この中には、茶葉が入ってるの…そして、ここを押すと…」

 

すると、蛇口のような部分から、チャイが出て来た。

 

「最後にこのジャムを入れて…完成よ。どうぞ」

 

「このチャイ…ロシアのサモワールですか?」

 

「えぇ詳しいわね。」

 

「私もチャイ好きなので…いただきます………はぁ温まります〜」

 

「よかった。それで、昨日言ったことだけど…」

 

「はい…私も昨晩考えました……こちらからお願いしたいです」

 

「そう。その心変わりは?」

 

私はチャイを置いて、

 

「昨日、伊吹さんと別れた後、他の戦姫に襲われました…」

 

「!?……そいつが誰かわかる?」

 

「はい。本人が名乗ってました。確か…エリザヴェータだった気が…」

 

「エリザヴェータね。それで大丈夫だったの?」

 

「はい。向こうもなんかあっさり帰っちゃって…」

 

「そう…ならよかったわ」

 

「エリザヴェータってそんなに厄介なの?」

 

「えぇ…戦姫がいる町にはもちろん他の魔法少女だっているわけ…まぁ私は、誰とも連まないで活動してたけどね………実は、彼女が治めている町には、彼女しか魔法少女がいないの…」

 

「いないって…」

 

「えぇ…最初からって訳じゃないわ。前までは何人かいたの……でも彼女が全員殺した」

 

「!?そんな…」

 

それを聞いた私は、一瞬クラムベリーを思い出した。

 

「そっからかしらね、彼女が狂戦士なんて噂が広がったの…きっと貴方の町の魔法少女の誰かが耳にしてるはずよ…」

 

「私は聞いてません……そんな人が…でもいつかは戦わないといけないんですよね?」

 

「えぇそうよ。彼女とはいつかは刃を交えることになる。だから、貴方にお願いしたの」

 

「協力して、エリザヴェータを倒すの?」

 

「そう。まぁ他の戦姫とも戦うけど、改めて言うわね。私と共同戦線を組みませんか?」

 

伊吹さんが再び私に手を差し伸べた。

 

私は…

 

「はい。こちらこそ…よろしくお願いします」

 

その手を受け取った。

 

「交渉成立ね。イストワール」

 

『はい。では、まずどちらが陣地を預けますか?』

 

「そっか。陣地を合体させるためにはどちらかの陣地を吸収するんだ…」

 

「私が貴方に陣地を預けるわ」

 

「えっ伊吹さん…」

 

「こっちがお願いしたんだもの。それくらいしないとね………よし。今貴方の方に通知が来るわ」

 

『リュドミラとの共同戦線を了承しました。貴方の方にリュドミラの陣地、ミーチェリアを吸収しました』

 

すると、伊吹さんの方にも…

 

『ヴァレンティナとの共同戦線を了承しました。ヴァレンティナの方に貴方の陣地、ミーチェリアを預けました』

 

「これで完了ね。多分貴方と私の町の魔法少女にこの通知が届いてるわ」

 

「そうですか……よろしくお願いします伊吹さん」

 

「えぇよろしくね。小乃花」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビル 屋上

 

「へぇ〜ミーチェリアとツェルヴィーデが共同戦線するんだ〜面白くなったねソフィーお姉ちゃん♪」

 

「そうね…楽しくなりそうね〜頑張りましょうオルガちゃん」

 

「そうだね〜……………ふふっ」

 

 

 

 

 

 




七戦姫編2話目書き終わりました!

ちょっとオリジナルストーリーになったので不快に思う人もいるかもしれませんが、私は最終話になるまで頑張ります。

魔弾を知らない人にもわかりやすくできるように頑張ります!!

では、また次回を楽しみに待っていてください


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13話 集う戦姫

魔弾を見直してキャラの設定などを勉強しているのですが、少しストーリーに合わせた性格にしているキャラもいます。

誤字脱字などは、遠慮なく教えてくださるとありがたいです。

ではお楽しみください(*´∀`*)




次の日、私は学校へ行く準備をしていた。

 

「うーん…」

 

『ヴァレンティナさんどうかしましたか?』

 

「あっおはようイストワール。あのね、なんか私忘れてる気がしてさ…」

 

『?…昨日は、リュドミラさんとの共同戦線も決まって、何か忘れるようなことは…』

 

私は、昨晩から何かを忘れている気がして仕方なかった。

 

「まぁ思い出せないくらいなら、大したことないよね?」

 

『まぁヴァレンティナさんがそれでいいなら…』

 

イストワールはなぜか不満そう。

 

私は、そんなこと全然気にせず玄関のドアに手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ華乃おはy………あ!?」

 

何かを思い出したらしい…

 

「あんたさ…何も連絡よこさないで、どこ行ってた?」

 

(やばい…めっちゃ怒ってる…!!)

 

「あっ…えーっと…ちょっと隣町まで…遊びに……マジすんません…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室

 

「今日は転校生を紹介します。入ってきて〜」

 

「…転校生だって、どんな子だろうね華乃?」

 

「…………………」

 

(完璧に拗ねてる……電車でも全然話してくれなかったし…)

 

 

 

 

すると、転校生が入ってきた。

 

「!?」

 

私は驚いた。だって…

 

「初めまして。雪野伊吹です。よろしくお願いします」

 

伊吹さんなんだもの…

 

 

 

 

 

休み時間 教室

 

「小乃花。よかった同じクラスね」

 

「うん……なんでこの学校に…」

 

「こうして会う機会を増やせば色々困らないでしょ?」

 

「そうなんだけど……」

 

私は、華乃を見た。

 

「…………………」

 

(もうだめだ…機嫌悪い…)

 

「あっ私ちょっと、用事があるから…」

 

そう言って私は、教室を後にした。

 

 

 

 

空き教室

 

私は、マジカルフォンである人に連絡した

 

『ん〜?どうした…お前今学校じゃ』

 

「トップスピードさーん」泣

 

『なんだなんだ!?どうしたんだよ…』

 

「リップルが、朝から機嫌悪くて何も聞いてくれないんです〜」泣

 

『うーんまぁあいつが機嫌悪いのはいつものことだろ?』

 

「それ多分トップスピードさんの所為です」

 

『マジで!?…うーんでもお前の前で機嫌悪いんじゃな…何か心当たりないか?』

 

「えっと……!?」

 

『どうした?……おい!ヴァレンティナ』

 

「すみませんまた後で連絡します…」

 

『あっちょ…』

 

私は無理やり通話を切り、窓の方を見た。

 

「なんのようですか?」

 

そこにいたのは…

 

「初めまして…私はオルガ…戦姫だよ。早速だけど、戦おっかお姉ちゃん♪」

 

戦姫と名乗る小さな少女、オルガだった。

 

 

 

 

 

 

教室

 

(……遅い…)

 

自分の席に座りながら、華乃は思った。

 

すると、懐にしまっていたマジカルフォンが鳴った。

 

(ちっ…誰だよ……トップスピード?)

 

それはトップスピードからの連絡だった。

 

 

 

 

 

 

華乃は、人があまりいない校舎裏に行きマジカルフォンを開く

 

「なんだよ。今学校だって知ってるだろ?」

 

『んなこと言ってる場合じゃねぇ!ヴァレンティナは今どこにいる?』

 

「……なんか用あるっていって今は近くにいない」

 

『さっき俺のとこに連絡が来てよ…そしたら急に真剣な声したと思ったら電話切りやがったんだ。何かあったんじゃねぇか?』

 

「!?……わかった。探すから…トップスピード、行けるか?」

 

『任せろよ!とりあえず何人かに声変えてみるよ。じゃあいつもの鉄塔で集合だ。』

 

「あぁ…」

 

華乃は電話を切り、変身して鉄塔を目指した。

 

 

 

 

 

それを見ていたものがいた…

 

「……驚いたわ。この学校に2人も魔法少女がいたなんて…」

 

そう、戦姫の1人であるリュドミラだった。

 

「誰が…エリザヴェータ以外で…ヴァレンティナを知っているのは…いいえ違う!あいつなら…!」

 

何かを思いついた伊吹は変身し、二つ先の町、陣地の名は…バルディッシュ。

 

オルガが治めている町だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

オルガに連れていかれた私は、彼女に言った。

 

「私は貴方と会った覚えがないのだけれど…」

 

「私はね、お姉ちゃんのことずっと見てたよ…強くて、かっこいい…お姉ちゃんのことを」

 

「……貴方は私とミラの陣地を取りに来たんでしょ?」

 

「うんそうだよ。私にもね、協力者がいるの。だけどね、お姉ちゃんが大人しく陣地をくれたら呼ばないであげる」

 

オルガは、二コリと微笑みながら言った。

 

「ううん。あげない…だから私は、戦う…」

 

「流石だねお姉ちゃん…じゃあ行くよっ!」

 

こうして、オルガとの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

「よぉリップル…今、ラ・ピュセルにも連絡入れたよ。ほら乗れよ」

 

「…………………」

 

「……さっきヴァレンティナと話してた内容がな、お前の機嫌が悪いって相談して来たんだよ」

 

「…だって」

 

「連絡が来なかったから心配だっただけなんだろ。もうちょい素直になれよ」

 

「うるさい……!?…伏せろ!!」

 

何に察したリップルは、トップスピードの頭を抑えながら伏せた。

 

「いっ…なんだよ…リップル何かいたのか?」

 

「誰だ?…見ない顔だ…」

 

リップルが見たのは、銀色の長髪で、鋼のような剣を持った魔法少女。

 

「すまないな。私は、別の町の魔法少女…いや、戦姫といった方がいいか…エレオノーラ、風を操る魔法を持っている。ヴァレンティナの居場所を教えてもらいたい…」

 

 

 

 

 

リュドミラside

 

リュドミラは、ビルを飛び移りながらオルガが治める町、バルディッシュを目指した。

 

すると、

 

「誰!?」

 

「あらあら…焦っているわね。でも、残念ながらここを通すわけにはいかないわ!」

 

「くっ!まさか貴方と、交えるとは思わなかったわ…ソフィー!」

 

 

 

 

 

 

 

 




七戦姫編3話投稿完了です!

いや〜オリジナルストーリーは難しいけど、書いてて楽しいです(*´∀`*)

これからも頑張って書いて行きますよ〜

では、また次回をお楽しみに〜


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14話 戦姫VS戦姫

リュドミラside

 

「なんで貴方がここにいるの?」

 

「そうね〜……貴方と同じで、協力者がいるからかしら?」

 

リュドミラとソフィーヤは互いに武器を交えながら話す。

 

「じゃあ、ヴァレンティナを連れてったのは貴方の協力者ね……一体誰と組んだのよ!」

 

「教えると思いますか?……教えて欲しいなら、私を倒してからにしなさい!」

 

2人は再び、戦闘を再開した。

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

(あの子…オルガも私と似たような武器…ちょっと不利かも…)

 

ヴァレンティナは、オルガの武器を見て思った。

 

「お姉ちゃん強いね〜!でも、早く倒れてくれないと陣地取れないの〜だからね、早く死んで!!」

 

オルガの攻撃が、ヴァレンティナの肩を掠めた。

 

「いっ!!」

 

掠めた傷は深く、大量の血が吹き出した。

 

「あはは〜おもしろ〜い!お姉ちゃんはどこまで耐えられるかなっ♪」

 

オルガの攻撃が再びくる。

 

ヴァレンティナはそれを大鎌で弾いた。

 

(この子すごく強い…少しでも油断したら負ける…)

 

ヴァレンティナはそう感じた。

 

「お姉ちゃんも攻撃してよ!そうすればもっと楽しいよ〜」

 

オルガは攻撃をやめる様子もなく、ただ刃が掠れる音だけが響く。

 

 

 

 

 

 

 

リュドミラside

 

「ソフィー!この場を退きなさい…」

 

「いいえ退くわけには行きません…何せ貴方をあそこに行かせるわけには行きませんもの」

 

「くっ…なら力ずくにでもそこを通してもらうわよ!」

 

リュドミラは戦闘体制になり、

 

「氷華《リオヴェート》」

 

リュドミラは、槍の先端から白い冷気を放った。

 

「簡単に通れると思わないで!ー我が前に集え煌く波濤よ《ファルヴァルナ》」

 

すると、ソフィーヤは杖を一回転させた。するとこぼれ落ちた光が軌跡に沿って円が描かれ光の障壁が作られた。

 

そして、リュドミラの冷気を弾いた。

 

「貴方、攻撃技なんてないでしょ?その壁もいつまでもつかしら?」

 

「どうかしらね?防御は最大の攻撃にもなるのよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

あれから、オルガの攻撃が収まることもなくヴァレンティナはビルを背に体制を整えていた。

 

「……だめだ、足が動きそうにない…」

 

先程足を数回斬り付けられうまく立てずにいた。

 

「お姉ちゃんーどこにいるの?」

 

身を隠したヴァレンティナを探すオルガ。すると、

 

「じゃあ、そろそろ私の協力者呼んじゃうね〜楽しくなるね〜」

 

オルガは、マジカルフォンを操作しながら協力者に連絡をいれる。

 

「あっもしもし〜そろそろおいで♪」

 

(どうしよう…ミラ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフィーヤside

 

「そう…えぇ、分かったわ」

 

オルガからの連絡を受けたソフィーヤは、

 

「ごめんなさね、少し状況が変化したらしいの。貴方をここから通してもいいわ…でも私も一緒に行くわ」

 

「どういうこと!一体向こうで何が起こってるの?」

 

「ヴァレンティナ…だったかしら?今オルガちゃんと戦ってるの、それでね私はオルガちゃんの連絡が来るまで貴方を足止めするのが作戦」

 

「まんまと罠にはまったってわけね…連れて行きなさい」

 

「えぇ、さぁ行くわよ」

 

2人は、ヴァレンティナとオルガがいる、オルガが治める町…バルディッシュへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナside

 

「お姉ちゃん、もうちょっとで来るって〜楽しみだね〜……ねぇそろそろ出てきてよ!私つまんなーい」

 

オルガは、未だに見つからないヴァレンティナに聞こえるように言った。

 

(マジカルフォンを使って連絡を………?何か近付いて…)

 

何かが迫って来る音がした。

 

すると、

 

「……!?しまっ!」

 

「あはは〜み〜つけた♪」

 

ヴァレンティナを見つけたオルガが巨大化した斧を持ちながら迫ってきた。

 

「バイバイお姉ちゃん♪」

 

そして、ヴァレンティナに振りかぶった。

 

 

 

 

 

 

 

(あれ?……痛くない…)

 

痛みを感じず何があったのかと目を向けると、

 

「くっ……!」

 

「ミラッ!」

 

斧を、氷で固めた槍で防ぐリュドミラだった。

 

「ギリギリってところかしら……ね!」

 

オルガの斧をはじき返して言った。

 

「ミラお姉ちゃん…なんで…」

 

「さぁ?ソフィーに聞いてみれば」

 

そう言って、リュドミラはオルガの後ろを指差した。

 

「ソフィーお姉ちゃん…どうしてミラお姉ちゃんを」

 

「撤退よ。もう実力は分かったでしょ?さぁ帰りましょう」

 

「……分かったよ…じゃあねお姉ちゃん♪また遊ぼうね〜」

 

そう言ってオルガはビルへ飛び移り去っていった。

 

「まだ何か用があるの?」

 

未だに去らないソフィーヤにリュドミラは言った。

 

「貴方たちに教えておくことがあるの。さっき、ミラのところに行く時にエレンを見たわ。方向からして、ヴァレンティナ…貴方の町じゃない?」

 

「……エレンって…」

 

「私達と同じ七戦姫の1人よ。…それだけ伝えておきたかったの、それじゃあね」

 

そう言って、ソフィーヤは去っていった。

 

 

 

「大丈夫ヴァレンティナ?結構ダメージ入ってるんじゃ…」

 

「ううん。平気、それよりもさっきソフィーさんが言ってたことが気に……いっ!」

 

「ちょっと!全然大丈夫じゃないじゃない…歩くの辛いんでしょ?なら私が代わりに…」

 

「大丈夫。魔法を使えばワープできるし…」

 

「なら、貴方の魔法で行きましょう。エレンとの戦闘は私が引き受けるわ」

 

「お願い……じゃあ行くよ…虚空回路《ヴォルドール》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今更ですけど、魔法を紹介しま〜す!

ヴァレンティナ、鎌を振るとワープができる

リュドミラ、氷を操ることができる

ソフィーヤ、光を操ることができる

エレオノーラ、風を操ることができる

オルガ、斧を自由に操ることができる


今の所分かっているのはこれだけです。

そのうちプロフィールとかも書く予定です。

では、読んでいただきありがとうございました!

次回をお楽しみに(*´∀`*)


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15話 銀閃の風

 

鉄塔

 

「なんでヴァレンティナの居場所を教えなきゃいけないの?」

 

リップルは不機嫌そうに言った。

 

「私は、彼女に用があるのだ。」

 

エレオノーラは剣をしまった。戦う意思がないことを教えるために。

 

「…………………」

 

リップルはしばし考え…

 

「いや。教えるつもりはない」

 

「そうか…なら仕方がない!」

 

エレオノーラは剣を再び取り、リップルに迫りかかってきた。

 

すると、

 

「エレン!私が相手よ!」

 

リュドミラが、エレオノーラの剣を弾き言った。

 

「ごめんね。お待たせ」

 

ヴァレンティナも、到着した。

 

「どこ行ってたの…それに傷だらけだし…」

 

「あはは…ちょっと戦闘になっちゃって……トップスピードさんも、ご心配をおかけしました…」

 

「いいよいいよ。無事だったしな」

 

 

 

一方、リュドミラとエレオノーラの方は、

 

「さっさと手を退きなさいエレン!」

 

「いいや。手を退くのはお前だミラ!」

 

互いに退く気もなく戦闘になりかけていた。

 

「ちょっとストップです!…えっと、エレンさんは私に何の用があるんですか?」

 

ヴァレンティナが2人の間に割り込み、エレオノーラの事情を聞くことにした。

 

「そうか聞いてくれるか。どこかの戦姫とは大違いだ…」

 

「失礼ね!あんたが急にここに来るからでしょ!」

 

「まぁそれは置いておいてだな…」

 

「無視するな!!」

 

2人の会話を聞いていたヴァレンティナは…

 

(……これって、喧嘩するほど仲がいいってやつかな?)

 

微笑ましく見ていた。

 

「単刀直入に言う…私と共同戦線をしてほしい!」

 

「はい?」

 

「ふっふっ…残念だったわね!もうすでにヴァレンティナは私と組んでるのよ!」

 

「なんだとっ!?…いや待て、共同戦線は何人とでもできるんだぞ!」

 

「あんたの席はないってことよ!」

 

「「むむむむむ……」」

 

(どうしよう…このままじゃまた、戦闘になっちゃう…)

 

再び戦闘になりそうな2人をどうにかして止めなくてはと、ヴァレンティナは模索した…

 

「待ってください!エレンさんの目的は分かりましたから…なのでまた後日、改めて話し合いましょう!」

 

ヴァレンティナは、2人を止めるように言った。

 

「そうだな…わかった。そうしよう。」

 

「ミラも…それでいいよね?」

 

「…ヴァレンティナがそう言うなら…」

 

「なのでエレンさん。今日は退いてください…」

 

「わかった。では、また後日改めて話すとしよう」

 

そう言って、エレオノーラは、自分の町の方へ戻った。

 

 

その後、ヴァレンティナは傷の手当てをし、今日は解散することにした。

 

 

 

 

 

 

次の日、ヴァレンティナは、1人で町のパトロールをしていた。

 

ビルを飛び移りながら移動してると…

 

「……あれって、エレンさん?」

 

エレオノーラらしき人物を見つけたヴァレンティナは、近寄り

 

「エレンさん?こんなところで何を…」

 

「あぁヴァレンティナか……こうして海に近い町の風を浴びるのが気持ち良いんだ…」

 

「海風ってことですか?」

 

「まぁそういうことだな…私の町は、真ん中だから、海風に当たることはないんだ…」

 

「あの、昨日の話…今改めて話しませんか?今はミラもいませんし…」

 

「そうだな……何か私に聞くことはあるか?」

 

「一つだけ…あの、なんで私と共同戦線をしたいんですか?」

 

「ふむ…私の町でなお前の噂を聞いたんだ。」

 

「えっ私の…ですか?」

 

「あぁ…この町の魔法少女達のマスコット、ファブを倒したってな…周りは、すごいって言ってたけどな…私は違った。辛かっただろうなと思った…」

 

「……!」

 

「私に何かできることはないかと色々考えたんだが……側で守ることならできると思ったんだ。これが、私が君と共同戦線を組みたい理由だ」

 

「いいんですか?…私といるといろんな戦姫に狙われるんじゃ…」

 

「そのための護衛だろ?後悔はしない…だからよろしく頼む!」

 

エレオノーラは深く頭を下げ、ヴァレンティナ手を差し伸べた。

 

ヴァレンティナは、その手を握り…

 

「こちらこそ…よろしくお願いします!」

 

『それなら早速、エレオノーラの陣地、シルヴフラウをヴァレンティナに預けましょう!』

 

イストワールが、ヴァレンティナのマジカルフォンから出てきた。

 

 

 

 

 

『シルヴフラウをヴァレンティナに預けました。』

 

「これからよろしく頼む!」

 

「こちらこそ、よろしくねエレン!」

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、リュドミラは、

 

『リュドミラさん、エレオノーラさんがヴァレンティナさんと共同戦線を組んだそうです』

 

「エレオノーラ!!」

 

お怒りでございます。

 

 

 

 




今日から、また学校が始まったので投稿ペースが遅れる可能性があります!

勉学って忙しいね…

両立できるように頑張るので見てくださると嬉しいです。

では、次回をお楽しみに(*´∀`*)


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16話 ファルブラムの炎

ついに最後の戦姫が登場します!

では、楽しんで読んでくださると嬉しいです〜


 

工場区画

 

「なんであんたと一緒に共同戦線をしなくちゃいけないのよ!」

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

「あの…2人とも、落ち着いて…」

 

エレオノーラと共同戦線を組んで、三日後…リュドミラがどうしても納得できないと言うので2人が戦闘を開始してもいいように工場区画に集まっていた。

 

「どうやら白黒はっきりさせた方がいいみたいね!」

 

「どうやらそのようだな!」

 

2人が武器を構え始め、今にでも戦闘が始まりそうな感じが漂ってくる。

 

「ちょっと…」

 

「2人とも、武器を仕舞って」

 

工場施設の裏から声がした。

 

「えっと…あなたは…」

 

「君とは初めましてだね。僕はアレクサンドラ、サーシャって呼んでくれて構わないよ」

 

「サーシャ!?なんでこんなところに!」

 

「2人が彼女…ヴァレンティナと共同戦線を組んだと聞いてね。ちょっと心配できてみたら…2人とも何してるの?」

 

「「だっだって……こいつが・あいつが……あっ!」」

 

2人は咄嗟に慌てだし、アレクサンドラを指差してしまった。

 

「ふふっそうか……そうだな…なら、君たち2人の攻撃が少しでも僕に擦りでもしたら、君たちの自由にしていい……どうだ?やってみるか?」

 

「「…………………たぁっ!!」」

 

2人はあいずちをし、同時にアレクサンドラに接近した。

 

すると、アレクサンドラは笑みを浮かべながら、2人の攻撃を交わした。

 

(すごい…2対1でもあんな簡単に…)

 

それを見たヴァレンティナは、唖然としていた。

 

「どうする?まだやる?」

 

アレクサンドラは、自分の武器である二剣一対の曲剣を構え、2人に問う。

 

「「いいえ……降参です」」

 

2人は、両手を挙げ降参した。

 

「それじゃあ仲直りの握手だ」

 

「「…………………」」

 

2人は、嫌そうな顔をしていたが、互いに目を合わせ握手を交わした。

 

「ありがとうございました。私じゃなかなか止められなくて…」

 

「君も大変だね。……少しいいかな?」

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナはアレクサンドラに連れてかれ、海岸付近にきていた。

 

「あの2人と共同戦線は大変でしょ?」

 

「あはは〜…2人とも、私のこと気遣ってくれるけど、すぐ喧嘩になっちゃうから…」

 

「あの2人は昔からそうだよ…」

 

「三人って仲がいいんですか?」

 

「まぁね。ちょっと昔に会ってね、時々一緒にパトロールとかしたりしたんだ。その時から喧嘩しちゃって、僕も止めるの大変だったよ…」

 

「お互い様ですね……それで、私に何かあるんですか?」

 

「あぁ、あのね…僕とも共同戦線を組んでほしいんだ。」

 

「えっ!でも…」

 

「気にするな、僕も君を守りたいんだ。…そうだな、じゃあちょっとこれ見てよ…」

 

そう言って、アレクサンドラが二本の曲剣をだし、

 

「陽炎《オルトレスク》」

 

すると二本の曲剣から炎が燃え上がり、周りが大気を揺らがせている。

 

「すごい…綺麗な炎…」

 

「約束するよ、この炎の剣で君を守ると…」

 

「ありがとう……えっとじゃあ…」

 

ヴァレンティナは、懐からマジカルフォンを取り、

 

『はーい。アレクサンドラさんの陣地…ファルブラムを、ヴァレンティナさんに預けますね〜』

 

「イストワールなんかキャラ変わってない?」

 

『ちょっとした気分転換です』

 

「そっか、じゃあお願いね」

 

『了解です!』

 

 

2分後

 

『アレクサンドラの陣地、ファルブラムをヴァレンティナに預けました。』

 

2人は握手を交わし、

 

「それじゃあこれからよろしくね」

 

「こちらこそ、よろしくサーシャ!」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ…また遊びに行くよ…お姉ちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 

次回、『オルガ再び』

 

 

 

 

 

 




いや〜これで七戦姫全員出ましたね〜

次回からは、戦闘が多めになると思いますので

お楽しみに!


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17話 オルガ再び

今回から戦闘が、多めになると思います!

頑張って行くのでよろしくお願いします!


ヴァレンティナは、現状を伝えるために、鉄塔でにて、リップルとトップスピードと話していた。

 

「なるほどな…てことは、今は逆転してるってことか?」

 

「はい。そういうことになります。」

 

「…でもまた狙ってくることだってあるんでしょ?」

 

「まぁね…でも、戦わないと殺されちゃうもん…頑張るよ…」

 

『流石だね、お姉ちゃん♪じゃあ早速戦おうか!』

 

ヴァレンティナの懐に仕舞ってあったマジカルフォンから声がした。

 

ヴァレンティナは、それを取り

 

「何か用なの?」

 

『分かってるね〜お姉ちゃん♪また戦おうよ!…そうだな…お姉ちゃんの町の工場区画でやろっか♪待ってるよ』

 

そう言って、オルガは通話を切った。

 

「というわけなので、ちょっと行ってきますね」

 

「気を付けて…」

 

「うん。行ってくるね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァレンティナは、エレオノーラ、リュドミラ、アレクサンドラに連絡を入れ、工場区画に向かった。

 

「待ってたよ〜お姉ちゃん♪」

 

「…どうして此処に…」

 

「此処ならいっぱい遊べるでしょ?」

 

「ソフィーさんは?」

 

「ソフィーお姉ちゃんならもうちょっとしたらくるよ!今日こそ陣地頂戴ね♪」

 

「なら私も、陣地をもらう気で戦うから…」

 

そうして2人は、互いに武器を取り戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、連絡が来た、エレオノーラ、リュドミラ、アレクサンドラはビルの屋根を飛び渡り、工場区画を目指していた。

 

「ちょっと、私に考えがあるの!」

 

リュドミラは2人に提案した。

 

「なんだ?言ってみろ」

 

「前回、オルガはソフィーを連れて来た。それはきっと2人は共同戦線を組んでるから。なら今回もきっとソフィーもいるはず、さすがに彼女1人じゃ私たち三人を抑えることはできない…だから」

 

「だから…誰か1人がソフィーの相手をして、残りの2人はヴァレンティナのところへ行く…だろ?」

 

「ちょっと!人のセリフ取らないでよ!」

 

「2人とも…口喧嘩をするのはいいが、まずはヴァレンティナの方が先だろう?」

 

「それは分かってるわ。それでさっきの続きだけど、私がソフィーの相手をするわ」

 

「そうか助かる……どうやら、噂をすればお出ましのようだ…」

 

エレオノーラの視線の奥には、ソフィーヤがいた。

 

すでに武器を構えてる。

 

「それじゃあ作戦通り!後で合流するわ!」

 

「気を付けて、ミラ!」

 

リュドミラはそのまま真っ直ぐ、エレオノーラとアレクサンドラはそこから少し角度を変えた方向へ向かった。

 

「ソフィー!今度は逃さないわよ!」

 

「あらあら、まさか…エレンとサーシャが協力してるなんて…予想外だわ」

 

「これであなたは、1人としか戦えず、残りの2人はヴァレンティナのところへ行ける…どう?」

 

「そうね…迂闊だったわ。でも、少しでもあなただけでも抑えられれば私のお仕事は終わり…」

 

「?…どういう…」

 

リュドミラは、ソフィーヤの言葉に疑問を抱えたが、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工場区画

 

「お姉ちゃん、この間より隙がないね〜でもそれも楽しいね!」

 

「この間は油断してただけ…今度は、油断しない」

 

「よーし!じゃあ…………………?風……!」

 

「大気ごと薙ぎ払え《レイ・アドモス》」

 

ヴァレンティナの後ろから、竜巻が起こった。

 

「……エレンお姉ちゃん…」

 

「今は外した。だが次はお前を目掛けて当てるぞ!」

 

「エレンお姉ちゃんこわ〜い!でも…新しいおもちゃが増えて面白くなったね〜」

 

「相変わらず、不気味だな…」

 

「ふふっ…サーシャお姉ちゃんも、私のおもちゃになってくれる?」

 

後ろから気配がしたのか、アレクサンドラにすぐ気付き、彼女に向かって言った。

 

「流石だねオルガ…でも、これで3対1。君は不利だよ」

 

アレクサンドラはオルガのセリフに否定するように言った。

 

「そんなことないよ…でもね、今回のお楽しみは…こっからなんだよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、『裏切り』

 

 




次回、ついに七戦姫の誰かが死にます!

物騒ですねww

さぁ一体誰が死ぬでしょう、予想してみてくださいね〜


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18話 裏切り

ついに最初の被害者が!

お楽しみに


工場区画

 

「あはは〜おもしろ〜い!3人で戦ってくれるなら私の楽しみも3倍だよ♪」

 

「相変わらず、火力が高いな!」

 

オルガの攻撃を防ぎながらエレオノーラは言った。

 

「私もエレンお姉ちゃんの技好きだよ♪風がビューってくるの〜」

 

「ほう…そうかなら…望みどおりにしてやろう!」

 

エレオノーラは、オルガの武器を弾き、剣を構え…

 

「大気ごと薙ぎ払え《レイ・アドモス》」

 

エレオノーラの剣の周りに竜巻が起こり、そしてその剣を振り下ろした。

 

そしてその竜巻はオルガの方へ一直線に放たれた。

 

「キタキタ!でも、それを弾かせるともっと楽しいんだよね♪」

 

そしてオルガは、斧を構え、

 

「翼飛の参《トライクリーロ》」

 

するとオルガの武器は巨大化し、エレオノーラの方へ投擲した。

 

そして、エレオノーラの出した風は消し去られ、巨大化した斧はエレオノーラに一直線に迫ってくる。

 

「任せてください!」

 

ヴァレンティナがエレオノーラの前に立ち、

 

「黒霞《ティンカー》」

 

すると、エレオノーラの前に黒い霧が立ちはだかった。

 

そしてその黒い霧は、オルガの武器を弾き返した。

 

「大丈夫ですか?」

 

「すまないん助かったぞ、ヴァレンティナ」

 

「僕もいくよ!」

 

「双焔旋《フランロート》」

 

アレクサンドラの持つ双剣が炎を帯び、輪状となった。

 

「あらら…」

 

オルガは珍しく慌てた様子を見せた。

 

「これで終わりだよ!」

 

アレクサンドラが双剣を内側に寄せると、オルガを囲む炎が少しずつ狭くなっていく。

 

「へぇ〜これは大変かもね〜どうしようかな〜?」

 

「もう懲りたらどうだ?」

 

「今降参すれば、その炎…止めてあげてもいいよ?」

 

炎の向こう側から、エレオノーラとアレクサンドラが言った。

 

「ちょっとやばいけど…降参は、しないよ?」

 

「まだ言うか!」

 

「仕方ない…さよならだ」

 

すると、炎はまた狭くなりついには、オルガが見えなくなるまで狭くなっていた。

 

そしてオルガは日の輪に隠れ、見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「倒したの?」

 

ヴァレンティナ言った。

 

「いや…まだだ!」

 

すると、炎の輪から光が見えた。

 

「全く…危機一髪だったわね…」

 

光は炎よりも増し、ついには消滅した。

 

その光を放ったのはリュドミラと戦っていたソフィーヤだった。

 

「まさか追いかけっこするとは思わなかったわ…」

 

「お前なぁあれほど逃すなと言っておいただろう!」

 

「ヴァレンティナのところに行けたんだからいいじゃない!」

 

「はいはい。喧嘩は後で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったわ。間に合って…」

 

「ソフィーお姉ちゃん…」

 

「さぁ逆転劇といきましょう!」

 

「………………………そうだね♪」

 

ザシュッ

 

 

 

「えっ……」

 

ソフィーヤは何が起こったのか理解できなかった。

 

「あはは〜………さよなら、お姉ちゃん…」

 

次の瞬間、ソフィーヤは前に倒れた。

 

「ソフィー!!」

 

エレオノーラは、ソフィーヤの名を叫び、側に向かう。

 

「じゃあ今日はもう帰るね〜ばいばいお姉ちゃん達♪」

 

オルガは、工場の屋根に飛び移り、そのまま去っていった。

 

 

 

 

「ソフィー……」

 

エレオノーラは、ソフィーヤを抱き起こした。

 

エレオノーラの手には、ソフィーヤの背中から出た血が付いていた。

 

「本当は…分かってたわ。私が…殺されるのは…」

 

「なら何故、オルガとの共同戦線を解除しなかった!お前が陣地を預かっていたんだろう…」

 

「この間、聞いちゃったのよ…私は邪魔だから…次の戦闘後に殺すって…」

 

「だからなんだって言うのよ!全然理由になってないじゃない…」

 

リュドミラは、言った。

 

「何故だかね…どうしてだか…あの子から離れられなかったのよ………」

 

「それってどういう…………!」

 

ソフィーヤは、目を閉じていた。

 

 

 

それからソフィーヤが目覚めることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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19話 狂戦士の戦い

あと、1、2話くらいで七戦姫編完結です。

ラストスパートきってますので頑張ります!




ソフィーヤが脱落した、二日後…

 

葬儀が執り行われた。

 

知り合いだったエレオノーラは、葬儀に参加していた。

 

その頃ヴァレンティナ達は、エレオノーラの帰りを待っていた。

 

「エレン…大丈夫かな…」

 

「しばらくは…ね」

 

「正直、崩れてる暇はないけど……気になることもあるし…」

 

「気になること?」

 

リュドミラの台詞に疑問を浮かべたヴァレンティナが問う。

 

「未だに動かないエリザヴェータ…」

 

「確かに…未だに自分の町しか陣地がない…」

 

「何かあるのかもしれないね…」

 

3人は、マップをみてエリザヴェータについて話していた。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、オルガは…

 

 

「うーん…次はどうしよっかな〜」

 

オルガは、空き家の中で、マジカルフォンをいじりながら唸っていた。

 

「次は誰と遊ぼうかな〜」

 

マジカルフォンに映し出された名前をなぞり、次の相手を決めていた。

 

「きーめた♪…ふふっ少しは楽しめるかな〜」

 

オルガの指が差しているのは………………………エリザヴェータ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森林

 

「こんなところに呼び出して…なんのご用かしら?」

 

オルガに呼ばれたエリザヴェータは問う。

 

「リーザお姉ちゃんと遊びたいんだ〜……遊んでくれる?」

 

「ふふっ…良いですわよ。」

 

「話が早くて助かるよ…さ!遊ぼっ!」

 

森林での戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「牙崩の壱《アジンクリーク》」

 

オルガの斧は、鋸に変化した。

 

「ならばこちらも!」

 

「鋼鞭《クスタル》」

 

エリザヴェータの鞭が、本来の半分の長さの鋼の棒状に変化した。

 

「たあ!」

 

「やあ!」

 

互いの武器が交じり合い、ギギギッと音が響く。

 

「そういえばオルガ…あなた、味方を裏切ったみたいね」

 

「うん。そうだよ〜」

 

「その理由を聞いても?」

 

「ただ単に…邪魔だっただけ♪」

 

オルガはそういうと再びエリザヴェータへ武器を構え、突進した。

 

「貴方はやっぱり……面白い方ですね!」

 

するとエリザヴェータは上へ飛び、

 

「天地撃ち崩す灼砕の爪《グロン・ラズルガ》」

 

すると、エリザヴェータの鞭の先端が九つに分かれ、その先端から放電が流れていた

 

「わぁすごいすごい!で・も〜私の斧は避けられるかな?」

 

「防御を捨てた私に勝てると思って?」

 

「あはは〜リーザお姉ちゃんおもしろ〜い!よーし、負けないよ〜」

 

2人は、互いに防御を捨て、攻撃だけをしていた。

 

「翼飛の参《トライクリーロ》」

 

オルガは、斧を巨大化させ、エリザヴェータを目掛け投擲した。

 

「これは避けられないよね♪」

 

勝利を確信したオルガは満面の笑みで言った。

 

「闇夜斬り払う刹那の牙《ノーデ・ビード》」

 

するとエリザヴェータの鞭が光り出した。

 

「まぶしっ!」

 

オルガは前が見えず目を瞑ってしまった。

 

すると、

 

ザシュッザシュッザシュッ!!

 

「えっ……」

 

オルガは何が起こったのか理解できなかった。

 

自分の腹部を見ると…

 

九つの切り傷があった。

 

「うそ……なんで、私の斧が当たらなかった…の」

 

それを最期にオルガは倒れた。

 

「私の鞭は、九つの雷…簡単には逃れられないのよ…」

 

エリザヴェータは捨て台詞を言い、森を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オルガが脱落しました。オルガの持つ陣地はエリザヴェータが獲得しました。』

 

3人のもとに通知が来た。

 

「オルガ…やられたのね」

 

「エリザヴェータ…強いんだ…」

 

「厄介なのが残ってしまったな…」

 

3人は頭を悩ましていた。

 

「あの…」

 

「どうしたの?ヴァレンティナ」

 

「ていうことは…エリザヴェータを倒せば、全陣地がこっちのものになるんじゃ…」

 

「あぁ…彼女さえ倒せば、この戦いは終わりだよ…」

 

アレクサンドラは不安そうな声で言った。

 

「強いのはわかってるけど…倒さないと終わらない…」

 

「そうね!こんなに悩んでても、あいつに倒されて終わりね!」

 

リュドミラはヴァレンティナの意見に賛成するように言った。

 

「仕方ないか…終わらせたいものね…僕も」

 

アレクサンドラも言った。

 

「それじゃあ早速作戦会議よ!エレンが戻って来たら早速出発よ!」

 

「「早っ!」」

 

 

 

 

 

 

 

次回、『影VS雷』

 

 

 

 

 




次回最終回かビミョーなところです。

エピローグもそのまま入れちゃうかもだし、別にするかもしれないです。

まぁ気長に待っててください。


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20話 影VS雷

今回最終回です!!


海岸

 

エリザヴェータとの決戦を前に四人は作戦を練っていた。

 

「それでミラ…作戦ってどうするの?」

 

ヴァレンティナがリュドミラに問いかけた。

 

「そうね…まぁ何個かあった方がいいわよね」

 

「ならば挟み撃ちにするか?」

 

エレオノーラが言った。

 

「それって四方向から一気に行くってことかい?」

 

アレクサンドラが言った。

 

「いや。2対2で行こう。そうすればサポートできる。」

 

「そうね。今回ばかりは貴方の意見に賛成してあげる」

 

「貴様何様のつもりだ!!」

 

すると、リュドミラとエレオノーラは口喧嘩を始めた。

 

「だいたい貴方はいつも…」「お前こそそうだろ!」

 

「サーシャ…どうしよう」

 

ヴァレンティナはアレクサンドラに助けを求めた。

 

「そうだね…じゃあ今回は二人の仲を深めるために僕はヴァレンティナと組むよ」

 

「そっか!そうすれば二人とも仲良くなるよね!」

 

エレオノーラとリュドミラをおいて、ヴァレンティナとアレクサンドラは作戦について話していた。

 

「なぜこいつと…」「どうして貴方みたいなのと…」

 

「ほら、息ぴったりじゃないか?それとも、不満なら僕に勝ってからにしようか…」

 

アレクサンドラは腰に収めている双剣の柄に手をやる。

 

「「わ、わかりました」」

 

「よろしい。それじゃあもう一つくらい作戦作っておこうか」

 

「あの…さっきの作戦の前にやりたいことがあるの…」

 

ヴァレンティナが小さく手を挙げ言った。

 

「珍しいわね。ヴァレンティナから言うなんて」

 

「う、うん。今回は…絶対に勝ちに行かなくちゃいけないから…それで作戦はね……」

 

 

 

 

 

 

 

夜 高層ビル

 

「ごめんね。すぐ頼っちゃって…」

 

「別に……これで最後なんでしょ?」

 

「うん…これが最後…」

 

ヴァレンティナは、先程三人に話していた作戦を実行するためにリップルを呼んでいた。

 

「にしてもさ〜いい顔するようになったよな〜」

 

リップルだけではなくトップスピードも呼んでいた。

 

「ほえ?私ですか」

 

「おう。最初の頃は、おとなしかったのに今となっては自分から戦いに挑むとは…」

 

「お前誰目線だよ…」

 

「そりゃもちろん先輩魔法少女として!」

 

久しぶりの三人の会話に、ヴァレンティナは心から微笑んでいた。

 

『ヴァレンティナさんそろそろお時間です』

 

イストワールがマジカルフォンから現れ言った。

 

「うん。それじゃあトップスピードさんお願いします」

 

「おう!お前らも気をつけろよ」

 

そう言ってトップスピードは飛んでいった。

 

「お待たせして申し訳ありません…」

 

「「!!」」

 

二人は声がした方に視線をやった。

 

「こうして会うのは初めてですわね。エリザヴェータですわ」

 

「これで最後なので、全力でやらせてもらいます…リップル!」

 

「あぁ…」

 

リップルは先手を切り、エリザヴェータに刀を振るった。

 

「あらら?戦姫でもない貴方と戦うのですか?」

 

「お前さえ倒せば終わるんだ…なんだってしてやる!」

 

「ふふっまぁ少しはやるようですね……!?ヴァレンティナの武器は?」

 

エリザヴェータは未だに動かないヴァレンティナに目をやった。

しかし、ヴァレンティナは武器を持っていなかった。

 

「リップル!作戦開始」

 

「了解…」

 

リップルは、魔法を使い手裏剣とクナイを大量にエリザヴェータに向けた。

 

「なかなかやるようですね…ですがこのままではヴァレンティナに攻撃できてしまいますわよ」

 

エリザヴェータは魔法で増えた鞭の先端を振るい、攻撃を弾いた。

 

「それが作戦なんですよ…」

 

ヴァレンティナはそう言うとエリザヴェータの左腕をつかんだ。

そして、そのままビルから落ちた。

 

「いったい何をしているんですの!自殺のつもりで……!?」

 

エリザヴェータが見たのは、ワープゾーンを展開している大鎌を持っているトップスピードだった。

それを確認したヴァレンティナは、ワープゾーンに向かってエリザヴェータを投げ飛ばした。

 

「なるほど…随分作戦を練ったようですね…っふ…」

 

エリザヴェータはワープゾーンへ姿を消した。

ヴァレンティナは、トップスピードの箒へうまく着地した。

 

「トップスピードさん有難うございます」

 

「お、おう。これ結構重たいな…」

 

「私はもう慣れちゃいました。それじゃあみんなのところに行ってきます」

 

そう言うとヴァレンティナはワープした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは…」

 

エリザヴェータはワープした先に困惑した。

 

「ここは、ヴァレンティナの町にある森よ。ここならいくら暴れても問題ないわ」

 

「あらあらこれはこれは、リュドミラではありませんか?」

 

「私のことも忘れないでもらいたいな…」

 

エリザヴェータの背後からエレオノーラがきた。

すると、ワープしてきたヴァレンティナも到着した。

 

「さぁ、始めましょうか…最後の戦いを」

 

 

 

 

 

 

 

「エレンっ貴方と戦えるのがとても嬉しいわ」

 

「お前にエレンなどと呼ばれる筋合いはない!」

 

エレオノーラは風を纏った剣をエリザヴェータに振りかざした。

 

「私のことも、リーザで構いませんわよ!」

 

エリザヴェータはその剣を無数の鞭で弾いた。

 

「凍てつけ!」

 

リュドミラは氷を纏った槍をエリザヴェータに振るった。

 

「燃えよ!」

 

背後からは、炎を纏った双剣を振るうアレクサンドラ。

 

「ふふっ甘いですわよ!」

 

エリザヴェータは高く宙に舞い、ヴァレンティナに向かった。

 

「私の狙いは最初から貴方ですのよ!」

 

(!?…あれが、エリザヴェータの本気…)

 

「「ヴァレンティナ!!」」

 

リュドミラとエレオノーラが叫んだ。

 

しかし、無数の鞭は雷を纏い、ヴァレンティナに振るっていた。

 

「さようならですわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あれ?痛くない………!)

ヴァレンティナが見たのは、

 

「……………ッ!」

 

双剣でいくつかは弾いたが、抑えきれずその身で受けた…アレクサンドラだった。

 

「サーシャ…」

 

「約束した…から…この炎で、守ると…」

 

「……でも、」

 

「戦って…くれ…」

 

それを最後に、アレクサンドラは目を覚まさなかった。

 

エレオノーラとリュドミラは唖然としている。

ヴァレンティナは、アレクサンドラから双剣を抜き取り、エリザヴェータに近づいた。

 

「あらら…復讐ですの?…でも」

 

エリザヴェータは、ヴァレンティナに鞭を振るった。

切口から血が出るが、足を止めなかった。

 

「……斬る」

 

ヴァレンティナはそれと同時に二本の剣をエリザヴェータに刺した。

 

「……ふっこんな小さな剣で私が殺せるとでも…」

 

「…燃えよ…」

 

すると、二本の剣は炎を纏った。

エリザヴェータに刺したまま。

 

「!!…貴方…まさか……ッ」

 

それを最後に、エリザヴェータは炎の中へ消えた。

 

「…ヴァレンティナ」

 

「ついてこないで…大丈夫だから」

 

「しかし…「今はそっとしておきましょ」…あぁ」

 

リュドミラはエレオノーラの肩に手を乗せいった。

 

「落ち着いたら連絡するね…」

 

そう言ったヴァレンティナは森を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ヴァレンティナから連絡は一ヶ月が経とうともこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。

ギクシャクした最終回でした。

続編は書くつもりですが、だいぶ遅くに出すと思います。

次の話に合わせるアニメを決めますので、お待ちください。

では、最後に



遅くなってすみませんでした!




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3章
プロローグ 新たな魔法少女


あの戦いから一ヶ月が経った頃、ある魔法少女達はとある作戦を立てていた。

 

「火垂〜いるかしら?」

 

殺風景な部屋の扉を開けたのは、黄緑色のロングヘアに、軍艦服のような格好をした女性。

 

「何か御用でしょうか。アリナ様…」

 

「いい子ね。流石はアリナの自信作…フフッ」

 

アリナと呼ばれた女性は、黒のワンピースに、黒い布を顔に掛けている藍色の髪の少女の頭を撫でた。

火垂と呼ばれた少女の顔はうっすらとしか見えていない。

 

「あなたにお願いがあるの。実はね〜アリナの芸術に邪魔な街があるの〜」

 

「それは困りましたね。」

 

「んも〜冷たいわよ!それで頼みはここから。その街にはね…私達と同じ魔法少女がいるの。

そいつらの処分をあなたに頼みたいの〜」

 

「それは構いませんが、何人いるのですか?」

 

「あの街自体には13人よ。けれどね、あの街に定期的にやってくる魔法少女が二人いるのよ。」

 

「ということは、15名ですか」

 

「そっ!じゃあこれ名前と魔法が書いてあるから後はよろしくね〜殺し方は、自由にしていいわよ。

死体の処分も好きになさい」

 

そう言うとアリナは魔法少女の名前と魔法が書いてある手帳を火垂に渡した。

 

「イエスマスター…」

 

火垂はそう言うと、手元から炎を思わせるような双剣を出し、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

「失礼いたします。火垂様」

 

火垂の部屋の扉が開いた。

すると部屋に入ってくる似たような顔をした少女二人

 

「なんの御用でしょうか?」

 

「もーう冷たいよ〜火垂様〜」

 

もう一人の少女が不貞腐れて言った。

 

「月咲ちゃん、もうすこし火垂様には礼儀正しくお声かけなさいと教えたでしょう?」

 

「でも月夜ちゃん、それじゃあうちらの区別がつかないかもしれないじゃん」

 

二人の少女、月夜と月咲が揉めていると火垂は二人のいる反対側のドアへ向かった。

 

「ちょっ!?火垂様、お待ちください!」

 

「……要件があるなら手短に、アリナ様からの命令を実行しなければなりません」

 

火垂は少し不機嫌そうに言った。

 

「うちら、その命令を受けた火垂様の護衛を務めることになったの」

 

「ね〜」

 

「…護衛、私にですか?」

 

「そうでございます!火垂様はわたくし達にとって要のような存在…そのような方を一人任務へ行かせるわけには行きません」

 

月夜は熱心に語り始めた。

 

「そうよ、火垂。彼女たちを連れて行きなさい」

 

火垂の背後から幼げな声がした。

 

「……灯花様」

 

赤髪に黒と赤のフリルやリボンをあしらったワンピを身に纏った灯花という少女が言った。

 

「貴方はこのマギウスの要よ。アリナに頼めば軽い修理はできるわ、けどね貴方の存在が無くなってしまってはダメなの。

このマギウスが新たな世界を作るには貴方が必要なの。分かるわよね?」

 

「………理解しています。記憶は有りませんが灯花様が私を救ってくださったこと、アリナ様に頂いた新しい自分。

すべて、このマギウスのため。」

 

「分かっているならいいわ。月夜と月咲を連れて行きなさい。貴方たちも任務を怠らないようにね」

 

灯花は二人に釘をさすように言った。

 

「し、承知しております!」

 

「精一杯努力します!」

 

「ふふっそれでいいのよ。それじゃあ頑張ってね〜」

 

そう言って灯花は扉の奥へ消えていった。

 

「火垂様、お荷物お持ちいたします」

 

「仮拠点までの道はうちが案内します!変装もしないとですね?」

 

「なぜですか?」

 

火垂は月咲の言葉を不思議に思った。

 

「あ、あーえっとですね、ほかの魔法少女に怪しまれないためでございます、今回の任務はほかの魔法少女に顔を見せる可能性がございます。なのであまり目立たないような姿で街を移動しましょう。」

 

「そう…分かった」

 

火垂は納得したように歩いて行った。

 

(ありがとう月夜ちゃん)

 

(月咲ちゃん、気をつけて下さい。これから行く街は…過去の彼女を探している魔法少女が沢山いるんですから。その事実を火垂様に伝えるわけには行きません)

 

(でもなんで記憶の改変なんてしたんだろうねアリナ様…)

 

(そこはわたくしも不思議に思います。後から辛くなるのは、火垂様です…)

 

(でもうちらは決めたんだ。何があっても…)

 

((火垂様を守り抜くと!))

 

 

「何しているんですか?急ぎますよ」

 

遅れている二人に火垂は言った。

 

「は、はい!只今」

 

「火垂様〜待ってよ〜」

 

 

 

 

 

マギウス 本拠地

 

「アリナ、あの子はちゃんとやってくれるかしら?」

 

「当たり前じゃない〜アリナの最高傑作であるあの子の記憶が戻るなんてありえないんですケド〜」

 

「見た目はあまり変わらなかったけど、バレないわよね?」

 

「その辺も大丈夫。あの双子に頼んだから〜」

 

「なら安心ね、それにしても運が良かったわね。七戦姫の生き残りの一人を要として迎えれるなんて。」

 

「アリナも改造しがいがあったってワケ〜ほんとあの子をいじるのとってもエキサイティングなのよネ〜」

 

「改造しすぎもほどほどにね。せめて火垂の…いいえあヴァレンティナの本来の体がなくならないようにね?」

 

 

 

 



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主人公 マギウス編 設定

名前:火垂 旧名:ヴァレンティナ

 

武器:過去にアレクサンドラが所持していた双剣

 

服装:黒のワンピース、黒い布のようなものを頭から顔にかけて掛かっている

 

(マシンドールは傷つかないの火垂を真似ました)

 

マギウスと呼ばれる組織の要のような存在。

七戦姫編のあと気絶したところを灯花に保護され、要として使うためアリナに改造と、記憶の改変をされた

月夜と月咲を護衛に過去に彼女がいた街にいる魔法少女を全員殺すよう命令された。

 

アリナからは可愛がられ、月夜と月咲からは慕われている。それなりに愛されている。

時々、不思議な夢を見るようだが……?

 

 

天音月夜

 

天音双子の姉と思われる方。

歳は同じだが、月夜のほうがしっかりしている。

月咲より火垂のことを尊敬しており日々彼女の素晴らしさを語っている。

月咲とは意見が行き違い喧嘩することが多々あるが、いつも仲良し。

火垂の過去を知っており、彼女を混乱させまいと彼女には黙っている。

 

ほか設定は、マギレコと同じ。

 

 

天音月咲

 

天音双子の妹と思われる方。

歳は同じだが月夜よりはしっかりしていない。

月夜同様、火垂を尊敬しているがいつも敬語の火垂との距離を深めようとしているらしい。

月夜とは揉め合いが多々有り、よく注意されている。

火垂の過去を知っており、その事実を伝えるのをこらえている。

 

ほか設定は、マギレコと同じ。

 

 

 

アリナ・グレイ

 

ヴァレンティナを火垂という新たな記憶にし、彼女を改造、改変した張本人。

本人は火垂るを最高傑作と言っており可愛がっている。

今回の任務を頼んだ張本人でもある。

灯花と共にある重大な事を考えているようだ。

 

ほか設定は、マギレコと同じ。

 

 

 

里見灯花

 

ヴァレンティナを保護した少女。

彼女のことを前から探していたようだ。

しかしその理由は要の存在にするため以外にもう一つあるようで…

 

彼女は、マギウスの上の存在である。

彼女も火垂には期待をしているようで、彼女の少ない願いも聞いていた。

灯花曰く、もうすこしわががままを言って欲しいらしい。

とても物知りで、火垂に数々の知識を与えたのも灯花である。

 

 

 

 

 

作者から、

 

いや〜長らくお待たせしました!

待ってくれてた人、いるかわからないけどありがとです!

今回は、マシンドールは傷つかないとマギアレコードを追加させていただきました。

主人公の闇落ちはちょっとなってみたかったんですよね〜

いや〜かなって良かった良かった!

これからは、マギウス編を長々と不定期投稿でやっていくつもりなので

気長に待っていただけると嬉しいです!

できる限り早く出したいですけど時間が…ていうのはいいワケですよね〜

まぁ頑張って行くのでこれからもよろしくお願いします!



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21話 初陣

街のとある一角にあるビルの屋上

 

「火垂様。街に到着いたしました。」

 

月夜が火垂の右隣から言った。

 

「火垂様〜火垂様〜いったい誰から殺しに行くの〜?」

 

左隣から月咲が言った。

 

「月咲ちゃん、早とちりはいけません。火垂様、髪色を変えましょう」

 

「どうしてですか?」

 

「えっとですね…アリナ様からそう指示されたので、私も詳しくは…」

 

火垂は一度間を開け考えたが、

 

「アリナ様が言うなら正しいことだと言うことですね。承知しました。」

 

火垂は納得したように返事をした。

 

「では、仮拠点へ向かいましょう。準備は整っております」

 

火垂は月夜に誘導され仮拠点へと向かう。

その後に続くよう月咲が進んだ。

 

 

 

仮拠点

 

「ちょっとボロいね〜」

 

月咲が不満そうに言った。

 

「仮拠点なので仕方がありません。火垂様こちらに、髪染めをしますので…」

 

月夜が火垂を別室へ案内するが、

 

「大丈夫です。自分で出来ます…」

 

そう言って火垂はその部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

ガチャンッ

 

数分後、火垂は髪を染めて帰ってきた。

 

「おかえりなさいませ。では早速作戦会議といきたいのですが…」

 

「はいはーい!私、いっぺんに殺したーい」

 

月咲は挙手をしたが、

 

「火垂様は如何致しますか?」

 

月夜はそれを無視し、火垂に意見を求めた。

 

「……月咲の希望は早めに叶うかもしれません」

 

「へ!?本当っ火垂様〜」

 

月咲は目を輝かせながら聞いた。

 

「最初に殺すのはこいつ…次はこの2人を同時に殺す。こいつらは同時刻に…2人にお願いします」

 

「「承知致しました!」」

 

 

 

 

 

 

路地裏

 

真夜中の路地裏の奥には先程までロボのような姿だった魔法少女の惨殺死体と、黒いワンピースに返り血のついた火垂

 

「1人……」

 

火垂は誰もいない路地裏でボソッと呟いた。

 

「これなら…判別は不可能…」

 

そう言って真夜中の路地裏を後にした。

 

 

 

廃住宅街

 

「こちらで間違い無いようです。」

 

「それにしても、火垂様やっさし〜こんないい仕事くれるなんてね〜」

 

「ね〜」

 

「じゃ、行こっか〜うちらの笛で…」

 

「その必要はありません…」

 

2人の背後から声がした。

 

「「火垂様!!」」

 

「ず…随分とお早いですね」

 

「必要ないってどういうことですか?」

 

「貴方達の笛の音が必要になるのは、この後……それより先に、やって欲しいことがあります」

 

 

 

 

 

「ガソリン…巻き終わりました。」

 

「出入り口、瓦礫で塞ぎました!」

 

「下がっていてください。」

 

そう火垂が言うと、彼女は双剣を構えた

 

「火垂様…いったい…」

 

「黙って見ていればわかりますケド〜」

 

2人の背後にいたのは、本拠地からこちらに来たアリナだった

 

「…………………燃えよ」

 

彼女の双剣には炎がついており、次の瞬間周りに撒いたガソリンに引火した。

 

「この建物は木製。それに出入り口は全て封鎖済み…逃げ道なんてないんだよネ〜」

 

「アリナ様…本日、三人の魔法少女を殺すことに成功しました…」

 

手応えがあったようで納得したのか、火垂が戻ってきた

 

「偉いわよ。流石アリナの最高傑作…この調子でどんどん殺して欲しいんですケド〜」

 

「イエスマスター…御心のままに…」

 

そう言ってアリナは暗闇の奥に消えていった

 

「帰りましょう…これなら指紋などは残りません…」

 

「「了解致しました」」

 

 

 

 

 

 

 

 

『次のニュースです。昨晩不可解な事件が二件起こりました。一つは路地裏での惨殺事件、もう一つは廃住宅街で起こった大火事です。この事件での死者は3名、全員女性です…繰り返します…』

 

自宅でこのニュースを見ていたリップルこと華乃はあることに気がついた。

 

「この事件…まさか魔法少女が…トップスピードに連絡を…」

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の髪色を火垂と同じピンクにしました


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22話 行方不明

鉄塔

 

「よっなんだかんだで集まんのも久しぶりだな」

 

リップルが呼び出した1人であるトップスピードが言った。

 

「思い出に浸ってる場合じゃないだろ…」

 

「そーだったな」

 

「でもまぁその気持ちも分からなくはないけどね」

 

「…同意見」

 

後ろから声がした。振り向くと、同じく呼ばれたラ・ピュセルとスイムスイムがいた。

 

「あれからどうよ…情報とかあったか?」

 

「いいや…目撃情報とかもまるでない…」

 

ヴァレンティナが行方不明という状態になって三ヶ月、情報が何もない状態が続いていた。

 

「今日も情報探しをしますかね〜」

 

トップスピードがそういうと、どこからか笛の音がした。

 

「どこから…?」

 

ラ・ピュセルは剣を構え、スイムスイムは薙刀を構え、リップルはクナイを構え戦闘態勢に移った。

 

「流石は戦闘特化が集まっているだけはありますね、警戒心がとてもあります」

 

「ね〜でもうちらの笛の音に勝てるわけないのにね?」

 

「ね〜」

 

「どこにいるんだ!」

 

「上でございます…」

 

4人が上を見上げると、そこにいたのは白いコートを身に纏った少女2人だった。フードを被っていて顔は見えない。

 

「誰だ…」

 

「この場で名乗らせていただきます。マギウスの翼、白羽…天音月夜でございます」

 

「同じくマギウスの翼、白羽…天音月咲だよ」

 

そう言って2人はコートを剥いだ。

 

「マギウスの…翼?」

 

「そんなの…聞いたことないぞ!」

 

スイムスイムとラ・ピュセルが疑問を感じていた。

 

「無理はありません。わたくしたちはこの町の魔法少女ではありません」

 

「ね〜うちらはただ…

 

 

「「この町にいる全ての魔法少女を殺しに来ただけだよ(でございます)」」

 

 

 

 

 

別の町にて同時刻、エレオノーラとリュドミラは…

 

「貴様!何者だ、なぜその剣を持っている!」

 

武器を構えたエレオノーラが言う。

その剣の先にいるのは、

 

「………マギウス、火垂…」

 

火垂だった。

 

「質問に答えなさい!」

 

「ちょっとうるさいんですケド〜」

 

「何者!」

 

火垂の背後にいたのは、

 

「マギウス、アリナですケド〜まぁよろしくしても君達はすぐアリナたちに殺されちゃうんですケド〜」

 

「何を言っているの…マギウス…」

 

「火垂、ここはアリナがやっておくから、火垂は寺の方へ行って欲しいんですケド〜」

 

「イエスマスター…御心のままに」

 

そう言うと火垂はさらに奥へ進んで行った

 

「待ちなs……どきなさい」

 

「君達の相手はアリナなんですケド〜無視されると困るんだよネ〜」

 

2人にアリナが立ちはだかった。

 

 

 

 

鉄塔

 

「ちっ…なかなか近付けない!」

 

「うちらの音色を前に立ちはだかるなんて無理なんだよね〜」

 

「ね〜」

 

「チッ…なら!」

 

「なっ!?」

 

リップルは、素早く移動し、気配を悟られぬようにした

 

(どうしたものか…気配が分からなくては、無闇に笛を吹くわけにはゆきません…)

 

そう考えていると足に痛みが走った。

 

「あぁ…!!」

 

「月夜ちゃん!」

 

足を抑える月夜に近づく月咲

 

「これで、あの音はもう出せない…」

 

リップルは、月夜の血がついたクナイを構えながら言った。

 

「っ!お前ぇ!!」

 

月咲は怒り狂い、再び笛を吹こうとするが、

 

「無闇な攻撃は無意味です…」

 

4人の背後から声がした、その正体は、

 

「「火垂様!!」」

 

「新手か…」

 

「……マギウス、火垂…」

 

火垂は4人に軽く名を名乗った。

 

「火垂様!そちらの任務は終わったのですか?」

 

月咲は火垂にそう聞くと、

 

「はい。寺にいた魔法少女は、全て処理しました…」

 

「………寺…?」

 

「まさかっ!おい誰を殺したんだ!」

 

「えぇ〜敵に教える筋合いないんだけど。まぁ特別に教えてあげる」

 

「ルーラ、たま、ミナエル、ユナエル…この4人だよ、ね〜」

 

「本当、運が良かったです。戦闘特化の魔法少女が全員集結しているなんて」

 

「ね〜」

 

「……ルーラ、死んだ…え?」

 

スイムスイムは放心状態になっていた。

 

「本当は今日で全て終わらせるつもりでしたが…残りは別の機会にしましょう」

 

「「了解致しました」」

 

「まて……」

 

「……なんの御用ですか、リップル」

 

「チッ…お前とは今ここで勝負をつけたい!」

 

「おいリップルお前!」

 

火垂はしばらく黙ると…

 

「いいでしょう、ここではあれですので…もうすこし広い場所で…どうですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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23話 瞳

ビル 屋上

 

「ふぅーん…火垂、面白そうなこと始めてる〜ちょーエキサイトなんですケド〜」

 

アリナは不気味な顔を浮かべながら言った。

 

「あんた何言ってるの…」

 

「だーから〜アリナ達にとってはエキサイトだケド〜君達にとってはバッドエキサイトってことなんですケド〜」

 

「どう言うとだ…」

 

「めんどくさいんですケド〜……早くしないと…お仲間死んじゃうヨ」

 

アリナは二ヒヒと笑いながら言った。

 

「!?まさかさっきのあんたの仲間…」

 

「そろそろ仕事終えて向こうに行ってるんじゃない〜?」

 

「くっ…行くぞ!リュドミラ」

 

「分かってるっての!」

 

エレオノーラとリュドミラはアリナを置いていき、鉄塔の方へ向かった。

 

「アリナの最高傑作に勝てるカナ〜?」

 

 

 

 

 

 

 

 

工場地区

 

「ここでいかがでしょうか?」

 

「構わない…」

 

火垂とリップルは互いに武器を構えた。

 

「火垂様、あまり無駄な労力は…」

 

「無駄じゃありません…アリナ様の指示次第ではここにいる全員を殺せます」

 

「さすが火垂様〜」

 

「ね〜」

 

「早く始めましょう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんだよあいつの動き…早すぎるだろ…)

 

火垂とリップルの戦闘を見て、トップスピードは思った。

 

「なぁトップスピード…私の勘違いだったら悪い…」

 

隣にいたラ・ピュセルが言った。

 

「何かあったか?」

 

「なんかあいつ…火垂って言ったか、なんか似てないか?ヴァレンティナに」

 

「えっ……言われてみれば」

 

トップスピードも勘付いたのか、納得していた。

その会話を遠目から聞いていた天音姉妹は、

 

「月夜ちゃん…気付かれてるみたい…どうしよう」

 

「ね〜…これは、速やかにアリナさん達に報告する必要がありそうです」

 

「その必要はありませんよ」

 

「「!?」」

 

月夜と月咲の背後から声がした。

 

 

 

 

 

同時刻

 

周りが、一人一人何かに気付いたり、勘付いたりしている中…戦いは続いていた。

 

「はぁ…なかなか腕がたつな…」

 

「お褒めに預かり光栄です…」

 

(ちっ…向こうは息切れもしてない…もうここは…)

 

リップルは飛び、手裏剣を何枚か懐から取り出した。

それを魔法で一気に投げた。

 

「こんなもの…目くらましd…」

 

火垂の言葉を遮るかのように、手裏剣が火垂のつけている布を切り捨てた。

次の瞬間布は地面へ落ち、今までしっかりと確認できなかった火垂の顔がはっきりと分かった。

そこには、数ヶ月誰も見なかったヴァレンティナの面影があった。

 

(!?……似てる)

 

リップルもラ・ピュセル、トップスピードと同様に気付いたような表情を浮かべた。

しかし攻撃は止まらず、トドメにクナイを二本放った。

 

先ほどの攻撃の反動で動けずにいた火垂はもろ食らってしまう状態だった。

 

「「火垂様!?」」

 

天音姉妹は、火垂の安否を確かめるように叫んだが返事はなかった。

反動で起こった煙が収まった。

そこにいたのは、

 

「全く、危なかったではありませんか」

 

円状の刃を盾に使いガードした先程の声の主と思われる女性と、それを聞いて唖然としている火垂だった。

 

「みふゆさん…いつ…」

 

「つい先程こちらに着いたばかりですよ」

 

みふゆと呼ばれた女性は、火垂の方を向き笑顔で答えた。

それを見た天音姉妹はホッと安心していた。

 

「誰だ?」

 

リップルはみふゆにそう聞く

 

「マギウス、梓みふゆです。今回はこちらから引かせていただきますね」

 

「何故ですか?私はまだ戦えます…」

 

火垂はみふゆに反論するように言ったが、

 

「あなたも十分に消耗しています。ここは体制を立て直しましょう」

 

「分かりました…」

 

火垂はすこし不満の残るような表情でみふゆに納得した。

 

「では、月夜さん、月咲さん…火垂さんをよろしくお願いしますね」

 

「「はい…」」

 

天音姉妹もすこし不満も残りながらもみふゆの指示に従い、火垂の肩を支えた。

 

「火垂様…行きましょう…」

 

「みふゆさん…行かないんですか?」

 

月咲は未だにその場を動かないみふゆにそう問いかけた。

 

「先に行っててください。後から行きますので」

 

みふゆは月咲にそう言って納得させた。

それを聞いて疑問も残さず頷き、月咲はその場を後にした。

 

「なんの用だ…」

 

「そう警戒しないでください。私はあなた達に伝えることがあっただけです」

 

それを聞いた4人は理解が出来ず腑に落ちない顔をしていた。

 

「何か聞きたいことがあるんじゃないですか?」

 

「……あいつの顔が、ヴァレンティナに似ていたことについて…」

 

リップルはそう問いかけた。

 

「質問が直球的ですね……そうですね、私はそこまで上の階級ではありませんし、口止めされています。なのでこちらに聞いてみることをお勧めします」

 

そう言ってみふゆが差し出したのは、一枚の紙切れだった。

リップルはそれを受け取り、

 

「これは?」

 

「そこに書いている場所に行けば、口止めもされていないので全て包み隠さず話してくれます。きっと知りたいことを教えてくれるはずですよ」

 

そう言ってみふゆは、月夜達を追いかけるようにその場を後にした。

 

「何が書いてあんだ?」

 

トップスピードはリップルが持っている紙を覗き見た。

ラ・ピュセルとスイムスイムも同じように覗き見た。

そこに書いてあったのは、

 

「なにかの地図みたいだな」

 

「………でも、どこの?」

 

どこの地図かもわからない紙を見た4人は理解できず悩んでいた。

そこに、

 

「ここにいたのか?」

 

4人は声がした方を振り返った。

そこにいたのは、

 

「もしかして…勝ったの?」

 

先程までアリナと戦っていたエレオノーラとリュドミラだった。

 

「いや、向こうが一度引き上げた…」

 

「にしてもお前ら遅かったな…所々傷ついてるしよ」

 

トップスピードが2人に聞くと、

 

「あぁ…先程までマギウスを名乗ったアリナというやつに足止めされてな…」

 

「マギウス…さっきのやつらの仲間か」

 

「その様子じゃ貴方達もそのマギウスってやつらと戦った見たいね」

 

リュドミラは4人の反応を見て察したように言った。

 

「そして、今わかるのは…この町は…そして私達は、マギウスというやつらに狙われているということだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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24話 情報屋

マギウス達との戦いから一週間程経った頃、リップル達は予定を合わせて先日みふゆからもらった紙に書いてあった場所を探しに行くことにした。

あれからしらみつぶしに探した結果、あの紙に書いてあった場所はとある路地裏の一角にあるらしい。

 

「ここであってるよな?」

 

「あぁ…間違いない」

 

「でも、エレオノーラとリュドミラは来なくてよかったのか?」

 

「……2人は待機。情報が出次第行ってもらう」

 

紙に書いてあった場所には扉があった。

今その場にいるのは、リップル、トップスピード、ラ・ピュセル、スイムスイム…この4人だった。

 

「あ、開けるぞ…」

 

そう言ってトップスピードは扉のノブに手をかけた。

扉を開けた先にあったのは、

 

「いらっしゃ〜い。情報屋にようこそ〜」

 

そこにいたのは、白髪の女性が立っていた。

 

「あら?初めてみる顔ね〜私はみたまよ。ここで情報を売ってるの」

 

「あえっと…私達みふゆって人にここに行けばヴァレンティナのことについて分かるって…」

 

ラ・ピュセルはここに来るまでの経緯をみたまに話した。

それを聞いたみたまは納得したような顔をして、

 

「それならこちらの部屋で待っててもらえるかしら?」

 

そう言ってみたまが指した場所にには少し広めな客室があった。

4人はそこで椅子に座り待機をしていた。

 

「なんか時間かかんのかな?」

 

4人はすこし不思議に思いながら待った。

 

 

 

数十分程経った頃、みたまはある人を連れて客室へ入ってきた。

 

「みたまさん…その人は…」

 

「この人はね〜和泉十七夜っていってねぇヴァレンティナに関することならこっちに聞いた方がいいわよ」

 

「紹介に預かった、和泉十七夜だ。早速だがヴァレンティナについてだったか?」

 

「……何か知ってるの?」

 

「あぁ…ヴァレンティナだけではなく、マギウスについてでも教えてやろう」

 

「!?マギウスについて知ってるのか!」

 

「あぁ…彼女達は自分達の夢のためにマギウスと名乗っている。そして、火垂という人間はこの世には存在しない。火垂という人間を作ったのはアリナという魔法少女だ。」

 

「アリナって確か…エレオノーラとリュドミラが戦ったっていってた…」

 

「彼女は自分が気にいった作品はとても大切にする人間だ。そして自分が気に入らないことがあれば手に負えない」

 

「不思議なやつだな〜」

 

「そして君達の察しの通り恐らく彼女はヴァレンティナで間違いないだろう」

 

4人はその言葉を聞き唖然とした。

先日から疑問は感じていたがそう言われて反論する理由はどこにもなかった。

 

「記憶はきっと改変されているだろうな…何にせよ彼女はいつか壊れる、私もそれだけは阻止したい。私もできる限り協力しよう。」

 

そう言って十七夜は手を差し伸べた。

その手を取ったのはリップルだった。

 

 

 

 

 

 

次の日、学校でそのことを伊吹に話した華乃は今後について話していた。

 

「で、どうするのよ?情報屋達は協力してくれるみたいだけれども、次はどこに行くつもり?」

 

「またしらみつぶしに探すか……」

 

そんな会話を人気のない校舎裏で話していた。

すると、どこからか声がした。

 

「ふっふっふ…ある時は普通の高校生、またある時は魔法少女…その名も…」

 

「おーい鶴乃ーこっちだって、降りてこいよー」

 

2人の隣から声がした。

そこにいたのは金髪の髪をポニーテールでゆっている少女が屋上に向かって叫んでいた。

2人は上を見上げると、茶髪の髪を横に結っている少女が屋上で仁王立ちしていた

 

「その名も!由比…鶴n…ってももこそっち!?えっいた?いたの?ちょっと待っててそっち行くから!」

 

少女は声を荒げて屋上の扉を思いっきり開けて階段を降りていった。

 

「えっと…あなたは…」

 

「あっどうも。みたまに聞いてませんか?私達も魔法少女なんですけど、マギウス達のことについて探るんですよね?私達も手伝います!…あっ私、十咎ももこっていいます…で、さっき叫んでいたのが…」

 

「はぁ…はぁ…由比鶴乃只今参上!」

 

かっこよく決めたかのような顔でやってきた由比鶴乃は息を荒げていた

 

「おい鶴乃ーテンション高すぎだぞーってその様子だとみたまから聞いてない感じですか?」

 

「……まぁ」

 

「えっと…情報が入って、これ目を通してみてください」

 

そう言ってももこが出したのは数枚の紙だった。

 

「これは?」

 

「えっと昨日みたまからもらった資料で、個人情報ギリギリのところまで調べてもらったんです。おい鶴乃ーお前もみとけ」

 

「はいさー……あれ?これって…やちよししょーだっ!」

 

「やちよ…って」

 

ひとり喜んでる鶴乃を置いてももこに聞いた。

 

「この人は七海やちよ……結城小乃花の母方の親戚です…隣町で1人で暮らしているみたいなんでやちよさんに聞いてみたらと…」

 

「なるほどね…親戚なら色々聞けるかもね…どうする華乃?」

 

「明日の放課後行ってみるか…そこの2人はどうするの?」

 

華乃は横を向きももこと鶴乃に問いかけた。

 

「あっ行きますよ!やちよさんにも会いたいしな」

 

「私も行くよ!!やったやちよししょーにあっえるー!」

 

「鶴乃うるさい!」

 

 

 




鶴乃とももこは同い年っていう設定です


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25話 七海

次の日の放課後、華乃、伊吹、鶴乃、ももこの4人は電車に数分揺られやってきた隣町に来ていた。

駅から数分地図を頼りに歩いた住宅街、そこにあったのは『七海』と書いてある表札だった。

 

「ここで、合ってるのか?」

 

「間違い無いと思います。地図ではそうかいてある」

 

そう言ってももこはインターホンを押した。

鳴らしてすぐ玄関の扉が開いた。

 

「……ももこ?それに…」

 

「やっちよししょー!!」

 

鶴乃は喜びのあまりやちよに抱きついた。

 

「うっ……ちょっと鶴乃、苦しいから…」

 

「えへへ〜やちよ、久しぶり〜」

 

「えぇ……そちらのお二人は?」

 

やちよは華乃と伊吹に気付き、問いかけた。

2人は軽く自己紹介をし、中に入れてもらった。

 

「…それで、なんでここにきたの?」

 

「あの…七海さん、結城小乃花の母方の親戚と聞きましたが…」

 

伊吹がやちよに問いかけた。

 

「えぇそうよ、まぁみたまから軽く話しは聞いていたけど…」

 

「それなら話は早いよししょー…マギウス達を倒すの…協力して!」

 

「私からも!」

 

「「お願いします!」」

 

4人は、向かい側に座るやちよに頭を下げた。

 

「それはいいけど……ここに来た理由、それだけじゃ無いでしょ?」

 

「あっはい…あの、小乃花について詳しく知りたくて…」

 

「そうね…マギウスと何か関係ありそうな……あっ、確か随分前に小乃花が入院した時に、物語を作るのが好きな小さな女の子と友達になったって話を聞いたかしら…」

 

「その子の名前とかは?」

 

伊吹が聞いた。

 

「確か………里見灯花って言ったかしら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マギウス達の仮拠点。そこにいるのは、上層部達以外のマギウスの2人…みふゆと火垂、そして天音姉妹の月夜と月咲の4人だった。

いまの時刻は夜…火垂は眠っており、残りの三人は今後について話し合っていた。

みふゆは、火垂が規則正しい寝息をたてていることを確認し、天音姉妹のいる広間へ向かった。

 

「火垂様…大丈夫でしょうか?」

 

「深い傷もありません…これならアリナさんに見せるほどではありませんよ」

 

その言葉を聞いた天音姉妹はホッと安心した。

 

「月夜ちゃん…足、大丈夫?」

 

「だいぶ痛みが引いてきました。もう心配いりません」

 

「それは良かったわ…さて、これからどうするか…」

 

みふゆは、天音姉妹も座る席の近くの椅子に腰を下ろした。

 

「敵のやつら…勘付いてる奴らがいました。そいつらはどうしますか?」

 

「大丈夫よ。アリナさんには報告済みよ…特に問題はないそうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーここは…どこでしょう。真っ暗な世界で私1人…ー

 

ー貴方は誰ですか?ここはどこですか?ー

 

 

 

 

 

ー何も…分からない…ー

 

 

 

 

 

 

 

火垂は重い瞼を開けた。そこにいたのは、涙目で火垂をみる天音姉妹だった。

 

「火垂様!大丈夫ですか?顔色が優れません…」

 

「うち…みふゆさん呼んでくる!」

 

そう言って月咲は火垂の自室を後にした。

 

「私は…」

 

「本当に大丈夫ですか?とても酷く魘されていましたが…」

 

それを聞いてハッと思った。

自分の体が汗ばんでいること、そして…体の震えが止まらないことに。

 

「……何も、分からない……だれか、教えてください…」

 

 

 

 



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26話 夢 記憶

情報屋にきたみふゆと火垂。2人は、先程火垂が見た夢についてみたまに相談しに行ったのだった。

扉を開けると情報屋のみたまは、笑顔で出迎えた。

みふゆは早速みたまにこれまでの経緯を説明した。

 

「そうねぇ……火垂ちゃんはちょっと席を外してもらえるかしら?」

 

「……わかりました」

 

そう言って火垂は別室へと移動した。

みたまが何を考えているのか、みふゆには分からなかった。

 

「なぜ火垂さんに席を外させたのですか?」

 

「今から話す内容が……彼女の耳に入ってはいけないからかしら?」

 

それを聞いたみふゆには心当たりがあった。

 

「それは、ヴァレンティナさんについてだからですよね?」

 

「えぇ……きっと、わずかに残っているヴァレンティナの記憶が今の彼女の脳に入ってしまったのね」

 

「始まってしまったのですね……彼女を改造してからまもなく四ヶ月…今まで何もなかったことに驚いています」

 

火垂という存在が生まれて四ヶ月が経とうとしていた今、これまでなかった不調に不安を持つ天音姉妹とは真逆に、前から聞かされたいたみふゆはどこか納得のいく表情をしていた。

 

「あの子をアリナに一度引き渡して直すこともできるわよね?なぜ渡さないの…」

 

「アリナさんにこれ以上の改変をされたら、あの子が保ちません…アリナさんは今この状況を知りません。みたまさん…どうにかできませんか?」

 

「そうねぇ…じゃあちょっと火垂ちゃんと交代〜すこし、ゆっくりお話しさせてもらってもいいかしら?」

 

「わかりました…」

 

そう言ってみふゆは席を立ち、部屋の外にいる火垂に声をかけた。

すると、警戒もせず部屋へ入ってきた火垂。

 

「早速で悪いのだけれど…見た夢について聞かせてもらえるかしら?」

 

「………誰かに、呼ばれる………」

 

火垂は顔を伏せながら、そう答えた。

その声はとても小さく…みたまも聞くのがやっとだった。

 

「だれか…見覚えがある人?」

 

「わかりません……でも、絶対とは言えません」

 

「ねぇ…もしかしてだけど、アリナさんにもらった手帳に載ってる子達じゃない?」

 

その言葉を聞いた途端、火垂の表情が変わった。

きっと当たったのだろうと、みたまは思った。

 

「ですが……何も思い出せません…」

 

「すこし…いいかしら?」

 

そう言ってみたまは、火垂の額に手を乗せた。

 

みたまの魔法

ー手を触れた人の記憶を見ることができるよー

 

「あの…みたまさん…貴方は、敵なんですか?味方なのですか?」

 

火垂は、自分の額に手を乗せ魔法を使っているみたまにそう問いかけた。

 

「私はねぇ魔法少女みんなの味方よ…だから、いつでもきていいからね?」

 

みたまは、額に当てる手の位置をちょっとずつ移動させて火垂の記憶を見ていた。

すると彼女の手が止まった。

 

「ねぇ火垂ちゃん…貴方、何か隠しているんじゃない?」

 

「……はい。アリナ様にも、みふゆさんにも言っておりません」

 

「そう、今話してみたらどうかしら?」

 

「わかりました……みふゆさんを呼んでもらえますか?」

 

みたまは、火垂の言葉に頷き…外で待機しているみふゆを呼んだ。

みふゆは、火垂の向かい側の席へ座り…火垂をまっすぐ見つめている。

 

「みふゆさん……私は、先日の任務を全て完遂していません……先日殺した魔法少女の人数は、7名ではありません…」

 

「………殺さなかったんですね?」

 

「はい………2名います…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーラ……たま……この2名です…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新キャラ プロフィール

梓 みふゆ

マギウスの重層とまではいかないが、マギウスの翼達に指示を出すほどの位ではある。
火垂のことを密かに戻そうと様々な情報を得るが今のところ不明のまま。

やちよとは同じ大学で、会話で小乃花のことを聞いたことがあった。



七海 やちよ

小乃花の母方の親戚。
彼女の両親が生きていた頃はよくあっていたが、ここ数年はあってはいないようだ。
みふゆとは同じ大学に通っている。
鶴乃とももこの良き魔法少女の先輩である。


由比 鶴乃

小乃花達と同じ高校の一年生。
とにかくいつも元気いっぱいで、実家の中華屋を継ぐつもりでいる。
自称『最強魔法少女』



十咎 ももこ

小乃花達と同じ高校の一年生。
鶴乃の勢いのブレーキ係。

やちよのことを尊敬しているが、本人には伝えられないらしい


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27話 自分の意思を

ーうちらは一蓮托生ー

 

ー負けてしまった時も、楽しい時も、悔しかった時もー

 

ーそして…ー

 

ーマギウスの翼を辞める時もー

 

 

 

 

 

 

情報屋の入り口前、月夜はなかなか帰ってこない火垂とみふゆが気になり月咲とは別行動でいた。

玄関前で聴き耳をたてている月夜は、聞いてはいけないことを耳にした。

 

『本当にそれでいいの?貴方達』

 

『えぇ。私は、火垂さんについて行くつもりですよ』

 

『火垂ちゃんも……本当にご主人様のところから離れてしまうかもしれないのよ…いいの?』

 

『もう…命令違反もしました。それに…もう何を信じたらいいのかわかりません。私は、みふゆさんと中立の立場で…います』

 

 

 

「!?……火垂様……!!」

 

月夜は一度唖然としたが、自分の意思を硬くし…

 

「わ…私も、火垂様について行きます!」

 

情報屋の扉を思いっきり開け、火垂についていく決心を伝えた。

 

「月夜さん……貴方いつから?」

 

「盗み聞きをしてしまい申し訳ありません。ですが、私のこの意思は……揺るぎません!」

 

月夜の思いに驚いたみふゆだった。

しかしそれとは逆に、火垂は立ち上がり…

 

「ありがとうございます月夜。自分の本当の答えを見つけられない私のために…」

 

月夜の両手を包むように握り、感謝の言葉を述べた。

 

「それで、月咲さんは?」

 

今この場にいない月夜の双子の妹、月咲がいないことに気付いたみふゆは月夜に問いかけた。

それを聞いた月夜は、すこし不安そうな顔をして

 

「それが、先程連絡を入れたのですが……きる直前に…」

 

 

ーうち今から、あの魔法少女達にお願いしてくるから!ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄塔

 

先日、花音の母方の親戚であるやちよの所に行ったリップルとリュドミラは、集まった全員に説明していた。

 

「里見灯花……その子が怪しいって、やちよさんが言ったんだね?」

 

話を聞いていた1人であるラ・ピュセルが問いかけた。

 

「あぁ……聞けばその子、雰囲気が独特っていうか不思議っていうか……」

 

「やちよさんはそんな風に思ってたらしいの」

 

ラ・ピュセルの問いかけにリップルとリュドミラは答えた。

 

「でもよーそいつもあのマギウスの一人ってことなんだろ?」

 

「そーだよ。うちら…マギウスの翼を指揮する一人…」

 

鉄塔の上から聞き覚えのある声がした。

 

「あっお前!あのピーヒョロ姉妹の片方!」

 

「ちょっ…その呼び方やめてよー」

 

鉄塔の上から降りてきた月咲がトップスピードに言った。

 

「何の用…」

 

「………………うち、マギウスの翼を辞めたの」

 

月咲の言葉に驚いた一同だったが、怪しいと感じた数名は武器を構えた。

 

「ふざけるな!先日まで敵対していた奴らの言うことが聞けるものか!」

 

エレオノーラが声を荒げて言った。

 

「そうだね、エレオノーラさん…貴方の言い分は間違いじゃない。でも、それがうちだけじゃないって言ったら?」

 

月咲がそう言うと、どこからか笛の音が聞こえた。

 

「月咲さんを信じてあげてくれませんか?」

 

全員が声をした方へ視線を向けた、そこにいたのは…

 

「私達も…マギウスを脱退します」

 

みふゆ…そして、笛を吹く月夜と、布で顔を伏せている火垂だった。

 

「な、なんで…」

 

「脱退すると最初に言ったのは、火垂さんなんですよ」

 

「わたくしたちはその言葉を聞き、共に行くと決意しました」

 

「うちらのことは信用できなくてもいいよ。でも、いつか道は繋がっちゃうから…」

 

火垂以外の三人は、自分の意思を伝えた。

 

「でも、その子自身はどうなの?」

 

リュドミラが問いかけた。

すると火垂は、

 

「私から……謝罪の気持ちです…」

 

そう言って奥の方を指差した。

そこにいたのは、

 

「まったく…遅いじゃないの!」

 

「まぁまぁ…落ち着いてルーラ…」

 

ルーラとたまだった。

 

「ルーラ……たま……」

 

それを見て一番驚いたのは、スイムスイムだった。

 

「でも……どうして…」

 

「えっとね……あの時襲撃されて、ミナちゃんとユナちゃんは死んじゃったんだ…でもね、火垂ちゃん…何故か私たちを殺さなかったの……」

 

たまがあの時のことを全員に説明した。

 

「あの時……頭に、なにかが過ぎりました。何かはわからないです……でも、私の行動を止めるような声でした………その声が、貴方に似ていたから…」

 

火垂がそう言って見ているには、リップルだった。

 

「…………………わたしが」

 

「もう、自分の意思を強く持つと、月夜から教えられました…たとえアリナ様に戻れと言われても……私は、もう……戻りません…」

 

火垂は、自分で顔を覆っている布を取った。

そこには、人形である彼女が出すことのない……涙を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 



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28話 火垂の体

マギウス 仮拠点

 

あれからちゃんとした協定を結んだことで、情報の共有のためにマギウスの仮拠点を訪れた。

部屋は相変わらず殺風景で、生活だけは出来るような状態だった。

 

「ここにはほかのやつらはいるの?」

 

「さすがですねリップルさん。警戒心が誰よりも強いですものね。でも問題ありません…ここには私達以外のマギウスはいません」

 

そう言われて辺りを見回し、ほかに誰もいないことを確認し納得した一同……いや、今ここにいるのは、リップル、トップスピード、ラ・ピュセル、エレオノーラ、リュドミラ、ももこのみだった。

 

「そういや、ほかのやつらは?」

 

「ほかの方達はみたまさんのお店にいますよ。親交を深めたいらしいです。あとで皆さんも……火垂さんを困らせない程度の話でお願いしますね」

 

みふゆは、一度間を開け笑顔のまま忠告した。

 

「それでまず私達から話しても構いませんか?」

 

「といっても俺らは情報っぽい情報はこれといってねぇよ」

 

「構いませんよ。協定を結ぶ条件として出したのはあなた方なんですから。こちらの情報が欲しいのは当たり前です。それでまず…火垂さんの体について……こちらの資料を見てください…」

 

そう言ってみふゆが広げた数枚の資料には、驚くべきことがいくつも書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報屋

 

仮拠点に向かった数名以外の魔法少女達は、みたまのお店で雑談をしていた。

 

「本当に…よかったんですか?私は、皆さんの仲間を…

 

「そんなことないよ!火垂ちゃん…私達のことは殺さなかったじゃない…」

 

「でもそれは……」

 

自分の行いをマイナスの方へ向かわせる火垂の手をたまは握り、

 

「ありがとう!」

 

笑顔でお礼を言った。

それを聞いた火垂は、恥ずかしくなったのか顔を赤らめた。

 

「あっ火垂様かわいい〜」

 

「こらこら月咲ちゃん……と、言いたいところですが確かに可愛らしいです」

 

「写真撮っちゃおうかな〜」

 

月咲、月夜、みたまのさんにんは、普段見せない火垂の顔にとても喜んでいたが、

 

「やめなさいよみたま。こ……火垂が困っているじゃない」

 

一度『小乃花』といいかけたが留まり言い直し、みたまのシャッターを押す指を止める。

 

「あらやちよさん、久しぶりに会ったのにお話しないの?」

 

「話したいことはいっぱいあるけれど、それはあの子の記憶がちゃんと戻ってからにするわ」

 

他の魔法少女達が火垂と話しているなか、みたまとやちよはそんな話をしていた。

すると、お店の扉が勢いよく開いた。

 

「たっだいまー!そして、おまちどー!」

 

「味は50点、元気は満点!中華飯店、万々歳でっす!」

 

「はい、ラーメンセット19人前!」

 

その扉を開けた犯人は、岡持ちを大量に持ってきた鶴乃だった。

 

「五月蝿いのが帰ってきたわね…」

 

「あれ?でも19人……向こうにいる人たち合わせても…多くない?」

 

やちよは呆れた顔でため息をつき、ラーメンの数に疑問を感じた月咲は、鶴乃に問いかけた。

 

「うん!実はね、お店に戻る途中にみんなの仲間だって言う魔法少女に二人遭遇してね、せっかくだったら一緒にって」

 

他の魔法少女に疑問を浮かべた一同だったが、その答えはすぐに分かった。

みたまのお店に再び入ってきたのは、

 

「あ…えっと、こんにちは。スノーホワイトです」

 

「ハードゴアアリスです…」

 

ヴァレンティナ達と同じ町の魔法少女である黒と白の魔法少女。

スノーホワイトとハードゴアアリスだった。

 

「ってあれ?なんだか人数少なくありませんか?」

 

「ここにいない数名は現在取り込み中でございます。もうしばらくすればお戻りになられるかと思います。私は、天音月夜でございます」

 

「月夜ちゃんの双子の妹の、天音月咲だよ!」

 

人数が少ないことに疑問を浮かべたスノーホワイトは、戸惑っていた。

しかしそれを見て落ち着かせようとしたのか、天音姉妹の二人はスノーホワイトとハードゴアアリスに自己紹介をした。

 

「火垂っ火垂っ!万々歳のラーメンの評価つけてくれない?やちよに聞いたらいつでも50点なの!ふんふん!」

 

「えっあ、えーっと……」

 

「やめておきなさい火垂。その子の作る中華は全部必ず食べたあと胃もたれが起こるわよ。食べるなら程々にしておきなさい」

 

火垂の左右での口論が始まった。

でも、それを聞いていた火垂は心なしか笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マギウス 仮拠点

 

みふゆが出した資料には驚きのことがいくつも書かれていた。

 

「心臓変換……」

 

一同が見た資料の一部には、彼女の心臓についてのことが大量に書かれていた。

 

「この資料は、アリナさんが試行錯誤して何枚も出来上がっています。中には失敗した時のものもあります。」

 

「そういえばこの資料はどこから…」

 

「その資料はずっと前に私がアリナさんの部屋から取り出してきたものです。もうすこし探せばまだ出てくるかもしれません…」

 

「て言うことは今後の行動は……」

 

みふゆのその言葉に一同が気付いただろう。

 

「はい。今後私達が一丸となって行うことは……彼女の体を元に戻すということです…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








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29話 アリナの作戦

「アリナが気づかないとでも……思ったのカナ?」

 

とあるビルの屋上から情報屋の窓の中を双眼鏡で覗きながらアリナが言った。

アリナは不気味な笑みを浮かべていた。

 

「面白なってきたナ〜……アッハハ、アリナも面白いこと考えた!」

 

一同の作戦を聞いて楽しんでいるアリナ。すると一度なにかを考えたように黙りふと笑い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間ほど経った頃、みふゆ達がみたまのお店へ帰ってきた。

一同が見たのは、みたまのお店で待機していた組の半数が倒れてる光景だった。

 

「なんだこりゃっ!?」

 

「あら、お帰りなさい。ちょっとタイミングが悪かったかしらね。まぁももこがいるから仕方ないかしら?」

 

ほとんどが倒れている中、平常な状態でいるうちの一人であるやちよが言った。

 

「ちょっと待てよやちよさん!地味に私をディスらないでくれないか…」

 

「えっと…やっちゃん、もしかして?」

 

「えぇ……みんな食べちゃったのよ、鶴乃の持ってきたラーメン」

 

それを聞いて分かったのはみふゆのみでその本人は呆れた顔をしていた。

 

「でも火垂さんはなんともないんですね?」

 

「あぁ……それがね…」

 

みふゆは、ずっと鶴乃が持ってきたラーメンを食べている火垂を見て言った。

その本人の座っている横には目をキラキラさせながら空のラーメンのどんぶりを抱えている鶴乃。

 

「火垂ちゃん!私の家に住もうよ!毎日食べさせてあげるよ!ふんふん!」

 

「…………………?」

 

鶴乃は自分の家に住まないかと誘うが、火垂自身はなにを言っているのか分かっていなかった。

 

「鶴乃ちゃん。残念だけれどそれはできないの」

 

「えぇ〜みたまさんなんでっ!」

 

鶴乃の家に住むのは無理と言われた鶴乃は理由をみたまに問いかけた。

 

「やちよさんとみふゆさんと相談してね、火垂ちゃんが元に戻るまでは私お家で預かることになったの。戻ったとしてもしばらくはやちよさんのお家で暮らして、もう大丈夫ってなったら自分のお家へ戻らなくちゃいけないもの」

 

「うーじゃあ仕方ないか……それじゃあ毎日持ってくるよ!あっそういえばみたまさんの家知らないや!」

 

少し残念そうにして納得したのか鶴乃は落ち着いた。しかし、毎日持ってくるという突拍子も無いことを言い出したがみたまの家を知らないことに気が付いた。

 

「あらぁ教えてなかったかしら?ここの建物の二階は私のお家よ」

 

「そっか〜わかった!じゃあ火垂ちゃんっ毎日持ってくるね〜」

 

何人もの被害者を出しても反省の色もないことに呆れた生存者達だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夕方

 

とあるビルの屋上にて高速道路を見つめるアリナ。

風で黄緑色の髪が靡いている。

 

「………………イエス。新しいアリナの絵の題材はここネ」

 

アリナはそう言って立ち上がり、右手から黄緑色のルービックキューブを生成した。

不気味な笑みを浮かべて…

 

 

 

 

 

 

みたまの家

 

「火垂ちゃん、もうちょっと可愛い服着ましょうよぉ」

 

「ですが私にはこれが馴染んでいます。それに戦闘に不向きな服は……」

 

みたまが自分の所持している服を火垂に合わせたりなどをして、似合う服を探しながら新しい服を進めるがあまり乗り気ではない火垂。

 

「今度みんなで探しに行きましょうよぉみんなと行けば楽しいわよ」

 

「………………考えておきます」

 

きっと前だったら断っていた話に中立の答えを出してくれたことを嬉しく思うみたま。

照れたのか火垂は、テレビの方へ視線を移した。

 

『ただ今◯市の高速道路にて大規模な火災が発生しました。ただ今救出活動が行われていますが、死傷者、行方不明者が多数おります。

警察などはテロなどの予想をして出火原因を捜索中です。』

 

「あら物騒ねぇ……?火垂ちゃん」

 

(今ほんの少しだけ……………アリナ様が……!!)

 

火垂がテレビの画面から目を離さずに見ていることに疑問を浮かべたみたま。

 

「ねぇ火垂ちゃん……………あら?」

 

みたまは少し視線を火垂から離してしまい、また視線を戻したがそこには火垂はいなかった。

よく見るとベランダへ向かう窓の鍵が開いていて、風がカーテンをなびかせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜エキサイトしすぎて何人か殺しちゃったナ〜」

 

アリナは火の海になっている高速道路をルービックキューブを手の上で浮かしながら歩いていた。

 

「…………………アリナ様」

 

「火垂……あなたがアリナの新しい作品のメインなんですヨネ。イッツオーケー?」

 

アリナは火垂を指しながらそう言った。

 

「いいえ……なりません。アリナ様を止めるんです……」

 

 

 

 



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30話 新しい自分

今回ちょっと長めでーす!


火垂とアリナが対立している頃、他の魔法少女達は

 

「なんでいなくなってんだよ!」

 

『だからそれに関してはさっきから謝っているじゃないのぉ』

 

火垂が家を飛び出したことをももこに連絡をしたみたま。

それを聞いたももこは、やちよ、鶴乃に連絡を取り三人で高速道路へ向かっていた。

鶴乃は他の魔法少女達にみたまからの情報を伝えている。

 

「…………………!ももこ、火垂のことはお願いね!」

 

ももこと鶴乃と一緒に行動しているやちよは遠くを見ていた。

その正体をやちよは知っていたのか、後のことをももこに任せそちらへ向かった。

 

「へ?あちょっ……やちよさん!?」

 

ももこはやちよに理由を聞こうとしたが時すでに遅し。

やちよはもうはるか先へ向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ。アリナってばちょっとやりすぎじゃなぁーい?でも、面白いからいっか。」

 

火の海になった高速道路に焦げて倒れている車の上でそう呟く少女。

赤と黒を基調としたワンピースと日傘を身につけてとてもご機嫌の様子。

 

「嬉しいなぁ〜花音お姉ちゃんがやっと私の物語に出てくるんだもの〜」

 

「そこを動かないで…………」

 

すると少女の背後から声がした。

そこにいたのは、槍を構えたやちよだった。

 

「ふふっ久しぶりだね。あれからどれくらいだっけ?忘れちゃった〜」

 

「そんな呑気な話をしにきたんじゃないの。まさかあなたも関わっていたなんてね……

 

 

 

 

 

 

里見 灯花」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひでぇことになってんな……」

 

ラピットスワローで高速道路へ向かっているトップスピードが言った。

その後ろにはリップルもいる。

 

「思ったよりも向こうの行動が早い……」

 

「だよなーよし、飛ばすぞ!」

 

トップスピードがラピットスワローの速度をあげようとしたが、

 

「おーーーーーい!!」

 

下の方からこちらを呼ぶ声が聞こえた。

声のした方を見ると、鶴乃とももこがビルの屋上にいた。

 

「どした?てかやちよさんはどうした?」

 

トップスピードは鶴乃達のいるビルへ着陸し、状況を聞こうとしたがやちよがいないことに気付いた。

 

「それがさ、やちよさんなんか見つけたっぽくてさ、途中で別れたんだよ。何回か連絡入れてんだけど出なくてさ」

 

「そっか……鶴乃、他の奴らは?」

 

「えっとね〜ピーヒョロ姉妹とみふゆ…あとルーラとたま、スイムスイムには救助に行ってもらったよ!」

 

鶴乃は現在の他の魔法少女達の状況を二人に教えた。

 

「みたまさんと、十七夜はみんなへの連絡のため待機……あれ?スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴアアリスは?」

 

「あぁその三人にはみたまさんから頼まれたことがあるって言ってたよ!それが終わったらこっちに向かうって!」

 

「おっし大体は分かったな。んじゃ俺らは助けに行きますか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリナの作品の邪魔……しないで欲しいんですケド!」

 

他の魔法少女達がそれぞれ行動している中、火垂とアリナの戦いは続いていた。

火垂は傷がいくつかあるが、アリナはほぼ無傷だった。

 

「………もう、やめてください。作品のために…自分を傷付けないでください…」

 

「アリナはこれでもチョーエキサイトなんですケド。今更もう止める気ないんですケド!」

 

アリナは再びルービックキューブでの攻撃を始めた。

ルービックキューブから、ビームのようなものが出された。

ビームが連続で火垂を狙ってくる。火垂はアリナから距離を取り、横転した車を盾にした。

 

「………ここで止めなくちゃ…私が…」

 

このままでは町が壊れてしまう。そう思った火垂はどうすればいいのかと試行錯誤したが自分の攻撃がほとんど当てることのできない今、火垂一人でアリナを止めるのは難しい。

そう思ってた時だった。

 

「火垂ちゃん!」

 

「……鶴乃ちゃん…」

 

火垂の方へこっそりと移動してきた鶴乃が到着した。

 

「大丈夫?結構ボロボロだよ…」

 

「大丈夫です……それよりも早くアリナさんを止めないと…」

 

火垂は車の影からアリナを見るが、ルービックキューブから出るビームでさらにあたりを破壊し始めた。

アリナは不気味に笑っていた。

 

「そーだっ!二手に分かれて挟み撃ちしようよ!私がここから降りて下から向こうまで移動するよ!」

 

「でも、鶴乃ちゃんにも怪我させちゃうかも……」

 

「もとよりそのつもりでここまで来たんだもん!」

 

「………鶴乃ちゃん、あのね。私、アリナ『さん』を殺したくない……助けたい」

 

「火垂ちゃん……やっと自分の意思を話してくれたね!」

 

火垂がアリナを生かすことに反対するわけではなく、火垂自身の気持ちを話してくれたことが嬉しかった鶴乃。

火垂は鶴乃が喜んでいることが不思議に思った。

 

「え……反対じゃないんですか?」

 

「そんなことないよ!私嬉しい!最初に会った時は何も話さなかった火垂ちゃんが私の名前を呼んでくれて、私の作った料理を美味しいって言ってくれて………自分の意思を話してくれて!」

 

笑顔で自分の意思を賛成してくれた鶴乃。

火垂は嬉しかったのか、目に涙を浮かべていた。

 

「あれれ?火垂ちゃん…どこか痛い?」

 

「ううん……ありがとうございます……あの…他の方達は?」

 

火垂は今のところいない他の仲間たちについて鶴乃に問いかけた。

すると鶴乃はなにかを思い出したのか「はっ!」と言った。

 

「あのねあのね!私みんなより早くダッシュして来ちゃって、それでみんなが来てないことに気付いて後ろ向いたんだけど……誰もいなかったの!」

 

「……………きっとそれ、アリナさんの固有魔法です。きっと私達がいるここが結界になっているんです」

 

「それって私の幸運と同じだよね?」

 

「あっ確か鶴乃ちゃんの固有魔法『幸運』だっけ?」

 

「そうだよ!ふんふん!」

 

「そっか、じゃあ鶴乃ちゃんの幸運があればみんな無事だね。じゃあ作戦開始……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたの昔言っていたこと…今ならよく分かるわ」

 

やちよは、灯花と対立しながら昔のことを思い出した。

 

 

 

 

幼少期、小乃花が幼い頃、ちょっとした発作で数ヶ月入院していた。

その時入院していた病室は三人部屋で、小乃花の隣同士に年下の女の子が入院していた。

一人は里見灯花、もう一人は灯花とは昔から仲のいい友人の柊ねむだった。

二人は趣味があっていてよく話をしていたが時々喧嘩もしていた。

やちよも何回かお見舞いに行った時に会ったことがあった。

 

 

やちよもその時までは普通の女の子……そう思っていた。

それは、小乃花が退院する時だった。

 

「お姉様。退院おめでとう。いっぱいお話してくれて嬉しかったよ」

 

「小乃花さん、僕からも…退院おめでとう」

 

同室だった灯花とねむは、小乃花の退院を祝ってくれた。

 

「お姉様……いつかお姉様も、私とねむが作った物語に出してあげるね」

 

灯花は小乃花へそう言った。

小乃花は嬉しかったのか『約束』を三人で交わした。

やちよもその時はなんの違和感もなく聞いていた。

 

だが、あれから数年……今日やっとその事実が分かった。

 

 

 

「これは全部あなたの作ったシナリオってことよね?」

 

「そうよ。気に入ってくれたかしら?」

 

「そんな訳ないでしょ!人を何人も殺めて……小乃花の心臓を…」

 

槍を握るやちよの手に力がこもった。

 

「あなたのやっていることはただの殺し合いよ!」

 

やちよは再び灯花に攻撃をしようと槍を振るった。

しかしその槍は灯花に当たらなかった……いや、何者かの力で弾かれた。

 

「!?……何が…」

 

「残念だよ…七海やちよさん。君もこの物語に加えようとしていたのに…」

 

やちよの背後から声がした。

振り向いた先にいたのは、

 

「久しぶりだね。七海やちよさん」

 

「……柊ねむ」

 

かつての小乃花と同じ病室にいた灯花の友人である、柊ねむだった。

 

「そう警戒しないでくれないか?今日はここで僕たちは退くよ」

 

「そう簡単に帰す訳には行かないわ」

 

やちよはそう言って再び槍を構えた。

しかし次の瞬間、目の前が真っ白になった。

 

「……!!なに」

 

目の前が元に戻った時にはすでに二人の姿はなかった。

 

「………逃したわね。鶴乃達と合流しないと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[私が合図出したら…一気に行くよ!]

 

鶴乃は口パクで火垂にそう伝えた。

 

[行くよ……3、2、1……今!]

 

その合図で二人はダッシュでアリナに攻めて行った。

 

「………!ひひっ気付かないと思ったワケ?アリナの狙いは……最初からあなたなの!」

 

アリナは、火垂へルービックキューブを向け、無数のビームを放った。

火垂は防御体制も取れずモロ食らってしまった。

 

「火垂ちゃん!」

 

鶴乃は声をあげて叫ぶが反応がない。

 

「ほら、次はあなただよ!」

 

そう言ってアリナは次に鶴乃への攻撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーどうしよう。動こうと思っても体が動かないー

 

ー鶴乃ちゃん……助けなくちゃ…ー

 

ーでも、私の攻撃は効かなかった……仕方ない、私を作ったのはアリナさん。攻撃パターンなんて分かっちゃうよねー

 

《あなたに力をあげましょうか?》

 

ー誰……ですか?ー

 

《魔法少女育成計画、新しいマスコット…イストワールです》

 

ーでも…私はもう登録してある…ー

 

《実はあなたのアカウントは数ヶ月前に削除されています。きっとアリナに改造された時でしょう》

 

ーその力があれば…鶴乃ちゃんは助けられますか?アリナさんを止められますか?ー

 

《あなたが望めば…新しくあなたを魔法少女として登録します》

 

ーします!この戦いを止められるならー

 

 

 

 

 

 

アカウント

 

名前:

 

固有魔法:治癒

 

 

《登録…完了いたしました》

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……もーはやく倒れてほしいんですケドー」

 

「まだ!絶対倒れない!ふんふん!」

 

ボロボロになっていた鶴乃はここで倒れたらいけないそう思った。

 

(ここで倒れたら火垂ちゃんの意思が…)

 

「バイバーイ……」

 

そう言ってアリナはルービックキューブからビームを出した。

 

しかし次の瞬間、アリナの背後に光が現れた。

 

「…………!まさか。新規アカウント……ちっバッド!」

 

その光から現れたのは、白とピンクを基調とした服を纏った火垂の姿だった。

 

「火垂……ちゃん」

 

「…………………………ふぅ……!!」

 

すると火垂は、片腕に装着してあるボウガンに手を掛け、それを上空へ向けた。

そして次の瞬間、軽く息を吸い矢を放った。

 

そして上空でパリンッと何かが割れる音がした。

 

「!?バッド……アリナの結界を破るなんて…」

 

そしてその音は連鎖して、結界が完全に消えたのか、音が収まった。

 

「アリナさん……もう、やめてください」

 

火垂は、アリナにボウガンを構えた。

 

「何度も言わせないでくれナイ?答えはノーなんですケド。まぁ……これでフィナーレだけどね」

 

アリナはそう呟いたが、火垂と鶴乃には意味が分からず、疑問を浮かべていたがその答えはすぐに分かった。

バキッと太い音を立てて、アリナの立っているところにヒビが入った。

 

「アリナさん!!」

 

アリナは下へと落下した。

すると火垂はそれを追いかけるように落ちていった。

 

「火垂ちゃん!!」

 

鶴乃は穴を覗いた。

そこにいたのは、瓦礫と共に落ちた火垂とアリナが倒れている姿だった。

 

 

 

 

 

「アリナ…さん。自分を…大切にしなくちゃ…傷つけちゃ、ダメです…」

 

その言葉を最後に火垂は気を失った。

火垂の言葉は、アリナに届いたのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continue

 

 

 

 

 




おまけ!

ある日、マギレコをやっていた白兎。

「………あっ火垂といろは…似てね?」

というわけで次回から服装はいろはのになります!
私の勝手な妄想なのでご注意くださいー

名前も……もしかしてたらね?


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31話 新しい自分2

火垂は今、とある病室にいる。

病院服を着て、ベッドの横にある椅子に座っている。

 

「………アリナさん」

 

今彼女のいる病室は、アリナの入院しているところだった。

火垂も今別室にて入院している。

 

(でも……もう私、火垂じゃないんだよね。あの時は何がなんだかよく分かってなかったけど、新規アカウントを作ったんだよね…)

 

火垂は先日起こったことがまだあまり理解出来ておらず、あれから考えているがイストワールが言ったことは納得がいってた。

 

「でも…どうしよう、入院してるってことは…私の本名で登録されてるよね…だとすると学校とかにも………色々説明するの大変そうだな…」

 

火垂が今後のことについてブツブツと考えていると、

 

「うるさいんですケド……」

 

「!?アリナさん……どこか痛いところとかありますか?」

 

「見ればわかるでショ…いろんなとこ怪我してるんですケド」

 

「あっ………そうですよね…」

 

しばらくの沈黙が続き、互いにただそこにいるだけだった。

最初に口を開いたのは、アリナだった。

 

「………やめるヨ。」

 

「へ?」

 

「……マギウスも、自分をを傷付けて作る作品モ」

 

アリナからそのような話が出てくるとは思わず、火垂はとても嬉しかった反面不安になった。

 

「どうしたんですか急に!」

 

「なんていうカ…あんときあなたに言われテ、改心したっていうカ…まぁあんなに言われちゃ揺るがない方がおかしいケドネ…」

 

アリナは今までとは違う雰囲気で火垂に微笑んだ。

火垂はそれをみて納得したのか、笑顔で返した。

 

「そーいえば、なんか学校がなんとかいってたケド。」

 

「あっ……えっと、実は…」

 

火垂は、先程まで考えていたことをアリナに話した。

するとアリナは人差し指を出し、

 

「偽名にすれバ?」

 

「偽名……ですか?」

 

「イエス。名前を変えて学校に行けばいろんな説明しなくてもオッケーじゃナイ?」

 

火垂はそう言われてふと考えたが、納得したのか

 

「それの方がいいのかな……でも名前なんて自分で考えたこともないし…」

 

「じゃ、アリナが決めちゃってもイイ?」

 

そういうとアリナは、考え始めた。

すると、部屋の扉が開いた。

 

「あーーー火垂ちゃんいた!」

 

「ちょっと鶴乃静かに、火垂も入院患者なんだから大人しくしてなさい。」

 

「あっ鶴乃ちゃん、やちよさん」

 

鶴乃とやちよが火垂を探していたのか、とても慌てていた。

 

「二人で何話してたの?」

 

「あ、えっとね。」

 

火垂は二人にも同じように話した。

 

「そういうことね、たしかにそれは今後ちょっと面倒よね」

 

「ちょっとそこの最強ガールこっちに来て耳貸してくれナイ?」

 

「?ほいさーー」

 

アリナは鶴乃を『最強ガール』と呼び、彼女の耳になにかを伝えた。

火垂とやちよにはなにを言っているのか分からず、二人の方を見ていた。

 

「いろはちゃん!」

 

鶴乃はそう火垂に向かって叫んだ。

火垂はなにを言っているのか分からず、一度沈黙したが後から自分のことだと思った。

 

「えっと…それが私の名前ですか?」

 

「イエス!あなたは今日から『環 いろは』ヨ。」

 

「環………いろは」

 

「それ、なにか意味とかあったりするの?」

 

隣にいたやちよがアリナと鶴乃に聞いた。

 

「えっとね…環は…火垂ちゃん、自分の意思を持って、自分の殻を破ったじゃん!それって円環の理を火垂ちゃん自身で変えたんだよ!そっから『環』をとって……いろはは……この間まで真っ黒だった自分の世界に新しい色を探し始めたから!」

 

「……ちょっと安直じゃないかしら?……まぁいいんじゃないかしら?」

 

やちよも一度は考えたが、納得したのか、笑顔で答えた。

 

「それじゃあこれからよろしくね!いろはちゃん!!」

 

 

「………うん!」

 

 




なんか……急すぎてすんません。

でも、後悔はしてません!


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32話 一時の平穏

新しく『いろは』という名前をもらった次の日、いろはは自分の入院している部屋にいた。

昨晩、やちよが帰るときに

 

『明日は大人しくしていなさい。治るものも治らないわよ』

 

と、言われたので今日は大人しく自室にいるいろは。

 

「う……難しいなぁ」

 

いろははあるものを読んでいた。

 

「火垂様…失礼致します」

 

そう言って入って来たのは、天音姉妹の月夜と月咲だった。

 

「月夜ちゃん…もう火垂様じゃ無いよ」

 

「はっ!も、申し訳ありません……ついいつものように」

 

「ううん。大丈夫だよ……ゆっくりでいいから」

 

月夜は花瓶の花の水を入れ替え、月咲は持ってきた鞄から数冊の本を出した。

 

「これね、うちの学校と月夜ちゃんの学校の教科書だよ、勉強するときとかに参考にしてよ」

 

「うん。ありがとう月咲」

 

「でもいいの?二人とも学校が……」

 

「問題ありません。この周辺の学校は昨日から夏休みが始まったのでございます」

 

季節は夏。外は太陽が照りつけて暑さが激しくなっている。

よく見ると天音姉妹の制服も、夏用の制服だった。

 

「あとね、二人にお願いがあるの」

 

「何でございましょうか?」

 

「あのね……もう『様』付けで呼ばないで。私、二人とは普通の…仲のいい友達でいたい。格差がついた呼び方は友達なんて言わないよ…」

 

「…うん。いいよ!うち、今日から『いろは』って呼ぶから!」

 

「月咲ちゃん!?」

 

月咲は、いろはとの親交を深めたい気持ちは元からあったためとても喜んでいた。

月夜は未だに悩んでいる。

 

「月夜ちゃん……」

 

「………『いろはさん』。今はこの呼び方で勘弁してくださいまし…」

 

「ううん。いいんだよ…月夜が呼びやすいように呼んでくれれば…」

 

いろはは、そう言って月夜に微笑みかけた。

月夜は少し顔を赤らめて、いろはに微笑み返した。

 

「あら、お取り込み中だったかしら?」

 

「あっやちよさん…」

 

病室の扉のところには、紙袋などを持っているやちよがいた。

 

「天音姉妹は随分と早いのね。」

 

「私達は本日、学校の方へ行かなくてはならないので…」

 

「朝早くに、先に会いに来たの」

 

天音姉妹は、やちよの疑問に答えるように言った。

 

「だとすると、もう出ないと学校に遅刻するんじゃ無いかしら?」

 

「!?急がなくては!」

 

「うん!いろはっまた来るね!」

 

そう言って天音姉妹はいろはの病室を後にした。

 

「距離が縮まって良かったじゃない」

 

「はい……やちよさん、その紙袋は?」

 

「あぁこれね…色々あるのよ、ヘアブラシとか…そうだ、これ食べてもらえる?」

 

そう言ってやちよがだしたのは、ひとつのタッパーだった。

 

「あの…これって」

 

「いろはの味の好みを聞いておこうと思って…味が濃かったり薄かったりしたら言ってくれればいいから」

 

いろはは、やちよからタッパーを受け取り、蓋を開けた。

そして、一口分の中身の具材を口に入れた。

 

「……美味しいです、美味しいです!やちよさん」

 

「そう、喜んでくれたなら良かったわ。その表情なら味に問題はなさそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いろは、少し気になることがあるの、いいかしら?」

 

「はい…私の答えられる範囲でなら」

 

あれからやちよは、いろはの髪を櫛で梳いたりなどをした。

 

「私、あの日に里見灯花と柊ねむに会ったわ」

 

「……そうですか」

 

「あの二人はマギウスにとってなんなの?」

 

「あの二人とアリナさんはマギウスの三人で、マギウスの翼たちを指揮しているんです。私もマギウスがどんなことをしているかまでは聞かされていませんでした」

 

いろはは、やちよに自分の知る限りのことを話した。

 

「そう、先日天音姉妹にも聞いたのだけれど二人も似たようなことを言ってたわ」

 

「二人はマギウスの翼だから…詳しい情報はみふゆさんじゃないと…」

 

「そう思って何度も連絡しているのだけれど…繋がらないのよ」

 

やちよは少し不安そうな顔をしていった。

 

「そうですか……アリナさんに聞いてみませんか?」

 

「……少し不安はあるけれど、一番知っていそうなのよね。そうね、行ってみましょう」

 

いろはとやちよは、アリナの入院している病室へ向かった。

アリナの病室へ行くと、入口の前に誰かがいた。

 

「えっと…アリナさんに何か?」

 

「!!…えっと私、アリナ先輩と同じ学校の御園かりんと言います!アリナ先輩が入院してるって聞いてお見舞いに来たんですけど…入っても大丈夫ですか?」

 

「えぇ構わないわよ…同じ学校の後輩なら問題ないんじゃないかしら?」

 

やちよの言葉を聞いてかりんは喜んで病室の扉を開けた。

いろはとやちよは、かりんの用事が終わるまで待っていることにした。

しばらくするとかりんが病室から出てきた。

 

「あの…ありがとうございました!」

 

「ううん。また来てあげてね」

 

「はいっ失礼します!」

 

そう言ってかりんは廊下の奥にあるエレベーターで下へ降りていった。

 

「それじゃあ私達も用件を済ませましょう」

 

「はい…」

 

そう言ってやちよは病室の扉を開けた。

 

「アリナ、聞きたいことがあるのだけれど…」

 

「入ってきて第一声がそれナノ?……まぁいいケド。それで何が聞きたいワケ?」

 

「マギウスは何を企んでいるの?今のままだと彼女達と対立するには情報が少なすぎるわ…」

 

アリナは少し考えると、

 

「…物語の完結…アリナはそのために必要な魔女とウワサを作ってたワケ」

 

「魔女?ウワサ?」

 

「まぁ説明するとネ…魔法少女が希望とかで生まれるとしたら魔女はその真逆の絶望から生まれるワケ。里見灯花と柊ねむが作っていた物語は進むごとに厄災があるノ…もしその物語を現実にするっていうなら…」

 

「この世界にも…魔女がいる」

 

アリナの説明を聞いて理解したいろはが言った。

 

「イエス。ウワサってにはネ〜この町を中心に最近よく聞くウワサ……あれをマギウスが現実に起こそうとしてる…」

 

「ウワサが、現実に…」

 

「そのウワサなら、私がファイリングしてるわ。問題は魔女の方なのよね…」

 

「そっちについてはアリナも考えてみるヨ。とりあえずウワサについてはそっちに任せるネ」

 

新しい情報を手に入れたが今後については全くの検討なし。

今日はここまでにして解散した。

 

 

 

 

 

 

時刻は夕方になっていた。

やちよは今日一日ずっといろはに付き添っていた。

 

「それじゃあ今日はこの後、私はみたまところに行くから帰るわね」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

やちよは歩いて行きながら片手を軽く振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?やちよさんいらっしゃい」

 

「こんばんは、ちょっとお願いがあるのだけれど……」

 

やちよはそういうとカバンから何枚かの資料を出した。

 

「ここに書いてあるこの素材を使って魔力を探すアイテムを作って欲しいのだけれど…」

 

「もう…私は科学者じゃないのよ〜でも、やちよさんからのお願いは断れないわね…」

 

一度悩んだみたまだったが、やちよからの説得を受け協力をしてくれた。

 

「ありがとうみたま。それと、そっちからもみふゆへ連絡とってみてくれるかしら?」

 

「……まだ連絡取れないのね」

 

「えぇ、こっちからもまた掛けてみるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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33話 ソウルジェム

夏休み半ば、暑い日が続く中いろはは涼しい病室でやちよとアリナと話していた。

アリナは2週間前に無事に検査入院を終え退院した。

いろはは夏休みが終わる頃には退院できると伝えられた。

 

「あれ以来‎‎‎マギウスはなんの動きも見せていない。アリナの言っていた魔女やウワサらしきものも見つかっていない…妙ね」

 

「アリナが最後にマギウスの拠点にいた時、灯花が何かをクリエイトしてるのは見たけど、それがなんなのかまではさっぱりなワケ」

 

「向こうが何かをするまではこっちからは手を出せませんね」

 

三人はマギウスと対立するために情報を整理しているが、これと言って有力な情報は少なかった。

他の魔法少女達が町を歩いて情報を探っているが、マギウスが動いているなどの情報は未だ掴めていない。

 

「ウワサや魔女を育てたのはアリナだけど…町に撒いたのはねむだから、見つけるのは難しいワケ」

 

すると廊下の方からこちらに向かってくるような音が聞こえた。

 

「うるさいのが来たわね…」

 

「いろはちゃーん!遊びに来たよっ!」

 

やちよがあきれていると、ドアを思いっきり開けいろはの名前を叫ぶ鶴乃がらいた。

あとから遅れて、ももこ、伊吹、華乃もやってきた。

 

「みんないらっしゃい。どうしたの?」

 

「今日はね、いろはちゃんに渡すものがあるの!」

 

すると鶴乃は持っていた紙袋から中身を取り出す。

中から出てきたのは、制服だった。

 

「じゃじゃーん!いろはちゃんの制服だよ!」

 

「さっきやちよさんに頼まれて取りに行ったんだよ」

 

鶴乃は持っていた制服をいろはに手渡した。

制服を受け取ったいろはは嬉しそうに見つめていた。

 

「夏休み明けからは学校に行けるから、そろそろ準備はしておかなくちゃね」

 

「一緒の学校だよー楽しみだよね?」

 

「うん!楽しみ」

 

夏休み明けからの話で盛り上がっている中、いろはに話しかけづらい伊吹と華乃。

 

「まだなれないわね…」

 

「………でも、元に戻すためにはこのままマギウスってやつらを追う、私はあんなふうに仲良く話すつもりはないけど…」

 

華乃の発言を聞いた伊吹は不安そうに見つめていた。

 

「私は仲良くした方がいいと思うけど?」

 

「好きにすれば…」

 

その言葉を聞いて、素直じゃないなと思い呆れながらも向こうの会話に混ざるため、華乃から離れる。

ヴァレンティナがいなくなってから華乃の近くにいたのは伊吹だったため、本人が素直じゃないのはもちろん、一番心配になっていたのも華乃だったことも知っていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、いろはの病室前では、制服姿の十七夜と店を臨時休業して訪れた私服姿のみたまだった。

 

「随分と賑やかね、いろはちゃんも楽しそうでよかったわ」

 

「彼女はマギウスを倒すための鍵でもある。一人でいるよりはあれだけ楽しそうにいた方が本人も幸せだろう」

 

「それじゃあお話ついでに花束を私に行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらみたま、十七夜いらっしゃい」

 

「あぁ、邪魔をするぞ七海」

 

ドアを開けて病室に入る二人に最初に気づいたのはやちよだった。十七夜がやちよにあいさつをしている中、みたまは持っていた花束をいろはに渡す。

 

「ちょっと早いけど、学校に行けるようなったお祝いね」

 

「ありがとうございます、みたまさん」

 

「じゃあ私、受付から花瓶貰ってくるよ」

 

貰った花束を飾るために使う花瓶が病室にないことに気付いたももこは、受付から貰うために病室を後にした。

 

「それと環、聞きたいことがある」

 

「はい…私に答えられることなら」

 

「君はどうやって新たなアカウントを作った」

 

十七夜の問いかけにしばらく考えるいろは。

 

「上手くは説明出来ませんが……あの、イストワールっていう管理者権限をもつ人から…でも姿は見えなくて声だけだったんです」

 

「リアリィ?いろは、それは本当…だとするとおかしな点がいくつかあるんですケド」

 

十七夜からの問いかけに答えたいろはの言葉を聞いて、驚くアリナ。

 

「イストワールの管理者権限はマギウスが全て奪ったはず…存在自体も消したと思ったのに……まだどこかにデータが残ってたワケ?」

 

「その可能性が高いと思うわ。イストワールと話が出来なくても、魔法の国の武器やアイテムの性質を使って新しいアイテムが出来たんだから」

 

「ということは、みたま…できたのね?」

 

「えぇ、前にやちよさんに頼まれた魔力を検知するアイテムが完成したの」

 

するとみたまは鞄から箱を取り出し、蓋を開ける。

そこにはいくつかの卵形の宝石のようなものが入っていた。

 

「これはソウルジェム、さっき言ったように魔力を検知することができるアイテムよ。魔女やウワサという新たな敵は魔法少女とは違う…それにアリナさんが言うには町の至るところに潜んでいるらしいし、ここは魔法の国のアイテムに頼ることにしたわ」

 

みたまはソウルジェムの説明をした後、全員にそれを配る。一人一人色が違うのも特徴のひとつらしい。

本人曰く、それぞれの魔法少女時の服装に合わせたらしい。

 

「持ち歩くときは指輪になるから、学生組の子達は便利だと思うわ」

 

「ありがとうみたま、こんなに早く完成するなんて…でも、問題の魔女やウワサについての情報はまったく…」

 

新しいアイテムが出来たとしても、情報がないことに変わりはなかった。

 

「ん?ししょー、ウワサならあるよ」

 

「鶴乃ちゃん、それ本当?」

 

「うん!私たちの学校で最近ウワサになってる事があるの、ねっももこ?」

 

鶴乃はついさっき帰ってきて、花瓶に花を入れているももこに問いかける。

 

「あぁ…そんな話は聞いたな、なんだっけかな…話してるのはよく聞くんだけど…」

 

「あの、やちよさん…ウワサファイル見せてもらえませんか?」

 

「えぇ、いいわよ」

 

いろははやちよからウワサファイルを受け取り、学校などでウワサになりそうなウワサを探す。

どんな内容だったかを思い出すために一緒に探す鶴乃。

 

「あっ!これだよいろはちゃん!」

 

「これ……《絶交ルールのウワサ》?」

 

いろはは、名前を見て読み上げ、内容を読み上げる。

 

 

 

 

アラもう聞いた?誰から聞いた?

絶交ルールのそのウワサ

 

 

知らないと後悔するよ?

知らないと怖いんだよ?

 

 

絶交って言っちゃうと

それは絶交ルールが始まる合図!

 

 

後悔して謝ると、嘘つき呼ばわりでたーいへん!

 

 

怖いバケモノに捕まって

無限に階段掃除をさせられちゃう!

 

 

ケンカをすれば、ひとりは消えちゃうって

子ども達の間ではもっぱらのウワサ

 

 

オッソロシー!

 

 

 

「確かにこんな内容だったよ…」

 

「これは当たりかもしれないわね。鶴乃達はできるだけ注意しておいて、このウワサがらどこから流れ着いたものかは分からないけれど、あなた達の学校でウワサが広まっている以上危険よ」

 

「分かりました」

 

「しかしこれで情報が絞られた。町にいる学生たちなら知っているだろう。八雲、行くぞ」

 

さっそく絶交ルールのウワサの情報を聞き入れるため、十七夜は情報をきくために病室を後にした。

十七夜を追いかけるように後に続くみたま。

そんなみたまを引き止めるように声をかけるやちよ。

 

「みふゆとの連絡は繋がった?」

 

「いいえ、まだ繋がってないわ。それに関しての情報も探ってみるわね」

 

みたまはそう言って病室を後にした。

 

「みふゆさん…どこに言ったんでしょう…」

 

「大丈夫よ、みふゆならきっと…心配しなくてもね。」

 

みふゆが見つからないことに心配するいろは。

そんないろはを見て、安心させるようにいろはの肩をよせる。

いろははそれに返事をすることはなく、下を向き、自分の両手で握りしめるソウルジェムを見つめていた。

 

 

 

 



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34話 砂場の魔女

みんなが毎日いろはの病室に遊びに行き、楽しく話をして、鶴乃とももこからは学校の話を聞いたり、やちよからは幼い頃の自分がどんな子だったのかを聞いたり、思い出してきた部分もあればまだどこか抜けてる記憶もある。

しかし、いろはの記憶は少しずつではあるが戻ってきていた。

 

 

夏休みが終わり、再び学校が始まる今日。

いろはにとっては同じ学校への二度目の転校日でもあった。

退院してからはやちよの家で暮らすことになり、初めて家に来た時には生活用品が揃っていた。

 

 

「この制服を着てると…なんだか懐かしい気がします」

 

「そう…もしかしたら記憶のどこかにその制服が関わることでもあるのかもしれないわね」

 

(まだ、ヴァレンティナとしての記憶は戻ってない…無理に思い出させるのも良くないから…十七夜とはこのまま様子見ということにしているけど…)

 

制服を着て楽しそうにしているいろはを見て、心配そうに見つめるやちよ。

最近からちょっとずつ戻ってきている記憶。

アリナ曰く、全く思い出せない記憶があるならそれはマギウスがもっている可能性があると言っていた。

 

「いろは…もし何かあったら鶴乃やももこに言ってね」

 

「分かってます…私も不安ですもの…アリナさんから渡され機械心臓」

 

機械心臓…それは学校に通うと心臓がないことにより騒ぎになると大変なため、アリナがマギウスの拠点から持ち出した物の一部である。しかしこの心臓を作ったのは灯花であるため最初は全員が不安になった。

だがこのまま心臓無しなのも肉体的にも火垂としての体としてもいつか危険な状態になってしまう、なので今は異常が起こるまではこの心臓を使うことにした。

 

「いろはちゃーん!おはよー!」

 

「おはよう鶴乃ちゃん、朝から元気だね」

 

「いろはちゃんと一緒に学校行けるんだもん!制服似合ってるよ!」

 

先程までの空気を壊すように現れた鶴乃。

大声で話す鶴乃を見て呆れているやちよだが、いろはは普通に会話をしていた。

 

「そろそろ時間ね、駅前でももこと待ち合わせしてるんでしょ?」

 

「はっ!そうだったーいこっいろはちゃん!」

 

「うん!やちよさん行ってきます」

 

慌てて玄関から飛び出す鶴乃に手をがっちり捕まれ、ひっぱられながら出ていった。

しかし、やちよの不安は収まらなかった。

 

(魔女やウワサに出くわさなければいいけど…気をつけて、花音)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前にて、ももこは待ち合わせをしているいろはと鶴乃を待っていた。しかしそこにはもう1人…いろはと待ち合わせをするのなら一緒にと言い、ももこと共に2人を待つものがいた。

 

「おっはよーももこ!月咲!」

 

「えっ!?月咲ちゃん?」

 

「おっす、いろはちゃん、鶴乃」

 

「おはよ、いろは!」

 

それは天音姉妹の妹、天音月咲だった。

鶴乃とももこは知っていたらしく、同じ制服を着ている月咲を見て驚くいろは。

 

「月咲ちゃん…同じ学校だったんだね」

 

「うん!同じ学校の1年、いろはの後輩なんだよ?いろは先輩って呼んだ方がいいのかな?」

 

「いいよそんなの…今まで通りいろはで」

 

いろはにちょっとしたイタズラをした月咲は嬉しそうにいろはに笑いかける。

 

「ほら、そろそろ行こうぜ」

 

ももこの言葉を聞いた三人は後を追いかけ、駅の中へと入っていく。ここから学校へは電車でいくらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、1年である月咲と別れ鶴乃とももこの案内の元職員室に向かった。

聞けば鶴乃とももことはクラスは違うらしい。

不安になっているいろはを見て鶴乃は、華乃と伊吹がいるから心配は要らないと笑顔で言ったが、いろはにとってはそれが1番の心配だった。二人といた記憶も思い出も無い。しかし絶対に思い出さなくちゃいけない気がしてままならない。

 

「どうしよう……二人と会話できるかも不安だよ」

 

『では、環さん。入ってきてください』

 

「はっはい!」

 

そんなことをかんがえていると、担任の先生に名前を呼ばれ慌てて返事をするいろは。

緊張しながらも教室のドアを開ける。

 

「今日からこの学校に転校してきた環いろはさんよ」

 

「よろしくお願いします…」

 

いろはは下を向きながらあいさつをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしましょうどうしましょうどうしましょう……」

 

「落ち着きなっていろはちゃん、まだそうだと決まったわけじゃないんだからさ」

 

「ですけど…ですけど…」

 

お昼休み、いろははももこと鶴乃そして月咲と屋上にて昼食を取っていた。

華乃と伊吹は後から行くと言っていたため今はいない。

二人がいないうちにいろはは悩んでいることをももこに打ち明ける。

 

「私まだ、二人のこと思い出せていませんし…二人だけじゃないです。他にもいっぱい…」

 

「考えすぎは良くないよ?ちょっとずつでいいんだからさ」

 

「うちらも協力するし、町を歩いていけば何か思い出したりするかもよ?放課後にさっそくやろうよ!」

 

焦りわみせるいろはを見て、落ち着かせるように言う鶴乃と月咲。二人の言葉を聞いて落ち着いたのか、笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、帰る支度を進めていると鶴乃とももこがやってきた。

 

「いろはちゃん!そろそろいこっ」

 

「町を見て周りに行くけど、伊吹達も来るか?」

 

ももこにそう問いかけられた二人は互いに目を見合わせどうするかを考える。

すると伊吹はその場に残り、華乃は教室を後にした。

 

「私は一緒に行こうかしら、華乃は今日はやめておくって」

 

「あっ…はい。その…ごめんなさい」

 

「どうしていろはが謝るの?こっちこそ悪かったわね…華乃は今のあなたにはどうも慣れないみたいなの」

 

申し訳なさそうに謝罪をするいろはを見て、笑いながらそれを否定する伊吹。

すると伊吹はいろはの肩をポンっと叩いた。

 

「でも、私はあなたの記憶が戻るのなら私は仲良くして行くつもりよ。何か困ったことがあったら頼ってね」

 

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでここが最後!公園だよ!」

 

「そりゃみりゃ分かるだろ」

 

放課後から町を歩き回り、駅前にあるお店や‎‎‎名所などを見て回った。

そして最後に訪れたのは、何の変哲もないただの公園だった。

敷地内には滑り台にブランコ、そして砂場。

楽しそうに会話をしている鶴乃とももこから離れ、いろはは先程から気になっていた砂場へ近づく。

 

「どうしたのいろは?」

 

「なんかこの砂場…何か…」

 

伊吹の問いかけに応えようとするいろはだが、話をしている途中に砂場がひかり出した。

 

 

 

 

 

 

「いろはっ!」

 

全員が驚く中、最初に足を動かしたのは伊吹だった。

伊吹は光を発する砂場に一番近いいろはが危険だと思い、魔法少女リュドミラに変身して、いろはを後ろに下がらせるようにして武器を構える。

 

「何これ……魔法陣?」

 

「これもしかして魔女かウワサじゃない?」

 

光の中から現れた魔法陣のような模様をみて不思議に思うリュドミラ。すると鶴乃はその魔法陣を指さして魔女かウワサじゃないかと予想する。

 

「でもそんな根拠がどこに……」

 

「でも、ソウルジェムが光ってますよ。これって魔女かウワサを検知したってことですよね?」

 

いろはの言葉を聞き、三人は自分のソウルジェムを確認する。

確かにソウルジェムは全て光を放っている。

 

「確かにそうっぽいな」

 

「倒そ!魔女やウワサって魔法少女しか倒せないんでしょ?だったら私は正義のために戦うよ!最強の魔法少女、由衣鶴乃だからね!」

 

鶴乃は魔法少女に変身して、戦う意気込みを見せた。

 

「確かに、倒さないと危険かもな」

 

「そうね、行きましょう」

 

「私も……戦います!」

 

全員が戦うことを決め、互いに見合い魔法陣の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

魔法陣のなかに入ればそこは別世界。

変な生き物が徘徊するとても不気味な世界だった。

 

「あいつらを倒さないと先へは進めそうにないよ!」

 

「あたしと鶴乃が叩いて行くから、リュドミラはいろはちゃんを頼む!」

 

「分かったわ!」

 

そう言って、鶴乃とももこは走り出し前にいる邪魔な芋虫のような生物を倒していく。

二人の攻撃が早いせいか、全く反撃をしてこない。

しかし油断していると、芋虫みたいな生物は体の一部を発射する。それは一直線に後ろにいるいろはとリュドミラに襲いかかる。

 

「凍てつけっ!」

 

リュドミラは持っていた槍を振るい、襲いかかる体の一部を凍らす。

 

「ナイスプレー!この調子で進んで行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから何体の生物を倒したのか分からないが、ひらけた場所が見えた。出口かもしれないと思い、走る四人。

しかしあったのは出口ではなかった。

 

「なんだよあいつ…今までのやつらの比じゃねえぞ」

 

そこにいたのは、今まで倒してきたやつらよりも遥かに大きかった。砂を纏った謎のバケモノ、いろははそれを見て何なのかに気付いた。

 

「魔女かもしれません…私、こいつに似たような姿をした生物をねむちゃんの本で見ました!」

 

「その情報なら、こいつは倒していい相手なんだな」

 

「いわゆるボスってやつね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人は意気込んで魔女を倒そうとするが、思っていたよりも強く、硬かった。

 

「どうすんだよ、全然ダメージ入って無さそうだぞ」

 

「四人だと、慣れてない相手はキツいわね…」

 

「でもっこいつをこのまま放っておくことはできないよ!」

 

そんなことを言っていると、魔女は狙いをいろはに定めて攻撃を始めた。

 

「いろはちゃんっ!」

 

しかし反応が遅れて避けることも逃げることも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あれっ?痛くない…)

 

頭を抑えて目を瞑っていたが、攻撃が当たることはなかった。

いろはの目の前にいるのは、リュドミラでも鶴乃でもももこでもなかった。

 

「リップル!あんたいつの間に!」

 

「なんか変な反応があったから来てみただけ……」

 

いろはを守ったのは、刀を構えているリップルだった。

リュドミラはリップルがいることに驚いているが、本人は早く終わらせたいのか魔女に攻撃をしかける。

 

「いろはちゃん!思いっきり溜め込んだ力を使って思いっきり矢を撃てない?そろそろ倒せる気がするの!」

 

「やってみます!」

 

鶴乃にそう言われたいろはは、矢に力をため、今までのよりも高い威力の矢を放とうとする。

 

「いろはちゃん、今だよ!」

 

「はあぁぁぁぁぁっーーーー!!!」

 

いろはは鶴乃からの合図を聞いて、矢を思いっきり放つ。

放った矢はそのまま一直線に飛び、魔女へと当たった。すると魔女のなかに入った矢が魔女のなかにある核のようなものに当たった音がした。それから直ぐに魔女は爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発が起こり全員が目を瞑っている間に、周りはもとの世界に戻っていた。

 

「勝ったの?」

 

「やったーー!勝ったーー!」

 

「とりあえずやちよさんや情報屋に連絡入れておくよ!」

 

三人が喜んでいる中、いろははリップルに声をかける。

 

「あの…ありがとうございました」

 

「別に……」

 

そう呟いてその場から飛び去るリップルをただ見ることしか出来ないでいたいろはであった。

 

 

 

 

 

 



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35話 絶交ルール

魔女との初陣から1週間。

いろは達が倒した魔女以外にも魔女の目撃情報はいくつかあり、それらも他の魔法少女達が協力し合い倒すことに成功した。

しかし未だに現れないウワサ。

学生達からいろんな情報は入手できたが、ウワサの仕業らしきものはなかった。

 

「情報…少ないですね」

 

「このままだと、マギウスへの道が絶たれちゃうな」

 

放課後、いろはとももこは下校するため廊下を歩いていた。

他のメンバーはそれぞれ用事があるため、二人で校内に残っていた生徒に話を聞いていっていた。

しかし情報は少なく、良しとは言えなかった。

 

「このウワサは後回しのほうがいいかもね」

 

「そうですね…ほかをあたったほうが…」

 

「いろはーー!!」

 

ももこの意見に賛同しようとすると、大声で名前を呼ばれたいろは。声がした方を向けば、そこには1年下の同じ魔法少女…天音月咲が走ってきた。

 

「どうしたの?月咲ちゃん」

 

「手助けして欲しいの!友達がケンカしちゃって…」

 

「まったく話が理解できないけど…行ってみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月咲の教室に行くとそこには、1人の女子生徒がいた。

全くの初対面で制服を見れば先輩だと分かり、緊張したような顔をする女子生徒。

 

「うちの友達の文ちゃんだよ。実はこの子がもう1人の友達とケンカしちゃって…」

 

「こんにちは…あの、皐月ちゃんと仲直りしたいんです…協力してくれませんか…!」

 

文ちゃんもとい文月はケンカをしたまでの経緯を説明してくれた。ケンカした理由は、三日前…運動部である皐月が最近疲れているように見えた文月は、色々食事や生活リズムについて細かく質問した。心配性な文月の心配は皐月にとってはお節介だったらしく、怒鳴られてしまったらしい。

次の日謝ろうとするが、謝ろうと声をかけると避けられてしまう。

そんな日が続き今日まで来てしまったようだ。

 

「私がお節介だったんです…私、皐月ちゃんに謝りたいのに…」

 

(あれ…?なんか変な感じ…自分を見てるような…)

 

「いろはちゃん大丈夫か?頭抱えて…」

 

「あ……大丈夫です…大丈夫…」

 

頭を抱えているいろはを見て心配そうに様子を伺うももこ。いろはは大丈夫だと答えるが、表情は暗いままだった。

 

「記憶のことだったら、この件が終わったらみたまのところに行ってゆっくり話そう」ボソッ

 

「ありがとうございます…ももこさん」ボソッ

 

「それで、仲直りするにはやっぱり本人を探さなくちゃ行けないわけだよな。アテはあるのか?」

 

いろはに小声で伝えた後にももこは、文月に皐月がいそうな場所にアテはあるのかと問いかける。

 

「はい…皐月ちゃん、放課後はゲームセンターによく寄ってるからもしかしたら今日も…」

 

「んじゃ、行ってみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前近くのゲームセンター。

音楽が大音量で流れるこの空間、あまり行かないいろはにとっては不思議な場所だった。

 

「大丈夫かいろはちゃん?」

 

「はい…あまり来たことなくて、変な感じがします」

 

「それで文ちゃん。さっつんいた?」

 

あまり元気がなさそうないろはをみて大丈夫かと気にかけるももこ。大音量が苦手なのか気分が悪そうないろは。

そんな中月咲は、文月に皐月が居たかどうか問いかける。

 

「うーんと………あっいた!!皐月ちゃーん!」

 

「えっ?……!文月……っ!」

 

文月は皐月を見つけ、声をかけるが皐月は、文月の顔を見るなり逃げるように走り出した。

 

「えっ!待ってよ皐月ちゃん!」

 

「さっつん!」

 

「いろはちゃん!いこっ」

 

「は、はい!」

 

皐月を追うために出入口へ走り出す文月と月咲。その2人をみて急いで追うためにいろはを連れて走り出すももこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっつん……かくごっ!!」

 

「わっ!?」

 

ゲームセンターから追いかけっこをはじめて数十分。月咲は飛び上がり覆いかぶさるように皐月を捕まえる。

 

「皐月ちゃん!お願い、話を聞いて…」

 

「もうあんたとは絶交したんだから、関係ないでしょ?」

 

「皐月ちゃんがどれだけ私のこと嫌いでも…私は皐月ちゃんに謝りたいの!」

 

皐月に謝ろうとする文月。しかしそんな文月を慌てて止めようとする皐月。そんな皐月をみていろはは何かに気付いた。

 

「ねぇ…皐月ちゃん。もしかして絶交ルールのこと信じてるの?」

 

「はぁ!?こんないい歳して信じてるわけないでしょ?」

 

「なら謝ってもいいよね?」

 

絶交ルールのウワサを信じているんじゃないかと思い皐月に問いかけるいろは。しかし皐月はそれを否定した。慌てた表情をして

 

「私のお節介で怒らせちゃったんだよね?ごめんなさい皐月ちゃん」

 

「!?文月……絶交ルールが本当だったらどうするの!」

 

「大丈夫だよ。何も起こってたいよ…」

 

すると辺りの景色が一瞬にして変わった。

そこは、先日いろは達が戦った魔女の世界のようだった。しかし一つ違うところがあった。

それは、絶交ルールのウワサの内容が流れるように映し出されていること。

 

「これ…この間の魔女とは違う…」

 

「てことは…これがウワサ?」

 

「そうかもしれない…」

 

気づけば周りには敵らしき生物も寄ってきた。魔法少女になって戦わなくてはいけない。しかし、一般人である皐月と文月がいるためそれが出来ないでいた。

二人の様子を伺おうと振り向くと、そこには既に二人はいなかった。

 

「あれ?さっつん〜文ちゃん〜!」

 

「月咲ちゃんのご学友でしたら、先程の使い魔達がさらってゆきました…」

 

月咲が皐月と文月の名前を叫び、呼ぼうとするが返事はない。すると後ろから声がした。

そこに居たのは、魔法少女姿の月夜だった。

 

「月夜ちゃん!一体どこから…」

 

「魔女の結界らしきものがあり…入ってみれば、先日月咲ちゃんに紹介してもらったご学友が連れ去られておりまして…そしたら、皆さんと合流できました」

 

「てことは、今なら変身できるな。最悪見られたとしても、みたまに記憶を消してもらえばいいさ」

 

いろはと月咲も、ももこの意見に賛同して変身をした。

月夜の案内の元、二人が連れていかれた方へと向かい走り出す四人。

しばらく走った所には、巨大な階段のてっぺんに鐘という不思議なものがあった。

しかしよく見れば動いているように見えるため、四人はこれが本命のウワサなのかもしれないと予想した。

 

「え……さっつん…文ちゃん…」

 

月咲が見ているところには、こちらを見ている皐月と文月がいた。しかし不気味なオーラを纏っていた。

 

「月咲ちゃんも…一緒に…」

 

「階段さん……掃除しよ…」

 

「もしかして…ウワサに操られてるんじゃ…」

 

「なら早くあのウワサを倒さないとな!」

 

ウワサを倒すためにそれぞれに武器を構えて走り出すが、操られた皐月と文月がそれを阻止するように立ち塞がる。

するとももこが前に出て、

 

「この二人はあたしが足止めするから、三人は先に行ってくれ」

 

「ももこさん…ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、このウワサどうやって倒そう…なんか大きいし…」

 

「しかしウワサを倒さなくては、あのお二人はあのままに…」

 

「なにか弱点さえあれば…」

 

本命のウワサにたどり着いたはいいものの、倒し方が分からない以上どうすればいいのか分からない状態。

考えていると、ウワサの頭上から大剣が振るわれた。

 

「大丈夫か?」

 

「ももこさん!あの、二人は?」

 

「ああ、ちょっと眠ってもらってるよ。これなら戦ってるところを見られることはないよ」

 

ももこは、皐月と文月を気絶させていろは達のほうへ向かってきた。大剣でウワサを叩いたが、切れるどころかヒビすら入っていなかった。

いろはは、ももこにウワサの弱点を探ることについて話した。

 

「弱点か……なぁ、絶交ルールって不仲から生まれたウワサだよな?」

 

「はい…そうですが」

 

「なら、仲の良さで息を合わせて戦えばいいんじゃないか?このウワサを倒したいって想いはここにいる全員に一致するよ」

 

ももこの考えを聞いて、大体の予想がついたいろはは、月夜と月咲に声をかける。

 

「二人の息のあった演奏で、ウワサの動きを鈍らせてくれないかな?遠距離で私が攻撃して、ももこさんは一気にせめてください」

 

「分かったよ」「かしこまりました」

 

「よしっさっさと終わらせるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「演奏で動きが鈍ってます!私が隙を作ります、ももこさんお願いします!」

 

「りょーかい!」

 

走り出すももこを見て、いろはは矢を装填する。

 

「このウワサのせいで、どれだけの子が被害にあったのか分からない…だけど、あなたを倒すことに変わりはない!」

 

いろはが矢を放ち、みごとウワサの隙を作ることに成功した。

 

「これで終わりだぁー!!」

 

ももこは、大きく飛び上がり、大剣を振り下ろした。

先程とは違い、ヒビどころか真っ二つに割ることに成功した。

ウワサの鐘が爆発したと同時に結界が消え去った。

 

「倒した……!さっつん、文ちゃん!」

 

「大丈夫でございます。まだ気絶しているだけです…怪我もしておりません」

 

二人が無事なことに一安心する四人。

するとももこはいろはの肩をポンっと叩たき、情報屋にいこうと小さく言った。

 

「なら、あとはそっちに任せるよ。あたしといろはちゃんはこのあと寄るとこがあるんだ」

 

「うん!いろは、ももこ、ありがとう!」

 

「感謝致します」

 

月咲と月夜のお礼を聞いたあと、ももこはいろはを連れてその場を去り、情報屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、月咲ちゃんのお友達のケンカを見て何かを思い出しかけたと……でもそれだけだとね…」

 

「やっぱりそうか…それに関する噂も探さなくちゃな…」

 

情報屋に着き、みたまに話してみたが、さすがに情報が少なく探るのは難しいと言われた。

すると、情報屋の扉が開いた。

 

「あら?いろはにももこ…今回はタイミングが良かったみたいね」

 

「伊吹…どうしたんだ?」

 

「実はね、私がアルバイトしてるところの同い年の子がね、変なウワサを耳にしたって」

 

伊吹は微笑みながら関係のありそうなウワサを聞き出したため、情報屋に話をしに来たらしいが、偶然いろはとももこがいたため都合が良かったらしい。

 

「もしかしたら、いろはの記憶が戻るかもしれないの!」

 

「マジかよ!ちなみにどんなウワサなんだ?」

 

「街中にある博物館の廃墟らしいの。廃墟だからみんな無闇に近寄らないみたい。確か名前が……記憶ミュージアムのウワサだったかしら…」

 

 

 

 

 



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36話 記憶ミュージアム

絶交ルールのウワサを倒した2日後の夜。

高層ビルの屋上にて、リップルは高速道路を走る車を眺めていた。しかし表情は悲しげだった。

小乃花は帰ってきたが、記憶がない。そんな状況になってからリップルは笑えたことがない。

 

いつもならトップスピードが励ましたりしてくれるが、今はいない。今日この場に呼ばれたのはリップルだけ。

 

「お待たせ。やちよさんに話通すのに時間がかかったわ」

 

「遅い……!……」

 

後ろからリュドミラの声がした。待たせたことに不満を言おうと振り向くが、直ぐに視線を逸らした。

理由は、リュドミラの後ろにいるいろは。リップルは今のヴァレンティナの仮の姿が嫌いだった。そのせいか、今日まで距離をおいていた

よく見ると、いろはの隣には武器を持ったスイムスイムもいた。

 

「なんでスイムスイムもいるの?」

 

「本人が一緒に行くって言うから……ね?」

 

リュドミラはスイムスイムがいる理由を答えると、確認のために本人にも問いかける。

 

「うん…ヴァレンティナが元に戻るなら……なんだってする…ヴァレンティナは、ルーラと同じくらい大切な人…だから」

 

「てことだから、この4人で記憶ミュージアムに行くわよ」

 

リュドミラ達が進んでいく足音を聞いて、リップルは立ち上がりあとを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが…記憶ミュージアム」

 

「らしいわよ。本当に記憶が戻るかは分からないけどね」

 

ビルを飛び移り、できる限り人に見られないように記憶ミュージアムへとたどり着いた。夜中だからか人影はなく、魔法少女姿でも問題はない。

 

「とっとと終わらせるぞ。夜があける前にトップスピードに連絡しないと面倒になる…」

 

「ちょっ待ちなさいよ!」

 

早く終わらせるために先に博物館の中に入っていくリップル。リュドミラもそれを追うように入って行った。

入口前にいるのは、いろはとスイムスイムだけになった。

 

「ねぇ、スイムスイム…一つだけ聞いてもいい?」

 

「なに?」

 

「今の私は…嫌い?」

 

そう聞かれたスイムスイムはしばらく考えてから答えをだした。

 

「私は…どっちの姿でも、ヴァレンティナはヴァレンティナだと思う……リップルはあんな感じだけど…私とラ・ピュセル、トップスピードはそう思ってる……」

 

「…ありがとう」

 

「でもこれだけは約束してほしい……もし姿が戻っても覚えてるならだけど…現実の姿で会いたい…」

 

「うん。約束ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なにもないぞ」

 

「ガセだったとか?でも随分前に閉館して、廃墟になった博物館をそのままにするのは怪しいわね…」

 

二人を追いかけるように博物館の廃墟に入って行ったいろはとスイムスイム。しかし中には何も無く、瓦礫が積まれボロボロの内装だった。

 

「………あれ」

 

スイムスイムが指さした先には、不自然に積まれた瓦礫。

そちらに向かうように歩きだし、積まれた瓦礫をどかしていった。

 

「…扉!?」

 

「隠してあったのは不思議ですね…」

 

不自然な瓦礫に隠されていた扉を警戒しながらも扉を開ける。

中には敵もおらず、長い廊下が一直線に続いていた。しかしその壁には何かの映像が映っていた。

いろは以外の3人にはこの映像に見覚えがあった。

 

「ヴァレンティナ…!」

 

「カラミティメアリに…クラムベリーと戦ってるときの……」

 

「エリザベータのときのまで……これ全部ヴァレンティナの…」

 

映ってる映像の全てにヴァレンティナが写っておら、今まで戦ってきたときのはもちろん、それ以外にも魔法少女として活動していたときのまでが映し出されていた。

しかし、まったく記憶がない映像を見ているいろはは、見覚えのない光景を見て頭を抑える。

 

「大丈夫?いろは」

 

「平気です…早く奥へ行きましょう」

 

心配そうに声をかけるリュドミラに大丈夫だと答え、奥へ向かおうと言う。

真っ直ぐ歩き、長い廊下を進んでいく。

長い道のりを進み見えたのは大きな扉。急ぎ先へ進むため扉を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くふふ…待ってたよーお姉様」

 

扉を開けた先には、日傘をさした小さな魔法少女。里見灯花だった

いろはたちが来るのを分かっていたかのように待ち伏せていた。しかしそこには黒羽根や白羽根はおらず、敵意はまったく見えなかった。

 

「何の用だ……」

 

「お姉様の記憶を戻しにきたんでしょ?教えてあげよっか?」

 

「なんでそこまでするの?」

 

「こちら側としては、お姉様の記憶が戻ってくれた方が有難いんだよねー」

 

微笑みながらそう言う灯花に、警戒心を抱く四人。しかし灯花は話を進めていった。

 

「ちなみに記憶はそっちの予想通りウワサがもってるよー。まぁいやって言われても結界に閉じ込めるんだけどね〜ばいばーい」

 

すると灯花は指を鳴らした。

次の瞬間、4人の意識はふっとなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あれ?ここは……」

 

「気がついた…?」

 

いろはが目を覚ました場所は、先程とは違い鉄パイプなどで作られた道が続いていた

その場所にいたのはいろはとすでに目を覚ましていたリップルだけだった。

 

「ミラとスイムスイムと離れた……さっさと出口を探すぞ」

 

「あ…はい」

 

現在ギクシャクした関係である二人しかいない今、現状の空気は最悪だった。

互いに一言も喋らずただ歩いていくだけ。

 

「あの………!!」

 

「あれ…ウワサってやつで合ってる?」

 

「はい…その可能性が高いと思います…」

 

しばらく進んだ先にいたのは大きな印刷機みたいな化け物。先日戦った絶交ルールのようにただそこに佇んでいるだけで向こうからは攻めてこない。

いろはがウワサの可能性が高いと言うと、リップルはウワサへの攻撃を始めた。

リップルの魔法により外すことはないが、非常に固くそう簡単には倒れそうになかった。

 

「私も援護射撃を………」

 

「しなくていいっ!そこで大人しくしてろっ」

 

いろはは援護射撃をしようと矢を装填するが、撃つことをリップルが許さなかった。いろはは反論することも出来ずただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやめてくださいっ死んじゃいます!」

 

「くそっ……ここでやめるわけには…」

 

あれからしばらく、ウワサに攻撃を続けるリップル。

ヒビが少しはいるくらいでそこからさらにダメージ入っている様子はなかった。

それどころかリップルの方がダメージが酷かった。

血も流れ、息も荒い、これ以上戦うのは危険だった

限界が来たのか、もうすでに立つことすらつらそうだった。

そんなリップルの姿を見て何かを思い出しかけるいろは。

 

「だめ…もう、戦わせちゃ……また…また……!サーシャ……」

 

思い出したのはあの日、エリザベータとの戦い。

あのとき、殺されそうだったヴァレンティナを庇い死んだアレクサンドラ。あの時の光景を繰り返してしまう…そう思うと足が動いていた。

 

「もう…だれも、私のせいで死なせたくない……エザンデス!!」

 

いろはが叫ぶと、目の前に大鎌が降ってきた。

その大鎌はリップルにも見覚えがあった。それは、かつてヴァレンティナが使用していた武器。

いろはがそれを掴むと、いろはの姿が変わりヴァレンティナの姿へと戻っていた。

ヴァレンティナは大鎌を構え記憶ミュージアムのウワサに突撃する。

素早く移動してウワサへと攻撃をするヴァレンティナ。

そして留めをさすように上へと飛び上がり、

 

「私の記憶……返してもらいます!」

 

大鎌を回し、回転斬りをした。案の定ウワサは砕かれ爆発を起こした。

すると、爆発後からひとつの光がヴァレンティナに向かって飛んでくる。それは頭の中へと入っていき、それが入った瞬間からヴァレンティナは動かなかった。

 

「ヴァレンティナ…」

 

「覚えてる……全部…思い出したよ…」

 

ヴァレンティナの満面の笑みをみて安心したのか、リップルはヴァレンティナを抱きしめた。

 

「おかえり……小乃花」

 

「うん…ただいま…華乃」

 

行方不明になった日数と、環いろはという偽名を使って合わせて約4ヶ月。

結城小乃花自身の記憶がある戻り再開をしばらく喜びあった2人だった。

 

 

 

 

 

その頃別れていたリュドミラとスイムスイムは、そんな2人を微笑ましく見ていた。

 

「でっかい音がすると思ったら…どうやら全部終わった見たいね…」

 

「うん…みんなに連絡……いれなくちゃ」

 

 

 

 

 



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37話 決断

 

小乃花の記憶が戻り、今回の戦いの目的の一つが達成された。記憶ミュージアムで起こったことを年長者のやちよや十七夜にみたま。そして、元マギウスの一人であるアリナに話した。

灯花の言っていた言葉に疑問はあるけれど、一先ず落ち着くことになった。

驚いたことにあれからウワサやマギウスとの対立もなく、見つけた魔女を狩り続けていたら、季節は冬になっていた。

世間はクリスマスムードに包まれ、街中にはイルミネーションが飾られて華やかになっていた。

 

 

その流れにのるように、魔法少女達もクリスマスパーティーを企画していた。

参加出来る全員で仕事を分担して、順調に準備が進んでいた。

開催場所は、大人数でも大丈夫な情報屋で行われることになった。

 

 

 

 

 

「買い出しはこんなものかな……でも嬉しいな…こっちの姿で集まるの」

 

やちよに頼まれた買い出しを終わらせ、帰路を嬉しそうに進む小乃花。クリスマスパーティーは変身前の姿で会うことに決定して、都合が合わない子や、変身前の姿では顔を会わせたくない子はまたの機会ということになるが、それでも大人数で集まれることが嬉しい小乃花

 

「スイムスイムも楽しみにしてたし…やちよさんと一緒にごちそう作らなきゃね」

 

「随分と楽しそうだね…お姉さん」

 

クリスマスパーティーまでの計画を立てながら家へと戻る小乃花にふと声がかけられた。

小乃花は、声がした方を振り向くと目を見開いた。

 

「……ねむちゃん」

 

「少しお話…いいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「灯花の言っていた通り…本当に記憶が戻ったんだね」

 

「うん…それで話って?」

 

近くにあった公園のベンチに座り、ねむの話を聞く小乃花。

小乃花の問いかけにねむは一息ついて言った。

 

「お姉さん……マギウスに戻らないか?」

 

「え……どうして」

 

「マギウスには、お姉さんが必要な時になってきたんだ。どうかな?」

 

「戻るわけ…ないよ。今いるここが私の居場所なんだから」

 

小乃花の言葉を聞いて、しばらく間をあけてねむはベンチから立ち上がる。そして小乃花に向き直り言った。

 

「しかしね、これだけは言わせてもらうよ……お姉さんはきっとマギウスに戻ってくる。確実にね」

 

「そんなわけ……」

 

「まぁ話は追追ね。今のボクの言葉が気になったら…ここに来るといい…来る時はお姉さんだけで来てね…それじゃあ」

 

するとねむは、一枚の紙を小乃花に手渡してその場を後にした。ねむが去った後、紙を見るとそこにはある場所の住所が書かれていた。

とりあえず家に帰るため、小乃花もその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ準備はいいかしら?みんなグラスは持った?」

 

みたまの声掛けに答えるように全員がグラスを上げる。それを確認して、みたまはこの中で一番声の大きい鶴乃に掛け声を任せた。

 

「それじゃあ、こっちの姿での対面会とクリスマスを祝って……せーのっ!」

 

『カンパーイ!』

 

それからは、ごちそうに食いつく人もいれば、変身前の姿での対面に喜び話に盛り上がる人もいた。

 

「にしても、こっちの姿で会うのも悪くねーな!」

 

「まったく驚きましたよ…つばめさん妊娠してたなんて…言ってくれれば良かったのに」

 

「私が問いただしてなかったらやばかったんじゃないのか?」

 

「まぁ無事に産まれたしよ、結果オーライってことで」

 

小乃花、華乃、そしてトップスピードこと室田つばめは変身前の姿では初めてでもそこまで驚いた様子はなかった。

元々話では歳や学校などでの話をしていたから、それぞれどれくらいの歳なのかは想像がらついていた。

しかし、つばめが妊娠してつい最近出産したことを華乃が問いただしてなかったら今日知ることになっていた。

三人は前から変身前の姿で会ってみたいなどの話はちょくちょくしていたので、こうして会えたのは嬉しかった。

 

つばめが華乃にちょっかいをだしてる間に小乃花はほかの人達に声をかけようとその場を後にする。

後ろから聞こえる華乃の声を聞かなかったことにして一人でいる小さな女の子に声をかけた。

 

「パーティー楽しい?綾名ちゃん」

 

「うん…誘ってくれてありがとう……小乃花お姉ちゃん」

 

それはスイムスイムこと坂凪綾名はごちそうを美味しそうに食べながらそう言った。

綾名は小学一年生、パーティーの参加を決めた時にスイムスイムから集合場所を決めて迎えに来て欲しいと言われた。

その時は不思議に思っていた小乃花だが、小学一年生となれば話は別だった。

 

「こうして会えて嬉しい……また会ってくれる?」

 

「もちろんいいよ」

 

「それにしても、ラ・ピュセルやスノーホワイトはだめだったね」

 

「うん。なんかラ・ピュセルが無理そうだからってスノーホワイトも一緒に。エレンも都合が合わないみたい」

 

綾名と小乃花が話していると、伊吹が声をかけてきた。

確かに今回は参加しなかった人のうちには、変身前の姿では難しい子もいた。

そして今小乃花がきになっているのは、連絡のつかないみふゆ。そして、絶交ルール以来会うどころか連絡がつかない天音姉妹。

ほかにもいくつかあるが、これを引きずったままだとこのパーティーを楽しめないと思い、今は忘れようとしていた。

 

「ビンゴ大会するぞー!!」

 

 

 

 

いろんなゲームなどをして最高のクリスマスパーティーは幕を閉じた

 

 

 

 

 

パーティーが終わり、すぐに帰らなくてはならない人以外はパーティーのあと片付けをしていた。

小乃花は一息つくために情報屋の玄関前で壁に背をあずけていた。

すると玄関のドアが開き、華乃が小乃花に声をかける。

 

「ちょっといいかな?」

 

華乃にそう言われ、魔法少女ヴァレンティナに変身して鉄塔へとたどり着いた。

腰を下ろして、リップルに話の内容を問いかける

 

「それで話ってなに?」

 

「…私からのクリスマスプレゼント、渡そうと思って」

 

「えっ何かな?嬉しい~」

 

するとリップルは深呼吸をして、ヴァレンティナに向き合い顔を近づける。

ヴァレンティナが驚いている間に、二人の唇が重なった。

 

しばらくしてリップルは唇を離し、ヴァレンティナの両腕を掴んで、顔をヴァレンティナの胸元に埋めた。

 

「約束する。私はこれから小乃花のために戦う。だから小乃花もひとりでどこかに行こうとしないで……小乃花が行こうとするならどこだってついて行くから…」

 

リップルの告白を聞いて、最初は驚いていたヴァレンティナだが、嬉しかったのか、両手をリップルの背中に回した。

 

「…ありがとう、華乃」

 

しかしその表情は儚く、けれども何かを決意した顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから二日後、小乃花は玄関にて靴を履いていた。

 

「あら小乃花、どこかへ出かけるの?」

 

「はい。両親のお墓まえりに」

 

どこへ出かけるのかと思い、小乃花に問いかけるやちよ。すると小乃花は両親のお墓まえりに行くと答えた。

 

「なら私も行きましょうか?」

 

「いえ大丈夫です。今日は一人で行かせてください」

 

「そう。気をつけてね」

 

と、やちよに言われた小乃花は玄関のドアを閉めて一息つく。

小乃花が進む道は、両親のお墓とは真逆の方角だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた先は、先日ねむから貰った住所の場所。

間違えていないことを確認して中へと入っていく。

 

「いらっしゃい。お姉様」

 

「灯花ちゃん……話を聞きにきたよ」

 

「そっか。ならさっそく話をしよっかー、きっとお姉様がマギウスに戻ってきてくれる根拠を」

 

すると灯花は小乃花に椅子に座るよう言った。小乃花は怪しみながらも椅子に座った。

 

「最初からちょっと責めるようで悪いんだけどね、お姉様は一体何人の魔法少女を………殺めたのかな?」

 

「それは……」

 

「お姉様ならずっとこのままにはしないよね?きっと罪滅ぼしはしたいって考えてるよね?だったらマギウスにおまかせっお姉様の罪滅ぼしが一回で全部終わらせられる方法があるんだよ」

 

灯花の言葉を聞いて反論もできず、それにマギウスにいれば全部が終わることについて知りたかった。

 

「それってどうやるの?」

 

「興味を持ってくれたみたいで嬉しいよ。簡単に説明するとね、ウワサとの融合だよー」

 

「融合……」

 

「それにもっとお得情報!ウワサと融合してくれたら、今のお仲間さん達の安全は保証して上げるよ」

 

″私が行けばみんながたすかる″そんなかんがえが頭を過ぎる。しかしウワサとの融合がどういうものなのか分からない。

どうすればいいのかと考えていると、灯花が口を開いた。

 

「それにね~ずっと連絡が取れなかったみふゆとあの姉妹……返してあげてもいいよ」

 

「!?三人がここに居るの!」

 

「お姉様が力をくれるなら、何もしないで返してあげる」

 

まるで小乃花の考えにトドメを刺されるように言われたその言葉。小乃花は下唇を噛みどうすればいいのかと考える。

すると後ろから両手で頭を抑えられた。

 

「そんなに深く考えなくていい…けれど、お姉さんの選択でメリットはいくつあるかな?」

 

声でねむだと分かった。

ねむに言われた通り、小乃花は自分が行けばメリットがいくつあるのかと考えた。

みんなの安全、みふゆ達が帰ってくる、今までの罪滅ぼしができる…確かにメリットの方が多かった。

すると小乃花は決意したように目を瞑った。

 

「答えは決まったかにゃ?お姉様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を…ウワサと融合させて……それでみんなが助かるなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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38話 ウワサの創造主

 

小乃花がマギウスのところに行ってた次の日、その連絡は日付が変わってすぐに来た。

その送り主は、いままで連絡のつかなかったみふゆからだった。

みふゆからの連絡でも驚いたが、その内容で全員が目を見開いた。

 

 

[皆さん至急みたまさんのお店に来てください。小乃花さんが危険なんです。]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず、皆さんにご心配をおかけして申し訳ございません」

 

全員が集まったことを確認して、最初に謝罪をするみふゆ。その両隣にいる月夜と月咲も頭を下げて謝罪をする。

 

「それでみふゆ、あのメールの内容はどういうこと?」

 

「はい。私たち三人は先程までマギウスに捕まっていました。理由も聞かされていませんでした……ですが、先程私たちのところに灯花がやって来てこう言われました」

 

『お姉様が来てくれたからもう帰ってもいいよ~』

 

「来てくれたと言うのは、マギウスに戻ってきたということになります。小乃花さんがどうして戻ってきたのかは分かりません。ですが、何か危険なことが始まっているのは確かです。今まで以上に白羽根と黒羽根が動き出しています…」

 

みふゆがここまでの経緯を話した。

確かにここまで白羽根と黒羽根とは対立してこなかった。急に動き出すのは妙だと思った。

 

「それは~灯花ちゃん達のためだったりするんだ〜」

 

ここにいる誰の声でもなかった。

声がするのは後ろ、全員が振り向けばそこには敵である里見灯花がいた。

 

「灯花……小乃花さんはどこですか!」

 

「落ち着いてよみふゆ。お姉様は無事だよー……でも、人間としてはどうだろうかにゃ〜」

 

灯花の最後の発言に全員が疑問を浮かべた。

″人間として″とはどういうことだろう、問いかけるまもなく灯花は答えた。

 

「お姉様は今、ウワサと融合してるんだよ。まぁ実験台だねぇーさっき様子を見に行ったけど、もう自我はないかもね。お姉様と融合したウワサどっちの位が高いかって言ったらきっと融合したウワサかもね、助けに行くなら死ぬ気で行った方がいいよー…それじゃ私とねむはこの国から離れる準備をしなくちゃだから、ばいばーい」

 

灯花が消え、情報屋の空間には沈黙が続いた。

すると、リュドミラのマジカルフォンが突然開いた。そこに映るのは、今まで現れなかったイストワールだった。

 

「イストワール!戻ってこれたの?」

 

『ただ今戻りました…と言ってもこれはまだ試験段階で、七戦姫であるリュドミラさんとエレオノーラさんの端末にやっと入れた状況です。それより、皆さん…マギウスの機密情報を探って来ました』

 

イストワールが戻ってきたことに喜ぶ一同だが、次のイストワールの言葉で緊張が走った。

 

『まず一つですが、ヴァレンティナさんのことについてです。実はヴァレンティナさんとウワサには強い接点がありました。ヴァレンティナさんが……ウワサの創造主だったんです』

 

「ワット?アリナはマギウスだったけど…そんなこと知らないんですケド」

 

『それは仕方ないと思います。このことは里見灯花と柊ねむしか知らないんですから……ヴァレンティナさんは覚えてませんでしたが、柊ねむが記憶を思い出させていたので、本人も分かっているでしょう』

 

この新たな事実が合わさると、ウワサが具現化した経緯はこうなる。

元々噂話として存在していたウワサをヴァレンティナこと結城小乃花がデザイン。それを見た里見灯花がウワサを実現させようと提案。その案を聞いたアリナがウワサの具現化に成功。最後に、柊ねむがウワサが実現するウワサを流して、かくウワサが存在する場所にウワサをばらまく…こう言うことになった。

 

『そして二つ目ですが、先程言っていた通りマギウスの里見灯花と柊ねむがまもなく日本を離れます。残っているウワサや魔女を流出させるためと、ここまで実験してきた人間改造についての情報を国外にいる組織に渡すらしいです。どちらにしても急がなくては…』

 

「そうだよやちよっ急いでマギウスをとめなきゃ!」

 

「でも小乃花をそのままにしている訳にはいかない……ここは、二手に別れましょう」

 

日本を離れて自分たちの実験情報を流そうとするマギウス、ウワサに操られ自我を保てない小乃花…どちらも優先しなくてはならない今、この人数なら二手に別れた方がいいと提案するやちよ。

その案にだれも反対はせず、どう別れるかの相談を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、場所はイストワールが見つけてくれたから……助けにいくわよ、ヴァレンティナを」

 

『七戦姫のお二人には新たな力を授けました。戦闘が始まったら使ってみてください』

 

いつも集まる鉄塔。そこには、ヴァレンティナを助けに行くチームが集まっていた。

メンバーは、指揮を任されたリュドミラをリーダーに、リップル、トップスピード、ラ・ピュセル、スイムスイム、スノーホワイト、エレオノーラ、天音姉妹だった。

残りのメンバーは、やちよをリーダーにマギウスを止めるためにヘリポートに向かった。

互いにリーダーであるリュドミラとやちよの相談で、惜しいがヴァレンティナを助けるのを優先することになった。

なので、マギウスを止められなくても気にせずヴァレンティナを助けるのは止めないことにした。

 

作戦開始まであともう少し、そんな時にリップルはリュドミラに頼み事をした。

 

「ヴァレンティナを助けに行くのは、私にさせてほしい…」

 

「……いいわよ。もともと頼まれなくてもそうするつもりだったしね」

 

リュドミラの予想外な答えに驚くリップル。すると後ろから何かを掛けられる。それは、トップスピードがいつも掛けているマントだった。

 

「オレの分まで頼んだぞ、そいつはお守りだと思って持っててくれ」

 

トップスピードの笑顔に答えるように頷いた。

 

「これ……あと少ししかないけど、使って欲しい」

 

そう言ってスイムスイムが渡したのは元気が出る薬。対するのはただの魔法少女ではなく、ウワサと融合した魔法少女。力が増すのなら持って行って損はないと思い受け取った。

 

「そろそろ時間よ。行きましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トップスピードはそのまま結界までリップルを送ってって。私たちは羽根達がいないか探してるから」

 

そう言ってリュドミラの指示で羽根達を探すために辺りを散策し始める。トップスピードはイストワールが言っていた結界までリップルを送る。

ここは森の中、無闇に歩くと羽根達と遭遇する可能性があるためこっちの方が安全だった。

 

 

 

 

 

「ほいよ、とーちゃく。んじゃヴァレンティナのこと頼んだぞ!」

 

トップスピードはそう言ってリュドミラのところに戻って行った。

リップルは目の前にある結界をみて息を呑む。スイムスイムスイムから貰った薬を一粒飲んで深呼吸する。

そして、結界のなかへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

結界の中へ入ると同時に先程までいた真っ暗な森とは真逆の白い光が視線を遮った。

しばらくして目を開けると、そこには明るい星空の下にある一面花畑の世界。リップルは辺りを見回しながら進んでいく。

しかし景色は一向に変わらない。しばらく進むと、人影が見えた。

後ろ姿で顔は見えないが、間違いなかった。ここまできた目的であるヴァレンティナだったが、髪色も服装も違った。

花畑にしゃがみこんで花を摘んでいた。

 

「小乃花っ!!」

 

リップルはヴァレンティナの名前を叫び呼ぼうとした。声に反応したのか振り返ったヴァレンティナ。

しかしその目には光はなく、無表情でその場から立ち上がる。

すると、先程まで摘んでいた花が光だし、剣になった。

剣を構えて走り出し、リップルに向かって剣を振るう。急なことだったが、上手く交わし刀を抜き取りヴァレンティナの持っている剣の刃と交える。

 

「小乃花っ私が分からないの!?」

 

今の状況が信じきれず声をかけ続けるリップルだが、返事どころか表情を変えず、再び剣を振るうヴァレンティナ。

 

「戦わなくちゃ…いけないの…」

 

ヴァレンティナと戦わなくてはいけない状況が信じきれていないが、救うためならと思い、刀を再び構えた。

そして、今まで殺し合うことなんてなかった二人が剣を交え始めた。

 

 

 

 

 

 



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39話 万年桜

華やかな花畑の中、リップルとヴァレンティナは互いの武器を交える。

しかしリップルは相手がヴァレンティナだからか、切ることが出来ずただ攻撃を防ぐだけで魔法も使わない。

だがヴァレンティナを助けるには倒さなくてはならない、どうすればいいのかと頭を悩ます。

対するヴァレンティナは未だに表情を変えず、ただ剣を振るうだけ。リップルか何度も声をかけるが反応すらみせない。

 

(どうすればいい…どうすれば……奥の手はあるけど、まだ早い…それに私にはヴァレンティナを攻撃できない…甘く見てたか…)

 

すると、ヴァレンティナが剣先を向けてリップルに向かってくる。刀で弾こうとするが一発一発が早すぎてみえず、いくつかの攻撃が腹部に刺さる。

深く刺さったからか、先程までのかすり傷よりも激痛が走る。痛みに耐えきれずその場でしゃがみこむリップル。

ヴァレンティナは隙を逃さず剣を振るう。横に避けて交わそうとするが、先程のダメージのせいか反応が遅れ、足にかする。

利き足に傷が入ったからかうまく立ち上がれない。するとヴァレンティナは剣ではなく武術での攻撃を始めた。

先程までとは違い、一発一発をガードしていく。しかし拳だけを意識していたせいか足技を食らう。その怯んだ隙をついてリップルの腹部に蹴りを入れる。

先程剣が刺さった場所を蹴られさらに激痛が走る。蹴りを食らった時に大きくはね飛ばされ、ヴァレンティナとの距離が離れる。リップルは痛みに耐えながら立ち上がろうとする。

そんな時に、リップルの懐に閉まっていたマジカルフォンが鳴り出した。しかし開いている余裕もないので、そのままの状態で通話を聞く

 

「なんの用……くそっ」

 

『ちょっと大丈夫っ今結界前にいるけど、どうしたのよ?声が辛そうじゃない…』

 

「大丈夫じゃない……ウワサだからって舐めてた。ヴァレンティナに攻撃できるわけない…」

 

リップルはそう言いながら先にいるヴァレンティナをみる。未だに無表情のあの顔を見て、自分への怒りと約束を守れなかった悔しさが溢れる。それを考えるだけで舌打ちをしてしまう。

 

『さっきイストワールから情報を貰ったわ。ウワサだから舐めてたのは私も同じ…でもね、今そこにいるのは本物のヴァレンティナじゃない、あんたがヴァレンティナに攻撃できないのを分かってたから姿をかえただけの偽物よ!』

 

「偽物!?…じゃあヴァレンティナはどこに…」

 

『偽物って言ってもヴァレンティナがウワサと融合してるのは確かよ。あの里見灯花って子が言ってたでしょ?上下関係でいえばウワサの方が上だって、ヴァレンティナの中にウワサがいるんじゃいの。ウワサの中にヴァレンティナがいるのよ…つまり、分かるわよね?』

 

「あぁ…っ…着ぐるみってことでしょ?」

 

リップルはリュドミラからいわれたウワサの正体を聞いて、もう防いでるだけじゃなくていいということと勝機が見えたことにより笑みをもらしながら立ち上がる。

 

『そういうこと。なにか強い衝撃を与えれば、ウワサみずからが回避するために分離するはずよ』

 

「ありがと…絶対そっちに帰るから…二人で」

 

マジカルフォンの通話を1度切り、ウワサに向き直る。そして腰に付けていた″四次元袋″に手をかける。この四次元袋は元々はヴァレンティナが持っていたものだが、彼女の部屋にあったものをやちよが持ってきて、それを借りたものだった。

リップルは、四次元袋から拳銃をウワサに見えないように取り出す。空いたもう片方の手でクナイを持ち、ウワサに向かい走り出す。ウワサは剣を構え攻撃の体勢をとる。

そして再び刃が交わる音が花畑に響く。ウワサは先程までとは何かが違うことに気づいた。さっきまではこちらが押していたのに、今では押されていることに。今の状態ではクナイを弾くことができない、するとリップルはもう片方の手に持った拳銃をウワサの腹部に向け、三発発砲した。

リップルはその場から離れるように飛び、拳銃を構える。

ウワサは撃たれたところを押さえながらリップルを睨む。リップルは魔法を使って残りの三発を撃つが剣で弾かれる。弾切れになった拳銃を投げ捨て走り出す。

トップスピードから預かったマントをウワサに覆い被せる。視界を遮るようにマントをかけられたウワサはリップルがいるであろう方向に剣を振るう。

刺さりはしなかったが、左目に掠った。左側に熱を感じ手で触ればその手は赤く染っていた。よく見れば左側の視界が赤いことに気づき舌打ちをする。そして、四次元袋から手榴弾を取り出しピンを抜き押し込むようにウワサに向ける。このままだとリップル自身も巻き込まれる可能性があるが、今はそんなことまで気にしている場合ではない。爆発が起こった瞬間、リップルは強い衝撃を受けた。

 

 

 

爆発の衝撃で意識を失っていたリップルは目を覚ます。意識が朦朧とするなか聞き覚えのある声が聞こえる。

 

『………ル……聞………ね…!』

 

何を言ってるのかは分からないが、リュドミラの声だということは分かる。しかし腕に力が入らないためマジカルフォンを取ることができない。ウワサがどうなったのかを確認したくても足が動かない。しかし出血は多くないため、手榴弾の爆発の衝撃で動かないだけ。無理に立ち上がろうとするリップルの目の前に人影が映る。

 

「だ……れ…」

 

| 私はウワサ、万年桜のウワサ…人々に幸せを与えるために作られた最初のウワサ |

 

「ウワサ……」

 

| 主を脅かしたウワサは倒された…ありがとう。しかし今、主は危険な状態にある…お前のおかげで怪我はしていないがウワサのせいで昏睡状態にある。主を助けるために、頼みたいことがある… |

 

やっと足に力が入り、ふらつきながらも立ち上がるリップル。立ち上がったことにより、目の前にいるウワサがどんな姿なのかが分かる。髪色も服装も桜色。まるで桜を擬人化したようなウワサだった。

 

| 私の代わりに…主のことを守ってほしい… |

 

「…どういうこと?」

 

| 私は、主を助けるために主の中へと融合して生命維持装置として生きていく…そうすれば私はこの世界からは消滅する。先程も言ったように私は最初に作られたウワサ…しかし、ほかのウワサとは違い守る噂がないオリジナル…不思議なことにマギウス達は私の存在を知らない。だから私は今日まで主を見守ってきた…その役目をお前に任せたい…頼める? |

 

万年桜のウワサの話を聞いて、先程のお願いがどういうことのかは理解したリップル。するとリップルは今の話を聞いて疑問に思ったことを万年桜のウワサに問いかける。

 

「じゃあ…小乃花と融合したあのウワサは?」

 

| やつはマギウスが作ったオリジナル。マギウスの二人が主を思って作られたウワサだが、マギウス達のせいなのかは分からないが主がやつを扱うのはとても危険なこと。それに私以外のウワサは主を慕っている訳では無い、人間よりも強いという強さの現れが融合するがわの人間を上回る場合飲み込まれてしまう…これが今回主がああなった原因 |

 

万年桜のウワサは、遠くにあるウワサの残骸を目にする。自身と同じ人型だからかそれともヴァレンティナに化けていたせいかは分からないが血液が大量に流れ、遠くからみても分かるくらい原型をとどめていなかった。

 

| しかし私は主を慕い、人間と敵対する意思もない。生命維持装置として主と融合しても意思を持つのは主。生命維持装置としての機能に成功すれば主は病気のことを気にせず楽に生活ができ、魔法少女としての力も強くなる…しかしウワサの力を使いこなすには時間がかかる、最初のうちは誰かが傍にいないと暴走したときなどは危険。だから最初も、その後からも支えていくものが必要になる。最後にもう一度聞く。頼める? |

 

「分かった……小乃花とも、そう約束したから…」

 

| ありがとう。それでは融合を始めよう… |

 

そう言って万年桜のウワサは花に囲まれながら眠っているヴァレンティナへと近づく。

そのあとについて行くように歩くリップル。

万年桜のウワサはヴァレンティナの頭に抑えるように両手をあて、目を瞑る。そして次の瞬間万年桜のウワサは光り輝く。

 

| 融合が始まってる。もうまもなく私は消えるがお前はそのまま主そばを離れないでいてほしい………最後にもうひとつ頼みたい |

 

「…なに?」

 

| 状況が落ち着き、春を迎えたら…主を花見に連れて行ってくれ…いつか友達ができたら行きたいと言っていた |

 

万年桜のウワサの頼み事を聞いたリップルはそれを了承するかのように頷いた。その反応をみた万年桜のウワサは安心したように笑みをもらした。その直後に万年桜のウワサは先程までよりも強く光り輝き、姿が見えなくなった。

集まった光は粒のように小さくなり、ヴァレンティナの中へと入っていく。先程まで万年桜のウワサがいた所にはもう彼女の姿はなかった

 

ヴァレンティナに視線を移せば、瞼がゆっくりと上がろうとしていた。生命維持装置としての機能は成功したことになる。よくみれば先程の光のあとからヴァレンティナの魔法少女衣装が違うことに気づく。これも融合したからなのだろうと理解した。

 

「…華乃?」

 

「小乃花……よかった…」

 

意識を取り戻したのか、リップルをみて名前を呼ぶヴァレンティナ。戻ってきたんだと分かり安心したのか涙目になるリップル。無理に起き上がろうとするヴァレンティナに肩を貸し立ち上がらせる。ヴァレンティナは辺りを見回して、左側が赤く染ったリップルをみて涙を流す。

 

「私……みふゆさん達を、みんなを助けたかっただけなのに…ごめん、私のせいだよね…」

 

「そんなことない……もう約束、忘れた?」

 

そうヴァレンティナに問いかけるリップル。ヴァレンティナは目元を擦りながら首を横に振る。

 

「なら…私は気にしてない。それに私、強くなれた気がするから…」

 

「うん……ありがとう…華乃…」

 

ウワサのいなくなった結界で再会を喜ぶ二人。笑みを浮かべる二人を、結界内に咲く花…そして万年桜のウワサによって作られた季節外れの満開の桜の木が見守っていた。

 

 

 








Next time the lastround


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40話 The tie that binds


The tie that binds

意味=固く結ばれた絆


-あれから4ヶ月の月日が流れ、春が訪れました。ヴァレンティナさんは無事にみなさんの元へ戻ることができましたが、マギウスの二人には羽根達に妨害され、逃がしてしいました。ヴァレンティナさんとリップルさんは入院しましたが、すぐに退院できました。しかしリップルさんの左目の傷は深く、傷は残ってしまいました。医者もみなさんも眼帯を付けることを進めていましたが、本人がこのままで言いと仰っていたのでそのままの状態で過ごしています。ヴァレンティナさんの記憶は全て戻り、今ではもとのマンションで生活していますが、一つ変化がありました-

 

「小乃花、行くよ」

 

玄関から荷物を持った華乃が、小乃花を呼ぶ。呼びかけに反応して玄関へと小走りする。

先程まで小乃花がいた所にはカレンダー。今月である四月の今日の日付の所にはカラーペンでその日の予定が書かれている。

 

[みんなとお花見♪]

 

トートバッグを持って靴を履き、玄関の鍵を閉める。

二人はエレベーターを降り、管理人さんに挨拶をして出ていく。外には伊吹がスマホを弄りながら待っていた。

 

「おはよ、どう?いろいろ落ち着いた?」

 

「もう1ヶ月ですよ、落ち着きましたよ。ね?華乃」

 

そう問いかける小乃花に頷き答えた。

 

-春ですから進級だと思いますよね?違うんです、実はヴァレンティナさんとリップルさん…共同生活を始めたそうです。始めたのはひと月前ですが、考えていたのは年明けからだと言っていました。ヴァレンティナさんはやちよさんから許可をもらい、色々準備をして三月、ヴァレンティナさんのマンションでの共同生活が始まったそうです。理由を伺ったのですが内緒だと言われてしまいました-

 

「黒羽根と白羽根の残党はどうなったのかしら?」

 

「十七夜さんやアリナさんが何人か拘束して情報をはかせたみたいだけど、数が多くて…近くの街に残ってるのは確かみたい」

 

花見をする場所へと向かう道のりの途中、三人はあれからあまり姿を現さない羽根達のことについて話す。

あの日日本を離れたのはマギウスである里見灯花と柊ねむの2人のみ。羽根達はマギウスの二人が日本を離れるまでの援護を頼み、成功のあかつきには羽根達は自由にしていろという命令をくだされた。羽根達はすでにマギウスに洗脳された宗教のようなもの、平和に魔法少女をしていようと考えるものはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花見が行われる公園に到着したと同時に、小乃花は誰かに抱きつかれた。小乃花よりも身長がとても小さく、下を向かないと顔は見えないため、下を向くと抱きついてきている人物が分かった。

 

「小乃花お姉ちゃん……ぎゅ」

 

「綾名ちゃん…びっくりした〜どうしたの?」

 

抱きついている綾名にどうして抱きついてきたのかを問いかけると、綾名は小乃花の隣にいるちょっと不機嫌そうな華乃のほうを向いた。それがどういうことなのかは分からなかったが、綾名は直ぐに答えた。

 

「魔法少女の時に…抱きついたら……リップル怒る…」

 

「……どっちでも怒るけど」

 

「はいはい喧嘩しないの…」

 

華乃と綾名が睨み合っているのをみて、伊吹は下手すれば変身しかねないと思い大事になる前に二人の間に割り込む。

 

「味は50点元気は満点中華飯店万々歳!お花見出張バージョン只今参上!」

 

「お花見出張バージョン、何か違うの?」

 

「いや、ただ言ってみたかっただけだよ。さっき中身確認したけどいつもの出前となんも変わってないよ」

 

ただ今到着した鶴乃とももこ。お花見出張バージョンがどういう意味なのか問いかける小乃花だが、特に変わり映えはないようだ。

すると、花見会場の方からやちよが歩いてきた。

 

「そんなところで話してないで、荷物置きに行くわよ。何人かもう来てるから」

 

そう言われ、話したりする前に全員荷物を置くことにした。

桜の木の下に敷かれた大きなレジャーシートには天音姉妹に十七夜それに子供を抱っこして座っているつばめがいた。

しかし全員が見ているのはそのすぐ近くにいる人影。誰も見覚えがなく見たところ高校生か大学生だと思われる。

小乃花は一人その人物の正体であろう人を知っていた。もしかしたらと思い問いかける。

 

「もしかして…エレン?」

 

「…あぁ、こっちの姿では初めてだな。風深空音大学生だ、よろしくな」

 

初めて会った時のように小乃花に手を差し出す空音。小乃花はこっちの姿でも会えたことに喜び、笑顔で握手を交わした。

そんな二人を後ろで見ていた伊吹は驚いた表情をしていた。

 

「うそ……エレオノーラが、年上なんてっ」

 

「伊吹さん…そんなに驚かなくても、私は前からエレン…空音さんは年上な気がしてたし」

 

「そう言えばリュドミラ…お前はこちらだとなんと呼べばいい?」

 

そう伊吹に話しかける空音。伊吹は不機嫌そうに空音に近づき手を差し出しだす。

 

「雪乃伊吹よ……よ、よろしく…空音」

 

「年上には…敬語じゃないのか?なってないな…伊吹」

 

「うるさいわねー!!」

 

「まぁまぁお二人共…仲良くしましょ、ね?」

 

 

いつものように喧嘩沙汰になりそうな予感がしたために仲裁に入る小乃花

 

 

その後、眠たそうにしたアリナや差し入れを持ってきたみたま、十七夜も合流してお花見が始まった

 

 

 

始まってしばらくした頃、食べたり遊んだりと自由行動になり、小乃花は1人桜の木を見つめていた

その手には少しボロボロになった紙が握られていた

 

4つ折りにされていた紙を開けばそこには色鉛筆で書かれた絵。その絵は女の子が描かれ、万年桜のウワサによく似ていた

 

「ずっと忘れてて…ごめんね」

 

紙を握る力を強め、謝罪の言葉を口にした

そんな小乃花を遠目に見つめていたアリナは小乃花に声をかけた

 

「小乃花、大事な話があるノ」

 

真剣なアリナの表情をみて、小乃花は素直にアリナの後について行った。お花見会場から少し離れた場所に着くとそこには十七夜が待ち構えていた

 

「結城、実はあれからマギウスの行方を調べたのだが…いくつもの国を何度も回っているんだ」

 

十七夜は持っていたタブレットを見せた

そこには世界地図に、マギウスが言ったであろう国やそこから更にどこへ行ったのか赤いラインが描かれていた

 

「日本以外はほぼ全て真っ赤っか…」

 

「外国で魔女や新しいマギウスの羽根を増やそうとしてる…アリナ達はそう考える」

 

「かと言って戦力を一気に他国に送るわけにはいかない…日本でも羽根の残党狩りをしなくてはならない、そこでだ結城…遠征に行ってはくれないか?」

 

アリナと十七夜が呼んだ理由、それは灯花とねむの行動の追跡と各国で増やされた魔女の討伐だった

 

「いつ戻れるかは分からない…小乃花の今後に支障が出るのは確かなワケ。無理にYESなんて言わないでネ」

 

「よく考えてから返答してくれ」

 

「いいえ…答えは決まってます」

 

 

 

 

 

 

「…私に行かせてください」

 

 

 

 

 

 

 

花見終わりの帰り道、同居をしている小乃花と華乃は肩を並べて歩いていた

 

「華乃…あのね、私しばらく日本を離れることになったの」

 

「…は?」

 

「外国で増えた魔女やマギウスの羽根を狩るためにね」

 

「1人で行くの?」

 

「うん。だって他のみんなは学校とか家族とかあるからさ…私はもう家族はいないし…学校だって問題ないから」

 

無理に作った笑顔を見せる小乃花の手を優しく握りしめる華乃

 

「…行って、ほしくない」

 

「私もみんなと離れたくはないけど…私が頑張らなくちゃ」

 

「…だから」

 

 

 

 

 

 

「私も行く」

 

「え…なんで…」

 

「学校なんてどうだっていい…親とは連絡とってないから関係ない…小乃花と一緒にいれるだけでいい」

 

小乃花の胸に頭を当てる

涙を堪えているようだったため、小乃花は華乃の頭を撫でる

 

「2人で頑張っていこうよ…私はいつだって小乃花の傍にいるよ」

 

「…うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2週間後____ロンドン

 

 

家の明かりや街灯が輝く街中、そびえ建つビルの中で1番高い高層ビルの1番上に立つ小乃花___魔法少女ヴァレンティナ

ヴァレンティナの手には電源が入っていないマジカルフォン

 

「こっちに来て1週間…かれこれ魔女10体、羽根30人ってところかな…」

 

ここ1週間の結果を確認していると、後ろから声がかかる

 

「こっちの偵察終わったよ、合計合わせて4ってとこかな」

 

「うん、そうだね…」

 

ヴァレンティナの反対がわからやってきた華乃___魔法少女リップル

 

そんなリップルの声にそっけなくこたえるヴァレンティナ

 

「…寂しくなったなんて言わないでよ?」

 

「言わないよ…華乃がいるからね」

 

ヴァレンティナからの返答に顔を赤くしてそっぽを向くリップル

そんなリップルの表情をみて微笑むヴァレンティナ

 

「さて…そろそろ行こっか、夜が明けるまでには終わらせようね?」

 

「ん…それとさっき十七夜から連絡があった、明後日からはアメリカだって」

 

「うん、じゃあ帰ったら荷造りしないとね」

 

そういった後2人は躊躇なく高層ビルを降りていき、街の中へと姿を消した

 

 

 

 

 

 

魔法少女が誕生した原因でもあるアプリゲーム【魔法少女育成計画】通称【まほいく】

そしてそこから誕生した魔法少女達による殺し合い

1人の魔法少女の勇敢な行動により終息した

 

この事件のことは後に【第一次魔法少女事件】となづけられた

 

 

そしてそれからしばらくした頃、数名の魔法少女のみに届けられた謎の招待状から全てが始まった

選ばれた7人の魔法少女が互いの地区を陣地と言い表して戦う陣取り合戦

決着が着いたことにより終息はしたが、7人の魔法少女の内4人が命を落とす辛い結果となった

 

この事件をのちに【第二次魔法少女事件】と呼ばれる

 

 

そして現在も主犯の追跡は続けられているが、一応の終息がついた事件

二人の魔法少女が宗教団体のようなものを作ったことにより始まっまたのだった

魔女と呼ばれる謎の生命体を作り街に放つ、羽根と呼ばれる仲間に魔法少女達を襲わせるなど目立った犯行が多かった【マギウス】

 

その主犯が、里見灯花と柊ねむだと決定づけられたと同時に主犯の2人は海外へ逃亡

その行動偵察、妨害、報告をするために2人の魔法少女が放たれた

 

ここまでの事件を【第三次魔法少女事件】と呼ばれるようになった

 

 

主犯の逃亡により平和が訪れたと思われていた

 

 

 

 

 

 

平和は突然に崩れ去る______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おめでとう!あなたは魔法少女に選ばれたポン!』

 

 

 

 

 

 

 

 

《第一部 完》

 

 

 

 



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