エレン「なんだこの飲み物?」 (スペイン)
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幼少期
小さな狩人


キャラクターの若干の崩壊

よくある設定

稚拙な文章

これらが我慢できる方はお読みください

むしろ我慢できなくてもお読みください

2度訂正が入っているので前回読み難かった方ももしよろしければお読みください


食堂

 

夕日が窓から差し込む中、エレン・イェーガーは食堂を訪れていた

 

「ラベルには・・・なんだ?読めねぇや」

 

エレンが手に取ったのは小さな瓶だった。中には薄いピンク色の液体が入っており、色のせいなのかとても甘い液体に見える

 

いや、ほんのりと香ってくる甘い香りがそう思わせるのだろう

 

「俺ばっかり訓練早く終わっちまって喉渇いたし」

 

周囲に誰かがいないかを確認、誰もいないことを認め

 

「べ、べつに飲んでも問題ないだろ」

 

手の中の瓶の蓋をあけて、エレンは自分の口元へと持っていった

 

口の中に広がったのは予想していた甘い物とは大きく違い、どちらかといえば柑橘系のような酸っぱさが際立っていた

 

「!(す、すっぺぇ!)」

 

しかし、訓練で疲れている彼にとってはありがたいことこの上なかった

 

「ふぅ・・・これ美味しいな、名前がなんていうのかわからないのが残念だな」

 

口の中に残る味を楽しんでいたエレンだが

 

「あれ・・・?なんか・・・?」

 

「あた・・・まが・・・」

 

まるで頭にライナーが降ってきたかのようなガツンという衝撃に、エレンはその場に倒れた・・・

 

「ぐ・・・」

 

段々と白い霧のような煙(青年の体から出たのだろうか?)が青年の体を覆い隠すように増えてくる

 

「だ・・・れか」

 

周りに誰も人がいないままに

 

「みか・・・」

 

青年は気を失った

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間後

 

 

 

 

足音、喋り声、咀嚼音・・・ざわざわと賑わいを食堂は見せていた

 

他の訓練生達の訓練も終わり、食堂が混み始めた頃・・・入口の周辺でジャンがアルミンに対して話しかけた

 

「おいアルミン、なんで今日はこんなに混んでるんだ?」

 

ジャンは汗で髪が濡れて髪の毛の先端が集まっている。どうやら訓練が終わってからすぐに食堂に来たようだ

 

顔にも憔悴の色が見て取れる

 

「いや、いつもと人数は変わらないみたいだ。ただ、どうもあの真ん中のテーブルに人が集まっているから通行が不便になっているようだね」

 

現にトレイを持った訓練生が何人か座る場所は見つけているのにそこに至ることができずに困っている姿が見受けられる

 

何があるのか?真ん中のテーブルに興味を惹かれながらもアルミンは座れる場所がどこかにないかを探すことに集中した

 

「アルミン、こっち!」

 

聞きなれた声の方を見れば

 

「ミカサ!」

 

アルミンやジャンよりも早く食堂に来ていたのだろう、ミカサが手招きをしていた

 

その隣ではコニーと活発そうなサシャがいつもの通り脈絡のない話をしている

 

「おいサシャ、俺のパン知らないか?」

 

そう言ったコニーの皿にはサラダが盛ってあるだけであとはパンのカスがちらほらと見受けられるだけだ、まさかパンのカスが彼に与えられた今夜のパンということはないだろう

 

「ほにー、ふぁんもらっほきまひた(コニー、パンもらっときました)」

 

頬張るサシャの口の中にはコニーのものであろうパンが悲鳴も上げられずに収められていた

 

「!?」

 

いつもどおりの光景だった

 

悲しきかなコニー、絶対的な食の暴力には逆らえないのであろう

 

よく見てみれば、食堂の一角を見慣れた面子が囲んでいた

 

「おぉ!すまねぇなおれのたm「アルミン、それよりもエレンを知らない?」

 

ジャンが何か言おうとしていたが、ミカサが言葉を遮ったことによって周りのだれもそのことに気づくことはなかった

 

「おぉ、そういえばアイツどうしたんだ?」

 

返したのはガタイのいい金髪の男だ

 

「そういえば見てないや、先に訓練を終えていたから部屋に戻っているのかな?ライナーは・・・今の反応だと知らないみたいだね」

 

いきなりフリーズしたジャンを横目に僕は予想を話してみるが、エレンは確か自分に食堂で待つと言っていたハズだ・・・

 

頭を悩ませようとしていると、それを察したのかベルトルトが話を進めようと口を開いた

 

「まぁ、そのうち来るんじゃないかな?コニーはみていないかい?」

 

先ほどのことでうなだれていたコニーは頭を横に振ると申し訳なさそうに眉を下げた

 

「わりぃ、俺は訓練終わってすぐに食堂来たからわかんねぇんだ。風呂とかどうだ?まだ誰も行ってないだろ」

 

そう答えた

 

その言葉に反応したのは金髪の天使のような少女、クリスタだった

 

「エレンがお風呂に・・・はわぁ」

 

もっともその反応は邪な部分が含まれていたのだが

 

「クリスタ、あとで話がある」

 

「え」

 

「(あ、ミカサに狙いをつけられて・・・クリスタすまない、僕にはどうしようもないんだ)」

 

「おいおい、あんまり私の天使をいじめんなよ?」

 

悪ノリだろうか、そばかすの少女も混ざってきてみんなでアホな話をしていると、また一人こちらの机に近づいてくる人物がいた

 

「随分と混んでるね」

 

目元が鋭く、クールビューティーを体現したかのような少女がそこにいた

 

「アニ、エレンを見ていないかい?」

 

僕は彼女に対して質問をしてみた。もしかしたら僕たちがここにくるまでに行き違いになっただけで、彼女は見ているかもしれないと推測したからだ

 

遅れて合流してきたアニは訓練終わりでシャワーをまだ浴びていないので耳の裏側から首をつたって鎖骨に流れていく汗が実に悩ましい

 

「エレン?確か先に訓練を終えてなかったかい?」

 

「そのはずなんだがよ・・・」

 

ライナーが相槌を打つ

 

しかし、続きはないようで一瞬沈黙が降りる

 

「そういえば、あの真ん中の所で集まっている人たちは何をしているんだい?」

 

口火を切ったのはマルコだった

 

「おいマルコ、今は死に急ぎ野郎の話をだな」

 

「いや、僕も少し気になるや、エレンのことも気になるけど僕少し見てくるね」

 

言って、僕は真ん中にいる集団の方へと歩いて行った

 

「おい、起きろー」

 

???「うーん・・・」

 

「ガキがなんでこんなところに・・・?」

 

同期の訓練生の一人だろう、聞いたことのある声が中心の方からしている

 

「すいません通して下さい、すいませーん」

 

アルミンが真ん中の集団をかき分けて皆が群がっている「何か」までたどり着くと、最初に目に入ったのは少年だった

 

次に気づいたのは、その少年が訓練生の服の中にいるということ、「着ている」というよりも、寝袋の中に入っているかのように見える程サイズがあっていなかった

 

???「うぁぅ・・・?」

 

「(あれ?どこかで見た覚えが・・・)」

 

アルミンの記憶の片隅、いや、記憶の奥深くに何か引っかかるものがあった

 

「お、起きたか?」

 

明らかに名前も特徴もない男が少年を見下ろしていた

 

少年は体を起こすと周りを見回して口を開いた

 

???「ここ・・・どこ・・・?」

 

その声は、明らかな聞き覚えがあった

 

「!(あれって・・・)」

 

困惑を見せる少年に、見下ろしていた男が声をかけた

 

「おいガキ!何があったんだ?」

 

???「えっ!?」

 

「おう!ガキは誰か知り合いとかいないか?」

 

???「えっ!?えっ!?」

 

「なんでここにいるんだ?」

 

???「ひっ・・・」

 

小さな少年は怯えているのか目が潤んできている

 

そりゃああんな訓練でガタイがよくなっている連中に詰め寄られれば誰でもそうなる。僕だってそうなる

 

「かわいい(あの子・・・あまりにも似すぎている)」

 

アルミンはその少年に見覚えがあった。いや見覚えがあるどころの話ではなかった

 

「(い、いや、でもそんなこと現実的に考えてありえないよね)」

 

「おいガキ!聞いてんのか!」

 

「ひゃう」

 

少年は思わずうずくまってしまった。それほどまでに怖かったのだろう

 

「(ま、まずい、いくらなんでもあの歳の子にあんなに詰め寄っちゃ・・・)」

 

『まずい』、そう思ったアルミンの嫌な予感が

 

 

 

 

???「あぅみ~~~~ん!びぇぇえぇぇええぇえん!」

 

 

 

 

あたってしまった

 

「(ま、まさか、やっぱり)」

 

幼い頃に聞いた覚えのあるあの声は

 

「(ありえないかもしれないけど、あれはおそらくエレン!)」

 

 

 

そう、見覚えがあるどころの話ではなかったのだ

 

確信こそ持てないが可能性の捨てられない以上投げやりにはできない

 

「き、君は」

 

「あぅみん?」

 

見知らぬ恐怖から解放された反動なのか涙目で見上げてくるその姿は小動物を思わせるほどだった

 

「あぅみん!」

 

その涙からすら溶かしてしまえそうな爆発的な笑顔

 

破壊力もお話にならないレベルだった

 

「んだぁ?知り合いなのか?」

 

詰め寄っていた一人がこちらに目を向けてくる

 

「いや、というよりも・・・」

 

同期だから君たちの知り合いでもあるはずなんだけど・・・そう思いながら、エレンと思しき人物に目を向ける

 

「?」

 

チラっとみたアルミンが気になったのか、エレンは首をかしげてアルミンを見つめてきた

 

可愛かった

 

可愛かった(大事なことなので2回いいました)

 

「やべぇって」

 

口調が崩れるほど可愛いからわからないのも仕方ないのだ

 

「おうガキ!あの兄ちゃんのところ行け!多分知り合いなんだろ?」

 

モブが強引に話を進めようとする

 

無責任に自分のところにやられても、とアルミンは思った

 

しかし

 

今はこの少年がエレンという可能性が0でない以上、誰かが保護しなくては教官に何を言われるかわかったものではない

 

「あぅみん?」

 

ならば、自分が保護しておくのが今現在行える最善の選択だろう

 

「あぁ、僕だよ」

 

「あぅみん!」

 

少年エレンはアルミンの傍まで近寄っていき、アルミンに抱きついた

 

「あぅみん!あぅみん!」

 

とはいえ身長の問題で少年エレンはアルミンの腰に抱きつく形となっている

 

さすがはエレンというか、身長差や年齢差などはあまりきにしていないようだ

 

「このまま僕の部屋に連れて帰ってウヒャウヒャしてもいいかな(じゃあ僕が責任をもってこの件は処理しておくから、ありがとうねモブ共)」

 

「「あぁ・・・(本音と建前が絶対逆になってる)」」

 

アルミンがエレンを連れて去ろうとする中、何かを思い出したようにエレンは振り向いた

 

エレンの視線の先にいたのは、エレンが目を覚まして最初に声をかけた男たちだった

 

「えっと・・・じゃ、じゃあな!」

 

モブ共は心を打たれた!モブ共はショタに目覚めかけたがなんとか踏みとどまった!

 

「「おう!またな!」」

 

「そ、それじゃあ、行こうかエレン」

 

エレンの方に目をやると

 

「あぅみん?」

 

先程まで涙目だったため少し目元が赤くなっており、体が幼くなっているためなのか訓練で陽を浴びて焼けた肌が元に戻っており、今まで見慣れていたエレンよりも肌が少し白いことから”ウサギさん”という印象(イメージ)を受けた

 

「(可愛すぎる・・・!)」

 

鼻血が溢れ出しそうになるのを抑えながらアルミンはこのことを報告するためにみんなのいる机に向かうのだった

 

 

その頃、ひとりの狩人が何かを嗅ぎつけていた

 

そう、ハンターなんかではおさまらない

 

本当の狩人が

 

 

 

 

「(・・・?なんだか懐かしい香りがする)」

 

「(邪魔するものを削いででも・・・手に入れたくなるこの香りは・・・)」

 

 

 

「エレン・・・?」

 

 




初投稿させていただきましたスペインです

出来るだけ2日に1回投稿していくのでよろしくおねがいします!


ってなわけで続く!

…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3月28日 更新

文章上おかしなところがあったため少々書き直しました


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得られる信頼

前回のあらすじ

エレン君がちっちゃくなった

かわいかった

アルミンミンゼミ


アルミン・アルレルトは耐えていた

 

これまで経験したいかなる精神的苦痛、身体的苦痛よりも耐え難いものだった

 

現在、アルミンは食堂の真ん中で群がられていた少年と化したエレンと手を握っていた

 

ちなみにエレンは小さくなってしまったことで元の服を着ることができなくなったのでエレンが普段着ている薄いグレーの服を着ているだけだ。なので肩がずれて肌が見えてしまっている

 

「あぅみん!」

 

「(まずい・・・この小さくなったエレンから溢れ出る愛くるしいオーラはまるで絵画に描かれるエロスにも似た・・・いや、それ以上のか・・・!)」

 

アルミンが今エレンと認識している小さな少年、外見は2~3歳といったところだろう、舌足らずなところで母性を刺激されない女性はまずおらず、さらに男性からしてもエレン本来の興味のあることには首を突っ込むという人懐っこさを兼ね備えた性格から頼られることが好きな男性の心は確実に捉えるだろう

 

「あぅみんはなんでそんなでっかくなってんだ!?」

 

「!」

 

「(まずい・・・ここで答えを間違えたらエレンは混乱に陥るかもしれない!)」

 

アルミンの頭の中をいくつもの答えが駆け巡る

 

「(薬を飲んで?タイムスリップしてきた大人のアルミンという設定で行くか?いや、そもそも今エレンはここがどこなのかとわかっているのか!?)」

 

ここで自分が取るべき次の行動は・・・

 

アルミンは選択した

 

「え、エレン?僕がこれから話すことはみんなにはナイショだよ?」

 

その言葉を聞くとエレンは顔を引き締めた

 

「! お、おぅ!おとことおとこのやくそくだな!」

 

「(よかった・・・これでどんなに隙だらけの嘘の設定を作ってもほかの人が指摘することはない・・・子供の頃のエレンは男の約束といえば大抵のことは守ってくれたこからね)」

 

汚いようにも思えるが、大事な点だ

 

「エレンは今、夢の中にいるんだ」

 

「ゆめのなか?」

 

そう言いながら首をかしげるエレン、可愛さにたじろぎ思わず一歩後ずさるアルミン

 

騙している

 

という現状に罪悪感を感じずにはいられないのだ

 

「そう、でもこの夢はとてもよくできていてね、ここは君が将来いる場所とまったく同じなんだ」

 

「おぉ!すげーな!」

 

素直なエレンであった

 

「だから、みんな君のことを知っているから何も不安なことはないよ!」

 

「おぉ!」

 

アルミンの言葉のおかげか、今までよりもエレンの表情から緊張の色が消えている

 

「とりあえず、いまから将来の君が仲良くしている人たちのところに行くね」

 

「・・・」

 

興味のあることには首を突っ込んでくると思ったので提案してみたアルミンだったが

 

エレンはどうしたのかそれにたいする返答を渋っているようだった

 

「ど、どうしたいんだいエレン?もしもいやなら行かなくてもいいんだよ?」

 

「ちがう・・・」

 

そう答えたエレンの瞳には水っぽさが見られた

 

「(な、なんで泣きそうになってるんだ!?)」

 

「あのな・・・あぅみんもいっしょにきてくれなきゃ、やだ」

 

上目遣い 涙目 駄々をこねる子供 幼馴染 少し恥ずかしそう

 

「!!?」

 

アルミンは脳内でビックバンが起きたかのような衝撃を受けて思考を停止

 

しかし黙っているとエレンが心配するという考えがビックバンの起きたあとの宇宙の片隅から飛んできて途端に思考が再開した

 

 

 

「あ、あぁ、もちろん僕も一緒に行くよ!」

 

 

 

そう答えたアルミンに対してエレンは何も言葉での返答はしなかったが

 

握っていたアルミンの手を一層強く握り返した

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あっ!おかえりアルミ・・・ん?」

 

真っ先に迎えてくれたのはベルトルトだった。しかし、途中で言葉を思わず濁したのはエレンを見たからだろう

 

「アルミン・・・その子は?」

 

怪訝な表情を浮かべられたからだろうか、不安になってしまったエレンはより一層アルミンの手を強く握った

 

「あ、あぅみん・・・」

 

不安そうなエレンの声

 

「(そ、そうだ、僕がしっかりしないでどうするんだ!)」

 

「べ、ベルトルt「エレン!!?」

 

アルミンの声を遮って大きな声をあげたのはミカサだった

 

様々な角度からエレンを眺めて、たまに匂いを嗅いだりしている

 

その間エレンは怖がっているのだが、自分の目的に忠実なのかミカサには見えていないようだ

 

「あ、あの、ミカサ?」

 

アルミンが声をかけたところで正気に戻ったのか少しエレンから離れた

 

しかし

 

 

 

「私の知っている一番幼いエレンよりも更に幼い・・・」

 

 

 

その目には・・・捕食者にも似た情欲の炎が灯っていた・・・




ついにであってしまったミカサと少年エレン

捕食者(ミカサ)から逃れることはできるのか!

つづく!
…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3月28日 更新
セリフと描写説明を少し加えました


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エレン・イェーガーは考える

子供になったエレンはアルミンと一緒にこのことを皆に伝えに行こうとした・・・

しかし目前にはそのエレンに対してただならぬ視線を浴びせるミカサがいた

前回短かった分今回長いです


ライナー・ブラウンは皆に頼られる兄貴分である

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

少し前のことだ、ジャンは訓練が終わり疲れを隠せずにいた

 

「だから!俺たちは訓練の技術を磨いて巨人を倒すんだ!」

 

その疲れのせいか、どんなにエレンが騒ごうともそれにつっかかろうともしなかった

 

マルコやアルミンからすると胃痛の原因がないその日の夕食は実に平和なものであった

 

しかし、ライナーだけはそのジャンの様子を気にかけていた

 

その日の夜のことだ、夕食をとって皆でお風呂に行った際、ジャンは訓練の疲れを感じながらお風呂に浸かって体を休めていた

 

しかし、長くつかりすぎたせいなのか、それとも休めていたカラダを急に動かしたせいなのか、お風呂から出ようとしたジャンは脚をつってしまった

 

後からお風呂に入ってきたエレンなどはもう出てしまい、残っているのはコニーとジャンだけになっていた

 

そのコニーも頭を洗っていてこちらに気づく様子は全くなく、ジャンは脚が治るのを待つ算段をとった

 

しかし、熱という人の身近に存在する恐怖はジャンの体を蝕んでいた

 

ジャンは頭がのぼせてくるのを感じていた

 

そして同時に、上体に力が入らなくなってきていた

 

そのため、段々と体の芯が抜けていくかのようにジャンのカラダは浴槽の中へと崩れていった

 

「(まずいな・・・コニーに助けを・・・)」

 

と、声を出そうとしたものの頭がのぼせてまともな思考が浮かばず、口にだそうと考えていた言葉さえどこかに消えてしまっていた

 

ガラッ と近いようで遠いどこかで何かが横にスライドする音が聞こえた

 

「ジャ・・・ジャン・・・!ちくしょう、コニー!更衣室の窓開けて空気換気しておけ!」

 

その後から聞こえてきた野太い声と、その声による怒号にも似た要求を耳にして、ジャンの意識は熱に飲まれるかのように溶けていった

 

 

 

「(・・・何が、起きたんだ?)」

 

目を覚ましたジャンが最初に感じたのは風だった。そよ風だ、頬に当たると自分の顔が持つ熱をやさしく撫でるように、すくい取るように冷ましていく

 

次にジャンは、自分がどこかに横たわっていることに気づいた

 

「ここは・・・更衣室か・・・?」

 

目の前にある見慣れた天井と、自分が寝ている物が木の材質でできたベンチだったことからそう推理した

 

「お、起きたのか」

 

覚醒したジャンをまっさきに迎えてくれた人物はライナーだった

 

手には洗面器を持っており、洗面器の淵には濡れて重みを持っている白いタオルが見えた

 

「俺は・・・そうか、風呂場で・・・」

 

体を起こそうとするも、力がうまく入らない

 

「あぁ、無理に起きるな、お前疲れがたまっててボーっとしちまったんだろ、お前がエレン達より早く入ったってのになかなか出てこないから心配で見に行ってみたらちょうど浴槽の中に沈んでいくところだったから思わず焦ったぜ」

 

「あ、あぁ、すまねぇ」

 

ジャンはそこまで気遣いをしてくれたライナーに恩を感じた

 

この一件以降、何かと目立った発言をすることの多いライナーに対してジャンは文句を言わないようになった

 

きっと、どこかで自分の恩を通しているつもりなのだろう

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そういったこともあって、ライナーの仲間からの信頼は厚い

 

今回の事件の中心であるエレン・イェーガーともとても仲が良く、体術訓練や私生活で行動を共にすることも多くあった

 

なので、ライナーはエレンが持つ不思議な魅力を多く知っていた

 

が、いくらなんでも子供になるなんてとんでもない魅力をエレンが持っているのは予想外だった

 

事情・・・といってもよくはわかっていないが、エレンが子供になったという説明をアルミンから受けた面々は一様に驚いた顔をしていた

 

現在、エレンはアルミンの膝の上にちょこんと乗っている

 

円を作るように集まった中から、一つの声がした

 

「エレンは・・・俺たちのことを覚えているのか?」

 

コニーだった。コニーのその言葉にハッとなったかのように、アルミンはエレンに

 

「エレン、この人たちのことを少しでも知っているかい?」

 

そう聞いてみた

 

「しらねぇ!でも、そこにいるきんぱつのおねえちゃん・・・」

 

と、エレンがアニを指差して唐突に話を始めた

 

「ハッ、なんだい?目つきが悪くて怖いって?」

 

アニは悪態をつきエレンを冷たく突き放そうとするが

 

「ううん!おねえちゃんすっげぇきれいだなっておもって!」

 

ざわ

 

「それに、そのめだってあおくてきれいで、だいすきだぞ!」

 

その言葉とともに歯を見せる笑顔をアニに向けたエレンは、まるで太陽を背景にしているのでは?という程の輝きを放っていた

 

「な、な、何をいってるのさ・・・私はそんなこと言われたって嬉しくもなんとも」

 

赤面しながらもごまかすかのように早口でまくし立てるアニの言葉を遮るようにエレンは純粋な心をさらけだした

 

「そうなのか?じゃあ、おれにできることならなんでもいってくれ!おれ、おねえちゃんにうれしくなってほしいからさ!」

 

アニの体がブルッと一度大きく震えて、顔を赤くして俯いて黙ってしまった

 

「あ、あれ?おねえちゃん?」

 

「アニ」

 

「?」

 

唐突に発せられた言葉に、その場にいた者たちは誰も意図が読めずにいた

 

「私にはアニって名前があるから、そう呼びな・・・エレン」

 

「アニ・・・アニ・・・おねえちゃん?うん!わかったよアニおねえちゃん!」

 

「!」

 

ざわざわ ざわざわ

 

「(あ、アニおねえちゃん・・・いいかもしれない)」

 

「?(なんでみんなざわざわしてるんだろう?)」

 

エレンが少し心配そうにしている中、ごまかすためなのかミカサが口を開いた

 

「エレン、私はあなたの家族、もちろん私のことは覚えているはず」

 

いや、口を開いた というよりも 目を開いた という方が正しいかもしれない

 

「ひっ」

 

いきなり知らない黒髪の女が黒よりも深い黒色をした目をカッ!と開けば少年となってしまったエレンが驚くのも無理はない

 

「エレン、覚えてるよね?」

 

「え、あの、ごめんなさい」

 

涙目になって怖がるエレンだが、それに気づかずにまくしたてるミカサに安心しかけていたエレンの心には再び恐怖の火が灯ってしまった

 

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

恐ろしさから謝りながら後退しようとするエレン

 

「エレン?なぜ謝るの?なぜ?なぜ?」

 

しかし

 

そんなエレンの後退の速度と同じ速度で全く変わらない距離で詰めてくるミカサ

 

「え、なんでって・・・ぐす」

 

自分は後ろに下がっているはずなのにまったく距離が変わらない

 

「なぜ?なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?」

 

さらに相手は自分の言葉など聞こうともしない同じ言葉ばかりを繰り返す

 

「う、うわぁ・・・うぐ、うぅ・・・」

 

大人であろうと

 

怖い

 

「(まずい!)」

 

アルミンが最終警告信号を感じたものの、既にておくれ

 

 

 

 

「うわぁあーーーーん!こわいよーーー!」

 

 

 

 

「「!!!!」」

 

一番驚いたのは泣かせたミカサだったが、幸せな気分に浸かっていたアニも驚いていた

 

「えぇえええーーーん!いぇえーがぁーーー!」

 

※泣き方がもはや泣いているのかわかなくなっているが、泣いています

 

「え、エレン、ごめんなさい、泣かせるつもりはなかった」

 

なんとか慰めようとするミカサに

 

「え、エレン!落ち着くんだ!」

 

事態の発展を止めようとするアルミン

 

「おいミカサ何してんだよ!」

 

ミカサが泣かせたということしか見ていなかったコニーに

 

「うるせぇぞハゲ!ミカサのこと責めるんじゃねぇ!」

 

ミカサだけを責めるコニーに怒りを覚えるジャン

 

「じゃ、ジャン!コニーのことを悪く言わないであげてください!」

 

そんなやりとりを傍目からみて止めようとするサシャや

 

「サシャ!今はエレンのことだよ!」

 

そんな中無用な争いを止めて本来の目的を見ようとするクリスタ

 

「さすが私のクリスタだな、全くその通りだ」

 

そしてそのクリスタの落ち着いた様をみて何故か自慢げになるユミルや

 

「ユミルはもうちょっと慌てようよ・・・」

 

全くの空気だったけどちょっと口を出してみたベルトルトと

 

「ベルトルト、いたんだ」

 

本気で驚いているミーナ

 

「ミーナ!?」

 

そして今それをツッコムことに驚いているマルコであった

 

それぞれがあわてふためる中

 

ライナーはひとりエレンの方へと歩み寄っていった

 

「エレン」

 

「びぇええぇええん!」

 

ライナーは中腰になると、エレンの頭に手のひらを置いた

 

「びぇ・・・」

 

「「(止まった!?)」」

 

エレンは目に涙を溜めながら、頭に置かれたライナーの手に自ら頭をスリスリし始めた

 

「「(可愛すぎる!?)」」

 

「エレン、落ち着いたか?」

 

わしゃわしゃ と、少し乱暴にエレンの頭を撫でてやると、エレンは素に戻ったのか顔を赤くして俯いてしまった

 

「ん・・・うぁう」

 

俯いていても耳の赤さからまだ恥ずかしがっているのがわかる

 

「ははっ、恥ずかしかったのか?なに、恥じることはないさ」

 

ライナーが微笑みながら慰めるも、エレンは俯いたままどこか悔しそうに言葉を発した

 

「でも、おれないたぞ?いろんなひとがいるのにめのまえで」

 

ライナーからすれば、いや、みんなからしても子供がなくというのがそこまで恥ずかしいことだとは思わなかった

 

しかし、そうではないのだ

 

エレンは子供として恥ずかしがっているのではなく・・・

 

「そうだな、お前は男だもんな」

 

ライナーは、それに気づくことができた

 

「でもなエレン、涙ってのは流すためにあるんだ」

 

「?」

 

エレンは顔をあげて、ライナーの言葉に耳を傾けた

 

「声ってのは発するためにあるんだ、お前はその両方を正しい使い方をしただけで、何も恥ずかしいことはしていない、そうだろ?」

 

ライナーの言葉は、聞かせようという思いが詰まっていた

 

「うん・・・そう、なのかな」

 

「そうなんだよ、それに、お前は泣けるんだろ?」

 

「え?う、うん」

 

「この世にはな、生まれてこれなくって泣けないやつとかもいるんだ、お前はそいつらの分も涙を流してやれる、そんなやつだってことだ」

 

今のエレンには少し難しい話かもしれないがな と追加し、ライナーは立ち上がって自分の座っていた場所へと戻った

 

「よく、わかんないや」

 

エレンの素直なその感想に、少し苦笑いをライナーはこぼした

 

「まぁ、仕方ないさ」

 

「で、でも!」

 

 

 

 

 

 

 

「でも、ないてもはずかしくないってのをにいちゃんがつたえようとしてくれたのは、おれわかったよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのこぼした苦笑いが笑顔に変わるのを、その場にいたものは見ることができた




てなわけでライナー兄貴でした

頼れるライナーを書きたかったので今回はこういったお話です

ちとミカサには悪いことしたかな?

タグの指摘ありがとうございました!

まぁ、つづく!


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ひとりの少女の覚悟と決意

段々と打ち解けてきたエレン

まだ信頼を得ることができていないものもいるものの・・・時間は待つことをしない


しばらく話し込んでいたエレン達は、気がつくと日が沈んでいることに気がついた

 

「あぁ、もう夜だね」

 

最初にそのことを指摘したのはアルミンだった

 

「みーな!みーな!」

 

「え、エレンいたいってば」

 

現在エレンはミーナのおさげをひっぱる遊びに興じている

 

何が面白いのだろうかと考えながらもおさげをひっぱられて屈んだ際にチラリと見えるミーナの女性の部分に男性諸君は楽しんでいた

 

そして楽しむ男性諸君に毎回のように女性諸君の冷たい視線が突き刺さっていた

 

「お、おう、もうそんな時間か」

 

それをごまかすかのように早口でそう言ったのはジャンだった

 

「そうだね、それじゃあ僕たちはそろそろいくよ」

 

そう言って席を立ち上がったマルコはジャンに目配せするとそそくさとその場を去った

 

「じゃあエレン、私も女子寮に戻るからそろそろおさげはなして、ね?」

 

言い聞かせるようにミーナが言うものの、エレンは頬を膨らませて嫌というアピール

 

「そ、そんな顔しないでよ・・・」

 

弱ったような声を出すミーナの横からエレンへと手が伸びた

 

「ったく、あんたも男ならわがまま言うなっての」

 

そう言ったユミルの両の手がエレンの脇の下に差し込まれ、エレンはひょいっと空中に持ち上げられた

 

「わっ!うわっ!な、なにするんだよ!」

 

突然のことに驚いたのか、少し上ずった声でユミルを責めるエレンだったが、可愛いもの好きのユミルには逆効果だったらしい

 

「なぁーにいっちょ前に嫌がってんだよコイツぅ!」

 

「うわっ!お、おい!」

 

ユミルはエレンを空中でひとしきりあちらへこちらへと振り回して地面におろしてあげた

 

「あぅあぅあ~?」

 

目が回ってしまったのかおぼつかないあしどりでなんとかその場にたとうとしているエレンを見て、ユミルは口元を緩ませた

 

「それっ!」

 

もう一度抱き上げられたエレンは驚きからか硬直してしまった

 

「ははっ!じゃあな!」

 

わしゃしゃ!っとエレンの頭を撫でたユミルは満足げな顔でエレンをアルミンのそばに降ろし、後ろ手を振って女子寮に去っていった

 

「はは、大丈夫かいエレン?」

 

「うぁ・・・あ、あぅみん!おれたちもはやくふろはいってねようぜ!」

 

エレンは恥ずかしさを紛らわせるためか少し焦ったようにアルミンに促した

 

「あ、あぁ、そうだね」

 

「待って」

 

唐突に口を挟んだのはミカサだった

 

「どうしたんだい?もしかしてエレンが心配なのかい、なら僕がついているから大丈夫だよ」

 

「そうではない」

 

異様な迫力

 

「な、ならどうして?」

 

「そのエレンと、お風呂に入りたい」

 

「は?」

 

思わずぶっきらぼうな返事をしてしまったアルミン、しかしそうしたのは仕方ないだろう、いや、仕方ないというよりも条件反射に近いものだった

 

「ミカサ、えっと・・・今なんて?」

 

エルミンは半信半疑だった。ミカサならそういったことを言ってもおかしくないと思う反面、自分の幼馴染がそんな発言をするとは思いたくなかったのだ

 

「エレンと」

 

目が

 

「お風呂に」

 

拳が

 

「入りたい!!」

 

言葉がその必死さを物語っていた

 

「(そんな3区切りで言わなくても・・・)」

 

どうにもこれは止め用がないときのミカサだ・・・

 

だ、誰かにヘルプを・・・と、周りを見渡してみるとアニと目が合った

 

「(あ、アニ!助けを!)」

 

「(あれは・・・明らかにアルミンは私に助けを求めている)」

 

「(でも・・・私も)」

 

アニはエレンを一瞥すると、再びアルミンに向き合い

 

「(エレンとお風呂入ってみたいんだ)」

 

すぐに頬を染めてそっぽを向いた

 

「(アニーーーー!?)」

 

「あ、あぅみん?おれ、どうすればいいんだ?」

 

困惑しているのかエレンはアルミンの腰に捕まって震えている

 

「(ハッ!?そうじゃないか、この場でエレンが嫌だと言えばさすがのミカサも強要はできないはずだ・・・!)」

 

アルミンは口を出来るだけ×に近づけてエレンにサインを送る

 

しかし

 

「???」

 

「(そ、そうだよねー!通じるわけないよねー!)」

 

「エレン、あなたはどうしたい?」

 

「えっ」

 

「私と一緒にお風呂に入りたい?」

 

「え・・・」

 

「(だ、ダメだぞエレン!ここで入りたいなんて言ってみろ!明日の君は失われるも同然だぞ!)」

 

アルミンは「あの時ほど自分に超能力が宿っていないことを悔やんだことはその先もなかった」と後に語っている

 

エレンは悩んでいたものの・・・

 

「うーん、わかった!おれいっしょにおふろはいる!」

 

「(え、エレン!?)」

 

「よっしゃもらった」

 

「(ミカサも素が出すぎだよ!)」

 

「で、でも!」

 

喜びを確信したミカサの耳に

 

「おれ」

 

確かに

 

「アニおねえちゃんとはいりたい」

 

絶望が届いた

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ひとりの少女が悩んでいた

 

その少女は様々な隠し事を持っていて

 

普段から少し窮屈、だけれども仲間に恵まれたおかげで以前よりも自由な生活を送っていた

 

欲しいものを自分の手にした給金で購入し

 

今まで食べていたものよりも格段に質の低い物を仲間と笑顔で食べあい

 

自分を第一に考えてくれる親友とともに日々を過ごしていた

 

望むものはこれ以上ない

 

そう思っていた彼女だったが

 

エレン(かれ)が、その望みを打ち破った

 

元々の彼も、とても魅力的な青年だった

 

己の信念を胸に、恵まれた才能に満足することなく努力により更なる高みを目指す

 

まるで昔本で読んだ英雄のようだった

 

そんな、どこか近いようで遠い存在だった彼だったが

 

少年という幼い姿になって自分にとても近しい存在となった

 

これは、神様が与えてくれた機会(チャンス)なのかもしれない

 

だから・・・

 

私は・・・!

 

 

 

 




私は マブラヴが 大好きです

じゃなくて、今回も読んでくださってありがとうございました

だれかのエピソードが読みたいなどがあれば喜んで書かせていただきますのでバンバンお願いします(露骨な感想を稼ごうとする姿勢

それではつづきます
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
3月28日 更新

表現描写の追加をしました

とりあえずは明日も同じ作業で今投稿しているものをすべて見直してから新しい話をあげたいと思います


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お風呂 de どっち? 女性陣ver 脱衣所編

お風呂に入ることになったエレン!

アニと入りたいと言ったエレン!

絶望をミカサにあたえたエレン!

ちょっと蚊帳の外になってるアルミン!!

それでは始まります

※今回、次回はちょっとエッチかもです


女性脱衣所

 

 

「ほ、ほら、あんま私から離れるんじゃないよ」

 

アニ・レオンハートは焦っていた。今まで、なんども予想外の事態というものには直面した

 

「うん!アニおねえちゃん!」

 

しかし、生物兵器と対面するのは初めてだった

 

その可愛さを表現するのであれば「太陽の落し子」だろうか、時折みせるその笑顔は後光が差すほどの純粋さと愛嬌に溢れており、胸の内にある黒いモヤモヤとした邪魔なものを光で溶かしてくれるかのようだった

 

さらに、あまり触れることはなかったが今のエレンの服装はズボン無しのグレーのシャツ1枚だ

 

その服の大きさから手はしっかりと出ておらず、布が余ってしまっている

 

さらに、ズボンを履いていないといっても下着が見えているわけではなく、太ももの途中までがシャツによって隠されているため少年特有のスベスベとした、しかしぷにぷにとした柔らかさを兼ね備えた綺麗な肌が美しく露出しているのだ

 

「エレン、ちょっと手を挙げな」

 

「うん!」

 

エレンは万歳の体勢を取ると、ダボダボの服のせいで視界が確保できていないのか、ヨロヨロとアニの方へと近づいてきた

 

「(可愛い)」

 

「あ、アニおねえちゃん?はやくしてくれよ」

 

腕が疲れてきたのか、エレンの体全体がプルプルと震えてきている

 

「あぁ、悪いね、それじゃあ脱がすよ」

 

アニはそこで一旦停止、今の言葉を頭の中で思い返して

 

「それじゃあ脱がすよ、エレン」

 

少し言い方を変えてみたりした

 

結果として、自分の顔を覆いたくなるほど恥ずかしかったりしたのだが

 

言葉として発せたことに少し嬉しさを覚えていたりもした

 

アニはエレンの服を脱がせるために彼のお腹のあたりの布をつかもうとしたのだが

 

「ひゃっ」

 

「わっ、わるい・・・くすぐったかったのかい?」

 

どうにも手が肌に触れてしまったようで、エレンがびくんと身を震わせた

 

「う、うん・・・べつにおねえちゃんにさわられるのがいやなわけじゃないからな!」

 

「あ、あぁ・・・」

 

そのあとは、なんなく服を脱がすことができた

 

しかし

 

「じゃあ、下着も脱がすよ」

 

「それくらい自分でできるよ!」

 

ボロン

 

「・・・!?」

 

かつて、アニは故郷でライナーやベルトルトと共に川遊びなどをすることが有り、その際に男性の秘部を見ることはあった

 

ベルトルトやライナーが大きいというのは知っていたが、このエレンのモノはなんというか

 

「・・・かわいい」

 

決して小さいわけではない

 

そして大きいわけでも

 

あくまで平均的、いや、平均よりもすこし大きいのだろう

 

その、俺はがんばっているんだと主張しているかのような大きさが

 

アニには可愛く思えた

 

「じゃあはやくはいろ!」

 

「あぁ、ちょっと待って、私も脱ぐから」

 

アニが服を脱ぐと、その服の中にどう収まっていたのか、まるでサナギから羽化した蝶のように美しく乳房が解放された

 

アニの白い肌は雪原のようで、先端のピンク色はそんな雪原に咲いた花のようにも見えた

 

大きな乳房ではあるものの、それ以上に形の整った美しい、芸術品のような乳房だった

 

さらに、訓練が終わり食事をしたあとということもあり消化で新陳代謝が上がっている現状

 

汗が首筋をつたり鎖骨へと流れていき、骨をたどるように体の中心を流れていく、

そしてそのまま、おへそのあたりで中心からすこし逸れ、腰のあたりを通ってももをとおり足元まで流れていく

 

年端もいかぬエレンにも、それが美であることは理解できた

 

「あ、アニおねえちゃんって、ほんとに、その」

 

「なんだい?訓練してるから筋肉がついていて驚いたかい?」

 

「え、いや・・・」

 

エレンは言われて体を意識してみてみると、確かに筋肉と思われるものはついているものの決して目に見える筋肉ではなく、必要なところに必要な分ついていて、必要以上のものは隠れているのか十分に女性らしさが見て取れる身体だった

 

「お、おれは、きれいだとおもうよ」

 

「あ、え」

 

「そ、そうかい」

 

「(わ、私は何を子供の言うことを真に受けて・・・でも、うれしいじゃない)」

 

少しほんわかとした空気が流れ始めたところで

 

「アーニっ!もぅ!いちゃいちゃしちゃってさ!」

 

ミーナ(邪魔者)が割り込んできた

 

「み、ミーナ、誰もいちゃいちゃなんてしてないよ」

 

「おさげー!」

 

エレンはミーナのからかいなどそっちのけで、ミーナのおさげにとびついた

 

「ふふん!エレン悪いけどお風呂に入るときはさすがに解かせてもらうわよ!」

 

「え・・・」

 

思わず涙目になるエレン、それもそうだ、先程までミーナのおさげで遊んでいたことから、遊び道具のひとつだったも同然なのだ

 

「え!?う、うそうそ!私はいつもおさげだよー!」

 

そうミーナがフォローをいれると、エレンは目に溜まった涙を腕でぬぐい

 

「えへへ、ありがとう」

 

太陽のような笑顔をミーナに向けた

 

「・・・アリかもしれない」

 

「ミーナ?」

 

「おさげどうした?」

 

「い、いや、なんでもないよ!(まずい、ショタに目覚めるところだった!)」

 

「どうせろくでもないことを考えていたんでしょうけど・・・それじゃあ天使天使言ってるユミルとなんもかわんないよ?」

 

と、言ったところで

 

アニは脱衣所にいる面々を見渡して、クリスタとユミルがいないということに気づいた

 

「そういえば、ユミルとクリスタが見当たらないね」

 

「あぁ、あの二人ならもう中に入ってるよ」

 

言われたところでアニは、自分たちが長い時間脱衣所にいたことに気づいた

 

「アニ、そろそろ」

 

「うん」

 

ミーナに促され、アニはお風呂場へと足を向ける

 

「エレン、そろそろ入ろうか」

 

手を差し出して、エレンを誘う

 

「おう!」

 

 

 

今は、幼くなったエレンの手を握っている

 

 

 

「こけないように、しっかり握りなよ」

 

 

 

「ありがとな!アニおねえちゃん!」

 

 

 

今は、それでいい

 

 

 

「私も・・・正直じゃない女だね」

 

 

 

「?」

 

 

 

 

 

 

でもいつかは、正直な自分をエレン(あなた)に・・・

 

 

 

 

 

 




女性には尊敬を持って

男性には威厳を感じて

なんて、背伸びした考えでがんばって書いていますけど、単に恥ずかしくて

「おっぱい」や「乳首」という言葉が使えなかったのでない知識を総動員して頑張りました

スポーツをしている女性の整ったラインを表現したかったのですがうまくできたのやら

次回は女性陣のお風呂場編です。そこではアニが髪を解くシーンも書きたいと思っています

と、いうわけで続く!


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お風呂 de どっち? 女性陣ver お風呂場編

前書きってさ、毎回書かなきゃダメなのかな(ネタ切れの恐怖

※少し書き足しました


お風呂場

 

エレン・イェーガーは座っていた

 

お風呂に84個置かれている高さ50cm程の白い椅子

 

その一つに座っていた

 

後ろにはもちろん

 

「エレン、かゆいところはない?」

 

金色の髪

 

「おう!だいじょうぶだ!」

 

青い瞳

 

「シャンプーちょっと足すね」

 

艶やかな柔らかそうな唇

 

「そこらへんはまかせるって」

 

そして

 

天使のような笑顔

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

少し前脱衣所

 

アニがエレンと手をつないでお風呂場へ行こうとしていた時だった

 

先にお風呂場の扉を開けて急ぐことを促していたミーナが、唐突に声を上げた

 

「あーーーっ!」

 

「うるさい」

 

「おさげうるさい」

 

「「ミーナうるさい!」」

 

アニにエレン、さらにはお風呂場の中にいる多くの女性からのブーイング

 

しかし、それをまるで気にした様子もなくミーナは言葉を紡いだ

 

「アニ、あなた教官に呼ばれてるんだった」

 

「え」

 

「なんでも、格闘訓練でアニをはじめとして足技を多用する人が増えてきたからブーツに改良を加えたいから夕食が終わったら来いとか・・・」

 

「え」

 

「ごめんね、伝え忘れてた」

 

「え」

 

単調な返事しかできないアニ

 

「だ、だって前回のラストでそのまま一緒に「前回ってなにかな?」

 

「いや、まえのはなs「前の話ってなんのことかな?」

 

「いy「なんのことかな?」

 

「ねぇ、アニ?なんのことかな?」

 

単調な返事しかできなくされたアニ

 

「教官呼んでるから」

 

「はい」

 

「エレンは私がお風呂に入れておくから」

 

「はい」

 

「それじゃあアニ、頑張ってきてね」

 

「はい」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

以上がアニがこのお風呂場に現在いない原因である

 

そしてその後、ミーナと共にお風呂場に入ったエレンは駆け寄ってきたクリスタに「体を洗ってあげる!」と言われ

 

「うん、おねがい!」

 

と、答えた結果今に至るというわけだ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「エレンの髪の毛洗ってるとなんだかぎゅってしたくなっちゃうな」

 

クリスタの唐突な発言

 

おそらくこれを聞いたのがどこぞのゴリラや微笑みがゲスにしか見えない金髪ならば鼻血でも出して卒倒しているところだろう

 

しかし相手は純粋無垢なエレン

 

「おれ、んっ・・・きもちくてなんもかんがえれないや」

 

単にクリスタが頭のツボを意識して押しながら髪の毛を洗ってあげているのできもちいというだけなのだが

 

「んっ・・・ぁう」

 

体格差から力の加減が難しく、エレンの頭が前後してしまい息が漏れてしまっている

 

そう、ただそれだけなのだが

 

何故か、エロい

 

周りから少しおかしな視線を集めていることに気づき、クリスタは

 

「え、エレン、声をもうちょっと抑えられないかしら?」

 

髪の毛の先端まで丁寧に洗いながらそう提案してみるも

 

後ろ髪を下から頭頂部に向かって洗っていく際に

 

「ひゃっ・・・お、おれ、うなじは」

 

エレンの頭が揺れるので抑えようとしたクリスタの手がうなじに触れてしまったようで、エレンはくすぐったさを我慢できずにいた

 

「だ、だめだよ・・・こえ、がまんできなくなっちゃう」

 

「(だめだよエレン、わたしもそろそろ我慢できなくなっちゃうよ)」

 

クリスタ自身、我慢は限界に近いところまで来ていた

 

先程から自分の指先が肌に軽く当たるだけで身を震わせて息を漏らすエレンに

 

そのことに恥ずかしさを感じて必死に声を我慢しようとするもうなじを触れてしまったがために涙目になりながら限界を告げてくるエレンに

 

「(襲いたいっ・・・!)」

 

クリスタの本能は解き放たれようとしていた

 

「(で、でも我慢しなきゃ・・・それに、あとは泡を洗い流せば)」

 

と、そこまで考えたところで、目の前の少年が思考を遮るかのように口をはさんだ

 

「そういえば」

 

クリスタは今の自分の思考から逃れるべく、ほかの話題を振ってくれたエレンの話に集中しようとした

 

 

 

「あの・・・おねえちゃんのことなんてよんだらいいの?」

 

 

 

しかし、与えられたのは選択の自由だった

 

「(それはつまりエレン、私がご主人様と呼べと言ったら呼んじゃうっていうことなのかしら!?)」

 

「(って、何を考えているのクリスタ・レンズ!変なことは考えちゃダメよ!)」

 

「アニおねえちゃんみたいに、おねえちゃんでもいいかな?」

 

クリスタが髪の毛についた泡を流し終わると、エレンはこちらに向き直り上目遣いをしながら頼み事をしてきた

 

「あ、あのな・・・おれ、まえからとしうえのおねえちゃんが欲しかったんだ」

 

だから、とエレンはクリスタの膝に自分の手を置いてずいっと迫って

 

 

 

「おれのおねえちゃんになって?」

 

 

 

クリスタは鼻から愛の液体を垂れ流してしまった

 

それほどに可愛かった

 

それほどにわがままだった

 

そしてそれほどに、愛したいと思った

 

「もちろん!」

 

クリスタの返事を聞いたエレンは満面の笑みを作ると、クリスタに抱きついて頬ずりをし始めた

 

「ありがと!クリスタおねえちゃん!」

 

「(天使)」

 

さて、想像してみてほしいことがここである

 

クリスタはもちろん全裸だ

 

エレンも同じく

 

そんな状態で前から頬ずりなんてしてみたら

 

肌と肌が密着するのは言うまでもないことだろう

 

 

 

ピトッ

 

 

 

「あ・・・(エレンあったかい)」

 

「クリスタおねえちゃん・・・やわらかい・・・」

 

エレンは胸に顔をうずめている

 

もしも、ほかの男性にやられたとしたら不快感しか湧かないのであろうが

 

クリスタは不思議とこの少年、いや、エレンにこうされるのは嫌ではなかった

 

「なんだか・・・かあさんみたいだ」

 

クリスタは思い出していた

 

エレンにもう母がいないことを

 

「(でも、この頃のエレンにはまだお母さんがいるはずよね・・・お母さんがお亡くなりしたのってミカサとあってからの話って聞いたし)」

 

「おかしいな、『俺の母さん』はもういないのに」

 

「!?」

 

一瞬、本当に一瞬だが

 

口調や雰囲気が『この時代』のエレンに戻っていた気がした

 

いや、戻っていたのだろう

 

そして思い出したのだ、自分の母が巨人に食べられてしまったことを

 

見れば、エレンは泣いていた

 

「かあ・・・さん・・・まもれなくて・・・ごめん」

 

覚えている・・・?

 

いや、思い出したのだろう

 

今の一瞬、一体どうして『今の時代』のエレンの雰囲気などが戻ったのかはわからないが

 

おそらく今の一瞬、戻った時に感じたイメージがあまりに強烈だったせいでこちらのエレンの記憶にも少なからず残ってしまったのだろう

 

「(このエレンは、3歳にして母親を失ったのも同じ状況・・・)」

 

 

 

 

私には

 

「(私に何がしてあげられるのだろうか・・・)」

 

力がない

 

「(私には、何もできない)」

 

私には

 

「(だからせめて)」

 

自分を捧げることしかできない

 

 

 

 

 

「エレン、泣いていいんだよ」

 

 

 

 

 

「ッ・・・!」

 

ダムが、決壊したかのようだった

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!ーーーーーーーーーー!」

 

大きな声で泣くエレンと、それをすべて受け入れるクリスタ

 

そこは確かにお風呂場で

 

決して聖なる場所ではないはずだった

 

しかし言葉にしてみるとどうだろう

 

 

 

 

 

 

涙を流す子と、それを受け止める見目麗しき女性

 

流された涙は多くの流れに従い一つの地点へと集まる

 

流したのは涙か、それとも悲しみか

 

二人が離れる頃、子の顔は赤く恥ずかしさを持っていた

 

 

 

 

エレンがようやく大きな声を上げて涙を流さなくなったのはお風呂の使用可能時間もギリギリに迫ったころだった

 

エレンが泣いている際にこちらを何度も見てきていた女性たちはもういなくなっている

 

「どう?落ち着いた?」

 

クリスタがエレンの頭を撫でてやると、エレンはくすぐったそうに目を細めながらも拒まずにそれを受け入れた

 

クリスタはその場にいたわけでもなければ本人でもないため、その時のエレンの受けたショックの大きさはわからない

 

しかし、クリスタは

 

いや

 

ヒストリアは知っている

 

孤独の悲しみを

 

「ヒッグ・・・ぐす」

 

エレンは落ち着いたものの涙はまだ止まっていないようだ

 

両手で顔を隠すようにして泣いている

 

「エレン、聞いて」

 

クリスタは語りかけるように口を開いた

 

「あなたはこれから、辛い思いを多くするわ」

 

そう、生きているから

 

「でも、あなたは乗り越えられる」

 

だって、生きているから

 

「だから、残酷な現実に負けないで」

 

「だから、美しい世界へ目指してこれからを生きて」

 

だって、生きていて欲しいから

 

 

 

「く、クリスタおねえちゃん・・・」

 

泣き終えたエレンが体を離して申し訳なさそうな顔でこちらを見てきた

 

「その、ごめん・・・おれ、あんなにないちゃって」

 

それと・・・と言葉を続けるエレン

 

「く、クリスタのこと・・・かあさんってよんでもいい?」

 

クリスタは少し驚いたが、その提案を笑顔で受け入れた

 

「いいよ、エレン」

 

あなたの弱さはいつか強さに変わるから

 

私はそれを知っているから

 

 

 

私は

 

 

 

その強さの支えになりたい

 

 

 

「ありがと・・・かあさん!」

 

 

 

 




書き直しました!

申し訳ありませんでした!

エレ×クリ大好きです!

でも像さんの方がもっと好きです!(激寒


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お風呂 de どっち? 男性陣ver お風呂場編

今回、エレンきゅんは一切出てきません

むっさくるしい男たちの日常的会話をお楽しみください


お風呂場

 

「ふぃーー」

 

温かい湯にその日の疲れすべてを流してもらう

 

その、お風呂に浸かるということがアルミンは好きだった

 

世の中には、このお湯が地中から湧いてくることもあるという

 

シガンシナ区にはそのお湯を使用した『温泉』というものがあった

 

「(エレンと一緒に入りにいったなぁ)」

 

懐かしむ、そんな時間を過ごすのはいつぶりだろうか

 

「(いつもはお風呂場でまで喧嘩をし始めるエレンとジャンの仲裁に入ったり忙しいからなぁ)」

 

そういえば、と横を見てみると

 

「はぁーー」

 

アルミンと同じくエレンとジャンの喧嘩の仲裁に入る友人、マルコもとても落ち着いた様子でお風呂に浸かっていた

 

同じことを考えていたのか、マルコもふと何かを思ったようにこちらをみた

 

どうやら、同じことにいつも胃を痛めているのは僕の想像というわけではないようだ

 

「ははは」

 

「くっ、はは」

 

交わした言葉はなかったけれども、どうやら向こうもわかってくれたようだ

 

「あぁ・・・いいお湯だ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おいベルトルト」

 

ライナーは既にお風呂場の外にいた

 

名前を呼ばれたベルトルトも同様だ

 

「どうしたんだいライナー?」

 

現在ライナーは右手に自分の白いコップを持っており、中には冷たいミルクが入っている

 

少し脂分の高いヤギのミルクだ

 

健康に気を使っていないのではなく、彼は故郷に住んでいる時から牛のミルクよりもヤギのミルクの方が好きなのだ

 

「最近さ」

 

ライナーの話題は限られている

 

最近ではクリスタに関する悩みと、理不尽な暴力に対する対処法に関して相談されることが多い

 

「最近・・・どうしたんだい?」

 

そういった場合は話は聞いているだけというポジションになりがちだ

 

「俺、太ったかもしれない・・・」

 

 

 

 

「・・・うん?」

 

 

 

 

ライナーが、女性の様なことを言いだした

 

「い、いや、アルミンやコニーを見てるとだな」

 

欲情するのかな?

 

「うん」

 

「なんか、俺って太いなって」

 

いきなり下ネタをぶちこんでくるとはライナー、君は戦士だよ

 

「ライナー、それは個人差があるというか・・・アルミンやコニーに失礼だよ」

 

そういうところにコンプレックスを持っている人もいるからね、とベルトルト

 

「アルミンも体重を気にしているのか?」

 

あぁ、体重の話か

 

「いや、彼は中性的だからね、もしかしたら筋肉がつきにくかったりして悩んでいるかもしれないだろ?」

 

とっさの機転、やっぱり僕は頭がいい

 

「あぁ、確かにな・・・」

 

「それよりもライナー、長年一緒にいる僕から見ても君にはそんなに変化はないように見えるけど」

 

ライナーは太った、というよりもさらに筋肉がついてガタイがよくなった

 

おそらくはそれを勘違いしているだけなのだろうが

 

なるほどどうりで、最近サシャに朝食の時にパンを渡しているのはそういうことだったのか

 

「そ、そうか?」

 

「まぁ、しいていうなら、屈強になったってところかな」

 

「そういえば、最近服が小さく感じるな・・・」

 

いや、そこまで感じていたなら気づこうよ

 

「まぁ、そういうことを気にするのは君も年頃の男の子っていうことなのかな」

 

そこまで言って、ライナーが口元をニヤケさせているのに気づいた

 

「おまえ、くくっ、親かよ」

 

気にしていなかったけれど、どうやら僕の口元にも笑が浮かんでいたようだ

 

「ははっ、ははは」

 

こんな風呂上りは、悪くない

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

俺は、ジャン・キルシュタイン

 

自分で言うのもなんだが、それなりに顔立ちも整っているし体格もいいほうだ

 

座学においてもいい成績を収めているし、総合的に見ても今期の訓練生の中でもかなり上位の成績だとわかる

 

そんな俺だが

 

俺は、いつも悔しさをこの風呂場で噛み締める

 

エレン・イェーガー

 

あいつとの出会いは俺にとって大きな意味のあるものだった

 

そう、ライバルとなるヤツとの出会いだったからだ

 

恋のライバルであり、兵士としてもライバルである

 

今日は久しぶりにあいつに格闘訓練を挑んでみた

 

あいつは以前よりも筋肉がついていて、技術的にも俺以上だった

 

そうだ

 

俺はあいつに負けた

 

ならず者として右から攻めた俺は目の前に立ちはだかったエレンが後ろに重心を置いていることから上段蹴り、または投げ、それか受け止めるものだと考えた

 

なので俺はフェイントで一旦止まり、そのあとでエレンの動作が1コンマ早く行われたところで次の手をかんがえようと思った

 

エレンの手前1mで俺は急停止

 

エレンの右足が地から離れたところで俺は上段蹴りと読み、あえてその蹴りの間合いへ入り右手でエレンの蹴りを膝の部分に手を当てることで最小限の力を持って止める

 

空いている左手をフック状の形にしてエレンの首に手をやり左側に力を込める

 

左足一本で立っているエレンはそれだけで体勢を崩した

 

そのままエレンの右足を止めていた右手でエレンの足を下からすくい上げる

 

これでエレンは半回転して地面にたおれ・・・

 

そう、ここで油断したんだ

 

あいつは倒れていく中で左手を地面に着くと、俺が与えた回転をそのままに水面蹴りを放ってきた

 

それを避けようと上に飛んだ俺は、エレンが水面蹴りを半回転したところで右手も地面に付けるところを見た

 

そのあとだった

 

エレンはその状態から回転を保ったまま逆立ちの体勢になり回転蹴りを放ってきた

 

空中

 

避けられない

 

俺は、腹に重い一撃を食らってナイフを手から滑り落としてしまった

 

そう、負けたのだ

 

「クソが・・・こんなこと思い出すもんじゃねぇな」

 

しかし、それでも思い出してしまうのはなぜなのだろうか

 

ふと、俺の隣を見てみると浴槽に沈んでいる坊主が目に入った

 

「ってコニィィイィイィイィ!」

 

 

 

 

 

コニーを風呂場の床に寝かしてやり、俺はその近くの浴槽に入って様子を眺めていた

 

悩みがなさそうなやつだ

 

とは思わない、どんなやつでも小さな悩みってのは抱えているものだ

 

「コニー、起きてるか?」

 

先ほど一度コニーが呻いたことから、起きているのではと考えたのだ

 

「ジャン・・・か?」

 

「あぁ、気がついたらお前が浴槽の中で沈んでいっててな」

 

「そうか、ありがとう」

 

珍しく気弱なところを見せるコニーに、ジャンは少しの心配を覚えた

 

「どうした・・・?珍しくしょげてんのか?」

 

 

 

 

コニーの答えが返ってきたのは、ジャンがそろそろあがろうかと考えていた頃だった

 

 

「その、さ・・・今日、エレンが小さくなっちまっただろ?」

 

「ん・・・?あぁ、あのバカな」

 

「それでさ、なんだか自分の小さい頃を思い出しちまって」

 

「あぁ・・・」

 

それは、ジャンも同じだった

 

自分の幼い頃、誰かに甘えながら生きていた時のことを思い出したのだ

 

「あのよ、俺はなんだかんだで母さんのこと大好きだからよ」

 

「久しぶりに会いたくなって悩んでた・・・ってところか」

 

「あぁ」

 

やっぱり、悩みはあるものだ

 

そう、それをどう処理するかが大事なんだ

 

わかってる

 

「お前はそれを悩んで・・・答えは出たのか?」

 

きっと、出ていないのだろうとジャンは思った

 

が、その期待は裏切られた

 

「あぁ、俺は決めたよ」

 

「え・・・」

 

こいつ、風呂で気を失うくらい悩んでいたってのに・・・もうその悩みになんらかの対処を考えたってのか

 

こいつには、なんでかたまにスゲェって思わせられる

 

「すまんが、聞いていいか?どう、対処しようって決めたんだ」

 

・・・・聞きたい

 

「参考になんかならないと思うぞ」

 

それでもだ・・・

 

「俺は、先延ばしにした・・・」

 

「さきのばし・・・?」

 

それって解決なのか?とりあえずじゃないのか?そんなんでいいのか?

 

「すまん、なんでそういう選択に至ったのかを教えてもらってもいいか?」

 

「あぁ・・・俺は、一人で悩もうとしたんだ」

 

「・・・?」

 

「自分のことだから、俺は一人で悩まなきゃだと思ってた」

 

ジャンもそう思っている

 

自分の問題は自分で解決するべきだと

 

「でもよ、少し話はもどるけど今日のエレンを見ていて思ったんだ」

 

「俺たちって結局のところ、誰かに頼って生きてるんだなって」

 

コニーが言った言葉を、よく考えてみた

 

確かに俺たちは今も教官に教えを請うている状態だ

 

さらに、教官も俺たちという戦う道具がいなくては意味がない

 

たしかに、人は誰かに頼って生きている

 

「だから俺は、誰かに頼れるときにその人と一緒に考えてみようと思うんだ」

 

「だから、今は考えない?」

 

「あぁ」

 

それは、「逃げ」じゃないのか?

 

・・・だめだ、俺にはまだわからない

 

いつか分かる時が来るのかよ

 

「コニー」

 

「あ?」

 

「ありがとう」

 

「へっ、礼なんて言うなよ」

 

それと、すまない

 

俺にはまだ、答えを出すことはできないようだ

 

だけど、お前が言ったとおり誰かに頼ってもいいなら

 

俺は、俺も・・・みんなに・・・

 

少し肩の荷が降りた・・・今日は、いい風呂だったな

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

嘘予告

 

 

 

 

 

「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

 

「み、ミカサが壊れた!」

 

「どうすればいいんだアルミン!」

 

「エレン!こんなこともあろうかと用意しておいたんだ!これを着けてくれ!」

 

「これは・・・G4!?」

 

仮面ライダーエレン G4

 

科学のライダーが、その力を振るう

 

すべての戦いが終わったとき

 

駆逐されたのは希望か絶望か

 

わかるのは、時を見たものだけだ!




なんで、嘘予告とか俺はつけたんだ・・・?

えっと、その

どうか気にしないでくださいまし!

次回

お風呂もあがってねることになったエレン!しかしここで、エレンの身に変化が訪れる!


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大人編
αー1 幼い寝顔ー1つの終わりー


エレン・イェーガーのそばにはいつもある女性がいた

エレン・イェーガーの周囲には様々な仲間がいる

エレン・イェーガーには不思議な魅力が備わっているようだ


絶望は何かを失って初めて与えられるものである

 

それは老若男女全てに当てはまることだろう

 

だれかが昔言っていた

 

『この世界は残酷だ』

 

自分もその通りだと思う

 

そして、その残酷性が私たちに絶望を与えるのだ

 

だが

 

私は知っている

 

この世界が美しいことを

 

『しかし、とても美しい』

 

エレンに出会ったことで、私はそれを知ることができた

 

アルミンに出会ったおかげで、私は知識の重要性を理解できた

 

カルラおばさんに出会ったおかげで、私は母の暖かさを失わずにいられた

 

グリシャおじさんに出会ったおかげで、だれかを助けることの意味を知った

 

それらの出会いはどれも美しく

 

どれもがエレンのおかげであった

 

エレンが訓練兵になるといったおかげで

 

私はクリスタに出会い女性の美しさを知り

 

アニに出会ったおかげで嫉妬というものを知り

 

サシャに会ったおかげで品格の大切さを知った

 

ミーナに出会い笑顔の美しさを確認させられ

 

ユミルと会話する中で女性の強さを見た

 

私は、出会い、出会い、そしてまた、これからも出会う

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「エレンは私と一緒に寝る」

 

と、目に力をこめて正面の敵を見据えるミカサ

 

「はっ、知らないね、私は自分のしたいことをするだけだよ」

 

と、間合いを図るかのように足をじりじりと移動させるアニ

 

「そんな、エレンが困っちゃうから私が一緒に寝るよ」

 

と、一件心配層にしているもののなにか黒いものが見え隠れしているクリスタ

 

「お、おれどうしたらいいんだ」

 

と、泣きそうな顔でその成り行きを見守るエレン

 

今、女子寮の一室は戦場へと変貌を遂げていた

 

 

 

お風呂から上がったエレンはクリスタに体を拭いてもらい小さな体にぴったりの服を着て女子部屋に、そこでユミルやミーナ、サシャと共に遊んでいた時だ

 

突然エレンの目の前にどこからかミカサが降ってきてそのままエレンを奪取

 

エレンが驚きで泣き出したところに一足遅れてお風呂に入っていたアニと鳴き声を聞きつけたライナーが女子部屋に乱入

 

ライナーが肉体言語で女子部屋から強制退出させられた後にまだお風呂上がりで体から湯気の上がるアニと急いできたせいなのかそれとも興奮のせいなのか体温上昇によって湯気が出ているミカサとの一騎打ちが開始された

 

しかし

 

そこに突如として退出したはずのライナーが降ってきたことで戦闘は中断

 

降ってきた角度から算出した射出点に目を向けてみるとそこには笑顔のクリスタがおり

 

一歩をもってミカサまで近づくとそのまま蹴りで一閃

 

避けたミカサの手からエレンを奪うも、油断したところをアニが右足の蹴りをフェイントに使ったアイアンクローをもってクリスタからエレンを強奪

 

この時点で驚きのあまり泣き止んでいるエレン

 

アニがエレンを安全な椅子に座らせて現状に至ったというわけだ

 

「アニ、あなたはエレンとお風呂に入った、睡眠まで共にするのは欲張りというもの、ので、私に即時権利の譲渡をするべき」

 

ミカサの論説、しかしアニは額に青すじを浮かべて歯ぎしりをした後に言い返した

 

「悪いけど私はどこかのおさげが教官に呼ばれていたということを言い忘れてくれたおかげで一緒にお風呂に入れてないのよ、一緒にお風呂に入ったのはそこのクリスタよ」

 

と、軽くミーナを睨んだあとにミカサを睨み、最後には氷点下を思わせる瞳でクリスタを見るアニ

 

クリスタは鼻で笑うとアニとミカサの双方を見やって言い放った

 

「あなたたち、ふたりとも欲張りじゃないの!」

 

その言葉の持つ不思議な重みは天使というよりも即位した女王だった

 

「あなたたちはいつもエレンと共にいるわ!それにひきかえ私のように馬術にしか覚えのないものはそこでしかエレンと触れ合えない、笑い合えない!」

 

クリスタの言葉に日頃のエレンとの思い出を思い出して少し赤面するアニとミカサ

 

「軽い挨拶程度の関係でいつも見ているだけだったの!私だって信念を持ったエレンの姿に憧れていたけれど、いつもあなた達という壁があったから話しかけることができなかった!けど、今日はエレンから話しかけてくれたの!嬉しかったの!だから、今日くらいはこの幸せに浸らせてよ!」

 

クリスタの言葉に胸を打たれたのか、押し黙るミカサとアニ

 

しかしここで、一つの想定外の事件が起きた

 

ビリビリビリッ

 

「え?」

 

不思議な音に対して一番に反応したのはミーナだった

 

ミーナのいる位置はエレンの真後ろであり、何かがあればすぐに気づくのは当然のことだった

 

そして、次に声を発したのはミカサだった

 

「エレン・・・?」

 

エレンに起きた変化に、押し黙っていたことさえも忘れて言葉を発してしまったのだ

 

「キャ!」

 

思わず顔を覆いエレンを見ないようにするアニ

 

「あわわわわ」

 

そして、先程までの女王様は何処へ

 

クリスタまでもがいつもの天使になり恥ずかしさを露わにしていた

 

エレン・イェーガーに変化が起きたのだ

 

それも、とても大きな変化が

 

「え、エレンが」

 

驚きを言葉にしたのはユミルだった

 

「エレンが」

 

 

 

 

 

「大人になりやがったぁーーー!?」

 

 

 

 

 

エレン・イェーガー(25)

 

1つの物語は終わり、新たなる物語が始まる

 

しかし、この物語の終着点はまだ見えない

 

そして、この物語の終着点はすくなくとも

 

 

 

 

美しくありたい

 

 

 

 




ショタ終了!

しかし!今度は!アダルティーに行きますぜ!


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αー2 大人の余裕と懐かしさ

腹筋を鍛えようとジョギングと腹筋を頑張る日々・・・

でもバイトのせいで足腰ばかり鍛えられる

嬉しいんだけどもこれ以上足がごつくなってもなぁ・・・



・・・前書きじゃない!!!


女性寮 寝室

 

 

 

私は興味がないことにはとことん興味がない

 

いや、興味を持つことを避けているだけなのかもしれない

 

でも、そんなふうに周りから離れようとする私に何度も話しかけてくれて

 

何度も笑い合って何度も語り合ったクリスタに対する興味だけは

 

尽きる気がしなかったんだ

 

 

 

 

でも、今はもうひとり

 

エレン・イェーガー

 

成績は優秀で巨人に対する敵対心も同期訓練兵の中でも圧倒的に高い

 

そんな、一見すると真面目で死に急ぎで馬鹿の一言に尽きるようなヤツだった

 

けど、今はどういうことか

 

そいつの一挙手一投足がとても気になる

 

いや・・・恋とかじゃないんだ

 

これはどちらかというと

 

 

 

そう

 

 

 

興味なんだろうな

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「え・・・エレンが大人に・・・」

 

目を大きく開きこの世で最大の発見をしたかのような顔をするミカサ

 

それもそうだろう

 

成長したエレン

 

そんな意味不明で理解不能な存在がいきなり目の前に現れたのだから

 

「ん・・・」

 

どこか色気のあると息が聞こえた

 

エレンは今椅子に寄りかかるように眠っている

 

つまりは、無防備なのだ

 

その場にいた人々は口元から全身へと目を移してエレンの体を観察した

 

背は178cm程だろうか、スラッと伸びた体躯にはほどよい筋肉がついており

 

足を見ればとてもよく引き締まっていてその完成された点からエロさを感じさせる

 

足の付け根の方へと目を向けてみれば

 

「!!」

 

思わず目を背けるアニ、ユミル

 

そして凝視してその目に焼き付け用とするミカサ、クリスタ

 

何のためなのかスケッチを始めるミーナ

 

エレンのエレン(巨人)を見た反応は人それぞれであった

 

「あ、見て!エレンが・・・!」

 

クリスタの言葉を受けてみんなが再びエレンの顔に注目する

 

ゆっくりと、そうゆっくりと

 

エレンは瞼を開き、辺りを見回すために首を動かした

 

最初に目が合ったのは

 

「う・・・うぁ」

 

アニだった

 

「ん・・・?あれ、ここは・・・?」

 

エレンはアニを認めた後に周囲を見回す

 

「あ・・・おいおい、皆してなんだ?俺が起きるの待ってたってのか?」

 

エレンが砕けた態度をとる

 

もちろん、周りにいる女性陣は突然の大人エレンの会話の振りについていくことができるはずもなく、全員が沈黙の選択肢を選んだ

 

「あれ?なんで俺服着てないんだ?」

 

エレンが自分の体が服をまとっていないことに気づき、周りを見渡して女性寮のテーブルにあった長いテーブルクロスを腰に巻いた

 

「それにしてもミカサもクリスタも訓練兵の頃の服をいきなり着るなんてどうしたんだ?はは、懐かしいな」

 

「「(!!)」」

 

ミカサとクリスタは即座に気付いた

 

「「(懐かしいということは未来では別の服装で何度かあっているということ・・・もしかして将来では私が隣にいる・・・!?)」」

 

希望を胸にミカサとクリスタがじりじりとエレンへの距離を詰めていく

 

しかし

 

 

 

 

「お!アニもその格好なのか!結婚してから初めて見るな!」

 

 

 

 

ピシッ

 

 

 

 

 

「あ、あ、あ、アニがなんだといったの?エレン」

 

ミカサがどもりながらエレンに確認を促す

 

「ん?あぁ、だからさ、3年前に結婚して以来アニって俺のあげた服ばっかり来てくれてたから、アニが自分で持ってる服を見るのって久しぶりだなって」

 

「ごはぁっ!」

 

ミカサが口から血を吐いてその場に倒れる

 

そのミカサの後を追うつもりなのかクリスタもエレンに話しかける

 

「え、エレン、一応確認しておきたいんだけど結婚したのって・・・だれと?」

 

その続きに待っているのが絶望だと知りながらも、クリスタは中途半端な絶望では逆に気になってしまうと思い聞くに及んだのだ

 

しかし、そんな覚悟も気にせずにエレンはサラっと答えた

 

「そりゃあ、アニと」

 

「ゲボァッ!」

 

そして、クリスタもまた地を履いてその場に崩れ落ちるように倒れた

 

そして、倒れていく者がいる中、アニだけは未だにエレンの言葉をまだかまだかと心待ちにしていた

 

「あれ・・・?そういえばここって・・・」

 

しかし裏切られた期待

 

「チッ・・・」

 

エレンは周りを見渡して途端に何かに気がついたかのように声を荒げた

 

「こ、ここ・・・ウォール・ローゼの中の女子寮じゃないか!?」

 

その事実を知っているというのは入ったことがあるということなのか?

 

と、皆問いたそうにしていたが

 

「・・・あぁ、そういえば前にアルミンから俺が一時的に大人になってたって話を聞かされたことあったな・・・なるほど、それが今ってわけか」

 

意外と冷静なエレンの対応に動きを封じられる女性陣

 

「え、エレン・・・驚いてはいないの?」

 

と、聞いたのはミカサだ

 

立ち直ったというわけではないのだろうが、頑張って忘れようとしているのが見て取れる

 

「ははっ、そんなわけねぇだろ」

 

笑顔でごまかすエレン、大人びた骨格にに無邪気な笑顔というのは男性に耐性の低い女性訓練兵の胸を射止めるのには十分な素材だった

 

「俺だって驚いてるけど、驚いた上でどう行動するかを決められないとみんなを守るなんてできやしないからな」

 

そしてここで、守る対象としてみていたエレンに守られるということを意識したミカサは女性としての己を意識した

 

そして、改めて今この場にいるエレンが未来から来たであろう大人のエレンということを理解した

 

「よいしょっと、それにしても」

 

と、椅子に座り直したエレン

 

「クリスタ、ちょっとこっちきてくれないか?」

 

名前を呼ばれたクリスタはトテトテとぎこちない動きでエレンに近づいていった

 

どうやら先ほどのことが尾をひいているようだ

 

「おいで」

 

エレンは優しく微笑むと

 

グイッ

 

「ひゃあっ」

 

クリスタの腕を掴んで自分の方へ寄せると、膝に座らせた

 

「「!!?」」

 

混乱の色を見せるクリスタと周囲の女性達

 

「なっなっなっなにを!!?」

 

おもわずどもりながらエレンに真意を問うクリスタ

 

その顔は真っ赤になっており、もはや答えが返ってきても理解できるかどうかすら定かではない

 

 

 

 

 

 

 

「なにをって・・・あぁ、そういえばこの時はまだクリスタは俺の彼女じゃないんだっけか」

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

その言葉で女性寮の一室に静寂が訪れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どういうこと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂を打ち破ったのはアニだった

 

その顔には怒りと焦りと悲しみと困惑と・・・とにかく様々な感情をその顔に浮かべている

 

それもそうだろう

 

嫁だと言われた直後にほかの人間に対して自分の夫であるはずの人物が他人に対して「オマエ、オレノ、カノジョ」等と言うのだ

 

混乱しない方が頭がどうかしている

 

「アニの怒りも当然、どういうことなのか説明を求める」

 

ミカサも一歩踏み出してエレンに近づいて睨みをきかせる

 

「あ?何言ってんだよミカサ、どういうこともなにもお前に関しては俺の愛人だろ」

 

「はひっ!?」

 

思わず奇妙な声を出すミカサ

 

「あれ、っていうことはまだベルト「ちょっといいかい?」

 

咄嗟に口をはさんだのはアニだった

 

女の勘というものだろうか

 

その情報をここで明かされてはいけない

 

そんな気がしたのだ

 

しかし、今ここでエレンの言葉を止めたのはあまりにも不可解だ

 

どうにか言い訳を・・・

 

「あっ、あぶないあぶない・・・そういえばそうだったぜ、ここでお前らが知らない情報を俺が教えちまうと歴史が変わるから絶対にやめろってアルミンに言われてたんだ」

 

と、エレンが口にした言葉でその不可解はどこかへと消え去った

 

ちなみにだが、この間もエレンはクリスタの頭を撫で続けている

 

「えへへー」

 

もはやクリスタはエレンの右手の虜だ

 

それはとても幸せそうな光景であるのだが

 

それを良しとしないものがこの場にはいた

 

「おい、死に急ぎ野郎」

 

それは、クリスタを愛している人

 

 

 

 

ユミルだった

 




寒くなってきてコートか何かをそろそろ買わなきゃと思っている今日この頃

やっほい!つづくっほい!


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αー3 守るということ

どうも、最近行ったTRPGで運転のダイスロールでファンブルを出して、そのあとに幸

運でダイスロールして成功したら別の車でもう一度運転のダイスロールを振っていい

と言われたのですが、まさかの幸運のダイスでファンブルをしてしまったため乗って

いた車が突如爆発するという終焉を迎えましたスペインです

寒くなってきて更に台風がウィンウィンしてやがりますが皆さん風邪ひかないよう

気をつけていきましょう


 

『人を守る』

 

それは難しいことだ

 

『守る人を何故守るか』

 

その理由付けをすることもまた難しいことだ

 

『守る人を見つけること』

 

それもまた、難しいことだ

 

私はそれを知っている

 

しかし私にはクリスタがいる

 

守りたい

 

助けたい

 

傍にいたい

 

そう思える人を私は見つけられた

 

見つけられたから

 

だから

 

守る

 

守りたい

 

守ってみせる

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おい、死に急ぎ野郎」

 

ユミルが、エレンに寄りかかるように膝に座っているクリスタを見て

 

我慢ができなくなったのか勢いよく立ち上がって話しかけた

 

目には怒りが灯っているが、頬を若干赤く染めている

 

「ん、どうしたユミル?」

 

エレンが反応する中、クリスタがエレンの手が止まったことに不満を覚えて体重をかけてエレンに寄りかかった

 

「あ、ごめんな」

 

「ん~♪」

 

クリスタはエレンに撫でられながら猫のように目を細めている

 

「ふっ・・・ふざけてんじゃないよ!」

 

大きな声を出したユミルに、その場に一人々の視線が一斉に集まる

 

自分に集まる視線にプレッシャーを感じながらも、ユミルは言葉を続けた

 

「あっ、あんたはクリスタをそんなところにおいて、何が目的なんだい!」

 

ユミルが指でエレンの足を指す

 

エレンは「はい?なんのことですか?」と言いたげな表情をユミルに向けた

 

「だっ・・・だから!」

 

ユミルは顔を赤くしながら口を濁し

 

「な、なんで」

 

 

 

 

 

「なんで布一枚で股間隠した状態でクリスタをその上に置いてるんだ!」

 

 

 

 

「「!!」」

 

今になって皆もその状況に気づいたのだろう

 

すぐさまにエレンの股『部分』へと視線が集まる

 

さらに、意識してしまったのかクリスタが若干身をよじらせる

 

「うぁっ!」

 

クリスタが体重をかけた状態でその『部分』に身をよじらせるように刺激を与えたものだから、エレンは思わず声を漏らしてしまった

 

「く、クリスタ・・・なんだ、今日は大胆だな」

 

エレンが顔を赤くしながら制止を呼びかける

 

「ひゃん!」

 

おもむろにおかしな声を上げるクリスタ

 

ユミルが思わずクリスタに近寄るが、クリスタはそれどころではないようで・・・

 

「え、エレン・・・なにかが私のお尻に・・・」

 

「あぁ、その・・・すまないな、お前で興奮しちまった」

 

大人の余裕といったところなのだろうか

 

エレンは正直に自分に起きている現状を話した

 

訓練兵の立場上、男女の『そういったこと』には慣れていないクリスタを含めた女性陣は頬を赤く染めながらもどこか興味深そうな目でエレンの『そこ』をみていた

 

「やっ・・・ちょっとエレン動かないで!だっ、だめ!」

 

顔を赤くしながらどこか甘い声を出すクリスタ

 

幼さの残る容姿をしたクリスタが見せるその姿にはエロスがこれでもかというほどに詰まっていた

 

周りの女性がどこかソワソワとするなか

 

ユミルが

 

動いた

 

 

 

 

 

「ふざっけんじゃねぇええぇえ!」

 

 

 

 

バッ!!!

 

ユミルはエレンからクリスタを奪い返すようにクリスタの手を引くと、自分の胸にクリスタを抱いた

 

「きゃっ!」

 

いきなりのことで短い悲鳴を上げるクリスタ

 

しかし

 

「わぁあああぁ!」

 

ユミルも思わず短い悲鳴を上げてしまった

 

それもそのはず

 

クリスタは中学生がエロ本を買うときに上に置くファッション誌のような役割を今まで果たしていた

 

そのファッション誌が店員の無慈悲な行いによって暴かれてしまえば、見えてくるのは煩悩と本能の象徴だ

 

そして、今クリスタがどいたことで

 

エレンの本能がタオルに隠れている状態とは言え自己主張をしているのが見えてしまっている

 

さらに問題なのは

 

それが、初めて見る人でもわかるほどの大きさだったということだ

 

「おっ、おまっ!な、なんちゅーもんを!!」

 

ユミルが指摘するが、当のエレンには全く気にしたような気配はなく

 

「おっ!ははっ!今日も元気だな俺!」

 

とても愉快な様子だった

 

「ま、このくらいなら・・・」

 

と、何かを考えるように目を閉じたエレンは、口から短く息を吐き

 

自分の息子を落ち着かせた

 

「こんな具合に、な!」

 

笑顔でユミルにその光景を見せたエレン

 

セクハラである

 

「な、なにがこんな具合にだ!バカッ!」

 

と、怒るユミルだったが

 

「ははっ、そんなに怒るなよ」

 

そう言いながらユミルを正面から抱きしめるエレン(※間にクリスタがいます)

 

「!!?!?」

 

焦るユミル、それもそうだろう

 

こんなにも男性と接近したのは格闘訓練以外では初めてと言っても過言ではない

 

「あっ、あんた何して!」

 

「?」

 

なぜ焦られているのか分かっていないエレン

 

「あぁ、そうか」

 

エレンは何かに気づいたように

 

「この時の俺は、まだお前に言ってなかったんだっけか」

 

クリスタがエレンの胸筋に顔をあててほんわかしているなか

 

ユミルの胸の16ビートが鳴り響く

 

「な、なにをだよ」

 

エレンは、ユミルの目元にかかった前髪をどかしてやりながら

 

 

 

 

 

「お前は、俺が守るって」

 

 

 

 

ユミルの混乱した悲鳴が、女性寮に響き渡った

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

私は、守る存在だと思ってた

 

けど、あいつは私に言った

 

「お前は、俺が守るって」

 

なにを・・・そんなこと言われたって

 

そんなこと言われたって?

 

ちがうじゃないか

 

自分の心に嘘をついてる

 

あいつは何にでも正直だった

 

いや、まぁ

 

え、え、えっちな面で正直なのはいいことなのかわからないけど

 

それでも

 

あいつが嘘をつかないなら

 

私も正直に心を明かすべきだろう

 

私を守るだって?

 

あいつが?

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

嬉しいじゃないの

 

 

 

 

 

バーカ

 

 

 

 

 

 

 




とぅどぅく!

そして一部ミスっていたので訂正しました


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αー4 大人の夜1

リアルの友達に「エロ書いとけばいいと思ってんじゃねーぞ!」ってぶたれたのでエロ無しを・・・

そしてサシャファンの友達に「サシャ除いてんじゃねーぞ!」ってカレーパン奢らされたので改めて書いていきます

あ、ちなみに以上のことは既に削除したαー4 大人の夜1(エロ有り)のことですので、もしもそちらが気になるという方がいらっしゃいましたらこの小説が一旦の終わりを迎えた頃にエロ有りをあげようと思っているのでご意見お願いします

さて、どのキャラから大人エレンと寝かせようか

まずは・・・


私がお腹を満たす理由

 

ある人が一度聞いてきたことがある

 

それにたして私は答えることができなかった

 

・・・わからない

 

安心するから?

 

なんで安心するんだろう?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

就寝時間になり、エレンは男子寮に戻ろうとしたのだが

 

「だめ」

 

というミカサの制止によって女性寮で夜を過ごすこととなった

 

とはいえ、エレンの寝るベッドは無く

 

必然的にだれかのところにお邪魔する形となってしまったのだ

 

そして、エレンが結果的に選んだのが

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

サシャ編

 

「サシャ」

 

声をかけられたサシャは、ベッドの中で既に毛布にくるまっていた

 

びくん!

 

と大きく反応を見せたので、サシャが起きていることは明白だ

 

しかし、サシャは一向にこちらを向こうとしない

 

「寝てるのか?」

 

疑問を呈してみるが、サシャの反応は得られない

 

起きていることを確信しているエレンからすれば、それは無駄な抵抗をしか言いようのない行為だった

 

「寝てるんだな?」

 

エレンの確認に少しの反応を見せた

 

とはいっても、ピクリと毛布が動いただけであったが

 

「もう夜で寒いから、布団の中に入らせてもらうぞ」

 

エレンのその言葉に、毛布が思い切り跳ね上がってサシャが上半身を起こした

 

色気のないグレーのスウェットに身を包んだサシャとのご対面だった

 

「な、何言うとんのエレン!?」

 

思わず故郷の言葉が出てしまっているあたり、とても焦っていることがわかる

 

いや、恥ずかしがっているのだろう

 

胸もとに持ってきている手がプルプルと可愛らしく震えている

 

可愛らしい

 

「いや、一緒に寝ようと思って」

 

なにより今日は冷えるのだ

 

毛布無しで寝るには少しこたえるものがある

 

「あ、あかん!あかんあかん!そないなこと言うて変なことするんやろ!」

 

思わず頭の後ろあたりをポリポリと掻いてしまうエレン

 

「(早く寝たいんだけどなぁ)」

 

エレンはサシャが何かを言っているのを尻目に、そそくさとサシャの毛布の中に入り込んだ

 

サシャはろくに目を開きもしないで未だに何かを言っているようで、エレンが毛布の中に入ったことには未だに気づいていない

 

エレンはサシャが上半身を起こしていることで毛布が完全にかかっておらず

 

それに不満を覚えたために解決した

 

つまりは

 

サシャの手を引いて自分の方へ引き寄せた

 

「きゃっ!」

 

可愛い悲鳴を上げてエレンの方へと寄せられたサシャ

 

エレンは横になっていたわけだからサシャの体感としてはエレンにベッドに寝かされたという感覚だ

 

「あわわわわ」

 

露骨に慌てるサシャ

 

何故慌てているのかわからないエレンだったが、あわあわとしながら震えているさ者を見て

 

「大丈夫だ」

 

そう囁いて正面から抱きしめた

 

「!?!?」

 

驚きのあまり硬直するサシャ

 

エレンは体が硬直してしまったサシャに心配を覚えて顔を覗き込む

 

「(・・・?こいつ、寒かったんじゃないのか?)」

 

もしかして、俺の気のせいだったのだろうか

 

うーん、だとしたら

 

 

 

「サシャ(寒くないのならもう)・・・いいか?」

 

 

「ひゃ、ひゃい!?」

 

「(こ、こんな顔近い状態でっでっでっ!?)」

 

正面から抱きしめられている状態で顔が間近にある状態でそんなセリフを言われたものだからサシャの精神状態は混乱していた

 

「(や、やや、やっぱりこれってキスのことですよね・・・)」

 

キス

 

サシャ自身、食にしか興味がないというわけではない

 

なにしろ思春期に当たる年頃だ

 

もちろんそういった恋愛ごとなどにも興味はある

 

「(お、大人のエレンかっこいいです・・・)」

 

ましてや、今目の前にいるのはエレン・イェーガーだ

 

普段から接する機会の多い男性のひとりで

 

優しく

 

信念があり

 

何よりも仲間を想う心がある

 

「(私たちの知っているエレンよりも体格がしっかりしていて男性というのを意識してしまいます・・・!)」

 

ほのかに香ってくるとても良い香り・・・いや、とても安心する香り

 

それはエレンから香ってくるもので

 

口元なんかはとても潤っていて美味しそうで

 

なんだか、欲しくなってきて

 

 

 

 

「欲しい・・・です」

 

 

 

「ん、わかった」

 

そう言ってエレンはさらに強くサシャを抱きしめる

 

「え?キスは・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・キス?」

 

 

 

 

 

 

 

「(あれ、これってもしかしてウチの勘違い・・・?)」

 

「(あれ、これってもしかしてキスの要求・・・?)」

 

 

行動は早かった

 

恥ずかしさのあまり声を上げそうになるサシャ

 

そのサシャの悲鳴を上げるために大きく息を吸うために開いた口を己の口で塞ぐエレン

 

そして、一度は勘違いとして諦めたキスがきた驚きと嬉しさで涙目になるサシャ

 

既にエレンに正面から抱きしめられていたことで体をよじろうともそこから抜け出せず

 

サシャは男性という存在を実感した

 

 

 

 

 

「・・・って」

 

「なな、何すんねんアホーーーーー!!」

 

 

 

 

顔を赤くして叫び

 

手を前に出して相手との距離をとろうとする

 

普段の彼女からはあまり見ることのできないその姿はとても可愛らしかった

 

「はは、もう寒くなさそうだな」

 

エレンの笑顔を見たサシャは活動をいったん停止し

 

「うぅ」

 

毛布に顔をうずめ、早く寝ようと頑張る他なかった

 

「おやすみ、サシャ」

 

そう言って、エレンはすぐさま寝てしまった

 

しかし、サシャから離れてしまったはずの右手が起きたとき再びつながっていたことを

 

この二人の他に知る者はいない

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

隠されたおはなし

 

 

エレン、寝ましたか?

 

・・・

 

も、もう寝たんですね

 

あんなことウチにしといてひどいやっちゃで

 

でも、そんな嫌(や)やなかったゆうか

 

あ、アカンアカン!もう考えんのやめ!

 

うぅ~~~どうすればええんコレ・・・

 

そういえば、背中にまだエレンの手の感覚が・・・

 

エレンの・・・手・・・

 

ギュ

 

あ、なんやろコレ

 

ごっつ安心するいうか

 

あ、そっか

 

ウチがご飯食べるのも

 

エレンの手握るのも

 

ウチがそうしたいから

 

だからそうするんや

 

なんや、簡単なことやったんや

 

簡単な・・・

 

すぅ

 

すぅすぅ

 

 

 

 

 

 

 

おわり




と、いうわけでサシャ編でした

次は子供エレンのサシャ版になりますので

興味がないという方は俺の腹筋を触りに来てもいいですよ(赤面

それでは次回!


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αー4 大人の夜2

さて、今回の大人エレンは少しシリアスめです

しかし、シリアスなシーンを書くのが下手なので少し目をつぶっていただけるとありがたいです

それか、私の腹筋を触りに来ていただけるとすいませんでしたなんでもありませんごめんなさい

それでは、お楽しみください


存在の意味

 

生まれてきた理由

 

ここにいていいかどうか

 

そんなことはいったい誰が教えてくれて

 

誰が答えてくれるのだろうか

 

私の知り合いのひとりに、彼氏を持つ人がいる

 

その人は言った

 

「好きな人ができればそのすべてを一度に貰えるのにね」

 

・・・本当に、そうなのかな?

 

でも、だとしたら

 

恋愛って

 

とても意味のある壊れやすいものだよね・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

就寝時間になり

 

エレンは女性陣と花を咲かせていたトークを区切り男性寮へと戻ろうとした

 

エレン自身、帰るつもりで扉へと手をかけた時だった

 

エレンの後ろ、誰かがジャケットを掴んでいた

 

「あの・・・」

 

クリスタだった

 

エレンは少し逡巡した後に、クリスタの頭にポンと手を乗せると

 

「わかった、一緒に寝よう」

 

そう言ってユミルに側頭部へチョップを入れられた

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「いてててて」

 

エレンはこめかみのあたりを抑えながらクリスタの毛布の中へと入っていった

 

「ご、ごめんねエレン」

 

クリスタがとなりに寝ながら心配そうに訪ねてくる

 

エレンは苦笑いをしながらクリスタの髪を撫でる

 

クリスタは猫のように目を細めて撫でられる感覚を楽しんでいる

 

「いいんだよクリスタ、それで・・・一緒に寝たいって言ったのは」

 

クリスタは何かを察したようにしているエレンに、未来のことを知っていると聞いてからずっと気になっていたことを訪ねてみた

 

「あ、あのね・・・未来って、どうなってるの?」

 

いいや、気になっていたことを少しぼかして訪ねたというのが正しいだろう

 

だが、エレンはそれすらも察していた

 

グイッと突然クリスタを胸元に抱き寄せるエレン

 

「キャッ!」

 

その思わぬ行為に驚きの声を上げるクリスタ

 

そして、耳元でエレンは言葉を囁いた

 

「本当に聞きたいことを教えてくれ」

 

クリスタの心にストンと落ちてくる声

 

「ヒストリア」

 

ストンと、確信へと

 

 

 

「(やっぱり、未来で私は・・・)」

 

エレンが自分の名を言い当てたことに少し驚きながらも

 

自分が相談したかった本当のことを話せる相手だと確信して喜びも得ていた

 

「あ、あのねエレン」

 

クリスタは声を抑えながらも

 

「私は、私はちゃんと」

 

聞きたいことをしっかりと

 

「未来で生きている意味はあるの?」

 

告げた

 

 

 

 

告げて

 

 

 

 

ゴンッ!!

 

「みぎゃ!」

 

頭突きをされた

 

「い、いたい・・・」

 

エレンの突然の攻撃に驚き困惑するクリスタ

 

「・・・あのなぁ」

 

頭突きしたまま、おでことおでこをつけたままで話をはじめるエレン

 

「ヒストリアはさ、わかってないんだよ」

 

「わ、わかってない?」

 

「お前は今を生きているんだぜ、未来を気にしてどうする」

 

「だ・・・だって」

 

クリスタの中で聞きたい答え

 

それが聞けると思っていたのに帰ってきたのは説教だった

 

「それにだ」

 

「?」

 

「お前が聞きたがっているのは、必要とされているかどうかじゃないだろ」

 

エレンの目つきが厳しくなる

 

「お前が言って欲しい言葉は、『必要とされてる』、そう言って欲しかったんだろ?」

 

言葉も、同様に

 

 

 

「そ、それは」

 

自分の目に涙が溜まるのを感じながらも、クリスタは言い返せずにいた

 

「俺も、未来のヒストリアそれを相談された」

 

「!」

 

「なんで・・・」

 

エレンの語気が荒れる

 

「なんでわかんねぇんだよ!」

 

「!?」

 

唐突にエレンが発した大きな声に、同期の女性たちが何事かとこちらに視線を向ける

 

「え、エレン!」

 

思わず注意を促すクリスタ

 

「いいか!?聞け!」

 

ガッと肩を掴まれ姿勢を起こされ、エレンに正面から見据えられる

 

 

 

 

「自信を持て!お前は綺麗で、人に相談せずに解決しようとした強さを持ってるじゃねぇか!」

 

 

 

ドタドタと扉の外から足音が聞こえる

 

おそらくは教官だろう

 

「え、エレン、教官が来ちゃうよ」

 

 

 

「知るか!」

 

 

 

「惚れた女が自分に自信を持てないって言うなら持たせてやるのが男だ!誰に必要とされるでもない!お前の生を!お前自身が必要としているんだ!」

 

 

 

 

大きな声と大きな自信

 

正面から向けられた真っ直ぐな思い

 

そして、必死になって自分に何かを伝えようとしてくれるその姿は

 

 

 

 

「そうだよ、俺だって大人になったって肝心のところは変わっちゃいねぇ!でもなぁ、俺は俺だ!俺が俺でいる為に俺は俺の持つ『俺』を通す!」

 

 

 

 

父のようで

 

兄のようで

 

そして

 

 

 

「それは俺が生きている中で見つけた俺が俺でいるために必要なことだ!俺が俺であるためには俺は生きていなけりゃならねぇ!」

 

 

「それは、生きていなけりゃ見つからねぇんだ!」

 

 

 

 

「俺でもユミルでもない!お前自身がお前を必要としねぇで!どうするってんだよ!!」

 

 

 

 

「それは、私が、私であるために?」

 

「あぁ、お前が、お前であるために」

 

「私であるためって・・・私って、私ってなんなの!?」

 

「知りたいか?」

 

 

 

知りたいに決まっている

 

教官が部屋に入ってきた

 

エレンを見て驚いている

 

それが、どうした

 

 

 

「知りたい!」

 

 

 

私は私が知りたい『私』を知るんだ

 

私は何故、私を必要とすればいいのか

 

それを・・・!

 

 

 

「へっ・・・」

 

唐突だった

 

エレンが笑顔を作り、クリスタを抱き寄せた

 

「そこまでくれば、気付けるさ」

 

耳元で

 

囁くように

 

 

 

 

「どうしてもわからなきゃ、俺に聞け」

 

 

 

 

それはまるで

 

想い人の愛の囁きのようで

 

 

 

 

「お前なら、大丈夫さ」

 

 

 

私を恋に落とすには充分なものだった

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

その後、エレンはキース教官に連れて行かれてしまった

 

わたしが

 

私が私であるために必要な私って?

 

私は、どうして自分が必要なの

 

どうして、私は生きている必要があるの?

 

どうして、私が私でいなければいけないの?

 

その答えを、エレン・・・あなたが知っているというの?




と、いうわけで尾を引いたままクリスタ編は終了です

ちゃんと後日談はあります

それにしても1日に2話あげるのはつらいでヤンス

風邪ひいちゃったから明日からしばらく更新できないかもしれないので頑張ってみました

それではおやすみなさい!

皆様もどうか風邪や病気には気を付けてくだしあ!


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αー4 大人の夜3

連 続 投 稿

熱で休んだ分、これでお許し下さい

大人エレンでイチャイチャアニです


なんでこうなってるのか・・・

 

「アニ、もっと詰めろよ寝れないだろ!」

 

なんで、こうなってるのか・・・

 

「あれ、アニって寝るときにブラつけないんだ」

 

なんで・・・こうなってるのか

 

「おっと、相変わらずの足技だな!いい蹴りだ!」

 

なんで・・・

 

 

 

 

「なんであんたが!!あたしの毛布の中に入って来てんだァーーー!」

 

 

 

 

なんでこんなことに、なってるんだか・・・

 

 

 

 

アニ編

 

恥ずかしい

 

なんで私が男と眠らなきゃいけないのさ・・・

 

・・・男と

 

な、何を恥ずかしいことを考えてるんだろうね私はッ!

 

「アニどうしたんだ?顔赤くして」

 

毛布の中という至近距離で覗き込むように顔を近づけてくるエレン

 

「あ、アンタ近いよ」

 

エレンは少しアニから顔を離し、眉を下げてまるで叱られた犬のような表情で

 

「い、嫌だったか?」

 

・・・こいつずるくないかい

 

それにしても真っ暗でよかったよ

 

いや、どうしてかというのは言わないけど

 

「別に・・・嫌じゃないよ、単に」

 

と、そこで口を濁らせる

 

なんとなく、これを言ってしまったらとても恥ずかしいのでは?と気づいたからだ

 

「単に・・・なんだよ?」

 

・・・そんなにこっちを見るんじゃないよ

 

「単に・・・」

 

「・・・」

 

なんで何も言わないのさ!

 

あぁもう、黙って私の言葉を待ってるのかい

 

もう、わかったわよ

 

「・・・恥ずかしかったんだよ」

 

あー、もう私ぜったい顔真っ赤だよ

 

なんだか恥ずかしくて涙が出てきた

 

う~~~~~

 

「アニ・・・可愛いな」

 

「・・・そうかい」

 

「うん」

 

「・・・・・・・・・ハァッ!?」

 

自分でも気づくの遅いと思ったけどいやいやそういう話じゃなくて

 

「あ、あんた何言ってんのさ」

 

「え?いや、可愛いって」

 

き、き、綺麗とかはミーナとかからも言われてたけど

 

可愛いなんてお母さんやお父さん以外に初めて言われたよ

 

エレンが・・・初めて

 

悪くないね

 

 

 

 

 

ってそうじゃないよ!

 

私は何を考えてるのさ!

 

「俺も大人になって気づいたんだよ」

 

ん?どうしたんだろう・・・

 

ま、真面目な話かな

 

ちょっと真剣にならなきゃね

 

集中、集中・・・

 

「アニって綺麗で可愛いって」

 

「ハァ!?」

 

あわ、大声出しちゃったよ

 

どうしよう、可愛くないって思われたりしてないかな

 

・・・ってなんで私がそんなこと意識しなくちゃいけないのさ!

 

「アニ、なでなで」

 

そう言いながら、私の頭に手を伸ばしてくる

 

「や、やめてよ恥ずかしい」

 

私は嫌がってみるが、その言葉も届いてないようで頭に手を置かれる

 

「ちょ、ちょっと、なにするのさ」

 

頭を横に振って嫌がるも、頭から手がどくことはない

 

「や、やめてったら」

 

そう言いつつ、エレンの手を持って下ろそうとするが途中で力が抜けて頬のところにエレンの手が落ち着いた

 

ほ、頬に手を置くなんて

 

何をするつもりなの・・・

 

「な、なにするの」

 

「いや、アニ」

 

 

 

 

 

「俺、頭に手を置いて以降一切動いてないんだが」

 

 

 

 

「・・・う、うるさい!」

 

顔が暑いよ

 

「アニは、正直じゃないんだな」

 

な、何を知ったような

 

・・・

 

沈黙

 

どうしたのさ

 

突然黙っちゃって・・・

 

そんな、真面目な顔しちゃって・・・

 

 

 

「あと、アニ」

 

「な、な、なにさ」

 

 

 

 

 

 

 

「俺、知ってるから」

 

 

 

 

 

 

ドキン

 

胸の

 

心拍音が一気に上がった

 

同時に

 

ズキンと

 

胸に何かが刺さったような気がした

 

 

 

 

 

間違いなく、巨人のことだろう

 

 

 

 

 

「あ、そ、それは」

 

「俺は」

 

 

 

エレンが、遮った

 

何を、言われるのだろう

 

 

 

 

 

『嫌いだ』

 

『許さないから』

 

『お前らを駆逐する』

 

『もう、近寄らないで欲しい』

 

 

 

嫌だ

 

嫌だ

 

嫌だ

 

嫌だ

 

そんなのは嫌だ

 

私を嫌わないでよ

 

悲しいのは嫌だよ

 

知らなかったんだ

 

 

 

きっと、エレンの母親を食べたのは私の呼んだ巨人だろう

 

きっと、エレンが一番に恨むべき相手は私なのだろう

 

きっと、エレンは私を愛することなどないだろう

 

きっと、エレンは私を駆逐するのだろう

 

あぁ、ゴメンなさい

 

 

 

 

ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい・・・

 

 

 

 

あぁ、こんな考えをいくら短時間で巡らせたって

 

もう聞こえてくる

 

エレンが

 

言葉を

 

 

 

 

 

 

 

「それでも、アニが好きだ」

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

こいつ今なんて?

 

 

 

 

「お前がそうだって知ってる」

 

「お前がこの未来、そのことで悩むのも」

 

「けど、それでも故郷を、自分の最初の目標を、仲間のために果たそうとしたのも知ってる」

 

「お前は未来でもっと仲間を殺して」

 

「お前は未来でその分だけ悲しんで」

 

「最後はお前は自分で自分を閉じ込めた」

 

「全部が終わったあと、俺はお前を迎えに行った」

 

「お前は、泣いてた」

 

「その涙が」

 

「お前の罪の全てだった」

 

「きっと今は俺が言っていることの半分も信じられないと思う」

 

「でもな、お前は罪を乗り越えた」

 

「そりゃあ、俺も多少なりとも手助けをした」

 

「そういう過程も、そういう罪も、そういう苦しみの全てを知って」

 

 

 

 

 

「そのうえでお前が好きだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァアァアァア!?!?」

 

 

 

 

 

思わず大声を上げてしまう私

 

それもそうだろう、なんたって決別を言い渡されると思ったら告白されたのだ

 

いや、その予想も、いや、期待もどこかに持っていた

 

だ、だけれどもそんなことあるはずないと

 

そう思っていた

 

そう思っていたら

 

 

 

「あ、あんたは、あんたは何を」

 

あぁ、未来で私は

 

幸せなんだね

 

「あんたは、どうしてそんなに」

 

私は、あんたに愛されてるんだね

 

「あんたは・・・私の心を」

 

 

 

「どうしてこんなに、揺さぶるの」

 

「どうしてそんなに優しいの!」

 

「どうして、こんなに」

 

「私を夢中にさせるのよ」

 

 

 

口調が崩れる

 

少しでも、少しでもこいつに女らしく見てもらいたいのだろう

 

あぁ

 

なんて単純な女なんだ私は

 

 

でも、いいじゃないか

 

きっとこいつはそういう部分も知っている

 

そのうえで

 

私を愛してくれるんだ

 

 

 

 

エレンが、私を抱き寄せた

 

もちろん、拒む理由なんてない

 

拒む、必要がない

 

私の背中に回ったエレンの手がとても暖かい

 

あぁ、エレンにもこの暖かさを知ってもらいたい

 

私も、エレンの背中に手を

 

大きな背中

 

なんて、男らしい

 

なんて、素敵な

 

彼の胸に私は顔をうずめた

 

あぁ、安心する

 

あぁ、なんと頼りがいのある

 

 

 

とても素敵な

 

 

 

 

私の好きな人

 

 

 

 

 

「アニ」

 

エレンが私の名前を呼ぶ

 

咄嗟に、何かと思いエレンへと顔を向ける

 

 

 

 

 

 

「んっ!」

 

 

 

 

 

唇に

 

感触が

 

熱が

 

暖かさが

 

私の唇に

 

 

 

 

 

 

何をしてくれてるのよコイツは

 

 

 

 

 

嬉しくて、笑顔から顔が元に戻らないじゃないの

 

おかしいね

 

笑顔なのに、涙がでちゃうよ

 

 

 

 

 

 

 

あぁ

 

 

 

嬉しいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニ編

大人版!

続く!(次は誰の話を書こうか・・・


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αー5 今という時1 (サシャEND)

さてと・・・

大人エレンの完結の1つめです

サシャとのお話はここまで・・・本当は寝るときのユミルとの絡みも書こうと思っていたのですが



食事は、人のお腹を満たす

 

それだけでなく、幼少の頃から多くの味を知っていると脳の発達を助けることとなり、頭も良くなるという

 

ただ、私はそうは思わない

 

そう

 

私はそれよりも

 

食事は心を満たしてくれると

 

そう思っている

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・最悪です

 

あ、あれは起きた時でした

 

昨日、エレンと一緒に寝たのですが、それを忘れていた私は、毛布の中に感じる暖かい存在を思いっきり抱きしめたのですが・・・

 

そ、その時にはもうエレンが元通りになっていて

 

それで、エレンが起きてしまって

 

・・・あ~~~どないしよ~~~!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

朝の食堂、いくつもの木製のテーブルが並んでいる中、ひとつのテーブルに男が突っ伏していた

 

男は猫っ毛の癖がある髪の毛を自分の手でクシャっと掴み、悩んでいるのであろう、そのまま頭を掻いては唸ってを繰り返していた

 

その男、エレン・イェーガーはひとつの悩みを抱えていた

 

「んぁ~~!」

 

それはほかでもない、昨日のできごとに関することだった

 

女性寮からそのままここにきたのだが、起きたら服が大きくてぶかぶかになってしまい

 

肌が見え隠れしている状態だ

 

昨日のできごと・・・彼は、エレンは自分の行動を覚えていた

 

「俺は、俺はなんつー恥ずかしいことを・・・!」

 

昨日、おそらくはあの時のんだすっぱい飲み物のせいで・・・

 

そのせいで

 

お、俺、サシャとキスを・・・

 

キ・・・キスを・・・

 

「う、うああぁあぁぁああぁあ!」

 

そ、それに、一緒に寝て

 

あ、あ、あ、朝だって、起きたら

 

サシャが抱きついて

 

む、胸が俺にあたって・・・

 

 

 

悩める男は食堂で一人青春していた

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

少し経ち

 

まだ食事の時間には余裕があるその食堂という場に、ひとつの影が現れた

 

「?」

 

エレンはその気配を察知してそちらへと目を向ける

 

しかし、そこにいた人を見て、すぐさま自分の正面へと向き直ってしまった

 

そう、影の正体はサシャだった

 

「え、え、え、エレン!」

 

「さ、さ、さ、サシャ!」

 

声が明らかに緊張しているサシャとエレン

 

震えた声は、怖がっているようにも聞こえる

 

「「は、はい!」」

 

思わずいい返事で返す両名であったが

 

お互いに何故名前を読んだのか思い出せないのか

 

頬をカリカリと掻きながらお互いに目を合わせないようにしている

 

「(くっそーーー何を話せばいいんだ?『いい唇でした?』いやいやそんなどっかのナンパ男みたいなこと言えないっての、なんだっけ、こういう時は確か・・・あぁ、そうだ!昔アルミンがすごい笑顔で女性といざこざがあったらこう家って教えてもらったことがあるじゃないか!そうだよ!それを言えばいいんだ!・・・あれ?なんだっけ?)」

 

「(わわわわわわ、え、エレンがおる!なんで?なんで?一回男性の寮の方に戻った思てたのに・・・どうすればええんやろ、な、なんか話題、なんか話題・・・あぁもう、別にウチはエレンのこと好きなわけやなくて、え、エレンは男やってのは昨日の夜にもうええって思えるくらいに意識したんに、こ、こ、こんな朝からエレンの顔見てもうたら、思い出してまう!)」

 

お互いに混乱する中

 

先に口を開いたのは

 

「あ、あのっエレン!」

 

サシャだった

 

「き、き、き、昨日のことなのですが」

 

カチコチとまるで音が聞こえそうなほどに緊張したサシャ

 

「わ、わ、私たちは訓練兵ですし、あ、ああいった事は忘れて訓練に集中をするべきですよね?そうですよね?」

 

と、自分で言ったにもかかわらず涙を目に浮かべながら案を出してみる

 

当たり前だ、昨日のことを忘れることなんて

 

「ば、ばかやろう!昨日のことを・・・」

 

反射のように口にしたあと

 

頬を染め

 

口元に手を持って行き人差し指の第2関節を唇で挟みながら

 

「昨日のこと、忘れるなんてできるわけねーだろ」

 

「(えええぇぇぇぇえぇええぇ!?エレン何を言ってるんですか!?私との思い出を忘れたくないなんてそんな!)」

 

「いえ、で、ですがエレン!」

 

「な、なら!」

 

大きな声でサシャの声をかき消すエレン

 

「お前は、忘れられんのかよ」

 

「(わ、忘れられるわけ・・・)」

 

「忘れられるわけないじゃないですか!」

 

そうだった

 

そうに決まっていた

 

「忘れられるわけ・・・」

 

口に出す中、思い出し、顔を朱に染める

 

それはエレンも同じで、口に出せば出すほどそれが記憶の栓を抜いていくかのように、思い出が溢れ出てくる

 

そんな中、エレンは溢れ出した記憶の中から、あることを思い出した

 

「(あ、そうだ!アルミンが俺に言えって言ったのは確か)」

 

「私は、男性を意識したことなかったんです!」

 

そんなことを知らないサシャは、自分の言葉を並べていく

 

「な、なのに、あんなに密着して私にあんなに意識させて」

 

自分の胸の内にあることを

 

「いつも、いつもいつ死んでもいいように、後悔しないように美味しいものを食べて心を落ち着かせていたのに」

 

自分の胸の内で、隠していたことを

 

「あんな、あんなことがあったら」

 

 

 

 

「あんなことがあったら!エレンのこと男性として見てまうやんか!」

 

 

 

顔を赤くして、肩を上下して

 

息が荒くなったサシャの、『本当』を、エレンはみた

 

いや、見せてもらった

 

「(い、今言えばいいんだよな?し、信じるぞアルミン)」

 

 

 

 

「サシャ」

 

「なっ・・・なんですか?」

 

 

真面目な顔をしたエレンに、思わず身構えてしまうサシャ

 

エレンはただ、意味も分からぬ言葉を口に出した

 

 

 

 

 

 

「月が、綺麗ですね」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ひゃ」

 

「ば、ばかああああああああああああ!」

 

走りさっていくサシャ

 

置いてかれるエレン

 

「なんだよあいつ・・・」

 

『・・・ひゃ』

 

「なに恥ずかしがってんだかわかんねーけど・・・さっきの、可愛かったな」

 

・・・

 

「お、俺は何を言ってんだあああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてことはない日常の一ページ

 

ただ、これは何かの始まりだったのだ

 

でも、今はこれでお話はおしまい

 

今はおしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

女性は、男性を意識するようになり

 

男性は、意味も知らぬ言葉で女性を惑わせた

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数ヵ月後

 

男性は同じ意味を持つ言葉を女性からもっとストレートに聞くことになるのだが

 

それはまた

 

別のお話

 

 

 

 

 

サシャEND 

 

 

 




っというわけで、サシャ編終了です!

これと同じようにすべてのエンディングはエレンが元に戻った朝から始まります!

そこのところをご了承ください!


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少年期編
βー1 幼い寝顔、ひとつの終わり


注意!

最後以外はαー1と同じですので(完全な手抜き)

この次に上げるβー1をどうかご覧下さいm(_ _)m

・・・・・・・・・・と、思ったけどいろいろなところを少し違うようにします!

見つける楽しみとでも御考え下さい!


絶望は何かを失って初めて与えられるものである

 

それは老若男女全てに当てはまることだろう

 

だれかが昔言っていた

 

『この世界は残酷だ』

 

自分もその通りだと思う

 

そして、その残酷性が私たちに絶望を与えるのだ

 

だが

 

私は知っている

 

この世界が美しいことを

 

『しかし、とても美しい』

 

エレンに出会ったことで、私はそれを知ることができた

 

アルミンに出会ったおかげで、私は知識の重要性を理解できた

 

カルラおばさんに出会ったおかげで、私は母の暖かさを失わずにいられた

 

グリシャおじさんに出会ったおかげで、だれかを助けることの意味を知った

 

それらの出会いはどれも美しく

 

どれもがエレンのおかげであった

 

エレンが訓練兵になるといったおかげで

 

私はクリスタに出会い女性の美しさを知り

 

アニに出会ったおかげで嫉妬というものを知り

 

サシャに会ったおかげで品格の大切さを知った

 

ミーナに出会い笑顔の美しさを確認させられ

 

ユミルと会話する中で女性の強さを見た

 

私は、出会い、出会い、そしてまた、これからも出会う

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「エレンは私と一緒に寝る」

 

と、目に力をこめて正面の敵を見据えるミカサ

 

「はっ、知らないね、私は自分のしたいことをするだけだよ」

 

と、間合いを図るかのように足をじりじりと移動させるアニ

 

「そんな、エレンが困っちゃうから私が一緒に寝るよ」

 

と、一件心配層にしているもののなにか黒いものが見え隠れしているクリスタ

 

「おさげー!おさげー!イッシッシ!」

 

と、ミーナのおさげで遊びながら笑顔でその成り行きを見守るエレン

 

今、女子寮の一室は戦場へと変貌を遂げていた

 

 

 

お風呂から上がったエレンはクリスタに体を拭いてもらい小さな体にぴったりの服を着て女子部屋に、そこでユミルやミーナ、サシャと共に遊んでいた時だ

 

突然エレンの目の前にどこからかミカサが降ってきてそのままエレンを奪取

 

エレンが驚きで泣き出したところに一足遅れてお風呂に入っていたアニと鳴き声を聞きつけたライナーが女子部屋に乱入

 

ライナーが肉体言語で女子部屋から強制退出させられた後にまだお風呂上がりで体から湯気の上がるアニと急いできたせいなのかそれとも興奮のせいなのか体温上昇によって湯気が出ているミカサとの一騎打ちが開始された

 

しかし

 

そこに突如として退出したはずのライナーが降ってきたことで戦闘は中断

 

降ってきた角度から算出した射出点に目を向けてみるとそこには笑顔のクリスタがおり

 

一歩をもってミカサまで近づくとそのまま蹴りで一閃

 

避けたミカサの手からエレンを奪うも、油断したところをアニが右足の蹴りをフェイントに使ったアイアンクローをもってクリスタからエレンを強奪

 

この時点で驚きのあまり泣き止んでいるエレン

 

アニがエレンを安全な椅子に座らせて現状に至ったというわけだ

 

「アニ、あなたはエレンとお風呂に入った、睡眠まで共にするのは欲張りというもの、ので、私に即時権利の譲渡をするべき」

 

ミカサの論説、しかしアニは額に青すじを浮かべて歯ぎしりをした後に言い返した

 

「悪いけど私はどこかのおさげが教官に呼ばれていたということを言い忘れてくれたおかげで一緒にお風呂に入れてないのよ、一緒にお風呂に入ったのはそこのクリスタよ」

 

と、軽くミーナを睨んだあとにミカサを睨み、最後には氷点下を思わせる瞳でクリスタを見るアニ

 

クリスタは鼻で笑うとアニとミカサの双方を見やって言い放った

 

「あなたたち、ふたりとも欲張りじゃないの!」

 

その言葉の持つ不思議な重みは天使というよりも即位した女王だった

 

「あなたたちはいつもエレンと共にいるわ!それにひきかえ私のように馬術にしか覚えのないものはそこでしかエレンと触れ合えない、笑い合えない!」

 

クリスタの言葉に日頃のエレンとの思い出を思い出して少し赤面するアニとミカサ

 

「軽い挨拶程度の関係でいつも見ているだけだったの!私だって信念を持ったエレンの姿に憧れていたけれど、いつもあなた達という壁があったから話しかけることができなかった!けど、今日はエレンから話しかけてくれたの!嬉しかったの!だから、今日くらいはこの幸せに浸らせてよ!」

 

クリスタの言葉に胸を打たようで、一瞬黙るアニとミカサだったが

 

ヒュッ

 

クリスタの姿がアニとミカサ、二人の視界から消えた

 

そして、風切り音のようなもの

 

気がつくと、アニの頬から血が流れていた

 

ミカサといえば、いつの間にか防御の体勢をとっていた

 

「私にはミカサのような筋力もなければ」

 

ミカサの防御の隙間をまるで蛇のように何かがすり抜けた

 

「アニのような長年鍛えてきた技もない」

 

ミカサの顎に何かがコツッとあたり、ミカサの体がその場に崩れ落ちる

 

「く、クリスタ?」

 

ユミルが驚きを含めた声を上げる

 

それもそのはずだ

 

クリスタは一体いつの間にこんなにも近接格闘の強者になっていたというのか

 

「ねぇ・・・アニ」

 

クリスタが動けなくなったミカサに背を向けてアニへと歩み寄る

 

「私はね、いろんな人の助けになろうと、いろんな人の考えがわかるように気を配ってここで生活してきたの」

 

クリスタの言葉は不思議な響きを持っていた

 

決して大きな声ではないのだが、とても心に残る

 

「そしたらね、いつの間にかその人が普段気にしている他社との間隔、つまりはパーソナルスペースっていうのがわかるようになっていたの」

 

そしてそれと同時に

 

恐怖を

 

相手に植え付ける

 

「段々とそれからも進化、ううん、その能力は成長していってね・・・今ではその人が攻撃して欲しくない場所や攻撃したい場所がわかるようになったの」

 

ありがとう とクリスタ

 

「フーッ!フーッ!」

 

アニは息を整えようと必死だった

 

大げさな動作や心肺機能に負荷がかかるようなことは一切していない、それにもかかわらずアニは呼吸することに難しさを覚えていた

 

「!」

 

その時、アニは確かに見た

 

クリスタの後ろ、崩れ落ちたはずのミカサが姿勢を整えて今にもクリスタに後ろから飛びかからんとしているところを

 

 

 

いや

 

 

 

ちがう

 

 

飛びかかろうとしているのは違いない、しかしミカサが待っているのは・・・

 

 

「(癪だけど・・・仕方ない!)」

 

アニは身を低く構えてクリスタに向かって走り出した

 

クリスタは予定調和とでも言いたいかのような笑を浮かべて迎え撃とうとした

 

アニの放った足元への攻撃を短い跳躍で避けて足の健が傷つく部分を攻撃する

 

しかし、突然の圧迫

 

背後からの何かに、クリスタは肺を思い切り潰される感覚を味わった

 

「かはっ」

 

ミカサだった、クリスタに抱きつくような形で彼女の肺を圧迫している

 

跳躍後に後ろから攻撃されたものだからうまく着地できなかったクリスタだったが、すぐさまアニとミカサから距離を取ると二人に向き直った

 

アニとミカサもお互いに距離をとり、一時の協力関係を終了させる

 

「うふふ」

 

「くっ・・・」

 

「フン・・・」

 

3者3用の反応を見せる中

 

一つの想定外の事件が起きた

 

ビリビリビリッ

 

「え?」

 

不思議な音に対して一番に反応したのはミーナだった

 

ミーナのいる位置はエレンの真後ろであり、何かがあればすぐに気づくのは当然のことだった

 

そして、次に声を発したのはミカサだった

 

「エレン・・・?」

 

エレンに起きた変化に、押し黙っていたことさえも忘れて言葉を発してしまったのだ

 

「キャ!」

 

思わず顔を覆いエレンを見ないようにするアニ

 

「あわわわわ」

 

そして、先程までの女王様は何処へ

 

クリスタまでもがいつもの天使になり恥ずかしさを露わにしていた

 

エレン・イェーガーに変化が起きたのだ

 

それも、とても大きな変化が

 

「え、エレンが」

 

驚きを言葉にしたのはユミルだった

 

「エレンが」

 

 

 

 

 

「成長しやがったぁーーー!?」

 

 

 

 

 

エレン・イェーガー(8)

 

1つの物語は終わり、新たなる物語が始まる

 

しかし、この物語の終着点はまだ見えない

 

そして、この物語の終着点はすくなくとも

 

 

 

 

美しくありたい




いやぁ・・・戦闘シーンって好きなんですよね


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βー2 反抗期

この前ですね

腹筋してたらお腹に猫が乗ってきまして

汗をかいていたからなのか腹筋を舐められて続けることができなかったです

・・・世間話じゃねぇか!!!前書きって何を書けばいいのかわからにあーーーー!


 

エレンは少し大きくなってしまった

 

そのせいで、服が敗れていろいろなところが見えている

 

「え、え、エレン・・・!」

 

クリスタが思わず顔を隠しながらエレンのある部分を指差す

 

その部分は先ほどよりも大きく

 

この場にいる女性に『男』としての成長を感じさせるには十分な要因だった

 

先ほどのクリスタのとんでも戦闘を見ていたにもかかわらず

 

それ以上に現在目にしたエレンの急成長の方がみんなにとっては驚きのことだったようだ

 

「ん・・・?」

 

エレンが目をこすりながら上体を起こす

 

ミーナに寄りかかるようにしていたエレンは、背中の暖かさがなくなったのが寂しかったのかミーナに体が触れるように体をミーナの方へと寄せた

 

その行為は少しいじらしく、体が大きくなっても人懐っこいところは変わっていないということがよくわかる

 

しかし

 

「ッ!」

 

エレンが完全に覚醒したのか、目を大きく見開くとミーナから体を離して顔を赤くしてそっぽを向いた

 

「は、離れろよおさげ!は、恥ずかしいだろ!」

 

「キャッ!もう、自分から近寄ってきたんじゃないの!」

 

「そ、そんなわけないだろバーカ!」

 

会話の流れを見ている限り、先ほどの小さかったエレンから知識や精神年齢がそのまま受け継がれたような感じだ

 

エレンは自分が成長したことになんら違和感を覚えていないようだ

 

言葉が以前よりも流暢に喋れている

 

それをみたミカサが

 

「・・・アルミンと本を読んでいる時期だと思う、おそらくは8歳から9歳」

 

エレンの身長は120cmといったところだろうか

 

気が強いのは見てわかるとおり

 

ミーナに触れていたことを恥ずかしがるあたり女性に対する耐性はあまりないように思える

 

逆に考えれば、異性をしっかりと意識するようになっていることがわかる

 

今のエレンはミカサに会っておらず女性に慣れていない

 

そして外の世界などの話をアルミンから聞くことで様々なことに興味を持っている

 

そして、先ほどのおさげという発言

 

クリスタの脳内で点と点が線へと・・・

 

「(今のエレンが受けた影響は大きくなったエレンにも受け継がれる!)」

 

そう、つまりは

 

エレンが元に戻った時に

 

上手くいけば惚れさせている状態にできるかもしれない

 

「(そうなれば・・・私もエレンと・・・)」

 

クリスタが黒い考えを巡らせていると

 

エレンへと近づく影が一つ

 

アニだった

 

そういえば、アニはエレンが成長したことを知るやいなやすぐさまどこかへと走っていった

 

・・・もしや!!

 

「ちょっとエレン」

 

アニはエレンと目を合わせないようにしながら近づいていくと、少し息切れしているのを隠しながら何かをエレンに差し出した

 

それは

 

「な、なんだよこれ、俺には少し大きいぞ」

 

白いYシャツだった

 

 

 

 

 

「「(アニッッッ!ナイスッッッ!!)」」

 

 

 

 

一瞬、皆の心がひとつになった瞬間だった

 

そして、エレンは

 

「なんだよ・・・だ、誰も頼んじゃいねぇってのによ」

 

と、言いながらも少し大きなYシャツを着ていた

 

結果として、Yシャツだけを着ている状態になったわけなのだが

 

一言で言うと

 

エロい

 

 

 

男として成長してきたことで肉付きの良くなったふとももはエレンが少し動くだけでチラリとするようになっており

 

膝小僧は成長の過程ということもありつるんとしている

 

脛あたりは街を走り回っていた時期ということもあり少しの筋肉がついている

 

無毛のため、どこか女性の様に見える一方

 

気の強そうな目元のこともあり、男性らしさも垣間見える

 

しかし、雰囲気を全体的に見ると

 

『猫』と言えるだろう

 

 

 

 

「ほ、ほら着終わったぞアニ」

 

「(アニおねえちゃんじゃないんだ・・・)」

 

エレンが着替えている間そっぽを向いていたアニは、エレンに名前を呼ばれて少ししょんぼりとしながらも顔を向けた

 

エレンはアニがこちらを見たのに気づいて視線をどちらともつかぬ方向へと向ける

 

アニはエレンの姿を上から下まで見たあとで

 

「可愛いじゃないの」

 

口から滑ったようにそう言った

 

その言葉はミカサもクリスタも言いたいことだったのだが、先ほどのミーナに対する女性慣れしていない態度を見て言うことをためらっていたのだ

 

しかし

 

「な、何言ってんだよアニは!可愛いなんて・・・俺は男だぞ!」

 

露骨に嫌がるエレン、しかしその頬が赤くなっていることから照れているといのがわかる

 

その表情の変化に気づいていないのか

 

少しムッとした表情でアニはエレンの態度に対して文句を言った

 

「な、なんだい随分な態度だね・・・服を用意してやったんだからお礼を言ってくれてもいんじゃない?」

 

その言葉は正論であった

 

そして、正論に弱い反抗期のエレンには、大きな効果があった

 

「わ、わかったよ・・・悪かったよ」

 

俯きながら、顔を赤くして胸の前で指を遊ばせながらエレンは謝罪の言葉を

 

そしてそれに続けるように

 

「ありがと」

 

フッ・・・とアニが口元に笑みをつくり

 

 

 

 

 

「あ、アニ・・・おねえちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐさま鼻血で口元が見えなくなった




明日

新しいダンベルが届くんだ(*´∀`*)

楽しみです



ってなわけで続く!


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βー3 子供の無垢なお尻

友人の誕生日にケーキを作ったら

「なんで女の私より料理うまいのよ!」

ってテーブルのしたで蹴られまくった

(´Д`)そりゃお前が「さしすせそ」の「そ」をソースとか言ってるからだ

以上!前書き!


 

手を伸ばして届く範囲にあるものを掴みたくなる

 

それは赤子の行動に似ている

 

そう言われて恥ずかしく思う人は多くいるだろう

 

しかし、何を恥じることがあろう

 

純粋であることは美しいことだ

 

私は自分の持つ美しさを大切にしていきたい

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、アニ大丈夫か!?」

 

鼻血を出したアニに対して心配そうに駆け寄るエレン

 

それまでミーナに寄りかかるようにしていたため、アニに走りよるとミーナからは後ろ姿が見えることになる

 

さて、ここでみなさんのもつ想像力を働かせていただきたい

 

知っての通り、エレンは子供の頃から街を走り回っていたため日に焼けたその肌は実に健康的だ

 

考えて欲しい

 

白いホイップクリームにチョコレートの黒が映えるように

 

赤い背景に黄色いMの文字が非常に目立つように

 

褐色に似た肌に白いYシャツ

 

柔らかそうな膨らみを持つお尻に対して風に揺られて自由に揺らめく軽い生地

 

魅力的に見えるのは間違いないことだろう

 

そして、ミーナから見ればエレンの後ろ姿が離れていく姿は

 

どこか、芸術品が持ち主の手から離れていくような

 

手元にいた子犬が、新しいオモチャを見つけてそれに惹かれて走ってそちらへと行ってしまうような

 

ミーナは

 

自然と

 

手を

 

 

 

 

 

モニュ

 

 

 

 

 

「んぁ」

 

甘い声が漏れた

 

誰が?

 

クリスタは目を見開いて驚いている

 

アニは人間ではないものを見るかのような目でミーナを見て

 

ミカサは様々な感情がせめぎ合っているのか微動だにできずにいる

 

 

 

 

 

 

モニュモニュ

 

 

 

 

 

 

「や、やめっ」

 

ユミルは口を大きく開けて、今目の前で起きていることが一体なんなのか分からずにいる

 

サシャがこそこそと扉から入ってきて現状を見て驚いて何か隠していたものを落とす

 

芋だ ※物語には何の関係もありません

 

この場に新しく来て沈黙に耐えられなかったのだろう

 

サシャが口を開いた

 

「あの・・・ミーナはなんでエレンのお尻を掴んでいるんですか・・・?」

 

 

 

 

 

モニュモニュ

 

 

 

 

 

「だっ、だめ・・・やめてよぉ」

 

涙目で身をよじるエレン

 

 

 

 

 

モニュモニュ

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

何かに気づいたように、ミーナが驚きの声を上げる

 

ミーナの手はエレンのお尻に食い込んでおり、その刺激からくる感覚に慣れていないのかエレンは汗を滲ませながら涙目で拒否の姿勢を示している

 

「アニ・・・たすけ・・・」

 

エレンが心配して駆け寄ろうとしていたはずのアニに助けを求める

 

 

助けを求める手に差し伸べられる手はなかった

 

なぜ?

 

アニならば、いや、いつものアニならば助けただろう

 

未知の感覚によって汗がにじみ、涙目になった状態で甘い声すら出して助けを求めてきたのだ

 

 

 

鼻血ものである

 

 

 

「フッ・・・」

 

 

 

諦めたように小さく笑を作った後に

 

 

 

アニは再び鼻血を噴射した

 

 

 

 

 

「みみみ、ミーナ!手を離しなよ!」

 

クリスタの怒号が響いた

 

ミーナはビクッと反応すると、名残惜しそうにエレンのお尻から手を離した

 

「ふぅ」

 

ようやくなくなった未知の感覚にエレンは落ち着きの息を漏らす

 

「ミーナ・・・」

 

ミカサがゆらりとミーナに近づいていく

 

ガクガクと震え始めるミーナ

 

「あ、あれなんで、さ、寒くないのに」

 

理由はミカサの放つプレッシャーによるものなのだが

 

それにミーナが気づいたのは

 

自分の体が無自覚に床から離れたあとだった

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

就寝時間

 

「さて」

 

クリスタが話をはじめる

 

「いまから、私たちはジャンケンをします」

 

右手に作ったグーをその場に集まった女性陣に見えるように高々と上げる

 

「みんな、ここまではいいわね」

 

その場にいる皆が頷く

 

「いい、ので、続けて」

 

ミカサに促されて、クリスタは話を続ける

 

「ジャンケンに勝利した人は」

 

左手でベッドに寝転がってどこから連れてきたのか猫に顔をうずめてモフモフしている

 

その姿を一瞥したクリスタは

 

「はぅ」

 

胸をときめかせて再びキリッとした表情をとって進行した

 

「そ、それでは、ジャンケンするわよ!」

 

 

 

 

ジャン

 

 

 

 

ケン

 

 

 

 

ポン!!!

 




あとがき

誰と寝かせようか・・・一応全員分考えてあるけど・・・

むむむむむ、ライナーにしようかライナーにしようか・・・






他にもライナーもありだな※嘘ですのでご安心あれ


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βー4 眠れや良い子1

風邪ひきながら書いてるので誤字などがありましたら申し訳ございません

どうすれば冷えピタを貼る時にビクッてしないようになれるのか・・・

そして薬が苦くて飲むのにためらうのをどうにかしたい

あ、書き方ちょっと変えてみます


運命というのは残酷だ

 

たった一瞬で全てを奪ってしまうから?

 

違う、たった一瞬につながる過去があるからこそ残酷なのだ

 

過去に何かがあるということはその一瞬の残酷には誰かの意思が関わっているということだ

 

どうしてそんな残酷を望んだのか

 

望んだ者にとっては幸福へ至るための道だったとでも言うのだろうか

 

どちらにせよ

 

運命というのは

 

残酷だ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ユミル編(ユミル視点)

 

か、勝っちまった

 

なんで参加したかもわからねぇじゃんけんに勝っちまった

 

おまけに

 

「ゆ、ユミルのバカァ!」

 

「・・・覚えておくといい」

 

「ユミル、あんたにも私の足技教えてあげるよ」

 

「明日の朝のパンいただきますね」

 

「・・・エレン」

 

クリスタやミカサ、アニになんか言われるのはわかるけどなんでいつの間にかいたサシャにまで言われなきゃいけないんだ・・・ミーナに至ってはショックで泣いちまってるし

 

「んむぅ・・・」

 

かたや私の寝る相手はベッドで猫を枕にして寝てやがるし・・・

 

ほんとこの猫どっから連れてきたんだよ

 

「あ~~~も~~~!」

 

私は両手でエレンを抱え上げて自分のベッドの方へと運ぼうとした

 

スッ

 

持ち上げたエレンは予想していたよりもずっと軽く、子供であることを認識させられる

 

「(なんだってんだよ・・・こんな無防備に寝やがって)」

 

エレンが退いたことで枕にされていた猫が扉の方へと走っていき寮の外へと出て行った

 

「あ・・・」

 

自分のベッドからエレンがいなくなったことで悲しみの声を出すアニ

 

なんだか罪悪感が・・・

 

「(い、いやいやいや、そんなもん感じる必要ねぇだろ!?ねぇよな!!?」

 

思わず自問自答

 

意味はないとわかっているけれどもせずにはいられない・・・

 

「(も、もう気にするのはやめよう)」

 

私はそそくさとエレンを自分のベッドまで連れて行き自分の毛布の中に寝かせた

 

私も横になるべく毛布の中に入り枕に頭を置く

 

するとだ

 

エレンが何かを求めるように手を動かし始めた

 

やがてその手は私の肩に触れ

 

段々とエレンの体が自分の方に寄ってくるのを感じた

 

「(何してんだこいつ・・・?なんか抱き枕みたいにできるものでも探してんのか?)」

 

そのうちだった

 

エレンは肩を乗り越えて私の胸辺りに抱きついてきた

 

頭は私の左胸に置くことで安定させているようだった

 

少しくすぐったいがこうして眺めてみると子供ながらに今の面影がある

 

「(幼さの残った顔だとは思ってたけど、この頃を知っちまうと元のコイツが凛々しい顔してるって思えるな・・・)」

 

「んみゅ・・・」

 

エレンはもぞもぞと動くと、少しした後に目をパチリと開けた

 

「・・・あれ?ここ・・・?」

 

「(やべぇ、起こしちまったか・・・どうすっかな)」

 

エレンは目を数回瞬いたあとにユミルの顔を見た

 

「あ・・・」

 

「(うおっ、目ェ合っちまった!)」

 

ユミルがそんな状況から目をそらせずにいると、エレンは何を思ったかユミルの顔の方へと自分の顔を近づけてきた

 

そして、信じられない一言を

 

 

 

 

「・・・母さん?」

 

 

 

 

「(ハァアァァアアァァァァア!!?)」

 

なんだ!?何見間違えてんだ!?老けてるってか!?老けてるって言いてぇのか!?

 

ユミルが頭の中でその言葉の意味を考えていると

 

 

 

 

「いつ見ても美人だなぁ」

 

 

 

 

「びっ!!?なっ!?」

 

思わず口に出して驚いてしまった

 

「えへへ・・・なんかこうして寝るの久しぶりだな」

 

そう言いながらはにかむエレン

 

おもしろさで笑った活発な笑顔ではなく、安心から出る柔らかな笑み

 

ユミルは子供の見せた天使のようなその笑顔に心を打ち抜かれ

 

「(打ち抜かれてない!!ま、まだ大丈夫だ!)」

 

しかし

 

 

 

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

 

「えへへ」

 

 

 

 

ポフッ

 

 

 

 

 

「おやすみのキス・・・いししし」

 

 

 

 

 

 

 

 

「(はぅああぁああぁああぁ!)」

 

キス

 

からの

 

胸に頭をポフッと着地させ

 

恥ずかしそうに自分のしたことを口に出す

 

そしてそのあとにいたずらっぽい笑顔

 

もはや、年上絶対殺傷コンボといっても差し支えないのではないかと思わせる

 

完全なコンボであった

 

「(ぐぅ・・・か、可愛すぎる!このガキ・・・狙ってんじゃねぇか!?)」

 

そう思い、胸元のエレンを睨みつける

 

 

 

 

 

 

「すぅすぅ」

 

 

 

 

 

「(ふぇあぁぁぇぁぁあ!)」

 

寝るの早すぎィ!

 

と思いながらも天使の寝顔に心奪われるユミル

 

「(ぬおぁあぁあああ!こんなもん寝れねぇぞぉ!!)」

 

「えへへぇ」

 

幸せな夢を見ているのか、ユミルの胸元で再度微笑むエレン

 

なんと可愛らしいことか

 

 

 

 

「(寝れないじゃないやコレ・・・寝たら寝顔見逃しちゃうから寝たらダメなんだ)」

 

 

 

 

 

結果として

 

 

 

 

 

 

ユミルは完全に堕ちた

 

 

 

 

 

 

 

 






あ、一応各キャラ別のエンディングあるので、お楽しみにしておいておくんなまし!

次の一緒に寝るキャラクターは誰にしようか・・・

というか、ミカサ書こうか書くまいか悩み中・・・

と、とにかくとぅどぅく!


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βー4 眠れや良い子2

風邪も治ったし頑張っていきます!

そしてこの風邪の期間に横になりながらもGTA5をクリアまで持って行けた(´Д`)

・・・おいらの前書きは進撃から離れてどこに着陸するのだろうかヽ(;▽;)ノ

ってなわけで本編!






隠し事というのは自分に枷をつけているようなものだ

 

そうなると私はいつからこの枷をつけているのだろうか

 

どれほどの重さの枷なのだろうか

 

この数年で

 

少しは磨り減ってくれたのだろうか

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

アニ編

 

「で・・・勝ったわけだけどさ」

 

既にアニのベッドに横たわっているエレン

 

移動させようにも下にいる猫がさながら防人のように威嚇をしてくるので触れようがない

 

「(どうしよう・・・)」

 

無表情ながらもアニが困っていると、猫が何かを察したかのようにエレンの下から退いて扉の隙間にカラダを通して去っていった

 

「ん・・・?なんだ・・・?」

 

エレンがゆっくりと目を開ける

 

寝起きのため、涙が目もとに溜まっている

 

アニはエレンに近づくと、エレンの頭に手を置いて撫でた

 

「んぁ・・・だれだよぉ」

 

エレンはイヤイヤと嫌がる動作をしながらも掌から与えられる熱が心地いのか頭を振るくらいで手を払うということはできずにいた

 

「ふふっ」

 

アニはベッドに腰掛けて、自分の横で未だにうとうとしているエレンの頭を撫で続けた

 

「んやぁ」

 

3分ほど撫で続けた後、エレンは唐突に目を開けて飛び起きた

 

「んぁっ!」

 

ビクッと思わず驚いてしまうアニ

 

エレンは起きたもののしっかりと覚醒はしていないのか、毛布の中へとズルズルと入っていく

 

「ぬくぬく、ぬくぬく」

 

と、毛布の中の暖かさを表現する効果音を口に出しながら動いていった

 

「ぽかぽか、ぽかぽか」

 

「あー、ちゃんと毛布かけないとダメだよ」

 

アニはずるずるとベッドのシーツや毛布をずらしながら移動するエレンに痺れを切らして持ち上げて毛布の中へと入れてあげた

 

そして、それに寄り添うように自分も毛布の中へと入っていった

 

「(ふぅ・・・今日はいろいろあってもう疲れたよ)」

 

アニが一息をついて肩の力を抜くと、エレンがお腹に乗るようにコロンと寝転がってきた

 

「ちょ、ちょっと・・・」

 

お腹に走るくすぐったさ

 

そして、エレンが息をするたびに服の一部が若干湿り、奇妙な感覚が這いずるように脳へと近づいてくる

 

「スベスベだぁ」

 

もぞもぞと動いて、服の中への侵入を果たすエレン

 

髪の毛がチクチオクとお腹に当たる

 

アニの視覚には映らない部分からの刺激に、普段よりも過敏になってしまう

 

「や、やめなよ・・・」

 

口では言えるものの、実際に動いてしまうと気持ちよく寝ているエレンを起こしてしまうのではと心配になり行動に移せない

 

と、エレンはお腹のあたりからさらに上へと移動を開始した

 

もぞもぞと衣擦れの音

 

アニは思わず少し隣で寝ているミーナが起きないか心配になり目をやるが

 

 

 

 

「(ブイの形を指でつくり満面の笑みでこっちを見てきている・・・)」

 

 

 

完全に起きていた

 

しかもブイピースしてきていた

 

しかも口元に三日月作ってやがった

 

「(よし、明日蹴r・・・いや、明日格闘訓練をしっかりと付き合ってあげよう)」

 

なんと優しいことかアニの善意は天をも貫くほどだった

 

 

 

「(って、そんなことはどうでもよくてそんなことよりエレンよエレン)」

 

意識を戻してみれば、エレンは胸もとまで到達しており、アニの白いシャツから首だけを出している

 

「なっ・・・!」

 

思わず口をパクパクとさせてしまうアニ

 

「ふわふわ~」

 

と、アニの胸に体をあてて感触を楽しむエレン

 

エレンは服を着ているからよいものの、素肌に何度も上から硬い生地を押し当てられているアニは奇妙な感覚と戦う羽目になった

 

「ん~~~~!」

 

声を出すわけには行かないものの、思わずくすぐったさから声が漏れてしまいそうになる

 

と、エレンの体がブルッと震え、唐突に涙を流し始めた

 

「(な、なんだい!?なんで突然泣き出したのさ!?)」

 

まさかの事態に対処に困るアニ

 

 

 

 

「クソが・・・」

 

 

 

ゾクッ

 

背筋が

 

背筋が寒くなるなんてモノじゃない

 

確かな怨みだった

 

まるで、ナイフのような鋭さの

 

いいや、ナイフのような鋭さを持った

 

非道く楽しそうな恨みの形

 

 

 

「駆逐・・・してやる」

 

 

恨みを果たすための一歩一歩を楽しんで進むような

 

確かな未来を見据えた怨み

 

それが、この小さな少年から発せられている

 

 

 

「巨人どもがぁ・・・」

 

 

 

「(そういえば、クリスタがエレンに記憶が戻ったとか思い出しただとか・・・クリスタの時は母親の記憶で・・・)」

 

 

 

 

「(私の時は・・・巨人の・・・巨人への恨みの記憶ってわけね・・・)」

 

 

 

悲しみが、波のように

 

押し寄せて

 

 

 

 

「(そう・・・だよね、許されるわけがない・・・)」

 

アニの胸を、自責の念、後悔、現実の苦悩、罪の重さが押しつぶしてくる

 

「(でも・・・私は戦士・・・戦士にならなきゃいけない)」

 

故郷に帰るためにも

 

ライナーのためにも

 

ベルトルトのためにも

 

 

 

「俺は・・・忘れないぞ・・・」

 

 

「(いいさ、いくら恨まれたって)」

 

覚悟は、していた

 

しかしどうだ

 

今の現状は

 

なぜ悩む

 

覚悟はどうした

 

その場の覚悟だったからか?

 

ならば、今どうする

 

これからどうする

 

耐える?

 

潰れる?

 

 

 

「(考えてみれば、コイツは・・・)」

 

エレンを見る

 

今は小さくなってしまった彼を

 

「(母を守れなかったっていう罪の念を背負ってここにいるんだよね)」

 

・・・そうか

 

・・・自分で考えておいてバカみたいだけど

 

 

 

「(コイツは・・・背負ってるんだ)」

 

私のように磨り減らそうとなんかしていない

 

私のように、選択肢が潰れるか耐えるかじゃない

 

耐えることなどせず、恨みを外に出して

 

潰れないように、己を鍛えて

 

過去の罪をすり減らさないように、自分で背負って

 

 

 

「皆の・・・母さんの分も・・・」

 

 

こいつは、死んでいった命すらも背負って・・・

 

 

 

「私は・・・バカだね」

 

私は戦士だの、罪だの、そんな言葉で格好つけて

 

どんなに長い償いをしようとも、過去は消えない

 

それどころか、償いをしたからといって、私は兵士になるわけにはいかない

 

「こんな子供に教えられるなんて」

 

そうだよ、この先受ける辛さも苦悩も全部背負って

 

私は戦士として

 

己を鍛えて

 

いつかこの男を・・・

 

「ぐすっ」

 

私は、何を泣いてるんだろうね

 

 

 

 

でも

 

 

 

今は

 

 

 

今は・・・

 

 

 

兵士でも戦士でもない

 

 

 

一人の女でいさせておくれよ

 

 

 

そうだね

 

願わくば

 

 

 

 

 

死せるその時すら愛した男の手で・・・

 

 

 

「コロシテ・・・ヤル・・・」

 

 

 

だから、その未来のために

 

今は

 

 

 

 

「おやすみ」

 

 

 

今は

 

眠ろう

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

涙を流すは恨みの子

 

涙を流すは定めの子

 

 

未来

 

 

命を定めるは恨みの子

 

その時にどうか、お互いの涙を思い出さぬことを

 

 

 

 




アニのお話を書くと悲しいお話になってしまうヽ(;▽;)ノ

どうにかしたいんだけど

子供の方のお話で悲しい目にあった分

大人の方ではエロい目に合わせてあげるからアニちゃん勘弁してね

え、ダメ?

あ、訴える?





・・・申し訳ございませんでしたァあぁあぁ!











あ、続きます


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βー4 眠れや良い子3

さて、今回のおはなしはようやっとヒロインの出番です

・・・ヒロインの出番です

うん・・・きっと、ヒロインだよな

ちょっと本気出す


ミカサ編

 

 

「ッズァ!!!」

 

 

私は、ジャンケンでパーを出すと同時にその掌を床へと向けた

 

発せられた風圧により皆は顔の前にグーをつくり風から守ろうとする

 

それは同時に

 

私が勝利した瞬間でもあった

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「エレン起きて」

 

私は猫の上で寝ているエレンを揺すって起こした

 

まるで慌てているかのように起こした

 

それに驚いたのか、エレンは目をパチクリさせると困惑した顔で私を見上げてきた

 

「可愛い(エレン、落ち着いて聞いて)」

 

「えっ」

 

「しまった」

 

本音と建前が逆になってしまった

 

「エレン、落ち着いて聞いて(可愛い)」

 

「お、おう」

 

「あなたは今から私と寝なくてはいけない」

 

「おう?なんで俺のこと起こしたんだ?」

 

「私とねるため」

 

「・・・んー?」

 

エレンが幼い目に疑問の色を浮かべている

 

エレンが首をかしげて何故か困惑している

 

・・・何故?

 

「そうか!」

 

と、私の天才的エレンロジック

 

あぁ、そういえば今のエレンは私と出会う少し前だったか

 

と、いうことは私のことを知らない

 

エレンは私のことを知らない

 

・・・なんだか悲しくなってきたからこれ以上考えるのはやめよう

 

「なんでおれがお前と寝なきゃいけないんだよ!」

 

夜中だというのに大きな声を出すエレン

 

ほかの人にエレンの声が聞こえたらどうするの・・・

 

エレンの声は私だけが聴いていればいいのだからもっと小声で喋って欲しい・・・

 

「エレン、静かに、みんないる」

 

「あぅ(みんな横になってる・・・寝てるのかな?)」

 

「エレンはいい子、静かにできる?」

 

「・・・おう」

 

少し納得していない風だが頷いてくれた

 

「それでは、私と寝よう」

 

「やだ」

 

・・・やだ?

 

いや、エレンがそんなことを言うはずがない

 

もしかして、私と『寝る』のがいやだという意味?

 

私とは起きた状態でお互いに見つめ合っていないといやだという・・・?

 

こ、子供なのにエレンは大胆だ

 

「え、エレン、それは恥ずかしいからまた今度にして欲しい」

 

「は?」

 

と、とぼけたふりをして私を困らせて楽しむとは、エレンは意地悪だ

 

「と、とにかく寝よう」

 

「わっ、や、やめろよ、持ち上げるなよ!」

 

私はエレンを小脇に抱えると自分のベッドへと連れて行った

 

エレンは連れて行かれている間あまりにも嬉しいのか両手両足をブンブンと振って喜びを表現していた

 

『オロセー』というどこかの民族の言葉も発していたがおそらく嬉しいという意味だろう

 

「さぁ、今日は寒いから毛布の中に」

 

「う・・・わかったよ」

 

エレンはおとなしく毛布の中に入っていくと、暖かさに安心したのか

 

「はふぅ」

 

と、息を漏らした

 

「エレン、一度に大量の酸素を体内から失ってしまっては危険」

 

「ふぇ?」

 

「ので、口移しで私の体内から酸素を供給する」

 

「ふぁい!?」

 

私はエレンに続くように毛布の中に入っていき、エレンの顔を両の手を使い固定する

 

「わっ、や、やめてよ!なんか怖いよ!」

 

「そんなに怖がる必要はない、すぐに酸素の供給は済む」

 

「い、いや、怖いのはあんたで」

 

「アンタデア・ニサンタ?確かそんな訓練兵がいたはず(※いません)そいつが怖いのなら明日にでも始末しておく」

 

その時、エレンは理解した!

 

脳ではなく、心で理解した!

 

人には、必ず逆らえない存在がある

 

そう、天災である

 

地震を止めるなどということが不可能なのと同じように

 

エレンはこの目の前にいる女も止めることはできないのだと悟ったのだ

 

「あぁああぁぁああぁ」

 

「ふふ、そんなに震えて緊張しなくてもいい、私も口伝いの空気の供給は初めてだけれども舌を使えばなんとかうまくいくはず」

 

「わわわ、わわわわ」

 

 

 

 

 

ズキュウウゥウゥウゥウウン!

 

 

 

 

 

「や、やった!」

 

と、突然跳ね起きて反応するミーナ

 

そして、その視線の先で口元に笑みを浮かべながら勝ち誇った表情を浮かべるミカサ

 

「エレンの初めてはアニやクリスタではない・・・このミカサだ!」

 

そして、その目の前で目に涙を浮かべながら放心するエレン

 

「う、うぅ」

 

なんということか、エレンは突如として近くでよだれを垂らしていたサシャのよだれを手に拭い取り、それで口元を洗い始めた(※汚いですので皆様は真似をなさらぬよう

 

「な、なにぃ!?」

 

思わず反応してしまうミカサ

 

しかし

 

「え、エレン、そんなにトラウマじみた行為をあえて行うことで私とのキスを深く脳裏に刻みつけようとしなくてもいいのに」

 

ポジティブだったッッッ!

 

圧倒的ポジティブッッッ!

 

「そうとなれば、エレン!」

 

呼ばれ、即座にミカサへと向き直り構える

 

「な、なんだよ」

 

ビクビクと恐怖に臆しながらも構えを取る

 

「こ、怖くなんかないからなぁ!」

 

「そう」

 

短い返事

 

そして、短い動作だった

 

たった一瞬のその動作の後

 

 

 

 

気づけばエレンはミカサの腕の中にいた

 

 

 

 

「い、一体何が・・・ッ!?」

 

エレンが困惑を口にするも、その言葉に虚しさを覚えたかのように

 

 

 

 

「無駄なの、全部、無駄無駄」

 

 

 

ミカサは至極冷静に、そう返した

 

実力差やそんな言葉では片付けることのできない

 

存在の格差だった

 

「もう、あなたは腕の中・・・ッ!?」

 

腹部

 

何かが

 

いや、エレンだ

 

エレンがその部分に

 

手を伸ばしていた

 

 

 

「すっげー腹筋」

 

 

 

「」

 

 

 

思わず言葉を失うミカサ、褒められたのか、それとも女性らしくないと思われたのか

 

ポジティブなミカサであったが、女性らしさとしてはさすがに腹筋は別のものであるとは分かっていたため、ウィークポイントとなっていたのだ

 

「なんつーか」

 

0.001秒が0.01秒に

 

0.01秒が0.1秒に

 

0.1秒が1秒に

 

1秒が10秒に

 

そう感じてしまうほどに長い

 

エレンの次の言葉までの覚悟の時

 

褒められるか

 

貶されるか

 

はたまた、惚れられるか

 

どれがきてもいいようにミカサは心の内で構えた

 

 

 

 

「かっこいいな!」

 

 

 

「っしゃぁあ!!!」

 

吼えた

 

思わず吼えた

 

勝利の吠え

 

歓喜の吠え

 

 

 

他の物からすればただただ迷惑だった

 

 

 

「な、なぁ、なでなでしてみてもいいか?」

 

目に期待を込めながらお腹の位置にいるため見上げる形で頼んでくるエレン

 

「(かわいい)」

 

断れるはずがない

 

 

 

 

「だめ」

 

 

 

 

だが断る

 

「えっ」

 

途端に瞳に涙が浮かぶエレン

 

「(この泣き顔が見たかった)」

 

満足したミカサ

 

「やっぱりいい」

 

そして

 

「やったぁ!」

 

満面の笑みに変わるエレン

 

 

 

先程までのどこか反抗的な態度とは打って変わって、年相応の無邪気な喜び方はそのギャップもあって可愛さを増大させていた

 

「(鼻血が出そう)」

 

さわさわ

 

「っ・・・!」

 

エレンは腹筋が割れていることに感動を覚えているのか、腹筋の線をなぞっている

 

それが、どうにかなりそうなほどにむずがゆく

 

そして同時に

 

官能的な快感をミカサに与えた

 

「うわー、すっげぇー」

 

ミカサの腹筋の線をなぞりながら、ふとエレンの手がミカサの足へと伸びた

 

睡眠時ということもあり、ミカサは母に作り方を教わっていた東洋の寝巻き(※つまりは着物みたいなものです)を着ていた

 

そのため、隙間から手を潜らせれば素足を触ることはたやすかった

 

そして、腹筋からの感覚に集中していたミカサにとって

 

素足を触られた驚きと、エレンの幼いぷにぷにとした可愛らしい手の感触は反則級のご褒美へだった

 

「ッッッ!!!」

 

ミカサは体をブルブルッと震わせると、疲れたかのように大きく息を吐き

 

「・・・」

 

しばしボーーッとしたあとに

 

 

 

 

「おやすみ、エレン」

 

睡眠へとついた

 

やすらぎ、そう、この訓練所に来てから最も

 

やすらぎを感じた瞬間であった

 

眠ると決めたミカサはエレンを両手で優しく包み込むと

 

胎児のように丸まりながらエレンを抱きしめた

 

最初はなんとか脱出しようとしていたエレンだったが

 

それ以上何もしてこないミカサと、そのミカサから与えられる熱に影響され

 

「(あ、これなら俺も・・・)」

 

ミカサに寄り添う形で、眠りについた

 

 

 

その姿は

 

お互いの年齢は違えど

 

見る人が見れば、ある日ある時を思い起こさせる

 

 

 

 

 

穏やかで

 

 

幸せで

 

 

誰もが笑顔で語り合って

 

 

ときには怒られ

 

 

ときには悲しみ

 

 

ときには楽しんだ

 

 

今は帰らないある時

 

 

 

 

その日、ミカサは寝ながらにして涙を流していたと仲間のひとりが言っていた

 

 

 

 

 

そして、その表情はとても嬉しそうであったとも

 

 

 

 

 

 

 

 




ミカサ編



とぅどぅくぅ!

※この話はちょっと力入れたので感想をいただけるととてもありがたいですm(_ _)m

 悪い点なども含めて評価していただけるとありがたいです


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βー5 忘れない1

ぐぬぬ、忙しくなってきた

大学の学園祭なんぞ手伝ってやらんつもりだったのに・・・

・・・看板作るのと各サークルの使用スペースをEXcelにまとめるの任されたヽ(;▽;)ノ

報酬に貰うのはドクターペッパー50本で手を打ちました

あ、ユミル編ラストの1となります!(3まであります)


頭がおかしくなった

 

この頃の私はそうとしか思えなかった

 

もう、エレンが元に戻ってから2,3週間は経った

 

なのに、私は未だにエレンに話しかけられずにいた

 

・・・?

 

な、なんで私がエレンに話しかける必要があるんだよ!

 

別にエレンと話したいわけじゃないけど

 

ないけど・・・

 

いや、おかしいね

 

クリスタには自分のために生きろって言ってるのに、私が自分の心を偽るなんて

 

そうだね・・・

 

『母さん・・・』

 

私は、エレンと話したい

 

『いつ見ても美人だなぁ』

 

これが、恋なのかわからないけど

 

わからない、から

 

私は、分かるためにもあいつと話したい

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

格闘訓練

 

 

 

時間が過ぎるのは早く、私が決意を固めてからもう既に2時間が経った

 

「オラァ!」

 

エレンは今日もアニと格闘訓練をしているようだ

 

まずはエレンが防寒役のようだ

 

エレンは身を低くして突進をかける

 

それに対してアニが鋭い下段の蹴りをエレンに放つ

 

エレンはそれを避けるために突進の勢いを殺して間一髪でその蹴りをいなす

 

蹴りを放った左足足の方向に回り込むエレン、回り込むと同時にアニの目の前に左の掌をおいて視界を奪う

 

そして、エレンは己の右足でアニの足をひっかけて右手でアニの頭に圧をかけて転倒させようと謀る

 

しかし、エレンは気づいていなかった

 

その、相手の視界を奪うという行動は回り込む前に行うべきだったという

 

アニは既にエレンの位置を捉えていた

 

先ほど蹴りを放った左足を元の位置に戻さずに蹴りを放って得た勢いそのままに回転蹴りの姿勢に入る

 

エレンはそれを見て、『視界を確保せずに何を!』と余裕を持った

 

右足を一度曲げて姿勢を落とし、エレンの左の掌から逃れると同時にエレンを視界に入れる

 

思わず、だろう

 

アニの口元に笑が生まれた

 

思わぬ行動に目を開き驚くエレン

 

そして、先ほど勢いを殺さないままにしていた回転蹴りを

 

エレンは左の脇腹にモロに喰らってしまった

 

エレンの体が浮き、手元からナイフが離れる

 

悔しそうに歯噛みするエレンに近づいて頬を染めながら何かを言っているアニ

 

おそらくは今回の動きがよかったと褒めているのだろう

 

 

 

にしても、あいつ・・・真面目にやってんなぁ

 

あいつの夢は、外の世界を見ることなんだっけか・・・

 

・・・私も、付いていってもいいのかな

 

あ・・・そうだ、話題、出来たじゃないか

 

 

 

 

 

 

食事の時間も過ぎて、エレンは食器さえも片付けずに食堂でボケーーーっとしていた

 

クリスタは私の肩をポンポンと叩いて何かを促してくる

 

分かってるさ

 

クリスタに相談したところ、思い立ったが吉日だから早く行ったほうがいいよ!とのこと

 

そんなことは言ってもどうやって話しかけたらいいんだか

 

いや、悩んでいたって仕方ないか

 

ええい、ままよ!

 

 

 

 

「よ、よぉ、バカみてぇなツラしてんな(う、うわぁああぁあミスったああああ!)」

 

私がそんな言葉をエレンに向けると、エレンは目を動かしてこちらを向いた

 

「・・・!」

 

エレンは身なりを整えるように手を体のいたるところにパパパッと向かわせて、一息ついてユミルに向き直った

 

「な、なんだユミルか(な、なんだじゃねぇだろ俺!)」

 

ユミルはその後にうまく言葉をつなげようとするが、エレンが自分の隣の空いた席のイスを引いて、座ることを促してきたことでそちらを優先した

 

「あ、ありがとな(な、なに紳士みてぇなことしてんだよコイツ)」

 

エレンは若干味を乗り出しながら、先程から口元をパクパクとさせている

 

なんだか

 

「プッ、金魚みてぇだな」

 

そう指摘したところ、エレンは体が浮かんだのでがないかというほどにビクーーーッと身を固まらせて顔を赤くして俯いてしまった

 

「・・・う、うっせぇ(は、恥ずかしいよぉ)」

 

口を開かなくなったエレンに対して、『やっちまったぁぁあぁああ!』と心の中で反省するユミル

 

「で、でも金魚って可愛いよな!(ふぉ、フォローしなきゃ!)」

 

それを聞いたエレンは口をわなわなとさせて

 

「か、かわ、可愛いとか言ってんじゃにぇ、にぇ・・・にぇえぞ」

 

噛んだ

 

静寂

 

「そ、そういえば何の用だったんだ?」

 

恥ずかしさからか、目元が少し潤んでいる表情で、エレンはこちらを見てきた

 

「あ、あぁ、少し聞きたいことがあってな(な、なんでこんな可愛いんだよ!)」

 

エレンは目元に溜まった涙を見られたくないのか、近くに置いてあったウサギのぬいぐるみ(ミーナと書かれているが気にしない)を胸に抱くとそこに鼻頭を押し当てた

 

「んーだよ?」

 

エレンは口元がうまく動かないのかそのままの状態で返事をする

 

「そ、そのな、い、一緒に外に行かないか?(い、言えたあああ!)」

 

ユミルの言葉に、顔を赤くさせたエレンが顔を上げて表情に驚きの色を写す

 

「そ、その、それは」

 

 

 

 

 

 

「買い物デートってことか?」

 

 

 

 

 

あまりにも予想外のことに驚いたユミルの叫び声が、その日の食堂に響いた




さて、次回は少し遅れてしまいそうですが

次回は少しまえがきにおいてエレン側の話をします


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βー5 忘れない2

さて、最近始まったGTAオンラインもなんとなく飽きてきたスペインです

この頃新しい小説を書こうと思っています

というかこの小説を投稿したあとに書きます

それでは、ユミル編の2話目です

どうぞ!


時間が過ぎるのは早い

 

いや、楽しいと前述するべきだろう

 

時間というのは不思議だ

 

これから過ごす時間は、一体どういった時間になるのだろうか

 

でも、なんとなく予想できてるんだ

 

エレンと過ごす時間はきっと

 

とても早く過ぎていく

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あいつはいったいどれくらい待たせる気なんだ」

 

時間は過ぎていっていた

 

とても、とても長く感じた

 

あいつを、エレンを待っている時間は長く

 

「(べっ、別に楽しみにしているわけじゃないけれど)」

 

自分の意図した展開とは違う買い物デートという展開に最初こそ困惑したユミルであったが、今では約束の時間よりも30分早くに来て相手を待つ一人の乙女となっていた

 

思わず、自分の姿を確認したくてガラス張りのパン屋さんの前へと移動する

 

すると、そこにはジーンズに黒いビジネスシャツを来たボーイッシュな服装をした女性がいた

 

胸元の赤いブランドマークがちょっとしたオシャレを演出している

 

昼間ということもあり、少し暑さを感じたので腕はまくってあり、胸元も少し大胆に開けてある

 

どう見ても、女性という感じはしない

 

少しでも変化をと思い、髪の毛をいつもより少し高いところで結ってみたところミーナに大反響のカッコイイ系の女性になってしまったようだ

 

「へ、変なところないよな」

 

髪の毛の先端をつまんでみたりするがよくわからない

 

よくわからないけど、今こうやって自分の中にある女を意識しているのが

 

 

 

とても、恥ずかしい

 

 

 

自然と顔が赤くなるのがわかる

 

「あ、あぁもう!あいつはいつ来るんだよ!」

 

そんな風に、いもしないエレンに対して八つ当たりしている時

 

声が

 

聞こえた

 

「ユミル~」

 

遠くからだった

 

遠くからだったはずの声が

 

とてもはっきりと私の耳に

 

届いた

 

足音が近づいてくる

 

訓練で使用されているブーツの音だ

 

あの野郎・・・何もおしゃれとかしてないのかよ

 

あんなに走りやがって、汗かいちまうってのに

 

 

 

後ろから聞こえてきたその音や声に、私は振り向いた

 

まず最初に目に入ってきたのは髪留めだった

 

翼の形をした髪留めで目にかかりぎみだった髪の毛を留めている

 

暗緑色のジャンパーはその下に着ている白いシャツで色が強調されている

 

胸に下げている両翼、調査兵団のシルバーのネックレスがカッコよさを演出している

 

下に履いているアイボリーのカーゴパンツが上半身のスラッとした感じとは対照的にバランスの良さを調整している

 

「ごめんな、遅れちまって」

 

謝りを入れてきたエレンだったが

 

私はエレンの格好を見て若干脳がショートしていたので反応できなかった

 

エレンは一歩下がると、私の服装を上から下へと見ていった

 

そして唐突に、胸のところでエレンの視線が止まった

 

どこを見ているのか、そんなことは聞くまでもなくわかりきったことだった

 

「ッ・・・!」

 

エレンは顔を赤くしてそっぽを向く

 

こんなにもわかりやすいやつが兵士になるのは心配だ・・・なんてことを考えている余裕は私にもない

 

「ば、ッ馬鹿!そんなとこばっか見んじゃねーよ!」

 

口が悪くなってしまったことを思わず後悔する

 

後悔するが、なんだか女性として意識されたことがとても嬉しかった

 

「わ、悪かったよ」

 

でも、とエレン

 

「その服装、似合ってていいな」

 

笑顔でそう言ってきたのは

 

反則だと思った

 

 

 

 

「と、とりあえず街中を見てまわろうぜ」

 

エレンは今回、買い物デートということでなんでも新しいジーパンが欲しいそうだ

 

「お、おう」

 

私はエレンのあとをついていくように、歩を進めた

 

「あ!」

 

先を歩いていたエレンは途端に振り返り、スッと私の方へと一歩近寄ってきた

 

どうしたのだろう?と困惑顔になる私に対して

 

エレンは右手を私のほうへと近づけてきて

 

おっかなびっくりと行った様子で、私の手を握った

 

 

 

「そ、その、はぐれたくないから・・・手、つないでようぜ」

 

 

 

顔を真っ赤にしてそう言ってきたエレンは

 

とても可愛く

 

そしてかっこよかった

 

 

 

 




前回はユミル編は3回で終わるといったな・・・・

あれは嘘だ(ごめんなさいデートの場面を少し長く書きたいので分割させてください

勝手なわがままで皆様のお時間を余計に削ってしまう形となりまして申し訳ありません



続く!


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βー5 忘れない3

エレンSide



子供から戻って数日

エレンはひとつの悩みを抱えていた

子供になっていた際の記憶が残っていたのだ

いや、正確には曖昧に残っていた

訓練が終わってから最初の方、おそらくは自分が子供になってばかりのことは全く覚えていない

しかし、寝る前

まだ少し意識がある段階でユミルと寝たことを覚えている

ユミルと寝たこと・・・

「ぬぁああぁぁああぁあぁあぁああぁ」

思わず叫び声が漏れてしまう

それを聞きつけたのか、心配した顔でアルミンが俺の部屋のドアを開け放った

「どうしたんだいエレン!」

頬に汗が伝っている

なんと恥ずかしいことか、自分の行いを省みて恥ずかしさで叫んでしまったとは言いにくい

いや、これはいい機会なのかもしれない

お、俺の最近の悩み

ユミルのことを思うと胸が早鐘を打つ

く、訓練の時とかに目の端に入るだけで

俺の動きが鈍くなって

俺の考えがボロボロになっていって

うん、相談しよう

「あ、アルミン、相談があるんだ」






その後、アルミンに相談した結果俺はユミルにこ、こ、恋をしているんだって言われた

俺は

俺は恋なんてしたことない

恋なんてしたことない、けど

したことないから

してみようって思ったんだ


「アルミン、俺、がんばってみるよ」




それから数時間後、俺はユミルからデートの申し込みともとれる言葉を受け取り、その数日後デートへ行くことになるのだが

この時の俺はまだ知らない


右手から熱が伝わる

 

熱、といっても心地いいものだ

 

柔らかい熱とでも表現しようか

 

私の手は繋いだエレンの手から熱を感じていた

 

だが、これは決して熱を奪っているのではない

 

なんというのだろうか

 

共にする?

 

同じくする?

 

熱を・・・感じ合う?

 

きっと、確かな表現なんて無いんだ

 

でも、私は確かにそれを感じている

 

私はこの、エレンから伝えられる熱を感じている

 

それでいいんだ

 

 

 

 

・・・って、わ、私は何を考えてるんだぁーーーっ!

 

「い、痛てっ!」

 

「わ、悪い!」

 

エレンの手に思い切り力を込めてしまったことを反省する

 

「どうしたんだよ?いきなり力込めたりして」

 

エレンに言われ、今しがた自分の考えていたことを思い返して顔が熱くなることを感じる

 

ごまかさなきゃごまかさなきゃ

 

「えええ、エレン!あ、あ、あの店に入ろう!」

 

咄嗟に口に出たのはひどいごまかしだった

 

自分でどこを指差したのかも分かっていなかったので後から自分の指差した店へと目を向けてみる

 

答えは、エレンの口から出た

 

「服屋か?・・・わかった、喜んで付き合うぜ」

 

少し誤解しそうになって赤くなった顔を見られないようにそっぽを向いた私を、エレンが訝しむように見ていた

洋服店~ジョナサン~

 

「いらっしゃいませ~」

 

店員の定番の言葉を耳にしながら来店

 

エレンはあまりこういうところにこないらしく、心なしか恥ずかしそうにしている

 

いや、私もなのだがな

 

店に入ったのはいいものの、何を見るかなど考えずに指差してしまったものだから

 

「どうしたんだ?服、見ないのか?」

 

ふ、服!?私が見るのか?

 

いや、あ、あたりまえか

 

エレンはなんか格好良い服装してるし、見るとしたら私のか

 

「み、見る!」

 

そして続けるように

 

「た、ただ、その・・・エレンが選んでくれないか?」

 

私の頼みに笑顔で了承したエレンは

 

「それじゃあ探してくるな!」

 

と言って、洋服店の中を駆け巡りに行った

 

・・・あー

 

私どうしよう

 

めっちゃくちゃ暇じゃないか

 

・・・あ、いいこと思いついた

 

んー、いや、これ

 

男がやるってイメージあるんだけども

 

まぁいいか

 

 

 

 

 

「ユミル!持ってきたぞ!」

 

エレンは手元に複数の服を持っていた

 

どれも女性ものというところから見ても、私が着る予定の服なのだろう

 

と、ところどころにヒラヒラしたものが見て取られるのだが

 

「ほ、本当に私が着るのか?」

 

思わず恥ずかしさで涙目になりながら尋ねる私に、エレンは

 

「俺もさ」

 

普段、そんな顔しないくせに

 

 

 

「お前がこの服見たところ、見てみたいんだ」

 

 

 

反則だぜ、そういうはにかんだ顔ってやつは

 

 

 

 

 

「ど、どうだ?」

 

試着室でエレンに渡された服を着た私は、試着室に設備されたカーテンに半身を隠した状態で外に待つエレンに訪ねた

 

「いや、見えねーよ」

 

まぁ、そうだろう

 

私は何かを言おうと・・・

 

いや、何かを言おうか言わまいか逡巡した後に

 

自分の体をカーテンの外に出した

 

「お、おぉ」

 

エレンがよくわからない声を出す

 

驚き?

 

感嘆?

 

感動?

 

・・・ど、どれでもいい

 

あ、嘘

 

綺麗って思ってくれたら嬉しい

 

じゃなくて!

 

「ど、どうなんだよ」

 

私は、フリルのついた白いドレスに身を包んでエレンに感想を求めた

 

エレンは目を私から離すことなく、頬をポリポリと掻いて告げた

 

 

 

 

「お、俺は、俺はお前のその格好、好き・・・だぜ」

 

 

 

お互いに

 

お互いに30秒くらい喋れなくなって

 

私はついカーテンを勢いよく閉めてしまった

 

私の顔は真っ赤だった

 

手を頬に持って行って当ててみる

 

掌まで熱くなってやがる

 

目元に涙が溜まっているのがわかる

 

あぁ、ったく

 

嬉しくて涙が出るなんていつぶりだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ど、どうしよう

書きたいけど長く続けるとほかの子の話が続かないし

でも、ユミルのデート書きたい・・・こ、これがジレンマというやつか!

ポルノグラフィティの歌じゃなしにその言葉を使ったの初めてかもしれない!

もし続けるとしても5回までで終わらせたいと思います!

そのため、次回がとても長くなるかもしれませんがご了承ください

言っていることが何度も変わってしまい申し訳ありませんm(_ _)m


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βー5 忘れない4

さて、今回は少し長い構成となっております

それでもお楽しみいただけるという方はこのままご覧下さい





なんだよ・・・これ

 

あー、今の状況を説明するとだ、私の前にエレンが座ってるんだ

 

エレンが座っていて、パスタを食べてる

 

うん、パスタはカルボナーラだ

 

ちなみにクリームたっぷりの卵をかけたやつだ

 

あ、私のはトマトソーススパゲッティだぞ、ミートソースもあったんだがこのご時世だからな、高いみたいだ

 

いや、料理の内容はわりとどうでもいいんだ

 

そ、それよりも今大変なのは用意された飲み物だ

 

少し、思い出してみよう

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

時間が過ぎるのはとても早くて、気がつくともうお昼時だった

 

洋服店から出た私たちはトロスト区の住宅街を通りながらアイスを買って食べ歩いていた

 

アイスを買うときにカップル割を適用されてエレンと私がお互いに顔を赤くしたけど、まぁ、嬉しかったな

 

そういえばエレンはどう思ったんだろうか

 

・・・うぁ、ふ、深く考えるのはやめよう

 

なんだか自分の嬉しいことばっかり想像して口元がニヤけちまう

 

「なぁユミル」

 

私がそんなことを考えていると、エレンは私の肩に左手を置いて話しかけてきた

 

いきなりのことで驚いて私が体の緊張が抜けないまま振り返るとエレンはあるお店を指差した

 

ゆびさされた方向に目を向けるとそれは近頃人気を博してきている『パスタ』のお店だった

 

作りやすい、食べやすい、様々な味付けをしやすい

 

この調理されるために生まれてきたかのような素晴らしい性能で、『パスタ』はまたたくまに有名になり主に女性から支持を集めていた

 

「ん、そうだな、そろそろ飯にするか」

 

私がお店の方へと歩を進めようとしたところ、振り返った体勢で死角になっていた方向から男性がこちらに向かってきていたため

 

ドン

 

「あぅ」

 

ぐぇ、ぶつかっちまった

 

「わ、わるい」

 

私は平謝りすると少し先を行くエレンのもとに小走りで追いついた

 

エレンはそんな私の方を振り向くと何かを渋ったかのように右やら左やら上やらを見て

 

「ユミル、う、腕掴むか?」

 

・・・

 

・・・はぁ!?

 

「な、えっ!?」

 

い、今こいつなんて

 

う、腕?

 

いや、手を握るだけでもあんなにあわあわしたんだぞ?

 

ど、どうする!?

 

いや、掴みたいけど

 

・・・えぇいもう!

 

 

 

ギュッ

 

 

 

「ふぇ!?」

 

私は勢いのまま、エレンの腕に自分の腕を絡めた

 

エレンが驚いていたのがなぜなのかわからないが

 

なんだか自分がやろうとおもったことを実行に移すことができて私はとても嬉しかった

 

そこに

 

「お、俺、服の裾を掴むか?って意味だったんだけど」

 

・・・あ?

 

『ユミル、う、腕掴むか?』

 

あ・・・

 

「う、うわあぁあぁあああぁあ!」

 

「い、痛い痛い!おい、振り回すなって!」

 

「う、うるさいばかあぁあぁああ!」

 

それでもこの腕を離さないのは、ちょっと意地になってるからであって

 

こ、この行為に恋愛的要素はないからな!

 

 

 

 

 

パスタ屋~Cataluna~

 

お店の中に入ると、私たちを迎えてくれたのはオレンジ色の暖かい暖色色の光だった

 

給仕に案内されてテーブルにつくと、エレンが端に置いてあったメニューを私に手渡してきた

 

「(こ、こいつ、レディーファーストってか?嬉しい事しやがって)」

 

エレンはその間に威嚇にあった給水器から2つの水を持ってきてくれた

 

なんだこいつの紳士っぷりはぁああぁあ!

 

なんかいつもより大人びて見えてきたぞ・・・

 

頭の中の困惑を表に出さないようにしながらメニューを見ていくと、途中で少し気になるものを見つけた

 

「(ん・・・なんだこれ?)」

 

思わず怪訝な顔をした私に、エレンは少しメニューを覗き込みながら

 

「どうした?なんか気になるものでもあったか?」

 

私はエレンに聞かれ、エレンにも見えるようにメニューを傾けて目に付いた項目を指差した

 

『二人用ドリンク、今なら半額サービス中』

 

「これなんだけど・・・」

 

『本来なら1200円!』と書き添えられていることから、2人用で600円になるということだ

 

1人300円ならば安いものだろう

 

そんな考えのもとでユミルは提案した

 

「これ、頼んでみないか?」

 

エレンはこういったメニューに感心しているのか「へぇ~」なんて声を出すと、大きく頷いて賛成してくれた

 

「それじゃあ、あとはメインの方だな」

 

私はパスタのページまでペラペラとめくり、エレンから見えやすいように本を横に向けて二人で覗き込んだ

 

「(あ、あわ、これやるまで気づかなかったけど近いな・・・)」

 

め、メニューを見なきゃ

 

そう思いながら見てみると、『ミートソーススパゲッティ3600円』という文字がデカデカと書かれていた

 

さ、さすがに高いだろ

 

ほかには・・・

 

お、トマトソーススパゲッティ1000円か

 

「エレン、私はトマトソースを頼ませてもらうぞ」

 

「お!ユミルがそれを頼むなら俺はカルボナーラでも頼むかな」

 

エレンはメニューを見たままに

 

「あ、後でトマトソースの方を1口もらっていいか?」

 

そう聞いてきた

 

「あぁ、もちろんいいぞ」

 

 

・・・・・あれ?

 

私とエレンはお互いに黙って動きを止めた

 

改めて考えてみると、これって

 

 

 

い、いや、確かに何かを食べたフォークでパスタとかの麺類を食べると必然的に他の麺とかに『間接キス属性』が付与されるけど

 

きっとそういう意味を意識していったわけじゃないよな?

 

ち、ちがうよな?

 

と、エレンの方を見てみると

 

メニューを凝視したままに顔を真っ赤にしていた

 

・・・

 

 

 

あー

 

 

 

ばか

 

 

 

 

 

しばらくして、食事が運ばれてくる前に私たちの頼んだ二人用ドリンクなるものが運ばれてきた

 

まず運ばれてきたのは1つのグラス

 

とても大きなグラスで、一人で飲みきるにしてはだいぶ量が多いだろう

 

と、私たちが『これはどちらの飲み物だろう?』と困惑していると

 

追加で1つのストローが届けられた

 

『ストローの先端と考えられるのが3箇所ある不思議なストロー』が

 

形を表現するならばYだろう

 

いや、YのVの部分がもっと狭くなっている形だ

 

・・・何に使うんだ?

 

エレンはストローを持ってVの部分を広げてみたり狭めてみたりしている

 

・・・!

 

あ、どうしよう、わかっちゃった

 

じゃない、わかっちまった

 

「え、エレン、貸して」

 

あ、だ、だめだ

 

キャラが崩れそう

 

でも、考えがまとまらなくて

 

「ほい」

 

私は渡されたストローを、グラスに

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁあぁぁぁあぁあぁああ!!?」

 

 

 

 

 

どういう飲み物なのか気づいたエレンが大きな声を上げる

 

うーん、そりゃあそうだろう

 

私は思わず黙ってしまったけど

 

そこから、お互いに会話がうまく成立しないままにパスタが届けられ

 

 

 

今に至るというわけだ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

チュルン

 

私の口になめらかに入っていったトマトソーススパゲッティが綺麗な音を立てた

 

そこで、あることを思い出した

 

「あ、そういえば1口の話って」

 

そこまで話して、その話のあとに恥ずかしがったことも思い出した

 

「話って・・・ど、どう、なったのかなって思って」

 

尻すぼみになった私を見てエレンは苦笑

 

そんな流れに恥ずかしさを覚えた私の前に、1つのフォークが差し出された

 

「ほれ、アーン」

 

エレンがこちらに笑顔を向けながら、フォークにパスタを絡ませて差し出していた

 

躊躇

 

いちゃ、いらないものだろう

 

恥ずかしがるから、恥ずかしいんだ

 

恥ずかしがらないように意識すれば

 

・・・いや、そうじゃないな

 

私は、この恥ずかしいって感情をエレンに覚えるのが

 

少し、嬉しい

 

だから、私はこの感情を大切にしていこう

 

「あ、あーん」

 

口の中に広がった味が、私の恥ずかしさと一緒に胸の奥の深いところに刻み込まれた

 

 

 

 

いくらかパスタを食べていると、段々と味に飽きがくるものだ

 

そこで、私は少し辛さが足りないと感じて、タバスコをかけてみた

 

私がかけ終わると、エレンが手を伸ばしてきたのでタバスコを渡してあげた

 

エレンもカルボナーラにタバスコwかけようとしたが、近くを通っていた店員さんがエレンのカルボナーラに鷹の爪を軽くふりかけてくれた

 

確かにカルボナーラにはタバスコよりもそちらのほうが合うだろう

 

私は口の中にトマトソーススパゲッティを放り込むと、どういった風に味が変わったのかを楽し・・・

 

「「ひゃ、ひゃりゃい!」」

 

の、飲み物!

 

近くにあったグラスを手にとって自分の下に持ってこようとする

 

 

何故か向こう側に引っ張られそうになり、仕方なく自分の頭を持っていく

 

ストローに口をつけてチューーーッと中のみずを吸うと、口の中に広がっていた辛味が段々とほぐれてきて

 

「(あー、楽になってきた)」

 

一息ついて、飲み物の味を楽しむ

 

楽しもうとして

 

自分の目の前に、何かがあることに

 

いや、誰かがいることに気づく

 

この状況、1人しかいない

 

え、エレンだ

 

目線を向ける

 

あ、目があった

 

ち、近い

 

これまでで、一番

 

少し姿勢をただそうとすると、軽くおでことおでこがコツンとあたった

 

重なったおでこから、エレンの熱が伝わってくる

 

は、恥ずかしい

 

 

 

 

恥ずかしいよぉ

 

 

 

でも、なんでこんなに

 

 

 

 

 

 

 

嬉しいんだよぉ

 

 

 

 

 

 




さて、いつもより少し長いものとなってしまいました

次回は記念小説の4を書きますので、そのあとに本編という形になります

さて・・・いよいよ次回でユミル編はラストです

自分はライトノベルや漫画のハーレム主人公がよく作品中では誰と付き合うのか決めないままに終わるという展開が好きではありません

ラストはラスト

終りを持ってきたいと思っておりますので、お楽しみに


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βー5 忘れない5(ユミルEND)

ラストです

はい、ラスト

これだけ見てくださる方もいると思うのであらすじを

エレンとお買い物デートに
     ↓
   服を選ぼう!
     ↓
お食事も済ませよう
     ↓
    今ここ

なお、今回も長いです

あ、それと

※ここで少しオリジナル設定として、街から兵舎までの道のりを説明させていただきます

『兵舎はトロスト区の東、少し乾燥した土地にあります

その周囲はアニメなどでも描かれていたように植物のあまりない平地となっており、兵役する者たちに時間がわかりやすいよう、兵舎からは日が見えやすいように土地がならされております

それゆえ、トロスト区では有数のベストスポットポイントとして有名でもあります

ですが、兵舎があるという理由と、捕獲した巨人をその周辺で見かけたことがあるという情報から近寄るものはあまりいない

そういった状況にある』

以上で設定説明を終了させていただきます

それでは、本編をご覧下さい


時間っていうのは残酷だ

 

人の無意識で長さが変わるっていうのに

 

人がどうにか伸ばそうとしても試行錯誤してる間にどんどん短くなっていく

 

でも、もっと残酷なのは

 

過ぎた時間はいつか忘れてしまうことだろう

 

それが、私の持論

 

涙が出るくらいに、自分でも悲しいと思う

 

だから、私は『今』を生きる

 

『今』流れるこの時の中で自分として

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

夕方

 

「だから!その時ライナーがケチャップで死体のふりを・・・って、もうこんな時間か」

 

エレンとくだらない話をしながら過ごしていた昼下がり

 

気が付けば、もう陽は沈みかかっていた

 

本来、つまりは兵役していなければ

 

陽が落ちてからこそが私たちくらいの年頃が活発に動く時間帯だろう

 

でも、私たちはそうはいかない

 

あとおよそ30分、それが私たちに残された時間だ

 

・・・おかしな表現だ、別にあと30分で息絶えるわけでもないのに

 

なのに、こんなにも時間が惜しく感じるなんて

 

「その『ライナー殺人事件』の続きは気になるけどさ、もうそろそろ街から兵舎の方に向かわないとだろ?」

 

私の言葉に首肯し、エレンはそれまで座っていたベンチを立ち上がって沈み行く太陽を見た

 

私から見たその横顔は、どこか苛立ちを抱えているように見えた

 

そして

 

苛立ちを抱えているように見えたその横顔に、私は何故だか嬉しさを覚えていた

 

 

 

 

私と、同じことを考えていてくれたら

 

 

 

なんて

 

 

 

 

「うしっ!いくか!」

 

エレンに先導され、私もベンチから立ち上がり歩き出す

 

街中の建物の隙間から陽の光が差込み、私たちに影を作る

 

こういう時、本当に思う

 

『影がその人の闇を映し出すものじゃなくて

 

                  本当に良かった』と

 

自分でも思う、馬鹿な話だ

 

今になって、昔を思い出して

 

昔に苦しんでるってのか

 

「どうした?」

 

エレンが声をかけてきた

 

今、私はどんな顔をしていたんだ?

 

エレンは心配そうな顔をしている

 

「な、なんでもないさ」

 

・・・変なごまかしだったかな

 

「ふーん・・・まぁ、なんだ」

 

「?」

 

 

 

「俺のこと・・・頼れよ?」

 

 

 

・・・

 

な、なに言ってんだこいつ!

 

なに言ってんだこいつ!!

 

「ばっ、ばかじゃねーの!」

 

あ~もう、ばかはどっちだよ!

 

素直になれよ私!

 

 

 

 

・・・しばらく歩いて

 

 

 

街から離れてきた

 

山岳地帯・・・とまではいかないもののゴツゴツとした岩が目立つ

 

エレンは少し先を進みながらも時折こちらを振り返り気にしてくれている

 

少し遠くを見れば、小高い丘の向こうに沈み行く太陽が見える

 

前を行くエレンの影が私の足元まで伸びてきていた

 

段々と長くなっていく影が

 

どうしようもなく時間の経過を感じさせた

 

 

 

 

私は、さっきのところからずっと考えていた

 

『素直』

 

自分で思ったことなのに、自分で自分の『素直』がわからない

 

嘘をつかないこと?

 

隠し事をしないこと?

 

・・・だとしたら

 

だとしたら、私は言うべきなのか

 

この世界の全てを

 

私たちの学んでいる技術の、本当の矛先を

 

人類と巨人と、神々の話を・・・

 

いや、ダメだ

 

今話したらダメだ

 

それに、『素直』になるっていうのは、なんだか違う気がする

 

エレンに対して素直になる・・・それもあるけど

 

まずは、私は

 

 

 

自分に素直になろう

 

 

 

「エレン」

 

呼び止めた

 

エレンの足が止まる

 

当然の流れなのに、その流れに安心を覚える

 

「どうした?」

 

振り向くエレン

 

顔を見ただけで、自分の胸が高鳴る

 

今から

 

私は告白する

 

 

 

エレンの顔を直視できずに、思わず近くにある石なんかに目をやる

 

でも

 

これじゃダメだよな

 

そんなことを思って、頬をポリポリと掻いてエレンに向き直る

 

きっと、すごい顔が赤くなってるんだろうな

 

涙目になってるかもしれない

 

 

 

 

「私はさ、周りと少しずれているところがある」

 

そう、みんなとは違う

 

いい意味でも、悪い意味でも

 

「だから、人に避けられるってことが多かった」

 

今も

 

昔も

 

「きっかけはさ、きっとあんたが小さくなったあの事件だったんだよ」

 

思い出してみる

 

可愛かった

 

可愛かったと同時に

 

気づかされた

 

成長ってやつを

 

「あんたは小さくなって、私を美人だのなんだのって言ってくれた」

 

まぁ、母親と勘違いしてたみたいだったけど

 

それでも

 

嬉しかった

 

「私は、その時久しぶりに自分が『女』だって思えたんだ」

 

私の持つ変わらない部分

 

『ユミル』であること

 

『女』であること

 

私にとっては、とても大切な部分だ

 

「それが」

 

「すごく嬉しくて」

 

伝えたいのに

 

言葉が喉で詰まるみたいだ

 

まるで息ができていないみたいに

 

肺が空気を求めてる

 

顔が赤いとかじゃなくて

 

顔が暑い

 

頬が熱を持っているのが分かる

 

目元まで熱くなって、油断したら涙が流れてしまいそうだ

 

でも

 

伝える

 

「気がついたのはここ数日だよ」

 

 

「気がついてからは、ほんと、どんどんその気持ちが大きくなっていって」

 

 

「今じゃもう、エレンを目で追うようになってさ」

 

 

「あんたを朝に見ると、すごい」

 

 

「すごい、幸せになった」

 

 

「でもさ、やっぱり見てるだけじゃダメみたいだ」

 

 

「エレンとミカサの家族みたいに・・・」

 

 

「家族以上に、エレンと親しい関係になりたいんだ」

 

 

「ふふっ」

 

 

「ずっと黙って聞いてくれてありがとよ」

 

 

「言いたいことはさ、たった1言なんだ」

 

 

「でも、言いたいこと以上に伝えたいことがあって、こんなに長くなっちまった」

 

 

「エレン」

 

 

 

 

 

 

 

「私に、あんたを愛させて欲しい」

 

 

 

 

 

 

 

「エレンが、好き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かな時間だった

 

風が頬を撫でる

 

熱を奪っていくと共に、心地よくもある

 

遠くから聞こえる鳥の声が、静寂を意識させる

 

その静寂を

 

 

「俺は・・・さ」

 

エレンが、破った

 

「巨人を倒したい、巨人を駆逐する。そんなことばっかり言ってる」

 

 

 

「ジャンなんかからは死に急ぎ野郎だなんて言われちまってる」

 

 

 

「でもさ」

 

エレンが、1歩私に近づいてくる

 

私までの距離はおよそ3歩といったところだ

 

「巨人ばっかり見てたはずなのに、最近別のことが気になるんだ」

 

2歩

 

「最初は否定した、否定しては・・・そうやって否定した自分を嫌いになってた」

 

3歩

 

目の前まで来たエレンは、顔を赤くしていた

 

それでも、私を見ていた

 

まっすぐ、私を見ていた

 

エレンの瞳の中にいる私と目が合う

 

なんだ、目に涙なんて浮かべてやがる

 

恥ずかしいな

 

恥ずかしいけど

 

エレンも、目に涙を浮かべてる

 

ははっ、おそろいだ

 

「俺は、お前が気になってた」

 

 

 

 

「ユミルが、気になってたんだ」

 

 

 

「まさか、先に言われるとは思ってなかったけどさ」

 

 

 

「ユミル、俺も、お前のことがっ・・・」

 

 

 

「いや・・・そうじゃないな」

 

 

 

「俺にも、ユミルのことを愛させて欲しい」

 

 

 

「いつまでも」

 

 

 

「俺と共にいてほしい」

 

 

 

 

 

「好きだ、ユミル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕陽差す平野で

 

二つの影が重なった

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さて

ユミルENDとなりました

ユミルENDとなりましたが、これもちょっとした持論です

愛し合ったからには、ユミルENDって名前で終わらせたくないんです

そんなわけで次回

ユミル・エレンEND

ご期待下さい!



※短文による改行、セリフばかりの文章、不快に思われた方がいらっしゃいましたら誠に申し訳ございませんでした


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βー5 忘れない6(ユミル・エレンEND)

短いです

短いですけど

最後ってそういうものだと思う


20年後

 

 

 

朝、小鳥たちのさえずりに目を覚ますと、カーテンの隙間から差し込む朝日が私の覚醒を促した

 

体にかかっている掛け布団が私の体温と朝日で暖かくなっている

 

右手を動かして枕元に置いてあるはずのコップを探す

 

感じられるのはフローリングの冷たさばかりで水の入ったコップには手が当たりもしない

 

段々とイライラしてきて掛け布団を思い切りはねのけて起き上がってみるも、自分でおいたと思っていた位置にコップはなかった

 

一体どこに?目線を各所に配るも見つかる様子はなく、ふと見てみれば隣で寝ていたはずの亭主もいない

 

と、ピトリと、頬に冷たさを持つ何かが当てられた

 

後ろから差し出される形だった

 

少し感じた嬉しさを胸の内に隠しながら当てられたものを受け取る

 

水だ

 

なかに氷が入っているところから見て、ぬるくなっていたので氷を入れて冷やしてくれたといったところだろう

 

何気ない気遣い、だが

 

それが嬉しくて、心地いい

 

そのまま、体勢を後ろに倒してみる

 

『誰か』が立っていて、その人の足に寄りかかる形になった

 

『誰か』、なんてことは確認するまでもなく分かる

 

その『誰か』が私の髪を撫でる

 

朝日で温まっていた頭頂部に、先程まで水を持っていたために冷えた掌が接する

 

冷たさとこそばゆさに目を細めながら、手に持っている水をひと口飲む

 

今日は午後から金髪のあの子と喫茶店でお茶をする約束がある

 

もう陽も登っているようだし、そろそろ準備をしなくてはいけない

 

『誰か』にすくい上げられるように持ち上げられる

 

俗に言う『お姫様抱っこ』というものだ

 

昔はこういったことを少しされるだけですぐに恥ずかしがったりもした

 

けど、今は恥ずかしさよりも安心感と嬉しさの方が大きい

 

「エレン」

 

私は、『誰か』に語りかける

 

確か、この『誰か』も今日は昔からの金髪の親友と璧外に『調査』に行くと言っていた

 

『調査』なんて名目で外の世界を楽しんでいるだけだが、毎回のように話してくれる外の世界の話は、私の楽しみになりつつあった

 

この人と、一緒になって良かった

 

心からそう思える時が、何度も何度もあった

 

きっとこれからも、何度も何度もあるんだろう

 

昔と比べるのはあまり好きではないけれど

 

今なら分かるんだ

 

悩んだとき、忘れたくないとき、その時を大切にしたいとき

 

どうすればいいのかって

 

簡単だったんだ

 

口に出せばいい

 

相手に伝えればいい

 

一人で抱えきれない悩みなら、誰かに話せばいい

 

一人で覚えていられないのなら二人で覚えればいい

 

そのときを大切にしたいのならば、大切な人と一緒に

 

大好きな人と一緒に、そのときを尊めばいいんだ

 

 

 

 

「大好き」

 

 

 

私は、私の生きた時を

 

 

 

 

 

この人と一緒に覚えていこう

 

 

 

 

 

 

 

 

END




     






終わりになります

が、これはひとつの話の終わりであって全体の終わりではありません

一応このあと誰のENDを書こうか考えていないので、候補を上げていただければその人を書こうと思っております

それでは、次回で会いましょう!


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β-6 忘れられない

苦しいと思ってもがいてみても、別に自分がいるのは水の中でもなければ洞穴みたいに酸素の薄いところでもない

またいつもの夢だ

私はそう自分に言い聞かせて心を切り替える

ここがどこかなんてことはわかっている

どうしてこんなに苦しいのかも

子供の頃は無邪気だった

自分の一族の存続だけを思って働くアリ達を私は何度も踏み潰した

時にはその種族のいる穴に水を流しこんだりもした

子供の頃は無邪気だったんだ

違う

『無知』と言い換えるべきだろう

行っている行為が邪なことであるのに無邪気という表現は矛盾が生じてしまう

子供はその行為が邪であることを『知らない』から苦しまないのだ

今の私は?




私は罪に苦しみ、必死にもがく






布が打たれる音が夜の女性寮の裏から微かに聞こえてくる

 

女性寮では定番となったものだ

 

それというのも104期生が訓練生として入寮してからの話、というよりもアニ=レオンハートが入寮して以来だ

 

大半の人は彼女が訓練の復讐として毎晩行っているのだと思っているが実際は違う

 

彼女が故郷で父親に習っていた武術の足技を磨いているのだ

 

実のところ、キース教官はその訓練に気付いている

 

しかし、訓練生の自主的な活動を邪魔しては士気に関わると考え最低限干渉をしないようにしているのだ

 

「ふぅ・・・」

 

一通りの技の流れを終え、足に響く痛みがないかを確認する

 

問題ない、痛みはおろか、腫れているところもない

 

そんな風にかがんで足の調子を確認していると、ひとつの影が自分の視界に入った

 

影で見えるシルエットでは筋肉はあまり見て取れない、スラリとした影だ

 

「痛めたのか?」

 

この時間帯、他の訓練生ならばここまで自分と行動を共にする奴なんていないだろう

 

この、エレン=イェーガーを除いては

 

「いや、少しいつもより調子が出なかったからもしかしてとおもったんだけど、ただの訓練疲れだったみたいだよ」

 

アニは足首をぐりぐりと回すと、姿勢を正してエレンに向き直った

 

「(エレンはどうにも小さくなっていたときのことはあんまり覚えてないみたいだけど・・・)」

 

『一緒に寝た』という事実だけを認識してみるととても恥ずかしくなってくる

 

「(あーだめだめ、意識したら変な感じがしちゃう)」

 

アニは極力表情に出さないようにしているのだが、何度も夜に一緒に訓練しているからだろうか

 

エレンはアニの表情をジッと見つめると眉を狭めて心配そうに声をかけた

 

「アニ、なんか訓練に集中できてないのか?」

 

「!」

 

言い当てられ、思わず言葉が詰まってしまうアニ

 

「(ごまかそうにもややこしいわね・・・あんまりこういうごまかし方は好きじゃないけど、するしかないか)」

 

アニは物憂げな表情を浮かべ、少し照れたような動作を踏まえながら弁解を計る

 

「その・・・今日はさ」

 

エレンはエレンで心配なのか1歩アニへと近づく、足を前に出した時にアニの体がビクッと反応していたのに少し可愛さを覚えながらも元の距離感へと戻った

 

「お、女の子の日なんだよ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙

 

「あ、お、俺なんも気にしないで、その」

 

エレンがしどろもどろとしている

 

それもそうだろう、あまりエレンはアニの事を女性として見ていなかったのだ

 

しかしここにきて女性ということを再確認した

 

それもあって、今自分は深夜に女性と一緒にいるということを脳内で理解し、少し恥ずかしさがこみ上げてきているのだ

 

「べ、別にいいよ、私が自分で来たんだし」

 

アニは休もうと思えば休めた、なのでエレンが何かを気負うことはないのだ

 

「そうか?そうか・・・まぁ、無理はすんなよ?明日の訓練でお前と組めなくなったら寂しいからな」

 

「は、は?」

 

「じゃあ、俺はそろそろ寮に戻るわ」

 

エレンが小走りで女性寮から離れていく

 

アニは先ほどの言葉の意味が知りたい、しかしもう夜も遅く肌寒くなってきている

 

「(あいつ・・・無理はするなって言ってたし)」

 

アニは口元に笑みを作ると自分の肩を抱いた

 

「(なんだか、久しぶりにあたしの心配をしてくれるやつを見た気がするよ)」

 

誰かに抱かれているわけではない

 

だけど、胸の奥が温かいもので満たされた気がした

 

アニは女子寮へと歩を進めた

 

 

 

 

二人の距離が

 

少し縮まった




本編新作です

さて、エレンとアニのお話は少し悲しくもあります

人によっては自分が考えている二人の話の終わり方を好きではないという方もいると思いますが、最後まで見守っていただけるとありがたいです

それでは、つづきます


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β-6 忘れられない2

忘れてはいけないことだ

右足を上げるときはブレずに

そして上げるのではなく流すのだと

上げようとは思うな

流れる水のように滑らかに

自分の足が描く曲線をイメージして

そのイメージのあとを追いかけるように滑らせろ

それだけだ

それができれば

お前はお前自身の武器を持てる

わかったな、アニ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「本日は休暇とする」

 

ある日、キース教官の言ったその一言はみんなが待ち望んでいたものだった

 

訓練が大好きなエレンでさえ『助かった』といった表情をしている

 

それもそうだ、今日の外の天候は台風

 

男子寮からここまで来る過程でアルミンは体が浮いてしまったという

 

コニーに至っては興奮のあまり一度ジャンプしたらそのまま風に煽られてしばらく空中散歩をしてしまったというから驚きだ

 

つまりは、風もそれほどまでに大変だということだ

 

「それでは各自解散せよ、週末には筆記のテストを控えているからな、この学習棟に残って数人でそちらに備えるというのも許可するぞ」

 

アニは頬杖を付きながら聞いていたその話に思うところがあった

 

「(そういえば今回のテストは医学概論だったわね、アルミン辺りに聞いてみようかしら)」

 

そう思ってアルミンの影を探してみるが見当たらない

 

どうしたのかと気になり、近くにいたエレンに声をかけてみる

 

「エレン」

 

「ん?アニか、どうした?」

 

声をかけたところ、エレンは机の上にいくつかの教材を出していて、その中には医学概論の教科書も見受けられた

 

アニはエレンの机の元まで移動してから話を続けた

 

「ちょっとアルミンに医学概論の詰まってるところを解説してもらおうと思ってね」

 

エレンは少し申し訳なさそうな顔をして答えた

 

「あー、アルミンなら読みかけの本があるからって教官の話が終わったらすぐさま男子寮に走っていっちまったぞ」

 

そう言いながらエレンは自分の手元の教科書に目を落としている

 

その目は明らかに医学概論へと向けられている

 

何かを言おうとしているのか、医学概論を見てはアニへと視線を移して、といった風に何度もこちらをチラチラとみてきている

 

アニとしても、もしもエレンが医学概論の勉強に手をつけるのであればそこに一緒したいと思っているのだがいかんせん言い出せないというのが現実だ

 

両者ともに何かを言おうとして顔を上げるのだがその度に目が合って顔が熱くなってしまう

 

そして口から出そうとした言葉が喉元まで引っ込んでしまうのだ

 

それを何度も繰り返していた

 

それを見てやきもきしているミーナは置いておくとして、ついにエレンが意を決したかのように大きな音と共に立ち上がった

 

「あ、アニ!もしよかったらなんだが」

 

その動作にビクゥッと反応してすぐさまに居を正すアニ

 

驚きのあまり手を胸のところまで持ってきてしまい目元にもうっすらと潤みが見える

 

「(び、びっくりした・・・)」

 

表には出さないものの心の内で焦るアニだったが、それには全く気付かずにエレンは話を進めた

 

「今、俺はアルミンに医学概論の教科書を借りてるんだ」

 

アニが視線を落としてみると、教科書の左隅に『アルミン・アルレルト』と綺麗な文字で書かれていた

 

厚さ200P程のその教科書には本来ないはずの付箋がいくつも貼っており、それぞれに[裂傷]や[擦り傷]など、分類分けがされており求める情報をすぐに見れるよう配慮が施されていた

 

「そ、それでさ・・・もしよかったら」

 

そこまで言ったところで、エレンの口から言葉が止まった

 

アニはなんと言おうとしたのか予想はついているもののエレンの口からその言葉を言って欲しいために分かっていながらも少し待ってみた

 

「もしよかったら・・・その・・・」

 

エレンはというと最後の踏ん切りがつかないのか頭を掻いたり足を踏み鳴らしたりと無駄な動作を繰り返している

 

そばで見ているミーナが「うじうじすんなぁっ!」と叫びだしそうになったとき、堪えきれなくなったアニがエレンに聞いた

 

「早く言わないと・・・」

 

言葉を紡ぐのに勇気を必要としているのか、アニは胸元に持ってきていた手をさらにきつく握る

 

また、その一方で勇気を出している証拠とでも言うのだろうか、足が一歩、エレンの方へと踏み出された

 

元々アニがエレンの机まで来て会話を始めたために近かった距離が、アニが詰め寄ったことでさらに近くなる

 

「私・・・やだよ」

 

153cmの身長のアニが詰め寄ってなおもエレンの目を見て話したためにその構図は自然と上目遣いになっていた

 

先ほど驚いてしまったこともあって涙目になっていたアニの上目遣いは、エレンが言葉を紡ぐのには充分な燃料となった

 

「も、もしよかったら、俺と一緒に勉強しにゃいか!」

 

「わお」

 

思わずミーナの口からアメリカ人もびっくりなナチュラルな反応が漏れたが今の二人には聞こえなかったようだ

 

アニは嬉しさで緩みがちな口元を必死に引き結んだ

 

そして、近くにあった椅子を持ってきてエレンの机に向かう形でその椅子に座った

 

「あっ・・・えっと・・・」

 

言葉としての答えが欲しいのか、エレンは口をぱくぱくとさせていた

 

しかし現在のアニに言葉によって答えるほどの度胸はなく、アニはとっさに

 

「・・・ん」

 

ぽんぽん と、エレンの元々座っていた椅子を優しく叩くことで自分の意図を示した

 

いつものアニからは考えられないそんな可愛らしい行動に自分の身を抱いて悶えるミーナを横目に、エレンはその椅子に座った

 

そして、二人は勉強を始めた

 

外はとてもうるさい風と、屋根に降り注ぎ段々と室内の温度を奪っていく雨が支配していた

 

しかし、二人は寒くなかった

 

むしろ心も体もどこか暖かかった

 

そして、二人はうるささを感じていなかった

 

なぜなら、それ以上に彼らの胸は高鳴っていたから

 

 

 

二人はそのひと時を楽しんだ

 

暖かい、ひと時だった

 

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

だが、ミーナは寒かった




つづくのじゃ

つづくったらつづく!(ポケモン並感


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β-6 忘れられない3

隠し事なんてのは結局後悔するだけ

だって、伝えるときには覚悟がいる

伝えられるときにも覚悟がいる

それに、隠し事ってのはいい気持ちにはならない

それでも、私は

私たちは

未来のために、明日のために

わかったよ、ベルトルト、ライナー


最近、アニとよく喋るんだ

 

会話っていうよりも、一緒にいるって言ったほうが正しいのかもしれない

 

いや、一緒にいるって言っても何かしてるわけじゃないんだ

 

おいコニー冷やかすなよ

 

そうじゃなくて、同じ場所にいて、互いに別々のことをしてるんだけど

 

それが普通っていうか、その状態が心地いいっていうか

 

俺とアニの二人だけがそこにいて、お互いがそれを異常だと思ってないっていうのかな

 

俺はアルミンじゃないからうまく言葉にできないけどさ、それが嬉しいんだ

 

どうしたんだアルミン、え?お腹いっぱい?どっかに飯なんかあったか?

 

ベルトルトも顔を扇いで、熱い?熱いってお前・・・今は冬だぜ?

 

お、おいライナー!壁を殴るな壁を!

 

いや、あいつと一緒にいられるのが嬉しいってのはあるんだけどさ、なんていうか

 

それじゃあ俺は戦いにいけない気がするんだ

 

そう、ジャンが言った言葉のとおり、帰る場所はあっても、居る場所は俺たちって作っちゃダメだと思うんだ

 

だからさ、俺は・・・

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

最近さ、エレンと一緒にいるんだけどさ

 

え、ミーナどうしたんだい?なんで悲しそうな顔してるのさ

 

ま、まぁいいや、話を戻すよ

 

この前も、夜間にエレンと格闘訓練を宿舎の裏でしてたんだけどさ

 

なんだか最近関節技を決められなくなってきてさ

 

え?なぜって・・・そりゃ、私もよくわかんないんだけどさ

 

なんていうか、顔が熱くなって、走ったあとみたいに心臓がうるさくなるんだよ

 

それに、関節技かけてるのになんていうか、そのままでいいかなって思っちゃったりしてさ

 

ちょ、ちょっとクリスタ、どうしてそんな食い気味なのさ

 

サシャ、食い気味って言っただけで食べ物の話はしてないよ

 

まぁ、今クリスタにも言われたとおり、なんか離れるのが勿体無いっていうのかな

 

暖かくて、あいつを離したくなくなっちゃうんだ

 

それに、訓練を続けると汗かいちゃうだろ?なんだか、それが恥ずかしくってさ

 

え?今は冬だから汗なんてあまりかかないって・・・う、うるさいな

 

なんとなく私もこれがどういうものなのか分かってるんだ

 

きっと、そういうものなんだろうなって

 

でもさ、私たちは兵士だよ?そんなことにうつつを抜かしてる暇はないじゃないか

 

どうしたのさミカサ、えらい同意してくるね

 

それでさ、あたし・・・

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・

 

『あいつのこと、嫌いになろうと思うんだ』

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・・・




お久しぶりです

お久しぶりです

お久しぶりです

このくらいお久しぶりだと思います


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断章
断章 日常編1


ちょっと気晴らしに

リヴァイ兵長好きなので


1.ちょっと優しいリヴァイ兵長

 

 

 

いつも

 

夜だった

 

エレンは旧調査兵団本部の地下に続く階段を下りていこうとすると、薄暗闇の向こうから声がした

 

「明日も早い」

 

リヴァイ兵長だ

 

「もう寝ろ」

 

あぁ、ありがとうございます

 

あなたと会話できて、本当に良かった

 

今だから、本当にそう思える

 

「おやすみなさい、兵長」

 

みんながいない今、この城は

 

「おう」

 

 

 

 

広すぎますよ

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと優しかったら

 

夜だった

 

エレンが旧調査兵団本部の1階にある大部屋にあるテーブルで寝てしまっている時だった

 

何かが、そっと肩にかけられたような気がした

 

ふわりと、ペトラさんの香りがした

 

優しい、とても安心する香りだ

 

あぁ、少し目が覚めてしまったけれど、これでまた眠りに付けそうだ

 

 

 

 

 

 

ゲシッ

 

なんだ

 

ゲシッゲシッ

 

誰かが、蹴ってる?

 

「おい」

 

あ、やばい、兵長だ

 

「エレン、てめぇまだ寝てんのか」

 

ね、寝たふりだ寝たふり

 

「ちっ・・・もうオルオがいれば運ばせたもんだが・・・」

 

 

そうだった・・・皆さんはもう、いないじゃないか

 

「仕方ねぇ」

 

グイッ

 

力が加わり、俺の体が宙に浮くのを感じた

 

なんだこれ、も、もしかして抱っこされてんのか?

 

横に抱っこって、な、なんか嬉し恥ずかしいな

 

「・・・ん」

 

わ、うわわ、俺重くないかな?

 

兵長すいません!!!

 

「地下室は、どっちだったか忘れちまったな」

 

え?いやいや、兵長そんなお茶目じゃないでしょ

 

絶対覚えてるでしょ

 

どうしたんだろう・・・?

 

「わからねぇし、ペトラの部屋に寝かせておくか」

 

・・・!!

 

「・・・ったく」

 

ギィ

 

今の音、ペトラさんの部屋に入ったのかな?

 

モフリ

 

あ、ベッドの上に降ろされた

 

す、すげぇ丁寧に降ろしてくれたなぁ

 

うあ、でもさすがに寒いな

 

「・・・チッ」

 

フワッ

 

あ、あれ?なんかが俺の上に

 

暖かい・・・毛布、かな?

 

シャーーーー

 

あ、カーテンが閉まる音

 

そっか、空いてたら窓の隙間からの風が入るから・・・

 

「・・・おい」

 

ビクッ

 

や、やばい、起きてるのばれたか?

 

 

 

「おやすみ、エレン」

 

 

 

わ、わわわわわわ

 

すっげぇ優しい声色だった!

 

すっげぇ色っぽかった!

 

なんだ今の!

 

なんだ今の!

 

 

 

・・・・

 

 

 

しかもドアの閉じる音聞こえなかった!

 

兵長優しい!

 

兵長優しい!

 

 

 

 

 

 

 

 

カーテンの若干空いた隙間から朝日が差し込んでくる

 

目元に熱を感じ、ゆっくりと目を開ける

 

天井・・・

 

あぁ、そうか俺は確か昨日ペトラさんの部屋で

 

・・・兵長にお礼言わなくちゃな

 

とりあえず下の階にいかなくちゃな

 

 

 

食堂

 

「兵長、おはようございます!」

 

 

 

「あぁ、おはようだ・・・」

 

あれ、兵長がそっぽ向いちゃった

 

な、なんか変なことでもしたのかな

 

俺、まずいことでも・・・

 

兵長の顔ほんのり赤いし、怒ってるのか・・・?

 

「その、朝飯はもう作ってあるから、ゆっくり食え」

 

 

 

 

 

兵長優しい!!!!




ノリで書いた

後悔はしていない


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断章 日常編2

骨休めっと

皆さん、外の空気が乾燥して寒さが肌を刺す季節となってまいりました

風邪をひいては元も子もありませんのでご注意を

ちなみに私は外の空気だけではなくお財布まで寒いという現状にあります





いとこの誕生日にシルバニアファミリーを買ってあげた結果がこれだよ!






こんにちは、ミーナです

 

寒くなってきたここ最近、私たちには毛布が支給されました!

 

実は今度、アニと一緒にお買いものに行きます

 

なんでも、買いたいものがあるとか

 

「なにニヤニヤしてんだ?」

 

あわわわわ、訓練中でした!

 

え、エレンに変な顔見られたみたいです

 

は、恥ずかしいなぁ

 

「な、なんでもない!行くよ!」

 

 

 

 

私は右足から踏み込んでエレンの肩を掴もうとしました

 

ですが、踏み込んだ時に気づかれたのかエレンは私の右手を上体を反らせることで避けられました

 

その後、さらに踏む込む形で私の右手を置き去りにして懐に入られました

 

私は右にステップを踏むことでエレンの伸ばしてきた左手を避けました

 

ですが、きちんと避けきれずに上着の一部が掴まれてしまいます

 

回避・・・違う、それよりも

 

私は逆にエレンの手を掴んで逃げられないようにします

 

「そう来たか」

 

エレンは口元に笑みを作ると、私の目をじっと見つめました

 

少し照れてしまいました

 

その隙を見逃さずにエレンは私の手を振り払い私に向き直りました

 

私のシャツを絡めるように掴んで投げの姿勢に入ったエレンは危険だと思ったのか途中で止まってくれました

 

 

 

 

「あうー、負けちゃった」

 

優しく降ろしてくれたエレンは私を見下ろすように見ると太陽を背に笑みを見せてくれました

 

あーあ、格好いいなぁ

 

あれ?

 

いやいや、そういうのじゃなくて

 

そう、憧れ

 

憧れ・・・

 

うーん、マンダム

 

「はは、そんなしかめっ面するほど悔しかったのか?」

 

ぎゃーーー!エレンいるんだった!

 

・・・はぁ

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

「アニ?」

 

 

 

私はアニの手を引いてトロスト区の街中を歩いていました

 

アニは私に対して何を買いたいのかまだ言ってくれません

 

ですが、おそらくですが買いたいのは香水です

 

何故?

 

それはとても簡単にわかることでした

 

だって先程から私はアニと一緒に香水店の前を1時間もウロウロしているんだもの

 

んー、よし!

 

「アニ、ここのお店入ってみたいんだけどいいかしら?」

 

私は香水店を指差してそう言いました

 

すると、アニは綺麗な顔に綺麗な笑みを作って小さく頷きました

 

「(あ~もう、可愛いなぁ)」

 

でも、どうして香水なんだろう

 

私たちの生活だと男性と触れ合う機会なんてそうそうないはずなんだけど

 

うーん、考えてもわからないや

 

でも、アニもそういうことに興味があったっていうのは嬉しいな

 

それに、私も久しぶりにこういう買い物が出来て嬉しいし

 

なんていうか、ガールズライフを満喫してるって感じがして嬉しいな

 

こういう日々が、ずっと続けばいいのにな

 

 

巨人なんて忘れて

 

ずっとこういう日々を

 

 

 

はぁ~

 

平和だなぁ

 

 

 




と、いうわけでミーナの日常をパパッと書いてみました

普通の女の子というイメージがとても強かったのでそれを強調できていればいいのですが

さて、本編も終わりに近づいてまいりました

まぁ、終わりといっても・・・




それでは続きますのでお楽しみに!


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断章 えれんと1

実は少し遠出していたのです

ちょっとしたことに巻き込まれたので一息ついてから本編を書いていきますです

と、いうことで今回は断章においてシリーズ化を考えているものを・・・


「朝だーーーー!」

 

あぁ、またエレンが元気よく起きている

 

僕、アルミン・アルレルトの朝はいつもこうして目覚める

 

こうして、というのは彼の元気の良い声を聞いてということだ

 

さて、今日も訓練だ

 

僕は立ち上がって布団をたたむと、ドアの方へと歩を進めた

 

・・・うん?

 

「おいジャン!朝だ朝!」

 

あぁ、ジャンにまで被害が

 

「おい、起きろ!」

 

あ、エレンがジャンの布団の中に・・・

 

「おい!ジャン!朝だ!」

 

あぁ、ごめんよジャン

 

「・・・」

 

あれ、エレンが静かになったぞ?

 

「・・・んん」

 

おや、なんだか息苦しそうな声・・・

 

「んがーーーー!」

 

あ、エレンがジャンの布団の中で暴れてる

 

「くるしいだろウマーーー!」

 

うわ、布団が変形してる

 

なんだあれ、布団から角が生えてるみたいになってる

 

「ぶげらっ」

 

ジャンから変な声が

 

これはエレンに下から殴られたかなー

 

「何すんだこのクソガキ!」

 

あ、ジャンが布団から這い出てとなりにいるマルコの枕を投げた

 

「枕ガード!」

 

おぉ!エレンがジャンの枕を盾に使った

 

いや、決して褒められることではないけど

 

「おりゃーーー!」

 

「ぼふぇ!」

 

あぁ!エレンの投げた枕がジャンの顔に!

 

あ、二人の動きが止まった

 

「てめぇーーー!!」

 

「ウマーーー!!」

 

二人が同時に飛び出した!

 

    

 

 

 

ガッ

 

 

 

 

そして二人同時に

 

「うるせぇ!!!」

 

 

 

 

 

ズガンッ!!!

 

 

 

 

 

「「みぎゃ!!」」

 

 

 

ライナーに怒られた!!!

 

「オラ!朝飯行くぞ朝飯!」

 

・・・いや、まぁ、毎日のことだから慣れてるんだけどね

 

「エレン、ジャン、先に行ってるよ」

 

僕は一足先に行かせてもらおう

 

 

 

 

 

 

食堂

 

「飯だーーー!」

 

あ、エレンがテーブルで叫んでる

 

・・・うん?僕は確かエレンより早く部屋を出たはずなんだけど・・・

 

いや、深く考えるのはよそう

 

よし、僕も席につこう

 

「エレン、となり失礼するよ」

 

「はい!」

 

いい返事だ

 

 

 

「エレン」

 

 

 

あ、ミカサだ

 

いつの間にかエレンのとなり、僕とは反対側の席に座ってる

 

早いなぁ

 

早すぎて食堂の床に焦げ跡が残ってるや

 

うん・・・あれどうするんだろう

 

「おー、ミカサかー!」

 

「そう、おはよう」

 

「おはようだぞー!」

 

二人とも元気だなぁ

 

「おー?」

 

さわさわ

 

ん?エレンがミカサのお腹をさすってる

 

また今日も腹筋を楽しんでいるのかな?

 

「(エレンに触ってもらうために腹筋を鍛えてきた、今回は1週間前よりも胴回りが1cm大きくなるくらい筋肉がついた!どう?エレン!)」

 

ってな感じの顔してるなぁ

 

あ、幼馴染だから考えが読めるだけだからね

 

決して心を読む訓練をしたりしてないから

 

「ミカサすげーな!」

 

「(あぁ、エレン褒めて!褒めて褒めて!)」

 

すっごい顔を赤くしてミカサがフルフルしてる

 

いやー、きもt

 

なんでもないさ、なんでも

 

うん

 

 

 

 

「訓練兵なのに太っちゃったんだなー!」

 

 

 

 

うん?

 

エレンが何かを話したあとだからミカサが何を考えているか読もうとしたらミカサの思考がショートしていたぞ?

 

どうしたんだろうか

 

こんなことは昔エレンが犬に告白しているのを目撃した時以来だ

 

白いプードルに2000円の花束を買ってプレゼントしてたもんなぁ

 

あれは僕も少し思考がショートしたよ

 

「(ヤセナケレバ・・・)」

 

おや、ミカサは痩せたいようだ

 

今日の訓練に身を入れるつもりかな、同じ訓練兵として参考にしたいや

 

ん、もういい時間だね

 

それじゃあそろそろ

 

「エレン、そろそろご飯に手を付けよう」

 

「わかりました!」

 

 

 

チョンチョン

 

どうしたんだろうエレンは、ご飯をつついたりして

 

 

 

「手をつけました!」

 

うーん、おしいんだけどなぁ

 

いや、なにもおしくないか

 

「いや、手をつけるっていうのは食べるっていう意味でね」

 

「は?そうなのか?」

 

これならすぐに覚えてくれそうだ

 

「そうだよ、だから今言う言葉は」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「いただきます!」」

 

 

 

 

 




ほのぼの系を目指した結果がこれだよ!

とりあえず3日以内にユミル編の続きをあげます!それでは今回はこれで!


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断章 えれんと2

さいしょのさいしょ(ちっちゃい時

私たちは今、シガンシナにいます

正確には、まき拾いをしてきた帰りです

どうやら、門から帰ってきた調査兵団にエレンは興味津々のようです。可愛い

「おいミカサ!くるヨロシ!」

エレンが私を呼んでいる。私は足の神経の痛みを無視して50mの距離を3秒で駆けつける

それにしてもくるヨロシとはなんだったのだろう、少し可愛かったです

「どうしたのエレン?」

私がエレンに問いかけると、エレンは木で出来た小さな箱の上に登りました

その上でもぴょんぴょんとはねています。チュッチュしたいです

「こうすると見えるぞ!」

見える・・・どうやら調査兵団の人たちを見ているようです

「すげー!かっけー!」

そんなにかっこいいのでしょうか、私の位置からは見れないのでたいへん気になります

・・・いえ、決してウズウズしたりしていません

・・・エレンが見たがっているものを取るようなことはしません

「すっげー!すっげーボロボロ!」

見なくてよかったかもしれません





あ、それでは本編です


「あ、あの壁は40mだぞ!?」

 

僕の瞳に、今40mの壁から顔を出している巨人が写っています

 

あ、何故40mなのかというと、あと10m分に使うはずだったお金を王様が王妃のダイエット器具を購入する資金にあてたからだそうです

 

確かにもういい歳だから健康に気にする必用はあったけど・・・

 

その結果がこれだよ!!!

 

驚きの声を上げた僕に、その事実を再認識したかのように周りの人々が驚嘆と悲鳴の声を上げる中

 

 

「すげーーー!」

 

 

僕の友人は、両手を振って喜んでいました

 

「アルミン!あれ誰だ!?」

 

え、エレン、巨人を知らないのかい?

 

それとも大きすぎて別の存在だと認識してるのかな?

 

「あれは巨人って言うんだよエレン、とても危険で怖いんだ」

 

とは言っても今の君にとっては怖いというよりも

 

「そうなのか?でもかっけーな!」

 

だよなぁ・・・

 

・・・ん?

 

あれ、なんだかあの巨人の様子がおかしいぞ

 

そわそわしているというか、頬の筋肉がむき出しの部分が余計に赤くなっているというか

 

まさか

 

 

 

照れてるのか!?

 

 

あ、あいつ、嬉しいのか

 

「あれ筋肉かな?すっげーな!マッチョだマッチョ!」

 

うわ、声に反応して自分の顔の高さまで二の腕持ってきて力こぶ作ってるよ!

 

「すっげーー!すっげーー!」

 

いや、君もそんなに目を輝かせてないでよ・・・

 

ん、あの巨人、なにをしているんだ?

 

あ、壁の上にある砲台を一つもぎ取った!

 

な、なんてことをするんだ!まさか、人類への侵略行為か!?

 

ん・・・?じ、自分の右手の人差し指を食いちぎった!?な、何をしているんだ!?

 

あれ?左手でエレンのことを指さしてる・・・

 

まさか、ビームか何かでも出すのか!?

 

「え、エレンっ!危ない!」

 

僕がかけだしたと同時、巨人は左手を僕に向けた

 

最初はパーの形だったその左手が、段々とコブシになっていった

 

そして、そのコブシを横向きから縦に向きを変えた

 

「(もしかしてあれが巨人のパンチングポーズなのか!?)」

 

恐怖で動けなくなっている僕

 

耳に聞こえてくるのは

 

「うっはーーー!かっけーーー!」

 

Oh・・・

 

まずいなぁ、ここで僕の人生は終わるのだろうか

 

あぁ、今までの記憶が走馬灯のように・・・

 

って、そんなに長いあいだ生きてないや

 

次にヤツが何をしてくるか

 

僕はそれだけに集中していた

 

そして、次にやつがとった行動は

 

 

 

親指を・・・立てた

 

 

 

「サムズアップかよ!!!」

 

「かっけぇええぇぇええ!」

 

「だっせぇええぇぇええ!」

 

カオスだった

 

なんだ、なんでいきなりサムズアップしてきたんだ!?

 

ん?あの巨人、砲台になにかしているぞ?

 

さっき食いちぎった指を砲台に当てている?

 

いや、あの動きは・・・血で何かを書いているのか!?

 

って、なんだあいつ、書き終わったのか

 

ん、なんだ?

 

あ、あいつ・・・足を振り上げてないか?

 

ま、まさか壁をっ・・・!

 

 

 

 

バッコォォオオォオォオオオン!

 

 

「みぎゃーーーー!」

 

か、壁が・・・!あ、あとエレンがうるさい・・・!

 

あの巨人・・・

 

壁を、壁を蹴り抜きやがった!

 

やっぱり敵だったんだ!これで巨人が大量に入ってきてしまう!

 

あ・・・そんなことを思っている間に

 

め、目の前に巨人が・・・!

 

「な、なんだ今のはーーー!」

 

あとエレンがうるさい

 

って、まずい、今のに反応してエレンの方に巨人が!

 

「うわーー!でっかいちっちゃいのだーー!」

 

エレンの方に向かった5m級の巨人の頭が少し下がった!

 

なんだ、少しショックだったのか!

 

「ん?」

 

よく見ればあの巨人、手に何持ってる・・・

 

ま、まさか、巨人が武器を使い始めたのか!?

 

まずい、非常にまずい!

 

「逃げるんだ!エレーーーーン!」

 

「え?」

 

ヒョイヒョイと両手両足を動かすエレン

 

「踊っている場合かーーーー!」

 

ハッ!?

 

なんだか今僕にナチスの軍人が乗り移った気がしたけどきっと気のせいだろう

 

そ、それよりもエレンは・・・!?

 

あ、あぁ!?

 

巨人がエレンの目の前に手に持った何かを置いた!

 

し・・・しかも

 

巨人がそのまま帰っていったーーーーー!?

 

 

何を置いていったんだ・・・?

 

あ、あれは・・・砲台!

 

砲台だ!さっきヤツが持ってた砲台だ!

 

そういえばヤツめ、何か書いていたな

 

も、もしかして、エレンに何か悲しみを与える文字が・・・

 

 

 

 

『ベルトルト=フーバー☆彡』

 

 

 

 

「サインかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「やったぁ!」

 

 




ほのぼのぼ~の~

ぼのぼ~の~

次回は記念小説5!


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断章 えれんと3 ※微エロ注意

~グリシャの手記より 第23項『夜明け』~

私が身分を偽り幼少の頃に学んだ医学の知識と、外の世界で得た知識とを合わせても、この世界の深淵にある謎は見えてこない

見えてこないのではなく、目を逸らしているだけかもしれない

それもそうだ、知らないことに面と向かって向き合うことは恐ろしい

恐ろしいことは、誰も、皆嫌いだろう

頭の中の整理もつかぬまま、乾いた口の中に潤いを取り入れるためにコーヒーを入れる

カップに注がれていくコーヒーから立ち上る蒸気が香りを届けてくれる

温かい

ふと思い立ち、窓を開けて陽の昇ってくる方角を見た

大きな壁が光を浴びてシルエットのようになっていた

もうじき子供たちも目を覚ます

そうすれば、今日もいつもと変わらない1日が始まる

皆が笑顔でいる世界は遠い

それでも、いま自分に出来る『最良』を私は掴み取っていかなくてはならない

だから、この世界の深淵にも等しい悩みを一刻も早く解決しよう

同じ悩みを抱える者達のためにも、早く解決策を






私の足は、臭い






※筆記されたメモ帳にはところどころ涙の跡と見受けられるものがあり、読んでいるだけでこちらの胸を締め付ける不思議な魅力がこの手記にはあった


こんにちは、アルミンです

 

今日は馬術訓練で、皆で宿舎から少し離れたところにある乗馬訓練場にきています

 

ここに来る途中、突如としてエレンが朝食に残したパンをちぎりながら歩いていたのが少し驚きましたが、なんでも童話を読んだとかでそれをしておくと道に迷わないんだそうです

 

1本道でやっても意味がないことを教えると、これまで来た道に置いてきたパンを拾ってくると言い出したので止めるのに必死になったけど今日も僕は元気です

 

「おーくりすたはすごいなー!」

 

おや、エレンが馬の手綱を引いたクリスタに話しかけている

 

「クリスタの馬は賢いな!俺の馬は言うこと聞いてくれないぞ!」

 

いや、エレンの場合は馬に対して「飛べ!跳ぶんじゃなくて飛べ!」なんて無茶なこと言ってるから聞きたくても馬が聞けないんじゃないかな

 

「ふふ、ありがとうエレン、褒めてくれて」

 

「・・・?」

 

あれ?どうしたんだろうエレンは、怪訝な表情を浮かべているけど、お礼を言ってくれたクリスタにどこか変なところがあっただろうか?

 

「なんでクリスタがお礼言うんだ?」

 

「え?」

 

「俺はクリスタを評価してないぞ?」

 

え?

 

「クリスタも凄いのか?クリスタはすごい馬に乗ってるだけのおまけだと思ってたけど、違うのか?」

 

えぇぇえぇえぇえぇ!?

 

エレンは気づいてないのかもしれないけど結構ひどいこと言ってるよ!まずいもの!クリスタ目に涙ためてるもの!

 

「わ、私だって少しは頑張ってるよ?」

 

そうだよ!クリスタは馬術ではトップレベルの成績を収めているんだ!確かにクリスたの馬は毛並みも良くて良い馬であることは間違いないけど、良い馬は得てしてプライドの高いもの、そんな良い馬を乗りこなしているクリスタこそ本来は評価されるべきなんだ!

 

「自分で言えるなんてすごいな!俺は自分が努力してるのを他人に自慢することなんて出来そうにないや!」

 

え、エレェェエエェエェン!?

 

「じ、自慢とかじゃなくて」

 

「自慢じゃないのか?ならなんで今言ったんだ?俺に知っておいてもらいたかったのか?俺は知りたくなかったな、クリスタが自分の努力を他人に言うことで満足感を得る人間だなんて」

 

「ふぇ」

 

エレン!黒い!なんか今日の君は黒すぎる!おかしいよ!

 

そうだ、何かがおかしい・・・エレンがここまで長い言葉をかまずに言えていることも、エレンがこんなにも酷い言葉を並べていることも

 

でも涙目クリスタ可愛い

 

・・・そーじゃなくてえぇええぇぇ!

 

「え、エレンは、私のこと、嫌いなの?」

 

うわー、もうすぐにでも溢れ出しそうな涙だよ

 

というよりも教官含めたすべての訓練兵があの現場に視線と意識を注いでるよ

 

エレンに対する怒りが皆から溢れ出しそうだよ

 

「ん?好きだぞ?」

 

『え』

 

うわ、思わず声が出ちゃった

 

というかみんなして声が出ちゃった

 

キース教官に至っては止めようと踏み出した足すら忘れたかのような顔してるよ

 

ミカサは・・・

 

「死のう」

 

うん、止めてこよう

 

 

「クリスタはおかしいな、なんで俺がクリスタを嫌わなくちゃいけないんだ?」

 

「だ、だって、あんなに酷い言葉」

 

「ごめんなクリスタ」

 

「え?」

 

「涙目でオロオロしてるクリスタが見たくてさ」

 

『え』

 

また皆して口に出しちゃってるよ、いや僕もだけど

 

「笑顔のクリスタは大好きだ!」

 

「え、えぇ!?」

 

驚くクリスタ、ま、まんざらじゃなさそうだ

 

「でもな、そのクリスタの笑顔を俺が取り払うって考えたら、楽しくて楽しくて、へへへ」

 

「え、エレンっ・・・」

 

驚きを隠せずに後ずさるクリスタ、しかしそれにしては、嫌がっていない

 

むしろ、頬を赤くして、嬉しそうにも見える

 

幼さの残る笑顔で笑いかけるエレン

 

ど、どうしたんだ僕の幼馴染は、ドSに目覚めたのか?いや、そもそも何がどうしてエレンはあんなにも・・・

 

ん?ミカサが何かを書いた紙を僕に渡してきた・・・

 

『エレンは1ヶ月に1回、とんでもなく女たらしになるの

 

 今までは運良く訓練のない日だったから毎回私が街に誘い出して訓練兵の皆を

 

 巻き込まないようにしてたけど、今日は訓練が重なって・・・

 

                                 わかめ』

 

なるほど・・・最後の一文字だけ全力でわけがわからなかったけど、なるほど・・・

 

でも、これまで長く一緒にいた僕もそんなことになるのは知らなかった

 

いや、当たり前か、恐らくその時その時にミカサがなんらかのフォローを入れていたのだろう

 

そうか、今考えればエレンが1月に1回突如として天井から降下してきたミカサにボディブローを入れられて連れ去られていたのはそのためだったのか

 

で、でも、だとしても今のエレンはクリスタにひどい言葉を並べている最低の男じゃないか!女たらしになったにしては随分と・・・

 

その時だった

 

エレンが、目を細めた

 

口元を、薄くのばした

 

冷笑を浮かべたのだ

 

そこに、先程までエレンが見せていた幼さは消え去っていた

 

「クリスタ、ちょっといいか?」

 

そう言ったエレンは、突如としてクリスタの肩を掴んで顔を近づけた

 

驚いたクリスタは思わず目をつぶって硬直、まるで猫のようだ

 

エレンは肩に置いていた手をクリスタの体に沿って、つまりは首を撫でるように経由して頬へと持っていった

 

誰もが思った

 

『(KISSだ!KISSするつもりだ!)』

 

クリスタもそう思ったのだろうか、硬直して握った手がプルプルと震えている

 

エレンはそのまま顔を近づけていき

 

 

 

 

 

「ひゃっ・・・んっ・・・」

 

 

 

 

クリスタの耳元で唇を動かした・・・動かしたが、聞こえなかった

 

代わりに、クリスタのあどけない喘ぎ声が聞こえた

 

クリスタは顔を赤くして、肩を上下させて息している

 

目なんて焦点が定まってないんじゃないか?

 

なんていうか、す、すごいえっちな感じがする

 

一体何を言われたんだ・・・

 

エレンはさらに、今度は僕たちにもわざと聞こえるように

 

「今、クリスタ感じたろ」

 

も、もう僕の及ぶ範囲じゃない・・・!なんだあのエレンは・・・!

 

「なぁ、感じたんだろ?」

 

心の奥に浸透してくるような声だった

 

聞いているだけで腰が抜けてしまいそうになるような

 

「俺の言葉で」

 

クリスタが身を震わせる

 

「俺に虐められて」

 

エレンが言葉を並べながら、クリスタの背後へと回った

 

後ろから、クリスタの手をとると指を絡ませた

 

ぞ、俗に言う恋人つなぎだ・・・!

 

わざとらしく、その手をクリスタの目の前まで持っていく

 

まるで、自分がクリスタを所有していることを分からせるかのように

 

言葉を並べられるたびに身を震わせていたクリスタの視線は、目の前に掲げられたその手にだけ注がれていた

 

 

 

「馬鹿だな」

 

 

 

耳元で呟くように言われたクリスタは

 

次の瞬間、とろけきった笑みを浮かべてエレンに抱きついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1人目 クリスタ編 完

 

 




Mのクリスタがいいです

でもユミルが照れてるのがもっと好きです






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記念小説
記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長1


80お気に入り登録ありがとうございました

記念として、リヴァイ兵長と小さなエレン(3歳)がであったらというものを書いてみました

状況を説明いたしますと

・エレンがちっちゃくなっちゃった→104期生とゴタゴタ(ここまで元々のお話)→夜の見回り(という建前で有力な調査兵団候補を確認しに来た)でリヴァイ兵長とエルヴィン団長登場→見慣れない子供発見→保護


 

二人の男と一人の少年が夜のトロスト区を歩いていた

 

あたりには未だ露店を開いている者など、多くの人がまだ見て取れる

 

「リヴァイ、あそこが今日の宿だ」

 

背の大きな男が一つの建物を指さして言った

 

白い壁にレンガの屋根、どこにでもありきたりな建物であったが、建物の扉付近には憲兵団の印が描かれている

 

リヴァイと呼ばれた男は鋭い目つきでそちらの方を睨むような目で見る

 

「おい、エルヴィン・・・ひとつ聞いていいか」

 

エルヴィンと呼ばれた男、先程記述した背の高い男がそれに答えた

 

「ん?どうした、なんでも聞いてくれ」

 

リヴァイは自分の手、詳しく書けば繋いだ手を一瞥すると前を向き直った

 

いや、向き直ろうとしたのだが

 

「へーちょ!さみぃ!」

 

繋いだ手の先にいる少年が眉尻を下げながら見上げてきた

 

そのため、リヴァイは腰をかがめて視線を合わせてやった

 

率直な意見はすぐに何が言いたいかわかる

 

リヴァイはそういった素直な子供は好きだった

 

「寒い?チッ・・・我儘なガキだな」

 

リヴァイは面倒くさそうにそういうと、自分の羽織っていたジャケットをかけてやった

 

受け取った少年は少し大きなジャケットの裾をぎゅーっと握り締めた

 

「ちょっとでけぇけどあったけぇ!」

 

掴んだ裾を顔に持っていき、布の感触を楽しむように頬をスリスリとすると、リヴァイに向き直った

 

「ありがと!へーちょ!」

 

夜にもかかわらず太陽を彷彿とさせる笑顔と感謝をリヴァイへと向けた

 

リヴァイは、純粋な感謝を向けられたのは久しぶりだった

 

それもあってなのか、胸に『来る』ものがあった

 

「・・・チッ、寒くないならいい」

 

リヴァイは立ち上がり、再びエルヴィンの方を向き直った

 

「すまないな、途中で会話をやめたりして」

 

エルヴィンはリヴァイを微笑ましいものを見るような目で見ることをやめて、口元に笑みを浮かべながら目を合わせた

 

「いや、ハハハ、人類最強も女性と泣く子には勝てないといったところかな?」

 

楽しそうに喉で笑うエルヴィンだったが、リヴァイの苛立ちを感じて即座に苦い顔をした

 

「・・・話の続き、いいか?」

 

リヴァイに言われ、エルヴィンは頷いた

 

「ガキ・・・いや、エレンだったか?こいつも泊まるってことだよな?」

 

エレンと呼ばれた少年は自分の名前に反応するように手をピンッと伸ばして挙手をした

 

が、誰にも気付いてもらえずしょんぼりした

 

「あぁ、今の時間から帰ることも不可能ではないが寒さとこの子のこと考えると今日はやめておいたほうがいいと思ってね」

 

エルヴィンの返事にリヴァイは中指と親指の腹を擦り合わせて熱を起こし、外気に触れさせることで寒さを確かめた

 

「・・・そうだな、確かに寒いようだ」

 

リヴァイはチラリとエレンの方を見る

 

目が合い、エレンの顔に笑顔が生まれる

 

すると、エレンは何かを見つけたのか目を大きく開いた後にリヴァイの顔をすぐさま見て

 

「へーちょ!りんごー!」

 

と、不思議な呪文を口に出した

 

「?(なんだ?ヘーチョリンゴ?こいつの名前・・・はエレンだし、ヘーチョリ・・・という鳥がいるのか?いや、鳥と決め付けるのは早い・・・まてよ)飯という可能性もある、となるとリンゴの種類か?クソッ、子供は言葉が足らねぇんだよ)」

 

リヴァイが何を言っているのか分からずに眉を寄せて考えをまとめていると、エレンの顔がみるみる青ざめていった

 

「へ、へーちょ、ごめんなさい」

 

「は?(そういえばこいつはさっきも俺のことをへーちょと呼んでいたな、となると、へーちょりんごってのは俺のりんごのこと・・・?しかし俺はリンゴなぞ栽培していない、どういうことだ?)」

 

ガクガクとリヴァイに怖がりながらもその恐怖を紛らわせるために恐怖の対象であるはずのリヴァイの服を強く掴んでいる

 

その様子を見てリヴァイにはバレないようにそっぽを向いて口元を抑えながら笑いをこらえているエルヴィンだった

 

「り、りんご・・・欲しくて・・・」

 

エレンがか細い声で言葉にする

 

リヴァイは何かを納得したような満足のいく顔をすると

 

「少し待ってろ」

 

・・・

 

「別にりんごを買ってくるわけじゃねぇぞ・・・」

 

期待を込めた瞳で見てきたエレンに杭を刺して市場の方へと向かっていった

 

「ぶふっ・・・く、くふふはは」

 

エルヴィンは声を押し殺そうとしながらも笑いが漏れてしまっている

 

エレンは手元が寂しくなったのか、笑いをこらえているエルヴィンのもとまでトテトテと歩み寄り足元に抱きついた

 

「ぎゅー」

 

口で効果音を出しているものの、抱きつかれているエルヴィンからすると握力が加わっているのかもわからないほどに弱々しい『ぎゅー』だった

 

「ふふ、エレン、寒いだろうけどもう少し我慢していてくれ」

 

エルヴィンはエレンの頭に手を置くとわっしわしと頭を撫でた

 

「うわぁ、や、やめてよ~」

 

いやいやと素振りを見せるものの、頭を撫でられるのが気持ちいのかエレンは目を猫のように細めて段々と拒否の姿勢がなくなっていった

 

「~♪」

 

エレンがエルヴィンからのナデナデを楽しんでいると、リヴァイが戻ってきた

 

「よう、なんだお前ら、親子みてぇだな」

 

手に紙袋を持ったリヴァイは戻ってくるなりエルヴィンを呆れたような瞳で見た

 

「はは、エレン、私が父親だとしたらリヴァイは母親になるのかな?ははは」

 

エルヴィンの言葉に軽い吐き気を覚えながらもリヴァイは一言

 

「行くぞ」

 

ふたりは一度目を合わせると、歩を憲兵団の印の書かれた家屋の方へと進めた

 

扉の前まで来た時だった

 

「重いな」

 

 

エルヴィンとエレンは何を言っているのかとリヴァイを見つめる

 

「重い、あぁ重いな・・・おいエレン、これを持て」

 

そう言ってリヴァイはエレンに紙袋を渡した

 

紙袋に入った赤い何かがゴロと音を立てる

 

「それに腹もいっぱいだ・・・ふぅ、仕方ない、エレン、俺の余りもので悪いがお前にそれをやろう」

 

「ブフゥッ!」

 

思わず吹き出したエルヴィン

 

それもそうだ、先程はリンゴをあげないと言っていたリヴァイが、こんなにも遠まわしな方法でエレンにりんごをあげようとしているのだ

 

「いいの?いいの?」

 

エレンが両手で抱えるように紙袋を持って嬉しそうに跳ねている

 

「・・・あぁ、楽しんで食えよ」

 

リヴァイは頬を少し、注視してもわからないほどにホンの少し染めてそっぽをむいてそう言った

 

「へーちょだいすき!」

 

「っ!」

 

一瞬目を大きく見開き、リヴァイは大きく咳払いして

 

「さ、さぁ、早く部屋を借りるぞ」

 

焦ったようにそう言って、建物の中へと入っていった

 

続くように入っていったエルヴィンは

 

「ッ~~~!」

 

口を大きくふくらませて口元に手をやって顔を赤くして、それでも我慢できないレベルまで笑いをこらえていた

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 




ってなわけで記念小説1!これからお気に入り登録が5増えるたびに進んでいきますのでお楽しみに

次回は大人版エレンのサシャエンドを書いていきますのでそちらもお楽しみに!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長2

5日くらい投稿できないと思ったけどお気に入りが85を超えていた

つまりはこのお話を投稿しなければいけないというわけだ・・・!

この話はもしかしたらどこか破綻した物語かもしれない、それでも読むんだな・・・?

覚悟は出来たか?



『俺は出来てる』





トロスト区 憲兵団宿舎2階 南部屋

 

部屋に入り、リヴァイとエルヴィンはベッドの個数を見て少し戸惑った

 

「ベッドは2つか、エレンはリヴァイと寝るから、まぁ平気か」

 

「おい」

 

「はい!」

 

元気に返事をするエレン、もちろん無視だ

 

「なんで俺とエレンが同じベッドになってる」

 

リヴァイは自分の疑問を伝えると、自分の荷物をベッドの上におろした

 

「誰がこんなガキと寝るか」

 

リヴァイはその鋭い瞳をエルヴィンに向けると、さりげなくエレンの荷物を手に持って自分のベッドの上に置いた

 

「どうしても俺とこのガキを寝かせたいならコイツの荷物を俺のベッドにおいてみることだな」

 

・・・訪れる静寂

 

「おい、どういうことだ・・・」

 

なんとなく、何を言うのか予想がついて口元に手をやるエルヴィン

 

「くふ・・・ふ・・・ど、どうしたリヴァイ」

 

それを気にしていないのかそれとも自分の何かを突き通したのか、リヴァイは目を見開くとエルヴィンの肩にポンと手を置いて

 

「やるなエルヴィン、俺に気付かせずに俺のベッドに荷物を置くとは」

 

とんでもない自作自演で最後の幕を引いた

 

「へーちょおれとねるのか?」

 

紙袋を両手で抱えて尋ねるエレン

 

「は?誰がお前なんかと・・・と、言いたいところだが特別に寝てやろう」

 

そう言いながら、エレンの手元から紙袋を奪いそれも自分のベッドの上に置いた

 

「あー!おれのりんご!」

 

大きな声で叫んだエレンはリヴァイに人にらみされるとビクッとなって身をすぼめた

 

「おいエルヴィン、そういうわけでコイツは俺とねるぞ」

 

「あ、あぁ・・・」

 

エルヴィンは口元を抑えるのを諦めた

 

エレンは目元をこすると、結局どうなったのかをエルヴィンに問いかけた

 

「けっきょくおれはだれとねればいいんだ?」

 

エルヴィンは笑いを口元から漏らしながら、エレンの頭をポフポフとしてやった

 

それがためか、エレンはいま目的としていたことを忘れたようですぐさま次のことへと行動を移した

 

「あ!」

 

大きな声、元気な子供ゆえの可愛らしい声だ

 

「うぬー?」

 

エレンは可愛らしく首を傾けると、エルヴィンの足元まで行き

 

「はは、おやおや」

 

ぎゅーっと抱きついた

 

抱きついたことに特に理由はなかったのだが、エレンは自分のしたいことをはっきりと声に出した

 

「おれおふろはいるー!」

 

エレンの唐突な宣言に、リヴァイが真っ先に反応した

 

「一番風呂は」

 

腰をかがめてエレンと視点を合わせる

 

「俺だ」

 

謎のプライドを披露したリヴァイであった

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<おいエルヴィン!ここのシャンプーは薄めてある!買ってこい!

 

風呂場から聞こえる怒声に反応して、エルヴィンがそれまで読んでいた本を置いて外へと出かける

 

「エレン、留守番頼むよ」

 

「うあうあむーむー!」

 

エレンは、一人ベッドの中に入ってヌクヌクしていた

 

<おいエルヴィン!何をしてんだ!早くシャンプーを!

 

・・・返事はない

 

<おいエルヴィン返事しないと心配になんだろ!いるのか!

 

・・・

 

<おい、いないんじゃないだろうな!

 

 

とても、ほのぼのとしていた

 

そう・・・今は・・・

 

 

 

 

 

次回 目に入ったシャンプー

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続く!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長3

時間はなくとも自分の言ったことは守る(´Д`)なのでお気に入り90記念の小説です

というわけでお楽しみくだされ!


「あわあわー!」

 

・・・なんだ、この状況は

 

俺は、ドアをノックされてエルヴィンがシャンプーを持ってきたのだと思い開けてやった

 

するとどうだ

 

開けて出てきたのはガキだった

 

しかも既に裸だった

 

しかも

 

「・・・おい、シャンプーはどうした?」

 

「シャンプ!シャンプ!」

 

飛び跳ねやがった・・・

 

それはジャンプだクソガキが・・・

 

「ガキ・・・来い」

 

俺はよくわからないことをしながら楽しそうに笑ってやがる微笑ましいガキをこっちに来させると

 

俺は浴槽にあった手頃なイスに座らせてガキの頭を洗ってやった

 

別に親切なことをしようとしているのではなく俺は汚いのが嫌いなだけだ

 

わしゃわしゃわしゃわしゃ

 

・・・なんだコイツの髪の毛は

 

洗えば洗うほどまるで絹のような手触りになっていきやがる

 

チッ・・・芸術品みてぇに綺麗じゃねぇか

 

いや、褒めちゃいねぇぞ

 

いや?褒めてんのか?

 

・・・んん?

 

・・・クソガキが(八つ当たり

 

「へーちょ!きもちーぞ!」

 

・・・クソガキが(照れ隠し

 

「へーちょ!これー!これー!」

 

ガキが俺に何かを見せようと手を上に向けている

 

別に興味はないが自分のしたことを披露するっていうのは猫のようで可愛らしいじゃねぇか

 

どれどれ・・・

 

「あわー!」

 

 

 

チョン

 

 

 

ぐあぁああぁああぁああああぁあぁあああ!

 

目があああぁあぁあぁああああぁああ!

 

俺の目が、目があぁあぁあぁあ!

 

しゃ、シャンプーが、ちくしょう・・・

 

う、薄めてあるからまだいいものの

 

ぐ、目が染みやがる

 

今日はシャンプーハットを持ってきてねぇから少し辛いが・・・

 

ここで俺がテンパったらこのガキまで慌てちまう・・・

 

・・・クソガキが(怒り

 

「へーちょ!どーだ!ふわふわした?」

 

は?

 

「あわってふわふわしてんだろ?だからへーちょにもふもふしてほしかったんだ!」

 

・・・何言ってやがんだ

 

口にはださねぇがよ

 

てめーといるだけで何だか分からねぇけど心の中がふわふわしてんだ・・・

 

心の中にあるあったけぇぶぶんが刺激されるっていうか

 

言いたいことが俺の中でもまとまっちゃいねぇが

 

とにかく、もう充分ふわふわしてんだっての

 

口には・・・出さねえけどな

 

「チッ・・・り・・とよ」

 

「はー?」

 

間抜けな声で俺に疑問の意を呈してくるエレン

 

「何言ってんだー?」

 

なんでも、なんでもねぇよ

 

エルヴィンはまだか・・・

 

まぁいい、そろそろこいつのふわふ・・・泡も流してやらなきゃいけねぇな

 

おいガキ、シャワーかけるから目をつぶりやがれ

 

泡は、目に入ると痛いぞ・・・

 

「いてぇのはいやだ!とじる!」

 

良し、それでいい

 

シャーーーーーーーー

 

おい、それじゃあ

 

 

 

風呂、浸かるぞ

 

 

 

 




続く!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長4

さて、今回も書いていきますよっと

ほんと寒くなってきたので体調にはお気を付けください

しょうが湯なんかを寝る前に飲むと体がポカポカしてあったかいまま眠れますよ!

あ、ただぽかぽかしすぎて寝れなくなったらすいません


一息ついて

 

お風呂から上がったエレンとリヴァイは寝室に戻って椅子に座っていた

 

エレンを前に置いて、リヴァイが後ろからドライヤーをかけていたのだ

 

「ぶおーーーー!」

 

ドライヤーから出る音を真似して口に出すエレンを見ながら、リヴァイは一つの悩みを抱えていた

 

「(くっそ・・・)」

 

その悩みは、誰しもが一度は感じる痛みによるものだった

 

 

 

 

「(シャンプーが・・・まだ染みやがる!)」

 

 

 

リヴァイの目元には涙が浮かんでいる

 

が、前を向いているエレンはそれに気づくことはない

 

しかし

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「ただいま~ふぅ、時間制のセールが行われていて遅れてしまった・・・よ」

 

帰ってきたエルヴィンからは、バリッバリに見えていた

 

さて、ここでエルヴィン視点を整理してみよう

 

エルヴィンは手に買い物袋を持って帰ってきた

 

出かけて得たのはシャンプーと他の日用品

 

帰ってくれば得るのは安心

 

それがどうだろう

 

実際に得たのは

 

「ブフッ」

 

笑いだった

 

 

 

「おう・・・よく帰ってきたな」

 

リヴァイはドライヤーをかけながら迎える

 

人類最強と言われている兵士がドライヤーをかけているというこの画に、エルヴィンは思わず笑いをこらえきれなくなりそうになっていた

 

「へーちょー!」

 

エレンが背のない椅子の後ろに倒れていき、そのまま後ろにいたリヴァイに寄りかかる

 

「うぐっ」

 

頭が男性のウィークポイントにヒットしたのか、苦しそうな顔をリヴァイが見せる

 

「へーちょどしたー?」

 

自分の頭上で生じたくぐもった声に疑問を呈するエレン

 

だが、すぐさま答えることができないリヴァイにエレンが自分の頭を使って反応を求める

 

つまりは、頭をさらにリヴァイに押し付けることで だ

 

「ぐぬ・・・!?」

 

 

 

 

「くはっ・・・ハッハッハッハッハ!」

 

エルヴィンは、自然と笑みがこぼれた

 

いや、笑みではない

 

笑いが、こぼれた

 

「(いつぶりだろうか・・・政治に勝利して浮かべる笑みでもなく、純粋な楽しいという感情から笑ってしまったのは)」

 

エルヴィンは無意識に、エレンの方を見た

 

「(不思議な子だ・・・出会って1日も経っていないのにリヴァイに懐き、私の心すら楽しませてくれるとは・・・)」

 

巨人に対抗する術ばかりを研究する生活

 

楽しみも、その中に見つければいいと思っていた

 

「まさか、こんなところにあるとはね」

 

自分もまだまだ未熟だ

 

そう思いながら

 

気づいた

 

 

 

 

 

 

 

「なんでリヴァイは服を着てないんだッ!!!」

 

 

 

 

 

 

いい雰囲気とかそういうのを置いてでも

 

もはや、突っ込まずにはいられなかった

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

その後のリヴァイ兵長による言い訳

 

「パジャマが青い水玉しか用意されてなかったんだよ・・・あんなもん着れるか」

 

 




つづく!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長5

次回につなげるために少し短めです!

まぁ、い、いつもどおりの短さなんですけどね

長くしたほうがいいのですかね・・・?


カッコカッコと、馬のヒヅメの音が辺りに響く

 

少し硬い地面は何度も馬が通ったことによって踏み固められた証拠だ

 

先頭を行く馬は少し歩き方に気を使っているのかゆっくりと、だがしっかりとした歩みをとっている

 

対して後ろに続く馬は少し乱暴に扱われて足並みに統制がない

 

不規則に響くヒヅメの音がそれを認識させる

 

「だんちょもっとはやくー!」

 

先頭を行く馬に乗っている1人が声を上げる

 

小さな少年の元気な声に反応したのか、先頭を行く馬に乗るもう1人が馬の脇腹を蹴りつける

 

刺激によって習慣化された命令に従うように駆け出す馬

 

それについていこうと後ろで不規則な音を響かせていた者も馬の脇腹に蹴りを入れる

 

早まる2つのヒヅメの音が暗く音のこもる森の中に響く

 

森の木々が遮る陽の光が差し込み、馬に乗っている人々の姿が確かに見えてくる

 

一人、後方を馬に跨り走っている者

 

髪の両側を刈り上げているその男は、鋭い目つきを携えて周囲に気を配っていた

 

馬が走ることでなびくマントが自由の象徴である翼を羽ばたかせている

 

その先、先頭を走る馬の上に、金色の毛髪が段々と後退してきていることのわかってしまう見た者の感情を一度殺す髪型をしている

 

しかし、その瞳には意思と知性が宿っており、その長身に映える体躯は男性元来の力強さを見たものに感じさせる

 

そしてその目の前

 

小さな少年がいた

 

一見すると少女かと見間違えてしまうほどに可愛い顔、整っている綺麗な顔ではなく、幼さが前面に押し出された容姿だ

 

「だんちょ!はやいな!はやいな!」

 

元気な声が森に響き、鳥たちが答えるかのように鳴き声を重ね合わせる

 

「はは、エレンは随分と楽しそうだね」

 

エレンと呼ばれた少年が馬にまたがった状態で歯を見せて笑う

 

「おう!うまなんてはじめただ!」

 

その笑顔に頷いて、だんちょと呼ばれた男は馬の足を速くした

 

 

 

そこから2km離れたところ

 

12体の巨人

 

彼らは知性を持っておらず、しっかりとした意思の疎通もできない

 

1匹1匹に目立ったところはないものの、その集団は実に変わっていた

 

変わっていた・・・というよりも何かに吸い寄せられたとしか思えないのだ

 

ありえないに等しいことだろう

 

全員が奇行種であるとは

 

 

 

 

そして、その情報は近くの旧調査兵団本部にも入ってきていた

 

危険性は高く、早急な対処が必要とされていた

 

ましてや、今日は旧調査兵団本部に『ある人』が帰ってくる日でもある

 

一人の男は思った『俺は迎に行こう、あの人のために』

 

一人の女性は思った『小さな子も一緒だっていうし、迎に行こう』

 

一人の男は思った『俺もあの人の領域に近づくために早く会いたい』

 

一人の男は思った『俺の頭って栗みたいだよな』

 

 

4人の精鋭が、一つの城を旅立った

 

 

 

 

 

 

 




次回

舌噛みのプロ大活躍!

ご期待あれ!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長5

次回につなげるために少し短めです!

まぁ、い、いつもどおりの短さなんですけどね

長くしたほうがいいのですかね・・・?


カッコカッコと、馬のヒヅメの音が辺りに響く

 

少し硬い地面は何度も馬が通ったことによって踏み固められた証拠だ

 

先頭を行く馬は少し歩き方に気を使っているのかゆっくりと、だがしっかりとした歩みをとっている

 

対して後ろに続く馬は少し乱暴に扱われて足並みに統制がない

 

不規則に響くヒヅメの音がそれを認識させる

 

「だんちょもっとはやくー!」

 

先頭を行く馬に乗っている1人が声を上げる

 

小さな少年の元気な声に反応したのか、先頭を行く馬に乗るもう1人が馬の脇腹を蹴りつける

 

刺激によって習慣化された命令に従うように駆け出す馬

 

それについていこうと後ろで不規則な音を響かせていた者も馬の脇腹に蹴りを入れる

 

早まる2つのヒヅメの音が暗く音のこもる森の中に響く

 

森の木々が遮る陽の光が差し込み、馬に乗っている人々の姿が確かに見えてくる

 

一人、後方を馬に跨り走っている者

 

髪の両側を刈り上げているその男は、鋭い目つきを携えて周囲に気を配っていた

 

馬が走ることでなびくマントが自由の象徴である翼を羽ばたかせている

 

その先、先頭を走る馬の上に、金色の毛髪が段々と後退してきていることのわかってしまう見た者の感情を一度殺す髪型をしている

 

しかし、その瞳には意思と知性が宿っており、その長身に映える体躯は男性元来の力強さを見たものに感じさせる

 

そしてその目の前

 

小さな少年がいた

 

一見すると少女かと見間違えてしまうほどに可愛い顔、整っている綺麗な顔ではなく、幼さが前面に押し出された容姿だ

 

「だんちょ!はやいな!はやいな!」

 

元気な声が森に響き、鳥たちが答えるかのように鳴き声を重ね合わせる

 

「はは、エレンは随分と楽しそうだね」

 

エレンと呼ばれた少年が馬にまたがった状態で歯を見せて笑う

 

「おう!うまなんてはじめただ!」

 

その笑顔に頷いて、だんちょと呼ばれた男は馬の足を速くした

 

 

 

そこから2km離れたところ

 

12体の巨人

 

彼らは知性を持っておらず、しっかりとした意思の疎通もできない

 

1匹1匹に目立ったところはないものの、その集団は実に変わっていた

 

変わっていた・・・というよりも何かに吸い寄せられたとしか思えないのだ

 

ありえないに等しいことだろう

 

全員が奇行種であるとは

 

 

 

 

そして、その情報は近くの旧調査兵団本部にも入ってきていた

 

危険性は高く、早急な対処が必要とされていた

 

ましてや、今日は旧調査兵団本部に『ある人』が帰ってくる日でもある

 

一人の男は思った『俺は迎に行こう、あの人のために』

 

一人の女性は思った『小さな子も一緒だっていうし、迎に行こう』

 

一人の男は思った『俺もあの人の領域に近づくために早く会いたい』

 

一人の男は思った『俺の頭って栗みたいだよな』

 

 

4人の精鋭が、一つの城を旅立った

 

 

 

 

 

 

 




次回

舌噛みのプロ大活躍!

ご期待あれ!


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長6

勝手な想像

勝手な想像?

勝手な想像って報告したら勝手じゃなくなるのではないか???

うあ?

わ、わからぬぅ!


立体機動装置でより遠くに飛ぶため、そのために必要なものは遠心力だ

 

ひとりの男は己の体をまるでしなる弓のように扱い立体機動を超えた動きをする

 

しかし、その動きを真似することは”不可能”だと言われている

 

立体機動装置の限界を超えるためには人間として限界を超えた体が必要になる

 

事実上、”英雄”にしか出来ない技なのだ

 

そんな、”英雄”に憧れた”英傑”がいた

 

実力は遠く及ばない、しかし、その”英傑”は憧れ続けた

 

憧れ続けるうちに、同じくその”英雄”に近づこうとする者に出会った

 

綺麗な女性だったり、状況を把握するのに長けている奴だったり、栗のような髪型をしている奴だったりした

 

そのうち、その者たちも”英傑”と呼ばれるようになった

 

不思議なことだ

 

強いものは頼られると同時に、周囲から浮くようになっていった

 

それは、”英雄”も同じことだった

 

彼らは羨まれ、憧れられ、遠ざけられた

 

”英雄”と”英傑”は苦しんだ

 

しかし、彼らの元に現れた”奇人”と”知将”の提案により

 

”英傑”達は”英雄”の元に集い、『リヴァイ班』という名を得た

 

彼らを知る者はその扱いに始めは反対していた

 

『なぜあいつらが!』

 

『強いだけじゃないか!』

 

『いなくなってせいせいした!』

 

しかし

 

『お前ら、強いってのがどういうことかわかるか?』

 

”英雄”は言った

 

『強いっていうのはな』

 

”英傑”の為に

 

『テメェらを殺せるってことだ』

 

その言葉に、それ以上の反対の言葉は上げられなかった

 

”英傑”の一人が聞いた

 

『あなたは”英雄”と言われる存在だ 何故俺たちなんて庇ったんだ!』

 

”英雄”は、彼のほうを向こうとはしなかった

 

しかし、その質問に対する答えはしっかりとした声で返した

 

『俺が誰に”英雄視”されてぇかなんてのは、俺が決めることだろ』

 

その言葉の意味を理解した”英傑”は、涙を流した

 

『リヴァイ班』とは、強き者の集まりだと思うものも多くいる

 

事実はそうかもしれない

 

しかし、真実は

 

”強くありたい”者たちの集まりなのかもしれない

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

巨人達は走り出していた

 

奇行種がそこにいたのは結果から言えばただの偶然でしかない

 

しかし、偶然を何と呼ぶかは時代と人に任せられてきた

 

時として『試練』と呼ばれ、時として『幸運』と呼ばれ

 

ある時代では『奇跡』とすら言われた

 

そして、今回のこの偶然を

 

 

 

 

 

 

「おい、そこのクソども」

 

”偶然”見つけた”英傑”は

 

「お前ら、『不幸』だな」

 

そう呼んだ

 

 

 

 

 

オルオは馬に乗った状態から立体機動装置を使い右のワイヤーを巨人の顔の横にある木へと突き刺さらせる

 

ガスの噴射とワイヤーの回収による反動で木へと向かっていく

 

そのままその木を5分の4程回ったところでフックを木から外す

 

目の前にあるのは巨人のうなじ、”英傑”は今日も、仕事を果たす

 

「あと11体か・・・」

 

周囲を見渡す

 

敵は全方位から集まってきているようだ

 

「(今日は兵長が帰ってくる日だ・・・なのに)」

 

「テメェら・・・邪魔なんだよ・・・!」

 

全方位に放たれる”英傑”からの殺意

 

それに続くように、他の”英傑”達も戦闘へと身を躍らせていった

 

 

 

 

 

「はーらーへーったー!」

 

速脚を走らせる馬の1頭、そこに跨る人の1人が声を荒げた

 

いや、駄々をこねたというのが正しい表現だろう

 

「チッ・・・」

 

舌打ちをした男はその馬に並走させて服の胸ポケットからちいさな果実を取り出した

 

「食べておけ、少し甘いがな・・・」

 

なんだかんだで、彼らはほのぼのとしていた

 

 

 

 




あとがき

最近ハマっているものは、GTAオンラインです(´Д` )

変更点

立体起動装置のフック を ワイヤー にしました


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記念小説 小さなエレンとリヴァイ兵長7

今回は戦闘回となりますので飛ばしていただいても結構です

後書きの方にどんな話だったのかだけを簡単に載せておくのですべて読むのが面倒だという方はそちらをご覧下さいな


「1時の方角!」

 

森の中

 

「15m級がいやがるな、注意しろ!」

 

地響きするほどの足音

 

「ペトラ!あいつの脇のとこの神経を斬る、手伝え!」

 

そして、その地響きの数を着実に減らしていく

 

「セヤァアァアッ!」

 

刃の音

 

 

 

 

1体の巨人が”英傑”の1人、髪を後頭部で結び顎鬚を生やしている男が太い木の枝に着地して周辺に目を配る

 

「(木の数に問題はない、戦闘は滞りなく行えるだろう・・・、だがこうも数が多いのではいつか限界が来るかもしれない)」

 

ガスの量はあまり減っていない、自分自身は巨人の前方を塞いだり、巨人の腱を斬るなどして補佐に徹していたためガスの噴射は極力抑えられていたのだ

 

しかし、と自分以外の”英傑”達のこと考えてみる

 

グレーの髪をした老け顔の男は既に今日だけで6体の巨人を討伐している

 

彼も強い人間だ、ガスの噴射は極力抑えてはいても巨人の速度についていくために自分よりも消費は多いはずだ

 

「エルドォ!どうすんだこっから!あと5体だ、やっちまうか?」

 

老け顔の男に話しかけられ、エルドは思考を中断する

 

もう一度巨人達の方に目をやってみると、確かに5体

 

だが、それは見えているうちで5体というだけだ

 

「オルオ!ペトラ!グンタ!一度全員で散会した後に3時の方角に見えるあの高い木に集合だ」

ワイヤーを射出して前方の太い枝にアンカーを刺し、それを支えとしてブランコの要領で移動を開始した、こうすることで出来うる限りのガスの消費を抑えようとしているのだ

 

「エルド!兵長達の到着予定時間は!?」

 

ペトラと呼ばれた女性がエルドの隣に着地して問いかけてきた

 

「あと1時間はある・・・それまでにこいつらだけでも倒すぞ!」

 

ペトラはそれだけ聞くと今いる位置、太い木の枝に立体起動装置のワイヤーの先端についているアンカーを引っ掛けて回収機能をうまく使いあまり速度がつかないようにして真下へと降りていった

 

エルドが目をやるといつの間に呼んでいたのかペトラの馬がそこにはいた

 

相変わらず用意周到なやつだ、と感心せずにはいられなかった

 

彼らの走っていった方向へと巨人が向かい、エルドの前方には3体の巨人が残った

 

そしてその内の1匹が、坊主頭の栗のような男の手によって倒された

 

「エルド!俺も木の方に向かうぞ!」

 

坊主頭の男の呼びかけに反応したのか、残った2匹の巨人のうちの1匹が向き直り彼を追い始めた

 

「グンタ!周辺の木を利用するんだぞ!」

 

グンタと呼ばれた坊主頭の男は超硬質ブレードを持った手を高く上げると、それを軽く振って3時の方角へと翔んでいった

 

残った1体の巨人はエルドの方へと走ってきている

 

エルドはその巨人のデータを即座に解析

 

「(見たところ5m級、奇行種というわけでもないだろうしこれならば・・・)」

 

エルドは立体起動装置から巨人の頭、詳しくは右目へと左のアンカーを射出、汚らしい何かが潰れる音と共にエルドは木の枝から飛び降りてワイヤーの回収機能を利用して通常ならばありえない速度で巨人へと肉迫する

 

目前に迫った段階で巨人のもう一つの目へと右のアンカーを射出、そして同時に刺さっていた方のアンカーの回収を完了

 

そのままガスを少し噴射することで巨人の目を支点にエルドは巨人の背後をとった

 

うなじは見えている

 

あとは

 

斬るだけ

 

「ハァアッ!」

 

ザンッ

 

と小気味良い音がして巨人のうなじが刈り取られた

 

前のめりに倒れていく巨人からアンカーを回収し、エルドは皆の待つ高い木へと向かった

 

 




まとめ

リヴァイ班の名前を出したかった回です

あと、高い木であとで合流しようとみんなが約束していた というのが物語に関わりのある点です

そいでは次回!


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超記念小説 リヴァイ班の日常

リヴァイ班の朝は早い

とは言っても早いのはごく一部の人間だ

今回はオルオという男の朝を見ていこう




朝、目が覚めた彼はカーテンを開ける

 

部屋の壁の一部に四角い窓が添えられていて、クリーム色のカーテンがしかれている

 

両手でカーテンを掴んだ彼はふすまを開くときのように両端へとカーテンを追いやる形でそれを開いた

 

この時、カーテンを勢いよく開けるとカーテンの端の部分が窓枠で擦れて傷ついてしまいやすいためゆっくりと開ける

 

陽が差し込んでくる東側の部屋は彼がどうしてもと頼み込んで割り当ててもらった部屋だ

 

理由もきちんとある

 

彼はカーテンで隠す形で窓際にあるものを置いていた

 

ジョウロである

 

古代の生物として文献に残っていた”ゾウ”の形をした優しい緑色をしたジョウロは何を隠そうリヴァイからの贈り物だ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

去年のオルオの誕生日、オルオに何か贈ってやろうと考えたリヴァイはそのことをハンジに相談した

 

するとハンジは「彼は知識欲旺盛だからね!何か見たことのない生き物をかたどったものをあげたりすると喜ぶんじゃないかな?」と答えた

 

ちなみにオルオが知識欲旺盛という情報は完全にハンジの出まかせだ

 

しかし、リヴァイはそれに気づかないままに誕生日プレゼントを求めて街に繰り出した

 

探せど探せど見つかるのは犬や猫の置物や宝石細工、時折見かける見たことのない生き物のペンダントなどもあったが”ゴキブリ”という響きがどうにも好きになれなかったリヴァイは購入を断念した

 

せめて花を贈ろうと思い立ち寄ったFlowerArrange~Fregrance~というお店で店先に並ぶ綺麗な花達の隅、小さなサボテンの横にそのジョウロはあった

 

まず惹かれたのは可愛らしいデザインだった

 

手にとったリヴァイは神妙な面持ちでそのジョウロを様々な角度から見てみることにした

 

U字型のカーブを描く鼻のようなパーツが特徴的で、ずんぐりとした足がこれまた可愛らしかった

 

目元を見てみれば大きくて丸い瞳と目を合わせることになる

 

口元はにっこりと笑っており自然とリヴァイも笑みがこぼれた

 

その笑みを見て店員さんが「ひっ」と短い悲鳴をあげたのは目元が笑っていなかったせいだろう

 

背中にあたる部分には取っ手がついており、持ち運ぶ際にも不便さは感じないだろうと予見できた

 

「ほう、悪くない」

 

リヴァイはそれを店員に「買いたい」と申し出ると

 

「えっと、ジョウロだけだと宝の持ち腐れになってしまうのでもしよければ花もご一緒にいかがでしょうか?」

 

差し出されたのは隣に置かれていたサボテンだった

 

一見するとチクチクとしていて怖いサボテンだが、リヴァイの目には自己主張を頑張っている少年のようにも見て取れた

 

「問題ない、値はいくらだ」

 

店員は紙にパパパっと計算を書くとその結果をリヴァイに見せてきた

 

「2000エンか…たしか財布に5000エンあったはずだ…」

 

そういって財布を開いたリヴァイは悩んだ

 

財布の中には2000エン札と1000エン札しかなかったのだ

 

「(ちっ…なんてことだ…)」

 

現在、壁の中で紙幣として発行しているものは1000エン、5000エン、10000エンだ

 

2000エンも昔は多用されていたのだが、1000エンを2枚払えば良いだけならば無理に持っている必要もないと判断され、生産が取りやめになったのだ

 

なので、現在2000エンはとても貴重な紙幣であり、特にそれを集めているわけではない人でさえも使うことをためらうものになっているのだ

 

リヴァイの頭の中で天秤が傾く

 

オルオの誕生日 と 2000エン でだ

 

2000エンをハンジやエルヴィンに見せびらかしたい気持ちと、オルオが「ありがとうございます兵長」と言っている姿を交互に連想する

 

段々と濃い霧がかかって見えなくなったのは…

 

「ありがとうございましたー!」

 

リヴァイはこうして、ゾウのジョウロとサボテンを購入

 

後日このプレゼントをもらったオルオは彼のものとは思えないほどの滑舌の良さでお礼を言ったのだという

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そのジョウロを手に取り、窓を開けてそこに置かれた植物へと水をやる

 

無論、サボテンだ

 

なぜこのように隠す形で置かれているか、というと

 

「俺が兵長からもらったものをなんで他人に見せにゃならんのだ」

 

というどうでもいい理由だったりする

 

しかし本人曰く、自分だけが知っているサボテンの成長を記録することが日課になってきていて、毎日ごくわずかな変化を見つける、ただそれだけのことが楽しく思えてきたのだとか

 

水やりを済ませ、彼は寝巻きにしていた白いYシャツを脱ぎ新しいYシャツを着る

 

手に調査兵団の服を持って洗面所まで向かい、鏡とにらめっこしながらその日一日を過ごす髪型を整える

 

洗面所を出る際に忘れずに調査兵団の服を着る

 

彼が言うには、時折着るときに昔のことを思い出すのだという

 

彼の訓練生時代の姿がまるで想像できないのは私(筆者)だけではないと思うのだがどうだろうか

 

そんなこんなで、彼の朝は食事へと移る

 

食事のために階段を降りて食堂へと向かうと、リヴァイが割烹着(かっぷぎ)姿をして小皿を口元に運んでいた

 

小皿には黄金色の液体が見受けられることからも朝食に出すスープの味見をしているのだとすぐにわかった

 

今日の朝食も美味しそうだ

 

彼の1日はこうしてはじまる

 

 

 

        強い兵士の

                    なんてことはない朝

 

 

 

 

 

「おはようございます。兵長」

 

 

 

 

 

どこか嬉しそうにそう言った彼に

 

 

 

 

 

 

「あぁ、おはよう」

 

 

 

 

 

そう返してくれる人がここにはいる

 

 

 

 

 

「おはよう、オルオ」

 

 

 

 

 

「ようオルオ」

 

 

 

 

「早いなオルオ」

 

 

 

 

そう言ってくれる人が

 

 

 

ここにいる

 

 

 

 




風が強いとね、時として人の家には木の枝が突っ込んでくるのですよ

はい、すこぶる不幸でした

でもこれだけは言わせてもらう!

病院食ってのはうまいんだ!


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番外編 頭の悪い頭の良さそうなアルミン

てなわけで書いていきます


 僕はアルミン・アルレルト、今は調査兵団に配属されて、リヴァイ兵長の下でエレンや他の104期生のみんなと一緒に働いている。

 

「アルミン、こっちの掃除は終わったから2階をお願いしたい」

 

 ミカサにそう言われて、僕は肯定の返事を返して階段を上がり2階の手すりを掃除する。

 

 そこで、ふと疑問に思った。

 

「(もしも僕がここから唐突に身投げをしたら、ミカサは助けてくれるのだろうか?)」

 

 長年の友人であり心を許しあった友、そしてなによりも戦友であるミカサのことだ、きっと助けてくれるだろう。いや、助けてくれるに違いない!

 

 僕は木製の手すりを濡れていない雑巾で乾拭きして頃合を見計らっていた。

 

 ミカサは現在、僕がこのまま落下したとして地面に接触すると思われるポイントから5m先のところにいる。

 

 右手にははたきを持っていて、このまま僕が落下すればそれを放り出してでも全速力と全力をもってして助けてくれるだろう。

 

チラとしたを見てみる。高さはそれほど無いが、ここから落ちると考えると怖い、クリスタの前で会話中にゲップをしてしまうくらい怖い!

 

「(どうする…やめるか?いや、それでいいのか?)」

 

「(僕は、僕はもっと多くを知りたいんだ!知識を蓄えて!それを活かして!みんなの役に立ちたいんだ!そうだ…なら、ここで僕が落下することによって得られた知識も誰かの役に立つかもしれない!そう考えれば何も怖くない!)」

 

 僕は足を手すりにかけた

 

 何も怖くない

 

 あとは力を入れれば木造建築のワンルームでスカイダイビングをしようとしている金髪の青年が出来上がる

 

 そう、あとは「何をしてやがる」

 

「(…今の声は、リヴァイ兵長か?いや、でも兵長はもっと身長の低そうな声だったはずだ!)」

 

「ついでに何を考えてやがる」

 

 チラと声のした方を向いてみる。

 

「何を見てやがる」

 

「(リヴァイ兵長じゃん…)」

 

 いや、待てよ

 

「(もしかしたら偽物かもしれない…そう、例えばクリスタが僕を驚かせるためにリヴァイ兵長の格好をして注意を僕に促す。そして僕が反省の色を見せたところでネタばらしをして傷ついた心を癒す。そんなドッキリラブ&コメディーなストーリーなのかもしれない!)」

 

「俺は風呂上りで気分よく自室に戻ろうとしていたんだが…なんでお前は手すりに足を乗っけているんだ?」

 

 上半身裸じゃん…もうこれでクリスタだったら…それはそれでありかもしれない

 

 いや、ここはクリスタという体で話をすすめてみよう

 

「やぁクリスゲフゥ!!?!?」

 

 唐突に体の中心を駆け抜けた痛みに僕は身体をくの字に曲げる

 

 これは、拳だ

 

 拳による胸部への打撃だ!

 

 さらに、僕は前髪を掴まれてぐいっとクリスタ(リヴァイ)兵長の眼前へと顔を晒すことになった

 

 顔が近くて少し照れるなぁ、クリスタもこんな大胆なことをするのか

 

「おい…それは俺の身長がクリスタ・レンズと変わらないと言いたいのか?」

 

 わーぉ、こりゃもうクリスタじゃなくてリヴァイ兵長ですわ

 

 現実逃避気味に色々と思考を逸らしてたけどこの痛みと恐怖からは逃れられませんわ

 

「いい度胸だ…アルミン・アルレルロ…、あ、アルミン・アレルレト」

 

 あ、今リヴァイ兵長噛んだ!しかも名前間違えてる!

 

「ぷふーっ」

 

「………………っ」

 

 僕が思わず口から空気を漏らすと、リヴァイ兵長は目尻に浮かべた涙を隠すかのように振り返ってその場を去っていった

 

あとに残された僕は、なんで殴られたのかという理由を聞きそびれたことと、なんで風呂上がりに服着ないであるいてたんですか変質者という二つの言葉を言いそびれることになった

 

僕は知識の探求者アルミン、次回も何か知らないことを知りたいと願う




つづく!


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