うちはになって原作改変? (霧ケ峰 リョク)
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序章 日常ですか?

NARUTOのミナト世代のオリ主ものが書きたくなったので書きました。
主に主人公は変態と言う名の馬鹿でございます。


このNARUTOの世界に転生して「うちはイナバ」と言う名前を付けられて早十年。

しかも、よりにもよってうちは一族に転生と言う厄介事が付き纏う呪われた宿命に巻き込まれる立場に、だ。

若干中二病入ってるけど何の間違いも無いんだよね…………このままだと普通にうちは虐殺事件で死ぬね、うん。

これでネットでよく見ていたオリ主なら万華鏡写輪眼を覚醒してとっとと里抜けとかしたりして対策を色々と考えるんだろうけど…………僕にはそんな才能は無い。

少なくともうちは一族としては凡人の域だろう。双子の弟の方が僕よりも強いし。

火遁豪火球の術を覚えたのは今から二年前で、チャクラコントロールの木登りだってかなり時間が掛かった。

便利だからって理由で前世の記憶を思い出しながら覚えた影分身も六人しか作れないし………本当にこれじゃぁうちは一族のクーデターを止めるなんて夢のまた夢だ。

でもまぁ、まだ主人公のナルトが生まれる前だって言うのが幸いしたよな。

そんな事を考えながら僕は三冊の本を買って本屋から出る。

さて、誰にも見付からないような森に行って読むとするか―――そう思いながら歩いていると見覚えのある金髪と赤髪が歩いていた。

だ、大丈夫だ。今の僕の姿は変化の術を使ってばれないようにしているのだから。

そう自分に言い聞かせて二人にぶつかり合わないようにして通り過ぎて―――膝を砕かれた。

変化の術が解けて自分の本来の姿、自分で言うのもなんだけど女の子っぽさがある感じの男の子の姿になってしまう。

 

「ミナト! この馬鹿を抑えるのを手伝うってばね!」

「ん、了解だよクシナ」

 

変化が解けた僕を羽交い絞めにする波風ミナトとうずまきクシナ。

原作では主人公の両親でミナトは四代目火影、クシナは先代九尾の人柱力だったのだが今この時代ではまだ四人一組の時代だ。

クシナ誘拐事件が起こったのはちょうど二年前、ミナトがクシナを助ける時少し手伝ったせいか二人とも友達になれた。

落ちこぼれの僕が天才と、まぁ才能が無いわけではないけど意外性たっぷりの少女とよくつるむようになったのは奇跡とでも言うべきか。

そして僕は友人二人にあっと言う間に拘束されて身動きができなくなってしまった僕は二人に担がれてどこかに運ばれていく。

 

「な、何をするだーッ!!」

「何をするんだ、じゃないわよ!子どもがそんな本を買っちゃ駄目だってばね!!」

 

そう怒鳴り声をあげるクシナが持つのは僕が買ったエロ本だ。

こう見えても精神年齢は二十を越えているからいい気がするんだけどこの二人、とくにクシナは僕がエロ本を買うのを見ては実力行使で止めにかかってくる。

 

「男だったら誰もが一度は抱くであろう情熱(パトス)だ!それを止める事は誰だってできないんだよ!それがたとえ法であってもな!!ミナト、同じ男でお前なら僕の気持ちが分かるだろう!?」

 

自分の気持ちに同意を求めるようミナトに問いかける。が、

 

「ゴメン、流石にそれはまだ早いと思うよ」

 

現実は惨酷だった。

 

 

 

「と、言うわけだってばね!自来也先生!」

 

全身をロープで雁字搦めにされ、僕は自来也先生の前にへと突き出された。

ちなみに立場は自来也先生が当然と言っても言い上忍でミナトが中忍、クシナと僕が下忍だ。

 

「あ~、のォクシナ…………べつにそこまでしなくても良いんじゃないのか?」

「駄目です!こういうのは最初の内に矯正しておかないと後々駄目な大人になっていくってばね」

 

僕を擁護する自来也先生のありがたい一言を一蹴するクシナ。

本当に何でこの子は僕のやりたいこと(エロ本関係)に口出して来るんだよぉ…………別に良いじゃないくぁ。

そもそもエロ仙人と呼ばれる事になる自来也先生なら僕の気持ちだって分かってくれるはず。

 

「確かに私でも男の子の趣味に口出しする気は無いです。だけどこれは流石にどうかと思うのよ」

 

そう言ってクシナは一冊の本を掲げる。

それには男同士で絡み合う表紙が描かれているやつだった。

 

「なっ!ちょ、これは駄目じゃろイナバ!」

「ああ、それね。大丈夫です自来也先生。これはあくまで新しく開発する術の参考書ですから」

「参考書?一体どんな術を作ろうとしているんだ?」

「薔薇の術と言って幻覚の男と術にかかった男がくそみそな展開になるという幻術で―――」

「火遁・蝦蟇油炎弾!」

 

突如自来也先生が火遁の術を使い僕のガチホモ本を燃やし尽くした。

 

「イナバ!流石のわしでももう許容できんぞ!!少しそこになおれ!今日はミナトとクシナを含めてお前に説教だ!!」

「じ、自来也先生!そ、そんな…………なんでですか!?エロ仙人と言われることになる貴方が何故僕を裏切ったんですか!?」

「誰がエロ仙人だァ!」

 

目を見開いてそうツッコミを入れてくる自来也先生を見て少し笑いがこぼれてくる。

何ていうか芸人魂が満ち溢れているなぁ。

よし、そろそろ逃げるとするか。

 

「ん~まぁ、ふざけるのはここらへんにしておいて。ちょっと今日は用事があるんで帰りますね」

「いや待たんかい。このまま帰すとでも思っておるのか?」

「逆に聞きます。いつから僕が影分身でないと錯覚していた?」

 

そう言った瞬間、三人の表情がいっせいに凍りついた。

 

「と、いうわけでバイビ~」

 

手を振って三人の、と言うより自来也先生とクシナの唖然とした顔から怒りの表情にへと変わっていく姿を尻目にしながら僕は消えていった。

 

 

 

「お、戻ってきた戻ってきた」

 

なるほど、ね。クシナに自来也先生は怒っていると。

これは暫く会わない方が良いよなぁ…………。

そう思いながらできた料理をお客様の下にへと運んでいく。

 

「はい、ラーメンセットおまちどう」

「ん、ありがとう」

 

テーブルの上にラーメンセットを置き、それをミナトは食べ始める。

 

「まさか僕らが影分身しているとは誰も思ってないですよねぇ」

「ハハハ、確かにね。だけど見付かったら怒られるんじゃないのかな?」

 

軽口を叩きながらそう言ってくるミナトに対し僕は自信満々な声音で言う。

 

「大丈夫だって。僕はミナトのような天才じゃないし、双子の弟にも劣るよう凡人な兄だけど色々と作戦を考えているからね」

 

そう言うとミナトは「こいつ全然わかっていない」というような顔をした後後ろを見るように促してきた。

一体なんだろう? そう思って後ろを振り向く。

そこに立っていたのはついさっき影分身から情報が送られてきた二人でした。

 

「…………ギャァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

この日、哀れな少年の悲鳴が響いたのは、言うまでも無い。



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Dランク任務ですか?

意外に早く投稿できました。
取り合えず主人公の居ないところで将来が左右されかけていたりしなかったり。
恐らく次回は命を取られたり取られなかったり。


息を殺して標的に近づいていく。

標的は一切動こうとせず、のんびりとした態度でゆったりとしている。

それを見て腹立たしいと心の底から思うけどこれも仕事だ。

それくらいは割り切る事だって僕でもする。

 

「…………クシナ、一気に攻めて。僕が捕獲するから」

『分かったってばね』

 

通信機の向こう側に居るクシナに合図をして影分身を一体解除する。

影分身の情報がフィードバックして他の影分身にも情報が行き渡る。

さぁて、これでいつでもできるぞクシナ?

そう思っているとクシナがいきなり飛び出して標的を捕まえようとした。

 

「ギニャァー!!?」

 

標的は間の抜けた悲鳴を上げて走り出す………よし、今だ!

もう一体の影分身を消して全員に情報を行き渡らせ、クシナが追い込んだ標的を網にとらえる。

何故かクシナごと…………。

 

「ちょっ!イナバァアアアー!!」

「ごめんクシナ。こっちのほうが手っ取り早いから…………後で料理作ってやるから許して♪」

「だが許さん。後でぶっとばすってばね」

「オワタ」

 

 

 

「ぐぉ………オオオオオオオ!!」

 

クシナによって刻み付けられた一撃によって苦しむ僕。そしてそんな僕を見下ろすクシナ。

それはいつも通りの光景だった。

 

「ハハハ、クシナもそれくらいにして。イナバももう一度ちゃんと謝って」

「いや、本当にゴメン。ぶっちゃけあの作戦クシナがああなるのを見越してたてているからさ…………クシナって意外性たっぷりだし。流石にクシナごと捕まえる気は無かったけど」

「私も悪かったわね。だけどお前だけは絶対に許さん」

「ウグォバァッ!!」

 

謝ったのに殴られた。

まぁ僕が悪いのは誰が見ても当然なんだけどね。

 

「まぁまぁ、そこら辺にするんじゃクシナにイナバ…………特にクシナ。それ以上やったらイナバが死にかねん」

「…………」

 

自来也先生の仲裁によって何とか事なきを得た。

その時、クシナの僕を見る目がとてもではないが養豚場の豚でも見るような目だったと言う事は言うまでも無い。

 

「まぁクシナにも問題があるとはいえ…………イナバ、お前にも問題がある事は言う必要はないじゃろう?」

「はい、分かってます。どう考えても僕の作戦ミス、と言う名の大失敗でした」

 

正直もっとクシナに適したサポートがあった筈だ。

今回の失敗は影分身の配置の失敗だ。罠だって、網だって何もかもが失敗過ぎる。

 

「違う。そうじゃない」

 

そう思っていたら自来也先生が僕の肩を軽く叩き、告げる。

 

「お前は自分を卑下しすぎておる。自分が思っている以上にお前は凄い、それこそミナトと同じくらいの才能の塊だとわしは思っておる」

「いや、流石にそれは無いでしょ先生。もし僕がミナトと同じ才能だったら今頃一緒のチームには居ませんよ」

 

先生が僕を励まそうとしているがそれは逆効果だ。

アカデミーの勉学の成績は最下位、本当にこれは分からなくて大変だった。

体術にいたっては基礎体力とか反射神経までは良い物の組み手は常に負け。

はっきり言おう、僕は忍術の成績だけで合格したようなものだ。

 

「自分に才能が無いって言うのははっきり分かってるんですよ。あまり才能があるって言わないで下さい」

 

慰めなんかいらない。そんなもので腹は膨れない。

 

「さ、そんな事よりも食べに行きましょう!今日は任務で少しお金も入りましたしちょっと豪華に行きますよー!!」

 

+++

 

「はぁ…………」

 

トン、と酒を軽く仰いで溜息を漏らす。

自来也は自分の受け持っている生徒のことで思い悩んでいた。

 

「どうしてこうなったかの…………」

「一体どうしたって言うんだ自来也」

「どうやら自分の教え子に対して少し問題を抱えているようね」

 

そんな自来也を見かねた同期の上忍である金髪の女性、綱手と黒髪の長髪、大蛇丸がある意味心配そうな表情で話しかけた。

すると自来也は今、自分の班が抱えている事情を説明する。

 

「ミナトはとても才能に溢れた奴だ。クシナもちょっと危なっかしい面もあるがそれでも鍛えがいがある」

「へぇ、人柱力が問題じゃないのね」

「おい大蛇丸!」

「いや、むしろ安定しておる。ミナトが居るし、もう一人もあまりそういうのを気にしない奴だからな。と、言うより図太すぎるんだが…………」

 

そう言いながら普段のイナバの奇行を思い返す。

影分身をして修行したり、影分身が料理を作ったり、影分身が買物したり、影分身がバイトしたりしている。

なんという術の無駄遣い、だけれども無駄が無い。

 

「どうやらそのもう一人が問題なのだな?」

「まぁ…………そうじゃな。性格に関してはムードメーカー、何だかんだ言いながらもクシナからの信頼もあついしな。だが奴には向上心と言う物が欠片も存在しない」

「…………それは忍びとしてどうなのだ?」

 

綱手は微妙な顔をしてそう答える。

 

「確かうちはイナバだったかしらね。うちのところに居るマザメ君と兄弟の」

「ああ、そうだ」

「彼の話では落ちこぼれもいいところ、うちはの恥って言われるくらい酷いらしいけど?」

 

大蛇丸の言葉を聞き自来也は思い出す。

そう言えばイナバは今、親元を離れてミナトの家で暮らしている事を。

昔から家族仲が悪く、友達と言っても良いのは幼馴染のミナトとクシナくらいだと言う事も。

最も、それを気にしたところでどうにもならないのが現状だが。

 

「いや、そこまで酷くは無い。わしの見立てではミナトと同じくらいの才能の持ち主だ。ただいかんせんやる気と意志が欠けている。それも致命的なレベルで」

「忍びとしては失格ね」

「………ああ」

 

これには同意せざるをえなかった。

いかに五歳の時に禁術を会得する天才と言えどあそこまで人畜無害であるならば忍びとしては最悪だ。

だから自来也は賭けに出ることにした。

 

「もし、あ奴が任務に乗らなければ…………」

 

イナバに忍びを止めさせる。

 

+++

 

「え、自来也先生。今なんて言いました?」

 

あまりの衝撃で思わず心がはじけ飛んでしまいそうだった。

 

「任務だ。Cランク任務の、な」

 

重く呟く自来也先生の一言、それは今までの僕の全てを変えてしまいそうなものでした。

 

「え、Cランクですか?いきなりなんで………」

「いや、なぁ、まぁなんだ。お前等も下忍になって暫く経つからな。少しは難しい任務をだな」

 

腕を組みうんうん唸りながら言う自来也先生。

この感じ、何か企んでいるな。でも良いかもしれないな。

ここ最近同じ任務ばっかりだったし、それにCランク任務がまさかのAランク任務って言う事も無いだろうし。

 

「あ、はい。受けてみます」

「そうか………なら良いんじゃ。明日の十時集合だからな」

「はい、分かりました」

 

よぉし、Cランク任務頑張ってみるかぁ!

 

―――Cランク任務がAランク任務だったと滅多に無い事、それがフラグだと言う事にイナバはまだ気付いていなかった。



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実験台ですか?

今回から海の国編始まります。
基本いつも通りなのですが少しシリアス入ります。

よく考えるとナルトたちってよく生きていたよなぁ。


今、僕らは現在の火影である三代目火影猿飛ヒルゼン様の前に居る。

理由は任務を受ける為、それもCランク任務を。

 

「…………」

 

それだけだったならこんな風に黙り込んだりしない。

ぶっちゃけ三代目は温かくて優しい人だから個人的には好きだ。

もし自分に才能や力があったなら大蛇丸の引き起こす木の葉崩しで死ぬという運命を何とかしてあげたいとも思っている。

もっとも、思っているだけで実行する力が無いんですよねー。

そんな事を考えながら頭を掻く。

そうしているとようやくミナトが部屋に入ってきた。

 

「すみません。少し遅れました」

「いや、時間ちょっきしだったけど………でも珍しいね。ミナトが遅くなるなんて」

 

波風ミナトと言う人間は極めて真面目だ。

だけれどユーモアがあり、欠点なんて殆ど無い。

ぶっちゃけ欠点があるとしたらネーミングセンスだけだろう。

 

「ん、ちょっとある術を練習していてね。ついさっきようやく完成したから少し遅くなったんだよ」

「ある術ね~。まぁミナトが使う術だったら間違いなくえげつなくなるだろうね」

「少なくとも君の作った術よりはまだマシだと思うよ。そういやあの新術、完成したのかい?」

「オフコース!既にばっちり完成してるよ!」

 

後は実戦で試すだけだ。薔薇の術の完成度を確かめて駄目なところがあったら修正する。

それをすればこの薔薇の術はきちんとした術になる。

 

「…………言っておくけど薔薇の術じゃないからね?」

「え、違うの?」

 

ミナトの言葉に反応した瞬間、後ろの方から殺気が僕に向けられる。

この鋭くも優しさを内包している殺意…………自来也先生にクシナか。

もしこの場に火影様が居なかったら僕は説教を喰らっていただろう。

本当にこの場に火影様が居て良かったよ。火影様は少し困惑しているけど………。

 

「僕が言っているのはもう一つの方だよ」

「ああ、あれね。完成はしてるよ。完成は」

 

薔薇の術と同時期に作成した新術。それは考案した僕が言うのもなんだけど結構強い術になってしまった。

応用もできるし、もしかしたら将来この里で有名な術になってるかもしれない。

そう思うくらいの完成度だ。

 

「直接ぶつけるだけの単純な術だから今回の任務中に見せると思うよ」

「へぇ、それは楽しみだ」

「まぁそうならない事を祈ってるよ」

 

そう言って互いに笑い始める。

それを見ていた二人は頭を抱え、火影様は僕らを見て静かに微笑む。

 

「自来也、これで全員じゃな?」

「………その通りじゃのォ」

「ふむ…………よし、第一班に任務の説明をしよう。入ってまいれ」

 

火影様に促され、中忍の男の人に連れられた若い女性が入ってきた。

 

「むっ………」

 

部屋に入ってきた女性を見て自来也先生は唸り声を上げ、じっと見つめる。

同じく僕の目も女性に釘付けになる。

外見は大和撫子と言った感じだ。

 

「…………なんでこの班はどいつもこいつも変態ばっかなんだってばね」

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて」

「ミナトも少しはあいつ等を抑えつけるのを手伝って欲しいってばね」

 

何処か黄昏た表情をするクシナを窘めるミナト。

いつ見てもこの二人はいつも通りだな。

 

「さて、お主等にはこの者を護衛してもらいたい」

「アズナです。よろしくお願いします」

 

そう言って礼儀正しくお辞儀をする女性。

なるほど、礼儀正しくすることによって任務の前の印象を良くしようとしているんだな。

ならば僕らもそれ相応の態度をとらなくてはならない。

 

「「オーケィ、我が命に代えても」」

 

そして自来也先生と一緒にはもった。

 

「だからなんでこうなるんだってばねぇー!!」

 

クシナの絶叫じみた悲鳴を聞きながら、僕らの任務が始まった。

 

+++

 

護衛任務を受けた僕らは「あ」「ん」と書かれている変な門から出て目的地である海の国にへと向かう。

海の国、そこは隠れ里が無い所謂小国だ。

国としての特徴は海に隣接していて、貿易や魚などを他の国に輸出することで財を得ていることだ。

ようするに魚が大量に捕れて裕福だと言う事。

そして依頼してきたアズナさんはそんな小国のお姫様だと言う事だ。

何故一国のお姫様が態々自ら頼みに来たんだ?

そう考えながらクシナとアズナさんの会話を盗み聞きする。

 

「何でアズナさんは木の葉に依頼したの?」

「えっと………実は私は命を狙われていまして、それで皆様に護衛を」

 

なるほど、暗殺か。

何でだろう、悪い予感しかしない。

 

「ですがそれならCランクじゃなくてもっと上のランクなのでは?」

「いえ、恥ずかしながら私にそんなお金など無く………別に偽ってるわけではありませんからね?命を狙われていると言っても忍びではなく、お金で雇われたゴロツキなどなのですけどね」

「なるほど………」

「兎に角、忍びを嗾けてこない為、Cランクで良いと判断したのですよ」

 

ミナトの問いにそう答えるアズナさん。

そして僕は静かに印を組む。

 

「おい、何故印を組む?」

「念のためですよ。自来也先生」

 

この世界にもフラグという言葉がある。

つまり、フラグが立ったわけだ。立った!フラグが立った!みたいな感じだ。

全く嬉しくないけど。

原作であった任務を偽っていると言う訳じゃないけど、あくまで今はまだ忍びが来ていないというだけで、忍びが来ると言う可能性もあるだろう。

そうなった時の為にも影分身をだしていつでも対応できるようにだけはしておこう。

この人色々と隠しているけど助けて欲しいっていうのは本当のことだし。

海の国の噂がもし本当だったならだけど………。

 

「はぁ、前途多難だよ」

 

溜息を吐きながら兵糧丸を二個ほど齧る。

このまま何も起きなければ良いんだけどなぁ。

そう思いながら水溜りの上を通過して――――突然、自分の身体に鎖が巻きつかれた。

 

「なっ―――」

「まず………一人」

 

驚きの声を上げる間も無く、僕は八つ裂きにされた。

 

 

なんて事は無く、八つ裂きにされた僕は炎に変わり、背後に居た男に燃え移る。

そして残り五人の影分身たちが男を抑えつける。

 

「なっ、ぐぉ!?」

「火遁影分身、取り合えず一人は撃退したから残りは任せたよー」

 

隠れていた草むらからひょこりと姿を現して他の三人に任せることにした。

まぁ幸いにも襲ってきたのは二人だったわけだし、これは楽勝―――一秒ももちませんでした。

もう一人の男はミナトによって瞬殺された。全く見えなかった。

 

「ちょっと速すぎない?ミナト」

「新術を使ったからね」

 

自信満々そうに言うミナト。どうやらこれがミナトの新術らしい。

辺りを見回しながら宙にちょっと独特の形をしたクナイを拾い、確信する。

 

「このクナイに術式を刻めば、これ飛雷神の術?」

「………なんで分かったの?」

「いや、昔見た忍術の書で似たようなもの書いていたから」

 

頬を軽く掻きながら答える。

 

「まぁ源流はそれだけど僕のはそれなりにアレンジしているよ。だからこの術の名前を光臨壱式と名付けたんだよ」

「飛雷神の術に決定な」

 

こいつのネーミングセンスの無さは本当に異常だ。

取り合えずそのままにしておいて僕の影分身が押さえている方の男を見やる。

この額当ては霧隠れの………それも中忍だ。

 

「くそ、こんなガキどもに………」

 

悪態を付く霧隠れの忍び、

それを見て僕は自来也先生に聞いてみる。

 

「ねぇ先生。この男を尋問するのに薔薇の術をかけてもいいですか?勿論答えは聞かない」

「…………まぁ良いだろう」

 

どうやら自来也先生も自分に関わらない事は無視するらしい。

 

「でわ霧隠れの忍びさん。めくるめく快感の世界へと行って来なさい」

 

そう言って薔薇の術を発動する。

内容は前世で一番と言っても良いほどこびり付いているいい男が出てくるくそみそな体験を疑似体験する幻術だ。

さてはて………どうなるのかな?

 

「…………アッー!!!!」

 

凄い、一気に目が死んだ。

どうやらこの幻術は成功したみたいだ!

 

「………あの術にだけは絶対にかかりたくないのォ」

 

何処か黄昏てる自来也先生の言葉を耳に入れながら心の中で静かに同意した。




ね、尻ASSだったでしょ(殴

取り合えず次回はちゃんとした戦闘あります。


オリジナルと言う名のパロディ忍術説明

術名・薔薇の術

【説明】
術をかけた相手に青いツナギを着たいい男とくそみそな体験をする幻術。
この術に掛かった相手は九割は大事な物を失い、一割は目覚める。
なお今回この術に掛かった男は目覚めてしまい、気絶していた男と「やらないか」をしてしまった。

蛇足です。


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任務続行ですか?

ちくしょう…………ギャグが少ない。
そして薔薇の術の出番が無い!
まぁ中忍試験編で出番があるんですけどね、そしてそれによって引き起こされる第二次災害も………。


さてはて、これからどうなるか。

そう思いながら薔薇の術を受け持っている情報を全て吐き出し意識を失った男とミナトが気を失わせた男の身包みを剥ぎ取り同じ布団に丁寧に入れて放置する。

薔薇の術を受けた相手は間違いなく自分以外の男の裸に対して恐怖を覚えるはずだ。

だからこうして放置した方で追いかけてくるのを防ぐ。そうなるはずなんだけど何だろう………この不気味で邪悪な結末が待っているような悪寒は。

まぁ良いか。どうせ自分には関わって来ないようだし。

 

「で、どうするんですか自来也先生?」

「イナバ、お前は本当に鬼じゃのォ…………」

 

もの凄くドン引きしながらも自来也先生はツっこみを忘れない。

流石は僕らの先生、どんな時でも平常を保っている。

 

「兎も角、アズナ様。忍びが出て来た以上この任務はBランクになってしまいましたのォ…………」

 

あ、そういやそうだった。

ゴロツキやギャングならCランク、忍びが出てくるのならBランクだったな。

今は戦時中でもあるのだから下手な事をして刺激しない方が良い。

特にミナトなんて中忍だからこんな時くらいはもう少し楽な任務にしてくれた方が良いんだけどなぁ………だけどアズナさんも本当に困っているわけだし、どうしようか………。

 

「自来也先生、僕はこのまま続行した方が良いと思います」

 

僕が悩んでいるとミナトがそう言って任務を続行するように進言していた。

 

「海の国のお姫様をここで見捨てれば外交問題にも発展しますし、何より一度任務を受けたのだから最後まで責任を持ってやり遂げましょう」

「わたしも賛成ね。私はアズナさんを最後まで送り届けるってばね!」

 

次にクシナが任務続行に賛成する。と、なると後は僕一人の意見で決まるわけだ。

それが分かっているからか残りの全員が僕のほうを見た。

流れで言うならここは僕も参戦すると言うところなのだがそうもいかない。

今は戦時中なのだからBランクがAランクになるって事も十分に有り得る。

だけど助けてあげたいし…………そういや海の国って魚が豊富だったはず。

 

「…………取れたてで新鮮な美味しいお魚。うん、僕も賛成します」

「一人だけ別の目的で参加してるのがいるのォ」

 

そこ、うるさい。

自分でも分かっているんだから言わないで。

 

「皆さん。ありがとうございます!」

 

アズナさんはそう言って頭を下げる。

これでこの任務は正式に受諾されることとなった。

 

+++

 

「うーみーはひろいーなーおおきーいーなー♪」

「歌うなってばね!」

「あん、酷いん!」

 

海辺を歌いながら歩いているとクシナから鉄拳を受け取った。

凄く………お腹が痛いです。

 

「ミナトもそろそろこのアホをどうにかしたいと思わないのかってばね?」

「ん、それなら大丈夫だよ。イナバは以外に鋭いしね」

「いや、それは分かっているのよ。イナバの考えた作戦って成功しやすいし、外しても相手は動きづらくなるから」

「人の揚げ足を取ることに関しては誰にも負ける気がしない」

 

本当にこれに関しては負ける気が無い。

基本的に相手を殺す作戦ではなくどうすれば相手にとって嫌な事ができるかだからね。

 

「本当に私はお前が恐ろしいってばね」

「ハハハハハ」

「できれば戦うこと自体なければ良いんだけどね」

 

今はただ、切実に思う。上忍とかにだけは絶対に会いたくない。

特にこの頃の霧隠れの忍びにはね。

桃地再不斬のような奴なら好感も持てるし分かるんだけど、四代目水影やぐらが敷いている今の里の体制は本当に最悪の一途だ。

シリアルキラーを生み出すなんて本当に意味があるのかと思うぞ?

ていうかよく桃地再不斬のような仲間思いな奴が生まれたよな。今の霧隠れなんか仲間の死なんざどうでも良い。むしろ笑えるギャグだと思っているし。

 

「うぅ、何か今になって怖くなってきた。そして最悪の可能性を思いついた。聞きたい?」

「一応興味あるってばね」

「さっき来た霧の忍びってさぁ………中忍だったわけじゃない」

「それがどうしたんだい?イナバ」

「いや、さぁ………間違いなく上忍も居るんだろうなぁって思ってさ。もしかしたら忍び刀七人衆とか出張ってきそうな感じで―――」

「ッ!ミナト、クシナ、イナバ!!アズナさんを囲めぇ!!」

 

僕ら三人が会話していると自来也先生が突如叫び、僕らはすぐさまアズナさんの周囲を囲むようにしていつでも守れるように準備をする。

そういやさっきから霧が濃くなってきたなぁとは思っていたけど…………まさか出てくるなんて。

 

「のォイナバ…………お主の予感って言うのはどうしていつも当たるんじゃのォ」

「当てたくて当てたんじゃありません。最近の世の中って言うのはいつもこうだ。望んでもないことをすぐに持ってくる。それで面白くなるって思っているのか?」

「いやいや、ふざけてる場合じゃないですよ先生、イナバ。クシナ、迎撃の用意を」

「分かってるってばね!!」

 

全員が全員臨戦態勢を取る。

アズナさんも危険を察したのか、カタカタと震え始めた。

そんな僕らを見て霧の向こうの二人組み(・・・・)はケタケタと笑いながら近寄ってくる。

 

「木の葉の三忍、自来也に海の国の姫アズナだな」

「それ以外にもガキが居るが…………まぁ楽しめそうだな」

 

小太りの男は大刀を肩に当てながら、面を被った男は細長い刀を弄びながらゆっくりと近づいてくる。

 

「そういうおぬし等は霧の忍び刀七人衆の西瓜山河豚鬼に栗霰串丸じゃな?」

 

大刀・鮫肌の使い手、干柿鬼鮫の前任者である西瓜山河豚鬼。

長刀縫い針の使い手、栗霰串丸。

どちらも霧の中でも非常に高い懸賞金をもつ忍びだ。

そして両方とも危険度は大、はっきり言って滅茶苦茶ヤバイ。

 

「…………最ッ悪だよ!」

 

脳内をフル稼働させて作戦を作り始める。

どうすればあいつ等に対し有効に戦える?鮫肌や縫い針に対してどうすればいい?戦闘能力は?

その全てをすぐに考えて、答えを出す。

 

「自来也先生とクシナは太ってる方を!僕とミナトは仮面の方を担当する!」

 

火遁影分身を三体作ってアズナさんを警護するようにして、皆に指示を出す。

 

「あの刀、鮫肌はチャクラを奪うから出来るだけ触れないように!」

 

そして西瓜山河豚鬼の対処法を教えて僕とミナトは栗霰串丸に対峙する。

 

「へぇへぇ………なるほど、中々優秀じゃねぇの」

 

飄々とした感じで話す栗霰串丸。

 

「ある程度の忍びの情報は持っておく。そうすれば格上であってもいくつかの対策ができる」

 

もっとも、それも時間稼ぎと逃げるだけなのだけれど。

 

「だが、このオレも舐められたもんだねぇ。まさかこんなガキどもに勝てるなんて思われてるなんてねぇ」

 

そう言って長刀・縫い針を撫でながら言う。

 

「まぁその分、お前らの絶望した悲鳴が楽しめるんだがなァ」

 

………コイツ、クソ野郎だ。

どうしようもないほどの、最低のゲス野郎だ。

 

「イナバ、奴の情報は?」

「ある。そして対抗策も…………一矢報いる方法も、ね」

 

僕一人じゃ間違いなく勝てない。

だけどここにはミナトがいる。僕よりも強く、天才なミナトがいる。

だったなら僕はミナトが全力を出せるようにサポートすればいい!

 

「それに、新忍術も有効そうだ」

 

にやり、そう静かに口元を歪めて笑った。




世の中フラグって怖いですよね。


・オリジナル忍術コーナー

名前:火遁影分身
火遁の性質が入った影分身。
カカシがペイン戦で使った雷遁影分身と性質が似ている。
基本的な使い方は囮からのカウンター。
この術を使って抱きつくだけで相手を抑えられる。
薔薇の術とは違い実戦用。
主人公はチャクラを色々と考えている為、戦えるようにするために六人までしか作れない。
実はチャクラの事を考えなければ―――


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戦闘………やらないか、ですか?

今回だけで全部書き終えられなかったとです…………。
チクショー!ギャグを入れたいです!!


栗霰串丸、霧隠れの里の上忍にして忍び刀七人衆の一人。

趣味は自分の持つ獲物である長刀・縫い針を使って相手を生きたまま木に縫い付ける事。

とんだ外道な相手だ。心の中でそう呟きながら起爆札を巻き付けたクナイを投擲する。

だけどクナイは縫い針の一閃によって弾かれてしまい、全く関係の無い方向、海にへと飛んでいき爆発する。

水しぶきが舞い上がってパチャパチャと僕たちに降りかかる。

それが開戦の合図だった。

 

「水遁・水刃衝!」

 

印を結んで発動した忍術、それは水の刃を放つ術。

その術をミナトは横に飛び僕は上に飛ぶことで回避した。

ミナトはその際にあのオリジナルクナイを三本ほど投擲する。

が、それぞれが全く別の方向にへと飛んでいく。

 

「はっ!どこ狙ってやがる!!」

 

栗霰串丸は嘲笑うようにしてそう言うと宙に居る僕に向かって縫い針を投擲する。

大方、空中に居る僕にはこれを避けられない。そう思って投げたのだろう。

あえて言おう。

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

空中で影分身、そして影分身を足場にして地面に向かって跳躍する。

影分身の方も僕を足場にしたのでさらに上へとジャンプする。

そして上の影分身は火遁のチャクラを込めた手裏剣を投擲する。が、いとも容易く避けられてしまう。

だけどこれで良い。

 

「火遁・焼香結界」

 

本体の僕が印を組み、手裏剣に込めたチャクラを利用して炎の結界を作り出して閉じ込める。とは言え、この結界はとても作りが粗い上に弱い。

だから十秒、それだけしか時間を稼げない。

でも、それで十分だ。

 

「ミナト!今からコイツの対処の仕方を教えるから急いでこっちに来い!」

 

叫ぶようにしてミナトにこっちに来るように頼みこむ。

するとミナトは瞬身の術を使って僕の隣に立った。

 

「来たよイナバ」

「よし、今から説明するからちゃんと聞いてよ?アイツに一矢報いる作戦を」

「勿論分かっているさ。それで、どんな作戦だい?」

 

 

 

「はぁ………はぁ………三忍の一人に九尾の人柱力が相手となると中々疲れる」

「何処のどいつがそんな口を叩けるんじゃ………」

 

西瓜山河豚鬼と戦っている自来也とクシナは酷く疲れた様子で立っていた。

大刀・鮫肌は敵のチャクラを吸い取り自分のチャクラにへと還元する力を持っている。

だからこそチャクラ量が多い二人が担当したのだが、それでもやはり疲れる。

最も、それは向こうも同じだったのだが。

 

「中々上手くチャクラを吸い取れないとはな………ハッハッハ!」

 

どっちが有利かは先ず間違いなく自来也だった。

いかにチャクラを吸い取ろうがそのチャクラを受け取る人間そのものを封印してしまえば意味など無いのだから。

 

「…………ちくしょうが!あの小僧の方だったら楽にやれたっていうのに………栗霰の野郎!」

 

何処かいらついた様子で呟く西瓜山河豚鬼。

それに対し自来也は毅然とした態度で言い返す。

 

「向こうの方がきついかもしれんぞ?ミナトとイナバは天才的な才能を持っておるからのう」

「ああ、見りゃ分かるぜ。だけどよ、黒髪の小僧には弱点がある。それも忍びとしては致命的な弱点がな。うまく隠しているがオレには分かる、何せ――――」

「言っておくけど………それ以上は言わせないってばね!!」

 

話している途中にクシナが風魔手裏剣を力一杯ぶんなげる。

だがそれは簡単に回避される。

 

「おっと、いきなり何するんだ?」

「イナバの弱点くらい私達だってちゃんと分かっているわ。だから言わせない。ミナトとイナバが戦っている男に不利になるような情報は渡さないってばね」

 

今はその弱点もばれていないし、ミナトもカバーしているから状況はとても有利だ。

 

「ふん、まぁ………あの調子じゃその弱点を言う前に終わりそうだがな」

 

何処か見下している感じでそう言う河豚鬼。

と、言うよりさっき作戦を伝えてから二人の動きが少しだけおかしかった。

何故かミナトに変化したイナバの影分身がフェイントを混ぜながら栗霰串丸に特攻していたからだ。

これではミナトが何かしますってバレバレだ。

だから河豚鬼は笑った。

 

「いくらなんでもあれは無いと思うぜ?どれだけ才能があろうともあんな馬鹿なんだからな!」

「……………」

 

だがクシナは何処か不適そうな笑みを浮かべて一言――。

 

「一つだけ言っておくってばね。あのイナバが考える事は本当にそれだけしかないって事を」

 

 

 

―――おかしい。

栗霰串丸はどこかそう感じながら金髪の小僧、ミナトの攻撃を捌いていた。

最初にミナトが特攻してきて体術を駆使して攻撃してきたがどれも当たっても大した事の無い一撃だった。

その後、影分身を使う女男、イナバの影分身&変化の術を行使した攻撃が始まった。

どれもこれも大した事も無く、単純に倒せてしまうくらいだった。

強いて言うなら引き際を心得ていることだけだろう。

それこそ攻撃が中々当たりにくく上手く戦えない。

自分の刀、長刀・縫い針の特性は障害物が無い場所ではあんまり機能しない。

本当に戦いづらかった。

 

「っち、うぜぇ!!」

 

そう、最初は―――今は違う、絶対に違う。そう断言できるほどおかしかった。

何回も何回も同じことばっかりを繰り返しているわけじゃない。だけど何かがおかしい。

そう思った次の瞬間、影分身の内の一体が親指を噛み、印を組んで地面に置いた。

ボンっと音とともに煙が現れ、視界を隠す。

 

「口寄せの術か、一体何を出してくるんだ?」

 

煙が晴れて次第に口寄せされた動物の姿が現れ始める。

どうやら人型のようだが一体どんなのが―――

 

「やらないか?」

 

+++

 

「ふぅ、ようやく幻術にかかってくれたよ…………」

 

ミナトが特攻した時に隠れて印を結んで薔薇の術を発動したのは良いんだけど完全にかかったわけじゃなかった。と、言うよりばれにくくする為に影分身と変化の術を併用して時間をかけて戦ったのだから時間がかかるのも当たり前だ。

それに一応こいつ等の情報は前に薔薇の術をかけて既に聞き出していたしね。

 

「大丈夫かい?イナバ」

「ああうん、一応大丈夫。薔薇の術って現実感を出さないといけなかったし、不自然にならないようにしたから頭が凄く痛いだけだから」

 

限りなく現実の動きと合わせて幻術をかけたから幻術だって気づいていないと思う。

 

「だけどこれからどうするんだい?一応幻術に掛かったとは言えまだ安心はできないよ」

「ああうん。分かってる。ミナトは一応チャクラ取っておいて。コイツは僕がぶっ飛ばすから」

 

そう言って印を組んで忍術を発動させる。

 

「忍法、火遁・断罪炎」

 

 




はい、薔薇の術発動しました。
果たして幻術に掛かった栗霰串丸君は貞操を守ることができるのかッ!?

というわけで次のコーナー

・オリジナル忍術コーナー
名前:焼香結界
手裏剣に火遁のチャクラを込めて投げる事によって発動する火の結界。
最低でも三つは投げないといけない上に持続時間もそれほど長くはない。
時間稼ぎ専用の術。


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海の国に到着ですか?

ようやく序章終了です。
次回からは海の国で色々と問題ばっかやらかします。


ゴォっと音をたてて右手が燃え盛り始める。

火遁・断罪炎、言ってしまえば火遁バージョンの千鳥、もしくは雷切りだ。

本当ならここからさらに発展するんだけど今の僕は火を燈すだけしかできない。

でも、それでも―――

 

「この術は十分に強い」

 

ただぶん殴る。それだけで岩をも破壊し、熱で溶かす。

人体にぶつけるだけでも十分に相手をぶっ飛ばせる。

 

「凄い、見ただけでも分かる。なんて強いチャクラだ」

「戦闘に使えるレベルには十分だけどね。それでもまだまだ使い勝手が悪い」

 

まぁ、これから使い勝手をよくしていくだけだけど。

そう思いながら栗霰串丸に向かって突進する。

雷切りほどの速さは無いがそれでも十分に速いと言える速度。

これならアイツを戦闘不能にできる!

 

「ぶっとべこの野郎!」

 

炎の拳を仮面を被った顔面に向かって力いっぱい振り下ろす。が、その瞬間、背中をポンッと誰かに触れられる。

後ろを振り向き、触った相手を確認する。

 

「ミナト―――」

 

名前を言った瞬間、目に映っていた風景が変わる。

飛雷神の術を使用した事が分かり、その直後に僕がさっきまで居た場所に何か巨大な物体が着地した。

 

「ったく、起きろ栗霰!あんなガキどもにいいようにされてんじゃねぇぞ!」

 

巨大な物体、鮫肌と一体化した河豚鬼は薔薇の術の中に入っている栗霰串丸に触れて幻術を解く。

幻術って言うのは第三者の介入で解く事もできる。どれだけ強力な幻術であってもだ。

それ以前に鮫肌の特性はチャクラを吸い取ること、相手のチャクラを乱す幻術との相性は非常に悪い。

 

「ギャァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

だけど限りなく現実に近い幻術、それも相手の精神に爪あとを残すような幻術だった場合だけは別だ。

 

「オレの傍に近寄るなァーッ!!このホモ野郎がァーッ!!」

「ちょっ、いきなり何をしやがるんだ!」

「うるせー!!人として、男として二度と戻れない道に踏み込んだ挙句にオレまでその道に」

 

縫い針の糸を利用して自分の手元に持ってきて河豚鬼に斬りかかる。

河豚鬼は半狂乱に陥っている栗霰の攻撃を防ぎ、逆に殺しに掛かっている。

どうやら成功したようだ。

 

「イナバ、一体何が起こっているんじゃ?」

 

河豚鬼がこっちに来た為、追いかけて来た自来也先生とクシナは現状を全く理解できない様子だ。

 

「いえ、あの仮面に薔薇の術をかけたついでにあの河豚が裏切った上に目覚めてしまいアイツの貞操を奪う幻術を見せただけですよ?」

「…………なんて術を作ったんじゃわしの弟子はッ!!」

 

顔を覆って嘆き始める自来也先生。

いや、まぁ自分でもここまで酷い事になるなんて思ってはなかったですよ?

精々連携が上手くいかなくなってくれれば良いなぁ、とか関係がギクシャクして欲しいなぁとか思ってただけなのにまさか同士討ちを始めるなんて思いもしなかったです。

本当にこの頃の霧の忍びっていうのは理解できないよ!

 

「自来也先生、そんな事よりも今はあいつ等が同士討ちをしている間に先を急ぐことの方が重要かと―――」

「ねぇミナト…………最近貴方がイナバと同じなんじゃないのかと思い始めてきたんだけど…………」

 

どんよりとした空気を醸し出しながらそう言うクシナにミナトはにっこりと笑って答える。

 

「イナバとは長い付き合いだからね。イナバが考えそうなことくらいは大体読めるよ。君もそう考えていたんだろう?」

「え、そうだったの?」

「…………ねぇミナト。本当に分かってるってばね?」

「うん、分かっているよ。イナバが殆ど何も考えずにあんな事を考え付く事も」

 

ニコニコと笑いながらそう答えるミナトに一瞬だけおぞましい何かを感じてしまう。

何だろう…………惚れてしまいそうな笑顔なのにその裏ではなんてオゾマシイ顔なんだって感じがする。

 

「まぁ急いでここから離れた方が良いのは確かなんだよね。ここは海、そして相手は霧隠れの忍び。水遁が有利になるから」

「そうじゃのォ………よし、イナバ。アズナさんを連れて来い。今のうちに戦線離脱するぞ」

「もう既にやっていますよ。そろそろ来ます」

 

そう言って影分身たちがアズナさんを引き連れてやって来た。

…………何故かムーンウォークをしながら。

 

「おい、あの馬鹿三体をぶっとばしたいんじゃが良いか?」

「すみません。やめてください」

 

あんなのでも一応は影分身なんだから。

 

「火遁影分身って本当に神風特攻には使えるけど何故か思考がおかしいからね?」

「それは元からじゃないのかってばね?」

「何それ酷い」

 

いくらなんでも酷すぎる。

僕泣くぞ?みっともなく泣くぞ?柄にも無いのに乙女のようにさめざめと泣くぞ?

 

「兎も角、急いでこの場を離れるぞ。今は同士討ちをしているがいつ止めるか分からないからな」

 

確かに、それじゃぁ急いでこの場を離れるとしますか。

 

+++

 

あの二人の同士討ちから約一日が経過した。

兵糧丸で飢えをしのぎ、無理して全力疾走することによって何とかあの二人を振り切ることができた。

そして、ようやく―――

 

「ここが、海の国か………」

 

 

【第一章・海の国で始まる決着】

 

 



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番外編~閃光と明星の出会い~

一章ごとに番外編を入れる。
さっき決めました。

取り合えず今回はとある人物達の出会い、です。
ぶっちゃけギャグ要素はまじないです。


因果応報と言う言葉がある。

自分のやった事は自分に返ってくる、という意味でもある。

それは忍びも同じことである。

 

「……………」

 

金色の髪と蒼い瞳を持った少年の目の前にあるのは父親と母親の遺影。

それが意味する事はつまり、少年の両親は既に居ないと言う事だ。

簡単な任務になるはずだった。だがそれがこの結末。

任務には成功した。それは忍びとしては喜ばしい結果だ。

それなのに任務を請け負った忍びは全員が死んだ。残った一人も怪我が原因で死んだ。

里の皆はそれが凄いこと、とても勇敢だったと言っているが…………だったら何で自分はこうして一人ぼっちになっているのか。

 

「…………外に出るか」

 

この場で考え続けていても埒が明かない。

そう考えた少年は外に出る事にした。

 

 

結局、何にも変わらなかった。

むしろ家の中に居るときよりも酷くなった気がした。

里の皆は少年の事を心配して何かと気にかけてくれるがそれは少年の求めているものではない。

何故、何故なのだろうか…………何故答えが分からないのだろうか?

忍びの世界でルールを守れない物はクズ扱いされるのなら、仲間を守れないのは一体なんだというのか?

そう考えながら頭の中で何度も反復し、何も答えが出なかった為、家に帰ってカップめんでも食べようかと思った瞬間―――

 

「明日には明日の風がふく~」

 

川辺で魚を焼きながら歌を歌っている黒髪の少年が居た。

何だ、あれは…………?そう思いながら金髪の少年は黒髪の少年を見た。

 

「だけど僕には風が吹かない~、何故なら絶縁したから~」

 

…………何故だろう。見ていて悲しくなってきた。

 

「はぁ…………本当、明日からどうしよう。まぁ何とかなるとは思うけど…………結局家族との問題はどうにもならなかったよなぁ。僕が悪いって事はまぁ分かるけど、さ…………迎えにも来ないのはやっぱり、ねぇ。君はどう思う?」

 

ぐりんと、こっちの方に顔を向けてきた少年。

その瞳は赤く、黒色の勾玉模様が一つだけ入っていた。

写輪眼―――うちは一族の血継限界、不完全ながらも開眼していた。

 

「どう………って」

「いや、友達を助けようとしたのは良いけど結局自分が傷ついて逆に人質にされた兄と、人質が居るのにそんなこと関係ないと言わんばかりに攻撃してきた弟。どっちがさ、褒められると思う?」

 

その質問に対し、金髪の少年は答えられなかった。

 

「まぁ弟の方は兄が大嫌いだったから仕方が無いんだけど」

 

何処か悲しそうに呟く。

 

「友達は人質から解放されたけど怪我をした。結局、兄のやった事は無意味なことでしかなかった。唯一つ、意味を求めるとしたら人質になっていた友達よりも兄が動けることだけだった」

 

その話しを聞いて金髪の少年は思い出す。

この前うちは一族を狙って他国の里が忍び込んだと言う事を―――。

だとするならば彼が………、

 

「本当、皮肉な話だよ………結果的には救えたけど………一人しか居なかった友達とは絶縁する羽目になっちゃったし、家族とは仲違いしちゃったし最悪だよ」

 

黒髪の少年の話しを聞いて金髪の少年は考えた。

もしかしたら君なら答えを知っているのかもしれない。

 

「ねぇ。今度はボクの方から聞いても良い?」

「いいよ。で、何?」

「君は―――――――――――――」

 

金髪の少年は全てを話した。

自分が感じ、思っていることを全て。

それに対し少年は笑いながら答えた。

 

「そうだなぁ…………色んな事を言う人が居るけど僕が思うに掟やルールを破るのはクズだ」

 

その言葉を聞いて「結局同じか………」と思ってしまう。

 

「だけどね。仲間を守れない奴はそれ以上のクズだと思っている。まぁ死を弄ぶような奴は更にクズだけどね」

 

が、黒髪の少年は続けてそう言った。

 

「もし掟か仲間を選ぶ事になった時は………間違いなく仲間を選ぶ。死んだらもう二度とやりなおせないし先を歩いていく事も出来なくなるからね」

「そっか…………そうだよね」

 

何を馬鹿なことを悩んでいたんだろうか自分は。

答えなんかすぐそこにあったじゃないか。

 

「ありがとう。ようやく分かったよ」

「そう。あ、これ食べる?焼きたてだから美味しいよ」

「いただくよ」

 

黒髪の少年から焼き魚を貰い食べる。

塩の味がしてとても美味しく、そして温かかった。

 

「釣り立ての魚を塩焼きにする。この食べ方も悪くないよ」

「うん。そうだね」

 

自然と涙が溢れ出てくる。

こうして誰かと一緒に食べるのも久しぶりだった。

 

「…………それでさ、こんな事頼むのもおかしいとは思うんだけど………家に泊めてくれないかな?」

「良いよ」

「え、良いの!?」

「この魚のお礼だよ」

 

本当は自分の悩んでいたことに答えてくれたお礼なのだがまぁいいだろう。

 

「ありがとう!あ、そうだった名前を言い忘れてたね。僕の名前は―――」

 

 

 

 




次回はキャラ紹介です。
これも一章ごとにやります。


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序章――登場人物――

感想は明日返します。
もう眠い。


名前:うちはイナバ

 

この物語の主人公にしてヒロイン(♂)

前世の記憶はだんだん無くなっている。

趣味は料理に運動、そして読書。

特技は新術開発(主に薔薇の術)

好きなことはエロ。

チャクラ量はミナトより上、自来也より下。

ボケキャラにしてギャグキャラ、そしてトラブルメーカー。

とある事情で家族とは絶縁状態、忍者の仕事をしながらバイトもする努力家。

普段はミナトの家に寄生している。

実はオカン。

忍術に関しては間違いなく天才、体術も学べば八門遁甲を使えるくらいの才能はある。が、色々とあったため自分を信用できない。

幻術に関しては薔薇の術関係以外は一つしか使えなく、禁術である以上に使い勝手が悪い為中々使えない。

以外に頭脳系。

ちなみに初期設定ではものほんの女の子でした。

 

 

名前:波風ミナト

 

うずまきナルトの父親にして四代目火影。ただしこの頃は中忍。

この作品の良心にして天然。ただしたまに怒る。

ネーミングセンス皆無、中二病、そして天才。

四代目火影になる頃には原作を越えているであろう人物。

親友はイナバ、好きな人はクシナ、尊敬する人は自来也。

彼にとってイナバは共に歩いてくれる親友でありライバル、そしていずれ火影の座を狙って競い合う敵だと思っている。

好きなものはイナバやクシナの料理。

嫌いなものは特にない。

 

 

名前:うずまきクシナ

 

波風ミナトを主人公としたら彼女は間違いなくヒロイン。

よくイナバを殴るがそれはちゃんとしてほしいからと言う思いもある。

ボケに走るイナバを止めることのできる人物。

九尾の人柱力だが好きな人のミナト、自分の事を認めてくれる自来也先生、そんなの関係ないと言わんばかりに一方的に信頼してくれるイナバが居る為大丈夫。

ミナトが居なければイナバのヒロインになっていた人。

そのため、イナバの言う事を信じ、よほどの事が無い限り命令に従う。

最近胃薬が欲しくなってきた年頃。

 

 

名前:自来也

 

伝説の三忍にして妙木山のガマ仙人。

先生、師匠、そして苦労人。

天才なミナト、人柱力なクシナ、うちはの汚点のイナバを纏め上げる。

それぞれの弱点を理解し、それを克服させようとがんばっている。

イナバを見ては若い頃の自分をよく思い出す。

最近お酒が胃に染み渡ります。

 

 

名前:大蛇丸

 

変態。

 

 

名前:綱手

 

カモ。

 

 

名前:猿飛ヒルゼン

 

三代目火影、良い人。

 

 

名前:アズナ

 

海の国のお姫様

 

 

名前:遠野鈴丸

 

霧隠れの中忍

薔薇の術の餌食、その後目覚めてしまったため相方とドッキング

 

 

名前:かがなフウリン

 

霧隠れの中忍

起きたら裸の相方と一緒の布団に入っていたせいで性的に補食させられた。

そのあとに目覚めてしまう。

その後、里に戻って夜な夜な男を襲っている

言われている。

 

 

名前:栗霰串丸

 

忍び刀七人衆の一人。

クズ、そして薔薇の術の最大の被害者。

果たして彼はトラウマから逃れられるのか?

 

 

名前:西瓜山河豚鬼

 

忍び刀七人衆の一人。

見た目は名前の通りフグ。

薔薇の術の中では青いつなぎを着た良い男に掘られて串丸の尻を襲おうとしたらしい。

ある意味被害者。

 

 

名前:不明

 

外見は青いつなぎを着た良い男。

薔薇の術の中においてのみ出てくる。

口癖は「やらないか」

最近現実世界に出てこようとしているらしい。



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第一章・海の国で始まる決着 修業と言う名の拷問ですか?

海の国編スタート!
今回の章のテーマは【覚悟】です。
ちなみに序章のテーマは【傍観】でした。
中忍試験編のテーマは【侵食】です。


海の国にやって来てから既に一ヶ月が経過した。

あれから霧隠れの忍びもやって来ず、ずっと今まで平穏な生活を送っていた。

朝昼晩と新鮮な魚料理を食べてお姫様を護衛する。

そういえばお姫様が護衛をして欲しいって言った理由はとある国の王子様と結婚したいからで、それに反対している人たちから命を狙われているのである。

要するに結婚するまでそいつ等から身を守ればいいわけである。

まぁ忍びでなければ下忍の僕らでも相手できるし大丈夫、楽勝だ!

 

そう思っていた時期が僕にもありました。

 

「イナバ!まだ一時間も経っておらんぞ!」

「じ、自来也先生!もう無理です!これ以上やったらマジで死にますって!」

「駄目じゃのォ。少なくとも組み手の基礎くらいはできておらんと断罪炎なんか実戦では使い物にならんぞ!」

 

今日もまた自来也先生にしごかれる。

ここずっと最近いつもこうだ。

事の原因はこの国に来てから三日目の朝のこと。

 

 

その日の僕たちは朝起きて全員集合と自来也先生に昨日のうちに言われていた。

一体何事なんだろうか?そう思いながら待っていると自来也先生が飲み物と思われるお酒を持ちながらやってきた。

まさかこんな時間からお酒か?なんて駄目人間、なんて駄目な大人なんだろう………!

 

「全員揃っておるのォ」

 

飲み物を飲みながらこっちに近づいてくる。

本当に朝っぱらから酒なのね。こんな大人にだけはなりたくないです。

 

「では早速修業といこうか………と、言いたいんだが―――」

 

そう言って僕のほうを見て一言。

 

「イナバ。ミナトが言っていた新術を見せてくれんか?」

「ええ、良いですよ。火遁・断罪炎」

 

印を組んで右手にチャクラを溜めて性質変化を使い、炎を放出させる。

これが、これこそが僕の代名詞とも二つ名(今後の予定)とも言える新忍術、断罪炎だ!

 

「ためしにそれであの岩を殴ってみろ」

「良いですよー」

 

実際のところこれを使うのは初めてなんだよね~。

威力も高いって言うのは完全に分かるんだけどどれだけなのか…………まぁ弱いって事は無いだろう。

そう思いながら岩に向かって拳を振り下ろす。その直後に何かが砕ける音がした。

 

「……………」

 

目の前の光景を見て唖然とする。

何と言う事でしょう、断罪炎を受けた岩は木っ端微塵となりジュージューと焼ける音を立てながら溶けていくではありませんか。

嘘、何これ?僕はこれを、こんなものを人に向けてぶん殴ろうとしたのか?

 

「…………やはり天才じゃったか」

「ちょっと待ってください。何で僕が天才なんですか」

 

こんな事は誰にでもできる。断罪炎だって多少扱いが難しいだけで誰でも使える忍術だし。

 

「ミナトとはベクトルが違うがのォ…………この一年でどれだけ新術を完成させたと思っておるんじゃ。少なくともそれだけで天才だとはっきり言えるぞ?しかもその内の一つは禁術に指定されたやつじゃろうが」

「新しい忍術を作ることに専念すれば誰だって作れますよ!禁術指定だってあれが時間も掛かる上にチャクラの消費も激しくて時間も掛かりすぎるから使えないって言うのが理由ですよ。そもそもその禁術だって薔薇の術と組み合わせて発動するのが前提でしたし」

「何ていう術の無駄使い。いや、ある意味もっとも最悪な組み合わせとでも言うべきか」

「まぁそれがイナバの駄目な所ですからね、自来也先生」

 

ミナトの言葉に癒されたのか泣きながら僕を見る自来也先生。

いつかあの涙が血涙に変わりそうな気がした。

 

「あー、とにかく…………ミナトとクシナはそれぞれで修業を、わしはこれからこの馬鹿に個人で修業をつけなくてはいかんからのォ」

「ちょ、いやだぁー!!スパルタはいやぁー!!へ、ヘルペスミー!!」

 

そう言ってミナト達に助けを求めるが―――

 

「じゃぁがんばってねイナバ。僕たちも新術を開発するから」

「精々苦しんでくるってばね」

「チクショォー!!」

 

 

こうして、今に至るわけだ。

 

「ふぅむ、体術の筋は良いのォ。流石に天才とまではいかんが」

「そりゃぁ毎日走りこみはしてますからねぇ」

 

転生してからずっと走って鍛えている。

この世界で生きていく為には鍛えるしかないのだから。

 

「じゃが…………どこか噛み合わないのォ」

 

頭をポリポリと掻きながら自来也先生はお酒を飲む。

 

「まぁ、良いじゃないですか…………欠点があるならほかでカバーすれば良いだけですし」

「………その欠点がお前の場合は致命的なレベルなんじゃがのォ」

「大丈夫ですよ。いざとなったら薔薇の術使いますから」

「やめておくんじゃのォ…………いかに強力な術でも何度も同じ使い方をしたら対処されやすくなるぞ」

 

その言葉にそれもそうかと納得する。

そういやこれって殆ど相手を動かなくさせるか相手の動きを封じるかのどちらかにしか使っていない。

ああ、確かにこれは対処がされやすいだろう。と、するとこれからの課題は―――

 

「絶対に解けない、とはいかなくても解け難くなる薔薇の術の開発か」

 

せめて印を組まなくても発動できるくらいの、そして威力も強くしないといけない。

足止めには非常に役立つんだから。

そう思っていると自来也先生は顔を青ざめて明後日の方向を見ていた。

 

「ま、それは追々やるとして…………今は断罪炎のヴァージョンアップをやらなくちゃ」

「ヴァージョンアップ?」

「ええ。形態変化を応用して断罪炎を伸ばしたり、盾にしたりしようと考えているんです」

 

千鳥流しや千鳥千本と言った感じの忍術、それが断罪炎の進化系。

今の僕は手に燈すだけしかできなく、動きだって悪いからこの術をいかせない。

火遁の才能がある忍び、自来也先生ならもっと良い使い方もできるだろう。

何せこの術の威力は高いんだから。

 

「…………なるほど、形態変化か。そういえばミナトが新術を作っておったのォ」

「へぇ、どんな術ですか?」

「さてな。だが、形態変化を極めた術を開発しているとは言っておったのォ」

 

それってまさか………いや、間違いなくあの術だろう。

ミナトとクシナの息子が使う忍術にして代名詞、その名も―――

 

「螺旋丸」

 

 

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

息を荒くして、非常に疲れた様子でミナトは目の前にある木を見ていた。

木には変な形に刻み込まれた複数の線がくねり曲がっていた。

 

「ようやく、ようやく…………完成が見えてきた」

 

本来、新術と言うのはそう簡単にポンポンと作れるものではない。

一人の忍びが今までの経験や技術、そして新しい発想と長い時間をかけて作り出すものなのだ。

それが普通だ。少なくとも、それが普通だった。

だがミナトの隣にはいつもイナバが居た。

誰からも理解されない天才、そしてその環境を受け入れて自分の殻に閉じ篭った少年。

彼はその驚きの発想力と天性の才能を駆使して新たな術を生み出していった。

中には使い物にならない物もある。だがそれでも組み合わせて使い、戦う事もできる。

世間ではミナトが天才、イナバが凡人と思われているが実際のところベクトルが違うだけの天才だった。

そんなイナバをミナトは心の底から憧れ、認めていた。

 

「もう少し、後もう少しで完成する」

 

苦節三ヶ月、寝る間も惜しんでがんばった。

クシナの尾獣玉を参考にし、イナバの描いた忍術ノート(黒歴史)を見てやっとこさここまで完成にこぎつけた。

もしイナバの忍術ノート(黒歴史)が無かったらここまで速く会得することなどできなかっただろう。

 

「でも、まさか形態変化の効率的な修行法まで考えているなんて………本当に脱帽しかない――――」

「ミナトッ!」

 

チャクラの消耗で意識を手放しそうになったミナトをクシナが支える。

 

「少し休むってばね!昨日からあまり眠っていないでしょ!?今は少しでも良いから休む!!」

「あ、うん…………ゴメンね。クシナ」

 

そう言ってミナトは深く、眠りに着いた。

はぁ、とクシナは軽く溜息をつく。

 

「どうしてうちの班は天才が多いのよ。これじゃぁ追いつくのも精一杯だってばね」

 

自分の内情を素直に吐露するクシナ。

それもその筈、彼女はうずまき一族と九尾の人柱力というアドバンテージがあるだけでそれ以外は少し才のある忍びだ。

意外性、と言われた事もあるがそれもイナバがある程度理解し、ちゃんと作る。

時たまに失敗する事もあるが――――

 

「だから、せめて自分の事くらいは気付いてほしいってばね」

 

今、この場に居ないもう一人のチームメイトに向かって、そう言った。

そしてそれは――――そう遠くない事なのかもしれない。




・オリジナル忍術コーナー
名前:断罪炎
千鳥の火遁バージョン。
貫通型の千鳥に対して断罪炎は拡散型の破壊。
人体に当てるとその一部が炭化し、砕け散る。
その後のダメージも大きく、炭化して砕けた場所の周囲が第三度、第二度、第一度と言った感じに傷を残す。
ぶっちゃけ直撃を受けると千鳥よりも危ない。


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俗に言うホストですか?

ギャグって本当難しい。
てか何か段々シリアスに傾いてっているんですけど…………大丈夫なのかね?


目を開けると知らない天井があった。

勿論、知らないわけじゃない。馴れないだけだ。

こんな豪華な部屋でゆっくりと安心して眠れるかなんて…………無理にもほどがあるだろうが!

 

「だけどぐっすり眠れている自分が居る」

 

その理由は間違いなく毎日特訓していれば疲れきって眠るのは当たり前だ。

そしてそれは隣の布団で眠っているミナトも同じように疲れ果てて死んでいるようにして眠っている。

ミナトも同じように特訓して、螺旋丸を会得しようと頑張っているんだ。

昨日の様子ではかなり完成に近づいているらしい。

本来なら三年かけてようやく完成だった筈なのに…………いや、そもそもこれが現実なのかもしれない。

僕という存在がいるからバタフライエフェクトが起こる。と、言うわけではない。

形態変化の基礎ができていればすぐにできることだ。

 

「本当、羨ましいよ…………」

 

何でそんなに前だけを向いて歩けるのだろうか。

痛いのが怖くないのか、死ぬのが怖くないのか?そう何度も思ったことか。

現代人の僕にはそれが理解できない、したくもない。

そもそも人を殺すなんて僕に出来る気がしない。

はっきり言おう、忍びなんかには向かない男であると。

血を見るのが駄目、人死にが駄目、本当は戦うのも嫌。

前世居た世界ならそれでも良かったんだろうけどここはもう違う…………忍びである以上、いつかは通らなければならない道だ。

俗に言う………『殺す覚悟』だ。

他者の命を奪うと言う事を覚悟する、そんな言葉を前世で見ていた小説に何度も出てきている。

その時は「何を言っているんだこいつ………?」とか思ってたけどその立場になって少しだけその気持ちが分かった気がする。

殺さなきゃ生きられない、自分は生きる事もできない。

僕の場合は一回も殺した事は無いけど、もししたらそういう風な言い訳をしそうだな。

ハハッ、笑えない。

 

「………トイレにでも行こうか」

 

これ以上考えるのはよそう。

そう思いながら僕は部屋から出て行く…………頭の中から消えようとしない変な感覚に悩まされながら――――。

 

+++

 

「あのぉ…………自来也先生?」

「何じゃ、ミナトにイナバにクシナ」

「すみませんが………あれがアズナさんの結婚相手なんですか?」

「そうじゃのォ、非常に残念じゃが」

「なんか………アズナさん、凄く可哀想だってばね」

「それにはわしも同意じゃのォ…………」

 

僕らが全員揃って満場一致の回答を出したのも無理は無い。

何故ならアズナさんの結婚相手が―――

 

「ねぇ…………結婚するのに、私なんかの相手をしていて良いの?」

「大丈夫さ。結婚と言っても所詮親同士が勝手に決めたことだからね。本当に好きなのは君だけさ」

「本当?」

「ああ、本当さ」

 

こんなホスト紛いの男だったなんて………。

外見で人を判断したくはないのだけれどやっている行動が完全にホストです。

これが一回だけならまだ分かるかもしれないけど既に十回以上同じ光景を見せ続けられてる以上、完全にホストですわ。

いや、ホストよりも性質悪いよねコイツ?

 

「イナバ、あの女の敵に薔薇の術を使え」

「私が許可を出す。やるってばねイナバ」

「いやいやいや。いくらなんでも駄目でしょうが。確かに僕もちょっとはやっても良いかと思ったけど一応は国の長の息子なわけだからすぐにやったってばれるでしょう」

「それってばれなければやっていたって事だよね?」

 

さらりと考えていた事をミナトに指摘されてしまうが気にしない。

あんな男など掘られて大腸を引きずり出されてしまえば良いんだ。

 

「って、言うかさ…………あの人護衛されているって分かってるのかな?」

「多分わかってないと思うよ。忍びはいつも護衛している兵士と同じくらいにしか思ってないだろうし」

「うわー。何それ裏切りたい」

「その気持ちは分かるけどやっちゃ駄目だからね、イナバ」

「分かってますよー。あくまでやろうとしただけですよーだ」

 

てかそれやったら間違いなく僕たち生きて帰れないからね?

そう思っていると話しを終えたホスト紛いの男がこっちにやってきて一言。

 

「おら、次行くぞ」

 

…………その言葉についブチ切れそうになった。

よく見れば普段温厚なミナトでさえ頬に血管が浮き出ている。

本当に居るものなんだね………こう、人を怒らせる天才って奴が――――。

そう思いながら印を組み始める。

 

「――――薔薇の」

「止めろ。その気持ちだけは十分わかるから今は止めろ」

 

ついやってしまいそうになったが自来也先生が止めたせいでこの馬鹿に幻術をかけることができなかった。

隙ができたら絶対にかけてやる。

心にそう誓いを立ててこの男の護衛をし続ける。

 

―――この日、この男に薔薇の術をかけなかった自分のことを褒めても良いかな?って思ってしまった。

 

+++

 

今日は普通に修業、自来也先生はクシナとアズナさんの護衛。

そして僕とミナトは黙って修業。本当にそれしかやることがない。

 

「断罪炎からの~キック!」

 

炎の燈った拳ではなく、回し蹴りを木に叩き込む。

勿論、木が折れるなんて事はなく、むしろ自分の足にくるダメージで身を悶えさせることになった。

それに理不尽な怒りを感じ、断罪炎を地面に叩きつける。

ドンッと轟音を立てて地面に小さいクレーターを作り、ジュージューと焼けた地面が出来上がった。

 

「イナバ、その断罪炎は何回使えるの?」

「多い時で三発。流石に今の自分じゃ持て余しているって感じかな?」

 

下忍の僕が使うにはちょっと負担が大きい術でもある。

火遁バージョンの雷切りとは本当によく言ったものだよ。

これ使うの本当は凄いきついです。

今の僕じゃ影分身三体(・・・・・)ってところだ。

 

「はぁ………ちょっときついなぁ。チャクラ的に考えると」

「まぁそれは仕方が無いと思うよ。むしろあれほどの術を三発も使えるイナバの方が凄いよ」

「褒めても何も出ないよ。どんな凄い術でも当てられなければ意味が無い。今の僕じゃこの術を完全には使いこなせない」

 

それを考えると自来也先生が相応しいだろう。

あの人ならこの術を最も強く使いこなせる。

 

「それよりもミナトの方はどうなの?新術、完成しそう?」

「ああうん。まぁ、後もうちょっとって感じかな?流石にこの任務中に完成は無理そうだけど」

「へぇ、凄いね。ちょっと見せてよ」

「良いよ」

 

ミナトは右手にチャクラを集めて回転させ始める。

それは球状になろうとしているがまだ不完全な為グニャグニャと曲がり霧散していく。

 

「名前は螺旋丸って言ってね。本当ならこのまま球状になって相手にぶつける術なんだけど…………今は未完成なんだよ」

 

やっぱり原作どおりか、いや、原作よりも習得が早い。

だとしたら少しアドバイスくらいはしておいた方が良いのかもしれない。

 

「なら影分身を使ってみたら良いんじゃない?役割をあえて分担させて」

「あ…………そっか、その方法があったか。でも最終的には一人で使えるようにしないといけない術なんだけどね」

「まぁそこまでいくには時間も足りないし、いざとなったらの時で良いと思うよ」

「ハハハ、そうだね」

 

そんな感じで僕ら二人は楽しげに会話をしていた。

会話の内容が忍術の事ばかりなのを除けばだけど。

 

「やっぱり君は凄いよ、イナバ」

「だから褒めても何も出ないよ」

 

 




何ていうか………こののほほんとした空気を書いているとそれをぶち壊したくなってきます。

と、言うわけなので海の国編は次回から戦闘パートに突入です。

そしてついにイナバが覚醒ッ!?


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考察ですか?

すみません、今回では戦闘シーンにへと突入できませんでした。
それは次回のお楽しみと言う事で―――。


なんかんやあって二ヶ月目に突入しようとした頃。

今日は明日やる挙式の為の最終警備と言う事になっている。

その為、自来也先生は挙式の会場に異常が無いか、現場に行って指示を行っている。

そんな中僕らはアズナさんことアズナ姫と話していた。

と、言っても会話しているのは主にクシナだけで僕らは本を読んだりストレッチをしたりしていた。

お金持ち、いや、一国のお姫様と言うだけあるのだろう。

 

「…………本当にあんな男と結婚するんですか?」

「ええ………でも大丈夫。結婚したら性格が変わるかもしれないし」

「甘いってばね!ああいう男っていうのは本当に女を物としか見ていない最低な奴だってばね!これならイナバの方がまだマシ………いや、よく考えたらイナバって女性関係では意外としっかりしているからイナバの方が本当にマシ?あの趣味を除けば以外にしっかりしてるし………」

「お前が僕をどう思っているのかよぉく分かったよ」

 

後半の方は普通に褒めていたから嬉しいけど比べる相手を間違えている。

せめて普通の駄目人間程度と比べてほしかった。

 

「フフフ、大丈夫よ。このくらいなんて事も無いわ。小国である海の国で生まれた以上、最初からこうなる事は簡単に予測できていたから」

「でも…………」

「ありがとう、でも大丈夫よ。女は強いから―――ね」

 

そう言ってアズナさんは部屋から出て行った。

 

「…………なんで、あんな良い人がこんな」

 

クシナは俯き、どこか悔しげな表情で呟く。

 

「それは仕方がないと思うよ。あの人は一国の姫、そんな立場にある以上恋愛なんてできないし、こんな世の中じゃ政略結婚が当然だよ」

「私は………イナバのようにそこまで冷静に考えられないってばね」

 

冷静、か…………まぁこんな嫌な考えでも冷静ではあるわなぁ。

でも、そんな考えしかできないから………思いついた事もある。

 

「ん?その顔、何かわかったのかい?」

「まぁね。と、言うか思いつきたくも無いような事を思いついた」

 

ぶっちゃけこれを考え付くような僕は非常に最低だと思う。

ああ、早く里に帰ってこんな事を考えなくていい自由な生活をおくりたい………。

 

「取り合えず全員集合。明日のことで一応注意しておくことがあるから」

「わかったってばね。で、注意しておくことって一体?」

「霧隠れの忍び」

 

その言葉を聞くとクシナも真剣な表情にへと変わっていく。

一方ミナトは最初からそれが出てくると分かっていた様子で僕の顔を見ていた。

 

「恐らくだけど来るのはあの二人だけだと思う」

「その理由は?」

「単純に人手不足、たとえ来たとしても恐らく同格の忍びは来ない」

「何で分かるんだってばね?」

「木の葉に待機させておいた影分身からの情報、今年度の霧隠れのアカデミー卒業生はたった一人」

「…………それは本当かい?」

「限りなく嘘に近いマジ。そのアカデミー生の情報をあえて流しているのも『うちの里には凄い天才が居るぞ』って思わせる為にさ」

 

まぁ人柱力クラスの忍びじゃない限り、どれだけ質が良くても一人なのだから意味が無い。

 

「なるほど………」

「まぁ、そこら辺は来た時じゃないと分からないから別にいいんだけど………」

 

本題はここからだ。

 

「結局、霧隠れの忍びに誰が依頼したんだろうね」

「検討はついてるんでしょ?」

「はい、と答えておくよ。可能性としては三つ程度だけど」

 

それでも怪しいのが浮き出てきた。

 

「先ず一つ、アズナさんの言っていた通りこの結婚をよく思ってない人が差し向けた可能性」

「それならあの男を狙えば良いってばね」

「そうだね。次にあの男が結婚をしたくないが故に刺客として雇ったか」

「うん。ありえなくないね」

「最後に…………全てはアズナさんの自作自演だったか」

 

その言葉にクシナは食って掛かってきた。

 

「いくらイナバの考えでもそれだけは無いってばね」

「多分の話しだからそんなに無機にならないでよ…………確率としては十パーセントくらいだからさ。そもそも最後のはアズナさんにメリットが存在しない」

 

いくらなんでもありえなさすぎる。

二つ目までなら分かる。一つ目はこの国を発展させないようにする為、二つ目は特に考えなど無く自分が自由でいたいが為に。

だけど三つ目にはその理由が無い。従ってこの考えはあまり役に立たない。

そう考えているとミナトが口元に手を当てながら言う。

 

「いや、あるよ。アズナさんにのみ発生するメリットは――――」

 

ミナトの口から語られることは正直な話し、やっぱりかと思う面もあった。

まぁそう言うのはよくある話でもあるからね。とは言え、クシナの驚きっぷりが異常だったけど。

 

「それじゃぁ、注意しておくことが山ほどできたわけだから色々と考えておかないとな」

 

先ずは地形、その次来る相手の情報、イレギュラーが発生した場合に起こる作用。

頭が痛くなってきそうだけど前回ほどじゃない。

何せ今回はミナトの貯金があるわけだし。

 

「取り合えず、この方法で攻めていくよ」

 

さぁて、準備しないとな。

明日の為に、ね。




忍術コーナーやって来なかったので考えている作品の情報を―――


タイトル未明
Fate/EXTRAのザビ子に召喚させられた一般人のオリ主がサーヴァント達の戦いに巻き込まれていく。
能力は倒した相手のステータスと宝具を取り込んでいくこと。

同じくタイトル未明
SAOにこの作品の――――首切り包丁の前任者だった転生者がゲームに参加すること。
他にも転生者が居てデスゲーム(難易度)は大変なことに。


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戦闘開始ですか?

最近バイトを始めました。
少し更新遅れるかもしれません。


わいわいがやがやと騒ぎに騒いでついに結婚式が始まった。

けど裏側を知っている僕らからしてみれば何と言う茶番劇、いや、茶番ですらない。

いずれにせよ全てを知っている僕らからしてみれば怒りが沸いて来る。

 

「とうとう始まりましたね自来也先生」

「ああ、そうじゃのォ…………てかお前等優秀すぎないか?」

「ミナトが言ってくれなければ気付かなっかたです。と、言うわけで全ての手柄はミナトに―――」

「イナバだって戦法を考えていたじゃないか。それに手柄なんてまだ早いよ」

「そうだったね」

「…………どうして天才って言うのは何処か抜けているんだってばね?」

 

だから僕は天才じゃない。

変態ではあるけど…………それでも変態という名の紳士だよ!

心の中でそう叫びながらテーブルの上に置かれている料理に手を付けている。

ここらへんだけは洋風だな、雰囲気は和風だけど。

 

「うん、美味しい」

「なに食べているんじゃイナバ。もしかしたら毒が―――」

「大丈夫ですよ。こう見えても食べてませんから」

 

口に運び味を確かめて後で吐き捨てる。

こんなに美味しい料理を食べられないなんて本当に勿体無い。

 

「まぁ、毒は入ってないから食べるんですけどね」

 

ごくりと飲み込み、胃の中に食物を届ける。

 

「こう見えてもちゃんと毒が入ってないかくらいは調べてますよ?まぁもしかしたらって可能性もあるので食べないほうがいいですけど」

 

そう言って僕は片っ端から料理を口に放り込んでいく。

そんな僕を見て腹がたったのか二人は顔に怒りマークを浮かべて僕を睨むが、溜息をついて何を考えたのか二人もテーブルの上に置いてある食事に手を付ける。

って結局食べるのかい。

 

「まぁ毒が入っていないことは分かっていたんですけどね」

 

ミナトは三杯目のラーメンを啜り始める。

そういや僕よりも先にミナトが手を付けたんだよな………流石は天然。

 

「…………なんでわしのところはマイペースなのが多いんじゃ」

 

どこか悲観そうに上を見上げてそう言った自来也先生は泣いているようにも見えた。

そんな自来也先生を無視して会場の方を見る。

 

「お、そろそろ始まりそうだね」

 

パチパチと拍手が鳴り響き、向こうから白無垢を着たアズナさんとその隣で袴を着て歩いてくるホスト風の男がやってきた。

何だかんだ言いながらもさまにはなっている。本当、見た目だけは。

 

「できればこのまま何事もなく終わってくれれば嬉しいんだけど―――」

 

そう言った瞬間、フラグ回収乙と言わんばかりに盛大に何かが壊れる音がし、周囲があっと言う間に霧に包まれていく。

これは霧隠れの術だ。間違いない。

 

「自来也先生!」

「おう!お前ら、敵が来たぞ!!」

 

見張りに着いていた影分身が今、一体倒されて情報がフィードバックされる。

そして今この場に居る敵の数を把握し、驚愕する。

 

「中忍とこの前の二人、さらにもう一人の忍び刀七人衆だと………?」

 

情報では首切り包丁を背負った霧隠れの忍びらしき僧侶風の服を着た男、笑っているのに邪神の笑みと評されるような男がたった一人居る。

それもかなり強い、他の二人よりも強い。はっきりと分かった。

だけど―――

 

「作戦の範囲内だよ」

 

自来也先生、ミナト、クシナを掴んで影分身に口寄せされ転移し、近くに居た敵をそれぞれ片付ける。

 

「み、皆さん!」

「アズナさん下がって!危ないから!!」

 

だけど倒したのは中忍だけで誰一人として忍び刀七人衆に攻撃を仕掛けた者は居なかった。

と、言うよりできなかった。

その理由はいたってシンプル、ただ隙が無い。

 

「………まさか、ここまで予想通りだったとわな」

「これもテメェの予想通りってことか?真琴」

「まぁ、そうなるわな」

 

むしろどこか軽げに話し合っている。

右隣の男、鬼人再不斬の前任者らしき男は眠たげに首を傾げながら背負っていた首切り包丁を抜いてミナトとクシナに向かって斬りかかる。

 

「あ、真琴テメェ!何楽な奴に向かっていってるんだよ!!テメェはあの自来也を相手に―――」

「早い者勝ちだお面野郎。河豚ブタは三忍の足止めでもやってろ」

「………テメェ後でぶっ殺してやる」

 

真琴と言われた男はけだるそうにしながらも攻撃は止めていない。

圧倒的な腕力と言っても良い。それだけの力を持つ怪力無双。

そして相手を威圧するかの如く邪神の笑みを浮かべている。

外見で判断するのは悪いけどはっきり言って相手を切り殺したらその血を啜る怪物にしか見えない。

何あの怖い生き物………?って、そうじゃない!

 

「ミナト、クシナ!今すぐ―――ッ!?」

 

ミナトたちを助けに行こうとした瞬間、見えないワイヤーに囲まれていることに気付く。

 

「おっと、お前はオレとだぜ?」

 

暗部の面を被った霧隠れの忍び、そして薔薇の術の被害者の一人である栗霰串丸が僕に向かってそう言った。

ただ前回会った時と違い、明らかに敵意と殺意と憎悪を乗せて僕を見ていた。

………何でそんな憎悪を込めて僕を見ているんだろう?この前会った時には特に何もできなかったような気がするんだけど………薔薇の術程度しかできなかったし。

 

「自来也先生!」

 

自来也先生の方を向き、助けを求めるが―――既に自来也先生と河豚鬼は戦闘を開始していて被害をこっちに出さないようにして、戦いながら外に出ていっていた。

つーことはこのお面と戦うのは僕だけって事か…………上忍と下忍が命をかけて殺しあう。

これなんて無理ゲー?

 

「………マジで不幸だァーッ!!」

 

ワイヤーの中にある唯一の逃げ道から外に向かって走り出す。

これが誘い込まれているって分かっていてもこれしか道が無い。

それにまだ作戦は失敗していない。けど成功しているとも言えない状況。

本当ならミナト達と一緒にこのお面野郎と戦って足止めし、自来也先生が河豚を取っておきで倒した後にコイツを倒すという計画だった。

やっぱりもう一人出てきたのはきついなぁ………でも、やるしかない、か。

薔薇の術による足止めを―――。

 

+++

 

ミナトとクシナは目の前に居る男を見て理解する。

今の自分達では到底及ばない相手だと言う事を―――。

 

「あー、お前等ァ………」

 

ミナトとクシナは目の前に居る邪神の笑みを持つ男に対し警戒を緩めず、いつでも迎撃できるように構える。

男は首切り包丁を地面に突き刺し、本当にだるそうに言う。

 

「取り合えず攻撃しねぇからそっちも攻撃しないでくれるか?」

 

どっこらしょ、そう言って地面に座り煙草を吸い始める。

 

「つーか攻撃してきたら殺すからな?いくら俺が殺しが嫌いな忍びだからって自分の命を狙われているのに不殺を貫くほどお人よしじゃないから」

 

クシナは目の前の光景を信じられず、目を思いっきり丸くして呆けてしまう。

一方ミナトは目の前の男から自分の親友と似た雰囲気を感じてしまう。

 

「イナバの雰囲気に似ている………?」

 

その言葉を聞くと邪神の笑みを持つ男、真琴はどこか納得したような顔をして呟く。

 

「ああ、なるほどなァ………つーことはあの小僧。もしかしたらこの世界に来て初めての同類(・・)かもなァ」

 

不適に、不気味に、そして静かに笑う。

自分と同じ前世の記憶を持つ者かもしれないと言う思いを馳せながら―――




と、言うわけでイナバ以外の転生者がinしました。

取り合えず一応転生者に対しての補足

まぁ転生者の数はそれほど多くなく、主人公補正もありませんし全てが才能に恵まれてるわけではありません。
そもそも忍びじゃないのも居れば、生まれた直後に殺されているのも居ます。

そして時間が進むに連れて記憶も失いますから、この時代では約十人程度の転生者が居て、その内二人が忍び、それ以外は赤ん坊か民間人というわけです。

ネタバレになりますが原作になって戦える転生者はイナバを含めても四人程度です。

と、言うわけで


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前兆ですか?

取り合えず今回の本編はシリアスです。
本当、この作品に似合わないような話しですけど。


「取り合えずお前等も座れや。そっちが攻撃しない限りは俺もまぁ、攻撃はしないからよ」

 

真琴に促され、ミナトとクシナは警戒しながらもゆっくりと座る。

勿論、警戒も怠らない。が、真琴には完全に敵意が無く、いかにして時間を潰すかを考えていた。

 

「んじゃ、少しだけお前さんらの事を聞きたいんだがよぉ」

「な、何だってばねこの邪神フェイス!」

「邪神フェイス………まぁ、それは聞き流しといてやるよ。単刀直入に聞くがあの小僧」

「イナバの事?」

「そんな名前なのか、まるで兎のようだな。まぁそれはどうでも良いんだが」

 

既に忘却のかなたにある前世の記憶を思い出しながら呟く。

 

「お前等、あのガキと一緒に居たらこの先長くねぇぞ?」

 

その言葉にミナトとクシナは目を見開く。

 

「アイツは若い頃の俺と同じだ。最終的には自分の事しか考えられない、そんな奴だ」

 

自分と似ている存在だからこそ言える。

何せ自分がそうだったのだから。

それなのにミナトとクシナはそんなことはありえない、という表情をしてこう言った。

 

「生憎だけど」

「あの馬鹿は―――そんな事最初から度外視しているってばね!」

 

元気よくそう言う二人を見て真琴は鼻で笑う。

 

「本当に分かっているのか?人間って言うのは結局自分が大好きで仕方が無いんだよ」

「だから分からないんだよ」

 

イナバは自分と似ている、だからいつか仲間を見捨てると言う真琴に対しミナトははっきりと言う。

 

「でも、まぁ…………実際に試してみないと納得しないからね」

 

そう言ってミナトは懐から取り出した独特の形をしたクナイを床に突き刺した。

 

+++

 

栗霰串丸の持つ長刀・縫い針の能力、それは糸で縫い合わせること。

勿論それだけではない。その糸は強靭かつ見えなく、罠を張るのに特化している。

際物揃いの霧の忍び刀にしては比高的地味に見えるけど使う奴が使ったらとんでもない力になる。

 

「…………っち」

 

思わず舌打ちをしてしまうがそれもしょうがない。

何せ思うように行動が出来ないのだから。

 

「ァあ?どうしたクソガキ!この程度なのかお前はァ!!」

 

調子に乗った感じで怒声を飛ばしてくる栗霰串丸。

ちくしょー、縫い針の弱点が分かっているのに何でこんな障害物が多い森の中で戦わなきゃならんのじゃぁ!!

 

「自分に有利な状況で戦ってる卑怯な大人のやることじゃないよおじさん」

「黙れこの鬼畜外道!テメェだけは絶対に許さねぇ、絶対にだ!」

 

仮面の下から首を伝って流れ落ちる赤い液体を出しながら栗霰串丸は憎悪を込めて叫んだ。

一体何故だ…………解せぬ。

 

「まぁ、この状況を変える方法もあるんだけどね。秘伝・蝦蟇油田」

 

口から大量の油を吐いて周囲の木々に向かって撒き散らす。

そして火遁の印を組んで忍術を発動させる。

 

「火遁・これから毎日家を焼こうぜ?じゃなくて………蛍火」

 

宙に浮き上がる小さい火の玉、この術だけじゃあまり強くは無いけど蝦蟇油田と組み合わせることでとんでも無い効果を発揮することができる。

ようするに火事だ。

 

「ちょっ!お前本当にやるのか!?」

「ウハハハハハハハー!!燃え尽きて消えた木だけがよく出来た木だ!燃えなかった木はよく訓練された木だァー!!」

 

邪魔になる木は排除できた。

これで縫い針はその力を失う。

 

「水遁・アメフラシ」

 

そう思っていたらいきなり雨が降り始めて木を燃やしていた火を鎮火させていった。

 

「お前馬鹿だろ?霧隠れには水遁使いが多いんだぜ?なのに火遁って相性最悪じゃねぇか」

「………ですよねー!」

「逃がすかァ!!」

 

相手に背を向けて逃走する僕、そしてそれを追いかけようとしてくる栗霰串丸。

そんな彼の肩に手を置く青いツナギを着た良い男。

 

「だ、誰だ――――」

「やらないか?」

 

 

 

『ギェァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

森の奥から栗霰串丸の悲痛な絶叫が響き渡った。

まさか森の中で戦闘が始まった時から幻術だったって誰も理解していないだろう。

一応現実とあまり変わらない幻術だし、掛かったら掛かったで解くのは難しい。

人って痛みよりも快楽に弱いからね。

にしても―――、

 

『こ、殺せェ!殺してくれェエエエエエエエエエ!!』

『そう言っているわりには俺のを離そうとしないじゃないか』

『止めろ、語りかけてくるんじゃねェエエエエエエエエエエ!!』

『ふぅ、やれやれだぜ。そこまで認めたくないって言うのなら俺の破壊光線をお見舞いしてやるぜ』

『嫌だ………嫌だァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

………酷い事になってんなぁ(苦笑)

てか阿部さんの行動が段々と予測不能、って言うか薔薇の術事態が制御できなくなりつつあるな。

と、言うか阿部さんが僕の意思から段々と離れて相手に被害を与えている。

まぁ僕に被害は来ないから別に良いんだけど。

 

「それに」

 

戦利品と言う名前の長刀・縫い針を肩にトントンと軽く叩いて、呟く。

 

「これを手に入れたからそんな事気にする必要も無いしね」

 

栗霰串丸については身包みを全て剥いで、この縫い針のワイヤーで甲骨縛りをして木に吊るしてきたから多分大丈夫な筈だ。

いくらあんな奴でも殺してしまっては色々と罪悪感が残る。

阿部さんに掘られ続ける幻覚を見せ続ける方が罪悪感も残らないだろうし、何より死ぬことよりも掘られ続ける事の方がマシだろう。

さっさと戻ってミナト達のところに戻って合流しようそうしよう!

 

+++

 

プラーンプラーン、そんな風に宙に揺れている素っ裸の仮面を付けた男、栗霰串丸が居た。

時々ビクンビクンと痙攣しイカ臭く、とてもではないが正常な状態とは思えなかった。

そんな様子をなるべく視界にいれない様にしてミナトは栗霰串丸の首を持っていたクナイで掻っ切った。

切られた所から大量の血を流し、栗霰串丸は絶命した。

死ぬ最後の時まで薔薇の術によって永遠に掘られ続ける幻覚を見せ続けられたなど、忍び刀七人衆の最後、いや、忍びとしてあまりにも報われない最後だった。

正直これはあまり出回って欲しくないことでもある。

敵ながらも同情しかない。

 

「………生かしたまま戦闘不能にするなんて、やっぱり凄いよ。イナバは」

 

下忍でありながら上忍を拘束し戦闘不能にするなんて事は普通じゃできない。

と、言うより相手が掛かったのを気付かないレベルでの幻術、もしかしたら既に自分の意志で写輪眼を開眼できているのかもしれない。

そうなると欠点は人殺しを、いや、死を極端に恐れている点だけだろう。

 

「フガクさんから聞いた話しじゃぁ、その欠点が写輪眼を使いこなせなくしている理由なんだろうけど」

 

その写輪眼が無くてもイナバは強い。

 

「できればいつか本気のイナバと、ちゃんと写輪眼を覚醒したイナバと戦ってみたいんだけど」

 

ミナトはそう思いながら元居た場所に戻っていく。

 

―――イナバが覚醒する時は近い。




ね、尻ASSだったでしょう(殴

兎も角、この作品で初めての死亡者が出ました。
次に出番があるのは穢土転生で呼び出されたときでしょう。
きっと「野郎ぶっ殺してやらぁあああああああああああ!!」とか叫ぶことでしょう。

今更ながらこの作品にシリアスな雰囲気は似合わない。
ならば強制的にシリアスにしちゃいましょう。

取り合えず海の国編が終わったらクシナヒロインの話しともしも初期設定のイナバの話しを書きたいと思います。


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転生者はドイツもコイツも同じですか?

今回も酷いです。
本当にもう、色々と………。


「ただいまー!」

 

そう言って長刀・縫い針を肩に担ぎながらミナトたちが居るであろう場所に戻る。

そして目の前の光景に愕然とする。

こ、こいつら戦ってすらいねぇ!!

 

「お前等僕が必死になって戦っていたっていうのに何で戦っていないんだよ!」

「嘘をつくなってばね、ミナトから聞いたわよ。いつものあの最低な術を使って最初から勝っていたって」

「いやぁ………ばれた?」

「ばれるに決まってると思うわよ。てかミナトが加勢しに行ったんだからすぐに分かったってばね」

 

クシナの言葉にミナトは「いやぁ」と頭をポリポリと掻きながらその手に持っている血が滴っているクナイを目にする。

ああ、そう言う事か………。

 

「悪いミナト。僕ができないってばっかりにお前にこんな事させて」

「いやいいよ。はっきり言ってあれは殺してあげた方が良かったけどね」

 

そうかなぁ?まだ生きていた方が色々とマシなような気がするけど………。

そう思っているとぱちぱちと拍手の音がした。

 

「いやはや、外道仮面をいとも容易く倒すとは………ちょっとだけ驚愕したぞ」

 

拍手をしている人はその邪神フェイスをニタァと歪ませてこっちを見る。

こっち見んな。

 

「兎に角、オレもお前等を見逃すことができなくなったと言うわけだな」

 

面倒くさそうに「よっこいしょ」と言って立ち上がり、背中に背負っている断刀・首切り包丁に手をかけて引き抜く。

 

「まぁなんだ。生き残りたいんだったら今すぐ逃げな。ただそれで見逃せるのはそこのお嬢ちゃんだけだがな」

「ついでに僕らも見逃してください」

「だが断る。金髪のお前さんも黒髪の災害も今此処で殺す。上忍を無傷で拘束するような変態忍術を使う有害生物のお前だけは今此処で始末しなくちゃならねぇ。男と男が絡み合う幻術なんか無量大数害あって不可説不可説転分の利もねぇよ」

「それは僕も同意する」

「だったら何で作ったってばね?」

「幻術の中でとは言え純潔を無理やり散らされる男の断末魔を見たかったからかな?」

「神様は何故こんな奴に才能を与えたのかしら?」

「まぁ五分の三は嘘なんだけどね。本当はいつも優位に立っている奴が一転して弱者になるとどうなるのか見たかったからね。何故男と男が絡み合うのかはそっちの方が面白いから」

 

隠れて印を組みながらそう呟き、いつでも薔薇の術を発動できるようにする。

フフフ、まさかこの術がここまで強い術になるなんて想像すらしていなかったよ。

そう思っていると目の前の男は静かに印を組み、言う。

 

「お前の薔薇の術、ある意味凄い術だ。だが弱点が存在する」

「弱点?」

 

と、一応驚いた風に見せるがそんな事は分かっている。

この世に弱点の無い忍術は存在しない。と、言うより僕の作った全ての術に共通してある物だ。

断罪炎ならその威力を制御できない、火遁影分身なら分身が馬鹿なことをしでかすなどなど。

勿論、僕は全ての術の弱点を把握している。だけど薔薇の術に弱点らしい弱点なんか見当たらない。

それでも弱点を挙げるとするなら唯一つ、術の発動と同時に目を瞑って回避することだけだ。

まさかそれがばれてしまったって事か?

 

「お前の薔薇の術、そのふざけきった内容とは裏腹にかなり繊細かつ豪快な術だ。恐らく頭の中で確固たるイメージがあるだろう」

 

よく分かりましたね、その通りです。

 

「それがお前の薔薇の術を強力無比かつ無慈悲なほど強い術にしているんだろうな」

 

そう言って不適な笑みを浮かべ、印を組む。

 

「だが逆にそのイメージを保てなくなるほどの衝撃を与えてやればどうなるのかな?」

 

次第に周囲が霧に包み込まれていく。

忍法・霧隠れの術か………これまた厄介だな。

あの首切り包丁を持っているんだから無音暗殺術(サイレントキリング)でも使うのか?

まぁいい、弱点を勘違いしている今なら奴を薔薇の術の掘ラアッー地獄に叩き込める!

そう確信した僕はいつでも薔薇の術をいつでも発動できるように準備をする。

 

「イナバ、クシナ! 気をつけて!」

「了解!いつでも薔薇の術を発動出来るよ!」

「お前は先ずそれをやめろってばね!」

 

ミナトの言葉で僕らは円陣を組んで、何処から攻撃が来ても対応できるようにする。

が、あまりにも霧が濃すぎて相手が何処に居るのかが分からなくなっていた。

 

「これじゃぁあの邪神フェイスが何処に居るのか分からないってばね!!」

「確かに…………一回断罪炎で吹っ飛ばすか?いや、それよりも風遁の方が良いのか?」

「いや、ここは密室だ。風遁を使っても無意味だ」

「と、なると水遁が一番良いね。だけど僕らは使えないからできないね」

 

ハハハ、本当笑うしかない。だけど戦えないわけじゃない。

ミナトは飛雷神、クシナは九尾化、僕は身体にもの凄く負担がかかるけど疾風迅雷を使ってカウンターでも狙う方法がある。無音暗殺術なんて怖くはない、わけじゃないけどある程度は反撃できる。

そして薔薇の術を叩き込めば僕達の勝ちだ!

 

「うがー!!埒があかないってばね!!」

 

クシナは叫びながら腕をぶんぶんと振り回し、ムニュっと嫌な音がした。

 

「………な、何だってばね?この嫌な感触は―――」

 

ムニュムニュと霧のせいで全く見えない何かを揉み始める。

すると霧が晴れ始め、とんでもない光景を目の当たりにしてしまう。

 

「それはオレのおいなりさんだ」

 

何とクシナが掴んでいたのは女物のパンツを顔に被り、ピッチピチのパンツの裾をクロスさせて両肩にかけた変態のモッコリだったからだ。

 

「…………」

「…………」

「へ、変態だってばねぇええええええええええええええええええええ!!?」




と、言うわけで真琴は邪神フェイスなだけではなく変態仮面だったのでした。

取り合えず眠いので今日はもうお休みなさい。

今更ながらアンチ系オリ主や最低系オリ主よりも性質悪くねこいつ等?


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変態ですか?

今回も酷いお話です。
主人公が手玉に取られる話しを書くのは難しいですね。


「断罪炎!!」

「うぉ!?」

 

素早く印を組んで断罪炎を変態仮面に向かって振り下ろす。

が、首切り包丁を盾として使われて防がれてしまった為、変態仮面を傷つけることはできず、刀身を焦がし木っ端微塵に吹っ飛ばすことしかできなかった。

 

「はぁ………はぁ………つ、つい断罪炎をやっちゃったよ」

 

あんな視界の暴力を見せ付けられては仕方が無いとはいえ、断罪炎を使ってしまうとは………。

断罪炎は後二回しか使えないって言うのに………!

 

「ウギャァァァアアアアアアアアアアアアア!!さ、触っちまったってばねぇ!!」

「ちょ、その手を僕の服にこすり付けるんじゃねぇ!!」

「ま、まだあの生暖かい感触が手に残っているってばね!」

「無視かゴラァ!!」

 

僕の服にモッコリを触った手をこすりつけてくるクシナに向かって怒鳴りつけるが全く効果なし。

いや、仕方ないとは思うが止めてほしい。

 

「フッフッフ、どうだい?このオレ、いや、ワタシのおいなりさんの揉み心地は?」

 

腰をカクカクと揺らしながらそう言う変態仮面。

その姿はどっからどう見てもただの変態、いや、変質者でしかなかった。

クシナはそれから距離を取りつつ叫ぶ。

 

「こ、コイツ…………イナバの上、いえ、イナバなんかとは比べ物にならない変態だってばね!」

「ちょっと待て!僕は変態と言う名の紳士だけどアイツはただの変態じゃないか!」

 

さすがの僕もこれとだけは一緒にされたくない!

 

「違うな、お前もベクトルは違うがオレと同じ変態だ」

「違う!!僕はお前のように女の子に裸を晒すような変態じゃない!少なくともお前よりはマシなつもりだ!!」

「まぁこれと比べられるとちょっと嫌だよね」

「…………ミナトだけが僕の味方だ」

 

こんな変態と一緒にされて心に壮大なダメージを負った僕にミナトは優しく言う。

その言葉に癒されながらももう一度、印を組んでもう一度術を発動しようとする。

だけどあの変態仮面を直視すると薔薇の術に出てくる阿部さんのイメージが維持できない。と、言うよりあらぶっているのだ。

涎を垂らしながら狂喜し、象徴ともいえる青いツナギを捨てて自らのブツを机の上に置いて竹刀で叩き始めてた。

一体何を考えているのか全く分からない。

 

『まぁ良いじゃないか。今の俺たちじゃアイツに敵わないんだからな』

 

心の中でそう考えていると阿部さんが尾獣よろしくと言わんばかりに話しかけてきた。

 

「って、おい!?」

「どうしたのイナバ?」

「いや、薔薇の術に出てくる男が話しかけてきたんだけど…………」

「…………わ、私良い先生知っているってばね!」

「クシナ止めて。そんな目で僕を見ないで」

 

可哀想なものを見るような目で僕を見てくるクシナを一蹴しながらもう一度話しかけてきた阿部さんに意識を向ける。

だけど今度は話しかけてすら来なくなった。どうやら気のせいのようらしい。

と、言うかこれ以上この事を考えたくない。

無事に帰れたらお払いしようそうしよう。

 

「さて、話しは終えたかね?」

 

ギッギッと音をたてて自らの裸を強調させる変態仮面。

 

「ええ、終わりましたよ」

「てか何でそんなポーズをとってるんだよ。気持ち悪いよマジで」

「それはワタシが気持ち良いからだ」

 

こいつ真性の変態だ。

それも害がある方の。

 

「まぁ、話しはそこまでにして………」

 

変態仮面はいつの間にか復元されていた

 

「そろそろ殺しにいって良いか?」

 

そう言った。

瞬間、アイツが立っていた場所から爆音と共に水しぶきが上がり、床一面が水浸しになった。

 

「ッ!来るよ二人とも!!」

「了解!」

「分かったってばね!」

 

ミナトの合図によりそれぞれ戦闘体制に入る。

僕は風遁の印を組み、ミナトは飛雷神のクナイを手に取り、クシナは全身に赤いチャクラを滾らせる。

その数秒後、ぶつぶつと何かを呟く変態仮面の声がしたと同時に水煙から水でできた龍が飛び出てきた。

あれは水遁・水龍弾の術、威力も高い水遁の奥義の一つでもある。

 

「防御は任せて!風遁・風化衝!!」

 

風遁の性質を持ったチャクラを掌に溜め、穿つ。

それは変態仮面が放った水龍弾を相殺した。

劣化螺旋丸とは言え中々使えるなこの術、断罪炎の代わりになりそうだよ。

そう思った瞬間、

 

「イナバ!危ない!!」

 

クシナの耳を劈くような悲鳴が響き渡った。

その直後、風化衝によって防がれた水龍弾の中から水で湿ったパンティを被った変態仮面が首切り包丁を片手に持ち、僕に振り下ろそうとしていた。

ま、まさかコイツ………水龍弾の中に潜んでいたというのか!?本当にコイツ人間なのか!?

 

「まず、一人だ」

 

ブオン、豪腕を振るって首切り包丁をまるで木の枝のように振るう。

それは僕の顔に徐々に近づいていき、僕を真っ二つにして切り裂いた。

 

 

 

 

「まぁ、火遁影分身なんですけどね~」

 

斬られた影分身の肉体は炎にへと変化していき、変態仮面に襲い掛かる。

 

「ぬぅ!?火遁の性質を持った影分身か………だがまだ甘―――」

「そう言うと思って起爆札を付けておいたってばね」

 

クシナがそう言った直後、影分身が盛大な音をたてて爆発した。

なんて汚い花火だ、目の前の光景を見てそんな感想を心の内に抱く。

 

「てかクシナ。お前恐ろしいことするなぁ…………あれが影分身だったから良かったものだけどさ」

「影分身だからやったってばね。それに今の私にはあの変態を此の世から一片の塵すら残さないってことしか考えられないってばね」

「クシナ、落ち着いて。イナバもこれ以上ぐちぐち言わない。来るよ」

 

バシャバシャと水龍弾の微妙に粘液性がある水が床にへと飛び散っていき、煙の中から変態仮面が飛び出してきた。

変態仮面はそのまま着地し、足にチャクラを込めてズザザザザと滑り、やがて停止した。

 

「危なかったぞ君達!危うくワタシの恥部を覆っている物が燃え尽きてしまいそうだったよ!」

「燃えてしまえそんなもの」

「落ち着いてクシナ。相手のペースに飲まれちゃ駄目だ!」

 

何か嫌になるくらい暑苦しい変態仮面にクシナは九尾のチャクラを滾らせて殺意を向け。ミナトはそんなクシナを落ち着かせる。

僕が言うのもなんだけどなんて緊張感の欠片も無い戦いなんだろうか?

 

「取り合えず影分身、からの火遁・蝦蟇油炎弾!」

「甘いぞ。水遁・――――水陣壁!」

 

本来なら蝦蟇とコンビを組んで使うはずの術だけど今の僕では口寄せできない。

だから影分身が油を担当し、僕が火遁を使う。

けど水遁・水陣壁によっていとも簡単に防がれてしまう。

 

「でもこれで前は見えなくなった筈だ!!」

 

この隙に断罪炎を奴の足に穿つ。

足を一本使用不能にさせられればこの勝負、勝てる!!

そう考えた僕は足を踏み出して、

 

「ヘブッ!?」

 

盛大に転んでしまった。

 

「な、何で………ッ!?」

 

鼻を押さえながら自分が倒れこんだ床の水に触れ、信じたくも無い事実に気付いてしまう。

薔薇の術を開発した僕が言うのもなんだけど「いやちょっと待て」って思うような術じゃねぇか!!

 

「おい、変態仮面…………」

「何だね?」

「この水、さっきの水遁の術………これ全部ローションじゃねぇか!!」

 

 




今更ながら思いますが僕の作品OUTじゃね?
まぁどうでも良いんですけどね!!

今回は久々にオリ忍術コーナーやります。

風遁・風化衝
使用者:うちはイナバ
イナバが海の国にきて、特訓の合間に完成させた術。
威力自体は大した事無く、相手を吹っ飛ばす事を前提にしている。

水遁・ローション水龍弾の術
使用者:三@*&%真琴(文字化け)
水龍弾の術をローションで放つ術。
威力もただの水より優れており、ねばねばとした液体が絡みつき行動しにくくする。

水遁・ローション水陣壁
使用者:+*‘>?真琴(上に同じで文字化け、と言うよりは霧隠れの改ざん)
水陣壁の術を水の代わりにローションで代用しているもの。
何故作ってしまったし。

この作品を漢字二文字で表すなら一体どんなのになるんだろうか?
感動?それとも面白?愉悦ですかね?

ちなみに僕は絶望で。


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絶望的状況ですか?

今回こそはシリアスです。
決して尻ASSなんかじゃないんだからね!!


世の中には知らない事の方がいい事だってある。

まぁ何にせよこんな事は知らない方が良い事だ。

一見ラブコメ小説に見えたものが血と喝采が飛び交う戦いものだったり、ラブコメには違いないんだけど、その、十八歳以上のみが閲覧を可能とする場面になった時にヒロインが主人公の貞操(ヴァージン)を奪うなんて衝撃的展開が待っていたりすることだってある。

だから水のかわりにローションを使うって事も想像できたのだ。

 

「って、んなわけがあるかぁああああああああああああああ!!百歩、いや、一兆歩譲って水の代わりに別のものを使うのは良しとしよう。だけど何でローションなんだァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「それはワタシの趣味だ!」

「うるせぇえええええええええええええええええ!!」

 

足にチャクラを込めながら立ち上がり叫びまくる。

叫びすぎて喉が痛くなるものの気にしない。

 

「黙れ!本当に黙れ!その口を開けるな!この変態が!!」

「変態………か。フフフ、良い褒め言葉だ」

 

罵倒にも負けず、と言うよりも罵倒自体が褒め言葉になっていると言う始末。

僕も変態だけどコイツとだけは一緒にされたくないよ本当に。

 

「だが、まぁ………少し残念だな。こっちの方の同類かと思ったが違ったからな。薔薇の術なんて変態らしい術を作ったのだからどんな変態かと思ったんだがまさか変態ではないとは…………」

「変態じゃねぇよ。たとえ変態だったとしてもお前よりは変態じゃねぇよ」

 

何ていうか、今まで生きてきて初めてむかついた。

こうも話しが通じない奴が此の世に存在したなんて思いもしなかった。

そう思っていたら変態仮面は印を結び始め、変化の術をする。

 

「おいろけの術!」

「――――ッ!?」

 

突如あの伝説のおいろけの術を使い、麗しい裸の美女に変化した。

ちょっ!何やってんのこの人!?

 

「ふん、やはりな」

 

何処か納得したような表情をして変化を解く。

 

「貴様は変態そうに見えてその実、女体に関しては酷く狼狽する。それこそ写真や絵などに関してはどうってことはなさそうだがな。本物を見るのだけは駄目ってところか」

「え、嘘でしょ!?あの変態の権化とも言われているイナバが!?」

「そ、そうだよクシナ!僕はアイツほど変態じゃないけど変態と言う名の紳士なんだ!そんな女の子の身体ごときで狼狽するわけが―――」

「その通りだよクシナ。それがイナバの弱点の一つなんだ」

「ミナトォオオオオオオオオオオオオ!!?」

 

ミナトが裏切りやがった!友達だったのに!!

心の中で叫びながら瞳から流れ出る涙とさっき鼻を撃った時に出て来た鼻血を流す。

そうしているとクシナは今まで見たことないような笑みを浮かべて一言。

 

「へぇ………ふ~ん、そうなんだってばねぇ。あのイナバが実は純情………」

「あ、あのクシナさん?」

「これは面白いことを聞いたってばね。いつも余裕ふかしているイナバが狼狽するほどの弱点、これは使えるってばね!」

「何を考えてるのクシナ!?お願いだから止めて!!」

「…………敵が目の前に居るって言うのに結構な余裕だな」

 

クシナがしたり顔で僕を見て笑い、僕は必死になって感嘆する。

その様子を見ていた変態仮面は霧隠れの忍びとしては恐ろしいほど甘く、優しいことを言った。

 

「いや、まぁ………ねぇ。これが僕らなわけだし。それにしてもアカデミー生を皆殺しにして下忍になった人が居る霧隠れとは違うんだよ」

「いや、あの噂全くのデマだからな。今はまだそんな奴はワタシは知らないな」

「…………デマだったんだね」

「ああ、デマさ。ったく、どこからか漏れたかは知らんがな。あの河豚野郎昔の事をいつまでもいつまでもほじくって………」

 

後半の方は上手く聞き取れなかったけどどうやら嘘ではないらしい。

いや、逆に考えるのならこいつは知らないだけで実際に起こったことなのだろう。

と、まぁ簡単に考えてみたのだけれど結局の所は不明だ。なんともいえない。

 

「話しが色々と脱線しちまったけどよ。そろそろ殺して良いか?」

「ああー、ちょっと待って。ミナトォ」

「了解」

 

ミナトが僕とクシナの肩に触れ飛雷神の術を使い、森の中に転移する。

ここはついさっき僕と栗霰串丸が互いに忍術を競い合った場所だ。

そう思いながら僕は火遁・業火球の術をぶら下がってる猥褻物に向かって放つ。

 

「いきなり何してるんだってばね?」

「ちょっとゴミ掃除をね」

 

このまま放置しているとクシナが喚くだろうし、何よりミナトが怒る。

だから燃やした。大丈夫、火葬だってあったんだし。

ただ、やっぱりと言うべきか、死体とは言え辛いものがあるな。

 

「まぁ、それよりも少し海に入ってきて良い?ちょっとこのローション落したいんだけど」

「いいよ。ただし僕らも着いていくからね」

「分かったよ。うぅ………こんな事は想定していなかったよ」

 

てか誰が予測できるだろうか?水の代わりにローションを使うなんて。

でも使えるな。今度薔薇の術にも応用してみよう。

そんな事を考えながら長刀・縫い針を口の中にしまい、海に出る。

 

「二人はそこで周囲を警戒してて」

 

そう言って身体を海に浸からせてローションを流し落す。

 

「すっげぇ………冷たい。冷たいYO!!」

「イナバうるさいってばね」

「すみません」

 

ふざけていたらクシナから注意を受けちゃったよ、失敗失敗。

まぁローションも落せたからそろそろ上がるか………ん?

 

「何だ………あれ?」

 

視界に映ったのは変なうねりを上げながらこっちに近づいてくる水だった。

最初のうちは全く分からなかったがそれが近づいてくるにつれて粘性のある水の龍に首切り包丁をボード代わりにして変態仮面だと言う事を理解する。

理解した瞬間、僕は急いで海から出てミナトたちの所に戻る。

 

「トゥ!!」

 

その直後に僕が居た場所にローションでできた水龍弾が当たった。

変態仮面は宙を三回廻り、見事なポーズをとって海の上に着地する。

 

「やぁ、また会ったな!」

 

空から落ちてくる首切り包丁を片手で楽々とキャッチしてさわやかな言葉を言ってきた。

 

「ボクたちとしてはできれば会いたくなかったんですけどね。それと何で僕らがここに居るって分かったんですか?」

「まぁ匂いとか、か?本当の事は企業秘密としか言えないしな」

 

あ、そこは意外とまともだった。

てか匂いって………まぁ変態っぽさはあるけどそういう口寄せもあるわけだしそこはとやかく言わなくて良いか。

 

「イナバ、クシナ。準備を」

「今更ながらその台詞今日で何度目だろうね?」

「ごめん。わからないや」

 

でしょうね。僕も分かってないから。

でも警戒しておくにはこした――――

 

「まず、一人」

「え?」

 

背中に走る激痛、それは刃物で切られたような痛みだった。

後ろを振り向いて確認する。そこに居たのはクナイを持った変態仮面だった。

 

「っち、浅かったか」

 

何が起きたのか分からなかったがすぐさま距離を取ろうとする。

が、その前に変態仮面に腹を蹴られ海に向かってぶっ飛ばされた。

 

「ぐはっ!!」

 

口から血を吐き出して海に叩き付けられる。

痛い、痛い、痛い。とても痛い!!

内蔵が出てきそうなほどの痛みだった。

 

「イナバ!!くそ!!」

 

ミナトはすぐにクナイを持ち後ろに居る変態仮面に突き刺す。

その瞬間、分身と思わしき変態仮面は爆発した。

 

「ぐ……ぁ」

 

ドシャリ、そんな音をたててミナトは砂浜に倒れ沈黙してしまった。

血を流し、動きそうもない姿。

 

それは、嘘だ。想像もしたくない。

 

「とまぁ、改めて言わせて貰おう。先ずは一人」

 

だけれど現実は非常だった。




どうでしたか今回は?

一気にピンチになりましたね。

次回は
『ミナトが倒れ(死?)戦闘不能、クシナは戦闘可能(暴走)、イナバ戦闘不能(?)』です。
お楽しみに!


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覚醒ですか?

今回もシリアス回です。
多分次の次くらいで海の国編が終わります。


「み、ミナトォオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

目の前で崩れ落ちた親友の名前を叫び、全身にチャクラを滾らせる。

まるで自分の身体じゃないかのような実感と何かが消えていくような喪失感が襲うって言うのに、それに反して身体は今までに無いほどの力が滾っていた。

この男だけは絶対に許せない。許さない、許してたまるものか!

怒りに身を任せて、だけれど油断しないように慎重に飛びかかる。

 

「怒りに身を任せては勝てないぞ!」

 

そう言って変態仮面は右腕を翳して防ごうとする。

だが遅い、非常に遅い。

これなら――――ッ!

 

「疾風迅雷!八門遁甲・開門・休門、同時開!!」

 

一気に上がった身体能力を駆使して防御した腕に自分の腕を振り下ろし、それと同時に繰り出した左足を隙だらけの横腹に直撃した。

フェイントでもなく両方とも攻撃だったからか変態仮面は驚愕したような声音で短く呻き、ぶっ飛んでいく。

瞬間、変態仮面の目が見開き、僕の瞳を凝視した。

そしてすぐに僕の足を掴み、そのまま一緒にぶっ飛ばされ海に叩きつけられる。

 

「ぐがっ!!」

「ん~、中々良い攻撃だな。だがまだ軽い」

 

叩きつけられると同時に口から吐き出される灼熱の赤い液体。

くそったれ、静電気しか使えない雷遁の疾風迅雷と八門遁甲の二門同時開放しただけでこれかよ。

身体が全然ついていかない。休門も開けているって言うのに身体がきしみ歪んで、激痛が襲い掛かってくる。

それだけで意識が飛びそうになるのを必死になってガマンする。

 

「火遁………断罪炎」

 

印を結んで今の自分に使える最強の術を発動し、疾走する。

動くたびに身体が死んでいくような感覚を覚えるが我慢しろ。

せめてこの一撃だけは食らわせよう、そう思った瞬間、変体仮面の顔面がすぐ近くにあった。

それに驚愕し、だけれど断罪炎を喰らわせようと前に突き出した瞬間―――、

 

「遅い!」

 

顔面をその巨大な手に掴まれ海中にへと叩きつけられる。

何の覚悟も無しにいきなり海のなかにへと落とされたため、あまり大きく吸い込んでいなかった空気を吐き出してしまう。

やばい、このままだと死んでしまう。

息を吸いこむため必死になって出ようとするが変態仮面はそれを許そうとしない。

ただひたすらに僕の顔が海面に出ないように押さえつけてる。

 

「ここで終わりだぞ。前世の記憶を持つ者よ。ゆっくりと眠れ」

 

ゴポッと口から一番大きい泡が出て意識が遠のいていく。

ああ、やばい。本当にマジでやばいぞこれ?

この経験(・・)は初めてじゃない。既に経験していることだ。

だからこそ分かってしまった。

 

自分は死ぬんだと――――。

 

「これで、残り一人」

 

そう言って立ち去ろうとする変態仮面。

せめて、せめて一矢報いたい。

そんな思いを込めて最後の力を振り絞り、右手の人差し指を変態仮面に向けて放つ。

断罪炎の形態変化。人差し指から出た一筋の炎のレーザーは変態仮面の脇腹を貫いた。

 

「ぐぅッ!!」

 

腹を押さえて苦しむ変態仮面の姿を見て、僕は意識を失った。

 

 

 

「ぐっ…………はぁ。まさか、あの小僧がうちは一族だったとはな」

 

うちはの家紋が無かった為、分からなかったがあの瞳を見ただけで理解した。

しかも、よりにもよってただの写輪眼ではなく万華鏡写輪眼を開眼していたとは。

だけれどついさっき、金髪の小僧を殺した時に開眼したばっかりだったからこそ助かった。

もしもっと成長していたら間違いなく手がつけられなくなるだろう。

 

「だからこそ、とっとと戦闘不能にしちまいたかったんだがなぁ」

 

そう言って最後の一人、赤髪の女の方を向く。

 

「ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

そこに居たのは尾が四本の尾獣だった。

 

「ふむ、まさか九尾の人柱力だったとはね」

「黙れ!!お前は、お前だけはぶっ殺すってばね!!」

 

それも意識を保ったままの尾獣化なんてこいつ強いな。

流石は九尾の人柱力と言うべきか。

だがこの戦いは既にワタシの勝ちだ。

四代目火影になる者の死は確認していないが既に倒し、イレギュラーとも言える同類も水底にへと沈んだ。

これでワタシの霧隠れの里は安泰だ。

 

+++

 

『ミナトはさ、将来火影になったらこの里をどうしたい?』

『なんだい、やぶからぼうに?』

『いや、さ。ちょっと気になっただけなんだよ。将来火影になるであろうミナトは一体どんな野望を持っているのかなって』

『ハハハハハ、野望って…………僕はただ、大切な人たちを、この里を守りたいだけだよ』

『ミナトらしいね』

『そういうイナバは火影になったらどんなことをしたいの?』

『えー、僕が火影になったら、か。そんな可能性は万が一にも無いだろうけど、もしなったなら―――』

 

『ほんの少しでも誰かに優しくなるような里にしたいな』

 

絶縁されてミナトの家で暮らすようになってから一年が経った頃のお話。

ああ、これが走馬灯なのかと思いながらその光景を見続ける。

この時ほど嬉しかった日は無かった。こんな忍びに向かないような何の才能も無い僕の事を親友だと言ってくれた。

前世の柵にいつまでも縛られている僕なんかを―――。

 

「それでお前さんはどうしたいんだい?」

「助けにいきたい。てかそれ以外に道なんかないでしょ」

「その先に待っているのがお前さんが嫌っていた人殺しの道だとしても?」

「ああ、自分の命よりも大切なモノを失うよりはずっとマシだ。それに」

「それに?」

「偽善とか偽悪とか善とか悪とかそんなことを一々悩んでいたらいつまで経っても『うちはイナバ』になれないからね。もう名前すら思い出せない前世の事なんかどうだっていいさ。僕は僕のやりたいようにやる。それが僕の歩むべき道、僕の正義なんだ。誰にも否定させないし、強要しない」

「なるほど、一皮向けたか。これでようやくお前はいい男になれたな」

「褒めてくれてありがとう。だけど僕の貞操だけは渡すものか」

 

女の子に貞操を奪われる男の子だって存在すると言うのに男に貞操を奪われるのはさらに嫌だ。

 

「イきな。いつまでも眠っていたらお前の大事な物は消えていくだけだぜ?」

「分かってるよそんな事は」

「なら良いんだ。一つだけお前に言っておくことがあるとしたら、お前は天才で俺達(・・)の力なんかもう使わなくても普通に勝てるぜ」

「はいはい。分かってますよそんな事は―――」

 

そもそも薔薇の術はあの男には通じない。

自分と同類であり、変態とも言える奴にはこの薔薇の術、その進化系である新たな術も通じない。

禁術と一緒に穿てば通じるだろうが。

 

「それじゃぁ、また今度会おうか」

「できればアレを使って俺達の内の一人でも―――」

「使ったらお前僕を狙うじゃん。だから今はまだ使わない。今の僕のチャクラじゃ逃げ切れ無いからね」

 

そう言ってこの摩訶不思議な精神空間から逃げ出す。

これ以上居たら掘られかねない。

 

「ふぅ、随分といい男になったな正樹」

「そうですね、阿部さん」

「リリンの持つ可能性、僕達に見せてくれ」

 

…………本当、強くなった代わりにこんな進化を遂げるとは想像できないよ。

 

+++

 

目を開け、今自分が置かれている状況を把握する。

ふ~ん、海底に向かって落下しているのか。

まぁそれもいいだろう。取り合えず―――

 

「須佐能乎」

 

手だけを具現化させて下に向ける。

 

「か~ら~の~、断罪炎!」

 

チャクラでできた鎧の手から炎を噴射し、海中から脱出する。

盛大に音をたてて海から出て来たたせいか戦闘を行っていた四本目の尾獣化をしているクシナと戦っている変態仮面、そして爆発のせいで身体が動かないものの目だけはしっかりとこちらを見て笑っているミナト。

ああ良かった。やっぱり生きてたよ。

取り合えず復活!とでも叫ぶかな?

 

「ぶっばヴ!!」

 

ゴポリと肺に入っていた海水を吐き出す。

うん、分かってたよ?肺の中に水が入っているって事くらい。

でもさ、海の中で喋れたら良いな~って思ってたから大丈夫かなって思ってさ。

そんな事を心の中で呟きながら肺の中に入っている全ての海水を吐き出して炎の勢いを弱めて徐々に降下し、ミナトの所に降り立つ。

そしてミナトに右目の術を使う。

 

「空亡・死者蘇生の術」

 

右目から零れ落ちる血の涙が一滴、ミナトの顔にかかる。

その瞬間、ミナトの身体が黒いチャクラに包み込まれて今までのダメージが全て無かったかのように消え去った。

 

「大丈夫、ミナト?」

「う、うん。大丈夫だよ」

「そう、それは良かったよ」

 

少しだけよろめきながらもしっかりと立ち上がるミナトを見て微笑みながらクナイを持ってミナトにトドメを刺そうとした中忍の頭を掴み、断罪炎を発動させ握りつぶす。

炭化した頭部が砕け散るその光景を見た三人は、特にミナトとクシナは信じられないようなものを見るような目で見ていた。

 

「もう迷いはしない。自分で決めたことなんだからな」

 

殺す覚悟だってしていないし殺される覚悟だってしていない。

いや、する必要が無い。何故なら死を背負う必要も引きずる必要も乗り越える必要も無いから。

自分で決めて自分で行い、自分自身がやった結末であるのだ。

ならばその事を全て受け入れよう。自分は人殺しであると。

そしてそれ以上に、木の葉の忍びとして、波風ミナトの親友として生きている自分を認めよう。

 

「さぁて、死ぬ覚悟はできたか変態仮面。さっきまでの僕とは一味も二味も違うぞ!!」

 

指差して宣言する。

自分のエゴを突き通すために、ミナトたちを守りたいがために。

 




と、言う訳で覚醒完了しました。
色々と難しい書き方でしたのでちょっと補足。

イナバは殺す事に覚悟を抱いてないです。
ようするに邪魔だから殺すと言った感じです。
だけど死者を冒涜はしませんし自分の行いを罪だと受け入れています。
要するに自分が殺したんだ、自分の責任と言う訳です。
誰のせいじゃなく自分が悪い、だけど反省はしない。まさしく子どもの我侭です。
人殺しが仕事であるこの世界においては本当にまともな感性を持った覚悟です。
欠点は全部受け入れちゃってるから復讐とかも仕方なしといって受け入れることですが、ね。
まぁ暴走させないようにするにはこれが良いと思いました。
転生者としては責任感があるほうです。まぁ前世と決別したから転生者?なのですが。

取り合えずオリ術コーナー

空亡・死者蘇生の術
使用者:うちはイナバ
死者を蘇生、もしくは死に瀕している人をデメリット無しで全快にした常態で蘇生、回復する忍術。
たとえ死体がどれだけ悲惨なことになっていたとしても元に戻して蘇生する究極ともいえる蘇生術。
弱点は一回使用すると暫くの間インターバルがある。
最短で五年、最高で十年、発動に時間がかかる。
現在のイナバでは十年近くかかる。
なお、この術は溜めることができる。

万華鏡写輪眼・空亡
使用者:うちはイナバ
イナバの右目に宿った瞳術。
能力は生死の反転。
数多ある写輪眼の中でもかなり特異な瞳、輪廻眼にもっとも近いとされる。
この瞳を持つ者は転生術の負担を軽減することができる(空亡・穢土転生なら生贄が必要ない)
ただしチャクラの消費も馬鹿でかいため何度も使えない。












??????
草薙の剣の一振り、というか存在するのかも不明。
能力も不明であり知られている草薙の剣の中では異端中の異端。
十拳剣と同等の力を持っているとされている架空の剣。
一説では斬った相手の魂を取り込み、無限にパワーアップするとされている。


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大逆転ですか?

取り合えず更新。
できれば今日の内にもう一話更新したいなぁ。


「なるほど、確かにさっきとは全然違うな」

 

首切り包丁を背負い、そう宣言する変態仮面。

確かにその目は先ほどまでとは全然違う。明らかに殺すべき対象として見ている。

もう油断もしないだろう。

何故なら既にその瞳は僕たちを子どもだと思っていないから。

 

「ならばワタシも本気で戦うとするか」

 

片手で武器を持ち、片手で印を結ぶ。

これが目の前の男の本気、なのか。

 

「ミナト、僕が合図をしたらあれを発動して」

「了解だ、よっ!!」

 

互いに別々の方向に同時に駆け出す。

 

「ふむ、かく乱か。悪くない手だ」

 

僕達の行動を見てそう呟く変態仮面。

だけれど変態仮面が取った手は僕らの予想もしていないことだった。

 

「だが甘い。水遁・大津波」

 

数の差などいとも簡単に潰せるぞ、そう言わんばかりの高い津波を発生させて僕らに攻撃する。

何ていう巨大な質量、正直言って真っ向からぶつかり合えるほどのチャクラなんか今の僕には残っちゃいない。

だからこそ真っ向からぶつかり合う。

兵糧丸を三つ飲み込んで走りながら迫り来る津波に向かって豪火球を放つ。

 

「無駄だ。性質変化の相性で勝っている水遁が火遁に負けるわけが無い!!」

 

うるさいなぁ、分かってるよそんな事は。

僕に出来ることなんて火遁と風遁、そして威力がメッチャ低い雷遁だけだ。

この攻撃を防ぐと言う意味でなら風遁を使うのがベストなのだろう。

だけど僕は別にこの攻撃を防ぐことなんか考えていない。

なにせこれは―――、

 

「イナバッ!!」

 

メクラマシをする為の時間稼ぎでしかないんだから。

左手で尾獣化したクシナの手を掴み、右手で僕に触れて飛雷神の術を発動させて先ほどまで居た室内にへと転移する。

 

「ぐ、ふぅ…………ちょっと、疲れたよ」

 

そう言って横になるミナト。

 

「悪いけどもう少しだけ働いてもらうよ」

 

そんなミナトをたたき起こす。

ミナトの気持ちはすっごく分かるが今倒れられたら色々と台無しになってしまう。

恐らくこれが最後のチャンスだろう。そう考えながら兵糧丸が入った袋を手渡す。

 

「もしかしていい作戦を思いついたのかい?」

「そうだったら今すぐ言うってばね!あの変態に一泡ふかせてやるってばね!!」

 

兵糧丸をパクパクと食べながら呟くミナトと尾獣化を解き怒り狂っている。

そんな二人に僕は惨酷な真実を告げる。

 

「作戦なんか無いよ。いや、何回か作戦を考えていたけどあの変態、罠を意にもかえしていない」

 

これは作戦を間違えた。

自来也先生が変態仮面を、僕らが河豚鬼と串丸を相手にすればよかった。

いや、そもそもそんな決断をする前に奴等のペースに持っていかれた時点で僕らの負けは決まっていたのかもしれない。

 

「まぁ、一つだけ手が無いわけじゃないんだけどね」

「本当かってばね!?」

「なら今すぐ言って。あまり時間が無いんだろう?」

「なら覚悟して耳に入れなよ。特にミナトはさ」

 

そして僕は奴に一泡ふかせることができる唯一の方法を教えた。

するとクシナの顔が真っ青になり、叫ぶ。

 

「そ、そんな馬鹿なことを許すわけないじゃない!!一歩間違えば二人とも死ぬってばね!!」

「分かっているよ。そんなこと言われなくても」

 

何の手も無い、何もできない、だからこそ打てる最悪の一手。

それは切り札とすら言えない自暴自棄。

 

「よし、やろう」

「ミナト!?」

「クシナ、もうこの手しか残っていないんだよ。はっきり言って僕らは詰んでいる。このまま里に逃げると言う手も無いわけじゃないけど―――それはできない」

「僕らが忍びだからか?」

「それもあるけど、今ここで逃げたら自来也先生はどうするのかって思ってさ」

「それはまぁ…………今も戦ってたら二対一になるよね」

「昔イナバが言った言葉、忘れたわけじゃないよね」

「ああ、覚えているよ。その言葉はいつまでも覚えている。忘れやしないさ」

 

仲間を守れない奴はもっとクズだ。

 

「そういうわけだよ」

「そういうわけか…………ハッハッハ!!やっぱりそれだよねぇ!!」

 

僕はこの一瞬一瞬が大事なんだ。

それこそ時が止まってほしいと思うほどに。

 

「故に左目にこの術が宿った理由が分かったよ」

 

左目から流れ出る血涙を拭って万華鏡から普通の写輪眼に戻す。

変態仮面にかけていた万華鏡写輪眼・刹那が解除された合図だった。

影分身がやられて情報と今までのリスクが一気に戻ってきたのを確認して言う。

 

「さぁて、クシナ。もう一度聞くよ」

「聞かなくても良いってばね。どうせ聞かないんだから最後までやってやるってばね。だけどこれだけは言わせて貰うってばね」

 

クシナは泣きそうな顔をして僕ら二人を見て言う。

 

「死んだら絶対に許さないってばね!!」

 

+++

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

クシナの頭部から手を離して自分のお腹に刻まれているものを見て成功したのだと確認する。

ミナトも同じくお腹を確認して成功しているのかを確認していた。

 

「せ、成功したようだね」

「ああ…………そうみたいだね」

 

成功したと言うのに何故か納得できなかった。

いや、ぶっちゃけ納得できなくて当然だろう。

 

「九尾…………すまんってばね」

 

目元に手を翳してどこぞのツンデレ狐に泣きながら謝罪するクシナ。

ああ、うん。流石にその対応は本当に分かる。

と、言うより何故こうなってしまったのか僕でも分からない。

だけどこれだけは言える。

天災といえる存在でも変態には勝てなかったと言う事だ。

 

「でもまぁ、成功した以上は何が何でも成功させないとね」

 

ある物を失った九尾のためにも。

心の中で九尾に謝罪し、確かめてみる。

 

「うん、やっぱり成功だね。失敗していたら今頃衰弱死しているんだろうなぁ」

「さり気無く恐ろしいことを言うなってばね」

「まぁまぁ良いじゃないか。成功したんだからさ」

「ほぉ、何が成功したのかな?このお兄さんに話してごらんなさい」

 

僕ら三人で会話をしていると突如自分のモッコリを両手の親指で強調し、変態仮面が現れた。

 

「死ねぇえええええええええええええええええ!!」

「おぅふ!?」

 

クシナはすぐにクナイを手に持ち、変態仮面のモッコリに突き刺した。

うわぁ…………あれは痛い。女には分からない、男には痛いほど分かってしまう激痛。

だけど金的って的確に当てれば男よりも女の方が効くんだよなぁ。

そう思っていると変体仮面は股間を押さえたままその身体を水にへと変えて消え去った。

水分身の術か、影分身よりも弱いけどその数は影分身の何倍も出せるという忍術。

水遁の性質変化を持っていない今の僕じゃ会得(コピー)は無理だ。

だとするなら今の僕に出来るのは―――。

口から長刀・縫い針を出して風遁のチャクラを纏わせ、背後から振り下ろされる首切り包丁を防ぐ。

 

「ふむ、今のを防ぐか」

「最初から水分身だったっていうのはこの瞳が教えてくれましたからね」

 

写輪眼はチャクラの色を見ることができる瞳だ。

これくらいはたやすい。

 

「断罪炎・刀!」

 

今度は断罪炎の形状変化を刀に纏わせる。

風遁は火遁を強める。それ故に首切り包丁の刀身を溶かし切って行く。

 

「ちぃ!!」

 

それに危機感を覚えた変態仮面は刀を弾き、突如床から溢れ出てきた血の池に浸す。

まさかコイツ、ローションだけじゃなく血すらも水遁の術で操れるのかよ。

いや、確かに液体だけどさ。

 

「まさかこの短い時間、影分身で足止めしている間にチャクラを回復するとはな」

「…………チャクラを回復しただけじゃぁこうはならないさ」

「何?」

「本当、この賭けは一か八かすぎたんだよ。ねぇ、ミナト?」

 

身体から全身を衣のように覆う獣のような赤いチャクラを纏い、尻尾のチャクラを手のように変えて変態仮面の足を捕らえる。

 

「なっ!! こ、これは―――ッ!!」

 

変態仮面は驚愕する。

そうだよなぁ、驚愕するよなぁ…………まさか九尾のチャクラの一部を封印するなんて誰も思いつかないよなぁ!!

だってそれしたらある意味人柱力だし、下手したら死ぬかもしれないんだからね。

まぁこの方法を使っても取り込んだチャクラが少ないから本来の人柱力と違って第二形態までしかできないんだけれど。

それでも僕は人柱力に抱いてる思いなんてツンデレな性格をしている獣をお腹の中に飼っている程度にしか思ってないからなぁ。

後は宿主と尾獣は意外と似ているからねぇ、話してみたら結構面白いんだよ。

…………九尾に関しては本当に謝罪しかねぇけど。

 

「後は頼んだよミナト。その一撃、決めちまえ!!」

「ああ!!」

 

飛雷神の術を使い、変態仮面の後ろに転移したミナトの姿は僕と同じように一本の尻尾を生やしたチャクラの衣を纏っていた。

そしてその手には乱回転しているチャクラの球体が――――、

 

「いけぇぇえええええええええええええええええええええええええ!!」

「螺旋丸!!」

 

 




九尾、一体何があったのだろうか?
(注:ヒントはイナバの精神空間に生息している者)

オリ忍術紹介

万華鏡写輪眼・刹那
イナバの左目に宿った能力。
能力は時間停止。最大で五秒間停止させることができる。
ただし静止した時間の中で相手を殺す事はできない。
と、言うよりも時間が止まると世界に存在する全てのものが鋼のように硬くなってしまうため絶対に破壊することができない。
凄い能力のように見えて実はしょぼい。
攻撃というよりも防御に特化している時間停止である。
「WRYYYYYYY!!」が特徴の吸血鬼のように投げナイフができます。
ちなみに停止するまえにイナバに触れていれば時間停止から逃れられます。


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帰還ですか?

今回で海の国編終わりです。
今日は書くのが楽しかったです。
所々シリアスが混じっていますが楽しんでいってください。


――――あれから数日後。

僕らこと自来也班は木の葉の里に帰還しているところだった。

自来也先生はいつも通りの顔でこっちを見て一言。

 

「あー、ミナトにイナバにクシナ。怪我は大丈夫かのォ」

「これのどこが大丈夫に見えるんですか自来也先生?」

「すっごい痛いってばね」

「ウボァー!!自来也先生背負ってください!!」

 

その問いに僕らは首を横に振って答えた。

それもその筈、僕ら三人は今ミイラ状態なのだからね。

しかも傷はまだ治ってなく、今こうして歩いて帰る事じたいかなりきつい。

何故こんな怪我を負ったのかは――――、

 

+++

 

「やったか!?」

 

飛雷神の術を使い、帰還したミナトはものみごとにフラグを踏み抜いてくれました。

だけどそれを言うほどの気力も残っていない。

九尾のチャクラを一部とはいえ封印したけどまさかここまで重いチャクラだとは思わなかった。

封印した直後でもこんなにチャクラを使えるなんて、だけどそう長くは続かないだろう。

恐らく持って後十分かそこらか…………どうしようか、本当に。

 

「今の一撃で倒れてくれればそれはそれで楽なんだけど」

「そうなるわけないよね」

 

ミナトの言葉に同意し、螺旋丸の影響で砂埃が上がっていて何も見えない状態だ。

だけれど勘で理解する。あいつはまだ死んでいない。

今更ながら自分達が直感で戦うタイプ寄りで本当に良かった。

もし頭を使うタイプだったら今頃生きていられないだろう。

別に頭を使って戦う忍びを貶しているわけじゃない。ただ世の中には思考停止してしまうような戦法を使ってしまう敵だって居るってことだ。

一対一なら頭ではなく勘を、多数対多数なら頭脳を、多数対少数なら奇策といった感じだ。

その場の状況に応じて使い分けるのがプロのやり方、とこの前買った本に書いてあった。

 

「………ふぅ、今のは中々効いたぞ」

 

ドォン!!と、砂煙の中から一際大きい爆発がし、砂煙とは違う爆煙が中央から広がっていく。

 

「まさかこのワタシに二本目《・・・》を使わせる子どもが居るとはな」

 

煙が切り裂かれ、変態仮面は姿を現した。

両手に断刀・首切り包丁と爆刀・飛沫を携え、両脇の下から生えている三本目、四本目の腕を組んだ状態で――――。

 

「と、まぁ………貴様等を相手にこの刀と残りの両腕を出す事になるとはな。やはり人は外見にはよらないか」

 

どこか感慨深そうに呟く変態仮面。

いや、目の前に居るのは違う。外見こそ変態仮面だけど纏っている雰囲気はさっきとは全然違う。

まるで王者の纏う雰囲気だ。

そして今、僕等は理解してしまった。

 

「それでは改めて自己紹介するとしようか――」

 

冷や汗が顔から流れるその最中、変態仮面は言う。

 

「ワタシは三代目水影・多々良真琴、異名は変態仮面だ」

 

水の国の隠れ里、その頂点に君臨する影の称号をいとも容易く名乗る。

嘘ではない、嘘じゃない。口で否定するには簡単だ。何せ証拠と呼べるものが一切無いんだから。

 

「ミナト、クシナ。ごめん、作戦を言う」

 

口から火遁・豪火球を上に撃ち、合図を出す。

もしかしたら自来也先生が来るかもしれないという希望的観測を乗せて。

 

「生き残る。どんなことをしてでも生き残ること。それが僕の出す作戦」

 

もはや作戦ですらない、そう思っていたが二人は力強く頷いた。

 

「ほぅ?逃げないのか?」

「今逃げても間違いなく殺される。それが分かっているのに逃げるほど馬鹿じゃない」

「それ以前にオレ達は忍びだ。どんな依頼でも請け負ったからには責任を持ってやらなくちゃいけない」

「それに私達はまだお前をギャフンって言わせていないってばね!」

 

三代目水影・変態仮面の問いに僕等は揃って言う。

やっぱりこんな奴に負けたくは無い。

 

「ふむ、良いだろう。ならば名乗れ、木の葉の若い忍び達」

「波風ミナト」

「うずまきクシナだってばね」

「………うちは、いや、僕はイナバ。木の葉の里の三忍、自来也を師に持つイナバだ」

「そうか。それぞれ多少問題はあるものの良い忍びだ。うちの里とは大違いだ」

 

そう言って両手の刀を構え、言った。

 

「では、そろそろ死合いといこうか」

 

言い終わった瞬間、五つもの水龍弾が自分達にへと襲い掛かった。

 

+++

 

あの時、僕達は盛大に負けた。完膚なきまでに負けた。

それこそボロ雑巾のようになるまで血祭りにされ、何度死を覚悟したことか。

しかも走馬灯を見るたびに阿部さんが「ウホ、イイ男」とか言って追いかけてくるわで危うく男として死んでしまうところだった。

だけど両肩に二大仙人様を乗っけた仙人モードの自来也先生が来てくれたお陰で何とか生き延びることができた。

やっぱりチャクラを吸い取る鮫肌でも自然エネルギーは駄目だったようらしく、河豚の身体は殆どが蛙化していた。あの後戻ることが出来たのかについては不明だ。

 

「にしてもお主等よく生き残ることができたのォ」

「そりゃぁ当然ですよ。あの変態仮面、最初から殺す気なんか無かったんだから」

「え?そうだったのかってばね?」

「クシナ、思い出して三代目水影があの衣装に着替えた際に使った術を―――そして彼が無音暗殺術を使えると言う事を」

「あ、アァー!!?」

 

クシナが大声で叫ぶ。そりゃぁそうだろう。

僕等が必死になって戦っていたと言うのに向こうからしてみれば遊びでしかなかったと言う事なんだから。

 

「あ、あの変態ィ!!次会ったら絶対にぶっ殺してやるってばねぇ!!」

 

虚しく叫ぶクシナの木霊が森一杯に広がった。

 

「まぁ、それとは別じゃがイナバにミナトよ」

「はい」

「何ですか自来也先生?」

「お主等、先日何処に行って何をした?いや、別に話さなくてもいいんじゃが」

「ああ、それですね」

「まぁ、ちょっとした罰ですよ。今頃―――」

 

+++

 

「ふぅ、計画は成功しましたね」

 

アズナは誰も居なくなった部屋で呟いた。

木の葉隠れの忍びと霧隠れの忍びを互いに争わせ、婚約自体そのものをうやむやにする計画。

相手方の放った刺客、もしくは反勢力の仕業にしてしまい、結婚は危険だから破棄にすると言う内容だった。

まさかこれほどまで上手く行くとは思いもしなかったが―――。

 

「後は彼と結婚してしまえば」

 

そう呟き、窓の外を見て固まってしまう。

何故なら外の光景はとてもではないが信じられないようなモノだったのだから。

 

 

三日前―――。

ミナトの飛雷神の術によって二人の男性が連れてこられた。

一人はアズナの婚約者だった男、そしてもう一人はアズナと交際をしていた兵士の男。

互いに全身を縄で縛られて身動きも取れず、猿轡のせいで話す事もできず、ただただ目の前に居るミイラのような少年の前に連れてこられた。

 

「ありがとうミナト」

「別にいいよ。今回はオレもちょっとムカついていたからね」

「さっすが僕の親友!お前になら掘られても構わないZE!!」

「遠慮しておくよ」

「うん。僕も遠慮したい」

 

そう言って互いに笑いあう二人の子ども。

 

「それじゃぁとっととすませちゃおうか」

「そうだね。この国に滞在している間にばれたらちょっと面倒くさいし、ね」

「分かってますよー。それじゃぁ、めくるめく快楽の世界にへとご案内~♪」

 

黒髪の少年の瞳が赤く染まり、黒色の勾玉が三つ浮かび上がる。

 

「薔薇の術の強化版、無間薔薇地獄の術」

 

そして二人は幻覚世界にへと堕ちて行く。

そこで二人は自由となり、目の前の見知らぬ光景に困惑する。

見た事も無いような屋敷の中、そこは明るさに満ちた廊下だった。

だが、明らかにおかしい。なんだろうか、このケツがキュッとなるのは―――。

 

「ほぅ。どうやら二人らしいな」

 

ふと、後ろから男の声がしたので二人は同時に振り向く。

そこに居たのは青いツナギを着たイイ男だった。

 

「フフフ、流石イナバだ。俺たちの希望をしっかりと叶えてくれる」

 

頬を赤らめて言うその男に二人はある恐怖を覚える。

それはきっと、男としての大事なもの―――。

青いツナギを着たイイ男はおもむろにジッパーを下げ、自分の恥部を晒して言う。

 

「やらないか」

 

次の瞬間、二人は逃げ出した。

が、何かにぶつかってしまい倒れてしまう。

一体何にぶつかったんだろうか、そう思った二人は上を見上げて絶句する。

何故ならそこに立っていたのはレザーを着た素っ裸のモヒカンだったからだ。

 

「おい高和。一人だけで独占しようとしてんじゃねぇよ」

「そうですよ阿部さん。この前のあのイイ狐だって阿部さん一人で独占したんですから」

「フフフ、これもまたリリンの文化だよ」

「布団を敷いたぞ!一緒に寝よう、な!」

「まっがーれ!」

 

最初は一人だったのにいつのまにか人数が増えて最低でも二十人以上に囲まれてしまっている。

もし、この術を喰らったのがイナバや真琴の同類であったなら気付けたかもしれないがここに居るのはヤマジュンワールドに住んでいる住人、それ以外にも超能力者や使徒、教師にアゴ殺人鬼などなど、一部の人たちからちょっとホモっぽいと言う印象を与えられた人たちだった。

もっとも、イナバや真琴の同類でない彼等には分からないのだが。

 

「ケツは初めてか?大丈夫さ。皆そうだったんだからな」

 

両手両足を優しく、だけれど逃がさないように力強く拘束される。

 

「さぁ、それじゃぁ皆」

 

「やらないか」

 

回想終了。

 

と、言う事で二人は三日間、夜中に連れ出されイナバの無間薔薇地獄による調教と言う名の刷り込みによって見事に完成したのであった。

そんな彼等を見てアズナは―――、

 

「お、」

 

男に寝取られたァ―――――ッ!!

 

+++

 

「今頃面白いことになってるんじゃないですかー?」

「…………聞かないでおこう」

 

懸命だね自来也先生、まぁ聞かないほうが良いと思う。

後になって流石に酷かったんじゃないかって思った。正直あの時の僕等は怪我の痛みで色々とおかしくなってたし。

まぁ過ぎた事だしどうでも良いかな?

 

「のォ、イナバ。お主、今回の任務で人を殺した」

「…………はい」

「今、どう思っている?」

 

その問いに僕は答えられず、少ししてから言った。

 

「はっきり言っちゃいますと………あの時の僕って結構焦ってました」

 

危うく命を落しかけるわ、死にかけるわなどなど、全部命に直結していたからこそ怖かった。

アドレナリンが大量分泌していたのと酸素を欠乏していたから何であんな事をしたのかも理解できなかった。

だから僕は簡単に殺してしまった。

 

「そして後になって、すっごく気持ち悪い思いをしました」

 

後悔や吐き気なんかは一切無かった。

胸糞悪い、ただそう思った。

 

「怪我のせいかもしれないけど手だって震えたし、あまりよくも眠れなかったです」

 

夢で「よくも俺を殺したなぁ!!」って頭部が無い死体が迫って目覚めたりして若干ノイローゼになりそうになった。

 

「だけど―――」

 

それでも――――、

 

「ミナトやクシナ、自来也先生が居なくなるのに比べればどうってことなかった」

 

今こうして楽しげに会話する。

それだけで僕は満足してしまう。

 

「だから僕は何人でも殺せる、殺せてしまう人間なんだ。そう思いました。あ、一応言っておきますけど人をいたぶって殺す気はありませんよ。そういうのは見ているだけで吐きますから」

 

殺すにしても苦しまないようになるたけ即死にするようにするし。

 

「まぁ、何が言いたいかって言うと僕が死んだら地獄でいくらでも聞いてやるって事ですよ」

 

今は駄目、今の僕には大切な中間達が居る。

だからそう言う事は全て死んでからにしよう。

どうせ天国にいけないからね。でも地獄にいけるのか?そもそもまた転生―――。

 

「はぁ………ったく、わしのところの弟子は全員優秀じゃのォ!」

「おわっ!?」

「えっ!?」

「キャァッ!?」

 

いきなり自来也先生に片手で抱き抱えられる。クシナは背負われてるけど。

僕とミナトは右腕と左腕でそれぞれしっかりと抱き抱えられた。

 

「全員怪我が酷いからのォ。このままだと里に帰るのも明日になってしまう。だからわしが運んでやる」

「え、マジッすか!?」

 

それはとてもありがたい。

こちとら怪我で歩きにくいったらありゃしないからめっちゃありがたい!

 

「それじゃぁ帰るとするかの。一応言っておくがわしは荒いぞ?」

「大丈夫だってばね!それくらいなら私達は別に気にしないってばね!」

「そうですよ自来也先生。オレ達は忍びなんですよ?」

「ようするに僕等の事を心配するくらいなら自分の事を心配してください。僕等三人を持って帰ろうとしたらぎっくり腰になったなんて笑い話にもなりませんからね」

「ハッハッハ!!よく言った!!それじゃぁちょっと急いで帰るぞ!!」

 

 

その時の僕達は色々とどうかしていたと思う。

忍びが激しい運動をするって言うのを忘れていたのだから―――。

 

この日、森の中で木霊する悲鳴のトリオが響いたと言う。

 

 

【第一章・海の国で始まる決着 完結】

 

 




*後書きが途中で投稿していましたので追加

ようやく海の国編が終わりました。
すっごく長かったです。
本当なら真琴を出さない予定だったんですけど串丸だけじゃぁ薔薇の術で無双しちゃいそうだったんで真琴(変態仮面)を投入しました。
結果として楽しかったので良かったですww
本当、変態と変態を混ぜたら混沌になるってよく分かりましたよww

取り合えず新しく書こうかと思っている作品

1・巫女じゃなく御子?(仮)
原作:東方
博麗霊夢に、しかも男として転生してしまう物語。
一言で言うなら異変解決していくたびにヒロインが増えていくちょいと王道。
ただ最低系にならないようにヒロイン全員がヤンデレになってます。

2・リボーンの世界にTS転生(仮)
原作:家庭教師ヒットマンREBORN!
文字通り女主人公、まぁ精神は男ですけど次第に女の子になっていきます。
リボーンに転生して積極的に関わっていく派か傍観派かについては関わっていく派。
ただし幼少期の頃から。
サイヤ人ヘアーの人と幼馴染になって、互いに助け合う王道です。
これは変態?ではありません。積極的且つ肉食系なヒロイン主人公です。
転生者が他にも出ますし原作改変します。
そしてどこかの誰かさんがすっごく苦労します。

3・魔法少年とりっぷ☆なのは(仮)
原作:魔法少女リリカルなのは
主人公は高町なのはに成り代わった人、巫女じゃなくて御子と同じような感じで男の子ななのは。
自分以外の転生者の手によって一人で居た時に違う世界に強制的に飛ばされ、そこでレイジングハートとあるロストロギアを見つけて復讐する物語。
ヒロインはフェイトとはやてになります。
転生者のせいで原作が変化し、フェイトがプレシアの所から逃げ出したり、はやてが人間不信になってたりしてます。
ちなみに阿部さんが出てきます。主人公はなのは(♂)で阿部さんが師匠的存在。
別に転生者でなくても話しができるから普通に作れるお話。
作者としてはこれがオススメ。

と、言った感じです。
一応アンケートにします。
これから書きます活動報告でどの作品が見たいか数字で書いてください。
御子なら①、とりっぷなら③で。
もしどれも見たくない場合は公園のトイレのところにあるベンチに座っている青いツナギを着たイイ男に掘られてください。
期限については来週の月曜日が締め切りです。
できればアンケートに協力してください。そうすればきっと貴方達にも腐れ神の加護が………!

話しは戻りますけど次の章は中忍試験にしようかと思っていましたがこのままだとキャラを変えただけの原作になってしまうのでオリジナルを挟みます。
主にイナバ達の日常や交友関係などです。
イナバの得意なこと、苦手なこと。何かの手違いで新たな禁術を作ってしまったさいに起きてしまった悲惨な現象。
そして木の葉の額当てをした見たことの無い下忍の三人組の話しなどです。
これは後々の伏線にします。

色々と長くなりましたが今回のオリ忍術コーナーです。

無間薔薇地獄の術
使用者:うちはイナバ
写輪眼を開眼したことで強化された薔薇の術を更に発展、進化させた術。
内容は阿部鬼に出てくる館の中でヤマジュンワールドの住人やイナバの前世でホモっぽいと言われていた人たちの手で被害者を「アッー!!」していく術。
捕まったら先ず逃げられないし、知りたくもなかった知識を植えつけられる。
影響力は薔薇の術の比じゃない。

本当に酷い術だ…………誰だこんなのを考えたのはッ!!


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番外編~血潮とバカ二人の出会い~

以前からあったクシナヒロインのお話し。
あれ無理でした。

やっぱり、何か、背徳感がありすぎて書けない。
と、言うわけなので血潮と閃光と明星の出会いにしました。

何故かイナバとクシナの絡みを書くと暴行になってしまう。
自業自得だが。


赤い髪の少女は擦り傷に塗れながら歩いていた。

この里には自分の居場所が存在しない。何故なら自分は他の国からやって来た者だから。

住んでいた国と里が滅び、この国と里にやって来たと思ったらまさかの尾獣の入れ物、人柱力として連れてこられたと。

とてもではないが平常心を保っていられなかった。

だからこの間、この里のアカデミーに転入した時に自分は初の女の火影になると宣言した。

その結果があれだ。

誰もが、アカデミーのクラスに居た全ての人間が自分の言った言葉を笑い話にしかならなかった。

いや、全てでは無かった。約二名、笑いはしなかった。

そして二人の言った言葉が非常に苛立たしかった。

 

『皆から認められる火影になりたい』

『火影にはなりたくないから―――が火影になった時のサポートをしたい』

 

この二人の言葉で理解してしまう。

あの場に居る誰よりも二人が火影に、その補佐に相応しいと言う事を―――。

それが今の自分―――を腹立たせていた。

 

「……………」

 

何とかその事を忘れるために外を出歩いていたのだが一向に治まる気配が無い。

むしろ悪化してきそうだった。これじゃぁ何の為に外に出てきたのか分かりやしない。

そう思って家に帰ろうとした、その時だった。

 

「へっ?」

 

まぬけな声が出てしまった。だがそれも当然だろう。

何故なら川に同い年くらいの少年が逆さになって沈んでいたからだ。

もしこれを知っているのであるならば犬神家でもっとも有名な死に方と答えられるが、少女には当然そんな知識を持っているわけがない。

 

「ちょっ、大丈夫かってばね!?」

 

少女は急いで川辺に行き、少年を助けようとするが突如少年は起き上がった。

しかもその手には魚が二匹。

 

「ブハァ、魚ゲットだぜ!」

 

どうやら魚を捕っていたようらしい。

何て紛らわしい捕り方なのだろうか。

せめてもうちょっと普通に捕ってほしい。

 

「―――、こっちは終わったよ」

 

心の中で目の前の行動を愚痴っていると、ついさっきまで考えていた少年の片割れだった。

それによく見てみると川の中に入っていた少年もいま現れた―――の隣に居た少年だった。

何でこんな時に、しかも変なことをやっている二人を見てしまうのだろうか。

 

「ん、あれ?君は―――――――さん?」

「奇遇だねー、って擦り傷多いよ?今手当てするから」

 

自分の事に気付いた二人の内、黒髪の少年が懐から塗るタイプの傷薬を取り出して言う。

 

「いや、いいってばね」

「だまらっしゃい!女の子がそんなに傷をつけてちゃ駄目でしょうが!痕が残ったりしちゃったら将来大変なことになるのよ!?―――、この子押さえつけなさい!!」

「はいはい、了解」

 

まるでお母さんのように呟く黒髪の少年と、その言う事を聞く金髪の少年。

結局少女は目に見える全ての傷に傷薬を塗られてしまったのであった。

 

「…………後で覚えておけってばね」

「ハハハハ…………どうしよう―――。鮮血鬼(ブラッディ・オーガ)に目を付けられちゃったよ」

「今此処で始末するってばね!」

「ミギャァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

身に覚えの無いへんてこなあだ名を付けられてしまい、少女は少年を血祭りに上げる。

が、今までの被害者とは違いなるべく攻撃を避けていた。

それがまた苛立たしくてたまらなかった。

 

「―――さん。あまり―――を苛めないでくれると嬉しいな。今日の晩御飯の当番は―――だから」

「意中の相手に優しくする。なるほど、だからモテルのか」

「…………」

「あ、―――ちょ、まっ―――」

 

自分が蹴っていたはずなのにいつのまにか少年が少年に危害を加え始める。

あまりにもバカらしくなって少女は溜息を軽くつき、その場を後にした。

 

その後、色々とあって彼等と仲良くなったのだがそれはまた別のお話し。




*アンケートの受付やっています。
活動報告にあるのでできればやって下さい。

次回は真琴の番外編、後日談?

その次が九尾のお話しになります。


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番外編~三代目水影は忙しい~

色々と読者を驚かせた真琴ですが今回更にやらかします。
皆様、覚悟はよろしいか?
覚悟できた方は

「もう何も怖くない!」

と、言って閲覧してください。


木の葉の三忍である自来也とその教え子との戦闘後。

三代目水影である多々良真琴はその手に携えた首切り包丁を同胞である西瓜山河豚鬼に向けていた。

 

「た、助けてくれ真琴!」

 

河豚鬼は涙目になりながら命乞いをする。

霧隠れの里の残忍な殺戮集団、忍び刀七人衆だとは思えなかった。

 

「駄目だ」

「だ、駄目って………仲間じゃなかったのかよぉ」

 

冷たく無慈悲に断言する真琴に河豚鬼はまだ諦めきれないようでいまだ懇願する。

それに対し真琴は冷たく事実を言う。

 

「仲間、だからこそだ。お前が、栗霰串丸と里の情報を他国に売り渡しているのは既に知っている」

「ッ!?」

「本来ならそこでお前を殺しておくべきだったんだがな。お前達のような下種でも仲間だったんだ。ある程度の情は持ち合わせている」

「…………まさか」

「そう、そのまさかだ。今回の任務で木の葉の三忍である自来也を殺していれば罪を帳消しにしてやったものを」

 

頭をポリポリと掻き毟りながら呟く真琴。

女性ものパンツをかぶって緊張感の欠片も無いが、その目だけは違った。

 

「てめぇ………最初からこうなるってわかって―――」

「ああ、そうだな。簡潔に言えば自来也を殺せば木の葉の戦力は低下、逆にお前等が殺されても戦力が低下するだけで情報の漏洩と裏切り者を始末することができるんだからな」

「……………」

「まぁ、安心しろ。お前の後任は既に居るんだからな。長刀・縫い針は回収できなかったが…………まぁそれは戦争が終わった時に木の葉との取引、同盟にも使えるネタだしな。今は預けておこう」

 

淡々とこれからの里の事を考え始める真琴。

河豚鬼は理解する。こいつは利益や不利益すらも利用できると言う事を。

利益は利益で、不利益も逆転の発想をすれば良い。

弱味も別の方法で考えればそれさえあれば大人しいのだ。それ以前に弱味を持つというのはそいつと一蓮托生でもあるのだから。

それで役にたたなくなれば捨てれば良い。今の自分のように―――。

 

「ふざけんじゃねぇよこの腐れ外道がァ――――ッ!!」

 

怒りに怒り狂った河豚鬼は大刀・鮫肌を真琴に突き刺す。

偶然にも自分が動けない状態だったためか真琴が油断していたのか、それは定かではないが普段なら殺す事など想像できなかった真琴を殺す事ができた。

これに河豚鬼はほっと安堵し―――、

 

「正当防衛だよ」

 

後ろから女の声がし、寄りかかっていた木ごと爆刀・飛沫に切り裂かれてしまう。

ドシャッ、と音をたてて地面に転がった。

幸いにも上半身だけは残っていた為、後ほんの数秒で死ぬがそれでもほんの少しだけ生き残ることができた。

そして自分を殺した相手を見てしまう。

 

「悪く思わないでね河豚鬼、ワタシは殺されそうになったから貴方を殺した」

 

これから自分を殺す相手が―――、

 

「まぁ里では貴方の事を英雄として称えてあげるから」

 

 

―――青色の長い長髪をツインテールにして結び、

 

「でも、ちょっと寂しかったかな。この三年間、一緒に戦ってきた仲間だったって言うのに」

 

―――首に額当てを装備した、

 

「ずっとワタシのことを()だって思ってたんだからさ」

 

―――齢十六にも満たない女の子だったと言う事を。

 

 

 

爆発音が響き渡り、西瓜山河豚鬼の死体は木っ端微塵に消し飛んだ。

普段ならここまで簡単に殺す事ができなかっただろうが、仙人チャクラを鮫肌で吸い取ったおかげで半分以上が石化していたのだから。

 

「本当、三忍さまさまだよ~♪」

 

鮫肌を背負って里に帰還する。

これで五月蝿い害虫を始末することができた。

 

「それに来てよかったと思えたかな?」

 

水影の仕事をホッポリ出して来た分、後で大変だが面白いものが見れた。

 

「うずまきナルトの両親である四代目火影になる子とその妻になる人柱力」

 

そして、

 

「ワタシの同類であり、前世を持ったうちはの子」

 

まぁ彼は前世の記憶をワタシよりも大幅に失っていたみたいだけど。

 

「彼等がワタシの里に益をもたらすならそれで良し、けど害をもたらすのなら」

 

その時は――――、

 

「このワタシ、三代目水影・多々良真琴が直々に手を下すよ」

 

それが里の頂点である水影の役目。

 

「血霧の里になんて絶対にさせない。暁なんて生み出させない。ワタシはこの里を一番大きくして見せる」

 

だから今は強くなるといい。

このワタシに益をもたらす為に―――。

 

「っと、そうだったそうだった」

 

そう言って懐からパンツを取り出し顔に着け、変化する。

この姿でなきゃ誰もワタシを水影だって思わないからね。

フフフ、変化しているとは言えやっぱり外でこういう格好をして歩けるのは最高だよ!

 

「露出万歳!!」




取り合えず、真琴についてですが申し訳ありません。

当初の予定では水影でも女でも無かったです。
本来なら常時笑顔の湊斗景明+変態仮面、性格は変態であるがまともだったのに…………。
その設定にリョクのトンでも脳みそを付け加えると外見青色のミク+まともだが悪女+露出狂と言うふざけた代物になりました。

一応次で番外編最後です。
そして今まででもっともカオスなお話しになるでしょう。
運がよければ今日、悪ければ明日更新します。


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番外編~折れたプライド、九尾のトラウマ~

今回で最後の番外編です。
多分今までで一番酷いです。
そして九尾が可哀想です。
本当、誰が考えたんだろう?


堕ちる堕ちる堕ちる。底まで深く堕ちる。

両隣にはミナトとクシナが居る。

 

「ぅう…………」

 

ミナトは辛そうな表情をしている。が、それも当然だろう。

僕だって万華鏡が無ければかなり辛いと感じるだろうから。と、言ってもそれだけが理由じゃない。

ミナトはついさっき兵糧丸を摂取しただけで殆ど休んでいない。そしてそれは僕も同じだ。

この中でチャクラに余裕があるのはクシナだけだ。

そもそもこれから先にあるのはクシナの中に居る尾獣、九尾のところだ。

ここまで来ることはミナトが封印術を少しだけ緩めて、僕が万華鏡を使いミナトの精神を巻き込みながらクシナの精神世界にダイブし、今現在最深部、九尾の居る所に向かっているところだ。

 

「ミナトがんばって。お前が居なきゃこの方法はできないんだから」

 

この中で九尾のチャクラを切り離し、封印することができるのはミナトだけしか居ない。

もしここでリタイアしてしまえばその時点で僕の考えは実行できない。

最も、成功しても死ねば意味なんか無いんだけど。

そう思っているうちに最深部に到達した。

 

『む、貴様等は――――』

 

身体に杭を突き刺され、鎖に繋がれ月の様な球体に引っ付いた状態で身動き一つ取れていない状態の九尾を見た。

 

『その瞳、写輪丸か…………まさかこのワシを操りにでもきたのか?』

「もし、そうだと言ったら?」

『ククク…………貴様のようなガキにこのワシを操れるとでも思っているのか?』

 

ゾクッ!っと、背筋が一瞬で凍りつき、生きたまま腸を引きずり出される感覚を覚えてしまう。

ヤバイ、これはヤバイ。

はっきりと分かった。コイツは次元が違う。

流石は最強の妖魔、九本の尾を持つ天災、九尾とはよく言ったものだ。

これと仲良くしようなんて考える奴はバカだ。そう思うほどの別格。

 

「まさか、僕の力じゃアンタはまだ操れない。まぁするつもりもないんだけどな」

『はっ、口だけならなんとでも言えるわ』

 

確かに、だったら単刀直入に言わせて貰おう。

 

「九尾、いや、スッパテンコ。お前のチャクラの一部を貰おう」

『はっ!誰が貴様等に―――って、ちょっと待て。なんだその変な名前は』

「え、何ってお前のあだ名だけど。意味は素っ裸狐」

 

そう言った瞬間、九尾から殺気を放たれる。

 

「え、駄目だった?じゃぁツンデレ狐で」

『貴様ァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!このワシをおちょくっておるのか!?』

「うん!」

『殺す!!』

 

サムズアップして今の自分ができる最高の笑顔を見せると九尾はガシャガシャと鎖を引き千切らんばかりに怒り狂った。

一体何が問題だと言うのだろうか?

 

「流石イナバだ。相手が九尾であったとしてもいつも通りの態度」

「一体何処からあのふてぶてしさが湧き出てくるんだってばね?」

「まぁ今の九尾は鎖に繋がれている犬と殆ど同じだからね。ちょっと悪戯したくなるのも当たり前だよ」

「お前の当たり前は当たり前じゃないんだってばね」

『小僧!こっちに来い!!八つ裂きにしてやる!!』

「まぁまぁ、落ち着いてきゅーちゃん」

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

九尾の憎悪の篭った叫びがこの精神空間を振るわせる。

 

「イナバ。何でアイツにそんな強気なんだってばね?」

「それはね………九尾ってあんな怖いイメージをしているけど実は人間になったら強がってるだけの女の子だって思えば怖くなんかなくなるよ」

「………あれを!!?」

 

信じられない、そう言った目で僕から九尾にへと視線を向ける。

すると九尾は今まで見たことの無いほど怒りが篭った叫びを上げる。

 

『ワシのどこにそんなイメージをもてる!?貴様ふざけるのも大概にしろ!!』

「…………はぁ、九尾っちは人間ってものを理解していないね」

『はん。言っておくがな、ワシは人間と言う物をよぉく知っている。ワシ等尾獣を貴様等忍びはペット扱いしてるからな』

「やっぱり分かっていないね」

『何だと!?』

 

九尾の言っている事は何となく分かる。

ようするに性悪説に似たようなものだろう。まぁ僕は性善説とか性悪説とかどうでもいいと思っている。

だって人は一人一人違うんだから。

だけどこれだけは全部同じだと思っている。

 

「いいキュウビーン?お前の言った事も間違いじゃないと僕は思うけどその考えに対する反論を僕は持っていない。それはいずれお前の前に現れるであろう相棒が答えてくれるだろうからね」

『…………』

「でもね。そういうのとは完全にかけ離れた所にあるんだよ人間の本質っていうのは―――」

 

結局のところ僕はどんな意見でも受け入れるだろう。

僕は反論しないし、ただ黙って聞くだけだろう。

安全で平和な生活を送っているひねくれた奴が性悪説を語るのと戦争で家族と大切な物を失いそれでも性善説を語るのとでは話しが違うのだから。

それでも、全ての人間が所有しているものがある。

それは―――、

 

「全員が変態であるってことなんだ」

『…………はっ?』

「良い?人って言うのはね本来邪悪と呼ばれるものでさえ冒涜し美少女や美少年にしたりしする者なんだよ。尾獣を美男美女にしてくんずほぐれつする事を想像しただけでご飯三杯も食べられる人間だって居るんだよ」

『え、ちょっ―――』

「そして世の中には同性に好意を抱くものも居るんだ。それなのに変態じゃないって否定するっておかしいと思わない!!?」

「ちょっと待つってばね。お前はいきなり何を言い出しているんだ!?」

「何って…………本心を語れば力を貸してくれるんじゃないかなって?」

「そんな事をほざいても意味なんかないってばね!むしろドン引きしているってばね!!」

 

まぁ、確かに九尾もドン引きしている。

何言ってるんだコイツ的な瞳でこっちを見ている。

 

「それと私は変態じゃないってばね!私までも変態に巻き込もうとするなァアアアアアアアア!!」

「…………ミナトって実はメイドが好きだったりするんだよね」

「……………」

「さらにはミナトの女装写真が家にあったり―――」

「まぁ、確かに………人は変態かもしれないってばね」

 

よし、買収完了。

 

「と、言うわけでチャクラの一部をちょうだい」

『断る!っと言うかこのワシに近づくな貴様等ァ!!』

「っち。駄目か…………」

 

まさかここまで拒絶するとは思わなかった。

どちらかというと『面白い、このワシの力をくれてやる』とか言うと思ったんだけどなぁ。

 

「どうするイナバ?」

「う~ん。ちょっと荒っぽいし失敗する確率も高いけど強引に剥ぎ取る方法でいくしかないなぁ」

『殺す!!こっちに来たら殺してやる!!』

 

はぁ、本当………マジでやばい。

もし失敗したら僕らは死ぬって言うのに、こんなやり方でしかできないなって――――

 

『そうか、なら俺が手伝ってやろう』

 

ふと、聞きなれない、いや、もの凄く聞き慣れているイイ男の声音が響き渡った。

まさかと思い、目を凝らして探してみる。

九尾の背後に青いツナギを着たイイ男、阿部高和が立っていた。

何故か巨人のように大きな姿で、しかも股間に死んでいる栗霰串丸を装備した状態で。

 

「ぅう…………誰か殺してくれぇ」

 

今変な悲鳴が聞こえたような気がしたけど気のせいだろう。

そんな風に現実逃避をしていると九尾が阿部さんに気付き、叫ぶ。

 

『き、貴様!!一体どうやってこの中に―――』

『簡単なことさ。そこに居る薔薇の術を、俺を作った奴がこの世界に来たときに一緒に着いてきたけだ』

 

え?ちょっと待って?どう言う事?

 

『本当ならそこにいる二人を掘りたかったんだがな。今目の前にいるお前さんを見たら収まりがつかなくなっちまった』

 

そう言って僕とミナトから視線を逸らし、九尾に向ける。

あ、あぶねぇ。危うく僕らが掘られる対象になっていたのかよ!!

 

『さぁ、ケツを向けな。最高の思い出にしてやるよ』

 

この瞬間、僕らは目の前の光景から目を逸らし、九尾のチャクラの剥ぎ取りを始める。

一刻も早く終わらせる為に、自分の貞操を守る為に、九尾を助ける為に―――。

 

『や、止め―――――アッ、ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!?』

 

―――この日、最強の尾獣である九尾にトラウマができた。

 




阿部さん「獣ってのも中々悪くなかったな」

さて、次はキャラまとめです。
ただし真面目に書くつもりなんかありません。


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第一章――登場人物紹介――

これで第一章は全て完結です。
いやぁ、長かった。


名前:うちはイナバ

外見は東方の秦こころの髪を短くし黒く染めて常に笑顔。

声は這いよる混沌や砕けえぬ闇で御馴染みの人。

ついに万華鏡を開眼したが両方ともあんまり使えない。

須佐能乎が使えるものの負担が大きすぎて使えない。

薔薇の術は進化し、もう阿部さんが自由すぎていつか自分に襲い掛かってきそうで使えない(そのための生贄)。

一応覚醒したはずなのに全然進歩しているようにも見えないのは何故だろう?

九尾のチャクラを得て金閣、銀閣のような感じの尾獣化ができるようになった。

長刀・縫い針を獲得したが水影の真琴にボコられた。

実は女体に弱く、口だけの腐男子。

変態度:54

 

イナバの万華鏡写輪丸

 

【挿絵表示】

 

 

名前:波風ミナト

ついに螺旋丸を会得、ついでに金閣、銀閣のような尾獣化もできるようになった。

イナバの後始末をしたりする。

水影である真琴によってボコられ瀕死に近い状態になった。

と、その前に一度殺されかけた。

イナバの手でよって回復し、パワーアップを果たし水影に一矢報いる。

ただしこの年齢で水影を相手に善戦したのは凄まじいこと。

海の国から出る前にイナバととんでもない事をやらかしたが気にしない。

変態度:68

 

 

名前:うずまきクシナ

九尾の人柱力。

一応制御できる尾の数は四本まで。

今回はこの人が居なければ全員全滅していた。

ある日から九尾に対して同情と慰めを込めた目を向け始める。

変態度:75

 

 

名前:自来也

師匠、今回全然出番が無い。

が、それでも弟子のピンチに必ず駆けつける。

自らが嫌いな仙人化を使ってでも。

いずれ木の葉の未来を作る若い忍び達を守る為に。

変態度:49

 

 

名前:アズナ

海の国のお姫様。

本編では明かされていなかったが実は霧と木の葉にそれぞれ依頼を渡していた。

全ては婚約を破談にし、好きな人と添い遂げる為。

だったのだがイナバとミナトのせいで全てが台無しになってしまう。

その後の結果は語るまでも無い。

 

 

名前:不明(婚約者)

アズナの婚約者だった男。

イナバとミナトのせいで男に強制的に目覚めさせられてしまい、アズナの恋人を寝取った。

その後女関係はすっぱりと止め、男関係に走った。

彼と関係をもっていた女達からは憎悪を通り越してとんでもない事になったのは別の話。

 

 

名前:栗霰串丸

今作品もっとも可哀想な男。

薔薇の術で男としての尊厳を奪われ、長刀・縫い針を奪われ、ミナトに命を奪われ、死んでも阿部さんから解放されないという救われなさ。

きっと彼は永遠に救われない運命なのだろう。

変態度:0

幸運:-EX

 

 

名前:西瓜山河豚鬼

自来也と戦い、敗北した男。

コントロールの難しい仙人チャクラを吸いすぎて身体の半分以上が石化してしまう。

その後真琴に殺される。

死の直前に真琴の正体を知る。

 

 

名前:???(九尾)

うずまきクシナの中に居る尾獣。

今作品最大の被害者。

最初は原作通り人間に憎悪を覚えていたがイナバのせいで恐怖を覚えるようになる。

そして最後に阿部さんによる鎮魂歌のせいで今まで彼を築き上げていたプライドが全て瓦解してしまう。

だが彼はまだ知らない。

今は見ぬ彼の同胞が後にやらかす事を、彼はまだ知らない。

 

 

名前:阿部高和

薔薇の術、無間薔薇地獄の術の主。

彼こそ至高の存在。

彼の前では尾獣ですら勝てない(性的な意味で)

唯一勝てるのは女だけ。

変態度:∞

 

 

名前:多々良真琴

三代目水影の転生者。

常時笑顔の湊斗影明の顔に女物のパンツを被るというどこかにいるような変態仮面。

きっと彼は今後も現れるだろう。

変態として――――。

変態度:100

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

番外編~三代目水影は忙しい~を閲覧した方が良いですよ?

 

 

 

 

 

 

 

多々良真琴、その正体は電子のアイドル初音ミクを青くし、少々変態に変えた齢十六にも満たない女の子。

里の未来を案じ、自分が里を変えてみせると決意した。

ただし内政チートなんてことは普通に無理、そもそも環境がでたらめすぎる。

武力でのし上がっている。

ただし平和については否定せず、以外にも恋姫の桃香との相性はバッチリ。

むしろそれを否定する奴がおかしいと思っている。

イナバがもっとも人間らしい主人公なのに対し、真琴は人間をやめている。

まぁあんなふざけた環境の中で生きていくんだから常識なんて投げ捨てて当然だよね。

本来はイナバと同じくらい人間味がある性格だったのだが環境のせいで歪み、戻れなくなってしまった可哀想な人。

それが報われる時が来るのかどうかは不明である。




アンチやヘイトって決して間違いではないと作者は思っています。
アンチも所詮は正しさの証明でしかないのですから。
ただそれが通じるかどうかはまた別のお話です。

どれだけ間違っていてももう戻れない所に居たり、そもそも戻るつもりのなかったり。
そう考えると神様転生オリ主も捨てたものじゃないですよね。
上から目線で物を見てるのだって良い言い方をすれば物事をちゃんと見てるって事ですから。

まぁこの作品で神様転生オリ主が来るととんでもないことになりますけどね。
変態のせいで。

では、来週の土曜日に更新できたら更新します。
それまでテストなので。

【第二章・怠惰なる日常】

第一章が戦いと変態メインだったのに対し、第二章は平穏と友情がメインです。
その為阿部さんの出番が減りますが気にしないで下さい。

一応番外編を除けば五話で終わるので中忍試験編も入りやすくなると思いますね。
それではおやすみなさい!


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第二章・怠惰なる日常 病弱ですか?

取り合えず一話目更新。
今回はイナバのヒロインが出てきます。


「待てやゴラァ!!」

 

武器を持った粗暴そうな男達が一人の童を追いかけていた。

童の外見は白髪と紅い瞳と言う比高的珍しい姿をしており、着ている服には焔の家紋が刻まれている着物を着ていた。顔立ちもかなり整っており、成長すれば間違いなく美人になる事は言うまでもなかった。

だからこそ狙われたのだ。

この戦時中と言う非常事態、それ故に普段は見逃されることのない犯罪も横行される。

それがこの人身売買だった。

 

「いよっしゃァ!!捕まえたぜ!!」

 

そしてついに少女は男達に捕まってしまう。

とは言え、何の訓練を受けてもいないただの少女、それも六歳程度の、年齢のわりには小柄な体格である少女してみれば十分な結果ともいえるだろう。

だが捕まってしまえば何の意味もないだろう。

 

「ったく、手間かけさせやがって」

「捕まえたからにはいいじゃねぇか」

「この小娘は一体いくらで売れるか?」

 

人を人とは思わぬ態度で少女の、物をどうやって売るかについて考えていた。

だが、少女はそれにどうも思わなかった。

どうせ今までの人生と変わらないのだから。

戦争で父が死に、母が死に、自分には何も残らなかった。財産も家も食べ物も、全て。

俗に言う戦争孤児だった。今の時代では特に珍しくもない。

盗みをして、雑草を食べながら何とかその日暮らしだった。

 

だけれどそれも全て終わり。

 

諦めてしまえば全てが楽になる。

むしろ今の生活よりも良くなるのではないだろうか?

そんな事を思いながら目を閉じ、自分の意志を捨てようとする―――、

 

「はい。そこまでだよクズども」

 

直前に一人の少年が頭上から飛来し、少女を持っていた男の頭を踏みつけて強引に少女を奪還した。

突然のことに少女と男達は驚愕しながら少年を見る。

 

「正義の味方の参上、かな?ミナト風に言うなら」

 

赤い瞳を持つ黒髪の少年、うちはイナバは少女の頭を軽く撫でてそう言った。

そして右腕で抱き上げてる少女の方を見てニコリと笑い、

 

「大丈夫。君は僕が守るから」

 

誰もがきざだと思うような台詞を恥ずかしげも無くそう言って、男達の方を睨む。

 

「さぁて、お前等悪党には被害者の気持ちって奴を分からせてやるよ」

 

男達は動く事もできず、少年の瞳を黙ってみるだけでしかなかった。

 

「さぁさぁ、永劫の快楽に包まれて地獄に堕ちな」

 

少年は静かに、彼等を新世界への入り口にへと放り込む言葉を言った。

 

「無間薔薇地獄の術」

 

―――この日、森の中にてむさくるしい男達の合唱が響き渡った。

 

+++

 

 

あの変態仮面こと三代目水影との戦闘から一年が過ぎた。

最初の敗北、忍びとして完膚なきまでに敗北を刻み付けられた僕らは今を平々凡々と暮らしていた。

さすがにあのようなふざけた忍びが襲ってきたような任務が二個も三個もあるわけがなく、普通のCランク任務やDランク任務を受けていた。

そして今回の任務は最近横行している人身売買を含めた犯罪を犯している集団を捕獲することだった。

任務については全員生け捕り、無間薔薇地獄に例外なく全員ぶち込んでいるから比高的簡単だった。

強いて面倒くさかったことを上げるのなら全員がイカ臭かった事だろう。

あれにはむせる。

 

「ふむ、任務ご苦労じゃったな」

 

火影様が書類を見ながら僕らにそう言う。

 

「じゃが、の………」

 

ジト目で僕の方を見てくる火影様。

いや、火影様だけじゃない。自来也先生とクシナ、そして周囲に居る中忍でさえ僕のほうを見ていた。

正確に言うなら僕が背負っているモノをだけど。

そしてミナトは若干哀れむような乾いた笑いをしていた。

 

「その、お主が背負っている子は一体?」

「拾いました」

「拾いました。じゃないだろうがのォ!!」

 

ついに耐え切れなくなった自来也先生は頭を抑えて叫び始めた。

 

「お前が背負っているのはあの時、人買いに捕まっていた子どもじゃろうが!」

「それが何か?」

「いや、だから―――」

「そういや自来也先生って僕等を弟子にする前に雨隠れの子ども達を育てていたじゃないですかー」

「…………あのなぁ、イナバよ。お前はまだ子どもだ。仮にその子を育てるとしてお金はどうするんじゃ? 元の場所に戻して来いとは言わんからよく考えるんだのォ…………孤児院、いや、最近は孤児院も………場合によってはワシが育てるしかないのかのォ」

 

そう言って何処か黄昏ている自来也先生。

だけど甘い、甘いぞ自来也先生。

 

「これを見てください」

 

巻物を取り出して、中に入っていた物を呼び出す。

そしてそれを見て全員が驚愕の表情を晒す。

何故なら呼び出されたものは金銀財宝、とまではいかないものの一千万両を軽く越えるだけのお金だったからだ。

 

「い、イナバ。この金、どうやって手に入れた?」

「ふっふっふ。自来也先生ィ………貴方なら分かるはずですよね? 影分身、賭博、種無し手品」

「ああ分かった。天は何故こんなアホに才能を与えたんじゃ?」

「まぁ、と言うわけでこの子は僕らが育てますからね。お金については問題ないし、いざとなったらミナトの食費を削ってしまえば良いんだし」

「えっ?」

 

ミナトが驚きに満ちた表情でこっちを見てくる。

大丈夫だ。お金は沢山あるし、よほど贅沢しなければ何とかなるでしょ。

 

「それに、あんまり関わりたくないけどうちは一族の関係者だしね」

「…………何?」

 

瞬間、三代目火影と自来也先生の顔付きが変わる。

 

「イナバ、それってどういう事だってばね?」

「あー………簡単に説明するとクシナと似たような立場の子って言う事かな?」

「…………なるほど、ね」

「え、それって―――ぁあ!!」

 

ミナトが納得し、続いてクシナすらも気付いてしまう。

そう、この子の着ていた服に刻まれていた文様は千住一族にとってのうずまき一族のようなものなのだ。

 

「まさか『ほむら一族』か?」

「はい、その通りです」

 

ほむら一族、それはうちは一族の遠縁に当たる一族のこと。

外見的特長は雪のように白い肌、そして写輪眼よりも紅い瞳。

うずまき一族が封印術や高い生命力に長けているのに対し、ほむら一族は生命力は弱い。

それこそ子どもでもない限り走ることすら不可能らしい。

それ故に当の昔に全滅した一族らしいけど。

だが他の一族にはもたない力があった。

正直言って暇つぶしにうちは一族の歴史の本を探していたら見つけた歴史書で知っただけだから本当に実在しているとは思わなかった。

 

「まさか…………と、言うか生きていたのか?」

「いや、最初は疑っていたんですけどこの娘の名前がほむらルナって言うのと、術に割り込んできたから本物だってわかったんですよね」

 

ほむら一族は術を解析し、分解し、無効化する力がある。

写輪眼に似ているがほむら一族のそれは写輪眼でさえ不可能な血継限界でさえ解析し、行使することができるのだ。

もっとも、その力は非常に弱いから術を行使するだけで体がぶっ壊れていくっていう非常にピーキーな性能だけど。

とは言え、こんな体じゃ生きていく事もできず、当の昔に滅んだとされていた。

 

「まぁ毛髪はあるんで調べれば分かると思いますよ」

「ふむ、念のため調べておくかの。いや、どうせなら―――自来也班の波風ミナト、うちはイナバ。お主等に無期限の任務を与える」

 

そして三代目火影は告げる。

 

「そのほむら一族の娘と一緒に生活するのだ」

 

こうして、僕ら三人の特殊任務が始まった。

 

+++

 

あれから三ヶ月が過ぎた。

結局、この子がほむら一族でないということが分かった―――なんて事は無く、普通にほむら一族だった。

うちは一族の遠縁であるほむら一族が生きていてうちは一族が喜んだ、なんて事も無く、一部の人達しか知らなかった為、誰だそれ? と言う感じだった。

とは言え、そっちの方が色々とありがたかったんだけど。

 

「のォ、イナバよ」

 

自来也先生はお茶を飲みながら言う。

 

「お前、あの子がほむら一族でなくとも同じ事を言うつもりだったな?」

 

その言葉に僕はこくんと頷く。

 

「はぁ…………お前が非常に甘い性格なのは変わらないのォ」

「それほどでもないです」

「褒めてないわい。いや、ある意味では褒めておるが」

 

頬をポリポリと掻きながら自来也先生は扉の奥からこっちをじっと睨みつけてくる女の子を見て溜息を吐く。

 

「あの子は忍びに恨みをもっておる。それも我等木の葉の忍びに親を殺された」

「はい」

「その恨みがいずれイナバ、お前に向くかもしれんぞ?」

 

確かに、その通りだ。

あの子を助けた時、目の奥にあったのは薄暗い憎悪の炎だった。

何故助けた、何故救った、何故私の家族を殺したお前達が私を助ける?

そんな疑問と殺意をもって睨まれた。

正直言って僕とミナトにはあんまりなついていない気がする。その点クシナには懐いているけど。

 

「確かに、その通りかもしれない。つーかその通りです」

 

もう既に向けられている。

殺意を持って罠を仕掛けられている。

まぁあんまり大した事無いからミナトと一緒に普通に避けて暮らしているんだけれど。

 

「だけど先生。あの時、助けなければあの子は間違いなく死んでいました」

 

それが分かっているって言うのに見殺しになんかできない。

昔の僕だったらありえたかもしれない選択かもしれない。

と、まぁ難しいことをぺちゃくちゃ言ってるけど本当の所―――、

 

「見捨てるってことが凄く嫌だったから、自分の思うがままにやったんです」

 

だからこの選択に間違いは無い。

 

「………そうか、なら大丈夫だな。お前たちならあの子の心もきっと開けるのォ」

「ありがとうございます」

「まぁ、一番の気がかりであったイナバがロリコンという可能性は無くなったわけじゃないが」

「ちょっ! いくらなんでもそれは失礼ですよ! 僕はロリコンじゃありません、腐男子ですっ!!」

 

そこんところを分かっていない、ならば分からせてやろう。

そう思いながら立ち上がり先生のところに行こうとすると天井から金ダライが降って来た。

 

「へぶっ!?」

 

突然の衝撃と痛みに驚愕しながらあの子の方に顔を向ける。

口元に手を当ててプスプスと笑っていた。

 

「ちょっ、小娘ェ!!」

「…………小娘、じゃない。私にはほむらルナと言う名前がある」

「ルナ! 何やってんだよ!」

「…………クシナおねえちゃんから聞いた。イナバには殺意を持った攻撃よりふざけたわなの方がきくって」

 

その言葉に頭の中の血管が切れそうになった。

チクショウ、クシナめぇ………アイツ覚えてろよォ?

 

「まぁ、上手くいっとるようじゃな」

 

自来也先生の言葉を心の中で否定しながら、僕は軽く絶望した。

まさかここまで悪戯好きだとは思いもよらなかった。

そんな事を思いながら夜はふけていくのであった。




取り合えず後書き。

イナバはロリコンじゃありません!

助けた少女が主人公に惚れる王道的展開、ニコポナデポを入れてみたんですけどどうでしたか?
まぁその結果が殺意じゃぁ意味無いんですけどね。

ヒロインは無力、と言う昔の設定を持ってきました。
戦うヒロインもいいけど待つヒロインも良い。

ちなみにイナバはルナが男の子でも同じことしてます。
つまり奴はショタコン。

次回はフガクたちがでてきます。
ヒロインも一緒に。
果たしてイナバはルナの心を溶かすことができるのか?

*アンケートは明日で最終日です。
アンケートをお待ちしております。


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友達ですか?

いやぁ、ほのぼのとした話しを書くのは気楽でイイねぇ。
ギスギスとか問題ごととかメンドクサイのを書かなくてすむんだからさ。

と、言うわけでアンケート締め切りまで後少しです。
まだやっていない人はやってみてください。


「ねぇシカク。どうしてこうなったんだろう?」

「俺が知るかよ。馬鹿野郎」

 

ベンチに座ってたそがれている僕の言葉を近くに居た奈良シカクと秋道チョウザ、山中いのいちが哀れみを込めた目で見ていた。

そして僕らの視線の先にはルナと戯れているクシナとルナの悪戯によって沈黙したミナトが居た。

 

時は遡る事、およそ五時間前。

 

干された布団と一緒にルナが干されていた。

僕は自分でさえどうかと思える作り笑いでルナに語りかける。

 

「さぁて、ルナ。これからはやらないようにね」

「…………何を?」

「おねしょ、だよ」

 

別におねしょをすることくらいは怒らない。

影分身を使えば掃除洗濯くらいは楽に終わる。

僕だってそんな事を怒っているわけじゃない。

 

「ただ、さ。何で毎回毎回僕の布団に侵入してきておねしょをするのかなぁ?」

 

そう、ここ毎日同じことばっかりしてくるんだ。

さすがの僕でさえこれには怒りを覚えてしまいかねない。

悪戯だって普通に見逃しているんだ。

まぁ女の子なんだし、僕だってお兄さんなんだから別に強く怒鳴ったりしないんだけ―――、

 

「…………わざとだよ。そんなことも分からないのイナバお兄ちゃんは、ド低脳だね」

「ガァアアアアアアアアアアアア―――――ッ!!」

「落ち着いてイナバ!今この子の考えに乗ったらクシナに殺されかねないよ!?」

 

声にならない叫び声を上げてルナを叱り付けようとした僕をミナトは必死になって取り押さえる。

 

「離シテミナト!!コイツ叱レナイ!!」

「だから駄目だって!子どもの悪戯なんだから!!」

「…………そういうミナトお兄ちゃんも鏡の前で変なポーズ取ってるよね、あれかっこ悪いよ」

「グォオオオオオオオオオオオオ―――――ッ!!」

 

この時、もう一人の修羅が生まれた。

そして僕ら二人の意志がしっかりと合致し、手を取り合う。

目の前に居る躾のなっていない、ツンデレのデレも無い超ツンドラ幼女を叱り付けるために―――!!

これからルナに説教をしようとした瞬間、

 

「ったく、二人とも」

 

突如現れたクシナに後頭部を掴まれて、

 

「その程度のことで一々怒るなってばね!」

 

二人揃って硬い地面に顔面から叩きつけられた。

 

「「そげぶっ!!?」」

「ったく、これだからバカ二人は…………」

 

そう言ってクシナはルナを吊るしていた棒から降ろす。

てか最近ミナトに対して辛辣すぎない? 一応アンタの好きな人じゃないの?

 

「…………クシナさん、ぎゅー」

「ハハハ。本当、可愛い子だってばね!」

 

違う、騙されているよクシナさん。

ソイツは純真な幼女の振りをした極悪残虐人のルナだよ………。

僕の描いていた阿部×道下のBL本だって破り捨てられたし。

あ、思い出しただけで涙が出て来た。

ミナトも同様らしく、先日焼き捨てられた中二病の権化のような名前が書きなぐってあった忍術書のことを思い出して泣いていた。

 

「本当にうちの男どもはこれだから…………まぁ、そこまで悪い奴等じゃないから嫌わないでくれってばね」

「…………わかった」

 

クシナの言葉にルナは頷く

やっぱり似たもの同士からなのかルナもクシナにだけはとても素直だ。

二人とも立場が似ている。二つの強い一族の遠縁で家族が居ない。

ただ二つの違いがあるとするならば強いか弱いかの違いだけだ。

クシナは強く逞しく、ルナは非常に弱くて脆い。

似ているけど正反対、正しくこの二人に言うべき言葉だろう。

まぁルナに尾獣を縛る力があるかどうかは不明だけど。

 

「やっぱり、しなくちゃいけないのね」

 

ふと、クシナはアゴに手を当てて何かを言う。

すると僕らの方を向いてとんでもない事を言った。

 

「今日から私もここで暮らすってばね!」

 

回想終了。

 

と、言うわけでまさかのクシナも同居と言う事になってしまったのでした。

 

「ぅう、我が家での自由は無くなった」

「そうか? 以前お前等の家に行った時に部屋を見たけど問題なんか無かったような気が」

「いや、僕が作っている男同士が絡み合う衆本、もとい官能小説を大っぴらに作ることができなくなったんだよ」

「誰の自由も犠牲にならずにすんだじゃねぇか」

「いや、だから僕の趣味が犠牲に」

「誰の自由も犠牲にならずにすんだじゃねぇか」

「あれ? もしかしてこれ無限ループ?」

 

ちょっと酷くない? ミナトの黒歴史だって封印されることになってしまっているって言うのに。

 

「ま、それにしてもイナバ。お前、随分と…………変わったのか?」

「そこは嘘でも変わったって言うべきじゃないの?」

「すまん。何処をどう見ても変わったって思えない」

 

シカクは真剣な表情でそう言った。

まぁ、人なんて簡単に変わらないからね。当然っちゃぁ当然だろう。

 

「あ、そうだ。チョウザ、来年の中忍試験で同じチーム組まない?」

 

偶然思い出したことを言う。

だけれどチョウザは黙って首を横に振った。

 

「すまない。既にいのいちとシビと組む約束をしている」

「あー、そっかぁ。そりゃぁ残念だよ」

 

ミナトとシカクが中忍になっている以上、他の下忍と組まなくちゃならない。

友人関係が色々と狭い僕と人柱力であまり友達が居ないクシナじゃ組める人間だって限られている。

ただでさえミナトとかの事で問題行動ばっかり起こしている僕らなんだから、チームを組んでくれる人なんてまず居ない。

 

「と、言うかイナバ」

「何かな、いのいち?」

「お前、中忍試験を受けるつもりなのか?」

「うん。もうこれ以上、甘えてばっかりじゃぁいられないからね」

「…………やっぱり変わったよ、お前は。昔のお前とは大違いだ」

 

何処か達観したような空気を醸し出しながら三人は僕を生暖かい目で見る。

止めろ、その目を今すぐやめてくれ! おかしくなる!!

 

「でも、まぁ…………どうしようか中忍試験」

 

まだ時間があるとは言えそろそろ決めておかないと今回の中忍試験は諦める羽目になるかもしれない。

もしそうなったらちょっとやばいかもしれない。

少しアカデミーでの生活を改めた方が良かったかな?

 

「だったらオレが組んでやろうか?」

 

その言葉が耳に入った瞬間、ミナトはクシナに触れて飛雷神の術を使い、シカク達三人はそれぞれ退避し、僕は足にチャクラを込めてルナの所に行き須佐能乎を発動する。

全身が激しい激痛に襲われるけどルナを抱き抱えて逃げるには時間が無さ過ぎる。

だからこれが一番良い答えだ。

そう思った直後、頭上から大量の手裏剣が降り注ぐ。

最も、それは須佐能乎の防御力を貫くことなどできないのだけれど。

手裏剣の雨が十秒ほど続くと突如攻撃は降り止み、一人の少年が出てくる。

着ている服はうちはの家紋が刻まれていて、その瞳は赤く紋様が三つあり、はねた髪が特徴的だった。

そしてそれは僕が忘れることの無い存在。

 

「よォ、久しぶりじゃねぇかクソ兄貴。また変な術を身に付けてやがるな」

 

僕の弟、うちはマザメだった。




結構序盤から存在感醸し出していたのにようやく初登場。
皆は忘れてないよね?


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兄弟喧嘩ですか?

本来ならちょっとしたギャグを入れようと思ったんですよ。
だけどそれは次回に持ち越し。

ちょっと日常編のストーリー変えるか。


人には誰だって触れてはいけないものが存在する。

大なり小なりあるが、人はそれを逆鱗と呼ぶ。

元々逆鱗は龍の顎の下に生える逆さの鱗で、そこに触れた者を即座に殺すとされている。

そして僕にとっての逆鱗はこの口の悪い弟、うちはマザメだった。

 

「ミナト君にクシナさん、お久しぶりです」

「ああ、そうだね」

「……………」

 

マザメの言葉にミナトは空を見上げながら返事をし、クシナは睨みつけるだけだ。

 

「シカクくん達もこんにちは」

「ああ」

「同じく」

「だな」

 

猪鹿蝶の三人も似たような返しをする。

 

「よぉ、どうしたクソ兄貴。随分と良い感じじゃねぇか?」

 

そして僕にはさっきの五人とは正反対の言葉遣いで話しかけてきた。

何ていう返し方、分かっていたとはいえ本当にコイツは僕のことが嫌いなんだなとしみじみに思う。

一応血縁関係上の兄としての余裕を見せないといけないな。

そう考えながらルナをクシナに預けてマザメに向き直り、ミナトやクシナといつもやってるような返事を返す。

 

「任務主義者の犬が今更なんのようだ? 犬の餌でも貪りに来たのか?」

「はっ! 言ってろよ愚兄。俺が犬ならお前は猫じゃねぇか、それこそ自分勝手に生き、他者に迷惑しかかけない、そんな奴だ」

「そうかもな。だけど人の命を数でしか数えない獣畜生になり下がるつもりはねぇよ」

「いつまでそんな甘い理想に囚われてるんだ? そんなんじゃぁあの白い牙のような末路を遂げるようになるぞ? まぁお前がそこまで生きていられたら話しは別だがな」

「…………あの人の事を侮辱するんじゃねぇぞ脳みそが詰まった血袋が」

「…………いつまで甘ったれた事をぬかしてんだ肥溜めが」

 

互いにそんな感じで楽しげに会話をする。

本当、以前までの僕なら開始僅か十秒で戦闘開始になっていた。

だけど今の僕は自分でもどうかと思うほど成長している。

 

「潜影蛇手!」

「断罪炎・盾!」

 

なにせ会話を始めて四秒も時間が減っているんだから―――。

互いに写輪眼を開眼し、攻撃を開始する

迫り来る蛇を炎の盾で防ぎ雷光剣化の術で長刀・縫い針を口寄せし、マザメに向かって振るう。勿論、刃の方を向けてだ。

最も、こんな攻撃が当たるとは思えない。

事実マザメはいとも容易く避けて、逆にカウンターを狙いの一撃をお見舞いしようとしてくる。

 

「刹那・亜空穴」

 

瞬間、世界が凍りつく。

そして自分が別の場所にへと飛ばされ、再び元の場所に戻ってくる。

 

「時間停止の瞳術と時空間忍術の同時発動、始めて使うけど結構便利だね」

 

ミナトの飛雷神の術とは違い、あくまで窮地をすぐに脱出する回避専用の忍術だ。

 

「まぁ、作り方は簡単だったよ。口寄せの術の理論を刹那に組み込んだだけだから」

 

ただ通常の刹那に比べればチャクラの消耗も激しい。が、九尾のチャクラを取り込んだ今の僕にはそれはあんまり意味の無いことだ。

ぶっちゃけもう一つの方の理由のほうが大きい。

何せ視力の消耗が刹那よりも大きいんだから。

それでも刹那を1とするなら亜空穴は2ぐらいだけど。

でも使いすぎるのは駄目だよねぇ。刹那に関しては結構使ってるし、今じゃ視力は3.0だ。

万華鏡を開眼する前は3.5だったのに、だ。

 

「いずれにせよ時間だ。時は動き出す」

 

もしこの刹那が時を止めてる間にも攻撃が可能だったら――――は止めておこう。

そんなIFは許されないのだから。

 

「なっ!? い、居ないだと!?」

「こっちだ溝鼠、ダイナミックエントリー!!」

「がっ!?」

 

隙だらけだった背中に懇親の蹴りを叩き込む。

マザメは短い悲鳴を上げて木にへと叩きつけられる。

そしてそのまま接近し、縫い針を振り落ろす。が、その前に横に転がって避けられる。

っちぃ! 今のが当たっていれば真っ二つにできたのに!!

そんな事を思いながら再び斬りかかるもクナイで防がれてしまう。

 

「死ね! その古臭いドブのような血を撒き散らして死ね!!」

「消えろ! うちはの誇りを投げ捨てた薄汚いクズが!!」

 

互いに罵り合い、とてもではないが子どもに聞かせていい内容じゃない言葉をぶつけ合う。

 

「オラァ!!」

 

クナイで縫い針を弾き返され、そのまま距離を取られる。

 

「っち、腕は…………上がっているみたいだな。それだけが理由じゃねぇだろうが」

「変態仮面相手に生きて帰ってこれたからねぇ。色々と変わらなくちゃ今頃こうして生きて帰って来れなかった。まぁ、それはそれとして―――」

 

息を吸い込み、呼吸を整えて言う。

 

「何故攻撃をした?」

「…………はぁ?」

「別に僕だけの時は良い。ミナトたちが居た時も、まぁ良しとしよう。だけどあの子、ルナが居たのに何故攻撃した?」

 

いくらマザメが魔性の忍びだったとしてもここまでするほどのバカではなかったはずだ。

忍びとしては真っ当な弟、それがマザメに対する僕のイメージだった。

人としては救えなくてもそこだけは尊敬する。僕には出来ないことだから。

だけどマザメは淡々と冷淡に言った。

 

「ああ、なるほどな。別に大した理由じゃねぇよ。あのガキが木の葉に恨みを持っている、それだけで十分だ」

 

瞬間、空気が凍りついた。

 

「…………本気で、本気でそう言ってるの?」

「その通りだ。いずれにせよあのガキは邪魔になる。だったら今此処で殺すのが忍びじゃねぇのか?」

「ならば話しは簡単だ。この子は今里の加護におかれている。殺せば問題になるぞ?」

「戦える奴と戦えない奴、どっちが有力なのかは分かるはずだぜ? ようするに足手まといはいらないんだよ」

 

マザメの言葉を聞いて完全にあきれ返った。

ああ、そっか。コイツと僕とでは見ている物が違うんだ。

人によって価値観が違う。確かにその通りだ。

話しが通じない相手には力で訴えるしかないだろう。

そもそもこの争いだって最初から逃げていれば良い。

いつもそうしているように―――。

 

「そっか」

 

だけどもう逃げるのはやめた。

 

「やっぱり僕はお前達と絶縁してよかったよ」

 

右手にチャクラを乱回転させてマザメに突っ込む。

未完成品とは言え十分威力はある。死なない程度の術だからまぁ十分だろう。

マザメはそれを迎え撃とうと同じく突進してくる。

互いの術がぶつかり合う瞬間、誰かが間に入って互いの腕を掴み、地面に叩きつけられた。

 

「…………お前達、そこまでだ」

 

聞き覚えのある声だった。

そりゃぁその筈、だってその人は僕に優しくしてくれたうちは一族の一人だから。

 

「それ以上ここで暴れるというのなら俺も黙ってはいられんぞ」

 

僕の従兄弟、うちはフガクその人だった。




今回は最初から最後までドシリアスかつ互いに殺しあう話でした。

本当なら喧嘩終了後にミナトがとんでもないことをやらかしてしまう話しを入れて次回にするつもりだったのに。
本来出てくる予定の三人組の話し潰すか、居ても居なくてもストーリーに全く関係ないし。番外編でやろう。


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魔法少女ですか?

今回もまた意味不明回。
次回で終われるか?

そしてこの小説の挿絵を書いてくれる人を募集します。
暇があったら書いてください。
阿部さんでも可(笑)!


「フガクさん、何で………こんな所に―――アギャッ!?」

「何の用ですかフガク兄さん。用なら後にでも―――グガッ!?」

 

突如現れた従兄弟のフガクさんに、マザメと一緒に驚愕の声を漏らす。

が、フガクさんはそんなこと関係ないと言わんばかりに僕達の頭に拳骨を落とし、僕らは固い地面に叩きつけられた。

 

「喧嘩両成敗だ。バカども」

 

反抗は許さない、そう言わんばかりの声音で僕達にそう言ってミナトたちが居る方を見て頭を下げた。

 

「君達、すまなかったな。うちのバカ二人が迷惑をかけて」

「気にしないで下さいフガクさん。それよりも早く連れ帰ってください」

 

ミナトは倒れている僕の腕を掴み、立たせようとする。

だけど今の僕の状態は軽い脳震盪を引き起こしている状態である為、上手く立ち上がることができない。

それを理解したミナトは肩で担いだ。

 

「ご、ゴメン…………ミナ、ト」

「気にしないでいいよ。それよりもマザメを早く連れ帰ってください」

「いや、できればイナバも連れて帰りたいんだが―――」

「それはイナバに聞いてください。少なくともオレはイナバが帰ると言うまではイナバの思いを尊重しますから」

「そうか…………なら俺はマザメを連れて退散するとしよう」

 

地面に倒れているマザメをまるで荷物のように持ち、そそくさとうちは一族が暮らしている集落にへと帰っていこうとする。

だが、何かを思い出したのか急に立ち止まって言った。

 

「ああ、そうだった。お前の母から伝言を預かってきていたのを忘れていた」

 

その言葉で心臓が凍りつくような感覚に襲われる。

脳震盪で揺れている頭が強制的に元に戻されるような感じだ。

 

「すまなかった、できればもう一度家族としてやり直したい。そう言っていた」

「…………」

「イナバ。今更家族に戻れないと言う事は分かっている。これは俺の考えなんだが…………もしお前さえ良かったら俺の家で」

「それ以上は言わないで下さい…………フガクさん」

 

もう分かっている、分かっているんだ。

でも分かっているからこそ許せない事もある。

そもそも親父が僕の事を本当に嫌っているから一緒に暮らそうとすら思えない。

 

「僕はもううちはじゃありません。ですのでそこのうちはの少年を連れて帰ってください」

「…………そうか。お前が決めたことならば俺はもう何も言わない」

「…………フガクさん、ありがとうございます」

「気にするな。では、俺は戻るとしよう」

「あ、少しだけ待ってください」

 

帰ろうとしたフガクさんを呼び止めて聞きたかった事を聞こうとする。

 

「マザメ、一つ聞いて良いか?」

「………なんだ?」

「お前…………中忍試験のメンバーを集めていたよな。お前のところのチームメイトでそのまま出れば良かったんじゃないか?」

 

マザメたちは前回の中忍試験に出場していない。

だから本来なら他のチームメイトと組んで出場するはずだ。

それなのに何故僕らにチームを組もうと申し出たのだろうか?

マザメを除いたほかの二人も結構優秀そうな下忍だった気がしたけど。

そう思っているとマザメは口を開き、告げる。

 

「ああ、あいつ等ね。二人とも死んだよ」

 

その言葉を聞いてクシナを含めた数人が驚愕の声を上げるが、その一方で僕を含めたミナトやシカクといった面々は何処か納得したような顔をした。

何となく分かっていた。

今この時代が大戦で、優秀であれば下忍でさえ戦いに行かなくちゃいけない時代なんだから。

 

「そっか………ならさっきの申し出、引き受けるよ」

「イナバ!?」

 

クシナが声を上げる。いや、クシナだけじゃない。ミナトたちでさえ信じられない者を見る目で僕を見ていた。

 

「お前の事は那由他の果てまで殺したいほど大っ嫌いだけど、好き嫌いなんざ言っていられるもんじゃないだろ。忍びなんだからそれくらいの分別はつけるつもりだ」

「そうかよ。なら、中忍試験は後ろに気をつけな」

「お前がな。フガクさん、ありがとうございました」

「分かった。ではマザメ、帰るぞ。瞬身の術!」

 

マザメを背負ったフガクさんは瞬身の術を使い、目の前から消えた。

やっぱり便利な術だよなぁ、瞬身の術。

使えないわけじゃないけどちょっと相性が悪いと言うかあんまり得意じゃない。練習するかな?

そう思っているとミナトが妙な顔で話しかけてきた。

 

「…………本当に良かったのかい?」

 

ミナトのことだ、僕を気遣ってくれているんだろう。

だけどその心配は無用だ。

脳震盪から回復した僕はミナトから離れて話す。

 

「大丈夫、だよ。クシナには悪い事をしたけど」

「…………別に気にするなってばね。どうせアンタのことだからある程度の事は許容できるってばね。それよりもアンタの方がきついんじゃ―――」

「それこそ無問題。いくらマザメでも自分の不利になるような事はしない筈だからね」

「じゃぁもし不利になるような事をしたら?」

「その時は――――」

 

いずれにせよこの方法を取らざるおえないだろう。

その方法もある意味では得になるし。

 

「僕が始末するよ」

 

+++

 

あの後、シカク達三人と別れて家に戻った。

何故かクシナも一緒に…………。

いや、分かっているんだよ? 朝にクシナもこの家で暮らすって言っていたからね。

だけど、やっぱり現実を直視したく無かったよ。

 

「ぅう…………阿部×道下の衆道本がぁああああああ」

 

まさか本当に燃やされるとは思っていなかった。

二週間かけて製作したものだって言うのに、まさか燃やし尽くされるとは思わなかった。

ついでにミナトの中二病な代物も燃やされていたけどそれは関係の無いことだ。

 

「いつまで泣いているってばね!」

「よく言うよねクシナ!! 僕のアレを燃やしといて!!」

「ルナちゃんの教育に悪いでしょうが!」

「ですよねー」

 

そこは否定しない。と、言うか幼女が居るって言うのに衆道本を書くこと事態がいけない気がする。

だけど趣味なんだから良いじゃない。家計にも貢献しているんだからいいじゃないくぁ。

 

「兎に角、あの変な本のことは置いといて。これは何だってばね?」

 

おもむろにテーブルの上に液体が入った瓶を置くクシナ。

 

「ああ、それはお酒だよ」

「未成年がお酒なんか飲んじゃいけないってばね!!」

「いやいや………流石に飲まないよ。あくまで料理に使う程度だからさ」

 

そう言うとクシナは信じられないと言った疑惑の目を向けてくる。

分かってはいたけど信用されていないのね、僕って。信頼はされているけど信用はされていない。

俗に言う信頼と信用は違う、と言う事だ。

 

「ちょっとした隠し味や香り付けに使う程度だよ」

「ふぅん………本当なのかしらね?」

「本当だよ。そういや今日のおかずは煮付けだったよね?」

「そうだけど―――」

「じゃぁ隠し味にこれ入れるよ。コップ一杯分程度だけど」

「………そこまで言うなら信用するってばね」

 

酒瓶を持って台所に行き、コップに注ぐ。

そして煮付けを作っている鍋の中に投入しようとした瞬間、

 

「あぅ!」

 

ルナがビタンッと音をたてて勢いよく転んだ。

 

「ルナちゃん、大丈夫かってばね?」

 

クシナは気遣う様子を見せながらルナのところにへと駆け寄る。

僕もお酒が入ったコップを置き、同じくルナの傍に近づく。

 

「大丈夫?」

「…………」

 

だけどルナは何も言わずに僕からそっぽを向いた。

やっぱり今日のアレを見られたのが良くなかったのか、警戒心を持っちゃったかもしれないなぁ。

仕方ないとは言え、嫌われるのにはあんまり馴れないよ。

 

「………大丈夫そうだね」

 

目を瞑り静かに言う。

結局僕にはこういうのがお似合いのようらしい。

 

「クシナ、ルナの面倒を見てて。僕が夕飯を作るから」

 

そう言って料理を作ろうと台所の方に戻ろうと振り向き、驚愕する。

何故ならミナトがお酒が入っていたコップに口を付けていたからだ。

 

「―――――」

 

止める間も無くコップに入っていたお酒を全て飲みつくしたミナトは虚ろな表情でこっちを見て、印を結ぶ。その印は変化の術の印だった。

ドロンと音をたてて煙に包まれる。

一体何に変化をしたのか、それが分からないが今までの経験上多分ろくなものではないだろう。

どんな化け物が出てきたとしても動じないはずだ。

そう考えながら煙が晴れるのを待つ。

 

「…………」

 

煙が晴れ、そこに立っていたのは長い金髪をツインテールに結んだ女の子だった。

それも着ている服は何故かフリフリの服だった。

まるで一世代昔の魔法少女の服のように―――。

 

「魔法少女ラディカル☆ミナミ、見参!」

 

突如、変化したミナトが中二病が考えたカッコイイポーズをとりながら大きな声でそう言った。

…………え、何この状況?




と、言うわけでミナトが暴走しちゃいました。
まぁ次回大変なことになっちゃいますけどねww

オリ術解説コーナー

刹那・亜空穴
名前の元ネタは東方。
時間停止と時空間忍術の同時併用。
逃走専用。


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大波乱ですか?

日常編最終話投稿です!

てか今更ながらとんでもねぇことに気がつきました。
イナバって白星、黒星よりも少なくない?


目の前の現実を受け入れることができずに呆然としてしまう。

だけれどこの光景を直視して正気でいられる人間なんて存在しないだろう。

ましてや心の友、親友が酔っ払ってこんな事をしでかしたのを見て平静ではいられない。もし居るならばそれは人の皮を被った機械だろう。

 

「とぅ!!」

 

そう思っていたらミナト、ラディカル☆ミナミは突如窓を割って外に飛び出した。

放心していたとは言え、止める暇も無いほど素早い行動だった。

酔っ払っていても天才忍者は天才忍者だと言う事なのだろうか?

 

「…………ねぇ、これ。どうしたら良いと思う?」

 

後ろを振り向き、同じく放心しているクシナに問う。

するとクシナは黙って首を横に振って答える。

 

「私にも分からないってばね」

 

いや、うん。長年連れ添った友人の僕でさえ分からないから当然だよね。

そう思っているとルナが目をキラキラと輝かせてこう言った。

 

「…………カッコイイ」

 

ああ、そういや魔法少女だもんね。

女の子が好きそうなものだしね。

そんな事を考えながら乾いた笑いを十分間していた。

 

+++

 

酔っ払って家を飛び出したミナトことラディカル☆ミナミを連れ戻そうとルナを背負ったクシナと一緒に外に出ると凄い熱気と騒ぎに包まれていた。

一体何があったのだろうか、そんな事を思いながら耳を傾けてみる。

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!! ミ・ナ・ミィイイイイイイイイイイイイッ!!」

「ラディカル、ラディカルゥァアアアアアアアアアアアアッ!!!」

「魔法少女ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「みんなぁ!! ありがとーう!!」

 

OK、原因把握。

と、言うかこの騒ぎを作っているのが暗部を含めた中忍以上の忍びだった。

 

「ねぇクシナ、全力で現実逃避して良いかな?」

「駄目だってばね。気持ちは分かるけど」

「ですよねー」

 

まぁある意味ではこの問題も僕が作ったみたいなものだし、ちゃんと事後処理をしとかなくちゃ駄目だよねぇ。

周囲に居るアイドルのおっかけや、女風呂を覗いている自来也先生、僕が書いたくそみそテクニックを読んでいる大蛇丸、賭け事で大負けして真っ白に燃え尽きた綱手さんを無視しながら方法を考え、思考を放棄する。

やっぱり今回は非常にどうでも良い事のような気がする。

このまま無視していたほうが本当に最善な結果のような気がする。

色々な意味で―――。

 

「まぁ、でも取り合えずあの状況だけは何とかしないといけないよね」

 

そう言って僕は影分身を一体作り、一目につかない森の中にへと送り込む。

クシナたちも僕のやる事を察したのか影分身についていく。

そして森の中に行き終わったのを確認すると顔を隠して刹那を使い、時を止めてアイドル紛いの事をやっているミナトの隣に立つ。

 

「そして時は動き出す」

 

凍り付いていた世界が解凍され、周囲が騒ぎに包まれる。

それもその筈、いきなり隣に僕が現れたのだから誰だって驚愕するだろう。

だけど僕はそれを無視して影分身に情報を送り逆口寄せを行うように指示を出す。

その直後にミナト改めラディカル☆ミナミを掴み、同時に逆口寄せされる。

場所は誰も居ない森の中、確かに此処なら暫くは大丈夫だろう。

そう思いながら木の影に隠れてこっちを見ているクシナとルナを横目で見ながらミナトに水が入った水筒を手渡した。

 

「それ飲んで酔いを醒ましてよ」

 

とっとと酔いを醒ましてほしい。これ以上の面倒ごとは本当に嫌だ。

普段なら悪乗りしたい気分だったが流石に今日は疲れた。

何せあのマザメと会ったんだから――――これ以上ふざけるのだけはもう止めたい。

そう思いながら水の入った水筒をミナトに向けていると、

 

「やぁ!」

 

何処からか取り出した、ミナトの特性クナイを大きくし、刀身に穴を三つ開けたチャクラ刀を振り下ろした。

あ、危なかった………危うく真っ二つになるところだった。

 

「ミナト!! 危ないじゃないか!!」

「う~、まだ倒せないかぁ~………なら次は本気でやるぞぉ!!」

 

そう言ってチャクラ刀にチャクラを込め始めるミナト。

はぁ、これだから酔っ払いは嫌なんだよ………。

 

「とは言え、やっぱり本気で行かなきゃ勝てないよねぇ」

 

まぁ須佐能乎はしないけどね。

あれだと殺しかねないし…………それならあのモードだろう。

全身に九尾のチャクラの衣を纏わせ、全身の皮を剥がれて行く。

 

「うぐぅううううううううううううう………」

 

両手を地面に付けて、尾獣化する。

このモード、結構キツイ。だけどこれしないと何か死ぬ気がするんだよなぁ………。

やっぱり一応須佐能乎使っておくか、鎧としてだけど。

 

「いくぞ! 怪人貴腐人!!」

「来い! 魔法少女ラディカル☆ミナミ!!」

「案外お前等のりが良いってばね」

 

クシナの言葉を皮切りに、ミナトは剣を振り下ろしながら突っ込んできた。

いざとなったら刹那・亜空穴使って逃走すれば良いし、何とかなるだろう。

そんな軽い気持ちで迎え撃とうとして、気付く。

ミナトの持っているチャクラ刀の穴に螺旋丸があると言う事を―――。

そういや三ヶ月前、螺旋丸をもっと効率的に使えないかミナトに相談を受けて「ならチャクラ刀に穴を開けてその中に螺旋丸を作れば良いじゃん」と言った事を思い出した。

…………これ受け止めたらヤバクね?

 

「ちょっ、ま――――ッ!?」

 

+++

 

布団の中でさっきの事を思い出す。

あの時はマジで三途の川を渡りかけた。いや、マジで。

須佐能乎が真っ二つにされて瞬間的に出した骨格も砕かれ、時を止めて逃げたは良い物の回転の斬撃が身体に襲い掛かってきて本当に死に掛けた。

もしあの後ミナトの意識が戻らなかったら二撃目を受ける羽目になっていただろう。

そういう点では本当に助かった。

もっとも、お酒は禁止になったんだけど…………まぁあの災害にもう一度巻き込まれるのだけはゴメンだ。

そう考えながら瞳を閉じて眠りに着こうとすると、ゴソゴソと音をたてて布団の中に誰かが入り込んできた。

そしてそれは僕もよく知っている女の子だった。

 

「クシナが居るんだから、クシナの所に行けば?」

 

背中にピッタリとくっついてるルナに向かってそう言う。

するとルナは僕のパジャマを掴んで離そうとしなかった。

 

「はぁ………ったく、しょうがないなぁ」

 

もう諦めよう。どうせ次の日もおねしょするんだろう。

そろそろ布団を洗うのにも馴れ始めてきたなぁ…………本当は馴れちゃ駄目なんだろうけど。

 

「別にここで寝ても良いからなるたけおねしょだけはしないでね」

 

そう言って完全に眠りに着こうとする。

この子が何を考えているのかが分からない以上、これが今の僕に出来る最善の選択だった。

本来、うちは一族の持つ写輪眼なら心を読むまではできなくてもある程度の考えは読める筈だった。だけれど僕の持つ写輪眼にはそれができない。

そもそも幻術だってできない。写輪眼を持っていれば誰でも使える幻術、魔幻・枷杭の術の術だって使えないのだから。

ただし薔薇の術や無間薔薇地獄の術に関してだけは別だ。何故かは不明だけど。

本当に皮肉な話しだ。相手の心を殺す幻術を持っている忍びが誰かの心を読むことすらできないなんて――――。

 

「…………今日、何で助けてくれたの?」

 

ふと、ルナの震える声が後ろからした。

普段僕やミナトと話す時は相手を挑発するような言い方しか使ってこなかったルナが始めて疑問を言った。

 

「家族だから当然だよ」

「…………お父さんもお母さんもそう言ってわたしの前から消えた。それに」

「それに?」

「…………イナバお兄ちゃんは家族の人と一緒に居ない」

 

うわぁ…………これまた痛いところをつかれた。

でも、まぁ………仕方がないか。

 

「血の繋がった家族よりも」

「…………」

「血の繋がった家族よりも、血の繋がっていない家族の方が本当の家族らしい事だってあるよ」

 

今この家に居るのは全員が孤児のようなものだ。

両親死亡、一族離散、育児放棄によって集まった家族もどきの集まり。

だけれど僕にとっては此処こそが心が安らぐ場所でもある。

 

「…………イナバお兄ちゃんってめんどうくさいね」

「そうだね。でもね、これでもマシになった方なんだよ」

 

昔は酷かった。誰にも自分は理解できないし、理解しようとも思わないなんて思っていた中二病だったのだから。

大切な物は失った後に大切だって気付く物だから、当時の僕はそれを身をもって知ったんだ。

それに自分に正直に、やりたい事を好き勝手やって生きるほうが楽だしね。

 

「ルナにもいつか分かるよ」

「…………本当?」

「うん。保障する。ルナならきっとそれが分かるって」

 

多分僕よりも速めに気付くのではないだろうか?

失った後ではなく失う前に―――。

 

「それじゃぁ、もう寝るね。おやすみ」

「…………おやすみなさい」

 

僕とルナは互いに眠りに着く。

そして考える。

 

やっぱり、中忍試験までの間にあそこに言ってある力を会得しなくちゃいけない。

 

そう思って、完全に眠りに着いた。

 

 

 

次の日、ルナの奴はいつも通りおねしょをしやがった。




今回はオリ武器解説

飛雷忍刀
ミナトの持つ忍刀。
飛雷神の術のクナイを大きくし、両手剣にしたもので刀身には穴が三つ開いている。
斬った場所にマーキングを付属させる事もでき、穴に螺旋丸を込めることで威力を強くする事も出来る。

何この忍刀強すぎない?


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番外編~因幡の素兎~

今回はどちらかと言うと日常編の完結話みたいになっちゃったな。
と、言うより日常編から中忍試験編の間ですけど。
まぁ後日談だと思ってみてくだしあ。



『どうして…………あんな事を―――』

 

あれがあそこで出来る唯一の解決策だったんだ。

 

『君は天才だったんじゃないの?』

 

違う違う、そんなの大人が言っただけなんだ。

 

『…………見損なったよ、イナバ。君とは絶交だよ』

 

どうしてどうしてどうして――――ッ!?

 

『兄貴、アンタやっぱり忍びにはむかねぇよ』

 

黙れェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!

僕は悪くなんかない! 間違ったことなんか言ってない!!

その目で見るのを止めろォオオオオオオオオオオオオ!!

 

「――――はぁッ!?」

 

目を見開き、息を荒くして起き上がった。

な、何て嫌な夢だったんだろうか。思わず叫びそうになってしまったよ。

そんな事を思いながら頬を伝う嫌な汗を袖で拭い、天井を見上げる。

天井のシミが人の顔のように見えてちょっと怖くなった。

 

「…………んぅ」

「あ、ゴメンゴメン」

 

寝苦しそうに呻くルナを起こさないように布団をかけて寝かしつける。

はてさて、さっきの悪夢で完全に目が覚めちゃったわけだがどうしようか?

まぁトイレに行って何か飲み物でも飲もう。ついでに夜食も食べよう。

そんな事を思いながらトイレに向かい、用を足す。

 

「…………まだ十一歳なんだ。もっと成長するはず」

 

目の前の現実を直視できず、未来に希望を託しながらトイレから出て台所に行って手を洗う。

夜食はどうしようか、お茶漬けでもするか? 流石に明日の朝ご飯に支障が出ては色々とまずいだろうし。

そんな事を思いながらやかんに水を注ぎ、火で温める。

それが終わるとコップに牛乳を入れ、飲み始める。

 

「………できるまでちょっと暇だな」

「ならオレと話さないかい?」

 

声がした方を振り向き、ミナトがそこに居たことに気付いた。

 

「ミナトも起きてたの?」

「ん、まぁ………ちょっと眠れなくてね」

 

頭を掻き、苦笑いしながらこっちにやって来て椅子に座る。

 

「お茶漬け、これから作るんだけど食べる? ちょっと加減間違って水の量を多めにしちゃったから大丈夫だとは思うけど」

「じゃぁ貰おうかな」

「りょーかい」

 

戸棚から茶碗を二つほど取り出し、塩と冷や飯を盛り付け温めたお湯を注ぐ。

本当ならもう少し手の込んだ代物を作るのだけれど今はさらっとかきこみたい気分だから特に盛り付けはしない。

ほんの少しの塩気だけで箸が進む。

 

「そう言えばさ、イナバは何で起きたのかな?」

 

僕が起きていることを疑問に思ったミナトはお茶漬けをかきこみながら言う。

 

「ちょっと、ね。悪夢を見ただけだから」

「なるほどね…………やっぱり見ちゃったんだ」

「うん…………」

 

マザメと会うと毎回この夢を見る。

それが意味することは、僕が昔の事を未だに克服できていないと言う事だ。

いや、むしろ―――、

 

「今になって思うんだ。あの時したことが本当に正しかったことなのかって」

 

自分が代わりに人質となり、マザメが僕ごと攻撃した。

あの時、人質が代わった事によって警戒心が上がって解決しづらくなってしまい、マザメのような事をしないと解決できなくなってしまった。

 

「昔の友達を助けたくて行動したことが逆に大変なことになってしまって、それで自分が間違っているって言われてさ。それが納得できないから逃げたんだ」

 

自分が正しい、自分は悪くない。

そう言って僕はあそこから逃げ出して、今ここに居る。

だけれど、時が経つにつれて自分に自信が無くなって来ていた。

幼少時は天才とか言われて有頂天になって、一変して手の平返しされて逃げ出して。

これの何処が天才なのだろうか。

 

「はたけサクモさんが任務よりも仲間を優先にした話しだって、皆が皆よってたかってサクモさんを責めて…………本当に自分の言っていることが正しいなんて思えなくなってきてさ」

 

今までずっと溜め込んできた、忘れようと蓋をしていたけど忘れられなかった事をミナトに吐露する。

するとミナトは真剣な表情で言った。

 

「大丈夫さ。イナバが言っている事は間違っちゃいない。オレが、波風ミナトが保障する」

 

…………はぁ、言ってなんか損した気分だ。

結局の所ミナトは僕が言っていることを肯定しているわけじゃない。

間違っていないと言う事はあっていると言うわけではないから。

 

「それに――――」

 

そう思っているとミナトはさらに言葉を続ける。

 

「背中を預けるなら、マザメよりイナバの方がずっと安心して戦えるよ」

 

そりゃぁ、確かにそうだろう。

裏切って仲間を売ったり、殺したりする奴に背中を任せたくは無い。

 

「まぁ、昔の事はよく知らないけどイナバが正しい事をしたってことは間違いだったのかもしれない。けど、それ以外の方法で助けられたかは分からない」

「…………確かに」

「でしょ? だから僕はイナバが正しかったって認めるよ」

 

うわぁ、マジでかっこいいなミナトの奴。

もし僕が女だったら惚れてたかも。

 

「君は仲間を守ることができたんだから誇って良い、そうじゃないかい?」

「…………ハハハハ、やっぱりミナトには敵わないや」

 

天才だからとかじゃない。人としての差という奴なのかは分からないが多分そうだと思う。

やっぱりミナトこそが四代目火影に相応しい。

そう思うほど強い意志だった。

 

「ありがとミナト。これでようやく決心できた」

 

僕はミナトの隣に立っていたい。

それを達成する為にミナトと同じ目線に立ちたい。

たとえそれがどれだけ険しくても…………。

そうと決まったら早速行動だ。そう思った僕はミナトにある事を言う。

 

「そうだミナト。今度さ、自来也先生に頼んでみない?」

「何をだい?」

「自来也先生が以前使っていた仙術の会得方法だよ!」

 

―――そして一年が過ぎ、中忍試験は始まりを迎える。




と、言うわけで日常編完結。

次は【第三章・変態紳士による中忍試験】です。
次回から「イイ男」が復活します!

別の意味で酷いことにもなります!
お楽しみに!!


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第三章――キャラまとめ――

男の娘ではなく男の子。
それにこそ真理があるらしい。


うちはイナバ

 

十一歳になり、ついに堕ちた(腐った)。

実は結構シビアな過去を持っているという地雷系オリ主でもあるのだが―――どうしてこうなった。

ルナのせいで毎日布団を洗わなくちゃいけなくなったりと結構苦労している。

今回殆どボケられなかった。

視力が下がる万華鏡を無駄なことに使っている。

戦績が低く、白星よりも黒星の方が多い。

何故負けが多いのかもちゃんとした理由がある。

名前のモデルは因幡の素兎に出てくる兎。

 

 

波風ミナト

 

九尾のチャクラを得て大分パワーアップを果たした。

新しく所有することになった飛雷忍刀は螺旋丸専用のチャクラ刀で、乱回転する飛ぶ斬撃を撃てるようになった。まともに喰らうとミキサーのように粉々になったりするらしい。

お酒を飲むと――――。

主な被害者はイナバ。

最近書いてて思ったこと、こいつイナバより主人公じゃないの。

やっぱりイナバを女にしてヒロインにしたハーレム系でもできたんじゃないのか?

男でもできるけど…………アッー! な展開になることが予測できるので止めときましょう。

色々と怖いし。

 

 

うずまきクシナ

 

最近妹のような存在ができたので凄く嬉しい人。

ミナトの家に居候を始める。

そして二人の財布事情や怠惰な生活を改善していくことになる。

 

 

ほむらルナ

 

うちは一族の遠縁であるほむら一族の生き残り。

千手にとってのうずまき一族みたいな関係、ただし脆弱。

忍びには向かない体質で、どちらかと言うと生きた辞書のような存在。

うずまき一族の対であるため身体エネルギーよりも精神エネルギーが強力。

銀色の髪と赤い瞳、そして病的なまでに白い肌が特徴。

と、ここまでがほむら一族の説明。

彼女個人としての説明は素直じゃない幼女の一言に尽きる。

後はおねしょ。

外見はこれゾンのユークリウッド・ヘルサイズに似ている。

 

 

奈良シカク

 

奈良一族の少年、イナバと同期。

既に中忍であり実績も積んでいる。

イナバの数少ない友人。

 

 

秋道チョウザ

 

秋道一族の少年、イナバと同期。

今はまだ下忍。

数少ない友人。

 

 

山中いのいち

 

山中一族の少年、イナバと同期。

今はまだ下忍。

数少ない友人。

 

 

うちはマザメ

 

イナバの弟にして天敵。

これでも昔は兄を尊敬していたらしい、が今では軽蔑している。

その理由は―――今は語る必要は無い。

イナバよりも忍術の才は劣るがこの時代の忍びとしてのあり方や体術、幻術はこっちの方が優れている。

一般の下忍の才を忍5・体5・幻5とするならマザメは忍7・体13・幻11と言った感じ。

ちなみにイナバは忍20・体9・幻1(薔薇に関しては50、ただし自分にも牙を向く)ミナトは忍12・体10・幻9となっており、総合的なことを言えばイナバを上回っている。

大蛇丸の弟子らしく蛇を使う。

 

 

自来也

 

師匠にしてエロ仙人、ただし常識人でもあり良い父親のような存在でもある。

最近お尻がキュッとなるらしい。

 

 

大蛇丸

 

マザメの師匠にして変態の中の変態。

イナバ書いたある物を拝読している。

「自来也にも穴はあるのよね」

 

 

綱手

 

今回もお金を失った。

だけれど一番平和。

 

 

三代目火影

 

今回のイナバのやった事に度肝を抜かれた人。

そしてラディカル☆ミナミのファンになった。

 

 

ラディカル☆ミナミ

 

魔法少女。

戦争で荒れた木の葉の里に現れた救世主にしてアイドル。

突如現れた謎の男によって連れ去られたが逆に倒して無事に生還。

その事により火の国全土にミナミちゃんブームが広まった。

正体を知っているのはイナバとクシナだけ。




今更ながら次章が終われば更にキングクリムゾンします。
大体四年後くらいまでに。


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第三章・変態紳士による中忍試験 中忍試験ですか?

と、言うわけで中忍編更新です!
恐らく一方的な展開にはなりません。


中忍試験とは二年に一回だけ行われる昇格試験である。

アカデミーで育った子ども達が合格判定を貰わなければ下忍にならないように、中忍もこの試験で合格しなければ絶対に中忍にはなれない。

そしてその試験で合格した者は中忍になり、推薦されることで上忍になることができるのだ。

それ以外にも暗部や特別上忍なども居るのだが、僕には関係ない話しなので今はどうでも良いことだ。

そんな事を思いながら五ヶ月ぶりに普通の食事を口の中に入れる。

口の中一杯に広がる懐かしい風味と香り。

 

―――生きていて良かった。

 

「美味しい、美味しいよクシナ!」

「生きていて本当に良かった………!!」

 

妙木山で食べた虫料理なんかとは比べ物にならないほどの美味だった。

さすがは高級焼肉店、肉が美味しい、野菜も美味しい。

ゲテモノは美味いと相場が決まっているらしいけどあれは駄目だ。

普通に身体が受け付けない、味が純粋に不味い。

だから今こうして普通の人間の食事を取れることに感動しているのであった。

 

「ミナトもイナバも大げさだってばね」

「本当、あそこに行った人しか分からないよねこの気持ちは」

「まさか朝昼晩の全てが虫料理だったなんて思いもしないだろうね」

 

そんな感じで軽口を言い合う。

本当に懐かしい。五ヶ月も会っていないだけでこんなにも懐かしく感じるとは………。

そう思っているとルナが近づいてきて僕の膝の上に座った。

 

「え、ちょ………ルナ」

「…………ご飯、食べさせて」

「久しぶりに会ったと思ったら…………」

 

いや、まぁこれでも十分に進歩した方だと思うけど。

だけれど自分のペースっていうか、マイペースにもほどがあるよなぁ。

まぁ忘れられてなかっただけ良しとしよう。

 

「はいはい、分かりましたよ。我侭お姫様」

「…………」

「あ、ちょっ、痛い痛い! 脇腹は抓らないで!」

 

一体何が気に入らなかったのか、ルナは思いっきり強く抓てきた。

それがまた地味に痛い。

 

「まぁ、それくらいは甘んじて受け入れるべきだってばね」

「ハハハハハハ」

 

クシナとミナトは助けようとせず、逆に煽る発言を言って笑っている。

こ、こんにゃろう………今に見てろよ。

 

「あ~、イナバよ。少し良いか?」

 

自来也先生はそう言って僕の隣に座り、何やら印を結び始める。

 

「一体どうしたんですか先生。印なんか結んで」

「まぁ、ちょっとな。取り合えずあの眼をしてみろ。ルナ、少しの間クシナのところに行っていなさい」

「…………わかった」

 

自来也先生に言われてルナはクシナのところに移動する。

 

「すまないがしてくれないか? 一回で良い」

「は、はぁ………別にいいですけど」

 

言われるままに瞳を万華鏡写輪眼に変える。

妙木山の修業の成果で万華鏡を使った新たな術だってできたし、これなら中忍試験も大丈夫だろう。

てか須佐能乎を使えてあのモードになれる時点で中忍試験合格は間違いないだろう。

そう思っていると自来也先生は笑顔で―――、

 

封眼封印(ふうがんほういん)!!」

 

僕の額に封印術の術式が刻まれた掌底を叩き込んだ。

 

「ガベラッ!?」

 

見っとも無い悲鳴を上げながら転がり、額を押さえながら叫ぶ。

 

「い、いきなり何するんですかこのエロ仙人!!」

「誰がエロ仙人じゃ!!」

「アンタのことだよ! てか今の僕が考えた封印術じゃないですか!!」

 

封眼封印、僕が妙木山である目的の為に会得した新たな封印術。

元々うずまき一族の持っていた術式を改悪し、そこに五行封印の術式を混ぜ込んで完成させた新たに作り上げた封印術の一つでもある。

本当に作ってる最中は改悪してしまったせいでとんでもない事になってしまったのだけれど別の術式を加えることで本当の意味で完成した術になった。

これを作り上げた時は本当に嬉しかった。勿論、封印術であるが故に解の方も作ってある。

この封印術の能力は眼を封印する。

 

つまり、写輪眼や白眼を封印することができる封印術なのだ。

 

そしてそれを自来也先生は僕に向かって打ち込んだ。

これが意味する事は一つ―――僕は写輪眼を封印されたと言う事だ。

 

「うむ、封印は上手い具合にできたか」

「だから何で封印したんですか! これじゃぁ中忍試験に合格できないかもしれないじゃないですか!!」

「大丈夫だ。封印したのはお前の万華鏡写輪眼だけだ。それに封印はいずれ解いてやる」

 

そう言って封印の術式が書かれていた巻物を自身の口の中に放り込んでいく。

ち、ちくしょー! 解印についてはあの巻物が無きゃ解除できないって言うのに!!

 

「それ以前にどうしてわしがお前のその眼を封印したか分かるか?」

 

真剣な表情で自来也先生は問い詰めてくる。

この表情は何か重大な事実に気が付いている、と言った顔だった。

まさかとは思うが…………気付いてないよね?

 

「いえ、まったく」

「そうか。なら別に構わないんだがのォ………」

 

もし万華鏡の代償がばれたら皆から罰を受けかねない。

そうなったらとんでもない事になるだろう。

だからばらさない、絶対に―――。

心にそう誓いながら緊張で乾ききった喉に水を流し込み、

 

「万華鏡写輪眼を開眼してからのお前、視力が急激に下がってるのは気のせいなのかのォ」

「ブフッ!!?」

 

いきなり確信に踏み込んできた自来也先生のその一言により噴出してしまう。

 

「…………どうやら図星のようじゃな」

 

そう言って自来也先生は僕の肩を掴んで逃げられないようにする。

ジタバタと抵抗するが大人の腕力には勝つことができず、ただ動けなくされる。

 

「………それ、どういう意味だってばね?」

「ハハハハ…………少し、笑い事じゃ済まされないね」

 

九尾のチャクラを滾らせたクシナと飛雷忍刀の全ての穴に螺旋丸を作ったミナトがどす黒いオーラを滾らせてこっちを見下ろしていた。

 

「あ、あははははははははははは………」

 

乾いた笑い声を漏らして確信する。

あ、これ僕死んだかも………。

 

+++

 

「と、言うわけだ。イナバよ。最低でも中忍試験が終わるまでは万華鏡の使用を禁ずる!」

「え、ちょっ! いくらなんでもそれは―――」

「文句は言わせないぞ!」

 

あの後、コッテリと物理的に絞られた僕は中忍試験での万華鏡の使用を禁じられた。

危うく未来永劫使うことすら禁じられる所だったのだけれど流石にそこまでにはならなかった。

 

「一応言っておくけどオレ達は認めていないからね」

 

どす黒い影を顔に纏わせながら言うミナト。

そしてその隣に居るクシナもギロリと睨みつけていた。

 

「え、えっと………許してヒヤシンス」

「黙れってばね。暫く反省していろってばね」

 

ただ一言、それだけで威圧されてしまう。

いやはや、自業自得とはいえちょっと辛いよ。

そう思っているとルナが僕の右手を掴み、引っ張った。

 

「ど、どうしたのルナ」

「…………何でもない」

 

うん…………駄目だ、この子が何を考えているのかが分からない。

まぁ怒っているわけじゃないんだろうけどさ。

 

「あ、そうじゃった。イナバよ。中忍試験では仙人モードは使ったら失格になるぞ」

「ちょっ! それを先に言ってくださいよ!!」

 

もしかして僕、今回の三つ(・・)の切り札を使えない状態で挑まなきゃいけないの!?

一つは封印され、一つは使ったら禁止で、最後の一つは事実上使えないってどういう縛り?

 

「まぁ、今まで代償の事を言わなかった罰だと思うんだのォ」

 

自来也先生のその一言により、僕は深い絶望に落とされて行った。

そんな僕の思いとは裏腹に中忍試験は明日に迫っていた。




事実上の縛りゲーを課せられたイナバ。
果たして無事に中忍試験を終わらせることができるのだろうか?

と、こんな感じでお話しは進みます。

最近チート化が進んでいるイナバには痛い目にあってもらいましょう(ゲス顔)

オリ忍術コーナー

名前:封眼封印
写輪眼や白眼などと言った目の能力を封印する術。
製作者のイナバの思惑は「写輪眼や白眼などといった能力を封印して有利の勝ち進むこと」今回使った自来也の思惑は「イナバの視力低下を防ぐ為」
この封印を解く方法は解するか、ある条件を満たした時のみ。
後にとある一族が重宝することになる。


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中忍試験開始ですか?

久々の更新です。
少しリハビリが必要か………イナズマ楽しいです。


「ゆらりゆらり揺れていーる、お・と・こ・心ピーンチ♪」

 

青いツナギを着たイイ男は歌いながら腰をカクカクと動かしながら逃げる僕を追いかけていた。

奴のイチモツはかなりド太く、長い。そして「おじさんの、おじさんの金の玉なんだからね!!」は「凄く………大きいです」かった。

何故自分が追われているのか、何故こんな事になっているのか、それすらも理解できずにただ逃げ続ける。

だが子どもと大人という差が大きく、イイ男はいつの間にか僕の隣を併走していた。

 

「よかったのか、ホイホイついてきて。俺はノンケだってかまわないで食っちまう人間なんだぜ」

 

ついてきていません。貴方が追いかけてきているだけです。

 

「大丈夫だ、安心しろ。俺がしっかりとリードしてやるからな」

 

全然安心できません。てか誰か助けてください!!

 

「さァ、イくぜ!!」

 

イイ男は僕の後ろに移動し、そのそそり立ったイチモツを僕のケツの穴目掛けて降りぬいた。

だが偶然地面に転がっていた栗霰串丸を盾にして防ぐ。

ズブリと音をたてて奴のイチモツが生贄の穴に突き刺さった。

 

「アッー!!」

 

ありがとう栗霰串丸、僕は君の犠牲無駄にはしない。

 

「ふむ、入れちまったもんはしょうがないな。今日はお前でやるとするか」

「だ、誰か―――助け、て」

 

この日、栗霰串丸の体験はくそみそな結果で終わってしまった。

 

+++

 

「はっ、怖気ずによく来たじゃねぇか――――ってなんだその生気の欠片もねぇ顔は」

「察しろ」

 

本当に人の気持ちが分からない弟だな。

まぁノンケなのに阿部さんに掘られそうになったっていう悪夢すら見たこと無い奴には理解できないだろうね。

とは言え、それだけが理由じゃない。

昨日のうちに中忍試験で使う武器を沢山買ったり、念のために持ってきたあの道具とかを巻物に移したりしていて夜遅くに眠ったからだ。

できればあの道具を使う機会が無いことを祈っているが、まぁそれはどうでも良い事だ。

 

「イナバ、本当に大丈夫なのかってばね?」

「ああうん。大丈夫…………むしろ今までにないくらいに清々しい気分だよ」

「嘘だッ!! 今までに見たこと無いような鬼のような顔をしているのに何処が清々しいんだってばね!!」

 

クシナの叫びに疑問を抱き、手鏡で自分の顔を確認する。

ギラギラに輝く血走った目、引き攣った笑顔、まるで般若を連想させるような顔だった。

 

「うん、いつも通りだ」

「何処がッ!?」

「ほらっ、このキリッとした目にワイルドな顔付き! 何処をとっても僕じゃないか!」

「違うってばね! イナバと言ったらクリクリとしたお目目に女の子のような顔が特徴だってばね!! そんなギラついた目をしているわけが無いってばね!」

 

本当に失礼なことを言うクシナ。

それを聞いて軽く泣きたくなったが我慢する。

大丈夫だイナバ、将来はきっとダンディな男前かワイルドな男になるのだから―――。

そう思いながら会場内を歩き、ひたすら上にへと目指す。

途中で何人かが二階で止まっていたがそれを無視してただただ黙って上に上がる階段に向かって進む。

 

「ちょっ、イナバ。何で向こうに行くんだってばね?」

「それはここが二階だからだよ。中忍試験の会場は三階だからね」

「え、ここが三階じゃないのかってばね?」

「うん。皆が皆、幻術に騙されているんだよ。既に中忍試験は始まっているんだからね」

 

これくらいの幻術を見抜けない奴は中忍になる資格は無い、運営はきっとそう考えているだろう。

まぁある意味ではそれは正しいか。

 

「おっと、待ちな」

「ここはお前等みたいなガキが」

「受けていい場所じゃないんだぜ?」

 

僕達の前に三人の男が現れて道を塞ぐ。

行動や態度を写輪眼で見て、確認する。

どうやらこの三人は中忍ではないようだ。恐らく自分達が合格する為に他の参加者を蹴落とそうとしているのだろう。

だとするならばもう容赦はしない。

ここ最近の悪夢のせいでよく眠れず、体重が五キロも減った僕のためにもこいつ等には生贄になってもらおう。

 

「…………無間薔薇地獄の術」

「「「アッー!!」」」

 

本当、これすると大分すっきりするわぁ。

床に倒れイカ臭い三人を踏みつけて先に進む。

いずれにせよ、もう既にここは魔窟なのだから一瞬たりとも気が抜けない。

 

今回の試験、必ず合格してみせる。

そして中忍になるんだ!

 

+++

 

「…………」

 

クシナはジッとイナバの後姿を睨むように見る。

いつもよりも力、チャクラに満ち溢れ、絶好調と言える状態だった。

顔と目がとてつもなく怖くなっていたのは言うまでも無い。

だがとてつもなく嫌な予感がしてやまないのだ。

まるで自身の内に眠る九尾が暴走するように―――。

 

「まぁ、気のせいだってばね」

 

そう言ってクシナはイナバの後を追い始める。

 

その心配事が気のせいじゃなかったと言う事を知らずに。




中ニ病風次回予告

先ず感じたのは苦悩、抱いた思いは絶望。
何を思い、何を感じ、何をするのかが分からない。
否、分かってはいる。だが今の自分では届きへない。

故に滅びろ。テストなど滅びてしまえ!!

次回「一次試験ですか?」


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一次試験ですか?

今回は短いです。
ぶっちゃけテストの事を小説内で語るには無理が(殴


はてさて、今更ながら昔の話しを思い出す。

アカデミー時代の僕の成績はあり大抵に言えば、とてつもなく残念だったとだけ言っておけばある程度は理解出来るだろう。

ぶっちゃけアカデミーで僕がやったことなんて落書きやオリジナル忍術、そして僕を苛めていたうちはの同胞(男)の尻に竹を突き刺してトコロ○ンさせたくらいだ。

まぁ…………問題児ではあったな。

つまり何が言いたいかって言うと――――、

 

「一問も分からねぇ…………」

 

両手で頭を抱えて静かに絶望する。

目の前にある解答用紙に描かれている暗号のような落書き。

これを一人で解け、それがこの一次試験の課題だった。

 

「しかも全員が個室で受けるなんて―――」

 

これではカンニングすることができない。

そもそもこの試験は忍者の基礎学力を確かめる試験だ。

俗に言うカンニングを推奨するものなんて居ない。

 

「まぁ、その裏をかくのが忍びなんだけどねぇ」

 

懐から紙コップを取り出して口元に当てる。

 

「長刀忍法・糸電話。クシナ、繋がってる?」

 

だみ声で術の名前を言い、コップの中で喋る。

するとクシナの声がコップの中からした。

 

「こちら、クシナだってばね」

「オーケィ…………ちゃんと通じるようだね」

 

この術を使えばカンニングだってできない事は無い!

ばれなきゃ犯罪じゃないんですよ!

 

「それじゃぁ、分かる問題はある?」

「全部分からないってばね」

「…………終わった」

 

どうしようこれ、間違いなく不合格だよ!

そう絶望しながら沈黙する。これの合格点はあくまで一問以上。

ぶっちゃけ積んでいる。

 

「…………どうするってばね?」

「正直答えを適当に書く以外の選択肢しか思い浮かばない」

「…………本当にどうするってばね?」

「さぁ? まぁ頑張ろう。うん」

 

+++

 

「…………」

「だ、大丈夫かのォ…………あの二人は」

 

とある団子屋にて、ミナトと自来也はお汁粉を飲みながら一次試験が終わるのを待っていた。

正直言って今回の試験は珍しく裏を狙ったものではなく、単純な学力試験だ。

だからこそ心配すぎるのだ。

クシナはまぁ…………難しい問題じゃなければ解けるだろう。

問題はイナバの方だった。

 

「イナバのアカデミー時代の筆記試験はどんな結果だった?」

「全答案に適当な答えを書いているだけでした。それも全部不正解」

「…………」

 

ミナトの言った事に対し、自来也は空を見上げて呟いた。

 

「…………何にも問題を起こさなければいいんじゃがのォ」

 

それは無理、そう誰かが言った気がした。

 

+++

 

「よし、一次試験三十七名合格!」

 

試験官の言葉により、一次試験は終了した。

 

「ふぅ、何とかなったね」

「…………私達、ちゃんと受かってるってばね」

 

そして僕らもちゃんと合格することができた。

あの後僕ら互いの頭で補い合い、何とか一問だけは解く事ができた。クシナが………。

 

「昨日偶然見てた本と全く同じ内容があってよかったってばね」

「た、確かに…………」

 

ぶっちゃけ僕一人じゃぁ合格なんかできなかった。

全く、クシナ様様だよマジで。

マザメは落ちればよかったのに。

 

「とりあえず、このまま中忍試験合格を目指すぞー!」

「おお!!」

 

―――この時の僕はまだ気がついていなかった。

次の試験は三十人も脱落すると言う超難題試験だと言う事に。




最近もう一度神様転生ものを書こうかと思っています。
ぶっちゃけ浮気………。
まぁ気軽に書けるし能力を決める必要が無いので便利です。

と、言うわけで次回は前編後編になるかも………。
主にくそみそな展開で。


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二次試験開始ですか?

おそらく今年最後の更新です。
そのわりに変態ネタが全く無い…………まぁ喜ばしいことですね♪
何故ならこのSSは綺麗な方向にへと生まれ変わるのですから!


「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

イナバの絶叫ともとれる怒り狂った叫びは森の中を木霊する。

それは人の叫びとは思えず、むしろ獣のようだった。

いや、実際に獣なのだろう。

 

「グルルルルルル…………グルァアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

今のイナバの姿は小さい九尾と言っても過言ではなかった。

尾の数は六本、その上身体には骨が纏わり付くような形でくっついている。

そしてその周囲には倒れ付している三人の少年少女が居た。

 

「イナバァアアアアアアアアアアア!!」

 

クシナは雄叫びを上げながら九尾のチャクラの衣を纏った状態で暴れ狂うイナバの肩を掴んで強引に止め、拳を振りかぶる。

 

「少しは大人しくしろってばね!!」

 

封印術の術式が刻まれた拳がイナバの腹部に突き刺さる。

するとさっきまでは怒り狂って暴れまわるだけの獣のように荒々しかったイナバがまるで別人のように大人しくなる。

 

「うぐぅ………」

 

短く小さい呻き声を上げてイナバの尾獣化が強制的に解除される。

獣の姿から衣にへと変わり、衣は溶ける様に消えていき、イナバは力尽きて地面に倒れた。

 

「っ………はぁ。ったく、疲れたってばね」

 

チャクラの衣を消して安堵の溜息を漏らす。

何故イナバがこんな状態になってしまったのか、その理由は約一時間前まで遡る―――が、今なんの試験をやっているのかについては―――一日前にまで遡る。

 

+++

 

無事一次試験が終わった。

この試験ではかなりの数の下忍が脱落した。

そんな中、僕とクシナは無事一次試験を通過した事をささやかに祝っていた。

 

「いやはや…………一時はどうなる事かと思っていたんだけど、中々上手くいったよね」

「イナバは何もしていなかったわね」

「…………それを言わないで、マジで」

 

コップに入ったお茶でからからに乾いた喉に流し込む。

今回の試験はわりと危なかった。前回の試験はカンニング推奨だった分、今回はかなり大変だった。てか何であんな問題にしたんだよ試験官は―――。

そんな感じでクシナとわいわいがやがやと騒いでいると、

 

「イナバにクシナ。一次試験通過おめでとう」

「てかお主等よく合格できたのォ」

 

ニコニコと笑顔でこっちを見ているミナトと意外そうな表情でこっちを見ている自来也先生がやって来た。

 

「まぁ、いつも通り細工をしたので」

「そこは嘘でもちゃんと真面目にやったと言うべきだろうが」

「ばれなきゃ不正じゃないんですよ」

「ばれなくて良かったのォ」

 

自来也先生の引き攣った笑いを見て面白がりながらスナック菓子を貪る。

ああうん、美味しいなこれ。流石はチョウザ厳選のお菓子だ。

この塩辛いお菓子を炭酸のジュースで流し込む。カッー! 最高だ!!

 

「…………いつの間にスナック菓子とジュースを出しているんじゃ。ついさっきまでお茶を飲んでいたのではなかったかのォ」

「イナバの雷光剣化の術ですよ自来也先生」

「本当に無駄なことにしか使わんな」

「いや~、それほどでも~」

「褒めてないぞ」

「はっ、いつもこんな下らないことをやってるのかお前は」

 

そんないつも通りのやり取りをしていると知らない人が割り込んできた。

確か…………誰だったっけ? コバンザメだったっけ?

 

「何しに来たんだよコバンザメ」

「だっ! れっ! がっ! コバンザメだ!! 俺の名はうちはマザメだ! 仮にもてめぇは俺の兄なんだからそれくらい覚えとけ!!」

「えっ、何だって?」

「…………」

「分かってるよホオジロザメ。仮にも弟なんだからね」

「だったら名前を間違えてるんじゃねぇよ殺すぞ?」

「やれるのならやってみろ。ただしその頃にはお前はもの凄い恥をかくことになるけど」

「…………言ってろクソ野郎。そろそろ試験が始まるぜ?」

「はいはい。わかってますよーだ」

「けっ。とっととくたばりやがれ。このクソ野郎が」

 

そんな捨て台詞を吐き捨ててチョウザメは去っていった。

 

「今日は襲い掛からなかったわね」

「まぁ、少しは歩み寄ろうかなって思ってね。口の悪い弟の暴言くらいは許容できなきゃね」

 

えっへんとドヤ顔を披露する。

するとクシナは「はぁ」と溜息を漏らして僕の後ろを指さす。

 

「その台詞、後ろの尻尾で作った螺旋丸が無かったらいい台詞だったのに」

 

あ、ばれた。

 

「テヘッ!」

「殴りたい、この笑顔」

「解せぬ」

 

+++

 

「二次試験はこの森の中で行われます」

 

そう言って試験官は後ろにある森を指差した。

確かこの森は惑わしの森だ。この森の中に群生している薬草や果実は服用すると幻覚を見る効果がある。

故に惑わしの森と言った名前がついたのだ。

まぁ、ただ歩いているだけだったら特に異常もないしDランクの任務で行く事もあるから危険度はそんなに無い。

危険な生物とかが住んでいるわけじゃないから普通に住む事もできる。

ぶっちゃけ何でこんな場所を試験に使うのかが理解できない。

 

「すみません。一つ良いですか?」

「構いませんよ」

「何で惑わしの森が二次試験の舞台なんですか? 言っちゃ悪いんですけど………ちょっと軽すぎるんじゃないでしょうか?」

 

そして僕と同じ事を考えていた他の受験者が試験官に質問する。

すると試験官はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情で答えた。

 

「ええ、そうですよ。確かに、試験会場にしては楽です。ですが、だからこそ試験になるのです」

 

えっと、それはどう言う事でしょうか?

そう思っていると試験官は懐からある物を取り出した。

 

「この二次試験では全員がこのプレートを装備し、奪い合ってもらいます」

 

…………何かどこかで聞いた事あるようなルールだな。

 

「そしてこのプレートを自分のも含めて三枚以上揃えた人はこの場所に戻ってきてもらいます。ようするに合格ですね」

 

ああなるほど、そう言う事か。

この試験官…………優しそうな顔しているわりに随分と悪い事考えてやがる。

最高でも十二人しか合格できないじゃないか。

 

「貴方方にはこの森の中に入ってもらい、一日が経過したら花火を打ち上げます。それが試験開始となります。一日の猶予の中で同盟を組むか、単独でプレートを獲得するかは貴方方の自由です。無論、その猶予の中でもプレートを奪う事も自由です」

 

ニコニコと笑顔でとんでもない事を言う試験官。

隣で頭から煙を出しているクシナのためにも分かりやすく今この場で全員に言っておこうか。

 

「ようするに卑怯汚いは敗者の戯言、でもその前に強くなくちゃ生き残れないってわけですね」

「おやおや。君はうちはイナバ君。座学の成績の割りに物分りが良いですね」

「これくらいの事誰だって分かりますよ」

「ほほぉ…………」

 

ジッとこっちを見る目が恐ろしい。てか腹黒いって言うよりどす黒いよこの人。

紳士的な対応してるけどこのどす黒さ、隠す気すらないみたいだ。

 

「…………後六年経ったら私好みなイイ男に―――」

 

僕は何も聞かなかった(断言)。

 

「おっと、話しが逸れましたね。兎に角、先ずは私からこのプレートを受け取ってから森の中に入ってくださいね。ついでにこの同意書にもサインをしてくださいね」

 

その言葉に僕達受験者三十七名は我先にと言わんばかりに試験官に詰め寄った。

ちなみにその中には僕も居る。ただし皆と考えている事は別だけど。

そして何とか一番を勝ち取った僕はサインを書きプレートを受け取ろうと手を伸ばす。

が、何故か優しく両手で掴まれて、しかも優しく撫で始めた。

 

「フフフフ。もし生きて帰ってこられたら、私の家に来てくださいね」

 

お尻がキュッと引き締まるのを理解する。

ああ、そうか………これがSAN値直葬と言うのか。

どうしてなのかな? 万華鏡を、空亡を使ってないのに目から血涙が出そうなのは―――。

 

 




うん、いつも通り綺麗なヤンホモだ(笑)
いや、まだヤンじゃないんですけどねー。

………てか更新速度遅くなってますね。
まぁ地道に書いていきますけど。

そろそろ阿部さんによるとんでもない地獄が生まれるんですけど―――。


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IF――もしイナ①――

今回は本編でも番外編でもありません。
所詮小ネタですので続かないと思います。
あくまで一発ネタですので。


はじめまして、うちはイナバです。

決して四代目火影の幼馴染で腐った趣味を持つ男の娘ではありません。

と、変な電波を受信してしまいましたがそれは関係ないことでしょう。

そもそも僕は女の子ですし四代目火影の幼馴染ではないのだから。

え、じゃぁお前は誰かって? 僕はうちはイナバです。

うちはサスケの双子の妹でうずまきナルトの幼馴染の転生者です。

 

「なぁイナバ。何をやっているんだってばよ?」

「昨日のナルト君とサスケお兄様の濃厚なキスシーンの写真を刷っているだけですわ」

「止めてくれってばよ!! てかお前その口調止めろォオオオ!!」

「へいへい、後者の方は分かったよ。だけどお前と兄貴(♂)のキスした瞬間の写真を刷るのは止めないけどね」

「う、うっぷ………やべぇ、吐き気がするってばよ………」

 

隣で口を押さえて吐きそうになっているナルトを見ながらニタリと微笑む。

いやぁ、男同士ってどうしてこんなにそそるんだろうか。

だけど僕としてはちょっと物足りない。ショタも良いんだけどね、ガチムチも良いと言うわけよ。男の娘同士でも可。

ただしイケメン、てめぇは駄目だ。別に駄目ではないけど何ていうか弱々しいイメージがあるんだよね。僕としてはもうちょっと強引に攻めて攻めて攻めまくるのが良いんだよ。ときめく恋愛などほもぉでは無いわァ!!

まぁ処女を女の子に奪われて泣く男の娘もありなんだけどね。

 

「………何かすげぇ寒気がしてきたってばよ」

「もしかして風邪でもひいた? そうなら休んでくれば良かったのに」

「せっかく合格したんだ! 休んでなんかいられるか!!」

 

それに多分風邪じゃないと思うってばよ、そう言ってナルトは席から立ち上がり悪戯の準備を始める。

今更ながら思うがここは僕も参加すべきなのだろうか?

 

「ふん」

 

と、唐突に耳に入った兄貴ことうちはサスケの鼻で笑う声がした。

本当、何で僕達三人しか残っていないんだろう。

あれか。うちは一族の生き残りである僕達兄妹と九尾の人柱力を一箇所に纏めようと言う判断なのか?

まぁ気心知れた幼馴染と一緒の方が色々と気が楽だから問題は無いんだけど。

でも折角下忍になる試験に合格したって言うのにこの教室に閉じ込められて三時間、あとどれだけ待てば良いんだろうか?

そう思いながら待っているとナルトの準備も終わったらしくニタリと笑いながら席に着いた。

そしてその後すぐに入ってきた額当てで左目を覆った白髪のマスクが入ってきた。

ナルトの仕掛けていた黒板消しが落下、白髪のマスクの頭にヒットした。

ボフッと音をたててチョークの粉があっと言う間に髪の毛に付着した。

ああなってはそう簡単には取れないだろう。

うん、愉快で面白いや。

 

「………そうだな、お前達の第一印象は―――嫌いだ」

 

そして僕達のクソミソな下忍生活が始まったのである。




多分次の小ネタは憑依になります。
その前に次話投稿したいなぁ。


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モンスタートレインですか?

更新遅れてすみません。
最近なろうの方に集中しているので…………。
ソレを含めて遊戯王の小説が書きたくなったり。


脳内に走った僕と同じ名前のうちはイナバの女の子のとんでもない奇行を見てしばし黙り込む。

まさか、本当に電波を受信するとは思わなかった。

もしかしてこれが僕の万華鏡の真の能力なのか? って、そういや万華鏡封印されていましたね。

 

「取り合えず食糧は集めたってばね」

「こっちもだよ」

 

そんな事を考えながら集めた食糧を互いに見せびらかす。

僕とクシナは互いのためにチームを組んだ。

これで最低でも後四枚はプレートを集めなくてはいけないが仕方が無い。

ここは堅実に、そして確実に取りに行かなくてはいけない。

何せこれは何でもありのバトルロワイヤルなのだから。

 

「それで、どうするんだってばね?」

「ん~まぁ探すのは明日からで、今日はもう就寝した方が良いよね」

 

こういう場合にはとっとと眠ってしまった方が良い。

もっとも火は使えないし眠る場所も人目に付かないような場所なのだが。

 

「それじゃあ明日から探索と言う事で」

「異議無しだってばね」

 

クシナの了承を得て僕達は近くにある木にへとよしかかる。

もう一人、ミナトが居るのであるならばこんな方法を取らなくても良かったのだがこればかりは仕方がない。

せめて今日だけでも休み、明日適当な受験者のプレートを奪ってとっとと合格しよう。

今の僕ならばそれが可能だ。写輪眼で周囲を見渡して適当に見つければいいのだから。

幸いにも今回の受験者は結構多い。

上から見渡せば一目瞭然、一気に持っていけるだろう。

 

「この戦い、我々の勝利だ!!」

「イナバ五月蝿いってばね」

「ごめんなさい」

 

+++

 

「どうしてこうなった」

「それは私が聞きたい事だってばね!!」

 

今僕達は他の受験者に盛大に追いかけられていた。

一体何故こうなったのか、その理由が分からない。

 

「イナバ! お前の仕返しの被害者じゃないのかってばね!?」

「ありえるけど…………今回は多分ソレじゃないと思うよ!」

 

そう言って写輪眼を開放して追いかけてきた受験者を一人撃退する。

この眼があるとカウンターが便利だ。

そう思いながらすぐさま受験者の懐を探り、無い事を確認する。

 

「こいつ等はプレートを持ってない! それ以前に幻術で操られている!!」

 

写輪眼を通して見れば追いかけてきている三人はチャクラの流れが乱れており、動きに切れが無い。と、なると幻術に掛かっていると言う事だ。

そう結論付けて他の二人にも攻撃し昏倒させる。

これで動くことは無くなったはずだ。

 

「やっぱり他の二人も取られてる」

「こんなふざけた事をするなんて…………一体何処の誰がしたのよ」

 

二人でそう愚痴っていると、

 

「俺だよクソ兄貴」

 

木の上から黒い痣を出しているマザメが立っていた。

 

「…………どう言う事かなマザメ?」

「そんな怖い目で俺を睨むなよ。俺はただお前たちに分け与えに来てやったんだぜ?」

 

そう言ってマザメはプレートを一枚僕の方に向かって投げつけてきた。

キャッチし、何か仕掛けていないかを確かめる。

………うん、贋作では無さそうだ。

 

「で、何でこんなことをしたの?」

 

プレートをクシナに投げ渡しながら問いただす。

するとマザメは可笑しそうに笑い出した。

 

「いやぁ? 何となくだよ何となく。お前は俺が倒すんだからこんな所でリタイアさせるわけにはいかないんだよ」

「…………」

「だがまぁ、それじゃぁつまらないんだよ。だから俺がそのプレートを含めた三つのプレートをそいつ等から奪ったわけだ」

「それが――――」

「実はそいつ等6人チームでよ。残りの三人が今こっちに向かってきてるんだよ」

 

はぁ………!? ちょっ、おまっ!?

 

「と、言うわけで足止め頼むぜ。そのプレートはくれてやっから」

 

言いたい事を言うだけ言ったマザメは止める間も無く消え去った。

瞬間、僕の頭の中からプチッと音がなった。




最近のマイブームはやる夫スレです。
そして一番好きなキャラがキル穂というキャラです。

取り合えずこのキル穂が出てくる作品は外れ無し。
ただし制限があるけど。


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暴走ですか?

久しぶりです。
何ていうか中忍試験編は原作で言う四次試験になるまであんまり筆が進みません。
その理由は本編を見て察して下さい。


「――――ッ!?」

 

突如、ミナトは倒れた。

自分の身体の奥底から沸き上がる莫大で禍々しいチャクラ、九尾のチャクラの断片が急に爆発したからだ。

身体が熱い。内側に直接、熱した鉄板を入れられるような痛みだ。

 

「ミナト。大丈夫か?」

 

突如倒れたミナトを心配したのか自来也が駆け寄って起き上がらせる。

それに対し「大丈夫です」と軽く返してお腹に触れる。

今のは一体なんだったのだろうか、不吉な予感がする。

 

「まぁ大事無ければそれで良いんじゃが」

 

ほっと息を吐いて自来也は再びある少女を見やる。

二人の視線の先には一人の少女が立っていた。

 

「全く、伝承と言うのは当てにならんものだな」

「…………そうですね」

 

確かにその通りだ。あれのどこが病弱だ。

いや、クシナやイナバと言った者から見れば病弱かもしれないだろうが普通の人間から見れば明らかに病弱ではないだろう。

と、なるとこんな伝承があるのは自らを狙う者たちを返り討ちにするための罠なのだろう。

どちらにせよその体質がレアすぎるのが原因で根絶やしに近い形になってしまったのは誤算だったのだろう。

 

「いずれにせよ、イナバは吃驚するでしょうね」

「ああ。その時が楽しみだ」

 

+++

 

自来也とミナトが悪巧みしている頃、クシナは地面にへとへたり込んでいた。

それもその筈、ついさっきまでヘラヘラと笑っていたそんじょそこらの女よりも圧倒的なレベルで美少女な女顔のイナバが叫んだ瞬間、尾獣化したからだ。

それも尾は九本、全身は骨で覆われており小さい九尾と言った方が良いだろう。

 

「…………」

 

イナバは獣のような唸り声を上げてゆっくりと立ち上がる。

 

「ぎ…………ぁ――――」

 

口から零れ落ちる声音はとても鋭く重厚で、

 

「ホモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

ドグシャァとクシナは顔から地面にへと滑り込む。

最も何処までもぶれなくふざけている遠吠えを聞いたのだから当然なのだが。

 

『ふん、やはり無駄だったか』

 

突如、クシナの中に居る九尾の声が響く。

 

「九尾…………いったいどう言う事だってばね」

『簡単なことだ。あの腐れ小僧の中にあるワシのチャクラと共鳴させただけだ』

 

チャクラの共鳴、それは人柱力と人柱力が持っている尾獣のチャクラの欠片を身に持つ者に起こり得る現象である。取り込んだ尾獣チャクラが何らかの原因で高ぶり、それが尾獣のチャクラに触れ強制的に暴走する。

暴走した場合はある程度意志やチャクラに耐性が無ければそのまま意識を飲み込まれてしまい、小型の尾獣になってしまう。

恐らく、いや、間違いなく今のイナバに起きている現象だ。

 

『最も、完全に暴走させることはできなかったみたいだがな。精々理性が壊れた程度だろう』

「それをもっともやっちゃいけないのがイナバだってばね!!」

 

普段からとんでもない行動と変態的な思考をしているイナバだ。

一応弁護しておくがあれでも理性はついている。抜けかけの子どもの歯程度だが。

もしそんな変態の最後のストッパーが外されたらとんでもない事になるのは目に見えている。

 

『だがこれでも後悔はしている』

「お前が後悔なんてするわけ無いってばね。むしろ屈辱を与えた相手を良い様にでき―――」

『あんな事をしなければもう一度このような屈辱を受けることは無かったからな』

『おいおい、俺達と会いたいからあんな真似したんだろ?』

 

全てを理解してしまったクシナは九尾との会話を強引に断ち切った。

『アッー!』や『アオオッー!!』などというふざけた叫びは一切聞こえない。

 

「ホモォオオオオオオオオオオオ!!」

 

できれば現実逃避したい目の前の変な物体に目を向ける。

こういうのを何と言えば良いのだろうか。九尾の憎悪とイナバの腐界が合体したとでも言うのだろうか。

何て慈悲の無い怪物だ。此の世に存在してはいけない類だ。

そう思っているとイナバが印を組み始める。

クシナにはその印に見覚えがあった。と、言うかトラウマになった原因の一つだ。

史上最悪にして最低、使い勝手は最悪でどうやれば使えるんだとしか言えない様な術。

されどこの変態のイメージ力があればそれはそれで最悪にして最強にもなりうる禁術!

 

「現想孵しの術…………!」

 

究極とも言える悪夢を再び具現しようとする馬鹿な事をしでかそうとする友人を止めに入ろうとするが時既に遅し。

自分達のチームのプレートを取り戻そうとすしていた少年達が来たと同時に最悪の禁術が指導してしまった。

 

「おいおい、かなり強引じゃないの」

 

現想孵しの術とは強固なイメージを持つ幻術を膨大なチャクラと制御、そして使用した幻術を永遠に使えなくなるという代償を引き換えにして口寄せと言う形で召喚することができる術だ。

ようするに、薔薇の術を幻想から現実のものにへと変えてしまったと言う事だ。

もっと分かりやすくするならば青いツナギの男が降臨。

 

「まぁ先ずはイイ男からいこうじゃないの」

 

青いツナギの男は自らの着ていた服を脱ぎ捨ててイナバの背後にへと瞬間移動し、腰を振るう。

だがその前にイナバは身体を回転させ男の腹部に掌を口寄せ契約と一緒に叩き込む。

 

「ぉお? 随分と激しいんだな」

 

イナバは男の戯言を無視してそのまま近くに居た少年たちのプレートを素早く盗み取り、そのまま疾走した。

 

「ちょっ、待つってばね! イナバ!」

 

クシナも身体からチャクラでできた鎖を一本だけ出し、逃げ出したイナバの首にへと巻きつけてこの場から離脱する。

今この場に残っているのは六人の少年達と素っ裸のイイ男、どうなるかは目に見えていた。

 

「おっと、逃げられちまったか…………だが六人も残ってるな」

 

男は少し残念そうにしながら親指を噛み、地面にへと手を付ける。

すると煙とともに複数の男が現れた。

 

「それじゃあお前等、やらないか」

 

この日から暫くの間、森の中で何十人もの少年の悲鳴が響き渡った。

その後、この森が死の森を越える立ち入り禁止区域に指定されることはまだ誰も知らない。

 

+++

 

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!「二次試験でマザメからプレート貰ったと思ったらいつの間にか合格していた」な…何を言っているのかわからねーと思うが僕も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

「ふざけた事を言っているんじゃないってばね」

 

いや、本当にどうしてこうなったとしか言えないんだけど。

全然思い出せない。何で合格しているのかが。

 

「それにしても、随分と人数減ったねぇ」

 

今この場に居るのが僕とクシナを含めても七人って。

しかもその内の半数が死に掛けたような表情をしているし、一体何が起こったんだ。

 

「ま、まさかあんな男達が中忍試験に紛れ込んでいるとは」

「う、羨ましい…………ヌフゥ」

 

いや、だから何があったんだってばよ。

 

「…………イナバ、一発殴って良いかってばね?」

「どうしてっ!?」

 

まぁいずれにせよ僕達は無事二次試験を突破した。

クシナに殴られて薄れてゆく意識の中でそう思った。




本当に今更ながらこの小説はどこを目指しているんだろうか。
ちなみにイナバが九尾の人柱力になった場合九尾の胃とプライドと精神が死にます。
原作でやった綱引きもイナバには憎しみが、九尾にはホモォの汚染が響き渡ります。
その結果生まれるのは┌(┌^o^)┐と化した九尾です。
ノンケに憎悪を、ホモには愛を知らしめる伝道者として知られる事でしょう。

はてさて、久々のオリ忍術コーナーです。

禁術・現想孵しの術
幻術を現実に引き起こす術、ただし月読やイメージとして実現不可能な幻術は無理。
しかも幻術で出したものは術者にも影響を及ぼします。
そしてこの術の生贄になった幻術は二度と使用できない。
原作を含めた現段階でこの術と組み合わせるものは薔薇の術と無間薔薇地獄の術など。
実はあることをすればとある存在の複製も製作可能。
消費するチャクラ量も多く、使えないが禁術という変な術。
どうして禁術になったかは察して下さい。


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自分ですか?

パンパンパパパン、互いに組み手を打ち合う音が響き渡る。

僕とミナトは仙人モードでの組み手、蛙組み手の修業を行っていた。

互いの隈取は目元だけの完全な仙人化。自来也先生でも会得できなかった状態。

その状態で僕達は特訓していた。

 

「ねぇイナバ、調子はどうだい?」

「あー…………まぁ良い方かな? 試験でも仙人モードが使えれば良いんだけど」

「流石にそれは無理だね。試験で使っちゃいけないってルールがあるから」

「だよねー。本当、三つとも封印されてなくちゃこんな試験簡単だったのに」

「使ったらぶっ飛ばすよ」

「…………ゴメンなさい」

 

ヤバイ、もし使ったら間違いなく殺される。

たとえ殺されなくても死んだ方がマシだと思うようなことをされるだろう。

それくらい今のミナトは凄みがある…………!

 

「それで、初戦の相手は一体誰なのかな?」

「マザメ」

「…………いきなり?」

「うん。いきなり」

 

はぁ、と溜息を漏らしてしまう。

何でこうなったのだろうか。あれか、僕に恨みでも持っている奴が何か関わったのか?

…………心当たりが有り過ぎると何にも言えなくなるな。

まぁ何人かは「新しい世界に目覚めました」って言っていたから特に気にする必要は無いんだけど。

 

「オレからは勝たなきゃ殺すとしか言えないけどがんばれ」

「ねぇそれって脅してない?」

「ハハハハ、大丈夫さ。イナバの実力なら勝てるよ」

 

アメリカン風のブラックコメディみたいに言っているけど全然安心できない。

ヤバイ、これはやばいぞ色々な意味で。勝たなかったら本当に殺されかねない。

横目で自来也先生達を見やる。「頑張れ」と言っていた気がした。

畜生、本当に勝たないと命が危ない。

 

「ったく、分かったよ…………勝てるかな?」

「そこは勝つ! って言わなきゃダメじゃないか」

「いや、この前アイツと喧嘩した時さ…………ちょっと分かったんだよね」

 

アイツにはまだ奥の手がある。

大蛇丸からたった一人で修業を付けさせてもらい、ましてや何だか怪しげな呪印まで付いている。

それに多分、いや、間違いなくマザメも――――、

 

「ゴメン。ちょっと散歩してくる」

 

話しを逸らして皆の前から立ち去る。

その際にミナトが何とも言い難い表情をして、非常に申し訳ない気持ちになる。

でもこればかりは皆に協力して貰って解決できるわけじゃない。

そして逃げられない。

 

「ああちくしょー! 本当どうしたら良いんだよー!!」

 

頭を抱えて森の中にへと入る。

いや、本当は分かっている。マザメを兎に角ボコボコにすれば良いと。

だけれど今の僕は力を制限されている上に切り札も一切合財使えないと言う「何その縛り」みたいな話しだ。

例えるなら左足の小指で三人の下忍を一歩も動かずに制圧しろと言わんばかりの横暴だ。

写輪眼があるだけでもマシだけど…………それでも刹那が使えないのは辛い。

空亡? あんなのは使えないだろう。

そんな事を考えながら歩いていると知らない森の中にいた。

 

「って、ここ何処?」

 

目の前の見慣れぬ光景に戸惑いながらも近くにあった木を渾身の蹴りでへし折りながら先に進む。

本当に此処は何処なんだろうか?

 

「まぁ蹴り倒していけばいつか出られるよね」

 

+++

 

あれから七時間が経過した。

色々とあったものの僕の視界に映る全ての木々を蹴りでへし折ったお陰で無事に遭難しました。

ええ、無事に遭難しちゃいました。テヘペロ!

 

「テヘペロ! じゃねぇだろうがぁあああああああああああ!!」

 

何なのこの森! 絶対におかしいよ!

途中で蹴るだけじゃなくて断罪炎とか使っても出られないってどうなってるのさ!

 

「もしかして幻術…………は、無いか」

 

一応幻術返しも出来るんだし、何より僕の勘がここが幻術世界ではないと告げている。

てか何で僕はこんな所に居るんだろうか?

元々僕は頭を冷やしに近場の道に散歩に出たはずなのに森の中に居るんだ?

どんな方向音痴でもこんなに間違うはずが無い。あれ? 何か右って言われているのに後ろに行くような方向音痴を知っている気がするんだけど。

 

「それにしても此処本当にどこなんだろうか?」

 

木の葉の里の何処かである事は分かるんだけれど急いで戻らないと。

今から戻っても殺されるけどもし戻らなかったら殺される!

あれ? どちらにせよ僕殺されね?

 

「どうしよう、すっげぇ戻りたくなくなってきた」

 

誰だって死ぬって分かってて戻るはずが無いんだから――――ッ!?

 

「火遁・豪火球の術!」

 

突然、何者かが僕にへと襲い掛かってきた。

 

「っと、危ないなぁ」

 

襲い掛かってくる火球を軽々と避けてクナイを投擲する。

が、向こうもクナイを投擲して弾き落とした。

 

「ったく…………一体いつから木の葉の里はこんなに危険な場所になったんだろうねぇ」

 

僕に攻撃してきた人物を睨みつけながら吐き捨てるようにして呟く。

本当、この里おかしくない? この前もマザメに攻撃されたし…………。

まぁそんな珍しい話しでもないか。大国の里でもこういった事態は普通にあるしッ!?

 

「ちょっと…………嘘でしょ?」

「ハハハッ! 信じられない? まぁ信じられないだろうねぇ」

 

あまりの出来事に驚愕してしまう。

いや、きっと誰だって驚愕するだろう。

だって――――、

 

「僕が…………居る!?」

 

襲ってきた者の正体が僕そのものだったから。



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本当ですか?

ようやく三章完結です。
ですがちょっと次回から過去編になります。
そろそろ暴かないとね。


「火遁・鳳仙花の術!!」

 

僕は目の前の光景を受け入れられなかった。

今僕の目の前にただ僕が居る、それだけの理由で攻撃を仕掛けた。

何故攻撃を仕掛けたのかは分からないが「目の前に居るモノを殺せ!」と頭の中の誰かが命令していた。

そして僕はそれに命じられるままに術を放った。

 

「火遁・鳳仙花の術!!」

 

だけど向こうの僕も同じ術を使って僕の術を相殺した。

そして手馴れた手つきで印を結んで接近して、

 

「断罪炎!」

 

僕の得意な術を叩き込んできた。

 

「舐めるな、断罪炎!!」

 

だけど自分が作り出した術で敗れ去るほど僕は落ちぶれていない。

同じく印を結んで同じ術を使って相殺を狙う。

互いの燃える拳がぶつかり合い衝撃と熱波を振りまき、僕らは互いに弾かれた。

 

「くそったれ…………」

 

これじゃあいつまでやっても埒があかない。そう判断した僕は全身の力を抜いて九尾のチャクラの衣を纏い自然エネルギーを吸収し始める。

尾獣化状態であるならば仙人モードになりやすい、それが僕とミナトとの特訓で見つけた答えだった。この状態ならば仙人モードが苦手なミナトでも仙人化しやすいから戦闘でも使えるようになった。

それを比高的仙人化が得意な僕が使えばかなりの速さで仙人化ができる!

 

「仙法火遁・狐火!」

「仙法火遁・狐火!」

 

九本の尾から放たれる火の玉が互いの攻撃を打ち消しあう。

やっぱり、か。目の前の僕は僕と全く同じ事をしてくるようらしい。

多分写輪眼のせいだろうな、あれで僕の真似をしている。まぁそれは僕も同じだけど。

にしても何かしっくりこないんだよなぁ、いや、自分で言うのもなんだけど鏡と戦っているって感じがしない。

目の前に居るのは本当に僕なのか? って、よく考えると僕なわけが――――っ!?

 

「か…………」

 

身体が動かない、そう言おうとするができない。

一体何が起こったのか、何で自分は動けないんだ。

まるで時を止められたみたいなって、まさか…………。

 

「どう、自分の時間が止められた感想は?」

 

僕の考えが当たっている、そう言わんばかりににんまりと笑い僕の目の前に来る。

その眼球は黒く、僕と同じ形状の万華鏡が不気味に光り輝いていた。そしてその手には欄回転するチャクラの塊、螺旋丸を作っていた。

ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイヤバイ!! 心の中で半狂乱になるもそれで時が動くかと言えばそうではない。

この術は間違いなく刹那だろう。自分でもよく使う万華鏡の術だ。

その効果は時間の停止で五秒間だけ時間を止めることができる。

だけどこの術は相手に時が止めたことを察知させない筈だ。それこそ時を止める前に触れなくては効果を発揮しない。

なのになんで自分の意識があるんだ?

 

「今なんで自分の意識があるんだ? って思ってるでしょ」

 

何故ばれたし。

 

「その答えは簡単さ。時を止めた世界に入門している人は皆例外なくこうして意識を保つことができる」

 

なるほど…………何処かで聞いた事あるような話しだな。だけど納得はした。

落ち着いたおかげで冷静になれた。はてさて、今から逆転するにはどうすれば良いか。

 

「一応言っておくけど君には勝ち目なんか無いからね」

 

そう言って目の前の僕は螺旋丸を腹部にへとあてがった。

けど刹那の最中に相手を傷つけることはできない。だから刹那を解除した時でなくちゃ攻撃できない。

 

「それじゃあ時間が動き出すよ」

 

目の前の僕がそう言った瞬間、身体が動くようになり後方にへと下がろうとする。

この状況で上へと逃げることはできない。ならばこその選択だった。

そしてその選択をした事を後悔する事になる。

 

「えっ?」

 

後方に下がろうとした瞬間、何かにぶつかって身動きが取れなくなってしまう。

 

「仙術須佐能乎、の右手だよ」

 

目の前の僕が淡々と事実を言い、

 

「じゃあトドメ。仙法螺旋丸」

 

+++

 

「自分の事ながら末恐ろしい、と言うべきかな?」

 

僕はそう言って倒れている僕にへと近づいて何かを思い出すかのような口ぶりで言う。

 

「あの時、螺旋丸を咄嗟にとは言え断罪炎で相殺するなんて」

 

本来なら反応する間も無くそのままぶっ飛んでいく筈だったのだが。

 

「それでも押し勝てずに吹き飛ばされて、か」

 

本当に末恐ろしい、自分の事ながら。

そんな口ぶりで僕にへと近づき、

 

「つーわけでいい加減に起きなよ。気付いてるんだからな」

「…………やっぱり?」

 

今まで気絶している振りをしていたけどどうやら駄目だったらしい。

 

「ねぇ、一つ聞いていい?」

「別にいいよ。僕が答えられる範囲でだけど」

「君は一体何者?」

「ノーコメントでって、ちょっと止めてよ。そんな顔で睨まないでよ。今の君が僕に勝てるわけなんかないだろう。万華鏡は封じられているんだし」

 

目の前の僕は癪に障るような話し方でそう言った。

何故だろうか? 非常にぶん殴りたい気持ちで一杯だ。

 

「まぁ僕が何者であるかは話せないけどそれ以外なら話そうか」

 

そう言って僕は僕の上にへと乗った。

 

「やめて!私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」

「ぶっ殺すぞ?」

「嘘だよ。本当に冗談の分からない僕だなぁ」

「…………改めて思った。こいつは本当に僕なのか?」

 

目頭を押さえながら何かを後悔するような態度で僕にそう吐き捨てた。

結局のところお前は一体何者なんだ。

 

「まぁ兎に角、これから僕はお前の心の傷を抉りたいと思います」

「な、何だってー!?」

 

と、叫んでみたもののなんと言うか…………今更だなぁ。

僕に心の傷なんてものがあるのだろうか? 最近では痛みすら心地良くなってきたし、くそみそテクニックの新刊だって天井の裏で密かに書いてるし破かれる事も無くなったし。

ぶっちゃけ僕の痴態なんざ誰も興味が無いから傷だって付かない。何せ公言しているんだから。

だとしたらあれかな? この前またお酒を飲んで酔っ払ったミナトと一緒に魔法少女ごっこやった事かな?

あれは流石にばらされたくないなぁ、でもばれて思いっきり蔑まれてもみたい。

あれ、僕人として終わってないか?

まぁ良いか。僕が人として終わってるのなんて周知の事実だし。

 

「で、何かな。僕の心の傷って」

「今から言ってやるからそんな目で僕を見ないで」

 

まるで汚物を見るような目で僕を見てそう言った。

何だろうか、自分にそんな目で見られると自分の中にあった大切な何かがポキッと音をたててへし折れた気がしたような…………。

まぁ良いか、ちょっと楽しみ――――

 

「僕が五歳の時に起こったあの事件、それを話そうか」

「今すぐその汚い口を閉じて黙りやがれ」

 

瞬間、僕の皮が剥がれて尾獣化し跨っている僕の顔面に断罪炎を叩き込む。

跨っていた僕は宙にへと投げ出されくるくると錐揉みしながら落下し、もう一度その顔面に断罪炎を叩き込む。

今度は真直ぐぶっ飛び周囲にある木をなぎ倒していく。

僕はそれを許さず尻尾を使ってもう一人の僕をキャッチし螺旋丸を叩き込む。

仙人モードに尾獣モードを掛け合わせての一撃だ。これには耐えられない筈だ。

そう思ってもう一度攻撃を入れようとするが腕を掴まれて防がれてしまう。

 

「全く、いきなり攻撃するなんて酷いじゃないか」

 

もう一人の僕が皮が剥がれてグロッキーな状態になった顔でグリンと向く。

対峙した瞬間、目の前の僕から放たれる異様な雰囲気に飲み込まれてしまい一歩下がってしまう。

それが命取りだった。

 

「あがっ…………」

 

足をかけられてしまい倒れ、再び乗られてしまう。

 

「まぁ見たくも無い現実だから仕方が無いよねぇ」

 

目の前の僕がそう言った瞬間、ニタリと不気味に微笑んだ瞬間理解した。

こいつが今から何をしようとするのかを。

 

「や、止め…………!?」

「それじゃあめくりめくトラウマの世界へご案内~」

 

目の前の僕の瞳が怪しく光り輝き、僕は思い出したくない事実と向き合う為に夢のなかにへと誘われた。



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第三章――キャラまとめ――

大分遅くなりましたがキャラ紹介です。
そしてT・P・Rさんがイナバの絵を描いて下さったので乗せさせていただきます。
貰ってから結構時間が経っているのでちょっと………。
取りあえず次章からはちょっとイナバの過去が出てきます。昔のイナバと今のイナバは違いますので。


名前:うちはイナバ

今回は弟に良い様にやられていた主人公。

特に意識の無い時にやった行動が酷すぎて作者でさえ「うわぁ」となってしまった。

好物は甘味やお肉、お刺身。嫌いな物は茄子にミソ唐辛子。

趣味は修道本を書く事。

今回色々と不憫、次章は更に不憫な目に合う事が約束されている。

最後に自分に似た何かに出会ったが…………。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

名前:波風ミナト

今章の出番は殆ど無し。

強いて言うなら病弱と言われている一族を鍛えていた。

次章での出番は…………あるのかなぁ?

 

 

名前:うずまきクシナ

今回の犠牲者。多分彼女が一番苦労する羽目になったと思う。

暴走したイナバを食い止めたり、好き勝手するマザメを止められなかったり、彼女がちゃんとしていなかったせいで大多数の犠牲者が出てしまった。

とは言え彼女が悪いわけではない。悪いのは全て馬鹿兄弟の喧嘩のせいだから。

 

 

名前:うちはマザメ

自分勝手な言動が目立つが実際に強い弟。

多分今のイナバよりも強い。実は――――。

かつてはイナバとの仲はそれなりに良かったらしい。が、現在ではこうなってしまった。

でもぶっちゃけ仕方が無いと思う。

 

 

名前:不明

二次試験の試験官をやった人。

イナバに対して色目を使った。だが男だ。

くそみそテクニックを読んで腐の道にへと覚醒してしまった。だが男だ。

イナバのお尻を狙っている。が、男だ。

森で行方不明になった下忍達を捜索して阿部さんに見付かり、今までに感じた事の無い胸に来る深い感情を覚えた。なぜ男だ。

 

名前:阿部高和

ついに現実にまで侵食してきた最悪の怪物にしてイイ男。

森の中で召喚されイナバを掘ろうとするものの口寄せ契約だけさせられて逃げられてしまい仕方が無く森の中にいた下忍達を掘りまくった。

その後やって来た上忍たちや中忍たちも掘ろうとして九割逃げられたが一割とは混ざり合った。

多分これから活躍する人。

 

 

名前:うちはイナバ?

イナバの裏面? その正体は不明だがイナバの無駄のあるムラなセンスを全て使いきれる。

そしてその正体は…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっとだけ次章予告

 

 

人は誰しも思い出したくない過去がある。それが大小なれど必ず一つは持っているだろう。

だが人は楽しい思い出を作ってその過去を忘却しようとする。が、嫌な過去ほどこびり付き付いてくる。

だからこそ人は前へ進むのだ。それしか道が無いのだから。

 

だが――――どれだけ問題を先送りにしてもいずれは避けようの無い選択がやって来る。

 

関わりたくない、面倒ごとは嫌だ。そんな事言ったって絶対に――――、

 

避けられないのだから。



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第四章・善悪の三次試験 イナバの過去兎ですか?

久々の更新です。
ちょっと原作の御話しが色々と進んだので少しプロットに修正を入れていて遅くなりました。
当初の予定ではそうならなかった設定も変わり、色々と矛盾するかもしれませんが随時修正を加えていきたいと思います。
それでは投稿します!


あれはいつの頃だったか――――。

そう、あれは自分に得体の知識が産まれた時だ。

産まれた時からこの世界には存在しない知識と人格を備えていた自分は何でもできる気がした。

そしてそれが間違いだと言うのに気付いたのは三歳の時だった。

影分身の術を使うだけで身体が動けなくなるほどの疲労感が襲い、よく寝込むほど自分は病弱だった。それが嫌だから僕は動いて動いて動き回って体力をつけて徐々に強くなっていった。

幸いにも忍術は口下手な僕にとって他者と繋がる唯一の繋がり。

ヒトリボッチは寂しい、孤独は嫌だ。どうか自分を見て欲しい。

そんな思いから僕は必死になって術を覚えた。うちはの名にあるような術から自分の記憶や知識で新たに術を作っていった。

それで天才だとちやほやされていて調子に乗った事もあったけどそれ以上に失敗もして怪我をした事だってある。だけどそれ以上に夢中になったんだ。

友達を作るのが苦手な僕だったがそれで友人ができた時はとても嬉しかった。

マザメとの仲もそれ程悪くなかったし。ただアイツは一人の時に「いつ奪うか」と言っていたりしたためちょっと物騒だったりもしたが。

そんな充実した日々だったがある事件が起きて状況が一変した。

 

「そう、うちはを襲ったあの事件。全てが終わった日だよ」

 

雲隠れの忍びが僕らうちはの血継限界を持つ子どもを狙って襲撃を仕掛けてきた。

外で遊んでいた僕らは気が付かずただ遊んでおり、その結果、僕らは襲撃を受けた。

何とか誘拐されなかったものの一緒に遊んでいた子ども達が大怪我を負った。

 

「そう、人質を交換して君がかわりになったって言うのにマザメが起爆札を大量に

落としたせいで大怪我を負う羽目になったんだよね」

 

その結果、何とか自分は雲隠れの忍びを盾にして無事に済んだものの他の皆が大怪我を負った。

 

「そして結果的にはマザメ一人の手柄となった。まぁそこまでなら君もどうって事なかったんだよねぇ」

「…………」

「そう、助けた子達が揃って自分を非難さえしなければ」

 

何故か知らないけど子ども達は自分を非難した。

両親もマザメを賞賛して自分を貶した。一体何が起こったのか理解できなかった。

とは言え、自分の手が最善で無かった事は言うまでも無い話しだ。

だがいくらなんでも不自然すぎた。まるで操られているかのように――――。

 

「まさか…………」

「そのまさかだよ。って言いたいけど流石にそれは分からないよ。でもあの時のマザメの顔を思い出してみなよ。まるで全てが上手くいったみたいな顔をしていたじゃないか」

 

もう一人の僕の言葉に信じられないと言った気持ちよりもあいつならやりそうだっていう気持ちの方が強い。と、言うかあいつなら本当にやりかねない。

何せ相手はマザメなのだから――――。

 

「それが分かったんならとっとと表に戻りなよ。君がそれを乗り越えようが乗り越えまいが僕にはどうだって良いんだからさ」

「仮にも僕でしょお前」

「そうだよ。でも僕は君じゃないって思いたいけどね。こんな腐った趣味を持つ奴なんか僕じゃないよ」

「ちょっ! 誰が腐ってるんだよ!!」

「自分しか居ないだろうがこの腐れ野郎!!」

「僕は別に腐ってなんかいない! ただちょっと男同士の性的な絡み合いが好きなだけの普通に紳士な少年だよ!」

「そんな紳士存在しないよ!!」

 

全く、そんなだからもう一人の僕は駄目なんだよ。

まぁ昔じゃあ直視することができなかったガチホモの絡み合いも今じゃ見慣れてしまう光景なのだから。

 

「つーかとっとと戻れ! お前と話してるとヤバイわ!! 一応お前の悪意なのに何故か侵食されそうだ!」

「純粋な欲望は悪意に勝る」

「何処が純粋じゃボケが! てめぇのは不純すぎるだろうが!!」

 

そう言った瞬間、もう一人の僕は「疲れた」と言って溜息を付く。

何でそんなに疲れているのだろうか。

 

「はぁ…………本当にお前は僕なのかね。正直疑問に思うよ」

「それ程でも!」

「褒めてないよ。まぁ、その楽観的な思考を何処まで保てるかは見物だけどね。それじゃあ目覚めなよ。もう一人の僕」

 

その言葉を聞いた瞬間、僕の視界が暗転して元の光景に戻る。

どうやら自分は眠っていたようらしい。

 

「っ…………一体何がどうなってんだか」

 

痛い頭を抑えながら起き上がって現状を把握しようとする。

本当に変な夢だった。いや、夢というには少しリアルすぎる。と、なるとあれは精神世界に近い感じの代物だったのだろう。

どうしてそんな事が起きたのかはさっぱり理解できないがあまり良い夢で無かった事は言うまでも無い。と、ここで空を見上げて今が夜であることに気が付く。

 

「やっば、ミナト達に怒られる!!」

 

自分が今おかれている立場を理解した僕はすぐにミナト達が待っているであろう場所にへと向かって走る。

多分居ないだろうけど一応は戻ったって事にしておかないと。

怒られるのは嫌だな…………。

 

+++

 

結局、僕は怒られた。

まさかずっと待っているとは思わなかったよ。

 

「まさか森の中で眠ってたなんてね」

 

ごめんなさいミナト。本当にマジで。

 

「心配した私達が馬鹿だったってばね」

 

いや、本当にすみません。

 

「…………レツ、貴方は馬鹿」

 

まさかルナにさえ馬鹿にされるなんて思わなかった。

てかルナ大分強くなったね。病弱じゃなかったのだろうか?

 

「あー。のォ、イナバ」

「自来也先生…………すみません」

「いや、お主が無事だったから構わないんじゃが本当に何にも無かったのか?」

 

そう言って自来也先生は僕を心配する素振りを見せる。

だけど大丈夫だ。僕は何にも無い。いたって健康だ。

 

「大丈夫ですよ自来也先生! ちょっと夢見の悪い悪夢を見ただけですから」

「一応聞くがどんな悪夢だ?」

「僕がもう一人居る」

「成る程。確かに悪夢だのォ」

 

酷い、本当に酷いよ自来也先生。それってつまり僕が二人も居たら危険って事でしょ?

そんなに酷くなんか無いんだけどなぁ…………。

目を瞑り軽く涙を流しながらそう思い、手で拭って自来也先生を見やる。

 

「本当に迷惑をかけました自来也先生。以後気をつけます」

「――――ッ!?」

 

瞬間、自来也先生が驚愕した表情をする。

え、何かあったの?

 

「どうしたんですか自来也先生。僕の顔に何かありましたか?」

「…………いや、何でもない。お前の右目が一瞬だけ紫色に見えたからのォ。ちょっとだけ驚いてしまったわ」

「紫色だなんて。それこそ伝説の輪廻眼じゃないですか。僕のは写輪眼ですよ」

「ああ…………そうだな」

 

そう言う自来也先生の表情は何かを考えているような表情だった。

かくして、夜はふけて三次試験が近づいていくのであった。



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因縁の対決ですか?

久々の更新、です。
いや、申し訳ありません。
最近バイトや専門学校が忙しくて―――後やる夫スレに嵌っていて。

取り合えずこれからちょっとずつ更新していくので楽しんで言ってください。

…………言えない、イナバのキャラをスッカリ忘れていただなんて口が避けても言えない(ボソッ


三次試験が始まりを告げてから既に二時間が経過した。

内容は観客の前で戦って忍びらしく頭脳を使った戦いになるだろ。

まぁ僕はそんな戦いしないけどね。

 

「ってかこれ僕出れるのか?」

 

そんな事を呟きながら腐った豆パンを排出する。

まさか朝食べた豆パンが腐っているとは思わなかった。

しかもその腐ってたのは僕だけって…………対戦相手の陰謀を感じちゃうよ全く。

ただその陰謀も相手がマザメなら勘違いではないのかもしれない。

 

『勝者、うずまきクシナ!!』

 

お、どうやらクシナは勝ったみたいだ。と、なるとそろそろ僕の出番だな。

確かクシナの後で二人が戦って僕とマザメで最後の試合だったな。

そう思いながらトイレから出て元の会場にへと戻るために走る。

その際に一人の女性とぶつかってしまった。

 

「す、すみません!」

「良いよ。別に気にしてないから」

 

青色のツインテールの少女は自分に手を差し伸ばしてくる。

僕はそれを手に取り立ち上がる。

それにしても綺麗な人だなぁ…………何と言うか、幻想的で神秘的な女性だ。

 

「あ、ありがとうございます」

「どういたしまして、っと。それよりも行かなくて良いの? 多分だけど次は君の試合でしょ?」

「え、あ、はい。その通りです――――って、急がなくちゃ間に合わないじゃん!!」

 

本当に今日は厄日だ。何で朝食の豆パンが腐ってて戦う相手がマザメなのだろうか。

 

「それじゃあ頑張ってね」

「ありがとうございます! 精一杯頑張りますね!!」

 

そう言って僕はその場を後にした。

だけど何故だろうか――――あの人を一度だけ見た事あるような気がしたのは。

 

+++

 

「フフフ、あの時に比べたら大分成長してるね」

 

青色の少女は走り去って行く少年を見て静かに微笑む。

本当に二年前と比べたら遥かに強くなっている。

そんな事を考えながら少女は鼻歌を歌いながら暗躍する。

これから木の葉の里で起こるであろう人為的な災害をどのようなタイミングで起こすのかを。

 

「取り合えずいつも通りあの格好をしてよね」

 

そう言って少女は顔面にパンツを被り、紐が交差したパンツと編みタイツを装着した暑苦しい男の姿にへと変化する。

少女だった物は奇奇怪怪で珍妙、その上百人中百人が「変態」と表現するであろう姿でそれがさも当たり前のように優雅に歩き始めた。

 

「さぁ、下準備を始めるゾ♪」

 

男がしてはいけない語尾で無線の向こう側に居る相手に言い放った。

その瞬間、向こう側から「オボロゲシャァ!!」と盛大に何かを噴出す音と「おい、吐くんじゃ――――ギャァアアアアア!!」や「うわっ、かかっちまった…………うぷっ」や「耐えるんだ、耐えるんだ俺――――やっぱ無理、おぇええええええええ!!!」等と楽しい合切が響き渡った。

少女だった怪物はくねくねと身体を捻りながら外にへと向かって歩きだし始める。

 

「ダンゾウ暗殺任務を、ネ♪」

 

それは前世の知識、かつてイナバも持っていた――今は失われてしまった――ものと同じものを使っての自分が有利になる為の行動。

失敗する確率の方が高いそれを少女は笑いながら微笑みながら実行するのだ。

 

+++

 

「あんたは一体何をやっていたんだってばね」

「トイレで朝食べた豆パンと週間連載したら五十週近くなるくらいの格闘を繰り広げてたんだよアマゾネス」

 

瞬間、僕は宙を舞っていた。

地面に叩き付けられた瞬間、僕は全てを理解した。

アマゾネスことクシナにぶん殴られていたと言うことに。

 

「今のはイナバが悪い」

「………うん」

 

自来也先生とルナが冷めた視線で僕を見下している。

何故だろうか、その視線を受けていると胸の奥が切なくなって行くのは――――。

 

「大丈夫かい、イナバ」

「うん。お腹がとんでもない事になった事以外は大丈夫だよ」

 

本当にあれは酷かった。

胃から胃液が込み上げてきて下痢が出て、しかもそれが長時間続くから腹が立つほどに苦しかった。

いやはや、居るか分からない神様に祈ったお陰で治ったとは言えやっぱりちょっと辛いかな?

取り合えずもっと祈っておこう。

 

「ふんぐるい、むぐるうなふ、くとぅぐあ、ふぉまるはうと、んがあ・ぐあ、なふるたぐん、いあ! くとぅぐあ!」

「今すぐ止めろってばね!」

 

クシナの拳骨が僕の頭蓋にへと落とされる。

 

「何をするんだ。気持ち良いじゃないか!」

「黙れってばね!! この変態!!」

「グハァ!! そう、その痛みが快楽を与える――――僕に力を与える!!」

「……どんどん気持ち悪くなっていくね変態お兄ちゃん」

 

幼女の冷めた目で見られるのって結構きついなぁ…………。

それはそれでありなんだけど――――てか最近の僕って変態度進んでないか?

自分の将来に不安を感じているとミナトが手を差し出してくる。

僕はその手を掴んで立ち上がる。

 

「いやぁ、ゴメンねミナト」

「…………本当に大丈夫なのかい?」

「大丈夫だってヴァ! 僕の第一印象は元気が有り余っている変態なんだよ? 大丈夫に決まっているじゃないか」

 

ついさっき腹を壊したとは言え動く事は可能だ。

既に体調は万全の状態に戻った。色々と制限されていて問題が無いわけではないが――――、

 

「例え万全でなくてもあいつを殺すのには十分だよ」

 

瞬間、この場の空気が凍りついた。

 

「それじゃあ行って来るね皆。僕、この戦いに勝ったら好き放題ガチホモ本を書くんだ!」

「ちょっ、待つってばね!!」

 

ピコーンと音が鳴った気がするがそれでも僕は走り続ける。

クシナがこちらに手を伸ばしているがあえて無視する。

正直な話しそろそろ行かないと間に合わなくなりかねない。

そう考えながら走っていると自来也先生が叫ぶようにして言い放つ。

 

「イナバ! 使ってはいけないと約束をした三つ、場合によっては使っても構わん」

「マジッすか!?」

「まぁ万華鏡は封印されているからのォ、使えるかは分からんが。仙人モードは使ったら失格じゃが」

「ですよねー…………まぁ使えたら使いたいと思います」

「そうか、だが最後の――――八門遁甲だけは使うな」

 

その言葉には重圧感を放っていた。

ああ、そうだよ。分かっている、分かっているさ。

万華鏡や仙人モードと違ってそれは使えないって。

 

「分かってますよ。それは使いたくありません」

「…………気をつけるのだな。お前の身体では八門遁甲は耐えられないのだから」

 

自来也先生の言葉を背で受け止め、僕は舞台にへと駆けていった。

 

 

―――これは転生者であるうちはイナバのお話しではない。

 

―――これは失ってしまった自分を取り戻す為の少年のお話しである。



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兄弟喧嘩ですか?

めちゃんこひっさしぶりのこーしんです。
NARUTO本編終わっちゃいましたねー、面白かったです。
取り合えず一言、ちょっとスランプを抱えていました。
マザメとの戦いは決まっていたんですけど展開が思い浮かばず………そこで私は読み返して気付いたのです。

自分のやりたいようにやれば良いんじゃね? と。


「よぉ、逃げなかったんだな」

「逃げるわけが無いよ。お前との決着はつけなくちゃいけないんだから」

 

目の前に居る弟、マザメに向かってそう言い放つ。

これが恐らく最初で最後になるであろう今まで生きてきた中で最も過激な兄弟喧嘩。

 

「それでは、試合開始!!」

 

その言葉と共に僕とマザメは互いに駆け出す。

向かう先は前方、つまりマザメが居る方向だ。

マザメも懐からある物を取り出し、その手に持つクナイを僕にへと向けて振るった。

 

「当たるかよ」

 

その攻撃をかわして口寄せの術をし、長刀・縫い針を呼び出して持つ。

 

「はっ! そんな見え見えの攻撃、当たるかよ!!」

 

呼び出した瞬間にマザメは後方に跳躍して縫い針の斬撃を回避しようとする。

それに舌打ちをし、思いっきりからぶることになりながらも剣を振るう。

するとマザメの服が横一文字に斬れた。

 

「………お前、今何をしやがった?」

 

服を斬られた事に対してマザメは驚愕の声を上げる。

 

「さぁ? 理由を教えるほど悠長な事は言っていられないよ!」

 

今度は縫い針を槍のように携えて突き出す。

だがマザメはその瞳を紅く染め、三つのマガタマを浮かび上がらせると驚愕に満ちた表情をして後方にへと下がった。

まさかもう写輪眼を使うなんて、正直もっと油断して慢心し、僕を下に見下してくれていればよかったのに。

 

「っち、風遁のチャクラを使って刀身を隠しやがって……相変わらず忍術の腕だけは信じられないくらいすげぇな」

 

舌打ちしながらもマザメは僕の忍術に対して評価を下す。

とは言え、全く嬉しくないんだけどね。それにこの術、風王結界はマザメにもう通じないだろうから。

 

「褒めても何も出ないよ。それに特に凄い事はしてないし、ねっ!!」

 

術を解除して風遁のチャクラを縫い針の先端に集めて槍のようにする。

元々縫い針は剣というよりは針に近い、針そのものを巨大化したような形状をしている。

その為、実際に剣として使う事は殆ど無い。ただ相手を突き刺す為の武器なのだ。

だから風遁のチャクラを使用してその射程を延ばし、槍として使用することで斬撃を放つことが可能になった。

そしてその槍を持ちて、マザメにへと振るう。

マザメはその攻撃をかわす。が、その身体には一筋の切り傷が出来ていた。

 

「クソッタレ………随分と変わった戦い方をするじゃねぇか」

「生憎、それがこの縫い針の特徴なんで、ねっ!!」

 

縫い針の柄の方にある糸はそれ自体がかなりの頑強さで出来ている。

その糸に風遁、もしくは雷遁のチャクラを込めた場合ならかなりの切れ味になる。

それをばら撒くだけで敵は行動を抑制されるんだ。楽な商売だ。

心の中でそう呟きながら縫い針を振るって糸を手繰り寄せる。

写輪眼を持つマザメならばチャクラを目視できる、だけどこれを避ける事はかなり難しい。

なぜならばどれだけ速く動こうと張った網の隙間は小さく、抜け道も一つしかない。

そうなった場合、人間が行動する事は一つ。例え罠であっても出口の方にへと向かうのが人間の心理だ。

そしてそれはあたったのだ。

 

「ぐぁ!?」

 

出口のほうにへと向かって来たマザメの肩を縫い針で切り裂く。

風遁のチャクラで構成された刃は肩の肉を裂き、出血する。

 

「っく、しゃらくせぇ!!」

 

マザメは足に力を入れて空高く跳躍する。

しかも跳んだ場所はほんの僅かな隙間しかないと言うのに、その隙間を潜り抜けやがった。

相変わらずの体術のスキルだ。八門遁甲を使ったとしても体術において僕ではマザメには絶対に勝てないだろう。

最も、八門遁甲は己が身を傷つけ滅ぼす禁術。僕は使うことができるがそれも適正はあまりなく、使えば使うほど負担が溜まっていく。その為、自来也先生によってこの術を使えないように封印されてしまった。

だがそれは僕の本当の戦闘スタイルを思い出す切っ掛けにもなった。

 

「くらえっ! 火遁・豪火球の術!!」

 

空から火遁・豪火球の術を放ってくるマザメ。

その威力は同年齢のうちは一族の中でも比肩する物がいないだろう。

だがそれは僕も同じだ。いや、忍術の腕だけであるならばマザメよりも僕のほうが強いだろう。

 

「火遁…………」

 

だけど同じ豪火球の術を使うつもりは無い。

あの術はうちは一族が最も得意とする基本にして奥義の術。

その術を僕は使いたくない。本来ならばうちはという姓さえも煩わしい僕にとってこの術は鬼門なのだから。

故に僕は振るうのだ。自分が編み出した術を――――最も使いやすい術を!

 

「断罪炎!!」

 

左手が炎に包まれる。

それはさながら焼き鏝、燃え盛る左手は誰かの身体を炭にしたくて仕方が無いと叫んでいるようだ。

いや、実際に叫んでいるのだ。僕の断罪炎はマザメの悲鳴を欲しているのだ!!

 

「火龍縛炎!!」

 

断罪炎から放たれるは巨大な炎の龍だった。

燃え上がる龍は天に昇るようにしてマザメの放った豪火球の術に喰らい付いた。

性質変化のチャクラには苦手な属性とぶつかり合った場合、その規模にもよるが大抵の場合は得意な属性のほうが勝つだろう。火であるならば水、土であるならば雷と言った具合にだ。

だが同じ性質変化の属性であった場合、術は強い方が勝利するのである。

しかも、相手の術を喰らい、強化されてだ。

 

「なっ………!」

 

マザメは驚愕の声を上げる。

それもその筈、マザメの放った豪火球の術は僕の火龍縛炎によって喰らい尽くされてしまったのだから。

しかも、炎の龍の追撃はまだ終わっていない。

炎の龍の尾と繋がっている左腕にチャクラを込めて振るい、再び炎で出来た身体を鞭のようにしならせる。

今度は外さない、この一撃で仕留めて見せよう。

幸いにも今のマザメの現状は宙に居る状態、受身を取る事もかわす事もできない!!

 

「いけぇええええええええええええ!!」

 

左腕を動かしたことによって、龍はその顎を大きく開いてマザメの身体に喰らい付いた。

いや、正確にはマザメを丸呑みにした。の方が正しいだろう。

火竜爆炎の大きさは人を二人丸呑みにできるくらいに大きいのだから。

 

「…………やったか?」

 

ついフラグが立ってしまいそうな言葉を言ってしまうが仕方が無いだろう。

実際にやったかどうかなんて確かめてみないと分からないのだから。

そう思った僕は炎の龍を引っ張ってこっちに寄せようとし、以上に気が付いた。

 

「え…………」

 

炎の龍が突然苦しみ始め、口の端から黒く燃え盛る炎が現れた。

黒い炎は赤い炎を飲み込み始め、侵食するようにして炎を喰らい尽くしていく。

一体何が起こっているというのだろうか。

 

「――――天照」

 

その言葉を聞いた瞬間、炎の龍が弾けとび中からマザメが現れた。

そしてその瞳は――――見た事も無い形状の写輪眼となっていた。



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希望なんてありゃしないですか?

更新遅れてすみません。
ですが今回はちょっと難産、ってかどうやって書こうかを悩みまくってたんで。
とりあえずその理由は見てもらえば分かります。


天照――――マザメは確かにそう呟いた。

その術の名は知っている。今は欠片さえ残っていない前世の記憶を強引に引き出して無理やり思い出す。

確か黒い炎を出す忍術だったはずだ。しかもその黒い炎は消えることがないと言う。

 

ん? 消えることがない――――やっべぇ!!

 

「っち!!」

 

急いでその場から離れる。次の瞬間、自分が立っていた場所に黒い炎が出現した。

更に重ねて僕が立っていた場所にも黒い炎が発生する。

何とか移動してかわしたがどうやらこの黒い炎は万華鏡写輪眼で見たものを瞬時に燃やす忍術であるらしい。だというのなら対策はある。

そう思い至った僕は全速力でその場から駆け出す。

 

「くそっ。すぐに弱点が分かりやがったか!」

 

マザメは悔しそうな顔をしてゆっくりと地面に着地した。

 

「やっぱり忍術においての天才だな。すぐに弱点が分かるなんて」

「弱点がわかって対処法が分かるだけだよ。自分がそれを使えるかにおいてはできないけど」

 

そう言って火遁の印を結んで体制を整える。

 

「火遁・武羅譜魔嗚呼須杜螺、と言う名の目からビーム!」

 

感じにするとかなり長い忍術の名前を言って右目の写輪眼から炎のレーザーを放つ。

マザメはすぐさま天照を使って防ごうとするが、レーザーは黒い炎を突き抜けてマザメの肩を貫いた。

 

「いかに炎すら燃やし尽くす炎であったとしても、こっちの攻撃を全て防ぎきる盾になるとは限らないのよね」

 

豪火球であった場合なら燃やし尽くせただろうけど貫通力を秘めたこの術なら天照さえ突破できる。

 

「そして貫通した際に天照の炎を纏っている。この言葉の意味が分からないわけじゃないよね?」

 

マザメの肩から黒い炎が湧き上がる。

 

「っち、炎遁・火具土命!」

 

だがマザメは自分に燈った炎をすぐに消した。

どうやらあいつはこの炎を消せるみたいだ。実に厄介、と言えるレベルじゃないなぁ。

 

「成る程、ならこうするか」

 

今度は口寄せの術を使用して巨大な手裏剣を二枚取り出し、雷のチャクラ性質と風のチャクラ性質を加えて投げる。

 

「手裏剣影分身の術!」

 

更に手裏剣の数を増やしてマザメにへと投擲する。

マザメは黒い炎を使って手裏剣を燃やそうとするも溶ける事はなく、そのままマザメにへと近づいた。

しかも風遁のチャクラが篭った手裏剣は黒い炎を纏って強化されている。

風遁のチャクラは火遁に弱い。本来なら火と風のチャクラ性質を持つものが互いにぶつかると火の方が勝利する。だが手裏剣を軸として風遁のチャクラがあった場合ならそれはまた違う。

風遁によって強化された手裏剣が炎を喰らうとその炎を纏ってマザメにへと向かう。

これには流石のマザメも驚きを隠せないでいる。

 

「須佐能乎!!」

 

だけどマザメも反応が悪くない。すぐさま須佐能乎を出して防御する。

 

「流石にその術を突破するだけの攻撃力を持った術は無いね」

 

尾獣化してからの尾獣玉でも恐らく破壊は不可能だろう。

だけどあの術は完全状態の万華鏡写輪眼でなくては全身に酷い激痛が走ると言うデメリットがあるからやりようはある。

とは言え、少し時間がかかるだろうけど。

 

「影分身の術、からの火遁・断罪炎――――銃!」

 

一体自分の分身を出してマザメに特攻させてから僕は人差し指をマザメにへと向けて炎を放つ。

放たれた炎はマザメの須佐能乎を貫く事はできなかったが動きを封じ込める。

 

「くらえ、マザメ!!」

 

クナイを持った影分身の僕がマザメにへと接近する。

 

「っく、天照!!」

 

マザメは血の涙を流しながらも影分身に黒い炎を放つ。

無論、その術の対策は既に施されている。

 

「カッ!!」

 

影分身の僕の体から赤いチャクラが放たれ、身体に点いた黒い炎を弾き飛ばす。

やはり、あの天照とか言う黒い炎は対象を燃やし尽くすまで消えない。だけどあくまで燈るのは表面だけだ。ならば最初からチャクラを薄く纏っていれば良い。

 

「まあその分チャクラも消費するけど対策としてはこれで大丈夫だ」

 

そして影分身の僕は螺旋丸を両手に作り、それをマザメの須佐能乎にへとぶつけた。

すさまじい爆音を鳴らしながらチャクラの鎧を削っていく。断罪炎の銃で衝撃を与えていたところを狙っているというのに何て堅さだ。

 

「断罪炎!」

 

螺旋丸のダメージが消える前に両手に炎を灯してラッシュを叩き込む。

断罪炎の攻撃は外部破壊をメインにしている。いくら防御力が非常に高い須佐能乎でも複数もの攻撃とダメージを与え続けられれば確実に破壊できる。

 

「っく、このぉ!」

 

マザメの肩から呪印が浮かび上がり須佐能乎を浸食していく。

すると硬度が高くなり、断罪炎の連撃で砕けそうになっていた筈の須佐能乎がびくともしなくなった。

 

「ちょっ、それは堅すぎ」

「うらぁ!」

 

マザメは須佐能乎の腕を力強く振り抜いて影分身を引き剥がす。

自分を保つことが出来なくなるほどのダメージを受けた僕の影分身はボンッと音をたててその場から消え去った。

 

「やっぱり強いなぁ…………」

 

マザメはまるで感心するかのように、いや、改めて実感するかのようにそう漏らす。

それはこっちのセリフだと悪態を付きそうになるものの何とか抑え込む。

分かっている。マザメが天才であるなんて最初から分かっているんだよこっちは。凡人の僕がどれだけ逆立ちしたって勝てない、そう思わせるような才能の塊だ。

正直な話し、ここが中認試験の会場でなければ既に瞬殺されているだろう。

そも、凡人は天才には絶対に勝てない。そんなものはフィクションの中の話しだけだ。

最も戦いに関しては戦闘経験や努力をしまくって才能を開花させるのもいるけど。

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

一気にペースを上げすぎて辛くなった身体を荒い呼吸で無理矢理整える。

 

「…………なぁ、一つ聞いても良いか?」

 

この際だ。随分と聞けなかったことを聞き出すことにするか。

 

「どうしてあの時、僕ごと狙ったんだ?」

「あんたなら避ける。いや、例え避けれなかったとしてもあんたなら無事だと思ったからだよ」

「そんな信頼嬉しくねぇよ。それで僕は家から追い出される羽目になったんだぞ?」

 

恨みを込めた声音でマザメに対してそう言い放つ。

するとマザメは信じられないことをほざいた。

 

「おいおい、あれは俺も予想外だったんだよ。お陰でお前に変な虫がついちまったからな。お前には俺さえ居れば良いってのにな」

 

―――――――――ん?

 

「ちょっと待って。言っている意味が理解できない。と、いうよりも頭が理解を拒んでいる」

「はぁ…………頭が残念な我等がお兄様にも分かりやすく丁寧に説明してやるよ」

 

そう言ってマザメは息を吸い込む。

 

「俺はお前を愛している。それだけだ」

 

一瞬、時が止まった。

凍り付いた身体を動かしてミナト達を見やる。

そこには「ついに知ってしまったか」と顔で語っている姿が。

今度は何年も会っていなかった両親を見る。

気の毒そうに僕を見ていた。まるで「すまない」と謝罪しているような感じだった。

 

えっ、もしかして知らないの僕だけ?

 

「い、イヤァアアアアアアアアッ!」

 

とりあえず叫んでしまったが無理はないと思う。

ずっと憎んできた弟がクレイジーサイコホモのブラコンだった。

 

こんなの予想できるか。




と、いうわけでイナバの憎しみが終了しました。
これからは恐怖になるでしょう。

まともな憎しみだと思ってた人、この作品の敵がまともなわけないだろうが(逆ギレ)!


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紅蓮に燃え盛れ

約四ヶ月ぶりの更新です。
若干書き方を忘れていました(´∇`)

取り合えず楽しんでいってください。


「断罪炎!!」

 

我が愚弟、と言う擬態を被った予想外にして予測不能の怪物であるうちはマザメの衝撃的な発言と貞操の危機を感じ取った僕は両手から断罪炎を使い、空に逃げた。

一刻も早くこいつから逃げたかった。

少なくともあんな奴を相手にできるわけがなかった。

 

「何だよ、空も飛べるのか。でも空中戦が兄さんの専売特許じゃねぇんだぞ?」

 

だが世界は無慈悲な現実を突きつける。

マザメの全身は黒い痣、呪印に染まり、人間離れの姿を見せる。

そして背中から巨大で不恰好な羽を生やして空を飛んだ。

 

『キャー! イナバ様とマザメ様が空を舞ったわ!!』

『麗しの兄弟愛ネッ! 憧れちゃうワッ!!』

『さぁ、今こそ禁忌に染め上げられた禁断の愛を見せるのだ!』

『ホモォオオオオオオオオッ!!!!!』

 

そして木の葉の住人はそんな僕らを見て訳の分からないレベルで発狂をしている。

嗚呼神様…………僕が何かしましたか?

 

「お前の今までの行いを思い返して見るんだってばね」

「自業自得」

「解せぬ」

 

クシナとルナの発言は明らかにおかしかった。

僕はただ自分以外の人間がホモに目覚めてしまい、それで男に寝取られた女を見て嘲笑いたかっただけなのに…………!

 

…………流石にそれは嘘だ。

 

僕はあくまで二次元のホモ、BL、薔薇は大好きだ。

三次元も平気だしむしろ良いとも思っている。

だけども僕はノーマルだ。女の子が大好きだし、むしろ性的な対象は女の子だけだ。

そんな僕が何故このような目に遭うのだ神様。

 

…………一瞬、婚約者に恋人だった男を寝取られた何処かの国のお姫様と青いツナギを着た良い男に掘られ続けている霧隠れの里の忍びを連想してしまった。

忘れよう。僕には全く、一ミリも心当たりがないんだから。

 

「さぁ、もう逃がさないぜ兄さん」

 

マザメの言葉が死刑宣告同然に響いた。

畜生、今すぐ逃げ出したい。と、言うか負けたらヤバイ。

 

「火拳!!」

 

有無を言わさず放ったのは断罪炎のバリエーション技。

その一撃は遠く離れたマザメに向かって突き進む。

だがその攻撃が当たることはなく、突然現れたチャクラの盾によって防がれてしまう。

 

「須佐能乎」

「やっぱり使いやがったか…………なら火銃(ヒガン)!!」

 

人差し指と中指をマザメに向けて火の性質を持ったチャクラ弾を連射する。

その攻撃はマザメの須佐能乎の壁を乗り越える事はできなかったが次第にチャクラの壁を砕いていく。

よし、こちらの攻撃は通じているな。この勢いを保っていけば…………!?

 

「ぐぁっ!?」

 

突然発生した黒炎によって僕の身体が包まれる。

不味い、天照は僕じゃあ消せない。

直ぐ様チャクラを全身から放出してカキ消す。

 

「流石は兄さん! 天照さえも凌ぎきるか!」

「神火・不知火!! 蛍火・火達磨!! 十字火!!」

 

連続して火遁の攻撃を繰り出していく

だがその攻撃はマザメに決定的なダメージを与えることができなかった。

 

「ぐは…………」

 

だけど須佐能乎は完全な万華鏡写輪眼でなければダメージが入る。

特に須佐能乎を破壊して与えたダメージは蓄積していく。

このまま戦いを続ければ先ず間違いなく僕が勝つ。

そう、あいつがこのまま戦いを続ければだけど。

 

「悪いな…………少しこの術を使うのは止めるぜ」

 

万華鏡から通常の写輪眼に戻して僕に向き直る。

マザメは口から血を流しており、想像以上に疲弊している様子を見せる。

どうやらあの状態はマザメにとってかなりきついらしい。

と、なるとこれが最後のチャンス、と言うわけか。

 

「…………覚悟、決めるしかないか」

 

本当ならこんなところで使うつもりじゃなかったんだけど………負けて貞操を奪われるくらいなら死んだほうがマシだ。

 

「何だよ兄さん、諦めたのか?」

「まさか、誰が諦めるか。諦めてたまるものか…………!」

 

そうして身体から尾獣チャクラを火の性質に変化させて放出する。

これが僕の奥の手、チャクラを放出することで一気に強化される。

その分、疲れるけどこうでもしないと僕に勝ち目は無い。

 

「…………何だよ兄さん、それ――――」

 

マザメか言い終わる前に攻撃を仕掛ける。

強化された身体で瞬身の術を放ったことにマザメはまともに攻撃を受ける。

 

「がぁっ!?」

 

例え写輪眼で見ることが出来たとしても身体までは対応できない。

ぶっちゃけこの術今考えついた術だから。

それにしても初速遅いなぁ。いや、いつもに比べれば十二分に速いと言えるけど。

そう思いながら何度もマザメに攻撃を加えていく。

このまま押していけば勝てる。そう考えた瞬間、僕の右腕が掴まれる。

 

「ふ、はははは! 掴まえたぜ兄貴!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!! は、離せぇえええええええええ!!!」

 

マザメに触れられたことで半狂乱に陥る。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いッ!! 一体僕が何をしたと言うんだ!!

 

「それが分からないからこうなるんだってばね」

「自業自得」

 

うるさい二人とも!

 

「さぁ、空じゃなく地面に落ちようか!」

「離せぇえええええええええ!!」

 

空を飛ぶ為に使っていた断罪炎もバランスを崩したせいで地面に落下する。

幸いにも受け身を取ることが出来た為、マザメの手から逃れることができ、距離を取る。

 

「っち、逃げたか…………そろそろ諦めて俺の手中に堕ちろよ」

「いーやーだー! 誰がお前なんかの手中に堕ちてたまるか! 蝦蟇油田!!」

 

口から油を吐き出して地面全体に油を撒き散らす。

 

「この状態も長くは続かない。だからとっとと終わらせるよマザメ!!」

「はっ、まだまだ終わらせねぇよ」

 

マザメも服や口から蛇を出して術を発動しようとしている。

 

「大炎戒!!」

 

自らの身体から放たれる炎は円を描きながら油に引火し、巨大な炎が地面に溢れる。

そしてその炎を断罪炎という接点を持ち、小型の太陽に進化する。

これは僕が今持つ最強の術――――!

 

「炎帝ッ!!!」

 

そして僕は巨大な火の塊をマザメに向かって投げ付ける。

 

「火遁・蛇連豪火球の術!!」

 

マザメは自身や蛇の口から豪火球の術を放つ。

互いに放った術は真っ正面からぶつかり合い、巨大な爆発音が響いた。

それと同時に誰かの会話する声が耳に入った。

本来聞こえる筈の無い声音はかつて聞いたことがあり

、小さく呟いた。

 

『――――では、これから木の葉の里に大規模な襲撃を仕掛ける!』

 

…………えっ?



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中忍試験は終了ですか――――誰か助けてください

昔、ある漫画家はこんなことを言いました。
「読者が引くようなことをしろ」と。
恐らくこの話を見た読者はこんなことを思うでしょう。

作者の頭、大丈夫か――――と。


あ、小説家になろうで現在連載している死炎勇者の紀行録をお願いします(宣伝、もといステマ)


マザメの術とぶつかり合った瞬間、それは突然現れた。

霧隠れのマークをあしらった額宛をした筋骨隆々とした者達が観客席に現れた。

幸いにもミナト達の居る場所とは反対方向に居たため、今のところは問題が無さそうだ。

術のぶつかり合いを止めて、マザメと同時に地面に足を着ける。

流石のマザメもこの状況下で戦うことはしないらしい。

 

「んだよあいつ等。折角兄さんを気絶させてその間に×××をしようとしたのに」

 

訂正、今すぐ逃げないとこっちがヤバイ。

って言うかこいつ、さっきから僕のお尻ばっかり狙ってきやがって…………お陰でこちとらマジで怖かったんだぞ。

 

はてさてそれはそうとしてどうするかこの状況。

 

そう思いながら突然現れた連中に目を向ける。

 

奴等が付けている額宛は血霧の里で有名な霧隠れだ。

 

霧隠れにはあまり良い思い出が無い。

あるとするのなら栗霰だか串霰だかは知らないが全裸でホモに掘られ続ける悪夢を見ながら死んだという情けない死に方をした奴。あれはあまりにも酷かった。何処の誰がしたかは知らないがよくもまぁあんな人でなしどころか人の尊厳を踏みにじり、その上男のプライドをへし折るような真似ができるものだ。

そんなこと僕、聖人君子とまではいかないが比較的まともな僕には出来ない。

 

もう1つ、印象があるのはあの3代目水影だろう。

何だよローション水龍弾の術って。

よくもまぁそんな術を考えたものだ。僕も人のことはよく言えないがそんな術を考えるなんてまともな神経していないよ。

ただこれだけは言える。あいつは強かった。

今でも思い出せる。僕たち自来也班はあいつにふるぼっこにされた。

あんな変態なのに――――――――、だ。

 

「ん?」

 

霧隠れの忍を見ているとある違和感に気が付く。

現れた忍びの外見は完全に世紀末世界のモヒカン、つまり蹂躙される存在のそれだ。いや、世紀末世界って単語も意味も分からないけど。

ただモヒカン達は男一人くらいなら絞め殺せそうなほど太い丸太のような腕、奇抜で絶対に真似したくない髪型をしている。

一見してみればそちらに目が向くだろうが僕はあることに気が付いた。

 

そのモヒカン達に胸が、つまりお○ぱいがあるということに――――。

 

「あれ女――――!?」

 

衝撃の事実に思わず叫んでしまう。

それと同時にマザメのクナイが首に突き立てられた。

 

「兄さん。俺と一緒に居る時は女なんかを見ずに俺だけを見てくれ」

「うっさいクレイジーサイコグラビティホモッ! こちとらそれどころじゃねぇんだよ!」

「そうか。兄さんはタチが良いのか。分かったよ兄さん。俺がネコになるよ」

「黙れッ! この、シュレディンガーのホモがッ!」

 

畜生、こんな時だけ用語が分かってしまう僕の黒が混じった虹色の脳みそが憎い。

てか僕は突っ込みじゃねぇよな。本来はボケてボケてボケまくってクシナを怒らせる立場だよな。

何で突っ込みしてるんだよ。

 

「もう兄さん。突っ込むだなんて…………そんなはしたないことを」

「お前にとって都合の良い言葉だけを見るんじゃねぇよ。てかどうやって僕の心の中を知ったんだよ」

「愛だよ兄さん。俺の愛は世界中の誰よりも重い」

「理由になってねぇよ」

「関係無いんだよ兄さん。愛の前には全てが優先される。ただそれだけのこと」

「意味が分からないよ」

 

本当に嫌だよこいつ。

誰か僕と立場交換しようぜ――――って、もし変えたらこいつのことだから「兄弟じゃなくなったんだから合法だよ兄さん」とか言ってきそう。

僕が多少Mっ気があるのを加えてもきつい。これでマザメが女なら――――あ、やっぱ駄目だ。僕なら兎も角他の人達に危害を加えるのはダメだ。

流石にそこら辺は調教、もとい教育する必要がある。

とは言え、マザメは怖い。だからあまり関わりたくない。

 

「てか、あれは一体どういうことだよ。何で霧隠れの忍びが木の葉の里に…………見張りはなにやってるんだ?」

 

この場合は既に死んでいると仮定するけど、なんか嫌な予感がする。

というか、さっきから肛門の辺りが物凄くムズムズするんだがどうしたものか。

そう思っていると高らかに笑いながら一人の男が現れた。

 

その男はガーターベルトとボクサーパンツを装備し、顔に女もののパンツを装備したマッチョメンこと3代目水影、多々良真琴であった。

 

「ぶっ!」

 

思わず吹き出してしまう。

そしてそれは観客席に居たミナト、クシナ、自来也先生も同じような反応をした。

 

「ど、どうしてあいつがここに!?」

「兄さん。俺と一緒に居る時は他の奴の話しはしないでくれ」

「うん。ちょっと黙って。300円あげるから本当にちょっと黙ってて」

「兄さんの処女が良い」

「少し黙れ」

 

何であいつがここに居るんだ? あいつ仮にも3代目水影だろう?

あ、今クシナが発狂した。

あいつあのモッコリを直に握ったことがあるんだよな。

ミナトのじゃないし、まぁ発狂してもおかしくないか。

 

「諸君! 我輩が3代目水影、多々良真琴である!」

 

突然、変態仮面が高らかに言い放った。

おい木の葉の里の忍びよ。仕事しろよ。

 

「突然のことだとは思うが無礼を承知で言わせて貰いたい」

 

変態仮面はその手に持ったマイクを口元に近付けて言い放つ。

 

「簡単に言うとこれからうちの里の喪女軍団が貴様らを誘拐、もとい逆レしに回る」

 

頭おかしいんじゃねぇの?

 

「その為、敵国の忍び諸君よ。割りと洒落にならないから逃げてくれマジで。それでは!!」

 

そう言って変態仮面は水にへと変化した。

ああ、あれは水分身だったのか。そう思う前に世紀末女(?)たちが騒ぎ始めた。

 

「俺は処女を捨てるぞ、ジョジョー!」

「ふひひひひ。男の子が一匹、男の子が二匹、男の子が三匹――――」

「ねぇそこのお兄さん。ちょっと私と一緒にホテルまでお茶しないー?」

「逆光源氏計画」

「嫌がる男の子にトラウマを残す。ありだと思います」

 

明らかに言っていることがヤバい。

だが僕たちは木の葉の忍びである。この程度の敵ぐらいものともしない。

そう考えようとした時、霧隠れの喪女軍団から何人かの木の葉の忍びが出て来た。

 

ただその姿は異常だった。

外見はまるで幽鬼かミイラでも連想させるかのように痩せ細っており、その顔は絶望と恐怖に染まっていた。

そう、それこそが奴等に捕らえられた者の末路であるということだ。

 

それを見た瞬間、誰かが悲鳴をあげた。

 

ある者は逃げ惑い、ある者は奴等に戦いを挑んで返り討ちにあった。

 

ミナトはミナミに変化した。

 

中忍試験はこれにて終了し、この日から三日の間を後に地獄の三日間と呼ばれることを、今は誰も知らない。




次の章はたぶんバイオハザードのようなストーリーになります。


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絶望ですか?

待たせたな、何とか今年に間に合ったぜ(何とか)
中々内容が思い浮かばず、更新が遅くなりました。

それはそうとなろうで新しく作った

・異世界転生系ファンタジー
「異世界に転生してドラゴンになりました」

・近未来荒廃系ファンタジー
「龍刃のディザスター」

も、よろしくお願いいたします。

兎に角、更新速度早めなきゃなぁ…………イナバにトラウマ植え付けなきゃ(使命感)


悲劇とは何か、それは様々な形があるだろう。

具体的には親しい人が亡くなるとか、大切なものを紛失したりとか。

 

――――だが神様よ。いくら何でもこれはねぇだろ。

 

「うわーん、ママー!!」

「そうよ! これからは私がママよ!」

 

観客席で一人の少年の身ぐるみが剥がされる光景を見て、逃げながらそう思った。

あれが捕まった者の末路か…………。

 

「ミナト助けて――――」

 

助けを求めようとミナトが居る場所に目を向ける。

 

『ミナト、何してるってばね?』

『えー、ミナトって誰? 私はミナミだよー』

 

あの野郎、一人先に逃げやがった。

しかも何だよミナミって、変化して女に化けて――――そうだ! 僕も変化を使えば、

 

「うぉおおおおおおお! 兄さぁああああああん!! うぉおおおおおおお!!」

 

無理ですね。いつの間にかマザメも僕を掘ろうと追いかけて来てるし。

てか何だよあいつ。何で僕の尻を付け狙うんだよ。

そう思いながら影分身をし、撹乱を狙う。

当然、マザメは写輪眼があるからきかないけどそれ以外には有効だ。

 

「断罪炎!」

 

断罪炎を使い、推進力を利用して宙を舞う。

 

「何で逃げるんだよ兄さん!!」

「あんらぁ僕ぅ、あたしとお茶しなぁい?」

「俺はホモだ! 誰がするか!!」

 

上空に逃げた僕は下で繰り広げられる光景を見て助かったと思う。

もしあれに巻き込まれてたら今頃僕の貞操ほ食い散らかされていただろう。

 

「取り敢えず一刻も早く逃げなくては」

 

状況が状況だから里の外に一時避難するわけにもいかない。

てかそれやったらマジで抜け忍になっちまう。

そんなことを思いながら空を飛んでいると何かが僕に向かって飛来してきた。

突然飛んできたそれに僕は思わず驚愕の声を漏らしてしまう。

 

「って、ルナっ!?」

「だーいぶ」

 

自分目掛けて飛んでくるルナをキャッチする。

両手から左手だけで飛行することになってしまい、バランスを崩してしまいそうになるが直ぐに平静を取り戻す。

 

「ちょっ、何してるのさルナ!! いくらなんでも危な――――」

「かいがんかいいん」

 

突然ルナの手が僕の瞳を貫いた。

 

「目に指がー!!!」

 

凄まじい痛みに思わず泣き叫んでしまうが無理も無い。

むしろ予想してたって耐えられるかこんなもの。

 

「いきなり何を――――」

「ふーいんを解きにきた」

「あらありがとう。でも目にやる必要は無かったんじゃないかな?」

「てへぺろ」

「あーもう。お漏らし娘の癖に――――って危なっ!!」

 

下からチャクラで出来た腕が自身に襲い掛かってくる。

チャクラの腕は間違いなく須佐能乎――――!!

その事に気が付いた僕は暫くの間使う機会が無かった左目の力を使用する。

 

「刹那!!」

 

瞬間、世界そのものの時間が制止する。

 

「時は止まった」

「かっこつけてないではやくにげる」

「分かってるよ。断罪炎・放射!」

 

時が止まった世界で僕はルナを器用に抱え、両手から炎を出してその場から逃走する。

それから体感で五秒が経過し、刹那の効果は終了する。

 

「――――おのれ、兄さん! そんなに幼女が良いのか!!」

 

須佐能乎を展開し、僕に迫ろうとするマザメの戯言を無視しつつ、僕は更に加速して亡者(意味深)が溢れる会場から脱出する。

あいつはあいつで何を言っているのか全く分からないし理解したくも無い。だから無視しようそうしよう。

そう考えながら空を飛んでいると突然、水が飛んできた。

 

「は――――?」

 

全身に水がかかったことにより断罪炎の火が消え、落下を始める。

何で水が身体にかかったのか、その事を理解するのはそんなにかからなかった。

 

「かまーん」

 

そう、下で僕らを待ち構えている怨霊(行き遅れ)達を見れば誰だって分かるだろう。

 

「…………ルナ、少し荒っぽいことするからゴメンね?」

「わかった」

「影分身解除、からの――――尾獣化!」

 

あることをしていた影分身を自分に還元してから九尾の力を使って尾獣化する。

そして腕を伸ばして遠くにある柵を掴む。

 

「あーああー♪」

「………じつは余裕ある?」

「そんなに無い、今すぐミナトの所に行きたい。まぁ今会場に行ったら餌食になるから行かないけど」

「だとうなはんだん」

 

ルナの言葉に苦笑いを返す。

正直な話し、ミナトなら大丈夫でしょ。てかミナトがクシナ以外の女に逆レされてるのは想像できない。

いや、クシナはヘタレだからそんなことはありえないだろうけど。

 

「ヒャッハー!! 女は殺せー! 男は○せー!!」

「さっきから教育に悪すぎるんだよ!! 仙法・断罪炎・九尾ラッシュ!!」

「ヒデブ!!」

 

赤黒いチャクラの尻尾に火を灯して近くに居た亡者(真)を殴り倒す。

さっき影分身に自然エネルギーを蓄えさせて無理矢理仙人モードに入ったとはいえ、単体じゃ

畜生、数が多い…………!!

こうなったらあれをやるしかない!!

痛いし疲労が凄まじいから本当はやりたくないんだけど…………!

 

「仙法・須佐能乎!!」

 

自分の身体からチャクラ放出し、チャクラで出来た骨格を形作る。

その鎧を作るだけで身体に負担がかかるが仙人モード、尾獣モードの重ねがけが負担を和らげる。

どうやらこれなら連続して使えるかもしれない。

そう考えた僕は更に須佐能乎の力を行使し、鎧に肉を着けていく。

正直、ここから先は僕もやったことがないからどうなるのか分からない。

 

「ぐぅ…………」

 

身体にかかる負荷が強くなっていくにつれ、須佐能乎は次第に人の姿を取るようになる。

その姿は着物を纏った女性のような姿であった。

ただしその額には角が一本生えており、その手には薙刀のようなものが握られている。

その後、須佐能乎の顔に仙人モードと同じ隈取りが出現する。

 

「失せろ! 変態どもがぁ!!」

 

僕の須佐能乎は槍を大きく振るい、近くに居た亡者を切り払う。

亡者は「うぎゃああああ!!!」と悲鳴を上げて吹き飛んでいく。

うん、結構凄いな。

九尾チャクラと仙人チャクラの両方を使って強化しているとはいえ、ここまで強くなるのか。

流石は万華鏡写輪眼の力というべきか。

 

「よし、このまま逃げ――――」

「逃がさねぇぜ。兄貴ィ」

 

ぞわりと背筋が凍り付いた。

このネチッコイ嫌な気配は正しくマザメそのもの、その事を理解したのは真上から何かが落ちてくるの見た時だった。

 

「何だあれ…………?」

 

空から降ってくるそれは、黒いチャクラの鎧に包まれた百足のような大男であった。



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腐男子VSホモですか?

おらぁ、連続更新だ!!
ようやく決まったよ、グダグダしている中忍試験編の終わりがよぉ!

畜生、阿部さん出したい、変態仮面出したい!!

読者がドンびくようなことがしたいよぅ(嘆き)


ガキンと、まるで鉄でも打ち合うかのような甲高い音が響いた。

音の出所は僕とマザメの須佐能乎が持つ刀と槍で、それが互いにぶつかり合ったことによって出たのだ。

その衝撃は凄まじく、ぶつかり合ったことで周囲にある建物に亀裂が走っていた。

 

「なんつー、衝撃!!」

 

須佐能乎の中で守られていたから無事とはいえ、こんなのまともに受けたら死ぬぞ!?

てか里が襲われてるってのにこの馬鹿は一体何をやっているんだよ!

ここは兄として、人として、一人の忍びとして言っておかねば…………!

 

「おうこらマザメ、今里がどんな状況か分かっているのか?」

「ハァハァ、ニイサン…………ニイサンニイサンニイサンニイサン、ニィイイイイイサアアアアアアアアアン!!!」

「無理、やっぱ無理。これは無理」

 

マザメの変貌振りに思わずドン引きしてしまう。

ここまで会話を行うのが無理な相手は会った事がない。

長年憎んでいた奴が自分に異常な好意(性的な意味で)を抱いていて、しかも病んでるとか…………自分でなくても発狂しそうだ。

 

「…………己の趣味に傾倒しているのは意外と似ている」

「止めて。流石にここまで酷くはないです」

 

ルナの僕に対する評価がすげぇ酷い。

いくらなんでもこの馬鹿と同等の評価をされるのは心外すぎる。

 

「ニイサン、ニイサンノ○○○ヲシャブリタイ。ニイサンノ○○○○ヲツラヌキタイ…………!!」

「…………やっぱり兄弟」

「いや、僕は実際には行っていないからね。せいぜい物語の中だけだし」

 

しかしどうしたものか、この馬鹿をどうにかして撒く必要があるのだが。

 

「ルナ。目を閉じてて」

「分かった」

「と、言うわけでマザメぇ! プレゼントだオラァ!」

 

 

懐に隠していたある物をマザメに向かって投げつける。

自分の須佐能乎の口から出たそれをマザメは目を輝かせながら須佐能乎から飛び出してキャッチする。

よし、今だ!!

 

「目でも眩んでろ!!」

 

次の瞬間、マザメに向かって投げたものは強烈な閃光を放った。

 

  ×××

 

「イナイ、ドコニイッタ…………」

 

強烈な閃光を直視してしまったマザメの瞳は現在、視力を一時的に喪失していた。

恐らくそう時間も経たない内に視力は戻るだろう。

しかし、マザメにはその時間さえ耐えられなかったのだ。

 

何年も待ち続けたのだ。何年も何年も、気が狂いそうになるほどに。

 

だからこそ一時的に視力を喪失したマザメの嗅覚は進化を遂げた。

 

「コッチカ!!」

 

どうやら先ほどの会場に戻ったらしい。

そう判断したマザメは四速歩行でたった今出て来た会場に戻っていった。

 

マザメの姿が完全に見えなくなってから数秒後、

 

「どうやら居なくなったみたい」

「よし、出ようか」

 

地面の中に隠れていた僕とルナは外に飛び出した。

 

「ゲロゲロゲロ、蛙は土の中で冬眠するものよ」

「匂い消しは役に立った?」

「うん、すっげぇ役に立ったよ。あいつの嗅覚やっぱり異常だわ」

 

あの閃光玉を投げつけた後、僕はルナが持っていた匂い消しを使って地面の中に潜り込んだ。

正直視力を使えなくしただけじゃぁ見つかるとは思ってたけどまさか犬のように嗅覚まで発達させるとは。

大蛇丸さん。あんたの技術はすごいけど間違った奴に与えちゃいけないよ。

 

「さて、これからどうするか…………」

 

これからどうするかを考えながら長刀・縫い針の糸に風遁のチャクラを纏わせ、霧隠れのヒャッハーどもを惨殺する。

 

「出来る限りあそこには戻りたくないんだよなぁ」

 

あそこには人としての尊厳を失い、絶賛怪物に進化しているマザメが居る。

あいつは僕と離れてた方が良いだろう。僕の精神衛生上的に、あいつを上手く運用するにあたっても。

 

「ここでヒャッハーを倒し続けるのはチャクラ切れになりそうだし…………兎に角中忍になれるよう手柄も上げなきゃだし」

 

流石にこうなってしまっては中忍試験も台無しだろう。

と、なれば今回の騒動でどうにかしなくてはならないのだ。

 

「流石に僕も中忍にならなきゃなぁ、ミナトとクシナだけ中忍で僕が下忍だったら迷惑になるだろうし」

 

やっぱり僕だって中忍にはなりたい。

こんな僕でもあの二人についていけるように。

 

「しかしどうしたら良いものか。螺旋丸サンドイッチ」

「ぶちゅんっ!?」

「螺旋大砲、爆弾螺旋丸、螺旋丸ヨーヨー」

「ひでぶ!?」「たわらば!?」「ちにゃぁ!?」

「すごーい、人がまるでごみのように吹き飛んでいく」

「流石はミナトだ。こんなにも応用力のある術を開発するなんて、見習いたいくらいだ」

「イナバも同じくらい凄いと思うけど」

「残念ながら僕はそうでも無いんだよ。僕は凡人だから」

「嘘だっ」

「残念ながら嘘じゃないんだなーこれが。火遁・火蓮」

「な、なんだ! 火で出来た蓮の花が……うぼぁ!?」

「ああもう!! 鬱陶しいったらありゃしない! これが男だったなら無間薔薇地獄使って終わらせるのに!!」

「マザメに使えば良かったんじゃないの――――ごめん、忘れて」

「あいつには絶対通じないでしょ。あそこまで変体なんだから、二重の意味で」

 

最早僕の中でマザメは禁忌の存在だ。

あいつには勝てない。勝とうとする気力を失ってしまう。

それにしてもこいつ等弱いなぁ、もしかして下忍か? そうであってほしいなぁ。

 

「はてさて、どうしたものか――――ん?」

「どしたの?」

「少し静かにしてて。何やら怪しい連中が」

「…………最初から怪しいと思う」

「ごめん。返しようが無い」

 

とはいえ、ルナも気づいたのか黙り込む。

物陰に隠れて様子を伺いながら怪しい、元から怪しいが更に怪しい行動をしている連中を監視する。

当然、写輪眼を使ってだ。

にしても写輪眼ってのは便利なものだ。遠くに居ても口の動きだけで話している内容が分かるなんて。

 

「ふむふむ、成る程」

「何を話してるの?」

「初代火影の遺体を手に入れる、それが無理でも髪の毛一本でも手に入れることだってさ。どうやら初代様の木遁の秘密を知りたいみたいだね」

「…………ねぇ。さっきの男の人を手に入れるってことよりもこっちの方が重要な案件じゃないの?」

「多分だけど霧隠れの里はいっちゃいけない方に迷走してるんだよ多分」

 

最近では霧隠れは木の葉隠れの里よりも別次元に行っているとかいう話もあるし。

さて、ちょっと僕だけで処理するには難しい案件が来たな。

こういう時こそ、友人だよね。

そう思いながら耳元につけてる通信装置の電源をつける。

 

「あ、自来也先生にミナトにクシナ。ちょっと大変なこと知っちゃったんだけど聞いてくれないかな?」

 

この時、僕は知らなかった。

まさかあの時の因縁がそこまで近づいていることに。



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因縁再び、ですか?

スランプに走り、この作品が黒歴史になってしまってから二年近くが経ちました。
既に原作が完結し、BORUTOが始まった中でこの作品かなり原作と矛盾している所とか多いです。その上黒歴史から始まった作品でもあるので中々続きを掛けなくて…………。
そのせいでちょっと続きも書けなくなり、凍結してしまいました。

既に忘れた人も多いかと思います。

ですが最近仕事で疲れることが多い中でこう考えました。

やっちゃっても良いさ、人生なんて黒歴史なんだから、と。

と、いうわけで更新再開です。リメイクを作った? 無かったことにしてください。
今まで待たせてすまんな、待っている人なんていないかもしれないけどゆっくりとやっていきます。

それではどうぞ。


「来たのはミナトとクシナだけ、か」

 

かれこれ二、三年近くの時が経っているような気がしないでもないが、気にしないでおこう。

兎も角、さっきの通信でこの場に集合したのはミナトとクシナの二人で元から居た僕とルナの二人も含めた計四人がこの場に居た。

 

「自来也先生は里で霧隠れの…………忍び? と、戦っているってばね」

「疑問に思うのは当然かもしれないけど多分霧隠れの忍びだよ。僕等はあの変態を知っているでしょ?」

「出来れば無かったことにしたい過去だってばね」

 

うん、その気持ちは分かる。

ぶっちゃけた話、僕だってあの過去は無かったことにしたい。

 

「だけど多々良真琴、彼は尋常じゃないぐらいに強い。かつて初代水影の護衛として五影会談に同行し、更に最も三代目水影として相応しいと評されていた忍びを打倒し、あっという間に霧隠れの里を掌握したんだから」

「変態だからだってばね」

「成る程、納得」

「どうしてそこで僕を見るんだお前ら」

 

本当に二人から見た僕は一体どんな奴なんだろうか。

色々と気になるが今はそう言ったことを気にしている場合ではない。

 

「多分だけど、霧隠れの真の目的は初代火影千手柱間様の遺体、もしくはその細胞を手に入れることだと思う」

 

先程霧の忍び達の会話を読唇術で盗み聞きした際に、そんなことを言っていた。

だから連中の目的は木遁忍術なのだろう。

そう考えているとクシナとルナが手を上げていた。

 

「ん、どうしたんだい? クシナにルナ」

「いや、何で初代火影の遺体を狙うんだってばね?」

「初代火影、既に死んでいる。もう、遺体も腐敗している」

 

どうやら僕が言ったことに疑問を持っていたらしい。

まぁ、普通に考えてそう思うのは当然だろう。忍界において敵の忍びの遺体と言うのは情報の塊だ。

とは言え、それはあくまで新鮮な内の話である。

骨だけになった存在からどうやって情報を取れば良いのだろうか、取れる情報が無いわけじゃ無いが、それでも新鮮な方がより多くの情報が取れるだろう。

きっと彼女たちはそのことを気にしているのだろう。

 

「あー、うん。そう思うのは当然だよね。取り敢えずミナト、説明お願い」

「分かったよ。クシナにルナ、初代火影千手柱間様の遺体は腐っていないんだよ」

 

ミナトの言葉に二人は目を丸くする。

だがこれは仕方がない話だ。っていうか僕だって最初に知った時は目を丸くしたんだから。

 

「初代火影様は死後、何年も経っているんだけど一向に腐敗する気配が無いんだよ。むしろ死んでいる筈なのに彼の肉体は生きているんだよ」

「要するにフレッシュなゾンビってことさ。流石に起き上がったりはしないけど」

「何それ怖い」

「起き上がりそう」

 

流石にこれにはクシナ達の思いに賛成、というか僕だってそう思った。

未だに腐敗しない肉体、明らかにおかしいとしか思えない。だが逆に言えば死んだ今も生きているとしか言えない程に、生命エネルギーに満ち溢れているということなのだ。

だから、あの実験が行われていたんだろう。

 

「そして初代様は木遁忍術で尾獣をコントロールをしていたんだ。写輪眼を除けば尾獣をコントロールできる唯一の存在だと言っても過言ではない。だから木の葉隠れの里では木遁忍術を復活させようと、初代様の細胞、柱間細胞を移植する実験も行われてるんだ。とは言え、その実験も今のところ全てが失敗している」

「移植しても拒絶反応が出たりして、柱間細胞が木に変化しちゃうんだよね。例え移植に成功したとしても柱間細胞のチャクラを抑え込む必要があるし、チャクラを消費し過ぎたら暴走する危険性もあるからね。まぁ、その分移植に成功したらチャクラ量も増大するし術の威力も向上する。その上、自然治癒能力もバカみたいに上がるから。成功してしまえばデメリットを全て帳消しにしてしまえるほどに凄まじい恩恵を貰えるんだよ」

「なんで一個人の細胞がそんなバカげた力になっているんだってばね」

 

その気持ちは分からないでもない。

血継限界というものは五大性質変化に陰陽の性質変化を混ぜ合わせることで新たな性質変化を生み出す性質変化タイプと僕達うちは一族や日向一族のような肉体に発言する特異体質タイプの二種類がある。

この二つは大抵が子に遺伝するタイプのもので、血筋に無い忍びが会得するにはかなりの難易度を有する。

それも前者の方だけだ。性質変化タイプは既存の五大性質変化を持っているならば上手い具合に二つの性質を混ぜ合わせることで新たな属性を会得することが出来るだろう。それでもその難易度はかなり高く、一生かかっても新たな性質にならない可能性もある。

だがこの二つのタイプの血継限界を手に入れる方法も無いわけじゃ無いのだ。

それが移植だ。僕達のような血継限界は、写輪眼や白眼ならば眼を移植すれば良いし、戦闘種族と名高いかぐや一族の屍骨脈のような肉体に発現するタイプなら血液や細胞を移植すればよい。性質変化タイプも同様にだ。

最も眼に発現した血継限界以外はそれでも移植する際の負担がかなり大きく、拒絶反応が出れば死ぬ危険性もある。

 

その中でも柱間細胞はかなりの代物だろう。

 

なんたって移植した箇所が木に変化するんだから。

 

「でもこれで霧隠れの忍びが柱間細胞を狙っているのか、その理由は理解できたでしょ?」

「うん。分かった。でも一つだけ気になることがある。どうして二人はその事を知ってるの?」

 

ルナから投げられた質問に僕達二人は揃って眼を背けた。

言えない、ミナトの飛雷神の術で色々なところに潜入してた時に柱間細胞の実験を見てしまい、つい気になって調べ上げちゃったとか言えない。

 

「ミナト―。どうして眼を逸らすんだってばね?」

「いやー…………ははは。何でもないよ」

「うんうんそうだよー。それよりも霧隠れの忍び達を追おう」

 

言えない、本当に言えない。つい調べ上げちゃった結果、僕達二人で隠れながら柱間細胞を研究してしまい、結果としてマウスの実験で九割ぐらいで柱間細胞を安全に移植する方法を確立させたなんて言えない。

本当に言えないよこんなこと。

 

   +++

 

「仙法・断罪炎・円!!」

「ぐぁぁああああああああああああああああああああ!!」

 

初代火影の亡骸が埋葬されている部屋の前に居た忍達を尾獣化し、尻尾で断罪炎をして薙ぎ払い霧隠れの忍び達を撃退することに成功する。

これで最後だろう。そう思った僕は仙人モードと尾獣化を解除する。

流石に中忍試験で結構チャクラを使ってる為、これ以上の消耗は無理に近い。

 

「ぜぇ…………やっぱり、チャクラも底をついてきたな…………」

 

影分身にはひたすら自然エネルギーを集めさせて仙術チャクラを練っているおかげで闘えるけど、肉体の疲労の方がきつい。

できれば暫くの間は自然エネルギーを集めて体力を回復させたいところだ。

そう思いながら兵糧丸をいくつか齧る。

 

「兵糧丸ってあまり味良くないんだよなぁ。まぁ、チャクラ回復のためだから仕方が無いけど」

 

だが高カロリーでここまで回復するのだから便利な物ではあるだろう。

今全ての影分身を解除して練っていたチャクラを還元したから大分良くなったけど。

むしろここまで回復力を高める九尾チャクラの偉大さよ。

 

「皆、敵はすべて倒したか?」

「僕の方はこれで終わったかな。クシナは?」

「こっちも終わったってばね。全員追い出せたってばね」

「こっちも終わったー」

「…………何でルナも戦いに参加しているのか分からないけど、まぁ良しとしよう」

 

むしろルナって天才なんじゃないだろうか。

誰だよほむら一族が脆弱って、自来也先生の教え方が良かったのかもしれないけど十二分にやっていけるじゃないか。

いや、千手にとってのうずまき一族的扱いだからか。うちは一族のように写輪眼という強力な力を持たず、隠遁に優れた一族っていうのだけじゃネームバリューに欠けるだろう、

むしろうちは一族の強力さは写輪眼あってこそだ。千手一族やうずまき一族にある強力な生命エネルギーが無いのであるならば衰退するのも無理のない話か。

 

「じゃあ、中に入って敵が居ないか確認をしよう。もう中に居る可能性も無いわけじゃ無いからね」

 

ミナトの言葉に僕達は全員で頷き、初代火影の亡骸が安置されている部屋に入る。

 

「やっほー、遅かったな」

 

やっぱりというべきかなんというか、中には既に三代目水影・多々良真琴の姿がそこにはあった。



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再戦ですか?

地震で酷い目にあって停電でスマホが死んで、職場は断水。
割と早く復旧しましたがなろうの方で文庫に応募する用の小説を完成させなくちゃいけなかったので今まで更新できませんでした。
台風で屋根が剥がれるとか、本当に九月は厄月でした…………BSも見れなくなるし。自転車のタイヤもパンクしたのを直したら今度は別のタイヤがパンクするし。

唯一良い事があったのってオータムフェスト(札幌の祭り)で美味しい物を食べれたぐらいでした。

それはそれとしてなろうで完結した終末系日常もの「壊れた世界でも明日は来る」と新しく連載を始めた「能力者の俺がお嬢様学校に通うことになりました」をどうぞよろしくお願いします(ステマ)


「何となくだが分かってはいたんだよ。お前等と戦うってことは」

 

多々良真琴は感慨深そうにそう言い放つ。

三代目水影と言う名を背負っているだけあって、彼から放たれる威圧感はとてつもなく強大なモノだった。

その顔面に被っている女物のパンツさえ無ければシリアスな雰囲気が消えなかっただろうに。

 

「運命ってやつなのかな? あるいは修正力というやつなのか…………運命という名の海に石ころを一つ投げ入れても、大きく変わることはありえない」

「ねぇ。その恰好止めてもらえるかな? 緊張感と言うものが消え失せているんだけど」

「ならば運命を変える為にはどうすれば良いと思う? その答えは起こりえる可能性を全て壊しまくれば良いんだ。徹底的にな」

「ミナト。この変態、ぶん殴って良いかな? あんな奴に無視されているとすっげぇ腹が立つ」

「殴れるようなら僕達はあの時、勝っていたよ」

「…………それもそうか」

 

さっきから意味の分からない事をぶつぶつと呟いている三代目水影から視線を逸らさず、周囲に気を配る。

こんな奴でもその実力は高い、高すぎる。それこそ三代目火影と対等に戦っても問題ないくらいに。

 

「本来三代目水影となるべき男をこの手に掛け、血霧の里を終わらせようとした。実際のところ良い方向に向かっていってるんだよ。ま、他里のお前等にこんな事を言っても仕方がないことなんだが」

「それで、あんたは何を言いたいんだってばね?」

「意味の無い独り言だよ。気にしないでくれ」

「…………やっぱり頭おかしい」

 

クシナにルナは初代火影・千手柱間の亡骸が収められた棺の上に座る三代目水影を見て、少しだけ後退る。

何て言うか、以前あった時と違う雰囲気を感じるのは気のせいだろうか。

出来れば気のせいであってほしいのだが。

 

「とは言え、運命を変えるなんてこと…………人間には重過ぎる所業だよ。いや、そもそも変えられないからこそ運命と言うのかもしれないな。原作改変したとして、良い結末が待っているとは限らないからね。とはいえ既に手を下したわけだが」

「…………あんたが何に黄昏ているのかは知らないけど、それって僕達に関係あるの?」

「無いと言えば無いし、あると言えばあるな。少なくともうちはの小僧、お前にとっては重要だ」

「僕?」

「そうだよ。お前は―――――ここではない自分を覚えているか?」

 

三代目水影の問い掛けを耳にして、一瞬だけ思考の渦の中に入り込んでしまう。

奴が何を言っているのか全く分からない。だと言うのに僕の中の何かが告げている、この男の言葉を理解しないと駄目だと言う事を、取り返しのつかないような出来事に直面してしまうことを。

 

「―――――知らないよ。僕はうちはイナバだ」

 

だが、それに何の意味があるというのだ。

今の僕はうちはイナバだ。自来也班のうちはイナバ以外の何者でも無いのだ。

 

「そうか……………」

 

僕の言葉を聞いて三代目水影は俯く。

 

「お前等今の内に死んでおけ。じゃねぇとこの先碌でも無い目にしか合わねぇぞ」

「忍になった僕等にマシな死に様を期待しろとでも?」

「そういう意味で言ったんじゃないんだがな…………まぁ良い。目的を達した以上、戦う必要は無いんだが…………遊んでやるよガキども」

 

三代目水影がそう言った瞬間、殺意が僕達に向けられる。

遊びは遊びでも命に関わる危険な遊びかよ。心の中でそう思って臨戦態勢をとる。

すると三代目水影は小さく呟いた。

 

「…………犀犬、頼む。ここで死ぬようならそこまでの連中だったと言うことだ」

 

瞬間、膨大な量のチャクラが空間に満ち溢れ支配する。

このチャクラの感じはクシナの中に封印されている九尾に近い質を有しており、本能が今すぐ逃げろと告げている。しかしこの場から逃げ出せるほどの時間など既に無く、三代目水影の肉体は一瞬で膨張し、変質した。

 

   +++

 

「くそぉ…………兄さんは何処に行ったんだ…………!?」

 

マザメは愛しの兄を探しながらも霧隠れの里の忍び、と言う名の世紀末系モヒカン女子達の魔の手から逃れていた。

ゴキブリの如く生えて来て襲い掛かるモヒカン女子の鬱陶しさに辟易していた。

其れもその筈、倒しても倒してもキリなく現れる存在を鬱陶しく思わないわけが無い。

その上、中忍試験でのイナバとの激戦でチャクラは殆ど使い切っていた。

本来ならば疲労とスタミナ切れでとっくのとうに動けなくなっていてもおかしくはなかった。

それでもマザメが今もなお活動し、モヒカン系女子達と戦う事が出来ているのは全て兄であるイナバの存在のおかげだった。

 

「ニイサァン……………」

 

諦めなければいつか、きっと、夢は必ず叶う。

マザメはその言葉を信じていた。信じて今まで耐えてきたのだ。

兄から向けられる憎悪の視線に悲しみながらも喜びを感じ、兄に拒絶された時は絶望に打ちひしがれながらも絶頂した。もしこの場にイナバが居たならば侮蔑と嫌悪感を露わにし、それを向けられているマザメは再度絶頂したことだろう。

本当にどうしようもない奴である。うちは一族が愛情深いとはいえ何事にも限度がある。

 

「ニイサンハドコダァァアアアアアアアアアアアアア!!?」

 

最早怨念にも等しいマザメの叫びは騒乱と狂気に満ちた木の葉の里に響き渡る。

その瞬間だった――――凄まじい轟音が響いたのは。

 

「ん? 何だありゃ…………?」

 

巨大な岩盤が砕け散ったような音がしたことに疑問を抱き、音が鳴った方向に視線を向ける。

マザメの瞳に映ったものは岩肌を突き破って現れた六本の尾を有する巨大な蛭、もしくは蛞蝓、あるいは其れ等二種類の生き物が合体したような怪物だった。

その身から溢れる莫大なチャクラは、空気中に漂っているものだけの量でも常人が有するチャクラの何十倍もある。

とてもではないが人間が太刀打ち出来るような存在では無いと思ってしまう程に、突如として里に出現した怪物にマザメは恐怖を覚えてしまう。

 

――――しかし、その直後にマザメは尊敬の眼差しを怪物に向けた。

 

怪物から放たれる圧倒的なまでの変態オーラを感じ取ることが出来たからだ。

 

ここで一つ説明をしよう。

変態オーラとは真の意味で人間(としての尊厳と誇り)をやめちゃった頭の螺子が緩むどころか外れてしまった人間だけが発する事が出来るチャクラとは全く別のエネルギーである。

感知する事が出来る者は同じ穴の貉と化した人間のみで、どれだけ人間をやめているかでその濃度が決まる。

怪物から放たれる濃度はマザメが放つ濃度の十倍以上、とてもでは無いが太刀打ち出来るような存在では無かった。

 

「な、なんてことだ……………世界にはあんな存在も居るのか…………」

 

もしここにイナバが居たら「感心するようなモノじゃないだろう」とツッコミが入っただろう。

ちなみにイナバはこの変態オーラを感知する事は出来ない。ファッション系腐男子では真の変態に勝つことなど出来ないのである。

 

「俺は…………間違っていたと言うのか…………」

 

膝をつき、絶望に打ちひしがれる。

しかし、逆に言えばマザメはまだまだ浅い、まだまだ深い所に行くことが出来ると言う証明だった。

 

「…………俺もまだまだだな。これからも精進しなくては…………」

 

一人納得してしなくても良い成長を誓うマザメ。

そんな彼の視界に地面から湧き出て来た複数の水柱が映り込んだ。

水柱は粘性を得ており、それ自体が触手のようなものだった。

そしてその触手に絡みついている四人の人影、その内の一つにマザメにとって愛しい兄、イナバが捕まっていた。

 

「に、兄さんの触手プレイだとっ!!?」

 

マザメは目の前で起こっている状況にごくりと喉を唸らす。

 

「こうしちゃおれん! 俺も参戦だ! 待っていてくれ兄さぁあああああああああん!!」




真琴「こうして意味深な事を言っておけば少しは怪しい雰囲気が出ると思うの」
犀犬『良いから服を着ろ、なっ?』


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