喰種はアラガミに分類されるようです (黄リン)
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廃墟とオウガテイル

喰種をアラガミの世界に入れたら面白そうという話が見たくて自給自足。
見切り発車なのでエタったらごめんね。


目を覚ます。

不快感や二度寝したい様な微睡みは無い。

我ながら今世紀最大でいい目覚めだと思う。

 

「見慣れない天井だ。 いや、天井無いんだけどもね。」

 

清々しい晴天。お天道様はてっぺんにおられる。

 

青空の下大の字で寝こけてた様だ。

はて、こんな所で寝転がった記憶ないんだけどもね。

むしろ白鳩との戦いで違う感じに寝る所だったんだけども。

 

うん、分かんないや。

考える事を放棄して立ち上がる。

体格を隠すためのフード付きのローブが風になびいてゆらりと揺れる。

 

背伸びをして背骨をポキポキ鳴らす。

ついでに赫子の調子を確認するために尾赫1つと甲赫4つ全部出す。

1部の鱗赫持ちの様に鱗擬きを飛ばすタイプの尾赫でオロチさんみたいに刺さないタイプでそれを少し振り回して戻す。

そして手のような形をした甲赫をにぎにぎする。

尾赫と同様に少し振り回して戻す。

ちなみに右腕型2つと左腕型2つの2対で使い勝手がいい。

 

そして改めて状況確認する。

見渡す限り周りはまるで廃墟。建物はボロボロだし蔦びっしりで、遠くには真ん中が円形に穴の空いた高層ビル。

どうすりゃなんな大穴開くのよ。

あれで倒壊しないビルもビルだわ。

 

辺りには人間がいない気配すらしない。

でも匂いはほんの少しだけある。

こんな廃墟みたいな所でもしぶとく生きている様だ。

でも現れる頻度が問題で1ヶ月に1人は出てきて欲しいが、

匂いの薄さから暫くここには来ていないっぽい。

ああ、お腹空いた。なんでもいいから口に入れたい。

 

ここにも新鮮な生物はいるにはいるんだが食えるのかどうかで、

白い超小型ティラノみたいな頭と尻尾が刺々しい謎生物。

まず人間以外はアウトだからあの生物の肉が喰えるかどうかの問題なのだけれど。

人間ほどじゃないけど美味しそうな匂いがする。

まあ、食べてみて無理なら人間探すかね。

 

そこらの茂みに隠れて気配を極力消す。

尾赫を出して1部の鱗赫持ちがやる様に鱗擬きを飛ばし絶命させる。

謎生物に近づき肉付きの良さそうな後ろ足の太腿らへんの皮を剥いで、中身の肉を取り出す。血のせいなのか肉は赤々としている。

血の香りで腹を鳴らし大きな肉にかぶりつく。

 

不味、くない。むしろ美味しい。

肉の味は少ないが噛めば噛むほど旨みが出る。

肉の繊維もほぐれやすく食べやすい、赫子に力が入らないという事も無い。

それにいっぱいいる。

 

よくわかんない場所だけど人間より調達しやすいく美味しい、しかも赫子も使える。

なんて都合のいい獲物だろう。

 

感動に浸りながらもう1回肉を抉り出そうとすると、

謎生物の体が黒い霧状になり消えていく。

 

「...え。」

 

肉が、消えてく。殺すと姿形が消えるのか。

脚をもいでから殺すと足も消えるのだろうか。

ちょいと試すか。

建物と建物の間にどこかへ続く通路があり奥まで行くと何やら庭様な場所続いていた。

お、謎生物再び発見。

 

甲赫を一対出して急接近し、甲赫の右腕で謎生物の頭を地面に押さえつける。

左腕で尻尾を抑えて赫子じゃない方の腕で両後ろ足をもぎ取り、尻尾を掴む腕で謎生物を振り上げて頭を地面に叩きつける。

頭は爆散して石タイルの地面に血が飛び散る尻尾が少しぴくぴく動くが神経とかの奴だろう。

少ししたら胴体が霧になり消えるが手元に抱える足は未だ健在である。

 

なるほど、絶命する前に離れてたら残るのな

胴体食べたい時は頭だけ落とすか踊り喰い

 

よし、この脚食べてから謎生物乱獲しよう

ついでに違う種類の謎生物も味見しよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この子の尾赫は1月に新作の出た違う狩りゲーのナ〇ガをイメージしてます。
オウガテイルの太腿は人間の食べ物で言うならささみかな。
誤字脱字あれば報告してくれるとありがたいです。


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寝床とコクーンメイデン





 

廃墟の通路奥の庭っぽい所でそれはいた。

地面から生えるアイアンメイデンが。

 

近くを歩くとよくわかんない火の玉的な物を飛ばしてぶつけてくるし、近寄れば針で串刺しにされる。

いや、貫通どころか刺さりもせずに折れるんだけどもね。

 

それにしてもアイアンメイデンって中に入れた人を串刺しのする筈なのに、じぶんから串刺しにするってどういう事よ。

 

ちなみにあのアイアンメイデンちょっぴり苦味がある植物みたいな味。

食感はいいけど好みでない。

周りの殻みたいなのも中身も同じ味だったけどやはり地面から生えてるから植物なのだろうか。

それともゾウリムシの親戚みたいな生物だろうか。

 

口の中に残る後味を消すために近くの水場で水を飲む。

沸騰させて消毒すべきなんだろうけど生憎鍋も火もない。

それに、火の起こし方も知らない。

どこかに都合よくマッチとか落ちてたりしないだろうかね。

 

ちらちら地面を見て火が起こせそうな物は無いか探すがあるわけも無いので、大人しく火起こしを諦めて庭っぽい所を出る。

 

通路を出ると辺りは茜色に染まっていた。

謎生物乱獲の為にそんなに時間を費やしていたとは。

拠点になりそうな場所を探す予定が丸潰れである。

 

雨は降りそうにないけど夜は随分と冷え込みそうな廃墟だ。

風に吹かれたたら絶対風邪を引くに違いない。

 

風をしのげる場所を探し来た道を引き返す。

庭のアイアンメイデンが多数生えてる場所にはいかず、振り向いて建物の中に入れないか試みる。

 

壁を伝って行くが扉の様なものは見当たらない。そんな都合よく行くわけも無いか。

はぁ、と一つため息をついて甲赫を一対出す。

 

庭に続く通路から見て左側の石タイルの敷かれていない、雑草だか木だかよく分からない植物が大量に生えた薮に入る。

薮や木で石タイルの道から見えずらい場所を探しながら壁を伝って庭を仕切る壁の近くで止まる。

 

うん、端っこだし薮だらけで入口作っても発見されにくそう。

入口部分にする場所の蔦を手で引きちぎり地面に埋める。

そしてスタンバイしていた甲赫で壁に穴を開ける。

最初は削って穴の開けようかと思ったが時間がかかりそうだったので拳1発で開けた。崩れない様に今度補強せねば。

 

開けたてほやほやの入口を潜り中へ入る。

入る時につっかえてしまい、甲赫をしまっていなかった事を思い出した。

 

「危ない、危ない。

作った途端に崩れるのは絶対に避けたい。

崩れないのが1番だけれどもね。」

 

甲赫をしまって改めて入ると建物の中のロッカー室の様な部屋に出た。

まずは軽く探索して寝床になりそうな場所を探すためロッカー室を出て廊下に出て部屋をひとつひとつ確認する。

鍵がかかった部屋は蹴破って入る。

鍵を廃墟で発見できる自身も無いし、仮に見つけてもその鍵が会わない可能性の方が高い。

 

そしてロッカー室から左に3つの部屋に仮眠室らしき部屋を見つけた。

二段ベッドが2つ置かれてる以外何も無い。

外の状況が見たいが残念ながら窓も無い。

 

二段ベッドの1階の部分にダイブする。

随分と使われなかったのか大量の埃が舞う。

朝起きて早々自分の埃を落とすのは嫌なので一旦降りて、ベッドにかかっている私がぐしゃぐしゃにしたシーツと枕を取り、廊下に出てはたいて埃を出す。

十分に埃が落ちたらベッドに枕を置いて再び横になりシーツを自分にかける。

まぶたが重い。このまま目をと閉じたらすぐ寝てしまいそうだ。

少しだけ抵抗してみたが勝てるはずも無いので諦めて睡魔に身を委ねた。




コクーンメイデンはピーマン。
次回から本格的にアラガミをむしゃむしゃしていく予定。

タイトルで被害者ばらさない方がいいですかね?

アドバイスとか誤字脱字あれば報告してくれると有難いです。


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四季とウコンバサラ

桜咲きましたね。
題名が1番手間取る。


「へっ...くしょいっ」

 

朝一番のくしゃみ頂きました。

あと2回ほど連発した後シーツを羽織ったままベッドから降りる。

 

冷たい床に足がついて背筋を寒気が走り思わず仰け反る。

冷え込むとは思っていたけどもこれ程寒くなるとは思わなかった。

 

やっぱり防寒対策しなきゃな。

白い謎生物の皮剥いでファーにでもしようか。

居たら肉ついでに試そう。

 

自分の体温で温くなったシーツをしぶしぶ手放して外に出る。

途中白い謎生物を仕留めて体毛が毛深い所を毟って暖かいか試したが、温かい以前に触り心地が絶望的に悪いの両足をもいで諦めた。

 

歩いているとお腹がすいてきたので手持ちのもぎたての片方の足を齧る。

 

そして重大な事に気づく。

ここの謎肉、燃費が猛烈に悪い。

人間1人で内蔵食べないで過ごしても1ヶ月は余裕で過ごせるのだけれども、両足3セットとアイアンメイデン1匹で人間2人分は胃袋に収まって翌日にお腹が減るとは。

謎肉は人肉より栄養が少ないんだろうか。

 

1日1回以上必ず食べるのはいいの。

ただ、ずっと白い謎生物とアイアンメイデンの肉じゃ絶対に飽きる。

新しい謎生物を求めて冒険するにも水と食料と寝床の揃ったここを離れるのも忍びない。

 

足も食べ終えた頃には足は庭を出ていて開けた所に1匹気色悪い紫の鱗をしたワニが開けた場所に鎮座していた。

うん、飽きはまだしばらく来なさそうだ。

 

自分には気づいておらずこちらに尻尾をを向けている。

持っていた足をもいだ断面が地面につかないように置いて、足元に転がる重くて卵に似た形をした瓦礫を両手で持つ。

そしてワニとの間合いを一気に詰めて尻尾にある飾りの付け根めがけて瓦礫の尖った方を思いっきり振り下ろし飾りを取る。

 

流石に気づけれたようでワニが咆哮をあげる。

手に持つ瓦礫をこちらに顔を向けようとするワニの横顔に向かって投げ捨てる。

もろに当たったようでワニが少し怯む。

 

怯んでいる間にさっき取った飾りを持ってワニの上に上り飾りを尻尾の付け根に突き立てる。

痛みで暴れるワニの背にしがみつきながら甲赫を一対出す。

甲赫の手を組ませて尻尾に刺さる飾りに向かって力いっぱい叩きつける。

切れ味の悪い両刃包丁を力で押して切る様にワニの尻尾を切り離す。

 

さっきの咆哮とは比べ物にならないくらいの大きな悲鳴をあげて暴れ回る。

ワニは私を背中から剥がす魂胆なのか壁に向かって走り出す。

壁に背中が衝突する寸前に跳び降りてワニの顔の前に立つ。

甲赫の左手を上顎、右手を下顎にかけて上顎から下顎を外す。決して顎関節症ではない。

 

ワニはまたも悲鳴をあげるが煩くない。

口から血と息が大量に出ただけで視界に変化はあっても耳に届く音は吐息とぼたぼたと滴り落ちる血の音だ。

 

いたぶり過ぎただろうかと思う。

楽にしてやろうと重い尾赫を出して近づくが、ワニの周りの空気が突然ピリピリしだす。

何かと思い3歩離れると同時にワニは電気を放電し始めた。

見るからに電圧が高い。

近づけば感電死待った無しだろう。

 

だが私の尾赫から放った鱗によりワニは最後の抵抗虚しく絶命した。

 

死体に近づいて鱗数枚と両前足を消える前に取り、外した下顎から舌を取り出す。

尻尾の切断面から垂れたのであろう大量の血痕を追って尻尾と飾りを回収する。

尻尾は持ちきれないので甲赫を使い、戦闘前に放置

した片足も同様に甲赫で持つ。

 

不意に視線を感じて振り返る。

あるのは消えていくワニの死体で他は白い謎生物だけ。

あ、目が合った。

 

喰ってやろうかとも思ったが荷物が増えるので無視。

 

両手いっぱいの食料でほくほく顔をして庭に戻り味見と称して尻尾を齧る。

白い謎生物に味は似ているけれどワニの方が味が濃くて噛みごたえ抜群。

顎が鍛えられそう。

 

水を飲もうと水辺に寄ると薄桃色の花びらが水面に浮いているのを見た。

もしやと思い見上げると離れ小島的な所に1本桜が咲いていた。

人の手入れがなくても咲く桜があるとは思わなかった。

こんな場所に四季がある事にも驚きだ。

なんで昨日は気づかなかったんだろう。

それとも咲いてなかったのだろうか。

 

手持ちの食材を置いて寝床に戻って未使用のシーツの埃を落として桜の前に戻ってくる。

地面に敷いてその上に座り桜を見ながら尻尾を齧る。

こういうの人間は花見っていうんだっけ。

 

なかなか減らない尻尾を見ながらふと思い出す。

なんであのワニは私が背中に乗ってる時に放電しなかったんだろう。

電圧によっては瞬殺だったろうに。

飾りが壊されて気が動転したんだろうかね。

 

にしても、尻尾減らないなぁ。

 




ウコンバサラはそのままワニ肉。
ワニって鶏肉と味が似てるらしいです。

主人公はマサラ人ではないので高電圧電流浴びれば召されます。

アドバイスや誤字脱字があれば報告してくれると有難いです。


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食欲とコンゴウ

エタらなかった様です。


 

大昔の人間は石を研磨して鋭くしたという。

今の職人包丁も研磨して鋭さを保つという。

材質が骨のようなものも研磨すれば鋭くなるのだろうか。

 

私は昨日手に入れたワニの尻尾飾りを見て唸る。

研磨して斧や剣の様になれば切断系の赫子が無い私でも容易に首を落とせるのでは無いかと考えたが研磨なんてやった事ない。

とりあえずざらざらした岩を持ってきて尻尾飾りを研磨しては見るが削れてる気がしない。

 

早々に放棄して新しい獲物を探す。

食べきれなかった尻尾を持って。

もう武器この尻尾でいいんじゃないかな。

切断系でないのが残念でならないけどもね。

 

いつも通り広場に出る通路に出ようとすると赤く丸い体型のダルマっぽい何が広場を闊歩していた。

本当に飽きが来ないね。

昨日のワニに今日のダルマ、新しい謎生物が次から次へと出てくる。

例えるなら動物園がぴったりだ。

 

尻尾で顔面殴ろうかしら。

よっこら、と尻尾を握り直し担ぐ。

ワニと同様先手を取る為スタートダッシュを切り顔面に尻尾を叩きつける。

 

顔はお面の様な物だったらしく殴った衝撃で見事に割れている。案外脆いのね。

よろけるダルマの顎下を尻尾でアッパーしてダルマを仰向けまでは行かなくても腹や首など肉質の柔い場所を一時的に狙いやすくさせる。

 

尾赫を出してスタンバイさせ振り上げた尻尾を離し、ダルマの喉元に尾赫を突き刺す。

そして尾赫突き刺したことを後悔する。

 

絶命したダルマから尾赫を引き抜き血を振り払う。

尾赫の鱗擬きの間々に挟まった細かい肉片の不快感に苛まれながらダルマのばら肉をあばらごと取り出す。

右あばら左あばらで時間はいつもよりかかったが霧状になる前に無事取り出せた。

あばらを脇に抱え後に飛んでった尻尾を拾い、水場へ急ぎ足で戻る。

 

尾赫を水で濯ぎ、肉片をちまちま取り出す。

特に尾赫の先端あたりは鱗擬きが大きく鋭いから刺して切れた肉片が凄く残ってるが、同じく鱗擬きが大きくてあまり深く刺さらなくて肉取りがより大変でないのが唯一の救い。

 

刺さないタイプでも刺せはするが威力は低くて不快感が凄い。

しかも刺した傷口はボロボロになる。

これをよく尾赫仲間に笑われてたな。

 

粗方肉取りが終わり尾赫をもう一度水で濯いて戻す。

次は出す赫子考えてから殺ろう。

今考えたことを心に刻み、あばらをロッカー室に隠す。

尻尾を食べ切ってから食べよう。

 

もう1回広場へ出ようと通路を歩くと広場にまたダルマが見えた。

しかも周りに4つの人影も見える。

 

わお、人間だ。

しかもダルマを囲んで多種多様な武器を振り回している。

ダルマを狩って食べるのだろうか。

いや、たべないだろうな。

まず霧になる時点で持ち帰れないか。

じゃあ素材とかのためだろうかね。

あの変形する武器も謎生物の素材で出来てる様に見えるし、謎武器の中身も謎生物のようなもので出来ているっぽい。

あの武器の中身味見したい。

 

隊長と呼ばれたジュリなんちゃらの剣でダルマの尻尾を切り、暴れるダルマを他の子がハンマーや大剣などで背中の飾りや顔面を破壊。

そして弱った所を確実に副隊長と呼ばれた子がトドメをさす。

 

そして絶命したダルマを4人とも武器から出る伸縮する謎生物に食べさせる。

あれが武器の中身か。

 

ダルマを食べたのは謎武器だけで彼らは何もしなかった。

急に4人とも当たりをキョロキョロしだし、そして話し込む。

話の内容が気になり近くに寄りながらも、4人の視線から死角になるように隠れながら聞き耳を立てる。

 

「依頼じゃあコンゴウは2体らしいが、

一体しか出てこないぞ。」

 

「別の場所に逃げてたりとかじゃない?」

 

「もういないならいいんじゃないかな。」

 

「案外別のアラガミに食べられちゃったりとかあるかもよ?」

 

コンゴウとはあのダルマの事だろうか。

なら、食べたのは私だ。

アラガミとやらでは無く喰種だ。

 

彼らは消えたコンゴウを特に気にするでもなく、迎えに来たらしいヘリに乗り怪我の手当をされて帰って行く。

 

気づいたら居たけど何処から涌いて出てきたんだ。

広場を見渡すと大きな断層なのか崖の様な物が見える。

甲赫を出して崖の上に手をかけて登る。

舗装されてはいないが草木の生えていない道らしい所に出た。

 

ここが人間達のこの廃墟の出入口なのかもしれない。

だとしたら他のところにも行けるかも知れない。

まあ、まだ出ないけれども。

 

崖を降りてまた水場へ戻る。

放置してた尻尾を食べ切り、ロッカー室のばら肉を骨ごと食べる。

人間を見たせいなのか単にお腹がすいているのか分からないが何か無性に食べたくなる。

 

コンゴウの肉は想像してたより遥かに美味しかった。

ワニや白い謎生物と違う感じで旨みが強い。

赤身と脂身が混ざった肉だが噛むほど脂身のコクの深い味わいが赤身と混ざる。

謎肉の中で断トツで美味しい。

 

尻尾をゆっくり食べてたとは思えないほどの速さでばら肉を完食して庭を闊歩する白いのを狩り、食べる。

足はもぎ取らず今度は首あたりに直接かぶりつく。

湧き上がる謎の空腹感を満たす為に肉を喰い千切り滴り落ちる血を啜る。

もう一口と口を開けるが霧になって肉は消える。

ゆっくり立ち上がり血で濡れた口元を袖で拭う。

それでも空腹感は沸き上がり続ける。

なんだろう。

食べてるのにお腹がすいてる気がしてならない。

 

ああ、なるほど。

ヒトの血の匂いが漂ってるからか。

酷いな。生殺しだ。

 

気休め程度にしかならないがローブを鼻に当てて匂いを抑える。

そして感じるはずのない空腹感と湧き出る唾液を腹に飲み込み急いで寝床に帰る。

 

ベッドにダイブして頭からシーツを被る

お天道様はまだ出てるが活動する気は起きない。

 

誇り臭いシーツだが今日はやけにその臭さが愛しく感じられた。

 

 




コンゴウは豚肉。
アラガミが幾ら美味しくてもやっぱり人肉が1番な喰種の少女。

誤字脱字などあれば報告してくれると有難いです。


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雨宿りとゲテモノ

1日経てば美味しそうな匂いは消えたが、

胃袋は正直でずっと音を立てて催促している。

 

誰かから聞いた話でどこかの美食家が自分の肉は美味しいと言っていたらしい。

痛みを覚悟で自分の右親指を喰いちぎるが結局の所不味い。

美味しい言った美食家は頭大丈夫何だろうか。

それとも喰種も人間が肉用に育てる家畜の様に、

食べる肉の質で自分の肉が美味しくなるのだろうか。

だったら今度美食家捕まえて共喰いでもしてみようかな。

 

まぁ、今度があればいいのだけどもね。

 

左手で親指があった所を抑える。

痛いしその場しのぎってだけで腹の足しにもならなかった。

うん、食べて損したわ。

 

指は存外不味い事を学習して食料探しに広場に出る。

背伸びをして背骨をボキボキ鳴らしながら空を見た。

今までずっと晴れだったから空が曇っている所を見たのは久しぶりな気がする。

ひと雨降りそうな気温と雰囲気だ。

 

こげ茶で地面から生えた毛むくじゃらならいるが、

お世辞にも美味しそうに見えないしに美味しそうな匂いでもない。

あれは、絶対に不味い。

 

暫く待ってみたがワニやダルマなど美味しそうなのが来る気配も全くしない。

珍しく白い奴もいない。

 

不味いかまずは殺さずに味見をば。

意を決して毛むくじゃらに近づく。

頭部を拳骨で殴り倒し気絶させてから少し肉を抉る。

手のひらサイズの肉塊をまじまじと見てから勢いよくかぶりつく。

咀嚼するたびに染み出てくる味は何とも予想通りで、

気をはらないと胃酸をリバースしそうである。

 

鼻を摘みながら過剰に弾力がある肉を噛み潰してギリギリ飲み込めるサイズにして急いで胃に押し込める。

人の食べ物でもこんなに不味いを感じたことはない。

体の生理的な反応で吐き戻す反応が無いだけマシではあるけれど、

壊滅的な不味さで胃が拒否反応起こしそう。

口直しの為に急いで水場に行く間も何回か嘔吐くも何とか耐える。

 

毛むくじゃらはもう食べない。

絶対食べない。

ダメ絶対。

 

胃に溜まって空腹感は少し解消されたけど、

後味悪い、なんかお腹が気持ち悪い、無駄に疲れた。

本日2回目、食べて損した。

 

 

無心で水面に映る自分を見て水に波紋を立てて顔を歪ませる。

顔の首元に映るローブを見てこっちに来てから洗濯して無い事に気づいてしまった。

眉をひそめながら首元のローブを持ち上げて臭いを嗅ぐ。

柔軟剤でいい匂いだったローブが、汗や血それと自分の体臭の混ざったなんとも言えない香りに変容していた。

 

ローブを脱ぎかけてピタリとフリーズする。

水場で洗ってもいいが飲水としても使うのだからなんか気が引ける。

脱ぎかけたローブを再び着直してパンツなどの下着類も洗濯するとなるとやっぱりこの水場では絶対に洗いたくない。

川があるかひと雨降ればいいんだけれどもねぇ。

 

川はあったが水量が絶望的にに少なくて洗濯可能かは望み薄。

雨は降りそうな天気だったけど降っただろうか。

駆け足で広場に通じる道を通ると予想通り雨が降っていた。

 

自然のシャワー服も体も洗おうとも思って飛び出そうとしたがすんでのところで留まった。

これが普通の雨だったなら何の遠慮も無く飛び出すのだが、

なんだこの赤い水の雨は。

黒い雨なら聞いたことは多々あるが赤は聞いてない。

 

こっちではこの色が普通で何の害は無いとかなのか。

それとも黒い雨同様人体に被害及ぼすものなのか。

 

そっと手を差し出して赤い水を手に貯めて、ある程度溜まったら水を少し観察する。

透き通った透明感のある赤色で例えるなら、水に筆についた赤い絵の具を落とした時の水の色見たいな色。

顔に近づけて臭いを嗅ぐも無臭。

舌を出して味を確かめてみる。

 

ペロッ、これは青酸カリ!

なんて事は無くただの水がと同じく無味だった。

手に残った水を捨ててローブで濡れた手を拭う。

 

専門とかの知識が全くと言ってない私が判断すれば、

この雨はあまり害は無いように思えるが念には念を。

自然のシャワーは諦めて透明な色の雨を待とう。

 

気づかった時は何も思わなかったけど、

一旦気づいてしまうと纏うものに不快感が増す。

 

ギリギリ雨の当たらない所に座り込んでひたすら天から降ってくる赤い雫を見つめる。

雨が地面に落ちる音に混じって遠くからサイレンみたいな音も聞こえる。

謎生物がサイレンを使うとは到底思えない。

きっと近くに人が住む所、それもサイレンを使わなきゃダメなほど人口がある町の様な所。

一通り食べて飽きたら新天地向かうついでにそこに行って1人2人摘もうかな。

 

いいねぇ。

想像したらまたお腹が減って来たよ。

ついさっき不味いの納めたばっかりなのに。

 

鳴り響くお腹の音を抑えようとお腹がを抑えるが、

効果はひまひとつのようだ。

仕方なしにさっき生えてきた方とは反対の親指を食べる。

やっぱり痛いがその場しのぎの程度だ。

 

あぁもう、お腹空いた。

こんなことならあの尻尾残しとくんだった。

 




ナイトホロウはハリボーのグミタイヤ味をイメージ。
タイヤ味見るからに不味いし臭いも凄かった記憶がある。

食べさせたいアラガミは結構いるけども、
いつこの子新ステージに移動させればいいのかが悩み所。

誤字脱字あったら報告してくれると幸いです。


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