残酷だった未来に希望を。 (生麦生米生卵)
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プロローグ①

まずは皆様このような小説を見ていただき誠にありがとうございます。何を書くかも決めていないのでまえがきもあとがきもあってないようなものですが…そうですね。
序盤はぶっちゃけプロローグですね。
それでもよろしければごゆっくりどうぞ


『今回は2022年世界を震撼させた事件SAO事件について当時開発に関与し、またSAO事件の被害者でもある、草薙碧さんにお越し頂きました。草薙さん本日はよろしくお願いします。』

『えぇ。よろしくお願いします。』

『草薙碧さんは6歳でアメリカの大学に飛び級し、そのままわずか半年で異例の主席卒業を成し遂げました。その後そのまま様々な学士と医学免許を取り、そのまま8歳でノーベル医学賞を取りました。その後14歳までアメリカで研究を続けその後日本へと帰国。帰国後は茅場晶彦と共にVRの実用性やSAOの開発に大きく携わりました。そして事件を経て生還後医者として多くのSAO生還者のもとを訪れ治療やカウンセリング等をしながら現在SAOを開発した[アーガス]そしてALOの開発会社の[レクト]をそのまま吸収し、世界最先端のVR技術を手にしておられます。最近でいえばGGOも販売しこの不況の中かなりの売上を叩き出す敏腕社長としての一面も持っています。』

『まずは草薙さん。最初にお忙しい中このような特集を組むお時間を頂きありがとうございます。』

『いえ、たまにはこういうのもいいと思うのでお気になさらず。』

『それでは早速本題ですがまずはご自身も事件の被害者となったSAO事件についてのお話をお聞きしたいのですが。』

『そうですね。あの事件は私の中でも衝撃でしたね。まさか彼がこんなことを起こすとは当時の私自身思ってなかったんですから。』

『やはりあの事件というのは想定外だったんですね。』

『えぇ。特にナーヴギアにあのような細工がされているとは思いませんでしたね。事件が起こるまで私自身その可能性を完全に捨てていたんですから。』

『ナーヴギア本体制作の基盤となるものを制作していた草薙さんから見て、ゲームの死は現実の死にすること自体は可能である。ということを判断しあのゲームを二年過ごしていたんですね。』

『えぇ。おかげで死と常に隣り合わせでしたね。できれば二度と御免被りたいですね。慣れないうちは夜も眠れないんですから。』

『なるほど…そして二年という年月が過ぎ、草薙さんを含め生存プレイヤーがSAOから生還したんですね。』

『そうですね。SAOからは生還しましたね。』

『…そして三ヶ月という期間で第二の事件SAO生還者の半分近くが意識戻らずどこかのゲームにログインされたままでいたALO事件ですね。』

『須郷による精神支配、俗言うマインド・コントロール技術。簡単に言うと兵器開発ですね。それをアメリカに売りつけ自身の出世を目論んでいたそうですが。』

『そうですね。そしてこれは私個人として草薙博士に質問なのですが…現在の科学で精神支配を兵器として運用することは可能なのでしょうか?』

『えぇ。可能ですよ。それくらい今の科学は進歩しており、今尚どこかで精神支配は行われてるのかもしれませんね。』

『実際それを対処する方法はあるのでしょうか?』

『難しいかもしれませんね。事実として私達人間はすでにその精神支配によく似たものを食らっていますよ。』

『と、おっしゃいますと?』

『ネットの評判、世間の声、そういった物も、度が過ぎれば精神支配になり得る。ということです。例えばゲームを買うにしてもパッケージを見ただけで面白そうだ。と売り場へ行き、即決する人は今の時代どれだけいるでしょうか?多分殆どの人は一度ネットで評判を確認して評価が良ければ購入を踏み切りませんか?そういうのも精神支配の一種なんですよ。』

『確かに…。』

『そしてALO事件は特に大きな自体に発展することはなく…というわけではありませんがその事件からおよそ半年、今生還してるすべてのプレイヤーが今まで通りの生活を送れてる、という事実の裏には草薙さんがいつもいますよね?私達が調べた資料によるとSAO生還者のカウンセリングやリハビリ、その後の精神後遺症等の治療、ALO生還者の時も同じように治療をしつつ、多少といえどマインド・コントロールされた方々の治療も無償で行ったとお聞きしてます。』

『VR技術の基盤を作ったのは私で、それがなければあの2つは販売されることはなかったんですから、少なからず私にも少し責任はあります。私は贖罪してるだけですよ。』

『…ですが実際草薙さんのその努力は実を結び少しずつですがまたVR技術はいい方向に向かっていますよ!』

『だといいですね…。』

『他にも最近は医療技術に更に力を入れてるとお聞きしましたが…。』

『えぇ。現時点で完治は不可能と言われた病を治す。それが今の私の目標です。』

『といいますと具体的にはどのような病気を…?』

『…それは秘密にしておきましょう。期待させておいて結局できませんでした。という結果を用意するわけには行きませんから。ただ、なんとかしてみせるって決めてますから。』

『なるほど…草薙さん本日はお忙しい中本当にありがとうございます。』

『こちらこそ、私のためにこんな特集まで組んでいただいてお礼を言うのはこちらですよ。』

『…これが私がインタビュー行ったときの様子です。今は学生としてSAO生還者の行ってる学校に行きながら2つの会社も立て直しを図りつつ様々な方の治療に研究と多忙な日々を送っておられます。』

 

学校の屋上でTVの放送をスマホで明日奈とみながら思った本心を口にする。

 

「ほんっと、よくそんな無茶苦茶なことができてるよな。ほんと感心するよ。」

「うん、本当に凄いよね。碧君。体調とか大丈夫なのかな?」

「何見てるかと思えば…この前の取材のやつだね。それ今日放送だったんだ。」

「知らなかったのか?」

「確認する余裕なんてここ最近全く無いよ。最近は慌ただしいからね。。」

 

感想をぼやいていると唯一屋上につながるドアが開きそこからテレビで取材を受けていた草薙碧が日傘を手にそこにたっていた。

 

「というか二人とも?早く食べないとお昼休み終わるよ?いいの?」

「…っ大変!急がないと!」

「やばっ!…むぐっ!?ごほっごほっ…。」

「アハハッ。慌てて食べるからだよ?はい、どーぞ?」

 

テレビを見ていて時間を確認していなかった俺達は急いで食事を取り出す。碧はそんな俺達を見て笑いながらお茶を差し出してくる。

 

「悪い。ありがたく頂戴するよ。」

「気にしないでいいですよー?」

 

それじゃ私は先に戻るね、と告げ碧はそのまま屋上を後にする。そしてその五分後にはチャイムがなり、俺達が急いで教室に行きを切らして戻ってくるとクラスメイトからの奇妙な視線を受けて、ああ、またか。とすぐにいつも通りに戻っていく。それを見て碧は笑いを堪えている。いつか仕返ししてやろうと目論んだが隙がなくて全然できないまま、やられっぱなしだ。

 

「であるからして…これが…。」

 

碧の席は俺の席の斜め前に座っていた。授業をあまり聞いてるようには見えず、真面目に授業を普段は受けているがここ最近はどこか上の空って感じになってるのが見れる。たまに微睡んでいてウトウトしてる。というか今多分寝てる。

 

「碧くん、ここの問題をお願いできるかね?」

「………。」

「碧くん?碧くん!」

「……んんっ……すいません。寝てました…。」

「全く…ところでこの問題をお願いできるかい?」

「あ、はい…。」

 

寝ぼけ眼で黒板の前に立ち、さっと問題を解決させた。結構難しい問題だったけど当たり前のようにさっと解いて自分の席に座る。先生もウンウン。と頷き正解と微笑んでいる。そしてしばらくするとまた微睡んで今度は完全に意識をシャットダウンしてしまっていた。

 

…草薙碧。SAO生還者の一人でこの学校の生徒の一人で、幼少期にアメリカで飛び級し、様々な学士や医者の免許を所持し、現在はSAO生還者の殆どの治療やカウンセリングをしている。実際学校に通う必要なんてもうない碧だが、面白そうという一言で学校に通っている。最初は周りから騒がれてもいたが今では当たり前のようになってきてる。それでも忙しい時期があるらしく学校に全く来れない時期もある。それでも来れるときは楽しそうにしている。

秘密にしてることも多く謎に満ち溢れた俺達の戦友で恩人だ。



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家族の再開

さて、皆様こんにちは生卵です。名前開幕から略してる?いいじゃないですか。長いんですから。(だったら最初からそんな名前にすんなとか聞こえない←)
さて二話目ですね。そういえば小説のタイトルとりあえずあれにしてありますがそのうち変えるかもですね。タイトルにも意味はあるんですよ。今のところ…はね。
前書きしか書かないので長々とお話してますが長いね。ではどうぞ(*´ω`*)


「それじゃ今日はここまで。皆さんまた来週。」

 

授業の終わりを告げる鐘の音がなり、皆散り散りに放課後を過ごしに行く。

俺と明日奈は授業か終わってもまだ眠っている碧の元に向かう。

 

「碧くん、碧くんもう授業終わったよ?放課後だよ?」

「んんっ……れ?わたひ…寝てまひた?」

「それはもうぐっすりとな。」

「あらま…やっちゃったか…。」

「最近忙しいらしいからな。テレビの取材とかもあったしな。」

「あはは…色々と予想外な方向に大きく進んでしまってたからね。それに時間もあまり残されてない。ってわかっちゃうと本当に忙しくてね。」

「そっか。でも無茶しちゃ駄目だよ?碧くんキリトくんとおんなじで無茶な事ばっかりするんだから。」

「アハハッ、そーだね。うん、体調管理きちんとしないとだもんね。」

「医者が体調管理できなくて倒れた。とか言い出したらいい笑いの種だもんな。」

「医者だって体調崩すよー。偏見辛いよー。」

 

碧の戯けた一言で俺達の間に笑いが起こる。世間で言う天才の申し子草薙碧。それはこの場にはおらずいるのはただの高校生の草薙碧だった。

 

「さて。放課後だね。それじゃ特別講義。と、このまま行こうか?今日は明日菜も一緒?」

「うん、いいかな?」

「大丈夫だよ。さてさて、前回はどこまでやったっけなー?」

 

明日奈も参加することを聞き、碧はクスクスと微笑みながら教卓に立つ。

立った瞬間には今までの油断しきった表情は消え、科学者の草薙碧としての姿が見えた。

 

「さて、始めましょうか。キリトの為だけの特別講義を。」

 

碧はパソコンを立ち上げながら俺達の方を向き直り話し出す

 

「さて、前はVRの可能性までは話したかな。前にも話したかもしれないけどこの先VRは大きく進歩します。それこそ[死んだ人間のデータ]をもとにその人を仮想空間に作り出すことだって可能になると思います。」

「「……。」」

「必要なのは[データ]です。それはこのナーヴギアやアミュスフィアを利用したユーザーであれば全て元は同じサーバーにたどり着くのでデータの収集は容易です。」

「だがそんなことになれば…。」

「えぇ、それはつまりリアルとVRの混合が出来上がる。ということです。そして死んだ人間に会うことができるようになれば、それを現実と認知しリアルに目を向けない人も出るでしょうね。まぁあくまでこの先できるようになるだろう。ってことだけ覚えておいてください。」

「でも、データがリアルに出てくるようになればユイちゃんと一緒に生活できるようになるかもしれない。ってことだよね?」

 

その言葉に碧は不敵な笑みを浮かべながら頷く。

 

「えぇ。明日奈の言うとおりです。データを用意し、リアルとVRを繋ぐ何かができればいまこの場にユイが質量を持って現れる世界があるかもしれません。そうすれば彼女にこの世界を見せることができるようになります。」

「だがその繋ぐ何かはまだ開発中。というところだからな。」

「その通り。だからこそキリトは彼女にこちらの世界を見せたいと願い、私に明日奈と一緒に無理を承知で頼みに来たんですからね。俺にVRの事を、プログラムを教えてくれ。と。」

 

そう、俺と明日奈はSAOでユイという感情を持ったAIの娘を授かった。碧曰くAIに感情を入れるプログラムを作ったわけではないが精神治療の一環で入れたのが様々なバグを挟み予想外な方向に進んだ。と言ってた。つまり奇跡なんだと言外に告げていた。だがSAOが消えたときにユイも一緒にあの世界に消えてしまった。だから俺はALOの事件が片付いて全て終わった後にユイを蘇らせるための技術を得るために、碧を頼った。

 

「さて、今日は講義をする。と言ってたんですが。それは嘘です。あれも全部前座です。」

「…え?」

「二人に今日はプレゼントがあるんですよ。」

「「プレゼント?」」

「というより謝罪。という言葉が適切…かも知れませんね。SAOやALOでお二人にはご迷惑を沢山かけましたからね。だから私のできる方法で、最高の恩返しをしよう。って決めた結果です。」

 

俺達が互いに何を言いたいのかわからず首を傾げていると立ち上げていたパソコンの画面をモニターに映し出した。

 

「すいません。準備に思ったより手間取りました。もういいですよ。」

『えっと、どれについていけば行けばいいんですか?』

「動いてる矢印について来てください。それで見えるようになりますよ。」

 

碧はパソコンに向かって話し出す。そしてパソコンに繋がれたスピーカーには俺達がずっと会いたかった人の声が聞こえてくる。

 

『あー、あー、聞こえますか?』

「…あぁ。聞こえるよ。」

「…ほんとなの…?」

『はい!お久しぶりです!パパ!ママ!』

 

モニターに映し出されたのは俺達の娘のユイだった。

 

感動の再開に涙を流す明日菜とこの状況が夢なんじゃないかと思うが碧がそれを否定する。俺達の後ろに微笑みを浮かべた碧がいつの間にか立っており、

 

「リアルで会う方法は、今はまだモニター越しが限界ですが…それでも、会えたことに喜んでいいんですよ。」

 

と言って俺達の背中を軽く押した。

 

「ユイちゃん…会いたかった……。」

「…また会えて嬉しいよ。ユイ…。」

『私もです…!パパ!ママ!』



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決意

…まずは見ていただいてる皆様に謝罪から入らせていただきます…
まずは我らがアスナ様のお名前を明日菜と表記していたことについてです。正しくは明日奈様でした…。感想欄にてご指摘くださり誠にありがとうございます…!以降このようなことないよう努めますので今後ともよろしくお願い致します!
そして…サブタイトルが…考えるのが…...(っД・`i)アゥアゥ...


キリト達がユイと奇跡に近い再開を果たし、私は家族水入らずの所にいるのもなぁ。と思い外に出る。

 

「今のうちに飲み物でも買ってこようかな。二人もお茶でいいかな。」

私は放課後になり部活動に勤しむ生徒や帰っていく生徒を廊下の窓から見つめながら、学校内にある自動販売機に向かう。

 

そして飲み物を買い終え、教室に戻ろうとすると携帯が鳴る。それは電話を示すのだが懐かしい人からの電話に笑みが浮かぶ。

 

「どうかしたの?」

『あ、ねぇ碧!今行ける?少し相談したいことがあるんだけど…。』

 

電話の主は私の友人で妹みたいな子だった。そしてまた、彼女もまた天才だった。

 

「相談?研究チームがいるんじゃないの?」

『それで行き詰まったから電話してるのよ!』

「なるほど。それで?内容は?」

『あ、うん、前にメールで送ったやつなんだけど、あの後いろいろ調べたら、更に情報も出てきて今大変なのよ。それでデータがひっくり返って…。』

「………ならばあなたが先頭を切って民衆を動かく何かを成し遂げるのはどうですか?」

『…私が自ら動かす何か…?』

「えぇ。集合知性は現状不可能ならば自ら作るのが一番だと思いますよ。」

『なるほどね…うん、ありがとう。考え方を変えてみるわ。』

「頑張ってくださいね。応援してますよ。それじゃ。」

『あ、ねぇ。次いつ帰ってくるの?結局あれから色々あって全然会えてないし…。』

「こっちの研究に踏ん切りがついたらそっちに遊びに行く予定だよ。その時は観光案内してね?」

『うん!任せて!それじゃあまたね!碧!』

「うん、またね。虹色ちゃん。」

 

誰もいない廊下での秘密の電話を終わらせる。そしてその道中でポツリと小さくつぶやく。

 

「虹色ちゃん。確かに君は天才だよ。でも行き過ぎた理想は君を、君自身の思いを殺してしまいかねないんだよ……。」

 

小さく呟いたそんな言葉は誰にも聞こえるものがないまま溶けていく。そのまま誰もいない廊下を歩きキリト達のもとに戻る。まだ泣いてたらどうしよう。なんてことを考えてた。

 

 

「ほんと感動の再開で嬉しいのはわかるんだけど流石に泣きすぎじゃないかなぁ?」

「ユイちゃんとまたお話できるって思うと涙が自然と込み上げて来て…。」

「やっぱり早まったかなぁ…。」

『でも、ユイは碧さんにとても感謝してます!』

「喜んでくれたら何よりだよ。頑張ってたかいがあるってものだよ。」

「でもいったいどうやってユイを蘇らせたんだ?碧が言ってただろう?SAOは消滅したって。」

『確かにSAOは消滅しました。それは事実です。ですがデータは電子空間を彷徨うんです。』

「それじゃあまさか…。」

「うん。【ユイ】という[データ]を消滅した電子空間から全てかき集めた。それだけだよ。」

「それって…SAOの膨大なデータからユイだけを探し出したってことか!?」

『言うだけなら簡単ですが、途方に暮れる作業な上に電子空間を彷徨うデータはあまり長く持たずに消滅します。時間もほぼなかったはずです。』

「残された時間は私が確認したときで4日間だったよ。それから万を超えるデータから【ユイ】という一つのデータを探すという技術をキリトに教えるには無情にも時間が足りなかった。だから私がテレビ取材が終わってからの3日間を利用して、SAOと共に電子空間に散らばったデータをすべて収集させたってわけ。」

 

キリトたちが唖然としてるのを見ながら私は更に言葉を繋ぐ。というかここからが本番。

 

「でも、あくまで私が手伝うのはここまでだよキリト。ここからは君が娘にリアルを、世界を見せてあげて?その為の技術は君が望むならいくらでも教えるよ。」

「…あぁ!」

「私に手伝えることならいくらでも言ってね!キリトくん!なんでもするから!」

『パパ私もお手伝いします!』

 

私の目に映る彼は決意を新たにし、娘に世界を見せようとこれからきっと奮起するんだろう。だから私はそんな彼の為にできることをしよう。私も気合を引き締め直した所でチャイムが鳴り響く。

 

「頑張ろうとするのはいいけど残念ながら最終下校時間だね。また今度。かな。」

 

その言葉に納得したふたりと帰り支度を始める。

 

「ユイさん、とりあえず今は私の端末でお留守番をお願いしてもいいかい?」

『はい!任されました!』

 

ユイさんには私の端末でお留守番してもらっている。携帯を通せばスピーカーから会話ができるためこの方法を採用している。私は明日菜に携帯を渡す。

 

『これで帰りながらお話ができますね!』

「まだ不安定なとこ多いからラグが起こる可能性も高いけどね。」

「それでもユイちゃんとお話ししながら帰れるって凄いことだよ!」

 

明日奈は嬉しそうに私の携帯を抱える。

昇降口から外に出ながら楽しそうに会話を弾ませてる明日菜の後ろで私は日傘を刺しながら歩く。その横でキリトが難しそうにしている。

 

「何をそんなに難しそうにするの?」

「結局俺は何もできてないな。って思ってな。」

「そうかな?」

「結局ユイだって碧が蘇らせたんだ。俺は何もできてないよ。」

「キリトはたまにつまらないことを話すよね。」

「なっ⁉俺は真剣に…」

「だからつまらないんだよ。本来SAOにはメンタルキュアを目的として彼女という[プログラム]を導入したの。そこに自我というプログラムは入れてないんだよ。それなのに彼女は自我を持った。感情を持った。意思を持った。そして愛情を知った。それはキリトと明日奈二人が作り出したものだよ。それがあるから彼女は今あそこにいて、何も変わらない姿でいるんだよ。」

「…。」

「つまりこれは君たちが作り出した功績で私はそれを形にしただけだよ。確かに私ならすぐにでも彼女にリアルを見せることは可能かもしれないよ?でもキリトと私どっちが世界見せてあげるほうが彼女は喜ぶと思う?」

「そう…だな。そうだよな。ここからは俺がなんとかするんだよな。確かにつまらない話だったな。」

「そういうこと。そんなことより二人が呼んでるよ?」

「キリトくーん!碧くーん!早く早く!おいてっちゃうよー!」

『パパ!碧さん!こっちですよ!』

「今行くー!」

「私には彼女が羨ましいですよ。」

「何か言ったか?」

「いや?さ、早く行こうか。」

 

これが彼らに起こった最初の奇跡。

 

「ねぇキリト、クレープ食べたいなー。」

「えぇ…。」

「あ、私も食べたい!ユイちゃんに見せてあげたいし。」

「まぁたまにはいいか…。」

「もうすっかり親バカじゃん…。」



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