ハイスクールD×D 赤龍帝を宿し転生者 (ヒロアキ141)
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第1話 転生は(二次創作では)わりかしあり得る事

気がつくと辺り一面白い世界にいた

 

「知らない天井だ………って此処どこ?」

 

「此処は現世と冥界の狭間……お主の世界で言うところの所謂三途の川じゃ」

いきなり白い顎髭を生やしてアロハシャツ着たファンキーな爺さんがこちらに話し掛けてきた

 

って………あの世ぉぉぉぉ?

 

って事は………この人もしかして……

 

「あのぉ…一つ質問していいですか?」

 

「良いぞ」

 

「アンタ…いや貴男は神様と呼ばれている方ですか?」

 

「ほっほっ、良く判ったのぅ、そうじゃ、ワシが神じゃ」

 

案の定目の前にいる爺さんは神様でした

 

「僕の名前は覇河王駑です」

 

「よろしくの………ってお主、案外驚いてはおらんようじゃの」

 

「いや、結構驚いてますよ、顔には出てないだけで」

 

いきなり此処は三途の川ですなんて言われて驚かない人なんていないと思うんだよね

 

あ、一つ聞きたい事があったんだった

 

「ところで神様、僕は天国に行くんですか?それとも地獄ですか?」

 

「いや……それなんじゃが……」

 

と口ごもる神様

 

この展開はまさか……

 

「スマヌ!本当にスマヌ!」

 

神様がいきなり土下座して来た

 

「実は天界で生じたシステムトラブルの影響で寿命をカウントしているカウンターに誤作動が起こっての、急ピッチで復旧はしたんじゃが、お主だけは間に合わなかったんじゃ、本当にスマナイ」

 

本当にすまなそうな表情をしている神様

 

若干涙目になってた

「気にしないで下さい、誰だって失敗しますよ、だから僕は貴方を許します」

 

「お主は本当に良い奴じゃな、よし、決めた、お主今からお主がいた世界以外の世界に転生させるぞ、ちなみに異論は認めんからの」

 

「転生……ってよく二次創作でよく有る例の?」

 

此処迄来ると最早テンプレ乙としか言い様が無いよ本当に

 

「そうじゃ、その認識で大丈夫じゃ、転生先なんじゃが、此処にあるカードに書かれた先がお主の転生先になる、容姿や性格はこちらで決めるから安心してほしい」

 

最近の転生って完全ランダムに変わったんだね

 

お兄さんビックリだ

 

「これも最近出来たシステムでの、これのおかげでワシらの負担も大分軽くなったんじゃ」

 

神様の世界でも大分合理化されているんだね

 

「ではこれで」

「では、確認するぞ……ほぅ……成程のぅ……お主の転生先が決まったぞ」

 

「何処ですか?」

 

「ハイスクールD×Dの世界じゃ」

 

ハイスクールD×D……と言えばあの「おっぱいドラゴン」の異名を持つ兵藤一誠が主人公の作品ですよね?

 

生前ハマってたなぁ………

 

「何やら生前の記憶に浸って居るところ申し訳ないが此処で良いかの?今ならまだ変更は効くが?」

 

「あっ、スイマセン、其処で大丈夫です」

 

「では、転生先に送るぞい」

 

そう言うと目の前に虹色に輝く大きな扉が現れ、音もなく開いた

 

「最後に一言言わせてくれ、お主の新たな人生に祝福があらん事を」

 

「今迄有り難うございました神様、では行って来ます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 神様

 

「無事に行ったようじゃの」

 

ワシらの所為で自分がいた世界に居られなくなってしまったと言うのに…

 

なんとか消失前に肉体ごと天界に召喚出来たのは不幸中の幸いじゃったのは本当に奇跡と始か言い様が無かったの

 

覇河王駑……今思えば不思議な奴じゃった

 

何と言うのか……王者の風格とでも言うものなんじゃろうか?

 

そんな力を感じたんじゃ

 

「先ずはあやつの転生特典を早く決めないとのぅ」

 

ワシはそうつぶやくと、足早に自分の執務室へと向かって行った

 

Side神様Out

 



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キャラクター紹介

生が進み次第更新予定です
追記
誤字が確認されたので修正


覇河王駑(はがわおうど)

駒王学園2年

 

外見イメージ

フェイトゼロのアーチャー事ギルガメッシュの黒髪バージョン

 

イメージ声優

三木眞一郎

 

天界で起きた寿命カウンターのトラブルで存在自体が末梢される寸前の所を肉体ごと天界に召喚され神様の謝罪を受け入れ尚且つ神様に気に入られた結果ハイスクールD×Dの世界に転生する事になった

 

駒王学園二大イケメンの片割れ(もう片方は言うまでもなく木場祐斗)

大多数の女子曰く

「何事にも動じないクールなところがカッコいい」

「ミステリアスな雰囲気に惹かれる」

等々

 

性格

クールな二枚目イケメン

クールな外見の所為でとっつきにくいイメージだが、以外と仲間思いで優しい、だが恋愛に不器用な上メガトン級の鈍感

趣味はお菓子の買い食いと甘味処巡り

特に甘味処巡りは駒王学園周辺は完全に制覇している

最近の行き付けのお店は上山満月堂(かみやままんげつどう)と言う和菓子と和スイーツのお店

彼曰く「あそこは和パフェが一番美味しいし、それ以外にも美味しい和菓子や和スイーツが多い」

意外にも料理が得意

魔力は転生前の時点ですでに上級悪魔級の保有量

 

グレモリー眷属(げんさくきゃら)との関係(原作開始時点)

木場祐斗 クラスが一緒、席も隣そして1番の親友

塔城小猫 何度か甘味処巡りを一緒に行っていたら懐かれた

姫島朱乃 気になる先輩その1

リアス・グレモリー 気になる先輩その2

 

所有神器(セイグリットギア)

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

本来は原作主人公である兵藤一誠が持っていた神器

覇河は中学二年の時自身の神器の中に封印されていた赤龍帝(ヴェルシュ・ドラゴン)ドライグと対話をはたしている

派生系

????

詳細不明

 

所有スキル(フェイト風、全部神様が決めた為本人は全く知らない)

 

恋愛原子核RankA

異性に対して些細な事でも好意を寄せられる

RankAは敵対している異性ですら好意を寄せられる

だがメガトン級の鈍感故に好意自体に気が付いていない

 

巻き込まれ体質RankB

必ず何等かに巻き込まれる

RankBは「不幸だ」が口癖の某ツンツン髪のLevel0の幻想殺し持ちの男子高校生並にいろんな事に巻き込まれる

 

覇王の風格RankA

王としての資格足る力

RankAはあらゆる相手をもひれ伏し従わせることができる

このスキルは覇河王駑が生前所持していたがハイスクールD×Dの世界に転生する事になった事に伴い神様がランクを上げた

 

闘いの才能RankA

闘争本能とも言われているもの

RankAは某「地上最強の生物」クラス

 

耐即死RankB

即死するようなダメージを受けても死なない

RankBは死の呪いや神滅器(ロンギヌス)以外の即死するようなダメージを受けても死ににくい(あくまでも死ににくいだけでダメージは蓄積される上ダメージの回復にかなりの時間を有する、回復に必要な時間は受けたダメージに比例する)

 

結界操作RankB

自身の魔力を消費することにより結界を操作することができる

RankBはかなりの強度を誇る結界を張る

 

 

以下随時更新予定




次回更新は8月25日を予定しております


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旧校舎のディアボロス
第2話 原作 始まります


投稿が遅くなって申し訳ないです

色々と修正


 

 

初めての方は初めまして

 

そうじゃない方はお久しぶりです

 

覇河王駑です

 

新学期になり僕も無事に進級出来ました

 

あ、私が通っている高校は私立駒王学園と言うところです

 

私が入学する前は女子校だった所で今は共学になってますが未だ女子生徒が圧倒的に多く僕達男子生徒は肩身の狭い思いを強いられています

 

そんな所に何故進学したかって?

 

単に家から近かったからですよ

 

「おはよう覇河君、どうしたんだい?急に考え事なんかして」

 

「おはよう祐斗君、何でもありませんよ」

 

私に話しかけてきた彼は木場祐斗、同じクラスで同学年、そして席が隣の僕の友達です

 

「キャー、木場君に覇河君よ」

 

「二人揃って登校しているところに遭遇するなんて幸せだわ」

 

「朝から一緒に登校しているなんてなんて貴重な光景なの、もう私の人生一片の悔いは無いわ」

 

「木場×王駑かしら?それとも王駑×木場かしら?皆の衆、妄想の備蓄は十分かしら?」

 

等々黄色い声があちらこちらから沸き上がっています

 

え?最後が何かおかしい?

 

気にしたら負けです

 

「祐斗君は今日も部活ですか?」

 

「そうだよ、だから今日は一緒に帰れないんだ、ゴメンね」

 

「いえ、祐斗君が気にする事はありませんよ、実は私も今日は用事があって早く帰らなきゃいけなかったんで」

 

「そうなんだ」

 

「では今日の分の組み手はその分明日多めにしましょう」

 

「分かった、時間と場所はいつも通りかい?」

 

「はい、時間と場所はいつも通りで大丈夫です」

 

この後は他愛ない会話をしつつ教室へと向っていった

 

「おはよー、祐斗君、覇河君」

 

教室の中に入っていった私達に挨拶をいの一番にしてきた彼女は天河(あまかわ)しずるさん

 

彼女は私の幼馴染みでクラスのクラス委員長をやってます

 

「おはようございます、天河さん」

 

「おはよう、天河さん」

 

と私達は天河さんに挨拶をします

 

「聞いたよ、覇河君、他校の不良に絡まれてた後輩助けたんだって?」

 

「まぁね、で、それがどうしたんですか?」

 

「また告白しに来る娘が増えるんじゃないかな?と思っただけだよ」

 

「何で人助けたぐらいで告白されなきゃいけないんですか?」

 

第一、 助けた彼女とは余り面識は無かったはずですよ

 

「覇河君、それ本気で言ってるのかい?」

 

「木場君、悲しいけど覇河君は超がつくほどの鈍感なのよ」

 

なんですか、人をアホの子みたいに

 

それに、貴男達に鈍感と言われたくはないですね、特に祐斗君には

 

あ、祐斗君の場合は鈍感と言うよりは天然でしたね

 

「おーし、おまえら席に着け出席取るぞー」

 

おっと、時間切れの様ですね

 

「天河さん、祐斗君、先生が来たから席戻りませんか?」

 

「そうだね、戻ろうか」

 

「私もクラス委員長だからもう戻るね」

 

そうしてまたいつもの一日が始まりました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎて放課後になりました

 

え?授業の風景は書かないのかって?

 

そんなの誰が得するんですか?

 

…………

 

…………………

 

それはともかく私は今自宅近くの公園にいます

 

あ、一応念のために言っておくと結界はちゃんと張ってありますからね?

 

「結界操作」慣れるまでが大変でしたが、コツさえつかんでしまえば楽なものです

 

「さてと………今日も修行頑張りますかね」

 

「今日もやるのか?相棒」

 

「はい、こう言う物は常日頃の鍛練が後々有効になるんですよ………ドライグ」

 

言い忘れましたが僕は神器(セイグリットギア)を持っています

 

と言っても先程の会話で分かると思いますが…

 

そう

 

僕の持っている神器(セイグリットギア)赤龍帝の龍手(ブーステッド・ギア)です

 

本来ならこの作品の主人公である人物兵藤一誠が所有していたハズの神器(セイグリットギア)です

 

何故それを私が持っていたかって?

 

それはまさに『神のみぞ知る』ってやつです

 

「さて…今回の特訓内容は魔力弾の精密操作を集中的に練習しますかね?」

 

「あまり無茶はするなよ?」

 

早い話が某龍玉Zの飲茶みたいに掌に魔力の球体を作るイメージを作りそれを撃ちだし、それを複数個コントロールするというトレーニング法です

 

…………と口で言うのは簡単ですが実際やってみると結構大変でして何回あの世に行きかけたことか…

 

今では30個の魔力弾を同時にコントロールすることができるようになりました

 

「よし!次は今まで試みて全くできなかった…………武装変換(トランスウエポン)でもやってみますか?」

 

武装変換(トランスウエポン)をやるのか?今のお前では魔力が足りないぞ!!」

 

「そんなの勇気とガッツがあればなんとかなる!!」

 

「無茶苦茶な、どうなってもしらねぇかんな!」

 

「ドライグ!武装変換(トランスウエポン)

 

そう言うと同時に眩く輝き、それが収まると

 

「…………やった、やりましたよドライグ、成功です」

 

「まさか、今までできなかった武装変換(トランスウエポン)が突然できるようになるとは…つくづく相棒は規格外だな」

 

「失敬な、そこまで規格外じゃありませんよ」

 

しかし……これはかなり疲れますね

 

一回の発動で魔力の3分の2消費で5分…ですか…意外と燃費が悪いですね

 

「今日の特訓はこれ位にして帰りますか」

 

明日も授業がありますし正直武装変換(トランスウエポン)の修行で魔力が殆どスッカラカンですからね

 

「ゆっくり体を休ませろよ、相棒」

 

「分かっていますよ」

 

結界を解除して家路に向かいましょうかね?

 

しかし私は知りませんでした

 

私の特訓を物陰から見つめている人物がいた事を

 

そしてそれが私の人生を大いに変えることになる事を

 

 

 

 




次回更新は9月1日を予定しています
後感想とか戴けたら作者のモチベーションが上がります
誤字脱字とかもあったら指摘してください
よろしくお願いします


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第3話 人間 辞めました

次の日の放課後、昨日出来なかった組み手‐木刀を使った実戦形式の組み手‐を木場君とするために剣道部が使っている道場に来ました

 

「あ、木場君に覇河君だ、こんにちは」

 

「こんにちは、皆川さん、佐竹先輩」

 

「こんにちは、皆川さん、佐竹先輩、今日もいつもの奴やりに来たんだ」

 

「うんうん、部長から君達が来たら使わせてあげてって言伝貰っているからどうぞ好きに使って」

 

彼女達は部員の皆川楓さんと副部長の佐竹杏子先輩

 

背の大きい方が佐竹杏子先輩で、平均身長より少しだけ小さい方が皆川楓さんです

 

「それじゃあ……行くよ覇河君!」

 

そう言うと木場君の周りの空気が変わった

 

「今回は本気の様ですね、ならば………私も本気で行かせてもらいますよ!!」

 

左上段の構えを取る木場君に対し、私は正眼の構えを取り相手の出方を伺うが様子見だろうか、仕掛けてこない………

 

ならばこちらから仕掛けてみますか

 

とその刹那

 

「貰った!」

 

木場君が踏み込んできました

 

油断していました

 

まさかこちらの動きを読んでいたとは…完全に先手を取られてしまいましたね

 

ですが未だ是は予想の範囲内

 

木場君の左上段のからの斬撃をいなし鍔迫り合いに持っていきます

 

「やっぱり防がれちゃったか、強いね覇河君は」

 

「いやいや、木場君の方こそ腕を上げましたね、そろそろ追い抜かれそうで怖いですよ」

 

「お世辞でも覇河君に言われると少し嬉しいよ」

 

その後も何回か切り結びましたが決定打がお互い出ずに時間だけが過ぎていきました

 

「木場君、時間も押してる事だし、次で決着を付けましょうか」

 

「そうだね、僕もこの後用事があるからそうしようか」

 

お互いに間合いを取り、一間置いて、お互いに最高の一撃を放ちました

 

「どうやら今回も私の勝ちのようですね」

 

「今回も敗けちゃったか、相変わらず強いね」

 

木場君が持っていた木刀は宙を舞い、私の持っていた木刀は木場君の首元の1㎝手前で止まっていました

 

それを見ていた皆川さん達は

 

「凄い……まったく見えなかった……速過ぎて……、佐竹副部長は見えました?」

 

「スマン、皆川、私も速過ぎて見えなかった……」

 

唖然とする二人に私は道場を貸してくれた礼を言いに近付いていきました

 

「道場を貸してくださりありがとうございました」

 

「ううん、気にしないで私達も十分参考にさせてもらっているから、こっちの方こそありがとう」

 

挨拶と着替えも済まし、剣道部の練習がこの後控えていると言う事なので、皆川さん達と別れ、旧校舎に用があるという木場君と旧校舎近くで別れ、昇降口で靴を履き替え校門の方に向かって歩きだそうとした時

 

「あの……覇河王駑君……だよね?」

 

駒王学園ではない学校の制服を着た少女が此方を見て立っていました

 

「そうですけど……君は誰ですか?」

 

「あっ…ごめんなさい、自己紹介も未だで、天野夕麻です」

 

天野夕麻さんですか、なかなか可愛い娘さんじゃないですか

 

それに彼女の来ている制服は、近所でお嬢様学校として有名なSt.ヒルデ学院の制服じゃあないですか

 

「天野夕麻さんとやら、私に何かご用ですか?」

 

「あ、あの……初めて貴方を見てからずっと好きでした、私と付き合ってください」

 

出会い頭に告白されました

 

一瞬何かの罰ゲームかなんかと思いましたが、彼女の目が嘘じゃない事を語っていました

 

「こんな私でよければ」

 

内心

 

我が世の春がキタ---( ゜∀ ゜)---

 

なんて考えていましたよ

 

(作者注 本人はメガトン級の鈍感なので異性のアプローチに今迄気が付いていない)

 

その日は携帯番号を交換して別れました

 

自宅に着いたときドライグが話し掛けてきました

 

 

次の日から天野夕麻さんの家まで迎えに行ったり、天野さんの手作り弁当を食べたりと、とても充実した数日間でした

 

ある日天野さんから

 

「今度の日曜日一緒にデートしない?話したいことがあるの」

 

と言われたので

 

「良いですね、その日は予定はなかったし大丈夫ですよ」

 

と承諾しました

 

初めてのデートと言う事で念入りに下準備は怠りません

 

「よく調べたな、相棒」

 

「こういう事もあろうかと下調べしておいて正解でした、それとデートで女性をエスコートするのは男の甲斐性ですよドライグ」

 

「そういうものか、相棒」

 

「そういうものです」

 

そしてデート当日

 

「しまった……待ち合わせの時間よりだいぶ速く着いてしまいました」

 

しかも謎のチラシ配りに「あなたの願い叶えます」といういかにも怪しさ満点のチラシを渡されました

 

正直、こういうオカルト的なものはあまり好きではないのですが、なぜか捨てる気にはなれませんでした

 

「覇河君待った?」

 

とそうこうしているうちに天野さんがこっちに来たようです

 

「いいや、僕も今さっき着いたばかりだよ」

 

一生に一度は言ってみたい台詞言ってやりましたよ

 

「ここにいるのも何だからそろそろ行こうか?」

 

「ええ、行きましょう覇河くん」

 

その後はごくごく普通の学生デートをしました

 

ゲーセンでパンチングゲームをはっちゃけてハイスコア連発したり

 

とある定食屋のテラ盛りメニューを歴代最速タイムで完食して回りのお客やら定食屋のおやじがびっくりしたり

 

とにかく楽しいデートでした

 

公園での別れ際天野さんが

 

「ねぇ、覇河君貴方にお願いがあるの」

 

「できる限りの事なら」

 

「じゃあ………死んでくれないかな?」

 

今彼女は何って言ったんだ?

 

「え?新手の冗談か何かですか?天野さんらしくないですね」

 

「冗談?……フフフッ、面白い事を言うのね……貴方、此処で死ぬのよ?」

 

そう言うと彼女の背中からバサッとカラスの濡羽色の羽が出てきました

 

何なんですかこれは?

 

あれですか?新手のドッキリですか?

 

それともCGか何かですか?

 

ああ、もう何が何だか分かりませんよ

 

だけど一つだけ分かった事があります

 

彼女-天野夕麻-は

 

私を殺そうとしている

 

それを悟った私は一目散に逃げようと試みましたが

 

ドスッ

 

と腹部から鈍い音が聞こえました

 

とっさに腹部に手をやるとヌルッとした感触を感じました

 

「恨むなら、貴男に凶悪な神器を宿した神を恨む事ね」

 

私が此処で死ぬ?

 

ハハッ

 

ふざけるな

 

まだまだやりたい事があるんです

 

「相棒、しっかりしろ!」

 

ドライグが話掛けていますが、正直意識もうろうとしていて余り聞こえていません

 

「ドライグ…ごめんね」

 

「もう良い、喋るな傷に響く」

 

「こんな……別れ方で……本当に……ごめんね」

 

そう言うと意識を失っていきました

 

最後に見たのは、自分の通う駒王学園の制服を着た紅髪の女性でした



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第4話 悪魔 始めました

大変遅くなって申し訳ありませんでした


アサダゾー!ハヤクオキロー!トウコンタタキコムゾー!」

 

元プロレスラーのアントシア野異気さんの闘魂生ボイス入りめざましが鳴り響き私は布団の中で目を覚ましました

 

今朝はあまりいい目覚めとは言いずらい目覚めでした

 

何故ならば、かなりいやな夢をまた見てしまったからでした

 

夢にしてはかなりリアルだったと言うのが疑問でした

 

それもですが、今日は体がやたらに重いと感じてしまいます

 

逆に夜になると何故か力がみなぎってくるような感じがしますね

 

とそんなことを考えていると

 

「王駑早く起きてきなさい、ご飯冷めるわよ」

 

下から母さんが呼んでいるので、急いで制服に着替えて、リビングに向かいました

 

 

 

 

「覇河君大丈夫?なんか顔色が悪いよ」

 

「大丈夫ですよ天河さん、少し寝不足なだけですから」

 

「本当に大丈夫?覇河君無理しちゃダメだよ」

 

皆川さんまで……みなさん心配しすぎですよ……

 

とは言ったものの、やはり体が怠いですね

 

日光がいつも以上に体にしみてツライ

 

とその時

 

「キャアアア」

 

と黄色い叫びが聞こえてきました

 

その声の先を見ると、駒王学園の制服を着た紅い髪の女性が校舎に向かって歩いていました

 

「やっぱりリアス先輩は格好いいわね」

 

「只歩いているだけでも絵になるわね」

 

「流石はお姉様、私達に出来ない事を平然とやってしまう、そこに痺れますわ!憧れますわ!」

 

流石はリアス先輩、異性だけではなく、同性にも人気があるんですねーと思っていると

 

リアス先輩が此方に視線を向けて微笑んでいました

 

その時、言い様の無い感覚に襲われました

 

例えるなら、圧倒的に格が上の相手が発するプレッシャーの様な、そんな感じでした

 

しかし、疑問もあります

 

リアス先輩と私は何の関係もなかったはずです

 

その事を疑問に思いつつ、授業の準備を始めました

 

 

 

 

 

 

「しかし本当に困ったものですね、段々力がわいてきていますねそれに……」

 

私は今、日課になっているランニングをしているのですが、色々と体が可笑しい事になっていました

 

今私は暗い森の中を走っているのですが、陸上部顔負けの速さで走っています

 

更に、昼間かと思うぐらいに良く見えているうえに、1キロメートル先の声まできこえています

 

「相棒、身体の方は大丈夫か?」

 

「特に問題はないですけど…どうかしたんですか?ドライグ」

 

「……いや、問題ないなら良いんだ」

 

「そうですか……」

 

珍しくドライグが話し掛けてきました

 

さて今日の日課を終わらせますかね、と思った時

 

「ほぅ……こんな田舎町に貴様の様な存在に会うとは数奇な運命だな」

 

スーツを着たおっさんが此方を睨んでいました

 

かなり強烈な殺気が此方に飛んできています

 

適わないと悟ってしまったので一目散におっさんの前から逃げ出しました

 

20分程走ったところで、公園に出ました

 

ゆっくりと走るスピードを落として、噴水の近くまで歩いていきました

 

と、突然妙な感覚に陥りました

 

私は……この場所を知っている?

 

そうでした……夢の中で夕麻ちゃんとのデートで最後に来た場所でした!

 

なんという偶然か皮肉か

 

無意識に足が向かったと言うことなのでしょうか?

 

 

「ッ……!」

 

これは……殺気?

 

「逃げ切れるとでも思ったか?」

 

これだから下級は困ると吐き捨てるように声を発するスーツを着たおっさん

 

おっさんの背中には黒い羽が生えていました

 

何かの仮装?そんな訳がない

 

それとも本物?それこそ有り得ない

 

「主の名を言え、それとも何かな?はぐれだというのかな?」

 

それならば困惑しているのも理解できる、と自己完結しちゃったよこのおっさん

 

そういえば、夢の最後で、私はここで夕麻ちゃんに殺された

 

黒い羽を生やした夕麻ちゃんにだ

 

しかし、夢とは違い目の前にはおっさんがいる

 

正夢でしょうか?いいやこれは悪夢ですね

 

とおっさんが急に手をかざしてくる

 

向けている先は……どっからどう見ても私のようですね……って冷静に分析をしている場合じゃない!

 

おっさんの手に光みたいなものが集まっていく

 

ファンタジーな展開はもうお腹一杯ですって!

 

と思った瞬間、お腹から激痛が走る

 

何事かと腹部に手をやると赤黒い液体がベッタリと付いていた

 

「聖なる光は貴様等にとって猛毒に等しい、故に受ければ大きなダメージとなる、因みに先程の一撃は弱めの光で作った槍だ、並の奴なら先程の一撃で消えてしまうのだが中々丈夫な奴だな、ならばもう一撃だ、今度は先程より強めの光で作った槍だ、コイツで終わりだ!」

 

さっきより輝きを増した光が槍の形なっていきました

 

これは本格的にヤバイ!

 

その瞬間、至近距離で爆発が起こり、おっさんの手から鮮血が滴り落ちていて、目の前には紅髪の女性が私を庇うように立っていました

その姿を確認する前に気を失いました



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第5話 自己紹介しました

随分間隔があいてしまい申し訳ございませんでした


 

「アニキ、アサダヨ、ホラ、ホラ、オキテヨ」

 

ボーイッシュっ娘ボイスのめざましに起こされた私ですが、かなり混乱しています

 

何故ならまたリアルな夢を見ていたからです

 

しかしかなり夢見の悪い夢でしたね

 

黒羽のはえたおっさんに追いかけられる夢。黒羽なのは昨夜見た夢と同じでしたが

 

どうしてこうまで夢の内容がおかしいんでしょうか?

 

確か昨日は日課の長距離ランニングして山の中で型の練習して帰ってきたんでした、変なおっさんに殺されかけたなんて………

 

そこ迄考えてふと自分の今の姿に気が付いた

 

何と全裸だった

 

武装解除した海パン刑事もネイギットスネークも真っ青なスッポンポンだった

 

キャストオフだとか死ぬ気弾だとか音撃戦士だとかを超越した恐ろしい何かに頭がまともに働いていませんでした

 

更に

 

「ん……うぅん……」

 

すぐ近くで何か艶っぽい声が聞こえたので横を向くと

 

「すーすー」

 

学園のアイドルコンビ・二大お姉様の片割れ、リアス・グレモリー先輩が寝ていた

 

こっちも全裸で

 

催眠術だとか超能力だとか、そんなチャチな物じゃない、恐ろしい何かを感じました

 

「王駑!早く起きなさい!」

 

「母ちゃん、兄ちゃん未だ部屋なの?」

 

「母様、お兄様は何時帰ってらしたんですか?」

 

「そうなのよ海夏、玄関に靴が有ったから帰って来ているのは分かるのだけど、何時帰ってきたかわからないのよ。それと夏奈子、お兄ちゃん起こしてきて」

 

「分かったよ、母ちゃん」

 

マズい!これはかなりマズい!とにもかくにもマズい!

 

対処法が思いつかないまま、夏奈子が部屋のドアを開け

 

「兄ちゃん朝だよー、起きて………」

 

部屋の状況を目の当たりにして固まっていた

 

そんな中、リアス部長は

 

「うーん、もう朝……?」

 

その光景をみた夏奈子は

 

「ハヤクオキテキテネ、ニイチャン」

 

と片言でそう言い脱兎の如く下へ向っていった

 

「おかあさああああああああああああああああん、兄ちゃんが、兄ちゃんがああああああああああああああああああああ、外国の女の人と裸でええええええええええええええええええええええ」

 

「ど、どうしたの?夏奈子ちゃん、そんな大声出して」

 

「夏奈姉、落ち着いてください」

 

と下は阿鼻叫喚の地獄と化していた

 

正直、下に行きたくない

 

「あらあら、随分と賑やかなご家族なのね」

 

そんな私の思いを余所にリアス先輩は微笑みながら話し掛けてきた

 

「あの……リアス先輩……その……見えてますよ、色々と」

 

と視線をそらして指摘する

 

「見たいなら、見ても良いのよ?」

 

「余り後輩をからかわないでください」

 

着替えながら冗談を言う先輩に苦笑いしながら、返事をする

 

「お腹、大丈夫?」

 

そう訊いてくる先輩

 

ん?お腹?

 

内心訊かれた意味が理解できず、無意識にお腹を擦った

 

「昨日、刺されていたから」

 

「!!」

 

その一言で完全に目が覚めました

 

そして昨夜の出来事が夢でも何でもなかったという事も同時に思い出しました

 

「そう、昨日の出来事は決して夢ではないわ」

 

考えを読んでいたかのようにリアス先輩が語る

 

「あれだけの重傷だったのに……」

 

「私が治したわ。以外とあなたの体は頑丈だったのね。裸で抱き合って、弱ったあなたに魔力を分け与えたから一晩で治療できわ。私とあなたが同じ眷属だからこそできた芸当よ」

 

と爆弾発言をした

 

先輩は何を言っているんだ?

 

私は先輩の言ったことの意味がわからなく、一瞬惚けてしまいました

 

ん?抱き合う?裸で?

 

その意味を理解するのに、数刻を要しました

 

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

 

まさか………初めて会った女性相手になんて事を………

 

「貴方が考えている事はないから、安心しなさい。私はまだ処女だから」

 

見透かしたように、リアス先輩が語る

 

なんかホッとしたような、残念なような

 

「私はリアス・グレモリー。悪魔よ、そしてあなたのご主人様」

 

下着姿の先輩が近づき耳元で囁いた

 

え?悪魔?ご主人様?

 

混乱している中で一つだけ言い切れることがありました

 

「よろしくね、覇河王駑くん。オードって呼んでもいいかしら?」

 

彼女の、魔性の微笑みだけは本物であるという事を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頂きますわ」

 

「は、はぁ召し上がれ?」

 

拝啓天国のジィちゃん

 

今私の横で美人の先輩が私の家の朝ご飯を優雅に食べています

 

「凄く美味しいですわ」

 

「は、はぁ。それはよかったでございますわ」

 

我が家の両親も突然の出来事に混乱の極みでもう何が何だかわからずに、凄く複雑な表情をしていた

 

天国のジィちゃん、こういう場合どのような顔をすればよいのでしょうか?

 

「オード、早く食べなさい。時間がないわよ」

 

リアス先輩にせっつかれて、ガツガツと食べはじめた

 

うん、緊張して全く味が分からない

 

「オード、そんなにがっついてはダメよ、せっかくお母様が作ってくれたのよ?大事に味あわなきゃ」

 

朝食をがっついて食べている私を嗜めるリアス先輩

 

「オード、そちらのお嬢さんはどなた?」

 

我が家の大黒柱である父、覇河王牙が話し掛けてきた

 

「挨拶が遅れて申し訳ありません。私はリアス・グレモリーと申します。覇河王駑くんと同じ学園に通っております。以後お見知りおきを」

 

「そうですか。いやいや、リアスさん外国の方とお見受けしますが、日本語が大変お上手なんですね」

 

「はい、父の仕事の関係上、日本に長く住んでいますから」

 

和やかに両親と会話している

 

「リアス………さん一つ聞いても良いですか?」

 

と今迄沈黙の態度をとっていた夏奈子が喋りだしました

 

「リアスさんと兄ちゃんの関係は……?」

 

「学校の先輩後輩という関係ですわ、夏奈子ちゃん」

 

「嘘だッ!」

 

即否定する夏奈子

 

そりゃそうだ。あんな所見られたら、その言い訳はいくら何でもキツいですって

 

「だだだって、兄ちゃんとベッドで!(私だってまだ兄さんのベッドに潜り込んだ事ないのに………羨ま………じゃない、兄ちゃんの貞操は私が守るんだから!)」

 

「オードが毎夜怖い夢を見るから、添い寝していたんです」

 

「二人とも裸だったじゃない!あんなの添い寝とは言わないわよ!」

 

「最近の添い寝はそういうものよ、夏奈子ちゃん」

 

素人目に見てもかなり解りやすすぎる言い訳だ

 

そう思いつつ夏奈子の方を向くと、突然黙り込んだ

 

「最近の添い寝って、そういうものだったの?知らなかった」

 

納得しちゃったよ!我が家の数少ない良心がそんなことで良いの?

 

ふと、私は夏奈子の目がおかしいことに気が付いた。何かに取り憑かれたかのような感じで虚ろだ。

 

先輩が耳打ちをしてきた。

「ゴメンなさい。少しややこしくなりそうだったから、力を使ったわ」

 

力?

 

ふと先輩の言葉を思い出す

――悪魔よ。

 

と言う事はこの現象も悪魔の力なのでしょうか?

 

先輩はそのまま、食事を再開してしまった。

 

よく見ると、父さんも母さんも海夏も目が虚ろだった。

 

どうなってるの?これ?

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に登校し「後で使いを出すわ。また会いましょう」と言われ昇降口で分かれ、授業がすべて終わり、時間は既に放課後

 

「やあ、王駑君」

 

「ん?ああ、木場君ですか、何の用です?」

 

「リアス先輩の使いで来たんだ」

 

成る程、リアス先輩の言っていた使いって、木場君だったんですね

 

「了解、んで私はどうしたら良いですか?」

 

「僕についてきてほしい」

キャー!

 

女子たちの黄色い悲鳴が聞こえてきた

 

「イケメンコンビが一緒に歩いているわ!みんなに連絡しないと………」

 

「木場くんと王駑くんが一緒に居る!このツーショットはかなり貴重よ!」

 

「木場×覇河何て素晴らしいカップリングなの!」

 

「いや、もしかしたら覇河×木場かも」

 

「今年の夏の祭典のネタができたわ。行くわよ皆」

 

「「「「「アラホラサッサー!!」」」」」

 

訂正、どうやら黄色い悲鳴は属に言う腐った女子たちがあげたものだった

 

「覇河君、彼女たちは何を言っているんだい?」

 

「木場君、彼女たちの発言は気にしないほうが良いですよ。早く行きましょう」

 

「わかった。こっちだよ」

 

 

 

 

 

 

 

木場君に連れられて来た場所は、旧校舎と呼ばれている昔使用されており、今は使われていない建物だった

 

使われていないとはいえ、意外と窓ガラスも割れているところもないし、壊れている所もないし、ただ古いだけのようです

 

「ここに部長がいるんだ」

「部長?木場君は何か部活でもしているんですか?それと後どの位で着きますか?」

 

「まぁね。もう少しで着くよ」

 

木場君と会話しつつ周囲を見渡す

 

掃除はこまめにしている様ですね。積もった埃や幾重にも張り巡らされた蜘蛛の巣も見当たらない。

 

すると木場君はとある教室で歩みを止める

 

その教室に掲げられたプレートを見るとそこには

 

『オカルト研究部』

 

と書かれていた

 

何故、リアス先輩がオカルト研究部?

 

軽く疑問に思っていると

 

「部長、覇河王駑くんをお連れしました」

 

と木場君が引き戸の前から確認をとると「ええ、入ってちょうだい」と先輩の声が聞こえてくる

 

木場君と共に教室に入り、内装に驚いた

 

室内の至るところに面妖な謎の文字が描かれていた

 

そして、教室の大部分を占める巨大な魔方陣らしき円陣

 

あとは、ソファーとデスクが何点かあるだけ

 

あ、ソファーに小柄な女の子が座っている

 

彼女は塔城小猫、高校一年とは思えない見た目で私のクラスメートの男子や女子から人気のマスコット的な存在だと、その手に詳しい奴から聞いたことがあります

 

どうやら気配を感じたみたいで、こちらに視線を向ける塔城小猫ちゃん

 

「こちら、覇河王駑くん」

木場君が紹介してくれたので、軽く会釈をするとぺこりと頭を下げてくる塔城小猫ちゃん

 

思った通り、無口な子みたいな様ですね

 

すると部屋の奥から水の流れる音が聞こえる。シャワー?

 

ふと視線を向けると部屋の奥にシャワーカーテンがあり、中に人影が映っている

どうやら女性がシャワーを使っているようです

 

………ってシャワー!?この部室シャワー付きなんですか!?

 

混乱している私を余所にカーテンが開き、制服を着た先輩がいた。濡れた紅の髪がかなり色っぽい

 

「ゴメンなさい、昨夜シャワー浴びていなかったから、今浴びていたの」

 

言ってくれさえすればシャワーくらい貸せたのに

 

内心そう思っていると、先輩の背後からもう一人の女性が立っていた

 

「あらあら。はじめまして、私姫島朱乃と申します。以後、お見知りおきを」

 

「此方こそよろしくお願いします。覇河王駑と申します」

 

挨拶を交わしたのを確認したリアス先輩

 

「これで全員揃ったわね。覇河王駑くん。いえ、オード」

 

「は、はい」

 

「私たち、オカルト研究部はあなたを歓迎するわ、悪魔としてね」

 

父さん母さん

 

私本当に人間止めてしまったようです



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第6話 裏事情 説明受けます

第6話 裏事情 説明受けます

 

 

「お茶をどうぞ」

今私は、ソファーに座って姫島先輩の淹れてくれたお茶を飲んでいます。

 

「ありがとうございます。……これ美味しいですね」

 

「あらあら、そう言ってくれると淹れたかいがありますわ」

 

姫島先輩がニコニコと笑みを浮かべています。

 

「朱乃、こちらに座ってちょうだい」

 

「分かりましたわ。部長」

 

リアス先輩が姫島先輩に座るように促した。

 

ふと周囲を見ると祐斗達が既に座っていた。

 

自然と視線が私に突き刺さる。

 

ヤバイ、少し緊張してきた。

 

「単刀直入に言うわ、私達は悪魔なの

こ、これは偉く直球ですね……

 

「信じられないって顔をしているわね。まぁ、仕方ないわね。でも、貴男は昨夜、黒羽の男を見たわよね?」

 

「ええ、はっきりと見ましたけど………それがどうかしたんですか?」

 

「あれは堕天使。邪な感情を持ったが故に天界から追放された天使の成れの果て。そして私たち、悪魔の敵なの」

 

ファンタジー過ぎて混乱してきた。

 

「私たち悪魔は太古の昔から堕天使と冥界、人間界で言うところの地獄の覇権を巡って戦っているの。地獄は悪魔と堕天使の領土で二分化しているの。」

 

ファンタジー此処に極まるって感じですね。悪魔に堕天使とか、普通の思考なら厨二乙って絶対思う。

 

「堕天使と悪魔は太古の昔から冥界、人間界で言うところの地獄の覇権をかけて争っているわ。悪魔は人間と契約をして、代価を貰い力を貯える。堕天使は人間を操り悪魔を滅ぼそうとする。そこに神の命を受けて悪魔と堕天使を滅ぼそうとする天使も含めて三すくみ。それを大昔から繰り広げているのよ」

 

「一寸待ってください。いきなりオカルトチックな事聞かされてはいそうですかって言えませんよ」

 

私が反論するとリアス部長一言だけ声を発した。

 

「天野夕麻」

 

「なぜアンタがその名を知っている?」

 

「貴方、あの日天野夕麻とデートしていたわね?」

 

「その事は、冗談でも言わないでください」

 

マズイ、あの悲劇を思い出してしまい少し口調が荒くなってしまいました。

 

「彼女は確かに存在していたわ。最も、念入りにあなたの周囲にいた証拠を消したようだけど」

 

リアス先輩が指を鳴らすと姫島先輩が写真を一枚懐から取り出しこちらに向けた。

 

その写真を見て絶句しました。

 

「この子が天野夕麻ちゃんよね?」

 

付き合い初めの頃、写真に取った筈だったのにそれすら消え失せていた彼女の姿が写っていた。

 

そして、彼女の背中には黒い翼が生えているのも一緒に写っていた。

 

「これは堕天使、あなたを襲った存在と同等の存在よ」

 

あまりの状況に言葉が出なかった。

 

「この堕天使はある目的を持ってあなたに接触し、そして、目的を果たしたから、周囲の記録と記憶を抹消したの」

 

「目的ですか?」

 

「あなたを殺すため」

 

彼女が告げた言葉に私は絶句しました。

 

「そ、そんな………なんで私が!」

 

「落ち着いてオード。仕方なかった……いいえ、運が無かったのでしょうね」

 

「運が無かったって……その一言で片付けないでください!」

 

あの日私が殺されたのは運が悪かった!?

 

待てよ?殺された?

 

あの日殺されたなら、何故生きているんだ?

 

しかしまだそうだと決まったわけじゃあない。

 

「リアス先輩、何故私が狙われたのでしょうか?」

 

「彼女があなたに近づいた理由は、あなたにとある物騒なモノが付いているか否か調査するため。そしてあなたが神器を宿す存在であると断定された」

 

神器……確か夕麻ちゃんも言っていた。

 

「神器とは、特定の人間に宿る規格外の力。歴史上の偉人の多くが神器所有者だと言われているよ。モンゴル帝国を作り上げたチンギス・ハーンや、徳川300年の礎を作った徳川家康とかね」

 

祐斗がそう説明する。

 

「現在でも神器を体に宿す人達はいるのよ。世界的に活躍している方達の多くが体に神器を宿しているのです」

 

祐斗に続いて姫島先輩も説明してくれた。

 

そしてリアス先輩が続く。

 

「大半は、人間界だけしか効果の無いモノばかりなんだけど、ごく稀に私たち悪魔や堕天使の存在を脅かす程の神器があるの、オードあなたの神器を見せてちょうだい」

 

「わかりました。リアス先輩」

 

リアス先輩に促されて立ち上がる。

 

「こい!神器ッ!」

 

左腕がまばゆい光を放ち、真紅の龍手が表れた。

 

「リアス先輩、これが私の神器です」

 

「オード、この神器の名前は、何て言うのかしら」

 

「赤龍帝の龍手です、リアス先輩」

 

「赤龍帝の龍手ですって!十秒毎に力を倍にする十三ある神殺しの内の一つじゃない!」

 

『久し振りじゃないか、相棒』

 

不意に赤い宝玉から声が聞こえてきた。

 

「やぁ、ドライグ。久し振りですね」

 

『しかし相棒。暫く見ないうちに、どうしたんだ?』

 

「こっちも色々あったんですよ……」

 

本当に色々な事があったんですよ、ドライグ。

 

『まぁ、相棒が生きていてくれたんだ。それだけでも良かったと俺は思っている』

 

「ドライグ………ありがとう」

 

「話を続けるわね。あなたはその神器を危険視されて、堕天使……天野夕麻に殺されたの」

 

夕麻ちゃんの事は真実だった。

 

それじゃあ、私が殺されたのも、また真実だった?

 

ならば、なぜ私が生きているんだ?

 

リアス先輩は一枚のチラシを手に取出した。

 

「瀕死の中、あなたはこの紙を用いて私を呼んだのよ」

 

そのチラシには魔方陣と『あなたの願いを叶えます』と言う謳い文句が書かれていた。

 

そのチラシに見覚えがあった。私が夕麻ちゃんとデートの待ち合わせをした時にチラシを配っていた人から貰ったものと同じだった。さらに付け加えるなら、このチラシに描かれている魔方陣と床の巨大魔法陣と同じ模様だった。

 

リアス先輩曰く

 

このチラシは先輩たちが配っているもので、魔方陣は先輩たち悪魔を召喚するためのものであること。最近は魔方陣を書いてまで悪魔を呼び寄せる人がいないため、チラシの形で悪魔を召喚しそうな人に配っている事。たまたま、人間に化けていた先輩の使い魔が配っているチラシを私が手にした。そして、私が堕天使に攻撃され、死の間際に先輩を呼んだ事。

 

「よほど強く願ったのでしょうね。本来なら眷属の朱乃達が呼ばれるはずなのに、主人である私が呼ばれるほどにね」

 

やはりあの時私は一回死んでいたのですね。そして気を失う前、一瞬だけ見た紅い髪の人はやはり先輩だった。

 

「あなたの元に表れた私はあなたを見て、すぐに神器所有者で堕天使の被害にあったのだと察したの。ただその時のあなたは死ぬ間際だった。堕天使の光の矢に貫かれれば、悪魔でなくてもただの人間だって一撃で死ぬ。あなたもそんな感じだったの。そこであなたを命を救うことを私は選んだ」

 

命を救う?一体どういう事なんだ?

 

「悪魔としてね---。あなたは私、リアス・グレモリーの眷属、私の下僕の悪魔として生まれ変わったわ」

 

その瞬間、私以外の人間の背中からコウモリの翼が生えた。

 

いきなりの出来事に驚いていると、自分の背中に違和感を感じ、鏡を見ると私の背中にも先輩たちと同じは翼が生えた。

 

いきなり背中に現われた翼に私は戸惑いを隠せませんでした。

 

「改めて紹介するわね。祐斗」

 

リアス先輩に呼ばれた木場がイケメンスマイルを此方にしてきた。

 

「今更だけど、僕は木場祐斗。僕も悪魔です。よろしく」

 

祐斗が自己紹介をすると、塔城子猫ちゃんと姫島朱乃先輩も私に自己紹介をし始めた。

 

「……一年生。……塔城小猫です。よろしくお願いします。……悪魔です」

 

「三年生、姫島朱乃ですわ。よろしくお願いいたします。私はオカルト研究部の副部長も兼任しております。私も祐斗君や子猫ちゃんと同じく悪魔ですわ」

 

小さく頭を下げる子猫ちゃんと、礼儀正しく深く頭を下げる姫島先輩。

 

最後にリアス先輩は紅い髪をなびかして堂々と言う。

 

「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、オード」

 

コレは偉い事になったぞ。



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