忘れていたかったのに…(ⅰ)(文豪ストレイドックス〜国谷〜※年齢操作あり) (東のヘタレ・羅羅)
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文豪ストレイドッグスBL、国木田×谷崎
小説を出すのも初めてなので拙いところが沢山あると思いますがよろしくお願いします
こンなきもち、忘れたかったのに…
雪が降り積もり始めた街で白い息を吐きながら少年は呟いた
その少年がこの街を去るのはすぐあとのことであった
「…ッ、おいッ…!」
勢いよく社員寮の扉が開けられる、だがそこはもぬけの殻で、あった家具も、また人が住んでいたような雰囲気すら感じない、あるのは1枚の手紙と、それを読んだであろう事務員のナオミが泣き崩れていた、そう、失踪したのは谷崎潤一郎、そして勢いよく部屋に入ってきた人は、谷崎の恋人である国木田独歩であった。急いで街の中を探すが見つかる気配はない、丁度乱歩が地方へ出張へ行っていた、最悪のタイミングであった
谷崎は前々から計画を練っていた、この時を狙って
国木田は部屋に置いてあった手紙を手に取り、読み始めた
御心配をお掛けしてすみません、ボクは今の気持ちでは探偵社員を名乗る資格が無く、私情で物事を判断してしまう愚かな考えを持ってしまいました、なので探偵社を辞めます
国木田さん、今日でお別れです、どうしても無理なのであれば3年後会いましょう、ナオミにまで迷惑はかけたくなかったので、ボク一人で辞めます
いつも通りの字で、でも落ち着いてるような感じで書いてあった手紙、やりきれない気持ちを国木田は歯を食いしばって耐えたのであった
それから三年かの月日が流れた
あれから谷崎は関西の方に腰を下ろし敏腕情報屋として日々働いていた、異能のお陰もあって、命の危険が伴う潜入であっても、培った潜入術で難なく突破することも出来た、だが心はぽっかり穴が空いたみたいな寂しさが溢れ、紛らわすために耳には幾つものピアスが付いてあった、少し耳に触れるだけでもジャラジャラと金属が擦れあって音を鳴らしてた。ピアスの量と谷崎の心の寂しさは比例していると言っても過言ではなかった。そんな谷崎に前の街に戻る用が入った。寝台列車に乗り、一日かけて街へ帰ってきた、
皆、どうしているのかな?国木田さんは……
谷崎は考えを振り払うようにブンブンと首を横に振った。
もう、捨てたンだ、と心に言い聞かせ、仕事の時のように気持ちを切り替えた。
三年経った街は建物などが変わっていたが雰囲気は3年前から変わってはいなく、懐かしいようなそんな気持ちに谷崎は少し浸っていた。
「久方ぶりだな、谷崎」
落ち着くような低い声、気持ちを入れ替えるために捨てたはずの感情、後ろから、声をかけられた谷崎はゆっくりと、だが驚いた様子で振り返った
「く、くにきださん、」
やや掠れた声で谷崎は彼の名前を呼んだ
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