がっこうぐーる (オコSunday)
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探検前日

汚れっちまったこの世界。

夢も希望もありません。


とある日のお話。

 

「ぐでぇ〜・・・」

 

平日だとゆうのに俺は家の中でのんびりゴロゴロしている。

 

「えいっ」

「おふぅ・・・」

「えへへ、ぐてー♪」

 

そして気持ちよくゴロゴロしていた俺の上にダイブしてきた幼女が1名いた。なにが可笑しいのかは知らないが、俺の顔を確認するなりニコニコしながら体に顔をうずめる。まるで犬か猫だな。

・・・・・・ちょっと待とうか。とりあえず言いたいことは分かる。だからまずはその手に持った携帯電話を床におろしたあとに手を頭の上に乗せてくれ。話せばわかる(必死)

 

ゴホン・・・・・・。

 

説明しよう。この子は“るーちゃん”。本名は不明。理由はこの子がそれしか覚えてなかったから。ちょっくら物資集めがてらに近くの小学校へ探索していたら、とある教室の掃除用具倉庫から小さい悲鳴のような声が聞こえたので、開けたら小学校高学年くらいの女の子が涙を流しながらがくがく震えていた。その子がるーちゃんだった。

そして俺が“かれら”ではないと理解した瞬間抱きついてきて大泣きし始めたのでその場でじっとしている訳にもいかず、仕方なくるーちゃんをあやしながら我が砦である自宅へとお持ち帰りした所存である。

 

まぁ、仕方がないと言えば仕方ないし、無理もない。

──パンデミックにより蠢く屍達(かれら)が蔓延した絶望の世界なのだから。

 

▶▦◀

 

 

るーちゃんを(仕方なく)保護してから3日が過ぎた。

 

「おじちゃん!おじちゃん!」

「ん?どうした?」

「私、お姉ちゃんに会いに行きたい!」

 

アイツらが蔓延している中、日々の癒しである音楽(JPOP)を携帯電話で聞いていた時、るーちゃんから驚きの事実を聞いた。

 

「え?るーちゃんにお姉ちゃんいたの?」

「うん!ゆーりお姉ちゃんってゆうの。すっごく優しいんだよ」

「もしかして今思い出したかんじ?」

「うん!」

 

なんてこった。と思わず額に手を当てる。

危惧はしていたが、人探しイベントがこうも早く来てしまったとは・・・・・・。しかし外がこの状況だ。生き残っている確率はゼロに等しい。むしろアイツらの仲間入りしている方が・・・・・・いや、野暮なことは考えないようにしよう。

 

「お姉ちゃんの事を思い出したってことはるーちゃんの家の場所も思い出したのかな?」

「う〜ん・・・・・・、わかんない」

「あらま」

 

思わず脱力した。

 

「でもお姉ちゃん“めぐりがおかこーこー”って学校に通ってるって聞いてたの覚えてるよ!」

 

『めぐりがおかこーこー』?・・・・・・もしかして“巡々丘学院高等学校”のことか?確かにるーちゃんがいた鞣河小学校からもそこまで離れてない所にあったはず・・・。なによりその高校以外に思い当たる場所がない。

・・・・・・しょうがない、ちょっくら物資調達にでも行こうかね。

 

「なぁ、るーちゃん。明日・・・・・・一緒に探検しに行こうか」

「…どこに行くの?」

「るーちゃんのお姉ちゃんがいるかもしれないところ」

 

その言葉を聞いたるーちゃんは目を輝かせた。

 

「いく!いきたいです!」

「じゃあ俺との約束だ。外にはこわーい人達がいるかもしれないけど泣かずに我慢できるかな?」

「・・・・・・うん、ガマンする!だっておじちゃん強いもん!おじちゃんが守ってくれるから平気だもん!」

「そうか・・・・・・、じゃあ俺もるーちゃんを守らないとな」

 

そう言ってるーちゃんの頭を撫でると、るーちゃんはくすぐったそうにわらった。俺もつられて笑顔になる。

 

「よし、じゃあ今日はもう遅いし明日にするか。ご飯の準備するから、るーちゃんはお皿出してて」

「はぁ〜い!」

 

とてとて、とゆう擬音が着きそうな足取りでるーちゃんはお皿を取りに行き、俺は早めの夕食を作ることにした。

 

たとえるーちゃんの姉が亡き人になっていたとしても、るーちゃんは責任を持って守れるとこまで護る。その決意を新たに胸の奥底に秘めながら。




一応言っておきますがオリ主は10代です。


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探検当日

不幸になるのは簡単で

幸せになるのはとても難しい

だからこそ『生きる』んだ


自宅の玄関にて。

 

「リュックサックよし、バールよし、ハンマーよし、スコップも持った。ノコギリは・・・・・・一応持っていっとくか。それとメモ帳も持ってと・・・」

「水筒よし!カバンよし!おじちゃん早くいこ!」

「もうちょっとで終わるから待っててな」

 

物資調達に向かうため、前の現場で調達した工具を武器の代わりに装備して不備がないか確認をとっていた。るーちゃんも俺の真似をしているが、ほんの少しだけしか荷物を持たせなかったので速攻で終わる。子供ってこんな時でも無邪気で羨ましい限りだ。いや、むしろこんな時だからこそ無邪気でいようとしているのかもしれない。

 

「確認よーし。・・・るーちゃん、ちょっとお外にいるこわーい人達にお仕置きをしてくるからちょっと待っててね?」

「うん!おじちゃん頑張れ!」

 

道具の確認を終え、るーちゃんを玄関から下がらせる。

 

「・・・・・・今日は三人か。まぁ平日にしては少ねえな」

 

バールを持った右手に力が入る。

玄関からなるべく音をたてないよう扉を開けて外へ出た。

 

『ヴぁあぁぁ・・・・・・』

『あ゛ぁ゛あああぁ゛ぁ』

 

玄関の方を向いていた二人に気付かれた。しかし、その動きは鈍重でお世辞にも早いとは言えない速度で近づいてくる。残りのもう一体もこっちに気づいたがまだ距離がある。

 

「今日の献立はオマエらだ。再利用してやんだから感謝しろよ」

 

アイツらは理解していないだろうが、俺の自己満足による礼儀であるので特に気にする必要はない。それに昨日からお腹が空いてたまらない。俺はバールを持ち直して最近で日常となったソレを始めるために、まずは一番近いソイツの脳天目掛けてバールを振り下ろした。

 

「──イタダキマス」

 

 

▶▦◀

 

「出発進行ぉ〜」

「なすのおしんこー!」

 

家の周りのヤツらをお仕置き&野暮用を終わらせたあと、るーちゃんを自転車の後ろに乗せて出発した。近いと言ってもそれなりに距離があるため、自転車の方が何かと都合がいい。

目指すは巡々丘学院。そこにつくまでにヤツらがうようよしているだろうが、それを加えても今日中にはたどり着くだろう。

 

所々で襲ってくるヤツらの急所を粉砕し、ヤツらを見て怯えた表情を見せるるーちゃんを元気付けていたその時だった。ちょうど交差点を通るとき何かが目の前に飛び出してきた。

 

「うお!?」

「ふぇ!?」

「きゃあ!?」

 

驚いた声が三つ重なった。一人は俺、もう一人はるーちゃん。・・・・・・で、あと一人は?

視線を目の前に移すと尻もちをついている少女がいた。この独特な制服のデザイン・・・・・・もしかして巡々丘学院生徒?そのままとゆう訳にもいかず声をかけた。

 

「すまん、大丈夫か?」

「いたた・・・・・・、ハッ!す、すみません!あとお願いします助けてください!」

「は?いきなりなんの話──」

「お、おじちゃん!あれ見て!」

 

彼女に助けを求められ何事だと訪ねようとしたとき、ふと嫌な予感がした。・・・なんとなく彼女が走ってきた方角に顔を向ける。

なんと、ヤツらの大群がこちらまで押し寄せて来ていた。

 

「アイエエエ!?ゾンビ!?ゾンビナンデ!?」

「すみません!いつの間にかこんなについてきてたんです!」

 

ものすごく申し訳なさそうに謝る彼女だが、そんなことを気にしている暇はない。るーちゃんには悪いが予定を変更してダッシュで家に帰るしかない。この子も見殺しにするには目覚めが悪いし、なによりるーちゃんに無情な人なんて評価されたくないし。

 

「早く逃げるぞ!えっと・・・・・・そこのアンタ」

祠堂圭(しどうけい)です!」

「わかったからとにかく逃げるぞ!俺の家まで案内するから着いてこい!」

「はい!・・・・・・あ、ごめんなさい。今さっきので足くじいたっぽいです。う、動けないです」

「ファァァァァッッック!!!!」

 

なんてこったい、逃げ道なんてどこにもなかったぜ(涙)

 

・・・・・・仕方ない、()()だけはやらないようにしたかったが緊急事態だ。暴走だけはしないように気を配っておこう。

 

「おい祠堂!このバール貸すから、それで自転車に乗ってるその子を守ってろ!ぶん回すくらいなら出来るだろ!?」

「え?でもアナタは・・・・・・」

「いいから自分とその子を守ってろ!!・・・俺は俺の切り札がある」

 

ヤツらの前で仁王立ちになって、腰に力を入れる。種から芽が出るイメージで固めてソレを外に放出した。

 

──次の瞬間、俺の腰からは筋肉のような紅くて太い二本の触手が生えていた。

 

「それじゃあ・・・・・・、バイキングタイムと行きましょうかぁ!」

 

そう吠えながら俺はヤツらへと駆け出した。




感想を下さった野獣さん、ありがとうございました。
ちなみにこの世界には喰種はいません。オリ主も喰種ではなく、それに近いナニカです。


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世紀末覇者?向う見ずな阿呆ならいます

この世界はいつだって理不尽で

そしてすごく愛おしい


楽しいことや面白いことがあるとだいたいの人はテンションが上がると思う。が、テンションの上がり具合が著し過ぎると似つかわしくない行動をとってしまうお方もまちまちいると思う。

つまりなにが言いたいかといいますと──、

 

「ヒャッハァァァァ!もっとかかってこいやァ!」

 

──グシャ!

──べキンッ!

──ズシュッ!

──ドゴォッ!

 

「うわぁ・・・・・・」

「おじちゃんがんばれー!」

 

とりあえずそこにいるお嬢さんは、見たくない物を見たような表情をやめて貰えませんかね?あと、るーちゃんありがとう。今日はるーちゃんの好きなミートパスタ作ってあげるから。

 

俺はヤツらに突撃したあと早々に、腰に生やした触手モドキで右に薙ぎ払った。──前二列ほどのヤツらの腰から上が飛び散った。

祠堂に預けたバールとはまた違う予備のバールで目の前のヤツを殴った。──頭が深く凹んで動かなくなった。

と、ゆう風に触手モドキとバールを交互に使いながらヤツらを再び眠らせてあげた。ときおりるーちゃん達の方を確認して別の方法からヤツらが近づいてきたら触手モドキを伸ばして串刺しにして遠くへほおり投げた。

 

気がつけば辺りはヤツらの残骸が視界一面に転がっており、祠堂は唖然とした表情、るーちゃんは『すごーい!』と賞賛の声をあげていた。

思ったんだけど、るーちゃん肝座りすぎじゃないですかね?まだ小学生だよこの子?怖がられるならまだしも『すごーい!』だよ?びっくりだよ(小並感)

 

「お〜、二人とも大丈夫か?」

 

()()()()()()()()()()()()()ので、腰に生やした触手モドキを元に戻しながら二人の安否を確認しにいった。

 

「あ、あの・・・・・・今さっきのアレはいったい?」

「あぁ、いつの間にか生えてきた」

「生えてきたんですか!?」

 

祠堂が驚愕の声をあげた。無理もない。俺だってそう言われたらそう返す。だが一応()()()()()()()

 

「別に大丈夫だろ?触手の一本や二本ぐらい。人間その気になればポケモンみたいにレベル上げて二〜三段階進化したっておかしくないだろ?」

「あなたはポケモンかなにかですか!?」

 

ふむ、いいツッコミだ。今後の生活が少し彩るな。そんな期待に胸を膨らませて、祠堂の腕を掴んで立ち上がらせる。挫いた右足がまだ痛むようだが、歩けるぐらいには回復したらしい。

 

「そんじゃあ帰るか。・・・・・・おい、祠堂とやら。アンタも一緒に来ないか?こんなヤバい場所歩き回るよっかはマシだろ?」

「え?いいんですか?」

「いいもなにも・・・・・・どうでもよかったらそのまま見捨ててるわ」

 

ぶっきらぼうに答えながら自転車を押して帰路につく。──するとここでるーちゃんが爆弾発言を一つ。

 

「おじちゃんは“つんでれ”さんだから言い方がちょっと厳しいときあるけどすごく優しいんだよ」

「ちょっ!?るーちゃん!?いったい何を言い出すのかな!?」

 

それととくに厳しいこと言った覚えないんですけど。・・・・・・あれ?言ったことあったかな?まぁ、覚えてないから言ってないんだろう。多分、きっと、メイビー。

 

「あ〜・・・・・・でもごめんな?るーちゃん。今日お姉ちゃん探しに行くって言ったのに約束守れなくて」

「ううん、いいの!けーお姉ちゃんが怪我してるのおじちゃんがほっとくわけないってわかってたから」

「るーちゃん・・・ッ」

 

天使!るーちゃんマジ天使!RMT!なんてええ子なんや!

 

「あの〜・・・・・・もしかして私の存在忘れられてない?」

 

うるせぇ、黙ってついてこいや。

 

 

▶▦◀

 

 

そんなこんなで途中でヤツらをぶっ飛ばしながら家に帰りついた。

とゆうわけで今回の戦果:祠堂圭(女子高生)

・・・・・・アカン。今思えばコレって事案モノじゃなかろうか?ま、まぁ大丈夫だろ(汗)俺これでもまだ未成年だし?・・・・・・まぁ、おじちゃんとは言われてるけど

内心少し焦り気味な俺とは裏腹に祠堂はるーちゃんに手を引かれ、家の中を案内されていた。

 

「──それでねそれでね?ここが台所でここがお風呂場!あとここがトイレでここがおじちゃんと寝るところ!」

「へぇ〜、・・・・・・意外と広いな」

「あとねあとね!地下室もあるんだよ!“とれーにんぐるーむ”っておじちゃんが言ってたし入れてもらったんだよ!色んな道具がたくさんあったの!」

 

るーちゃんの最後の説明によりまた唖然とした祠堂である。その後、確認するかのように俺を見て口を開いた。

 

「地下室・・・・・・あるんですか?」

「あるんだなぁ・・・これが。親父が趣味で造らせたらしいけど今は俺の修行場になってるってワケよ」

「あの、つかぬことをおききしますが・・・・・・そのご両親は・・・?」

「・・・・・・・・・・・・さあ?多分どこかに避難してるんじゃないかな?うん、そうであってほしい・・・・・・だな」

「そ、そうですよね。すみません」

 

言った途端にしおらしくなった。だったら最初から聞くなとゆう話だ。聞いても妙な雰囲気になるのは分かりきっていただろうに。どうして人ってこうゆう状況で身内の生存状況とか聞きたがるもんなのかね?──まぁ、俺も()()()()()()不躾に聞いていたかもしれないが。

 

「まぁ、立ち話もなんだし座ろうや」

 

とりあえず祠堂もるーちゃんを居間に座らせた。

 

「この子はるーちゃん。本名不明。でもいい子だし癒されるよホントに」

「よろしくね、けーお姉ちゃん!」

・・・・・・あ、ホントに癒される。ご、ゴホン!さっきも言いましたが、私は祠堂圭。巡々丘学院の二年生です。よろしくお願いしますね。・・・・・・えっと」

 

そう言えば自己紹介するの最後だな。

 

「俺は高木 赫音(たかぎ かぐね)。おじちゃんとは言われているがこれでも17歳だ。まぁ、学生ではないけどな。そこんとこヨロシク!」

 

俺は若干おどけてそう言った。




三話目にしてやっとオリ主の名前でてきたよ……。


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リバーシティ・トロン

少年は自分の[無力さ]と[臆病さ]に絶望してひたすら泣き叫んでいた。


「お願い赫音君!美紀を・・・友達を助けてください!」

 

自己紹介をして圭(名前で呼べと言われた)に同年代だと驚かれた次の日、叩き起されたと思ったら急にそんな事を言われた。

 

「おいコラ待てぃ。薮からスティックに言ってもわからんわ。ちゃんと噛み砕いてから詳しく話せ。できればわかりやすく」

「う、うん・・・」

「──うにゅ・・・、おじちゃんおはよぉ〜・・・」

「はい、おはようさん」

 

この騒ぎでるーちゃんも起きてきたので、その場で話を聞くことにした。

 

──話によると、圭は俺たちと出会う前にリバーシティ・トロンとゆうショッピングモールで、同じ学校であり同年代であり友達である直樹美紀(なおき みき)と狭い部屋で立てこもっていたらしいが、ヤツらからの避難生活に耐えきれず飛び出してしまい、結果的に友達を置いてけぼりにしてしまったとゆう。

 

「──で?心配で心配でたまらなくなったけど一人で行くのは怖いから俺も一緒に来てほしいと。・・・・・・なんで昨日のうちに言っとかないかなぁ」

「うぅ・・・、ごめんなさい」

「なんか、おじちゃん怖い・・・」

 

目に見えてショボンとうつむく圭とイライラし始めた俺を見て怯えるるーちゃん。ごめんね、るーちゃん。俺って寝起き悪いから。

 

「はぁ・・・、まぁもうその件はいいや。ちょっくら朝メシ準備するからその間にそっちも出かける準備済ませとけよ〜」

「え?え?いいんですか?」

「いいもなにも友達なんだろ?話を聞いた後で見捨てたら夢見が悪いし。モヤモヤしたままなのは俺の生活の衛生上よくないの。オーケイ?」

「お、オーケイ」

「よろしい」

 

とゆうワケで、昨日の今日で再び外出することになったのであった。・・・・・・おいそこ、甘ちゃんとか言わないの。生存者いたら少しでも賑わいが欲しくなるものなんだよ。

 

 

▶▦◀

 

 

「ここがリバーシティ・トロンだよ」

「へぇ〜、ここが・・・・・・。行ったことなかったけど意外と近場にあったんだなぁ」

「わたしここ行ったことあるー!」

 

来る途中でヤツらに囲われるとゆう自体に陥ったが、バールを的確に頭部へ振り回しながら逃走し、目的のショッピングモールに到着した。幸いと言うべきか扉は開いている。

 

「そんじゃその直樹美紀とかゆう友達を探し出して物資を調達しようか。うっしゃ、ついてこい!」

「なんか赫音君、テンション高くない?」

「おじちゃん、いつもこんなかんじだよ?」

 

昨日は結局のところ物資回収どころか、目的地にさえ行けなかったがその分ここでこんなに大きいリターンが来たのだから興奮を隠せずにいられない。

は?中にいるゾンビ?そんなもの頭を狙えばだいたいは終わる。

 

「ふんふーん♪ふふーふふんふーん♪」

「ついに鼻歌まで歌い始めたよ・・・」

「おじちゃんなんか楽しそう!」

 

若干スキップ混じりに中へ入っていく。あちらこちらにヤツらを何体か見かけたが、コッチに気づいてはおらずヌボーっと立っているだけであった。

 

「それじゃあ祠堂」

「圭!」

「──圭、案内よろしく」

「まっかせて!」

 

圭に案内されるがままショッピングモール内を探索する。ちょくちょく出てくるヤツらの頭をバールで潰しながら圭が指す方向へ歩を進めると、ある部屋の前にたどり着いた。

 

「あそこだよ!」

「警備室か・・・。ここにその直樹美紀とやらがいるんだろ?見張っといてやるから助けてこい」

『そこに・・・・・・誰かいるんですか?』

 

こちらの話し声が聞こえたのだろう。警備室のドアの向こうから直樹美紀らしき少女の声が聞こえた。

 

「美紀!わたしだよ、圭だよ!」

「うわっと」

「圭?圭なの!?」

「あがっ!?」

 

圭が俺の体を押しのけてドアに向けて叫ぶと、ドアが勢いよく開いて顔面にぶち当たった。ものすごく痛い。

痛む顔面をおさえながら目の前を見ると、圭と直樹美紀らしき少女が抱き合っていた。感動の再開だな。・・・ものすごく顔面痛いけど(二回目)

 

「おじちゃん大丈夫?」

「あでで・・・、ありがとるーちゃん」

 

るーちゃんが心配そうに俺の顔をよしよしと撫でた。やっぱり天使やで・・・。

そのやりとりに気づいたのか、直樹美紀はこっちを見て怪訝そうな表情を浮かべていた。

 

「ところで圭、この人は・・・?」

「この人はわたしを助けてくれた高木赫音君。これでもわたし達と同い年だよ」

「それとね、おじちゃんはすっごく優しいんだよ」

 

おいコラ圭、これでもは余計だ。あとるーちゃんは頼むから、そろそろそのおじちゃん呼びをやめてほしい。相手を勘違いさせないためにも。わりと傷つくんだよこれでも。俺はまだ十代だって──

 

「おじちゃん後ろ!」

「んあ?・・・オラァ!」

 

──グシャ・・・ッ

 

ちょっと考え事に集中していたが、るーちゃんのおかげで後ろから迫ってきていたヤツに対処することが出来た。

 

が、まだ安心できない。目の前にはヤツらが沢山沸いて出てきたからだ。目視で確認できて十五体ほどだが、まだそれ以上いるに違いない。

 

「圭!るーちゃんと直樹美紀と一緒にその部屋に隠れとけ!」

「わかった!・・・って、赫音君は!?」

「俺はコイツらの相手しとくからいい!」

「でも・・・・・・」

「あーもう!いいから隠れとけっての!」

 

危ない状況だとゆうのになかなか動かない圭達を力技で警備室に押しやりそのままドアを閉めた。

 

一呼吸置いて、再び前を向く。

 

大量にヤツらが押し寄せてきている。とりあえず動き回るのに邪魔なリュックを下ろす。即座に下ろしたリュックの中から石頭ハンマー──両方とも平面になっているハンマーのこと──を取り出し、右手にバール、左手に石頭ハンマーを装備して両手に力を入れる。

 

こんなせまい所じゃ触手は使えない。──だから確実で地道に数を減らす!

 

「いらっしゃいませぇ!」

 

そう言って、ニヤリと口の端を上げて笑って俺は、目の前のヤツらに飛び込んでいった。




繋ぎ回のようなものです。
原作キャラ達の口調考えるのが難しいです。
更に原作未読なため更に難易度が上がるとゆう(涙目)


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現実的に考えてキャラってゆうのはだいたい定まっていないもの

必死に足掻いた先に『力』を得た。
そして人であることを棄てた。


るーちゃん達を警備室へ避難させたあと、大量に迫ってきたヤツらを殲滅していた。

 

「うおらあぁぁぁぁっ!!」

 

──バキ・・・ッ

──ドガ・・・ッ

──グシャ・・・ッ

──メギィ・・・ッ

──ブチブチィ・・・ッ

 

バールとハンマーで的確に頭部を潰し、あるときは拳で殴り潰し、さらには途中でバールが使い物にならなくなったときは頭部を鷲掴みにして引き千切る。

さらに千切った肉片を口の中に放り込み、咀嚼して胃の中へ送り込む。

 

うん、相変わらず酷い味だな。腐った牛乳と腐ったチーズを混ぜたら同じ味がするかもしれない。二度と食べたくない味だがコレを食べないと自我が消えてしまう恐れがあるため、我慢して喰べ続けないといけない。自分の身体が人肉以外の食べ物を受け付けない限りは。

 

幸いにもまだかなりの数のヤツらが徘徊している。今のうちに食い溜めしておくのもいいかもしれない。

るーちゃん(生存者)達を食料と認識しないためにも、自分の心を人でいさせるためにも、化け物だなんだと言われようとも俺はまだまだ喰べ続けないといけない。

 

「お前ら死んでるんだし、全部食べちゃってもいいよな?答えはきいてないけどな!」

 

一人の捕食者による蹂躙が再び始まった。

 

 

 

▶直樹 美紀◀

 

 

あの人──赫音君と圭は言っていた──がわたし達を再び警備室に押し込んでから三十分が過ぎようとしている。それなのにドアの外からはひたすら鳴り止まず破壊音と怒号が響いてきている。

 

『WRYYYYYYYYYYYYYYYYY!!』

──ズドドドッ!!

 

「赫音君・・・大丈夫かな・・・」

 

ふと、圭がひとりでに呟く。その表情はどこか悲しそうで不安そうにしているようだった。少なくとも私にはそう見えた。

 

「大丈夫だよ、けーお姉ちゃん!おじちゃん強いもん!こわい人達なんかに負けるはずないもん!」

「るーちゃん・・・。うん、そうだね。るーちゃんのゆうとおり赫音君は強いもんね。ありがとね、るーちゃん」

「えへへ♪」

 

『ヒャッハァァァァァァァッ!!』

──ズガンッ!!

 

いや、勝つ負ける以前にふざけてるようにしか聞こえないのは私の気のせいだろうか?そして圭達にはこの奇声と破壊音が聞こえてないんだろうか?いや、真面目に心配しているあたり聞こえてないのだろう。

 

ふと、あのうるさいほどに響いていた破壊音が止んだ。

 

 

──コンコン

『もう出てきても大丈夫だぞ』

 

「赫音君っ!」

「早すぎです・・・」

『待って待って開けるならもう少しゆっくり──へぶぅ!』

「あ・・・赫音君ごめん」

 

ドアを開けた先には顔面を抑えながらうずくまっている人──高木赫音がいた。

 

 

 

▶高木 赫音◀

 

顔が痛い(デジャブ)

ヤツらをひと通り再起不能にし、安全を確認したあと、圭達を迎えに行ったらこのザマ。ちょっと酷くない?すごい勢いでドアが空いたと思ったら、また顔面にクリティカルヒットだよ。直樹美紀といい、圭といいお前ら俺に恨みでもあんのかオラァン(怒)

 

「あ・・・赫音君ごめん」

「だからゆっくりって言ったのに」

「よーしよし」

「ありがと、るーちゃん・・・」

 

超顔面痛いけど、るーちゃんの優しさMAXの頭なでなでをしてくれたから速攻で治った。るーちゃんは天使、はっきりわかんだね。

あ?痛いのは頭じゃなくて顔だろって?・・・・・・こまけぇこたぁいいんだよ。

 

「んじゃ、とりあえず安全は確保できたし探索再開すっぞー!」

「おー!」

「「切り替え早っ!」」

 

もとの調子に戻った俺は、るーちゃんと一緒に後ろの二人を置いて先へ先へと進んでいった。

 

「ちょっと!置いてかないでよ赫音君!」

「ふははは!早く来ないと置いてくぞー!」

「・・・・・・この人の性格がわからないです・・・」

 

 

▶▦◀

 

 

「いやぁ〜、大量大量♪」

「大量大量〜♪」

 

あれから色々とあったが、缶詰などの保存食や飲み水、電池、シャンプーやボディーソープetc..。資源でパンパンに膨らんだリュックを背負いながら上機嫌に出口へ続く階段を登っていた。

 

「圭・・・この人いったいどんな人体の構造してるんですか・・・っ!?常人じゃ考えられないような跳躍力してたり、パンチ1発でゾンビが軽く宙を舞ってましたし・・・!」

「美紀、この場合考えちゃいけないんだよ。赫音君だからってことで納得しとかないと・・・・・・これから先が持たないよ・・・。ちなみに私はもう悟りの扉が開きそうなんだぁ・・・ふふふ」

「圭、お願いだから戻ってきて・・・!1人じゃもたない・・・!」

 

何やらヒソヒソと後ろの2人が目のハイライトを消しつつ話をしているけど、まぁ積もる話もあるのだろうからほっとこう的な思考を巡らせていたが、まさか自分の事についての内容だとは塵にも思ってなかったのであった。

 




投稿からものすごく間が空いてすいませんでした!
次からはもう少し早めに投稿出来ることを心がけます。
ゲームのやりすぎはいけない(戒め)


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人と夢を合わせたら儚い(特に意味は無い)

体が怪物になっても、孤独には勝てなかった・・・。


『お〜い高木、何やってんだ』

 

コンクリートの上に寝転ぶ自分と、生前の先輩がいる。

あぁ・・・、これは夢なんだなと理解した。

 

『ん?別に雲見てるだけっスよ鬼塚さん』

『またか。お前はいつも雲を見上げるのが好きだな。それ以外やる事ないのか?』

『・・・・・・流石にゾンビ達の相手はまだムリっすよ』

『はぁ・・・、まったくお前は・・・』

 

自分の返答に対して、鬼塚先輩は呆れたように眉間を押さえた。

 

『いいんスよこれで。約立たずの俺じゃ、こうやって雲を見てるくらいがまだマシらしいですし』

『・・・・・・またあいつらから何か言われたか?』

『・・・何言われようが仕方ないっスよ。実際に俺、足でまといの木偶の坊ですし』

 

この時の俺ってこんなネガティブだったのかー・・・、と不貞腐れている過去の自分を見ながら懐かしいやら恥ずかしいやら複雑な気持ちになっていた。

 

『・・・よし!立てや高木ィ!女々しいテメェに闘魂注入してやる!歯ぁ食いしばれェ!』

『え?ちょ・・・鬼塚さん?鬼塚サン!?その大きく振りかぶった右手はいずこへ──』

『オラァッ!!』

『へぶぅっ!?』

 

そしてすぐさま鬼塚先輩に無理矢理立たせられ、顔面に闘魂注入(グーパン)をもらい地面と平行にぶっ飛ぶ過去の自分を見て、よく生きてたよなぁ俺・・・、と改めて生きていることに感謝した。

 

『いいか高木、テメェの性格が後ろ向きなのは別にいいんだよ。こんなクソみてぇな世界になってまったんだ、仕方ねぇ。・・・・・・だがな、なんでもすぐ諦めて自分自身に見限るテメェのその考えが腹立つんだよ!』

『・・・・・・・・・』

『だからそんな希望も何もなくなったような顔すんな。もしお前が死んじまったら悲しむヤツだっているんだからよ・・・』

『・・・・・・うす』

『ちゃんと返事せんか馬鹿もん!!』

『・・・はいっ!!』

 

あぁ・・・そういえば俺はこの人のおかげで立ち直ることが出来たんだっけか。

仁王立ちして怒鳴る鬼塚先輩と、右頬に痣をつけて直立している過去の自分を眺めながら微笑ましく思った。

 

──本当にありがとうございます鬼塚先輩。あなたのおかげで俺は救われました。

 

 

 

 

 

──そして・・・・・・ごめんなさい。・・・・・・先輩が俺を救ってくれたように・・・・・・いつか俺が先輩を救い(殺し)に行きます。それが・・・・・・俺に出来る唯一の──。

 

 

▶▦◀

 

 

「・・・おじちゃん!おーじーちゃーん!おーきーてー!」

「んあ?あぁ・・・・・・おはよう、るーちゃん。起こしてくれてありがとね」

「もう!おじちゃんてばトレーニングルームで寝てるんだもん!けーお姉ちゃんとみきお姉ちゃんも心配してたんだよ?」

 

え?俺ってばトレーニングルームで寝ちゃってた?・・・あ、本当だ。そういえば昨日帰っても大量に収穫できた喜びがおさまらなくて、結局そのままスパーリングし過ぎて寝落ちしたんだっけ。

顔を前に戻すと、るーちゃんが鼻をつまんで嫌悪たっぷりの表情で俺を見ていた。

 

「おじちゃん・・・・・・汗くさい」

「ぐふ・・・。・・・今すぐ風呂に入るよ」

 

るーちゃんによるくさい宣言により、俺は1階のバスルームへと向かった。・・・・・・加齢臭とかじゃないよね?大丈夫だよね?地味にるーちゃんが距離を離して歩いてるのがつらい・・・・・・。

・・・・・・しかし、それにしても。

 

「懐かしい夢だったな・・・」

 

 

▶▦◀

 

 

1階のバスルームに向かう際、リビングに祠堂圭と、昨日のショッピングモールにてお迎えにいった直樹美紀がいた。なにを話しているかは分からないが楽しそうだ。

 

「おはよう、お二人さん」

「あ、赫音君おはよう」

「おはようございます・・・」

 

お互いに挨拶を交わす。時計を見ると9時を回っていた。

 

「ちょっと寝過ごしたな・・・」

「昨日からずっとトレーニングルームにこもってたけど・・・・・・ずっと特訓してたの?」

「特訓って言うほどでもないけどな。ちょっとアドレナリン発散してただけ。あとは疲れてそのまま寝落ちした」

「あぁ・・・、だからさっきから汗臭いんですね。納得です」

「ぐっふぉ・・・っ」

 

ブルータス(直樹美紀)、お前もか。てか、俺そんなに臭い?クンカクンカ・・・・・・・・・・・・うん、くせぇな。

 

「ははは・・・・・・、風呂行ってきまーす」

 

とりあえず湯を沸かしてこよう。汗が目に染みるぜ(泣)

 

こんな世界になってからとゆうもの、ガスが止まってお湯が出なくなり、薪やら燃えやすいものを燃料として湯を沸かすようになった。まぁ早い話うちは五右衛門風呂としての機能も着いているのである(ちなみにこれも親父の趣味)。

 

てか誰に説明してんだろう俺・・・。

 

 

▶▦◀

 

 

風呂でさっぱりしたあと、俺はリビングで祠堂圭、直樹美紀と机を挟んで向かい合っていた。ちなみにるーちゃんは俺の膝の上に座っている。

 

「今日はお互いの親睦を深めるために改めて自己紹介をしていこうか。多分、圭・・・祠堂さんからは聞いてると思うけど俺は高木赫音。17歳だけど学はない(・・・・)からそこんとこよろしく。呼び名は“かっきー”とか”カクさん”とか、とにかく呼びやすいようによんでくれ」

「直樹美紀、圭と同じ巡々丘学院の2年生です。このたびは私と圭を助けてくれてありが──」

「あ〜、ちょい待ち。そんなかしこまらんでもいいよ。仮にも同年代なんだし」

「え?同年代だったんですか?私から見たらかなり年上に見えましたよ?・・・・・・特に外見が」

「なぁ圭さんや・・・。なんかこの子めっさ毒吐くんですけど。俺なりに不安を減らそうと思ったら逆にこっちの心すり減らされそうなんですけど」

「あ、あはは・・・」

 

思いのほか毒舌な直樹美紀に思わず涙目。 仮にも命の恩人になんつー口撃してんだコイツは。痛てぇよ。心が痛てぇよ。

 

「冗談です。・・・二割くらいは」

「ん?残りの八割は?」

「ねぇ、美紀。私ね、これから何をしていくか目標を決めておこうかと思うの」

「圭・・・・・・。うん、私も賛成」

「ねぇ!残りの八割は!?」

 

必死な俺をよそに色々と話を進めていく。

ぞんざいな扱いに肩をおとしながら、どこか楽しそうに話す二人を見て微笑ましく思った。

そんなこんなでこの日は特に何もせず、一日が終了した。




だいぶ空いてしまった(震え声)
原作がわからないよう(涙)

アニメ見なきゃ(使命感)


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