とある魔術の熱操作(ヒートオペレーション) (レオパル02)
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プロローグ

 

あるところに一人の少年がいました。その少年は、超能力が使えるという事で友達から避けられていました。

その時、ある研究者に出会いました。その人は自分のことを「木原」と名乗り。

 

ある研究所に連れて行き面倒をみてくれました。そして、研究所に住んで数年経った時に白い髪の少年に出会いました。そして、その少年との出会いが、彼の運命を変えました。

 

彼は「君を傷付けたくない。」拒絶しました少年は諦めず彼に話しかけました。「君と遊びたいんだ」「一緒に行こう」と彼は泣きました。自分を大切に思ってくれる人がいるなんて。

そして、彼と少年は思い出をたくさん作りました。

 

ですが、そんな幸せも長くは続きませんでした。少年は違う研究所へ行ってしまいました。少年は泣きました彼と一緒にまた遊びたいそれをずっと願っていました。ある研究者が言いました。そいつに会いたいかと、少年はすぐ会いたい!と答えました。

研究者は会わせてやるこの実験を頑張ったらなと笑顔で言いました。

 

少年は喜びました。頑張って彼に会おうと決意して実験に臨みました。そして、実験に成功しました。少年はLevel5になりました。研究者達は喜びました。「研究は成功だ」「Level5の誕生だと」しかし、少年は大事な物を失いましたそれは、【記憶】でした。記憶を失った少年は、彼のことを忘れてしまいました。そして、次に少年が受けた実験で彼はこう呼ばれました。「欠陥品」と。

 

 

 

ピピピ!という目覚まし時計のアラームが部屋中に鳴り響いた。

男、山野玲は、目を擦りながら、時計を見る。時計は、午前9時を指していた。

(危ねぇ、夏休みじゃなかったら遅刻してたわ。)

と一人思いながら背を伸ばしていた。

 

 

黒い髪を掻きながら洗面所へ向かい身支度を整える。そして、いつものように朝食を食っていると隣から不幸だぁぁという声は聞こえた。隣の隣人の声だ。

玲は、隣人の叫びに呆れながら甘い卵焼きを口に放り込む。

 

そして、テレビを見ていると。学園都市へようこそとよくあるCMが流れていた。玲はテレビを見てやってきたばかりの子供逹へのCMかぁとぼんやりと考えながら味噌汁をすすった。

 

そう玲が住んでいるここは学園都市。東京の西部を開拓して作られた場所。総人口は230万人にも上るがその8割は学生が占めている。ここは、兵器・乗り物や食事・建造物などが三十年位外の世界より科学が進んでいる。そして、なんといってもメインは身体検査による超能力開発だ。超能力にはLevelが6種類ある、これにより奨学金などの大きさや進学校などが決まる。

 

朝飯を食い終わり皿を洗おうとするとカレンダーが目に入った。そのカレンダーには、補習者出校日と書いてあった。

 

 

玲は目をぱちぱちさせながら状況を確認した。念のためカレンダーを二度見するが以前何も変わらない。

「やっべえええええ!!」

とにかく、急ぐしかないとすばやく着替え玄関を出る。そして、走りながら今日も1日を過ごすのであった。

 







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出会い

それは、身体検査の終わった後のことだった。玲《レイ》は身体検査が終わりかなり暇をしていた。道路を歩きながら今後の事を考える。

 

(これからどうしようかな、本屋であの本買うか。いやその前に夕食の用意しねぇとな)

 

 

夕食のことを考えながらスーパーに足を進めているとシャッターがされてある銀行を見つけた。これはもしやと嫌な予感が走り、俺はすぐに立ち去ろうと銀行から背を向けた。

その直後銀行のシャッターがドォン!という爆発音のせいでシャッターを内側から壊された。そして、銀行のドアからいかにも悪党やってますと言わんばかりの男達がでてきた見たところ3人いる。

 

この状況を見てすぐに逃げようと考えた。

多分隣人ならばすぐさまこの状況を何とかしようと行動を起こす。他にも、能力を持っている勇敢な奴も何とかしようとするだろう。

 

(だが、そんな人間は基本いないんだよなぁ、俺は別に自分から関わろうと思わんけどね)

 

そのまま素通りを決めようとしたその時だった。

「風紀委員《ジャッジメント》ですの!!」

ツインテールの髪型をした女の子の声が聞こえた。遠くからその姿を確認する。

風紀委員《ジャッジメント》とは、能力者の学生たちによる学園都市の治安維持機関の事だ。

多分事件を解決する見届けようと足を止める。

何やら様子を見るにどうやら強盗達は、ジャッジメントを中学生と見て舐めきっているようだ。太い身体をした強盗1がジャッジメントに襲い掛かるがあっさりと倒された。ジャッジメントは戦闘のために訓練もされているので当然と言えば当然なのだ。

 

強盗達はやばいと思ったか身構えた。強盗2は手に球状の炎を作った。あの炎の大きさからして、Level3か2の発火能力者《パイロキネシス)だろう。だが彼等は知らないらしい、あの制服は常盤台中学だろう。

Level3以上しか入れないという超名門中学そこの中学の生徒で風紀委員《ジャッジメント》ならば必ず勝てるだろう。あっさり倒せたようだ。

(さすがジャッジメントだな……そう言えばもう一人いたような)

と思い周りを見回す。その時、女の子の声が聞こえた。

 

「離して…くださいっ!!」

と強盗3を必死に止めているようだ。

強盗3は子供を人質にしようとしてそれに気づいた女の子が止めようとしたらしい。

ふと疑問に思った。

(何故彼女は能力を使わないんだろう?…もしかして彼女は能力を使えない!?)

 

そういうことにすれば納得がいく。だが、呆れと同時にその娘への興味が込み上げてきた。俺はそんなことをする奴は実際隣人だけだと思っていた。他の無能力者でこんなことする奴がいるとは思ってなかったから。

 

彼女を救う為には、能力を使うしかないだろう。

俺は彼女にとても強く惹かれてしまった。

彼女を助けるために俺は能力を使用し手を開き、片手から氷の球を創り出し。それをハンドボール投げの要領で一気投げた!

強盗と俺の距離は15メートルほどあるこれくらいの距離ならば十分当てる事が出来るだろう。

 

 

 

そして、見事に強盗の頭に氷の球を命中させた。強盗はよろめいて道路に倒れたようだ。

そのうちに、女の子が子供を連れて逃げる。

「痛ってぇくそが何処からうちやがった!!」

男が辺りを見回す。頭に血が上っているようでかなり苛立っているようだ。

冷静さを取り戻したか、子供を探すが離れているのを見て逃げようと車に乗り込もうとする。

 

 

「させねぇよバカが!!」

俺は道路に手をつけたその瞬間一直線状に道路を凍った。強盗を足を凍らして足止めをした。

 

「足がぁぁぁ!!」

強盗が叫びを上げた。

「そりゃあそうだよなぁ足を氷漬けにしたんだ。まぁ凍傷程度で済むだろうよ」

そう言ってゆっくりと、歩み寄る。

「てめぇ何なんだよお前もジャッジメントか?」

足を抑えながら痛さを我慢しながら言ってくる。

「ジャッジメントじゃあねぇよだがな、そこの子を傷つけた事に腹が立っただけだ」

黒髪の女の子を見ながら言い放つ。我ながら恥ずかしい事を言ってしまった。

 

「あっ車が!!」

黒髪の女の子の声が聞こえた。

車を見ると、車が発車していたどうやら運転手がいて仲間を見捨て逃げようとしたらしい。

 

「あの距離まで届くかな…」

道路に手をつけようとした瞬間だった。

 

ビュンと言う音と共に一筋の閃光が俺の横を通った。その直後爆音が鳴り車は宙に浮き道路に突き刺さった。

「何だぁありゃあ!」

瞬きを忘れてしまうくらい驚いてしまった。

俺が少女達に出会った最初の日だった。

 

 

 

そして、この事件が終わり数十分後。警備員《アンチスキル》が呼ばれたそこで彼女と出会った。

「よっ玲久しぶりじゃん」

片手をあげて挨拶してきた俺の通う高校で体育教師をしていてなおかつ美人でナイスボディの警備員。黄泉川先生だった。

 

「久しぶりって授業でよく会うじゃないっすか」

黄泉川先生は首を横に振り

「個人的に会うのは久しぶりじゃん」

 

「そうっすねー」

 

「冷たいじゃん」

残念と言った感じに肩を落としていた。

 

「で、何で話しかけってきたんすか?」

先生は落としていた肩を上げ、驚いた顔でこっちを見た。

「お前にしては珍しいじゃん厄介事に関わるなんて」

 

「別に、ただの気まぐれっすよ」

「まぁいいじゃん」

先生は何かを察してくれたようだ。

「それよりも、玲これからが大変じゃん」

「えっ何で俺が大変何すか」

「だってお前…来たみたいじゃん」

先生は俺の後ろを見て言った。

「えっどういう事っすか」

振り返り見たらそこには、ツインテールの髪型をしたジャッジメントがこう言った。

 

「坂城玲さんですね、ちょっと支部まで来てくださいな。」

 

「拒否権はありますか?」

 

「ないですの。」

 

どうやらこれから俺は支部に連行されるらしい。

 

 

 

 



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出会いII

こんにちは山野玲です。現在俺は、髪型がツインテールのジャッジメント(ツインテールさん)にジャッジメントの支部に連行され事情聴取をされていた。

 

 

さて、この状況を確認するため周りを見るとPCで何やらやっている人や目の前にいるツインテールさんやら若い子には、似つかわしい空間が漂っていた。

しばらく見ていると玄関から声が聞こえ振り向いたらそこには、

黒髪の女の子がいた。

 

「さっきの人ですよね。本当にありがとうございました。私、佐天涙子っていうんですけど、」

突然マシンガントークで困惑していると前の机からひょこっと顔を出して声が聞こえた。

「佐天さーん突然話しかけられても相手からは、訳が分かりませんよー」

 

「あっそうですよねごめんなさい。突然話しかけちゃって」

佐天?と言った女の子が謝る。

 

「全く佐天さんは、」

頭に花飾りを付けた女の子がやれやれと言った感じで喋っている。いや、なんで今まで話しかけてくれなかったんだろ…

 

「黒子ーいるのー」

おっとまた誰かが来たようだ。ドアから入って来たのは、短め茶髪の髪に常盤台の制服を着こなした可愛らしい少女だった。

(中々可愛らしい容姿なんだなーやっぱ常盤台ってすごいなー)

としばらく見ていると。

 

後ろから肩をトントンされた

振り向くて血管が浮かんだあきらかに怒ってるツインテールさん、何を起こってらっしゃるのかな。

 

「お姉様に手を出そうとするならテレポートで屋上から落としますよ?」

(前言撤回、常盤台はやばい子の集まりだった、むちゃくちゃ怖い)

 

「ツインテールさんまず、落ち着いてほらここに紅茶あるよ?とりあえず飲もうねゆっくり話そうよツインテールさん。」

落ち着かせようと置いてあったポッドから紅茶を注ごうとする。

 

「誰がツインテールですのぉぉ!!」

さらなる逆鱗に触れてしまったようだ。

「白井さん落ち着いて!」

メガネの美女が止めた。

「私の事をツインテールって言いましたの絶対に許しませんのぉー」

怒ってるツインテールさん、怖いってツインテールが浮いてるよ。

 

「黒子!!落ち着きなさい!」

お姉様?が電気を放つ。その途端ツインテールさんが、叫んだ。

「もっとぉーこの黒子にお姉様の愛をぉー」

 

(この人マジでやばいな目がいってるよ)

 

そうこうしていると「いい加減自己紹介した方がいいんじゃないですか?困っていますよ。」と佐天?が言ってくれた。

「うん、正直助かったよほぼ会話についてこれなかったし、ぶっちゃけみんなの名前正確に判断してないし」

 

「そうよね、ごめんね」

 

「本当に…すみませんの。」

ツインテールさんも反省したらしい。いや、若干不服そうだ。やっぱあれか、楽しみの邪魔しちゃったからかな。

 

「じゃあ早速私から自己紹介します。私の名前は、佐天涙子《さてんるいこ》って言って柵川中学1年生。で、

趣味は都市伝説探しと初春のスカートめくりです。」

うん、しょっぱなから凄いなおい、スカートめくりってこの子のってことかと初春?さんを見ると

真っ赤な顔をして目を逸らしてしまった。

「もしかして玲さんってむっつりスケベ?」

 

「そんなことねぇよ!これはあくまで条件反射ってやつだし」

突然言われ動揺してしまった。

 

「あはは分かりやすいですね〜」

と笑いながら佐天?がからかってくる。

いや別にいいじゃんこちとら純粋な思春期男子なんだから。

 

 

「私の名前は初春飾利《ういはるかざり》って言います。佐天と同じ中学出身で一応ジャッジメントをやってて好きな物は甘い物です。よろしくお願いします。」

顔を真っ赤にしながら言っていた。多分恥ずかしいんだろうなぁ事情聴取の時一回も話しかけてこなかったし。

 

「うん、二人共よろしくな」

次は、ツインテールさんだった。

 

「わたくしの名前は白井黒子《しらいくろこ》と言いますの常盤台中出身で空間移動《テレポーター》をやっておりますのジャッジメントをやっていて好きな物はお姉様ですの。そして、わたくしとお姉様は運命共同体と言ってもいいですの。アバババ」

更に電撃を受けている白井さんは嬉しそうだやばいな白井さん。

 

「えーと私の名前は固法美偉《このりみい》って言ってジャッジメントの年長者よ、よろしくね」

一番大人らしい挨拶をする固法先輩。メガネが似合っていてスタイルがいい、どうやら彼女だけ高校生のようだ。

(大人の美しさが出てるなぁ〜)

 

 

「ったく黒子はしつこいんだから、で次は私よね、私の名前は御坂美琴常盤台中学出身で一応電撃使い《エレクトロマスター》してるわ敬語は使わなくていいからよろしくね」

フレンドリーな挨拶をしてきた。

 

「常盤台ってお嬢様学校じゃなかったけ?」

 

「確かに、お嬢様って感じはするけど、私は違うのよね、あそこって堅苦しい感じなのよね」

 

「へ〜お嬢様ってイメージだったが違うのか。」

 

 

「ちなみに、御坂さんはLevel5の第3位なんですよ。」

 

御坂は一瞬暗い顔をしたがそうなのよね〜と流した。

 

「そうなんだ。努力家なんだなぁ。」

 

御坂が驚いていた。

 

「えっあんた引いたりしないの?」

 

「引くも何も、別に頑張ったんだなーとしか思わないだろう。なっ佐天さん」

 

「確かにそうですね〜だってレベル5ってもっとこうすごいっていうイメージあったんですけど御坂さんと話したら

想像と違って私達と変わらない中学生ってことが分かって良かったです。」

 

「そういう事だよ」

 

「あはは、そうなんだ。っていうかそういうあんたは何なのよ、後ろから佐天さんを助けようとした時見えたのよ、あんた氷を作ったり道路を凍らしたりしてたわよね、あんたも学園都市では十分珍しい能力なんじゃないの?」

 

「確かに珍しい能力かもしれんが聞いてもつまらんと思うぞ」

 

「そうやってはぐらかすと余計に聴きたくなっちゃいます」

 

佐天さんが目をキラキラさせながら見つめてくる。多分、超能力者の事を知りたがる年頃なのだろう。

「あんた不公平よそれは、私達もしっかり自己紹介したんだから、あんたもしなさいよ」

御坂は完全に面白がっている。

 

「分かったよ能力だな説明すればいいんだろ。俺の超能力は」

 

「みなさーんお茶にしませんか。さっき自販機で冷たいジュース買ってきました~」

 

「…………」

 

 

 

俺って何しに来たんだっけ?

そして、みんなでお茶をする事になった。やはり、普通の女子中学生。俺ら男子高校生のように

ハズレのジュースなどを持ってこなかった。ヤシの実サイダーなどの安定したのを持って来てくれた。だが、一つ気づいた事がある。それを俺が聞く。

「なぁ初春ここから自販機って結構遠くないか?なのに何でこんなに冷たいんだ?」

 

「あぁそれは、私の能力です。私の能力は定温保存《サーマルハンド》暖かい物や冷たい物をそのままの温度に出来るんです。」

 

「へー珍しい能力なんだなぁ。」

 

「まあLevel1なんですけどね」

 

「でも、手で触ってないと発動する事が出来ないので、手に持ってない物が少しぬるくちゃってなっちゃって」

初春がジュースを出すが、見事にぬるくなってしまったようだ。

 

 

 

「ああそれなら、俺の能力でなんとか出来るかもしれない。」

 

「本当ですかぁ。」

 

「ジュースを貸してくれ。」

 

「ああ、どうぞ、」

 

俺はジュースを持つと能力を発動した。

 

「はい、終わったよ」

ジュースを差し出す。

「もうですかぁ!」

初春は、驚いていた。だが、ジュースに触った途端初春がさらに驚いている。

 

「確かに、冷えています。」

 

「で、結局のところ玲さんの能力って何なんですか?」

佐天が早く聞きたいようにうずうずしている。

 

「たしかに、私も知りたいな」

 

「俺の能力は、熱量を変化して形に現す能力なんだ。もちろん操作できる温度は決められてるけどね」

「えっそんな事出来たら、Level5だっていけるじゃないの」

 

御坂が驚いている確かに温度を操る能力者なんて御坂の能力よりも珍しいし、応用が効き多方面で活躍できるが玲には、欠点がある。

 

「でも、使えるのは俺の両手だけなんだよ、だから道路とかに手をつけないと凍らせないし氷だって自分の両手に収まる範囲内でしか作れない。それで、Level4止まりなんだよな」

 

「ふーんじゃあどの位の温度まで出せんのよ?」

さすが、常盤台珍しい能力には興味津々だな。みんなも顔をずいっと寄せてくる。

近いっての

「まぁ2000度からマイナス50度くらいだと思うな」

 

「じゃあ炎だって出せるんじゃないの?」

 

「ダメダメありゃあ使えるけど、人相手には使ええねぇんだよ。」

実際使って大事な人を傷つけた事があるし。

あんまり、ひと相手に使いたくない。

 

「じゃあ、何で玲さんって有名な高校に行かなかったんですかぁ?」

制服を見てから疑問に思ったか佐天が聞いてくる。そりゃあそうだろうこのレベルだと普通にいい高校があるからなぁ。

 

「俺には理由があってな。」

 

「へぇどんな理由なんですか?」

 

「それは…」

俺が言うか悩んでいると後ろから。

 

「佐天さん!人には言えない事情だってあるんですよ。」

 

「あっすいません」

余計なことを言ったと思い佐天が謝る。

 

 

 

「気にしなくていいよ…あとありがとね初春さん」

 

 

「いいですよこの位、佐天さんを止めるのは親友の役目ですから。」

えっへんと言った感じに胸を張る初春。

 

「初春ぅー愛してるよ~」

抱きつく佐天。おおこれが百合って奴なのか。

 

とこんな感じで話が進み。

 

「もうこんな時間ですの。」

黒子が時計を見て、気づいた。

 

「じゃあ私達も、帰りますね。」

 

「んじゃあ俺も、」

そう言って俺も帰ろうとすると。

 

「玲さん、連絡先を教えてください」

佐天が言った。

 

(……はい?あなた何言ってんの?)

 

「ここで会ったのも何かの縁ですし、もしも困ったことがあったら玲さんに頼ればいいかなって?」

佐天が携帯を出しながら言った。

 

「確かにそうですわねこの方の能力なら多方面で役に立ちますし」

 

「だから、玲さん連絡先教えてください。」

 

「俺でいいなら。」

ちょっと焦りながらケータイを差し出す。

そして、俺は女子中学生の連絡先をゲットしたのだった。

帰っている途中玲はスキップをして寮に帰った。

 




ちょっと連絡先の流れかなり強引だったかな…


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出会いⅲ

今回かなり短いです。すみません


佐天達と連絡先を交換し、近くのコンビニで漫画雑誌を買って寮に帰って来た時には、

最終下校時間ギリギリをさしていた。階段を上った時、玲はあの少年と目があった。

「おっ玲かこんな時間に帰ってくるなんて珍しいな。」

 

「ああ、上条か。……で何でお前玄関の前で立ち尽くしてんの?」

 

このツンツン頭の男は上条当麻。俺とは、高校で知り合い寮が隣という事で知り合いになった。自称タダの高校生らしいがこの男はかなり変わっている。

 

「実は、上条さん苦労してやっとこさの思いで、卵をここまで持って来たのに、その卵をドアの前で落としてしまったのですよ。」

 

ドアの前には黄身と白身と殻でぐちゃぐちゃになったものが床に撒き散らかしてあった。

 

そう、この男は超絶に運が悪いのだ。

歩けば上から植木鉢が降ってきたり、買い物をしようとしたら財布がスられていたりなど、もはや救いようの無い不運の持ち主と言えよう。

 

「いやお前にしては、新記録だよすげぇよお前やっと玄関まで卵を運べる様になったんだな。」

 

 

「そんなフォロー嬉しくないですよ。」

 

「だったら、うちでなんか作ってくれよ、材料とかは勝手にしていいから」

料理や家事が上手いのでこうやって頼んで、作らしたりしている。

「えっ本当にいいのか?」

 

「いやならいいけど。」

 

「いえいえむしろ作らしてください。お願いします」

 

「じゃあ、頼むわ。」

ドアを開けて、上条を入れる。一応自分の部屋だからしっかりと掃除をして友人などがいつでも入れられるようにしている。

 

「つーか思ったのだが、玲の部屋って何でこんなにゲームや本が多いんだ?」

 

「まぁ俺の趣味だからな。」

俺は、はっきり言ってオタクだ自分でも理解している。だから大概の奨学金は、アニメのDVDやゲーム・マンガに費やしている。

「趣味だからなじゃないですよ。上条さんの家計が苦しいのに、お前はこんな漫画を買っているなんて」

 

「まぁこれがLevel4の財力だ。」

 

「羨ましいい!」

 

「ていうか、早く作ってくれよ。」

いい加減腹が減ってきたので上条に言うと。わかりましたよ。と言い素直に料理を作っているようだ。

 

「できたぞー上条特製チャーハンだ!」

 

「おーうまそうだ。」

 

「ふっ上条さんも上達したものよ。」

 

「まぁ俺よりは上手いな。」

俺も一応料理などの家事はある程度出来る。昔小萌先生に、家事が出来る人はモテるのですよーと仕込まれたからだ。だから、上条程では、ないが出来るのだ。

 

「それよりも、聞いてくれよ。上条よ、」

 

「ん何だ、」

夕食を食べ終わり、皿洗いをしている上条。

 

「見てくれよ遂に、女の子のアドレスをゲットしたんだよ!!」

携帯をどうだと言わんばかりに見せる。

 

「何だと、俺なんて……もてたことないってのに玲…お前って奴は」

 

どの口が言うかどの口がと思ったが。自分に、年上の女の人以外の女の人のアドレスをゲットしたんだ。

と喜んでいると、上条がとんでもない一言を言った。

 

「上条さんは、羨ましいですよ。年上の女の人のアドレスや年下の女の子のアドレスをゲットして。どうすれば、モテるか聞いてみたいですよ。彼女一人出来たことない上条さんに」

このひと言が俺の頭の中がプツンと切れた。

 

「てめぇ、良くも言えたなそんなことを。」

 

「えっ玲さん、拳を握りしめたままなんでこっちへ来てるんですか。」

俺はにっこりとした笑みでこう言った。

「取り敢えず殴らせて?」

 

「なんで、怒ってるんですか玲…おいちょっと…痛ってぇ!」

 

「不幸だぁぁぁぁぁ」

この夜ツンツン頭の少年が叫んだ事は寮中の全員に響き渡ったとさ。

 



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幻想御手《レベルアッパー》

「ジャッジメントをするじゃん」

……どうしてこうなった。

玲は、いつもの様に、補習が終わり。青ピと土御門と帰ろうと下校の準備をしていると、放送が流れてきた。

玲は、学園都市のLevel4なだけあり頭は悪くはない、だがなぜ補習に呼ばれたと言うと小萌先生が玲だけの特別なテストをやるから来てくれと頼まれたからなのだ。

 

「かみやんは、小萌先生に特別に補習で呼び出されとるらしいでー」

 

「じゃあ、今日は上条は帰るのは夕方確定か。」

 

「えー1年7組山野玲君、今すぐ職員室に来るじゃん。」

 

「羨ましいなぁれいくん放課後居残りとかかみやん病がうつったんか?」

 

「確かに羨ましいにゃー巨乳体育教師。と居残りなんて」

 

「アホか、お前黄泉川先生とか絶対めんどくさいことでの呼び出しだろうよ後青ピてめぇはぶっ飛ばす」

 

「なんでなん!!」

 

とまぁバカな会話を終えて職員室へ来たのだが。

ドアを開けるとこっちへ来いと言った感じ黄泉川先生が手を振っていた。

そうしたらこの話を持ち出されたのだ。

 

 

 

「俺には、こういうことは向いていませんよ。」

玲はため息をつきながら首を振った。

「うーんでもそこを何とか頼むじゃん。」

両手を合わせてお願いしてくる。

だが、玲もここで引くわけにはいかない

「いやです!!」

 

「数日間だけでいいからお願いじゃん」

 

(数日間……どういうことだ?)

 

「どういう事ですか?」

 

「最近、事件があってジャッジメントが減っていてその間の補充要員を探していた。ところ小萌先生が推薦したのが玲ってわけじゃん。」

確かに言っている事は、まともなのだが、疑問が生じた。

 

「なんで、上条じゃなかったんですか?」

アイツなら、喜んでやると思う。困っている人がいれば必ず助けるからだ。

 

「確かに、上条と玲で悩んでたみたいだったけど、最後は知能で決めたじゃん。」

 

「ああ、納得です。でも、ジャッジメントになるための試験とか必要じゃないんすか?」」

これで、計画は完璧だじゃあ受けてもらうじゃんとか言ったら即断ればいいだけの事だから。

 

「ああ、玲それなら、お前はもう受け終わったじゃん。」

……どういう事だ。

 

「今日の補習で呼び出してテストをやらしたのもジャッジメントの試験じゃん。」

 

「でも、一応運動能力や能力検定があったと思うんすけど。」

 

「玲、お前何か忘れてないかじゃん。お前だけ、この前の身体検査が長かった事を」

嫌な予感が走った。冷や汗を出しながら。聞いてみた。

 

「まさか、あそこでジャッジメントの試験をとっていたという事っすか。」

 

「そうじゃん。」

先生は笑顔で頷いてこの質問を答えた。

確かに、心当たりはあった。この前そのせいで俺は土御門と帰れなかったし。

小萌先生がやけに喜んでいた。

 

「じゃあ明日結果を送っとくじゃん。」

 

「拒否権は…」

 

「合格できなかったら。大丈夫じゃん。」

 

職員室を出て。俺はこの日合格するなと祈りながら寮に帰った。

そして日の夜見事に合格通知を貰った。

 

その書類には担当する学区と場所の情報が明記されており、出勤日は合格通知が届いた次の日というブラック企業のような内容だった。記載通りの住所へと言ってみると。

(まさかここにすぐ来る事になるとは…)

 

ドアを開けると。

昨日会ったばかりの彼女らがこっちを見ているのがわかった。

「あら、これは新人さん出勤時間ギリギリなんて…ってなんであなたがここにいるんですの?」

 

「えーとジャッジメント支部177支部ってここでいいんだよな」

 

「こんにちは~って玲さんがいる今日はどうしたんですか。」

 

「よう、佐天って昨日ぶりか」

 

「あれ、こんにちは玲さんでも、なんでここに忘れ物でもしたんですか?」

 

「こんにちは~って玲、なんであんたがここにいんのよ」

 

「お前らが言える事かそれ」

 

「私達はいいんですよ」

 

「何その特別扱い!」

 

「いい加減、わたくしの話を聞いてくださいな!!」

とこんなやりとりをした後、玲は自分がジャッジメントの補助要員になった事を説明した。

「あなたがジャッジメントの補充要員とは、意外でしたの」

 

「まぁ俺も強制されてやっているだけだけどな。」

強制的にやることになった原因の教師2人の顔を思い出しイライラしていると後ろから声が聞こえた。

 

「ていうか、何でジャッジメントの補充要員が必要になったのよ?」

御坂が買ってきたであろうヤシの実サイダーを飲みながら聞いていた。確かに、補充要員と聞けばそういう考えになるだろう。

 

「いえ、別に人手不足という事はないのですが、ある事件の所為で怪我人が増えて」

 

「ある事件ってどんな事件なんだよ」

一応ジャッジメントに入る原因になった事件なので気になって聞いてみた。

 

「それが、爆破事件でして。」

虚空爆破事件《グラビトン事件》の説明が始まった。

 

「爆発ねぇ、なんかおかしくないか?」

 

「どうしたんですか?」

初春が首を傾けている。

 

「いや、なんか引っかかるっていうか」

頭の中で引っかかることがあったんだが、どうにも思い出せない。

 

「はっきりとしなさいよ」

御坂が気になるようでこっちを見ながら急かしてきた。

 

「いや、やっぱ何でもないわ。悪いな」

 

(やっぱり俺の思い過ごしなんだろう)

 

「そうですか」

会話が不完全燃焼してみんなが黙っている時にこんな声が聞こえた。

 

「それよりもみなさん見てくださいよ。このサイト」

 

「なになに学園都市伝説ですか?」

 

「ふーん学園都市にもそんなのあったのね。」

お茶を飲みながら御坂が言う。

 

「えーとなになに学園都市には、どんな能力も効かない能力者がいるですって。

これ凄いと思いません」

佐天からこの伝説を聞いた途端御坂の眉がピクッと動いたような気がした。

 

「案外いるかもしれないな」

 

「そうね、学園都市中探せば見つかるかも、」

2人は都市伝説と呼ばれている人物の顔を思い浮かべていた。

 

 

 

 

それから、仕事が終わり。寮に帰る途中に上条に会った。

 

「お前何してんの?」

 

「玲、ここにいたら危ないぞ、またビリビリの奴が勝負を挑んで来て」

よく上条の口から出てくる。

ビリビリとは、どんな人物なのだろうか。

「待ちなさいよ!!」

 

走りながらこちらへ向かってくる、女子中学生を発見した。遠くから姿を見てみるに常盤台の制服を着ていて、可愛らしい容姿で短めの茶髪の女の子だった。

 

(というかあれって!?)

まさかとは思うが、玲は先程あったであろう人物を頭に思い浮かべる。

やがて、姿がはっきりと分かる距離まで来た。玲の予感は的中していた。

「ビリビリって御坂のことだったのか!?」

 

 

「だから、玲お前は逃げろってお前ビリビリの事知ってたのか?」

 

「知ってるも何もさっき友達になったばっかなんだが」

 

 

 

「友達だと…あんな会う度に雷を放ってくるやつとか?」

 

「この待ちなさいよって……何であんたがここにいんのよ!」

 

 

「いや、仕事を終わらしたから帰っているんだけど」

 

「そんな事を聞いてんじゃないわよなんでこいつと一緒なのか聞いてんの!」

御坂が上条を指差して玲に問い詰めている。

確かに気になるだろう自分が追っていた人物が最近知り合った人物と一緒にいたら。

 

「何って俺たち高校一緒だよなぁ」

 

「そんなの知んないわよ!!」

 

(まぁ知ってたら怖いわな)

 

「まぁそういう事だからじゃあな御坂」

上条はこのノリでなんとか帰ろうとしているようだ。だが、御坂はそんなこと気にすることもなく。

 

「何、あんたは平然と帰ろうとしてんのよ、いい加減にしなさい!!」

 

御坂が雷の槍を投げてきたしかも2つ

槍は俺たちに向けて真っ直ぐに飛んでくる。

このまま当たったらかなり痺れを負うもしくは、痛みを伴うだろう。

俺はそれを左手に氷の盾を作り出して槍を止め、上条は右手で槍を消した。

 

「危ねぇじゃねえかビリビリ!!」

そうこの男上条当麻には、変わっている点はもう一つあるこの右手だ。本人曰く幻想殺し《イマジンブレイカー》と言って、どんな超能力の力も右手の範囲内で消せるらしい。もはや右手で能力者を触ってしまえば、能力を発動させなくさせるという。強力な右手の持ち主なのだ。以上のことから彼が都市伝説の存在だと改めて確認する。

 

「なんで、あんたまで止めれんのよ!!」

御坂は確かに上条にも、驚いていたが玲の方をみて睨みつける。上条にも止められ俺にも消せられたら、Level5として顔が立たないと思っているのか、止めた原理を知りたいようだ。

 

「氷ってのは、電気を通さねぇんだよ」

 

「ふうんそういう訳ね、手から氷の盾を作って止めたって訳、面白いじゃない」

さすが、Level5なだけあってかなり頭の回転が速い。

いざ尋常に勝負と言わんばかりの構えをしているこっちを向く。

 

「どーせ俺は御坂に勝てねぇよでも、こいつなら楽勝かもな俺よりも断然強いし」

玲は早く帰りたい、という思いの方が強く逃げるための言い訳を上条へと向ける。

 

「ちょなんで上条さんを指しているのですか」

 

「だったらこいつに勝てばいいって事ね」

 

「ああ、そういう事だ」

 

「だったら……あっこら待ちなさいよ」

上条はもう逃げた様だ。それを後に追っていく御坂。

 

「さて…帰るか…」

上条に多少の感謝と御坂に追われることに合掌しつつ玲は寮に帰るのだった。



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幻想御手Ⅱ

ジャッジメントに入ってから翌日経った。昨日は挨拶と自己紹介だけだったようで、今日も出勤というわけではないらしい。

玲は、出勤が無くなり有意義な休日を過ごしていた。

 

「おっエンディングに踏破しちまった」

などと1人で最新作のゲームをクリアしてしまうくらいに。

 

「にしても、今日は暑いな何か替えの服でも着替えるか…」

替えの服を探そうと棚から服を探すが夏用の服が見つからない。それもそうだろう今年引っ越して来たばかりだったので、夏服を用意していなかったのだ。

 

(この近くの服って言ったらセブンスミストかぁ。)

そう考えたか、ハンガーにかけてあった夏用の学生服を着てセブンスミストへ向かうのだった。

 

 

 

しばらくしてセブンスミストに着き、エスカレーターを上り歩いていると可愛らしい服がたくさんある。どうやら女の子の服の店のようだ。

そこで、何やら口喧嘩をしていると2人の男女を発見する何やらもう1人男のほうは小さい女の子を連れている。

玲はその2人組を知っている。そう、上条と御坂だった。 御坂の手には、子供らしい可愛いパジャマを持っている。何やら後ろにそれを隠しているあたり大方恥ずかしいのであろう。

そして、上条は小さい女の子の手を引いていた。

玲は、2人に近づき話しかけに行った。

 

「おい、上条どうしたんだ、小さい子連れてこんなところで?」

 

「実は、この子が服屋へ行きたいって言うから連れてきたんだ。」

 

「そうなのか、んで御坂は何しにここに来たんだ」

 

「私は、佐天さん達と買い物してただけで、であんたは何でここに?」

 

「俺は、夏服を買いに来た」

 

「お前、夏用の服用意してなかったのか?」

 

「まぁなそれよりも、上条お前はこの子をエスコートしとけ子供服ならあっちの方がいいみたいだしな」

 

「そうか、なら連れて行きますか。」

上条は、あの子を連れてあっちに行ったようだ。

 

「あんたはいいのあっちの方に行かなくて?」

御坂は、玲を遠くに行かせたいようだ。

早くパジャマを買いたいのだろう。

 

「御坂もしかして、そのパジャマを佐天さんたちに子供っぽいと言われたのか?」

玲のそのはっきりとパジャマの存在を伝える。

ぎょっとしたのか、御坂は後ろのパジャマを慌てて戻す。

 

「パジャマって何の事よ」

 

「誤魔化そうとしても無駄だぞ御坂、上条の目は逃せても俺の目は見逃せないからな」

 

「だったら何よどーせこのパジャマを子供っぽいってあんたもバカにすんの!!」

どうやらバレて恥ずかしくなったか八つ当たりの様に御坂が切れてきた。

 

「いや、全然俺は別にいいと思うけどな、似合うと思うしあと、俺は基本的に人の趣味をとやかく言うのは、好きじゃないからな」

そう、俺だって趣味はアニメやマンガのオタクだから人の趣味をとやかく言う権利を持ち合わせてないのだ。

 

「そうなの?ってあんた似合うって」

 

「ああ、だからお前は好きなものに純粋であっていいと思うぞ」

 

「そう…」

御坂は少し顔赤くしモジモジしている。

玲はそれをみて少し動揺し思考を加速させる。

(まさか、フラグがいやあんまり期待するのはやめよう。どうせ、御坂も上条と関わったという事は、上条の事が好きになるからな)

 

そう玲は、思考を整理し改めて自分の目的を達成するために行動をしようと動いた。

「じゃあ、そろそろ行くわ」

 

「うん、じゃあね」

この時の御坂はなぜか女の子っぽく見えてしまった。俺は、首を振ってそんな考えを振り払うのだった。

 

 

 

 

夏服を買い終わって帰る途中に、玲はずっと事件について考えていた。

 

(うーむなんか引っかかるんだよなぁーこの事件……まさか…!!)

 

すぐさま白井のケータイに電話をした。実は、ジャッジメントに入った時に、いつでも連絡できる様に交換しておいたのだった。業務連絡みたいなものだから、佐天と連絡先を交換した時のようなドキドキがなくて悲しかったのは秘密だ。

 

「白井か?」

 

「あなたから、連絡してくるなんて何かあったんですの、玲さん」

 

「あの虚空爆破《グラビトン事件》の事なんだが」

 

「何か分かったんですの?」

 

「ああ、白井お前この事件について気づく事がなかったか?」

 

「気づく事なんて……まさか!」

どうやら白井も気づいたようだ。

 

「そう、奴の狙いは、ジャッジメントだ!爆破を受けているのもジャッジメントだけで一般の人にはあまり被害はない。」

 

「確かに、そう言えば納得いきますの」

 

「奴は多分、ジャッジメントに何らかの恨みを持っているのかもしれない」

 

「そうかもしれません……っ!」

 

「どうした?何かあったのか?」

 

「微弱ですが、重力子反応の加速の反応がありますの!玲さん今どちらにいますか?」

 

「えっセブンスミストですけど」

 

「何でよりによってそこにいますの!!」

 

 

(まさか!)

 

「そう、加速反応はその近くですの!!」

 

「何だって!!」

 

(おかしいだって俺は…)

 

「大丈夫なはずだが、俺は今非番だったから腕章をつけてないぜ」

 

「私は初春に電話を玲さんは、そのまま避難誘導をお願いしますの」

 

「分かりました」

 

(今日も休日出勤かよまじでふざけんなよ犯人逮捕したらぶん殴ってやる。)

 

まだ見ぬ犯人に玲は敵意を向けつつ重い腰を上げて避難誘導をしようとすると。

携帯から電話がかかってきた。

 

「玲さん!!初春がセブンスミストにいて」

慌てた様子で、白井が話している。どうやら相当初春が大事なようだ。

 

「落ち着け白井!!」

 

「っすいませんの少々動揺してましたの」

 

「で、用件は?」

 

「えっとさっきの連絡をしたら、初春が先急いで避難誘導を始めてしまって」

 

「分かった。俺が初春に伝えておくからお前はすぐにここに来て事件の解決を急げ」

 

「分かりましたの」

余程驚いたのか、新人の俺が指示だしをしているのに素直に従ったようだ。

 

走って初春を探すが見当たらない。

「どこにいんだよ」

内心焦って探していると後ろに子供を守ろうとする初春がいてその前に御坂がいた。

どうやら、あの前にあるへこんだぬいぐるみが爆弾らしい。

「うぉぉぉぉぉ」

叫びながら両手を通路につけ一気に凍らす。

 

(間に合え!!)

そして、御坂の前に誰かが走っていった。

俺は、そいつが誰かが分かった。

(上条か!!)

上条が御坂の前で右手をかざした。その瞬間バァァンという音が聞こえた。

 

 

 

 

幸い怪我人もなく建物に被害がなかったらしい。上条の右手でかざした瞬間と俺がぬいぐるみの周りを凍らした瞬間が見事に重なり被害はなかったらしい。

その後、虚空爆破事件《グラビトン事件》の犯人は逮捕されたと聞いた。

 

「お手柄でしたね?玲さん」

 

「ありがとうよ」

 

「にしてもやるときは、やるんですね玲さんは」

 

「俺だってやるときはやる男だぜ初春さん」

 

とりあえず事件が、解決して良かったと安堵した。

この時の玲は、これから起こる大きな事件の事をまだ知らずにいた。

 



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幻想御手Ⅲ

一人称視点になっています、文面がおかしいかもしれません。


虚空爆破事件が解決し、ひと段落した俺は、今日も朝から支部へと向かっていた。

思えば不思議なものだ。最初は嫌々入隊させられたジャッジメントだが、今は完全に遅刻もせずにしっかりと出勤している。いやはや、慣れとは恐ろしいものだ。

 

なにか忘れている気がする……そうだ、俺はジャッジメントの補充要員だったんだ。

そう思い携帯から電話をする

運良く電話したい相手は電話にすぐに出てくれた。

 

「おう、玲かなんか用じゃん」

 

「何か用じゃんじゃないっすよ。虚空爆破事件は解決したんだから。俺は、ジャッジメントを辞めていいですよね?」

 

 

「んー確かに辞めてもいいけど、あと少しだけやっといてくれじゃん」

 

「何でなんすか?」

 

「まだ、正式な要員の治療が終わってないじゃん」

 

「だから、あと少しの間やってくれと」

 

「そういうことじゃん」

 

「分かりましたよやります」

 

「聞き覚えのいい生徒を持って良かったじゃん、じゃ頑張ってくれじゃーん」

 

電話は切られた、あの独身女めあとで覚えてろよいつか仕返しを……駄目だやり返される未来しか見えてこないからやめておこう。

と支部へと足を進めようとした矢先に、電話が鳴った。

電話してきた相手を見ると白井と書かれていた。

 

「はい、こちら山野玲現在ジャッジメント支部へと向かっていますが。どうしましたか?」

一応怒られないようにジャッジメント支部へと向かっているという事を言っておく白井は怒らすと長く説教をされ面倒だからな。

 

「玲さん、実は虚空爆破事件の犯人が倒れましたの!」

 

「なっ何だってー」

 

「そのわざとらしい驚きはいいですの」

 

「で、そいつは今どうなっているんだ?」

 

「近くの病院に搬送されましたの。おそらく倒れた原因は…」

 

「幻想御手《レベルアッパー》か?」

 

「なぜ分かったんですの?」

 

「一応有名な都市伝説だしな」

あんなに能力が向上するとなると副作用凄まじいものだろうと考えていたし想定内のことだった。

「そうでしたのね。私は、レベルアッパーを調べに脳を研究している学者に話を聞いてみる予定ですの」

 

「そうか、で俺はどうすんだよ?」

 

「支部には、誰もいませんし、パトロールでもしていてください」

俺の扱いすげー雑だな、何か涙出てきたなしかしこれは、チャンスだな。

 

「分かったぞ、パトロール(自宅を)だなしっかりとやっておく」

 

「言っておきますが、自宅をパトロールなんて思わないでくださいな」

白井がはっきりとした声でこっちに言い放った。どうやら俺の考えは見透かされているようだ。

数日間だが仕事してきた仲で俺という人間を知り尽くしているのかもしれん。そんな白井に恐怖を感じていると。

 

「じゃあ真面目に!パトロールしてくださいな」

一方的に言われ電話を切られた、どうして俺の周りの人たちは一方的に電話を切るんのだろう。

(俺、かなり傷ついたぞ。でもまぁ一応真面目にパトロールしますか)

立ち上がりジャッジメントの腕章をつけ街中でトラブルがないかパトロールをしていると。

 

「あー玲さん」

後ろから聞き慣れた声の女の子の声がし振り返ってみるとそこには、制服姿の初春と佐天が歩いてこちらに向かってきた。

 

「おー佐天さんか、初春も一緒なんだなどうしたんだこんな所で?」

 

「いえ、今日は非番なので佐天さんと遊ぼうと思って」

 

「そうなんです!この前は虚空爆破事件で潰れたんで。で、玲さんもどうですか?」

 

「えっ俺、俺は……」

(さぁどうする女子中学生からの誘いだぞ、この際すげー行きたい)

思考が欲に向かって一直線になっているが白井からの命令を思い出し首を振って自分を正気に戻した。

 

 

「玲さんも、来てくれると嬉しいかなぁって」

 

(前言撤回行こうぜひ行こう)

 

「じゃあ行くか!パトロールも終わってほぼ暇だったし」

 

「そうですか、じゃあ行きましょうか」

初春が誘導をしてくれた。

 

「私、昨日すごいもの見つけちゃって」

 

「どんな、物なんだ?」

 

「聞きたいですか?」

 

ふっふっふっと言った感じで、俺のことを見ている。

 

「それがこのレベ…」

 

「あれーあそこにいる人って御坂さん達じゃないんですか?」

 

「あっ本当だ御坂さん達だ。私ちょっと見てきます。」

 

「佐天さんダメですよー」

 

「あれ、佐天さんすごいものって何か教えてくれんじゃなかったけ」

 

「あとで教えまーす」

と言って御坂がいる場所まで、走って行った。

 

「私達も、行きましょう玲さん」

 

「ああ、じゃあ行こうか」

 

そして、俺たちも後を追うように御坂のところまで行った。

 

「………」

 

「………」

うかつだった。御坂がいるなら白井もいると考えていなかった。

 

「何であなたがここにいますの?」

にっこりとしたままの笑顔で言ってきた。これは、一番怒っている時の白井の顔が目に入った。

この表情をした時は、始末書を10枚も書かされた。

 

(これは、言い訳をしなければ)

 

「いや、ほら女子中学生を守るのもジャッジメントの仕事ーみたいなものだろ」

 

「言い訳は、後で支部についてから聞きますの」

多分俺の人生は、今日で終わっただろう。バイバイ小萌先生お世話になりました。今まで、そこそこの人生でしたけど、まぁ楽しかったです。

 

「話を戻していいかな?」

 

「あっすいません。えーとあなたは?」

 

「脳の研究をしている木山春生だ。よろしく」

 

「よろしくお願いします」

佐天・初春・俺同時に挨拶をしたまま話を聞く。

 

「えーと何の件で脳科学者さんといるんですか?」

佐天が疑問に思ったのか白井に言っていた

 

「幻想御手の件ですの」

 

「幻想御手の件なんだが一度私も見てみたいないち科学者として」

 

「あっそれなら私」

 

「幻想御手の件について何ですが、使用した人が意識を失っていてどこで拾ったか分かりませんの、だから、幻想御手を使用した人または持っている人保護しなければなりませんの」

 

「っ!!」

 

「どうしたんだ佐天?」

佐天の奴どうしたんだ?急にビクついて。

そう思い佐天の顔を覗くと明らかにビクついている。

 

「いや、大丈夫ですよ。あはは」

 

「で、佐天さんさっきすごい物見つけたって何ですか?」

 

「いや、何でもないよ」

そう言って佐天はそっと手に持っていた物を引いたそれがコップに当たって木山先生にジュースが溢れてしまった。

 

「あっすいません」

 

「いや問題ないよ」

木山先生はそう言いながら服を脱ぎだした。

 

(まぁ濡れたら脱ぐよな……いやちょっと待て!)

 

「ちょ玲さんいい加減目を閉じてくださいまし」

 

「すいません!!」

慌ててメニュー表をとって目を遮る。

俺だって思春期男子なんだから見ちゃうよ仕方がないんだよ。……男子なら絶対誰でも見るよ

 

木山先生の話が終わり。

白井が支部に戻ると言う前に帰ろうと準備をしていると。

 

「どこへ、行きますの?」

 

「いや、ちょっと買い物へ」

 

「木山先生の為にデータを集めるので支部に行きますわよ」

 

「いや、俺にも用事が」

 

「行きますわよ!!」

 

「はい」

 

俺は、白井達について行く事になった。

結局佐天のすごいものとは何だったのだろう。

 



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幻想御手Ⅳ

やっぱり小説って難しい
今回かなり短いです。


木山先生との話が終わり。白井や御坂が幻想御手の調査に、動いている中、俺はというと

白井達への復讐のためのある道具を買っていた。

 

「ついに、買ってやったぜ超かんしゃく玉」

そう、普通の町のかんしゃく玉よりも科学が進歩している学園都市は、あらゆる物が進歩しているのだ。まぁ一番の疑問はかんしゃく玉が進歩しているという点なんだけどね。

 

「このかんしゃく玉を白井に会った瞬間に投げてしまえば、びっくりして腰を抜かすに決まってんぜ」

俺は白井の反応を想像しながら支部のドアを開けると初春が真剣そうな顔で何か調べていた。

 

「坂城玲ただいま出勤しました~って白井はどこに行ったんだ?」

 

 

「白井さんなら、今は幻想御手の調査でいませんよー」

初春がデスクに目を向けたまま話す。

 

「そうかで、初春さんは何してるんだ?」

 

「幻想御手の取り引き現場を白井さんが行って確かめ終わったものをチェックしてるんです。」

デスクを見ると幻想御手の取り引き現場という場所に何カ所もばつ印がうってあった。

どうやらばつ印はもう見終わったのだろう。

 

「でも、ここだけ何故か時間がかかっているんですよ、でも警備員に電話しても私じゃ説得できなくて」

 

「じゃあ俺が行くよ、白井が時間をかかっているって事は結構やばいところだと思うし」

初春の返事を聞く前に、外へ出てでる時急いでその現場へ走って向かって行った、あの白井が時間をかかっているということは相当やばいということなのだろう。

だったら急がなくては、俺は白井を驚かすための企みなど忘れて更にスピードを上げて現場へ向かった。

 

 

 

 

 

***

 

取り壊しビルの前に、立ったままの少女がいた。そう、佐天涙子だ。

彼女は、白井から待機指示をされて、待っていた。

私は無力なんだだから、いつも守られる立場にあるのかな。

今ごろ白井さんはあの男相手に戦ってくれてるでも、私はここで立ち尽くすだけで何も出来ていない。

もし、私が能力者だったら白井さんみたいに戦えたのかなぁ。

そう思っていると。遠くから声が聞こえた。

 

「くそ、あのジャッジメントがふざけやがって」

白井さんが倒した男達が立っていた。

うそでしょ!!驚き佐天は物陰に隠れた。どうしようその考えが頭の中を繰り返す。

 

「あのジャッジメント今どこだ、」

 

「先輩と一緒にビルの中に行ったんだろうな」

 

「んじゃあ行くか。」

 

そんな、会話が聞こえた。

止めなきゃと物陰から、出て行こうとするが、足が震えていて。力が入らない。

そう、怖いのだ男の能力者2人で女の子1人で無能力者どう足掻いても勝てる気がしない。

それでも、彼女は震えた足を動かして声を出した。

 

「やめなさい!!!」

前の2人が反応した。

 

「何だぁ?あぁさっきの無能力者」

 

「何、俺たちの相手でもするっての」

男2人は大笑いをした。

 

「あなた達は、恥ずかしくないんですか?」

彼女は、震えた声で言った。

「恥ずかしい?何がだよ」

ニヤニヤしながら男が聞いた。

「こんな事のために、能力を使って」

 

「こんな事のためにって何言ってんだよ能力なんて人がどう使おうと勝手じゃねえか」

 

「私は」

彼女は、はっきりと言った。

 

「私はこんな事に能力を使う能力者なんてだいっ嫌い!!」

 

「言ってくれんじゃねえか」

男達が振り向き走って襲ってきた。佐天は逃げる事もできなかった。

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ!!」

男達は佐天に近づくと持っていた鉄パイプを振り下ろした。

 

「ああ、私に能力があったらなぁ」

能力があったら自分は何か出来たのかもしれない。そんな思いになり恨み事のようにひと言そうつぶやいた。

 

その瞬間ゴキっという音を聞こえた。

自分は、痛くないでは、何が起こっているのだろうそう思いゆっくり瞼を開けた。

そこには、能力を使わず生身の腕で鉄パイプを防いでいる彼がそこにいた。

 

「よく、頑張ったな佐天」

 

「玲さん……何で…ここに」

涙を流しながら私は言った。今の自分の顔は、とてもじゃないが友達にも見せられないだろう。

だって目の前には、私を助けてくれた希望《ヒーロー》がいるのだから

 

 

 

 

 

***

 

俺が現場へ、駆けつけた時。

そこには、佐天涙子がいた。見ると明らかに男に迫られているのが分かった。

 

(何で、佐天がいるんだ。白井の手伝いにでも来たのか?)

 

そう思い急いで佐天に駆け寄ろうとした時だった。

 

「私は」

何か叫ぶように佐天が言った。

 

「私はこんな事に能力を使う能力者なんてだいっきらい!!!」

佐天が、そう叫んだ。

 

俺は全力を出して走っていた目の前の女の子を救いたくて。

男達が、何かを言っていたが玲には聞こえなかった。

 

ただ目の前の女の子を救いたかったのだから。彼女の目の前に駆けつけ腕で鉄パイプを受け止めた。

能力なんて、使っている暇なんてなかったからだ。

 

 

「よく、頑張ったな佐天」

腕の痛みを我慢しながら俺はそう言った、さぁ仕返しの始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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取引現場

 

 

玲が現場へ、駆けつけた時。

そこには、佐天涙子がいた。何で、佐天がいるんだ。白井の手伝いにでも来たのか?そう思い駆け足で佐天に駆け寄ろうとした時だった。

 

「私は」

何か叫ぶように佐天が言った。

 

「私はこんな事に能力を使う能力者なんてだいっきらい!!!」

佐天が、そう叫んだ。

まさか!俺は、すぐさま今の状況がわかった。佐天が今襲われている事が。

気づいていたら、俺は全力を出して走っていた目の前の女の子を救いたくて。

男達が、何かを言っていたが玲には聞こえなかった。

 

ただ目の前の女の子を救いたかったのだから。彼女の目の前に駆けつけ腕で鉄パイプを受け止めた。

能力なんて、使っている暇なんてなかったからだ。

 

「よく、頑張ったな佐天」

腕の痛さを我慢しながら俺は言った。

 

「玲さん…何で…ここに」

彼女が泣きながら言っていた。

だが、それをかき消すような声が聞こえた。

「その女を助けてヒーロー気取りかよ」

太い体型をした男がそう言ってもう一度鉄パイプを振り下ろした。

俺は、その鉄パイプを身体を横にずらして避け拳に力を込め男のみぞおちを殴った。

 

「がはっ!」

男は、息ができないのかそのまま身体をくの字にしてうずくまった。

そこに追撃するかのように脚をしならせ回し蹴りを放った。

放った回し蹴りは顔面を躊躇なく襲い男は倒れた。

 

「てめぇ、」

もう1人の細身の男が距離をとった。どうやら能力を使用しようとしているらしい。

数本の鉄パイプが宙を浮いている念動力《テレキネシス》のレベル3位だと予想ができた。

俺は、小さな玉をそいつめがけて投げた。

 

「くらいやがれ!」

鉄パイプが玲に飛んできた、だが玲は鉄パイプを無視して男に向かって一直線に走っていく。

 

「自殺行為かよ!バカが」

 

その瞬間パーンという爆音が鳴り、鉄パイプが落ちていった。

俺が投げた物は、かんしゃく玉だ、能力の演算にはそれなりの集中力が必要それならば、集中力を乱す事ができれば能力を一時的に止める事が可能だ。

「なんで能力がっ」

 

「うおおおおお!!」

俺は男の顔面めがけて腕を振り上げ殴りつけた。

男は倒れその鼻からは鼻血が出ていた。 

 

男達が倒れた後、俺は、佐天の元に駆け寄った。

 

「佐天、大丈夫だったか?」

 

「大丈夫です。安心して腰抜けちゃって」

 

「そっか」

どうやら怪我はしていないようだ。

 

「玲さんって本当に心配な時って呼び捨てなんですね」

 

「あっダメだったか?」

 

「いえ、これからも呼んでください」

 

「ああ、わかった」

白井は仕事仲間だし、割り切ってしまえば簡単だし、御坂はあっちがタメ口だから、喋れるのだがやはり、女の子とタメ口なのは照れるな。

 

「でも、なんで玲さんは能力を使わなかったんですか能力を使ったらすぐ済んだのに」

 

「佐天に示したくてさ」

 

「どういうことですか?」

 

「君は、俺の支えになってるって事を」

佐天が、顔を赤くしている。……ん俺今変な事を言ったな。

 

「えーと違うんだ言い方が変だったな、佐天は俺のきっかけだったんだ」

 

「きっかけ?」

 

「昔の俺は、助ける人と助けない人を分けていた。……みんなを分け隔ててなく助ける奴なんてあいつしかいないと思ってたから」

 

「あいつ?」

 

「ああ、えーと忘れてくれまぁ簡単に言うと昔の俺は相当なクズだったんだよでも、佐天は違った銀行強盗から人質を守っていた」

 

「でも、結局助けたのは……」

 

「違う!!俺は佐天と過ごしているうちにみんなを助けたいと思ったんだ、俺が変わったのは佐天のおかげなんだ!!だから、佐天は俺の支えであり憧れなんだよ」

そう、これがありのままの気持ちだった。俺は佐天涙子のおかげで変われたのだから。

 

「私には、そんな資格はないですよ」

佐天は目を背けてそういった。

 

「俺にとっては憧れなんだよだから、そう自分の事を卑下しないでくれよ、俺も悲しくなるから」

 

「ひどいなぁ玲さんそんなこと…言っちゃたら自分の事卑下するなんて出来ませんよ」

その時、涙を流しながら彼女は笑った。

「そっか、じゃあ安心だな、ってことで俺はもう行くな」

 

「待ってください!…もう少しここに…」

佐天が俺の手を掴んで、涙目になってお願いをされた。

………かわいすぎるこのまま居たいと一瞬思ったが白井の事を助けなければ。

 

「ごめんな、白井を助けに行かなければ」

 

「あっそうですよね、すいません」

どうやら、この子白井の事を忘れていたようだ。

 

「じゃあ俺は、行くから」

 

「頑張ってください!」

 

「ああ、任せておけ」

 

そうして、俺はビルの中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

佐天との、話を終えて俺は廃ビルの中に入った。ビルは簡単なコンクリートとガラスで、建てられていていかにも、取り壊し一歩手前のような構造になっていた。

階段を急いで上りながら周囲を見回すと血の跡がない、多分テレポートで移動しているのだろうと予想をしながら白井の姿を急いで探す。

そして、階段を上り終えると2人の男女がそこにいた。

 

男の方は、長身でタンクトップを着ており、ナイフ向けながら女性に歩みよっていた。

 

女の方は、横腹を抑え、しゃがんでいた。特徴は常盤台の制服をしてジャッジメントの腕章を身に付けている。

俺は、彼女を知っている。いつも、凛々しく俺より、年下なのに先輩面をしている彼女を、

 

「白井ぃぃぃぃ!!」

叫ぶと、気づいたのか2人が振り向いた。どうやら、俺の登場に驚いているらしい。

男の方は新しい獲物を見つけたような表情をしナイフをこちらに向けた。

 

「なんだよ、お前もジャッジメントか?」

 

「玲さん…なんで…ここに」

白井は傷が痛いのを我慢しながらそう言った。

 

「お前が白井を傷つけたのか?」

自分頭に血が上っているのが分かる。今俺はどんな顔をしているのだろう。

 

「当たり前だろ、見りゃあ分かるだろうが、だったらどうすんだ?」

男は、挑発混じり両手を広げて俺に向けてそう言いはなった。

 

「だったら、ぶっ飛ばしてやるよ」

俺は、あえて挑発に乗ったそれは、白井を傷つけた男をボコボコにしてやるために拳に力を込めた。

 

「そうかよっ!」

男は、走ってこっちへ向かってきた。

俺は、迎え討とうと構えるが変な違和感を覚えた。

俺は、男の存在にも目をくれず自分のいる位置から右を左手に力を込め殴った。

 本来なら何も感じないはずの左手から何かが当たる感触がした。

「グハッ」

そうすると、さっきいた男の姿は消えて、今殴られて倒れている男だけが残った。

 

(やっぱりな) 

男は、よろめきながら立ち上がった。

「てめぇ、何で俺の位置が分かった!」

男はすぐに立ち上がり俺の方を見てそう焦る様子で言った。

どうやら自分の能力が破れて相当動揺しているらしい。

 

「何で、お前に教える必要があるんだよ、って言うかお前の能力ってのは、だまし討ちかよだっせぇ能力だな」

 

 

「なっ何だと!!」

男は、頭にきたのかそのまま俺に一直線でナイフを向けながら俺の方に走ってきた。

 

「バレバレだよばかっ!」

今度は、横に振ったナイフをそのまま後ろに避けて、右手で腹を正確に捉え殴る。

 

「グッ!」

どうやら堪えたようだ。だが、相当なダメージか足が震えていた。

「ふざけやがって!!」

とうとう我を失った男は、全力でナイフを振り下ろした。

そこから、冷静に身体を後ろに動かしナイフを避け、右手を男の顎めがけて振り上げた。

お手本のようなアッパーを放ち男の身体は浮き上がり床に落ちた。

 

「顎を打った事で、脳震とうを起こさせたしばらくは、立ち上がれないだろうよ」

 

そして、俺は怪我をしている白井に駆け寄った。

 

「白井、お前大丈夫か?」

 

「見て分かりませんの?」

白井は、呆れて言った。

見てみると、脇腹と頭を打たれたようだった。

 

「でも、何で奴の居場所が分かったんですの?」

白井は、首を傾げて俺に、聞いた。

「ああ、それは俺の熱感知が働いたおかげだ、最初に襲ってきた時、熱感知が働いてあいつを見たら何もいなくて、横を向いたらあいつらしい奴が歩いているのを見たから殴ったらビンゴってわけだ」

 

「そうでしたの」

 

「それよりも、白井大丈夫か?」

俺が、心配そうに聞くと。

 

「大丈夫ですの、何のこれしき」

と立ち上がった白井その瞬間

 

「っ」

声にならない悲鳴を上げていた。

 

「本当に大丈夫か?」

と手を貸そうとした瞬間。

 

「てめぇら!」

振り向くとさっきの男が立っていた。

あれを喰らって立ち上がるなんて、伊達にスキルアウトのリーダーをやっていないなと感心しているその時だった。

 

「玲さんあれ…!

白井の小さい声が聞こえたそいつの手を見ると拳銃を持っていた。

多分、一度俺に倒された後、起き上がり我を失って俺に銃を構えたのだろう。

 

「死ねぇ!!」

その言葉と共に弾が俺に向けて放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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取引現場2

拳銃を構えている男を見て。

わたくしは、玲さんが死んでしまうと思った。それでも私は、動けなかった。

いや、動かなかったのだ。目の前で、死んでしまうかもしれない人を前に私は動けなかった。

自分は助かりたい!そんな考えが一瞬頭の中をよぎってしまった。

 

 

「死ねぇ!!」

しまった!私の、意識が再び拳銃に戻る弾が発射されている。

私は動けなかった自分を呪った。

だが、その時玲さんの目は、諦めていなかった。

玲さんは自分の前に両手を出し弾丸を凍らした。

玲さんのあんなに怒っている表情を初めて見た。

まるで、人が変わったように怒っていた。

 

「てめぇ、いい加減にしやがれ」

玲さんは、男の元に足音を大きくしながら向かった。

男は、玲さんの表情を見て怯えていた。

 

「ふざけんなよ!」

玲さんが男の胸倉を左手で掴み、右手で男を殴りつけた。

 

「てめぇ、人の命を奪うってことがどれほど、悲しいことか分かってんのか!!!」

玲さんが叫んでいた。まるで、過去に人を殺した事があるような口調でそう言っていた。

再び玲さんは、倒れた相手を立たせてもう一度殴ろうとしていた。

止めなければ!!そう思い私は、叫んだ。

 

「やめてください!!」

ハッとしたように、玲さんが、気づいた。

倒れている男は、顔を腫らしていて涙を流していた。

 

「これ以上やると暴行罪になってしまいますの」

 

「悪かったな、白井」

玲さんは、男から手を離した。

その後は、警備員に連絡し幻想御手を後で回収するためビルの中で一度男を拘束した。

一連の行動を終えたのだった。

終えて俺は、汗を拭ってこう言った。

 

「ふーさっきは、危なかったな」

 

「危なかったなじゃないですの!!」

 

「でも、助かったし無事幻想御手だって回収する予定だからいいじゃねえか」

 

「よくありませんの!さっきだって当たってたらどうなっていたか」

 

「ああはいはい、悪かったよ、でも本当にありがとうな白井」

 

「何がですの?」

 

「止めてくれて。多分俺お前が止めてくれなかったら気絶させるまで、殴ってたと思う」

 

「……あの時の玲さんはとても怖かったですの」

 

「ごめんな」

しんみりとした空気になってしまった。この空気が嫌なのでとりあえず外に出ようと思い。

白井の怪我の具合を見た。うーんやはりダメージが大きいな。

ここは、やっぱり……

 

「白井悪いな」

 

「へっ何ですのってきゃあ!」

俺は、一度謝り白井をお姫様だっこした。一度も女の子をお姫様だっこした事が無くて、意外に重かったどうしようと思ったが、やはり女の子の体のようで細くて軽かった。

 

「ちょ、玲さん何してるんですの!」

白井は急にお姫様だっこをされて焦っているようだ。

俺だって焦っているよ。この状況、お姫様だっこなんてするのは、あいつの役目だろうに、と今この場にいないツンツン頭を思い浮かべる。

「何って怪我しているから運ぼうとしているのだが」

平静を装って声を出す。俺だって動揺してんだよ!

 

「その事じゃありませんの!!何で、お姫様だっこ何ですの!?」

 

「いやその事については理由があるから」

 

 

「理由って言い訳がましいですの」

ジト目で、俺を見てくる白井、それには、ちゃんと理由があるから!!お願いだからそんな目で見ないで!

 

「多分もう少しで分かるよ」

 

「もう少しで分かるって…っ!!」

どうやら感じてきたらしい。白井が、驚いている様子で俺の顔を見る。

 

「気づいたな。そう、お前の傷を冷やしてるんだよ。俺の能力で、俺の能力はこの両手でしか、使えないからこうやってお姫様だっこするしかなかったんだ」

 

「そうでしたの。えーとさっきは疑ってすいませんですの」

 

「別に、いいよ女の子がお姫様だっこなんてされるのは、好きな人にされた方がいいみたいだし」

 

「確かに、お姉様にお姫様だっこなんてされたら。幸せすぎですの」

 

「お前は、そうだったな」

笑いながら、階段を下りていく。そうだったこいつは例外だった。

こいつは、御坂が大好きな百合だった。

「でもまぁ、殿方にお姫様だっこも意外に悪くありませんわね」

 

「ん?何か言った?」

 

「何でも、ありませんの!」

 

そう答えた白井の顔は少し赤くなっている気がした。

 

「玲さんは何故?能力を使わないんですの?」

 

 

「ああ、実は、俺この能力が嫌いでさ昔この能力で、誰かを傷つけた事があってさそれ以来、この能力が嫌いになってあまり使わなかったんだ」

 

「そうでしたの、でも今のあなたは違いますの」

 

「へっ?」

 

「今だって助けていますのあなたの嫌いな能力で」

 

「それは……緊急時だから」

 

「違いますの。あなたは、……玲さんは優しい方ですの。だから、その力を恐れていますの。

誰かを傷つけないように、だから、その力役立ててください。あなたの力はみんなを助ける事もできるんですから」

 

「……ありがとな、白井」

 

「別に、いいですの」

そう言って白井黒子は少しはにかむように俺に笑って見せた。

俺は、その顔を見て気が張っていても普通の少女なのだと感じられた。

 

 

 

 

外に出てすぐ佐天が俺たちのところへきた。最初こそからかわれたが状況を理解すると怪我をしている白井を

心配そうに気遣ってくれた。その後、佐天が幻想御手を渡してきた。

 

「いいのか?」

 

「今の私には、必要ないものです。確かに能力が使えなかったのは、惜しいですけど、私はそれよりも大切なものを見つけたんで」

 

「大切なもの?」

 

「友達ですよ。友達は能力なんかじゃ変えられないものですから。確かに、御坂さんや白井さん・玲さんには、嫉妬とかはしてました。でも、玲さんが私に自分の事を卑下するなって言ったじゃないですか。

だから、私は自分に自信を持ってみんなに向き合っていこうって思ったんです」

 

「そうだな」

本当に白井も佐天も本当に立派な奴だ。だから、、俺は変われたのかも知れない。

多分俺は、佐天達に会わなかった。人を選んで助ける人生を送ってたのかも、そう考えると、俺は、佐天達に出会えて本当に良かったと思った。

 

 

その後、警備員が来て幻想御手を渡してもらい。支部へ帰ってきた。

俺は、一度病院に行き。白井の傷を治すため薬を貰い支部へ帰ってきた。

 

「白井ー薬を貰ってきたぞ」

俺は、ドアを開けると白井がいた。だがいつもの彼女とは格好が違った。彼女は上の服を脱いでおり包帯を巻いてるいかにも治療行為の最中だということが分かる。だが、この状況を見かけてしまった俺は頭が真っ白になっていた。

 

「白井さん今はひとまず落ち着こう」

落ち着かせようと両手を前にだし抑えて抑えてのようなジェスチャーをするが白井の顔は赤くなるばかりで効果がないそして、白井は口を大きく開け叫んだ。

 

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ」

白井が何かテレポートさせたとたん俺の頭に重い衝撃がきた。それは、あまりにも重くて俺はそのまま倒れた。薄れいく意識の中何が当たったか見るとダンベルだった。

固法先輩が体を鍛えるため毎日持ってきているものだ。

それが高い場所から落ちてきたのだ。そりゃあ意識失うはずだ。

 

「何で、シリアスな場面が一転してラブコメ的展開になるなんておかしいだろ」

その言葉を最後に俺の意識は途絶えた。

 



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木山春生

幻想御手を調べて数日後。

玲は久しぶりのパトロールをしていた。みんなが、幻想御手を調べている中、申し訳ない気がしたが。

今は、自分がやるべき事をやろうと思い。パトロールしていると、電話がかかってきた。

電話番号を見ると、それは、警備員である黄泉川からだった。

正直面倒くさいし嫌な予感しかしなかった。

 

「はいはーいこちら、玲ですが、先生から電話なんてめずらしいですね、何かあったんですか?」

 

「めずらしいか……確かに、私からかけるなんてめずらしいじゃん」

 

「で、何の用っすか?別に、メールでも、良かったんじゃないっすか?」」

 

「ちょっと伝えたい事があって電話したんじゃん」

 

「伝えたい事?」

黄泉川から、伝えたい事なんてはっきり言って嫌な予感しかしなかった。

昔、電話された時は、ちょっとこっちに来るじゃーんと言われ、行ってみたら、黄泉川は酔っていて3時間も愚痴を聞かされたのだ。それから、俺は黄泉川から電話がかかってくるといつも覚悟して電話を出るのだ。

 

「山野玲!!」

 

「はっはい!」

突然大声で呼ばれ、電話越しなのに背すじを伸ばしてしまった。

 

「これにて、ジャッジメントの補充要員としての任務を終了するじゃん!」

 

「えっああ、はい」

 

「じゃあ、私から支部のみんなへ、連絡しとくから玲は、もう家に帰るなり自由に過ごすじゃんよー」

 

電話が切れた。玲は、突然の解任通知に戸惑っていた。しばらくたちすくんでいたが、自分で切り替えて今後の予定を考えていた。

(これから、どうするかな。あれ、俺ってジャッジメントをやる前何してたっけ。)

真剣にジャッジメントをやる前の事を思い出す。

 

(そうだ、あの、ラノベの新巻買ってなかったな。)

そう思い出し、本屋へと向かっている途中ふと、ケーキ屋が目に入った。確かあれは初春が欲しがっていた幻のショートケーキだった。しかもちょうど切りがよく残り1個しか売っていなかった。もちろん玲には買う気がなかったのだが、先日初春からクッキーを貰っていた事を思い出し借りを返す為にケーキ屋に入りケーキを買った。

ショートケーキの箱を受け取り彼女がよろこぶ姿を想像しながら支部へ向かう途中黄泉川との電話を思い出した。

(俺は、もう解任されてんだった!)

玲は自分の社畜っぷりにショックを受けていると、前から声が聞こえた。

 

「あー玲さん」

前を見ると、見覚えのある黒髪の少女が手を振って俺の事を呼んでいた。佐天さんだ、格好を見ると私服でどうやらこの後遊びに行こうとしているのが分かる。

 

 

「どうしたんですか?こんな所で、ってあっ!これ初春が欲しがってたケーキじゃないですか、もしかして、初春にプレゼントですか?」

 

「ああ、プレゼントしようと思ったんだけど、ちょっと色々あってな」

 

玲は彼女のマシンガントークにも、難なく対処できているのには理由がある。

この夏休みの間に玲は、女性ばかりのジャッジメントの支部で仕事をこなしており女性への耐性がかなりついた最初は初春にもキョドッていた自分が今では、こんなに普通に会話している事に成長を感じた。

 

「それは、興味深いですねぇ」

 

「実はさ、俺ジャッジメントの補充要員を解任されてさ、ちょっと白井達に会いにくくなちゃって」

 

「へぇ〜そんなことが、でも、別に会えばいいじゃないですか」

 

「いや、ジャッジメントを辞めた訳だし、支部に行くのは申し訳ないだろ?」

 

「そんな事言ったら私なんて、ジャッジメントでも、ないですよ!」

 

「もしかして玲さんは、私達の関係は仕事だけだったんですか!?」

 

「そんなことない!!」

俺は、はっきりと否定した。この夏休みの間俺はみんなと過ごした日々が本当に楽しかったからだ。

 

「だったらいいじゃないですか」

 

「へっ?」

 

「ジャッジメントなんか関係無しに会いに行けば、いいじゃないですか。みんなもそう思ってますよ。みんな玲さんの事が好きですし…あっへんな意味じゃ無いですよ!友達としてですからね!!」

 

「そこまで言われると傷つくんだが」

 

「まぁいいじゃ無いですか」

笑いながらそう言ってくれた彼女の表情は明るかった。

そんな彼女の答えを聞き自分がこんな小さい事に悩んでいたのかと少し恥ずかしくなる。

 

「とっとにかく初春に会いに行きましょう!初春は、今木山先生のところにいるらしいし」

 

「木山先生って事は、幻想御手か?」

 

「多分そうだと思います」

 

「じゃあ差し入れついでに行くか」

 

「はいっ」

 

俺たちは、ケーキ屋に戻りショートケーキ以外にもケーキを買った。ケーキ代は全て自分持ちだったがたまには人に奢るのも悪くはない。

信号待ちの時、窓をぼーっと見ていると一台の青いスポーツカーが目に入った。

普通の乗用車ばかりだったので、あれは目立つなぁと考えていると、信号が変わりバスが進む。

 

 

この時、気づいてしまった。その青いスポーツカーに木山春生が乗っていたことを。

助手席に初春を拘束して運転しているところを。

その光景を見てしまい、俺は、硬直してしまった。

何故、木山が初春を拘束しているんだ?

木山は、どこに向かっているんだ?

木山とは、何者何だ?

様々な考えが一瞬で頭の中で巡る。俺は考えがまとまらないでいた。

 

「れ…さん…玲さん!!」

 

「どうしたんだ」

 

「どうしたんだじゃありませんよ、急にぼーっとしてたんで何か、考え事でも、してたんですか?」

どうやら佐天が俺のことを呼んでいたらしい、佐天はあのスポーツカーを見ていなかったようで玲の顔を心配そうに覗き込んでいると、バスがゆっくりと速度を落としていることが分かった。どうやらバスが止まるようだ。この次が木山の研究室に一番近いが今は、とにかくやるべき事がある。

 

「佐天、ジャッジメントと警備員に連絡をしてくれ」

 

「何かあったんですか?」

 

「初春が木山に攫われた」

佐天の顔がみるみるうちに青くなっていった。仕方ないだろう親友が攫われていると分かれば慌てるのも仕方ない。

 

「嘘…それって本当なんですか!?」

 

「ああ、だから俺は、今から木山を追うから連絡を」

 

「いやです!!」

それは、はっきりとした拒否だった。

 

「もう、何も出来ないのは嫌なんです」

弱々しい口調で佐天が言っている。

 

「話は終わってないだろ、佐天の仕事は何だ?…初春を助けることじゃないだろ」

 

「でもっ!」

 

「帰ってきた。初春を暖かく迎えることだろ初春の親友は、佐天しか居ないんだからさ」

そこで、佐天の顔つきが変わった。どうやら、わかってくれたようだ。

 

「そうでしたね。親友である私が初春を迎えなきゃいけなかったな…玲さん。ごめんなさい」

 

「いやもういいんだ。だから、連絡を頼むな」

 

「わっかりました。だから、玲さん!初春のこと」

 

「分かってる!!」

最後まで、聞く前に玲は、すぐにバスから出た。

多分ここから、全力疾走したところで、木山に追いつくわけがない。自分は全力で走りながらも冷静に思考をまとめていく。

(確かここの付近には…)

このバス停の近くには、あの男がいる。俺は、走ってがいるあの男のいる場所に着いた。

その場所は、この辺りの研究所などの化学施設が多い学区には似合わない赤色の屋根で木製の家で建てられたパン屋だった。玲は、急いでドアを開けパン屋に入り周りを見渡しあの男を探す。

 

(いたっ!)

その男はパン屋で働くにはいささか不似合いな青い髪と耳にはピアスを付けており鼻歌を歌いながらパンを並べている。この男の名前は通称青髪ピアス略して青ピ、学校のクラスメイトで全員が未だに本名も知らないという変人だ。

 

 

「何や玲くんやないのー」

 

青ピは俺に気づいたようで、のんびりとした口調のエセ関西弁で喋りかけてきた。

急に押しかけた自分が悪いのだがこの男の態度に少しムカついた。

 

「ちょっと来い!!」

 

「何で、僕バイト中なんやけど」

 

「女の子の為でもか?」

 

 

「話、聞いてええか?」

 

「とにかく今は、バイクに乗せてくれ!!」

 

「分かった。いいでぇ」

そう言って青ピは、バイトをばっくれた。女の子の為ならこいつは、何処にでも行くだろう。

バイクに乗ってスポーツカーが通った道路を走っている中、聞いてきた。

 

「で、何で女の子を助けることにこれが繋がるん?」

 

「女の子が攫われてたんだ、だから助けるためにな」

 

「ふーんで、今走ってるんだけど何処に行きゃあいいの?」

 

「ちょっと待っててくれ」

バイクに乗りながら、電話をかける。器用なものだ。

 

「白井か?」

 

「わたくしですわ、玲さん!」

 

「事情はわかっているな?」

 

「ええ、少し困惑してますが…」

 

「初春が何処に行ったか分かるか?」

 

「多分、初春は木山に連れられて高速道路に向かっていますの」

 

「そうか、ありがとう」

 

そう言って電話を切った。

 

「青ピ、高速道路だ!!」

 

「わかったでー」

俺たちは、バイクを加速させ高速道路に向かっていった。

高速道路入りを走り続けていると。

「警備員だ!止まれ!!」

前から、警備員達に止められた。理由は容易に想像出来た、木山春生が警備員達と交戦をしているのだろう。

だったらこんなところで、警備員達に止められるわけにわいかない。なんとしても初春を取り戻さなければいけない。

「青ピお前に、頼みたい事があるのだが」

 

「何や、まさか警備員を止めろとか、言わへんよな」

 

「そのまさかだ」

 

「ええ、無茶言うなや!玲くん」

青ピなら、警備員を少しの間止められるだろう。と思い頼んでみたが、さすがに青ピも捕まるのが嫌なようで完全な拒否をしてきた。

「安心しろ、お前が捕まっても俺が、ちゃんと言って釈放してやるから」

 

「そんなこと言っても…」

渋っている青ピに俺は、絶対あいつがやる気になるためのはっぱをかけてやった。

 

「お前が捕まったら、事情聴取で、黄泉川先生を用意しとっから」

そう言った青ピは俺と黄泉川先生が仲がいいのを知っている。そんな俺から、こんな提案をすれば、乗ってくるだろう。

 

「それ、本当に用意してくれんやな」

 

「ああ、」

 

「分かった」

そう言って青ピは、警備員達に掴みかかった。突然掴みかかってきた青ピに対して警備員達は、

何だ、こいつは!離れなさい!など注意をして青ピを引き剥がそうとしているようだ。

その隙に、俺は、走った。後ろから、待ちなさい!という制止の声が聞こえたが木山のところに走って行った。

 

木山のところに着くと、そこには、木山と交戦しただろうと思われる。跡がしっかりと残っていた。

倒れているトラックや壊れている警備用ロボット・怪我をしていて意識を失っている警備員が数名そして、その先には、元凶とされる木山春生がいた。

 



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木山春生2

基本一人称視点にしました。


「お前、何してんだよ」

そう俺が、言うと木山はゆっくりと振り返った。姿を見るに服装は白衣のままだが、少し汚れていた。

顔は、傷の一つもなく綺麗な顔のままだった。どうやら戦闘では全くダメージを与えられなかったのが分かると思う

 

「ああ、ジャッジメントの君か」

 

「お前は、初春に何してんだよって聞いてんだよ!!」

 

「別に、何もしてないさ」

 

「じゃあ何で、気を失ってんだよ!!」

 

「多分能力を使った戦闘の余波だろう」

 

「そうかよ」

 

「そこを通してくれるとありがたいのだが?」

 

「嫌だね」

 

「そうか残念だよ」

 

そう木山が言った次の瞬間、木山の後ろにある壊れている警備用ロボットが俺に向けて飛んできた。

それは速度を上げて向かってくるが、俺は両手を前に出し、即席の氷の盾を作成してそれを相殺する。その際多少の衝撃はきたが痛みなどはなく自分の盾が上手くいったことに安心していると木山の顔が少し興味を持ったような顔が見えた。

 

「珍しい能力だな、なら、これならどうだ」

 

木山の左手から赤色の剣のようなものを俺に向けて振った。俺は先程と同じように盾を作成した。しかしそれは長さを変えて俺の盾に達した、盾が徐々に穴があいていき床に水たまりができた。木山が盾を溶かしたのだという事が自分でも分かった。

 

「死にはしないから安心してくれ」

そう言いながら木山は俺に向けて手を横に振った。その瞬間に空気が揺れ始め道路上のアスファルトが破壊しながらこっちに向かってきた。俺はそれを衝撃波だと認識し身体を曲げ前転のような形で転がり衝撃波を避ける。

 

「喰らいやがれ!」

避け終わった俺は、右手に意識を集中し氷の槍を作りそれを木山の足元を狙い投げつけた。

槍は全速力で向かって行ったが。木山の顔は余裕がある。

槍が木山に当たったその瞬間氷の槍は破壊された。木山の周りにバリアの様なものができたのだ。

 

(あいつは何の能力を持ってんだよ!)

 

「氷を生成し自分の好きな形に造形するそれが君の能力かとても、興味深いな」

 

「勝手に考えてろよ!」

木山はどうやら俺の能力に興味持っている事が分かる。

やはりそういう部分では研究者などだなと思ったが、すぐに俺は戦闘に頭を切り替え両手に集中させて氷の槍を二本作り投げつける。

 

「無駄だ、私には通じない……ん?」

 

木山はもう一度バリアを作り槍を防ぐが、防いだあとに異変に気づく、自分の周りが煙の様なものに囲まれている事に気付いた。

その煙は攻撃性がある毒ガスなどではないことを木山は冷静に判断し考察し結論へとたどり着き笑みを浮かべこう言った。

 

「煙……いや湯気を作ったのか、どうやって作ったか、聞きたいな」

 

そう俺は右手で大量の水を作りながら左手で高熱を発生させて水を蒸発させ水蒸気から湯気を作ったのだ。

我ながらよく調整できてうまくいったなと自分を褒めたくなる。

この隙に、回り込んだ攻撃をとしようと歩こうとしたその時だった。

 

「でも、無駄だよ」

木山がそう言って湯気の方に手をかざすと、強風が起こり湯気をかき消した。

俺は、それをみてすかさずトラックの後ろに隠れる。

 

(あいつ!なんでもありかよ!!)

 

「見えているよ玲くん」

途端に背もたれしていた部分から熱を感じた。その瞬間俺はそこから背中を離したするとその部分が丸く抜き出されその先には木山が俺の姿を覗いていた。

 

(なんでバレた!?)

そう考えていると一つの結論に至った。だが、正直言って有り得ないが仮説を俺は木山に向けて言い放った。

 

「多重能力《デュアルスキル》だと…!」

 

念動力に風力操作・そこに透視能力なんてこれしか考えられないだが有り得ないのだ。

だが、こいつは使っている。

 

 

 

「今の私は、多才能力《マルチスキル》というものを持っていてね今や、能力をたくさん使えるんだ」

 

「そのために、幻想御手を使ったって感じか?」

 

「詳しく言えば幻想御手の脳波を使って幻想御手使用者の能力を使えるようになったと言えばいいかな」

 

「へぇーそれは、興味深いなっ」

俺は、右手で作り出した水流を木山に放った水流は加速しながら木山に向かっていく。

 

「熱と氷を合わせて水を作り出したのか、そしてそれを高速で放出とは、すごいなでも、私には効かないよ」

そう言って、手をかざして水流を蒸発させた。おそらく発火能力《パイロキネシス》などの系統の能力を使って防いだのだろう。

 

「通じないのは、分かってんだよ!」

左手で作っておいた水流を自分の後ろに放つ。そうする事で、俺は高速で木山に近づいた。

木山は、目を開けて驚いている俺は、空中で足を回して木山の腹めがけて放った。

 

「うおおおおお!」

 

 

「残念だったね」

 

だが、俺の蹴りは空を切り木山の姿は消えた俺は着地すると同時に自分の後ろに何かがいるのが分かった。

この場合いるとしたら木山以外いないそう考え振り返ようとした瞬間に横腹に衝撃を受けた身体は吹っ飛びコンクリートの壁に投げ出された。木山が拳を横に軽くふり俺の横腹を襲ったのだ。

 

「空間移動《テレポート》に身体強化能力か…つくづくチートだな」

 

「正解だよ、でもあれを喰らって喋れるなんてすごいな」

 

「ゴリラみたいな女に男は強くなきゃいけないじゃんって言われてる鍛えられたからな」

 

「へぇそれはすごいなでもこれで終わりだ」

木山が白衣の中からアルミ缶を取り出した。

 

(まさかっ!)

 

「量子変速《シンクロトロン》か……!」

 

「正解だ」

そう言って木山は俺に向けてアルミ缶を投げた。それは膨らみながら俺の元に向かっていくこの距離では凍らせることもできない。

もはやここまでか、そう思った時だった。

俺と木山の間に電撃の槍が投げられアルミ缶が消失する。

 

「あんた、ここで何してんのよ!!」

そこには…あいつが立っていた。

 

 

 

「それは、こっちのセリフだよ御坂」

 

常盤台のエースでありレベル5第3位の電撃姫がそこに立っていた。

 

 

 



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