転生したら、異常な程事件が起きる世界だったんだが (紫最槻鱗)
しおりを挟む

プロローグ

どうも、テストはいやだぁぁぁです。
本作品を読もうと思って頂き、ありがとうございます。
此れはただの趣味です。誰得オレ得な話です。
ただのド素人が書いた文字の羅列です。
キャラやら、言葉遣いやらなんやら、微妙な範囲でしか覚えていないので、「これなんか違ぇ‼」と思うかもしれません。
原作無視です。
もう一度言います。

原作無視です。

いや、原作に沿っているところもあるんですが、基本無視です。

くどい様ですが再三言います。

原作無視です。

「それでもいいよー」という心の広い方のみ閲覧なさって下さい。
あと、自分のハートは豆腐です。
クラッシャーしないで頂けると助かります。
そして、オビトはイケメン、格好いいと言うのが、作者の心理です。
物理的にも強いです。
それでもいいならお進み下さい。

では、100%趣味のお話の始まりです。





アンタは、"転生"とやらが本当にあると信じられるか。

 

オレは信じられなかった。

確かに、オレの居た世界では、"輪廻転生"や"穢土転生"と言うものがあったが、同じ"転生"でも流石に"死後、"新しい命として産まれる"、なんてことは無かった。

つまりだ、その、何が言いたいのかというとだな、

 

意味がわかんねーよ‼

 

と言うことだ。

 

考えてみて欲しい。

友と、その友の教え子を庇い、自らの死を受け入れ、アイツ等にオレの夢を託して死んだ。

その後、愛する人に逢い、「共に逝こう。」と言ったのに、気付いたら知らない場所で、意思とは無関係に「おぎゃあ!」と産声をあげている。

もう一度言う。

 

ほんと意味がわかんねーよ‼

 

オレはそうなった。

 

はじめは、何かしらの幻術に掛かったのかと思い、知っている限りの幻術返しをした。

しかし、それは意味を成さなかった。

ならば、自分では解けない程の幻術なのでは、とも考えた。

だが、自分にこんな幻術を掛ける理由も、意味も、掛ける人物も見当が付かなかった。

そもそも、オレの死んだ状況で、オレに幻術を掛ける暇が、周りに居た人間に有るとも思えなかった。

まあ、二人程、人間と言って良いのかわからん奴もいたが。

 

閑古休題

 

つまり、

 

結論

なんか知らんがオレは今産まれたらしい。

 

今でも思う、よくオレはそんな突拍子も無いことを結論として考え出したな、と。

まあ、結果合っていたんだがな。

それでオレは考えたわけだ。

「あれ、今産まれたのなら、彼女(愛する人)を救うことが出来るのではないか。」と。

結局、この考えは、オレが眼を開け、外を見た瞬間に無くなったがな。

 

ん?何故その考えが無くなったか、だと?

簡単だ、外の景色が違いすぎたんだよ。

オレの世界には無いものが多過ぎた。

まず、硝子張りのビル、空を飛ぶ飛行機、あり得ない程進んだ医療技術。その他諸々etc...

つまり

 

あっ此処はオレの居た世界(ところ)じゃない

 

ということだな。

あの時の衝撃は忘れられんな。

たとえ同じ世界であっても、未来ならば意味は無いからな。

しかし、それがわかっても自分とは思えない程に冷静だったな。

彼女(愛する人)の死を受け入れられず狂い、壊れたというのに。

多分、彼女(愛する人)の側には六道仙人、つまり、あちらの世界の神とも言うべき者が居たからだろうがな。

それに、彼女(愛する人)が存在しているのは、もう死ぬことのない浄土、あの世だ。

オレなんかとは比べ物にならない程安全なところに居ると、自信を持って言える。

 

ならば、考えることは一つだ。

オレは、生前、自分の為に一度世界を壊しかけた。

それ以外にも、数えきれない程人を殺した。

師を殺し、平和を願う者を闇へ堕とし、目的の為に利用した。

殺して殺して殺して殺し、奪って奪って奪って奪った。

利用し操りそそのかして、使って使って使い潰した。

信用を裏切りで返し、堕として堕として堕落させた。

死を貪って生き、生を奪って生きていた。

冷徹に残虐に残酷に、壊して壊して絶望を与えた。

 

なのに最期には、オレは友を、後の英雄とも言える者達を庇って死ぬ。と言う、生前犯した罪と釣り合うことのない幸福な終わりを迎えられた。

オレの目指した夢を託すこともできた。

もう一度、愛する人に逢うこともできた。

満足していると言ってもいい。

 

そして、今この生だ。

新しい命として産まれる、という、普通なら信じることのできない状況にいる。

そう、"新しい命"として生きている。

これ程良いことはない。

この世は地獄だと知っている。

誰かが笑っている裏では、誰かが泣いていることを知っている。

誰かが喜び生きている裏では、誰かが絶望し死んでいくことを知っている。

誰かが幸せに暮らしている裏では、誰かが不幸に堕ちていくのを知っている。

ならばオレは、泣いている誰かを、絶望し死んでいく誰かを、不幸に堕ちていく誰かを、少しでもいい、少しでもいいから救いたいと思う。

 

ああ、これはただの、クズでバカで愚かで、どうしようもなく救い様のない、大罪人の自己満足だ。

この世界の人を少しでも救い、あちらの世界の罪を自分勝手に償おうとするとする、壊れて狂った愚かな男の人生(モノガタリ)だ。

 

救おうと手を伸ばしても、この手はすり抜けてしまう。

救おうと手を伸ばしても、救う手が何よりも穢れている。

救おうと手を伸ばしても、この手は殺すことしかできない。

救おうと手を伸ばしても、この手は奪うことしかできない。

救おうと手を伸ばしても、この手は利用し使い潰すことしかできない。

救おうと手を伸ばしても、この手は裏切り、堕とすことしかできない。

救おうと手を伸ばしても、この手は絶望を与えることしかできない。

そしてなにより、

 

 

オレは、誰かを救う方法を知らない。

 

 

わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。

救いたくても救えない。

殺したくなくても殺してしまう。

奪いたくなくても奪ってしまう。

利用したくなくても、利用し、使い潰してしまう。

裏切りたくなくても、裏切り、堕としてしまう。

絶望を与えたくなくても、絶望を与えてしまう。

オレはアイツの様になることはできない。

アイツの様には救えない。

けれど、

闇を知り、殺し、奪い、利用し、使い潰し、裏切り、堕とし、絶望させることが出来るからこそ、オレは救うことができるかもしれない。

 

殺してしまうなら、不幸を殺せばいい。

奪ってしまうなら、死を奪ってしまえばいい。

利用し、使い潰してしまうなら、オレを利用し、使い潰してしまえばいい。

裏切り、堕としてしまうなら、絶望を裏切り、堕としてしまえばいい。

絶望させてしまうなら、死を絶望させてしまえばいい、冷徹に残虐に残酷に。

そうすれば、救うことができぬオレでも結果的には救うことができるだろう。

 

 

ただの自己満足だ。

ああ、わかっている。

愚かだな。

ああ、わかっている。

救いようがない。

ああ、わかっている。

そんなことをしても、貴様がしたことは何も変わらん

ああ、わかっている。

それでもするのか?

それしかできない。

やはり愚かだな。

ああ。

これはオレの自己満足だ、愚かで救いようがなく、その意味すらない。

それでも、困っている人が、救える人がいたら手を伸ばすのがうちはオビト(オレ)だったのだ。

だから、ああ、今世の両親には悪いことをした。

大切な子供が大罪人(オレ)なのだから。

それでも、きっとオレはこの世を嘆きはしても、後悔することはないだろう。

アンタ等には悪いが、これが今のオレの、"うちはオビト"の幸せだ。

 

 

さて、長々と話し込んでしまったが、要するにアレだ。

これは、ただのバカな男の、普通ならあり得ない二度目の人生の話しだ。

はっきり言って、今まで話したような重い感じではないな。

シリアス?だったか?

そんな感じでもない。

ただ普通の、少し異常な生活の話だ。

それにしても、何故この世界は人の死があちらよりも少ないが、何故オレのというか、あの砂利の周りではよく人が死ぬのだろうか。

あの砂利は死神かなんかか?

いや、ただ事件に巻き込まれやす過ぎる体質か?

いや、にしても巻き込まれ過ぎだろう。

 

悪い、また脱線した。

 

つまりだ、なんか少々異常な普通の生活の話だ。

殺し、やらなんやら言ったが、結論としては、

オレは見事に今世の両親のほだされ、人助けみたいなことをする、ただの砂利になった、ということだ。

暗躍する子供はただの子供じゃない?

知らん。

それは貴様の主観だ。

オレはただの学生だ。

 

ん?今話して居るのは誰に?だと?

わからん。

なんか、今までの考えやら経緯やらを、話せばならん気がしただけだ。

 

疲れた。

もういいだろう。

進みたいのならば進め。

 

 

つまらないだろうがな。

 

 

 

 




楽しんで頂けましたか?
いや、書いているうちにだんだんと重くなってしまいましたが、本編は、此処まで重くはならないと思います。
多分。・・・はい。
うん、大丈夫?だとおもいます。

という訳でプロローグでした。まあ、簡単な話、オビトの独白ですね。
次からコナンの人物出していくので、あと、幼少期篇等は、今の時点ではありません。
ありません。
ふと思い立って書いた話なので、あと、自分自身受験生なので、めっちゃ書くの遅いです。
受験生がなにやってんだコノヤローと思うかもしれませんが、あれです、疲れたんです。
疲れてんです。
分かりづらい文章ですが、読んで頂き、ありがとうございました。


では、またいずれ、会うことがあったのなら、楽しんで頂けると幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一話

ども、テストはいやだぁぁぁです。
思ったより早く書けました。
はっきり言って、高校生ポジにするか小学生ポジにするか悩みに悩んだ結果です。


それでは二話目、楽しんで頂けると幸いです。


‐オビトside‐

 

 

どうしてこうなった

 

 

教室前に立ち尽くす少年の気持ちを表すにはこれが一番的確だろう。

しかし、これは少年が朝から、強いて言うなら、昨日、両親から来た電話を終えた時からとも言える。

 

「海外に行くから、友人のマンションに引っ越してね。

あと、学校も明日から違うとこだからね。

どうせ、たいした荷物もないんでしょう?

その家はそのままにしておくのよ。

あなたは平気だと思うけど、一軒家に独りは私達が心配だから、ちゃんと引っ越しておくこと。

何かあったら友人に、それと私達にも連絡頂戴ね。

あと、ご飯も睡眠もちゃんととること。

いい?いつもすぐに抜こうとするんだから、わかった?

すぐに移動してね。

新しい制服とかも用意してあるから。

終わったら連絡してね。」

 

こんな電話を急に、しかも夜の9時頃にいきなりかけられたら、誰でもこうなるだろう。

少年に前の世界での色々プラス、転生してからの16年という経験が有ったとしても、転生してからの16年は特に争い事等は無かったのだ。

あちらの世界に比べて、だか。

それは置いておいて、まあ、仕方がないと言える。

しかし、そこはあちらで準黒幕であった少年、両親に言われた通りにその日の内に必要な物だけ持って見事に引っ越しを完了した。

両親の友人に「マジか」と言われる程の行動力である。

 

その後に両親に連絡し、明日の学校についての説明を受け、その学校のための準備もし、通学路を携帯で確認し、布団に入った。

模範的な対応である。

ここまで完璧とも言える対応をした少年だが、実は、驚きすぎて思考をほとんど止めた後の行動だ。

朝には冷静になり、改めて自分の行動を考えてみた。

冷静でなかったにしては、理に叶っている行動である。

さあ、ここでもう一度。

 

どうしてこうなった

 

とまあ、そんな事を考えているが、突然の無茶振りに完璧に応えて見せた少年だ。

すぐに制服に着替え、自分が通うことになる学校へ急いだ。

 

HR.は8時40分から。

自分は一時限目の最初に、担任の古典の授業にて自己紹介をしなければならない。

つまり、授業が始まる8時50分には教室前の廊下に着いていなければならない。

だがその前に、職員室で担任との顔合わせ、学校についての補足説明等を受けなければならない。

それは昨日両親から7時30分頃だ。と言われた。

携帯を見ながら学校へ急ぎ、担任からの補足説明を受け、校内を見回った後にその担任と共に教室へ向かった。

 

ここで冒頭に戻る。

少年、いや、団扇(うちは)帯人(オビト)は考えていた。

 

(転生してからもう16年経った。

最初は、あちらとこちらの常識の違いに戸惑っていたが、それも流石に、もう、全く、とは言い切れないが、無いだろう。

しかし、しかしだ。

流石にこれは予想外だ。

昨日、電話が鳴ったときに嫌な予感はした。

そしたらこれだ。

急に引っ越ししろ。だとか、明日からは学校が違うから。だとか、意味がわからん。

何故事前に言わなかったと聞いたら、忘れてた。の一言。

そこから先は記憶が曖昧だが、ちゃんと移動したのは覚えている。

その後も、両親から学校等の説明を聞いた。

メモに全て書いていたのは、オレながら「よくやった。」と言ってやりたい位だ。

それにしても、両親が俺を大切にしてくれているのは分かるが、これはやり過ぎじゃないか?

オレももう16だぞ。

あちらの記憶も有るから精神年齢は40を疾うに越えている。

それに、オレは砂利の頃から、特に言動等を年相応に誤魔化してなど無かった。

なら、何故だ?

何も問題も起こしてはいないし、強いて言うなら、売られた喧嘩を買ったことが有るだけだ。(※オビトの価値観とこの世界の価値観は、本人が思っているより大きくかけ離れています。)

心配されるようなことは何も・・・・・・・ん?

いや、前世の影響もあって、三大欲求と言うものは無いに等しかったからか、全く食べない、全く寝ない、ということが常だった。

急にぶっ倒れる事もあった。

それか。

それなのか、自業自得ではないか。

だが、こればかりはどうしようもないな。

幾ら必要な欲求だとしても、そもそも、オレがそれに気が付か無いのだ。

腹が減ったと思わない、寝たいと思わない、必要と分かってはいるが、無理に食っても、寝ても、それではオレが苦痛なだけだ。

食べられたとしても、味が分からず、量も食べられない。

下手に食べると吐き出してしまう。

睡眠もそうだ。

寝ることは出来ても、眠ることはできない。

近くに誰かが来たら、無意識に警戒し起きてしまう。

これでは意味がない。

 

よし、諦めよう。

 

仕方がない、ここは両親の言っていることが正解だ。

確かに、ろくに食べない、寝ることもない、挙げ句の果てにはぶっ倒れるような奴は、知り合いにでも頼んで、目を光らせてもらった方が安心だ。

ふむ、それにしても、やはり、親だからか、オレよりもオレのことがわかっている。

流石だな。

 

昨日のことについてはもういい。

納得したし、結局はオレの自業自得だ。

今は目の前の事を考えよう。

 

しかし、ここまで来たがどうしようか。

確か、転校生は、自己紹介のときに何かしら言わねばならなかったな。

特になにも考えてないのだが。うん。

ん?デイダラのが移ったか?まあいい。

どうしようか。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

駄目だ。

何も思い付かん。

好きなこと?特にないな、嫌いなこと・・もないな、やりたいことも・・ないな、夢・・・・・考え付かんな。

そもそも、オレが考えたことに答えたとしても、この教室の砂利共は満足するのか?

たかられるのは御免だぞ。

うーん。

・・・・・・・・・・・・・・!

そうだ、名前を言って、挨拶して、何か言われたらそれに答えよう。

それがいい。

これならば別に何も考えなくともどうにかなる。

それに、クラスの奴も疑問を解消出来るだろう。

よし。)

 

そんなことを考えて居たら、目の前の教室の扉が開いた。

 

「団扇、入ってこい」

 

さっきの担任の声だ。

それに帯人は、緊張も何も無く、むしろ堂々と、少々騒がしい教室に入って行った。

 

 

‐新一side‐

 

切っ掛けは、HR.での担任の一言だった。

 

「今日転校生が来るので、一時間目の古典の最初に紹介する。」

 

その一言で、教室は一気に騒がしくなった。

やれ「突然だな!?」やら「男と女どっち?」やらなんやら。

欠く言う新一もその一人だった。

 

(急だな!

普通なら事前に一言くらいあるだろ‼)

 

しかし、担任はそんな生徒の事などお構いなしに話を進めていく。

 

「静かに!

俺も昨日聞いたばっかなんだよ。

『えぇー!』

えぇー!じゃない!

文句なら俺じゃなく校長に言え!

とにかく、俺は言ったからな。

転校生に聞くこと考えとけよ。

俺は今から転校生迎えに行ってくるから、一応、一時間目の準備しておけよー。」

 

そう言って荒々しく教室を出て行った。

どうやら、担任も急なことに苛ついて居たらしい。

いつもより行動が攻撃的だった。

 

担任が出て行った教室は、先程よりももっと騒がしくなる。

新一のそばでは、幼馴染の毛利蘭と鈴木園子が転校生について話していた。

 

「ねえ蘭、転校生、男かしら。

イケメンだったらいいわね。」

「もう園子ったら、相変わらずイケメン好きなの?」

「ええ、そりゃもちろん。

イケメンは目の保養になるのよ。

見ているだけでもいいんだから。」

「あははは。

でも私は女の子でもいいなぁ、仲良くなれたらなりたいし。」

「あら、それは男でも。」

「えっ、う、ううん。

私は、女の子だったらって。」

「わかってるわよ。

蘭は新一君一筋だもんね。」

「しっ新一はそんなんじゃっ。」

「はいはい。」

「もうっ。園子ったら~~!」

 

本人が居るのに楽しそうである。

当の本人は、この時期に何故?と、周りの声も聞こえないくらい集中している。

全くもって残念な男である。

無意識に意識している女の子のデレだというのに。

でも、彼がこんなにも考えてしまうのも仕方がないと言える。

なんせ、今は三学期も中間に差し掛かったところなのだ。

この時期に転校とは普通ならあり得ない。

まあ、理由は心配性な親が我が子の生活ために、と勝手に色々進めただけなのだが、そんなことをここに居る彼らが知る由はない。

 

(転校するならもっと早い時期、例えば三学期の始めでもいい筈だ。

それが、何でこんな、三学期も終わりに差し掛かったときに転校なんて。

なんかあったのか?

それとも急な家の事情か?

わかんねえな。

うーん。

まあ、本人に聞けばいいか。

答えてくれるかは別としても、何かしら分かるだろうし。)

 

とまあ、こんな風に高校生探偵として活躍している彼は考えているのである。

しかし、理由を知ったら、呆れたように

 

「ああ、ただの親バカか。」

 

とでも呟きそうだ。

まあ、理由の元は、息子の異常過ぎる生活を気にしてのことなのだが。

さて、彼が周りを見てみると、未だ教室は騒々しく、自分のそばでは、幼馴染が顔を赤くして話している。

自分が彼女らを見ているのに気付いたのか、その片割れである園子がこちらに話を振ってきた。

 

「ねえ、新一君。

新一君は転校生、男と女、どっちが良い?」

「・・・・!」

「はあ?俺は別にどっちでも良いけど。」

「本当?

本当に、どっちでもいいの?」

「ちょっ、園子っ」

「蘭は黙ってて。」

「でもっ」

「いいから、ねえ、じゃあ、どっちかって言ったらどっちが良い?」

「・・・男?だな。」

「へえ、なんで?」

「特に理由はねえよ。

ただ、男の方が話しやすいだろ?」

「ふ~ん。良かったわね、蘭!」

「えっあっうっうん」

「どうしたんだ?蘭。」

「なっなんでもない!」

「はいはい、これだからこの夫婦は。」

「「ふっ夫婦じゃねえ(ない)!」」

「ふふっ二人とも顔真っ赤じゃない。」

「「~~~」」

 

そんなことをしていると、

 

「おい!席着け!授業始めるぞ!」

 

いつの間にか教室に帰って来た担任が居た。

この部屋がよほど騒がしかったのか、誰も、いつ彼が教室に入ってきたのか分からなかったらしい。

急いで自分の席に戻り、授業の準備をし始めた。

それを確認した担任は、一度教室を見回したかと思うと、

 

「今から転校生の紹介をする!

静かにしてろよ!いいか!」

 

と、声を張り上げた。

その一言で、教室はさっきの騒がしさが鳴りを潜めた。

とは言っても、普段よりは騒々しいと言える。

コソコソコソコソと、近くの席の者と話して居るのも少なくない。

全然静かでは無かったが、担任はそれでも良いと満足したようだ。

扉に向かって、

 

「団扇、入ってこい」

 

と声を掛けた。

一気に教室中の視線は扉に向かった。

徐々に開かれていく扉、さっきの騒々しさが嘘のようにしんとした教室。

この部屋に居る全ての人間の視線を受けて登場したのは、キレイに切られた短髪、つり目がちな目、白い肌、端整だが整った顔立ちで、180cmくらいの、高校1年にしては長身といえる黒髪黒眼の少年だった。

高校生にしては、落ち着いた雰囲気を持っており、その外見からして、女子にモテそうである。

そして、黒髪黒眼というのが、本当に黒色なのだ。

本来、日本人というのは、黒髪黒眼と言われてはいても、どちらかと言うと、茶色に近い。

焦げ茶と言われる人もいるが、烏のような黒髪に黒眼は全くと言って良いほど居ない。

それがどうだ?今入ってきた少年は、正真正銘の黒だ。

光に当たっていても、茶色く光るのではなく、どちらかと言うと少し藍色っぽく光っている。

それに、クラスの視線を全て集めていると言うのに、緊張もなく、むしろ堂々としている。

その堂々さに嫌味はなく、一対多数に慣れているようにも見える。

つまるところ、

 

『なんか凄いの来た!』

 

と言うことだ。

そんな中、彼、工藤新一は、

 

(へえ、面白そうな奴だな。)

 

と、一人、団扇と呼ばれていた彼に視線を向けていた。

 

 




はい、という訳で高校生として出してみました。
邂逅の話です。
思ったより園子が大人っぽくなってしまいましたが、基本、蘭の危機&パニック&子供達が関わらなければ、純情な新一と蘭を弄る人だと自分は考えていますので、ご了承下さい。
あと、オビトは、子供の頃、カカシと同じくらい色が白かったので、色白にしました。うちはですし。
大戦時やら、マダラとして暗躍やら、水影としても一対多数に慣れているように思ったので、基本堂々としています。
それと、オビトが微妙なパニックになっているのは、16年間、オビトにしては平和だったからです。
高校の時間等に関しては、分からなかったので、自分の高校を基準にしています。
オリキャラも居るので、ご了承下さい。
「」が会話文、()が気持ち文です。
『』は、大勢、つまり、2,3人等数字が決まってないときの会話です。

読んで頂き、ありがとうございました。
色々とうろ覚えな所も有るので、仕方ないな、という、広い心で見ていただけると助かります。


では、またいずれ、お会い出来たら幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二話(あとがきに設定有り)

どうも、テストはいやだぁぁぁです。

お久しぶり?お久し振りです。
思った以上に早く書けました。

えっと、では、楽しんで頂ければ幸いです。


カッカッカという音が響く。

先程まで五月蝿(うるさ)かった教室は、しんと静まりかえっていた。

そして教室中の人の視線は、音の出所である黒板に集まっている。

 

そこには一人の少年。

 

黒板に向き合い、淡々と、己の名とおぼしきものを書いている。

背は高く、少年というにはその雰囲気は落ち着いていて、老成していると言ってもよい。

視線が自分に集まっていると自覚しているのに、その背に緊張は感じられず、どちらかと言うと堂々としていて、どこか謎の威圧感が発せられている。

その背と同じように、少年は堂々と黒板にチョークを滑らせていた。

カッカッカッカッカッカッカッカツッ

音が止み、少年が振り向く。

視線は少年から黒板に集まる。

 

団扇(うちは)帯人(オビト)

 

達筆な字で、丁寧に読み方まで振ってある。

視線は一度そちらに留まり、また少年、帯人のほうへ向く。

帯人はそれらを確認してから、口を開く。

 

「団扇帯人だ。宜しく。」

 

低音の、少し掠れた声が響く。

視線の持ち主達は、次の言葉を期待する。

しかし・・・・・・・・・

 

「・・以上だ。」

 

声が、貴様らの期待など知るか!と言うように、無慈悲にその言葉を発した。

 

固まる空気。

目を丸め、嘘だろ。と言う顔をこの場に居る帯人と担任以外が披露する。

 

次の瞬間

耳が痛くなるような叫びが響いた。

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!』

 

帯人は堪らず耳を塞ぐ。

 

(なんだこれは!

五月蝿すぎるぞ!)

 

担任は一瞬硬直したものの、直ぐに、自分の教え子達に向かって怒鳴った。

 

「静かにしろ!他クラスの迷惑になるだろうが‼」

 

理にかなった、確かな声。

しかし、それに返される不満の声。

 

「仕方ないじゃないですか!」「だって気になりますよ!」「えっ本当にそれだけなの?!」「叫ばずには居られません!」「なんかもっと言うことあるでしょ!」「名前と挨拶だけってのはないだろ!」

 

等、多くの生徒が言うため、数秒前まで静かだった教室は、帯人が入って来る前のように五月蝿くなった。

だがそこは担任、それら全てを無視し、帯人に向き直る。

 

「団扇、流石に名前と挨拶だけじゃ少な過ぎだ。

なんかこう、もうちょっと、自己紹介っぽい自己紹介をしろ。

あと少ししかこのクラスで過ごさないと言っても、それだけじゃあコイツ等も接しにくいだろ。」

 

その言葉に教室はまた、少しだけ静かになり、帯人の方に視線が集まる。

 

(丁度良いな、これで質問形式にできる。)

「わかった

しかし、オレはなにを話したらいいのかわからん。

だから、貴様等がオレに質問をしろ。

オレはできる限りそれに答える。

それならば文句はないだろう?」

 

それは了承の意だった。

言葉遣いは悪いが、言っていることは、クラスメイトにとって、それを気にしない程に望んでいたことだった。

担任は、口が悪い。と帯人に注意しようとしたが、それをするとまた教室が五月蝿くなると思ったのだろう。

 

「お前ら、なんか質問ある奴は手ぇあげろー。」

 

と言うに留めていた。

 

それを聞いた生徒達は、我先にと手を挙げ始める。

はい!はい!と、教室の至る所で元気な声が上がる。

 

新一はそれを眺めながら、しかし、手は挙げなかった。

何故今の時期に転校して来ただなんて、自分じゃなくても、誰かが聞くと思ったからだ。

案の定、最初に指された生徒がそれを聞いた。

 

「じゃあ、最初は、三上!」

 

「よっしゃぁ!

はいはーい!なんで今頃転校して来たんだ?

もう1年も直ぐに終わるのに、この時期に転校っておかしくね?」

 

教室はたちまち静かになった。

新一を含み生徒たちは聞き耳をたて、帯人の言葉を待つ。

 

「昨日の夜、両親が仕事で海外に行くからと電話が掛かってきた。

引っ越しなどオレは要らんと言ったが、二人が、心配だからとオレを、両親の友人がやっているマンションに引っ越させた。

最初は引っ越すつもりなど無かったが、今まで通っていた学校には退学届けを出したから、明日からこの学校に通えと言われ、元の家ではここに通うのは無理だと判断し、今に至る。」

 

流石に、心配だからと勝手に色々やりすぎだろうと思ったのか、教室中から「おぉぅ」と言う声が上がる。

そんな中ふと、新一は気付いた。

 

(ん?なんか今、昨日の夜っつったよな)

 

気になった新一は、

 

「ちょっとまて、えっ?もしかして、昨日の夜に初めて引っ越しとか転校とか聞いたのか?」

 

と声を挙げた。

それに反応し、生徒達は直ぐさま帯人に視線をやる。

 

「ああ、そうだ」

 

「昨日の何時頃だ?」

 

「9:00頃だったと思うが?」

 

「夜のか」

 

「夜のだ」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「マジか」

 

「・・・ああ」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・お疲れ様」

 

「・・・・ああ」

 

新一は堪らず、労いの言葉をかけた。

どことなく哀愁を漂わせた帯人の無表情が、妙に痛々しい。

他の生徒も流石に絶句している。

 

そんな空気を変えようと、担任が声をかける。

 

「おい、もう質問はないのか?

無いんだったら、終わりにして、授業に入るぞ!」

 

その声に反応して、生徒達は、また質問のために手を挙げ始めた。

それを確認した担任は、

 

「ああ、あと、質問はあと3個までだ。

他は休み時間にでも聞け、いいな!」

 

と、生徒にとっても帯人にとっても不満バリバリな事を言った。

生徒たちは反論しようとしたが、流石に、

 

「期末、どうなってもしらねぇからな。」

 

と言われてしまえば、反論しようが無いようだった。

帯人も反論しようとしたが、担任が小声で「これ以上俺の仕事を増やすな」と真剣に言われ、墜ちる前のお人好し精神が働いたのか、仕方ない。と諦めた。

 

その後、出た質問は・・

 

・好きなものは?

「特に無い。」

・何故そんな口調なの?

「どうでもいいだろうそんなこと。」

・なんで両親にそんなに心配されたんだ?

「オレの生活態度は健康には良くないからだろうな。」

 

と、わかったことと言えば、帯人は不健康な生活を送っている。

と言うことだけだった。

余談だが、3個目の質問の解答には、

 

『わかってんだったら生活態度を改めろよ(なよ)‼』

 

という、ツッコミがクラス全員から発せられたが、当人からの反応は、「無理だ」の一言だった。

 

閑古休題

 

その後、担任の、

「団扇は、えーと・・・工藤の後ろの席に座れ。」

という声によって、帯人の席は決まった。

新一は、自分の直ぐ後ろに渦中の転校生が来ることに歓喜し、帯人は、自分の前の席に座り、かつ、今まで観察するように視線を向けて来た新一を観察する。

 

(俺の後ろの席か、よし!色々と聞いてみっか。

流石に転校初日なら、色々なことを聞けるだろ。

聞けなかったとしても、後ろの席なんだ、また話すことも出来んだろ。

にしても、不健康な生活ねぇ、両親に心配されて、友人のマンションにまで世話になるってのは、どういうことだ?

やっぱ気になるな。)

 

(ふむ、あの前の席の砂利、大蛇丸に似た目をしているな。

だが、奴の目が執着の激しい研究者だとすれば、あの砂利の目は・・さながら好奇心の虜か、目の前の疑問の解消を求めているようだな。

いや、追い求めるものが有る、と言うだけで、不老不死の(からだ)と疑問の解消では、求めるもが違うか。

両方とも、求め方によっては変わるかもしれんが、基本、方法が非人道的なものと人道的なものではその価値は雲泥の差か。

しかし、危ういかもな、いつか何かしらやらかしそうだ。)

 

やはり探偵と忍では、考えることが違うらしい。

新一は、気になったことを質問する気満々で、帯人は、自分に他の者とは違う視線を向けていた理由を警戒していた。

 

それにしても、流石元一流の忍。

その人生の半分以上を闇で過ごし、暗躍し続けた者は違う。

眼を視ただけでだいたいどういうものを求めているのがわかるとは、凄いとしか言いようがない。

瞬時に解ったのは、この世界があちらよりも平和だからだろう。

でなければ流石の帯人もここまではわからなかったと言える。

 

 

結局、全部終ったのは、授業終了10分前だった。

ここまででも、急の引っ越しや、初登校、質問タイムと、結構大変だったが、帯人にとって本当に大変なのは、これからの休み時間なのだが、そんなことは、帯人にはわからなかった。

 




楽しんで頂けましたか?
それと、遅れましたが、現在のオビトのスペックです。
《団扇帯人》
身長 178cm←原作では183cmなので、低くしたくもないし、けど、それじゃあ高すぎるかと思い、なら、同じうちはの、イタチと同じで良いかなと。
体重 66kg←これは、180cmの理想体重が68kgだったので身長に合わせて-2してみました。
体型は、身体全体に無駄な筋肉がついて無い感じです。
顔 右半分に傷無し
肌 サスケまでとはいかないまでの色白
忍組み手可能
チャクラは使えますが、そもそも使う事態にならないので使いません。
他の人も、チャクラは使えますが、オビトが教えないと無理なので、使えません。
暗躍時代の名残なのか、勉強はできる(色々な戦い方&暗躍していたから)
推理力は、犯人の行動が手を取るようにわかるので、証拠等は出せないが、犯人はわかる。(世界を敵に回した実績があり、暁として、水影として、暗殺、暗躍等をしていたから)
簡単に言うとハイスペックです。
もう、ほとんどチートですね。探偵世界では。

読んで頂き有り難うございました。
読みずらかったりしたら、言ってくだされば、出来る限り直すので、クラッシャーしない限りコメントして頂いて結構です。

では、また読んで頂ければ幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三話

どうも、テストはいやだぁぁぁです。

遅れてしまいました。
テストって地獄ですよネ?
もう・・・疲れたよパトラッシュ・・・
はい。
という訳で三話です。
楽しんで頂けたら幸いです。




自己紹介が終わり、少し浮かれた雰囲気で始まった授業。

残り10分という短い時間でも、真面目に授業をする担任は、教師の鏡と言えるだろう。

しかしそれとは逆に、生徒達は転校生である帯人が気になって仕方がなかった。

いくら質問タイムがあったとしても、それはたった3回という少なさだった。

これだけでは、好奇心の多い10代を満足させることなど出来はしなかったのだ。

勿論、もっと色々聞きたいことがあった。

 

つまり、

 

早く休み時間になれ!

 

というのが生徒達の思いなのである。

 

 

しかし、一方の帯人は、そんなことを生徒達が思っているなど露知らず、呑気に

 

(ああ、やっと終ったな。

いや、もしかしたらまた色々と聞かれるかも知れんな。

まあ、さっきのようにはならんだろうが。)

 

等と考えていた。

 

帯人と生徒達に歳の違いは無くとも、片や精神年齢50近くの男とも言っていい少年、片や身体年齢も精神年齢も年相応な少年少女。

価値観の違いが出るのは仕方のない事である。

まぁ、一概にそれだけとも言えないが・・・

 

 

そもそも、帯人の考える16歳とは、感情をある程度抑制でき、冷静沈着とは言えないまでも理性をもって行動でき、仲間の為なら命を奪い、時には捨てる覚悟のある者である。

これは、転生する前の価値観が根深く残っており、帯人自身、家族以外の人間に全くと言っていい程興味も情も無く、触れ合っていなかったため矯正されなかった(両親は親バカであり、基本的に帯人の事を全肯定的であるため、一部のこと以外は全く否定しなかった)ものである。

しかし、敵であれば殺す、自分の邪魔になるのならば殺す等、外道と言えるものが無くなっているだけまだましだと言えるだろう。

 

それに対して生徒達の考える16歳は、命を奪う覚悟も、命を捨てる覚悟もない、好奇心旺盛な子供であり、平和過ぎる程平和のなかにいる、争いとは無関係の、庇護されるべき者である。

現代社会においては、生死を掛ける仕事など10代の少年少女には基本在る筈もなく、感情を抑制出来ると言っても、好奇心のままに行動することが多い。

勿論、これは至極真っ当な価値観だ。

 

ここでは、帯人の考える16歳など日本には居ないと言えるだろう。

これだけでも、ここでは帯人の価値観が如何に異常なのかが伺える。

 

 

では改めて今この状況を考えると、生徒達が帯人を質問攻めにするために、休み時間群がるだろうことなど、普通、誰の目から見ても明らかだ。

そう、帯人のように色々とアレな常識と価値観を持っていなければ、の話だが。

 

つまり、帯人が「(ピークが)終わった」等と考えているのは本当に呑気過ぎる、ということだった。

 

 

そして遂にその時が来る

 

キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

 

 

チャイムが鳴り授業が終わる

担任は終わりの挨拶が終わり次第そそくさと教室を去った

 

一部の生徒が一斉に席を立つ。

帯人の近くに座っている者達は体を帯人に向ける。

席を立たなかった近くに座っていない生徒も、体を帯人に向ける。

新一と帯人の目が合う。

それに驚いたらしい帯人が目を見開く。

10人位の生徒達一斉に口を開く。

反射的に帯人が耳を塞ぐ。

それに気づいたらしい新一が開けていた口をつぐみ、帯人と同じように耳を塞ぐ。

 

この間僅か3秒

 

次の瞬間、

 

「なあ、うち「ね「ねね「あの「聞「何処「団扇く「どの「せいか「宜し「ちょっ「わた「俺が「も「おぉい「ねぇ「あの「オビ「こたえ「「「etc・・・」

 

生徒達の質問攻めが始まった。

次々とひっきりなしに口を開く生徒達。

耳を塞ぎ固まる帯人と新一+α。

その状態が続き、いつの間にか帯人への質問から、「自分が先に聞くんだ」と争い始める生徒達。

自分の予想が外れ、疲れていたこともあって、この状況を消化できずに未だ固まる帯人。

そんな中、たった一人、状況を把握したのか

 

「うるせぇぇぇぇえ!!!!!

喧嘩すんな!!

一気に質問すんなよ団扇固まってんじゃねぇか!

それに何言ってんのか全く判んねぇんだよ!

質問してぇなら相手に伝わるようにしろよこのバーローどもが!!!」

 

いつの間にか復活したらしい新一の怒号が教室に響き渡った。

 

 

それからはトントン拍子に話が進んで行った。

まず新一が、生徒達の質問を聞き、新一に頼まれた蘭と園子が、それをノートにメモしていく。

その間帯人は、新一達の手際の良さに、何処か手慣れている感を感じていた。

 

(こいつ、他の者達よりも状況把握能力が優れているな。

それに、生徒共のこの反応・・・・・・少し、幼い?いや、先程担任はこうなることが分かっているかのように教室を出ていったな。

・・・・・・・・これが普通の反応、と言うことか?

・・・それならば少し・・いや、下手したら相当、オレの考えていた者達とずれていると認識した方がいいな。

一度色々と状況を見直してみるか。

あっちでは常識だったとしても、こちらでは非常識なことも、この分では在るだろうしな。

チッ もっと前から見直して居れば良かった。

転生やらなんやらで少し気が緩み過ぎていた様だな。

いや、もう少し周りに目を向けた方が良かったの間違いか?

どちらにせよ、腑抜けて居たことには代わりないな。

こちらの生活に毒され過ぎ・・・・いや、オレはもう、"うちはオビト"では無い、"団扇帯人"だ。

毒されて当然か・・・・やはり、こちらの常識をもっと知る必要が在るようだな・・・。

ハッ 今頃それに納得するとは。

やはりあちらに未練があるらしい。

まあ、それは帯人(オビト)ならば当然だな、あちらにはリンが居る。

しかし・・・思った以上にオレもうちはの血が流れているらしい。

まさか、リンはともかく、己が情を掛けた相手しかあまり認識しなていなかったとはな・・・(あまりというか、まったく認識していないの間違いじゃあないですかねぇ~) 黙れ。

ん?オレは今何に反応したんだ?

 

まあ良いか。

結論としては、他の者達にも目を向けんとならん様だ。

 

ふむ・・・・・・・・・・・・・・・

 

まずは・・・・・目の前に居るこいつで良いだろう。

・・・・・・・・・・ん?

・・・・この工藤新一、という砂利、こいつが指示を出しても生徒共は反論どころか、それが当たり前のように容認している。

・・信頼されているようだな。

常にこんな役回りになっている・・ということか。

まあ、他の砂利共よりも精神面が安定しているようには見える。

その分何処か危ういが、それを持っても余りある程にはカリスマ性、と言ったものが在るのかもしれんな。

しかし、この男・・・・こちらでは殆ど初めてだな、ほんの少しだが、死臭を放っ)オイッ!!!!!

 

大きな声が教室に響く。

帯人は思考を中断し、少し俯いていた顔を声の出所である目の前に居る少年に移した。

 

「なんだ?」

 

「何度呼んでも反応しねぇから。」

 

「そうか、それは悪かった。

で、どうした?

話の決着は着いたのか?

オレはどのくらい貴様等の疑問に答えれば良い?」

 

淡々とした、態度が悪いとも言える返しだが、言っていることは、生徒達の質問に答えてやる。という意図が見える。

態度からは判らないが、"団扇帯人"という人間は、案外人が良いらしい。

新一はそんな、不器用な?ギャップ?・・・ツンデゴホンッゴホンッ・・まぁ、差に驚いたが、そう言えば最初から適当ではあるが、質問にはちゃんと答えていたことを思い出した。

 

「あ、ああ。

わりぃけど、団扇、次の休み時間に話聞いても良いか?

質問することは決めたけど、量が多いからな。

良いか?」

 

「いいだろう。」

 

無意識に淡々とし過ぎた態度に押されていたのか、少し声が詰まったが、それを華麗にスルーする帯人。

尚、生徒達はスルーしてくれなかったのか、微かに肩がプルプルと揺れていた。

まあ、隠そうともしていない者も居るが。

 

(そんなに俺が詰まったのが楽しいかコノヤロウ!!!)

 

(((((((ああ、楽しい!!!))))))))

 

思った以上にこのクラス、ゲスである。

中にはプギャーm9(^∀^)ギャギャギャギャをしている人間もいた。

それはもう盛大に。

新一の顔が険しくなる。

帯人は心で会話?している新一達を放っておいて、近くに居た、比較的冷静に見える少年に話しかける。

 

「おい、次の休み時間に此処から動かなければ良いんだな。」

 

「ああ、よろしく。」

 

「了解した。」

 

 

帯人は腕時計を確認しながら、この学校について無知であるが故に、周りを気にせずに、新一を含めた生徒達にとっての爆弾を投下した。

 

「あと30秒と少しで次の授業が始まるぞ。」

 

時間を見ればあらその通り。

思った以上に時間が経つのは早いらしい。

そして時間割には「数学」の文字。

ここで補足

ここ帝丹高校一年の数学の担当教師は、時間に厳しく、そして何より無駄に騒いだり、五月蝿いのが嫌いな人間である。

それと同時に、それに注意していれば、普段は温厚な良い先生である、が、怒ると目が笑っていない笑顔で心を折ってくる人物でもある。

そんな先生の担当である授業があと30秒しないうちに始まる。

そして、Q.今この教室は? A.五月蝿い つまり、

そう言うことである。

 

「ぎゃぁぁぁあ!もっと早く言えよ団扇ぁぁあ!!」

「はやっ早く授業の準備しなきゃぁ!!!」

「うわぁぁぁん!はよ!はよ!準備を!!!」

 

帯人は何故そんなにも生徒達が焦っているのかが分からなかった。

ガララッ

 

空気が固まる

生徒達がゆっくりと音がしたドアへ目を向ける

 

「早く、席に、つきましょうか?」

 

笑っていない笑顔が怖い

何より喋り方が怒っている

区切っているところとか

 

(((((((((ぎゃぁぁぁあ!怒ってるぅぅぅ‼)))))))))

 

『えっえと、えと・・』

 

「つ・き・ま・しょ・う・か・?」^^

 

『ハイ!!!!!』

 

結局、この休み時間、生徒達は帯人に質問することが出来ず、そして騒いで居たせいで、大半の生徒に数学教師からの雷が落ちた。

余談だが、その間帯人は、何故そんなにも生徒達が数学教師を恐れていたのかが分かって満足そうだったそうな。

 




読んで頂き有り難うございました。

えっと、楽しめましたか?
誤字とかあったら、言ってくれると助かります。

それでは、また読んで頂けたら幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

‐その人の望んだものは‐



何処か遠くの世界の中で







 

‐side ××× ××‐

 

 

ねぇ、君はきっと、まだ、この世界を憎んでるんでしょう?

 

そしてきっと、自分を許せず、赦すことができずに、自分を犠牲にして生きてるんだろうね

 

自分は罪人だからって、自分は愚かだからって、自分には壊すことしか出来ないからって、本気で思って、本気で信じてるんだろうね

 

真っ直ぐに、愚直な程真っ直ぐに、ふふっ

 

でもね、君だけじゃないんだよ

 

君だけじゃ、ないんだよ

 

 

私も、この世界が憎いんだ

 

 

ふふっ 君はきっと、信じてくれないかもしれないけどね

 

でも本当に、私はこの世界が憎いんだ

 

君が苦しむ世界が憎い

君が悲しむ世界が憎い

君が傷つく世界が憎い

君達が争う世界が憎い

君達が苦しむ世界が憎い

君達が悲しむ世界が憎い

みんなで生きられない世界が憎い

君を独りにする世界が憎い

君を殺す世界が憎い

君を壊す世界が憎い

 

ふふっ 真っ黒だね、私も、君も

 

 

でもね、やっぱり、私はそれ以上に

 

 

この世界が愛しいんだ

 

 

君が生きる世界が愛しい

君が守る世界が愛しい

君が笑う世界が愛しい

君と一緒に居る世界が愛しい

君達と一緒に居る世界が愛しい

みんなで生きる世界が愛しい

みんなで守る世界が愛しい

君が頑張る世界が愛しい

君を生かす世界が愛しい

君を産んだ世界が愛しい

 

そしてなにより

 

君が私を愛してくれる世界が愛しい

 

 

歪んでるかな?

 

矛盾してるかな?

 

でも、これが私の思い

 

不謹慎かもしれないけど、これが私の本当

 

 

最初はね、君じゃなくて彼が好きだったんだ

 

彼が格好良かったから

彼が私達よりも何処か大人っぽかったから

 

そして、彼が、君よりも

 

不安定だったから

 

支えてあげたいと思ったんだ

側に居てあげたいって ふふっ

君はそれに妬気持ち妬いてたんだったね

 

でも、私のそれはきっと"愛"じゃなくて、"恋"、だったんだろうね

 

彼は私を見てくれなかった

 

君は私を見てくれていた

 

そしてなにより君は、太陽の様に笑う人だったから

 

彼が月なら、君は太陽だったんだ

 

皆を照らす太陽

 

 

だからかな、私はね、君なら大丈夫だって勝手に思っていたんだ

 

君があの日、神無毘橋の戦いで死んでしまった筈の君が、あの日、あの場所に来るまで

 

 

君なら大丈夫だって、本当に思ってしまっていたんだ

 

 

私はね、死んだらきっと、君が迎えに来てくれるだろうと思ってたんだ

 

彼を置いていってしまうのは気が引けたけど

 

彼には先生や、里の皆が居るから大丈夫だって

 

馬鹿だよね、私

 

彼 彼 彼って彼のことばっかで、君のこと、ちゃんと見てなかったんだ

 

君は強い心を持っていたけど、それと同じくらい、脆かったこと

 

忘れてしまってたんだ

 

 

 

気付いたときにはもう、手遅れだった

 

 

 

君を壊してしまった

 

 

 

君は、私に"恋"していたんじゃなくって、私を"愛"してくれていたんだよね

 

君は人一倍、うちは の中でも特に、愛情深かったから

 

そして、人一倍、寂しがりだったから

 

ごめんね ごめんね ごめんね

 

何度も何度も君に言ったんだ

 

何度も君の涙を拭おうとした

 

何度も君を抱きしめてあげようとした

 

でも、手はすり抜けて、声は聞こえなくって

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

 

辛かった 悲しかった 胸が張り裂けそうだった

 

ねえ、すり抜けるって、触れないって、辛いね、悲しいね、寂しいね

 

 

でも、私よりも、君の方が辛かったし、悲しかったし、胸が張り裂けそうだったよね

 

私達のために頑張って、辛くても痛くても頑張って、私達の元に帰るんだって頑張ったんだろうね

 

ごめんね

 

君が生きていたことに気付いてあげられなくって

 

ごめんね

 

君のことを独りにしてしまって

 

ごめんね

 

君の心に塞がらない(あな)を空けてしまって

 

 

それから君は、私の知る君ではなくなってしまった

 

太陽は二度と上がることがなくなってしまった

 

 

君は、世界を憎み、世界を偽りと断じ、世界を壊そうと動き出した

 

 

胸に虚を空けたまま

 

 

私ね、君が里を襲ったあの日、君を憎んでしまったんだ

 

なんでって

先生を

クシナさんを

里の皆を

 

君は奪ったから

 

 

でもさ、君から"愛"を奪って、君に塞がらない虚を空けて、君から希望を奪って、君に絶望を植え付けた私が、君を憎むのは違うよね

 

ふふっ きっと、君は憎んで良いと言うんだろうね

恨んで良いと、自分が勝手にしたことだって

 

でも、違うんだよ、私は、君を分かっていた筈なんだよ

 

"愛"に飢えた君が、"愛"を喪ったらどうなるかって

 

わかっていた・・はずなんだ

 

 

君は段々壊れていった

 

笑えなくなった

泣けなくなった

痛みがわからなくなった

感情が、わからなくなった

 

 

嗤うようになった

涙の代わりに血を流すようになった

他人を理解しようとしなくなった

平淡に淡々と、冷徹に冷酷になった

 

そして、自分が誰か、わからなくなった

 

 

私はそれを・・・見ていることしかできなかった

 

 

仮面の裏で涙のように血を流しているのを知っていた

 

胸に空いた虚から血を流しているのを知っていた

 

心が、身体が、悲鳴を、慟哭をあげているのを知っていた

 

君の知らない心の奥底で、偽りの名じゃなくて、本当の名を求めていたのを知っていた

 

 

いつだったかな、気付いたら私は君を好きになってたんだ

 

"恋"じゃなくて、"愛"してたんだ

 

太陽のような君が好きだった

陽だまりのような君が好きだった

明るく笑い、表情豊かな君が好きだった

 

闇のような君を愛した

絶望のような君を愛した

冷徹に冷酷に嗤い、感情を無くした君を愛した

 

反対で、全く別人なのに、それでも私は、君だから愛したんだよ

 

 

その血の涙を止めてあげたかった

胸の虚を埋めてあげたかった

誰にも気付かれずに流し続ける血を止めてあげたかった

悲鳴と慟哭をあげ続ける心と身体を癒したかった

本当の名を呼んであげたかった

 

君のために

 

贖罪なんかじゃない

ただただ単純に哀しくて哀しくて哀しくて哀しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しかったんだ

なによりも、そんなにも私を想っていてくれて、嬉しかったんだ

だから、君を助けたかった

愛したんだそんな君を

誰がなんと言おうとも、そんな君だから私は愛したんだよ

 

 

ねえ、●●●

 

どうか幸せになってね

 

●●●は覚えていないかもしれないけど

 

もう、私は、罪に縛られ続ける●●●は見たくないんだ

 

●●●が此方に来たときからずっと●●●は罪を忘れるのを恐れて、埋まってきた胸の虚に爪を立てていたから

 

もう良いんだよって、六道仙人様も先生もクシナさんも、アスマ達だって言ってたのに●●●は辞めてくれなくて

 

いつも血だらけだった

 

鬼鮫さん達が●●●を止めても、ずっとずっとずっと、虚が埋まらないように、爪を立てていたよね

 

痛くても痛くても痛くても痛くてもずっとずっとずぅっと

 

私、●●●に幸せになって欲しかっただけなんだよ

 

当たり前を当たり前のように過ごして欲しかっただけなんだよ

 

もう、●●●が絶望しなくて良いように、●●●が私を想っているのと同じくらい、私も●●●を想っていたんだよ

 

●●●が私の"愛"で溺れてしまうくらいに

●●●が幸せで溺れてしまうくらいに

●●●が心から笑っていてくれるように

 

だから●●●、

 

そこで傷を癒してきて

 

私、ずっと待ってるから

 

●●●が当たり前を受け止められるようになるまで

 

ずっとずぅっと待ってるからね

 

 

 

 

大丈夫だよ

 

 

 

 

 

 

オビト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんと見てんだから







遠い世界で君を想う





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四話

どうも、紫最槻鱗です。

第四話です。

今回も、楽しんで頂けたら幸いです。



帯人にとっては有意義な、新一達にとっては地獄のような時間が終わった。

結局、数学教師の雷が落ちた後、帯人以外の生徒達全員がランダムで当てられた。

しかも、「自分はもう当てられたから大丈夫だろ(かな)」と、思っているとまた当てられるという、安心も安堵も出来ないハラハラドキドキとした50分だったのだ。

そのせいで、さっきの元気は何処に行った!?という程に教室の中は死屍累々であり、安堵の息や、「疲れた」等の言葉以外、誰も何も言う元気がなかった。

しかしそうなると、休み時間中に質問を受けると言われていた帯人は、ただ席に座っていることしか出来ない。

暫くその状況が続き、一人、何の被害もなく、そして、新しい知識が増えたことで満足げに座っていた帯人が、ふと周りに目を向け、まあ、彼ならば言うであろう言葉を発した。

 

「おい、貴様等。

質問とやらは良いのか?授業が終わってからもう、3分程は経っているが?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『あっ‼』

 

新一達は「そうだった‼」とばかりに身体を上げるが、よほど疲れていたのか、また死体に戻った。

しかし、質問する気はあるのか、モゾモゾと何人かは動き始める。

まるでゾンビだ。

そのうち一人が、思い付いたとばかりに手を打ち、

 

「工藤くん達さ、さっき書いてたメモ、持ってたよね?

団扇くんと席近いし、私達よりも余裕ありそうだし、そこの夫婦と「「夫婦言うな‼」」はいはい、んじゃ、そこのリア充と鈴木さんで質問してくれない?「「だから違ぇよ(うって)!!」」ほら、こんなに元気なんだし、つーことで、宜しくね。「ちょっ、私もなの!?そこの夫婦だけでいいでしょ‼」「「だから!!!」」いいじゃん、鈴木さんだって気になってんでしょ。

それに、誰がそこの二人のスットッパーするのよ。「「「うっ」」」

よし、拒否権はなしで。

んじゃ」

バタン‼

 

そして力尽きた

 

(((言うだけ言って死んだぞ(わ(わね)))

 

((((((((((ナイス!柏木(さん)‼)))))))))))

 

3人は呆れた目で彼女を見やり、他の生徒達(半死人&死体)は良くやったと言わんばかりに彼女に向かってサムズアップした。

 

そんな茶番を呆れを感じさせながら、気持ち楽しそうな雰囲気を出して居た様な居ない様な帯人がぶった斬る。

 

 

「で?

 

 

 

 

 

 

結局、オレはどうすればいい?」

 

一瞬の後、

 

『いけっ!工藤(くん)達‼』

 

屍共が叫ぶ。

新一はそれを面倒だという顔で見やり、蘭と園子に目を向けた。

 

(どうすんだ?)

 

(もう、諦めた方がいいんじゃない?

それに、私も少し気になるし・・)

 

(そうね、それに、どうせ新一君も気になってんでしょ。

私だって知りたいし、もう諦めましょ。)

 

確かに、新一も帯人には色々と興味津々だ。

主に、一人で暮らすのも反対されるような生活態度とか。

故に、

 

「・・・・・・ハァ・・・・・わあったよ」

 

と渋々、もう、本当に渋々と了承する。

 

『ヨッシャァア!!!』

 

屍共がガッツポーズをし、新一は(コイツ等俺より元気あるだろぜってぇに)と恨みの目を向けようとして

 

(いや、コイツ等には何言っても無駄だな、俺が疲れるだけだ)

 

やめた。

懸命な判断である。

こういう奴等は反論されたりリアクションを取ったりすると、更に無駄なことや面倒な反応をするからだ。

それを分かっているのか、新一は深いため息と共に米神をヒクつかせ、蘭は苦笑いをし、園子は笑ってはいるが眉が寄り、口元が歪んでいる。

3人はシンクロしたかのように一度深呼吸をすると、先程書いたノートを取り出し、質問を始めた。

 

しかし、まぁ、授業が終わってから時間も経ち、尚且つ無駄な茶番を殆どの生徒達がノリノリでやっていてもう、休み時間が残り3分程しか無いので、結局質問は、蘭のノートから4題、園子のノートから4題することにした。

それは

 

1.親に心配される程の生活態度とは?

2.前の学校はどうだった?

3.彼女居る?

4.成績良い?悪い?

5.好きなものが無いなら嫌いなものは?

6.何かしらの部活に入る?

7.得意なことは有る?

8.苦手なことは有る?

 

の、計8つだ。

質問を選んだ時間とそれを帯人に質問した時間を含めると、答える時間は2分程しかない。

普通、これだけの質問を急に聞かれ、2分で全て答えるのは無理だろう。

それに、質問への回答とは本来、聞き、それについて思考し、それをまとめ、質問者に分かりやすい様に言葉を選び、会話文にする。という行程を踏む。

それに質問によっては、自分では理解できても、質問者には理解できないことが多く含まれるものもある。

今回は上2つの質問がそれだ。

他の6つは簡潔に答えることが可能だが、この2つはそうはいかない。

回答者にとっての常識が必ずしも質問者の常識だとは限らず、知識も、価値観も、人それぞれの千差万別だ。

故に、少しでも自分の価値観が出るであろう質問は、答えるのが難しい。

それが、回答者一人の質問者多数の場合は尚更だ。

一対一、多数対多数ならばそれ程では無い。

一対一ならば捕捉しながら回答でき、多数対多数ならば回答者は意見のすり合わせをしながら、よりズレの無い回答を選べる。

しかし、一対多はそれらが出来ない。

捕捉しようとしてもそれが一人からとは限らず、そもそもすり合わせは回答者が一人の場合出来ない。

 

そう、それが"普通"だ。

 

だがここに居る団扇帯人(うちはオビト)は良い意味でも悪い意味でも"普通"では無く"異常"だと言える。

故に、こうなるのはその異常性を持ち、それを理解している帯人以外分かっていなかった。

簡単な話、先程長々と語った質問云々に喧嘩を売る様に帯人はスラスラと答えて見せたのだ。

 

1.食事と睡眠を殆ど取っていない様な生活だ。

2.普通だ。良くもなく悪くもない。それだけだ。

3.居ない。

4.前の学校では悪くはなかった。

5.特に無いと思ったが、現実を見ない愚か者は嫌いだな。

6.入らん。

7.身体を動かす事だな。

8.何を考えているか検討もつかん砂利共の相手は苦手だ。

以上だ。

これ以上の質問は受け付けん。

 

と、少しも思考していると言える時間も掛けずに。

それに釘を刺すのも忘れずに。

生徒達にとっては、次の休み時間にでも答えられ無かった質問に答えて貰おうとして居た(それで、交流を深めようとしたとも言える)のだが、まあ、全て答えてしまってはそれも出来ず、元々の口調プラスそれに合った威圧感のある帯人は近付きがたい者も居るので、少々落胆していたようだった。

 

 




はい。
楽しんで頂けましたか?
予定日より一日過ぎててすいません。

唐突ですが、今回出てきたオビトへの質問以外に、気になった事が有ったら聞いてください。
できる限り答えます。
矛盾する点とか出てくるかも知れませんし。

とりあえず、今回も読んで頂き、有難うございます。

ではまた今度、楽しんで頂けたら幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

五話

遅れてすいません。

有言実行出来ませんでした。
すいません。

今回は少し笑い?有りです。
では、楽しんで頂けると幸いです。


結局、先程の休み時間以外で帯人に話し掛ける勇者は居なかった。

まあ何度か話し掛けようとした人間は居るには居たのだが、帯人の無表情と謎の威圧感と雰囲気に呑まれて話し掛けるには至らなかったようだ。

 

しかし誰も話し掛けてこないという状況に一番驚いていたのは、話し掛けづらい要素を凝れでもかと出している帯人だった。

 

確かに無愛想で威圧的で、普通ならビビって話し掛けられない人間トップ3に入る様な帯人だが、普通に分類されないであろう人間であり、ある意味大蛇丸に似た探究心を持った人物・・・つまり新一ならば積極的に自分に疑問をぶつけてくるのではないかと思っていた。

そう予測していた、と言ってもいい。

だが結果はどうだ?

そろそろ4時間目も終わる頃だというのにそれまでの休み時間、ついぞ新一が話しかけてくることは無かった。

その分探るような視線はグサグサと帯人に刺さって居た訳だが、それだけだ。

しかも他のクラスメイトの様に話し掛けようとする素振りすらなかったのだ。

 

そしてそれを疑問に思っていたのは帯人だけではなかった。

新一の幼馴染である蘭と園子も、帯人程ではないにしろ驚いていた。

 

それもその筈、彼女等にしてみれば工藤新一とは先程言った通り幼馴染の関係に当たる。

その分、彼がどの様な人間なのかは此処に居る誰よりも知ってるのだ。

つまり、好奇心旺盛と言えるあの工藤新一が、疑問を感じたら直ぐにでも解決しようとするあの工藤新一が、転入生である団扇帯人という少年に4時間目が終わるのではないかというこの時間まで、まだ話しかけていないのだ。

此れは驚くしか無いだろう。

 

しかし簡単な話、新一も帯人の威圧感と雰囲気に呑まれていただけだった。

 

常人とは違う頭脳と精神力、そして好奇心(狂気)を持っていたからこそ、新一は帯人の謎の威圧感と雰囲気を他の誰よりも感じていた。

その正体こそ解っていないが、流石に罪深い程の愛情(狂気)を持ち、この世界よりも圧倒的に物騒な世界で黒幕として暗躍して居た帯人が発する威圧感と雰囲気は、少々堪えたらしい。

 

まぁ、故に新一は帯人に更なる疑問を持ったようだが、これは仕方がないだろう。

なにせ、殺人事件等様々な事件にも物怖じしない程の今現在の彼自身が帯人に呑まれていると実感し、且つ抗えないのだから気にするな、という方が無理である。

例えて言うのなら、常人が天才達の中に投げ入れられ、その場の卓越した才能の差と雰囲気に後退り呑まれるのと同じことだ。

 

今の帯人と新一には其れ程の差が有ると言ってもいい。

片や愛故の狂気、片や好奇心故の狂気、同じ狂気を持っているにしても、その差は雲泥の差、月とすっぽんである。

世界を相手取る程の愛の狂気にとって、異常でも何でもないただの事件の真実を知りたいという好奇心の狂気は、それこそ赤子のようなものだからだ。

 

結果、帯人は自分が異常だとは理解しているが其れが周囲に与える影響を分かっていないため、新一が何故話し掛けて来ないかが分からず、新一は本能的に帯人に恐れに近いものを抱いていて話し掛ける至らなかった。

二人の現状を言葉にすればこんなものである。

 

故に帯人は新一からの視線を感じていても警戒を緩めず、帯人が警戒心を緩め無いのをまた本能で感じたのか、新一は4時間目が終わった後に帯人に話し掛ける気満々になった。

 

そして4時間目が終わる。

 

「起立!気を付け、礼!」

 

『ありがとうございました』

 

授業を終えた生徒が弁当を取り出す。

学食へ行く生徒も居る。

そんな中新一はぐるんと身体の向きを変え、帯人に向き直る。

 

「なあ団扇、一緒にメシ食わないか?」

 

それに帯人は驚いた様子もなく少し間を置いてから

 

「学食で無いなら構わんぞ」

 

オレは然程食わんからなと了承する。

 

「おう、俺も今日は学食じゃねえから丁度良い。

ああ、あと二人居るけどいいか?」

 

「構わん」

 

その中で二人に近付くのは安定の蘭と園子の二人だ。

 

「新一、団扇君、良い?」

 

「新一君、団扇君、良いかしら?」

 

「おう、良いってよ」

 

そしてそのまま自己紹介に入るようだ。

 

「団扇、俺は工藤新一だ、よろしく」

 

「私は毛利蘭、よろしくね」

 

「私は鈴木園子よ、この夫婦の幼馴染。

よろしくね」

 

「「夫婦言うな!」」

 

「ククッああ、さっきも言ったように団扇帯人だ。

宜しく」

 

「「そこは笑わない!」」

 

「相変わらず息揃ってるわねぇ」ニヤニヤ

 

「確かに夫婦だな」ニヨニヨ

 

「お前ら、なんでンなに息揃ってんだよ」

 

「と言うか、今の少しの間で団扇君の印象すっごく変わったんだけど・・・」

 

「ふふっ、あんた達が面白いのよ。

ねえ、団扇君」

 

「ククッああ、見ていると愉しい」

 

「グッ今のたのしい、ぜってぇ楽しいじゃなかった!

愉しいだった!そんで俺も団扇の印象がすげぇ変わったわ」

 

「そうか?」

 

「おう、もっと堅物っぽいのかと思ってた」

 

「私も」

 

「あっ私も」

 

「堅物・・・・では無いな。」

 

「まあ、良いじゃない。

それで団扇君、私貴方と気が合いそうなんだけど気のせいかしら?」

 

「さあ、どうだろうな」

 

「あら、愉しかったでしょ?」

 

「ああ、現在進行形で愉しいな」

 

ふふっククッと二人の笑い声がこだまする。

 

「・・・なあ蘭、俺は今あの二人を合わせたことを猛烈に後悔してる」

 

「新一も?私もちょっと後悔してるよ。

と言うか、団扇君が予想外すぎたね」

 

「ああ、やっぱ話してみねぇとわかんねぇもんだな」

 

少し死んだ目の疲れた二人が居る。

今の少しの間で園子の夫婦弄りに帯人がノったことで嫌な予感がしたようだ。

そして帯人がこんなにノってくる理由は簡単である。

 

前の世界でオビトはトビとして暁のデイダラを「せんぱ~い」とおちょくっていた。

最初は飽くまで演技だったのだが、結構愉しかったのか最後辺りは演技関係無くおちょくっていたのだ。

此処で間違っていけないのは、"楽しかった"では無く、"愉しかった"と言うことだ。

つまり帯人はオビトの時に愉悦を覚えたが為に味を占めたのだ。

ハイ其処、黒幕が何やってんだとか言わない。

マダラの戦闘狂も愉悦ってるのがあるから。

もともと素質有ったんだよ多分。

其れがずっと"マダラ"やってて開花しただけだから。

仕方なかったことなんだから。

Sは無自覚なSを引き付けてSに進化させるから。

あの感染力は凄いから。

G並だから。

 

閑古休題

 

 

「で、メシは食わんのか?」

 

「そうそう、二人とも戻ってきなさいよ」

 

「「ハッ」」

 

二人の目に生気が戻る。

 

「机移動させようか」

 

「そうだね」

 

と思ったら黙々と机を移動させている。

その元凶である二人と言えば・・・

 

「・・・・・・ッ」フルフルフル

 

「・・・・・・ククッ」プルプルプル

 

「・・・フフッ漏れてるわよ団扇君」フルフル

 

「・・・ククッお前もだろう鈴木」プルプル

 

嗤っていた。それはもう愉しそうに愉しそうに。

 

はいせーの

 

「「このドSコンビ‼(泣)」」

 

だがそれは悪手だ

 

「ふふふっあんた達が面白いのが悪いのよ」フルフル

 

「・・・・ッ」プルプルプル

 

「フフッほら、団扇君呼吸困難になってるじゃない」フルフル

 

「・・・ククッお前等面白いな」プルプル

 

「「其処まで嗤わなくたって良いだろ(でしょ)!!!」」

 

 




五話、終わりました。
句読点の量を少し減らしてみましたが、もし読みづらかったのなら教えて頂けると助かります。

作中で書いたようにSって凄いですよね。
知ってました?SとSって+じゃなくて×になるんですよ。
はっきり言ってMとMも面倒臭いけれど、其れ以上に面倒なんですよね。
だってSって感染しますから。
ノーマルもSになるんですよ。
そんでもって目覚めるんですよ。
愉悦に。

さて、次で帯人と新一達の出合い編?は終わりにするつもりです。

またお会いできたら嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。