比企谷八幡と神の舌を持つ少女 (Oceans)
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第01皿 「SHINO'S」での修行、そして遠月学園へ

今回はとりあえず、本編前のお話です。

それではどうぞ


俺の名前は比企谷八幡。もうすぐ高校生になるが

今はフランスのとある師匠の店にいる。

その師匠とは…

 

「おい、ハチ!手が止まってんぞ。早く動け‼︎」

 

「うっす」

 

パリのフランス料理店「SHINO'S」のオーナー

シェフであり、料理学校の名門遠月学園

第79期卒業生でもある四宮小次郎シェフだ。

 

そして俺は、その四宮シェフの店で修行も兼ねて

働いている。なぜこうなっているか

というと遠月学園の総帥からの提案で、

フランスにいる四宮の店を半年間の間、

修行も兼ねて手伝ってこいと言われたからだ。

まあ、俺としても遠月学園中等部では退屈していた

のでちょうどよかったと最初は思っていたが、

忙しさが半端じゃなかった。まぁ、フランス料理の

発展に貢献した料理人に与えられる

「プルスポール勲章」を受賞した四宮シェフが経営

している店ならば、この忙しさは当然なのだが…

 

「にしてもお客さんが多いな…」

 

「そんなのは当たり前だ。それより

お客に出す皿は出来たのか?」

 

俺の呟きを聞いたのか四宮シェフはそう言った

 

「もちろん出来てますよ」

 

俺は四宮シェフに仔羊のロティを

給仕(サーブ)した

 

「さすがは俺の弟子だな。完璧だ」

 

そう言って四宮シェフは、俺の給仕した皿を

審査した後、ウェイターに渡した

 

「どうも」

 

それから俺は料理を作ったり、皿を洗ったりなどの作業を

こなした。そして閉店時間となり、従業員一同で後片付け

をして仕事を無事終了させた

 

☆☆☆

 

そして俺は今、師匠である四宮シェフと歩いている

 

「ハチ。明日にはここを発って日本に戻るんだろ?」

 

「ええ。もうすぐ高校の始業式があるんで」

 

「そうか。とりあえず、遠月学園でトップまで

登り詰めろハチ。なんせお前は俺の唯一

の弟子なんだからな」

 

「もちろん。そのつもりでやりますよ」

 

「それじゃあ、俺はこっちだから。じゃあな

ハチ。半年間、「SHINO'S」で学んだことを

遠月学園で活かして、頑張って来い!」

 

「はい、半年間ありがとうございました。四宮さん」

 

そう俺は言って、四宮師匠と別れた。

そして俺はホテルに戻り、ベッドへダイブした。

 

「遠月学園高等部か…」ブー

 

そう俺が呟いた後にスマホが鳴った。

スマホを確認すると総帥から

 

『仙左衛門:八幡よ。また遠月学園で会えるのを

楽しみにしておる。それと、えりなのことを

よろしく頼む』

 

とメールが来ていた。俺はわかりましたとだけ送り

 

「あいつ…元気にしてっかな」

 

俺はそう言って幼馴染である、薙切えりなのことを

思い出し、そして眠りについた。

 

☆☆☆

 

そして翌日の昼に俺はフランスを発ち、遠月学園がある日本へと向かった

 

ーto be continuedー

 

 

 

ー 設定 ー

 

 

・比企谷八幡 (本作の主人公)

遠月学園高等部1年生。四宮小次郎の弟子であり

「料理界のプリンス」と呼ばれている。

基本1人で居たいと思っている。

親父と総帥は知り合いで、

えりなとは小さい時からの幼馴染。

八幡はえりなが昔と違う理由を総帥から

聞いている。

 

 

・ 薙切えりな

遠月学園高等部1年生であり

遠月学園十傑の第十席で「神の舌」の名を持つ。

八幡とは小さい時からの幼馴染である。

 

 

・四宮小次郎

遠月学園第79期生のOB。 28歳

フランスで自分の料理店「SHINO'S」の

オーナーシェフであり、八幡の師匠でもある。

 

 

・薙切仙左衛門

遠月学園総帥で、えりなの叔父でもある。

八幡を小さい頃からみてきている。

八幡との関係は後に明かされる。

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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第02皿 半年ぶりの遠月学園と極星寮

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ありがとうございます。
フランスを発ったのは昼の時間に変更しました。
それと今回はまだ話はあまり進みません。
設定はまた次回に持ち越したいと思います。
それでは第02話です。
どうぞ


俺は約12時間の長い飛行時間を経て、羽田空港についた。

 

時間を確認すると翌日の午前8時だった。

 

「半年ぶりの日本か…」

 

俺はそう呟いた後、羽田を後にし

電車で遠月学園へ向かった。

 

そして、俺は遠月学園に到着した後に

総帥と会うため総帥室へと向かい、ノックを

してから総帥室へと入った。

 

「八幡よ。半年ぶりであるな」

 

「そうっすね」

 

「四宮の店での修行はどうじゃった?」

 

「いい経験になりましたよ」

 

「そうかそうか…その経験を、高等部でも

生かして頑張っていくとよい」

 

「ええ、そのつもりですよ。俺は遠月学園の

トップを狙うんで」

 

「楽しみにしておるぞ」

 

「はい。それじゃ、俺はこれで失礼します」

 

そう言って俺は部屋を出ようとしたが

総帥に止められ

 

「八幡よ。えりなには会っては行かぬか?」

 

そう言って、総帥は俺に聞いてきた

 

「いえ…始業式にでも会えるんで、今はいいです」

 

「うむ、わかった。手間を取らせて済まぬな」

 

「いえ大丈夫です。それでは」バタン

 

そう言って俺は総帥室を出て、遠月学園を後にし

これからお世話になる極星寮へと向かった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

そして今、俺は極星寮にいる。

 

 

「わしはここの寮母をしておる。

大御堂ふみ緒じゃ。ふみ緒さんと呼ぶかいい。

それで、お前さんが「料理界のプリンス」か」

 

極星寮の寮長であるふみ緒さんがそう言った

 

「なんすか、その呼び名。初耳なんですが…」

 

「学園内や世間ではお前さんのことを

そう呼んでおる」

 

マジかよ。俺には相応しくない名だと思うんだが…

 

「誰が命名したかとか分かりますか?」

 

「四宮小次郎じゃったかな。「プルスポール勲章」

を受賞の際に今後、期待する料理人という

質問でお前さんのことを紹介しておった。

なんでも「俺の弟子である比企谷八幡はこの俺を

超える料理人にいずれなる」

と言っておったな。それからメディアなどで

お前さんのことは料理界のプリンスという名

をつけ騒いでいたんじゃ」

 

俺はふみ緒さんに命名を理由を聞いて、

何してくれたんだ。師匠〜!と心の中で叫んだ。

 

「そうだったんですね。俺は1人でいることが

多いのと、あまりネットとか見ないんで、

全然そんな名がついてたなんて知りませんでした」

 

「そうなのかい。まぁ、騒がれるとは思うけど

これから頑張るといい」

 

「はい。それで、俺は極星寮へ入寮しても

いいんですか?」

 

「ふむ。その前に極星名物腕試しで、お前さんの

料理の腕を見るんじゃがあの四宮の弟子なら

その必要はなかろう。その代わり高校入学後は

毎日、極星寮の朝飯はお前さんに作ってもらうよ」

 

「分かりました」

 

「それじゃあ、お前さんの部屋は304号室だ」

 

「どうも、それじゃあ」

 

俺はそう言って自分の部屋へと向かった。

 

そして俺はネットを確認した。

 

やはりふみ緒さんの言う通りで、俺は

「料理界のプリンス」という名がつけられていた。

 

「目立つのは確定か…。なるべく人目を

避けないとな」

 

俺はそう思いつつ、3日後の始業式が始まるまで

この極星寮で過ごした

 

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
八幡は腕試し無しで極星寮に入れました。
その代わり朝飯は八幡が振る舞うという
形にしました。

次回は本編に入っていきます。
入学式のお話を予定しています。


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第03皿 遠月茶寮料理學園始業式

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ありがとうございます。
設定は第01話の最後に付け足しておきました。
やっとヒロインが登場です。
それでは第03皿です。
どうぞ。


3日経って今日は入学式となった。

 

この3日間はずっと部屋で過ごしていた。

 

そして、時間になったので俺は始業式に出席

するため、遠月学園へと向かおうと極星寮を

出たのだが…

 

「お待ちしておりました八幡様」

 

外にはお高い車が停まっていて、黒服の執事

らしき人が車から降りて、俺にそう言った

 

「えっと…俺は車の手配とかしていない

んですが…」

 

「仙左衛門様から八幡様を迎えに行くように

言われましたので」

 

なるほどな。総帥が手配してくれたのか

なんか申し訳ないな…

 

「そうですか」

 

「はい。なので、車にお乗りください」

 

「わかりました」

 

そして俺は車に乗り込み、始業式の行われる

遠月学園へと向かった。その道中

 

「八幡様。仙左衛門様から言伝がございます」

 

「なんすか」

 

「はい。始業式で一言、言葉を述べてほしいと

のことです」

 

「それは総代のえりなじゃダメなんですか?」

 

「はい。総代のえりな様とは別にお言葉を

いただきたいとのことです」

 

「それは…辞退とかはできますかね」

 

「いえ、できないかと思います」

 

「そうですか…」

 

やっぱり辞退はできないよな…

 

俺はあんまり目立ちたくはないんだがな…

 

そう俺が思っていると

 

「もうすぐ、遠月学園に着きます。

八幡様は降りる準備をしてください」

 

もう遠月学園に着いていた。

 

俺は車から降り、舞台裏へと向かった

そしてその後、すぐに始業式が行われた。

 

「新1年生総代、薙切えりな」

 

「はい」

 

司会者がそう言うと、幼馴染のえりなが

壇上に上がり学年章の授与を受けていた。

 

今現在ではえりながトップを走っている。

 

しかし、俺も四宮師匠と約束したのでもちろん

これからはえりなやそのほかの生徒とトップの

座を競っていくわけで…

 

そう俺が思っているとえりなが舞台にある席に

着き、そして総帥の式辞が始まった。

 

俺はその式辞を壇上裏で聞く

 

「諸君。高等部進学おめでとう。諸君らは

中等部での3年間で調理の基礎技術や

食材への理解を深めてきた。公衆衛生学、

栽培概論や経営学などがあげられる」

 

「そして今、高等部の入口に立ったわけで

あるが、これから試されるのは技巧や知識

だけではない。料理人として生きる気概

そのものである…」

 

「そして諸君の99%は1%の玉を磨くため

の捨て石である」

 

「昨年の新一年生812名のうち、2年生に

進級できたのは76名…」

 

「無能と凡夫は容赦なく切り捨てられ

千人の一年生が進級する頃には百人になり

卒業まで辿り着く者を数えるには片手を使えば

足りることだろう。その一握りの料理人に

君が成るのだ!」

 

「」ゾクッ

 

そう総帥が言うと、生徒達に緊張が走った

 

「…研鑽せよ!以上で私の話は終わりだ」

 

そう総帥の式辞が終わると会場は歓声で沸いた。

 

もちろん俺はその姿を裏で見ていた。

 

そして総帥は職員席へ戻り、えりなは俺がいる

ところへ来た。そして目が合った

 

「え…八幡くん?」

 

「よう…半年ぶりだな。えりな」

 

「八幡くん‼︎」ダキッ

 

えりなは半年ぶりに俺に会ったせいか

涙目になりながら俺の胸に飛び込んてきた。

 

やばい柔らかいアレが当たってる…

 

「お、おい…落ち着け。えりな

まだ始業式は終わってないぞ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

そう言って、えりなは俺から離れた

ああ、色々やばかった。もう少しで

どうにかなるとこだったわ…

 

「詳しい話は始業式の後だ。いいな」

 

「う、うん…」

 

「それでは、次に高等部から編入する

生徒1名の紹介と総代とは別の代表生から

お言葉をいただきます」

 

俺とえりなの会話の後にそう司会者からアナウンス

があった。人前で話すのは嫌だなと改めて思った。

 

そして高等部から編入する、生徒の紹介へと

入った。俺はその生徒を見てヘラヘラしてるなと

思ってしまった。えりなは、なぜが驚いた表情で

編入生を見ていた。何かあったのだろうか…

 

「じゃあ手短に二言三言だけ…。

えっと…幸平創真っていいます。この学園のことは

正直、踏み台としか思ってないです」

 

「思いがけず編入することになったんすけど

客の前に立ったこともない連中に負けるつもり

はないんで。入ったからにはてっぺん獲るんで

……3年間よろしくお願いしまーす」ペコッ

 

「ふざけんな!編入生」

 

編入生の幸平がそう挨拶すると、それを聞いて

いた生徒達はヤジを飛ばしていた

 

「ふー。なんとか噛まずに言えたわ」

そう言って幸平は舞台裏へと帰ってきた

 

「幸平!」

 

「ん?お前は誰だ?」

 

「俺は、比企谷八幡だ」

 

「そうか。それで俺に何の用だ?」

 

「大したことじゃないんだか、一言だけ。

幸平のあのスピーチは俺好みでよかったぞ」

 

「そうか。緊張してたから変じゃないかって

心配してたんだが、比企谷にそう言ってもらえて

よかったわ〜」

 

「それでは最後に代表生の方、壇上に

上がって来てください」

 

「悪りぃ。次は俺の番だわ。

ちょいと行ってくるわ」

 

「ああ」

 

俺は幸平と会話した後、壇上に上がった。

 

するとさっきまで罵声が飛び交っていたこの会場が

一気に静かになり、皆が俺の方を見た。

 

俺にこの視線は耐えれんわ…

 

そう思いつつ、言葉を発した

 

「えー。じゃあ俺も一言二言だけ…」

 

「皆さんも知ってると思いますが

俺の名前は比企谷八幡って言います」

 

「それで俺もさっき挨拶をした編入生

の幸平と大体同じ考えで、客の前に立ったこと

のない奴、罵声ばかり言ってる奴に負ける

わけにはいかない。俺もトップを目指して3年間

やっていくんで、よろしくお願いします」ペコッ

 

俺はそう言ったあとの会場の雰囲気は、幸平の時

とは違ってシーンとしていた。

 

まぁ、俺は気にせず舞台裏に戻った。

 

すると舞台裏では俺のスピーチが終わった後に

幸平とえりなが何か言い合っていた。

 

俺はその会話に耳を傾けた

 

「幸平くん、何故君がここにいるのよ!」

 

「いや、何故ってお前……合格通知が届いた

からそりゃ来るだろ」

 

「なっ!あの時、私は不合格にした

はずなのに……」

 

「本当、びびったぜー。お前、不味いとか

言うんだもんよ。美味いなら美味いって素直に

言えよ!あんな美味しそうに食ってたし」

 

「ち、ちがっ……い、言っておきます!

私は認めてないわ!君も、君の料理もね!」

 

「あ?」

 

「手違いよ手違い!君は手違いで遠月に

に来たのよ!てっぺんを獲るですって?

笑わせないで!中等部からの内部進学者たちは

皆、最先端ガストロミーの英才教育を

受けてきたの!外様の編入生なんて……上を

見上げるまでもない彼らにも勝てやしないわ!」

 

「中等部の3年間ねぇ……」

 

「な、何よ!」

 

「俺が初めて包丁を握ったのは三つの時

だった。12年間俺は調理場で生きてきたんだぜ?」

 

「不味いわよって言われたままで、店の名に

泥を塗るわけにはいかねーな!楽しみにしてなっ!

あんたの口からはっきりと美味いって言わせてやる

俺の料理の限りを尽くしてな!」

 

そう言って、幸平創真は立ち去った。

 

えりなはというと、その場で立ち尽くしていた。

 

「幸平、やっぱり面白いやつだな…」

 

「なっ!八幡くん、今の話を聞いてたの!」

 

「まぁあんな大きい声で言い合っていたからな

だいだいの話は聞いた。何で素直に人の料理を

褒めることができないんだ。えりな」

 

「それは…」

 

俺がそう言うと、えりなは言い返す言葉がないのか

それ以上は何も言わなかった。

 

「まぁお前の性格上、仕方ないことかも

しれんが一流の料理人になるためには褒めることも

必要だってことは覚えておけよ」ポン

 

俺は落ち込んでいるえりなの頭に手を乗せて

そう言った

 

「っ‼︎覚えておくわ」

 

「そうか。じゃあ、この話は終わりだな」

 

「そうね。それじゃあ、さっきの話の

続きだけど、なんで八幡くんは半年間もの間

私に連絡なしでいなくなったのかを教えてくれる

かしら?」

 

「総帥から話してもらうように頼んだんだが

聞いてないのか?」

 

「お爺様からは八幡くんがいなくなってから

八幡くんが海外に行ったって聞かされたわ。

なぜ、直接行く前に私に言わなかった

のかしら?」ニコッ

 

怖いなぁ。この目が笑ってない笑顔…

 

「まぁ、それに関しては俺が悪いと思う。

なんせ海外に行くことになったのは急だったから

言う時間がなかったんだ」

 

「そう…それで、八幡くんは海外の

どこで何をしていたのかしら?」

 

「それはフランスで俺の師匠の四宮シェフ

の店で修行も兼ねて手伝いをしてたんだ」

 

「そう。 …理由は分かったわ。

でも、それは直接私にひとこと言ってから

フランスに行ってほしかった…」

 

「すまんな…心配かけて」

 

「いいわ。また八幡くんに会えたから

良しとするわ」ニコッ

 

「お、おう…」

 

なんか、えりなにそういわれると

少し恥ずかしいな…

 

「それじゃあ、式も終わったことだし

帰りましょうか」

 

「そうだな。帰るか…」

 

そう言って俺達は歩き出すと

 

「その前に少し話をしてもいいかな、八幡君」

 

前から、司先輩が俺に声をかけてきた

 

「いいですけど、何か俺に用ですか?

司先輩」

 

「司先輩⁉︎」

 

えりなは、司先輩がここにいることに

驚いていた

 

「そうだよ。八幡君に用があるんだ」

 

「それは、長くなりそうですかね?」

 

「すぐに終わると思うよ」

 

「それじゃあ、手短にお願いします」

 

「突然だけど、八幡君。十傑に

入ってくれないかな?」

 

「は?」

 

「え…」

 

俺とえりなは司先輩の一言に驚いてしまった。

 

 

ーto be continuedー

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

ほんと、文章書くのは難しいですね…

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第04皿 遠月学園十傑第零席

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ありがとうございます。
今回は短いです。

それでは今回もよろしくお願いします。


「俺を十傑に入れるって本気で言ってます?」

 

「うん、本気だよ。八幡君」

 

「でも…十傑は既に10人いるんで、俺が

入る枠はなくないですか?」

 

「そうですよ!司先輩」

 

「その点についてだけど、問題はないよ」

 

「というと?」

 

「十傑の枠に新たに第零席を加えること

「遠月学園十傑+α」を僕が提案したんだ。

この案に関しては総帥と僕を含め遠月学園十傑の

第一席から第九席からの承認は得ている。

あとは第十席の薙切さんの承認と

八幡くんの意思次第だよ」

 

「私は司先輩の提案に賛成します」

 

「わかった。それで八幡君はどうするのかな?」

 

「その前に2つ、質問してもいいっすか?」

 

「ん?なんだい?」

 

「まず1つ目ですが、俺を遠月学園十傑の

第零席にいれる理由はなんですかね?」

 

「それは、フランスで「プルスポール勲章」を

受賞した、遠月OBの四宮先輩の弟子であり

「料理界のプリンス」と四宮先輩に呼ばせた

八幡君の実力や学内評価を加味してのことだよ」

 

「そうですか…」

 

「それで、2つ目はなんだい?」

 

「俺が遠月十傑、第零席になった時の

俺の立ち位置はどの辺になるんですかね?」

 

「そうだね…。僕と同等か、それ以上…?」

 

「さすがに、それは言い過ぎじゃないかと…」

 

「どうだろう…中学の時の宿泊研修で

八幡君の料理を食べさせてもらった時は、

僕にも劣らない実力を持っていると感じたよ。

でも、これはあくまでも僕個人の見解だ。

まだ、八幡君には未熟な点もあるから…

立ち位置に関しては、まだなんとも言えないかな…」

 

「それを踏まえて、この提案は八幡君に

メリットがあると、僕は考えているんだ」

 

「俺に、メリットですか…」

 

「そうだよ。君はこの学園でトップを目指す

のだろう?だから十傑に入って僕達のことをより

近くで見ることができるから、八幡君の得意な

観察眼で料理スキルも盗める。そうすれば

君の目標にも、かなり近づけると思うよ」

 

「なるほど…」

 

「それで、八幡君はどうするのかな?」

 

「わかりました。俺にとってかなりメリット

があるので、司先輩の提案を受け入れます」

 

「わかった。それじゃあ、これから手続きなどが

あるから八幡君も一緒に他の十傑の人達の待つ

会議室に来てほしい。もちろん、遠月学園十傑

第十席の薙切さんも一緒にね」

 

「わかりました」

 

「はい」

 

こうして俺は、司先輩の提案を受け入れ

遠月学園十傑の第零席という形で

入ることとなった…

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

ー 追加設定 ー

 

・遠月学園十傑+αとは

遠月学園十傑、第一席から第十席に加え

第零席を加えるたものである。

 

 

・八幡の立ち位置について

司先輩は自分より同等かそれ以上と言って

いましたが、司先輩の個人的見解です。

なので、八幡はチートではありません。

今の段階ではこれから成長する

料理人の立ち位置です。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
八幡は遠月学園十傑+α(第零席)として
入れました。
その方が今後の展開を考えやすいので…
後、詳しい遠月学園十傑の説明は次回します。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第05皿 正式に遠月学園十傑の一員になる

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ありがとうございます。
お気に入りが300突破しました。
みなさん、本当にありがとうございます。

話の展開はゆっくりですが

今回もよろしくお願いします。


俺達は今、会議室に向かっている。その道中

 

「えりな。そういえば、秘書の新戸は

どうした?」

 

「はっ!車で待機させたままだったわ」

 

「だったら、遅れると連絡を入れたらどうだ?」

 

「そうね。司先輩、秘書に連絡を取っても

よろしいでしょうか?」

 

「もちろん、構わないよ」

 

えりなは、秘書に遅れるとの連絡をいれた

 

「司先輩、私の私情でお時間を割いて

しまって、すみませんでした」

 

「これぐらいは問題ないよ」

 

「それじゃあ、秘書の人と連絡も取れたことだし

会議室に行こうか」

 

こうして俺達は歩き出した

 

☆☆☆

 

そして、俺は十傑のいる会議室に着いた

 

「八幡君を連れて来たよ」

 

「失礼します」

 

「久しぶりじゃないか、八幡」

 

「どうも。小林先輩」

 

「ハッチー久しぶりだな!元気だったか?」

 

俺が部屋に入ると、小林先輩と久我先輩が

俺に話しかけた

 

「ええ、久しぶりですね。それと、

俺は元気ですよ」

 

「ほんとか?目が濁ってるから、そうは

見えないけど…」

 

「これは、もうデフォなんで気にしないで

ください。久我先輩」

 

「それも、そうだな」

 

「久我、それは八幡君に失礼です。

ごめんね。八幡君、久我が変なこと言って」

 

 

「いえ、別に俺は気にしてないんで

大丈夫ですよ。紀ノ国先輩」

 

「そう…それと久しぶりね、八幡君。

また会えて嬉しいわ」

 

「そ、そうですか…」

 

そう笑顔で言われると照れるな。うっかり告白して

振られちゃうパターンだな。

 

振られちゃうのかよ…

 

「おっ、ハッチーが照れてる」

 

「そ、そんなんじゃないでしゅよ…」

 

動揺して思わず噛んでしまった

 

「いっそ、2人とも付き合っちゃえば?」

 

「えっ⁉︎」

 

「なんで、そうなるんすか…久我先輩」

 

「それは…ね?」

 

久我先輩はそう言って、紀ノ国先輩を見ていた

 

「///」

 

紀ノ国先輩が頬を赤くしている。

あ〜あ、久我先輩。紀ノ国先輩を怒らせたな…

 

「むぅ…」

 

「久我くん。これ以上からかうのは、

やめたほうがいい。薙切さんが不機嫌

になっているからね」

 

「なっ⁉︎なってませんよ!一色先輩」

 

「それも、そうだね。ハッチーをからかう

のはやめたほうがいいかもね」

 

「是非、そうしてくださいよ…久我先輩

俺は静かに過ごしたいんで」ハァ

 

「ケッ。イチャイチャすんなら

他所でやれってんだ…」

 

「あれ〜。叡山っち、もしかして嫉妬してんの〜」

 

「んなわけねーだろ。久我、適当な事

言ってんじゃねーよ」

 

「あー…怖い、怖い。そんなんだと

モテないぞ」

 

「うるせぇ、久我!大きなお世話だ」

 

「大変ですね、叡山先輩も。…それと

お久しぶりです」

 

「ふん。久しぶりだな比企谷」

 

叡山先輩と話した後は、一色先輩と

 

「八幡くん、久しぶりだね。高等部でも

君の活躍を期待しているよ」

 

「そうですね。まぁ、やれるだけやってみますよ」

 

そう会話し、その後も第3席の女木島先輩と

第5席の斎藤先輩とも挨拶を交わした。これで

現十傑全員との挨拶は無事終わった…

 

「八幡。まだ私との挨拶は終わってない…」

 

「俺の心の声を読まんでくださいよ。

茜ヶ久保先輩」

 

「八幡は顔に出やすい…。それと、

私の事を忘れないで」

 

「すんません…許してください」

 

「頭撫でてくれたら許してあげる」

 

「え?」

 

「「⁉︎」」

 

なんで、紀ノ国先輩とえりなも驚いてんだ?

分からん…

 

「マジですか?」

 

俺は茜ヶ久保先輩に確認のため、聞いた

 

「マジだよ。八幡」

 

「俺に拒否権は…」

 

「ないよ」

 

「即答ですか…」

 

「はぁ〜。わかりましたよ」ナデナデ

 

そう言って俺は茜ヶ久保先輩の頭を撫でた

 

「〜♪」

 

「「……」」ジトー

 

先輩は嬉しそうな顔をしていた。そんな

頭撫でるのって気持ちいいのかねぇ〜。

 

それより、紀ノ国先輩とえりなの視線が痛い。

 

「いやぁ〜。ハッチーはモテるなぁ」

 

「ケッ」

 

「仲が良くてなりよりだ」ウンウン

 

 

「それじゃあ、一通り挨拶も終わったようだし

もう本題に入っていいかな。八幡君」

 

「ええ…わかりました。司先輩」

 

「それじゃあ、この紙に名前を書いてね」

 

「わかりました」

 

「…司先輩、書けましたよ」

 

「うん。これで、八幡君は晴れて遠月学園十傑

の一員となった。これからよろしくね、八幡君」

 

「はい。これからもよろしくお願いします」

 

こうして俺は正式に遠月学園十傑の一員となり

第零席へとなった…

 

 

ーto be continuedー

 

 

 

 

ー キャラ 説明・追加設定等 ー

 

 

〜 遠月学園十傑〜

 

・第一席 司瑛士 (男)

遠月学園高等部の3年生(第90期生) 17歳

心配性で、事あるごとにオロオロしていて

気弱な性格。しかし、料理や学園運営等に関して

では厳しい目を持ち、料理以外でも完璧に

やりきろうとする完璧主義者の一面があり、そして

誰にも自分の料理を手伝わせようとはしない。

八幡に対しては一定の評価をしている。

後は原作通り。

 

 

・第二席 小林竜胆 (女)

遠月学園高等部の3年生(第90期生) 17歳

「希少食材」を取り扱う料理人。

猫のような自由奔放な性格。

八幡には興味を持っている。

後は原作通り。

 

 

・第三席 女木島冬輔 (男)

遠月学園高等部の3年生(第90期生) 17歳

得意料理はラーメンで「ラーメンマスター」

の異名を持つ。口数が少なく他人と関わる事

を嫌う性格である。後は原作通り。

 

 

・第四席 茜ヶ久保もも (女)

遠月学園高等部の3年生(第90期生) 17歳

得意分野は洋菓子やケーキを中心とした

スイーツ作りである。そして遠月学園では、

パティシエと呼ばれている。

八幡には懐ついている。

その理由等は後々のお話で分かる予定。

後は原作通り。

 

 

・第五席 斎藤綜明 (男)

遠月学園高等部の3年生(第90期生) 17歳

得意料理は寿司で、当代きっての「天才寿司職人」

の異名を持つ。 後は原作通り。

 

 

・第六席 紀ノ国寧々 (女)

遠月学園高等部の2年生(第91期生) 16歳

得意料理はそばである。実家は蕎麦屋

「和のエリート」と呼ばれたことも。

八幡のことは遠月OBの四宮の弟子であると

知り、実際に八幡が料理しているところを見て

中学生とは思えない料理センスに心を惹かれて

いて八幡に興味を持っている。

 

 

 

・第七席 一色慧 (男)

遠月学園高等部の2年生(第91期生) 16歳

得意分野は和食で、実家は京都の割烹店。

「超攻撃的和食」と称されている。

八幡と同じ極星寮で畑ももっている。

裸エプロンの格好でいる時もある。

 

 

・第八席 久我照紀 (男)

遠月学園高等部の2年生(第91期生) 16歳

得意分野は中華で辛さに特化した四川料理。

1年には興味はないが、八幡だけは別で実力

も認めている。八幡のことはハッチーと

呼んでいる。後は原作通り。

 

 

・第九席 叡山枝津也 (男)

遠月学園高等部の2年生(第91期生) 16歳

主にフードコンサルティングをしており、

「錬金術士(アルキミスタ)」の異名もある。

もちろん料理の腕もいい。

見た目は不良のため怖がられている。

八幡の料理を見て自分の支配下に入れようとしたが

断られた。そのため、八幡に対してあたりが強い。

後は原作通り。

 

 

・第十席 薙切えりな (女)

遠月学園高等部の1年生(第92期生) 15歳

最年少の十傑メンバーであり、

学園総帥の孫娘である。「神の舌」の異名を持つ。

彼女の下した評価は料理業界全体に

影響を与えるほどのものがある。

そして自分より下の人を見下したり、

不味い料理等は捨てたりなどもしている。

この背景には父の薙切薊の教育方針に基づく

ものだった。八幡はその事実を知り、薊に対しては

強い憤りを感じている。

八幡とは小さい頃からの幼馴染で好意を寄せている。

後は原作通り。

 

 

〜 +α 〜

 

・第零席 比企谷八幡 (男)

遠月学園高等部の1年生(第92期生) 15歳

遠月OBの四宮小次郎の弟子である。

「料理界のプリンス」の異名を持つ。

遠月学園の現十傑のメンバーとは

八幡が中等部の時に会っている。

1人で行動することが多い。

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

今回は遠月十傑との再会シーンでした。
どう現十傑と出会ったかなどの
お話は後々に出てくる予定です。
それと、毎日投稿は中々ハードですね…
毎日投稿をしている人は本当に尊敬します。

それではまた次回もよろしくお願いします。


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第06皿 幸平創真の料理

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ありがとうございます。

それでは今回もよろしくお願いします。


俺は会議室を後にし、校舎内を歩いているのだが…

 

「………」

 

「……」

 

「………」

 

「……」

 

なぜか、えりなも無言で俺の後を一緒に付いてきている…

 

「なぁ…えりな」

 

「なに?八幡くん」

 

「…なんで俺の後、付いてきてんの?」

 

「べ、別にいいでしょ!八幡くんに

付いていくぐらい」

 

「よくない。それにお前は新戸を

待たせてるだろ」

 

「大丈夫よ。さっき連絡して、緋紗子には

自由行動していいって、言ってあるんだから」

 

「そうですか…でも、俺の後を付いてきても

いいことないぞ。なんなら、えりなの気を悪くする

まである」

 

「そうなの?」

 

「ああ、俺は幸平が受けてる授業を

見に行くからな」

 

「なっ⁉︎なんで…幸平くんの授業を見に

行くのよ!」

 

「俺自身、幸平には興味があるからな…

料理の腕とか見ておきたいと思っただけだ」

 

「だから、お前は来ない方がいいと思うぞ」

 

「そうね。じゃあ、私は行くわ。

またね八幡くん」

 

「ああ」

 

「ってか…相当、幸平を嫌ってるんだな…

まぁ、いいや。早く幸平の受けてる

教室に行かないとな…」

 

俺は通りがかった先生などに1年が授業をしてる

教室を教えてもらい、なんとか幸平のいる教室に

着いた。ちょうど今から調理を開始する

ところだった。外から中を見ていると

シャペル先生と目が合った

 

「八幡君じゃないか。どうしたのかね?

この授業は、免除されているはずだが…」

 

シャペル先生がそう言うと、教室内が騒ついた

 

「いえ、ちょっと気になる生徒がいるんで

見に来たんですよ」

 

「珍しい事もあるんだね。八幡君が

他の生徒に興味を持つなんて…」

 

「そうですかね…」

 

「ああ。それと、この授業を見学する

なら私の隣に座って見学するといい」

 

「はい。そうさせてもらいます」

 

そう言って、俺はシャペル先生の隣に座り

幸平の方へ視線を移した。

 

にしてもモブ達、幸平のこと睨みすぎだろ…

幸平は気にしてないみたいだが…

 

「ちょっと、分かんねーから

レシピ見てくるわ」

 

そう幸平が言った後、幸平のペアの女子は

鍋と見ながらブツブツと言った後、

どこかに行ってしまった。おいおい、2人共

離れたらダメだろ…。しかもチャラそうな奴が

幸平の鍋の中に何か入れたし…

 

俺の予想だと、塩かなんかだとは思うが…

 

その後、幸平が持ち場に戻ってきた

 

「ん?田所、鍋のフタ開けたか?」

 

「あ、あけてないよ…。まだ20分は煮込まない

といけないし」

 

「…」ニヤニヤ

 

モブ達は幸平を見て、ニヤニヤしている。

 

「っ…」カパッ

 

幸平はモブ達を見てから、鍋の蓋を開けた

 

「な、何?この白い粉?」

 

「塩だな…」ペロッ

 

「!」

 

シャペル先生も幸平の方をみていた

 

「…な、何で⁉︎」

 

俺の予想通り、やっぱり塩か。

 

ある程度、火が通ってからなら

入れてもいいが、モブがその前に入れたから

肉の表面が締まって固くなる。もちろんこの肉は

ダメだ。作り直しが必要かもな。だが残り時間

は少ない…さて、幸平はどうするかな。

 

「予備の食材、もらってもいいっすか」

 

幸平は予備の食材をもらいにこっちにきた

 

「ほれ、予備の食材」

 

「あれ?比企谷?」

 

「なんで驚いてるんだ?さっきからいたぞ」

 

「いやぁ〜、気がつかんかったわ」

 

「それで、なんで比企谷はこの授業を

受けてないんだ?」

 

「俺は成績上位者だから免除されてるんだよ」

 

「そうなのか…」

 

「ああ。それより、幸平はアクシデントが

あったみたいだが大丈夫か?」

 

「大丈夫だ。なんとかしてみせるさ」

 

「そうか。楽しみにしてるわ」

 

「ああ」

 

そう言って幸平は自分の持ち場に戻っていった。

 

さて、お手並み拝見だな…

 

「田所、予備の食材をもらってきた」

 

「え…」

 

「じゃあ、やろうかね」

 

「え?創真くん…もう間に合いっこねぇべし…」

 

「あの先生は、なかなかいいこと言うね。

俺らは学生である前に料理人なんだよな…

料理は何が何でもだす!田所、手伝え!」

 

「う、うん」

 

その後、幸平達は手際よく肉の下処理、付け合わせ、

味付けなどをテキパキとこなしていった。

 

しかも、肉を短時間で柔らかくする、あるモノも

使っている。幸平は中々の料理スキルを

持っているなと思わず感心してしまった。

 

そして、20分ほどで品を完成させていた

 

「おあがりよ!」

 

そして創真と田所はシャペル先生に品を給仕した

 

「……」ムニュ

 

シャペル先生はあの編入生が作った

ブッフ・ブルギニョンをフォークで

押し付けた

 

「柔らかい…。当てたフォークが弾むようだ…」

 

「「!」」

 

幸平達の鍋に塩を入れたモブも驚いていた

 

「弾力すごいな…」

 

俺もシャペル先生が肉に当てたフォークを見て

そう呟いた

 

「うむ。君たちの組はアクシデントが

あったはずだが。どうやって、早く完成を?」

 

「比企谷は分かるよな?」

 

「ああ。お前らが作ってるとこは見てたからな

肉にハチミツだろ?」

 

「正解。比企谷の言った通りで、煮込む

前の肉に揉み込んで、下味をつけるとき

にも加えてみました」

 

ハチミツにはタンパク質分解酵素プロテアーゼ

が含まれている。それがあの牛バラ肉に作用し

この短時間であの弾力を生み出せたって

ことだ。まぁ、シャペル先生も気づいて

いるようだが…

 

「で、でもどうしてハチミツが使えるって

知ってたの?」

 

「まぁ、食ってみりゃわかるよ。

田所も食べてみな」

 

「そ、それじゃあ…いただきます」パクッ

 

「うむ」パクッ

 

田所とシャペル先生が幸平の作った品を口にした

途端、目がトロンとさせて

 

「美味しい〜」ニコッ

 

「C'est merveilleux(セ・メルヴェイユー)

(素晴らしい)」ニコッ

 

「「先生が……笑った⁉︎」」

 

まさかシャペル先生を笑わせるとは…

 

かなりの逸材だな、幸平…

 

「比企谷は食べないのか?」

 

「ああ、いただくわ」

 

俺も一口食べた。肉がすごい柔らかく

美味かった

 

「…美味いな」

 

「幸平、田所ペア…Aを与えよう。

ただ…Aより上を与える権限を私が持ち合わせて

いない事が残念でならないがね…」

 

「御粗末!」

 

「やった!」

 

こうして、幸平・田所ペアはA評価を出した。

 

一方で幸平・田所ペアの邪魔をしたペアは

幸平・田所ペアの審査を注視したことで、

自分達のソースを焦がし、さらに焦ったのか

肉の入った鍋に塩を容器ごと入れてしまい

E評価となった

 

☆☆☆

 

そして授業も終わり、この教室には俺と

シャペル先生だけとなった。

 

「八幡君が気になる生徒というのは

幸平君だったのか…」

 

「ええ。幸平は始業式の時から興味を

持っていました」

 

「それで、幸平君達が作ったあの料理

を食べてみてどうだったかい?」

 

「そうですね…幸平にはかなりの料理スキル

があると感じました。いずれ、俺が学園トップを

取るにあたって、幸平は立ちはだかる存在で

あることは間違いないですね」

 

「そうか。八幡君も頑張りたまえ」

 

「はい。それと、今日は授業を見学させて

もらって、ありがとうございました」

 

「それくらい、構わないよ」

 

「それでは、また」

 

そう言って、俺は教室を出た

 

「幸平創真…か」

 

そう呟いて、廊下を歩いていると…

 

 

「…八幡⁉︎」

 

俺の前から1人の女子生徒が俺に声をかけてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
今回は幸平・田所ペアの料理がメインでした。

次回もよろしくお願いします。


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第07皿 新戸緋沙子との久しぶりの再会

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ありがとうございます。
今回はあまり話は進みません。
それと活動報告もあるので
見てくれると嬉しいです。

それでは今回もよろしくお願いします。


「おお、新戸か。久しぶりだな…

なんでこんなとこにいるんだ?」

 

「八幡を探していたのだ!」

 

「俺を?なんで?」

 

「八幡に話したいことがあったのだ」

 

「なんだ?」

 

「なんで、中学3年の10月から

急にいなくなったのだ…」

 

「その事か。えりなにも言ったが、

俺はフランスで四宮師匠の店に修行も兼ねて

手伝いをしてたんだ」

 

「そうだったのか…」

 

「なんか…すまんな。お前らに、心配

させちまって」

 

「もう過ぎたことだから私からは何も

言うことはない。だが、今後はこのような事は

しないでほしい。八幡が海外に行った後の、

えりな様のあんな姿はもう見たくないのでな」

 

「は?俺がいなかった時のえりなに

なんかあったのか?」

 

「ああ、八幡がいなくなってからのえりな様

は、かなり寂しそうにしていた。なぜ私に

何も言わずに行ってしまったのかと…

ずっと嘆いていて、食欲も全然なくてな…

私はそんなえりな様が心配で心配でならなかった」

 

「…そんな事があったとはな、今後からは

気をつけるようにするわ」

 

「そうしてくれ。私もえりな様も心配した

んだからな」

 

「あ、ああ。その…なんだ、ありがとな。

俺のこと心配してくれて」

 

「いや、気にすることはない」

 

「それじゃあ、私はえりな様の所に行くから

これで失礼するぞ」

 

「ああ、じゃあな」

 

そう言って、俺と新戸は別れ校舎を出て

極星寮に向かった。

 

そして、その道中

 

「お〜い」

 

ん?この声は幸平か…

誰かを呼んでるみたいだな

俺には関係ないだろう…

俺は気にせず、歩いた

 

「あれ?聞こえないのか?

おーい、比企谷!」

 

すると、耳元で幸平の声がした

 

「うおっ⁉︎」ビクッ

 

「やっと気づいたか。さっきから

比企谷のこと呼んでたんだぞ」

 

「すまん。俺じゃないと思っててな」

 

「どうしてそう思ったんだ?」

 

「俺に声かけてくるやつとかあんまり

いないから、俺じゃないと思ったんだ」

 

「いや、なんかすまん…比企谷」

 

「謝るな。余計に惨めになるから」

 

「まぁ、そんなことより幸平は、

こんな荷物抱えてどこ行くんだ?」

 

「ん?ああ…俺、極星寮に行きたいんだよ。

でもどこにあるか分かんなくてな。だから、

比企谷に声をかけたんだよ」

 

「なるほどな。…それなら俺に付いて

こればいい。俺は極星寮に住んでるからな」

 

「マジか!いやー助かったわ。俺

ここに知り合いがいないから比企谷がいてくれて

良かったわ」

 

俺、初めてそんなこと言われたわ…

 

「ってことは、幸平は極星寮に入寮したい

ってことだよな?」

 

「ああ、そうだ」

 

「そうか…なら、その前にテストがあるから

それに合格しないとな」

 

「寮に入るためのテストなんてあるのか?」

 

「ああ。テストの内容だが寮母のふみ緒さん

に一品作って、それで合否を決めるって感じだな」

 

「なるほどな…」

 

「そう話してる間に、極星寮に着いたな。

後の詳しい話は寮母の人が教えてくれるから

聞くといいぞ」

 

「わかった。それより、なんかここ…

やばそうなとこだな」

 

「外観はな。中はそんな感じじゃないぞ」

 

「そ、そうか」

 

そう言って、俺と幸平は極星寮の中に入った

 

☆☆☆

 

「おや、比企谷じゃないか」

 

「どうも」

 

「それと、お前さんは編入生の

幸平創真だね?」

 

「うっす」

 

「私はここの寮母のふみ緒だ」

 

「知ってます。さっき比企谷に教えて

もらったんで」

 

「じゃあ、話は早いね。極星寮に入る

にあたって一品を作ってもらおう。

食材は持っているだろうね?」

 

「持ってないっすけど…」

 

「じゃあ、不合格だね」

 

「え?」

 

「ふみ緒さん。待ってくれませんか?」

 

「どうしたんだい?」

 

「ふみ緒さん。確か、使い残りの食材が

厨房にありましたよね?」

 

「あるよ」

 

「それで、幸平に一品作ってもらうって

ことじゃダメっすかね?」

 

「それでも構わないよ」

 

「わかりました。幸平もそれでいいか?」

 

「あ、ああ。それと、比企谷ありがとな。

俺の為に交渉してくれて」

 

「気にするな。俺が勝手にしたことだ」

 

「それじゃあ、幸平。厨房についてきな」

そうして幸平の入寮テストが始まるのだった…

 

ーto be continuedー

 

 

ー キャラ 紹介 ー

 

・新戸緋紗子 (女)

遠月学園高等部の1年生。(第92期生) 15歳

えりなの秘書をしている。

八幡とはえりなと同じく小さい時から知っている。

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
新戸の口調が難しい…

それでは次回もよろしくお願いします。


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第08皿 極星寮の歓迎会

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ありがとうございます。
お気に入りが500件を突破しました。
本当にありがとうございます。
活動報告の方もあるのでそちらも
見てくれると嬉しいです。

それでは、今回もよろしくお願いします。


俺は幸平を厨房まで見送った後

風呂を済ませ、自分の部屋に戻り

 

「まぁ、幸平はテストには

合格できるだろう…」

 

そう呟き、ベッドに横になった。

 

にしても、こんな形で

また幸平と一緒になるとはな…

そんなことを考えていると一色先輩が

屋根裏から顔を覗かせていた

 

「やぁ!八幡君。さっきぶりだね」ガコッ

 

「どうも、一色先輩。それより

屋根裏から声をかけないでくださいよ。

びっくりするじゃないですか」

 

「ごめんね。でも、これが僕のスタイル

なんだ。それより、これから寮生のみんなで

歓迎会をやるんだけど八幡君も

参加しないかい?」

 

「えー…」

 

「嫌かい?」

 

「い、嫌とかではないんですけど…」

 

「それじゃあ、是非参加してほしい。

八幡君にも早く、極星寮に馴染んでほしいからね」

 

「わかりました。参加します」

 

「じゃあ、あとで205号室に来てね。

僕は他の人達も誘ってくるから」

 

そう言って、一色先輩は去っていった

 

「馴染んでほしい…ね。馴れ合い

だけは勘弁だけどな」

 

俺はそう呟きつつ、205号室に向かった

 

 

☆☆☆

 

「失礼します」ガチャ

 

そして俺は205号室に入った

 

「お、来たね。八幡君」

 

「はい」

 

「これで全員かな…。なんか少ない

気がするけど、まぁいいか」

 

「それじゃ、新しく入った子もいるから

1人ずつ自己紹介しようか。まずは丸井君

からお願いね」

 

「えー、僕は1年の丸井善二だ。

これからよろしく」

 

「俺もこのメガネと同じで1年の

伊武崎駿だ。よろしく」

 

「俺は1年の青木大吾だ。よろしくな」

 

「俺も1年で、名前は佐藤昭二だ。

これからよろしくな」

 

「次は私ね!私の名前は吉野悠姫。

気軽に名前で呼んでくれていいからね」

 

「誰も呼んでくれないと思うけどな」

 

「ああ、そうだな」

 

「あんた達は黙ってなさい!」

 

「まぁまぁ落ち着いて。悠姫…次は私ね。

私の名前は榊涼子。貴方達と同じ1年生

だから、これからもよろしくね」

 

「幸平くんと比企谷くんは知ってると

思うけど1年の田所恵です。これからよろしくね」

 

「じゃあ、次は俺だな。俺も1年で

幸平創真だ。よろしくな」

 

「次は俺か…俺の名前は比企谷八幡だ。

幸平と同じで1年だ。これからよろしく頼む」

 

「最後に僕だね…2年の一色だ。

「一色先輩」って呼んでくれ」

 

「ようこそ、極星寮へ。幸平創真くん、

比企谷八幡くん。歓迎するよ!」

 

「うす」

 

「どうも」

 

「それじゃあ、乾杯しよう。各自、

手に飲み物を!」

 

「はい。幸平くん」

 

「どうも」

 

「比企谷くんもどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

俺も榊からジュースを受け取った

 

「みんな、飲み物は持ったね!

それじゃあ、乾杯!」

 

「「「乾杯!!」」」

 

そう言って皆はワイワイ騒ぎ始めた。

やっぱ、俺にはこのノリにはついていけないわ

俺はそう思い、1人隅にいた

 

「ふぅ…」

 

「大丈夫?比企谷くん?」

 

俺が1人でいると、榊が俺に声をかけてきた

 

「ん?ああ、大丈夫だ。ちょっとこのノリに

ついていけなくてな」

 

「比企谷くんはこういうのは初めてなの?」

 

「あ、ああ。同学年の友達とかあんまりいない

から、こういうのに誘われたことがないんだよ」

 

「そうなんだ…」

 

「俺のことはいいとして、榊はあっちの

輪に入らないのか?」

 

「え?」

 

「別に俺が1人だからって気にかけなくても

いいぞ。俺は1人でも大丈夫だからな。

だから榊は、みんなのところにいったらどうだ?」

 

「別に気にかけるとか、そんなつもり

じゃなかったんだけどね。ただ…」

 

「ただ…なんだ?」

 

「ただね…私は比企谷くんに

興味があるだけだよ?」

 

「はっ?…それはどういう意味だ?」

 

「比企谷くんって「料理界のプリンス」って

呼ばれてるでしょ?」

「ま、まぁ…そうだな」

 

「それでね。どんな人かなぁ…とか、

いろいろ知りたいことがあったから

声をかけただけなんだよ」

 

「なるほど。それで知りたいことって、なんだ?」

 

「それはね…」

 

そう言って榊は俺にどうやったら料理が上達

するかや、なんで俺が料理人を目指したなど

とか、彼女はいるのかなどいろいろ聞いてきた。

 

俺は、いい料理人から技を盗んだりとか

先輩とかに教わったりしたらどうかと助言した。

それと、俺が料理人を目指したきっかけの質問は

親の影響で料理を始めたと言った。

 

彼女はいるかという質問はいないと答えた。

 

なぜか俺がそう答えたら、榊はホッと安心していた。

 

理由はわからないが…

 

「とりあえず、これぐらいでいいか?」

 

「うん、ありがとね。いろいろ教えてくれて」

 

「これぐらい大丈夫だ。またなんかあったら

言ってくれ。答えれる範囲で答えるから」

 

「うん」

 

そう言って榊は幸平や吉野、田所達の方に行った。

 

俺はというと…丸井や伊武崎、佐藤、青木に

捕まり、師匠の四宮先輩について聞かれ、

その後も俺自身のことや、榊と何を話していた

のか、などいっぱい質問攻めにあった。

 

正直疲れた…

 

「おー、比企谷お疲れだな」

 

「まぁ、いろいろ質問攻めにあったからな」

 

「それより、幸平はまだ元気そうだな」

 

「まぁな。こういうのは楽しいからな」

 

「そうか…」

 

その後も、それぞれ自分の得意料理を振る舞い

ワイワイ騒ぎ、そして皆疲れたのか床で寝ていた。

 

そして今、起きてるのは俺と幸平、一色先輩

だけだった。

 

「改めて、歓迎するよ。創真君、八幡君。

今後ともよろしくね」

 

「こちらこそ、よろしくっすわ」

 

「ええ。こちらこそ」

 

「それより料理が、もうないね。

僕が何か作ってあげよう」

 

「マジっすか。あざっす」

 

「お願いします」

 

そして、一色先輩は厨房に向かった。

 

「さぁ、できたよ。召し上がれ」

 

「鰆っすね。じゃあ…いただきます」パクッ

 

「いただきます」パクッ

 

「う、美味い!」

 

「やっぱり、一色先輩の料理は美味しいですね」

 

さすが、一色先輩だ。鰆を食べただけで

春を感じる美味しさだった。

 

さすがは、十傑といったところだ…

 

「そういえば、2人とも始業式で

遠月の頂点を目指すって言ったよね」

 

「そうっすね」

 

「そうですね」

 

「八幡君は知ってると思うけど、そんなに

遠月の頂点は甘くはない…。必ず、壁にぶつかる。

僕も、その壁の1人で遠月十傑なんだよ」

 

「一色先輩が十傑だと…」

 

「そうだよ。だから次は創真くんの

料理を食べてみたいな。君はどんな品を

作ってくれるかい?」

 

一色先輩が幸平に勝負を吹っかけたたな…

 

幸平はどうするかだな…

 

「後、八幡君も久しぶりに作って

くれないかい」

 

「俺もですか?」

 

「そうだよ。君も半年間、フランスで

修行していただろう?だからその成果を

ここで披露してくれないかい?」

 

「…わかりました。作りましょう」

 

「創真君はどうするかい?」

 

「俺も作ります。俺の実力を見せてあげますよ」

 

「それじゃあ、八幡君と創真君の作る料理を

楽しみにしているよ」

 

こうして俺と幸平は料理を作ることになった…

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

ー キャラ 設定 ー

 

 

・丸井善二 (男) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮205号室

ゼミでは「味の物知り博士」と呼ばれている。

後は原作通り

 

 

・伊武崎駿 (男) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮208号室

燻製料理を得意としている。

後は原作通り。

 

 

・青木大吾 (男) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮107号室

後は原作通り。

 

 

・佐藤昭二 (男) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮211号室

後は原作通り。

 

 

・田所恵 (女) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮302号室

中学時代は学内評価は低かったが創真達の

影響で快進撃をみせる。後は原作通り。

 

 

・吉野悠姫 (女) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮116号室

ジビエ料理を得意としている。極星寮の

ムードメイカー的存在。後は原作通り。

 

 

・榊涼子 (女) 15歳

遠月学園高等部1年生。極星寮112号室

発酵食品を使った料理を得意としている。

中学時代、八幡には遠月OBの四宮先輩の

弟子ということで興味があった。

後は原作通り。

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。


それでは、次回もよろしくお願いします。


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第09皿 春を感じる料理

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ありがとうございます。

それでは今回もよろしくお願いします。


「比企谷は何作るか決めたのか?」

 

「鰆のパネを作ろうと思う。

幸平は何にするか、決まったのか?」

 

「ああ、鰆おにぎり茶漬けを作る予定だよ」

 

「それって、アレンジとか加えるのか?」

 

「まぁ、それなりにな…」

 

「それじゃあ早速、作るか」

 

そう言って、俺と幸平は調理を開始した。

 

☆☆☆

 

俺が作る鰆のパネだが、用意するのは

鰆と薄力粉、卵やパン粉だ。

 

そして、鰆に添えるソースは

フランスでよく使われるスパイスを入れた

マスタードソースを使っていこうと思う。

 

用意ができたところで早速、作っていこうと思う。

 

まず、鰆に塩・胡椒をかけて味をつける。そこに

薄力粉をまぶし、卵に絡め、最後にパン粉を付けて

おく。そして次にソース作りだが、

マスタードソースの方は、ハマグリの貝の出汁を

半分の量まで煮詰めて、そこに生クリームを加えて、

さらに2種類のマスタードを加えて混ぜ、

そして最後にフランス産のミックススパイスを

入れてよく混ぜる。ちなみにそのスパイスは

俺がフランスに行った時に四宮先輩から

もらったものだ。これで鰆に添えるソースは完成した。

 

そして次に、熱したフライパンにオリーブオイルを

ひき、味付けをしていた鰆をフライパンに乗せ

両面を焼いていく。そしていい具合に焼けたら、

皿に鰆を乗せ食べやすいようにカットし、

作っておいたソースを添えたら完成となる。

 

「よしできた…。幸平、俺は先に一色先輩に

できた料理を持ってくから」

 

「わかった。俺ももうすぐできるから、

すぐ行くわ」

 

「おう」

 

そして俺は、一色先輩の待つ205号室に向かった

 

「一色先輩、料理できました」

 

「お、最初は八幡君の料理か。楽しみだね」

 

「わー!いい香り」

 

「ほんとね」

 

「あれ、吉野と榊って起きてたっけ?」

 

「2人はさっき起きたとこさ」

 

「そうでしたか。それでは冷めないうちに

俺の作った「鰆のパネ」を食べてください」

 

「では早速、頂こうか」

 

「比企谷!私も食べていい?」

 

「八幡くん。私も食べていいかしら?」

 

「ええ。どうぞ」

 

「「「いただきます!!!」」」パクッ

 

そう言って、3人は鰆のパネを食べた

 

「すごく、おいしい!」

 

「ほんとね。ソースと鰆がすごく

マッチしているわ。本当においしい!」

 

そう言って吉野と榊は、笑顔で食べていた…

 

「このソースはマスタードとカレースパイス

がきいているね。でもこのスパイスは日本のもの

じゃないね」

 

「さすがは一色先輩ですね、正解です。

このスパイスはフランス産のを使用しています」

 

「にしても美味しいね。さすがは八幡君だね」

 

「ほんと、さすがは料理界のプリンスね」

 

「吉野、その名で呼ぶのはやめてくれ」

 

「やっぱり、八幡くんは凄いわね。

すごく美味しかったわ」

 

「そう言ってもらえると嬉しいです」

 

「後は幸平君の料理だね」

 

「おまたせしました。俺の料理は

「鰆おにぎり茶漬け」です。一応、多めに4人分

作っておきました。本当は鮭で作るんですが

今回は鰆バージョンです。冷めないうちに

おあがりよ!」

 

見た目は普通で、いかにも定食屋で

出される感じだった…

 

「それじゃあ、食べようか」

 

「「「「いただきます」」」」パクッ

 

「ん〜!幸平君の料理もうまい!」

 

「普通に美味いな…」

 

「鰆の身がジューシーで、皮もザクザク

してて、噛むたびに美味くなる」

 

「この歯ごたえは炙っただけでは出ないわね。

いったいどうやって…」

 

八幡 「これは…ポワレで焼いてるな」

 

俺は榊の問いにそう答えた

 

「「「ポワレ!!!」」」

吉野と榊、何故か幸平までも驚いている。

 

「なんで、幸平が驚いてるのよ!」

 

「いや、俺もポワレの意味が分からなくてな」

 

「はぁ⁉︎」

 

「八幡くん、ポワレについて教えて

くれないかしら?」

 

「ああ…。ポワレってのはな、簡単に言うと

フランス料理における素材の焼き方の1つで、

均一に焼き色をつける技法のことだ」

 

「なるほどね…ありがとう八幡くん」

 

「幸平君はなぜ、このフランスの技法を

知っているんだい?」

 

「それは、うちの親父に習ったからっす。

魚をパリッと仕上げるには持ってこいってね!」

 

「なるほど…それにしても、この茶漬けは

美味い!」

 

そして吉野と榊も全て食べきり、はだけていた。

一色先輩も…

 

「めばえ…」

 

当然ながら、はだけていた。

 

俺ははだける一歩手前だった。

 

にしても美味かった。フランス料理の技法を

使った茶漬けなんて、今まで食べたことがない。

 

やっぱり、幸平は興味深いな…

 

「2人とも、すごい料理をありがとう。

美しい…雪解けだったよ」

 

「一色先輩の料理も清々しい春風を

感じましたよ」

 

「そうですね。一色先輩の料理も

美味しかったです」

 

そう言って俺達3人は固い握手を交わした。

 

その後、丸井以外は起きて各自で自分の部屋に

戻っていった。

 

そしてこの部屋には寝ている丸井を含めて

俺と幸平、一色先輩の4人だけとなった…

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
八幡の作った品はフランス料理にしました。
それより、料理描写が難しい…。
大目に見てくると助かります。
それと、活動報告もあるので見てくれると
嬉しいです。


それでは次回もよろしくお願いします。


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第10皿 食戟について

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ありがとうございます。
今回は食戟についての説明回で
多少原作改変をしています。

それでは今回もよろしくお願いします。


「さて、歓迎会で君達は晴れて極星寮の

一員となったわけだけど、分からないこととか

があれば質問してほしい」

 

「俺は特に無いですね…」

 

「幸平君は何かあるかい?」

 

「そうっすね。…十傑ってどうやったら

入れますかね?一色先輩」

 

「そうか。幸平君はこの学園の頂点を

取るんだったね」

 

「はい。だから今、一色先輩を倒したら

俺が十傑に入れるって事ですよね?」

 

「その話についてだけど明日でいいかな?

今日はもう遅いからね」

 

「は、はぁ…」

 

「じゃあ、自分の部屋に戻ろうか」

 

その後、俺と幸平は部屋を出て

自分の部屋に戻った

 

☆☆☆

 

翌日の早朝、俺は極星寮のみんなの

朝飯を作るために食堂で支度をしていると

 

「あれ?比企谷?」

 

幸平が声をかけてきた

 

「幸平か。こんな朝早くにどうしたんだ?」

 

「いや、昨日の十傑の話の続きを聞こうと

思ってな…。だから早く起きて、ここで

一色先輩が来るのを待とうと思ってな」

 

「なるほどな」

 

「それより比企谷は、何してんだ?」

 

「ああ。俺は、全員分の朝飯を作ろうと

してたとこだ」

 

「なんで?」

 

「寮に入るためのテストを免除した代わりに

朝飯を作る約束をふみ緒さんにしたからだ」

 

「なるほどな…」

 

「じゃあ、俺は朝飯を作りに行くわ」

 

そう言い、俺は厨房に入って調理を始め、

幸平は食堂で一色先輩が来るのを待った。

 

 

☆☆☆

 

そして、みんなが起きてきて

極星寮の全員で俺が作った朝飯を食べている。

俺は厨房である程度片付けをした後、

遅れて食堂に入って朝食を取りはじめる。

その際、一色先輩は俺が朝飯を作っているときに

幸平と会話していたであろう十傑関係の話の補足

説明をしているとこだった

 

「それで、さっき幸平君が言っていた

遠月学園の勝負についての説明を改めてしようか」

 

「はい」

 

「もともと、この勝負の仕組みだけど学生の

揉め事を解決するために制定されていて、そこには

いくつかの決め事があるんだ」

 

「創真君が僕の十傑の座を欲して勝負を

挑むなら、それに見合う対価を創真君も

差し出さないといけない」

 

「対価…」

 

「そう。僕の十傑の座に釣り合う条件とも

なると創真君の退学を賭けても足りないね」

 

「マジ⁉︎」

 

「そう!十傑にはそれだけの価値がある。

かつてはこの寮からも毎年、何人もの十傑を

輩出したもんさ。まさしく極星の黄金時代…

それに比べて、あんた達の情けない事!」

 

ふみ緒さんは強い口調で、そう言った

 

「それは、聞き飽きたっての!」

 

「1人は居るんだから我慢してくれよ。

ふみ緒さん」

 

「青木君。それは、違うよ」

 

「一色先輩、それって…」

 

「そう…「料理界のプリンス」こと八幡君が

十傑に新たに加わることになったんだよ」

 

一色先輩がそう言うと、みんな驚いていた

 

「それ、本当か?比企谷」

 

幸平は俺にそう聞いてきた

 

「あ、ああ…」

 

「一色先輩…でも十傑って、すでに選任済み

ではないんですか?」

 

榊は十傑についての疑問を一色先輩に聞いていた

 

「ああ、その点は問題ないよ。司くんの

発案で八幡君を遠月学園十傑、第零席として十傑の

全会一致で加わる事になったんだ」

 

「そうだったんですか…」

 

「まぁ、この話は後にして、勝負についての話を

再開しよう」

 

「もし、僕が幸平君の勝負を了承すれば対戦は

可能だが、もちろん僕は君が学園を去るのは望まない。

だからこの勝負は成り立たないというわけさ」

 

「マジかー」

 

「それに、これは好き勝手には出来るものでは

なくてね。勝負に必要なのは3つあるんだ」

 

「それは、正式な勝負である事を証明する認定員

と数奇名の判定者、そして対戦者両名の勝負条件に

関する合意。このことを踏まえた上で成立するもの

なんだよ。そして、この料理勝負のことを食戟と呼ぶ」

 

「食戟…」

 

「そう。でも、まぁ…かなりの頻度で食戟が

行われるから一度見てみるといい」

 

「わかりました」

 

「それじゃあ、説明も終わったことだから

残りの朝食を頂こう」

 

朝食を取ったあと、みんなは俺が十傑に入った

いきさつなどを説明するように言ったので

俺は説明した。かなり疲れた…

 

俺が説明した後は、みんなは羨ましがっていたが

俺はあまり嬉しくはない。絶対、叡山先輩などに

雑用とか色々な事をやらされるのが目に見えてるしな…

 

俺は、そんなことを考えつつ朝食で使った皿などを

片付けて、学校へ行く準備をした

 

 

 

ーto be continuedー

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
引き続き、活動報告もありますので
見てくれると助かります。

ゆっくりと話を進めていきますので
次回もよろしくお願いします。


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第11皿 丼研究会への来訪者

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ありがとうございます。
おかげさまで、UAが5万を突破しました。
皆さん、本当にありがとうございます。


それでは、今回もよろしくお願いします。


俺は幸平と田所とで学園に向かっている。

 

なぜかというと…最初、俺は1人で行く予定

だったが幸平に一緒に行こうと言われたからだ

俺は久しぶりに、誰かと一緒に登校することに

なった…いや、待てよ…初めてかもしれないな、

誰かと一緒に登校なんて…これ以上考えるのは

やめるか。悲しくなるし。そんなことを俺が

考えていると…

 

「あーあ、薙切にも勝負吹っかけた

かったのにな」

 

幸平がそう呟いていた

 

「そんなの無茶だよ。創真くん」

 

「やってみないと分かんないだろ。

比企谷もそう思うよな?」

 

「いや、幸平でもえりなに今時点で

勝つのは厳しいんじゃないか?」

 

「マジかー。それより、比企谷は

薙切のこと下の名前で呼んでんだな」

 

「まぁ、あいつとは幼馴染だからな」

 

「へぇー。八幡くんは薙切さんと幼馴染

なんだね」

 

「でも、あいつが幼馴染だと大変じゃないか?」

 

「ああ、大変だよ。小さい時にえりなと

料理対決したときなんて、いつも俺が勝って

機嫌悪くして宥めるのに凄く時間がかかってな…」

 

「想像できるわ…その光景」

 

「八幡くんは今でも、薙切さんとの

仲はいい方なの?」

 

「どうだろうな。うまくはやれてるとは

思う…ん?」

 

「どうした比企谷?」

 

「いや、ちょっと掲示板が目に入ってな」

 

「ほぉー。どれどれ…研究会?」

 

「うん。テーマごとに料理を研究する会が

遠月にはいっぱいあるの」

 

「放課後に、みんなで新メニューを

考えたりとかしたりするから、普通の学校の

部活動的な感じかも。ちなみに私は郷土料理研究会

に入ってるんだー」

 

そう、田所が説明してくれた。

 

「へぇー。比企谷は何か入ってんのか?」

 

「誘われたりとかはするが断ってる。

俺は1人でいるのが好きだからな」

 

「比企谷はそんな感じだよな」

 

「幸平は興味ある研究会は見つかったか?」

 

「ああ。丼研究会に少し興味がある。

比企谷も一緒に来てくれないか?」

 

「まぁ…いいぞ」

 

「よっしゃ。田所も一緒に行くぞ!」

 

「私も⁉︎」

 

こうして俺達は丼研究会に向かうことになった

 

 

☆☆☆

 

 

「誰かいますか〜」ガチャ

 

そう言って、幸平が部室のドアを開ける

 

「…」

 

すると、1人で椅子に座ってる人がいた。

 

なんかあのボクシングアニメのラストシーン

みたく燃え尽きていた。

 

「悪いが、帰りな…もうじき丼研は

潰される運命だからよ…」

 

「ええ…」

 

「マジか…」

 

幸平と俺は思わず、そう呟く。

 

ってか、こんな事する奴はあいつだけだな…

 

どうしたもんかね…

 

 

☆☆☆

 

「幸平と田所と比企谷っていったか…

俺が、ここの主将張ってる2年の小西だ。

それより比企谷って、あの料理界のプリンスだろ?

なんで、こんなところに来たんだ?」

 

「俺はここにいる幸平に付いてきただけです。

それより、何があったんです?」

 

俺がそう言うと

 

「そうっすね。なんで潰されるのか理由を

教えてもらっていいっすかね?気になるんで」

 

幸平が俺の意見に同調し、潰される理由を

小西先輩に聞いた

 

「あ、ああ。それはな…この丼研はあまり実績

などを残せなくてな、それに目をつけた薙切がここを

自分の調理場にするため手下を差し向けて、うちと

食戟をすることになったんだ。そして、勝ったら丼研

は存続で負けたらここの部室は譲ることになってな。

それで、その話を部員達に話したら全員逃げ出し

ちまったんだ…」シュン

 

「この先輩、人望ないな…」

 

「あ、ああ…そうだな。幸平」

 

「それより薙切はやりたい放題やってんな」

 

「ああ、あいつは気に入らないのは徹底的に

潰そうとするからな…俺でも手に負えないんだよ」

 

「そうか。それで、対戦相手の薙切の手下って

のはどんな人なんだ?比企谷は分かるか?」

 

「俺は知らんな。小西先輩は知ってますか?」

 

「それは…」ガラッ

 

小西先輩が何か言おうとしたとき、

部室のドアが開けられ

 

作業員達 「…」ゾロゾロ

 

作業員達が入ってきた。

その後に遠月の生徒らしき1人の女子がいた。

 

「っ!」

 

「やはり、改装するより完全に崩して

建て直す方が早いかと…」

 

「そ?じゃあソレでよろしく」

 

その女子生徒は作業員と改装うんぬんの

話をしていた

 

「な、なんのつもりだよ…水戸!」

 

小西先輩は水戸とかいう人にそう言った。

 

「何って…早めの下見に来たんだよ。

結果はもう見えたんだしさ…」

 

そう言って、水戸という奴は小西先輩の

ところへ近づき、バンと壁ドンをして小声で

小西先輩に何か言っていた

 

「…」ガクガク

 

小西先輩は、終始ビビっていた…

 

そして水戸って女は話が終わったのか小西先輩

から離れた

 

「ケッ…根性無ぇ男だな。そんなんだから

部員も逃げてくんだよ」

 

「肉魅が…」ザッ

 

小西先輩がそうあだ名みたいな言葉を呟いた途端、

包丁で小西先輩の髪を切った

 

「おおおお⁉︎」

 

小西先輩は切られた髪をみて叫んでいた

 

「おい!もしもう一度、言ったらバラすぞ!」

 

「まさか…あの人が相手の人なのかな?」

 

「そうだと思うが、誰だあいつは?比企谷は

知ってるか?」

 

「俺は知らん。興味ないしな…田所は

あの人の事、知ってるか?」

 

「うん。水戸郁魅さんって言ってね…

「ミートマスター」の異名を持つ料理人で

中等部の成績も上位で、特に肉関係の授業は

A評価を常にとっている凄腕の人なんだよ」

 

「なるほど…」

「ふーん。ミートマスターねぇ」

 

「なぁ!お前ら悪いけど、下見の邪魔だから

出てってくんない?1時間ぐらいしたら帰って

きていいからさ」

 

「なっ!し、勝負はまだついてねーだろ!」

 

小西先輩は水戸にそう言うが

 

「もうついてるんだよ。えりな様も

言ってたよ…「丼」なんていくらこだわっても、

B級グルメでしかない低俗な品は遠月には

必要ないってね…」

 

「あんたがどんな品を作ろうとしても

あたしが使う超高級肉には勝てねぇんだからな!」

 

「それは違うな…」

 

俺は水戸のその考えに反論した。

 

「なんだと?ってか、お前は誰だ?」

 

水戸は俺のことは知らないのか、そう言った

 

「俺は比企谷八幡だ」

 

「比企谷だと⁉︎あの、料理界のプリンスか!」

 

「ああ、そうだ」

 

「それで、さっきの違うとはどういう事だ」

 

水戸は俺の発言に納得していなく、

そう聞いていた

 

「超高級肉を使ったからといって、必ずしも

勝てるとは言えないってことだ。幸平も

そう思うだろ?」

 

「ああ…比企谷の言う通りだ。食材の値段だけ

で喜んでちゃ、料理人の名折れだと思うぜ」

 

「…あ、そうだ。先輩…この食戟

俺に任せてくんねーかな?」

 

幸平はそう言って、食戟を代わりにやると

申し出た

 

「今度は誰だ…ってあんたは始業式の時の

編入生か⁉︎」

 

「…あんたとは話してみたかったんだ。

他人の食戟にしゃしゃり出ようとするなんて

随分と腕に自信があるんだね」

 

「まぁな。なんなら、そっちの土俵でもある

肉料理対決でもいいぜ。俺、勝つし」

 

「それじゃあ…あたしが勝ったら、あんたは

遠月から出て行くか?」

 

水戸は幸平に近づき、そう言った

 

「あ、ああ。いいぜ」

 

幸平はその案に乗った

 

「えっ⁉︎」

 

田所は驚いていた

 

「幸平…大きくでたな」

 

「本気で言ってんのか⁉︎編入生」

 

「当たり前だろ。それじゃあ、俺が勝ったら、

お前は丼研に入ってもらうわ」

 

「はぁ?」

 

「「⁉︎」」

 

そう幸平が提案すると水戸、小西先輩、

田所は驚いていた。

 

「お前には丼研に入って丼文化の発展に

貢献しろ。迷惑かけた詫びってことでな」

 

「本気で、あたしに勝つつもりかよ…編入生」

 

「わかった。…業者の皆さん、今日は撤収‼︎」

 

「了解です」

 

そう言って、作業員は教室を出ていった

 

「それじゃあ、あんた達にお題を決めさせて

やるよ」

 

「随分な余裕だな。水戸」

 

「当たり前だ。こっちは勝つからな」

 

「それで、幸平…お題はどうすんだ?」

 

「そうだな…比企谷が決めてくれ」

 

「いいのか?俺が決めても」

 

「ああ、構わない」

 

「わかった。メイン食材は「牛肉」で

作る品目としては「丼」でいこうと思う。

幸平と水戸はそれでいいな?」

 

「問題ないぜ」

 

「当然だ。それじゃあ、開戦は予定通り

3日後だ。じゃあな」

 

そう言って、水戸は部室から出ていった

 

「幸平、比企谷…どうして助太刀を?」

 

小西先輩は、そう俺達に聞いていた

 

「あいつの態度も気に入らんが

それに、高い肉が全てってのは定食屋の倅として

聞き捨てならんしな。そう思うだろ?比企谷」

 

「ああ、料理ってのは食材も大事だが

何より料理する側の人間の方が大事だ。

それによって料理の質も変わる。それに、この

場所は潰すにはもったいない。丼研のレシピを

見させてもらったが、ここにはまだ何か可能性

を秘めたものがあるしな」

 

「それで幸平、どうする?勝算はあるのか?」

 

「そ、そうだよ幸平くん。水戸さんに勝てるの?」

 

「今から考える」

 

「やっぱり、そうなるんだね」

 

「本当に大丈夫なのか?比企谷」

 

「まぁ…幸平なら、やってくれると思いますし

俺も勝てるように力を貸すので大丈夫ですよ。

小西先輩」

 

「ありがとな。比企谷、幸平…」

 

こうして、俺達は3日後の食戟に向けて

準備をするのだった…

 

 

 

ーto be continuedー

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
引き続き、活動報告もあるので
見てくれると嬉しいです。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第12皿 対決前夜

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ありがとうございます。

それでは今回もよろしくお願いします。


「それで、肉魅は肉…牛肉の

スペシャリストだ。それを覚えていてほしい」

 

小西先輩がそう言うと

 

「そうにはみえないんだかなぁ」

 

幸平はそう答える。俺も同意見だ。

 

でも、その前にやるべきことがある。

 

「幸平…それは置いといて、どの丼に

するかを決めないとな…」

 

「ああ…とりあえず、色々試作して

みるわ。それで先輩、過去のレシピとか

ありますか?参考にしたいんで…」

 

「あ、ああ…わかった。すぐに

用意しよう。幸平」

 

「それと、丼研の部費っていくらあります?

それで何品ぐらいの試作ができるか知りたいんで」

 

「それが…あんまりないんだよ。千円あるか

ないかで…」汗ダラ

 

幸平がそう言うと、小西先輩はこう答えた。

 

金がないのは、少々まずいな

 

「マジか…」

 

「どうするの?」

 

幸平と田所もお金がないと知ると

困った表情になった。

 

まぁ、ここは俺が一肌脱ぐことにするか…

 

八幡 「お金なら俺が出すわ。貯金なら沢山あるし…」

 

俺はそう提案した。

 

「比企谷、いいのか?」

 

「ああ。お金には余裕があるからな」

 

「よし、これでお金の心配もいらないな…

それじゃあ、早速始めるか!」

 

そして、俺達は田所と小西先輩が持ってきた過去の

丼研レシピ本を参考に試作を試みた。

 

しかし、中々いいものは出来なかった

ビフカツ丼はコクは深まったが、小西先輩曰く

インパクトや脂が足りないとのことで没、その指摘

を受け、すき焼き丼も作ったが上品な旨味が出せず

これもまた没となり、その後も食戟の前日まで

試作を試みたがいいのが出来なかった…

 

いわゆる、八方塞がりというやつだ

 

「幸平は少し休憩した方がいい。あれから

ずっと試作を作ってばっかだったろ」

 

「そうだが…もう時間が…」

 

「根を詰め込み過ぎも良くないからとにかく

幸平は休め。食戟まで体力が持たないぞ」

 

「わかった。少し休むわ」

 

俺がそう言うと、幸平は奥で休みにいった

 

「そうしろ。俺は少し試したいものがあるから

続けるわ」

 

そして俺は丼研のレシピにあった和風ステーキ丼の

メニューを参考に俺なりのアレンジでシャリアピン

ステーキを作った。

 

このステーキの発祥は日本で1936年に来日した

オペラ歌手、フョードル・シャリアピンの柔らかい

ステーキが食べたいということからだ。

 

「よし。こんなもんだな…」

 

なんとか、試作のシャリアピンステーキが

完成した。

 

「ん〜。いい匂い」

 

その匂いにつられ、田所はそう呟く。

 

「試作ができたから、3人とも食べてくれ。

シャリアピンステーキ丼だ!」

 

「「「いただきます!」」」

 

そして、3人は俺の作った試作品を食べた。

 

「お肉がふわふわしてて美味しい〜!」

 

田所はとろけた顔でそういい

 

「美味い!これが比企谷の料理か!

格が違うな」ガツガツ

 

小西先輩は勢いよく、食べていて

 

「美味い。これが、比企谷の作った

肉料理か…」パクパク

 

幸平も美味しそうに食べた。

 

「それで、この料理を幸平お得意のアレンジを

加えればもっといい品になると思うんだが…」

 

俺は、そう幸平にいった

 

「あのシャペル先生の授業の時のハチミツだね!」

 

「ああ、あれか…」ブツブツ

 

幸平はシャペル先生の授業を思い出したのか

ブツブツと何か言っていた。

 

「確かに美味いが、これで肉魅の

出す、A5の肉に勝てるのか?」

 

小西先輩は不安なのか、そう呟いていた

 

「大丈夫っすよ。相手が高い肉を

出してこようが関係ないんで。俺が勝ちます」

 

「ってことは…幸平は、この料理に何かしら

のアレンジ方法を見つけたのか?」

 

「ああ、比企谷の料理にひと手間加えれば

あいつに勝てる秘策を思いついた」

 

「そうか…それは楽しみだ」

 

「楽しみにしててくれよ。比企谷」

 

こうして俺が作ったシャリアピンステーキに

幸平がアレンジという形で出すことが決定し

明日の食戟に備えるのだった…

 

 

ーto be continuedー

 

 

〜 おまけというか別side 〜

 

食戟の前日にて

 

〜 えりな side 〜

 

私は今、明日の食戟の最終確認をしています。

 

「私が明日の食戟に使う肉は黒毛和牛の

フィレ肉…当然等級はA5を使用します。

しかも、その肉はA5を超えたA5に仕上げました。

なので簡単に丼研と幸平を潰しますよ。えりな様」

 

彼女からそう説明を受けた。

 

幸平くんが退学するのは時間の問題ね…

 

「ふふっ。期待しています」

 

「えりな様。それともう一つ報告があります」

 

「何かしら?」

 

「幸平の他にもう1人男がいました」

 

「その男の名は?」

 

「比企谷八幡という男です」

 

「なっ⁉︎」

 

私は、八幡くんの名前が出た瞬間

驚いてしまった

 

「…?その男がどうかされましたか?えりな様」

 

「な、なんでもないわ。報告をありがとう。

もう帰っていいわよ」

 

「わかりました。それでは失礼します」ガチャ

 

そう言って、私は水戸さんを帰らせた。

 

それよりもなんで、八幡くんがあの男につくのよ。

 

そんなに彼がいいの?

 

私だけを見ててよ、八幡くん。

 

これは、何がなんでも幸平くんを追い出さないと

いけないわね…。そうしないと、私の大好きな

幼馴染の八幡くんがあの男に取られてしまう。

 

そんなのは、絶対にダメ!それを防ぐ為にも

明日の食戟は何がなんでも、水戸さん

には勝ってもらわないとね。それと、私に全然

構ってくれない八幡くんには明日、きちんと

オハナシしないとね。…ふふっ。

 

〜 side out 〜

 

〜 明日の食戟に続く 〜

 

 

ー 次回予告 ー

 

田所 「次回予告のコーナーだよ!」

 

幸平 「よっ、待ってました!」

 

八幡 「これ、いるの?」

 

田所 「もちろん!それでは次回予告!」

 

幸平 「ついに俺の初めての食戟!

対戦相手はミートマスターこと肉魅ちゃんだ!」

 

水戸 「肉魅って言うな!」

 

幸平 「それじゃあ、次回も見てくれよな!」

 

仙左衛門 「…次回のタイトルは、

「幼馴染の従姉妹と付き人の少年」じゃ」

 

八幡 「なんで、総帥が…」

 

仙左衛門 「全然、儂の出番がないからじゃ!」

 

??? 「お爺様は出てるからいいじゃない!

私なんてまだ出番はないのよ!

そうよね?リョウ君」

 

??? 「知りませんよ、お嬢。でも次回の

タイトルを見たら分かりますが俺達も

登場するみたいっすからいいじゃないですか」

 

??? 「そう。それならいいわ。次回は私の出番が

あるんだから絶対に見なさいよ!」

 

??? 「それは読者次第っすね」

 

田所 「なんか、まだ出てきてない人達もいたけど、

まぁ、いっか。それでは、次回もよかったら見て

いってくださいね。ではまた、お会いしましょう!」

 

えりな 「私の出番がなかったわ…」

 

ー 次回予告 終わり ー

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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第13皿 幼馴染の従姉妹と付き人の少年

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ありがとうございます。
すいませんが今回のタイトルは
変更させていただきました。(骨休み回)
それと活動報告を更新しました。

それでは今回もよろしくお願いします。


そして、食戟当日になった。

 

俺は食戟会場へと向かうべく

準備をしていたのだが俺のスマホにメール

通知が入った。差出人は幼馴染のえりなから

だった。あれ?俺、えりなにメアドって教えた

っけな?そう俺は思いつつ、送られてきた

メールをみた。

 

その内容は

 

「八幡くん、食戟の時はVIPルームに来なさい。

私は八幡くんに、オハナシがあります。

もし、来なかったら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お仕置きですからね…ふふっ」

 

 

怖えよ。なんだこのメール…。

 

俺、えりなに何か悪いことしたか?

 

身に覚えがないな…。だが、えりなのとこに

行かないとお仕置きをくらうことになる。

 

それは回避しないとな…

 

そう俺が思っていると幸平が声をかけてきた

 

「よし、比企谷。食戟の会場に行こうぜ」

 

「すまん、幸平。俺、用事ができた」

 

「それって、何の用事?」

 

「えりなからの呼び出しで、食戟の時に

VIPルームに来いってきたからそっちに

行かないといけなくてな」

 

「なんかしたのか?比企谷」

 

「いや、何にもしてないはずなんだが…」

 

「じゃあ、行かなくていいんじゃね?」

 

「俺もそう思ったが…でも、行かないと

えりなからお仕置きがあるみたいなんだよ」

 

「じゃあ、薙切のとこには行ったほうが

いいな。何されるかわからないからな」

 

「ああ、だから俺はもう行くわ」

 

「わかった。頑張って来いよ」

 

そして俺は、えりなの待つVIPルームへと向かった。

 

その道中…

 

??? 「あら?久しぶりね。八幡くん」

 

??? 「久しぶりだな。ハチ」

 

八幡 「ん?」

 

えりなの従姉妹のアリスと付き人である

リョウに会った。

 

「なんだ…アリスとリョウか」

 

「なんだとは失礼ね!そう思うわよね!

リョウ君」プンプン

 

アリスは俺の発言が気に食わなかったらしく

ぷりぷりと怒りながらリョウに同意を求めていた

 

「お嬢、これがハチだから仕方ないですよ」

 

「それもそうね。それで、八幡くんは

どうしてこんなとこにいるのかしら?

まさか編入生くんの食戟をみるのかしら?」

 

「そ、そうだが…」

 

俺が頷きながら言うと

 

「ハチが他人に興味を示すなんてな。

なんかあるのか」

 

リョウは驚きながら、そう言った。

 

俺でも、人に興味ぐらい持つからね。

と、そんなことを思いつつ

 

「まぁな。編入生には少しばかり興味が

あるんだよ」

 

こう付け加えて、言った。

 

「それなら、丁度良かったわ」

 

「何が、ちょうどいいんだ?アリス」

 

「私達もその食戟を見るのよ。だから

八幡くん。一緒に見ない?」

 

「すまんが、先客あるから無理だわ」

 

「えっ⁉︎」

 

俺が、断るとアリスは驚いていた。

 

リョウといい、君達俺に対して驚きすぎ

だからね?まぁ、他人に興味を持つのは

俺らしくはないんだがな…

 

「驚きすぎですよ。お嬢」

 

「そりゃ驚くわよ。あの八幡くんに

先客がいるのよ!」

 

「それ、どういう意味だよ」

 

「そのままの意味よ。いつも1人が好きな

八幡くんに約束している相手がいるなんて…」

 

「それで、その相手は誰なの?八幡くん」ニコッ

 

そう俺に聞いてきた。

 

というか、アリスの笑顔が怖いし

目が笑ってない…

 

八幡 「えりなだが…」

 

俺はアリスの目が笑ってない姿を見て

ビクビクしながら、そう答えた

 

「……」

 

ん?なんだ…また急に寒くなった気が…

にしても、無言ってどういうこと?

 

俺、変なこと言ったかな?

 

「八幡くんはえりなと一緒に見るんだ…

それって2人きりで見るのかしら?」

 

「た、多分そうだと思うが…」

 

「そんなのは断りなさい!

抜け駆けなんて…許さないわよ。えりな」ボソボソ

 

なぜか、アリスにえりなとの約束を

断るように言われた。

 

八幡 「は?なんで?それと最後の方は聞き取れ

なかったんだが…」

 

「そんなのは、私が八幡くんと一緒に

見たいからに決まってるじゃない!それと、

最後の方に私が言ったことは気にしなくていいわ」

 

そうアリスは、強い口調で言った

 

「そうか。その気持ちは嬉しいが…

俺はえりなのとこに行く。頼む!後で1つなんでも

言う事聞くから、行かせてくれ」

 

しかし、俺はえりなのお仕置きは受けたくない

ので、アリスに遠慮してもらうように言った

 

「そう…わかったわ。今回は遠慮するわ」

 

「そ、そうか…」

 

「でもその前に、1つ言うことをなんでも

聞いてくれるのよね?」

 

「ああ。俺のできる範囲でならな…」

 

「なら、今度私とデートに行きましょう!」

 

「マジで言ってんの?無理無理!なんで俺が

あんなリア充みたいなことなんざ…」

 

俺はアリスの提案を断ろうとするが…

 

「八幡くんは私とデート…嫌なの?」うるうる

 

アリスは上目遣いで俺にそう言ってきた。

 

それは反則だろ。断りにくいんだが…

 

「別に…嫌じゃないんだが…どうせなら

ほかのお願いにしてくれると助かるんだが…」

 

「なんでも言うこと聞くって

八幡くん、さっき言った…」

 

グッ…。痛いところをついてきた。

 

「黒木場、なんとかならないか?」

 

俺はリョウに助け舟を出すように頼んだのだが…

 

「ハチ、諦めろ」

 

リョウに諦めるように言われてしまった。

 

「はぁ…わかったよ。デートすればいいんだろ」

 

俺はしょうがなく、アリスの提案を受けた

 

「本当に!やった!それじゃあ、

今度よろしくね。八幡くん」

 

アリスはさっきの暗い表情が一変、

嬉しそうな表情に変わった。

 

くそっ!やられた…まぁ、いいか。

 

アリスが喜んでくれるならな…

 

「ああ。それじゃあ、俺は行くから」

 

「行ってらっしゃい」

 

俺はアリスとリョウに見送られながら

えりなの待つ、VIPルームへと向かった。

 

一方、アリス達はというと

 

「ふふっ。八幡くんとデート♪」ワクワク

 

「良かったですね。お嬢」

 

アリスは八幡とデートが出来ることが

嬉しいのか…スキップしながら食戟会場に

向かっていた。

 

リョウは、そんなアリスの姿を見ながら

アリスと共に食戟会場に向かっていたのだった。

 

 

 

ーto be continuedー

 

 

 

ー キャラ 紹介 ー

 

・薙切アリス (女)

遠月学園高等部の1年生(第92期生) 15歳

えりなとは従姉妹。最先端研究会の主将。

科学調理法を得意とする料理人。

八幡とは中学編入時に知り合う。

 

 

 

・黒木場リョウ (男)

遠月学園高等部の1年生(第92期生) 15歳

北欧の港でアリスに出会い付き人となり、

遠月学園には中等部から編入していて

海鮮料理を得意としている。

八幡とはアリスを介して出会っていて

料理対決などをする程の仲。

 

 

 

ー 次回予告 ー

 

田所 「またまた次回予告だよ!」

 

幸平 「やったぜ。今回は出番少なかったから

次回予告があって良かったぜ」

 

田所 「でも、次回はやっと食戟だから

たくさん出番はあると思うよ!」

 

幸平 「次回の俺の活躍が楽しみだ」

 

田所 「うん。それと、今回は新キャラの

アリスさんと黒木場くんが登場したね!」

 

アリス 「そうよ!ついに私の出番が来たのよ!」

 

黒木場 「落ち着いてくださいよ。お嬢」

 

アリス 「私はいつも通りよ。それより早く

八幡くんとデートしたいわ」

 

ヒロインズ 「「「「!!!!」」」」

 

ヒロインズ 「「「「私も八幡くんと

デートしたい!」」」」

 

幸平 「比企谷は相変わらず人気だなぁ〜」

 

田所 「うん。さすが「料理界のプリンス」

だね!」

 

幸平 「俺も比企谷を超えれるように

頑張るぜ!」

 

田所 「私も頑張るよ!それじゃあ、そろそろ

時間だから予告を早く済ませよう」

 

幸平 「そうだな。早く済ませよう」

 

幸平 「次回…「食戟対決」だ!

みんな、次回も見てくれよな」

 

田所 「では皆さん。また次回

お会いしましょう!」

 

えりな 「また私の出番がなかった…」シュン

 

 

ー 次回予告 終わり ー

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
今回は変更して、2人の新キャラの登場回でした。
次回はちゃんと食戟のお話です。
そろそろ、毎日更新ではなく、不定期更新に
入っていくと思います。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第14皿 食戟対決

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ありがとうございます。

それでは、今回もよろしくお願いします。


そして、俺はえりなの待つVIPルーム

へと入った

 

「うーす」

 

「ちゃんと来たわね。八幡くん」

 

「あんなメールが来たらくるだろ。

それと、新戸はどこだ?いないみたいだが…」

 

「緋紗子には席を外してもらってるわ

八幡くんと2人きりで話がしたかったからよ」

 

「そうか。それで、俺に話ってなんだよ」

 

「幸平くんについてよ」

 

「ん?あいつかどうかしたのか?」

 

「なんで八幡くんは、幸平くんを

気にかけるの?」

 

「前にも言ったが、俺は幸平の料理に

興味があるだけだ」

 

「本当にそれだけ?」

 

「ああ、それだけだ」

 

「よかった…」ホッ

 

えりなはよかったと胸を撫で下ろしていた。

 

何がよかったのか俺には分からなかったが…

 

「それより、幸平くんはそんなに凄いの?」

 

「まぁ、今日の食戟を見ればわかるさ。

ところで、えりなはどっちが勝つと思ってるんだ?」

 

「もちろん、彼女よ。八幡くんは?」

 

「もちろん、幸平だな」

 

「その理由を聞いてもいいかしら?」

 

「ああ。その前に入場が始まるから、

その後にでも説明する」

 

「わかったわ」

 

そう言って、俺とえりなは会場の方へと目を向けた

 

「お待たせしましたぁ!食戟管理局より

この勝負が正式な「食戟」であると認定

されました。まもなく、開戦しますっ!

司会は私、川島麗が担当します!」

 

司会者がそう言うと

 

「オオオオオオー」

 

観客が大音量で叫んでいた。

 

「今回の審査員は3名!

1人目は料亭「くら季」の会長、蔵木さん

2人目は黒毛和牛評論家の尾藤良樹さん

3人目はテレビプロデューサーの岡本克典さんです」

 

そして、司会者が審査員の説明をした。

 

「そして、テーマは丼!メイン食材は肉!

それでは各コーナーより両者入場!」

 

その後、司会者がお題などの説明がひと通り

終わると選手の入場のアナウンスをした。

 

すると、会場内は歓声に満ちていた

 

「先に現れたのはミートマスターこと…

水戸郁魅ぃぃ‼︎」

 

最初は水戸の入場からだった。

 

「おおっ!キター!」

 

観客が水戸に向ける歓声はすごいな…

 

「」チッ

 

司会者はそれが気に食わなかったのか

舌打ちをしていた。

 

司会者なんだから、あからさまに嫌な

顔すんなよと俺は思ってしまった。

 

「さぁ、続いて幸平創真くんの登場っ!」

 

そして水戸の入場の後、幸平達が登場すると

 

「Boooo!引っ込め編入生」

 

もの凄いブーイングが会場中から湧き起こっていた

 

「なんと!水戸郁魅さんより大歓声の声が!

しかし、これはブーイングです!幸平くんは

怒号を浴びての入場です!」

 

「すごいブーイングだな。幸平」

 

俺が会場の様子を見ながら、そう呟くと

 

「当たり前よ!始業式にあんなスピーチ

をしたんだもの」

 

えりなは、イライラしながらそう言っていた。

 

「俺も似たようなスピーチをしたんだがな…」

 

そして、また会場に目をやる

 

「それでは改めて、勝負の条件を確認

しましょう!」

 

「水戸さんが勝てば、丼物研究会は廃部かつ

幸平くんの退学。そして、幸平くんが勝てば

丼物研究会の部費増額、拡張と調理設備の増強

さらに、水戸さんが丼物研究会に入部となります!」

 

「それと、今回はVIPルームに特別ゲスト

がきています!」

 

「そのゲストとは、遠月学園の十傑、

第十席の薙切えりなさんと、そして今日から正式に

遠月学園の十傑第零席に特別枠で加入することになった

「料理界のプリンス」こと、比企谷八幡さんです!」

 

なんで俺の説明なんかするんだよ。司会者!

 

紹介はえりなだけでいいだろ。

 

俺は目立ちたくないんだよ。

 

案の定、会場内はざわついていた

 

「えりな様がなんでこんな小規模の食戟に?」

 

「そんなの水戸がえりな派閥だからだろ」

 

「それと料理界のプリンスまでいるなんて!」

 

「しかも特別枠で十傑に入るなんてすごい!」

 

観客から、そのような声が飛び交う。

 

ああ…これで俺の平穏な生活は終わったな。

 

なぜか隣にいるえりなは嬉しそうにしている

 

まさか…

 

「まさか…この俺の紹介って、えりなが

仕組んだのか?」

 

俺は、えりなにそう聞いた

 

「ええ、そうよ。八幡くんは凄いのに

周りからはあまり注目されていないのが私には

それが耐えられなくて、こうしたの」

 

やっぱり、えりなの仕業だった。

 

「いや、俺は目立ちたくないんだから

そっとしておいてくれよ。はぁ…」

 

「ふふっ、諦めなさい。八幡くん」

 

これで、俺は目立つ存在となってしまった

のだった…誰に言ってんだ、これ…

 

 

「それでは…食戟開戦!」

 

そして司会者のこの一声で食戟は開始された。

 

幸平と水戸はそれぞれ調理に入った。先に行動を

起こしのは水戸だった。水戸はやはり最高ランクの

A5牛をだした。そして、クレバーナイフで

豪快に的確かつ繊細に切っていった。

 

「水戸の肉捌きは凄いな…さすがは

ミートマスターか」

 

俺が水戸を見ながらそう呟くと、

えりなが反応し

 

「そうよ。彼女は肉を自在に操れるだけの

パワーを持っているけれど、それが彼女の真骨頂

ではないのよ。むしろ逆で繊細さにあるの」

 

と、そう俺に説明していた。

 

「へぇ…」

 

「八幡くんにも聞こえるんじゃないかしら?

肉のソナタを…」

 

「そうだな…」

 

そして、幸平はというと700円の肉を使っていた。

 

それをみた、観客は舐めてんのかと怒号を

浴びせていた

 

「ふん。安物の肉を使うなんて…愚かね」

 

えりなも観客同様の意見を持っていたようだ。

 

「これでもまだ、幸平くんが彼女に

勝てると言い切れるのかしら?」

 

えりなは勝ちを悟ったような顔つきで

俺にそう問いかけた。

 

「ああ、言い切れる」

 

だが、俺は幸平の勝利を確信していた。

 

「なっ‼︎」

 

「なんで、そう言い切れるか教えるまえに

ちょっとした質問だ。今回のお題はなんだったか

覚えているか?えりな」

 

「肉を使った丼物でしょ…ってまさか…」

 

「えりなもやっと気づいたか。そう今回の

お題は丼物だ。だから肉さえ良ければいいって

もんでもないんだ。ご飯と肉の相性で決まる。

だから幸平が使ってる安い肉でも十分に勝てる。

それを、幸平がこの勝負で教えてくれるだろうな」

 

「ふん!そんなのまだわからないわ」

 

「どうかな…」

 

そう会話した後、幸平達の調理台に目を向けた

 

「それまで!これより審査に入ります。

両者、品を前へ!」

 

そして、司会者から調理終了の合図があり

両者共に、給仕の用意に入った。

 

「それではまず、水戸さんから料理を

披露してください!」

 

司会者がそう言うと

 

「あたしが作ったのは「A5和牛のロティ丼」

だ!」

 

水戸がそう言って、品を審査員に披露した

 

「「「おー」」」

 

「カットされた肉が一輪の花の様…こんな

美しい丼にお目にかかれるやなんて嬉しいわぁ」

 

そして、3人の審査員は水戸が作った品を

食べ始めた

 

「これだよ。このずしりとした旨味が

A5牛の美味しさ。そして、この肉は火の角度まで

計算されている!なんと素晴らしい!」

 

「本当ですね。そして花弁の下にある、牛脂と

バターで炒めたガーリックライスも絶品だ!

このガーリックライスだけで3杯は食えそうっす」

 

そう審査員は評価していた。

 

水戸はその言葉に満足そうにし、ドヤ顔をして

勝利を確信していた。

 

「これは、水戸の勝ちだな。編入生は

これで退学だな」

 

観客も水戸の勝利を確信していた。

 

しかし…それは間違いだ。

 

さっきの審査員の最後の言葉を思い出してほしい。

 

ガーリックライスだけで食えると。

 

それは、丼としては完成していないと同じだ。

 

これで、水戸の勝利はないな…。

 

そして、次は幸平の番になった。

 

「では、幸平創真の審査に参りましょう!

題して何丼でしょうか?」

 

司会者は幸平にそう聞いていた。

 

「そうだな…名付けてシャリアピンステーキ丼

幸平流スペシャルバージョンかな」

 

そう幸平が言っても、審査員はあんまり

興味を示していなかった。

 

「シャリアピンステーキね…。

幸平くん。それでは彼女には勝てない。

残念だったわね。八幡くん」

 

えりなも幸平の料理を見て、俺にそう言った

 

「それはわからんぞ。えりな」

 

「なぜかしら?」

 

「それは、あの光景を見ればわかるさ」

 

俺はそう言って、会場の方を指差した。

 

えりな 「あの光景……っ!」

 

えりなもその光景を見て驚いていた。

 

その光景とは幸平が作ったシャリアピン

ステーキ丼を審査員がもの凄い速さで

食べているところだった

 

「手が止まらない!肉の柔らかさも

さることながら、たっぷり載った

みじん玉ねぎ…これが食欲を凄くそそる!」

 

「このコクは、赤ワインか⁉︎ステーキを

焼いた後のフライパンに赤ワインを投入して

残った肉汁を、煮詰めてその汁で

玉ねぎを炒めてあるのか…」

 

「その上、水溶き片栗粉によってとろみが!

このとろみが、肉とご飯に絡んで絡んで

たまんないっす!」

 

「しかも、味を整えているのは焦がし醤油や!

「焦げ」をも調味料として深い味に…」

 

「シャリアピンステーキに必須の玉ねぎに

手を加えて特製ダレを作り上げたのか⁉︎」

 

「しかも、肉もタレもしっかりした味なのに

食えば食うほど腹が減るような、無限に

食えそうな気さえするのは何故なんだ⁉︎

まだ何か秘密が隠れているのか⁉︎」

 

審査員の1人がそう言うと

 

「その仕掛けは米にある。その丼のご飯は手製

の「ねり梅」を切り混ぜた、さっぱり梅風味飯だ!」

 

幸平はこう答えた。なるほど、梅を使ったか…

 

「なるほど…この後を引くさっぱり感は梅か!」

その後も審査員は、幸平の品を食べていた

 

「あぁ…もう食べ終わっちゃったっす!」

 

「おかわりは⁉︎おかわりは出来ますのん⁉︎

ロティ丼も見事やったけど、より箸が進むんは

こっちの丼やね!」

 

「なにっ!」

水戸は審査員のその一言に驚いていた。

 

水戸の品はガーリックライスだけ残っていた。

 

これで幸平の勝ちは決定と見ていいだろう。

 

そして、幸平は水戸に自分の品を差し出していた。

 

水戸はその品を食べてはだけていた。

 

そして、審査の時間となり結果は

 

「なんと、勝者は幸平創真!」

 

当然のことながら、幸平創真が勝利した

 

「お粗末!」

 

「私が負けた…」

 

「幸平が勝ったな」

 

「やっぱり彼女ではダメだったようね」

 

「誰でも結果は同じだろ。それに、いい加減

認めたらどうだ?幸平のこと」

 

「…」

 

俺は、えりなにそう言ったが無言だった。

 

「ほどほどにしておけよ。幸平は別に

嫌なやつじゃないし、いい奴だ」

 

「そう…わかったわ」

 

「そうか。じゃあ、俺は幸平達の

ところへ行くわ」

 

「ええ…」

 

そして俺は、幸平達のところへ向かった

 

「幸平くんが羨ましいわね…」ボソッ

 

えりなは1人の空間でそう呟いていた。

 

☆☆☆

 

「おつかれさん」

 

俺は食戟会場から出てきた幸平に

そう声をかけた

 

「おう、比企谷か」

 

「勝ててよかったな」

 

「これで、丼研が潰されずに済んでよかったわ」

 

「幸平、比企谷、本当にありがとな」

 

「いえ、俺は何もしてないですよ。全部

幸平のおかげですよ」

 

「そんなことはない。比企谷が作った

シャリアピンステーキの試作があったからこそ

勝てたんだ」

 

「そうか?」

 

「そうだぜ!なぁ?田所」

 

「そうだね。食戟に勝てたのも八幡くんの

おかげでもあるよね」

 

「それじゃあ、今から食戟勝利の祝勝会を

しようぜ!小西先輩もいいっすよね?」

 

「ああ…めでたいからな。しよう!」

 

「でも、そんなお金あります?」

 

俺が小西先輩に聞くと

 

小西 「……」

 

小西先輩は黙ってしまった。

 

ないんかーい。わかってたけどさ…

 

以前の部費がない時点でな

 

「まぁ、俺がまたお金出しますよ」

 

「太っ腹だな。比企谷!それじゃあ

4人で行こうぜ」

 

そうして俺達4人は食戟の勝利を盛大に祝ったのだった…

 

そして、食戟に負けた水戸は丼研に入ることとなった。

 

もちろん、俺と幸平は入部はしていない。

 

そしてこの食戟の後は、毎年恒例のあの地獄の合宿

が待ちうけるのだった…

 

ーto be continuedー

 

 

 

ー 次回予告 ー

 

田所 「またやってきました。次回予告のお時間です」

 

幸平 「いぇい!」

 

田所 「それにしても、食戟勝ててよかったね」

 

幸平 「そうだな。食戟楽しかったな。今度は

十傑とやりたいぜ!」

 

田所 「そんなの無茶だよ、創真くん」

 

えりな 「そうね。あなたではまだ十傑には

勝てないわ。出直しなさい」

 

幸平 「そんなの、やってみないとわかんないだろ」

 

えりな 「いえ、あなたでは勝てないわ」

 

幸平 「なにを⁉︎」

 

田所 「創真くん。落ち着いて」

 

八幡 「えりなも落ち着け。ほどほどにしておけって

さっきも言っただろ」

 

えりな 「そうだけど…」

 

八幡 「それより、今は次回予告をするんだろ。

あとは頼んだ、田所」

 

田所 「うん!次回は「宿泊研修に向けて」だよ!」

 

幸平 「おー。楽しみだな!」

 

田所 「それではまた次回、お会いしましょう!」

 

えりな 「やっと、出番があったわ…」

 

ー 次回 予告 終わり ー

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次話から不定期更新となります。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第15皿 宿泊研修に向けて

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ありがとうございます。
風邪を引いてしまい、更新が遅れました。
その影響で、今回の話は短いです。
それと、活動報告の方もよろしくお願いします。

それでは、今回もよろしくお願いします。


食戟の一件から1週間ほどが経った

ある日のこと…

極星寮にて、1枚のしおりが届いた

 

「ついに、来たか」

 

俺がそう呟くと

 

「なになに…宿泊研修?」

 

幸平は届いたしおりを手に取り、見て

そう呟いた。

 

「もう、そんな時期かぁ…」

 

吉野はついにきたか…という表情をしていた

 

「幸平くんは編入組だから知らないのも

当然ね。中学でいうと、林間学校みたい

なものよ」

 

榊は幸平にそう説明していた。

 

「へぇ…」

 

「これはね…高等部に入ったら

最初に訪れる最初の地獄そのものなのよ!」

 

その後も、吉野達は宿泊研修についての話を

幸平にしていた。

 

簡単に説明すると、一年の全生徒が山奥の

合宿所で毎日過酷な料理の試練を課され、

合格点に届かなければ即退学を言い渡される

『友情とふれあいの宿泊研修』というものだ。

 

「これが…遠月の競争教育で、総帥が

言うところの「玉」の選抜が本格化する

ということかな」

 

一色先輩はそう口にして

 

「でも君達なら全員、笑顔で戻ってくる

ことを祈っているよ。君達の実力を

研修先の人に見せつけるといい」

 

そう、俺達に激励の言葉をかけた

 

「ああ、やってやるぜ!」

 

幸平はトランプやなんやらを荷物に入れつつ

そう発言し、皆も宿泊研修に向けて

やる気を出していた。当然、俺もだが…

理由としては、この宿泊研修にはゲストとして

遠月学園の卒業生が招かれる。

 

そして、俺の師匠の四宮先輩も含まれているから

一層、気合いを入れなければならない。

 

師匠の説教とかゴメンだからな…

 

 

☆☆☆

 

そして月日が経ち、宿泊研修の2日前になった。

極星寮の人達も宿泊研修に荷造りをしている。

俺も自分の部屋で宿泊研修に向けて

準備をしていたところ…総帥から電話が

かかってきた。

 

〜 電話の会話 〜

 

「もしもし」

 

「今は大丈夫か?八幡よ」

 

「大丈夫ですよ。それで、何か用ですか?」

 

「うむ。2日後の宿泊研修のことで

八幡に頼みがあるのじゃ。毎回ゲストとして

卒業生を呼んでいてな。明日の朝に空港

に着く予定なんじゃ。そこで、八幡に迎えに

行ってほしいのじゃ。それと、そのまま八幡

には宿泊研修先の遠月リゾートホテル

「遠月離宮」に向かってほしい」

 

「俺がですか?」

 

「そうじゃ、四宮達の強い要望でな。

それで、頼まれてくれないか八幡よ」

 

「わかりました。それで、俺はどこに

行けばいいですかね?」

 

「うむ。明日の朝に執事を乗せた車を

極星寮に向かわせるから、頼んだぞ八幡」ピッ

 

〜 電話の会話 終了 〜

 

俺は通話を終え、明日の朝の迎えに遅れない

為にも、早めに寝ることにした。

 

そして翌日の早朝、俺は卒業生を迎えにとそのまま

遠月リゾートに行くべく、荷物を持って

極星寮を出た。

 

「八幡様。お待ちしておりました」

 

「どうも。今回もよろしくお願いします」

 

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

そして俺は極星寮に停まっていた、黒のリムジンに

乗り込み、四宮先輩達の待つ空港へと向かった。

 

 

ーto be continuedー

 

 

ー 次回予告 ー

 

田所 「それでは、次回予告のお時間です」

 

八幡 「また、この時間がやってきたか…」

 

幸平 「今回は、早めに終わらせるぜ!」

 

田所 「そうだね。いつも長くなるから、

今回ぐらいは早めに終わらせよう」

 

幸平 「それでは、次回「地獄の宿泊研修前夜」

だ。俺は、退学にならないように準備するぜ!」

 

田所 「うん、そうだね。私も、退学にならない

ように準備するよ!」

 

作者 「それと、次回は新キャラが

何人か登場予定です」

 

田所「それでは皆さん。また次回に

お会いしましょう!」

 

 

ー 次回予告 終わり ー




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
所々、原作を省略しています。
それと、早く風邪を治して更新ペースを
戻していきたいと思います。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第16皿 地獄の宿泊研修前夜

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ありがとうございます。
すみません。タイトルを少し変更しました。
それと余談ですが、今日ポートメッセに
行ってきました。人が多かった…

それでは、今回もよろしくお願いします。


☆☆☆

 

「八幡様、羽田空港に到着しました」

 

「わかりました。それじゃあ、俺は卒業生達を

迎えに行ってきます」

 

「はい。お気をつけて」

 

そして俺は、車を降りて国際線ターミナルに

向かい、先輩達の到着を待った。

 

そして、先輩達が到着ロビーから出てきた

 

「八幡く〜ん!」ダキッ

 

乾先輩は俺を見つけて、いきなり抱きついてきた

 

「乾先輩、いきなり抱きつかないでください」

 

「八幡くんだ〜」スリスリ

 

人の話を全く聞いてないな…

 

周りの視線がやばいからやめてほしいんだがな…

 

「おい、ヒナコ。ハチから離れろ」

 

俺の困った顔を見た四宮先輩が乾先輩に

そう言って、離れるように言った

 

「そうよ、離れなさい日向子。

それと、八幡久しぶり」

 

そして、四宮先輩の発言後に

水原先輩に声をかけられた。

 

「お久しぶりです、水原先輩。

お元気そうでなによりです」

 

「それにしても久しぶりだね、

八幡君。関守さんもそう思いますよね?」

 

「そうですね。八幡君に会うのは2年ぶり

ですから」

 

そして、水原先輩の後にドナードさんと

関守さんとも挨拶を交わす。

 

「はい、お久しぶりです。2年前の中学の研修

以来ですね。ドナードさん関守さん。まぁここで、

立ち話もなんですから移動しましょうか。

外に車を待たせてあるんで…

四宮先輩達もそれでいいですよね?」

 

「ああ。俺は構わない」

 

「そうですね。車に移動しましょう」

 

そうドナードさんが言った後、

俺達は車の方へと移動した。

 

そして車に乗り込み、宿泊研修先である

遠月リゾート「遠月離宮」へと向かった。

 

移動中は、四宮先輩達の経営してる店の話や

俺の学校生活の話などをしていた。

 

その際、水原先輩と乾先輩が俺に彼女は

いるのか、気になる女子はいるのか、など

質問攻めにあった。マジ疲れた…

 

ドナードさん達は暖かい目で見ていたが

見てるんじゃなくて、助けてほしかった…

 

そして、1時間ほどして遠月リゾート

「遠月離宮」に着いた。

 

俺は先輩達の荷物を運んだり、

業者からの食材搬入の手伝いを

夕方までこなした。

 

☆☆☆

 

そして作業が全て終了し、俺は自分の部屋で

くつろいでいた。

 

すると、俺の部屋のドアをノックする音が聞こえた

 

「ハチ、いるか?」

 

俺の師匠でもある、四宮先輩が俺の部屋に

訪ねてきた

 

「はい」

 

「ハチの部屋の中に入れてくれ」

 

「わかりました」

 

そう言って、俺は四宮先輩を部屋の中に入れた

 

「四宮先輩、何か俺に用ですか?」

 

「ああ。学校生活について、少し話そうと思ってな。

本当は車の中でしたかったが、ヒナコや水原が

ハチを独占してたから、話ができなかった」

 

「そうですか。それで話ってのは?」

 

「遠月学園での生活はどうだ?」

 

「まぁ、なんとかやれてますよ」

 

「遠月の頂点は獲れそうか?」

 

「どうですかね…今の俺ではまだまだだと

思います」

 

「そうか。でも、まだ2年もある。焦らずに

やっていけ。爺さんに聞いたが、ハチは十傑

に入ったそうだな。なら、十傑の先輩の技術を

取り入れ、それを活かして成長していけ。

そうすれば、頂点は取れるはずだ。

いや、獲れ。ハチは俺の弟子なんだ。

それぐらいやってもらわんと困る」

 

「まぁ、俺なりに頑張ってみますよ」

 

「そうか。くれぐれも退学にならない

ようにやれよハチ」

 

「うっす」

 

「じゃあ、俺はまだ仕事があるから戻るわ」

 

「わかりました」

 

そう言って、四宮先輩は部屋を出た。

 

その後、俺は退学にならないように気合いを

入れつつ明日の宿泊研修に備えて、調理器具などの

手入れを入念にチェックした。

 

そして翌日、俺は宿泊研修の概要を聞くべく、

皆が集まる大宴会場へと向かった。

 

 

ーto be continuedー

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回は3月23日の0時に更新です。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第17皿 地獄の宿泊研修開始

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ありがとうございます。

20日ぶりの更新ですね。
投稿が遅れてすみませんでした。

それでは、今回もよろしくお願いします。


俺は人のあまりいない会場の後ろで立ちながら宿泊研修の説明が始まるのをあたりを見渡しながら待っていた。

 

千人ぐらい人はいるはずだが異様な静けさがこの会場内を覆っていて無言でそわそわしている人や小さい声でブツブツ呟いている人などがいた。それもそうだろう。しおりにも書いてあった通りこれは地獄の合宿で、一発退学もあり得るのだから…

そんなことを考えていると

 

「おはよう諸君」

 

シャペル先生がステージに登壇し、挨拶してから続けて

 

「ステージに注目だ。これより合宿の概要を説明する。この合宿は5泊6日の日程で行われて連日、料理に関する課題が出される。課題の内容は毎年異なっており、初日は980名の生徒を20のグループに分割し、この概要説明が終わり次第、各自指定された場所に移動してもらう。そして、講師による評価と、一定のラインを下回った生徒は失格とし、待機させている学園のバスに乗ってもらう。つまり、退学ということだ。そして、審査に関してだが…ゲストの講師を招いている。多忙の中、今日のために集まってくれた人達だ」

 

そうシャペル先生が言うと、何人かの生徒がゲスト講師と呟き、ざわざわとし始めた。俺は、もうゲストの講師のことは知っているので特に驚きなどはない。

 

「ゲストの講師を紹介しよう…遠月学園の卒業生だ」

 

シャペル先生がそう言うと四宮先輩をはじめ、遠月学園の卒業生…すなわち、卒業到達率一桁を勝ち抜いた天才がステージに登壇した。

そして、俺の師匠でもある四宮先輩が

 

「ん…前から9列目、眉の所に傷がある生徒…」

 

そう口にしていた。その生徒は幸平に向けて言ったものだった。

 

「俺っすか?」

 

幸平は四宮先輩にそう聞き返していた。

 

「すまん、違った。その隣の奴だ」

 

すると四宮先輩はそう訂正し、幸平の右隣にいた生徒の方に視線を移していた。

 

「僕ですか?」

 

「そうだ、お前は退学だ。帰っていいぜ」

 

そして四宮先輩は、幸平の右隣の生徒に退学を命じた。

すると、周囲の奴らがざわついた。なんで退学なんだということなんだろう。俺もなぜ退学なのか疑問だったが…

 

「お前の整髪料に、柑橘系の匂いが混じってるな。こいつは料理の香りを霞ませるんだよな…次からは無香料のヘア・リキッドを使うといい」

 

四宮先輩が退学の理由を述べていた。流石にこれだけで退学は可哀想だが、しょうがない。シャペル先生がさっき言ってたが、講師の評価で失格、退学者が決まると言ってたからなぁ…

 

「ま、待ってください!これだけのことで退学なんですか?」

 

退学を言い渡された生徒が四宮先輩にそう聞いていた。

 

「そうだ。これだけのことで客を失うこともある。お前は俺の店を潰す気か?」

 

四宮先輩は生徒の問いに睨みながら答える。

 

「ヒッ!」

 

「お疲れ、学生さん。よそで頑張ってくれ」

 

そして、その後は卒業生の紹介を再開した。

 

最後に、ここ遠月リゾートの総料理長兼取締役会役員の堂島銀さんの紹介が行われた。すると、一気にこの会場内に緊張が走った。

 

そして、堂島さんがシャペル先生からマイクを受け取り

 

「ようこそ、我が遠月リゾートへ。今日集まった卒業生達は全員が自分の城(みせ)を持つオーナー・シェフだ。合宿の6日間は君らのことを自分の店の従業員と同様に扱わせてもらう。この意味が分かるか?俺達が満足する仕事ができない者は退学ということだ」

 

そう堂島は発言をした。生徒の大半はその言葉を聞き、動揺していた。

 

「見ての通り、講師陣の裁量で一発退場もありうる。それでは皆の武運を祈っている!」

 

「それでは…移動開始!」

 

そう堂島さんが言った後、生徒たちはそれぞれの場所に移動し始めた。俺も後に続き歩き出そうとしたが

 

「久しぶりだな、八幡君。元気にしていたかい?」

 

堂島さんに声をかけられてしまった。

俺と堂島さんの関係は親父を通じて知り合った人だ。

なんでも、俺の親父は堂島さんと同期生らしい。

詳しいことはあまり聞いてはいないが…

 

「お久しぶりです、堂島さん。俺は元気ですよ」

 

「そうか。それと宿泊研修は頑張りたまえ。まぁ、八幡君なら大丈夫だとは思うがな」

 

「そうですね。でも、慢心せずに頑張っていこうと思います。それじゃあ、俺は移動するので」

 

俺は堂島さんに頭を下げて、移動を開始した。

 

 

※※※

 

そして、俺の最初の授業を担当するのは…

 

「はい!みなさん、揃いましたね。私の課題は2人1組で行なってもらいますよ。ペアですが、シャペル先生の授業で組んだ人とやってもらいます。それでは、各自指定された調理台についてください」

 

そう、乾先輩だった…

ってか、なんで2人1組なんだよ。しかも、俺はシャペル先生の授業は受けなくてもよかったから組むペアがいないぞ。どうしたもんかな…とりあえず、乾先輩に言うしかないか…

 

「乾先輩。少しいいですか?」

 

「何かしら?八幡くん」

 

「俺はシャペル先生の授業を受けていないためペアがいないので1人でやってもいいですか?」

 

「そうなんだ。でも、1人でやる案は却下ね。八幡くん」

 

「…それじゃあ誰と組めばいいですか?」

 

「そうね。ちょっと待っててね、八幡くん。…みなさん、ペアは出来ましたか?ペアがいない人は名乗り出てこちらに来てくださいね」

 

そう言って、乾先輩は皆にそう声をかけた。

頼むから、誰も名乗り出ないでと俺は願ったのだが…1人の女子生徒が名乗り出た。そしてこちらに向かってきた。その1人の女子生徒とは…俺のよく知ってる奴だった。

 

「は、八幡くん⁉︎」

 

そう…俺の幼馴染である、えりなだった。

 

「それじゃあ、八幡くん。えりなさんと一緒に課題に取り組んでくださいね」

 

「わかりました」

 

そう言って、俺はえりなと共に指定された調理台に向かった。

 

「八幡くん。よろしくね」

 

「ああ…俺の方こそ、よろしくな」

 

こうして、俺はえりなと共に乾先輩の課題に取り組むことになった。

 

 

ーto be continuedー

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

引き続き、活動報告の方もよろしくお願いします。

次の更新は八幡と冴えカノのクロス作品を
予定しています。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第18皿 食材探しとアルディーニ兄弟

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ありがとうございます。

更新が遅れてすみませんでした。
まだ就活中なので、これからも更新速度は
遅くなると思いますが、ご了承ください。

それでは、今回もよろしくお願いします。



俺も無事、ペアが決まったところで乾先輩が試験の概要を話す。

 

 

「それでは、これより2人1組で調理をしてもらいます。私の出す課題は、ここにある食材を使って日本料理でメインとなる一品を作ってもらいます」

 

 

乾先輩はそう言うが、この教室内には食材は一切置かれていない。

他の生徒も教室内に食材が置いていないのに気づき、どうすればいいのか困惑している様子だ。すると、1人の生徒が乾先輩に質問をする。

 

 

「教室に食材は置いてありませんが...」

 

 

「はい。置いてありませんよ。皆さんには一から食材を確保してもらいます。この建物の外には森と川などがあります。その中から食材を確保してもらい、教室内にある調味料などを使い、私の満足のいく一皿を作れば合格とします。くれぐれも、柵の中のフィールド内で食材を見つけてください。制限時間は2時間です。それでは、始めてください」

 

 

こうして、乾先輩の試験が開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺達も課題に取り掛かる。

 

 

「えりな。どんな料理を作るんだ?」

 

 

「そうね。まずは外に出て、どんな食材があるか確認するところからかしら」

 

 

「それも、そうだな…。じゃあ、外に出るか」

 

 

「ええ。それじゃあ、行きましょう」

 

 

そして俺とえりなは、食材を探しに外へと出て、別行動をとった。ちなみに俺は川の方へ向かい、えりなは森の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

少し、歩いたところで川に着いた。そして俺は釣竿に餌を付け、川に放ち魚がHITするのを待つ。しかし、中々HITが出ない。それも、そうだ。俺の他にも川で釣りをする奴が沢山いる。俺と考えることは同じで、川で魚をGETして乾先輩の課題をクリアする...こんなところだろう。その結果、俺は他の奴らに魚を取られて、竿にかからない。なので、俺は釣る場所を変えることにした。

 

 

そして、場所を変えてから30分が経った。俺はまだ川で釣りをしている。いい魚が中々釣れない。俺が釣ったのは小さい魚ばかりで、乾先輩に出せる料理には使えそうにない。どうしたもんかな...

 

 

「八幡くん。やっと見つけた...」

 

 

そう俺が考え事をしてた時に、後ろから声をかけられた。そして、俺は後ろを振り返る。俺に声をかけたのはえりなだった。

 

 

「よう。食材は見つけたのか?」

 

 

「ええ。なんとか、鶏を捕まえたわ」

 

 

「ほー。鶏ねぇ...」

 

 

「八幡くんは、何か釣れたの?」

 

 

「釣れたことには釣れたんたが、小魚ばっかりで使えるか分からん。だから、えりなが鶏を捕まえてくれて助かったわ。これで、鶏を使った料理で決まりだな。...それじゃあ、調理場に戻るか」

 

 

「そうね」

 

 

俺達は調理場へと向かった。ちなみに俺が釣った魚は川へ逃がしてやった。そして、調理場に向かう道中に釣りをしている幸平に遭遇した。俺は何を作るのか聞いたところ、幸平はまだ何を作ろうか迷ってるとの事だった。その後も多少会話をし、幸平達と別れた。

そして俺とえりなは調理場に戻り早速、乾先輩の課題である日本料理作りに取り掛かろうとした時、前の方で何か言い合っている声がした。俺は気になって自分の作業を中断し、前の方を見た。すると、幸平とハーフっぽい少年が話していた。俺は幸平と話しているハーフっぽい少年が誰なのか知らなかったので、えりなに聞いてみることにした。

 

 

「なぁ、えりな」

 

 

「何かしら?八幡くん」

 

 

「前の方で、幸平と話してるハーフっぽい奴の事知ってるか?」

 

 

「ああ、彼のことなら知っているわ。彼の名前はタクミ・アルディーニ。中等部2年から編入した生徒ね。確か、編入前はイタリアの大衆料理店にいたそうよ。ちなみにタクミ・アルディーニの隣にいるぽっちゃりした体型の男の子は、弟で名をイサミ・アルディーニと言うわ」

 

 

イタリアの大衆料理店ねぇ...こいつらも俺と幸平同様、現場を知ってる料理人ってことか...こいつも、要チェックだな。

 

 

「なるほど...情報サンキューな。えりな」

 

 

「これぐらい、どうってことないわ。それより、私達も調理に取り掛かるわよ。八幡くん、色々準備してちょうだい」

 

 

「あいよ」

 

 

俺はタクミ・アルディーニの調理場を見つつ、調理に使う道具を取りに向かった。

 

 

 

ーto be continuedー




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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第19皿 乾先輩の課題と夜のイベント

お気に入り登録ありがとうございます。

更新が遅れてすみませんでした。

それと、活動報告にてヒロインアンケートの
結果を載せてあります。

それでは、今回もよろしくお願いします。


俺が調理道具を持って来た後に、俺とえりなは調理を開始した。

 

「それで、えりなは何を作るんだ?」

 

「八幡くんが決めていいわよ」

 

「は?俺が?」

 

「当たり前でしょう。私が食材を見つけてきた。そして、八幡くんは釣った魚を逃してしまい、手ぶらで帰ってきた。だから、八幡くんがメインで作りなさい」

 

「マジかよ。まぁ、簡単ものを作るか...よし、決めた」

 

「それで、八幡くんは何を作るのかしら?」

 

「鶏の竜田揚げ」

 

「な、なんですって!」

 

「うおっ!いきなり、大きな声を出すなよ。びっくりしちゃうだろ!」

 

というか、超ビックリしたわ...

 

「というか、何か不満なのか?」

 

「当たり前よ!もっと、豪華なものにしないと...」

 

「その必要はない。乾先輩の出した課題は日本料理という一点だけだ。別に料理を豪華にする必要はない」

 

「それはそうだけど...」

 

「まぁ、心配すんな。ちゃんと合格できるように作るからな」

 

「わ、分かったわ。八幡くんに全部任せたわよ」

 

「おう。それじゃあ...えりなは、しょうがとしょうゆだけを使って、 下味の準備を頼む。俺は鶏をカットするから」

 

「分かったわ」

 

俺は、えりなと分担して作っていく。俺はまず、鶏のもも肉を食べやすい大きさにカットする。

 

「八幡くん。下味の準備出来たわ」

 

「さすが、手際がいいな」

 

「私を誰だと思ってるのよ」

 

「それもそうか」

 

そして、俺は鶏の肉に下味をつける。下味をつけている間にフライパンに油をひいて熱する。そして、下味をつけた肉にまんべんなく片栗粉をまぶしていく。肉にまんべんなく片栗粉をまぶせたら、180℃の油に入れていく。8〜10分あげれば完成だ。その間に皿などを並べておく。まだ、揚げあがるまで時間があるので、俺は乾先輩の方に視線を移す。

 

「美味しくないです。やり直しです」

 

「そんなぁ〜」

 

「また、頑張ってくださいね」

 

まだ、数人しか合格は出ていなかった。乾先輩、厳しすぎないか?まぁ...見たところ、魚料理ばかりだからかもしれないな。それは逆に、俺にはチャンスかもしれない。ジャンルは肉だからな。そう思いつつ、俺は自分の調理場へと戻り鶏の竜田揚げを完成させた。

今回は特にアレンジ等は加えていない。

 

「八幡くん。本当にこの料理でいいのかしら?」

 

「まぁ、大丈夫だ。逆にシンプルでいいだろ。シンプルイズベストって言うだろ」

 

「こんなところで使うような言葉じゃないと思うけれど」

 

俺がそう言うと、えりなは呆れていた。

 

「それより、温かいうちに給仕(サーブ)するぞ」

 

「わかったわ」

 

そして、俺とえりなは乾先輩の元へと向かった。

 

「乾先輩、出来ました」

 

「ずっと、待ってたわ。では、早速頂いていいかしら?」

 

「それじゃあ、どうぞ」

 

俺はそう言って、鶏の竜田揚げを乾先輩に給仕(サーブ)した。

 

「これは、肉料理!初めてかもしれないわね」

 

「そうですね。みんなは基本、魚料理でしたから」

 

「でも、意外ね。八幡くんならもっと手の込んだ料理だと思ったのだけど」

 

「いえ。今回はシンプルイズベストをコンセプトとして、作りました」

 

「そう。それじゃあ、食べるわね...ん〜お肉がジューシーで美味しいわね。それに、サクッとしているし食べやすいわね」

 

「ええ。サクッとするのは唐揚げにとって重要ですし、旨味がある肉汁も閉じ込めておきました」

 

「タレも美味しいわね」

 

「タレはえりながメインで作ってます」

 

「さすが、薙切さんね。ちゃんと、お互いの旨味を生かしているわね」

 

「ありがとうございます。乾先輩」

 

「八幡くん、えりなさんペアは合格とします」

 

「ふぅ。なんとかなったな」

 

「当然でしょう。私と八幡くんなら余裕よ」

 

「よく言うぜ。さっきはこの料理でいいのかとか不安がってたくせに」

 

「なっ!それは、忘れなさい!」

 

こんな会話をしながらも俺達は無事乾先輩の課題をクリアした。俺の後に幸平と田所ペアが岩魚のお柿揚げを給仕(サーブ)し見事に課題をクリアした。そして、幸平はタクミ・アルディーニと料理対決をしていたらしく乾先輩の審査タイムへと入って焦らされた結果、ホテルに戻る時間が差し迫っているとのことで勝負はお預けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺達はホテルに戻り夕食かと思いきや、合宿中の上腕大学のボディビル部、アメフト部、レスリング部のための夕食「牛肉ステーキ御膳」を60分間で50食分作ることとなった。出来ない者は退学のおまけ付き。そして、自分の朝食や夕食等は自分で作れとのことだった。吉野や他のメンバーは絶望感を滲ませていたが、俺は四宮先輩のところで修行した時にそのくらいの人数を捌いたことがあったので、特に苦としていなかった。そして調理を開始し、俺は15分程度で50食分を完成させた。このタイムは一色先輩とほぼ同じタイムだ。そして俺はまだ、みんなが調理をしている時に風呂を済ませようと思い、着替えを部屋から取りに行き風呂場へと向かったのだが...途中の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。

 

 

「きゃっ!」

 

「す、すみません...」

 

「は、八幡くん!」

 

ぶつかった相手はえりなだった。

 

「なんだ、ぶつかった相手はえりなだったか。それより、大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「そうか。それより、早くその体勢をどうにかしてくれ。目のやり場はない」

 

ぶつかった時に、えりなの浴衣がはだけて足の奥の方が見えている状態だった。にしても、えりなの足綺麗だな...って何考えてんだ!俺!煩悩退散煩悩退散...

 

「八幡くん...何を言って...」バッ

 

やっと気づいたか。うん、この年頃で熊はないよな。まだニセコイの春ちゃんなら大丈夫だが。

 

「八幡くん。見た?」

 

「...いや、見てない。熊さんのパンツなんて見てない...あっ!」

 

「ううっ!やっぱり見たのね!もうお嫁にいけない...」

 

えりなは涙目になっていた。

 

「大袈裟すぎるだろ」

 

俺がそう言うと、後ろから女の声がした。

 

「えりな様、遅くなりました...って、八幡!」

 

「よう。久しぶりだな。緋紗子」

 

「久しぶりだな...って違う!なんで、八幡がこんなところに?」

 

「いや、今から風呂に行こうと思ってな。そうしたら、えりなとぶつかってな。それで...」

 

「八幡くん。それ以上言ったら分かるわよね?」

 

「わ、分かった。それより新戸は、なんでここに?」

 

「えりな様に頼まれてトランプとUNOを借りて持ってきたのだ」

 

「ちょっ!緋紗子...」

 

「へぇ...えりなもそんなのやるんだな。意外だわ」

 

「べ、別にいいでしょ!」

 

「は、八幡も一緒にトランプとUNOをやらないか?」

 

「いや、いいよ...俺は。2人でやれよ」

 

「八幡は私達と一緒にやるのは...その、嫌なのか?」ウルウル

 

俺がそう言うと緋沙子は上目遣いで少し涙目になって俺の方を見た。そんな目で見るんじゃない!断れなくなるだろ...

 

「えりなは嫌じゃないのか?」

 

「わ、私は別に構わないわ」

 

「それじゃあ、決まりだな!八幡、風呂に入ったらすぐえりな様の部屋に来るのだそ!分かったな」

 

「へいへい。分かった」

 

そうして、俺は風呂の後にえりなの部屋に行くことになった。

 

一方で、えりなと緋沙子はえりなの部屋で八幡が来るのをずっと待っているのだった。

 

 

 

 

ーto be continuedー

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

作者自身、出来れば毎週月曜に更新したいと思います。

それでは、次回もよろしくお願いします。


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第20皿 こうして研修1日目は終わりを告げる

大変お待たせ致しました。

他の作品の更新をしており、こちらの更新が7か月の間、しておりませんでした。それに加え今回は短めとなっております。申し訳ないです。

それでは、今回もよろしくお願いします。


そして俺は大浴場に着き、服を更衣室で脱いだのち浴場に入った。

すると、1人先客がいたようで体のメンテナンスをしているようだった。こんなことをする人は俺の知ってる中では1人しかいない。

 

「やはり、堂島さんでしたか」

 

堂島銀。遠月茶寮料理學園の第69期卒業生であり遠月学園が運営する「遠月リゾート」の総料理長兼取締役会役員を務めており、遠月リゾートの料理全てを取りしきる権限を持つなど、凄い人であり尊敬する人でもある。ちなみに俺の親父と同期である。

 

「む。八幡君か。早いな」

 

「そうですかね」

 

「ああ。かなり早いぞ。去年も一色が早く、50食作りの試練をクリアしていた。やはり極星寮生は優秀だな。八幡君はこの合宿は楽しんでいるかい?」

 

「まぁ、そこそこって感じですかね」

 

「まぁ、明日からは今日よりもさらにハードになるから頑張りたまえ。それじゃあ、私はもう上がるから八幡君も体のメンテナンスはしっかりとやりたまえよ」

 

「あ、はい」

 

そう言って、堂島さんは更衣室の方へと向かった。その入れ替わりで幸平、その5分後にタクミが入ってきて今日の合宿についての話を語り合った。と言っても俺は聞く専門だったが...

そして、俺と幸平は先に更衣室へと戻り浴衣に着替えた。タクミはまだ湯に浸かりたいようでまだ中にいる。

 

「なぁ、比企谷。俺はこれから丸井達と一緒にトランプとかするんだけど、来るか?」

 

「すまんが、えりなとの先約があるから行けないわ。あいつらにもそう言っておいてくれ」

 

「ああ、わかった。それじゃあな!比企谷」

 

「おう」

 

そう言って、俺と幸平は別れた。そして、俺はえりなの部屋に向かった。その際に...

 

「八幡く〜ん!」

 

「よう!ハチ」

 

乾先輩と四宮先輩に声をかけられた。よく見ると、後ろにはドナードさんと関守さん、水原先輩もいた。

 

「どうしたんですか?」

 

「さっきまで、日向子達と卓球をやっててな。その帰りだ。ハチこそ、こんなとこで何してんだ?」

 

「いえ、これから幼馴染のえりなのとこに行くんですよ」

 

「あら?八幡くん。浮気は許さないわよ」

 

「浮気って...別に俺は誰とも付き合っていませんよ。それに、えりなとはトランプとかするだけですし」

 

「日向子は何変な事言ってんだ」チョップ

 

「痛っ!ちょっと四宮先輩!何するんですか!」

 

「日向子がふざけた事をぬかすからだ。すまんな、ハチ」

 

「気にしなくてもいいですよ」

 

「それじゃあ...俺達は行くから、一線だけは超えないようにしろよ」

 

「そんなことしませんよ」

 

そう言って俺は四宮先輩達と別れ、えりなの部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

そして俺はえりなの部屋へと入る。

 

 

「うっす」

 

「八幡遅いぞ!」

 

「悪い、ちょっと四宮先輩達と話しててな」

 

「先にえりな様とトランプを始めているぞ」

 

「そうか。2人の楽しいひと時を俺が邪魔すんのもアレだから俺は自室に帰え...」ガシッ

 

「どこに行くんだ八幡...」ニコッ

 

自室に帰ることは出来なかった。何気に新戸の力が強い。あと、笑顔怖い。

 

「いや、別に」

 

俺は帰るのを諦め、新戸とえりなの相手をすることになった。

 

 

最初はトランプのババ抜きをする。

 

 

 

トータル5回やり

 

新戸がイチ抜けを5回、そして次に俺が2位抜けを5回。当然、えりなは5連敗だ。

 

 

 

「なんで勝てないのよ!」

 

「そりゃあ、えりなが弱いからだろ」

 

「もう一回よ!」

 

「はいはい」

 

何回やったって変わらんと俺は思う。なぜなら...

 

 

「」スッ

 

「っ!」プルプル(それはダメよ!)

 

これはジョーカーではないな。表情に出てるから分かる。試しに違うカードを取ってみるか...

 

「....」パァァ!(それよ、そのジョーカーを取りなさい!八幡くん)

 

これはジョーカーだな。明らかに喜んでる表情をしている。

 

「」スッ

 

俺はまたさっきのカードの方を取ろうとする。

 

「.....」ビクビク(そのカードはダメ...)

 

「」スッ

 

「....」(そうよ!そのカードを引きなさい!八幡くん)

 

 

そう...えりなは顔に出やすいのだ。だから、えりなは自然的に負けるのだ。にしても、いつも俺vsえりなばっかりだな。新戸は強すぎるんだよな。ポーカーフェイスも使ってくるし。

 

 

「」スッ

 

俺はそんな事を思いつつ確信を得て、最初に手に取ったカードを引いた。

 

「ああっ!なんでそっちを取るのよ」

 

「よし、2位抜けだな」

 

「く、悔しい〜!次は7並べをやりましょう。緋沙子もそれでいいかしら?」

 

「もちろんです。えりな様と遊べれば私はそれでいいですよ」

 

そして、7並べをやるも結果は変わらず新戸が1位抜けである。新戸が何気にトランプに強いことがわかった。さらにえりなはトランプに弱いことがわかった。

 

その後も、大富豪、ポーカー、神経衰弱、UNOなどをやるもえりなは何一つ勝てなかった。俺はというとポーカーと神経衰弱が何気に強かった。

 

「ううっ...全然、勝てないわ」

 

「次こそは勝てますよ!えりな様」

 

「まぁ、勝てるまで付き合ってやるから...」

 

「あ、ありがとう...」

 

そして、俺達は日を跨ぐまでゲームをひたすらやり研修1日目を終えたのだった。

 

ちなみにえりなは最後のトランプゲーム、スピードで俺と対戦し初勝利しを飾った。その時のえりなの嬉しい表情は忘れられないものだった。

 

 

...続く

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

次回も、よろしくお願いします。


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第21皿 研修2日目は師匠の四宮先輩の授業から始まる

お待たせ致しました。21話目です。

それと、他作品ではありますが活動報告もありますので良ければ見てくれると嬉しいです。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


あの後は自室に戻り2日目の研修に備え、俺は包丁を研いだりし調整を行ったのち寝た。

 

そして、合宿2日目の朝も遠月学園の卒業生からの指定された課題のもと行われる。それはいいのだが...その卒業生というのが、少し問題ありまして...

 

 

「おはよう、79期卒業生の四宮だ。ここの課題は俺が持つことになった。したがって俺の提示する料理を作ってもらう。ルセットは行き渡ったか?」

 

なんと、課題の担当が俺の師匠である四宮先輩だった。各卒業生の課題の配置決めはコンピュータによる抽選で行われているらしく、俺はハズレくじである四宮先輩、もとい師匠の課題授業に割り当てられてしまった。

 

四宮先輩は卒業生の中で特に厳しく昨日だけでも30人以上も退学させたらしいとの噂も立っている。ああ...おっかない。気を引き締めていかないと退学させられるな。弟子だからといって贔屓などして課題通過などは決してありえない。むしろ厳しく採点するまであるな。四宮先輩ならやりかねない。

 

それよりも課題料理は何を作ればいいんだ?

 

「9種の野菜のテリーヌか...」

 

テリーヌというのはフランス料理の前菜メニューで色とりどりの野菜が使われ華やかな料理ではあるが、それぞれの野菜の下処理や火の入れ具合が違うため難しい品である。いかに9種の野菜の味を活かしまとめ上げることが重要となる。

 

「俺のルセットの中では割と簡単な料理を選んだ。もっと難しい料理の品の方が良かったか?」

 

(くそっ...)

 

(性格悪りぃ...マジ殴りてぇ...殴れないけど)

 

本当に性格が悪いな、四宮先輩は。他の生徒もイラッとしている。こんなんだから四宮先輩はフランスの店で従業員と揉めるんですよ....おっと、四宮先輩が俺の方を睨んでるな。顔にでも出ていたんだろうか...気をつけよう。

 

「ああ、それと...この課題においてチームは組まない。1人1品、仕上げてもらう。あと、調理中の情報交換と助言は禁止だ」

 

やっぱり、個人戦にしてきたか。四宮先輩は皆との協調があまり好まないからなぁ...助言と情報交換も禁止とは、かなり制限をつけてきたな。でも、それ以外では制限がないから良しとしますかね...

 

 

「食材は厨房後ろから任意で選び、使ってくれて構わない。それと、最後に助言を1つ。周りの料理人全員を敵だと思って、この課題を取り組むのが賢明だ。制限時間は今から3時間とする。それじゃあ....各自、始めろ!」

 

 

そう四宮先輩は1つの助言を言い放ったのち、課題が開始された。

 

周りの料理人を敵と思え...か。いかにも四宮先輩らしいというかなんというか...

 

「うおおっ...」

 

「俺も行きますかね...」

 

俺はそんな事を考えつつ...周りの生徒の後に続き、四宮先輩の課題に取りかかった。

 

とりあえず、俺はカリフラワーから選びにかかった。カリフラワーは酸化しやすいため早めにいいのを選ばないといけない。

 

「よし」

 

なんとか、人混みの中から状態のいいカリフラワーが手に入った。

後はキャベツやズッキーニなどの残り8種の野菜を慎重に選び、調理へと入った。

 

「えっと...ルセットを確認してっと...」

 

カリフラワーのつぼみと茎を切りつぼみの方をお湯で茹でる。同時にニンジンも塩を少量入れて茹で、キャベツも下ごしらえをし、その後はパプリカとズッキーニ、アスパラを弱めで炒める。そうする事で野菜に甘みが出るからだ。そして...型にサランラップを引き、下ごしらえをしたキャベツの葉を下に敷いて、その上にパプリカ、ズッキーニ、ヤングコーン、ニンジン、カリフラワー、オクラ、アスパラの順に乗せていく。最後にコンソメのゼリーを浸し、キャベツの葉で包み冷やす。

 

そして...時間いっぱいまで固めたところで型から出し、包丁で切り優しく皿に乗せて、見栄えを良くするためトマトとソースをテリーヌの外側に添えて、俺の9種の野菜のテリーヌが完成した。

 

 

俺はできた品を前の椅子でカッコよく座っている師匠であり課題の責任者である四宮先輩にサーブ(給仕)した。

 

 

「やっと、出来たか」

 

「ええ、なんとか」

 

「俺の弟子だからといって贔屓はしないからな」

 

「分かってますよ」

 

「早速だが、審査を開始する」パクっ

 

そう言って、四宮先輩は俺の作った9種の野菜のテリーヌを食べる。

 

「ふむ....」

 

「.........」

 

「.........」

 

しばし沈黙の時間が俺と四宮先輩の間に流れる。え?何?俺不合格なの?

 

「....比企谷八幡、合格だ」

 

「はい」

 

ふぅ....良かった。沈黙が長かったから不合格かと思ったぜ...

 

「この後の課題もちゃんとこなせよ。退学なんてことになったら俺は許さんぞ、師匠である俺の名前に傷をつけることになるからな」

 

「善処します」

 

「善処じゃダメだ。退学しないようにやるんだよ」

 

「うっす」

 

「下がっていいぞ」

 

四宮先輩にそう言われて下がる。次の審査は幸平だった。

 

「合格したみたいだな。比企谷」

 

「なんとかな。幸平も合格しろよ」

 

「当たり前だ」

 

幸平は俺と会話したのち、四宮先輩にサーブ(給仕)した。

 

「幸平創真、合格だ」

 

「よし!」

 

幸平創真も無事、合格した。その後も四宮先輩の合格、不合格の審査が続き...

 

「お願いします」

 

そして最後は田所恵の審査だけとなった。見た目としての評価では見栄えもよく合格ラインに達していると思う。味次第で決まる感じだな。

 

「ふぅ....田所恵。不合格、退学だ」

 

「え?」

 

「マジか」

 

しかし、田所恵は不合格という判断が四宮先輩から提示された。俺には不合格の要素が見当たらない感じがするんだが...

 

「これで終了だな。不合格の者は荷物をまとめてロビーに集合しろ」

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「なんで、私は不合格なんでしょうか?理由を教えてくれませんか?」

 

「理由か。痛み始めてるカリフラワーを茹でる時にワインビネガーを田所は使ったな?」

 

「は、はい。漂白作用もあって見栄えもよく出来るし、野菜の甘みとビネガーの酸味をうまくマッチさせました。それでも不合格なんですか?」

 

「あ、ああ...そうだ。誰がルセットを変えていいと言った?このメニューは各野菜の甘みが作り上げるハーモニーを楽しむもんだ。ルセットの中に酸味を活かして調理するって書いてあったか?」

 

「書いてないです」

 

「それが、不合格の理由だ。田所が作った料理は俺の課した課題に沿わない、別の料理だ。納得したか?」

 

「......」

 

四宮先輩はそう言うが、田所は納得していない様子だ。もちろん俺も納得はしていない。別にルセットを変えていいとは言ってないが、変えることを禁止されてもいない。だから、田所が不合格になるのはおかしいと俺は思う。まぁ、田所の料理を食べてから決めよう...

 

「四宮先輩、少しいいですかね?」

 

「なんだ、八幡」

 

「ちょっと田所の作った料理を食べてもいいっすか?」

 

「構わない」

 

「田所、少し食べるぞ」

 

「う、うん」

 

俺は許可を取り田所の作った9種の野菜のテリーヌを食べる。普通に美味い。やはり、不合格になる理由がよく分からない。

 

上手く機転を利かし傷んだカリフラワーを良く見せようした結果、ルセットを変えることになった。いわゆる不可抗力が働いただけだ。それに傷んだカリフラワーを入れている四宮先輩にも落ち度があるのだ。

 

「美味いな」

 

「ほ、ほんと?」

 

「ああ、田所の不合格にする理由が分からない」

 

「なんだと?もう一回言ってみろ、八幡」

 

「何回でも言いますよ、田所を不合格にする理由が分からない」

 

初めてかもしれない。師匠である四宮先輩に意見を言うのは...だが、本当の事を言わないといけない気が俺はしてならなかったので、生意気ではあるが師匠である四宮先輩に楯を突いた。

 

「さっき、理由を言ったはずだが?」

 

「言いましたね。でも、俺はそれで納得しませんでした。四宮先輩にも落ち度がありましたので」

 

「ほぅ...いい度胸だ。俺の落ち度を言ってみろ」

 

「鮮度の悪い野菜を入れてた所、上手く機転を利かした点を考慮しない所ですね。後者は別にいいですけど、流石に前者はダメでしょ。鮮度の悪いものを使って料理をし、そのまま四宮先輩の提示したルセット通りに、それをお客さんに提供する。その後、どうなるか...あの勲章を取った四宮先輩なら分かりますよね?」

 

今では、それで社会問題になることが多々あるので気をつけなければいけないのだ。

 

「.......」

 

「なので、田所の不合格を取り消してもらってもいいっすか?」

 

「俺からもお願いしてもらっていいっすかね?不合格の取り消しの件」

 

「幸平...」

 

「幸平も俺に楯突くのか?」

 

「そうなりますかね。俺も比企谷の意見に賛成なんで」

 

「そうか、じゃあ八幡と幸平も退学にしようか」

 

「えっ!」

 

「俺たち2人も退学扱いとは横暴ですね」

 

「なんとでも言え。この決定は変わらない」

 

四宮先輩は折れないようだ。

 

「ひ、比企谷くん。私のことはいいから」

 

「全然、良くないだろ。田所は悔しくないのか?せっかく機転を利かして傷んだカリフラワーを使って最高の品を完成させ、サーブ(給仕)したのに、不合格なった。この理不尽な結果に満足できるのか?」

 

「で、できないよ。でも、しょうがないんだよ。これが結果なんだよ。私なんかの為に比企谷くんと幸平くんが退学になる必要なんてないんだよ。だから...私のことはもういいよ、比企谷くん。えへへ...」

 

田所は泣きながら、俺にそう訴える。俺は田所の涙を流すのを見て尚更、引き下がることはできないと思った。

 

「やっぱり、ダメだ。引き下がることはできない。俺に任せろ。絶対に田所を退学にはさせない」

 

「へっ?」

 

「四宮先輩、俺と食戟しませんか?四宮先輩が勝ったら俺だけ退学、俺が勝てば田所の不合格を取り消してくれますか?幸平はこの勝負、除外ということで」

 

「...面白い。いいだろう。その勝負、受けて立ってやる」

 

「比企谷...」

 

「俺が撒いた種だ。幸平までこの食戟に参加する必要はない」

 

「でもよ...まぁ、いいわ。比企谷に任せる。でも、俺もその勝負見届けるからな」

 

「分かった」

 

「マジかよ...四宮先輩と料理界のプリンスが食戟対決か」ヒソヒソ

 

「見ものだな...」ヒソヒソ

 

周りの生徒は四宮先輩と比企谷八幡の食戟対決が決まるとヒソヒソと話をしていた。その時である。

 

「面白い話をしているじゃないか?四宮、八幡くん」

 

ドアの前で佇む、堂島さんとその隣に乾先輩がいた。

 

 

「堂島さん、居たんですか?」

 

「さっきな。食戟をやるというなら、今日の課題を全て終えてから俺が立ち会いのもと非公式で執り行おう。いいな、四宮、八幡くん」

 

「はい」

 

「大丈夫ですよ、ムッシュ堂島」

 

「それじゃあ、八幡くん。今日の課題を終えた後にホテルの別館に来たまえ」

 

そして俺は堂島さんの立ち会いのもと師匠である四宮先輩と、今日の課題を全て終えた後に非公式の食戟を行うこととなった。

 

 

 

 

...続く

 

 

 




ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。

今回は原作改変を行い、食戟対決は師匠の四宮先輩VS弟子の比企谷八幡の2人としました。2人の仲違いは日常茶飯事みたいなものなので関係崩壊とはなりませんのでご安心ください。

そしてら次回は2人の食戟対決となります。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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第22皿 比企谷八幡と四宮小次郎の師弟対決は儚くも叶わず持ち越しとなる。

大変、お待たせ致しました。

22話目です。

それでは、今回もよろしくお願い致します。


 

 

 

 

 

 

 

俺と四宮先輩の食戟対決が決まり、四宮先輩は部屋から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとか、首の皮が一枚繋がったな...良かったな。田所...」

 

「比企谷くんのバカぁ!!!」

 

「!?!?」(声がデカイ)

 

「何で、あんな無謀な勝負をしたの!私なんて放っておいてよかったのに...」

 

「んなわけにいくかよ。俺達、同じ寮生だろ。それに師匠のやり方は間違ってると思う。だから、この選択が正しいんだよ」

 

俺が日本にいる間に四宮先輩の何かが変わった。故にこのような事態になっているのだろう。俺がいない間のフランスで何かがあったのは間違いないだろう。喧嘩とか....あの人、従業員と揉めること多々あったし。

 

「それに、お前がここで落ちていい奴じゃないからな」

 

「比企谷の言う通りだぜ!四宮先輩のやり方は間違ってる。だから正さないといけない」

 

「だから、今日のノルマはちゃんとこなしてくれよ。田所」

 

 

という俺も残らないと話にならないがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食戟が行われる夜に向けて、俺は一層気を引き締める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、今日の課題をクリアし四宮先輩の食戟対決が行われるであろう場所に田所と一緒に向かう。

 

 

 

 

別館地下1階、厨房。

 

 

「待っていたよ。この場所は今回の研修で使われないので、思う存分と食戟対決に臨んでもらいたい」

 

「そして、審査員は遠月学園の卒業生に務めてもらう」

 

「ええっ!!」

 

「八幡、また会ったね」

 

「はい」

 

何故、乾先輩は縄でグルグル巻にされてるんだろうな......

 

 

 

触れないでおこう....

 

「今から、2対1の非公式の食戟を行う」

 

「うっす」

 

「しかし、いくつか条件を付け加える」

 

「ん?」

 

「第一に今回の食戟での調理のメインは田所恵、彼女に行ってもらう。比企谷八幡には彼女のサポートとして回ってもらう」

 

「話が違うんですが.....」

 

「四宮から詳しく話を聞いた。食戟対決の主な理由、主旨として田所恵の審査に対して比企谷八幡が異議申し立てを行った。それに関しての再審査として今回は行う。比企谷八幡と四宮の直接対決は後日行うこととする。もし、今回君がメインで戦ったとしても彼女の為にはならない。ここで彼女の腕を再度試す。もちろんフェアな条件下の元で行うから心配は要らない」

 

「分かりました」

 

堂島さんの言い分には一理ある。ここで俺が勝ったとしてもその場凌ぎに過ぎない。そんなことをしても彼女の為にはならない。ここで勝って弾みをつけるのが先決か....

 

「第二として、今日の課題で余った野菜類を使って料理を一品作ってもらいたい。食材の鮮度は悪くないので安心したまえ。それでは食戟開戦だ」

 

 

 

そして、当初行われるはずだったの食戟を変更して....

 

 

田所恵・比企谷八幡対四宮小次郎の食戟対決が開始された。

 

 

 

「今日、ハチと食戟が出来なくて残念でならない」

 

「俺も同じ気持ちですよ。先輩」

 

「今日、この対決で負けて退学したらフランスに戻って来い。俺の元でみっちりとしごいてやる」

 

「それは勘弁っす」

 

そんなことになったらまたアイツが暴走するからな。

 

「田所」

 

「.............」

 

「おーい、田所さんー!」

 

「..............」

 

あ、コイツ....フリーズしてる。緊張しまくりじゃねーか。まぁ、無理もないか。あの四宮先輩と食戟対決だからな。

 

過度な緊張は料理のクオリティーを下げかねん。緊張を解さないとな。

四宮先輩は既に調理に入っている。

 

「おい!田所!」

 

俺は田所の正面に立ち、声を掛ける。

 

「はい!」

 

「緊張しすぎだ。そこまで不安がることないないだろ?」

 

「だって....負けたら比企谷くんまで退学になっちゃうし.....」

 

「始まる前から負けることを考えるな。それに俺の退学のことは気にすんな。まずはどんな料理を作るかを考えるのが先決だ」

 

「それはそうだけど.....」

 

「俺が手伝う以上、負けないし退学もない。安心しろ」

 

「比企谷くん.....」

 

「.....多分だけどな」

 

「最後の言葉で台無しだよ!」

 

「そんな軽口が叩けるなら大丈夫そうだな。震えも止まってるしな」

 

「あっ......」

 

「それでどんな料理を作るんだ?」

 

「それなんだけど....四宮先輩に勝てる料理を作れるか分からなくて....」

 

「勝つ料理を作る必要はない。現段階で俺達が四宮先輩を超える料理は作れない。プロの最前線で戦ってきた人に勝とうなんて100年早い」

 

「うん....」

 

「余計なことは考えず、田所の作りたい料理、お前らしい料理を作ればいい。俺はそれを全力サポートする」

 

 

 

「うん!」

 

 

田所は少しの間、どんな料理を作るか考えていた。

 

 

 

「ハチ、まだ調理に入ってないのか?」

 

「ええ、まぁ....」

 

「身支度する準備でもしたらどうだ?」

 

「そうはならないんで、大丈夫っす」

 

「彼女を随分と買ってるようだな?」

 

「やる時はやる奴なんで」

 

「それは楽しみだ」

 

「比企谷くん!」

 

「シェフに呼ばれたんで行ってきます」

 

 

「作る料理は決まったか?」

 

「うん。でも、下準備とか色々と大変なんだけど....」

 

「それなら心配ない。フランスでの修行でその手のことは慣れてる。んじゃ、遅くなったが作りますか。シェフ」

 

「うん。お願いします。比企谷くん」

 

 

そして、田所をメインでの調理を開始した。

 

 

 

 

俺はサポートなので田所シェフからの指示を受け、食材の下ごしらえと肩肉の切り出し、レバーの処理などスムーズに行い田所シェフのやりやすい料理作りに徹する。これはフランスでの修行で培ったもの。四宮先輩は無駄が嫌いな人だったからな。最初は苦労したものだ。

 

 

 

「さすがは八幡くんだ。無駄のない動き.....田所シェフもやりやすいだろう」

 

「さすがは四宮の弟子だけはある...田所恵の邪魔にならないように徹して動いている。高校生とは思えないな。八幡くんは」

 

「私の店に欲しいぐらい.....後でお願いしに行く」

 

「無理ですよ。彼は遠月学園の生徒ですから」

 

 

 

 

堂島さん、関守さん、水原さん、ドナードさんは食戟対決を見守りながらそう呟く。

 

 

 

(やっぱり比企谷くんはすごいなぁ.....スムーズに調理が出来てる....私も頑張らなきゃ.....)

 

 

 

 

 

 

「残り時間はあと少し!仕上げにかかれ!」

 

 

 

「比企谷くん、盛り付けをお願いします」

 

「おう」

 

 

 

 

 

そして、料理は完成し。審査に入る。

 

 

まずは、四宮先輩からの審査。

 

 

 

「どうぞ」

 

「おおっ!」

 

「あれ?私の分は?」

 

「ヒナコの分はない。水原から分けてもらえ」

 

「これはシュー・ファルシですか.....」

 

「フランスの家庭でよく作られる定番料理ですね」

 

「少し意外なメニューですね」

 

「拍子抜けですね。四宮先輩はいつも気取った料理ばかり作るのに...」

 

「余計なお世話だ」

 

ゴッと音を立て乾先輩にチョップを食らわす。

 

 

そして、実食に入る。

 

 

「......っ!!」

 

「美味い!!」

 

 

「さすがと言ったところですね」

 

 

 

 

卒業生の方々のおはだけが炸裂した。

 

 

 

 

 

まぁ、四宮先輩はレギュムの魔術師と呼ばれているぐらいだから当然だろうが.....

 

 

「四宮先輩にしては珍しいですね」

 

「何がだ?ハチ」

 

「フランスでの店で出してたスペシャリテが出てくると踏んでたんですが」

 

「俺がそんな大人気ないことすると思ったか?」

 

「はい。四宮先輩は容赦なかったですし」

 

「んだと!...まぁ、せいぜい足掻いてくれ」

 

「そのつもりです。驚くこと間違いないですからお楽しみにして頂ければ」

 

「それは楽しみだ」

 

「それでは、田所くん、八幡くん。サーブを」

 

「はい」

 

「ん?田所、大丈夫か?」

 

「うん....」

 

「お前なら十分、戦える。胸を張れ」

 

「うん!」

 

「どうぞ召し上がってください」

 

先輩方の前に料理を給仕(サーブ)する。

 

「お、これは!!」

 

「テリーヌですか....」

 

「これは四宮先輩が恵ちゃんを不合格にしたあの課題のメニューですね!」

 

「7種類の野菜で作った虹のテリーヌです」

 

「なるほど....面白い。俺のルセットにケチをつけようってか?」

 

「わわっ!!そんなつもりは!!私なりのルセットをですね....見て欲しくて」

 

「とりあえず、実食しよう」

 

 

卒業生の方々は田所の作った虹のテリーヌを口に運ぶ。

 

「っ!」

 

キュッと目を瞑って卒業生の食べた感想を待っていた。

 

 

 

 

 

「これは美味い!!」

 

「これは中々......」

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

「さっぱりしたソースがまたいいね。2種類ほど使っているのかな?」

 

「はい。甘酸っぱいすだちのジュレと紫蘇と数種類のハーブをペイスト状にしたグリーンハーブソースを使っています」

 

「すだちとトマトも相性が良くて美味しい」

 

「本当ですね。やっぱり恵ちゃんの料理は美味しいです」

 

水原先輩と乾先輩からお褒めの言葉をもらう。

 

「見た目も鮮やかでいいね」

 

「ワクワクが止まらないね!」

 

「恵ちゃんの優しさが溢れ出ている料理ですね」

 

 

ドナードさん、関守さんからも前向きな評価を得る。

 

 

「良かったな、田所。好評かつ高評価だな」

 

「うんっ!本当に嬉しい!」

 

 

 

 

 

後は結果を待つだけだが.......

 

 

相手は師匠の四宮先輩。かなりの苦戦を強いられるだろうな。

 

 

 

「それでは判定に入ろう。コインを票代わりとし、1人1枚渡す。より美味しかった方の皿にコインを置いてくれ」

 

 

 

 

 

パチン

 

 

 

 

 

 

 

 

パチン

 

 

 

 

1枚、また1枚とコインが皿に置かれ.....

 

 

 

パチン

 

 

 

最後のコインが置かれ、俺と田所はコインを置かれた皿を見る。

 

 

 

 

 

 

「あっ.......」

 

「ふぅ.......」

 

 

 

四宮先輩の皿に3枚。俺達の皿に0枚。

 

 

 

 

完敗だった。

 

 

さすがに師匠を倒すのは無理だったか.......

 

 

 

「ハチ、今すぐ荷物を纏めろ。合宿終了後にフランスへ発つからな」

 

 

 

 

 

 

 

「すまん、田所。勝たせること出来んかった.....」

 

俺は田所に深々と頭を下げる。

 

「頭を上げてよ....比企谷くんのせいじゃないんだから....」(私の力不足で......比企谷くんまで退学に......)

 

 

「このことが吉野達にバレたら、めっちゃ怒られるかもしれんな....その時は2人で怒られるか...」

 

 

「うん....」

 

 

 

 

 

「実力の差は歴然。経験の差があるから、この結果は当然と言えば当然かもしれないが.......」

 

 

 

 

パチン

 

 

 

「俺は田所くん、八幡くんペアに1票を投じさせてもらう」

 

「何の真似ですか?堂島さん。アンタには権利はないはずだが?」

 

「まぁ、田所くん達が作った料理を食べてみれば分かるさ。そうすれば、今現在....停滞している四宮の助け、停滞から抜け出す糸口が見つかるかもしれんぞ」

 

 

カチャ

 

 

 

「......」パクッ

 

 

堂島さんからコインを受け取り、俺達が作った7種のテリーヌを食す。

 

 

 

 

 

 

「火入れが甘い、盛り付け、パテのつなぎもまだまだだ....」

 

 

(だが、なんか懐かしい味......)

 

 

(ふっ.....昔、良く食べてた母さんの味に似てるな....)

 

 

何かを思い出したのかどこか遠い目を四宮先輩はしていた。

 

 

そして、初めて四宮先輩が涙を流す姿を見た。

 

 

 

その後、四宮先輩は田所に色々と質問し....その質問に田所は真摯に答える。

 

 

 

「はいっ!私もこちらに1票を投じます。優しさを感じたもの凄くいい料理でした。これで同票。引き分けです!この勝負は私が預からせていただきますよ!」

 

「ということは田所くんの処遇は食戟対決前ということになるな?」

 

「とんだ茶番だな。まぁ、いい.....おい!鈍間!」

 

「は、はい!」

 

「せいぜい、退学しないように頑張るんだな。お前の料理、荒さは目立ったが......美味かった」

 

「!あ、ありがとうございます!」

 

「ハチ、お前との食戟対決はお預けだ。いいな」

 

「うっす」

 

「という訳で、田所くんと八幡くんの退学は取り消しとなる。田所くんの食べる者を温かくもてなそうとする気概....心遣い。それが君の料理であり魅力である。その精神を忘れることなく後の課題をこなしたまえ。そして、田所くんと八幡くんの皿に置かれたあのコイン.....あれは未来の投資だ。この学園で君達の武器をより一層磨きたまえ」

 

 

 

 

「何か、良く分からんが.....俺達....助かったみたいだな」

 

俺がそう言ったのち、田所は嬉しさのあまり泣き出していた。

 

 

 

 

 

俺は彼女が落ち着くまで宥めた。

 

 

 

 

 

 

田所が落ち着いたところで、部屋に戻ることにした。

 

 

「夜も更けてきたな.....あいつら心配してるかもしれんな。田所はメールとか来てないのか?」

 

「あっ!たくさん来てる......」

 

「それはやばいな。早く行ったらどうだ?心配性な奴らばっかりだからな」

 

「うん!」

 

 

 

「比企谷くん!」

 

「何だ?」

 

「今日は本当にありがとう。この恩は一生、忘れません」

 

「何、言ってんだ.......俺は田所のサポートしただけだ。田所の実力で引き分けまで持ってたんだ。もっと自分に自信を持ったらいい。堂島さんも言ってたろ?【食べる者を温かくもてなそうとする気概....心遣い。それが君の料理であり魅力である】その精神が今日の結果に繋がったんだ」

 

「それでも、比企谷くんの力がなかったら引き分けにはならなかったと思うから」

 

「そうか......今日はもう遅いから.....また明日な」

 

「うん!」

 

 

 

 

「ふぅ......四宮先輩に勝てると思ったんだがな.....」

 

 

「そのようだと負けたようね。八幡くん」

 

 

 

「なんで、ここにえりながいるんだよ」

 

 

「八幡くんの部屋に行ったけどいなかったから....近くにいた幸平くんに詳しく聞いたのよ。しょうがなく......ね」

 

「なるほどな。まぁ、色々あって四宮先輩との食戟対決は負けから引き分けに変わったけどな」

 

「そう.....もし、負けたらどうなっていたのかしら?」

 

「退学だな」

 

「そう....もし負けていたら私をまた置いてどこかに行ってしまうのね」

 

「負けたらな....退学になってたら、また四宮先輩とフランスで一緒に仕事するだけだ」

 

「といっても、負けたらの話だ。とりあえず負けてないからお前を置いて何処かに行くこともないわけだ。今日はもう遅いから帰るわ。えりなも気をつけて戻れよ」

 

「ええ....」

 

えりなと別れ、俺は部屋に戻るのだが....幸平からメールで丸井の部屋に来いとのことだったので丸井の部屋をノックして入るのだが....

 

「失礼しま.....「バチッ」いってぇ....」

 

入ろうとしたがいきなり頬を叩かれた。その主は吉野でやはりあの食戟対決に関してこっ酷く怒られた。途中で、榊さんのフォローもあってかすぐに解放された。

 

 

その後、幸平主催の元、花札大会に強制参加することになり......夜遅くまで付き合わされたのだった。

 

 

 

 

 

.....続く

 

 

 

 

 




ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。


次回は研修3日目のお話となります。


更新は遅くなるとは思いますが、気長にお待ち頂けると幸いです。

それでは、次回もよろしくお願い致します。


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