巨人怖いからこっち来んな (リア)
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1「ほんっとに怖いからこっち来んな」

独自解釈ですので、時系列や設定に違和感があるところなど多々あると思います。
申し訳ありません。


人間誰しもが今日ちょっとサボりたいとか、このままずっと寝ていたいとか思ったことありますよね。

僕もね、冬の厳しい寒さの中朝起きて思ったわけですよ。

あぁ、このまま布団にくるまって寝ていたい。

仕事に追われる現実が辛い。

えぇ。思いました。思いましたよ。

...でもさ、

 

 

 

「これは、なくね?」

 

 

 

自分の生活で慣れ親しんだ風景はその欠片さえ見つからない。

車ではなく馬車が走る道。

街の中心部には立派な王宮らしき建造物。

何よりも1番驚いたのは、自分の目では一生見るはずのなかった、

 

 

 

「...壁だ」

 

 

 

50mにも及ぶ巨大な壁。

人類の最大の敵から身を守るための大きな、

いや、小さくて、ちっぽけな鳥籠の中。

何度も読み返した壮絶な物語。

あぁ。神様。

現実が辛いとは言いましたが、こんなハードな世界に連れてきてくれとは言っていません。

僕、赤羽 晴人 御歳30歳。

コツコツと真面目に仕事をこなし、出世まで後一歩のところで。

死亡フラグしかないこの世界に、異世界転生してしまったみたいです。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

こんにちは。

人生ハードモードに移行してから1ヶ月ほど経ちました。

こちらの世界での僕について、少しお話させてください。

僕、赤羽 晴人改め、ハルト=フィロセラルム 15歳。

異世界転生だけに留まらず、どうやら若返りも果たしてしまったみたいです。

僕がこの世界にきてまだ1ヶ月ですが、ハルト=フィロセラルムの15年間の記憶はしっかりと思い出せます。

若返りと言いましたが、これは若返りといえるのでしょうか。

鏡で確認した自分の姿は真っ黒な髪に、ヴァイオレットの瞳。

大層整ったお顔をお持ちの青年。

白く透き通るような肌。クールな印象を受ける目元。高く筋が通った鼻。薄く整った唇。そして高身長。

世の女性達が放ってはおかないでしょう。

対して、平均身長、平均体重、顔立ちも、交友関係も平均値。

強いて取得をあげるのならば、真面目である。と言うしかない三十路のおっさん。

名前は同じと言えど同一人物と言うには、あまりにも人生難易度に差がありすぎます。

とはいえ、顔立ちが良くてもこの世界では人生超イージーなんてことはなく、誰でも平等に超ハードでありますので、転生特典だと思ってありがたく受け取っておきたいと思います。

まだお逢い出来ていない神に感謝を。

いや、なんの前触れもなくこんな死亡フラグしかない世界にぶっ飛ばしてくださったお方だ。

はい。ブッコロ。

何かを駆逐したいって気持ちはこうやって湧き出てくるのですね。

僕が死んだら真っ先に貴方様の項を削ぎ落とします。

おっと、口がすぎました。話を戻します。

 

次に、僕が生まれたフィロセラルム家についてです。

僕が今住んでいる家はウォールシーナの中。

つまり、フィロセラルム家は王室に縁のある家柄ということになります。

フィロセラルム家は初代王の頃から王に仕え、王を警護してきた一族です。

王を警護と聞いて思い浮かぶのは憲兵団でしょうか。

憲兵団も王のそば近くに仕えていますが、王を警護するということに関してはフィロセラルム家の立場が上です。

憲兵団は壁内の統制、秩序を守ることなどに重きを置いています。

警察官のようなものですね。

今のフィロセラルム家当主は僕の父。

カルト=フィロセラルムです。

家族構成は父と母。

4人姉弟で、僕はその末子です。

僕の他は全て女性。3人の姉がいます。

姉達は母に似てとても美人です。

柔らかな金髪に碧色の瞳。とても穏やかで優しい性格。

父に似たのは僕だけです。

それはもうクリソツであります。

男児が僕1人で姉達があの様な性格でありますから、末子ですが僕が次期当主という事になります。

将来の職場は王室。仕事内容は王を警護することですので、僕は生まれた時から厳しく育てられました。

王を守るための様々な戦闘持術はもちろん、教養やマナーなどそれはもう厳しく指導をされました。

そしてもうひとつ。立体機動の訓練もみっちりと受けています。

父は自分に厳しい方です。

自分にそっくりな僕に、自分に厳しくするのと同じくらい厳しく接しているのだと思います。

そうでなければ、幼い頃からあの厳しさは有り得ません。

僕はこうして心の中ではベラベラと長らく話していますが、普段全く言葉を発しません。

発するのは必要最低限。父の言葉に対する返事とかですね。

喋らないだけに留まらず、表情筋は死滅しています。

睡眠、食事など以外は全て何らかの訓練でしたので笑い方など忘れ去りました。

お父様。確かに貴方と僕はクリソツですが、僕は貴方ではありませんよ。

急募、優しさ。

 

現在の年号は843年。

ウォールマリアが破壊されるのは845年だったはずなので、あと2年。

巨人が人間を喰い殺す残酷すぎるこの世界。

巨人が怖くないと言ったら全くの嘘になります。

もう、ほんっとに怖いからこっち来んな。

でも、こうして壁内にいてもクイコロエンドには変わらないと思うので、できるだけ死なないように精一杯この世界を生き抜いてみたいと思います。

 

 

 

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登場人物、設定紹介

 

赤羽 晴人

主人公(転生前)

晴れやかな人になりなさいと祖母が付けてくれた名前。

真面目にコツコツと仕事をし、あと少しで出世だというところで突然人生超ハードモードに移行した哀れな苦労人。

独身で、最近親切にした小学生に「ありがとうおじさん!」と言われてショックを受けた30歳。

 

ハルト=フィロセラルム

主人公(転生後)

王宮兵団兵士長。

超絶美形のスーパー人間。

無口、無表情(父親の教育のせい)

戦闘、立体機動のセンスがフィロセラルム家の中でも歴代トップの逸材。

他者を圧倒するカリスマ性を誇り、現当主である父からも絶大な期待を寄せられている。

晴人(あれ?僕絶対転生しない方が人類のためになったやつ)

 

カルト=フィロセラルム

ハルトの父。(クリソツ)

フィロセラルム家当主。

王宮兵団総統。

自分に厳しく、ハルトに厳しい。

妻、娘ラブ。

実はハルトの事も相当愛している。

カリスマ性が高く部下からの信頼もあつい。

ハルトがあまり喋らなくなってしまったのをかなり気にしている。(態度には表さない)

 

母、姉3人

金髪碧目。

優しくて美人。

 

フィロセラルム家

代々王宮兵団を率いて王を警護してきた一族。

初代の頃はフリッツ家に仕えていたが、フリッツがレイスに名前を帰る時に現在の王家に仕えることになった。

現在ではレイス家が本当の王家だとは知らない。

アッカーマンの名前をもつ人達ばりに強い。

ただし、初代当主の容姿を継いだ者のみ(黒髪、ヴァイオレットの目)

 

王宮兵団

カルト=フィロセラルムが総統を務める王直属の警護兵団。

フィロセラルム家、その分家で構成される。

団員はハルト=フィロセラルムと同様全員幼い頃から厳しい訓練を受けている。

少数精鋭で総員は30名ほど。

 

王宮兵団進撃衣装

進撃衣装のジャケット、ベルト、マントを白にしたもの。

インナーは自由。(ハルトは黒のシャツ)

ズボンは黒。

カルト、ハルトのみジャケットが長い。(キース長官みたいな感じ)

マークは瞳がヴァイオレットの獅子。

 

初代当主

ユミル=フリッツに仕えていた。

ハルト、カルトにクリソツ。

 

 

 

 

 




更新遅くなると思います。
設定追加しました。
主人公の年齢を上げました。


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2「死亡率が一気に120%まで上昇しました」

設定追加、変更致しました。
前話で確認お願いします。


 

こんにちは。

王宮兵団所属ハルト=フィロセラルムです。

現在は844年。16歳になりました。

巨人のウォールマリア突破まで後1年です。

僕がこの世界に来る前、『進撃の巨人』は連載開始直後でしたので、原作知識というチートはほぼ皆無です。

今後の展開を楽しみにしていたのに、まさか自分で体感していくハメになるとは。

 

今日はいつもと同じように訓練に励んでいたところ父さんにお呼ばれされました。

正直なぜ呼ばれたのか皆目検討が付きません。

十中八九仕事の話でしょうが、いつも仕事は書類を通して伝えられるので父さんと直接話をすることはあまりありません。

はっきり言ってメタクソ怖いです。

無表情のためわかりづらいですが、幼少期から積み重ねられたトラウマで内心はガクブルです。

父さんのいる総統室の前まで来ました。

決死の覚悟を決め、ドアをノックします。

 

「ハルト=フィロセラルムです」

 

「入れ」

 

「失礼致します」

 

父さんの前に立ち敬礼をする。

 

「総統がお呼びだと伺ったのですが、何か御用でしょうか」

 

父さんのことを「父さん」と呼ぶのは心の中だけで、本当に呼ぶ時は役職名「総統」と呼んでいます。

自分と同じ顔で見慣れているはずなのに、恐ろしく感じてしまうのはトラウマに加え、父さんの視線が鋭すぎるせいですね。

 

「あぁ。調査兵団団長キースからお前宛に依頼がきている」

 

調査兵団団長からの依頼?

なぜ僕個人に依頼をしてきたのでしょうか。

 

「即戦力になる人材を集めているそうだ。

他兵団団長直々の依頼だ。無下にはできない」

 

「了解しました」

 

どうやら僕はしばらく調査兵団にお世話になるようです。

僕個人に依頼という点が気になりますが、父さんの命令にですので行くしかありません。

死亡率が一気に120%まで上昇しました。生き残れる気がしません。

父さんの命令に食い気味でYesと言ってしまう体質をどうにかしたいのですが、生まれてから16年という時間をかけて身についた習慣とは恐ろしいものです。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

父さんから依頼の話を受けた次の日、僕は早速調査兵団の基地に来ています。

そして今はファーストコンタクトタイム。

憲兵団とは顔を合わせることも多いですが駐屯、調査兵団とはなかなかその機会が少ないので、目の前の2人のお兄様方とは初めましてです。

 

「私は調査兵団分隊長エルヴィン=スミスです。

隣はミケ=ザカリアス。私と同じく分隊長です」

 

「王宮兵団兵士長ハルト=フィロセラルムです」

 

「えぇ。存じ上げております。

依頼を受けていただきありがとうございます」

 

うわお。エルヴィン分隊長イケボだよ。

すっごくイケてるボォイスですね。

ところで、自己紹介が終わったあたりからずっとミケ分隊長に匂いを嗅がれているのですが、何事でしょうか。

なかなか離れてくれないのですが、え。怖い。

エルヴィン分隊長、僕真顔でノーリアクション貫いてますがすごく困っています。

表情筋が仕事してくれないだけで、すごく困っているんです。

思いよ届けと視線を送る。

すると、僕の思いが伝わったのかエルヴィン分隊長が困ったような笑みを浮かべて言う。

 

「すみません。こいつの癖でして。いつもはすぐ離れるのですが」

 

お願いします離れてください。

他人にここまで近づかれた事がないので、なんだか居心地が悪いです。

エルヴィン分隊長は申し訳ありませんと困った笑みを浮かべている。

巨人に会う前から、なんだかホームシック気味です。

 

しばらくすると、満足気な表情でミケ分隊長が離れてくれました。

いったいなんの儀式だったのでしょうか。

この世界はやはり謎が多いみたいです。

落ち着いたところで、エルヴィン分隊長が本題を切り出す。

 

「我々がハルト兵士長に依頼をしたのは、地下街で暴れている3名の捕獲の協力。そして、次の壁外調査に同行して頂くためです」

 

地下街のゴロツキの捕獲?

統制は憲兵団の仕事であったはず。

地下街では知らないが、少なくとも調査兵団の仕事ではない。

壁外調査の同行に関してもやはり引っかかります。

なぜ僕1人だけに依頼したのでしょうか。

王宮兵団は各自幼い頃から厳しい訓練を受けていますので、即戦力になる精鋭ばかりです。

僕個人にではなく、王宮兵団に依頼を出して何人か同行させるのが妥当です。

エルヴィン分隊長の狙いは別にあるのでしょう。

さて、どうしましょうか。

裏があるのは確実。ですが、、

 

「了解しました。指示に従います」

 

調査兵団はストーリーに大きく関係する組織のはずです。

主人公が入団を志願していましたし。

今後のストーリーをあまり知らない以上、下手に調査兵団の動きを止めることは望ましくない。

今のところ、王宮兵団に被害を被ることはないでしょうし指示に従うのが得策であると思います。

 

「ありがとうございます。次に3人組が動きを見せたら決行します」

 

エルヴィン分隊長の言葉で僕達のファーストコンタクトタイムは終了した。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

Sideエルヴィン

 

 

「なぁ。エルヴィンあれは」

 

「あぁ。確実に感づかれているだろうな」

 

先程この部屋を去った青年。

依頼内容を言った瞬間に空気が変わった。

元から少し引っかるところがあったのだろうが。

10代半ばにして4兵団1と言われる戦力を誇る王宮兵団の兵士長になった逸材。

少ない情報量でこの話には別の意図があることを見抜いてみせた。

 

「これはますます欲しくなったな」

 

思わず笑みがこぼれる。

期待以上だ。王宮兵団兵士長。

だが、気づいていながらなぜ、、

 

「あいつ、なんで依頼を断ったり問い詰めたりしなかったんだ?」

 

私が思っていたことをミケが言う。

そう、なぜ断らなかったのだろう。

正直、あの青年の空気が変わった瞬間から断られると思っていた。

いったいなんの思惑があって、、

いや、一旦は依頼を受けてもらったことを喜ぼう。

これで、私の計画が1歩前進したのだから。

人類には希望が必要なんだ。

この計画は、確実に成功させる。

 

 





エルヴィン「そう言えば、随分ながくハルト兵士長の匂いを嗅いでいたな」
ミケ「好みの匂いだった」


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3「アイツ人間じゃねぇ」

リヴァイ兵長かっこいいですよね。



 

Sideリヴァイ

 

ウォールシーナの地下にある地下街。

陽の光がなく、永遠に朝が訪れない街。

俺の生まれ育った街。

 

「なぁ。リヴァイ兄貴。

この仕事を成功させたら本当に地上に住めるのかな」

 

「相手も相当切羽詰まってたようだからな。

この取引で報酬バックレる馬鹿な真似はしないはずだぜ?」

 

人質をとるようなやり方は気に食わねぇが、報酬は悪くねぇ。

金なんかよりもずっとな。

 

「行くぞ。イザベル、ファーラン」

 

「おっけー兄貴!」

 

「あぁ。行こう!」

 

調査兵団エルヴィン=スミス。

お前は必ず俺が殺す。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

「いやっほーい!」

 

「イザベル。はしゃぎすぎるなよ。

リヴァイ、来たぞ!追っ手だ」

 

立体機動装置を装備し、追っ手から逃げる。

ファーランの言葉で振り返って人数を確認する。

6人か。前3人は憲兵だとして、後ろの3人は、、

 

「憲兵団か。懲りない連中だぜ。

リヴァイ兄貴!今のセリフかっこよくね!?」

 

「バカか」

 

俺が言うとイザベルは不満そうに口を尖らせる。

 

「リヴァイ。フード被った3人憲兵じゃねぇ!

それにあの白い制服は王宮兵団だ!」

 

「あぁ。他の2人は調査兵団だ。

自由の翼の紋章。間違いねぇ」

 

後ろの3人は動きにフェイントを入れてまこうとしても、簡単に付いてくる。明らかに憲兵の動きじゃねぇ。

なんでお偉いさんの王宮兵団が紛れ込んでるのかは知らねぇが、やっと調査兵団が動いてきた。

 

「イザベル!ファーラン!分かってるな」

 

「当然」

 

「仕事、だろ?」

 

そう言って2人はそれぞれ別の方向に進路を変える。

それに合わせで追っ手も分裂した。

俺を追ってきてるのは王宮兵団の1人。

エルヴィン=スミスではないが、まぁいい。

ヤツを殺るのは今じゃない。

さぁ、王宮兵団の腕前。見せてもらおうじゃねぇか。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

Sideハルト

 

 

「我々は別れた2人を追います。ハルト兵士長は直進している男をお願いします」

 

「了解」

 

こちらハルト=フィロセラルムです。

現在、3人対3人の鬼ごっこに勤しんでおります。

僕の相手となった小柄な男性ですが、あの人はなんなのでしょうか。

街のゴロツキと聞いていたのですが。

え?あの人立体機動装置使いこなしすぎじゃないですか?

え?訓練受けてないんですよね?

あ、あれですね。わかりました。

アイツ人間じゃねぇ。

このままでは差が変わらない競走をするだけなので、少し相手の動きを読んで先回りをしたいと思います。

 

建物の死角に入り相手が出てくるのを気配を殺して待ちます。

出てきたところで、立体機動装置のワイヤーを思いっ切りぶった斬ります。

なんとか気付かれずに出来たようで、相手を地上に落とす事ができました。

つかさず相手はナイフを出して戦闘体制に入ります。

鋭すぎるほどの視線。

あ、ちょっと父さんを思い出すのでやめてください。

ですが、肉弾戦となりますと僕は流石に負ける気がしません。

訓練では初歩中の初歩。

最初にみっちり嫌という程。

と言うか、リアルに死ぬという程父さん直々に叩き込まれた技術ですので。

僕はブレードをしまい、拳を構える。

流石。相手にも隙は伺えません。

この人立体機動だけじゃなくて、普通の喧嘩も強いんですね。

やっぱり人間じゃねぇ。

と、瞑想しているうちに相手が仕掛けてきました。

ナイフでの攻撃を避けつつ、他の攻撃にも注意を払います。

特に蹴りの威力が強すぎますので、モロにくらったらきっと蹴られた場所がはじけ飛びます。

冗談ではありません。本気です。

相手が本当に全く隙を見せないので、少しかけに出てみたいと思います。

腹に打ち込んできた拳をわざと受け、ほんの一瞬気抜いた瞬間を狙って技をかけ、相手を押し倒すことに成功しました。

あぁ。クソ本気で痛い泣きそう。泣かないけど。泣けないけど。

そこへ、ちょうど良くエルヴィン分隊長とミケ分隊長も他の2人を捕らえて来てくれました。

これで任務は完了みていです。

あぁ。僕の相手だった人お願いですから睨まないで。

過去のトラウマが引きずり出されるから。

とりあえず、早く帰って腹に湿布貼りたいですね。

 

 

 

▷▶︎▷▶︎▷▶︎▷▶︎

 

 

 

エルヴィン分隊長は3人に手錠をかけて座れせ、その正面にたった。

僕とミケ分隊長は3人の後ろに立つ。

 

「いくつか質問をさせてもらう。これをどこで手に入れた」

 

エルヴィン分隊長が僕がぶった斬った立体機動装置の破片を持って言う。

貴重な装置無駄にして申し訳ありません。

 

「立体機動装置の腕も見事だった。誰に習った」

 

3人に答える気配はない。

が、エルヴィン分隊長は質問を続ける。

僕の相手だった男の人に近づいて言う。

 

「お前がリーダーか。立体機動の訓練を受けたことがあるのか」

 

男の人が答えないのをみると、僕の隣に立っているミケ分隊長がリーダーと思われる男の人の頭を思いっきり地面に叩きつけた。

えぇ!?ミケ分隊長!!

僕はあなたのことを今まで匂いフェチの温厚な変態とばかり思っていました。

ちゃんと兵士だったんですね。しかも分隊長ですものね。

失礼なことを思って申し訳ありませんでした。

頭を後から押さえつけられてもなお、リーダーの男の人はその鋭い視線を僕に浴びせ続けています。

なんで僕。明らかにミケ分隊長かエルヴィン分隊長を睨むところじゃないですか。

僕、今の話には圧倒的無関係なのですが。

 

「もう一度聞こう。立体機動をどこで覚えた」

 

「誰にも習ってねぇよ!独学だ!」

 

リーダーの方ではない男の人が答える。

リーダーの人もですがかなりの男前です。

エルヴィン分隊長もミケ分隊長もみんなそれぞれタイプの違うイケメェンです。

なんだなんだ。この世界にはイケメェンしか存在が認められていないのでしょうか。

そんなところもハードモードなんですか。

おっといけない。真面目に話を聞け。ハルト=フィロセラルム。

 

「独学?信じられん」

 

「本当だ!この薄暗いゴミ溜めから少しでも浮き上がるために必死で身につけたんだ!

お前らみたいな陽が当たる事が当たり前のヤツらには、分からないだろうがな!!」

 

「いいから早く兄貴から手離せよ!

兵士だからって威張ってんじゃねぇ!」

 

リーダー以外の2人がそれぞれ言う。

ミケ分隊長がリーダーの髪を引っ張り上体を起こさせた。

リーダーの顔が歪む。

あぁあ痛い!痛いですよそれ。

顔を覆いたくなるが、手を後に組んで耐える。

ダメです。王宮兵団兵士長の名が泣いてしまいます。

まぁ僕の内面は、肩書きの名前に明らかに負けていますが。

えぇ。自分でも自覚済みですとも。

幸いにも、無口無表情がそれをカバーしてくれています。

トラウマと引き換えに兵士長としての尊厳は守られています。

エルヴィン分隊長がリーダー前に膝をついて視線を合わせる。

 

「私の名はエルヴィン=スミスだ。お前は」

 

「リヴァイ」

 

リーダーの男。リヴァイさんが少し間を開けて答えた。

エルヴィン分隊長が続けて言う。

 

「リヴァイ私と取引しないか」

 

「取引?」

 

「お前達の罪は問わない。代わりに力を貸せ。

調査兵団に入団するんだ」

 

捕えられた3人が驚いたように息を呑む。

あぁ。なるほど。分かってきました。

エルヴィン分隊長の本当の狙い。

なぜ僕1人に依頼をしたのか。

どうしてわざわざこの地下街に。リヴァイさんの元に訪れたのか。

 

「断ったら?」

 

「憲兵団に引き渡す。

これまでの行いを考えたらお前は元より、お前の仲間もまともな扱いは望めんな」

 

『好きな方を選べ』

 

エルヴィン分隊長がリヴァイさんに言う。

答えは2つに1つですね。

 

「いいだろう。入ってやるよ。調査兵団に」

 

リヴァイさんと、他2人の調査兵団入団が決定しました。

正直、リヴァイさんは王宮兵団に欲しい人材ですね。

でも、今後のストーリー的には調査兵団にいてもらった方がいいでしょうか。

それがエルヴィン分隊長の狙いであると思いますし。

リヴァイさんが急にエルヴィン分隊長から視線を外し、また僕を睨みつけてくる。

なんでしょうか!?怖いです!!

 

「お前。名前は」

 

僕のですか!?僕のですよね。

 

「ハルト=フィロセラルム」

 

「ハルト=フィロセラルム。絶対忘れねぇ」

 

はい。これから僕湿布を持ち歩く事にしましょう。

この世界での2大恐怖対象が父さんとリヴァイさんて決定です。

もう巨人より怖いからこっち来んな。

 

 




リヴァイ「エルヴィン=スミスとハルト=フィロセラルムは絶対俺が殺す」


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