おばあの水晶玉 (coltysolty)
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遙かなる旅の始まり[序章]

癒しのおばあ?必殺仕事人おばあ?ヒーローみたいなヒロインおばあ?おばあの力は果てしない。愛に飢えている者、人生を顧みたい者、最後は心から悔い改めて全てのことを謝罪したい者。

天寿を全うしてもらうお手伝いをキジムナーと共に行っていく。
おばあとキジムナーの時空を超えた旅がはじまる。


森のおばあは、長い間世の中をみてきた。もう自分の年が数えられない程生きている。推定2500才ぐらいなのだろうか?紀元前から生きている計算になる。ずっと生き続けることがいかにつらいか、生き続けた者にしかその悩みはわからない。おばあの紫水晶を覗くと、これまでのすべての出来事が映し出される。陰で悪行三昧しつくした者、欺瞞に満ちあふれ益を独占した者、人を陥れようとした者。人は生まれながらに罪人であるが、その罪を悔い改めなければ、永遠にシエロを知ることはない。

 

おばあはヨタの森に住み、キジムナーと暮らしていた。これまでいろんな人、いろんな事をみてきたが、人間とはなんともおぞましいものだろうかと、心を痛める毎日だった。正しく弱い者は虐げられ、権力をかさにきて思い通りに人を動かそうとする者が牛耳る世の中。理不尽な世の中は救いがないのだろうか。

 

シエロに入り、ディオスの元に到達できる者は、全ての罪を心から悔い改め、魂を清めた者のみであるのに。人が傲慢になったのはいつからだろうか。科学の発展は絶対的な存在であるディオスを超えると慢心しはじめたのはいつからなのだろう。

 

ただしこれだけは言える。いつの時代も悪人と善人はいる。また、悪の心で善行を装っているもの、だます者。また悪の誘惑にに負け、善の魂を売ってしまう者。

一方、悪を目の前にしても教鞭な精神力で、悪をものともしない強く優しい心を持った者。

 

苦労は報われないのかと思っていてもトータルでみれば、良いこと・悪いことイーブンであるのが人生。長い間生きてきたおばあは、それだけは明かであると断言していた。

 

立場は弱くても心を強く持ち、悪魔に魂を売り飛ばさない勇者は最後には勝者となり、ディオスの元に行くことができると。

おばあの使命は、人々の心の灯火となること。希望を捨てず夢を持ち、しかし慢心せず、ディオスの前で正しく謙虚であることを教え諭す事。人がみていなくとも、ディオスは必ずみているのだということ。

 

来る者は拒まず話を聞いては助言を与えるおばあ。遠くに助けを求める人あれば、行って助けるキジムナー。

わしんなよーやーわしんなよーわねうむとーんどー かなさんどー ぬちどぅ宝

と言って励ますことを忘れない。

 

もしおばあの存在が必要なくなれば、きっとこの世からすべての悪は消え去ってしまうのかもしれない。そうすれば、おばあの命が納められる日が訪れるのかもしれない。

 

水晶玉が映し出すこれまでの数々の悪行を葬り去って行くために、おばあは日々祈りその出来事の時代・場所に行って教え諭そうと試みる。

 

さて、どれだけの人が聞こえる「耳」と、変わる「勇気」を持っているのだろう。

おばあとキジムナーの果てしない時空を超えた旅が始まる。

 




遠浅の海は、どこまでも続く水平線が美しく広がっています。そんな景色をみながら育ったおばあとキジムナーは、人々の心の浄化作業をし続けます。

なんくるないさー

心が弱くなりそうなとき、この言葉をつぶやくとがぜん元気になります。

あきちゃびよー!
仕事に遅れちゃう!

ってときも、焦りは禁物。なんくるないさー。慌てない慌てない。
来週もお仕事がんばりましょ。


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成敗された悪代官

この世の悪と戦う天下御免な向こう見ず?ほっこりおばあとお茶目なキジムナーの
異次元珍道中のはじまりはじまり・・・


データNo.A63250

最初の案件は・・・・

 

データ管理をしているキジムナーがおばあとの浄化紀行プランを

チェックしている。

 

おばあときじむなーなんて、めっちゃアナログなイメージだが

実は、しっかりデジタル管理されているのである。

 

保存画像も重くならないように、gifか解像度低いjpegで保存してあるし

おばあの水晶画面の編集データって、おそらくMacかも?

キジムナーはフォトショもイラレも使えるようだ。

データに関することは、すべてキジムナーが管理・メンテナしている。

 

まず最初の改心への呻き(うめき)が聞こえたのは

ハポンという国のようだ。

 

ある悪代官が越後屋とつるんで、人気の染物問屋を潰そうとしていた。

染物屋の利益をわがものにしようと、あの手この手で非道の限りを尽くしたところ

暴れん坊なやんちゃ将軍にめっかっちゃって

成敗されてしまった。

 

ところが、成敗される直前に、この悪代官は

改心しようと思ったのであった。

 

しかし、寸での所で間に合わなかったのである。

ああああ、なんということだ・・・

わしの人生に一片の悔いなし

なんて言うてる場合じゃなかと

 

まだ武家屋敷のローンも残っているというのに・・・

せめて極楽浄土で家族への施しを請いたいところなのにぃ

 

おろろーん・・・と、嘆き悲しみながら絶命した。

 

すると

 

ちりりーん

 

紫の鈴の音が響いた。

 

「そなた、罪を悔い改めたいのじゃと?」

おばあが悪代官に問いかけた。

 

「そですそです。わしゃあ悪行三昧してきたが、

罪を悔い改めてから、命をささげたかったのにぃ

 

上様ったら後生だから・・・って言おうとしたら

えええい!成敗いたす!って

いきなり切りつけられちゃったの

 

ばあさま

どうにかならない?」

 

悪代官は手をすりすりしながら、おばあに懇願した。

 

「そうじゃな。そなたの家族を守りたい心はよおくわかった。

しかしのぉ、そなたとそなたの家族だけがよければ

よいのかのお?

 

そなたのおる町民がどなっても

よかと?」

 

「・・・・・」

 

「ほんとうに罪を悔い改めたいなら

すべての財を寄付しましょうねー。お代官ちゃん?」

 

「・・・・・」

 

「あい!あきちゃびよ!

この後に及んで、迷うておるのか?」

 

「・・・・いや・・・・極楽行ってちゃんと生まれ変わりたく候

私の財をすべて町に寄付します・・・・」

悪代官はやっと決心がついたようだった。

 

「でも、あのお、妻と息子は路頭に迷わないよう

なんとか配慮してもらえないでしょうか?」

とりあえず交渉の余地はあるかな?と、悪代官はおばあに頼んでみた。

 

「キジムナー、妻と息子のデータをよこしなさい

 

ふむふむ。

妻は従順で、息子はなかなかの勤勉のようじゃな。

 

それでは、妻と息子が町の人々に溶け込み

困ったときには皆を助けられるような職に

つくようなチャンスを授けよう

 

あとは本人たち次第じゃ」

 

「ああああありがたき幸せ・・・・・

御祖母様、心より感謝申し上げます

 

そして、これこれどれどれそれそれのわたくしの罪

心より悔い改めます。

 

これまで痛みを負わせた人々にお詫びいたします。

もうしわけございませんでした。

 

私の財は、まずこれらの人々にはじめにお渡しください。

そして幸せに暮らせるよう便宜をはかってあげてください。」

悪代官の表情が穏やかになっていくのが見て取れた。

 

「よおし、そなたの魂レベルは

かなりクリーンアップされてきたようじゃ

 

クーラント少し足りないかな?

オーバーヒートおこさんようにな・・・

足しておくわ

 

そなたの魂修行のために

生まれ変わるときは、相当な困難を極める境遇に置かれるが

それでもよいかの?」

 

「はい、なんでも甘んじてお受けいたします・・・」

代官は覚悟を決めたようだ。

 

「よろしい。それでは修行層に入るがよい。

そこで魂を清め、生まれ変わり、現生での修行を行うのじゃ。

生まれ変わった世ではしっかり修行するのだぞ。

 

今世でおこなった悪をすべて洗い流すように

魂をぴっかぴかにして、天寿を全うしなされ」

 

「ばあさま!!!

ありがとうございます。

 

それでは、修行層にまいります。」

 

ぽちゃん

 

悪代官の魂は修行層に入っていった。

 

相当汚れていたらしく、培養液濃度をあげないと

なかなか魂に正しい栄養がゆきとどかないので

調整をキジムナーにまかせ

 

おばあは、次の案件へと移ることにした。

 

「はぁ。。やれやれ、一件落着?

これって、どんだけやってかないとだめなんでしょ」

 

世の中の悪って如何ほど?

あたしゃかなわんよ・・・・おろろーん。

 

ってなわけで、おばあとキジムナーの旅はまだまだ続く・・・・

 

 

 

 

 

 

 




おばあの浄化紀行ってデジタル管理だったんですね?知らなかった・・・いや、途中から思いついたくせに(;'∀')

おばあちゃんっこだったんで、どうしてもばあちゃんを思い出してしまいます。彼女、かなりなデジタルな人で機械ものとかすいすい使っちゃってたんですよ。びっくりしました。

もっと時代遅く生まれていたら、彼女はSEになっていたかもしれません。ちなみにおじいちゃんは鉄道の人でした。今でもSLの模型があって大切な形見としてとってあります。現在、線路近くに住んでいますが、SL祭りのときはここ走るんですよ。めっちゃ萌えますね・・・(そんなに詳しくないのに、喜びすぎる様子から鉄子と呼ばれること多々あり)


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浄化の邪魔者

旅も地球を一回りするぐらい、おばあとキジムナーは浄化作業をおこなってきていたが、日に日に作業は増えるばかり。そこで、キジムナーがおばあに作業効率アップを提案する。


「ねえ、おばあ、最近さ、アクセス速度が遅いんだけど、光通信の速度あげてくれって

上にいってくんない?」

キーボードらしきツールをたたきながらキジムナーがおばあに声をかけた。

 

「これ以上上って?足りないの?1Gbpsぐらいじゃなかったっけ?」

キジムナーがくるまでは、おばあがひとりでデータ管理をしていた。

 

「ベストエフォートだから、1GBなんてでないんだよ。回線増やしてもらえないかなー

あとマシンのスペックアップもしたいんだよね。」

 

「ほぉ・・・わしらの頃はpentiumでも、すごい~って、自慢してたのに、最近じゃデュアルコアとかいうんじゃろ?」

 

「おばあ、それももう古いよ。てか、わしらの頃って、いつの頃の話?おばあなにやってたの?」

 

「ひえ~時代進みすぎ。3000年近く生きてるからのぉ、いつと言われても・・・何やってたって、こんだけ生きてるもん、いろいろやってきたわ(遠い目)」

 

「とにかく、上に言ってね」

 

「上って、上様(かみさま)とかいて、うえさまと読む、それ?」

 

「それ以外、どこに言うの?とにかく予算つけてって言っておいてね。交渉係はおばあなんだから」

 

「ほんじゃ、お気に入りのきんつば持参していこうかねぇ~」

 

「おばあ、付け届けなんて邪じゃね?」

 

「きじむなー、なにを言う!お茶請けに持っていくだけじゃ。しゃべってると喉がかわくじゃろ?お茶をのんでたら、なんかつまみたくなるじゃろ?上様へのご配慮じゃ」

 

「ほんとかなー・・・おばあ最近ちょっと楽しようとしてない?その邪精神あるから世の中から、悪が消えないんじゃないの?浄化作業が不十分なんじゃね?」

 

「な、なにを言うか!!よ、邪なんてないぞ!!ストレートで見事な縦縞ストライプ模様で、心はまっすぐなんじゃ!」

 

「つまんないこと言ってないで、さっさと行ってきてね。もう作業時間が多くて、プライベートの時間がとれないんだよ。えん・まこちゃんとデートしたいのに~」

 

「なに???閻魔大王の娘とデートじゃと?」

 

「まこちゃんったら、かわいいんだよねー。ジムさんのためにお弁当つくってあげるから

今度ピクニックしよう!

 

って誘われてさ~でもさ、浄化作業過酷すぎて、寝る暇ナッシング、デートする暇なんかもちろんナッシングなんだっ!」

 

「ふん・・・わしもしたことないのに・・・」

 

「え?おばあ、いまさらデートとかしたいの?

まさか・・・・罪人の中に、ぽっ、ってなった人いたとか?

あ・・・レパン4世?人の心を盗んじゃってすいませんでした!ってやつ???」

 

「ち、ちゃうわい!わしの目当てはレパンじゃなくて、六右衛門じゃ・・・

あっ!・・・う・・・・」

 

「はぁ・・・斬鉄剣ね・・・・確かにかっこいいわ・・・

って、おばあ!だめじゃん!そんな邪!!!」

 

「邪なんかじゃなかと!純愛じゃ!!!」

 

「・・・・わかったよ。そんなむきになんないでよ。

とにかく、アクセススピード上げてもらわないと、浄化作業遅れまくりだからね。

たのんだよ。」

 

「あい、なんでかね?

であるよ

だからよー」

 

「おばあ?ぼけまわしてる暇、ないんだからね?」

 

「わかりました・・・キジムナー様っ」

 

「おばあ、急に女子ぶったら気持ちわるいから

たのむからやめてくれ。」

 

「ところで、キジムナーって長いから呼びづらいんだけど。おまえの名前はなんて言うの?」

 

「は?妖怪だから名前なんかないよ。」

 

「それじゃ、キジムナー・太郎ってどう?」

 

「えーーーーなんか、ずっと全敗の負け確定レスラーみたいじゃん・・・」

 

「よいではないか。相手に勝利の美酒を捧げて、喜びを与える幸せ運搬人ってことで」

 

「いいよ・・・なんでも。てか、ちなみに、おばあの名前は?」

 

「わし?わしは、紫・ばばあじゃ。」

 

「ばばあってファーストネームなの?」

 

「ん~、よくわからん。ま、どうでもよかろうが。じゃ、太郎行ってくるぞい。いいこいいこ~」

 

「オレは犬か・・・・」

 

「次の案件だけきいといて、出発しようかの?」

 

「次の案件は・・・・あ、いじめ、だね」

 

「え~、それ現代じゃん。あたしそれ苦手ぇ~。他のにして?」

 

「おばあ!だめ!!!優先順位ってのがあるんだから!!!」

 

「・・・・わかりました・・・・現代は複雑怪奇に入り組んでいるから、いろいろ資料をお願いいたします。太郎D様」

 

「はいはい、いってらっしゃい。車に気を付けてね」

 

「ふぇ~い」

 

 

*****************

 

全世界津津津々浦々、時代も場所も飛び越えて、おばあとキジムナーの旅は続く。

次は現代へ。

 

 

 




その大昔、ルパンのファンクラブに入ってました...会員特典としてセル画が送られてきて大喜びしたことを覚えています。友達に自慢しまくりました。

友達はみんなルパン派でしたが、私は五右衛門でした。山田さん亡きあとは、くりかんさんがルパンの声やってるんですよね。ちょっとまじめっぽさが出てるのがまたおもしろいです。

さてさて、おばあの浄化作業、今度はどんな悪を洗い流しちゃうんでしょうか?


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あーゆーれでぃ?あめりきゃんVol.1

次の案件は、なんとも複雑な「いじめ」問題のようだ。でっかい大陸内でのできごと故、キジムナーの瞬発力だけがたより。おばあはついていけるかな?がんばれ、我らのおばあ!


「さてと、次の案件はB24398。あー、これって鉄砲とか無法地帯のあそこか・・・僕らって、ちなみに打たれても大丈夫なんだよね?

 

そこんとこ確認してなかった・・・刀だったら、直前に電波キャッチして、逃げる瞬発力は僕もおばあもあるんだけど、マグナムとかね・・・怖いな。

 

なんか対策考えとかないとな。おばあが帰ってきたら、作戦会議してから出発しよっと」

 

「太郎ちゃ~ん。ただいま~。どう?スペックアップ及び回線速度も調整してもらったけど?」

 

「おばあお疲れ~。おかげで、ずいぶんさくさく動くようになったよ。ところで、次の案件だけど、ゾナゾナ州ってとこのいじめについてだよ。いじめられた男子が、ぶちきれちゃって、いじめてたギャイアンみたいなやつを鉄砲でぶち殺しちゃったあげく、あたりにいた人達も被害にあっちゃったみたいだ・・・・

 

No longer CHICKEN!!って叫びながら・・・」

 

「もはやへたれじゃねーずら、か・・・相当鬱積がたまっとったんじゃろうな・・・かといって、罪もない人々を惨殺するのはいただけない。しかし、こいつは悔い改め心なしで、この世を去ったの?亡くなる間際に、おれ、悪かった・・・って思わなかったの?」

 

「被害者意識満載だからね・・・オレは悪くない、って思ったんじゃない?いじめたやつが悪い。周りが悪い。社会が悪いって、ぜんぶ他人のせいにしたんじゃないの?たしかに被害者って点は否めないけど」

 

 

「そっかー。親が悪いな・・・親のデータもちょうだい?太郎ちゃん」

 

「ふむふむ・・・親は厳しくしつけて、こどもの自主性をなにも尊重しなかったんだな・・・おやじは立派な弁護士で、母親もカウンセラーか・・・人のカウンセリングは上手でも、息子のことはほったらかしだったんじゃな・・・こやつらはまだ生きておるが、後にあたしらの浄化作業が必要になるじゃろな。

 

リンク作業、よろしく、たろ」

 

「おばあ、ピストルに打たれても大丈夫なように、対策考えておいてね」

 

「え?ピストル?打たれてもいいよ~。もう何千年も生きてるから、そろそろ死んでもいいな~って思ってたの(はぁと)」

 

「おばあ!おばあがしんじゃったら、僕ひとりで浄化作業なんて、とてもじゃないけどできないんだよ!えん・まこちゃんと結婚して、こどもでもできたら、みんなで仲良くお仕事するけどさ」

 

「なにそれ・・・あたしを脅かしてるの?あたしがさぼって、作業増えてるとでも言いたいの?」

 

「もうさー、行きたくないからって、ぐずるのやめてくれる?おばあちゃん」

 

「・・・ほれ、これをもってきな。透明盾。外からみえないけど、どんな弾も跳ね返すから。ライフルでもぜんぜんおっけーよ」

 

「へえ!すっげーアイテムもってんだね。さすがおばあ!だてに長く生きてないね」

 

「ふん・・・とにかくゾナゾナ州に飛んで、とっとと案件解決してこないとね」

 

 

・・・・・・・

 

おばあは密かに、ロリポップを買ってこようと、邪心を持ちながら案件処理紀行に出発しようとしていた。

 

 

 

 

 




あっちのロリポップってはんぱなくでかいんですよねー。アイスとかもバケツですからね・・・食え!って出されたときには、べっくら仰天こいちゃいました。

む、むりっす・・・って、お断りしたら、だめ!これあなたの分!!って、強制的にすすめられちゃったので、あたしまたくるから、そんときのために、とっておいて~、ね?って、なだめすかして、バケツの半分たべて、残りは冷凍庫にしまってもらいました・・・

彼らからみると、日本のアイスカップは「こんなん犬のえさだ~」だそうです。てか、犬にアイス食わすの???って、そこがひっかかりましたけど・・・

さて、おばあとキジムナーは、複雑な案件をどうやって処理するのでしょうか?


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あーゆーれでぃ?あめりきゃんVol.2

さて今回の案件はでっかーい大陸でのお仕事。キジムナーも一抹の不安を抱えるが、無事作業を終えることができるのか・・・


パンパン!

バキュンバキュン!!!

ダダダダダ・・・・

 

乾いた銃声音が街中に響き渡る。

 

「ねぇ~太郎、帰ろうよぉ~、あたしやだあ、ここ」

 

「おばあさ、頼むから、はすっ葉声で甘えるの止めてくれる?いやでも案件処理しなくちゃいけないの!透明盾あるから大丈夫なんでしょ?」

 

「ん~。わかんない。しばらく使ってないもん」

 

「え゛~!!!!大丈夫っていったじゃん!!」

 

「よくよく考えたら、前回つかったのって100年ぐらい前だったかな~って。それって、最近じゃないじゃん?」

 

「おばあ、今頃気づかないでよ・・・もう。なんとかするしかないよ。この後、例の連続殺人犯は警官に射殺されるんだから。そこまで行ってあげないと」

 

「もうさー、臨終直前に改心しようって思うんじゃなくてさー、もっと前に気づこうよーーー」

 

「おばあ、それは理想論ね。それができるなら、この世から犯罪や悪はなくなるでしょ!もう、今更なに言ってんの」

 

「そりゃあそうなんだけどさーーーー。ここの国って、ヤソリックじゃなくて、フロヘスタントやん?だから、交渉ちゃんとできるかなー。あたし苦手なんだよねー。」

 

「おばあ、苦手とか言ってられないよ。救われたいって思ってるんだから、心で話せば通じる。人間として生まれたら、だれしも罪びとなんだよ、だから真実に心から悔い改めることで魂も救われるんだよっておばあがいってたんじゃないか!」

 

「そうだけどさーーーーなんか昔は問題こんなに難しくなかったよーな気がすんのよ・・・現代はいろいろ複雑でさーーーあたしの手に負えないんじゃないかと」

 

「おばあ?それでも僕たちの使命なんだから、やんなくちゃだめなのよ?わかる?おばあがちゃんとしないと、これから先も、永遠に生き続けることになるよ?」

 

「ええええ???そりゃあ困る。コラーゲンもほとんどないからの。女子にみえんさかい、いつまでも化け物でいるっちゅーのはいやじゃ!」

 

「でしょお?おばあも、かわいい女子として生まれ変わりたいでしょ?だから、今をがんばろうよ、ね?」

 

嫌がるおばあを、懸命になだめるキジムナー

 

「・・・・・しょうがないな。じゃ、いくとするか・・・びゅ!」

 

「え?おばあ?何なのあの人・・・・めっちゃ速いんだけど?待ってー!おばあ!」

 

 

流れ弾から素早く身をかわすと、おばあは瀕死状態の男の前にたどりついた。

 

リンリンリリーン

 

(あれ?鈴の音が現代西洋モード?まあいいや。脳死しちゃってるけど、心臓はかすかに動いているようだ。)

おばあは、倒れている男の顔を覗き込んだ。

 

 

「もしもし、おぬし?あ、英語じゃないとあかんの?大丈夫だよね?魂状態だったら、言語関係なく通じるよね?」

 

「OH・・・・Lady...Thanks」

 

「え?英語じゃん。あんた魂で話せないの?」

 

「あ、話せます・・・すいません、つい、嬉しくて。」

 

「よろしい。で、なんでまた改心しようと思ったの?こっちとしては、もっと早くに気づいて、大事になる前に、更生してほしかったわね」

 

「ごめんなさい。もう、荒れ果てて、すべてを恨んでました。で、警官に射殺される直前に後ろの方に、妹の姿が見えたんです。警官に保護されながら、私を説得しようとしたみたいで」

 

「ふむ。なるほどね。妹の姿をみた瞬間に己の愚かさを悟ったのだな?」

 

「そうです・・・誰も私のことなどわかってはくれない。私の味方など、だれもいないと・・・自暴自棄になっていました。しかし、目に涙をいっぱい溜めていた妹を見た瞬間に、自分のしたことを後悔したんです」

 

「なるほどねー。太郎、妹のデータちょうだい。・・・あー、妹と離れて暮らしてたのねー。だから、妹がどれだけ案じてたかってのも気づかなかったのね。妹さん、看護師さんめざしてたんだ?だから、都会の学校に行ってたのね」

 

「そうです。せめて妹はりっぱな看護師になってたくさんの人を救ってほしい・・・」

 

「そんで、なにを犠牲にする?魂の浄化には必要なんだけど?でないと天国いけないし生まれ変われないよ」

 

「・・・・・実は、僕が作った未発表のプログラムがあります。それがあれば、きっと医療に役立つかもしれません。ガン発見分析及び新薬作成プログラムです。できるだけ早い段階でガンを発見して、適切な新薬を速攻で作成し、治療法プランを出して、確実に投薬できるようなプログラムです。特許を取りそれを売って、お金にしようとしていましたが、無料提供致します。」

 

「太郎、それ使えるか、分析して」

 

「おばあ、データ、これです」

 

「ふむ・・・使えそうじゃな。それでは、そなたの魂を浄化層、わかる?プールみたいなとこね。層になってて、自動で振り分けられる。そこに入れたげるから、あとはどの国に生まれ変わるかわからないけど、しっかり修行するんだよ。Right?」

 

「Got it, thanks a million.」

 

ぼっちゃーん

 

体の大きさに比例して、魂もずいぶん重量があったようだ。銃殺された男の魂は、浄化層に入って行った。

 

 

 

***

 

「なーんかさ、やるせないよね。鉄砲でバンバン!って、あっさり死んじゃうんだもんね。命乞いするヒマもないわい。」

 

森の事務所に戻ってお茶をのみながら、おばあがぼやいた。

 

「あ!おばあ。お礼の手紙がきてるよ。目安箱に入ってたらしくて。例の悪代官さんの奥さんから。武家屋敷は売って、息子さんと借家にいるんだって。

 

そんで、寡婦手当と遺族年金で細々暮らしてますって。息子さんもお医者さんになって、貧しい人からは、お金を取らないって、評判のドクターになったみたいだよ。なんでも、旦那さんの代官が奥さんの夢にでてきて、おばあが助けてくれたから、そういう援助を受けられたんだよーって、教えてあげたみたい」

 

「そっか・・・それは良かった。悪代官は生まれ変わって、しっかり修行をしているようだからね。遺族にも恩恵があったんだろうね」

 

「まあ、こういうお礼の手紙が届くと、やる気が起きるね。」

 

「そうじゃな・・・次の案件は?」

 

「なんか、おばあ元気ないけど、大丈夫?次の案件は・・・・あ!サグラダのミリアさんだよ!」

 

「え???彼女、娼婦だったけど聖女認定されたんじゃなかった?とっくに浄化してるやん!なんでわざわざあたしが浄化しなきゃいけないの???」

 

「うーん・・・わかんない。ちょっと調べてみるね。わかったら教えるから、おばあ休んでて」

 

「りょーかーい」

 

こっそりもちかえったロリポップをぺろぺろなめながら、おばあはしばしの休憩をとるのであった。




さてさて、毎回忙しいおばあとキジムナーですね。

人はそれぞれ使命を持って生まれてきたと言われていますが、自分の使命ってなんでしょうね?

とりあえず目の前の仕事を片付けておきましょうかね・・・ふぅ



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サグラダ・ミリア

次の案件を目の前に、なんだかブルーはいっちゃってるおばあ。仕事大丈夫なのか?


ゆらゆらと木漏れ日がふりそそぐ昼下がり。キジムナーが案件チェックをしている。

 

「おばあ、次の案件・・・・ってかさ、

テーマアイテムの「水晶」って出てこないんだけど大丈夫?

 

長年生きてるから忘れちゃってましたー、とかってしゃれになんないからね。

ちゃんと、僕が毎日、しっかり磨いてるから画像と動画データは

問題なく水晶画面に写ってるし。

 

プリンターはこの間変えたばっかりだからOK。

腰からぶら下げられるポータブルタイプだよん。

 

あれ、なんか、おばあうつろだけど、どうしたの?話きいてた?」

キジムナーはこっそりおばあの頭にパッチを当てる。

 

*******おばあ回想中**********

 

時、AD300年ぐらい?

ニーハオマーーー!エンマ様!

 

三つ編み姿の少女が、細マッチョな男に駆け寄る。

 

ちょうどその時、四蔵一行が到達して、遠くから

きんかーくって声が聞こえる。すると

 

ほほーいって、いいながら、きんかく、と呼ばれる人は

壺の中に入って行ってしまった。

 

すると、弟だか兄だかわからんが、ぎんかくって人が

助けにいっちゃう様子。

 

少女おばあは、壺の中身をのぞきこんで

しくしく泣いている。

 

********************************

 

思考読みとりパッチから転送された画像が

水晶に映し出されている。

 

「えーーーー!!!なに??これっておばあの初恋???」

 

「う、うるさい!!!勝手に人の思考を読みとるでない!!」

 

「てかさ、エンマ様って、今の閻魔大王?

そいや、閻魔大王も年齢不詳なんだよね?

 

なんでも金閣・銀閣って兄弟がいて、助けた方が封印解けちゃって

そっからずっと生きてるんだよね。片一方は壺の中に入っちゃって・・・

 

たしか閻魔大王が、銀閣じゃなかったかな?

金閣はいまだに壺から出てきてないのかな・・・

 

銀閣大王ってさ、山を動かすのが得意だったんだよね?

じゃあ、僕らとコラボすれば、強大な力発揮できるんじゃ?

えん・まこちゃんとの結婚は実現させねばな!!!」

 

「ふん・・・勝手なことばっかりいいよってからに」

 

「おばあ!なんでさ、銀閣大王とくっつかなかったのよ?

おばあ、娘時代は可愛かったじゃん?ん?」

 

「う、うるさい・・・ほっといてくれ」

 

「ほっとけないよーーー。仕事に影響するからね。その心理状態、片づけてもらわないと、僕も困るんだよね。

 

・・・・え?(映像解析中)金閣に言い寄られてた?

でも、銀閣好きだって言えなくて、おばあが身をひこうとしてた?

 

で、もじもじしてたら金閣はつぼに吸い込まれちゃったんだ。

銀閣大王も助けにいくけど、金閣は助けられず、自分だけ脱出成功するのか・・

 

そんな銀閣大王に言い寄ることなんて、できましぇん!って

おばあは、自分の心を押し込めてきたのね。。。2000年近くも。

 

やだ~。おばあって、けなげで、可愛らしいんじゃん!

ぷぷぷ。

今からでも銀閣の閻魔大王とくっつけばいいのにぃ~」

 

「おまえ、さっきからうるさい!!おばあのことは放っておいてくれ!」

 

「はいはい、わかりました。とりあえず放置しますけど

次の案件はしっかり片づけてくださいよ?けなげなばあ様?」

 

「ふん・・・なんだっけ?サグラダのミリアちゃんの話?」

 

「そうそう。えっとね、サグラダのミリアさんは悪魔の恨みを買ってしまって

うまづめの体になっちゃったんだって。それを婚約者のエススさんに言えなくて

言わずに結婚してしまったんだって。

 

そのことを悔い改めたいらしいよ」

 

「ふぉーーーーー、えらい殊勝な魂やな。わしがわざわざ浄化せんでも・・・

まあ、悔い改めたいって言ってるんだから、行ってあげないとな・・」

 

「うん。そのことで、最近のヤソリックが衰退してるんじゃないかと心配しているらしいよ。特に先進国とかではさ、宗教っていうと「だまし」みたいな新興宗教が増えちゃって、人々は「宗教」って言葉にうさんくささを感じているらしくて。

 

そうじゃなくて、心の指標ってか道徳の基本ってか、人はこうあるべきっていう教えがないと、人間堕落しまくってしまうってのを、イリストでもヌハマンドでも、そこを言いたかったのに・・・

 

それを、広めたい使徒達ががんばったのに・・・・って、嘆いてるんだって。」

 

「ま、あれじゃな。sinとguiltyの違いじゃよ。guiltyは人が裁く法だけどsinは神が裁く法ね。人として大事なのは後者。ミリアちゃんは、そこを言いたかったんだね~。よぉし、ミリアちゃんの希望を叶えてあげなくちゃね!」

 

おばあは、急に力がわいてきたようである。にしても、なんでまた急に恋煩いモードになっちゃったんでしょうね?恋する季節?とりあえず、それはおいておいて、お仕事がんばれ~おばあ!

 




今回はマグダレーナのイメージだったんですけども・・・
語呂が・・・・

バルセロナにあるサグラダファミリア教会はいつか行ってみたいですね。未だ建築中。建築家の中には日本人設計士もいるんですよね!すごいですね。

サグラダファミリア教会みて、レアルのサッカーみて~って、できたら最高です。ま、生きているうちにいつかはいけるかな~と、夢を描きながら・・・


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ラルドの聖布

一旦落ち込んでいたおばあ。しかし新案件、サグラダのミリアのデータをつかんだ途端にやる気が起きたようだ。さて、ミリアの望みは叶うのだろうか。


おばあとキジムナーは、ラティマの丘に来ていた。

 

「あ~。和むわ~。ドッキュンだのダッダーンだの、あーゆーの、ほんと苦手。

なんで人間はあんなもの発明しちゃったんだろ。狩猟にだけつかってりゃいいのに

人殺しに使ったらあかんやん!!!」

 

おばあはいつになく熱い女と化していた。

ラルドの岩にたどりつくと、キジムナーとおばあの2人はミリアを探した。

 

「おばあ、あれ、ミリアさんじゃない?」

体中に亜麻布をまとった女性らしき人が岩陰に横たわっていた。

おばあは黙ってゆっくりと、その女性に近づいて行った。

 

「そなたが、ミリアさんだね?」

おばあは静かに、亜麻布の女性に声をかけた。

 

「はい、左様でございます。

遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。

ご存知のように娼婦を生業(なりわい)としていた罪はすでに告白をしておりましたが

 

うまづめであったことを隠しエススの妻となったことは隠しておりました。

しかし、エスス様の教えを広めるためには、一点の汚点も残しては

ならぬと思い至ったのでございます。

 

後の世の現代では、ヤソリックも衰退し、若い人が集まらなくなってしまったと

聞いております。

このままではヤソリックの存続の危機と思い、願いを出しました。」

 

かすれた声で懸命に心の内をつたえようとするミリア。

 

「殊勝やのぉ・・・。しかし、ミリアさんの言うとおりなんじゃ。現代では

テクノロジーが発達すればするほど、人の心が崩壊する傾向にあるんじゃ。

 

小さい子供から目と手を離すな、は、鉄則なのに、携帯に夢中になってる親や

ええとしこいた年寄りが、孫をつれて銀行などに来ていても、放置。

 

ああ、なげかわしい・・・教育の基本っちゅーもんが、崩れさってのぉ。

まあ、現代だからこうなったということもあるとは思う。ただ、こういう放置親は

自分も放置され、またその親も・・・なんじゃろうが、アナログ時代は

隣近所がそれをフォローしとったんじゃ。

 

今はそれがなくなってしもうたから、自ら積極的に社会性を持とうとしなければ

子供はKYのまま大きくなってしまうのじゃ。」

 

おばあは遠くを見ながら、世知辛い世を嘆いた。

 

「おばあって、たまーに、すんごくびしっと良いこと言うんだよね~

そういうとこ尊敬しちゃうんだけど」

 

キジムナーも感嘆する位、おぼあの講釈は愕くほど的を得ていた。

 

「それではそなたが捧げるものを聞くとしよう」

おばあがミリアに尋ねる。

 

「エススが臨終の際、血をぬぐった布があります。ラルドの岩水をふりかけ

この布で押さえると、不治の病は治ります。また、盲目の人は

目が開き、話せなかった人も声を出せるようになります」

 

「よろしい。ただし、罪を悔い改め、御心に従ったものにしか

その効力は発揮しない。それでよかろう?」

 

「はい、エススの12使徒もそれを切に望んでおりました。

どうか、彼らと私の願いが叶いますように」

 

そう、言うと、ミリアは静かに目を閉じた。

 

「よくわかった。そなたの十分すぎる尊い魂を、浄化層に捧げさせてもらう。

そなたの魂よ、永遠に平安あれ、アメン」

 

キラーン

 

ミリアの魂は、浄化層の水に反射してキラキラと光り輝いていた。

 

 

*******************

 

「おばあ。今回はさ、悔い改めさせるっていうより、僕らが考えさせられちゃったね」

 

「そうじゃな・・・」

 

と、言ったきり、おばあはだまりこんでしまった。

 

おばあは、外の空気を吸おうと、森に散歩にでかけた。

森林浴を終えて事務所に戻ると、えん・まこからのお届け物があった。

 

「おばさま、このあいだは、大根の煮物ありがとうございました!

とてもおいしかったです。お礼にココナツクッキーを焼きました。

ジムさんと召し上がってください!」

 

可愛らしい文字のカードがクッキーに添えられていた。

 

えん・まこは、現在は銀閣である閻魔大王の娘であるが

実は、おばあの妹である橙(だいだい)姫と金閣王の娘であった。

 

ある日、金閣が壺に飲み込まれてしまい、橙姫は夫を助けようと

壺の中に入っていこうとするが、その直前、ぎょ・はっかいに見つかり

食べられてしまう。

 

銀閣は金閣を助けようと壺に一旦は入るが、壺センサーのエラーで

銀閣だけはじかれてしまった。

 

金閣はいまだに壺の中。母親をなくした金閣の娘は

親が居なくなってしまったため、銀閣がひきとって育てた。

その娘が、えん・まこである。つまり、おばあの姪っ子にあたるわけだ。

 

そんな事情をしらないキジムナーは無邪気にえん・まこへの恋心を

募らせるが、おばあとしては複雑だった。

 

キジムナーが浄化行脚車を清掃し終えて戻ってきた。

 

「あれ?おいしそうなクッキーだね。どうしたの?」

 

「え?もらったんだよ・・・」

 

「だれから?」

 

「と、ともだち」

 

焦るおばあ。

 

「おばあの友達で、こんなこじゃれたクッキーつくる人いたっけ?

泥かけばーさんは、てびちとかこってりしたものしかつくらないし

塗り板は、刺身専門だもんな・・・」

 

「つべこべぬかしとらんと、食うたらよかと!」

 

「なんか、感じ悪いなぁ・・・はいはい、喜んでいただきます・・・

ムシャムシャ・・・う、うまっ!!食感はサクっとしてるけど

まったりとろけるような、ココナッツエキスが、お口の中に広がるわ・・・」

 

「おまえはテレビショッピングか」

 

「あ!来月はさ、休暇取っていい?えん・まこちゃんと、お花見したいんだよね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「おばあ?」

 

「届け出しといて。考えとく」

 

「なんか変なんだよな・・・おばあ。最近。休暇中はおばあも休んでいいんだからね?充電しないとお互いにいい仕事できないしさ」

 

「わかったよ・・・温泉にでもつかってくるわ」

 

キジムナーとおばあは、しばしの休暇を楽しむ

あくまで「予定」である。

 

 




まこちゃん、おばあの姪っ子だったんですね。びっくり

それにしても働き過ぎは行けませんね。日本人はまじめだから、どうしても仕事中心になってしまいがちですが、日曜日ってもともと安息日といって、仕事をしたらいけない日なんだそうです。
ユダヤ教でいう土曜日で、キリスト教(西洋暦でいう)の日曜日ですね。

フランスもほぼカトリックですが、バカンスといって1ヶ月ぐらい休暇を取るそうです。1ヶ月も休んじゃったら、日本だったらどうなっちゃうんでしょうね?

日本人は自らどっさり休暇を取る習慣がないというか、取りづらい社会構造から休日が増えたようですが・・・

休日と関係なくお仕事をしている人達も少なくないですね。お休みの日はしっかりまったりじっくり休養をとりましょう~ それではまた!


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ばいばい

忙しい毎日を送っていたおばあとキジムナー。ゆっくり休暇を楽しむことができるかな?


キジムナーが休暇を申請したので、おばあも休暇を検討中だ。

日頃の疲れを癒そうと、ゆったりまったり日帰り温泉プランを計画していた。

キジムナーも毎日忙しく働かせてしまったから

交代で休暇を取ろう。おばあはとりあえず1日だけ休んで、キジムナーには2日ぐらい

休んでもらおうかと考えていた。

 

「おい、太郎。おまえ、先に休む?それとも後?」

「え?どっちでもいいよ。おばあが最初に休んでよ。休み中データだけまとめておくから」

「そうか。それじゃあ、そうするよ。帰ってきたら、好きなときに2日ぐらい休んだらいいよ」

「お!ありがとう!おばあ!そうするね!」

「じゃ、わしは、あさって、温泉につかってくるから、ひとつよろしく」

「おばあ、のんびりしてきて~。おみやげとかいらないから!」

(それは、買ってこいっていう催促ダロ・・・)

 

おばあは、近場の温泉で休日を過ごすとこにした。

湯治場のある人影のないのんびりとした温泉郷についた。

硫黄の臭いが一面にたちこめる。体の隅々まで効きそうだ。

 

湯船に浸かっていると、湯気の向こうから一匹の猿が現れた。

 

「ん?おぬしは、そん・ろっくーじゃな。おなご風呂に入ったらあかんやないかい」

「おう!紫の水晶おばあ!ひさしぶりだな!おばあもいちおう女だったな!ハハハ!」

「ははは、じゃねーよ。話あるなら、お湯出てからにしてちょうだい」

「わかったよ。中庭で待ってるから、そっちに来てくれ」

 

おばあは、ゆっくり目をつぶって、再び温泉に浸かった。

 

「で、話とは、なんじゃ?ろくう」

温泉浴衣に着替えたおばあが、そん・ろっくーの方に歩み寄った。

 

「おいら、悔い改めようかと思ってよ」

「悔い改めじゃと?ありすぎて魂浄化見返りプランが立てられるかいの?

短気ですぐにケンカするわ、盗み食いは常習犯だわ、罵詈雑言なんかあたりまえ

目上だろうが暴言吐きまくり。そんな非社会的すぎる行動ばっかで、

悔い改めるって、相当反省しないとおいつかんよ?」

 

「まー、本気で悔い改めようなんておもってないぜ」

「じゃ、なんでわしを呼んだんじゃ!」

「ほら、ばあさん、そろそろおだぶつになりてーって

いってただろ?だから、呼んでやったんだよ。ばあさん孝行してやろうと思ってよ」

 

「おまえができるいいことなんか、なにひとつないじゃろ?」

 

「銀斗雲にのせて、南米一周の旅とか、連れてってやるよ」

 

「そんなものいらん!」

 

「じゃ、休暇中のようだからさ。肩もんであげるよ」

 

「いらんいらん!そもそもおまえのダチが、わしの妹を食うたんじゃ!」

 

「あ?あいつ?友達なんかじゃねーよ。ぎょはっかいだろ?

オレ、あいつ、いちばんキライなんだよねー。

カッパはさー、たまにむかつくけどクールだからさ。オレ様の邪魔しねぇんだけど

 

ぎょはっかいのやろー、おれがとっといた金の肉マン食いやがって

四蔵さんの機嫌ばっかとりやがってよ。」

 

「よいではないか。仲間と分け合えば。四蔵さんを皆で助ければよいではないか」

 

「やーだね。オレのものはオレのもの。あいつのものもオレのもの」

 

「・・・おまえは一生お釈迦様の輪っかを頭につけて、苦しんどけ!!

わしを呼ぶなんて300年早いわ!!!わしゃ帰るっ」

 

「どこ帰るの?ここ、おばあのとこでしょ?」

 

「あれ?なんか太郎の口調だけど?」

 

「もー、きったないなぁ~おばあ。よだれタラして寝てたよ!」

 

「なんだ・・・夢か。わし、なんか変なことゆうとらんか?」

 

「へんなことって?」

 

「え・・・あのぉそのぉ・・・・」

 

「何も言ってないよ」

 

「そうか・・・」ホッと胸をなでおろすおばあ。

 

「ねえ、おばあ。休暇取る前に緊急案件入っちゃった

臓器売買と麻薬のブローカーだって」

 

「えええええ、またなんか殺伐としすぎてるやーん・・・

あたしの苦手部門じゃない・・・そんなアクドイことやって

悔い改めようなんて気持ちに、ほんとーになったのかね?」

 

「んー。とりあえず、行ってみないとね・・・・」

 

せっかくの休暇を楽しみにしていたキジムナーとおばあであったが

緊急の案件が入ってしまったようだ。

 

休暇は先延ばし。今度も二人は忙しく魂浄化の旅へと出発するのであった。

 

 




せっかくの休暇が延期になってしまいましたね。
大活躍中の二人ですが、時間が取れたらしっかりと休んでほしいものです。

花粉の季節になると筋肉痛がひどくなる作者でございます。花粉ブロックぬりぬりと内服薬で対処していますが、お仕事で森林エリアに行くことが多い昨今( ;∀;)

春はあけぼのやうやう白くなりゆく山ぎわ・・・少し明かりて紫立ちたる雲のたなびきたる・・・って、中学のときに暗記させられましたが、そんな悠長な風情を味わう余裕などなく・・・・

ふぁいとぉ


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兵どもが夢の後

またまた難関な案件の登場。おばあとキジムナーは無事仕事を終えられるのか。


「臓器売買のブローカーなんてさ・・・やなんだけど。そもそも。おぞましい・・・」

 

「でもさ、臓器とか好物の妖怪だっているわけでさ・・・」

 

「だからいやなんじゃ!!そんな下等な妖怪と一緒にされてたまるか!」

 

「まあ、ね・・・・とにかく、さっさと片づけて休みにしようよ」

 

「太郎!あぶない!」

 

「あ゛ーーーーー!」

 

なんと、キジムナーは巧妙に仕組まれた落とし穴に落ちてしまった。

 

「お・・・・ば・・・・・あ・・・・!」

 

「太郎ぉーーーーー、大丈夫かぁーーー?」

 

「なんとか・・・・ひっかかってる・・・・下まで落ちてない・・・」

 

「太郎、ちょっとふんばれ。いいか、わしが今から念力を送るから

それを受け取って集中して力をこめるんじゃ。わしが思いっきり念でひっぱる。

いいか?」

 

「わかった・・・・・」

 

「いち、に・・・・・・さん!!!だーーーー!!!」

 

ぐぁーーーーーーと、大きな竜巻が起こった。

その瞬間、キジムナーは落とし穴から飛び出し、どたっ、と地面に落ちた。

 

「太郎、大丈夫か?」

 

「ん・・・なんとか・・・・」

 

「怪我しておるな・・・・とりあえずこれを巻いて応急処置をしておくから。

あとは、案件をすぐに済まして戻ろう」

 

おばあは、素早く応急処置をすると、キジムナーをおぶって風のように秒速で案件地へと移動した。

ジメっとしたブローカーのアジトでは、ブローカーの頭と手下が新しい臓器売買を企てていた。

 

(いいか、太郎、ここを動くなよ。わしは、あの中に入って、案件者と会ってくるから。じっとしていなさい)

 

キジムナーは目で合図をしてうなづくと、おばあはするすると蛇のようにアジトの中に入っていった。

 

おばあはアジトの奥の部屋に到達すると、煙になってその部屋に侵入した。

「おい、そなたが案件主じゃの?」

 

「Yes, ma'am....私です。もうあと数分で命が途絶えますので、手短にお話しします。私は孤児として育ち、ここの頭にひきとられました。小さいころから盗みを働き、物心ついたときはプロのスリとして働いておりました。ここの頭がしていたことは知っています。臓器売買の他に麻薬も南の方から入手し売り飛ばし、銃の密輸もしています。

 

ところが、あるとき瀕死の重傷を負った娘の心臓を引き取りにいこうとしていたのですが、なんとその娘は子供の時に生き別れた妹だったのです。養父母の顔をみてすぐにわかりました。また、後にそのデータを調べましたところ、間違いなく私の妹と判明しました。

 

その時に私は自分の犯してきた罪を心から悔やんだのです。なんということをしてきたんだ・・・まさかこの手で実の妹の心臓を売ってしまうなんて・・・

組織を抜けたいと申し出たら半殺しの目に遭いました・・おそらく私の内臓も売り飛ばすつもりでしょう・・・」

 

「事情はよくわかった。そなたは何を献納するのじゃ?」

 

「この麻薬組織のルート図と機密データががこの地下に格納されてあります。これを葬り去れば麻薬組織は潰れ不法な臓器売買も立ち消えになります。ぜひこれを捨て去っていただきたいのです」

 

「わかった。もう、なにも申すな。そなたの意向は必ず引き継ぐ。わしが責任を持って廃棄するから安心なされ」

 

「ありがとうございます・・・・・」

 

ブローカーの手下は静かに目を閉じた。

おばあはすぐに機密データを取り出し速攻で脱出して、キジムナーを抱えると行脚車に戻り、自ら運転をして事務所に戻った。

 

「太郎、ケガがひどいのぉ。休暇とは別に治るまでしばらく休んでいなさい。この魂浄化もすこし時間がかかるから、心配しないでゆっくりするといい。あわびのおかゆを作っておいたから、あとで食べなさい」

 

「うん・・・おばあ、ありがとう・・・・」

 

そう言うとキジムナーは目を閉じて眠りに落ちた。

 

******

 

静かな森の奥深くキジムナーが歩いていると、向こうから小柄な女性が近づいてきた。

 

「あれ?キジムナーさん?」

 

「あ!この間の男の子と一緒にいたお姉さんだね?」

 

「そうです。道に迷ったところを助けていただいたものです。」

 

「どうしたんですか?」

 

「キジムナーさんがケガをされたと、伺いましたので、サムゲタンを届けにきました。」

 

「それはどうもありがとうございます!お姉さんの双子の男の子は元気ですか?」

 

「・・・・・?ケントの事ですか?」

 

「そうです。柴犬を連れた男の子。あの子はおねえさんとずっと昔双子だったんですよ」

 

「そうだったんですか・・・。どうりで懐かしい感じがするはずですね・・・。教えていただいてありがとうございます。キジムナーさんには、ケントもお世話になったそうで、これをケントから預かっています。」

 

「あ、四葉のクローバーですね?」

 

「そうです。キジムナーさんの怪我が早く良くなりますようにって、ケントから」

 

「どうもありがとう!お姉さんもこれからは幸せになりますよ!今までの苦労が報われますから。みんなと幸せに暮らしてくださいね!」

 

「こちらこそありがとうございます。必ず幸せになります」

 

 

むにゃむにゃ・・・・・

 

 

「おい、太郎!大丈夫か?」

 

「あ、おばあ。ボク夢みてたよー。お見舞いに来てくれた人がいて。あれ?体の痛みがないや。すっかり元気になったみたいだ。おばあのおかゆも後でいただくよ」

 

「それはよかった。あまり無理しないで休んでから、休暇にしなさい。わしも今回めったに使わないない力を用いたから、ちぃと疲れたわ」

(夢って、どんな夢みてたんだろ?)

 

おばあは、キジムナーの夢が気になっていた。

 

「うん。ボクの怪我の事はまこちゃんには内緒だよ。心配かけたくないからね!完全復活したら、ピクニックに行くから!」

 

「そ・・・うじゃな。楽しんでおいで」

 

おばあはそろそろキジムナーに秘密を打ち明ける時期なのかもしれないと考えていた。

 

 

 




おばあって、いざというときにすごい技を使うんですね。頼もしいですね。


明日はちょっとやぼ用で仕事を休みにしています・・・自分のことではありませんが、生きた心地がしません・・・

心臓をはずしてどこかに置いてしまいたい気分です・・・おばあ助けて~(/_;)

祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり・・・
盛者必衰のことわりをあらわす・・・・・・・・( ̄▽ ̄;)



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お忘れなく

さて。大物の一件を片づけたおばあとキジムナーであったが、今度は事務処理に追われ・・・


尾長鶏が庭で葉っぱをついばんでいる。おばあは窓から鳥たちが戯れるのを見ていた。

 

「おばあ、確定申告の書類つくらせちゃって悪かったね。本当はボクがやらなくちゃいけないのに・・・ボクの分は専従者給与で非課税だから面倒くないけど、おばあは申告書類つくらなくちゃいけないから大変だったのに・・・しかも青色だし。」

 

「なあに、最近はe-taxで電子化なってるから楽になったもんよ。うちはソフト入ってるしね。印刷するだけだもん。昔はさ、わざわざ妖怪税務申告所まで出向いて行ったから、大変だったわ~」

 

「それにしても、おばあの休暇返上させちゃったから、申し訳ないよ。ボクがケガしちゃったからさ」

 

「大丈夫大丈夫。おまえも働きすぎだから、ちょっとは休みなさいってことだよ」

 

「ははは。それじゃあ、そういうことにして、のんびりさせてもらいますよ~。ところで、今日、まこちゃんが妖術大学校の受験日だっつって、血相変えてたけど大丈夫だったのかな・・・」

 

「あの難関の学校かい?閻魔の娘はあそこを受けたのか・・・」

 

「そうなんだよ。どうしてもお父さんを手伝いたい!っていって、猛勉強してたみたいなんだ。だから、それが終わったら、気晴らしにピクニック行こうよって誘われてたんだ」

 

「そうだったのか・・・それなら、是非行っておいで。結果はどうであれ、がんばったんだから、ねぎらってあげないとね。なにか差し入れ作ってあげるから、持っていくといいよ」

 

「あ!おばあの豚ロースのゴボウ巻きと、ふわっと卵焼きが大好評だから、それ是非お願い!前に蝦夷鹿のリンゼにあげたら、めっちゃ喜んでたよ!」

 

「山ウドがあったらもってきておくれ。あったら、でいいからね。天ぷらにするとおいしいから」

 

「うん!みつけたら持ってくるよ。結果は一週間後だから、それまでまこちゃんも落ち着かないと思うから、しばらくそっとしておいて、終わったらぱーっと遊んでくるよ」

 

「気を付けて行っておいで」

 

(そうか・・・あの子もがんばりやなんだな・・・あんな倍率の高い学校を受けようとするなんて・・・結果がわかるまで、わしの方がドキドキじゃ・・・)

 

また新たな心配事がおばあを悩ませる。えん・まこが妖術学校に入ったとして活躍すれば危険が伴う。それこそおばあは生きた心地がしないだろう。

 

しかしえん・まこの成長も同時に嬉しかった。父を思ってのことだと聞いて、心が熱くなったおばあであった。

 

次の案件に入る前に、おばあときじむなーは今度こそゆっくり休みをとる予定なのである。

 

次の案件データもあがっていたが、みてしまうと気になってしまうので、しばらく放置しようとしていたおばあとキジムナーであった。

 




春はいろいろ忙しい季節ですね。税金の申告やら仕事の移動やら受験やら・・・

日本中、落ち着かない人が多い時期でしょう。作者は花粉症なのでどうも体調が落ちつきません。せっかくのお天気でも杉が茶色になっているうちは要注意・・・(‥、)

毎年悪戦苦闘しています。
杉花粉症にはならないと言われている北海道か沖縄に移住しようかな・・・
外国は中国以外なら大丈夫らしいので、花粉の季節は海外か沖縄に滞在するっていうのもいいかも?<大いなる野望・・・・



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おばあのバイト

キジムナーの回復を待って、おばあは休日を返上していたが、やっと作業に戻れるまで元気になったキジムナーに事務処理をまかせ、おばあは休日を過ごすことにした。


木漏れ日の光が心地よく、滝から流れ落ちる水の音だけが岩間に響いている。

すがすがしい空気の中で、おばあは静かな自然をを満喫しながら、森林浴を楽しんでいた。

 

(ここは秘密の場所じゃから、キジムナーにも内緒なんじゃ。

隠れてバイトしてるってわかったら、こっぴどく怒られるからねぇ。)

 

おばあはキジムナーに内緒で手紙相談のバイトを受けていた。

本来ならボランティアで行いたいところではあるのだが、それをやってしまうと際限なく

送られてきてしまい、処理に困ってしまうため、少々のお金をいただくことにしていた。

 

(どれどれ・・・2018年の相談だね。好きな人がいて、とりあえず間接的に

気持ちは伝えたつもりだが、相手の気持ちはわからない。このままあきらめるべきかどうか。

 

ふぅむ、なるほど・・・いっそ相手に聞いてしまえば、気持ちも楽になるだろうに

状況や相手の事を考えるとなかなかそうもいかないわけだ。

 

簡単にくっついては離れるこの現代にしちゃあ、めずらしい相談だ。

本人も相手も奥手で真面目なんだろうねぇ。だって、もしこの女子の気持ちをわかって

もてあそぼうと思ったら、近づいていって気持ちを利用する男もいるからね。

 

まぁ、この女性は自分の考えをしっかり持っているようだし、そういう男には惹かれないんだろうね。だからこそ相手に聞けなくて悶々としているわけか・・・)

 

おばあは、自分の経験と重ね合わせたのか、この相談案件に妙に興味を

そそられたようだ。

 

(ん?相手の様子を心配しているようだね。顔色が良くなかったけど、仕事で大変じゃないか?ストレス抱えすぎていないか、無理していないか・・・

 

そうか・・・本当に心配しているようじゃな。確かに、大丈夫ですか?

なんて、声をかけられればいいけど、本当に気になっていると

声もかけられないわな・・・近くにいて一緒に仕事でもしていれば

なんらかの援助はしてあげられるだろうにのぉ。

 

どうやって相手に今の自分の気持ちを伝えたらよいかってのが、気になるところじゃろうけど無理に押しつけたりするのもいやなのか・・・

 

そんな気持ちを相手もわかってくれていると、思うがなぁ。

とりあえず見守ってあげるしかないな。

 

ただ、相手がなにかヘルプサインを出したり、はき出したそうにしていたら

遠慮なく出してくださいオーラは出しておいた方がよいな。

 

がんばれ。いつか必ずその気持ちが伝わって自由にやりとりができるように。

また、ツーショットになれたら、直接はっきり伝えたいようじゃから

チャンスがめぐってくるように。

おばあがおまじないを送っておくから。)

 

おばあのおまじないはよく効く。それをもらうと、なんだかすっきりして

結果がどうであれ、心が落ちつくらしい。

 

おばあは、おまじないを込めた葉っぱを、相談者の女性に異空間電送した。

 

一仕事終えて、ゆっくりしていたら、急に橙とえん・まこのことを思い出した。

えん・まこは小さいときから愛らしくて元気な子だった。

 

きじむなーとできれば仲良くしてほしいところだが、橙が消えた経緯を知ってしまったら、あの子のことだから、リベンジに行くとか言いかねない・・・それがおばあの心配事だった。

 

できれば、えん・まこがいる前で、事情を話し、今はえん・まこもすべてを克服し幸せでいるということをしっかり伝えなければ、と思ったおばあだった。

 

「ん?なんだか、わさわさするよ。次の案件もなかなか難題な感じが伝わって

きたんじゃが・・・・」

 

そろそろキジムナーが案件整理を終える頃だと、おばあは西の山間に沈みはじめた夕日をみながら深呼吸をした。

 

 

 

 




あらっ。おばあったら、ちゃっかりバイトなんかしちゃってるんですね。
これって、申告外なのかしら?領収書なしでぇ~なんて言っちゃって、
申告してないとか??? まあ、こずかい程度なら非課税内ってことで
おとがめなしかもしれませんが、小説執筆などの報酬はちゃんと申告しないと
だめですよ!!

おばあのことだから、いろいろ何か手広くバイトしてそうですよね。
でも、キジムナーがしっかりしてるから、課税対象の報酬なら黙ってないでしょうから
心配ないとは思います。

お金は暮らせるだけあってお菓子が買えるぐらいなら十分な作者です。お金持ちは相続とか節税とか骨肉の争いとか大変みたいですから・・・私は、小さな幸せで十分です。<本当か?


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キジムナーの休暇

おばあが休暇を終え、今度はキジムナーの番だ。



「おばあ、お帰り!ゆっくりできた?」

 

「おかげさまで、ゆっくりできたよ。太郎、おまえは2日ぐらい

やすんでいいからね」

 

「ありがとー!じゃあ、エン・マコちゃんとピクニック行くことにするね。

最大難関の学校はだめだったらしいけど、別の女子学校に行くことに決めたらしいよ。

サポートアドバンスに特化していて、なかなかいいんだって。いろいろ資格とったり

がんばるって。でも、夢はあきらめないんだって。

 

だから、いろいろ話きいてこようと思ってさ」

 

「そうか・・・ゆっくりしておいで。ゆらりぴょんからもらった

ココナツクッキーとマロンドーナツがあるから、2人で食べなさい」

 

「おお!ありがとう!山菜みつけたら持ってくるから!」

 

「ああ、あったらでいいよ。エン・マコを励ましておやり」

 

「うん。彼女前向きだから、僕の方が励まされそうだけど・・・。

じゃ、行ってくるね。おばあ、戸締まり気を付けてね。

あと、次の案件も整理しておいたから、時間あるときに見ておいてね」

 

「はいはい。みておきますよ。」

 

おばあは、エン・マコが大学校に落ちたときいて、内心ホッとしていた。

あそこは本格的だから、エン・マコが妖術使いになってしまうと、危険が伴う。

 

それよりも、内勤やカウンセラーなど、外には出ずに父の仕事を

手伝ってほしいと思っていた。料理も好きなようだし、将来はキジムナーと

一緒になってもいいし。

 

そのためにも、なるべく危険な道には進んでほしくなかった。

 

いろいろ結果がでて、ほっとするおばあ。

 

「これで、わしもそろそろ引退できそうじゃな。閻魔大王とエン・マコと

キジムナーで世の悪事整理をしてもらうってことで。」

 

(紫殿、なかなかそうはいきませんよ。まだまだあなたには

やっていただきたいことがございます)

 

「ん!?誰じゃ!わしの思考に話しかけるのは!なんか・・・橙に声が

似ていたような・・・・休みが足りなかったのかいの?いかんいかん

緑茶でデトックスしとかんと」

 

おばあは、お茶と和菓子をつまみながら、次の案件に目を通した。

 

「次の案件は・・・なに?幼児放棄じゃと!!聞き捨てならんな・・・

子育て中にもこどもはほったらかし。あちこちの男に貢いでは

捨てられ、最終的に後天性免疫不全症候群になってしもうたのじゃな・・・

 

子は成人しているようじゃが、これまたどうしようもない人格で

人から疎まれているらしいの・・・こんな人間にしてしまった

この親は罪深い・・・

 

それでも最後は悔い改めようと思って折るのか・・・

とんでもない人格のこどもを世に送り出してしまったことを悔いているのか・・・

 

とりあえず危険な区域ではないから、太郎を伴っても

特に問題はないようじゃな。

 

それにしても、心が寒々としてしまう案件じゃな・・・・」

 

おばあは深いため息をついた。

 

 

 




おばあの休暇が終わり、こんどはキジムナーがお休みをとって
ゆっくりできそうですね。

今年は花粉がものすごいらしいのですが、私は1月から対策をとっていたせいか
3月半ばになってから、症状は緩和しました。

前もって対策していると、症状は軽くすむらしいです。まわりのみなさんは
目がまっか、鼻じゅるじゅるで大変なことになっている人が多いようです。

戦後、人間が人工的に植えた杉が、いまになってその人間に帰ってきてしまっているんですね・・・環境問題も真剣に考えて後世に伝えないといけませんね。


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愛は永遠

キジムナーはエン・マコと休暇を楽しんだ後、おばあと案件の処理に向かう。

果たして次はどんな依頼だろう。


うららかな暖かい日差しをうけて、草々がそよそよ揺れている。

キジムナーが持ってきた敷物の上に、おばあからの差し入れや

エン・マコの手料理が所狭しと並べられている。

 

「うわぁ~。おいしそうだなぁ~。これ、全部マコちゃんが作ったの?」

 

「うん。昨日から仕込んでおいて、今朝早く起きて作ったの。」

 

「すごい!ありがとう・・・・嬉しいよ」

 

「ジムさん、ケガ大丈夫?なんかひどかったって聞いたけど・・・」

 

「僕もね、ビックリしたんだ。こんな事になるなんて・・・でも

お見舞いにきてくれた人がいて、そのお粥を食べたら、元気になったんだ。

 

おばあも心配して、ヨモギ漢方を煎じてくれたり、いろいろやってくれたから

すぐに治ったんだ」

 

「そうなんだ・・・私も小さい時、よく伯母様にヨモギ漢方を作って

もらったわ。熱が上がったときとか・・・」

 

「え?伯母様って?」

 

「紫水晶様よ。」

 

「え??む、紫・・・・って、うちのおばあのこと?」

 

「そうよ」

 

「伯母ってどういうこと?」

 

「紫様は、私の母である橙の姉様なの」

 

「え゛え゛え゛え゛え゛!まじかい!!そうなの?」

 

「はい。私の母は私がまだ物心ついていないときに、

妖怪の壺に吸い込まれてしまったの」

 

「!!!!それって、もしかして金閣さんが吸い込まれちゃったやつ?」

 

「そうなの。父が吸い込まれたのを知って、母が助けに行こうとしたんだけど

一緒に吸い込まれちゃって。叔父の銀閣様も助けに行って吸い込まれたけど

壺のエラーで叔父様だけはじかれちゃったの。

 

叔父様は小さかった私をひきとって育ててくれたのよ」

 

「そうだったんだ・・・。もしかして・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・なんでもないよ。まこちゃん、さびしい思いをしてきたんだね。」

 

「ううん。そんなことないよ。叔父様はいっぱいかわいがってくれたし

紫伯母様もいろいろ面倒みてくれたの」

 

「そうか・・・いい娘に育ってくれて、おばあも嬉しかっただろうな・・・

それで、なんか意味深にあれこれ持ってけとか言ったんだ。

 

ふだん結構冷たいからな。あの人・・・」

 

「冷たいの?」

 

「あ、いや、ビジネスライクってことだよ。やさしいよ。僕には思いやりあるし

いつもまこちゃんのこと心配してた!そういえば。今思うと納得だよ」

 

「なにかおみやげ持って帰ろうね。伯母様の喜ぶもの」

 

「そうだね。山菜がいいみたいだから、お昼たべたら散歩しながら

探してみようか?」

 

草原のさわやかな香りに包まれながら、2人は仲良く遠足を楽しんだ。

 

 

************

 

「おばあ~。だたいま。」

 

「おう、お帰り。早かったね」

 

「これ、おばあにお土産。山菜たっぷり。まこちゃんから」

 

「おーーーー。今日は天ぷらにしよう。」

 

「ところでおばあ、なんで黙ってたの?金閣さんと橙さんのこと」

 

「ぎょぎょ魚っ!もうばれてもうた?」

 

「みずくさいなー。なんで隠してるんだよ・・・」

 

「いや、あのーそのー。事実を言ったら、おまえが烈火のごとく

頭から湯気をだして、噴火して、リベンジいく!とか言いかねないと

思ったからさ・・・・」

 

「まあね。おばあからきいたら、そうだったかもしれないけど。

まこちゃん、愛情たっぷりに育って、今、幸せそうだから、

まいっか、って思っちゃったよ・・・おばあにも感謝してるって」

 

「そ、そうかい・・・それはよかった」

 

いつかは事実を知ることにはなろうと予測はしていたが、

思ったほど、キジムナーにとって大きな衝撃ではなかったことを

安堵するおばあだった。

 

(きじむなーも大人になったもんよのぉ・・・冷静に事実をみておる)

 

「おばあ。次の案件の準備はできてる?おばあ次第でGOだからね」

 

「あい、わかったよ。出発の準備はできておるぞ。いつでもOKじゃ」

 

「じゃ、あす早々に決行ね」

 

「らじゃー」

 

おばあとキジムナーは次の案件処理にあたろうとしていた。

 

 

********

 

 

都会の喧噪を通り越した町はずれの一画に、公営施設のアパートらしき

建物があった。

 

「なんじゃこりゃ?」

 

「うわぁ・・・腐った牛乳じゃないかな・・・」

 

「まるでゴミ屋敷じゃ・・・・」

 

「まんまだね」

 

「ここ、入って行くの?」

 

「しかたないよ・・・・」

 

2人は、ゴミをかき分けて、依頼人の元に進んだ。

 

「もしもし、そなたが依頼人かのお?」

 

「あ・・・そうです。私です。」

 

「とりあえず事情を聞いて、望みもきいておく」

 

「はい・・・私は若いときから、いろいろな男性とつきあってきましたが

長く続くことはなく、子もおりましたが、男性に夢中になってしまい

子供のことはほったらかしでした・・・

 

結局、私は良い男性にはめぐり会えず、最後に付き合った男性に

悪い病気を移され、後天性免疫不全症候群(AIDS)になってしまい

感染症を起こしてしまいました・・・

 

もう助かりません。最近は食欲もなく、このありさまです」

 

頬はこけ、やせほそり、衣類の上からもあばらがわかるほど

その女性はひからびていた。

 

「ほとんど動かずじっとしていましたが、近くを通った幼稚園児の歌が

耳に入ったのです。

 

『マリアさまのこころ、それはあおぞら

わたしたちを つつむ ひろい あおぞら

マリアさまの こころ それは かしのき

わたしたちを まもる つよい かしのき♪』

 

その時、私は悔い改めようと思ったのです。子供は成人しましたが

どこに行っても疎まれていました。なぜなら、人をみて態度を変えて

自分より弱いものにはひどい仕打ちをし、力あるものには

媚びへつらっていたのです。自分にとって益のないものには

徹底的にあしげにし、罵詈雑言を浴びせこき降ろしていました。

 

そんな様子を人づたいに知り、大変後悔いたしました。

私がこの子に愛を注がず、しつけもしなかったことから

非常識で非社会的な人間に育ってしまったことを

 

心から悔いたのです」

 

(太郎、資料をちょうだい)

(おばあ、これ)

 

「・・・・なるほど・・・・そうとうひどいな。

それでは、そなたは何を納めようと思ったのじゃ?」

 

「はい、病気になってからは働くこともできなかったので、

編み物をしていました。向こうの棚にマフラーや手袋、手提げかご等があります。

 

これらを私の子供に渡して、私のこれまでを謝罪したいのです。

また、残りは施設に寄付をして、親のいない子供達に差し上げて

欲しいのです。」

 

「わかった。そなたの気持ちを届けるとしよう。

思うに、そなたも親の愛を受けずに育ったのじゃな。情状酌量の

余地はあるようじゃ。」

 

「ありがとうございます・・・どうぞよろしくお願いします」

 

そう言い残すと、女性はゆっくり目を閉じた。

 

 

 

ぽちゃん

 

 

 

 

やせ細った魂は、虹色の浄化槽に送られた。

 

 

 

「おばあ?あのさ。まこちゃんが言ってた。両親はつぼに吸い込まれちゃったけど

銀閣叔父さんや紫伯母さんに、愛情たっぷりに育てられたから、私は幸せだって。

 

愛ってさ、与えられれば与えられるほど、豊かな人に育つんだね。

愛を受けたかどうかってのが、人格に影響するんだって思った。

僕も木の精霊達に、めいっぱい愛されて育ったから、すごく幸せだもん」

 

「そうじゃな。形は違っても、愛をたっぷり受けて育った子は、情緒も深いし

思考もしっかりとしておる。自分で考えることができるし、勉学や向上心も高い。

 

愛を知らない人間は本当に気の毒じゃ。人を愛して愛されて、そして人間は

豊になっていく。相手を思いやれるのじゃ。

 

おまえも大人になったら、まこと幸せになったらいい。暖かい家庭が作られるじゃろ」

 

「おばああああああああ!!!!」

 

「これこれ、おまえのハグ、強すぎるわい」

 

おばあは、成長したキジムナーが久しぶりにハグをしてきたので

照れてしまったようだ。

 

 

懐深いおばあと心暖かいのキジムナーの魂浄化の旅はまだまだ続く。

 

 




今回はいろいろありましたね。事実の発覚やら、案件の処理やら。

人間、愛は大事ですね。愛することで愛されるし、愛された人は愛を知っている。
愛は心を強くするし、自分に自信が持てる。つらいことも愛があれば克服できる。

お金は棺桶にもっていけないけど、愛は永遠。


宗教の時間に教わったような~

記憶はあいまいですけど、解釈は間違っていないと思います・・・
よ?


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相棒の誕生話

今は同僚として仲良しコンビのおばあとキジムナーのふたりだが、どうやって魂浄化作業をするに至ったのだろうか。

おばあの回想シーンからはじまる。


「一仕事終わると、風呂が気持ちいいのぉ~。

なんちゃら森林の香りとか、柚の香りとか、気分で選べるのがいいねぇ~

長いこと生きていると、いいこともあるもんだ」

 

おばあはお気に入りの入浴剤をたっぷり入れた湯船にゆったりと浸かっていた。

 

「そういえば、太郎との出会いもセンセーショナルじゃったのぉ。

 

あの雷雨の日、がじゅまるが雷に打たれて、そのそばにちっちゃいキジムナーが

号泣しておったな・・・・

 

親木のがじゅまるがまっぷたつになったその横で・・・」

 

おばあはキジムナーと初めて会った日の事を回想していた。

 

「みゃぁみゃぁ泣いていたキジムナーを連れて帰って

ミルクだのおむつだのとりあえず、銀閣から貰ぅて世話して・・・

だいたいおむつに男用と女用があるなんて、知らなんだ。

 

今時って、すごいのねぇ・・・紙おむつって出始めのころは

男女なかったと思うわ。トイレットトレーニングのために、わざわざ布おしめを

使う人もいたし。布だと不快だから、すぐに排尿を訴えて、おむつはずすのが

早くなるってね・・・

 

子供産んだことないのに、子育てすることになっちゃって・・・

あっという間に太郎もまこも大きくなりよってからに」

 

それまでは、おばあは妖怪連盟から指令を受けて、困った人の相談に乗っていた。

今はバイトで手紙相談だけを受けているが、当時は東西南北、世界各国を股にかけ

相談者に面会に行っていた。

 

ある時、おばあが手紙相談を受けた際、異空間移動能力を使って

遠隔地に到達した。そこで、死後、魂を浄化してほしいと頼まれたのだった。

 

なぜ依頼人はそんな事を頼んだかというと、その人物は魂浄化層の存在をを知っていたからだ。

依頼人は西洋僧侶で、聖職者として罪をおかしてしまったため、おばあに

死後の魂浄化を依頼した、というのが魂浄化作業のはじまりだった。

 

ちなみに、この聖職者の罪とは、異性を好きになってしまったのであった。

人間として生まれてきたならば、異性を好きになるのは自然のことであるが

この西洋僧侶の場合、人々に奉仕するために結婚はせずに神様のご意向に沿って

人々を助けます、という誓いを立ててしまった以上、恋に落ちてはいけないと

思いこんでいたからだ。

 

実際、西洋僧侶になっても、職を辞めて結婚した例もある。男女共に

聖職者だったが、一緒に奉仕活動をしているうちに、惹かれ合ってしまった。

そのままでは当然禁断の恋であるが、一旦辞職してしまえば、神の祝福のもと

家庭を築き守り、子を社会に送り出すという使命に変更されるだけのことだ。

 

しかし、おばあに魂浄化を依頼した西洋僧侶はそのどちらも捨て去ることができず

罪にさいなまれ自暴自棄になってしまった。

 

この西洋僧侶に会おうとした時には、まだキジムナーはちいさかったので

ひとり置いていけないため、やむを得ず、おぶって連れていった。

 

すると、キジムナーはどこから持ってきたのか、おばあの背中から手を伸ばし木の枝を渡したのだった。おばあがその枝を振ると、突如車が現れた。それが、今利用している異空間異動号である。

 

普段から子供用のゴーカートを乗りこなしていたキジムナーは

おばあの背中から降りると、すっとその車に乗り込み、さっそうと運転を開始した。

 

その時から、キジムナーはおばあのアシスタントとなって

魂浄化の行脚をすることになった。

 

「太郎も成長したのぉ。こどもなんてあっという間に大きくなるもんじゃ。

小さい頃は、よく生まれ育った森林に連れて行って、銘木古木達に絵本を読んでもらったなあ。

おかげで、あの子も本が大好きになりよった。

 

他にも、まこが読んでいた本を借りてきたり、こっちにあった本を持っていったり

妖怪連盟から送られた本を共有したり。

 

本を読むことは子供の情緒発達に良い影響をあたえるもんじゃ。うん。

 

それにしても、いろんな物語を考える人がいるんじゃなあ。

最近はネットでも読めるから、わざわざ本屋に行かなくてもよくなった。

 

ネット小説は、なかなかおもしろいからたくさんさん読みたくなってしまって、

時間が追いつかないわい。みんな本当に上手じゃ。

 

浄化作業の合間に見るのが楽しくて楽しくて。老後の楽しみにとっておけんわい。

って、わしの老後っていつ???

更新が楽しみじゃなあ~。」

 

昼下がりのおばあのひとりごとだった。




人間楽しみがないと寂しいですよね。
私もいつも楽しいことを探しています。

楽しいことがあれば、つらいことも乗り越えられると、信じて疑わない今日この頃。


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年度末浄化

いよいよ年度末。魂浄化作業も繁忙期かな?


「おばあ。今日、年度末だからさ、次に浄化する魂の

リストアップしておくからみておいてね」

 

「おぅ。いいよ。昨日おとなりさんから、差し入れもらったから

お茶しながらゆっくりみとくわ。

 

おまえも、いただくといいよ。オジバのおいしいチョコだからね

味わっておたべ」

 

「わ~!!!!ブランドものチョコ!!!なかなか手に入らないね!

それでは味わって頂きます!」

 

「もー、年度末ってね・・・おとなりだと2月が学年最後で

3月が新学期だっけ・・・ビジネスイヤーは4月かな?

 

とにかく忙しいのは苦手じゃ。ゆっくりじっくり順番決めようかねえ」

 

この時期になると、日本の場合お彼岸と重なって

魂浄化の依頼がぐっと増える。西洋からは、ハロウィーンの時期や

クリスマスが比較的多いが、集中するということはあまりない。

 

「なになに・・・

 

・自分がトップの俳優になりたくて、追い上げてきた後輩俳優を

おとしいれた。最後は自分が薬でつかまって、奈落の底に

落っこちた。反省したい

 

→強欲が招いた悲劇じゃな・・・ちょっと保留。

 

・浮気をした旦那を呪って、わら人形したら、ほんとうに

死んじゃった・・・そのあと自分にも不孝の見返りがあって

孫などが苦労している。反省したい

 

→こわっ!だから、人を呪わばっていうのよ・・・呪っちゃいかん!

慎重に処理、じゃな・・・

 

・子供を思い通りにしようと、むりやり勉強させ

無理矢理進学校に入れ、無理矢理トップレベルの大学に入れた。

入ったまではいいが、不登校になり、退学してしまった。

その後、就職もせず、引きこもってしまった。

 

自分も職場では居場所がなくなり、妻も離れていってしまった。

思い通りの人生なんてないんだ。子供を尊重してやればよかった。

超反省。

 

→もっと早くきづけよ、って話しだなあ・・・

子供は自分の所有物じゃないんだよ。主体性を尊重しなくちゃ

んーーー。これ先かな?おろかではあるが、更正力はありそうじゃな。」

 

まだまだ案件は山のように積んである。

いちおうキジムナーが、優先順位を考えて、順番に並べてくれたが

どれもこれも、心が痛むものばかりだった。

 

貧しい国々では人々は敬虔に祈りを捧げている一方で

先進国はどうしても奢りがち。本来の絶対的な存在である

神を軽んじ、科学が全てと傲慢になる人々が少なくない。

 

ただ、優秀な科学者になればなるほど、科学では及ばない力があるということに

気づく。実力のある医者や科学者がカトリック信者だったり、

仏教を重んじたりということは、めずらしくない。

 

おばあは、浄化プランをする一方で、人々の啓蒙をしなければいけないのではないかと

啓蒙プランをパワーポイントで作り、上様に提出してみようと

密かに計画をたてているのであった。




皆さんは占いを信じますか?女子は占い好きですよね~

占いってあたるもはっけ、あたらぬもはっけ、といいますが
私の場合、いいことだけは信じるようにしています。
悪いのがでた場合は、警告だ、と思って気を付けるようにするぐらいかな。

信じるモノは救われる・・・
とにかく前向きに行くと、人生ひらけるゾ(もちろん困難もあるがそれが人間を強くする)と、これからもポジティブシンキングで行きたいとおもいます。

(政治家も占い師を雇っているんですって!もっとも現代の政治家ってほとんど腹黒いですけどね)←そこまで言っちゃう?


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啓蒙プラン

忙しい年度末処理を終えて再び浄化作業をはじめる
おばあとキジムナーだったが、その前にやっておきたいことが・・・


「なあ、太郎」

 

「なに、おばあ」

 

「ちょっと思ったことがあってのぅ」

 

「どうしたの?案件リストなんか問題あった?」

 

「いや、太郎のリストはいつも完璧じゃよ。助かるよ」

 

「他になにか?」

 

「うん、啓蒙をせないかんと思ってな」

 

「啓蒙・・・?誰を?」

 

「誰というか、そこからはじまらんと、人間堕落の

一途をたどるのではないかと思ったんじゃ」

 

「あー、たしかに。学校の教育だけじゃ足りないかも。

倫理というか常識というか・・・」

 

「太郎、若いのに良いところに気づいたのぉ。

 

そうなんじゃ。おまえのように、自分で気が付く子は

自分で勉強したり、学ぶ力が備わっているんじゃが

 

そうでない子は、もともとということもあろうが、環境が

悪いと思うんじゃ」

 

「あー、それは言えるかもしれないね。僕もマコちゃんも

良い環境にあったと思うよ。自然の中でいっぱい遊んで

いろんな発見があったし、周りの大人に守られながら

のびのび育ったから、心がしっかり育ったと思う。

 

必ずしも親じゃなくて、いいんだよね?心から愛してくれて

守ってくれる大人がいると、安心できて、自分に自信ができて

強くなれると思うんだ」

 

「太郎・・・おまえは、ほんとうにすばらしいのぉ。

おまえやマコのような子達が増えてくれれば、浄化作業など

不要になるんじゃがな・・・・

 

だから、啓蒙をしていって、愛が如何に大切か

子供を育てる上で、見守り励ますことが大事じゃと、

小さいうちから教え、またその親たちにも教えていかねばと

思うんじゃ」

 

「ぼく、思ったんだけどさ、もともとの性格もあるけど

やっぱり、環境って大事だよね。

 

兄弟が何人かいて、みんな性格は違うけど、同じ親で育つと

常識っていうのかな?基本概念がさ、ちゃんと植え付けられてるんだよね

 

だから、出方は違うけど、根本的なところでは、正しい倫理観を

持てるんじゃないかなって思う。それに他人に対する思いやりも育ってる。

 

また、親も人間だってことがわかって、反面教師にしてる人も。

人間だから完璧じゃないからね。親の欠点から学ぶって姿勢も

大事なんだよね」

 

「そうなんじゃ。だから、浄化作業と同時に啓蒙作業も

行ったらどうかと、上様に申し出ようかと思っておる。

 

わしが骨子をパワーポイントで作っておくから、効果を太郎にお願いしたいんじゃ」

 

「いいよ!あれだね。グラフ化したり、アニメーション効果入れたり

動画いれたりして、わかりやすくすればいいんだよね。画像なんかの

データはまかせて!」

 

「ありがとよーーーー。そうなんじゃ。補足資料を集めるのが

時間かかるからさ、太郎仕事早いから、やってもらうと助かるよ」

 

「朝飯前さ!浄化プランリストと同時進行するから!」

 

「浄化行脚もエネルギー使うからのぉ。同時に啓蒙作業をしていけば

浄化リストも減っていくと思うんじゃ。というか、そうじゃなきゃ困る。

世の中デジタル化すすみすぎて、心の教育がおざなりになってるからね」

 

「うん。愛の啓蒙運動をしよう!!」

 

「太郎、よろしくな。あんまり無理せず、たまにマコとも遊びに

いっていいからな。煮物と和菓子作っておくから」

 

「うぉーーーい!!!ありがとーーーーやる気100倍!!!

がんばろうねっ、おばあ!」

 

「(サムズアップ)」

 




さすが長~いこと生きてるおばあは気づきが違いますね。
心を育て、心身共に強く清く正しい人間を増やしていかなくちゃ
いけませんね。

おばあ、キジムナーファイティン!


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GWスペシャル

さぁてGW真っ只中
人それぞれに連休をお楽しみ(お仕事)中かな?


「ねえ、おばあ、なにやってんの?」

 

「お、太郎、ひさしぶりじゃの?」

 

「え?たった2週間程でしょ?おばあの長い人生からみたら

ほんのコンマ数秒ぐらいなもんでしょ」

 

「おいしくできだぞ~」

 

「(え?無視?)・・・・あ!桜餅?でも、時期ずれてね?」

 

「だって、大好きなんだも~ん。これはマコに持ってってくれ。

あの子、つぶあんはNGだけど、こしあんなら好きなんだって」

 

「え~、僕、つぶあん好きなんだけどな~」

 

「そういうと思って、ほれ、こっちは粒あんバージョン」

 

「ひゃっほーーーーーー!!!さすがおばあ」

 

「今年はゆっくりできそうじゃからの~。料理したり

片づけしたり、まったりしとったところじゃ」

 

「あ、ほんとだ~。広くなってる」

 

「いらんもん、ぜーーーーんぶ捨てたし、おもちゃ類は

孤児院に寄付して、本は欲しい人にあげた」

 

「へ~いつの時代の?」

 

「教えない」

 

「いじわるっ!ま、いいことしたんだからいいよね」

 

「いいことといえばいいのかな・・・わしの部屋がすっきりして

助かったと思うておるんじゃが・・・」

 

「おばあにとっても良いことで、もらった人達も

喜んだんだからいいんじゃない?」

 

「まあね・・・でさ、太郎、まだみたくないけど、GWあけの

案件ってどんなの?」

 

「えっとねー・・・・ありゃ。おばあがいやがるヤツだわ。

『連続殺人事件』だって」

 

「え~やだぁ~。きっと西洋とかでしょ?ピストルもって

バンバンバーーン!!系の?」

 

「それって、鉄砲もってバンバンバンって

ど~れ~にし~ようかな?・・・れれれのれ、じゃないの?」

 

「え?そうなの?うちはね、『ぶーとこいてぶーとこいてぶっぶっぶっ

もーひーとーつおまけにぶーっとこいてぶーっとこいてぶっぶっぶ』

だったよ?」

 

「おばあ、関西人なの?」

 

「ううん。でも、それ流行ったとき、京都からの転校生がいて

その子が流行らせたの」

 

「いつの時代?」

 

「おしえない」

 

「はいはい、わかりました。でね、おふざけはこのぐらいにして

案件だけどさ、お察しのとおり、西洋のすっぺいんだそーです」

 

「いやだいやだいやだ~。バルセロナで

サグラダファミリア教会だけみて、帰ってくるぅ~」

 

「おばあ、時代遡ったら、まだそんなに出来てないんじゃ?」

 

「いつの時代?」

 

「おしえなーい」

 

「じゃ、いかなーい」

 

「おばあ!いい加減にして!」

 

「・・・・わかりました・・・・せめて

桜餅全部食べてからでいいでしょ?」

 

「いいよ。てか、GWあけでいいんだから」

 

「わかりました・・・・なんとかします」

 

「新茶買ってきてあげるからさ。準備してて。

僕はマコちゃんが電子辞書欲しいって言うから、

今から届けるよ。おばあの桜餅も間違いなく渡すから」

 

「へぇい・・・ありがと」

 

「じゃ、行ってきます!」

 

 

 

 

 

しばらくしてキジムナーが戻ってきた

 

「おば~。桜餅絶品だったぁ~。おいしかったよ。

マコちゃんも喜んでた」

 

「そうか・・・それはよかった」

 

「なぁ、太郎、この案件さ、最初にかたづけて

それからGWゆっくりしない?」

 

「ん?いいよ。やなこと最初にやっちゃおうよ」

 

「うん。。。そうする」

 

「やけに素直だな・・・」

 

「では、いきませう」

 

「早っ!」

 

びゅん!ぐたぐた言っていた割には

やけに行動が早かったおばあ。

案件先のすっぺいんに着いた。

 

「太郎、どろぼーが多いから、気を付けるんだぞ」

 

「あいよっ」

 

「しかし、連続殺人しといて

悔い改めようって気持ち、ほんとにあるのかね・・・」

 

「うん・・・・連続っていっても子供だからね・・・残忍すぎるよ」

 

「はぁ・・・会うのやだけど、しゃーないな」

 

おばあとキジムナーの2人は

闘牛場の裏を通って、細い路地を入っていった。

路地を抜けると、煉瓦の大きな家が見えた。

 

「おばあ、ここ」

 

「ひぇ~えらい金持ちじゃね」

 

「うん。表からじゃなくて、裏からきてください

だって」

 

「どこが裏か表かわからんな」

 

「ナビあるから大丈夫だよ。おばあついてきて」

 

2人は屋敷に入っていった。

キジムナーのナビに表示されている通りに進むと

部屋の前でセンサーが光った。

 

「あ、この部屋みたい。入ってみよう」

 

コンコン。

 

「Adelante]

 

「入れってか?」

 

「あ、失礼。魂で話しかけます」

 

「そなたが、連続殺人犯かの?」

 

「そうです。」

 

「まだ若いのに。学生か?」

 

「そうです。理学部の大学院で研究中でした」

 

「なぜに罪もない子供を殺めたのじゃ?」

 

「はい・・・博士論文が通らず、むしゃくしゃしました」

 

「だからといって、なぜ子供が犠牲にならねば

ならんのじゃ!!!」

 

めずらしく声を荒らげるおばあ

 

「もう、これ以上不孝な人達を増やしたく

なかったのです。私のように、親の言うなりになって

自由が全くなく勉強の日々で、進学しても楽しいことなどなく

日々研究を強いられる毎日でした。

 

人によっては研究が大好きで夢中になってる事もあるようですが

私の場合は絵描きになりたかったのです。

芸大に進みたかったのに、親に猛反対され、仕方なく

理学部に進みました。

 

私のような不孝な人を少しでも減らしたいと思ったため

子供に手をかけました」

 

「思考発想が稚拙じゃな。関係ない人を殺めて

お主の欲求が満たされるのか?」

 

「申し訳ありません・・・そこまで思考が及ばず

心神喪失状態のまま、行為に及んでしまいました・・・

 

しかし、最後に殺めた一人が『おにいちゃん、これあげる』

と言って、折り鶴をくれたんです。彼は日本人とスペイン人のハーフで

日本にいた頃、おりがみをしていたらしく、それを私にくれたんです。

 

その時に、自分のしたことの罪の大きさを知ったのです」

 

「気づくのが遅いんじゃ!お主の魂など救いたくない!」

 

「おばあ・・・気持ちはわかるけど、仕事しないと・・・」

 

「わしにだって拒否権はある!自分だけが被害者ずらして

純粋無垢な子供に手を出すなんてゆるさん!!!

おまえなんか、ずっと地獄をさまよっとけ!!!」

 

「おばあ!」

 

「はい・・・私のようなものは天国に行けるなど

決して思っておりません・・・ただ、大学院に進む前に

薬学部時代開発した、この薬で、花粉症を減らすことができるのです。

日本では花粉症が酷いと聞きました。

 

最後に私に悔い改めるきっかけをくれた子がいた日本の子供達が

花粉症に苦しまずに元気に遊べるように。

 

私のような人間にならずに、のびのびと精一杯遊んでほしいと・・・

そんな願いをきいていただきたくて、依頼状を出しました。

 

私の魂は浄化できなくても結構です。この薬だけ

お渡しください」

 

「・・・・・・・・・・生まれ変わったら何になるつもりじゃ」

 

「私のようなものは生まれ変わる資格などございません。」

 

「わしもそうしてほしいが、規則じゃからな。心から悔い改めている者には

救いを与えるという。」

 

「それでは、修道士になれましたら幸いです。一生、奉仕と祈りをささげ

困った人々を助けます」

 

「わかった。そなたの願いが叶うよう、しっかりと魂の修行をするとよい」

 

「ありがとうございます・・・・恩に着ます」

 

 

ぽっ        ちゃん

 

 

殺人を犯した男は、警察がくる前に劇薬を飲んで自室で自らの命を絶っていた。

 

「おばあ、やっぱりさ、啓蒙プランも同時進行したほうが

よさそうだね」

 

「そうじゃな・・・わしらの力でどうにもならないことばかりじゃけど

わしらでできることもあるからのぅ」

 

「うん。マコちゃんもできる事があったら、協力したいって」

 

「そうか・・・マコには現場に行かずに、事務処理を頼もうかのぉ」

 

「それがいいね!遠隔操作でデータ送信とかしてもらえるし。

場合によっては、武器の調達もお願いできるからね」

 

「そうじゃな。温泉浸かってから帰ろうか」

 

「らじゃ!」

 

おばあとキジムナーの浄化紀行はまだまだ続く。

近日、新しいメンバーが加わりそうだ。

 




今年のGWはあまりお天気も崩れないようで、よい感じですね~

私もおばあを見習って、いらないもの捨ててお部屋の
お掃除でもしましょかね?


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メンテナ中

さて、今回のおばあとキジムナーはどんな活動をするのかな?


「はーっ、ごしごし・・・・うむ。結構きれいになったな」

 

おばあは商売道具の水晶玉を磨いている。

この水晶には浄化後の魂の行方が映像化される。

 

次にどこに生まれ変わってどんな人生を送っているか

キジムナーが受信するデータは文字化され

動画はこの水晶玉に映し出される。

 

浄化した魂を持った人間が、新しい人生をしっかり

正しく生きているのをみると、この仕事しててよかった!

 

と、長生きのメリットをしみじみ感じている

おばあ。本名を「紫・ばばあ」(ほんとか?)

 

これまで浄化した魂は数知れず。

しかしながら、どうしてこうも、汚れまくった魂ばかり

世に溢れているのだろう・・・

 

人間は生きて修行をして徳を積んで

天国の門をくぐり抜けられるはずなのに

 

その資格すら手にできない輩が

多いこと多いこと・・・

 

「啓蒙プランの承認はまだおりんのかのぉ」

 

懺悔するような大失態を招く前に

まず根本の生き方を変えねば、と

上様に啓蒙プランをパワーポイントでキジムナーと

作って提出したおばあだったが、まだ返事はこない。

 

「上様もお忙しいのはわかるが、とっとと

お返事をくださらんかのお・・・」

 

ピン!

 

「お!メールじゃないかな?多分上様からじゃ」

 

キジムナーは健康診断中で留守だった。

 

「どれどれ、太郎の代わりにわしがチェックしておこうっと」

 

メールの送信元は、上様ではなく

どうやら管理局からのようだった。

 

「え????なに????太郎の健康診断結果?

血糖値が高いから、再検査が必要???

 

なんでじゃ???血糖値高いって、あの若さで

糖尿病かいっ!!!!いかん・・・・

 

はっ!この間、桜餅を持たせてしまったじゃないか・・・・

啓蒙プランの前に、太郎の健康キープしなけりゃ

いかん!」

 

おばあは早速血糖値に効く薬を調達しに

銀閣大王の所に出かけた。

 

「ただいまーーーー、おばあ。あれ?おばあ?」

 

おばあと入れ違いにキジムナーが帰ってきた。

 

「なんだよ。留守?てか、なんの伝言もなしに

出かけて行っちゃったよ・・・なんか急用だったのかな?」

 

おばあは超高速8倍速モードで、銀閣に事の次第を話し

魔王家秘伝の薬草を分けて貰っていた。

 

「銀閣さん、ありがと!」

 

お礼もそこそこに、おばあは杜の事務所に戻ってきた。

 

「あ、おばあ。なにしてたの?伝言もしないで留守って

物騒だなあ」

 

「あ、太郎。健康診断の結果がきてたよ」

 

「え?診断?異常なしでしょ?」

 

「それがさ、血糖値が高いって。だから、銀閣んとこいって

薬草もらってきた。これ煎じて飲めば、血糖値さがるから」

 

「え?おばあ、わざわざ銀閣さんのところに、薬草取りに

行ってくれたの?」

 

「うん。だって、太郎になにかあったら困るもの。」

 

「お、おばあ・・・・(感激中)」

 

(太郎が動けなくなったら、わしひとりで仕事せねば

なんないもん。やだそんなめんどいの。)

 

「太郎。体は大事にせねばな・・・・(いい人演じ中)」

 

「おばあ、ありがとう!・・てか、いま、テヘペロってしなかった?」

 

「へっ?してないよ。するわけないじゃん!」

 

「んーーー、どうも怪しいな。ま、でもいいや。僕だって

体調崩れるのやだからね。おばあが煎じた薬草、ありがたく頂くよ」

 

「ああ。それよりおまえ隠れて甘いモノとか食べてたか?」

 

「隠れて・・・じゃないけど、おばあが隠してた

あめりきゃーのぺろぺろキャンディー全部いただいたよ?」

 

「へ????なんで????なんで食べちゃったの?

あたし、楽しみにしてたのにっ!!!!」

 

「おばあ。恐ろしいほどの蟻が群がってたんだよ・・・

僕は蟻を食べても大丈夫だから、一緒にいただいたの。

じゃないと、蟻地獄ワールドができあがりそうだったからさ」

 

「うぇーーーーーー・・・・・・仕方ない・・・

わしは虫は食べんからな・・・・は虫類は食べるけど。

しゃーないなっ」

 

「あんな糖分の固まりみたいなの1ダースも食べたから

一時的に血糖値が上がったんだとおもうよ。

たぶん、これからは酢や牛乳、タマネギスープとか多めにして

あとはヘルシー食にしてたら大丈夫だと思うよ。

 

いつものおばあの料理で!」

 

「そ、そうじゃな・・・・(あの飴ひとりでたべたんかいっ!)」

 

「再検査はいつ?」

 

「え?あ・・・いつでもいいらしいよ。事前に連絡すれば

いつでも受診できるって」

 

「そっか。それなら1週間後に行ってくるよ。それまで

糖分は一切とらないから」

 

「お、おう・・・それがいいな。食事も砂糖入れない食事にするから」

 

「おばあ!ありがとう!あ、あとね。啓蒙プラン

OK出てたよ」

 

「え???なんだ、そうだったんかい」

 

「ごめんごめん。健康診断前に受信してすぐに

重要フォルダに移動しちゃった。帰ってからおばあに話そうと

思ってたからさ。あとで、会議しようね」

 

「うっす・・・お茶菓子は酢昆布とかそういうのにするね」

 

「うん。おばあは気にしないで甘いモノ食べていいからね!

でないと、発作おきるでしょ?」

 

「いやぁ・・・わしもちょっと禁甘するよ・・・」

 

「じゃ、2人でヘルシー三昧楽しもうね。あとで山菜取ってくるよ」

 

おばあとキジムナーのヘルシー生活がスタートした。

 

 




健康キープでお仕事がんばれ~


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大切な日なの?

突如、相談を受けるおばあ


「たろー、啓蒙プランちょっとまっちくり。

相談きちゃったよ」

 

「え?なに?」

 

「ほれ、おまえが負傷したときにお粥届けてくれた

人からじゃ」

 

「ああああ!あの人ね。なんだって?」

 

「なんでも、大事な日が迫っているのに

なんにもできなくて、どうしたらいいかって相談」

 

「あー。わかった。僕が森で会った子の

おじさんだね?」

 

「おそらくそうじゃな。その人の大事な日が迫っていて

本当はお祝いしたいそうなんじゃ。

 

しかし、どうやってお祝いしたらよいか困っているんじゃと」

 

「ん~。僕がメッセージ届けてあげてもいいんだけど・・・」

 

「そうなんじゃが、おまえがいきなりその格好で

行ったら、『はい?』って、訝しげにみられちゃうじゃろ?」

 

「そうだよね・・・それより、玄関開けてもらえないかも」

 

「あの格好でもまずいしね?」

 

「うん。緑のあの格好でもさ、本当の人がきたら

『あんただれぞなもし?』って言われちゃう。

へたしたら逮捕だよ」

 

「だろ~?ポストに入れたところで、本人に届くかどうか

わからんじゃろ?」

 

「だよね。直接渡せればいいいけど、かくかくしかじか・・・

【超高速30倍モード】で話さなくちゃいけないけど

そもそも話を聞いてくれるかどうかわからないもの」

 

「わしがいったら、もっと怪しいしのぉ~」

 

「おばあ変身できないの?」

 

「できるけどさぁ・・・なにに変身するの?」

 

「あの女性」

 

「えーーー?だって、本人じゃないからだめじゃん!

 

『あたしは代理です。化けてます』って言ったら

 

それこそ『はあ~?』だぜ?」

 

「なんか僕ら、不毛な会話してない?」

 

「そうなんじゃ・・・わしらが持っているのは、

罪を悔い改め魂を浄化させることに特化した能力じゃからのぉ・・・

 

良き人にも手をさしのべてあげたいんじゃが・・・

何か良い手だてはないのかのぉ?」

 

「過去に飛んで、行ってみるとか?」

 

「いつの過去だよ?」

 

「・・・・・だよね・・・・・ふぅ・・・」

 

「こうなったら孫ろっ空にでも頼むかのぉ?」

 

「ええええ?あいつ、ひとの助けとかする?」

 

「・・・・しない。買収しないとなんにもしない」

 

「でしょ?そんな予算ないよ。うちには」

 

「だよなあ~。なんとかしてあげたいなあ」

 

「ピンポンダッシュは?」

 

「で、どうするの?」

 

「ピンポンして、出てきたら、おばあが声色かえて

あの女の人の声で、おめでとう!って言う」

 

「太郎・・・だったらさ、それ、本人がやれば

良くない?」

 

「・・・・・確かに・・・・・」

 

「しかも、それ怪しいし。ヘタしたらいたずら!って

通報されちゃうし」

 

「だよねええ!!!僕を助けてくれた人だから

僕もなんとかしたいんだよね・・・・」

 

「そうだ。おまえ、少年の方に会ったらどうなの?」

 

「あ!そうだね。あの子に伝えてもらったらいいんだよね?」

 

「探し出して、手紙渡したら?」

 

「そうだね・・・あの子は子供だから、僕をみても

びっくりしないし、森で会ったときも、道案内したら

喜んでくれた」

 

「とりあえずその方向でがんばってみぃや」

 

「よっし。じゃあ、おばあの相談案件、僕が

引き受けるよ!」

 

「うまくいくように、祈ってるよ。和菓子作っておくから。

つぶあんじゃなくて、こしあんがいいんだっけ?」

 

「逆~。まこちゃんがこしあん。あ、でも、僕も最近

どっちでも大丈夫になった!」

 

「健闘を祈る!」

 

「らじゃ!」




ほのぼのデコボココンビ。人助け、がんばれ~


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6次元ポケット

季節はめぐり夏を迎えたおばあとキジムナー。


そろそろ入梅の時期。

いろいろ気を付けないと食中毒が怖い季節である。

 

キジムナーやおばあは人間ではないにしろ

食中毒を起こしたものの残骸に触れたりすると

アレルギー症状を起こす。

 

そんなときは80度以上のお湯に

20分以上浸かると、だいたい滅菌されるが

活火山近くまで出向き、80度以上の源泉を探さねばいけないため

ちょっと不便を強いられてしまう。

 

「太郎、これ、除菌しておいて」

 

「うん。昨年はひどかったからね・・・・

僕がうっかり、カビた饅頭食べちゃって

それでのたうちまわっちゃったんだよね。」

 

「ただのカビならいいけど、虫が食べたところに

繁殖菌があったからのぉ・・・。解毒するのに

大変じゃったな」

 

「そうそう。まこちゃんが、Eらえもんさんのところにいって

『6次元ポケットから、瞬間滅菌スプレーください!同時に熱も

下がるらしいですから!』って、強引にもらってきちゃったんだよね」

 

「そうそう。まこの必死の看病で、太郎もすぐに回復してのぉ・・・

わしも解毒薬草を作っておったが、瞬間滅菌スプレーとは

思いつかなかったなぁ・・

 

6次元ポケットの存在すら、思い浮かばなかったよ」

 

「だよねえ。僕もびっくりしたよ。『6次元ポケットからだしてください!』

って、頼んじゃう発想がすごいよね」

 

「いやあ、さすがわしの姪娘じゃ。愛する人のためならなんでも

しちゃうってか、ひらめきが、天から降りてくるからのぉ」

 

「まこちゃんにはほんとーに感謝しているよ。

食中毒がらみの腹痛って、はんぱないからね」

 

「人間でも相当だからね。あたしら妖怪にとっては

痛みが倍増しちゃうから、厄介だ。めったなことじゃ

具合悪くならないんだけどね」

 

「だから、僕は梅雨がきらいだあ~」

 

「わしも、日本の夏、キンショールって

風情はすきじゃが、湿気があかん」

 

「そろそろそんな季節なんだよねー。おばあ。

おばあは今年の猛暑対策なにかある?」

 

「ない・・・・とりあえず、梅干しキープしてるぐらいかな」

 

「あー、大事だよね。疲れ取り、滅菌もあり」

 

「つくるの大変じゃから、最近は買ってるよ」

 

「いいんじゃない?おとなりのお国でも、リムチ漬をわざわざ

作ってるところって少なくなってるらしいよ。」

 

「この国も浅漬けぐらいじゃもんなあ。ぬか漬けとかやってるところ

あるの?」

 

「どろかけばーさんは、つくってるらしいよ。

このあいだ、通りがかったら、つくってたもん」

 

「どろかけなあ。あいつん家の畑はガーデニングの

お手本みたいな庭じゃからなあ。こんど、なんかかすめてくるか」

 

「かすめて・・・なんて、おばあったら。おばあの煮物とか

持ってったらいいじゃん。あと、最近はまってる

牛乳からつくる生乳キャラメルとか」

 

「ええー。あれ、自分で楽しむ為につくってるからあ~

人になんかあげたくないぃ~」

 

「せ、せこい・・・・。あ、そうだ

また案件あがってきてるよ」

 

「みたくない・・・・・」

 

「そうなんだよね。今回は、僕もあまりみたくないものばっかで」

 

「てか、そんなの浄化させたくないってのばっかじゃないか?

って、予想は立っておる」

 

「ん・・・・でもまあ、そうじゃないと地獄の

悪魂ばっかり増えちゃうから、少しでも多く浄化しないと・・・」

 

「はぁ・・・・この世から罪ってもんは

消える日がくるんだろうか・・・・」

 

「おばあ。それが僕らの仕事だからね。放置したら

消えるどころか、増え続けるから、なんとかしていかなくちゃ。

やっていくうちに、名案も生まれるだろうからね。

 

まこちゃんだって、そのうち強力な戦力になるから

おばあもがんばってよ!」

 

「へい・・・・・そうじゃな。やらなければ

悪くなる一方じゃからな。

 

無理せずちょっとずつやっていくとするよ」

 

「うん。ガス抜きも忘れずに!」

 

 




妖怪も無敵ではないようです。


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かなへび

ちっちゃいとかげ
かなへびさんが舞い込んできた。


「ねえ、おばあ!

これ、ちーちゃんからもらった!」

 

初夏の早朝、キジムナーが息を切らしながら室内に入ってきた。

 

「なんじゃ?お!かなへびじゃないか」

 

おばあは、ちいさいかなへびを掌にのせると

ちゃいろの背中を愛でた。

 

「おう。。。かわいいのう。なに、これ、ちーちゃんが

つかまえたの?」

 

「そうみたいだよ。にこにこしながら、僕にくれるからさ。

いいの?って、いったら、おにーちゃんにあげる!って」

 

「ちーちゃん、もう人間でいえば、小学校ぐらい?」

 

「そうだね。1年生ぐらいになるんじゃない?」

 

「大きくなったものよのお~」

 

「ねえ、このかなへびどうする?飼う?

水がいるし、虫とかつかまえてこないと、飼育できないけど?」

 

「う~ん。飼いたいなあ~。かわいいからな~。

おばあ、だめ?」

 

「だめって・・・いいけど。自分んで飼育するなら・・

ただ、留守中どうするの?餌とか水とか」

 

「んー、まこちゃんにお願いするとか・・・」

 

「まこは、は虫類苦手じゃなかった?」

 

「いや、大丈夫みたいだよ。節足動物はちょっと

苦手みたいだけど・・・・」

 

「それじゃ、餌のクモとか、だめじゃん?」

 

「んーーーー。おいらが捕まえて、まとめて

おいとくとか・・・」

 

「まとめちゃいかんだろー」

 

「んーーーーーーーーーー。結構留守がちだからなぁ・・・」

 

「かわいそうじゃから、今回は逃がしておやり」

 

「んにゃ~・・・・・・仕方ない・・・・そうするか・・・」

 

「かなへびだって、恋のひとつぐらいしたいやろ?」

 

「うぐっ・・・そっか・・・愛しいひとと離れちゃったかも

しれないもんね・・・・」

 

「そうそう。なんでも、つかまえてこっちの勝手にするのは

かわいそうなんじゃ。

 

ところで、太郎や。泥かけばばあから梅もらったんだけど

おまえ、梅酒作れる?」

 

「梅酒?カリン酒なら作ったことあるけど・・・・」

 

「同じ要領じゃね?」

 

「そうかなあ?ちょっとぐぐってみる?」

 

「そうしてくれ。たくさんあるから、もったいないんでね。

すぐにとりかかってくれたらうれしいよ。

 

作業のあとの梅酒はおいしいぞ~。梅干しはじかんかかるから

梅酒がいいかと思うたんじゃ」

 

「そうだね。おいらも梅酒なら飲めるからね」

 

「ん?おまえR-15じゃないの?」

 

「妖怪にR-15とかあるの?」

 

「しらん・・・でも、アルコールは摂取したら

なんか、よくなくね?」

 

「焼酎なら大丈夫でしょ。泡盛でもつくれるけど

度数が高いからな・・・・ま、ちょびちょび飲むなら

大丈夫だとおもいまーす!」

 

「わしら治外法権じゃからな・・・健康面だけ

管理すればいいてことか・・・・」

 

「そうそう、そういうこと!じゃ、そろそろ

案件の整理でもしようかな・・・涼しいうちに

やっとこーっと。依頼中の案件もなかなかだからな・・・・

体力温存だ!」

 

 

 




なんでも、トカゲって神の使いらしいですよ?


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遊べないこども

次の案件に移る前に
相談事が舞い込んできた


もわっとする湿気につつまれた

梅雨真っ只中

キジムナーはせっせと除湿のまじないをかけていた

 

「ねええええ、おばああ!ここ、乾燥おわったよー」

 

「あい、ありがとねぇ。快適快適。おまえ、ほんとーに

掃除上手だねぇ」

 

「へへー。森の仙人におそわったんだー。

快適だと脳にもいいんだってよ?」

 

「そりゃぁそうだ。で、次の案件事例は揃ったの?」

 

「あ、その前におばあ、相談案件が入ってたよ」

 

「どれどれ。すっきり快適になったところで

読んでおこうかのぉ」

 

「はいこれ」

 

キジムナーは、A4サイズにまとめられた

パワーポイント印刷データをおばあに手渡した。

 

「なになに・・・・・遊べないこどもたち?」

 

「なんかさあ、この時代、こどもたちが大変らしいよ」

 

「ほぉほぉ。なんでも人間のこの国の世界で昭和の頃は

こどもたちは、大人が介入しなくても、自分たちで

ルールを決めて、楽しく遊んでおったそうじゃ。

 

ところが、今は環境の変化に伴って、こどもは

外で遊ぶ機会が激減し、人と接触する機会も減った。

兄弟がいない子ならなおさら。

 

昭和の時代は、違う年の子達が集まって、年長が

リーダーシップをとって、遊びを教えたり、ルールを

説明したり、思いやりをもって接していた。従って

楽しく遊ぶことができた。もちろん子供達だけで

 

ところが、最近は、ルールを決める際にも

おれおれおれおれ、で、自分を中心にルールを決めて

相手がそれに反すると凄い勢いで、責め立てて

まるでけんかするために遊ぶような、そんな状況に

なっておるらしい。つまり、交通整理役の大人がいなければ

楽しく遊ぶことができない。

 

そうすると、弱いモノや年下が犠牲になって

輪に入れなかったり、罵倒されたりするらしい。

 

なんと、悲しいことよのぉ・・・・太郎?」

 

「ぼくの周りでは、そんなことなかったなあ。

木の精霊がかくればしょを教えてくれたり、秘密の

隠れ家とか伝授してくれたり、女子やちいさい子には

やさしくしてあげてたけどなぁ。」

 

「今は、知らないひとと口をきくと危ない!とか防犯の

理由もあって、自由に遊べないという、かわいそうな

環境の中でしか生活できないから、今の子は気の毒じゃのぉ」

 

「ほんと。公園でもおちおち遊べないよね。

実際にへんな人とかいるしさ。こどもをねらってたりするしさ」

 

「思うに、マスコミも大いに責任あるわな。

あれに洗脳されちゃってるから、正しい判断基準が

育たず、人を罵倒する言葉が専攻してしまう。

 

うざいだの、きもいだの。

なにげに使ってしまうわけじゃ。

 

言われた方は深く傷ついたりしてることも少なくないのに・・・」

 

「ぼくがこどもたちの輪に入って、あそんであげようかな?」

 

「おまえ、その風体で、『きもい』とか、言われちゃうんじゃないの?」

 

「はあ?きもいっていうやつがきもい!って言い返してやるよ」

 

「おまえは強いのぉ・・・今の子達は傷つきやすくて

メンタル弱いから、おまえが優しく諭してあげたら

いいと思うよ」

 

「うん。ぼくは、凹まないから大丈夫!

そして、みんなと仲良く遊ぶ方法を教えてあげるよ!」

 

「次の案件にうつるまえに、それ、やっといてくれる?

忙しくなるけど。太郎、たのむぞ」

 

「うん、わかった。じゃ、とりあえず行ってくるね」

 

「道明寺作って待ってるよ」

 

「おばあ、ありがとう!」

 

キジムナーは木の葉カーに乗って

あそべないこどもたちの元に走っていった。




きじむなー大活躍ですね。
こどもたちには、楽しく仲良く遊んで欲しいものですね。


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お盆アカデミア

※タイトルは本文とは一切関係ありません。


「いや~。暑いのぉ。それにしても今年は暑い。

こんな中、妖怪ポストマンは朝から走り続けて

いるんじゃなあ。いくら体内変温装置があるにしろ

ぶっ壊れるんじゃないかってぐらい、暑いからなあ。

 

わしは寒さには強いが、蒸し暑いこの国の夏は堪えるのぉ。

妖怪がりんごりんは管理局に体質特性返還申請だしたらしいな。

なかなか賢いな。

 

あい、太郎や、ちゅーちゅーアイス、がっちがっちに凍らせてあるから

適当に休憩入れて、お食べ

 

どうせ、これ見てる人いないんだし、超ゆる更新でいいんじゃね?」

 

「は?なに言ってんの?・・・・あ゛!!!!おばああ!!!!!

ねえねえ、これみて!」

 

「なんじゃ?そんなに驚いて」

 

「五千万両だよ!お札があったよ!

よっれよれになった封筒があって、捨てちゃおうかなって

一応、中身みたら万両札が2枚も入ってたよ!

これでスィーツ1か月分ぐらいにはなるよ!!!」

 

「ほぉ・・・太郎、きれい好きじゃからのぉ。

暇さえあれば、整理整頓してる、その流れでそういうラッキー来たわけね

そういえば、妖怪がりんごりんに麦酒チケットもらってたなぁ。まだ使ってなくて

取ってあるわ。太郎が成人したら飲もうかと思ってたけど、おまえ成人するの?」

 

「どうだろ?妖怪に成人とかあるの?

あ、そうだおばあ、お盆だからさ、これのお札でお花買ったらどう?」

 

「そうじゃなあ。千年単位で見送った妖怪もおるしのぉ。

基本、妖怪って死なないと思ってたけど、とんでもないウィルスとかで

あっさりぽっくり逝っちゃったやつもいるでのぉ。供養しとくか」

 

「じゃ、僕、お花買ってくるね」

 

「暑いから、水分補給忘れずにな。余ったら、なにか好きなもの

買っておいで。お札はきっとお前がいつも頑張って働いている

ご褒美じゃよ。管理局の役人、釈迦シャカーンからの」

 

「うわぁ!冷徹管理人かと思ってたら、意外にやさいいんだね!

じゃ、とにかく行ってくるよ!」

 

「行ってら!気を付けて!」

 

車内温度を低めに設定して、速度もセーブしながら

キジムナーは瞬速移動マシンに乗って、花を買いに出かけた。

 

「じゃ、太郎が出かけているうちに・・・・と。

関西ぐるるーの実写版DVD借りてきたんだ~♪

今しかゆっくり見れないからね~ 楽しみ(はぁと)」

 

おばあは妖怪秋田事変から送られてきた『特製生もろこし』を

ほおばりながら、煎茶を啜った。

 

【次の案件:名声に重きを置き家族を顧みなかった古典俳優】

 

「あー、なんかテーブルに置いてあるこれ、目ざわりじゃな~

映画観終わったらゆっくり目を通すから!!

盆休みぐらいゆっくりさせてくれ」

 

マコはオーソドックスな硬いもろこしが好きだけど

あたしゃ、このしっとりクッキー張りの、生もろこし

大好きなんだよね~ 週末には芋ようかんとアン玉も届くしね!

スイーツ三昧、ぃやっほう!」

 

しばしのお休みを楽しみながら、次の案件を頭の片隅に置いて

映画鑑賞しながら、対策を練ろうとしていたおばあであった。




暑いので、グダグダになってしまいました(あくまで暑さのせいとのたまう)。


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夏風邪舞台

キジムナー太郎が風邪で寝込んでいるようです。

筆者も夏風邪をひいてしまい、鼻水がいまだに
止まりもはん・・・体力はあるんですけどね・・・・
風邪じゃなくて花粉症かな?

さて、お話がはじまります。


「いやぁ・・・まいったのぉ。

太郎寝込んじゃったよ・・・」

 

今年の猛暑で体温調整がうまくいかなかったせいか

キジムナーが倒れてしまった。

 

「太郎、大丈夫かい?ニンニクスープ作っておいたからね。

好きな時に飲みなさい」

 

「おばあ、ありがとう・・・まだ食欲ないよ」

 

「あい、めずらしいねぇ・・・いつも黒ヤモリとか喜んで

食べちゃうのにねぇ・・・すももあるけどどう?」

 

「うん・・・もうひと眠りしたら、フルーツなら大丈夫そう」

 

「冷蔵庫に冷やしてあるから、欲しい時言って。

もってきてあげるから」

 

「ありがとう」

 

「さて・・・次の案件対策でも考えておくか。

【案件B576839:名声に重きを置き家族を顧みなかった古典俳優】

 

プランBかぁ・・・家族を顧みなかったねぇ・・・・最近こういうの

多いよね。これってさ、あたし一人でも大丈夫じゃね?

マコに太郎を看病させて、ボディガードには孫ろっくーをキティちゃん金萬で釣って

連れてけば大丈夫じゃね?ちょっと連絡してみようかのぉ」

 

おばあは、案件事案に目を通し、対策を練った。たいして複雑でもなさそうなので

妖怪孫ろっくーを連れて行けば、大丈夫だと判断した。

 

『太郎、ろっくー連れて行ってくるから、心配しないでゆっくりお休み』

 

置手紙を書いて、おばあはろっくーと共に出発した。姪のエン・マコは

すぐに飛んできて、キジムナーの看病をしてくれた。

 

「さてさて、古典俳優さんとやらにお目にかかろうかのぉ。

おい、孫ろっくーや、舞台裏に行ってきておくれ」

 

「え?やーだよ。なんで、俺がいかなきゃいけねーの」

 

「おまえっ!バイト引き受けたんだろ?言うこときけや」

 

「ついてくるだけでいーっつただろー」

 

「まったく、使えない男だねぇ。太郎とは雲泥の差じゃ。

一応男性俳優の舞台裏だからねえ。こう見えてもあたし、乙女だから

門前払い食うじゃろ?」

 

「うっせーばばぁだなぁ。っかったよ。行ってくりゃーいーんだろ?」

 

「ひとこと余計なんだよ。おまえは。そんなんだから、いつまでたっても

地竺に行けないんだよ。」

 

「はいはい、少しは修行の真似事でもしときますよ。地竺行けねぇと

困るんでね。この輪っか、邪魔で仕方ねぇ」

 

「頼んだよ。OKでたらすぐに、わしも行くから」

 

「りょ」

 

舞台裏に素早く移動すると、孫ろっくーは古典俳優と話をして

おばあの元に戻ってきた。

 

「なんでもよ、もうひと舞台こなして、舞台上でくたばりてぇんだと。」

 

「はあ?なにそれ。最後まで俳優したいわけ?家族顧みないで

反省してんじゃないの?ひっそり最期を迎えたらいいじゃん」

 

「なんだかわかんねーけどよ、そう言ってっから、ちょっと待てだとさ」

 

「めんどいねぇ。じゃ、まんじゅうでも食べて待ってるか。

ほい、これ、お前の分」

 

「あざっす!まんじゅー大好物でさあ!」

 

 

楽屋裏で待機する、おばあと孫ろっくう。拍手喝さいが聞こえてくる。

どうやら第二幕が始まったようだ。

 

 

 

 




今回の交換条件はなんなんでしょうね?寄贈する前に注文つけてきましたよね。
交渉はうまくいくのかな?


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