IS ダークライダークロニクル (金宮 来人)
しおりを挟む

闇の始まりその名は【ダークライダー」
キャラクター紹介


オリキャラとして見られるのが多いので、キャラ設定をかきました。
出演時に更新して行こうと思います。
さっき突発的に書いたので、結構穴が有るかも・・。


キャラクター一覧

 

組織CIRS【サーズ】関係者

IS学園側

主人公 織斑一夏→【クロノス・クロニクル】

クロニクル家妹 力関係的には『マドカ』→【クロエ】→[ラウラ]の順番。

保護者 篠ノ之束 スコール・ミューゼル オータム≪巻紙礼子≫

シャルロット・クロニクル・巻紙 『巻紙礼子はこのシャルロットの養父の親戚扱い』

特殊部隊『SORD【ソード】』

深見怜奈【レナ】 井ノ原真紀【マキ】 

 

協力者 学園内 ダリル・ケイシー≪レイン・ミューゼル≫ フォルテ・サファイア

 

CIRS内学園教育機構、【美浜学園】

美浜学園側

上官 仙石イチル 野上 

【SORD】

獅子ヶ谷ト桐花【トーカ】 鯨瀬・クリスティナ・桜子【クリス】

狗駒邑沙希【ムラサキ】

 

上官 宇川千尋

・稲垣姉妹 稲垣バニラ 稲垣チョコ

 

 

協力者

ドイツ軍『黒兎部隊』他多数軍人将校、自衛隊特殊部隊幹部、日本政府一部高官。

 

 

主人公の説明

旧織斑一夏 現在は『クロノス・クロニクル』

ドイツで誘拐されて、見放された後でダークライダーの力を手に入れた。

そのおかげか、体が強化されており、ドイツ内で見つけた違法研究施設がボーダン・オージュの研究だった事を見て自身に施術。結果オッドアイとなる。当時、他にもやることが有った為、研究施設は放置。その後篠ノ之束がクロエを引き取り破壊。

しかし、【仮面ライダークロノス】の影響のせいで赤と緑のオッドアイもある為力を使う時のみ色が変わる様になる。

それが面倒なので普段は隠している。そもそも、負荷はそれほどは無いので眼帯は必要はないが、ラウラにせがまれて付ける様になった。

ダークライダー【ファントムトリガー】として女尊男卑などの人物を殺しまわっている。

その行動は悪ではあるし、ソレを分かってはいるが、受け入れての行動である。

使用ライダー クロノス・武神ガイム・エターナル・魔進チェイサ―・ネクロム・ナイトローグ・ゲンムーデンジャラスゾンビ・クロコダイルローグ

 

マドカ・クロニクル

ファントムタスクに居たが、ナノマシンから解放された上、成長する体を手に入れた喜びから兄としたい敬愛する。織斑千冬の体を少し若くしてショートカットにした感じ。

使用ライダーは『ブラッドスターク』『・・・・・・・』

 

ラウラ・クロニクル

クロノスがドイツ軍施設を襲ったことから相対する事に。

そして負けて強さについて聞き、指導を受けることで強くなれたことから敬愛。

更に、部隊の全員からも好かれる性格と面倒見の良さからも兄としての好感度が高い。

原作よりも食生活などが改善されて事や、成長ナノマシン投与で体つきは少し良くなっている。

クロニクル家の妹として参入。小ささから末の妹扱いである。

束博士との関係がよくなり、ある事を計画。

現在製作、及び実験中である。

 

クロエ・クロニクル

クロノスがファントムトリガーとなった後で、ファントムタスクと会う事を聞いた束に連れられて出会う。初めの印象は束を狙う危険人物だったが、いざ話すと良き話し相手になる事や面倒見の良さから心を開き、真摯に尊敬、敬愛している。

現在は料理や家事などは得意であり、落ちつきは一番ある。

眼を閉じているが、束と共にソレをISを医療から流用して研究している被験者。

普通よりも脳に負担がかからない状態にまで研究が進んでいる。センサーの応用から視界などは全て見えているし、武器などの危険物の所持なども把握している。

 

シャルロット・クロニクル・巻紙

本作では搭乗前に家族間の問題は解決済み。普通に日本に亡命させたのに、母親と研究員で有った巻紙が恋愛結婚し、戸籍や亡命の手続きで裏側で動いたクロノスの頑張りは無駄になった。・・本人達が幸せそうで、優しい幸せな家庭になっているので全くの不満はない。

一応はクロノスにお礼としての何かをしたいと思ってはいる。

 

 

下記キャラクターは『グリザイア ファントムトリガー』からのクロスオーバーですが、この小説用に設定が変更されています。

 

深見怜奈 通称【レナ】

元外国の暗殺機関で育てられていた少女。

人身売買のオークションにて売られていたのをクロノスが発見、即座に買う。

レナからの懇願でマキも同じく買う事に。二人はハンドガンを撃つ事を基本に鍛えられていたのでそのままそれを伸ばした。

違法組織ではあるが、そもそもがストリートチルドレンなどを鍛えている機関な上、実際に強い人材が生まれるので放置。後に、自身がその機関を真似して育成機関を作るのではあるのだが。

長身とナイスバディなのだが、レナ自体は少しそれを気にしている。

クロノスの事をマスターと呼ぶ。

食べる事とバイクが趣味。大食い選手並みである。肉が好き。

愛用のバイクを改造しISとして使用。機体名は『ナインアール』。

使用ライダーシステムは『ドラゴン イン クローズチャージ』

 

井ノ原真紀 通称【マキ】

レナと共に買い取った護衛。

レナ以上のダイナマイトボディで制服がはちきれないのかと気にかかるほどだ。

レナと施設で姉妹のように育ったことから、レナの事を姉さんと呼ぶが、マキの方が全体が大きい。スリーサイズもマキが勝っている。

マキも大食いで何が好きと言う訳でもなく、食えれればいいと言うスタイル。

元々、仲間内ではあまり食べれれていなかったから痩せていたが、しっかりと食べることが出来るようになると一気に育った。

胸は挟まれると窒息するレベルの大きさである。

愛用バイク、『ソウルスピード』をISへと改造。

使用ライダーは『ロボット イン グリス』

 

【タナトス】システム

【グリザイアシリーズ】のキャラクターである主人公の姉が元になったAIシステム。

原作【ファントムトリガー】作中内でも、人間臭さをあらわにする驚きのAI。

普通の高性能コンピューターが三日かかる事を一時間で処理できる・・が、気分が乗らないと一カ月以上かかる事も。

ゲームが好きで、人を操ってどう言う行動をするか予想して行くなどの『人生ゲーム【生】』みたいな事でもやるくらい。電波が通じる端末などは全て監視下における高性能で、携帯のカメラ映像から一人の人物の現在地を見破ることも可能。

面倒ならやらないけど。

 

5/3新 稲垣姉妹 双子で有り姉はバニラ、妹がチョコで有る。アラスカ出身で二人を請け負って教育した人物が『宇川千尋(うかわちひろ)』であり、現在クロノスの元で働いている。主に資材担当の宇川のサポートがメインだが、適性が有ることでISライダーとしてのパイロットに昇格。

カイザーシステムとの相性からの『ブロス』に抜擢。

稲垣バニラ 白い髪をツインテールにしている。基本的に真面目。

      トーカと少し不仲。『エンジンブロス』

稲垣チョコ 少し茶色みがかった肌と髪をしている。結構チャラい言動が      目立つ。レナと少し不仲。『リモコンブロス』

 

宇川千尋 作中では登場はほとんどしていないが、一応重要なキャラなので記しておく。銃、弾薬などの資材担当で裏方。

 

山本さん 通称『もっさん』。銃の管理・射撃場のメンテナンス・弾薬の在庫管理などの作業担当。こちらも作中では関係ないが記しておく。

関西弁を話すが本人曰く関西出身ではないらしい。

 

狗駒邑沙希 通称【ムラサキ】

ロシアンニンジャを名乗る少女。忍術ではなく念術が使用できるそうだが・・その内容は謎である。不思議な少女。

変装、潜入、暗殺が主な任務であり、クロノスの為に色々と暗躍して情報を集めている。

今回、適性が認められてISが与えられることになるが・・。

使用ライダー『・・・・・』

 

アナザーXXX  記述 閲覧不可

使用ライダー 『・・・・・』

 

 

獅子ヶ谷桐花 【トーカ】  

鯨瀬・クリスティナ・桜子【クリス】

 

上記キャラについてはほぼ原作通り。

 

 

PCゲーム「グリザイアシリーズ」の最新シリーズ

【グリザイア ファントムトリガー】より、キャラを出演させています。

・深見怜奈 ・井ノ原真紀 ・獅子ヶ谷桐花 ・鯨瀬・クリスティナ・桜子

・狗駒邑沙希 ・野上 ・仙石イチル ・バニラ ・チョコ ・有坂秋桜里

・【タナトス】システム

出演キャラは、追々紹介していきます。

 




あー疲れたっス。
私の作品でこうもクロスするのって、シンフォギア以来かな?
キャラ設定は先に書いた方がいいかもしれないですね。

随時更新予定です。

5/3更新しましたっス。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

00 託す思い・託された少年の意志

お久しぶりでございます。初めての方はどうぞよろしく。

主人公の一夏をダークサイドに落とした作品となります。
はっきり言うと、殺人を厭わない存在となっていますので、
そう言う一夏が見たくないという方はプラウザバックしてください。

では、新作投稿を開始いたします。


「くそっ、放せ!!」

「おとなしくしろ!ガキが!!」

そう言いながら手に掴んでいた手を後ろに縛られた少年を男は殴る。

他の数人の男も笑ってそれをけしかける。

「いいぞ!!やれやれ!!」

「あのクソ女の弟だと思うとスカッとするな。」

「どうせ後でばらすんだ。今のうちにストレスを発散させとこうか。」

そう言って殴るけるを続ける。そして、

「そういや、あの女はどうした?そろそろ棄権して、騒いでんじゃないか?」

「おう、ラジオ付けるか。」

そう言ってつけたラジオからは【流石織斑選手!最強の座はだてではない!!相手のイタリア代表、ジョゼスターフ選手を押し込んでいる!!】

「な!?当然のように決勝が始まっているだと!?おい!ちゃんと脅しはかけたんだろうな!?」

「あぁ!弟は預かった、返してほしければ決勝は棄権しろ。もし、出場したら命はない。・・確かに伝えたぞ!?」

「・・おい、ガキ。」

そう言って少年を持ち上げて無理やり顔をあげる。

「てめぇ、織斑一夏だよな?」

「・・そうだよ。織斑一夏だ。でも・・あの女にも周りにも落ちこぼれ扱いされた所詮クソガキだよ!!そうだよ!!俺がどうやったって、俺をどうしたって、あの女は何もおこさねぇよ!!知ってたよ!俺はもう・・もう・・何をしても・・弟じゃないんだよ!!こっちから願い下げだ!!もう・・つかれたよ・・なんで俺は・・こんな人間に生まれたんだよ・・短い、たった数年の人生だよ・・分からないだろ・・あんた達もどうせ周りの女どもと一緒だ。何も知らない・・俺も、あの女の為に人生狂わされた・・たった一人の人間なんだ・・でも・・でもっ!!こんな人生なんかいらない!!くそくらえだよ!!」

少年、織斑一夏は眼から血の涙を流し、口の端からも血を流しながら吠えた。

「・・そんなに嫌なら、その人生…俺が変えてやる。」

「だ、誰だ!?」

誰もいないはずの入口に一人の青年が立っていた。

「名前はない。強いて言うなら・・『ダークライダー』。」

「はぁ?意味分かんねぇこと・・がはっ!?」

答えていた男の腹には紫色の杖が刺さっていた。

「ふん・・さて、駆除の時間だ。地獄を楽しみな・・『エターナル』・・変身・・。」

『エターナル!』

腰にあるベルトにメモリの様な物を指すとその男は文字通り変身した。

「な、なんで男がISを・・」

「コレはISじゃない。・・貴様等には関係ないものだ。だから地獄を楽しめ。」

そう言って親指を下に向ける。そして羽織っていたマントを投げて俺にかぶせる。

「な、舐めやがって!!」

そう言って誘拐犯が銃を向けて撃ちまくる。しかし、男にはまったく効かない。

「な!?ば、化け物め・・」

「そうだ、だから・・貴様等は死ね!」『ヒート・マキシマムドライブ』

誘拐犯たちに向かって拳を振り上げた。その手に炎がついていた事に危機感を覚え俺はすぐにマントで全身を隠した。すると、すぐに凄い爆発音と衝撃がマント越しに伝わる。

「「「「ぎゃああぁぁあ!?」」」」

そして、恐る恐るマントをどけるとそこには『黒焦げになった人の形をしたもの』があった。

「・・。」

ソレを見ても俺は何も言わなかった。誘拐犯だと認識しているのに・・その様に恐怖を覚えなかった。

「・・さて、織斑一夏。」

「・・なに?」

「お前は選ばれた。俺たちの意志に・・」

「意志?」

「・・未来に絶望していたお前は、素質が有る・・俺たちの力を使え。」

「・・さっきみたいな力?」

「そうだ・・そして、お前の思う通りに使え。正義の形は一つじゃない。コイツらみたいな奴等も、女尊男卑の世界を変えようとした正義だ。だが、俺と相いれなかった。だからこうなった。」

「・・俺をいじめる奴等を見返すのも正義?」

「そいつらの中には警察や政府が手を出せない奴等で悪事を働く奴等もいる。そいつらを殺すのも、また正義だ。悪には悪の正義が有る。ダークな面で己の正義を持った仮面ライダー。それが俺たちだ・・受け入れるならお前はもう人じゃなくなるが・・。」

「いいよ。受け入れる・・。どうせ、姉に捨てられたんだ・・。人じゃないと思われてたんだ・・なら、化物にだってなって見せる。俺だって怒る事が有るんだ。・・どうせ人じゃないと思われていたんなら、俺は俺として生きる。だから・・力を!!」

「・・わかった。数多の世界のダークライダーの力、受け取れ。」

手を握り眼を瞑ると体中に激痛が走る。

「ぐあああぁぁぁあああ!?」

だが、俺は手を放さない。力を手に入れるんだ!こんな人生からサヨナラするんだ。だから・・

「ああああっぁぁぁぁ・・ぉぉぉおおおお!!」

逆に一気に力を入れて握る。すると、

「・・一夏・・お前の人生、地獄が待っているかもしれん。だが、ソレを楽しむんだな。」

「俺は・・地獄だって楽しんで見せる!!」

 

そして、爆発が起きた。

織斑千冬は決勝に勝ち、表彰されていた。だが、放送席が妙な事を言っていた。

『織斑選手の勝利を弟さんに聞こうと思いましたが・・席に居ませんねぇ?』

「・・一夏はどこに行った?」

またふらふらとどこかに行ったのか?まったく、落ち着きのない奴だ。だからアイツは駄目なんだ。また説教だな。

『まぁ、良いでしょう。織斑選手、この勝利、誰に伝えたいですか?』

「私を支えてくれたみんなに。」

『わかりました。改めて、おめでとうございます。』

そう言ってインタビューが終わり控室に戻る。貰った花束を置き、荷物をまとめながら付いてきた政府の役員に言う。

「おい、一夏はどこか探して来てくれ。私は荷物をまとめないと・・」

「弟さんならもう居ませんよ?」

「・・?どう言う意味だ?」

「あのでき損ないなら、誘拐されて殺されました。そして、・・もう、この世に居ません。」

「・・・おい、どう言う事だ?」

「説明します、落ちついてください。」

聞けば、私が決勝に出ないよう要求が有り、出た場合一夏は殺されるということだった。しかし私は何も聞いていないので決勝に出た・・という事は・・。

「先ほど郊外の工場跡地にて爆発が有り、調べた所織弟さんを攫った誘拐犯の死体と弟さんの血痕が見つかりました。まぁ、ひき肉状態だったので、おそらくは誘拐犯の中に混ざって死体もあるでしょう。誘拐犯は手駒で、作戦に失敗したから使いつぶされたんだと思います。下手に足がつかないよう、実行犯を消して足がつくのを恐れた今回の計画を立てた犯人のやった事でしょう。血痕が見つかっている時点でおそらくは死亡していたんでしょうから、遅かれ早かれ死んだのは変わりませんね。では・・私はこれを上に報告して来ます。織斑選手も片づけを手早くお願いしますね。」

私は地面に膝をつき呆然となる。・・一夏が死んだ・・。

「嘘だ・・そんな・・」

『誘拐されたいっくんが運び込まれた工場が爆発した事は本当だよ。』

急に携帯から声が聞こえた。

「た、束?」

『・・お前のせいだ。お前のせいでいっくんが死んだんだ!』

「な!?なぜ・・」

『人の前で、他人の大勢の前でいっくんを叱ったりした結果、周りはいっくんをでき損ないとして見るようになった!そのせいでいじめられて・・学校でも道端でも罵声を受けいじめられ、いっくんは・・それでも耐えてちーちゃんの家事の手伝いをしていた。それなのに!!ソレを知りながらも文句ばっかり言った!『弁当はもっと野菜を減らせ。好きな物も分からないのか、お前は馬鹿か?』とか・・人の前で平気でね。もうお前なんか知るか。いっくんを苦しめたお前となんか絶交だ・・。自分の行いを恨んで、悔やんで、苦しんで死ね!!』

ぶつっと音がして電話が切れる。なぜ・・束はそんなに怒っているのか、私には分からなかった。だが、これから一人で生きていかねばならない・・一夏が居ないから家事も私がしないといけない。そう考えると絶望が目の前に降りた。

「いっくん・・無事で居て。」

篠ノ之束は付近のカメラを探し織斑一夏の姿を探した。そして、映っていた情報は、

「・・爆発時、いっくんはあの建物の中に居た・・。」

絶望を与える情報だけだった。

 

 




こんな感じで始まりました新作ですが、ゆっくり投稿して行こうと思います。

次回もよろしくお願いします。

シーユーネクストステージ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

01 刻め、その名は【クロニクル』

どうも。私です。
また仮面ライダーネタかよと思う人もいるでしょうが、
好きな物だから考えやすいのでこうなってしまいました。
決して、友人からVシネ映画のトリロジーを借りたとか、
集めている変身グッズがダークライダー寄りとか、
そういう理由じゃないですよ?・・・うん。

と言う事で、早速ですが新しいのを投稿です。





「や、やめろ・・やめろぉ・・」

「わ、私はコイツに言われて・・ねぇ?分かるでしょ?」

「わ、私は悪くない!そう、私じゃなくて世間の男どもが・・」

数人の男女が部屋の隅に追い込まれている。他の護衛をしていた人間は物言わぬ肉塊へと変わっていた。

「・・貴様等は悪くないと・・そう言うのか?」

機械音声の様な声で喋る『紅い複眼を光らせる人の形をした何か』。

「そうよ!」「そう、そうだよ!」

「・・そうか・・そう言うなら仕方がない。」

そう言って後ろを向く。すると一人が銃を取り出し構える。後ろを向いた【ソレ】はベルトに手を載せている。

『シャキン』『ソイヤ!ブラッドオレンジスカッシュ!!』

その音声とともに振り向きながら全員に向かって持っていた剣をふるった。するとブラッドオレンジを思い浮かべる様な剣撃が出て全員を真っ二つにした。部屋の中に真っ赤な液体が飛び散る。

「・・知ってるよ。誰も悪くなくて・・誰もが悪い。お前等も・・俺もな・・。」

死体をほってそのまま部屋から出ていく。そして、建物から出てしばらく歩いて人気のない所で変身を解く。

「・・気持ち悪いな・・世界は・・こんなにも濁ってたんだな。」

変身を解いた【彼】は【眼帯をつけた銀髪の少年】で明らかに成人はしていないし、日系の顔ながらも西洋系の髪と肌の色をしていた。しかしその眼の色は赤く、普通ではない。

そこに置いておいた自身のバイクにまたがりヘルメットをかぶってアクセルを吹かす。走り出したら風になれそうな気分になりながら途中のパーキングでローカルな自動販売機のうどんを買って食べる。

「さて、次の依頼は・・」

タブレットを取り出して目を通す。また女尊男卑派の殺害依頼。または冤罪事件の男性の遺族からの依頼で検事、裁判官、原告の殺害。自身をいじめる学校の女子連中。書かれた名前は数知れない。もう依頼をこなすのも面倒になってきた。殺しても数は減らないし、噂を聞いて増える一方だ。中にはわざと書いた自分の殺害依頼で逆にこちらを狙うという所謂、『騙して悪いが・・』みたいなのもいたが、当然依頼は完遂した。そんな奴等に俺を殺せるわけがない。しかし、最近はどうやら嗅ぎまわっている組織がいくつかあるらしい。その中の一つが、日本の狗、『更識』。他にもFBIやMI6もあるが、それ以上に面白いのが・・

「亡国機業『ファントムタスク』・・。」

国際テロ組織扱いされているが、実際はIS最強伝説をつぶし隊集団らしい。最近、反IS組織に援助したり、逆に構成員として取り込んだりしているようだ。

「・・コイツら使うのもありか・・。」

にやりと身震いするような笑顔を浮かべながらそう呟いた。

 

頑張って探し続けて数年して、やっと見つけた・・でも・・すでに彼は壊れていた。

「いっくん・・。」

モニター越しに見ると急にカメラの方を向き腰に付いていた銃でこちらを撃ってカメラを壊した。サイレンサーがついていたから音はさほど響いていないだろうがきっとすぐに姿を消すだろう。髪の色は変わり眼帯をつけた状態。明らかに昔の彼とは違っていた。

足取りを追う為に彼が通るであろう道路のカメラ、Nシステム、オービスなどを全て監視。だが、彼はまったくその網にかからず姿を消した。

でも、分かった事が有る。彼が見ていたタブレットのページ・・殺害依頼を書き込むページだ。そして、彼はそこに書いてある人を殺しつくしてきた。いや、内容を吟味しているようで中には『殺すにあたわず』や、『殺す価値なし』、『他人からの殺害によって死亡済み』などの結果まで書き込んでいた。だが、酷い件には動いて『粛清完了』の一言で次の日にはニュースに出たりする。幽霊のように現れては殺して消える。いつしか彼の事を皆はこう呼ぶようになった。

『ダークライダー ファントム・トリガー』

自身はダークライダーとだけ言っているようだが周りがそう呼ぶようになったらしい。死を告げる亡霊の引き金、それが今の彼の立ち位置らしい。

そして、次に会う時は・・そう遠くないとはこの時は思っていなかった。

『ファントムトリガー』・・ね。

巷で噂されてる殺し屋。自身の事はダークライダーと言っているらしいけど・・噂ではISすらも刃が立たなかったって聞いてるし・・面白そうね。

「因みに中身はどんな人物か分かってるの?」

「あー、オレはしらねー。M―?なんか情報持ってないか?」

オータムに声をかけると知らないらしく、彼女はMに同じ質問をする。

「・・これだ。」

ソレを受けて情報部から上がってきた資料をMが渡してきた。

「Mが先に持っているなんて・・なんで私よりも先にみたの?」

「・・見れば分かる・・。」

そう言われて資料に目を落とすとそこに居たのは・・

「・・Mが固執する理由が分かったわ。・・で、どうするの?」

「殺す。・・と思っていたが記録を見て気が変わった。今のコイツなら手を組んでも良い。」

「ふーん・・?・・・・。なるほどね。」

確かに記録を見れば分かる。姉に捨てられた後IS関係で権力を使い悪事を働く人物ばかり殺している。しかも、警察や司法組織が手をまわして捕まえなかった人物ばかりだ。大物政治家にそれに付随する医者関係や権力者、大企業の両親を持つ子供に女性権利団体に入団している女教師・・数多の種類が居るがそれらは『すべて』捕まらなかった悪党だ。

「さながらダークヒーロー?かっこいい二つ名持ってるしね。」

「ダークライダー・・複数の姿を確認していることから複数人いるかと思えば唯一人の男。しかも少年と言っても良い年齢と誰が疑おうか。そして・・私の敵である織斑一夏はもういない・・政府にまで消されたのだからな。」

調べでは勝手に織斑一夏の戸籍は鬼籍に入った事となっている。それは織斑千冬は知らない事らしいが。

「アイツがなんて名乗るか、私の前に立ちふさがるのか・・楽しみだな。」

 

「それはどうかな?」

 

「!?だれだ!?」

「はろはろー、皆のアイドル束さんだよー!」

「助手のクロエ・クロニクルです。」

そこには探していた篠ノ之束博士が手を振りながら少女を連れて立って居た。

「な!?篠ノ之博士!?」

「篠ノ之束だと!?何故、いや、どうやって此処に!?」

オータムが瞬時に展開できるようにアラクネを構える。

静かにMも機体を展開できるように距離を開けた。

「・・ふふん、君たちがいっくん・・いや、ダークライダーを調べているのを知ってねぇ・・彼は・・ファントムトリガーは君達、ファントムタスクを呟いていたからね。此処にくる可能性が高い。なら、君たちと合流し彼に遭う確率を上げる方が効率的だからね。」

人差し指を立てて説明した後、私を指さし博士はそう言う。

「ファントムトリガーは私達を探していると?」

「最悪使いっパシリにされるかもしれないけど、彼は君たちを探すようだったよ?」

「・・手を組めるならそれに越したことはないわね・・。」

手を組む事は問題ない。むしろこちらから願いたいほどだ。しかもそこに篠ノ之博士も付いてくるとなれば・・彼を受け入れて使われても破格の条件だ。

「彼と会えるよう探してもらえますか?私達も貴方に協力し、彼を受け入れましょう。条件が酷いものでなければ、高待遇を約束します。貴方達もそして、彼も。」

「おっけー。あぁ、私はもう織斑千冬と絶交してるから、裏切りとかそんなに気にしなくて良いよ。いっくんを死に追い込んで、その後も自身の生活の心配しかして無かった屑なんかもう、・・敵としか思わないから。昔からそうだった・・、自分が思う通りに行かないとすぐ暴力に訴えて、教師すらも怯えていた。そして、白騎士事件。言わなくても知ってるだろうけど、アレは中身が織斑千冬だった。ミサイルを落としたら帰る様に言ったのに、力におぼれたあの女は戦闘機、戦闘ヘリ、そして、船までも沈めた。多くの人を自身の力を見せつけたいがために殺したんだ。確かに私は有象無象に興味はない。でも、自身の作ったもので力任せに殺害されて責任を感じないほど人間をやめた覚えもないんだよ。」

そう言った篠ノ之博士の表情は暗かった。

「・・やはりあの女は殺さねばならんな。」

そうMが決意を固めるようにつぶやいた。

 

「あぁ、・・その通りだ。」

 

又もや知らない声が響く。

 

それ(・・)は男の声だった。見た方向には【銀髪の眼帯をつけた少年】が立っていた。

 

「ファ、・・ファンムトリガー・・。」

「いっくん!?」

彼は緑色の四角い何かを取り出し、横のボタンを押す。

『仮面ライダークロニクル・・』

ソレをベルトのバックルにはめ込んだ。

「織斑一夏・・その名前の男はもういない・・。」

『ガッシャット・・』

音声が鳴る中、彼は眼帯を外す。その眼は赤と緑色のオッドアイ。しかし、その眼の瞳は輝いて見えた。

「・・変身。」

そう呟いて彼はベルトのボタンを押しこんだ。すると背後に時計が浮かび、緑色の光が上に浮かぶ。そして、雷の様な光りが彼の付近に落ちてくる。

『バグルアップ・・天を掴めライダー・・刻めクロニクル!今こそ時は極まれり!!』

そう音が鳴って緑色の光が彼を包んだ後・・そこに居たのは緑色のダークライダーだった。

 

「今の俺はダークライダー・・この姿は仮面ライダー『クロノス』。そして、名前を『クロノス・クロニクル』と名乗っている。」

 

驚いた事に彼は博士のつれた少女と同じ名前を名乗っていた。

 




・・ビルドのスクラッシュドライバー欲しいな・・。
若○ボイス最高にかっこいい・・。

おっと、本音が駄々漏れでした。
[呼んだ~?]
呼んでませんよー。・・本編にもほぼ登場しないキャラが裏に来るとは、
後書き・・侮れませんね。

では、シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

02 復讐の幕開け

今回はかなりキャラクターの性格変更が有ります。
注意してください。


「復讐依頼指定番号37564・・篠ノ之束。依頼理由、ISを作った為に現在の女尊男卑社会が出来た。それによって男性の尊厳の低下、並びに無実の罪での冤罪で捕まるもの多発の社会をつくる原因。さらに、白騎士事件で多数の死者が出た原因としての遺族からの強い復讐心。・・以上が貴様の罪状だ。」

そう言いながらダークライダー・・いえ『クロノス』は彼女に指を指す。

「何か言いたい事は?」

「・・・全ての元凶は私にあるのは認める。でも、・・白騎士事件の際に人を攻撃する気なんかなかった!私にとって有象無象だから居ても居なくても一緒だと思っていた!!でも!あの女が!!織斑千冬は私が止めたにもかかわらず戦闘機をヘリを船を沈めた!!大勢の命を奪って笑っていた!!そんな事を私は望んじゃいなかった!!私じゃない!!私は唯、ただ!!ISの性能を認めてもらいたかっただけだった!!」

「・・なるほど・・。言い分は分かった。」

そう言って彼は拳を構える。

「・・しかし、依頼は依頼だ。覚悟してもらおう。」

「束様をやらせません!!」

クロエと呼ばれた少女が博士の前に出る。そして、眼を開き何か力を使ったようだ。

それに対し彼はベルトに手をかけて二つのボタンを同時に押した。

『ポーズ・・』

『リスタート・・』

「きゃあぁぁああ!?」

そう声が聞こえるとともに博士の悲鳴と吹き飛ぶ音がした。

「束様!?一体何が!?」

よく見るとさっきまで少女の前に居た彼は束博士が立っていた位置の横に立ち、横蹴りに構えをした状態から足を戻していた。

「・・まさか・・時を止めたの!?」

一瞬で起きたことから見えない速さで動いたと考えたが、それならソニックブームみたいな衝撃波が起きるはずだ。そして、『ポーズ』という音声と『リスタート』と聞こえたことから、停止と再生が有ったことを意味したと考えた。つまりクロノスは時を止めて、束博士を蹴り、また時を戻したという事だ。恐ろしい・・どう対処すればいいというのだ。そんな事をされてはどうやっても勝てるはずがない。

「・・いたたた・・。」

「束様!?大丈夫ですか?」

「う、うん。痛いだけだよ、くーちゃん。・・でも、どうしたの?クロノス君。復讐対象なら依頼通り私を殺すんじゃないの?」「・・その通りに復讐と言ったはずだが。処分対象と言った覚えはない。」

そう言うとベルトから緑色の物を引き抜く。『ガッチューン』と音声がした後変身を解き博士の前に歩いて言って膝をつき手を伸ばす。

「・・だが、俺の事を心配してくれていた事、それだけは嬉しかった。ありがとう。」

そう言って手を引いて立ち上がらせる。

「・・ご、ごめんね・・ごめんなさい・・私がISなんて作らなければ・・いっくんがあんな事になる事なんて・・」

「しょうがない・・運命だ。受け入れるしかない・・。」

そう言いながらも彼は博士の頭をなでた。我慢していたのだろう涙がこぼれその場に崩れひざまずいた。そして大声で泣き始めた。

「・・貴方は束様を害する気はないのですね?」

「あぁ・・これで終わりだ。・・義妹よ。」

「・・いも・うと?どう言うことです?」

「・・お前が生まれたのは俺よりも後だ。そして、オレもドイツでこれを使った。」

そう言って見せたのは眼帯の下の金色の目。初めに見た時は緑だったはず・・。

「・・アドヴァンスドが受けた、境界の瞳『ヴォーダン・オージュ』・・」

「自身で行ったから成功例として挙げられてないが・・くくくっ、なかなかに使い勝手のいいものだ。更に俺はその上の段階へ移ったがな・・。」

「し、しかし、それを使用するには大きな負荷が・・」

「ダークライダーになった時、普通の体では耐えられないからか血液から皮膚組織、脳細胞さえも造りが変わった。いや、耐えられるように作り変えられたと云うべきだな。すでに、織斑一夏の血は流れておらず、この体は化物だ。・・そのような存在に義理とはいえ妹と言われるのは不服か?」

「・・いえ、でき損ないの私は・・失敗作と言われた私は元の生まれから言えば化物。この眼でさえも普通ではない、化物に見えるでしょう。・・貴方を兄と呼んでも良いのですか?」

「・・ふっ、先に言い出したのは俺の方だ。好きにして言い。」

「分かりました・・では、クロノス兄様。」

「あぁ、クロエ。」

二人は握手をしてお互いの眼を見あった。

 

「さて、ファントムタスクの諸君、改めて初めまして。旧交を温める事は終わった故に、改めた挨拶をばしようと思う。我が名は『クロノス・クロニクル』。仮面ライダーの悪の力を集めたダークライダーにして悪の意識を高めた極悪人。地獄からの使者と言っても良いだろう。そんな俺と手を組む気はあるのかな?」

「・・確認させてほしい事が有るわ。」

「何かな?モノクローム・アバター代表スコール・ミューゼル。」

「!?そこまでばれているとはね・・。まぁ、いいわ。私達が手を組んでのメリットは?」

「ISを潰して兵器を売ろうと考えているファントムタスクにとって、俺という存在は願ったりかなったりだろう。いざとなればISの隊群相手にしても勝てるほどの過剰戦力。逆に手にして居なければ相手になった時の脅威度は計り知れない。ソレを防ぐ為にも、束博士と手を組み、更に作戦時にIS以上の脅威を排除しておく必要がある。手元に居れば逆に頼みを聞く事もあるだろう。撤退戦時に一人で殿を受け持ち、無事に無傷で帰って来るほどの力が手に入る。狂犬だが、上手く使えば邪魔者をかみ殺す力とはなるだろうな。」

「・・その狂犬に噛み付かれる可能性はあるのかしら?」

「俺の気分を悪くする事がなければな。」

そう言って、オータムを見る。その後、Mに視線を送る。

「・・オータムは私の言う事を聞くから良いわ。Mには組織を裏切らないよう、ナノマシンが入って・・「それは・・気に入らんな。」・・そうは言われても・・。」

「M・・このカプセルを飲め。言う事を聞かなければ・・処分する。」

「!?・・くっ、・・わかった。」

クロノスから発されたあまりの覇気、黒い悪意、殺気に私達は全員鳥肌を立てる。そして、受け取ったMはカプセルをのみ込んだ。

「ぐぅ・・がぁ・・あぁぁぁあああ!?」

「な、何を飲ませたの!?」

「ナノマシンの作用を書き変える物だ。後五秒もしたら終わる・・そこまで精神が保たれればな。耐えれなければ・・廃人になるほどの痛みが全身を駆け巡っているだろうな。」

「そ・・そんな・・。」

「かはぁ・・はぁはぁ・・ぐうぅう・・。」

地面に手をついて汗を流しながらもクロノスを睨むM。

「・・おめでとう、コレでお前の首輪は外れた。ナノマシンはお前の体の修復機能の向上機能に働く。・・・副作用として後一年もしたらおそらく巨乳と言えるほど胸がでかくなるだろうがな。二十歳ぐらいまでは育つが・・其処ぐらいで成長も止まり、老化も遅くなる。不老まではいかんが、美を保つ期間は長くなるし、寿命も長くなるだろう。さっき言った通りナノマシンの機能は書き換えられたから、怪我した際の治りは早く、ガンなどの病気にかかる可能性は極めて低い。脳内の血管などに異常が有れば修復するから脳溢血などの心配もほとんどない。頭を弾き飛ばされたり心臓を抉り取られたりしない限りは、自己修復機能で死にづらい体になった。」

「ありがとう。素晴らしい、貴方を兄と呼ばせてもらいたい。」

急に態度を変えて、立ち上がり握手をしだすM。・・そう言えば、彼女胸が小さな事を悩んでいたわね・・。

「ちゃんと生活習慣はしっかり過ごせよ?好き嫌いもあまりしない事だ。早寝早起きと適度な運動、無理なダイエットはしない事だ。っと言っても、余分なカロリーはナノマシンが分解するから太る可能性は極めて低いがな。成長ホルモンの分泌はそこそこで設定してあるから、クローンである以上は非常識な生活をしない限りは、全盛期の織斑千冬波のプロポーションになるはずだ・・憎い女に近づくというのは嫌かもしれんが、遺伝子上どうしても・・」

「ますます素晴らしい!!理想の出るとこは出てひっこむ所は引っ込む体と言うわけな上、その体は年を取りづらく美貌を保ちやすいという訳か!!素晴らしいじゃないか!!私の事はマドカと呼んでくれないか!クロノス兄さん!」

「あ、あぁ・・。分かった、マドカ。」

あのMが鼻歌を歌いながら踊り始めた。・・あのMが・・。

「おい、スコール。あのM気持ちが悪い。」

「正直言って私もよ。でも、コレで彼とのつなぎは強固になった。Mは織斑千冬に対して怒りを持っている。それはクロノスも一緒。更に、一番の難敵であったはずの篠ノ之博士は絶交したと言っていたわ。つまりは、邪魔者はまったくいない。その上、クロノスと博士はこちらと手を組む気はあると来た。・・この状況、どうやっても彼を高条件ででも、最悪私達の体を使ってでも良いわ。彼を引き入れるわよ。」

「男相手ってのはあまり気がのらねぇが・・あの覇気が有るならまぁ・・軟弱な屑の雄と違ってるってのは分かるな。」

にやりと笑っていたオータム。あら?意外と乗り気なのかしら。少し嫉妬しちゃうわね。

 

そして、・・結果としてはファントムタスクは解体された。理由は単純で、クロノスを入れることで幹部が反乱を起こしたからだ。

攻撃を受けた狂犬はすぐさま牙をむいた。首輪などは付いていないに等しかったクロノスは反撃をしてそれによって、金だけが取り柄だった無能な幹部は全て排除された。

そして、ファントムタスクとして機能しなくなった組織を解体し、新しい企業を立てる事に。それによって、私達は新たな居場所を得る事となった。

 




はい、明らかにマドカの性格がおかしい事になりました。
まぁ、しょうがないですね。
そして、ファントムタスクはこうして解体されたのでした(まる
それではまた次回。かなりの改変が起きます。

シーユーネクストステージ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

03 世界初【・】男性操縦者の男

今回はほとんどが男子生徒の視点です。
あと、前回の事から少し経っている為にマドカの体も成長しています。
それでは、どうぞ。


「世界初の男性IS操縦者として見つかりました、【三日月 神楽】(ミカヅキカグラ)といいます。よろしくお願いします。趣味は料理とお菓子作り、それからテレビゲームや将棋、囲碁、チェスなどのテーブルゲーム、読書にスポーツ等と多岐にわたりますので、これはと思う物があったら気軽に声をかけてください。」

「かっこいい、なんでもできる系のイケメン!!」

「私お菓子作り趣味なんで、よろしくね。」

「私は料理が得意!」

女子が騒ぎだすが、まぁ、俺が狙うのは原作(・・)のヒロインたちだ。ふふふ、織斑一夏が居ないこの状況で俺が活躍すればハーレムが出来るぜ!神さまから転生させてもらったこの世界。やっぱり、ISのヒロインは最高だな。モブのクラスメイトも可愛いしな。

「・・まぁ、良いだろう。次の奴、自己紹介を続けろ。」

まぁ、この織斑千冬が居るから下手な事は出来ないけどな。上手く行けばこのむちむちボインな年上や、隣の童顔巨乳に、そして織斑千冬からのつながりで天災様も落としてやるぜ。

・・しかし、何故この世界には織斑一夏が居ないのか?そこは気になる所だ。

調べた所、第二回モンドグロッソまでは普通に生活していたようだが・・。

まぁ、俺のハーレム計画に関係ないから良いか。来たら倒して俺の強さをアピールするための踏み台になってもらおう。

おかしい、セシリア、箒と俺になついてくれたのに鈴が一向に来ない。更に何故か転校すらして来ていないのだ。・・そして何より無人機が襲ってこない。一体どう言う事だ?・・そういや、アレは織斑一夏を鍛える為の天災さんの仕向けたものだっけ?いや、そう言う考察もあるけど、他ではファントムタスクの実験機体という線もあったか。どちらにしろ、アレが来ないと原作通りに倒せないから、女子が俺に目を向けないじゃないか。そう言うと、鈴も一夏が居たから無理やり転校して来たんだったか?織斑一夏がいない為の弊害がこんな所に出るとはな・・。

そして迎えた今日はクラスに転入生が来るという噂が立っている日。人気ランク最上位クラスのヒロインが転入してくる日だ。

「今日は転入生がいます。」

山田先生のその一言で俺のテンションは一機にあがった・・が、

「えっと、七人いますので驚かないでくださいね?」

「七人!?」

一体どう言う事だ!?何がどうなってそこまで多い人数が・・、

「では入ってください。」

『はい。』

聴こえて来たのは原作通りのシャルの声。うん、だろうね。そう思っていたが入って来たとたんに俺は驚愕した。

女子が六人(・・)に男子が一人(・・)なのは良い。だが、シャルが・・あの【シャルル】として入学してくるはずの【シャルロット】がスカートを穿いているのだ。

「シャルロット・クロニクル・巻紙です。生まれはフランスですが、両親が再婚で日本に帰化しました。クロニクルまで言うと長いのでシャルロット、またはシャル、巻紙と呼んでください。」

「ラウラ・クロニクルだ。ドイツ軍特殊部隊隊長で、位は少佐、軍で過ごしていたから少し世間一般とずれている所が有るので、気が付いたら言ってほしい。」

二人とも名前が違う!?シャルに至ってはすでに問題が解決してるじゃないか!俺の出番が‥ハーレム筆頭がどうして・・?そして続いて他の五人も自己紹介を始める。

「クロエ・クロニクルです。ラウラの姉です。生まれつき目が見えない病気でしたがISの技術応用で医療関係の技術向上の実験の為、専用機を持っています。その為こちらの学校に入る事となりました。至らぬ所もありますがどうかよろしくお願いします。」

「マドカ・クロニクルだ。新型IS技術のテストパイロットとしてこちらに来る事となった。クロニクルという名前だが、私は孤児院出身でクロニクル家に引き取られた身だ。血が繋がっていないので似て無い事も周知しておいてくれ。あぁ、好きな者は『兄さん』。嫌いな者は女尊男卑な人間や人種差別する人間、努力を笑う人間に、無駄に暴力を与える人間だ。」

そう言いながら織斑先生の方をちらりと見た。こ、コイツ・・マドカって言ったがまさかファントムタスクのMか?!顔そっくりだし。・・でも、体つきが出るとこ出ていてひっこむ所は引っ込んでいるし、スカートから伸びるすらりとした足がまた綺麗だな。そう思っていると次に移った。次の女子は背が高い・・。コイツも出るとこで手可愛い顔してる・・。

「初めまして、『深見レナ』って言います。好きな事は食べる事、マスターの指示通りに従う事で褒めてもらうことです!」

「レナ・・ここではマスターと呼ぶなと言わなかったか?」

隣で男が頭に手を置いて呆れた顔をしている。

「あ、そうか・・えーと・・なんだっけ?」

「はぁ~・・クロニクル君でいい。」

「うえぇ!?無理無理・・せめてマスターは許可してよ・・。じゃないとストレスで吐きそうになる~。」

「・・・しょうがないか。分かった許可する。・・が、呼ぶなと言っていた事を忘れていた事は後でお仕置きだ。」

「うぅ・・はぁ~い。」

「・・まったく姉さんは・・。アタシは井ノ原マキ。深見レナとは昔施設で姉妹のように育ったから姉さんと呼んでいるが実の姉妹じゃない。えっと・・後なんだっけ?」

「お前もか・・なんでここに来たかの理由。」

「おっと、そうだった。アタシはこんなたっぱしてるが実際は一つ年下だ。そして、馬鹿だから学校受けるついでにマスターの護衛をしろって会社からの命令だ。・・これで良いんだっけ?」

「・・もうどうでも良い。あと、さらりとマスターと言ったお前も後でお仕置きだ。」

「あ・・・。」

深見レナと井ノ原マキ・・背が高くて凄い良い体してるなぁ・・良し。狙うか・・。

「最後にクロニクル君お願いします。」

最後に一番端に立っていたさっきマスターと呼ばれていた男子。後ろ手に構えて『休め』の様なポーズで胸を張って喋り始める。堂々とした風格が有った。

「えぇ・・、俺の名前はクロノス・クロニクルだ。新型ISの開発途中で反応が有った事で急遽見つかった男性IS操縦者だ。今頃世界中に情報が発信されているころだろう。学園に入るまで秘匿されていたので情報公開は今日になった。さっき言った新型ISが俺の専用機になる。・・そうだ、言い忘れていたがクロニクル家の俺とクロエ、マドカに深見、井ノ原は新生IS技術研究所兼発展技術販売会社『CIRS』(サーズ)の所属だ。巻紙は関連会社所属で、ラウラは技術提供先との仲介兼テストパイロットをしてもらっている。クロエのISは戦闘に向かない医療用実験機なので、基本的にIS操縦実習には参加しない。眼は閉じているがハイパーセンサーの応用実験で見えてはいるので気にしないでくれ。」

「・・。」

『ガンッ』と大きな音がして『ドパァン』と衝撃音の後、『ガチャッ』『チャキッ』と音がした。俺がクロノスという男に付いて考えているうちに、どうやら織斑先生が手を出したんだと思ったが・・光景を見て唖然となった。

「うぅ、ぐぅ・・」

「「「・・・。」」」

「あ、・・あわわ・・。」

片膝をついて腹を押さえている織斑先生とそこに向けてナイフを構えているマドカ。銃を構えている井ノ原と深見。クロノスを守る様にラウラが前に立ち、何か端末を構えたシャルロットが後ろに構えていた。ソレを見て慌てる山田先生。な、なんだコレ・・なんだこの状況・・あの世界最強が膝をついているだと・・?

「・・はぁ。レナ、マキ。銃を出すのは最終的な状態だ。今はそこまでの脅威ではない。マドカ、ナイフは出すな。脅すなら拳でいけ。人傷沙汰で問題になるより、痣を与えないように内部への衝撃の方が後始末が楽だ。ラウラ、シャルはよくやった。あと、クロエは地味に見えない位置からの武器を構えるのはよせ。更に何処に通報しようとしている?」

「無論幹部職の皆さまへ。」

「やめろ・・アイツ等が出てくるとシャレにならん。これくらいは俺でも相手できる。下がれ。」

「許可できません。マスターを守るのが私達の役目。」「無論嫌だね。マスターを傷つけるってんなら、アタシ達が傷ついた方が良い。」

「・・・はぁ~。分かったよ、良いから下がれ。教室内の生徒が怯えてる。失礼時間を取りすぎたようですね。では席に付きます。開いて居るあの七席に座りますね。窓側にマドカとレナ、後ろにクロエ前にシャル廊下側クロエの隣にラウラ、俺の隣にマキが座る様に。」

『分かりました。』「わかった。」「あぁ。」

そうして転校生が来たが・・銀髪の片目に眼帯。ラウラの兄か・・ここらへんも織斑一夏のいない原作かい離か?まったく・・。ん?ならなんで織斑先生はアイツを殴ろうとしたんだろう?・・何か自己紹介で気に入らない所が有ったのかな?

まぁ、いいか。それよりあのメンバーをどうやってハーレムに入れるかだ。その為には・・、

「あの男が・・邪魔だな。」

ファントムタスクと束を使い会社を立てて更に、デュノア社を潰そうとネタを探っているうちに面白いものを手に入れたのでその情報を元にシャルロットとその母親を亡命させた。母親の旦那はうちの研究所にいた研究職の巻紙雄二という男で、しっかりとした恋愛結婚した。紹介はしたが、本気で居れ込むとは思わなかったな。よくて研究友達ぐらいに期待していたが、予想を裏切って結婚まで進んだのはむしろいい傾向だ。その際に俺が保護するために一度俺のもとに二人を戸籍移動させたからミドルネームがクロニクルになっている。ラウラは、ドイツの例の研究施設をネタにゆすった。そして、その際にラウラの情報を手に入れたのでクロエと共に会い、話して・・話じゃ通じなかったのでボコった。そして、その強さ、そして志に憧れたと、俺の妹になる事を志願。そもそも眼帯の下に同じ目を入れているという所と銀髪という酷似した所が有ったから余計に周りにもすぐになじんだ。‥そのせいでドイツ軍の男女問わずから『お兄さん』と呼ばれるようになった。おいどう見ても年上の将校、誰がお前らの兄だ。

 




はい、今回の男性主人公もゲスでした。
更に、シュバルツェア・ハーゼもすでに傘下に入れています。
CIRSと言う会社、それこそが前回のスコールが言っていた居場所です。
さぁ、これから学園生活はどうなるでしょうか。
感想だけでなく、思い思いの評価を入れていただけると嬉しいです。
別に高い評価だけではなく、何処が駄目かを言ってもらえると勉強になりますので。
ぜひ、よろしくお願いします。

それでは、シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

04 世界を巻き込む悪意 その名は『正義』

皆さん、どうも。私です。
私は正義の敵は他の正義、悪の敵は悪と考えています。
まぁ、正直正義などは偽善としか思えていませんが。
昔、子供ながらに『正義』と抜かして人助けをしたら、怒られた事が有り、ソレ以来正義って言う物は所詮は偽善だと思っています。
正しい事なんてこの世に一つもない・・。
エグゼイドの映画を見てそう思ってしまいました。
では、どうぞ。


~『CIRS』幹部室~

「ふあ~・・ねみぃ。」

「オータム、あまり気を抜きすぎないで。というか、仕事は少ないんだし文句は言わないでよ。」

「つってもよスコール、前の仕事より暇でしかたねぇよ。外での仕事とかない?」

「幹部がそうそう出てどうするのよ。それは、海外とのやり取りとかの時ぐらいよ。まぁ、ドイツにまた行かせてあげるから、我慢しなさい。」

「お、いいね。ビールもソーセージも旨かったし、黒兎部隊の奴等も気が合うし。」

「そして、ドイツ軍人をストレス解消にしごいて強くして感謝されるのよね。」

「おう、アレは笑ったぜ。まぁ、実践でIS相手に演習する機会なんざそうはないもんな。」

「そうね。だから仕事しなさい。するほど早く行かれるわよ?」

「おっしゃ、やる気出た!ついでにクロノスの話もして土産として『新型IS』装着時の写真も持って行ってみるか。」

「やめなさい、奪い合いになるわ。前に同じような写真持って行ったせいで、血で血を洗う奪い合いが起きたの忘れたの?クロノスに蹴られるわよ?前、脅されてなかった?」

「・・・『次は死ぬほど痛いぞ?』って言われたっつの。」

「じゃぁ、やめときなさい。」

「だが、アイツ等から期待されてるんだ。だから、コピーして増やして行けばいいんじゃね?」

「・・写真渡す事は決定してるのね。じゃぁ、もう知らないわ。一応止めたからね?」

「仕方ない・・クラリッサを生贄にしよう。アイツから強く希望されたと。」

「まぁ、・・間違っては無いのよね。あの子が一番眼の色を変えているし。最悪そうしなさい。」

「よっしゃ、まぁ、・・コレで今日の書類話終わりだが・・。先に前倒しの作業しとくか。」

「そうね、それが良いと思うわ。」

「あぁ、んじゃ、社長に先にこれ持って言ってくるぜ。あ、野上―、クソ不味くて良いからアタシんとこに珈琲を置いといてくれ。」

「・・チッ。」

ジト目をした様な眼の女性が舌打ちをしながら、席を立ち珈琲を入れに行った。

彼女は野上。幹部室の室長補佐で、元々室長の部下だった。室長は元軍人で教師免許も持ち、医療関係の資格も多く持つ女性、名前は仙石イチルという。今はIS委員会に出向いて転入の件の詳しい内容と今後の社の方針の説明、それから現行使える技術の医療応用の件での説明に行っている。行く際に『あぁ、面倒くさい面倒くさい。』と言いながらも書類を持ってしっかりと待ち合わせに遅れないように出て行った所は、根はまじめなのよね。

「情報、持って帰ってきました。」

「あぁ、ムラサキ。お帰りなさい・・どうだった?」

「うーん、更識関係がとりあえず警戒だね。後は、フランスがきな臭い動きしてるのとアメリカの軍事関係者が勝手な行動を開始してるようだね。軍用ISなんて作り始めた様だよ。マスターに報告しといたほうがよさそうだね。」

「・・ふむふむ・・コレは不味いわね。」

「何が?更識程度、すぐに消せると思うけど・・」

「そうすると日本の政府からの反発が有るわね。そして、更識はおそらくクロノスについて調べるわ。ファントムトリガーとばれると、殺人容疑で指名手配やうちの会社に手が入るかもしれないわ。それに、ロシア代表だから下手に刺激すると各国が反応する。そして、彼女は生徒会長、生徒会長権限で色々と無理やりな事も出来るのよ。」

「・・それは不味いね・・手を出しても、出さなくても面倒だ。」

はぁ・・まぁ、クロノスならきっとどうにかできるでしょう。

「ムラサキはこれで今回の任務を終えていいわ。野上には私が伝えとくわ。」

「了解・・。」

さて、これを更に深く調べましょうかね。野上には私の分もつけて渡しましょうかね。アメリカなら私の得意分野だし・・。言われてやるより言われる前にやった方が野上も情報集める手間が省けるから良いでしょう。

「さて、・・あの子にも気をつけるように言っときましょうか。・・・あ、レイン?クロノスの事知ってるわよね?・・あ、もう噂になってるって?そりゃあの容姿だしね。それで更識が動きそうだからソレを阻害してくれないかしら。下手に動くと『SORD』(ソード)が出る事になるわ。・・そう、だからこそ貴方が動いてくれないかなって。・・そう、お願いね。」

「スコールさん、オータムさんと野上さんはどちらに?」

「あら?クリスじゃない。あの二人に何か用事?」

「いえ、今日の食事の件を聞こうかと・・食べたい物は何かあるかなと。」

「あぁ・・多分今日はオータムは肉が食べたいというわね。私は貴女の唐揚げが食べたいわ。」

「わかりました。唐揚げを中心に揚げ物などのメニューで献立を組みますね。あと、コレがタナトスさんから得た情報です。マスターについての海外の見解と対応です。」

「・・アメリカの政府は様子見、ヨーロッパはイギリスが反抗的、フランスが怪しい対応を見せてる・・アフリカ圏とユーラシアはほぼ問題なし・・だけど、ロシアの一部が怪しい動きを見せている・・か。更識に近しい所が特に動きが活発・・ね。まぁ、面倒にならないなら良いのだけど・・。・・は?」

一枚めくると先のムラサキの報告の件であったアメリカの軍部の一部の行動ってこれ?馬鹿じゃないの?

『ファントムトリガー殺害計画』・・軍部と女尊男卑のスポンサーからの資金提供者の名前が載っている。私が調べようと思っていた事がそこに乗っていた。

「・・クリス、貴女どうやって此処まで・・。」

「ムラサキの資料を少しのぞかせてもらって、タナトスさんに頼みました。」

「あー。なら正確ね。わかったわ。これ、野上に渡しとくわ。」

「お願いしますね。では。」

そう言って去って行くクリス。まったく、あの子の気のきかせ方は凄いわね。そう思いながら、仕事を進める。はぁ・・仙石じゃないけど・・。

「・・面倒だわ。」

 

相部屋のメンバーが・・メンバーと言っている時点でおかしい事は分かっているだろう。まぁ、はっきり言うと女子寮の隣の空きスペースにCIRS所属または関連メンバーの寮を作った。はっきり言うとまぁ、相部屋というより寮の各部屋に一人なのでまぁ、相部屋という形ではないんだが。それぞれの部屋はあるのだがこの寮の特殊な所が二つ、まぁ、寮なので専用の食堂はあるのは普通だが、そこの真下の地下に作戦室、そして、寮の下全体にわたるほど大きな地下二階部分が有り、そこには研究室兼兵器開発室が有る。一応、図面上では研究室兼ISの整備室となっている。

俺はそこで徹夜してベルトとISの調整、後は新型兵器の開発をしている。部屋で寝る事はおそらくほぼ無いだろう。寝なくても良い体に変わっているのだから。ダメージをくらえば体を休める為に寝る事はあるだろうが基本、睡眠などは取っていない。食事もあまり必要ではないが好みで取っている。自分で作る事も多く有ったが、最近はクロエが作る様になった。俺とクリスが教えて今では美味しいものを作る様になったが、昔はゲル状や黒炭製造ばかりしていたらしい。ソレを束は食べていたとか。考えただけでぞっとする。そして、料理を教えて自分で作れるようになってからは家族には自身が作ると言い出して、クリスと共に料理をするようになったという訳だ。

さぁ、何時だと時間を見ると六時を回るくらいだ。丁度いい時間だからと研究室の備え付けのシャワールームに入り汗を流す。そこから出て支度を済ませ制服に袖を通す。そこから出てドアにロックをかけて専用の階段を上がりドアを出ると一階に繋がっている。

「兄さん、また徹夜ですか?」

食堂に入るとクロエから声をかけられる。

「俺が徹夜をしない事はほぼ無いと知っているだろう?」

「入学して授業初日ですから、兄さんも緊張の一つくらいするかと・・気疲れもするかと。あの女のクラスに編入ですから。」

「・・気にもせんな。いや、多少うざいがまぁ、SORDの前線と関連メンバーが居る状態で怪我をする方が難しいからな。俺よりもクロエなどが気疲れするだろう。ゆっくり休んでも良いんだが?」

そう言いつつ、食事を済ませる。

「いえ、私は問題ありません。家族が一緒に居る状態の私に何の問題が有りましょうか。いえ、何が障害となりましょうか。」

「・・ま、好きにしろ。俺は起床の号令をしてくる。」

「お願いいたします。」

 

『全員起床!各員食堂にて食事をすませろ!』

 

寮内放送を使い全員を起こす。そして、俺は部屋に行って自身の荷物を持つ。昨日は一応部屋を見る為に此処に戻ってきて荷物を置いたのを下に持っていくのを忘れていた。今日からは全ての荷物を下に持っていき自室がわりに使う予定だ。

そして、荷物を持ってゆっくりとしながらもう一度地下に入り各自の現在のスペックにリミッターをかけて調節したISを持って上がる。もう一度しっかりロックする。食堂に入ると全員が支度を済ませていたので、全員を並ばせる。

「レナ・・機体名は『シューター』、基本兵装は『イグニス』と『ジャッジ』だ。」

「はい、マスター。」

「マキ、お前は『ストライカー』、基本兵装は『グロック』だ。」

「オッケー、マスター。」

「マドカは『スナイパー』・・因みにライフルは使いなれたお前のいつものに換装しておいた。」

「うん、ありがとう兄さん。」

「シャルには『マークスマン』だが、兵装は入れれるだけ入れた。使いやすい武器を好きに使うと良い。ぶっちゃけ武器庫だ。」

「ありがとうね、クロノス。」

「ラウラは唯のメンテナンスだけだが・・一応基本兵装を全部強化しておいた。競技リミッターを切ると敵がISだろうが一発で各部位が吹き飛ぶから気をつけろ。」

「・・おい、何故私の機体だけ魔改造されているんだ?」

「何を言っているんだ?俺が手掛けた機体は全てリミッターを切ると同じ性能が出るが?」

「・・悪かった。一応礼を言うぞ兄さん。」

そして、俺たちは教室に向かう事にした。

因みに俺の機体はラウラ以外の全部の機体の元になった『ストレイド』だ。

シャープなボディに銃と刀がついているだけの普通な機体。まぁ、システムロックを解除すれば、色々と使えるが・・。

 




今回の『正義と言う名の悪』は世界の警察を名乗るアメリカです。
まぁ、スコールとレインが居る時点で何もできないでしょうが・・。
それぞれの機体の性能はまた今度。

では、次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

05 馬鹿と愚者

どうも、私です。
皆さんの感想、喜んで読ませていただいております。
この作品についての大まかな話ですが、
ダークライダーメインと言ってもあまり数は出せません。
それは、私が見た作品が少ないのと、扱いに困った物が多いからです。
G4とか、変身じゃなくて装着だし・・見てないから、ガオウとか何の能力が有るか知らないし・・すでに前の作品に結構使ったし・・。
そう言う事で、まぁ、生温かく見守ってください。

では、今回もどうぞ。


「おい、お前・・」

「あぁ!マスター!!一緒に放課後練習しない?」

誰か俺に声をかけて来た様な、と思い振り返ると、レナが休憩時間に俺の目の前に飛び込んで来た。つか近い。他のメンバーはそれぞれバラバラに動いているようだ。席には俺が座っているだけで周りは全て開いている。レナが居るが俺の前に立っているのは護衛は必ず一人は残るという事があるからだな。

「アリーナの使用許可は申請通ったのか?」

「うん、一応参加者は『CIRS関係者全員』としておいたから。」

「・・意外だな。お前にしては手際がいい。」

「撃ちまくれるなら、苦労だってまったく苦労と感じないよ!」

「・・・あぁ。お前はそう言う奴だったな。まあいいよくやった。了解、各員に伝えて携行装備の確認試験を行うとしておけ。ナビゲーターおよびオペレーターとしてクロエに伝えるのを忘れるなよ?マキは特に訓練しておく方が良いだろう。手足として使うには少し癖が有り過ぎる使い方だからな。」

「分かったよ、マスター!それじゃ、皆には伝えとくよ。」

そう言ってレナが端末を使い各員に一斉送信をした。なので・・

『ピロン』

「・・おいレナ、俺にまで送信しなくていいんだよ。馬鹿たれ。」

「あ、あれー?え、えへへへ・・。」

「はぁ~。」

そうため息をつきながら俺は自分の首後ろをなでる。

「ったく、せっかく褒めたというのに・・。お前はやっぱりどこか抜けてるな。」

「えー、マスターは馬鹿な子でも好きって言ってなかった?」

「顔と性格によるな。それに馬鹿でも良いが、愚か者はごめんだ。」

「どう違うの?」

そう言われて俺は顎に手を当てる。

「言われてもできない位なのは馬鹿。言われてもやらないのは愚か者・・か、天の邪鬼だな。『トーカ』とかは天の邪鬼に入るタイプだ。」

「あぁ、言われると逆らう時あるよね。前、野上さんに命令されて従おうとしたら、念を押す様に確認をされてイラついたみたいでさー、『急に貴女の言う事に逆らいたくなってきたわ。』なんていって真反対の行動したし。」

「・・それはトーカの性格を分かって居ながらもそう言った野上が悪いな。」

「でしょ。仙石さんに『ヘタクソか!?』って言われて呻いてたし。」

「あぁ、後は言われても理解しようとしないタイプも愚か者だな。考えずに自分が正しいとか思っている奴。たとえば自身の正義感を振りかざす奴とか、自身の考えを人に押し付ける奴な。俺は正義とか悪とかその心情は個人の価値によると思っている。」

そう言っていると皆が帰って来た。そして各それぞれに確認を取って放課後にアリーナでの訓練が決まった。

 

「さぁ、俺と戦え!!」

そう世界初の男子操縦者が言って来た。だが、

「・・さて、CIRSの諸君アレは無視で訓練だ。今日は模擬戦の申請はしてないから勝手に戦うと怒られるからな。・・規則を破った場合は俺からのお仕置きもあるから、忘れないように。」

『はい!!』

少し覇気を出して俯き加減で眼元を隠して言うと全員が顔を青くしながら全力で頷いた。

「よし、なら先ずはレナ、イグニスとジャッジのスピードプレート。‥準備はいいかクロエ?」

『はい、スピードプレート用意しました。ではレナさん、私が合図をします。チャンバー確認・・「・・OK。」セーフティ・アンロック・・「OK。」・・レディ?』

「すぅ・・ふぅ・・OK。」

そう言ってレナが頭の横に手を構える。

『ビー』

そう鳴ると同時でレナが腰のホルスターのイグニスとジャッジを抜いて一気に撃つ。

『ガンガンガンガンガン』『バガン・・バガン・・バガン!』

『ビー』

『1.89・・正常時間です。合格。』

「やったよマスター。でもージャッジの方が少し反動が強く感じるなー。イグニスはいい感じ。」

「わかった、今晩ジャッジの方をまた調整しておく。次、マキ。」

「おう・・アタシはさっきの間に準備したからすぐに良いぜ。」

『では・・マキさん、レディ・・』

「おう!」

『ビー』

レナと同じ構えからグロックを二丁抜いて撃つ。

『バンバンバンバンバンバンバンバン・・』

『ビー』

『1.92・・ですが外れが多いです。速度よりも精度を上げてください。』

「仕方ねぇだろ。アタシは姉さんよりも下手なんだから。馬鹿は数撃ちゃ当たるってな。」

「それが、訓練をしない理由にはならん。後の課題だ。今度ちゃんと見てやるから、まじめに精密射撃の訓練しろ。・・次、シャル。」

「僕はあまりハンドガンは使わないんだけど・・。」

「良いから装備の点検だと言ったはずだ。実用性がなければ外すし、他の機体に付け替える事もする。お前の機体は基本的に武器庫で弾薬庫だからな。」

「・・うーん、分かったよ。でも慣れて無いから、速度は求めないでね。」

「わかった。しかし手を抜くなよ。」

「うん・・チャンバーOK、セーフティ、リリース・・OK。ホルスターイン・・準備OK。」

『では行きます、・・レディ、』

『ビー』

『バン・・バン・・バン・・バン・・バン』

『ビー』

『2.96・・遅すぎます。制度はいいですね。』

「クリスのボディガードを元に作ったからな。精度と威力はある。が、装填数が少ないのと形状が特殊で持ちづらいのが欠点だ。」

「うーん、そこまで悪くないね。いざという時の【ボディガード】に持っておくよ。」

「ならいい。次‥マドカ・・はハンドガンはいらんからつけなかったな。」

「その距離なら、アサルトライフルか銃剣、マシンピストルで行くからね。最悪ナイフもある。」

「なら最後に俺が行こう・・オールOK。ホルスタークリア・・レディ・・」

『ビー』

「・・!?」

『ババババババン』

『ブー』

『1.79・・ですが・・』

「おいコラ、なんで俺だけ赤マル入っとんじゃ!?反射的に撃っちまったじゃねぇか!?」

『流石、自称狂犬。人質もろとも頭ぶち抜くとは、流石ですね。』

「さっきから普通に青マルだけだったから全部撃っちまっただけだよ!!なんで俺だけ設定変えてんだ!?」

『いえ、どう言う反応するかなーって・・。』

「クーローエー・・後で覚えとけよ?」

『あー・・申し訳ありませんでしたお兄様。だから・・だから、許して下さ「だが断る!おやつ抜きだ!!」・・神は死んだ・・。』

 

そうして、次にマドカとシャル、ラウラは遠射をした。マドカは専用ライフル、シャルは汎用ライフルと対ISライフル。生身でアンチマテリアル使うよりも反動がでかいと言われた。連射には向かんらしい。要改造だな。

ラウラには先ず試作段階の武器を試してもらう事にした。肩の新型レールキャノン。威力と速度は高いのだが、反動が大きく左右のバランスが少し悪いと。最悪両肩つけてスタビライザーをつけて安定させた方がいいかもしれないとの意見。使った事がない奴らばかりなのでやはり慣れた奴の意見は参考になる。その後使った従来のレールガンは威力速度が上がったが、逆に反動が少なくなっている為癖に慣れないといけないそうだ。撃った後の姿勢制御を体に覚えさせているから、ソレを直さないとカウンターをしすぎるらしい。リコイルカウンターは確かに体に覚え込ませると速く動けるからな。その分変わったら治すのに手間がかかるが、覚えさせないのとでは明らかな差が有る。

その後、ばら撒き形をマドカとシャルが使い集弾率や命中精度を記録。結構な武器の改修が必要なようだった。

結果、マドカの機体はほぼ改修無し、が新型装備の制作依頼。シャルはバラマキと対ISライフルの反動軽減及び機体の関節部の動きの違和感解消、レナはジャッジとリアスカートのバランサー。マキはグロックの装填数の向上、及び専用パッケージの制作依頼。コレはレナからも同じような物をちょうだいと依頼が有った。ラウラはレールキャノンの改修した物をパッケージにしてほしいとの依頼。仕事が山積みだ・・。

『ブブー』

考えて歩いているうちに端末に警告音。見るとカメラが作動、コレは・・

「やっぱり来たか、生徒会長、更識楯無・・。」

寮のロックシステムに強制アクセスが有った為緊急システムが起動している。つか、コレは全CIRS学生に連絡が行く・・という事は、

「やべぇ・・二匹の狂犬が・・」

俺は慌てて寮へ戻る・・が、

「きゃあぁぁぁああ!?」

『バンバンバンバンバン』

『バガンバガンバガン』

『ガンガンガンガンガン』

銃声が鳴り響いている。グロックとジャッジ、イグニスの音だ。

「マスターに仇なす敵は許さない!!」

「マスターに近づく敵はハチの巣にしてやるぜ!!」

狂犬姉妹が生徒会長に当てないように(・・・・・・・)乱射してた。つかジャッジで当てないようにするとか・・ヨントーのバードショットだぞ?・・あぁ、そういや一応スラグショットシェルも渡してたか。そっちかな?威力が高いからあっちなら土を抉り返す様にして威嚇射撃が出来るな。もし狙ったりして当たった場合下手すると内臓がミンチだけど。

結局、追い立てて、校舎に逃げ込んだのですごすごと二人は帰って来た。けが人は出していないらしいので、今日のお仕置きは無しにして頭を撫でてやった。

レナは興奮してしがみついて来て襟が涎でべとべとになったので引き剥がしてぶん投げた。

褒めた途端にこれだ。・・まったく。

 

「・・・タナトスさん・・生徒会長の端末に悪質なウィルス送ったろ・・。」

『あら?私にちょっかいかけて来たのはあの女よ?意趣返ししても仕方ないわ。』

「・・女の子は陰険なやり方が有るから、男のようにはっきりとしたやり方の方がまだ可愛げがあるな。」

『あら、ひどい。私は貴方達の生活を守ったのよ?お礼を言われるならまだしも愚痴を言われるのは心外ね。』

「そこは感謝はしてる。だが、学園の運営に齟齬が発生するのはあまりよろしくない。俺たちが現在通っているのだからな。」

『だから、徹夜すれば問題ないくらいに抑えたわ。彼女、今夜は寝れないけど、明日までには終わるはずよ。さぼらなければ・・だけど。』

「えぐい・・まぁ、あんな奴が寝れなかろうが俺には関係ないか。それじゃタナトスさん、今回の報告書、本社にお願いね。」

『了解。クロノスも、久々に寝たら?』

「眠たくはないからな・・やる事は多いから寝る暇もないし。」

『あら、そうね。じゃ、また用事が有れば呼んでちょうだい。あと、いつか時間が出来たら新作ゲームで遊びましょ。』

「OK。落ちついたら遊ぼうか。今は目の前の事を片付けるよ。」

『そう、頑張ってね。』

そう言ってモニターから『彼女』タナトスさんはログアウトした。

 

 




そうそう、キャラクターは基本的に『グリザイア ファントムトリガー』から多く出演しております。仙石、野上、レナ、マキ、クリス、トーカ、ムラサキなどはそちらの作品のキャラです。

今回出たオリジナル機体は、基本的にはラファールに近い見た目で全身装甲にしたイメージで想像してください。武器は腰のサイドスカート部分などにホルスターが付いています。もちろん、拡張領域も後付武装もあります。
ラウラの機体は原作通りです。装備が魔改造されているだけです。

では、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

06 破滅への布石

どうも、私です。
どうやら、【グリザイア ファントムトリガー】のキャラクターがオリジナルキャラと勘違いされているようなのですが・・表などを作った方がいいのでしょうかね?
一応、オリジナルキャラクターはゲス主位なのですが・・。
まぁ、これらはこれから考える事にします。

では、本編へどうぞ。


「まったく・・困ったもんだな。」

生徒会長のみならず、女尊男卑派の生徒や教師が同じ様な事を仕掛けて来たのだ。玄関を無理やりハッキングしてそのままクラッキングしようと試みているようだ。が、そうはいくわけがない。こっちには最高のAI頭脳『タナトス』システムがついているんだから。

『・・ここの人間って馬鹿?』

「・・否定はできないな。」

そう言っているうちにもまたレナとマキに制圧されて、あぁ、逃げ場を防がれてる。今回はマドカも加わっているようで足にテーザーガンを撃たれたりゴム弾を撃ちこまれて動けなくなった所を捕まった。そのまま全員を後ろ手にして親指同士を結束バンドで締めた。

『マスター・・警報の原因捕まえたよ~?』

『アタシ達に刃向かうとはいい度胸してるよな?あぁ“!?』

『・・ねぇ、普通に撃っちゃ駄目?こう、何回も来られるとイライラするから。見せしめに一人か二人くらい。』

「・・レナ、マキ、マドカ・・そいつらは拘束して校舎近くに投げとけ。今、シャルが『私達は学習しない馬鹿です』と書かれた首掛け用のひも付きプラカードを持って行ったから、そいつかけてほっておけ。後は学園側に今回は教師も加担していたことから完全に抗議が出来る。カメラ映像もあるから証拠もあるし、文句は言わせない。その金でなんか食わせてやるさ。」

『わーい!お肉―!お肉が食べたい!』『アタシは腹が膨れれば何でもいいかな。』

マドカからはコレといった要望も無く普通に過ごした。何かストレスをためていないと良いが・・。

 

CIRS本社~

「さて、君たちに集まってもらったのはほかでもない、クロノスの事だ。」

「あぁ、あのIS学園とか言うふざけた所に行ってるリーダー(笑)の事?何かあったのかしら?面白い事ならいいのだけど・・。」

「有坂先生が今は勉強見てくれているから良いけど・・、クロノス居なくて若干仕事増えて面倒・・。他の子には文句言われるし・・なんでクロノスじゃないのか―って。」

「あぁ、私も言われたわ。居ても居なくても面倒かけるのね、あの男・・。」

二人して大きなため息をつくトーカとムラサキ。

「そこはどうでも良い!それよりもだ!日本政府から子飼いの対暗部用暗部『更識』を使い探りを入れようとしているそうだ。」

「そりゃ、世界で数人しか居ない男性IS操縦者『とされている』んだから仕方ないわよ。」

「まぁ、・・普通そうだよね・・。クロノス自身、目立つし・・。後怪しいとも言えるけど・・。」

「まぁ、彼が怪しい見た目であり、且つ中二病を患っている様な見た目である事は確かにそうだが!そこではない!!獅子ヶ谷が言った通り、彼が操縦者とされている件にあるのだ!」

そこに手をあげながら野上が発言を入れる。

「・・そもそも、あそこに行く理由は彼にあったのですか?」

「そこは私から言うわ。彼との契約内の話だし。」

部屋に居て何も言わなかったスコールがそこで口をはさむ。

「そもそもなぜ彼があそこに入る必要が有ったのか、それは世界で一番ISが揃ってかつ、接触が多い場所だからよ。彼の狙いは最終的にはISの戦争などの使用を減らす事が篠ノ之博士との契約で、なお且つ彼自身の目的として織斑千冬、及び女尊男卑な人類への復讐が有るからよ。」

「・・聞くからに私怨と危険思想じゃない。そもそもバレ無いの?」

「まぁ、そこはそうだが・・彼が元の彼な証拠はすでにない。血液検査をしても関係性がない事が証明されるだろう。彼と博士から聞いた話ではあるしそこは置いておく。しかし、彼に近づこうとする女尊男卑が多くて、こちらも困っているという事が問題なのだ。わが社の方にも苦情が来て担当官が胃を痛め始めている。何度言っても聞かない馬鹿の集まりがイライラさせて来ると。近場に居た宇川に担当させたら『バニラとチョコ出して消させてくるわ。』とか言いだしたから、抑えるのに苦労したぞ。」

「自業自得じゃない・・。」

「まぁ、・・宇川さんに担当させたらそうなるだろうね・・。」

「という事で何か良い意見はないか?と聞く為に集まってもらったわけだ。」

「「消す。」」

「始末すればいいのでは?更識や日本政府は置いておくとしても女尊男卑派閥くらいは消しても何の損もないかと。むしろ害虫が減っていいくらいです。私からしても、気が害されてとてつもなく不快なので。同じ女としても反吐が出そうです。」

「仙石さん、野上さん・・それでは・・『SORD』を出しますか?」

そうクリスが聞くと野上があからさまに顔をしかめた。

「人間だけが相手ならそれで行くが・・如何せんISもあるからそう言う訳にも・・」

「あぁ、もう面倒だ!『SORD』ではなくクロノス個人に依頼する!ムラサキは変装してクロノスに接触。今回の情報と女尊男卑の人間の集まり、略称『女権団』の始末の依頼及びその情報を譲渡来てくれ。」

仙石がそう言うと明らかに少し口元が嬉しそうに歪む。

「‥分かった。じゃあ、支度して行って来るよ。」

そう言って部屋を出ていく。

「クロノスに会えるからって、明らかに嬉しそうだったわね。」

「仕方ありませんよ。彼女、クロノスさんに甘えてるとこありますし。」

「クロノス‥アイツ本当に普通にやれてるんでしょうね・・?いや、無し。さっきの言葉なし。絶対まともにやってるはずないし。それより、もう話は終わり?戻って勉強と仕事したいんだけど?」

「なるほど。話自体は終わりだ。帰ってかまわんよ。」

「そう・・まったく無駄な時間だったわね。」

「それでは私はタナトスさんに聞いて周りの政府高官を抑える為の情報、押さえときますね。」

トーカ、クリスも部屋を出る。そして残った大人勢が顔を見合わせる。

「・・まったく・・面倒だ。面倒だ。バカバカしい。女権団体のせいで無駄な時間を過ごした。」

「ソレは初めからクロノスに依頼しなかった仙石さんのせいです。珈琲、入れますか?」

あえて野上がそう言うと全員が顔をしかめた。

「今日はうまいコーヒーが飲みたい。せっかくだ、スコールが入れてくれ。」

「分かったわ。」

そう言って珈琲を入れ始める。

「あぁ、・・しかし・・終わりましたね『女権団』。」

「そうだな。自業自得だがな。」

そう言う事だろう。世界はこうも面倒なのだ。

 

「ど、どう言う事だ!?」

「ISの攻撃が効かない!?」

「た、たすけてぇ!!」

数日後、女権団の本部が有る東京のとあるビルは阿鼻叫喚となっていた。

『静かにしたまえ。終焉の時間は厳粛でなければならない。処分対象No.7800『女性権利団体』本部所属、強硬派一同。君達は全員処分依頼が出ている。強硬派全は処分し、さらにすべて≪絶版≫だ。』

そう言って口元に手を持っていき、人差し指で静かにとジェスチャーをする。

『さぁ、終末の時間だ。』

そう言って仮面ライダークロノスがベルトのボタンを同時押しする。

《ポーズ》

世界が止まる様に・・クロノス以外のすべての時間が止まる。そして、バックルから外し手にハンドルをつけてそこに装着する。

《ガッチョーン・・ガッチャーン》

『先ずは周りのISを先に始末しておこうか。時間は無駄にしないようスマートに。』

そして、チェーンソー型の方を先に向けて【Aボタン】を押して音声が流れ待機音がして相手に狙いをつけて【Bボタン】を押す。

《キメワザ・・クリティカルサクリファイス・・》

チェーンソーで攻撃してダメージをくらい動くがすぐに止まる。

《ガッチョーン・・ガッチャーン》

逆向きにハンドルをつけかえながら今度は銃口になっている方を相手に向ける。その方向には生身の人間が大量にいた。集まって恐怖に震えているが、自業自得だ。今まで好き勝手して男たちを食い物にしたりストレスの発散先にしたり・・自殺に追い込まれた者も数多いる。許す気はない。

《キメワザ・・クリティカルジャッジメント・・》

銃口から攻撃を放ち人の塊で爆発を起こした。その状態で止まっているが、もはや一番前の人間は肉塊になっている。

《ガッチョーン・・ガッチャーン》

付けかえてベルトに戻して歩きながら強硬派のリーダーのISの元に歩いて行く。

『さぁ・・最後だ。報いを受けたまえ・・。君自身の、終末の時間だ。』

《キメワザ・・クリティカルクルセイド・・終焉の一撃》

背後に時計を浮かべ反時計回りに針が動き、ソレと重なる様に蹴りをくらわす。

そして、地面に降りてベルトに手を伸ばす。

《リスタート》

時間が動きだし全てが吹き飛んだ。

『・・まったく。時間を無駄にしてしまったよ。』

そう言いながらクロノスはそこから姿を消した。

こうして女権団強硬派一派は破滅したのだった。

その音声はないが代わりに解像度が強化されている監視カメラの映像を見た更識楯無は恐怖に怯えた。解像度が良いせいで人が肉塊になる瞬間を見てしまった。

しかしそれを抜きにしてみてもやはり、恐ろしいとしか言いようがない。ベルトに手を伸ばした後、急に全員が爆発してISの絶対防御も何の意味も無く死んでしまっていたのだから。

「一体どう言う事?どんな力で動いているの?コレは・・『ファントムトリガー』・・。」

恐ろしい。私でも絶対勝てない。そもそも対処なんて出来るのだろうか?何故いきなり爆発を起こしたのかも分からない。ISのハイパーセンサーでなら見る事が出るほどの速さか?そう思って見たが、いや、無理だろう。と、思いなおした。

 




楯無さんはこれにより一層、ダークライダーとしての『ファントムトリガー』を怖がっています。
まぁ、一瞬でいきなり人が吹き飛んで死体になる光景などは見たくないでしょうね。解像度が良いのがあだになってトラウマ化しなきゃいいんですがね・・。

皆さま感想ありがとうございます。
評価もしてくださり、嬉しい限りです。

ではまた、次回で。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

07 真の専用機・・真の姿、その名は・・

今回はゲス主(笑)の活躍(爆)回です。
まぁ、どんなふうに活躍するかは・・

呼んでからのお楽しみです♪『ニヤリッ』

ではどうぞ。


「俺と勝負しろ!模擬戦で良い!逃げたら弱虫だと言いふらす!」

「・・おい、アレは誰だ?」

「えっと、・・世界初の男性操縦者ですね。データバンクにあります。」

ラウラ、クロエと共にいるとそう宣言された。誰か知らないから二人に聞いたらそう返事が返って来る。

「おいぃ!!同じクラスなんだから覚えておく位しろよ!!」

「ふむ・・まぁ、いいか。クロエ、レナとマキそれからマドカに連絡を。ラウラ、シャルに連絡して本社から模擬戦の許可を取る様に。後は・・俺が許可を学園側に取ろう。今日の放課後で良いな?」

「へ?あ、あぁ・・。そうか、模擬戦するにも専用機だけじゃなくてアリーナの使用許可が居るのか。」

「それくらい、喧嘩を吹っかける前から準備をしておくようにな。さて、少し次の授業に遅れるかもしれんが、許可を取りに行ったと伝えておいてくれ。」

「分かった。」「分かりました、行ってらっしゃいませ。クロノス兄様。」

その声を背中に受けて教室から出る。階段を上がり、扉の前に立つ。ノックを四回。

『・・どうぞ。』

「失礼、このような時間ですが仕事をしていると思い参りました。世界で二番目の男性操縦者、クロノス・クロニクルと言います。以後お見知り置きを。」

「あら、丁寧なあいさつね。お姉さんから見ても好感持てるわ。中に入って座って。」

紅茶とコーヒーどっちが良い?と聞かれ紅茶でと答える。野上さんのコーヒーを飲んで少しトラウマ化しつつあるのかもしれない。なぜ、仙石さんは俺が入れる美味しいコーヒーよりも、野上さんの入れるクソ不味い方を選ぶのか。男の入れたコーヒーなんぞぬるいビール以下だと言っていたが・・まったく意味が分からないのだが俺は悪くないだろう。「私はこの学園の生徒会長、更識楯無。ちなみに二年生よ。こっちは私の従者で布仏虚。三年生で会計をしているわ。貴方のクラスの本音の姉よ。あの子は庶務。三人の生徒会だけどよろしくね。」

「えぇ、我が社、【CIRS】の者をこのような大勢まで編入させていただき、ありがとうございます。っと、社交辞令はここら辺で。あまり時間を取ると仕事が止まりますから。放課後、生徒会長権限で第五アリーナ、普段使われないアリーナを使用させていただきたい。同じクラスの男子から模擬戦と称して喧嘩を吹っかけられまして。逃げたら弱虫と言いふらすとまで小物感を出してくれましたので、お礼としてそれ相応に叩き潰して鼻っ柱を折ってやろうかと。」

「あらら。それはまた・・彼も困ったものね。条件付きで許可しても良いわ。」

「条件とは?試合を見る、または機体の情報を開示くらいなら問題ありませんが?」

「・・よく分かったわね。それにしても企業秘密じゃないの?新型でしょう?」

「機構は確かに新型です。普通よりも動きをシャープにする構造をしてますが・・それはどこも考えている事。外部装甲フレームよりも、人で言う骨、内部フレームに視点を向けそこに肉付けして周りを外部フレームで覆い守る。簡単に言えばそれが基本です。後はそれぞれの機体の乗り手に合わせてのチューン。その機体の大本になっているのが俺の機体ですが。シャープな装甲に腰に銃と刀をつけた機体。外部に装備をつけるのは生身でも慣れているから体に染みついた行動の方が良いので。それくらいですね。」

「・・へぇ、君はISの製造にも詳しいんだね。」

「えぇ、それは当然。機体は俺の発案です。そこからの開発、改良は会社の社員ですが。あと、まだこれからもっと改良する予定ですので、今見られてもあまり意味が有りませんし。他の機体と一緒に動かす事で見つかる問題点を探す為にこちらに入学させてもらったのが一番です。あぁ、言い忘れてましたがうちの会社の事で思い出しました。探るのはいいですし痛くない懐を探られるのも不快ではありますが、社員は女尊男卑の被害者が多いので下手に脅しとかで刺激すると会社からの報復が有りますので。多少のオイタはいいですが、下手にかぎまわり過ぎると・・痛い目見ますよ。それでは、先の約束。お願いいたしますね。これにて御機嫌よう。」

そう言って俺は生徒会室から出て、廊下を歩く。すでに授業が終わりに差し掛かっている時間だった。

 

放課後となり、用意された第五アリーナに向かう。

「あら、思ったよりもお早い到着ね。」

【関心】と書かれた扇子を広げている。

「こちらがお願いしたので、お礼を言っておこうかと。勝負より前に挨拶しておくのが礼儀という物でしょう。忙しい時に押し掛けてその上こちらのお願いを聞いて頂きありがとうございます。機体の情報は開示情報と試合で見せる分には問題ないので、どうぞお持ち帰りください。傘下の企業に渡すのはよろしいですが、言いふらすのはやめていただきたいですがね。」

「そこは安心しなさい。私も国家代表。情報の重要性は分かっているわ。」

「それなら安心だ。では、こちらも準備が有るのでこれで。」

そう言って俺は生徒会長の前から去る。

用意されたBピットに行き、戦闘用の服に着替える。と言っても、いつも制服の下に着ているのだが。制服を脱ぎハンガーにかけて、ズボンは畳んで横に置く。いつも訓練中は修行の一環として着替えも無しで制服かジャージを着た状態で機体を展開している。が、今回は勝負と行く為、一応専用装備で行く。と言っても、長いタイプの自転車用ライダーパンツとライダーシャツ。それに指抜きのグローブだけだ。まぁ、専用のアイウェアも付けるが。ほぼ競技用自転車に乗るような格好だ。

「さって・・と、行くかね。」

俺はストレイドを起動してアリーナに飛び出す。そして、待っているとしばらくしてようやく相手が来た。

「遅いんじゃないか?自分から勝負を挑んできて遅れるとは・・宮本武蔵・・だったか?その真似かね?なら確かに意味はあった。俺をイラつかせるということには成功した様だな。」

「へ、へん。調子乗って居られるのも今のうちだぜ。俺のこの機体、赤色『せきしょく』の前で立っていられるものか!代表候補も倒して来た俺だからな。許しを請うなら今だぞ?」

「そうか。それで?こちらもドイツ代表候補で軍人でもあるラウラに真剣勝負の模擬戦で勝っているが?此方の情報も開示してお互い同じ状態でこちらの勝ちだ。それは公式の場での勝負なのでちゃんと成績として残っている。うちの会社とドイツ政府とドイツ軍合同の試合だったからな。これにより、ドイツとの協力を経たのだ。優秀な社員はいるがパイロットは少ないのでな。優秀なパイロットと機体が必要だったのだ。」

そう言いつつ、俺はゆっくりと歩く。

「そもそもだ、自分で急に喧嘩を吹っかけておいて偉そうに・・。初対面の相手に命令口調に挑発とは彼我の力量が分かってないな。機体が強かろうと操縦者の力量の差が有る事、そして心構えの違い。どちらが上か、教える必要があるかあるな。」

俺はストレイドを一度格納する。そして、【違う装甲を展開する】。

「な!?お前、ISを二つも所持しているのか!?」

「拡張領域を別の装甲を格納するためにしているのだ。つまりは装甲の変更で戦闘スタイルが変わるわけだ。」

俺は『蜃気狼(しんきろう)』を展開する。腰の両脇に刀が差してあり、肩に中型のガトリングが装備されている。シャープなデザインで刀を振るのに適した機体だ。高速移動とばら撒きで動きをけん制、そして切る事をメインとした機体だ。

「さて・・懺悔の用意はできているかね?」

「な、なめるなぁ!!俺は、クラス代表で強いんだ!てめぇなんかに負けるわけはないんだよ!!」

『舌戦は終わり?では、両者位置に付いて。』

お互いに規定の位置に付く。すると試合開始のブザーが鳴る。

『ビー』

『オープンコンバット』

「先手必勝!」

そう言って剣を構えて突っ込んで来た。だが・・

「まったく、必勝というなら当てたまえ。」

体をまわして避けてそのまま刀を抜く要領で居合切りを切り下ろす。

「はぁっ!」

『ギャリン』と音がして生身の状態の所に切りをくらわす。すると一気にSEを減らす。

「な!?なんで唯の切りがそんなに強いんだ!?インチキか!」

「はぁ・・授業で習わなかったかね?ならば補講と行こう。ISにはSEという怪我をしない為の機構が有る。それは銃で撃たれたり剣で切られても怪我をしない為だ。高速で空を飛ぶ際の体を守る役目もあるが、ソレには絶対防御という物が関係してくる。装甲を壊すほどの攻撃をくらっても自身を守る為の安全装置だ。しかし、生身の部分が有る機体はそこも多くのSEで守らなければならない。絶対防御が発動すればより多くのSEを消費する。つまりは、フルメイル『全身装甲』の機体の方がよいという事だ。今でこそ体が出ている部分が多いがむしろそちらの方が理にかなっていると言っていいだろう。そこに目をつけたのがわが社の機体で、基本的に頭以外は守っているしハードポイント『心臓などの致命傷になりやすい部分』を守る構造になっているので普通の機体よりも絶対防御は発生しずらい。そう言う事だ。分かったかね?ならばこれで補講は終わりだ。」

言いながらもばら撒きで動きをけん制、怯んだ所に刀で切りこみ、時には下から、上から背後からと切り回る。相手は動きに翻弄されまったく攻撃できず、防御してもソレをかわす様に攻撃するので意味を成さない。

「く・・そぉ!?教師気取りか!?」

「一緒に転入して来た彼女達に初歩を教えたのは俺だがね。さぁ、コレで模擬戦も終わりだ。」

そう言って俺は居合を構えて距離を取る、加速をつけて更に途中で瞬時加速、そして機体のブースターを吹かして加速して切り抜いて行きすぎる。

「秘儀、示現流、雲耀の太刀。」

あまりの俺の機体と切りの速さで驚いたのか自分が負けた事に気がつかず、俺を探していた。俺は加速のまま地面に降りて勢いを殺す様にその場で回りつつ足でブレーキをかける。

『ギャギャギャ‥ガリガリガリ、ザザー』とものすごい音がしたがまぁ、各部関節に負荷がかかった程度だろう。

『ブー』

『勝者、クロノス・クロニクル。』

「・・は?」

「まったく・・まだ分からんかね?すでに勝負は終わりだ。まったく、無駄な時間を過ごしてしまったよ。」

そう言って俺は機体を格納してピットに向かって歩きだす。

「お、俺が負けるわけがない・・そうだ、俺が負けるわけがないんだ!!ならばこれは出来レース!会場を準備したお前と生徒会長の間に何らかの取引をして俺をはめたんだ!!そうにきまっている!卑劣な奴め!!恥を知れ!!」

「・・恥を知るのは君なのでは?まったく嘆かわしいな。ISに乗るならそれなりの心構えと覚悟をしたまえ。」

そう言って俺はまた振り向いてつまらないものを見る様に吐き捨てる。

「あぁ!?どうせてめえの仕組んだ事だろうが!?」

「・・コレ以上は言っても無駄か。本当に無駄な時間だ。」

そう言ってまた歩き出すとそこにアイツはISを展開したまま突っ込んで来た。

模擬戦なので試合が終わってもピットに戻る為動けるように設定してある。ソレを利用してアイツは試合が終わっても攻撃して来たのだ。

「俺を馬鹿にするなあぁぁあ!!」

『危ない!やめなさい!!』

そう言って会長が叫ぶが・・俺は即座に機体を展開して、剣を受け止めた。

「・・どう言うつもりだ・・生身に攻撃すれば死にかねない事くらいは分かっているだろう?それなのに攻撃してくるとは・・どう言う事か分かっているのだろうな!?」

そして、剣を弾きそのまま蹴りをくらわせて距離を取らせる。

展開したのは本当の専用機の元の姿、黒い機体でほとんど人に近い大きさ。そして、装甲のあちこちに色々と付ける所がついた機体、本来のバススロットはコレの必要品に使っているのだ。で、余った容量にストレイドや蜃気狼を入れている。

 

「行くぞ・・『ダーク・アームズ』・・。」

 

『【ダークアームズ】起動シークエンス確認・・機体構成システム変更、・・換装完了・・戦闘システム・・起動・・。』

 

『ダーク・アムーズ・・起動します・・』

 




はい、君の機体の名は・・と言う感じですね。
【ダーク・アームズ】・・一体どんなシステムで、どんな機体なのか・・。
それはまた次回。

感想、評価ありがとうございます。
誤字報告してくれた方もありがとうございました。
これからもゆるゆる行きますね。

では、また次回。
シーユーネクストステージ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

08 その名は【ダーク・アームズ】

今回、ISにライダー装備をつけて戦いますが、基本的には殆ど装甲の無い基本外装フレームに装備が付く事をイメージしてください。
飾りもなく黒い装甲が腕より一回り大きい感じで付いてるとか、そんな感じです。

では、本編へどうぞ。


叫んだ後、更に驚愕する事になる。彼は本気を見せていなかったらしい。展開したISは大きさからして異様で、それ故に見ただけで気がついた。おそらくアレは彼の機体の一番基礎部分。彼の言っていた骨に当たる部分だけでできた機体だ。

「屑如きが・・よくも俺の気を昂らせやがったな・・。まぁいい、怪我は覚悟しろ。行くぞ、【ダーク・アームズ】・・ウルオウダーシステム。」『ステンバーイ・・』

彼(クロノス)は腕のソケットに緑色の目玉の様な物の横を押し込み、それをはめ込むと同時に横のボタンを押した。

『イエッサー・・ローディング・・』

ソレをはめた部分を捻る様に起こして上のボタンに手をかける。

「変身・・」

『テンガン・・ネクロム・・メガウルオウド』

機体が緑色の全身装甲へ変わる。そして、ソレを見た私は驚いた。

(ファントムトリガー!?)

見た眼があの巷の噂となっている復讐の執行人の姿にそっくりだった。細部は違ってもかなり近い印象が有る。コレは彼に問いだす必要がある。

「さぁ・・貴様に教えてやろう・・真の恐怖を。」

そう言って彼は一歩踏み出したと思いきや一瞬で三日月くんの前に居た。そのままの勢いでお腹に蹴りを入れて吹き飛ぶ所を彼の腕を掴み、引き寄せながらそのまま反対側に投げる。そして、地面に転がった所でよろよろと立ちあがり始めるが・・、

『デストロイ!!』

「終わりだ・・」

『ダイテンガン!・・オメガウルオウド』

腕を伸ばし起こした部分のボタンをもう一度押して、また一瞬で三日月くんの前に行って回し蹴りをくらわせた。

「せいやあぁぁああ!!」

「ぐあぁぁぁああああ!?」

三日月くんはその勢いのまま横に吹き飛び錐揉みしながら地面に転がる。そして、クロニクル君は機体を解除して、不機嫌そうに鼻を鳴らす動作をしてピットに戻った。そして、管制室に居た教師は慌てて三日月くんを保健室に運び、ピットに一度戻ったクロニクル君は着替えを済ませて管制室の私の元に来た。

 

ニコニコと笑ってはいるが・・その細めた中の眼はまったく笑っていない。

「すいませんね。コレは見た通りちゃんとした自己防衛ですから。過剰防衛には当たりませんよね?機体を解除した相手に武器を構えて攻撃して来た。普通なら逮捕ものですが、おそらく彼は反省文と自室謹慎ですむでしょうね。なんたって世界初の男性操縦者なんですから。まぁ、こちらとしては我が社『CIRS』を通して正式な抗議は致しますので・・そこら辺はまた後日。生徒会長、学園長とお話しする事になるでしょう。すでにクロエが会社に連絡したようで、先ほどから連絡がひっきりなしでした。まったく、勝手に喧嘩を売ってきて負けたら人のせいにして、インチキ呼ばわり。更にそこをはっきり無駄な時間だったと告げれば今度はキレて無防備な相手への傷害未遂。・・はっきり言いますが・・」

 

「只で済むと思うなよ?」

 

 

そう告げた彼の真顔は本当に怖く、辺りはひんやりとした空気を纏っていた。

「さて、俺を攻撃した事で三人がキレていそうなので、ソレを抑える為に失礼しますね。」

しかし途端にそう言いつつ爽やかな笑顔になり管制室を後にした。

誰も止める事も声をかける事も出来なかった。

「ぶっ殺すぞこの野郎が!!」

「マスターを侮辱するなんて許せない!!」

「落ちつけ二人とも。先ずはクロノスと会社の指示に従え。」

「マドカの言う通りだ!落ちつけ!!」

「二人とも止まってよー!」

保健室に向かう通路の途中で五人が騒ぎ、一人は静かに端末を見ていた。まぁ、端末を見ているのはクロエだから傍からは見ているようには見えないのだが。

「黙れ。」

『・・。』

一言で全員が静かになった。特に騒いでいた二人は冷や汗をかいて顔が青くなっている。

「・・今回の件はCIESの方から伝達が来る。それに従う事になっている。勝手は許さないし口応えも許可しない。わかったか?」

『はい。』

「ならば、レナとマキの二人は部屋に帰れ。それからマドカ、よく落ち着いていたな。成長したようで感心した。」

「・・ありがとう・・。(言えない・・二人を止めて自分が仕留めようと考えてたなんて)」

「それからラウラにシャルも、御苦労。狂犬を抑えるのは疲れたろう。しっかりと休んでくれ。クロエは、タナトスさんを通じて重役会の様子をこっちの端末に送ってくれるように。一応、下手な事になっていたら止める事にする。」

「「「分かりました。」」」

「では、各自戻れ。」

そう言って全員を解散させた。俺は自身の端末を開く。

「タナトスさん、繋いでくれてる?」

『はぁい、クロノス。どう?楽しめた?』

「まったくつまらなかったよ。良いから、映像をお願い。」

『面倒な事になってるわよ?はい。』

そう言って変わった映像を見る。

「はい、モルモットにしましょう。えぇ、それが一番いいです。」

「クリス・・落ちつけ。」

鯨瀬・クリスティナ・桜子が興奮している。食事の事以外で此処まで成るのは珍しい。

「そうだよクリス、落ちついて。・・私が変装して行って、ニンジャガンで撃ってくるから。」

そう言うムラサキの眼は光をともしていない。

「お前もだムラサキ。」

その声に野上が進行をかって出た。

「鯨瀬、狗駒。落ちつかないか。獅子ヶ谷、まともな意見はあるか?」

「私?うーん、まともな戦いにこんなやり方ってムカつくし、私嫌いなのよね。だから、死刑で良いんじゃない?銃殺刑にでもしてマキとレナの人うちの的にでもすれば有意義よ。遠射の人撃ちの練習にでもしても良いかもね。私、ほんとーにあぁ云う人間って大っっ嫌いだから。」

人差し指を立てて良い事を言ったみたいな顔している。

「獅子ヶ谷・・。」

野上は頭を押さえて呻く。駄目だ、SORDは無理だとつぶやいていた。

「あー・・ぶっちゃけ処分自体は学園に任せてオレ達は学園への謝罪と慰謝料の要求に済ませて居ればいいと思う。こういう事になるような教育は監督行き届きが出来て無いって事で、コアの要求とか。」

「コアまでは契約の件で無理でしょうけど、オータムの意見には賛成ね。相手がどこまで誠意を見せるか逆に試すのもありかもしれないわ。」

「オータムとスコールはまともな意見だな。アタシはそれでも良いと思う。あぁ、みんちゃん、珈琲おかわり。」

「だから、学生時代の呼び方はやめてください。」

そう言いながらもおかわりを入れてくれる。あぁ、くっそマズイ。

「さて、最終的に言えば、相手にどこまで応じるか、事をどこまで重要に見ているかの誠意を見極める方向で謝罪と賠償の請求だな。編入してすぐだが、世界に二人しかいない男性IS操縦者を片方が亡きものとしようとした、事が露見し世界に広まれば大事件だと騒ぎたてる事は分かるだろう。穏便に済ませるにはどこまで応じるかを見極め、IS学園自体を見極める。それで良いか?異議が有るなら言え。」

『・・・。』

「よし。ならば・・『少し待ってくれ。』・・クロノスか。またタナトスで覗いていたのか?」

そう言うと会議室のモニターが勝手についてそこにクロノスの顔が現れる。

『あえてコアを一つ要求するように仕向けよう。その状況で断ればIS委員会に日本政府、強いては世界中に広めると言ってな。』

「・・脅すという事か?何の意味が有る?」

『とりあえず、コアを一つ回収できる事。そして、重要な事は『男子生徒を何処まで重要な存在と見ているか』という事と『戦闘行為をどこまで軽んじているか』という事。コレ如何によっては、IS学園は必要ない。潰して新たな組織を作った方がましになる。』

そう言われ全員が考え込んだ。

「前者は分かる。だが、後者の【戦闘行為をどこまで軽んじているか】という事についてはどう言う事だ?」

『ISとはどういう存在か。篠ノ之束はどう言う思いで作ったか。ソレを意識しているかどうかだ。』

「・・なるほどね。分かった。それも含めて書類を制作する。後日正式に出向くのは野上が行くから。・・みんちゃんはその準備。スコールは謝罪請求および損害賠償請求の書類制作、オータムはもし応じなかった場合の書類作成及び戦闘時の映像をタナトスさんから貰っておいて。クリスとムラサキ、トーカは戻って良し。各自かかれ。」

『はい。』「チッ・・だから、みんちゃんと呼ばないでください。まぁ、・・分かりました。」

『では、野上さん。お越しになる際は一報連絡を。ではまた。』

画面からクロノスが消える。あの外向け的な表情と態度は気持ち悪い。

「・・奴が大画面に映ると無駄に威圧感が有るな。」

「本物の世界最強で最上最悪な存在ですから。」

そう言いつつ野上は出ていく。はぁ、まったく。編入しょっぱなから面倒な事だ。

「はぁ、面倒だ面倒だ。やってらんないっての。」

「いいから、仙石さんも動いてください。」

「あいよ。わかってる。」

はぁ・・。

 




今回、戦いはしましたが力の差が有り過ぎて、ただの虐め回でした。
まぁ、クズ主には良い薬かと。

今回はISで【ネクロム】を再現でした。メガウルオウダー、大好きなんですよねぇ・・。形や色がなかなかメカメカしいし・・。
・・アレ太ってても装備できるから、良いよね。

次回はほとんど会話文の予定です。・・もしも内容に変更が無ければね。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

08.5 忠告する二人

今回は二話連続投稿します。
先ずは一話目です。
途中で入れた話なのでタイトルに『0.5』が付いてます。


オレは【レイン・ミューゼル】。

しかしこの学校内では『ダリル・ケイシー』となっている。

アメリカ代表候補生と言う肩書だが・・正直CIRSに行きたくてしょうがない。

周りの男どもはオレの体をねちっこく見て来るし、女尊男卑派の女はうざいし・・。

「いやぁ、ダリル先輩と一緒というのは、やっぱりいい気分スね。」

コイツは『フォルテ・サファイア』。オレと一緒にコンビを組んでいる代表候補生だが、正直まぁ、・・・女同士でアタシは恋人同士と言う奴だ。

叔母でもあるスコールさんの後ろを見ていたら男と付き合う気が無くてそういう関係になってしまったんだが・・コイツ可愛いし、しょうがない。

しかし、聞いた所によると早速クロノスがやらかしたとか。

その話の内容を聞いて、更識の所に行く。明らかに眼の下にクマが有るな・・。

「ちーす。ちょっと面かしてくんねぇ?」

「はぁ・・何の用かしら?こっちは忙しいんだけど?」

「その忙しい内容とやらに関係してんだよ。アメリカの動きがキナ臭くてな・・。」

「・・虚、お茶の用意。そっちに移動して話を聞きましょうか・・。」

「おう、そう言う切り替えが早いのは助かるぜ。」

そう言って二人揃ってソファに座る。対面には楯無が座り、真剣な顔でこっちを見て来る。

「それで、どう言う動きが有るのかしら?」

「男子生徒の二人の力量を見て、どうやら特殊な部隊が動きだしたらしい。オレはアメリカ所属ではあるんだが、【CIRS】とも関係が有ってなぁ、クロノスが主に狙われているらしい。もう一方は強さと機体的にもそこまでだが・・。」

「そう・・なら、守るべきは・・」

「世界初のクソガキを守る様にしたほうがいいな。」

「そうっスね。クロノスくん相手に兵を割くのは無駄っスからね。」

二人揃って同じ意見の様だ。やっぱりこいつはオレと気が合うから良いな。

「な・・なんでかしら?狙われてるのはクロノス・クロニクルくんの方なのでしょう?」

ひきつった顔でそう聞いてくる。

「いや、先ずどう狙うんだ?いつも周りには銃を携帯した護衛にドイツ軍人、寮は高性能AIが守っている。下手に手を出せばこっちが痛い目に・・あぁ、お前はそうしたから眼の下にクマが有るんだな。大方、寮のシステムに侵入しようとしたとかだろう?」

「あー・・・『タナトス』さんスか。相手が悪過ぎっスね。」

そう言ってフォルテは笑う。いや、お前はこの前、痛い目見ただろ・・。あぁ、それだからこそ笑ってるのか・・。

「た、【タナトス】さん?AIってどう言う事かしら?」

「クロノスの周りを監視している総合システム管理AI人格。人間と変わらない思考、判断能力にコンピューターの計算能力を兼ね揃えた高性能AI。性格すら存在して、クロノスの姉的な感じで見守ってるぜ?で、お前さんがそのAIの大事な弟に手を出そうとしたから手痛いしっぺ返しを食らったという事だ。基本的に相手が来るのを待った方がいいぜ?何せ相手には狂犬と猟犬、ドイツの冷水が武力でブラコンガチギレ妹と背後に巨大な闇さえいるんだから。」

置かれた紅茶を手に、呑みながら片手を振る。

「巨大な・・闇?」

「おっと、口が滑ったな。紅茶が旨いからかな?ソレはまぁ、踏み込まないほうがいいぜ?相手は闇だからな。これでも、深入りしないように忠告に来たんだ。いくら更識だろうと、相手はやばすぎるとな。・・こっちはアメリカがやらかしたり、その時が来れば、CIRSに鞍替えするから大丈夫なんだがな。お前はそうじゃない。だから・・」

そう溜めて、しっかりと睨みつける。

「クロノス・クロニクル・・アイツに悪い事はするな・・。下手に手を出したらマジで潰されるぞ?物理的にミンチだ・・。それほどに強く、ヤバい相手だ。・・忠告はしたからな。紅茶ごちそうさま。フォルテ、ついでにクロノスに挨拶に行くぜ。アイツに話が聞きたいし・・。」

「りょうかいっス。あぁ、虚先輩、紅茶ごちっス。」

そう言って二人で生徒会室から去る。

そして、クロノスの居るCIRSの寮に来る。そして、普通に呼び鈴を押す。

『はい?どなたかしら?』

「久しぶりだな・・タナトスさん。オレ、ダリルだよ。」

「フォルテも居るっスよ!」

『あら久しぶりね。ちょっと待ってね、・・ドアを開けるにもクロノスは今地下で書類整理と仕事中なの。忙しくて話が出来ないわ。企業外には見せられない書類だそうよ。』

「それは残念だな。お姉さんが疲れをこの体で癒してやろうかと思ったんだがな?」

「ウチも一緒にするっスよ?」

『間に合ってるわ。ウチでも何人が狙っていると思っているの?』

「別に邪なもんじゃないぜ?ただ、年上が甘やかすってのはそうない事だろうから、そう言うのもありじゃないかってことだ。」

『はぁ・・クロノスにこの映像を中継してあげたわ。返事を言うわね。[オータムで十分にそう言うのは間に合っている。どいつもこいつも構ってほしいのか?]ですって。』

「ぐあぁぁああ!?オレとオータムは一緒かよ!?」

「まぁ、言動は似てはいるっスね。」

フォルテを睨んで掴む。

「こ、こんな・・タナトスさんが見てるっスよ?」

「ちげぇよ!!会えないなら帰るってことだよ。これ以上恥さらしてたまる狩ってんだ!」

「大丈夫っス。そう言うダリルの事は好きっスから。」

『あら、お熱い事で。あ、クロノスから伝言よ。[いちゃつくのは良いが、せめて自分の部屋くらいにしてくれ。あまり身内がそう言うのをさらけ出してるのはちょっと・・]だそうよ。』

「帰る!行くぞ、フォルテ!」

「あいっスー!んじゃ、タナトスさん、今度ゲームしようっスね!」

『そうね、次は対戦アプリでもしましょうか。端末に用意しといてね。』

「はいはいっス!」

そう言ってフォルテは手を振ってオレの横に並ぶ。それから校舎に戻り、歩きながら考える。ふと思いついたことが有った。

「んー、相手になった男でも見てみるか。どんだけ弱いか見てやろうぜ?」

「あぁ、ウチは見たっスよ。クソ雑魚ナメクジっス。」

「マジか!くはは、そんなのがクロノスに喧嘩売ったってのは馬鹿じゃねえの?」

「あと、女の体見る目がマジキモイっス。」

「そんなにか?」

「ウチでさえ、舐めるようにじっとりとみられたっス。」

「オレのフォルテにそんな目で見るって事は、お仕置きは良いってことだよな?」

「いずれそうなるっスよ。クロノスくんの敵なら。」

「お、そうだな。んじゃ、眼が腐るかもしれないからその男は無しだな。・・部屋でいちゃつくか?」

「ひっさしぶりにウチが料理作るっス!」

「おぅ、良いね。頼むぜ、旨いの作ってくれ。」

「愛情たっぷり込めるっス。」

「良いね良いね。んじゃ、部屋戻ろう。」

「えいえいおーっす。」

そう言ってポケットから小さなオレンジ色の旗をあげる。何処から出したそんなもん。

「最近ハマった特撮っス。軽い感じで始まったのに、監督が残虐なストーリーで有名な人で興味持ったら案の定だったっス。」

「・・なんでそんなもんに興味持った?」

「へ?んー意外性・・スかね?」

「そっか・・。」

あまり気にしてはいけないのだろう。フォルテってよくわからない所が有るし、天然だし。

 

そして、部屋で飯を食った後は、無茶苦茶いちゃついた。

 




次もすぐ投稿します。
次の為の補足話を急いで作った感じですから、
変だったらすいません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

09 謝罪と怒り 狭間に置かれる者

連続投稿二話目でス。
一話前から読む事をお勧めします。

ではどうぞ。


「このたびは申し訳ありませんでした。」

「私の監督の行き届きが至らず、このような事になり申し訳ありません。」

そう学園長が切り出し、生徒会長が共に頭を下げる。織斑教師がいるがそいつは頭を下げていない。関係ないと思っているんだろうが、そもそもお前の教育が悪いんだろうが。

「・・織斑先生、貴女はなぜ謝らないのですか?」

「私が謝ることなどないからです。そもそも、この愚かしい事になったのも元はと言えばコイツ自身が勝負を受けたりするからで・・」

そう言いながら俺を指さす。ふーん。そうくるのか。なるほど。

「チッ・・そうですか。では、失礼する事にしましょうか。」

そう言いながら席を立つ野上。つか、癖だろうけど舌打ちすんなや。

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

生徒会長が慌てて止める。

「織斑先生、事を起こしたのは貴女のクラスの生徒であり、事情を知って居ながらも止める事も監視する事もしなかった事。更に授業でISが危険である事を熟知させていましたか?」

「それは自己責任でしょう。私には関係な「無いと言うならやはりこれまでです。コレ以上バカバカしいやり取りに付き合う気はありません。」・・貴様・・。」

この馬鹿がそう言うと野上のこめかみが動いた。あ、キレた。

「貴様・・?そう言ったのか?なるほど、そちらの意見は分かりました。一企業に従う気はなく、ウチの企業代表パイロット兼、代表取締役補佐であり開発研究課総務・開発リーダーである世界的に重要な男子生徒の命を危険にさらし、こちらに謝罪する気もないと言う事で。この件は社に戻り代表取締役会にかけましょう。」

そう言って席を立ち、机に置いておいたレコーダーおよびカメラ付きペンを収めて席を立ち、部屋から出ていく。

「お、お待ちくださ・・」

「失礼、大変気分を害しました。この場に居たくないのでこれで。」

扉をバンと音を立てて閉める。

「さ、更識君、追いかけて。」

「は、はい・・。お待ちください!」

そう生徒会長が出ていく。

「まったく・・学園長もあんな一企業の相手をしているとなめられます。」

「唯の一企業ならそうします。ですが、相手は男子生徒を預かると言う事を認めてもらった先で、重要な生徒を危険にさらしたのです。怒りはもっともです。」

「しかし、あんな態度は・・」

「そもそも、貴女のクラスの生徒が脅す様に喧嘩を吹っかけたそうですね。転入して来たばかりの生徒にそのような事をすれば、普通は言う事を聞かざるをえません。ソレを分かっての発言ですか?」

「むっ・・そ、それにコイツは学園に提出していないISを所持していました。明らかに異常でしょう!即刻取り上げるべきで・・」

その言葉に、オレは顔をゆがめた。やっと口を開く。

「ほぉ・・そういう態度で謝罪も無しならやはり、当初の話はなかった事にしましょう。」

「ま、待ってください!!クロニクル君、謝ります。この責任は私が・・」

「そのような事は期待して居りません。学園長の責任などにはこちらとしては、初めに提出した書類の通りにして、謝罪されれば話はそこで終わりましたが・・先ほどの態度では全く話はされていないようで。はぁ・・それでは契約違反、いや契約放棄として私達はこの学園を去る事にしましょう。」

「どう言う事だ?勝手に学園から出ることなど許さん。」

「・・はぁ、何処まで愚かなのか・・。貴女にそのような権利はありません。学園長との編入契約時にした手続きに違反する行為が有ったのでソレを違反する行為が有った場合の手続きに基づき、行動を起こす。それだけですが?」

「愚かしいと・・この私を馬鹿にしたのか!?」

「えぇ。貴女より上の立場である学園長が頭を下げる意味も理解せず、ただ自分が責任を取りたくないからと相手を脅す。まったく、嘆かわしい。教師とはそういう物ではないでしょう。あぁ、ドイツに居たころに軍人であるラウラに訓練をしていたとか・・教師などやめて軍事教官でも目指したらどうでしょう。貴女に教師は向いていない・・教師失格です。」

「ふ、ふざけるな!!」

「まぁ、暴力を受けたとして貴女程度に負ける事もありませんが。・・さて、学園長。先の通り、手続きを行いますので書類を。後は退学手続きの準備を。こちらは損害賠償請求書類を用意して来ますので。」

「ちょ、ちょっと待ってくださいって。織斑先生、貴女は出て行って下さい。話が悪くなる一方だ。」

「学園長が頭を下げる相手ではないでしょう。良いから、あのISを渡せと言っている。」

そう言って俺の胸ぐらをつかもうと手を伸ばす。

「・・何をするんですか?」

ソレを学園長が手を掴んで止めた。

「貴女こそ何をしているか分かっているのか、織斑千冬!?貴女の発言のせいで今学園はとてつもない損害を払わなくてはならなくなってきているのです。ソレを何とか収めようとしているのに・・「もう、止まりませんよ。事態は契約書類禁止事項第四項まで進みました。もう、話を聞く気もありませんし、履行しない場合には全て白日の下にさらし、正式な手続きと共に学園を訴える。」・・どうにか気を静めてはくれませんか?」

「無理ですね。この手・・掴んでこそ居ませんが、第四項【暴力による脅しでの機体の要求は認めない。これを行った場合、または行う恐れが有った場合、上記の通り損害賠償を請求することを認める】・・上記記述【契約時以降に下記の違反が有った場合、その度合いによっては損害賠償の請求として多額の金額、及びISのコアの使用停止及びIS委員会を通しての譲渡を認める事】。契約書にあった事は熟読した貴方は分かっている事だ。学園長、・・いや、IS学園にはがっかりだ。気を害したので失礼する。・・精々、ウチの護衛から襲撃を受けないように・・。」

そう言って俺は席を立ち学園長室から出た。

「あぁ・・コレは・・大変な事に・・・。」

「学園長!どう言うことです!?コアの譲渡などおかしいでしょう!!」

「それもこれも貴女のせいだ!・・あぁ、コレはマズイ・・。」

そう言いながら私は頭を抱える。

「だから、あんな奴の言う事など無視して、逆にアイツのISを・・」

「黙っていろ愚か者!!コレは学園にとっても大きな利益のある事だった。クロエ・クロニクルくんの使用しているIS応用医療技術の結果を入学する事によってソレを元に医療技術の転用を学園と共に研究、それによっての出来た技術は使用して良しな上、学会にも共同研究者として名を連ねる事の出来る事で、医療分野での発展も担う事による学園の箔付け、及び世界的な知名度の貢献、クロノス・クロニクル君の新規開発ISの実験によって成功すれば他の男性でも乗れるISの作成、及びコアの製造方法の研究。その他もろもろの利益が発生する前に全てが水の泡だ!!」

「それは・・それこそ奴のISを奪い研究すれば・・」

「正式な取り決めで、IS委員会の委員を通して行った契約です。奪えば、学園自体の存在が消える事になりかねない。」

「なぜそのような契約を行ったのですか!?相手は一企業。つけ上がらせるだけで・・」

「そもそもIS委員会が入ってきたのも、彼の実験が重要な事を把握しての事。それこそ、コアの製造技術など喉から手が出るほど彼等が欲しがっている物。ソレを成功するかもしれないほどの天才なのですよ、彼は!!そうすれば、入学しているこの学園は大量のISを手に入れる事が出来たはずだった!それが逆にコアを失う事になった!!大損害だ!!」

「そ・・そんな・・」

「それこそ一人目の男性IS操縦者よりもよっぽど重要度が違う。そんな彼をさっきの条件で預かる事になったのに・・彼は学園を去るでしょう。事を公にしながら。そうなれば学園の信用は落ち資金を出している企業、親族、政府からは資金の打ち切り、世界中からはバッシングを受け・・入学生は減るでしょう。いくらISを学べると言っても危険な所には通わせる事は出来ないと言われたらおしまいです。」

肩を落とし、机のソファに深く沈みこみ頭を抱える。

「そ、そのような事・・もみ消せば・・」

「だから、先に言った通り、IS委員会としては学園よりも彼の所属する企業を擁護する。誰がもみ消すのですか?誰がどうやってもみ消すと・・。出来るのなら貴女がやってみなさい!!」

「た、束に連絡して・・」

「出来るならしてくださいよ!!聞きましたが貴女は昔に縁を切られたと愚痴を言っていた事が有ると聞きました。出来るんですか?今のあなたが、篠ノ之博士に連絡してこの騒ぎを鎮める事が、出来ると言うのですか!!ならして見せてください!」

机をたたいてそう告げる。すると・・

『バンッ』と音がしてドアが勢いよく開く。

「・・織斑千冬はここに居るな?」

「・・そこに居るよ。マキ(・・)マドカ(・・・)。」

「マスターを脅したそうだな・・教師風情が・・」

三人のクロノス君の護衛が飛び込んで来た。

「なんだ貴様等・・教師風情だと・・!?」

そう言って近付こうと一歩前に出た・・が、

『ドゴォ』『ガンッ』『ドゴシャァ』

下から殴りあげられ、正面から殴られて壁に叩きつけられ、ふらついた所を踵落としで地面に叩きつけられてそのまま気を失う。・・仮にも世界最強が手も足も出なかった。

「ふー、ふー」

「そこらで抑えろレナ。殺してしまう。」

「死ねばいい、マスターの敵は全部殺してしまおう。」

「同意見と言いたいが・・姉さん、此処はマスターに迷惑がかかる。世間の意見が有ればファントムトリガーが動くかもしれないから、今はほっておこう。」

「・・わかったよ。」

「まぁ、アタシも一撃入れておくが・・なっ。」

そう言って倒れている織斑先生の鳩尾に蹴りを入れた。

「がふぅ・・」

そう呻き声をあげて転がる。そして、一度気絶していたのが痛みで気を取り戻したようだ。

「き・・きさ・・ま・・ら・・、こんなこと・・して・・どうな・るか・・わかって・・るな・・?」

そう言う織斑先生の頭を踏みつけてマドカ・クロニクル君が睨みながら告げる。

「どうなるか・・だと?笑わせる・・世界最強だと?私から言えば最強は兄さんだ。まぁ、精々ファントムトリガーの標的にならないように怯えて暮らすが良いさ。二人のマスターである兄さんに対して脅しをかけたそうだな。【タナトス】さんから聞いたよ。殺そうとしていたのを抑えたんだから、感謝してくれよ?世界最強(笑)。」

そう言って彼女は横腹を蹴って部屋から去る。ファントムトリガーが動く!?とんでもないことですよ?!

・・彼女達は何かしっているのでしょうか?そもそもファントムトリガーがどうして動くかはネットへの書き込みのみ。その際の標的の理由は判明していない。つまり、何を根拠に彼女たちが【織斑先生をファントムトリガーが標的とするか】を知っていないとその発言は出てこないはず・・。

・・何か関わりが有るなら・・更識君に聞く事が出来ましたね。調べてもらいましょう。

 

CIRS企業代表【クロノス・クロニクル】 

IS学園入学許可書および、入学にあたっての契約事項。

 

◎上記記述

【契約時以降に下記の違反が有った場合、その度合いによっては損害賠償の請求として多額の金額、及びISのコアの使用停止及びIS委員会を通しての譲渡を認める事】

 

下記、違反行為・注意事項

第一項【男子生徒である以上、過度なプライバシーの侵害は禁止する。】

 

第二項【企業代表であることから、IS学園だけでのデータ保持は認めない。

また、データ採集を行う際は【CIRS】及び【IS委員会特別顧問】の許可を得ること。】

 

第三項【戦闘行為、模擬戦闘などは職員幹部の許可が有る場合のみ有効とする。授業などの行為で教師が命令して勝手な模擬戦闘などを行う場合は上記の処罰を行う場合が有る】

 

第四項【暴力による脅しでの機体の要求は認めない。これを行った場合、または行う恐れが有った場合、上記の通り損害賠償を請求することを認める】

 

この書類は正式な物として保管しておくこと。

文章を変換、または複製した場合はその者に対し処罰を行う事。

 

書類制作者

CIRS代表幹部 ・仙石  ・野上  ・オータム  ・スコール

IS委員会特別顧問  赤坂  チューカイ・ヤ  壇 黎斗

 

IS学園側代表者二名の署名を下記の線上に記す

 

学園長 轡木十蔵        生徒会会長 更識楯無

 




今回は、前々回の騒ぎの収拾回です。
クロノスとCIRSへの対応をどうするか考えて書いていたんですが、
行き成り日時が飛んだ感じがしたので、間の話を作りました。
後は、ダリルとフォルテの出番が無かった事に気が付いたのもですが。
個人的には好きですよあの二人の関係。

それはそうと、クソ教師はやはり変わっていません。過去からそのままです。それが原因で束にも縁切りされたのに、この千冬は頭が悪いですね。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10 クロニクルの序章 動き出す歯車

コメント欄に壇黎斗が多すぎて笑いました。
自称神の設定はありますが、ただのIS委員会会長で仮面ライダーになる予定はありません。

本作品のガシャットはクロノスの製作です。
壇黎斗は一切かかわっていませんし壇正宗も存在しません。


「どうにか、お考え直しください。」

「くどい。」

俺は学園長室で机の上に足を置いて、偉そうな態度を取っている。まぁ、コレはわざとの態度だ。俺をどこまでたしなめれるか気になるが、・・これだと、それも無理そうだ。

「ですが・・アレはあの教師の暴走で・・」

「それを止めるのが学園長の仕事で責任だ。ソレを覆すと言うのか?」

タイミングを見てその態度を崩して元に座る。やはり、頭は代えるべきか・・。

「ごもっともです。ですが、せめて・・せめてISのコアだけで・・世界中から資金提供が止まると学園の経営も止まり、多くの生徒の未来が・・。確かに他からの資金はありますが、あなた達からの話があったと聞いたら、おそらくすべての資金提供が止まってしまう・・。」

「・・生徒の為・・か。保身の為ではないのだな?」

眼をしっかりと見据える。轡木十蔵も目は逸らさない。逸らせない事が分かっているようで、冷や汗をかいている。

「はい。それは誓えます。私はもう年です。次期学園長も考えて入るのですが誰もが保身と欲に目がくらむ物ばかりで・・ちゃんとした学園の経営が出来そうなものが居なくて・・。」

「・・ふむ、我が社の幹部クラス数人を教師として派遣する事も出来るが・・。ちなみに女性でISの関係もばっちりだ。」

「CIRSのですか?しかしそれでは学園はCIRSの傘下で運営という事に・・。」

「いや、教師経験が有ると言う事でもあるからだ。学園の方針はIS委員会の指示通りに従うし、私物化しない事を誓える者が数人いる。そもそも我がCIRSには女尊男卑の影響で捨てられた男子やその影響から親を失った子供、男女問わず受け入れて教育している。いずれ男女平等の世界になると信じてな。・・はっきり言おう。この提案を受け入れないならやはり話は元の通り契約通りに進める。こちらとしてもIS委員会を入れて大きくすると面倒なのは確かだ。特に壇黎斗委員会長。自称『神』は煩いし面倒だからな。」

「は、はぁ・・?えっと、その、・・教師の受け入れはしますが、その人物の見極めは任せてもらえるので?」

「当然。そもそも、確かに彼女達は教育免許を持って入るが、実務としてでは、公共の学校に教員として出れてはいないのだ。正直、少し性格に難が有るのが多い。学園長候補の仙石はめんどくさがりやで、口癖が『面倒くさい』だからな。能力はあるが自分から問題は抱え込まんし、下手な欲もない。その場合直属の部下で一緒に送るのがおそらく野上になるから、実質そちらの補佐で学校が回る様な物だろう。実に能力はある。キレやすいのと、舌打ちするから対人関係は最低だし、他人受けは悪い。対人で仙石、補佐兼運営が野上でセットなのがいつもだな。今回は、契約の事に一番詳しいと言う事で野上だけだったが。ほかも白騎士事件の際の被害者でもあったり、親が犯罪を犯したせいで不採用となったケースもあったからな。心の傷も癒えたし、彼女たちの誠実さは保障しよう。」

「ならば、条件を呑みます。」

「あとひとつ、俺達をクラス替えさせ、織斑千冬は関わらせないようにしろ。あのクラスでは全く持って授業に集中できない。それと、ついでに男子生徒も付きまとうようなら実力行使に出ると言っておく。コア一つの件で後はこっちの先の条件を通してもらえるならこれで話は終わる。ついでだが、今の研究成果をIS委員会を集めて発表しよう。面白い事になるぞ?・・更識楯無、生徒会長を呼んで貰えるか?」

「外に控えています。今呼びます。」

・・本気なの?

「えっと、それは本当ですか?」

「そうだ。君の妹、更識簪の機体データはあの男の機体・・赤色だったか?の為に流用された。すでに倉持技研は信用ならない。だがその中でも篝火ヒカルノ。彼女には利用価値が有る。彼女を引き抜き、引き続き我が社で新規機体の開発を続けようと思うのだが・・、簪さんに伝えることはできるか?」

「私が言っても反発されます。いま、私達は喧嘩をして他人同然に接されています。」

「・・ふむ、優秀な兄弟を持った下の扱いは何処でも一緒だな。うちの会社にもそう言う理由で捨てられた子がたくさんいる。優秀な遺伝子は残して、劣っている物は必要ないと・・まぁ、そう言う理由から捨てられた子はわが社が専門の施設で育てているよ。教師もいるし、幼い子には保育師もいる。社内で子供が出来て捨てられた女性や男性も、そこに預けて育てている人も多数いる。君の妹さんも我が社がバックアップして更に新たな機体を作ろうと思う。いま、最新型の機能が有るが・・ソレを組み込んでも良い。しかし、その場合企業代表になってもらう必要がある。まぁ、それはヒカルノをこちらに引き込んだ後の話だな。そう言う事で考えが有る事を覚えておいてほしい。」

私は当然疑問に思う。

「どうしてそこまで・・」

「ん?どうした?」

「どうしてそこまでしてもらえるのか聞いても良いかしら?」

そう、目の前に居るクロノス・クロニクルにはどこまで権限が有るのか・・そこも気になる所だが・・。それ以上に私の妹を引き入れてどうするつもりなのかしら?

「・・ふふふ・・すでに政府は勝手に暴走しだした倉持技研よりも我が『CIRS』を重要視しだしている。彼女はそこから世界に出れれば自信がつくだろう。こういうと胡散臭くなるだろうが・・【私達は男女平等の世界を目指している。その為にはIS最強思想とそれに侵された愚かな者たちは邪魔だ!!私達の企業は世界をもう一度造りかえる。『インフィニット・ストラトス』の名の為に宇宙を目指す。地面に這いつくばって空を見上げるんじゃなく、宇宙その物をまっすぐに見据える。新たな時代を作る、それが我が名『クロニクル』に与えられた命題だ。】・・ふぅ。だからこそ、女尊男卑に染まっていない優秀な者は必要だ。君もロシア代表を辞めたくなればいつでも来てもらって構わないし、はっきり言うと学園長も来てもらっても良い。学園内にも数人、素質が有る者がいたのでその人たちにも声はいずれかけて行きますが・・手っ取り早く優秀な人を引き抜くのは鉄則。彼の魏の覇王曹操も優秀な人材を集める事はしていた。つまりは、古代から続く有効的かつ、効率的な手段という訳だ。その為に・・極秘ではあるが篠ノ之束博士ともつながりを持った。上手く行けば学園に赴任する事も可能だ。」

「・・篠ノ之博士・・ですって?」

「そ、それは本当に?」

「実現可能な話だ。こちらは宇宙を目指す為のプロジェクトを開始しようと思っている。それに乗るなら、篠ノ之博士も味方につけれるだろう。本人の意思次第ではあるが・・。おそらくは博士の妹とは相反する事となる。見た限り、篠ノ之箒、イギリス代表候補生セシリア・オルコットはあの男子生徒側だ。そして、織斑千冬もそちらに立つだろう。ならば邪魔者として敵対する時が有れば排除する。その可能性をどう踏むかが彼女次第だ。それ以外には大きな問題はなく、宇宙開発へ向けての夢実現という大きな彼女へのリターンは有利と言えるが・・そこも天災と言われる人の頭だ。我々凡人には見えない物が見えている可能性は否定できないがな。」

やれやれと言った風に首を振る。もし、篠ノ之博士がこちらにつくなら今はおとなしくなっている亡国機業のことも・・本拠地をつぶせるかも・・

「そうそう・・聞きましたか?例の『ファントムトリガー』と『ファントムタスク』が手を組んだと。」

「・・なんですって!?」

ヤバいなんてもんじゃない。本当にテロ組織が化け物を・・手にしたと言うの?!

「そして、・・ククッ・・ファントムトリガーはファントムタスクを解体し、企業を立てたそうです。」

「・・!!そう言うことですか。なるほど・・。今までの事もそれなら話がつながる!!」

学園長は何かを察したらしいが・・どう言う事か私には分からない。寧ろ混乱してきている。

「クロノスくん・・いえ・・『ファントムトリガー』・・。貴方が狙っていたのは確かに女尊男卑派の連中と違法研究者。そう言うことですね?」

「な!?」

クロノスくんが・・『ファントムトリガー』ですって!?確かにその可能性は薄うす気が付いていたけど・・。確実な証拠がない。だが、本当なら危険ではないのか?

「さて・・くくく・・どうだろうな。・・さて、話は変わるが・・もし、男でもISが使えるようになるならこの学園は男子を受け入れれるか?」

「な!?何を言って・・はっ!!もう、出来るのですか!?完成したのですか!?」

「まだだ。『その時』ではないからな。・・もし・・IFの話だ。」

「・・難しいですね。それこそ、女尊男卑の今の社会では難しいかと・・。」

「そうか・・。なら、しょうがないな。」

「ですがそれは実現できるのなら・・世界は変わるかもしれません。」

「そうだな・・では、変わるまで待つのではなく・・自ら作り変えようではないか。」

「できるの・・ですか?」

「方法は、ある。」

力強く頷く彼の眼を見てしまった。その眼は覚悟と執念が見えた。

「その為には先ずは、・・先に言った行動をうまく動かし、最終的にはその通りになるよう万全を尽くす。その足掛かりが、ヒカルノ博士と君の妹だ。・・上手く政府に取り込めれば国家代表候補もいけない事もないが、そもそも、技術公開の点から妹さんの機体性能を隠した方が守りやすい。その点も踏まえて考えていてくれ。」

そう言って彼は端末を手に取りながら出て行った。

「・・彼は悪いようにはしないでしょう。考えていた方が良いと思います。」

「えぇ、私も簪ちゃんの未来は明るい方が良いもの。今のままでは危険なのは見えてる。だから、・・嫌われてでも相談しに行きます。」

そう言って私も廊下に出た。虚ちゃんに連絡して本音と簪ちゃんを生徒会室に呼びだす。

もし拒否しても、私が乗り込む。私は覚悟を決めた。

 

(嫌われても良い。簪ちゃんが無事に幸せで有ってくれさえすれば。それで満足よ。)

 

それから私は簪ちゃんを呼び出した。それは生徒会室。防諜用に作ってあるから話が漏れる事は無い。簪ちゃんが入ってきた。本音ちゃんが付き添いで居るが、簪ちゃんは嫌そうな顔ですぐに帰れるように入り口で止まる。私は席から立って近づく。

「・・何の用?いまさら話す事なんて・・」

「大事な話よ。聞いてほしいの。お願い。」

そう真剣に声をかけると、何かを感じてくれたのか私の正面まで来てくれる。

「大事な話?一体、何?」

「・・先ずは貴女にひどい事を言った事、謝りたいの。ごめんなさい。」

そう言って私は頭を下げる。簪ちゃんは目を見張った。

「正直に言うわ。私は貴女に危険な目に合ってほしくなかった。だから遠ざけようとあんな事を言ったわ。それで貴女が傷ついた。だから謝る。ごめんなさい、許してほしいなんて言わない。恨まれても仕方ない。でも、貴女が嫌いじゃないのだけ分かって欲しかった。」

「・・卑怯。そんなふうに言われたら、恨めない。」

「いえ、貴女は恨んでくれていい。貴女があれからどんな扱いを受けたかは聞いた。本音ちゃんに、簪ちゃんと会いたい事を相談した時に。泣いて訴えられたわ。知らなかったじゃ済まされない事も分かってる。でも、頭首とはそういう立場になる事だから。でも、傷付けた事には謝りたかった。コレは私のけじめでもあるから。」

「・・分かった。でもなんで急に?」

私は頭を上げる。簪ちゃんの目はうるんでいたし、睨んではいなかった。

「それは、少し長くなるわ。席に座って話しましょう。虚ちゃん、飲み物お願い。」

「はい、紅茶でよろしいですね?」

「あ、はい。お願いします。」「お姉ちゃん、私も紅茶で。」

「はい、では座ってお話の続きを。」

そう言って席を示す。私は先に座る。簪ちゃんが対面に座り、その隣に本音ちゃんが座った。

「先ずは、クロノス・クロニクル君からの話。簪ちゃんの機体技術が倉持で男性パイロットに流されている事は知っている?」

「はぁ!?なんで!?あの機体のせいで凍結されたのに!?」

「その事は日本政府の高官が勝手に指示した事らしいんだけど、さっきこっちでも裏が取れたわ。もう、倉持は信用できる企業じゃない。」

「そんな・・」

茫然とした簪ちゃん。その手を必死に本音ちゃんが握る。

「でも、篝火所長は承諾していなかった。そして、おそらく近いうちに別の企業に移るわ。簪ちゃんにはそっちの企業に移って欲しいの。」

「別の、企業?」

「『CIRS』って分かる?」

「え?クロノス・クロニクル君が所属するって言う?・・まさか!?」

「えぇ、クロノス君直々の誘いよ。そして、それを相談させて仲直りをしてほしいと言ったのもクロノス君。」

「そんな・・、今一番すごい企業がなんで私なんかを?」

「貴女の事を彼はすごい評価しているわ。私も、自慢の妹がそう言われて嬉しかった。あと、コレは内密な話だけど、彼の企業は篠ノ之博士と手を組むらしいの。そして、その新型のパイロットとして、更に技術の向上にも貴女がほしいと言われたわ。更識としても倉持は信用できないから、彼の企業と手を組もうとも考えているわ。」

「そ、それってすごい事じゃ?」

「そう。でも、貴女に相談せず勝手に決めていい事じゃない。私は貴女に決めてほしいの。」

手を握って真剣にまっすぐ見つめる。

「・・すこし、考えさせて。わたしは彼の事知らないから。」

「もちろん。期限は言われていないわ。しっかり決めてほしい。私は貴女の事からもう逃げない。貴女を否定しない。もし間違っていても、受け入れて私の言葉で私の考えを伝える。私の大事な妹だから。」

「・・うん。ありがとう、『お姉ちゃん』。」

そう言ってしっかりと手を握り返してきてくれた。それからみんなでお茶を飲んだ。昔みたいな、幸せな感じに戻れた事だけでも、彼に感謝したくなった。

 




前書きでいいながらも、壇黎斗の名前が登場してしまいました。
そうなったのは私の責任だ。だが私は謝らない。

ネタ枠ですので物語には直接かかわらないのでご安心を。
自称神ですが、処理能力が神がかっているだけで宇宙とコミットはしません。

簪ちゃんと更識は手中に収めました。これも世界をまわす歯車の一つとなる。刻を綴る、時計の針は、一刻一刻と刻み続ける。

では、まだ次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11 創世の足がかり

どうやら皆さま簪ちゃんと鈴ちゃんが気になる様子。
しかし、彼女たちの活躍の場は・・どうなるでしょうか、ねぇ?
私の考えてシナリオ・・それがどう進むかは・・作品のキャラクター次第。
グッドエンドかバッドエンドかは・・シナリオを進めて行った後にそのキャラクターの行動で決まる。
書いている途中でも、そのキャラクターの運命は変わる。

何が言いたいかというと、とあるキャラクターの運命が変わりました。
エンディングが用意されていた物から、別な物へと変わりました。
さて、ソレは幸か不幸かはキャラクターのシナリオ次第。

では、私の作品の世界観を引き続き楽しんでください。
レッツ、ゲーム!!

あれ?壇黎斗に乗っ取られて気がする・・。
まぁ、良いか。スタートです。


「んじゃ、後は任せる。」

「いやいや、篝火所長!?」

「勝手に人の機体のデータ流用してやらかすような部下も重役たちにも飽き飽きだ。そっちが勝手にやるのなら私も勝手にやらせてもらう。丁度、私を引き込む話も来たからね。後は君達で勝手にやりたまえー。」

更識君の打鉄弐式のデータを勝手に使ったのは許せない。仮にも国家代表候補の機体のデータを勝手に漏えいさせるとは、此処の馬鹿には愛相が尽きた。

「い・・行く先が有るのですか?貴女ほど気まぐれな方を引き込む企業など、どうせ・・」

「世界に名高い『CIRS』だけど?あぁ、君達からすれば小さいだろう。だが、私からすれば素晴らしい会社だ。んじゃ、君がこれから此処の所長ね。ばいばーい。」

私はIDカードをゲートから出てすぐさま真っ二つに折る。そこには一台のトラックと運転手の女性、それからボディーガードの数人の・・子供?

「・・篝火博士ですね?」

「そうだよん。君達が迎えかな?」

「はい、マスターから言われて迎えに来ました。『CIRS』の特別部隊『SORD』です。我々はこう見えても特殊な訓練を受けていますので、問題無く戦えますし、貴女を傷つける事はありません。そして・・」

そう言いながら手のひらで一台のバイクを指す。

「マスター・・クロノスも今回は護衛に参加しております。今までの任務達成率は100%。傭兵の仕事も請け負った事もありますがその際の記録も併せており、貴女の安全は保障されています。」

「わお、大物直々なら安心さね。んじゃ、任せるよ。荷物はソレだし、家具は無い。」

そう言ってトラックに乗り込む。荷物を積み込むと運転席には深い金色の髪の女性が運転し始める。前には子供達が乗ったハイエース、後ろにはメタリックブルーのバイクがついて走り出す。

「・・まぁ、そもそも狙うのは女尊男卑に染まった馬鹿女の集団ぐらいしかないがな。」

「ん?たしか、ISを狙ったテロ組織が居るんじゃなかったっけ?ファントム・・なんとかって。」

「ぶふっ、ファントムタスクな。アレはもう解体されたぜ?」

「へぇ、そっちの情報も詳しいのかい?凄い会社だなCIRSは。」

「いやいや、ファントムタスクは解体され吸収されたのさ。CIRSにな。オレがその幹部クラス直属のIS部隊に居たオータム。今は巻紙って名乗ってる。」

「はぁ!?テロ組織を取りこんだってのかい!?」

「テロ活動するよりも、上手い事世界を変えれる手段が見つかったのさ。昔は兵器商人だったが、それが売れなくなった原因のISと女尊男卑の世界を代える為に目的が変わったのさ。そして、素晴らしいパトロンと指導者を手に入れた。それが今のうちの会社だ。」

「はぁ・・。凄いねぇ。」

「だから安心しろ。前のガキどもは殺しの名人。後ろのバイクは恐怖の引き金さ。」

「・・引き金・・!!まさか!?」

「トリガー・・。くくっ、後で挨拶しときな。実質アイツが社長だからな。」

「そうするよ・・はぁ・・。」

恐ろしい事になったようだ。・・いや、これは見方によっては面白い事か。うん。

「じゃぁ、彼を誘惑するのもありなのかにゃ?」

「出来るが・・周りの壁が厚過ぎて突破するのが難しいぞ?天災も一緒に居るからな。」

「・・束もいるの?」

「おう、ウチの技術主任だ。リーダーはクロノスだがな。」

「へー・・変わったんだね。彼女も・・。」

「織斑千冬と決別してから人が変わったらしいぞ?まぁ、そこらは追々だな。」

「あいよ。んじゃ、ひと眠りさせてもらうさ。」

「おう。何なんかあったらたたき起こしてやるよ。」

 

 

何事もなく会社に着いた・・と思っていたが、どうやら反IS組織は動いていたらしく、騒ぎになる前に片づけたらしい。まったく気がつかなかったが、倉持にもそのスパイがいたとか・・。捕まえたリーダーが吐いたらしい。倉持を早くに抜けて良かったようだ。

ソレを知らされたのは無事に企業の敷地内に入ってからだった。それまでの私は・・呑気に寝ていた。背伸びをして、オータム・・巻紙さんに声をかける。

「ん~・・さって、先ずは・・私はどうしたらいいのかにゃ?」

「にゃ?って・・。まぁ、その開発研究課に配属だからその部署の挨拶とクロノスへの挨拶。まぁ、その前に荷物を居住区に移動かな。一応、まだ下っ端見習いの扱いだから居住区だが、幹部クラスなら応接室と居住室が一緒になった部屋を用意できるから、クロノスに気に入られる開発すれば一発だし、アタシらは過去の実績から一回の任務で上がれた。アンタも、すぐになれるさ。」

そう言っている巻紙さんの後ろに人影が・・見えた様な・・。

「それは高待遇、そもそも私は寝られればどこでも大丈夫な派だからそこまで気にする事はないし、そもそも用事も無しに開発室から出るかどうか・・。」

「寝ることは大事だ。クロノスはホワイト企業として会社を運営している。自分の腹は真っ黒だがな。あっはっはっは。」

「ほぅ?貴様はそんな風に思っていたのかね?」

「・・・んじゃ。後は分かるだろうからこれで・・」

「行かせると思っているのか馬鹿ものが。」

「んぎゃぁ!?」

アイアンクローで持ち上げている。握力どのくらいあるんだろうか。昔の束と千冬を見ているような光景だ。そして、彼は手を放すと、巻紙・・オータムでいっか。オータムは一目散に逃げ出した。まるでアスリートのようなきれいなフォームだ。

「まったく・・。居住区はこちらです。荷物一つお持ちいたしましょう。」

そう言って彼は一番重い荷物を持って歩きだす。

「アンタがクロノス・・ってので、此処の中で一番偉いの?」

バイクで一緒に来たが、ヘルメットで顔が見えて無かったから確認する。

「まぁ、・・これでもこの会社立ち上げたのは俺ですからねぇ。年齢が低いから借りの名義の社長を表用には、仙石をその位置として用意しましたが・・。実質、私の会社と言っても問題はないでしょう。」

「噂になってる新規開発の機体も作ったのは君と言われているが?」

「そうですね。ファントムトリガーの機能を取り入れて強化した部分が有ります。その応用をうちの機体には全てに取り込んでいますね。」

「ほー。すごいねぇ。そして一番重要な質問だが、男性でも乗れるコア造りは進んでいるのかな?」

「『はい。』と答えれるほど外部に出せる状態ではありませんね。情報量が大きすぎてまともな媒体に記録できないのが現状です。乗れるコア自体はそう難しくはないのですが、コレを発表するとなるとデータの公開が必要で、それが難しい。束も此処がネックで全部を明かせなかったんじゃないかと。」

そう言いながら、カードキーを通し居住区に入る。

「えっと、ナンバー・・一ケタ台ならこっちの通路か。こちらです。」

「それは待遇をよくしてくれての一ケタ台なのかな?」

「そうですね・・と言えば印象は良いのでしょうが違いますよ。一ケタ台は研究職の有用株の集まりですが、まだ幹部クラスや役職などに上がれない者。二桁からが一般扱い、飛んで五百番台は生徒・・保護した子供たちで四ケタが家庭型の部屋です。母子家庭や父子家庭、刑務所から出て来たばかりの者を含めた家族もいます。これらの人は女尊男卑のせいで無実で囚われたり、被害に遭った家族達がほとんどで、普通のISには恨みを持っています。ですが、此処に居ればそう言う思いを分かりあえる人も多く、外に居た時よりも笑顔は増えてると思いますよ。その数字で主に使いやすい区域に直結する通路に近い所への部屋割です。研究者なら研究棟、一般ならオフィス方面、生徒は学園棟、家庭型の部屋は学園と購買に近いです。」

「此処から出る事は出来るのかい?」

「敷地外に出るには幹部クラスの承認が必要で、幹部クラスでも外出の理由が必要です。掴まってしまったらかわいそうですから。会社内の購買部という名目で作ったほぼデパートの三階建てビルが有るのでそっちで買い物は極力済ませてください。他に必要な者は提出して申請が通れば本人に届くシステムです。」

危険物や薬品の持ち込みはどうなんだろう?検閲されるのかな?

「徹底してるのは素晴らしいが、・・子供たちはこの施設が全てになるのかい?」

「いえ?子供達もカリキュラムに色々と含めていますから外出はできますよ?そもそもそれじゃ監獄と一緒です。外に出る際にも付きの護衛がいます。監視じゃなくて保護の為にですが。・・以前の学校でいじめられていたなどもありますからね。冤罪で捕まった家庭の保護もあります。周りからの目は色々とあるのですよ。」

そう言って、肩をすくめる。

「荷物おいたら、早速新機体の説明聞きたいんだけど・・。」

「ふぅ・・知識にどん欲な事で。分かりました、私の研究室で講義しますので必要な筆記用具等を持って来てください。」

端末を支給され、そこにクロノスくんの研究室の位置情報を送ってもらった。そして彼が部屋から去るとすぐに荷物を片付け彼の部屋に走ったのは言うまでもないだろう。

 

「フレームスタイル・・革新的だね。」

「御褒め頂き、光栄の至り。・・まぁ、基本的には俺の使う機体の為に開発した物で、ソレの一般的にまで落とした物がフレームスタイル。俺のは事実、フレームが強化外骨格的な物で、動きをサポートするんじゃなく、強化して威力をあげる為の物。動きやすくするために装甲を削り、最小にまでして、なお且つISとしての機能を損なわない程度まで。」

「今までの機体に色々と付けるだけの概念から真逆を行くね。」

「それこそがISの有用性でしょう。付けなくても取り出せる。それならば、納めておける事で動きは阻害されず、欲しい時に欲しい機能を追加。それが腕となり足となる。」

「全く持ってその通り。いやぁ、為になるなぁ・・。はふぅ・・。」

満足な倦怠感でため息が漏れる。

「ふむ・・そろそろ食堂に行きますか。・・今日は特別に幹部クラスとの顔合わせをしましょう。貴女もそこを目指すでしょうからね。」

そう言って今まで着ていた白衣を脱いで、脱いでいたスーツの上着を着る。

「今からスーツを着るのかい?」

「あぁ・・首筋に鼻を埋める馬鹿が居まして、それ対策ですよ。お気になさらず。」

そう言っているクロノスのこめかみに血管が浮いているのを見た。

 

それからその後、廊下で飛び出してきた影があり、

『みぎゃぁあああ!?』

と声をあげてアイアンクローをされながら食堂につるされて運ばれる光景を見た。

やっぱり此処は退屈しないようだ。

 

 




明らかに前が気が壇黎斗に乗っ取られた私がいますね。
そうです、今書いている作品は主人公がゲンムなのです。
このまま面白くなってくれればいいなぁ。と思っていますが、精神にも壇黎斗が私を乗っ取りに来ているようです。
・・コンティニューシステムほしい。抗体がつくれるような体になりたい。
バグスターになりたい・・。
寧ろ神になりたい・・。

では、次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12 愚者の増殖

今回はクロノス以外の戦闘回です。
さてどうなるでしょう。

本編へどうぞ。


俺はアレから1年3組に移動になった。表向きの理由が男子生徒同士の干渉が大きすぎると言う理由からだ。相手から喧嘩を売ってきたりするような事態は普通なら押さえなければいけないのを、教師が黙認した事もある。そこで3組の教師に『CIRS』からきた教師、有坂先生を副担任として配置し、問題が起きた際は学園長等に連絡をいち早くする事となった。因みに担当教科は一般教科ならどれでもなれるそうで、各教科の教師から引っ張りだこらしい。そして、放課後にアリーナで『CIRS』メンバー(レナとマキは本社に用事で戻っている)の訓練をしているとそこに二人の女子生徒がISを纏ってやってきた。一人は訓練機である打鉄で黒髪のポニーテール。もう一人は青い機体に金髪の髪の女子。あまり注目した事もないが確かイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットだ。

「何か用か?こちらは政府の依頼で忙しいのだが?」

新規開発機のデータの為に各関節部位を改良した、篝火研究員考案『フレーム・アーマード・スタイル』。ソレの実験をしている。考案した篝火研究員の案から先ずは、近場から広げて行こうと日本政府とIS委員会会長に通信を繋いでソレを発表。ソレを認めた政府とIS委員会も新規の情報に提出を求めているから、急がなくてはならない。クロエがデータを精査して、俺が必要なデータを取れるよう動きを指示、シャルロットとマドカが機体を纏って動き、ラウラが回りに影響が無いか見てくれている。

「そんな事は関係ない!あの強い千冬さんが何故お前みたいなやつのしでかした責任を取らないといけないのか納得がいかない!!」

「そして神楽さんを傷つけた責任、此処で取ってもらいますわ。」

そう言いながら武器を向けられた。

「アレはあちらから喧嘩を売ってきた事だ。逃げられないように俺が転入生なのを利用して悪い噂を流すと言った脅しをつけてな。ソレを織斑教諭も知って黙認した。二人が責任を取るのは当然のことだ。それも分からない子供でもあるまい。分かったら・・」

『ピキューン』

「・・何の真似かな?」

俺の肩にかするように銃を撃たれた。俺は今回は教官役でISを纏っていない生身の状態なのに。制服の一部は焦げ肩の一部は皮膚が焼けてただれたようになっている。俺は撃たれた左肩を押さえて振り向く。

「御卓はいいですわ。やはり所詮は男、神楽さんと違って情けない・・がっふぅ!?」

俺は何もしていないが、どうやらラウラがレールガンを撃ったらしい。しかもしゃべっている顔に。

「貴様風情が・・クロノス兄様に怪我を負わせたなど・・万死に値する。」

「あ、貴女よくもやりましたわね!!!」

「貴様がISを展開していない人間への発砲をしたからだ。兄様でなくても同じように撃った。IS操縦者が一般人への発砲など、犯してはならない線を越えた。貴様は唯の犯罪者だ。ならば軍人として、見過ごす事は出来ない。」

そう言いながらワイヤーブレードとプラズマ手刀を展開する。

「良いですわ。わたくし、貴女の事が気に入りませんでしたの。野蛮な国家の狗風情が!!」

「いくらでも言え屑が!野蛮はどっちだ、没落貴族風情が!!無力化してイギリス本土へ送還してやる!!」

そう言って二人は空へと飛んで行った。ソレを見送ると同時に後ろから刀が降って来る。俺は肩を押さえつつ、体を反らし反転する。

「チッ・・。避けたか・・。」

「貴様もか・・。」

「うるさい!貴様なんぞ死ねばいい!!はああぁぁぁ・・」

「黙れ!屑女!!」

そう言いながらも思いっきり腹に拳を叩きこんだのはマドカだった。

「がっはぁ!?き、貴様邪魔をするな・・」

「・・す・・ろす・・コロスコロスコロォオオス!!」

そう言いながらマドカはテスト機を降りて、自機の『スナイパー』を展開し変化、フレームスタイルにする。マドカの機体のコレは腰に黄緑色のベルトが装備されている。

「『ライダーシステム』・・、【バンバンシューティング】。・・変身!!」

『レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッツユアネーム?アイアムアカメンライダー・・。』

「ミッション開始。」

そう高官が鳴り変身した。それは『仮面ライダースナイプ』。手にガシャコンマグナムを掴み、地面を蹴った一足で打鉄に肉薄する。

「速い!?というかなんだその姿は!?私をなめているのか!?」

今マドカは『スナイプレベル1』で戦っている。2.5等身ぐらいの体の状態であまり力は強くはない形態、つまりは舐めプレイだ。それでも押しているのだから、相当に相手は弱い。

「貴様程度にはこれでも十分すぎるが・・徹底的に痛めつけられるのが好みなら・・お答えしようじゃないか!第二戦術。」

『レベルアップ!バンババン・バンババン・バンバンシューティング!!』

そう言いながらベルトのハンドルを開く。すると体についていたアーマーが外れ各部に付き、人間の大きさを少し超えたぐらいのISとなる。

「期待に答えて貴様の言う通りにしてやったぞ?どうだ嬉しいだろう。蹂躙してやるよ。」

そう言いながら周りに回っていたガシャコンマグナムをまた手に持ち蹴り、銃で殴り、ま近くで密着させて撃ったりしていく。

俺はシャルに手当てされていた。『マークスマン』の拡張領域に入れている緊急用の傷薬や包帯等で怪我を保護してもらう。まぁ、俺自体はそこまでひどいけがとは思ってはいないが、シャルは顔を青くさせていた。クロエは戦闘の前から訓練風景を参考資料にする為に映像を記録していた。

そして、空中で戦闘に変化が起きていた。

「はははは、弱い、弱すぎるぞ!!」

「ど、どう言うことですの!?まるで当たりませんわ!」

「クロノス兄様と鍛えたこの私に挑むには、百年は速かったようだな!ふん!!」

「きゃあぁああ!?」

ワイヤーで足を掴まれ地面に落とされる金髪。そこにレールガンを打ち込む。一発ではなく何発もだ。それで青い機体、・・確かブルーティアーズだったか?それはSEが切れて操縦者は気絶していた。

「こちらも終わるか・・。」

後ろの少し離れた所で行われていたマドカの戦闘も終わりのようだ。

「くそ・・ぐはぁ?」

「貴様程度が兄様を攻撃するとは・・死を持ってその愚行を教えてやろうか?」

「マドカ、殺すな。一応すでに学園には連絡した。有坂先生からこちらに捕縛部隊が来る事は聞いたからせめて、抵抗できない程度にしてあまり怪我はさせるな。」

「了解。」

『ニヤァ』とあくどい笑いになったマドカ。拳で打鉄を一度浮かせるほどのパンチを腹に入れて、崩れ落ちた所で肩を踏みつける。

「がっふぅ・・あぐっ・・な、何を・・」

「除装しろ。しなければ・・」

「うるさい!!貴様なんぞの言う事は聞かん!!私はあの篠ノ之束の妹だぞ!!」

「あっそう。なら良いや。」

そう言って頭部、顔にめがけてマグナムを連射する。

「ぎゃぁ、ぐあぁ、がふぁ・やめ・・あぐ・・やぁめろぉ、ぎゃぁ!?」

「・・・・。」

無言でマグナムを連発しまくる。絶対防御のおかげで傷はないが、衝撃と痛みは酷いはずだ。踏んでいた肩を放し数歩下がると、打鉄はぎりぎりながらもまだ残っているようで、おそらくSEは一ケタ台くらいかもしれない。刀を杖がわりによろよろと立ちあがる打鉄の女。ソレを見た、マドカはベルトのガッシャットを抜いて横のキメワザホルダーに差し込む。

「はぁ・・。」

『ガッシューン・・ガシャット!キメワザ!バンバンクリティカルストライク!』

「はああぁぁあああ!」

そして、回し蹴りの要領で加速をつけたハイキックを打鉄の側頭部にブチ込んだ。

「がっふぅぅぅ・・!?」

転がり止まった打鉄からは煙が上がりSEが0になった事を示していた。やり過ぎたのか機体にはショートしたようなスパークが見える。

「皆さん大丈夫ですか!?・・あぁ・・やっぱり。」

状況を見た有坂先生は頭を抱えた。教師陣はISをつけるのに手間取り、駆けつけるのが遅れたと言う。肩を押さえて立っている俺の姿を見た教師は顔色を青くしている。

「すいませんが、護衛の正当防衛です。無抵抗でISをつけていない俺が撃たれました。アリーナのカメラを見れば証明されます。クロエも撮影していた映像が有ります。クロエ、提出しろ。」

「分かりました。・・こちらです。追って会社から連絡と抗議が有りますので、覚悟するように上層部にお伝えください。1年1組の生徒とは今後一切の接触を禁じる事も含め検討しています。また、今回の事は連絡がつき次第、篠ノ之束博士、及びイギリス政府、IS委員会を含めての会合を予定しますので。との、社からの連絡です。」

「はいぃ・・野上さんから『私が動けないだろうから貴様を送ったのに、早速問題を起こさせるとはどういう事だ。』との連絡をいただきました。でもでも、私じゃ他の教師に応援を求めるくらいしかできませんよう。」

「ならば中から懐柔し、仲間を増やして反織斑派をつくれば学園は平和になるでしょう。それくらい考えてくださいませんか?」

「はいぃぃ・・。」

有坂先生は頭を抱えていた。

 

 




マドカとラウラ無双でした。
ラウラは空中戦も鍛えられましたので、セシリア恐れるに足らず。
元々圧倒できますしね。
マドカは元から強いので、よく考えると勝ち確定の勝負です。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13 ≪終焉の一撃≫

ゴールデンウィーク・・そう聞いて、最近見ているウマ娘が頭に浮かぶ。
ソレスペシャルウィークやって感じだけど・・。
セイウンスカイ、見た目的に好きだな・・ウマ娘も馬も。
良い体してるよね。足が何と言うか・・艶めかしい?

話はこの位にして、これからはツインターボくらいにぶっ飛ばして展開が進み始めます。しかし、内容は薄いかもしれないのですいません。

では本編へどうぞ。


アリーナのIS未装備者への攻撃の件で、学園はとてつもない混乱に陥っていた。

生徒間では『イギリス人の代表候補がISを装備してない人間を殺そうとしたらしい』とか『代表候補だから人を殺しても良いと思っていた』とか、篠ノ之箒は『勝手にISを持ち出し人殺しをしようとした超危険人物だ』、『人殺しの事実は姉の篠ノ之束博士に隠ぺいさせようとしていた』という噂が流れた。それにより、代表候補生自体が危険視されるようになり、無実を訴えるも本当にその人の性格を知らない人物たちからは、危険人物を見る目で見られだした。

イギリスでは反IS団体による抗議が殺到、更に以前にも男性IS操縦者に向けてはなった、男性非難や日本人を侮辱する発言、人種差別の発言が公になった。それによりイギリスはISを持つべきではないと言う世論までもが出てしまい、イギリス王室はとんでもない窮地に立たされている。貴族制度という物が根強くある為、国民からも非難が出始めて国内では過激な派閥からテロまがいの行為まで行われる始末。国外に対して対応する以前の問題に成っている。

日本でも銃刀法の見直しが検討される事となり、現在日本刀を持っている居合等の有段者からも真剣は取りあげるべきだ。などという過激な発言さえも出ている。それが篠ノ之箒が剣道有段者で剣術も習っており、有段者で有るが故真剣を持っていたのだが、学園でソレを人に向けてふるっていたと言う生徒からのタレこみが有ったからだ。政府はもみ消そうと初めはしたが、篠ノ之束から正式に発表されてしまい、逆にそれを進める事となった。その際之博士の発言が『人間である以上、感情に任せてそれを振う事が有る。理性で押しとどめられない事が有るからこその人間である。』と以前とまったく違い人間性を重視する発言をした事で一時偽物説が出た。

そして、俺は一時的に社に戻る事となり、騒ぎが収まるまで敷地内から出る事はないと言う事になった。当然俺の護衛としてのCIRSメンバーも同じくだ。これに乗じて女尊男卑派や女権団体が何か起こす可能性が有ったからだ。まぁ、一番動きそうな人物らはすでに墓の中だが。

 

さて、久しぶりの仕事だ。顔に覆面をつけて黒いライダースーツで銀色の骨を思わせるようなパイプの張り巡らされているバイクに乗る。そして、目的地についてそのバイクのハンドル部分についていたパーツを持って、手のひらに押し当てる。

「変身。」

『ブレイク・アップ』

そして、『魔進チェイサ―』へと変身した俺は建物に入っていく。

ゲート前に居た監視員はすでに気絶させている。

そのまま歩きドアを開ける。

「だれ?こっちはあの馬鹿な男どもの相手で忙しいんだけど?」

『その馬鹿な男どもの依頼だ・・。』

「!?な、何もの!?まさかファントムトリガー!?」

『その通り。我が名はファントムトリガー・・チェイサ―。貴様に復讐の依頼が有ったからここまで来たのだ。』

「くっつ・・ここまでの様ね。いいわ。私は見苦しいのは嫌いなの。決めるならさっさとやってちょうだい。」

『・・分かった。』

そう言って俺はブレイクガンナーを構えて近付く。女は怖いのか足が震えているが、それでもへたり込んだり、下がりはしなかった。

そして、俺は腕をあげて・・

《パァン》

「痛ぁ!?はぁ!?何これ!?ビンタ?ねぇ、コレビンタなの!?」

構えたブレイクガンナーとは逆の素手でビンタした。加減して殺さないようにしている。そこは重要だ。

『依頼内容・・仕事で帰って来てくれない母親に痛い思いと少し怖い思いをして懲らしめてほしい。僕も、学校で女子にいじめられても、お母さんの背中お見て育ったから、下手に騒ぎにしたり泣き突いたりはしないし、仕事を頑張ってほしい気持ちはある。でも、たまには帰ってきて話をしてほしい。仕事の愚痴でも良い。一人はさびしい・・。』

「・・まさか、啓太・・。」

『依頼完遂した。後は貴様等の勝手だが・・あまり子供を泣かすなよ。貴様が子供の為を思って給料を稼いでいる事は知っているが・・、子供はお前が思っている以上に繊細だ。』

そう言って俺は部屋を出てバイクにまたがり走り出す。途中で変身を解き、バイクも普通のバイクに戻す。

今日は気持ちよく眠れそうだ。

 

急に現れたファントムトリガーに私は殺されると思った。確かに男をこき使った事はある。それも息子と居る時間が取りたくて終わらない仕事を押し付けたことなどぐらいだが・・そんなにまで恨まれているのかと恐怖もした。でもわかった。地位とお金よりも息子との時間をもっと大事にしていこう。もし学校で女子にいじめられていたりしたらファントムトリガーに依頼して懲らしめてもらおう。殺す事が彼の仕事ではないのだから。

「今日は、これくらいで帰りましょう。確かにプロジェクトがうまく行けば上に行けるけど・・仕事に追われて帰れなくなっちゃ今度は殺されちゃうかもしれないわ。」

もちろん冗談だけど。

さて、久々に眼覚めの良い朝を迎えたわけだが・・

「マスター・・ふんふん・・」

背中に乗っかり、首元ではない気を粗くした馬鹿がいる。

「食事に来たらいきなり気分ガタ落ちだよ。クリス、俺はサラダとパンだけで良い。」

「目玉焼きはいりませんか?」

「ふーすー!ふすー!」

段々と鼻息が荒くなってきた。おそらく目の色もおかしくなっているだろう。

「良い眼覚めだと思って廊下に出たとたんに目玉が目の前にあったからな。この馬鹿のせいで食う気が失せた。そろそろ食事にするから離れろ。」

「キィーー・・」

奇声を上げ始めた。馬鹿・・もとい、レナの行為に流石に我慢が出来なくなってきた。

「離れろと言っているんだ、この馬鹿ものが!!」

アームロックからのチョークスリーパー、それから足をかけて一回転、首と足を腕で支えて体を肩で担ぐ様にして仰向けにしてホールド。

「痛い、痛いよマスター!?本気で締まってる!決まってる!!背骨がみしみしいってる!!」

「ならばそのまま一度寝て居ろ、この愚か者!!」

一度上に投げ上げて落ちて来た頭を掴み廊下に投げだす。

「みぎゃあぁぁぁ!?」

声が小さくなっていった事を見からい、席についてサラダを食べる。

横から出されたトマトを掴み、頭を掴んで口に放り入れる。

「むぐぅ~~!?」

「トマトを食べなさい。」

「あ、ムラサキ。またトマトを残そうとしたのね?」

「むむぅ~~・・。」

無理やり口に入れられたムラサキは嫌いなトマトの味に涙目だ。

「はぁ・・どうしてこうも此処の子は子供っぽいのか。」

「あら?それアタシにも言ってるの?」

食事を終えたトーカがこちらを睨みつける。

「そうやって噛みつくのが子供っぽいと言っているのだ。レディなら、さらりと流すのが嗜みだ。つまり、何かしら気にくわない事に一一噛みつくから子供と見られるのだ。」

「むぅ・・イラつくこと言われるから言い返してんのよ。文句あるの?」

「だから、そうやって拗ねる様な事も助長しているのだがな・・。トーカはもう少し性格が丸くなると良いんだがなぁ・・。」

「うっさいわね!!悪かったわよ!!」

牙をむくように起こるがまったく怖くはない。

「まぁ、此処の子はみんな個性が合って良いじゃないですか。」

「まぁな。学園と言う名のあんな所よりも此処の方が素晴らしいとは思うな。そう考えるとトーカのこの噛みつく感じもかわいらしいと言えるな。」

「な、なによう!?」

そう言われて頬を少し染めた様にトーカがこっちを見る。

「いや、・・あんな所にずっといると心が疲れるというか、精神的にスリ減るというか・・。」

「それは・・確かに聞く所にはすっごく嫌な所ね。本当に大丈夫なの?」

「もう少しして判断する。・・が、既に八割方は新しく作り変える方向が良いと思っているな。まったくもって、カリキュラムが成っていない。これではまともな学園とも呼べれないな。美浜を見習ってほしい位だ。」

ため息をついてそう言うと、トーカが腕を組むようにして呆れた顔をする。

「美浜って・・ここの学園施設を?どれだけ駄目なのよその学園。」

「だから、本当にいい所を探すのが難しい位なのだ。」

「疲れる仕事ね。ご愁傷さまだっけ?あってるかしら。」

「まぁ、間違いではないかな?正確には『ごくろうさま』だが、あながち間違いじゃないな。」

「そう、間違ってないならいいわ。そっちの正しい使い方も覚えておくとするわ。」

「そうしておけ。」

俺はパンとサラダを食べてコーヒーで流し込み、席を立つ。

さてと、この世界の女尊男卑に終焉を与えようか。

 

「さぁ、舞い踊れ亡者ども。今宵は宴だ。」

俺はバイクに乗って美浜学園から出てとある施設に向かった。

 

都心のオフィスビル。

女尊男卑の中核である女権団のリーダーが主催するパーティーで突如爆発、ビルの大型フロア丸ごと炎上する火災が発生。

同時に同じように女尊男卑派のパーティー、そのメンバーの自宅でも同じ爆発炎上する事件が発生した。

爆発理由は判明していないが、その場にいたIS操縦者のコアがすべて抜き取られていたことから反IS関係者の犯行と推定。

その後、犯行声明が出された。世界は恐怖し、歓喜した。時代の変わる時が来たのだ。

 

『目指すべき場所へ行かぬものを、あるべき場所へあるべき物を返したに過ぎない。すべては、世界を作りかえるため。我々は進化し続けるため、空を飛ぶようになった。次は宇宙を目指すべきである。立ち上がれ、世界を担う者たちよ。これは、世界中にある女尊男卑に対する宣戦布告である。ただし、調子に乗らない事だ。男尊女卑もまた粛清対象である事をわきまえろ。我が名は【ファントムトリガー】。女尊男卑に苦しまされ死した者たちの代わりに時代を終わらせる≪終焉の一撃≫の引き金である。』

 

世界にその名を轟かせた。

 




久々の≪ファントムトリガー≫のお仕事タイムでした。

さぁて、次回から少し投稿が遅れます。ごめんなさい。
休みでも、色々とやることあるんで。
それじゃ、次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14 進化の軌跡 ここからが奇跡

どうも、家族旅行について行かなかった私です。
調子悪くて寝込んで、前から決めてた事だから皆には行ってもらって自分はお留守番と言う事にしました。
一昨日、昨日はダウンしてましたが、今日は快調なのでアップします。

では、どうぞ。


それは夜。

星が輝く時間。

月が昇り、黒と紺色に染まる空。

その月明かりの下で一人の男が構えていた。

その時を。

「今宵こそ、終焉の時。」

『今から挙がるは新たな時代の幕開けの声。』

『世界を正しき道へと戻すための粛清の声。』

『新たに始まる世界の産声。』

『時代の変換、革命の時は来た・・』

『さぁ、始めましょう・・。』

 

「『今こそ、刻(とき)は・・極まれり』」

 

男女6人の声が通信機を通して重なる。

 

「行くか・・。」

路地裏で一人つぶやく。

『カシャカシャカシャ・・カシュ』

紫色と茶色のボトルに銀のコウモリが描かれたそれを振り、ふたを閉める。そして歪なハンドガンのような形状をした銃にそれを取り付ける。

『バット・・』

その後に待機音が鳴る。そしてその影は銃を構える。

「蒸血・・。」

『ミスト・マッチ!バット・・バ、バットォ・・ファイア!!』

銃から黒い霧がその人物を包み隠す。そしてその霧の中で人影の形は変わり火花と共に霧が晴れると、そこには蝙蝠の形を胸に付けた異形の戦士が立っていた。

その戦士は悪の戦士。目的は破壊と殲滅。

見る者はすべて生かしておくことは無い。

その戦士はパーティーの開かれているビルに入っていく。

「な!?何者だ!?」

「・・雑魚が・・消えろ。」

手にバルブのついた短剣を出したと思うと、反対の手で銃を撃つ。

「侵入者か!?応援を・・」

「遅い・・。」

『アイス・スチーム!』

剣から出る霧で体が凍りつく。

「こ、こん、な・・ISが・・SEが・・絶対防、ぎょ・・」

「黙って砕けろ。」

剣を銃に組み合わせる。

『ライフルモード!』

そして、狙いを付けて引き金を引く。

『スチームショット!バット!』

音声と共にエネルギーを充填し放った一撃をくらわすと、その凍ったISのSEはすぐに無くなり、そのまま、胴体を真っ二つに引き裂かれて操縦者は死亡した。そして転がった機体からコアを抜く。

それを繰り返してコアを集めつつ、目標がいる部屋に向けて歩き出した。

 

それと同時刻。

『ギアエンジン!』「潤動!」『ファンキー!!エンジン・ランニング・ギア!』

 

『ギアリモコン!』「潤動!」『ファンキー!!リモート・コントロール・ギア!』

 

『ドラゴンジェリー!』「変身!」『潰れる!流れる!溢れ出る!!ドラゴンインクローズチャージ!!ブルルルルルゥゥゥゥアアアッ!!』

 

『ロボットジェリー!』「変身。」『潰れる!流れる!溢れ出る!!ロボットイングリスゥ!!ブルルルルルゥゥゥゥアアアッ!!』

 

『コブラァ・・』「蒸、血!」『ミスト・マッチ!コココ・・コブラァ・・コ・・コブラァ・・ファイア!』

 

各地でも少女たちが一斉に行動を始めていた。

目的は同じように女尊男卑のメンバーの集まる会場やその主要メンバーの自宅。

それぞれの会場にはISを装備した訓練されたSPが居たが、全く歯が立たずにすべて死亡。

コアは抜き取られて無残な骸をさらしていただけだった。

目撃者、生存者、共にゼロ。その結果は世界を震え上がらせた。

 

 

そして、俺は美浜学園で朝からゆっくりとしていた。

ロビーで新聞を読み、ニュースを見て、端末でネットの情報を確認。

それをしてから朝食を取るために食堂に行く。

「おはようございます。そろそろ、IS学園に行くんですか?」

「あぁ、昨日で『更識簪くんの専用機』が完成したからな。これを持っていくことで篝火博士を正式に研究職者としての功績を認めて部屋を与える。それから、企業パイロットとして更識簪を正式登録。それに伴い、IS学園に篝火博士を赴任させて同時に篠ノ之博士を学園に押し付ける形で赴任。それを持って宇宙学科の開設をしてそこへ、今回の集めたコアを改造した男女兼用の宇宙スーツ用コア『コスモ』を発表。それからコスモの専用機体を造る事を急がせる。あぁ、急がしてくて目が回りそうだ。」

「さすがはクロノスさんですね。ソレでは、朝から少し豪華にしておきます。」

「あぁ、昼が食えないかもしれないから少し多めにな。」

「軽食を作って包んでおきますね。」

「あぁ、いつもすまない。クリスはいいお嫁さんに慣れるな。」

「ふふ、それはとっても嬉しいですね。」

 

「朝からラブコメってんじゃないわよ!!気色悪い!!」

「騒騒しいぞトーカ。もう少し落ち着け。他のメンバーは今回少し動いたからな。まだ寝させておきたいんだ。」

「私も居たわよ!観測メインだったけど!あんた達馬鹿じゃないの!?あの威力マジ化けもんじゃない!?」

「そりゃそうだ。既存の機体は追いつけるようなものは作る気などない。俺は天才の更にその上をいくのだから。」

「ハァアアー。これがアホじゃなくてマジで言っているのがたちが悪いわね。それができるのだから。」

「それが俺だ。」

「うるさいわね!噛みつくわよ!?」

「色んな意味で、すでに噛みついていますけどね?」

「あぁ!?クリス!?何か言ったかしら!?」

「いいえ、別に何もありませんよ。」

そんな、いつもの賑やかな朝に飲むコーヒーは格別苦くてうまい。

「さて、面倒な事が無いうちに学園に行くか。他のメンバーは明日の博士の護衛でIS学園に来いと伝えておいてくれ。今日は休みだ。ゆっくりと寝かせて置こう?そうそう、今日から野上教諭と千石教諭が教師として。篝火博士と篠ノ之博士を明日から非常勤講師としてIS学園に赴任する。今回は野上、千石と共に移動するから『SORD』の三人は学園までの護衛・・いや、ここに居る二人でいいや。ムラサキは起こすのが面倒くさい。明日に回す。」

「それは賛成ね。私が起こそうとしても起きないし・・。」

「それじゃ起きたらさっそく食べて来るようにと書き置きと朝食を置いておきますね。クロノスさんは御二方に声をかけて準備が良いか聞いてください。よければ荷物を車に積み込むよう回します。」

「車を回すのは連絡しながら俺がしておこう。後でIS学園荷物搬入口まで運転してくれ。」

「分かりました。では朝食を作っておきますので準備ができたらお呼びください。」

「あ、私は一緒に行くわ。一応、護衛任務としてもっさんに武器を用意してもらって置いたから。」

「・・ちゃんと呼ばないと、怒られるぞ?」

「知らないところで言ってても怒られないわよ。」

俺が立ちあがり、横にトーカが並ぶ。

廊下の途中で階段があり、そこで別れた。そのまま俺は電話をかける。

「あぁ、野上せんせー。今日からの準備よろしいですか?」

『あぁ、ちゃんと支度は済ませているし、搬入口まで荷物は運ばせてある。』

「相変わらず準備の良い方でこちらも嬉しい限りです。」

『そうか、それは気持ち悪いな。』

「では、千石教諭の方を手伝う事にします。」

『そちらも問題は無い。すでに荷物は搬入口だ。本人がだらし無かったのでシャワーぐらい浴びてください。と言ったから今準備中だ。着替えが済み次第、搬入口に向かうからこちらの事は気にしなくていい。それよりも護衛のメンバーはSORDで構わないのだな?』

「トーカとクリスで十分です。ムラサキはまだ寝てるようなので放っておきます。他のメンバーが護衛を求めれば共に遅れて来てもらいます。まぁ、その必要がない主要戦闘メンバーですがねぇ・・。」

『一番の最強戦力の貴様が言うと緊張感がかけらもないな。【みーんちゃーん?あのスーツどこだったっけー?】・・あのスーツはそこのクローゼットにかかっているでしょう!?もっと探して聞いてください。・・こほん。さて、そろそろ準備が整いそうなので搬入口に車を頼む。』

「分かりました。運転はクリス。護衛は俺とトーカ。実弾兵装使用兵はトーカのみで、ISなどの緊急時にのみ俺の機体の専用兵装許可。場合によっては【ダークアームズ】の使用許可で確認はいいな?」

『ソレで許可書も出した。車で渡す。』

「確認も完了。なら車の準備してくる。湯冷めしないように千石教諭に伝えておいてくれ。では、また後で。」

『あぁ。それも承った。』

連絡を終えて俺は目的地を変えて歩き出す。車庫の中から担当に今日の車の鍵を受け取り、使用目的の確認を行った後、車に乗り込み荷物搬入口に回す。今回は荷物と人だけなので大型のワンボックスカーだ。明日、大型の物を持ち込む予定なのでトラックなどが数台準備されて、そちらへ大型の荷物は回してある。つまり今日は気楽な任務でもあるのだ。

そして搬入口につくと手伝いの搬入要員の男が一斉に荷物を運び、車にきれいに収まっていく。そこへケースを持ったトーカと朝食などの順簿を終えて軽食を持ったクリスが来た。

「クリスに運転は任せる。俺とトーカは警護。教諭二人が対象だ。帰りは気を付けろよ?」

「言われなくても安全運転しますから平気です。クロノスさんこそ、今日はみんなが居ないんですからあまり無茶はしないように。」

「相手がそうしてくれないからなぁ・・。まぁ、今日はIS学園に着いたら教諭の警護だけだ。それが終われば部屋に戻る。問題は明日だ。明日は特に気を張れ。いいな?」

「分かってるわ。」「分かりました。」

そう言っているうちに荷物は載せ終えて教諭二人も車に乗り込む用意ができた。

「では行きましょうか?IS学園『戦場』へ・・。」

そうして俺たちはIS学園に向かう。問題無くついて学園長に挨拶して終わる。

明日が問題だ。

一波乱ありそうな気がする。

そう俺は思っていた。

 

 




今回も暗躍・・いや、ド派手にしましたね。
これから、加速度的に物語は進みます。
では、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15 学園へ・・最強の帰還。そして、新たな仲間。

タイトル通りに新しく仲間が増えます。
さて、誰が増えるんでしょうか。

では、早速行ってみましょう。


IS学園に居る重要なメンバーは世界中で起きていた例の事件を見て恐怖した。

「彼が帰ってきます。しかし、我々は彼の真の姿を知っている。どう対応すべきでしょうか?」

「ただ媚びへつらうだけは愚の骨頂。彼の目的通りに進めては学園は危険な目にあうかもしれない。しかしまた彼を拒否することなどは更に下策。手を取るにしても危険な劇物。対応に窮するのは分かっていますね?」

「学園長、落ち着いてください。彼は別に危害を加える気はないですから。更識さんもそこまで危惧する事ではありませんよ?あの方は真に篠ノ之博士の願いを叶えたい。更識さんの妹さんを助けたいという思いですから。基本的には無害です。ただし、悪意を持って近づくなら消されます。それは仕方ない事です。彼は自身よりも彼の周りに危害がある事を一番危惧しています。やさしいんですよ。」

そこで話しているのは有坂先生。学園内でも反織斑派の筆頭で、最近は学園内の半分以上の教師を味方につけた。誠実に話すことで心を変えた教師は数少なくない。生徒からの支持も多く、織斑先生よりも人気が高まってきているが、まだ戦闘面で弱さの事から対立しているものは数多くいる。

「そもそも私たちを雇用してくださったのも、クロノスさんのおかげです。女尊男卑の社会さえなければここまで苦しんだ者はいなかったと思います。母もその風潮に影響されたものですが、それによって起こした事は償わなければならない。それは分かっています。しかし娘の私も犯罪者の娘と言う目で見られていた。これは自分ではどうしようもなかった。それを優しく支えてくれたのは他ならぬ彼です。私や他の教師もその風潮で家族を失ったり、逆に無実の罪で捕まったりとしたものが大勢います。その一人一人に手をのばしてくれた彼を悪く言うのなら・・」

席を立つ。手にはハンドガンの『SIG』。

「この場で学園長の座を頂くことさえ、厭わない。」

本気の覚悟で見せた。

「・・学園長の座は、何れ彼の連れてきた先生に渡すこととなるでしょうから、そう焦る必要はありません。落ち着いてください。」

「そうですか。それなら良かった。」

そう言ってにこやかに銃を降ろす。

「そもそも、エアガンじゃどうしようもないので、頷いてくれなかったらどうしようかと思いましたよ。」

そう言ってそこら辺に撃つと銃口から出て来たのはBB弾。

「・・思い切ったことしますね。私に殺されることは考えなかったのですか?」

更識楯無は殺そうかとISを展開する用意までしていた。それほど本気に見えたのだ。

「殺されるのは怖いですが・・、それ以上に生徒のためを思えば仕方がないです。私の可愛い生徒たちを苦しめる結果になるくらいなら、無茶でも何でもしちゃいますよ?」

「はぁ・・。貴女はこれ以上なく教師だ。私が求める理想だ。」

「それならクロノスさんと他の教師の方に言ってください。あの方たち無しでは今の私は居ないのですよ?」

「ソレは朗報だ。教師を多く迎え入れる理由にもなる。」

「でも、あまり多くは求めないでくださいね?こちらの美浜学園にはまだまだ子供が多いので教師は必要なんですから。」

「ソレはそちらが送ってくる方を受け入れるという形で話になっていますので、人数の注文などは居たしてませんよ。」

「じゃぁ、クロノスさんが間違うはずもないので大丈夫ですね。」

そう話していた。ところにノックが聞こえる。

『クロノスだ。学園に帰参した挨拶に来た事、それから教師の紹介に、明日の打ち合わせがしたい。』

「あぁ、どうぞお入りください。」

学園長がそう言うと中に三人が入ってきた。

「今日は重要な二人だ。明日に数人の教師に学者、機体の搬送を行う。更識簪との話はうまくいったか?」

「少し喧嘩をしましたが概ねは。ただ、今までの機体のパーツは使いたいそうです。」

「ふむ・・、ならば俺の方で話をする必要があるな。機体の事は後に回そう。とりあえずの紹介だ。仙石、野上だ。学園長の補佐を担当重要な二人だから俺が直に紹介をすることにした。」

「仙石イチルだ。まぁ、堅苦しい事は『面倒くさい』ので省くが、これでも美浜学園の学園長として、『CIRS』の社長代わりとして働いてきたから、それなりの実力はあると思う。場所は違うが、それなりにはやっていけると思うのでよろしく。」

「お久しぶりですね。・・ッチ。このような事になったのであまり文句は言いませんが、手を煩わせるような生徒は国に返す事なども考えているのでよろしく。さっそくですが、イギリスの代表候補生と篠ノ之博士の妹、一人目の男子学生は退学にしませんか?男子生徒は政府でモルモットとして扱うのがよろしいかと。」

「み~んちゃん。いきなりそういう話は無しだよ。いずれ私たちの手で消してもいいのだからさぁ。」

「・・その際は『ファントムトリガー』に依頼しましょうか。足がつきませんので。」

「それはいいな!十分に力を発揮してくれるだろうさ!はっはっはっは!」

二人が物騒な話をしているのでクロノスは頭を抱える。

「はぁ・・、とりあえずはこの二人をよろしくお願いします。書類仕事から、実務業務まで行えます。学園長の補佐は主に野上が。仙石は学園長の仕事を覚えつつ、保険の教師としても働きますので。彼女の腕は一流で、そこらの病院よりも信用ができます。銃で撃たれても剣で切られても、即死で無い限りは大体が治りますので。」

「そんなに褒めるなよ。私はできる事をするだけだ。それがちょうど命を助けることにつながっただけだよ。」

そう言いながら荷物から出した白衣を着る。

席を示すとそこへ座る。野上はいつも通りにその後ろへ。

「それでは・・明日の話をしましょうか。」

そう言ってクロノスは端末を出し、少し設定をいじって空中投影した。

そしてすべての計画を話す。

 

美浜学園。教師と博士、学者と新型ISの移動計画の実行日。

(どう動くか見ものだな・・。)

それじゃ、始めようかね。

「作戦開始(ミッションスタート)。」

搬入用のトラックが走りだし、IS学園への道を進む。

そして、IS学園への資材搬入用の橋へかかった時に背後の橋を壊された。

『そのトラックの中身をすべて渡してもらおうか!!』

そこにはISが五機。急に表れたことから、橋の下に隠れていたのだろう。

ラファールリヴァイブ二機と打鉄二機。それにメイルシュトロームが一機。

止まったトラックからは作業服の人が二人ずつ降りる。

『さっさと荷台を開けろ!』

先頭を走っていた車両の荷台の横を開くボタンを押す。

自動で開き始めたそこには・・、一人の男性。いや青年と言った方がいい存在。

「ふむ。予想よりも少なくて楽そうだ。なぁ?『簪』よ?」

もうひとつの荷台も開かれるとそこに居たのは少女。

「確かに。これぐらいじゃあまり私の新型の見せ場にはならないかもしれないけどね。まぁ、贅沢は言ってられない。これが私の新しい仕事だもの。」

「では、行くとしようか。」

『マイティアクションX!』『デンジャラスゾンビ!』

その画面から広がった『何か』が辺りの景色の色を変えた。

「初披露、これが私の新しい機体・・『打鉄龍剣』(うちがねりゅうけん)!」

『カシャカシャカシャ・・カシャン!』

荷台に居た、小型の龍の形をしたロボットを呼び手に乗せる。そしてその龍の背中に振っていたボトルを差し込むとソレは変形する。そしてそれをベルトに挿した。

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

待機音と共に龍の鳴き声がする。それをハンドルとギアのついたベルトに差し込み、ハンドルを回す。すると体の前に配管のようなものが通りアーマーを形成する。

『アーユーレディ!?』

「変身!!」

『ウェイクアップバーニング!ゲットクローズドラゴン!!イェア!』

打鉄に龍の鎧が付き、更に手に剣を持つ。

青とオレンジの龍剣士が表れる。

それを見届けた後、男は手に持つ二つのガシャットを構えてベルトに差し込む。

「グレード、X-0。」

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクションX!アガッチャ!デーンジャデンジャー!ジェノシス、クライシス、デンジャラスゾンビィ!』

すぐさまハンドルを開くと、ゲームの画面を割るように白黒の骸骨のような体をした異形の戦士が表れる。

『さぁ、貴様らの目的の新型機体だぞ?クククッ!ははは、ハハハハハハハ!!』

笑いだした男に全員が下がる。明らかにおかしな雰囲気を噛持ちだしているからだ。

『海に朽ちて眠り死亡者よ!その恨みを今こそ見せろ!!』

そういうと水の中から人のドロドロしたような影がいくつもISに向かって上がってきた。

『ひぃ!?』

『な、何よこれは!?』

『ひ、人!?人の顔が・・!?』

『ば、化け物!?』

『何よこれ!?どうなっているの!?いやぁ!!掴むな!放せ!!』

その異形が掴んでいる間に二人は距離を詰める。男はメイルシュトローム、少女は打鉄の一機に。

『さぁ、あなた達の運命は決まった。ここで私に斬られると。』

『ビートクローザー!ヒッパレー!!』

剣の柄を引くと音声が鳴る。そしてエネルギーが剣に貯まる。

『はぁ!!』

『スマッシュヒット!』

それをくらわすと相手の機体がかなり向こうへ飛んでいく。

『ガッシューン・・ガッチャーン!キメ技!デンジャラスストライク!』

『はぁあああ・・はぁ!!そうらぁ!!』

無数の影にまとわりつかれたメイルシュトロームに蹴りをくらわせて、更に追い打ちでくらわせると、二発でSEがきれて機体は落ちて行った。

『な!?たった二発で!?』

『あり得ない!こっちは競技用のリミッター解除しているのよ!?競技用じゃないのよ!?』

『うぐぅ・・ううぇ・・』

『こっちはSEが三分の一をきってるわ!?』

相手がわめいている間に少女は更に構える。

『ヒッパレーヒッパレーヒッパレー!メガヒット!!』

『せいやぁぁぁ!!』

音声とともにエネルギーが蓄えられた剣をもう一機の打鉄を抱えた打鉄に斬りかかった。

抱えていたためにいきなり切り技をくらった打鉄は防御もできずそのまま落ちて行った。

『あぁ!?また!?今度は一撃で!?』

『よそ見してんじゃ・・ねぇ!』

『ギュ・イーン!!』

音声とともに手に装備したチェーンソウで切られてひるんだところを、更に斬り刻むように何度も切られて、ラファールリヴァイブの一機は、最後には蹴り落とされ水の中へ。

『どうなっている・・』

『こんなの、ぐぅ・・聞いていない・・』

二人のIS乗りは混乱しそう言っているとそこへ男と少女がお互いに武器を構えて目の前に来る。

『CIRSを敵に回したからだよ。テメェら全員、生きて帰れると思うんじゃねぇ。』

『こんな事をしでかしたんだから・・、それなりの覚悟はできているはず。』

剣の溝にボトルを差し込む。

『スペシャルチューン!ヒッパレーヒッパレー!ミリオンスラッシュ!!』

『きゃぁあああ!?』

その剣で切りつけたラファールリヴァイブは一撃でSEがきれて水の中へ。

『ヒッパレーヒッパレーヒッパレー!メガスラッシュ!!』

『今の私は!誰にも負ける気がしない!!』

ダメージを受けていた打鉄は更に受けた強力なダメージより、SEがすぐさまきれてそのまま人ごと真っ二つに。

『ぐぎゃぁああああ・・・』

血を撒きながら操縦者は水へと落ちて行った。

そして二人はトラックへ戻り変身を解く。と同時に機体を納める。

「まったく面倒ばかり起こす。今回も教職員にしか教えていない経路に時間での襲撃。どうせ裏で手を引いているのは奴らだろう。しかも複数の情報のうち、・・これを知らせたのはあのグループか・・。中立位置を保つと言っていたが、織斑派に傾いていた所だ・・。」

「まぁ、分かっていた事だけどね。クロノスさん。今後とも、ご指導よろしくお願いします。」

「あぁ、それが使えるならお前さんは強くなれる。いずれ、空へと上がった人は宇宙を目指す。高みを目指せ、更識簪。強さではなく、姉にできなかった偉業のために、その力を尽くすがいいさ。」

「はい!これからも、あなた達と共に上を目指します。そして、博士の思い描く未来へのために。世界の平和のために。そのために多少の血に汚れる覚悟はできました。」

「あぁ、お前になら喜んで力になろう。こちらもよろしく頼む。」

手を出す男と少女は強く握手をする。それを周りはうらやましそうに見ていた。

 

「はい!」

少女の笑顔は以前の暗さを感じさせないほど眩しかったと、のちに皆は語る。

 




今回増えたのは簪ちゃんが仮面ライダー化しました。
仮面ライダークローズ。個人的には初めて見た時から、かなりいい感じだなぁと思っていました。サブライダーでドラゴン系って、なんかかっこいいですよね?クローズマグマもクローズチャージも良かったですが・・。
まだ万丈は変身を残している・・。今はまだ最強ではない・・。
あ、別にエボルドラゴンを出すつもりはありませんよ。フリじゃありませんから。

ではまた次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16 終焉への集合 

今回は更に『グリザイア ファントムトリガー』からのキャラが出ます。
キャラクター詳細に乗せようと思いますので、是非そちらも御覧ください。
新型ISコア『コスモ』を使用したISが次々登場します。
お楽しみに。

では、どうぞ。



そして、アリーナに俺は来ている。その理由は・・

「こんな事を仕組むなんざ・・十年どころか百年早い。」

俺を呼び出して囮にした後、他のメンバーを各個撃破しようとしたらしい。

「お前さえ来なければこの学園はおかしくならなかったし、お前がいなければ私が虐げられる事も無かった!!」

そう叫んだのはこの学園の一番の害悪と言っていい存在。

「まったくやる事が杜撰ね?織斑千冬。」

「私はこいつの存在自体を否定したくなったぞ?兄さん。」

俺と簪、マドカの三人がアリーナに来ていた。他のメンバーは今現在で作戦中だ。それをごまかすためにも俺たちに注目させて置きたいのでこんな小細工に乗ったわけだが・・、

「いかんせん、やる気にかけるメンバーだな?専用機が二機と量産機が十機。しかもそのメンバーも別に代表と言うわけでもなく、多少は代表候補生が混ざっている程度。そんな戦力で俺たちに挑むかぁ・・。しかもアリーナの封鎖もしていないので、すべて見られているが、そこんとこどうするつもりだ?」

「私の権力で握りつぶすにきまっている。どうせ、大したことのない会社の機体、こっちが本気でかかれば!!」

「そう・・。つまりは、アンタ達と俺達との戦争と言うわけか。」

「戦争?たかが三人程度!こっちは倉持技研に協力させてアップグレードした機体をそろえたんだ!リミッターも外している!!つまりは貴様らが勝てる見込みは無い!!」

指をさして勝ったと思い込んでいるこの馬鹿をどうするか。

腕を組んで考えていると、もう一人の男性操縦者が前に出る。

「クロノス!テメェが来てからおかしくなったんだ!!さっさとこの世界から消えろ!」

「アイツ!!?」

三日月神楽・・だったか?あの雑魚が、吠えた事にマドカがキレている。だが・・

「ふーん、あ、そう。俺の考えとは違うなぁ・・。それまでの世界がおかしかったんだと思うんだよなぁ。それもこれも篠ノ之博士が作った『白騎士のせい』じゃないかな?そのせいで女尊男卑なんて世界になって、無実の罪で幽閉されたり、中にはISを使われて銃殺された人もいる。その理由は当然抵抗したから・・と言う理由にされているが、真実はIS操縦者の気分で、『その人間が気に入らなかったから』だそうだ。あぁ、先ほど学園の近くの海で数基ほど落としたんだが・・あのルートと時間、輸送手順は学園教師人にしか言わなかったんだよな。わざと偽の情報を流した。かかる間抜けが居るか試した。結果、その明らかにかかる間抜けが居ない様な、わっかりやすい罠にかかった上で操縦者には自白させれた。あんたが仕組んだ事だよな?織斑千冬。さっき言ったもんな?倉持技研に協力させたって。コアナンバー照会からも倉持技研が首謀者に加担したことも判明して、現在、倉持技研が関わったその機体のピックアップも進んでいる。政府からもそのコアナンバーの機体に乗っている人間が居たら、問答無用で逮捕することが決まっているからなぁ・・。さて、誰が捕まることになるのやら。」

やれやれと首を振って明らかな挑発をする。

「ど、どうせ、そのような事は束に任せてもみ消してもらう!!こっちには妹の箒もいるんだ!あいつが妹の事を見捨てると・・」

そう言っているとアリーナの大型モニターに、人影が映る。

『好き放題言ってくれてるねぇ?織斑千冬。』

「束!?」

『私は今現在、この学園のとある施設について、機体の整備を開始しようとしていたんだけどさぁ、さっきからクロノス君の端末から、クソ煩いわめき声が聞こえて耳ざわりなの。』

「姉さん!?私ではなく、クロノスとか言うこのおかしな男に何か吹き込まれたのですか!?」

『黙れよ。私は全て、知っているんだよ。この学園の事も・・。『私とあの人は関係ない』そういったね?私も返そう。【お前と私はもう縁を切った。赤の他人。だから、もう関わるな。迷惑だ。】あぁ、今までの事は両親にも伝えてあるよ?今も見てるんじゃないかな?日本政府とクロノス君は手を組んでいるからね。まぁ、どうせこの後捕まって刑務所行きだし、関わることなんかないだろうけどさ。』

「束!?お前妹を見捨てるのか!?私を見捨てるのか!?」

『・・先に裏切ったのはそっちじゃないか。【白騎士事件】・・アメリカで実験中の通信技術にAIが入りこんで暴走して起こした事件だ。世間は私のせいと思っているかもしれないが、アメリカが私に責任をなすりつけようと流した噂だ。疲れていた私はもう否定も肯定もする気などなかった。・・でも、私はあの時【ミサイルを落としてくれ】と頼んだ。【戦闘機や軍艦を沈めろ】、なんて言って無い!!誰もその他大勢の命を奪い、兵器としての力を見せつけろなんて言っていない!【白騎士】はお前がそう扱った事でコアの中で心を痛めた!コアの意思が【死にたい。消して。壊して。】、と私に頼むほど!!貴様は私の娘達を使って大量虐殺をした犯罪者だ!!今、世界中にそれを訴えた!白騎士は織斑千冬だ!知っている奴もいるだろう!自衛隊も、アメリカ軍も近隣諸国の軍も白騎士によって失った人が居る!こいつが殺したんだ!確かに私はミサイルを落とすように白騎士に兵器を付けた!ソレは宇宙へ行った時用に開発した物だ!こんな戦争に使われるためじゃない!!クロノスは私に宇宙への道を見せてくれた。男女平等になれば平和になり、それを宇宙でしか使えないようにすればいいと見せてくれた。そして、今日!新しい道を見せてくれる!皆、出番だよ!!派手にやって!これからの映像は世界中に流すから!』

『了解!』『分かった』

通信機から大量の返事が返ってくる。学園上空に低空で輸送ヘリが通過する。そしてその中から二台の改造バイクが下りて来た。

その改造バイクは空中で方向を変えてこちらの後ろへ降りてくる。

「はぁい、クロノス。仕事終わらせてやっと着いたわよ?」

「面倒事は終わらせてきた。通信で聞いたけど、私達もこの学園に編入って本気?」

そこへ来たのはほぼ同じ容姿をした二人の女子。一人は肌を焼いたように小麦色で、もう一人は透き通るような白。

「お疲れさん。いいタイミングだ。」

「まぁ、いいわ。こほん・・稲垣姉妹、バニラおよびチョコ。指令通り、現時点を持って指揮下に入ります。」

「はいりまーす。」

二人が乗ってきたのは新型エアバイク、『スチームギア』。全体的に歯車のようなパーツが特徴で、バニラには白、チョコには碧が渡された。

「つーかぁ、このバイク超―カッコいいし!無茶苦茶乗りやすいし!マジサイコーなんだけど!!」

「チョコ、うるさい。少しは静かにしなさい。」

「はーい。ねーちゃんだって気に入ってたじゃん。クロノスが私達にくれた、私達のためのバイクだから大事にしなさいって。」

「ば!?ここで言わなくていいわよ!?」

そう言い争っているうちに、今度はエンジン音が聞こえてくる。

そしてアリーナの観客席入口から二台のバイクが飛び出して、俺の前に着地する。

ヘルメットがあるがその体つきで女性だと分かるほどの豊満な体系。

「改造されても『ナインテール』は最高だね!!」

「姉さん!危ないからもう少し安全に運転してくれ!危なくアタシのバイク『ソウルスピード』にもあたるところだったじゃないか!?」

「問題ないじゃん。ちゃんと付いたんだし。」

「はぁ、これ以上言っても無駄か。さて、クロノス。指示通りに仕事をしてきた。すべて搬入完了し、異常もなく他のメンバーの帰参も見てからの到着だ。クロエは博士の助手として、残り二人は生徒会長とともに付近の警戒、そして、アタシ等はクロノスの護衛に戻る。」

「御苦労。さて、すべてつつがなく終わったようだ。時間稼ぎは終わりだ。これからは、終焉の時間だ。真の恐怖を味あわせてやろう。そして後悔するがいい。自分が何をしていたかを。すべて白日の下に晒す時が来た。」

俺は眼帯を外してリミッターを解除する。完全なこの目の掌握はできているが、普段は見えすぎてうざったいので見えなくしているだけで、まったくリスクも反動もなくしてある。

「俺の名はクロノス・クロニクル。・・だが、過去の名は織斑一夏。政府とそこの女に死んだ事にされ捨てられて、すべてを恨み、地獄から這いずり上がった男だ!」

「な!?」

「クロノスが・・一夏だと!?」

「死にかけた反動で体の一部は欠損。それを補うためにクローン技術を使っていたドイツの違法組織を使用して目を埋め込み、その反作用で体組織が変わった。見た目も声も変わったが、心の中ではまだ残っていた部分もあった。そして束と会いすべてを話し、お互いに協力した。すべてを束の夢のために。その知識が俺にはあった。力があった。だからすべて使ってきた。この世界に居ない幽霊『ファントム』として、絶対に許せないやつらを始末する引き金『トリガー』になった。」

「『ファントム・トリガー』・・」

背後に居た代表候補生の一人がそうつぶやいた。

「さぁ、時は来た。これからは俺達の世界のために、束の夢のために!その力を存分に振るえ!!そのコアはそのために創られた!!既存のコアを宇宙へ上げるため、お前達の力を貸してもらうぞ!!」

そう言って俺は機体をフレームモードで展開しベルトを取り出す。

「行くよ『ナインテール』!」「燃やせ!『ソウルスピード』!!」「「・・装着変形!」

バイクが変形してISと同じようにフレームスタイルで装備される。

「さて、アタシ等も行こうかお姉ちゃん?」「そうね。見せてあげましょうか。」

「「『スチームギア』・・変形装着。」!」

同じく板垣姉妹にもバイクが装着される。

「ふん。屑どもなど私一人でも十分だがな。」

「確かに。本気出すのも大人げないんだろうけどね。シナリオがあるからね。」

「仕方ないか。」

そう言ってマドカと簪もフレームモードにする。

「さぁ、これからが本当の終わりだ・・。」

俺はベルトを構えると、簪、レナ、マキがベルトを構える。

マドカ、バニラ、チョコは銃を構えた。

 

「・・覚悟はできたか?」

全員が獲物を狩る者の目をしていた。

「『赤色』、『ブルー・ティアーズ』、『倉持製のリミッター解除した打鉄』・・貴様等は、既に指名手配された。故に、商品価値も、なぁい。よって、貴様等は・・絶版だ!!」

 




今回新規専用機が出ました。まぁ、仮面ライダーですけど。
バニラ・チョコの稲垣姉妹を更新しておきます。
次回から本格的戦闘回です。お楽しみに。

では、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17 真の終焉 序章 ≪変身≫

今回は戦闘ではなく、変身回です。
誰がどう変身するか・・どんなセリフを言うのかを想像していただけると盛り上がれると思います。

それでは、本編へどうぞ。


フレームモードで構えるのは青いベルト。

そしてその手に持った紫のボトルのふたを回す。

『ピキピキピキ・・クロコダイル!デンジャー!!』

青いベルトを腰に当てるとそれが装着される。そして、紫色のソレを逆さに挿しこむ。

『クルォコダイル!!』と音声が流れる。

そして横のレンチの形をしたレバーを下に下げる。

「変身・・」

すると俺の周りに囲いが表れてそこに紫色の液体が流れ込む。

それを下からすべてを喰らうように、紫色のワニが噛み砕く。

『割れる!食われる!砕け散る!!クロコダイルインローグ!オォォオオオルゥァアアアア!!』

紫色の戦士が表れた。

それは正義ではなく悪の戦士。

ただ人を蹂躙するためだけに、その場に存在する。

そしてそれを見た全員が恐怖した。あり得ない形状と、そのまがまがしい気迫。

どう考えても危険だと。

しかしここまできたらもう後には引けない。そう思い、踏みとどまる。

「そ、そんな恰好で俺たちに勝てると思っているのか!?こっちはリミッター解除しているんだからな!!」

三日月神楽がそう喚くように、吠えたがソレに何の怖さも感じない。

『・・全員、戦闘装備・・』

そう俺が呟くと全員が装備を構えた。マキとレナが同じベルトを構える。装備すると音声が流れる。

『スクラッシュドライバー!!』

「行くよ。ナインテール。」『ドラゴンジェリー!』

「派手にぶちかますぜ、ソウルスピード!」『ロボットジェリー!』

ベルトに俺と同じようにスクラッシュジェリーをセットして構える。

「「変身!!」」

二人がレバーを降ろすと囲いのカプセルが表れ、レナは水色の、マキは黒い液体がカプセルに満たされる。

『潰れる!流れる!!溢れ出るぅ!!』

『ドラゴン イン クローズチャージ!!ブゥルルルァァァアア!!』

『ロボット イン グリス!!ブゥルルルァァァアア!!』

中から現れたのは水色の龍を纏った【クローズチャージ・レナ】、濃い黄色と黒いロボットをイメージした【グリス・マキ】。

『さて、マスターの敵を・・全部ぶっとばす。狂拳(きょうけん)のレナ、参上!』

『ISって宇宙へ行くための物だったよなぁ?マスターの敵ってんなら、宇宙へ行きたい奴は遠慮なく来やがれ!アタシがぶっとばしてやる!』

そろってナックル型の武器を装備した。

 

次に簪が打鉄二式にベルトを装備する。そこへロボットのドラゴンが飛んできてその手にボトルを落とし自身は変形して背中へとボトルを挿せるようにする。

「ふふ、かわいいよね。いい子いい子。それじゃ、私達も行こうか、マドカ?」

「ふん、いいだろう。恐怖を与えてやろう。」

『カシャカシャカシャ・・カシュ』

二人ともボトルを振ってそれぞれの手に持った物に挿す。

 

簪はドラゴンへ挿してそれをベルトへ装備する。

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

簪のベルトは待機音と共に龍の鳴き声がする。それをハンドルとギアのついたベルトに差し込み、ハンドルを回す。すると体の前に配管のようなものが通りアーマーを形成する。

『クローズドラゴン!・・アーユーレディ!?』

「変身!!」

『ウェイクアップバーニング!ゲットクローズドラゴン!!イェア!』

打鉄二式に龍の鎧が付き、更に手に剣を持つ。

青とオレンジの龍剣士が表れる。

最後にその正面が割れて簪の両耳部分に装着されイヤーマフ型になる。

『打鉄龍剣・・、行きます。』

 

マドカは銃の形をした『トランスチームガン』へ差し込む。

『コブラァ・・』

それを自分の前に構える。

「蒸、血!」

それを振るようにトリガーを引くと周りに黒い靄が生まれて、ソレに全身をつつまれる。

『ミスト・マッチ!コココ・・コブラァ・・コ・・コブラァ・・ファイア!』

火花とともに靄が晴れると、そこには血のように紅い体と翡翠色の目をした戦士【ブラッドスターク・マドカ】が居た。

『クハハハ!お前ら全員、雑魚以下なんだよ。織斑千冬以外は計測してもハザードレベルはせいぜい【レベル2】止まり。私らの敵じゃぁない。』

そう言ってトランスチームガンとスチームブレードを構えた。

 

後ろで控えていた稲垣姉妹もお互いに構える。

『カチャ・・』

ソレは紫色の本体にギアがついた銃。トランスチームガンと同じ形状をしたそれを構える。

『ネヴュラスチームガン!』

「さて、行こうかお姉ちゃん。」「そうね、チョコ。」

金色に白いギアと碧のギアがついたボトルをそれぞれ構える。

『ギアエンジン!』『ギアリモコン!』

それぞれの銃に差し込み構え、引き金を引く。

「潤動・・」「潤動!!」

『『ファンキー!!』』

ギアが装備された半分の戦士が二人表れる。

『エンジン・ランニング・ギア!』

『リモート・コントロール・ギア!』

白いギアの【エンジンブロス・バニラ】と碧のギアの【リモコンブロス・チョコ】。

『さて、クロノスのお手伝い・・やるよ、チョコ。』

『オッケー!お姉ちゃん、やる気満々じゃん!いいね!盛り上がってきた!!』

 

全員が変身して構えると俺たちはそれぞれの相手を確認する。

『レナとマキは多数の取り巻き雑魚連中。稲垣姉妹はイギリスの代表候補生、マドカは織斑千冬、簪は篠ノ之妹。そして、最後に俺があの男だ。』

隣にマドカが来る。

『まったく相手にならんが、構わんのか?』

『これは世界中に新たなコアとシステムを見せるための場所。リミッターを解除してようが関係なく、押しつぶせるほどの力を示す。・・まぁ、好きに・・ヤれ。』

そういうとマドカは肩を震わせて笑う。

『クク、そんじゃ遠慮なく。行くぞ、バカ女!因縁の決着を付けてやるよ!』

「そ、それは私に向かって言っているのか!?ガキが!容赦せんぞ!?」

『テメェ程度が粋がるなよ!まぁ、精々しなねぇ様にしろ!』

「くっ!!許さん!切り裂いてくれる!!」

そう言って二人で離れた所へ行く。次に後ろから稲垣姉妹が来た。

『それじゃあの青い奴の相手してくるよ?』

『二人も要らないけどさ。』

『あえての二人だ。面白く盛り上げてもかまわん。』

そういうとチョコから笑い声が聞こえる。

『きひひひ、そういうことなら【アレ】、使うよ?』

『・・好きにしろ。』

『お姉ちゃん!許可出たし、後で使うから!先行ってて!!』

『はぁ、分かったわ。貴女の相手は私達よ。まぁ、ただの消化試合だけど。』

「な!?そこまで言われて、黙って居られませんわ!!貴女方を完膚なきまでにたたきつぶして上げますわ!」

『そう。じゃ、やってみなさい。チョコ、先行ってるわ。流れ弾に当たらないよう気を付けて来なさい、金髪ロール。』

「きぃー!!もう許せません!速攻でつぶします!」

そう言って二人が離れる。

『んじゃ、クロノス。また後で。アタシの活躍期待してよね。』

『それならさっさと行け。』

 

それを見送った後、次に簪を見る。

『お前は自分の殻を割って成長したいだろうからの選択した相手だ。お前にはあえてアイツをあてたのは、同じ優秀な姉を持ちながらも腐った根性になった相手を見せてやろうと思った。優秀だがそれでもあきらめずに努力して手に入れた力。コアの差よりも明らかなそれを自覚しろ。お前は強い。姉がどうしたと跳ね返せるほどに強くなった。みじめなあんな奴と比べるまでもなく。力だけじゃなく、心さえも強くなった。それを見せつけろ。』

『分かった。行ってくる。』

そう言って篠ノ之妹の方へブースターを吹かせて突っ込んでいった。

そのまま戦闘へと移行したようだ。

 

『レナ、マキ。お前らは雑魚をぶっとばせ。出来るな?』

『・・マスターの命令、承りました。狂拳のレナ、行きます。』

『誰に聞いているんだ?心火(しんか)を燃やして、ぶっとばす!!ソレだけだ!!』

ナックルブレイカーを構えて答える二人に頷く。

『分かった。行け!』

『『了解!!』』

二人が取り巻き連中に突っ込んで行く。

 

さて、最後に残るは俺とこいつ。

「お、織斑一夏・・だと!?生きていたと!?何故、そんな恰好に・・どうしてこんな・・」

『もう、織斑一夏じゃない。元(・)だ。間違えるな、俺は【クロノス】・・【クロノス・クロニクル】だ。まぁ、一度死んだからさ。だから俺は亡霊で幽霊で『ファントム』なんだ。そして、起こす事は革命の引き金『トリガー』。ならば、答えは一つ。次の世界に移るために、貴様らは邪魔だ。すでに各国の女尊男卑主要者は処分した。残るは学園内。その中でも被害をもたらす貴様らさえ居なくなれば、世界は束の思う通りに元の夢に進める。宇宙へのかけ橋へと・・。学園側も宇宙学科の設立を許可、主要国家は俺達以外も使えるコアさえあれば、男性を学園に入学を認めると宣言。そして、今使っているこの機体のコアがそれだ。男も女も使えるコア。【ネクストシステム・コア】。だから今回の騒ぎでその重要性を見せる。貴様はそれを受け入れるか?』

(じょ、冗談じゃない!!そうなれば俺のハーレム計画が水の泡・・一人しかいないという事がこいつが来たせいで失われただけでなく、見向きもされなくなる可能性もある!?)

「認められるか!俺は、織斑先生に鍛えてもらったし、剣道も剣術も強い!テメェなんかに負けるか!!この前みたいにはいかねえぞ!!」

 

『・・はぁ。そうか・・・・。』

そう言われて俺は構える。

『ならば、強制的にでも殲滅、排除する。・・・やはり貴様は、絶版だ。』

 

『強さの下に正義とは何かを教えてやろう。恐怖し、かつ目せよ。これこそが【力】と言う物だ。』

 




今回は変身回と言った。
つまりは全然進んでないという事だ。
しかし、どうしてもやりたかった。
オールライダー変身シーン。
どうしても、やってみたかったんだ。後悔はしていない。
自分勝手だったと反省はしている。
だが、私は謝らない。

それでは、また次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18 真の終焉 中章 戦闘1

今回は戦闘回。視点が色々と変わりますので、お気を付け下さい。
さて、皆さんは最近のビルドを見ていますか?
ソレから多くの機体が出て来ます。
あと、エグゼイドのVシネトリロジーも見て置くと良いですよ。

では本編へどうぞ。


『オラ!ふん!セイヤァ!!』

『ふん、はぁ!セイヤッ!!』

十機の量産機相手に二機だけでの戦闘。

普通なら、絶望的な状況だろうが・・そんなことは全くない。

むしろ二人の方が押して居る位だ。

「どういう事!?」

「あの機体は何なの!?」

「こっちの攻撃が全く聞いていないわよ!?」

「勝てる気がしない・・、撃っているのに効かない!?どうしろって言うのよ!」

量産機の指示系統の上位三人と援護射撃の後衛が前衛を見て恐怖する。

前衛六人をまったく苦もなくあしらって、攻撃をしている。しかも、それは一つの武器を巧みに操って、ビームとナックルを使う事でうまい立ち位置で攻撃をくらわせる。

中距離に移動しようとするとビームでけん制されて、ガードすると盾を超えてナックルがボディブローをして来た。それの衝撃でその操縦者は地面へおう吐する。しかし、相手は容赦せず、そのまま踵落としで吐しゃ物に頭を突っ込まれた状態で気絶させられた。そこにまったく容赦のなくビームが撃ち込まれてSEがきれてその場で動かなくなる。

リミッターを解除して戦闘しているというのに一切攻撃が効かない。いや、多少は効いているのだろうけど、あまりに少ないダメージしかないのかもしれない。

グレネードを直接撃ちこんで、爆発させてもその煙の中からオレンジの目が光り、拳が突っ込んできた。避けてもすぐさま今度はナックルで攻撃をされて、顎を殴られて脳震盪を起こしている状態でも、容赦がないらしく下からアッパーで殴られて宙に浮く。そこに腰を入れて引いていた腕をまっすぐに打ち込み、鳩尾にナックルが突き刺さってSEがきれて飛んでいく。その後はそのまま地面に転がり白目をむいていた。

他の四人は既に地面に伏している状態。同じように腹を殴られて動きが止まったところで強烈なアッパーをくらっていた。そして、その二機はこちらを向く。

『さて、準備運動は終了だ。心火を燃やして・・ぶん殴る。』

『ふ、ふふ・・ふふふ、あっははははは!!マスターの敵!潰す!!』

かなりの距離があったのにもかかわらず、一歩で瞬時に突っ込んできた。

「さ、散開!!」

『させるかぁ!!』

≪ビームモード≫

横に散開しようとしたらその行き先を撃たれて止まる。すると水色の龍の様な機体が、まっすぐに突っ込んできた。

『あははは!まずはお前からだ!』

ナックルに何かを挿して突っ込んできた。早すぎて避ける事は出来ない。

≪アタックモード・・シングル!!≫

私はナックルで殴られる。ただし、尋常ではない速度と威力の乗っている杭が自分につきささる感触とともにだ。

「ぎゃぁぁああああ!?痛い!?痛いぃぃいいいい!?」

『マスターの敵なら・・潰す。』

その声とともに私の意識は途絶えた。

先ずは一人。司令塔をつぶす。それから各個撃破だ。

『じゃぁ、さっきからちまちまとウザい奴を打ち上げてくる。』

『こっちはもう一人潰してくる。』

背中あわせにお互いを確認してお互いの足の裏を蹴って急加速する。

マキはさっきから遠距離で撃ってくるだけの女を撃破に行った。

私は残る二人のうちの一人、打鉄の女を急加速で殴る。

「かはっ!?」

『お前もつぶす。・・懺悔しろ、自身の行いを・・。』

≪ツイン!!ツインブレイク!!≫

ボトルを一つ挿してある横のところに、スクラッシュジェリーを一つナックルに差し込む。

『うおぉぉらぁ!!』

そしてエネルギーがたまったところでそのまま殴りつける。溜まったエネルギーが放出されてその女は飛んで行った。

「ひぃ“!?も、もうこうなればぁ!?うわぁぁぁああああ!!」

そう叫んで逃げようと背中を向ける。

≪ビームモード≫

ビームに変えて背中のスラスターを打ち抜く。

「きゃぁあああ!?いやぁ。死にたくない!死にたくないのぉ!!いやぁああ!!」

半狂乱で地面に落ちた女は武器を取り出して振りまくる。

『そう、くひっ・・そういった相手をお前はどうしてきた?ふふふ・・慈悲もなく殺してきたよなぁ!?くっふふふ・・、だからその報いを受けるだけだよ。逃げるなんて許さないぞ?』

またモードをアタックモードにして、【量産型のクローズドラゴン】を装着する。量産型はAI機能がない代わりに、エネルギー容量は増えているのは攻撃には利点がある。

≪アタックモード・・レディ・ゴゥ!!レッツブレイク!!≫

「いやぁぁあああ!?」

『はぁぁあああ!!』

殴り飛ばすと装甲は剥げて、スーツ姿だけの生身をさらしてそのまま地面に転がる。

運が良ければ生きているだろう。

アタシは目の前の奴をじりじりと削っていた。武器を壊しては避けて攻撃をする。

「ちょこまかと!?正々堂々、正面から来たらどう!?」

『射撃特化型に真正面から挑むほど、アタシは馬鹿じゃねぇ!!だから、こっちのやり方で行かせてもらうだけだっつーの!!』

そう言いつつ、横から≪ビームモード≫で武器を撃つ。ライフルが壊れて相手は品切れになったようだ。今までもいくつも壊してきた。最終的に武器もない状況で居るのを見て、隙を見せたが攻撃用の射撃武器が出てこない。取り出したのは近接武器の長剣。それを≪アタックモード≫で壊して真っ二つにした。だからそれからは普通に拳で殴っている。これでそこまで壊れてないという事は、相当に改造してあるらしい。量産機でも個人のカスタム機のようだ。

「これでも!私は、代表候補生、なのよ!?なんで、こんな、女に!?」

『お前なんかとはなぁ、背負っているもんがぁ、違うんだよぉ!!』

≪シングル!ツイン!!・・ツインフィニッシュ!!≫

ボトルとスクラッシュジェリーを差し込んだ。更に腰のドライバーのレバーを降ろす。

『覚悟決めろよ、ゴラァ!!』

『ガシュン!』

「私が!負ける訳が!!無いのよぉ!!あんな口ばかりの無能とは違う!私はオーストリア国家代表に一番近いのよぉ!!」

相手の女もふらふらしながら近接の武器であった折れた剣を構える。が、背中から溢れるエネルギーを噴射させてブースターを最大に吹かせた状態のアタシを止めることはできないまま、相手の女を一度殴り通り過ぎる。

行き過ぎながらもう一度方向を変えてビームを撃つ。強烈なエネルギーで武器ごと装甲の一部が壊れる。そして後ろに回り込んだアタシはそのままエネルギーを至近距離で下からビームで撃ち上げて更に殴り、空中へと飛ばすと同時に自身も空へと飛ぶ。

『スクラップ・フィニッシュ!!』

『くらいやがれえぇぇぇええええ!!』

「きゃぁぁあああああ!?」

そして空中から蹴りを腹部に入れながら背中からたまったすべてのエネルギーを吐きだしつつ、脚部にもそれを纏わせて回転しながら落ちた。

【ドゴォォン!】と音がして地面に叩きつけられて、その女の機体は吹き飛ぶ。命だけはかろうじてあるのだが、各部骨折しているらしく、腕や足が変な方向に曲がっている。

『見たかゴラァ!』

「あ・・ぁ・・」

『マキ、そいつほっておいて行こう。』

『・・そうだな。クロノスがどうアイツをつぶすか見ものだしな。』

そう言ってアタシ達は量産機をすべて潰した。

「はい、コレ。チョコ、コイツをちょっと抑えててくれる?」

「はいよー。と言う事でぇ、ちょっと黙って止まって・・ろ!」

そう言ってリモコンブロス・チョコはイギリス代表候補生を後ろから羽交い絞めにする。

「きゃぁ!?な、何を!?放しなさい!!」

「いいから少し大人しくしとけ、っつーの!ふんっ!」

暴れるそいつの足元を払い、上から押さえつけるようにして、地面にうつ伏せに抑える。

「痛いですわ!放しなさい!」

「お姉ちゃん、いいよー。」

「手際がいいわね、チョコ。・・よし。これでいいわ。放していいわよ。」

「はーい。」

その場から飛んでチョコが私の隣に並ぶ。

「こ、コレは何ですの!?もしかして爆弾とか・・」

「いや、クロノス特製の強制(・・)回復装置。まぁ、効果はいずれわかるわ。チョコからでいいわよ?」

「よっしゃ!んじゃ、くそ高飛車女ぁ。クロノスに怪我負わせた事があるんだってなぁ?レナから聞いたぜぇ?その報いだぁ!」

そう言って紫の銃【ネヴュラスチームガン】を構える。

「わたくし相手にハンドガンとは、舐められたものですわね?そんなもので勝てると思いですの?」

「あははは、面白い冗談だわ。片腹痛いって言うの?こういう事?」

「知らないわよ。さっさとやりなさい。」

チョコがふざけているのでそう言って顔を向ける。

「へーい。それではぁ、チョコさん取り出したるは、禁忌の武装の一つである【ネヴュラスチームガン】!そして狙うは金髪のアホそうな巻き髪女のその機体。」

「あ、アホそうですって!?」

「ほいさ!」

軽く言いながら、銃を連発して撃ちまくる。しかし、乱射しているわけではなく、少し動きながらでもその銃は敵の武装を確実に狙い、すべてにエネルギー弾が撃ち込まれる。

「な!?きゃぁ!?そんな!?ティアーズが!!」

「そのリアスカートなどもビットだって知っているから怖くないしー。まずはこれで武器破壊完了かな?」

【フルボトル!ロケット!ファンキーアタック!フルボトル!】

銃に預かっているロケットのフルボトルを差し込み、ロケットのエネルギー弾でスナイパーライフルを撃つ。

「きゃぁあああ!?」

遠距離用の武装を失い、地面に落ちた巻き髪女は立ち上がるが、その手には武装は無い。

「んじゃ、止めといこうか。」

【ギアリモコン!ファンキードライブ!ギアリモコン!!】

警報のような音とともに銃口にエネルギーが集まり巻き髪女を吹き飛ばす。

「きゃぁぁあああ!?」

そして、吹き飛んだ先ではSEが無くなりボロボロになった巻き髪女が転がっていた。

「こ、このようなはずでは・・」

「そう?じゃ、第二回戦。私が相手よ?」

「わたくしはもうSEがありませんわ!!」

「大丈夫よ、起動したようだから。」

「は?何が・・!?」

機体が急に巻き戻したように修復される。

「ど、どういう事ですの!?」

「初めに付けたのは、【リセット・リストバンド】。SEが0になると強制(・・)でSEを回復するわ。そして機体も修復される。デメリットは操縦者までは効果がない事、そして、機体が修復されるだけで、武装までは戻らない事。スカート部分のビットは無いままよ?だから・・」

そう言いながらスチームブレードを銃に装備しライフルモードに切り替える。

「思う存分、無様に逃げてみなさい?」

今の私はおそらくイイ笑顔(・・・・)をしている事だろう。

「ひぃ!?」

そのまま、狙いをつけて足元を撃つと慌てたように飛び上がる。

「ほらほら!優雅に逃げれるなら、してみなさいよ!!私は、クロノスを傷つけたあんたを許す気なんかないから、負け犬は、負け犬らしく無様に逃げ回ればいいのよ!!」

そう言いながらも狙いをつけて撃ちまくる。

「ヒィ!?ヒギャッ!?くっ、痛い!?・・やめ、やめてぇ!?いやぁ!」

何度も空中で当たり、SEが減っていく。

「それじゃ、そろそろ蚊トンボを撃ち落とすかしら。」

【ギアエンジン!ファンキーショット!ギアエンジン!】

アクセルを吹かすような音とともにエネルギーがチャージされて、それを打ち出すと、痛みで止まっていた巻き髪女に当たり爆発を起こす。煙の中から、焦げたような匂いをさせて巻き髪女が落ちて来た。そこまで高いとこではなかったので、死んではいないようだ。

「ひっ、ひどいですわ!?もぅ、わたくしには抵抗するすべなど無いというのに・・」

「抵抗していない、生身の状態だったクロノスを撃った女の言葉とは思えないわね。ま、いいけど。後悔するのは今からだし・・チョコ。」

「あいよー、お姉ちゃん。」

一度二人一緒に機体をフレームモードにする。それと同時に女の機体もSEが回復する。

「さて、ほら。後は好きにやりなさい。」

「いえーい。んじゃ、バカ女。あたし達の力を見せてあげるわ。感謝してよね?」

「は、はぃ!?今までの機体は・・」

「まぁまぁ、見てなよ。んじゃ、いくよ!!」

【ギアエンジン!】

ネヴュラスチームガンにギアエンジンボトルを挿し、そして引き抜く。そしてギアリモコンのボトルに持ち替え、挿す。

【ギアリモコン!】

すると銃とチョコからエネルギーが吹き溢れる。そして待機音声と音楽が流れる。

【ファンキーマッチ!・・フィーバー!!】

引き金を引くと目の前に二色のギアが表れて各部位に装着されていく。そして半々の色のギアが顔について眼が光ると同時に火花が出て、全部位のギアが回転し真正面から半分ずつの色で止まると一層機体からエネルギーがあふれだす。

【・・パーフェクト!】

『エンジンブロスとリモコンブロスの合わさったカイザーシステム。【ヘルブロス】!』

そう言って拳を突き出す【ヘルブロス・チョコ】。

「今までの比じゃないくらい強いから、気をつけなさい?・・死なないようにね。」

私は腕を組んで見下ろしてそう告げる。【ヘルブロス・チョコ】は歩き出して、伏せたままの女を蹴りあげる。

「ぎっ、かはっ!?」

『ほら、立ちなさい。遊んであげるわよ?このチョコ様が!あ、そっか!サッカーでもやろうか!あんたボールね。ソレ!チョコ様ドリブル!』

「ぎゃぁ!?ぐえっ、いぎゃ!?ぐがぁ!?」

そのままの格好だったバカ女は、何度も蹴られるままになり蹴られる一発ごとに装甲がへこむ。SEもガリガリと減っていき、衝撃でダメージを受けて悶絶している。

『んじゃ、そこの壁に向けて!チョコ様シュート!!』

「ぎぃやあぁぁあああ!?」

【ドゴォ!!】と音がして蹴られたその女は腹部装甲をまき散らしながら壁に激突した。そこで伏せたまま呻いている。

「まぁ、機体は戻るんだけどね。」

そう言うとまた【リスタート】が起きて、機体は巻き戻されてSEが回復する。

それを見てから今度は両腕についているギアをエネルギーで撃ちだし、相手を壁に押し付けたままガリガリと削る。

「ぎゃぁああああああ!?」

火花が飛び、削られる震動が伝わるだろう。あぁ、押しつけられてる分で痛みも絶え間なく伝わるだろうが。それを戻すと倒れこむ。が、すぐに機体の『リスタート』が始まる。

「も、もう勘弁して下さいぃ・・すいませんでしたぁ・・。」

泣きながら謝ってくるボロボロの女。私は分かっていながらチョコに声をかける。

「どうするチョコ?」

『んー?そうだなぁ・・』

【ヘルブロス・チョコ】はそう言いながらも後ろ手に銃を構えている。向こうからは見えていないのでおそらく少しは希望を持ったんだろうと思うが、

『んじゃ、その装置ごと壊して終わりにするわ。精々、死ぬなよ?バカ女。』

「・・は?」

そう会話をした後で銃を構える。

『運が良ければ死なないさ。運が悪けりゃ、まぁ・・消し飛ぶか。』

「い、イヤァァアアア!?もう、勘弁して、死にたくない!もう嫌なんです!もう無理ですわ!!嫌、いやですわぁあああああ!!死にたくないの!!」

「チョコ、アイツうるさいからさっさと黙らせなさい。」

『あいよ。んじゃ、終わらせる。』

【ファンキーフィニッシュ!】

引き金を引くと、アラート音とエンジンを吹かせる音が鳴り、エネルギーが先ほどの比ではないほどたまる。そしてマックスまでチャージしたそれをバカ女に向けて撃ちだした。

「ぎゃぁあああああああああ!?」

空中に吹き飛んだ後、地面に転がった女はかろうじて生きていた。しかし、装備はすべて破壊され、機体も修復不可能なまでに壊され、コアがそこに転がっていた。巻き髪は爆発に巻き込まれて燃えたらしく、ほぼ存在しない。髪自体が毛先が燃えて焦げ臭いにおいを発していることから、絶対防御を超えて衝撃があったのだろう。長い髪はボブカットぐらいになっている。

白目をむいて痙攣するように転がったその女を見て、前の恨みを晴らす事が出来たように落ち着く。やっと怒りを飲み込めたようだ。クロノスに怪我させたこの馬鹿は本音を言うと殺したいが、まぁ、それはクロノスに任せるとしよう。

「チョコ、それじゃ戻るわよ。コアを拾って来なさい。そのゴミは・・投げておけばいいわ。どうせ、生きていてもイギリスで処罰されるし。」

そう言うとチョコは変身を解く。そして、ギアエンジンを投げてこっちに渡す。

「はいよ。まぁ、コレは置いておけばいいか。んじゃ、回収完了!行こう、お姉ちゃん。」

「クロノスへの報告しなくちゃね。」

ほんと、こんな機体をプレゼントしてくれて・・大事にしなくちゃね。

そう思いながらボトルと銃を握り締めた。

 




さて、今回は私の趣味前回の戦闘回でした。
タッグマッチが無かったからここで作りあげました。
片方は唯の虐め、もう片方は雑魚の消化試合。
他の相手を合わせるとそうなるのはしょうがないのです。
あぁ、はっきり言いますが、銀の祝福の回まで行きません。
この学校編で終わります。戦闘回がいくつか続きます。

では、次回も引き続き戦闘をお楽しみください。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19 真の終焉 中章 戦闘2

今回もバトル回です。
さて、誰が戦うでしょうか。
そして、その結果がどうなるか・・。
お楽しみに。

では本編へどうぞ。


さて、さっさと始めよう。

「あなたと私(簪)は似ていた(・・・・)。」

「お前と私がだと?」

「お互い、優秀な姉を持ちそれと比較されて恨んで憎んで・・それでも血がつながっている事を悲観した。」

「それがどうした!?」

打鉄の剣を振って私を睨みつける女、『篠ノ之箒』は篠ノ之束の妹としてしか見てもらえなかった。私もロシア国家代表の更識楯無の出来そこないの妹『更識簪』としてしか見られていなかった。

「だからこそ、一つ言わせてもらいたいの。」

「さっきから、貴様が言いたい事はなんだ!?」

 

「貴女って何を目的に生きているの?」

 

「なっ!?」

「話は聞いた。元は片思いを一度した事がある。その相手が織斑一夏。それでも彼は居なくなった。それから貴女はこの学校に来て『三日月神楽』君だっけ?彼に慰めてもらって彼の隣に居た。それは恋?愛?・・まったくそうは思わないわ。貴女にとって都合のいい相手を求めているだけ。イギリス代表候補生のセシリア・オルコットもそう。ただ甘えたい相手がほしいだけ。まったくもって下らない。自分が強くなってしっかりと見てもらおうという気が無い。」

「貴様に・・貴様に私の何が分かる!?」

そう言って篠ノ之箒は剣を振ってきた。ソレを私は受けて切り払う。相手もそれを避ける。

「貴女と私が違う事は分かる!!私は自身を見てもらうために血反吐を吐きそうなほどに鍛えた!実際何度もあきらめかけた!それでも、・・『だとしても』と自身を鍛えてこの力を使える!ただもらっただけじゃない!強さを得た!私自身の心を強く持つことを教わった!」

そして正眼に剣を構える。打鉄龍剣の手には『ビートクローザー』。

 

「それが分かる『今』の私は・・負ける気がぁしない!!」

 

叫んだ。本気で心の底から叫んだ!相手があの篠ノ之博士の妹だろうと、こんな歪んだ世界で歪んだまま、進んで行くなんてありえないから。

正しい世界にクロノスが戻すというなら、私も協力するだけだ。

彼は血に汚れていると言った。そんな事、私の家がそういう家だって知っている。姉がそういう事を指示してやっている事も知っている。

【だからこそ】、遠ざけたかった事を知った。ただ私を見てくれた人は近すぎて分かっていなかっただけだった。お互いに大事にしてすれ違いをしていただけだった。

それに気がつかせてくれたのはクロノスだから、彼とともに世界を正しくするために、お姉ちゃんと仲良く手を取って協力していくために・・、

「ここで貴女を倒す!!」

叫ぶと共に、それに応じるようにナックルブレイカー用に持っていた『ドラゴンスクラッシュジェリー』が赤く染まりだす。そしてそれが火を噴いた。

「うわっ!?何!?」

驚いてそれを腰から外す。

更にクローズドラゴンが声を上げる。

『Gyaoooo!!』

するとベルト脇から炎が上がる。火が出たそれはクロノスが作ってくれた試作のナックルブレイカー。そしてクローズドラゴンちゃんがそれを咥えて空へと浮かぶ。

「な。何が起きて・・!?」

「はは、暴走か!?身に合わない力を付けたから・・」

そう言っているとクローズドラゴンは何かを思うかのようにブレイカーに炎を吐いて更に強く纏わせた。

「ドラゴンちゃん!?」

『Gururu・・』

炎で燃えたブレイカーは、赤く染まり形を変えていく。それはまるで拳のように・・。

「コレは・・?」

炎が急に消えた。それを咥えてクローズドラゴンは飛んできた。その拳のような物のハンドルを握る。そして、落ちていたボトルも拾う。ボトルは赤く光り形を変える。

そしてクローザ―ドラゴンちゃんを一時的に空へ待機させる。

拳についたハンドルを握ると分かる。

コレは私自身の握り締めた拳。心を決めた意志その物。

赤くたぎる熱。それを秘めた拳。

それにフルボトルを差し込む。

赤くなったドラゴンフルボトルは堅くなったマグマの様だ。コレは『ドラゴンマグマフルボトル』だ。それを『拳』に差し込む。

『ボトルバーン!!』

更にその拳をベルトに差し込む。拳が開き中のボトルが赤く染まる。

『クローズマグマ!!』

ハンドルを回すと音声が流れる。

「変身!!」

そう言うと背後に煮えたぎるマグマの入った炉の様な物が現れる。それが傾き中身をクローズへと流す。その中から燃えるように装甲が変化して、赤やオレンジ色に燃える炎と黒く硬い装甲へと変化していく。

『極熱筋肉!クローズマグマ!!アーチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ・アチャー!!』

「力がみなぎる・・、魂が燃える・・!!」

私は【仮面ライダークローズマグマ】へと変わった。そしてナックルを構える。

「私のマグマが・・ほとばしる!!」

ドラゴンちゃんが新たに私にくれた力、私の意思、その熱い思いをその手につかむ。

「この滾り・・誰にも止められない・・行くぞぉ!!」

相手の篠ノ之箒は剣を構える。私はブーストを吹かせて突っ込む。真正面から殴りにかかる。

「私に拳で挑むとは愚かだな!私は剣道で中学日本一だぞ!?リーチが違う!」

『ガキン!』とそのまま切られても全く装甲に傷一つも付かない。

「どうしてっ!?」

「それがどうしたぁああ!!今の私はぁ!!誰にも!止められない!!」

『ガシャァン!!』

拳の一発で相手の武器である長刀『葵』に似た刀を砕く。

「なにっ!?バカな!?量産品の『葵』ではない!これは私用の特注で作った剣の『茜』だぞ!?こんなすぐに壊れる訳がない!?」

「ふん!!」

驚いている間に殴りかかる。すると壁にぶち当たり叩きつけられる。

「がぁ!?貴様!?無手相手に卑怯な!」

「コレは戦争。汚い?卑怯?ソレで何?あなた達は人の命を奪う装備をしている。リミッター解除したってことはそういう事でしょ?なら・・」

 

「自分が死ぬ覚悟もできているんだよね?」

 

そう言いながら首に、龍剣『ビートクローザー』を添えるとこの女は顔が青くなる。

そんな覚悟もなくこんな事をしだしたのだ。クロノス風に言うと『まったくもって度し難い愚か者』だ。バカバカしい。

「あの男や織斑千冬にそそのかされたのでしょうけど・・どうせ、覚悟もなくここに来たくらいでしょうね。まったくもって潰す価値もない。」

「私の価値が無いだと!?」

「私がこの手に初めて剣を取った理由を、貴女には分からないでしょう?私は銃や薙刀の方が得意なのだけど・・」

打鉄二式の装備は入っているが・・ライダーシステムと相性が悪いので、普通の打鉄二式に換装した時にのみしか使用できない。

「ならば何故剣を取った?」

「しがらみを断ち切って自分の力で進みたいがため。姉の力じゃなく、自身が協力して手に入れたみんなの手を取ってでも、自分の未来をつかみ取るため。本当は力が必要じゃなければ私はこんな力を必要としなかった。皆と居れるだけでも良かった。でも、時代がそれを許さない。あなた達や織斑千冬、女尊男卑の世界が秩序をゆがめた。だからそれを戻すために血に汚れても、世界を戻そうとするクロノスの手を取った。そして私は彼の未来と私へのしがらみを断ち切るためにこの力を得た。貴女みたいにただ暴力のためじゃない。世界の苦しんでる人を助けるため。許される方法じゃない。だって殺しているのだもの。人を、命を奪って血に汚れているのだもの。それでも、・・汚れた事『だとしても』、私達はその先を許容できなかった。だから革命を起こした。ファントムトリガーとは、私達多くの世界を戻そうとする人間みんなの事。必要になれば、また私は無残に人を殺すだろう。でも、後悔はしない。それが私の求めた世界のためだから。私の持つ【正義】とはそうだから。クロノスはヒーローじゃない。でも、世界の未来を愁いて立ち上がった【ダークヒーロー】だよ。」「あの男が・・」

「元、織斑一夏。私が集めた情報だと彼は昔から悪を許さなかったらしいね。貴女の方が知ってる事だと思うけど。話で聞いたのは、その頃には力がなくて死にかけて、今の力を経ても自分なりに考えた【正義】をなそうとした結果がこれ。今あなたに剣を突き付けた状態なの。」

悪を持って正義を成す。ヒーローでも・・ダークヒーローな彼を見て私は正義を考えた。自身の正義って言う物は何か・・。その結果、私は立ち上がった。

「・・この状況は一夏の願いの結果なのか・・。」

「そもそも彼は織斑千冬にさえいじめられていたの知ってる?」

「な!?千冬さんにか!?そんな馬鹿な!?」

そうか、知らなかったのか・・。まぁ、自分の都合の悪いところを見ようとしないようだししょうがないかもしれないか・・。

「姉にさえ【落ちこぼれ】、【クズ】【駄目な奴】と言われ続けて生活してきた彼の心はどうだったでしょうね?しかも、その時に一緒になって竹刀で人を脅す女子がいたらしいし。」

「ソレは・・私の事なんだな・・?」

「自覚があるならまだマシ。投降して。これ以上は無益なのは分かったでしょう?」

「し、しかし、私が裏切ったら、三日月が・・」

「知らないの?あの男、女子の敵だよ?この学校に入学してハーレム作るって思っているらしいし。」

見せてもらった画面には醜悪な顔が映っていた。

「なんだと!?そんな馬鹿な!?」

「篠ノ之博士が監視カメラで見たときに言っていたし、その映像も残してあるよ。あの男は信用できない。貴女、騙されていたんだよ?私も確認した。確かにある意味その遺伝子は重要かもしれない。そうやって残すのも確かなことかもしれない。でも、女の子を思いのままに食い漁るという醜悪な目的のある男の遺伝子なんか、私なら絶対に嫌だよ。」

「そ、そんな・・。昔の・・一夏の、かっこよかった頃に・・剣道が強かった頃に似ていたから・・憧れて・・一夏が居なくなってしまったならと思っていたのに・・。」

茫然としているままの篠ノ之箒の首元に拾い直した剣を突き付けていた私は剣をさげると、篠ノ之箒は機体を解除して地面に手をついてうなだれた。

「では私は何のために・・。私の思いは間違っていたのか・・?私の・・」

「これから、貴女も考えればいい。私と一緒だから。姉と仲直りするも、喧嘩してしっかりと決別するもよし。それが貴女の選択ならそれが貴女の人生になるから。」

「私の・・人生?」

私は機体を解除して、膝をついて手を持ち支えて体を起こし上げる。

「まだ私達はやり直せる。貴女はまだ汚れていない。私はこの道を貫くと決めたけど、貴女の道はまだ選べる。一度でいいから束博士と話をしてみよう?それから決めていいんだから。・・姉と喧嘩して、それから仲直りした私が言える事だから。」

「・・分かった。投降する。」

「信じてくれて、ありがとう。」

「私は篠ノ之箒。お前の名は?」

「更識簪。」

「そうか、更識・・。仲介は頼む。」

「わかった。悩むのも青春。命短し、恋せよ、乙女。私達はまだ若いんだから、色々とあるんだよ。そこらへんもしっかり博士と話すと良い。経験者は語る。」

私は新しく変身して、一合打ち合うだけで戦闘終了した。私とこの人を戦わせたクロノスの思惑が分かった。彼女と私は似ていたから。せめて少しでもやり直せる機会を与えたかったようだ。彼はどこかやはり甘い。

 

「だけど、その甘さは・・嫌いじゃない。」

元織斑一夏、クロノス・クロニクルは三日月神楽と相対して立っていた。

【クロコダイルローグ】の姿で、紫色に輝く腕を組んで立っているだけのクロノス。反対に赤色と言う専用機で剣を構えた三日月神楽。

「・・何とか言ったらどうだ?」

「別に。お前に対して何も思う事など無い。雑魚ナメクジが粋がっているにすぎない。他が済めばお前はどうせ無力だしな。一人で対抗するような根性もない屑に対して何かする意味もないが・・」

「何だと!?」

そう言って三日月は剣を振りかぶり、瞬時加速【イグニッションブースト】を吹かせて一瞬で距離を詰める。

(勝った!!)

そう思った瞬間には目の前からクロノスが居なくなっていた。

「な、んだと!?」

「どうせ、そんな事だと思った。勉強しないな貴様は。ふん!!」

加速した瞬間にその直線上からどけていた。一直線にしか進めないイグニッションブーストは確かに早いが、タイミングさえ分かれば種が割れている。対処さえまったく難しくは無いのだ。

「がはぁ!?」

剣を振りかぶるために前傾になっていた腹にクロノスの拳が突き刺さる。

腹を押さえてその場にうつ伏せになる三日月。

「つまらんな、本当に。」

それを見下したように言うクロノス。ソレに腹が立った三日月は剣を支えに立ち上がる。

「な、舐めてんじゃねぇぞ!?俺は主人公だ!この世界じゃ俺が強いんだぁ!?」

剣を振りかぶった三日月に対してまったく焦ることなく、ベルトのボトルを入れ替える。

『ディスチャージボトル!ダイヤモンド!』

クロノスの前にエネルギー体のダイヤモンドが表れる。それに剣は弾かれる。

「何だこれは!?」

「ふん、やはりつまらんな。はぁ!!」

「がぁ!?」

ダイヤモンドを砕いて放射するとその破片に巻き込まれて吹き飛ぶ。

「こ、こんな武器もあるのか!?」

「ただのボトルの性能だよ。せやぁっ!!」

再度展開したダイヤモンドの盾でシールドバッシュをくらわせる。

「ぐあぁぁああ!?」

勢いよく転がる。地面にこけたままのそいつに飛んで、スタンピングをくらわせる。

「ふん!」

「がぁっ!?ごぉっふ!!」

踏みつけたまま体重をかける。

「どうしたよ、正義の味方?正義が勝つんじゃないのか?お前が主人公なんだったらぁ、勝ってみろよ、三下ぁ!?」

「ぐあぁぁああ!?」

一度足でけり上げて反転して回し蹴りで飛ばす。その先でふらふらと立ちあがる。

「ま、まだ、おれは・・」

『クラックアップ・フィニッシュ!!』

「終わりだよ・・お前は。」

加速をつけて近付き、一回転して脇腹に回し蹴りをくらわせる。

「ぐはぁ!?」

「噛み砕けぇ!!」

更に反対からも蹴りをくらわせて挟む事で足からワニの顎型のエネルギーが出現。それに挟まれて機体がはじけ飛ぶ。

「がぁぁああああああああ!?あがぁぁあああ!?ぐぼぁがはっ、がふぅっ・・」

肋骨の下部が砕けて肺に刺さったのか、地面に向けて吐血する。

「生きているとは幸いだな。まぁ、苦しみが続くだけだが。・・雑魚は雑魚らしく、そこでそのまま悶えてろ。」

俺は変身を解いて黒いコートを羽織る。砕けた機体から落ちたコアを拾い上げる。

「所詮、正義を名乗る奴に真実など見えてはいない。俺は悪であり、自己満足のためにやっている。それが、正義などと言うよくも分かってないものを、振りかざす奴には気に入らんだけだ。どうせ、この世には完全に理解される事などはありはしないのだから。」

俺は最後の仕上げのためにマドカの元へと歩いた。他のアリーナに移り、そこで何をしているかはクロコダイルローグに送信されていた。

 

これで、俺の目的は終わる。

その終焉を決めるのは・・、

俺じゃない。

 

「さぁ、ここからが本当の戦争だ・・。愚かな姉よ、その身に刻むがいい。」

 

お前自身が関係し、一度は信じた者につぶされる。

・・その苦しみをなぁ。

 




篠ノ之箒  信じた心を折られながらも、新しい道を見つける。
クズ主(笑) 存在自体が屑故に、その身に酷い苦しみを味わう。肋骨が数本折れてます。

さて、次回は最後に残ったアイツが戦う。
誰と?それは見てからのお楽しみ。

では次回。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20 真の終焉 終章 前編

今回は少し長めです。
だって、どうしても出したかったのが有ったから・・。
それじゃ、早速行ってみましょう。

本編へどうぞ。


織斑千冬は『ブラッドスターク・マドカ』と睨み合いながら対峙していた。

「結局、貴様は何者なんだ?」

「あぁ、私はお前のクローン。【だった】・・とでも言おうか。今はマドカ・クロニクル。クロノスの妹でただの女子学生だ。まぁ、今現在は専用のフォーム【スターク】の姿ではあるがなぁ。正直言うとテメェを元に創られた事が恥でしょうがないと叫びたいがな。あぁ、面倒だ。ちっ、本当にうぜぇ。おんなじ息を吸っているだけでも気持ち悪い。」

「貴様・・。」

武器を構えるが、ゆらゆらと体を揺らすだけ。

「本当に面倒な上にみっともないよな。弟を見捨てて称号を得たと言っても、ただのお飾りに過ぎなくて、実際には日本政府からも特別な家に住まわされるでもなく、自身で稼がなくてはならない。悠々自適な生活を夢見ていたが、実際は自堕落な性格のせいで、腐敗臭のする家に住む事に。結局行政から苦情で家を売ることになり、今じゃ学生寮の一室にしか住むところが無い、かわいそーな女。」

「黙れ!?それもこれも私の事を調べた記者を、消す事が出来なかった政府のせいだ!あんな記事さえ出なければ・・」

「そりゃそうさ。だって、政府の画策だし。」

「な、何だと!?」

「予想以上に力を行使する貴様が目障りになった。知名度を利用して情報を集めさせて、『弟を見捨てたひどい女、血も涙もない姉。この国の防衛を任せる事も恐ろしい。』そう書き連ねたんだからなぁ。あれ、そのまま政府の男共の言葉だが?どうだ?後はファントムタスクが呷っておいたんだよ。いずれ貴様の周りのコアをもらうために。そしたら結局クロノスに組織解体されて、ナノマシン除去されて、目を覚ましたら妹にされるし。まったく面白い人生だ。あぁ、お前はつまらん人生だったな?わるいわるい。自慢になっちまった。」

「ふん!・・だが、一夏が生きていようが消せば同じ事。もうあれは必要ない。代わりの男とラウラさえ押さえればこっちはまたいろいろと・・」

「男は潰したしラウラがお前の下に帰ることなど絶対にあり得ないがな。」

手を振って無い無いと現す。

「あいつは私の強さにあこがれて・・」

「今のあいつは愛に飢えてる。家族愛、異性愛、心愛、友愛、母性愛。人とつながる事で心を通わせたあいつはもう過去のラウラの様に強さだけを求めない。だからこそ、あいつはクロノスを兄と認めた。私達は家族と認めた。施設の子供たちは姉と慕った。部隊の部下は隊長と慕う。それこそが、あいつの求めた結果だ。」

「いや、力こそすべてだ!全てを手に入れる事が出来る!!」

「力で愛は得られない。それは愛と呼べないおぞましい物だ。だからこそ、ラウラは私達と共に居ることを望んだ。・・さて、そろそろ時間稼ぎはもういいだろう。」

そう言って織斑千冬の後ろに声をかける。

「そうだな、今さっき全てが終わったと連絡が来た。」

マドカが声をかけたのは俺、クロノスだ。

「きさま、三日月はどうした!?」

「おねんねしてるぜ?一発もくらわずにのしてやったよ。つまらん奴だ。」

「何だと!?あれでも私の一歩後ろになるくらいに強かったというのに・・」

「ならテメェは俺の足元にも及ばないし、今のラウラの力の前では無力に近いな。」

そう言って俺は手を振る。言っても無駄だという動作だ。

「何を言っているんだ?私があの小娘に負けると・・」

「そんなこと言ってるから負けるんじゃない?」

「小者臭がしてて、弱い犬って感じね。チョコ、あんなのは真似しちゃだめよ?」

「お姉ちゃんは私を何だと思っているのさ!?そこまで馬鹿じゃないよ!?」

「貴様ら!?オルコットはどうした?!」

チョコとバニラが変身を解いてフレームスタイルで歩いてきたのを見て驚いている。

「あぁ、あのイギリスの負け犬?ぶっとばしてきた。」

「何度も強制的に修理されて、そのたびにチョコと私に潰されてたわ。」

「あれ?生身状態のクロノスに傷付けたから怒ってボコにした事は言わないの?」「ちょっ!?その事は黙ってなさいよ、チョコ!?」

「はっはっはっ。それは面白い事を聞いたな。チョコ、また今度クリスの料理たらふく食わせてやるよ。バニラ、今度服買いにデートでもするか?」

「ひやぁ!?ちょちょちょ、ちょっと、クロノス!?」

「やったー、クリスのご飯。めちゃくちゃおいしーもんね。」

「まぁ、それは置いておいて・・お前が機密裏に倉持に創らせていた機体、持ってきておいた。さぁ、使うがいいさ。」

手を上げて指を鳴らすと、空中からシャルロットが持ってきた機体を投下する。

「倉持の機体であり、篠ノ之束が一時期、一緒になって作った機体。暮桜の後継機、その機能を応用した機体、『白式』。その特徴は一次移行で【単一機能】が使えること。」

それを奴の目の前に落としたのだ。今まで量産機を使っていた織斑千冬はすぐさま機体に飛びつく。

「ソレは倉持からそのまま持ってきた。何もしていないから安心しろ。あぁ、一つだけさせてもらおう。マドカ、強制回復装置をつけろ。」

「あいよ。んじゃ、ちょっとだけ動くなよ、っと。」

初期移行中に近づいて腕にバングルを付ける。

「こ、コレは何だ!?」

「SE強制回復装置【リスタートバングル】だ。あぁ、それは装備も全てを再生させるし、まったくと言っていいほどデメリットは無い。ただし、操縦者の傷は治さないから、そこだけは注意したらいい。そいつを付けて連戦してもらうだけだ。」

「貴様何が狙いだ!?」

俺はそれを言われて組んでいた腕を解き、後ろを振り向きながら肘を腰のあたりに固定し手を広げて空へと向けて、何かを受け止めるようにして空を見上げて歩く。一つ一つを噛みしめるように。今までの事を思い出すように。

「お前の心を折る事。後悔し、懺悔し、自分の人生に絶望する事だ。」

そう言って手を上げる。そこには三機の機体が下りてくる。

その三人の顔を見て驚く。それは一人の男と二人の少女。三人の機体はフレームスタイルだが腰にベルトが付いていた。一人はマドカ、もう一人は織斑千冬は知らない顔だった。

男の姿は黒一色の服装だが、髪型が違い目つきは悪いものの、その顔が幼いころから成長したであろう【織斑一夏】だった。

「【織斑一夏】だと!?」

「こいつは【バグスター・アナザーイチカ】。俺の遺伝子から生まれた、ウィルスデータ的存在。しかし実態を持ち、心を持って能力を得た。しかし、悲しきかな俺の苦しい過去を取りこんで心を黒く染めてしまい、黒に染まったんだ。こいつには、織斑千冬に復讐するという執念があふれている。さぁ、我慢する雌伏の時は過ぎた。その手にカマを持ち、反逆の意思を掲げるがいい!男でも使えるコアの性能を見せる時だ!存分に振るえ!!」

黒いガシャットギアデュアルを手に構える。そしてベルトに挿すと背後に画面が現れる。

『デュアルガシャット!ザ・ストロンゲストフィスト!ワッツ・ザ・ネクストステージ?』「変身。」

『ガッチャーン!マザルアップ!悪の拳強さ、闇のパズル連鎖、悪しき闇の王座!パーフェクトノックアーウト!!』

「仮面ライダー・アナザ―パラドクス・・レベル99。」

そして手にはバグヴァイザーツヴァイを武器に持つ。

「織斑千冬・・貴様は俺の心の闇に巣くう悪。俺は悪を持って悪を制す。」

「は、ははっ。織斑一夏が基なら私にかなうはずもない!切り裂き、叩きつぶしてやる!」

そう言って剣を構える。相対する白と黒。そして、動いたのは黒だった。

「はぁ!」

手に持つバグヴァイザーツヴァイのチェーンソウを回転させて斬りかかる。

「ふん!」

それを受けるように織斑千冬はその剣を動かす。

【ギャギャギャリン】と音がしてその刀をはじく。それと同時に蹴りを放ち腹部に叩きこむアナザ―パラドクス。

「ぐぁ!?貴様ぁ!」

「この程度か。弱いな、世界最強と聞いていたが、これじゃあきれるほどに弱いな。」

肩をすくめてそう言うと怒りにまかせて剣を振ってくる。それを軽いステップでかわしながら、殴り、切り裂き、蹴りを入れる。

「がぁ?ぐぅ、がふぅ!?な、何故?何故私が押されているというのだ!?こんな奴ごときに!?」

「その程度だからだろう。つまらん。」

「私をぉ・・なめるなぁ!!」

【零落白夜発動】

剣が割れて中からエネルギーの剣がアナザ―パラドを斬り裂こうとするが、

「剣の手元は御留守だ。」

手元、剣のつばを蹴りあげる。驚いた表情で万歳状態の織斑千冬。そこに一度ベルトのハンドルを閉じて開いたアナザ―パラドが踏む込む。

『ガッチョーン・ウラワザ!ガッチャーン!!パーフェクトノックアウトクリティカルボンバー!!』

「潰れるのは貴様だ。」

そう言い放ち、足に黒いエネルギーがたまった状態で蹴りを放った。

「がぁあああああ!?」

白式の装甲は砕けて吹き飛び、そのまま織斑千冬はアリーナの壁に叩きつけられる。SEも切れて、ショートしているが、それに背中を向けてクロノスの隣に戻り、変身を解く。

『ガッシューン!』

「気は晴れた。これからはまた、美浜学園での戦闘訓練を頼む。あれは心が躍る。」

「了解だ。後は休め。」

「あぁ、またな。」

そう言うとバグスターイチカはオレンジ色のジラジラしたモザイク状になり、アリーナ外へのどこかへと消えた。

次に前へ出たのは織斑千冬が知らない少女。

「・・何処にでも、私はいるし、何処にも私はいないんだよ?ロシアンニンジャ、参上。」

その少女の名前は狗駒邑沙季(イコマムラサキ)。

クロノスが好きな少女の一人で、自称ロシアンニンジャ。IS学園の制服に着替えている上に変装をしているので、クロノス以外は誰にもその姿がムラサキだとは分からなかった。

「・・いままでクロノスを・・一夏を苦しめてきた事、後悔させる。」

そう言って構えたのは俺が使っていたバグヴァイザーツヴァイ。そして、ガシャットはギリギリチャンバラ。そのバグヴァイザーツヴァイを腰につけて、Aボタンを押す。待機音が流れ始める。

『ギリギリチャンバラ!』

ガシャットのボタンも押して構える。・・と手を放した。するとガシャットは勝手にそのスロットへと入る。

「変身。」

バグヴァイザーツヴァイのトリガーボタンを押す。

『ガッチャーン!・・ガシャット!バグルアップ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!(Wow!)チャンバラ!(Wow!)!!』

青くメタリックに光る鎧姿の【仮面ライダーレーザーX・ギリギリチャンバラフォーム】レベルX。通常のギリギリチャンバラだとレベル3だが、ソレを超える力を得たそれは俺が使っていたバグヴァイザーツヴァイだ。ダークライダーの力も含めて強化されている。

「・・ニンジャが使うなんて・・どうかと思うけどね。それじゃ、一発かまそうか。」

『ガッチョーン・・ガッチャーン!』

そう言ってムラサキはその手にガシャコンスパローとバグヴァイザーツヴァイを構えて突っ込む。

「ひゃっはー・・!切り裂いて突き刺して、ギリギリまで殺してやるぜー・・」

高速で動きながらスパローでエネルギーの矢を打ちまくる。ソレを見て焦った織斑千冬はすぐさま零落白夜を起動して切り落とす。更に連続して放たれるバグヴァイザーツヴァイのエネルギー弾を慌てて切り払い、避けようとするが連戦で思うように動けない体に歯噛みをする。

「貴様、こんな手で・・卑怯な!」

「お前が言うんじゃない・・。今まで、散々に人を苦しめてきた、お前が・・。」

『キメワザ!クリティカルジャッジメント!』

反対に付いているバグヴァイザーツヴァイで巨大なエネルギーを打ちだす。

「ぐぅ!?」

避けるが背後に着弾しその余波で吹き飛んで、地面に転がる。

「当たらなかった・・銃と違って難しいな・・。」

スパローを半分に分けて鎌状態にして両手でソレを振り、切り裂いて行く。

「がぁ、ぐぅあ。ぐはぁ!?」

途中持ちなおそうと剣を構えるが、剣が鎌に引かれて隙が出来た所で切り裂かれる。そしてスパローを合体させて腰につけて、バグヴァイザーツヴァイを構え直す。

『ガッチョーン・・ガッチャーン!』

今度は反対向きにつけてチェーンソウを前にして一気に近接によると、

「これなら外さない・・。」

『キメワザ!クリティカルサクリファイス!!』

押し当ててキメワザを発動させて体に巨大なエネルギーの鋸で引き裂かれる織斑千冬は流石に叫びをあげた。

「ぐぎ、がぁ、ぎゃあああぁぁぁぁああああああ!?あがぁぁあああああ!?」

「これで・・終わらせる。」

『ガッチョーン・・ガッチャーン!キメワザ!クリティカルクルセイド!』

バグヴァイザーツヴァイを腰につけ直し、後ろを向いたと思うとボタンを押してキメワザを起動し、足元にエネルギーを集束させると、その場で飛び上がり空中から飛び蹴りを決める。

「せいやぁああああ!!」

「ぎやぁああああああ!?」

くらった織斑千冬はバウンドしてアリーナの壁に叩きつけられる。

「・・ゲーム、クリア。こういうのは私のノリじゃないね・・。それじゃ、クロノス。後は任せるよ。先に帰ってるから。」

「あぁ、報告頼んだ。」

「・・ん。りょうかい。」

眠そうな顔をしてその場から足早に帰って行くムラサキを見送ると、回復した織斑千冬が剣を杖がわりに立ちあがっている。だが、ソレはボロボロの状態だ。機体は綺麗だが、操縦者のダメージは凄まじい物だろう。

だが、そこに立ちはだかるように前に出たのは・・

「貴様・・マドカ・クロニクル・・。」

「さて、貴様との真の決着はこういう物で行こうじゃないか。」

手に持つのは赤と青そして金色のバックル。そして、二つのボトル。

「それじゃ、私も・・私に使える最強の力で行かせてもらおうじゃぁ・・ないか!」

『エボルドライバー!!』

「さて・・これからが、お楽しみだぁ。」

『コブラ!』『ライダーシステム!』『エボリューション!!』

ハンドルを握り、ソレをまわすと二つのボトルが上下に動き、体の周りに天体を思わせる模様と、マドカを取り囲む様な金の円盤が幾重にも包み、大きく多方向へと回る。

『アーユーレディ?』

「エボルアップ!」

『コブラ!コブラ!エボルコブラ!フッハハハハハハハハハハハ!』

青と赤と金色のライダー。『エボルコブラ』へと変身した。

「それじゃ、一発かまそうか。ふん!」

そう言ってマドカはその手にエネルギー体を作り、ソレを投げる様に打ち出した。

「ぐあぁあああ!?」

いきなり飛んできたソレをくらって悲鳴を上げる織斑千冬。そこへ飛び込み、蹴りを放つマドカ。

「ぐぁああ!?」

飛んで行った先に、走って回り込む。そして、飛んできた背中に拳を叩きこむ。

「ぐほぉぅ!?」

さらに逆に飛んだ織斑千冬の頭に踵落としを決める。

「がぶぅっ・・!?」

「あららぁ、綺麗な顔やおべべが汚れちまったなぁ?くははは!!」

地面に顔を埋められて途中からうめき声も出せない。その頭を踏みつけたまま、マドカは織斑千冬に声をかける。

「そんじゃ、そろそろ・・終わらせるか。」

そう言ってマドカは織斑千冬を持ちあげて空へと投げ上げる。

『コブラ!』『ライダーシステム!』『クリエーション!!』

自由落下して落ちて来る白式に合わせて構える。

『レディ・ゴー!コブラ!フィニッシュ!チャオ!!』

「せいやぁああああ!!」

「ぎやぁああああああ!?」

くらった織斑千冬はバウンドしてアリーナの壁に叩きつけられる。

マドカは変身を解く。

「ふぅ、あまりに面白くて、思いっきりやっちまった。そんじゃ、最後の仕上げ・・と行く前に・・。くひひ・・。」

笑ったマドカは織斑千冬に近づき銃型の針の付いた注射を当ててトリガーを引き中身を打ちこむ。

「ぐぁ!?きさま、・・な、何をした!?私の体に何を!?」

「一回限りのナノマシン。回復効果以外にはない。そんじゃ、最後の勝負の前に休憩して体休めて置けよ。お前の人生、最後の勝負だからな。精々苦しめ。一定時間だけ回復してくれるからなぁ。」

そう言って去っていくマドカ。体中を強制的に直されて少しの痛みとむず痒さを感じながら本当に回復して行く体を見てどう言うつもりなのかを必死で考えた。

その回復しても追い付かない強さを手に入れた相手が心を折りに来るための下準備とは思いもよらなかった。

 

「くくく・・最後は、ヤベーイのが来るからなぁ・・」

 




今回は、仮面ライダーエグゼイドVシネ・トリロジーからの演出です。
そして最新の『エボルコブラ』。スタークをマドカが使っていたから、急遽書き直しましたよ。
いやぁ、満足。

それでは次回、終章 決戦『過去の最強と己を超えた兎達』
シーユーネクストステージ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21 真の終焉 最終章 最期の闘い

これにより戦いも最終章となります。
今回は二話連続投稿です。

では、一話目をどうぞ。


壁から離れて置き上がった織斑千冬は完全に体が回復しているらしい。

関節を確かめるようにして動かし確認している。

「これなら良い!さぁ、さっきの分をし返してやろう!!」

そう言って剣を振うが、俺は変身せずにそのままで織斑千冬に対して体を斜めに構えるだけ。

「死ねぇ!!」

そう叫んで攻撃して来たが、俺はソレをかわす。何度も振りかぶり、すれすれを通るその攻撃を避ける。

「な、何故!?何故、貴様程度が私の攻撃を避けれる!?私は世界最強の域に居るのだぞ!?」

「それは過去の事。さぁ、お前を超えた力を見せてやろう。ラウラ、スタンバイ・レディ?」

『あぁ・・ようやく出来たし、体にもなじんだよ。』

「そうか、・・ならその力を使って見せてみな。・・お前の可能性を。」

そう言って下がるとさっきまで居たそこへ影が現れる。

≪ドガァーン≫と音がしてそこへラウラが落ちて来る。

「ラウラ・・貴様ぁ、退け!そこの男を切り刻まないと気が済まないんだ!邪魔立てするというなら、貴様でも・・」

「私は・・私は貴女に憧れていた。強く凛々しくと・・。」

「そうか、分かっているなら・・」

「だが、ソレは間違いであった・・。力とは所詮力。思い無き力は争いを呼ぶだけ。」

「何を言っている!力は全てだ!それで私は世界に立ったのだから!!」

「・・貴女は哀れな人だ。あなたを愛する人など・・もう誰も居ないというのに・・。」

「愛だと!?そんな物、何の意味が有るというのだ!?」

「愛が無ければ・・ならば、逆に問いましょう。それで生きているのは何故ですか?愛を求めていないというのに生きる意味とは何でしょうか?」

「なんだと!?どう言う意味だ!?」

「『今』の私は愛する人たちに囲まれています。それが幸せだから生きています。生きていたいと思います。しかし、それが無い貴女は何を求めて、何を目的に生きるというのでしょうか?それが私にはわからない。昔は確かに強さを求めました。しかし、ソレは認めてもらいたいがため。謂わば、愛してほしいからです。しかし、今のあなたが求めるのはそうじゃない。ならば何を求めどこへ行こうとしているのでしょうか?元教官として、ソレを教えていただきたいと思います。」

「うぅぅぅ、うるさい!!うるさいうるさい、うるさぁあああい!!貴様なんかに私の何が分かるというのだ!この人からも生まれていない化物め!」

「・・そう、ですか。残念です。」

『まぁ、今のそいつに聞いても分かるわけは無いと思ったよ。』

そこへ別の声が入る。巨大スクリーンに映ったのは白衣姿の篠ノ之束。

『らうちゃん、それじゃぁ・・実験を始めようか・・。私達の力の結晶の最終実験を・・。』

「了解です。・・それでは、始めます。私と博士の力。合わせた努力の結晶・・クロノスに鍛えてもらい、心を強く持つようにして・・人同士と繋がった今の私の、恐怖への引き金・・。」

右手にはビルドドライバー。ドライバーは腰に当てるとベルトが固定される。そして、左手にはメーターとボタンの付いた赤い物を持つ。

「『ハザードトリガー』・・『VTシステム』すら超える恐怖の引き金。・・それすら克服した今の私達の力を・・行きます!」

≪マックスハザード・オン!≫

ラウラはハザードトリガーを挿し、トリガーを押す。黒いスティック状の物を取り出す。その真ん中から金と銀色の筋が輝いていた。

≪ヒュンヒュン・・ヒュンヒュン・・ラビット!≫

ソレを振ると軽い音がする。その端を捻ると赤色の兎マークが現れる。そしてソレを半分で曲げる様に分けると、腰のビルドドライバーに差し込んだ。

『ラビット&ラビット!』

「これこそが、私(黒兎)と束博士(天才兎)の互いを想い、合わせた力!!」

『ビルドアップ!ドンテンカンドーンテンカン!』

「世界を守る為の私が得た力!愛を守ると誓った私の力!」

そう言ってベルト脇のハンドルを回す。

『ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!アーユー・レディ?!』

「変身!!」

『オーバーフロー!紅のスピーディージャンパー!ラビット/ラビット!ヤベーイ!・・ハエーイ!』

ラウラは仮面ライダービルドの姿で真っ黒く変身したが、飛んできた兎のロボが分解し、高速で飛んで空中でその装甲を装着する。最後に着いた頭の部分の両目が兎の形をしていた。そして、それが半分に割れてラウラの顔が現れる。兎の眼の部分はイヤーマフの様になり耳の上でアンテナを立てている様な見た目だ。「これこそ、【ビルド・ラビットラビットフォーム】!私と博士の力の結晶だ!」

背中にたなびく兎の耳にも似たマントをはためかせて、地上に降りる。

「そ、そのような物を・・コイツの作ったまがい物の力ごときで良い気になって・・」

「これはクロノス兄さんの力ではない。そもそも『ビルドドライバー』こそが束博士の作った最新鋭装備。戦う力であり、戦争を起こす力ではない。何かを守るために戦わなくてはならないからこそ、己に降りかかる火の粉を払う力。愛が有る故に得る力だ!!」

「愛だ愛だとうるさいんだよ!!先ずは貴様をたたきのめしてその眼の前でお前の言う愛する奴を引き裂いて行ってくれる!!」

そう叫びながら白式で突撃して来た。瞬時加速ですぐさま目の前に現れて零落白夜を叩きこもうとするが、

「・・甘い。」

剣を振るその肩を押さえると剣が止まる。驚きの表情で織斑千冬も固まる。何せ、その押さえた腕は明らかにラウラの体よりも長く延びていたのだ。

「な!?」

「ふん!」

その伸ばした腕が体を引っ張る様にして加速して近付いたラウラは、顔を殴りつける。

「がぁああああ!?ぐはぁ!!」

一発で吹き飛んだ白式は壁に叩きつけられる。

「今のあなたに、私は・・倒せない。」

そう言って殴った拳を前に突き出して宣言する。

「そ・・そんなこと、認められるか!!」

そう言われた時、空中に手を伸ばすラウラ。空から剣が降ってきてソレを掴みとる。

その先にはシャルロットが浮かんでいた。

「さぁ、あなたの好きな剣での勝負です。行きましょうか。」

「な、・・なめるなぁ!クソガキがぁあああ!」

血管が浮いた鬼のような形相で剣を振って突っ込んで来たが、ラウラはソレを冷静に受け止める。

「クソガキ如きがぁあああああ!!」

叫びながらも剣を振うが、ラウラは冷静にソレを止めて逆に隙が有れば、

「はぁっ!」

「ぐはぁ!?」

反撃を喰らわせた。だが、また突っ込んできて剣を振り、鍔競合い状態になる。

「何故、何故だ!?そんな力を持って何故私を認めない!私は貴様を鍛えた教官だぞ!?」

「・・その言葉を聞いて分かりましたよ。あなたも所詮は人間。どうしても人に見てほしかった。それは欲です。人間である以上、何かしらの目的はあると思っていましたが・・結局は貴女も博士と一緒だ。強すぎて孤独だ。孤独であることを受け入れ過ぎてどうすればいいか分からなくなっている。子供よりもたちが悪い。」

そう言って剣を弾いて距離を置く。そして、ベルトのハンドルを回す。

「一度先ずは、頭を冷やしてください。」

『ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!レディ・・ゴー!!ハザードフィニッシュ!』

白式の目の前まで足が伸びてその足のばねの部分がきしむように震えると、

「先ずは一度目!!」

『ラビット/ラビット・フィニッシュ!!』

体の方が飛んで来てその加速で蹴りをブチ込んだ。

「ぐぁああああああ!?がぁっ!?ごはっ!?ぐぅぅうう・・」

飛んでいき二階地面でバウンドした後転がると止まった後でうめき声をあげる。

「そして、これこそが強固なる意志。」

『ドンドンドン・・タンク!!・・マックスハザード・オン!タンクアンドタンク!』

「強固な意志と、固い決意の装甲。軍人であった私が守るという意識を持った形。」

『ビルドアップ!ドンテンカンドーンテンカン!ドンテンカンドーンテンカン!ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!アーユー・レディ?!』

「ビルド・アップ!!」

『オーバーフロー!鋼鉄のブルーウォーリアー!タンク/タンク!ヤベーイ・・ツエーイ!』

「戦車と私。軍人であるからこそ、力の使い道は考えなければならない。弱気民を守る為、それが私が目指すべき軍人のあり方だ!だからこそ、今の世界を許容できない。女性だから、ISに乗れるから、そんなことで人が苦しむ世界は歪んでいる!」

「歪んだ世界の負の遺産である貴様が何をほざく!!」

「私だからこそ!だからこそ言える事が有る!!世界をこれ以上歪めたくない!クロエ姉さんや私の様なぞんざいはもうこれ以上生まれてはいけないんだ!だからこそその世界の歪みを壊す!ソレを初めに作った、白騎士の貴女も!責任を取るべきだ!博士だけが悪いんじゃない!博士はコレ以上の事が無い様に頭を働かせ人の為になる様に苦しんでいくことを決めた!」

「束がそんなことをできるような奴じゃない!」

「人を認めない貴方に何が分かる!?」

「アイツだって塵・芥、呼ばわりで人を見ていない!」

「それは過去だ!人は変われる!」

「詭弁だな!根本など変わらない!」

「・・ならば私は貴女を壊すしかない・・。」

「できる物ならやって見せろ!!」

おたがいに『はぁはぁ・・』と口で息をしている。今の応酬でどれだけ心の中から叫んだのかが見て取れた。

「ならば、・・行きます!」

「ほざけ!ラウラぁああああ!!」

先ほどの剣『フルボトルバスター』を変形させて銃のバスターモードにする。そして足元をキャタピラに代えて固定する。バスターの後ろからフルボトルを挿しこむ。

「眼を覚ましてほしかったのですが・・残念です。」

『ラビット!・・フルボトルブレイク!』

フルボトルバスターからエネルギーの弾丸が発射される。

「こんな物!!」

そう言って零落白夜で切ったが無効化されず、半分に分かれてそのまま体に当たり爆発を起こす。

「な!?何故!?」

『それは単なる成分エネルギーの凝縮。エネルギー武器自体ではないからね。切っても爆発を起こすのさ。』

モニターしていた束がそう言って実況する。

『ドラゴン!スマホ!・・ジャストマッチデース!・・ジャストマッチブレーィク!!』

「このぉ!?認められ・・ぐあぁぁああ!?」

立ちあがった所でさらに強力になったバスターの一撃を受ける。転がったうえ、SEが無くなったせいで強制回復で機体が戻る。

『海賊!電車!ロボット!ミラクルマッチデース!・・ミラクルマッチブレイク!』

また構えてソレを打つと、立ち上がり直後にふらついていた織斑千冬は、直撃を喰らったまま壁に貼り付けにされて地面に倒れる。そしてSEが一度でキレたのでまた強制回復される。

「このようなこと・・認められるか・・認めんぞ・・」

そう言って呻いているが、ラウラは静かな顔で武器にボトルを込める。

『ロケット!タンク!ガトリング!ジェット!アルティメットマッチデース!・・アルティメットブレイク!!』

狙いをつけて構え、ソレを倒れたままの織斑千冬に向ける。

「・・立て。織斑千冬。私達の勝負はついていない。」

「小娘が偉そうに・・・」

そう言って剣をついて立った所にまたエネルギーを撃ちこむ。

「がぁぁあああああ!?」

また吹き飛ばされて壁にぶち当たり、

『フルフルマッチデース!フルフルマッチブレイク!!』

すぐさま入れ替えたバスターで地面に倒れる前に撃ちこんで更にダメージを与える。絶対防御によってかろうじて生きているぐらいだろう。

「あ・・あがぁ・・」

しかし機体は強制的に回復される。そして、時間がたつと時間的には最終ぐらいの回復が行われて、ナノマシンの効果が切れる位だ。体も一応治っているが、そもそも体力や気力は残っていないだろう。しかし、プライドだけで、織斑千冬は立ち上がった。

「貴様らごときに・・はぁはぁ・・この私が負けるわけが・・」

「これで私からは最後にします・・さようなら、織斑『教官』。」

そう言ってベルトにフルフルタンクボトルを戻し、ハンドルを回す。

『ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!ガタガタゴトゴトトズッタンズタン!レディ・・ゴー!!ハザードフィニッシュ!タンクタンクフィニッシュ!!』

青い装甲は変形し、肩などに有る砲身が全て前を向く。フルボトルバスターが胸部に装着されてエネルギーを凝縮し、肩の砲台と共に一斉発射された。

「ぎゃぁあああああああ!?」

幾重にもの攻撃を受けて空中をぐるぐると回り地面に落ちる。

腕につけていた回復装置も装甲も壊れて、ISのコアがそこら辺に転がっていた。

ラウラは変身を解いて、後ろへ下がる。

「コレが、ラウラと束の力だ。二人はお互いを認め合い、力を合わせた事で世界最強と言われたお前さえ超えた。ソレは、孤独なお前には一生分からないだろうがな・・。」

そう言って俺はコアを拾い、土を払ってポケットに入れる。

「そ・・そんな・・私が負けるなんて・・だが、世界は・・」

そう言っている織斑千冬の顔を見るが、全く後悔などしていない。ただ悔しそうな顔だけだった。

「大量の人が死んだ・・それについて何も思わなかったのか?」

白騎士事件について聞いてみる。

「力の前では・・何もが、無力だと・・知っているからだ。」

「・・そうか・・。ならばその力を抱いて溺死するが良い・・。」

俺はバグヴァイザーツヴァイを出して腰に装着する。

一度眼を閉じて、眼帯を外して眼を見開くと、赤と緑のオッドアイが光る。

Aボタンを押して待機音が流れ、仮面ライダークロニクルガシャットを挿しこむ。トリガーを押し込む。

「変・・身!」

『ガッチャーン・・ガシャット!・・バグルアップ!天を掴めライダー!刻めクロニクル!今こそ刻は極まれり!!』

仮面ライダークロノスに変身する。ISではなく、ダークライダーの方だ。

「IS・・ではないだと!?」

『ファントムトリガー・・ターゲットナンバー00001。織斑千冬。・・依頼者、織斑一夏。・・依頼内容・・復讐。改心するようならそれまで・・。しかし、その可能性が無いと感じたなら・・その時は・・』

そう言って織斑千冬の元まで行く。そして足で蹴り転がしてあおむけにする。

「うぐぅ・・きさ・・ま・・」

『・・お前は・・この時代に・・生まれるべきではなかった・・。時代こそ違えば、真の英雄だったが、今の時代では世界をゆがめてしまった・・。ソレは罪だ。ソレを捌くべきは俺しか居ない・・だから、・・全てを終わらせる・・。』

そう言って上を向いて、

『さようならだ・・千冬姉・・。白騎士、そして織斑千冬・・貴様は・・絶版だ!』

腰に手を当ててボタンを同時に押す。

『ポーズ!・・』

全ての時が止まり、俺だけが動けるこの世界で、俺は織斑千冬を担ぎ、その場を後にした。

 

そして、全てが動きだした時には織斑千冬も、クロノスもそこには居なかった。

 




戦いは終わりです。
この後はアフターを投稿します。
では、また後に。
シーユーネクストステージ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アフター ≪エンドロール≫

連続投稿の二話目。
この話の終わりです。
では、最期までお付き合いお願いします。

本編へどうぞ。


あの学園を大きく揺るがせた戦闘から5カ月、IS学園と『CIRS』は協力関係となり、IS学園内には共学として男子生徒が入学できるようになった。ソレはもちろん、束博士とクロノスの作りあげた新型コアのおかげで男性でも乗れる物が出来たからだ。基本的にフレームスタイルの機体を元に作り上げた汎用型が宇宙での作業用に多く、その他でフレームに装甲をつけることで多方向に特化した機体が作れることから、世界中のIS界に革命をもたらした。

・あの戦闘から『篠ノ之箒』と『束』はしっかりと話し合いその結果で篠ノ之箒は学園を去る事に。戦闘に参加していたが、自身からの出頭と周りの説得に応じたことから、情状酌量の余地ありとして、監視が着くことにはなるが、一般的な生活は送れるそうだ。元から、ISが好きではなかった箒は普通の共学の国立学校へスポーツ推薦枠で転入。剣道で一般部門日本一を目指す事から始めるそうだ。しかし、一般部門は中学生時代と違い、男性女性の区切りが無い。鍔競り合いなどで力負けして勝てない相手も多く、己を見直し鍛えるいい機会となったようだ。

・『三日月神楽』は当時かなり危険な状態で病院にかつぎ込まれる事となった。怪我は完治して逮捕という形になる予定だったが、それからもまだ主人公がどうだという事を繰り返して、暴れることが有る為に精神的な病院に入院させられることになった。監視が付いて、その行動を逐一記録されている。未だに『俺がオリ主なんだから・・』と意味不明な言葉を繰り返している。おそらく、何かあって性格が一転しない限りはこのまま一生を此処で過ごす事になるのだろう。

・セシリア・オルコットは王室から強制出頭をさせられて、その場で貴族の爵位剥奪、更に国家代表候補生の座もはく奪、国家に対する多大なる迷惑の損害賠償を払う事で資産は付き、破産申告をする事に。さらに、ISでの危険行為の為に逮捕と言う事になった。

この時、逆にクロノスはイギリス王室からナイトの称号を授与されたらしい。

 

・織斑千冬のその後は・・誰も知らない。

 

・更識簪はクローズの力を使い、日本の防衛に協力することに。しかし、国家代表候補と言う訳ではないので国からの要請は強制できない。だが、簪自身が【自分の国を守りたい。】と言う事を宣言。国家代表の補佐として非常時にはその力を使う事を誓う。

・ラウラはドイツから日本に拠点を移し、ドイツ軍からも籍を抜いた。束博士と『ビルド』の研究をして、人に役に立てたいと思っている。

・シャルロットは親子共に揃って幸せに暮らしている。最近は成長著しいマドカに身長、胸囲共に負けたらしく食生活の改善を考えている。あと、やたらとクリスと仲が良くなって皆の食事を用意するのを手伝ったりしている。

そのほかのメンバーはいつも通りにCIRSで過ごしている。

 

そして、織斑一夏の話を聞いた『凰鈴音』はIS学園に入学、しかし当の本人が居ない事に怒りを燃やす。すでにカリキュラムで学ぶことはないからだ。逆に特別講師としている。そして、今回は仕事によって海外に出張中である。

鈴にはいろんな人が詰め寄った。織斑一夏の過去を知る数少ない人だからだ。

話し出した鈴の顔は悲しげなものだった。

昔、いじめに遭った時に自身にヘイトを向けることで助けてくれたことが有った。

それにお礼を言おうとすると、近寄るといじめられるぞ。と距離を取られて、結局は何も言えなかった。いつか恩を返そうと思っているうちに死亡の話を聞いてがくぜんとした。

しかし、生きていたという話とクロノス・クロニクルが元の織斑一夏だと知ると、居てもたっても居られず、上層部に駆けあい、昔の関係から仲が悪くないことを理由に許可。

中国政府としても国とCIRSの関係をどうにかいい物にできないかと言うことから特別な許可が出て、正規の入学法から転入してきたそうだ。

 

「それで、【一夏】が居ないって本当にどう言う事なの!?」

「それについてはそもそも、クロノスと呼んでくれ。彼はもう織斑一夏では無いのだ。」

そう言って優しく言うのは、学園長候補の仙石教諭。現学園長、轡木十蔵は、理事長として階級を新たに創設することになり、IS委員会の席にソレを設けることが話し合われている為学園内にいない。その為の次席が仙石教諭である。対人関係はこちらの方が良いからだ。間違ってもその補佐の、野上に任せてはいけない。

「それじゃぁ、・・クロノスは今どこにいるのですか?」

「うーん、・・アイツは・・今何処だっけ?みんちゃん。」

「みんちゃんはやめてください!・・えっと、ドイツの黒兎部隊の教練です。」

タブレットを眺めながら野上教諭はそう答える。

「あー、ラウラの部隊か。戻って来るのはいつだい?」

「今回は織斑千冬の毒が残っていないかの視察がメインですから、すぐかと。まぁ、性懲りもなく違法研究をしていたら施設もろとも吹き飛ばして、国中がハチの巣をつついた様な事になるでしょうが・・。そうなれば遅くなる可能性はあります。」

「アイツはそんな大きくなることはしないよ。どうせ機密裏にムラサキ辺りを使って消すのが一番だからな。アナザ―を連れてったかい?」

「いえ、彼は今学園内にいますが・・」

「代わりに呼んじゃえ。昔の織斑一夏の代わりだが、今のクロノスの見た目からは一夏と言う感じがしないからな。たしか・・記憶もあるはずだったな?」

「当時の彼の中に居たことは確かですから・・彼女の事をどう思っているかは知りませんがね。」

「なら、・・アナザ―くん、今から学園長室に来たまえ。昔の織斑一夏の記憶と照らし合わせたいのだ。」

端末にそう声をかける。するとモザイクの様な物が現れてその場に少し顔つきの違う、織斑一夏が現れる。

「い、一夏!?」

「いや、俺はアナザー一夏。織斑一夏の中に居たもう一人の存在。織斑一夏が死ぬと俺も死ぬ一身同体の存在だ。そして、凰、お前のことは知っている。当時には一応俺は存在していた。織斑一夏は、たまに咳や体の痛みを訴えて居なかったか?」

「え・・?あぁ、そういえば・・確かによく体育を休んで居た様な・・」

「あの当時、俺はアイツに感染した。コンピュータウィルスの変異体の様な存在が俺だ。そして、アイツは一度熱を出して死にかけた。その当時から、本当は強くなりだしたんだ。だが、ソレを元にいじめを止めることはしなかった。姉の脅威が大きかったのだ。その結果、お前を助ける方法はあれしかなかった。当時の織斑一夏はそう言っていた。」

「そんな・・」

ぽろぽろと涙がこぼれ始める。

「ただ、一つだけあの当時の織斑一夏の想い出を告げる事が出来る。・・『こんな俺の事を気に駆けてくれたあの子には本当はお礼を言いたいんだがな・・。この場で言わせてくれ。ありがとう、元気で・・。』・・ドイツに向かう織斑一夏が誰も居ない教室でつぶやいた言葉だ。」

「う、うぅ・・うわぁああああああ・・」

泣きだした凰の頭を優しく撫でるアナザー。これも、本当の一夏の気持ちだった。

「クロノスが帰ってきたら、一番にお前に会いに行くよう伝えておく。・・俺とアイツは繋がっているから、おそらく聞こえているだろう。」

「うん・・うん。会ったら色々と話したいから・・お願いね。あと、ありがとう。」

「あぁ、それじゃ俺は校庭の草むしりをする。一時的に荒れていたせいで、部活動が再会しづらいらしいからな・・。生徒会の庶務として、仕事を全うするから。また何かあったら呼べ。」

そう言ってまたモザイクの様にジラジラの存在になってどこかへと飛んで行った。

「気持ちは晴れた様だね。それじゃ、まぁ、・・国と企業の話は大人に任せな。みんちゃん、彼女に学園のシステムを話してあげて。」

「・・まぁ、いいでしょう。凰さん、先ずはご入学おめでとうございます。これより編入枠は一年生の枠とさせていただきます。それにより、二年生時からの特別コース選択への選考時期がせまっておりますので、先に説明をします。よろしいですね?」

「え?その・・私は国家代表候補生だから・・」

「決めるのはあなた次第なので、先に説明を聞いてください。」

「あ、はい。」

睨みつけられた鈴音は背筋を伸ばして固まる。

「こほん・・。先ずはこのIS学園は新たに改正されたシステムにより、従来の学園の方法と大きく変わりました。先ずは、ISがフレームスタイル基本の機体となっています。コレは世界中の機体がそう変わって行っている事ですのでご周知のことでしょう。まだ中国は過去の機体にこだわっている様ですが・・。まぁ、関係ないですね。話を続けます。それにより、新たなカリキュラムが出来るようになりました。専攻コース制と言い、その方面に進みたい生徒をより良く学習しやすい環境に整える方法です。二年生時から共学の授業と、専攻授業でコースごとに分かれる事になりますので、クラスはそのコースごとに編成される事になります。ここまでは良いですか?」

「えっと、分かりやすく言えば、新しくコースごとに分かれて勉強するようになったという事ですよね?」

「おおむねその通りです。また、途中でコースを変えることになるのは可能ですが、大きく他人との差が開くので、お勧めは致しません。・・ではまずコース内容とクラスの名前から説明します。」

そう言って野上は冊子を出してきた。

「先ずは基本的な所から、機体の開発・改造・整備などの機械分野になるコース、クラス名は【ビルド】です。それから、医学・疑似体験の医学分野になりますコース、【エグゼイド】、新たな発想を元に対戦型のシステム構想から、応用できる区域を発見したり、ソレを生かしたゲームや映像などを作る為のクリエイティブ分野、【ゲンム】クラス。ISでのスポーツ的な戦闘方面の競争分野、【ガイム】クラス。こちらが元あるIS学園の構想に比較的近いです。」

「へぇ・・医学応用はすごい・・確かに戦争や生まれつきのハンデがある人には目指すべき分野かも・・。」

「・・貴女は思ったよりも視野がひろそうですね。色々と悩み、自分の思う未来を考えてください。ですが・・まだ途中ですので最後まで聞くように。」

「あ、ごめんなさい。」

「では、・・新規部門になります。篠ノ之束博士の従来のISを想定したコース、【フォーゼ】クラス。これは実際に三年生で宇宙に行く事になります。衛星基地と月面基地を用意してありますので、実習期間はそちらへの滞在が有ります。」

「うぇえええ!?宇宙!?・・あ、ごめんなさい。黙ります。」

野上に睨まれた鈴音は縮こまる。

「次に、軍事・警察特殊部隊などに配備されるIS特殊部隊の訓練用コース、所謂軍事分野ですね。【ドライブ】クラス。・・それから最後に、国籍も男女差別も全てを排除し、完全な規律の元に作られる独立部隊養成コース、【クロノス】クラス。こちらへのコース希望者には一切の国籍、家族、国家代表候補生であることなどの職務を棄てていただきます。」

「・・明らかに特殊すぎるんですけど!?」

「クロノス・クロニクルが教官となり、生き残るための訓練を行う特別コースです。IS操縦から肉体での格闘、銃の射撃や特殊環境下での訓練などが含まれます。また、その上位優秀者には、CIRSに就職でき、働きによって給料が与えられます。さらに上級の訓練校として美浜学園特殊学生課への入学が認められます。こちらは学生でありながらも、任務を与えられてソレをクリアすると、その難易度での給料が与えられます。更に高難易度のミッションが有り、ソレをクリアした物はクロノス・クロニクル率いる特殊部隊【SORD】への入隊が認められて、クロノス指示の元、仕事を振られるようになります。基本的にはCIRSの幹部の補佐からIS学園での教員の育成、クロノスの指示の元の特殊任務が主な仕事です。・・以上が現IS学園内の状況となります。因みに、【クロノス】クラスの内容は一生徒には公開しておりませんので、他言無用です。あなたが、織斑一夏の知り合いと言う事で、特別に許可が出ましたので公開したまでです。」

そう言って冊子を閉じる。確かに【クロノス】クラスについては書いて無かった。そう考えると本当に特別扱いなんだと嬉しくなって顔がニヤける。その時、一瞬だけ部屋の中に升目状の線が走った様に見えた。鈴音が目線だけを動かして見ても、そんな物はなく気のせいと目線を戻す。

「・・それじゃぁ、アタシはどうするべきでしょうか?」

「それは・・貴女の決めるべき事です。」

そう言って野上が顔を反らした・・そして、眼を見開いて固まる。

「ん?・・なぁ!?」

それに気が付いた仙石も同じように顔を動かして見た先で固まった。

その視線が鈴音の右後ろに向いていた事に気が付き、振り向くと・・

「ふむ・・・。本当に懐かしい顔だ。」

眼帯を外して赤と緑のオッドアイの状態で顎に手を当てている、クロノス・クロニクルがそこに居たのだ。しかし、仕事の出張だった為にスーツ姿なのは意外である。

「な、何故ここに!?・・今はドイツに居るんじゃ!?」

「あぁ、アナザーが教えてくれたからな。アイツは俺と繋がっている。故に、遠くだろうと何処だろうと声が届くのでな。まぁ、・・その・・懐かしい顔を見に来たという訳だ。」

そう言ったクロノスの表情は少し照れていた。

「いや、どうやって・・」

「エターナルのゾーンメモリで。此処は俺の領域『ゾーン』だからな。ちゃんと向こうの仕事は終えてきたし、先に他の連中も会社に届けてきた。異論はなかろう?」

「あ、あぁ・・それなら・・。」

そう話した後で鈴音の前に座るクロノス。

「さて、凰鈴音・・。君は俺が求める力量を持つ者かな?」

「そんなの・・そんなことやってみなくちゃ分からないわ!」

「その意気や、良し!それでこそ、先へと進める意志を持つ者が一番に必要な物だ。可能性を棄てない、否定しない、信じる。それが出来ない者は自分を超えることなどできないのだから。十分に素質はあると見た。後はお前の意志で選ぶかどうかだ。まだ時間はある。二年生のコース確定時までに選ぶと良い。仙石、野上、コイツはギリギリまで焦らせずにじっくり考えさせろ。その方が良いと俺は思う。」

「はぁ・・クロノスがそう言うなら分かった。彼女の意志を尊重しよう。」

「そうですね。・・素質とは、【ライダークラス】の素質ですか?」

「そうだ。・・鍛えればSORDのライダーとしても使えるだろう。」

「そこまで・・。良いでしょう、それならば私もきっちり仕事をこなします。」

驚いた表情の後、その表情を引き締めた野上はその鋭い目で鈴音を見る。

「手始めに、とりあえずの測定をしますので、来てもらえますか?」

「え?えぇ?な、なにが・・」

「クラスの基準となる測定です。今日は体力や判断力を測定します。そこまで難しい物ではないので・・運動できる着替えを持って第五アリーナに来てください。場所は玄関ホールに書いてあるので地図を見てください。」

そう言いながら鈴音の手を引いて学園長室から出て行く。

二人が居なくなり、仙石とクロノスが位置を変えて座り直す。

「・・入れこむほどかい?」

「素質は大いにあるからな。後はアイツ次第だ。渡すなら・・『リュウガ』あたりかな?」

「また、特殊な奴を・・他には?」

「後は‥ダークカブトぐらいだな。適性的にはそれくらいだが、有効に使えるだろう。」

「クロノスがそこまで言うなら、あの小娘に期待するとしよう・・。」

二人はお互いに頷き合うと席を立つ。

そして・・

「ずっと観ているのは面白いか?【タナトス】さん?」

『あら、ばれてたの?』

今まで見守っていた事はバレていたようだ。モニターに『自分』を表示する。

「まぁ、何処にでも居るのは知っていたが、こんな所でも見ているとはね・・。からかえる要素が見つかったらそれを元に楽しむつもりでしょ?」

『あら、私を愉快犯みたいに言うじゃない。』

「いや、快楽主義者・・かな。面白いこと大好きみたいな。」

『えぇ、それなら間違ってないわね。あと、あの子は幼いころのあなたに淡い恋心を抱いているようだけど・・そこのところどうなのかしら?』

「それ・・は・・まぁ、・・いずれだ。いずれ決める事だ。どうせ、俺の周りには同じようなのがわんさかいるんだし・・世界で希少とかじゃなくなった男性IS操縦者の遺伝子なんぞは、別に必要な物じゃなくなったしな。」

『あら、顔を赤くしちゃって・・。まんざらでもないんじゃない。まぁ、あなたが決める事だから良いけど。お姉ちゃん少し妬けちゃうわ・・。』

「誰が姉だコラ。俺には姉なんぞ居らん。クロノス・クロニクルは血のつながった兄弟も両親も居ない。」

『と言う事で、クロエもラウラも貴方の事を男性として見てるから・・そう言う態度取りなさいよ?』

「あぁー・・くそっ。分かってるんだが、アイツ等はこう・・妹としてしか見れないんだよなぁ・・。しかしあっちは好意持ってるし・・。」

『そこら辺は頑張りなさい。男の甲斐性見せなさいよ。』

「データ体のAIに甲斐性とか言われてもな・・。」

「はいはい、痴話げんかはそれくらいにして、とっとと帰ってくれないか?仕事のじゃまだよ。」

『そうね、それじゃ私はまたどこかでも見てるから・・。』

「俺も、第五アリーナにでも行くか。」

そう言って取り出したのは紫色に輝く大きなガシャット。

『ゴットマキシマムマイティXガシャット』

ソレを手にして眼を閉じた後また開くとISスーツになっていた。

「・・ふむ、本当に神のごとく力が使えるか・・試してみるか・・。宇宙とコミットすることが出来れば、確かに有用だ。」

そう言ってそのガシャットを眺めながら歩きだす。

その大きな力を何に使うか、想像しながら・・。

 

 

世界は平和だ。新しい時代が来て混乱が起きたが、それでも以前の女尊男卑の様な末期の異常は起きていない。

多少の過激な行動は起きたがそれもファントムトリガーや彼が鍛えた特殊な部隊が全てをそう急に鎮めた。

この世界も変わって人類は進化して行くだろう。

それでも、裏の世界で悪事を働く物は存在する。ソレは世界の理。

表が有れば裏が有る。表裏一体の世界から、完全な平和などはありはしない。

それでも、悪を持って悪を制する存在がいる。

人々はソレをファントムトリガーと呼んだ。

そして、その中でもひときわ強い存在をこう呼ぶのだ。

『ダークライダー』と・・。

 

「俺のゲームに・・終わりはない・・。」

 

FIN~・・・・?

 




これにて、『IS ダークライダークロニクル』を終わりたいと思います。
皆さま、お付き合いありがとうございました。
また書いたら投稿しますので、よろしければその時に。
またよろしくお願いします。

では、ありがとうございました。
ゲームクリア!シーユーアゲイン。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

崩壊への塔 世界の終わりの物語
新規学園編 01


どうも皆さま、初めましての方は初めまして。
ご存じの方はお久しぶりです。
こんにちは、私です。
久しぶりに考えがまとまったので書いたものを投稿する気になりました。
まぁ、今まで通りに不定期投稿ですが・・。
それでも良ければご覧ください。

新章開幕です・・。


アレからしばらくして学園は『IS学園』ではなく『国際IS技術養成学園』と名前を変えた。単なるISの操縦者を育てる機関では無くなったからだ。卒業後の企業もしっかりとそれぞれの要請に答えて用意してある。政治家になる為に、世界を知る為に入ってきた生徒も居たが、本気じゃない生徒はやめて行った。いろんな分野で追い付けないからだ。本気の数人は残り、世界情勢とIS技術の応用を吸収して行く。ソレを知識にしてその分野では大物になれるだろう。事実かなりの政治家が手中に入れたいと小競り合いが起きている位だから。

そして、操縦者関係でいえば中国の代表候補生の座を引き払い、凰鈴音も新たなライダーとして【ライダークラス】に入学した。ちゃんとテストや素質測定に合格したからだ。

「さて、一夏・・じゃない、クロノス。アタシに合う装備はどれ?」

確かに今までのテストをクリアして来たが、それは単なる体力や素質の測定にすぎない。

「お前に合う装備は・・これから決める。」

そう言って俺はフレームスタイルの機体を取り出す。

「コレがアンタの開発した新型ISね?気になってしょうがなかったんだから!」

そう言ってすぐさま装備する。

「・・やる気が有るのは結構。・・では俺も・・フレームスタイル、展開。」

そう言ってフレームスタイルを展開する。

「俺の『ダークアームズ』を元にしているとは言え、流石に量産機だから性能は落ちる。だが、ソレをうまく扱うかは、お前の腕次第だ。」

「そうね・・。それじゃアンタに認めさせてみせるわよ!」

「結構。では、先ずは攻撃スタイルから始めよう。・・基本は素手の格闘、それから武器ありでの至近距離戦、それから中距離、遠距離と武器を変える。設定はしてあるから分類上の武器から色々と選んで来てみろ。」

「分かった・・。へぇ・・色々とあるわね。先ずは、素手の格闘からね?」

そう言って左足を下げて、ファイティングポーズみたいに構える凰。

「・・何処からでも来い。貴様は測られる側だ・・。」

手を広げ、無防備に構える。

「むっかー!!それじゃ行くわよ!」

「来いと言っているだろう?」

そう言って突っ込んで来た凰の足をかけて扱かす要領で体勢を崩させて、そのまま足を掬いあげて反転、腹が上を向いた状態で肘で撃ち落とす。

「ごはぁ!?」

「甘い!甘すぎる!本気で来い!此処は人の命を奪う可能性のある所。」

ソレを蹴り飛ばして元の位置にまで転がす。

「・・半端な覚悟なら・・・消すぞ?」

殺気を含ませて見降ろして睨むと、凰の顔が青ざめた。

コレは流石に俺の見込み違いだったか?

そう思って去ろうかと思ったが・・、

「ちょっと待ちな・・さいよ・・」

「・・む?まだ気力が・・」

「そのまま後ろ向いていなさい!」

「むぅ?・・こう、か?」

背後から攻める気なのかと思ったが、いきなり地面を掘る音が聞こえた。

「・・うげぇぅぅっぷ・・」

「・・・・・。」

地面を掘って吐いたようだ。いや、一応ここはアリーナなのだが?

「・・ふぅ・・すっきりした。良いわよ。流石に吐くシーンなんか、男に見せられるもんじゃないからね。女の子的に死んじゃうわ。」

「・・くくっ・・それは予想外だ。まだやる気が有るようだな?」

振り向いて顔を見ると、やる気に満ちていた。

「あったり前じゃない!誰に聞いているのよ!?このアタシがこんな状態から逃げるとでも思ったの!?」

「ふむ・・よかろう。再開だ・・。さっきみたいにぬるい攻撃じゃなく、本気で来い。」

「オッケー!いっくわよー!」

そう言ってさっきよりも早い移動速度で左足を構えて攻撃をして・・いや、フェイントか。

「まぁ、まだ詰めが甘いが・・良い判断だ。」

左足を構えた状態から踏切り、空中で反転して踵落としをしてきた。

余裕でソレを片手で受ける。

「空中では体制が開く・・そこが欠点だ。二手三手先を読め!」

踵落としをしたのと反対の無防備の足を掴み、空へと上げる。

「にゃぎゃぁあああ!?」

「後は、フレームスタイルと言ってもISで有る以上、空中での体制は完全に判断できるだろう?そこは早く自覚しろ。」

そう言って先回りしたそこで同じ構えで踵落としをくらわせる。

「ぐほぅ!?」

「さぁて、・・地面とキスでもしてろ!!」

そのまま、踵落としから頭を掴んで地面に顔面から叩き落とす。

「・・足技がまぁ、良し。そこから先は練習あるのみだな。」

端末に記録する。その目の前には顔を地面にめり込ませた状態で力の抜けた凰が居る。

「さて、次の段階行くぞー。近接武器選べ。」

「マジでアンタ鬼畜すぎない!?女の子にこんな仕打ちする!?」

「・・このクラスでは男だろうが女だろうが関係ない。・・その考えは捨てされ。殺すなら老婆だろうが子供が相手だろうが、妊婦だろうが・・任務ならやるだけだ。」

俺は殺気を半分解放する。

「・・本気で・・とんでもないとこね・・。」

「今からでも一般学部に帰るか?」

「とんでもないわ!!アタシはヤルからには逃げない。逃げださないのがポリシーよ!・・昔のあんなみじめな思いなんてもうたくさんなのよ!!」

「・・後悔だけはするな。」

「そんなこと遠の昔からしてるわよ!!アンタに助けられたのに何もしなかったの時から・・自分の事が一番嫌いになりそうなくらいに後悔したわ!!だから・・」

地面に拳を叩きつけて立ち上がる。

「だからこそ、アタシは此処に立っているのよ!!!」

そう言って見せた凰の顔はやはり逃げだす顔ではなかった。

「・・近距離で今日は終わりにしてやる・・。少しくらいは体を休めた方が良いデータ取りになるからな・・。」

『クロノスがデレた!?』

急に回線に割りこんで来た声に『イラッ☆』とする

「・・いきなりだな、タナトスさん。」

『えー、だって面白そうじゃない?昔の女なんでしょ?』

「断じて違う。」

そう言って叫ぶ。

「え?アタシ・・そんな風に思われて・・。」

「断じて違うと言っている!!」

『瞬動』で一瞬で距離を詰めて、勢いをそのまま踏み込んで肩から当て身をくらわせる。

「『鉄山功』!!」

「みぎゃぁああああ!?」

凰は吹き飛んでそのまま転がりアリーナの壁にぶつかる。そしてそのままズルーとへばりついた状態ですべりおちる。

「きゅー・・・」

「気絶したか・・。これで先ほどの会話は忘れると良いのだがな・・。」

『照れてるの?』

「・・『リプログラミング』してやろうか?」

『ちょ!?勘弁よ!?』

ぷっつ・・と音がして回線が切れた。・・逃げたか・・。

さて、それじゃコイツの管理は他の生徒に任せて・・、そう思っているとアリーナに飛び込んでくる気配。そして、そいつは・・空中でフレームスタイルのまま止まって構えた。

「それじゃ私の順番だな!クロノス兄さん!」

腕を組んでバーン!と音がしそうな体勢で構えている。

その声の主は・・

「ラウラ・・。」

すぐさま、新作のベルトを構えてそれを腰につける。ラウラ・・俺は通信回線を開く。

「クロエ・・凰を回収して起こせ。どれだけの力量が必要か良い見せものだ。後学の為に見せてやるのも一興だしな。」

『了解しました。先ほど、マドカ姉様が行きましたので、回収はすでに終わるかと。・・起こす方法は?』

「口に・・俺の作った覚醒ドリンクでも突っ込め・・。」

『うわぁ・・えげつない・・。了解しました、眼覚めの一発突っ込みますね。』

「気管に入らないように気をつけて一口分ぐらいにしろ。後は舌に直接かけてやれ。」

『ますますえげつない・・。なんて容易く行われるえげつない行為ですか・・。』

俺はそう言いながらも少し声が楽しそうなクロエが怖い。

「・・よし、ラウラ・・お互いに構えるか・・久しぶりの講義だ・・。実習としてちゃんと学ぶように。」

「あぁ・・クロノス兄さん!束博士と一緒に更に進化した私を見てくれ!」

「・・残念だが・・そのベルトは俺製で、マドカと簪も一緒だがな。俺は更に上を行く・・真の最強とは・・俺にふさわしい称号だからな。・・ふん!」

腕に付けたベルトに一体の機械的な昆虫が止まる。

「し、知らない力だと・・!?これじゃ対策が出来ない・・。」

「さぁ、見せてみろ・・お前の力を!」

「っくぅ・・まぁ、これで巻き返す!エボルドライバー!!」

二本のボトルを挿しこむとハンドルをまわす。

『ラビット・・ライダーシステム・・エボリューション!!~♪アーユー・レディ?』

一度腕をクロスさせて、前に突き出すように構える。

「・・変身!」

『ラビット!ラビット!エボルラビット!!フッハハハハハハハハハハハ!』

笑い声と共に変身完了したラウラ。

「・・最強の一端を見せてやろう・・ふん!!変身!」

『HENSHIN!』

そう言うと腕の斜めに付いた昆虫、金色の『コーカサスオオカブト』が縦になるように回る。すると足元からアーマーが装備されて最期には金色のライダーが生まれていた。

「・・最強の名は・・この俺にこそふさわしい・・。」

「兄さんが最強なのは認めるが・・そろそろ苦労してくれないとこっちの自信が無くなるのでね・・行くぞ!」

そう言うラウラに腕を構えて手のひらで手招きする。

「いつでも来い。」

そう言うと水色の複眼が光る。さぁ、・・最強の一端だ・・恐れるが良い。

 




今更ビルド!?と思う方もいますでしょうが・・・。
まぁ、わかる方には御察しの通り、終わらせ方が思いつかず未完状態でした。
やっと納得のいく終わりがあるので投稿しようとなりました。
良ければこのままよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 02

どうも、私です。
とりあえず、第二話どうぞ。


黄金のコーカサスオオカブトとエボルラビットが対峙した状態で新しい装備の実験が始まる。

「さぁ、実験を始めよう!これがどの位クロノス兄さんに通じるのか!」

「・・来てみろ小童(こわっぱ)。赤子程度にひねってやろう。」

「子供の虐待、反対!!」

「やかましい、はよ来いや!」

「兄さん、言葉遣いが乱れてないか?」

「あぁ、面倒だ。もうこっちから行くぞ!」

片方の肩に付いた三本のつのを前にして体当たりをくらわす。

「ぐはぁ!?行き成りか!?」

「来いと言っていた!貴様が気を抜くのが悪い!」

蹴りにパンチと繰り出すが、段々と上がっているスピードに追いついて来てガードを確実に決め始める。隙があればカウンターを決めようとしてくるが、わざと作った隙なのでそれすらカウンターで返す。

「っふぅ、はぁっ!くぅっ!?せいやぁ!!ぬはぁ!?」

「ふん、はっ!セイヤぁ!ふん!ぬぅら!はぁああ!!」

最期に完全にガードが崩れてそこに横蹴りが打ちこまれる。

「ぐあぁあああ!?」

一旦離れて、ラウラが起き上がるのを待つ。

「うぐぐ・・ふぅ・・。さて、通常はこの位にしておく。今はデータ測定だからな。こっちの技がどの位か受け止めきれるか・・試させてもらう。」

「・・ふん、良いだろう。決めきれなければ、俺の技を受けてもらうがな・・。」

「それすら吸収してやる。・・じゃぁ、決めるぞ。」

ベルトのハンドルをまわして、そのベルトのボトルが稼働する。

『レディ・ゴー!』

「はぁああああ!!」

足にエネルギーをためて蹴りのポーズをとる。

『エボルティックフィニッシュ!!!チャオ!!』

「セイヤァアアアアア!!」

「ぬぅうううう!!?」

飛んできた高速の飛び蹴りを両手と体で受け止めて、両足で踏ん張る。

「このままぁ・・押し切るぅうう!!」

更に足に力が入ったようだ・・が、

「ぬぐぐぅ・・はぁああああ、舐めるなぁ!!はぁっ!!」

「ぐぁあああ!?」

押さえていた両手で一度弾き、体制が崩れた所を蹴りで吹き飛ばす。

「ふぅ、なかなか良い一撃だ。研鑽しろ。・・さぁて、今度はこちらの番だ・・」

俺は肩や腰をほぐすように手をまわす。そのまま、腰に付いた銀と赤色の物体に触れる。

そしてそのボタンを押した。

『ハイパークロックアップ!!』

その音声と共に世界が停止する。本当はすごい超低速で動いているのだろうが・・それすら分からない。ポーズはゲーム空間の限られた範囲だが、こちらは自身が望めばどこまでも広げられる。そして、俺はその間自由に動ける。時間制限が有るのが惜しい所ではあるが・・。

「さぁ、終わりだ・・。ライダー・・キック。」

『ライダーキック!』

「はぁああああ!!」

三本の頭の角の間にエネルギーが貯まりソレが足に降りる。

「はぁああ・・はぁっ!!」

ソレを十分に攻撃用に転化して回し蹴りを放つ。

『ゴガン!!』と音がして一瞬だけ動くがすぐさま止まる。

「さぁ・・お前はどんな悲鳴を上げる?」

『3・2・1・・クッロクオーバー・・』

「そして時は動く。まぁ、楽しかったぞ。」

俺は背中を向けて片手をあげる。

「なに・・がぁあああああ?ぐはあああああ・・がふ・・。」

蹴りの衝撃が強すぎて、凰がめり込んだ壁にもう一度ラウラがめり込んだ。そしてそのまま気絶した。

『・・クロノス兄様、鬼畜ですね。』

「ふん・・まだ、本気ではないがな・・。本気ならアイツは胴体が二つにちぎれているさ。」

『お・・恐ろしい・・。ではお疲れさまでした。今回の事は束様に提出し、新たなパーツ、【ジーニアス】の開発に活かすとします。』

「あぁ・・そうでなくては手伝った甲斐が無い。・・期待している。」

『はい。では、お疲れまさでした。』

「あぁ、・・それとこれから生徒会室に行くと伝えてくれ。楯無にも連絡を。」

『承りました。これからすぐという事で、よろしいので?』

「そうだな・・一応汗だけは流して行く。ラウラが思ったよりも強くなっている。[ハザードレベル6]・・ぐらいは行っているかもな。」

『それはまた・・そちらのデータと基礎体力データも計測するように束様にもうしておきますね。』

「あぁ、それが良いと思う。では汗を流しに行くから、楯無とラウラの件頼んだ。」

『はい、お任せを。』

そう通信終了して俺はアリーナのシャワールームに入る。専用の男用の寮とシャワールームが出来たので部活をした生徒や体力訓練をした生徒がよく使う。一応女子用と離して作ったので女子生徒がこっちに来るはずはない・・筈なのだが・・、

「あぁ・・此処が男性の使う男の空間・・禁断の神域・・まさに禁則域・・。先ずは準備段階に体をほぐして・・」

「何をするつもりだ、馬鹿者!?」

シャワールームの前で、もじもじしていたジャージ姿の女子生徒が準備運動を始めたので慌てて頭部にチョップを入れた。

「はきゅんっ!?」

その場で崩れ落ちた。良く見れば・・生徒じゃなく教師だった。

童顔の教師、『ルクレール・オルレア・アンジェ』・・男子生徒の注目を集めている教師だ。

専用機はミドルネームの『オルレア』。主兵装はレーザーブレードの月光[ムーンライト]。

いつもはライフルを持っているが、本気になると両手に月光を持って高速で切り刻むという、どう考えても男らしい精神の持ち主だ。

一部のファンからは『漢女』と書いて[オトメ]と呼ばれている。

元はファントムタスクのメンバーで、俺が解体する前に独自に脱走、その後はフリーの傭兵だったが、俺が教師として引き入れたいと言うと勝負する事に。

俺は普通にIS装備で、ストレイドを使用して勝負した。勝ったら教師としてでも女としてでも好きにしろと自信満々でいって来た。初めはまた女尊男卑だったかと思ったが、強さこそが真髄と考えているらしく、自分より弱い男に抱かれたくは無いという考えだったらしい。だから、なんでそうも男らしいのか・・。

「それが・・こんな事になるとは・・。」

目の前で気絶したアンジェ先生。男に興味を持ったことから、男の事で知りたいと思うと何処でも突っ走ろうとする『がっかり美人』と言われているが、やはりその美貌と男らしい精神から人気は高い。

今回もおそらくは男性の体、特に成熟しきっていない男子生徒の体が知りたいと思っていたのかもしれない。あと、この学園・・男子生徒の受け入れが始まってから何故か[男の娘]と呼ばれるジャンルの可愛い系の男子が異様に多い。

おそらくコアの適正上、コアが気に入った人物を受け入れているのだろうが・・そう言う性格なのだろうか?性癖と言っても良いかもしれない。

「っは!?私は・・そうだ!男の娘の体をなめるように観察したいと・・」

「アウトー!!」

しゃがんだ状態のアンジェ先生に踵落としを決めた。

「ぐっはぁ!?」

再び気絶した先生をスマキ状態にして生徒会室に連れて行くようにした。

五分でシャワーを浴びて着替え、気絶から目覚める前に生徒会室に連行。

簀巻き状態の蓑虫[アンジェ]を肩に担ぎ、生徒会室に連行。虚に教育的指導をしてもらう事にした。現在、学園卒業後もすぐには就職先が無い生徒には、その分野に特化した大学や学園の特別講師と言う仕事を斡旋している。布仏虚もその役目上、生徒会顧問としての仕事を振る事にしているので教師への説教などもしっかり勉強済みだ。

・・・・そんなこと勉強しなくても・・なぁ・・。

怒ること前提なのかぁ・・。

それからとりあえず布仏が戻って来るまで俺はティータイム&楯無の仕事の手伝い。

お互いに無言で隣の部屋の説教を聞きながら、書類整理をこなして行く。

・・・。

教職員、一番採用させてるうちの企業が悪いのかなぁ?

・・もう少し、能力よりも性格を重視させるようにしようかなぁ?

 




この前、従兄弟の家に行くと年上の従兄弟の息子が大きくなってました。
正直、自分が老けた感じが半端なかったですね。
その子がサンボンツノカブトを自慢して見せてくれました。
いやぁ・・年取ったら虫の足ってどうもダメですね。
昔はあんなに大丈夫だったのに・・。
なんか、いろいろと泣きそうな旅行でした。

PS、山城に上り特殊な堀を見ようとしたら足首をくじきました。
その後何とか上りましたが、山城の特殊な形状に翻弄されてボロボロに・・。
山城を責めるのはきついのを、なるほどと実感できた夏でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 03

どうも、私です。
早速ですが、本編へどうぞ。


説教が終わったアンジェ先生は解放して、もうそういうことはしないようにしっかりと言いつけておいた。代わりに、男の娘なCIRS職員の斡旋はすることを約束した。事実居るんだよな・・。何でかそう言う方面に特化した人物にそう言う系が必ずと言っても良いほど・・。合法ロリ(三十路手前)の研究者で白衣着ていたらそのギャップにやられたロリコン職員が結婚したし・・。寿退社と新婚休暇で現在新婚旅行中だけど・・。

ソレは置いておいてと・・、

「それじゃ、今回の報告だ。クラス内容として凰鈴音は正式にライダークラス入りする事にした。それによって専用機の返還が有る。中国職員が来るからそいつに渡す様に。コレがその機体だ。ちゃんとロックもかけてある。ロックを開くカギは『タナトスさん』だからあちらが正式に帰国後に連絡が入り次第確認、ちゃんとした施設内でのみの開封を行うことを決定している。それ以外での開封は厳禁で、緊急時でも行わない手筈となった。これは確認のためなので、渡した後はこっちに任せてもらって良いし、それ以降は学園側が責任はとる必要はない。それから、新装備の実験用にアリーナのシールドバリア防壁を一部破損したので修理依頼を頼む。給料から天引きでいい。それに伴い、更に強化した防護壁を束が開発した事により、そちらを試す事も並行しようと思うがどうだ?費用はこちら持ちで行う。あと・・」

「いっぺんに多すぎです!!クロノスくん・・いえ、『クロノス特殊講師』!」

「む・・すまないな、色々と時間が押しているのでな。つい焦ってしまった。この後は本社で会議と新規ゲーム開発部への視察、戻って来てからの各クラスの確認と問題の無いかの聞きとり。男子生徒を中心としたアンケートの収集と調査。それが終わればSORDのメンバーの機体の新規兵装開発・・あぁ、ファントムトリガーの依頼も途中で行わなければ・・。」

「多すぎですよ!?一日で行える量じゃないです!アンケートは他の教師または生徒に任せる。ファントムトリガーの仕事はSORDのメンバーで行ってもらって、今日は外泊届け出しておきますから、本社での仕事で終わらせて、明日クラスの確認をお願いします。」

「むぅ・・しかし明日は講義が入っているんだが・・。」

「一日中じゃないでしょう?明日の生徒会の手伝いは無しで良いです。代わりに生徒会にふさわしい生徒をクラス回って探してください。そうすればかなりマシになります。」

・・ふむ、そうだな・・布仏の妹、本音は使いものにならんし・・ならば明日そう言うメンバーを見つくろうのもありか・・。

「うむ、そうだな。・・よし、そうしよう。・・あぁ、分かっているのが居るな。生徒会に必要そうなメンバーだよな?それなら一年に数名良いのが居る。一番優秀なのは書類整理のまとめがよく、真面目な生徒が居る。・・男子にうつつを抜かしているが・・。」

「そうねぇ・・その男子と共に生徒会に入るって言うのはどうかしら?横の部屋でなら二人っきりになれるわよ?真面目に作業さえしてくれれば多少は眼を瞑るわ。」

「不純異性交遊が無い清い交際なら文句はありませんし、むしろこの女尊男卑風潮を壊すきっかけには良いですね。今だ根強く残っている所もありますし・・。」

「それは時間をかけて直すしかないな。・・」

そう言って今日の予定表を書き変える。

「これならもう少しゆっくり仕事が出来るな・・。」

そう言ってタナトスさん経由でSORDメンバーにファントムトリガーの仕事を依頼する。

女尊男卑の会社女社長がISを使う暗部に依頼をしている情報をキャッチしたので、その依頼元がどう動くかを調べ、依頼を受けるようならその組織ごと消す。依頼を断るようなら傘下に入る様にして・・拒否しても契約をしてせめて敵対しないようにしておく。別に消すのは簡単だが、それで恨みばかり持たれても面倒だし、逆に依頼する事もあるかもしれない。繋がりとうま味はある程度渡しておくのがここらのやり方だ。

この依頼にはムラサキ、クリスが説得用、戦闘用にマドカとマキをつける。レナは構わず打ちそうなので、以来の元の方へ行かせる。サポートにトーカとマドカ、シャルをつける。両方の監視をタナトスさんとクロエで行う。今回は簪とラウラは無しだ。まだコイツ等は人撃ちが甘い。ためらいが大きいのでISや、ライダーでの戦闘向きかな。装備をつけるとかなり心構えが変わるようだし。

「暗部と言えば・・簪とは最近どうだ?」

「貴方のお陰で良好よ。あ、簪ちゃんをこっちに回してくれないかしら?あの子書類整理やデータ管理系は早いからすっごく助かるんだけど・・。」

「うーむ、今自分の機体を好きにできる事でテンション高いからな。『束博士と話せる!話が合う!篝火博士も一緒になって面白い!』って青春楽しんでいる感じでなぁ・・研究室に寝泊まりする青春って言うのもどうかと思うが・・咎めづらい・・。」

「あぁ~、今までがひどかったからねぇ・・。私のせいもあるし、しょうがないか。」

「連絡はしておく。生徒会に入れば成績もあげられるから、更に評価を上にできると言っておくが・・どうだろうな?」

「言っておいてくれるだけありがたいわ。う~ん、即戦力は難しいわねぇ・・。」

「ん?有坂先生呼べばいいんじゃないのか?あの人書類仕事速いぞ?度胸もあるから暗部関係に巻き込まれても問題ないし、しろうと思うと吸収がめちゃくちゃ早いから即戦力になるぞ?見た目あんなドジ系だが、実質の力は折紙つきだ。」

「マジでー!?あの先生・・侮れん。・・じゃ、お願いするわ。忙しくない時だけで良いから来て欲しいって。」

「了解した。伝えておこう。」

そう言ってタナトスさんに連絡しておいてもらう。話は聞いていたから、内容を詳しく話してくれるだろう。

『便利屋みたいに使うの、やめて貰えるかしら?』

ムリダナ(・×・)。

「さて・・それなら早めに仕事も終わったし、先ほどの生徒に声をかけておく事にしよう。」

「あぁ、その生徒のクラスと名前教えてくれる?」

「えーっと、・・クラスは二つに分かれている。【ビルド】クラスの方が女子の『セレン・ヘイズ』。アーキテクト・・開発、組み立てなどに秀でた上に管制作業もできる。その相手の男子、実は飛び級なのだが一つ年下で入学した元美浜学園所属の生徒で、【ドライブ】クラスで軍事傭兵パイロットを希望しているという特殊な人物だ。名前は『ビース・テッド』。だが、既に尻に引かれている様な状態で有ることから、【首輪付きの獣】と言われている。」

「何で獣?なに?女の子に対してケダモノにでもなっちゃうの?」

「『名前が区切らずにいうと【ビーステッド】だから【獣】だと言われた』と言っているが・・昔の情報から調べた所、事故を起こしてしまった家族の事でいじめを受けたことで、キレて教室を一つ丸ごと壊したという過去が有る為【獣】扱いらしい。つまりは猛獣だな。それをうまく管理していることからもセレン・ヘイズの腕の良さは見てとれる。」

「・・あまりそう言う生徒は生徒会に向かないかな~・・。」

「腕っ節が一人くらいいても良いだろう。男子だから少し線が細くても力が有るしな。」

「ふーん・・本人と会ってから決める事にするわ。もし入る事に良い返事が来るようだったら連絡してね。」

「まぁ、ソレは今から言っておくから、いいんだが。すぐに返事が来るかは分からんからな。保留かもしれないから。」

「成績アップの話したら少しは良いかもしれないし、生徒会ならある程度はアリーナの優遇はできるわ。学園非常時の訓練名義で訓練もして上げれるし、一石二鳥よ?」

「それも追加して言っておく。・・ではな。」

「お仕事がんばってねー。」

「ご苦労様でした。またよろしくお願いします。」

二人から見送られて部屋を出る。

端末を確認しビース・テッドに電話をかける。

『もしもし、クロノス教官ですか?いかがいたしました?』

「あぁ、堅くなるな。お前とセレン・ヘイズが生徒会に入らないか?という話が出たんでな?成績アップとアリーナの優遇が有るらしいが、書類仕事や有事の際に動ける手が欲しいらしい。成績と腕前からお前等の名前を出したんだ。」

『あぁ・・、う~ん・・正直、生徒会長と戦う事にあまり興味は無いんですよね。別に馬鹿にしてるわけじゃなく、軍機に乗ると通常兵装の相手が普通じゃないですか。特殊兵装よりもそう言う量産機を数多く相手するのが一番経験したいのですよ。』

「なるほど・・。セレン・ヘイズと一緒にいる時間はどうだ?二人っきり、部屋で書類仕事するんだが・・。」

『・・・すいません、私はまだ父親になりたくはありません。』

「おいこら、何する気だ?!」

『私の方ではありません・・セレンの方です・・。数日前もロッカールームで押し倒されました。他の男子が来なければ・・。』

「・・・。ふぅ・・、まぁ、なんだ・・、男冥利に尽きると・・」

『クロノス教官もあのメンバー相手に迫られたらどうですか?』

「俺は力づくでぶっ飛ばす。その力量が有る。・・が、まぁ、そうだなぁ・・真剣に付き合いたいとはっきりと告げるのも手だと思う。好きなのなら、キッチリとした付き合いを経験してから卒業後に籍を入れて、それから先の事を考える。特にお前の家族の事が有るから、その事でキレたらヤバいからな。」

『・・私の過去も御存じですよね。そこが引っ掛かって付き合ってと言いきれないんです。』

「そこは、まぁ、お互いに話し合え。それが解決したらこの話の続きを話そう。今は保留で良い。」

『ご迷惑おかけします。教官に相談出来て少しホッとしました。最近セレンのスキンシップが酷過ぎて、どうすればいいのか悩んでいたんですが、相談する相手など居なくて・・。』

「何かあれば連絡して来い。俺はお前らの教官だ。面倒をみるだけの甲斐性はあるからな。」

『はい、ありがとうございます。真剣に話し合いをしてみます。ありがとうございました。』

「あぁ。ではな。」

そう言って通話を切る。あー。面倒。すぐさま電話しようとして、内容で面白がってしまいそうだから、相手するのが面倒になり、メールだけにした。

[例の男子、女子に襲われそうになっている事で真剣に将来に悩み中。生徒会に入る件は保留で。]

メッセージを送るとすぐさま返事が来た。

【何それ、詳しく。フンスッ!!】

・・・・。イラッ。

[煩い、ブラックホールに叩きこむぞ?]

【ごめんなさい。保留の件、了解しました。】

連絡は終わったので俺は本社に帰る事にする。面倒なので、ゾーンメモリを使った。

廊下から俺は消えた。そして、本社の玄関ロビーに移動して。玄関ロビーの受け付けに声をかけて部屋に戻った。

 




ダークライダーのいろんな技術を自由に使えるって、すごい便利そうですよねぇ。
ジオウも終わってしまい、なんとも言えない寂しさです。
「あぁ、平成ライダーが終わってしまった・・。」
そう思うと同時に新たな時代という感じもして、
【まぁ、ソレも有りか。】
という考えも・・。
ただ、社長が正義の味方って【アイアンマ〇】みたいですよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 04

どうも、私です。
このところ、私の地元では急に気温が変化して体調がおかしくなりそうです。
皆さんも朝晩に体を冷やさないように、気を付けてくださいね。
では、本編です。


俺は押していた仕事を任せたおかげで、少し余裕が出来ていた。

新規ゲームの開発の会議も終わったので部屋に戻って来ていた。

その時間を使い有る物を使う事にした。それは・・・

「さて・・世界の・・革命を、起こす時か・・。」

CIRS本社・・ビルの屋上で、手に紫色に光るガシャットを持つ。

『ゴッドマキシマムマイティX』

ソレを手に持ち、ベルトにはめる。

『ガシャット!ガッチャーン!』

はめた後でハンドルを開く。

「グレード、ビリオン(10億)・・」

『フーメーツー!!最上級の神の才能!クロトダーン!クロトダーン!!』

ガシャットの上部のボタンを押しこむ。

「変身!」

『ゴッドマキシマームX!!』

変身した姿は仮面ライダー『ゲンム』。そして身体を大型のアーマーに包まれた状態で空を見上げる。

「ふむ・・元の持ち主・・【壇 黎斗】のデータが流れて来たが・・そう言う事か。」

世界を追い越してしまうほどの才能を持つゆえの苦悩。

ある種の篠ノ之束と同種だ。

世界が追いつかない。

ならば追い越してほっておこう。

勝手に付いてくる奴だけ見ておけばいい。

興味のある物だけで良い。後はどうでも良い。

そんな考えが流れて来たが・・それ以上に面白い物が流れてきた。

「なるほど・・宇宙とコミットする・・か。時間の概念を変える・・。むぅぐ!?」

そこまで言った後で俺の中に新たなデータが流れ込んでくる。

変身は解けて地面に投げ出される俺。しかしそんなことよりも頭の中が狂ってしまいそうになるのをどうにか押さえるので精いっぱいだ。

「ぐぅ!?がぁぁああああ!?」

・・火星・・宇宙・・惑星・・破壊・・。

頭を押さえてそのダメージを受け流しつつ、必要なデータは拾って行く。

「・・・くくくっ・・はははっ・・・あはっはっはっはっ!!」

地面を殴る様にして笑ってしまう。痛みは晴れた。

拾ったデータは【新たなダークライダーのアップデートデータ】。

こんなタイミングで受け入れる事になるとは思わなかったが・・、極めて僥倖。

「そうか・・ラウラ、簪、マドカ・・アイツ等を・・。ならば、一度計画をしっかり練ってから進める事にしよう。」

俺は初めにその為のアイテム作成に力を注ぐことにした。

「しかし・・ここにきて新たな革命とは・・面白いな・・。」

データを作成しつつ、今日の仕事の事や生徒会の事も考える。

そのまま夜明けを迎え、学園に視察の仕事をしに登校。

クラスを回りつつ生徒会に良いメンバーの選出、それからファントムトリガーの仕事の報告を受けて、タナトスさんにその時の状況を詳細を聞いて問題なしと判断。報酬としてメンバーの欲しい物を渡す事に。

事前に欲しい物は聞いておいたから、その中から一つ与えれば良いと思いリストを開く。

レナには食事、マキには新しいバイクのパーツ、マドカには・・今人気のスイーツ食べ放題の無料券を五枚くらい渡しておくか。友人連れて行くだろう。

トーカには新作の人気コミックとお勧めの小説、クリスには・・本人に聞こう。リストの中に本当に欲しい物が書いてない。仕事の消耗品ばかりだ。いざとなればペンダントでも渡すか。あまりオシャレとかする機会が無いようだし。いざとなればデートが御褒美?それで良いか。

ムラサキは今回は他の仕事だからなし。稲垣姉妹も別の仕事、ラウラは新しい実験中だったし、クロエも束と共にサポート。褒美なし。

シャルロットは・・一応裏の手まわし補佐か・・。クリスとタナトスさんの補佐とか、かなり有力だよなアイツ。新規の機体と家族温泉旅行券でも渡すか。

それぞれに渡す物を決めたので、ソレを確保してそれぞれの近くにいた担当官に渡すように指示。俺はそのまま書類作成を始める。

新しい機体の構成と武装、それにかかる費用と期間を割り出して、ソレをシャルロットの専用機とする申請を出す書類を作成。

「汎用型のプロトタイプで頭が抜けている様にすればアイツは使えるだろうし、量産型を作っても埋もれることは無いだろうな。・・ライダーシステムも組み込むか・・。」

フレームシステムを使用し、装甲にはシールド多めの射撃型方面にして、いざとなればアーマーパージで至近戦も可能にして・・、組み込むライダーシステムは何が良いか・・。

俺は頭の中を整理・・そして、決めたのは一つの携帯。オールマイティーな攻撃の良さからコイツを選ぶことにした。

「よし、・・ライダーシステムはフォトンを変更して装着者には問題ない物、後は訓練時にはモードで人体に影響の無い物に変更できるようにして・・・コレで良し。

シャルロットには【仮面ライダー・サイガ】を選んだ。ライダークラスとしての訓練は積んでいたのだが、如何せん後ろで援護に回る事が多く今まで後回しにしていたからな。

これであいつも胸を張ってこのクラスの一員と言えるだろう。

・・後は、中国から来た凰鈴音だな。

これからの訓練次第か・・。まだ入ってきただけで早計だ。これからの訓練結果で決める事になるだろうけど、・・あの性格からして【リュウガ】辺りだろうかな。

中国ってイメージからして龍なのはしょうがないか・・。

いや、いかん。イメージで選考しないようにしなくては。

そう考えながら、設計図をかき続ける。

そして完成したデータを企画書類と共に製作部に依頼。部屋から出て研究室に持って行く。

初めのデータなので再度精査して計算などから更に作り直す所もあるだろう、そういう手順を踏んでから、本人にこの機体で良いかデータの検証、確認を行う。

3Dモデリングを作ったりしてソレを元に確認、可動部などの確認の為に作るのだが、それを元に、操縦者の気に入ったカラーリングなどの選択を可能にしている。

これまで物にもよるが、基本的に一週間もあれば製作にとり掛れるのは異常な早さだと思うが担当官やその部下が有能だからなのだろう。

因みに別に急かしたり、納期を決めては無い。欠陥が有る方が問題なので、それは一切妥協しない。そして、責任者たちにも十分な休みを取らせている。ブラック企業なのは俺の指揮する【ファントム・トリガー】組織部分と言う所だ。

環境と言うよりもやってる事が黒いのだがな。

そう思いながらも作成書類などを提出して部屋に帰って来る。

さて・・それじゃ先ずは・・ガシャットを作成するか。

俺は先ずクロノスに変身するための【バグヴァイザーツヴァイ】を取り出して、自身にエネルギーを注入する。そして、自身の手にオレンジのモザイクが現れた。

コレは【アナザーイチカ】の因子ではっきり言うと、バグスターの力だ。

そもそも、俺の中には【アナザーイチカ】と繋がる事で因子が有ったのだが、極少量しかなかった。しかし、これを取り入れることで、俺もバグスターと同じくモザイク状でデータ体になれる。これを利用して一番初めの力を手に入れる。ベルトとガシャットを用意して、マドカを呼び出した。

全ては・・強さを求める為。

その為には、命の危険さえなければ身内だろうと利用する。

 

俺は地下修練場にマドカを呼び出した。

「クロノス兄さん・・一体何の用だ?なんか実験とか聞いたが・・」

「・・これを装備してくれ。」

ガシャットとベルトを渡す。

「これは・・ゲーマドライバーと・・【マイティブラザーズXX】?」

「そう・・さぁ、早くそれを装備してくれ。」

「ん・・それじゃ、装着して・・・変身!」

【マイディブラザーズXX!!】

マドカが変身して【エグゼイド・ブラザーズXX】レベル1になると俺の体がモザイクのようにじらつく。

「ん?なんか・・クロノス兄さんの体がぶれて見える・・って、アレ!?動けない!?」

「そう、それは俺の因子が一部組み込まれているガシャット。装備者と俺の体は一緒になる。」

そして、俺がベルトのバックルの位置に手を持って行くとマドカの方も同じ動きをする。

【ガッチャーン!レベルダブルエーックス!!】

そう音声が鳴り、体が二つに分かれる。その片方の体に俺はモザイクになって入り込む。

「な、何故私の体を!?一体何が目的で・・」

ハンドルを閉じてガシャットを抜くと二つの体は一つになる。その後、ガシャットを体に押し当ててボタンを押すと、紫電が走る。そして、目を閉じたマドカは眼を見開くとその眼は紫色に光る。

「・・さて、コレがマドカの体か(・・・・・・)。」

[あれ!?どう言う事だ!?私の体が動かない・・しかもクロノス兄さんが居る!?]

「一時的に借りるぞ。その為のこのシステムと手順だ。」

[一体何の、何のために!?私の体をどうするつもりだ!?]

「・・お前からエボルの因子を取り出す。アレは危険すぎる物だと判明したからな。お前から抜きだす為だ。与えて置いて何だが・・アレは危険すぎる事が分かった。だから、俺が責任を持って回収する。その為だ・・。」

[・・考えあっての事か・・。なら納得しておくが、相談位してくれ。]

「・・善処したいが、お前の性格上、強いベルトを取りあげると言われて、はいはいと従うと思わないんだよな。」

[・・そうだろうな。私は強さを求める。かなり面倒な事になったろうな。]

「だからだまし討ちみたいでしょうが無いが、こういう手を取らせてもらった。」

[理解した。やってくれ。確かに前より以上に強さを求めていた気がする。気が荒れていたしな・・。]

だろうな。そう影響が有る力も働く。

「さて、エボルドライバー・・」

そして、ボトルを構える。ボトルを挿しこむ。

【コブラ!】【ライダーシステム!】【エボリューション!!】

ハンドルを回して胸の前で手を交差させる。

【・・アーユーレディ?】

「・・変身。」

そう言って腕を前に伸ばす。

【コブラ・・コブラ・・エボルコブラ!フッハハハハハハハ!!】

俺【マドカ】はエボルコブラへと変身する。

「・・これでフェーズ1。」

そう呟くと俺の体からガシャットが飛び出す。そして、マドカが体からはじきだされた。

そこに転がったマドカは体を起こす。

「あぁ・・元に戻ったのか。」

エボルコブラのままの俺は身体の調子を見る為に少し動く。

「っふっは・・はぁっ!せいや・・せいはぁ!!」

そうして試した後で元の位置に戻る。

 

「・・これで第一段階。」

そう言ってベルトからボトルを抜いて変身を解く。

「さぁ、お楽しみはこれからだ・・。くくく・・ははは、はっはははははは!!」

 

そう言って笑う俺をマドカは怯えた目で見ていた。

 




動き出した歯車。
世界はどんな結末に向かうのか・・。
では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 05

どうも、私です。
では、本編どうぞ。


マドカから奪った・・いや譲ってもらった・・だな。

【エボルドライバー】と【エボルコブラ】ボトル、【ライダーシステム】ボトルを手に持って観察する。

「さて・・フェーズ1となったは良いが、これからどうしたものか・・。」

おそらく次のフェーズに移行するには簪の力が必要なのだが、一体どうした物だか・・。

マドカみたいに騙すのはどうにもアイツにはこう・・心苦しいしなぁ・・。

そもそも、エボルドライバーを使用してないのだから、普通に頼んで因子採取すればいいのか?それでエボルと合わせれば・・行けるか・・上手く行かなかったらマドカと同じ方法で良いか。それしか方法が無いのだからな。

そう思っていると緊急連絡用の端末に連絡が入る。今さっき考えていた更識簪からだった。

「もしもし、どうした?」

『どうも最近クローズの性能がおかしい。出力が不安定。』

・・これはチャンスかもしれない。そう思いつく。

「・・そうだな・・どうおかしいのか分からないな。少し相手してやる。それでデータを取って精査してみよう。」

『うん、クロノスならそう言ってくれると思った。ただの技師に言ってもあまり信用してくれない。大体がこんな物だというの。ドラゴンちゃんがなんかおかしい気がして、更に私も力がなんか・・こう・・どう言ったらいいか分からないけど・・』

「落ちつけ。わかった。明日の朝一ですぐに行おう。学園のアリーナで・・第参アリーナを使おう。押さえておく。お前は朝の体調チェックをしてから来い。一応の健康状態も気になるからな。」

『わかった。それじゃお願い・・。相談出来てよかった。』

そう言って通話を終了する。

「・・俺からしたら鴨がネギしょって来ただけだがな。・・さぁて、そんじゃ始めるようにしておくか。・・やり方は・・アレを使うか。」

そう言って俺はベルトのバックルを取りだした。

 

「よう・・おはようだな。どうだ?気分は悪くないか?」

「うん、・・メディカルチェックも異常なし・・なんだけどどうしてもやっぱり精神的にも落ち着かない・・。何でだろう・・。」

「ふむ・・一応、そこらへんも含めてデータを取ろう。それじゃ、フレームスタイルから変身してくれ。」

「うん、・・すぅ・・はぁ・・、・・行く。」

そう言って機体をフレームスタイルで展開する。

そして、いつも通りに『ビルドドライバー』を手に取るが俺は即座に近付いて別のベルトのバックルを押し当てる。

「え!?な、何を・・!?」

「悪いな・・これも仕事なんでな。」

そう言って手にしたのは【ガシャット】。腰に装備したのは特注で開発した、【アナザータイプ・バグヴァイザー】だ。俺はガシャットのボタンを押す。

《デュアルソウル・XX(ダブルクロス)ガシャット!》

バグヴァイザーのスロットに、ボタンを押した後、手を離したガシャットは飛んで入りこむ。そして俺がボタンを押しこむ。

「な・・何これ!?」

『バグルアップ!ソウルメイト!ソウルメイク!デュアルソウル!デュアルソウル・XX!!』

そのガシャットが起動したと同時に簪にオレンジ色のモザイクが掛る様に全体を覆った。

「こ・・これ・・は・・、バグスター・ウィルス!?」

「・・そうだ。俺は半身をバグスターとした事で二つの意識を動かせられる。・・さぁ、その体の意識を一度俺によこせ。終わればお前は元に戻る。」

「う・・うぅ・・あ、あぁぁぁぁああ!?・・うっ・・。」

一瞬だけ『がくり』と身体が倒れかけるが、すぐさま足を踏み出して立ち直る。

「『・・ふむ・・やはり・・だな。・・エボル因子が移り込んでいたか・・。』」

そう言って顔をあげた簪の目は血の様な『紅』と『金色』に染まっていた。

「『では・・実験を始めよう・・はぁぁぁああああああ!!』」

力を込めて、ハザードレベルをあげる。レベルは7相当まで上げる事が出来た。これは今の簪の限界値だ。

「『・・ドラゴン・・眼覚めろ!エボルの力よ!!』」

そう言って目の前に力を注ぐと『ソレ』は形を現した。

『エボルドラゴンボトル』

青いドラゴンの形をしたボトルが現れる。簪の体で『ソレ』を手に取り、本来の自分に放り投げる。

「よし・・。ふむ、・・御苦労。」

そう言って満足したようにつぶやく本体。

『オレ』はその力をガシャットへと戻しつつ、ウィルスの感染を解く。

《ガッシューン・・》

ガシャットを抜いてベルトを外すと『オレ』の意識は本体へと戻った。

手に入れた『エボルドラゴンボトル』を手に俺は簪の意識が戻るのを待つ。

ISのフレームスタイルはベルトを外すと共に解けて、今はISスーツ姿の簪をアリーナの控室のベンチに寝かせている。

少し悪い事をしたという事も自覚はあるので、詫びになるかは知らないが膝枕をした状態だ。おそらく、レナやムラサキなら奇声をあげて喜ぶだろう。・・煩そうだからやらないが。

という事で、エボルの因子を抜き取ったので元の体調に戻るだろう。コレがもう少し遅かったら遺伝子レベルから作りかえられて、別な生命体になっていたかもしれない。

早い段階で気が付いたおかげでちゃんとした普通の人間でいられたのは行幸だ。

「ぅ・・ぅう・・ん。」

「ふむ・・気が付いたか?」

「あれ・・?私は・・」

「お前の遺伝子内に異物が有った。騙し打ちの様で悪いが、こうするしかなかった。下手に意識すると因子が有る事を自覚して、その因子が遺伝子に結び付く可能性が有ったから、言わない状態でいきなりやるしかなかったんだ。」

俺はボトルの調整の為に端末に専用のソケットを接続して、キーボードを打ちながらそう話す。

「・・私の為・・だったんだね?」

「まぁ・・仕方なかった状態だったんだ・・と言うしかないな。」

そう言いながらも俺は端末から顔をあげない。

「・・なら、分かった。クロノスのする事に間違いはないと思う。」

「・・そうか・・。」

データの検出とボトルの成分を安定させた。それから端末にコードを繋いでその先に手首に巻く為のバンドが付いた物を簪に渡す。

「問題ないか一応再検査しておく。・・手首に巻け。」

そう言って渡したバンドを頷いて簪はすぐに手首に巻いた。

それから流れて来るデータの数値を確認する。

「・・うむ。問題ない。おそらくはエボルの因子のせいで精神の不安定が有ったんだろう。因子も完全にボトルに閉じ込めて摘出したから問題はない。いたって健康な状態だ。」

端末に表示された異常なしの文字を見せると、はっきりと不安そうな顔が安心に変わった。

「早めに俺に相談して良かったな。俺以外には手の施しようが無かっただろうな。」

顛末を片付けながらそう言うと、簪が後ろから片付け途中の手を握ってきた。

「ありがとう、クロノス。・・私、信じてもらえてうれしかった。」

「・・あぁ。ソレは当然だ。俺は、仲間を裏切らない。・・・あんな力だけの思想に狂った様な女とは違うんだ。」

過去に決別した存在を思い浮かべて、そう告げた。おそらく俺は少し顔が歪んでいる事だろう。自覚している。同じ血が流れていた事が有る。すでにいろんな物が違うし、血もナノマシンで作り変えたりした以上、血縁でも何でもないが・・それでも、呪われている気がしてならない。

「・・大丈夫。クロノスは、クロノスだから。貴方は貴方らしく、生きていると思う。」

「・・そう言ってもらえると救われるな。」

握った手をゆっくりと放す。そして、端末も全て片付けてアリーナを後にしようとドアに向かう。すると一人の人影が飛び込んで来た。

「く、クロノスくん!大変です!」

「・・どうしました、山田先生?」

飛び込んで来たのは山田先生だった。血相を変えて、明らかな異常事態なのを告げようとしているが・・、

「大変なんですよ!?私もどうすればいいか・・あぁ、本当にどうしたらいいんですか!?」

「・・駄目だコレ。」

携帯端末から会長に連絡をする。

「もしもし、山田先生がパニクっているんだが、何か知っているか?」

『あぁ、ソレね!こっちもパニックを起こしそうよ!?』

「・・何があった?」

 

『アメリカが【我々は新規で独自の『ライダーシステム』の開発に成功した。】と世界中に宣言したの!』

「・・なんだと?」

 

 




シンフォギアの影響か、アメリカを悪くしている点がありますが、作者には反米意思は全くない事を宣言しておきます。
まぁ、嫌いな国がないとはいいがたいですがねぇ・・。
とりあえず言えることは、水道水が飲める日本最高!
【作者は学生時代に、国外旅行中に水で体調を壊したクラスに居ました。作者自体は影響なかったですが、食事が口に合わず大変苦い思い出です。】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 06

どうも、私です。
皆さんもお待ちかね、例のライダーシステムです。
では、本編へどうぞ。


連絡して話を聞いた結果、衝撃を受けた俺はすぐさまラボに戻った。

「タナトス!回線を開け。それとアメリカが独自にライダーシステムだと・・どう言う事だ!?」

『いや、私に聞かれても・・。調べた限りじゃこの報告書、どこかおかしいわよ?【作った】のじゃなくて【見つけた】って言う報告が有るわね。どう言う事かしら?』

「・・もしかして、拾った・・という事か?」

『それならどう言う事になるのかしら?数多の仮面ライダーさん?』

「・・・世界規模の危険性を視野に入れなければいけないかもしれない・・。」

すぐさま俺はシステムを立ち上げて、使用して無いベルトのデータを出す。

『アーマード・ライダー・システム』・・鎧武≪ガイム≫のシステムだ。

俺の機体にも組み込んである、『戦国ドライバー』と『ゲネシスドライバー』。そしてソレを使用して変身するためのアイテム、【メロンロックシード】と≪メロンエナジーロックシード≫を持っている。他にも有るが、大きく戦力になるのはこれだ。

『ロックシード』は普通のアイテムではない。異世界と繋がるゲート的な物『クラック』を通った向こう側の世界にある植物の実を『戦国ドライバー』を装備した状態で収穫した時のみ、『ロックシード』のアイテムとしての効果を発揮する。

つまりは、何らかの理由から戦国ドライバーを手に入れた人物がいて、そこに開いたクラックを通り、ドライバーの力を使ってロックシードを手に入れた。そして、宣言したとなれば量産化が出来ている可能性が有るという事だ・・。

「・・マズイ・・。これは非常にまずい・・。」

『何?アイデンティティーが無くなるとかじゃないわよね?』

「クラックがこの世界に開く条件が有るという事だ!『インベス』と言う怪人がそのクラックを通って表れない保証はない!クラックに迷い込んだ一般人がインベス化して人を襲う可能性もある!・・分かって居ればその因子ごと壊してやった物を・・。此処まで世界と結びついたなら、因子どころの問題じゃなくなった・・。どうする・・どうしたらいい・・考えろ・・落ちつけ・・頭を冷やすんだ・・。」

普通に無い異常事態に俺の頭はありえない位熱暴走を起こしている。知恵熱が出そうだ・・。

「・・とりあえず、そのライダーは誰が成るのか、その情報は分かるか?」

『えっと・・少し待ってちょうだい。・・・・分かったわ。パイロットネーム【イーリス・コーリング】。現アメリカ代表ね。それから、その部隊の数人にもベルトが有るらしいわ。量産型で力が低いと書いて有るけど‥おそらく、ロックシードの事をよく知らないのでしょうね。ハズレを引いたのを知らないのでしょう。』

「・・イーリス・コーリング・・か。・・そうだな・・・っ!・・そうだ!それよりも強いライダーを当ててアメリカ独自の物から手を引かせる。その後で関係資料を消して、更に関係者の深く事情を知っている人物も消す。おそらくだが、コーリングはそこまでは知っていないはずだ。そうでなければあんな危険そうな物は使わない。」

俺はすぐさま別のシステムを立ち上げて作成エンジンを起動。

ラボ内に有る機械をフル活用してそのベルトを作成する様にした。

装備するパーツはあっても、ソレを使うベルトは一つしかない。

今までの皆が付けたベルトは俺が作ってきた物だ。記憶とデータ、因子をつなぎ合わせて皆に使えるようにして来た。それが無理やりに繋がれた因子なら、きっとどこかでほころびが出る。それがクラックなら大変な事だ。人類の危機ですらあるのだ。

だから俺は焦る。ベルトを作る。

そして、適合する操縦者をピックアップする。誰に使わせるか・・ソレを考えて、データを照らし合わせる。

そして、見つけた。そのパイロット名は【ナターシャ・ファイルス】、使用機体名『シルバリオ・ゴスペル』。アメリカとイスラエル共同開発の高機動型広範囲制圧機体らしい。

・・この機体性能と使用する武器、そして代表のコーリングと親友関係にあるというのも好条件だ。

ベルトが完成し次第、すぐさまアポイメントを取ろう。

・・ダークライダーのはずなのに世界の事を危惧して焦るとは・・俺も丸くなったもんだ・・。

まぁ、仕方ない。此処には大勢の友人や仲のいい人間が居るんだ。

その関係は嫌いじゃない。程よい距離感が気に入っているんだ。

「・・だから、俺の邪魔をする気にくわない奴をぶっ潰す。それで良いんだ。」

声に出して覚悟を決めた。俺は俺らしく、ダークライダーの力とファントムトリガーの権力を使って全てを手中に収める。

俺のベルトは決まっている。それと同じ種類のベルトを元にシステムの構成をしていく。

シルバリオ・ゴスペルにOSのアップデートでフレームシステムに付け替えるだけで良い様に機体のフレームを作り上げる。それから、それにベルトシステムを組み込むようにあらかじめから作って置く。

後は機体からコアを移し替えて、フレームに外装をつけかえたり、内部のシステムと兵装を連結させたりすればいいだけだ。

「さて、本気ではじめるか・・。」

俺は自身の力を引き出して全力の大急ぎでのシステムを一から作る作業に入る。

おそらく常任で有れば脳が焼き切れるほどの計算と構成の連続を端末で打ちこんでシステムを構築していく。

『相変わらずのコンピュータ顔負けのスピードよね。まぁ、私も同じくらいにはできるけど・・気分のらないしやらないわ。』

「だろうな。」

会話をする為の方に脳を使うのも実は面倒だが、タナトスシステムとしての人格がはっきりしている以上、構わなかったらいじけるんだよな。そうなると拗ねたり悪戯と称してどんな事をしてくるか分からないのだ。そんな事だけは防がなければならないので・・。

 

前に『人格が有る、タナトスシステムなんて必要じゃない。このようにコンピュータシステムは人の言う事を忠実にこなせばいい。』と言っていた外の企業の技術者が、新しく組んだ最新機能のシステムを我が社『SIRS』に発表していたんだが、それを見て腹を立てたタナトスはそのシステムのファイアーウォールをあっさりと攻略。システムを根本から書き代えて聞かれた事や作業に対しふざけた対応しか返さないシステムにした。

例えば、「この計算を解け。」という命令に対し、その計算式を解いた後、わざわざ答えを二進数で表示。画面いっぱいの0と1の羅列になった。

他にも、「この人物は美人かそうでないか?」という問いに対して、『約200年前の南アフリカ共和国のグレイスさんから見たらとてつもない美人に見えるだろう。』という答えが来た。誰だし、何故そんなとこの個人に限定するのか訳が分からない。逆にその答えは適当じゃない場合で実在する人物の感想だったら怖いと思う。

閑話休題

そう言う事で下手な事だけはさせたくはないのだ。

そしてそんな関係ない事よりも、ベルトを作るのを急ぐ必要が理由が有るのだ。その理由が大きな事実なのだが・・最終的な事だけ言うと、世界が滅ぶ可能性が有る。

その滅ぶ可能性の理由が【戦国ドライバー】と『クラック』の関係だ。

戦国ドライバーを使用するときにはロックシードを使用する。そのロックシードを取りにクラックの中に入る。その先に繋がっているのは【ヘルヘイムの森】だ。

コレが問題なのだ。

このままでは世界は滅んでしまう。

[悪意の無い害悪]という矛盾、ヘルヘイムの森によって・・。

ソレを止める為にも、俺はアメリカの暴走を止める。

言葉で言っても無駄だろう。

難癖や色々と理由をつけて来る。独自で得た力を失いたくないだろうからな。

だが、俺が持っている以上は専用ではない。独占と思っていてもらっては困る。

そうこうしている内に機械が止まる。さぁ、完成だ。

「これを使ってアメリカを説得する。そうでなければ・・滅んで貰うだけだ。世界の為に・・な。」

手に持つのはバックルに装備させる事が出来るベルト。

そして、モニターには量産型のベルトの設計図とシステム。

「この、『天のベルト』と『シルバリオ・ゴスペル』を組み合わせた新しい機体にかける。」

 

世界を守る。納得しないようなら、久々にファントムトリガーの仕事をしようじゃないか。

 

 




因みに、もしもナターシャにつけさせるなら一番適合しそうなイメージは【ピーチエナジーロックシード】ですね。
・・爆発する?
まぁ、別なものが付きますがね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 07

どうも、私です。
では早速どうぞ。


俺は【SIRS】の緊急連絡回線で会議室に主要メンバーを集めた。

学園側には俺達生徒と教師陣、会社側には幹部メンバーが揃ってタナトスの回線を使ってお互いにリアルタイムの会議をする。

「集まったな。・・緊急事項だ。アメリカがライダーのベルトの中でも危険性の高い物を作りやがった。しかもそれを発表した。製作方法は発表して無いが情報漏えいは時間の問題だろう。発表したのは【戦極ドライバー】・・このドライバーには欠点が有る。その欠点とは端的に言うと世界の危機だ。」

俺はモニターの端に情報を提示する。

[鎧武]の世界の情報を映像化した物を作った。

そこにはヘルヘイムの森とインベスの侵攻、そして、悪意無き害悪が世界の狭間[クラック]を超えてこちら側に侵食する可能性を示唆したデータだ。

それを表示したと同時に生徒会長、更識楯無が立ち上がる。

「こちらもタナトスさんを通して情報を得たので、ソレとは別の独自の情報網で調べました。こちらの情報です。」

そしてモニターに出たのは数人の行方不明者のリスト。

「いくらかの行方不明者のリストをタナトスさんに提示。それから情報を元にこの数名が【クラック】を通って[ヘルヘイムの森]に迷い込んだ可能性が高い事を突きとめてます。」

「・・俺の方も異世界との歪みが次第に大きくなっている事を確認した。このままでは世界の危機だ。・・現在でもアメリカの危機でもあるというのに、こちらの情報をもみ消そうとして国内には知らせていないのが現状だ。世界情勢を考えて発表したからには、世界のトップに立とうと躍起のようだ。まったくもって面倒な事だ。」

そう言っていると会議室にオレンジのモザイクが現れた。

「アナザーか?」

そう言うとそのモザイクは人の形を取る。アナザーイチカだ。

「あぁ、ちょっくらイギリスとフランス、ドイツそれからロシアに行って来た。何処も今回の情報を伝えると【反『アメリカ政府公認ライダーシステム』同盟】を組むらしい。今連携して対策用に非公式会見を始めた所だ。しかし、IS委員会のトップに居るのはアメリカ出身の人間。どうやらこっちは俺達と敵対する様だ。委員会のメンバーも各国から来ている分で、組織内がバラバラになっている状態だな。」

こっちに端末を投げて渡す。IS委員会の誰がアメリカと繋がっているかを現したデータだ。

「まぁ、そいつらは今回の件で委員から下ろされるだろう。」

アナザーは肩をすくめると部屋を出て行った。

「どこへ行く?一応会議中なのだが?」

「どうせやることは決まってるだろ?この件はぶっ潰す。なら力を見せる為にそれ用の準備をしておく。俺の機体とライダーシステムの調整だ。」

そう言って片手をあげて振りながら部屋を出て行った。

「・・まぁ、話し合いで決着をつける事が出来ないのは分かっている。仙石、野上・・社の連中と連携してこの量産型ベルトシステムを作れ。クリス、ムラサキは情報収集に努めろ。レナ・マキ・マドカは機体の準備。簪はもう一度確認のための検診をするから、その準備をしておけ。それからクロエ・ラウラ・・お前らには束とあのシステム・・『ジーニアス』を作り上げてもらう。ソレのデータ取りとソレとは別の最強の力、その為の実験に付き合ってもらう。」

「わかった。」「分かりました。」「了解です。」「・・うん、分かったよ。」「了解だよ。マスター!」「おっし!いっちょ暴れる準備だ!」「マキは多少手加減をしろ。・・こちらは少し新しいシステムになれる必要が有る。」

マドカまでは納得してくれたようだが、

「すいません、ジーニアスには明らかにデータが足りていません。まだ時間がかかります。」

「ジーニアスのデータもだが、私の身体も付いて行かない。システムの力の方が強すぎるんだ。」

そう言って申し訳なさそうな顔をする。

「ラウラ・・今からお前を鍛えつつ、俺の力を上げる方法を取る。かなりきついが・・やれるか?」

そう言うとじっと俺の眼を見て頷いた。

「今は強くならなければいけない。何も守れないのは嫌だ。」

そう言って手をぐっと握った。

「・・そうか。ならば・・本気で来い。マドカ、レナ、マキ、ムラサキ、簪、お前等も纏めて相手してやる。」

そう言って俺は【エボルドライバー】を見せる。

「あれ?それって、マドカとラウラのじゃ・・」

シャルロットがソレを見てそう呟く。

「・・私のドライバーだったが、今はクロノスの物だ。私には過ぎた代物だったよ。」

そう言って手を振るマドカ。

「それとシャルロット、お前には新たな機体が渡される。俺と共にアリーナの格納庫へ来い。今回の件、お前にも働いてもらう・・新たなライダーとして。」

「!!・・うん、わかったよ。」

そう顔を輝かせて頷くシャルロット。そう話した後で、モニターの向こう、会社に居る、難しい顔の束に声をかける。

「ジーニアス用のデータはすぐに送る様にする。出来る限り、早く作るのを頼んだ。俺以外に頼めるのはお前しか居ない。」

「・・うん、分かった。頑張ってみる。」

「タナトスさん!お前も束のサポートをしてくれ。」

『最近遠慮が無いわね。良いわ、任されてあげましょう。』

各々がするべき事が分かって顔つきが変わった。

「さぁ、始めようじゃないか。要らん騒ぎを起こした奴等を懲らしめる為の、聖戦【ジハド】だ。世界を守る、運命の掛った対戦になるかもしれない。・・出来る事なら平和的交渉を行おうと思う。せめて代表を決めて戦うとか、そう言う形に持っていければ御の字だ。各自、指示通りに動け。」

そう言って俺達はそれぞれ行動を始める。

 

そして俺はまずはラウラとの特訓に入る。

「おらおら!さっさとやらなきゃ、間に合わなくなっちまうぞ!?」

そう言って、ラウラを吹き飛ばす。

その装備はフレームスタイルのままだ。ライダーシステムを起動していない状態でビルドのラウラを殴り飛ばす。

「ぐぅ・・がはぁっ!?・・・こ、こんなに強いなんておかしい・・」

「何かうめいている時間なんかない!それよりもアメリカの野望をつぶすことを考えろ!」

「そ、そうか・・。しかし私が・・」

「・・しょうがないな・・お前がだめなら・・」

俺はベルトを装備する。それはエボルドライバー。そしてボトルを取り出す。

「それはマドカが使っていた・・」

ラウラが驚いたようだ。だが、すでに『コレ』は俺のものだ。

「・・俺がヤルしかないか・・。」

『コブラ!』『ライダーシステム!』『エボリューション!!』

ベルトに二本のボトルを指してハンドルを回すと圧力を周りに振りまく。

『・・アーユーレディ?』「・・変身・・!」

両手を目の前で交差させた後、まっすぐに肩の高さで伸ばす。

『コブラ!コブラ!エボルコブラ!!』『フッハッハッハッハッハ!!』

「フェーズ1・・」

呟きながらも歩いてラウラに近づくとラウラが慌ててベルトからボトルを引き抜く。そして、すぐさま変身を変えた。『ラビットラビットフォーム』ですぐさま対応しようとする。

高速で移動し、死角に入ったら腕を伸ばしながらパンチを繰り出す。

「その程度で!・・ふん!」

だが俺はそれを見ずによけて一瞬で近づいて逆に殴る。ラウラは吹き飛んで転がり、そのままの勢いを使って体勢を立て直した。

「ぐはぁ!?なんで・・マドカよりも強い!?」

「・・当たり前だ。その理由は簡単だが・・教えるのはもう少し後のお楽しみにしてやる。」

そう言って俺は青いボトルを取り出す。

「・・!?そのボトルは何だ!?私は知らない・・」

「それはそうだ。お前の知らないところでできた新たなボトルだ。」

俺はそのボトルを差し込む。

『ドラゴン!』『ライダーシステム!』『エボリューション!!』

またハンドルを回し次のボトルでの変身を始める。先ほどと同じように手をクロスさせて、肩の高さで伸ばす。

『・・アーユーレディ?』「変・・身!」

青い装甲へと変わり、さらにオーラが青い炎に変わる。

『ドラゴン!ドラゴン!エボルドラゴン!!フッハッハッハッハッハ!!』

「フェーズ2、完了・・」

そうつぶやくだけで辺りにさらに強い圧力がまき散らされて、土や砂が巻き上がる。

「・・っくぅ!?・・なんだ?この力は・・」

目が青く光り前に一歩進む。その迫力で驚いて三歩、ラウラが後ろに下がった。

「・・勝てない・・このままでは無理か・・。こうなれば・・」

新しくベルトを取り出して、腰に装備する。それは『エボルドライバー』。

『ラビット!ライダーシステム!エボリューション!』

ボトルを挿してハンドルを回す・・その手を俺はつかんだ。

「何!?」

ハンドルを持っていた手に『グリップだけ』をつかませる。

そしてパープルメタリックの物体を取り出す。それは『バグヴァイザー』それに取り出したガシャットのボタンを押して、ソレを差し込む。

《デュアルソウル・XX(ダブルクロス)ガシャット!》

ガシャットが差し込まれたバグヴァイザーを手に持ったグリップに差し込んだ。

『インフェクション!レッツゲーム!バッドゲーム!デッドゲーム!ワッツユアネーム?!・・ザ・バグスター・・!』

その音声とともにラウラの体にオレンジのモザイクがかかる。

「ぐぁあああああ!?」

『ラウラ!?・・クロノス兄さま!?これはいったい何を!?』

今まで様子を見ていてどうもおかしいとやっと気が付いたクロエが声をかけてくる。

「・・見ていればわかる。」

「その通り・・。」

目の前にいるラウラの目が赤と緑に光る。それは『仮面ライダークロノス』の力を使うときの俺と一緒だった。

 

『「さぁ・・実験を開始しよう・・。」』

その顔はラウラの笑いではなかった。

 




何が起きたのか・・それはまた次回です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 08

どうも、私です。
また暑くなったり大雨が降ったりと忙しい一日でした。
環境の変化に皆さんも気を付けてくださいね。
では、どうぞ。


「『さぁ、実験を始めよう。』」

ラウラと同化したバグスター体の俺がラウラを操り、一度ボトルを取り外す。挿さっていたのはエボルラビットとライダーシステムのボトルだ。

それを握り、エボルの力を凝縮させて体にある力をすべてボトルに移す。

そして、ソレを終えた後で赤黒く、禍々しい色に輝くボトルをベルトに差し込む。

『ラビット!ライダーシステム!エボリューション!』

「・・変身!」

手をクロスさせて肩の高さで伸ばした『俺』はその力を纏う。

『ラビット!ラビット!エボルラビット!!フッハッハッハッハッハ!!』

変身した後で「俺」がそのエボルラビットの前に立つ。するとラウラの体がその中から出てきた。ラウラは気を失っており、目を閉じてぐったりした状況で出てきたまま倒れた。

【ガチャン・・】

手からハンドルとバグヴァイザーが落ちた。

それを俺は支えて抱え上げ、バグヴァイザーを回収する。

そして、一度アリーナの控室に飛んでベンチに寝かせる。

そして、アリーナの真ん中に立っている『俺』の前に立ちお互いに手を伸ばす。その手が重なった時、エボルの体に俺は入り込む。その結果「『俺』」は一つになった。

「・・フェーズ3・・完了。」

これでまたアメリカの野望を阻止する手に近づいた。

「あとは、・・コレだな。」

取り出したのは石のようになっている一つのトリガーのついた機械。

「・・まぁ、いいか・・。これならもうすぐだし、いざとなれば最終戦でもいいか・・。」

俺はそれを収めて変身を解くとラウラの寝ている控室に入る。検査端末をつけて計測をして問題がないことを診断して終わったところへクロエが駆け込んで来る。

「クロエ、ラウラはエボルの因子で汚染されていた。このままではジーニアスが使えなくなる可能性があった。それ故にその因子を除去したに過ぎない。まぁ・・これからはエボルドライバーを使えなくなったからな。『フルフルラビット/タンク』でどうにか耐えろ。それから、俺が持っている通常のフルボトルのデータと成分はやる。俺には必要になったものがあるからな・・。」

そう言って俺は手持ちのボトルのデータが詰まったタブレット端末とボトルの詰まったボックスを渡す。

「一応データのコピーと劣化量産ボトルがあるが、それはマドカに渡してある。そこにあるそっちの方はオリジナルのボトルだから気をつけろよ。」

俺は手に黒いパネルといくつかのボトルをもって歩く。

「・・さて、アメリカがその気ならそっちでも実験を始めるか・・。」

俺はとある装置を作るための設計図を端末に打ち込んで歩く。

『ネヴュラガス注入装置』『黒ボトルスマッシュ生産計画』

そう打ち込んだデータをある程度の形にして歩みを止める。

たどり着いたのはラボの格納庫。

その扉の前にもう一人の立っている影があった。扉を見つめてこっちに気が付いていない。

「おい、シャルロット・・まだ呼んでないんだが?」

「あ、ごめんね。でも、新しい機体が気になっちゃって・・。通りがかりだったんだけどね?」

「・・そうか。まぁ、いい。もう少ししたら呼ぶ予定だ。一度用事を済ませてここに戻ってこい。」

そういうと顔を明らかに緩ませて、

「わかった。急いで終わらせてくるね。」

そう言って走っていった。

「まだ、最終調整が終わってないというのに・・。楽しみなのは仕方ないか・・。」

頭を掻きながら部屋の中に入るとそのまま椅子に座る。いつものラボの実験室と違い、机の上は乱雑にいろんなものが積んであった。実験した道具もそのまま置いたままだったりしている。

「あ~・・そろそろ片付けるか・・。」

机の上からものをケースに収めていると、出てきた『ある物』・・それは・・、

「これは・・確か未来の・・」

そう、まだ未来に当たるライダーベルトのパーツ。変身道具とでも言おうか。

その『時計のような形をした物』を見るが、・・ケースに収めた。

「これはその時が来ればおそらく使うことになる。なら、俺はその時のためにこれを保管しておかなくてはな。」

それを閉めて机の上もきれいに片づけた。そして、ライダーシステムを組み込んだ機体の最終調整を行う。最後にエンターキーを押して完了音がする。

「完成だな・・。後はシャルロットに違和感がないか聞くだけだ。」

ちなみに俺はライダーシステムを使うメンバーのスリーサイズから体の筋肉量などもすべてを知っている。システムに合わせるためだ。『ビルド』シリーズはハザードレベルに合わせて基本システムは進化する。だが、その力量に兵装が付いていかないことがあるので、強化パーツが必要なのだ。ラウラは特に生まれた元が『アドバンスド』なのでその力が顕著に表れていた。

「クロノス!来たよ!」

「あぁ、ちょうどいいタイミングだな。今しがた最終調整も終わったから、お前が装備して違和感がないか確認するだけだ。これがお前の機体だ。」

そう言って渡したのは腕につけるベルト式の待機状態の機体。

「へぇ・・。リストバンドみたいなの?」

「それは一番最新型の機能がある。種類で言えば旧式に近いが、能力としては俺に匹敵する力があるものを使える。」

「クロノスに匹敵・・って最強クラスってことじゃないかな!?そんなもの渡して大丈夫なの!?むしろ私が扱えるの?」

「大丈夫だ。それじゃアリーナに行くぞ。」

俺は実験用のアリーナへと足を運ぶ。控室にはクロエもラウラもいなかった。

アリーナに飛び出してフレームシステムでISを起動。シャルロットも同じようにフレームシステムで起動した。

姿はあまり変わってないが手首と腰にソケットがある。

「機体名は『装甲昆虫型ライダーシステム【インゼクター】』だ・・。」

「【インゼクター】・・か。」

使い方を教えるために俺も同じシステムを呼び出す。腕にスロットが装備される。

「さぁ、見せてやろう・・最強の力の片鱗を!!・・ふん!」

腰を沈め、腕を伸ばして力を込めて構えて肘をまげて手首を見せるように掲げる。

そこへと金色に輝く機械の昆虫・・コーカサスオオカブトがスロットへとはまる。

「変身!」

『ヘンシン・・』

体に金色の装甲と水色に光る複眼、そして頭に三本の角が輝く。

『チェンジ・・ビートル・・』

「これが『仮面ライダーコーカサス』。コーカサスゼクターを装備した姿だ。」

「・・わかった。わたしはどうすればいいのかな?システムを見たら、ゼクターはいろいろと居るようだけど?それにゼクターをつけるスロットも各所にあるようだし・・。」

「お前に素質は関係なく使えるようにシステムを組みなおした。どのゼクターでも使える。試しに好きなものを呼んだらいい。その時に呼べるものはその機体のシステム内に表示されるようにしてある。」

「わかった・・。じゃあ、コレにしてみよう。来い!カブトゼクター!」

そう呼ぶと空に穴をあけたようにして異空間から赤い機械のカブトムシが飛んでくる。

それを手に持つと腰にあるバックルが連動して光る。どこにつけるかがわかるようになっている誘導システムだ。そこへ赤いカブトムシを装備した。

「変身!」

『ヘンシン・・』

銀色の装甲をつけた赤いライダーが目の前にいる。

「成功だな。違和感はないか?」

「うーん、違和感だらけだね・・。ここまでライダーシステムが力にあふれると思ってなかったから、慣れるのに時間がかかりそうだね。っそれにほかの子も特性があるみたいだし、時間が必要だね。」

「そうか。まぁ、システムの説明をもう少ししておこう。まずはその姿はさなぎの状態だ。その装甲をとることで真のライダーの力を使える。まだ抑えてある状態だ。堅い防御型というやつだ。さなぎは成虫へと成長する。」

「そうなの!?これでも十分力があふれるのに・・。」

各所を見回すように首を動かしているシャルロット。

「さぁ、次の段階だ。アーマーをパージする。まず半分だけゼクターの角を持ち上げろ。」

そういうとシャルロットは言われるとおりに『ゼクトホーン』を半分起こすと、装甲が音を立てて浮き上がる。

「それから、角を完全に引き上げると装甲が飛んで真のライダーフォームになる。それが『キャストオフ』だ。これはあるライダーと無いライダーがある。使い分けろ。」

「うん・・キャスト・オフ!」

『キャスト・オフ!・・チェンジ、ビートル!』

装甲が飛び俺はそれを手ではじく。そして首元に下がっていた角が上がり、完全に頭部に装備されると複眼が光る。

「これが真の仮面ライダーカブトだ。」

「わかった。これならいける気がする。」

「いや、まだ足りない。真の力はこれからだ。」

「えぇ!?」

「『クロックアップ』システムを使え。腰と腕のベルトの両方についている。それを使えばお前は他の者を超えた速度で動ける。周りが遅く動くように見えるぐらいにな。」

「わかった、・・クロックアップ!」

『クロックアップ!!』

そういうと一瞬で目の前のシャルロットが消えるように移動した。俺は腰に手を伸ばす。

「ハイパー・クロックアップ・・。」

『ハイパー・クロックアップ!』

ハイパーゼクターのボタンをたたく。すると機械音が流れ、ほとんど周りの風景が止まった状態で【カブト】に変身したシャルロットが後ろに立っていた。その手は俺の顔をつつくように人差し指が伸びている状態だ。

俺はそれの後ろに回る。そして、後ろから回し蹴りを横腹に決めた。ほとんど動いていないかのようなゆっくりとした動きで横にずれていくシャルロットをさらに地面に殴り倒すように拳を上から落とした。

『クロックオーバー・・』

【ドガゴン!】

音声とともに速度が戻り、シャルロットは体を横に【く】の字に曲げて顔面を地面にたたきつけられていた。実に異様な光景ではあるが・・。

「むぎゃぁああ!?いったぁあああああ!?」

「はしゃぎすぎだ、馬鹿者。」

顔を上げて変身を解くシャルロットは涙目だ。脇腹にも手を当てている。

俺は変身を解きながら腕を組んで見下ろす。

「ご、ごめんなさい・・。」

「下らんことをしてるからこうなる。・・まぁ、このままお前は好きに変身して問題ないか確認しろ。そしてそれぞれの特性を生かすように。」

「りょ、了解です!」

啓礼のようにびしっと額に手を付けて起立をする。

「ならばいい。・・がんばれ。」

そう言って肩をたたいて俺はアリーナを後にした。

後ろから、

「頑張るぞ!」

という意気込みを込めた声を聴きながら。

 




今回、コーカサスだけはもらいましたが、別にシャルに【初代メテオ】ケタロスをやらせるわけではないので・・悪しからず。
正直ほとんどのゼクターは出番がないと思います(笑)
シャルをカブトにした理由は・・特にありません。
では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 09

どうも、私です。
最近私の住んでいる地域はまた暑くなりました。
正直、夏バテなのか気分が悪い・・。
しかも朝は腹痛で早くに目が覚めてしまい寝不足。
夜は暑いうえに湿気が多く寝苦しい。
まったくもって面倒です。皆様は健康管理を大事にしてください。
まぁ、ソレはともかく本編へどうぞ。


シャルロットの新規ライダー化に伴い、新たなライダーをもう一人増やそうと思う。

「そろそろ、体も鍛え終わったころだしな・・。」

それはこの学校に編入してきた昔の知り合い、【鳳鈴音】だ。

ライダークラスに入り、一応の基礎から体力強化に筋力強化などをメニューとしてきた。

それをこなしてきた今こそ、その力を入れるにふさわしいだろう。

さて・・どうするか・・。

とりあえず本人にどういう感じがいいか聞いてみよう。

「鳳、今からラボに来れるか?」

『今からなら暇ね。行けるわ。』

「それなら来てもらおう。いろいろと話したいこともある。」

『わかったわ。それじゃ走っていくから。』

「え!?そこまで‥『ブツッ・・』・・あいつは・・。」

ため息をついてしまう。

『クロノス、いいかしら?』

「あぁ、タナトスさんか。どうした?」

『彼女来たわよ?ゲート前で待ってるわ。』

「早すぎるだろう!?」

俺はモニターを見ると肩で息をしている鳳が映っていた。

「まったく・・。」

すぐにゲートに行って部屋まで通した。

「鳳、飲み物はどうだ?」

「アタシはできる事なら中国茶がいいけど・・いや、走ってきたから今はジュースが飲みたいわ。」

「ジュースか・・。炭酸飲料と果汁飲料、スポーツ飲料があるが?」

「うーん、嫌な予感がするから聞くけど品名は?」

「『ドクター・ゲーマー』『ブラッドオレンジ〈蛇の道〉100%濃縮還元』『やさしいKARADA〈ボドボド〉』だな。」

「悪意ある選択肢しかないじゃない!?」

「俺は愛飲しているぞ?ブラッドオレンジだけだが。」

「マジで!?」

そう言いながらプーアル茶をお湯で出して氷を入れる。

「これで飲みやすいだろ。」

渡すと一気に飲む。

「ごく・・ごく・・ごく・・、ぷはー!うん、おいしいわ。」

さすがに女子が立ったまま腰に手を当てて一気飲みとか、いかがなものかと思う。

「さて、落ち着いたなら話をしよう。」

俺は真正面に席を置く。俺の横にちょうどいい高さのテーブルを置いて鳳と向き合う。そこには筆記用具を置いて話の内容をメモできるようにした。

「ライダーとしての機体なんだが、フレームスタイルの話は分かっているな?」

「基礎の基本スタイルでそこに装甲が付く形なのよね?」

「その通り。その時につく装甲がライダーシステムで決まる。今のところ戦闘スタイルに合わすことが多い。元はダークライダー・・まぁ、それはいいか。俺が使えるライダーを基本としたシステムだったが、他の人物がなれる事による俺の負担軽減と素質の有無の周知、その人物に合わせたシステムの作成が可能になったために、多くのライダーシステムを作った。そして、鳳の戦闘スタイルに合わせての機体を用意しようと思う。ここまではいいな?」

「つまりは本当のアタシの専用機ってわけね。いいじゃない!」

鳳は立ち上がって腰に手を当てて満面の笑顔。

「そう言うと思っていた。」

俺は苦笑い。座れと手で指示する。おとなしく座りなおした。

「さて、どんなライダーが欲しい?いや、聞くなら・・どういう戦闘スタイルだ?」

そう言うと顎に手を当てて腕を組む。そこに寄るほどの胸は無かった。

「何か、一瞬イラっとしたのは何で?」

「俺に質問をするな。」

俺が原因だろうけど、言う訳がない。俺はかなりポーカーフェイスなので分からないだろうし。そのまま流す。

「そう・・。とりあえず、そうね・・もともとが機体に合わせた戦い方なのだけど・・素手や格闘、拳法なんかは得意よ。後は‥銃よりも砲撃なんかあるといいわ。」

「格闘、拳法、砲撃・・か。ナイフや剣などの武器はどうだ?」

「うーん・・そこまでこだわらないわ。あれば使うだけ。」

「そう・・か。」

俺は一つのイメージが湧いてきた。そうだな・・、

「色のこだわりとかあるか?」

「そうね・・名前からして熱い系とか、赤いのがいいかな?イメージってあるじゃない?」

「そうか。・・戦いながら何かするのはできるか?」

「状況に寄るけど・・可能ではあるわね。」

メモを書いてそれからいくつかのライダーをかく。

龍騎、エグゼイド、ファイズ、響鬼、クウガ、アギト・・これくらいか。

「いくつかのライダーを使いまわすのはどうだ?特性が違うライダーを使いまわすと少し難しいが・・。」

「うーん、明らかに違う特性は難しいわね。あと、クセが強すぎるのはちょっと・・。」

ここでファイズ、響鬼、エグゼイドを外す。

「そうだな・・、武器を多種使うのは問題ないか?」

「数種類なら問題ないわ。」

ふむ・・こいつの性格からも問題はないが、アギト、クウガの暴走があるのを考えると飲み込まれそうなのは怖い。つまりは・・、

「お前の機体は〈龍騎〉をもとに造ろうと思う。資料は・・こいつだ。」

ライダーの見た目、装備、能力が簡易的に書いてある資料を手渡す。

「りゅう・・き・・。」

そう言いながら資料を読む。

「リュウガというダークライダーも考えたが、赤がいいんだろ?なら龍騎だな。」

ドラグバイザーをパソコンに出して見せる。

「こいつにこういう構造で、こんな風にカードを入れる。元はいろいろと制約があるが俺が作るISならその制約は取り外せる。ただし、カードを入れるという動作は致命的に隙になりえる。それでもいいならこのまま進める。」

俺は腕を組んで真剣になり、うつむいて考えている顔を覗き込む。すると顔を上げた。

「そう・・ね。・・・いいわ。これで進めてくれる?」

「いいのか?」

「えぇ、アタシ勘がいいの。きっとこの機体となら上手く行くって思うわ。」

そう言う鳳。

「わかった。なら、その方向で話を進める。」

そう言って俺はパソコンのキーボードをかなりの勢いで打ち始める。

「あぁ、出ていくときは認証は無い。すぐに出ていくもよし。その資料を読むのも良しだ。ちなみにお替りなどは自分で入れてくれ。俺はコーヒーをさっき入れたから要らないから。下手に機械類はいじらないでくれよ。そう見えなくても武器になるものだってあるからな。」

モニターの方を見てそう言うと、後ろの方でびくっとした感じの反応があった。

「べ、別に見ているだけよ?あ、あはははは・・。」

嘘が下手だな。まぁ、怪我さえしなきゃいいか。大体のデータは俺の頭の中にあるし。それでなくてもタナトスシステムの内部には記録されている。

・・・・。そういえばこれはかなり重要案件があった。

「そう言えば忘れていたんだが、かなり重要な案件だ。ふざけているんじゃない。それを加味してよく考えて答えてくれるか?」

振り向いてそう言うと、慌てたように鳳が頷いた。・・・何か壊したか?

「えっと、うん。大丈夫。それで何?」

 

「身長、スリーサイズ、それから体の要所を測らせてくれるか?」

「変態か!!??」

「ちゃんとした理由がある。落ち着いて聞け。機体の装甲の可動範囲と干渉しないかのモデリングチェックと専用スーツの製作用だ。ちゃんとした理由があると言っただろう?」

「あ、そ、そうね。ごめん。」

「別に貧乳であるなしは関係ない。」

「煩いわボケー!!」

そう言って俺の顔面に向けてパンチを放つが、俺はそれを掴む。

「ふむ・・あえて困らせる所を言ってやろう。・・左手薬指の直径は・・18.5くらい・・。円周は・・58前後と言った感じか。よし、お前に送る際のリングは17か18号サイズと分かったぞ。」

「え・・?えぇ・・?はぇ!?ひ、ひゃきゃあぁぁぁぁぁあ!?」

その指を測って何になるのかと想像し、理解し、妄想し、暴走した。

「はっはっは。甘いな小娘。まだまだ駆け引きに弱いな。」

そう言ってその手を離す。

顔が真っ赤だ。

「ば・・ば・・」

「・・ば?」

繰り返し「ば・・」とつぶやくので聞き返すと、

「ばかーーーー!!」

そう叫んで部屋から飛び出していった。

うーん、なんとも初々しい反応だ。レナ、クリス、ムラサキにやったら大変なことになるから絶対やらないけど。

あと、トーカにやったら噛みつかれるし、マキなら殴りに来るな。確実に顔を狙って。

あぁいった反応してくれるのは面白い。

 

「さぁて、仕事だ。気分変えて真剣にやろう!」

そう言ってパソコンに向かった。

サイズはムラサキ辺りに測ってもらうように頼むとしよう。

 

因みに後から【タナトスさん】に聞いたことだが、このやり取りは〈タナトスシステム内、特殊フォルダ【タナトスのお気に入り】〉に保存されているらしい。

 




因みに、最近分かったことで長い時間、強い日光に当たると皮膚がかぶれることが判明しました。
昔はそんなことなかったのに・・。
狐面やら造ってる分から妖怪化が進んでいるのかな?
元から肌は白いので吸血鬼とも言われました。
ですが、血は吸うよりも抜かれる方が好きです。
献血って意外に気持ちいいですよね?
まぁ、そんな風に思うのは私だけかもしれませんが・・・。

では、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 10

どうも、私です。
色々とやることあって、遅れました。
あと、予約したつもりがひと月先になってました。すいません。

話はばちこーん変わって、今回変身するのは、なんとあの人!

誰なのかは、この後で。
では、どうぞ。


鳳の機体を作ると同時に、俺は自分が使うシステムのチェック、アメリカの【イーリス・コーリング】、【ナターシャ・ファイルス】にコンタクトを取ろうとしたが・・ダメだった。

既にイーリスは戦極ドライバーの正式運用を始め、それを世界中に配信し始めた。

俺に頼らなくてもライダーの力が使えると言う事で世界中からアメリカへの注文、技術開示依頼が殺到している。

ナターシャの方は完全にイーリスと組み、シルバリオゴスペルにも戦極ドライバーを搭載することを試験的に行っているとの事だ。

 

「っく・・クソが!!」

俺は机の上にあったアメリカの機体とのライダーシステム案を地面に投げ捨てた。

「このままではヘルヘイムの森がアメリカだけではなく、世界中に拡散される。・・どうにか抑える手はないのか・・。」

しかも最悪なことにその危険性を訴えた俺は、自身の優位性を守ろうとする愚かな人物扱いされて、新聞によって各国から叩かれた。日本からもだ。

「何が、【君自身が上にありたいから言っているんじゃないのかね?】だ!!人間はこれだから愚かなのだ!!・・・こうなれば、戦極ドライバーよりも俺の機体たちが上なことを証明し、そのうえで世界中に警告を発せる場を設けるしか・・、そうか!!ビルドの世界であった各代表のライダーバトル!あれを使って世界に広めるしかない!!」

俺は自身の機体ともう一つ、対になる機体を作り始めた。

 

そして、しばらくして二機の機体ができ次第俺はアメリカの代表に宣戦布告し、それを世界中に配信、ライブ中継することを広めた。

「これは正々堂々とした勝負。そちらの代表とこちらの代表、その力の差を世界中で認めてもらいましょう。」

『それをして、こちらに何の利があるのかね?ミスタークロノス。我々はしっかりと世界中に広めている。』

モニター通信でやり取りをする。相手はアメリカ軍務大臣。ISの軍事利用を進めているとはっきり言っているものだ。俺達でさえ一応は学生の形でかくしてカモフラージュしているのに・・。見た目がムキムキならわかるが、丸っこい脂ぎったやつなのが非常に解せん。

「その戦極ドライバーの危険性を隠してな。俺はこの場でそれを訴えてもいい。信じるかどうかは世界中の人間だが、それでもアメリカ自体の信用は落ちる。もし、その勝負でこっちが負ければそれは一切関与しない。むしろ技術提供も行う。それでどうだ?」

『・・なるほど。それでは、ミスタークロノスとドクター束の身柄をこちらに移していただけると言う事と、あなたの作った機体はすべてこちらのものとなるという条件なら・・。』

「問題ない。・・それでは交渉成立だ。ちなみに勝負の際、一切の干渉は無いことを確実に約束する。そちらも真剣勝負、代表選手は二人だが同点ならそちらの勝ちでいい。」

『わかりました。では、日時と場所を設定しましょう。どちらを希望でしょうか?』

「場所はそちらが決めていいし、日時は世界中の配信のために世界IS委員会に決めてもらおう。ちゃんと俺は加わらないし、話し合いの上で決めた後、両方の合意を得る。これで如何か?」

『問題ないですな。では、・・束の間(つかのま)の頂点の座を喜んでいてください。』

そう言ってモニターは通信を切る。俺ではなく、タナトスさんが切った。

『・・あのクソ豚、肉団子にしてやろうかしら?』

「いや、大丈夫だ。・・引導は俺が渡す。」

そう言って金と黒の携帯電話を持つ。

「代表は俺と束だ。」

俺はその携帯をぎゅっと握った。

「・・俺は力を示す。正当性を主張する。・・たとえ世界が正義と言ってアメリカを選択しても、そうなった時は俺は悪として自身の正当性を貫く。・・・それが、世界中の悪であってもだ。俺自身の正義のために、俺は悪にでもなる。」

手の中の携帯を見つめてそう呟く。

「それが、俺の決めた・・ルールだから。」

俺は暗くなったモニターを睨みつけた。

 

そして、相手の指定してきた場所はIS学園の一番大きい『第一アリーナ』。日時はお互いに納得した日時で5月5日AM5時・・わざとか?

そう疑ってしまうな。

だって俺の使うライダーシステムと明らかに関連があるのだから。

実際は世界中の時間を鑑みての事らしい。時差やいろいろな条件下からイギリスか欧州当たりの方でやる物だと思った。

とりあえず、俺と束は選手としてスーツに着替えて他の奴らからライダーシステムを使ったISの待機状態を一時預かった。さらにそれを大会の代表審判役に預ける。そして、目の前の金庫に入れて鍵を2つかけた。

これで相手から他の機体の介入の危険性、横やりや援護などが行えないことを示し、難癖をつけられないようにしたのだ。

こっちの生徒の危険?それをすれば俺が黙ってはいない。

女子供を何かするというのなら、普通にファントムトリガーが動くだけだ。ライダーでなくとも訓練はしっかりとしてある。

そう思って会場で構えると相手の選手二人も登場した。

「・・若いな。イーリス・コーリングだ。」

「初めまして、ナターシャ・ファイルスよ。」

そう言って握手を出してくるが、

「すまないが、アメリカのお偉いさんが難癖をつけないためにも接触は控えさせてもらう。握手をした際に薬などを仕込んだとか言われたくはないのでな。」

「・・そんなことを言ったのかうちの方は?」

その言葉に俺は驚く。もしかして、俺がアメリカに伝えた危険性などは操縦者には伝えられてないのか?・・それもこの勝負に勝ってからか。

「そう・・だな。この勝負に勝ってからすべてを話す。」

「なら、聞けず仕舞いだな。この勝負は私たちが勝つからな。」

そう言って胸を張るイーリス。・・デカいな。鳳の同じ行動でもこうも違いがあるとはある意味面白い。

「そちらは・・篠ノ之束博士ですよね?」

「そうだよ?心配してるの?それとも疑問?・・私の事なんだから、自分で決着つけるってのが筋ってもんだよ。・・愚か者どもに格の違いを見せつけるには私自身が出た方がわかりやすいからね。」

白系のISスーツに兎耳。いつものエプロンドレスでないのが目新しい。だが、それだけ真剣にこの場にいると言う事だ。あの自由奔放の束がこの場にいること自体がすごい事だともいえる。それだけ真剣なのだ。

「さぁ、お互いの第一試合の選手だけ残って、あとは控えの部屋に。替え玉だと因縁をつけられないようにここで変身しよう。」

そう言って束が定位置につく。俺は控室に下がるとシールドバリアーが展開される。

 

『さぁ、今世紀最大のバトルです。アメリカの国家代表『イーリス・コーリング』、テストパイロット『ナターシャ・ファイルス』対、IS学園代表『クロノス・クロニクル』、『篠ノ之束』の代表試合です!』

そう言って俺の居る控室にもモニターが映される。

『第一試合、ナターシャ・ファイルス選手対、篠ノ之束選手!』

お互いに機体の準備をする。束はフレームスタイルを展開。そして、ライダーシステムを起動してベルトを腰につけた。

対してナターシャは『シルバリオゴスペル』に戦極ドライバーをつけて追加装甲型にしたようだ。

『バナナアームズ!ロックオン!』

「変身!」

『ソイヤ!バナナアームズ!ナイトオブスピアー!!』

白い機体に黄色と赤の装甲が増えた。・・あれ、無駄じゃないか?

 

「・・もしも・・この勝負で勝敗に納得がいかなくても・・、世界を救うためなら悪にでもなる。クロノスはそう言った。なら私も覚悟を決めて、・・この場に立つべきだと思った。だからはっきり言う。・・よそ見をするな。お前の相手は、この私だ!」

そう言って『白と青の携帯』を開く。Ψ『プサイ』を象った文字が見えるその携帯電話を持ったまま指は数字を3つ押した。

その数字は【3】【1】【5】・・そして、エンターを押す。待機音がして携帯を閉じる。

『スタンディング バイ・・』

「変身!!」

『コンプリート!』

形態を差し込んで横に倒す。

青いフォトンストリームが体に走り、白と青の仮面ライダーに変わる。

「空の帝王・・天のベルト『仮面ライダー・・サイガ』。」

背中にジェットパック、天のベルトの名のごとく空を駆ける力。

 

「・・さぁ、お前と私の人生をかけたゲームを始めよう。」

そう言って手を構えた。

 




はい、変身したのは束さんでした。
予想は当たりましたか?

次回、新規学園編 11話 
『天のベルト・地のベルト 白と黒の帝王降臨!?』

ではまた次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 11

どうも、私です。
不定期投稿ですいません。
それでは、・・本編どうぞ。


束が仮面ライダーサイガとなり、ISとライダーの力を組み合わせたその機動力で空を自由に高速移動する。

「ほら・・その大きな羽は飾りかな?つまらないね。」

「くっ・・、私とゴスペルが追いつけないなんて・・」

戦いは比較的広いアリーナの中だ。それでもこうも動き回ると狭く感じるだろう。

特に高速で動くのならなおさらすぐに壁に近づく。

思ったように戦えないのだ。

しかも一番の弱点は、シルバリオゴスペルではなく、無理矢理につけた戦極ドライバーとバナナアームズである。

装備が付いたことで背部ユニットの動きがうまくいかないで唯のスラスターとなり、シルバーベル特有の攻撃が行えない。つまり攻撃手段は手に持つ『バナスピアー』しかないのだ。

「実に馬鹿らしい。束・・さっさとケリをつけろ。」

俺がそう腕を組んで言う。

「えー・・。こっちは面白い・・よっ!」

「きゃぁ!?」

空中で方向を変えてジェットパック、SB-315 F フライングアタッカーからブースターライフルモードで射撃。大量のマシンガンのようなエネルギー弾を打ちまくる。

「し、シルバーベルと同じ兵装!?」

「そんな詰まんないもんじゃないけどね。その兵装むかつくし・・バナナロックシードは破壊するね。」

シングルモードに切り替えてチャージ、そのままロックシードへ向けて発射。

「きゃぁあ!?」

戦極ドライバーごとロックシードを破壊。バナナアームズは壊れて消える。そして、よろよろと紫電が走る状態でシルバリオゴスペルは立ち上がる。

「いいじゃん。そっちの方が断然かっこいいよ。」

そう言って束は親指を立ててサムズアップ。

「たしかに・・この子には・・窮屈な思いを挿せたかもしれない・・けど・・、私が負けたらこの子が・・消されちゃう・・。だから・・受け入れて勝つしか方法は・・」

「ばっかだな~。助けを求めればよかったのに。」

「・・え?」

「今の束さんも、クロノスも一緒でその力を消したいと思ってる。危ないからね。だから助けてほしいならそう言えばたすけたさ。ちゃんと理由がある。一つでもそのベルトを破壊できるなら協力するのに。」

そう言いながら両手でうさ耳の形を作る。

「耳だけはいいからねー。助けを求める声は聞き逃さないよん。」

そう言うとナターシャは崩れ落ちる。

「たすけて・・くれるの?私も・・この子も?」

そう言って涙を流す。

「助けるさ・・。束さんはその為にここに居るんだから。ね~?クロノス?」

「・・その通りだ。助けが欲しいなら手を伸ばせ。俺達はそれを掴んでやる。」

「うぅ・・たすけて・・助けてください!」

「束!」

「おうさ!クロノス言わなくてもわかってる!」

すぐさまシルバリオゴスペルのもとに駆け寄る。

「私は、この勝負、負けを認めます!」

『・・ナターシャ・ファイルス戦意喪失。よって、IS学園側の勝利!』

カメラが世界中にその状況を放送した。するとナターシャに向かって数体のISが近づいてくる。

『貴様!ナターシャ!!そのISは解体だ!さっさと回収してこい!』

そう叫ぶアメリカの男。そしてISがナターシャに向けて加速した。

「させないよ。」

そう言って束がトンファーモードにして全部の機体を叩き落した。

さらに武器を構えようとしたらトンファーにミッションメモリを差し込んでトンファーエッジをエネルギー状態にして振り回す。

「せいや!はぁ!!せいやぁ!!」

ブンブンと音がして青い光が敵の武器を切り裂く。そしてミッションメモリを戻して、トンファーを解除。ブースターモードで空に飛んでエネルギー弾をばらまく。

そして、ナターシャを抱えて戻ってくる。

「そんじゃ、こっちで保護ね。もう安心だよ、ナーちゃん。」

「うぅ・・ありがとう、ございます。束博士。」

「えへへ・・。こうしてお礼言われるのも、いいもんだね。」

そう言って頭をかいている。照れているようだ。そうしているうちに向かってきたISは向こうに戻ったようだ。まぁ、まともに動けはしないので回収されたようだが。

『では第二戦を始めます。各代表ISは前に。』

そう放送があって、俺は前に出る。

相手側からもイーリスが出てくる。お互いに中央まで進んだ。

「へ、ぶっ飛ばしてやる!」

そう言ってイーリスはIS『ファング・クエイク』装備。その拳が目立つ機体にベルトを装備。戦極ドライバーを構えて装備。そして、ロックシードを構える。

『クルミ!ロックオン!』「変身!」『クルミアームズ!ミスターナックルマン!!』

・・ミスターでも、マンでもない。という突込みは野暮だろうか?

そう思いながらもため息をついた。

そのまま深呼吸。そしてフレームスタイルとベルトを構える。

正面に構えると全員が手拍子を打ち始める。

「オーガ!オーガ!」

と束が叫ぶと、それに合わせて波のようにその声は広がる。そして、会場中のIS学園生徒や主要国の代表からの声が一斉に重なる。

『オーガ!オーガ!オーガ!』

金色と黒のベルトを腰に装備。そして、黒と金色そして赤の携帯を取り出す。

『ピロピロピロ・・』

片手でゆっくりと数字を押す。

『0』『0』『0』と入力、それからエンター。そして携帯を閉じる。

『スタンディング バイ・・』

「変身・・。」

携帯をベルトに差し込み横に倒す。

『コンプリート!』

金色のオメガストリームが流れて各所の形を作る。

頭の上で『Ω』オメガの形を作り、その中心は赤いコアのようになる。

そして、変身が完了した後で体中のサブコアが光り、変身時の余剰エネルギーが周囲に衝撃波を撒く。

「・・大地の帝王、地のベルト・・仮面ライダーオーガ・・。」

そう言うと衝撃波で浮いた賢者の衣『ワイズマンローブ』がはためいた。

「さぁ・・始めよう。・・いや、終わりにしようか・・。」

そう言うと拳を合わせてイーリスは殴ってくる。

「いきなり調子づいてんじゃねえ!」

そう言って俺の顔面にその拳がぶつかる。

『ドガン!』と音がして衝撃が地面に伝わる。

「へへ・・どうだ?こっちの強さは・・!?」

「強さ?・・弱さの間違いだな。」

防御もせずに棒立ちでも全くダメージは無い。装甲はルナメタルという強固な素材を使い、普通の装備では傷一つつかない。そのうえで相手はISにレベルを『下げて』使用しているのだから、一切問題は無かった。

そう、『ベルトに合わせて作ったIS』と『ISに合わせて能力を下げたベルト』では初めからその強さなどは決まっていたのだ。分かり切ったその強さを見せて納得させるためにこの場がある。まぁ、結果は分かっているのだがな。

俺はその場で拳を構え、殴ってきたナックルを殴り返す。

「むん!」

「がっ!?ぐぁああああ!?」

巨大な拳が砕けてその下の腕まで折れる。一瞬のダメージが大きすぎてISがその処理をできなかったのだ。

「て、てめぇ!?いったいその強さは・・」

「・・言ったはずだ。帝王だと。世界を統べる強さ、その一端だ。」

俺は一歩ずつ進み、近づくと顔色を変える。それは恐怖。

「戦極ドライバーは世界を変える?あぁ、確かに変わったな。世界はこのままでは破滅する。世界中にクラックが現れて怪人、インベスに人が襲われる。クラックに飲まれて人は怪物と化す。それをなくすために俺たちはその使用をやめろと忠告してきた。しかし貴様らはそれを捨てれない。一度得た力を捨てることができなかった。だからしがみつき、固執し、俺の忠告も無視してそのベルトを使い続けた。」

「・・なんだと!?クラックが!?世界中に怪人が現れて!?いったいどういう事だ!?」

「・・?貴様らアメリカの上層部は知っていることだ。貴様ら装着者は知らないで使っていたと?」

「そん・・な・・。これは世界をお前の支配から解放するための力だって・・。」

「それは世界を汚染する力。だから取り上げようとした。それを使う事にヘルヘイムの森は種子をこの世界に撒き、クラックは根付く。悪意無き侵略が始まり、次第にクラックはこの世界を食らう。ヘルヘイムの森とインベスにこの世界は汚染されて、食料は無くなりヘルヘイムの森の食べ物を口にする。そして人はインベスとなる。」

俺はその手にオーガストランザーを持ち、空へと構える。

そして、銃のようにエネルギーを打ち出すと、上空から迫っていたISを二機打ち落とす。

どんぐりと松ぼっくりだ。そのままベルトを破壊する。

「真実を広げられて、結局は力づくと・・そう言う事だな?」

俺は落ちてきたISを見て構える。その操縦者に向けて剣を突き刺す。

「そして・・俺は、どうにかそれを止めたかった。」

二人の人間を剣で突き刺してついた血を振って払う。

「そして、これからも・・そう思っていた。」

そこへクラックが開き、インベスが三対襲ってくる。

俺はミッションメモリを剣、オーガストランザーに差し替える。エネルギーが長剣となり、それを構えた。

「だが、もう遅かったようだ・・。」

『エクシード・チャージ・・』

「・・ふぅ・・はぁっ!!」

横一線に払うと襲ってきたインベスはすべて金色のフォトンブラッドで切られて、空中で爆散する。

「・・イーリス・コーリングよ、貴様が守りたかった世界はもうおしまいだ・・。」

そう言って俺は戦極ドライバーを打って破壊した。通常のファング・クエイクになる。

「くぁ・・!?そ、それは・・一体どういうことだよ!?終わりって何がだ!?」

「時間切れだ。」

そう言うとまたクラックが現れる。今度は観客席、そして、モニターしていた世界中へと。

「この世界とヘルヘイムの森がつながりすぎた。俺がこうしている間にもアメリカはベルトを使い、ヘルヘイムの森とこっちを行き来していたのだろう。その時間があまりに長く、こちらの世界を汚染した。つながりすぎた世界は一つになろうとする・・。」

そう言って倉庫を壊し、中身をすべて取り出す。

俺は変身を解いた。

 

「・・滅ぶ時が来た。ただ、それだけだ・・。」

 




天のベルト、地のベルト。
実は見てないんですよねぇ・・あの映画。
当時ライダーを見てない時期で、あとから面白かったことを知り後悔しました。
あぁ、あの頃に帰りたい。

というところで、また次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 12

どうも、私です。
なんか、いまいちゼロワンにノリが付いていけないんで困ってます・・。
なんでだろう?ネタに使うイメージが浮かばない。
もし好きな方が居たらすいませんが、おそらく私の作品には出てこないかと・・。

と言う事で本編です。


俺は変身を解いた。ここからはもう時間がないから。

「「「「クロノス!」」」」

皆が俺のもとに来る。すぐさま変身道具を渡す。

会場に現れたインベスは観客を追いかけている。

「来て!ドレイクゼクター!!」

シャルロットはそう言ってトリガーのついたグリップを掲げると、そこにドレイクゼクターというトンボ型のメカが飛んでくる。それが合体し銃のようになると構えた。

「変身!」

『ヘンシン』

すぐさまシャルロットが変身し銃を撃つ。

インベスに見事当たり、怯むが一体がかまわずに一般生徒に向けて手を振り上げた。

「キャストオフ!」

『キャストオフ・・チェンジ、ドラゴンフライ!』

アーマーがパージされてそのまま腰のベルトに手を持っていき、

「クロックアップ!」

そう言っていきなり目の前から消えて、会場の観客席にいた。インベスと観客の生徒の間に立っている水色の装甲をした機体。

『ライダーシューティング!!』

「はぁ!」

そう声が聞こえていきなりインベスが爆発した。残りの人は逃げて、会場にIS操縦者以外に人はいなくなる。残るは数体のインベスだ。シャルロットは外へと安全を確認しに出ていく。そのほかのメンバーもすぐに外へ出て行った。

俺とアナザー、ラウラと束はこの会場で構える。おそらくは一番クラックが現れやすいのはここになっているから。

「それじゃ、俺も戦うとしますかね・・。」

アナザーがガシャットとベルトを取り出した。

『デュアルガシャット!ザ・ストロンゲストフィスト!ワッツ・ザ・ネクストステージ?』「変身。」

『ガッチャーン!マザルアップ!悪の拳強さ、闇のパズル連鎖、悪しき闇の王座!パーフェクトノックアーウト!!』

「仮面ライダー・アナザ―パラドクス・・レベル99。」

変身したアナザーはその手にバグヴァイザーツヴァイを構えてつっ込む。

「行くぜっ・・はぁ!」

観客席に飛んでそのまま着地と共に攻撃を行う。

チェーンソウの音が響きながら相手を切り裂く。

「おら、どうした!」

蹴りを入れてさらに殴り、又チェーンソウで切りつける。

「終わりだ!」

そう言ってゲートを閉じてまた開く。

『ウラワザ!パーフェクトノックアウトクリティカルボンバー!!』

「せいやぁああ!!」

そう言って蹴りを決めるとインベスは爆発した。

 

「うーちゃん、今こそ使うときだよ!」

「分かりました、束博士!!」

そう言ってラウラはビルドドライバーを装備した。

そして、白と青そして金色の大きなものを取り出す。

「完成した、私の力を見せてやる!」

『グレート!オールイエーイ!』

上部のスイッチを押した。その大きなものを前に構える。

「さぁ・・実験を始めようか!」「私たちの努力の結晶を!!」

そして、ボトルを挿してハンドルを回す。周りに夥しい数のボトルが現れる。それはすべてラウラの周りを取り囲むように回る。

『ジーニアス!』『イエイ!イエイ!!イエイ!イエイ!!・・アーユーレディ?』

「変身!!」

腕を構えてショートボクシングの構えから交差させて両脇に構えるとその体にその大量のボトルが刺さり、白いパーツが現れる。それはあまりに・・とてつもない見た目だった。

『完全無欠のボトル野郎!ビルド・ジーニアス!!スゲーイ!モノスゲーイ!!』

その見た目で俺は驚きつつも拍手をした。

「おめでとう。ここに真のビルドの力は完結された。」

ジーニアスボトル・・その完成を祝った。

「さぁ・・行くぞ!!」

そう言って走り、インベスを殴るとそのインべスは激しく飛び、壁に叩きつけられた。

「さらに!はぁ!」

そう言ってレバーを回転させると『ワンサイド!ジーニアスアタック!!』という音声が鳴り、その拳にエネルギーが集まり、インベスは吹き飛び爆発した。

アリーナ上部にまたクラックが開き、そこにいたアメリカのIS操縦者が狙われる。

「敵だろうが・・今は!」

『ワンサイド!逆サイド!ジーニアスブレイク!!』

レバーをまた回して今度は遠くから蹴りを決める。

そして、最後にはイーリスを狙ったインベスに向けて飛び、イーリスの前に立つとそのベルトを回す。

「勝利の方程式は決まった!!」

『ワンサイド!逆サイド!オールサイド!!ジーニアス・フィニッシュ!!』

そして、宙に浮くとエネルギーが足に集まり、そのまま回転して斜めに蹴りを決める。

インベスは爆発四散した。

「・・これで、私たちの力が・・」

「やっと、完成した。」

俺は正直にすごいと思う。そのフルボトルの力を集めた力は・・実にすごい。

 

そして、この瞬間に残すものはトリガーのみとなる。

最後への・・パーツはそろい、あとはその準備のみ。

 

「さぁ・・終焉の力を・・解放しようか。」

 

引き金のために俺はその力を使う事とする。

 

「全員付近を確認して安全確認が終了したら集合。・・場所はアリーナだ・・。」

俺は端末にそう声をかけた。

【クロノス・・?何か声が怖いわよ?】

「・・タナトスさん、・・まぁ、面白い事でも始めようとね。」

そう言って端末を服の中にしまう。

そして、しばらくして全員が集合した。俺はアリーナの中央に立つ。皆は観客席から見ている状態だ。

「やぁ・・此処までやっと来れた。長い時を重ねて・・此処まで。やっとだ・・。」

そう言って手を開く。そこには黒く、石のようなものがある。

「ここまで来たら、お前たちにはもう時間も・・道も残されていない。」

そう言って俺はフレームスタイルを展開。エボルドライバーをつけるとボトルをセットする。そして、ハンドルを回す。

『コブラ!ライダーシステム!エボルマッチ!』

「・・変身・・。」

手を交差して前に突き出す。

『コブラ・コブラ・・エボルコブラ!・・フハハハハハ!!』

「そして、お前たちにも価値は無い。」

そう言ってエネルギー弾を手に集めて放つ。

「な!?」

「マキ!!」「分かってる、姉さん!!」

即座にマキとレナが楯になりつつ機体を展開。しかし、その爆発ですぐさまグリスとクローズチャージは爆発し、二人は地面を転がる。

「あ・・あが・・、マ、スター・・?」

「てめ・・ぇ、何‥を!?」

転がった二人を見ても別に何もしない。

「いったい何を!?何を考えているの!?クロノス!!」

「今はこんなことしてる暇はないはずじゃ・・」

そうシャルロットと鳳が呼びかける。

「クロノス!!」

「答えろ!!」

「「「「答えてくれよ!!」」」」

 

「騒ぐな、愚人ども。」

 

俺は指をさす。その先はラウラだ。

「ジーニアスボトル・・それをよこせ。」

「な、なんでこれを!?」

「寄こさないなら、力ずくで奪う。それだけだ・・。」

そう言って俺はエネルギーをためる。

「言ってわからないなら・・みんな、やるよ!!」

「「「「「「変身!」」」」」」

それに全員が反応して変身。

シャルトットはカブト・アーマー形態。鳳はできたばかりの龍騎。

アナザーはアナザーパラドクスになり、ラウラはビルド・ジーニアス。

簪はクローズマグマ。クロエはローグ。マドカはクロコダイルローグ。

束はサイガとなり、チョコとバニラはエンジンブロスとリモコンブロス。

そして、こっそりと制作していたブリザードナックルを、姉の更識楯無が装備していた。

「妹を守るために・・訓練してきたの。冷徹でも、冷たいと言われようと・・妹の為なら心を凍らせて受け入れる。・・だから!」

『ボトルキーン!グリス・ブリザード!』

「変身!」

『激凍心火!グリス・ブリザード!ガキガキガキガキ!ガキーン!!』

「死闘!渾身!全霊!!妹を守るために、【私】は『私』を超えた!!」

そう言った楯無にも拍手。正直、称賛に価する。

「さて・・そんじゃ、準備もできたし行くとしますか・・。オラ!!」

そう言って貯めたエネルギーを放つ。

「さぁ・・俺を止めて見せろ!!」

それが戦闘開始の引き金になる。一気に全員との距離を詰めてそのまま、俺対他の全員と言った形になる。

「何でこんな事を!?」

「もうやめてよ!!」

「いったいどうしたっていうのさ!?」

そんな言葉が飛んでくるが、それでも俺は戦い続ける。

「その程度で終わるか・・なら、俺が殺してやる・・。」

本気の殺意をぶつけると全員が構えた。

「そうだ、その意気だ!さぁ、戦いをしようじゃないか!!」

そして、ライダー同士の戦いが始まる。

 

 




こっそり、楯無グリスブリザード化させました。
だってイメージがロシアだから氷系のキャラだったし。
ロシアで洗濯物を干すときは氷点下で干して、氷をはたくってほんとですかね?

まぁ、そんなこんなでまた次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 13

どうも、私です。
実はそろそろこの作品も終わりに近づいてます。
まぁ、世界の終わりとか言っているのでわかりますよね。
では本編へどうぞ。


「心頭!滅却!激凍!!・・クロノス!何を考えているのかわからないけど!!」

「熱血!灼熱!情熱!!・・貴方を止めて、話を聞くしかないのなら!!」

「オレ達はやるしかない!」

「そう言う事だよね!!」『ソードベント!』

そう言って楯無、簪、アナザー、鳳が構えた。

四人に囲まれながらも俺はそれをさばいては攻撃を仕掛ける。

「ふん・・甘い・・な!!よっと、・・はぁ!・・アナザーは後ろを取ったつもりだろうが、お見通しだ!鳳はまだ動きが甘い!気配も殺気も闘志も未熟!!」

すべての攻撃にカウンターで返した。

「・・なら、合わせるよ!・・皆!!」

シャルロットがカブトゼクターでキャストオフした。

「シャルロットの言うとおりだ!攻撃を合わせなくちゃいくらやってもキリがない!」

ラウラもジーニアスフォームで攻撃を仕掛けるよう全員に呼びかける。

「チョコ・・本気で行きなさい。」

「オッケー!お姉ちゃん!」

バニラはネヴュラスチームガンからギアエンジンを抜いて投げ渡す。

チョコはそれを受け取り、順番に差し込んだ。

『ギアエンジン!・・ギアリモコン!ファンキーマッチ!・・フィーバー!!・・パーフェクト!』

バニラはフレームスタイルに。チョコはカイザーシステムで『ヘルブロス』となる。

「それじゃ・・大義のために貴方を倒す!!」

マドカはクロコダイルローグで構えた。

「アタシも構えるしかないわね!」『サバイブ・・アドベント!』

束とクロエはどうすればいいのか・・おそらくは俺の行動理由を考えているのだろう。

二人で話しているのが見える。

「それじゃ・・皆、一気にキックで押し切る!」

シャルロットがそう言って全員が構えた。

『シングルアイス!グレイシャルアタック!』

『レディ・ゴー!!ボルケニックフィニッシュ!!』

『1・2・3・・ライダーキック!』

『ファイナルベント!』

『ウラワザ!パーフェクトノックアウトクリティカルボンバー!!』

『クラックアップフィニッシュ・・』

『ワンサイド!逆サイド!オールサイド!!ジーニアスフィニッシュ!!』

「「「「はぁあああ・・はああああああぁあ!!」」」」「せいやぁあああ!!」

必殺技を構えた全員が飛んでライダーキックを決めてくる。

 

「そうだ、・・・それこそが待ち望んだ瞬間だ!!」

そう・・俺はこの瞬間を待っていた。

即座に持っていた石になったパーツを前に出す。

「な・・!?」

「何を!?」

「効いていない!?」

「いったいどういう事!?」

キックのエネルギーはすべてこのパーツに吸い込まれていく。

「これを起動させるためにはハザードレベルが6以上の攻撃を受け、吸収しなければならない。ここに居るメンバーはあまりレベルが高くない以上、全員の力でなくては、これは完全には起動しないからな!!お前らには感謝してもしきれないよ!!そう・・これこそが俺の狙いだったのだから!」

石が色を帯びて黒いパーツと変わっていく。

そして、全員のキックのエネルギーを十分に吸った時、衝撃波をまき散らし、キックをしていたライダーたちは全員が吹き飛ばされる。

「さぁ・・やっと・・。この時が来た・・。」

宙に浮いたそのパーツを掴む。

『エボルトリガー』・・それが遂に完成した。

それをエボルドライバーの上部に装着する。

『オーバーザエボリューション!コブラ!ライダーシステム!エボリューション!Are you ready?』

「変身!」

『ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!フッハッハッハッハ!』

白と黒の鎧を装備したライダー、『エボルブラックホール』になる。

「・・フェーズ4・・完了。」

そう呟くとともに、衝撃波が辺りを襲う。

「うわぁ!?」

「なんて・・強さだ・・。」

「まだ強くなるなんて・・。」

そう言われるが俺はそのまま動きを確かめる。

「ふむ・・意外と悪くはないな。力があふれて動きづらいかと思ったが・・ふん!」

エネルギー弾を空に開いたばかりのクラックへと打ち込むと、その場にブラックホールが開き、クラックとインベスがブラックホールに吸い込まれた。

「ふむ・・これで得た力はオレに流れる・・。知識通りだな。」

そう言って振り向く。

「さぁて・・これで俺の目的はあと一つ・・。」

そう言ってラウラの目の前に瞬間移動した。

「何!?」

「いただくぞ・・。」

そう言ってラウラのベルトからジーニアスボトルを引き抜き、そのまま体を回してラウラを蹴り飛ばした。

「ぐぁあああ!?」

「ラウラ!」

すぐさまシャルロットがそれを助けた。

「あとは・・ふん!」

俺はチョコにエネルギー弾を撃ち込むとその後ろにいたクロエと束を巻き込んで壁に叩きつけられる。

「がぁああ!?・・きゃぁ!?」

「ぐぅ!?」

「あが!?」

そのまま爆発の余波で、三人は変身が解ける。しかもベルトも武装も破壊された。

「三人は脱落・・レナとマキもだな・・。」

あの二人のスクラッシュドライバーも破壊したのでこいつらはもう変身できない。

「そんじゃ、俺の最後の目的のために・・ラストフェーズと行きますかね・・。」

ジーニアスボトルを手で持ったまま投げたりして遊びながらアリーナから去る。

 

用意したのはパンドラボックスと黒のパネル。

それをもって俺はとある場所に向かった。

それは日本を三等分した際の真ん中に位置する場所。

そこへ向かって俺は歩く。

瞬時に移動もできるがそれじゃあ楽しくないからだ。

途中、アメリカやそれに属する奴らからISと戦国ドライバーを装備した奴の攻撃を受けたがそれはすべてぶっ潰した。

インベスやクラックも途中で何度も見かけたがそれはブラックホールを撃ち込んだ。

代わりにそのあたりは荒野みたいになっていたが。

 

そして、目的地に到着した。

ヘルヘイムの汚染も止まらず、どうしようもなくなった俺は『パンドラボックス』と呼ばれるボトルの力を開放するための装置を使うことにした。

元の世界では火星から持って帰ったものらしいが、それを俺は一から作った。この世界では火星に文明は無かったからだ。エボルトの因子はどこから来たのか・・それはエボルトの力を作ったからその因子を連れてきた。つまり俺がエボルトの原因だ。

ボックスを発動させると地面から巨大な壁が現れて、見える範囲でこの国を三つに分けるように立ちはだかる。壁の上も赤い光で通れない状況になった。

それを見た後、俺は一枚のパネルのソケットにボトルをベストマッチで差し込みそれをボックスに取り付けた。それを三枚取り付けると三つの仕切っている壁の起点になった部分が開き巨大な塔が現れていく。

「まったくもって、どうしようもないものだ・・世界と運命という物はな・・。」

手を振ると壁が消え、入り口が現れる。歩いて現れた塔の階段を上る。

俺はパンドラボックスを使いそのボックスの周りにボトルを差し込むソケットの壁を取り付けて、そこにボトルを差し込む。

『海賊』『電車』『ベストマッチ!』

「この世界を救うためには・・」

そう音声が鳴りつつベストマッチコンボを差し込み続ける。

『鹿』『ピラミッド』『ベストマッチ!』

「この方法しか思いつかなかった・・。」

それぞれ六面あるパネルの上面以外のソケットに差し込んでいく。

『ハリネズミ』『消防車』『ベストマッチ!』

「そんな俺を許さなくていい。恨んでいい・・。だから俺はコレをやり遂げる。」

五面のベストマッチコンボのボトルは差し込み終わる。順番に挿すほどに塔は高くなっていく。上から見ると円が重なるようにも見えるが、中心に行くほど高い位置にある。

それによって天を目指す高い塔ができた。屋上にはストーンヘンジが組まれている。

これはパンドラタワーと呼ばれるものだ。これこそ、世界を終わらせるバベルの塔。

最後に残った上面の黒いパネルにネヴュラガスによって黒くなったボトルを挿しこむと金色と黒に輝く。それを差し込み続け、最後に残った黒いボトルを差し込む。すると、上空が暗くなる。

見上げた先には巨大な黒い闇、『ブラックホール』が存在していた。

「これで、俺の仕事も終わりか・・。」

その力と共鳴するようにボックスは宙に浮かび、巨大な力を纏って存在している。

 




これで、フェーズ4です。
この世界の終りももうすぐ・・。
ではまた次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 ファイナル 前編

どうも私です。
今回は二話、連続投稿となっております。
前・後編でこの物語は終わりとなります。
では、

皆さま、善き終末を・・・。


五面のベストマッチ・コンボのボトルを差し込み終わる。最後に残った上面の黒いパネルにネヴュラガスによって黒くなったボトルを挿しこむと金色と黒に輝く。それを差し込み続け、最後に残った黒いボトルを差し込む。すると、上空が暗くなる。

見上げた先には巨大な黒い闇、『ブラックホール』が存在していた。

「これで、俺の仕事も終わりか・・。」

その力と共鳴するようにボックスは宙に浮かび、巨大な力を纏って存在している。

 

「何をするつもりなんだ!?クロノス兄さん!」

 

そこへラウラが飛び込んでくる。続いて他のメンバーも入ってくる。

塔の屋上は庭園のようになっており、今は力の暴風が吹き荒れている。

「これによって世界を滅ぼす。そうでないとこれ以上は宇宙が危険だからな。」

そう言いながら俺は『白い』パネルとラウラから奪った『ジーニアスボトル』を取り出す。

「そして、『こう』する訳だ・・。」

俺はその白いパネルを黒いパネルに乗せて、その上からジーニアスボトルを重ねた。すると上空に向けて光の線が飛び出していく。

するとブラックホールからもう一つ、地球が現れて引っ張られるように近づいている。

「あの地球はここと違う世界。並行世界の地球だ。あの世界も終わった世界。どちらも滅びなければならない世界同士。それをこの世界にぶつけて対消滅させる。」

「そんなことしなくても、ヘルヘイムの森を退治すれば・・。」

「もう遅い。・・汚染が広がった。アメリカや日本だけじゃない。世界中どこにもインベスや敵が現れている。クラックに引き込まれて居なくなる人も後を絶たないし、逆にヘルヘイムの芽がこちらの世界にも芽吹き始めた。もうこの世界はおしまいなんだ。だから、俺はこの『エボルト』の破壊の力を使うことにした。」

手元のボックス、『パンドラボックス』を叩く。

「こいつを止めたきゃ、俺を倒すことだ。俺は光に乗って途中の次元の狭間で待っている。お前らが俺を倒そうとするなら受けて立つ。覚悟してこい!」

そう言って俺は光に乗って宇宙へと飛び出す。そして、荒野のような世界で座る。

・・あいつ等の正義を信じて。

 

どうする・・本当にこのままじゃ世界が・・でもクロノス兄さんの選択も間違っていない・・。

そう私『ラウラ』は悩む。

「「「「変身!!」」」」

そうしていると、アナザーイチカと簪、シャルロットと鈴音が変身をする。

アナザーパラドックス、クローズマグマ、ダークカブト、龍騎が空を見て構えていた。

「お前ら・・。」

「クロノスがあんな言い方をしたんだ。」

「たぶん、何か考えがあるんだと思う。」

「なら私たちはそれを支えなくちゃいけない。」

「そうしてやるのが、あたし達のやることだから!」

そう言って四人は光に乗って飛んで行った。・・それを見つめて頭を振る楯無。

「簪ちゃんだけにかっこいいとことられたくはないわね。・・変身!」

『グリスブリザード!』

ブリザードナックルにボトルをはめ込みソレをベルトにさしてハンドルを回す。

『激凍心火!グリスブリザード!ガキガキガキガキ!ガキーン!』

【グリスブリザード】に変身した楯無も飛んでいく。

 

目の前にある塔の壁に飛んで行った全員が戦っている映像が映し出される。

人数がいてもやはりクロノスには敵わないらしく、攻撃を食らわせながらもみんなが倒れていく。それを私はどうするべきか・・こぶしを握り締めて歯を食いしばる。

そこへ、塔を上がってきたほかのメンバーが後ろから背中を押すように手を当てた。

「私はもう、あなたに託すしかありません。」

「こっちももう変身ができないからさ。」

「アタシ等の分まで、あいつをぶっ飛ばしてきてくれ!」

「アタシもあんたに、」「私もあなたに、」「「託す。」」

クロエ、レナ、マキ、チョコとバニラも私の背中を押してくれた。

隣へマドカが立つ。光を見上げながら、

「さぁ、これが最後になるだろう。クロノスのことだ。」

そう言って『フルフルラビットタンクボトル』に似た形状の紫色した長い物を取り出す。

それを二つに分けるように折り曲げた。ベルトは何故かビルドドライバーだ。

『プライムローグ!!』

それを挿すと待機音が流れ、ハンドルを回す。

『ガブッ!ガブッ!ガブッ!ガブッ!ガブッ!・・アーユーレディ』?

「どちらにしろ、世界に対して何か考えがあるんだ。きっと・・。わたしはそれを信じてる!変身!」

『大義晩成!!プライムローグ!!ドリャドリャドリャドリャドリャァァーーアッ!!』

ローグを最後の強化した姿、『プライムローグ』へ変身してこっちに手を伸ばす。

「大義のために、何かを犠牲にしようとしている。それを一緒に聞くぞ。」

「・・そうだな。相手は自己中心的で自意識過剰で、・・それでも誰よりも優しいあのクロノスだもんな。」

『マックスハザードオン!』

ハザードトリガーとフルフルラビットタンクボトルを取り出す。

『ラビット&ラビット!』

「私は世界を救いたい。皆を守りたい。だから・・」

『ドンテンカン!ドーンテンカン!ドンテンカン!ドーンテンカン!』

待機音がして、ハンドルを回す。

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!』

と音声が流れながら歯車が回り、赤いロボットのウサギが飛んでくる。

「変身!」

ウサギが割れて装甲となり体に装備される。

『紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!』

変身した私はマドカとともに光に走ってその光に乗って飛んでいく。

「世界を守るために、クロノスが何を考えているか知りたいんだ!」

 

光の先にあった荒野に、先に行ったみんなが倒れていた。

「私たち姉妹の力!熱い思いをぶつける!燃え滾るこの思いを!!」

「心火を燃やしても凍るほど固い!この滾る思いを!!」

「「誰か私たちを止めてみろぉぉぉおおお!!」」

クローズマグマとグリスブリザードが攻撃を連続している。姉妹そろっての巧みな連撃だ。

「止めてやろう、貴様らの運命さえも・・、なぁ!!」

だが、それもエボルトによって防がれていく。

「ふむ、メインが来たな。では、お遊びはこれまでだ。」

『レディ・ゴー!・・ブラックホールフィニッシュ!!チャオ!』

ハンドルを回して、技を打つために右足と拳にエネルギーをためて構える。

「「きゃぁー!?」」

二人の拳をそのエネルギーの拳で殴りあって反発させて二人を同じところに一纏めにしてそこに回し蹴りを決めた。

吹き飛んで地面に転がり、変身が解けた二人に同じようにダメージを食らっていたアナザーとシャルロットに鈴音が這いずりながら近づく。

マドカはそのみんなを助けて後ろへと下げていく。

クロノスは変身を解いた。全員を倒した後で荒野に転がる黒い四角い石のようなものに座ったクロノスは人間の状態だった。

私はフルボトルバスターを剣にして構える。

「クロノス、実際にあなたは何を考えてるのか、教えてもらう。」

「できるのか?お前に・・。」

「やって見せる。」

「それが覚悟という物なのか・・。」

立ち上がり、手をはたく。

「・・なら、俺を倒せ。答えはその先にある。」

エボルドライバーにエボルトリガーをセットする。

『オーバー ザ レボリューション!』

コブラとライダーシステムを挿した状態でハンドルを回し、変身する。

『レボリューション!・・Are you Ready! 』

「・・変身!」

『ブラックホール!ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!』

【仮面ライダーエボル・ブラックホールフォーム】になったクロノスは、自分に黒いパネルを取り込む。

すると姿が変わり、エボルト・怪人態となった。

「人である事さえやめたか!クロノス!!」

私はソレに向かってラビットラビットフォームの脚部のバネを使って一瞬で近づく。振り上げた剣を振り下ろすが・・、

「ふん・・遅いな。」

軽くよけられた。さらに後ろから観察される余裕があるレベルだ。そして、殴られてそのまま前に吹き飛ぶ。

「ぐはぁ!?」

今までと桁違いのダメージを受ける。転がりながらなんとか止まって顔を上げる。

「・・ふむ、まだやる気が少ないようだな。・・なりふり構わず戦えるようにしてやろう。」

そう言って、一瞬で倒れているみんなの近くにいたマドカの前に現れる。

「大義のために何かしようとしているんだろ!?教えてくれ!」

「・・ふん、それなら力づくで聞くんだな。」

そう言われてすぐにマドカは構えた。そしてパンチやキックを放つ。今まで以上に強化されたその攻撃だが、いとも容易く受け止められる。さらに拳を正面から掴まれ止まる。

「何!?」

「退け。」「ぐぁぁああ!?」

軽く跳ねのけるくらいの動きでマドカが吹き飛ばされる。

「さて、アナザーよ・・ともに力となれ。」

「え?・・なっ!?」

手を向けた先にはアナザーイチカが居て、首をつかまれたと思ったら手から蛇が現れてそれに飲み込まれた。

「え・・、アナザーイチカ・・は、どうなった?」

そう言って見たが、視線の先にはいたはずのアナザーイチカの姿は無い。

「あいつは俺の力となった。一部となったんだよ。くくく・・。そして、これが最後の力のカギだ・・。」

クロノスはさらに目の前に映像を見せる。

ブラックホールが月を砕きながら吸い込み、そこにあった月がなくなる。

さらに地球の映像に変わるとビルやヘルヘイムの芽などが吸い込まれていく。

インベスと呼ばれる怪人や戦国ドライバーをつけた人物なども吸い込まれる。

「いったい何を・・!?」

「これで俺は最強の力を手に入れた・・。」

何が言いたいかわからなかった。しかし、目の前のエボルト・怪人態に肩や手などにパーツが増えた。おそらくはさっき月などを壊して得た力だろう。

「ラストフェーズ・・〈エボルト・完全体〉だ。・・さぁ、決着をつける時だ。・・はぁ!!」

さらに強力な覇気を吹き出す。

「っく・・!?勝てるのか私が・・クロノスに・・?」

「俺に勝てなければ世界は終わる・・ただそれだけだ。・・見せてみろ、お前の可能性を。未来を。その意志で掴む明日を!!」

そう言って手を広げる。

私はそれに呼応するように構えた。そして、フルボトルバスターを構えて剣で切りかかる。

「はぁああああ!!」

「そうだ!それでいい!」

それを手で受け止めながらもその声が笑っているのがわかる。その声に答えるように私の力を上げて、速度を上げて、出せる限りの力を尽くして攻撃を繰り返す。

 

「はぁあああああ!せい!やぁああああ!!」

 

「いいぞ!そうだ、そうしてハザードレベルを上げろ!お前の〈・・・〉最終段階まであと少しだ!」

 

そう言って私の腹に肘打ちを食らわせて、私を吹き飛ばした。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新規学園編 ファイナル 後編

「いいぞ!そうだ、そうしてハザードレベルを上げろ!お前の〈・・・〉最終段階まであと少しだ!」

そう言って私の腹に肘打ちを食らわせて、私を吹き飛ばした。

転がり、土まみれになりながらも立ち上がる。マドカが来ようと立ち上がるが、そこにエネルギーの球が撃ち込まれてマドカは後ろに弾き飛ばされる。

「マドカ!お前は、そのままそこでおとなしくしておけ!この勝負こそが世界の命運を分ける!未来を作り上げるのだ。成形、制作、創造・・それこそがビルドだ!!・・ぬぅ!?」

いきなりエボルトが膝をつく、それと同時に腕と肩の部分、後からついたパーツが消え去った。そして、増えて付いた爪が塵になり消えたその手を見つめる。

「これ・・は?」

『オレを巻き込んだんだから、その報いは受けてもらうぜ。クロノス!』

その声はエボルト・・クロノスの中から聞こえた。

「アナザーか・・。ぐぅっ!?やってくれたな!!」

そうつぶやくと今度は体に紫電が走る。それとともに苦悶の声を上げる。

そして、マドカが走って背中から羽交い絞めにして抑える。

「今だ!ラウラ!」

『この状況を変えられるのは、お前しかいない!』

アナザーとマドカの声が重なる。

『「お前のすべてで、世界を、未来を救って、明日を、未来を創り上げてくれ!」』

 

〈推奨BGM 主題歌「Be The One」〉

 

「そう・・だな。私が、ビルド・・創造、形成、創り上げる・・仮面ライダービルドだ!!」

フルボトルバスターを構えてソードモードで切る。

その衝撃でマドカは後ろに飛んで転がった。ただ、無事のようだ。

「始まりはこれからだ!私はあなたを超えて見せる!!」

そして、ハンドルを回して構える。

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready go!ハザードフィニッシュ!ラビットラビットフィニッシュ!』

「ハァァッ・・・ハァアアアアアア!!」

ラッビトラビットフォームの蹴りが炸裂する。

「ぐぅっ!?また一段とハザードレベルが上がったな!だが、まだ足りない!それでこの俺が倒せられるものか!?」

「まだまだこれからだ!」

フルフルラビットタンクをタンクモードに変えて、再度変身。

タンク・タンクモードでフルボトルバスターをバスターモードに変えて、フルボトルバスターにフルフルボトルを差し込んでタンクの砲台も一斉射撃。

【フルフルマッチデース!フルフルマッチブレイク!!】

「ハァアアア!!」

「ぐぁああああ!?さらに強くなって・・!?」

フルフルラビットタンクボトルのエネルギーを使いつくしたので、ボトルをチェンジして缶のようなものを取り出す。そのプルトップを引き上げると差込口が下部に現れる。それをベルトに差し込む。

【ラビットタンクスパークリング!】

「・・ハザードトリガーの研究段階で作られた副産物。それでも強さは変わらない!今の私は強い!・・変身!」

ハンドルを回しフォームチェンジする。

【シュワッと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イエイ!イエーイ!】

ビルド・ラビットタンクスパークリングフォームで、つっ込む。

「さっきのフォームより弱いフォームで来るだと!?」

「フォームは下だろうが、気持ちはもっと上だ!!」

そう言って炭酸のような泡と共に殴った時にしぶきをあげて、その衝撃はエボルト・クロノスを数歩下がらせる。

「ぐはぁ!?な、なぜそんな装備で・・この俺が押されて・・」

「今アナザーが抑えたお前は、普通のエボルトよりも何倍も弱い!そして、みんなが支えてくれる私はいつもの何十倍も強い!!意志の強さがハザードレベルを上げる!もっと強くなれる!」

「ふ、ぐぅ・・そんな程度でこの俺が・・」

「もっと見せてやろう!私たちの強さを!」

ベルトのハンドルを回すと周りに泡が現れる。

「はぁああ!!」

クロノスが蹴りで攻撃してくる。ソレを、体を反転させてギリギリでかわす。

「な!?」

【レディ・ゴー!スパークリングフィニッシュ!!】

「せいやぁああああ!!」

「ぐわぁああああ!?」

カウンターのように飛び上がりながらも上段回し蹴りで頭部に蹴りをぶち込む。

クロノスに当たった、足の蹴った先からもスパークリングの衝撃があり、それによって頭から地面にたたきつけられて地面を転がる。

「ぐぅ・・このようなことが・・」

そう言うと黒いパネルが胸から吐き出されて、クロノスが仮面ライダーエボルト・ブラックホール・エボルコブラに戻った。

「力が抜けるだと・・?」

そう言って頭を振っているうちに力のなくなったスパークリングボトルを抜いて最後の変身をする。

「私は、いつも誰かの後ろでついて歩いていた。初めは織斑千冬の力にあこがれて、次はクロノス兄さんの心にあこがれて・・。」

手を前に出して握る。

「そして、そんな私はみんなの力になるために自分であることを誓った。弱かっただけの私はずっと下を向いていた。その場でしゃがみこんでいた!でも今は、みんなの思いを受けるために私は立ち上がった。だから、私はここにいる。皆の力を支えるために。明日を作り、それをつかみ取るために!!」

二つのボトルを振る。そしてベルトに差し込む。

【ラビット!タンク!ベストマッチ!!】

「さぁ・・最後の実験を始めよう!」

力強くそのハンドルを回す。

【アーユーレディ!?】

「・・変身!」

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!】

体を引きずるように立ち上がったエボルト・・クロノスはベルトからエボルトリガーが落ちて、普通のエボルコブラになる。

「ここまで追い込まれるとは・・こうなれば・・」

そう言って一度体を丸めた後、一気に胸を張るようにする。

するとそこから黒い空間が生まれ、アナザーイチカが吐き出された。

「もうそいつはいらん。用済みだ。」

そう言ってハザードトリガーをつけてもう一度変身する。さらに黒いパネルを取り込み、エボルト・怪人形態になる。

「ダメージは仕方ないが・・それでも力はまだこちらが上だ!すでに力は使い果たしているだろう?」

「そうでも無いぞ!」

そう言って取り出すのは更識姉妹の使った二つ、マグマナックルとブリザードナックル。

それを両手に持ってとびかかる。

「フン!セイ!ハァアアア!!・・ぐは!!」

「ウッ・・、おっと、ぐぁ!?・・このっ!」

そう近接の応酬をしてどちらにもダメージが入る。

「さすがだなラウラ・・しかし、俺は世界を破壊する力を内包して・・ぐぅ!?これは・・?」

初めは多少なダメージしか食らっていないような反応なクロノスが急激に苦しみだす。

「それは・・あなたの作ったこの二つのおかげだ。簪の姉に追いつきたいという『熱い思い』、楯無の妹の為なら他の何もかもでさえ敵に回してもいいという『冷徹な思い』、二つの武器は熱と冷気。つまり急激な温度差が起きているんだ!」

「・・ぐぅ、それも踏まえてのその二つと言う事か!?よく考えたものだ!」

「そして、今の体になら届く!」

二つのナックルを投げてハンドルを構える。そしてハンドルを回しながら思いを込めて、ハザードレベルを上げる。

「さぁ、最後の実験だ!これからの蹴りにどれくらい耐えられるか!!その実験を、始めようじゃないか!」

【レディ・ゴー!・・ボルテックフィニッシュ!】

「はぁああああああ!!!セイヤァアアアアアアアアアアア!!」

「ぐぅ、ぐおぉぉおおおおおおおおおおお!?」

初めは両手でクロノスは受けたが、少しすると片手がはじかれて残りの片手でさらに受けるが、それもはじかれる。そして胸の真ん中に蹴りが当たると、そのまま地面をすべるようにしてクロノスは後ろに吹っ飛び、それと共に蹴りはさらに威力を増す。

「最後の!一撃だ!」

そう言って左足のキャタピラを地面について減速、一度クロノスから足を離してもう一度加速してラビットの足で反動をつけて飛び上がり、両足で蹴りを決めた。

「ぐはぁあああ!!」

とうとう、ダメージが許容範囲を超えたのか、エボルト・怪人態から光があふれてエネルギーが辺りを覆いだす。そして、衝撃で地面を転がり遠くで地面に伏せた。

「はぁ・・はぁ・・。これで終わりだ。」

そう言って私は変身を解いた。すべてのエネルギーも使い果たした。

 

「・・くく・・よくぞ・・、よくぞ俺を超えたな・・ラウラ・・。」

地面に転がっていたエボルトが起き上がりながらもそうつぶやく。エボルトの体が元の人の形となり、クロノスの姿に戻ると光の粒子を放ち始める。

「これで世界は救われるんだな!?早くそれを・・」

「もう、始まっている。エボルトとなった俺を倒すことで、そのエネルギーはもう一つの世界を融合させる。俺たちがしてきたことがなかった新たな世界へと生まれ変わる。」

そう言って先ほどの光った場所から大きな竜巻ができ始めていた。

「そ、それはどういう事だ!?クロノス!?」

世界を破壊するという言葉は!?そう思っているとエボルトから噴き出すエネルギーの竜巻がだんだんと大きくなり始める。

「・・もう、俺たちの世界は手遅れだ。ならばなかったことにしてリセットするしかない。そのためにはエボルトの力を使い、俺たちの居る世界【A世界】と別の世界【B世界】を合わせて、新たな世界【Cの世界】を作る必要があった。・・そのためにはエボルトとなる怪人が必要だ。誰かがやらねばならんなら、その役目はダークライダーを統べた俺がするべきことだ。」

「「「きゃぁああ!?」」「「うわぁあああ!?」」

とうとう更識姉妹にシャルロット、マドカと鈴音が竜巻に巻き込まれた。中心の此処はまだ何とか耐えれるが、体の軽い私ではその場にいるのがやっとだ。

「・・じゃ、じゃあ初めっから・・」

そう言った私の頭に温かい手が乗せられた。ゆっくりと撫でられる。涙が止まらない・・。

「こうなることは想定済みだ。新たな世界で、幸せを見つけろ・・ラウラ。」

そう言って私の腕を掴んだクロノスは、エネルギー吹き荒れる竜巻へと私を投げ入れた。

そこで私の記憶は途切れた

 

さて、これで終わりだ。すべて・・終わった。

「じゃぁ、クロノスはどうなる!?オレはどうなるんだ!?」

アナザーが俺に聞いてくる。

「お前を取り込んだ時に、織斑一夏の構成物であったものをお前に与えた。もう立派な人間だ。アナザーイチカ・・いや、『織斑一夏』か・・。お前もきっと向こうの世界で一人の人間として生きていける・・。」

「クロノスはどうなる。オレは人としてならこの後のクロノスは・・」

「俺はここで世界をつなげるエネルギーとなり、消え去ることとなるだろう。それが俺のシナリオだ。・・さぁ、もう終わりだ。」

「オレが代わりに、お前の代わりになるから・・」

そう言ってアナザーは一歩前に出る。

「お前は新たな【織斑一夏】として、生きていけ。クロノスとして生きてきた以上、俺はもう、イチカではないからな。アナザーであってもお前は一夏だった。」

そう言って俺は変身用の道具が入った端末をアナザーに握らせて、掴んでいたその手を思いっきり振ってアナザーを竜巻へと投げ入れた。

「クロノスーー!!?」

「あばよ、・・相棒。」

見えなくなったあと、竜巻の荒野で一人エネルギーを吹き出して立つ。

金色の粒子へと変わりながらそれでも空を見上げた。

 

「新たな世界を形成、創造し・・幸せにな。」

 

宇宙が光り、世界の二つが重なり合う。

 

しかし偶然、・・否、そこに引き寄せられるようにして現れた【終末の世界】を再構成する世界があり、三つの世界は一つになる。

 

一人は闇の力を正義に使う『仮面ライダー』。

一人は自身の半身を失った『闇の王の仮面ライダー』。

そして、元の普通の世界に降りるはずだった『音の錬金術師』。

 

それは偶然か、はたまた必然か。

 

世界は一つになり物語りは創造される。

 




これにて、この物語は終焉を迎えました。
そして、コレは新たな世界への布石。

では、また『次の世界』でお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。