博麗霊夢には妹がいた。血もつながっている正真正銘の姉妹である。赤ん坊の時、先代の博麗の巫女が道に捨てられていたのを見つけ拾ったのだ。この二人はすくすくと育って行った。
そして、先代が巫女の役目を下りる時、次の巫女は先代が育てていた二人のどちらかがなる。
妖怪の賢者、八雲紫は姉である霊夢を推薦した。確かに霊夢には紫でさへ目を見開くような霊力を兼ね備えていた。だが、先代は違った。先代はその妹を推薦していた。だが、妹は霊夢とは違い霊力はほとんどなかった。
紫が考えている幻想郷の新しいルール、その要の“スペルカード”を一つも組めないほどだった。それは、先代も同じであった。
紫は疑問に思いそれを問うてみた。
「何故、あの子なの?あなたと同じ道を辿らせるつもり?」
その問いに先代は、
「霊夢やあの子がまだ小さかったとき霊夢が熱を出してしまったんだ。私はすぐに医師に見せないと、と思 い急ぎ、二人を抱えてここを出たんだ。だが、運が悪い事に外は豪雨で人里に向かうにはある森を抜けないと行けなかった。森の中は雨で視界が悪くどこが出口かもわからなかった。その時だ、突然あの子が指を指したのだ。まるで、この道を行けと言っているようだった。私はあの子をみた。その時、自分は息を飲んだよ」
ふぅ、先代は一息つくき
「幼子がするような顔ではなかった。そして、特にあの子の目はしっかりと前を見据え、確信しているようだった。私はそれを信じ指指した方向ヘ進んだ。そしたら、本当に森を抜け人里についたのだ」
「あの子は確かに私と同じように霊力は無い。だが、あの子はそれすら関係なく前へ突き進み、また新しい幻想郷にしてくれるのではないかと、私はそう思っている」
「·······」
先代が話している間、紫は一切口を挟む、聞き入っていた。そして、そのままこの会議はお開きになった。
ーーー数ヶ月後
13代目の巫女は博麗霊夢に決まった。
理由は2つ、一つは霊力の多さ
2つ目、理由はこちらの方が大きい。
妹が病で倒れた。
突然、ある日咳をし始め、吐血したのだ。その後は先代や霊夢の看病によってなんとか一命はとりとめた。しかし、高熱が出始め、熱が下がったとしても前のように体が動かなくなり病弱になってしまった。妹は神社の中で寝込むことになってしまった。だとしても、妹の病が一向に良くなることはなかった。
ーーーそして、その妹の名は、
■◆■◆■◆■◆■
場所は博麗神社、その神社の縁側に人影が見えた。彼女は今の博麗の巫女、博麗霊夢であった。彼女は今、布団を干していた所である。
すると、
「お〜い、霊夢〜」
「あら、魔理沙また来たの」
「あぁ、暇だったからな。来ちまったゼ」
「暇って···あなたそう言って昨日も来たじゃない」
「いいじゃねか、そこは気にするなだゼ」
霧雨魔理沙、自称“普通の魔法使い”見た目は白黒の魔女が被っていそうな三角帽子と箒に乗ってやってくるのでまさにその名の通りだ。彼女はこうやってよく霊夢の所にくるのだ。
「まぁいいは、上がっておきなさいお茶ぐらいはだしてあげる」
「へへ、サンキューだゼ····。ん?」
魔理沙は箒から降りて、地面に立つとあることに気がついた。
「なぁ、霊夢」
「何よ」
「この神社てっお前一人だけだろ、何で布団が二枚もあるんだ?」
「それは妹の分よ」
「ふ〜ん、妹の·····はぁ!?妹!?」
「ちょっと、急に大きな声出さないでよ」
「いや、だってお前妹いたのか!?」
「ええ、そうよ知らなかった?」
「私、一度も見たことがないぞ」
「そういえばそうね。あの子今まで部屋で寝込んでいたからあなたは見たことはないわね」
「ふーん、
「·····何よ」
「いや、お前の妹だからどんなのか考えていたとこだゼ。」
「ちょっと、なんか失礼なこと考えてたでしょ」
「いいや、そんなことはないゼ」
そんなことを二人で話していると、
「姉さん」
そんな声が聞こえた。弱々しくも凛とした声だった。
「あら、今は大丈夫なの····
「うん、今は調子がいいから動いても大丈夫」
顔立ちは確かに霊夢に似ている。服は巫女の格好をしているが、こちらはスカート足元まで長く、袖は大きくダボっとしていた。霊夢と話していると彼女は魔理沙に気がついた。
「姉さん、この人は?」
「あぁ、そうね紹介するわ、私の親友の魔理沙よ」
「ちょっ⁉、れ、霊夢」
「まぁ!姉さんの?では改めてはじめまして、私の名は
「あっ、こ、こちらこそ霧雨魔理沙です」
「フフ、そんなに畏まらないでください。あ、そうだ。姉さんちっょと厨房を借りますね」
「べつにいいけど···、あなた大丈夫なの?」
「うん、今日は調子が良いから大丈夫。あ、魔理沙さんはそのままお二人で会話を楽しんでくださいね」
夢命はつまり、『一緒にご飯もどうぞ』と言っているのだ。そう言って夢命は廊下の奥に消えていった。魔理沙は夢命がいなくなると、大きく息を吐いた。
「どうしたのよ?そんな大きな息吐いちゃって」
「いや、なんというかすごいなお前の妹」
「何よそれ」
「なんというか、こう···自分よりもっと年上の人と話してた気分だゼ。そういえば、さっき言ってたけどああいつ、なんかの病気なのか?」
「····ええ、小さい頃に突然咳をして血を吐き出したの。原因は不明、それ以来ずっと寝たきりだったの」
「ふーん、なんというか···すごいなお前の妹って」
「·····ええ、そうね」
その時、ほんの一瞬だけ霊夢の顔に影がさしたのを魔理沙は気づかなかった。
■◆■◆■◆■◆
ーー厨房
ふふっ、姉さんは魔理沙さんと何か話してますね。何を話てるのかちょっと気になりますが、自分は
夢命は後ろを振り向くと、
「あなたもどうですか?“紫さん”?」
すると、後ろの空間が裂け、一人の女性が出てきた。
「驚いたわね。どうやって私がいるのが解ったの?」
「勘です」
この人は八雲紫、この幻想郷を創った人だ。私がまだ病気にかかってない頃、縁側で遊んでいると何か変な感じがして、なんとなく「誰?」と問いかけたら本当に出てきたので本当にびっくりした。その後は色々遊んでもらったけど。
「残念だけど遠慮しておくわ。まだ私が出てきていい時ではないからね」
「そうですか·····残念です」
(出来れば姉さんに紹介したかったのですが仕方ありませんね)
夢命はそう思いつつ調理の手を進める。
トントントン
リズムのいいまな板を叩くような音が厨房に響いていた。夢命はテンポよく調理を続けていた。だが、気になることが一つだけあった。
(···いつまでいるのでしょうか)
あの後も紫は後ろで夢命の調理している様子をじっと見ていた。初めはすごく気になったのだが気にしていたら進まないと思いスルーすることにした。調理は丁度終盤だ。切った野菜と炒めた豚肉を鍋に入れて調味料などを足してから蓋をしてから後は待つだけだ。
「あら、目を離していいのか?」
「はい、もう煮るだけなので少しぐらい離しても」
「そう、なら丁度いいわね」
紫は夢命と向き合うと
「博麗夢命、今から重大な事を言います」
「?」
「明日、この幻想郷に“異変”が発生します」
「異変?」
「異変とはこの幻想郷に異常な現象が発生することです。これをスペル·カードを用意て解決させるのです」
なるほど。つまりは姉さんの晴れ舞台ということですね。·····ちょっと待ってください。何か変ですね?何故そんなことが起こるというのがわかるのだろうか、それに姉さんが巫女になってそれなりに立ったこのタイミングで何故?
「····なるほど、もう
「ッ!!·····よく分かったわね。ええ、そのとうりよ。もう首謀者とは話をつけてあるの。この異変でスペル·カードルールを広める切欠にもなるわ」
「なるほど、よくわかりました。ですか、何故それを私に?」
「さぁ?なぜかしらね。夢命、あなたは博麗の巫女ではない。それに燃え尽きるかもしれないその体を哀れんでかもしれないわね」
その言葉に夢命は
「·····ねぇ、紫さん」
「何?」
「確かに自分はこんなに病弱でいつかは本当に死んてでしまうのかもしれない。でも、私はここにいる。確かに今、生きている。だからこそ」
夢命は紫を改めて見つめ
「私がここにいたという真実は消されることはない。何人たりとも」
その言葉に紫は
「····そうなの、あなたはそこまで覚悟があるのね」
「はい、それくらいは」
「そう、なら私は帰るは」
「はい、ではまた明日」
「そうね。また明日ね」
紫はそう言ってスキマを開けその中に消えていった。そして、スキマは閉じていった。
「あ、そういえば肉じゃが」
話に夢中ですっかり肉じゃがを忘れていた夢命であった。
■◆■◆■◆■◆
ーースキマ内
「ハァ、本当何故ゆってしまったのでしょうか?」
紫自身にもわからなかった。本当は夢命にも異変のことなんて言うつもりはなかった。あの時だってそうだ。先代をあそこまで言わしめたあの子がどれくらいかこっそり見ていたのにもかかわらずあの子は
「誰?」
自分でもわからない何かに釘付けにされたのかもしれない。でも私はあの時出てしまった。一体何故?
そう紫が考えに浸っていると
「おやおやぁ?、どうやら妖怪の賢者にもわからないことがあるようですねぇ」
その声に紫はその声の主を睨むと
「一体何しに来たの?
そう呼ばれた妖怪は長いオレンジの髪、縁無しの眼鏡をかけていた。服装は浴衣のような服であった。
「いえいえ、べつに貴女の顔を見に来たと言うことではだめですか?」
「去りなさい。私は貴女の事を一切信用していないの」
「ひどいですねぇ。せっかくの貴女との仲じゃないですかー」
「·······」
「あらあら、怖い怖い。仕方ありませんね。今回は帰りますか」
靑蓮はそう言って後ろを向いた。すると突然、スキマ空間に“穴があいた”。
「それではまた会いましょう。紫さん」
靑蓮はそう言って穴の中に入っていった。しばらくしてその穴はふさがっていった。
「······」
紫はそこを無言で見つめていた。
■◆■◆■◆■◆
ーー博麗神社
「うめー!お前の妹の料理美味いな!」
「当然でしょ私の妹よ」
「フフフ、魔理沙さんももっと食べて下さいね。まだありますから」
「おお!じぁお言葉に甘えて」
魔理沙達は夢命の料理に舌鼓をうっていた。肉じゃが以外にも作っていたのだ。そうして話をしながら時間は進んでいった。
ーー数時間後
魔理沙も帰って夜もフケた頃、神社の縁側に一人の人影が見えた。夢命だ。夢命は月を眺めている。
「·····」
すると、
「ゴホ!ゴホゴホ」
咳をしだした。そして、
「ゲホォ!」
血を吐いたのだ。夢命はヒゥー、ヒゥーとする息を整え、手に付いた血を見ると
(もうちょっともってくださいよ。私)
夢命は手に付いた血を洗い流すと寝室に戻った。
そして、神社には静寂しかなかった。
という訳でタグに書いたとうりオリキャラ多数です。異変一つで一人、二人のオリキャラを出す予定です。読んでくださった方々ありがとうございました。早めに投稿できるよう頑張ります。良ければ感想もお願いします。
ではまた。
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紅霧異変
異変の始まり
では、どうぞ
ーー同日
ここはある湖の奥にある大きな館。幻想郷では珍しい洋風建築であった。さらに変といえばその館はどこを見ても紅いというところだ。その館の中の一つ、そこはどこを見ても本だらけでまさに大図書館というところだった。そこで何人のも人影があった。
「いよいよね」
その一人、小さな幼子だった。だが、ただの幼子ではなかった。爪は長く尖り、背中には蝙蝠のような翼までついていた。彼女は少し腹が立っているようで
「あの胡散臭い妖怪のいいなりってのはちとしゃくだけどいいじゃない今回はやってあげるわ」
少女は周囲を見回し一人づつ声をかけていった。
「咲夜」
「はい、お嬢様」
一人はメイド服を着た銀髪の女性
「明日から大変だが大丈夫か?」
「はい、私はお嬢様とともにあります」
それを聞くと彼女はくつくつと笑った。
「そうか、なら大丈夫だな。美鈴!!」
「は、はい!」
もう一人は中華服とチャイナドレスを合わせたような服を着た赤い髪の女性
「お前はここの一番手だ。しっかり頼むぞ」
「はい、頑張ります‼」
そうやって力強く答えた。
「パチェ」
「なに?」
ナイトキャップをかぶりパジャマのようなのを着た女性に話しかけた。
「フランの様子はどう?」
「大丈夫よ、地下で大人しくしているわ」
「そうか、なら大丈夫か」
少女はもう一度全員を見ながら後ろを向くと
「さぁ!お前達!!」
そして、強く言い放った。
「この私、レミリア·スカーレットの威厳をこの幻想郷に知らしめてやろうでわないか!!」
少女、レミリア·スカーレットはそう強く宣言した。
「·····そのためにも」
レミリアは横見ると
「そのためにも、頼むぞ···“ミリア”」
横にいたのは先程呼ばれた咲夜と同じくらいの背丈をした女性だった。薄い茶色い髪を伸ばし、黒い服を着ていた。だが、一番に目に入るのは背中だ。その背中にはまるで鰐の口のようなものがついていた。
ミリアはレミリアの言葉に
「ええ、わかっているわよ····
翌日、幻想郷は紅い霧に覆われた。
■◆■◆■◆■◆
ーー博麗神社
「それじぁ、行ってくるわね。夢命」
「はい、いってらしゃい」
この紅い霧が発生してから数日が立っており、人里から依頼もあり、ようやく霊夢はこの異変解決に動くのだった。
すると、
「おーい、霊夢〜」
「あら、魔理沙じゃない」
「あ、魔理沙さん。おはようございます」
上空から、箒に乗った魔理沙やってきたのだ。
「おう!おはよう夢命!!てっなんだよ霊夢、まだ出発してなかったのかよ」
「そう言う貴女はどうしたのよ?」
「へへっ、決まってんだろ!私も異変を解決してやろうと思ってな‼」
「あなたが?」
「そいうことだ霊夢、もしかしたら私が先に異変を解決しちまうかもな!じぁあな!」
そう言って魔理沙はふたたび紅い霧の中を飛んでいった。それを見送った霊夢は溜息をつた。
「ハァ、まったくあいつは···」
「····フフッ」
「·····何が可笑しいのよ?、夢命」
「いえいえ、姉さんには良いお友達ができたなと思って」
「何よそれ、こっちは迷惑でしかないわよ」
(そうは見えませんけど、ということは言わないでおきましょう)
「ま、兎に角、夢命」
「はい」
「ここで大人しくしてること。いいわね」
「はい、わかりました」
「じゃ、行ってくるわね」
そう言って霊夢は異変解決のため、紅い霧を飛んでいくのだった。
■◆■◆■◆■◆
「·····姉さん、すいません。私は嘘をつきました」
霊夢が見えなくなったところで夢命は一人つぶやいた。
ーこの異変が始まった頃、神社に手紙が落ちていました。内容はこの幻想郷は新しい決闘の仕方『弾幕ごっこ』、そのルールの内容でした。これが紫さんの言っていた事なのでしょう。そして、何故そのことをこの私に話したのか?それが一番の疑問でした。この私にも出来る事があるのだろうか?手紙を見た時、そのことを考えました。そして、考えた結果が、
「······見届けなければ」
夢命はそうつぶやくと神社へ戻った。
ー紫さんが私に教えてくれたということは何か私にも出来る事があるということなんだと思う。それを何かを考えていました。
夢命は自分の寝室から姉から念の為とくれた護身用の御札を取り出した。
「·······」
それと、自分では編む事のできない真っ白なスペルカードも持っていくことにした。
ー結局思いついたのは、
「さて、どこから行きますか」
こうして博麗の妹、博麗夢命は異変の結末を見るために動いたのだった。
■◆■◆■◆■
ー霧の湖周辺
「う〜ん、やられたのだー」
「よしっ!!」
ここは霧の湖、昼は霧に覆われ全くと言っていいほど視界が悪い。魔理沙は手当たり次第に飛んでおり、この湖周辺を調べようとしたとこで妖怪に襲われ、弾幕ごっこを仕掛けてきたが先程その勝負を制した。
「それじぁ、おい妖怪、なんかこの霧についてなんか知ってないか?」
「え〜!?なんかて言われても、私何も知らないよ!!」
「お、なんだ?また
「ひえ〜、う〜んと···あっ!!そいえばこの先に真っ赤な屋敷があった!」
「屋敷?この先にあるのか?」
(屋敷か···もしかしたらビンゴかもしれないな。しかも···)
魔理沙はもう一度妖怪を見ると心の中でガッツポーズをした。
(そうか、私は勝ったんだ。妖怪に私は勝ったんだ!もしかしたら
「おやおや、はじめての勝利の余韻に浸っているようですねー」
「!?」
魔理沙は声のした方角を振り向くと一人の妖精がいた。若草色の長い髪に途中で渦巻きがある月のような羽、手にはペンとノートを持っていた。魔理沙は急に出てきたこの妖精を警戒した。
「····誰だお前?」
「いやいや、そんなに警戒しないでくださいよ。私はただのしがない妖精です」
「あ!バジル!!」
妖怪はその妖精を見ると、その妖精に抱きついた。
「ふえ〜ん」
「あーあー、ルーミア、見るからにコテンパンにやられたようですね」
「おい」
魔理沙はその妖怪に声を掛けた。
「妖精が私になんの用だ?後、もう一回言うけどお前は誰だ?」
「あ、そういえばそうでしたね。では、自己紹介を」
妖精は抱いていた妖怪を離し、魔理沙を見ると
「始めまして、私はこの子が言ったとうりバジルと申します。まぁ、しがない物書き妖精です。今回、あなたに話し掛けた理由は···」
「······」
「単なるネタ探しです」
「ハァ?」
魔理沙はそんな理由かよとつい思ってしまった。
「ネタ探しって何で?」
「先程もゆったとうり私は趣味で物書きをしています。ですが最近、いい話がなくてこまってまして、しかし!今、この紅い霧が、異変が起こったとき解決しにやってくる人がいる。その人を取材しようかな、と思いまして」
「つまり、私は」
「はい!この異変初めての第一取材者、そして、弾幕ごっこの初勝利の感想もついでに」
それを聞いていた魔理沙は思わず溜息を吐き頭を抱えた。
「すまないが、今はそんなことに付き合っている暇はないんだ」
「あら、そうなのですか?」
(そうだ、こんなことをしている間に、あいつに異変を解決するかもしれねぇんだ。またあいつから遠のくかもしれないんだ)
「······」ジー
「そういうことだ。私は行くぞ」
魔理沙は後ろを向いて出発しようとした時、
「···ねぇ、魔法使いさん」
「なんだよ」
「あなた···
「!?」
魔理沙はその言葉に思わず振り返った。
「あなたには追いかけている誰かがいる。今回もこの異変を解決して···いえ、弾幕ごっこではどうだと試したかったから」
「······」
「どうです?あってますか?」
「さぁ?どうだろうな」
「あら、そうですか。しかし、うーん」
バジルは魔理沙をじっくりと見ると
「そういう立ち向かっていく姿勢は共感をもてるのですが、私が求めているのとはなにか····」
うーん、と唸っていると突然
「よしっ!魔法使いさんやっぱり取材の話は無しで」
「は?」
「ではっ!!」
バジルはそう言うとどこかえ飛んでいっていった。
「なんだった?あれ」
「さぁ?バジルはいつもあんな感じでよくあっちこっち飛んでいるみたい」
「ふーん····あれ?お前まだいたのか?」
「ひどい!?」
■◆■◆■◆■◆
「きゅー」
「チルノちゃん!」
「ハァ、これで終わりね」
霊夢も飛んですぐに持ち前の勘でこの湖にたどり着いたのだが、すぐにそこにいる妖精に勝負を仕掛けられこちらも霊夢の勝利に終わった。
(こっちは早くこの鬱陶しい霧を止めたいってのに··)
霊夢は心の中で愚痴りなからも先へ進もうとしたが
「すいませーん、あなたが今の博麗の巫女ですかー?」
ビュン!!
「うおっ!?」
霊夢は近づいてきた妖精に光弾を放ったが、妖精はそれをぎりぎりで避けた。
「な、何するんでか!?私、何もしてないでしょう!?」
「あんたも妖精でしょ?私に襲ってくるなら先手必勝」
「そうじゃなかったら?」
「その時はその時」
「ヒドっ!?」
「で?敵じゃないて言うなら、あんたは何?」
「あ、そうですね。まずは始めまして私はバジルと申します。当代の博麗の巫女に取材をしようかなと思いまして」
「ふーん、嫌よ」
「そ、即答ですか···。理由を聞いても?」
「面倒からに決まってるじゃない。しかも初対面のやつに取材とか云われても怪しすぎるじゃない」
「まぁ、ですねよ。これならさっきの魔法使いに取材したら良かったですね····まぁ、やめたの私ですけど」
「魔法使い?」
「おや?お知り合いで?」
「ええ、そうねよ。あいつもこの近くにいるのね。あいつも、いきなり解決しに行く言って来るんだから一体何かと思ったわよ」
「······なるほど」
「なにか言った?」
「いえ、合点がいったと思いまして」
「?」
「こちらの話です。それじゃあ私はここで、異変解決頑張って下さいねー」
バジルはふたたび紅い霧の中を飛んでいったのだった。
「·····変な妖精」
そう霊夢は呟いて、バジルとは違う方角ヘ進んだ。
■◆■◆■◆■◆
「うーん、なかなかいい人が見つかりませんねー」
バジルは新しい話のネタを探すためにこの霧の中を飛んでいるのだが、見つけたは見つけたのだか二人とも取材を断られしまった。ので、他に誰かいないかを探している途中なのだ。
「おや?」
バジルは地上に人影を見た。しかし、
(あの服装は····)
そう、服装が問題なのだ。あの紅白の服、先程の巫女、博麗の関係者かなにかということはひと目で解った。バジルはそれが解ると、ニッと笑いながら
「取材対処発っ見ー!、という訳で突撃ー!」
■◆■◆■◆■◆
「ここが霧の湖···」
夢命は湖の入り口前まで来ていた。ある
ー姉さんはもうすでに元凶の元にだどりついているかもしれませんね····私も急がなくては。
夢命は先に進もうとしたその時
「すいませーん!そこのあなたー!」
「?」
空からに声が聞こえたので見上げると、一匹の妖精がコチラへと飛んできたていたのだ。
これが、夢命とバジルのはじめての出会いだった。
お気に入り登録してくれた皆様ありがとうございました!
感想、誤字脱字の報告ありましたらよろしくお願いします。
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夢命と物書き妖精
やっと新しい話が出来上がりました。一回止まると全然進まないで他の作品を漁ってしまう事実、こんな僕を叱ってください。
ではやっと出来た第3話です。ではどうぞ。
霧の湖の森を奥深く進むと、そこには紅い大きな屋敷が建っていた。その屋敷は壁一面が紅いというかどこを見ても紅いのだ。これを建てた屋主はなかなかの悪趣味と言える。そして、その屋敷を上空から見ている二人の影、紅白の巫女服と白黒の服と大きな帽子を被っている少女達、霊夢と魔理沙達だ。
魔理沙は弾幕ごっこで勝った妖怪の情報を、霊夢は自身の直感でここまで来た。合流したのは先程だ。
「しっかし、本当に紅いな。見てると目に悪いぜ」
「本当にね。まさかここまで紅いとは思わなかったわ····まさにあの本の通りね」
“あの本”、その言葉に魔理沙は反応した。
「ん?なんだよ霊夢、お前この屋敷があったの知ってたのかよ」
「ええ、うちの神社にはね、歴代の博麗の巫女の歴史が書いてある書物があるの」
「そんなのあるよかよ、ずいぶんと物好きな奴もいるんだな。しかも、代々と」
「ええ、しかもその一つ一つが何が起こってどう解決したかっていうのも最後まで
「ふ〜ん。でそこにはなんて書いてあったんだよ?」
「確か私の先代巫女の時に外から来た妖怪みたいで吸血鬼みたいよ。その時にも何か揉め事起こしたみたいよ」
「吸血鬼とはまた大層なのがいるんだな。またその吸血鬼が懲りずに異変を起こした訳か?」
その質問に霊夢は首を振った。
「いえ、多分違う」
「違うって、じゃあ今回の件は吸血鬼の仕業じゃ無いって事かよ」
「そうじゃない、吸血鬼の仕業てっのは確か。でも、
「前の····なんでそんなこと分かんだよ」
「····勘よ」
「勘かよ!···まッ、博麗の巫女の勘だ信じさせてもらうか。でだ」
魔理沙は霊夢から目の前の館に視線を移した。
「この悪趣味な館の攻略だが、霊夢お前はどうする?」
「当然、門から入らせてもらうわ。」
「おいおい、正面からかよ」
「当たり前よ、目の前に入り口があるのになんで別の入り口を探さなきゃならないのよ」
その言葉に魔理沙は呆れながらも
「ヘイヘイ、さすが巫女様でございますね。まっ、私はそれでも別の入り口を探すとするか、急がば回れだ」
「ならココからは別行動ね」
「おう!じゃあな霊夢、ボヤボヤしてると本当に私が解決しちまうゼ〜」
こうして魔理沙は違う入り口を探しに行くのだった。それを見送った霊夢は門を見下ろしていた。
「········」
その顔は先程の魔理沙と話をしていた顔では無い。博麗の巫女としての顔が現れていた。
霊夢は上空から降り立つと、門前に降り立った。そこには一人の女性が立っていた。
紅く長い髪、緑の中華服を着て門の前に仁王立ちしていた。霊夢は気配から妖怪だと悟った。
「ようこそ、紅魔館へ。作戦会議は終わりましたか?」
「別に作戦練っていた訳じゃ無いわよ。見たトコあんたが此処の門番てっとこかしら」
「はい、この紅魔館の門番を任せられていられる、紅 美鈴と申します。······あえて聞きますがこんな所に何用で?」
「博麗霊夢よ、決まってるじゃない。この鬱陶しい霧を出すのをやめさせるのよ」
その言葉に美鈴は
「アハハハ······、やっぱりですか。つまり、あなたがこの異変を解決しに来た博麗の巫女、ということでよろしいですね」
そう質問てきた美鈴に霊夢は、此処が異変の本元だと確信した。
「えぇそうよ。どうやら此処が異変の原因なのは、間違いなさそうね。だからそこの門を開けてくれない?」
すぐ門を開けろ、そんな霊夢の言葉に美鈴は
「それはできません」
そう、きっぱりと断言した。
「私はお嬢様から一人も通すなと言われている。それでもこの門を通りたいのなら·····私を倒して通って下さい」
美鈴は構えながらに霊夢を見ていた。
「·····私とやるの?」
「もちろんですとも、コレで、ですけどね」
そう言って懐から数枚のカードを取り出した。
スペルカードだ。霊夢はそれを見て一つの懸念は消えた。
「良かったわ、新しいルールを守らない野蛮な人じゃなくて」
などと言いながら霊夢は精神を研ぎ澄ませ、戦闘態勢に移行しつつ注意していた。ルールで守られていても相手は妖怪。戦闘経験は向こうの方が上だ。そんな戦闘態勢をとる霊夢に美鈴は楽しそうに笑っていた。
「いいですね、この感じ。さすが博麗の巫女という訳ですか」
「あっそ、ありがとう。御託はいいから始めるわよ!」
「では、私から行かせてもらいます!!」
美鈴は自身のスペルカードを掲げ弾幕を出す。霊夢はその弾幕へと突っ込んでいった。
■◆■◆■◆■◆■◆
『弾幕ごっこ』
それは妖怪の賢者、八雲紫が草案した『人間が神様と同等の強さを発揮できる』決闘法である。妖怪との争いで幻想郷の平和を壊さぬよう創られたのだ。
理念は四つ、
一つ、妖怪が異変を起こし易くする
一つ、人間が異変を解決し易くする
一つ、完全な実力主義を否定する
一つ、美しさと思念に勝る物は無し
以上、この四つである。
そして、この弾幕ごっこで重要なスペルカード、このカード自体はなんの変哲の無いただの紙だ。この紙に弾幕の名前とその名の意味を込めることによって、スペルカードとして扱えるのだ。名を込めるのにそれ程の力はいらない。ほんの少しの霊力を名と一緒に込めればいい。たとえそれが魔力や妖力、つまり自身の体の内側に力さえ込めればスペルカードは出来上がる。
しかし、一人例外もいる。
それは誰か?そう、現博麗の巫女、博麗霊夢の妹、博麗夢命だ。彼女は前にも言ったとうり体内の霊力が少ない、だとしてもそれでもせいぜい、スペルカードの数枚少なくなるだけだ。ではなぜか?原因は幼い頃、彼女が病で倒れたことにある。死にかけの彼女の体自身が元々少ない霊力を体の治癒に回したせいなのかもしれない。それが原因で無くても要因であるのは変わりないであろう。それにより彼女の体内の霊力は極限まで少ない。それも、スペルカードを一つも使えないぐらいに。そして、その夢命は今、
「取材····ですか」
「はい!この紅い霧の原因を解決しに来た人達に是非取材をと思いまして」
霧の湖の近くの森の入り口で夢命はある妖精に止められていた。この森の中へと入ろうとした時、「すいませーん!」という大きな声が聞こえ、空を見上げると紅い霧の中にこちらへ飛んでくる物体が見えた。無命はそれは妖精だと察した。この霧の湖には多く妖精がいると聞いたことがある。妖精はいたずら好きで森に入って来た人達にちょっかいをかけることがある。もしも、その妖精から弾幕ごっこでも仕掛けられたらこちらにはスペルカードが無いので問答無用で仕掛けられたら手も足も出ないことはわかっている。なのでこの場をどう切り抜けるか警戒しながら考えていたのだが、
「取材よろしいですかー!」
「·····はい?」
そして、今に至る。
「まぁ、良いですけど···-」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
妖精は夢命からの了承を聞いてそれ程嬉しいのか、辺りを飛び回っていた。その妖精の様子を見ていた無命としては
(私が此処に来たのは、異変を解決しに来たのではなくて、解決していくのを見届ける為ですが。しかし、不思議な妖精です)
夢命は目の前にいる妖精を不思議に思っていた。聞いた話、妖精とは本来、自然が生み出した象徴だ。自然が存在する限り妖精は何度で蘇るだろう。そして、妖精は自由であり、遊びや悪戯が大好きだ。それに妖精の自我というのも薄いものであり、あったとしても幼い子供のように無邪気だろう。
しかし、この妖精は違う。しっかりした自我があり、襲ってくるではなく話し合いを求めてくる。本を書くなど聞いたことが無い。そして何より、この妖精の雰囲気は無邪気な子供などではなく、まるで落ち着きまたを持った大人のようだった。それ故、夢命は不思議だった。何故にこの妖精はこんなにも大人のような雰囲気があるのか?聞いていた話、本に書いてあった印象と全然違うでは無いか。この妖精は一体何なのだ?
夢命は深く考えていた。だが、妖精の次の言葉に反応し、思考の海から引き上げられた。
「しかし、こんなに素直に受けてくれるなんて
「!!」
今この妖精は何と言った。さっきの巫女?巫女なんてこの幻想郷に一人しかいない。
「·····姉さんに会ったんですか?」
「···ほぉ?」
妖精も夢命の「姉さん」という言葉に興味を示した。その顔はまさに、いいネタが出てきたという嬉しそうな顔だった。
「答えて下さい。いつ姉さんに会ったんですか?」
「紅白の巫女服を着ているからもしかしたら、と思っていましたが····まさか」
「はい、当代の博麗の巫女、博麗霊夢は私の姉です」
「アハ、ハハハハハハ!!ああ、私はなんて運が良いんでしょう!?まさか博麗の巫女の関係者と出会えるなんて、しかもその妹!?ああ、今日の私は本当に付いてる!」
夢命は驚いた。私が姉さんの妹と知った途端、この騒ぎようなのだ。もしかしたらさっきの大人びた雰囲気というのは私の勘違いだったのも知れない。一人で騒いでるのもようやく落ち着くと
「フゥ···すいませんね、つい舞い上がってしまいました。で、その博麗の巫女の妹が異変真っ最中に何をしているんですか?」
「私は·····この異変の終わりを見届けたいんです」
「終わり?」
ーそうだ·····私はこの異変を最後まで見届けたいんだ。それが私なりの出来るだと思う。
その言葉にその妖精は目を細めていた。
「見届ける為、ですか·····そうは言いますがあなたは自分の立場がわかって言っているんですか?」
妖精は無命をジッに眺めていた。それはまるで、夢命を見定めるような目だった。そんなことが出来るか?そんな目だった。それに無命は飲み込まれかけた。
「あなたは博麗の巫女である霊夢でしたっけ?その霊夢さんの妹だということを、この異変を見届けたとしてもまた新しい異変が起こってしまう。確かに幻想郷はスペルカードのお陰で人間は解決しやすくなった。しかし、もしこのルールを守らない物が出てきたら?もしあなたを見つけ、あなたを人質に取り、異変解決の妨げになったらどうするですか?博麗の巫女の妹、という立場がわかってますか?」
「····ッ!!」
言葉が詰まる。そうだわかっていた。確かに私は姉さんの妹だ。博麗の妹だ。私自身自覚は無いがその立場がどれだけ危険なのか、しかも私には力がない。もし言われたとうり、人質にも取られたら私は足手まといだろう。そんな私が異変の最後を見届けたいなんてどれだけおこがましい事かも、
「·····それでも」
「?」
「それでも、私は!」
ーそうだ。それでも私は····
「それでも、私はこの異変の結末を見てみたいのです!」
「·······」
「確かに私が見つかれば足手まといになるかもしれない。姉さんになんて言われるか。でも!これは私が決めた事なんだ!私自身がやるべき事だとと決めたんだ。自分自身でこうすると決めたんだ。だから私は最後まで見届けたいんです!!」
ーそうだ。私は見届ける為に此処へ来たんだ。危険な目に合うなんて当たり前じゃないか。
「····もし人質に取られたら?」
「決まってますよ、そんなもの」
ーそんなもの
「舌でも噛み切ってやりますよ」
ー当たり前だ。それくらいしないでどうする。だからこそ私はそれくらいにまで
「『覚悟』した意味がないじゃないですか」
「······す」
「す?」
妖精はいつの間にか俯き、小さく震えていた。
「素晴らしい!!!」
「のわ!?」
そして、一気に顔を上げ、一瞬で夢命のまで接近してきたので思わず尻餅をついて知っまた。
「自分が非力なのを認め、邪魔に生ってしまうのではないか。しかし!それでもなお自分の我を押し等す気の強さ、そして何より、その覚悟!!なんて素敵でしょう」
「は、はぁ」
妖精から出てくる言葉の数々に思わず、呆然としてしまった。
「そうだ!名前を聞いていませんでしたね。あなたのお名前は?」
「は···博麗··夢命です」
「博麗夢命、覚えましたよ。私の名は『バジル』覚えておいてくださいよ。所で無命さん!」
「は、はい!?」
急に大きな声を出したりと夢命はバジルのテンションに追いついて行けていけないようだ。
「私の本の主役になりませんか!」
「ほ、本ですか?」
「はい!私はあなたの成してしてみせようとする心、そして、その覚悟に心打たれました。ですので私はその生き様を本にして書いてみたいのです。どうですか!?」
「えっ、えっと····」
正直言って、自分の人生を本にされるなんて小っ恥ずかしいにも程がある。でも·····
「良いです····よ?」
断る理由もないのだか、でもよくわからなかったので思わず疑問文になってしまったが
「よっしゃー!言質取りましたよ!?ああ、コレでまた執が進みますよー!」
バジルは再び空を飛び回っていた。それは先程よりも本当に嬉しそうに、夢命はバジルのその変わりように呆然しっぱなしであったのであった。
「あ、そういえば夢命さん、姉さんを追っているんですよね?良かったら私が案内しましょうか?」
「!···ほ、本当ですか!?」
無命は案内してくれるという誘いに思わず食いついた。
「もちろんですよ、何より私の本の主役なのですから、行動を起こしてくれないと面白くないじゃないですか」
「あっ、やっぱりですか」
だとは思っていた。でもこれはラッキーだ。まさか道先案内人(この場合だと妖精か?)が出来るかなんて思って見なかった。
「····もちろん、よろしくお願いします」
「えぇ、任せてくださいよ、夢命さん!」
そう言って胸を張るバジルだった。バジルは方向転換をして森の奥へと無命を手招きをする。
「さぁ、行きますよ、夢命さん」
「はい、お願いしますよ、バジルさん」
そして、夢命は森の中へと入る。
夢命とバジル、本来いない筈の二人、この二人····いや、夢命がこれから起こる異変にどんな影響を与えるのか、結末をどう変えて行くのか、最初の紅い霧はそんなことを覆い隠すように幻想郷を包んでいた。
最近、スパロボが新しいのが出るのですが私がPS4とか持っていないのでできません。····チクショウ。(スマホ版は事前登録しましたが)
次回は夢命が靑蓮と出会い、紅魔館に到着します。そして、ミーリアとの接触してしまうのですがどうなるのやら、ちなみに、ミーリアの服装はEXルーミアの服装を思っておいてください。ではまた。
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吸血鬼と妖怪の話
こうしてやっと投稿することができました。いるかわかりませんが待っててくれた人は申し訳ありません。
ではどうぞ
此処は紅い館のある一部屋、部屋の中は見た限り、どの家具も一級品ばかりでこの館のこだわりがわかるだろう。しかし、この部屋は少し違う。裁縫ミシンはまだいいだろう。きっとこの部屋の主の趣味だろうが、これはそうは行かない。何と部屋の端に置いてある作業台だ。ペンチやドライバーなどが置いてある作業台など明らかにこの部屋にミスマッチだろう。更には、その台の隣には何処から掻き集めたのかガラクタの山が築いてある。箱に入っているとはいえ明らかにこの部屋とは合わない。
・・・・モゾ
すると突然ベットの上掛けが動いた。どうやらこの部屋の主はどうやら睡眠中のようだったらしい。
「・・・・・」
ゆっくりとベットから顔を上げ、その顔を出した。薄い茶色の長い髪、綺麗に整った顔立ち、背中には鰐の口のような羽とも言えない大きな物、そう、あの時あの地下の図書館で“ミリア”と呼ばれていた者だった。ミリアはベットから降りるとクローゼットから白いワイシャツ、黒い制服風の服を取り出すとそれに着替えていると、
コンコンコンコン
「ミリア様、失礼します」
そう言って入ってきたのは白いワイシャツに青のフリル、三つ編みをした髪にカチューシャをした姿、それはまさにメイドそのものだった。しかし、その姿はコスプレなどではなく、まさに瀟洒という言葉が相応しかった。
「おはよう、咲夜」
彼女は十六夜咲夜、この館で唯一の人間であり、この紅魔館のメイド長でもあるのだ。
「おはようございます」
咲夜はその言葉に軽く一礼をした。その姿でさえとても様になっている。
「····ところでミリア様?」
「ん?何?」
着替え途中のミリアは咲夜の問い掛けに後ろを向きながら聞き返した。
「昨日は何時にお寝になられたのですか?」
「・・・・・・」
その言葉に思わず着替えている手を止めてしまった。
「まさか、
「ち、違うんのよ」
咲夜は少し呆れた反応であり、そんなミリアにあわてて弁解した。
「本当は早めに寝ようとしてたのよ。でも、あれが後もう少しで直りそうだったからつい·····」
チラッと作業台を見たので咲夜も見てみると、確かに作業台の上には小さな置き時計が秒針を小さく音をたてながら進めていた。どうやら時計を直す為に徹夜をしたらしい。さらに、咲夜の反応をみるとこれが初めてでは無いらしい。
「ミリア様、前にも言いましたが、ご趣味であらせられるお分かりになりますがあまり度を越えてはいけないとお嬢様にも言われたではありませんか」
「いやいや、決して度を越えてるほどはしてないよ?決して徹夜した訳じゃ無いんだし、ちょっーと時計の針が12時を越えて差してたぐらいだし」
「それでも充分遅い位です!」
「あっ!そういえばどうなの?こっちにやって来たの、博麗の巫女って」
「ミリア様・・・はぁ。」
ああ言えばこう言い返すミリアに咲夜はため息をつきながら、またこのパターンか、などと心の中で呟いていた。前にもミリアにこの件で注意した事があるのだが、その時にものらりくらりと流され、はぐらかせられるので曖昧になってしまった。
(本当、この方はこういう時には口が上手いですね)
まぁ、それがこの人の凄いところですけど、なんて思っていることをおくびにも出さず咲夜は聞かれた事に答えた。
「はい、どうやら博麗の巫女はようやく動き出したようです。もうすぐ門前まで到着するようです」
「あっ、やっと来たの?ずいぶんと遅い到着だね、紅い霧出したのいつだっけ?」
「丁度、3日前だったと思われます」
「ようやく博麗の巫女も重い腰を上げたって感じだね。やっぱり咲夜も戦うの?」
「時と場合によってはそうなります」
「そうだよね。まっ、本当の殺しあいなんかじゃなくて弾幕でだけどね。どおなの?自信の方は」
「そうですね····、パチュリー様などにも色々と手伝っていただきましたからには全力を尽くす所存です」
「ウンウン、気合いは充分そうだね」
すでに着替え終えたミリアは満足はそうにうなずいた。
「あぁ、楽しみだわ。幻想郷に新しく出来た決闘法「スペルカード・ルール」、そのルールを使った初めての異変が私達だのも楽しまなくちゃ」
ミリアは踊るようにクルクルと回りながら咲夜に背を向けていた。彼女の言葉はは嫌みでも何でも無い、本当に楽しみにしているのだ。これから始まる新しい決闘法を、ミリアの姉レミリアは、妖怪の賢者八雲紫に利用されるみたいで不機嫌そうである。しかし、ミリアにとってはそんな事は関係無い。彼女は新しい物が大好きだ。だからこそ、これから始まる「スペルカード·ルール」を誰よりも楽しみにしている。咲夜はこんなにも楽しそうにしているミリアを見るのは久しぶりだった。だからこそこんなにも楽しみにしている人がいるからこそ、頑張らないといけない。咲夜は改めてそう思い直した。しかし、
「・・・・・ところで」
その時、ミリアの気配が変わった。
「姉さんはなんて言ってた?」
背を向けていたミリアはゆっくりと咲夜を見た。
「・・・・ッ!!」
咲夜は思わず怯みそうになってしまった。ミリアの顔は先ほどの新しいオモチャにはしゃぐ子供のような顔ではなく、無機質な冷たい瞳をした顔になっていたのだ。その瞳は暗く深いものであった。
「今回もそれでこの私の部屋に来たのでしょ?」
そうだ。確かにそのとうりだ。咲夜はミリアの姉であるレミリアにある伝言を頼まれた。今回の異変、それに纏わるものだ。
「はい、確かにお嬢様からミリア様へ伝言を預かっております」
「・・・・・」
ミリアは咲夜の次の言葉を待っていた。その顔はある種の期待、そして、諦めの色が見えていた。そして咲夜はゆっくりと伝言を伝えた。
「・・・ミリア様はこの異変には関わらず、部屋で待機しているように、だとの事です」
それが姉、レミリアからの伝言であった。それを聞いたミリアはフラフラとベッドに座りこみ俯きながら
「・・・そう」
たったこの一言だけであった。いや、むしろ最初から知っていたかのような落ち着きようだった。先楽しそうであった表情は消え失せ、完全に諦めたような様子であった。
「そうよね、なんとなく分かってた。姉さんだもの、そんな事を言うなんて最初から分かってた。相手は人間だもの、私達と同じような人外ではない。そうよ、私自身は楽しんじゃいけないのよ、私って力加減が不器用なんだからもしかしたら・・・・」
ぶつぶつと俯きながら呟いていたミリアは顔を上げ、咲夜を見て、
「殺しちゃうかもしれないもの」
そう言う彼女の顔は明らかに嗤っていた。咲夜はその顔に何も言わなかった。いや、言えなかった。ミリアの嗤っていた表情に釘ずけになり思わず固まってしまった。
「・・・・アッ!ごめんなさい、なんか変な雰囲気になったわね」
ハッとしたミリアの気を取り直しての言葉に咲夜も正気に戻った。
「い、いえ、そんな事はありません」
「そう?まぁ待機、ていうのは残念だけど、私も陰ながら応援させてもらうわ」
「はい、その声援に答えられるように頑張ります」
「フフッ、そうね頑張ってちょうだい。メイド長さん♪」
「・・・はい」
ミリアの先の雰囲気はなくなり、最初の柔らかい雰囲気に戻っていた。咲夜もささやかな声援に少しだけ微笑んでいた。
「では私はこれで失礼します」
「あら、もうなのね。それじゃあ頑張ってちょうだいね、咲夜」
「はい、ミリア様」
そうして咲夜は部屋を後にした。
・・・・ガチャ、
ドアを閉めた後、部屋に居るのはミリア一人だけ、
「・・・・・・・・」
静かになったミリアの部屋は直した置き時計の秒針の針の小さな音だけがなり響き、ミリアはその置き時計をじっと見つめていた。
その顔は咲夜と話していた時の笑っていた面影などなく、ただ表情そのものが剥がれ落ちたようなものであった。
カチ、カチ、カチ、カチ
ただただ秒針の針がなり響き、ミリアはそれを見つめるだけであった。
■◆■◆■◆■◆
一一霧の湖
ここは霧の湖周辺の森、この森は霧に覆われ、普通ならば濃い霧のせいで先を見通しが悪く、さらに鬱蒼とした森なので一度中に入ってしまえば迷って餓死するのは確定だ。
・・・・のはずなのだが
「なるほど、小さい頃に重い病に掛かった影響で霊力が極めて少なくなり、病弱になってしまったと・・・・難儀な体ですねー」
「確かにそうかもしれないですけど私自身はその事に関してはあんまり気にはしていません」
「ほほう?その理由は?」
「確かにこの体は不自由で仕方ないですがどうしようがこの体と付き合っていかなければならいからです。どれだけ怨み言を吐こうとも元に戻る訳じゃありませんから、だから私は気にはしません」
「・・・・ずいぶんサッパリとした考え方ですね。こんな幼い子が言う事では無いですよ。まぁそこが良いんですがね」
などと話をしながら霧の中を進む一行、夢命とバジルだ。先ほど出会った二人は夢命を本のモデルにして良いかというものを思わず大丈夫ですがと答えてしまった。そのお礼に紅魔館まで案内してくれるとの事で今はこうして歩いているのだ。その間にもバジルから様々な質問をされた。これまでにどんな出来事があったか、姉との仲はどうか、など洗いざらい言わされた。
「・・・・・・」
夢命は足を止め、メモ帳に書き込んでいるバジルを見るとゆっくりと口を開いた
「・・・バジルさんは」
「はい?」
「何故、物書きなど始めようと思ったのですか」
前々から聞きたかったことだ。本を書く妖精、この時点であり得ないことだ。バジルは夢命の姉、霊夢にも会ったと言った。つまり、この異変の解決に来た人達にこうしてネタ探しの為に話回っているというのだ。はっきり言って異常だ。自然から生まれる妖精が本を書き、こうして様々な情報を聞いてくる。あまりに妖精らしからぬ行動は人間に近いものであった。
だからこそ夢命は気になるのだ。この妖精バジルは何故本を書くのか、その理由を知りたいのだ。
「ンー・・・本を書く理由ですか」
バジルはメモ帳から目を離し、ペンを顎に当て考え込んでいる。その姿を夢命はその回答を待っている。その回答は
「何でしたかね、もう忘れちゃいましたよ。何せ、もうこうやって物書きを始めたのも何年も前ですから」
というものだった。
「・・・・忘れちゃったんですか?」
「ええ、忘れちゃいました。確かに物書きを始めた理由はありましたがその理由がなんだったかは覚えていませんよ」
「そう・・・なんですか」
「はい、そうですね。まぁここまでやって来たのも単なる趣味だからこそでもありますが」
「・・・・・」
〈忘れた〉まさかそんな答えがかえってくるとは思いもしなかった。妖精というのは見た目と違ってとても長寿なのだ。もしこの妖精、バジルがとても古くから物書きを始めたというのならば確かに忘れるといのにも納得ができる。
無言でいた夢命の様子を見ていたバジルは何か察したらしく
「アー・・・もしかして、私が
「・・・・・ッ!!」
図星だ。まさにその通りの事をバジルに期待していた。そこまでではないが、期待していたのはたしかだ。夢命は自分の頬が熱くなるのを感じながら話題を反らす為に、もうひとつ気になる事をバジルに聞いた。
「バ、バジルさん!」
「はいはい、なんですかな?」
「バジルさんはこの異変の首謀者をどう思いますか?」
「どうして私にそんなこと聞くんです?私はただの妖精ですよ?」
「私の家、博霊神社には初代から先代までの歴代の巫女、その生涯を綴った本がおいてあるのです」
「歴代の巫女の生涯を書いた本ですかこれはまた魅力的な物があるもんですね」
「その本は昔から巫女の生涯、その時代の巫女の役を降り、亡くなるまでが書かれいつの間にか本棚に置かれています。私の母、先代の巫女に一回聞いてみたのですが自分にもわからないそうでした」
「へー、ですがその本が私に聞く事と何の関係性があるんですか?」
「・・・・その本の一つ、先代がまだ博霊の巫女であった頃の時代です。その頃ある怪物が結界の外からやって来ました」
「・・・・・吸血鬼ですか」
「そうです。その吸血鬼は自分以外の眷族を連れ、自身の屋敷ごと転移してきたそうです。その吸血鬼はただ幻想郷に移住しに来たのではなく、侵略し支配を目的としていました。それを察知して妖怪の賢者である八雲紫と博霊の巫女は首謀者の吸血鬼を打ち倒し、目論見を阻止しました。この出来事は本の中ではこう記されていました」
《吸血鬼異変》と
「吸血鬼異変ですか・・・なかなか良いネーミングじゃないですか」
「前置きが長くなりましたね。では、バジルさんに聞きいた理由は次からです」
「お、ようやくですか」
「改めて聞きます。バジルさんはこの異変の首謀者を物書きである観点からはどうお考えになりますか」
物書きという観点から異変の首謀者は誰か、もし同じ吸血鬼だというのなら、前の異変で倒されたはずだ。ならばこの異変の首謀者は誰なのか?情報が少ない、私にはわからない事が多すぎる。
「物書きとして・・・・ですか、実は私も、もうすでにある程度の予想はつけています」
バジルは森の中のある方向を見つめた
「・・・・・」
夢命にはこれから進む方向だというのに気がついた。
「この方向を真っ直ぐ進むとこの紅い霧が出る場所、首謀者の本拠地です。しかし、」
バジルはゆっくりと語り出す。自分の考えを
「その場所は先代の巫女にやって来た吸血鬼の屋敷でもあります」
「!!」
目を見開いた。やはりこの紅い霧は吸血鬼の仕業だというのか、でも
「はい、夢命さんが思っているとうり、その吸血鬼は前の異変で倒されました。では今回は誰か?ここからは
バジルはそう言いながら夢命にゆっくりと向き合った。
「もし、私がこの話をストーリーとして出すのなら、改めて前の吸血鬼を復活させ、復讐するために異変をおこす。あるいは・・・・」
「その吸血鬼の血縁関係にある誰かですかね~」
「「!?」」
突然と森に響く女の声、夢命とバジルは警戒し周囲を見回すが鬱蒼と生い茂る森が見えるだけだ。
「こっちですよ、こっち、上を見てください」
また声がする。夢命は言われる通り、ゆっくりと上を見上げ、そこにいたのは
嬉しそうに笑いながら手を振る眼鏡をかけた少女が木の枝に座っていた。
「ッ!!」
即座に夢命は神社から持ってきた札を懐から出そうとした。突然現れた得体のしれない妖怪に効くかどうかは不明だが逃げられる時間は稼げるだろう。
「あー、ストップ、ストップ、私は話をしに来ただけですよ、だからそれを仕舞ってください」
しかし、それを察したのか止めに入る、当然夢命はそんな事では構えを解くつもりはない。それを察したか妖怪は面倒そうに頭をかきながら
「そう簡単に警戒を解くつもりはないですか、まぁ当たり前ですよね。ですが安心してください、私はあなた方を襲うつもりもありませんし、むしろ貴女にとってメリットしかありません。だから話だけでも聞いてくれませんか?」
・・・どうする?ああは言っているが、正直言って胡散臭い、臭すぎる。やはりここは逃げるか、などと考え札を投げつけようとしたその時、
「話だけでも聞いたらどうです?」
バジルは夢命の耳元で小さく声を掛けた。夢命はバジルを横目で見ながら今の言葉を聞き返した。
「・・・本気で言ってます?」
「ええ、私は本気ですよ」
「あの妖怪、正直言って胡散臭いです。何か油断させて襲うのでは」
「大丈夫ですよ、その時は私がなんとかしますから」
なんとかする。妖精であるバジルにどこからそんな自信が出てくるのか、そんな事を問いただしてみたいが、今はその自信に賭けて警戒を解くことにした。
「・・・・わかりました。話だけでも聞きましょう」
「おお!わかってくれましたか、嬉しい限りです」
妖精は大げさに手を合わせて喜んだ。
「待ってくださいね、今そちらに降りるので」
妖怪はよっ、と木の枝から飛び降りると宙をゆっくりと下へ降り地に足を着けた。
「ご理解いただき、ありがとうございます。あっ、自己紹介がまだでしたね」
妖怪は夢命と目を合わせ、なんとも怪しい笑みを浮かべながら
「私の名前は青蓮、貴女達にとってとっても良い話ですよ」
誤字脱字、話の展開の疑問など感想、よろしくお願いします
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