空を舞う魔導の銀翼 (こたねᶴ᳝ᵀᴹᴷᵀᶴ᳝͏≪.O)
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Mission.1

轟々と風の音を響かせ、フラップを出して飛行機が滑走路を走る。

十分加速したのち機首を上げ、ふわりと地面から離れる。

そのまま上昇、フラップとギアを引っ込めて、その飛行機、ReCeeb87 ヴィージェンのカスタム機が離陸する。

「管制、ヴァルノール、離陸した。」

『ヴァルノール、管制、了解。』

ヴィージェンのパイロット、コールサイン"ヴァルノール"こと彼女、咲葉(サクハ)は管制に離陸を申告する。

彼女は僚機、コールサイン"ハーフムーン"の駆るSkid イリュージョンF1のカスタム機を見る。

尖った機首、後退翼、典型的な高速戦闘機の主翼の付け根に、丸っこい、大昔の大戦の飛行機みたいな固定脚。

パイロットの彼女は脚がかわいいなどとこだわりを持っているようだが、音速を飛び越えて空を飛ぶ戦闘機についていて平気なレトロな固定脚だなんて、かかる費用も相当なものだろうに。

趣味など人それぞれではあるが中でもとびきり変わっていると彼女はそれを見るたびに思っていた。

今回の任務はCAPだ。コースに沿って飛び、何事もなければそのまま帰るだけだが、わざわざ飛ぶことになっているのだから敵機と出会うだろう。

その予想は見事的中。しばらく飛んだのちに不明機に遭遇した。

『AWACS、こちらヴァルノール、探知魔術機(サーチャー)・コンタクト。所属不明、IFF応答なし。』

『AWACS了解。少し待て。』

数十秒で通信。

『アンノウンは敵機と断定。ヴァルノール、ハーフムーンはこれを撃墜せよ。』

『ヴァルノール了解。』

『ハーフムーン了解。』

敵機が出て、撃墜命令が出た。仕事の時間だ。

一応は隊長機なので、咲葉が指示を出さねばならない。

『いつも通り最初は隊形を保って降下、あとは自由で。』

『了解っす!』

すでに敵機よりかなり高い所にいる。2機は高度を保って直進、敵機の上でロールして反転し、ピッチアップして急降下。

ぐんぐん高度が落ち、敵機が近づいてくる。直線翼に後ろで回るプロペラ、大口を開けたインテーク。

『ブルーレイダー、2機。前の方は私がやる。』

返事はない。もう片方をやるということで了解したというのはわかっている。他の機がいればできないことだ。

もう少し近づいてトリガーを引く。炉から魔力が流れて武装へ、爆裂魔法で弾丸が吐き出される。

命中。

敵機の横をすりぬける。落とせると踏んで機関砲だけを撃ったがまだ飛んでいる。30mmで落ちないとは。翼下に何も下げていないのを見るに、大量のペイロードを装甲につぎ込んでいるカスタム機なのかもしれない。

ピッチアップ、反転したのちロールで水平に。敵機はターンをしている。重装甲らしい割には身軽だ。ピストンのブルーレイダーは大きいインテークも相まって航続距離がかなり長い。

早めに片付けないと燃料が足りなくなる。

スロットルをA/Bまで押し上げる。妥協したモンキーモデルのエンジンにはアフターバーナーはついていないが、通常の最高出力よりも多くの魔力を吸い上げて加速する。

後ろにつこうと大回りをしていた敵機を追い抜いてそのまま直進、ある程度進んだらターン。

ヘッドオン。今度は全武装を使う。

トリガー。30mm、機首から黄色と黒が混じったような色の針状魔力弾、翼下から氷の刃、4門。

敵機も発砲。翼に発砲炎、2門。ブルーレイダーは4門のはずだ、大口径でないならやはり装甲特化らしい。

バレルロール、スロットルを少し下げる、ターン。

敵機を確認。煙を吹いている。少しして炎上。傾いて墜ちていく。

『ヴァルノール、Splash1』

周囲を確認。少し離れたところで敵機が火を噴いた。イリュージョンF1が視界を上から下へ。

『ハーフムーン......Splash1』

ちょうど向こうも片付いたらしい。編隊を組み直す。

『AWACS、こちらヴァルノール、ターゲットをキル。残敵、不明機確認できず。』

『AWACS了解。帰投せよ。』

『ヴァルノール、ハーフムーン、RTB。』

あとは帰るだけだ。しっかり着陸して、報告を済ませるまでが仕事だが、一息はつける。

『被害は?』

『脚のカバーがもげた。丸くていちばんかわいいところなのに......』

他はないっす、と続く。

『......』

その固定脚、やめたら?と言おうかとも考えるが、いちばんかわいいなどと言っているし効果はないだろう。どうせ本人の負担だしあれこれ言う事もない。

ため息には少し足りない息をひとつ吐いて、咲葉は帰路を行くのであった。

 

――――――

 

ランディング、タキシング、駐機。

飛行服を脱いでコックピットに置いたまま、眼鏡をかけて機体を下りる。

任務内容がいつも通りであれば、帰投後のこともいつも通りだ。

「じゃあ先に行ってるっすよ。」

「うん。」

いつも通りのやり取り。彼女、ハーフムーンことリリアは休憩室行き、

咲葉はまず報告。この二機の場合、形式上ヴァルノールが隊長機であった。

報告というのは面倒とされるものであったが、彼女はそれほど面倒と感じているわけではなかったし、今回の内容もそう難しいものでもない。報告を済ませればあとは休憩室行きである。

「ほい」

「ん。」

通路でリリアと合流、自販機で買った飲料を手渡される。

咲葉はいちごミルクで、リリアはココア。これもいつも通りだ。

いちごミルクは彼女の好物であった。少し子供っぽいかもしれないが好きなものは好きなのである。

休憩室で椅子に腰掛けてそれを飲む。雇われであるため訓練などがあるわけでもなく、次の飛行までは暇だ。眠れるほど疲れたわけでもなく、話題もない。

この暇をいかに潰すか、というのは、彼女らにとっては毎日の課題であった。

しかし暇を潰せるようなものは見つからないし、話題になるようなこともない。

まぁのんびり静かに過ごすのも悪くないか、と考え、そのまま無言で過ごすことにした。

 

――――――

 

その後は敵機と遭遇することもない哨戒飛行を何度かしたのみでこの日の業務は終了となった。

あとは帰宅だ。基地の近く、レスルーン王国領の端、ある山麓の町の家へと帰る。

ここでも特別なことはなにもない。すべてがいつも通りだ。

最後はベッドに潜り込んで、目を閉じる。一日の終わりだ。




ReCeeb87 ヴィージェン≒Saab37 ビゲン
SKid イリュージョンF1≒ダッソー ミラージュF1
A-51 ブルーレイダー≒A-1 スカイレイダー
A-1とA-7(X-32か?)を足した(?)ような外見。


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Mission.2

エンジン音で目を開く。プロペラの音。

周囲を見れば、ここはコックピットの中だ。

これは......前大戦時の月の国の戦闘機、金式戦闘機五二型だ。

となればと体を見れば、想像通りの古めかしい飛行服、見慣れた体よりも大きく、おそらくは男性だろう。

なるほど、これは夢だ。確信する。私はこのような夢をよく見る。

大抵は戦闘機に乗っているが、そうでなくても戦場にいて、自分は自分ではない誰かになっている。意識ははっきりしていてそれが夢だとわかるが、ほとんど自由は効かない。

そのまま飛んでいれば敵が現れ、戦闘になるはずだ。......来た。

夢の中の私――或いは俺や僕等――は目をこらす。同じく前大戦時の戦闘機、クルフス合衆国のF-91 アームストロングか。

二機は接近。ヘッドオン。ヘッドオンを避けたいこちらはコークスクリューに近い機動をする、すれ違う。

ピッチアップ。運動性能に任せてそのままF-91の背後を取るが、速度差によって引き離される。F-91は大きくターン。再び突進してくる。一撃離脱戦法だ。

緩やかなターンとラダーで少しずつF-91の正面から右へずれつつ少し高度を下げる。

F-91が近づいてくる。さらに急激に右、切り返して左へ、F-91にビームアタック。

降下と合わせてかなりの速度のF-91は急には曲がれない。射撃。

正確な偏差射撃だ。命中。F-91は回避機動をとっているがあまり回避できていない。パイロットは新米かもしれない。

そのまま背後につき、緩降下しつつ狙いをつける。F-91は損傷し煙を吹いていて、速度が落ちている。一方こちらは速度が乗ってくる。引き離されることはない。射撃。7.7mmのみだ。F-91はピッチアップ。7.7mmは回避される。しかしそれが狙いだ。金戦はすでにピッチアップしていた。

射撃。命中。

翼が折れ、キャノピーが赤く染まって......

 

――――――

 

目が覚める。見慣れた天井とベッドの感触。

今日は前大戦の月の国軍の戦闘機乗りの夢だったな、とそのままの感想を抱いて起き上がる。

背伸びをひとつ。ふぅ、と息をつき、ベッドから出る。

時計を見れば、ちょうどいいような時間。いつも通りだ。

一日の始まり。歯を磨いて、トイレに行って、水を飲んで、朝食は......適当にパンでも食べる。

本当にただのパンだ。おいしいともまずいとも思わないが、まぁおいしい方なのだろうな、と思う。

服を着替えて出勤だ。基地へは徒歩でも行ける距離だ。

町の景色も変わらない。規模は大きくないがそこそこに便利で、寂れてなどいないのにどこか寂れた町のような雰囲気がある。

春先はそこら中の草むらに花が咲いていて綺麗だが、やはり秋の方が好きだ。

理由は特にない。自分のオレンジの眼や赤みがかった栗色の髪と同じ色がそこら中にあるからだろうか?と考えなさそうだと却下する。なんとなく好き、でいいだろう。

そう何気ないことを考えながら歩いていると周辺の建物がほとんどなくなってくる。基地に近づいている証拠だ。

当然飛行場だからというのもあるが、そもそも市街などへの被害を避けるために、国土の端に基地を作ってそこだけを対地攻撃の目標にしているのだ。

数十年は前に決まった国家間戦争のルールであり、私のような雇われが主力になりだしたのもその頃。狭い国土で進化した兵器の火力が振るわれては、終戦してもお互い何も得るものがない。それに軍人というのはエリートだ。あまり減らしたいものではないのだろう。

大国も参戦する戦争の最中でありながら町が何ら変化を見せないのもこのルールのためだ。空襲におびえるといったことはもうない。

これを戦争と呼んでよいのかも疑問だが、今のところは戦争となっている。国家と国家の、資源や資金を賭けた争いだ。

基地の門で身分証明書を見せて中に入る。

さて、今日も仕事の始まりだ。

 

――――――

 

いつも通りに進んでいた一日であったが、仕事が始まってみればいつも通りでないことがあった。

敵機が多いのだ。

3回の哨戒飛行で3回とも敵機に遭遇し、うち一回は4機編隊となれば相当だ。

「敵さんは大侵攻でもやるつもりなんすかねぇ。そのための偵察とか?」

「かもね。まぁ、私たちは命令があれば飛ぶだけだ。」

そうだとして、主な戦場ではないこの地域へもこれだけ飛んでくるとなれば上も気づいているだろう。それならば何かしら手を打つだろうが、傭兵には直前まで作戦の予定などは知らされないことが多い。通常の飛行でも大作戦でも、実行の少し前に伝えられて当日になれば飛ぶ、というようなパターンばかりだ。

それでも特に問題はない。警戒、戦闘、やることは単純だ。

時計を見れば、そろそろ次の飛行の時間だ。今回も敵機に遭遇するのだろうか。

僚機の彼女の肩をたたく。

「ん?」

「時間。行くよ。」

「うーい」

緊張感がない。傭兵には意外と多いが、彼女は荒くれ者といったタイプではない。

昔からこうなのだが、どこからその余裕は湧いてくるのだろうか。

まあ、こんなことを考える咲葉自身緊張するというわけではないのだが。

 

――――――

 

いつもと変わらない哨戒飛行といった具合で上がり、同様に航路をとる。

探知魔術機(サーチャー)コンタクト。

敵機だ。そちらへ向けて飛ぶ。ステルス機ではないから向こうも気づいているだろう。

ある程度近づいたところで目をこらす。ゴーグルの拡大機能も使ってみる。細かい機種まではわからないが......ジェットだ。二機。

この基地周辺で遭遇する敵機は大抵旧式のピストン機だ。ジェットとは珍しい。

『敵機はジェットらしい。古い型みたいだけどあまり気を抜きすぎないようにしなよ』

『わかったっすー』

『......ほんとにわかってる?大事な僚機に墜ちられると困る......』

『あれ?心配してくれてるんすか?』

ため息をつきそうになる。

『そりゃ心配にもなる......』

だいぶ近づいてきた。そろそろ交戦範囲だ。

『後ろをのお願い』

『了解っす!』

ヴァルノール、エンゲージ。交戦を宣言。

近づいて敵機の形状がわかりやすくなってきた。

あれは......Nf-283か。量産型が安価で出回っているので、比較的よく見かける。

翼下には増槽が見える。元が迎撃機なので長く飛ぶには必須だ。しかしあれは大きい。後部の噴炎がやけに光っている。速度を上げたタイプか。

元迎撃機の火力は侮れない。ヘッドオンは悪手だろう。大きく旋回して正面を外れまた旋回してビームアタック。

照準、射撃。しかし後ろを通り過ぎる。思ったよりもかなり速い。

敵機が旋回。旋回は鈍い。速度に特化しているらしい。こちらに狙いをつけるにはそこそこかかるだろう。スロットルを押し上げ、上昇。

少し周囲を確認。イリュージョンが相手している敵機をオーバーシュートさせているのが見えた。

こちらの敵機は緩めの角度で上昇している。速度を活かして振り切りつつ上を取るつもりか。

十分に上昇したので緩降下しながら敵機を追う。しかし追いつけるか怪しい。

ここで敵機が旋回を始めた。距離が縮まる。幸運だ。

照準、射撃。今度は命中。

敵機は旋回を続ける。いくらなんでも鈍すぎる。あれでやっていけているのだろうか。新米かもしれない。

ロール、ピッチアップ。敵機と同じ向きで旋回。

照準、長く射撃。敵機が回避機動。ロール自体は割と機敏だ。ラダーも使って回避された。

しかし、これで速度が落ちた。

敵機の上でピッチアップ、上を向き、180度ロールしてピッチアップ、下を向く。

正面に敵機の腹。降下で逃げようとしているが、遅い。

射撃。命中。

燃料に引火したらしい。引火時の危険は火属性系の推進機関の欠点のひとつだ。

バレルロールして敵機を回避。水平に戻して敵機を見る。火が消える気配はない。ドラッグシュートを出した。減速し、キャノピーが外れ、座席が射出される。撃墜だ。

『ヴァルノール、Splash1』

周囲の様子を見る。僚機ともう一機の敵機の戦闘は続いていた。

イリュージョンが後ろにつかれるが、オーバーシュートさせる。固定脚の一部が展開してエアブレーキになっているのが見えた。また妙なものを。

射撃、命中。敵もう一機の両翼が折れる。撃墜確実だ。

『ハーフムーン、Splash1』

敵機撃墜のコール。残敵はなし。

『流石に疲れたっす......とっとと帰ろうっす』

『無事に帰るまでは気を抜かないほうがいい』

『わかってるっすよ』

RTBを宣言。帰路についた。




金式戦闘機五二型≒零式艦上戦闘機五二型
F-91 アームストロング≒F-51 ムスタング
Nf-283≒Ta283(Fw283)


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Mission.3

その後も、毎日のように多めの敵機と遭遇する日々が続いていた。

プロペラ機や古いジェット機が中心で、いずれも速度を重視した機種ばかりだ。

しかしパイロットの腕はというと、あまり良くないのが多かった。装備についても、高速な機体ではあってもあまり充実しているというわけではなさそうで、新米や腕の悪いのが中心、といった感じだ。

基地に所属する中では新米の雇われが一人墜ちた程度で他は問題なく撃退できている。

そんな中で所属するパイロットを集めての会議が行われる。傭兵も含めてだ。これは珍しいことで、今まではすべて何かしら大きな作戦がある時だった。

「最近敵機の襲撃が増えていることは、諸君も承知していると思う。

 近々、敵が大攻勢を計画していると、ほぼ断定された。より前線の基地 では、すでに前哨戦が行われた。

 これに対し我が軍は反攻作戦を行う。敵本命部隊に対し、こちらも大部 隊で迎撃、そのまま敵前線基地を攻撃する。」

当たりだ。

「この基地からも戦力を出す。日時は......」

ここからは特別なこともない。大きな作戦には何度か参加したこともある。敵と味方が多いだけで、そう変わったものでもない。

ただ、普段は私とリリアの二機だが、三機以下で活動しているパイロットは四機以上の編成にするらしい。同じ基地とはいえ、あまり他のパイロットと話すことはない。初めて関わる相手と部隊を組むことになるが......

傭兵の編隊など、戦闘になれば関係なくなることがさほどだ。

連携をとるタイプでないこと、うまくやれそうなことを祈ることにしよう。

 

――――――

 

「俺はナオフミ。」

「マドヴェイだ。」

「咲葉。」

「リリアって言うっす。」

部隊を組むことになった相手と顔合わせ。いつものリリアと、追加で2人だ。

ナオフミは人間、若い、あるいは子供にも見えるような男だ。

どこか軽薄そうな顔つきに笑っているようなしかめているような微妙な表情を浮かべている。そういう顔らしい。

透き通るように透明で純粋そうな眼をしているのが印象的だ。

マドヴェイは鶏の獣人、茶色の羽毛の屈強な身体の男だ。

鶏獣人特有の甲高く少し妙な調子の声の中に渋さと迫力を感じさせる不思議な響きの声をしていた。

「よろしく。」

ナオフミが手を差し出してくる。握手だ。挨拶を返して応じる。

その後はお互いに少し話して別れた。うまくやっていけそうだったし、二人ともそんなに連携をとって戦うタイプではなかったから少し安心した。

「それで、この後はどうするんだっけ?」

横を歩くリリアが訊いてくる。身体が小さいから少し早足気味だ。歩くペースを落とす。

「今日はこれで終わりだから帰るだけ。ちゃんと話聞いてたの?」

「あんまり……だって特別なこと話してなかったしぃ。飛んでって戦うだけっす。」

それはそうだが……、口を開こうとしたところで彼女の声。

「そんなことより、結構時間あるし今からその辺出かけないすか?」

「その辺って、どこに、何をしに?」

「だからその辺に、ぶらぶらしに。」

「えぇ……」

「いいじゃないっすか、帰ったって暇でしょ?ちょっと付き合ってっす。」

暇というわけではない、休息をとるのも大事だ……とも考えたが、確かにすることもないし、ずっと寝てもいられない。

「ん……わかった。」

「いえい!」

「どことも知れないその辺に、リリアが面白い事を見つけて連れてってくれるのを期待しとく。」

彼女はほんの一瞬固まったように見えた。結局返事はなかった。



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