リリカル・アート・ストラトス (ウィングゼロ)
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序章
プロローグ『その日俺は…』


プロローグ『その日俺は…』

 

当たり前だと思ってた…当たり前の日常…ミッドチルダで父さんや母さん異母兄弟達と暮らす健やかな日々…

 

毎日が楽しくて飽きない…そんな日常が何時までも続く…そう…本当に思ってた…

 

……新暦70年……冬が肌寒くなる季節が近づく中、俺は管理局のゼスト隊に所属していて、とある違法研究所…かのジェイル・スカリエッティの研究所が発見されたという報告が上がり、取り締まりのための突入作戦が敢行された。

 

しかし、それはどこからか情報が漏れていた。

 

『くそぉ!』

 

俺はただ嘆きながらルミナスザッパーを振るう。

 

魔力刃と実体刃の混合しているその剣はいとも簡単に鋼鉄の装甲を切り裂き、俺達の命を刈り取ろうとする機械達…ジェイル・スカリエッティの下部達と相手取る。

 

『はぁ……はぁ…こいつら何体いるんだ』

 

既に息が切れかけている…体も上手く動かないし、魔力ももう残り少ない…頼れるのは自分の気力と…今も後ろを守ってくれている…同じ隊員であるメガーヌさんだけ…

 

ゼスト隊長とは、はぐれクイントさんは俺達が揺動している内に単騎で敵陣を突破していった。

 

他の隊員は…もう…

 

唇を甘く噛み絶望的な現状に悲観に思う中後ろにいるメガーヌさんに話しかける。

 

『…どうします…この現状…』

 

「正直に言えば私達2人ともここまでかしらね…」

 

やっぱりメガーヌさんも同じ心境か……此処で果てるならもっと……楽しみたかったな……

 

「でも1人なら何とかなるわ」

 

『え…っ!?』

 

突然のことで声を上げたのも束の間俺の足元にベルカ式の魔法陣…しかもこれは多分次元転移魔法!?

 

取り乱した顔でまたメガーヌさんをみると戦い中とは思えない笑みを浮かべていて…その時俺は察してしまった。

 

この人は残りの魔力で俺を助けようとしている。

 

『メガーヌさ…』

 

名前を呼ぼうとしたけど途中で意識が途切れる。次に目を覚ました時…見た光景は…転移させる前の研究所でもなくましてや故郷であるミッドチルダでもない別の世界だ。

 

今いるところはオフィスビルの屋上のようだが下を見ると車や人が往来して、上には真夜中ということで星が輝き月が1つ…辺りを照らしていた。

 

『…………』

 

何も言えない……ただ吐いた白い吐息を見つめながら空を見上げた。

 

失った……仲間も友達も家族もいるべき居場所も……

 

残っているのは右手に持っている相棒、一振り……

 

あんなに暖かい日常が散華する花のごとく吹き飛んだ……俺はただ…それだけあれば良かったのに……

 

『うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!』

 

ただ虚しく雄叫びを上げる

 

その日俺は…自身の相棒を残し全てを失った

 

 



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1話『例え泥水を啜っても……』

 

 

どうして…俺が生き残ったんだ……

 

メガーヌさんならきっと助かったのに……俺なんかのために……!

 

 

あれからもう2日が過ぎた。

 

俺は…東京という地名の街並みの人の往来の中何も当てもなく彷徨っていた。

 

此処は管理外世界であることは既に認知している…恐らく救援も望めない……

 

いや、今更おめおめと帰ることなんて……どの面下げて戻ればいいんだ……

 

……考えたところで何も解決なんてしないか……

 

もう…何事もポジティブに考えられない…

 

俺の頭の中で負のスパイラルが回っているなか、また腹の虫がなる。

 

かれこれ2日も食べ物にありつけていない。

 

水は公園の水道で確保したけど食べ物などそこらに落ちているわけでもない。

 

かといってお金など持っていないから食べ物も買えないのが今の現状だ。

 

打破する方法は無いわけではない…それは…

 

『駄目だ駄目だ、絶対に駄目だ』

 

ふと思ってしまったために頭を横に振ってその思考を振り払い、二度と考えないように頭に言い聞かせる。

 

これだけは……本当に……!

 

『少し……川の畔にでも行こう』

 

気分転換だ…気持ちを和らげることにした。

 

街並みから2時間ほど歩いて河川敷に到着斜面の草むらに腰を据わらせて、川の流れを見つめた。

 

『……これからどうすれば良いんだろう……』  

 

駄目だ…打開案が思い浮かばない…唯々時間が過ぎていくばかり…

 

『はぁ…』

 

また溜め息を溢す…ここに来てから何度目だろう…もう数えられないくらいにはしていると思う。

 

…………昼寝でもしよう

 

そう思い草むらに寝転がり目を瞑ると数分後俺の顔にぽつりと冷たい液状の何かが流れる。

 

『なんだ?』

 

ふと目を開けると空は雲行きが怪しくなっていて、ぽつぽつと雨が降り出している。

 

……雨か……

 

『……橋の下にでも雨宿りするか』

 

恐らく夕立であろうと思いしばらくしたら止むと考え体を起こし橋の下に身を寄せる。

 

『気持ちよく寝れると思ったのにな……』

 

はぁ…と溜め息を溢し橋の柱に背を持たれさせると微かに声が耳に届く。

 

「うっ……ひっく…!」

 

涙声の女の子の声…ふと聞こえた方向に振り向くと柱の下に栗色の髪をした女の子が体育座りで蹲っていた。

 

『………』

 

一度辺りを見渡す、どうやら俺と女の子以外誰もいないようだ

 

…このまま見過ごすのも……なあ…

 

『…どうしたんだ?こんな所で泣いて…両親とはぐれたのか?』

 

優しい物腰で怖がられないように少女に問い掛ける

 

するとちゃんと耳に届いていたのか声を潜めて少し涙声混じりで話返す。

 

「違うもん…はぐれてなんて…いないもん」

 

『ならどうしたんだ?…親と喧嘩でもしたか?』

 

「……お母さんが…遊んでないで、もっと勉強しなさいって…」

 

なるほど…そういうことか…

 

見た感じこの子は良家のご令嬢だろうし、大方母親が厳しいんだろう

 

『……なるほどな…俺には詳しいことはわからないが…君はどうしたいんだ?』

 

「どう…したいって?」

 

『夢だよ、夢……目標…将来なにやりたいとか……そんなのあるだろ?』

 

…軽い雑談のつもりがなんかおりいった話になってきたな…こんなに他者との交流に飢えてたっけ ?

 

「私…私に夢なんてないわ、両親の決められたレールをただ進んでいくだけ」

 

その女の子の声は何処か寂しげに聞こえた。だからだろうかふと口を開けて話し出した。

 

『じゃあ少し、賭けでもしてみるか』

 

「賭け?」

 

『ああ、もし君が決められた夢ではなく自分自身の夢を見つけられたんなら…その時に何でも1つだけ、叶えてやるよ』

 

「……でもそれって、あなたが私とまた会えばの話よね?それは流石に…」

 

いくら何でも現実離れしすぎていると彼女はそう思っているのだろう…けどなんでかね…

 

『なに、また会いそうだからな』

 

何処か予感めいた感じがした。

 

確証なんて無い、けど本当にそんな感じがしたんだ。

 

と、話してる間に雨も収まったようだ。

 

『それじゃあ雨も止んだしそろそろ俺は行くわ』

 

「ま、待って!」

 

立ち去ろうと橋の下から出ていこうとした手前、少女は慌てて俺を呼び止める。

 

「私は結城明日奈…君…名前は?」

 

『…カムイだ…カムイ・デュナミス』

 

そう名前を告げて俺は立ち去っていく。

 

それにしてもつい先程までなんで俺だけと自分を責めていたのに…今や明日のことを考える始末

 

『なら…生きないとな』

 

あの子がどんな答えを導き出すか少し楽しみになりながらも、俺は周囲に人影がないのを見てルミナスザッパーのウィンドウを開き操作し始める。

 

『……絶対に生きてやる……例え……』

 

泥水を啜ってでも…



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2話『絶氷の騎士』

注意、今回フランス語が殆どですが一応翻訳しています。




 

 

フランス首都パリ、そこの地下駐車場にて二勢力による密売が執り行われていた。

 

「Ce qui est l’exemple ?」(例の物は?)

 

「Situé ici.」(此処にある)

 

一組の代表が取引物を訪ねると、向こうの代表が短く返事を返し後ろに控えている男性がトランクを二勢力の組織が向かい合う中間にそれを置いた。

 

「Bon, mettre un... Hey, obtenir」(良し、置いたな…おい、取りに行け)

 

物を置いたのを確認するともう一組の代表が指示を出し同じくトランクを持った男性を中間地点にへと向かわせる

 

丁度、例の物のトランクを回収し持っていたトランクを置こうとしたとき辺りを白い霧が立ちこめる。

 

その霧は辺りの体温をどんどんと奪っていき、突如とした異変に二勢力とも警戒を露わする。

 

「Hé ! Ce qui est !」(おい!どうなっている!?)

 

一方の代表がそう声を荒げる中すると中間にいた男性の後ろに人影が現れ手刀で男性の意識を刈り取る。

 

刈り取った人影は大体男性の高校生ぐらいの身長をして黒いフードを羽織り顔は見えない

 

「Tsu ! À l’époque !」(っ!いつの間に!?)

 

倒れる音と共にどこからともなく現れた人物に気づいた周りの者達は直ぐさまに拳銃を第三者の人物に突きつけて照準を合わせる。

 

そして彼らは彼を敵と判断し直ぐさまに発砲、しかしあろうことか銃弾は彼を避けるように弾が反れていく。

 

「Votre un idiot ! La balle peut dire !」(ば、バカな!?弾が反れるだと!?)

 

謎の現象に驚く中、その中で悠々と立つ彼は口を開けてこういった。

 

「Effet Meissner. C’est une substance d’origine phénomène qui devient supraconducteur. Mais ne comprend pas bien dit,」(マイスナー効果…物質が超電導状態になることで発生する現象だ…まあ言ったところで理解できないだろうけどな)

 

驚く彼らに軽く説明すると彼は利き手の右手をグーパーと交互に繰り返してからファイティングポーズを取って構える。

 

「Dans le présent puis le pistolet ne signifie pas beaucoup. Si l’arme est jeté en accrochant un !」(この中じゃあ拳銃はあまり意味をなさない。だったら銃なんて捨てて掛かってきな!

 

 

そういって彼はこの場の全員を挑発するように罵声し、たった一人で二十人はいる二勢力を敵に回す行為を黙って指をくわえる彼らではない

 

「Si vous me le faire dire ! Traîner, je vais te tuer !」(言わせておけば!ぶっ殺してやる!!)

 

彼の挑発に激怒した二勢力はその激怒の声と共に一斉に彼に向かって飛び出した。

 

 

数十分後…

 

「ふぅ…まあまあだな」

 

二勢力と彼との間に戦端が切られて僅か数十分後、辺りを包んでいた白い冷気は既に無く立っているのは彼だけでそれ以外は全員、彼に挑み、そして倒れていた。

 

そんな彼らを肩慣らしと言わんばかりに気にしない彼はアタッシュケースを回収し目の前にウィンドウを開けると音声オンリーの通信をかける。

 

《Oui, ce service de Police de 00》(はい、こちら○○警察署)

 

「La police, faire en réalité 00 sous terre, que nous avons assisté par Backroom traite dans le stationnement. Oh, déjà impuissants en raison de ne pas venir ? Alors ils se réveillent méchant」(警察ですか、実は○○地下駐車場に裏取引している現場を目撃しまして…ああ、もう無力化しているので早急に来てくれませんか?彼ら目覚めても厄介なので)

 

《Attendez une minute, l’impuissance et la moyenne ! C’est moi qui suis je !》(ちょっと待て、無力化したとはどういうことだ!?お前は何者なんだ!?)

 

突然のことで声を荒げて彼の正体を探る警察、そんな警察に彼はわかるように短く返答した。

 

「Chevaliers de glace absolue. Vous allez penser de lui. Demander une fois」(絶氷の騎士…そういえばわかるでしょう…では後はお願いします)

 

《Pourquoi a la glace absolue ! Croyez-le ou pas cette glace absolue Knight...》(ぜっ、絶氷!?まさかあの絶氷の騎士…)

 

警察が言い切る前に彼は通信を切りウィンドウをしまうと一人歩き走りでこの場を立ち去っていく。

 

「厄介ごとになる前に退散、退散っと」

 

そう気軽な日本語で呟き、駐車場を後にしていくのであった。

 

 



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3話『パリでの出会い』

 

カムイSIDE

 

パリの市街地の一角、美味しい料理店のテラスにて俺はフランスの名物料理キッシュを食べながらフランス語で書かれている新聞を読んでいた。

 

そしてその朝刊の新聞の一面には……

 

『フランスに蔓延る二大マフィア壊滅……ねえ』

 

でかでかとマフィアのボスと思われる2人がボロボロな姿の上に手錠をかけられて連行されていく姿を捉えた写真が掲載されており、その記事注視して内容を読んでいた。

 

『やっぱ、俺のことを書いて無いよな』

 

まあ、当たり前かと苦笑いの笑みを浮かべながら、皿に残るキッシュを一切れ口を入れる。

 

実を言うとそのマフィアを壊滅させる要因となったのは間違いなく俺であるからだ。

 

あの駐車場での出来事を記事にしているけど流石に赤の他人がマフィア壊滅させたなんて……流石に口が裂けてもいえないからな。

 

「全くナ、ほどほどにしておかないと報復とかされるゾ、絶氷の騎士殿」

 

そう日本語で言われて俺は顔を向けると短い金髪の小柄な女性、こっちに来てから知り合った人物で、それを認識すると俺はどうぞと向かい側の椅子に座るように促し、女性は椅子に座った。

 

『キッシュ食べます?』

 

「フランスの名物料理カ、オイラも食べたことないから、フランスに来たついでに食べて見たかったんダ」

 

それじゃあっと切り取っていたキッシュの一切れを別皿にのせて渡しキッシュを食べ始める。

 

「いや~悪いナ…ごちそうまでされテ、お姉さんは嬉しいヨ」

 

『別に良いですよ…先日のマフィアから取ってきた闇金ですし』

 

昨日のマフィアから奪ったアタッシュケースの中身はマフィア達の集めていた資金、例の物と交換するために用意していたものだろう。

 

『取りあえずこれ、今回の情報料50万フランね』

 

「そんなにカ、一体どんなものと交換するつもりだったんダ?」

 

懐から厚みのある紙の封筒を取り出し女性に手渡すと情報料の金額に驚く顔をしてそれほどの大金で何をしようとしていたのかを訪ねられた。

 

『恐らく、大麻だよ…しかも大量のな』

 

そう、話すとなるほどナと納得した表情でこの話を切り上げる。

 

『まあ、これでまた蓄えが出来たから当分は生活に不自由はないだろうな』

 

そういってテーブルの脇に置いておいた紅茶を一口のみ心を落ちつかせる。

 

『もう6ヶ月程か…こんな裏事業も板に付いたもんだな』

 

本当しみじみと思う…

 

俺がこの世界で生き残る方法それは管理世界でのタブーとも言える管理外での魔法の使用を踏み切った

 

「オレっちとしてはおすすめしないけどナ」

 

これは忠告だヨっと、キッシュを食べ終わると椅子から立ち上がり何処かへ立ち去っていく。

 

「それじゃあオレっちは行くヨ、まあ一週間ぐらいはこっちに滞在していようと思ってるけどナ」

 

『ああ、またやるときは情報提供頼むわ情報屋』

 

そういって彼女の後ろを見送り、食べ終わり料理店から出た後、元の体型…10歳の子供の体で鼻歌交じりにパリの市街地を悠々と歩いている。

 

なんせ、そんな小さな子供がマフィアなんかを壊滅させたとは言えるようなものでも無いし変身魔法の応用で15歳位の俺になっているだけで、年齢は10歳のままなのだ。

 

『さてと、これからどうするか』

 

観光はもうフランスに滞在中に色々見て回ったし…というか目当ての金も手に入ったわけだから、主な拠点にしてる日本に帰るのもありかな

 

「Ma mère ! Ma mère était !」(お母さん!お母さんっ!!)

 

………

 

街角の隅に必死になって母親を探している子供が映る。

 

金髪で可愛らしい少女…周りの人は一瞬目を向けるが関係ないとばかりに通り過ぎていく。

 

俺も関係はないのだが……どうも放ってはおけない。

 

これも性分かと思いながらも俺は少女に声を掛けた

 

『Pas de problème ? Mais ça aide si vous êtes à la recherche pour maman』(大丈夫?お母さんを探しているのなら手伝うけど)

 

「…………」

 

親切に声を掛けて手伝うと伝えるけどその表情はどうするかを考えているように見えた。

 

「... MAMAN」(……お母さんが)

 

『?』

 

「Si vous allez trop avec des inconnus.」(知らない人には付いていったら駄目だって……)

 

『………』

 

全くもってその通りだな…おい

 

『Oui, Eh bien c’est... Mais de la petite Communiqué detteokenakatta. Je suis Kamui. Tu t'appelles ?』(うん、まあその通りだよね…けど少し放っておけなかったから…俺はカムイ…君名前は?)

 

「... Charlotte」(……シャルロット)

 

これが……俺とシャルロットとのファーストコンタクトだった。

 

 



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4話『金色の親子』

 

 

パリの一角でシャルロットと出会った俺ははぐれたシャルロットの母親を一緒に探していた。

 

この子の母親もきっと探しているはずだと辺りを見渡している女性を見つけてはシャルロットに訪ねたが全て首を横に振られた。

 

『まさか、この辺りにいないのか?』

 

そうなると見つけるのは困難になる。

 

どうすべきかと頭を悩ませていると後ろから黒服のスーツを着た男性が二人近づいてくる。

 

どうも怪しいな…

 

「Un peu mieux peut-être ?」(少し良いかな?)

 

目の前くると優しい物腰で片方の男性が訪ねてきてシャルロットは首を傾げ、俺は嫌な予感から警戒心を強める。

 

「Mère était à la recherche d’enfants juste allaient il y un peu de place, je me demande si c’est peut-être pas à votre sujet ?」(さっきあっちに少しいった場所に子供を探していた母親が居たんだ、もしかしたら君のことじゃないかな?)

 

聞くからに胡散臭い…俺だけなら何かと都合を付けてこの場から離れるけど…

 

ふと横に視線を向けシャルロットをみる。

 

その表情には母親が見つかった会えると期待の笑みを浮かべていた。

 

恐らく、俺が何を言っても聞かないだろう…

 

かといって目に見えている結果をこのまま看過するほど人が悪いわけでもない。

 

必ず人気の無い場所で仕掛けてくるであろう、仕掛けてきた直後こっちも仕掛けさせてもらう。

 

頭の中で迎撃の予定を組み込みながらもシャルの傍を並行して誘拐犯二人を警戒しながら後を付いていく。

 

誘拐犯に連れられて次第に大通りから人気の少ない裏路地へと進んでいく。

 

恐らくそろそろ仕掛けてくる

 

と後ろの誘拐犯が懐を探り出すそして手に持っているのは…スタンガン

 

それを俺達の首に当てようとしているのか手を俺達に近づけていき……っ!!

 

完全に油断した隙を付きスタンガンを持った腕を摑むとそのまま背負い投げして誘拐犯を背中から地面に叩きつける。

 

突然のことでもう片方の誘拐犯とシャルロットも固まっているが直ぐさまシャルロットの手を掴み来た道を駆け出す。

 

『逃げるぞ!』

 

思わずフランス語ではなく日本語で喋ってしまったが今はそんなこと言っている場合でも無い。

 

日本語がわからないシャルロットが混乱した表情をみせるが後ろを見て追っ手を確認しつつ、取りあえずと、この状況だけ説明する

 

『Et était juste un peu en train de vous kidnapper ! Vous avez dit votre mère est trouvée, mais évidemment un mensonge d’un !』(さっきの奴等は君を誘拐しようとしていたんだ!君の母親が見つかったなんて言ってたけど明らかに嘘だからな!)

 

「!?」

 

今度はちゃんとフランス語で答えたためにシャルロットは理解した上で驚きの表情を見せる。

 

それにしてもかなり奥まで路地裏に入り込んでいたのか中々抜けない。もし捕まったら最後どうなるかなど…想像もしたくないな

 

といっている間に出口が見えた!

 

何とか追っ手の追撃からは逃れられ人気のある大通りへと辿り着いた

 

ここまで来ればもう大丈夫だろうが一応後ろを振り向き追ってきていないことを確認。

 

『来て…ないな…』

 

逃げてきた路地を注視して確認するが追ってきている気配はない。

 

生きた心地がしなかったと心の中でぼやきながら、共に逃げてきたシャルロットの様子を見る。

 

表情は明らかに落ち込んでいる表情だ…母親に会えると思ったらまさかの罠だったのだから仕方ないけど。

 

『Eh bien, Eh bien, je reçois... Et peut-être de rencontrer peut-être aller jusqu'à votre maison est le pire. A ?』(ま、まあ、何とかなるって…最悪は君の家まで行けばもしかしたら会えるかも知れないし…な?)

 

拙い慰めの言葉を言って少しでも元気を出させようと必死になる俺……だけど俺なんかで効果が出るわけないよな……

 

「Charlotte !」(シャルロット~!!)

 

ふと遠くの方から声が聞こえてきて、同じく気づいたシャルロットとその聞こえてきた方向を見るとシャルロットと同じく金髪のロングヘアーの若い女性が一直線にやってくる。

 

「MAMAN. Ma mère !」(お母さん…!お母さん!!)

 

もしかしてと思ったけどシャルロットの反応を見るだけでそういうことだとよくわかる。

 

あの人がシャルロットの母親なのだろう。

 

シャルロットの母親も漸くシャルロットを見つかった訳だから尻目には光るものが見えその光景を見て俺も良かったなと素直に思えた。

 

……母親…か

 

今頃ミッドチルダは……父さんや母さん家族のみんなはどうしてるかな……

 

あの2人を見てると俺の家族と重ねてしまい、黄昏れていると感動の再会を終えたシャルロットとシャルロットの母親はこっちにやって来た。

 

「Mon frère, je vous remercie」(お兄ちゃん、ありがとうございます)

 

『Juste repéré séparément de la bonne, juste Communiqué detteokenakatta.』(別に良いって、ただ通りかかって放っておけなかっただけだから…)

 

あくまで疚しいことなどなく善意でやったとそう説明した後、シャルロットの母親は指差しを口に添えて少し考え込む態度を取った後俺にむけて笑顔崩さずにこういった。

 

「君…もしかして日本人だよね?なら日本語でも良いよ」

 

とシャルロットの母親から発せられた言語はフランス語ではなくミッドチルダでも標準語である日本語だ。

 

なら言葉に甘えて普通に話すか

 

『えっと……これでいいですか?』

 

「うんうん、それで君…1人?お父さんやお母さんはどうしたの?」

 

あっ、やっぱり気になりますよね…

 

今の俺には親なんていない……つまり1人な訳だから、怪しまれて可笑しくない。

 

シャルロットもあれ?っと首を傾げているし、その母親に関しても笑みを崩さない。

 

『えっと…それは…その……』

 

どうやって乗り切ろうか考えるも何故だろうか……上手く打開できない気がする。

 

「……ねえ…一人でこんなところにいたら危ないから……家まで…来る?」

 

…………え?

 

 



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5話『』

 

 

「はーい、お家にとうちゃーく」

 

……どうもカムイです…

 

シャルロットの母親に言いくるめられ、為す術なく家まで同行することになった

 

家はかなり広い一階建ての一軒家、周りには花畑や草原が広がっていて他に民家もない。

 

こんな所で何故暮らしているのか街からは遠いから不便極まりないのに。

 

『その…お邪魔します』

 

客人な訳だから、上がるときは相応の礼儀があるだろうから一言言った後家の中に入る。

 

「別に畏まらなくても良いよ」

 

「Je suis Charlotte, provenait de lavage et」(シャルロット、帰ってきたからちゃんと手洗いするんだよ)

 

シャルロットのお母さんに言われて潔く返事をするシャルロットは洗面所の方へ、そしてさてとっとシャルロットのお母さんはこちらに向く。

 

「それで親御さんなんだけど…大体は察したけど…居ないんだよね?」

 

やっぱり察していたか…流石に娘の前でそんなこと言えないから、この合間を縫って訪ねてきたわけだ。

 

『は、はい…少し…訳ありでして…』

 

察しられているとはいえ全てを言える現状じゃない。

 

だからあやふやに答え、シャルロットの母親はふーんそっかと鵜呑みにはしていないようだが、取りあえずは信用はしてくれたようだ。

 

「Lavez-le, maman ! ~」(お母さん、手洗ってきたよ~)

 

「Grand très bien fait, fait, j’ai était gardé à la maison pendant un certain temps et parler avec ton frère, que je suis」(良く出来たわね、偉いわ、それとお兄さんとお話ししてしばらく家で預かることになったからね)

 

「はぁ!?いや、俺はそんなこと…!?」

 

唐突すぎた直ぐさまそのことを否定しようとするが、シャルロットの顔を見て押し黙る。

 

明らかに寂しそうな表情、別れを惜しむ、そうシャルロットの顔に出ていた。

 

「Les différents ?」(違うの?)

 

うぐっ!そんな表情で俺を見るな!そしてシャルロット母親に関してはニヤニヤと笑みを浮かべているし…

 

……………ぐっ!

 

『そ、そうだよ…シャルロットのお母さんの…言うとおり…だよ』

 

無理です…ここまでして否定することが……出来ません

 

「Il était tellement bon. Charlotte, le grand frère dit maintenant Merci」(そう、よかった…シャルロット、お兄さんもこれからよろしくねって)

 

シャルロットの母親が俺の言葉を代弁してフランス語でシャルロットに伝えると先程の寂しい顔は何処へやら満面の笑みで喜んでいた。

 

……もう……どうにでもなれ……

 

 

 



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6話『今自分に出来ること(前編)』

 

 

「Frère je ! I ~ ! Juste par ici」(お兄ちゃーん~!こっちこっち)

 

『En attente detete je le ferai ! Pas du tout. Et je suis si heureux ?』(待ててってシャル!全く……そんなに俺と居るのが楽しいのかね)

 

家からは少し離れた森林地帯、そこでシャルロットことシャルは俺を見ながら木々の合間を走って行く。

 

シャルというのは俺が付けたシャルロットの愛称、シャルロットは少し長いからな

 

というわけで俺はゆっくりとした足取りでシャルを追いかける。

 

あれから3日が経った…

 

シャル達と過ごす穏やかな生活…それは俺が一度失ったもので…今の俺には眩しすぎる日常……

 

そんな日常に俺が居座り続けて良いのだろうか……

 

俺はもう……

 

「Hey, what's up ?」(お兄ちゃん、どうしたの?)

 

深く考え込んでいたからか心配になってシャルが近づいてきて首を傾げる。

 

『Oh, pas de problème. Eh bien, en tout cas dans la peau et cherchent à faire démon, que je vais être bien caché !』(ああ、問題ない…さてと、かくれんぼでもしようか俺が鬼をするからシャルは上手く隠れるんだぞ) 

 

……今はシャルの遊び相手をすることにするか

 

……因みにシャルは直ぐに見つかった……うん、まだまだ隠れるのが甘いな

 

 

 

 

「カムイくんありがとうね、わざわざ、皿洗いまで手伝って貰って」

 

『別に良いんですよ、泊まらせて貰ってるんですから』

 

時間は過ぎて夜、夕食を取った後、シャルの母親と一緒に皿洗いを手伝っていた。

 

『……あの、今更なことなんですけど……どうして俺を……この家に泊めてくれたんですか?』

 

率直な疑問、シャルの母親は間違いなく俺の素性に少しはわかっているはずだ。

 

なのに俺を此処に住まわせている…その真意を知りたかった。

 

「……君は私に似てるからね…」

 

え?そう俺は予想していなかった答えに視線をシャルの母親に向けた。

 

「私も何も…無かったんだ……いきなり此処に流れ着いて我武者羅になって今の生活に落ちついたから」

 

何処か意味深に聞こえるそれは作り話とかでないと直ぐにわかった。

 

「カムイくん…シャルロットになんで父親が居ないか……わかる?」

 

『それってどういう…』

 

シャルの父親もしかして単身赴任で何処か違う国にでも行っているのかと当初はそう思っていたが部屋に飾っている写真には父親らしき人物が写っている写真は一枚もなかったために……もしやとは思ったが

 

「シャルロットはね…婚外子の子なんだ……今も続けてる仕事で一度行き詰まった時にね……その……援助交際…してその時……」

 

『も、もう良いです…大体理解しましたから』

 

シャルは偶然出来てしまった婚外子の子供……か

 

別にそんなことで差別するつもりもないし、シャルはシャルだろう、でもいつかは…

 

バレるんじゃないのか?と不穏な未来に少し影を落としてしまうが…直ぐに頭を横に振り、そんな考えを振り払う。

 

『それじゃあ、皿洗い終わったらシャルとまた少し遊ぼうかな』

 

取りあえず…今はまだこのままでいても罰は当たらないよな…きっと……

 

 

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NOSIDE

 

カムイ達がいる家の周辺…月の光は雲に隠れ薄暗くなる中静かに忍び寄る集団の姿があった。

 

「Ici, force Alpha sont encore au ne lit pas」(こちら、アルファー部隊、対象は未だ就寝していない)

 

「Toutes les unités de cette bêta, ce déploiement afin de couvrir à tout moment」(こちらベータ部隊、こちらは展開完了いつでも援護する)

 

家の周囲の茂みに隠れ窓越しからカムイやシャルロット達をサイレンサー付きのライフルのスコープで監視する謎の集団。

 

「Son but est cette fille ? D’autres à faire ?」(目的はあの娘なんだろ?他はどうする?)

 

「Son but est cette fille ? D’autres à faire ?」(一々聞くことか?娘以外は全員処理だ)

 

そう、当然のことと言わんばかりに言い放ち、訪ねた男性もうっすらと笑みを浮かべた。

 

「En parlant de cela, qu’embauché des mercenaires qui font ?」(そういえば、あの雇った傭兵の二人は何してるんだ?)

 

「Si ils est de retour du football, lorsque l’assurance est. Non, ils voulaient.」(あいつらなら後方だ、いざって時の保険だからな…あいつらが出る幕なんて無いよ)

 

 

 

それもそうだなっと男はフランス語でそう呟く中、家から200メートルは離れた木々の影から二人の影が遠くにある家を見つめていた。

 

「ねえねえ、本当に私達って何もしなくて良いの?」

 

二人の内の一人まだ幼い金髪の少女は日本語で銃を構えながらそんなことを述べる。

 

彼女持つ銃はSPR Mk12アメリカ軍で作られた狙撃銃であり、アタッチメントとして八倍のスコープにサイレンサー付けられている。

 

「別に良いんだよ、報酬は前借りで貰ってるんだ…何事もなければ更に金が手に入るまさにGoodな話だ…だが…」

 

楽観的に考える中、遠くのシャルロット達の家を見据える。

 

窓からシャルロットとその母親、そしてカムイが楽しく話し合っている光景が見える。

 

「あのガキ…」

 

遠くから見ただけで普通では無いと直感で感じる…もしかしたら…っと男は面白いものを見つけたようにやりと微笑んだ。

 

「こいつは面白いことになりそうだ」



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七話『今自分に出来ること(後編)』

 

 

「っ!!?」

 

謎の男に見られている中、その男から発した殺気を感じ取ったカムイは先程の楽しげな表情は何処へやら険しい顔をして窓を外を見る。

 

「カムイくん?」

 

カムイの険しい顔を見てシャルロットの母親は不自然に思い首を傾げて訪ねるとカムイは少し考えた後シャルロットの母親に向けて柔やかに微笑んだ。

 

「ちょっと…寝る前に…外の空気でもすってこようかな~って」

 

そうカムイは言っているが微笑んでいる笑みは作り笑いであり、それはシャルロットの母親は直ぐに見抜いていた。

 

絶対に何かをしようとしているそう思ったシャルロットの母親は引き留めようとするがその前にシャルロットが話し出す。

 

「Mon frère, pour aller à l’extérieur ? Vous voulez aller Charlotte !」(お兄ちゃん、お外行くの?シャルロットも行きたい!)

 

とさっきの話からか日本語であまり理解できていないようだが外に出ていこうとしているのを見てシャルロットはカムイに着いていこうとする。

 

「C’est un peu inutile, sombre à l’extérieur plus. Il pourrait être éventuellement dangereuses personnes errant prend」(それは少し駄目かな、もう外は暗いし…もしかしたら危ない人達も彷徨いてるかも知れないしね)

 

と危険かも知れないとシャルロットにカムイは注意するとしょんぼりとし、シャルロットの母親はカムイの言った意味を理解し止めようと体を動かしたがその前にカムイは玄関の扉に手をかけてシャルロット達に振り返る。

 

「大丈夫です、直ぐに戻ってきます…こう見えて俺強いですから」

 

そう柔やかに微笑んで玄関の扉を開けカムイは外へとでていった。

 

 

カムイが外へと出て行ったのは外にいる襲撃者達にも目視することが出来た。

 

「Hé, le gamin qui est sorti !」(おい、ガキが一人出てきたぞ )

 

「Laissez-le aller. Peut tuer à ce spot et remarqué une」(別に放っておけ…あの場所で殺すと気付かれる可能性もあるからな)

 

カムイが出てきたというのに彼らはいたって冷静だった。

 

それほど場数を踏んでいるのかそれともカムイを子供と侮っているか、この場に居る殆どは後者であろう。

 

しかしだからこそ…彼らは気付かなかった。カムイが…幾多の戦いを切り抜いた騎士であることを

 

「さて…」

 

カムイは目を閉じ息を吐いて感覚を研ぎ澄まし周囲の気配を捉える。

 

「…15…いや17か…結構いるな…」

 

大体の人数を捉えどうするか思考を巡らすがカムイはそこまで深くは考えなかった。

 

「まあ…一人一人叩き潰していくしかねえかな」

 

手が掛かるがと呟き口元はにやりと笑みを浮かべカムイの体に微量な電撃が走る

 

「Qu’est ce mec ? Êtes vous moquer ? Il juste clignoté faiblement.」(なんだあいつ?笑ってる?それにさっき微かに光った…)

 

それをスコープ越しで見ている襲撃者の一人が呟く中、スコープに捉えていたカムイの姿がぶれて消える。

 

消えた!?っと襲撃者は驚きを隠せない中、何かを蹴る音が連続して真夜中の空に響き渡る。

 

ダンダンダンっとその音は次第に大きくなっていきそして…

 

「っ!」

 

襲撃者の近くの木からダンっという音が響いた瞬間彼の目の前に体から電気を帯びて襲撃者へと向けて回し蹴りを放とうとするカムイの姿であった。

 

咄嗟のことで反応ができず彼はカムイの回し蹴りを首元に受け数メートル横に吹き飛ばされたあと木に激突、そのまま倒れ込み意識を失った。

 

「先ずは…一人…」

 

そう呟いたカムイは付けているブレスレット…ルミナスザッパーを起動して100㎝はある片手直剣を右手に持ち軽く二回空振る。

 

「これが俺ができること…何の目論見かは知らないが…あの親子には指一本も触れさせねえ!」

 

そう決意を固めてカムイは次なる敵を見定めて大地を蹴って駆け出した。

 

 



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