冬島玄斗は式神使いである (向上3)
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1.出会い

勢いで書いてますが,温かく見守ってください.
基本,主人公目線ですが,場合によって,キャラクター達も書きます.


~鷲尾須美~

「「おはよう.」」

「おはようございます.」

学校へ登校した私はいつも通り,クラスの子達と挨拶を交わしていきながら,自分の席に着く.

私の席の隣ではいつも通り,乃木さんが花提灯を作りながら眠っている.

 

プチン,と割れる音.

 

「わわわ!?お母さんごめんなさいー!!」

「.....あれ,家じゃない?」

いつものことではあるが,教室での居眠り癖は直らないのかしら.....

「乃木さん,ここは教室で朝の学活前よ」

「てへへ,鷲尾さん,おはよ~」

「おはようございます」

私は呆れたように挨拶を返した.

 

始業のチャイムが鳴りだした.

 

「皆さん,おはようございます」

私たちのクラス担任の安芸先生が教室に入ってきた.

ただ,普段とは違い,安芸先生と一緒に男性が入ってきた.

 

「セーフ!間に合った~!」

遅刻してやってくる三ノ輪さんはそう言ったと同時に安芸先生から,出席簿で軽く叩かれ怒られる.

三ノ輪さんが席に座って,学活が始まる.

教卓の前にいる先生の斜め後ろ位にさっきの男性がいる.

 

「朝からびっくりするでしょうが,皆さんにお知らせがあります.私と一緒に教室に入ってきた人についてですが,本人から自己紹介をお願いしたいと思います.では,冬島(ふゆじま)先生,お願いします」

 

安芸先生と男性が交代するかのように,教卓の前に来た.

 

「教育実習生としてきました!冬島(ふゆじま)玄斗(くろと)といいます.一カ月という短い期間ですが,皆さん,よろしくお願いします.」

 

 

 

.....これが私たちと冬島先生との初めての出会い.....

 

 

 

~冬島玄斗~

今日から教育実習ということで,僕は新樹館小学校へと訪れ,担当クラスとなる6年2組へと担任の安芸先生と向かっている.

 

「冬島君,大変だとは思うけど,今日から1ヵ月頑張ってね」

「はい!ありがとうございます.先輩!」

「ここでは先輩はやめてね.ここでは先生よ,先生」

「あはは.....すいません」

安芸先輩改めて,安芸先生は大学のOBであり,よくお世話になった人だ.

「.....事前に知ってるだろうけど,私のクラスの『三ノ輪 銀』,『乃木 園子』,『鷲尾 須美』はこの度,お役目を授かっている勇者よ.そこは忘れないようにね」

「.....はい」

 

僕と安芸先輩は大学での関係もだが,大赦の関係者でもある.ただし,部署が違う.

僕は勇者システムの開発,改修をする技術部門.先輩は勇者たちのサポートを行うサポート部門だ.

今回,教育実習生として来ているが,技術部門の人間として,勇者たちに合わせた勇者システムの開発のデータ集めに来ている.

 

 

教室の前まで来た僕たちは一緒に教室へ入っていく.

「皆さん,おはようございます」

教室に入った先輩は子どもたちに挨拶をしたが,僕たちが入ってすぐ遅刻してやってきた子が教室に入ってきた.

 

「セーフ!間に合った~!」

「間に合っていませんよ,三ノ輪さん」

先輩が持っている出席簿で軽く叩かれたあと,怒られる.

怒られた子はすぐさま,席へ着いたが,鞄を開けた途端に焦った顔になった.

 

何か忘れ物でもしたのかな.....?

 

と,考えている僕を他所に教卓の前立った安芸先輩は朝の学活を始める.ちなみに僕は先輩の斜め後ろぐらいで待機だ.

 

「朝からびっくりするでしょうが,皆さんにお知らせがあります.私と一緒に教室に入ってきた人についてですが,本人から自己紹介をお願いしたいと思います.では,冬島(ふゆじま)先生,お願いします」

 

僕の名前が呼ばれ,安芸先輩と交代するように教卓の前に立つ.

あぁ,緊張するなぁ.....

と考えた,僕だがすぐに自己紹介を始めた.

 

「教育実習生としてきました,冬島(ふゆじま)玄斗(くろと)といいます.一カ月という短い期間ですが,皆さん,よろしくお願いします.」

 

パチパチ,と拍手が響く.

 

「冬島先生,ありがとうございます.では,今日の日直の人」

自己紹介を終えた僕は先輩と交代し,先輩は日直へ声をかける.

 

「はい」

日直の女の子『鷲尾須美』は返事をした.

「起立」

「礼」

 

僕も一緒に礼をする.その後,子供たちは後ろを向き,一緒に合掌.

「新樹様のおかげで今日の私たちがあります」

子供たちは前に向き直る.

「神棚に礼」

その声とともに,神棚に向かって礼をする.

「着席」

 

 

.....その声とともに世界は止まった.

 

 

 

 

 

 

 

 




執筆作業が久々すぎて,疲れましたw




鉄鼠(てっそ)』,『桂蔵坊(けいぞうぼう)』,『陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)はゆゆゆいで出てくる精霊たちと同じ姿をしています


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2.勇者

今回は銀パートからになります.

間違えを修正しました.
鎮魂の儀→鎮花の儀     (1/27)


~三ノ輪銀~

遅刻して教室に入ってきた私を待っていたのは,安芸先生と教育実習生「冬島玄斗」だった.

出席簿で叩かれた私は自分の席に着いて,ランドセルを開ける

 

「あ.....教科書,忘れた」

軽いとは思っていたけど,教科書を忘れるなんて.....

 

 

 

 

「起立」

「礼」

「新樹様のおかげで今日の私たちがあります」

「神棚に礼」

「着席」

 

挨拶が終わり,席に着いた

けど,何かが違う.

同じ勇者である,乃木さん,鷲尾さんも気が付いたようだ.

 

「これって.....」

風鈴の音が聞こえてきた.

 

「来たんだ,私たちがお役目をする時が」

鷲尾さんは確信したように言い放った.

 

光が世界を包んでいく.

「おおぉ,きたきたぁ!!」

 

世界が包まれていく中,私が見たのは,御札を手に持った冬島先生だった.

 

 

 

~冬島玄斗~

世界が止まった.

 

生物,無機物関係なく,全ての動きが止まる.

 

樹海化現象の前触れが起きた.

樹海化現象が起きている間,動けるのは勇者のみとなっている.しかし,このような状況には例外が存在する.

その例外の一つが僕である.

僕は着ているスーツのポケットから一枚の御札を取り出した.

これが僕が使える力であり,大赦からの任務を仰せつかった理由だ.

 

風鈴の音が鳴り響いてすぐ,世界は光で包まれていった.

 

 

 

 

 

光がやむと街並みだったのが木の根っこがたくさん生えているような風景に変わっている.

 

 

勇者三人は初めての樹海に興奮して辺りを見渡している.

三ノ輪銀はスマホを取り出して,写真を撮りだしている.

 

これから戦いなのに大丈夫なのかな,三人とも.....

 

そんな様子を見ていた僕にいち早く気が付いたのは,写真を撮っている三ノ輪銀だった.

 

「なんで,冬島先生もここにいるの!?」

「え~,なんで~?」

「樹海に入れるのは勇者だけのはずじゃ.....」

 

三ノ輪銀の声で他の二人も僕がいることに気が付いた.

僕に気が付いた三人に対して,僕は片膝をついて言った.

 

「乃木園子様,三ノ輪銀様,鷲尾須美様.今は敵が来ています.どうか勇者のお役目をお果たしください.

私が樹海にいる理由はお役目が終わった後,お話しさせていただきます」

 

ここは学校ではない.特別な理由がない限り,僕は三人のことを勇者として崇めなくてならない.

 

僕がそんな思いを巡らせている中,勇者三人は僕の言った通り,お役目を果たすために,スマホを取り出して祝詞を語りだす.

祝詞を語り終わったと,同時に三人はスマホに表示されたアイコンをタッチした.

すると,三人の周りを花びらが舞いだし,収まった時には,三人の姿は変わっていた.

お役目を果たすために作られたシステム『勇者システム』が三人が勇者として戦う姿に変身させた.

乃木園子は槍.三ノ輪銀は斧.鷲尾須美は弓.

それぞれの武器を手に持っている.

 

「よーし,ぶったおす!」

「ミノさん,私も!」

「二人とも待ちなさい!」

 

三ノ輪銀,乃木園子,鷲尾須美の順番に敵が攻めてくる場所『大橋』へと向かっていった.

 

その様子を見ていた僕は,ポケットから新たに三枚の御札を取り出し,

「出てこい,鉄鼠(てっそ)桂蔵坊(けいぞうぼう)陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)!」

地面に向かってに投げた.

 

御札から煙が湧き出し,その中から,鼠,狐,狸のような生物が姿を現した.

「勇者三人がピンチになったら,助けてやってくれ」

僕がそう言うと,三匹は頷くような仕草をした後,三人を追いかけるように飛んでいった.

 

あの生物達は妖怪と言われている存在だ.西暦の時代は数が多かったらしいが,今では四国内に存在しており,数が少ない.

また,力が強い妖怪に関しては新樹様と融合しているらしい.

その妖怪たちと契約をし,従えている者のことを式神使いと呼んでいる.

しかし,今となっては,式神使いは僕の一族のみで妖怪と同様に数が少ない.

 

 

式神が向かったのを確認した僕はポケットからもう一枚,御札を取り出し投げた.

「出てこい,玄武(げんぶ)!」

 

再び投げた御札からは,煙が立ち上がる

 

「わしの出番かの~,玄坊」

 

煙の中から声が聞こえる.

煙が止むと中から,人が一人乗れそうなくらいの大きさの亀のような生物が姿を現す.

 

僕のことを玄坊と呼ぶ式神『玄武』.

僕が使役している式神の中で一番強い力を持ち,妖怪とは別の存在である.

 

「大橋まで連れて行ってくれないかい,玄武?」

「それがお主の使命じゃろう.乗るがいい」

「ありがとう,玄武」

 

事情を知っている玄武.

僕は玄武にお礼を言うと玄武の甲羅へ乗る.

僕が乗ったのを確認した玄武は宙へ浮かびだし,大橋方面へ飛んでいった.

 

 

 

 

 

大橋に着いて,すぐに僕が見たのは,三ノ輪銀が敵の攻撃?によって頭が水の玉によって包まれていた.

他の二人もすぐに三ノ輪銀の元に集まり,水の玉を外そうとするが外れない.

.....ようだったが,頭についた水を三ノ輪銀は飲み干した.

 

「.....飲んじゃってたけど,大丈夫なのかな?」

「この度の勇者は面白いの~」

 

飲み干した様子を見て呆れた僕と笑っている玄武.

そんな僕たちを他所に勇者たちは敵『バーテックス』に再び向かっていく.

 

前衛は乃木園子と三ノ輪銀.後衛は鷲尾須美か.

乃木園子の武器である槍は槍先を変化させることが出来る.

盾にして,バーテックスへ接近.三ノ輪銀が倒す形か.

 

「他のものどもはあの子達の近くにいるのか?」

玄武が他の式神達の行方が聞いてきた.

 

「あの子達には三人を守るように言ってあるからね.ただ,姿を見せるのは致命傷を負う場合のみって言ってあるよ」

「なら,命だけは安全なのかの」

 

.....命だけは安全.命だけは.

僕がそんなことを思っている中,三人は跳び上がって,バーテックスへ止めをさした.

 

止めをさしたのは三ノ輪銀か.

しかし,落下しているバーテックスは最後の力を振り絞ったように攻撃を三ノ輪銀へと繰り出され,三ノ輪銀は地面へ叩きつけられた.

土煙が舞い上がった

しかし,バーテックスの攻撃は当たったかのように思われた.

煙が消えるとそこには,無事な三ノ輪銀とその前にいる狐の姿をした式神『桂蔵坊(けいぞうぼう)』が姿を現したが,すぐに姿を現していた桂蔵坊(けいぞうぼう)は姿を消した.

 

「無事でよかったの~,あの小娘」

「.....ええ,本当に」

 

戦いが終わり,鎮魂の儀.バーテックスの強制退去が始まった.

お役目が終わった勇者たちの元へ僕と玄武が向かった頃には鎮花の儀は終わり,樹海化現象が終わった.

 

 

 

 

 

 

 

 




執筆に時間がかかるぅぅぅぅぅ!!
本人が戦闘してるわけじゃないけど,戦闘描写難しい!!
本人が戦闘しだしたら,もっと時間がかかりそうですわ.....


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3.お役目後

3話目になります.
思ったこと
・必ず原作キャラの語りから始まるこの作品
・もうちょい,文章力を上げたいなぁ.....



雪,寒いっす (1/22)


~乃木園子~

 

 

 

 

「ん.....,ミノさん!?」

私は敵であるバーテックスが放った放水を受け,飛ばされた.

起き上がって見ると,ミノさんが鷲尾さんをかばって,バーテックスが飛ばしてきた水の玉に当たっていたのが見えた.

 

行かなきゃ!!

私は痛む体に鞭打つって,二人の元へ急いだ.

しかし,到着した私が見たのは,ミノさんが敵の攻撃である水の玉を飲むところだった.

 

「神の力を得た勇者にとって,水を飲み干すことなど,どうさもないのだ!!.....気持ち悪い.....」

すごい!水だとしても,敵の攻撃を飲み込んじゃった!!

「ミノさん,すっごい!お味は?」

「最初はサイダーでと途中でウーロン茶に変化した.....」

「まずそぉ.....」

サイダーのあとにウーロン茶って,嫌だなぁ.....

「そんなことより,バーテックス!」

 

私たちはバーテックスの方を向いた.

 

「あいつはヤバい」

分御霊(わけみたま)の数がすごい.出口が近いんだ!」

 

この大橋は新樹様がわざと作った結界の穴.バーテックス達はこの穴を通って,こちら側に進行してくる.

その穴の場所が現実では瀬戸大橋となっている.

この場所を突破されるということは,侵食の影響が四国に悪影響を及ぼすということだ.

 

「追撃を!」

「でも,効かなかったもんね」

鷲尾さんが追撃に行こうとしたが,ミノさんの言葉で止まった.

 

「でも,早くしないと,奴が大橋からでてしまうわ!」

「出たら,撃退できなくなるもんなぁ.根性でもう一回!」

 

この大橋は結界の穴ともう一つ目的がある.

『鎮花の儀』と言われる儀式だ.鎮花の儀はバーテックスがある一定のダメージを受けることで起き,バーテックスは結界の外へ強制退去させられる.

 

「あ!ピッカンと閃いた!」

私は二人にある作戦を提案をするのだった.

 

 

 

 

 

「気がついた!」

鷲尾さんが撃った矢がバーテックスに当たり,バーテックスはこちらを向いた.

「こっち向いたよ~」

「急がないと!!」

「来るぞ!」

「展開!」

私は槍を先ほどの盾へと変形させる.

 

私が提案した作戦は,私がバーテックスの攻撃を防ぎ,鷲尾さんが相手の攻撃の迎撃.敵の近くまで行った所でミノさんが止めを刺すといったものだ.

この提案が上手くいくか,分からない.....けど,成功させないと,世界が終わる.

私たちは気を引き締めて行動を開始した.

 

 

 

 

 

作戦は順調に進み,バーテックスの近くまで行き,飛び上がった私たち.

私はミノさんを槍を使い,バーテックスに向かって投げ飛ばした.

ミノさんは投げ飛ばされた勢いを利用して,バーテックスの体の一部を破壊.

再び,飛び上がって追撃を加えた.

しかし,バーテックスは追撃を終えたミノさんに対して,最後の攻撃と言わんばかりの放水を放った.

 

「ミノさん!」

私は叫んだ.空中で防御も出来ない体制で放たれた攻撃を受けて無事であるはずがない.

 

攻撃が当たったミノさんは地面へと勢いよく叩きつけられ,土煙が舞う.

私はミノさんが落ちた場所へと駆けた.

 

 

 

「ミノさん!ミノさん,どこ!」

土煙が舞っていて,姿が見えない.

ミノさんを探している私を他所に鎮花の儀が始まった.

バーテックスは上へ飛んでいく.

バーテックスが強制退去させられた瞬間,突風が起きた.

その突風のおかげで土煙が吹きとばされた.

 

土煙が消え,ミノさんの姿が見えた.

「ミノさん!」

私はミノさんの元へ駆けようとした時,ミノさんの前に狐のような何かが着物を着て,守るようにいたのが見えた.

私がミノさんの元についた時には,狐のような何かは姿を消しており,ミノさんは立ち上がっていた.

 

 

 

 

花びらが舞い上がり,光に包まれる.樹海が解除される合図だ.

私たちの初陣は終わりを告げた.

狐のような何かの謎を残して.....

 

 

 

 

 

 

~冬島玄斗~

現実へ戻った.

玄武の姿は見えない.

 

 

樹海化が終わった際,樹海の中で動ける人間の殆どが樹海から現実に戻った際は現実にある樹海を祀っている祠の場所へと戻される.

そのため,お役目が終わったあとは大橋の近くにある大赦の祠へと戻されることが多い.....らしい.

 

 

初めてのお役目が終わり,現実に戻ってきた勇者達三人の声が聞こえる.

どうやら,僕は勇者達のより少し離れた場所に戻されたらしい.

僕は三人へと近づいて行き,声をかける.

 

「初めてのお役目,お疲れ様!」

激励するかのように声をかけた.

 

僕の声に反応して,乃木さん,三ノ輪さんはこちらを向いた.

しかし,鷲尾さんは振り返らなかった.

 

「あ,冬島先生だぁ~.無事だったんですね~」

「先生!見てるなら助けてくれても,良いんじゃないですか!?」

「あはは.....面目ない.....僕は大赦の人間だけど,樹海に入れるだけで僕自身に戦う力はないんだよ」

僕は二人が言ってきたことに苦笑いで返した.

僕は確かに式神使いだ.それも,樹海に入れる式神使い.

一族でも,樹海に入れるのは僕しかいない.

しかし,戦う力はない.

僕が出来るのは,防御くらいのものだ.

 

僕が二人と話しているうちに,鷲尾さんもこちらに気が付いて話に混ざってきたところで,三人を近くのベンチに誘導して座らせた.

 

「三人とも,骨折してるとか,酷いケガや痛みは大丈夫?」

僕がそう聞くと,三人とも,酷く痛むようなケガはない,と返してくれたので一安心した.

 

「何か飲みたい物あるかな?お祝いとして,飲み物かってきてあげるよ」

「じゃあ,私,コーラ!.....早くちゃんとしたコーラを飲んで,口直ししたいし.....」

「私は午後ティーが良いかな~」

「三ノ輪さんがコーラ,乃木さんが午後ティーね.鷲尾さんはなにがいいかな?」

「あ.....いえ,私はいいです.事情を知っているにしても,出会って間もない人に奢ってもらうなんて!」

「まぁ,それがフツーの反応だもんね.じゃあ,僕が勝手に決めちゃうからね」

 

僕はそう言うと,鷲尾さんは少し慌て,小声で

「.....緑茶でお願いします」

と,言ってきた.

 

僕はその声に頷くと,三人から離れ,近くの自動販売機へ向かった.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様,冬島君」

僕が自動販売機で飲み物を買っていると,三人と僕を迎えに来た安芸先輩と出会った.

「お迎え,お疲れ様です.安芸先輩」

「あの子たちはどこにいるの?祠の方に居なかった探してるのだけど.....」

「三人とも,近くのベンチで休んでますよ.ケガもありません」

 

安芸先輩の分の飲み物も購入し,僕と安芸先輩はそれぞれの分の飲み物を持って,三人がいるベンチへ歩き出した.

「あとで報告書にも書いてもらうけど,初めての樹海とお役目を見てどうだった?」

「.....正直,危なかったです.小学生を戦いに出すってこともですけど,戦闘訓練や連携もあまり出来ない状態でした」

僕は先ほどの戦いについての率直な意見言っていく.

 

「始めはバラバラ.後半は乃木さんが立てた作戦?と言って良いものかも怪しいですけど,連携を取れていました.ただ.....」

「ただ.....?」

「最後の油断だけは本当に危なかったです」

「最後の油断?何があったの?」

 

緊迫した表情の安芸先輩が訪ねてくる.

僕は素直に答えた.

 

「三ノ輪さんが止めを刺したと思っていたバーテックスが,最後の力を振り絞るかのような攻撃を三ノ輪さんに対して放ち,三ノ輪さんに直撃しそうでした」

「え?直撃したんじゃないの?.....あっ」

 

直撃しそうだった.という言葉に対して疑問を持った安芸先輩だが,すぐに答えが分かったようだ.

 

桂蔵坊(けいぞうぼう)が三ノ輪さんの前に出て,最後の攻撃から守りましたから大丈夫でした」

僕がそう言い終わるくらいに,安芸先輩の前に桂蔵坊(けいぞうぼう)が姿を現した.

「そうだったのね.....ありがとう,桂蔵坊(けいぞうぼう).今度,油揚げあげるわ」

油揚げと聞いた桂蔵坊(けいぞうぼう)は首を縦に振って喜び,姿を消したのだった.

 

 

僕は鎮花の儀までにあった状況を軽くまとめて,安芸先輩へ話し終えたくらいに三人がいるベンチへと着いた.

 

「三人とも,お待たせ」

僕が後ろから三人へ声をかけるが反応がなかった.

 

「ふふふ」

三人の前に行った安芸先輩が笑い出し,僕に手招きをした.

僕はそれに従い,ベンチの前に行ってみたのは,三人が寝ている姿だった.

鷲尾さんの両肩に乃木さんと三ノ輪さんが頭を乗せて,三人仲良く寝ていた.

 

「.....初めてのお役目で疲れたのね.仕方がない」

あ.....これは大変だな.....

「私が乃木さん抱えるから,鷲尾さんと三ノ輪さんを連れてきて.このまま,家まで送るわ」

 

安芸先輩に指示された僕は,鷲尾さんを背中に.三ノ輪さんを前にし,落ちないように抱えた.

買った飲み物は安芸先輩が持ち,乃木さんを背中に背負った.

 

僕たちは三人を背負い,三人を家に送るため,車へと向かった.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラクター目線と主人公目線の文章量がなぁ.....

もうちょい,主人公多めにしないとなぁ.



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4.報告

投稿が遅れてしまい,申し訳ありません

私事ですが,卒業研究の発表会や卒論のまとめに追い込まれ,モンハンもやっていました.
全て無事に終わったので,どんどん書いていきたいと思います.

今回は主人公目線でスタートします.


~~大赦~~

勇者三人をそれぞれの自宅まで送ったあと,僕と安芸先輩は大赦に戻った.

大赦に戻るまでの間,僕と安芸先輩は明日の授業などについて軽い打ち合わせをした後,それぞれの所属部署へと向かう.

大赦の中には色々と部署が存在している中,僕は勇者達が戦う際に使う武器などや勇者システムの開発を行う技術部門がある部屋への前に着いた.

 

扉はオートロックのため,扉の横には職員カードのスキャン機器が取り付けられている.

 

僕は自身の職員カードをスキャン機器に近づけると,機器が反応し,扉が開く.

「冬島 玄斗,戻りました.」

部屋に入った僕は部屋の中にいる人へ来たこと告げる.

僕の声を聴いた白衣を着ている男性が僕へ声をかけてくる.

 

「お疲れ様,冬島君」

 

声をかけてきたのは,技術部門のトップである『冬島 玄徳』

僕の父親である.

 

「ありがとうございます,主任.今日の戦闘の報告は後程,提出させていただきます」

「よろしく頼む.話は変わるが,冬島君,上からの新しい指示書だ」

 

そう言った父は僕に指示書が入っているであろう封筒を渡してきた.

封筒を受け取った僕は指示書を見た.

 

簡潔に纏めると「勇者達のサポートもやってね!」

という内容だった.

 

「.....た,確かに受領しました」

震える声で言った.

.....大赦って,ブラック企業か何かですか.....

 

「あぁ,玄斗.無理だけはするなよ?」

内容を知っている父は手を僕の肩に置いて,小声でそう言ってきた.

 

「.....分かってるよ,父さん.では,自分は報告書を書くので失礼します」

父に励まされた僕は自身のデスクへと向かい,今日の戦闘のレポートを書き始めた.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......レポートを書き終え,父と一緒に帰宅した僕は父に対して飲みながら,愚痴を吐きまくりました.

 

 

~~新樹館小学校~~

安芸先輩が朝の学活で勇者達三人のこととお役目について,勇者達を自身の隣に並ばせて,他の児童達に説明した.

「三人が居なくなってしますことは以上になりますが,後ろにいる冬島先生はお役目に巻き込まれている一般の方なのでお役目には全く関係ないので覚えておいてください」

 

児童たちは安芸先輩が言ったことに元気よく返事を返した.

 

昨日の指示書には勇者達のサポートについてと一緒に,教育実習中の樹海化に伴っての対応も書いてあった.

それが今,児童たちに伝えた

「冬島玄斗は一般人で樹海化に巻き込まれた」

である.

なぜ,このような対応をしたのか謎だった.

というより,僕の教育実習の単位が消えそうなのである.

元々は教育実習で大学の授業の一環で来ているため,一般人扱いされるとマズイ.

大赦に所属している人間と先に述べておけば,児童たちは特に心配もしないで済むし,単位を落とすといった危険性もない.

 

そんなことを考えていると,児童の一人が手を挙げた.

安芸先輩は手を挙げた児童の名前を読んだ.

 

「冬島先生が帰ってこないってこともあるんですか?」

 

いきなり,確信に近い質問が出てきた.

その児童なりに考えた質問だったのだろう.

 

安芸先輩は僕の方に顔を向けて,発言を促してきた.

それを見た僕は安芸先輩に対して頷くと発言した.

 

「心配してくれてありがとう.僕なら大丈夫だよ.三人もいるし,いざとなったら,逃げるからね」

 

それを聞いた児童たちからは口々に

「逃げるのかよ~」

「大人なのに~」

といった僕を罵倒するよう言葉が聞こえだした.

 

まぁ,これが普通の子供の反応だよね.

 

僕が言ったことが嘘だと分かっている勇者達はそれぞれ,苦笑いをしたり,呆れ顔をしている.

 

「静かに!では,朝の学活を終わりにします.皆さん,一時間目の準備をするように」

ざわついていた児童たちを注意し,朝の学活を終わりにした安芸先輩.

僕は後ろの扉から安芸先輩に続くように教室を出ていく.

 

 

教室を出て,少し離れた所から会話を始めた僕と安芸先輩.

 

「はぁ.....,ごめんなさい.冬島君.分かっていた反応だとしても,辛いわよね」

「まぁ,上からの指示じゃ,従うしかないので諦めてはいましたけど」

「子供って,純粋だから簡単に言ってくるから」

「自分も経験してきたことなんで分かってますよ」

「とりあえず,私から言えるのは頑張って,ってことだけね.小学校にいる間は私も一緒にサポートするから」

「はい.よろしくお願いします.安芸先生」

「.....君に先生って呼ばれると,むず痒いわね」

「だったら,先輩のままでも良くないですか?」

「駄目よ.私は教員.あなたは教育実習生なんだから」

 

途中から,話がそれ始めたが,僕たちは職員室に着いたので授業の準備をし,教室へ戻っていった.

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後.

全ての授業が終わり,児童たちは次々に教室から帰っていく.

 

「冬島先生,さようなら~」

「弱虫~,ばいばい~」

「さようなら.みんな,気をつけて帰ってね~」

ここにいる間は『弱虫』って,渾名が定着しそうだなぁ.

 

現在,教室に残っているのは,勇者三人と僕,安芸先輩だ.

他の児童たちが居なくなったのを確認すると,安芸先輩は話し出した.

 

「三人に残ってもらったのは,冬島君の力について話すためよ」

 

このことを言われた三人は,ハッ!,となったように思い出した.

 

「ははは.....三人とも忘れてたんだね」

「すいません.冬島先生」

代表して鷲尾さんが謝ってきた.

「いいよ,気にしてないから.忘れてたってことは,このあと何か用事があるんでしょ?」

「はい!鷲尾さんがイネスで昨日の打ち上げをやろう,と誘ってくれたので早く行きたいです!」

僕の質問に対して,三ノ輪さんが嬉しそうに返答してくれた.

 

「じゃあ,早く終われるようにしよっか」

「はい!なんで,昨日は樹海に入ってから会ったときはあんな堅い口調だったんですか?」

僕が話を始めようとしたタイミングで三ノ輪さんが昨日,会ったときの口調ついて,質問して来た.

 

「あぁ.あれは大人の事情ってことで許してね.一応,安芸先輩と同じで大赦の人間だから」

僕の発言に安芸先輩は呆れたようにしているが,僕はそれを他所に本題へ入る.

 

「簡潔に短く行こうか.質問は終わったあとでね」

「僕は冬島玄斗(ふゆじまくろと).年齢は22歳で大学に通いつつ,大赦の技術部門所属」

「技術部門っていうのは,君達三人が使っている勇者システムの改良とかをする部署だよ」

 

所々で解説を入れてく僕の話を三人は黙々と聞いている.

 

「で,僕がなぜ樹海に入れるかっていうのは,僕が式神使いで強い力を持っている妖怪と契約しているから」

「契約している妖怪は式神使いの間では,『式』,または『式紙』って,呼んでいるよ」

「三ノ輪さんはこの子の姿を樹海の中で,少しだけ見かけたんじゃないかな?」

 

僕はそういうと,御札を取り出し,机の上に置いた.

 

その動作の意味が分からない三人.

「来い,桂蔵坊(けいぞうぼう)!」

 

御札があった場所に煙が立ち上がる.

煙がの中から,狐の姿をした妖怪『桂蔵坊(けいぞうぼう)』が姿を現し,僕の横まで飛んできた.

 

「あぁ!!ミノさんを守ってくれた狐さんだぁ~」

「えっ!?これって,冬島先生のだったんですか!?」

 

桂蔵坊(けいぞうぼう)が突如として,姿を現したことにビックリする三人.

鷲尾さんに関しては少し固まっていたが,すぐに元に戻った.

 

「この子は桂蔵坊(けいぞうぼう)っていう名前で,昨日のバーテックスの最後の攻撃から三ノ輪さんを守ってくれた子だよ」

桂蔵坊(けいぞうぼう)の頭を撫でながら,昨日の出来事について伝える.

 

「僕はこの子以外にあと三体と契約してて,その中の一体が強力な力を持っていて,その力のおかげで樹海に入れてるんだ」

「式神使いについては長くなるから,機会があったら説明してあげるけど,今の説明で気になった所はあるかな?」

 

質問の有無を三人に確認したが無いようだ.

 

「僕の話はおしまいかな.勇者システムとか式紙について,気になったりしたら,いつでも聞いてきていいからね」

「冬島君の話は終わったし,気をつけて下校するのよ,三人とも......せめて,打ち上げは一度,家に帰ってからやりなさい」

 

僕は話を終わりにした所で,安芸先輩が三人に注意してから教室を出た.

 

「じゃあ,三人とも,昇降口まで送るから帰りの準備しちゃいな」

「「「は~い」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~三ノ輪 銀~

イネスに着いた私たちは,祝勝会と称した打ち上げで,仲良くなり,名前や渾名で呼ぶようになった.

 

「冬島先生,優しいね~.わざわざ,お金出してくれるなんて~」

「ほんとだよ!今月のお小遣い,節約できるから助かった!」

「節約って,銀.....」

ジェラートを食べながら,冬島先生に感謝する私達三人.

 

冬島先生の話が終わって,昇降口で別れる際,

「他の児童と安芸先輩には内緒だよ.打ち上げ楽しんでね」

と言って,私達三人に千円ずつ渡し,職員室へと戻っていった.

 

 

「そういえば,冬島先生って,安芸先生どんな関係なのかしら?」

三人で冬島先生が契約している式神について盛り上がったあと,須美が面白いことを言いだした.

 

「あぁ,そういえばな~.安芸先生のこと授業は先生って呼んでたけど,帰りは先輩だったよな」

「元々,知り合いだったのかしら?」

「案外,恋人同士だったりして~?年齢差があるけど,そんなの気にしてなかったとか~」

 

勝手に二人の関係を膨らましていく私達であった.

 

 

 




終わり方下手ですいません!!

これでアニメの1話目は終わりになります.
こんな文才が全くない作品ですがお付き合いください.....


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5.お叱り

ここから2話目に入ります

アニメのみだと限界が所々ありますが,頑張っていきたいと思います


初めての戦闘から半月が経った頃,次のバーテックスが現れた.

今回現れたバーテックスの特徴は天秤を象っている『リブラ・バーテックス』

 

 

今回の戦闘が起こるまでの間,僕は大赦でバーテックスについて調べていた.

大赦での地位は式神使いで,唯一勇者を除いた樹海に入れる人間ということもあり,末端ではあるがある程度の調べものはすぐに出来た.

 

前回現れたバーテックスは大型である『アクエリアス・バーテックス』.

今回のお役目ではまだ,一度も見ていない,大型のバーテックスの周りに飛んでいる白い小型のバーテックス『星屑』.

大型のバーテックスの種類は確認されている限りで12体とされており,それぞれに黄道十二星座の名前が付けられている.

バーテックスが初めて確認されたのは西暦の時代で,西暦の時代の勇者四人と当時の式神使い.....京都から逃げ延びた僕のご先祖様が協力して迎撃をしたらしい.

当時,初めは星屑のみだったが,突如として大型のバーテックスが現れ,戦況が押され始めていた.

そこで当時の式神使いは自身の式を勇者達に卸して戦ったらしい.

ここから先は大赦によって検閲され,消されており,わからなかった.....

 

 

「今回のバーテックスは腕?を体ごと回転させて,竜巻を引き起こして,攻撃をしたり,敵を吸い寄せたりすることが特徴か」

現在,僕は玄武の背中に乗って,勇者たちの戦闘の邪魔にならない位置で戦闘を特殊な録画機器で録画している.

 

「前回も危なかったが,今回も危ないの~.連携も取れておらんしな」

「まぁ,連携が取れてないのはマズイからね.一応,三人には分からないように式をつけてはいるけど,たぶん.....」

敵に矢を飛ばした鷲尾さんが吹きとばされたのが見えた.

 

「次は三ノ輪さんか」

 

敵の攻撃を槍の形態変化によって,防いだ乃木さんの後ろから三ノ輪さんが飛び出していくのが見えた.

三ノ輪さんの場合,敵の起こした風を利用し,上へ舞い上がり,敵がいる竜巻の中心へと落ちていった.

そして,敵の頭に向かって連続で斧を振り下ろしている.

 

「「ゴリ押しだな(じゃの)」」

僕と玄武の意見があった所で録画を止め,同時に鎮花の儀が始まった.

 

「戻って見せたら,安芸先輩,怒るだろうなぁ.....」

僕はこれから三人に起こることを予想しつつ,現実へと戻っていった.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後,案の定,三人は呼び出され,昨日の映像を見ながら,安芸先輩のお説教を受けている.

 

「映像を見たけど,ゴリ押しにもほどがあるでしょう!」

「「「はい.....」」」

「これじゃ,命がいくつあっても足りないわ.冬島君が自分の式をあなた達につけてくれていたとしても,関係ないわ」

「安芸先輩,まだ,三人に伝えてないんですから」

 

僕は安芸先輩の失言にツッコミを入れたが,三人は言ってることが分からないような顔をしている.

 

安芸先輩は咳ばらいをして,話を続けた.

「お役目も成功して,現実への被害が軽微で済んだのは良くやってくれたけど」

「それは三ノ輪さんと乃木さんのおかげです」

鷲尾さんがそういうと,二人は笑顔返していた.

 

「あなた達の弱点は連携の不足ね.三人の中で連携をとる隊長を決めましょう」

「乃木さん,隊長を頼めるかしら?」

 

乃木さんを隊長にしようというのは,先輩の意見.

僕としては鷲尾さんを押していたが,そこは三人と付き合いが長い先輩の意見を信じることにした.

 

「えっ.....私ですか?」

「私は隊長には向いてないからどっちでも」

「私も乃木さんが隊長で賛成よ」

二人も納得したようだ.

 

「なら,決定ね.神託によると次の襲来までは割と期間があるみたいだから,連携を深めるために合宿を行なおうと思います」

「「「合宿?」」」

三人が揃ったように声を出した.

 

「そう,合宿よ.ただし,この合宿では冬島君は一緒に参加しないわ」

「あはは.....」

 

僕は参加できないことを言われて苦笑いをする.

「彼はこの合宿の期間中に教育実習を完了させるために,模擬授業を行わなくてはいけないの」

 

そう,教育実習は期間中に一度だけ模擬授業という形で他の先生が見ている中,児童に授業を行わなければいけない.

僕が今回,模擬授業で行うのは算数だ.

クラス内での僕の評判は最初がズタボロだったが,授業の分からない箇所などを教えてたおかげで上がってきている.

 

「なんだ~,先生,一緒に来ないのか~.残念」

「先生の授業,受けられないのは残念です」

「先生の教え方って,聞いててたのしいからな~」

 

三人が各々に僕のことについて,言ってくれるので聞いている側としては感動するしかない.

「ありがとう,三人とも.一応,模擬授業が終わり次第,そっちに合流はするから安心して.僕が行けない間はこの子達がサポートしてくれるよ」

僕はそういうと,三枚の御札を三人に一枚づつ渡した.

 

「一応,安芸先輩が言っちゃってたけど,戦闘中に僕の式を君たちの傍に見えないように待機させてたんだ.理由としては最初の戦いの時みたいに命の危険があったら守ってくれる.もう一つは勇者システムの改良に君たちの戦い方を知りたかったからだよ」

「どうして,始めから教えてくれなかったんですか?」

 

僕が理由を述べた所で鷲尾さんが質問をしてきた.

 

「本来なら,教えるつもりはまだ,なかったんだけどね.先に教えておくと,命の危険はない,って思って無茶しちゃうでしょ?」

 

三ノ輪さんが,ギクッ,っと体が反応していた.

 

「で,今渡した御札は僕の式を呼び出すための物なんだ.出てこい『,鉄鼠(てっそ)』,『桂蔵坊(けいぞうぼう)』,『陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)』」

 

三人が持っている御札から煙が上がり,中から僕の式神達が出てくる.

ちなみに鉄鼠(てっそ)は乃木さん,桂蔵坊(けいぞうぼう)は三ノ輪さん,陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)は鷲尾さんにそれぞれ渡した御札から出てきた.

 

「合宿期間中はこの子達が特訓の手伝いをしてくれるよ」

出てきた式神達はそれぞれ飛び回っている.

 

「合宿期間中はその御札を三人に貸しておくから,終わったら返してね」

「「「はい!」」」

 

三人とも,良い返事だなぁ.

 

 

 

 

次の日

僕は合宿に出発する三人と安芸先輩,式神達を見送り,小学校へ向かうのだった.

三人には言わなかったけど,いっか.

そっちの方が面白そうだし.....

あの子たちが化けられることを.....

 

 

たぶん,この時の僕は誰が見ても何かを企んでいる顔に見えただろう.....

 




あかん!!
短すぎる!!
他の作品描いてる人の見すぎてるせいか,自分のが短く感じてしまう!!

あとで一話のあとがきにも書きますが,鉄鼠(てっそ)』,『桂蔵坊(けいぞうぼう)』,『陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)の姿はゆゆゆいの精霊たちの姿と一緒です.


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6.特訓

先に


投稿が遅れてしまい,大変申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!!
大学卒業に向け,引っ越しや卒業旅行に行っていました!!
あとは旅行行って帰ってきたら,実家のネット回線が死んでいるなどアクシデントが発生しており,色々やっていました.....


では,本編6話始まります.


~安芸~

「では,これから連携の特訓を行うための合宿を始めるわよ」

「「「はい!」」

 

讃州サンビーチ.

本来は海水浴場として使われている場所だが,今回,大赦が勇者達の特訓のために貸切にしている.

 

「お役目が本格的に始まってきたことにより,大赦は全面的にあなた達のことをバックアップします.学校や家族のことは気にせず,頑張って」

「「「はい!」」」

三人の声がビーチに響く.

 

「式たちについては今からやってもらう特訓の間,あなた達の近くで姿を現してもらって飛んでもらっているわ.ただ,バリアは本当に危険な時以外は出さないから気を付けて.それじゃあ,三人とも位置に着いて」

「「「はい!」」」

 

私は注意を言い,砂浜全体が見える位置に置いてある椅子に座り,三人は砂浜に降り,それぞれの位置に着いた.

 

砂浜には特訓用の装置として,バレーボールが自動で発射されるバレーボールマシンが10台ほど配置されている.

 

「それぞれ,位置に着いたわね!」

三人に聞こえるように声を大きくした.

「やることは至ってシンプルよ.あの上に見えるバスまで無事に三ノ輪さんを到着させること.お互いの役割を忘れないで」

「私はここから動いちゃいけないんですか!」

「駄目よー!」

鷲尾さんから質問がきたが,すぐに動いては行けないことを伝える.

「はい,スタート!」

それぞれの準備ができたことを確認した私は開始の合図を出す.

私は合図と共にバレーボールマシンを起動させ,ボールを飛ばす.

乃木さんは自身の武器である槍を盾に変化させ,その後ろを三ノ輪さんが着いていく.

乃木さんが正面からのボールを防ぎ,防ぎきれないボールを鷲尾さんが落としていく形だ.

 

鷲尾さんが当たらないように落としていったが,一球外してしまい,それが三ノ輪さんの顔へ当たる.

「アウト!」

私は当たったのを確認し,マシンを止める.

鷲尾さんは外したことを謝り,二人は気にしていないと返しているのが,確認できる.

「次,行くわよ!辿り着くまで終わらないわよ!」

 

私は再び始めることを伝え,マシンを起動させる.

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿中であっても,この子達の勉強を遅れさせるわけにはいかないため,授業の時間も設け,数日が経った

特訓の成果が出てきたのか,初日と比べると,バスまであと少しという所まで迫ってきている.

 

これは予定より早く,仕上げに入れそうね.

 

そう思った日の夜.

子供達がご飯を食べている間,式たちは私の部屋で私と一緒にご飯を食べている.

流石に夕飯の時くらいは自由にさせてあげないとね.

 

「はい,鉄鼠(てっそ)にはチーズ,桂蔵坊(けいぞうぼう)は油揚げ,陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)はリンゴよ」

それぞれの前に置かれた皿に食べ物を載せていく.

載せたのを確認した式達は食べ物を食べ始めた.

 

癒されるわぁ~.ほんと,この子達,可愛いわ~.

 

そんなことを思いつつ,自身の夕飯を食べ始める.

 

食べ終わった所で式達と私は話を始める.

「明日,特訓の方は終わるわ.そしたら,あなた達の出番よ」

 

三体は頷く仕草をしたと同時に煙に包まれる.

 

「分かってるよ.あの子達を強くするためだもん.一肌脱ぐよ」

「あの子達を生き延びさせるためじゃ,仕方がない」

「うむ.本来なら私たちが戦うべきなんだがな」

 

煙が消えると中から,式達が着ていた服を着る人が姿を現す.

いや,人ではない.それぞれの頭に鼠,狐,狸の耳が付いている.

 

「で,安芸.内容は?」

髪が長く狐の耳が着いている女性の姿をしている桂蔵坊(けいぞうぼう)

 

「内容は今,やっている特訓の内容と一緒よ.マシンを使わないで,あなた達の妨害で行うわ」

「それは面白そうだな」

髪が短く,頭に鉢巻を巻いている狸の耳が着いている筋肉質な男性陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)

 

「武器に関しては自由よ.自分の物を使ってもいいし,使わなくてもいい.強さの調整はあなた達に任せるわ」

「では,ギリギリまで止めないということで如何ですかな,安芸殿」

白髪をオールバックにし,後ろで纏めている,頭に鼠の耳がある初老の男性鉄鼠(てっそ)

 

「流石にそれはダメね.ルール自体は変えないから三ノ輪さんに一撃入れたら,そこで終わりよ」

流石に,ルール変えたら,すぐ終わっちゃうからダメね.

この人達と三人では力の差が大きすぎる.

 

そう,この三人.....三体は少なくとも西暦より前の時代から生きており,今では力がなくなっているが,昔はすごく力があったという話を冬島君から聞いている.

今回,化けているのは今まで貯めていた力の一部と冬島君の力借りているに過ぎない.

これも聞いた話だが,貯めている力を全てを開放したら,一体くらいなら迎撃は出来るかもしれないらしい.

 

トントン

扉がノックされると,返事を返した.

「はい!」

「安芸先輩,冬島玄斗,到着しました.入って大丈夫ですか?」

全てが終わって,到着したようだ.

 

「ええ.いいわよ.入ってきて頂戴」

ドアが開き,冬島君が入ってきた.

左手には日本酒が入った瓶.右手にはつまみが入っているであろうコンビニの袋を持っていた.

 

 

 

 

 

 

~冬島玄斗~

合宿に行った組を見送って,数日が経った.

この数日,休みが重ならない影響とともに,新樹館小学校の教師不足もあり,安芸先輩の代わりにクラス担任をやった.

普段から僕のことを見ていることもあってか,皆,安芸先輩の時と変わらないくらい静かに授業を聞いてくれてる.

模擬授業に関しては,授業が空いていた先生や校長が評価してくれた.

判定は問題なし.

そのこともあり,クラス担任の代わりもやることになったのだが.....

まぁ,そこは置いておいて.

次の日が休みである前日,僕は学校でやることを終わらし,家に帰った.

 

「ただいま~」

「おかえり~」

 

家に帰った僕を待っていたのは,だらしない状態の父だった.

 

「早くない?大赦は?」

「開発が進展しないから早めに切り上げだ.勇者達のデータがないと進むもんも進まん」

 

あ,これ,僕待ちか.

勇者達のデータを集めているのは,基本的に僕がやっている仕事だ.

しかし,本人達は合宿中.

僕に至っては,模擬授業の関係等で動けなかったため,何も出来ていない.

それに玄武以外の札を彼女達に預けているため,状況を聞こうにも聞くことが出来ない.

 

「ということで,準備しておいたから,さっさと行ってこい」

父は僕が合宿に合流するための荷物を用意してくれていた.

「車も使っていいからな.あと,安芸ちゃんに差し入れだ」

車のカギと日本酒が入った瓶を渡してきた.

 

「普通,皆にじゃないのかよ.....」

「それは行く途中でお前が買っていけばいいだろ?どうせ,買ってくつもりなんだろ?」

 

なぜ,人の心を容易く読むんだよ.....

僕はため息をつきながら,スーツから着替え,準備された荷物を持った.

 

「じゃ,行ってきます」

「おう,行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家を後にした僕は合宿地に向かう途中で子供たちへの差し入れとお酒のつまみを買ってから向かった.

道中,何事もなく1時間くらいで到着した.

到着後は中居さんに案内してもらい,安芸先輩の部屋まで案内してもらった.

到着してから宿の女将さんなどの女性従業員の方達がこちらをニヤニヤ見ていたのはきっと気のせいだろう.....

 

トントン

扉をノックすると,中から返事が聞こえた.

「はい!」

「安芸先輩,冬島玄斗,到着しました.入って大丈夫ですか?」

「ええ.いいわよ.入ってきて頂戴」

 

許可をもらったので扉を開けて,中に入った.

中に入ると,そこにいたのは安芸先輩以外に人間の姿に化けている鉄鼠(てっそ)にはチーズ,桂蔵坊(けいぞうぼう)は油揚げ,陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)だった.

 

「やっと来たね.玄斗!早く,お酒頂戴!」

「はいはい.....」

 

僕は持っていたお酒とつまみが入った袋を桂蔵坊(けいぞうぼう)へ渡した.

受け取った桂蔵坊(けいぞうぼう)は他の二人と酒盛りを始めだした.

 

「僕も飲みたいから程々にね」

三人は返事を返し,飲み始める.

 

「こいつらがすいません,安芸先輩」

「大丈夫よ.学校の方は大丈夫だった?」

「無事に模擬授業は成功しました.児童達もしっかりと聞いてくれていたので助かりました」

持ってきた荷物を部屋の隅に置き,彼女達のお土産を冷蔵庫へ入れつつ,返答する.

「ただ,授業が良く出来たってことで,校長先生から臨時担任任されまして.....」

安芸先輩と向い合せの位置に腰を下ろす.

「いい経験じゃないの.どうだった?」

「ほんとにいい経験ですけど,疲れましたよ.こちらはどうでしたか?」

「こっちは明日で連携の訓練が終わる予定よ.そのあとは彼らの妨害で同じ訓練をするわ.私にもお酒頂戴」

 

安芸先輩は飲んだくれてる三人を見ながら言った.

受け取った酒を一口飲み,続ける.

「彼女達には厳しいかもしれないけど,乗り越えてもらわないと.....」

「これからの戦いを生き残るためにも,この合宿が終わり次第,勇者システムの改造に取り掛かります」

僕はもらった酒を一口で飲み,コップを置いた.

「じゃあ,僕はお風呂行きますけど行きますか?」

「そうね.私もまだ入ってないし行くわ」

「飲んだくれども,お風呂行くぞ~」

「は~い」

精霊たちは小さい動物の姿になり,僕たちはそれぞれのお風呂の用意を済ませて部屋を出た.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




それぞれの精霊の人型の姿はFGOに出てくるサーヴァントがモデルです
鉄鼠(てっそ)が柳生但馬守宗矩
桂蔵坊(けいぞうぼう)が鈴鹿御前
陰神刑部(いぬがみぎょうぶ)が土方歳三
となっています.
それぞれのイメージはゆゆゆいやってる方は分かるとは思いますが,精霊たちのイメージをそのままサーヴァントに被せています.

土方さんなのは銃を使うサーヴァントが思いつかなかったのもあります(笑)



では,次回の投稿をお待ちください.


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外伝 僕が出会った勇者達
外伝 僕が出会った勇者達


これは作者がこの一カ月,Twitterで関わってきたフォロワーさんについて,自分なりにこの小説に合わせて作った話になっています.フィクションも含めつつ,本人に許可をもらったノンフィクションの作品に仕上げました.
是非,読んでいただければと思います.


神世紀301年

天の神との戦いが終わり,新樹様が最後の力を振り絞り,世界を元の状態とは言えないが戻した.

世界が元に戻り,大赦は四国の民へ,今まで隠していたことを発表.

混乱も起きたが,それもすぐに収まった.

 

 

簡単な話をしてしまえば,大赦をクビになりました.

新樹様が消え,新樹様と同化していた妖怪,僕が使役していた式神達は元の住処に帰っていき暮らしています.

そして,今日は讃州中学校卒業式.

教師として生徒達を見送るのは悲しい.

しかし,それは時間の問題というのもある.

勇者部の顧問として本日卒業する三年生「犬吠埼 風」を送り出さなければならない.

一応,卒業式だからためになる話にしよう.

そうだ,あの話にしよう.

この話なら,勇者部五箇条.....今は勇者部六箇条だったな.これに関係する話でもある.

 

 

 

 

 

 

 

卒業式が終わり,勇者部部室に全員が集まり,卒業パーティをしている途中で話を始めた.

 

「さて,これから,皆に語るのは僕が三年前.当時大学一年生の時の話で,君たちとは違う意味での勇者ともいえる二人の話をしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時の僕は大学に行きながら,ボランティア活動やら,色々な事をしていてね.

病院へ慰安訪問をした時,僕と同年代の男性と知り合ったんだ.

なぜかわからないけど,彼と意気投合してね.

一か月間,ほぼ毎日,彼と遊んでたんじゃないかな.

ただ,彼との待ち合わせはいつも病院だった.

そこで,僕は彼に尋ねたんだ.

 

「いつも,待ち合わせが病院だけど,病気か」

って

 

そしたら,彼は僕に着いてくるように言ったんだ.

僕は彼の後に続いて,一つの病室に入った.

病室にいたのは,一人の女性だった.

とても綺麗で見入ってしまったよ.

 

まぁ,すぐに彼に叩かれて現実に返されたんだけどね.

 

で,彼は彼女を紹介してくれたよ

「俺の彼女でお嫁さんだ」

 

僕はそれを聞いた時,病院だっていうのに声を上げてしまって,看護師の人にも叩かれたよ.

 

彼は僕のことを彼女に紹介してくれた.

病気自体はそんな悪いものではなくて,持病でよく入院しているということも聞いた.

 

ここから,僕と二人の付き合いが始まったよ.

今まで,彼女のお見舞いの後の僕と遊びに行っていた時間を僕も一緒になって,病室で遊んだり,話したりするようになった.

楽しかったよ.ほんとに楽しかった.

時々,彼の家に彼女が帰れる日もあった.

そんな日は僕は敢えて予定を入れて,二人きりにするようにしていたよ.

 

まぁ,二人にはバレバレだったようだけどね.

 

彼らと関わりだして,分かったこと.

彼らはまだ,婚姻届を出したり,結婚式を上げたりはしていない.むしろ,予定に入れてなかった.

これは彼女の希望で体調が良くなってから行いたいそうだ.

 

僕は結婚式を行う際は是非,参加させて欲しいっと言った.

二人は笑いながら,笑顔で

「勿論!!」

と返してくれた.

 

 

 

本当にこの二人と会えて,幸せだ.

僕まで元気や勇気をもらうようだった.

 

 

 

 

けど,僕達が仲良くなって三か月経った時だった.

ちょっとずつ,眠る時間が長くなっていき,面会出来る時間が少なくなっていった.

その頃から,彼は彼女の病気について僕に話すようになってきた.

 

彼女は中学生の頃に肺ガンが発病したんだ

その時はガン細胞も発達が収まったらしいんだけど,経過観測ということで,時々,検査入院をしていたんだ.

けど,彼女の容体が突然,悪化したんだ.

いや,悪化していたんだ.....

ちょうど,僕が二人と出会った時辺りから.....

僕は彼の胸倉を掴んで,問い詰めたよ.

彼は泣きながらも,僕に話してくれた.

 

中学生の時に発病した肺ガンが再び活動を始めた.

むしろ,ガンの進行が三年以上,止まっている方が奇跡だった.

 

それを聞いた僕はその場で膝から崩れ落ちたよ.

彼の方が悔しいのにね.

ただ,まだ,治る希望はあって,五分五分だって,彼も担当の医師から聞いたんだ.

 

それを聞いた日から,僕は二人が幸せに過ごせるような手を探したよ.

僕が出来うる全ての手段を使った.

けど,見つからなかった.

 

数日間,二人の前に姿を現さなかったから,久しぶりにあった時は彼に殴られる.彼女には打たれる.

二人とも本気でやってくるんだから痛かったよ.....

 

久しぶりに会った日,彼女は早めに寝てしまったので,早めにその日は退散して,夜,彼と連絡を取っている時に言われたよ.

「余命はあと一カ月もない」

って

僕は再び怒鳴り声を上げたよ.

「どうゆうことだ!五分五分だったんじゃないのか!」

って

聞いていたことが二転三転するものだから,僕も混乱していたんだ.

 

僕が顔を出していなかった数日間,彼は担当医師が落とした彼女のカルテを偶然拾ってあげたんだ.

そこで余命が一カ月もないこと,彼女が既に抗がん剤治療を止めていたことを知ってしまったんだ.

 

彼も彼女と過ごしている時に抜け毛が少なくなっていることに気が付いてはいたが気にはしていなかったんだ.

 

そして,彼女はこのことを彼に話していない.

そのまま,隠し通すつもりらしい.

彼女は僕たちが居ない時はいつも,同じ曲を口にしている.

彼は担当医師から全てを聞いた.

全てを理解した上で僕にも打ち明けてくれた.

 

 

それを聞いた二日後くらいに,僕はあまり使いたくない手ではあるが,実家の力を使い,二人を出来る限り一緒に過ごせるようにと,僕の実家の事情も話して提案をした.

けどね,二人とも揃ってね,なんて言ったと思う?

「いつも通りでいい」

だよ.

 

それから,僕は二人と「いつも通り」を演じて過ごしていったんだ.

彼との約束で一カ月切っていることは本人が言うまで言わないことにした.

彼曰く,言ってしまったら,彼女と喧嘩になってしまう.

喧嘩したままで終わりたくない.

喧嘩するくらいなら言わない.

 

彼の決意は固かったから,これ以上は言わなかった.

 

それから時間が経つに連れて,彼女が眠る時間が長くなっていった.

彼は仕事を休み,ずっと病院にいるようにし,僕は授業が終わり次第,急ぎで来るようになった.

しかし,僕が来る時間には彼女は寝ており,大抵,伝言として,ボイスレコーダーにお互い声を残すようにした.

彼もボイスレコーダーに声を残している彼女も同じことを言っている.

似た者同士なんだよね,二人とも.

 

久々に外出許可が出たので彼は彼女を連れて,家に連れて帰ったんだけど,先生からね

「絶対にやらないようにね」

って,念を押されるように.....東郷さんに風さんも抑えて,抑えて!!

 

 

ゴホンッ.話を戻すよ.

念を押されてるせいもあるから,彼も先生の言う通りにしたんだ.

 

(絶対に言えない.本人達から実は.....なんて話.....)

 

これが彼女が彼の家で過ごした最後の日になるとは,誰も.....いや,彼女以外は予想していなかったんだと思う.

 

サプライズで結婚式をやろうと,彼に提案した.

彼は少し悩んだが,頷いてくれた.

 

僕は少しずつだけど,準備を始めた.

会場を取って,盛大にやりたかったが,彼女の体力の問題もあり却下.

そこで担当医師に相談して病室で出来るようにしたんだ.

形式は体力的の問題があるので省ける所は省いた簡略式.

来賓については彼らの家族,担当医師,看護師,僕となった.

 

本来であれば,彼らの友人を呼びたかったのだが,友人たちにこのことを話していなかったんだ.

 

式は一週間後と決まった.

この日程は彼にも伝えていない.

指輪に関してはずっと彼が持っているという話を彼の両親から聞いたため,当日に持ってきてもらう手はずにした.

当日の手配も済ませて,一安心した時だったよ.

突然,携帯が鳴りだしたんだ.

彼の名前が表示された瞬間,嫌な予感がした僕は病院へ駆けつけたよ.

病院へ駆けつけた僕は彼を見つけて,彼女が昏睡状態になったことを聞いた.

 

 

二日後,彼女が昏睡状態から目が覚めたと彼から連絡が入ったため,再び病院へ駆けつけたんだ.

すると,彼は彼女の病室前のベンチに涙を流しながら,座っていたんだ.

理由を聞いた.

今日,起きていることが奇跡だ.

次に眠ったら,もう目覚めない.と

 

それを聞いた僕は電話を始めた.

計画していた結婚式を前倒しにして行うため,関係各所に電話をした.

 

僕は彼に部屋に待って,彼女と話しながら待ってろ

って言った.

一時間もしないうちに,準備が整った.

準備が出来たので,彼女の部屋には着付けの担当と看護師が入り,彼は入れ違いになるように部屋を出された.

何事かと,叫んでいる彼を僕は病院側に借りた更衣室に彼を入れ,白いタキシードに着替えるように促した.

彼にはこれから結婚式を行うということを伝えた.突然のことに混乱したようだが,すぐに理解し,着替えを始めた.

僕は着替え始めたのを見届けて,行動を次に移した.

 

 

 

 

 

 

さらに一時間後,両者の準備,会場の準備が出来たと連絡を受けた僕は彼を連れて,病室.....会場へ戻った.

扉の近くで僕は止まり,彼に部屋に入るように言った.

彼は頷いて,部屋に入った.

そのあとに続いて,僕も部屋の中に入った.

 

部屋の中は煌びやかに装飾されており,いつでも始められる状態だ.

彼の隣には車いすに乗ったウエディングドレスを着た彼女がいる.

来賓の席にはそれぞれの家族,担当医師,看護師が座っている.

そして,神父役は院長だ.

 

式は簡略式だったのをさらに簡略し,指輪交換,誓いのキスとなった.

誓いのキスの場面では,彼の兄と僕が興奮しまくって,煽ったよ.

簡略式のため,ここで終わりだが,彼に彼女の車いすを押して,部屋の外に出るように言った.

部屋の外.

廊下で待っていたのはレッドカーペットとこの病院の患者の人々だった.

 

僕は二人の準備が出来るまでの間,看護師に頼んでこの日,病院に居た患者の人々に声をかけた

「二人の初めで最後の共同作業.門出を一緒に祝ってはくれないか」と頼んで回った.

患者の人々は喜んで協力をしてくれた.

数人の患者の手には青いバラを持ってもらっている.

花言葉は「奇跡

 

彼らがエレベーターホールに向かっていく中,患者の人々は彼女の膝に青いバラを置いていき,祝いの言葉をかけていく.

一階に着くころには沢山のバラが彼女の膝に置かれており,それを使い,一つの大きな花束が作られた.

 

病院の入り口には動ける患者の女性や看護師,女性医師が集まっていた.

彼女は何をするか分かったのか,車いすから降り,自分の足で立って,ブーケトスを行った.

 

彼女のブーケは一人の少女の手に落ちた.

それを見た彼女は少女の元へ,彼と向かって

「幸せになってね」

といった.

少女は満面の笑みを浮かべて頷いた.

 

 

 

 

その後は,その少女を彼女の膝上に乗せた状態で記念撮影を行い,無事に終了.

ドレスは着替えるかと思ったが,彼女の希望もあり,着たままとなり,夜になった.

話をしていた彼女の呼吸がだんだんと薄くなっていく.

彼以外は泣き始めていた.

僕も我慢したけど,無理だった.

けど,彼は最後まで笑顔で彼女と話していたよ.

 

そして,日が変わって,少ししたくらいに笑顔のまま眠りについたよ.

 

 

 

 

以上で僕の話は終わりだよ.

 

どうだったかな.....って,やっぱり泣いちゃうか.

こんな祝いの席でなんでこんなことを話したか,っていうとね.

勇者部六箇条に関係している部分があったからなんだ

 

悩んだら,相談!

は,彼は悩んだ時に僕に相談をしてくれたこと.

神婚の件で結城さんは皆にも言われたけど,相談ではなく報告になっていたこと.

話の中でも僕も彼らに対して,報告になってしまっていた.

 

なるべく諦めない!

なせば大抵なんとかなる!

無理せず自分も幸せであること!

この三つは彼らの生きざまに綺麗に当てはまっている.

あの二人はどんな絶望が相手であっても諦めることをせず,幸せであろうとしていた.

だから,僕は違う意味で勇者だって言ったんだ.

 

最後に彼女が亡くなってから、彼が言った言葉も教えておこう.

「人を愛し,自らも愛すべし」

大切な人を亡くした.けど,前を向いて生きていきたい.

たぶん,そういった願いから思いついた言葉なんだろうな

 

 

 

ん?乃木さんどうしたの?

青いバラの少女についてかい?

写真撮ったあとはそのまま別れちゃったから分からないなぁ.....

写真?

これって!?

あの時の少女って,乃木さんだったのか.....

確か,乃木さんの改良する前のシステムのモチーフって,青バラだったね.

ほんとに奇跡が起き続けてたのかな.

 

 

男性の方はどうなったか,だって?

彼はね,彼女が居たことを忘れずに,自分の出来ること探すってことで,外への調査隊の第一陣として,四国の外に向かったよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これは僕から彼らへ祝いのメッセージであるとともに,彼女への追憶のメッセージとして,自分なりに書きました.
彼とは一カ月の絡みしかない.彼女とは半月も満たないくらいの絡みしかない.
それでも,僕にとっては大切な友人.勇者達です.
彼から知らせを受けた瞬間,現実味が全くありませんでした.
彼女が亡くなる前夜,彼とずっとDMをしあって,終わった一時間後.....彼女は沢山の友人達に囲まれて旅立ったと知らせを受けました.
僕は前日の彼との約束もあって,いつも通り過ごすことにしましたが,時間が経つにつれて我慢が出来なくなりました.
彼の方が大変なのに,僕は耐えられなかった.
だからこそ,彼に許可を頂き,この話を書きました.

最後は明るく行きたいと思います!
お二人とも,結婚,おめでとうございます!!

2018年3月3日 23:50 向上



彼が考えた七箇条目を乗せさせていただきました.
彼女がどんな困難にも諦めずにいたこと.
彼は意思を引き継いで生きていきたい
と言っていたので,書き終わった後ですが,加筆しました
2018年3月5日 17:02


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