スロウスタートアップ! (naogran)
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STEP1「はじまりのどきどき」

ある春の日のとあるアパート。このアパートに1人の女の子が本を読んでた。

???「はなちゃーん!今良い?」

はな「う・・・うん。」

彼女の名前は「一之瀬花名」。

???「高校の制服出来たわよ~。」

そこに胸の大きい女性が高校の制服を持って来た。

花名「え?」

???「はい。はなちゃん。」

女性の名前は「京塚志温」。このアパートの管理人である。

制服を拝見する。

花名「うわぁ〜〜!」

志温「はなちゃん、早速だけど着て見せて?」

花名「え?」




高校の制服を試着する。

花名「ど・・・どうかな?」

志温「わ~!可愛い!」

花名「そ・・・そうかな・・・だ、大丈夫かな・・・」

志温「勿論大丈夫よ!可愛い可愛い!」

花名「と・・・と言うか志温ちゃん!あのね・・・私ちゃんと高1に見えてるかな・・・」

志温「大丈夫大丈夫!高1所か中1にだって見えちゃう!」

花名「そ、それはちょっとやだなぁ・・・」

志温「あ!そうだわ!」




高校時代の制服を着た。

志温「じゃーん!」

花名「・・・・!!」

それを見た花名が固まった。

志温「高1に見えるかしら?」

花名「ど、どうかな・・・」

すると志温がカメラで花名を撮った。

花名「し・・・志温ちゃん!?」

志温「はなちゃん。笑って笑って。」

花名「いいよ写真は・・・恥ずかしい・・・」

志温「それなら2人で撮るのはどう?あ!外で撮るのも良いかしら~。」

花名「その格好で外に出るのはどうかな!」


そして高校の入学式の日が来た。花名は母に『とうとう入学式です。行ってきます』とメールを送った。

 

花名「ふぅ・・・」

 

すると返信が来た。

 

花名「え?」

 

メールを見ると、『いってらっしゃい。お母さん』と母からの返信が来た。

 

花名「お母さん・・・あ、お父さんからも。」

 

今度は父からメールが来た。すると。

 

花名「またお母さん!?」

 

今度は父から。

 

花名「また!?」

 

今度は母から。それが何度も続いた。

 

花名(お父さんが消されていく・・・)

 

 

 

 

 

 

星尾高校。以前までは女子校だったが、今年から共学になった。男子生徒は少ない。

 

先生『それでは、入学式を終わります。』

 

 

 

 

入学式を終えた。新1年生は教室へ向かう。

 

花名「緊張した・・・これで本当に高校生かぁ・・・」

 

すると後ろから小柄な女子生徒が通り過ぎた。

 

花名「ん?」

 

小柄な女子生徒は、1人の女子生徒に向かって走って、後ろから抱き付いた。

 

???「ぐはっ!」

 

???「栄依子!?」

 

横に居た女子生徒がびっくりした。

 

???「だ、大丈夫?」

 

栄依子「大丈夫・・・ん?」

 

後ろを振り向く栄依子。

 

栄依子「えっと・・・冠ちゃん?」

 

すると女子生徒の頭のリボンがピョンと跳ねた。

 

栄依子「ああごめんね。知ってる子に凄く似てて・・・」

 

???「栄依子・・・」

 

栄依子「え、本人!?」

 

???「栄依子・・・」

 

栄依子「だってこんな・・・あの時のままで・・・」

 

???「栄依子!」

 

栄依子「冠ちゃん!」

 

再会を果たした2人が抱き合った。

 

???「冠って・・・冠なの!?」

 

冠「侑李!」

 

侑李「冠!」

 

2人も抱き合った。どうやらこの3人は昔からの友達らしい。

 

栄依子「ほんとに変わってないね。小学生の時以来なのに。」

 

侑李「本当だねぇ。冠変わってないねぇ。」

 

冠「むー。」

 

怒った冠が背伸びする。そして威張った。

 

冠「急成長!育ち盛りだから!」

 

栄依子「あはは!本当だ!凄い伸びてる!」

 

侑李「大きくなったね冠。」

 

花名(そっか・・・皆小学校や中学校からの友達が・・・皆もう仲良くなってる・・・)

 

孤独になってしまった花名。

 

???「見〜付けた。可愛い女の子〜。」

 

1人の女子生徒が誰かを発見した。

 

 

 

一方花名は、誰とも話す事が出来ず教室へ向かう。すると後ろから。

 

 

 

 

 

 

???「おはようございまーす!」

 

 

 

 

 

 

花名「ひゃっ!お、おはよう・・・あれ?」

 

後ろに向いて挨拶したが、誰も居なかった。今度は前を見ると。

 

???「おはようございます!」

 

女子生徒A「おはよう!」

 

???「おはようございます〜!」

 

女子生徒B「ああ。おはよう。」

 

テンションが高い女子生徒が次々と他の女子生徒達に挨拶する。その女子生徒が教室に入った。花名も入ると。

 

???「やや!十倉さんに億崎さんじゃないですか〜!」

 

 

 

花名(あ、さっきの・・・)

 

 

 

 

侑李「たまて!」

 

栄依子「あ!一緒のクラスだったんだ!」

 

たまて「今後とも宜しくお願いしますよ!」

 

栄依子「こちらこそ。初日で知ってる人居ると何だかほっとするわね。」

 

たまて「ほんとですよ~。いや〜緊張しちゃって緊張しちゃって。逆に元気です!」

 

栄依子「あ~分かる分かる。」

 

侑李「よくあるよね〜。」

 

たまて「およよ?十倉さん、腰から何か生えてますよ?」

 

冠が栄依子の腰に隠れてる。

 

栄依子「ほら。かむも隠れてないで自己紹介。」

 

侑李「頑張って冠。」

 

すると冠がヒョコっと顔を出した。

 

冠「千石冠です・・・宜しく・・・」

 

たまて「わ~!ちっちゃ可愛い!」

 

しかし冠が膨れっ面になって怒った。

 

侑李「冠が怒ってる。」

 

栄依子「ねぇ。小学生の時からサイズが全然変わってなくて。」

 

冠「大器晩成だから人より成長速度が遅いだけ。」

 

侑李「あれ?趣旨変わった?」

 

栄依子「あら?育ち盛りなんじゃなかった?」

 

冠「60年後に吠え面かくなよ。」

 

たまて「おお!長期計画!」

 

栄依子「75歳で身長の事気にしてる時点で、器ちっちゃいよね~。」

 

冠「むー。」

 

たまて「あ!でもこれって60年後もお友達って事ですよね?その熱い友情に感動です!」

 

栄依子「ええ?何か無理矢理良い話にしたような・・・」

 

たまて「良い話に仕立て上げた己の力量に感動です!」

 

栄依子「そう言えば、何気に初めてよね?」

 

たまて「ですです!」

 

???「私もその仲間に入れてほしいな〜。」

 

3人「ん?」

 

そこに赤髪ポニーテールの女子生徒が立っていた。

 

たまて「おはようございます!」

 

???「おはよう!私松原美鈴!宜しくね!」

 

栄依子「こちらこそ。あなたもこのクラス?」

 

美鈴「そう。クラスメイトだよ。にしても・・・」

 

彼女は冠をじっと見る。

 

冠「?」

 

美鈴「ねぇ、ちょっと抱いて良い?」

 

侑李「あなたいきなりどうしたの?」

 

美鈴「ここだけの話。私可愛い女の子が大好きなの〜。」

 

たまて「おお!それって百合って言う事ですか?」

 

美鈴「よく分かったね〜。冠ちゃんだっけ?ちょっと良いかな〜・・・ぐえっ!」

 

突然後ろからチョップを喰らった。

 

???「おい美鈴、初対面の人に何言ってんだよ。」

 

茶髪の男子生徒と、金髪の男子生徒が居た。

 

???「ごめんね君達。この女好きの奴に付き合わせちゃって。」

 

栄依子「良いの。この子結構面白いね。2人の名前は?」

 

???「ああ、俺は佐野優輔。」

 

???「浪江貴之。宜しく。」

 

茶髪の男子生徒が「佐野優輔」。金髪の男子生徒が「浪江貴之」。

 

美鈴「そして私が松原美鈴です!」

 

侑李「さっき聞いたよ。」

 

 

 

 

花名(あの子達も同じクラスなんだ・・・凄いな~。もうあんなに仲良くなってる・・・私なんて、挨拶1つ真面に返せないのに・・・)

 

1人遠くから見詰めてる花名は暗くなった。すると後ろから。

 

先生「おーい。教室入れ。ホームルーム始めるぞ。」

 

 

 

 

 

 

ホームルーム。

 

先生「えーまずは入学おめでとう。このクラスの担任になりました榎並です。宜しくなー。」

 

クラス担当の「榎並清瀬」。

 

クラス生徒全員「宜しくお願いしまーす!」

 

榎並先生「ん。それじゃ順に自己紹介してもらおうか。」

 

花名(やっぱりあるんだ!自己紹介・・・)

 

榎並先生「一之瀬ー。」

 

花名「は、はい!(出席番号1番、席も一番前。一之瀬って名字の宿命だけど辛いなぁ・・・)」

 

勇気を出して立って自己紹介する。

 

花名「一之瀬花名です。宜しくお願いします・・・」

 

榎並先生「入学初日から元気無いな・・・」

 

花名「え?・・・」

 

榎並先生「・・・お。一之瀬今日が誕生日じゃないか。」

 

花名「え!?・・・」

 

何と入学式が花名の誕生日だった。花名は恥ずかしがる。すると拍手が聞こえた。

 

たまて「おめでとうございます!お誕生日1番乗りですね!」

 

栄依子「おめでとう!」

 

侑李「おめでとう!」

 

冠「おめでとう。」

 

優輔「おめでとう。」

 

貴之「おめでとう。」

 

美鈴「おめでとう!」

 

クラス全員が拍手して、花名の誕生日を祝った。

 

花名「あ・・・ありがとうございます!」

 

お礼を言って席に座った。

 

榎並先生「よし。じゃあ次今井。」

 

花名(あ~恥ずかしかった!まさか入学初日にお誕生日をお祝いされるなんて・・・)

 

 

 

 

億崎侑李の自己紹介。

 

侑李「億崎侑李です。好きな事は読書で、小説や漫画を読んでます。宜しくお願いします。」

 

 

 

 

佐野優輔の自己紹介。

 

優輔「佐野優輔です。趣味はサイクリングで、休みの日は何時も自転車で何処かへ行ったりします。家はちょっと遠いので自転車通学してます。後実家が飲食店です。宜しく。」

 

 

 

 

千石冠の自己紹介。

 

冠「千石冠です。好きな事は寝る事と食べる事で特技は沢山食べる事・・・宜しく・・・」

 

 

 

 

十倉栄依子の自己紹介。

 

栄依子「え~と・・・十倉栄依子です。特技は・・・敢えて言うなら手先が器用な方かな?友達百人じゃないけどみんなと仲良くできれば嬉しいかなって思ってます。宜しく~。」

 

 

 

 

浪江貴之の自己紹介。

 

貴之「浪江貴之。優輔とは幼い頃からの幼馴染みです。ゲームが好きで家でずっとやってます。あ、運動とかもやってます。宜しく。」

 

 

 

 

松原美鈴の自己紹介。

 

美鈴「私は松原美鈴です。このクラスの皆と仲良くなれれば嬉しいです。私は昔から人懐っこい性格です。宜しくお願いします。」

 

 

 

 

百地たまての自己紹介。

 

たまて「百地たまてです!お気軽にたまちゃんとお呼び下さい!百地のたまちゃん!百地のたまちゃんでございます!1年2組の皆様!どうか百地のたまちゃんを宜しくお願いしま~す!」

 

テンション高めで宣言した。

 

花名「選挙活動・・・?」

 

 

 

 

チャイムが鳴った。

 

榎並先生「じゃあこれで解散な。」

 

下校時間になった。

 

たまて「お誕生日の人さーん!」

 

花名「も・・・百地さん。」

 

たまて「気軽にたまちゃんで良いですよ~!あのこれ。誕生日プレゼントです。」

 

交通安全の絵馬のお守りをプレゼント。

 

花名「絵馬・・・?」

 

栄依子「誕生日プレゼント?じゃあ私からも。」

 

冠「私も。はい。」

 

侑李「私からも。」

 

同じお守りをプレゼントした。

 

栄依子「今朝駅前で配ってたのよね~。」

 

たまて「あ!ちょっぱやでネタバレしましたね!お誕生日って知らなかったのでこんなのですみませんです~!」

 

花名「え?」

 

栄依子「そりゃ知らないでしょ。さっき知り合ったばっかりなんだし。」

 

たまて「おっとそうでした!」

 

栄依子「なぁに?今分かったの?」

 

たまて「来年はもっと良い物用意しておきますね!」

 

栄依子「と言うか今度はちゃんとしたもの渡すからね。」

 

花名「ええ!?」

 

たまて「よーし!今日から何が欲しいのかリサーチですよ!」

 

栄依子「お!ハードル上げてきたわね。」

 

美鈴「何何?何の話?」

 

優輔と貴之と美鈴の3人も来た。

 

侑李「この子にあげる来年のプレゼントを考えてたの。」

 

美鈴「へぇ〜!私達も入れて〜!」

 

優輔「おい美鈴落ち着けよ。」

 

栄依子「面白いねぇ。3人も何か考えてみる?」

 

貴之「俺達も?そうだなぁ・・・」

 

冠「ロールケーキが良いと思う。」

 

栄依子「それはかむが食べたいだけでしょ?」

 

美鈴「チョコケーキ!」

 

優輔「お前が食いたいだけだろ。」

 

花名「(さっき知り合ったばかりなのにもう来年の話なんて・・・)あ、あの!ありがとうございます!これ・・・大事にするから!」

 

プレゼントされた4つのお守りを携帯に吊るした。

 

優輔「4つ吊るしてる・・・」

 

栄依子「あはは!凄い事故りたくない人みたいになってる!」

 

花名「あれぇ〜・・・」

 

たまて「これで登下校も安心ですね~!」

 

冠「ありがたや。」

 

貴之「事故が起こっても万全になるかもな。」

 

美鈴「良かったね〜。」

 

花名「あ、あはは・・・」

 

冠「あ。」

 

栄依子「どうしたの?」

 

冠「交通安全の絵馬あげちゃったから私達が事故に遭う。」

 

花名「え~!」

 

たまて「私達はその絵馬に守られていたんですね。」

 

美鈴「事故に遭ったらとんでもない事になっちゃうかも。」

 

花名「え〜!」

 

優輔「そんな大袈裟な・・・」

 

栄依子「じゃ、一緒に帰れば良いんじゃない?」

 

たまて「おお!名案ですね!駅までご一緒しましょう!」

 

美鈴「私達もご一緒して良い?」

 

たまて「勿論です!」

 

花名「・・・」

 

栄依子「あ、もしかして用事あった?」

 

花名「あの私・・・学校まで歩きで来てて・・・」

 

栄依子「お!羨ましい!」

 

たまて「おお!徒歩圏内!」

 

侑李「歩きで来るなんて良いわね!」

 

冠「寝過ごし放題。」

 

貴之「何でそれ?」

 

花名(このまま付いて行ったら変に思われるかな・・・でも・・・折角仲良くなれた気がするのに・・・)

 

栄依子「徒歩通学って事は、駅前の桜並木まだ見てないんじゃない?」

 

たまて「もうもう凄いんですよ!ブワーって桜のトンネルが!」

 

冠「凄い綺麗。」

 

侑李「今日良い天気だし見に行こうよ。」

 

優輔「満開だぞ。」

 

貴之「絶景が見れるぞ。」

 

美鈴「感動するよ!」

 

栄依子「ちょっと遠回りになるけど、駅まで一緒に行かない?」

 

花名「う・・・うん。」

 

 

 

 

 

 

8人で下校する。優輔は自転車を押してる。

 

優輔「良い天気〜。」

 

貴之「日向ぼっこしたいな〜。」

 

たまて「入学式と誕生日が一緒だなんてめでたい事続きですね!はなちゃんさん!」

 

花名「あ・・・さんは付けなくて良いよ。えっと・・・百地さん。」

 

たまて「じゃあ私の事もどうぞたまちゃんとお呼び下さい!」

 

花名「たま、ちゃん。」

 

栄依子「やっぱり春生まれだから花名って名前なの?」

 

花名「う・・・うん。」

 

たまて「可愛いお名前ですね!」

 

栄依子「あら。たまても。」

 

侑李「たまてって名前も可愛いわよ?」

 

たまて「私の事はお気軽にたまちゃんとお呼び下さい!」

 

栄依子「拘るわね。たまてじゃダメなの?」

 

たまて「う・・・そこは気さくにたまちゃんと・・・」

 

冠「たまて。」

 

美鈴「たまて。」

 

たまて「たまちゃん!」

 

栄依子「たま〜。」

 

たまて「おおお!」

 

栄依子「て〜。」

 

たまて「がく。」

 

がっかりした。

 

栄依子「自分の名前嫌い?」

 

たまて「う・・・」

 

栄依子「あら。ドストレートに効いたわね。」

 

優輔「名前、気に入らないのか?」

 

たまて「いえ決して嫌いではないのですが・・・えっとですね・・・たまてって名前は玉手箱が由来でして・・・」

 

栄依子「ああ。そうなんじゃないかと思ってたのよ。」

 

貴之「たまてって名前、何か珍しいな。」

 

侑李「確かに。私もそう思ってたの。」

 

栄依子「でも綺麗な名前よね。たまてって。」

 

するとたまてが真っ赤になった。

 

美鈴「照れてる〜。可愛い〜。」

 

たまて「いやいやいやいや!玉手箱ってのはですね!玉手・箱と切るのではなく玉・手箱!なんですよ!」

 

美鈴「へぇ〜そうだったんだ〜。初めて知った〜。」

 

たまて「あ~もう両親!名付ける前にもっとちゃんと調べろと!」

 

栄依子「てっきり玉手箱って由来が嫌なのかと思った。ほら、開けるとおばあちゃんになるから。」

 

たまて「うわ・・・嫌な理由が増えた気が・・・」

 

優輔・貴之「今まで何があった?」

 

栄依子「あははは!ごめんごめん。でもたまってって名前ほんとに可愛いと思うわよ。」

 

花名「うん!」

 

美鈴「そうだよ!元気出してたまてちゃん!」

 

たまて「あ、ありがとうございます・・・」

 

冠「わ・・・分かった。」

 

栄依子「分かったって何が?」

 

侑李「どうしたの冠?」

 

冠「玉手箱からたまてって名前を付けるのは。肉団子から名付けようとして肉団って付けるようなもの。」

 

花名「肉・・・団・・・」

 

栄依子「ぷふっ!肉団・・・それは確かに嫌だ・・・」

 

侑李「百地肉団。」

 

栄依子「あはははははは!」

 

たまて「栄依子ちゃんはツボり過ぎですよ!侑李ちゃんも何ですか!百地肉団って!」

 

優輔・貴之・美鈴「ブッ!」

 

たまて「優輔君に貴之君に美鈴ちゃんも!!」

 

栄依子「・・・ごめんごめん。かむがもの凄い例えだしてくるから。侑李が冗談言ってくるから。」

 

たまて「そう言えばかむちゃんも珍しいお名前ですね。」

 

栄依子「冠って書いてかむりだからね。」

 

たまて「冠!?ティアラ・・・これはさぞかしもの凄い由来が・・・まさか!やんごとなき王家の血筋であられせられたり!?」

 

 

 

 

冠『愚民どもがー。』

 

 

 

 

美鈴「ドSの冠ちゃん・・・良いかも〜。」

 

優輔・貴之「おい百合女。」

 

侑李「王家って・・・」

 

栄依子「でも由来も私も聞いた事無いし、気になるわね。」

 

冠「多分冠鷲から取ってる。」

 

栄依子・侑李・たまて・優輔・貴之・美鈴「強そう!」

 

栄依子「冠鷲って冠被ってるの?」

 

冠「うんうん。冠羽って羽が頭に生えてる。つまりこれ。」

 

頭のリボンで例える。

 

たまて「リボン!?鷲ですか~。それに比べらた我々は小鳥ですね~。栄依子鳥ちゃん。栄依子鳥ちゃん。」

 

栄依子「捕食対象だそれ!」

 

貴之「食われるぞ!」

 

たまて「栄依子ちゃんはどちらかと言うと、捕食する側の人ですけどね。」

 

侑李「確かにそうね。栄依子は完璧だもん。」

 

栄依子「ええ?そう?されてみる?」

 

たまて「ほらそう言う所ですよ!栄依子ちゃんは中学の時学校中にその名を轟かせていましたからね~。それはもうモッテモテのモテモテで!」

 

栄依子「そんな事無いわよ・・・」

 

冠・侑李「栄依子は小学校の時から凄かった。」

 

たまて「さらに有力な情報が!これは言い逃れ出来ませんね~。」

 

栄依子「かむに侑李まで乗っからないの!3人共大袈裟に言ってるだけだからね。」

 

花名「う・・・うん。」

 

優輔・貴之「お、おう。」

 

美鈴「はぁ〜い。」

 

花名(何か普通に楽しいかも・・・)

 

 

 

 

 

 

その後桜が満開の並木道に着いた。

 

花名「わぁ〜!凄〜い!」

 

優輔「桜が満開だ〜!」

 

貴之「絶景だぜこれ!」

 

たまて「ギャルゲーだったらイベントスチル間違い無しですね!」

 

美鈴「伝説の樹の下で?」

 

冠「お腹空いた。肉団食べたい。」

 

侑李「もう?」

 

たまて「かむちゃん。そこは肉団子で良いんじゃないですか?」

 

栄依子「ねぇ。このへんでおすすめのカフェとかある?ほら今度皆でお茶でもしたいじゃない。」

 

たまて「教えてほしいです!甘味処とかパン屋さん!序でにお魚と野菜が安いスーパーとか!是非!」

 

花名「ご・・・ごめんなさい・・私去年・・・じゃなかった今年・・・今年に入ってから引っ越して来たばかりで教えられるような事は何も・・・何も・・・」

 

栄依子「ああ。だから桜並木の事知らなかったのね。親の転勤とか?」

 

花名「ううん・・・一人で。」

 

栄依子「一人暮らし?」

 

たまて「お~。大人ですね~。」

 

優輔「凄いな。」

 

貴之「一人暮らしとは逞しいな。」

 

美鈴「まさに大人!」

 

冠「アダルティ。」

 

花名「従姉が管理してるアパートだし、一人暮らしって言っても殆ど二人暮らしみたいな感じで・・・」

 

貴之「管理人さんが?」

 

たまて「お~!二人暮らしですか!今度お邪魔してみたいです!」

 

花名「え・・・どうぞ。何時でもお邪魔して下さい。」

 

栄依子「良いの?たまり場にしちゃうよ?」

 

美鈴「抱いても良い?」

 

冠「じゃあ置き菓子して良い?」

 

花名「それはもう・・・置きたいだけ置いてもらえれば・・・あ。」

 

桜の花びらが舞い散った。

 

栄依子「遠回りして良かったでしょ?」

 

花名は舞い散る花びらを見て感動した。

 

栄依子「じゃあ優輔と貴之と美鈴、何かおすすめのカフェとか探してよ。」

 

優輔「ああ。今度教えてやる。」

 

美鈴「勿論!」

 

貴之「楽しみにしてろよ?」

 

 

 

 

 

 

その日の夕方の軽井沢駅。

 

たまて「また明日ですー!」

 

栄依子「またー。」

 

侑李「じゃあねー。」

 

花名「ま、また明日!」

 

冠「バイバーイ。」

 

 

 

 

貴之「じゃあ俺達も帰るか。じゃあな花名。」

 

美鈴「花名ちゃんじゃあねー!」

 

優輔「気を付けて帰れよー。」

 

花名「う、うん。じゃあねー。」

 

3人も帰って行く。優輔は自転車に乗って帰って行く。

 

 

 

 

 

 

その日の夜のアパート。

 

花名(初めてだな・・・学校の友達にプレゼント貰うの・・・友達・・・)

 

志温「はなちゃーん!ご飯よー!」

 

花名「あ、はーい!」

 

今日の晩御飯はちらし寿司。

 

花名「わ~!ごちそうだ!」

 

志温「入学式と誕生日、ダブルでお祝いだもの。」

 

花名「ありがとう志温ちゃん!」

 

志温「うふふ。さぁ食べましょ?」

 

花名・志温「いただきまーす。」

 

ちらし寿司を頂く。

 

志温「はなちゃん。違ってたらごめんね。もしかしてお友達が出来たの?」

 

花名「え!?な、何で・・・?」

 

志温「だってそんなに楽しそうにご飯食べてる顔、はなちゃんがうちに来てから初めて見たんだもの。」

 

花名「そ・・・そんなに顔に出てたかな・・・?」

 

志温「丸出しよ丸出し。」

 

花名「うん・・・友達って言うかちょっと色々あって、駅前の桜を見て来たの!」

 

志温「良いわね〜。」

 

花名「で・・・でもお話して桜見てそれだけって言うか・・・友達って言って良いのかなこれって・・・」

 

志温「良いに決まってるじゃない。」

 

花名「そ、そうかな・・・」

 

志温「うふふ。私まですっごく嬉しくなっちゃった。私も駅前の桜見に行こうかしら。学生服で!」

 

花名「そ・・・そこは普通の服で良いと思うよ志温ちゃん・・・」

 

 

 

 

その後バースデーケーキを持って来た。

 

志温「おめでとうはなちゃん。」

 

ロウソクを吹き消す花名。

 

花名「えへへ。ありがとう志温ちゃん。」

 

志温「はい。誕生日プレゼント。」

 

プレゼントが入ってるピンクの袋をプレゼントした。

 

花名「わぁ〜!開けて良い?」

 

志温「勿論!」

 

プレゼントの中は。

 

花名「わ~!傘!ありがとう志温ちゃん!」

 

志温「ネギそっくりで可愛いでしょ?」

 

花名「ネ・・・ネギ?」

 

志温「あ、はい。駅前で配ってたから貰って来ちゃった。これで登下校も安心ね。」

 

栄依子と冠とたまてと侑李から貰ったお守りと同じ。

 

花名「わ、わ〜・・・ほんとだね〜・・・」

 

 

 

 

 

 

風呂から上がった後、母親の葉月と通話する。

 

葉月『もう友達が出来たの?凄いじゃない!』

 

花名「うん・・・色々不安だったけど大丈夫そうかも・・・多分・・・」

 

葉月『大丈夫よ。花名は色々考え過ぎるんだから・・・あ。もうこんな時間。まだ寒いから温かくして寝なさいね。』

 

花名「うん。お父さんにも宜しくね。おやすみなさい。」

 

葉月『おやすみ。』

 

通話終了。

 

 

 

 

花名の実家では。葉月が夫の健と話をした。

 

葉月「お父さん。花名友達が出来たって。」

 

健「お!そうか出来たか。良かったな・・・花名。」

 

 

 

 

 

 

翌朝。花名が学校へ行く。

 

志温「行ってらっしゃい!」

 

花名「行って来ます!」

 

 

 

 

登校途中。後ろから自転車のベルが聞こえた。

 

優輔「よう花名。おはよう。」

 

花名「ゆ、優輔君。おはよう。」

 

優輔「そんなに緊張しなくて良いぞ。俺達もう友達なんだから。」

 

花名「そ、そうだね。」

 

すると誰かが花名の後ろから花名に抱き付いた。

 

花名「ヒャッ!?」

 

美鈴「う〜ん、冠ちゃんも良いけど花名ちゃんも悪くないな〜。」

 

花名「み、美鈴ちゃん!?」

 

貴之「おい美鈴止めろ。」

 

美鈴「ぐへっ!」

 

頭にチョップが直撃。

 

貴之「おはよう花名。」

 

花名「お、おはよう。貴之君。」

 

貴之「おい美鈴、いきなり抱き付かれたらびっくりするだろ?」

 

美鈴「ごめんごめ〜ん。欲が制御出来なくて〜。」

 

優輔「はぁ、まあ良いや。早く行こうぜ?」

 

 

 

 

 

 

1年2組に到着。

 

花名「あ。」

 

たまて「やや!昨日誕生日の!おはようですよ。」

 

栄依子「お。昨日誕生日の。おはよう。」

 

冠「ん。昨日誕生日の。おはよう。」

 

侑李「あ。昨日誕生日の。おはよう。」

 

優輔(昨日誕生日って何だ?)

 

花名(も・・・もしかして名前覚えられてない・・・?)

 

冠「お腹空いた。」

 

栄依子「え~?早くない?」

 

侑李「もう?」

 

たまて「お昼休みまでまだまだ・・・」

 

花名「あの!」

 

栄依子・冠・たまて・侑李「ん?」

 

花名「たまちゃん!栄依子ちゃん!冠ちゃん!い・・・一之瀬花名です!改めてどうぞ宜しくお願いします!」

 

たまて「そうでした〜。はなちゃん!」

 

冠「誕生日のインパクト。」

 

栄依子「いや、知ってるから。」

 

侑李「ごめんね花名。今の冗談だから。」

 

優輔「冗談かよ。」

 

貴之「完全に記憶消されたのかと思ったぞ?」

 

美鈴「そうだよ。花名ちゃん可哀想だったじゃない。」

 

栄依子「ごめんごめん。」

 

花名『一之瀬花名。17歳。中学浪人で1年遅れのスロウスタートだけど、私の高校生活が始まりました!』

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
     一之瀬葉月:日笠陽子
      一之瀬健:小山力也
       大谷周:芳野由奈
     小鹿野真秀:貫井柚佳
      今井千尋:巽悠衣子
        教員:櫻井浩美

次回「うんどうのはぁはぁ」
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オリキャラ紹介。

佐野優輔(さのゆうすけ)

誕生日・2月18日
年齢・16歳
血液型・B型
身長・163Cm
体重・49kg

趣味・サイクリング

好きな教科・体育
好きな丼物・ネギトロ丼
好きな甘味・チョココロネ
好きな寿司ネタ・炙りサーモン
好きな果物・いちご

モデル・塩野瑛久

髪型・茶髪癖っ毛

私服・白のシャツ、赤のジャケット、青のジーンズ、白のスニーカー

星尾高校に通う高校1年で一之瀬花名のクラスメイト。
サイクリングが趣味であり、休日の日は自転車で外出する事が多い。
学校まで少し遠い為、自転車通勤してる。
学校でもスニーカーを履いてる。
実家が飲食店であり、暇な時は手伝いをしてる。
家族は放任主義であり、「家の事よりも、好きな事をしても良い」と言われてる為、将来は何をするか考えてる。
姉は花名の従姉の京塚志温と大学時代の同級生だった為、志温との面識がある。
クラスメイトの松原美鈴のツッコミ役でもある。

イメージキャスト・塩野瑛久
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浪江貴之(なみえたかゆき)

誕生日・5月2日
年齢・16歳
血液型・A型
身長・163Cm
体重・50kg

好きな事・ゲーム
好きな教科・音楽
好きな丼物・ユッケ丼
好きな甘味・抹茶アイス
好きな寿司ネタ・タコ
好きな果物・無花果

モデル・稲葉友

髪型・金髪

私服・黒の服、黒のジーンズ、茶色のスニーカー

星尾高校に通う高校1年で一之瀬花名のクラスメイト。
クラスメイトの佐野優輔とは幼い頃からの幼馴染みである。
ゲーム好きである為、休みの日は家でずっとゲームする事が多い。
優輔と同じく志温と面識がある。
百合女でクラスメイトの松原美鈴のツッコミ役でもある。

イメージキャスト・内田雄馬
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松原美鈴(まつばらみすず)

誕生日・11月2日
年齢・16歳
血液型・O型
身長・159Cm
体重・46kg

好きなもの・女の子
好きな教科・家庭科
好きな丼物・牛丼
好きな甘味・シュークリーム
好きな寿司ネタ・イカ
好きな果物・りんご

モデル・武田玲奈

髪型・赤髪ポニーテール

私服・赤いワンピース、赤いストラップシューズ

星尾高校に通う高校1年で一之瀬花名のクラスメイト。
かなりの百合であり、可愛い女の子を見ると抱き付きたくなる欲を持ってる。
かなり人懐っこい性格で、冠と花名に凄く懐いてる。
優輔と貴之とは中学時代からの友人。
毎回優輔と貴之から容赦無いツッコミを受けてる。
かなりのポジティブ。

イメージキャスト・伊藤美来
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億崎侑李(おくざきゆうり)

誕生日・7月1日
年齢・16歳
血液型・AB型
身長・163Cm
体重・48kg

趣味・読書

好きな教科・国語
好きな丼物・ソースカツ丼
好きな甘味・クレープ
好きな寿司ネタ・赤身
好きな果物・スイカ

モデル・佐々木彩夏

髪型・黒髪ロングストレート

私服・青のブラウス、白のスカート、茶色のブーツ

星尾高校に通う高校1年で一之瀬花名のクラスメイト。
十倉栄依子と千石冠とは昔からの幼馴染み。
読書が好きで、小説や漫画を読んでる。
担任である榎並清瀬を友達感覚で話している。

イメージキャスト・白石晴香


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STEP2「うんどうのはぁはぁ」

入学式から数日が経った星尾高校。

花名「はぁ・・・」

一之瀬花名は席に座って一息した。すると後ろから。

たまて「おはようございまーす!はなちゃん!」

クラスメイトの百地たまてが元気良く挨拶した。

花名「おはようたまちゃん。」

栄依子「おはよう。」

優輔「おはよ〜す。」

クラスメイトの十倉栄依子、千石冠、億崎侑李、佐野優輔、浪江貴之、松原美鈴が集まった。

栄依子「朝から元気ねたまは。」

たまて「栄依子ちゃんは朝から気怠げですね~。」

栄依子「とうとう来週から普通に授業が始まると思うと・・・」

侑李「分かるわ〜。やる気が出ないよ〜・・・」

優輔「そうか?俺は何とも思わないけどな。」

たまて「でもでも、水曜はスポーツテストですよ!」

貴之「おお!そうだった忘れてた!」

花名「スポーツテスト・・・」

冠「運動苦手?」

花名「うん・・・あんまり。」

美鈴「私も運動苦手だなぁ〜。」

優輔「女の子を全力で追い掛け回してる癖に。」

たまて「私は動くの大好きなので楽しみです!スポーツテスト!」

栄依子「たま、常に動いてる感じあるもんね。」

侑李「確かに。変な事になりそうかもね。」

たまて「う・・・そんな人を挙動不審みたいに~!」

栄依子「うふふ。けど運動神経良さそう。」

貴之「そうだな。たまは何時も動いてるからな。」

たまて「いや~普通ですよ。去年の成績もB判定でした。」

栄依子「あらそうなの?私もBだったな~。」

美鈴「私はCだったなぁ〜・・・」

貴之「おい。」

栄依子「かむは足速かったよね?」

冠「うん。速い。でも長距離だと体力が続かなくて去年の成績は結局真ん中くらい。」

たまて「かむちゃんも普通ですね。」

美鈴「可愛いな〜冠ちゃん。」

花名(去年・・・)

たまて「はなちゃんはどうでしたか?」

花名「私もBだったような・・・」

優輔(ん?)

たまて「では我ら普通四天王ですね~。」

貴之「8人普通だから八天皇だな。」

優輔「何だ八天皇って?」

花名(中学浪人してたなんて言える訳ないよ・・・)

彼女は中学浪人と言う過去を抱えていた。


花名が何故中学浪人になったのか、それは1年前の事だった。

 

とある病院。

 

葉月「先生どうなんでしょうか?」

 

医師「そうですね・・・おたふく風邪ですね。」

 

おたふく風邪に掛かってしまった花名。

 

花名「おたふく!?」

 

葉月「あらまぁ。花名掛かってなかったんだっけ?」

 

医師「まずは検査してみないとだけど・・・学校はしばらく休んでもらう事になるね。」

 

それを聞いた花名が絶望した。

 

医師「おたふくはね・・・大人になってから掛かるとちょっと厄介なんだよね。感染する病気なので1週間から・・・」

 

花名「えーーー!?あの!私!明日受験なんですけど!!」

 

医師「それは・・・まぁ・・・」

 

葉月「諦めるしかないわよね。」

 

花名「っ!?」

 

 

 

 

 

 

その後花名は、部屋で眠った。

 

花名『翌日からすぐ高い熱が出て、それからの事はよく覚えてない・・・卒業式が終わって全ての高校の受験が終了して、その日を待ってたかのように私のおたふく風邪は完治した。』

 

そう。彼女は受験前日におたふく風邪に掛かってしまったのだった。これが切欠で浪人になってしまった。

 

 

 

 

 

 

完治されてから数日が経ったある日。花名がリビングの隅で泣きじゃくってた。

 

花名「うっ・・・うっ・・・」

 

葉月「ほっぺの次は目が腫れるわよ~。」

 

花名「だってだって!どうすれば良いか分かんないんだもん!皆高校生になるのに私だけこんなんで!」

 

葉月「開き直って時間を有意義に使いなさいよ。中学浪人なんて中々出来ない経験よ。」

 

花名「しなくて良いですそんな経験!」

 

葉月「自己紹介の時・・・拙者浪人でござる!って言えるわよ?」

 

花名「いらないよそんな持ちネタ!」

 

悲しんでる娘に対して、母親はかなりポジティブ。

 

花名「来年も学校行きたくない・・・お外にも出たくない・・・」

 

葉月「バカな事言わないの。」

 

花名「だって、来年になったら友達皆先輩になっちゃって・・・私は皆の後輩になっちゃって・・・同級生も皆後輩で私だけ先輩で・・・」

 

葉月「先輩後輩ややこしいわね。」

 

花名「友達だって出来る訳無いし・・・兎に角もうお外にも学校にも行きたくない!引き篭もりになるの!」

 

泣きじゃくる花名に、葉月がある提案を話した。

 

葉月「花名。志温ちゃんって覚えてる?今年大学を卒業してね。お祖父さんのアパートの管理人してるの。花名。そのアパートで一人暮らししなさい。」

 

花名「え!それって引き篭もりはこの家にはいらないって事ですか・・・」

 

葉月「そうじゃなくて。花名の事知らない人ばかりの環境ならやり直しが出来るでしょ?もう一回受験生からやり直すの。少しだけスタートが遅れたと思って。ね?」

 

花名「・・・うん・・・」

 

これが切欠で、花名は従姉の志温が管理してるアパートで一人暮らしする事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在に戻り、アパートで晩御飯を食べる。

 

志温「来週から午後も授業あるでしょ?お弁当作りましょうか?」

 

花名「え!良いの?」

 

志温「勿論。そう言うの好きだから。」

 

花名「志温ちゃん・・・」

 

志温「花名ちゃんって、好きなキャラクターとか居る?」

 

花名「キャ・・・キャラ弁じゃなくて良いよ!」

 

志温「うふ。お楽しみに。」

 

 

 

 

 

 

そして翌日の学校。たまてが教室の後ろの黒板に花名の名前を書いた。

 

たまて「はなちゃんって、花の名前って書いて花名なんですね。」

 

花名「うん。よくかなちゃんって間違えられる。」

 

優輔「あるよなぁ。名前間違えられるの。」

 

たまて「う~ん残念。」

 

花名「え?」

 

たまて「かなちゃんだったら私のたまてと併せて・・・かなえたまえと言う素敵なユニットが爆誕すると思ったのですが。」

 

貴之「アイドル目指したいのか?」

 

美鈴「かなえたまえ・・・可愛いユニットになりそう!」

 

たまて「はなですと〜・・・はなれたまえ!」

 

花名「!」

 

優輔「おいたま、花名が可哀想だろ。」

 

たまて「あはは。冗談ですよ。はなちゃん。」

 

そう言って花名を抱き締めた。美鈴がウキウキしながら見てる。

 

花名「た・・・たまちゃん・・・?」

 

たまて「よしよし。はなちゃん、良えんやで~。」

 

美鈴「やっぱり百合・・・良いわね〜。」

 

優輔・貴之「・・・・・」

 

引いてるこの2人。

 

栄依子「ほらほら。はなれたまえ。」

 

侑李「見事な使い方。」

 

栄依子「花名が苦しそうでしょ。」

 

花名(花名って呼ばれた・・・)

 

栄依子「あ、ごめん。どさくさで呼び捨てしちゃった。」

 

花名「ううん・・・全然大丈夫。」

 

栄依子「じゃあこのまま花名って呼んで良い?私も栄依子で良いから。」

 

花名「う、うん・・・」

 

冠「これでクラス全員コンプリート。」

 

優輔「何がコンプリートだ?」

 

冠「栄依子の呼び捨て。」

 

花名「え!入学してまだ1週間も経ってないのに?」

 

優輔「栄依子、凄えコミュ力・・・」

 

 

 

 

 

 

昼になり、中庭で弁当を食べる。優輔と貴之以外はハンケチに座ってる。

 

栄依子「お待たせしました~。この学校の購買、パンの種類がすっごく多くて悩んじゃった。」

 

貴之「そうなのか。」

 

たまて「やや!それは厚い情報ですね!私は明日パンにしてみますかね〜。ん?」

 

冠がでかい弁当を出した。

 

たまて「かむちゃんのお弁当でっかいですね。」

 

優輔「おせちかよ。」

 

花名「冠ちゃんそれ全部食べるの!?」

 

冠「このくらいは余裕・・・なんだけど・・・食べるの遅くて完食出来ないから、良かったら皆も一緒に食べて・・・」

 

たまて「それは切ない・・・」

 

美鈴「冠ちゃん、無理しないでね?」

 

 

 

 

たまてが弁当を開ける。

 

花名「わぁ!」

 

栄依子「これってたまのお手製?」

 

花名「え?」

 

たまて「栄依子ちゃんよく分かりましたね~。実は私は百地家の料理番でして。」

 

貴之「料理上手だったのか。」

 

優輔「女子力高っ。」

 

美鈴「お嫁にしたい。」

 

優輔・貴之「黙れ。」

 

花名「たまちゃん凄ーい!」

 

たまて「そんな事ないですよ〜。はなちゃんはいとこさんと二人暮らしでしたよね?お弁当はいとこさんが?」

 

花名「あ・・・うん。」

 

栄依子「アパートの管理人してるんだっけ?いとこさん。」

 

花名「うん。料理上手でご飯も作ってもらって・・・」

 

栄依子「料理上手な管理人さんか~。何かロマンを感じるわね。」

 

侑李「私も感じるわ〜。」

 

たまて「一体どんなロマン弁当なんでしょ~。」

 

栄依子・侑李「ね~。」

 

花名「普通だよ。普通のお弁当・・・」

 

蓋を開けると・・・

 

 

 

 

 

 

ハート型のおかずが沢山あった。

 

 

 

 

 

 

栄依子「え!何何このお弁当!?」

 

たまて「もしかしてそのいとこさんとお付き合いしてるんですか!?」

 

花名「ち・・・違!そもそも志温ちゃんは女の子・・・」

 

たまて「大丈夫ですよ私達祝福しますから~。」

 

美鈴「おめでと〜花名ちゃ〜ん。」

 

後ろから冠が花名の背中を叩いた。

 

冠「ふっ。」

 

そしてドヤ顔。

 

花名「その笑顔は何!?」

 

優輔「おいお前ら、花名の話を聞けよ。いとこさんは女の人?」

 

花名「う、うん。志温ちゃんって言うの。」

 

優輔(志温ちゃん?)

 

貴之「でも、花名を凄く大事に思ってるからハート型にしたんじゃねえのかな?ハートには恋愛以外にも、思いやりの意味も込められてるからな。」

 

花名「・・・志温ちゃん・・・」

 

 

 

栄依子が水筒に入ってる飲料をコップに注いでた。

 

たまて「おや?何ですかそれ?」

 

栄依子「スープ。妹が栄養偏るからって持たせてくれて。」

 

美鈴「妹ちゃん居るんだ。」

 

たまて「おお!妹ちゃん優しい!」

 

栄依子「名付けて・・・妹汁。」

 

優輔・貴之「ブッ!」

 

花名「妹汁って・・・せめて妹スープとか・・・」

 

たまて「それもどうかと思われますよはなちゃん。」

 

侑李「新手の下ネタ?」

 

栄依子「うーん・・・妹汁だと妹から分泌された何かっぽく聞こえるけど。」

 

貴之「何だよ分泌された何かって・・・」

 

栄依子「妹スープだと妹をそのまま煮込んだみたいに聞こえるわね。」

 

優輔「豚骨スープみたいに言うな・・・」

 

栄依子「まぁまぁ。一杯どうぞ。」

 

たまて「では・・・」

 

スープを飲んでみる。

 

たまて「妹汁美味!はなちゃんも一口!」

 

花名「うん・・・はぁ・・・美味しい・・・」

 

美鈴「私も飲ませて。・・・美味しい〜!」

 

たまて「栄依子ちゃんのまだ見ぬ妹を感じさせる味わいですね!」

 

優輔「何だよそれ・・・」

 

たまて「ではでは妹汁のお返しとして・・・はいあーん。」

 

栄依子「あーん。」

 

おかずを栄依子に食べさせた。

 

栄依子「う~ん美味しい!流石たま!」

 

たまて「はなちゃんもどうぞ。」

 

花名「あ、ありがと・・・わ~ほんとだ!」

 

貴之「何だろう、この微笑ましい光景は。」

 

美鈴「感服ですね〜。」

 

貴之「鼻血出てるぞ。」

 

花名「たまちゃん料理上手!」

 

たまて「えへへ〜、なまら照れますなぁ~。」

 

優輔「なまらって北海道かよ。」

 

栄依子「嬉しい〜。実は私ずっと憧れてたのよね。たまの手料理。中学の調理実習の時、何時もたまの居る班から特別良い匂いがしてきたのね。侑李も覚えてる?」

 

侑李「あ、それ私も覚えてる。」

 

栄依子「何時かこの子の味見をしたいってずっと思ってたのよ。」

 

たまて「まうごつ照れますなぁ~。」

 

花名「お・・・お料理の話だよね・・・?」

 

優輔「まうごつって熊本弁かよ。」

 

たまて「でも栄依子さんの妹さんもすっごくお料理上手じゃないですか!今お幾つなんですか?」

 

栄依子「14歳。今年中3。」

 

たまて「と言う事は受験生ですか。」

 

栄依子「そうなのよ。同じ学校に入りたいって言っててね。」

 

たまて「お~!妹汁が後輩汁に!」

 

栄依子「そうそう後輩汁。」

 

貴之「何だよ後輩汁って。」

 

優輔「また新手の下ネタか?」

 

栄依子「でもね。夜遅くまで勉強してるのに妹汁を毎日作るって聞かないのよ。体調崩さないか心配で・・・」

 

花名「ほんとだよ!」

 

突然花名が大声で言った。

 

栄依子「は、花名?」

 

花名「今から受験に備えて努力してるのは素晴らしい事だと思います!でもね!受験にはまず体力!だけど健康でも安心しちゃ駄目なんだよ!どんな出来事が潜んでるか分からないんだからね!」

 

栄依子「え・・・?」

 

花名「その辺り肝に銘じておくように!」

 

栄依子「は・・・はい。伝えておきます・・・」

 

侑李「花名いきなりどうしたの?」

 

花名「ご・・・ごめん~・・・」

 

侑李「大丈夫?」

 

たまて「いや~、はなちゃんの受験に掛ける熱い思いが伝わりましたな~。ね。かむちゃん!」

 

花名「冠ちゃん?」

 

冠はずっと弁当を食べてる。

 

たまて「そう言えばさっきから一言も喋ってないのでは?」

 

栄依子「お食事中のかむは無心なのよね~。」

 

美鈴「へぇ〜。」

 

冠「う・・・」

 

突然顔が真っ青になった。

 

花名「あ!喉詰めてる!」

 

優輔「冠!?」

 

美鈴「冠ちゃん大丈夫!?」

 

背中を叩く。

 

貴之「飲み物を誰か!」

 

たまて「妹汁!妹汁を~!」

 

栄依子・侑李「じゃなくてお水~!」

 

 

 

 

 

 

その日の夜のアパート。

 

花名「志温ちゃん。お弁当ありがとう・・・」

 

志温「いえいえ。美味しかった?」

 

花名「うん。とっても。でも・・・ごめんなさい!折角ですがお付き合いは出来ません!」

 

志温「え・・・?えぇ~!?」

 

 

 

 

 

 

水曜日。スポーツテストの日。

 

女子更衣室。

 

たまて「1日授業無しって最高じゃないですか~。」

 

栄依子「週1ぐらいでやってくれても良いのにね。スポーツテスト。」

 

侑李「それは流石に無理でしょ。」

 

美鈴「それだったら私干からびるよ〜。」

 

たまて「そんな頻繁にテストされたら調べ尽されちゃいますよ。」

 

栄依子「そうね。余す事無くね。」

 

たまて「いやらしいですな~。」

 

侑李「いやらし過ぎるでしょ。」

 

花名(皆運動が得意な訳じゃないって言ってたよね・・・私は運動苦手だけど・・・一緒に居ても目立たずに済みそうかな・・・)

 

 

 

 

男子更衣室。

 

優輔「スポーツテストかぁ。」

 

貴之「腕が鳴るな〜。」

 

優輔「美鈴の奴、中学のスポーツテストで筋肉痛になってたよな。」

 

貴之「あ〜あったな〜。けど女の子を追い掛ける時は痛みすら無いって言ってたな。」

 

優輔「どんな基準だよ彼奴の体力は。」

 

 

 

 

 

 

スポーツテストテスト。グラウンドで持久走。

 

花名「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

持久走でビリになってしまった花名。物凄く疲れ果ててる。

 

優輔「花名・・・?」

 

そしてようやく走り切った。

 

たまて「はなちゃん!大丈夫ですか!?」

 

花名「だ・・・だい・・・だめ・・・」

 

たまて「大駄目です!最初に持久走は失敗だったんですかね・・・」

 

栄依子「この前スポーツテストの話になった時普通って言ってたよね?この状態で普通って言い切ったの逆に凄いなって。」

 

たまて「ああ。成る程。」

 

侑李「言えてるかも。」

 

花名「3人共酷い・・・」

 

美鈴「花名ちゃん、向こうで休も?」

 

花名「う、うん・・・・」

 

 

 

 

休憩する。

 

花名(中学校の頃はそれなりに普通だったんだけどな・・・)

 

たまて「どうしましたか?」

 

花名「中学校卒業してから、全然運動してなかったからこんなに体力落ちちゃったんだな~って。」

 

たまて「そんな一月で落ちちゃいますか?」

 

花名「あ・・・だよね!そうだよね!あはは・・・」

 

優輔(・・・)

 

ホイッスルの音が聞こえた。

 

冠「あ。ソフトボール投げ始まる。」

 

花名がゆっくりと立つ。

 

たまて「立てそうですか?」

 

美鈴「無理しないでね?」

 

花名「う、うん・・・大丈夫・・・」

 

すると冠が花名の横に立った。

 

花名「冠ちゃん?」

 

冠「掴まって。」

 

花名「ありがとう・・・」

 

肩を貸してくれた。歩き出した瞬間。

 

花名・冠「わ〜〜〜〜〜!!」

 

滑って斜面を滑り落ちてしまった。

 

貴之「花名!?冠!?」

 

美鈴「大丈夫!?」

 

 

 

 

ソフトボール投げ。

 

クラスメイトの椿森幸が投げる。

 

女子生徒「14mでーす!」

 

千尋「去年より伸びてた〜。」

 

榎並先生「次、十倉。」

 

次は栄依子の番。力一杯ボールを投げる。

 

女子生徒「7mでーす!」

 

榎並先生「次、佐野。」

 

栄依子「コントロールが良いのよ私。」

 

次は優輔の番。

 

優輔「よっと!」

 

力一杯投げた。

 

女子生徒「15mでーす!」

 

優輔「こんなもんか。」

 

榎並先生「次、一之瀬。」

 

次は花名の番。ボールを投げたが、真上に投げてしまって、ボールが頭に当たった。

 

優輔(運動神経悪い芸人かよ・・・)

 

 

 

 

次は走り幅跳び。

 

たまて「はい!」

 

全速力で走り、ジャンプして着地した。

 

 

 

 

次は貴之の番。

 

貴之「おっと!」

 

たまてよりちょっと超えた。

 

 

 

 

次は花名の番。

 

花名「あうぅぅ・・・」

 

着地したが、バランスを崩して倒れた。

 

 

 

 

たまて「大丈夫ですか花名ちゃん?」

 

真秀「凄ーい!」

 

周「小さいのに速ーい!」

 

50m走に速い生徒が居た。

 

 

 

 

冠だった。俊足で他の生徒を追い抜いた。

 

 

 

 

美鈴「冠ちゃん速!」

 

優輔「もう追い越しちゃったよあの子。」

 

 

 

 

グラウンドの蛇口場。

 

花名「うぅぅ・・・」

 

すると横から。

 

周「ねぇ千石さん!今の50m凄かったね!陸上部入らない?仮入部でも良いからさ!あ、まずは見学からでもどう?」

 

クラスメイトの大谷(あまね)から陸上部のスカウトを受けてる冠が居た。

 

花名(陸上部からスカウトされてる冠ちゃん凄い・・・!)

 

周「千石さんのその足は才能だよ!県大会でも良い成績狙えると思うの!ねぇ、中学生の時何の部活入ってた?」

 

冠「あ・・・あの・・・」

 

泣き出してしまった。

 

冠「え、栄依子・・・侑李・・・」

 

栄依子「はーい。」

 

侑李「来たよー冠ー。」

 

もう来た。

 

周「あ、栄依子、侑李。」

 

侑李「ヤッホー周。」

 

栄依子「ごめんね。この子すっごく人見知りだから。」

 

冠「ちょ、ちょっとびっくりしただけ・・・」

 

周「ご・・・ごめんねびっくりさせて・・・」

 

真秀「もう周は!いきなり来てわーわー言われたら困るでしょ!」

 

クラスメイトの小鹿野真秀(おがのまほ)が周に注意した。

 

冠「今日は・・・栄依子と侑李来てくれた・・・」

 

栄依子・侑李「?」

 

 

 

 

 

 

体育館でシャトルラン。

 

美鈴「もうダメ・・・」

 

優輔「いや去年より多く走ったぞ。」

 

貴之「それで、花名はと言うと・・・」

 

花名は疲れ果てながら走ってた。

 

たまて「はなちゃ~ん!頑張った!よく頑張りましたよ!」

 

疲れた花名を膝枕で休ませた。

 

侑李「くっ・・・!はぁ・・・」

 

握力を測ってた侑李。

 

侑李「花名、握力で終わりよ。」

 

花名「お、終わり・・・」

 

握力計を持って力を振り絞って握る。

 

栄依子「えーと・・・右26。平均だ。」

 

たまて「やりましたね!普通の成績です!」

 

花名「普通・・・」

 

たまて「はい!普通です!」

 

花名(普通・・・良かった~!輝かしい普通の成績も残せたし辛く苦しかったスポーツテストもこれで終わり!今は体が軽〜い。)

 

 

 

 

 

 

すると何かが身体中に走った。

 

 

 

 

 

 

花名(あ・・・)

 

そして倒れた。

 

花名「あ・・・足つった・・・」

 

冠「はな?」

 

栄依子「どうしたの大丈夫?」

 

たまて「私、保健室で湿布貰って来ます!」

 

侑李「待ってたま!私も行く!」

 

湿布を取りに行く。

 

花名「あ・・・ありがとうたまちゃん・・・侑李ちゃん・・・」

 

たまて「良いって事ですよ!」

 

侑李「困った友達を放っておけないしね。」

 

花名「たまちゃん・・・侑李ちゃん・・・優しい・・・」

 

たまて「あ!アイスの自販機を発見しました!」

 

花名「あ、あれ・・・?」

 

 

 

 

アイスの自販機を発見した。

 

たまて「おお!学校内に存在してますよ!アイスの自販機!」

 

花名「あの・・・湿布・・・」

 

侑李「私が取って来るよ。待ってて。」

 

保健室へ向かう侑李。

 

優輔「アイスの自販機かぁ。」

 

貴之「学校にもあるんだな。」

 

栄依子「ストロベリーチーズケーキ。」

 

アイスを購入。

 

たまて「早~!もう折角学校でアイスが食べられると言うのに~!お2人共情緒がないですね~。まず一句詠んでからでも。」

 

貴之「何で一句?」

 

美鈴「一句?えっと・・・」

 

優輔「乗るな。」

 

花名「いたたたた!」

 

たまて「またですか!」

 

栄依子「癖になってるみたいね。」

 

優輔「腓返りか?」

 

花名「うん・・・」

 

侑李「お待たせ花名。湿布貰って来たよ。」

 

湿布を花名の足に貼る。

 

侑李「これで大丈夫。」

 

花名「侑李ちゃんありがとう・・・」

 

たまて「そう言えばおばあちゃんから聞いたのですが、腓返りはバナナやキウイを食べると良いそうです!」

 

冠「こむら?」

 

栄依子「バナナ・・・」

 

自販機を見ると、バナナチョコミントがあった。

 

栄依子「バナナチョコミントハワイアンってのがあるけど。」

 

たまて「それです!」

 

バナナチョコミントを買って、花名に食べさせる。

 

たまて「ささ。ぐいっとどうぞ。良えんやで。」

 

花名「え?あ、うん・・・」

 

バナナチョコミントを食べる。

 

たまて「どうですか?治りましたか?」

 

花名「たまちゃん・・・バナナが良いってこう言う事じゃないと思う・・・」

 

たまて「何と。」

 

花名(後これ不味い・・・)

 

 

 

 

榎並先生「うわ。もうこれ見付けたのか。」

 

 

 

 

優輔「榎並先生。」

 

榎並先生「凄いな。お前らアリか?」

 

栄依子「アリって・・・」

 

美鈴「私はバイオリン弾いてます。」

 

優輔・貴之「アリとキリギリスか。」

 

榎並先生「何見てんだよ。」

 

栄依子「先生は何買うのかな~って。」

 

たまて「大人だからラムレーズンとかですか?」

 

侑李「何買うの〜先生?」

 

榎並先生「増えたよ・・・何でも良いだろ別に。」

 

バナナチョコミントを買った。

 

栄依子「!」

 

たまて「!」

 

侑李「!」

 

花名「!」

 

美鈴「!」

 

優輔「!」

 

貴之「!」

 

冠「ぺろ。」

 

榎並先生「さっさと食って帰れよ?」

 

7人「は〜い。」

 

たまて「バナナチョコミントハワイアンを買って行きましたね。」

 

栄依子「先生も足つってるのかしらね・・・」

 

侑李「それは無いでしょ流石に。花名、足は治った?」

 

花名「あ・・・うん。もう大丈夫。」

 

たまて「それは早速バナナ効果が~!それでは午後のスポーツテスト張り切ってやりましょ~!」

 

花名「まだやるの!?」

 

優輔「待て待てたま。さっき先生が食って帰れよって言われただろ?」

 

たまて「あれ?」

 

その後全員着替えた。

 

 

 

 

 

 

下駄箱。

 

花名「も~。たまちゃんの嘘付き~。」

 

たまて「あはは。午前で終了でしたね〜。」

 

花名「たまちゃんったら、酷いな〜。」

 

美鈴「何で笑顔で言ってるの?」

 

そこに遅れた冠が来た。

 

栄依子「かむ。遅かったじゃない。」

 

冠「お待たせ。」

 

たまて「はっ!かむちゃん生足じゃないですか!?」

 

何と冠が生足になってた。

 

冠「ん。もう帰るだけだし。」

 

優輔「まさかの生足・・・」

 

貴之「おいおい・・・」

 

たまて「良いですね生足!新鮮で!」

 

美鈴「生足の冠ちゃん、良いね!」

 

栄依子「何でそんなテンション上がってるの・・・?」

 

たまて「え!分かりませんか!?普段タイツの子が生足になってる!そのギャップが良いんですよ!」

 

美鈴「皆も分かるでしょ?」

 

栄依子「う~ん・・・ごめん分かんない。」

 

侑李「私も分からない。」

 

優輔「分からなくも無いが・・・」

 

貴之「分かりたくない。」

 

たまて「例えばですよ?私が普段から全裸で生活している裸族だと仮定しましょう!それがある日突然制服を着たら!?そのギャップに興奮しませんか!?」

 

栄依子「いや・・・理解から更に遠のいた。」

 

優輔「何で裸族なんだよ。」

 

貴之「普段から裸族ってアカンだろ。」

 

たまて「はなちゃん分かりませんか?」

 

しかし花名は笑顔のままだった。

 

たまて「あ、ダメだこの人。」

 

冠「たまの裸には興奮しないって話?」

 

たまて「そんな話でしたっけ?」

 

栄依子「ほら裸でも生足でも良いから帰りましょ。」

 

侑李「ダメでしょ。」

 

優輔「自転車取りに行かなきゃ。」

 

たまて「生足ー!」

 

 

 

 

 

 

その日の夜のアパート。花名は笑いながら晩御飯を食べてる。

 

志温「・・・美味しい?」

 

花名「んふふふ~。」

 

志温「おかわりいる?」

 

花名「んふふふ~。」

 

志温「学校で何か楽しい事でもあったの?良かったわね。」

 

花名「んふふふ~。」

 

志温「そう言えば明日はお弁当いるのよね?」

 

花名「あ・・・それなんだけど志温ちゃん。」

 

志温「大丈夫。お友達に誤解されないようにしとくから。」

 

花名「ごめんね志温ちゃん・・・」

 

志温「良いのよ。はなちゃんが面倒臭いのはこの1年で分かってるから。」

 

花名「・・・」

 

毒舌発言された。

 

 

 

 

 

 

翌日の昼。花名がギクシャクしながら中庭に来た。

 

たまて「お茶を運ぶからくり人形さんの趣がありますね~。」

 

冠「風流。」

 

優輔「筋肉痛か?」

 

花名「うん・・・全身筋肉痛で・・・春休みの間に体鈍ってて・・・」

 

栄依子「一体どれだけ自堕落な春休みを過ごしたらそんな事に・・・」

 

たまて「まぁまぁ。いとこさんの愛妻弁当でも食べて元気出しましょう!」

 

花名「だからそんなんじゃないって・・・」

 

弁当の蓋を開けると。

 

たまて・栄依子「っ!!」

 

 

 

 

 

 

ハート形のおかずにヒビが入ってた。

 

 

 

 

 

 

たまて・栄依子「は・・・破局!?」

 

花名「し・・・志温ちゃ~ん!」

 

優輔「面白いいとこさんだね。」

 

貴之「個性ありそうだな。」

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
     一之瀬葉月:日笠陽子
       大谷周:芳野由奈
     小鹿野真秀:貫井柚佳
     中村千奈美:木村珠莉
     関根ももか:篠田みなみ
      今井千尋:巽悠衣子
        医師:深川和征
        教員:島袋美由利

次回「なみだのぽろぽろ」


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STEP3「なみだのぽろぽろ」

ある日のアパート。花名が母親の葉月と通話していた。

葉月『あら?そんなにスポーツテストの成績悪かったの?』

花名「うん・・・自分でもちょっとショックで。」

葉月『もうすぐゴールデンウイークなんだし運動したら?』

花名「う、運動かぁ・・・」

葉月『志温ちゃんも乗り気だったわよ。』

花名(外堀埋められてる!)

葉月『そう言えば、ゴールデンウイークは友達と遊んだりしないの?』

花名「え!ああ・・・ど、どうなんだろ・・・」

葉月『誘ってみれば良いのに~。あ、そうそう。お父さんとお母さんゴールデンウイークに泊まりに行くから。』

花名「え!本当!?うん分かった!志温ちゃんに伝えておく・・・え?先に言ってあるの?え~!』


後日の学校。

 

たまて「ゴールデーン・・・ウィンク!」

 

優輔「たま、テンション高いな。」

 

たまて「はい!連休超楽しみですね~。はなちゃんは何か予定とかあります?」

 

花名「私は志温ちゃんと毎朝ジョギングを・・・」

 

たまて「う!そうですか〜・・・」

 

栄依子「ああ、走るの良いかも。はなの体力の無さは何て言うかこう・・・」

 

冠「言葉にならない。」

 

花名「そんなレベル!?」

 

侑李「まぁ、冠の言葉に一理ある、かも?」

 

花名「そんな!」

 

たまて「かむちゃんは連休何してるんですか?」

 

冠「ピアノの発表会。決まってるのはそれくらい。」

 

栄依子「え!そうなの?見たかったな~かむのピアノ。」

 

花名・たまて・美鈴「私も!」

 

冠「え・・・じゃあ・・・次は・・・誘う・・・」

 

美鈴「弱気になってる冠ちゃん可愛い〜。」

 

貴之「止めろ美鈴。」

 

たまて「栄依子ちゃんは、やっぱりデートですか?」

 

栄依子「何よやっぱりって。普通に皆と遊ぶだけ。ほら。」

 

予定のメモを見せた。

 

貴之「相手は全員女子ばかり・・・」

 

たまて「ハーレムルートの攻略チャート見たいですね・・・」

 

栄依子「なぁにそれ?」

 

たまて「選択肢を一つ間違えると刺される奴です!」

 

栄依子「えぇ・・・何それ怖い・・・」

 

優輔「スケジュールめっちゃあるな。芸能人かよ。」

 

侑李「何時もの栄依子ね。」

 

優輔「何時もなのか?」

 

侑李「うん。」

 

里香乃「栄依子~。1組の子が呼んでるよ。」

 

クラスメイトの佐藤里香乃が栄依子を呼んだ。

 

栄依子「おお本当?ありがと〜!ちょっと失礼。」

 

呼ばれた栄依子が行った。

 

たまて「栄依子ちゃんってば、もう別の組の子に手を出してるじゃないですか~!」

 

侑李「あ、私ちょっとお手洗い行って来る。」

 

優輔「ああ。」

 

お手洗いに向かった侑李。

 

 

 

 

すると冠が元気を無くした。

 

優輔「冠?どうかした?」

 

貴之「リボンが悄気てる?」

 

花名「冠ちゃんって他にも習い事してるの?」

 

冠「え!い・・・色々・・・」

 

たまて「乗馬とかですか!?」

 

冠「う、うん・・・」

 

たまて「マジですか!あ~お嬢様っぽいですな~。」

 

美鈴「他に何かやってるの?」

 

冠「・・・マリンバ。」

 

花名・たまて・優輔・貴之・美鈴「マリンバ!?」

 

優輔「マリンバとは、凄いな。」

 

花名・たまて・美鈴「可愛い〜!」

 

花名(まだあまり気を許してくれてないのかな・・・ってちょっと寂しい気もするけど栄依子ちゃんと侑李ちゃんが居ない時の冠ちゃん可愛い!)

 

栄依子「ただいま~。」

 

そこに栄依子が戻って来た。

 

冠「おかえり栄依子!」

 

栄依子「はいはい。」

 

戻って来た栄依子に抱き付いた。

 

花名(あ、戻った。)

 

侑李「ただいま。」

 

すると今度は侑李に抱き付いた。

 

冠「侑李おかえり!」

 

侑李「ただいま冠。」

 

花名「栄依子ちゃんと侑李ちゃんと冠ちゃんって仲良しだよね。小学校の時からずっと一緒なの?」

 

栄依子「ううん。小学校も中学校も違う所。」

 

花名・たまて・優輔・貴之・美鈴「え!?」

 

栄依子「小6の時に何日か遊んだぐらいよね?」

 

冠「うん。」

 

侑李「栄依子覚えてるね。」

 

冠の顎を撫でる。

 

たまて「それでこの懐き様ですか~。」

 

優輔「人懐っこい猫みたいだな。」

 

たまて「流石ハーレムルート爆進中の人は違いますね~。」

 

栄依子「だから何なのよそれは〜。」

 

貴之「たまがゲーム脳に支配されてる。」

 

美鈴「栄依子ちゃんのハーレムルート見てみたいな〜。」

 

栄依子「え〜?」

 

花名「そう言えば、たまちゃんはゴールデンウィーク何してるの?」

 

たまて「私は!イベントに行ったり、絵画を鑑賞したり、本を買ったり、遠方の友人とお会いしたり~!」

 

花名「盛り沢山だね。」

 

たまて「まぁ、人によってはこれ全部同じなんですけどね。」

 

花名・栄依子・冠・侑李・優輔・貴之・美鈴「同じ?」

 

優輔・貴之(コミケかな?)

 

たまて「侑李ちゃんはゴールデーンウィークは何してるんですか?」

 

侑李「私は図書館や本屋へ行って本を読んでる。本を読んでる時が一番落ち着くの。」

 

たまて「文学少女ですね!」

 

侑李「えぇ、まぁ。」

 

栄依子「優輔は何してるの?」

 

優輔「俺は自転車でサイクリングしてる。たまに姉ちゃんと一緒にやってる。」

 

栄依子「へぇ〜。お姉さん居るんだ。貴之は?」

 

貴之「ゲーセン行ったり、ゲームやったり、ゲーム買ったりの連続だな。」

 

侑李「お金尽きるわよ?美鈴は?」

 

美鈴「私は〜、家では恋愛ゲームやったり、散歩しながら可愛い女の子を見てるの。」

 

侑李「それ、下手したら捕まるんじゃ・・・」

 

花名(そっか、皆忙しいんだ・・・)

 

たまて「あ!連休の最終日は空いてるんです!遊びませんか!皆で!」

 

栄依子「あ、私も空いてる。」

 

冠「空いてる。」

 

侑李「私も空いてるよ。」

 

優輔「俺も空いてる。」

 

貴之「空いてるぞ。」

 

美鈴「私も空いてる!」

 

花名「わ・・・私も大丈夫!」

 

たまて「気が合いますな~。流石我らソウルフード!」

 

栄依子・侑李「メイトね。」

 

たまて「はてさて〜、何して遊びましょうか~!」

 

栄依子「ああ、遊ぶって言うか・・・勉強会しない?」

 

たまて「べ・・・勉強会!何故ですか~!」

 

栄依子「ほら、連休明けに実力テストあるじゃない。」

 

優輔「そっか。実力テストあんのか。」

 

美鈴「テスト嫌だな〜・・・」

 

たまて「うう・・・でも最終日ですよ~!ゴールデンウイークと笑ってさよならしたいじゃないですか~!ね!はなちゃん!」

 

花名「私勉強会でも良いよ。皆と会えるの嬉しい!」

 

栄依子「たまの負け〜。」

 

花名「何処で勉強するの?図書館とか?」

 

栄依子「御迷惑で無かったら、はなのお家行ってみたいな~って。」

 

花名「え?」

 

たまて「行きたい!行きたいですはなちゃん家!」

 

栄依子「ほら、たまり場にして良いって言ってたし。」

 

たまて「私が居れば、たまて場なんですけどね。」

 

冠「置き菓子しても良いって。」

 

美鈴「私も行ってみたいな〜!」

 

貴之「迷惑じゃなかったら、俺達も行っても良いか?」

 

栄依子「勿論無理だったら・・・」

 

花名「ウ・・・ウェルカムだよ!」

 

優輔「良い発音。」

 

栄依子「え、本当に良いの・・・?」

 

花名「歓迎って事だよ!」

 

栄依子「うん。意味は分かってるから大丈夫よ。」

 

たまて「楽しみですな〜。」

 

栄依子「ね。」

 

たまて「因みにたまて場は渾身のボケなんですけど~・・・」

 

花名(私の部屋にお友達が・・・)

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

志温「え?お友達が?」

 

花名「うん。7人で遊びに来るって。」

 

志温「あら。あらあら。楽しみね。」

 

花名「うん。」

 

志温「あ、でも私連休の最終日は実家に戻るのよ・・・」

 

花名「あ、そっか・・・」

 

志温「こんな事なら別の日にすれば良かったわ~。そうだわ!アパートの改装とか業者さんにお願いした方が良いのかしら?」

 

花名「流石に間に合わないよ!』

 

志温「あ、そ、そうよね。じゃあ大掃除を。」

 

花名「大丈夫だよ・・・」

 

志温「急に忙しくなってきたわね。花名ちゃん。」

 

花名「えへへ。うん!」

 

 

 

 

 

 

ゴールデーンウィーク初日。花名と志温がジョギングをしていた。

 

志温「う~ん・・・良いお天気。ジョギング日和ね花名ちゃん。」

 

しかし花名はバテていた

 

志温「花名ちゃん!?」

 

 

 

 

ベンチで休憩。

 

志温「葉月さんに花名ちゃんの事任されたのに・・・花名ちゃんはとんだもやしっ子に・・・!」

 

花名「もやし!?」

 

志温「せめてもの償いに、花名ちゃんがムキムキになるまで鍛え上げるわよ!目指せ腹筋16分割!」

 

花名「やり過ぎだよ気持ち悪いよ!」

 

???「あれ?志温じゃない。」

 

志温「え?」

 

花名「ん?」

 

そこにロードバイクに跨ってる女性が志温を呼んだ。

 

志温「麻衣子ちゃん!」

 

麻衣子「今日はどうしたの?ジョギング?」

 

志温「うん。花名ちゃんを鍛え上げる為にね。」

 

麻衣子「花名ちゃん?あの子?」

 

花名「は、はい。初めまして・・・」

 

麻衣子「あなたが花名ちゃんかぁ。弟から話は聞いてるわ。」

 

花名「弟?」

 

そこにロードバイクに乗ってる人物が停車した。

 

???「姉ちゃん速過ぎだっての。」

 

麻衣子「ごめんごめん。」

 

 

 

 

花名「優輔君!」

 

 

 

 

優輔「ん?花名!」

 

志温「優輔君!」

 

優輔「志温さん!」

 

志温「久し振り〜!また会えて嬉しいわ〜!あら?また格好良くなったの?」

 

優輔「いや、前と変わらねえよ。」

 

花名「え?優輔君、志温ちゃんと知り合いなの?」

 

優輔「ああ。志温さんは俺の姉ちゃんと大学時代の同級生なんだ。姉ちゃん、花名に紹介して。」

 

麻衣子「ええ。初めまして一之瀬花名ちゃん。優輔の姉の麻衣子です。」

 

この女性は優輔の姉の「佐野麻衣子」である。

 

花名「は、初めまして!い、一之瀬花名です!」

 

志温「麻衣子ちゃん、仕事は順調?」

 

麻衣子「ええ。もうお客さんがいっぱいで大変だよ。」

 

花名「お客さん?」

 

麻衣子「私、実家の飲食店で看板娘をやってるの。」

 

花名「あ、そう言えば優輔の自己紹介の時に言ってたよね。」

 

優輔「ああ。でも姉ちゃん、看板娘で良いのか?」

 

麻衣子「だってうちの飲食店、お爺ちゃんとお婆ちゃんが建てたものだから。私を小さい時から可愛がってくれたお爺ちゃんとお婆ちゃんの恩返しをしようと決めたから看板娘になったの。」

 

花名「優輔君も、実家で働いてるの?」

 

優輔「いや、暇な時だけ働いてる。」

 

花名「え?」

 

優輔「俺と姉ちゃん、家族から「家の事よりも、好きな事をやっても良い」って言われてるんだ。」

 

花名「へぇ〜。そうなんだ。」

 

麻衣子「さて、自己紹介と対面も済んだ事だし、優輔、お先ー!」

 

ロードバイクに跨って、全速力で漕いだ。

 

優輔「速えよ姉ちゃん!じゃあ花名、志温さん、また会おうぜ。おい待てよ姉ちゃん!」

 

ロードバイクで姉を追い掛ける。

 

花名「凄いな〜優輔君・・・」

 

志温「私達も麻衣子ちゃんと優輔君に負けないようにしないとね!」

 

花名「え!?」

 

志温「と言う訳で後5周行くわよ。レッツドーン!」

 

スピードアップで走る。

 

花名「ま・・・待って~・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃栄依子は、クラスメイトの佐々木陽菜と一緒にショッピングモールのカフェに来ていた。

 

陽菜「この限定ぬいぐるみどうしても欲しかったのよ。付き合わせてごめんね。」

 

栄依子「ううん。全然。陽菜の嬉しそうな顔見てるだけで楽しいもの。」

 

陽菜「栄依子・・・」

 

栄依子「・・・って早く突っ込んでよ。」

 

陽菜「ああ冗談なのか。栄依子だから本気で言ってるのかと。そう言えば、こう言う飲み物ってストローが2本挿さってるじゃない?カップルで飲む為のものかと思ったたけどこれって・・・」

 

すると栄依子が片方のストローでジュースを飲んだ。

 

陽菜「え?」

 

栄依子「この為じゃないの?」

 

陽菜「素なのか狙ってるのか、本当に分からないから・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃侑李は、図書館で読書をしていた。

 

侑李「・・・・」

 

黙々と読書を続ける。

 

 

 

30分後。

 

侑李「っ。もう30分経ったのかぁ。次は本屋へ行こうっと。」

 

 

 

 

 

 

その頃貴之は、ゲーセンでリズムゲームをやっていた。

 

貴之「よっ!ほっ!はっ!」

 

フルコンボでクリア。

 

貴之「よっしゃ。今日も順調だな。次はアーケードをやるか。」

 

 

 

 

 

 

その頃美鈴は、家で恋愛ゲームをやっていた。

 

美鈴「この子も良いな〜。あ、この子も結構可愛いかも。ん〜・・・迷うな〜。・・・決めた!この子に決定!」

 

 

 

 

 

 

その頃冠は、家の部屋で寝ていた。彼女の家は豪邸だった。

 

冠「ん・・・」

 

目が覚めた。時間を見ると、午後2時になっていた。

 

冠「朝ごはん。後お昼ご飯。」

 

 

 

 

朝食と昼食のセットが来た。

 

冠「いただきます。」

 

 

 

 

夕方。ようやく全部食べ終えた。

 

冠「ごちそうさまでした。ん?まだあった。」

 

残ってた人参を食べた。

 

冠「ままならない。」

 

 

 

 

 

 

その頃たまては、コミケに居た。

 

たまて「イベントに行ったり~、絵画を鑑賞したり〜、本を買ったり〜、遠方の友人とお会いしたり~。」

 

 

 

 

東京ビッグサイトから出た。

 

たまて「重い・・・疲れた・・・でもサイコー!」

 

 

 

 

 

 

後日のアパート。花名は時間を見ていた。すると。

 

”ピンポーン”

 

インターホンが鳴った。

 

 

 

ドアを開けると。

 

葉月「来たわよ〜。」

 

両親が来た。

 

花名「お父さんお母さん!」

 

志温「葉月さん!葉月さんがいらっしゃるのを、花名ちゃんと一日千秋の想いでお待ちしていたんです!」

 

葉月「あはは。此間来たばかりじゃない。」

 

健「いやぁ、相変わらず志温ちゃんは母ちゃんの事大好きだな~。」

 

花名「本当だね~。」

 

 

 

 

リビング。葉月がお茶を飲む。

 

葉月「あら?このお茶・・・」

 

志温「気付かれました!?葉月さんがお気に入りだと言っていた茶葉を見付けたので!」

 

葉月「ありがと〜!美味しいわ。」

 

健「いやぁちょっと見ない内にすっかり伸び・・・てないな。」

 

花名「そんな・・・いきなり育ったりしないよ。」

 

健「父さんは成長したぞ。4キロ太った!」

 

花名「太るのは成長と違います~・・・」

 

健「あはは!いやぁ母さんがな。ご飯を3人分作る癖が中々抜けなくて。ま、花名が帰って来る頃には、2人分作る癖が染み付いちゃってるかも知れないけどな~。」

 

花名「え!私のご飯無いの!?」

 

葉月「大丈夫よ。減るのはお父さんの分だから。」

 

花名「え~!」

 

健「太った分痩せないとな。」

 

花名「お父さんはそれで良いの!?」

 

葉月「くすっ。」

 

花名「お母さん・・・?」

 

葉月「花名、ちょっと元気になったわよね。安心した。」

 

花名「あ・・・うん!」

 

 

 

 

その後4人でお茶とロールケーキをいただいた。

 

葉月「お母さんも会ってみたかったな~花名の友達に。」

 

花名「うん!私も会ってほしいな~。7人共凄く優しくてそれに面白くてね。一緒にいてほんとに楽しいの!それでね。皆が来ると思うと嬉しくなっちゃって・・・つい志温ちゃんとこんなものを・・・」

 

飾りを作ったのだった。

 

葉月「あら良いじゃない!花名の部屋殺風景だもんね。」

 

花名「うっ・・・(お父さんとお母さんが帰る日は何時も凄く寂しかったのに今日は少し違う!だって明日は皆が家に遊びに来てくれるから!)」

 

 

 

 

 

 

ゴールデンウィーク最終日。花名が軽井沢駅で待ってると。

 

優輔「花名、おはよう。」

 

貴之「おはよう花名。」

 

美鈴「花名ちゃんヤッホー!」

 

優輔達3人が来た。

 

花名「み、皆おはよう。」

 

貴之「たま達は?」

 

花名「まだ。」

 

美鈴「そっか。もう私、花名ちゃんの顔を見ると安心しちゃったわ〜。もぎゅ〜。」

 

急に抱き締めた。

 

花名「み、美鈴ちゃん!?」

 

美鈴「ん〜。やっぱり花名柔らか〜い!」

 

優輔・貴之「止めんかい。」

 

引き剥がした。

 

美鈴「あうぅ・・・」

 

優輔「ごめんな花名。」

 

花名「う、ううん大丈夫。」

 

たまて「はなちゃーん!」

 

花名「た、たまちゃんおはよう!」

 

たまて「おはですよ~!」

 

優輔「たま。おはよう。」

 

貴之「おはようたま。」

 

美鈴「ヤッホーたまちゃん!」

 

たまて「優輔君!貴之君!美鈴ちゃん!おはですよ〜!はなちゃん、本日はお呼ばれありがとうございます~!」

 

花名「こ、こちらこそ。」

 

たまて「はなちゃんってば、ちょっと見ない間にシュッとしたような?ジョギング効果ですかね~。」

 

花名「そんないきなり痩せたりしないよ・・・」

 

たまて「今朝も走ったんですよね?」

 

花名「・・・・」

 

何も言わない花名。

 

たまて「走ったんですよね~?」

 

花名「・・・・・」

 

するとたまてが、花名の頬を弄った。

 

たまて「走ったんですよね〜?」

 

花名「あーーー!」

 

美鈴「ダメだよたまちゃん!独り占めはダメだよ!私も頬触らせて!」

 

優輔・貴之「おい!」

 

するとそこに。

 

 

 

 

栄依子「はな。たま。」

 

 

 

 

残りの3人が来た。

 

冠「はなれたまえ。」

 

たまてと美鈴を花名から引き剥がした。

 

貴之「見事な使い方。」

 

栄依子「おはー。」

 

侑李「おっはー。」

 

冠「おはよ。」

 

花名「冠ちゃん、その荷物は・・・」

 

背負ってる荷物を見て疑問を抱いた。

 

優輔「風呂敷?」

 

冠「置き菓子。」

 

栄依子「ほら。リスって冬に向けて食べ物を溜め込むでしょ?あれと同じ。」

 

優輔「つまり冠はリスと同じって言いたいのか?」

 

たまて「小動物ですなぁ。」

 

花名「小動物?」

 

 

 

 

8人は花名の家へ向かう。

 

たまて「今日は従姉さんにもお会い出来ますかね?」

 

花名「あ・・・志温ちゃんは昨日から実家の方に帰ってて。」

 

優輔「実家に?」

 

たまて「あいや〜、そうなんですか・・・」

 

栄依子「会ってみたかったわね・・・お土産持って来たんだけど、従姉さんに渡すのお願いしても良いかしら?」

 

花名「あ・・・うん!ありがとう栄依子ちゃん!」

 

栄依子「お菓子だから、2人で食べてね。」

 

たまて「相変わらずフラグ立てに余念がありませんね~。」

 

栄依子「だから何なのよそれは・・・」

 

たまて「デュフフ・・・いや~楽しみですね~はなちゃんと従姉さんの愛のす・く・つ!」

 

花名「巣窟!?」

 

貴之「おいおいたま・・・」

 

 

 

 

 

 

アパートに到着。玄関に飾りがあった。

 

栄依子「これは・・・」

 

花名「ああ。そ、それはね、ちょっと大袈裟かなって思ったんだけど・・・折角作ったから。」

 

栄依子「可愛いな~もう。」

 

たまて「ほんなこつ~!」

 

冠「なこつ!」

 

侑李「なこつ?」

 

花名「ど、どうぞ。何も無いですけど・・・」

 

 

 

 

部屋に招かれた。

 

たまて「お邪魔しまーす!あぁ・・・」

 

冠「本当に何も無い。」

 

侑李「さっぱりしてるわね。」

 

栄依子「まだ引っ越して来たばかりだものね。」

 

花名「う・・・うん。そうなんだ~・・・」

 

たまて「やや!炊飯器も無いじゃないですか~!」

 

花名「うん。ごはんは志温ちゃんの部屋で食べさせてもらってるから。」

 

栄依子「じゃあ1人の時は何してるの?」

 

花名「えっと・・・勉強かな。」

 

美鈴「勉強!?」

 

たまて「えええ!?勉強を!?自主的に!?偉人ですか!?」

 

栄依子「偉いわね~。」

 

侑李「感心しちゃうな〜。」

 

花名「そ、そんな事無いよ・・・勉強くらいしかする事無いだけで・・・」

 

たまて「じゃあ、今日は勉強の事などすっかり忘れて浮かれるとしますか!」

 

栄依子・侑李「いやするからね。お勉強。」

 

たまて「優等生か!そんなの栄依子ちゃんと侑李ちゃんじゃないですよ!」

 

栄依子「優等生じゃないからこんなギリギリになって困ってるんでしょ。」

 

冠「でも勉強の前に一つ。栄依子。侑李。」

 

侑李「ええ。」

 

栄依子「はいはーい。優輔、貴之、美鈴。」

 

優輔・貴之「おっす。」

 

美鈴「OK〜。」

 

 

 

 

 

 

”パァン” ”パァン” ”パァン” ”パァン” ”パァン” ”パァン”

 

 

 

 

 

 

突然花名とたまてを除いた6人がクラッカーを鳴らした。

 

たまて「え?」

 

花名「え?」

 

栄依子「はな。たま。お誕生日。」

 

冠「おめでとう。」

 

花名「え?えええ!?」

 

たまて「私とはなちゃんのですか!?」

 

栄依子「ふふ〜ん。たまは今月が誕生日でしょ?で、はなは入学式の日が誕生日だったから今日がその中間日って事で。」

 

優輔「栄依子と冠と侑李が企画してたんだ。」

 

冠「勉強会の前にお誕生日会。ケーキある。」

 

たまて「ケーキ!アイテムまで使用されては好感度爆上がり必至じゃないですか~!も~愛してる~!」

 

嬉しくなったたまてが冠を抱いた。

 

冠「落ちたな。」

 

貴之「落ちた。」

 

たまて「ぐぬぬ・・・こっちも皆さんのお誕生日イベント利用させてもらいますよ!何時です?何時です!」

 

栄依子「私は6月20日ね。」

 

冠「10月30日。」

 

侑李「私は7月1日。」

 

優輔「俺は2月18日。」

 

貴之「5月2日だ。」

 

美鈴「11月2日だよ。」

 

たまて「ばっちり記憶しましたとも!8月5日と12月15日と9月4日と4月16日と7月27日と1月22日ですね!」

 

優輔「全部違ぇ。」

 

栄依子「1個も合ってないわね・・・」

 

 

 

 

2人にプレゼントを渡した。

 

栄依子「はいおめでとう。」

 

冠「ハピバ。」

 

優輔「ハッピーバースデー。」

 

たまて「おお!ありがとうございます!」

 

栄依子「はなにはちゃんとした物渡せてなかったからね。」

 

冠「リベンジ。」

 

花名「ありがと〜!栄依子ちゃん冠ちゃん侑李ちゃん。優輔君も貴之君も美鈴ちゃんもありがと〜!」

 

たまて「えへへ・・・同い年ですねはなちゃん。」

 

花名「あ・・・同い年・・・」

 

 

 

 

すると花名が涙を流した。

 

 

 

 

たまて「はな、ちゃん?」

 

貴之「花名?泣いてるのか?」

 

花名「あれ・・・あれ・・・変なの・・・ごめんね・・・ありがとう・・・ありがとう・・・」

 

たまて「はなちゃん・・・」

 

栄依子「はな・・・」

 

侑李「花名・・・」

 

貴之「花名・・・」

 

美鈴「花名ちゃん・・・」

 

冠「花名。」

 

ハンカチをあげた。

 

花名「ありがとう冠ちゃん・・・」

 

美鈴「花名ちゃん、大丈夫?」

 

優しく抱いて慰める。

 

たまて「泣くほど嬉しいプレゼントなんですから開けてみましょう!」

 

花名「うん!」

 

 

 

 

プレゼントを開けると。

 

たまて「わぁ〜!」

 

花名「可愛い〜!」

 

ピンク色と茶色のくまのぬいぐるみだった。リボン付き。

 

栄依子「私達から1つずつ、お2人に。」

 

たまて「ありがとうございます!・・・愛する2人を引き離す感ありますが・・・」

 

花名「な、何か可哀想だね・・・」

 

たまて「そうだ!この子達はなちゃんのお部屋に置いといてもらえませんか?」

 

花名「え?う、うん。良いけど・・・良いの?」

 

たまて「はい!時々見に来ても良いですか?」

 

花名「うん!勿論!」

 

栄依子「お。今のがフラグって奴?」

 

たまて「お!栄依子ちゃん分かってきましたね〜。」

 

冠「ケーキ食べよ〜。」

 

たまて「うひゃ〜!待ってました!」

 

美鈴「ケーキキター!」

 

 

 

 

使わない紙を皿代わりにした。

 

優輔「これは・・・」

 

貴之「何と言うか・・・」

 

栄依子「う~ん・・・何だか微妙に残念な感じになったわね・・・」

 

花名「ご、ごめんね・・・うちお皿なくて。志温ちゃんが居ないから借りる事も出来なくて・・・」

 

冠「大丈夫。何処に居てもケーキはケーキ。」

 

美鈴「そうだね冠ちゃん。」

 

たまて「ではでは!満を持して!」

 

8人「いただきます!」

 

ケーキを食べる。

 

たまて「かむちゃんの仰る通りお皿がアレでもケーキはケーキ!襤褸を纏えど心は錦とはこの事ですな~!」

 

花名「違うんじゃないかな・・・」

 

侑李「美味しい〜。」

 

優輔「あ〜ケーキ良いね〜。」

 

貴之「美味いな〜。」

 

美鈴「甘〜い!」

 

栄依子「かむ、一口。」

 

冠「ん。」

 

いちごを栄依子に食べさせた。

 

たまて「丸ごと!?」

 

栄依子「う~ん美味しい。じゃあ私からもお返し。」

 

ケーキをあげる。

 

たまて「苺の対価でか!」

 

花名「苺凄い・・・」

 

侑李「栄依子は相変わらずね。」

 

 

 

 

ケーキを食べ終えた。

 

栄依子「これ食べ終わったら勉強だからね~。」

 

優輔・貴之「おう。」

 

たまて「ぐ!どうして・・・どうして幸せなままでいさせてくれないんですか~!」

 

栄依子「そうすると明日確実に不幸になるからかしら。」

 

侑李「明日に不幸を運んじゃいけないからね。」

 

美鈴「上手い事言ったね侑李ちゃん!」

 

優輔・貴之「何処が?」

 

 

 

 

勉強会。

 

たまて「はなちゃん本当にしこたま勉強出来る人じゃないですか~!」

 

栄依子「教え方も上手だし。」

 

花名「そ、そんな事無いよ・・・」

 

栄依子「ね、この問題教えてもらっても良い?」

 

侑李「ここも教えてくれるかしら?」

 

美鈴「花名ちゃん、ここ教えてくれる?」

 

たまて「順番決めましょう!順番!」

 

冠「この公式って・・・」

 

たまて「あ!抜け駆け!抜け駆け禁止ですよ〜?」

 

花名(ずっと何も無い部屋に引き篭もって、何もする事無いから勉強だけしてて良かった~。)

 

優輔「花名人気者だな。」

 

貴之「だな。」

 

栄依子「あ、ちょっとごめん。はな、お手洗いお借りして良い?」

 

侑李「私も借りても良いかしら?」

 

花名「うん。どうぞ。」

 

トイレに行った栄依子と侑李。2人が居ない間、花名とたまてと美鈴が冠に質問をする。

 

花名「冠ちゃん。何処が分からないの?」

 

たまて「かむちゃんが一番最初で良いんですよ!さぁさぁ!」

 

美鈴「分からない所があったら、私達に言ってね?」

 

優輔「おい止めろ。」

 

貴之「冠が可哀想だろ?」

 

冠「と・・・問7の・・・公式の・・・」

 

花名「公式!公式が分からないの?」

 

冠「う・・・」

 

すると冠が逃げた。

 

花名「冠ちゃん!」

 

逃げる冠をたまてと美鈴が追い掛ける。

 

たまて「かむちゃん!どうしたんでちゅか~?怖くないでちゅよ~。デュフフフフ!」

 

美鈴「デュフフフフ!」

 

貴之「おいそのデュフフは止めろ!」

 

たまて「はい!はなちゃんもご一緒に!」

 

花名「え?で、でゅふふ・・・」

 

優輔「止めろ美鈴。」

 

貴之「冠を怖がらすな。」

 

冠を追い掛ける美鈴を引っ張る。

 

美鈴「冠ちゃーーん!」

 

 

 

 

すると栄依子と侑李が戻って来た。たまてが栄依子にぶつかって尻餅付いた。

 

栄依子「こーら。あまり怖がらせないの。」

 

侑李「冠、大丈夫?」

 

たまて「ちぇっ!彼氏連れかよ!行こうぜはなっちー。」

 

栄依子「チンピラか君ら・・・」

 

美鈴「冠ちゃん・・・」

 

優輔「諦めろ。」

 

貴之「ほら、勉強会の続きやるぞ。」

 

美鈴「ふぇ〜ん・・・・」

 

その後8人で勉強会をやる。

 

 

 

 

 

 

外は夕方になった。優輔と貴之と美鈴は帰って行った。

 

軽井沢駅。

 

たまて「はなちゃん先生!ありがとうございました!」

 

花名「え?」

 

栄依子・冠・侑李「先生、ありがとうございました。」

 

花名「い、いえいえそんなそんな・・・」

 

栄依子「また勉強教えてくれる?」

 

花名「私なんかで良いければ何時でも。」

 

冠「勉強じゃなくても、また来て良い?」

 

花名「も・・・勿論だよ!」

 

侑李「冠置き菓子したもんね。」

 

たまて「それじゃあまた明日〜!」

 

花名「うん!また明日!」

 

冠「置き菓子にも宜しく。」

 

 

 

 

 

 

見送った後、アパートに戻り、飾りを片付けると。

 

花名「あ。」

 

飾りの中に1つの小箱があった。箱を開けると。

 

花名「わ~!綺麗~!」

 

スノードームだった。

 

花名「お母さん・・・」

 

スノードームの他に、葉月からのメッセージが入ってた。

 

 

 

 

部屋に入って、くまのぬいぐるみとスノードームを並べる。

 

花名「よし。良い角度。」

 

携帯で写真を撮った。この日は花名の最高の1日となった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
     一之瀬葉月:日笠陽子
      一之瀬健:小山力也
     佐野麻衣子:中村繪里子
     佐藤里香乃:石上静香
     佐々木陽菜:田中あいみ

次回「2階のプレミア大会」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オリキャラ紹介。

佐野麻衣子(さのまいこ)

誕生日・6月9日
年齢・22歳
血液型・A型
身長・165Cm
体重・49kg

職業・実家の飲食店の看板娘

趣味・サイクリング、料理

好きな丼物・海鮮丼
好きな甘味・ティラミス
好きな寿司ネタ・帆立
好きな果物・キウイ

モデル・高田里穂

髪型・茶髪ポニーテール

私服・赤の服、白のストール、黄色のショートパンツ、赤のブーツ

星尾高校1年の佐野優輔の姉。
大学卒業後は実家の看板娘として働いてる。
店が休みの時はサイクリングしてる。優輔より速い。
京塚志温とは大学時代の同級生。
家族に関しては自由人であり、何時も賑やか。
優輔と同じように家族から「好きな事をやっても良い」と言われてる。
喧嘩が強く、僅か2秒で優輔に勝ってる。
実家の飲食店は祖父母が建てたものである。
自分を可愛がってくれた祖父母の恩返しをする為、実家の看板娘として働く事を決めた。

イメージキャスト・中村繪里子


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STEP4「2階のプレミア大会」

ある日の夕方のアパート。

花名「ただいま〜。」

志温「おかえりなさ〜い。」

外出した花名が帰って来た。

花名「ん?」

玄関に1つの荷物が置かれてあった。お届け先に『万年大会』と言う名前が書かれてあった。

花名「志温ちゃん、玄関の荷物って・・・」

志温「あ!忘れてたわ!今朝お預かりしたのよ万年さんのお荷物!」

花名「はんねんさん?」

志温「2階のお部屋の人。急いで行かないと!あぁでも唐揚げが・・・」

花名「じゃあ、私が行って来ようか?」

志温「え?花名ちゃんが?大丈夫?」

花名「うん!大丈夫。」

志温(あんなに人見知りだったのに・・・成長したのね花名ちゃん。)

花名「志温ちゃん!チャイム鳴らしてから何て言ったら良いか教えて!なるべく細かく!詳しく!」

志温「花名ちゃん・・・」


荷物を持って、万年さんの部屋の前に立つ。

 

花名「ん〜・・・えい!」

 

インターホンを鳴らした。

 

???『はい。』

 

花名「あ・・・あの・・・管理人の者ですが、不在時にお預かりしてた宅配便をお渡しに参りました、です!(お、可笑しくなかったよね?)」

 

するとドアが開いた。ドアの隙間から髪が黒い女性が顔を出した。

 

???「誰?」

 

花名「か・・・管理人の者です!」

 

???「違う。ここの管理人はもっとどーんとした人だ。」

 

志温の事を言ってる。

 

花名「あ・・・あのでも私管理人の・・・」

 

???「どーんの前の管理人はしゅっとしたおじさんだった。謀ろうとしたもお見通しだぞ貴様ー!!」

 

花名(た・・・助けて志温ちゃん・・・)

 

 

 

 

その後。

 

志温「改めて紹介するわね。こちらは万年さん。」

 

女性の名前は万年(はんねん)。2階に住んでる住人である。

 

志温「こちらは私の従妹の花名ちゃん。」

 

万年「ど、どうも。」

 

花名「よ、宜しくお願いします!」

 

志温「ごめんなさいね万年さん。荷物の事すっかり忘れてて。」

 

万年「あ・・・いえこちらこそ度々すいません。本当に。」

 

志温「お詫びと言ってはなんだけど、唐揚げ沢山食べていってね。」

 

万年「いえ私は・・・」

 

唐揚げをご馳走する事になった。

 

志温「万年さんは去年高校を卒業して、受験の為にこちらで一人暮らしされて居てね。それで今は・・・今年も受験生で良いのよね?」

 

万年「ああ!全部落ちたからな!今年もな!」

 

花名「(そっか・・・はんねんさんも浪人なんだ・・・)あの・・・さっきはすいません。私上手く説明出来なくて・・・」

 

万年「あ・・・いや私もいきなり怒鳴り付けてすまなかった。」

 

志温「良かったわ!これで仲直りね!」

 

万年「いや、仲直りする程の仲でも・・・」

 

志温「折角ご縁があって同じアパートで生活してるんだから、これからも仲良くしましょうね。ほら。握手握手。」

 

万年「いや、そんなの管理人さんに決められても・・・」

 

志温「あ〜く〜しゅ。」

 

万年「じゃ・・・じゃあ一応な・・・」

 

花名「はい・・・」

 

志温(あ・・・万年さん震えてる。花名ちゃんも。そして・・・今!震えが二乗に!)

 

 

 

 

 

 

後日のアパート。花名が皆に告白をする。

 

花名「あ・・・あのね・・・実は私・・・浪人してるの・・・」

 

たまて・栄依子・冠・侑李・美鈴・優輔・貴之「だからか〜。」

 

すると花名を除いた全員が傘を差した。

 

栄依子「浪人だからこんなに傘張りが上手なのね。」

 

花名「あ、あれ?あれれ?」

 

何時の間にか着物を着ていた。

 

冠「草履編みも上手。」

 

花名「わ・・・私にそんな力があったなんて・・・」

 

たまて「流石浪人経験のある日とは違いますね。」

 

栄依子「浪人って素敵ね~。」

 

冠「ビバ浪人。」

 

美鈴「浪人最高!」

 

侑李「花名流石ね。」

 

花名「皆・・・浪人は無駄じゃなかったんだね・・・ありがとう皆!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う夢を見た花名。目覚ましの音を聞いて起きた。

 

花名(もの凄く都合の良い夢を見てしまった・・・)

 

 

 

 

 

 

星尾高校。

 

榎並先生「6月の球技大会、どの競技に出たいか考えとけよー。週明けには決めるからな。」

 

生徒達「はーい。」

 

たまて「球技と言えば球!球と言えば、即ち私たまちゃん!マスコットキャラクターとしてちやほやされる覚悟は出来ておりますよ!さぁさぁ~!」

 

榎並先生「良いから座ってろ。」

 

たまて「はいっす〜。」

 

生徒達が笑う。

 

花名「あ。」

 

すると花名は、万年の名前を思い出す。

 

花名「はんねん・・・たいかい・・・」

 

貴之「優輔、お前何処に出たい?」

 

優輔「俺?ドッジボールだな。貴之は?」

 

貴之「俺はソフトボールだな。」

 

 

 

 

 

 

その後のアパート。

 

花名「えいっ!」

 

インターホンを鳴らした。

 

万年『はい。』

 

花名「あ、あの、お預かりしてた荷物お届けに来ました。」

 

万年『え!あ!ちょっと待っててくれ!』

 

ドアから万年が出て来た。

 

万年「すまない・・・こんな大荷物を・・・」

 

花名「あ、でもこれ軽い・・・」

 

勢いよく持ち上げた万年が、後ろに転んだ。

 

花名「は、万年さん!?」

 

 

 

 

部屋にお邪魔した。

 

花名「ここに置いておきますね。」

 

万年「すまないな。荷物運びさせてもらって・・・ずっと家にいる癖にタイミング悪く受け取れない事が多くて・・・管理人さんはそう言う時良く預かってくれるんだ。」

 

花名「あの・・・はんねんさんは何かイベントとか開催されてるんですか?」

 

万年「イベント?」

 

花名「はんねんたいかいって。」

 

万年「ああ。「たいかい」じゃなくて「ひろえ」。私の名前だ。」

 

花名「す・・・すみません私とんだ大間違いを!」

 

万年「いや、皆読めないからこれ。」

 

名前は万年大会(はんねんひろえ)

 

万年「しかし見た目に反して凄く軽いな・・・一体何が入って・・・」

 

荷物の中身はセロハンテームだけだった。

 

万年「セロハンテープだな・・・」

 

花名「セロハンテープですね・・・あ!私どさくさに紛れてお部屋にお邪魔してすいません!」

 

万年「いやそんな!荷物運びさせたのは私なんだから!あ!そうだお茶でも!」

 

花名「あ、お構い無く・・・」

 

万年「あれ?何も無いな・・・あれ?ここにあったはす・・・」

 

花名(万年さんのお部屋・・・私の部屋みたい。)

 

万年「すまん!ちょっと待ってろ!今ネットで注文するから!」

 

花名「え!そ・・・そんなお構い無く・・・」

 

万年「大丈夫だ。私はプレミア会員だからな・・・今頼めば今日の夕方には・・・」

 

花名「お、お構い無く・・・(助けて志温ちゃ〜ん・・・)」

 

その時、万年が崩れた。

 

万年「即日お届け対象外だ・・・」

 

花名「あの・・・飲み物ならコンビニで買って来ましょうか?」

 

万年「コンビニ!?」

 

花名「行きますか?コンビニ。」

 

万年「無理だ~そんなの~!」

 

花名「え!どうしてですか・・・」

 

万年「コンビニに行く服が無い。」

 

花名「コ・・・コンビニですよ?」

 

万年「コンビニでもだ!ゴミ捨て場より遠くに行く服が無いんだ・・・」

 

花名「あれ?でも今年受験した時の服って・・・」

 

万年「無い。」

 

花名「え?」

 

万年「受験・・・してないんだ。」

 

花名「え・・・」

 

何と彼女は受験してなかった。

 

 

 

 

彼女は自分の過去を語った。

 

万年「2年前、高校3年の時の私はまさに順風満帆だった。生徒会長を務め品行方正、成績優秀の非の打ち所の無い生徒だったと思う。志望校も合格間違い無しと言われていた。しかし・・・受験当日はまさかの大雪。」

 

彼女は受験当日、大雪で倒れてしまったのだった。

 

万年「そのまま2時間発見されず、救出された後は酷い風邪を引いて・・・本命の大学は勿論滑り止めすら受験出来ず・・・」

 

花名「そんな・・・」

 

 

 

 

後輩『万年先輩受験お疲れ様です!私も先輩と同じ大学に入りたいんですけど・・・合格出来たらまた先輩後輩になれますね!』

 

この言葉が、彼女をグサッと刺した。

 

万年『あ・・・ああ。そうだな。頑張れ!』

 

後輩『はい!』

 

 

 

 

万年「地元に居るのが気不味くなって、引っ越しして一人暮らしを始めたんだが・・・」

 

 

 

後輩《また先輩後輩になれますね!》

 

 

 

万年「あの感覚が忘れられなくて段々家を出るのも嫌になって・・・それで今年の受験も・・・下らないだろこんなの。馬鹿みたいだよな。」

 

花名「下らなくなんてないです!下らなくなんてないし・・・馬鹿みたいでもないです・・・」

 

大粒の涙を流してる花名。

 

万年「一之瀬さん!?」

 

花名「私・・・私も浪人してて・・・」

 

万年「え?」

 

 

 

 

花名は、万年に自分の過去を語った。

 

万年「中学浪人か・・・苦労したんだな一之瀬さん。」

 

花名「いえそんな!万年さんの方が大変です!」

 

万年「いやいや中学で浪人って大変だろ!一之瀬さんの方が私なんかよりずっと苦労してる!」

 

花名「でももう高校生ですし友達も出来ましたし、私の方が万年さんよりずっとマシです!」

 

万年「ずっとマシ・・・」

 

クリティカルヒット連発で倒れた。

 

花名「あ~ごめんなさい!」

 

万年「いやそうだよな・・・コンビニすら行かれないんじゃ受験なんて夢のまた夢だよな・・・」

 

花名「あ・・・あの。私も応援します!頑張りましょう!万年さん!』

 

万年「一之瀬さん・・・」

 

花名「まずはコンビニに行けるようになりましょう!」

 

万年「ああそうだな!目指せコンビニ!・・・目標低・・・」

 

花名「い・・・いえ。小さい事からコツコツと、ですよ。(あ。そう言えば自分から浪人の話を人にしたの初めてだなぁ・・・)」

 

万年「そうだ!思い出した!可愛い絵のついたスウェットならあるんだが、これを外出着にすると言うのはどうだろうか?」

 

たぬきの絵のスウェットを取り出した。

 

花名「・・・何にしてもまずは服ですよね。」

 

万年「スルー!?」

 

花名「試しに私の服を着てみるのはどうかと思ったんですけど、ちょっと子供っぽいですよね・・・」

 

万年「いや・・・可愛いと思うが私に似合うかどうか。サイズも小さいだろうしな・・・」

 

花名「あ!じゃあ志温ちゃんの服はどうでしょう?」

 

万年「確かに・・・身長は一緒くらいだな。・・・余るよな。」

 

花名「余りますよね・・・」

 

胸がでかい事に断念した。

 

花名「あ!ネットで注文すると言うのはどうですか?」

 

万年「おお!その発想は無かった!」

 

早速Amazonで服を調べる。

 

花名(セロハンテープまでネットで買ってるのに・・・)

 

万年「ん〜・・・」

 

花名「ん?」

 

スウェットをじっくり見ていた。

 

花名「万年さん。スウェットは見なくて良いです・・・」

 

万年「おお!気付いたらつい!・・・・・駄目だ。何を買ったら良いかさっぱりだ・・・」

 

花名「やっぱりお店に行って実物を見るしかないのかな・・・」

 

すると花名の携帯に着信音が。

 

花名「あ、すみません。」

 

万年「いえいえ、どうぞどうぞ。」

 

電話に出ると。

 

たまて『もしもし百地たまてですが!』

 

花名「たまちゃん?どうしたの?」

 

通話の相手はたまてだった。

 

たまて『数学のプリントって月曜提出でしたでしょうか~?』

 

花名「ううん。水曜だよ。」

 

たまて『あ~助かった!学校に忘れて来ちゃったのですよプリント!』

 

花名「あはは、そうだったんだ。あ!あのねたまちゃん!ちょっと相談したいことが・・・」

 

たまて『?・・・・・・・成る程!そう言う事でしたら栄依子ちゃんが頼りになるのではないかと!』

 

花名「あ!そうだね。栄依子ちゃんお洋服とか詳しそう。」

 

たまて『じゃあ私から栄依子ちゃんにメールしておきますよ!』

 

花名「ありがとうたまちゃん。」

 

たまて『ではでは!』

 

花名「うん。ばいばーい。」

 

通話終了。次の瞬間、栄依子からメールが来た。

 

花名「うわ!栄依子ちゃん・・・もしもし?」

 

栄依子『あ、花名?たまからメール来たんだけど「花名ちゃんがお知り合いの二十歳女性を弄んで好き放題して良いそうですよげへへ」ってなにこれ?』

 

 

 

 

 

 

その後たまて達が来た。

 

花名「は〜い。」

 

たまて「見ざる参上!」

 

冠「言わざる参上。」

 

栄依子「そして私は着飾~る!」

 

美鈴「そして参加せざるを得ない!」

 

栄依子「さぁ素敵なお洋服で着飾っちゃうわよ!・・・あのね花名ちゃん。これやりたいって言ったのはたまてちゃんでね。」

 

冠「私と栄依子と美鈴は悪くない。」

 

たまて「2人共しどい!」

 

優輔「美鈴まで乗ってどうすんだよ。」

 

美鈴「楽しそうだったからつい。」

 

貴之「まあ良いけどさ。」

 

侑李「ん?」

 

栄依子「あ・・・大会さん?」

 

万年「っ!」

 

びっくりして後ろに倒れた。

 

侑李「あの人が?」

 

花名「うん。」

 

すると栄依子が部屋に上がって、万年に歩み寄る。

 

栄依子「初めまして。十倉栄依子と申します。」

 

万年「と・・・十倉さん・・・」

 

栄依子「栄依子です。」

 

万年「とく・・・」

 

栄依子「え・い・こ。」

 

万年「え・・・栄依子さん・・・」

 

栄依子「はーい良く出来ましたー。」

 

たまて「ファ〜オ。グイグイですね。栄依子ちゃん。」

 

花名「グイグイだね・・・」

 

優輔「凄えな栄依子、初対面の人を早速弄んでる。それも年上の女性を・・・」

 

貴之「栄依子半端無え。」

 

花名「皆、今日は何処かへお出掛けしてたの?」

 

優輔「俺はたまたまサイクリングしてたらたま達に会った。」

 

貴之「俺は栄依子からメールで誘われて。」

 

侑李「冠からメール来た。」

 

美鈴「私はたまちゃんからメールが来たから来ちゃった。」

 

たまて「これ部屋着なんですよ~。」

 

花名「え!?」

 

たまての部屋着は着物だった。

 

冠「私も。」

 

たまて・美鈴「ええ!?」

 

冠「着替えたかったけど栄依子が急かすから。」

 

たまて「こんなに可愛いのにお部屋限定なんて勿体なかとですよ!も~天使ちゅあ~ん!」

 

美鈴「その服装で外に出たらきっと注目間違い無しだよ!」

 

冠「これは親の趣味で・・・」

 

優輔「親御さんの趣味?」

 

冠「うん・・・」

 

たまて「親御さん良い御趣味をされてますね~。GJ!」

 

美鈴「冠ちゃん、抱いて良い?」

 

優輔・貴之「止めんかい。」

 

花名「部屋着にも色んな個性があるんだね~。ん?」

 

横を見ると、万年がスウェットを見せてた。

 

花名「それは違います。」

 

栄依子「さてと、大会さんに似合いそうなのはこんな所かな・・・軽く着替えるだけのパターンかメイクも髪もがっつり弄ってみるパターンかどちらになさいます?」

 

花名「えっと・・・」

 

一方万年は怯えていた。

 

花名「ん〜・・・がっつりの方で!」

 

万年「いやああああああああ!!!」

 

花名『好奇心が思いやりを凌駕した瞬間でした。』

 

栄依子が別室で万年をがっつり弄る。

 

 

 

 

数分後。

 

栄依子「堪能した~。超楽しかった~。ありがとう花名!」

 

花名「こ、こちらこそ・・・(20歳女子を弄んで好き放題してる・・・)」

 

栄依子「それではご覧頂きましょう。大会さん、どうぞ〜。」

 

ドアを開けると。

 

 

 

 

 

 

何時もの姿よりがっつり別嬪さんになっていた。

 

 

 

 

 

 

栄依子「えへへ〜。どう?」

 

7人「誰ですか?」

 

万年「え!そんなに変わったか?」

 

たまて「いや~栄依子ちゃんの技術力半端無いですね~。」

 

栄依子「あはは。いえいえ。」

 

優輔「凄え・・・ビューティーコロシアムかよ・・・」

 

美鈴「万年さん綺麗〜。」

 

たまて「もしかして栄依子ちゃんもメイク落とすと別人だったり・・・」

 

栄依子「いやこれすっぴんだから。たまてちゃんひどーい。」

 

万年「こ・・・これが私!?」

 

手鏡で自分の顔を見てびっくりした。

 

栄依子「それで、おめかしして何処行くの?同窓会とか?」

 

花名「コ・・・コンビニ。」

 

栄依子「コンビニ!?」

 

 

 

 

訳を話した。

 

栄依子「・・・成る程。そう言う事だったのね。それなら、こんな感じでどうでしょう。」

 

何処にでも居る普通の女性らしくさせた。

 

たまて「良き!良きですよ万年お姉さん!」

 

万年「そうかな・・・」

 

冠「良きかな。」

 

侑李「良いじゃない。外に出ても大丈夫な格好よ。」

 

花名「(知らないお姉さんが万年さんに戻った!)おかえりなさい!万年さん!」

 

万年「え?た、ただいま・・・」

 

栄依子「じゃあお支度はこんな所で・・・これからお店に行って服とか靴とか買って来て・・・」

 

万年「え・・・あの無理だ!いきなりそんなの!」

 

栄依子「でも、コンビニに行く服すらも無いんですよね?」

 

万年「今日だけこの服をお借りして・・・」

 

栄依子「でも、今日だけの問題じゃないですし。」

 

万年「わ、私は今日コンビニに行ければそれで・・・」

 

すると冠が寄って来た。

 

栄依子「かむ?」

 

冠「本当にそれで良いの?」

 

万年「ん?」

 

冠「本当にコンビニ行けるだけで良いの?」

 

その言葉を聞いた万年が崩れた。

 

万年「・・・ああ。全くだ。また私は目の前の問題から逃げようとしていた・・・」

 

花名「万年さん・・・」

 

万年「まさかこんな小さな子に諭されるとはな・・・」

 

優輔・貴之・侑李「あ。地雷。」

 

花名「は・・・万年さん。冠ちゃん怒ってまーす・・・」

 

侑李「大丈夫よ冠。今のは万年さんの冗談だから。」

 

 

 

 

その後アウトレットモールへ向かって、服を買った。

 

 

 

 

その後。

 

たまて「いや~、大分HP減っちゃってますね~。」

 

万年「服屋の店員さんと言うのはグイグイ来るな・・・」

 

花名「あはは、そうですね。」

 

栄依子「これ組み合わせのリストです。」

 

万年「あ・・・ありがとう。こう言うの得意じゃないから本当に助かる・・・」

 

栄依子「分からない事があったら連絡下さい!何時でも行きますから!」

 

万年「えーい・・・」

 

たまて「どの店員さんよりグイグイ行ってますね栄依子ちゃん。」

 

花名「本当だね。」

 

優輔「店員よりの天敵が現れたな。」

 

貴之「だな。」

 

美鈴「万年さん苦労しそう。」

 

 

 

 

軽井沢駅。

 

たまて達4人を見送った。優輔達3人も帰って行った。

 

 

 

 

その後2人で帰る。

 

花名「今日は素敵なお洋服が見つかって良かったですね~。」

 

万年「・・・ありがとう一之瀬さん。」

 

花名「え?」

 

万年「このくらい強引に連れ出してもらわなければ、外に出る事はなかっただろう。感謝してる。本当に。」

 

花名「万年さん・・・」

 

万年「い・・・一之瀬さんはその・・・お友達に浪人の話はしてあるのか?」

 

花名「えっとその・・・いえ。」

 

万年「そっか・・・そうだよな。」

 

花名「話してしまっても、何も変わらないんじゃないかって思う事もあるんですが・・・」

 

万年「変わってしまったら怖いもんな。言えないよな。やっぱり・・・」

 

花名「・・・分かってもらえますか!?」

 

万年「分かる!凄く分かる!」

 

花名「わ・・・私こう言うの分かってもらえたの初めてかも知れません!」

 

万年「私もこんなに親近感を抱く相手は初めてだ!」

 

花名「あ・・・あの!大会さんとお呼びしても良いでしょうか!」

 

万年「勿論だ!どんどん呼んでくれ!私も花名ちゃんとお呼びしたい!」

 

花名「大会さん!」

 

大会「花名ちゃん!」

 

花名「大会さん!」

 

大会「花名ちゃん!」

 

2人「ん?・・・あはははははは!」

 

花名「・・・それでも・・・何時かちゃんと皆に話したいです。」

 

大会「うん。まぁ焦らずゆっくりだな。」

 

花名「でもちょっとは焦らないと、何時になるか見当も付かないと言うか・・・」

 

大会「分かる。分かるぞ~花名ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

後日のアパート。

 

志温「あら。おはようございます万年さん。」

 

大会「あ。ども。おはようございます。」

 

新しく買った服を着た大会が挨拶した。

 

志温「お出掛けですか?」

 

大会「ちょっとコンビニまで!」

 

こうして万年大会に元気が戻って来たのであった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      万年大会:内田真礼
      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
        後輩:春咲暖

次回「かむりのふわふわ」


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STEP5「かむりのふわふわ」

ある朝のとあるお屋敷。ここは冠の家である。冠は部屋でぐっすり眠ってる。

冠「栄依子・・・侑李・・・」

彼女は夢を見た。




それは、栄依子と侑李との初めての出会い。最初は戸惑ったが、段々と遊ぶ事が増えた。




???「にゃ〜。」

冠「ん・・・?栄依子・・・?侑李・・・?」

飼い猫の「なごみ」と「すごみ」が冠を起こした。冠は起きて、なごみとすごみを優しく撫でた。

冠「おはよ。」


季節は夏に入った。

 

たまて「衣替えですよー!イエーイ!」

 

美鈴「ヤッホー!」

 

星尾高校では夏服に衣替え。

 

優輔「朝からテンション高えなおい。」

 

花名「朝からアイス・・・」

 

たまて「衣替えですからね~。」

 

美鈴「衣替えだからね〜。」

 

貴之「はいはい。」

 

たまて「花名ちゃんもアイスいかがですか?ほら一口!」

 

花名「えぇ~・・・」

 

たまて「二口!いや三口!遠慮せんでも良えんやで~!」

 

美鈴「どう?優輔と貴之もアイス食べる?」

 

優輔・貴之「いらん。」

 

栄依子「衣替えだからアイスって意味分かんないわよ。」

 

そこにアイスを持った栄依子と侑李が来た。

 

花名「栄依子ちゃんに侑李ちゃんまで・・・」

 

貴之「お前もアイス持ってんのかい。」

 

侑李「栄依子に付き合わされちゃって。」

 

たまて「いや~でも、冬服から夏服って軽くなり過ぎてちょっと不安になりますよね~。」

 

花名「あ~分かる。何か足りてないような気がしたりね~。」

 

たまて「ですです〜!」

 

美鈴「だよね〜。」

 

すると冠が登校した。

 

栄依子「あ。おはようかむ。」

 

侑李「冠おはよう。」

 

たまて「かむちゃんおはよ〜!」

 

花名「おはよ〜。」

 

美鈴「おはよう冠ちゃん!」

 

優輔「よう冠。」

 

貴之「おはようさん。」

 

すると冠が、栄依子と侑李をジッと見詰める。

 

侑李「冠どうしたの?」

 

栄依子「どうかした?お腹空いた?」

 

冠「空いてない。ぺろ。」

 

アイスをペロと舐めた。

 

侑李「どうしたの冠?何かあったの?」

 

冠「あのね・・・スカート履いて来るの忘れた。」

 

花名・たまて・栄依子・侑李・美鈴「え?」

 

優輔・貴之「は?」

 

花名「えぇ~!!??どどどどうしよう!?」

 

優輔「何でスカート履いてないんだよ!?」

 

貴之「ってか良く来れたな!?」

 

栄依子「ありゃ~。衣替えだからって身軽になり過ぎよ。」

 

優輔「何呑気に会話してんだよ!」

 

冠「何かスースーするのは、タイツ履いてないせいかと思ってた。」

 

侑李「って言うか普通即座に気付くはずよ?」

 

たまて「成る程~。これからはかむちゃんの生足を毎日拝めるって訳ですな~。眼福眼福!」

 

美鈴「至福至福!」

 

花名「皆!どうしてそんなに落ち着いてるの!?」

 

貴之「慌てるもんだろ普通!」

 

たまて「花名ちゃんと侑李ちゃんと優輔君と貴之君が皆の分も全力で慌ててくれるから、ですかね。」

 

優輔「ツッコミを人任せすんな。」

 

花名「だ・・・だだだってその下はパパパパパン・・・」

 

たまて・美鈴「ツー!」

 

花名「なんだよ!」

 

栄依子「え~。そんな事言ったら私達だってこの下には・・・パンツだけだし。」

 

花名「え・・・?」

 

優輔「何だこの会話・・・」

 

貴之「聞きたくねえ・・・聞いちゃったけど・・・」

 

花名「そしたらスカート履かなくて良いって事なの?それともパンツ履かなくて良いの?」

 

侑李「ちょっと花名?」

 

たまて「花名ちゃん!パンツはおやつに含まれませんからね~!」

 

優輔・貴之・侑李「遠足みたいに言うな!」

 

栄依子「まぁほら。パンツ履き忘れた訳じゃないしね。」

 

冠「・・・大丈夫!」

 

花名「あ・・・あのでもやっぱりまずいのでは?困るのでは?これからとか・・・帰りとか・・・」

 

貴之「痴漢とかされたらヤバいぞ・・・」

 

栄依子「かむー。ほら体操着。」

 

冠「ん。」

 

体操着のズボンを履く。

 

冠「すちゃ。」

 

履いてドヤ顔した。

 

侑李「何そのドヤ顔?」

 

花名「え・・・あれ?これで終わり・・・?これだけで済んじゃうお話・・・?」

 

たまて「済んじゃうお話ですね~。」

 

美鈴「済んじゃったね〜。」

 

花名「え?そう、なのかな・・・?」

 

侑李「いや普通は大問題でしょ。」

 

栄依子「花名は色々考え過ぎなのよ。もっと気楽に、ね。」

 

花名「栄依子ちゃん・・・うん。」

 

たまて「それにしても、どうしてスカート忘れたんですか?」

 

優輔「そうだそこが問題だ。」

 

冠「それは・・・」

 

栄依子「ん?何何?」

 

たまて「あ!さては薄着の栄依子ちゃんにときめいてしまったのですね!あるある~!」

 

栄依子・侑李「無いでしょ。」

 

たまて「いや~だって栄依子ちゃん中学の時も校内で生写真とか売られてましたし~。」

 

花名「え~!?」

 

美鈴「生写真!?見たいそれ!」

 

優輔・貴之「バカたれ。」

 

侑李「たま、良く覚えてるわね。」

 

たまて「これがその時の写真ですよ!」

 

封筒に入ってる栄依子の生写真を見せた。

 

栄依子「何でそんなの買ったのよ・・・」

 

たまて「卒業記念プライス!80%オフと言われてつい。」

 

優輔「安く売り過ぎ・・・」

 

栄依子「当人の知らない所で投げ売りされて・・・」

 

たまて「でも勢いで買ったものの、特に必要無いので。かむちゃんに差し上げます!」

 

冠「あ・・・ありがとうたま。」

 

たまて「っ!・・・にこうてーい!にこうてーい!死ぬ!キュン死ぬ~!」

 

美鈴「良いな〜たまちゃん〜。私も冠ちゃんからお礼言われた〜い。」

 

栄依子「かむ。どうするのそんなの・・・」

 

冠「お父さんとお母さんに見せたら喜ぶから。額に入れて飾ると思う。」

 

侑李「何で額縁?」

 

栄依子「かむのお家で私ってどう言う扱いなの・・・?」

 

封筒を開けて生写真を見る。

 

冠「栄依子。これ栄依子?」

 

生写真を栄依子に見せた。

 

栄依子「・・・うん。私ね。」

 

たまて「紛う事無き栄依子ちゃんですね。」

 

侑李「この頃の栄依子懐かしいわ〜。」

 

美鈴「萌え袖の栄依子ちゃん可愛い〜!」

 

花名「栄依子ちゃん、中学校の時はヘアピンしてなかったんだ。」

 

たまて「ヘアピン付いててなかったから分からなかったのでは?」

 

栄依子「そんなにも重要なパーツなの?ヘアピンって・・・」

 

たまて「ヘアピンは栄依子ちゃんの体の一部なんですね。」

 

栄依子「体の一部って・・・じゃあたまもリボンは体の一部ね。」

 

 

 

 

 

 

一方その頃アパートでは。

 

志温「あら。おかえりなさい万年さん。」

 

大会「う、うむ・・・ただいま。」

 

志温「今日も買い物に?」

 

大会「はい!近頃は最寄りのコンビニだけでは飽き足らず!この辺りのコンビニは全て制覇しました!何と5km先のコンビニにも行けるようになったのですぞ!」

 

志温「おめでとうございます!だけど・・・コンビニエンスの意味からどんどん遠ざかってるような・・・」

 

コンビニエンスとは、便利・好都合と言う意味である。

 

大会「ん、ん〜・・・」

 

志温「あら。」

 

 

 

 

 

 

その頃学校では。花名がアイスを買ってた。

 

花名「売り切れてた奴、補充されて良かったね。」

 

冠「うん。」

 

優輔「もう学校のアイスがブームになってるな。」

 

貴之「そんなに人気なのか?」

 

 

 

 

4人はアイスを食べながら廊下を歩く。

 

花名「あ・・・あのね冠ちゃん。」

 

冠「ん?」

 

花名「さっきずっと何を考え込んでたの?」

 

優輔「ずっと栄依子をジッと見てたけど。」

 

冠「・・・あの写真。去年見た栄依子と違う。」

 

貴之「去年の栄依子と違う?」

 

冠「うん。商店街ですれ違った。髪が長くて栄依子そっくりの子と。でもあの写真の栄依子は髪短いし違う。」

 

花名「あ。そう言えば・・・私も商店街の本屋さんで栄依子ちゃんに良く似た人にすれ違って・・・」

 

優輔「そう言えば俺も。この前ショッピングモールで栄依子そっくりの女性を見た。」

 

貴之「優輔も?」

 

優輔「ああ。」

 

花名「人違いかと思ったけど、そっくりさんでも居るのかな?」

 

冠「分からない・・・でもあの時会えたから・・・」

 

花名「ん?」

 

優輔「冠?」

 

冠「何でも無い・・・」

 

 

 

 

その頃栄依子達は。

 

栄依子「あ!先生!」

 

後ろに振り向くと榎並先生が立っていた。

 

榎並先生「何だ?」

 

栄依子「あれ?何で下だけジャージ?」

 

侑李「何時もはスカートのはずなのに。」

 

榎並先生「今日から衣替えだし、少し気合い入れて来たんだが、学年主任に注意されてな。」

 

美鈴「ありゃりゃ〜。」

 

たまて「へぇ〜、そんな事が〜。」

 

栄依子「な~んだ。先生がどんな粗相をしたのかわくわくしてしまったじゃないですか~。」

 

榎並先生「お前の期待してるような事は断じてねーよ。」

 

栄依子「あはは。そんな期待なんて・・・まさかおもら・・・」

 

言ってる途中に榎並先生に止められた。

 

榎並先生「黙れ。ま、お前らも気を付けろよ。そろそろ風紀検査もあるからな。」

 

侑李「そう言えばそうだったね。」

 

栄依子「は〜い。」

 

たまて「風紀検査で下着検査までする学校もあるらしいですね!」

 

榎並先生「ご苦労な事だな。」

 

たまて「栄依子ちゃんがっつり引っ掛かりそうですね~。」

 

栄依子「え〜?」

 

榎並先生「何?お前そんなに凄いの?」

 

栄依子「いやそんな。別に・・・」

 

榎並先生「どれ。」

 

ナチュラルに栄依子のスカートの中を見た。

 

榎並先生「この程度なら大丈夫なんじゃねーか?」

 

栄依子「あ・・・そうですか。ですよね〜・・・」

 

侑李「先生、何ナチュラルに覗いてんの?ってか栄依子、その目は何?」

 

女子生徒「榎並先生ー!」

 

榎並先生「ん?何だ?」

 

呼ばれた榎並先生が女子生徒の方へ行った。

 

美鈴「ん?栄依子ちゃん?」

 

栄依子はその場で崩れてしまった。

 

侑李「ちょっと栄依子?大丈夫?」

 

 

 

 

しばらくして花名と冠と優輔と貴之が戻って来た。

 

冠「ん?」

 

花名「ど・・・どうしたの栄依子ちゃん?」

 

優輔「何時も元気なお前に何があった?」

 

たまて「4人の居ない間に超必殺技が出まして!栄依子ちゃんのメンタルゲージが激減しました!」

 

貴之「あ、栄依子の横のメンタルゲージが低下中。」

 

冠「なでなで。なーでなでなで。」

 

栄依子を撫でる冠。するとメンタルゲージが徐々に回復し始めた。

 

貴之「メンタルゲージが回復中。」

 

優輔「何だこれ?」

 

たまて「おお!メンタルゲージが復活して来ました!」

 

花名「ゲージって何・・・?」

 

冠「よしよし。よしよし。よしよし。よーしよしよし。」

 

全回復した栄依子が冠を抱いた。

 

たまて「お~!」

 

美鈴「栄依子ちゃん復活ー!」

 

花名「え!?え!?何!?」

 

侑李「冠に癒されたのね栄依子。」

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

たまて「帰りにコンビに寄って行きませんか!?」

 

優輔「唐突過ぎるなたま。」

 

たまて「新作のアイスが出たらしくて!」

 

花名「朝食べたよね・・・?」

 

貴之「まだ食うのか?」

 

たまて「いやいや!学校のアイスと外のアイスでは全然違いますよ!ハレとケって奴ですな!」

 

 

 

ハレ(晴れ・霽れ)とは、儀礼や祭り、年中行事など普段の生活とは違う「非日常」を表す。

ケ(褻)とは、対して日頃の生活である「日常」を表す。

 

優輔「この説明いるか?」

 

細かい事は気にしちゃダメだよ?

 

 

 

花名「は、晴れ時計!?」

 

侑李「ヤッホー。」

 

美鈴「お待たせー。」

 

冠「花名。」

 

花名「冠ちゃん?」

 

冠「体操着返すの忘れた。」

 

たまて「あ!栄依子ちゃん今日は急いで帰ってしまいましたからね~。」

 

花名「用事あるんだっけ?」

 

冠「返さなきゃ。」

 

たまて「しかしここで返してしまえばかむちゃんはパンツだけに・・・」

 

冠「行きは平気だったし問題無い。」

 

花名「駄目~!!」

 

優輔・貴之「止めろー!!」

 

たまて「栄依子ちゃんは商店街へ行くのだそうで、追い掛けますか?」

 

美鈴「追跡ですか?」

 

たまて「はい!」

 

花名「冠ちゃん、商店街行って・・・」

 

冠「うん。」

 

 

 

 

7人は栄依子を探す為、商店街へ向かう。

 

たまて「成る程成る程~。栄依子ちゃんのそっくりさんですか~。」

 

花名「うん。私も冠ちゃんも優輔君も目撃してるんだよ。」

 

たまて「それはもしや、ドッペルゲンガーと言う奴ではないでしょうか!?」

 

花名「え・・・えと・・・ドッペゲルンガー・・・?」

 

たまて「ドッペルゲンガーですよ!ほらあの東北の妖怪の!」

 

花名「妖怪・・・!?」

 

冠「自分とそっくりの存在。」

 

侑李「簡単に言えば、影武者ね。」

 

花名「影武者・・・?」

 

冠「もう1人の自分が現れるのは良くない報せ。」

 

たまて「我が街に覇王は2人もいらぬ!って感じでしょうか。」

 

花名「覇王!?」

 

冠「もし栄依子本人とドッペルゲンガーが出会ったら・・・」

 

花名「で・・・出会ったら・・・」

 

冠「どちらかが死ぬ。」

 

花名「死ぬ~!?」

 

冠「それが・・・里の掟!」

 

花名「里の!?」

 

美鈴「アイエエエエエ!?」

 

たまて「里の掟には逆らえませんね~。」

 

花名「え・・・栄依子ちゃんが妖怪と影武者と覇王と里の掟に殺される~!?」

 

たまて「いや花名ちゃん。ちょっとは疑いましょうよ。」

 

花名「嘘なの・・・?」

 

冠「少し本当。」

 

花名「ええ!?」

 

優輔「少しだけかよ!」

 

たまて「まぁ都市伝説みたいなものですよね〜。」

 

冠「それより返さないと。」

 

花名「あ・・・栄依子ちゃん!まずいよ彼処はドッペルゲンガーが出た場所だよ!」

 

本屋へ入って行く栄依子を発見した。

 

冠「ドッペルゲンガー。」

 

花名「栄依子ちゃん!今助けるから!」

 

 

 

 

本屋。

 

花名(居た・・・)

 

栄依子を発見した。すると冠が飛び出した。

 

たまて(やや!?)

 

花名(冠ちゃん!?)

 

優輔(飛び出したぞ!?)

 

栄依子「ん?」

 

すると栄依子が冠に気付いた。

 

侑李(あれ?あの子・・・)

 

冠「栄依子?」

 

栄依子「・・・はい。栄依子です。」

 

花名・たまて・美鈴・優輔・貴之「ええーーー!?」

 

???「どうしたの?皆そろって。」

 

何と後ろにもう1人の栄依子が現れた。

 

花名「え、栄依子ちゃんの・・・ドッペルゲンガー!?どうしよ〜!」

 

たまて「い・・・今こそ私達魔法少女コンビの力を活かす時ですよ!」

 

花名「はなれ~!」

 

たまて「たまえ~!」

 

巫女姿になってもう1人の栄依子を祓う。

 

美鈴「どうしよう!?栄依子ちゃんが2人居るなんて!」

 

優輔「噂が本当になったのか!?」

 

貴之「これは一大事か!?」

 

するとその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

侑李「光希じゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花名・たまて「え?」

 

優輔・貴之・美鈴「光希?」

 

光希「あ、侑李さん。」

 

侑李「ここで会うなんて偶然ね!」

 

美鈴「え?光希って、栄依子ちゃん侑李ちゃんどう言う事?」

 

栄依子「紹介するわね。この子は・・・」

 

光希「妹の光希です。」

 

花名・たまて「え?」

 

優輔・貴之「い、妹さん?」

 

何と栄依子そっくりの妹さんの十倉光希(とくらみき)だった。

 

 

 

 

カフェで訳を話した。

 

栄依子「ははは。まさかドッペルゲンガーなんて居る訳無いじゃない。」

 

光希「少し前から参考書を探していまして。今日は姉さんに助言をお願いしたのです。」

 

花名「それであの時本屋さんに・・・」

 

たまて「そっくりさんとは妹汁さんの事だったんですね~。」

 

優輔「汁言うな。」

 

花名「妹さんの事すっかり忘れてたよ。」

 

優輔「侑李は知ってたんだな。」

 

侑李「当たり前よ。私栄依子の幼馴染みだもの。」

 

優輔「あ、ごめん忘れてた。」

 

栄依子「結構前だからね。みっきの事話したの。」

 

光希「いえ。光希です。」

 

たまて「ほうほう。みっきさんとな。」

 

光希「光希です。」

 

貴之「冷静なツッコミ。」

 

冠「何でさっきは栄依子って・・・?」

 

光希「はい。それはですね・・・場の空気的にそう名乗った方が正解かと思いまして。」

 

栄依子「うん。それ多分間違ってる。」

 

光希「成る程。勉強になります。」

 

優輔「ノリが良い妹さんだな。」

 

栄依子「かむも私達間違える程に似てる?」

 

冠「うん。小学校の頃の栄依子に似てる。」

 

栄依子「あぁ・・・髪型かな。」

 

光希「そう言えば姉さん小学校の頃は長かったですね。」

 

侑李「そう言えばそうだったね。」

 

冠「うん。後・・・去年の今頃栄依子の事見掛けた。」

 

 

 

 

 

 

去年の商店街。冠が下校途中に栄依子そっくりの妹の光希を見掛けた。

 

冠『え、栄依子!』

 

すると光希に電話が来た。

 

光希『はい。・・・あ、そうです。』

 

冠『あ、あの・・・』

 

光希『はい、星尾高校。ええ、その学校です。』

 

声を掛けようとしたが、一瞬にして見失ってしまった。

 

冠『星尾・・・高校・・・』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

冠「その時に見たの中学生の栄依子だと思ったんだけど。」

 

栄依子「それがみっきだったと。」

 

光希「光希です。」

 

優輔(そのみっきってのは何だ?言うだけで危ない感じがするんだが・・・)

 

貴之「優輔、お前がこの前ショッピングモールで見た栄依子も・・・」

 

優輔「多分光希さんだな。髪が長かったし。」

 

冠「あの写真と違ってたから・・・」

 

栄依子「そっか。だから写真見て変な反応してたのね。」

 

冠「うん。」

 

栄依子「でも、それだと高校入って私の事見た時違和感あったでしょ?」

 

冠「高校デビューって奴なんだと思ってた。」

 

侑李「高校デビューって・・・」

 

栄依子「でもかむの方は小学校の時と全然変わってなくて、びっくりしたわ。」

 

冠「むー。前にもそれ言ってたけどそんなに!?」

 

栄依子「うん。焦がれるあまりに幻が現れたのかと思った。」

 

すると冠が栄依子に惚れた。

 

侑李「あ、惚れた。」

 

冠「えい!えい!」

 

ポカポカ叩く。

 

栄依子「いたいいたい・・・」

 

冠の頬を触れる栄依子。

 

栄依子「ねぇかむ、もしかして私が居るかも知れないから、うちの学校受験したの?」

 

冠「うぅ・・・」

 

侑李「図星ね。」

 

栄依子「全く・・・学校名出したからってそこに行くとは限らないでしょ?私と侑李が居なかったらどうするつもりだったの?こんな人見知りの子が。」

 

冠「な・・・何とかなる・・・」

 

侑李「為せば成る的な?」

 

栄依子「なるかな~?」

 

冠「なった・・・もん。」

 

すると冠が栄依子に抱き付いた。

 

冠「栄依子。あのね、今日の朝栄依子の事考えててスカート忘れた。」

 

栄依子「私の事?」

 

冠「ずっとね・・・ずっと・・・会いたかった・・・また会えて・・・嬉しかった。」

 

栄依子「うん。」

 

冠「ちゃんと会えて・・・」

 

栄依子「うん。かむ、ありがとう。」

 

冠「ありがとうは私の台詞・・・」

 

栄依子「え~。私でしょ?」

 

冠「違う。私。」

 

栄依子「あはっ、違う。私でしょ?」

 

冠「違う。私。」

 

栄依子「違う。私。」

 

冠「違う!私!」

 

栄依子「違う。私。」

 

冠「違う!私!」

 

 

 

 

 

 

たまて「うぅ~・・・ええ話や~!」

 

美鈴「もう私泣いちゃうよ〜!」

 

光希「はい。勉強になります。」

 

栄依子「いや何がよ・・・」

 

たまて「ぶぴー。妹さんがうちの学校の名前出したのが今に繋がったんですよ~・・・絡み合う2つの運命の歯車・・・」

 

栄依子「絡んだらダメなんじゃないかな?」

 

優輔「・・・・・」

 

貴之「何か俺も感動しちまった。」

 

優輔「貴之?」

 

侑李「あの2人が幸せそうで何よりね〜。」

 

優輔「侑李?あ、あれ?俺が可笑しいのか・・・?」

 

たまて「しかし、かむちゃんの居た学校って幼稚舎からのエスカレーターなんでしょ?」

 

冠「うん。」

 

たまて「親御さん、よく許してくれましたね外部受験。」

 

冠「栄依子が居るかもしれないって言ったら、すぐ賛成してもらえた。頑張っておいでって。」

 

栄依子「え?だからかむのお家でどう言う扱いなの私って・・・」

 

美鈴「恋人関係?」

 

優輔・貴之「アホか。」

 

光希「私も来年受験しようと思ってるんです。頑張ります。」

 

花名(受験!?受験生の人が私なんかと一緒に居たら縁起悪くないかな・・・一緒の空気吸ったせいで浪人の呪いに侵されたりなんかしたら・・・)

 

トラウマスイッチがONになって息を止めた。

 

たまて「花名ちゃん?何で息なんか止めてるんですか?」

 

花名「く・・・空気をね・・・」

 

光希「成る程。高校生ともなると空気を読むと言う行為が単なる慣用句に留まらないと言う訳ですね。体現してしまうとは。勉強になります。」

 

花名「けほけほ!」

 

空気止め過ぎて噎せた。

 

たまて「花名ちゃん!」

 

光希「成る程。勉強になります。」

 

花名「違うと思うよ・・・」

 

貴之「光希さんどんだけ勉強熱心なの?」

 

美鈴「良いね勉強熱心の子!私萌えちゃった!」

 

貴之「お前はもう黙ってろ!」

 

冠は栄依子に抱き付いて、嬉しくなってる。

 

優輔「侑李、あの2人結構仲睦まじくなってどう思う?」

 

侑李「栄依子と冠が仲良くなってるならそれで十分よ。それに、あの2人との関係も見守って行きたいしね。」

 

優輔「そ、そうか・・・」

 

 

 

 

 

 

翌日。冠が登校途中。

 

花名「冠ちゃんおはよう!」

 

冠「ん。おはよう。」

 

途中で花名と会った。

 

優輔「よう冠、花名、おはよう。」

 

冠「おはよう。」

 

花名「おはよう!」

 

途中で自転車に乗った優輔と会った。

 

冠「あ。猫。」

 

優輔「猫だ。」

 

途中で猫を発見。

 

花名「可愛い~。おいでおいで。」

 

手を伸ばすが、猫は逃げた。

 

花名「・・・」

 

優輔「逃げちゃった・・・」

 

冠「栄依子が猫懐かせるの得意。」

 

花名「そうなんだ。」

 

優輔「どんだけ凄いんだよ栄依子は。」

 

花名「凄いね栄依子ちゃん。」

 

冠「うん。」

 

ドヤ顔した。

 

優輔「何だそのドヤ顔?」

 

花名「猫だけじゃなく、冠ちゃんも栄依子ちゃんや侑李にすっごく懐いてるんだね~。」

 

冠「え!?」

 

花「え・・・?あ・・・あの・・・ごめんね・・・何か・・・」

 

冠「う、ううん・・・」

 

すると風が吹いた。

 

優輔「ん?冠どうした?」

 

冠「あ、スカートまた忘れた。」

 

花名「えええーーー!?」

 

優輔「またかよ!!??」

 

しかし冠は笑った。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      万年大会:内田真礼
      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
      十倉光希:楠木ともり
      女子生徒:岡咲美保

次回「うなぎのぬるぬる」


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STEP6「うなぎのぬるぬる」

ある日の百地家。

たまて「お夕飯はアジの干物です!煮物ときんぴらもこさえましたので。自信作ですよ~!」

史生「あら、楽しみ。」

たまて「史生お婆ちゃんにはまだまだ敵いませんが。」

史生「私は今のたまちゃんの味も好きよ。ねぇたかちゃん。」

多佳子「ねぇ。何て言うかこう・・・若々しさがあって。」

史生「そうそう。若々しくてね。」

多佳子「史ちゃんも私も、たまちゃんのご飯本当に楽しみにしてるのよ?」

たまて「えへへ〜。ありがとうございます多佳子お婆ちゃん!実はクラスのお友達にも褒められまして!」

史生「今日会うお友達?」

たまて「はいす!」

史生「車に気を付けてね。

たまて「はい!行って来ます!」

史生・多佳子「行ってらっしゃ~い。」


その後花名が住んでるアパート。既に優輔と貴之と美鈴が来てる。

 

花名「あ、あの・・・」

 

たまて「初めまして!百地たまてと申します!花名ちゃんには何時もお世話になっています!」

 

志温「此方こそ。花名ちゃんが何時もお世話になってます。京塚志温です。」

 

2人はお互いに畏まってる。

 

たまて「私の事はお気軽にたまちゃんとお呼び下さいませ!」

 

志温「あら。じゃあ私の事は志温ちゃんとお呼び下さいませ。」

 

たまて「志温ちゃんさん!」

 

志温「はい!たまちゃん!」

 

たまて「塩卵って塩ラーメン味玉トッピングって感じですね!」

 

志温「本当~。美味しそうね。」

 

たまて「志温ちゃんさんは塩ラーメン派ですか?」

 

志温「何でも好きだけどメンマだけは外せないわ。」

 

優輔「いきなりラーメンの話になってる。」

 

美鈴「私は味噌ラーメン派かな。」

 

貴之「お前に聞いてねえよ。」

 

たまて「美味しいメンマって高給な割り箸を使ってるんでしょうね~!」

 

志温「スギやヒノキを使ってるんでしょうね~。」

 

花名「割り箸・・・?」

 

貴之「話が絡み合ってるのか絡み合ってないのかどっちだ?」

 

志温「たまちゃん。これからも花名ちゃんの事宜しくね。」

 

たまて「はい!不束者ですが幸せにしてみせます!」

 

花名「た、たた、たまちゃん!?」

 

優輔・貴之「婚約かよ。」

 

志温「今日はたまちゃんがご飯作ってくれるのよね。必要なものがあったらうちから何でも持って行ってね。」

 

たまて「わぁ〜、ありがとうございます!あ!これはキャベツの千切りが出来るピーラー!」

 

志温「こんな物もあるわよ。」

 

たまて「あ~!これは家庭でポテトチップスが簡単に作れる奴!」

 

志温「こんなのも!」

 

たまて「何と!挽肉がご家庭で~!」

 

美鈴「たまちゃん、調理器具に詳しいね〜。」

 

優輔「そう言えば家では料理番って言ってたな。」

 

 

 

 

 

 

軽井沢駅で3人を待つ。

 

優輔「もうすぐ来るって栄依子からメールが来た。」

 

貴之「お、そうか。」

 

花名「たまちゃんって凄いよね。」

 

たまて「ん?何故ですか?」

 

花名「だって初対面の人ともすぐ仲良くなれるから・・・」

 

たまて「それはですね、私が凄いんじゃなくて相手の方が優しいんですよ。」

 

花名「な、成る程。」

 

たまて「そしてどんな人でもお構い無しにぐいぐい行く方があちらに。」

 

栄依子「お待たせ〜!」

 

グッドタイミングで栄依子と冠と侑李が来た。

 

美鈴「凄いタイミング!」

 

花名「お、おはよう。栄依子ちゃん冠ちゃん侑李ちゃん。」

 

冠「おは。」

 

侑李「おはよう花名。」

 

栄依子「今日はお世話になります。」

 

冠「なります。」

 

花名「ええ!?」

 

たまて「なります!」

 

花名「こ・・・此方こそ!」

 

侑李「初々しい雰囲気が出てるわね。」

 

優輔「よう侑李。」

 

侑李「あらおはよう。」

 

たまて「いや~絶好のお泊り日和ですな~。私ゲームも持って来ましたよ!」

 

ゲームボーイアドバンスSPを出した。

 

優輔「ゲームボーイアドバンスSP!?懐かしい!」

 

貴之「そう言えば俺もアドバンスSP持って来たんだ!」

 

優輔「お前もかよ!」

 

貴之「たま!一緒に遊ぼうぜ!」

 

たまて「良いですよ〜!」

 

栄依子「たま、貴之。今日は何でお泊りするんだっけ?」

 

貴之「何でって、それはね〜。」

 

たまて「夜なべして遊ぶ為ですよね~!」

 

栄依子・侑李「違います。」

 

冠「たまのご飯をお腹一杯食べる。」

 

栄依子「それは凄い楽しみだけど違います。勉強会でしょ。」

 

たまて「栄依子ちゃん設定に拘るタイプですね~。」

 

優輔「設定言うな。」

 

花名「あはははは。」

 

 

 

 

アパートへ向かう。

 

栄依子「今日は従姉さんお出掛けなのよね?」

 

花名「うん。同窓会で。だから皆が泊まりに来てくれて嬉しいのは勿論なんだけど、ちょっと安心してて。」

 

栄依子「1人じゃ何かと不安よね~。」

 

優輔「分かる分かる。1人だと暇でしょうがないもんな。」

 

たまて「そうですよね。1人でお留守番してると何だか怖くなる事ありますし。矢鱈と背後が気になったり。」

 

栄依子「ああ。シャワーを浴びてる時も背後に気配を感じたりする事あるわよね。」

 

たまて「まぁそれは大抵私なんですけどね!」

 

栄依子「君だったのか・・・」

 

花名「そう言えば私もこの前部屋で勉強してたら背後で何か落ちる音がしてね・・・恐る恐る振り返ったらそこには・・・ち・・・」

 

たまて・栄依子・侑李・美鈴「ち!?」

 

 

 

 

 

 

花名「小さなネジが!」

 

 

 

 

 

 

貴之「ネジかよ!」

 

花名「何処のネジなんだろうと思ったら、怖くて眠れなくなっちゃって・・・」

 

たまて・栄依子・侑李「ネジで?」

 

美鈴「私も怖くなっちゃった・・・」

 

貴之「ネジレジア。」

 

優輔「メガレンジャーかよ。」

 

冠「あ、良い匂い。」

 

栄依子「あそこのうなぎ屋さんじゃない?」

 

貴之「本当だ。うなぎ屋だ。」

 

たまて「あ~!たまらん芳香ですねぇ~!」

 

花名「本当だね〜。」

 

優輔「うちの飲食店に負けてるな。」

 

侑李「そう言えば優輔の家は飲食店だったわね。」

 

たまて「あ!栄依子ちゃんも良い匂いなら負けてませんよ!」

 

栄依子「うなぎと張り合う気は無いから、その気遣いはご無用かな?」

 

冠「たま。うなぎ捌ける?」

 

たまて「流石に未経験です!でもうなぎ屋さんで働いた事はあります!」

 

花名「え!?」

 

たまて「中学の時職業体験ってあったじゃないですか。」

 

栄依子「あぁ〜!やったやった!」

 

侑李「懐かしいわね職業体験!」

 

たまて「本当に辛い体験でした。うなぎの香しい香りの中でひたすら働いた私を待っていたお昼ご飯は・・・持ち込みのお弁当で・・・」

 

花名「賄いじゃないんだ・・・」

 

貴之「それはそれで悲しいな。」

 

栄依子「うわ~生殺しだ~。」

 

たまて「超生殺しですよ!うなぎだったら生焼けですよ!」

 

侑李「私はたまと一緒にうなぎ屋で職業体験してたの。」

 

美鈴「そうなの?」

 

侑李「あの時たまは、毎日うなぎをジッと見てたから。私が毎回注意してたの。」

 

冠「うなぎは良く焼かないと。」

 

優輔「血に毒があるからな。」

 

たまて「私が栄依子ちゃんぐらいのモテ女なら、うなぎの1ぬるんや2ぬるんぐらい有り付けたのでしょうか!」

 

栄依子「ぬるんって何の単位?」

 

たまて「うぅ〜、こんな話してたら益々うなぎ食べたくなりました・・・でも今月ちょっとピンチなので。」

 

花名「ピンチ?」

 

たまて「百地家では一月分の食費を私が預かってやりくりしてまして。残った金額が私のお小遣いとなるのですが。」

 

栄依子「へぇ〜!」

 

花名「偉いねたまちゃん!」

 

美鈴「凄いシステムだね!」

 

たまて「いえそれがですね・・・新しい料理を覚えたり美味しそうな食材を見付けたりするとお婆ちゃん達に食べてもらいたくなってしまって。今月は家族で食べに行く程の余裕は無いかもですね・・・」

 

花名「そっか・・・やっぱり偉いよたまちゃん・・・」

 

美鈴「良いお婆ちゃんに育てられて良かったね〜・・・」

 

たまて「お?そうですか?褒めますか?では存分に褒め称えて下さいな~!ちやほやして下さいな~!」

 

花名「うん!するよ!ちやほや!たまちゃん本当に凄いよ!偉いよ!」

 

冠「ん。たまは凄く偉い。」

 

たまて「ちょ、直球ですね・・・」

 

照れてしまった。

 

たまて「え・・・栄依子ちゃんと美鈴ちゃんもちやほやして良いんですよ!ほらほら~どうします?ほれほれ!へいへ~い・・・」

 

栄依子「良い子。」

 

頭を撫でた。

 

美鈴「本当に良い子で可愛いよ〜。」

 

優しく抱いた。

 

たまて「て・・・照れますな~・・・」

 

栄依子「あ。レアたまだ。」

 

冠「生焼け。」

 

たまて「う~・・・こんなの生殺しですよ~!」

 

侑李「たま、本当に良い子ね〜。」

 

優輔「良い家庭に育てられて良かったな〜。」

 

貴之「百地家の鑑だな。」

 

たまて「もぉ〜3人まで・・・」

 

 

 

 

 

 

アパート前。

 

大会「お。花名ちゃーん!」

 

花名「大会さん!」

 

コンビニから大会が帰って来た。

 

大会「おお!皆さんお揃いで!お久し振り〜!」

 

たまて「戻ってますね・・・スウェットに。」

 

栄依子「戻ってるわね。」

 

侑李「完璧に戻ってるね。」

 

大会「え・・・?わ!本当だ!スウェットだ!」

 

花名「わぁ!本当だ!何時の間に!」

 

大会「何と言う事だ・・・ゴミ捨てぐらいなら、コンビニぐらいならと日に日に緩んでしまって・・・申し訳ない栄依子ちゃん!思う存分殴ってくれ!」

 

栄依子「えーと・・・嫌です。」

 

大会「何故だ栄依子さん!何故だ!」

 

すると冠が大会のお尻を叩いた。

 

 

 

 

 

 

部屋で大会をオシャレにさせた。

 

栄依子「はい。出来ました。」

 

たまて「お~!可愛いですよ万年お姉さん!」

 

花名「素敵です!大会さん!」

 

大会「あ、ありがとう・・・」

 

侑李「良いわよ入って。」

 

別室で待機してた優輔と貴之が入った。

 

優輔「やっぱ凄えな栄依子のセンス。」

 

貴之「もう美人になってる。」

 

冠「低俗大事。」

 

大会「うむ、そうだな。これは所詮付け焼刃の女子力・・・この姿を維持出来るようにしなければ!所で今日は何の集まりなんだ?もしかして・・・巷で噂の女子会と言う奴か!?」

 

たまて「そうだったら、どんなに良かったでしょうか・・・」

 

大会「ん?」

 

栄依子「残念ながら勉強会です。」

 

花名「もうすぐ期末試験なので、お泊りで勉強会する事になって・・・」

 

優輔「それに男である俺達2人が居た所で女子会にならないでしょ。」

 

大会「成る程そう言う事か・・・あ!それなら私が皆の勉強を見ると言うのはどうだろうか?」

 

花名「本当ですか!?」

 

大会「女子力を高めてもらったお礼だ。遠慮はいらないぞ!」

 

花名「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

勉強開始。

 

栄依子「うっわ!大会さん頭良い~!」

 

たまて「どう言う事ですかこれ!?びっくりですよ~!」

 

貴之「積分をあっさりと!?」

 

大会(私は一体どう思われていたんだろうか・・・)

 

 

 

 

 

 

勉強は夕方まで続いた。

 

たまて「疲れました・・・」

 

冠「お腹空いた・・・」

 

美鈴「疲れた〜・・・」

 

優輔「やべ、腹減った・・・」

 

栄依子「ねぇ〜。でも大会さんのお陰でかなり進みました。」

 

侑李「本当に助かりました。」

 

大会「お役に立てたら何よりだ。」

 

花名「お風呂溜まったよ~!」

 

美鈴「ありがと〜!」

 

大会「それじゃあ私は・・・」

 

栄依子「そうだ!私入浴剤持って来たんだけど、入れても大丈夫?」

 

花名「うん。じゃあ大会さんからお風呂どうぞ。」

 

大会「いや・・・私は・・・」

 

たまて「どうぞ1番風呂行っちゃって下さい!万年お姉さんにはお世話になりましたから!」

 

大会「いや・・・あの・・・」

 

栄依子「じゃあこれお願いします。」

 

入浴剤を渡した。

 

大会「あ・・・はい。」

 

 

 

 

1番風呂は大会。

 

大会「何故私は花名ちゃんの部屋のお風呂に?」

 

シャワーで体を洗う。

 

大会「そうだ入浴剤・・・」

 

栄依子から貰った入浴剤を浴槽に入れる。

 

大会「こ、これは・・・」

 

トロトロしていた。浴槽に入る。

 

大会「おおおおお・・・」

 

 

 

 

2番目は侑李。

 

侑李「はぁ〜・・・気持ち良い〜・・・栄依子ったら良い入浴剤を持って来てくれたわね〜。」

 

 

 

 

3番目は栄依子と冠。

 

冠「美味しそ。」

 

栄依子「ダメだからね?」

 

しかし栄依子の指を舐めた。

 

栄依子「こーら。」

 

 

 

 

4番目は美鈴。

 

美鈴「ほへ〜・・・生き返る〜・・・この入浴剤気持ち良いね〜。私も買おうかな〜?」

 

 

 

 

5番目は花名。

 

た『シャワーを浴びてたら背後に何者かの気配を感じたり・・・』

 

花名「っ?」

 

背後を恐る恐る見ると。

 

たまて「1人風呂はそこまでです!」

 

花名「た、た、たまちゃん!?」

 

2人で浴槽に入る。風呂が溢れ出た。

 

花名「とろんとろんだねぇ〜・・・」

 

たまちゃん「ぬるんぬるんですなぁ〜・・・」

 

 

 

 

6番目は貴之。

 

貴之「この入浴剤、結構トロトロしてるな。丸でとろろだな。」

 

 

 

 

最後の7番目は優輔。

 

優輔「あぁ〜・・・良い湯加減〜・・・でも何か、女の子が入った後の風呂ってのはちょっとぎこちないな・・・」

 

 

 

 

 

 

そして夕飯の時間。

 

たまて「本日の夕餉はとろみ風呂に因んで、たまちゃん特製八宝菜!か~ら~の~中華丼でぇす!」

 

今日の夕餉は、たまちゃん特製八宝菜と中華丼。

 

花名「おぉ〜、まさにこんな、こんな感じにとろ〜りと・・・」

 

栄依子「煮込まれちゃったね〜。」

 

美鈴「美味しそ〜!」

 

9人「いただきまーす!」

 

美鈴「・・・美味しい〜!」

 

花名「・・・今なら八宝菜の気持ちが分かる気がする・・・八宝菜の人生・・・悪くない。」

 

優輔「美味え〜。実家のメニューに出したいくらい美味え〜。」

 

大会「何と言う美味!私までいただいて良かったのか?」

 

たまて「勿ですよ~。万年お姉さんのお陰ですっごい捗りましたしね!」

 

侑李「大会さんに感謝しなきゃね!」

 

栄依子「ねぇ。あんなに勉強出来る人だったなんて。」

 

大会「こう見えても、高校時代は学年主席の生徒会長だったんだ!」

 

栄依子「おお~!」

 

たまて「御見それしました!」

 

冠「おかわり。」

 

貴之「冠食うの早!」

 

大会「自分で言うのも何だが、名生徒会長だったんだぞ!私が会長を務めた年の文化祭は私の名に肖って、文化大会と名付けられたぐらいなのだ!」

 

栄依子「それは愛されてると言うか・・・」

 

たまて「いじられてると言うか。」

 

大会「う・・・」

 

冠「おかわり。」

 

貴之「早!もう?」

 

優輔「たま、うちの店で働いてみるか?きっと繁盛すると思うぞ?」

 

たまて「お気持ちだけ貰いますね。」

 

 

 

 

 

 

夕餉を食べ終えた後。

 

たまて「ゲームをしましょう!」

 

花名「皆で出来るゲーム?」

 

栄依子「車を運転するとか?」

 

貴之「マリオパーティか?マリオカートか?」

 

たまて「ギャルゲーです!」

 

栄依子「ギャルゲー・・・」

 

優輔「ギャルゲーかよ。」

 

栄依子「何で私・・・?」

 

たまて「だってギャルを落とすゲームですから。」

 

侑李「そうね。確かに栄依子なら落とせるかも。」

 

栄依子「答えになってないわよ?ここを押して行けば良いの?」

 

たまて「そうですそうです!」

 

プレイを続ける。

 

花名「な・・・なんか見てるだけでドキドキしちゃうな・・・」

 

大会「う・・・うむ。人の恋路を隠れて見てるようだな・・・」

 

美鈴「私もギャルゲーやりたいな〜。」

 

優輔・貴之「止めとけ。」

 

たまて「私の一押しはこの子ですね!」

 

冠「この子は?」

 

たまて「あ~・・・その子は登場した時彼氏さんが居るのでダメです。」

 

美鈴「リア充?」

 

優輔・貴之「言うな。」

 

大会「それじゃ付き合うのは無理なのか・・・」

 

たまて「いえ。まぁ付き合えますが・・・ほら元カレが居た訳ですし・・・今までもこれからも私の事しか好きにならない子が良いんですよ。今までもこれからも。」

 

花名「たまちゃん・・・顔怖い・・・」

 

侑李「目が死んでるよ?」

 

するとゲームのSEが聞こえた。

 

たまて「な~!やだ怖い!この短時間で全ての女子の恋心がマ~ックス!」

 

優輔「流石栄依子・・・全員を完璧に落としやがった・・・」

 

 

 

 

 

 

その後部屋に布団を敷いた。

 

花名「あ。お布団ありがとう。」

 

優輔「どうって事無えよ。」

 

貴之「力仕事は男の仕事だからな。」

 

栄依子「体温上がってる・・・かむもうおねむ?」

 

冠「うん。」

 

たまて「私もお勉強で頭使い過ぎてねむねむですよ~。」

 

美鈴「私もねむねむしたい〜。」

 

花名「そうだね。今日はもう寝ようか。」

 

栄依子「まだ10時半だ。こんな時間に寝るのなんて小学生以来かも。」

 

貴之「栄依子は何時も何時に寝てんだ?」

 

花名「じゃあ電気消すね。」

 

全員「は〜い。」

 

電気を消した瞬間、謎の物音が。

 

花名「ヒィ!?」

 

たまて「何の音でしょう?」

 

花名「いやーーー!」

 

スマホのライトで照らした。

 

たまて「盛り上がってまいりました。お泊りと言えば怪談ですよね。」

 

花名「かか、怪談!?」

 

美鈴「怪談怖い!」

 

侑李「急な話ね。」

 

栄依子「え?本当にやるの?」

 

冠「眠い。」

 

優輔「まぁ定番っちゃあ定番だな。」

 

貴之「仕方無え。やるか。」

 

 

 

 

怪談話開始。

 

たまて「それでは栄依子ちゃんからお願いします。」

 

栄依子「はい。前にネットで見た話なんだけど。あれ?看護師さんだったかな?まぁ良いかどっちでも。まぁ何かの建物があってそこの窓からこっちを見てる女の人の姿が・・・あれ?子供だったっけ?まぁ色々ありまして皆死んでしまいましたとさ。」

 

優輔・貴之・冠「雑。」

 

たまて「うろ覚えにも程がありますよ~。」

 

花名「み・・・皆死ぬって・・・」

 

たまて「ちょろ過ぎますよ花名ちゃん!」

 

美鈴「健気だね〜。」

 

栄依子「ねぇ。かむは何かネタある?」

 

冠「ストッキング売り場に置いてある下半身だけのマネキン。棚から足が生えてるみたいで怖い。」

 

花名「あ・・・そう考えると怖い。」

 

たまて「怪談じゃないけど怖い!」

 

冠「怖い。」

 

侑李「怖いって言うか、シュール的な?」

 

たまて「ふふふ・・・次は私がお話ししましょう。」

 

花名「た、たまちゃん!?」

 

たまて「とある旧家に使用人として住み込みで雇われた女の子のお話です。」

 

花名「ひぃ~・・・」

 

栄依子「おお。何だか本格的。」

 

たまて「その家のお嬢様と女の子は年が近い事もあり、まるで姉妹のように仲睦まじく暮らしていました。ある日彼女がメイド服で庭掃除をしていると・・・はい!ここでメイド服イベントスチル!何かの気配を感じて振り返ると・・・そこにはイベントスチル!イベントスチル大盤振る舞い!イベントスチル!」

 

花名「イベントスチル怖いイベントスチル怖い・・・」

 

美鈴「怖いよ・・・」

 

栄依子「何怯えてるの花名、美鈴。」

 

優輔「俺も1つ怪談あるぞ。」

 

栄依子「あるの?」

 

たまて「お!じゃあ優輔君!」

 

優輔「・・・幽霊が出ると言う噂の廃旅館にやって来た3人の若い男女。彼らは旅館の奥へ進んで行った。そして、1番奥の部屋を覗くとそこには・・・」

 

侑李「そこには・・・?」

 

優輔「6体の人形の首が落ちていた。」

 

花名・美鈴「く、首!?」

 

優輔「けどそれだけでは終わらなかった。」

 

花名「え・・・?」

 

優輔「1人の男性が人形の首に近付くと隙間から・・・」

 

花名「す、隙間から・・・?」

 

 

 

 

優輔「人間の顔がこっちを見て睨んだ!」

 

 

 

 

花名・美鈴「いやーーーー!」

 

優輔「3人の男女は恐怖して廃墟から走って脱出した。その廃旅館には、昔殺された女性の怨念が今尚彷徨ってると言う噂がある。どうだ?怖かったか?」

 

美鈴「こ、怖い・・・」

 

花名「優輔君・・・怖いよ・・・」

 

栄依子「優輔、本格的ね・・・」

 

たまて「いやぁ〜、優輔君は凄いですね〜。」

 

 

 

 

 

 

深夜。全員が寝静まった頃。

 

花名(眠れない・・・)

 

眠れない花名は、コップに水を注いで飲む。

 

花名「ふぅ・・・ん?」

 

足元に何かがあった。謎のネジだった。

 

花名「ひっ!」

 

???「花名ちゃん。」

 

花名「ひっ!・・・たまちゃん。」

 

後ろにたまてが居た。

 

花名「ごめんね起こしちゃって・・・」

 

たまて「いえいえですよ。眠れないんですか?」

 

花名「うん。その・・・また見付けちゃって。これ・・・」

 

ネジを見せた。

 

たまて「あ、ネジ。」

 

花名「どうしよう・・・これが大事な所のネジだったら・・・皆が寝てる間に天井が落ちて来たり柱が折れたり・・・アアアアパートごと崩れたり・・・」

 

泣いてる花名の涙をたまてが拭いた。

 

たまて「そんな重要な部分に、こ~んなちっちゃなネジは使わないと思いますよ。花名ちゃん。」

 

花名「そ・・・そうだよね・・・そうだよね。ごめんねたまちゃん。こんなのが怖いなんて変だよね。」

 

たまて「良いんじゃないですか?好きな物、怖い物、人それぞれですよ~。」

 

花名「たまちゃん・・・」

 

たまて「ギャルゲーだって同じですよ。」

 

花名「え?」

 

たまて「幼馴染、ツンデレ、クール系、お姉様。中には元カレが居る子だって居るでしょう?最近は男の娘と書いて男の娘、あ、これは複雑になるのでさておき。ギャルゲーの女の子達は好感度の上がるプレゼントもデートの場所も全部違います。だがそれが良いんです!同じ物が好きで同じ物が怖くちゃ攻略のし甲斐がないってもんですよ!あ!でもやっぱり元カレはダメですね!」

 

花名「あはは・・・」

 

たまて「おっと、つい熱くなっちゃいました。正直初めて聞いた時は、何故ネジで眠れないのかと思いましたが。」

 

花名「やっぱそうだよね・・・」

 

たまて「でも怖いですよね。夜中にそんな物を見付けちゃったら。「何処のネジだろうね~。怖いね~。」って話し合える人が傍に居ないのは心細いですよね。花名ちゃんは私の事を偉いって褒めてくれましたが、一人暮らしで頑張ってる花名ちゃんの方がよっぽど偉いですよ。花名ちゃん!」

 

花名「たまちゃん・・・」

 

たまて「花名ちゃん偉い偉い。よーしよしよし。」

 

褒めながら撫でる。

 

花名「こう言うのってイベントスチル?」

 

たまて「お。花名ちゃんも分かってきたじゃないですか~。」

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

花名「ん・・・」

 

目が覚めた花名。横を見ると。

 

花名「きゃ!」

 

寝相が良過ぎるたまてが寝ていた。

 

栄依子「あ。おはよう花名。」

 

冠「おはよう。」

 

侑李「花名おはよう。」

 

貴之「花名おはようっす。」

 

優輔「よう花名。おはよう。」

 

美鈴「zzz・・・」

 

花名「おはよう。あれ?冠ちゃんほっぺが赤くなってる・・・」

 

冠の左頬が赤くなっていた。

 

栄依子「あら本当だ。何これ?」

 

花名「ネジの呪い!?」

 

冠「栄依子のtkbの跡。」

 

優輔・貴之「ブッ!」

 

栄依子「固いな~私のtkb。」

 

優輔「おい、その発言は止めろ。」

 

侑李「ナチュラルに言わないでよ。」

 

花名「ネジの呪いでtkbがネジに・・・」

 

栄依子「何でピンポイントに私のtkb呪うの?」

 

貴之「だからその発言は止めろ。」

 

栄依子「あ。分かった。私の服のボタンだわ。」

 

優輔「何だボタンか。良かった。」

 

花名「そ・・・そっか・・・呪いじゃなかったんだ。」

 

侑李「何の呪い?」

 

栄依子「人のtkbを呪うネジって何の恨みがあるのやら。」

 

侑李「だからtkb言うの止めなさい。」

 

冠「ネジと言えばこれ。」

 

スイッチのカバーを見せた。

 

花名「スイッチのカバー?これのネジだったんだ・・・」

 

するとたまてが起き上がった。

 

たまて「おはようございます。皆早起きさんですね~。」

 

貴之「いや、美鈴はまだ寝てる。」

 

花名「たまちゃん浴衣が全然着崩れてないね・・・」

 

優輔「たま、寝相がファラオみたいだったぞ?」

 

たまて「そうでしょう。私ツタンカーメンより寝相が良いと評判ですからね。」

 

栄依子「どう言う評価なのそれは・・・」

 

侑李「何でツタンカーメン?」

 

優輔「おい美鈴起きろ。」

 

美鈴「んあ?」

 

 

 

 

 

 

百地家に帰って来たたまて。

 

たまて「ただいまです~!」

 

史生・多佳子「ごはん食べに行きましょ!」

 

たまて「・・・え?」

 

史生「今日はお婆ちゃん達が御馳走するからね。うなぎなんてどうかしら?」

 

多佳子「うなぎ!良いわねぇ~!」

 

たまて「で・・・でも本当に良いんですか?」

 

史生「だってたまちゃんお料理もやりくりも頑張ってくれてるじゃない。」

 

多佳子「そうそう。自慢の孫娘だわ。」

 

たまて「て・・・照れます~・・・」

 

多佳子「だからご褒美。」

 

史生「ね。」

 

たまて「わぁ・・・!」

 

多佳子「お腹空いたでしょ?二段重ね頼んじゃえ~!」

 

たまて「二段重ね!?」

 

史生「う巻きも頼んじゃえ~!」

 

たまて「う巻きお婆ちゃん、ありがとうございます!」

 

ご褒美にうなぎが食べれると喜んだたまてであった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      万年大会:内田真礼
      京塚志温:M・A・O
       多佳子:宮沢きよこ
        史生:槇原千夏

次回「ぐるぐるのてくび」


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STEP7「ぐるぐるのてくび」

とある雑貨屋。この店に栄依子が来店していた。

栄依子「良い色・・・」

マニキュアを見てる。


後日の星尾高校。

 

貴之「おい栄依子・・・そのヘアピンどうした・・・?」

 

大量のヘアピンをしてる栄依子を見た優輔と貴之が驚いてる。

 

冠「お誕生日おめでとう。ピン子。」

 

栄依子「ピン子って・・・」

 

美鈴「泉ピン子?」

 

優輔「言うな。」

 

たまて「偉い事になりましたね~。」

 

栄依子「嬉しいけどびっくりした〜・・・」

 

花名「じ・・・実は私も万年さんと選んだヘアピンで・・・」

 

美鈴「あ!私もバースデープレゼントのヘアピンをあげましょう!」

 

たまて「花名ちゃんと美鈴ちゃんに同じく!ハピバですよ栄依子ちゃん!」

 

栄依子「ありがとう。花名、たま、美鈴。」

 

たまて「付けて良いですか?」

 

栄依子「どうぞ。」

 

たまて「花名ちゃんに美鈴ちゃんも。」

 

花名「う、うん。」

 

美鈴「可愛くしてあげるね〜。」

 

侑李「いやもう十分でしょ?」

 

前髪にヘアピンを付けた。

 

栄依子「ありがとう。」

 

優輔「ゴージャスなり過ぎ・・・」

 

たまて「限定ライブ当りますように限定ライブ当りますように限定ライブ当りますように!」

 

栄依子「えぇ・・・」

 

たまて「あぁ、頭がおめでたい感じだったのでつい。ほら花名ちゃんも!」

 

栄依子「おい・・・」

 

花名「え!・・・栄依子ちゃんの1年が幸せなものでありますように。」

 

侑李「純粋だね花名。」

 

すると栄依子が花名を抱き締めた。

 

花名「え・・・栄依子ちゃん?」

 

栄依子「ありがとう。嬉しい。良い子ね花名は。」

 

たまて「も~花名ちゃんがあんまり良い子だと私が駄目っぽくなるじゃないですか~。」

 

花名「た・・・たまちゃんは全然駄目なんかじゃないよ!」

 

嬉しくなったたまてが花名を抱いた。

 

花名「たまちゃん!?」

 

たまて「も~花名ちゃんはまうごつ良い子ですね~!」

 

栄依子「良い子よね〜。」

 

美鈴「本当だね〜。」

 

抱かれて困惑する花名。

 

優輔「お前ら花名が困惑してるぞ。」

 

たまて「花名ちゃんめごい!めっさ可愛い!」

 

貴之(東北方言?)

 

栄依子「うんうん。かわいい。」

 

美鈴「花名ちゃん可愛い〜。」

 

侑李「そうね。花名可愛い。」

 

冠「可愛い。」

 

照れた花名が冠を抱き締めた。

 

たまて「あ。照れた。」

 

侑李「照れたね。」

 

優輔「照れたな。」

 

栄依子「照れたわね。」

 

すると榎並先生が教室に入った。

 

侑李「あ、榎並先生。」

 

榎並先生「うっわ。何事だお前それ?十倉ピン子か?」

 

栄依子「止めて下さい・・・ピン子定着しそ~。」

 

すると榎並先生が栄依子の左肩に手を置いた。

 

榎並先生「十倉。」

 

栄依子「は、はい。」

 

榎並先生「若い内はごちゃごちゃ飾るのがおしゃれだと思いがちだがな。お前それ10年後絶対後悔するから。」

 

栄依子「いえ違います。違うんです・・・」

 

たまて「栄依子ちゃん誕生日なんですよ~!」

 

侑李「そうそう。栄依子の誕生日なの。」

 

榎並先生「誕生日?成る程。それでそのめでたい格好か。」

 

栄依子「うっわ何かしらこれ・・・悪意しか感じない・・・」

 

榎並先生「無い無い悪意とか。「此奴人気者気取りかよ~」とか思ってない全然。」

 

栄依子「もう清瀬さんひど~い。」

 

榎並先生「下の名前で呼ぶなよ・・・ま、誕生日おめでとう十倉。私からもプレゼントをやろう。ほらじっとしてろよ。」

 

栄依子「はい・・・」

 

髪にクリップを付けてあげた。

 

榎並先生「どうだ?嬉しいか?」

 

優輔・貴之(クリップかよ・・・)

 

栄依子「先生、これどう見てもゼムクリップなんですけど・・・」

 

榎並先生「安心しろ。私物だから返却不要だ。」

 

栄依子「わー嬉しいなー。あ・・・」

 

クリップを曲げてハート型にした。

 

栄依子「お気持ち受け取りました。」

 

侑李(ハート型にしたねあの子・・・)

 

榎並先生「返せ。」

 

栄依子「あれ~?返却不要なんじゃ?」

 

榎並先生「・・・1限目始まる前に全部外しとけよピン子。」

 

栄依子「え、だから止めて下さいってば!」

 

侑李(先生、栄依子を弄んでるわね。)

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

優輔「こんなに貰ったのかよ。」

 

貴之「流石に多過ぎね?」

 

たまて「栄依子ちゃんって榎並先生さんにぐいぐい攻めて行ってましたね~。」

 

美鈴「先生さん?」

 

栄依子「うん。ああ言うタイプ好きなの。」

 

優輔「好きって・・・」

 

花名「ああ言うタイプ?」

 

栄依子「この前もね。卒業したらお友達になって下さいって言ったんだけど・・・」

 

 

 

 

榎並先生『お前が卒業して私がなるのは友達ではなく恩師だ。』

 

 

 

 

栄依子「良いわよね~そう言う所。」

 

花名「う・・・うん・・・?」

 

侑李「栄依子の思考って何があるの・・・?」

 

たまて「何が良いのかはよく分かりませんけど、栄依子ちゃんのそう言う所は好きですよ。」

 

 

 

 

女子トイレ。栄依子が鏡に向かってブラシで髪を整えてた。ケースを見ると、貰ったヘアピンが大量に入ってた。

 

 

 

女子トイレから出ると。

 

栄依子「かむ?侑李?」

 

侑李「栄依子、ハッピーバースデー。」

 

冠「お誕生日おめでとう。」

 

栄依子「あら?このタイミングで?」

 

冠・侑李「敢えて。」

 

栄依子「敢えて?じゃあはい。付けて。」

 

すると侑李が栄依子の右手を、冠が栄依子の左手を持った。

 

栄依子「っ?」

 

侑李が右手にブレスレット。冠が左手の小指に指輪を嵌めた。

 

栄依子「指輪とブレスレットだ。」

 

冠「ヘアピンは被るかと思って敢えて。」

 

侑李「被らなく良かったわ。」

 

栄依子「綺麗~。ありがとうかむ。侑李。」

 

冠「ん。」

 

侑李「どういたしまして。」

 

栄依子「ねぇ。この指輪かむだと薬指のサイズよね。」

 

冠「知らない。」

 

 

 

 

一方職員室では、花名がプリントを持って来た。

 

花名「先生、持って来ました。」

 

榎並先生「おう。この前お母様が見えたぞ。お前の事宜しくと仰ってた。」

 

花名「そ、そうですか・・・」

 

榎並先生「ああその・・・学校の方はどうだ?嫌な事とか無いか?」

 

花名「いえ・・・えっと・・・楽しいです!最初の頃は馴染めないんじゃないかなって不安だったんです・・・でも、今はもう大丈夫な感じで、その・・・空気が優しくなったと言うか・・・馴染めてきたのかなって・・・」

 

榎並先生「いいや、それは馴染んだと言うよりもお前らが仲良くなったって事だろ。」

 

花名「そ、そうなんでしょうか・・・」

 

榎並先生「私にはそう見えるが。」

 

 

 

 

 

 

8人が下校する。優輔は自転車を押してる。

 

たまて「しかし凄いですよね~。クラス全員誕生日プレゼントがヘアピンだなんて!」

 

美鈴「本当だね〜。」

 

栄依子「え?皆で打ち合わせしてくれたとかじゃなかったの?」

 

花名「ううん。全然。」

 

貴之「偶然かよ・・・」

 

優輔「とんでもないシンクロ・・・」

 

たまて「こんな風にクラス全員の心が一つになるなんて奇跡ですよ!このような事もう卒業式までないかもしれませんね!」

 

たまて「楽しかったー!」

 

冠「誕生日!」

 

たまて「思い出に残ったー!」

 

冠「栄依子のヘアピン!」

 

栄依子「修学旅行とか差し置いて私のヘアピン・・・?」

 

貴之「千葉!滋賀!佐賀!」

 

優輔「懐かしい!」

 

花名「栄依子ちゃんが何時も付けてるそのヘアピン凄く綺麗だよね。」

 

栄依子「そ、そう?」

 

冠「似合ってる。」

 

侑李「栄依子らしい。」

 

たまて「大人っぽいキラキラが、栄依子ちゃんっぽいと申しますか〜。」

 

栄依子「そうかな・・・?ありがとう。」

 

たまて「何処で買ったんですか~このこの~。」

 

栄依子「秘密。」

 

たまて「隠しておきたい名店と言う奴ですか!」

 

栄依子「ふふ。」

 

たまて「う・・・これ以上は踏み込ませないと言う絶対的な圧を感じる~!」

 

美鈴「どう言う事かな?」

 

たまて「秘密は秘密のまま謎多き女である事がモテのコツなんですね~。かむちゃん侑李ちゃん良いんですか~?モテにも程がありますよこの人は。」

 

冠「栄依子が皆に好かれてるのは嬉しい。」

 

侑李「私も冠と同じ。栄依子が幸せならそれで十分よ。」

 

たまて「成る程!最後には私と言う港に帰って来てくれたら良いと!」

 

花名「演歌なの・・・?」

 

冠「もしくはよる脱走した犬が朝には犬小屋に帰ってる、みたいな。」

 

花名「犬なの・・・?」

 

指でキツネを作って。

 

栄依子「わん。」

 

優輔・貴之・美鈴・侑李「それキツネ。」

 

 

 

 

 

 

ある日の榎並先生の家。

 

榎並先生「あ~・・・飲み過ぎた・・・ん?」

 

そこに何故か栄依子と侑李が眠っていた。

 

榎並先生「十倉・・・?億崎・・・?家だよなここ・・・」

 

何があったのか分からない榎並先生。すると栄依子と侑李が起きた。

 

栄依子「おはようございます。先生。・・・あのまま寝ちゃったか〜・・・あ、すみませんこれ外してもらえます?」

 

侑李「おはよう先生・・・私の両腕を解いてくれる?」

 

両腕が何故か縛られていた。

 

榎並先生「お、おう・・・」

 

 

 

 

両腕を解放させた。

 

栄依子「ありがとうございます。あ、お手洗いお借りしますね。」

 

榎並先生(・・・何だこれ?)

 

 

 

しばらくして栄依子が手洗いから戻って来た。

 

栄依子「どうもありがとうございました。2日酔いですか?」

 

侑李「先生大丈夫?」

 

榎並先生「おい・・・何がどうなってお前達がここに居る?」

 

栄依子「え~。覚えてないんですか?」

 

侑李「大変だったんだよ?」

 

 

 

 

 

 

時は遡って昨夜。

 

西村『ほら~ちゃんと歩け~。』

 

榎並先生が泥酔状態になっていた。友達の西村基が榎並先生の腕を担いでいた。

 

栄依子『榎並先生。こんばんは。』

 

侑李『ヤッホー先生。』

 

榎並先生『お・・・おう。』

 

たまたまそこに栄依子と侑李が居た。

 

西村『あ!榎並の生徒さん?』

 

栄依子『はい。どうもです。』

 

侑李『先生の教え子です。先生酔ってるんですか?』

 

西村『この人飲み始めてすぐ潰れちゃって。この見た目でこの弱さって笑うわよね~。』

 

榎並先生『うるせぇ・・・』

 

すると電話が来た。

 

西村『はい西村です。さっきはどうも・・・』

 

栄依子(酔ってる・・・可愛い。)

 

侑李(可愛いの?)

 

栄依子(可愛いわよ。)

 

西村『榎並起きて~。さっきの店に忘れ物取りに行かないとだから・・・』

 

栄依子『私達が送って行きましょうか?』

 

西村『良いの?』

 

栄依子『はい。』

 

侑李『任せて下さい。』

 

西村『すぐそこのマンションだから。』

 

 

 

 

 

 

榎並先生が住んでるマンション。

 

侑李『着いたよ先生。』

 

栄依子『先生お家ですよ。鍵開けて下さい。』

 

鍵を出してドアを開けた。

 

榎並先生『今日の西村は2人居て・・・何だか十倉と億崎に似ているな・・・何でだ~?』

 

栄依子『う~ん。十倉本人だからでしょうか。』

 

侑李『億崎本人だからかな?』

 

榎並先生『そうか十倉と億崎かぁ・・・』

 

栄依子『は〜い。十倉ですよ〜。』

 

侑李『億崎だよ〜。』

 

 

 

 

部屋にお邪魔して、榎並先生をソファに寝かせた。すると栄依子と榎並先生がソファに倒れた。

 

侑李『栄依子大丈夫?』

 

栄依子『大丈夫大丈夫。大丈夫ですか先生?』

 

榎並先生『お~・・・十倉と億崎ってのはうちの生徒でな・・・』

 

侑李『先生?』

 

栄依子『まだ続くんだこの話。ね、十倉さんって可愛い?』

 

榎並先生『いいや。可愛くね・・・』

 

栄依子『あ~即答だひど~い。』

 

榎並先生『十倉はな・・・何だろうな彼奴は・・・おい何だと思う?』

 

侑李『質問したよ?』

 

栄依子『さ、何でしょうね~。』

 

榎並先生『一つ言える事はだな・・・可愛くね。』

 

栄依子『うわぁ〜。』

 

榎並先生が眠った。

 

 

 

 

キッチンにある冷蔵庫を開けて、水を持って行く。

 

栄依子『はい先生。お水です。』

 

榎並先生『お、おう・・・』

 

栄依子『じゃ私はこれで失礼します。』

 

侑李『早く寝て酔いから覚めてね?』

 

榎並先生『帰るのか・・・?』

 

侑李『当たり前だよ。』

 

栄依子『帰りますよそりゃ。』

 

榎並先生『帰るのか・・・』

 

栄依子『居て欲しいんですか?』

 

榎並先生『居て欲しいのか・・・?』

 

侑李『先生子供みたいになってる・・・』

 

栄依子『こっちが聞いてるんだけどな~。居て欲しいなら居ますけど?』

 

榎並先生『居て欲しいなら・・・』

 

栄依子『居ますよ。侑李も一緒に。』

 

侑李『私も?』

 

榎並先生『居るのか・・・これソファーのカバー・・・』

 

栄依子『酔っ払いの癖に細かいな~。ほ~らもう休んで下さい。』

 

侑李『体に毒だよ?』

 

榎並先生『お前らあれだろ。私が寝たら悪戯とか落書きとかするんだろ・・・』

 

栄依子『え~しませんよ~。』

 

侑李『私もしないよ〜。』

 

榎並先生『い~やお前は信用出来ない・・・よし。縛っておこう・・・』

 

栄依子『え~?』

 

侑李『縛る?』

 

榎並先生『両手出せ・・・』

 

栄依子『は~い。』

 

侑李『はい。』

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

 

栄依子「・・・みたいな感じです。」

 

侑李「もう大変だったんだよ?」

 

榎並先生「いやうん・・・私が全面的に悪い・・・私が悪いんだが・・・お前らももう少し抵抗しろよ・・・」

 

栄依子「いや~段々面白くなってきちゃって。」

 

侑李「泥酔状態の先生に抵抗したら怒られるかもって。」

 

榎並先生「面白ければそれで良いのかお前は・・・」

 

栄依子「割と。」

 

侑李「割と?」

 

榎並先生「あ・・・十倉、億崎。面倒掛けてすまなかったな・・・」

 

栄依子「せ・・・先生がしおらしくなってる!あはは!」

 

侑李「栄依子!?」

 

榎並先生「十倉てめぇ・・・」

 

栄依子「ごめんなさい・・・・・」

 

榎並先生「ツボってんじゃねぇか・・・って十倉、億崎お前ら無断外泊してねーか?」

 

栄依子「ああ大丈夫ですよ。友達のお宅に泊めてもらうって連絡入れてありますんで。」

 

侑李「私も同じく。」

 

榎並先生「そうか・・・ん?十倉、億崎お前らずっと縛られてただろ。何時連絡入れたんだ?」

 

侑李「あれ?気付いちゃった?」

 

榎並先生「お前らほんとは自分で外せたんだろ?」

 

栄依子「あはは!」

 

榎並先生「ああもう・・・酒止める・・・」

 

侑李「お。飲酒防止の1歩を踏み出したね。」

 

栄依子「え?酔った先生可愛かったのに。」

 

榎並先生「うるせぇ・・・お前ら言っとくけど学校サボるなよ。」

 

侑李「そうだったね。」

 

栄依子「帰って着替えてから行きますよ。」

 

榎並先生「そうか。」

 

栄依子「先生。コーヒー飲むなら私が淹れておきますよ。先に顔洗って来て下さい。」

 

榎並先生「おお。シャワー浴びて来て良いか?」

 

栄依子「ご随意にどうぞ。」

 

榎並先生「家探しとかするなよ?」

 

栄依子「不安ならまた縛ります?」

 

榎並先生「蒸し返すな。」

 

侑李(この2人面白いわね。)

 

榎並先生「使い方分かるか?」

 

栄依子「はい。母に淹れたりするので。」

 

榎並先生「じゃあすまんが宜しく。」

 

 

 

 

数分後。

 

榎並先生「あ~さっぱりした・・・」

 

侑李「おかえり先生。」

 

栄依子「コーヒー出来てますよ。」

 

榎並先生「サンキュー。」

 

栄依子「先生って朝食べない人ですか?」

 

榎並先生「食べたり食べなかったりだな・・・あ、でもお前らは食べろよ。朝食抜きダイエットとか考えるなよ。」

 

栄依子・侑李「は〜い。」

 

 

 

 

コーヒーを差し出す。

 

榎並先生「美味い・・・」

 

栄依子「ほんとですか?良かった~。」

 

侑李「はぁ〜、栄依子のコーヒーは落ち着く〜。」

 

榎並先生「お前砂糖とか入れないのか?」

 

侑李「砂糖入れますね。」

 

榎並先生「十倉は?」

 

栄依子「ブラック派です。」

 

榎並先生「女子高生が生意気な。」

 

栄依子「先生もブラックですよね?」

 

榎並先生「大人だからな。」

 

栄依子「酔っぱらって生徒に介抱される大人・・・

 

榎並先生「う・・・」

 

栄依子「良いと思いますよ。可愛くて。」

 

榎並先生「嬉しくねぇ・・・」

 

 

 

 

数分後。

 

栄依子「ごちそうさま。そろそろ家帰って着替えないと・・・」

 

侑李「本当だ。早くしないと。」

 

榎並先生『遅刻したら遠慮なく付けるからな。」

 

栄依子「はーい・・・あ、今日日直だった。」

 

榎並先生「そうか。」

 

栄依子「花名と早めに学校行く約束してて・・・」

 

榎並先生「真面目だなぁお前ら。まぁこっちとしちゃありがたい話だが。』

 

栄依子「シャワー浴びるとギリギリか・・・汗臭いかな・・・」

 

侑李「大丈夫よ。栄依子は何時も良い匂いだし。」

 

栄依子「でも・・・」

 

すると榎並先生が栄依子を嗅いだ。

 

榎並先生「別に。良い匂いだぞ。」

 

栄依子「そうですか・・・それは良かった。それじゃあ失礼します。また学校で・・・」

 

侑李「また後でね〜。」

 

榎並先生「おー。真っ直ぐ帰れよー。」

 

 

 

 

マンションから出た後。

 

栄依子(何!?何この勝ち試合だと思ったら最終回で逆転喰らったみたいな感じは!?)

 

侑李(先生って、無自覚なのかな?でも赤面してる栄依子可愛いね。)

 

栄依子(侑李!!)

 

 

 

 

 

 

その日の朝の学校。榎並先生が窓から外を眺めてると。

 

花名「先生おはようございます。」

 

榎並先生「おぉ。一之瀬か。」

 

花名「あ、これ、プリント集めて来ました。」

 

榎並先生「おう。」

 

栄依子「花名~。1枚忘れてる~。」

 

そこに栄依子が1枚のプリントを持って来た。

 

花名「あ!ありがとう栄依子ちゃん!」

 

栄依子「いえいえ。おはようございます先生。」

 

榎並先生「・・・おう。」

 

栄依子「おはようございます。」

 

榎並先生「諄いな分かったよ・・・」

 

栄依子「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す。」

 

榎並先生「・・・お・は・よ・う。」

 

栄依子「は~い。良く出来ました。」

 

榎並先生「調子乗んな。」

 

軽くチョップした。

 

栄依子「いったぁ・・・っ!」

 

何かを見た栄依子が榎並先生の両腕を掴んだ。

 

榎並先生「っ!?」

 

首にあるネックレスに目を付けたのだった。

 

榎並先生「おい十倉・・・」

 

花名「栄依子ちゃん?」

 

栄依子「先生・・・これ・・・このネックレス・・・」

 

榎並先生「ああ・・・昨日買ったんだ。友人と会うまでの暇潰しにぶらぶらしてたら見付けてな。」

 

花名「綺麗なネックレスですね。」

 

榎並先生「ああ。良い色だろこれ。」

 

栄依子はネックレスに見惚れている。

 

榎並先生「十倉?おーい十倉どした?」

 

すると栄依子がバッと離れた。

 

栄依子「ああいえ・・・先生。凄く似合ってますそれ。」

 

榎並先生「お、おう・・・」

 

栄依子「じゃあ、日直して来ますか。行こ花名。」

 

花名「あ、うん。」

 

 

 

 

廊下。

 

花名「あの・・・栄依子ちゃん。さっき先生と話してた時栄依子ちゃん何かあったのかなって・・・」

 

栄依子「・・・花名。」

 

花名「は、はい!?」

 

栄依子「ちょっとだけ内緒話に付き合ってくれないかな?」

 

 

 

 

その後2人はある場所へ向かった。

 

花名「わあぁ〜!」

 

街が一望出来る場所だった。

 

栄依子「ここ良いでしょ。私の秘密スポット。」

 

花名(内緒話・・・秘密スポット・・・人には言えない話・・・すっごくやばい話・・・)

 

栄依子「花名?」

 

花名「栄依子ちゃん!大丈夫!何があっても私は栄依子ちゃんの味方だから!」

 

栄依子「えぇ?」

 

花名「大丈夫だから!」

 

栄依子「心配しないで。そんな暗い話じゃないから。」

 

花名「そうなんだ・・・」

 

栄依子「あのね。先生が着けてたネックレスあるじゃない?」

 

花名「うん。」

 

栄依子「あれ作ったの私・・・」

 

花名「え・・・え~!?」

 

栄依子「私アクセサリー作るのが趣味なのね。これとか自分で作ってて。」

 

花名「そうだったの!?」

 

何と榎並先生が付けてたネックレスは栄依子の自信作だった。そして栄依子が何時も付けてるヘアピンも栄依子の自信作だった。

 

栄依子「それでうちの母が雑貨店やっててね。私の作ったもの置いてくれてるんだけど・・・

 

花名「じゃあ先生がそれを?栄依子ちゃんが作ったって事は・・・」

 

栄依子「知らないと思う。知ってたらあの人付けて来なさそう。」

 

花名「じ、じゃあ先生は気に入ったから買ったんだね!」

 

栄依子「うん。」

 

花名「凄いね!凄い!」

 

栄依子「あのね・・・私の作ったもの買ってくれた人リアルで見たの初めてでね・・・それが先生でね・・・何か・・・何かね・・・凄く・・・」

 

花名「よ・・・良かったね栄依子ちゃん!良かったね・・・」

 

栄依子「もう・・・どうして花名が泣いちゃってるの・・・?」

 

花名「あ、ご、ごめん・・・ごめんね・・・」

 

すると栄依子が、花名を優しく抱いた。

 

栄依子「ありがとう花名。嬉しい。すっごく・・・」

 

花名「栄依子ちゃん・・・」

 

栄依子「・・・よし!内緒話おしまい!ま、誰かに話しちゃっても問題無いから気にしないでね。」

 

花名「う、うん。」

 

栄依子「実はね。アクセサリー作ってる事人に言ったの初めてなの。」

 

花名「え!?」

 

栄依子「花名が初めて。」

 

花名「そ・・・そんな大事な秘密を教えてもらうの、私が最初で良かったのかな・・・」

 

栄依子「え~?私は話したのが花名で良かったって思ってるけど?」

 

花名「っ!」

 

 

 

 

榎並先生『お前らが仲良くなったって事だろ。』

 

 

 

 

花名(本当にそうなのかな・・・そうだと良いな・・・何時か私も話せるかな・・・自分の秘密を・・・皆に・・・)

 

自分の秘密を皆に言える日が来るのだろうか。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      榎並清瀬:沼倉愛美
       西村基:内山夕実

次回「はなのともだち」


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STEP8「はなのともだち」

ある朝のアパート。時刻は7時15分。志温が朝食を作っていた。そこに。

花名「お・・・おはよう志温ちゃん!」

志温「おはよう花名ちゃん。今日は早いのね。」

花名「日直なのすっかり忘れてて・・・」

志温「じゃあ牛乳だけでも飲んでく?」

花名「う、うん。」

牛乳を飲む。



牛乳を飲み終えた。

花名「行って来ます!」

志温「はぁ〜い。行ってらっしゃ〜い。」






星尾高校。

花名「はぁ・・・間に合ったかな・・・ん?」

教室に入ると、誰も居なかった。しかし1つのカバンがあった。

???「一之瀬さん。」

花名「ひゃい!?」

突然後ろから呼ばれてびっくりした。後ろに居たのは、クラスメイトの『高橋菜々恵』だった。

菜々恵「おはよう。」

花名「あ・・・その・・・えっと・・・」

菜々恵「?」


花名「あ・・・あの・・・高橋・・・さん?」

 

菜々恵「うん。高橋奈々恵。」

 

花名「その・・・えっと・・・日直遅れてごめんなさい!」

 

菜々恵「大丈夫大丈夫。私何時も早めだし。朝の作業も序でに終わらせといたよ。」

 

花名「そ・・・そうなんだ。ごめんね。ありがとう・・・」

 

菜々恵「ううん。後は放課後の日誌とゴミ捨てだけど、どっちが良い?」

 

花名「ど・・・どっちでも!お任せします!」

 

菜々恵「え~。好きな方取って良いよ。」

 

花名「じ・・・じゃあ日誌をゴミ捨てに行って来ます!」

 

菜々恵「ええ・・・」

 

 

 

 

その後の廊下。

 

たまて「バナナチョコミントハワイアーン!」

 

優輔「朝からテンション高いな。たまは。」

 

たまて「朝のうちだと品揃えもばっちりですね~。」

 

栄依子「あぁ、昼過ぎだとバニラしかなかったりするのよね。」

 

花名「バニラ美味しいのにね。」

 

侑李「同感ね。」

 

たまて「どうしても派手な方を選んじゃうって言うか〜。」

 

栄依子「分かる〜。」

 

貴之「確かにな〜。」

 

たまて「花名ちゃんが朝アイスって珍しいですね!」

 

花名「朝寝坊してご飯食べて来れなくて・・・お弁当も忘れて来ちゃったし。折角志温ちゃんが作ってくれたのに・・・」

 

たまて「あらら・・・」

 

美鈴「それは大変ね・・・」

 

花名「日直の仕事でも緊張して変な事言って高橋さんを困らせちゃったし・・・」

 

たまて「お~!今日ははなななコンビで日直でしたか~。花がありますね~。」

 

優輔・侑李「はなななコンビって何?」

 

栄依子「奈々恵ってそんなに相手を緊張させるタイプでもないと思うけど・・・」

 

花名「うん・・・でも高橋さんと話すの初めてだったから。」

 

栄依子「え?」

 

花名「え?」

 

栄依子「だってもうすぐ1学期も終わりよ?」

 

花名「私クラスの人半分以上話した事無くて・・・」

 

たまて・美鈴「何と!」

 

花名「中学の時もこんな感じだったよ。切欠無いと殆ど話さないまま1年終わっちゃうし。」

 

貴之「成る程ね〜。」

 

栄依子「んー。話す切欠なんて別に必要ないと思うんだけどな~。」

 

たまて「ですな~。どなたでも近くに居たら話し掛けると言うか。」

 

花名「そ・・・それは私には難しいな・・・」

 

貴之「人見知りがどんだけ大変なのは分かる〜。」

 

たまて「とは言え花名ちゃんは私達とは普通にお話出来てる訳ですし。」

 

栄依子「そうそう。今だって別に緊張してないでしょ?」

 

花名「そうだけど・・・そうなんだけど・・・」

 

たまて「あ、そろそろかむちゃんも来てるかもですね。」

 

優輔「そろそろか。」

 

栄依子「そうねぇ。寂しがってないと良いけど。」

 

美鈴「来たら私が可愛がってあげよ〜っと。」

 

貴之「止めとけ。」

 

花名(そう言えば冠ちゃんなら私の気持ち分かってくれるかも・・・)

 

 

 

 

教室に戻ると。

 

陽菜「冠ちゃーん!おやつあるよ。おいでおいで!」

 

冠「おやつ。」

 

おやつの言葉に反応した冠が、クラスメイトの佐々木陽菜と遠藤悠里と増田青の方へ歩いた。

 

青「私もクッキー持って来た。食べる?」

 

冠「ん。」

 

悠里「チョコと苺どっちにする?」

 

冠「りょ・・・両方。」

 

陽菜「食べてる所写真撮っても良い?」

 

しかし冠が涙を流した。

 

陽菜「駄目か~。も~可愛いな~。」

 

冠「えーこ・・・えーこ・・・」

 

後ろから冠を撫でた栄依子。冠が栄依子に抱き付いた。

 

冠「えーこ!」

 

栄依子「おはようかむ。ごめんね?1人にしちゃって。」

 

侑李「相変わらず栄依子に懐いてるわね冠は。」

 

優輔「佐々木と増田と遠藤からちやほやされてたな。ってかさっきの餌付けだろ?」

 

花名(自分から動く事無く愛される・・・それこそがちやほや枠!ごくり・・・)

 

貴之「おい花名、目が死んでるぞ・・・」

 

 

 

 

 

 

一方その頃アパートでは。

 

志温「あ!万年さん!丁度良かったわ。」

 

大会「これはこれは大家さん!」

 

志温「あのね。お昼はまだかしら?」

 

大会「昼餉の用意は出来たのですが、飲み物が無かったのでお茶など購入して来た所です。コンビニで!」

 

志温「実は花名ちゃんがお弁当忘れて行っちゃって。もし良かったら万年さん召し上がりませんか?」

 

大会「何と!花名ちゃんのお弁当をですか!?良いんですか!?」

 

志温「お口に合うか分からないけど・・・」

 

大会「そうだ!宜しければ交換と言う事で私の昼食を召し上がりませんか?」

 

志温「(そうね・・・たまには・・・)それじゃいただいちゃおうかしら。」

 

大会「いや~手作りのお弁当なんて高校生の頃以来ですよ。今持って行きますので少々お待ち下さい!」

 

 

 

 

持って来たのは寿司だった。志温は少し唖然としてる。

 

志温「・・・あのこれ・・・良いんでしょうか?」

 

大会「どうぞどうぞ!わ~!美味しそうですね!ありがとうございます大家さん!」

 

志温「あ。いえそんな。何かすいません。」

 

 

 

 

 

 

昼になった星尾高校。

 

たまて「え~それでは~。花名ちゃんにクラスの皆を紹介しちゃいましょ~!」

 

花名「え!?え、あのその・・・」

 

優輔「急だなおい。」

 

栄依子「と言う訳で。」

 

侑李「周と真秀を連れて来たよ〜。」

 

真秀「小鹿野真秀で~す。」

 

周「大谷周で~す!」

 

花名「い・・・一之瀬花名でございます!」

 

たまて「3人組の芸人さんみたいですなぁ。」

 

貴之「レツゴー三匹かよ。」

 

花名「ご・・・ごめんね。つい緊張しちゃって・・・」

 

栄依子「こないだ陸上部の新人戦だったんでしょ?どうだった真秀?」

 

真秀「いや~全然駄目でさ~。」

 

花名「お・・・大谷さんはどうだったの!?」

 

周「え?あぁ、私マネージャーなんだよ。運動全然駄目なの。」

 

花名「え?そうなの?」

 

優輔「初めて知った。」

 

周「体育の記録順に走る時何時も一之瀬さんの隣に居るよ。気付かなかった?」

 

花名「た・・・体育は、自分の事だけで精一杯なので・・・」

 

周「あぁ・・・」

 

 

 

 

美鈴「連れて来たよ〜。」

 

陽菜「佐々木陽菜よ。」

 

青「増田青。部活はバレー部。」

 

悠里「私は遠藤悠里。同じくバレー部ね。」

 

美鈴「いやぁ〜同じ名前が2人居るなんて驚きだね〜。」

 

侑李「確かにそうね。」

 

花名「よ、宜しく・・・」

 

青「宜しく。良かったら今度見学に来てみる?」

 

悠里「何時でも部員募集中だよ?」

 

花名「きゅ・・・球技はちょっと難しいかな・・・」

 

陽菜「陸上も球技も厳しいとなると・・・水泳とか?」

 

花名「そそそれもちょっと・・・」

 

 

 

 

今度はたまてが2人のクラスメイトを連れて来た。

 

敬「岩崎敬っす。」

 

幸「椿森幸です。」

 

花名「こ、こんにちは・・・」

 

敬「人見知り克服か~。協力するよ。」

 

花名「あ・・・ありがとう。」

 

敬「こっちのつばきちはクラス委員だからね~。いっちもどんどん頼ると良いよ。」

 

優輔・貴之「いっち?」

 

花名「い・・・いっち?うん宜しく・・・」

 

幸「はい。宜しくお願いします。」

 

シャケおにぎりを食べる。

 

花名「ご飯の途中にごめんね・・・」

 

幸「いえ。」

 

栄依子「お。またシャケ?好きね。」

 

幸「うん。好きなの。」

 

栄依子「まぁ定番だものね。」

 

幸「うん・・・だから私好きなの。」

 

顔を近付けた。

 

栄依子「幸・・・顔近い近い近い・・・」

 

優輔「おい椿森、どうした?」

 

すると幸がたまてを掴んで何処かへ走り去った。

 

美鈴「たまちゃんが連れ去られた・・・」

 

 

 

 

敬「つばきちそんなシャケ好きだったっけ?」

 

幸「シャケには、エイコサペンタエン酸が豊富に含まれてるの。」

 

敬「栄依子?」

 

幸「エイコ、サペンタエン酸。うふふ。」

 

 

 

 

貴之(椿森・・・栄依子に目が無いのか?)

 

侑李(完全にヤンデレね。)

 

優輔(しかもエイコサペンタエン酸って、高血圧、炎症の予防や癌細胞の増殖防止などに効果ある酸じゃねえか。)

 

花名「ふぅ・・・」

 

栄依子「何だ。普通に話せてるじゃない。」

 

花名「そ、そうかな・・・でも栄依子ちゃんとたまちゃんと侑李ちゃんと優輔君と貴之君と美鈴ちゃんが助けてくれたから・・・」

 

たまて「いやいや〜。私達の助けなんて大した事ありませんよ〜。」

 

美鈴「そうそう。」

 

栄依子「そう言えばかむも、時間掛かるタイプよね。」

 

冠「うん。でももうたまと花名と優輔と貴之と美鈴には慣れた。」

 

たまて「にゃあ!じゃあこんな事しても!」

 

美鈴「大丈夫よね〜!」

 

2人が冠を抱いた。

 

花名「あ!冠ちゃん耐えてる!」

 

たまて「我慢してるかむちゃん可愛い~!ほ~らほら、このほっぺにどれだけ食べ物貯め込んでるんでちゅか~?」

 

美鈴「ハムスターみたいで可愛い〜!」

 

貴之「おいお前ら止めろ。冠が可哀想だろ?」

 

優輔「相変わらずの冠好きだな。」

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。

 

榎並先生「今日は沢山のクラスメートと話せて良かったと思います・・・何だこりゃ?」

 

花名「あの・・・皆にクラスメートを紹介してもらって・・・」

 

榎並先生「紹介?」

 

花名「まだ殆どの人と話した事無かったので・・・」

 

榎並先生「ああ。なるほどな。」

 

印に丸を書いた。

 

榎並先生「私なんか話さなくて済む相手なら、わざわざ話そうとは思わんがな。」

 

花名「あはは・・・」

 

榎並先生「無理する事無いさ。一之瀬は一之瀬。自分のペースでな。」

 

花名「はい・・・」

 

 

 

 

廊下を歩く。

 

花名(自分のペースかぁ・・・)

 

教室に戻ると。

 

菜々恵「お疲れ様。ゴミ捨ても終わったよ。」

 

花名「た、高橋さん、お疲れ様・・・(そ・・・そうだ!今度こそ高橋さんと・・・何か話題は・・・)」

 

菜々恵「?」

 

花名「あ、あの、えっと、その、えっと・・・」

 

菜々恵「じゃあ私これから部活だから。また明日ね。」

 

花名「あ・・・うん。また・・・」

 

話す事が出来なかった。花瓶を見ると向日葵があった。

 

花名「うん・・・次は絶対私の方からおはようって言おう・・・」

 

 

 

 

 

 

数日後の軽井沢アウトレットパーク。

 

たまて「ヌーディストビーチの海の家ってやっぱり、全裸で焼きそば焼いてたりするんですかね?」

 

栄依子「あはは。油跳ねたら痛そうね~。」

 

優輔「それこそ全身火傷だぞ。」

 

冠「焼きそば食べたい。」

 

貴之「焼きそばの話に入った?」

 

花名「せ、せめてエプロンくらいはしてるんじゃないかな・・・」

 

侑李「そうよね。調理中はエプロンしないとね。」

 

たまて「裸にエプロンですか~。花名ちゃん侑李ちゃんもマニアックですね~。」

 

花名「え、え!?」

 

侑李「何で裸エプロン!?」

 

たまて「でもやっぱり夏は海に行きたいですよね~。ヌードじゃない方の。」

 

冠「水着着る方の。」

 

美鈴「それは分かってる。」

 

栄依子「あ、私水着欲しいのよね。中学の頃のがサイズ合わなくなっちゃって。後で付き合ってくれる?」

 

花名「うん。」

 

たまて「何処のサイズですか?腹ですか?」

 

栄依子・侑李「いきなり喧嘩腰だな・・・」

 

美鈴「目が怖いよたまちゃん・・・」

 

栄依子「えっと・・・胸がね。ちょっと。」

 

美鈴「大きい胸だね。」

 

たまて「あはははは!お戯れを!胸が育つとか何処の都市伝説ですか?」

 

栄依子「都市伝説って・・・」

 

花名「そうだよ栄依子ちゃん。そんなの都市伝説だよ。有り得ないよ。」

 

栄依子「ええ・・・」

 

冠「栄依子。痛い。」

 

花名「もう高校生になるんだから!」

 

たまて「そんな事信じていてどうするんですか~!」

 

栄依子(わ~。これが数の暴力って奴か~・・・)

 

優輔・貴之・侑李・美鈴「何だこれ?」

 

 

 

 

ベンチで休憩する。

 

たまて「とは言え、実は私も新しい水着欲しかったりするんですよね~。」

 

栄依子「あら?遂にお尻が収まらなくなったの?」

 

たまて「ぷきー!そんな訳無いですよー!恐らく多分!」

 

貴之「やられたら、やり返す。」

 

優輔「倍返しか。」

 

たまて「前に来てたの気に入ってたのですけどね・・・ウォータースライダーやりすぎてお尻の生地が薄くなってしまいまして・・・」

 

栄依子「わんぱくね~この子は。」

 

侑李「どんだけウォータースライダー好きなのよ。」

 

栄依子「花名は?水着。」

 

花名「あ。中学の時も学校にプールが無かったから。海に泳ぎに行く事なんて考えた事も無かったし・・・」

 

たまて「行きましょう!皆で行きましょう花名ちゃん!してかむちゃんは?」

 

冠「学校指定の奴なら。丈の股下まである奴。」

 

美鈴「スク水?」

 

たまて「あ~あの浪漫の無い奴ですか。あんなの滅びれば良いと思いませんか?」

 

優輔「浪漫の無い奴って何んだ?それに滅びろって・・・」

 

栄依子「そう?太ももの所に指挟んだら気持ち良さそうじゃない?」

 

たまて「確かに!」

 

美鈴「良いかも!」

 

花名・優輔・貴之・侑李「ええ!?」

 

たまて「侑李ちゃんは水着はあるんですか?」

 

侑李「私もそろそろ新しいの欲しい所なの。優輔達はどう?」

 

優輔「去年海で履いた海パンがある。」

 

貴之「俺も同じく。」

 

美鈴「前に着た水着が着れなくなっちゃったの。」

 

たまて「じゃあじゃあ折角ですし皆で水着ショップに行きましょう!そして皆でヌーディストビーチに!』

 

栄依子「それ水着いらなくない?」

 

 

 

 

水着ショップに来店した。優輔と貴之は外で待機。

 

花名「水着の試着ってどうすれば良いの?」

 

たまて「そらもう全裸ですよ全裸!」

 

花名「全裸!?」

 

栄依子「上は脱ぐけど、下は下着の上からね。」

 

花名「な、成る程。」

 

栄依子「なので今日は手持ちで一番小さい奴履いて来た。」

 

侑李「何故!?」

 

たまて「見たい!」

 

美鈴「見せて!」

 

栄依子「見せない。」

 

美鈴「そんなぁ。」

 

たまて「ちぇ。どんなのです!?全部紐で出来てるような奴ですか!?」

 

栄依子「そんな傾き方はしてないかな~流石に。」

 

 

 

 

試着室で服を脱いで、水着姿でカーテンを開けた。

 

栄依子「どう?」

 

たまて・美鈴「エロ~い。」

 

栄依子「身も蓋も無いな・・・」

 

花名「でも確かに大胆だよね・・・」

 

栄依子「そう?」

 

たまて「しかしそれより何よりそのビキニに隠れるようなパンツが、どんなのだか気になって気になって!」

 

 

 

 

今度は花名が水着を試着した。

 

花名「どうでしょう・・・」

 

栄依子「どうと言われても・・・」

 

たまて「顔しか見えませんよね。」

 

顔だけを出してる花名。

 

花名「そ、そうだよね・・・」

 

栄依子「顔はね。可愛い。」

 

花名「え!?ふ、ふにゅ!!」

 

恥ずかしくなって隠れた。

 

冠「隠れた。」

 

たまて「か~!栄依子ちゃん隙が無いですね!」

 

美鈴「見事な口説き上手だね〜!」

 

 

 

 

カーテンを開けた。

 

栄依子「ちょっと失礼しま~す・・・おお可愛い!その色似合うわね花名。」

 

たまて「本当だ!可愛いですよ花名ちゃん!」

 

侑李「あら可愛いじゃない花名!」

 

美鈴「花名ちゃん可愛い〜!」

 

冠「うん。良いと思う。」

 

花名「う、うん、ありがとう・・・」

 

たまて「しかし我々・・・外側から見るとちょっと中々間抜けなご様子ですよね~。」

 

侑李「確かに。」

 

栄依子「ん〜、そうね〜。」

 

花名「ご、ごめんね。」

 

 

 

 

今度はたまてが水着を試着。

 

たまて「ばばーん!」

 

栄依子「何処で発見したのその水着は・・・ヒトデ?」

 

たまて「星ですよ!スターですよ!普通に売り場に置いてありましたよ~!」

 

栄依子「あぁ・・・これが盲点って奴か。」

 

侑李「モーテン星ね。」

 

花名「生理的に見るの避けてたのかな・・・」

 

たまて「ひど!で、どうです?」

 

冠「似合う。」

 

侑李「似合うわね。」

 

美鈴「似合うね〜。」

 

栄依子「うん。似合う。」

 

花名「に・・・似合う。」

 

栄依子「けど・・・」

 

たまて「けど?」

 

花名「似合って良いものなのかな・・・これ?」

 

栄依子「誉め言葉になってるのか微妙よね~。」

 

侑李「確かに。」

 

たまて「ひど!」

 

花名「あ。冠ちゃんは試着しなくて良いの?」

 

冠「もう買った。」

 

花名「え?何時の間に?」

 

たまて「試着しなくても大丈夫なんですか?いざ来てみたら四方八方からあれこれポロポロはみ出したりしませんか?」

 

栄依子「何がそんなにはみ出すのよ・・・」

 

冠「試着もした。栄依子と一緒に。」

 

たまて「・・・あ!居た!」

 

花名「確かに。」

 

美鈴「栄依子ちゃんに隠れながら試着してたのね。」

 

侑李「相変わらずの冠ね。」

 

たまて「かむちゃんかむちゃん。栄依子ちゃんのパンツ小さかったですか?」

 

冠「へっ。凄く傾いてた。」

 

栄依子「こーら。」

 

 

 

 

 

 

外は夕方になった。

 

優輔「やっと買ったのか。」

 

侑李「皆の試着に時間掛かっちゃって。」

 

たまて「花名ちゃん。泳ぎは行けるクチなんでしょうか?」

 

花名「泳げないよ!あれだけ運動が不得意なのに泳ぎだけ得意とか無いから!私ペンギンじゃないんだから!ペンギン、じゃ、ないん、だか、ら~!」

 

栄依子「既に動きはペンギンっぽ~い。」

 

冠「可愛い。」

 

貴之「花名落ち着け。」

 

栄依子「ま、溺れても私達が助けるから大丈夫よ。」

 

冠「7人も居るから安心。」

 

たまて「そうそう!大船に乗ったつもりで!」

 

優輔「溺れる前提で言うなよ。」

 

美鈴「もし溺れたら人工呼吸してあげるからね。」

 

花名「え!?」

 

貴之「止めんかアホ。」

 

 

 

 

 

 

軽井沢駅。

 

たまて「では水着も揃いましたし今度の休みはやはり!皆で海ですね!」

 

栄依子「そうね。皆で行きましょ?」

 

たまて「花名ちゃんのお家は駅に近いですし、前日から泊まり込みってのはどうでしょうか?」

 

冠「ん。時間も有効に使える。」

 

栄依子「どうかな?花名。」

 

花名「大歓迎だよ!楽しみだよ!楽しみ楽しみ!ウェルカム!ウェルカム!ペンペン!ペンペン!」

 

たまて「またもペンギンに。」

 

栄依子「可愛いなぁ。」

 

優輔「ペンペンって何だよ。」

 

貴之「白ねずみオペンペン?」

 

侑李「IPPONグランプリ?」

 

 

 

 

 

 

その夜。アパートの風呂。花名が浴室に潜って顔を上げた。

 

花名「・・・よし!もう1回!」

 

 

 

 

 

 

翌日のアパート。時刻は6時半。

 

花名「おはよう志温ちゃん!」

 

志温「おはよう。早いのね。今日も日直なの?」

 

花名「ううん。今日は朝ごはんの支度とお弁当手伝わせてもらおうと思って。」

 

志温「ふふ。じゃあお願いしようかしら。」

 

花名「うん!この前は折角のお弁当を忘れちゃってごめんね。」

 

志温「ふふ。良いのよ?今日のお弁当は何にしようかしら・・・」

 

 

 

 

2人で弁当を作る。すると花名が。

 

花名「あれ?」

 

弁当箱が3つあった。

 

花名「お弁当3つも・・・」

 

志温「私と万年さんの分もね。」

 

花名「大会さんの?」

 

 

 

 

その頃佐野家では。

 

優輔「姉ちゃん行って来ます。」

 

麻衣子「行ってらっしゃい優輔。お弁当持った?」

 

優輔「ああ。今日は姉ちゃんの手作りだろ?」

 

麻衣子「そうよ?残さず食べてね?」

 

優輔「ありがたく頂くぜ。じゃあ行って来ます。」

 

自転車に乗って登校する。

 

麻衣子「気を付けてね〜!」

 

 

 

 

 

 

星尾高校では。

 

花名(高橋さんだ・・・)

 

花壇の方へ向かう菜々恵を見付けた。

 

花名(どうしよう・・・でもでも今度は私から挨拶するって決めたんだし・・・)

 

深呼吸して気持ちを落ち着かせる。

 

 

 

花名「あの!高橋さん!おはよう!」

 

勇気を出して菜々恵に挨拶した。

 

菜々恵「おはよう。一之瀬さん。」

 

花名「(やっと言えた・・・)あ・・・お花・・・」

 

花壇に水をやる。

 

花名「ふぅ・・・」

 

菜々恵「大丈夫?」

 

花名「う・・・うん。毎朝こんなに頑張ってたんだね。凄いな~。」

 

菜々恵「今週が園芸部の当番なだけなんだけどね。」

 

花名「でも凄いよ。お花育てるのって大変なんだね。綺麗だなぁ・・・」

 

菜々恵「・・・ねぇ一之瀬さん。もう少ししたらここの花壇いっぱいに、ミニひまわりの花が咲くの。」

 

花名「わ~凄いね~。今よりもっと綺麗なんだろうな~。」

 

菜々恵「あのね。またその時に誘っても良い?」

 

花名「あ・・・うん!高橋さん!」

 

こうして花名に新しい友達が出来たのであった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
     佐野麻衣子:中村繪里子
     高橋菜々恵:水瀬いのり
       大谷周:芳野由奈
     小鹿野真秀:貫井柚佳
     佐々木陽菜:田中あいみ
       椿森幸:高野麻里佳
       増田青:白石晴香
      遠藤悠里:加隈亜衣
       岩崎敬:小原好美

次回「ゴリラのみずぎ」


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STEP9「ゴリラのみずぎ」

ある夏の夜の花名のアパート。

たまて「海ーー!!」

布団に飛び込んだ。

たまて「の前夜でーす!」

優輔「テンション高いな〜。」

栄依子「テンション高いわね〜。」

冠「っ!花名、大丈夫?」

栄依子「何か思い詰めたような顔してるけど。」

花名「え?ほ、本当?」

栄依子「やっぱりあれ?泳げないから海が怖い?」

侑李「無理しなくて良いのよ?」

たまて「大丈夫ですよ花名ちゃん!波打ち際で追い駆けっこしたり、砂にLOVEって書いたら波に消されたりしましょう!」

美鈴「楽しそう!私もやりたーい!」

貴之「何だそりゃ?」

花名「う、うん。あの、でも、そうじゃなくて・・・明日はビキニを着るんだ。おへそを出すんだと思うと緊張しちゃって・・・」

侑李「そっち?」

栄依子「大丈夫よ!思い切って出しちゃった方が、返ってスタイル良く見えたりするものだし。」

たまて「その理屈だと、全裸最強になりませんか?」

優輔・貴之「何で?」

栄依子「なりません!」

そう言ってたまての上をのし掛かった。

たまて「あああああああ!!!」

冠「おへそ、出してこ!」

花名「う、うん・・・」

栄依子「さぁ、今日はもう寝ましょ?明日も早いんだし。」

7人「はぁ〜い。」

たまて「栄依子ちゃん!」

栄依子「ん?」

たまて「海に行ったら、栄依子ちゃんの全身に、白いヌルヌルした液体を満遍なくたっぷりと塗りたくても良いですか?」

美鈴「私も塗りたくても良いですか?」

栄依子「寝なさい。」

7人「はぁ〜い。」

優輔「即スルーされたな。」


しかし翌日、まさかの雨が降っていた。たまてと美鈴は唖然としていた。

 

栄依子「あら〜。天気予報じゃ晴れだったのに〜。」

 

優輔「まさかの雨とは前代未聞だな。」

 

冠「海、どうする?」

 

栄依子「これじゃあ、ちょっと無理よね・・・」

 

侑李「今日は、諦めるしか無いわね・・・」

 

花名「・・・・・」

 

たまて「花名ちゃん!?」

 

美鈴「どうしたの!?泣いてるの!?」

 

花名「た、楽しみにしてたのに・・・泳ぐの・・・練習頑張ったのに・・・」

 

たまて・美鈴「花名ちゃん・・・」

 

それに続いてたまてと美鈴も涙を流した。

 

たまて・美鈴・花名「うわああああああん!!!!」

 

3人は大声で泣いて、抱き合った。

 

栄依子「あらあら、こっちも大雨だ。」

 

貴之「大雨のオンパレードだな。」

 

冠「栄依子、侑李、優輔、貴之。」

 

栄依子・侑李・優輔・貴之「ん?」

 

何かを閃いた冠が4人に話した。

 

 

 

 

花名「ほ、本当は水着も楽しみにしてたのに・・・」

 

たまて「水着ギャルーーー!!イベントスチルーーーー!!」

 

美鈴「雨のバカーーーー!!」

 

 

 

 

冠「花名、たま、美鈴。」

 

花名・たまて・美鈴「え・・・?」

 

栄依子「じゃ〜ん!」

 

水着姿の5人が立っていた。

 

たまて・美鈴「〜〜〜〜〜〜!!!」

 

花名「ど、どうしたの?皆・・・?」

 

侑李「簡単よ。海は無理でも、ここで水着を着れば気分が晴れるかもよ?」

 

花名・たまて・美鈴「・・・・・・」

 

 

 

 

3人も水着に着替えた。

 

たまて「ば〜〜ん!!」

 

3人の水着姿を見て、栄依子と冠と侑李がサムズアップした。

 

たまて「いや〜!まさかの室内水着ルートとは驚きましたね!」

 

花名「ルート?」

 

たまて「そして更に、紐ビキニでハラリーイベントの回収も!」

 

栄依子・侑李「ん?」

 

2人のビキニの紐を引っ張ってみる。

 

たまて「そーれ!」

 

美鈴「オープン!」

 

紐を引っ張る。優輔と貴之が後ろを向いた。しかし、ビキニは取れなかった。

 

たまて「え?」

 

美鈴「あ、あれ?」

 

侑李「残念ね。その紐は飾りよ。」

 

栄依子「はい。返して?」

 

 

 

 

紐を結ぶ。

 

たまて「こんなの差分でも許されませんよーー!!」

 

美鈴「お姉ちゃんも許しませんよーーー!!」

 

花名「差分?」

 

優輔「考えない方が良い。」

 

 

 

 

布団の上で泳ぐ冠。

 

冠「これから何する?」

 

たまて「何しましょうか何しましょうか!折角水着なんですから!」

 

栄依子「あ。宿題のプリントで分からない所があったのよ。花名、教えて?」

 

花名「え?何処?」

 

たまて「ぎゃあああああああ!!!!なして宿題とか持ち込んじゃってるんですか!!!!」

 

美鈴「折角のムードが台無しだよ!!!!」

 

栄依子「いやほら、チャンスがあったら聞こうかなって。」

 

優輔「栄依子、抜け目無いな。」

 

花名「あ、これはね。」

 

栄依子「お!助かる〜!」

 

貴之「解くの早いな花名は。」

 

たまて「花名ちゃんも何でサラッと受け入れてるんですか!!!」

 

美鈴「いやたまちゃん、2人をじっくり見て?」

 

たまて「え?」

 

花名と栄依子をじっくりと見ると。

 

たまて「わぁ〜!水着ギャルの学習姿!悪くない!悪くないですぞ!」

 

美鈴「でしょでしょ!」

 

冠「たま、美鈴、声大きい。」

 

たまて「やや?かむちゃん、そのお箱は?」

 

美鈴「何それ?」

 

冠「アップルパイ。列車で食べようと思って持って来たんだけど・・・」

 

栄依子「アップルパイ!?食べたーい!」

 

冠「ここで食べるなら温めたい。温めた方が絶対に美味しい!」

 

花名「じゃあ、温めてお茶にしようか。」

 

冠「温める所、見る!」

 

花名「ウチのは回るよ?」

 

するとたまてと美鈴が何かに目覚めた。

 

たまて「栄依子ちゃん!」

 

美鈴「侑李ちゃん!」

 

栄依子「ん?」

 

侑李「何?」

 

たまて「花名ちゃんの、その・・・お胸がですね・・・ちょっと大きくなってないですか・・・?」

 

美鈴「見間違いかもしれないけど、2人はどう思ってるの・・・?」

 

栄依子「まぁ成長期だしね。」

 

侑李「成長期で大きくなるのは当たり前かも?」

 

たまて・美鈴「お胸が成長する!?と、都市伝説じゃなかったと言うんですか!?」

 

優輔「あの2人楽しそうだな。」

 

貴之「だな。」

 

2人は呑気にゲームをやってる。

 

たまて「遺伝もあるんですかね・・・花名ちゃんの従姉さんもお胸がドバーンとなってますし。」

 

栄依子「ドバーン?」

 

侑李「どう言う事?」

 

たまて「と言うか、かむちゃんにしても結構ありますよね?」

 

美鈴「あるよね〜。」

 

栄依子「結構・・・ね。」

 

たまて「ま、まぁ我らは成長途中なので、そんなに気にする事ではないですよね〜!」

 

美鈴「そうそうないない!」

 

栄依子「こう触ってみて痛みがあるなら、成長途中って言えるわよね〜。」

 

侑李「私のは痛みは無いけど・・・」

 

自分の胸を触ってみた。

 

たまて・美鈴「っ!!」

 

2人も自分の胸を触ってみる。痛みが無い為何度も触る。そしてドラミングで自分の胸を叩く。

 

栄依子「いやちょっと、ゴリラのドラミングじゃないんだから・・・」

 

貴之「サゴーゾか?」

 

侑李「何時まで叩いてるのよ。もう良いでしょ?」

 

たまて「失礼な!ゴリラのドラミングがグーじゃなくてパーです!」

 

栄依子・侑李「えぇ?」

 

優輔「ドンキーコングは普通にグーだぞ?」

 

たまて「謝って下さい!ゴリラに謝って下さい!」

 

栄依子・侑李「ご、ゴリラさんごめんなさい・・・」

 

優輔「何だよあの会話・・・」

 

貴之「何故ゴリラに謝った・・・?」

 

たまて「許さへんで〜!」

 

美鈴「許しまへんで〜!」

 

優輔・貴之「許せよ!」

 

 

 

 

花名「ど、どうしたの?」

 

冠「ドラミング?」

 

たまて「ドラミングはグーでなくパーです!謝りなさい!!」

 

美鈴「早く謝りなさーい!」

 

冠「ごめんね。ゴリラ。」

 

たまて・美鈴「良えんやで〜。」

 

優輔・貴之「冠だけ許すなよ!」

 

栄依子「それで胸は痛んだの?」

 

たまて「心が痛んだ気がしますけど・・・」

 

美鈴「心が痛い・・・」

 

たまて「あ!分かった!」

 

美鈴「何が分かったの!?」

 

たまて「筋肉痛みたいに数日後に痛くなる奴ですよ!これ!」

 

美鈴「成る程!しばらくしたら結構痛くなるかもね!」

 

栄依子「たま、美鈴。それは成長じゃなくて老化じゃないかな?」

 

優輔・貴之「的確なツッコミ。」

 

するとたまてが栄依子の後ろを抱いた。

 

栄依子「どうした?」

 

たまて「どうだ〜い?男子に抱きしめられてるみたいじゃろ〜?」

 

栄依子「男子ってこんなにプニプニしてるの?優輔、貴之、男子ってプニプニしてるの?」

 

優輔「プニプニしてねえよ。」

 

貴之「勝手に妄想すんなよ。」

 

美鈴「じゃあ優輔と貴之!2人で栄依子ちゃんを抱いてみてよ!」

 

優輔・貴之「やるかアホ!!」

 

 

 

 

一方大会の部屋では荷物が届いてた。

 

大会「母さんからだ!『美味しいライチです。沢山食べなさい』。」

 

荷物の中には大量のライチが入っていた。

 

大会「多過ぎるな・・・!」

 

 

 

 

半分を花名にお裾分けする事にした。

 

大会「日頃お世話になってるし、花名ちゃんにお裾分けしよう!」

 

インターホンを押した。

 

大会「多過ぎるかな〜?」

 

栄依子『はぁ〜い!』

 

大会「あれ?」

 

栄依子『ちょっと待って下さいね〜!』

 

ドアを開けた栄依子。次の瞬間。

 

大会「っ!?」

 

部屋を覗くと水着姿の花名と冠と侑李が仰向けになって両足を上げて、たまてと美鈴がエプロンを着て踊っていた。優輔と貴之はまだ呑気にゲームをやってる。大会はこの光景を見て言葉が出なかった。

 

 

 

 

その後訳を話した。

 

大会「な、成る程・・・それで水着を。」

 

花名「はい・・・」

 

優輔「見苦しい所を見せられてしまいましたね。」

 

たまて「フッフッフ〜。この部屋の秘密を知ったからには、万年お姉さんにも水着ギャルになってもらいますよ〜!」

 

大会「えぇ!?」

 

貴之「何でだよ。」

 

栄依子が捕まえた。

 

侑李「栄依子の暴走が始まったわ。」

 

大会「いやいや!残念ながら水着など所持しておらぬが故に!」

 

栄依子「大丈夫ですよ。私の予備がありますから。」

 

貴之「予備あるんかい。」

 

 

 

隣の部屋に入って、大会に水着を着させる。

 

大会『アアアアアアア!あぁん・・・』

 

 

 

優輔・貴之「ブッ!」

 

そして部屋の引き戸を開けた。

 

花名・たまて・美鈴「わあああ!!」

 

水着姿の大会を見て驚いた。

 

たまて「ヘッヘッへ〜!恥ずかしがっても身体は水着じゃないですか〜!」

 

栄依子「そりゃあそうでしょ。」

 

美鈴「そんなに恥ずかしがっても私達は容赦しませんわよ〜?」

 

侑李「容赦しなさいよ。」

 

花名「胸大きい!あ!か、格好良いですね!」

 

大会「恥ずかしい・・・ビキニなんて着たのは生まれてこのかた初めてで・・・」

 

優輔・貴之「そうだったんですか?」

 

栄依子「えぇ?勿体無い。スタイル良いんですからどんどん着ましょうよ!」

 

大会「いやしかし、このビキニと言うのは物凄く不安になる作りと言うか・・・」

 

たまて「それが、結構安心みたいですよ?ほらーー!」

 

また栄依子のビキニの紐を引っ張った。

 

侑李「こら。」

 

大会「成る程!ただの飾りなのか。」

 

ビキニの紐を引っ張ると、ビキニが解けた。

 

優輔・貴之「うぐっ!?」

 

2人は一瞬にして部屋から退避した。

 

大会「ぎょえええええええええ!!!!!」

 

栄依子「あ。そっちは普通に紐で結んである水着です。」

 

侑李「早く言いなさいよ。優輔と貴之が困ってるでしょ?」

 

ビキニの紐を結んであげる。

 

侑李「2人共入って。」

 

2人が戻って来た。

 

貴之「大会さん、気を付けて下さいよ。」

 

大会「ごめん・・・」

 

優輔「ってか栄依子、紐で結んでる奴だって先に言ってくれよ。」

 

栄依子「ごめんごめん。」

 

 

 

 

その後全員がライチを食べる。

 

栄依子「美味しい〜!」

 

侑李「ライチ美味しい!」

 

花名「大会さん、ありがとうございます!」

 

大会「いやいや此方こそ。母親が大量に送って来て、どうしたものか困ってたんだ。」

 

花名「ら、ライチを大量に?」

 

冠「良いお母さん。」

 

栄依子「ライチの皮ってピンク色のもあるのね。」

 

花名「あ、私も茶色いのしか知らなかった。」

 

優輔「どっちも同じなんだ。新鮮なのはピンク色。しかし鮮度が落ちると徐々に茶色になるんだ。」

 

花名「詳しいんだね。」

 

優輔「だって俺の家飲食店だし、ライチのミルキージャーベットを作る時は何時もピンク色のライチを使うんだ。」

 

冠「新鮮なライチ。美味しい。」

 

たまて「何だかそれtkbみたいですね〜。」

 

花名・大会「ええ!?」

 

優輔・貴之「ブッ!?」

 

冠「新鮮なtkb。美味しい。」

 

優輔・貴之「下ネタ言うな!!」

 

栄依子・侑李「ぷははははははは!!!」

 

花名「たまちゃん!冠ちゃん!!」

 

優輔「侑李まで笑うなよ!!」

 

侑李「ごめんごめん・・・」

 

貴之「っつか俺と優輔が居るこの場所で下品な発言は止めろ!」

 

栄依子「2人共tkb興味無いの?」

 

優輔・貴之「あるか!!」

 

机の上に置いてある花名の携帯に着信音が鳴ってるが、誰も気付かない。

 

 

 

 

通話相手は志温だが、誰も出て来なかった。

 

志温「返事来ないわね。」

 

すると花名達の声が聞こえた。

 

志温「?」

 

 

 

 

花名の部屋へ行ってみる事に。

 

志温「何だか凄い声が聞こえたんだけど、大丈夫かしら?」

 

インターホンを押す。するとたまてがドアを開けた。志温は唖然とした。全員が水着姿になってる事を。

 

優輔「志温さん!?」

 

花名「し、志温ちゃん!これはその・・・」

 

志温「うん。大丈夫よ。分かったから。」

 

ドアを閉めた。

 

花名「し、志温ちゃーーん!!」

 

優輔「志温さん・・・・」

 

大会「こ、こんああられもない姿を見られてしまって・・・今後どうやってご近所付き合いして行けば・・・!?」

 

たまて「大丈夫ですよ!万年お姉さん!あられもなさで言えば、栄依子ちゃんと侑李ちゃんの方が遥かに上ですから!」

 

侑李「こら!」

 

栄依子「たま、それフォローになってないから。って言うか私、いきなりこの格好って・・・出禁になったりしないかしら・・・」

 

侑李「管理人さん怒ったりしないかな・・・」

 

花名「どど、どうしよう・・・志温ちゃんに変な誤解されたら・・・」

 

優輔「志温さんに通じて姉ちゃんに怒られたりしたら俺どうなるのやら・・・・・」

 

するとドアが開いた。

 

花名・栄依子・優輔「ん?」

 

 

 

 

何と志温が水着姿になっていた。

 

 

 

 

志温「改めまして、こんにちは!」

 

優輔・貴之「志温さん!?」

 

花名「し、志温ちゃん!?そ、その格好で出て来たの!?」

 

貴之「誰かに見られたらどうするんですか!?」

 

志温「3秒ルールよ。花名ちゃん。優輔君。貴之君。」

 

優輔「食べ物を床に落としたみたいに言わないで下さい!」

 

 

 

 

 

 

10人が水着姿になってしまった。

 

志温「京塚志温です。花名ちゃんが何時もお世話になってます。」

 

栄依子「十倉栄依子です。此方こそ、花名ちゃんには何時も仲良くしていただいています。」

 

侑李「億崎侑李です。初めまして。」

 

美鈴「松原美鈴です。宜しくお願いします。」

 

冠「せ、千石冠・・・です。」

 

志温「まぁ!可愛い!」

 

栄依子「でしょ?」

 

優輔「ってか水着姿で自己紹介って・・・」

 

貴之「ぶっ飛んでんなぁ・・・」

 

すると冠が志温の胸を見た。

 

冠「ライチ、新鮮。」

 

栄依子「こら。」

 

侑李「それは言わないの。」

 

花名「それで志温ちゃん、どうかしたの?」

 

志温「あ、そうそう!メールしたんだけど気付いてないみたいだったから。ほら、家から少し行った所にあるリゾートホテル。温泉プールがあるんだけど、折角水着があるんだし泳ぎに・・・」

 

たまて「ぶわあああああああ!!!そうですよその手がありましたよ!!!」

 

美鈴「発想してなかった!!!」

 

たまて「行きましょうプール今すぐに!!!」

 

花名「う、うん!行きたい!」

 

栄依子「じゃあ今から行きましょうか。」

 

冠「うん。」

 

侑李「温泉プールなんて私初めて!」

 

優輔「そうだった、近くにリゾートホテルがあったのを忘れてた。」

 

貴之「俺も同じ事を考えてた。」

 

大会「あぁじゃあ私はお暇・・・」

 

志温「じゃあ、私は万年さんと賛成しようかしら。」

 

大会「私の意思は!?」

 

7人「皆でプールだーー!!」

 

優輔・貴之「その前に着替えろー!」

 

 

 

 

 

 

リゾートホテルに到着。

 

温泉プール。

 

花名「凄ーい!綺麗なプール!」

 

たまて「貸切状態じゃないですか!ヒャッホーーー!!!」

 

美鈴「ヤッホーーー!!!」

 

栄依子「こーら!走っちゃダメよー!」

 

2人は温泉プールに飛び込んだ。

 

 

 

 

全員で温泉プールに入る。

 

冠「極楽極楽。」

 

栄依子「かむ、お風呂みたいになってる。」

 

冠「水が温かいから。」

 

侑李「温泉プールってこんな感じなのね〜。気持ち良い〜・・・」

 

優輔「温泉プール久し振りだな〜。」

 

貴之「中3以来だな〜。」

 

花名「お、大きなお風呂だって思えば、そんなに怖くないね!」

 

たまて「あんまり説得力無いですな〜。」

 

花名「泳ぐ練習はしてきたんだよ!?」

 

栄依子「おぉ〜。」

 

たまて「では、その成果をご披露いただきましょうか!」

 

花名「う、うん!」

 

 

 

 

まずは潜る。10秒後。

 

花名「ぷはぁ!じ、10秒は潜れるようになったんだよ!」

 

たまて「それは・・・凄い進歩なんでしょうな・・・多分。」

 

優輔「ってかそれ泳いでないだろ。」

 

冠「泳いでない。」

 

花名「ふぃ!?そ、それはまだレベルが高過ぎて・・・」

 

栄依子「まぁ、1歩ずつよね。」

 

侑李「少しずつ精進しようね。」

 

 

 

 

その頃志温と大会は。

 

大会「え、エステ・・・ですか?」

 

志温「以前お寿司をご馳走になりましたから、そのお礼に。」

 

大会「いやいや!寧ろ大家さんに何時もお世話になってる私の方が、お礼をする立場と申しましょうか・・・エステなんてとてもとても・・・」

 

志温「遠慮なさらずに。お肌がツルツルになりますよ?」

 

大会「ツルツルになっても見せるのはコンビニ店員のお姉さんぐらいなのだが・・・・」

 

 

 

 

その頃花名は泳ぎの練習をしていた。温泉プールの端を掴んでバタ足をする。

 

侑李「良いよ良いよ。その調子。」

 

 

 

優輔「いや〜温泉プールは良いな〜。」

 

貴之「極楽だな〜。」

 

この2人はゆったり浸かってる。

 

 

 

平泳ぎしてるたまて。背泳ぎしてる冠。クロールしてる美鈴。

 

たまて「かむちゃん泳ぐの上手ですね〜!」

 

美鈴「上手だね〜!」

 

冠「ん。水に浮くのは好き。」

 

たまて「気持ち良いですよね〜。私は水の中から水面を見るのが好きです〜。」

 

美鈴「私も同意〜。」

 

冠「分かる。」

 

たまて「いやぁ、栄依子ちゃんや侑李ちゃんが近くに居なくても、本当に普通に喋ってくれるようになったな〜っと。」

 

美鈴「本当。冠ちゃん可愛い〜。」

 

すると冠が膨れっ面になって潜った。

 

美鈴「冠ちゃん!?鼻に水入っちゃうよ!?」

 

たまて「かむちゃんカムバック!かむだけに!!」

 

 

 

 

その頃2人はエステをしていた。

 

大会「良いのだろうか・・・私のような者が、こんな王様みたいな目に遭って良いのだろうか・・・」

 

志温「うふふ。良いんですよ〜。」

 

 

 

 

同じ頃花名は、栄依子の手を持って泳ぎの練習をしてる。

 

侑李「良いよ良いよその調子。」

 

花名「ごめんね栄依子ちゃん、侑李ちゃん。」

 

栄依子「ん?」

 

侑李「急にどうしたの?」

 

花名「ずっと練習、うわっ!付きうわ!!あっぷあっぷ!!」

 

喋ってる最中に水が口に入った。

 

栄依子「うんうん。全然気にしなくて良いからお口閉じててね。」

 

侑李「口に水が入ってるよ?」

 

 

 

 

冠は浮き輪に乗ってプカプカ浮いてる。

 

 

 

 

優輔「花名どうだ?泳ぎの練習頑張ってるか?」

 

花名「う、うん・・・」

 

たまて「花名ちゃーん!栄依子ちゃーん!侑李ちゃーん!優輔君ー!貴之君ー!」

 

栄依子「ん?たまのそれ、犬掻き?」

 

貴之「美鈴も犬掻きか?」

 

たまて「へへーん!犬掻き得意なんですよ〜!」

 

美鈴「私はさっきたまちゃんに教えられたんだ〜!」

 

犬掻きで泳ぐ。

 

たまて「どうですか!?」

 

美鈴「上手でしょ!?」

 

栄依子「ゴリラだったり犬だったり、忙しいわね。」

 

たまて「女豹の時もありますわよ〜?」

 

美鈴「めひょ〜!」

 

優輔「何が言いたいんだお前ら?」

 

 

 

 

同じ頃2人はエステ中。

 

大会「花名ちゃん達が仲良くしてるのを見ると、眩しいような、些か切ないような気がします。」

 

志温「分かります〜。自分にもあんな頃があったな〜って。」

 

大会「花名ちゃんは素晴らしい友人に恵まれましたな〜。」

 

志温「その中には、万年さんも入ってますよ?」

 

大会「わ、私もですか!?いや・・・それは光栄ですが・・・」

 

背中にオイルが乗った。

 

志温・大会「っ!!」

 

大会「・・・おっふ。」

 

志温「まぁ、大人には大人の楽しみがありますから。」

 

大会「そ、そうですね・・・」

 

 

 

 

その頃花名はビーチチェアで眠っていた。

 

優輔「花名、疲れて寝ちゃったか。」

 

たまて「花名ちゃん物凄い疲れてましたね〜。」

 

栄依子「真面目に練習してたからね〜。」

 

侑李「頑張ってたものね〜。」

 

冠「疲れてる時は甘い物。」

 

貴之「かもな。」

 

栄依子「お姉さん!とびっきり甘い奴下さいな!」

 

美鈴「私もとびっきり甘い奴!」

 

栄依子「ねぇ、今朝の事覚えてる?私ね、花名が泣いてるのを見て何か嬉しくなっちゃって。」

 

侑李「え?」

 

栄依子「花名って、私達と遊ぶ事を本当に楽しみにしてくれているな〜って。」

 

たまて「そうですよね!お泊まりとか凄いウェルカムしてくれますし!」

 

冠「置き菓子もウェルカム。」

 

美鈴「もう何時でもウェルカムだね!」

 

優輔「そう言えば、花名に釣られて泣いた子達が居たような気がしたんだが・・・」

 

たまて・美鈴「わあああ!!うぅ・・・」

 

自分の事だと自覚したたまてと美鈴が恥ずかしくなった。冠と侑李がたまてと美鈴を撫でる。

 

冠「よしよし。」

 

侑李「良い子良い子。」

 

たまて「があああ!!時間差で慰めるのは止めて下しやあああい!!!」

 

美鈴「もっと早く慰めてよおおおおお!!!」

 

2人はドラミングをした。

 

冠「これはドラミングじゃない。」

 

侑李「パーじゃなかったの?」

 

 

 

 

同じ頃、花名が目を開けた。

 

花名(海に行けなかったのは残念だったけど、それならそれで、こんな楽しい事があるんだな〜。)

 

起きて、テーブルに手を置いた瞬間。

 

花名「あ!」

 

栄依子の大事な物が温泉プールに落ちてしまった。

 

花名「あああああ!!どど、どうしよう!!あれ栄依子ちゃんの!!ひろ、ひろ、拾わないと!!そうだ!これがあれば!!」

 

冠の浮き輪を持った。

 

花名「これを、こうして、こう!・・・あ、あれ!?」

 

浮き輪を潜ろうとしたが、サイズが小さかった為、顔辺りで引っ掛かってしまった。

 

花名「ど、どうしよう・・・」

 

そこに栄依子達7人が戻って来た。

 

栄依子「何事なの!?」

 

たまて「一体誰が花名ちゃんをこんな目に!!!」

 

美鈴「許さへんで!!!」

 

花名「わ、私が・・・!?」

 

たまて「貴様か!!!」

 

優輔「おい花名どうした?冠の浮き輪を持って。」

 

花名「あ、あの!栄依子ちゃん!私、栄依子ちゃんのアレを落としちゃって!」

 

たまて「えぇ!?あれですか!?一大事じゃないですか!!」

 

花名「そそそ、そうなの!だから私、潜って拾おうって思って!!」

 

貴之「だから浮き輪を持とうとしたんだな。」

 

冠「潜るのなら、浮き輪いらないと思う。」

 

花名「あ・・・」

 

たまて「言ってしまいましたねかむちゃん。」

 

侑李「正論ね。」

 

栄依子「あはっ。大丈夫よ。濡れて壊れる物でもないし。」

 

たまて「でも無くしたら大事ですよ!私、探して来ますね!」

 

優輔「俺も探すから心配するな。」

 

花名「あ、ありがとう・・・」

 

 

 

 

ジュースをテーブルに置いて、花名を浮き輪から外す作業に入る。

 

栄依子「兎に角、これを外さないとね。」

 

花名「お、お願いします・・・」

 

貴之「行くぞー。せーの!」

 

浮き輪を花名から外した。

 

花名「あ、ありがとうございます・・・」

 

栄依子「花名。」

 

花名「ん?」

 

栄依子「泳げないのに取りに行こうとしてくれて、ありがとう。」

 

花名「・・・・」

 

優輔「おーいあったぞー!」

 

たまて「栄依子ちゃんのtkb!!」

 

優輔・貴之「ブッ!!」

 

花名「ええ!?」

 

栄依子「いや付いてる付いてる。」

 

優輔「たま!!下ネタ言うなよ!!」

 

 

 

 

女子更衣室。

 

花名「楽しかったね〜!」

 

冠「ん。」

 

侑李「良い運動になったかも。」

 

たまて「でも、絶対海リベンジしましょうね!」

 

美鈴「そうだよ!今度こそ海行きたいね!」

 

栄依子「そうね。大会さんも志温さんも誘って。」

 

花名「うん!」

 

 

 

 

男子更衣室。

 

優輔「いや〜面白かった〜。」

 

貴之「温泉プール気持ち良かったな〜。けど海行けなかったのはちょいと残念だったけどな。」

 

優輔「今夏休み中だから何時でも行けるだろ?」

 

貴之「だな。」

 

 

 

 

女子更衣室。

 

花名「あれ?」

 

たまて「おや?」

 

冠「ん?」

 

美鈴「ほえ?」

 

栄依子「どうしたの?」

 

4人が此方を向いた。

 

侑李「どうしたの皆?目が死んでるよ?」

 

栄依子「まさか、下着忘れた?4人共・・・」

 

侑李「何で?」

 

たまて「カバンの中に下着が無い事を忘れたと言うのなら、まぁそう言う事になりますでしょうかね・・・」

 

花名「どどど、どうしよう!!!水着のまま帰ったら3秒ルール所じゃないよ!!」

 

侑李「それこそ水着の上から服着れば問題無いんじゃない?」

 

栄依子「でも濡れちゃうと思うけど・・・」

 

美鈴「私、服が濡れちゃうの嫌なの・・・」

 

冠「私は、栄依子がパンツ貸してくれるから大丈夫。」

 

栄依子「いやいや!そしたら私どうなるの!?」

 

たまて「兎に角水着をなるべく乾かすしか無いですね・・・」

 

花名「うぅ・・・」

 

 

 

 

しばらくして、志温と大会がエステから戻って来た。

 

志温「お待たせ〜。あら?」

 

戻って来ると、花名とたまてと美鈴ががっかりしていた。

 

大会「ど、どうした!?」

 

たまて「パンツを・・・パンツを忘れちゃったんですよ・・・」

 

大会「何!?花名ちゃん達も!?」

 

花名・たまて・美鈴「え!?」

 

大会「いや、実は私も花名ちゃんの部屋に忘れて来てしまって・・・」

 

侑李「また一大事!?」

 

志温「もしかしたら花名ちゃん達も忘れてるかと思って、買って来たのよ。」

 

下着が入った袋を見せた。

 

たまて「わああ!!パンツ!!地獄にパンツ!!」

 

花名「あああ、ありがとう志温ちゃん!!」

 

美鈴「天の恵みだーーー!!!」

 

志温「履いてみて?」

 

花名「うん!本当に良かった・・・」

 

 

 

 

下着を履いてみるが、ハート型の穴が空いてた。

 

花名「あれ?ここここれ・・・後ろに穴が空いてるよ・・・?」

 

志温「可愛いでしょ?」

 

栄依子「あはは。お尻見えちゃうわね〜。」

 

たまて「ハートやら星やら丸やら、色んな形がありますね〜!」

 

美鈴「私ワンちゃんの形!」

 

冠「私、猫の形にする。」

 

花名「み、皆良いの!?穴が空いてるんだよ!?」

 

冠「花名!」

 

花名「え!?は、はい!」

 

冠「これは、尻尾を出す穴だから良いの!」

 

花名「し、尻尾?」

 

たまて「かむちゃん!ゴリラに尻尾は無いのですよ!!」

 

美鈴「そうだよ!ゴリラに尻尾は無いのよ!!」

 

たまて「謝って下さーい!!」

 

冠「ごめんね。ゴリラ。」

 

たまて・美鈴「良えんやで〜。」

 

侑李「だから何で冠だけ許すの?」

 

栄依子「ゴリラ博士だなぁ。たまは。」

 

美鈴「でも私達は女豹だけどね!」

 

志温「万年さん、サイズ大丈夫だった?」

 

大会「さ、サイズと言うか、面積と言うか・・・このパンツ、ビキニ以上に心許ない作りと言いますか・・・」

 

志温「大丈夫ですよ。こう言う下着の紐って、飾りみたいなもので。」

 

紐を引っ張ると下着が解けた。

 

冠「新鮮なライチ。」

 

 

 

 

その頃優輔と貴之は卓球をしていた。

 

優輔「皆遅いな。」

 

貴之「ああ。たまと美鈴が何か仕出かしてるんじゃねえのか?」

 

優輔「また来ようぜ。温泉プール。」

 

貴之「ああ。」

 

こうして、楽しい温泉プールを満喫した花名達であった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      万年大会:内田真礼
      京塚志温:M・A・O

次回「サメのいとこ」


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STEP10「サメのいとこ」

たまくま「暑いですね~はなくまちゃん!」

はなくま「そうだねたまくまちゃん。」

ある日の花名の部屋で2つのくまのぬいぐるみが会話していた。

たまくま「キンキンに冷やしたシャケをつるっといきたい所ですなぁ!」

はなくま「流しそうめんみたいだね~。」

たまくま「流しシャケも風流で良いですな~!」

はなくま「それは普通に川で泳いでるのと一緒じゃない?」

たまくま「泳いでいるかはたまた流されているか。そこには大きな違いがあるのですよ!」

はなくま「深いね。」

たまくま「深いですね~熊だけに。はなくまちゃん!」

はなくま「たまくまちゃん!」

ただ花名が1人2役で芝居をしていた。

するとインターホンが鳴った。




花名「は・・・は~い。」

ドアを開けるとそこには。

大会「うっ・・・!!」

何故か泣いてる大会が立っていた。

花名「大会さん・・・」

大会「花名ちゃん・・・!」

花名「どうしたんですかその格好・・・」

洋服の裾が荒らされていた。

大会「え・・・栄依子さんが~!!」

花名「えー!?」

一体栄依子に何が?


取り合えず大会を部屋に入れた。

 

大会「す・・・すまない花名ちゃん。驚かせてしまって・・・」

 

花名「いえ・・・少し落ち着きました?」

 

大会「うん・・・」

 

花名「あの、栄依子ちゃんと大会さんの間に何があったんですか?」

 

大会「それが洋服の事で・・・」

 

花名「洋服?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前の事だった。以前栄依子から貰った洋服を試着してみた。裾を出してみる。

 

大会「・・・・・」

 

今度は裾をスカートに入れる。

 

大会「うえ!?」

 

やっぱり裾を出す。これの繰り返しで混乱してしまった。

 

大会「(私は今人生の岐路に立たされている!)こ・・・こうなったら!」

 

賺さず栄依子に電話してみる。

 

栄依子『はーい。大会さん?』

 

大会「栄依子さん!中だろうか!?外に出すべきだろうか!?」

 

栄依子『はい?』

 

大会「いや先日見立ててもらったシャツとスカートの話なのだが・・・」

 

栄依子『ああ何だ。どちらでも平気ですよ。中でも外でも。』

 

大会「それじゃ困るんだ!君が決めてくれ栄依子さん!中入れか!外出しか!」

 

栄依子『え~。兎に角大会さんの好きにするのが1番ですよ。』

 

大会「えぇ・・・でも・・・」

 

栄依子『それじゃ失礼しま~す。』

 

大会「待ってくれ栄依子さん!中か!外か!栄依子さ~ん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

大会「このコーディネートだけは失敗出来ないと熱くなり過ぎてしまったんだ・・・栄依子さんには悪い事をした・・・」

 

花名「そ・・・そうだったんですか。あの・・・大会さん何処かにお出掛けですか?」

 

大会「実は・・・予備校の夏期講習に申し込んでみようと思って。今日はその書類を頂戴しに・・・」

 

花名「凄い!凄いです大会さん!」

 

大会「花名ちゃん・・・」

 

花名「だって、コンビニから段々お出掛け出来る場所が増えていってとうとう予備校ですよ!来年は甲子園にだって行けちゃうかも!」

 

大会「わ・・・私は何を目指すと言うのか。・・・私が外に出られるようになったのは花名ちゃんのお陰なんだ。本当にありがとう。」

 

花名「そそそそんな!私なんか全然・・・」

 

花名「寧ろ・・・大会さんは前に進んでるのに足踏みしてるだけって言うか・・・言わなきゃいけないと思ってるんです。隠したままじゃ良くないって・・・」

 

大会「シャツの裾をか!?」

 

花名「違います!」

 

大会「花名ちゃん!裾の処遇をどうするべきか花名ちゃんが決めてくれ!」

 

花名「え・・・」

 

大会「中に入れるべきか!外に出すべきか!」

 

花名「私もそう言う事決めるの苦手で・・・」

 

大会「もう花名ちゃんに頼るしかないんだ!決めてくれ・・・中か!外か!」

 

するとインターホンが鳴った。

 

花名・大会「ん?」

 

 

 

志温「花名ちゃ~ん。制服アイロン掛けて来たけど。」

 

 

 

タイミング良く志温がお邪魔した。花名が急いで志温の方へ。

 

花名「助けて~!志温ちゃ~ん!」

 

志温「あらあらどうしたの?」

 

大会「中か!外か!中か~!外か~!」

 

志温「どうしたの2人共?」

 

 

 

 

事情を聞いた志温。

 

志温「そうね〜、入れた方が可愛いんじゃないかしら?」

 

大会「確かに。」

 

花名「ありがとう志温ちゃん・・・」

 

志温「あ!でもこのシャツ裾の柄が可愛いわ。やっぱり外の方が可愛いかしら?」

 

大会「確かに!」

 

花名「し・・・志温ちゃん。結局どっちなの?」

 

志温「う~ん・・・そうね・・・まずはシャツを少し緩くして、髪の毛はこんな感じで、お帽子とか良いかも。後はこれを持って。」

 

シャツのボタンを緩くして、髪の毛を伸ばして、帽子を被らせて、ひまわりを渡す。

 

志温「うん!出来たわ!こんな感じはどうかしら?」

 

 

 

 

ひまわり畑の美少女が完成。

 

 

 

 

花名「志温ちゃん!?」

 

大会「栄依子さ~ん!!」

 

するとまたまたインターホンが鳴った。

 

 

 

 

栄依子「突然ごめんね~。」

 

 

 

 

何と栄依子が来たのだった。

 

大会「栄依子さん!」

 

花名・志温「栄依子ちゃん!」

 

栄依子「はい。栄依子で~す。」

 

 

 

 

大会「さ・・・先程は妙な電話をしてしまい大変申し訳無い・・・」

 

栄依子「いえいえ。あの時は私も妹と買い物してたので。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前。

 

大会『栄依子さん!中だろうか!?外だろうか!?』

 

栄依子「はい?」

 

光希「中か外か。難しい問題ですね。」

 

栄依子「何方でも平気ですよ。中でも外でも。」

 

大会『それじゃあ困るんだ!君が決めてくれ栄依子さん!中入れか!外出しか!』

 

栄依子「ええ〜?」

 

光希「外だと垂れてしまいますので、中の方が。」

 

栄依子「兎に角、大会さんの好きにする方が1番ですよ。それじゃあ失礼しま〜す。」

 

大会『待ってくれ栄依子さん!中か!外か!』

 

通話を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

花名「栄依子ちゃん来てくれて本当にありがとう!」

 

栄依子「気にしないで。こっちの方にも用事あったから。はい終わりましたよ~。この組み合わせだとインした方がバランス良いですね。」

 

大会「おぉ〜!」

 

志温「栄依子ちゃんはオシャレさんだから説得力あるわ〜。」

 

栄依子「いえいえそんな。」

 

花名「大会さん素敵です!」

 

大会「あ・・・ありがとう。」

 

栄依子「無事に書類を取って来られるように祈ってますね。」

 

大会「て・・・程度の低いお祈りをさせてしまって済まない・・・」

 

志温「あ!栄依子ちゃん万年さん、良かったらお夕飯食べて行かない?」

 

大会「え?良いのですか?」

 

栄依子「食べたーい・・・ですけど今日は妹がカレーを作るって言ってたので。」

 

大会「おお!カレーなら仕方無いな。」

 

花名「カレーだもんね。」

 

志温「カレーだものね。」

 

栄依子「私的には妹の手作りの方がポイントだったんですけど・・・」

 

大会「妹さんのカレー・・・美味しいんでしょうなぁ〜。」

 

花名「食べたいなぁ〜。」

 

志温「食べたいわね~。」

 

栄依子「完全にカレーに持って行かれてる・・・」

 

3人の頭の中はカレーでいっぱいだった。

 

 

 

 

栄依子「じゃあ私はこれで。」

 

花名「またね。」

 

志温「お気を付けて。」

 

大会「本当にありがとう!栄依子さん!」

 

栄依子「いえいえそんな。花名ちょっと良い?」

 

花名「え?」

 

 

 

 

外に出た2人。

 

花名「どうしたの?」

 

栄依子「実はこっちが本命の用事なの。これ良かったら。」

 

バッグから1つの小袋を渡した。

 

花名「わ、私に?」

 

栄依子「うん。」

 

小袋を開けると。

 

花名「わ~!綺麗!」

 

ブローチが入っていた。

 

花名「あ、これもしかして栄依子ちゃんが?」

 

栄依子「そ。作ったの。この間話聞いてくれたお礼。」

 

花名「そんなお礼なんて・・・」

 

栄依子「まぁまぁご笑納下さいな。2人きりの時に渡そうと思ったけど意外とタイミング無くて。」

 

花名(栄依子ちゃんモテモテだからな~。)

 

栄依子「それね。花名のイメージで作ったの。」

 

花名「え?わ・・・私の!?」

 

栄依子「一応モチーフは四つ葉のクローバー。花名に良い事がありますようにって。」

 

花名「栄依子ちゃん・・・ありがとう栄依子ちゃん!すっごく嬉しい!」

 

栄依子「喜んでもらえて良かった〜。」

 

花名「私毎日付けるね!制服・・・は怒られるかもしれないから鞄に!でもそれだとすぐ壊れちゃうかも・・・えっと・・・どうしよう・・・」

 

すると栄依子が花名の頭を撫でた。

 

栄依子「花名は色々考え過ぎ。貰った瞬間から壊れた時の事考えないの。」

 

花名「そ、そうだよね。」

 

栄依子「作った本人がすぐ傍にいるんだから、壊れても直してって頼めば良いだけよ。」

 

花名「うん!ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

花名「可愛い~。栄依子ちゃん凄いな~。」

 

貰ったブローチを見ていた。

 

 

 

 

 

 

翌日。花名が鞄にブローチを付けて登校していた。

 

 

 

 

 

 

廊下。花名が誰かとぶつかった。

 

花名「うわ!」

 

榎並先生「おっと。」

 

花名「あ・・・ご・・・ごめんなさい!」

 

榎並先生「何だ一之瀬か。ちゃんと前見て歩けよ。」

 

花名「す、すみません・・・ボーッとしちゃって・・・(そう言えば・・・先生はどう思ってるんだろう。私が浪人を隠したままにしてる事・・・)」

 

榎並先生「おーい。一之瀬?」

 

花名「は・・・はい!」

 

榎並先生「アイス買いに行く所なんだがお前も来るか?1本だけなら奢ってやる。」

 

花名「ええ?」

 

榎並先生「くれぐれも他の奴には言うなよ。絶対煩いから。」

 

あの5人を思い出す。

 

 

 

 

 

 

たまて『それって贔屓じゃないですか!』

 

栄依子・冠・侑李・美鈴『贔屓贔屓!』

 

たまて『ギブミーアーイス!』

 

 

 

 

 

 

花名「い・・・いただきます。」

 

榎並先生「おー。食え食え。」

 

結局いただく事になった。

 

花名「先生はアイス・・・朝ごはんですか?」

 

榎並先生「あぁ、夏ってなんか食欲無くなるよな・・・何だよ。」

 

花名「い、いえ・・・先生・・・私がその・・・浪人してる事、栄依子ちゃん達に話すべきだと思いますか?」

 

榎並先生「う~ん・・・話したいのか?」

 

花名「話したいと言うか・・・話さないといけないのかなって・・・」

 

榎並先生「いけないんだったら、私が初日に話してる。」

 

花名「そ・・・そうですよね。・・・話さなくても良いんでしょうか?」

 

榎並先生「そりゃそうだろ。友達なら秘密でも何でもさらけ出さないといけない、とでも思ってるのか?」

 

花名「!」

 

榎並先生「思ってるだろ。真面目だなぁお前。」

 

花名「あ・・・その・・・ちょっとだけ。隠し事してるのって気不味いって言うか・・・最初は浪人してるってバカにされる、からかわれる。そう言うのが怖かったんです。でも今は・・・関係が変わるのが怖い・・・です。」

 

榎並先生「傍から見てる分には、話しても話さなくても変わらないと思うぞお前らは。」

 

花名「え?」

 

榎並先生「ま、あまり考え過ぎるな。」

 

花名「今の・・・栄依子ちゃんからも同じ事を言われました。」

 

榎並先生「例え一言一句同じ言葉だったとしても、彼奴より私の方が良い事言ってる。」

 

花名「は、はぁ・・・」

 

榎並先生「深みが違うんだ。」

 

 

 

 

 

 

教室へ行くと。

 

たまて「お。花名ちゃわ~ん!おはようですよ!」

 

冠「ちゃわん。おはよう。」

 

美鈴「おはよう!花名ちゃわん!」

 

侑李「花名おはよう。」

 

花名「お、おはよう。」

 

栄依子「おはよう。今日も暑いね。」

 

冠「九夏三伏。」

 

花名「ぷく?」

 

冠「ぷく。」

 

侑李「冠、ぷくって何?」

 

貴之「もう歩くだけで汗が出るぜ。」

 

優輔「自転車に乗ったら気持ち良い風が通るな。」

 

たまて「いきなりすっごい夏ですね~。英語で言うとサムアッ!って感じでしょうか?」

 

花名「それだと寒いみたいだよたまちゃん。」

 

侑李「確かに。サムアって寒いって聞こえるしね。」

 

たまて「おや?」

 

栄依子「あ。そう言えば花名。志温さんに聞いたんだけど。」

 

すると栄依子の口から驚くべき言葉が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浪人してるんだってね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花名「・・・え?」

 

何と志温が栄依子に、花名が浪人してるって言ってしまったのだった。

 

花名(どうして・・・)

 

秘密がバレてしまった事にショックして声が出なかった。

 

たまて「浪人?」

 

美鈴「え?浪人?」

 

冠「流れ流れて浮浪人。」

 

栄依子「そっちの浪人じゃないから。」

 

花名(私・・・私・・・)

 

優輔「どうした花名?」

 

栄依子「あれ?違ってた?志温さんから去年就職出来なくて浪人中なのよって。」

 

花名「え・・・?えぇ~!?志温ちゃんが浪人!?」

 

栄依子「うん。就職浪人って。あれ?これって言ったらいけない話だったの?」

 

侑李「志温さんが浪人?」

 

貴之「おい志温さんが浪人なんて初耳だぞ・・・」

 

優輔「俺はこの前知った。」

 

美鈴「え?優輔何時から知ってたの?」

 

優輔「高校入学当時から。姉ちゃんから聞いた。」

 

たまて「身内が知らない情報を聞き出すとか、コミュ力ゲージカンストしてませんか?」

 

栄依子「そんな大袈裟な。普通にメールしてたらそう言う話になっただけよ。」

 

たまて「普通にメール・・・メール!?抜かり無いですね栄依子ちゃん!何時の間に志温ちゃんさんと連絡先交換されてたんですか!?」

 

栄依子「プールの時に普通の流れで・・・」

 

たまて「さっきから普通って!全然普通じゃなかとですよ!冠のアニキィ。侑李のアネキィ。此奴ちょっと調子乗ってますぜ?きゅっとシめてやりましょうぜ?」

 

冠「じゃあお酢で。」

 

侑李「私は鳥の骨で。」

 

たまて「昆布で!」

 

栄依子「私美味しくいただかれちゃうの?」

 

貴之「出汁がエグい・・・」

 

花名(私自分の事でいっぱいいっぱいで、全然知らなかった・・・志温ちゃんが浪人してたなんて・・・)

 

 

 

 

 

 

夕方。志温に話した。

 

志温「そうよ。就職浪人中。言ってなかったかしら?」

 

花名「言ってないよ~。」

 

志温「あらうっかり。伝え忘れてたのね。あの頃は管理人の仕事を覚えるのに一生懸命だったから。燃えるゴミの日、資源ゴミの日、粗大ゴミの日を覚えたり。」

 

花名「ゴミの分別に力入れてるね・・・」

 

志温「ゴミを制する者は管理人を制するのよ。」

 

花名「な・・・成る程。」

 

志温「今思えば、管理人の仕事を徹する事で、悲しみを忘れようとしてたのかしら。」

 

花名「志温ちゃん・・・」

 

志温「でも今は本当に全然何とも思ってないの!だから安心して!」

 

花名「それはそれでどうなんだろう・・・でも、志温ちゃんがどの会社にも入社出来なかったなんて・・・」

 

志温「それがね。受かった所もあったんだけどお爺ちゃんが・・・」

 

 

 

 

 

 

数年前。

 

祖父『御社の椅子のクッションは柔らかめですか!?給湯室のタオルの柔軟剤は何をお使いで!?勿論エアコンは毎年クリーニングしておるんでしょうな!?孫の健康!わしはそれだけが心配で心配で!』

 

志温『お・・・おじいちゃん!!』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

花名「はぁ・・・」

 

志温「女の子の孫は私と花名ちゃんだけだから特別過保護になってるのよね。」

 

花名「え、それって・・・」

 

志温「頑張って。」

 

花名「えぇ・・・」

 

 

 

 

夕食のカレーが出来た。

 

花名・志温「いただきまーす。」

 

志温「何だかカレーが食べたくなっちゃって。」

 

花名「やっぱりカレーだよね!」

 

志温「カレーよね!」

 

花名「・・・うん!豆腐サラダも美味しい!」

 

志温「うふふ。良かった。」

 

花名「(志温ちゃんはこれからどうするのかな・・・管理人続けてくれるのかな・・・)あの・・・志温ちゃん・・・」

 

志温「何?」

 

花名「その、今日・・・志温ちゃんの部屋で泊まって良い?」

 

志温「勿論!じゃあ後で一緒にお風呂入りましょうか!」

 

花名「ええ!?」

 

志温「泊まって行くんでしょ?」

 

花名「お・・・お風呂はいいよ!恥ずかしいよ~!」

 

 

 

 

その後2人で風呂に入る。

 

志温「あのね花名ちゃん。実は去年花名ちゃんが引っ越して来るって分かった時に、花名ちゃん用のパジャマやお布団を買っておいたの。」

 

花名「え?そうだったの?わ!」

 

サメの水鉄砲を喰らった。

 

志温「これも花名ちゃんが来るから買っておいたんだけど。」

 

花名「も~!志温ちゃんの中の私って3歳くらいで止まってない!?」

 

 

 

 

風呂から上がって、布団を敷く。

 

花名「し・・・志温ちゃん・・・」

 

サメの着ぐるみパジャマを着た花名が出て来た。

 

志温「わ~!思った通り!すっごく可愛いわ!」

 

花名「か・・・可愛いの!?これ可愛いの!?」

 

 

 

 

電気を消して就寝。

 

花名「・・・志温ちゃん。」

 

志温「ん?」

 

花名「あ・・・ごめんね。」

 

志温「ううん。大丈夫よ。お布団が変わると眠れない?」

 

花名「ううん・・・あのねその・・・志温ちゃんに聞きたい事があって・・・」

 

志温「聞きたい事?」

 

花名「うん。志温ちゃんは管理人を続けるの?それとも、もう1回就職を頑張ってみるの?」

 

志温「ん~・・・正直言うとね。悩み中。最初はね。大学のお友達は皆就職しちゃってこんな風に家の仕事を手伝ってるのは私だけで。何だか置いてかれるみたいで不安だった。でもね。管理人として皆に気持ちよく過ごして貰えるように。共用部を掃除したり。庭の手入れをしたり。昔からそう言う事をするのは好きだったし自分に合ってるなって思うようになったの。」

 

花名「志温ちゃん・・・」

 

志温「勿論、就職出来たらその先は色んな発見や出会いがあると思う。でも今の管理人としての自分も好きだなって。」

 

花名「うん・・・」

 

彼女はあの頃を思い出した。

 

 

 

 

 

 

それは、自分が志温のアパートに引っ越しに来た頃だった。

 

葉月『頼っちゃってごめんね志温ちゃん。花名の事よろしくお願いします。』

 

志温『いえいえ大歓迎です。葉月さんも何時でも遊びにいらして下さい。』

 

葉月『ありがとう。』

 

志温『これから宜しくね。花名ちゃん。』

 

花名『宜しく・・・お願いします。』

 

この時花名は、浪人になってしまった事で元気が無かった。

 

 

 

 

今日の昼。

 

花名『あ・・・』

 

志温『冷ややっこが好きって聞いたから色々作ってみたんだけど、どうかしら?』

 

花名『さ・・・流石に多過ぎだよ・・・』

 

 

 

 

その後、花名の長い髪を切る。

 

志温『後は左をもう少し・・・かな?』

 

花名『うん。あの・・・ありがとう志温ちゃん!』

 

後ろに振り向いた瞬間、志温が花名の髪をバッサリ切ってしまった。

 

志温『あら。』

 

 

 

 

仕方無く床屋で髪を切る事に。

 

志温『わ~!花名ちゃん可愛いわ!』

 

何時もの髪型になった。

 

志温『短いのもすっごく似合ってる!』

 

花名『うん・・・ありがとう。』

 

 

 

 

 

 

その日の夜。花名が机の上で寝てると。

 

花名『寝ちゃった・・・?ん?』

 

机の上に、志温からのおにぎりがあった。

 

花名『志温ちゃん・・・』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

花名「私ね・・・志温ちゃんが管理人で本当に良かった。」

 

志温「花名ちゃん・・・やっぱりこのまま管理人を続けようかしら?」

 

花名「あ・・・でも志温ちゃんが管理人さんなら嬉しいけど、無理強いしたい訳じゃなくて・・・就職するなら私応援するからね!」

 

志温「よく考えたら、私も就職浪人で万年さんも浪人。花名ちゃんも浪人。このアパート浪人ハイツって感じよね~。」

 

花名「わ・・・私はもう違いますから!」

 

志温「ふぁ〜・・・じゃあそろそろ寝ましょうか。おやすみなさい。サメちゃん。」

 

花名「えぇ~!?えぇ~!?」

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

志温「はいお弁当。2日目が美味しいから。」

 

花名「あ。やっぱりカレーなんだ。うんありがとう。」

 

志温「いえいえ。あら。可愛い!素敵なブローチね。」

 

花名「ありがとう。」

 

志温「花名ちゃんによく似合ってるわ。」

 

花名「それじゃあ行って来ます!」

 

志温「はーい。行ってらっしゃい花名ちゃん。」

 

 

 

 

アパートから出ると。

 

優輔「おーい花名ー!」

 

貴之「おっす!」

 

花名「あ!優輔君!貴之君!おはよう!」

 

 

 

 

3人で登校する。

 

優輔「今日も良い天気だな。」

 

花名「そうだね〜。」

 

貴之「もう俺、歩くだけで汗が出ちまったな〜。」

 

優輔「自転車乗れば?風が気持ち良いぞ。」

 

貴之「自転車に乗れるのはお前だけだぞ。家から学校まで少し遠いからな。」

 

花名「くす。」

 

優輔「ん?どうした花名?」

 

花名「ううん。」

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
      十倉光希:楠木ともり
     一之瀬葉月:日笠陽子
        祖父:佐々健太

次回「トマトのまつり」


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STEP11「トマトのまつり」

ある夏の学校

たまて「遂に夏休みですよー!」

栄依子「うん、それはおめでたいんだけど・・・」

侑李「朝顔の鉢植えに・・・水着袋に給食袋持ってるわねたま・・・」

優輔「ランドセル・・・ってお前は小学生か。」

たまて「いや〜、丁寧につっこんでいただいて仕込んだ甲斐があるってものですな〜。」

貴之「仕込んでたのかよ。」

花名「たまちゃん、この為だけに準備を?」

栄依子「元気ね〜。」

たまて「だって、今日から夏休みですよ!これが喜ばずにいられますかってんですよ!」

美鈴「分かるよたまちゃん!私も夏休みでもうテンションアップだよー!」

花名「嬉しいね!あ、でも・・・夏休みの間はあまり皆と会えなくなるんだね・・・」

落ち込んで泣いてる花名に、冠がハンカチで涙を拭いてあげた。

冠「花名お腹空いた?お腹痛い?」

花名「ご、ごめんね・・・大丈夫・・・何だか急に寂しくなっちゃって・・・」

たまて「愛されてますな〜我々。」

栄依子「愛されてるわね〜。」

美鈴「愛されてるね〜。」

侑李「愛されてる〜。」

優輔「愛されてるな〜。」

貴之「愛されてるって良いな〜。」

冠「愛とは。」

花名「うぅぅ・・・」

栄依子「心配しなくても、遊ぶ予定沢山入れてるじゃない。」

たまて「そうですよ!明日は早速神社で夏祭りもありますし!」

花名「そ、そうだよね!」

優輔「夏祭りかぁ。姉ちゃんも誘ってやるか。」

栄依子「折角だし、浴衣で行かない?」

たまて「おぉ!じゃあ私着付けますよ!」

栄依子「お!助かる〜!花名って浴衣持ってる?」

花名「浴衣・・・あ、うん!持ってる!」

たまて「ではでは!明日は浴衣を持って我が居城に大集合ですよ!」

栄依子・侑李「は〜い!」

冠「攻め入る!」

美鈴「乗っ取るわよ!」

貴之「攻めるのかよ!後乗っ取るな!」

優輔「帰って姉ちゃんも誘ってやるか。」

花名(そっか。学校じゃなくてもいっぱい遊べる!)


夏休み突入。アパートでは、志温と大会がスイカを食べていた。

 

志温「美味しいわね〜。」

 

大会「乾いた体に染み渡りますな〜。」

 

志温「最近お疲れ気味ですね。勉強大変ですか?」

 

大会「それは別に良いんですが・・・」

 

志温「良いんですか。」

 

大会「もうすぐ、予備校の夏期講習が始まるもので・・・これから、あのキラキラピチピチした高校生の集団に入って行くと思うと・・・」

 

志温「そっちで追い詰められてるのね。」

 

大会「輝ける現役高校生のお歴が近付いて来た時に、どう対処すべきかずっとシミュレーションしてるのですが・・・予備校には隠れる場所も無く・・・もうどうしたら良いのか・・・」

 

志温「隠れないといけないの?・・・そうだわ!万年さん、夏祭りに行きませんか?」

 

大会「夏祭り?」

 

志温「夏期講習なんか目じゃないキラキラした人達が集まりますから、予行演習だと思って。」

 

大会「成る程!毒を以て毒を制するって奴ですな!」

 

志温「楽しいですよ!」

 

大会「良い仮想訓練になりそうですな!」

 

志温「浴衣、私の方で用意しておきますから。」

 

大会「成る程!擬態ですか!」

 

志温「逸れちゃうから隠れないで下さいね?」

 

 

 

その頃花名は、浴衣を探していた。

 

花名「えっと、確かここに・・・あった!」

 

クローゼットから浴衣を発見。

 

 

 

 

1年前。アパートへ引っ越しする準備の時。

 

葉月『浴衣も持って行くでしょ?』

 

花名『え?いらないよ。着る機会無いし・・・』

 

葉月『そんな事無いでしょ?大丈夫よ。志温ちゃん着付け出来るから。』

 

 

 

 

浴衣を持って、鏡の前に立つ。

 

花名「似合うかな?」

 

 

 

 

 

 

その頃優輔は、姉の麻衣子に夏祭りを誘う。

 

麻衣子「夏祭り?」

 

優輔「ああ。今度皆で夏祭りへ行く予定があるって。姉ちゃんもどうかなって。」

 

麻衣子「でも、店の仕事がいっぱいあるし・・・」

 

優輔「母さん達に聞いたらどうだ?」

 

麻衣子「う〜ん・・・ちょっとお母さんに聞いてみる。」

 

母の元へ向かう。

 

 

 

 

数分後。

 

麻衣子「楽しんでおいでって。」

 

優輔「マジか。」

 

麻衣子「うん。お爺ちゃんとお婆ちゃんも楽しんでおいでって。」

 

優輔「よし。じゃあ決まりだな。」

 

 

 

 

 

 

後日の信濃追分駅。

 

たまて「わっふー!ようこそいらっしゃいませ!我が居城の最寄駅へ!」

 

栄依子「朝でそのテンションなの?」

 

侑李「元気ね〜たまは。」

 

冠「お祭りまで保つ?」

 

たまて「維持してみせますとも!」

 

美鈴「元気モリモリね〜。」

 

貴之「倒れるんじゃねえぞ。」

 

花名「お、おはようたまちゃん・・・」

 

たまて「おや?荷物の重みでお疲れですね。疲労回復に梅干しどうですか?」

 

花名「あ、ありがとう!」

 

冠「あ〜。」

 

栄依子「ありがと〜。」

 

貴之「梅干しかぁ。」

 

美鈴「ありがと〜たまちゃん!」

 

侑李「いただくわ。」

 

たまて「どんぞどんぞ!」

 

梅干しを皆の口の中に入れる。

 

6人「酸っぱーーー!!」

 

冠「目覚めた。」

 

栄依子「美味しいこれ!」

 

たまて「私のお手製ですよ〜。」

 

花名「へぇ〜!多芸だねたまちゃん!」

 

たまて「おや?優輔君は来てないようですね。」

 

???「ヤッホーーー!!」

 

 

 

 

ようやく優輔と麻衣子が到着した。2人はロードバイクで来たのだった。

 

 

 

 

麻衣子「いや〜長い距離を走るのは久し振りね〜。」

 

優輔「相変わらず姉ちゃんは速過ぎ・・・」

 

貴之「よう優輔。麻衣子さん。」

 

優輔「皆待たせたな。」

 

栄依子「まさか自転車で来たの?」

 

優輔「ああ。俺の提案でな。」

 

花名「あれ?麻衣子さん?」

 

麻衣子「あら花名ちゃん!ゴールデンウイーク以来ね。」

 

たまて「おや?花名ちゃん、この人知り合いですか?」

 

花名「うん。優輔君のお姉さんの麻衣子さんだよ。」

 

麻衣子「佐野麻衣子です。弟の優輔がお世話になっております。」

 

栄依子「此方こそ。優輔、お姉さん綺麗ね〜。」

 

優輔「そうか?俺から見たら普通だけど。」

 

麻衣子「それってどう言う意味かしら〜?」

 

拳でグリグリする。

 

優輔「いてててて!!ごめんごめん!!」

 

栄依子「仲良いわね〜。」

 

冠「姉弟愛。」

 

優輔「いててて・・・姉ちゃんのグリグリは足つぼより痛え・・・」

 

たまて「では優輔君に麻衣子さんも梅干しいかがですか?」

 

優輔「梅干し?」

 

麻衣子「食べさせて〜。」

 

梅干しを優輔と麻衣子の口に入れる。

 

優輔「お!凄え美味えこれ!」

 

麻衣子「美味しい!」

 

たまて「それ、私のお手製なんですよ?」

 

優輔「流石たまだな。」

 

麻衣子「良いわね!うちの店に出したいくらいだわ!」

 

たまて「恐縮です!」

 

 

 

 

 

 

全員が百地家に到着した。

 

栄依子「凄〜い。日本家屋だ〜。」

 

花名「和風だね〜。」

 

侑李「和風ね〜。」

 

冠「和風〜。」

 

たまて「わっふ〜!」

 

美鈴「わっふ〜!」

 

栄依子「わっふ〜!」

 

5人「わっふ〜!」

 

花名「わ・・・わふ〜!」

 

貴之「そんなマリオみたいな声はいいから。」

 

麻衣子「わっふ〜!」

 

優輔「姉ちゃんもノリに乗んな。」

 

 

 

 

たまて「ただいまです〜!」

 

史生「おかえりなさいたまちゃん。」

 

多佳子「お友達もようこそいらっしゃいました。」

 

栄依子「初めまして。十倉栄依子です。たまちゃんには何時も仲良くしていただいています。」

 

冠「千石冠です・・・」

 

侑李「億崎侑李です。」

 

美鈴「初めまして。松原美鈴です。」

 

貴之「浪江貴之です。」

 

優輔「佐野優輔です。初めまして。」

 

麻衣子「優輔の姉の麻衣子です。宜しくお願いします。」

 

花名「は、初めまして!い、一之瀬花名です!宜しくお願いします!」

 

多佳子「うふふ。此方こそ宜しくお願いします。」

 

史生「可愛い子ばっかりね。」

 

多佳子「本当ね〜。」

 

美鈴「可愛い子・・・!」

 

優輔・貴之「調子乗んな。」

 

たまて「そうでしょそうでしょ!私の友達はめごい子ばかりですから!」

 

麻衣子「何で東北方言?」

 

優輔「たまは何時もこうだから。」

 

冠「選りすぐりの精鋭!」

 

栄依子「自分で言ってる〜。」

 

多佳子「たまちゃん、荷物置いたらお買い物に行くのよね?」

 

栄依子「あれ?そうなの?」

 

たまて「ちょいとそこまでお付き合いいただけますか?」

 

荷物を部屋に置いた。

 

 

 

 

 

 

9人がお買い物に出発した。

 

優輔「夏の日差しが良いな〜。」

 

麻衣子「またロードバイクで走りたいわね〜。」

 

栄依子「こんな近くにスーパーがあるの?」

 

たまて「ん〜、インディーズの八百屋さんって所でしょうか。」

 

花名「インディーズ?」

 

美鈴「ハリソン・フォード?」

 

優輔「それインディー・ジョーンズ。」

 

 

 

 

たまて「じゃーん!ここでーす!」

 

到着した場所は、農園だった。

 

栄依子「あ〜!直売所か〜!」

 

冠「美味しそう。」

 

栄依子「かむ、近い近い。」

 

侑李「食べちゃダメよ?」

 

直売所にある野菜を見る。

 

花名「本当だね〜!」

 

麻衣子「どれも新鮮ね〜。」

 

おいさん「おぉたまちゃん。おはよう。」

 

たまて「おいさん!おはようございますですよー!トマト1かご下さいな!」

 

おいさん「あいよ。おまけしとくからね。」

 

たまて「おぉ!ありがとうございます!」

 

トマトを袋に入れる。

 

たまて「ここで1つ食べて行きますか?」

 

麻衣子「良いの?」

 

冠「うんうん。」

 

おいさん「水道使って良いよ。」

 

 

 

 

買ったトマトを皆で食べる。

 

花名「わぁ〜ツヤツヤ〜!」

 

栄依子「何これ!すっごい甘い!」

 

トマトを食べた冠に猫耳が出た。

 

冠「美味しい!」

 

侑李「凄く美味しい!」

 

美鈴「甘くて美味しい!」

 

たまて「でしょでしょ!採れたてですから!」

 

優輔「甘いトマト久し振りに食ったな〜!」

 

貴之「美味え!」

 

麻衣子「ねぇたまちゃん、このトマト少し貰って良いかしら?お爺ちゃん達のお土産にしたいの。」

 

たまて「はい!喜んで!」

 

栄依子「外で食べるのがまた気持ち良いわよね〜!」

 

たまて「開放感ありますよね〜!」

 

花名「・・・ぶふっ!」

 

噎せた花名。

 

栄依子「ああ花名!それやばい白ワンピ!シミになっちゃう!」

 

美鈴「どうしたら良いの!?」

 

 

 

たまて「ほら!これで溢しませんよ!」

 

両耳に袋をぶら下げただけ。

 

花名「うん、溢れない。」

 

たまて「ですよね!」

 

花名「でもこれ、開放感とか全然無い・・・」

 

たまて「ですよね・・・」

 

優輔「ゲロを吐くみたいな感じになってるな・・・」

 

 

 

花名「皆は、どうして溢さずに食べられるの?」

 

たまて「ん〜、噛むのと同時に汁を吸っちゃう感じでしょうか?ガプーっとしてチューって。」

 

栄依子「あぁ、そんな感じ。」

 

冠「無心で。」

 

花名「よーし・・・えい!」

 

噛んだ瞬間。

 

花名「ケホッケホッ!」

 

また噎せた。

 

優輔「また噎せた。」

 

貴之「吐血したみたいになってる。」

 

たまて「あぁ、流石我らが四天王最弱の将・・・」

 

栄依子「何それ?」

 

麻衣子「花名ちゃん大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

百地家に戻った。

 

栄依子「わぁ〜!アクアパッツァだ!」

 

花名「レストランみたい!」

 

冠「おかわり!」

 

侑李「もう?」

 

栄依子「まだ食べてないでしょ?」

 

麻衣子「私と優輔も手伝ったのよ?」

 

優輔「久し振りの調理だったな。」

 

全員「いただきます。」

 

 

 

 

栄依子「う〜ん、美味しい!」

 

花名「美味しいね〜!」

 

貴之「トマト料理美味え!」

 

冠「おかわり。」

 

美鈴「かむちゃん早い!」

 

花名「だ、大丈夫?夕方からお祭りだよ?」

 

麻衣子「そんなに食べて大丈夫なの?」

 

冠「余裕。」

 

たまて「流石かむちゃん!皆の衆もモリモリ食べて下さいね!」

 

栄依子「美味し過ぎて食べ過ぎちゃうわよ。後で帯締めるのに。」

 

花名「本当だよ〜。もお〜たまちゃんってば〜。」

 

たまて「えへへ〜。本当は魚の煮付けを拵えようと思ってたのですが、老さんに沢山トマトおまけして貰ったので、イタリアーン!にしてみたのですよ!」

 

栄依子「え?急にメニュー変えてこんな凄いのが出来ちゃうの?」

 

花名「凄いねたまちゃん!」

 

麻衣子「私はたまちゃんから誘われて一緒に作ったのよね。」

 

優輔「俺は流石に暇だったから、姉ちゃんに同行した。」

 

史生「凄いのよたまちゃんは。お料理の遣り繰りも上手だし。」

 

多佳子「お料理と言えば、たまちゃんが小学生の時のね〜。」

 

史生「あぁ、あれは可笑しかったのよね〜。あのね。」

 

たまて「んぎゃああああああ!!!我が居城だと思っていたら敵地ですかここはーーーー!!!」

 

優輔「一体たまの小学校時代に何があった?」

 

たまて「それ以上聞かないで下さーーーい!!!!」

 

 

 

 

女性陣達が浴衣を着る。優輔と貴之は別室で待機。

 

史生「腰紐を2本使うと、お端折りの調節が楽なの。」

 

栄依子「成る程〜。勉強になります〜。」

 

たまて「浴衣や着物は体を平らにした方が綺麗に見えるのですよ?」

 

花名「だからタオルを巻くんだね。」

 

たまて「そう。つまり、このタオルは私には必要の無い物・・・」

 

侑李「急にネガティブになったわね。」

 

多佳子「たまちゃん、これからよ。これから。」

 

花名「あはは・・・」

 

栄依子「どうぞ。」

 

史生「ありがとう栄依子ちゃん。たまちゃんから聞いた通り、気が効くのね〜。」

 

栄依子「あら、そんな事言ってくれたの?」

 

たまて「うぅ・・・だって、本当の事じゃないですか。」

 

史生「冠ちゃんの事も、何時も可愛い可愛いって言ってるのよ?」

 

冠「ぅ・・・」

 

史生「たまにはたまちゃんにも抱っこさせて頂戴ね冠ちゃん。」

 

冠「うん・・・」

 

たまて「普段家で言ってる言葉暴露されてるこの流れ・・・辱めしか無いのですが・・・」

 

麻衣子「優輔からも話聞いてるわよたまちゃん。かむちゃんと一緒に居る事が多いって。」

 

たまて「うぅ・・・優輔君まで聞かれてしまうとは・・・」

 

花名(私の事はお家で何と言ってるのかな・・・?)

 

多佳子「花名ちゃんは。」

 

花名「ひ、ひゃい!」

 

多佳子「凄く面白い子だって聞いてるわよ。」

 

花名「面白?」

 

栄依子・冠・侑李・美鈴「分かる。」

 

花名「分かるの!?」

 

たまて「面白可愛いですね!花名ちゃんは!」

 

花名「・・・・・」

 

史生「後、凄く優しい子だって。」

 

花名「っ・・・!」

 

たまて「にゃあああああ!!お婆ちゃーーーん!!!」

 

史生「あら、言っちゃいけなかった?」

 

たまて「い、いけなくないんですけど・・・これじゃあ丸で、良い噂を流す事で好感度を上げるタイプのギャルゲーみたいじゃないですかーーーー!!!」

 

栄依子「たま、その例え分かんない。」

 

侑李「私も分かんない。」

 

美鈴「同じく。」

 

たまて「何と!?」

 

冠「花名、顔溶けてる。」

 

褒められた花名の顔が笑顔になってる。

 

麻衣子「花名ちゃん。」

 

花名「は、はい?」

 

麻衣子「優輔からも聞いてるわよ。誰にでも優しい子だって。」

 

花名「優輔君が?」

 

麻衣子「ええ。志温からも聞いてるわよ。凄く可愛い子だって。」

 

花名「か、可愛い・・・?」

 

麻衣子「志温ったら何時も花名ちゃんの事思ってるのよ?」

 

花名「志温ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方。女性陣が浴衣に着替え終えた。

 

たまて「サマーーーーフェスティバーーーール!!!夏祭りですよーーーー!!!」

 

栄依子「テンション更に上がってるわね。」

 

たまて「天井知らずですよーーー!!!」

 

美鈴「天井知らずのIT'S SHOWTIME。」

 

侑李「何でB'z?」

 

冠「たこ焼き焼き鳥焼きとうもろこし。」

 

栄依子「かむ、呪文みたいになってるから。」

 

侑李「全部食べる気ね。」

 

たまて「御用の方!行きますぞ!いざ、出陣!!」

 

5人「おー!」

 

花名「お、おー!」

 

 

 

 

 

 

神社の夏祭り。志温と大会が来てた。

 

大会「う、上手く擬態出来てますか・・・?」

 

志温「浴衣、良くお似合いですよ。」

 

大会「あ、ありがとうございます・・・浴衣を着て夏祭りに来るなんて・・・2度と無いような気がしてました・・・」

 

志温「万年さん。」

 

大会「来るまではただただ恐ろしかったのですが・・・やはりこの雰囲気、童心に帰ったようでワクワクしますな!」

 

志温「うふふ。今日は楽しみましょ?気分転換も大事ですから。」

 

大会「はい!」

 

志温「そうだ!折角だし、合格祈願して行きましょう?」

 

大会「え?」

 

志温「神様にも応援して貰えたら、心強いでしょ?」

 

合格祈願しに行く2人。

 

大会「大家さん・・・はい!」

 

 

 

 

一方その頃9人は。

 

栄依子「あはは!ハムスターみたい!」

 

侑李「ハムリね!」

 

貴之「何だよハムリって。」

 

花名「可愛いね〜!」

 

たまて「でもこのハムリちゃん、熱々のたこ焼きを平気で2つも口に入れてるんですよ?」

 

栄依子「良く考えたらそうだわ!」

 

優輔「猫舌の奴ならまず不可能だな。」

 

花名「強いんだねハムリちゃん!」

 

冠「鋼の頬っぺた。」

 

麻衣子「そうだわ。ねぇねぇ優輔、私の浴衣姿どうかしら?」

 

優輔「ああ。似合ってるぜ。流石姉ちゃんだ。」

 

麻衣子「流石私の弟。」

 

美鈴「私の浴衣姿もどう?」

 

貴之「似合ってるぞ。」

 

???「おーーい!」

 

9人「ん?」

 

 

 

 

クラスメイトの大谷周と小鹿野真秀とばったり会った。

 

 

 

 

栄依子「周!真秀!」

 

優輔「大谷!小鹿野!」

 

侑李「2人共来てたんだ!」

 

真秀「わぁ〜!皆浴衣だ!」

 

貴之「俺と優輔は普段着だけどな。」

 

真秀「良いな〜。私達部活帰りでそのまま来ちゃって。」

 

花名「そっか。陸上部は夏休みも部活あるんだね。」

 

美鈴「お疲れ様ね。」

 

周「そうそう!だから何時でも見学に来て?マネージャーも募集中だからね。一之瀬さん!いや、花名ちゃん!」

 

花名「え?」

 

たまて「隙あらば勧誘してますな。」

 

貴之「本当に抜け目無いな〜大谷と小鹿野は。」

 

真秀「だって、部員少ないから。」

 

麻衣子「優輔のクラスメイト?」

 

優輔「ああ。大谷周と小鹿野真秀。陸上部に入ってる。」

 

すると周が冠に近寄った。

 

周「わ〜・・・浴衣冠ちゃん可愛い〜。抱っこしても良い〜?ちゃんとシャワー浴びて来たから〜。」

 

冠「だ、ダメ・・・」

 

怯える冠。後ろから優輔と真秀が周を止めた。

 

優輔「おい大谷、冠が嫌がってるだろ。事案起こす気かお前は?」

 

真秀「そうだよ!ダメだって!」

 

周「ダメか〜!」

 

栄依子「何で嬉しそうなの?」

 

周「そうだ!佐野君、陸上部に入ったら?部員募集中だよ?」

 

優輔「ん〜・・・考えとく。」

 

 

 

 

 

 

一方志温と大会は。

 

志温「えい!」

 

祭りを堪能していた。ボールを投げてぬいぐるみをゲットしようとするが、どれも外れ。

 

大会「でや!!」

 

しかし大会がうさぎのぬいぐるみにボールを当ててゲットした。

 

大会「やった!やりましたよ大家さん!!奴の土手っ腹に風穴を空けましたよ!」

 

志温「じゃあ、隣のぬいぐるみも良いかしら?」

 

大会「おまかせあれ!」

 

 

 

 

 

 

一方9人は。

 

たまて「ばんびちゃん!」

 

美鈴「ばんびちゃん!」

 

ばんび「たまちゃん!美鈴ちゃん!」

 

3人「イエーイ!」

 

他のクラスメイト達と偶然会った。

 

菜々恵「あのね、花壇のミニひまわりがもうちょっとで満開なの。今度見に来てね?」

 

花名「も、勿論!」

 

菜々恵「あ、可愛いね。そのブローチ。」

 

浴衣に付いてるブローチを見付けた。

 

菜々恵「似合ってる。一之瀬さんに。」

 

花名「あ、ありがとう。」

 

優輔「クラスメイト達と次々会っていくな。」

 

貴之「皆夏祭りが楽しみなんだろうな。」

 

麻衣子「良いわね〜。高校時代の青春を思い出すわね〜。」

 

 

 

 

その後も夏祭りを堪能する。

 

 

 

 

たまて「そろそろレクリエーションも入れたい所ですな。」

 

花名「レクリエーション?」

 

たまて「金魚すくいや射的をする前に、まずはお待ち兼ねのデザートタイムですよ!甘味スイーツですよ!」

 

花名「ただただ甘そう・・・」

 

貴之「胸焼けするわ・・・」

 

冠「たま策士。」

 

たまて「名遇しとお呼び下さいな!」

 

優輔「ん?椿森?岩崎?」

 

栄依子「え?敬、幸。」

 

クラスメイトの椿森幸と岩崎敬と会った。

 

栄依子「大丈夫?」

 

幸「栄依子ちゃん・・・」

 

敬「つばきちの下駄の鼻緒を切れちゃってさ。千尋にサンダル買いに行ってもらってるんだけど。」

 

貴之「今井も来てるのか?」

 

敬「うん。」

 

すると栄依子が幸の腕を持った。

 

栄依子「大丈夫?怪我してない?」

 

幸「あ・・・ありがとう・・・」

 

たまて「じゃじゃーん!応急処置してみました!」

 

ハンカチと5円玉を使って下駄の応急処置をしたたまて。

 

貴之「凄っ!」

 

たまて「私のハンカチで申し訳無いのですが、どうぞ!」

 

幸「でも、汚したらいけないから。」

 

たまて「お気になさらずですよ!こう言う時の為に持って来たのですから!」

 

幸「だ、大丈夫・・・」

 

たまて「でも・・・」

 

幸「いいから!」

 

たまて「あ、はい・・・」

 

貴之「椿森怖え・・・」

 

麻衣子(あの子どうしたの?)

 

優輔(椿森幸は栄依子にしか目が無いんだ。)

 

 

 

 

 

 

この夏祭りには、榎並先生も来ていた。かき氷を食べてる。

 

栄依子「先生!」

 

榎並先生「お前らか。」

 

侑李「ヤッホー先生!会っちゃったね!」

 

たまて「流石の榎並先生さんも遊びに来ちゃうんですね!お祭りって!」

 

榎並先生「遊びじゃねえ。仕事だ。」

 

かき氷を後ろに隠してる。

 

榎並先生「こう言う地域のイベントって事は、教師が見回る事になってんだよ。」

 

たまて「先生は1人で見回ってるんですか?」

 

榎並先生「学年主任と一緒だったんだがな、逸れたフリをして置いて来た。」

 

貴之「可哀想じゃないですかそれ・・・」

 

栄依子「そう言う事をするから怒られるんですよ。」

 

榎並先生「五月蝿え。」

 

麻衣子「優輔の先生?」

 

優輔「ああ、榎並清瀬先生。俺達のクラスの担任だ。」

 

麻衣子「初めまして先生。佐野優輔の姉の佐野麻衣子です。」

 

榎並先生「ああ、佐野のお姉さんですか。お世話になっております。佐野、良いお姉さんを持ったな。」

 

優輔「ありがとうございます。」

 

栄依子「もう一層、浴衣で来れば良かったのに。」

 

侑李「そうだよ先生。浴衣姿で来れば雰囲気変わるよ?」

 

榎並先生「仕事だっつんてんだろ。お前ら、祭りだからってハメ外して悪さしてないだろうな?」

 

たまて「悪さ?」

 

美鈴「何の悪さ?」

 

冠「西日本に、東日本の蝉を解き放って生態系を破壊したり。」

 

たまて「人の折り紙の金色を躊躇無く使ったり。」

 

榎並先生「極悪だな。」

 

優輔「何ちゅう悪さだ。」

 

美鈴「ワルサーP38。」

 

侑李「ルパン三世?」

 

栄依子「まぁまぁ先生。一口どうぞ。」

 

榎並先生「っ・・・」

 

ソフトクリーム一口食べた。

 

栄依子「美味しいですか?」

 

たまて「教師を餌付けする女子高生・・・」

 

優輔「何だこの光景・・・」

 

榎並先生「ソフトクリームって感じの味だな。」

 

貴之「まんまじゃないですか。」

 

栄依子「まぁソフトクリームですから。あ、先生付いてますよ?」

 

口の周りに付いてるクリームを指で取った瞬間。榎並先生がそのクリームを食べた。

 

栄依子「え!?」

 

榎並先生「ああ悪い。つい。」

 

栄依子「・・・・・」

 

たまて「お盛んですな〜。」

 

麻衣子「面白い先生ね・・・」

 

花名「な、何が起こったの!?」

 

たまて「っ!?」

 

後ろから気配を感じたたまてが振り向いたが、何も無かった。

 

 

 

 

ヨーヨー釣り、射的、ひよこすくい、綿あめ、くじで花火を手に入れたり、りんご飴を買ったりもした。

 

 

 

 

神社の方へ向かった9人。そこでお参りをする。

 

栄依子「これからどうする?」

 

たまて「さっきくじで当たった花火やりに行きませんか?」

 

 

 

 

 

 

一方志温と大会は。

 

大会「今日は本当にありがとうございました。大家さん。」

 

志温「良い気分転換になったかしら?」

 

大会「はい。それはもう。」

 

彼女の手には学業成就のお守りがあった。

 

大会「私はこんな時、花名ちゃんや大家さんに背中を押してもらってるばっかりで・・・このご恩は、必ずや夏期講習無遅刻無結成でお返しします!キラキラピチピチになりするものぞ!!」

 

志温「わ〜。」

 

 

 

 

 

 

一方9人は、近くの河川敷で花火をしていた。

 

花名「わ〜!」

 

栄依子「花火とか久し振り〜!」

 

花名「私も!」

 

優輔「花火をやると童心に帰るな!喰らえ!!」

 

貴之「その気持ち分かるぜ!おっと!!」

 

手持ち花火でバトルをしてる2人。

 

麻衣子「こ〜ら危ないでしょ?」

 

たまて「私も超久し振りですよ〜!」

 

火の玉を持ってるたまて。

 

花名・冠・美鈴「わああああああ!!!」

 

冠「お化け怖い・・・!」

 

美鈴「誰か助けて・・・!」

 

花名「か、神様にお祈りした後だから大丈夫だよ・・・!」

 

たまて「あ、これこう言う花火ですよ?」

 

侑李「面白い花火ね。」

 

たまて「皆の衆はさっきの神社で何をお願いしたんですか?」

 

栄依子「たまは?」

 

たまて「世界が平和になりますように!お野菜の値段が高騰しませんように!限定ライブ当たりますように!これからも皆で楽しく宜しくやれますように!」

 

栄依子「多いな〜・・・」

 

侑李「でも野菜の値段は大事よね。」

 

たまて「美鈴ちゃんは何をお願いしたんです?」

 

美鈴「私は・・・素敵な子と出会えますように!」

 

貴之「それかよ・・・」

 

たまて「貴之君は?」

 

貴之「俺は普通に健康でいられますようにだ。優輔は?」

 

優輔「俺はそうだな・・・良い将来が見付かりますようにだ。それと、姉ちゃんに幸せが訪れますようにだ。」

 

麻衣子「ありがとう優輔。」

 

優輔「姉ちゃんは?」

 

麻衣子「私は家がこれからも繁盛しますように。そして、お爺ちゃんとお婆ちゃんが元気でいられますようにって。」

 

優輔「本当に爺ちゃんと婆ちゃんが好きなんだな。」

 

麻衣子「当たり前よ。2人に恩返ししないなんてつまんないんだもん。」

 

たまて「栄依子ちゃんは何をお願いしたんです?」

 

栄依子「秘密。だって、口に出すと叶わないって言うじゃない。」

 

たまて「えー!?神様はそこまでケチじゃないですよ!」

 

冠「じゃあ、私も秘密。」

 

侑李「私も同じく。」

 

たまて「えー!?は、花名ちゃんは?花名ちゃんは教えてくれますよね・・・?」

 

花名「うん。あ、でも、お願い事はしてないって言うか・・・」

 

たまて「してない?」

 

冠「無欲?」

 

花名「お礼したの。ありがとうございますって。今の学校で、皆と友達になれて、毎日楽しいから!」

 

たまて「花名ちゃん・・・」

 

美鈴「もう花名ちゃん天使・・・」

 

冠「私もお礼する。」

 

たまて「私も行きます!」

 

栄依子「私も!」

 

侑李「私も行く!」

 

美鈴「私も私も!」

 

花名「え、ええ!?今行くの!?」

 

優輔「おい待てよお前ら!」

 

 

 

 

すると花火が空に舞い上がった。

 

 

 

 

花名「わぁ〜!」

 

貴之「綺麗な花火だ!」

 

たまて「見事ですね〜!」

 

栄依子「たーまやー!」

 

侑李「かーぎやー!」

 

冠「たーまてー!」

 

たまて「はーい!」

 

 

 

 

志温や大会、更に榎並先生も花火を見てる。

 

 

 

 

たまて「いやぁ〜、我々の夏休みを祝うような花火ですね!」

 

栄依子「そうね〜。」

 

たまて「夏休みは始まったばかりですからね!これから楽しい事がいっぱいありますね!」

 

花名「あ。」

 

ピンク色の花火を見て、花名は入学式の頃を思い出した。

 

 

 

 

栄依子『遠回りして良かったでしょ?』

 

 

 

 

花名(うん、良かった。遠回りして良かったよ!)

 

 

 

 

たまて「こうしちゃいられません!我々も対抗しましょう!!」

 

打ち上げ花火とヘビ花火を大量に持って来た。

 

花名「か、冠ちゃん!?どうしてそんなに打ち上げ花火持ってるの!?」

 

冠「でっかい花火、打ち上げようぜ。」

 

優輔「急にイケボ!?」

 

栄依子「かむの方が飛んで行っちゃいそうだけど。」

 

花名「・・・うふふ。」

 

ヘビ花火を着火。みるみる伸びる。

 

花名「ねぇ冠ちゃん。」

 

冠「ん?」

 

花名「これがでっかい花火なの?」

 

冠「おーよ!」

 

優輔・貴之「ちっちゃいでかい花火だな。」

 

麻衣子「どっち?」

 

こうして夏祭りを楽しんだ花名達であった。

 

「END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
     一之瀬葉月:日笠陽子
     佐野麻衣子:中村繪里子
     高橋菜々恵:水瀬いのり
       大谷周:芳野由奈
     小鹿野真秀:貫井柚佳
     佐々木陽菜:田中あいみ
       椿森幸:高野麻里佳
       岩崎敬:小原好美
     藤井ばんび:木野日菜
     島田美弥子:金子彩花
       多佳子:宮沢きよこ
        史生:槇原千夏
      おいさん:相場康一

次回「スロウのスタート」


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LASTSTEP「スロウのスタート」

夏休みのある日。花名が部屋で本を読んでると。

志温「花名ちゃん、今良い?」

花名「ん?」

志温「葉月さんからお届けものよ。」

花名「わぁ〜!もしかしたら新しいお洋服かな?・・・あれ?志温ちゃん荷物は?」

志温「それが花名ちゃん宛てには、この封筒だけだったの。」

1枚の封筒を渡した。

花名「封筒?」

その封筒を開けると・・・






お金が入ってた。






志温「は、花名ちゃん!?」

お金を見た花名が涙を流した。

花名「わ・・・私・・・いらない子になっちゃったのかな・・・」

志温「えええ!?」




すぐに母の葉月に電話する。

葉月「いやだからね。別に花名の事を見捨てた訳じゃなくて。花名も高校生なんだし私が選ぶより自分で選びたいかな~と思ったから。」



花名「急に言われても・・・自分で・・・」

葉月『花名も自分で好きな服あるでしょ?』

花名「それはあるけど・・・何時も買ってもらってる服に不満がある訳じゃないんだけど・・・」

葉月『どんな服選んだか後で写真送ってね。』

花名「そ・・・そんな!」

葉月『楽しみにしてるわね〜。じゃあね〜。』

通話終了。




一之瀬家。

健「お・・・おい・・・花名に任せて大丈夫か?ギャルみたいになったりとか・・・」

葉月「ははは!ないない!だって花名よ?今より地味になる事はありそうなんだけど・・・」

健「そうかもな・・・でもはーちゃんの選ぶ服何時も花名に似合ってるからな。」

葉月「そ・・・そう?そんなに似合ってた?」

健「うん。流石母親だな~と思ったよ。」

葉月「そ・・・そんな事もなくわないかしら~。」

健「凄い嬉しそう。」

仲の良い夫婦である。


夏休みの登校日の朝。冠が1匹の猫を見付けて後を追っていた。猫が止まると冠が止まる。猫が走り出すと冠も走り出す。猫が路地へ逃げた。冠も路地へ行くと。

 

たまて「かむちゃんゲットです~!あぁ夢にまで見たかむちゃんが遂に我が手に!もう離さない!愛してる!」

 

何故かたまてが待ち伏せして、冠をギュッと抱き締めた。しかし冠が引き離した。

 

冠「そんな簡単にはいかない!」

 

たまて「ほらほらかむちゃん。お菓子でちゅよ~。」

 

カバンからうまい棒を出した。冠は抵抗したが、我慢が抑え切れずにうまい棒を食べた。

 

たまて「にゃは〜!」

 

 

 

 

 

 

1年2組。

 

栄依子「あぁ〜。それでかむはお菓子食べてるのね。」

 

貴之「どんだけお菓子に目が無いんだよ冠は。」

 

たまて「一本釣り出来ました~!」

 

優輔「10円で一本釣りって何か凄えな・・・」

 

冠「次は釣られない。」

 

美鈴「頑張って冠ちゃん。」

 

たまて「次はかむちゃんの好みをリサーチした完璧なえ付けをしてみせますよ!」

 

侑李「と、たまが仰ってますけど?」

 

冠「そんなに安くない!」

 

栄依子「爆釣りだ~。」

 

侑李「爆釣りね〜。」

 

 

 

 

花名「おはよう。」

 

たまて「あ!花名ちゃん!おはようございますですよ!」

 

優輔「よう花名。おはよう。」

 

栄依子「おはよう花名。」

 

冠「おはよう花名。」

 

侑李「花名おはよう。」

 

貴之「花名おはようさん。」

 

美鈴「おはよう花名ちゃん!」

 

たまて「それにしても登校日って授業無くて最高ですね!普段も集まって話して解散だったらどんなに良い事か!」

 

美鈴「私もそれ思ってた!」

 

栄依子「寄合所だそれ。」

 

冠「お弁当も無い。」

 

優輔「確かにそうだな。」

 

栄依子「午前中で解散だもんね~。何処か食べに行く?」

 

たまて「良いですな〜!」

 

優輔「じゃあ俺の家へ来るか?」

 

栄依子「え?良いの?」

 

優輔「折角だし寄ってくれ。サービスしてやる。」

 

侑李「ありがとう優輔!」

 

花名「・・・・・」

 

栄依子「花名?」

 

花名「え?ああごめん・・・」

 

たまて「どうしたんですか花名ちゃん?もしかして、花名ちゃんもお腹空きました!?」

 

美鈴「私も絶賛空腹中!」

 

優輔・貴之「お前に聞いてねえよ。」

 

花名「・・・高校生にもなってお母さんが選んだお洋服着てるって変なのかな・・・」

 

たまて「花名ちゃんのお洋服はお母さんセレクトでしたか~!」

 

花名「うん。でも今度は自分で選んでみなさいって。」

 

栄依子「私たまに母親に服作って貰ってるけど。」

 

花名「え!?そうなの!?」

 

美鈴「え!?お母さんの手作り!?」

 

たまて「私はおばあちゃんのお着物お直しして貰って着てますよ。」

 

優輔「凄え!」

 

栄依子「かむもお母さんが選んだ洋服よね基本。」

 

冠「ん。でもひらひらひらひらひらしてて。」

 

栄依子「ひらひら1つくらい減らしてもらいたいわよね~。」

 

たまて「まぁ自分で選んだりもしてますけど別に変じゃないですよ。」

 

花名「そ・・・そっか。」

 

優輔(さっきから椿森の視線が・・・)

 

ずっと椿森幸の視線を気にしてる優輔だった。

 

栄依子「良い機会じゃない。皆で服を買いに行かない?私も新しいの買いたかったのよね~。」

 

たまて「良いですね~!花名ちゃんに似合うのを皆で選びましょう!花名ちゃんにはもっと過激なのも行けると思うんですよ!」

 

冠「全裸とか。」

 

優輔・貴之「ブッ!」

 

栄依子「それだと服いらないな~。」

 

侑李「服着なさいよ。」

 

花名「自分で選ぼうとすると難しいな~・・・大会さんの気持ちが分かったかも。」

 

たまて「花名ちゃん。そう言えば万年お姉さんはお元気ですか?」

 

花名「あ、うん。この前のお祭りも志温ちゃんと行ってたみたい。」

 

栄依子「へ~そうなんだ。会いたかったな~。」

 

侑李「また色々いじる気なのあなたは?」

 

たまて「お祭りに行けるならもうコンビニも余裕ですね!」

 

花名「最近は10km先のコンビニでも余裕だって言ってたよ。」

 

美鈴「何でコンビニに拘るの?」

 

栄依子「そんなに縄張り広げてどうするのかな~。」

 

優輔「もう寧ろ大型デパートでも行けるんじゃねえの?」

 

たまて「じゃあ我々も縄張り広げますか~。花名ちゃんにお似合いの洋服屋さんマップも!」

 

貴之「張り合ってどうする。」

 

栄依子「そうね~。じゃあ明日で大丈夫?」

 

たまて「流石栄依子ちゃん!行動早い!私も良いですよ。花名ちゃんは大丈夫ですか?」

 

花名「う・・・うん。大丈夫。ありがとう。」

 

たまて「よーし!花名ちゃんに似合う花名ちゃんらしいお洋服見付けちゃいましょー!」

 

花名「私らしい?」

 

美鈴「花名ちゃんらしい可愛い服を探そうね。」

 

冠「その後で皆でパフェ食べたい。」

 

たまて「良いですねー!花名ちゃんのお洋服選びからのパフェコース!およパフェ!」

 

冠「およパフェ。」

 

たまて「パーフェクトなお洋服と言う意味でもあります!」

 

花名「およパフェ・・・」

 

冠「およパフェ。」

 

優輔「女子高生が使いそうな言葉が出たな。(ってか椿森、栄依子ばっか見てるやんけ・・・)」

 

 

 

 

榎並先生「お前ら何時も元気だなぁ。」

 

栄依子「おはようございます先生!」

 

侑李「おっはよー先生!」

 

たまて「おはようございますですよ!先生も元気いっぱい頑張りましょう!」

 

榎並先生「そう言うのはお前らに任すわ。」

 

たまて「任されました!」

 

優輔・貴之・美鈴「任されちゃったよ。」

 

榎並先生「まっ、取り敢えずホームルーム始めるぞ。」

 

 

 

 

 

 

放課後の廊下。

 

栄依子「先生お疲れ様でした。」

 

榎並先生「おう。」

 

栄依子「今日はこれで終わりですよね?」

 

榎並先生「ん?そうだな。全く・・・何で夏休みなのに学校に来ないといけないんだ。」

 

栄依子「先生飴食べます?美味しいんですよこれ。」

 

榎並先生「お。知ってる。美味いよなこれ。」

 

栄依子「じゃあはい。どうぞ。」

 

榎並先生「サンキュ。」

 

飴を貰って食べる。すると後ろから。

 

学年主任「榎並先生。至急こちらに来て下さい。」

 

呼び出された。

 

栄依子「お説教ですか?」

 

榎並先生「五月蝿ぇ・・・」

 

栄依子「うふふ。」

 

 

 

 

榎並先生「ほら。ちょっとこれ預かってろ。」

 

何と飴を栄依子の口に入れた。

 

栄依子「っ!?」

 

 

 

 

榎並先生「はい。何でしょうか。」

 

栄依子「預かってろ・・・とは。それはつまり・・・甘・・・」

 

 

 

 

数分後。栄依子が外を眺めてると。

 

榎並先生「あぁ疲れた・・・」

 

栄依子「ご苦労様です。」

 

榎並先生「飴は?」

 

栄依子「終わっちゃいましたよそんなの。」

 

榎並先生「何だと・・・?」

 

栄依子「戻って来るの遅いんですもん。」

 

榎並先生「仕方無いだろ。学年主任の説教が長いんだし。」

 

栄依子「あは。やっぱりお説教だったんだ。」

 

榎並先生「五月蝿ぇ。もう・・・持ってないのか?飴。」

 

栄依子「いや~あれが最後でした。」

 

榎並先生「マジか・・・くっそ~。」

 

栄依子「まだ・・・味、残ってますけど?」

 

榎並先生「何言ってんだ馬鹿。」

 

出席簿で栄依子を叩いた。

 

栄依子「痛った~い。」

 

榎並先生「痛くないように叩いてるだろ。」

 

栄依子「確かに全然痛くないですけど・・・」

 

榎並先生「さっさと帰れよ。」

 

去って行く榎並先生。栄依子はポケットからあの飴を取り出した。

 

栄依子(甘い・・・けど期待してた甘さとは違うのでした。な~んて。)

 

 

 

 

たまて「もう1個持ってるじゃないですかー!」

 

冠「沢山持って来てた。」

 

花名「私さっき貰ったよ・・・」

 

優輔「しかし何だ?生徒と先生の禁断の恋的な感じは。」

 

貴之「にしても栄依子、榎並先生を煽ってたな。」

 

美鈴「凄いね栄依子ちゃん。」

 

侑李「相変わらずね栄依子は。」

 

2人のやり取りを彼女達がこっそり覗いてた。そしてもう1人。

 

幸「栄依子ちゃん栄依子ちゃん栄依子ちゃん栄依子ちゃん栄依子ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

その後花名がアパートに帰ると。

 

大会「あ!花名ちゃんおかえり~!」

 

花名「え!?」

 

何と志温と大会が制服姿になっていた。

 

志温「花名ちゃんおかえりなさい!」

 

花名「ど・・・どうしちゃったの2人共その服・・・」

 

大会「聞いてくれるか花名ちゃん!?」

 

志温「聞いて欲しくてここで2人で待ってたのよね~。」

 

大会「実は!先日申し込んであった夏期講習がついに明日から始まるのだが!浪人だと気取られるぬように大家さんの助言で高校の制服を着用していこうかと思ってな。ちょっと試着していたのだ!」

 

花名「わ・・・わ~・・・」

 

志温「可愛いですよ万年さん。」

 

花名「大会さんはまだしも・・・志温ちゃんまでどうして制服なの?」

 

志温「ノリで!」

 

大会「え?ノリ・・・?」

 

花名「ノリで・・・?」

 

大会「ま・・・まぁこの作戦はいかがだろうか花名ちゃん?」

 

花名「あの・・・もう夏休みだから制服で来る人はあんまり居ないと思う・・・」

 

大会「・・・はっ!」

 

冷静なツッコミ。

 

 

 

 

部屋に戻ると、この前貰った封筒がテーブルの上にあった。

 

花名「私らしい服って・・・どんなだろう。」

 

 

 

 

 

 

満月が浮かぶ謎の森の中。

 

花名「ここは・・・あれ?何でパジャマ?」

 

大会「花名ちゃんも夏期講習に参加するのか!」

 

木の後ろに隠れてる大会を見付けた。

 

花名「え?わ・・・私は・・・大会さんまたスウェットに戻ってますよ。」

 

大会「自分らしさを追求した結果こうなったのだ!花名ちゃんもお揃いだ!」

 

花名「え!?本当だ!スウェットになってる・・・」

 

パジャマから何時の間にかスウェットになってた。

 

大会「おっと!講習に遅刻してしまう!またな花名ちゃん!」

 

猛ダッシュで去って行った。

 

花名「え!?ひ・・・大会さん!き、気を付けて・・・」

 

 

 

 

森の中を進むと。

 

花名「ん?何?泉?」

 

青く光ってる泉を発見した。その中から志温が出て来た。

 

花名「志温ちゃん!?」

 

志温「あなたの落としたのは、この金のたまちゃんでしょうか?それとも銀のたまちゃんでしょうか?」

 

両手に金色と銀色に輝く2人のたまてがあった。

 

花名「志温ちゃん何を・・・」

 

志温「今は泉の精よ。遂に就職が決まったの。」

 

花名「ええ・・・?」

 

遂に志温が就職決定した?

 

志温「あなたが突き落としたのはどちらのたまちゃんでしょうか?」

 

花名「どっちも突き落としたりしてないよ!」

 

志温「正直者のあなたにはこの金のたまちゃんを授けましょう。銀なら3人分よ。」

 

花名「あ・・・ありがとうございます。」

 

たまて「助けてくれたお礼に秘密をお話しします。花名ちゃん。実は私浪人してたんです。」

 

花名「ええ!?」

 

冠「私も。」

 

花名「冠ちゃんも!?」

 

優輔「俺も浪人。」

 

貴之「右に同じく。」

 

美鈴「同じく!」

 

花名「ええ!?」

 

栄依子「私なんて浪人しまくりでもう20歳なの。」

 

侑李「私ももう20歳。時が経つの早いよね〜。」

 

花名「通りで大人っぽいと思ってたけど・・・じ・・・実は私も浪人してて・・・」

 

たまて「あらー!花名ちゃんもでしたか!」

 

花名「なーんだ。みんなも同じだったんだね。安心しちゃった!」

 

 

 

 

 

 

すると目覚ましが鳴った。花名は起きてすぐに止めた。因みに先程の出来事は花名の夢の中だった。

 

花名「ごめん・・・皆。特に栄依子ちゃん、侑李ちゃん。20歳で納得してしまって・・・がくっ。」

 

納得してしまった事を反省した。

 

 

 

 

 

 

軽井沢アウトレットパーク。

 

侑李「花名ー!」

 

たまて「花名ちゃん花名ちゃーん!こっちですよ!」

 

花名「うん・・・やっぱり何買って良いか分からないよ・・・」

 

栄依子「無理に今日買わなくても良いんだし、似合ってる服をゆっくり探していこう?」

 

花名「う、うん。」

 

冠「素材が良い。」

 

花名「え?」

 

冠「花名は何でも似合うと思う。」

 

たまて「そうでしょ~。花名ちゃんはかむちゃんと同じで最高の素材ですからね!」

 

花名「素材って・・・」

 

 

 

 

店員「ただいまよりマグロの解体ショーを始めます!皆様見学して下さ〜い!」

 

 

 

 

たまて「かむちゃん聞きましたか!?これは是非参加しなくては!」

 

冠「合点承知!」

 

美鈴「私も行くよ!」

 

たまて「と言う訳でちょいと失礼します!」

 

全力ダッシュでマグロの解体ショーを見に向かった。

 

花名「ああ!たまちゃん!冠ちゃん!美鈴ちゃん!」

 

栄依子「先に行ってるからねー!」

 

侑李「早く来てねー!」

 

貴之「マグロの解体ショーか。」

 

優輔「最近見たな俺。」

 

栄依子「花名、取り敢えず5人でお店に行くよ。」

 

花名「う、うん。」

 

 

 

 

服の店に来店。

 

花名(お母さんの選ぶ服って可愛いなって思うけど時々子供っぽいなと思う事もあって・・・じゃあ大人っぽい服をと思ったらなんかまだ私には似合ってない気がして・・・)

 

栄依子「ゆっくりで良いんじゃないかな?素直に今の花名が好きな物を着たら良いと思うわよ。無理に何時もと違う服を着てるのも花名らしくないしね。それはそれで可愛いと思うけど。」

 

侑李「そうね。今の花名も可愛いわよ。」

 

優輔「まあ一理あるな。今のお前も花名らしいしな。」

 

貴之「だが無理はするなよ。」

 

花名「栄依子ちゃん・・・侑李ちゃん・・・優輔君・・・貴之君・・・・・・やっぱりこれが良いかも・・・」

 

栄依子「それ花名らしいわよ。」

 

花名「え・・・?私らしい・・・?」

 

栄依子「うん。とっても素直な可愛い服よ。じゃあさっそく試着しましょうね。」

 

花名「え!?も、もう!?」

 

栄依子「すみませーん店員さん試着室借りますね。」

 

花名「え、栄依子ちゃん!?」

 

 

 

 

試着する花名。栄依子と侑李と優輔と貴之は待ってる。

 

花名「(栄依子ちゃんは凄いな・・・てきぱきして落ち着いてるし。自分で自分に似合うの見付けられるなんて・・・もしかして本当に20歳?)この服似合ってるのかな・・・私なんだかちょっとだけ大人っぽくなった気がする・・・ん?」

 

栄依子「どう?」

 

覗いてる栄依子。

 

花名「栄依子ちゃん!」

 

栄依子「わ~。良いじゃない。凄く似合ってる。」

 

侑李「本当だ!花名可愛い!」

 

花名「ゆ、侑李ちゃん!」

 

栄依子「・・・」

 

花名「どうしたの・・・?」

 

栄依子「花名、なんか大人っぽくなったかもって思って。」

 

花名「止めて止めて!気遣いなど無用です!」

 

栄依子「何で敬語・・・?」

 

侑李「またペンギンになってる。」

 

花名「大人っぽくなったというか少し成長したのかも・・・」

 

栄依子「胸とか?」

 

花名「う・・・うん。実は下着のサイズも合わなくなってて・・・」

 

栄依子「それも付き合おっか?」

 

花名「え?良いの?」

 

栄依子「良かったらお供します。」

 

侑李「私もお供するわ。」

 

花名「良かった・・・志温ちゃんに一緒に来てってお願いしようと思ってたんだけど・・・志温ちゃんからしたら私の胸の増減なんてアリンコが止まったくらいのものだろうなって。」

 

優輔「確かに、志温さんの胸でかかったな・・・」

 

貴之「どうやったらあんなにでかくなるんだよ・・・」

 

栄依子「あはは。志温さんから見たらみーんなアリンコかも。どうする?服買った後で行く?」

 

花名「あの・・・出来たら下着買う時は3人だけの時が・・・」

 

侑李「私と栄依子と?」

 

栄依子「そうなの?たまやかむはからかったりしないと思うわよ。」

 

花名「うん・・・それは分かってるんだけど・・・」

 

栄依子「ぐっ!?かむ!?」

 

戻って来た冠に抱き着かれた。

 

侑李「もう戻って来たの!?」

 

たまて「いや~!凄かったですよ解体ショー!」

 

冠「堪能した。味見もした。」

 

美鈴「また見たいなー!」

 

優輔「そのTシャツは何だ?」

 

貴之「赤身にまぐろに大トロって。」

 

栄依子「すっかりマグロに魅せられちゃって。」

 

冠「これからはマグロの時代来る!」

 

たまて「花名ちゃん!そのお洋服凄く似合ってますよ!めんこいです~!このTシャツと良い勝負ですよ!」

 

美鈴「本当だ!花名ちゃん可愛いー!」

 

冠「マグロの輝きと良い勝負。」

 

優輔「マグロで張り合うな。」

 

花名「意味は分からないけど褒められてる?」

 

栄依子「意味は分からないけど絶賛よ!」

 

 

 

 

その後雑貨屋に来た。

 

栄依子「ここは一点ものも多いから楽しいのよね~。」

 

冠「前花名とたまの誕生日の時に送ったプレゼントもここで買った。」

 

花名「本当だ~!」

 

たまて「そう言えば今日は栄依子ちゃんとかむちゃんの誕生日の間の日じゃないですか!?」

 

栄依子「確かにそうね。」

 

侑李「2人共誕生日おめでとう。」

 

栄依子「ありがとう侑李。」

 

冠「侑李感謝。」

 

花名「だったら栄依子ちゃんと冠ちゃんの分のぬいぐるみを買うのはどうかな?」

 

たまて「じゃあ花名ちゃんは栄依子ちゃんの分をお願いします!私がかむちゃんの分を買うですよ!」

 

栄依子「良いわね!皆でお揃い!」

 

冠「統一感大事。」

 

たまて「四天王~爆誕です!」

 

 

 

美鈴「四天王って、私達はどうなるんだろう?」

 

侑李「部下で良いんじゃない?」

 

美鈴「ええ!?」

 

優輔「四天王は花名達で十分だろ。」

 

貴之「俺達は四天王に仕える部下として。」

 

 

 

花名「栄依子ちゃん冠ちゃん。何色が良いかな?」

 

たまて「選んで下さいさぁさぁ!」

 

栄依子「ん~・・・じゃあお言葉に甘えて。私はこの子かな。」

 

冠「この子が呼んでる。」

 

たまて「了解!」

 

栄依子「それでこのぬいぐるみはたまと花名のと一緒に飾ってくれない?」

 

冠「私と栄依子も花名やたまと一緒に居たい。」

 

たまて「なんて良え子や~!女手一つでよくここまで育てはったな栄依子はん!」

 

嬉しくなって冠を抱き締めた。

 

冠「ふん!」

 

栄依子「たま、かむの捕獲テクニック上がってない?」

 

 

 

美鈴「良え子ね。栄依子ちゃんだけに。」

 

優輔「・・・」

 

貴之「・・・」

 

侑李「・・・」

 

美鈴「あ、あれ?」

 

 

 

栄依子「で、花名。お願い出来る?」

 

花名「勿論だよ!」

 

たまて「これで何時も一緒ですね!」

 

花名「たまちゃん!」

 

たまて「花名ちゃん!」

 

花名「たまちゃん!」

 

冠「パフェ!」

 

花名「パフェ!」

 

たまて「そうでしたーパフェー!クマとマグロの気まぐれパフェー!」

 

栄依子「気まぐれが過ぎるなぁ・・・」

 

冠「普通のが良い。」

 

花名「あははは。」

 

 

 

 

 

 

夕方。軽井沢駅。

 

花名「今日はありがとう。お陰で素敵な服が選べたと思う!」

 

たまて「今度それ着てお出掛けしましょ~!」

 

花名「うん!」

 

冠「その服でパフェ食べに行ったり、お寿司食べに行ったり、かつ丼食べに行ったりしたい。」

 

栄依子「どんどん服がメインから外れていくなぁ。」

 

冠「後優輔のお店へ食べに行ったりもしたい。」

 

優輔「何時もで来てくれ。歓迎するぜ。」

 

たまて「じゃあ花名ちゃんまた学校で!」

 

栄依子「またね。」

 

冠「また。」

 

侑李「またね花名。」

 

 

 

 

 

 

一方大会は、予備校の前に立っていた。

 

大会(今日は止めてまた明日にしようか・・・いや、明日は雨な気がするから明後日にしよう・・・きょ…今日は仏滅だった気が・・・)

 

彼女は勇気を出して予備校へ進んだ。

 

 

 

 

 

 

一方優輔は、部屋でゲームをしていた。

 

麻衣子「優輔、ご飯よ。」

 

優輔「おう。今日のメニューは?」

 

麻衣子「今日はマグロ祭りだよ!」

 

優輔「マグロ!?マジかよ!」

 

麻衣子「どうする?海鮮丼にする?」

 

優輔「海鮮丼食いたい!」

 

麻衣子「OK!」

 

 

 

 

 

 

そしてアパートでは。

 

志温「今日はお魚が安かったからお刺身にしてみたのよ。」

 

花名「美味しそう!もうお腹空いちゃった!」

 

志温「それでね。あまりにも良い素材だったから兜煮を作ってみたの。」

 

マグロの兜煮を見せた。

 

花名「素材!?兜煮!?」

 

志温「目玉にはDHAが沢山含まれてるのよ。」

 

マグロの目玉は非常に栄養価が高い。記憶力の向上、学習能力の向上、頭の回転が良くなる、視力低下の予防の効果がある。

 

花名「志温ちゃん!」

 

志温「ん?どうしたの?」

 

花名「ご飯食べたらお願いがあるんだけど・・・」

 

志温「またお風呂で一緒に頭洗って欲しいとか?」

 

花名「そ・・・そんな事じゃないよ!お母さんに渡されたお金で洋服買って来たんだけど・・・良かったら写真・・・撮ってくれないかな?それをお母さん達に送りたいんだけど。」

 

志温「良いわよ。葉月さんに見せてあげましょう。ちゃんとセットや小物も用意しないとね。」

 

謎のトロフィーを出した。

 

花名「えぇ!?別にそれはいいよ!」

 

 

 

 

 

 

買った服を着て志温の元へ。

 

花名「志温ちゃ・・・」

 

志温「じゃーーん!」

 

また制服姿になっていた。

 

花名「志温ちゃん!?」

 

志温「折角なんだし2人で撮りましょう。」

 

花名「えぇ~!?」

 

志温「その服凄く可愛いわね。」

 

花名「そ・・・そうかな・・・」

 

志温「花名ちゃんに似合ってるわ。」

 

花名「ありがとう志温ちゃん。」

 

 

 

 

2人で撮る事に。

 

花名「いきなり写真送ってびっくりしないかな・・・」

 

志温「絶対喜ぶわよ。葉月さんも制服姿送ってくれないかしら。」

 

花名「それは流石にお父さんが止めると思うよ・・・」

 

一眼レフの前に立つ。

 

志温「さぁ花名ちゃん、並んで並んで。」

 

花名「うん。」

 

志温「花名ちゃん。高校生っぽくなったわね。」

 

花名「え!?」

 

驚いて志温に向いた瞬間、シャッターが切られた。

 

花名「あ・・・」

 

志温「ちゃんと前向いておかないと~。」

 

花名「だって志温ちゃんが変な事言うから・・・」

 

志温「あ!サメのパジャマ姿も送りましょう。」

 

花名「志温ちゃ~ん!あれは駄目だよ~!」

 

 

 

 

 

 

『一之瀬花名、17歳。まだ友達に秘密は言えてないけど何時かは自分の口からちゃんと言えたら良いな・・・遠回りになったけど私の幸せはゆっくり始まる・・・』

 

何時かは皆に自分の秘密を言えるように努力する花名であった。彼女の幸せはこれからも続く。

 

「THE END」




         キャスト

     一之瀬花名:近藤玲奈
     十倉栄依子:嶺内ともみ
     百地たまて:伊藤彩沙
       千石冠:長縄まりあ
      億崎侑李:白石晴香

      佐野優輔:塩野瑛久
      浪江貴之:内田雄馬
      松原美鈴:伊藤美来

      京塚志温:M・A・O
      榎並清瀬:沼倉愛美
     一之瀬葉月:日笠陽子
      一之瀬健:小山力也
     佐野麻衣子:中村繪里子
       椿森幸:高野麻里佳
      学年主任:櫻井浩美


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