ストブラに紅魔館組をブチ込んでみた (羽倉)
しおりを挟む

1・原作500年前 覚醒

初めまして、羽倉といいます。
この小説は私の処女作となっているため温かい目でご覧いただけると幸いです。
それでもいいと言う方はご覧になってください。


 目の前に(あか)が広がっていた。

 目の前には武器を持った男達と沢山の死体が無造作に転がっていた。

 私はその中の一つであるお父様だったモノをただ呆然と見つめていた。

 ダメだ思考がまとまらない。

 目の前の現実を幼い私は決して受け入れる事など出来なかった。

 

 「何人死んだ…」

 

 知らない男の声が聞こえてくる。

 

 「ッ!」

 

 ドタッと私は余りにも恐ろしい光景に尻もちついてしまった。

 

 「待て、もう一人居たぞ!」

 「見た目に騙されるな!相手は吸血鬼だ!」

 

 そして理解した。だがそれでも聞かずにはいられなかった。

 

 「アナタ達が…お父様を殺したの?」

 

 すると男達が警戒しながら近づいて来て

 

 「お前もこいつと同じところに送ってやるよ。」

 

 そうか、コイツらがお父様を…

 それを理解した時、頭の中が業火の様な激しい怒りに染まった。

 

 「死ね。」

 

 そう男は短く呟き、赤く血で染まった剣で私の体を切り裂こうとする。

 

 その瞬間私の中の天秤がカタンと音をたて傾いた。

 

 「グァァァァァァァァァァァァ」

 

 どういう事だろう?私を切り裂こうとした男に剣が突き刺さっている。

 

 「ッ!」

 「何だその眷獣は!?」

 

 男達の驚愕の視線が私の背後に注がれている。

 後ろを振り向くと、光り輝く黄金の天秤が浮かんでいた。

 

 「これが私の眷獣?そうね…アナタの名前は

      『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』!」

 「さぁ、貴方達の運命を傾けましょう?」

 

 弓兵から銀の矢が放たれる、しかしその矢は曲がり弓兵の頭を穿つ。槍が私を襲う。だが槍は折れ槍使いの心臓に深く突き刺さる。斧を振り下ろそうとした男は足を滑らせ頭から斧に突っ込む。

 後には一人だけが残った。

 

 「た、助けてくれ。何でもするだから、どうか命だけは…」

 

 「そう…貴方はそうやって命乞いをしてきた魔族を助けたことがあったの?」

 

 「ッ!それは…」

 

 「あるわけ無いわよね?だって、貴方達は従者達を…あんなに優しかったお父様を殺したのだから!!」

 

 「ひぃっ ゆ、許し…」

          

          グシャ

 

 気づいたら私は頭の無い死体を持っていた。それを不思議に思っていたが、フランとお母様の事を唐突に思い出した、早くしないと人間達に殺されてしまう!

 急ぎフランとお母様を探しに行かなければ!

 

 「ありがとう、『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』。」

 

 私は『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』を魔力に戻し、手に持っていた『物』を放り捨て私は二人を探す為に屋敷の中を走り出した。

 

 「フラン!お母様!一体何処に居るの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが私レミリア・スカーレットの始まりの物語だ…

 




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2・原作500年前 蘇生

 屋敷の中を走り初めて1分以上が経過した頃だろう。

 とてつもなく大きな魔力を感じた、この魔力量はお母様の眷獣の物だろう。急いで大広間に出ると、お母様が愛用している白銀色のイルカ型眷獣『共鳴の海豚』《レゾナンス・デルフィーヌス》と武器を持った男達が向かい合っていた。

 

 「蹂躙しなさい『共鳴の海豚(レゾナンス・デルフィーヌス)』!」

 

 『共鳴の海豚(レゾナンス・デルフィーヌス)』が特殊な超音波を出し、男達の頭を次々と破裂させていく。大広間は一瞬で血の海になり、頭の無い死体が崩れ落ちる。男達は誰一人として生き残る事は無かった。

 

 「お母様!」

 

 私は赤子のフランを抱えているお母様に飛びつく。

 

 「レミリア!良かった無事だったのね!」

 

 「お母様!お父様が…男達に…」

 

 私は途切れ途切れになりながらお母様にお父様が亡くなった事を伝える。

 

 「レミリア、急いでそこに案内して頂戴。」

 

 「うん…わかった」

 

 急いで私達はお父様の元へ向かう。

 

 「お願い『再生の神盾』《レナトゥース・アイギス》!」

 

 お母様が急いでお父様に駆け寄り、淡い翆色の丸い盾の形をした眷獣を召喚した。

 

 「お母様その眷獣は?」

 

 「『再生の神盾(レナトゥース・アイギス)』はこの盾を持った者と『再生の神盾(レナトゥース・アイギス)』自体に再生の能力を常に与え続けるの。これで死体を再生させ蘇生を試みるわ。」

 

 そう言って、お母様はお父様の手に『再生の神盾(レナトゥース・アイギス)』を持たせ、お母様の眷獣である『氷像の大熊(アイス・ビッグベア)』を使いお父様を凍らせた。

 

 「後は私の第五真祖(お父様)に任せるわ、ただ今第五真祖(お父様)は眠ってしまっているの。だから第五真祖(お父様)が目覚めるまではお父様の事を蘇生できないの。」

 「お父様は今は死んでしまって、体から魂が抜けている状態なの。私では魂を元へは戻せないけど、第五真祖(お父様)の眷獣なら魂を戻すことが可能なの。」

 

 「第五真祖?」

 

 私は首をかしげながら、お母様にそう聞き返した。

 

 「あら、そう言えばレミリアには伝えてなかったわね。」

 「真祖はね、第一から第五までいる初めの吸血鬼なの。吸血鬼は全てこのどれかの真祖の血を受け継いでいるわ。私は第五真祖のたった一人の子供、つまり貴方は第五真祖の孫ということになるわね。」

 

 「お母様、真祖ってどれ位強いの?」

 

 「そうね…真祖は一人だけで一国を滅ぼすことが出来る位には強いかしら。だからね、真祖の孫である貴方もとても強いわ。」

 「ただ、第五真祖(お父様)はとても面倒くさがりで、自分から紅魔館の地下深くで長い眠りについているわ。」




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3・原作500年前 戦闘

初めての戦闘シーン、上手く書けた自信がないです。戦闘描写って難しいですね。


 

あの忌々しい事件から20年経った。今では妹のフランも20歳になり、十年前から私と一緒に戦闘訓練を出来るまでになった。とはいえ、まだフランは眷獣を使うことが出来ないため、基礎的な訓練しかしてはいないが…。

 

 「お姉様大丈夫?少し顔色が悪いわ。」

 

 いけない、フランを心配させてしまったようだ。

 

 「大丈夫よフラン、少し昔を思い出していただけだわ。」

 

 「大丈夫なら良いんだけど…」

 

 「本当に大丈夫よ。」

 

 「そう、なら良いわ。ところでお姉様、今日眷獣を出せる気がするんだ!」

 

 「それなら外へ行きましょう。部屋の中では危ないわ。」

 

 庭に出ると満月が輝き闇を照らしていた。私達はお互い離れて向かい合い

 

 「フラン、準備はいいかしら?」

 

 「ええ、準備万端よお姉様。」

 

 「では私から行かせてもらうわ、行きなさい『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』!」

 

 「じゃあ私も行くわ、来て。」

 

 フランがそう呟くと背後に、天に届き月を覆い隠しそうなくらいに大きな漆黒の狼が出てきた。

 

 「これが私の最初の眷獣…お願い『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』!!」

 

 「それがあなたの眷獣なのね。私の傾ける運命に抗えるかしら?」

 

 「やって見なくちゃわからないじゃない。それにこの子なら神様だって壊してみせるわ。」

 

魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』が一歩踏み出すと、あたり一帯に衝撃波が巻き起こり、草木が震え大地はめくれ上がり窓ガラスはビリビリと震え不快な音を立てて砕け散る。

 

「あら、なかなか威勢がいい眷獣ね。」

 

「そんなお姉様の余裕もいつまで持つかしら?」

 

魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』が前足を振るいレミリアをなぎ払おうとするが、レミリヤはそれを軽やかに躱す。風圧が暴風の様に荒れ狂い、レミリアの背後にあったものを全て薙ぎ払い破壊する。まるでハリケーンが通った後のような光景に驚いたレミリアは

 

「今のは少しヒヤッとしたわ、でもそんな大振りな攻撃じゃあ全く私に届かないわよ。」

「ッ!!『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』もう一度お姉様に攻撃よ!!」

 

魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』が今度はレミリアに地響きを立てながら突進を仕掛ける。

 

「防ぎなさい『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』。」

 

天秤が傾き『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』の運命を傾かせることで、脚をもつれさせ転ばせる。すぐに立ち上がりもう一度突進を仕掛けるが、天秤が傾きまた転んでしまう。突進の勢いのまま、土煙を立てながら突っ込んだ先にはフランがいた。

 

「フラン!!」

 

「なっ!キャァァァァ」

 

土煙が収まった後には血塗れで倒れ伏したフランがいた…。




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4・原作500年前 暴走

 

 私は急いで血塗れで倒れたフランに駆け寄る。

 

 「フラン大丈夫!!」

 

 「…………」

 

 「良かった息をしてるし、気絶してるだけみたいね。」

 

 (あれ?おかしいわね、傷口の再生が始まらない…)

 

 突然背筋が凍るほどに冷たい殺気を当てられ、その場を飛び退く。慌てて後ろを振り返るとフランを守る様に私を威嚇している『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』が居た。よく見ると先程より少し大きくなっている気がする。

 

 (フランが気絶したなら眷獣である『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』は消えるはず。なのに消えて無いって事は…まさか暴走してフランの魔力を吸っている!?)

 

 吸血鬼は魔力が無ければ再生出来ない、つまり『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』の暴走を止めなければフランの再生はいつまで経っても始まらない。それに暴走した眷獣は何をするかわからない。

 

 「押さえつけなさい『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』!!」

 

 『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』では余り時間を稼げないので、早く他の眷獣を出さなければ…この状況で使える眷獣は

 

 「目覚めなさい、『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』!!」

 

 『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』は吸血鬼の能力である吸血を司っている、そのため近づいただけで生命力と魔力を吸い取り自分の物とする能力を持った眷獣だ。

 私の背後から赤い霧が出てくる。よく見るとそれは小さな赤い蚊の集合体。一匹一匹が生命力と魔力を吸い取る事が出来る、質より量これが『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』の強みだ。

 

 「『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』戻ってきなさい。『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』、『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』に纏わり付きなさい。」

 

 『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)』が魔力に戻る。

魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』が前足を振り、赤い霧を払うが直ぐにまた赤い霧に包まれてしまう。きりがないと思ったのか、私を飲み込もうと大きな口を開け噛み付こうとする。

 

 「眠りなさい『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』。」

 

 あと一歩で私に届きそうな距離で『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)』の魔力がつき、夜に溶けるように消えていった。

 

 「ありがとう『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』。」

 

 

 

 

 

 眷獣か暴走してからフランは紅魔館の地下室からあまり出てこないようになった。きっとまた眷獣が暴走してしまう事を怖がっているのだろう。眷獣が使えなくなってしまわないか心配だ。




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5・原作〇〇〇年前 住人

 すみません、更新が遅くなりました。理由としてはテスト期間だったため書く時間があまり無かったからです。
 それから、お気に入り登録者が10人、UAが1000を超えました、これも皆様のおかげです。これからも「ストブラに紅魔館組をブチ込んでみた」をよろしくお願いします。


 

 ーコンコンー

 

 紅魔館で働いている下級魔族が私の部屋をノックする。

 

 「何かしら?」

 

 「おかしな格好をした二人組がこの館の主人に会いたいと訪ねてきました。」

 

 「あら、それならお母様に報告して頂戴。」

 

 「フィリア・スカーレット(レミリアとフランのお母様)様は今外出中ですので。」

 

 「そう、なら私が出るわ。」

 

 外に出ると薄い緑色のチャイナドレスを着た赤い髪の背が高い女と、薄い紫色のゆったりとした寝巻きの様な服を着た紫色の髪の少女が門の前で佇んでいた。

 

 「私の記憶が正しければ貴方達に会った事は無いと思うんだけど、何か用かしら?」

 

 紫色の髪の少女が一歩前に出ると

 

 「初めまして私の名前はパチュリー・ノーレッジ、魔女をしています。ここには多くの本や魔導書があると聞きました。私はその本や魔導書を読んでみたいのです。」

 

 「その対価に貴方は何を払うの?まさかただで読ませろなんて言わないわよね。」

 

 「当然ただで読ませて貰えるとは思っていません、私は今まで生きてきた中で得た知識を対価としたいと思います。」

 

 「ならば聞くわ、人間が魔女になる方法を教えなさい。」

 

 「人間が魔女になるためには悪魔と契約する必要があります。その契約を結ぶ事で魂と引き換えに悪魔の力と、高位の吸血鬼に匹敵するほどに膨大な魔力を使う事が出来るようになります。」

 

 「そんな方法を使っていたのね。所で赤い髪の女は貴方の護衛かしら?」

 

 私が視線を向けると赤い髪の女が姿勢を正し

 「いえ、私は彼女の護衛というわけではありません、私の名前は紅 美鈴(ほん めいりん)と言います。ここには強い魔族がいると聞いたので手合わせに来ました。」

 「貴方がその強い魔族ですか?」

 

 「違うわ、ただ今は一番強いお母様が外出しているから私が変わりに相手になってあげる。」

 「パチュリーは下がっていなさい、後で図書館を案内してあげる。」

 

 「では私から行かせてもらいます!!」

 

 パチュリーが下がったのを確認すると美鈴は勢いよく地面を蹴り私に肉薄する。

 

 「えッ!!」

 

 あまりの速さに眷獣を出す間もなく私は殴り飛ばされ5mほど後退した。

 

 「貴方一体何者?殴られた腕が折れたんだけど。」

 

 危なかった、咄嗟に腕でガードしなければ体を貫通していたかもしれない。最悪の可能性を想像し冷や汗が出る。

 

 「私は龍人の最後の生き残りです。」

 

 「へーそうなんだ、でも吸血鬼に時間を与えるのは駄目よ。何故ならこんなふうに眷獣を呼ばれてしまうから、来なさい『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』!!」

 

 赤く光り輝いたレーザーの様な槍が召喚される。私は槍を手に取ると美鈴に向かって投擲した。

 美鈴は必死で避けるが、避けた先に槍の軌道が曲がり追いかけてくる。

 

 「何ですかこの槍は!?」

 

 「『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』は当たるまで貴方を追い続ける、例え貴方が地球の裏側に逃げても絶対に逃さないわ。」

 

 「ならば貴方を狙うだけです!」

 

 「もう終わりにしましょう、やりなさい『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』。」

 

 私がそう告げると『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』が目で見て判るほど加速する。速度が変わった事により目測が狂ったのか美鈴の背中に『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』が深々と突き刺さった。

 

 「グハッ!」

 

 肺に血が入ったのか吐血する美鈴。

 

 「消えなさい『揺れ動く光線(グングニル・レイ)』。パチュリー、美鈴の傷を治してあげなさい。」

 

 「わかったわ。」

 

 パチュリーが呪文を唱えると美鈴の傷口が塞がっていく。

 

 「この勝負、私の勝ちで良いわよね。」

 

 傷口が完全に塞がると美鈴が立ち上がり

 

 「ええ、私の完敗です。まさか最初の一撃を防ぐとは。」

 

 「防げた代わりに腕が折れたわよ。所で美鈴この館で働いてみる気はないかしら?貴方の実力ならここの門番を任せられるわ。」

 

 「本当ですか!そろそろ定住したかったんです。」

 

 こうして紅魔館に新しい住人が二人増える事となった。

 




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6・原作○○○年前 咲夜

遅くなりました。


 

 ードンー

 

 私は突如響いた轟音によって叩き起こされた。慌てて外へ飛び出すと、屋敷は大勢の武器を持った人間達によって囲まれていて屋敷の門が吹き飛んでいた。先程の轟音は門を破壊した時に鳴ったのだろう。

 

 「美鈴!何があったの!」

 

 私が大声で叫ぶと直ぐにメイド服姿の美鈴が駆け寄って来て

 

 「すいませんお嬢様。居眠りをしていたらいきなり門が壊されてしまって…」

 

 「貴方またサボっていたの!後でお仕置きよ。」

 

 「お嬢様許して下さい、もう訓練でボロボロになるのは嫌なんです。」

 

 そう言って美鈴が謝ってくる。

 

 「仕方ないわね、代わりに今直ぐに貴方の血を吸わせなさい。それをお仕置きの代わりとするわ。」

 

 「わかりました…あまり血を吸いすぎないでくださいね。」

 

 美鈴がおもむろにポケットから剪定用のはさみを取り出すと、自分の指先を切りつけた。私は美鈴の指先から滴り落ちる赤い血を舐め取る。すると口の中いっぱいに極上の味が広がり、この味を永遠に味わっていたいという気持ちになるが、そんな誘惑を振り切ると美鈴から離れる。

 

 すると体がカッと熱くなり力が溢れてくる。更に犬歯が尖り吸血鬼らしい牙が生える。

 

 「もういいわ美鈴下がっていなさい。屋敷の門を壊してくれた侵入者共に身の程って物を教えてあげる。」

 

 体の変化を見て私が吸血鬼だと気づいたのか指揮官らしき太った男が叫ぶ。

 

 「吸血鬼だ!全員皆殺しにしろ!」

 

 「ふざけたこと言ってくれるじゃない、燃やし尽くしなさい『炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)』!!」

 

 すると突然武器を持った人間達が発火を始める。

 

 人間達は巣を突かれた蟻の様に騒がしくなり燃えている仲間を助けようとしているのだろうか、しかしそんな抵抗も無駄に終わる。『炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)』が出す炎は地獄の業火、そう簡単には消せやしない。

 

 燃えていた人間が全て灰になると炎が私の前に集まり豹の形を取る。

 

 「さて人間共、灰になりたいやつからかかってこい!!」

 

 「や、ヤツを殺せ咲夜!!」

 

 指揮官の男が唾を飛ばしながら喚くと、生き残った人間達の中から生気を感じない目をした銀髪の薄汚れた人形の様な少女が出てくる。

 

 「貴方が…吸血鬼?ごめんなさい。私あなたを殺さないといけないの。」

 

 「子供?こんな小さい子に一体何させようとしてるの!!」

 

 「こいつはなぁ、人間に眷獣を埋め込む実験の成功例さ。ま、こいつ以外は失敗したららしいけどな!」

 

 「子供を使う実験?貴方達どれだけ私を怒らせれば気が済むのかしら!!」

 

 思い出すのは小さかった頃、私の前で親愛なるお父様が殺された時のことを…あんな思いは子供にはしてほしく無い。

 

 「ごめんなさい、来て『兎の懐中時計(フォブウォッチ・ラビット)』!!」

 

 錆びついてくすんだ色をした懐中時計を持った白い兎が出てくる。

 

 (炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)では攻撃が強すぎる別の眷獣に変えないと…)

 

 「ありがとう『炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)』。来なさい『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)!!」

 

 炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)が溶けるように消えると、私の背後から赤い霧が出てくる。その時『兎の懐中時計(フォブウォッチ・ラビット)』が懐中時計のボタンを押すと目の前の現実いたはずの少女がいなくなり、全方位から銀色のナイフが飛んできた。

 

 「いつの間に!!」

 

 私はその攻撃を『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)を体に纏う事で回避する。

 

 「その攻撃は驚いたわ、でも捕まえた。吸いなさい紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)!」

 

 少女の攻撃は完璧だった、しかし『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)』との距離があまりにも近すぎた為に魔力吸い取られ眷獣ずに倒れた。

 

 「さて人間共、死ぬ準備は良いかしら。」

 

 「ま、まてく……。」

 

 指揮官の男やその仲間は命乞いをする前に生命力を全て吸い取られ、灰になり消えた。

 

 このままだと少女の命が危ないので眷獣を私の支配下に置くために血を吸う、それからしばらくすると少女が目を覚ました。

 

 「あれ、なんで私生きてるの。」

 

 「貴方名前は?」

 

 「十六夜、咲夜です。」

 

 「咲夜、今貴方には選択肢が二つあるわ。一つはこのまま帰る事、もう一つの選択肢はこの屋敷で働く事よ。どちらか好きな方を選びなさい。」

 

 咲夜は少し悩んだ後、

 

 「このお屋敷で働かせてください。」

 

 「わかったわ。美鈴、咲夜にこの屋敷の事を教えてあげて。」

 

 「はい、わかりました。」

 

 こうしてまた紅魔館に住人が一人増えた。




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定1

今回は眷獣と登場人物の設定となっています。
あとがきの欄に私が協力して作った友達の作品のURLが貼ってありますので良かったら見ていってください。


 

 レミリア・スカーレット

 元は東方Projectのキャラクターだが、今作ではストライク・ザ・ブラッドの世界の吸血鬼となっている主人公。

 吸血鬼としての体質はストライク・ザ・ブラッドを基準としている。(つまり日光に当たっても気分が悪くなる程度)

 

・『黄金の天秤(ゴルト・ヴァーゲ)

 

 (一話初登場)

 レミリア・スカーレットの初めて使った眷獣であり、最もよく使う眷獣でもある。

 黄金に輝くいており、見た目は天秤の形をしている。

 直接的な攻撃方法は皆無であり、能力を使い戦っている。

 天秤を傾けることにより敵や味方、使用者の運命を自由にいじる事ができる。しかし、あまりにも無理な運命操作はすることが出来ない。

 

・『紅蚊の血霧(ルージュモスキート・ネーベル)

 

 (四話初登場)

 一匹一匹が小さな、赤い蚊の集合体。一匹を少し離れて見ると赤い点にしか見えないほどに小さい。

 この蚊には近づいた敵の生命力と魔力を吸い取り自分のものにする事ができる。一匹一匹が吸い取れる量はたいした量ではないが、常に群れで行動している為近づくと全ての魔力と生命力を取られてしまう。

 

・『揺れ動く光線(グングニル・レイ)

 

 (五話初登場)

 赤い光を放つレーザーが集まった様な投槍。長さは1.5メール程でとても軽く、投げると赤い光が通った様にしか見えない。

 この槍は投げれば絶対に当たるという必中の能力を持ち、たとえ防がれようが弾かれようが目標を貫くまで向かい続ける。

 

・『炎豹の地獄(フラウロス・インフェルノ)

 

 (六話初登場)

 黒い炎を纏う赤い豹の悪魔、常に黒い炎を身に纏っている為見た目は赤黒い。

 黒い炎は地獄の業火であり、対象にされた者のカルマにより威力が左右される。眷獣を出していない場合でもレミリアはこの炎を扱う事ができる。

 また、この眷獣は人の形を取ることが可能で、本物の人間と見分けがつかない程のレベルで変身する。

 

 フランドール・スカーレット

 レミリア・スカーレットの妹であり、現在屋敷の地下に眷獣制御の為閉じこもっている。

 原作では姉妹の仲が悪かったが、今作では良好。

 

・『魔狼の漆黒(フェンリル・シュバルツ)

 

 (三話初登場)

 天に届きそうなほど大きな狼、その体毛は光を吸い込みそうなほどに黒い。

 あまりにも大きすぎるため、走るや咆哮などの簡単な動作の一つ一つであってもとてつもない破壊力を持つ。

 しかし強大な力故に繊細な制御が必要であるが、宿主であるフランはあまり使いこなせていない。

 




作品のURL
https://syosetu.org/novel/160195/
誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖者の右腕1

 「熱い……焼ける。焦げる。灰になる……」

 

 ファミレスでテーブルに突っ伏しながら私の隣に座っている(あかつき)古城(こじょう)は弱々しくつぶやいた。

 

 「そんな当たり前の事言っている暇があるなら手と頭を動かしなさい、南の島の絃神島が暑いのはいつものことだわ。」

 

 「そうは言ってもよ〜、暑いものは暑いじゃねーか。てか、今何時だ?」

 

 顔を上げつつ時間を確認すると、私の正面に座っている藍場(あいば)浅葱(あさぎ)がファミレスにある時計を見ながら答える。

 

 「もう少しで四時よ。あと三分二十二秒かな。」

 

 「テストまで今夜一睡もしなけりゃ、まだ十七分と三分あるぜ。間に合うか?」

 

 同じテーブルの右斜め前に座っていたヘッドフォンを首にかけた矢瀬(やぜ)基樹(もとき)が他人事の様にように軽く言うと、古城はテーブルに積み上げられた教科書をひと目見てうなだれる。

 

 「あー……もうこんな時間?あたしバイトだから先行くね。じゃあねレミリア、古城また今度。あと矢瀬もね。」

 

 そう言って荷物を手早く片付けると、浅葱が手を振って店を出ていく。

 

 「じゃあ、俺も帰るわ。」

 

 「あ?」

 

 「宿題写し終わったし、俺の追試は一教科だけだから、今晩で終わるしな。お前は残りをレミリアにでも教えてもらえ。じゃ、頑張ってくれ。」

 

 先程まではテーブルには四人いたが、もう私と古城の二人しかいない。

 

 「やる気なくすぜ…」

 

 「矢瀬も行ったけど、どうする古城?私もあまり長くはいられないわよ。」

 

 「マジかよ…。俺も帰るか…ありがとなレミリア、勉強教えてくれて。」

 

 教科書と問題集をカバンに仕舞い、伝票を掴み立ち上がる。

 

 「あら古城、お金足りるのかしら?浅葱はだいぶ食べたようだけど。足りないようなら貸すわよ。」

 

 テーブルに積まれている空の皿を見て少し不安になったのか、古城は財布と伝票を確認する。

 

 「ギリギリなんとか足りそうだわ。てか、お前に金借りるとお前んとこのメイドが怖いんだが…」

 

 「あら、咲夜はそのくらいでは怒らないわよ。返さないとどうなるか知らないけど…」

 

 会計をレジで済ませると、古城の財布には僅かばかりの小銭しか残らなかった。

 

 「これじゃ帰りは歩きだな。まさかモノレールに乗る金もねぇとは…」

 

 「古城が歩いて帰るなら私もそうしようかしら、一人で帰ってもつまらないしね。」

 

 そんな仲良さそうな二人をじっと道路の反対側にある物影から見つめる、黒いギターケースを背負った制服姿の少女がいた…

 

 

 

 




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖者の右腕2

お待たせしました!
次はもう少し早く書くよう頑張ります!


 

 この絃神島は海面で風が温められるため、常に湿気が多く温度計の数値以上の体感温度になってしまう。

 つまり何が言いたいかというと、日頃からこの島は絶望的なまでに暑い。

 

 「ほんと、バカみたいに暑いな。」

 

 古城が強い日差しを少しでも遮るためか、パーカーのフードを深くかぶりながら言う。

 

 「暑い、暑いって言ってると更に暑く感じるわよ。」

 

 「マジか……ところで俺は今、尾行されてる?よな。」

 

 私たちの15メートルほど後ろを一人のギターケースを背負った少女が歩いてる。後ろを振り返る様な仕草をすると慌てて物陰に隠れるが、声をかけてくる気配も無い。

 

 「恐らくはね。それにしても…随分とお粗末な尾行ね。貴方の妹の知り合いかしら?話しかけてくる様子も無いようだし、そこにあるショッピングモールで古城から話しかけてみるのはどうかしら。」

 

 そうして、二人はショッピングモールの入り口近くのゲームセンターに入っていく。

 

 すると少女は店の前で動きを止めて、店に入るか入らないのかで迷っているようだ。

 

 「彼女なかなか入って来ないわね、もしかしてこういう場所慣れてないのかしら?」

 

 「そうみたいだな。しょうがねぇ、こっちから話しかけてみるか。」

 

 はあ、と溜息をつき店の前で立っている少女に声をかけに行く。しかし、間の悪い事に少女もようやく決心がついたのか、店に入ってきた途端とばったり鉢合わせる。

 

 「・・・・・」

 

 しばらくお互い無言で見つめ合うが、先にギターケースを背負った少女が反応した。

 

 「だ・・・第四真祖!」

 

 上擦った声でそう叫び、ギターケースに手持ち身構えた。

 

 (面倒な事になったわね、真祖を狙う魔族や賞金稼ぎには見えないけど。ここははぐらかした方がいいかしら)

 

 未だに驚いたからか無言な古城を手で押さえつつレミリアは前に出て流暢な英語で話しかける。

 

 「Oh my, is there something for us? I’m sorry l can’t speak Japanese.」(訳:あら貴方私達に何か用かしら?ごめんなさい日本語は話せないの。)

 

 「えっ、ちょっと、」

 

 相手が戸惑っているうちに古城を引っ張ってゲームセンターを出る。

 

 「待ってください、暁古城!というか、あなた誰ですか」

 

 古城は自分の名前を呼んだ相手を面倒くさそうに振り返る。

 

 「誰だ、お前?」

 

 警戒心を全く隠そうとしない声で少女に答える。当然だろう、古城が第四真祖になった事を知る者は多く無い。にも関わらずその秘密を知っている少女を警戒するなと言う方が無理な話だ。

 

 「私は獅子王機関の剣巫で名を姫柊雪菜と言います。第四真祖である貴方の監視役として派遣されました。」

 




誤字脱字等あったら報告お願いします。
高評価、感想をいただけると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖者の右腕3

約束の期限を破って大幅に遅くなりました、、、すみません
最近ずっとゲームしたり小説読みあさっていました
今回も短いですが楽しんでください





「そういうのは間に合ってるんで、じゃ。」

 

古城がぞんざいに手を振って、急いでその場を離れていく。

 

「古城には監視なんて必要無いわよ。それに剣巫程度じゃ古城を止めるなんて出来ないわ。他を当たって頂戴。」

 

冷たく切り捨てるように少女に告げると急いで古城を追いかける。

 

「なぁレミリア、獅子王機関の剣巫ってどういう役職なんだ?俺が第四真祖だって事を知ってる様だったし、監視とかわけわからん事言ってるし。」

 

「獅子王機関という組織は、国家公安委員会に設置されている特務機関で一般には公開されていない、いわゆる秘密組織というやつかしら。大規模な魔導災害や魔導テロを阻止するための、情報収集と謀略工作などが主な任務だわ。つまり獅子王機関にとって第四真祖なんてものは放って置けないいつ爆発するかわからない爆弾みたいなとても危険な存在ね。」

 

「げ、それって結構まずい状況なんじゃ?」

 

「まずいなんて状況じゃ無いわよ。獅子王機関が古城のことが危険な存在だと判断したら全力で殺しにかかってくるわ。だから獅子王機関の関係者にはなるべく関わらない様にしなさい。まぁもう手遅れになりそうだけどね、危険と判断したらすぐに私達の家に逃げ込みに来なさい。」

 

「まじかぁ…そうならない事を祈るよ。」

 

ガンッ!

 

慌てて音のした方向を振り返ると体格のいい男が曲がった街路灯に寄り掛かって気絶している。先ほどの音は男が街路灯にぶつかった音だろうか。更にその奥には軽薄そうな男が姫柊雪菜と向かい合って対峙していた。

 

「おいおい、ちょっと見てなかった隙に何やってんだよアイツ!」

 

自分の相方がやられて激怒したのか軽薄そうな男は眷獣を召喚した。

 

「ーー『灼蹄(シャクテイ)』!その女をやっちまえ!」

 

男の左脚からドス黒い炎が吹き出し、それが歪な馬のような形にまとまった。それと同時に男の左腕に嵌めた腕輪が攻撃的な魔力を感知して警告を発している。もうすぐショッピングモールにも避難警告が出るだろう。

 

「あの男バカなのかしら?街中で眷獣を出すなんて。絶対に後のことは考えずにいるわね、古城はここで待ってなさい。彼女が心配なのはわかるけど、貴方が近くに行くと眷獣が暴走する可能性があるからここは私に任せて大人しくしてなさい。」

 

「わかった。大丈夫だと思うけど気をつけろよ。」

 

「私の事を誰だと思ってるのかしら。スカーレット家当主レミリア・スカーレットよ。まぁ一応気をつけてるわ、じゃあ行ってくるわね。」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。