とあるロリコンが異世界で無双するらしい (アリーナ)
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とある浜面の目撃談
ーーここは学園都市。
中でも取り分け学生寮等が多い第七学区。陽の目が落ちれば、治安維持の為にバスも電車も19時には終電になってしまい、しかしそれでいて夜遊びをする不良もどきや馬鹿が後を絶たない、そんな物騒かつ何処か青春じみた場所が、夜の第七学区だった。
現在の時刻は23時きっかり。丁度恐れを知らない馬鹿どもが騒ぎ出す時間に、「馬鹿」の1人である浜面仕上はのんびりと裏道を歩いていく。
(……大分遅くなっちまったな。ま、おかげで良いのが手に入ったが。)
浜面はガラにもなく柔らかい笑みを浮かべながら家路を急いでいた。普段の彼とは違い、その表情からはレベル5を憎むスキルアウトとしての面影は窺い知れない。
だがそれもそのはず。浜面は今日、愛しの女性への贈り物を選びに行っていたのだ。疲れ切った手足とは裏腹に、彼女の半ば天然ボケた笑顔を思い浮かべると自然と口角が上がる。浜面は非リアが見たら間違いなく殺意を覚えるレベルのリア充幸せオーラを撒き散らしながら、腕の中の買い物袋を抱え直した。
その時。
スキルアウトB
「ギャアァァァァァァ‼︎‼︎‼︎」
能力者「オラオラァ!!ナメた口聞きやがって、所詮この程度ですかァ⁉︎あァ!?」
スキルアウトA
「ヒィィ‼︎すみませ((ぶべらッ」
(……うわぁ〜ー……)
曲がり角を曲がった浜面の視界に、白髪で赤眼の能力者にフルボッコにされているスキルアウト達が映り込む。
状況はよくわからないがハタから見たら完全無欠の逆リンチであり、いくつもの修羅場を掻い潜ってきた浜面ですらドン引きする程だ。
心なしか能力者の特徴的な見た目に覚えがある気もするが、そんなことより触らぬ神に祟りなしで、浜面はそそくさとその場を去ろうとする。
……しかし地面に倒れ臥すスキルアウトを見て、彼の頭にふと疑問が湧いた。
(此奴ら……本当にスキルアウトか?)
通常スキルアウトはある程度の人数を集めたグループで行動している。敵である異能の力の使い手には、自分達の様なレベル0がたかだか数人集まった位では勝てない。少人数で能力者にケンカを吹っかけるのはみすみす命を捨てに行く様なものだし、こういったスキルアウトの常識を知らずに能力者に牙を剥くバカがいるとも考えにくい。
しかし今逆リンチされているスキルアウトは3人程度で、その上相手の能力者は明らかにレベル4はありそうだ。それだけの大物相手に刃向かう人間が、そもそもこの学園都市に一体どれ程いるのだろうか?
膨らんだ疑問は収まらず、浜面は予定を変更して、ポリバケツの陰に隠れ様子を伺う事にした。
能力者「ギャハハっ!!ざまァみやがれェ‼︎」
スキルアウトC「ゲハァっ⁉︎も、もう勘弁して下さいよぉ一方通行様……‼︎」
(な……⁉︎一方通行だと…⁉︎)
こいつは驚きである。最早レベル4だとか少人数じゃ敵わないとかの次元じゃない。学園都市に7人しかいないレベル5の中でも最強を唱われる、べクトル変換能力者・一方通行。その気になればこの第七学区位一瞬で吹き飛ばす力を持つ、最恐最悪の男だ。
となると、今ボコられている3人が故意に一方通行へ牙を剥いたという可能性はますます低くなった。いや、それ以前に彼等が裏世界の人間であるかどうかも怪しいものだ。
(いや……?待てよ、
……それなら何故……?)
とりあえず3人組が反能力者グループのスキルアウトではないのはほぼ確定だ。だがしかし、それなら何故一方通行はあんなにも執拗に彼等を痛めつけ、甚振る必要があるのだろうか?
一方通行は自分の命を狙ってくる者に対して容赦がない事で有名だが、容赦ないとはあくまで「自分に向かってくる攻撃に対する反射」の加減具合の話である。わざわざ足を止めてまで相手に攻撃を加えるなんて一方通行にとっては愚の骨頂の筈なのだ。
それをあんな風に時間をかけて嬲りまくっているなんて、おそらく常軌を逸脱した理由があるに違いない。
(ヤバイ……‼︎
滝壺も待ってるしさっさと帰った方が身の為だってのに、好奇心が抑えらんねぇ…!)
自分は意外に怖いもの見たさだったのかもしれない、と浜面は考える。ここまできたらこの不可解な出来事の真相を見てからでないと帰れない。
そして浜面が1人考えを巡らせている間にも、一方通行さんの超一方通行なケンカはヒートアップしていった。
一通「なんだなんだよなんですかァ⁉︎テメェらさっきまでの威勢はどうしたんだよォ⁉︎あァ!?」((ドカバキドゴォッっっっ
スキルアウトA
「ヘブゥっ‼︎すみませんごめんなさい勘弁して下さいィぃィぃィぃ!!僕たち別に悪気があった訳じゃないんです‼︎」
スキルアウトB
「そうなんです…!!僕達は、僕達はただ…、やっぱり「アレ」ってヤバイよねって話してただけd((ぐはぁッっ」
一通「聞っこェねェなァァ‼︎んン⁉︎ナニがそんなにヤバイってンだァ⁉︎」
スキルアウトB
「そ、それは……」
スキルアウトA
「おいやめろ!もう言うn(ぶべらっっ‼︎」
スキルアウトB「ヒッ‼︎」
一通「聞こえねェってんだよォ‼︎もっぺん言えやコラァ!」
(……うわぁ〜ー……。)
*本日2度目
あまりと言えばあんまりな仕打ちである。「アレ」とやらが何かは知らないが、ハッキリ言わないとボコられ、しかしあの雰囲気から察するに、言ってもどのみちボコられるのだろう。
ただ今のやりとりを聞いて、浜面の中ではある程度の仮説が生まれた。詰まりはこうだ。
1、3人組が「何か」に対して否定的な話をしながら歩いていた。
2、その話をたまたま一方通行が聞いていた。
3、その「何か」が一方通行にとって実はとんでもなく大切なもので、否定的な事を言われ我慢ならなかった。
4、3人組をとっちめて逆リンチ。
と、まぁこんな所だろう。
問題は「アレ」とやらが何かなのだが……。
一通「オマエら揃いも揃ってバカにしやがって…!テメェら三下に俺達の何が分かるってンだァ!?」
スキルアウトB「ぐあぁぁあっ!」
スキルアウトC「Bィぃィィィィィィ‼︎」
一通「アハギャハっっ!!スクラップの時間だぜェェェェ!!」
(やべぇよコレ。最早対木原レベルだろ何言ったんだよあの3人組。)
やばくねこれ以上この場にいたら俺殺人現場の第1発見者になるんじゃね。もう好奇心とか言ってないでさっさと帰った方が良くね?
そう浜面が思い始めた瞬間だった。
スキルアウトC
「……めろ、…リ……ンが…‼︎」
一通「……あ”ァ?」
スキルアウトC「やめろって言ってんだよっっ!!
このっ…………………
ロリコン野郎が!!!!」
………………瞬間。
その場の空気が氷点下に変わるのを、浜面は確かに感じた。
[次回!! スキルアウトに迫る黒翼!?
覚醒のアクセロリータ!!]
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とあるモブの末路
スキルアウトC
「やめろって言ってんだよこのロリコン野郎が!!!」
その瞬間、その場の空気が氷点下に下がるのを確かに感じた浜面。しかしスキルアウトCはそれに気づかず、タガが外れたように捲し立て始める。
スキルアウトC
「そもそも俺達は何にもしちゃいねぇだろ!!『さっきのアレ』はお前からしたら不快だとしても、一般的には間違いなく正しい選択なんだよ!!」
涙目になりながら尚叫ぶスキルアウトの言葉を聞き、浜面は自分の仮説がほぼ正しいであろう事を確信した。やはりこの3人組は何をした訳でもなく、ただ『さっきのアレ』とやらがアクセラレータの気に障ったせいで、一方的にボコられていただけらしい。
……だがスキルアウトの言う『さっきのアレ』とは一体なんなのだろう?
疑問を膨らます浜面だが、その答えはすぐに明らかになった。
一通「ハハ、………そんな言い訳はどォでもいいンだよ。俺はただ俺の気分を害しやがった三下野郎ォをスクラップにしてェだけなンだからよォォォ!!!」
スキルアウトC
「く、腐ってやがる!!ふざけんな、じゃあ俺達はお前のアレを見ちまって、なんて反応すれば良かったってんだ!!…………あんなッッ………!!」
スキルアウトはそこで躊躇うかのように言葉を区切った。しかし大きく息を吸い込むと、大量の二酸化炭素と共に衝撃の言葉を吐露する。
スキルアウトC
「明らかに10歳くらいの女の子の写真見ながらニヤニヤ笑ってる男が突っ立ってたら、誰だってヤバイと思うじゃん!!避けて通るじゃん、こぇーじゃん!!なのに!!なんで!?なんでちょっと『うわぁー…』って顔しただけでボコられなきゃいけないんだよォォォォォォォォ!!!??」
浜面(いやこんだけシリアス感出しといて真相がそれぇえ”ええ”ェェぇェェェ!!??)
余りにもふざけた事実によもや突っ込みきれずにボーゼンとする浜面だが、無理矢理にシリアスムードを維持しようとするかの様に辺りが激しい殺気で満ちる。
腹の中のモノを残らずブチ撒けたであろうスキルアウトCは、自分が誰に何を口走ってしまったのかをようやく実感したらしく、フラフラとその場にへたり込み、
スキルアウトC
「……は、はは……
……………やれよ。お前がロリコンとして堕ちていく様、あの世でたっぷりと堪能してやるさ。」
一通「はっ、そォかよ。それじゃあの世で精々堪能しろよォ?………俺に逆らって死ぬハメになった馬鹿な自分をよォ!!」
そう叫んだ一方通行の背からは、歪んだ情を凝縮したかの様な漆黒の翼が空気を切って飛び出す。
一通「くたばりやがれ三下ァァァァァ!!!」
この世の物とはにわか信じ難いスピードで、黒翼がCに振り下ろされる。
ーーーCは覚悟を決めるかの様に目を閉じた。
ーーーAとBは動く事さえできず目を見開いていた。
そして黒翼がCの心臓を貫かんとする、
まさにその時……………!!!
『♪♪♪……く、て!楽しくってー!とびきりはしゃいじゃってー!!みさっかは!みさっかっはってほらー呟いてみたりしっt♪♪((ピッ。
浜面(おィィィィ!!着メロ打止めのキャラソンかよォォォォ!!?)
シリアスの極致と化したこのシーンで鳴り響いた一方通行の携帯電話。おかげでCへの攻撃は寸止めだったが、あまりと言えばあんまりな着メロに浜面は笑いを堪え切れずに吹き出す。これでいいのか第1位。
打止『あ、やーっと出てくれたーっ!!ってミサカはミサカはあなたが中々電話に出てくれない事に憤慨してみたりー!!』
一通「……オマエ何でこんな時間に起きてンだよ?」
打止「えっとね、えっとね!!それは実はミサカがあなたに連絡した理由と深く関係してるのよってミサカはミサカはさりげなく質問をごまかしてみたり!!』
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