命刻龍は異世界で何を守る? (遠弥 秋菜)
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キャラクター紹介

ネタバレ覚悟でどうぞ。


【名前】人…加賀誠治

龍…ゼーレ・ペアレント

【種族】古龍種(古龍目 命刻目 不明)

【別名】命刻龍

【年齢】不明(人間体…十七歳)

【性別】男

【狩猟地】不明(主に未知の樹海)

【主要属性】・魂蝕属性

・魂時属性

『過去』

父親からの虐待を受け、心に大きな闇を抱いている。リザから好きと思われていることに気づいていない。

現世の母親は少しだけ覚えているがもう顔すら記憶にはない。異世界では両親の顔すらを見てはいない。

 

リザを守る事に生きる意味を感じている。昔あった悲劇をもう一度起こさないように…

 

 

【名前】リザ

【種族】人間

【年齢】不明(元の世界…十二歳)

【性別】女

『過去』

両親共に歴史に名を刻む程のプロハンター。エマはその血を受け継ぐ様にプロハンターへと成長、そしてモンスターハンターの称号を得た。

 

【名前】リン・フロスト

【種族】牙竜種(竜盤目 四脚亜目 雷狼竜上科 ジンオウガ科)

【別名】不明

【年齢】不明

【狩猟地】不明(主に渓流、雪山、塔の秘境)

【主要属性】・雷属性

・龍属性

 

 

【名前】ディブロ・フラム

【種族】飛竜種(竜盤目 竜脚亜目 重殻竜下目 角竜上科 ブロス科)

【別名】焔角龍

【年齢】不明

【狩猟地】不明(主に砂漠、旧砂漠、塔の秘境)

【主要属性】・火属性

 

【名前】エマ・エルティーナ

【種族】人間

【別名】モンスターハンター、大食―

【年齢】十六歳

【主要武器】片手剣

『過去』

両親共に歴史に名を刻む程のプロハンター。エマはその血を受け継ぐ様にプロハンターへと成長、そしてモンスターハンターの称号を得た。そしてレンとの接触時はいきなり抱きつくなどの大胆な行動に出ることがある。だがその事を本人は分かっていない。

余談だが彼女は大食らいで一時、レンの料理を半分くらい一人でたいらげたことがある。

 

【名前】バン・リントヴルム

【種族】人間

【別名】モンスター殺し

【年齢】十七歳

【主要武器】太刀

『過去』

幼少期からモンスターと対峙し、実力を上げてきた少年。性格も荒っぽく、その性格が戦闘で垣間見えることもあった。ノアとは幼少期に出会って以来、親友の関係だ。

 

【名前】ノア・ロンディルム

【種族】人間

【別名】不明

【年齢】十七歳

【主要武器】弓

『過去』

弓のみで殆どのモンスターを狩ったと噂される少年。弓の扱いはハンターの中で高い部類に入る。バンとは幼少期からの付き合いでよくバンに振り回されていた。今もバンに振り回されることがある。

 

【名前】アリス・ルーニィ

【種族】人間

【別名】不明

【年齢】十六歳

【主要武器】双剣

『過去』

双剣を使い込み、双剣を極めた少女。小柄な体躯に似合わない戦闘スタイルを駆使し、モンスターを狩る。そしてその戦闘がより輝きを増す時はエマとの共闘時だ。エマとは学校での出会いがきっかけとなり狩りも一緒に行く中だ。

 

【おまけ】

俺はふと疑問に思ったことを口にした。

「そういやエマ、お前ってどれ位強いんだ?」

「分からないですね…でも古龍種位なら倒せますよ」

「「えっ…」」

リンとディブロが硬直する。

「どっ、どうしたんだ?」

「なんでもないですよ…あはは…」

誤魔化すような仕草を取るリン。それに続きディブロも誤魔化す。

「そうです…。それより特訓を──」

「ディブロ…?」

「すいません…」

何故かディブロの顔が暗かったが気にしないでおこう。

「ディブロと戦ってみたいもんだぜ…」

「やるか?バン」

「いいぜ、やってやるよ!」

「容赦はしないぞ!」

そして二人が外に行く。バンは武器を手に取り、ディブロは龍化する。

 

その後、辺り一面が消し炭になったことは二人の反省点である。




どうでしたか?
今回は説明回の様なものになってしまいました。
申し訳ないです。モチベが本当に低いんです。
リクエストあれば書ける範囲で書きますよ…、はい…。(リクエストして欲しい!)
最後にもう一つ、今回の話で分からないことがあれば言ってくださいね、書き足すので。

それでは次回に会いましょう!


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第一話〔誕生〕

どうも初めまして!
この小説の作者の遠弥秋菜です。
今回が処女作となってますのでぎこちないかもしれません。ですが誠心誠意頑張らせていただくのでどうかよろしくお願いします!

良ければ感想お願いします!
それではどうぞ!


「初めまして」

ダレダ…オマエ…

「女神、とでも言っておこうかしら」

メガミガナンノヨウダ…

「力を与えに来たの」

バカバカシイ…

「貴方は妹さんを守れなかった」

…ッ?!ナゼソノコトヲッ!

「その罪悪感に駆られ家に一人、孤独に身を投じた」

ダマレ…

「今すぐにでも殺してしまった妹に会いたい。心に空いた穴を埋めたい。」

ダマレダマレダレダマレッ!

「そんな貴方が妹さんと合う方法があるのよ」

ナニッ?!ダガソンナコト…デキルハズガ…

「『モンスターハンター』の世界。そこで貴方は龍となり妹さんと会うの」

モンスター…ハンター…

「時を操り支配する【時空龍】。魂を喰らい尽くす【魂喰龍】。この二匹の龍の間に生まれるのが貴方。両方の力を操って妹さんを守ってあげて」

チカラヲ…モッテ…アイツヲ…守る…

「その顔は…わかったわ。異世界転送の儀式を始めるわね。…魔法陣展開ッ!」

 

目が覚めると俺は別世界にいた。周りは木々に囲まれ目の前には蛍の明かりに照らされた湖が広がっている。

(ここが…異世界なのか…?)

思わず困惑を隠せない。それは誰だってこんなことの後じゃ仕方ないだろ。そう思いながら立ち上がると足元から音が鳴る。

(痛っ…ってなんだよこれ!?)

足元には二匹の龍の死体があった。二匹の龍の死体はおそらくこの死体は俺の親、【時空龍】と【魂喰龍】。産んだとき何かのアクシデントで死んだんだろう。俺はその場に穴を掘って二匹を埋める事にした。土はあっという間にえぐれ二匹の死体を土のなかに埋める。

「グルルル…」

俺は埋めたあと、小島の上で仮眠を取ることにした。この気分で寝るというのもあれだがそれでも睡魔がそれを許してはくれなかった。

 

 

 

目を覚ますと目の前に広がっていた湖が太陽に照らされ美しく輝いていた。思わず見惚れてしまうほどだ。そんなことよりもするべきことがある。それは能力確認だ。ある程度能力について分かっているつもりだが実践で使えるか不安なのだ。それにあの女の言うことを鵜呑みにするのもダメなきがする。

まず一つ目は【時空龍】の能力確認だ。…確か時間を止めたように感じたり相手の時間感覚を狂わせる事だったような気がする。二つ目は【魂喰龍】の能力確認。この能力は対象の魂を奪うとかだった気がする。

(この能力って対象が必要だった…)

そして俺はこの後、対象必要ない時間操作を使うことにした。

 

[こちら、古龍観測隊。ギルド本部へ連絡。]

 

『未知の樹海』にて討伐された【時空龍】と【魂喰龍】の死体から一匹の龍を確認しました。おそらく【時空龍】と【魂喰龍】の子供かと思われます。引き続き、調査を続けます。

 

[こちら、ギルド本部]

 

了解した。危険と判断したため『未知の樹海』のクエストを全て取り下げる。一週間後、G級ハンター3名を向かわせる。それまでは最善の注意を払って調査を続行せよ。

 




いかがでしたでしょうか?
未熟故に面白く無かったかもしれません。
ですが腕を上げていきます!(たぶん)
投稿は不定期なので遅くなるがもしれませんが楽しみにしててください!

それでは次回お会いしましょう!


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第二話[妹との再開]

書いている最中、自分の語彙能力の低さが身にしみました。

それではどうぞ!


俺は【時空龍】の能力の検証を行っていたはずだった。

 

「ガァアアアアアアアアッッッ!!!」

 

突如目の前から一匹の龍が現れる。

(っ!何だこいつっ?!)

目の前にいる龍は緑の甲殻に身を包んでいて、口から火をほのかに出している。妙に怒っているように感じるのは多分ここを縄張りとしていて、俺はその縄張りを犯してしまったからなのだろ。

(やるしかないかっ!)

 

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

「ガァアアアアアアアアッッッ!!!」

お互いに戦闘開始の咆哮を鳴り響かせた。

 

俺は取り敢えず相手の時間感覚を狂わせる攻撃を検証代わりに使ってみた。

(こんな感じか?)

上手くできているのか不安になるが次の手に移る。

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

次の手というのは【魂喰龍】の能力の一部、ブレスだ。取り敢えずブレスを相手に当てる。すると龍は悶え苦しみながら呆気なく絶命した。

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

勝利の雄叫びをあげて俺は緑の龍の肉を喰らいその場から移動した。

 

          ***

 

「リオレイアの無残な死体…」

男がリオレイアの死体を前にして言う。

「G級個体ですよね?」

「多分そうだろ」

この者たちはG級ハンターの『エマ』、『バン』、『ノア』。三人はドンドルマにいる大長老に命令され『未知の樹海』にやってきたのだ。

「エマ、このあとどうする?」

「取り敢えずこのまま調査を続けましょう。」

「了解した」

エマたちは樹海の奥へと足を早める。

 

           ***

 

俺はしばらく飛んだあと地面に降り立った。そこは周りを木々に囲まれ、葉の合間から木漏れ日が差し込む場所。

(すごいなぁ、こんな場所があるなんて…)

感動に浸っていると後ろから不意に声を掛けられる。

「兄…さん…?」

その声はまるで心に響き渡る透き通った声。昔聴いたことのある懐かしい声の持ち主は…

(リザッ…)

その少女は前の世界で俺が守れなかった、殺してしまった、

「兄さんなんですね…」

(やっと…会えた…)

リザは俺のもとへ歩み寄り、罪悪感に塗れた俺を優しく包み込んでくれる。

「グルルル…」

「兄さんは龍になったのですね」

(女神っやつに頼んでな)

「私も会いましたよ。女神さんに」

(そっ、そうなのか?)

リザがあってるなんて聞いてなかったがまぁいいか。

「あっ、そういえば伝言を思い出しました」

(なんだ?)

「擬人化出来るそうですよ?」

(えっ、そうなのかっ?いやっ、でも俺龍だしっ)

「驚きすぎですよ」

微笑むリザを見て俺の心が締め付けられるがこのときの俺はわかっていなかった。

「自分の体を変形させる感じで」

(こんな感じか?)

そして俺の体はどんどんと変形してゆく。

「兄さん…?」

「どうした?おかしい所でもあるか?」

「いや…その…見た目が…」

頬を赤く染めながら小声で言うリザ。気になった俺は自分の体を見てみる。

「えぇええっ?なんで俺が…女に?」

見た目が女になっていた。身長はリザより少し高く、髪の色は俺の体色に近い色になっていた。

「兄さん…はぁ…はぁ…」

(忘れてた…)

リザは俺に関係する事になると人が変わったようになる。

「リザ…大丈夫か?」

「はぁ…あっ、すいません。取り乱しました」

「あのさ、服…どうしたら良い…?」

「女神さんによると鱗を変形させたらいいと言ってました」

頬を赤らめてリザは言う。言われたとおりやってみると鱗が変形していった。

「お、おぉー!」

俺の鱗は服に変わっていき、鱗は黒色の服に変わってゆく。

「可愛い…はぁ…はぁ…」

「リ、リザ?」

「兄さん…ハァハァ…」

まるで何かに酔った表情で俺のもとに近寄ってくる。

「リザ…やめろ…来るなぁあああっ!」

そこからというものリザに体中を触られ…思い出すのはやめよう。俺は直に龍の姿に戻りリザを落ち着かせる。

(リザー、落ち着こうなぁー)

「…はぁ…すいません、兄さん」

(戻ったならいいよ…)

「兄さん、くっついていいですか…?」

(別にいいけど)

そう言うとリザは俺の頭に抱きつく。

ガサガサ

何処からか草木を掻き分ける音がする。

(リザッ…)

「はい、兄さん」

リザを背中に乗せ、警戒しながら空へとはばたく。

「うおっ、なんだこの風っ!」

「危ないっ」

周りの木々がなぎ倒され、ハンターたちは吹き飛ばされそうになる。

「取り敢えず戦闘準備をしてくださいっ!」

一人の女性が周りの男性に向かって言う。

「おうっ!」

「わかった」

俺は武器を構えた人間たち。

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

俺はリザに何かしようとするものには容赦はしない。

「兄さん、取り敢えず逃げましょうっ」

(…っ、わかった)

 

          ***

 

「木が本当に多いですね」

私達の歩いてきた場所には沢山の木がそびえ立っていた。だがパーティーのバンとノアは気にせず進んでいる。

「確かに多いけど気にするほどじゃないな」

「そうだな」

やっぱりで男性ってすごいな私はこのときのとつくづく体感した。そして私達は枝を分けて進んでいった。すると、とても神秘的な場所に出た。そこに出ようとするがその場所には先客がいた。

「二人共、止まってくださいっ…」

その先客とは一匹の龍と少女だった。その光景を見た二人も呆気に取られている。

「なんだよ…あれ…」

そんな光景を私はもっと近くで見たいとそう無意識に思っていた。私が動こうとする拍子に草むらが音を出す。

その音でこちらに来たのか警戒したかのように少女を自分の上に乗せて、大空へ羽ばたいた。羽ばたくと同時に強烈な風が私達を襲う。

「うおっ、なんだこの風っ!」

「危ないっ!」

風邪になぎ倒された木が飛んでくる。

(今は目の前のことに集中しなきゃっ!)

「取り敢えず戦闘準備をしてくださいっ!」

そう言って私は武器を構え、それに続きバンたちも武器を構える。すると龍は威嚇するように

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

と咆哮をした。だがすぐに何処かへ飛び去ってしまった。

「何だよ、今の龍」

「わかりません、ですが大長老が言っていた龍に間違いないと思います。」

バンの質問に返答する。

「エマさん。このあとどうしますか?」

「取り敢えずドンドルマに戻って報告しましょう。」

そして私達は急ぎ足でドンドルマへと向かった。




どうだったでしょうか?
今回は妹との再開、ハンター登場の2つが大きかったのでは無いでしょうか。あまり上手くかけてませんが次はハンター目線で書こうと思います!
それでは!

[リオレイア]
種族
飛竜種(竜盤目 竜脚亜目 甲殻竜下目 飛竜上科 リオス科)
別名
雌火竜(めすかりゅう)

緑の甲殻に身を包む、「火竜」とも呼ばれる飛竜リオスの雌。
雄個体であるリオレウスとは身体的特徴、および得意とする戦法に大きな違いが認められることから、
ハンターズギルドではリオレウスと区別を明確にするため「雌火竜」と呼ばれる事が多い。
世界的に見ても広範囲に分布しており、リオレウスと共に最も名を知られた飛竜である。
主にドンドルマより東の地方に生息しており、繁殖期が近くなるとリオレウスの生息域に飛来する事もある。
主に単独で行動しているようだが、一部ではつがいで狩りをする姿も目撃されており、
その際はまるでお互いに連繋を取るかのような行動も見せると言われている。


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第三話 [二人の少女]

書いてる最中腹痛に襲われました…(ゲッソリ)
それではどうぞ…


「ただいま帰りました」

今私がここ、『大老殿』に居るのは『未知の樹海』から帰ってきて成果を伝えるためだ。

「無事でなりより、してどうじゃった?」

「はい、大長老の言っていたとおり漆黒の鱗に包まれた龍がいました。そして新たな情報があります。」

「その情報とはなんじゃ」

「白銀色の髪に深紅の瞳の少女が龍と共にいました」

「なっ、なんじゃとっ!それは本当かっ!」 

大長老が勢いよく立ち上がる。

「落ち着いてくださいっ!お体に触ります!」

「おっと、すまんな…。それにしても…」

「何かあるのですか?」

「そうじゃな…エマ。お前には話しておこう。エマは昔とある神話を耳にしたことはあるか?『第一の龍』、『第二の龍』、『第三の龍』が出て来る神話を」

「はい、聞いたことがあります。」

この神話はごく一部の者しか知らない神話だ。

「その神話の一部に『第一の龍、第二の龍から産まれし龍、その力を持って少女を守る。その少女が姿を消せばその龍、暴れ狂い、この世滅びる』とあるじゃろ」

「ってことは、まさかっ!でも神話の中の話であってっ!」

「そうじゃ、だが第一の龍と第二の龍がもし【魂喰龍】と【時空龍】だったらどうじゃ?【魂喰龍】は魂を司る龍。【時空龍】は自分と相手の時間を司る龍。つい最近まであの二匹は人間で言う夫婦だったはずじゃ。そこから生まれたあの龍は…」

大長老は黙り込んでしまう。私も話を聞いただけでは断言できない。だかがそれがもし事実だったらと考えてしまうとゾッとする。

「その少女については何も分かっておらん。念の為古龍観測隊に調査をしてもらっているがそなたがあってから見つからないらしいのじゃ」

「そうですか…。少し考え過ぎかもしれませんがあの男が気付いていたらどうしますか?」

「…早急に対処しなければいけないのぉ。じゃが恐らくあやつも気づいとらんだろう。」

「そうだといいんですが…」

男とは『マネルガー』。人工的な改造をモンスターに施す博士。マネルガーがあの龍の存在を気づけばこの世界は危ない。

「おっと、もうこんな時間じゃな、話し込んでしまってすまなかったのぉ」

「気にしないでくださいして。それでは失礼します」

そう言って私は大長老のいる部屋を後にした。

 

           ***

 

「おーい、エマーッ!」

後ろから元気な声が響き渡る。

「お久しぶりですね。アリス」

「ホントだよー!一ヶ月ぶりだよ〜。」

頬を膨らませるアリス。

「あのね、エマ。私G級ハンターになったの!」

「凄いですね!これで私と同じですね」

「それでね、私大長老様にエマと同じパーティーに入れって言われたのっ!」

「そうなんですかっ!私、嬉しいです!」

私達は笑顔で話をする。

「私のパーティー男性しかいないので…」

「えっ?そうだったの?」

「そうですよ…、あとで挨拶代わりに会いに行きますか?」

「うんっ!会いに行くっ!」

元気そうに言うアリスを二人のもとへ案内する。

 

           ***

 

「よぉ、エマ」

「話が終わったんですね。エマさん」

二人の視界に入った途端に話しかけられる。

「終わりましたね。アリス、あそこの太刀使いがバンです。そして奥の弓使いがノアです」

「どうも、初めまして!私『アリス』と言います。今日から皆さんのパーティーに入ることになったのでよろしくお願いします!」

「あぁ、宜しくな」

「よろしくお願いします!」

バンは有名な太刀使いで、一人で古龍を七体倒している。ノアはあまり名前が知られていないが人外レベルに近い実力を持つ弓使い。古龍は五体狩っていたはず。そして私は片手剣を使っている。一応私は古龍は十体狩っている。アリスは最近まで上位ハンターだったが最近になってG級ハンターに昇格した。アリスは双剣使いの上位ハンターのとき特例で古龍を狩れたらしい。その為一人で古龍を五体狩ったことが有名になっている。

「エマー!一緒に飲もうよ!」

「わっ!ちょっとアリスー!」

そして私達はアリス歓迎会を名目に朝まで飲み明かした。

 

           ***

 

大老殿にて大長老は一匹の龍に頭を悩ませていた所に一人の部下が走り込んできた。

「大長老、例の古龍が出現したようですっ!」

「それは本当かっ!」

「はいっ!『未知の樹海』の奥地にて発見したようです!」

「今すぐエマ達のパーティーを向かわせるのじゃっ!」

「分かりましたっ!」

そして部下は去っていった。

「この先どうなるのかのぉ…」

 

           ***

 

私達のパーティーは深夜に呼び出され、飛行船に乗り込んだ。

「エマ、あのときの龍か?」

「その『龍』って何?」

「アリスはいませんでしたね。龍って言うのは私達が前に『未知の樹海』に行ったときにあった龍のことです」

「エマ、答えてくれ…」

「すみません。多分あのときの龍ですね。」

私は内心あの少女は居るのか気になっていた。どこからともなく【魂喰龍】と【時空龍】の気配を感じる龍と居たのだ。もしかしたらあの娘は…。

「エマ、どうかした?」

「あっ、すいません。考え事してました。」

不思議そうに聞いてくるアリスに返答する。

「着いたぞ」

バンが私達に教えてくれる。私達は飛龍船から降り、龍が見つかった場所へ向かう。しばらく進むとリオレイアの残骸があった場所についた。するとそこに…

「もう寝ちまったか…」

夜の未知の樹海、月の灯に照らされた湖の小島。そこには黒髪の少女が白髪の少女に膝枕をして寝かしている。よく見ると白髪の少女は龍と一緒にいた娘だった。黒髪の少女は何処か寂しげに白髪の少女の頭を撫でている。目元には月明かりに照らされ輝く涙の粒。

「…あの子達誰?保護しないと危ないよ?」

何も知らないアリスが言う。

「静かにしろっ!」

バンの声が樹海に響き渡る。その声に気付いたのか私達に目線を向ける。

「失せろ…」

背筋に悪寒が走る。黒髪の少女から例の龍の気配を感じる。

「おい…あいつ…」

バンも気付いていたようだ。アリスは恐怖心に身を動かせないでいる。ノアは黒髪の少女を見つめている。

「どうする…エマ」

バンが問いかけてくる。

「少し待っていて下さい」

そう言って私は黒髪の少女のもとへ足を進める。

「近づくな」

睨まれるが気にせず進む。そしてすぐ側まで来た。

「来るなと言ってるだろ」

その声が聞こえたのか白髪の少女が目を覚ます。

「兄…さん…?」

「起きちまったか、ごめんな」

そして黒髪の少女はさっきよりもきつい目付きで睨んでくる。

「今すぐここを立ち去れ」




どうだったでしょか?
今回はハンター目線で書かせていただきました。
一応ヒロイン(エマ)目線ですね。コレから先、エマとリザが…ゲフンゲフン。
今回出てきたG級ハンター四人組とマネルガーはストーリでよく出てくると思います。
次の話も楽しみにしてくださいね!
それでは…

[ハンター紹介]
1.名前…エマ
  武器…片手剣『祀導神器【封解】』
  
2.名前…バン
  武器…太刀『絶衝虎刃【餓王】』
  
3.名前…ノア
  武器…弓『真.狼牙弓【滅罪】
  
4.名前…アリス
  武器…双剣『祭囃子・晴嵐ノ調』
  


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第四話[自己紹介、そして乱入]

今回は少なめです。
それではどうぞ!


「兄さん、この後どうしますか?」

「リザに任せるけど」

俺たちはハンターから離れた上空にいた。

「兄さんの産まれた所に行ってもいいですか?」

「真逆の方向だぞ?」

「言ってみたいんです!」

「まぁいいけど」

俺はエマが落ちない速度で湖の小島に向かう。

 

「やっと着いたな」

「もう夕方ですね」

「それにしても夕日が綺麗だな」

「そうですね」

今の時間帯はとても夕日が湖に反射してとても幻想的だ。

「兄さん、眠いです…」

半分寝たような表情で訴えかけられる。

「寝るか?」

「兄さん、擬人化して下さい…」

「いいけど…初めて擬人化した時みたいなことするなよ…」

「分かってます…」

俺は擬人化していく。どんどんと体が変形していき人の体になる。

「膝枕して下さい…」

「いいけど…」

俺は了承し、正座する。そこにリザが寝転がってくる。

「おやすみなさい…」

「おやすみ…」

「…すぅ…すぅ…」

「もう寝ちまったか」

微笑みながらリザの頭を撫でる。俺はリザを守れなかったのにこんなにも信用してくれるのだ。

(ごめんな…)

情けない気持ちで一杯になる自分。俺は思わず涙を零してしまう。

「静かにしろっ!」

男の声が響き渡る。俺は咄嗟に声の聞こえた方向に視線を送る。

「失せろ…」

リザに危害を加えるなら容赦はしない。睨み付けると怯えた子鹿のよう姿になる。だがその中の一人がこちらに歩を進めてくる。

「近づくな」

忠告するが近づいてくる。

「来るなといっているだろ」

するとリザが俺の声に気付いたのか目を覚まし、体を起こす。

「兄…さん…?」

「起きちまったか、ごめんな」

俺たちに関わらないでほしという意思を込めながら先程よりもきつい目つきで睨めつける。

「今すぐにここを立ちされ」

俺は声を荒げ言う。すると歩み寄ってきて俺を抱きしめてきた。

「っ?!やめっごふっ!」

「何を泣いていたんですか?」

「っぷはっ!はっ、離れろっ!」

「兄さんっ!大丈夫ですか?」

リザが声を掛けられる。

「お前…殺すぞ?」

「いきなりすいません…」

「兄さんに何するんですかっ!離れてくださいっ!」

 

           ***

 

「アリス…あいつ何やってんだ?」

「昔から少しおかしな所はあったけど…」

「エマが…おかしい」

三人はあの光景を見て唖然としていた…

 

           ***

 

「擬人化解除っ!」

そう言うと俺の体はどんどんともとの身体に戻っていく。

「えッ!?どうして人間だったはずなのにっ…」

「グルルル…!」

「兄さん、落ち着いてください!」

(こいつ等、武器を持ってやがる。なにかする気だろ)

「それは知っています。それともとに戻ってください。今の状態では敵意があると思われてしまいます」

そう言われ俺はさっきの姿に戻る。戻っている最中に俺に抱きついてきた奴の元へリザが向かい、話をしている。

「そいつ等信頼できるのか?」

「心配しないで下さい」

そう言い切られた。

(まぁ、リザが言うなら大丈夫だろ)

 

           ***

 

私は兄さんを宥め、兄さんに抱きついた女の子の場所に向かう。そして私は女の子になぜここに来たのかを聞くために喋り掛ける。

「私はリザと申します、私達に何か用があるのですか?何か用が有るなら武器を置いて下さいね」

「分かりました。そう言えば自己紹介がまだでしたね。私はエマといいます。以後お見知りおきを。それでは本題に移ります。私達はギルドから派遣されて来たハンターのものです。そしてあなた達を調査しに来ました。」

「だから来たのか」

いつの間にか隣に兄さんがいた。その容姿は黒いワンピースを身に纏った黒髪の少女。思わず一目惚れしてしまいそうだ。

「リザさん?」

「あっ、すみません」

「いいえ、気にしないで下さいね。あの…黒髪の方に質問が有るのですが…」

「何だ?あまり詳しいことはいえないけど答えられる質問なら答えるぞ」

「ありがとうございます。質問です、貴女は人ですか?不躾な質問ですみません」

「気にすんな、俺は龍であり元人間ってとこかな」

「元…人間?」

困惑するエマさん。

「あぁ、そうだ。俺は元人間。どういった経緯かは言えないが龍になった。ただそれだけ」

「そうなんですね。それではもう一つ、あなたの性別はなんですか?」

「あー、わからん。リザ、どうなんだ?」

兄さんが問いかけてくる。

「多分ここでは女性だと思いますよ?」

「えっ!そうなのか?てっきり男だと思ってた。」

「でも口調は男性ですよね」

「気にするな」

「あっ、わかりました」

エマさんが不思議そうに納得している最中にどこからともなく

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

と咆哮が聞こえる。

「ジンオウガッ!?乱入っですかっ!」

その声と同時に強風が吹く。

「兄さんっ!」

(リザはエマと奥の三人を連れて離れとけ)

いつの間にか兄さんが擬人化を解いていたから

「駄目ですっ!」

(こんな時に駄々をこねるな、俺は大丈夫だから)

「もう兄さんと会えなくなるのは嫌なんですっ!」

(あの日見たいな事は…もう起きない!絶対だ!)

「本当…ですか?」

(俺を信じろ!)

兄さんは微笑んでくれる。私は仕方なく

「怪我しないでくださいね?」

(分かってるってっ)

そう言うと翼をはためかせ鳴き声の聞こえた場所へ飛んでいった。




どうだったでしょか?
次は政治くんとジンオウガの戦闘ですね。
ジンオウガは普通の個体なのでしょか?
それでは次の話に会いましょう!


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第五話[獄狼竜との対決]

昨日投稿できずスミマセンッ!
ソレでは!


飛んでいくと目の前にはジンオウガらしきモンスターがいた。

「ウォオオオオオオオンッッッ!!!」

「グォオオオオオオオオッッッ!!!」

お互いに威嚇を含めた咆哮を轟かせる。その咆哮を合図にして俺は攻撃を仕掛けることにした。まずは時間感覚を早め、ジンオウガの時間を遅くする。そして俺はブレスを相手の足元へ打ち込む。

「グオッ!?」

驚いた様に避けるジンオウガ。

(お前は誰だ)

俺はジンオウガに向かって問う。なぜなら俺は無闇にモンスターを殺したいわけではない。だからこそ敵意がないならないで確認したかったのだ。もう攻撃しちゃったけど…。

(貴方様は…)

そう言ってジンオウガは俺の方へ向かって歩いてくる。

(どっ、どうしたんだ?)

(貴方様は時空龍様のご氏族…!生きていらっしゃったのですね!)

目から涙を零すジンオウガ。

(あのさ…、お前は俺の親とどういった関係なんだ?)

(昔から時空龍様の従者を務めてまいりました。ですが貴方様が産まれる時に死んでしまいました。そして死んでしまうときに貴方に仕えろと言われました) 

悲しそうに告げるジンオウガ。

(じゃあお前は俺に仕えるって事か?)

(はいっ!仕えさせてください!)

(お前はそれでいいのか?)

俺はジンオウガに聞く。

(もちろんです!)

(…わかった、よろしく頼むな!)

(はいっ!)

(少し失礼するぞ)

そう言い、俺は擬人化する。どんどんと体が変形していき、黒のワンピースに包まれる。

(すっ、すごいですね!)

「あ、ありがとうな…。そういやさ、お前の名前ってあるのか?」

(無いですね…。生まれたときからジンオウガだったので)

「名前付けてもいいか?呼びにくいしさ」

(いっ、いいんですかっ?)

「いいに決まってんだろ。…うーん。あのさ、お前の能力って何だ?」

(前にキリン亜種を食べたので氷類の能力と元々ある龍光類の能力ですね)

「…よしっ!決めた、お前は今日から『リン』だ」

(ありがとうございますっ!)

「よしよし」

俺はリンの頭を撫でてやる。

「リン、俺は戻るけど来るか?」

(従者は主に付いていきます。私の背中に乗っていきますか?)

「いいのか?」

(是非とも乗ってください!)

「ありがとうな」

俺とリンはリザたちが居る場所へ向かう。

 

戻るとエマたちが大口を開けて佇んでいた。

「お帰りなさい、兄さん!」

リンから降りるとリザが笑顔で抱きついてきた。俺は前の世界でリザの笑顔を見れないとばかり思っていた。だが今、この世界でリザの笑顔を見れてとても嬉しいと深く思う。

(ごめんな…リザ…)

「所で兄さん、そのモンスターは?」

「あぁ、紹介が遅れたな。このモンスターは『リン』。一応俺の従者かな」

「グルルッ!」

鳴き声で挨拶をするリンにリザが挨拶を返す。

「初めまして下さい私はリザと申します。兄さんの義妹です」

(よろしくお願いします!)

「リンさん、少しこっちに来てください…」

挨拶を終えた二人は茂みの奥へ消えていった。

「あの…さっきのは通常個体のジンオウガじゃ無いですよ…」

「そうなのか?」

「この世界には主に三種類の個体があります。まず通常の個体。そして亜種、希少種があります。極稀に変異種が存在します…」

そして俺は色々と種類などを説明してもらった最後にエマに聞く。

「リンはどの種類なんだ?」

「リンさんは恐らく亜種から変異種になったのだと思います。あの体の周りにあった霧は別モンスターのだと思うので」

詳しく聞くとリンは元がジンオウガ、そして何らかの条件が整い、変異種へ変わっていったそうだ。そしてあの霧は『キリン』【亜種】のものらしい。

「兄さん、戻りました」

「あぁ、おかえり」

「たっ、ただ今戻りました…」

リザの背後から銀髪の少女が顔を覗かせる。

「リザ、その子は?」

「分かりませんよね。リンさんですよ」

微笑しながら答えるリザの後ろでリンは頬を赤く染めながら上目遣いで俺を見てくる。

「リ…リン?」

「そうです。リンです…」

「擬人化出来たんだな」

「リンさんも出来ました。それにしても可愛らしいですね〜」

リンの頭を撫でるリザを見ているとホッとしてしまう。

ふと今の時間帯を振り返る。

「エマ、時間大丈夫か?」

「あっ、飛行船の時間がっ!」

「何やってんだよ。飛行船明日の朝まで来ないぞ?」

「そうです。どうするんですか?」

「野宿でいいじゃんっ!」

パーティーで仲が良さそうに話している。俺はこんな光景を見ていて思い出してしまう。昔のことを。

(俺にも居たんだよな…)

「あのー、聞いてますか?」

「ごめん、少し考え事してた…」

「パーティーの皆が一緒に野宿しないかって言ってるんですけどいいですか?」

俺はリザたちに視線を送ると了承した様な表情を見せてくれた。

「俺達も野宿だしご一緒させて貰わせてもらおうかな」

「わかりましたっ!」

俺達は野宿ができるところへ向かった。そして夕食を食べることになった。

「これ美味しいですね!」

満足げな笑顔を俺に向けて言う。そこに便乗するように皆が口ぐちに感想を言った。

「皆ありがとうな!」

そこからというもの皆が楽しげに喋っていた。その疲れが来たのか食べ終わると皆が直に眠ってしまった。俺は片付けを終わらせ眠りについた。

 

           ***

 

二人の男が夜空から龍を眺めている。

「イチビッツくん、あの龍を知っているかね」

「あまり知りません。マネルガー博士」

「あの龍はこの世界の歴史に名前を残すことができる力を持っておるのじゃ!」

「それは凄いですね!」

「そうじゃろう!」

この二人の男の陰謀が今ここで

 

         動き出す

 




どうだったでしょうか?
今回はリンちゃんが仲間になりました!
(リンの下の名前入りますか?)
取り敢えずおっちょこちょいなキャラになればいいなーなんで感じです。
次の話は誠治くんの過去が一部明らかになります!
お楽しみに!

[ジンオウガ]【亜種】
種族
牙竜種(竜盤目 四脚亜目 雷狼竜上科 ジンオウガ科)
別名
獄狼竜(ごくろうりゅう)


極地に生息するとされる雷狼竜ジンオウガの亜種。
体格は通常種とさほど違いはないが、性質は格段に凶暴且つ獰猛で、
時には多数の犠牲者を出す場合もある非常に危険なモンスター。
漆黒の甲殻と白銀の体毛に覆われ、仄かに赤黒く明滅するその風貌に、
初めて遭遇した者は皆例外なく「地獄の覇者」「黒い悪鬼」を連想するという。
禍々しさすら感じられる圧倒的な迫力から、ハンターズギルドからは「獄狼竜」とも呼称される。


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第六話[誠治の過去]

それではどうぞ!


私は夢を見ていた。その夢は前の世界の夢。

 

私『リザ』はとある国の内乱に巻き込まれた。空からは爆弾が降り注ぎ、機関銃の音が鳴り響いていた。そして内乱中に両親を亡くした。なんの情もわかないまま両親を亡くしてから数日後、内乱は終わった。そこからは軍人に連れて行かれ、孤児院へ私を入れた。一年後すぐに私はとある家族に引き取られた。その家族こそ兄さんの家族、『加賀家』だった。引き取られてからというもの兄さんの両親は喧嘩ばかりをしていた。そして最後には離婚してしまった。残ったのは母親で離婚したのは私が中学生、兄さんが高校生のとき。母親も離婚してすぐ病気で死んでしまった。そこからは学校に通うことは出来たが、家計も苦しくなっていった。そして事件は不意に訪れる。私は学校帰りに薄暗い路地を通る。そこで私は攫われてしまったのだ。それを知った兄さんは私を助けに来てくれた。そこで兄さんは誘拐犯に刺されそうになったが私は力を振り絞って兄さんを庇った。その時の兄さんの表情は絶望の色に染まっていた。

 

「―――リザッ!大丈夫か?」

「兄…さん?」

私は夢から起きたようだ。

「妹様大丈夫ですか?」

兄さんに続きリンにも声を掛けられる。

「うぅ…、大丈夫です。気にしないで下さい」

「本当か?あまり無理をするなよ」

笑顔で言ってくれる兄さん。私はここで誓った。あの『事件』の時の表情にしてはならないと…。

 

           ***

 

「そろそろ帰りますね」

エマがそう告げる。

「そうか、気をつけろよ」

「あの…最後に一つ、質問していいですか?」

「いいけどなんの事だ?」

「名前、教えてくれませんか?」

そう言われ言っていなかったことに気づく。

「言ってなかったな、俺の名前は加賀誠治…嫌、『ゼーレ・ペアレント』。好きに読んでくれ」

「ゼーレ・ペアレント…、レンさんでいいですか?」

「好きに呼べって」

自分の考えた名前を言われるとむず痒くなってしまう。

「そういや俺達もしてなかったな」

エマの近くに居る男ハンターが言う。

「俺は『バン』、宜しくな!」

「俺は『ノア』、宜しく…」

「私は『アリス』、よろしくねっ!」

三人からの自己紹介を終え、三人は飛行船のある場所へ戻って行った。

「じゃあな、エマッ!」

「また会いましょう!レンさん!」

 

「行っちまったな」

「そうですね」

「レン様、この後はどうしますか?」

リンに尋ねられ、俺は思考を巡らせる。

「取り敢えず、朝ごはんだっ!」

そう言って俺達は朝ごはんを食べることになった。

 

「どうだ、美味いか?」

「とても美味しいですっ!」

今日の朝食はアプトノスの肉で出来たこんがり肉に周りに生えていた草木のタレをかけたものだ。。火は緑色の龍を喰らったときから使えるようになっていた。

「こおばしいに匂いだな…」

「頂いても宜しいでしょうか…」

「私も早く食べたいです…」

「食べるか…」

そして俺たち三人は大声で言った。

「「「いただいますっ!」」」

そして俺達は肉を口にした。味はこんがり肉自体についていた味が口の中に広がり、タレがそこにマッチングしていた。実に美味。

「美味いっ!」

「兄さんの料理は相変わらず美味しいですね!」

「生肉より美味しい…!」

リンは涙を流しながら肉を口にしていた。

「そんなに言ってもらえると嬉しいな…」

作ったものを美味しいと言ってもらえる嬉しさは俺にとってとても嬉しいと感じた。

「「「ごちそうさまでした!」」」

全員肉を完食し一服する。

「美味しかったですー」

リンが笑みを浮かべながら言う。

「ありがとな」

俺はリンの頭を撫でてやった。

(犬みたいだな)

しばらくすると体が重くなってくる。多分食いすぎたんだな。

「少し寝ようかな…」

そして俺は睡魔に身を任せた。

 

           ***

 

「すぅ…すぅ…」

隣で兄さんが無防備で寝ている。

「うふふ…」

「妹様、どうかしましたか?」

「きっ、気にしないで下さい…」

「あの…私も…眠くなってきたので…すぅ…」

そう言ってリンちゃんは寝てしまった。

「兄さん…はぁ…はぁ…」

呼吸が荒くなる。兄さんは擬人化した状態で寝ているのだ。

「許してくださいね…兄さん」

そう言って私は兄さんの体を触る。その瞬間鳥肌が立った。とても柔らかく、弾力がある。

(凄い…)

そして私の手は髪の毛に向かう。私は撫でるようにして髪の毛を触る。するとサラサラで手から滑り落ちていった。匂いは口では表せない程のとてもいい匂いだった。

(最後は…胸…)

ぷっくりと膨らんだ2つの果実。私よりも大きく膨らんでいる。手を当てると私の手を弾き返した。兄さんの顔を見てみると頬が赤く染まっていた。

(可愛いですね…)

私はその後兄さんの体をしばらく触り、添い寝をした。寝ているとき、兄さんの匂いが間近で感じることができた事に満足し、すぐに寝ることが出来た。

 

           ***

 

「うぅ…、リザッ?」

目を覚ますとリザが俺の腕を掴んで眠っていた。

「リザ、少し離してくれないか?」

「ん…、兄…さん?」

目を擦りながら俺の腕を離してくれる。俺はリザの頭を撫でてやる。するとリザは

「…」

頬を染めながら上目遣いで俺を見てくる。

「どうした?」

「いえ、なんでもないです…」

「そうか。ってリンまで…」

俺は立ち上がりリザの寝ている場所へ向かう。

「リン、起きろー」

「むにゃむにゃ…レン様…」

こいつ何言ってんだ。

「起きろっ!」

「ひゃいっ!」

俺が声を大きくして言うと跳ね起きる。

「申し訳ないです…」

「気になくていいけど寝すぎた」

「はい…」

自堕落な話をしていると

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

まるで機械音が混じったような咆哮が聞こえる。俺は擬人化を解いた。

「私が行きます…」

(どうしたんだ?)

リンが擬人化を解いて言う。

(私の盟友であり、ライバルです…)

(…。気をつけろよ)

(わかりました。行ってきます)

そう言ってリンは方向の聞こえた方向へ向かって行った。




どうでしたでしょうか?
今回はカンカクシカジカありましてお色毛シーンがありました。自分で書いてて恥ずかしくなりました…。アハハ…
次は無いと思います…はい…。
それではまた会いましょう!


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第七話[改造された盟友]

投稿遅れてすみません…。
カクカクシカジカありまして投稿できませんでした。
次からは気をつけますっ!
それでは!


私が使った先には思いもしない者が居た。その者とは私の盟友でありライバル、空の王者『リオレウス』だった。私の盟友は甲殻に似ても似つかない黒い外装を身に着けていた。

「グルルッ…」

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!』

機会の混じった咆哮と共に攻撃を仕掛けてくる。火球を避けながらリオレウスに近づいていく。リオレウスはブレスを連発する。私は瞬時に龍属性エネルギーを溜め、咆哮をする。そして私の体から赤黒い雷を迸り、龍光を纏う。

「ウォオオオオオオオオオオンッ!」

私は龍光弾をリオレウスの外装に当てた。するとあたった途端に外装は地面へと落下して行った。

(助け…て…くれ…)

(大丈夫ですかっ!?)

リオレウスが苦し紛れに喋りかけてくる。

(黒いやつを…)

黒いやつは外装のことだろう。私は自分の体の周りに龍光弾を6つ展開しリオレウスの各部位に当てる。当てていくと苦しそうに悶ている。すべて破壊したときにはリオレウスは気絶していた。

「リンさーーんっ!」

後ろから声がする。

(リザ様っ!?)

「心配なので来たのですが、大丈夫そうですね…」

(その龍は大丈夫なのか?)

(気を失ってるだけです)

私は龍化しているレン様に伝えるとホッとした様な表情になった。

「ガァアア…」

(ジン…オウガ…)

リオレウスは意識を取り戻し私の名前を口にする。

(起きました?大丈夫なのですか?)

(あぁ、少し頭が痛いが…)

そう言いながら唸るリオレウス。

(そういやジンオウガ、こいつ等はなんだ?)

(口の聞き方にきおつけなさいっ!ここに居るのはあの時空龍様のお子さんですよっ!)

そうわたしが言うと驚きを隠せずに大きく口を開けていた。

「気にしないでくれ、そんなにだいそれた物じゃないしな」

レン様はどうでも良いと言わんばかりに言う。

(今までのご無礼、お許しください)

そう言って地に伏せる。

「気にしないでくれって」

いつの間にかレン様は擬人化していた。私も続き擬人化する。

「人にっ!?ジンオウガまでっ!?」

驚愕するリオレウスに兄さんが微笑していた。

「擬人化と言うんですよ。私は古龍を食べたので。後私はリンと言う名前を貰ったのです。リンと読んでください」

(分かった、それにしても擬人化か…)

そう言って納得する。

「それにしても私と互角に渡り合える貴方があんな事になるなんて想像してませんでしたよ」

(人間の男に精神支配されてたみたいだ)

「精神支配?」

(そうだ。俺は試作品らしいから助かった。だが完成形になると完全なる精神支配されるらしい。)

屈辱的にリオレウスが呟く。

「そう気を落とすな」

(そうだな…。そういえばお前今はどうしてんだ?)

「私はレン様に使えているのです。時空龍様から頼まれたのですよ」

私はリオレウスに今までの経緯を話した。時空龍様が生きていたときからレン様に仕えた時までの事を。

 

(そろそろ俺は行く)

(そうですか、気をつけてくださいね)

リンが無感情にリオレウスに言っている。この二人は仲がいいのか悪いのか判らなくなる程、微妙な関係だ。昔からの知り合いらしいが。

「気をつけてな」

(はい、俺はここで失礼しますがこの先お気を付けを)

「ありがとな」

俺が言うと頭を下げ、大空へと羽ばたいていった。

「レン様、少しお話があります」

「どうしたんだ?」

「その話は従者関係の話です。まずレン様のお母様は時空龍様、その従者が私です。そしてお父様は魂喰龍様です。もちろん従者もいるわけですね」

「その従者がどうしたんだ?」

俺はリンに聞く。

「その従者は『ディアブロス』と言います。多少気が荒いのですが悪い奴ではありません」

「兄さんに危害を加えないという事ですね。ふぅ…」

リザが胸を撫で下ろす。

「それでですね、ディアブロスもレン様に使えることになっているのです」

「いいけど…。俺なんかで良いのか?」

「「もちろんです!」」

リザとリンが声を大きくして言う。

「おっ、落ち着けっ」

「すみません、取り乱しました。あと結論を言います。今からディアブロスの居るところに行きますっ!」

「今からっ!?」

今から行ってもいいが何処にいるのかもわからない。そんな中で今から行くとなるとかなり時間がかかるはずだ。

「何処にいるのかわかるのか?」

「恐らく旧砂漠の奥にある遺跡に居るはずです」

「居るといいんだかな…」

そして俺は擬人化を解き、リンとリザを乗せ旧砂漠へ向かった。

 

           ***

 

暗い実験室で男は喋る。

「イチビッツくん、、機械の調子はどうかね?」

「上々です!ですが完璧とまでは行きませんね」

「そうか、試しにアオアシラに使ってみるとするかね」

「はいっ、博士っ!」

二人の男たちは暗躍する。誰も知らない場所で。




どうだったでしょうか?
次回はバレンタインなのでどうしようかと考えてます。
是非感想、評価お願いします!
それでは次回会いましょう!


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第八話[砂漠の遺跡にて]

[今日の一言]
眠いっ!


旧砂漠へ向かう途中、リンとリザが俺の背中ではしゃぎまわっていた。

「わぁーー!すごいですっ!」

「こんな高い所から見たの初めてですっ!」

(おーい、はしゃぐなよ。落ちるぞ?)

「「すごいーーっ!」」

俺の言うことを全く聞かない。俺は言い聞かせる事を諦め、旧砂漠へと向かった。

旧砂漠につく。そしてついた途端に…

「「「暑い…」」」

「暑すぎます…、兄さん」

「そうです…レン様」

汗をダラダラと流しながら俺に言ってくる。

「確かに熱すぎる…なんだこの暑さは…」

そして俺達は日が当たらない影のある場所へと向かう。

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

背後から殺意の籠もった鋭い咆哮が鳴り響く。俺は咆哮の聴こえた場所に体を動かす。するとそこには体が刃と化した龍がいた。その龍は目を細めこちらを睨んでいる。

「グルルッ…」

「レン様っ!あのモンスターはセルレギオスですっ!」

(二人共、離れとけっ!)

 

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

「ガァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

戦闘が開始した。俺は空に大きく飛翔する。するとセルレギオスが翼を大きく広げたと思えばその場から姿をけしていた。

「グルルッ?」

「ガァアアッ!」

そして俺は背中に痛みを感じる。後ろに振り向きながら後退した。俺は時間を加速させ、魂蝕属性を含んだブレスを打ち込む。だがそのブレスを躱し物凄い速さで俺に接近してくる。俺は即座に反応しもう一度セルレギオスの胸元にブレスを打ち込む。幸いブレスはあたって肉を侵蝕していく。だが致命傷にならずこちらを睨んでくる。

(なんて速さだっ、ついて行けねぇ!)

苦戦しているとおぞましい気配を感じた。

「っ!なんですか、この気配はっ!?」

立ち尽くしていると地面が大きく振動する。その振動の場所はセルレギオスの足元。

ドゴォォオンッ!

地面が炸裂する。セルレギオスのいた場所には尋常ではない砂煙と岩の数々が降り注ぐ。

「グァァッ…」

セルレギオスのうめき声が木霊する。だがそのうめき声も静かに消えていった。

「この気配っ、あいつがっ!?」

リンが聞こえる。

「グルルッ…」

砂煙が消えていった。そこにいたのは…。

「ディアブロス…」

目の前にいる龍は頭に大きな左右非対称の角を生やし、特徴的な尻尾を伸ばしていた。角は紅に染まっており、どこか恐怖心を覚える。

(お初にお目にかかります。俺はディアブロスの『ディブロ』と申します。以後お見知りおきを…)

そう言って頭を下げるルイに俺は驚きを隠せない。俺は擬人化しリザに言う。

「もしかしてこいつがあの『ディアブロス』なのか?」

「そうですよ、レン様」

淡々と告げるリン。

「俺は『レン』だ。宜しくな」

(よろしくお願いします。それで俺も擬人化した方が宜しいでしょうか?)

「できるならしてほしいかな」

そう言うとディブロの体はどんどんと変貌していきやがて人の体になった。その容姿と言うと凛とした顔に少し筋肉のついた腕や足。いわば女性の追い求める理想の体型だった。男の俺でも惚れてしまいそうになるほどに。

「どうしましたか?」

「すまん、気にしないでくれ」

「わかりました」

「ディブロ、何をしに来たかわかるな?」

冷たい声でルイに向かってリンがいった。

「あぁ、わかってる」

そしてこの後、ディブロに今までの経緯を話した。

 

「レン様をお連れしたい場所があります」

「いいけど、どこなんだ?」

話を終えるとディブロが俺に話しかけてきた。

「それは『魂喰龍』様に関係がある遺跡です」

そして俺達はディブロの言っていた遺跡へと向かう。

「付きました。ここです」

「おぉ…」

目の前に広がっていた光景は口頭では説明できないほどのものだった。砂煙の中、どこか古びた建造物が立ち並び、日の光が差し込んでいた。なんとも幻想的であり、神話に出てきそうな風景だった。

「ここは俺の住処でもあり、魂喰龍様の生まれ育った場所です」

淡々とディブロが告げた。

「父さんの生まれ故郷…。すごいな」

呆気にとられてしまう。後ろにいたリザとリンと言うと只ひたすらにこの景色を眺めていた。

「レン様、ここには俺とメラルーやアイルーたちが住んでいます。穏やかな大型モンスターも共存している場所です。この様になったのは魂喰龍様が望んだ光景でした」

まるで今は違うと言わんばかりこの光景を眺めながらディブロは言う。まさか今は違うんじゃない、そう思ってしまう。たがその予想は的中してしまいます。

「ですが今はとある一人の人間のせいであのときの光景が壊れてしまいました…。『マネルガー』、ご存知ですか?モンスターを次々改造していく男です。特徴と言ったら白衣を纏っていることでしょうか」

「レン様っ、それってっ!」

声を大きくして俺に訴えかけてくる。その顔は怒りと悲しみの2つの感情が渦巻いているようだった。

「知ってるのか、リン…」

俺が返答しようとすると先にディブロが返答した。

「知っるとも。だってリオレウスが…」

「あいつがっ!?」

驚愕の声を上げるディブロ。

「あのリオレウス、そんなに強いのか?」

「あのリオレウスは種族の中でも一番に君臨するですよ。」

リンは悔しそうに告げる。

「兄さん、その男は私達に危害を加えるのですか?」

リザが話に入ってくる。

「かもしれないな…」

そんな事があれば俺は容赦なくマネルガーを殺す覚悟でいる。新しく得たこの力でっ!

ドォオオオオンッ!

遺跡の奥からなにか崩れた様な事が木霊する。

「ふはははははははっ!」

衝撃音とともに人の声がする。

「マネルガーッ!」

ディブロは血相を変え擬人化を解き、荒々しく咆哮を繰り出す。その姿は憎しみに駆られ、暴走した様なものだった。すると暗闇の中からマネルガーと思われる人影が見える。

「お前は誰だっ!」

俺は声を荒げ叫ぶ。

「君は誰かね。私はこの遺跡の破壊を…、いるじゃないですか。ディアブロス」

マネルガーは俺に興味を無くし、ディブロに視線を向ける。

「グァアアアッ!」

(今すぐここから立ち去れっ!)

「何を言ってるか分かりませんが貴方は私の実験材料ですっ!イチビッツくんっ!」

マネルガーが叫ぶとともに、背後から黒い甲殻のような物を身に着けた熊のようなモンスターが姿を現した。

 

[こちら古龍観測隊。ギルド本部へ連絡]

 

『旧砂漠 奥地』にて、古龍【焔角龍】を確認しました。その周りには多数の人を確認できました。何らかの関係性があると思われます。並びに改造されたモンスターを確認しました。引き続き調査を続けます。

 

[こちら、ギルド本部]

了解した。危険だと判断したため『旧砂漠 奥地』付近のクエストをすべて取り下げる。周りにいた人間だが情報によれば例の龍の可能性がある。最善の注意を払って調査を続行せよ。




どうだったでしょうか?
今回はディアブロスの『ディブロ』くん、登場ですっ!
ディブロくんは『ナナ・テスカトリ』を食べておりますっ!(美味しいのかな?)だから【焔角竜】なんです。
取り敢えず次の話は戦闘シーンが主な内容になってくると思います。
そろそろお暇しますね。
是非とも評価、感想お願いしますっ!

[投稿ペースについて]
ここは読みたい人だけでいいです。投稿ペースについてですからね。多分週に2〜3話だったらいいと思います。
後今週学校のテスト週間なので投稿できないかもです。スイマセン…。ですがその次の週はなるべく多く投稿するので許してっ!


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第九話[能力の暴走、そして再開]

[今日の一言]
テスト週間なのに小説書きたくなってしまった…。

どうぞっ!


飛龍船に乗った私達。部屋のドアの隙間から冷たい風が吹き込んでくる中、私達四人は旧砂漠へと向かっていた。

「エマ、今回もあの龍が関係するのか?」

バンが質問を投げかけてくる。

「分かりませんが…。もしかしたら関係してるかもです…」

「エマ、前みたいなことしないでよ?」

「もうしないってばっ!」

私達は古龍と思しきモンスターの元へ向かっているはずなのに気楽に話していた。これが私達の『普通』である。

「今回は調査だから戦闘は成るべく避けてください」

「かっ、考えとくわ…」

バンが誤魔化しながらも了承する。

(戦闘したいんだろうな…)

私は心の中で苦笑しながら、会話を続けた。

 

           ***

 

(アオアシラッ!?改造されてやがるっ!)

「俺もやるか…」

俺がそう呟き擬人化を解除しようとするとディブロに止められた。

「俺もやるっ、リザに危害を加えるやつなんだろ?なら殺す」

無慈悲にもそう告げる。だが俺はリザを守るとは別に理由があった。それは自分の『力』だ。セルレギオスに襲われたとき、俺は劣勢だった。多分リンたちにも叶わないだろう。今の俺じゃリザを守ることが出来ない。俺が守ると誓ったのに…。

(わかりました…。ですが何かあったら俺も加勢します…)

そう言ってディブロが了承してくれた。俺は擬人化を解除し、一歩前に出る。

「無茶しないでくださいね、兄さん」

(わかった。あいつは俺が殺すっ!)

「戦えるようですね、それでは始めましょうっ!」

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

「ガァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

雄叫びとともに俺は空へ飛翔し魂蝕属性のブレスを打ち込む。だがアオアシラはその体躯に似合わない速度でブレスを躱し、飛び上がって攻撃してくる。俺はその攻撃を予測できず腹に傷を負ってしまう。だが怯まず次の攻撃へと転じる。地上へ降り爪に魂蝕属性を纏わせ、体感速度を上げる。最近になって気づいたのがこの時間操作を使うと体への負担が大きい。

「グァアアッ!」

一心不乱に爪を振りかざし、どんどんとアオアシラの額に傷を増やしていく。だがアオアシラはその傷をもろともせず、隙をついて大きな腕で俺の顔面を殴ってきた。俺はバックステップでその攻撃をよけ、威嚇する。睨み合う中、マネルガーの声が響く。

「貴方は、凄いっ!是非とも実験材料にしたいっ!」

(何言ってやがるっ!)

「人から龍、実に素晴らしいっ!古龍でしか実現できない高みっ!」

一人ぶつくさ独り言をこぼしている。

「早く仕留めてしまいなさい、この役立たずがっ!」

この言葉を聞いた瞬間、俺の中にあった何かがプツリと切れた音がした。

「グァアアアアアアアアアアア!!!」

俺は両爪に魂蝕属性を纏わせ、一段と属性を濃くさせる。

「…っ!?レン様、それ以上は危険ですっ!」

リンの叫ぶ声がするが今は俺の耳の中には入ってこない。今は只、マネルガーを殺すことだけに執着していた。自分の部下を道具の様に扱う。元人間の俺にしては何処か納得できないところがあった。

「ガァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

アオアシラが咆哮すると同時に俺の爪がアオアシラの視界を奪う。俺は容赦なくアオアシラの眼球をえぐった。悶ている間にマネルガーの元へ行こうとするが、アオアシラに掴まれ行動を制限させられる。

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

うまく行かないことにイラついているおれは魂蝕ブレスをアオアシラに連発する。そして魂蝕属性がアオアシラの体を蝕みやがて絶命した。

「あのアオアシラが一発でっ!?」

マネルガーの後ろに突っ立ていた痩せた体の男がいう。

「グルルッ…」

マネルガー達を強く睨む。すると着ている服の中から何かを取り出す。

「引き際は大事じゃ。引くぞ、イチビッツくん」

「はいっ」

そういったかと思えばその場から二人は消えていた。

我に返った俺はそこで意識が朦朧とする。負担の少ない擬人化状態になる。

「大丈夫ですかっ?!」

俺の元へみんなが駆け寄ってくる。だがその声はどんどんと薄れていき、最後には意識が途絶えた。

 

           ***

 

「あっちー」

「旧砂漠…暑いな…」

男二人組が汗を流しながら『クーラードリンク』を豪快に飲み干す。

「では行きますか」

私はそう告げ遺跡のある場所へ向かった。

 

「えっ!?」

そこに着くと驚きの光景が広がっていた。私達は荷物を整えるために遺跡近くのアイルーたちが住んでいる村まで来たのだが複数の人間が居た。

「誰だお前…」

その光景を凝視していると一人の男性と目がある。その目は殺気を放っていた。

「いや…すいませ」

「てめぇこそ誰だっ!ってレンっ!?」

バンが驚いたように声を上げる。私も男性の足元を見ると一人の少女が横たわっていた。

「レンさんっ!?」

私は無意識に駆け寄る。だが男性に止められる。

「近づいては駄目だっ」

「でも…レンさんがっ…」

「部外者は今すぐここを立ち去れっ!」

男性の声に一喝される。

「あっ、エマさんっ!」

奥から聞き慣れた声がする。その声は

「リザちゃんっ!?」

「エマさんっ、兄さんがっ…」

そう言ってリザちゃんが私に抱きついてくる。

「どうしたんですか?」

そして私達は今までにあった話を聞いた。そして今、レンさんは特有の属性、『魂蝕属性』を使った。そしてその力を制御できずにいるらしい。命には別状はないが体がどんどんと蝕まれている状況だ。

「あのレンくんが?」

アリスが素っ頓狂な声を上げながら思案している。

「うぅ…んぁっ…」

体を蝕まれ、うなされているようだった。

「レン様の近くは今、魂蝕属性の影響を受けるので離れていておいて下さい」

男性がそう言う。

「失礼ですが、どなたでしょうか?」

「これは失礼しました。俺はディブロと申します。人間たちの中では俺は【焔角竜】と呼ばれているものです。

「「「「焔角竜っ!?」」」」

「どうかしましたか?」

「だって【焔角竜】って、厄災種の一体なんだぞっ?」

バンが困惑しながらもディブロさんに説明をしている。そこに続いてアリスも説明を重ねる。

「そうですよっ!この世界には厄災種と言う物が存在しています。その厄災種は禁忌種に最も近い個体です。その厄災種は五体いて、そのうちの一体がここにいるなんてっ!?」

厄災種は【氷獄龍】、【焔角竜】、【銀龍王】の三体だ。未だに確認されていない【氷獄龍】と【銀龍王】は封印されていると言われている。その封印場所はそれぞれ離れた地域の奥地、または遺跡である。この遺跡も一つ、【焔角竜】の封印場所だ。

「封印されているんじゃないんですか?」

アリスがディブロさんに聞く。

「封印されているものは俺だけです。他の二体はそれぞれ代々種族の中に生まれる強化個体が古龍を狩って厄災種というものになるんだと思います。俺はナナ・テスカトリを狩りました」

「そうですか…」

古龍を超える存在がいる事を知り、アリスが顔を青ざめている。すると…

「エ…マ…?」

「レンさんっ!?」

「兄さんっ!?」

話しているとレンさんが頭を抑えながら起き上がっていた。

 

 

 




どうだったでしょうか?
今回はかなり多くなってしまいました。
と言うか私、テスト週間なのに投稿してますね〜。
あははー。勉強しなきゃっ…。
感想、評価是非ともお願いしますっ。
それでは次回お会いしましょう!


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第十話[懐かしき女神]

[今日の一言]
祝十話っ、これからも頑張らせていただきますっ!
あっ、そういえば今日の一言…。
モンハン野良で潜ってたんですよ。
取り敢えず寂しい…

どうぞっ!


 

—時を少しばかり巻き戻して"幻想の空間„—

 

「うぅ…ここは…」

目を覚ますと俺は知らない場所に居た。目の前には多彩な花が咲き誇り、青空が広がっている。幻想的という言葉がちょうど当てはまるような光景だった。

「久しぶりだね、誠治君」

「っ!?」

背後から声が聞こえる。聞いたことが無い気声だがどこか懐かった。後ろを振り向くと

「お前はっ…あの時の」

「覚えててくれて嬉しいな!」

目の前で微笑む少女。この少女はさっきまで居た世界に送ってくれた人物だった。

「私は"祖龍ミラボレアス„人間からはルーツって呼ばれてたりするよ」

「そうか、改めて宜しくな。ルーツ」

「エヘヘッ、誠治くんに【ルーツ】って言われた…」

ボソボソと俺には聞こえない声で何かを呟いている。

「どうかしたか?ルーツ」

「あっ、気にしないで、誠治くんには関係ないから!」

「ならいいんだか。それよりここはどこだ?」

「ここは私と誠治くんしか居ない空間かな。詳しくは言えないけど。それでね、誠治くんをここに呼んだのは他でもないの。今君はどうなっているかわかる?」

そう聞かれ詳しく思い出そうとする。だが思い出せない。覚えているのは改造されたアオアシラと戦っている所まで。そのことをルーツにいうとまるで知っていたような反応をする。

「そうだろうね。だって誠治くんは暴走してたんだから」

「えっ、どういうことだよっ!。リザ達は怪我してないよなっ!?」

「安心して。リザちゃん達は怪我してないから。今君は意識を失っているの。誠治くんは魂蝕属性を使った、そしてその力を制御仕切れずに暴走してたんだ」

魂蝕属性、それは俺の父親が使っていた能力の一つだ。この能力は対象の体内からどんどんと、最後には精神までを蝕み殺す。その蝕み方はいろいろあるがただ殺傷を目的とした能力だ。

「そう言われれば…そんな気がする。でもなんでそのことを知ってるんだ?」

「私は君のいる世界の神様だからなんだ〜」

「軽々しく言うよな…」

「えへへー」

神様と言ってるがその事実を知らない人が見るとただの少女と勘違いしてしまいそうな幼さをかも出している。

(こんな調子で大丈夫なのかよ…)

「ルーツ、それだけを言いに来たのか?」

「もう一つだけ話すことがあるよ。この話は誠治くんの能力に関係してるんだ」

俺ばはルーツにさっきまで居た世界のことについて知らないことを教えてもらった。教えてもらった能力内容はいかにも俺には相応しくないものだった。

「そろそろ行くね、誠治くん」

「教えてくれてありがとな、ルーツ」

「えへへ…。…最後に少しだけ失礼するね」

頬を赤く染めながらルーツは俺の前まで歩を進めてくる。

「私の…初めてっ!」

チュ…

「っ!?」

「いきなりごめんね。君のファーストキスは貰っちゃった。でも安心して、これは夢だから…」

「ルーツッ、おまっ…」

ルーツは悲しそうな表情で笑いながら消えていった。それと同時に俺の意識は途絶えた。

 

           ***

 

兄さんがいきなり目を覚ました。私は兄さんのもとへ駆け寄る。

「大丈夫ですかっ?」

その姿はとても脆く何処か不安そうな表情をしていた。

頬を真っ赤に染め、上目遣いで私を見てくる。

(色気がっ…かわいいですっ!)

「頭が…痛い…」

「兄さん…一度寝転がってください、私の膝に…」

「うぅ…」

何も言わないまま私の膝に勢い良く倒れ込んでくる。

「よしよし…」

「ずるいですっ…(ボソッ」

エマさんが何か言ってますが私は気にせず兄さんの色気じみた顔を堪能する。

「痛い…」

「レン様…可愛い…」

「リン、そこだけは共感できますね」

どことなく仲の悪いリンさんとディブロさんが珍しく共感していた。

「リザ、俺達男は外に出とくわ」

「散歩に行く…」

「おいディブロ、行くぞ」

「俺は行くなんて言ってないぞっ!」

そのまま男三人は外へと出ていった。

「すぅ…すぅ…」

「寝ちゃいましたね」

エマさんが声を掛けてくる。

「寝顔が可愛いですよね…よしよし」

私はどんな寝顔でも可愛いと感じてしまう。

「リ…ザ…。エ…マ…」

「「…っ!?」」

「行か…ない…で…」

涙を零しながら寝言を言う兄さんの頭を撫でる。

「私達はここに居ますよ」

「エマさんの言うとおりです」

そう言って私達は兄さんの側に居た。しばらくするとバンさんたちが帰ってきて「今日の夜ご飯取りに行くか?」と誘われ悔しながらもリザさんに兄さんを譲る結果となった。

 

           ***

 

「どうだ?楽しいだろっ」

「人と一緒に戦うってこともたまにはいいな」

「そうだな…」

俺を含めた男三人が武器片手にモンスターを狩って行く。その狩っているモンスターはガノトトス二頭だ。何故ガノトトス二頭と戦っているかって?それには海より深い事情があってだな。

 

「今日の夜ご飯はこんがり魚だっ!」

「そうなのか…」

「生でも食えるだろ」

ディブロがそう言うとリザが

「違いますよっ!兄さんが魚を食べたときに生だったらお腹が痛くなるじゃないですかっ!」

「二人共、違うぞ…バンの言ってることと…」

「「え?」」

「そうだ、理由は取り敢えずうまいからだっ!ここは幸い色んな魚が居るからな。確かここには伝説の【キングカジキマグロ】が居るかもだからな、ぜひ釣って食いたい」

「もう少し兄さんのことを考えてくださいよ…」

 

そして俺達は釣りを始めたのだ。最初は上手くいったんだが釣っていくうちにガノトトスに遭遇するっていうことになったのだ。しかも夫婦のガノトトス。

「水ブレス来るぞっ!」

「了解…」

「わかったっ!」

水ブレスを避け距離を詰める。そしてガノトトスの腹部に太刀の先を刺し、そのまま前に走る。するとガノトトスの腹部は避け、絶命した。もう一匹のガノトトスは龍化したディブロとノアに殺されていた。

「グァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

勝利の雄叫びをあげる。

「終わりましたかー?」

二匹が絶命すると草木の中からリザが現れる。

「あぁ終わっだぞ。ディブロー、解体作業するぞー!」

するとディブロは擬人化し、俺のもとへ寄ってくる。

「何するんだ?」

「このガノトトスを解体するんだよ。確かメスの方にある卵が体にいいらしい。えーと…」

「これか?」

「それは違うやつだな」

「これですか?」

「おぉっ!それだそれだ」

俺達はこのあとガノトトスを解体し終えた。解体作業中、胃袋にあった希少素材などを見つけて盛り上がったのはまた別の話…。




どうでしたでしょうか?
今回はレンくんが女神兼ルーツと関わりを持つ話が軸となっております。おまけは釣りですね。私は書いてるときにですね。ガノトトスを食べたくなりました。
それでは謝辞を言いたいと思います。
読者の皆様、この作品を読んでいただいてありがとうございます!これからも読者様が面白いと思える作品を作るのでよろしくお願いしますっ!
評価、感想お願いしますっ。
それではまた会いましょう!


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第十一話[二人きりの時間]

[今日の一言]
深夜って寂しい…。

どうぞっ!


「うぅ…」

「レンさんっ!?大丈夫なんですか?』

意識が覚醒すると目の前には木漏れ日によって輝くエマだった。

「まだしんどい…」

体がだるく頭が痛い。人間の時でいうと風邪みたいなものだ。

「そう言えばリザ達は…?」

「今は出かけていますよ。暫くすると帰ってくるとと思います」

ふらっ…

俺の体は貧弱になり、重力に任せて倒れ込んだ。

「レッ、レンさんっ!?どどどどうしたんですかっ?」

「ごめん…。少しフラついただけだ…」

自然と俺の体は落ちていき、膝枕されている状態になる。

「エマ…しんどい…」

「レッ、レンさんっ!?」

(顔な赤いレン様…どこか色気じみてるような…かわいいな…)

「本当に大丈夫ですか?熱はあるかな…って熱いじゃないですか!これは高熱ですよ、直ぐに冷たい物を持ってこないと!」

慌ただしくエマは反応するが俺の意識はどんどんと遠のいていく。すると急に大きな声で起される。

「リンさーんっ、こっちに来てくださいー!」

「はーい」

その声に返答するリンの声が聞こえる。

ガチャッ

ドアの開く音と同時にリンの声が部屋に木霊する。

「レン様っ!?お目覚めになったのですね!」

満足の一言が似合う笑みを零すリンにエマが要件を伝えている。

「はい、冷たいものですね!」

そしてリンは部屋から出ていった。

「どう…したんだ?」

「熱が高いので冷たい物をと思って」

「エマ…ありがとな…」

「気にしないでください」

そしてエマは優しく告げてくれた。だがそれと同時に罪悪感が湧いてくる。

「俺って…迷惑だろ…」

「どうしてですか…?」

「だって俺…リザを守るって…言ってんのに…周りに迷惑かけまくってさ…最後には高熱まで出して…」

「迷惑な訳ありませんっ!ちゃんとリザちゃんを守ったならそれでいいじゃないですかっ!病気になろうと暴走しようと関係ありませんっ!」

エマが必死に俺の言ったことを否定してくれる。だがそれを言い終わると顔を真っ赤にさせ黙り込んでしまった。その言葉で俺はいつの間にか涙腺を崩壊させている事に気づく。我慢してたことが少し緩んだように涙がこぼれ落ちて止まらない。それをエマが頭を撫でて慰めてくれる。優しく包み込むように。

「そう…なのかっ…ひっく…」

「そうです、レンさんは迷惑なんかじゃありません。迷惑だと思う人なんて私がボコボコにしてきますよっ!」

「あり…がと…」

俺の涙は止まることを知らずリンが氷を持ってきてくれるまで続いた。

 

           ***

 

「ただいまー!」

「あっ、お帰りなさい、アリス」

「お帰り、ディブロ!」

「ただいま帰りました。レン様、お体は大丈夫なのですか?」

「少しだけしんどいけど大丈夫だ!」

俺が元気よく言うとディブロは良かったと胸を撫で下ろしている。それより俺の興味を引くものがあった。

「なんだよ、それ…」

「あっ、これはバンが釣ってきたガノトトスです。珍しく旧砂漠の川に居たので」

「そうだぞ、しかも夫婦だったんだぜ!」

元気よく自慢してくるバンを見てみんなが笑っている。

(夫婦だったのかよ…)

内心驚きながらも会話を続ける。

「ガノトトスはどうするんだ?」

「食う!」

「らしいです」

「嘘だよな?流石にこのガノトトスは食えないだろ…」

「レン、俺にませとけって!」

そう言って調理室へガノトトスを担いでいった。もう一匹のガノトトスはアイルーたちにあげたらしい。

 

「遅いですね…」

「リザ、俺食いたくない…」

バンが調理室に入って、一時間が経過している。エマとアリスが見に行ってから帰ってきていない事と長らく時間が立っているせいで余りいい感じがしない。すると調理室からいい匂いがする。

「兄さん、いい匂いがしますね…」

「そうだな…」

ドンッ!

勢い良くドアがあき、バン達が料理を両手に持って入ってくる。皿を横においてある長机の上に置いた。その料理はどれも美しく飾り付けされており、どれも旨そうだ。

「これはアリスとエマが?」

「飾り付けだけだよ、レン君」

「ってことは味付けとかはバンがっ!?」

「なんだよその驚きっぷり!」

「でも凄いですよね…」

「何話してるんだよ、冷めちまうぞ」

そう言われ俺はバンの作った料理を口に運ぶ。

「美味しいですね、兄さんの体にも良さそうです!」

「メッチャ旨い!」

「ありがとな、レン!」

「私も頂こうかな」

「そうですね」

そしてアリスとエマも料理を食べ始めた。

「相変わらずバンの料理は美味しいよね〜」

「そうですね〜」

二人はどんどんの料理を口にしていく。その速さは意外なものだった。机の上にあった料理は目にも止まらない速さで減っていき、空の皿が溜まっていく。

「はっ、速いな…。太りそうだ…(ボソッ」

ここで俺は気づいた。自分の犯した間違いを…。

「レンさん、今なんて言いました…?」

「レン君、なんて言った?」

同時に凍りついた声が聞こえる。

「すっ、すまん!許してくれ…悪気は無かったんだ!」

「レンさん…少しこちらに来て下さい…」

エマに袖を捕まれ、部屋から連れ出される。その時のアリスとエマの表情は口では説明できないほどに凍りついていた。

「エッ、エマ…許してくれっ!」

「何言ってるんですか?悪いことを言う子にはお仕置きが必要です…」

そして俺は別の部屋にてお仕置きをされることになった。そのお仕置きの内容はいかにも男性にはキツイものだった。

 

「兄さんは大丈夫でしょか?」

「大丈夫だろ!」

部屋にはバン、ノア、リン、ディブロの四人が残っていた。四人は机を囲みながら残った料理を食べている。

「美味しいですね、バンさん」

「おっ、リンからそんなこと言われるなんて思ってもなかったぜ」

「なんかそれ酷くないですか?」

酷いかどうか悩みながらリンは料理を口に運ぶ。

「そんなことないぞ、うん」

「バン、お前料理得意だったんだな」

ディブロが言うと

「得意か?俺はとある猟団にいたとき教え込まれた事をやってるだけだぞ?」

と当たり前のように答えた。

「そうなのか、ならその教えてくれた人間は凄いやつだな」

「それほどでもねぇよ」

頭を掻きむしりながら照れるバン。

「ごちそうさまでしたー」

「ごちそうさま…」

リンとノアは料理を食べ終わる。しばらくしてディブロとバンも食い終わった。

「うわーーー!やめっ、やめろー!」

「いい感じですね…」

「ここをこうして…こうかな…」

上の部屋から声が聞こえる。悲鳴混じりの声が。するも階段を歩く音が聞こえてくる。

「終わりましたよー」

そして入ってきたレンの姿を見て四人が驚愕することになった。




深夜に書いたので不備が大量にあると思いますが許してください何でもしますかゲフンゲフン。
どうでしたでしょうか?
今回はエマの恋心が垣間見えたようにしたんです。わからないと思いますが。次こそはしっかり書きます!
感想、評価ぜひともお願いしますっ!

[投稿について]
今日から水曜日まで投稿できないと思います。テスト当日なので。それだけです。それではまた次回!


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第十二話[力に狂った竜の群れ]

投稿遅れてすみません…。Wi-Fiが壊れまして投稿出来ませんでした。本当にすいません!今日からは普通に投稿するつもりなのでよろしくお願いしますっ!


今俺はとある服を着ている。白黒で構成された服にフリルがついた物だ。ここまで言えば察するだろうが俺は今、『メイド服』を着ている。

「エマ…、脱いでいいよな…?」

「何言ってるんですか?ダメに決まってます」

「兄さん…可愛いです。はぁはぁ…」

「「レン様、お似合いです!」」

「バン、散歩に行こう…」

周りには味方がいなさそうだ。それにしてもこのメイド服はミニスカートのためとてもスースーする。しかも露出度がやけに高い。要するに俺が今言いたいのは…

「恥ずかしい…」

俺は男だぞっ!?

「兄さん、男の子だった頃とは違いますね。もう女の子でいいんじゃないですか?」

「いやいや、俺は男だからなっ!?」

「そうですね、お姉ちゃん!」

にこやかな表情で『お姉ちゃん』と呼ばれる。だから俺は男だって…。そう心の中でぼやいでいると外からバンたちの叫び声がする。

「外に出てこいっ!こいつはヤバイぞ!」

そしてリン、ディブロ、俺の三人は擬人化を解き、エマたちは武具を持って外へ出る。

 

「ガァアアアアアアアッ!」

「ガァアアアアアアアッ!」

「ガァアアアアアアアッ!」

 

そこには地獄絵図の様な光景があった。その光景は想像もしていないものだった。

「何でこんなにっ!?」

周りに沢山のモンスターが鎮座している。禍々しくも何処か恐怖に身を犯されたような姿で…。

 

「アリス、私は西側の殲滅に向かいます、バンたち二人は東、アリスは南をお願いします!」

(って事は俺達は北だな!)

「私は部屋の中に隠れときます。お姉ちゃん、無理しちゃ駄目ですよ…」

心配そうに見てくるリザに俺は慰めの言葉を掛ける。

(大丈夫、もう心配させないから)

俺はそう告げ前に出る。

(リン達はリザを守りながら地面に降りたやつを殺してくれ)

俺は翼を大きく広げ、空へ舞い上がる。するといきなり

横からセルレギオスが現れる。体感速度を上げ、魂蝕ブレスを打ち込む。すると俺の反応速度に驚いたのか素っ頓狂な声を上げながら下へと落ちていった。

(それにしても数が多いな…)

この時ルーツから教えてもらった方法を思い出した。その方法とは『魂蝕纏い』である。この方法は体内から空気中に溢れ出ている魂蝕属性を部位に纏わせるというものだ。どういう原理から分からないが身体能力が上がり、魂蝕属性の攻撃が強化されるらしい。

(ルーツの方法、試させてもらうぜ!)

俺は『魂蝕纏い』を発動した。すると俺の体に黒い霧のようなものが纏わりつく。どんどんと体から力が湧いてくる。

「グァアアアアアアアアアッッッ!!!」

思わず咆哮し、目の前にいたセルレギオスの喉笛を噛みちぎる。そして周りには集まってきたセルレギオスに新たな技を繰り出す。ます魂蝕属性で出来た鱗粉を空気中に散乱させる。そして鱗粉をセルレギオスの皮膚に付着させた。するとセルレギオス達が悶ながら落ちていく。かろうじて飛んでいるものには爪を腹部に食い込ませ、抉って殺した。

(レン様っ!セルレギオスの攻撃は喰らわないでください!)

(何故か知らんがわかった!)

ディブロに言われたとおりに攻撃を回避し、反撃を仕掛ける。そして暫くセルレギオスを狩り続けた。ブレスを撒き散らし、爪で殺す。これの繰り返しだ。

(レン様、上にっ!」

急に背中に激痛が走る。何かか食い込むような痛みを。

(ちっ、上かよっ!)

「グァアアアアアアアアアッッッ!!!」

「ガァアアアアアアアアアッッッ!!!」

俺が噛み付こうとすると後退し、臨戦態勢をとるセルレギオス。この個体は周りのセルレギオスと比べて気配が違った。何処か自我を保っているような感じだ。俺は魂蝕ブレスを打ち込むがすんなりと回避され、急降下キックをお見舞いされる。ギリギリのところで回避し、距離をとる。

(結構やるな…)

今の俺は背中に傷がある。この傷はかなり深めで血が大量に出ていた。取り敢えず黒い霧で覆い、応急処置を施す。さっき知ったのだが、この黒い霧には回復効果もあるらしい。実に使い勝手の良い代物だ。応急処置を終え、一気に距離を詰める。

「ガァアアアッ!?」

セルレギオスは俺の回復力に驚き、回避を遅らせた。その隙きを逃すはずがなく、俺は首に牙を食い込ませる。牙からどんどんと体内へ魂蝕属性を流し込んでいく。すると最初の方は暴れていたセルレギオスがあっけなく絶命した。

「グァアアアアアアアアアッッッ!!!」

その死体を地面に落とすと周りのセルレギオス達が動きを変える。セルレギオス達は落ちていった同胞を喰らったのだ。寄ってたかって、肉を貪る。その光景はなんとも言葉に表現しづらいものだった。

 

           ✳✳✳

 

「数が多すぎますよ…」

私は今、苦戦を強いられていた。大半はレンさんの方へ行ったが、それでも数が多かった。

「ガァアアアアアアアッ!」

上空からセルレギオスに襲われるが手に持っている武器で急所を切り裂く。そしてセルレギオスは急所を抑えながらも絶命した。

「ガァアア…」

「…っ!?狂竜化してるっ!?」

私は今気づいた。ここにいるセルレギオスがすべて狂龍化していることに。目の前に現れた個体もそうだ。

「もしかして…、でもあのモンスターはあの『ギルド』が討伐したはずじゃ…」

思考を巡らせながらも臨戦態勢をとる。そして先に仕掛けてきたのはセルレギオスの方だった。宙に舞い上がり急降下キックを繰り出してきた。私はそれを回避しながら横腹を斬る。だが鱗に弾き返されてしまった。私は直ぐに体制を立て直す。

「やりますね…」

「ガルルゥ…」

お互いににらみ合う中、先に動いたのは私の方だった。片手剣を握りしめ、セルレギオスに急速に接近する。私が切りつけようとすると、空へ羽ばたき

「せあぁぁぁっ!」

「ガァアアッ!?」

鱗の隙間に刃が食い込み、鮮血が吹き出す。そして大量出血は続き、セルレギオスは絶命した。倒したあとに気づいた事だか一部の個体が『狂竜ウイルス』と言うものを克服していた。

「少なからずいますね…」

私が絶句していると、

「大丈夫ですか?」

いきなり背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「リッ、リンさんッ!?」

「ある程度倒してきたので手伝いに来ましたっ!」

「ありがとうございますっ!」

私がお礼を言うと同時に横からセルレギオスが襲い掛かってくる。

「始めましょうっ!」

「はいっ!」

そう言って私達二人の無双劇が始まった。




どうでしたでしょうか?
久しぶりに書いたのでぎこちないかも知れません。
今回は取り敢えず異変の初歩的な部分ですね。
例えば『狂竜化』とか『ギルド』とか…。沢山ありますね。(多分)
感想や評価、是非ともお願いします!
それでは次話をお楽しみにっ!


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第十三話[戦闘終わりのお風呂]

[今日の一言]
転スラ十二巻特装版キター!
転スラコミック7巻特装版キター!
転スラアニメ化キター!
転スラゲーム化キター!

すいません…それではどうぞっ!


「グァアアアアアアアアアッッッ!!!」

迫ってくるセルレギオスを次々に殺していく。たまに攻撃を食らってしまうが俺は気にせずに攻撃を続ける。爪に魂蝕属性を纏わせ、空間を引き裂いた。それと同時に空気中に魂蝕属性の鱗粉が現れる。俺はその鱗粉をセルレギオスの皮膚に付着させて、肉を蝕んだ。そして悶え苦しむセルレギオスは地面へ無造作に落ちていく。

(多すぎやしないか?ざっと数えても二百はいるぞっ)

(レン様、しんどいなら変わりますよ?)

(大丈夫だ、まだやれるっ!)

俺は口内に魂蝕属性を溜める。そしてそれを球体ににして空へ放つ。

(ディブロ、地中に潜れっ!)

ディブロに警告を出す。なぜならこの技はかなり広範囲に届く技だからだ。技の内容は至って簡単。まず魂蝕ブレスを空へ打ち込む。あとはそのブレスを拡散させ、破片を地面へと降らせる。そして殺傷能力を上げるために拡散されるブレスの破片は先端を尖らせ、細長くした。

「グァアアアアアアアアアッッッ!!!」

俺の咆哮ともとにブレスの破片は降り注いでいく。破片

はセルレギオスの体を貫き、バタバタとセルレギオスを殺していく。そして全て降り終わると地中からディブロが出てきた。

(凄いですね、やはり【魂喰龍】様の息子なだけはあります!)

(そんなことないさ、もっと強くならなきゃな…)

ディブロにそう言われるが素直に喜べない。だって俺はリザを守れなかったから…。

 

           ✳✳✳

 

「「「「終わったーーー」」」」

俺達は約三時間、セルレギオスを狩り続けた。そして全て狩り終わり、今に至る。辺りにはセルレギオスの死体が散乱しており、とてもグロテスクな光景だ。人間の頃は見ただけで吐きそうな光景だが、今となっては何も感じない。これも龍になったせいか…。

 

「そういえばリンさん、私達行きぴったりでしたね!」

「そうですねっ!」

そういえば途中からリンがいなかったことに気づく。

「リン、お前エマと一緒に戦ってたのか?」

「あっ、申し訳ありません。エマさんが一人だったので…」

「いや別にいいんだけどね?」

俺は怒っていないがは一言くらい言っていってほしいものだと内心思っていた。だって仲間だもんな。そう思っていると後ろから足音がする。

「お姉ちゃんっ!」

いきなり後ろから柔らかい感触がする。後ろを振り向くとリザが抱きついていた。リザは力強く俺を抱きしめ、顔をうずくませる。

「ただいま、リザ」

「心配しました…。また暴走しちゃうんじゃないかって…」

顔をうずくめながら泣いてしまったリザの頭を撫でる。

「心配かけてごめんな…」

「お姉ちゃん、もう離さない…」

俺は今回の戦いで、新たな技や相手の攻撃方法を学んだ。これならリザを守れる。そう思ってしまう自分が居た。でもそれは『慢心』に過ぎず、自分が『守れる』と錯覚しているだけだった。

 

           ✳✳✳

 

「ふぅ〜、力が抜ける〜」

「そうですね〜」

「だな〜」

「…」

アイルーの村にて男四人は風呂に浸かっていた。四人とも表情は綻び、完全に力が抜けていた。

「バン。酒はやめろ…」

「いいだろ別に、仕事終わりの一杯だ〜!」

バンはノアに止められるもグイグイっと酒を飲み干す。

「俺も飲もうかな…(ジュルリ)」

「レン様は駄目です、まだ未成年ですから。」

「そうだけどさー」

流石に隣で旨そうに酒を飲まれたら自分も飲みたくなるものである。だが俺は未成年、飲むわけには行かなかった。

「いいだろー、レン」

「くそっ、ずるいぞ!」

「そういやディブロは酒、飲まないのか?」

「飲めるがレン様が居るからな」

ディブロは苦笑しながらバンに言っている。流石に俺のために無理をするのは良くない。

「ディブロ、飲んでもいいんじゃないか?」

「よろしいのですか?」

「今回は急だったし、しかも数が多かったからな。好きなだけ飲んでしまえっ!」

「ありがとうございます!」

そしてディブロはバンに進められるままに酒を飲んでいった。このあとは案の定、酔に酔いまくっていた。

「俺達は先に出ておく…。余り長く入っていると体に悪いぞ…」

「ありがとな、ノア」

ノアは酔ったバンとディブロを抱えて、風呂をあとにした。一人残された俺は取り敢えず風呂に浸かって疲れを取る。案外『魂蝕纏い』を使うと疲れたのだ。

ペタペタ…

足音がした。俺は即座に立ち上がり、辺りを警戒する。その拍子に体に巻いていたタオルが落下する。

「誰だ…」

気配を探ると前方から三人分の気配がする。その方向へ視線を向けると…

「レン…さん…⁉」

「レン様?

「お姉ちゃん?」

「えっ…?」

そこに居たのは酔っ払ったリザ、エマ、リンの三人だった。だがそれがわかると同時に唐突に俺の体の芯が熱くなるのがわかった。なぜかって?俺は今、全裸だからだ!

「お姉ちゃん、胸あるんですね…」

「レンさんの体…」

「レン様が…おっと鼻血が…」

どんどんと熱くなっていく。するとリザ達は俺の元へジリジリとよってくる。

「おっ、おい。なんだその目は…」

「なんでもないですよ…お姉ちゃん」

「来るな…、やめろっ!」

俺もリザたちの詰め寄ってくるのに合わせて後ずさっていく。だが背後にずっと地面があるわけではない。俺は風呂の中へ後ろから落ちてしまった。その隙きをリザ達は逃さない。

「大丈夫ですか?レンさん…」

「ゲホッゲホッ…、大丈夫だけど…」

俺は今、リザ達に全裸を見られている。辺りには身を隠せるようなものはない。昔の俺なら別に今ほど羞恥心を感じなかった。だが今は何故だろう。とても恥ずかしい。

「お姉ちゃん、なんでそんなに育ってるの?」

「しっ、知らねぇよそんなこと!」

「可愛い顔に似合った体つきですね…」

リンまでもが俺を舐め回すように見つめてくる。

「辞めてくれ…//」

「「「無理ですね♪」」」

その後は散々だった。リンに拘束されてリザやエマにあんなことやそんなことを…もう思い出したくない…。 

 

           ✳✳✳

 

「ガルルル…」

とある山の頂上で一匹の龍は火竜を前にして唸りを上げていた。

(何故儂が送ったセルレギオス達が全滅したっ…)

龍は怒りに身を任せ、漆黒の鱗粉を辺りに振りまく。その鱗粉は眼の前に居た火竜を狂わせ、我が物にした。

「ガァアアアアアアアッ!!!」

(なかなか使えるようだな、貴様は…)

 

この龍は思案する。自分の目的のために…。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの忌々しい【魂刻龍】を殺すために。

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
今回は戦闘が終わってからの話ですね。私的には少しハプニングシーンを入れたつもりなのですが…。わからなかったらすいません…。

それでは次回、お会いしましょう!


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第十四話[コイゴコロに気付かない少女]

[今日の一言]
卒業式シーズンですね。卒業生の皆さん、お疲れ様です!

それではどうぞっ!


「疲れ…た…」

「大丈夫ですかっ!?」

風呂でエマたちにもて遊ばれてから三十分が経過した。今の状態はエマにお姫様抱っこをされている状態だ。この状態に至った理由は簡単だ。俺は余り長風呂は得意ではない。だが今回は長時間風呂に使ったため、のぼせてしまっている。フラフラになったせいで歩くこともままならず、お姫様抱っこされている訳だ。な、簡単だろ?

「おい、どうしたんだ…?」

ノアが訪ねてくるが、意識が朦朧としている俺は返答すら出来なかった。

「少しありましてね…」

「エマ〜、てめぇ〜レンに何やったんだよぉ〜」

「行きましょう、レンさん。酔っ払ったバンを相手するのは骨が折れますから」

そう言われ俺はエマにそそくさと部屋に連れて行かれた。

「ここ…は…?」

「寝室です。あっ、襲ったりはしませんからね?」

「あたり…まえだ…。うぅ…」

視界がぼやけ、睡魔が襲い掛かってくる。なんとかエマに返答したが俺は耐えられなくなり、睡魔に身を任せることにした。

 

           ✳✳✳

 

「すぅ…すぅ…」

私は寝室でレンさんの隣で寝顔を見ていた。今は夜、あたり一面は薄暗くなり月明かりがより一層明るかった。

月明かりはレンさんの顔を照らし、妖艶な雰囲気をかもし出している。

「男の子じゃないみたいですね…」

中身が男性なのはある程度分かるが言動が少し、女性のように感じる。例えばさっきのお風呂での話だ。あれは…思い出すのはやめましょう…。

———ガチャ

ドアの開く音が部屋に響き渡る。ドアの方向へと視線を向けるとそこには浴衣を着たリザさんがいた。リザさんもレンさんに見劣りしない可愛らしさを持っていた。同じ女性としてはとても羨ましい。

ゲフンゲフン、余り嫉妬するのはやめましょう。

「どうしたんですか?」

「お姉ちゃんは大丈夫かなと思いまして…」

「大丈夫ですよ。少し体温が高いですけど直ぐに下がると思います」

「良かった…」

安堵のため息を付くリザさんを見て、私は改めて兄思い(姉思い)と感じた。

「そういえばリザさんはレンさんのことを『お姉ちゃん』って呼ぶことにしたんですね」

「なんだかそっちの方がしっくりくるので。周りから見られたときにも違和感が無いですしね」

確かに何一つ事情を知らない人が見ると『お姉ちゃん』と言っても違和感が無い。でも事情を知っている私達が見ると違和感そのものだった。

私が思考を巡らせているとリザさんがレンさんのもとへ歩み寄ってくる。

「さっきはごめんなさい…、お姉ちゃん。…私は下の部屋にいますね」

「あっ、わかりました!」

ドアの音が閉まるとまた先程の静寂が訪れる。なんだか今の私はこの静寂が心地よい。私とレンさんだけ、今までなら特に何も感じなかったのだが…。そこから私はレンさんの寝ているベットで寝てしまった。そして寝ているときに良い夢を見ていたのは私だけが知る『イイコト』だ。

 

———このときの私はまだこの感情は知らない。この感情を知るのはもっと先の話である。

 

           ✳✳✳

 

「昨日はすいませんでした!」

俺が目を覚まし、下の部屋へ降りていくといきなりリンに謝られた。

「何誤ってるん…、あっ…」

先程まで昨日の記憶が薄れていたが、今になってふと思い出す。思い出すと同時に体から冷汗が大量に出てくる。

「もういいよ…」

「本当に申し訳ありません…」

あれは黒歴史だ。そう割り切って忘れることにした。気分転換に俺は外へでて新鮮な空気を胸一杯に吸い込む。

「天気がいいなぁー!」

俺は無性に空が飛びたくなり、擬人化を解く。影が大きくなり、龍の形となって現れる。

「グルルルッ!」

俺は翼を大きくはためかせ、空へと舞い上がる。空は青く、太陽の光がギラギラと輝いている。

「グァアアアアアアアアアッッッ!」

俺は全速力で空を飛びまわる。目の前には青空が広がっていて、下を見ると全てが小さく見える。なんとも不思議な光景だ。

「グァアッ!」

下を見て飛んでいると数匹のアプケロスを発見した。このとき、『朝食』という単語が頭をよぎる。そして俺は急降下してアプケロスの下へ向かう。仕留め方は単純に爪で心臓部を貫く。魂蝕属性を使ってしまったら体に悪影響が出てしまうかもしれないため使わないことにする。

「ウォォオッ!?」

「グルァッ!」

俺の爪はアプケロスを仕留め、絶命させる。ついでに周りにいた一匹のアプケロスも仕留め、再び空へと舞い上がる。そして俺はアプケロスを掴みながらアイルーの村へと帰還した。

 

           ✳✳✳

 

「ただいまー!」

擬人化をし、家の中へと入る。すると奥の部屋からリザの声が木霊する。

「あ、お帰りなさい、お姉ちゃん!」

「俺は男だっ!」

「リザ、朝ご飯まだか?」

「まだ作ってませんね」

「なら久しぶりに一緒に作ろうぜ!」

そう言って俺はリザの手を引き、外へ連れ出す。

「これ使おうぜっ!」

「お姉ちゃん…朝からお肉ですか?」

「俺風サンドイッチとかいいかなぁーって…」

「……もうそれでいいです。お姉ちゃんと一緒に作れるんだし…(ボソッ)」

「なんか言ったか?」

「えっ!?いやなんでもないですよ!」

何か小声で言ってた気がするが気にしないでおこう。

そこからしばらく俺達の料理がスタートした。

俺はこんがり肉を作り、リザは村にあったパンなどをいい具合に焼いていく。こおばしい匂いが漂う。その匂いに釣られて男三人衆が玄関から出てきた。

「レン様、何を焼いておられるのですか?」

「アプケロスの肉」

「朝から肉か…それいいなぁ!」

「肉は旨い…」

バンたちは喜んでいるがその横でディブロが何かを探している。ディブロは家の隅や家の近くにある川まで行っていた。何を探しているのか気になった俺は肉を焼き上げ、質問した。

「何探してるんだ?」

「俺の好物の『サボテン』を探していまして…」

「サボテンを食うのかお前っ!?」

「あのみずみずしい感じがいいじゃないですか!」

「そっ、そうだな。そういえば革の向こう側にサボテンがあったぞ」

それを言うと同時にディブロは駆け出していった。その目は光り輝いていて無邪気な表情だった。

俺は肉を持って家に入る。

「出来ましたか?」

「おぉ、出来たぞ。うまい具合に焼けた」

「私もいい感じです!」

「偉い偉い」

そう言いながら頭をなでてやるとリザは嬉しそうに笑った。俺はこの笑顔を見れて腹一杯だ。

「それじゃあサンドするか!」

俺達は人数分、こんがり肉をスライスし、パンの間に挟み、特性ハチミツソースをかける。今なんで甘いものをかけたと思った人がいるだろう。それはこのハチミツは俺が調味料を混ぜてこんがり肉にマッチするようにしているからだ!って誰に解説してるんだ俺…。

最後に更に盛り付け、俺とリザが味見をした。

「大丈夫ですね!」

「そうだな。おっとリンを起こしてなかった」

「起こしてきてください。料理は運んでおくので」

そう言われ、俺は残りをリザに任せ、二階への階段を登る。そしてリンの寝ている部屋に入る。

「起きろー、朝飯できたぞー!」

「むにゃむにゃ…、レンしゃまぁ〜…」

———ゴツンッ!

部屋に痛そうな音が響き渡る。

「いったぁぁぁいっ!」

「お前どんな夢見てた…」

「それは…言えません」

「はぁ…、もう朝食だぞ。降りてこい」

俺はそう言って部屋を出た。そして階段を降り、外は出る。外へ出ると人数分の皿が置かれたテーブルとマタタビが置かれていた。マタタビはアイルーたちの分だ。

「リンさんは置きましたか?」

「あぁ、起きたぞ。もうそろそろ来ると思う」

リザの質問に返答し、席につく。隣にはエマとリザが座っており、まさに『両手に華』という言葉がピッタリだ。

「待ってくださーいっ!」

「遅いぞー」

「すいませんっ!」

走ってきたリンが席に座る。それと同時に同じ言葉が遺跡に響いた。

 

   「「「「いただきまーすっ!!!」」」」

 




どうでしたでしょうか?
またみんなでご飯食べてる話でしたね…
申し訳ないです。

それでは次回お会いしましょう!


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第十五話[少年であり少女である者の運命]

[今日の一言]
最近は気温の変化が激しいですね。体調管理に気をつけてください!

私みたいに風邪ひきますから…(ボソッ)

それではどうぞ!


「ガァアアアアアアアッ!!!」

「シャァアアアアアアツ!!!」

俺は朝食後、特訓をしていた。場所は遺跡近く、相手は

盾蟹【ダイミョウザザミ】と轟龍【ティガレックス】である。

「相手は二体で不足なし…」

早速俺は体感速度を上げ、魂蝕属性を纏う。一応俺は人の姿である。セルレギオスを倒した後に気づいたことなのだが俺は龍と人間の中間的な姿になれるらしい。頭からは角、背中には四枚の羽、腰辺りからは尻尾が三本生えている。尻尾は本数を減らせる事だけがわかっていて、腕や足は鱗が少しだけ生えて爪が鋭くなっていた。

「はぁぁぁぁぁぁあああっ!」

尻尾を二本にし、脚力のみで急接近する。

「ガァアアアアアアアッ!」

先手はティガレックス、爪を地面に叩きつけてジャガイモのような岩を飛ばしてきた。俺は体を捻り、岩を回避する。するとティガレックスは続け様に突進を繰り出した。俺はその後、急接近した勢いで突進してくるティガレックスの顔面にパンチを叩き込む。ティガレックスは俺の攻撃に怯み、後退する。すると突然その後ろからダイミョウザザミが水ブレスをかましてくる。かなり広範囲のブレスを…。

「うおっ!?」

「シャァアアアアアアッ!」

水ブレスをまともに食らった俺はビショビショになりながら距離を取った。俺は腕と足に纏わせた魂蝕属性の濃度を少しだけ上げる。

「次は俺の番だっ!」

翼をはためかせ空中へと舞い上がった。そこから急速にティガレックスに向けて落下、そして後退したティガレックスの顔にかかと落としを食らわせる。その勢いで横に薙ぎ払うように蹴りを入れた。

「ガァアアッ!?」

「舐めてもらっちゃ困るぜっ!」

続けざまに乱撃を繰り出す。ティガレックスの皮膚はどんどんとボロボロになっていき、肉が見えて来る。そして肉から体内へと魂蝕属性が流れ込んでいく。

「グッ、グァァアアアッ…!」

乱撃を繰り返していく内にティガレックスは悶え苦しんでいく。そしてティガレックスは呆気なく絶命した。

「まずは一匹…」

「シャァアアアアアアツ!!!」

まず翼を体内へとしまい込む。そして尻尾を3本に増やし、魂蝕属性を纏わせる。濃度は腕などと同じだ。

「次は地上戦だなっ」

地面を強く蹴る。するとダイミョウザザミは背中にある大きな頭蓋骨を俺に向けた。

「何する気だ?」

疑問に思いながらも勢いを付けたままダイミョウザザミに飛びかかる。

「せぁぁぁああああっっっ!!!」

「シャァアアアアアアツ!!!」

突然ダイミョウザザミは後ろを向いたまま突進してくる。勢い任せに接近した俺は回避しきれずまともに食らってしまった。

「グハッ…、くっそ痛てぇ…」

「シャァアアアアアアツ!!!」

油断は大敵、その言葉を心に留め臨戦態勢を取る。

「ふぅ…」

力を腕と尻尾に集中させる。知らず知らずの内に魂蝕属性のオーラがどす黒く変色していく。周りは瘴気が立ち込め、薄暗くなっていく。

「シャァアアアアアアツ!!!」

威嚇をするダイミョウザザミを無視し、体感時速を上げる。極限まで引き上げ周りが止まったように感じた。

「グァァアア…、覚悟シロ…」

「シャァアアアアアアツ!!!」

地面を強く蹴り急接近を図る。そして俺は三本の尻尾を

ダイミョウザザミの頭蓋骨に巻き付けた。尻尾の先を変形させ、頭蓋骨を粉砕する。

「お前は弱い…」

「シャァアッ!?」

───バキッ

頭蓋骨が砕け散る。辺りには頭蓋骨の破片が飛び散りダイミョウザザミは驚いた様子だ。

「トドメだ…」

そう吐き捨て、構える。

「シャァアアアアアアツ!!!」

ダイミョウザザミが爪を構え近ずいてくる。俺はダイミョウザザミを視界の中心にたった瞬間…

「シャアアアアッ…」

ダイミョウザザミは絶命した。体からはダイミョウザザミ特有の体液が流れ出してくる。

「つっ、疲れたぁー…」

どっと疲れが滲み出てくる。

「力を使いすぎたな…」

そう呟きながら俺は翼をはためかせる。フラフラと空を飛びながら遺跡奥へと向かった。

 

✳✳✳

 

「ただいまぁー…」

───ドサッ

ドアが空いたと思うとお姉ちゃんが倒れる。

「おっ、お姉ちゃんっ!?」

私はお姉ちゃんの下へ駆け寄る。体は重そうに震わせ、

とてもしんどそうだ。

「特訓…しすぎた…」

「取り敢えず部屋に運ばないとっ!」

私はお姉ちゃんを寝室へ運ぶ。お姉ちゃんは頬を赤らめ、だるそうだ。

「あちぃ…」

「少し待っていてくださいね」

お姉ちゃんをベットに寝かせ、台所で布を濡らす。そして氷と一緒に部屋へ運ぶ。

「濡れた布持ってきましたよ」

「ありが…と…」

「しんどいそうですね…」

「すぅ…すぅ…」

気づいたらお姉ちゃんは寝息を立てながら眠っていた。寝顔を眺める。私は改めて思う、『変わってない』と。勿論何も変わっていない訳では無い。お姉ちゃんは強くなったし、よりかっこよくなっている。でも面影なんかは色濃く残っていた。

(相変わらずかっこいいなぁ…って何考えてるんですかっ!?)

「リザァ…」

「ひゃっ、ひゃいっ!?」

お姉ちゃんが私の名前を呟く。その姿はまるで赤子が親を探すようなものだ。私の額が暑くなっていく。いっその事寝込みを襲う…ダメだダメだ!でもチャンスは今しかない…。

私が心の中の葛藤を繰り広げる中、お姉ちゃんはぐっすりと眠っていた。

 

✳✳✳

 

「良く寝たぁー」

目が覚めると朝の十時になっていた。特訓をしていたのが朝の八時、かなり寝てしまっていた。

「起きましたか?」

「おぉ、リザ。朝から迷惑かけちまったな」

「気にしてませんよ、それよりディブロさんが呼んでましたよ」

「ならちょっと行ってみる」

そう言って布団から出る。すると

「遺跡中心部で待っているとのことです」

「ありがとな、リザ」

リザの頭をわしゃわしゃと撫でる。そして俺は指定された場所へ足を運んだ。

 

「申し訳ありません、レン様を呼び出す形になってしまって」

(いや、全然気にしなくていいぞ)

擬人化しているディブロに言葉を掛ける。俺も擬人化し、話を切り出す。

「それでなんで俺をここに呼んだんだ?」

「要件は二つ、まず一つ目から話させていただきます」

 

そこから俺はしばらくディブロの話を聞いていた。その話の内容は他の誰にも聞かれてはいけない、俺のこれから…人生が決まる重大な話だった。




どうでしたでしょうか?
今回投稿遅れて申し訳ないです!
かくかくしかじか問題がありまして…風邪ひいたり原稿消えたり…まぁなんでもいいです。本当に申し訳ないです!次からは気をつけさせていただきますゆえ…。
それでは次回会いましょう!


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第十六話[魂の調停者]

前回もあれだけ遅れて投稿したのにまた同じ事を繰り返してしまって申し訳ないです。
今回はとある試験がありまして…。言い訳ですね。

それではどうぞっ!



―時を少しばかり戻して遺跡の外れ―

 

「ここに居るモンスターを捕まえるのだ!イチビッツくんっ!」

「分かりましたっ!」

マネルガー達は次々と砂漠に居るモンスターを捕らえていく。その中には強力なモンスター達も含まれていた。

「やはりここのモンスターはとても良いっ!」

「そうですね博士っ!」

「グルァァア!!!」

モンスター達が暴れ叫ぶ。するとマネルガーが怒鳴り散らす。

「うるさい黙れっ!貴様らは兵器なのだ、黙っていろ!」

マネルガーの怒鳴り散らす声が反響する。

「さっさと帰るぞ、イチビッツくん!」

そしてマネルガー一行は遺跡を後にした。

 

✳✳✳

 

「レン様は『魂の調停者』の役割を持って生まれてきました」

静寂に包まれた遺跡、ディブロの声が木霊する。

「『魂の調停者』…?」

「そうです。これはこの世界を支えていると言っても過言でもない程の重要な役割になっています」

 

そこからディブロから色々な事を教えて貰った。まずは『魂の調停者』についてだ。魂の調停者とはこの世界に生きている龍の生と死を支配し、管理する役割である。この役割は俺の父親【魂喰竜】の役割だったらしい。それを今はこの俺が引き受けているわけだ。

余談だが今俺が持っている能力の一つ【魂蝕属性】は父親が魂の調停者の時に生み出した能力の下位互換らしい。父親の魂蝕属性は触れなくても肉体、精神を蝕むことが出来るとの事だ。

 

「レン様は正直に言って『弱い』です」

「…ッ!」

俺の心に何かが突き刺さる。

「それがどうしたんだよっ…」

「申し訳ありません、ですがここまで言わないと了承して頂けないと思いましたので」

そしてディブロは話を続ける。

「レン様は強いです、並のモンスターと比べたら。ですが俺やリンみたいな個体になってくるとレン様は勝てません。その原因はレン様は自分の能力に頼りきっている事です。俺達は個々の特性を活かして戦っています」

ディブロの言う通りである。俺は今まで能力を当てにして戦ってきた。自分の特性は活かさず能力だけを使ってきた。そのツケが今帰ってきたのである。俺が言い訳できないでいるとディブロは話を再開した。

「ここからは二つ目の話になりますがレン様は今からでも自分の特性を見出し、特訓すべきです。俺も手伝いますので」

「本当に良いのか?俺なんかの為に」

「もちろんですとも!」

 

そこから2時間後…

 

「グァァアアアアアアアアアアアァァァッッッ!!!」

「ガァァアアアアアアアアアアアァァァッッッ!!!」

俺とディブロは龍体に戻り特訓を繰り返していた。たまに半人化も交えた戦いもした。特訓の内容はとても激しいものとなっている。一見すればとても簡単、だが実践すると変わるものである。俺はまず、能力を封じている。能力に依存してしまうからだ。俺が使えるのは自分の肉体のみ。

「グァァァァアアアアッ!」

翼をはためかせ、ディブロへと急接近する。だがディブロは容易く見切り、反撃を繰り出してきた。炎を纏わせた角を俺の腹部に突き刺す。傷口からは燃え盛る炎、そして血だ。

「…ッ!?」

この時の俺は気づいていなかったことなのだが今の俺はディブロの炎を吸収していた。炎は最初、激しく燃えていたが暫くすると傷口を通って体内へと吸収されていったのだ。

(クソッ!めっちゃ暑いぞこの炎っ!」

(それはそうですよっ!)

そう言いながら俺の体を投げ飛ばす。俺は空中で何とか翼を動かし、滞空する。

「グルァァア…」

傷口は塞がったが痛みは消えない。

「ガァァアアアアアアアアアアアァァァッッッ!!!」

ディブロの方向とともに地面から炎の渦が三つ現れた。周りの空気は超高温、肌が焼けるようだ。だが俺は怯まず大空へと羽ばたき、雄叫びを轟かせる。

「グァァアアアアアアアアアアアァァァ!!!」

感覚を研ぎ澄ませる。周りの音は遮断され、俺の心の声だけが聞こえる。

(今だっ!)

俺は最高速度でディブロの背後へ回る。そして半人化し、全力でディブロにパンチを入れた。

(甘いっ!)

───ドゴォォォォンッッッ

俺がパンチしたはずだが攻殻に阻止された。その後は威力が凄まじい薙ぎ払いで吹き飛ばされた。

「グハッ!クッ…ソッ…なんて威力だよ…」

(この程度まだ序の口ですよっ!)

そう呟きながら猛スピードでこちらに突進してくる。俺はギリギリのところで体を捻り、回避する。だがディブロの纏っている炎が変形する。炎はツタ状に変形し俺の手首と足首を捉えた。

「クソッ!あちぃっ!」

腹(鱗)は燃え、所々損傷していた。皮膚は火傷し、とても痛い。

「これで俺の勝ちですね」

そう言ってディブロは炎を自ら生み出した炎の中へと戻し、人化する。

「お疲れ様です。それよりもお体は大丈夫ですかっ!?」

ディブロが駆け寄ってくる。だが俺の意識は朦朧としていった。そこから先は俺の記憶には残っていない。

 

✳✳✳

 

「何をしてたんですかっ!」

「えー…あー…その…特訓しようとレン様を…」

「ディブロ、貴方はバカですかっ!?レン様はまだ本来の力を取り戻していないのですよっ!」

「そうだかレン様を強――」

「うるさいです、新しい氷を持ってきてください」

 

✳✳✳

 

「姉さん、あれがあの『魂刻龍』?」

「それにしては弱そうだな…」

「バルカン?(威圧)」

「うっ、嘘だって!」

「次は無いよ?」

「そう怒らないであげてよ、バルカン姉さんはこういう性格なんだからね」

 

✳✳✳

 

深夜十二時、俺は目を覚ました。起きると体が痛かったが何があったのかはあまり覚えていなかった。

「火傷…そういえば…」

「起きたの…?」

「誰だ…」

意識が完全に戻っていない中、返事をする。すると扉が開き、見覚えのある少女が立っていた。

 

 

 

「覚えてるかな?私のこと…」

 

 




今回はどうでしたか?
かなり描写をころころ変えてみたんですが…。
意見あればお願いします!(露骨なコメ稼ぎ)

感想、評価お願いします!それでは次回会いましょう!


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過去語り[誠治とリザ]

[今日の一言]
最近睡眠不足が溜まってます…。肌がガサガサですよ。
皆様も睡眠不足には気をつけてくださいね?

それではどうぞ!


俺『加賀誠治』にも愛しい人はいる。それは『リザ』、俺の義妹だ。リザは俺が拾ってきた少女であり戦争孤児である。今の時代戦争孤児など珍しいかもしれないが俺はそんな事を考えていなかった。

この時のリザの目は死んでいた。光がなく、希望を信じてなどいないようだった。

家へ連れて帰り、まず母親に素直にこのことを告げた。この時の俺は断られると確信していた。なぜなら俺の家はあまり裕福では無かったからだ。だが予想とは裏腹に母親は許してくれた。なぜ許してくれたのかは今になっても分からない。

リザは最初の頃は俺達の事を怖がっていた。だが次第に緊張は無くなっていた。仲良く会話を交わし、時には何処かへ出かけたりもする仲である。最終的には俺にとても懐いた。消して悪いことではないが美人なリザにこうも懐かれると恥ずかしいものだ。

そこからしばらくは普通の生活を送ることが出来た。

『父親が帰ってくるまでは』

父親が出張から帰ってきた。父親は帰ってきた途端、部屋を荒らし始める。部屋はぐちゃぐちゃになり、先程までの面影は無かった。恐らくこんな事をするのは仕事からのストレスだろう。

そして暫く荒らした後、俺達にも八つ当たりを行い始めた。最初は母親、そして俺へと矛先は向く。

溝落ちを蹴られ、頭を地面に押し付けられ、殴られる。髪の毛を掴まれたまま持ち上げられ膝蹴りを打ち込んでくる。体には多数の痣の後。いつまでたっても消えない、まるで俺の記憶のように…。

俺を散々痛めつけた後、父親はリザの存在に気づく。リザは怯え、足がすくんだように動かなくなった。それをいいことに父親は調子に乗ってリザに手をあげようとする。

すると俺の心に一つの感情が生まれた。

それは『殺意』である。実の父親への殺意。

この時の俺は父親の事を『父親』と認識していない。こいつはただの他人だ。体が無意識に動く。音を立てずにキッチンへと向かい包丁を手に取る。後は簡単だった。

『父親を殺す』

 

早く行かなきゃ

 

俺がリザを『守る』

 

あいつなんか『死ねばいいのに』

 

視界は紅に染まる。包丁を握る手の力は無意識に強くなっていた。父親の背後に佇む。大きな背中、昔は俺も憧れていた。だが今は違う。

包丁を高く振り上げそのまま振り下ろした。

───グチャッ

気色の悪い音が部屋を反響した。俺の体は返り血で染まる。そして父親は絶句したまま倒れた。その姿は無様でとても似合っている。

俺はその場に立ち尽くす、無感情で。視界には死んだ父親、気絶した母親、そして…。

 

「ごめんなさい…」

 

リザが俺の胸に顔を埋める。リザの体温が冷めきった俺の体を包み込んだ。

 

そこからは俺も覚えていない。それは俺がそこで意識が途絶えたからだ。目が覚めた時には何も覚えていない。楽しかった記憶した残っていない。

俺が目が覚めた時に目の前にいたのはリザだった。リザは泣きながら喋りかけてくれる。

「兄さんは一ヶ月も眠ってたんですよ?」

 

「お母さんも心配してましたよ!」

 

「私、学校に行けるようになったんです!」

 

 

 

「えっと…その…私、兄さんの『妹』になりました…」

 

 

 

これが俺とリザが家族になった瞬間である。

 

「私じゃ…嫌ですか…?」

 

ボーッとしていた俺に向けて上目遣いで俺の瞳を覗き込んでくる。リザは頬を紅くし、俺は男心を擽られていた。俺は急いで首を縦に降る。すると

 

「兄さん、大好きです!だーいすきっ!」

 

そう言って抱きついてくる。俺は突然のリザの行動に慌てふためく。だがリザがガッチリと俺を掴んでいたせいで身動きが出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さんは私のものです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時のリザの笑顔は泣いていた。




どうでしたか?
今回と次回は『過去語り』となる予定です。
誠治とリザの過去、上手く書けませんでした…。自分の語彙能力を怨みますよ…。
また過去語りは書くつもりですのでお楽しみ!

感想、評価お待ちしております。
それでは次回、お会いしましょう!


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過去語り[誠治と伊織]

[今日の一言]
現在オリジナル作品作ってたりします、はい。
読んでいただけると嬉しいなぁーなんて、HAHAHA。

それではどうぞ!


「あんたなんて死んじゃえばいいのよ…」

 

「なんで私は貴女を産んでしまったのかしら…」

 

「俺はお前を育てる気は無い…」

 

死にたい…死にたい…死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい!

 

私は嫌われている、全ての者に。

 

私は生まれた頃から 親から虐待を受け、学校では陰湿ないじめを受けていた。学校の先生達は見て見ぬふり。生徒達はその事を利用し、いじめをエスカレートしていく生活を送っている。友達などは居らず、ただ孤独だ。

「はぁ…」

思わずため息が出る。嫌だ…生きたくない。私なんて必要無いんだから…。死んでしまった方がこの世界のため…。

「おいおい、ため息ばかり着いてどうしたんだ?」

「えっ…?」

「隣なのに覚えられてねぇって悲しいもんだな」

「えっ、あっ、すみません…」

私に声を掛けてきたのは隣の男子生徒だった。名前は…分からない。だけど何処か親近感が湧く。

「俺は『加賀誠治』、宜しくな」

「私は『橘伊織』です…」

「それで伊織、どうしたんだ?」

「何もありません…」

そう呟き私は話を切る。だが加賀くんは話をやめようとしない。

「だから話くらい聞かせてくれってー!」

そこから予鈴がなるまで加賀くんはずっと話しかけてきた。本来の私なら教室を出て行くはずなのに加賀くん相手だとそうする気も起きない。私は加賀くんなんてどうでもいいのに…。

 

──────────────────────

 

四限目の授業が終わるチャイムが学校全体を反響する。

クラスの皆は友達と話をしようと席を立つ。私も弁当を持って誰も居ない屋上へと向かおうと、きょうつ

「なぁ、何処行くんだ?」

「…っ!?って加賀くんですか…」

「『ですか』ってなんだよ!」

「その言葉通りです」

「それより何処行くんだよ」

そう言われたが無視して屋上へ歩を進める。だが加賀くんは付いてくる。

「俺も1人なんだよ…いいだろー?」

「お好きにどうぞ…」

そして私達は屋上に付いた。心地よい風が私の長い髪を優しく撫でる。

「これは穴場だな…」

「加賀くんにバレちゃいましたけどね…」

そんなどうでもいい様な話を繰り返す。

 

私達二人はこの日をきっかけに関係が出来た。一ヶ月、二ヶ月…、それなりに二人は長い期間一緒に過ごしてきた。だがそれ程仲も良くない、言わば腐れ縁のような物。彼、加賀くんと話す時は口調も砕け、私の心の拠り所にもなっている、

 

「おい、伊織っ!」

「えっ!?あっ、ごめん。少し考え事してて…」

「まぁ良いけど、前見て歩けよ」

そう言われ前を向く。すると…、

「いったぁぁぁぁい!」

「だから言っただろ?」

「言うのが遅いよ!」

そして私は頬を膨らませながら文句を言う。そこで加賀くんと視線があう。

「…ぷっ、あははっ!」

「……っ、あははっ!」

笑う彼の顔、綺麗だな…//

 

「伊織、何やってんの?」

 

「っ!?」

唐突に私の名前を呼ばれた。この声、聞き覚えがある。

確か…『いじめっ子』達のリーダー格の…、

「楽しそうね…貴方だけ…」

「ほんとだわ…」

「ウザイ…、ちょっとこっちに来なさいよ!」

「やっ、やめて!」

「私達に口答えするの…?」

そう言われ黙りこくってしまう。そして私はいじめっ子に逆らわないまま言われた通りついて行こうとした。

 

「ちょっと待てよ、いじめっ子」

 

「あんた誰?私は伊織に用があるんだけ──」

いじめっ子が加賀に言い返そうとしたかと思うと声が聞こえない。ふと周りを見渡すとリーダー核の人の周りにいたいじめっ子が倒れていた。

「伊織は俺と話してんだ、お前らなんかに取られてたまるかよっ!」

そう叫ぶ加賀くんはいじめっ子達を殴り倒していた。

「てめぇ!よくも俺の女を!」

いじめっ子の彼氏がキレ始め、寄って集って加賀くんを取り囲む。

「俺とやるのかよ?」

「調子のりやがってぇぇえ!」

「うおりゃぁぁぁああ!」

「てめぇらなんざ雑魚なんだよ!せいっ!」

「…//」

こんな私を守ってくれていることに悶絶してしまう。加賀くんは巧みにいじめっ子の攻撃を交わし、反撃だけで倒して行っていた。そしていじめっ子達を全員倒し終えると私の下へ駆け寄ってきた。

「はぁ…はぁ…大丈夫かっ、伊織っ!」

「加賀くんこそ大丈夫っ!?」

体の芯が熱い。

「俺よりも伊織だ…よし、怪我は無いみたいだな…」

「…//」

私を心配してくれてるのかな…それとも馬鹿にしてるのかな…。

「加賀くん…ごめんね…」

「なんで伊織が謝るんだよ」

「えっ…でも…」

「『大事』な奴が襲われてんだ、助けない奴がいるか?」

加賀くんの言葉が熱く火照った体を更に熱くする。

(大事って…)

私は今まで不思議な感情を抱いていた。いじめられていた時には抱かなかった感情。

「伊織が助けを読んでるんなら俺は何処にいても駆けつける、何がなんでもだ」

「でも私なんかのために…」

「だぁーもう!俺がお前を守る、それじゃぁ満足出来ないのか?」

顔が熱い、加賀くんの顔を直視出来ない。

「それよりもコロッケ買おうぜ!あっ、リザの分も買ってやろ!」

「ってちょっと待ってよー!」

 

──────────────────────

 

 

これが私が人間だった時の最後の記憶。

 

 

 




どうでしたか?
えーとですね…そのですね…。
今回は深夜に書いてたんです。それゆえ書きたい事を詰め込んだだけの話になっちゃったんですよ!
許してくださいなんでもしますか────
取り敢えず今回は上に書いた通りです。なんだか前回と共に暗い話ですがそういう過去なんですそうなんです。
次回からは暗くないはずです。

それでは次回会いましょう!


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第十七話[独占欲の強い旧友]

[今日の一言]
家の後ろに神社があるんです。その神社を深夜の夜景と見るととても綺麗でした。それだけです。
(息抜きに皆様も夜景を眺めてみてはどうでしょう?)

それではどうぞっ!


「この口調…もしかして…でもあいつはっ!」

「伊織だよ…誠治くん…」

俺はベットの上で驚愕の事実に動揺してしまう。

「久しぶりだねっ!」

「うおぉっ!?」

いきなり抱きついてきた彼女は恐らく『橘伊織』、前の世界で唯一の親友だった奴だ。昔の事なんて忘れたいがこいつとの思い出は忘れられない。

「ちゃんと会えた!誠治くん!うゎぁぁぁぁんっ!」

「よしよし、すぐ泣く癖は相変わらずだな」

俺は優しく伊織の頭を撫でる。昔撫でた時と同じだ、絹のような優しい触り心地。

「サラサラだな」

「えへへ…//」

「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「どうしたの?」

「お前…女神だろ…」

何となくだが今気づいた…。こいつ…女神とやらを名乗ってたやつだ。

「えっ、えー?なんの事か分からないよ…HAHAHA…」

「おい…」

「…嘘だと思───」

「おい…」

完璧に誤魔化してやがる。誤魔化し方を見る限り本当に変わっていない、そう肌で改めて感じた。

「伊織…?」

威圧を掛けながら言う。すると伊織はモジモジしながら答えた。

「私です…隠してすいませんでした…」

「まぁ、特に怒ってないんだけどな」

「誠治くん酷いぞ!」

「すまんすまん許してくれ」

───ドタドタドタ

「お姉ちゃん!」

「リッ、リザッ!?」

「わぁぁぁあっ!リザちゃんだぁー!」

「うっ、うわっ!?」

俺の膝の上に座っていた伊織は居なくなっていた。何処かと思い辺りを見渡すと…。

「助けてくださいっ!お姉ちゃんっ!」

「小さいね、やっぱりリザちゃんは可愛いよぉー!」

こうなったらもう止められない…。頑張れ、我が妹よ!

「意地悪ですー!」

 

そこからはしばらくリザが伊織に遊ばれていたのは別の話…。

 

──────────────────────

 

(ハァハァ…誠治くんがいる…目の前にいる!)

私の誠治くん…、私だけの誠治くん…。今すぐ抱きつきたい。昔の世界とは姿が変わってしまったけど今の可愛らしい幼女姿も堪らない!幼女になった誠治くんの唇は甘そうだな…。取り敢えず今すぐ私の物になって!

そう思いを馳せていると愛しの誠治くんから声を掛けられた。

「なぁ伊織、お前はあの『事件』の後はどうしてたんだ?」

(っ!?)

この質問は来ると分かっていたけど誠治くんに会えることだけ考えてたから…。一応『バルカン』が言ってた口実を使うとしよう。

「えーとね、まず転生したの。もちろん『人間』だよ。そして家族は両親だけがクエスト中に亡くなったんだ」

「そうだったんですね…」

「でもね、私には妹がいるんだよ!」

 

「「それは私達のことかな?」」

 

「「うわっ!?」」

私は驚いた二人の視線の先を見る。

「なんで居るの…」

小声で尋ねる。すると赤髪の少女【バルカン】が答えた。

「姉さんが惚れた相手が気になっただけだ」

「僕も同じだよ〜」

バルカンに続けて答えたのは【ボレアス】、黒髪の少女である。

一応言っておくがこの2人は私よりも身長が高い。私が小さいだけなのだろうか…。

「レン君かな、私の姉が世話を掛けた。済まない…」

「僕からも謝るよ、ごめんね」

「って二人とも何してるのっ!?」

「少し事件が起きたから妹を連れていく。事件が片付き次第、また来る」

えっ、事件?なにそれシラナイ…。

「それではまた会おう」

「嫌だっ!私行かないもんっ!」

結局私は駄々を捏ねたがボレアス達には効果はなく、そのまま連れていかれた。

 

──────────────────────

 

「伊織か…」

彼女は俺の親友だ。多分男が女と親友だなんて名乗るのはおかしいと思う。事実伊織本人も言っていたことだ。だが俺は少なくとも伊織と親友だと思っている。今まで生きてきた中で『親友』という者に出くわしたことがない、それ以前に友達すら居ないのだ。

だが俺と伊織は友達の過程を吹っ飛ばして『親友』となった。

俺は伊織と学校では常に一緒に居ることが普通だ。何故かって?その理由は単純明快、『一人が怖いから』だ。俺は決して孤独の中に浸かりたいわけでない。だから俺は伊織と行動を共にしていたわけだ。

 

そのお陰で俺もすっかり孤独の沼から脱却しているつもりになっていた。

 

とある日の下校途中、横断歩道で伊織は誰かに押され死んだ。認めたくない真実。仲の良かった者が死ぬのは精神への多大なる悪影響を及ぼす。そして今もその後遺症が残っているわけで…。

 

「リザ…しばらくこのままで良いか…?」

「好きなだけこうしていて良いですよ…お姉ちゃん…」

思わずリザに抱きついてしまう。

 

一人が怖い。

 

孤独はもう味わいたくない。

 

「うぅぅ…あぁぁっ…」

嗚咽混じりの声が静寂の中へと溶け込んでいく。

「………//」

(お姉ちゃん…余程嫌だったんですね…」

「リザ…お前はずっと側に居てくれるか?」

(えっ!?『側に居てくれるか?』って!?)

「もっ、勿論ですよ!お姉ちゃんの妹ですからね!」

その言葉で落ち着く自分がいる。自分でも制御出来ない心境を制御できるリザ、

(リザまでいなくなったら俺はどうなっちまうんだよ)

 

 




どうでした?
また暗くなっちゃいました…。許してくださいまし…。
次回は戦闘描写を入れるかもしれないので明るい系は暫くお預けですね…。もしかしたら入れるかも!

それでは次回もお楽しみにっ!


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第十八話[大老長との対峙]

[今日の一言]
最近になって書いていた小説がかなり出来てきました。
でもこれで投稿していいものかと悩んでおります。

それではどうぞ!


「エマ、俺は何処に連れてかれるんだよ…」

「レンさんは保護された『人間』として扱われます。一応言っておきますが女性扱いですよ」

現在俺はドンドルマという街に来ている。ドンドルマに来た理由はエマが明かしてくれると思ったが明かしてはくれなかった。

街は活気に溢れ、人が多く行き交っていた。周りからは食欲を唆られる匂いや、目移りしそうな武具の数々、俺はとてつもない新鮮さに心踊らせている。

だが一つ、気がかりな事がある。

「なんで俺が女扱いなんだよ…」

「仕方が無いことです。だって見た目が『女性』なんですから…」

「はぁ…」

思わずため息が出てしまう。それは今は黒いワンピースを着ているため、完璧に女性にしか見えないからだ。

「あっ、レンさん」

「どうした?」

「唐突ですが着替えませんか?」

「別にいいけど、なんでだ?」

俺は今のワンピースのままでいいのだが…。

 

「だって大老長に会うんですから!」

 

──────────────────────

 

「お姉ちゃんはこれが似合いますね!」

「レンくんはこっちがいいって!」

「レンさんはあれも似合います!」

 

……

 

「あっ、あれも良くない?」

「確かにそうですね…」

「お姉ちゃん、どれがいいですか?」

「……」

俺は男のはずだ…。

「お姉ちゃん?」

なのに…。

「聞いてますか?」

 

なんでこいつらは女物の服を選んでるんだよ…。というか何処からリザとアリスは出てきたんだよ…。

「俺は男だぞ?」

「「「知ってます」」」

正気なのか…。

「そんなことよりこれ着てみて!」

「いいえ、私です!」

「お姉ちゃん、私が一番です!」

 

そして俺はそこから1時間程着せ替え人形のように服を着せ替えられた。女物の服はもう着たくない、特にミニスカートとか…。俺はこの時に激しく俺は心に誓った、『三人の着せ替え人形にはならない』と。

 

「よし、これでいいだろ」

鏡の前に立ち、自分の服装を改めて確認する。取り敢えず服は全体的に黒色に統一した。黒のインナー(厚め)に黒いズボン、ベルト付きの靴にした。代金はセルレギオスの素材を売って手に入れた物を使った。

「黒がやっぱり落ち着くな…」

 

「ありがとうございましたー」

「ふぅ…」

俺は買った服を着て、外へ出る。

「黒色が安心するなぁ」

「レンさん、終わりましたか?」

「あぁ、終わったぞ」

「とても可愛らしいですね!」

可愛いって…俺は男だぞ…。しかも俺の着ている服は男物なんだが。

そう内心呟いているとリザが時計を見て慌てて言ってきた。

「レンさんっ、急ぎますよ!呼び出された時間に遅れます!」

「おっ、おう!」

俺は何処に行くかも分からないまま、リザに手を引かれるまま連れていかれるのだった。

 

──────────────────────

 

「ヌシ達が保護されたものじゃな」

「えっ、あっ、はい。お──私が保護してもらったリルです」

「同じく妹のリザです」

大きな部屋の中心に置かれた長椅子に俺は座っている。そして隣にはリザとエマが座っていた。目の前には巨体の男性が座っている。手には巨大な体躯にあった太刀を握っていた。

「少し急かすようになってしまうが本題を話そうかのう。何故ヌシは砂漠に居たのじゃ?」

「私達はとある猟団と行動を共にしていたのですがはぐれてしまいまして…」

勿論全部でっち上げた話しだ。流石に俺が龍とは言えないだろう。

「嘘じゃろう…」

「ッ!?」

鋭い眼光を向けられる。寒気が全身を走るのが分かるほどだ。

「ヌシは龍じゃ…妹の方は人間じゃろうがな…」

「大老長っ!?何を仰っているのですかっ!?」

「リザッ…」

「はい、お姉ちゃん…」

立ち上がり、翼を背中から出す。俺は大老長を睨み返し、リザの前に立った。

「待て待て、ワシは決してヌシらをどうにかしようなどとは考えておらんわい」

「嘘を言うな…殺るつもりなら私も全力で──」

 

「待てと言っておるだろう…」

 

「……っ」

「お姉ちゃん…」

「まずは翼を閉まってもらいたいところじゃな」

そう言われ翼を仕舞う。俺は長椅子に改めて腰を掛けた。

「なんでわかったんだ…」

「ハンターの『勘』…じゃな」

沈黙が流れる。俺とリザは顔を俯かせ、エマは自分は邪魔だろうと思ったのか席を外す。

(なんで俺が龍って分かってんだよ…)

俺からは龍と確信付ける証拠など無いはずだ。体からは何一つ部位は出していない。ということは大老長とかいう奴は只者じゃないってことになる。

「まずなんで私達を保護したんだ…」

「それはヌシが人類の敵になり得るからじゃ」

いとも簡単に大老長が告げた言葉に困惑する。

俺が人類の敵、そんな事が有り得るのか。俺にはそんな力も頭脳も持ち合わせてはいない。

「君はとある昔話を知っているだろうか」

「知らないな…」

そして暫く俺達は大老長から『昔話』とやらを聞いていた。特に俺の記憶に引っ掛かったりする話ではないが何処か懐かしいものを感じたのである。

 

「ヌシらはこのあとどうするのじゃ?」

昔話を話し終えると大老長が聞いてきた。これから先、俺は特に考えてないがら、取り敢えずの目標は『魂の調停者』になることだ。

「なさそうじゃな…。それなら一つ頼みがあるのじゃが宜しかな?」

「なんだよ」

俺は大老長に聞き返す。すると大老長は懐から一枚の紙を取り出した。

「頼みとはこれじゃ」

取り出した紙を机に起き、俺に見せてくる。そこに書かれていたのは…。

 

 

 

「天廻龍…目撃…」

 

 

 




どうでしたか?
今回は冒頭を明るくしてみました。…明るくなってると信じます。

それでは次回、会いましょう!


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第十九話[笑顔にしたい]

【今日の一言】
モンハン小説で転生ってありだと思います!

それではどうぞ!


俺は大老長との話を終え、自宅への帰路についていた。当たりはすっかり暗くなり、酒場がやけに騒がしい。流石人間の街と言ったところか。

「それにしても賑やかだな」

「クエスト終わりのハンターが多いですしね」

「お姉ちゃん…お腹減りました…//」

リザがお腹を抑えながら訴えてくる。

「そうだな、というかあのおっさん話長すぎなんだよ!」

余談だが大老長との話は5時間に及んだ。天廻龍の経緯、そして俺達に成し遂げてほしい事、その二つだけだなのだがかなり時間がかかった。そのためリザがお腹が減ったと言ってもおかしくはないのだが…。

「それにしても酒場が多すぎだろ…」

「リザちゃんが入れそうにもないお店ばかり…」

エマが顎に手を当てて思案する。すると何か打開策をおもいついたといわんはエマがパァっと顔を明るくして俺達二人に振り向いた。

「あっ、私の家に来ますか?」

「えっ?いいのか?」

「全然いいですよ!ぜひ来てください!」

 

そして俺達はエマの好意に甘え、夕食をエマの家でとることになった。

 

──────────────────────

 

「お母さん、ただいまー」

「おかえり。あら、今日はお客様もいるのね?」

「どうも初めまして、リルと言います」

「妹のリザです」

俺とリザはエマのお母さんに頭を下げる。お母さんの容姿はとても美人で大人の妖艶さを身に纏っていた。

「私はエマの母、レーナよ。宜しくね」

「お母さん、レンさ─リルちゃんとご飯を食べてもいいですか?」

「もちろんよ!リルちゃん、リザちゃん、早く入って!」

そして言われるがままに部屋へと連れていかれる。

部屋に入ると目の前にあ大きな机と椅子が置かれており、その奥にキッチンが広がっていた。

「リンちゃん、先お風呂入ってきたら?」

「えっ?お風呂までは流石に…」

「いいのいいの、入ってきて!」

「なら私達は後ではい──」

エマが何かを言おうとしたがお母さんの声に遮られた。

「何言ってるの?もちろん三人でよ!」

「「………え?」」

 

──────────────────────

 

俺は今、お母さんに言われて風呂にいる。体は既に洗っておいてある。

風呂は和風の物になっており、湯気が立ち込めていた。柵はこの世界の植物、言わば竹のようなものを使っている。そのさくの隙間から月が湯水を照らしていた。

「気持ちぃ〜…」

素直に寛げない。なんでかって?それは…リザとエマがいるからだ。

「お姉ちゃん、やっぱり綺麗ですね!」

リザは相変わらずだ。

「レッ、レンさん…こっち見ないで下さいね…//」

逃げ出したい…。俺の視界には可愛い少女がタオル一枚でいるんだぞ!もう恥ずかしくて死にそうだ…。女になったせいで少し恥ずかしさは緩和されているが…。

「そっ、そういやさ。なんでエマの家ってこんなに大きいんだ?」

「えっ!?あっ…その事ですね。私の家は酒場なんですよ」

「そうだったのか?」

確かにこの大きさだったら酒場と言われても納得出来る。

「今日は休みなんですけどね」

「それはお母さんに悪いことしたな…」

「大丈夫ですよ、お母さんは働く事が好きな人なので」

笑いながら言ってくれるエマ。その笑顔がとても綺麗で、性格と相まって思わず惚れてしまいそうだ。

 

「リザちゃーん、手伝ってくれるー?」

 

するとお母さんがリザを呼ぶ声が響く。

「分かりましたー!それじゃあお姉ちゃん、私は先に出ますね」

そしてリザは小走りで風呂を後にした。

俺はエマと二人になった。二人とも顔を俯け、頬を赤く染める。

俺は唐突に来た恥ずかしさを紛らわすためにお父さんの事も気になりエマに質問をした。

それが禁句だとも知らずに…。

「エマ、お父さんはどうしてんだ?」

「えっ……」

エマの顔が曇る。

「あっ…聞いちゃダメだったか…?」

「いえ、別に大丈夫ですよ…。それよりお父さんの事ですよね…」

そう呟いたエマは一拍置いて口を開く。

「死にました…」

「えっ…」

驚愕の事実。

エマは驚きを隠せない俺を置いて話を続ける。

「クエスト中に私のお父さんは死にました…。そのクエストは【廻り集いて回帰せん】、シャガルマガラのクエストです…」

「…っ!?」

シャガルマガラ、それは大老長との会話でも出てきたモンスターだ。

 

『純白の鱗に狂気を纏い、双角にてヒトを屠る』

 

大老長の言っていた言葉を思いだす。その言葉は何かを含んだように聞こえた。その事がお父さんの事だったら。

確かシャガルマガラは一人の男ハンターによって討伐されたとか…。もしそれがエマの父親だったら…。

「お父さんは最後まで戦っていたそうです。そして相打ちで戦いに終止符が打たれたらしいです」

「……」

「そんな顔しないで下さい、お父さんは私の心の中で生きていますから!」

作り笑顔、顔が笑っていない。

「お父さんは立派に…戦って…それで…うぅ…っ!?」

 

無意識に体が動く。

 

「レっ、レンさんっ!?」

 

強く抱きしめる。

 

「レンさん…私っ…うぅ…あぁ…」

 

ただ泣き崩れる彼女を抱きしめる。そっと…優しく…。

 

 

 

「大丈夫だ…エマ…」

 

 

 

 

──────────────────────

 

私は今、レンさんに抱きしめられている。泣いてしまった私を…。

 

レンさんの手はとても暖かくてお父さんの手みたい。

 

いつもお父さんはこんな風に…。

 

そう思う度、涙が零れる。止めようとしても言うことを聞かない。

 

「なぁ、エマ…」

 

そっと優しい声音でレンさんが喋りかけてくる。

 

「俺はさ、別にお前の家族とかじゃないからなんにも言えない」

 

「でも俺はお前の泣いてる姿を見るのは嫌なんだ」

 

「俺は笑顔のお前の方が好きだ」

 

「だから俺は…お前を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笑顔にしたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二十話[災厄の初まり]

一応言っておきます。
この小説は自己満足ですよ!

それではどうぞっ!
(今回の話はモチベ低めで書きました…)


現在の状況、それを思い出してほしい。

 

目の前にタオル1枚の女の子…。

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

 

「「あっ……」」

「いや、これはだな!あの、そのだな…!」

「私こそその…すみません!つい泣いてしまって…それで…あの…」

お互いに顔を鬱向けてしまう。俺の顔は暑く火照り、心臓がバクバクと激しく鳴動している。

(だぁぁぁぁぁぁぁあ!何してんだよ俺っ!)

俺は男として最悪のことをしてしまった…。もう恥ずかし過ぎるんだが…。

「レッ…レンさん…。どうかしましたか?」

「えっ!?あっ…その…ごめん、エマ…」

「いえ…私が謝られるなんてそんな…」

 

その後はお互いに黙り込んだまま、しばらく風呂の中に浸かっていた。そして俺たち二人は出る時間をずらして風呂を終えることになった。

 

──────────────────────

 

「あら、二人とも何かあったの?」

風呂から出てから席につく。するとお母さんが話を切り出してきた。

「別に何も無いです、お母さん」

「そうですよ、あははは…」

圧倒的に気まずい。リザも不思議そうに俺とエマを覗き込んでいるが、今の俺にはそれに反応する余裕が無い程だ。あー…ほんとに何やってんだよ俺…。

「取り敢えず元気だしなさい!これをお食べ!」

そう元気よく言ったお母さんが出してくれたのはどれも美味しそうな夕食たちだった。夕食からは空腹の胃を擽る匂いが出ておりどれも魅力的だ。

そして俺たちは早速夕食を食べようとした。すると…。

「それじゃぁいただきま─────」

 

「女将さん、いるか!?」

 

見知らぬ男ハンターらしき人物の声が部屋を響き渡る。その声は焦りが伝わってくるものであり、とても嫌な予感がした。

「どうしたのっ!?」

「外にっ!戦闘街に『リオレウス』がいる!」

「なんですって!?」

(リオレウス…)

リオレウスと言えば前にあったことがある。確か赤い甲殻をした飛龍だった。そして何よりも特徴的なあの高温の火球…忘れるはずがない。

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

この咆哮…かなり近くに来ているな…。

俺は意思を固めて立ち上がる。するとエマが力強い声音で言った。

「レンさん、私はリオレウスのいる場所へ向かいます!」

「チッ…俺も一緒に行く!その方が楽だろ?リザ、お前は街のみんなを避難させてくれ!」

俺はエマの手を引き、家の扉を開けた。

「お母さんはリザと一緒に逃げてください!」

「わっ、わかったわ!…あの子…何者なの?」

「それでは行きましょう、お母さん!」

リザ達がリオレウスの居るはずの場所から正反対の場所へと走っていった。俺とエマも外へ出る。

「そろそろいいかな…」

そう呟き、俺は人化を解く。すると俺の体は龍の姿へと変貌を遂げ、鱗が月に照らされ黒光りを放っていた。

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

咆哮を闇夜の静寂に轟かせる。

「レンさん、行きましょう!」

「グァッ!」

(おう!)

俺はエマを背中に乗せ、翼を大きくはためかせる。そして次第に俺達は高度を上げ大空に居た。

「戦闘街はあっちの方向です!行きましょう!」

(ちゃんと捕まってろよ!)

そうして俺達は急ぎ足で戦闘外へと向かった。

 

──────────────────────

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

「…っ!?」

とても小さく聞こえたレン様の咆哮。その咆哮は何処か助けを求めているようなものだ。

「聞こえたよな…?」

「レン様が呼んでる…急いで行かなくちゃ…」

「だが俺達モンスターがドンドルマに行ったらどうなるか知ってるだろ?」

「分かってるよ、でもレン様が呼んでるんだから行かなきゃ!」

レン様のために私達は居る、そう私は誓ったんだ。

「急いで行くよ!」

「了解だ…!」

 

従者はは向かった、自分の主の元へ…。

 

──────────────────────

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

(なんでお前がそんなことになってんだよ!)

(オマエモ…コロス…アルジノタメニ…!)

爪を、尻尾を、翼を激しくぶつけ合う。その度に重厚な音が鳴り響き、両者の降格の硬さを物語っていた。

俺は取り敢えず拉致のあかない肉弾戦に終止符を打つために距離を取る。

「ガァァ…!」

「グァァ!」

俺は魂蝕属性を爪、尻尾に纏わせリオレウスの前に佇む。

俺はなんでこんな姿になったかは知らない。でも俺はお前を止めなきゃいけないと思う。じゃないと俺の大事な人達が傷つくから…。

 

「おい、いたぞ!」

「リオレウスだけじゃないのかっ!?」

「俺はあんな見た目の龍知らないぞっ!」

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

俺は寄ってきたハンターたちを無視し、咆哮を放つ。するとそれに共鳴するような咆哮が後方から聞こえた。

 

「ウォォォォァァァォォォォォォンッ!」

「グァァァァァァァァァァァァァッ!」

(レン様、大丈夫ですかっ!?)

(出かけた先でこれとは…災難でしたね…)

 

その方向の持ち主、それは砂漠にいるはずのリンとディブロだった。




どうでしたか?
最近やる事が多くてですね…あまり小説を書く時間がないんですよ。本当に申し訳ないです…。
今回の話は取り敢えず戦闘の前触れ的な感じで書いたんですが伝わりましか?(戦闘始まってたけど…)
面白いと思っていただけたら私は満足です!

感想、お気に入り登録、ぜひお願いします!
それでは次回、お愛しましょう!


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第二十一話[従者の心は狂気に染まる]

【今日の一言】
ゴールデンウィークまであと少し!
私頑張れ!

それではどうぞ!


【狩人ノ記憶】

 

この時、狩人達は同じ事を感じていた。

感じていた事と言ってもそれは言葉では表すことなど不可能なことである。

 

『ただ目の前にある恐怖』

 

その恐怖を目にした狩人達は無慈悲で冷酷な目付きをした四体の龍を前にただ呆然と立ち竦むことだけしか出来ない。

 

龍は呆然と立ち竦む人間を見下ろし思う。

 

『弱い』と。

 

 

 

 

 

 

この四体の龍は後に世界を大きく変える存在となる。

だがその事はここに居る誰しもが知り得ることの無い事であった。

 

──────────────────────

 

「なんですか…この気迫は…」

私は四体の龍を前にして脚が竦んでしまう。目の前には禍々しい何かを纏ったレンさん達、そしてレンさんに対峙するリオレウス。私もそれなりにはモンスターを狩って来たため、この気迫にも耐えられる筈なのに…。

唯ならぬ緊張感が全身に走る。私は震える体を抑え、片手剣に手を掛けた。

「おい、どうしたんだよっ!?ってこいつは…」

「私にもわかりません…分かることは危険だと言うことだけです…」

 

「こいつらはなんなんだよ!」

 

「嫌だっ!死にたくない!」

野次馬やハンター達が口々に叫ぶ。

(リオレウス…貴方は正気ではないですね…)

(リン、ディブロ…こいつを止めるぞ。じゃねぇと街が危ない)

((仰せのままに))

 

レンさん達が会話を終え、戦闘を始めようとする。それと同時にバンが話しかけて来た。

「俺達はどうするんだ?」

「取り敢えず私達も参『ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!』加しま…えっ!?」

私が言葉を発した途端、新たな咆哮が轟く。その咆哮は

「おいおい…『あいつら』…多すぎだろ…」

 

『あいつら』、その対象は私達狩人達をより絶望のどん底に叩き落とす事になった。

 

 

 

──────────────────────

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

(約五百体…どうしますか、レン様)

(セルレギオスの時と同じかよ…)

俺たちの目の前には飛竜種の『リオレウス』がいる。だがそのリオレウスは一体とは限らない。そしてリオレウスだけとも言っていない。

「グァァァ…(殺すな、取り敢えず戦闘不能にしろ)」

俺はそう言葉を吐き出し、リオレウス達に向き直る。

「グァァァァァァァァァ!(戦闘開始だ!)」

「「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」」

俺はまず両脚に魂蝕属性を纏わせた。爪から黒い液体が浸たり、禍々しいものを感じる。

次に俺は体感速度を上げ、目の前にいたリオレウスに接近した。そのリオレウスは前にあった事のある個体だ。

だがその個体に近づこうとしても周りのリオレウス立ちが行く手を阻んでくる。

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

咆哮を轟かせ、大きく羽ばたく。すると上から見下ろすと全ての個体からまた一味違った禍々しさが出ていた。まるであの時のセルレギオスと戦った時のような感じだ。

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

俺は一気に降下し、近くにいたリオレウス数体に致命傷にならない攻撃を加える。そして俺は次々に、休みなくリオレウスを攻撃していく。

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

翼と尻尾に魂蝕属性を纏わせた俺は数が減ったリオレウス達を前に嘆息する。

(いくら何でもここまで出来るってあのリオレウスはただらな無いな…)

そう一人で呟く。リオレウス達は息を荒げ、威嚇をしていた。

 

──────────────────────

 

「ウォォォォォォォォォォッ!」

(体が熱い…リオレウス多すぎ!)

私はそう嘆きながら一度距離を取る。するとディブロが同じく距離を取ったのか背中合わせになった。彼もかなり疲労している、私と同じのようだ。

(ディブロ、貴方はどうですか?)

(リン、お前よりはリオレウス達を倒したな)

(なっ、なんですって!?私の方が多いはず!)

私の方が…多いよね?

(そろそろ休憩も終わりのようだな…)

(私達も頑張らないとね…)

私は冷気と龍属性、ディブロは自らの怒り(リオレウスの多さ)と焔を纏い立ち尽くす。

(やるよ!)

(当たり前だっ!)

私達はそう意気揚々と叫び戦闘を開始した。

 

冷気を駆使し地面を凍らせる。すると空中から着地したリオレウスがバランスを崩した。私はその隙を見逃さない。瞬間的にその場を移動し、腕力だけでリオレウスの腹部を軽く抉る。鮮血が吹き出し、私の顔に掛かるが私は気にしない。

「ガァァァァ…」

(レン様の…タメニ…)

意識が遠のいて行く。脳内が赤黒く染まり、レン様からの命令すら忘れてしまう。

 

もう周りのハンター…殺してもいいかな?

 

レン様の邪魔になる…。

 

でもレン様が悲しんじゃうかな…。

 

「ウォォォォァァァォォォォォォッ!」

邪念を振り払うように咆哮を轟かせ、私は改めてリオレウス達を次々に戦闘不能にしていった。

 

「──い!おい!聞こえてるのかっ!?」

「うぅ……あぁ……ディ…ブロ?」

朦朧とする意識がディブロの声で覚醒する。

「取り敢えず立て」

そう言われ私は起き上がろうとした。すると今の状況に気づく。

「えっ…えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

今の状況、それはディブロの膝の上に私が寝転がっていた。

(だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!何をやってるのよ私!)

頬が熱い…何も考えられない…。

「おい、早く立て。そしてあれを見ろ」

「えっ、あっ、うん。えーとどれどれ…っ!?」

ディブロに言われるがまま、顔を動かす。すると私の視界にとあるものが写った。その光景は私の心を狂気に染め、殺意へと変貌させるものである。

 

 

 

 

「嘘…でしょ……いや…いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 




どうでしたか?
いやー…リンちゃんがヤンデ、ゲフンゲフン。
性格を少し、ね?HAHAHA。
次回は少し時間を戻した話です。
楽しみにしていてくださいね?

それでは次回、お会いしましょう!


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第二十ニ話[ヒトゴロシの龍]

【今日の一言】
また風邪引きました。しんどい…。

それではどうぞ!


「殺れっ!今が最初で最後のチャンスだ!」

 

なんで…なんでレンさんが…。

私達人間を助けてくれたのに?

何故みんなはレンさんを『殺そうとするの?』

やめてください…。レンさんを…攻撃しないで…。

 

ただ呆然と佇むことしか出来ない。助けに行きたくても足が竦んで動かない。

今、レンさんは戦闘街にいたハンター達に攻撃されている。でもその仕方はとても醜くて、見ていて耐えきれないものだった。数十人のハンター達に囲まれて、抵抗すら出来ずに…。

レンさんはリオレウス一行を追い払ってくれた。数体は絶命して地面に突っ伏しているけれどそれ以外は全て追い払ってくれた。そして追い払ってくれた当の本人は疲れきった様子で地面に座り込んでいた。身体中には火傷の数々、激戦だったことを物語っている。

 

そんなレンさんを…どうして?

 

『守ってくれた』はずのレンさんをなぜ攻撃するの?狩人として?それは違う。

じゃあモンスターだから?

何故ですか…。

貴方達は間違っているんじゃ…無いんですか?

私も動いて…助けなくちゃ行けないのに…。

動いてください!レンさんを…助けなくちゃ…。

 

 

──────────────────────

 

 

 

「お姉ちゃん!大丈夫ですかっ!?」

 

朦朧とする意識の中、最愛の妹の声がうっすらと耳に入ってきた。

たぶん俺の側に来たんだろうな…。

危ねぇっての…。

というか俺はなんでこんな状況に立たされてるんだよ。

 

「近づくんじゃねえっ!」

「きゃっ!」

「ガキが来ていいところじゃねぇんだよ!今すぐ消えろ!」

 

 

 

 

 

 

今の俺は正直に言ってかなり危ないと思う。って言っても分からないだろうがまぁ、死にそうって事だ。

肉を抉られ焼かれ、翼を引き裂かれ、尻尾を切断され、もう死んでも可笑しくないんだろうな。

というかあのリオレウス、強すぎないか?もう皮膚が焼け爛れて痛いんだよ!もう少し加減しろ…。

って何を一人でボヤいてるんだ。俺は取り敢えずリザを助けないといけない。それが兄の役目だしな…。

 

(はぁ…世話の焼ける妹だな!)

 

俺は全身へ力を入れる。すると身体はまだ動くらしく立ち上がることが出来た。そして俺はゆっくりと瞼を開け、視界をクリアにすることにした。

「グァァァァァ…」

「あぁ…ぁぁあぁぁっ!」

「お姉ちゃん!」

まず俺の視界に写ったのはリザだ。目元から大粒の涙を零し、泣きじゃくっている。

(取り敢えず…こいつらを『殺すか』…)

次に視界に写ったハンターたちに鋭い眼光で睨みつけた。俺は半人化し、口を開く。

「てめぇら…俺の妹に何をした?」

わざと声を低くして、殺意を込めて質問を投げかける。

「クッ、クソがっ!モンスターの分際で!」

「そうか…」

 

────グシャッ

 

俺に切りかかってきたハンターの腹部を貫く。もちろん魂蝕属性も合わせて。

大事な家族に危害を加えるなら容赦はしない。ただコロス。

「次は…お前だな…」

「ガハッ!?」

「次はお前…」

「グハッ!?」

次々に首を跳ねていく。ハンター達は面白いくらいに、脆く崩れていった。足元にはたくさんの『首』、そして血溜まり。

「もう居ないな?」

辺りを見渡し、近ずいてくるハンターが居ないことを確認する。ハンター達は全員青ざめて後ずさっていた。

「ごめんな…リザ」

「やりすぎです…『お兄ちゃん』…。でもお兄ちゃんが無事で良かった…!」

「ディブロ達はっと…彼処かな?よし、そろそろ帰ろうぜ────」

 

 

 

俺は助けれた。そう…だよな…?

 

 

 

 

──────────────────────

 

「大丈夫か?お嬢さん」

 

目の前にいるのはお兄ちゃんくらいの男の人。

そしてお兄ちゃんは男の人の持っている剣に刺されている。

 

「どうしたんだ?」

 

嘘だよね…?お兄ちゃんが…。嘘…。ウソ…ウソウソウソウソウソ!

 

「ヤメテヨ…ケンヲヌイテ…イマスグニ…」

 

「ッ!?」

 

「ハヤクシテ…オニイチャンヲ…カエシテ…」

 

──────────────────────

 

目覚めた時に写った光景はとても私の心を『蝕む』ものだった。

その光景はレン様が殺されかけているところ。腹部に竜殺しの剣を突き立てられ、側で妹様が泣き崩れている。

 

そんな時に私は何をしているの?私はレン様の従者、助けなくてどうするのっ!?

 

 

「ウォォォォァァァォォォォォォッ!」

 

私は今の心境を咆哮で書き消して立ち上がる。

(おいっ!リンッ、待てって!)

ディブロに何か言われるが無視してひた走る。

レン様の元へ向けて。

 

 

私は走り続けてレン様の元へ到着した。

改めてレン様の姿を見て私は絶望する。血だらけで、ボロボロで…。もう見たくないな…。

 

私は本気で冷気を周りに出す。辺りはどんどんと凍りついていき、極寒の地へと変えた。

「グルルル…」

「ジン…オウガ…?」

何処かの誰かが私の事を何か言っているが私には関係ない。今、私がすべき事はレン様を助けること。それ以外のことには時間を割けない。

「チッ…増援か?」

「グルァァァ…!」

私がレン様を殺そうとしている男と対峙する。男はレン様から剣を荒々しく抜きさり、私の方へ向き直った。

「レン様を返して…」

人化し、話を切り出す。

「てめぇはなんだ。人か?それとも龍か?」

「黙れ…今すぐ…消えて…」

「ははっ…馬鹿らしいな…」

 

私の中の何かがプツリと切れる。でもそれはディブロに止められた。

 

「ナンデトメルノ?コイツハコロサナイト…」

 

「だからいそすぎだって言ってんだろ…。俺はリン様を

助ける。お前はレン様を助けろ、わかったな?」

「分かったよ…。男、次会った時は絶対に『コロス』…」

「っておい!待てよ!」

私は人間を圧倒する程度の速さでレン様の元へ近ずき、だき抱える。

(レン様…すぐに治療法しますからね…)

「行くぞっ!」

「分かってるって!」

「待てって!お…い……はぁ…」

そして私たちは砂漠へと帰還した。

 

 

「レンさん…」

 

 




どうでしたか?
今回は風邪も相まって各時間が無く、クオリティも大変低いものとなってしまいました。本当に申し訳ないです。って言っても言い訳にしかならないですが。
次までには頑張って風邪を直します!
それでは次回お会いしましょう!


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第二十三話[主と従者]

【今日の一言】
しばらく書いていないせいで書き方がぎこちない…、申し訳ないです!

それではどうぞ!


[狩人伝承録]

 

『竜殺し』…知っているだろうか?

残虐非道そのものであり、龍を忌み嫌う者であり……『異端者』だ。

 

彼の手には血に濡れた剣が、彼の背中には大きな罪が。

 

もし彼を知っているのなら忘れたほうがいい。

 

何故か……そう聞きたいのか?

 

それは……死ぬかもしれないからだ。

 

           ✴✴✴

 

【例の事件から一ヶ月】

(レンくんがボロボロ……。血だらけ……。綺麗な体が穢された……。コロス……こんなことやった屑野郎は……コロスッ!)

「姉さん、せめて周りに殺意を振りまかないでくれるかな?」

「あっ、ごめんね。私つい…コロシタクナッチャッテ」 

 

私はバルカン、この世界で禁忌種に指定されているらしい龍だ。あらかじめ言っておくが性別は女……女だぞっ!口調が男とか言われるが女だ。絶対に女だ。何が何でも女だ。

おっと、話がそれてしまったな。……よし、まず現状から話そうか。今はとある家にて『レン』と言う少…年?に会っている。というよりかは付いてきている。といっても付いてきているというのは姉さんに付き合わされていて…。

「あーもう!取り敢えずレン君の止血を続けなきゃ…」

姉さんはそう呟いて先程まで続けていた止血作業を再開する。

「それにしても……竜殺し、とてつもないやつだな」

「そうだよね…禁忌種まであと少しのレン君を…私の大好きなレン君を傷つけるなんて…」

「まぁそれは置いておいて。……早く出てきたらどうだ?」

私は声音を変えてそっと呟く。すると部屋の隅から一人の少女が顔を出した。

 

          ✴✴✴

 

目の前にいるのは二人の少女。一人は溶岩の様な紅く荒々しい髪を持ち、後ろで一つにまとめている。体には髪色と似たドレスを身に纏っていた。

もう一人は純白の髪の中に一束の黒髪が、そして赤い髪を三つ編みにしている。服装は白、黒、赤を彩ったドレスだ。

「ぁ…」

威圧に負けて声が思ったように出ない。体はビクビクと震え、足は竦む。

「こいつは……」

「レン君と一緒にいたジンオウガじゃないかな?」

「ということは【雷帝龍】の娘?」

「そうだと思うよ〜」

(二人の雰囲気といい見た目といい…)

私は知っている。この雰囲気、威圧。そう、何を隠そうこの二人は……。

「貴方様はもしや【祖龍】」

「あ、よくわかったね」

「ということは貴方様は【紅竜】ッ」

「姉さんがわかれば流石にわかるか」

『祖龍』、『紅龍』。二体はこの世界において頂点に君臨する者達であり、最強を謳われる存在。

「そう怯えるな、前に会っただろう?」

「そうだった……」

「姉さん、相変わらず記憶力低いな」

「うっ、うるさい!」

「は…ははは……」

苦笑を浮かべるしか出来ない。それほどまでにこの二人の威圧は大きく、重いのだ。

「それを言ったらバルカンなんて脳筋だよ!」

「なっ、聞き捨てならないぞ!姉さん!」

「あっ……」

私はここで龍生を終えるんだ…。

 

 

「だー…うるせえぞ……」

 

 

「「「ッ!?」」」

私含め三人とも唐突な声に驚く。それはその声が意外な者の声だったからだ。

「レン…様?」

「おう、正真正銘この俺だ』

ベットに横たわっていたはずのレン様は上半身だけを上げてこちらを見ていた。その瞳には私を優しく包み込んでくれるような抱擁感に満ち溢れている。

「レ…ン…様ぁ!」

嗚咽混じりの声が漏れるが気にせず脚をレン様のいる場所へと動かす。

「泣くなよ、な?」

「だって…だってぇ…!」

 

「姉さん、また後で会いに来よう」

「うっ、うん…」

 

「もう…ひっく…とっても心配したんですよ?」

「ごめんな…リン」

泣きじゃくるリンは俺の胸に顔を埋める。

「レン様は本当に無茶しすぎです…。いつもいつも…自分よりも誰かを優先して…」

 

「少しくらい自分を大事にしてください!そうじゃないと私の心が持ちません!」

 

「……」

 

「……それでもレン様は言うことを聞いてくらないって知ってます。だから……だから私は!」

 

 

「貴方の従者として…側にいますから…」

 

 

「少しくらい私を頼ってくださいね?」

 

 

           ✴✴✴

 

今、龍化したリンの背中に乗って俺は散歩していた。そこで俺は残りや二人がいないことに気づく。

「リン、ディブロとリザは?」

(ディブロは周りの警戒に、リザ様は薬草を取りに行きましたよ)

「そうか、おきてすぐに二人にも会いたかったのにな」

(そこは私でがっ、我慢してください!)

急に背中の毛を逆立てながら叫ぶリン。少し驚くが俺は気にせず相槌を打つ。

「それもそうだな。だって一ヶ月立ってるんだし」

「本当ですよ、寝過ぎです!」

「ごめんごめん」

そんな風に談笑を交わしていると少し開けた場所に出た。風が肌を撫で、髪の毛をサラサラと揺らす。

「気持ちのいい場所ですね、レン様」

「そうだなぁ〜。今すぐにでも昼寝できそうだぁ〜」

「いや、寝ちゃだめですよっ!?」

 

ここは後に語り継がれる伝説の場所、【龍帝の丘】と呼ばれることになるのだがこの時の二人は知る由もない。

 

龍化を解いたリンと共に地面に座り込む。芝生がいい感じにフカフカだ。

「そう言えばですね」

「どうした?」

「先程まで祖龍様が居たんですよ?」

祖龍…?何となくだが伊織を思い浮かべてしまう。

「祖龍…祖龍…あいつか?」

「多分想像している人と同じですよ。少し特徴的な髪をした女の子。レン様をずっと眺めてましたよ」

「嘘だろ?あのヘンタ───伊織が?」

「凄く満足げでしたね……ズルイデス…」

 

          ✴✴✴

 

 

……

 

………

 

…………

 

何故だ……。

 

何故我はあの忌々しい龍を殺せぬ!

 

我が主の望みであろう!

 

くそが…くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

力に溺れた龍は人の踏み入れぬ場所にて雄叫びを上げる。無慈悲なる殺意を込めて。




どうでしたか?
いやはやテスト週間中……投稿できずに申し訳ありませんでした!
言い訳は山のようにありますが言わないでおきます。見苦しいですしね。

気を取り直して話したいことが一つありましてですね…。その内容とはっ!
この後書きにこの小説のキャラを少し出そうかなぁーと。どうです?いいんじゃないですか?
ということでリクエスト募集します!
内容は……
・ショートストーリー(日常とかその他諸々)
・後書きの登場キャラ
・これから出してほしいモンスター
です。「は?」とか思うかもしれませんが許して下さい!
リクエストはこの話のコメント、またはリクエストする場所を設けるのでそこにどうぞ!(名前忘れた…)

それではまた次回お会しましょう!
それでは!

(長文失礼しました)


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第二十四話[『回想編』科学者との遭遇]

【今日の一言】
遠「京都の三十三間堂に行ってきたんだ!」
レ「そうか」
遠「それで友達に健康祈願のお守りを買ったんだ!」
レ「それは良かったな」
レンくんは私に冷たい。

それではどうぞ!


深い闇の中、俺は一人で彷徨っていた。途方もない道のりを只ひたすらに、淡々と……。

 

しばらく歩いていると懐かしい光景が俺の視界に飛び込んできた。

 

醜く、脆く、弱い自分。

 

守れなかった伊織。

 

ボロボロのリザ。

 

頭の中を駆け巡るのはそんなのものばかり。もう見たくない。そう何度も何度も叫んでも、消えてはくれない。

 

これは理不尽な罪、消えるのことのない『罪』

 

──────────────────────

 

例の事件から三日、リンと俺はレン様たちを治療するために遺跡の奥深くに潜伏していた。潜伏してからは取り敢えず治療を済ませている。そして肝心のレン様はずっと寝たきりだ。悪夢を見たような顔で……。

 

潜伏してから四日が経った。辺りにはハンターも増え、そろそろ場所を変えなければならなくなった。だがその移動もうまくは行かない。

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァ!」

くそっ…!なんでこんな時に『あいつ』がいるんだよっ!

「ははははっ!まるであの時の龍とは段違いだな!」

(ディブロ、早く行きますよっ!)

(わかってる!でもマネルガーがしつこいんでなっ!)

急かすリンに返答しながら攻撃を改造されたロアルドロスの顔に繰り出す、角を大きく、下からすくい上げるようにロアルドロスの首元に。

だがそれでもひるまないロアルドロス。俺は再度、体制を立て直し、炎を角、翼、尻尾に纏わせた。

「グァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」

「ガァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」

お互いに咆哮を轟かせ、向き直る。

(もう…殺すしかねぇな…!)

改造されたロアルドロス、彼奴はもう助からない。そう思い切った俺は足に力を込めて走り出す。その走りはいつしか突進へと変貌を遂げる。

「グァァァァァッ!」

猛スピードで突進した俺に付いてこれないロアルドロスはただ呆然とした顔でこちらを見つめている。だがその目は諦めてはいなかった。

「やれ、ロアルドロス!」

「ガァァ!」

マネルガーが叫ぶとロアルドロスは大きく体を捻らせ、その場から姿を消す。俺は咄嗟に反応できず通り過ぎてしまう。

「甘いぞ、ディアブロス!」

(ここは俺が食い止める!リンは二人を連れて逃げろ!)

(でもディブロ、貴方はどうするのっ!?)

(後から行く!)

リンはなんとも納得が行かないような顔をしていたが、意を決したようで地面を飛び跳ねながら消えていった。

(これで何も気にせず戦える…)

「ガァァァァッ!」

「グァァッ!?」

気を抜いていると唐突に痛みを感じる。それは首元からで、俺は振り払おうとした。だが強化されたロアルドロスの顎はなかなか外れない。

「グァァ!」

急いで俺は体全身を高熱にし、ロアルドロスを焼き払う。そしてロアルドロスは悶ながら、首元から離れた。

血がダラダラと出るが気にしない。

(もう蹴りを付けるか…)

もう少し戦うと思っていたが傷が深い。早く回復しなければ…。

(灼熱よ…地獄の業火よ…我が武器に宿えっ!)

「業火之剛角(フレイム・ザ・ランス)!」

体の炎が全て消え、角だけに炎が燃え盛る。そして俺は容赦なくロアルドロスへと突っ込んだ。

「何っ!?何故あのような力がこんなにも急速に!」

「ガァァァァァァァァァッッッ!」

(容赦はしない!)

突進した俺はロアルドロスの腹部へと角を付き立てる。ロアルドロスはこの猛スピードに対応できず腹に突き刺さっていた。

「くそっ…!逃げるぞイチビッツくん!」

「わっ、分かりました!」

 

この後は二人が逃げたため一人になった。少し首元の傷も癒え、ある程度の戦闘は出来るだろう。

「ガァァ…」

何故か疲労が溜まっている。少し休憩していくか…。

 

──────────────────────

 

「まだあの子は弱いねぇ〜。僕あの子の事、気になるなぁ〜」

「お前は火山に引きこもっていろ。あいつにお前は強すぎる」

「そうかなぁー?」

「当たり前だ、このバカ」

「バカって酷いなぁー」

「知らん。それより『炎王龍』、このあとはどうするんだ?」

 

──────────────────────

 

昼過ぎ、人化した

ディブロが帰ってきた。寝ぼけた顔で…(怒)

「ディブロ……何やっていたの?」

「えっ、あっ、あぁ。少し疲労が溜まっていてな、その…寝ていた…」

「ディーブーローッ!」

コホン…少し取り乱しちゃったな…。気を取り直してと。

「それよりもマネルガーはどうなったの?」

「あいつらは逃げていった。もちろんロアルドロスは殺ったぞ?」

「それは良かった…」

安堵の一言だ。もしディブロが逃げて、マネルガー達がここに来たら…。想像もしたくない。

「大丈夫ですか?」

そんな事を考えいると後ろからリザ様が歩いてきた。

「リザ様、俺には特に何もありませんよ」

「それは良かった…。もし怪我でもしてきたら怒りますからね!」

笑いながらリザ様は言葉を紡ぐ。

「そうだ…お兄ちゃんが、今みたいになった理由。わかりますか?」

「あぁ…そのことですか……」

 

その後はディブロがわかやすく説明をしていた。内容はこう。

まずレン様は力を使いすぎてこのようなことになってしまった。でも使い過ぎともう一つ、理由がある。それはあの『竜殺し』だ。

竜殺しの持つ剣は龍の中では有名でとても恐れられている。何故かはその剣は一度龍の肉を抉ると龍に有害な菌を体内に流し込む性質があるからだ。

レン様はなんとか自分の能力で菌を打ち消した。そしてまずこの時点でレン様はボロボロ。その後に打ち消すために使った能力の源であり体内機関の一つ『魂蝕核』が損傷した。この体内機関は損傷すると所有者の体に大きな負担を掛けるらしい。そしてこの二つが相まってレン様は今の状況に至ったのだという。

 

「レン様はいつか目を覚まします。ですが最高でも一ヶ月は掛かると思っておいてください」

「そう……ですか……」

 

─────────────────────────

『魂蝕核』

称号『魂の調停者』を持つもののみが持つ体内機関の一種。この体内機関は魂蝕属性を生み出し個体や気体、液体へと変化させる。この体内機関が損傷すると持ち主に多大なる負担が掛かる。

『魂蝕核』は他の龍が喰らうことによって自分のものにできる。この体内機関は持ち主が幼体であるときのみ回収できる。




どうでしたか?
今回から過去語りと似たのもを投稿するつもりですが…。本編が気になる方は気長に待っていただけると幸いです。ですか本編先に出してっ!っていう人がいれば出すかもです。

それでは次回、お会いしましょう!


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第二十五話[『回想編』紅茶を啜るは老齢な古龍]

【今日の一言】
私は午後ティーの中ではミルクティー派です。
これを書いてるときも飲んでたりもします。

?「我の入れた紅茶も飲んでみるか?」

それではどうぞ!


少し時を遡る。

 

私達姉妹は空を飛んでいた。空には飛竜の群れ?や時折古龍を見つける。なんとも見ていて飽きない景色だ。

だが一つ、納得いかないことがある。それは……

 

「…………」

「ねぇ、お姉ちゃん。早く機嫌直してよ…」

「そうだぞ、さっきから殺気が凄いことになっている」

「いやね!僕たちが彼のもとからお姉ちゃんを離れ離れにしたのは悪かったよ。悪かったけどお姉ちゃんは祖龍もあるんだからね!」

そう、そのとおり。私は祖龍……。でも私にも人間と合う機会くらい合ってもいいよね!そうだよねっ?

「……今回は私も我慢する…」

私は思ってもいない事を口走り、二人を置いてスピードを上げた。そのせいで強風が鱗を無でる。だが私にとっては心地良い。

「待ってよー!」

後ろから声が聞こえるけれど気にしない。今は何も考えたくないのだ。

 

──────────────────────

 

──コンコンコン

ドアを叩く音がする。我は重たい腰を上げて玄関へと向った。

 

「なんじゃ…ってソナタらか…」

「あっ、ラオ爺!」

「ラオ爺、久しぶりだね」

目の前におるのは三人の美女。我にとっては悪魔じゃがの…。

「どうしたのじゃ?ソナタらが我に用などあるまい」

「その実、用があってきた」

「珍しい事もあるものじゃ。それで何用じゃ?」

我は取り敢えず三人を家の中へと迎え入れる。そして三人はリビングへ、我は台所へと向かった。

我はそっと棚からポットを取出し、紅茶を作る。

「あっ、この匂いは!」

「よくわかったのぉ、バルカン…」

「もっ、もしかしてその匂いはっ…!」

「そう、この茶葉はこの山にのみ生えてお──」

「はいはいラオ爺紅茶の話は後でネー」

おっと我としたことが取り乱してしまった…。

我は気を改め、話していた間に完成していた紅茶をティーカップへと注ぐ。

 

ここで『何で爺さんがティーカップなんて持ってんだよ』と思うじゃろうが気にしないでおるのじゃぞ?

 

 

コトンとティーカップを机に置く音が部屋の中に木霊する。

「それでね、ラオ爺」

「なんじゃ」

「復活したんだよ、『アイツ』が…」

…………。

「なん…じゃと…」

祖龍の言う『アイツ』。こやつは

 

絶対に復活してはいけない存在。

 

龍が関わってはいけない存在。

 

忌むべき存在。

 

「それで…あやつの手には何が握られておるのじゃ?」

「私もまだ見てないんだ…でも一人、見た『人間』がいるよ」

またもや危険なことをこうも簡単に…。この後胃薬飲む他ないのぉ…。

「そして僕がその人間に接触するよー」

「ボレアス…まぁ良いじゃろう」

「ってもうこんな時間ッ!?ライ爺、最後に話すことがあるから急いで話すね!」

 

その後、我は祖龍から話を聞いた。それはかの『調停者』の息子の話である。やけに美化して語っておったがまぁ、大方話の内容はあっておるんじゃろうな…。

まず調停者の息子は今、女であること。これは単に祖龍が遊んでおるようじゃがそれが功を奏したとも言える。

そしてもう一つ、それは調停者の息子がアヤツに接触したこと。

これは非常に不味いことになっておる。その内容は過去を少し語らなければならないようじゃな…。

 

 

 

 

 

遥か昔、この世界は龍が支配していた。

力こそが全て、無力な人間は成す術なく滅びの道を進んでいた。

支配していた龍は一匹の白龍である。彼は純白の衣を纏い、対象的な黒き闇を象ったようなものだ。

歩く度に草木は枯れ、空は暗黒の名のもとに消え去ってしまっていた。

そしてそんな中から生まれたのが『アヤツ』と『魂喰龍』である。なぜ生まれたかは白竜のみ知る事であるが、恐らくは人間と龍の『コロシアイ』を拝みたかったのであろうな。

その結果は白竜の思いどおりとなった。一応だがこの戦いは『竜大戦』とは異なるものである。この大戦はそのような時代の話ではない。この大戦は後にこう呼ばれる戦いであろう。『人滅大戦』と……。

 

「ラオ爺ッ?」

 

おっと、考えすぎてしまったようじゃな。続きはまた思い出すとしよう。

 

 

「すまんかったのぉ、それでソナタらは行くのか?彼女のもとへ…」

「そうだね…気になるし向かうとするよ」

「また今度紅茶の話でもしに来る時に土産がてらに話す」

「それは楽しみじゃ、ホッホッホッ」

 

そんなくだらない話を終わりに三姉妹はどこか遠くへと飛んでいった。

 

──────────────────────

 

例の事件から一日が経過した。あれからは特に何も進展はなく、ただ戦闘街が立ち入り禁止となっただけだった。私は個人的に大老長と話をしただけ。レンくんとも合ってはいない。そのせいで心に穴が空いたみたいだけど気には止めない。

 

そして今、とある人と話していた。場所は…わからない。分かるのはドンドルマの広場。でも周りの人は止まって動かない。要するに動いているのは私と目の前の人だけだと言うことだ。

「あの…どなたですか?」

「僕には特に名前はないよ〜」

目の前にいるのは先の見えない闇のような黒色の布を被っているナニカだ。パッと見るだけで禍々しくも恐ろしい。人間じゃ無いみたいに…。

「私は君に聞きたいことがあって来たんだ」

「聞きたい…事…?」

「君、昨日の事件現場に居たよね?」

「何故それをっ!?」

思わず見構えてしまう。あの場にいたのは私を入れて極少数。口外するものもいないこの現状で私がいたという事はわからないはずなのだ。

「まぁそんなことはどうでもいいんだよ。僕が聞きたいのは別の事」

「それは…」

「最後に一人の男とあったでしょ?その男が持っていた武器を教えてほしくてね。だから僕は此処に来たんだ」

男…武器…。

思い返すと確かに男は居た。忌々しい雰囲気を纏った剣を持った男が…。

「なるほど。ありがとうね。それじゃまた何処かで!」

聞かれた質問に答えようとしたが黒色の布を被った人はいつの間にか一言残して消えていった。先程まで黒色の布を被っている人がいた場所には黒焦げたあとが残っている。

 

「なんだったんですか…今のは…」

 

 

周りの時は動き出している。

 

いつもどおりに……。

 




遅れてスミマセンでした。許してくださいナンデモシマスカラ。(大嘘)
最近になって課題が多くて書く時間が少なくて…申し訳ないです…。
恐らく次もこれくらいの投稿スピードになるかもです。
なるべく早く投稿するようにはしますので!
ソレでは次回、お会いしましょう!


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第二十六話[『回想編』異変はいつも彼女の側に]

またまた投稿が遅れてしまい申し訳ありません!
テストなり用事なりといろいろ重なりまして…。
これからは夏休みもあって書く時間が増えると思いますのでご容赦ください。

それではどうぞ!


ここは火山。溶岩や岩石が山のようにある場所である。

そしてそんな場所にてとある殺し合いが今、始まろうとしていた。

 

「ガァァァァァァァァ!」

「ったくどいつとこいつも…」

目の前には三体の龍。一匹はなんかスッゲェゴツゴツしたやつ。取り敢えず顎がデカイな。

二匹目は腕とかが緑色に発光してるな…。宝石みたいだ。

三匹目は…何だこいつ…。モンスターか?黒い鎧をつけたやつなんて初めてだぞ?

まぁそんなことはどうでもいい。どうせコロスンダカラ…!

俺は携えていた剣を抜刀し構える。その剣は禍々しく唸り、早く目の前の龍を殺せと嘆いている。

「グァァァァァァァ!」

「……ッ!」

顎デカの龍が転がってくるのに合わせて俺は飛び上がる。そして転がっている龍の鱗を軽く触れながら体を捻った。

「グァァァァ…グッ、ガァッ!?」

龍は悶ながら地面を転がりまわる。そしてその様子を見ていた黒いやつ達は呆然と立ち尽くしていた。

それは何故か。

その理由は俺のこの能力による。俺の手には触れたものを意図的に腐敗させ、消滅させる能力がある。俺はそれを使っただけだ。軽く鱗に触れて腐敗させただけ。

「脆いな、お前たち…」

失望した。この俺に喧嘩を売ってくるんだからそれなりに強いと思っていたが…。全く持って『雑魚』だ。

まだあのときのやつの方が強い…。

「ギュルァァァァァァ!」

ふと死体と成り果てた龍を見下していると咆哮が俺の耳を劈く。

「お前だけか…仕方がねぇ。掛かってこい」

改めて黒い鎧をつけたやつに向き直る。そしてお互いに睨み合った後に戦闘を開始した。

先手は俺、剣に腐食能力を付与し切りつけた。刃は鎧を貫通した…が。

「ちっ、その鎧硬ってぇなぁ!せぁぁ!」

「ギュルァァァァァァ!」

後手は黒い鎧をした龍。龍は自らの長い体躯を駆使し攻撃を繰り出してくる。そしてその攻撃には体内から創り出した炎を絡めてもきた。

だがそんな炎を俺には通用しない。

俺は並の人間では出来ないような動きで龍に接近する。そして首根っこを荒く掴み地面に打ち付けた。

「ギュラァァァァァ!」

生物の上げることのない方向を轟かせ、龍は悶え、暴れる。俺はそんな龍をそっちのけにして、首に噛み付いた。すると龍は次第に大人しくなっていき…

『絶命した』。

 

──────────────────────

 

「リザちゃん、また頼むぜ!」

「こちらこそありがとうございます!」

私は頼まれていた買い物を済ませ、思いバック片手にとある場所へと向かっていた。とある場所というのはレンさんと最後にあった場所…、レンさんを最後に目にした場所である。

 

今の戦闘街は今までの戦闘外の雰囲気さえも感じない。まるで別物のように。

私はそんな中、足を止めずに奥へと進む。足を地面に踏み付けるたびにジャリジャリと音を立てた。

私は今日ここに赴いたのはとある理由があったからだ。その理由は例の事件の時に約束したものである。

「……」

いざ目的のものを目にしてしまうとたじろいでしまう。その圧倒的な威圧、佇まい。

「ディブロさん…」

「久しぶりだな、エマ」

あのとき以来…。私はそんな他愛もない言葉を呑み込み、向き直る。

「今のレン様の状況を伝えに来た。…聞きたいか?」

「……」

「あまり聞かない方が俺はいいと思う。だがお前が聞きたいなら聞かせてやる」

冷たい声で、諭すような声は私の心を揺らす。だけどここで目を背けるのは駄目だ。

「きっ…聞かせてください…」

「わかった。今、レン様は昏睡状態だ。理由は腹にある『生命核』を抉られたから…。そして精神の不安定…」

「生命核…?」

私はその単語を初めて聞く。

「生命核っていうのはレン様特有の体内機関だ。確かエマ、お前はレン様の力を知っていたはずだ」

「もしかしてあの力の核となるものですか?」

「勘がいいな。だがレン様が昏睡状態になったのは別の理由。レン様の生命核は自らの命を保っているものでもあるんだ」

「っていうことは…」

私は嫌な予感がした…。体全体に寒気が走る…。

「大丈夫、レン様はなんとか生き延びていらっしゃる。安心しろ。といってもいい状況とはとても言い難いがな」

「それはどういうことですか…?」

少し恐怖感を抱きながら、ディブロさんに質問した。

「あの日の最後、レン様は腹を抉られただろ…あれがまだ塞がっていないんだ…。…アノ忌々シキ人間ガッ!」

ディブロさんの声とともに周りの温度が急激に上昇していく。周りの建物は少し溶け、雑草が枯れていた。

それほどまでにディブロさんは頭にきているということ…。

「…すまない。それで今は昏睡状態のまま、眠っていらっしゃるわけだ。側にはリザ様やリンがいる」

「良かった…」

肩の荷が降りたかのように気が楽になる。『少し』…だが…。

「伝えることも伝えた。そろそろ俺は戻る、また来るときにはレン様も一緒だろう」

「そうですか…」

 

「…ちゃんと謝るんだぞ、エマ」

 

そう言い残してディブロさんは龍化し、地面の中へと消えていった。未だに周りの空気は熱を帯びている。

「……」

だが今の私にはそんなことよりもレンさんが重症を負っていることが気がきでならない。私が原因なのに…あんなに優しくしてもらえたのに…。

彼の辛いときに私は側に居ることが出来ない。

多分私はこのときの私を恨むだろう。

無力で何も出来ない。そんな私を……。




どうでしたか?
あまり書いていなかったのでどうなっているか心配です。私は読者の方々が喜んでもらえたらそれでいいんですけどね!

それでは次回、お会いしましょう!


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第二十七話[『回想編』とある猟団と氷獄龍]

【今日の一言】
夏休み、皆様はどうお過ごしでしょう?
私は…モンハンを男友達とやったりしてます。今回出てくる新キャラはその人をモチーフというか…。

それではどうぞっ!


『一風変わったハンター』、多分そんなやつは探せばいくらでも居るだろうさ。実際俺もその一人だしな。

といっても『変わった』ってのは人それぞれだったり、味方によっちゃぁ別ものだ。だが変わってることに変わりはねぇ。なに、変わってることは悪くはない。それが自分なんだからな。…行き過ぎも駄目だからな?それはそれで周りを嫌な気持ちにさせちまう。

変わってるやつってのは、

 

どうやって『ソレ』を活かすかが重要なんだ。

 

──────────────────────

 

「なぁ、ハロ。今日は何を狩りに行くんだ?」

「ったく…今日狩りに行くのはドスランポスと取り巻きのランポスだ、覚えとけよ?」

「おっ、ありがとな!」

「相変わらずね、マークの物忘れは」

「治る気配もないもんねー」

 

森丘へと向かうこの一行、『春風の猟団』と言う。特にすごい功績を上げただとか、ものすごい技術を持っているだとかそういった奴らの集まりじゃない。極々普通な猟団だ。

メンバーは男の『ハロ』『マーク』、女の『カーニャ』『オリビア』の四人。仲もよく、相性の良いメンバーだ。たまに夕食で喧嘩はするけれども…。まぁそれもまたこの猟団の良さなのかもしれない。他にも良さは沢山あるが、それはまた今度にしよう。

 

俺達『春風の猟団』はちょっとした小話をしていた後、森丘へと辿り着いた。

「っと、付いたな。森丘」

マークが腕を上に思い切り伸ばしながら言う。

「ここはクーラードリンクもホットドリンクも要らないから楽だな」

「火山はもう懲り懲りよね…。あの暑さは信じられない…」

「雪山も最悪よ…、雪が酷いし足場悪いし…」

カーニャとオリビアが苦笑しながら呟いた。俺はそんな二人を見てふと思った。

「別にお前らなら大丈夫だと思うんだが……あっ」

これが俺の悪い癖、思った事を直ぐに口にしちまう。

「「ハロォ…!?」」

鬼の形相の二人。俺は恐る恐る謝罪の言葉を口にした。

「すっ、すまん。許して…く…」

「今日の夕食奢りね」

「えっ…」

俺に拒否権は…。

「今度素材集め手伝ってくれるよね?」

「おっ、おう…」

まぁ、いつも通りだ…。触れるなよ?絶対に、だ。

「それより準備できたか?」

「こんがり肉を食べ終わったし準備完了!」

「私も瓶装填、終わったわ。いつでも行けるわよ」

「俺も準備完了、行こうぜ!」

各自、準備完了の様だ。俺も最後に元気ドリンコを飲み干す。そして俺達はドスランポスのいる森丘の奥へと歩を進めた。

 

──────────────────────

 

私とリンさんは森丘に採取しに来ていた。理由は兄さんの体調を良くするため。それには薬草だったりいろいろ必要で、私達はそのために採取にしに来ていた。

 

(リザ様、薬草はありましたか?)

「あっ、ありましたよ!こんなに!」

(ホントですか!これでレン様の体調も少しは良くなりますね!)

 

今は私と龍化したリンさんだけ。見つけた薬草を採取し終えた私達は隣同士で歩いている。

巨大な体躯に、氷を纏うリンさん。それに比べて私は無力なまま…。私一人じゃ兄さんを助けることなんて出来ない。

 

(リザ様?)

「あっ、ごめんなさい…。少し考え事していただけで…」

私はそう小声で呟く。

(レン様の事…ですか?)

「えっ…」

私に向かって言ったことがあっていることに戸惑いを隠せない。

「そんな…顔を上げてください、リザ様」

そう言われて顔を上げるとリンさんは人の姿へ代わっていた。長い髪が風に靡く。

「私も心を読めるわけではないので何かを言えません。でも言えることが無いわけではないですよ」

優しい口調で、慰めてくれるようで…。

「リザ様はレン様の力になっていると思います。…って私が感じただけですけどね。それでもそう見てて、過ごしてて感じました」

「ありがとうございます…。私、頑張ってみます。兄さんの力になるために…!」

「頑張って下さい、応援してますよ!」

 

──────────────────────

 

「そっち行ったぞっ、ハロ!」

マークの叫び声に合わせて走り込む。

「オリビア、弓で援護頼む!」

「了解よっ!」

俺の走り抜ける隣を矢が物凄い速さで通り抜ける。

「ギャァァッ!」

矢を撃たれたドスランポスは少し怯む。俺はその隙に抜刀した。

「セァァァァッ!」

俺は愛用している大検を大きく振り上げた。大剣はそのまま俺の腕力に従って空を切る。そしてドスランポスの腹を切り上げた。

「ギッ…ギャァァッ!」

「うぉっ!?」

「ハロ、そこを離れろ!カーニャ、防御力アップの旋律を頼む!」

「わかった!」

各自するべきことを淡々とこなす。そんな中俺は猛ダッシュでその場から離れてるんだけどな…。

「待ちなさいよ、ドスランポス!」

「気が多いところに逃げられるのは面倒だ、ここで仕留めるぞ!」

「俺は追撃した方が良さそうだなっ!」

周りの会話を聞き、自らの判断で行動する。俺は大剣の柄を持ち来た方向へと向かう。その方向には木々が立ち並ぶ。視界が遮られる、ドスランポスの姿へすら見えづらい。

「あっ、ハロ!早く戻ってこい!」

「そっちは危険だよ!早く!」

「…聞いてなさそうね、早く追いかけるわよ!二人とも!」

 

こうして四人は森丘の奥深く、人の立ち入らないところまで足を向けたのだ。

 

     『行く先に誰か居るともしらずに』

 

──────────────────────

 

(リンさん、そろそろ行きましょう)

「はーい!」

私は採取した薬草を背中にのせた籠の中に入れる。

(そろそろ帰りましょう。どうせディブロが喧しいと思いますし…)

正直あいつは…。

「そっ、そんな風に言わないであげて下さい、ディブロさんもいい人なんですしね!」

(リザ様がそう言うなら…いやいや…うぅ…)

「あはは…」

こんな風に話に花を咲かせていた私達。なんだか私は今までこんなふうに会話したことが無いせいか、新鮮な気がする。

 

ガサガサ…

「待てぇぇぇぇ!」

「ギャァァッ…」

 

「ッ!?」

(リザ様ッ!危なっ─)

「ギャァァァッ!」

目の前に現れたのは一匹のドスランポス。血だらけで、もう死にかけ。そんなモンスターがリザ様の目の前に…。

「ギュルルルル…」

(時空龍様のご氏族、リザ様の前だ…失せろ…)

「ギャァァァアァッ!」

(………死ね)

「ウォォォォォォォォォォオォン!」

 

「えっ…!?」

 

私は瞬時に『醜いゴミ』を凍らせる。醜い醜いゴミを…。

(シネ…シネ…シ───)

「リンさん…」

(っ!?…すみません)

私は正気に戻る。目の前には先程まで居たドスランポスの死体…というよりかは『凍死体』。

(すみません…お見苦しい所を…)

「大丈夫です…よ…」

 

「っと…追いついた。オリビア、マーク、カーニャ、こっちだ!」

「おう!ちょっと待ってくれ!」

 

どこからともなく音がする。男の声と足音が数人分…。

(人間…ですね?)

「別に大丈夫ですよね…ねっ…?」

(リザ様…)

何処か怯えているような、そんな感じをしている。

「ジン…オウガ…!?」

「リン…さん…」

「グルルルル…」

(今すぐ立ち去れ、ニンゲン。サモナケレバ…)

 

 

 

 

この日、人間たちの街ではとある話題で持ちきりだった。『森丘のジンオウガ』、これである。内容と言ったら森丘に、普通ではないジンオウガがいるだけの事だ。

それを目撃した時に白髪の少女が居たというのも話を大きくしているのかも知れない。

それを目撃した人間はとある猟団らしい、確か…『春風の猟団』だったとか。

取り敢えずそのジンオウガは亜種、しかも氷を操るとか。それを目撃した猟団はその後の事を語らないらしいから定かでは無いな。

 




いつも通り投稿、遅いですね(時間とペース)。
でもそうなったのは色々あったんです。モチベーションとかリメイク版の件とか…。
取り敢えず色々あったんです、はい…。
次のペースもこんな事になりかねないですが首を長くして待っていてください。

次話で会いましょう!それでは!


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第二十八話[一時の休息、そして一匹の訪問者]

【今日の一言】
モチベが溶けます。

それではどうぞ!


 『一日を一言で表すならそれは人それぞれである』

 

 

「兄さん…正座してください」

「はい…」

「今まで何処に居たんですか…私達が帰ってきたら家には居ないし…留守番を頼んだリンもいない…」

「ゴメンなさい…」

「今日の晩御飯は抜きですっ…と言いたいところですが…。流石に兄さんも体調が完全に治ったわけでもないですし…。それじゃあ——」

「よしリンッ、外に遊び行こう!」

「いいですよ!」

「二人共…?」

帰って来てから直ぐの出来事である。

 

まぁその後のことは察してくれ。…我が妹も怖いものである。

「リンさん…その…」

「私は心配していたんですよ!?なのに遊びに行くなんて…ちゃんと今日は夕ご飯の支度を手伝ってもらいます」

「わかりました…」

俺はそう言いながら手を動かす。今日の夕食はリザの手作り料理、ちゃんとやらないといけない。

「あっ、ディブロさんお風呂沸かしておいてください」

「わかりました。えーと…温度を50度に——」

「ディブロ…流石に50度はやばいぞ!?」

「えっ、そうですか!?50度って火山じゃ当たり前ですよ?」

流石に感覚がずれてるな…。

俺はそう、ホワイトレバーを薄くスライスしながら思う。

「…少し冷たさに慣れなきゃな、ディブロは」

「…いいですよ?暑いのも」

「暑いのなんて嫌です」

「リンは暑さが苦手って…二人ともほんと極端だな」

これがここで改めて二人とも人ではないことを肌で感じた。容姿が人でも中身は『龍』なのだと。

「兄さん、ぼーっとしてどうしましたか?」

「あっ、ごめんごめん。少し考え事してただけ」

「それならいいんですけど…」

 

「兄さん、ディブロさん。お風呂行ってきてください、私達は残りの作業をしとくので」

「わかりました。お先に失礼しますね」

「ありがとな、リザ」

そう言葉を残し、兄さんとディブロはお風呂場へと向かって行った。

「リザ様、それにしても新居?とっても大きいですね!」

「そうですね…少し私には大きすぎる気がしますが…」

この家は実を言うと新居だ。兄さんが眠っている間、ディブロさんとリンさんが作ってくれたわけである。

「お風呂?も良くてご飯も美味しくて…もう最高です!」

「それは良かった!」

「もうほんっと最高…って秘薬?何故それを?」

「ノアさんが兄さんにってくれたんです。これはかなり効力の高い薬らしくて…」

「と言うことは…レン様の傷も治るってことですよね!?」

「恐らくは…でもこれをどう兄さんに飲ませようかなって思ってるんですよね…」

私は秘薬の入った紙袋を片手に頭を動かす。

「普通に飲んでもらえればいいんじゃないですか?」

「兄さん、実はあんな性格なのに薬苦手なんです」

「以外ですね…あのレン様が…」

「以外ですよね…」

私たちは揃えて頷く。

 

そう言えば昔、兄さんが風邪を引いたことがありましたね…。インフルエンザ?みたいなものだったはず。その時の兄さん、顔を真っ赤にして…とても、女の子っぽくて…それで…コホン。その時の薬が苦手ってわかったでしたね。それからはずっと薬を嫌がって…。懐かしいですね…。

「リザ様?」

「えっ…あっ、すみません。少し考え事をしてて…」

「大丈夫ですよ、リザ様」

「すみません…」

「気にしないでくださいね!それよも、秘薬をスープにしてはどうですか?」

「スープ?なるほど…」

私は少し頭の中でレシピを考える。秘薬をスープに…。

「スープ…いいかもしれませんね!でも味が…」

 

コンコンコン——

 

「あっ、今行きますね!リザ様、私が出てきます」

そう言ってリンさんは小走りで玄関へと向かっていく。そしてリンさんはドアを開けた。

「ニャッ、初めましてニャ。僕はアイルーの『ネギ』にゃ」

「アイルーが何故ここに来たの?」

「男のハンターさんがこの家を使ってたのを見たのニャ!だからオトモに…ニャんて…」

 

少し前の男たちは…

 

「ディブロ…そうだった…」

「どうかなされまし…た…か…」

完璧に忘れてた…俺、今女の体だったんだ…!なんか結構胸あるし…あれも無いし…もう嫌なんだけど!?

「タオル…取ってくれるか?」

「…どうぞ」

「おい、なんで渡したくなさげなんだよ…」

「べっ、別にそんなわけないですよ?」

はぁ…俺は男だっての。見た目は女だけど…!

「…入るか」

「そうですね…」

そして俺たちは風呂のドアを開け、中へ入った。

「「おっ、おぉぉぉ!」」

「凄いな!まるで銭湯だ!」

「自分で作りましたが…改めて見ると圧巻ですね…」

男とはこういうものに燃えるものだ。

「それじゃあまず体を洗わなきゃな」

俺はシャワーの蛇口をひねり、お湯をだす。

「それは…こうやるんですか?イマチイ俺は分からなくて…これもリザ様に言われたので…」

「なるほどな」

俺はそう言いながらディブロへ近づく。そして俺はシャワーについてディブロに説明を始めた。

「これはシャワーって言って、この部分を捻ると水が出るんだ。あとはそれで体を…ってディブロ?」

「リザ様…その…胸が俺に…」

「………ッ!?」

 

とてつもなく危険な状況だ。今腕にレン様の胸が当たっている、膨よかで…その…フニフニしてて、まだ成長途中っていう感じが…!

「ディブロ…あの…その…」

「うわっ!?すっ、すみません!」

俺は急いで立退く。

「ディブロ…気にしないで…くれ…うん…」

「おっ、俺、後で体洗いますから…」

そして俺は湯船に浸かる。

「ふぁぁー…」

暖かい湯が俺の体を癒してくれる。

「どうだ?気持ちいいだろ?」

「俺、ハマりそうです…」

「そりゃよかった」

 

その後、俺とレン様は風呂を堪能した。堪能中には軽く龍化出来るスペースがあり、とても良いものだ、そして浴衣に着替え、風呂を終えた。

 

そして今に至る。

 

「ニャッ!?貴方様ですニャ!」

ネギはキラキラと目を輝かせる。

「俺か?」

「ディブロ!?まさか…そんなわけないでしょう…」

リンは嘆息気味だが…。

「お願いしますニャ!僕をオトモにして欲しいニャ!」

「…あー、俺は一応———」

ディブロの声がリザによって遮られる。

「良いんじゃないですか?ディブロさん」

「リザ様!?」

「しー…あの純粋な目を見てください。貴方のこと、ハンターと信じきっていますよ…!」

「わかりましたよ…。ネギ?と言ったか。えーと…」

「もしかしてニャ!?」

 

 

 

「ネギ、お前に試練を与える。それをやってこい。そうしたらオトモアイルーにしてやる」

 

 




どうでしたか?
私的には少しレン君を女の子っぽくしてみたゲフンゲフン。
でもレン君が女の子って…可愛くないですか!?
私には絵心がないので書けないんですが…。

次話は…モチベ次第ですね…。最近色々とありまして…。
それでは次、お会いしましょう!


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第二十九話[夜空の下で]

最近モチベがぁ…、テストもあるし…。
↑月一投稿になりつつある作者の例。


あの後、ネギは俺たちの家で一泊することとなった。流石にこの時間帯、夜行性のモンスターがうろついる。そんな状態なのに帰すわけにもいかない。そしてディブロからの依頼、それは砂漠で、ディアブロス一頭の角を折るものだった。これをだした理由はディブロ曰くこれくらいできないとダメらしい。些か難しいとは思うが、これもディブロが選んだものだ。

それで今は深夜、日にちが変わって少し経った頃である。

「ネギくん、だったよね?」

「そうですニャ」

ここは自宅から少し離れた、遺跡平原の小高い丘の上。そんな場所にリンとネギは二人で散歩しに来て居た。

「それにしても凄い場所ですニャ!」

「私もほんと凄いと思う!たまに来るぐらいだったし!」

一応ネギの前では人の姿で居るリンは大人気なくも楽しげにはしゃぎ回る。

「リンさん、あまりはしゃぐと転けますニャ!」

「少しくらい大丈夫だってってうわぁぁっ!?」

「言ったじゃニャいですか…大丈夫ですかニャ?」

芝生の上に寝転がるリンに声を掛けるネギ。するとリンは少し表情を変えて、口を開いた。

「大丈夫だよ〜。あっ、そうそう。唐突なんだけどね」

リンは続けて話す。

「ディブロの事なんだけどさ…どうしてあいつのお供になろうと思ったの?」

「その事ですかニャ…」

「あっ、話したくなかったら良いんだよ!?」

「大丈夫ですニャ」

ネギはリンの隣にちょこんと座り込み、話し始めた。

 

僕は昔から強いハンターさんのオトモになることが夢だったニャ。武器を片手にモンスターと戦う、そんなハンターさんニャ。

けどそんなハンターさんと一緒に旅をするには強くならなきゃいけないニャ。だから僕は砂漠へ旅に出たニャ。

 

砂漠についてからはいろんなモンスター達を見てきたニャ。おっきい骨を背中に乗せた蟹とか、おっきなサカニャとかニャ。どれもおいしそ…じゃなかったニャ、強そうだったニャ。

それでも僕はまだまだ旅を続けましたニャ。砂漠だけでも大きかったしニャ、楽しかったニャ。特に遺跡は凄かったニャよ!誰が作ったかわからない建物とか三角の何かとか…色々あったニャ。

でも僕の中ではとびきり驚いたものがあったニャ、それは…。

 

一匹の『ディアブロス』ニャ。

 

一見普通のディアブロスニャんだけど…よく見たら全然違ったニャ。頭に生えているいつもの角は赤くなって、翼とか尻尾とかもほんのり赤かったんだニャ。僕はそのディアブロスを見て確信したニャ、危ニャいと。でもこの時の僕は興味本位で近づいてしまったニャ。

そろりそろりと足音を消して、でもディアブロスは僕の足音に気づいて目を覚ましたのニャ。その時は僕もびっくりしたのニャ。流石にあのギラリとした赤い目はダメになるニャ…、しかも口からは炎を吐き出すニャんて…。これはまさに絶体絶命だったニャ。

でもそんな時、一人のハンターさんが現れたのニャ。全身をディアブロスの見た目とは違う赤色で染め上げたハンターさんニャ。その姿はまさにハンターさんそのもの、強さがひしひしと伝わってきたニャ。

それでそのあとはハンターさんは背中に背負っていた大剣を手にディアブロスへ走り出したんだニャ。もちろんそれにディアブロスも応戦したニャ。自慢の角を刀にぶつけて、激しい攻防を繰り広げて…僕は見ていることしか出来なかったニャ。あんな戦いに僕は追いつかなかったし仕方ないニャ。

そして何十分かして、ディアブロスが遺跡の奥底へと向かっていく形で戦いは終わったニャ。ハンターさんも流石に疲れが出ていたニャ、それで心配になった僕はハンターさんの元へ駆け寄ったニャ。するとハンターさんは頭装備を脱いで、話しを始めたんだにゃ。苦し紛れな顔で。

 

 

「おう、アイルー。何しにきた?」

「その…ハンターさん、さっきは助けてくれたありがとうニャ!」

「おっ、あん時のアイルーはお前か!ガッハッハッ、お前、ずっと見てたのか?」

「そうニャけど…そんなことよりもハンターさんは大丈夫なのかニャ!?」

「あったりめぇよぉ!俺はハンターだぞ?そんなやわじゃやってられねぇ!…ってそんなことよりもだ。アイルー、お前なんであいつにちょっかいかいだしたんだ?」

「少し気にニャって…」

「ったく…今回は助かったが次はねぇぞ。次、あいつはお前のことを殺しにくるからな。絶対にモンスターには不用意に近づくなよな?」

「わかったにゃ…ってハンターさん、もう行っちゃうのかなニャ?」

「ん?そうだな、ここに長居しても仲間に迷惑をかけるだけだし帰るさ。そういやアイルー」

「なんですかニャ?」

「お前の名前、なんだ?」

「名前…ですかニャ?」

「…その雰囲気だとなさそうだな。よし!名前、俺が付けてやるよ!…そうだな、お前の名前は『ネギ』だ!」

「あっ、ありがとう?ニャ。でもなんで野良の僕に名前をくれたのニャ?しかもネギって…」

「名前は気にすんな!それよりも」

 

「友達なら名前くらいいるだろ?」

 

 

 

 

「少し長くなってしまったニャ、ごめんなさいニャ」

「大丈夫だよ、気にしないで」

私は少し顔をうつむかせているネギ君の背中をポンポンと叩く。

「それでそのハンターさん、どうなったの?」

「実を言うと僕もわからないニャ…でも生きているって僕は信じるニャ!」

「おっ、そのいきだよ!ネギ君!」

私たちはお互いに笑い合う、夜空の下で。

 

 

「そういえば砂漠の奥地のディアブロスって…」

何もなかったことにしよう。

 

 

———————————————————————

 

とある村に、一人の男ハンターが居た。

 

彼はこの村の、一番腕の立つハンターだ。

 

村のみんなからも信頼は厚く、子供は尊敬して居た。

 

そんな彼にいつだったか、とある依頼が届いた。

 

その内容は紅き角竜を狩る依頼、噂では無理難題だと言われている。

 

それでも彼は引き受けた、村のために。

 

だがそれは彼にとって間違いだったのかもしれない。

 

何故ならそれは…。

 

 

 

もう帰らぬ人となってしまったからだ。

 

 




是非とも感想、お気に入り登録お願いします!
モチベがグイグイッと上がるので!

それでは次回、いつになるかはわかりませんが会いましょう!




【追記】
新しく艦これ小説をあげました…はい。なので是非読んで見てください!


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第三十話[先生とアップルパイ]

しばらく投稿できていなくてすみません…。テストが重なってしまって…。ちゃんとイベントは遅くなりますが回収するので許してくんなし!

それではどうぞ!


「それでは言ってきますニャ」

「ネギ、無理だけはするな」

「わかりましたニャ!」

 

早朝、まだ日が差していない頃ディブロはネギを送り出していた。それは今日が試練の日だからである。

「最後に一応言っておくが試練は氷海にいるウルクススの腹甲の入手だ。別にウルクススを討伐してもよし腹甲だけを取ってくるもよし。

もし取ってこれなかったらオトモの件は白紙だ」

「がっ、頑張ってきますニャ…」

威勢のない声で返事をするネギ。だかその瞳には闘志が燃えていた。それはオトモになれるのだから必然的だ。

「俺はここの家にいる。試練を終えたら腹甲を持ってここに来い」

「わかりましたニャ」

「あぁ、行ってこい。期待はしておく」

 

二人の声と共に試練が始まる鐘が鳴る。

 

———————————————————————

 

「嘘…だよね?」

私は今、一通の手紙を見て唖然としていた。

「だって先生、あの時旅に出るって行ってたのに…」

先生、というのも生きるための知恵を恵んでくれた方だ。そういえばいっつも言ってたなぁ…言葉の裏に隠された事を見抜けって。でも流石に旅に出るからは何も見抜けないと思うけど。

「何一人で悩んでるんだ?」

「おわっ!?レッ、レン様。おはようございます」

唐突に耳元で声がして、びっくりしながらレン様のほうに向き直った。

「おはよう。それで手に持ってるのは手紙か?」

「そっ、そうです…。先生から送られてたんです」

「先生?」

「私が小さかった頃の…親のような方ですね。少し頭は硬いですけど…」

レン様は驚きながら話を続ける。

「リンを育てた人…じゃなくて龍か…」

「…聞いたことがあるかはわかりませんが古龍『クシャルダオラ』、その内の一体が私の先生です」

古竜クシャルダオラ、この竜は嵐を身に纏っていると言って相違ない。硬い甲殻の周りには風が吹き荒れ、辺り一面を消し去ってしまうほどに。

「先生は私が一人立ちした時…それ以降は一度も会ったことなんてありませんでした。旅に出るって言ってたので」

「そしてその先生から手紙が来たと」

「ですね…」

正直にいうと久し振りに先生から連絡が来てとても嬉しい。この手紙の文のからもわかるぶっきらぼうな言葉使い、達筆な文字。本当に先生なんだって、そうしみじみとわかることが出来る。それなのに何故か悪寒がしたのだ。何処と無く落ち着かない。

「リン?」

「えっ!?あっ、はい。少しぼーっとしてました…。それよりも肝心なのはあの先生から呼び出しが来たんです!いつも口数少なあの人から!」

「あははっ、そうか!それは会いに行かなきゃいけないな!」

レン様はニコニコしながら話を続ける。

「リン、そこまで笑ってるのは余程先生のことが好きなんだろ?それなら会いに行くほかないさ。ディブロの件なら任せとけ、リザがなんとかしてくれるから…」

「兄さん…何言ってるんですか?」

怪しい笑みを浮かべたリザ様がレン様の横からひょこり。

「リザッ!?おっ、おはよう!」

「おはようございます、兄さん。あっ、そういえば少し話すことがあるので来てもらえますか?」

「いっ、痛い!リザさん痛い!」

お二人ともとても仲いいな…。

「ほら、行きますよ!」

「痛ってば!リッ、リンッ、行くなら早めがいいだろうから行ってこい!こっちは大丈夫だから!」

そう言い残してレン様は部屋の奥へ連行されていく。そして…

「兄さんは後先考えてください!」

っと説教されていた。

 

そして私は明日、先生の元へ向かうことになる。

——————————————————————

 

「…すみませんでした」

「よろしい。これからはちゃんと後先考えて行動してください」

「わかりました…」

素直に妹怖い。

あの顔はなんだよ!笑ってたのかも知れないけど怖すぎる!

「兄さん…何考えてるんですかね?」

「なっ、何も考えてないって!」

「ならいいですけど…それよりもどうしますか?リンさんは明日家を出ますしディブロさんは何処かに行くと言っていました」

そう、リザが言っていた通りディブロは今家を空けている。会いに行きたい人がいるそうだ。俺たちは知らない方がいいと言っていたけど…まぁ大丈夫だろう。でもネギのことは放置されたままな訳で…。

「とりあえず俺たちは家でゆっくりしとくか〜」

「それなら私作ってみたい料理があって、教えてくれませんか?」

「妹の頼みくらい聞いてやるよ、それで何が作りたいんだ?」

「それはですね…」

 

今日の昼ご飯は多分、アップルパイだろうな。

 

 

 

「あとは釜からアップルパイを取り出して、皿に盛り付けて完成だ」

「でっ、出来ました!とっても美味しそうです!」

目の前には目をキラキラさせてリザと出来立てのアップルパイが並んでいる。

「ふふふ、そりゃ俺が教えたからな、味だけは保証する!」

「ありがとうございます、兄さん!」

「そら、冷めない間に食べようぜ。リザー!昼ご飯だぞ!」

「この匂いはっ!今行きまーす!」

ドタドタと足音が聞こえてくる。今日の昼ご飯は、リザ特製アップルパイだ。

 

——————————————————————

 

「こんばんは」

「こっ、こんばんは」

一人の女性が、墓の前にしゃがみ込んでいた。

「貴方は…あの時の…」

「あの時はお世話になりました」

俺は軽く頭を下げると彼女はそっと微笑む。

「そんな、頭なんて下げなくても大丈夫ですよ」

「流石にそんな訳にはいきませんよ…」

「そう…ですか…。そういえば今はなんと呼ばれているのですか?」

「今は…ディブロと、そう呼ばれていますね」

俺は呟くと、彼女は顔を明るくした。

「どうかしましたか?」

「ふふっ、いえ。とても気に入っているようでとても良かったです」

「そう…でしょうか。自分では気づかないものですね」

「気づかなくても大丈夫です。貴方の場合、別のことでわかりますから…あの人も喜んでいますよ」

「……」

 




どうでしたか?
久しぶりで少し手こずってしまった…。

そういえば4G始めました。


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特別回[MerryX'mas】

メリークリスマス!!

今回はクリスマス回だぞ!


これは少し前の話である。

 

 

「兄さん、そろそろクリスマスですね〜」

「そうだな〜」

「なんですか〜それ〜」

「俺も知りませんね…」

 

「いや、起きましょうよ」

ディブロの一喝とともに1日が始まる。今日はクリスマスだ。

 

 

 

 

 

 

「といってもリザがあそこまでイベントを大事にしてるとは…」

粉雪が舞い散る外、俺たちは少し離れたところに位置する森林へと向かっていた。

「女性ですし仕方ないですよ」

「それもそうだけどなぁ…いきなりクリスマスツリーを作りましょう!って無茶だろ?」

「楽しそうですし頑張りましょう?今夜はご馳走とも言ってましたし!」

目をキラキラさせながらディブロは俺の隣を歩く。それにしてもこやつ…こんなに食いしん坊キャラだったか?

「あっ、見えましたよ」

「それにしてもでっかいな!」

俺は小走りで大木の根元まで行く。その度に足は降り積もった雪にズボズボと埋まる、実に冬を実感させられる。

「前の世界じゃモミって木を使ってたんどけどな…」

そう呟きながら目の前の大木に手を当てた。ザラザラとしてて、それでいて硬質だ。

「なるべく大き過ぎないものの方がいいんですけどね…」

「ディブロー、取り敢えず別れて捜索するぞー!」

「わかりましたー!」

 

 

 

 

「何作りましょう…」

「そうですね…」

明かりが灯る家、その中ではリザとリンが台所にて頭を悩ませていた。

「兄さんが好きなものは絶対として他がちっとも…」

「魚なんてどうですか?私、こんなこともあろうかと数種類の魚を用意しておいたのです!」

そう言ってリンは何処から魚を取り出し机の上に広げた。

「まず一番右がサシミウオです。脂が乗っててとっても美味しいんですよ!それで次がキレアジ、見た目は凄く固そうで食べられないかもしれませんがとある部分だけ凄く柔らかくて美味しいんです!それで最後は甲冑魚!これは身も美味しいんですが内臓が美味しくて、リザ様が調理したら絶対美味しいです、絶対」

「すっ、凄いですね…何故かプレゼンみたいでしたが…。取り敢えずわかりました。今日は兄さんが好きなお肉とリンさんが持ってきた魚をメインにしましょう!」

そして私たちは料理に取り掛かる。私は魚を捌き、上手く身だけを切り出す。リンさんは肉を焼き、野菜を切っている。そして私たちは最後の工程に手を出した。そう、それは…

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ全部切れます!」

「わかった!おっ、危なっ!」

 

今はディブロがちょうど良い木を見つけ、それを何とかして斬り倒そうとしていた。

(最後の一撃、行きます!)

「キェェァァアアア!」

そう咆哮を轟かせ、角を思い切りぶつける。そして目の前に聳えていた木は地面に倒れた。

「やっと終わったな…」

(お疲れ様でした…)

「後は運ぶだけだな…」

(俺が運びますよ…。背中に乗ってもらえますか?)

「あぁ、わかった。ありがとうな…」

そして俺はディブロの背中に乗って家へ向かった。

 

 

 

その後、俺たちは木を切って帰るとリザから大きすぎと言われ枝を切るなり何なりして、その間リザ達は料理を盛り付け、机へ並べていた。そして家の中へ戻ると良い匂いが立ち込めており、そのまま夕食になった。料理には俺の好きな肉料理や、見るからに美味しそうな魚料理まで沢山。食べている最中はとても幸せな気分だった。

 

 

 

久しぶりのクリスマスはこうして幕を閉じた。俺としては久しぶりのクリスマスを楽しめたし、美味しい料理を食べることも出来たから満足だった。リザの楽しそうな笑顔も見れて良かった。

 

 

多分、こんなに良いクリスマスプレゼントを貰えた俺はとっても幸せ者だ。




どうでしたか?

私はこの小説を書いてる時、ただひたすらにモンハンがしたくて溜まりませんでした。
コホン。取り敢えず皆様、良いクリスマスを!

MerryX'mas!!


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