今書いている別の話の前日譚です
其れは困惑していた。
別に自分から変わった事をした訳ではない、いつものように
異変を感じたのは食事を終えた後の事だった。
急に自身と
先ず最初に
死を持ってしても逃れられない、自身とその者達の魂が繋がっている限り。
しかしどう言う訳か
そこで彼女は目を疑った。
そこにはサバイバーがいた、それは良いしかし全員が自身との繋がりが消えている。
サバイバーは殆どの者が唯の人間だ、中には自身と同じ
其れがどうだ今まであらゆる世界から集めてきた生贄達全てから繋がりが消えている。(しかもどう言う訳か繋がりが消えたと言うのに
一刻も早く繋がりを修復しなくては!!
そう考えるやいなや彼女はキラー達を呼び出す。すると身構えたサバイバーの中から…
コツ、コツ、コツ
1人の男が現れた。
まるで貴族の様な出立紫を基調とした洋服に銀髪の髪、片方の目にはモノクルをつけている。
しかし一番目を惹くのは男の武器だった、背中にはまるで出刃包丁のような禍々しくも神々しい大剣、右手には鍔に髑髏の装飾が施されている長剣、左手には侍が使う日本刀。
どれも一目見ただけで異常だとわかる力を内包していた、いや武器だけではなく男からも強大な力を感じた。
なんだこの男は?
こんな男は知らない。
招いた覚えなど全くない。
彼女は直様キラー達に男を始末する様に指示を出す。
男が構えをとる、それと同時にキラー達も一斉飛びかかる。
すると男の体が一瞬揺らいだように見え、次の瞬間には全てが終わった。
サバイバー達は何が起きたかわからず困惑している、しかし彼女には見えた。
先ず
全て一瞬で終わった
元々人を超越した者達が殆ど、そうでない者達にも自身が力を与えている。
あり得ない、あり得ない、あり得ない、
儀式場の地面、壁、空中から無数の触手が出現し襲いかかる。
彼女は動いた、自身の力をもって男を排除すると。
しかし男は其れすら慌てる事なく対処する…
自身に向かってくる触手を斬り、離れた所でサバイバー達が巻き込まれそうになっても斬撃を飛ばして斬り落とす。
やがて襲いかかってくる触手は全て斬り刻まれた、男がゆっくりとこちらを振り向く。
すると長剣と刀が虚空に消え、男は背中の大剣を手に取る。
逃げなければ!!
彼女がそう念じると空間が裂け黒いゲートが現れる。
しかし急に彼女の視界がぶれ体に激痛が走る、いつの間にか男が自分の胸に大剣を突き立てていた。
男は剣を引き抜き上段に構えをとる、次でとどめを刺すつもりだろう…
彼女は問う何者なのかと…男は口を開いた。
「spada」
男は剣を振り下ろし邪神を斬り裂いた。
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最後の足掻き
エンティティとその配下であるキラー達は倒された。
それにより儀式場の空に亀裂が入り崩れ始める。
サバイバー達も異変に気づいたのか慌てだした。
スパーダは気を失わせたキラー達を拘束してサバイバー達の方まで運んでいる。
運び終えると刀を儀式場の扉に向かって突き出す。
すると扉の向こうに幾つもの次元の裂け目が現れる、それぞれサバイバー達の世界に繋がるゲートだ。
「行け…」
スパーダはサバイバー達に短くそう告げ、生き残ったキラー達も元の世界に帰そうと手を伸ばす。しかし……
「お願い!!そいつを殺して!!」
その言葉に手を止める、振り返ると1人の少女が此方を見ている。
「ローリー!!」
「そいつは私の大事な人を大勢殺した!!いや!!そいつだけじゃ無い!!そこに居る奴らは数えきれない程の人達を殺したの!!だからっ!!」
ローリーと呼ばれた少女が
どうもスパーダが今起そうとした男は彼女の仇だったようだ、よく見れば周りにいる者達も差はあれど殆どが彼女の言い分に対して同意している。
元の世界で大切な人間の命を奪った、更に言えばこの世界で自分達を何度も痛めつけ殺してきた…
元の世界に戻ってもまた殺しを続ける、そんな連中にかける慈悲などないと。
「……」
スパーダはキラー達を見た後辺りを見回し設置された発電機を見つけると、其方に向かって歩いて行く。
「い、一体何を"ゴシャ!!"!?」
ケイトが何をする気か尋ねる前に発電機に拳を叩き込む。
粉々になった発電機から大量の金属を手に入れ自分の魔力を込める。
すると金属が短剣へと形を変えていき、それをサバイバー全員に渡す。
「こ、これは……?」
困惑しながらケイトが質問する。
「…私は人間を殺すつもりはない…」
キラー達は殺さないと彼は遠回しに答える…
「…その剣に私の力を込めておいた…」
だが彼等を見捨てるつもりもない…
スパーダはキラー達に近づき魔術を掛ける、彼等の枷となる魔術を。
「もしも奴等が再び罪を犯すなら…」
サバイバー達に向き直り彼は告げる。
「その剣を使って奴等を討て。」
そう告げた瞬間だった
突如として儀式場が揺れ始め地面に亀裂走る。
それと同時に倒れているキラー達は亀裂の間に落ちて行く…
「走れ!!」
スパーダはサバイバー達を出口に走らせキラー達を救出しようと駆け出した、しかし…
突如として現れた邪神の触手が彼の行く手を阻む。
「!!」
大小と様々な大きさの触手が自分を目掛けて振り下ろされるがスパーダはすんでのところで回避して行く。
「まだ生きていたか…いや。」
先程の攻撃で奴は確かに死んだ、にも関わらず奴の触手が動いているのは何故か?
「この儀式場そのものが奴の…」
スパーダはこの儀式場にエンティティの意思が宿っていると推測する。
往生際の悪い、まだ諦めていないのか…とスパーダは内心でウンザリする。
そもそも彼が此処に来たのは偶然だった…
魔帝ムンドゥスや覇王アルゴサクスを倒し人間界に残った残党狩りをしていた時に人間達が妙な扉を見つけた…
その扉は異なる幾つもの世界に通じる扉であり邪神崇拝者の人間達によって守られていたが、スパーダと共に戦った人間達が危険である為崇拝者達を捕らえて彼に報告しに来たのだ…
そして調べてみた結果この扉は悲劇が起こった(もしくはこれから起こる)世界同士を繋げて助長させ、その際に生まれた負の感情を邪神が吸い上げるものだった。
これを放置すれば何が起こるか分からない、スパーダは自身の魔剣を使い元凶たる邪神の元に来たのだ。
だが…
(このままでは不味いな…)
スパーダは先程落ちて行ったキラー達を思い出す。
キラー達が落ちた先には黒い穴が幾つかありその中に邪神の触手が投げ入れていた。
しかも彼等を掴んだ際に自分の力を込めていた。
何をしたかわからないが碌なものではないのは間違いないだろう…
しかしキラー達を追おうにもどの世界に行ったのかわからない。
(仕方がない。)
サバイバー達が出口から脱出したのを確認して彼は剣を構えた。
責めてこの儀式場だけは破壊すると…
彼は銀髪の男の姿から悪魔の姿に戻る。
そして四方八方に剣を振り儀式場を完全に破壊した…
まだ終わっていない。
エンティティはスパーダが去った後そう呟く。
あの扉から捧げられる負の感情の供給によって彼女はギリギリの所でその存在を保てていた。
だが力は大幅に弱体化している。
ならば待とう復活の時を、扉から捧げられる負の感情以外にも手はうった。
しばらくは眠りにつくとしよう。
尚、とある商人達の所為で回収できる負の感情は少ない。
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