幻想日記 (青柳龍)
しおりを挟む

魅惑異変の章
第一話 幻想郷へ(前編)


どうも、青柳龍です。久しぶりの投稿になります。
今回、私が挑戦するのが東方Projectの二次創作です。
とは言っても、原作未体験のにわかファンですしタグにも書いたように独自解釈や戦闘シーンでは独自の表現になるかも知れませんのでご理解の程よろしくお願いします。なお、ここは違うよとゆう意見があれば是非ご意見の程よろしくお願いします。
それでは、幻想日記、始まり始まり。


第一話 幻想郷へ

 

ガタンゴトンガタンゴトンと俺が乗る電車が動いている中、俺は窓から見える田んぼを始めとした田舎の風景を見ていた。

(懐かしいな、5年前と全然変わって無いな)

そう思っていると、電車の車内アナウンスが鳴った。

「次は、東方村。東方村。出口は右側です」

俺は荷物を持つと席を立った。

東方村とは東京都の中でも小さな村で知っている人はほとんどいない辺境の地だ。そんな所になぜ俺が降りるのか。それは、ここに住む伯父であり、あの有名な陰陽師、安倍晴明の末裔である土御門総司(つちみかどそうじ)に呼ばれたからだ。

俺の名前は安倍晴竜。今年、大学に入学した18歳だ。

俺が無人駅から出ると辺り一面の田んぼが出迎えた。俺は総司おじさん(俺はそう呼んでいる)の住む屋敷へと歩き始めた。安倍晴明の末裔である土御門家は京都に本家を置いているが、日本の中心が東京に移ると土御門家は本家と、分家からの二家族を東京へと送った。それが、総司おじさんの家系の家と俺の家系である安倍家だった。まぁ、安倍家は都心部へと移ったが、土御門家はここ、東方村へ来たのだった。

土御門家の屋敷まであと少しまで差し掛かったとき、右手に何段もある階段があった。階段の横には東方神社と書かれているのぼりがあった。俺は、何故か気になり神社に寄り道する事にした。長い階段を登りきるとそこには塗装の剥がれた鳥居やボロボロになった神社があった。一応草刈りはされているようで、雑草などは生えていなかったが利用する人はいないのは明らかだった。しかし、俺は何故か不思議な感覚を感じ、境内の中をちょっと歩いてみた。しかし、原因は分からず諦めて俺は階段を降り、総司おじさんの屋敷へと再び歩き始めた。

やっと、屋敷の前に着き、呼び鈴を鳴らすと中からお手伝いさんのおばあさんが出てきた。俺はお手伝いさんに案内され、広間に座った。その時丁度総司おじさんがやってきた。

「久しぶりだね晴竜」

「久しぶりです。総司おじさん」

総司おじさんは挨拶しながら俺の前に座った。するとお手伝いさんがお茶を持って来た。俺はお構い無くと言った。

「遠い所ありがとう」

「いえ、大丈夫です」

「大変だっただろう?着いたら電話してくれれば私か、おばばが迎えに行ったのに」

おばばとはさっきのお手伝いさんの事だ。俺はいえいえと首を振った。

「久しぶりだったので歩いて見たかったんです」

「そうだったんだ。そっか、もう5年も経つのか。時の流れは早いね」

「そうですね」

総司おじさんには微笑むと色々と聞いてきた。

「どうだい?大学の方は慣れた?」

「いえ、全然慣れません」

「最初はそうだろうね」

「大学が予想以上に大変でしかも、知らない人ばかりなので…」

「確かに大変だね」

「まぁ、それはそれで楽なんですけどね」

俺はそこまで話すと、お茶を一口飲んた。すると総司おじさんが俺が湯呑みを置くのを待って、聞いてきた。

「ところで…源弥(げんや)兄さんは帰って来たかい?」

「いえ、まだ帰って来てません…」

「そうか、まだ帰って来て無いんだ。全く何処で何をしているのか」

総司おじさんはそう言うと溜息を着いた。俺はただ、苦笑いをしてはいと答えた。

安倍源弥。俺の父さんにして、安倍家の当主だ。俺の母は俺を生んで直ぐに亡くなってしまい、父さんは一人で俺を育てた。しかし、5年前に俺をここに預けると居なくなってしまった。それで、俺はまだ13歳で安倍家の当主になった。(だから、俺は今まで実家で暮らしていた)そして、総司おじさんが父さんの事を源弥兄さんと呼ぶ理由は、俺の母が本家の娘。すなわち、総司おじさんの姉だったから。

長い溜息を着いていた総司おじさんが咳払いをすると姿勢を正した。俺も釣られて姿勢を正すと総司おじさんは話し始めた。

「さて、本題に入ろう。晴竜、君を呼んだのは他でも無い。頼みがあるからなんだ」

「頼み?」

「そう。でも、話す前に見てもらい物があるんだ。ちょっと待ってて」

そう言うと総司おじさんは立ち上がり広間を出て行った。そして数分後、本のような物を一冊持ってきて、俺に渡した。題名は〔幻想日記〕と書かれていた。

「何ですかこれ?」

俺が尋ねると、総司おじさんは逆に聞いてきた。

「晴竜。幻想郷って知っているかい?」

「幻想郷?何ですかそれ?」

「幻想郷っていうのはこの日本にある郷で人はもちろん妖怪、妖精そして神が住んでいる別世界の郷なんだ」

「別世界?」

「まぁ、別世界と言っても陸続きでただ結界が張られているだけなんだけどね」

「なるほど。でも、何で幻想郷の事を?頼み事って幻想郷と関係あるんですか?」

「そうなんだ。晴竜、君が持っているその本の名前の下に作者の名前が書かれているから読んでご覧」

俺は言われた通り、題名の下にある作者の名前を見ると、そこには安倍源弥と書かれていた。

「えっ!?これって、まさか!?」

「そう。これを書いたのは源弥兄さん。つまり、源弥兄さんは行ったんだその幻想郷という場所にそれも何回も」

俺は驚いて固まった。まさか、父さんが別世界である幻想郷へ行ってたなんて。しかも1回でなく何回も。

「じゃあ、父さんが時々留守にしてたのって」

「そう。幻想郷へ行ってたからなんだ」

「そうだったんだ」

俺は一旦情報を頭の中で整理すると、尋ねた。

「それで、頼みは何ですか?」

「頼みはこの幻想日記を源弥兄さんの代わりに幻想郷へと行き最新版を作って欲しいんだ」

「え、えっっっっ!?」

 

後編へと続く。

 

 

 




ま、まさか最初から二千文字越え。マジか。青柳龍です。
本当なら、この第一話で幻想郷へと行くつもりだったんですがまさかの行けなかったと書いている私でさえ予想しなかった事になりました。ですので次回には必ず幻想郷へと行きます。行かせます。
ここまで読んでくれた人は感謝します。ありがとうございます。是非、次回も読んでください。
霊夢達が出るのは第三話辺りに出ると思います。お楽しみに!
では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 幻想郷へ(後編)

どうも、青柳龍です。早速、第二話やって行きたいと思います。
前回までのあらすじ。土御門総司に呼ばれた晴竜。そこで、晴竜は幻想郷とゆう、別世界の郷の存在と父である安倍源弥の秘密を聞く。そして、源弥の代わりに幻想入りしてほしいとゆう事になった。さて、晴竜はどうするのか?それでは、幻想日記第二話始まり始まり。


「え、えっっっっ!?」

俺は、余りも驚き過ぎて、咳き込んでしまった。

「今な、なんて言いました?」

「だから、幻想入りして、この幻想日記を作って来て欲しいんだ」

「何で、俺なんです?他にも頼める人はいるんじゃないんですか?」

「いや、晴竜にしか頼めないんだ」

「何故です?」

そこで総司おじさんはしばし考えると、観念したかのように話し始めた。

「晴竜。私達陰陽師の全盛期は何をしていたか分かるかい?」

「え、そりゃまぁ、妖怪や物の怪の退治や星を読んだり、暦を作ったり…」

「では、今の陰陽師は何をしていると思う?」

「詳しくは分からないですけど、明治時代に陰陽師が廃止されてからは普通の人達のように過ごしている人もいれば、隠れて陰陽師の仕事を続ける人もいると聞いたことか」

「そうだね。実を言うと、政治にも関わっている陰陽師もいるけど、大体は普通の人達と同じ生活を送る人達だね」

「はい。でも、それが俺にしか頼めない理由に繋がるんですか?」

「陰陽師が使う陰陽術は日々の修行や鍛錬で使えるようになる。しかし、今や陰陽師は占いや祈祷ばかりで修行や鍛錬どころか、仕方さえ知らない陰陽師の家がある程だ」

「え、それってつまり…」

「そう。陰陽術を使う陰陽師はもういない。たった一つ除けば」

「まさか!」

「そのまさかさ。晴竜。君達、安倍家しか陰陽術を使える陰陽師はいないんだ」

驚いた。俺は昔から父さんやおじいちゃんから陰陽術の修行を付けられていた。それが陰陽師の家では普通の事だと思っていたが、まさか俺の家だけだったとは。

「じゃあ、総司おじさんも陰陽術を使えないんですか?」

「うん」

俺は、さっきから驚いてばかりだ。俺は冷めたお茶を飲んだ。

「話を続けていいかい?」

「あ、すいません。どうぞ」

「幻想郷へと行くには霊力、そして陰陽術を持つ者でないと行けない。だから、安倍家にしか頼めないんだ。そして、今までしてきた源弥兄さんがいない今、頼めるのは晴竜しかいないんだ」

「なるほど、分かりました。でも、どうしてそこまで幻想郷に関わろうとするんです?」

「…幻想郷は、私達が知らない日本の真の歴史を知る妖怪や神がいる。その真の歴史を知るため。それと…」

「それと?」

「幻想郷に住む人達、特に幻想少女と呼ばれる人や妖怪達の事をよく知りたいんだ」

「少女って…。まさか、歴史より、その幻想少女の方が気になるんじゃあ…」

「うん。そうだよ」

「即答!?」

「呆れるのは分かる。でも、この日記を読むと本当に会ってみたいと思うようになる」

「本当ですか?」

「本当だよ。そんなに疑うなら、一度読んでみるといい」

そう言うと、総司おじさんは幻想日記を俺に差し出した。俺はそれを受け取った。

「すぐに答えろとは言わない。それに幻想郷へ行く際、色々と変わる事がある」

「変わる事?」

「まず、幻想郷の金は円では無く銭だ」

「銭って、昔のお金ですか?」

「そうだよ。それも、幻想郷専用の銭らしい」

「じゃあ、もし行くとなれば俺は無一文で幻想郷へと行く事になると」

「そうなるね」

マジか。

「後は、幻想郷とこの世界とは時間の流れが違う」

「時間の流れが」

「えーと、後は…」

まだあるのか。

「これが一番大切な事だ。幻想郷へ行った者のこの世界にいた記録、人々の記憶が少しずつだが消えていく」

「えっ!?」

「でも、家族などの親しい人達の記憶からは中々消えないらしい。現に、私達は源弥兄さんの事を覚えているだろう」

「はい…」

「それを考えた上でどうするか決めて欲しい」

「わ、分かりました」

「じゃあ、いい返事を期待しているよ」

「はい…」

俺はそう返事すると立ち上がり広間を出た。

その日の夜、総司おじさんの屋敷に泊まる事になった俺は用意された布団に倒れこんだ。まさか、こんな事になるなんて思いもしなかった。父さんの秘密、そして、幻想郷とゆう郷。俺は、未だに行くか行かないか決められずにいた。ふと、俺は部屋の机に置いてあった幻想日記に目を付けた。俺は、幻想日記を開くと読み始めた。父さんが作った幻想郷の日記がどうゆう物か気になったからだ。そして数分後、気がつくと俺は最後まで読んでしまっていた。内容は普通の日記だったが、その書かれている内容がとても魅力的だった。幻想郷には吸血鬼の姉妹や魔法使い、あの有名ななよ竹のかぐや姫もいるらしい。そんな中で、一番気になったのは博麗の巫女についてだ。この世界と幻想郷を隔てる結界博麗大結界を守る巫女でしかも、妖怪達が起こした異変を一人で解決するとゆうすごい人らしい。俺は決心が着いた。

翌日の朝、朝食を広間で食べているとおはようと総司おじさんがやってきた。総司おじさんがテーブルを挟んで俺の前に座るのを確認した俺は、話を切り出した。

「総司おじさん」

「ん、なんだい?」

「昨日の事なんですけど…」

「うん。心、決まったかい?」

「はい」

「では、改めて聞くよ。晴竜、幻想郷へと行ってくれないかな?」

俺は目を閉じ深呼吸して総司おじさんの顔をみた。

「はい。行かせてもらいます」

「そうか。頼んだのはこっちだけど、どうしてだい?」

「俺は、総司おじさんから預かった幻想日記を読む前は行く気はありませんでした。でも、この日記を読んだ後一番最初に思った事があるんです」

「思った事?」

「行きたい。そして会ってみたい。こんな素敵な場所に、そして幻想少女達特に博麗の巫女に」

「そう。やっぱり会いたいと思ったんだね」

「はい」

総司おじさんは微笑んだ。

「なら、善は急げだ。ご飯を食べたら私の部屋へと来て欲しい」

「え、あ、はい」

朝食を食べ終えた俺は総司おじさんと一緒に総司おじさんの部屋へと来た。そこには__

「うわぁ!?すごい」

狩衣や手甲、何束もまとめられた札があった。一目で分かる。本当の陰陽師の一式だ。

「これ、どうしたんです?」

「もし、行くとなった時のために用意してあったんだ。用意しておいて良かったよ」

「着てもいいですか?」

「もちろん。ただ、着るのは初めてだと思うから手伝うよ」

俺は総司おじさんに手伝ってもらいながら陰陽師一式を装備した。

「着てみるとやっぱりすごいって感じます」

「そうだろうね。よし、準備が整った事だし早速行こう」

「えっ!?何処へ!?」

俺は総司おじさんに引っ張られ外へと出た。向かったのは昨日来た東方神社だった。

「ここって…」

「どうかしたのかい?」

「昨日、寄り道したんです。何か不思議な感じがして」

「なるほどね。もう気づいていたんだ。実はここなんだ。幻想郷へと行くための門があるのは」

「ここが幻想郷への門がある場所…」

俺は辺りを見渡すが門らしき物は無かった。総司おじさんはそんな俺を見て、首を横に振った。

「門は術がかけられていて、今のままじゃあ見れないんだ」

「じゃあ、どうするんですか?」

「今から言う呪文を唱えるんだ。いいかい?」

「あっ、はい」

俺は目を閉じ刀印を結ぶと総司おじさんに言われた通りに呪文を唱えた。

『ここに世界を繋ぎし、道を閉ざす門よ。今、姿を現し、我を誘え!』

唱え終わり目を開けると、すぐ目の前に門が現れていた。

「すげぇ」

俺が感動していると、総司おじさんが頷いた。

「うん。上出来だね。あとは、この門をくぐれば幻想郷だ」

「緊張する…」

「大丈夫だよ。あ、そうだ。大学の方は私に任せてくれ。あと、一度、門をくぐると、次に門が出現させれるのは来年になる」

「えっ!?聞いてませんよ!何でそんな大切な事早く言わなかったんですか!」

「ごめん、ごめん」

「まぁ、大丈夫ですけど…」

「よし、じゃあ…」

と、総司おじさんは手を差し出した。

「え?」

「いってらしゃいと頑張っての握手」

「なるほど」

俺は総司おじさんと固い握手をした。

「気をつけて」

「はい」

俺はそう言って門に向かった。そして門をくぐる前に総司おじさんの方を向いた。

「ん?どうしたんだい?」

「ありがとうございます。そして…、行ってきます」

「あぁ、いってらしゃい」

俺は頷き、門をくぐった。

 

 

第三話に続く。

 

 

 

 




疲れた。まさか、三千文字越えとは。マジか!青柳龍です。
どうだったでしょうか。やっと幻想郷へ行く事が出来ました。さて、晴竜にどんな事が待ち受けているのか。また、幻想郷で、どう暮らすのか?ご期待下さい。
ではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 楽園の素敵な巫女と普通の魔法使い

どうも、青柳龍です。
遂に!遂に幻想郷に突入です!いやー長かった。最初から三千、二千文字越えをしているので今回はどうなるか分かりませんが頑張って行きたいと思います。また、今後の幻想少女達の設定はネットの原作の情報を主に、また、他の二次創作の作品の設定を元に設定しましたが、どうしても分からない所は私のオリジナル設定なのでご理解下さい。
それでは、第三話始まり始まり。


第三話 楽園の素敵な巫女と普通の魔法使い

 

 

「う、うぅ」

門をくぐった瞬間気を失った俺は気づくとそこは今までいた神社の境内ではなく、一本道の真ん中だった。

「オイオイ…せめて、道じゃない所にしてくれよ」

俺は一人文句を言うと辺りを見た。幻想郷に来たのは確かだと思うが妖怪や妖精どころか、人っ子一人もいない。さて、どうするかと思案にふけっていた時だった。陰陽師の本能が警鐘を鳴らした。俺はすかざず後ろを振り向くと同時に後方に跳んだ。その瞬間、今まで俺がいた場所に凄まじい衝撃が襲った。

「うわっ!危なかった。誰だ!俺に攻撃を仕掛けたのは!」

すると、上の方から二人の女性の声が聞こえて来た。

「へぇー。まさか、今の攻撃を避けるなんてね。本気では無かったとは言え、当てようした攻撃だったんだけど」

「まだ、分からないぜ。たまたまだったかもしれないしな」

俺は見上げるとそこには、赤と白の色をした巫女装束を着た俺と同じぐらいの歳の少女と黒と白の魔法使いの様な服装をした少女が箒に乗って浮かんでいた。

「お前らか、俺に攻撃したの!ふざけるな!ただの人間だったらどうするつもりだったんだ!」

俺が怒鳴ると、巫女装束の少女がふんと、鼻を鳴らした。

「突然、幻想郷に来た霊力を纏った人間ってただの人間じゃあ無いのは分かるわ」

「だからって、すぐ攻撃って有り得ねぇだろ!」

「全くうるさいわね。やるわよ。まりさ!」

まりさと呼ばれた魔法使いの少女は頷いた。

「そう来なくっちゃ。行くぜ!れいむ!」

二人は、声を掛けると左右に展開し同時に攻撃を繰り出してきた。

「くっ!」

俺は繰り出された光の礫の攻撃を避けた。その光の礫からは霊力と、霊力とは違う力を感じた。おそらく、これが魔力だろう。

紙一重で二人の攻撃を避ける俺を見てれいむは苛立った。

「すばしっこいわね。なら、これならどう!」

れいむは、さらに上空まで上がると両手を真横に伸ばした。

「食らいなさい!霊符、夢想封印!」

そう言った瞬間れいむの周りに光の玉が現れると俺に向かって飛んできた。

俺は当たる瞬間再び、跳び退いたがその光の玉も着いてきた。

「はぁ!?ホーミングかよ!」

俺はまりさの攻撃を避けながら光の玉から逃げていたが俺は避け切れないと思い、陰陽術を使った。

「ちっ!砕!」

俺がそう叫ぶと光の玉は砕け散った。

「なぁ!?」

「れいむの夢想封印が!砕けた!?」

二人が狼狽えているうちに俺は距離を取ると、刀印を結び真言を唱えた。

『オンハビラウンケン、シャラクタン。アビラウンケンソワカ、オンキリク、サラタカン、マン!』

その瞬間、霊力の剣が無数に織り成され、二人の少女に向かって飛んでいった。しかし、二人は全て、避け切った。

「まさか、私の夢想封印を破るとはね」

「そっちこそ、俺の術を避けるなんてな」

俺は、れいむ、まりさと睨み合うと同時に攻撃を繰り出そうとした瞬間、丁度俺とれいむ達の間に突然、空間が裂け、一人の女性が出てきた。

「待ちなさい。二人とも」

「ゆかり!邪魔しないで!」

「そうだぜ!邪魔するなら、ゆかりごと吹っ飛ばすぜ!」

「まぁ、落ち着きなさい。貴方も」

と、俺に向かって言った。俺は、ゆっくりと臨戦態勢を解いた。

「さぁ、貴方達も」

すると、少女二人も臨戦態勢を解いた。

「ふぅ。それでいいわ。貴方、陰陽師よね。しかも、その霊力、源弥と似てるけど」

「俺の父さんを知っているのか!」

「えぇ。知っているわ。なるほど、あの源弥の息子ね。道理で霊力の波動も似ているわけね。」

「源弥?誰それ?」

れいむがゆかりに尋ねた。

「昔、外の世界から定期的にやって来ていた陰陽師よ。確か、れいむとは会っていると思ったけど」

「知らないわよ。それに定期的ってどうゆうこと?それってまずくない?」

「大丈夫よ。極限られた人しか入れないし結界にも影響はないわ」

「だけど…」

れいむは余り納得していないようだったがゆかりは気にせず会話を続けた。

「そういえば自己紹介が遅れたわね。私は八雲紫。他の人達からはスキマ妖怪と呼ばれているわ」

八雲紫、スキマ妖怪、俺は思い出した。

「あぁ!あの八雲紫?あの境界を操る程度の能力の?」

「えぇ。そうよ。そして…」

「博麗霊夢よ」

「霧雨魔理沙だぜ」

少女二人が自己紹介した。そこで俺はん?となった。

「博麗?君が博麗の巫女なのか?」

「そうよ。文句あるの?」

「えっ、だって、あれぇ?」

俺は、すかさずふどころに入れていた幻想日記を取り出した。博麗の巫女の名は博麗霊花。霊夢じゃない。

「やっぱり、博麗の巫女は霊花じゃないのか?」

霊花の名前が出た瞬間、三人の顔が暗くなったのが分かった。

「貴方、何故私の母さんの名前を知っているの?」

「だって、幻想日記には霊花って…」

そこで、俺は察した。恐らく、霊花は何らかの理由でこの世にはおらず、娘である霊夢が受け継いだのだろう。

黙った俺を見て霊夢は溜息をつき、紫の方を向いた。

「紫、もう一度、聞くけどこいつは幻想郷にいて大丈夫なのよね?」

「えぇ」

「なら、いいわ。魔理沙、行くわよ」

霊夢はじゃあと言って魔理沙と一緒に飛び去ろうとした時、紫に止められた。

「何よ紫?まだ、何かある訳?」

「あるわ。貴方、名前は?」

「え、安倍晴竜だけど…」

俺は自己紹介すると紫は聞いて来た。

「貴方、お金持ってる?」

「え…。あ!」

忘れていた。幻想郷は独自のお金を使うから外の世界の金は使えないだった。

「その感じを見た限り無一文みたいね」

そして紫は霊夢に霊夢の方を向くと言った。

「霊夢。当分の間、晴竜を貴方の神社に居候させなさい」

「「…はぁぁぁ!?」」

見事にハモった俺と霊夢の声が辺り一帯に響き渡った。

 

 

 

第四話に続く。

 

 

 

 

 




やり遂げた。二連続投稿。大変だった。青柳龍です。
どうだったでしょうか。今回の相手が霊夢と魔理沙だったので、戦闘は程々にしました。(本気で戦ったら大変な事になる)
今回、出演したのは霊夢、魔理沙、そして紫さんでしたが他の東方キャラもバンバン出して行きたいと思います。お楽しみに!
ではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 幻想案内

どうも、青柳龍です。やっと4話目です。この週末で2話、3話作る予定です。(これを含めて)まぁ、頑張ります。
それでは、第四話始まり始まり。


「…」

気まずい。とても気まずい。目の前にある夕ご飯が原因でもない。なら、この気まずさの理由はただ一つ。

「何?食わないの?」

「あ、食います」

目の前に座っている霊夢のせいだ。詳しくは霊夢が放つ不機嫌のオーラのせいだ。

(何でこうなったんだっけ?)

俺は、数時間前の事を振り返った。

 

 

数時間前、紫に言われた事に俺と霊夢は反対していた。

「紫!あんた、何言ってるの!何で私がこいつを私の神社に泊まらせなきゃ行けないのよ!」

「確かに俺は無一文だけど、流石に…」

「二人とも、文句を言わないの」

紫はそう言うが、文句の一つや二つそりゃ出る。確かに泊まる所があるのは助かる。しかし、まだ出会って数分しかも霊夢は一人暮らし。流石に女子一人だけ住んでいる所に泊まる訳には行かない。そう考えていると、霊夢が必死に反対意見を言っていた。

「泊まる所なら、こいつの父親が泊まっていた所に泊まらせればいいじゃない」

「無理ね」

「何でよ?」

「だって、泊まらせいたのは私の所だったから」

「えっ!?紫の所に泊まらせていたの?」

「そうよ。霊夢はいいの?私が住んでいるスキマに泊まらせて。あそこに泊まるにはそれなりの覚悟や力が必要だけど」

「う…」

「それに、源弥を泊まらせたのは博麗神社に子供の貴方が居たから泊まらせら無かったの」

「…」

霊夢はすっかり黙ってしまった。結局、俺は博麗神社に居候する事になった。そして、現在に至る。

俺は、霊夢が作った料理を一口食べた。

「あ、美味しい」

こんなにも美味しいものを食べたのは久しぶりだ。

「なら、良かったわ。口に合って」

霊夢はそう言って自分を食べ始めた。俺は気まずさをすっかり忘れ、もりもり食べていると霊夢が話し掛けてきた。

「あんた、幻想日記?てゆうのを作るのよね」

「え、まぁ、そうだけと。でも、日記みたいな物だから簡単だけど。それが何?」

「なら、幻想郷に住んでいる人達に会いに行かないと行けないわよね」

「そうなんだ」

そう、幻想日記を作るには幻想郷に住む人、妖怪、妖精達に会わないと行けない。しかし、どうゆう風に会うべきか分からなかった。

「なら、私が案内してあげない事は無いわ」

「本当か?それはありがたい」

「なら、明日から行くわよ。いい?」

「分かった。よろしくお願いします」

こうして俺は、明日に幻想郷を回る事になった。

翌日、俺は霊夢に叩き起こされた。

「何も、叩き起こさなくても…」

「何度も呼び掛けても起きないからでしょ。それに、あんたは空を飛べないから幻想郷を回るには一日もかかるの。だから、なるべく早くここを出発しないと行けないの。分かった?」

「分かりましたから怒らないでくれませんでしょうか?」

俺は用意されていた朝食を食べると、霊夢につられて神社を出た。それからとゆうもの、俺は霊夢と一緒に幻想郷の色々な所に行った。吸血鬼の姉妹、スカーレット姉妹のいる紅魔館。悟り妖怪である古明地さとりとこいし姉妹のいる地霊殿。なよ竹のかぐや姫のいる永遠邸。毘沙門天の部下などがいる命蓮寺。もう一人の巫女がいる守矢神社。妖怪達の住む妖怪の山など、幻想日記には書かれていなかった場所も含め霊夢と回った。もちろん、人々の住む人里も回った。全部を回る頃にはすっかり日は暮れ、俺は疲れきっていた。

「あー疲れた。もう歩きたくない…」

「なら、空を飛べるような術を使う事ね」

「そんな術があったらとっくに使ってるよ」

「それも、そうね」

俺と霊夢は話しながら博麗神社への帰路に着いていた。

「ねぇ。聞いてもいい?」

「ん?」

「何で、あんたはここに来たの?」

「それは、幻想日記を作るためって…」

「それは分かってる。でも、あんたが住んでいた世界でのあんたに関する記憶、記録が少しずつ無くなるんでしょ」

「何でそれを」

「紫に聞いた」

なるほど。

「うーん。何でだろうな。まぁ、確かにそれを聞いた時は大変な事だと思った。でも、大学には慣れなかったし、友達も少なかったからかな」

「大丈夫なの?友達が少なくても」

「あぁ、大丈夫だよ。それに、子供の頃から陰陽師の修行をしてたから慣れたしな」

「ふーん。可哀想ね」

「え?」

俺は聞き直そうとしたが霊夢は何も答えなかった。俺は首を傾げたが気にしなかった。あと、もう少しで博麗神社だ。

 

 

 

第五話に続く




今回は、前回より少ない文字数になりました。次回はどうするかまだ考えていません。お楽しみに!
では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 妖怪黒尾

どうも、青柳龍です。遂に、五話目!頑張っていきます!この話からやっと魅惑異変の本編に入っていきます。どんな展開になって行くのかお楽しみに。
でもまずは本編一話目始まり始まり。




「…」

一匹の妖怪が暗闇から幻想郷を見ていた。その妖怪は、ふっと笑うと再び暗闇の中に身を投じた。

一言呟いて…

「さぁ、行こう。僕の幻想郷へ…」

 

 

 

俺が幻想郷に来てから約半年が経った。だいぶ幻想少女達とも気軽に話せるようになり、幻想郷に住む人々や妖怪、妖精達とも接する事が多くなった。まぁ、相変わらず霊夢とは距離があるが。そんな俺が今いるのは香霖堂という店で、森近霖之助が店主をする古道具屋だ。霖之助とは今では男同士の話し相手として仲良くなっている。

「なぁ、霖之助」

「ん、なんだい?」

「これって、どこから来たんだ?」

俺は、売り物棚にあるノートパソコンを指差した。

「あぁ、あれは拾って来たものだよ」

「じゃあ、あのゲーム機は?」

「あれも拾って来たものだよ」

「じゃああのテレビは」

「それも拾って来たものだよ」

「じゃあ、あの凄い力を感じるあの剣は」

「あれは、魔理沙が持って来た鉄くずの中にあった剣だよ」

「何でもあるな幻想郷!」

外の世界の物あり過ぎじゃないか?それに、あの剣って有名な草薙の剣じゃないのか?俺が唖然としている中で、霖之助は、お茶をすすっていた。

「ところで、晴竜」

「え、あ、何だ?」

「そろそろ、時間なんじゃないかい?」

「え…、うわっ!?本当だ!まずい!」

香霖堂にある時計を見るともう三時になろうとしていた。俺は霊夢に香霖堂からの帰りに人里で夕飯の材料を買って来るようにと頼まれていた。

「くっそ!遅れたら霊夢になんて言われるか…」

「大変だね。ここから人里までまぁまぁ距離があるから尚更大変だね」

「はぁー。それを聞くとさらに気が遠くなる」

俺は直ぐに霖之助にじゃあと言うと香霖堂を飛び出した。

三十分後、息も絶え絶えで人里に着いた。

「はぁはぁ…やっと、着いた…」

俺は息を整えると霊夢に教わった八百屋に向かった。

八百屋に着くと、霊夢から預かった銭の入った巾着を取り出した。

「おう。いらっしゃい」

八百屋の店主が出てきた。

「どうも。あの、このきゃべつと玉ねぎと人参を。あ、あとこの大根も下さい」

「はいよ。あ、そう言えば今日はどうしたんだい?いつもなら、あの巫女さんが来るのに?」

「霊夢なら、博麗神社に居ますよ。俺が出掛けるって言ったら買い物を頼まれちゃって」

「なるほどね。ま、あの博麗の巫女だから簡単には断われないだろうね」

「ハハ…」

確かに、霊夢を怒らせたらとんでもない事になりそうだ。なにせ、相手は幻想郷最強だ。

「はいよ。きゃべつと玉ねぎ、人参、あと大根ね。あ、それとサービスできゅうりを付けとくよ」

「おー!ありがとう。おじさん」

「そこは、お兄さんでしょー」

「あ、そうか」

俺と八百屋のおじさんが笑っていると右の方から女性達の黄色い声が上がった。

「ん、何だ?」

俺が不思議に思っていると八百屋のおじさんは知らないのかと説明してくれた。

「実はな、ここ最近見掛けない男が現れるようでな。その男がそれはそれは超が付くほどの美男子で、一目合えばたちまちメロメロになるんだそうだ。まぁ、俺に比べりゃ、まだまだ青二才だかな」

「へぇー。見掛けない男か…」

「おい、そこまで綺麗に無視しなくてもいいじゃあないか」

俺は完全に八百屋のおじさんの言葉を無視し、お金を払うと女性達の声がした方に走った。超が付くほどの美男子を一目見てみたいと思った。だが、それだけでは無かった。陰陽師の勘が働いたのだ。しかも、その美男子が悪しき者だという勘が。俺が声のした所に着くと凄い数の人だかりが出来ていた。ちらほらと、興味本位でやって来た男性達はいるがほとんどは女性達で埋め尽くされていた。

「キャー。こっち見てー」

「黒尾様ー!」

美男子の名は黒尾と言うらしい。俺は人垣を掻き分け、最前へと出た。すると、そこに居たのは俺でもこの世の人とは思えないと感じる程の美しさを持った男がいた。

「あいつが黒尾…ん?」

俺は黒尾の姿を見ていて気付いた。

(あいつ、人間じゃない。妖怪だ)

黒尾から微かに妖力を感じたのだ。しかし、気付いたのは俺だけらしい。それもそうだろう、感じた妖力は本当に極僅か、俺でさえ、ギリギリ感じれた程だ。俺は思案にふけっていると、強い目線を感じ顔を上げた。すると、いつの間にか黒尾が俺の事を見つめていた。その顔は微笑んでいるのに俺は凄まじい悪寒と殺気を感じた。俺の体は悪寒で震えだした。俺は、咄嗟に刀印を結び身構えたが周りの人達がなんだなんだと騒ぎ始めたため、俺は慌てて、元の位置に戻ったが、黒尾はそのまま立ち去ってしまった。黒尾について行く人だかり。俺は置いて行かれ、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。結局、この日は黒尾に再び会う事は無く霊夢に帰りが遅いと怒られるハメになった。黒尾、幻想郷の会ってきた妖怪達とは違う黒く異質な妖力を持った妖怪。俺はこれから起こりゆる異変に、この時は知るよしは無かった___。

 

 

第六話に続く。

 




うわっ!我ながら気になる展開で終わった!これから晴竜はどうするのかそし黒尾は何を企んでいるのか?気になる第六話は明日に書く予定ですのでお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 黒尾の謎

暑い日が続くようになった今週、うん。だるかった。どうも青柳龍です。
第六話目に入りました。我ながらよく続いているなと思います。これを読んで下さる皆さんには感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。どうぞ、これからもよろしくお願いします。
それでは、第六話始まり始まり。


「うーん。やっぱり分からないな」

俺は、目の前に置いている六壬式盤を睨んでいた。昨日の夕方に出会ったあの黒尾という謎の美男子。(本当は妖怪)その黒尾の事を調べるため俺はまず、占術で調べようとした。しかし、黒尾の情報があまりにも少ないため占っても結果は悪しき妖怪としか出なかった。

俺はこれからどうしようかと考えていると、突然部屋の戸が開いた。

「うおっ!?何だ、霊夢か」

「何が霊夢か、よ。馬鹿じゃないの。それよりもいつまで部屋にこもっているつもりなの?居候なんだから神社の手伝いしてくれない?」

「はいはい。分かりました」

「…昼ご飯抜くわよ」

「ごめんなさい直ぐにやりますからそれだけはご勘弁を」

「分かればよろしい」

俺は部屋から出て外に出ると霊夢が持ってきた箒で境内の掃除を始めた。しかし、掃除していてもやっぱり頭に浮かぶのは黒尾の事だった。微かに感じた強い妖力。あんな強い妖力を持った妖怪が姿を見せれば博麗の巫女や他の妖怪達の誰かしら気付くはずだ。それなのになぜ今まで知られて無かったのか?もし姿を見せて無かったのならなぜ姿を見せなかったのか?俺はやっぱり分からなかった。俺はふと、神社の縁側を拭き掃除していた霊夢に声をかけた。

「なぁ、霊夢」

「ん、何?」

「霊夢はここ最近噂になってる黒尾の事知ってるか?」

「えぇ。知ってるわよ。それが何?」

「霊夢はどう思う黒尾の事?」

「まったくもって興味無いわ」

「そ、そうか」

「ただ…」

「ただ?」

「もし、興味があってもあいつの事は好きになる事は無いわ。まぁ、魔理沙達辺りは分からないけど」

「さいですか…」

霊夢の言葉に苦笑いしてるとおーいと叫びながら飛んでくる人影が見えた。間違いない、魔理沙だ。

「よう。晴竜、霊夢」

「よう」

「あら、魔理沙じゃない。どうしたの?」

「実は、ある噂を聞いてな。それを霊夢達に教えようと思ったんだぜ」

「ある噂って?」

俺が聞くと魔理沙は慧音先生から聞いたんだけど、と前置きを言って話した。

「あの黒尾の事何だけどあいつ遂に周りにいるファンの女の子達を持ち帰りするようになったんだ」

「へぇー、そうなの。男って本当手を出すの早いわね」

「俺の方を見るなよ」

「まぁまぁ。それでお持ち帰りされた女の子がなんか変らしいんだ」

「変?」

霊夢が言うと魔理沙が頷いた。

「帰って来た時ちゃんと返事もするし、おかしな事もされなかったらしいし、ただ、お茶を一緒にしただけみたいだけど何か心ここに在らずみたいなんだ」

「へぇー。例えば?」

「例えば時々その場に立ちすくんだり、ぼぅーとして人にぶつかったり…」

「よっぽど楽しかったんでしょうね」

「なぜそこで俺を見る?」

「それで、その女の子のお母さんが声を掛けるだけどまったく聞こえてないようで、何度声を掛けようが体を揺すろうが全然反応がないんだ」

「え、それって大丈夫だったのか?」

「あぁ、時間が経てば元に戻るらしんだがその子のお母さんがその時のその子の様子をこう言ったらしいんだ…」

「溜めなくていいから。なんて言ったの?」

「あの子はまるで表情のない人形の様だったって」

「「人形…」」

俺と霊夢は同時にそう呟いた。魔理沙はどうた?と俺らの顔を見た。

「確かに気になるわね。その黒尾ってのは一帯何者なのかしら」

「そうだな。一見、ただの人のように思うんだけど」

「いや、違う。あいつは妖怪だ。間違いない」

「え、そっかそう言えば、あんた昨日黒尾に会ったんだったわね。それで、何でそう言い切れるの?」

俺は霊夢と魔理沙に昨日、黒尾に会った時に感じた事を話した。

「なるほどね。だから、部屋にこもって占いをしていたわけね」

「そうだ」

「ただ、サボりたかっただけだと思ったけど」

「だから、申し訳ないと思ってるよ」

「どうだか。まぁ、いいわ。とにかく今は黒尾の事よ。占いの結果は出たの?」

「出たには出たんだが…」

「何だ?何か問題何かあるのか?」

「いや、問題はないんだか結果が悪しき存在って分かるぐらいで他はすっかり…」

「何だ、陰陽師の占いってあまり使えないわね」

「なんだと!占いのせいじゃない。あまりにも、黒尾に関する情報が少なすぎるんだ!」

「まぁまぁ。落ち着けって。ここで喧嘩したって意味が無いぜ」

「そうね。なら、まずは黒尾に関する情報を集めようじゃない。それでいい晴竜?魔理沙?」

「あぁ、分かった」

「おう。それでいいぜ」

「なら、ささっと掃除を終わして行動に移しましょう」

こうして俺、霊夢、魔理沙の三人は黒尾の情報を集めるため行動を開始した。

 

 

 

第七話に続く。

 

 

 




第六話完成しました。どうだったでしょうか。次の話から霊夢、魔理沙以外の幻想少女達も話すはずなのでご期待下さい。
それでは、まだ次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 幻想少女に迫る危機

さて、今週も書いて行きたいと思います。青柳龍です。
この話でこの章の最終話の一つ前になります。最終話まで読んで下さると嬉しいです。
それでは第七話始まり始まり。


俺は、歩いていた。元の世界に戻るために。何かも忘れよう。この幻想郷の事を。(もう知らない。何で…何で誰も信じてくれないんだ!俺が外から来てまだ一年ぐらいしか経ってないからか?ふざけるな!)俺は道端にあった石をやけくそで蹴飛ばした。こうなったのは先週の出来事からだった____

 

 

 

俺は霊夢、魔理沙と共に黒尾について調べていた。しかし全く情報が集まらず被害が増えていく一方だった。俺、霊夢、魔理沙は焦っていた。

「ダメだ。色んな占術を使ってもこれだというのが無い」

「こっちもダメね。黒尾の正体を掴もうと尾行しても、撒かれてしまうわ」

「こっちもだめだぜ。色んな奴に話を聞いても分からないだってさ」

三人共同時にため息を付いた。黒尾の調査を始めてからもう半年も経つ。その間俺達は何もする事は出来なかった。

「もう今日も暗くなって来たし、私は帰るぜ。じゃまた明日な」

「ああ、またな」

「えぇ、じゃあね。魔理沙」

魔理沙はおうと言うと箒にまたがると飛んでいった。

その翌日の事だった。俺は香霖堂に向かう途中で魔理沙と出会った。

「お、魔理沙じゃないか」

「…」

「ん、魔理沙?」

「…」

「魔理沙?」

「…」

「魔理沙!」

「え、あ、晴竜。どうしたんだ?」

「どうしたんだ、じゃない。こっちのセリフだ。お前こそぼーっとして、何かあったのか?」

「え、いやー…」

魔理沙はばつの悪そうな顔をした。まさか。

「まさか魔理沙、黒尾に会ったんじゃないんだよな」

「それが…。会っちまった」

「はぁ!?どうゆう事だ。説明してくれ」

俺が問い詰めると魔理沙は説明し始めた。

「私が家に帰る途中で一人歩く男がいたんだ。私は気になって降りて見ると黒尾だったんだ。それで黒尾がちょっと付き合ってくれないか?と言われてな」

「まさか。ついて行ったのか?」

「だって、少しでも情報を必要だと思ったんだぜ。それで、ついて行ったら一軒屋があってそこで、お茶を飲んでいたらとても美味しくて、しかも黒尾って話が上手くてついつい楽しんじまった」

「お前な…。それで、情報は掴めたのか?」

「それが、重要な所はなぜか霧がかかった感じで思い出せないんだ。ただな…」

「何?」

「黒尾。私達の知り合いまでお茶をしたって言うんだ」

「何だって!」

しまった。まさか、あの半年で俺らの知り合いまで被害が出ていたと。

「例えば誰なんだ」

「例えば、紅魔館の連中だろ、地霊殿の連中に命蓮寺だったかな。あと、守矢の連中も上がってたな」

それって、ほとんど知ってる奴らじゃないか。その時だった。

「ダメじゃないか。それも秘密だって言ったはずだけど?」

そこに現れたのはあの黒尾だった。

「なっ!?黒尾!」

「あれ、そうだったけ?」

俺は驚いたが、魔理沙はそんなに驚いた様子は無く頭を傾げていた。

「そうだよ魔理沙。まったく、口が軽いな」

「ハハ、ごめんだぜ。」

「しょうがないな。なら、お仕置きだ」

と言うと、黒尾は魔理沙に近づくと魔理沙の目を手で覆った。すると___

「う、うーん。あ、あれ?晴竜、何でここにいるんだ?って、黒尾もいるじゃないか。どうしたんだぜ?」

「な!?」

魔理沙はまるで今まで俺らが居なかったかのように言った。

俺は直ぐに、魔理沙を背後に庇うと刀印を結んだ。

「てめぇ!魔理沙に何しやがった!」

「何もしてないよ。ねぇ、魔理沙?」

すると、魔理沙は素直に頷いた。

「何言ってるんだ晴竜。私は何もされてないぜ」

「これでも、僕が何かしたと?」

「くっ」

俺は仕方がなく刀印を解いた。

「お前。こんな風に他の子達もやったのか」

「え、何を言っているのか分からないのだが」

「ちぃ」

俺は舌打ちした。ダメだ。この状況じゃ、あいつを問い詰められない。結局、黒尾に何もすること無く立ち去った。だが、立ち去る時に黒尾は耳打ちしてきた。

「何をしようが無駄だよ。僕の前ではね」

「…」

その時の俺は黙って拳を握り締めるしか無かった…。

その日から俺は幻想少女達を始めとした少女達にもう黒尾に近付かないように注意を呼びかけたが。

「そんなはずが無いじゃない。何を言っているの?」とレミリア達に言われ

「黒尾様がそんな酷い事するはず無いわ」とさとり達に怒られ

「アナタ、嫉妬してるのね。醜いわ」とアリスや聖白蓮達に呆れられた。

(もうこれは霊夢に頼むしかない!)

俺は直ぐに博麗神社に戻った。が。

「晴竜。いい加減にしなさい」

「は?」

戻ってきてそうそう霊夢に怒られた。

「何を言ってるんだ?俺はいい加減な事なんてやってないぞ」

「紅魔館や地霊殿、命蓮寺あと、守矢神社からクレームが来てるわ。黒尾様を悪者扱いしないでって」

「何だと!ふざけるな!悪者扱いするなだって!本当の黒尾は悪者だって言うのに?くだらない」

「くだらなくても、こっちはクレーム対応で大変なの。全く来なかった人里の奴らまでクレームを言いに来るんだから」

「だから何か?黒尾の事を調べるのを辞めろって言うのか?」

「そうよ」

「霊夢いいのか?このままアイツをほっといて!このままだと幻想郷の少女達がアイツに記憶を消されちまう」

「それが何?」

「え?」

「黒尾との一部の記憶が無くなって生活に支障をきたすの?」

「そ、それは…」

「生活や人間関係など、これからの事で大変になるのなら私も動くわ。でもね、黒尾が人や妖怪を連れ去るやらケガをさせたならまだしも、お茶しただけという事なら私は退治することは出来ないわ」

「…」

「もしも、それでもやるなら私はあんたを止めないと行けない。そう吸血鬼や悟り妖怪達に言われてるからね」

俺は現実に打ちのめされていた。ここ一年で俺は少しでも幻想少女達との信頼を得て、距離を近付けたと思った。しかし、それはただの俺の思い過ごしだったみたいだ。

「…分かったよ」

「そう。ならいいわ」

「俺、幻想郷を出る」

「は?何を言ってるの?」

「…」

俺は自分の部屋に戻り、さっと荷物を纏めると部屋を出た。霊夢は、俺を呼び止めようとしているようだか俺の耳には入ってこなかった。俺はとにかく出て行きたかった。理由は霊夢達に怒っても、黒尾を恨んでもじゃあない。ただ、自分の思い過ごしという醜ささを知られたく無かったからだ。そして、今。俺は歩いている。元の世界に戻るために。

「はぁ。やっと着いた」

着いたのは幻想入りして俺が倒れていた場所だ。

「さて、えーと、門を出現させる為の呪文は…」

俺は一年前の事を思い出しながら唱えた。

『ここに世界を繋ぎし、道を閉ざす門よ。今、姿を現し、我を誘え!』

すると案の定、門が出現した。俺は門を開くとくぐるために一歩踏み出した。

 

 

 

 

第八話に続く。

 

 

 

 




第七話完成しました。久しぶりの二千文字越え疲れました。さて、いよいよ次回魅惑異変の章最終話を迎えます。さて、晴竜は元の世界に戻ってしまうのか?黒尾の目的とは?そして、幻想郷の運命は?
それでは、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 黒尾との決着

続きが書きたい。だから、予定してなかった今日に書きます。青柳龍です。
遂に、魅惑異変の章の最終話です。さて、晴竜達はどうするのか?楽しんで読んで下さるとありがたいです。なお、この話では戦闘シーンが主になってきます。なるべく分かるように書きますのでよろしくお願いします。
それでは、最終話始まり始まり。


晴竜が元の世界に戻るために門を出現させた同時刻。博麗神社では霊夢がうーんと考え込んでいた。

「さて、どうしましょうか?晴竜を追いかけるか、もしくはこのまま元の世界に戻ってもらうか。私はどっちでもいいんだけど…」と自分に言い聞かせるように言った。本当は晴竜の事を追いかけようとしたが、ああ言ってしまった事でなんて引き止めればいいか分からないのだ。

「あぁ!もう!何であいつの事でこんなに悩まないと行けないの!どうしたの私。何なのこのモヤモヤってした感じは」

その時だった。

「それは恋ではないのかな?」

そう言って現れたのは黒尾だった。

「あら、黒尾じゃない。何か用…」

そこで霊夢は気づいた。黒尾の後ろに魔理沙を始めとした幻想少女達が居たのだ。

「あ、みんなも来ていたの?」

霊夢はそう声をかけるが誰一人も返事をしなかった。

それを見た黒尾はふふと笑った。

「聞こえていないみたいだよ。博麗の巫女」

「…あんた、みんなに何をしたの」

「なーに。ちょっと協力してもらうために術をかけてもらったのさ」

「術ですって?」

「そうさ。今のこの少女達は僕の言う事を何でもしてくれる。例えばこんな事を…」

そう言って黒尾は霊夢に指を指した。

「さぁ、お前達。博麗の巫女を捕えろ」

「…はい」

「なっ!?」

黒尾が指示すると霊夢に向かって二人の少女が飛び出し霊夢の両腕をしっかりと捕まえた。

「何をするの!魔理沙!アリス!」

霊夢の言葉に魔理沙とアリスは返事をする事は無くむしろ、捕まえる腕をさらに力を込めた。

「言っただろ。無駄だって」

「あんた。これって催眠術でしょう?なら、あんたさえ倒せば催眠術を解く事が出来るわ。観念なさい!」

「ふん。それは無理だね。この催眠術は私にしか解けない。そして、僕が倒されても僕が解くための呪文を唱えなければ催眠術は一生解けない」

「何ですって!」

「ふふ、これが僕のとっておきの催眠術だよ」

「あんた。妖怪でしょ。本当の姿を見せなさい!」

「そうだね。いずれ見せようと思っていたしね」

黒尾は指を鳴らした。すると一瞬にして黒尾は人間から狐の尻尾をした人の姿になった。

「これが、僕の本当の姿さ」

「なるほどね。あんた、妖狐だった訳ね」

「ご名答。あと、僕の黒尾っていう名はこの尻尾から来ているんだ。どう、かっこいいだろ?」

黒尾は自慢げに黒い尻尾を揺らした。霊夢はふんと鼻を鳴らし、睨め付けた。

「ふざけないで。あんたの目的は何?何でこんな事をするの?」

「話してもどうせ無駄だと思うけど、まぁいっか、教えて上げるよ。僕の目的は、この幻想郷を僕の物にする事。そして、ここにいる幻想少女達を僕の愛人にするさ」

「はぁ!?」

「もちろん、博麗の巫女、貴方もだ」

「嫌よ!絶対嫌!誰が、あんたの愛人に何かなるものですか!」

「なら、妻でもいいよ?」

「そうゆう意味じゃない!」

「へぇー。何故、そこまで拒否するのかな?まさか、あの陰陽師の事を…」

「ち、違うわ!私は博麗の巫女よ!この幻想郷を守るために居るの!それにあんたには興味は無いからよ!勘違いしないで!」

「ま、僕には関係のない事だけどね。最終的には貴方も催眠術に掛かって貰うのだから」

「くっ!やめて!離して!魔理沙、アリス!」

「ふふふ」

徐々に霊夢に近づく黒尾。霊夢は必死にもがくが魔理沙とアリスは離してくれない。そして、黒尾が霊夢の目の前に立った時、霊夢は目を瞑り諦めかけた。その時だった。

『…オン!』

「ぐわっ!」

聞きなれた声と共に黒尾のうめき声が聞こえ霊夢は目を開けた。そこに居たのは___

「晴竜…!」

「全く、忘れ物をしたから取りに来てみればまさかこんな事になっていたとは」

晴竜は鳥居の所で刀印を結び立っていた。

 

 

 

幻想日記を博麗神社に忘れた俺は直ぐに博麗神社へと走っていた。本当なら戻りたくは無かったが忘れた幻想日記は総司おじさんからの借り物なので置いていく訳にも行かなかった。

「はぁー。戻りずらいなー」

俺はそう呟きながら博麗神社の階段まで来た。その時だった。

「嫌よ!絶対嫌!誰が、あんたの愛人に何かなるものですか!」

と霊夢の叫び声が聞こえた。その後に。

「なら、妻でもいいよ?」

と言う黒尾の声が聞こえて来た。

(まさか、黒尾が居るのか!)

俺は、急いで階段をかけ登った。その間にも霊夢と黒尾の会話が聞こえてくる。所々、聞こえなかった所はあるが、霊夢に何かしようとする事は分かった。俺は刀印を結び、階段を登り切った。そこに居たのは、幻想少女達と黒尾、そして、魔理沙とアリスに腕を捕まえられている霊夢の姿だった。俺は直ぐに真言を唱えた。

『…オン!』

吹き飛ばされる黒尾。霊夢が俺が居るのに驚いた様子で見ていた。俺は忘れ物をしただけと言って少女達と黒尾の方を向いた。黒い狐のような尻尾。そして、感じて来る妖力。なるほど、妖狐か。

「貴様ぁぁ!」

黒尾は跳ね起きると俺に怒号を飛ばした。

「よくも、邪魔してくれたな。後もう少しだったというのに」

「ふん。それは残念だったな。だが、もうお前は終わりだ。どうやって魔理沙達をこうしたか分からないが。とにかく、お前を調伏してやる。行くぞ!」

「それは無駄だ。お前達!こいつを捕まえろ!」

黒尾がそう言うといつの間にか俺を囲んでいた幻想少女達が一斉に飛びかかってきた。俺は空中に六芒星を描くと呪文を唱えた。

『六芒捕縛。急急如律令!』

すると、幻想少女達の背後に六芒星が現れると幻想少女達は動かなくなった。いや、動けなくなった。

「馬鹿な!?幻想少女達がいとも簡単に抑えられるとは…」

黒尾の驚きに、俺は笑った。

「確かに、普段の幻想少女なら、こんな縛魔術、簡単に破壊されてしまうが今はただのお前が操る人形だ。人形に破壊出来る訳ないだろ」

「くっ!なら!」と言って黒尾が臨戦態勢を取った。

「そう来なくちゃな。行くぞ!」

俺と黒尾は同時に地を蹴った。

「しゃぁぁぁ!」

黒尾が手の爪を立て飛びかかろうとしたのを俺は横に飛び退けると真言を唱えた。

『オン、ハビラウケン、シャラクタン!』

俺は刀印を振り下ろすと霊力の刃ができ黒尾に向かって飛んでいった。

「ふっ!」

黒尾は体をくねらせながらそれを避けた。俺は続けて霊力の刃を放つが、黒尾は紙一重で避けてしまった。

(くそっ!何で当たらない!)

その時だった。霊夢が叫んだ。

「黒尾を調伏しちゃダメ!魔理沙達が元に戻らなくなる!」

「何だって!」

俺は慌てて霊力の刃を放つのを辞め黒尾と距離を置いた。黒尾はそれを見て笑った。

「ハハハ!お前はもう何も出来ない。諦めるんだな」

「…それはどうかな」

「何?」

俺はふどころから龍の形に切られた霊符を取り出すと霊符を空へと飛ばした。

「この一年間ただお前を調べていたと思うなよ」

「何?」

黒尾が怪しむようにしているのを横目に、俺は呪文を唱えた。

『力と神の化身である者よ。今、姿を現し力を貸したまえ!輝龍!』

すると、霊符がみるみる、本当の龍となって咆哮をあげた。

『グオォォォォー!』

「な、何!?」

「俺がこの一年で作りあげた式神、輝龍だ」

「だが、それでどうするんだ」

「俺の使う陰陽術ではお前を調伏してしまう。なら、ここ幻想郷のルールに従えばいい」

俺はそう言うと息を吸い込み言った。

「龍符!」

「龍符って…、まさか!」

霊夢が驚愕している。俺は気にせず叫んだ。この一年で作りあげた式神とそして、最初の、スペルカードを。

「龍符!龍神の咆哮!」

そう叫んだ瞬間。輝龍が凄まじい力の衝撃波を黒尾に向かって放った。

「う、うわぁぁぁ!」

黒尾は博麗神社にある大木に飛ばされ叩き付けられた。

「うぐっ」

俺は黒尾に近づくと胸ぐらを掴んだ。

「さぁ、さっさと魔理沙達を元に戻せ!さもないと…」

俺は目線を隣で漂う輝龍に向けた。輝龍は黒尾を威嚇するかのように唸った。

『グルァァァー』

「ひぃ、ごめんなさい。ごめんなさい」

そう怯える黒尾は直ぐに魔理沙達の催眠術を解いた。

「あ、あれ、私って何してたんだぜ?」

「うぅ、頭が痛いわ。それより、何で私は霊夢の腕を掴んでるの?」

「よかった!」

霊夢は魔理沙とアリスに抱きついた。

「うぉっ。なんだぜ突然。」

「そうよ。霊夢。アナタらしくないわよ」

そう言いながらも霊夢の頭を優しく撫でる二人。俺はホッと一息着いた。

「よし。後はお前を調伏するだけって、いない!?」

すると、鳥居の所に居る黒尾の姿を見つけた。

「あっ、てめぇ!逃げるつもりか!」

「くっ!今回は僕の負けだ。しかし、絶対に僕は幻想郷を自分の物にしてやる!」

そう言い放つとそそくさっと逃げていった。

それに気付いた霊夢が待てと追いかけようとした所を俺は引き止めた。

「何で追いかけないの?」

「お前を尾行から巻く奴だ。どうせ追いかけても巻かれるのが目に見えてる」

「でも…」

「それに、まずはここに居る幻想少女達に事情を話さないといけないしな」

「…それもそうね」

俺と霊夢は幻想少女達に事情を話すため、幻想少女達の元へ向かった__

それからというもの、黒尾は完全に幻想郷から姿を消した。もしかしたら隠れているだけかもしれないが、当分の間は姿を見せないだろう。それと、数日後に霊夢、魔理沙を始めとした幻想少女達が謝りに来た。俺が正しかったのに酷い事を言った事についてだったが俺は大丈夫だ。と言って許した。その代わり、これからここで暮らすために必要な家を作って欲しい事、そして俺を外の世界から来た人ではなく幻想郷の仲間として迎えて欲しい。この二つを条件にすると、幻想少女達は快く受けてくれた。そして、それからまた数日後の博麗神社。俺は霊夢と並んで縁側に座っていた。

「そう言えば晴竜?」

「ん、何だ?」

「あんた、元の世界に帰らなくても良かったの?もう一年経ったけど」

「あぁ、それがあの時呼び出した後忘れ物に気付て戻ったって言ったろ?」

「うん」

「その後に黒尾と戦っただろ」

「うん」

「そして、また門に戻ったら…消えてた」

「う、ん?消えたってどうゆう事?」

「恐らく、門って一時的なもので時間が経てば理由はともあれ消えてしまうらしい」

「じゃあ、元の世界には…」

「また一年待たないと戻れん」

「ふーん。そうなの…」

「うん?何でうっすら笑顔になってんだ?」

「え!?き、気のせいよ。気のせい」

「そうか?ま、いいけどよ」

「そうよ。それより、夕ご飯にしましょう」

「そうだな。今日の夕ご飯何?」

「そうねぇ…。何がいいかしら?」

俺は霊夢の料理の手伝いをするためワイワイ話しながら、夕飯の準備をするため、台所へと向かった。

 

 

 

魅惑異変の章 〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと終わった。最終話疲れた。思ったより戦闘シーン短っ!色々と最初に言った事は違いましたが一応魅惑異変の章は終わりです。次回は番外編を書き、その後に次の章を書きたいと思います。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 博麗霊夢のとある1日

いやー、暑い日が未だに続きます。あぁ、アイス食べたい。青柳龍です。
さて、今回は番外編という訳で、語り手は晴竜ではなく霊夢となります。博麗の巫女である霊夢はどんな日々を送っているのか?詳しく書いて行きたいと思います。なお、時期は魅惑異変の1ヶ月後となります。
それでは番外編始まり始まり。


日が上り、明るくなった時、私は目が覚め体を起こすと、大きく背伸びをした。さて、また今日が始まる。私はサッと布団を畳むと井戸に向かった。

井戸で顔と歯を洗うと今度は晴竜の部屋に向かった。

「晴竜おきてるー?」

返事は無い。まぁ、分かっていたけれど。私は部屋の戸を開けると、予想どうりまだ寝ていた。前まではちゃんと起きていたけど、ここ最近は遅くまで幻想日記を書くなどしていて起きるのが遅い。だから、毎日私が起こしている。でも、流石に疲れた私はため息をつくと、隣で体を丸める小さな龍に話しかけた。

「輝龍も起きて」

『?』

晴竜の式神である輝龍はパッと目を開けると空中に浮いた。

『ガウッ!』

「はい、おはよう」

式神である輝龍は起きるのに、式神の主である晴竜が起きないのはどうゆう事だろう。

「ねぇ、輝龍?」

『ガウ?』

「晴竜を起こしてくれない?」

輝龍は頷くと晴竜の鼻を噛んだ。その瞬間だった。

「………痛ってぇー!」

晴竜が飛び起きた。

「おいこら輝龍!お前俺の鼻を噛んだな!」

『ガウゥゥ』

「当たり前でしょ。輝龍は起きてるのに、何であんたが寝てるのよ」

「それは…」

「いい加減しっかりしなさい。どうせ、もうすぐ家が出来るのだから」

「はいはい」

「…朝ご飯、抜くわよ」

「すいませんごめんなさい許して下さい」

「よろしい。それじゃあ、朝ご飯を用意する間に顔と歯を洗ってらっしゃい。その後に、神社の境内の掃除も」

「はい!」

晴竜は、急いで布団を畳むと部屋を飛び出して行った。私はやれやれと首を振って、台所に向かった。

1時間後、私は朝ご飯を作り境内の掃除をしている晴竜を呼んだ。

「晴竜ー!朝ご飯出来たわよー」

「ほーい」

晴竜は境内から直接居間に上がって来た。そして私と晴竜は食卓を挟んで座ると

「「いただきます」」

声を揃え挨拶をすると食べ始めた。

「うん、やっぱり霊夢の方が上手いや。…ご飯の時だけ来てもいいか?」

「ダメに決まってるでしょ。あんたが決めたんだからちゃんとやりなさいよ」

「…ケチ」

「何か言った?」

「いえ、何もありません」

そう会話しながら朝ご飯を食べていると、晴竜が箸を止めた。

「どうしたの?」

「今日って確か予定があったような…あっ!」

晴竜は思い出したように食卓を叩いて立ち上がった。私は驚いてすすっていたみそ汁をこぼす所だった。

「びっくりしたじゃない。どうしたの?」

「やっべー!霖之助と会う約束をしてたんだ」

「それって何時?」

「えーと、確か八時」

掛け時計を見ると7時50分だった。

「あと、10分しかないわね」

「うわぁ!やばい!」

晴竜は急ぐように座ると朝ご飯を口の中に流し込みじゃあ行ってくると飛び出して行った。私はその後ろ姿を見送ると静かに食後のお茶をすすった。

朝ご飯の片付けが終わり何をしようか考えていると魔理沙が箒に乗って飛んできた。

「よう。霊夢遊びに来たぜ」

「あら、魔理沙いらっしゃい」

「あれ、晴竜はどうしたんだ?」

「霖之助さんの所よ。何か会う約束をしてたみたいよ」

「へぇー。そうなんだ」

魔理沙はそう言いながら靴を脱いて直接居間に入って来た。今更だけど、ちゃんと玄関から入って来て欲しい。

「なら、ちょうど良かったぜ。実は今日は人里に一緒に行こうと思ってたんだけど、どう?行けるか?」

「別に構わないわよ」

「よし。それじゃあ決まりだな」

こうして、私は魔理沙と人里に出掛けた。

魔理沙と人里で楽しく過ごした後、ついでに夕ご飯の買い物も済ませると神社に戻った。するとそこには唸りを上げる晴竜の姿があった。

「グルルルル」

「ど、どうしたの?」

「どうしたも、こうしたもあるか!遅い!こっちは霖之助に古道具拾いに散々連れ回された挙句、帰って来てみれば霊夢はいないし、もう腹が減って動けないし。どうしてくれんだよ」

「それは悪かったわ。そのお詫びに好きなカレーを作ってあげるから」

「えっ!本当か!よっしゃー!」

晴竜は子供のようにはしゃいだ。私は思わずふふと笑った。本当に晴竜はずっと見てても飽きない。晴竜は私が笑ってるのに気付いたのか何だ?と覗き込んできた。私は何か恥ずかしくなって何でもないわと言ってそそくさと台所に向かった。カレーが出来上がり、いただきますの挨拶した瞬間、私は手の動きを止め晴竜を見ていた。よっぽど、お腹が減っていたのか、晴竜がカレーを食べるスピードは尋常じゃなかった。気付けばあっという間に完食してしていた。

「はぁー、食った食った」

「あんた、まるで幽々子見たいね」

「え、嘘だ。それなら俺はもう終わったな」

「なにちゃっかり幽々子をバカにしてるの?」

私と晴竜は話してもいると、晴竜が立ち上がった。

「俺が片付けするから先に風呂入って来いよ」

「え、いいの?」

「あぁ、いいぜ」

「…覗かないわよね」

「覗かねぇよ!」

私は分かってるわと手をヒラヒラさせると晴竜は全くとため息をついた。正直言ってその申し出は嬉しい。実は今日はやけに動いたからか汗で体がベタベタだったからだ。早速お風呂に入ると、徐々に疲れが抜けていくようだった。

「はぁー気持ちいい」

私がゆっくりしていると風呂の窓からガサガサと物音が聞こえた。

「誰!?」

私はそう叫ぶと胸をタオルで隠し、窓を覗いた。

『ニャー』

そこに居たのはただの猫だった。

「なーんだ。猫だったの」

と一息着いた時だった。

「霊夢!大丈夫か?叫び声が聞こえたぞ!」

と晴竜が慌てて風呂場に入って来た。

「え………」

「あ………」

数秒の沈黙の後、私達は同時に叫んだ。

「きゃぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁぁ!」

私は見事な平手打ちを晴竜に食らわせた。

数分後、私は服を着て居間に来ると座った。その時、目の前に居る晴竜は土下座をした。

「先程の事につきましては、本当に申し訳ございませんでした」

「…」

「言い訳になるようですがあれは不可抗力と言う物でして…」

「…」

「本当に意図的に入ってしまった訳じゃないんです。許してください」

「…………見た?」

「へぇっ?」

「私の裸見たって聞いてるの!」

「いえいえ、とんでもございません。全く見ておりません!」

「本当でしょうね?」

「本当です!信じてください」

私が頷ずくと、晴竜はほっと胸を撫で下ろした。

「それじゃあ、今度は俺が入って来るよ」

「そう。なら、私は寝ようかしら。それじゃあおやすみ」

「おやすみ」

私は晴竜に言うと居間を出て襖を閉じた。その瞬間に自分の頬が熱くなっている事に気付いた。

(何で、今までは他の人に裸を見られたって気にしなかったのに何でこんなにも恥ずかしいんだろ。晴竜がこの神社で暮らしてから自分が変だわ)

私はそう考えながら自分の部屋に戻り布団を敷くと直ぐに眠りに着いた。この時の私はまだこの気持ちが何なのか知る事は無かった。

 

 

 

番外編〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやー、思ったより難しかった。ある程度は頭の中で出来上がっていたのですが、それを写すのが大変だった。まぁ、出来たは出来たので良かったです。
次回からは新しい章に入って行きます。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

闇博麗異変の章
第一話 紅魔館へ


やっと第二章、闇博麗異変の章がスタートします。青柳龍です。
今度こそ、霊夢、魔理沙以外の幻想少女も話すばずです。お楽しみに。
それでは、闇博麗異変の章、始まり始まり。


幻想郷の端にある山の開けた場所に一件の家がある。「ふわぁー」

と俺は欠伸をした。

この家は俺、安倍晴竜が住んでいる。何故、家が出来たのかというと、前の魅惑異変で迷惑を掛けたという事で河城にとりが仲間の河童達とこの立派な家を建ててくれたのだ。そして、俺がここを家を建てる場所に選んだのはここが、博麗神社と同様に幻想郷を見渡す事が出来るからだ。

「よし、朝ご飯作りますか」

俺は、早速台所へと向かった。今日の朝ご飯はご飯と焼きシャケ、ポテトサラダに味噌汁といった。普通の朝ご飯だ。俺は朝ご飯が出来ると俺は

「いただきます」

と挨拶して食べ始めた。今日は特に用事がある訳でも無い。ならやっぱり、あそこに行くしか無いな。俺はそう考え、朝ご飯を済ませ、片付けると

「さて、輝龍!行くぞー!」

『ガウ!』

俺は式神である輝龍を呼ぶと輝龍は家から出てきた瞬間、大きな龍となった。通常は、俺ぐらいの体の大きさだが、ここ最近は紅魔館ぐらいの大きさにもなれるようになった。俺が大きくなった輝龍の頭の上に乗ると輝龍は幻想郷の空に飛び出した。輝龍が大きくなった事で俺が頭の上に乗る事が出来るようになった。そのおかげで俺も霊夢、魔理沙と同じく、空を飛べるようになった。まぁ…

「う、うわぁ!」

『グワ!』

時々、輝龍から落ちそうになる時があるが。それはさて置き俺が向かっていると、向こうから凄いスピードで飛んでくる物体がこっちに向かって飛んできた。

「な、何だ!」

俺は、身構えるがその物体か何か分かる所まで来ると話しかけて来た。

「あやや、晴竜さんじゃあないですか」

「相変わらず速いな。文」

物体の正体は、幻想少女の一人であり、風を操る程度の能力を持ち、射命丸新聞の記者である射命丸文だ。

「あ、どうも毎度お馴染み射命丸です。はい、これが今日の新聞です」

「お、ありがとう」

「今からお出かけですか?」

「まぁな」

「どちらへ?」

「博麗神社にな。暇だから霊夢達と何か話そうと思って」

「それなら、今さっき博麗神社に寄って来ましたけど、魔理沙さんと咲夜さんと妖夢さんがいましたよ」

咲夜さんとは、紅魔館のメイド長で、時を操る程度の能力を持つ十六夜咲夜で、妖夢さんとは、冥界にある白玉楼の庭師であり、剣術を使う程度の能力の魂魄妖夢の事だ。

「何だ。結構いるな」

「そういえば、霊夢さん達が何か晴竜さんの事で話してましたよ」

「そうなのか?」

「はい。でも詳しくは分かりませんが」

「どっちにしろ、行くから本人達に聞いてみるよ」

「そうですね。では、また」

文は、そう言って、飛んでいった。本当に速いなーと文の後ろ姿を見送ると俺は輝龍に指示して博麗神社へと向かった。数分後、博麗神社へと着き輝龍から降りると輝龍は通常の大きさに戻った。俺と輝龍は博麗神社の家に向かうと文の言う通り魔理沙と咲夜、妖夢がいた。

「よう」

「あら、晴竜じゃない。どうかした?」

霊夢が俺に気付き声を掛けた。他の三人も俺に気付いたようだ。

「いや、特にこれと言ったのは無くてただ、暇だから遊びに来た」

「お、それはちょうど良かったわ。実は今日、紅魔館に行くんだけど晴竜も誘おうって思ってたんだけど、どう?」

「紅魔館に?」

俺が聞くと今度は、咲夜が答えた。

「えぇ。今日、お嬢様と妹様が暇だから誰か呼んで来てと頼まれたの」

「それで、博麗神社に来たと」

「そう」

「なるほど。なら、行くよ。所で、妖夢はどうしてここに?」

「え、私は、晴竜と同じで暇だから」

「幽々子大丈夫なのか?」

「うん。大丈夫…だと思う」

「おいおい」

「まぁ、いいじゃないか晴竜。どうせ、あいつらと遊ぶなら、人数は多い方がいいと思うぜ」

魔理沙がそう言って、横に置いていた帽子を手に取った。

「え、もう行くのか?」

「あいつらを待たせるのはやばいと思うぜ。なぁ、咲夜?」

「そうね。その方がありがたいわ。」

「霊夢と妖夢はいいのか?」

「えぇ。私は大丈夫よ」

「私も」

「じゃあ、いいか。俺もいいぜ」

「よし。じゃあ出発だぜ」

何故かリーダーぶる魔理沙は箒に乗ると後ろに咲夜を乗せた。そうなると、

「なぁ妖夢?輝龍に乗る事になるが大丈夫か?」

「うん、大丈夫。それに、一度龍に乗って見たかったんだー」

そう言って、妖夢は大きくなった輝龍の頭の上に乗った。俺も輝龍に乗ると輝龍は空に浮いた。

こうして、俺は霊夢達と共に紅魔館へと向かった。

 

 

 

 

第二話に続く

 

 

 

 




さて、この章も一話で紅魔館に行くつもりが何だかんだで向かう所までしか書けなかった。次回は必ず紅魔館に行くのでご心配なく。
それでは、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 迫る影

さて、今日も頑張って書いて行くぞ!青柳龍です。
今日は紅魔館での事を書きます。さて、紅魔館組の面子は出てくるのかお楽しみに!
では、第二話始まり始まり。


霧の湖にある紅魔館にやって来た俺たちだが、門の前に来ると案の定、美鈴が立ちながら寝ていた。

「改めて思うけど美鈴ってよく寝てるけど門番って務まるのか?」

俺が聞くと咲夜はため息を着きながら答えた。

「やる時はやるんだけど…全く困ったわね。美鈴!美鈴!」

「ん…ん?あぁ、咲夜さんお帰りなさい」

紅美鈴。紅魔館の門番で気を使う程度の能力を持つ妖怪だ。

「お帰りなさいじゃあないわよ。また寝てたでしょ!」

「すみません。つい…」

「本当にしっかりしてよ。次、寝てたら刺すわよ」

「はい!もう目がパッチリです!大丈夫です!」

「よろしい」

「咲夜って、美鈴の事になると厳しいわよね」

霊夢の言葉に頷く魔理沙と妖夢。俺はへぇーと頷いた。美鈴を叱った咲夜は俺達を連れて紅魔館に入った。俺達は案内された応接室の椅子に座ると咲夜に待っててと言われ待った。数分後、レミリアとフランがやって来た。レミリア・スカーレット。この紅魔館の主にして運命を操る程度の能力を持つ吸血鬼だ。そして、フランこと、フランドール・スカーレット。レミリアの妹でありとあらゆるものを破壊する程度の能力を持っている。

「いらっしゃい。霊夢、魔理沙、妖夢、そして晴竜」

「いらっしゃい」

レミリアとフランは西洋のお姫様のように挨拶した。

「お招きありがとうレミリア、フラン」

霊夢が言うと俺達は頷いた。

「いいのよ。それに、本当暇だったんだから。ね、フラン?」

「うん、お姉様」

「さて、挨拶はいいとして、何しましょうか?」

「え、決まってなかったのか?」

俺が聞くとレミリアは頭を横に振った。

「当たり前でしょ。思い付かないから、貴方達を呼んだのよ」

「あ、なるほど。なら、俺が決めていいか?」

「あら、何かいい案あるのかしら?」

「俺、地下の大図書館に行きたいだけど」

「パチェの所に?」

「うん」

紅魔館の地下にはパチュリー・ノーレッジという魔理沙と同じ、魔法を使う程度の能力を持つ魔法使いが管理する大きな図書館があるのだ。

「別に構わないけど…他のみんなはいい?」

「私もちょうど行きたかったぜ」

「あなたは本を持ち帰りたいだけたでしょ?魔理沙」

「ハハ、バレたか」

魔理沙がばつの悪そうな顔をした。

「バレたか。じゃあないわよ。パチェ、大事な本が無いって落ち込んでるんだから」

「分かったたよ。後で返すぜ」

「本当にお願いね。じゃあ行きましょう」

レミリアに連られ俺達は地下の大図書館に向かった。大図書館に着くと小悪魔が出迎えた。小悪魔はこの大図書館の司書だ。

「あれ、レミリア様とフラン様じゃあないですか?どうしました?」

「晴竜が来たいと言ってね」

そう言ってレミリアは後ろにいる俺達の方を指した。

「なるほど、晴竜さんが。なら、私が案内しますよ」

「お願いね。じゃあ私達はパチェの所にいるわ」

「分かりました」

俺はレミリア達と別れ、小悪魔に案内して貰う事になった。

「ここは、外の世界の物語を含めた童話の本棚です」

「外の世界の童話とかもあるのか」

「はい。もちろん」

「あれ?このシンデレラだけでもこんなにもあるのか?」

「それは原作以外にもアレンジした本もあるんですよ」

「へぇー」

俺は小悪魔からそんな説明を聞きながら回ったが全部まわるのは無理と思い、霊夢達の元に戻った。

「あら、もう帰って来たんだ」

最初に俺達を見つけたフランが言った。

「まぁな。とにかくここはデカいって事は分かったよ」

「お疲れ様。小悪魔も」

「はい。パチュリー様」

パチュリーは小悪魔に声を掛けると小悪魔は敬礼しながら言った。仲良しだなーと思っていると霊夢が話しかけていた。

「ねぇ、晴竜。私は帰るけどどうする?」

「え、もう?」

「えぇ。だってそろそろ夕方だし、それに幻想郷の見回りをして行きたいしね」

「うーん。そうだなー。魔理沙と妖夢はどうするんだ?」

「私は残るぜ。夕ご飯をいただくことになったんだ」

「私もそうだよ」

「そうか。じゃあ…俺は帰ろうかな。霊夢とちょっと話したい事があるし」

俺がそう言って辞退すると、魔理沙達に挨拶し霊夢と一緒に館を出て門まで歩いた。

「所で、私に聞きたい事って?」

「俺も見回りを手伝いたいなーと思ってな」

「幻想郷の見回りを?」

「そう」

「急に?どうして?」

「霊夢一人じゃあ大変だろうし、それに輝龍を乗りこなす訓練もしたいんだ。いいか?」

「分かったわ。いいわよ」

「本当か!」

「えぇ。明日で見回るルートを教えるから神社に来て頂戴」

「了解」

そう話しながら歩いていると俺はふと、後ろから視線を感じ後ろを振り返った。しかしそこにあったのは今し方出てきた紅魔館と自分達の影しか無かった。霊夢も同じく感じたらしい。俺とほぼ同時に振り返っていた。

「あれ?今、視線を感じ無かったか?」

「そうね。確かに感じたわ」

「一体何だろう?」

「さぁね」

霊夢は特に気にしてないようで、歩いていった。

「え、あ、ちょっと待ってくれ!」

俺は慌てて霊夢の後を追いかけた。だが、この時俺はもちろん、霊夢でさえ気づかなかった。ひっそりと物陰からこちらを見る一人の人影があった事を。そして、その人影は静かに消えていった。

 

 

 

第三話に続く

 




時々、方向を見失う事がある。それでも私は進める。だって、忘れてしまうから。
さて、私の事はさて置き無事、第二話書き終えました。これからどうなるのか楽しみです。
では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 もう一人の霊夢

さて、今日も頑張って書いて行くぞ!眠くならない内に!青柳龍です。
さて、今回の話で三話目となりますが、徐々に東方のキャラが話して来ていると思います。この調子で話させて行きたいのでよろしくお願いします。
それでは第三話始まり始まり。


「嘘だろ…」

俺は目の前に広がる光景に呆然とした。ここは聖白蓮のいる命蓮寺なのだが目の前には傷を負った聖を始めとした命蓮寺組の妖怪達が倒れていた。そして、円状に倒れている妖怪達の真ん中にいた人物。

「何で…何でこんな事をしたんだ!」

「…」

「答えろよ。答えてくれ!…霊夢!」

「…」

どうしてこうなったのか、それは数時間前に遡る。

 

 

 

 

俺は今、輝龍の頭の上に乗り幻想郷を回っている。何故、俺が幻想郷を回っているかと言うと博麗の巫女こと、霊夢が毎日やっている幻想郷の見回りを手伝う事となったからだ。その理由は、霊夢にお世話になったお礼をしたいと思ったからと、その見回りのついでに輝龍を乗りこなす訓練をしたいと思ったからだ。そして、この前霊夢に見回りのルートを教えてもらってから俺は霊夢と交代制で見回ってる。さて、俺が見回り最後となる命蓮寺へと来た。すると、早速出迎えたのは

「今日は晴竜さんでしたか。毎度お疲れ様です」

「こんばんは、寅丸」

寅丸こと、寅丸星はこの命蓮寺に暮らす妖怪で財宝が集まる程度の能力を持つ、しかもかの有名な軍神、毘沙門天の代理という凄い妖怪だ。

「こんばんは。いつも大変ですね」

「いや、それほどでも無いよ。ただ、おかしい所が無いか見るだけだから」

「でもこの前来た時は暗い顔をしてましたよ」

「あぁ、あれは輝龍に乗ってて酔ったんだ」

「龍に乗って、乗り物酔い!大丈夫なんですか?」

「大丈夫。大丈夫。すぐに帰って寝たら大丈夫だったよ」

そう寅丸と会話していると、

「誰かと思えば晴竜さんでしたか」

「こんばんは。聖さん」

この命蓮寺の僧侶で大魔法使いである聖白蓮。魔理沙やパチュリーと同じ魔法を使う程度の能力を持っている。

「こんばんは。お疲れ様です。どうです?慣れましたか式神に乗るのは」

「いえ、まだまだですよ。これから、もっと訓練しないと行けないと痛感している所です」

「そうですか。あ、そう言えば今、一輪と水蜜が夕ご飯の準備をしているのですがどうです?一緒に食べません?」

「うーん、お誘いありがたいですが今日は博麗神社で夕ご飯を食べる事になっていまして…」

「あら、それは残念でしたね。晴竜さんの話を聞きたかったのですが」

「すみません。それはまた今度と言う事で、それではまた」

俺は、二人に挨拶すると輝龍の頭に乗って、博麗神社へと向かった。

 

 

 

聖と寅丸は晴竜を見送ると聖は寺の中に、寅丸はさっきまでやっていた寺の掃除を始めようとした時だった。また人の気配がし、振り向くとそこには博麗の巫女の姿があった。

「あれ?今度は霊夢さんですか?一体何の用ですか?」

寅丸が霊夢に近付こうとした時、聖に肩を掴まれた。

「え、どうしたんです?聖様?」

「よく見てみなさい寅丸?博麗の巫女は、あんなに禍々しい霊力を持っていますか?」

「え…本当だ。凄い禍々しい霊力を感じます」

「寅丸、すぐにナズーリン達を呼んできて下さい。こればかりは、私一人だけでは無理かも知れません」

「あ、はい!」

寅丸はそう言って寺の中に走っていった。聖は寅丸を見送ると霊夢と対峙した。

「何故、博麗の巫女の姿をしているのか分かりませんがアナタは私達にとって良くは無い者とは分かります」

「…」

「喋りませんか…なら尚更、倒さねばなりませんね」

そう言うのが早いか、聖はスペルカードを使った。

「光魔、魔法銀河系!」

そう言い放つとすぐに光の玉が大過潮となって霊夢のような者に襲いかかった。だが、確かに当たったはずの攻撃はその者に傷一つ負わせなかった。よく見ればその者の周りに結界が張られていることが分かる。

「まさか!二重結界!」

謎の者が張った結界は紛れもなく霊夢のスペルカードである二重結界だった。

「なるほど。姿だけでなくスペルカードまで似せるとは、この様子だと能力も似ていますね」

聖は冷静に分析した瞬間、霊夢のような者は聖に襲いかかった。が、聖はそれを回避、そしてもう一枚のスペルカードで反撃した。

「超人、聖白蓮!」

そう唱えると聖は己の体を魔法で強化した攻撃で反撃した。しかし、糸も簡単に防がれてしまった。そして、驚く聖の腹に打撃を食らわせた。

「う、ぐっ!」

聖はふらつくが膝はつかなかった。

「やりますね…ですがここまでです」

そう言うと手を上に掲げた。その瞬間、周りを囲みタイミングを測っていたナズーリン達が踊り出て攻撃した。その時凄まじい光が視界を照らした。

 

 

 

「うん?」

俺は、凄まじい霊力や魔力の爆発と光を感じ後ろを振り返った。

「あれは…命蓮寺から?」

その時だった。陰陽師の勘が命蓮寺の皆が危ないと警告を出した。

「は!大変だ!」

俺はすぐに命蓮寺へと引き戻った。そして、

「嘘だろ…」

俺は目の前に広がる光景に呆然とした。ここは聖白蓮のいる命蓮寺なのだが目の前には傷を負った聖を始めとした命蓮寺組の妖怪達が倒れていた。そして、円状に倒れている妖怪達の真ん中にいたた人物。

「何で…何でこんな事をしたんだ!」

「…」

「答えろよ。答えてくれ!…霊夢!」

「…」

俺がそう尋ねても霊夢は答えなかった。そこで、俺は気付いた。そこに居るのが霊夢では無いと。

「貴様、誰だ」

俺は強い口調で言った。だが、霊夢の偽物は答える事無く宙に浮くとそのまま飛んでいってしまった。

「あ、待て!」

俺は追いかけようとしたが、聖達を置いて行くことも出来ず、すぐに一番傷を負っている聖に駆け寄った。

「大丈夫ですか!聖さん!」

「私とした事が、偽物だと思って油断しました」

「余り、喋らないでください」

俺は聖に治癒の術をかけると少しづつ傷が癒えて行くのが分かる。聖はほっと息を着くとそのまま、気を失ってしまった。俺はゆっくりと聖から離れると輝龍に命令し、応援を呼んでもらった。輝龍が応援を待つ間俺は聖以外の妖怪達にも治癒の術を掛けた。他の妖怪達は聖ほどでは無かったが大きな傷をそれぞれ負っていた。そこで、俺はある事に気付いた。

「全員、霊力や妖力、魔力を奪われている?」

聖達から本来感じれる力が弱いのだ。晴竜は突如現れた霊夢の偽物の企みを全く予想する事が出来なかった__

 

 

 

 

第四話に続く

 

 

 

 

 




よし、第三話完成しました。今回は聖さんの戦闘シーンを書いて見ました。どうだったでしょうか?尚、他のキャラの戦闘シーンも大体、このような表現方法でしますのでご理解下さい。さて、霊夢の偽物を出しましたがイメージとすれば、あのMMDの禍霊夢をイメージしてくれるとしやすいのではないでしょうか。それを考慮して読んでくれればありがたいです。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 襲い来る恐怖

さっきまでは寒かったのに今度は暑くなって来た。全く天気はどうなってるんだ。青柳龍です。
さて、時が開きましたが書いて行きたいと思います。突如現れた偽霊夢。何故、そのような者が現れたのか。お楽しみに。
それでは、第四話始まり始まり。


偽の霊夢が命蓮寺を襲った翌日。俺は、幻想郷の見回りをしていた。今日は霊夢も一緒だ。

「大丈夫なの?聖達」

「大丈夫だ。聖以外はな…」

「…」

昨日、俺は聖達の応急処置をしながら応援を呼びにいった輝龍を待っていた。すると、輝龍が連れて来たのは霊夢だった。最初、俺は本当かどうか疑ったが霊夢から感じる霊力は知っている霊夢の霊力だった。俺は、霊夢に事情を話すと霊夢と共に聖以外のみんなを命蓮寺の中に運び、寝かせるのを霊夢に頼んだ俺はすぐに一番怪我が酷かった聖を永遠亭の永琳の元へ運んだ。戻って来ると俺は命蓮寺の周りを自分が知る中で一番強力な結界を張った。

「……よしっと」

結界を張り終えると全員を寝かし付けた霊夢が戻って来た。

「結界を張ったのね」

「ああ、まぁまた襲って来たら時間稼ぎにしかならないけどな」

「聖達をあそこまでして、しかも私に化けるなんて。一体何者なの」

「分からない。だが、一つだけ分かる事がある」

「分かる事って?」

「これは、間違いなく異変だ。命蓮寺に次ぐ被害が出る前に幻想郷中に警告を出さないと」

「そうね。その方がいいかも」

俺は霊夢に聖達を任せ、幻想郷中に異変が発生したと警告を出した。文にも協力してもらい、終わったのはさっきの早朝。命蓮寺に戻り、応援にやって来た魔理沙とアリスに命蓮寺のみんなを見ててもらい霊夢と俺は見回りに出て今に至る。

「聖以外ってどうゆう事?」

霊夢が聖の容態を聞いて来た。俺は顔を暗くした。

「え、まさか…」

「いや、命に別状は無い」

「なんだ、脅かさないでよ」

「ただ…」

「ただ?」

「いつ目を覚ますか、分からないみたいなんだ」

「嘘でしょ…」

「それほど、受けたダメージが大きかったんだ」

俺と霊夢は無言になった。聖はこの幻想郷の中でもトップクラスの力を持つ実力者だ。そんな聖があそこまでになったんだ。相手はとんでもない者だと分かった。

「そう言えば、どうなったの、他の人達は?」

「ああ、紅魔館、地霊殿、永遠亭は警告を強くしたらしい。妖怪の山や人里は力を持っていない者達は極力外に出ない事にしたらしい」

「それが無難ね。私達も気を付けましょう」

「そうだな」

その時だった。

遠くの方で何か大きい物が壊れる音と強い妖力と霊力の波動が伝わって来た。

「これは…」

「この妖力…!?」

「どうした霊夢?」

「この妖力、美鈴のものだわ」

「何だって!」

言われていれば確かにこの妖力は美鈴のものだ。そしてこの霊力の持ち主はあいつしかいない。

「まずいぞ、この霊力は偽霊夢の物だ」

「え、じゃああの破壊音は…」

「間違いない。紅魔館の門が破壊される音だ」

俺は霊夢と顔を見合わせると急いで紅魔館へと向かった………。

少しずつ、だが、確実にこの幻想郷に恐怖が迫っていた。

 

 

 

第五話に続く

 

 

 

 




今回、私は昨日書きました物は納得行きませんでしたのですぐ、改稿させて頂きました。申し訳ございません。このようなことはできるだけ無いようにしますのでこれからもよろしくお願いします。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 紅魔館での戦い

夏なのに寒い。せっかく、長袖から解放されたと思えばまた着るはめになる。今年の夏は何なんだ!青柳龍です。
さて、今回で五話目になります。中々、思う道理に話が進まず手こずっていますが頑張って行きます。
それでは、第五話始まり始まり。


俺、安倍晴竜は昨日、命蓮寺を襲った偽霊夢の霊力が紅魔館の方から感じ、一緒に見回りをしていた霊夢と共に紅魔館へと向かっていた。すると、だんだんと紅魔館が見えて来た。

「これは…」

「酷い…」

俺と霊夢は紅魔館の状況に愕然とした。紅魔館の塀は所々壊され、館の方も壁が崩れていた。そして、紅魔館のメイド達やコブリン達が館の外に避難していた。俺達が近付くとメイド達の中には怪我をした者も居るらしい。隣の霊夢の方を向くと霊夢はした唇を噛み締めていた。

「大丈夫か!」

俺が怪我をしたメイド達に声を掛けると妖精のメイドが駆け寄って来た。。

「あ、晴竜様いい所に。お願いします。お嬢様達をどうか…!」

「一体どうしたの?」

霊夢が聞くと他のメイド達が霊夢から距離を取った。俺はメイド達の行動の意味を察した俺は慌ててここにいる霊夢は本物の霊夢だと説明した。メイド達が安心する所を見て霊夢は改めて聞いた。すると、人間のメイドが襲われた時の事を説明した。

「私はキッチンの所に居たのですが、突然外から大きな音が聞こえて窓から見てみれば霊夢様の様な方と戦っている美鈴様が見えて、私達はすぐに咲夜様を呼びに行こうとしたら館の壁が破壊されて…。そこからはもうパニック状態で…」

「それで、美鈴達は?」

「それがさっぱり…。私達は自分の身を守るので精一杯で…」

「そう。分かったわ。ここは危険だからあなた達は塀の外に出てなさい」

「分かりました。どうかお気をつけ下さい」

そう言ってメイド達はコブリン達の警護の中、避難して行った。俺と霊夢は見送ると紅魔館の中へと突入しようとした時だ。上の方の窓が割れ中からスカーレット姉妹と偽霊夢が踊り出た。

「何故、霊夢の姿をしているのは分からないけど…私達の家族に手を出したからには許さないわよ」

「そうだよ!ぜっぇぇたい許さないんだから!」

「…」

スカーレット姉妹が怒りに満ちる中偽霊夢は黙っていた。

「あれが、私の偽物…」

「…そうよ」

霊夢が呟きに答えたのは美鈴に肩を貸しながら歩いて来る咲夜だった。

「咲夜、大丈夫なのか?」

俺が聞くと頷いた。

「ええ、大丈夫よ。私はね…」

そう言って咲夜は肩を貸す美鈴を見た。

「美鈴、美鈴」

咲夜の呼び掛けに美鈴は薄ら目を開けた。

「あ、晴竜さんと霊夢さんじゃあ無いですか」

美鈴は弱々しく言った。それもそうだ。見るからにして咲夜よりダメージを受けている美鈴の妖力は弱っていた。

「美鈴!大丈夫?だいぶ、弱ってるけど」

「あ、はい。大丈夫ですよ。ほら」

と言って咲夜から離れようとしたが、ふらついて倒れそうになった。すかさず俺は美鈴を支えた。

「あ、すいません」

「何があ、すいませんだ!フラフラじゃあないか!」

「すいません…」

美鈴が謝ってくる。咲夜は俺から美鈴を預かると言った。

「また、謝った。この時ぐらいは素直になりなさい」

「はい…」

美鈴は返事をして咲夜に寄り掛かった。

「美鈴はいいとして今はあっちよ」

霊夢が空で戦っているレミリア達の方を指差した。

「それもそうだな。行くぞ霊夢!」

「ええ、行きましょう」

俺は輝龍に乗り、霊夢は空に飛んだ。俺達はすかさず、偽霊夢とレミリア達の間に入った。

「今度は逃がさない!」

俺はすぐに真言を唱えた。

『オンハビラウンケン、シャクタン!』

その瞬間に霊力の刃が偽霊夢の方に飛んでいった。しかし、偽霊夢は避ける事もなく手を前にかざすと結界を張った。

「これは…結界?」

俺の疑問に答えたのはレミリアだった。

「ええ、でもただの結界じゃあないわ。霊夢の使うスペルカードの二重結界よ」

「何だって!?」

まさか、霊夢のスペルカードまで使えるとは、だが、スペルカードは予想してなくても防ぐ事は分かっていた。だから、俺の攻撃は本命じゃあない。

「まぁ、いい。やれ!霊夢!」

偽霊夢は目を見張ると後ろを振り返った。そこには。

「はぁぁぁぁ!」

霊夢がお祓い棒を振りがざし、攻撃をしようとしていた。(あの距離、あのスピードなら絶対当たる!)俺はそう思った。しかし、偽霊夢が驚いたのはその一瞬だった。偽霊夢はそのお祓い棒を同じお祓い棒を出し受け止めた。

「なっ!?」

「得物も一緒なのか!」

俺と霊夢は驚いた。その瞬間を偽霊夢は見逃さなかった。偽霊夢は霊夢のお祓い棒を弾くと霊夢の右手を後ろに回り込み抑えた。たった一瞬で偽霊夢は幻想郷最強を抑え込んだのだ。こればかりは、俺、霊夢だけで無くレミリア達も驚いた。

「くっ!離せ!」

「…」

霊夢は逃れようともがくが決して離さなかった。すると偽霊夢は霊夢の耳に顔を近付けると

「__」

「え…」

呟いた後、霊夢は固まった。(霊夢、何を言われたんだ?)俺は間合いに入る瞬間を探りながら対峙していると、突然、偽霊夢は弾幕を撃ってきた。

「うわっ!」

俺は、すかさず回避した。その時だった。

「晴竜!霊夢が!」

「え?」

俺は偽霊夢と霊夢のいた方を見るとそこには偽霊夢と霊夢の姿は無かった。

「う、嘘だ、ろ」

俺は余りにも突然過ぎる事に頭が真っ白になった。俺は、声が続く限り叫んだ。

「れ、いむ。霊夢。霊夢ーーーーー!」

 

 

 

第六話に続く。

 

 

 

 

 

 




はぁ、やっと書き終わった。やっぱり上手く考えた通りに書けませんでした。しかし、何とか考えた流れに出来たので良かったです。後、第六話の予告を少し、次の話では語り手を霊夢になります。連れ去られた霊夢はどうなるのか。お楽しみに。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 幼き頃の約束

今日も張り切って書いて行きます。昨日まで寒かったのに今度は暑くなって来ました。もう疲れました。青柳龍です。
さて、昨日も予告した通りこの話は霊夢が語り手となります。そして、幼い霊夢と霊花の生活も出ますのでお楽しみに。
それでは、第六話始まり始まり。


いつだっただろう。私が霊花と一番楽しく暮らしていたのは。あぁ、確か私が七つの頃だったと思う。その頃は紫の他にも妖怪や妖精と触れ合う事が多くなった時だった。その頃の私は自分で言うのもなんだけど、やんちゃだったと思う。その証拠にいつも霊花に怒られてたっけ。

「待ってー。ちょうちょー」

「こら、霊夢!危ないわよ」

蝶を追いかける私を注意する人、黒髪を背中まで伸ばし、赤い鎧を身に付けた女性この人が私のお母さん、博麗霊花だ。

「大丈夫だよー!って、わっ!」

「危ない!」

つまずいて転びそうになった私を霊花は支えてくれた。

「ありがとう!霊花」

「そこはお母さんでしょ」

「霊花は霊花だもん」

「分かったわよ…はぁー」

霊花はため息をつくと私を抱っこすると家の縁側に座らせた。

「さて、霊夢。遊びはおしまい。修行するわよ」

「えー。嫌だよ。修行辛いもん」

「ダメよ。しっかり修行しなきゃ。いずれは私から博麗の巫女を受け継ぐんだから」

「そんな大丈夫だよ。霊花は強いし、私が博麗の巫女をしなくたって…」

「駄目よ」

その時、霊花は私の肩を掴み体を自分の方に向かせた。その時の顔は真面目な顔をしていた。

「れ、いか?」

「確かに私は強いかもしれない。でもね、人はいずれ死んでしまうの」

「え、霊花も?」

「そうよ。私だって人間。病気にもなるし、怪我もする。そうしている内に私は死んでしまうかもしれない。そしたら、幻想郷は誰が守るの?」

「え、それは紫や文達が…」

「もしも、紫達が動けなかったら」

「それは…」

「それにいつかは紫や文達といった知っている妖怪が異変を起こすかもしれない。その時、霊夢ならどうする?」

「私は…止める。紫達を止める!」

「なら、今の霊夢は止められると思う?」

私は首を振った。

「だから、もしそうなった時の為に修行するの。分かった?」

「うん…」

「それじゃあ、早速やろう!やろう!」

霊花が元気に立ったが私は顔を俯いた。それを見た霊花はどうしたの?と私の顔を覗き込んだ。

「死んじゃいや」

「え?」

「霊花は死んじゃいや。ずっと、私の側に居て!」

霊花は驚いた顔をした。でもすぐに微笑むと私を抱きしめた。

「大丈夫よ。霊夢が一人前の巫女になるまでずっと側に居てあげるから。だから顔を上げて。ね?」

「うん…」

私は頷いて顔を上げた。そして私の手を取ると引っ張って私を立ち上がらせた。

「それじゃあ、始めましょうか。霊夢?」

「うん!」

こうして、霊花と私は巫女になる為の修行を始めた。それから六年。私は霊花から体術やスペルカード、弾幕などの博麗の巫女に必要な事を習った。それだけでなく読み書きを習う為に人里の寺子屋に通ったりもした。そんな時のある日の朝だった。朝早めに起きた私は廊下で霊花と紫が話しているのに気付き、どんな話をしているのか気になって耳をすませた。

「紫?話って何?」

「遂に、恐れていた事が起きたわ」

「まさか!」

「幻想郷と外の世界を繋ぐ穴が空いたわ。このままだとこの博麗大結界は崩れてしまうわ」

「そう、なの…」

「穴を塞ぐ方法、分かってるわよね…」

「ええ、私が、依り代となって穴を塞ぐだったわよね」

「え?」

私は思わずしまった。と口を押さえた。

「霊夢?起きたの?」

二人に気付かれた私は部屋を出て二人の元に行った。

「霊夢?どこまで聞いていたの?」

紫に聞かれ私は全部と言った。そして私は霊花に詰め寄った。

「ねぇ、霊花?嘘よね?依り代?穴を塞ぐ?どういう事?」

「それは、その…」

霊花は助けを求めるように紫を見た。紫は私を霊花から引き離すと説明してくれた。

「博麗大結界はここ幻想郷と外の世界を隔てる結界だって事は分かるわね?」

「うん…」

「その結界に数十年後に一度大きな穴が開く時があるの。どうして開いたのか分からないその穴をそのままにして置くと徐々に広がっていき、結界は崩れてしまう。だから、その穴を塞ぐ必要がある」

「その穴を塞ぐ為に霊花が依り代になれって言うの?」

「そうよ」

「ふざけないで!」

私は叫んだ。それも泣きながら。

「ふざけないでよ!何で霊花がそんな事をしなきゃ行けないの!」

「穴を塞ぐ事が出来るのは博麗の巫女だけ。今までの巫女の中には穴を塞ぐ為に依り代になった巫女もいるわ。それが、今回は霊花になったの」

「それじゃあ、霊花にはもう会えないの?」

「そうよ」

「嫌だ!霊花に会えないなんて嫌だよ!紫はいいの!霊花がいなくなっても」

「私だって嫌よ!」

紫の叫びに私と霊花は紫を見た。気付けば紫も泣いていた。

「私だって、嫌よ。毎回毎回、博麗の巫女にこんな事を伝えないといけないのよ?家族同然に触れ合って来た人達によ?特に霊花には一番仲良く接して来た。これがどれほど辛いのか分かる?それでも、私は言わないと行けないの。幻想郷の、為に」

「…」

紫の言葉に私は何も言えなかった。すると今まで黙っていた霊花がありがとうと呟いた。私と紫は霊花の方を振り向くと霊花は私と紫の頭の上に手を置いた。

「ありがとうね。二人共。私をそこまで思って居てくれて、私はそれで充分よ」

「霊花…」

「紫、霊夢の事お願いね」

「…分かったわ」

霊花はそう言って紫が作ったスキマに入ろうとした。私は霊花に抱き着くとその手を強くした。

「行かないで!」

「霊夢。博麗の巫女よろしくね」

「嫌だよ。私、まだ一人前じゃない!霊花、言ったじゃない!一人前になるまで側にいるって!まだ霊花が必要なの!」

「いいえ。霊夢はもう一人前よ。体術においても、スペルカードにおいても、私と互角に張り合える程になった。それにあなたはここまで、大きくなった…。私は後悔はないわ」

「私は後悔ありありよ。行かないで!」

そう言うが私は紫によって霊花から離されてしまった。

「嫌!紫離して!」

「さぁ、霊花。今のうちよ」

「ええ」

霊花は再びスキマに向かって歩きだした。

「待って!霊花。お願いだから!」

「…」

「待ってよ!」

「…」

「ねぇ!お願いだから!おかあさん!」

「…!」

霊花は私の言葉に振り返った。その顔は泣きながらも微笑んでいた。そして最後に一言残してスキマに入っていった。

「じゃあね。霊夢」

「う、う、うわぁぁぁ!」

私は泣いた。涙が枯れるまで。これが私が霊花をお母さんと言った。最初で最後の記憶だ___

 

 

 

 

「う、う」

私はクラクラする頭を抑えると周りを見た。恐らく妖怪の山の何処かだと思うこの場所に私は気絶させられ連れて来られたらしい。

「晴竜やレミリア達は大丈夫かしら?」

先程まで共にいた晴竜達の事を思って立ち上がろうとしたが思う様に、足に力が入らない。(随分、懐かしい記憶だったわ…)

幼い時の記憶に私は乾いた笑みを浮かべた。この記憶を思い出したのは間違いなくあいつのせいだ。私は私を連れ去った犯人の方を見た。あの時、紅魔館で偽の私に捕まった時、偽物はこう呟いた。

「ただいま。霊夢」

私はそれで固まってしまった。だって、それが私が一番会いたい人の声だったから___

「ねぇ、何でこんな事をしたの?」

「…」

「ねぇ、答えてよ!」

「…」

「答えて!お母さん!」

偽の私。否、博麗霊花は振り返えると霊花は私が知るあの声で、あの微笑みで言った。

「おはよう。霊夢」

 

 

第七話に続く

 

 




今回は上手く考えていた通りに行けた。やったぜ!どうだったでしょうか。まさか、偽霊夢の正体はまさか先代の巫女、博麗霊花だったとは。次回は語り手を晴竜に戻し、二人を追います。一体、霊花はどうするのかお楽しみに!
それでは、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 二人の霊夢を追って

やっと、時間が出来た。よし、今日も張り切って書いて行きます。青柳龍です。
さて、今回書くのでこの闇博麗異変の章の最終回の一つ前になります。今日と明日でこの章は終わりますので最後までお楽しみください。
それでは第七話始まり始まり。


霊夢が霊花と対面した時間から少し遡り俺は紅魔館にいた。霊夢を偽霊夢に連れ去られた俺はすぐに追いかけたかったが、レミリア達をこのまま置いて行く事も出来ず、ここに残ったのだ。

「ごめんなさい。晴竜。本当はすぐに霊夢を追いかけて行きたかったでしょう?」

「ごめん」

俺から治癒の術をかけてもらっているレミリアとフランが謝って来た。

「別に大丈夫だよ。霊夢がそう簡単に死ぬ事はないだろうし、それに追ったとしても巻かれるのが目に見えていたからなっと。良し。終わったぞ」

二人に治癒の術をかけ終わった俺は輝龍に乗った。

「行くの?」

レミリアは不安そうに聞いて来た。後ろのフランも不安そうにしている。

「ああ」

「気を付けて。私の…。私の大切な友達をどうか救って」

「分かってる。必ず、霊夢を救い出す。無事にな。だから、ここを任せたぞ」

俺はそう言って、レミリア達に見送られながら霊夢を助けに向かった。俺は微かに残る霊夢と偽霊夢の霊力の気配を最初は辿っていたが途中で消えてしまっていた。

「ちっ。残っているのはここまでか…」

俺は周りを見た。ここは丁度幻想郷の中心辺りといった所だと思う。

「北に行けば地底に行く穴があるし、南の方には迷いの竹林がある。東には妖怪の山が、西には冥界に続く穴がある。一体どこにいった?」

俺は目を閉じ、気配を探った。すると妖怪の山の方から少しながら霊夢の霊力を感じた。俺は、輝龍に指示し妖怪の山に向かった。それから数分後、妖怪の山に着いた俺は妖怪の山の違和感に気付いた。

「妖怪達、やけに静かだな。それどころか妖怪の気配さえほとんど感じない…」

いつもなら、妖怪の山に近付いたらすごい量の妖怪の気配を感じるはずなのだが、今回は妖怪どころかその気配さえない。

「どうやら、ここで正解のようだな…」

俺は輝龍から降りると妖怪の山に入った。妖怪の山の中はとても暗く、俺は暗視の術を使った。前、妖怪の山に立ち寄った時はここまで暗くは無かったのだが。すると、後ろに妖力を感じ、振り返った。そこには、身を震わせながら隠れる妖怪達がいた。

「お前ら、大丈夫か?」

すると、トカゲのような妖怪が泣きそうな声で話した。

「大丈夫じゃないよ。突然、博麗の巫女がやってきたと思ったら突然、襲って来るんだもん。天狗様達や、山の四天王も止めようとしたけど無理だった」

「何だって!あいつらが!」

天狗様達とは文達、天狗と山の四天王は萃香達、鬼の四人なのだがその面々が止められなかったとなるといよいよ霊夢の命が危うくなって来た。

「分かった。ありがとう。ここは危険だから、逃げるんだ」

俺はそう言うと山の奥に向かって走り出した。それからどれくらい走っただろう。気付けばだいぶ奥までやってきたが霊夢達の姿は見当たらない。ここじゃないのかと諦めかけた時、霊夢の声が聞こえた。俺はすぐに霊夢の声がした方向に行くとそこに居たのは霊夢ともう一人偽霊夢ではない女性が立っていた。

「大丈夫か?霊夢!」

「晴竜!」

俺が霊夢に駆け寄ると霊夢は俺の腕を強く掴んだ。俺は目の前に立つ女性を睨んだ。容姿は変わっているが偽霊夢と同じ霊力を感じたからだ。だが、俺はそこである事に気が付いた。腰まで伸びた黒髪に赤い甲冑。この姿を見るのは初めてだが、この様な服装の人を俺は一人知っている。その人の名は。

「博麗、霊、花…」

博麗霊花はそんな俺を見てこう言った。

「役者は揃った。始めましょう。幻想郷をかけた戦いを」

 

 

 

 

最終回に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 




うーん、最後の締めどう締めようか迷った結果、こうなりました。これしか浮かばなかったのでご理解ください。さて、次回で最終回となりますが霊花とどう戦うのか?そして戦いの末とは?お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 母と娘

いよいよ!闇博麗異変の章最終回!最終回は一番長くするので気合い入れて行きます。青柳龍です。
さて、さっき言った通りになりますが早速書いて行きます!
それでは第八話始まり始まり。


突然、博麗霊花が言った言葉に俺は聞いた。

「なるほどな。今までのは幻想郷を支配するまでの過程でしか無かったのか」

「そうよ。実際戦って見ると弱い者ね」

「何ですって!聖達やレミリア達を弱い者扱いしないで!それに、お母さんは聖達やレミリア達と仲良くしていたじゃない。何でこんな事を言うの!」

霊夢の言葉に霊花は何も答えなかった。まるで、何かを隠しているかの様に。(うん?)俺はそこである事に気が付いた。(実際、戦って、見ると?)そこで俺は気付いた。

「ねぇ、お母さん!今すぐにこんな事はやめて!お願いだから!」

「無理よ。だって__」

「だって、自分は博麗霊花じゃないから…だろ?」

「「え?」」

俺の言った言葉に霊夢と霊花は同時に驚きの声をあげた。

「一体どういう事?目の前に居るのはお母さんじゃないって?どっからどう見ても私のお母さんよ!」

「…」

霊夢は反論するが、当の本人は黙ったまま。俺もまだ信じられなかったがこれで当たっていたと確信した。

「いや。違う。あの人は霊夢のお母さんであってお母さんじゃない」

「どういう事?」

その時だった。

「……フフ、ハハハッ。流石、陰陽師。気が付いたようだね」

霊花が突然笑いだし、続けた。

「そうよ。私は博麗霊花ではない」

「嘘…」

霊夢が膝を付いた。それを見た霊花は笑っている。

「そうだ。もっと悲しめ。私は博麗の巫女が悲しむ所を見ると楽しいの」

「黙れ!貴様、博麗霊花はどうしたんだ!」

「あの女はもうこの世にはいない」

「そんな!じゃあ、何で体はここにあるの!」

霊夢の言葉は霊花が生きてて欲しいという期待がこもっているのが分かる。しかし、俺は伝えるしかない。霊夢とって一番辛い事かもしれない事を。

「…貴様、博麗霊花の体を滅んだ自分の体の代わりとして仕立て上げたな!」

霊花は笑って何も答えない。それが答えだった。

「そんな、やっぱりお母さんは…」

あの霊夢が今にも泣きそうになっている。俺は霊花、いや。霊花の中にいる者に聞いた。

「お前は、一体何者なんだ?」

「私は先代の博麗の巫女に退治された妖怪だよ。退治され、私は何とか生き残った。でも力尽きて消えようとしていた時にその巫女が死んでいるのを見つけて体を貰ったのさ。これで仕返しが出来ると思ってね」

「逆恨みのうえに遺体の体に憑依するとは、許せない!」

「私を止めるっていうの?あなた達には無理よ」

「やって見なきゃ分からないだろ。行くぞ!霊夢!」

「…」

「霊夢?」

霊夢に呼びかけるとはっと霊夢が顔を上げた。

「ごめん、晴竜。行きましょう!」

「…いや。大丈夫だ。少し休んでいてくれ」

「でも…。うん、分かった」

と霊夢は答えた。たとえ、中は妖怪でも体は博麗霊花だ。霊夢にとっては母親に攻撃は出来ないだろう。だから俺は霊夢に休んで貰うことにした。

「あら?あなただけで私を倒せるの?」

「しつこい!」

俺は輝龍に呼んだ。

「行くぞ!輝龍!龍神の__」

「させないよ」

俺がスペルカードを繰り出そうとした時、霊花はどこから出したのか、刀を取り出し抜刀した。すると、抜刀した軌道が光の刃となり、輝龍を切り裂いた。

「輝龍!」

『グォン…』

輝龍は光となって消えていった。

「そんな…。あれはお母さんが使っていた霊刀、彼岸花!」

霊夢は驚きを隠せないようだ。霊花はそれだけじゃないと言った。

「この体には、この得物だけでなくスペルカードに体術、能力まで使える。これ程いい器はないよ」

「なるほど。予想はしていたがやっぱり一筋縄では行かないようだな。なら!」

俺は密かに作っていたもう一枚のスペルカードを出した。

「神器!アメノムラクモ!」

そう叫んだ瞬間、霊力で作られた剣を手元に出した。

「へぇ、スペルカードをもう一枚持っていたの?」

俺は、剣を構えた。すると霊花も刀を構え、睨み合った。俺は呼吸を整え、そして。

「行くぞ!」

「来なさい!」

俺と霊花は同時に地を蹴った。そして、俺の剣と霊花の刀が合わさった時凄まじい霊力のぶつかり合いになった。

「はぁぁぁ!」

「ふっ_」

俺は様々な方向から斬撃を繰り出すか、見事に流されてしまう。(流石、博麗の巫女の力を持ってる事ある)俺は一旦距離を取った。

「あら?もう終わり?なら今度はこちらからいかせてもらうよ!」

そう言ったのが早いか、霊花は一瞬で俺との距離を詰めると横に一の字に薙ぎ払った。

「ぐあぁ!」

俺は何とか剣で受けたが軽々と後方に飛ばされてしまった。

「くっ!ここまでとは…」

俺は何とか立とうとするが力が出ない。

「終わりね」

霊花が振り上げた刀で斬ろうとした。俺は斬られると思ったが俺は斬られなかった。そしてその刀を止めたのは他でも無い霊夢だった。

「ちっ!」

「霊夢!」

「その刀は、妖怪を退治する物であって人を斬る物では無いわ!」

霊花は刀を弾き、お祓い棒を霊花に向けた。

「たとえ、あんたがお母さんの姿であっても私はもう躊躇わない。この幻想郷を守る為にね!」

「ハハ!やってみろ!」

「見せてあげるわ!博麗の巫女の本当の力とはどんな物かをね!協力して!晴竜!」

「ああ!もちろんだ!」

霊夢が時間を稼いでくれたおかげで体力を回復させた俺は立ち上がった。そして俺達は同時に攻撃を繰り出した。

「はぁぁぁ!」

「ていやぁぁぁ!」

「くっ!はぁぁぁ!」

俺と霊夢、霊花の声が重なる中、徐々に俺達は押し始めていた。しかし、霊花とて負けていない。霊夢のお祓い棒を上に弾くと霊夢を蹴飛ばした。そしてそのまま回転しながら横一閃した。

俺はそれを受け流し、霊花に向け突きを繰り出した。だが、剣先が届く前に霊花の蹴りが溝尾に入った。

「ぐはぁ」

俺はそこで手をついてしまった。

「惜しかったわね」

そう霊花に言われたが俺はふっと笑った。

「それは、どうかな」

「何?」

その瞬間、後ろに回っていた霊夢が背中を取った。

「…!いつの間に!」

そして霊花が霊夢に気を取られた瞬間に俺は呪文を唱えた。

『闇持つ者よ。今、ここに真の姿を現わせ!』

すると霊花は苦しみ始めた。

「ぐ、ぐわぁぁぁ!」

苦しむ霊花から黒い妖気が出てきて霊花の頭上に浮いた。間違いない。これが霊花に憑依した妖怪だ。俺は全部出てきた事を確認し、叫んだ。

「やれ!霊夢!」

霊夢はスペルカードを放った。

「これが代々受け継げられてきた博麗の巫女の究極奥義よ!喰らいなさい!夢想天生!」

霊夢がそう言って手のひらを前に出した瞬間、膨大な霊力が霊夢の手のひらに集まった。その刹那、凄まじい霊力の奔流が妖怪に向け放たれた。

「____!」

夢想天生を喰らった妖怪は言葉にならない声を発し消えていった。夢想天生の威力は凄く、妖怪の後ろにあった雲を突き抜けた程だった。

「ふぅ…。終わったわね」

「す、すげぇ…」

霊夢の奥義を目の当たりにした俺は呆然としていたが、霊夢は倒れている霊花に駆け寄った。

「ごめんね。お母さん。辛かったよね」

霊夢は霊花の身体を抱き締め、静かに涙を流した。その時、奇跡が起きた。

「あれ?」

霊夢がある事に気が付いた。

「どうした?」

「微かにお母さんの霊力を感じるの」

「何だって!」

俺は霊花に触れると確かに霊夢に似た霊力を感じた。

「これなら!」

「晴竜?」

俺はすぐに呪文を唱えた。

『力持つ者よ、残る者に言葉を伝えたまえ…』

「?」

霊夢が不思議がっていると、う、うと霊花が声を出した。

「え、嘘!お母さん!」

「あれ、ここは?それに霊夢?あと、あなた誰?」

俺は躓いたが霊夢はどっと涙を流し霊花に抱き着いた。

「お、があざん!あいだがっだよ!」

泣いているせいで言葉が伝わりずらくなっているが霊花にはちゃんと伝わっているようだった。

「よしよし。泣かない、泣かない。それよりどうして私はここに?私、死んだんじゃあ…」

「ああ、それは…」

俺は、霊花に簡単な自己紹介をすると説明した。

「本来なら黄泉がえりはこの世の理に反しますが、微かに霊力が残っていてくれたおかげで呪文を使って少しの間だけですが、あなたの魂を黄泉の世界から戻しました」

「そうだったの」

「ですが、本当に少ししか戻せません。今のうちに霊夢に話しかけてあげてください」

「そう、ね。ありがとう」

霊花は俺にお礼を言うと未だに泣いている霊夢を顔が見える所まで離した。霊夢の顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。

「霊夢、ごめんね。寂しかったでしょ?」

「あだり前じゃない!」

「はいはい。もう泣かないの」

霊花は服の袖で霊夢の涙を拭いた。

「ひっく、ひっく」

「よしよし。いい子いい子」

霊夢の背中を撫でる霊花。博麗の母娘を見て俺は、これを父さんは見てたのかと思うと羨ましいかった。出来れば霊花が生きていた時に来たかったと心の底から思った。

「ねぇ、お母さん。私、いっぱい友達が出来たの。親友も出来た。あと、博麗の巫女としても頑張ってるよ」

「それは凄いわね。あと、やっと私の事お母さんって言ってくれた」

まるで、子供の様に霊花に甘える霊夢。今まで俺が見てきた霊夢はとても冷静で他の事には興味を持たないと思っていた。だが、この光景を見ていると俺は本当の霊夢はこんな子だったんだと思った。ふと、霊花の方を見ると霊花の身体が薄くなっている事に気が付いた。

「あら?これって…」

「晴竜!お母さんの身体が!」

「思ったより、限界が早かったようだ」

「あと、どれくらい持つの?」

霊夢の問いに俺は苦々しく言った。

「持って、あと二、三分」

「そんな!」

霊夢が悲しい顔をしたが霊花は清々しい顔をしていた。

「いや。充分よ。霊夢。あなたはもう立派な博麗の巫女よ。これからもこの幻想郷の事をよろしくね」

「でも…」

「これから先、今回の様な辛い事があるかもしれない。でもあなたには、友達や親友がいる。だから頑張ってね。霊夢」

「うん」

「あと、晴竜だっけ?」

突然、霊花は俺に振ってきた。

「え、あ、はい?」

「こんな子だけど、霊夢の事よろしくね?」

「…はい!任せてください。全力で霊夢を支えて行きます。陰陽師として、男として」

「そう…。お願いね」

「お母さん…」

「私は、あなたの心の中でいつまでも見守っているから。だから…」

霊花の身体は足先から消え始めた。

「じゃあね。霊夢。私の、かわいい、お姫様…」

そう言って、霊花は目を閉じた。その瞬間、霊花の身体は光となって空に飛んでいった。

「じゃあね。お母さん…」

霊夢は光の粒が見えなくなるまで空を見上げていた。

 

 

闇博麗異変が解決してから数日が経った。命蓮寺と紅魔館は河童達によって直され、怪我が大きかった聖と美鈴は順調に回復に向かっているという。そう考えながら、俺は霊夢と二人で道を歩いていた。元の世界に戻る為に。

「本当に帰るの?」

「まぁな。でも帰るったってただこの幻想日記を渡して来るだけだって。前回は行けなかったし…」

「そう…」

霊夢は何か言いたげだったが元の世界に戻る為の門を出す場所に着いてしまった。

「ここって…」

「どうしたんだ?」

「ここ、お母さんから教えて貰ったんだけど、ここ元々は博麗神社があった所だったんですって」

「博麗神社が!マジか!」

確かに、今まで気付かなかったが道の端に『旧博麗神社跡』と書かれた石碑が立っていた。道理で道なのに不思議な感じがする訳だ。不思議な感覚の答えが分かった所で俺は門を出す呪文を唱えた。

『ここに世界を繋ぎし、道を閉ざす門よ。今、姿を現し、我を誘え!』

門が現れると俺はその門を開こうとした。が、俺は一つ忘れていた。

「あ、霊夢」

「何?」

「帰って来たら話したい事があるんだ。いいか?」

「え…。うん」

「ありがとう。じゃあ、いってきます」

「行ってらっしゃい。晴竜」

俺は霊夢に見送られながら、外の世界への門をくぐった。

 

 

 

闇博麗異変の章〜完〜

 

 

 

 

 




やっと、終わりました。私は字を打つのは得意ではないのでどうしても時間が掛かります。その結果、これを書くのに一日かけてしまいました。まぁ、それはさておきこれで闇博麗異変の章は無事に最終回を迎えました。どうだったでしょうか。次は、前の章同様に番外編を入れて、次の章を書く予定ですのでご理解ください。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 霧雨魔理沙の八卦炉を追え

ココ最近でやっと夏らしくなって来ました。この暑さこそ夏です!暑すぎるのも嫌ですが…。青柳龍です。
さて、今回の話の語り手は魔理沙になります。題名からどんな事が起きるのか分かった人もいるでしょうがとにかくやって行きたいと思います。時期は晴竜が元の世界に戻る少し前の時です。
それでは番外編始まり始まり。


ここは魔法の森。私、霧雨魔理沙やアリスがこの森の中で暮らしている。そして今私はアリスと魔法の訓練をしようとしていた。

「よーし、アリス早速やろうぜ!」

「いいよ。やろう」

アリス・マーガトロイド。私と同じ魔法を使う程度の能力を持つ魔法使いでその魔法で人形を動かす人形使いでもある。

「じゃあ、あの木に向かって魔法の攻撃だせ」

「あの木に?うん、分かった」

「まずはアリスからだぜ」

「うん。はぁぁぁー!」

アリスの魔力が膨れ、その魔力が水の塊となって木に飛んでいった。ぶつかった木は大きく揺れた。

「水魔法か…。シンプルなやつにしてきたな」

「ふふっ。シンプル・イズ・ベストだよ」

「なるほどなー。なら私も!」

私は、ポケットの中にしまっているミニ八卦炉を取り出そうとした。が…。

「あれ。あれれ?」

「どうしたの?」

「無い!八卦炉が無い!」

「ええっ!」

「どうしよう」

「どこかに落としたんじゃないの?」

「うーん。分からない。昨日の朝まではあったんだけど…」

「なら、昨日の朝からの行動を振り返ってみたらいいんじゃないかな。そうすればきっとあるよ!」

「そうだといいんだけど、でも何もやらないよりはマシか。よし!行こうぜアリス!」

「うん!」

こうして、私とアリスは昨日の行動を振り返る事にした。まずは、家の中から探した。たが、無かったので改めて昨日の行動を振り返る事にした。

「朝、起きたら何したの?」

「えっと。起きたら、ご飯を作って。食べて。片付けて…」

「そんなに細かくじゃあなくてもいいからね」

「そうか?なら確か。そうだ!ここから博麗神社に遊びに行ったんだ」

「なら、博麗神社に行こう」

「そうだな。行こうぜ!」

数分後、私達は博麗神社に着いた。博麗神社では霊夢と晴竜が縁側でのんびりお茶を飲んでいた。

「霊夢!晴竜!大変なんだぜ」

「あら?魔理沙にアリスじゃない?どうしたの?今日は魔法の訓練じゃあなかったの?」

私は八卦炉を失くした事を伝えた。

「そんな大切な物を失くすって馬鹿ね」

「しょうがないじゃないか!私だって、さっきまでは持っていたと思っていたんだぜ」

「普通は失くしたら気付くと思うけど?」

全く持って正論だ。

「まぁまぁ、魔理沙も困ってるんだし、俺達で探してあげようぜ」

「まったく、しょうがないわね。後で、お団子奢りなさいよ」

晴竜のおかげで霊夢も探してくれる事になった。ただし、団子を奢ることになったけど。私達は境内や神社の中を隅々まで探したが、八卦炉は見つからなかった。

「どこに行ったんだよー!私のミニ八卦炉ー!」

「それで出てきてくれれば楽なのにねー。そう思わない?アリス?」

「そ、そうだね…」

「そうだ!晴竜!晴竜の占いで探してくれないか?」

「えっ?俺の占術で?」

「陰陽師だろ?占ってくれよー」

今まで忘れていたけど晴竜は占いもできるんだった。

「はぁ、しょうがないな。占ってやるよ」

晴竜はそう言うと博麗神社に残していた占いの道具で占い始めた。

「…結果出たぞ」

「やけに早いわね?それで結果は?」

「魔理沙の近く」

「うん。で?」

「で?って?」

「いや。だから場所はどこなの?」

「いや、だから魔理沙の近くなんだって」

「何よ!それー!」

私はガッカリと肩を落し、霊夢は怒った。

「魔理沙の近くってどこに居た時の魔理沙?近くってどれくらいの距離?」

「あのー。霊夢さん?自分も納得していないのでそんなに詰め寄らないでくれません?」

「霊夢、そんなに怒らないであげて?晴竜も全力で占って出た結果なんだからしょうがないじゃない」

「…アリスさん。全然、フォローになっておりませんけど?」

「あら?そうかしら?私はそう思ったけど」

「アリスも霊夢も今日とても怖い」

晴竜が怯えながらも、私に聞いた。

「魔理沙?昨日、ここ以外にも寄った所があるんだろ?他の所を探してみたらどうだ?」

「そう、だな。探して見るぜ。アリス!行くぜ」

「え?うん。分かった」

私達は次の場所に向かった。次に寄ったのは紅魔館だ。つい、この前までは所々壊れていたが、今では真新しい壁や門が立っていた。門の所までやって来ると珍しく起きている美鈴に声をかけられた。

「魔理沙さんにアリスさんじゃないですが?今日はどの様な用件で?」

「あぁ、実はな___」

私は八卦炉の事を話すと美鈴は驚いていた。

「それは大変じゃないですが!」

「そうなんだぜ。それで昨日の行動を振り返ってるんだが確か紅魔館では…」

「私とちょっと話すと妹様に会って来るって言ってましたよ」

「そうだった。ありがとう美鈴!」

「どういたしまして」

紅魔館の中に入ると私達はフランの部屋に向かった。部屋にはフランだけでなく咲夜、レミリアもいた。

「あ、魔理沙だ!来てくれたの?」

「アリスもいるじゃない?どうしたの?」

私は今までの事を話すと三人は驚いた。

「八卦炉を失すって大丈夫なの?」

「大丈夫じゃあないぜ。あれが無いとスペカが使えないぜ」

「それは大変ね。フラン?魔理沙とどこで遊んだ?」

「え?確かここで遊んでいたらミニ八卦炉を見せてくれて…」

「そうだった!それで私はミニ八卦炉に咲夜が持って来てくれた紅茶をこぼして、すぐに帰ったんだ!」

「なら、ここには無いわね。でも、魔理沙の家にはなかったわよ」

アリスの言葉に全員唸った。

「とにかく、もう一回私の家を探して見るぜ。じゃあな」

私とアリスはすぐに自分の家に戻った。すると、気になったのか、霊夢、晴竜と紅魔館から咲夜がやって来た。

「どうしたんだ?」

私の問いに霊夢が答えた。

「あなたを手伝いに来たのよ。そう思って紅魔館に行ったらあなた達は出た後で、咲夜と一緒に来たのよ」

「ありがとう。みんな。助かるぜ!」

こうして五人で家じゅうを探したが、やっぱり見つからない。するとそこで晴竜が私に聞いてきた。

「なぁ魔理沙?お前ミニ八卦炉を直したんだよな?」

「そうだぜ」

「それでどこにしまったんだ?」

「あぁ、それは直してそれからポケットに入れようとしたらフランからもらったクッキーが入っていたから帽子の中に…うん?」

私は帽子を取り中を探した。すると中からミニ八卦炉が出てきた。

「あっ!あった!ありがとうだぜみんな!」

「「「「…」」」」

「みんな?」

「ねぇ?私達って今まで何をしてきたの?」

「私は訓練をするために来たのにこんな遅くまでミニ八卦炉を探したよ?」

「俺は当たっていた占いに文句を言われた」

「私はミニ八卦炉を探すために仕事を抜けて来た」

「あのー?皆さん?」

「ねぇ魔理沙?改めて聞くけどどこにあったの?」

みんなの顔がだんだん怖くなって来る。

「えーと。私の帽子の中…だぜ✨」

「「「「まーりーさー!」」」」

「ひぃぃ。ごめんなさいー!」

この後、私は散々四人に怒られ、全員の夕飯を奢るはめになった。そして私は誓った。今度、ミニ八卦炉を失くした時はまずは帽子の中から探そうと____

 

 

 

番外編〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふぅ。やっと終わりました。魔理沙大変でしたね。このオチにしようと考えていたので最後はすらすらっと書けました。
あ、ここで重大な発表があります。今日から次の章の終わりまで質問、意見、感想を大募集します。この幻想日記や、私の事について聞きたい事などあればどんどん感想欄に書いて欲しいと思います。遠慮なく書いてくれると嬉しいです。ぜひご協力お願いします。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

憑依異変の章
第一話 嵐の前触れ


ワールドカップ盛り上がっていますね。私はあまりサッカーは見ないのですが、日本は頑張って欲しいと応援しています。ガンバレ日本!青柳龍です。
さて、今回から第三章が始まります。そして、晴竜が幻想郷から外の世界に戻っているので当分の間は霊夢が語り手となります。
それでは第三章、第一話始まり始まり。


晴竜が幻想郷を離れてから早、半年が経とうとしていた。私は神社の境内の掃除をしながらぼーっとしていると、魔理沙がいつもの様に飛んできた。

「よう!霊夢。遊びに来てやったぜ」

「…」

「はぁー。またか。霊夢!」

「え?あ、魔理沙いらっしゃい」

「いらっしゃいじゃないぜ。また、ぼーっとしていたぜ」

「ごめん」

「まったく、また晴竜の事考えていたのか?」

「ち、違うわよ!」

「本当か?」

「誰が、あいつの事なんか…」

「晴竜が幻想郷を出てから毎日気にしてなかったカレンダーを見てるのに?」

「う…」

「晴竜の家に行っては掃除とかしてあげているのに?」

「う、う…」

「晴竜の好物のカレーを咲夜やミスチーに教えて貰っているのに?」

「分かったわ。観念するからもうやめて」

「よろしい。それで、いつからあいつの事を好きになったんだ?」

「そうね…。いつ頃だったかしら。初めて会った時はあまり気にしてなかったの。でも、同じ屋根の下で暮らしていく内になんか晴竜の事を見ると心臓の鼓動が早くなって来て…」

そう話すと今まで私の心の中にしまっていた気持ちが溢れてきた。一緒にご飯を作った時、一緒に買い物をした時、一緒に遊んだ時、晴竜がここに来てから私の隣にはいつも晴竜が居た。そして、何より黒尾異変の時に酷い事を言ったにも関わらず私を助けてくれた。以前の私はその時に感じた気持ちは何なのか分からなかった。でも、晴竜が外の世界に戻った時に私はやっと自分が晴竜の事を好きなんだと気が付いた。

「まったく、本当、霊夢って異変とかの事は敏感なのに、自分の事になると鈍感だからなー」

「くっ…。本当は言い返したいけどその通りだから出来ない…」

「ま、私達は最初から気付いていたけどな」

「え?」

私、達?

「ねぇ、魔理沙?私が晴竜の事、その…、好きだって事、あと誰が知ってるの?」

「いや、もう幻想少女達は全員知ってるぜ」

その言葉を聞いて私はみるみる顔が熱くなるのを感じた。今、とても穴があったら入りたい気分だ。

「そ、そんなに?」

「だって、ここ最近の霊夢の行動があからさまに晴竜の為なんだもん。誰だって分かるって。大丈夫か?顔、すっごく赤いぜ」

「あんたのせいでしょ!し、死にたい…」

「こんな霊夢を見るのってレアだな。後で、アリスや咲夜達に話そうっと」

「魔理沙?一回本気で懲らしめてやりましょうか?」

「ごめんなさい絶対に話しませんからそれはご勘弁を」

「ふぅ。もういいわ。みんなに知られているなら隠さなくてもいい訳だし、楽になるかもね」

「まぁ、当分はそのネタでからかわれるのは確定だけどな」

「そうだったわね…。はぁー。先が思いやられるわ」

「ドンマイだぜ。霊夢」

肩を落とす私を魔理沙が慰めていると、突如として妖怪の山から強い妖力の気配を感じた。私と魔理沙は妖怪の山の方を見ると妖怪の山の空がみるみる黒くなって来ている。

「霊夢。これって…」

「間違いないわ。異変の前触れよ」

私は魔理沙と共に妖怪の山に向かって飛び出した。

この時の事を私は悔やんでいる。あの時もし、魔理沙を連れていかなければ魔理沙はあんな事にならなかったのにと___

 

 

 

第二話に続く

 

 




さあ、新章突入しました。いかがでしたでしょうか?私は上手くいったと思っています。さて、今回の話で霊夢の気持ちを発表しました。これから、どう展開していくのかお楽しみに!
なお、前回の話でも言った通り質問などを大募集しています。詳しくは活動報告にて書いているので確認の程よろしくお願いします。
それではまた次回。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 狂気の妖怪達

ここ最近は暑くもなく、ちょうどいい気温で何だか眠くなって来た…。ですが!頑張って書いて行きたいと思います。青柳龍です。
さて、今回で二話目となりますがこの話から戦闘シーンを増やして行きます。お楽しみに!
それでは憑依異変の章第二話始まり始まり。


博麗神社を出て数分後、私と魔理沙は妖怪の山に来ていた。

「うわー。何だか気味悪いぜ」

「そうね。この禍々しい気配…。嫌な予感しかしないわ。気を付けて行くわよ」

私は魔理沙を連れて妖怪の山の中に入って行った。入って見るといつもなら射命丸文や、犬走椛辺りがやって来るはずなのに、今日は来る気配が無かった。

「あいつら。出かけてるのかな?」

「さぁね。でも、最低椛ぐらいはいると思ったけど…」

その時、後ろから草を掻き分ける音がした。

「誰かいるの?」

私が近づくとその草から突然影が踊り出し、襲って来た。

「なっ!?」

「霊夢!?」

私はギリギリの所で避けるとその影は唸り声を上げた。

「グルル…」

その影をよく見ると犬のような姿をした妖怪だった

「何なの。こいつ…」

「霊夢。こいつって妖怪の山に居たか?」

「知らないわよ。とにかくやるわよ!」

「おう!」

私は魔理沙と同時に地を蹴ろうとした時、突然その妖怪は遠吠えを上げた。

「なんだ!?」

魔理沙が驚いた瞬間、私は周りを見て戦慄した。

「魔理沙…」

「どうしたんだぜ?」

「周り、囲まれているわ…」

「何だって!」

さっきの遠吠えに反応したのか。周りには仲間の妖怪達が牙を向いていた。

「まずい事になったわね…」

「だが、そう簡単やられる私達じゃないぜ。そうだろ?」

「ふふっ。そうね。行くわよ!魔理沙!」

「ああ!」

私達は同時に弾幕を放った。妖怪達も攻撃してくるが私は難なく避けるとそいつに向かって至近距離での弾を撃った。

「ギャン…」

その妖怪は弾に当たると消えてしまった。私達は妖怪達の攻撃を避けては弾幕を放つが何度も当ててもキリが無かった。

「はぁはぁ…。どんだけいるんだぜ…」

「はぁはぁ…。数で押し切ろうと言う事ね。ふん、舐めた真似してくれるじゃない」

「グワァ!」

妖怪達が一斉に私達に飛びかかって来た。私達は身構えるがその瞬間、知っている声が聞こえてきた。

「幻象、ルナクロック」

すると、不思議な感じがして気が付けば周りの妖怪達は消えており、残った妖怪達は動揺した。その妖怪に向かってスペルカードが放たれた。

「操符、乙女文楽」

「秘術、グレイソーマタージ」

二人の声が聞こえたかと思えば、妖怪達はレーザーや星型の衝撃波で蹴散らされた。

「これは…」

魔理沙が驚いている横で、私は助けてくれた三人に呼びかけた。

「助かったわ。咲夜、アリス、早苗」

咲夜、アリス、早苗は私達に駆け寄った。

「大丈夫だった?」

咲夜が聞いてきたので大丈夫と手をヒラヒラさせると三人は安心した様に息をついた。

「それは良かったわ」

「私達の事より、どうしてここに?」

私が聞くと三人はそれぞれ答えた。

「私は、お嬢様に妖怪の山の様子を見てきて欲しいと言われたの。お嬢様いわく、何か嫌な運命が待っているそうよ」

「私は、ただ単に気になって、それにあの様子じゃあ霊夢と魔理沙は絶対動くと思って手伝おうと思ったの」

「私は、諏訪子様と神奈子様に言われて。それに突然空が暗くなりましたし…。それよりまさか、霊夢さん達が苦戦してたなんて思いもしませんでした」

「あれは数が思ったよりも多かっただけだぜ」

「えぇ。数が多いってのも厄介なものね」

そう話していると再び妖怪達が集まって来る気配がした。

「元々、この山に住んでいた妖怪達はどこに行ったのかしら?」

「咲夜の言う通りね。早苗知らない?」

「そういえば、多くの妖怪達とすれ違いました。おそらく、守矢神社に向かったのかと」

「今の状況で一番近くて安全なのはそこぐらいしか無いでしょうし、今頃妖怪達でいっぱいになってるじゃない?」

「それはそれで私は大変ですけどね…」

「アリス、早苗!いつまで話してるの?」

「ごめんなさい」

「すいません」

アリスと早苗に注意し、私達は背中合わせに立った。

「まったく、みんな準備はいい?」

「おう。いつでもいいぜ」

「私は大丈夫よ」

「私もいつでもいいわ」

「私もOKです。何だか皆さんに背中を預けるなんて結構感動してるんですけど…」

「何を言ってるのよ。あんたは。まぁ、いいわ。それじゃあ行くわよ!」

私達は向かって来る妖怪達に立ち向かって行った。

それからどれくらい経っただろうか、私達は服をボロボロになりながらも何とか最後の一匹を倒した。

「ギャン!」

「はぁー。やっと終わったぜ。もう出てこないよな。出てくるなよ」

「正直言って、私と魔理沙だけじゃあ危なかったかもね…」

「あの妖怪ぐらいでここまでなるとは思いもしなかったわ」

「もう出てくる様な気配は無いし、大丈夫よ。魔理沙」

「ホントか!アリス!」

「はぁはぁ…。つ、疲れましたー」

そう言って早苗は座りこんでしまった。それを見た私達も釣られて座った。それほど、さっきの戦闘はきつかったのだ。

「あーあ、せっかくの服が、これじゃあもう着れないじゃない」

「アリス、諦めは肝心よ」

「咲夜や、霊夢はいいのよ。同じ服を何枚も持ってて、私は色んなタイプの服を着るから一枚一枚大切なのよ」

「ねぇ、アリス?ちゃっかり私を巻き込まないで、あと私だって巫女服以外にも着る時は着るからね」

「私だって、メイド服以外も着るから」

「本当かなー?」

「「本当よ!」」

「ハハ、アリスが霊夢と咲夜をいじるなんてレアだな。なぁ、早苗?」

「そうですね」

「「うるさいわよ!」」

その時だった。

「ははっ。うん?…!霊夢危ない!」

魔理沙が叫び私の後ろに飛び出した。私はとっさに魔理沙の方向を見ると黒い何かが魔理沙を包み込んだ。

「魔理沙!」

「霊夢___」

魔理沙を包んでいた黒い何かが消えるとそこに居たのは普通の魔理沙だった。

「なんだ。何も変わらないじゃない。脅かさないでよ」

私は魔理沙に近付いた時、魔理沙は微笑むと私に近付いた。そして…。

「え…」

グサリと言う音と遅れて腹部からやって来た激しい痛み。そこでやっと私は魔理沙に何かで刺されたんだと気付いた。魔理沙の手元を見るとそこには普通の魔理沙なら使わない魔力で作られた短剣が私の腹部を刺していた。

「ま、りさ…」

私は咲夜達の驚愕と悲鳴の声、そして魔理沙の笑う声を聞きながら意識を飛ばした。

 

 

 

第三話に続く

 

 

 

 

 

 




やっと終わりました。だいぶ早めに書いて結局この時間帯になりました。内容は少し雑のようになりましたがもし、おかしい点などがあれば教えてください。あと、前々回から発表していますが、幻想日記などの事について質問などを募集しています。ぜひ、その事も感想欄にて書いて貰えると嬉しいです。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 崩れる平穏

暑くなって来ました。南の方では梅雨が明けたと言う事でついに夏半ばになって来たと思います。青柳龍です。
さて、前回魔理沙に刺されてしまった霊夢。そして、幻想郷を守る巫女が怪我した今、幻想郷はどうなるのか。
それでは第三話始まり始まり。


「ここは…」

気付けば私は暗闇の空間の中に立っていた。(そうだ。私、魔理沙に刺されて…)私はさっきの光景を思い出しお腹を見た。だが、お腹には刺された傷は無かった。おそらく、夢の中なのだろう。私はほっ、と息をつくと状況を整理した。突然、妖怪の山に現れた謎の妖怪達、そして、あの様子から何者かに取り憑かれた魔理沙。私は取り憑かれる直前魔理沙の声を聞いた。

「霊夢。後は任せたぜ」

魔理沙はこうなる事を分かって私を庇った。そう考えたら私は魔理沙に対して感謝とそれ以上の申し訳なささが溢れて来た。

「魔理沙…。待ってて。絶対に助けてあげるから!」

そう決意すると暗闇の中に光が見えた。私はその光に飛び込んだ。

 

 

 

私はゆっくり目を開けるといつも見る私の神社の天井があった。

「ここって…。博麗神社?」

私の呟きに気付いたのかバタバタと足音が聞こえたと思えば、部屋の襖が開いた。

「れーいむー!」

「霊夢さん!」

「霊夢!」

そこに入って来たのは妖精のチルノと大妖精。そして、茨木華扇だった。チルノは氷の妖精で冷気を操る程度の能力を持っている。大妖精はチルノといつも一緒にいる妖精で滅多に戦わないけどチルノいわく、

「妖精の中では本気の大ちゃんに勝てる子は居ないよ」

だそうだ。

そして茨木華扇、またの名を茨華扇と言われ妖怪の山に屋敷を構えている。能力は動物を導く程度の能力を持つ仙人だ。

「良かった。あなたが起きなかったらどうしようかと…」

華扇がうっすら、涙を浮かべ抱き着いてきた。

「華扇?気持ちはありがたいけど、痛い」

「あ!ごめんなさい…」

華扇が離れると私は三人に聞いた。

「私はなんでここに?」

すると、答えたのは大妖精だった。

「ここに霊夢さんを運んで来た咲夜さんによると霊夢さんが刺されて倒れた後、咲夜さんが霊夢さんを抱き、アリスさんと早苗さんで魔理沙さんの攻撃から守ったって言ってました」

「そうだったの…。それで、咲夜達は?」

「咲夜さんは紅魔館に早苗さんは守矢神社に戻って行きました。アリスさんは…」

そこで大妖精は霊夢の後ろの方を見た。私は寝返ると、私の横で寝ているアリスの姿があった。

「アリス…」

「アリスさんはあなたの傷を癒す為に徹夜で回復魔法をかけて、やっと傷が塞がったと思えば眠ってしまって…」

「そうだったの…。ありがとうね。アリス」

私が頭を撫でるとアリスはうーんと寝言を言っていた。私ははっとなった。

「ねぇ?魔理沙ってどうなったの?」

その問いに三人は顔を暗くした。

「魔理沙は、謎の妖怪達と共に人里を襲って…」

「何ですって!人里には慧音先生が居るはず…」

上白沢慧音。私達が通った寺子屋の先生で歴史を喰う程度の能力を持つ妖怪だ。慧音先生は能力も能力で強く、人里を守っている数少ない妖怪なのだけど。するとチルノが話し始めた。

「もちろん慧音先生は止めようとしたよ。でも、魔理沙が『抵抗したらこの身体の心臓に剣を突き刺す』って言われて…」

「あいつ、魔理沙を人質にしたのね。それでどうしたの?」

「人里から妖怪達に抵抗出来る力を持つ人達の家族などを捕まえて一箇所に閉じ込めたの。そうなっちゃったらもう抵抗出来なくて、その調子で命蓮寺や紅魔館、永遠亭を同じ方法で制圧しちゃって…」

「待って…。なら、今の幻想郷って…」

そこで華扇が苦々しく言った。

「実質、幻想郷は支配されたわ」

「そんな…」

私のせいだ。私が油断して魔理沙を奪われたうえに、こんな大変な時に寝ていたなんて。私はすぐに立ち上がろうとした所を三人がかりで抑えられた。

「何するの!私はすぐに行って魔理沙を止めないと!」

「今の身体じゃあ無理よ。ただえさえ魔理沙は取り憑かれた事によって前よりも何倍にも強くなっているわ」

「華扇さんの言う通りです。それに今動いたら魔理沙さんだけで無く人里や紅魔館などの人質にも被害が」

「霊夢!ここは華扇と大ちゃんの言う通りにして!」

「そうよ。霊夢。ここは我慢して」

私は驚いて後ろを見た。そこには眠っているはずのアリスが目を開けていた。

「アリス起きたの?」

「周りがうるさかったから…。あと、霊夢が無茶しようとしたから」

「う…」

「今は何とか回復魔法で傷を塞いでいるけど無茶をすれば傷口が開くわ。そうなれば、戦う所じゃあ無くなるわよ」

「そうだけど……」

「考えなしで行動してもあっちの思うツボよ。この状況を打開出来る策を考えないと…」

私達は考えても打開策になりそうな策は無かった。私は開いている襖から見える曇り空を見た。晴竜なら…。晴竜ならきっと、魔理沙や他の人質を救い出し、あいつらを倒す方法が思い付くはずと思った。しかし、晴竜はここには居ない。この異変は私が何とかしないと行けないのだ。私の決意は静かに燃えていた。反撃する時まで___

 

 

 

 

第四話に続く

 

 

 

 

 




ついに幻想郷が妖怪達の手に落ちてしまいました。霊夢達幻想少女達はどうするのか。お楽しみに!
あと、質問など大募集中です。感想欄に書いて貰えると嬉しいです。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 支配された幻想郷 人里~永遠亭

最近、ずっと東方の歌を聴いていますが(特に、幽閉サテライトさんと少女フラクタルさん)やっぱり神曲ですよね!感動しています。オススメは少女フラクタルさんの悠久の月に照らされて。青柳龍です。
さて、久しぶりに幻想日記を書いて行きたいと思います。魔理沙に取り憑いた妖怪は魔理沙を人質に幻想郷を支配してしまった。さて、霊夢達はどうするのか?
それでは、第四話始まり始まり。


魔理沙が幻想郷を支配してから数日が経った。傷がなんとか治った私は他の幻想少女達と共に反撃の時を見計らっていたけどまったく隙を見せない。だんだんと焦りを感じる中、私は華扇、アリス、チルノ、大妖精と共に神社でこれからの事を話し合っていた。すると突然、空から声が聞こえた。

「あら?私が与えた傷はもう治ったようね。さすが博麗の巫女ね」

私達は声をした方法に向くとそこには魔理沙が箒から降りる所だった。

「何しに来たの?」

アリスが冷たい声で聞いた。魔理沙はそんなの感じないかの様に話を続けた。

「何しに来たのってただお見舞いに来ただけじゃあない」

「何がお見舞いですか!あなたが霊夢に傷を与えたんですよ!」

華扇の怒鳴り声を聞いて魔理沙は肩をすくめた。

「いやー。正直言って死ななかったのは私にとって予想外でね。その強靭な生命力に賞賛をしようと思ってお見舞いに…」

「あの傷を治すにはアリス達の協力があったからよ。決して私の力だけでは無いわ」

私はそう言いながら静かにアリス達を庇うように前に出た。

「まだ警戒されてるようね。もう私は幻想郷を支配したの。もうあなた達を襲う理由は無いわ。あ、そうだ。復帰お祝いに今の幻想郷を案内するわ」

「何ですって!」

私達は驚愕した。まさか魔理沙がこんな事を言うなんて、あと、同時に他の人達はどうしてるのか確かめたく思った。ここ数日、私は怪我のせいで人里など行けなかった。アリス達も私の身の回りの世話をするため行く事が出来なかった。

「どうするの?行く?」

「えぇ。行かせてもらうわ」

私の答えに魔理沙は微笑むと私達を連れ歩き始めた。

 

 

 

 

私達が最初に寄ったのは人里だった。人里は以前の活気が無くとても静まりかえっていた。

「当然の事だけど誰一人歩いてないわね」

私の声に魔理沙は立ち止まり私達の方を向いた。

「そうね。これじゃあ人里らしくないわね。ねぇ、何してるの?早くいつもの人里らしく動きなさい!」

魔理沙の声が人里に響くと突然、人里の住人達が大慌てで外に出てくるといつもの様に働き始めた。私達が呆然とする中、魔理沙は頷き再び歩き出した。

「さ、これで人里らしくなったわね」

「こんなの酷いわ!」

「なんで酷いの?」

アリスの言葉に魔理沙は首を傾げた。

「当たり前じゃない!この人達は皆、あなたに怯えてこうしているのよ!可哀想とは思わないの?」

「思わないわ。だって私の意思で動くいわば人形達だもの」

「人形ですって!ふざけないで!」

アリスが魔理沙に飛びかかろうとした。しかし、アリスを止めた者がいた。

「アリス!ダメよ。あなたが攻撃すれば人質が傷ついてしまうわ」

「慧音先生!」

チルノと大妖精が慧音へと駆け寄る。

「先生!大丈夫?」

チルノが聞くと慧音先生は頷いた。

「私は大丈夫。でもそれは魔理沙に対して何もしてないから。魔理沙、もしくは部下の妖怪達に何かすれば私達の大切な家族が傷ついてしまう。だからお願い何もしないで」

慧音の頼みにアリスは飛びかかるのを辞めた。それを見た魔理沙は大きく笑った。

「はははっ…。これは傑作ね。さて、次の場所に行きましょうか?」

魔理沙はそう言ってまた歩き出した。私達は積もる怒りと憎しみを抑えながらついて行った。

 

 

 

 

チルノと大妖精はここに残ると言って別れ、私達が次に案内されたのは命蓮寺だった。命蓮寺に着くと聖達が出迎えた。

「あら、魔理沙さん。どうしたのですか?」

聖の問いに魔理沙は答えた。

「霊夢の復帰祝いに私の幻想郷を案内してるの」

「そうでしたか。早速、お茶などを…」

「別にいらないわ。直ぐに行くから。後、変な事してないでしょうね?」

「してませんよ。何故そんな事を聞くんです?」

「あなた周りから姿の見えない妖力を感じるけど?」

「…!そ、それは勘違いでは無いでしょうか」

「それならいいわ。でも、一応言って置くけど勝手な真似をしたらあの、ナズーリンって子どうなるか分かるわよね」

「…はい。分かっています…」

聖はうなだれるように頷いた。私はナズーリンが人質に取られている事を知り魔理沙が歩き出したのを確認して聖に近付いた。

「聖…。大丈夫?」

「大丈夫じゃない…です。私が不甲斐ないばかりにナズーリンを人質にされてしまいました。さっき、残った妖怪達で奇襲しようとしましたがまさか、気付かれるとは…」

「私も何とか気付けるほどの妖力に気付くなんて厄介ね。もうこれ以上は危険よ。辞めといた方がいいわ」

「はい…」

「何、話してるの?置いて行くわよ」

「何も無いわ。ただの世間話よ」

私は聖に別れを告げ魔理沙を追った。

 

 

 

 

次に来たのは永遠亭だった。早速出迎えたのは鈴仙・優曇華院・イナバ(私達は優曇華と読んでいる)だった。優曇華はこの永遠亭に住む兎の妖怪で、狂気を操る程度の能力を持っている子だ。優曇華は何も話さず永遠亭の一室に案内した。

「優曇華?どうしたの?」

華扇の問いに優曇華は何も喋らない。その代わりにこれが答えだと言わんばかりに目に涙を浮かべていた。それほどきついのか。私はその顔を見て見ぬふりをする魔理沙を睨み付けた。すると、やって来たのは蓬莱山輝夜と八意永琳だった。蓬莱山輝夜はこの永遠亭の主で

永遠と須臾を操る程度の能力を持っている。八意永琳は輝夜の従者であらゆる薬を作る程度の能力を持っている。そして輝夜と永琳は元月の民だ。

「どうしたの?」

輝夜は魔理沙に聞くと魔理沙はさっき命蓮寺に説明した通りの内容を話した。

「なるほど。それで、私達は何をすればいいんですか?」

「別に、何もしなくていいわ。ただ一つだけ聞きたい事があるのだけど」

「はい。何でしょう?」

「輝夜?あなたこのお茶飲める?」

魔理沙は自分の前に置かれたお茶を輝夜の前に置いた。その瞬間、輝夜が苦虫を噛み潰したような顔をした。それを見て魔理沙は納得したように頷いた。

「なるほど。このお茶には恐らく私から本体を取り出すための薬が入ってるわね」

そう言うと輝夜達は驚いた顔した。それが正解だと表情が語っていた。

「あなた達がこんな事をするなんてね…。仲間に伝えて因幡てゐを痛めつけて上げましょうか?」

永遠亭はてゐを人質にしたようだ。そう言われた三人は慌てて謝罪した。

「悪かったわ!謝るからそれだけはお願い!やめて!」

「私がこの作戦をしようと自分の薬を入れたの!悪いのは全部私。お願いだからてゐには手を出さないで!」

「お願い!輝夜様や師匠だけじゃない。私も悪いの。だからお願い!」

「しょうがないわね。今回は許してあげる。だけど、次は無いからね」

無言で頷く三人。三人共、悔しそうな顔をしている。そして魔理沙は立ち上がり私とアリス、華扇に声をかけた。

「さて、そろそろ行こうよ」

まだ、支配された幻想郷の案内は続く_____

 

 

 

 

第五話に続く

 

 

 

 

 

 

 




さて、書き終わりましたが、よくここまでゲスに書けたなと我ながら思っています。自分ならすぐにぶん殴りたいほどの奴を書きました。読んで下さった皆様にも不快な思いをしてしまった人がいるかも知れませんが後ちょっと我慢してくだされば絶対にコテンパンにしますのでよろしくお願いします。
後、引き続き質問などを募集しています。ご協力をお願いします。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 支配された幻想郷 地霊殿~紅魔館

暑い。とにかく暑い。前は寒い時が時々あったけど今や暑い日が続いて体がベトベト。嫌になって来ます。青柳龍です。
さて、今回の話で紅魔館、地霊殿を周ります。支配された時紅魔館などはどうなるのか。
それでは第五話始まり始まり。


迷いの竹林を出た私、アリス、華扇、そして憑依された魔理沙は次に地霊殿に向かっていた。そんな時華扇は魔理沙に聞いた。

「あなたは一体なんなんですか?」

「なんなのって?」

「あなたは一体何者なんですか?なんでこんな事をするんですか?」

華扇の問いに少し魔理沙は考え、私の方を向いた。

「そうねぇ。霊夢なら私が何なのか分かると思うけど?」

「え?」

私はそう言われ少し記憶を辿った。(魔理沙の魔力に混じった妖力。この口調。どこかで…)私はあっ、と思い出した。

「まさか!そんな…」

「気付いたようね」

「まさか、あなたお母さんに取り憑いていたあの妖怪なの?」

「そうよ。あの時はお世話になったわ」

「そんなのおかしいわ。私は確かにあなたを夢想天生をくらわせたはず…」

「えぇ、確かに私は夢想天生をくらったわ。でも私は何とか体の一部を残せた。だから生きてるのよ。そして私はあなたに復讐する事にした。先代の巫女の分までね。ただ、もう一人にもしたかったけど、あの人はもう幻想郷に居ないのよね」

もう一人て言うのは間違いなく晴竜だ。私は今にも倒したいと言う気持ちを抑え冷静に聞いた。

「それで、あの時私に取り憑こうとして庇ってくれた魔理沙に憑依してしまった訳ね…」

「まぁね。最初は残念だと思ったけど、この身体も中々いい力を持っているから結果オーライてところかしら」

「そして私を殺そうとした」

「失敗したけどね。でも、幻想郷を支配出来たからいいわ。後、魔理沙魔理沙ってうるさいの。私は憑姫よ。これからはそう呼んで」

「ふん、知らないわ」

「そう。なら、いいわ」

魔理沙___いや憑姫はそう言って前を向いた。

 

 

 

 

数時間後、私達は地霊殿に着いた。門の前には古明地さとりと火焔猫燐、霊烏路空がいた。

「あら?まるで私達が来ることを知っていた様ね」

「たまたまですよ。それより、どうしたのですか?」

「霊夢に幻想郷を案内してるの。だからここに来たわけ」

「そうでしたか。さ、どうぞ中に」

そうさとりに言われ私達は地霊殿の中に入っていった。古明地さとり。この地霊殿の主で、心を読む程度の能力を持つ妖怪。そして、さとりのペットが二人。一方は火焔猫燐(皆はお燐と呼んでいる。)体を持ち去る程度の能力を持っている妖怪『火車』で、もう一方は霊烏路空。(こっちも皆、お空と呼んでいる)

核融合を操る程度の能力を持っている。本当の姿は『地獄鴉』だ。三人に案内され来ると憑姫は嫌な顔をした。

「相変わらず、ジメジメしてるわねここ」

「地底ですから…」

さとりは申し訳なさそうに言った。

「はぁ、今日は案内するために来たけどいつもならこんな所来ないわ」

「あの…。こいしはどうしてますか?」

さとりは随分悲しそうな顔をして聞いた。地霊殿はこいしを人質に取られたらしい。

「あの子なら元気よ。気配消してしまうから常に部下に見張らせてるけどね」

「…そう、ですか」

すると、お燐とお空が詰め寄った。

「本当にこいし様は元気何ですよね?」

「こいし様の姿が見たいですよ」

しかし憑姫は二人を突っぱねた。

「私の事を信じないって言うの?」

「「そ、それは…」」

二人が言葉を濁すとさとりは二人を引っ張って憑姫から引き離した。

「申し訳ございません。しっかり後で叱りますので」

さとりが頭を下げ、それを見た二人も慌てて頭を下げた。

「まぁ、いいわ。今後、気を付けなさい。さ、ここは充分でしょう。行くわよ」

私はもうちょっと居たかったがそう言われては仕方がない。私はさとりが私の方を向いたのを確認した私は心の中でさとりに謝った。するとさとりは私の心を読んだのか、首を振った。こうして私達は地霊殿を出た。

 

 

 

 

続いて来たのは紅魔館だ。紅魔館の門前まで来るとアリスがある事に気が付いた。

「あれ?美鈴は?」

確かにいつもなら門番の美鈴が立っているのにそこにいたのは憑姫の部下だった。

「美鈴はどうしたの?」

「ああ、あの妖怪なら中よ。ここは結構強い妖怪や魔法使いが多いから、なるべく外に出ない様に閉じ込めてるの」

紅魔館は他の所に比べ、幻想少女が多くいるため他の所に比べ憑姫の妖怪達の人数も多かった。

私達は門番の妖怪に案内され中に入ると応接間に案内された。そこには咲夜と美鈴、パチュリーと小悪魔。そして、少し高い段差の上にある椅子に座るレミリアがいた。咲夜は私達の事を見て声をかけた。

「霊夢?もう大丈夫なの?」

「ええ。大丈夫よ。ありがとうね。博麗神社に運んでくれて」

「どういたしまして」

咲夜の言葉が終わるのを見計らってレミリアは聞いてきた。

「今日は何の用かしら?もうあなたが言う事は全部したはずだけど」

憑姫は今までの事を説明した。レミリアは納得したように頷いた。

「そうだったのね」

「ところでレミリア?」

「何?」

「あなた、いつまでそこに座ってるの?」

「あら、ごめんなさいね。つい、くせでね」

レミリアはそう言うと今まで座っていた椅子を憑姫に譲った。憑姫はそこに座るとレミリア達の方を見て言った。

「ねぇ、喉が乾いたわ。飲み物持って来て?」

「あ、はい。かしこまりました」

そう言って行こうとする咲夜を憑姫は引き止めた。

「あなたに言ったんじゃないの。レミリア?あなたが取ってきて」

「…!」

私達は息を飲んだ。レミリアは紅魔館の主がゆえ、高い誇りとプライドを持っている。そんなレミリアを従者の様な命令をするなんて。私達はハラハラしながら見守った。

「何してるの?早く取ってきてよ」

「…」

「取って来ないならそれでいいわよ。さて、今日は誰の人質で遊ぼうかなー。そうだ!あの吸血鬼でいいかな?」

「え…」

レミリアはすぐに目を見開き固まった。そうか。紅魔館の人質はフランみたい。私は憑姫に文句を言おうとした時、レミリアは呟くように咲夜に声をかけた。

「ねぇ。咲夜…」

「はい。お嬢様」

「いつもの紅茶ってキッチンにあるわよね?」

「え、はい…。て、まさか!」

驚く咲夜、周りも驚いているがそんなの気にせずレミリアはキッチンに向かって行った。数分後、レミリアは慣れない手付きで紅茶を持って来た。

「待たせたわね。紅茶よ」

「言い方がなー」

「…お待たせ致しました。紅茶です」

「ありがとう」

憑姫は紅茶を貰うと美味しそうに飲んでいた。皆が憑姫を見る中、私は気付いていた。レミリアが感情を抑えるかの様に手を握り締めていることを。その手に爪が食い込み、血を流している事を……

 

 

 

 

「どうだった?白玉楼や守矢神社には時間の都合上行けなかったけど…」

「えぇ、とても不愉快な幻想郷だなって思ったわ」

「そうですね。私もアリスさんと同意見です。改めてあなたを許して行けないと感じました」

アリスと華扇が批難の言葉を言う中、憑姫は私の前に来た。

「あの二人はそう言ってるけど、あなたはどうなの?」

「私は…」

私は目を閉じ、今までの事を振り返った。逆らえない状況で必死に働く人里の人々、今の状況を打開するため頑張っている命蓮寺、滅多に見せない涙を見せた永遠亭。辛い思いをしながら耐えている地霊殿。そして、自分の妹の為に自分のプライドを捨てて動いた紅魔館。私は目を開け、笑った。(考えなくても分かってるじゃない…)そう自分に言い聞かせ、私は憑姫を見た。いや、睨んだ。

「私は…。絶対にあなたを許さない。どんな方法を使ってても魔理沙を取り戻してあなたを退治するわ!」

「そう。なら、次に会う時は敵同士ね。その時は今度こそ殺してあげるわ」

「そうね。私もボッコボッコにしてあげるから」

「ふふっ。楽しみね。それじゃあね」

そう言って憑姫は魔理沙の箒に乗り、飛んで行った。私達はその後ろ姿を見送った。必ず倒すと言う心を秘めて___

 

 

 

 

第六話に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うん、マジで憑姫って不愉快だ。自分で考えたキャラながらこんなにも倒したいなんて思ったのだろう。さて、今回でほとんどの幻想少女達が登場しました。口調などはネットの情報を元にしていますが違う所もあるかもしれませんのでそこは、暖かい目でご覧下さい。あと、引き続き質問などを募集しております。ぜひ、感想欄に書いて下さると嬉しいです。
それではまた次回!

ちなみに憑姫の呼び方は〈ひょうひめ〉です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 反撃開始

通信制限が解除された。これでゲームやこの小説をスラスラかけるぞ!青柳龍です。
さて、今日で第六話目になります。今回の話で今の幻想郷の状況を霊夢達は変えれるのか?
それでは第六話始まり始まり。


「はぁぁぁぁ!」

「ていやぁぁぁ!」

憑姫の幻想郷案内の数日後、博麗神社の境内で私は華扇にお願いして、体術の修行として組手をしている。どうして組手をしているのか。それは全て憑姫を倒す為だからだ。この前の憑姫は人里の人達を駒の様に扱い、幻想少女などの力を持った者達の家族や仲間を人質に取った。その中で私が一番頭に来たのはレミリアを従者の様に扱った事だ。私の大切な友達を悲しませたのは絶対に許さない。私はそう考え、改めて体術などを鍛え直す事にした。ある程度組手を行った後、私と華扇は神社の縁側に座った。

「ふぅー。やはり、流石博麗の巫女ですね。隙を全然見せなかったですね」

「それほどじゃないわ。それに憑姫と相手取るならまだまだよ」

「そうですか?今でも充分戦えると思いますが…」

「華扇、私達この前命蓮寺に憑姫に案内されたでしょ?」

「はい。そうでしたね。それがどうしたんです?」

「あの時、聖達は憑姫を抑えようと気配を消して奇襲しようとしたの」

「そうだったんですか!全く気付きませんでした」

「でも、憑姫は聖の仲間が囲んでいると簡単に気付いたわ。私でも何とか気付ける程の妖力を感じて」

「本当ですか。霊夢でさえ何とか感じる程の妖力を感じ取るなんて…。やはり厄介な相手ですね」

「そう。だから私は今の私が出来る最大限の力を発揮しないと行けないの。だから華扇。もうちょっと付き合って」

「分かりました。私が出来る事なら何でもしますよ!」

「うん。お願い」

私が華扇にお願いしていた時、空から凄いスピードで飛んで来る者がこちらに向かって来た。あんなスピードを出せるのは文しか居ない。文はスピードを落とし私達の目の前に降りた。

「どうも。毎度お馴染み射命丸です!はい。これが今日の新聞です」

「ありがとう」

私がお礼を言うと文は自分のポケットから封筒を出した。

「後、これが頼まれていた物です」

封筒を貰い開けると中には幻想郷の地図と憑姫の部下の妖怪達の配置が書かれていた。

「ありがとう。後、ごめんね。危ない事をさせて…」

「別にいいですよ。それに、私は記者ですよ?そう簡単に気付かれません」

「本当に心強いわ」

私は憑姫と戦う前にどうしても超えないと行けない壁があった。人質の存在だ。もし、私達が憑姫を襲えば、部下達は遠吠えをして人質達を襲ってしまう。だから私達は人質の安全を確保しないと行けない。そのために私はここ数日の間、文に協力して貰って人質の見張りの妖怪など、憑姫の部下達の動きを調べて貰った。

「それで、霊夢。どう?何か抜け道とかあった?」

「ええ。あったわ」

「え!どこですか?」

華扇と文が迫って来るのを止め、私は説明した。

「ここ数日、妖怪達の動きが定期的になって来ているわ。これを見て?」

私は幻想郷の人里の地図の一軒家を指さした。ここに人質達が捕まっているのだけれどそこを守る為の妖怪達が少ない日がある。それは憑姫が人里から離れている日だ。

「なるほど。憑姫の警護する為に見張りの数を削るんですね」

華扇の言葉に私は頷いた。

「そう、今まで憑姫が人里から離れた時は何度かあったけど毎回見張りの妖怪達は十匹ぐらいから二、三匹に減るわ。そこを狙って突撃すれば…」

「人質を無事に救出出来るて事ですね」

「そういう事よ」

「ちょっといいかしら?」

私達の会話に混ざって来たのは先程まで洗い物をしていたアリスだった。

「どうしたの?」

「確かに霊夢の作戦なら人質を救出出来るわ。でも、そのタイミングはどうするの?憑姫が人里を出る時って分からないわよ」

「そこは心配いらないわ」

「え、どうするの?」

「私が憑姫に決闘を申し込むわ。場所は妖怪の山の麓にある野原よ」

「憑姫と決闘するの?それは余りにも危険だわ」

「そうですよ。アリスの言う通り危険です」

「大丈夫よ。私は博麗の巫女よ。そう簡単にやられないわ」

「「でも…」」

「それにあいつとの約束を破る事は出来ないから」

あいつ___晴竜が外の世界に戻る時、晴竜が戻って来た時話したい事があると言っていた。晴竜との約束を、好きな人の約束を破る訳にはいかない。そんな思いも私の力になっている。

「霊夢?」

「え?あ!いや、何でもないわ。とにかく、大丈夫だから」

私が説得するとアリスは折れてくれた。

「分かったわ。でもその決闘は私も行くわ」

「え?なんで?」

「何かあった時すぐに対応出来るように。後は決闘を見守るため」

「私は大丈夫なのに…」

「この条件を飲まないなら私はこの作戦は許さないわ」

「わ、分かった。飲むわよ」

「よろしい。それでいつ申し込むの?」

「明後日の正午にするわ。文?この事を他の幻想少女達に伝えてくれない?」

「任せてください!」

そう言って文は飛んで行ってしまった。

「華扇?あなたはどうする?」

「私は人質救出の方に行きます。そちらはアリスさんだけで大丈夫だと思いますし」

「分かったわ。それじゃあ、明後日に向けて修行するわよ!」

こうして私達は明後日の決闘に向け修行を再開した。

 

 

 

 

第七話に続く

 




霊夢達がついに動きます。無事に人質を救出し、魔理沙を取り戻す事が出来るのか?お楽しみに!
前から言っていますが質問などを募集しています。感想欄にてご記入の程よろしくお願いします。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 陰陽師戻る

いよいよ七夕が近くなって来ました。私の願い事はゆっくりこの小説を書く事。時間が無くても書いて行きます。青柳龍です。
さて、今回で七話目になります。最終回にどう繋ぐのかお楽しみに!
それでは第七話始まり始まり。


ここは、妖怪の山の麓にある野原。私とアリスはここで憑姫を待っている。昨日、私は憑姫に文を介して決闘を申し込んだ。すると、憑姫はこの申し込みを受けると返事を寄こした。そして、現在に至る。

「憑姫…ちゃんと来るかしら?」

「来るわよ。いや、来てもらわないとこっちが困るわ」

「そうよね。人質を助けるには憑姫が妖怪達をここに連れて来ないと行けないからね」

「そう。そして華扇達が見張りが少なくなった所を突撃して人質を救出する」

「そして、全員で憑姫から魔理沙を取り戻す」

私達はこれからの事を確認して憑姫の到着を待った。

「華扇達。上手くやってくれるかしら?」

「やれるわよ。だって、華扇や文、妖夢に咲夜、寅丸、お空、優曇華が居るのよ?それに人里の陰陽師や、魔法使い達も協力してくれるのだから大丈夫よ」

「そうよね。ごめんね霊夢。心配し過ぎたわ」

「だから、華扇達と行けば良かったのに…」

「嫌よ」

「そう、ですか…」

私はため息をつき、私は人里の方向に目を向けた。(華扇達今、何をしているんだろう…)

 

 

 

 

時は同時刻、人里の前では人質を救出する為のメンバーが揃い始めていた。

「だいぶ大人数になって来ましたね」

「華扇さん。偵察に行っていた妖精が戻って来ました。その妖精によると、見張りの妖怪はほんの二匹程度らしいです」

「ありがとうございます文さん。それなら作戦を実行出来ます。咲夜さん、妖夢さん、寅丸さんと陰陽師の皆さんは人質が居る家の裏手に回ってください。文さん、優曇華さん、お空さん、そして魔法使いの皆さんは私と正面から突入します。いいですね?」

全員が頷くのを確認した華扇は仲間と共に行動を開始した。

 

 

 

まもなく決闘の時間である正午になろうとしていた時、憑姫が部下の妖怪達を連れてやって来た。(よし、読みが当たったわ!)

私は、心の中でガッツポーズをした。そんな事とは知らず憑姫は私の前に立った。

「さて、来たわよ。遂に殺されに来たのね」

「そんな訳無いでしょ。あんたを倒しに来たの」

「私に勝てると思っているの?ふふっ。笑えて来るわね」

「笑うなら笑えばいいわ。すぐに笑えなくなるから」

「本当かしら?ま、そうなるかどうかは確かめないといけないわね。それじゃあ早速始めましょうか、決闘を!」

憑姫が手に魔力で作った剣を出し構えた。それに対して私はお祓い棒を構えた。

「ええ、始めましょう!」

私と憑姫は睨み合うと同時に地を蹴った。

 

 

 

その頃、華扇達は、人質が捕まっている一軒家の周りに着いていた。

「それでは皆さん。所定の位置に着いてください」

全員が前もって教えられていた位置に向かう中、華扇は見つからないように一軒家の門の前に居る妖怪達を観察していた。妖怪達は周りを見ていて警戒しているようだった。(まだ、私達に気付いていないようですね…)華扇がそう考えている内に全員が所定の位置に着いた。華扇は深呼吸すると隠れていた所から飛び出し声を張り上げた。

「全員!突撃です!」

その声に一拍置いて救出隊のメンバーが突撃した。

 

 

 

華扇が人質の居る家に突撃した時、私は憑姫と激しい攻防戦を繰り広げていた。

「はぁぁぁぁ!」

私はお祓い棒を巧妙に動かし、憑姫に一撃を与えようと試みるが憑姫は私が繰り出す攻撃を全て剣で捌いている。それどころか

「スキあり!」

「ぐっ!」

お祓い棒を受け流され、体勢を崩した私に憑姫は横腹に蹴りを入れた。私は息が詰まり地面を転がった。

「霊夢!」

アリスが私に駆け寄ろうとするが憑姫の妖怪達が行く手を遮った。

「邪魔はさせないわよ。これは決闘。一対一の闘いよ」

「そうよ。アリス心配しないで…」

私はアリスに声を掛けながら横腹を押さえながら立ち上がった。

「あら?まだ立てるの?やっぱり博麗の巫女はそこらに居る人間とは違うわね」

「当たり前よ。同じだったら博麗の巫女なんてやって行けないわ」

「そうよね。でも、それもいつまで立ち上がれるかしら?」

「あんたを倒すまで何度でも立ち上がってやるわよ!」

私はそう叫ぶと憑姫に飛びかかった。

「凄い自信ね。どうしてそこまで私に立ち向かうのかしら?敵わないと分かっていても」

憑姫はそう言いながら私の繰り出す攻撃を再び剣で捌いた。

「確かに私はまだあなたに敵わないかもしれない。でも、もしも幻想少女達で一斉にあんたを攻撃すればあんたを倒せるわ」

「馬鹿なの?幻想少女達は今は動けないわ。こっちには人質がいるもの」

「どうかしらね?今頃、華扇達が見張りが少なくなった家に突入し、人質を救出してこっちに向かっているはずよ!」

「何ですって!」

そこで、憑姫は驚いた顔をした。それを見たアリスは追い詰めるように続けた。

「観念しなさい!痛い目にあいたくないなら早く魔理沙から出て行って!」

「…」

憑姫は俯き、黙っていたが

「ふ、ふふ…ははははっ!」

憑姫は突然笑いを堪えられなかったように吹き出した。

「…何が可笑しいの?」

私は憑姫を睨み付けながら聞いた。

「本っ当にあなた達は馬鹿ね。そろそろ気付くと思っていたけどまさかその通りだったとはね」

「どうゆう事?」

私の問いに憑姫は私を弾き飛ばしと答えた。

「私が人里を出る時、見張りを少なくしている事を気付かないと思った?」

「気付いていたの!?」

「当たり前じゃない」

憑姫の言葉に私とアリスは顔を青くした。

 

 

 

華扇達は門の見張りをしていた妖怪達を倒し家の中に突入に成功した。そして、家の置くにある部屋に入るとそこにはテープで口を塞がれた人質達がいた。

「妹様!」

咲夜がフランに駆け寄りテープを剥がすとフランは叫んだ。

「みんな!逃げて!これは罠だよ!」

全員が驚いた瞬間

『グァァァ!』

何処に隠れていたのか分からない程の数の妖怪達が華扇達に飛びかかった。

 

 

 

 

私は憑姫の言葉に頭が真っ白になった。その様子を見て憑姫は追い討ちを掛けた。

「その様子だとあなたがこの作戦を考えたみたいだけど、失敗したわね。しかも、失敗したせいで人質だけでなく救出に向かった人達にも危険な目に合わせたなんて」

「…!」

私が両手を握り閉めたのを見たアリスは妖怪達を退けながら叫んだ。

「だめよ!霊夢!憑姫の言葉を真に受けちゃ駄目!華扇達なら大丈夫!」

「それはどうかしらね?人里には無数の妖怪達を隠しているわ。あれだけの数が相手じゃあ、流石の幻想少女達でも対処しきれないでしょうね。これも全て、霊夢?あなたがこんな事にしたのよ?」

「だまっ、て…」

「あなたが作戦を立てた時から」

「黙って…」

「あなたは仲間を危険に晒し」

「黙って」

「挙げ句の果てに仲間を死なせるなんてね」

「黙ってって言ってるでしょ!」

冷静さを無くした私は憑姫に飛びかかった。しかし憑姫にお祓い棒を弾かれた上にお腹に打撃を喰らった。私は打撃に耐えられず、その場で崩れた。

「霊夢!ちっ!どきなさい!」

アリスが私を助けようとした。しかし、多勢に無勢。アリスも妖怪達によって取り抑えられてしまった。憑姫は私の襟元を掴み、立ち上がらせた。

「うぐっ…」

「これで、あなたを助けられる者は居ない。先に死者の国に行く事ね。すぐに賑やかになるわ」

憑姫は剣を短剣にすると頭上に振り上げた。私は弱々しく笑うと目を閉じた。(ごめんね。魔理沙。あなたを助けられなかった。本当に、ごめん…)

私の首元に向け憑姫の短剣が振り下ろされようとした時だった。

『六芒捕縛!急急如律令!』

「なっ!」

懐かしい声と共に聞こえて来た憑姫の驚愕の声。私はその隙に憑姫から離れると声がした方向を見た。そこには一人の男が立っていた。

「はぁー。全く、これはどうゆう事だ霊夢?やっと、幻想郷に帰ってこれたと思ったら空は妖力の雲で包まれているし、あっちこっちで知らない妖力を感じるし、霊夢の霊力を感じて来てみればアリスは見た事ない妖怪に抑えられているし、霊夢は魔理沙?に殺されそうになっているし、本当、どうなってんだ?」

私は声の主を見た瞬間、何故か涙が溢れた。涙が出る中、私は何とか声を出した。

「帰って来るのが…。帰って来るのが遅いわよ!晴竜!」

声の主___安倍晴竜は頭をかきながら答えた。

「悪い悪い。でも、理由はともあれ俺が戻って来たからにはもう大丈夫だ」

晴竜は幻想郷を出る前よりも強い霊力を体に纏わせながら憑姫と対峙した___

 

 

 

 

最終回に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書き終わりました。そして、やっと主人公出て来ました。さて、遂に次回憑依異変の章最終回です。次回は語り手を晴竜に戻し、やって行きます。晴竜はどうやって憑姫を倒すのか?お楽しみに!
質問などを募集していますが締切間近です!お願いです。書いてくれませんか?どうかお願いします!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 これからも…

台風が通過している時、風がうるさくて起きてしまった。しかも、午前三時。六時に必ず起きないと行けない為、早起きは最悪。台風め!私の睡眠時間を返せ!青柳龍です。
さて、今日で憑依異変の章最終回になります。晴竜はどうやって憑姫を倒すのか?
それでは最終回始まり始まり。


ここは妖怪の山の麓にある野原。俺はこの野原で魔理沙__否、魔理沙に取り憑いてる者と対峙していた。

「何が大丈夫だ、ですって?あなたごときが私に勝てるとでも?」

「その口調、感じる魔理沙の魔力に混じった妖力。間違いないな。霊夢の母さんに取り憑いていたあの妖怪か」

「あの妖怪呼ばわりしないで。私は憑姫。前回は失敗したけど、今度こそ復讐するわ!」

憑姫はそう宣言し、俺の縛魔術を破壊すると手を上に上げ振り下ろした。その瞬間、妖怪達が俺に向かった飛びかかって来た。

「まったく、面倒臭い!」

俺がそう叫んだ時大きな影が見えたかと思った時、妖怪達が一掃された。

「なるほど。式神もちゃんと居たのね…」

そう呟く憑姫に妖怪達を一掃した輝龍は雄叫びを上げた。

『グォォォォー!』

「うるさいわね!お前はしばらく妖怪達の相手になっていなさい!」

輝龍の周りに現れた妖怪達と輝龍は戦い始めた。

「あなたって今、どんな状況は分かって無いでしょ?」

「突然何だ?」

俺は刀印を結び憑姫に聞いた。

「あなたに今の私を倒せると思うの?幻想郷最強である霊夢でさえあのざまなのに?」

「そうだな。確かに俺は霊力も、体術も弾幕勝負も霊夢に劣る。だが、お前が霊夢をあそこまで出来たのはお前が魔理沙という盾を持っているからだ」

「そうよ。だからあなたも私には勝てない」

「それは違うな。俺はお前に勝てる」

「なら、来てみなさいよ。ただし…」

そう言って憑姫は手に持っていた短剣を自分の首元に置いた。

「来た瞬間、首を切るから」

「やめて!晴竜、早くどうにかして!」

「このままじゃあ魔理沙が死んじゃう!」

霊夢とアリスがそう叫んでいるのを見て俺はどうして幻想郷がこうなったのか分かった。

「なるほどな。お前はそうやって幻想郷をこうしたのか」

「どう?いい考えでしょう?さあ、来なさいよ!」

「そうか?なら遠慮なく…」

俺はそう言うと憑姫に近付いた。

「ちょっと晴竜!なにしてるの!」

「晴竜!魔理沙を殺すつもりなの?」

霊夢達の悲鳴を聞きながら俺は一歩、また一歩と憑姫に近付いた。しかし、憑姫は首を切る所か俺が近づく度、後退りした。俺はそれを見て自分の考えが合っていると確信した。

「どうした憑姫?切らないのか?」

「…」

憑姫は依然、沈黙するばかり。不思議がっている霊夢と輝龍によって助けて出されたアリスに俺は憑姫から視線を離さず説明した。

「憑姫の一番の強さは人に憑依する事だ。憑依とは、生きている者、もしくは死んで間もない者の体や力を自分の力と同化する事を言うんだ」

「「同化?」」

霊夢達の言葉に俺は頷いた。

「そう、同化。憑依する者は憑依された者の体に同化する事で力を得る。死んだ者に憑依すれば体は自分の者として自由に動かせるが、それだけだ。その人の元々持っていた力は手に入らない。まぁ、ごく稀に霊力や、才能が残っている時があるが…」

霊夢がお母さんの事だ。と呟いた。

「それに対して生きている人に憑依すればその人の霊力、もしくは魔力と同化し、元々持っていた妖力に上乗せ出来る。しかも、その人の技術も使えるようになる」

そこでアリスが聞いて来た。

「でも、それじゃあ生きている人の方が断然憑依されるじゃない?」

「確かに、こっちの方が良いように思えるが…。実は、生きている人に憑依する事にはたった一つ、しかし大きな弱点がある」

「弱点?」

「生きている人に憑依すれば力や、技術だけで無く命さえ同化してしまう。つまり、憑依された人が死んでしまったら憑依した方も死んでしまう。と言う事だ」

「なるほど。だから憑姫は魔理沙を殺さないのね。自分も死んでしまうから」

「そういう事だ」

霊夢の結論に頷くと憑姫はふんと鼻を鳴らした。そして首元の短剣を下ろした。

「あーあ、バレちゃった。最後まで騙せると思ったのになー」

「残念だったな。幻想郷にはこの知識を知ってる奴はほとんど居ないからな」

「なら、何であなたは知っていたの?」

「俺は外の世界から来たんだ。それもお前のような妖怪といっぱい会って来た人の子孫だからな。自然とそんな知識を親などから聞かされたんだ」

「本当、あなたって嫌いだわ」

「そうか。俺もお前の事は大嫌いだ」

「そう。なら早めに嫌いな物は排除しないとね!」

憑姫は言い終わるが早いか、俺に向かって来た。俺はそれを見て叫んだ。

「今度こそお前を倒してやる。弾幕勝負でもない。スペルカードでも無い。本当の陰陽術でな!」

俺はすぐに呪文を唱えた。

『五芒障壁!急急如律令!』

すると俺と憑姫の間に五芒星の壁が現れ、憑姫の剣を止めた。

「ちっ!」

憑姫が舌打ちし、後ろに飛び退いた時に俺はスペルカードを唱えた。

「神器!アメノムラクモ!」

俺は出した剣ですぐ、憑姫とのふどころに入った。が、憑姫はポケットからミニ八卦炉を取り出すと

「恋符!マスタースパーク!」

「なに!」

憑姫が放ったレーザーに俺は咄嗟に言霊を発した。

「裂!」

すると、マスタースパークは見事に真っ二つに切れて後ろに飛んで行った。

「マスタースパークを至近距離から受けといて無傷なんて大したものね」

「流石にあの距離からのアレは前の俺なら完全に喰らっていたな」

憑姫は連続で弾幕を撃って来た。俺はその弾幕を避けたり言霊で破壊したりと防戦していた。そして、一瞬、弾幕が収まった瞬間。

『オン!』

俺が真言を叫ぶと霊力の弾が憑姫に向かって飛んで行った。

「ふっ!」

それを憑姫は紙一重で回避した。そして、憑姫が横から俺に攻撃してきた。

「はぁ!」

「無駄だ!」

俺は憑姫の攻撃を霊力で体ごと後方に退けた。後方に飛ばされ地面に着地した憑姫の顔は少しづつだが疲れ始めていた。まぁ、こっちもだいぶ疲れているが。その時、憑姫は突然妖怪達に指示し、無防備になっていた霊夢達を襲わせた。

「しまった!」

俺はすぐに輝龍を向かわせようとしたが輝龍も周りの妖怪達が邪魔で出遅れた。

「霊夢!」

「アリス!?」

霊夢を庇うようにアリスが前に出て腕を広げた。妖怪達の牙や、爪がアリスに届こうとした時一体の妖怪が倒れた。次の瞬間、妖怪達の間に風が吹き次々と妖怪達が倒されていった。(一体何が起きたんだ?)俺達が呆然としている中、ある声が聞こえて来た。

「この幻想郷は僕のものだよ。そしてこの子達も僕のもの。決して傷付けたりしない」

「この声…。まさか、黒尾か!」

俺の声に答えるかのように黒尾は姿を現した。

「久しぶりだね」

「何が久しぶりだね、だ。俺達から逃げて姿をくらませたくせに」

「僕の目的を果たすためだよ。それより今は目の前の事に集中したらどうかな?」

「ちっ、後で調伏してやるからな」

俺は改めて憑姫と黒尾は輝龍と戦っている妖怪達に向かって行った。

「次から次へと邪魔ばかり!もう許さない!」

憑姫は疲れと怒りを見せ、弾幕と剣術を同時に繰り出してきた。俺は陰陽術で防ぎながらすきを探っていた。そのとき一瞬、憑姫の背後に回る人影。俺はすぐに呪文を唱えた。

『六芒捕縛!急急如律令!』

捕えられた憑姫。しかし

「こんなもの!」

憑姫は魔力と妖力で術を破壊した。

「私を捕えられると思ったの?」

「別に思っていないさ」

「じゃあ何で?」

「それは…」

俺はそこで笑った。

「あいつの為にスキをつくるためだ!」

「え?…!しまった!」

やっと気付いたのか憑姫は背後を振り返った。しかしもう遅い後ろに回っていた人影___霊夢が憑姫のふどころに入ると憑姫のお腹に手を置いた。

「ごめん、魔理沙。少し我慢して」

そして霊夢はスペルカードを使った。しかも奥義を。

「喰らいなさい!夢想天生!」

その瞬間、霊夢の手から霊力の波動が放たれた。

「ぐわぁぁぁ!」

憑姫の力が弱まった時、霊夢が叫んだ。

「今よ!晴竜!」

「おう!」

俺は答えると憑姫を魔理沙から引き離す呪文を唱えた。

『闇持つ者よ。今、ここに真の姿を現わせ!』

憑姫は苦しみ、魔理沙から離れた。倒れる魔理沙を霊夢が抱き留めた。逃げようとする憑姫を俺は手刀で空中に四縦五横の格子を描き言霊を発した。

『縛!』

すると、憑姫の本体が格子に捕まり動けなくなった。流石に今の体と力では破壊出来ないらしい。

「くそっ!はなせ!」

憑姫はわめくが俺は気にせず目を閉じ両手で手印を結ぶと神咒を唱えた。

『我に力を与えませし、国津神、天津神並ぶこの国を守りし八百万の神々よ。今、神々の光を放ち、闇を打ち払わん!』

そして、目を開き、叫んだ。

『神光破邪!急急如律令!万魔拱服!』

その瞬間、空から光の柱が降りてきたと思えば、たちまち憑姫を包み込んだ。

「_____!」

憑姫は言葉では表せられない悲鳴を上げ、光に消えていった。憑姫が消えた事で部下の妖怪達も苦しみ消えていった。

 

 

 

同時刻、人里。ここでは、華扇達が妖怪達と戦っていたが、突然、妖怪達が苦しんだかと思えば煙のように消えていった。

「妖怪達が、きえた…?」

陰陽師の誰かが呟いた。そして、全員喜びを爆発させた。

「やったぞ!妖怪達が消えたぞ!」

「博麗の巫女だ!博麗の巫女があの妖怪を倒したんだ!」

人々が喜びに暮れる中、華扇達は気付いていた。憑姫にとどめをさしたのは霊夢では無い。いつの間にか帰って来た晴竜だという事を_____

 

 

 

 

それからというもの、俺は休む事が出来なくなった。人里や、紅魔館などの建物の修復の手伝い。心や、身体に傷を負った人や妖怪、妖精達のケア。そして、残党が残って居ないか確かめる為の見回りなど、大変だった。それに、あの戦いの後、黒尾はいつの間にか姿を消していた。黒尾も見回りついでに探したが結局見つからなかった。そして今日、一通り仕事が落ち着いた俺は博麗神社に来ていた。ここに来た理由。それは去年、幻想郷を離れる時の約束を果たすためだ。

「何?急に呼び出して?」

霊夢が家の中から出て来た。俺はすぐ、本題に入ろうとしたが

「え、あ、その…」

「何なの?」

「えっとー」

中々、本題を切り出す事は出来ない。結局、関係ない事から話し始めた。

「実は、俺…。完全にこっちに移り住む事になった」

「完全に?」

「そう。完全に」

「何で?」

「まぁ、それはこっちは俺にとって第二の故郷だし、それに元々こっちに住みたいと思っていたからな」

「どうして完全って言えるの?あの道がある限りまた外の世界に戻れるじゃない」

当然の疑問だ。外の世界と繋がれる所がある限り完全とは言えない。

「いや、無理だ」

「どうして?」

「だって、その道封印したから。もうこれで絶対に幻想郷から外の世界に戻る事も、外の世界から幻想郷に来ることも出来なくなった」

「え!ならあんたが作っていた幻想日記はどうなるの?」

「それなら、ちゃんと渡した。去年までの内容だけど、あれで最後だ。でも、総司おじさんには渡せないけど幻想日記は書き続けるつもりだ」

「そう」

「…」

「…」

やばい。会話が終わってしまった。このままじゃあタイミングが無くなってしまう。俺は己を鼓舞した。

「晴竜?」

「え!あ、何だ?」

「もう言いたい事が何も無いなら戻るけど?」

「いや!まだあるんだ」

「何なの?」

「そのー、えーと」

「早く話してよ」

「うーん」

「はぁー。もういいわ」

「あ!」

霊夢が待ちくたびれたのか家に戻ろうとした。俺は慌てた。すると、さっきまで渋っていた言葉がスラスラと口から出てきた。

「待ってくれ霊夢!」

「もう何なの?これでも私忙しいんだけど?」

「分かってる。でも、聞いてくれ!」

「?」

「俺は霊夢!お前の事が好きなんだ!」

「え…」

遂に言ってしまった。俺は幻想郷に来てから一緒に暮らす中で霊夢の優しい所、面白い所、可愛い所など、様々な霊夢の一面を見てきた。それは自分の家が出来た頃からも続き…。そして、気付けば俺は霊夢の事が好きになっていた。そう考えると俺は霊夢の顔を見れなくなった。

「無茶だって事は分かってる。お前は幻想郷を守る幻想郷最強の博麗の巫女。俺はただの陰陽師。あまりにも立場が違いすぎるのも分かっている。でも、どうしても伝えたかったんだ。今言わなかったらもうこんな時は無いだろうから…。振るときは早く振ってくれ。覚悟は出来てる」

「…」

霊夢から返事が無い。恐らく呆れてるのだろう。私を好きになるなんてありえないとか、まだ百万年早いとか言いたいのだろう。俺は静かに返事を待った。すると霊夢が小さな声を出した。

「__そい」

「え?」

「___っそい」

「ごめん。もう一度」

「おっそいって言ってるの!聞こえた!」

「う、うわぁ!」

あまりにも聞こえなかった為、近付いた瞬間大きな声を出され俺は尻もちをついた。

「れ、霊夢?」

「遅すぎるわよ!さっさと告って来なさいよ!どれだけ待ったと思ってるの!」

「え、という事は…」

「………私も、晴竜。あんたの事が好きよ」

そこで俺は霊夢の顔を見た。霊夢の顔は呆れている顔では無く、頬を赤らめ、恥ずかしそうにはにかむ顔だった。(うわっ。ずりぃ。この顔可愛すぎるんだが…)俺が霊夢に見とれている時背後から声が聞こえた。

「ちょ、押すなよ!」

「しっ!静かに!バレてしまいますよ!」

「そうだな。静かに見守ろ__って晴竜がこっちを見てる。いや、睨んでるぜ」

「何ですって!本当ですね。しかも、霊夢までこっちを睨んでますよ」

「…………出るか」

「…………出ましょう」

そう会話しながら出てくるのは華扇と最近、やっと動けるようになった魔理沙だ。

「お前ら、いつから聞いていた?」

「何も聞いてないぜ。な、華扇?」

「そうですよ。何も聞いていませよ」

「本当か?」

「嘘言ったら、容赦しないわよ…」

「「すいませんでした!最初から聞いていました!」」

やっぱりか。俺はため息をつくと霊夢の方を見た。すると霊夢はまるでトマトのように真っ赤になっていた。

「霊夢!大丈夫か?」

「もう…。だめ…。恥ずかしすぎるわ…」

「大丈夫だって聞かれたのはたった二人___」

その時だった。

「二人だけじゃないわよ」

レミリアの声がしたかと思い俺と霊夢は同時に声のした鳥居の方を向いた。そこには思い思いの宴会の料理や、酒を持って来た幻想少女達がいた。(あ、やべ、これは幻想少女達全員にもう知られたパターンだ…)霊夢はもう頭を抱え、うずくまっている。そんな様子を見てレミリアは笑った。

「別にいいじゃない?どうせ、霊夢が晴竜の事を好きだったなんて最初から分かっていたし」

「え?どういう事ですか?そこの所詳しく」

「せーいーりゅーうー!」

「はいごめんなさい」

レミリアはふふっと微笑み、幻想少女達全員に聞こえるように言った。

「今日は異変解決、そして晴竜と霊夢の告白成功を祝って宴よ!」

『オー!』

全員が準備する中、俺はそんな幻想少女達を見守っていた。力を持つ華麗なる少女達。会った時は近付けないと思っていた。だが、今では近寄るどころか少女達の方から近付いて来て頼ってくれる。しかも、今では幻想少女の彼女が出来た。前までの俺は想像出来ただろうか?俺はこの幻想郷に残る事でこの幻想少女達を可能な限り守り、そして支えて行きたいと思った。特に霊夢の事を。たとえ、この命が果てようとも____

「晴竜?」

思考を切るように霊夢に話しかけられた。

「何?」

「宴会の準備が出来たようよ。さ、行きましょ!」

そして、霊夢は少し考える素振りを見せたが意を決したろように俺の手を強く握った。

「れ、霊夢さん!?」

「うるさい!黙って着いて来る!」

「は、はい」

俺は霊夢に怒られ黙った。周りからヒューヒューと言う声が聞こえる中、霊夢が小さく呟いたようだったが周りの声で聞こえなかった。だが、何故か霊夢がなんて言ったのか分かった。

 

 

「これからも…。末永くよろしくね。晴竜」

 

 

 

憑姫異変の章〜完〜

 

 

 

 

 

 




はっ!気付けば六千字越え!書いていたら日付変わってる!やべーよ!
さて、今回で憑姫異変の章最終回でした。いかがでしたか?晴竜と霊夢がやっとくっつけられたので私自身は満足しています。さて、今回で質問などは締切たいと思います。やっぱり、無謀でした。反省しております。次回はどうなるのかお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 メタ回

台風接近で雨が強くなって来ています。せっかくの休みが台無しです。青柳龍です。
さて、今回はメタ回となります!どうしてやるのかと言うと三つ理由があります。
一つ目、あの章の番外編が出来ない事。晴竜が居ませんでしたし、支配されていたので…。
二つ目、次の章のネタを考えたいから。もうちょっとで固まりそうなので…。
そして三つ目、一度やりたかったからです。メタ回をやって一度間接的に参加したかったので…。
あまり、メタ回に興味が無い人、苦手だと言う人は本編をもう少しお楽しみに待っていて下さい。
それではメタ回始まり始まり。


と私は前書きを書いて手を止めた。ここは自室。ベッドの上に寝転んでスマホでこの『幻想日記』を書いている。今回はメタ回なのだが自分で言ったのにも関わらず、何を話せばいいか分からなくなった。

「なんてことだ!何から話そうか?晴竜の詳しい設定?これから登場させたい幻想少女の名前?思い付かない。うーん…」

その時だった。部屋の壁に見た事の無い隙間が開き中から一人の女性が出てきた。

「お邪魔するわ」

「へ?は!あなたは八雲紫!」

そう俺の目の前に現れたのはあの東方Projectのキャラ八雲紫だった。

「え、どうしてここに!てゆうか、どの作品の八雲紫?」

「もちろん、あなたが作る幻想日記の八雲紫よ。それにここに来たのは能力を使ったの?」

「の、能力?」

「そう。私の能力を使ってね」

八雲紫の能力は境界を操る程度の能力…。

「て、まさか現実と創作の境界を操ったのか!」

「その通りよ」

「へぇー。ホントに?」

「何よ。人の体をジロジロ見ちゃって…。何?年上がタイプ?」

「いやすいませんそれはないっす」

「そう?ま、いいけど。それよりこの部屋整理出来てないわね」

「まぁ、滅多に友達とか入りませんから…」

「ふーん」

紫さんは色々と部屋の中を見渡していたけど、私に視線を戻した。

「さて、青柳龍?」

「なぜ、私の名前を…?」

「あなたの小説から出てきたの。当たり前じゃない」

あ、そうか。

「それで、何です?」

「メタ回するんでしょ?書かないの?」

「え、まぁ、書きますけど困った事にどんな事を書けばいいか困ってて…」

「なら、手伝うわよ」

「本当ですか!」

「ええ」

これはありがたい。私は早速、メタ回のネタを紫さんに教えた。(ここからは私の言葉の前には青が。紫さんの言葉の前には紫と付きます。)

青「えっーと、やりたいのは、前回募集したリクエストなどの発表、返答。本編では書けなかった晴竜などの設定。後、今後の活動について書く予定です」

紫「なら、その順番でいいんじゃない?」

青「そうですね。なら早速やって行きますか」

紫「まずは、募集したリクエストだけど、来たの?」

青「何とか一通だけ…」

紫「なんか…。悲しいわね…」

青「確かに…。でも一通は来てくれたので良かったです!えっと書いてくれたのはさすらいのエージェントさんです。ありがとうございます!内容は笑っていけないの◯野のビンタだそうです」

紫「誰なの?」

青「笑っていけない何とか24時と言うお正月に来るテレビ番組があって、その中である出演者に蝶◯さんがビンタをするという場面があるんです」

紫「なるほどね。でもそれは出来るの?」

青「本人を出すのはちょっと難しいので幻想日記の中で代役を立てます」

紫「代役って誰なの?」

青「例えば一本角の山の四天王とか、向日葵畑の主とか…」

紫「あ…(察し)」

青「どうでしょうか?」

紫「する方はいいとして、やられる方は大丈夫なの?」

青「大丈夫ですよ!…たぶん」

紫「そこはちゃんとはっきりしないのが怖いわね。ま、それはいいとして次は晴竜の設定だけど…」

青「晴竜の設定は幻想少女の設定を真似すると、二つ名は龍の陰陽師。普通の陰陽師。後は、少女達を守りし陰陽師とかですね」

紫「最初の二つはいいとして、最後は無いわね」

青「自分で言っときながら私も思いました」

紫「それで、能力は?」

青「陰陽術を使う程度の能力。もしくは龍を操る程度の能力です」

紫「私的には陰陽術を使う程度の能力がいいと思うけど」

青「そうですね。それで行きたいと思います」

紫「スペルカードは龍符、龍神の咆哮。神器、アメノムラクモ。この二つは私も知ってるけど、他にも出すの?」

青「はい。もちろんです。私の中では二つ程考えています。今は発表出来ませんが今後の物語で出して行きます」

紫「それは残念ね。せっかく、スペルカード対策しようとしたのに…」

青「物語とここのバランスが崩れるのでやめて下さい」

紫「冗談よ。それで次は…」

青「あのー?紫さん?」

紫「何?」

青「紫さんってどうして私の元に?手伝うために来た訳じゃないですよね?」

紫「…実は。あなたに言いたい事があって来たの」

青「言いたい事?」

紫「あなた、最初の章に私を出してから今まで私の事出した?」

青「あー。でもちょっと紫さんが出るまでも無いものばかりだったので…」

紫「建前はいいわ。本音は?」

青「すいませんでしたすっかり紫さんの事を忘れていました!」

紫「だと思ったわ。それにこんな物を見つけたんだけど…」

青「それは!私のプロットノート!ちょっ、返して下さい!」

紫「中を見たけど、今まで全然出番が無かった幻想少女達の名前があったけど出すのよね?」

青「もちろん!それに、それには書いて居ませんが何人かプラスして出したいなと思います」

紫「ならいいわ…。すっかり私の事を忘れてた癖に…」

青「紫さん?何か言いました?」

紫「なんでもないわ」

青「そんな紫さんに朗報です」

紫「何?朗報って?」

青「すっかり忘れていたお詫びとして、絶対紫さんをメインとした章を書きたいと思います」

紫「え!本当に!嬉しいわ!」

青「紫さん?ってうわっ!」

紫「むぎゅー」

青「いい香りがする…。いや違う!紫さん!苦しいです」

紫「あら、ごめんなさい」

青「紫さんは幻想郷最強の妖怪の一人ですし、メインにするのは当然ですから」

紫「うんうん」

青「あの紫さん?そんなにルンルンされたら親に気付かれてしまうんですが…」

紫「私のした事が…ごめんなさい」

青「さて、今後の予定も話しましたし、これで書けます。ありがとうございます」

紫「いいのよ。私もいい事あったしね。あなたがもう書けるなら私はそろそろ帰ろうかしらね」

青「もう帰っちゃうんですか?」

紫「ええ。それに元々、私はここに居ては行けない者だから」

青「そうですか。何か悲しいですね」

紫「大丈夫よ。何も悲しむ事は無いわ。だって…」

そう言って紫さんは私の頭に手を置くと撫でた。

紫「あなたの中でずっと、私達はいるからね」

青「紫さん…」

紫「じゃあね。龍くん?」

そして、紫さんは隙間を開けると帰っていった。

「行っちゃったな…」

私は紫さんのいた余韻を感じながらスマホを取った。

「て、そうだ!紫さんとの会話を書けばいいんだ!」

私は再びスマホを打ち始めた。自分の中にいる幻想郷の者達の為に____

 

 

 

 

 




やっと書き終わりたした。まさか目の前に紫さんが出てきたんですよ!有り得ます?有り得ないですよね!まぁ、それはさておき、今後の予定をもうちょっと書きたいと思います。次回の章では一話完結の話を九話集めた章にしたいと思います。ここで紅魔館などの勢力を一つずつピックアップしていきます。お楽しみに!
後、質問などを募集しましたが今後も感想などで自由に書いて下さい。私の励みになります。
それではまた、「次回ね!」
そこで何で出てくるんですか紫さん!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

七夕特別編 幻想夏祭り

今日は七夕。皆さんは天の川見れたでしょうか?こっちは雨の影響で見えません。青柳龍です。
さて、今日は七夕。なので今回は特別編!七夕に関する小説を書いて行きます。
それでは特別編始まり始まり。


ここ幻想郷にも七夕がやって来た。幻想郷では七夕の日に花火ありの夏祭りをやっている。そのため俺は霊夢達に誘われて夏祭りにやって来た。

「久しぶりに甚平を着たな…」

幻想郷に初めて来た時に甚平を持って来たのだが今まで天候や異変に邪魔されて来れなかった。そして今年やっと天候にも恵まれた夏祭りとなった。俺は夏祭りの会場となっている人里の入口で霊夢達を待っていると____

「晴竜ーーー!」

魔理沙の声が聞こえ、俺は声のした方を見たそこには自分のイメージカラーの浴衣を着た魔理沙とアリスがこっちに歩いて来た。(ちなみに、魔理沙は黒、アリスは青の浴衣)

「よう。魔理沙、アリス」

「ごめん。待ったか?」

「いや。俺も丁度来たところだ。それより霊夢はどうした?一緒に来るんじゃないのか?」

「いや、一応来てるんだが……」

そう言って魔理沙はアリスの後ろを見た。俺も釣られて覗くとそこにはアリスの後ろに隠れる霊夢の姿があった。

「霊夢、何してるんだ?」

「うぅ…」

「霊夢?自分から晴竜を誘って置いてそれは無いと思うよ」

「そうだぜ霊夢?せっかく恋人同士になったんだから楽しまないとだぜ」

アリスと魔理沙に説得されても出るのを渋っていたが折れたらしい。

「「霊夢!」」

「分かったわよ!出るわよ!出ればいいんでしょ!」

「うわぁ…」

俺は思わず声が漏れた。アリスの後ろから出てきた霊夢は魔理沙達と同様にイメージカラーである赤の浴衣を着てるのだが、その姿が余りにも____

「可愛い……」

「………!」

とても似合っている。そして可愛い。

「………バカ」

「はは………すまん」

「でも、ありがとう。嬉しい」

(何なんだこの微笑み!可愛すぎるだろ!)俺はにやけそうになるのを何とか耐えながら霊夢達に声を掛けた。

「そろそろ行こう。花火まで時間があるから出店でも回ろう」

「そうだな。丁度お前達のイチャつきにも耐えられなくなった時だ」

「そうだね。私達、邪魔だったかな?」

「アリス、魔理沙?ちょっと後でゆっくり話そうね」

「どうするアリス?霊夢の逆鱗に触れちまったぜ…」

「覚悟しておこうよ…」

「はは…」

魔理沙とアリスが反省する中、俺達は出店の出てる場所まで歩き始めた。

 

 

 

出店市に着くと様々な出店が出ていた。

「おー。賑わってるなー」

「最初は何処に行きましょうか?」

「私は焼きそばの出店に行きたいぜ!」

「私はみすちーの店に行きたい」

そう話しながら進んでいると全然人々が近寄らない一件の出店があった。しかも知ってる顔だった。

「あれ?あれって、咲夜と美鈴じゃないか?」

「本当ね。何してるのかしら?」

俺達が近付くと美鈴が元気よく喋った。

「晴竜さん達いらっしゃい!」

「何してるの?」

霊夢が聞くと咲夜が答えた。

「ここは的当て屋よ」

「的当て屋?」

霊夢達が首を傾げた。俺は説明した。

「的当て屋ってのはボールとか使って好きなお菓子とか当てる店何だけど、ボールは、無いみたいなんだが…」

「ここではボールじゃなくてナイフを使うの」

「ナイフ!?」

なるほど。だから、物騒過ぎて人が近寄らないのか。

「ねぇ。ナイフでやってたら誰も近寄らないわよ」

アリスが注意すると咲夜はいいのと言った。

「いいのよ。これで」

「どういう事だ?」

俺が聞くと咲夜は右の方を指さした。俺達がその方を見ると、そこには仲良くたこ焼きを分けて食べるレミリアとフランの姿があった。

「お嬢様達の為にこうしてるの」

「簡単に言えば場所取りですね」

「なるほどな。それよりも仲が良いなあの吸血鬼姉妹」

「そうね。姉妹喧嘩が激しいと私達も動かないといけないのにね」

「…お世話になってるわ」

「お世話になってます」

咲夜と美鈴が頭を下げると俺はいいよと言った。そして頑張ってと声を掛けその場を離れた。

 

 

 

 

紅魔館の出店から離れて俺達が進んでいると今度は金魚すくいの出店にやって来たんだが。そこの店主が___

「何でお前なんだ?わかさぎ姫?」

店主はわかさぎ姫。紅魔館の近くにある霧の湖に住む人魚で水中だと力が増す程度の能力を持つ。

「じ、実は影狼ちゃんが元々の店主なんだけど用事が出来たから店番を…」

影狼ちゃんこと、今泉影狼はわかさぎ姫の親友で満月の夜に狼に変身する程度の能力を持つ狼女だ。

「それは大変ね」

「それほどじゃないです…」

わかさぎ姫はそう小さく言った。

「なら、ちょっとやって行こうかな」

「え、晴竜?金魚すくい出来るの?」

「まぁな」

「凄いな!私なんて直ぐに破けるからなー」

「私も…」

「魔理沙もアリスも気を落とすなよ。お前達の分まで金魚すくって上げてやるぜ。これでも子供の頃は祭りの金魚すくいを店じまいさせるほど取っていたからな」

「そうなの!凄い!」

「ありがとうよ。霊夢。良し!気合い入れるぞ!」

俺はわかさぎ姫からポイを貰うと狙いを定めた。しかしすくおうとした時霊夢に肩を叩かれた。

「なんだ霊夢?」

「わかさぎ姫を見て」

俺はわかさぎ姫を見るとわかさぎ姫が涙目なっていた。

「……」

「……」

俺は何も言わずにポイをわかさぎ姫に返した。するとわかさぎ姫も何も言わず、払った金を返してきた。そのやり取りを見ていた魔理沙が一言。

「なんだこれ?」

全くその通りだと思う。

 

 

 

 

俺達は色々と回った後、俺はりんご飴を買おうとお金を払おうとした時、りんご飴の店主に聞かれた。

「あれ?二本分多くないかい?」

「え?」

俺は後ろを振り返るとそこには霊夢しかいなかった。

「霊夢?魔理沙とアリスはどうした?」

「え?あ!いつの間に…」

「はは…。あいつら余計な気を使ったな」

「まったく!もう!」

「しょうがない。ここからは二人で楽しむか。はい。りんご飴」

「…ありがとう」

 

 

 

 

俺と霊夢は花火を見る為に博麗神社に戻っていた。神社に着いた瞬間花火が上がった。俺達は神社の階段に座った。

「…綺麗ね」

「そうだな」

「魔理沙達ここに泊まるから、晴竜も泊まっていく?」

「俺の部屋が空いているなら」

「もちろん空いているわよ」

「なら、いいよ」

「ねぇ晴竜?七夕の願いってある?」

「どうした急に?」

「いや、何となくよ」

「俺はな…」

「うん」

「やっぱり、言えない」

「何よそれ」

「恥ずかしいんだ。そう言うなら霊夢はどうなんだ?」

「私は…」

そこで霊夢は俯いた。

「霊夢?」

「私は、ずっとあなたといたい。それが私の願いよ」

「え…」

「さ、さあ私は言ったわよ。今度は晴竜の番よ。」

「俺は、また来年も夏祭りを楽しむ事かな」

「…恥ずかし損じゃない」

「そんな事ない。だって詳しく言えば来年もこんなふうに夏祭りを好きな人と楽しんで、花火を見たいという願いだから」

「…あんたって時々ずるいわ」

「褒め言葉として受け取ります」

「ホントにずるい…」

そう呟き霊夢はそっと体を寄せて来た。

「霊夢!?」

「お願い。しばらく、こうさせて」

俺が頷くと霊夢は目を閉じた。俺は優しく霊夢の頭を撫でた。

その中で、七夕の花火は俺達を照らすように咲いていた。

 

 

 

 

「まったく、あの二人には困ったものだぜ」

「いいじゃない。あれこそ晴竜と霊夢よ」

博麗神社の境内の中にある木の影で魔理沙とアリスは体を寄せ合い花火を見る二人を見守っていた。

「さて、そろそろ出るか…」

「待って、魔理沙。もうちょっとそっとしてあげましょう」

「そうだな…」

魔理沙とアリスは顔を見合わせ笑った。

 

 

 

特別編 幻想夏祭り〜完〜

 




さて、言いたい事は番外編にて話したので挨拶だけしておきます。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外伝の章
第一話 再び幻想郷へ


台風の影響で川などが氾濫している所があります。皆さんも気を付けて下さい。青柳龍です。
さて、今日からは昨日言った通り一話完結の話をやって行きます。その名も外伝の章です!今回の話は前の憑依異変の章の時の晴竜の物語です。
それでは外伝の章第一話始まり始まり。


俺はゆっくり目を開けるとそこは二年前と変わらない東方神社の境内だった。

「本当に帰って来たんだな。ここに…」

空を見ると青空が広がっている。空は幻想郷と繋がっているだろうな…と思いながら総司おじさんのいる屋敷へと向かった。

 

 

 

 

屋敷に入ると総司おじさんが俺に近付いて来た。

「お帰り。晴竜」

「はい。ただいま戻りました」

俺が帰って来た時丁度お昼時だった為、俺はお手伝いさんが用意してくれた昼ご飯を食べながら幻想郷での出来事を総司おじさんに話した。総司おじさんは静かに、時より頷きながら話を聞いていた。食べ終わる頃に話し終えた俺は一息着くため食後のお茶を飲んだ。

「そうか。この五年間にそんな事が…」

「え、五年間?二年間じゃなくてですか?」

「前、幻想郷へ行く時に話したじゃないか。幻想郷とここの時間の流れが違うという事を」

「あ、そうでした…」

総司おじさんは微笑んだ。俺はそうだ!と借りていた幻想日記と俺が書いた幻想日記を総司おじさんに渡した。

「総司おじさん。借りていた幻想日記です。そしてこれが自分で書いた幻想日記です。」

「あ!これが君が書いた幻想日記か…。それじゃあ見せさせて貰うよ?」

「はい」

総司おじさんは俺の日記を読み始めた。日記の内容はさっき、総司おじさんに話した内容では話し切れなかった事も含まれている。総司おじさんは全部読み切ったのか静かに閉じた。掛かった時間は五分ぐらいだろうか。

「……」

「総司おじさん?」

「うん。良かったよ。本当に君を幻想郷に行ってもらったのは正解だったよ」

「俺も、幻想郷に行けて良かったと思います」

「そうか…」

総司おじさんは俺の幻想日記を大事に本棚にしまった。

「一つ聞いていいですか?」

「なんだい?」

「なぜ一年間、あっちに行けないんですか?」

「そうだね。門を開けるとその門は当分の間、力を失う。そして力が再び戻るのが___」

「一年かかるんですね」

「そうだよ。なぜ、そんな事を聞くんだい?」

「え?そ、それは…」

「そう言えば、博麗の巫女の事になると熱心に話していたね」

「それはですね。元々、博麗の巫女に会ってみたいというのもありまして、なんだかんだで先代の巫女とも会えましたし、霊夢とも会えましたし…」

「なるほど。博麗の巫女に恋をしたんだね」

「いやですからね!」

「隠さなくてもいいよ。晴竜?」

「う、う…」

総司おじさんに迫まられて俺は折れた。

「はい。そうです」

「そうか晴竜がね。源弥兄さんが聞いたらどうなるんだろうね」

「きっと、まだ早いってからかわれるじゃないでしょうか」

「そうかな?」

総司おじさんは笑うといいなと呟いた。

「晴竜は羨ましいと思うよ。幻想郷に行けて」

「なら、修行して陰陽術を使えるようにすればいいじゃないですか?」

「そう思って私もこの五年間の間に少し修行をしてね。少し陰陽術を使えるようにようになったんだ」

「本当ですか!」

「まあ、幻想郷に行く事はまだ出来ないけど…。」

「…そうですか」

「でも、この幻想日記を見て決断出来たよ」

「決断?」

「幻想郷に行く門を、完全に封印しようと思う」

「え!?それじゃあ二度と幻想郷に行けなくなるじゃないですか!」

「そして幻想郷からもこの世界に来る事も出来なくなる」

「そんな…。どうして封印なんか!」

「君があっちに居ればあの門をくぐる事が出来るのはこっちの世界には居なくなる。そうなるぐらいなら完全に封印した方がいいからね」

総司おじさんはそこで立ち上がると着いて来てと言って広間を出た。俺も付いて行くと中庭に出た。ここを見ていると白玉楼と永遠亭の中庭を思い出した。この中庭はどちらかと言えば白玉楼か。

「晴竜?」

「あ、はい。何でしょう?」

「私は幻想郷に行く為に修行をした。でも修行しながら私は痛感したよ。君たち安倍家が一日でもきつい修行を何年もしてきた事を。そして私は思ったよ。幻想郷に行くには私には絶対無理だと…」

「そんな事無いですよ!総司おじさんもいずれは…」

「いや、いいんだ。私はあの幻想日記でも充分幻想郷に行った気分になれるからね」

「総司おじさん…」

俺はそこで気付いた。総司おじさんが固く手を握り締めている事を。(総司おじさん。よっぽど悔しかったんだ…)

そう思って声を掛けようとした時、総司おじさんは俺の方に振り返った。

「ところで晴竜、君に聞きたい事があるんだ」

「何ですか?」

「晴竜はどうする?こっちに居るかい?それとも、幻想郷で暮らすかい?」

「え?」

俺はそこで気付いた。幻想郷に行く門を封印する。それは即ち、もう行ったり来たりが出来なくなるという事だ。俺はその質問に直ぐに答えられなかった。

 

 

 

 

幻想郷から帰って来てからもう半年が経った。俺は修行や鍛錬を続けながら幻想郷に戻るかどうかを考えていた。そんな時頭の中に思い浮かんだのは幻想少女達だった。霊夢に魔理沙、アリス。レミリア達に聖達。さとり達に輝夜達など、今まであまり人との関わりが無かった俺に初めて出来た友達だ。俺はみんなと会えなくなった時の自分を想像しようと思ったが考えられなかった。そして俺は霊夢に会えないのかと思うと胸が痛んだ。折角、好きな人が出来たのに会えなくなるなんて嫌だ。でも、この世界には総司おじさんを始めとした親戚の人達がいる。それに俺が幻想郷に行けば安倍家は完全に終わる。

「友と好きな人を取るか、親戚と自分の家を取るか…」

どう考えても決まらない。決まらないのに時間だけが過ぎて行く。

 

 

 

 

そして遂に一年が経った。そして俺は総司おじさんと共に東方神社に来ていた。

「俺、思ったんですけど」

「何を思ったんだい?」

「東方神社って博麗神社によく似てるな…と」

「へぇー。博麗神社ってこんな風なんだね」

「まぁ、ここよりももうちょっと大きいですけど…」

「そうなんだね…」

総司おじさんは俺の顔を見た。

「晴竜?決まったかい?幻想郷に行くか、こっちに残るか?」

「うん。決まりました」

「よし。それじゃあ聞くよ。晴竜?どうするんだい?」

「俺は、幻想郷に行きます。」

「そうかい。私もそう言うと思ったよ」

総司おじさんは微笑み頷いた。

「そうか…。晴竜とはお別れか…。」

「違いますよ」

「え?」

総司おじさんは首を傾げた。俺は言葉を続けた。

「またいつか会えますよ」

「そうかな?」

「そうですよ」

「…そうだと、嬉しいな」

総司おじさんは空を仰いだ。まるで、空にそう願うかのように。

「それじゃあ…。始めようか?」

「はい」

俺は境内の中央に立つと門を出す為の呪文を唱えた。

『ここに世界を繋ぎし、道を閉ざす門よ。今、姿を現し、我を誘え!』

門が出て来て俺は総司おじさんに振り返った。

「今までお世話になりました。ありがとうございます」

「こっちこそ、ありがとう。あっちに行っても元気で」

「はい!じゃあまたいつか」

「うん。またいつか」

俺は総司おじさんにお別れとそして再会を誓って俺は門をくぐった。

 

 

 

 

「行ってしまったね」

総司はそう呟き、消えようとする門に封印の呪文を掛けた。

『世界繋ぐ門よ今、その道全て封じ、忘却の途を辿れ!』

すると最初から開いていた門の戸が閉じ、消えていった。

「晴竜。頑張れ…」

総司はそう願い、東方神社を後にした。

 

 

 

 

「う、うぅ」

俺は目を覚ますとそこは以前の幻想郷では無かった。

「なんだこれ?」

空は暗くしかも雲からは妖力を感じ、しかも至る所から知らない妖気を感じた。

「一体、何があったんだ?」

そう呟いた瞬間。妖怪の山の方から霊夢の霊力と魔理沙の魔力と妖力の混じったような力がぶつかるのを感じた。(この力…。霊夢か!しかし何か変だ)

俺は輝龍を召喚し、すぐに向かった。愛する人の元へと___

 

 

 

 

第一話〜完〜

 

 

 




予定よりも長くなりました。まとめるのは難しかったですね。
さて、次回はいよいよピックアップしていきます。最初は紅魔館をピックアップします。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 吸血鬼姉妹の従者修行

最近雨が降るようになりました。私は雨よりも晴れが好きです。青柳龍です。
さて、今回は外伝の章二話目です。そしてメインとなって来るのは紅魔館です。題名から分かると思いますがやって行きます。後、物語の語り手は咲夜です。
それでは第二話始まり始まり。


ここは紅魔館。私、十六夜咲夜が働く舘だ。今、私が向かっているのはレミリアお嬢様のお部屋だ。お嬢様は外の世界にいた時に周りの人々から嫌われていた私をメイドとして育ててくれた言わば恩人。だから私は一生このお方に仕える事を決めた。そんなお嬢様から呼ばれた私は部屋の前に来るとドアをノックした。

「お嬢様。咲夜です」

「入りなさい」

「失礼します」

私が部屋に入るとお嬢様は何枚かの書類を見ていた。

「お嬢様。何か御用でしょうか?」

「実は、メイドや警備のゴブリン達の給料をどうするか考えていたら、頭が痛くなってね。紅茶でも持って来てくれないかしら?」

「はい。かしこまりました。直ぐにお持ち致します」

「よろしくね」

お嬢様に伝えた私は能力を使い、時を止めると直ぐに紅茶を入れお嬢様の元に戻った。

「紅茶をお持ち致しました」

「ありがとう。咲夜」

お嬢様は私にお礼を言って飲もうとした時、部屋のドアが勢いよく開いた。

「お姉様!」

入って来たのは妹様だった。

「お姉様?私の取っておいたパフェ食ったでしょ!」

「あら?私はてっきりもう要らないと思ったわ」

「折角、魔理沙から買って貰ったのに!」

確かに、昨日ここに魔理沙がやって来て妹様に買ってきたパフェを持って来ていた。しかも、人里で人気の甘味処の。

「ごめんなさいね。でも、フラン?あんな所に置いてる方もいけないじゃないの?」

「何、お姉様?私が悪いって言ってるの?ふざけないで!」

そこで妹様は手に妖力で作った炎の剣を出した。私は慌てて止めようとしたら、お嬢様も妖力の槍を出してしまった。(大変!直ぐに止めないと!)だけど、もう遅い。二人は床を蹴ってしまった。激しい妖力の爆発で部屋の壁が吹き飛んだ。私は騒ぎを聞きつけやって来た部下のメイド達に指示して避難と美鈴達を呼んでもらった。そして私はこの状況を止める事が出来る人を呼ぶ為に紅魔館を飛び出した。あの博麗神社に向かって___

 

 

 

 

「はぁはぁ。やっと着いた……」

私はやっとの思いで博麗神社に着くと境内の掃除をしていた晴竜が私に気付き近付いて来た。

「あれ?咲夜じゃないか?どうしたんだ?」

「実は___」

私はここまでの経緯を話すと晴竜はため息を着いた。

「全く、また姉妹喧嘩をしてるのか。ここ最近やけに多くないか?」

「確かに多いけど、でも今回は今までよりも激しいわ!このままだとメイドやコブリン達に被害が!」

「何だと!分かった。直ぐに行こう。霊夢!魔理沙!紅魔館でまたレミリアとフランが姉妹喧嘩してるらしい。止めにいくぞ!」

すると母屋の方から霊夢と魔理沙が出てきた。

「なあに?またあの二人喧嘩してるの?よくもまあ飽きないわね」

「まあ、喧嘩するほど仲がいいって言うし……。でも咲夜が助けを求めて来るのはちょっとやばそうだぜ」

「ああ。だから行こう!」

晴竜の言葉に霊夢と魔理沙は頷くと空に飛び上がり、私は晴竜と共に輝龍の頭に乗って紅魔館に急いだ。

 

 

 

 

紅魔館に着くと未だにお嬢様と妹様は喧嘩していた。喧嘩というよりもはや戦いになっているけど。私は輝龍から降りるとメイド達や美鈴、パチュリー様の元に駆け寄った。

「咲夜さん。おかえりなさい」

「ただいま。って言っている場合じゃないわ。私が紅魔館を離れてからどうしたの?」

そこでパチュリー様が口を開いた。

「…私達はメイド達やコブリン達を一箇所に集めて直ぐに結界を張ったわ。その後はレミィ達を見守っていたけど、止めるのは出来なかったわ」

私はなるほどと頷きお嬢様達の方を向いた。すると既にお嬢様は霊夢に、妹様は魔理沙に抑えられ、晴竜はお嬢様と妹様の間に入っていた。

「離して!」

「離してよ!」

お嬢様と妹様は必死に抵抗しているけど霊夢と魔理沙は決して離さなかった。

「落ち着きなさいレミリア」

「フランも落ち着くんだぜ」

霊夢達の説得でお嬢様達は落ち着いていった。それを見た晴竜はお嬢様達を叱った。

「レミリア!フラン!お前達、いい加減にしろ!お前達の喧嘩のせいで俺達がこうやって止めるはめになるんだ!」

「だってフランが…」

「だってお姉様が…」

「言い訳は無用!」

「「うぅ…」」

「別に姉妹喧嘩はやるなとは言っていない。でも、お前達の姉妹喧嘩は日々多くなってるし、激しくなっている。このままじゃあ、いずれはメイド達などに被害が出る。お前達二人の喧嘩の後片付けもメイド達がやってるんだぞ!分かってるのか?」

「「だって…」」

未だ渋るお嬢様達に晴竜は遂にキレた。

「たぁー!もういい!お前達、反省しないならこっちにも案があるぞ!」

「「案?」」

お嬢様達が首を傾げると晴竜はとんでもない事を言った。

「お前達二人。明日から一週間、レミリアは白玉楼に。フランは地霊殿に従者として行くように!」

『え、えぇぇぇぇ!』

この言葉にお嬢様達のみならず私達まで驚いた。

「晴竜?冗談よね?レミリアとフランを従者として働かせるって…」

霊夢の問いに晴竜は首を振った。

「冗談なんかじゃない。今までは我慢してたがもう我慢出来ない。少しはこの二人に従者の大変さを思い知らせないと」

「嫌よ!なんで私がメイドのような事しないといけないの?」

「私も嫌!やりたくない!」

「もしも、嫌っと言うなら当分の間、喧嘩してもいいようにお前達二人の能力を陰陽術で封印するが?」

「うぅ…。わ、分かったわよ!やるわ!」

「お姉様!?じゃ、じゃあ私もやる!」

「決まりだな。じゃあ霊夢、魔理沙。ここをよろしく。俺は白玉楼と地霊殿に行って協力を申し込んで来る」

晴竜はそう言って飛んで行ってしまった。

翌日。お嬢様と妹様は霊夢と魔理沙に連れられて白玉楼と地霊殿に向かった。霊夢によると、白玉楼と地霊殿は事情を聞くとあっさり受け入れると返事したらしい。そして働く一週間は霊夢と魔理沙、そして晴竜が順番にお嬢様達の様子を見に来る事になった。

「ねぇ咲夜?」

説明を終えた霊夢が話しかけて来た。

「何?」

「あの二人の事心配?」

「まぁね。心配は心配ね…」

「なら、あんたも時々見に来ればいいわ」

「いいの?」

「もちろん。それにレミリア達も喜ぶでしょうし」

「そうね。そうするわ」

こうして、お嬢様達の従者修行を見に行く事になった。

 

 

 

 

お嬢様達が従者修行を始めてから三日後。時間が出来た私はお嬢様達の様子を見に行く事にした。最初は白玉楼にいるお嬢様だ。

「こんにちは!」

霊夢に連れられて白玉楼にやって来た私は声をかけると奥から妖夢がやって来た。

「あ、咲夜に霊夢。レミリアの様子を見に来たの?」

答えたのは霊夢だ。

「そうよ。どう?レミリアちゃんと働いてる?」

「うん。頑張ってるよ。最初は湯飲み茶碗を落としたり料理の時、塩を間違えて砂糖を入れたりして大変だったけどだいぶ成長したよ。なんなら、実際見ていく?」

そう妖夢に言われ私達は奥に通された。すると…。

「あらあら?いらっしゃいー。二人とも」

そこに居たのはこの白玉楼の主であり、死を操る程度の能力を持つ西行寺幽々子だった。

「お邪魔するわ」

「お邪魔します」

私達が挨拶すると幽々子はふふっと微笑んだ。

「霊夢はまだしも、咲夜が来るなんて不思議だわー」

そう言いながら近くにあったお茶菓子に手を伸ばす幽々子。だが、それを止める声が掛かった。

「幽々子!さっき食べたばかりでしょ!少しは我慢しなさい!」

止めたのは他でもない。お嬢様だった。

「えぇー。でもー」

「だめよ!そう簡単に食べられたらまた私と妖夢で人里まで買い物をして来ないと行けなくなるの。分かった?」

「はぁーい」

その光景に私達は固まっていると、お嬢様が私達に気付いた。

「あら?霊夢に咲夜。来ていたの?なら、お茶を出さなきゃね。ちょっと待ってて」

そう言い部屋を出て行くお嬢様。私は呆然と後ろ姿を見送った。

「どう?変わったでしょ?」

妖夢が幽々子の隣に座わりながら言った。

「変わったって変わり過ぎよ。まだ三日よ?三日で慣れるの早くない?」

霊夢の言葉に私は頷いた。

「そうだね。私も驚いちゃった。それに今では幽々子様の食い過ぎを注意するようになったしね」

「もーう。レミリアが注意するようになってから全然つまみ食いが出来なくなったわー」

幽々子が不満げに呟いた。お嬢様の修行は上手く行っているようだ。私はほっと一息ついた。

 

 

 

 

 

私は魔理沙そしてたまたま行くタイミングが合った晴竜と共に地霊殿に向かった。地霊殿に着くとお燐が出迎えた。

「あれ?魔理沙さんと晴竜さんは分かるけど、今日は咲夜さんまでいるんですね」

「えぇ。妹様の様子を見に来たのだけど…。どう?上手くやっている?」

私が聞くとお燐はうんうんと頷いた。

「もちろんですよ。私とお空が教えているんですよ」

「……だから心配なのだけど」

「咲夜さん?何か言いました?」

「いえ。何でも無いわ」

「そこまで心配するなら見てって下さい。フランさんがどこまで成長したか確かめたらどうです?」

こうして私達は地霊殿の中に入った。案内されたのは応接室。そこにはさとりとこいしが話してながら座っていた。

「さとり様。こいし様。お客様です」

「あ、魔理沙さん達ですか。ん、今日は咲夜さんもいるんですね」

「そっか。フランちゃんを見に来たんだね」

さとりとこいしが出迎えると魔理沙が周りを見た。

「あれ?フランはどこにいるんだ?」

「フランちゃんなら今、お空と一緒に飲み物を持ってくるよ」

「丁度、何か飲みたかったので頼んだんです…」

さとりが言い終わると同時に応接室のドアが開きお空とフラン様が入って来た。

「さとり様ー。こいし様ー。お茶をお持ちしましたって…。三人増えてる!」

「え、ホントだ!」

二人は驚いて立ち止まり、私達の分まで持って来ようとした。それを見た晴竜は二人を引き止めた。

「大丈夫だ。俺達はただフランの様子を見に来ただけだ。後、咲夜の付き添い」

晴竜が説明するとお空と妹様はさとり達にお茶を渡した。

「はい。さとり様」

「ありがとうございます。お空」

「はい。こいしちゃん」

「ありがとう。フランちゃん」

その光景を見て晴竜は私に耳うちした。

「良かったな。上手くやれてるようだな」

「そうね。安心したわ」

晴竜の言葉に私は頷いた。

 

 

 

 

それから私は時間が空けばお嬢様達の様子を見に行った。日々、従者としてのスキルを上げて行くお嬢様達がとても逞しく見えた。そして一週間が経ち、お嬢様達が従者修行から帰って来た。帰って来たお嬢様達を私、美鈴、パチュリー様、小悪魔で出迎えた。

「ただいま。今戻ったわよ」

「ただいまー。」

「おかえりなさいませ。お嬢様。妹様」

私が言うとほかの三人もおかえりなさいと伝えた。お嬢様達が部屋に入ると椅子に座った。

「はぁー。やっぱりここが一番落ち着くわね」

「やっぱり自分の家が一番だよ」

お嬢様達がくつろぐ中、晴竜、霊夢、魔理沙がやって来た。晴竜はお嬢様達を見るなり声を掛けた。

「お、二人とも戻って来てるな。どうだ?大変だっただろう?」

「おかげ様でね。もう体のあっちこっちが痛いわ」

「お姉様と同じく」

「はは。咲夜達はそれを毎日してるんだ。今後はそれを考えて過ごす事。いいな?」

「分かったわ」

「うん」

お嬢様達が返事をした。晴竜は満足そうに頷いた。するとお嬢様が呟いた。

「やっぱり、白玉楼で修行した私が一番頑張ったわね」

その言葉に私達は身動きを止めた。(妹様が聞いていませんように!)だが、願いは叶わず妹様は食って掛かった。

「何を言っているの?お姉様?私が一番頑張ったわ」

「私よ!」

「私だって!」

「あ、あの…。お嬢様?妹様?」

「「咲夜は黙って!」」

「……。」

お嬢様達の姉妹喧嘩に晴竜は小さく呟いた。

「ダメだこりゃあ」

それからと言うもの、姉妹喧嘩の頻度は少なくならなかった。でも、前の様に紅魔館を壁を破壊したりと激しい喧嘩はしなくなった。私にそれが無いなら喧嘩はするけど仲の良いこの吸血鬼姉妹を見守って行こうと心の中で誓った。

 

 

 

第二話〜完〜

 




昨日から書き始めて思った。(これ…。今日で書き終わらねぇ…)
そして今日、書き終わりました。大変だった。
さて、いかがでしたか?レミリアとフランの喧嘩模様は様々な二次創作などで描かれていますが従者としての二人は中々無いと思います。新鮮な二人をご覧下さい。
次回は地霊殿がメインとなりますのでお楽しみに。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 古明地姉妹の温泉施設 『地霊屋』

三連休に入り暑さも強くなるとの事。みなさんも夏バテには気を付けて下さい。青柳龍です。
さて、今回は地霊殿をピックアップしていきます。地霊殿の少女達が何と!温泉施設の経営をします。どんな風に経営するのか。そして語り手はこいしちゃんです。
それでは第三話始まり始まり。


私は古明地こいし。地霊殿の主の古明地さとりの妹なんだけど、私達は今、地霊殿にはいない。じゃあ何処にいるのかって?私は今、さとりお姉ちゃんとお空、お燐そして地霊殿にいるペットの妖怪達と温泉施設を経営する事になってその温泉施設にいる。どうしてする事になったのか。それは先週に遡るんだ____

 

 

 

 

「温泉施設の経営?」

さとりお姉ちゃんがそう聞き返すと射命丸文さんは頷いた。

「どうです?良い話でしょ?」

「いや…、それほどでも無いと思いますし、それに何故私達に温泉施設の経営をしろと?」

「いやー。実はですね。間欠泉地下センターの近くに温泉施設なんですが元々の経営者が病気で倒れて経営出来なくなってしまったんです。経営者が居なくなるとその施設は回らなくなりますし、他の人に頼もうにも場所が遠いとかで断られてしまって……」

「それで、私達の元に来たと……」

「そうなんです!どうです?やって見ませんか?」

「嫌です」

文さんのお願いにお姉ちゃんは即答で断った。

「あやや…。即答ですか…。何で嫌なんです?」

「私は一応これでもこの地霊殿の主です。この地底の守る役目ってものがあるんです」

「そう…ですか。なら、無理意地は出来ませんね…」

そのまま文さんは帰ろうとした。しかし、文さんはわざとらしく呟いた。

「あーあ。これからどうしましょう…。あの温泉施設が潰れれば近くに住む妖怪達だけでなく、わざわざやってくる人里の人達。それに幻想少女達も困るんですが…。もしもそうなれば皆さん黙ってはいないでしょうね…」

「…………文さん。待って下さい」

「はい?何ですか?」

「その話引き受けましょう」

「ホントですか!ありがとうございます。では、明日から間欠泉地下センターの横にある建物に来てください。それでは!」

そう言って文さんは部屋を出て行った。後ろ姿を見送る中でお姉ちゃんははぁーとため息する着いた。そして翌日から私達は施設の経営者となった。経営する事になった日に文さんから

「この施設まだ名前付いていないんですよー。なので付けてくれませんか?」

と言われて咄嗟に私が

「じゃあ、地霊殿で経営するんだから地霊屋?」

と言ったらそのまま採用となった。こうして私達は地霊殿総出で温泉施設、地霊屋をスタートさせた。

 

 

 

 

スタートした初日から凄い量の人達が地霊屋にやって来た。私達は前日にお姉ちゃんに割り当てられた仕事に取り掛かった。

「九番の方ー!お待たせしましたー!醤油ラーメンです!」

料理を得意とするお燐を含めた妖怪達は食堂での仕事になった。

「すみません。実は落し物しちゃって…」

「それは大変ですね!一緒に探しますよ!」

「ホントですか!ありがとうございます!」

お空などの接客を得意とする妖怪達は施設のスタッフとして案内などをする事になった。そして私とお姉ちゃんは……。

「いらっしゃいませ。えっと、大人二人に子供一人ですね。入浴料は合わせて十三文です。…はい。丁度ですね。ありがとうございます。ごゆっくりー。」

親子の後ろ姿を見送り私は肩を下ろした。隣を見るとお姉ちゃんが緊張しながら接客していた。

「あ、ありがとう、ございます…。ご、ゆっくり…。」

そんなお姉ちゃんを見て私は何故か可笑しくなって

「クスクス…」

笑ってしまった。お姉ちゃんは顔を真っ赤にして私をペチペチ叩いた。

「恥ずかしいからやめて…」

「いいじゃん。それにそんな感じがお姉ちゃんらしいよ?」

「こいし?それフォローですか?」

「うーん。そうかな?」

「なら、全然なってません」

「ごめんごめん。ほら、お客様だよ?」

「まったく…。いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませ」

私達は仲良くフロント係を担当した。

 

 

 

 

それから数日間経ち、だいぶ慣れてきたのかみんな仕事がスムーズになって来たある日の事、文さんが営業時間の終わりにやって来た。

「こんばんはー!いやー。地霊殿の皆さんに頼んで良かったですよ」

「……ここまでなるのに大変でしたが」

お姉ちゃんが文さんを睨み付けると文さんは困った顔した。

「あやや…。そう怒らないでください。そんなさとりさんに朗報です!実は、前の経営者が病気から復帰しまして、経営を交代するって言ってるんです。これで、もう経営の仕事をしなくてもいいようになります」

「だってお姉ちゃん?良かったじゃん。これで、前の生活に戻れるよ」

私はそう言いながらお姉ちゃんの方を向くとその顔は晴れていなかった。

「…………」

「お姉ちゃん?」

「さとりさん?」

私と文さんが声を掛けるとお姉ちゃんは予想してなかった事を言った。

「………私、変わるなんてしません」

「「え?」」

「私達はこの地霊屋を辞める事はしません。やるなら徹底的にやります」

いつものお姉ちゃんからは考えられない口調で話したから思わず文さんははいと頷いた。

「そう前の経営者の方にお伝え下さい」

「わ、分かりました…」

そう言うと文さんは飛んで行った。

「本当に良かったの?このままで?」

そう私が聞くとお姉ちゃんは頷いた。

「えぇ。これでいいの。もうちょっと定休日とかは増やすけど…。こいしは嫌?」

私は首を振った。

「嫌じゃないよ。それにお姉ちゃんが決めたんだもん。それに従うよ」

「ありがとう。こいし」

こうして私達はこの地霊屋を本当の仕事として始めた。

そして幻想郷の温泉は地霊屋と言われるようになり、前の経営者が雇ってくれと頼み込んで来たのはもうちょっと後のお話。

 

 

 

 

第三話〜完〜

 




今日は友達とカラオケに行って来たんですが、カラオケの機械が古いのか、東方の曲が全然入っていないんです!せっかく歌う気満々だったのに!うー!もうー!
すいません。取り乱しました。さて、地霊殿のお話どうだったでしょうか?この話は幻想郷の配置など調べていたら間欠泉地下センターと地底に行くための穴が近いと書いていたので地霊殿の少女達に温泉施設の経営をやらせてみようと思って書きました。とてもスラスラ書けたので良かったです。
外伝の章次のピックアップは永遠亭です。そして、次の話に私達もよく知るあの有名な人が出てくるかも知れません。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 輝夜と千年の縁

私の住む地域で最高気温が三十度を超えました。暑さのせいで昨日は眠れないと大変ですか書いていきます。青柳龍です。
さて、今回は永遠亭がメインとなります。そして、輝夜と永琳と妹紅の昔のお話が出ます。昔の輝夜と永琳、妹紅はどんな生活をしていたのか自分なりに考えましたのでお楽しみに。(昔の輝夜達は全部オリジナルです。)
語り手は輝夜です。
それでは第四話始まり始まり。


「今日も天気がいいわね…」

わたしは空の晴天を見てそう呟いた。わたしの名は蓬莱山輝夜。ここ永遠亭の主だ。私はここに千年以上も住んでいる。わたしが廊下を歩いていると永琳が声を掛けてきた。

「姫様。晴竜達が来ていますがどうなされますか?」

「分かったわ。すぐに通して」

永琳はお辞儀をすると晴竜達を呼びに戻った。

 

 

 

数分後、わたしは永遠亭の中庭を見ている晴竜達に話しかけた。

「待たせたわね」

「ホントよ。どれだけ待たせるの?」

「ホントだぜ」

「勝手に付いて来た二人が何を言うんだ?」

怒る霊夢と魔理沙に対して晴竜は困った感じだった。

「悪かったわよ。それで、今日はどうしたのかしら?」

霊夢と魔理沙は晴竜の方を見た。晴竜は実はと話し始めた。

「輝夜達って千年以上も前から生きているんだろ?」

「まあ、そうなるかしら」

「なら、あの人知ってるかなって思って…」

「あの人って?」

「安倍晴明の事なんだ」

「安倍晴明……」

わたしはその名前を繰り返していた。晴竜がどうと聞いてくる。わたしはうんと頷いた。

「安倍晴明って誰?晴竜の苗字と同じって事は親戚とか何か?」

知らない霊夢と魔理沙に晴竜は安倍晴明について話した。

「安倍晴明は千年以上も前、平安時代に実在した陰陽師だ。晴明は半人半妖と呼ばれたり、狐の子と呼ばれた程強い霊力を持っていた。その為、晴明を頼る人達が大勢いたから、晴明はいつしか都一の陰陽師と呼ばれるようになった」

「なるほど、凄い人だと分かったけど。それで、その晴明とはどんな関係なの?」

「俺は一応、晴明の末裔にあたる。他にも外の世界に何人か晴明の末裔はいるけど……」

「へぇー」

霊夢は興味無さそうに返事をした。でも、わたしにとっては驚きだった。(まさかだと思っていたけど本当にあの晴明様の末裔だったんだ!)

「ん?輝夜?」

晴竜が顔を覗き込んできた。わたしは何でも無いわと言った。

「で、どうなんだ?知っているのか?」

「えぇ。知っているもなにもわたし達の恩人ですもの。ねぇ?永琳」

わたしはお茶を持って来た永琳にそう言った。永琳はそうですねと答えた。

「そうですね。あの時は本当にお世話になりましたね」

「あの時って?」

晴竜が聞いて来るのでわたしは話始めた。千年前、晴明様と出会い、そして別れた時の話を____

 

 

 

ここは平安京。この国の中心である。ここにわたしは竹取の翁とその奥さん。そして永琳とこの平安京にやって来た。そして、平安京に住んでいるとどこから話を聞きつけたのかわたしの元に様々な貴族の殿方がやって来るようになった。でも、わたしはあまり会おうとは思わなかった。理由はやってくる人は全員結婚を申し込んで来る人ばかり。それに、結婚をしたい理由を聞くと全員こう答えた。

「この世とは思えない程お綺麗な貴方は私の横が相応しいです」

所詮、男達は中身より外見。だからわたしは無理難題を言って男達が諦めるのを待った。でも、ある日の事。わたしの元にその難題を成し遂げたと一人の貴族がやって来た。わたしは御簾越しに聞いた。

「本当に持ってきたのですか?」

「もちろんです。こちらが貴方様が申し出た品物。蓬莱の珠の枝です」

そう言って男が差し出した枝。しかしその枝はただの枝のように見えた。

「おかしいわね。わたしには普通の枝のように見えますが?」

「何を仰っているのです?よーく、見てください」

言われた通り見ていると段々そう見えて来た。(そんな事、有り得ない。本物な訳…)わたしはなんだか意識がぼぅーとしてきた。御簾の横にいる永琳が何か言っているようだけど全然耳に入ってこない。

「それでは輝夜様?私の妻になってくれますか?」

拒否しようとしているのに何故か口が言う事を聞いてくれない。口はわたしの思っている事と真逆な事を言おうとした。

「分かりました。妻になりましょ___」

その時、突然呪文が唱えられた。

『オンバビラウンケン、シャラクタン!』

それを聞いた瞬間口が思う通りに動いた。

「うとは思いません!」

「なっ!」

男は驚いた。すると男の後ろからもう一人の男がやって来た。

「いけませんよ。たとえ、この世に無い物を頼まれたからって幻術を使うなんて事は」

「くっ、貴様!」

男は怒り狂い勢いよく振り返り腰に身につけた太刀を抜こうとした。わたしと永琳は止めようとしたが男は相手を見るなり身動きする止めた。

「賢明な判断ですね」

「あ、貴方は安倍晴明殿!」

安倍晴明と言われた男はふっと微笑んだ。これが晴明様と初めて会った瞬間だった。

 

 

 

 

男が帰るとわたしと永琳はため息をついた。

「大丈夫でしたか?」

晴明様に言われてわたしははいと答えた。すると永琳が晴明様に聞いた。

「すいませんが、一体どこからこの邸に入ったのですか?」

「あ!すいません。何か怪しい力を感じたので勝手に入ってしまいました。申し訳ありません」

そう言って晴明様は頭を下げた。わたしは慌てた。

「いえいえ。こちらこそ助けて頂いたのに。永琳!」

「はぁー。本当なら追い出す所ですが今日は見なかったことにいたしましょう」

「ありがとうございます」

そこで晴明様はほっとしていた。ところでとわたしは晴明様に聞いた。

「晴明様は聞いた所によると都一の陰陽師だとか…」

「そんな事はありませんよ」

晴明様は謙遜するけどわたしには分かる。だって晴明様から強い霊力を感じたから。わたしはふと思った事を晴明様に言った。

「晴明様はわたしの事知っているのですか?」

「もちろんですよ。都に突然現れた絶世の美女と聞いております」

「じゃあ、晴明様はわたしを妻にしたいと思わないのですか?」

「全然そう思いませんが?」

この言葉に何故かわたしはカチンと来た。

「本当ですか?ホントはちょっとそう思っているなんて事___」

「有り得ませんね」

「そこ即答ですか!?」

「わたしは妻など興味ないですし、美女とかも興味ありません」

「嘘はいけませよ晴明様?」

「嘘は言っておりません。それにあったとしても貴方様と。とは思っておりません」

「何ですって!」

「ちょっと姫様……」

永琳の制止を振り切りわたしは晴明様と口論になった。そして気付けばわたしは立ち上がり御簾から出て晴明様と面と面向かって口論していた。

「しまった……」

「姫でありながら自ら御簾を越して来るとは、私も思いませんでした」

「これは全部貴方のせいです!責任取って下さい!」

「責任取って。と言われましても……」

「もう良いです!あんな事こんな事言われて黙っていません!また明日ここに来なさい!貴方の心を奪ってみせるわ」

「段々と口調が……。はぁー。分かりました。また明日ここに来ましょう。ま、無駄だと思いますが」

そう言って晴明様はわたしの邸を後にした。

 

 

 

 

「そうと言ったものの結果は連戦連敗という訳か」

「うぅ…」

わたしは親友で、藤原道長の娘である妹紅と切った桃を食べながら晴明様の事を話していた。

「あの晴明って奴、誰も食ってかかって勝った奴はいないらしいからなー。後、女絡みの事なんて聞いたことないしなー」

「それでも、わたしは晴明様を振り向かせたいの!」

「なあ輝夜?何でそこまで晴明にこだわるんだ?別に気にしなくてもいいだろ?」

妹紅の言葉も一理ある。でもわたしは嫌だった。今までわたしの美しさに心うたれた人はいっぱいいた。でも、わたしの美しさにうたれない人が居るなんて嫌だ。

「私さ、思うんだけど」

「何?」

「お前、晴明の事好きなんじゃないのか?」

「え!何を言ってるの。そんな訳……」

「そんな訳?」

わたしは最後まで違うと言えなかった。晴明様をどう誘惑しようか?どう接しようか?考えている内にわたしは晴明様以外の事、考えられなくなっている事に今、気付いた。

「そんな訳……あるかも」

「だろ?晴明ってやるな。輝夜を惚れされるなんて」

「わたし、晴明様に勝てないのかな」

「いや、勝てる方法はある」

「え!本当に!聞かせて!」

「その方法は……」

「その方法は……?」

「晴明にその気持ちを伝える事だ!」

「え、えぇぇぇ!」

妹紅の案にわたしは激しく首を振った。

「無理だって!晴明様に告白するなんて事………」

「大丈夫だって。お前に告白されて嫌な奴なんて居ないから」

「で、でも……」

「まぁ、今すぐとは言わない。よく考えて言う事だな」

そう言って妹紅は最後の桃を食べた。

 

 

 

 

(晴明様に告白……。どうしよう………。)と考えている内に最も恐れていた時が来てしまった。そう、月からの迎えだ。晴明様の事を考えていたら月からの迎えが来る日になってしまった。月を見上げるわたしに永琳が声を掛けた。

「姫様」

「何?永琳」

「もうお時間です」

「そう、なの……」

「姫様?」

「わたし、我儘言っていいかしら?」

「?何でしょう?」

「わたし、地上に残りたい」

「え!でも……」

そこで永琳は言葉を切った。きっとわたしの心を汲み取ったのだろう。永琳はならと言って近付くとわたしを抱き締めた。

「ちょっ、永琳?」

「……なら、私は姫様と同じ蓬莱の薬を飲み共に居ましょう」

「永琳……」

わたしは優しく永琳を撫でた。

 

 

 

 

わたしが永琳と共に地上に残ると決めた事に反対した者達がいた。月の都の者達だ。月の者達は地上の人々を騙し、わたしと永琳を捕まえさせようとした。そしてそれを止めるべく立ち上がった妹紅も父親の逆鱗に触れ、わたし達同様に逃げる側になってしまった。

「ごめんね。妹紅。あなたまで巻き込んで」

「別にいいさ。それに昔からこの鳳凰の力を持つ時から親父から遠ざけられていたし。後、蓬莱の薬ありがとうな」

そう、妹紅に強く迫られわたし達は根負けし、蓬莱の薬を妹紅に渡した。これで妹紅も不老不死になった。そしてわたし達は都から離れ東の方に逃げた。しかし、追っ手は次から次へとやって来る。しかも、逃げてる途中で今度は妖達の群れに出会ってしまった。

「姫様!安全な所に隠れていて下さい!」

「いいな!輝夜!出るんじゃないぞ!」

永琳と妹紅が戦っている中わたしは物陰に隠れながら身を震わせていた。こうなるんだったら月に帰れば良かったと思っていた時。突然、妖が飛び出して来た。

「………!」

咄嗟の事に声が出ない。妖の爪がわたしに届きそうになった瞬間だった。

『オン!』

妖が吹き飛ばされた。そしてわたしの前に立った人はこう言った。

「全く、勝負を途中で放棄なんてずるいですね」

「晴明様!」

すると永琳と妹紅がわたしの元に戻って来た。

「姫様!って、何故貴方がここにいるんですか!」

「うわっ!安倍晴明だ!」

「ずっと貴方達を探して居たんですよ」

「まさか!わたし達を捕まえに?」

わたしの言葉に晴明様は首を振った。

「違いますよ。むしろその逆です。この先に大きな竹林があります。その竹林に行ってください。そしてこの札が引き付けられる方向に向かって下さい。そうすれば、もう追っ手も妖も来ません」

「え、でもそうなれば晴明様には……」

「もちろん、会えなくなります」

「え……」

(そんな!せっかく会えたのに!)わたしは動けなくなった。

「さ!早く!ここは私が引き受けます」

「姫様!ここは晴明様に任せて行きましょう!」

「輝夜!」

「……うん。でも一人だけじゃあ!」

「大丈夫ですよ。だって私は一人ではありませんから」

そう言うと晴明様は手を真上に上げた。すると晴明様の周りに不思議な格好をした十二人の若い男女が出現した。

「行くぞ!十二神将!」

晴明様がそう叫ぶと十二神将は妖の群れに向かって突撃して行った。晴明様は振り返り頷いた。わたしは黙って頷き返すと永琳と妹紅と共に竹林に走った。そして竹林の中にあった邸で身を隠し暮らす事になった。それがここ迷いの竹林の永遠亭という訳。

 

 

 

 

 

話終えたわたしはお茶を飲んだ。晴竜の方を見ると興奮しながら永遠亭を見渡していた。

「マジか!ここって元々晴明の邸だったのか!」

「そう見たいね」

わたしがそう答えた。すると霊夢が聞いてきた。

「でも結局、晴明に言えなかったんでしょ?好きな事?」

わたしが頷いた。すると晴竜は突然あ!と叫んだ。その声に霊夢が驚いた。

「な、何よ!びっくりしたじゃない」

「すまんすまん。それより実は外の世界に戻った時、安倍晴明についてちょっと調べていたんだけどある事実が分かったんだ」

「事実?」

わたしが聞くと晴竜は続けた。

「霊夢?魔理沙?竹取物語って知ってるか?」

「知ってるわよ。それがどうしたの?」

「そういえば、輝夜の名前といい、時代といい、構成といい。竹取物語と輝夜の話ってそっくりだな」

と魔理沙が言うと晴竜はそこだと言った。

「そう!そこなんだ!その竹取物語は実は輝夜を題材としたんだ」

「何故そんなこと分かるの?」

今度は永琳が聞いた。

「外の世界はもちろん。ここでも竹取物語の作者は知られていない。でも俺達の家系はその作者を知っている」

「俺達の家系ってまさか!」

気付いたのは永琳だけらしい。わたしを含め他は頭を傾げた。

「あの竹取物語の作者は安倍晴明なんだ」

「え……」

わたしは驚き固まった。晴明様があの竹取物語を書いていたなんて。でもなんで?その疑問が口から出た。晴竜は答えてくれた。

「そこまでは言い伝えられてないが、俺が思うに輝夜達をいなかった事とする為だったんだと思う」

「わたし達をいなかった事にする?」

「そうだ。晴明はさりげなく自分の言葉や、書に呪をかける。そしてこの竹取物語にもかぐや姫が月に帰ったと書かれている。そう書くことで輝夜達が月に帰ったとして都の人達に呪をかけたんだ」

「どうして、どうしてそこまでわたし達を助けてくれたの?」

わたしの問いに晴竜は頭をかいた。

「俺に聞かれても……」

「そうよね……」

「でも、もしも俺が考える事が合っているなら晴明は好きだったんだと思うぞ。それ以外に理由があるか?」

「そうね。そうだったら……。嬉しいかな」

わたしはそっと空を見上げた。もう晴明様はこの世にはいない。確かめる事は出来ないけどそうあって欲しい。そうわたしは願った____

 

 

 

 

第四話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




中々、終われない。終わったと思い気付けば五千文字越え。うん。頑張った。
さて、安倍晴明を出したことについて輝夜が平安時代から生きていると分かった頃からこうしたいと思っていました。その為難しいかったです。次回は、命蓮寺をピックアップしたいと思います。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 命蓮寺お泊まり修行

さて、三連休の最終日です。一昨日と昨日に出したんですが一気にお気に入りに選んでくれた人が増えました!これは全て読んでくれている皆様のお陰です。ありがとうございます。青柳龍です。
さて、今回書いて行くのは命蓮寺です。題名に書いた通りお泊まりで修行をするのですが、その修行がとてもとても。霊夢、魔理沙、そして家から修行に来る少女達も合わせてやっていきます。
それでは第五話始まり始まり


ここは命蓮寺。私、寅丸星は今、お寺の境内の掃除を響子としている。ここの主である聖様は私にとって師匠でありただの妖獣だった私を毘沙門天の代理としてくれた恩人でもある。だから代理となった今でも私はこうして掃除などの雑用もよくする。ここには聖様、ナズーリン、水蜜、一輪&雲山、ぬえ、今、一緒に掃除している響子が住み込みで暮らしている。後、古明地こいしさんに秦こころさんが時々修行をしに来る。それに二ッ岩マミゾウさんが居候をしていて、多々良小傘がよく墓場にいて肝試しにやって来る人達を驚かしている。ちょっと迷惑だけどそんなに驚く人達がいないからそのままにしている。でも、今日は特別な日。なんと、家から来ている二人とこの命蓮寺の近くにいる幻想少女達で一泊二日の泊まり込みで修行する事になった。もうそろそろ誰かしら来る時間だけど……。すると早速三人やって来た。

「はぁー。何で私が修行なんて……。もう私は強いんだから必要ないと思うけど?」

「まぁまぁ、いいじゃないか。博麗神社にずっといるだけじゃなく、たまにはこんな風に泊まるって事も大切な体験だと思うぜ?なんなら晴竜も修行していったらどうだ?」

「今回のお泊まり修行は女子限定だから男である俺は参加出来ないんだ」

そう会話して来たのは、博麗霊夢さんと霧雨魔理沙さん。そして送って来た晴竜さんだった。

「おはよーございます!」

「お、おはよう……」

「ふふっ。お待ちしていました」

「お邪魔するわ」

「お邪魔するぜ」

そう言って二人は命蓮寺に入って行った。二人を見送った晴竜さんは私達の方を向いた。

「うんじゃ、霊夢と魔理沙の事よろしくな」

「はい」

「はい!」

晴竜さんは輝龍に乗り行ってしまった。

 

 

 

 

こうしていつもの面々と霊夢さん魔理沙さんを合わせた十一人で修行を始めた。最初は座禅だ。

『………』

全員静かに座禅を組み座っている。(自分もやっているから気配でだけど……)後ろを歩くのは聖様。聖様は警策を持ち、ゆっくり歩いている。すると立ち止まる気配がすると。

「喝っ!」

「うぎゃ」

バシッという音と魔理沙さんのうめき声。叩かれたのは魔理沙さんらしい。そう思うと笑ってしまった。聖様が後ろに立ち止まった気配がした。私は笑ってしまった事を悔いた。

「喝っ!」

「ぐうっ!」

 

 

 

 

次は滝行だ。お寺横にあるにとりさんに作って貰った滝の下に一人ずつ入った。この滝は水の温度を変える事が出来るから温水にもできるけど聖様はあえて一番冷たい温度に設定している。だからみんなガグガク震えている。すると霊夢さんがボソッと呟いた。

「私も、滝行するけど、ここまで冷たい、滝ではしなかった、わよ……」

所々言葉を区切っているのは寒さに震えているからだ。私達、命蓮寺にいる者もこの冷たさは初体験だった。着替えを終えお寺の中に戻ろうとすると滝の方を見たぬえが固まった。

「ん?どうしたの?」

そう聞いた水蜜も滝を見るなり身動きを止めた。私達は気になり滝を見ると聖様が滝に打たれていた。それだけならまだいい。問題は打たれている時間だ。

「ねぇ、聖の前って誰?」

霊夢さんが聞くとマミゾウさんが答えた。

「わ、ワシだが。ワシが出たのは三十分も前だぞ……」

「確か、聖様ってその後すぐに入ったよね……」

一輪がそう言うと全員改めて聖様を見た。

「止めた方がいい、よね?」

「でも、止めたら止めたで何か怒られそうだけど……」

「ナズーリンはそう言うけどみんなはどう思う?」

私がそうみんなに聞くと全員うーんと唸った。その時、聖様が滝に当たっている形のまま滝つぼの池に倒れた。

『……………………………聖(様)!?』

全員ですぐに聖様を救出した。こうして一日目の修行が終わった。

 

 

 

 

その日の夜。全員で夕ご飯を作っていると玄関の方からおーいと言う声が聞こえ玄関に向かうとそこには大きなザルに色んな野菜を載せて持ってきた晴竜さんが立っていた。

「うわっ!凄い量の野菜ですね。急にどうしたんですか?」

私が聞くと晴竜さんは野菜を隣りにいた一輪と雲山に渡しながら答えた。

「ただえさえ、命蓮寺は人数が多いのに霊夢や、魔理沙達が泊まるとなれば当然食料も多くなると思ってな。どうせ、食料が足りないって買い出しに行こうとした所だろ?」

全くその通りだ。丁度、私と一輪、雲山で人里に買い出しに行こうとした所だった。

「まさにその通りです。でも何でそこまで?」

「まぁ、修行のボランティアだと思ってくれ。じゃあな」

そう言って帰って行く晴竜さん。私は心の中で深く感謝した。一応ここはお寺の為、お肉と魚は禁止。だから食卓に並ぶのは野菜中心の精進料理ばかりだ。

「うぅ。しょうがないとはいえ、お肉が食べたい……」

「こいし。そこは、我慢。もぐもぐ」

「こころの言う通りよ。野菜だけでも食べられるだけ感謝しないと。所で寅丸?」

「なんですか?ぬえ?」

「これは何処から持ってきた野菜なの?」

「ああ、これは晴竜さんが持ってきた野菜ですよ。それにしても美味しい野菜ですよね」

私が褒めると霊夢さんが胸を張った。

「当たり前でしょ。あいつの野菜は自家製なのよ。しかもにとりに頼んで畑まで作って貰ってるほどなんだから」

「へえ!凄いですね!」

「そうでしょ。そうでしょ!」

「全く、霊夢の事じゃないのに自分のことみたいに……

って痛った!何するんだ霊夢!」

「うるさいわね!別にいいじゃない!あいつは私の彼氏よ!少しぐらい自慢させなさいよ!」

そう霊夢さんは立ち上がり叫ぶと段々恥ずかしくなったのか顔を赤くし大人しく座った。それを見た私達は大笑いした。

 

 

 

 

翌日、私達は色んな修行をし、遂に最後の修行をする事になった。ここからは修行の内容を知っているのは聖様だけだ。

「では、最後の修行をやっていくけど、実は修行の候補が三つあります。三つの中から好きなのを選んで下さい。」

『はい!』

「一つ目、冷水の行。水風呂に入り、瞑想します」

『滝行の進化版!?』

「二つ目、火炎の行。閉め切った部屋で焚き火をして暑さに耐える修行をします」

『もはや拷問!?』

私達の反論に聖様はため息をついた。

「分かりました。なら、三つ目。私に一撃入れてみなさい」

『今までの修行の意味!?』

そう私達は言ったけど、聖様は変える事はしないようだ。私達は仕方がなく三つ目を選んだ。

「倒せ。じゃなくて、一撃を与えるだけだからね。大丈夫よね」

霊夢さんが構えると他のみんなも構えた。

「ええ。それでいいです。しかし、条件があります。これも一応は修行なので、スペカと能力は使ってはいけません」

『えっ!?』

「当たり前ですよ。ありににしてしまったら皆さんには流石に私は勝てませんから」

「まぁ、でもただの体術でも勝つけどね」

そう言って霊夢さんは構えるけど他は乗る気じゃない。

「なあに、一人ずつとは言いません。全員でかかって来なさい。それで誰かの一撃が私に入れば全員達成としましょう」

「まぁ、それなら……」

「主力は霊夢にすればいいしな……」

と小さく呟きながら渋々構えるみんな。私も構え、全員同時に地を蹴った。結果はちゃんと霊夢さんが一撃を与えたけど………。

「くっそー。霊夢以外は瞬殺されたぜ」

「しょうがないですよ魔理沙さん。聖様に体術だけで勝てる人なんて霊夢さんぐらいですよ」

悔しがる魔理沙さんに私はそうなだめた。

 

 

 

 

夕方になり解散の時間になった。色んな事をして疲弊仕切った霊夢さん達を霊夢さんと魔理沙さんを迎えに来た晴竜さんは驚いていたけど、私から修行の内容を聞くと納得したようだった。

「そんな事すれば、こうなるわな」

晴竜さんが全員を見ながらそう言った。すると一人元気な聖様が言った。

「今回のお泊まり修行は終わりですがまた来年もこの修行をやりましょう!いいですね?」

『も………』

「も?」

『もう勘弁してえぇぇぇえ!』

少女達の悲鳴が周辺に響き渡った。

 

 

 

 

第五話〜完〜

 

 




自分で考えておきながら思う。命蓮寺の修行……厳しくね?俺なら確実に死ぬ。
さて、今回ので三連休分の投稿は終わりました。次回は今週の土、日です。そして、次回ピックアップするのは守矢神社です。お楽しみに!
それではまた次回!
(追記 今回は初めて出てくる少女達が多かったので本編に書けませんでした。なのでここで説明していきます)
村紗水蜜(水難事故を引き起こす程度の能力を持つ。舟幽霊)
雲居一輪&雲山(一輪:「入道を使う程度の能力」。雲山:「形や大きさを自在に変える事が出来る程度の能力」。一輪は妖怪。雲山は入道)
封獣ぬえ(正体を判らなくする程度の能力。鵺)
幽谷響子(音を反射させる程度の能力。山彦)
秦こころ(感情を操る程度の能力。面霊気)
ナズーリン(探し物を探し当てる程度の能力。妖怪ネズミ)
二ッ岩マミゾウ(化けさせる程度の能力。化け狸)
多々良小傘(人間を驚かす程度の能力。からかさお化け)
以上です。うん。疲れた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 守矢神社参拝客呼び込み大作戦

たった一週間でも長く感じた。そして、明日から私は夏休み!遊んで、遊んで、遊びまくって、夏休みを過ごしたい(無理だけど………)青柳龍です。
さて、今回も書いて行きます。今回は守矢神社をピックアップ。題名から分かる通り守矢神社の三人が参拝客の呼び込みに奮闘します。語り手は早苗です。
それでは第六話始まり始まり。


私、東風谷早苗は困っていた。参拝客が来ない。幾ら待てど来ない。参拝客が来なければ私達は生活に困ってしまう。だから困っていた。だが、困っているのは参拝客が来ないだけじゃない。もう一つある。それは____

「ねぇ?今日も参拝客が来ないの?おかしくない?」

「そうだね。そのせいで私達のご飯もろくな物が出ないからねぇ」

「はぁー。そう言うなら、諏訪子様も神奈子様も呼び込み手伝って下さいよ!」

私は愚痴を言う二人の神に叫んだ。困っているのはこの二人の愚痴を聞かないといけないからだ。二人は不満そうに私の方を向いた。

「えぇー。嫌だよ。そう言うの得意じゃないの」

そう言うのは洩矢諏訪子様。坤を創造する程度の能力を持つ、この守矢神社の祭神だ。

「諏訪子に同じく。私はそんなキャラじゃないからね」

そう言うのは八坂神奈子様。諏訪子様の対なる乾を創造する程度の能力を持つ、同じくこの守矢神社の祭神だ。

そんな諏訪子様が話を続けた。

「大体、何で命蓮寺はともかく、今まで金銭的、信仰的にも勝っていた博麗神社に参拝客が取られるなんて!」

そうなのだ。前までは私達守矢神社は博麗神社よりも参拝客が来ていた。(妖怪も含め)でも今になっては参拝客がほとんど博麗神社に流れていた。どうしてそうなったのか私達は分かっていた。

「これも全部晴竜が悪いのよ」

そう神奈子様は断言した。突然、私達と同様に外の世界からやって来た陰陽師。安倍晴竜。彼の登場で博麗神社は人々が博麗神社に行くようになった。

「どうして晴竜さんが来たら博麗神社は活気づいたでしょうか?」

私の問いに神奈子様が答えた。

「そうだね。恐らく晴竜の陰陽術が関係してくると私は思うよ」

「どうしてですか?」

「晴竜の使う陰陽術はこの幻想郷には無かった陰陽術だ。しかもこの陰陽術で晴竜は今まで異変を何個か解決した。そうなれば、人里の陰陽師達は晴竜にその陰陽術を覚えたいと思うだろうね」

「そうなれば自然と人々が博麗神社に向かうようになる。そう言う訳ですね」

「そうさ。だから晴竜のせいなんだ」

神奈子様は最後の言葉だけ恨めしく言った。すると諏訪子様が神奈子様をなだめるように言った。

「今となったら仕方がないよ神奈子。晴竜も悪気があってそうした訳じゃないし。だから、人を呼び込む作戦を考えようよ!ね?」

「分かったよ。私も協力するんだ。頼むよ早苗?」

「分かりました!」

やっと、二人がやる気になってくれた。私は二人が作戦を思いつくまで待っていると、神奈子様が閃いたようだ。

「閃いた!」

「ほんと!」

「本当ですか神奈子様!」

すると神奈子様は私の方を見た。私は何故か嫌な予感がした。

「ああ。私が考えた作戦は____」

こうして神奈子様の作戦がスタートした。

 

 

 

 

 

場所は変わって人里。私は特設に立てられたステージの上に立っていた。

「皆さんー!こんにちはー!巫女のアイドル!東風谷早苗です!よろしくお願いします!」

起きる拍手にありがとうと答えると私は深呼吸した。そして。

「それでは皆さん聞いて下さい。私のデビュー曲!守矢の奇跡の巫女」

すると後ろに待機していたプリズムリバー三姉妹の演奏が始まった。プリズムリバー三姉妹は全員、主に手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力を持っていて、神奈子様が協力をお願いした。私は三姉妹の演奏に合わせて歌った。そして歌い切るとまた拍手が起きた。私は三姉妹と観客にありがとうと叫んだ。その翌日。私は神奈子様に怒っていた。

「神奈子様!なんなんだったですかこの作戦!アイドルになって参拝客を呼び込むって!しかも恥をかくのは私だけって!」

「いいじゃないか。観客も喜んでくれたし」

「たった十名でしたよ!それに遠くから見てた他の人が何か暖かい目でこっちを見てたんですけど!」

「よかったじゃないか」

「よくありません!しかも全然参拝客来ないじゃないですが!」

昨日のライブ後、守矢神社は変わりなく静かだった。

「おかしいな。これでいけると思ったんだけど」

「ははっ。神奈子はダメだねぇ」

「何ですって?諏訪子?」

若干キレる神奈子様に諏訪子様は自信満々に言った。

「こういう時は地道に呼びかけないと」

その言葉に私は聞いた。

「それならとっくにやってますよ?」

「分かってるよ。でも呼びかけても来ないなら違う姿で呼びかけるんだよ!」

「「違う姿?」」

私と神奈子様は同時に頭を傾げた。

「そう。違う姿とはね____」

諏訪子様が答えようとした時、私は神奈子様同様に何故か嫌な予感をした。

 

 

 

 

そして翌日の人里。私達三人は人里で呼び込みをしていた。しかし、周りの人達は私達の姿を見て固まった。そんな反応に私は当たり前だと思った。何故なら私達は今___

「どうもー。守矢神社の諏訪子だにゃ。守矢神社に参拝に来たら私、猫神洩矢諏訪子と同じ猫神の八坂神奈子、そして猫巫女の東風谷早苗に会えるにゃ!よろしくにゃ!さ、神奈子も早苗も」

「よ、よろしく、にゃ……」

「よ、よろしくお願いします、にゃ……」

私と神奈子様は恥ずかしくなりながら呼び込みをしていた。諏訪子様の作戦。それは、猫耳と猫の尻尾を付けて

呼びかけるという作戦だった。なぜ、この作戦なのかというと諏訪子様いわく。

「猫耳と猫の尻尾を付けた少女を可愛いと思わない人はいない!」

だそうで、私達はこの姿で昼から今の夕方まで呼びかけていた。そしてラストスパートと気合いを入れ呼びかけていると後ろに誰か立った。私は呼びかけながら振り向いた。

「こんばんは。守矢神社の東風谷早苗で___」

「………何してんだ?」

「せ、せ、晴竜さん!?」

そこには晴竜さんが驚いた顔で立っていた。

「なぜ、晴竜さんがここに!?」

「たまたま、人里に用があってな。それよりどうしたその格好?」

「え、あ……。これは、ですね……」

晴竜さんに指摘され無性に恥ずかしくなった私は神奈子様と諏訪子様を連れて守矢神社に逃げ帰った。

 

 

 

 

その翌日。当然のごとく参拝客がやって来ない守矢神社の境内を掃除していると。

『グォォオォォ!』

と雄叫びが聞こえたかと思うと晴竜さんが式神である輝龍に乗って来た。

「こんにちは」

「こんにちは晴竜さん。何か私達の御用ですか?」

私が聞くと晴竜さんは首を振った。

「俺は用はない。あるのはこっちだ」

そう言って晴竜さんは身体をずらした。すると背後から六、七歳ぐらいの女の子が出てきた。

「え?」

呆然とする私の横を女の子は通り抜け賽銭箱に銭を入れた。そして手を合わせるとこう言った。

「しょうらい、さなえ姉ちゃんみたいになれますように………」

「!?」

驚きすぎて固まる私に良かったなと呟いた。参拝を終えた女の子は私の元に来ると突然抱きついて来た。

「え!?どうしたの?急に?」

「だって、本当にさなえ姉ちゃんに会えるなんて思わなかったんだもん!さなえ姉ちゃん!わたし、さなえ姉ちゃんの大ファンなの!握手して!」

もう握手以上のファンサービスをしてるけどと言う言葉を飲み込み、私は女の子と握手した。すると女の子はとても喜んでくれた。そしてありがとうと言って晴竜さんに送られて行った。晴竜さんと女の子の姿が見えなくなると諏訪子様と神奈子様が何処からか出てきた。そして私に言葉をかけた。

「良かったね」

「良かったな」

私は初めてのファンにうっすら流しそうになる涙を堪えながらはいと答えた。

 

 

 

 

第六話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 




書き終わった。予想よりも早く出来た。これも成長か?
そんな成長を感じながら書きましたこの第六話いかがでしたか?守矢神社は本来なら博麗神社よりも金銭的には有利らしいのですが、私はあえて六話のようにしてみました。こんな守矢神社もたまにはいいんじゃないのでしょうか。
さて、これまである程度は幻想郷の勢力を全部出したはずだと思います。なので、次回はやってみたい企画を幻想少女達と晴竜にやって貰いたいと思います。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 幻想大運動会前半戦

夏休みに入り、のんびりしています。でも、友達と遊びに行ったりしたいですねー。まぁ、出来れば彼女を作りたい。爆せろリア充。青柳龍です。
さて、今回はやってみたかった内容。幻想少女達と運動会です。しかも、この話だけ前編、後編でお送りします。幻想郷の運動会は今まで出した幻想少女達と出していない幻想少女達を何人か出すのでお楽しみに。語り手は射命丸文です。
それでは第七話始まり始まり。



ここは妖怪の山の麓にある野原。ここに人里の人々。妖怪の山の妖怪達など、幻想郷じゅうの住民達が集まっている。その理由は___

「さぁて!始まりました第一回幻想大運動会!進行は私、射命丸文が担当します!それでは、選手入場です!」

私がそう本部からアナウンスをすると選手である幻想少女達が運動会会場に入場してきた。そう、ここで幻想少女達で大運動会をする事になったのだ。この前、晴竜さんが博麗神社で外の世界の運動会の事を話している時にそれを聞いた紫さんが

「面白そうね。ここでもやって見ましょうか」

と言い出しやる事になった。なんならと紅魔館や、地霊殿などの勢力の少女達も参加させようと言って現在に至る。言い出しっぺの紫さんは大会委員長に、運動会の知識を教えた晴竜さんは審判長として私の横に座っている。

「さて、最初に入場してきたのは組頭を霊夢さんにした赤軍です!」

「霊夢ー!頑張って!」

「おいおい。紫……。一応お前は大会委員長なんだからな?中立の立場だからな?」

「分かってるわよ」

「ははは……。さて、紫さん、晴竜さん。赤軍の特徴の解説を」

「そうねぇ。赤軍には霊夢や、レミリア、さとりに輝夜といった各勢力の主が揃っているわ」

「各勢力の主だからなぁー。しかも霊夢は幻想郷最強だし……。なぁ文?どうやって組み分けをしたんだ?」

「勿論。くじ引きです!」

「なるほど。道理で戦力が強くなってる訳ね」

「納得した」

そうこう話している内に魔理沙さん率いる白軍が入って来た。

「続いて、入場してきたのは魔理沙さん率いる白軍です!」

「魔理沙にフラン、こいしに優曇華……。当然こうなるわよね」

「案外、いい組み合わせなんじゃないか?力も能力も意外とバランスいいように思うんだが」

こうして赤軍、白軍が揃い本部前に整列した。

「それでは、ただいまより開会式を始めます。開会の挨拶。安倍晴竜審判長。お願いします」

晴竜さんは特別に作った朝礼台の上に上った。

「ただいまより、第一回幻想大運動会を開催する事をここに宣言します」

会場じゅうからの拍手。こうして幻想大運動会がスタートした。

 

 

 

 

開会式が終わり最初の競技になった。最初の競技は百メートル走だ。

「準備している間に晴竜さん。この競技の説明をお願いします」

「えー。この百メートル走は選手全員参加でその名の通り百メートルを走ります。ただし、能力、スペカなどは無し。飛ぶのも禁止です。以上!」

「ありがとうございます。さて、選手の準備が出来たそうです。それではやって行きましょう。まずは一走者目」

ラインを引かれたトラックに第一走者が並んだ。私は一人ずつ名前を読んだ。

「第一コース。赤軍、チルノ!」

「アタイ!がんばるよ!」

「第二コース。白軍、藤原妹紅!」

「全く、何で私が……」

「第三コース。赤軍、紅美鈴!」

「皆さん!見ていて下さい!」

「第四コース。白軍、鈴仙・優曇華院・イナバ!」

「凄いですね文さん。フルネームよく言えましたね……」

「第五コース。赤軍、幽谷響子!」

「がんばりーまーす!」

「第六コース。白軍、東風谷早苗!」

「頑張ります!」

「それではスタートです!スターターは犬走椛です。よろしくお願いします」

「はい!では位置について、よーいどん!」

椛の合図で六人が同時にスタートした。

「いけぇー!」

「がんばれー!」

会場じゅうからの声援を受けながら走っていた。

「お!最初に前に出たのは美鈴さんです!」

「さすが美鈴。鍛えているだけあるな」

「あら?でも、妹紅や優曇華も負けては無いわよ?」

「残りの三人も頑張って下さい!」

私達が実況をしている間に全員ゴールした。そしてゴールした。ゴールした順番は美鈴さん、妹紅さん、優曇華さん、早苗さん、チルノさん、響子さんという順番だった。このように全員が走っていった。

 

 

 

 

次にやる競技は玉転がしだ。

「続いては玉転がしです。晴竜さん説明お願いします」

「はいよ。えぇーと、玉転がしは大玉を転がしてリレー方式てやっていき、ゴールに運ぶという競技だ。以上!」

「ありがとうございます。この競技は選抜でのチーム戦です。それではチームを紹介します」

スタート位置に並んだのは両軍二チーム。

「チームの紹介です。まずは、赤軍からです。聖白蓮さん、古明地さとりさんのチームと霊夢さんと紫さんのチームです」

「ちょょっっと待ったぁぁぁだぁ!」

「ど、どうしたんですか?晴竜さん?」

「おいこら!大会委員長!なぁに参加してるんだぁぁぁ!」

「いいじゃない?ちゃんと許可を取ったわよ?」

「誰に!?」

「幻想少女達皆に」

「おい!てめえら!なに許可してるんだぁぁぁ!」

「だって、ねぇ?」

「紫も一応選手登録されてるし」

「あ、晴竜も登録されてたよ」

「なに!?聞いてねぇよ!」

「私が登録しておいたわ」

「ゆかりぃぃぃぃ!」

晴竜さんがうおー!中立の立場がー!と頭を抱えている内に私は紹介を続けた。

「え、えっと白軍は魔理沙さんと魂魄妖夢さんのチーム。そして、上白沢慧音さんとミスティア・ローレライさんのチームです。それでは玉転がしスタートです!」私の号令を合図にスタートした。声援が響く中、落ち着いた晴竜さんが解説に入った。

「大丈夫ですか?」

「もう諦めたよ。さて、やっぱり前に出たのは魔理沙と妖夢ペアか」

「やっぱりって、どういう事ですか?」

「なんだかんだで体力のある奴が揃ってるからな」

「あ、でも慧音さんとミスティアさんも追い上げて来ました」

「どちらもガンバー!」

結局、玉転がしは魔理沙さんと妖夢さんペアが一位。二位は慧音さんとミスティアさんペア。三位は聖さんとさとりさんペア。そして……。

「何で私達が最下位なのよ!」

「まぁまぁ、しょうがないわよ」

「しょうがないですって!あなたが遅いせいでダントツのビリだったのよ!」

「えー。霊夢さんと紫さんペアはちょっと大変そうですが玉転がしはこれで終了です」

 

 

 

 

そして、午前最後の競技となった。最後は綱引きだ。

「この競技は全員参加なので入って下さい。紫さんと晴竜さんはこの場でOKです」

「そうなのね。残念だわ……ほっ」

「遂に本心が隠せなくなってるぜ。紫。さて、この競技では全員がスタートの合図で綱を引っ張るという競技だ」

「準備が終わったようです。それでは綱引き!よーい。スタート!」

『せーの!』

掛け声と共にバヂッという音が綱から鳴りピンと張った。

『いーちに!いーちに!』

「力はほぼ互角と言った所でしょうか?」

「そうだな。どちらも頑張って欲しい所だな」

「頑張ってー!」

すると段々と赤軍が引っ張り始めた。そして___

「そこまで!」

結果は赤軍が勝った。

『やったー!』

『くっそー。』

これで午前の部の競技は終わった。ここまでの結果では赤軍が勝っている。でも、午後の部の競技でも充分逆転可能だからどっちが勝つか分からない。まだまだ運動会は続く。

 

 

 

 

 

後編に続く。




運動会を書きたいと思って書いていますが、思ったよりもムズくね?でも書いていきます。
さて、次回は後編になります。前編では私達の世界で行われる運動会の競技をしましたが後編では幻想郷オリジナルの競技をしたいと思います。お楽しみに!
それではまた次回!


(追記 今回も本編で少女の説明を書けなかったのでここで書いて行きます。 )

犬走椛(千里先まで見通す程度の能力を持つ。白狼天狗)
ミスティア・ローレライ(歌で人を狂わす程度の能力もしくは歌で人を惑わす程度の能力を持つ。夜雀)
以上です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 幻想大運動会後半戦

暑い……。暑すぎる。熱中症になってしまう……。という訳で、皆さんも熱中症は気を付けて下さい。青柳龍です。
さて、今回は幻想大運動会の後編となります。一体どっちが勝つのか?語り手は引き続き射命丸文です。それでは第八話始まり始まり。(さすらいのエージェントさん。リクエストやりますよ!)


午前の部が終わり、昼食休憩を挟んだ。そして午後の部がスタートした。私は本部で進行した。

「さて、午後の部最初の競技は借り物競走です。この競技の説明を晴竜さんお願いします。」

「えー。この競技ではスタートから三十メートル先にある封筒を取り、中にある指示を書かれた紙を読んで指示を行う競技です。指示の内容は幻想少女達が書いたものをランダムに選び入れています。最終的に多く封筒を持っていた人が勝利となります」

「説明ありがとうございます。それでは出場選手を紹介します!」

私は一人ずつ名前を言った。

「第一コース。赤軍、西行寺幽々子」

「ふふっ。頑張っちゃうわー」

「第二コース。白軍、霊烏路空」

「こいし様ー!見ていて下さいねー!」

「第三コース。赤軍、秦こころ」

「頑張る……」

「第四コース。白軍、パチュリーさんが体調を崩したので代わりに出ます。小悪魔」

「出られないパチュリー様の分まで頑張ります!」

「それでは皆さん行きますよ!位置について、よーいどん!」

私の合図で四人がスタートした。

「さて、最初に辿り着いたのは幽々子さんです!一体どんな指示なのでしょうか?」

幽々子さんは封筒を取ると椛に渡した。

「発表します!指示は……」

「指示は?」

「青い帽子の被った人です!」

「うーん。青い帽子ねぇ……」

「青い帽子なんて結構限られてくるな」

「晴竜さんだったら誰に借ります?」

「まぁ、これを言ったら幽々子が行っちまうからな言わないで置くよ」

「うーん」

そう言いながら幽々子さんは青い帽子の人を探しに向かった。

次に来たのはお空さんだった。

「よーし!これだ!」

「はい。預かります。指示の内容はメガネをかけた人です!」

「分かったよ!よーし!」

そう言って走っていった。すると晴竜さんが聞いて来た。

「なぁ、文?指示って全部人を連れてくる指示なのか?」

「はい!ほとんどが指示された人を連れてくる内容ですね」

「それじゃあ、借り物じゃなくて人探し競走になるだが……」

「………さぁて!次にやって来たのはこころさんです!」

「そこ、無視するんだ……」

こころさんが取った内容は御札を持っている人だ。

「御札?」

「はい。御札です」

「探してくる」

こころさんが探しに行った。最後にやって来たのは小悪魔さんだ。

「み、みなさん。速すぎですー!」

「さあ、封筒を渡して下さい」

「えぇーと。これです」

「内容は、動物のような人です」

「動物?」

「はい」

「そういえば椛さん?」

「はい?」

「椛さんって白狼ですよね?」

「え、あ、そうですけど……」

すると小悪魔さんは椛の手をガシッと掴んだ。

「え?」

「さあ!行きましょう!」

「え、えぇぇぇ!?」

小悪魔さんが椛を連れて本部前にやって来た。

「連れて来ました!どうですか?晴竜さん?」

「OKだな。次にどうぞ」

「よし!」

『よくやったぜ!小悪魔!このまま頑張れ!』

「はい!魔理沙さん!」

「ほら椛。急いで戻って」

「行ったり来たり意外ときつい……」

小悪魔さんの次に来たのは幽々子さんと青い帽子を被った慧音さんだった。

「なるほど、慧音さんだったのか」

「え、他にもいるの?」

「映姫とかいるじゃん」

「映姫ちゃんは無理よ」

「なんで?」

「だって苦手なんだもん」

「好き苦手の問題!?まぁOKだけど……」

「良かったわー。ありがとうね。慧音」

「別に構わないわ。頑張って」

「おっと!次にやって来たのはお空さんです。連れて来たのは霖之助さんだ!」

「メガネといえば霖之助さんだもんね!」

「はは。そう言われて光栄だよ」

「OKだ。他にもマミゾウもメガネを掛けているな」

「最後はこころさんです。連れて来たのは誰もいない!?」

「こころ?結構いると思ったんだけど?」

「大丈夫。ちゃんと、いる」

「え?どこに?」

「はい」

とこころさんは晴竜さんの手を握った。

「へ?」

「晴竜、御札、使う」

「え、あ、そうだったな。OKだ。他には霊夢や早苗も御札を持っているぞ」

「という訳で引き続き頑張って下さい!」

こうして全員直ぐに人を見つけ出した。結果、一位はスピードは遅いが運勢に救われた小悪魔さん。二位はこころさん。三位はお空さん。四位が幽々子さんになった。

 

 

 

 

 

「遂に最後の競技となりました。最後はチーム代表の三名によるリレーです。ただし、普通のリレーではありません。その名も笑っちゃいけないリレーです!晴竜さん。説明をお願いします」

「はぁー。このリレーはこの会場の周りをチーム代表三人で回るという競技です。その三人はにとり印のビリビリブレスレットを身に付ける事になっており、笑ってしまうと電流が流れるというリレーです………。おい!何で俺が白軍代表で参加してんだぁぁぁあ!」

「さて、この競技の出場選手を紹介します」

「無視するなぁぁ!」

「まず、赤軍の選手は博麗霊夢さん、アリス・マーガトロイドさん、十六夜咲夜さんです」

「やってやるわ!」

「うん、頑張るわ」

「やけに霊夢が燃えているわね」

「白軍は安倍晴竜さん、霧雨魔理沙さん、東風谷早苗さんです」

「何で俺が………」

「ドンマイだぜ」

「諦めましょう。晴竜さん」

「それでは第一走者の二人スタート位置について下さい」

私がそう言うと一走者目の咲夜さんと早苗さんがスタート位置についた。

「それでは行きます!位置について、よーいどん!」

椛のスタートの合図で飛び出す二人。しかし、勢いよく出た瞬間、足元に落とし穴があった。

「「え!?」」

落とし穴に落ちた二人に思わず笑った走者の四人。すると、その四人に電流が流れた。

「きゃぁ!」

「うわぁ!」

「痛っ!」

「うぐっ!き、聞いてねぇぞ!俺らまだ走ってねぇだけど!」

「言ってませんでしたか?第一走者がスタートした瞬間から笑っちゃいけないんですよ?」

『聞いてないよ!』

そうこうしている内に最初に穴から出てきたのは早苗さんだった。

「これはあんまりです………」

そう言いながらよいしょと這い出た瞬間。

「早苗さん!覚悟!」

「ふぇ?」

早苗さんが前を向いた瞬間に椛が手に持っていたパイ入りバズーカを早苗さんの顔に向かって撃たれた。

「ふぎゃー!」

マヌケな声を出して再び穴に戻って行く早苗さん。ちょうど、穴から出た咲夜さんがそれを見て

「ふふっ」

と笑った。当然電流が流れた。

「いやぁ!」

咲夜さんも悲鳴を上げて再び穴中に落ちた。

その後、二人は椛による妨害(主に笑わせる妨害)を何とかしながら第二走者にバトンを渡した。

「はい!アリス気を付けて。これ、意外と恐ろしいわ」

「大丈夫。もうその恐ろしさは既に受けたから」

「頑張って下さい魔理沙さん!」

「おう!任せておけ!」

そう言って走って行く二人。すると二人の前にストップという柵がある。仕方がなく止まると

「魔理沙さん柵を超えて下さい」

と私は指示した。魔理沙さんは何だと首を傾げながら出ると椛に捕まった。

「え!?何!?なにするんだ!」

「逃げられませんよ。それではお願いします!」

すると魔理沙さんの目の前にやって来たのは山の四天王。星熊勇儀さんだ。

「ゆ、勇儀!何でここに?」

「いやぁ。実は魔理沙にビンタしてくれないかって言われて、それで来た」

「私にビンタ!?や、やめてくれ!お前のビンタはマジで死ぬやつだから!後、それだけで来るか普通!」

「大丈夫だ。死なない程度でやるから」

だんだん近づく勇儀さん。そして。

「行くよ!」

バシン!

「痛ってぇぇぇ!」

「ぷっ……」

なぜか笑ったアリスさんに電流が流れた。

「……おいアリス?笑う所だったか?」

「いや、だって、魔理沙の、顔が、面白くて、ふふっ」

再び電流。アリスさんは完全にハマったようだ。結果、魔理沙さんが有利で晴竜さんにバトンを渡した。

「大丈夫か魔理沙?」

「まだほっぺがヒリヒリするぜ……」

晴竜さんがスタートしたちょっと後にアリスさんがまだ笑いながら霊夢さんにバトンを渡した。

「ちょっと!アリス!」

「ごめんなさい。ふふっ、うっ!」

先頭を走る晴竜さんと未だに電流を受けるアリスさんを横目に晴竜さんに追い付こうとする霊夢さん。すると段々と霊夢さんが追いついて来た。

「さすがだな。もう追い付いて来るなんて」

「だてに鍛えている訳じゃなくの!」

そして二人同時にストップの柵に到着した。

「ここで一体何をするの?流石にまた勇儀のビンタじゃあないわよね」

「多分な……」

すると二人の前に椛が出た。

「突然ですがお二人に質問をしたいと思います!」

「「質問?」」

「そうです!お二人に関した質問なので簡単ですよ。三問、質問に最初に答えた人がゴールになります」

「よし、良いだろう。やってやる!」

「負けないわよ!」

「ではまずは一問目、あなたの種族は?」

「「人間!」」

「あなたの仕事は?」

「陰陽師!」

「巫女!」

「では、最後の質問です。最後に相手にキスしたのはいつ?」

「……ぷっ」

「ふっ」

二人に電流が流れた。その後、二人が声を荒げた。

「この質問考えた奴誰だ!後で霊夢と一緒に懲らしめてやるからな!」

「そうよ!覚悟してなさい!」

「はいはい。分かりましたから質問に答えて下さい」

「だから!何で答えなきゃ………」

「晴竜さん?答えなきゃゴール出来ませんよ?」

「くっ」

それから顔を赤くし黙る二人。すると両軍からヤジが飛んできた。

「何してるの!早く答えなさいよ!」

「そうだ!そうだ!」

「別にいいじゃない。減るもんじゃないし」

「うるさい!私達にとっては減るもんなの!」

霊夢さんの一喝でヤジが止まった。すると霊夢さんが小さく呟いた。

「……よ」

「え?」

「………だよ」

「すいません。よく聞こえないんですが……」

「分かったわよ!言うわよ!まだよ!まだ、してないわ!」

「ちょっ、霊夢!」

「霊夢さん。どうぞ!」

「よし!じゃあね、晴竜」

そして霊夢さんはそのままゴールした。

 

 

 

 

「それでは、閉会式を始めます。まずは結果発表です!」

私のアナウンスに会場じゅうが静かになった。

「それでは紫さんお願いします」

「はーい」

紫さんは立ち上がり朝礼台の上に上った。

「それでは発表します。第一回幻想大運動会、優勝は……赤軍!おめでとう!」

『やったぁー!』

赤軍が喜ぶ中、白軍は悔しい顔をしながらも拍手で赤軍を讃えた。こうして、初めて行われた幻想大運動会は大成功で幕を閉じた。だけど終わった後、霊夢さんと晴竜さんの質問を考えた紫さんが霊夢さんと晴竜さんから正座させられて叱られていた事を知っている人は少ない。

 

 

 

 

第八話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 




何だこれ、難しすぎる。リクエストに答えたものの大変でした。この第八話いかがでしたか?後で、改稿をする可能性が高いので、まずは暖かい目で読んで下さればいいかと思います。次回は、外伝の章最終話です。お楽しみに!
それではまた次回!



(追記 本編で説明出来なかった少女達の説明、また紹介していなかった人の紹介をします。)
四季映姫(白黒はっきりつける程度の能力。閻魔)
森近霖之助(道具の名前と用途が判る程度の能力。妖怪と人間のハーフ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 幻想少女達の水遊び

暑い日が続きます。気象庁などが騒いでいますが俺には関係ない。家に閉じこもってるから。青柳龍です。
さて、今回は暑い日にぴったりな水遊びの話を書いて行きます。とても暑い日は幻想郷の住民はどうするのでしょうか?語り手は我らが安倍晴竜です。
それでは第九話始まり始まり。


「暑い……。暑すぎる……」

『ガウゥゥ……』

何とか出来ている日陰で寝そべる俺と輝龍。何故寝そべっているかというとこの暑さのせいだ。今の幻想郷は夏真っ盛り。その上、幻想郷の気温が過去最大の暑さを記録したと射命丸新聞に書かれていた。

「クソ暑いな。このままだと熱中症にかかっちまうよ」

『グルル……』

輝龍はもうダウン寸前になっている。流石に対策せねばと立ち上がろとした時、文が飛んできた。

「晴竜さんー!」

「どうしたんだ?今日の新聞はちゃんと受け取ったぞ?」

「いや、新聞のことじゃないですよ」

文は俺の元へと降りてきながら言った。

「実は今の状況にぴったりな企画を思い付きまして……」

「ぴったりな企画?」

俺が首を傾げると文は胸を張って答えた。

「そうです!その企画とは____」

「え?」

文の言葉に俺は驚いた。

 

 

 

 

文との会話から一時間後。俺は紅魔館の近くにある霧の湖に来ていた。文の企画。それはここ霧の湖で水遊びをしましょう。という企画だった。確かにこの霧の湖はよく妖精達の水遊び場になっている。それに、霧の湖とは言うものの、今は霧がかかっておらず、上を見上げれば晴天の空が視界いっぱいに広がっている。俺は湖のほとりに座ると足だけを湖に入れた。

「おおー!冷てえー」

俺は予想以上の冷たさに驚きながら家から持って来たにとり印の釣竿を振った。ぽちゃんという音を聞くと俺は魚が食いつくまで待つ事にした。一方、輝龍の方は湖の中に入り泳いでいる。

「気持ちいいか?」

『グォン!』

喜ぶ式神を見て微笑んでいると背後から知っている声が聞こえて来た。

「あれ?あれって晴竜じゃあないか?」

「そうだね。あ、輝龍もちゃんといるよ」

「そういえば文が晴竜も来るって事を言ってたような……」

「あら?そうなの?良かったじゃない霊夢?」

「どこがよ!晴竜が来るなんて聞いてない……」

声を聞く限り、やって来たのは魔理沙、アリス、咲夜、レミリア、そして霊夢のようだ。

「よう!お前達も来たの、か………」

俺は振り返ると固まった。そこに居たのは五人の他に紅魔館組も居ることに気付いた。だがそれはまだいい。俺が固まった理由。それはやって来た少女達が全員、水着なのだ。幻想少女はただえさえ全員美少女だというのにその少女達が水着なんて固まらないほうがおかしい。(ちなみにほとんど全員ビキニタイプの水着で色は魔理沙は黒、アリスは紺、咲夜は青のストライプ、レミリアはフリルの付いた桃色、フランもフリルが付いている白、パチュリーは唯一のワンピースタイプの水着で薄い紫、美鈴は緑、小悪魔は赤と黒のチェック柄、そして、霊夢が赤だ)

「晴竜?」

俺が固まっているのを気付き、魔理沙が声を掛けてきた。俺は慌ててなんでもないと言った。

「ならいいんだが。それよりどうだこの水着?似合ってるだろ?」

「あぁ、よく似合ってるよ。魔理沙だけじゃなくみんなも」

「へへっ。褒められるとやっぱ嬉しいぜ」

「悪い気はしないよね」

少女達がはにかんでいるのを見ていると霊夢と目線があった。

「「あっ……」」

途端に顔が赤くなり俺と霊夢は俯いた。すると周りからヒューヒューと煽てられた。

「これを見てると本当にお腹いっぱいになってくるわね。咲夜?」

「はいお嬢様」

「「そんなんじゃない(わ)!」」

「声が揃うなんて、そろそろ恋人らしくなって来たわね」

「パチュリー様もそう思いますか?私もそう思います!」

「パチュリーと小悪魔まで……」

「あのー?皆さん?もうそろそろやめて貰わないと霊夢が暑さと恥ずかしさでダウンしちゃうんですが……」

「あらあら。それはいけないわね。なら私達も早速遊びましょうか?」

『おー!』

レミリアの声に少女のみんなは拳を上にあげた。

 

 

 

 

少女達が湖を泳いだり水の掛け合いをしている横で俺は魚釣りを続けていた。そして三匹目の魚を釣り上げると近くでぶくぶくと泡が出たと思った瞬間、わかさぎ姫が飛び出した。

「うわっ!?」

「きゃぁ!?」

俺の驚きにわかさぎ姫も驚いたようだ。

「ど、どうしたんだ?」

「いや……私の仲間が減ってるなーと、思って……」

「え?あ……」

俺は思い出した。七夕の祭りでわかさぎ姫が金魚達を可哀想に見ていた事を。

「………」

「………」

俺はあの時と同様に無言で釣った魚達を湖に返した。

「ありがとうございます……」

「いえいえ……。魚釣りをしようとした俺が悪いんだ。そういえばわかさぎ姫はあっちで遊ばないのか?」

俺は霊夢達が遊んでいるほうを指差した。

「あ、今から行こうかなと思ったんです……」

「なら行ってあげてくれ。レミリアとフランは今まで水に入った事が無いらしいからな」

「え?そうなんですか?」

「ああ。何と言ってもあの姉妹は吸血鬼だからな。清水は無理らしいんだ」

「え、でも……」

「今、水の中に入れているのはパチュリーが水避けの魔法を使ったからだそうだ」

「なるほど」

「だからあの二人が溺れないか見守ってあげてくれ」

わかさぎ姫が頷いた時、魔理沙がわかさぎ姫を呼んだ。

「おーい!わかさぎ姫!こっちで遊ぼうぜ!」

「はい!今行きます!じゃあ……」

と言ってわかさぎ姫は魔理沙達の方に向かって泳いでいった。

 

 

 

 

少し休憩という事で少女達が湖から出て咲夜が持ってきたレジャーシートの上に全員座るとコップを受け取った。(わかさぎ姫は湖からは出ないで湖のほとりに座り、咲夜から紅茶のコップを受け取った)

「いやー。疲れたぜ。少し騒ぎすぎたな」

「ほんとよ。魔理沙ったらわかさぎ姫に泳ぎで勝負なんて無理だったのよ」

「霊夢の言う通りね。水の中じゃあわかさぎ姫には勝てないからね」

「そんな事してたんだな……」

「何?晴竜も混ざりたくなった?」

「いや。お前達が遊んでいるのを見てるだけでいいや」

「えー。一緒に遊ぼうよ!」

そう言ったフランが驚いた事に俺の腕に抱きついて来た。(まずい!水着で腕に抱きつくなんてまずいよ。フランさん!?)

心の中で葛藤していると左腕に今度はレミリアが抱きついて来た。

「いいじゃない?一緒に遊びましょうよ」

「わ、分かったから離れてくれ!」

「あれ?晴竜さん、顔が赤くなってます!」

「まさか?レミィ達に興奮したの?」

「違う!決して違う!だから誤解を招くような言い方はやめてくれませんか?」

「冗談よ。あなたには霊夢がいるしね」

「はぁー」

俺はほっと息をつくと霊夢の方を見た。すると霊夢は何か考え事をしていた。

「………次に休憩する時は晴竜の隣に行かなくちゃあ。そしてレミリアのように冗談のようにそっと身体を寄せて………」

「ん?霊夢?」

「!?。な、何?」

「何か呟いていたけど。どうした?」

「なんでもないわ!それより、休憩も充分だし泳ぎますか!」

「え、あ、ちょっと!」

「待ってくれ!」

急にやる気に満ちて湖に入った霊夢を追う少女達。俺は少女達の後ろ姿を見送った後、自分もゆっくり湖へと向かった。こうして俺達は湖での遊びを満喫した。

 

 

 

第九話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書いてる途中で水着をどういう柄にしようか、色にしようかネットで調べました。服とかはネット必須なので大変でした。でもちゃんと書けたので良かったです。
さて、今回で外伝の章は終わりとなります。そして次回からは幻想少女達の異変を書いて行きます。最初は紅魔館の異変をアレンジして書いて行きます。お楽しみに!
それではまた次回!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

紅霧異変の章
第一話 紅霧再び


夏休みに入ったので平日でもバリバリ書いて行きます。青柳龍です。
さて、今回は前回も言った通り紅魔館組が異変を起こすあの異変をアレンジして書きます。晴竜達はどうするのかお楽しみ!
それでは紅霧異変の章始まり始まり。


ここは紅魔館。紅魔館の主、レミリアの部屋に、紅魔館に住む幻想少女達とルーミア、チルノ、大妖精が集められた。

「どうしたのだー?」

「アタイ達を呼んで何かするのか?」

「咲夜さん達なら分かりますけど。何で私達まで呼ばれたんですか?」

ルーミアとチルノが思い思いの疑問を持つ中、大妖精は咲夜に聞いた。咲夜は分からないという表情をした。

「私にもさっぱりなの。お嬢様にここにいるみんなを呼んで来てと言われただけで理由は聞いていないもの」

するとパチュリーがある事に気付いた。

「そういえばここにいるメンバー全員紅霧異変のメンバーよね……」

『あ……』

全員気付いたようだ。確かにここにいるのはあの紅霧異変の時に霊夢と魔理沙に立ち向かった少女達だ。すると突然部屋の扉が開いた。そこに立って居たのはレミリアだったのだが___

「お姉様?」

フランがレミリアの様子が変な事に気付いた。するとレミリアが冷たい口調で言った。

「あなた達直ぐに準備して」

「な、何をですか?」

美鈴が口調が冷たいのに驚きながらも聞いた。

「あの時のリベンジをするわ。みんな準備をして。そして今度こそこの幻想郷を手に入れるわ!」

「ちょっと待って下さい!お嬢様何を言ってるのか分かっているのですか!」

咲夜が止めようとした時、パチュリーに止められた。

「パチュリー様?」

「咲夜。無駄よ。レミィの目を見て?」

パチュリーに言われ咲夜はレミリアの目を見た。(そんな!)咲夜はレミリアの目が紅霧異変の時と同じ目をしている事に気付いた。

「これから私達はどうなるの……」

ボソッと呟いたフランの声に答える者は誰も居なかった____

 

 

 

 

紅魔館で動きを見せる中、俺は起きる時間となってのそのそと部屋を出た。

「ふぁあー。もう朝だ___って何だこりゃぁあ!」

部屋を出た瞬間俺は目を見張った。何と空が赤い霧で包まれていたのだ。すると文が慌てて飛んできた。

「晴竜さん!大変ですよ!」

「どうしたんだ文?」

「実は紅魔館の人達が幻想郷を支配しようとしてるんです!」

「何だって!?」

「今、霊夢さんと魔理沙さんが紅魔館に向かう準備をしています。晴竜さんも早く博麗神社に!」

「あ、あぁ。でも、何でレミリア達が幻想郷を支配しようとするんだ。それに前に霊夢から聞いたが前にもこんな事があって霊夢と魔理沙が解決したんじゃあ………」

「そうなんです。しかも、その時の事を紅霧異変と私達は言ってるんですが、その時と今の状況が同じなんです」

「何だと!?これはますます全く訳が分からない。どうしてまた異変を起こしたんだ?」

「私も分かりません。とにかくそれを知るためにも早く霊夢さん達の元に行きましょう!」

「そうだな。今すぐに行こう!輝龍!」

『グォォォ!』

俺は輝龍に乗り文と共に霊夢達の元に向かった。

 

 

 

 

俺と文が博麗神社に着くと霊夢と魔理沙が御札や魔法の道具の最終チェックを終わして向かおうとしていた時だった。

「霊夢!魔理沙!」

「晴竜遅いわよ!」

「そうだぜ。もう行く所だったしな」

「すまん」

「全く……よし!これで揃ったわね。行くわよ!」

「「おう!」」

霊夢、魔理沙、俺は文に見送られながら紅魔館へと向かった。

 

 

 

 

紅魔館に向かいながら俺は霊夢達に自分も戦うと言ったら止められた。

「何でだ!俺も戦えば早く解決出来るだろ?」

「それもあるかも知れないけど、あんたはレミリア達と戦った事無いでしょ?」

「そうだけど……」

それにと今度は魔理沙が言った。

「私達はここ最近はお前に頼りっきりだからな。だからこの経験のあるこの異変は私と霊夢がメインで解決するぜ」

「魔理沙の言う通りよ。だから晴竜は___」

「なら、俺は後方支援に徹しよう」

「「え?」」

俺の言葉に霊夢達は驚いた。

「当たり前だろ。確かに俺はレミリア達幻想少女との戦闘はあまり経験がない。だからこの異変はお前達に任せる。だけど、俺にも出来る事があるはずだからな。弾幕から結界でお前達二人を守ったりして支援する。それだったらいいだろ?」

霊夢達は少し考えていたが。

「どうせ、黙って見ていてと言っても無駄だろうし、いいわ。後方支援を任せるわ」

「でも、要らなくなると思うけどいいのか?」

「それでも構わない。むしろ、その方がいいと思う」

「それもそうか」

俺達は役割を決めた。すると霊夢が難しい顔をした。

「どうしたんだ?」

俺が聞くと霊夢はうーんと唸った。

「もしも、この異変が前と同じなら最初に戦う相手って確か___」

「ちょっと待つのだー!」

霊夢の声を遮るように声が聞こえた。俺達は声がした方を向くとそこにはルーミアがいた。

「……ルーミアだったわ」

霊夢は遮られた言葉を続けた。俺達に敵意を向けるルーミアと俺達は対峙した。こうして再び紅霧異変が幕を開けた。

 

 

 

 

 

第一話〜完〜

 

 

 

 

 




最初最初辺りに言いましたが原作ゲームは未プレイですので戦う少女達の順番はネットでの情報ですのでご理解頂けると嬉しいです。
さて、紅霧異変が遂に起きてしまいました。晴竜達はどうレミリア達と戦うのかお楽しみに。後、晴竜があまりにも異変解決に貢献していたので(原作の主人公を目立たせないでどうするんだ!)と思い、ここからは霊夢と魔理沙をメインにして異変を解決していきます。それもお楽しみにしていてください。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 常闇の妖怪との戦い

夏休み。やべぇ。楽しすぎる!夏休みを完全に満喫している青柳龍です。
さて、今回はルーミアとの戦いです。どんな感じで戦闘シーンを書こうか迷いましたが書いて行きます。どんな感じになるかお楽しみに。
それでは第二話始まり始まり。
(通信 題名を変更しました。)


「ルーミア!何でこんな事をするんだ!」

俺は出来るだけ戦闘を避けるため、ルーミアを説得したがルーミアは聞く耳を持たなかった。

「うるさいのだ!絶対ここからは通さないのだー!」

「どうするんだ?」

魔理沙が霊夢に聞いた。霊夢はため息をつきながら構えた。

「やるしかないでしょ!行くわよ!魔理沙!晴竜!」

「分かったぜ!」

「く、仕方がないか……」

俺は後ろに、霊夢と魔理沙はルーミアに向かっていった。そして先手必勝とばかりに魔理沙はスペルカードを使った。

「行くぜ!魔符、スターダストレヴァリエ!」

魔理沙の星型の魔力の塊がルーミアの周りに漂った。するとルーミアもスペルカードで対抗した。

「私も行くのだ!月符、ムーンライトレイ!」

すると周りの星型の塊を破壊し弾幕が霊夢と魔理沙に向かって放たれ、二人の横からレーザーが放たれた。

「ふん。そう来ると思ったぜ!」

「甘いわ!」

二人は余裕で避けた___と思われた。

「霊夢と魔理沙なら避けると思ったのだ!だからこうするのだ!」

ルーミアはもう一度ムーンライトレイを放った。しかも今度は左右ではなく、上下にレーザーが現れた。

「そんな!」

「上下にもレーザーを出せるの!?」

霊夢と魔理沙が怯む中、レーザーと弾幕が二人に迫る。俺はすかさず二人の周りに結界を張った。

『五芒結界、急急如律令!』

俺の結界が張った瞬間にルーミアのスペルカードが二人を襲ったが二人は無傷だった。

「ふう。助かったぜ晴竜」

「結局晴竜に助けられたわね」

「後方支援として、ちゃんと役目は果たすさ。それよりも反撃だ!」

二人は頷くと再びルーミアに向かった。ルーミアはやばいと思ったのか能力を使って周りを暗くした。

「ルーミアの奴、自分も見えなくなると分かっていて暗闇にするのか」

魔理沙の怪しむ声に俺は答えた。

「前回、霊夢達と戦った事でルーミアは何がしら学んだんだはずだ。きっと、自分も見えなくなる事が無いようにする対処法を考えて来ているはずだ!気を付けろ!」

この暗闇ばかりは俺の持つ暗視の術も使えない。俺も警戒しつつ構えていると。

「ううっ。全くみえないのだー!ぎゃぁ!?」

「「「…………は?」」」

俺達は思わず固まってしまった。ルーミアは全く対処法を考えていないで使ったらしい。ルーミアも暗闇の中でウロウロしていて木などにぶつかる音とうめき声が聞こえた。

「今………チャンスじゃないか?」

「そ、そうね。行くわよ!霊符、夢想封印!」

霊夢は暗闇で何処にいるのか分からないため、全方位に向かって夢想封印を放った。すると、一発当たったらしく、ルーミアの声と弾幕が弾けた光が見えた。

「いたわ!そこよ!」

霊夢の声に魔理沙は頷きミニ八卦炉を構えた。

「行くぜ!恋符、マスタースパーク!」

魔理沙のレーザーは凄まじい勢いで放たれ、何かに当たり衝撃波が俺達にも来た。

「うおっ」

俺は衝撃波で身体が輝龍から落ちそうになるのを耐えていると暗闇が晴れて行くのが見えた。暗闇が晴れるとそこには服がボロボロになったルーミアが地面に倒れていた。俺達はすぐにルーミアに駆け寄った。

「う、う……。やっぱり、二人には敵わないのだー」

ルーミアは地面に寝ながら言った。

「ルーミアも前より強くなったわ」

「そうだぜ。晴竜が居なかったら完璧にスペルカードを食らっていたからな」

「ふふっ。二人に褒められたのだー。嬉しいのだー」

ルーミアが笑みを見せながら言った。俺はルーミアの顔に付いた汚れを優しく拭きながら聞いた。

「なあ?何でまたこの紅霧異変が起きたんだ?」

「私もさっぱりなのだー。昨日レミリア達に呼ばれたからレミリアが突然幻想郷を支配するーなんて事を言い始めたのだー。しかも戦わなかったら痛い目に合わせるとか言われて断れなかったのだー」

「なるほど。でも急にどうしたんだろう。レミリアの奴………」

「そんなの本人に聞いた方が早いわ。ルーミア、私達は行くわ」

「分かったのだー。でも気を付けた方がいいのだ。きっと、全員今までとは違って強くなってるのだー」

「分かってるわ。でも、強くなっていても私達には関係ないけどね」

霊夢の自信満々の言葉にルーミアはそうなのかーと答えた。

「じゃあね」

俺達はルーミアから離れ、紅魔館へと向かった。

 

 

 

 

 

だいぶ紅い霧が濃くなり、隣を飛んでいる霊夢と魔理沙の姿さえぼやけている。俺は近くにいることを確認する事を兼ねて霊夢に聞いた。

「なあ霊夢?ルーミアの次に戦ったのは誰なんだ?」

その問いに霊夢が答える前に次の相手が現れた。

「ちょっと待ったー!ここからはアタイと大ちゃんが相手だー!」

「ちょっとチルノちゃん!」

「……何か聞いた?」

「いや、なんでもない。お前の表情を見て分かったから」

俺達は次の相手となるチルノと大妖精と対峙した。

 

 

 

 

第二話〜完〜

 

 

 




今回はちょっと文字数少なめの第二話いかがでしたか?
ネットで調べたり打ったり調べたり打ったりの繰り返しだったので大変でした。でも完成して良かったです。
次回はチルノと大妖精との戦いです。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 妖精コンビとの戦い

昨日忙しくて書けなかった。なら今日書こうと思って書いて行きます。青柳龍です。
さて、今回はチルノと大妖精との戦いです。この章ではなるべく原作に合わせて書いていますがここは違うって所があっても暖かい目でご覧ください。
それでは第三話始まり始まり。


紅い霧の中から飛び出した妖精の二人。チルノと大妖精が俺達の前に立ちはだかった。

「ここからは最強のアタイが相手だ!」

と言ってチルノは大きく腕を広げとうせんぼのように構えた。それを見て霊夢と魔理沙はわざと聞こえるぐらいの声で会話した。

「さて、行きますか」

「そうだな。先に進もうか」

「おいおい……」

こいつらわざとチルノの言葉を無視したな。

「ちょっと!?無視しないでよ!」

「あら?チルノ居たの?気付かなかったわ」

「私はてっきりスズメだと思ったぜ」

「は!私はスズメだったのか……」

「チルノちゃん!?違うよ!?チルノちゃんは妖精だよ!?」

二人の言葉を真に受けるチルノを慌てて訂正する大妖精。大妖精……大変だな。

「え?あ!騙したなー!」

「騙されたって言われても。ねぇ?」

「普通は分かると思うぜ」

「うぐぬぬぬ」

悔しがっているチルノは遂にキレた。

「だぁー!もう許さないよ!後で泣いて謝っても許さないから!」

「泣いて謝って来るのはそっちだと思うけど。でもやる気ならこっちもやってやろうじゃない」

「そうだな霊夢。晴竜も後方支援よろしくな」

「おーう」

「大ちゃん!やるよ!」

「う、うん!やろう!」

こうして霊夢達は戦いを始めた。大妖精は弾幕で霊夢と魔理沙に牽制しつつ後ろのチルノを守っていた。チルノはそのうちに霊夢達にスペルカードを使った。

「くらえ!氷符、アイシクルフォール!」

すると氷の礫が大妖精のを避けるように進み霊夢達に向かった。霊夢達は簡単に全て避け切ると霊夢は大妖精に向かってスペルカードを使った。

「くらいなさい!夢符、封魔陣!」

「きゃぁあ!」

大妖精は霊夢の封魔陣によって大ダメージを喰らった。

「大ちゃん!よくも大ちゃんを!くらえ!凍符、パーフェクトフリーズ!」

ここでチルノはカラフルな弾幕を撃ってきた。霊夢達が避けた瞬間に時間差で氷の弾幕が二人を襲った。

「前はこんなに弾のスピード速くなかったわよ!?」

「やっぱりチルノも成長してるな」

二人はチルノの攻撃を集中して回避し始めた。

「もーう!何で当たらないのさ!」

「そんなに簡単に当たる私達じゃないわ」

霊夢の言葉にチルノは怪しく微笑んだ。

「それは、どうかな?」

「「?……!」」

霊夢と魔理沙は気付いた。二人と後ろに回った大妖精の姿を。

「「これでアタイ(私)達の勝ちだ!」」

チルノと大妖精の同時攻撃が放たれる時だった。俺は全力で叫んだ。

「二人とも全力で下に下がれぇぇぇえ!」

二人が下に下がった瞬間、俺はスペルカードを使った。

「龍符、龍神の咆哮!」

輝龍がチルノと大妖精に向けて衝撃波を放った。

「チルノちゃん。惜しかったね」

「晴竜が攻撃してくるなんて聞いてないぞー」

そう言う二人を衝撃波が包んだ。

 

 

 

 

「やっぱり分からないか……」

俺は地面に座るチルノと大妖精に治癒の術をかけながらそう呟いた。

「アタイ達もルーミアと一緒で強制的に参加させられたようなものだったからね」

「指示された後はレミリアさんはさっさと部屋に戻っちゃったしね」

「なるほどね」

霊夢はそう言うと紅魔館に目を向けた。

「やっぱり本人に聞くしかないようね」

「そうだな霊夢。早速行こうぜ」

「そうね。行くわよ!」

空に飛び上がり紅魔館に向かう二人。俺は慌ててチルノ達にじゃあと言うと二人を追いかけた。

「ねぇ、大ちゃん」

「何?」

「あの事、言わなくて良かったの?霊夢達に?」

「あ!言うの忘れてた!」

「大ちゃんっておっちょこちょいだね」

「うーん。チルノちゃんに言われると納得行かないのは何故なんだろう……」

 

 

 

 

 

やっと霊夢達に追いついた俺は目の前にいる一人の幻想少女に怯んだ。いつもならこんな恐ろしい感じはしないのに。

「やっぱりルーミアさんとチルノさん達は突破されましたか」

「やっぱりって酷いわよ。あの三人もだいぶ強くなってたからね。あなただって分かってるでしょ?美鈴?」

前に立ちはだかった美鈴は笑った。

「そうですね……。あの三人はとても強くなりました。でも強くなったのは霊夢さん達も一緒でしょう?さぁ始めましょう。紅美鈴行きます!」

紅魔館の門番である美鈴は戦闘態勢に取った。ここからは紅魔館組達との戦いだ。

 

 

 

 

第三話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?チルノはともかく大妖精はスペルカードを持っていないのでどう戦わせようか考えてこうなりました。
さて、次回は遂に紅魔館に突入します。いったいチルノ達が気付いたあの事とは一体___
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 門番との戦い

最近雨が降らない。そのせいで私の家の野菜が育たない。もう晴れはいいから雨よ降れ!青柳龍です。
さて、今回で四話目になりますがやっと紅魔館組と戦って行きます。
それでは第四話始まり始まり。



「「はぁぁぁ!」」

ここは紅魔館の門の前。ここで立ちはだかった美鈴に霊夢は

「美鈴は接近戦も得意とするわ。だから魔理沙。接近戦が苦手なあんたは晴竜と一緒に後方支援して」と魔理沙に言って美鈴の元へ飛びかかった。そして最初の言葉となる。霊夢はお祓い棒を使って打撃を与えようとするが美鈴に捌かれてしまっている上に至近距離からの弾幕を食らってしまった。

「うぐっ」

「「霊夢!」」

俺と魔理沙は心配して声をかけるが霊夢は俺達の方を向かず大丈夫と手を振った。そして霊夢は静かに構えた。

(おお……)

俺は霊夢が構えた時に霊夢の霊力が増したのを感じた。

「さあ美鈴。覚悟はいい?」

霊夢の問いに美鈴が唾を飲み込んだのが見えた。

「行くわよ……」

霊夢はさっきよりも速いスピードで美鈴に近づいた。美鈴は咄嗟に左足蹴りを繰り出すが気付いた頃には霊夢は美鈴の後ろに回っていた。

「な!?」

美鈴は驚き後ろを振り向こうとしたが霊夢のお祓い棒の打撃を食らった。

「くっ……」

美鈴はフラつくが霊夢は攻撃を止めない。

「くらいなさい!夢想封印!」

霊夢のスペルカードに美鈴はスペルカードで対抗した。

「華符、芳華絢爛!」

美鈴の周りに出た虹色の弾幕が花形に放たれた。霊夢の夢想封印と美鈴の芳華絢爛がぶつかり凄まじい衝撃波が辺りに広がった。

「うわっ!」

「す、すごい衝撃波だぜ……」

俺達が驚いている中、霊夢と美鈴は一定の距離を保ちながら睨みあっていると美鈴が口を開いた。

「……久しぶりです」

「何が?」

「霊夢さんとこうして戦うことが」

「言われてみればそうかもね」

「少しは強くなったと思ったんですが、霊夢さんはやっぱり強いですね」

「あんただって前よりも体術や弾幕も強くなってる。私も気を入れなかったら勝てない程にね」

「……今までは本気じゃなかったんですね」

肩を落とす美鈴に対して霊夢は微笑んだ。

「何言ってるの?本気で戦ったらあんた達なんて瞬殺しちゃうし、私自身も疲れるから余り本気を出さないの」

「瞬殺って……」

霊夢の言葉にさらに肩を落とす美鈴。美鈴よ。その気持ち、分からなくもない。

「さて、再開しましょうか」

「はい!」

霊夢と美鈴は再び戦闘を開始した。霊夢のお祓い棒を避けながら蹴りや打撃を繰り出す美鈴。そして霊夢の横腹に回し蹴りを決めると直ぐにスペルカードを放った。

「これなら当たる!虹符、彩虹の風鈴!」

すると美鈴の周りから虹色の弾幕が美鈴を中心に渦を巻くように放たれた。

「霊夢!」

「危ない!」

俺は霊夢を守るための結界を。魔理沙は美鈴にマスタースパークを放とうとした。が

「支援は不要よ」

霊夢が立ち上がった瞬間にそう言うと美鈴のふどころに飛び込んだ。そして美鈴のお腹に手を置くと

「夢想天生!」

そう叫んだ瞬間には美鈴は夢想天生をくらった。

 

 

 

 

「痛たたた……。霊夢さんあの距離での奥義はきついですよ!」

そう言う美鈴は夢想天生をくらい動けないため俺が治癒の術をかけている。

「だって本気じゃなきゃ嫌な感じを出していたから……」

「だからってあれは無いですよ!」

「そう?ごめんね」

「ううっ」

唸りながら目にうっすら涙を浮かべる美鈴だったが俺が治癒の術をかけ終わる頃にはすっかり元気になり立ち上がっていた。流石、紅魔館の門番だ。

「美鈴?どうしたの?まさか、また戦いたい訳じゃないわよね?」

霊夢が美鈴を睨んだ。美鈴は頭をかきながら答えた。

「違いますよ。このまま倒れていたら門を壊されますからね。そうなるなら何とか起きて門を開けた方がいいかなって思いまして……」

「あらそう?ならお願いするわ」

俺達は美鈴が開けた門をくぐり紅魔館に入った。

「……今は霊夢さん達を信じるしか無い、か……」

 

 

 

 

紅魔館に入った俺達は何故か地下の図書館に来ていた。

「なあ?二人とも?」

「何?」

「何だぜ?」

「何で俺達は地下に居るんだ?」

「私は分からないわよ。気付いたらここに居たんだから」

「こんな事するのはあいつしか居ないぜ」

そう言って魔理沙は図書館の奥を見た。そこからやって来たのは

「流石、魔理沙ね。正解よ」

「流石ですね!」

この大図書館の主、パチュリーが小悪魔と一緒に来た。

「さて、次はこのパチュリー・ノーレッジと小悪魔が相手よ!」

 

 

 

第四話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書き終わりました。美鈴の戦いは接近戦も含まれるとネットで書いていたのでこうなりました。難しいよ!
さて、次回はパチュリーと小悪魔との戦いです。そしてパチュリーが使うスペルカードをどれにするのか考え中です。何か使って欲しいスペルカードのがあれば感想欄にて、受付は明日の昼までです。後、感想も待っています。(書いてくれたら凄く喜ぶ私です)
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 大魔法使いとの戦い

雨が降ったのはいいけど微妙な量しか降らない。一体天気はどうなってるんだ?青柳龍です。
さて、今回はパチュリーと小悪魔との戦いを書いて行きます。スペルカードは色々と考えて書きます。
それでは第五話始まり始まり。


俺達はパチュリーの転移魔法によって地下の図書館に来ていた。そこでパチュリーと小悪魔の二人と対峙した。

「なあパチュリー。どうしてもお前と戦わなきゃいけないか?」

「どうしたの魔理沙?私の心配するなんて」

「だってお前、喘息持ちだろ?前の紅霧異変だって喘息で力を発揮出来なかったじゃないか」

「それなら心配いらないわ。前から喘息の薬を永琳から貰ってるから」

「そうか」

魔理沙は安心したように頷くがそれってやばくないか?パチュリーは自他共に認める大魔法使いだ。アリスや魔理沙によると

「パチュリーは私達よりも多くの魔力を持っていてなおかつ魔法の知識も多く持っている」

と言っていた。そんなパチュリーが数少ない弱点である喘息が調子いいとなるとこっちが不利じゃないか?そう俺が考えているのも知らず霊夢と魔理沙はパチュリーと小悪魔にどう戦うか話していた。

「どうする?」

「もちろんパチュリーは私が行くぜ」

「大丈夫?」

「もちろんだぜ!魔法使いには魔法使いだぜ」

そう言って魔理沙は前に出た。

「なら私は小悪魔の相手ね」

霊夢は小悪魔と戦う事になったようだ。しかし、相手が霊夢だと分かった小悪魔うっすら涙を浮かべ、パチュリーにすがり付いた。

「パチュリー様!無理です!霊夢さんが相手なんて私には無理ですよ!瞬殺ですよ!いいんですか!」

パチュリーはそんな小悪魔を無視し魔理沙を睨んだ。

「始めましょうか魔理沙」

「あ、ああ。そうだな。やろうぜ!」

「ちょっとぉぉぉお!パチュリー様ぁぁぁあ!」

そんな小悪魔を見て俺は小悪魔の事が可哀想になり、霊夢に近付くと霊夢に耳打ちした。

「なあ霊夢?少し手加減してあげてくれないか?」

「分かってるわよ。流石に私も可哀想に思ったから手加減するわ」

そう霊夢は苦笑いしながら言った。こうしてパチュリー達と霊夢達の戦いが始まった。(ところで俺は霊夢と魔理沙のどっちを支援すればいいんだ?)

 

 

 

 

「さあ行くぜ!」

「来なさい魔理沙!」

魔理沙は素早い動きでパチュリーに向かって行った。それに対してパチュリーは弾幕を放った。器用に避け、魔理沙はパチュリーに近付くとスペルカードを放った。

「マスタースパーク!」

至近距離からのマスタースパーク。魔理沙、そして俺は決まったと思った。しかし

「甘いわ。この私がマスパの対策をしてないとでも?」

「何!?」

魔理沙は驚くのも無理はない。だってパチュリーがマスタースパークを食らってても無傷だからだ。

「そんな!あの距離からマスパを食らっていても無傷なんて!」

「……流石パチュリーだぜ。私のマスタースパークを食らう瞬間に最大限の結界を一瞬だけ張る事で魔力を可能な限り温存して守ったんだな」

「!?……よく分かったわね。魔理沙?何か変な物でも食べた?」

「酷いぜ!?」

「そりゃあそうでしょ。急にそうやって冷静に対処法を見破るなんて貴女らしく無いからよ。そう思うでしょ晴竜?」

突然パチュリーは俺に聞いてきた。魔理沙はそうじゃないよなという顔をしている。すまん魔理沙。俺もパチュリーに同感だ。そう魔理沙に伝えるとショックを受けたようだ。

「それは…あんまり…だぜ…」

パチュリーは微笑むと真剣な眼差しになり構えた。

「気を取り直して、再開するわよ!」

「………そうだな!やるしかないよな!」

魔理沙は無理矢理気合いを入れ直しパチュリーに弾幕を放った。パチュリーは避けながら魔理沙に弾幕を放っていたが今度はスペルカードを放った。

「覚悟しなさい……。火符、アグニシャイン……」

そう叫んだ瞬間にパチュリーの周りに炎の塊が出たと思えば魔理沙に向かって飛んで行った。

「おわっ!?」

魔理沙は上手く当たらないように飛びながらパチュリーの隙を狙った。しかし、見つける前にパチュリーは次のスペルカードを放った。

「次はこれよ。水符、プリンセスウンディネ」

今度は水の泡が出現し、遅い速度で放射状に放って来た。それに合わせレーザーも放って来る。

「おっと!?」

魔理沙は何とか全て避け切った。しかし、休む暇を与えないようにとパチュリーはまた別のスペルカードを放った。

「やるわね。なら、木符、シルフィホルン」

今度は魔力で構成された葉っぱが出現し、様々な方向から魔理沙に向け放った。

「ぬわっ!?」

驚きながらも毎回避け切る魔理沙。回避能力の高さは素直に凄いと思う。すると俺の元に小悪魔を手加減すると言いながらコテンパンにしてきた霊夢が戻って来た。

「魔理沙まだやってるの?」

「そうだよ。それもパチュリーのスペカを連続で繰り出されてるんだ。そう言えばパチュリーってどれ位のスペルカードを持ってるんだ?」

「そうね……。下手すればパチュリーが一番持ってるかもしれないわ」

「そうなんだ……。魔理沙は勝てるのか?」

「魔理沙なら大丈夫よ」

霊夢がそう言うなら大丈夫なのだろう。俺はこのまま魔理沙を見守る事にした。(見守りながら小悪魔に治癒の術をかけた)

 

 

 

 

「はぁはぁ。ほんとに当たらないわね……」

スペルカードを放ち終えたパチュリーは肩で息をしながら魔理沙を睨み付けた。魔理沙も肩で息をしながら笑った。

「当たり、前だぜ……私、だって、強くなって、るんだ」

「なるほどね。でも、これで終わりよ……」

そう言うとパチュリーはスペルカードを放った。

「土符、レイジィトリリトン」

スペルカードを唱えた瞬間、パチュリーの周りの地面が大きく揺れたかと思った時に地面が柱のようになり、魔理沙を襲った。

「全く!使いすぎだぜ!」

再び回避を始める魔理沙。それを見ていた霊夢が俺の肩を叩いた。

「ん?なんだ霊夢?」

「一度だけでいいからパチュリーの気を逸らせない?」

「え?そりゃあ出来ない事は無いと思うが……」

「なら早速やって」

「え?でも魔理沙を見守るんじゃないのか?」

「いいの!早く!」

「わ、分かったよ」

俺は輝龍に指示し、心の中ですまんとパチュリーに謝ると

「龍符、龍神の咆哮!」

俺の持つスペルカードを使った。パチュリーの本棚に向かって。それを見たのか。パチュリーは魔理沙から目線を離し、俺のスペルカードを防いだ。

「ちょっと晴竜!貴方何をしようとしたの!」

「すまんすまん。本当に当てる気はなかったんだ。ただお前を魔理沙から気を逸らすために」

「え?は!しまった!」

パチュリーは気付いたようだがもう遅い。振り返ったパチュリーの目の前まで魔理沙は来ていた。そして魔理沙はスペルカードを放った。

「これで最後だ!マスタースパーク!」

「…………私の負け、ね」

そう呟きパチュリーは光のレーザー包まれた。

 

 

 

 

 

「霊夢?貴女はっ、げほっ、げほっ、晴竜に、何をしようと、げほっ、したの?」

パチュリーは俺の治癒の術を受けながら霊夢に怒っていた。しかもさっきの戦闘で喘息もこじらせたらしい。

「私は気を逸らしてとしか言ってないわよ?」

「晴ぃぃぃぃ竜ぅぅぅぅ!」

「悪かったって!当てる気は本当に無かったし、それにお前の気を逸らすのはあれぐらいしか無かったから……」

「本当に、もう……」

パチュリーはため息を着くと図書館の天井を見つめた。

「?パチュリー?」

「……次は恐らく咲夜が相手だと思うけど頑張ってね」

それだけ言うと目を閉じてしまった。俺はやれやれと思ってパチュリーの事を何とか立てる所まで回復した小悪魔に任せると霊夢と魔理沙と共に階段へと向かった。

「あの事は霊夢達が何とかしてくれる……今はそれを信じるしかないわね………でしょ?小悪魔?」

「そうですね。パチュリー様」

 

 

 

 

 

俺達は何とか地下から玄関ホールまでやって来た。すると強い殺気を感じ俺達は後ろに飛び退いた。その瞬間、さっきまで俺達がいた所には無数のナイフが刺さっていた。

「あー。これは間違いなく咲夜だな」

俺達はナイフが放たれた所を見た。そこには当然咲夜が立っていた。

「お嬢様方と戦う前にこの十六夜咲夜が相手をします!」

 

 

 

 

第五話〜完〜

 




この話を書いている内に雨が降って来ました。やっと雨が降った!と思いきや今度は土砂降りやら突風やら雷やらで大変な事になっています。そこは普通の雨でいいっつうの!
さて、第五話いかがでしたか?それなりに上手く書けたと思います。でももし納得がいかない所、また純粋な感想などがあれば是非感想欄にて書いてくださると嬉しいです。(書いてくれると嬉しいです!)
次回は咲夜との対決。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 メイド長との戦い

台風やら大雨やらで大変な時でしたが皆さんはどうでしょうか?青柳龍です。
さて、今回で第六話になりました。相手は紅魔館のメイド長の咲夜。一体どのような戦いを繰り広げてくれるのかお楽しみに!
それでは第六話始まり始まり。


咲夜はゆっくりと玄関ホールの階段を降りて来た。降りて来る間も常に殺気を放っていた。そんな咲夜を霊夢は笑みを浮かべながら俺と魔理沙に話しかけた。

「次は咲夜だけど私と魔理沙、どっちが戦う?」

「私はさっきパチュリーと戦ったから霊夢でいいぜ」

「そう?分かったわ」

霊夢はゆっくりと咲夜の方に歩き出した。

「霊夢。私はね、本当は戦いたくないの」

「分かってるわ。さっきのナイフを見れば」

「流石霊夢ね」

「当たり前でしょ」

そうだったのか!?俺はてっきり本気で攻撃してきたのだと……

「本気で来るなら咲夜は時を止めたはずよ。そのほうが当たる確率は高くなるから」

俺の呟きに霊夢が答えた。なるほど。確かにさっきは時が止められた感覚はしなかった。だから霊夢は咲夜は本気じゃないと分かったのか(まあ、殺気は本気だったけど)

「でも次は本気で行くわ」

そう言うと咲夜はナイフを取り出し構えた。

「あんたが本気で来ても私には勝てないけど本気で来るなら私も本気で相手してあげるわ」

霊夢もお祓い棒を持ち構えた。静寂の中、俺は思わず唾を飲み込んだ。霊夢が負けるはずは無い、それは分かっている。でも咲夜は咲夜で時間を操る程度の能力というチート級の能力を持っている。前の異変では霊夢が勝ったが咲夜も強くなっているはずだ。どっちが勝つのか俺は固唾を飲んで二人を見守った。そしてその瞬間はやって来た。

「ふっ!」

「はあっ!」

二人は掛け声と共に飛びかかった。

 

 

 

 

咲夜はナイフを投げ霊夢を牽制した。霊夢は向かって来るナイフを全てお祓い棒で払い除け、咲夜に向かって札を飛ばした。飛ばした札は咲夜の近くまで来ると爆発した。咲夜は跳躍で直撃を避けるとスペルカードを使った。

「幻象、ルナクロック」

その瞬間咲夜は普段は全く使わない弾幕を放つと指を鳴らした。そして時が止められた感覚がすると気付いた頃には霊夢の周りにナイフが配置されていた。そして咲夜は再び指を鳴らし呟いた。

「時は再び動き出す」

その瞬間にナイフは動き出し霊夢を襲った。

「霊夢!危ない!」

俺は霊夢に向けて叫んだが霊夢は微笑み言った。

「力や能力は随分と強くなったけど戦い方は以前と変わらないわね」

霊夢は周りに夢想封印のホーミング弾を放ち、全て撃ち落とすと一瞬で咲夜に近付いた。

「ちっ!奇術、エターナルミーク!」

その瞬間に咲夜では珍しいナイフを使わない弾幕が放たれた。しかしその弾幕の多さと速さは霊夢に攻撃するには充分だった。それを避け切った霊夢はスペルカードを使おうとした。が。その時、咲夜も微笑んだ。

「貴女こそ。前と戦い方が一緒じゃない?」

そう言うと咲夜はしゃがんだ。その後ろにはいつの間にか何十本のナイフが漂っていた。そしてそのナイフは霊夢に向け飛ばされた。

「……!?」

霊夢はとっさに後方に飛び退くが数本は霊夢の体を掠めた。すると掠めた所の服が切れ、血が滲んだ。

(嘘だろ……。霊夢が攻撃を食らったなんて)

今まで無傷だった霊夢がこの時初めて傷を負った。

霊夢は傷を負った右肩を左手で押さえると咲夜の方を向いた。その瞬間、霊夢から感じる霊力が増幅し強くなった。そんな霊夢の顔を見た咲夜は小さく

「ひいっ……」

と悲鳴をあげた。こちらからは見えなかったがあの咲夜さえ怖がるほどだ。よっぽど怖い顔をしているらしい。

「咲夜?よく私に傷を付けたわね。褒めてやるわ」

「そ、そうかしら……」

「そうよ。だから……」

霊夢は冷たく言い放った。

「殺さない程度に殺して上げる」

 

 

 

 

それからの事はあまり言いたくない。一応霊夢は俺の彼女だし霊夢の事を悪く言いたくないから。しかし話せと言われたら一言で表せる。さっきの霊夢は「阿修羅」だった。それ以外の何者でもない。あれ程怯えた咲夜は初めて見た。魔理沙も冷や汗をかきながら霊夢を見ていた。そして今、コテンパンにされ珍しく涙を見せる咲夜に治癒の術をかけながら霊夢をなだめていた。だって今の霊夢をどうにかなだめないと恐ろしくて恐ろしくて。

「まあまあ霊夢。今回は咲夜が強くなっていたという事でいいじゃないか」

「晴竜には分からないのよ。自信満々で言っときながら失敗するなんて事がどれだけ恥ずかしい事なのか」

「霊夢は充分強いし、自信があるほどの実力だって分かってる。そんな所を含めて俺は好きになったんだ」

「………ずるいわ。ずる、すぎる」

顔を赤くして顔を逸らす霊夢。俺は安堵の息をつくと咲夜の方を向いた。

「咲夜?大丈夫か?」

「霊夢の八つ当たりが、ここまでなんて、思わなかったわ……」

「ほんとだな。本当に殺さない程度に殺されてるからな」

「そう言えば私、まったく身体が動かないんだけど大丈夫よね?」

「…………」

「晴竜!?」

「冗談だ。と言いたい所だが後で永琳の所で入院必須ぐらいのダメージを受けている」

「……………霊夢の馬鹿」

ごもっともです。

「悪かったわ。それよりもレミリアは何でまた異変を起こしたの?」

「私にはさっぱりよ」

「そう……。やっぱり本人しか確かめようがないか……」

霊夢が面倒くささそうにため息をついた。すると咲夜はただと続けた。

「あれを持って来た時からお嬢様は様子が変だったわ」

「あれ?」

俺達は頭を傾げた。咲夜は頷いた。

「異変を起こす前日だったかしら……。お嬢様が庭を散歩した後に不思議な水晶を拾ったの。お嬢様はその水晶がとても気に入ったようで私や美鈴、パチュリー様はもちろん。妹様にも触らせない程よ」

「よっぽどだったのね」

「シスコンのレミリアがなー」

「魔理沙?それお嬢様が聞いたら殺されるわよ」

「はは。口が滑ったぜ」

そんな会話をする三人の横で俺は水晶という言葉に違和感を感じた。でも何故違和感を感じたのか?それは分からなかった。すると霊夢が俺の方を向いた。

「晴竜?どうかした?」

「い、いや何でも無い」

「そう?なら行くわよ。あの姉妹の元へ」

「さあ最終決戦だぜ!」

「そうだな。行こう」

俺達はレミリア達の元へと向かった。俺達の後ろ姿を見送った咲夜は目を閉じた。

「これで良かったのですよね。お嬢様……」

 

 

 

 

そして俺達は遂にレミリア達と対峙した。

「来たわレミリア、フラン」

「いらっしゃい霊夢、魔理沙、晴竜」

「いらっしゃい」

レミリアとフランはスカートの裾を持ちお辞儀をした。

「さて、挨拶も済んだしさっさとあの霧を止めてくれない?」

「嫌よ。やっとこの紅い霧でこの幻想郷を手に入れる事が出来るのよ?」

「あらそう?ま、そう返事すると分かっていたけどね。ならまた力ずくでも止めさせるわ」

「そんな事できるかしら?こっちは姉妹揃ってるのよ?」

「こっちは魔理沙に晴竜もいる。あんた達なんかに負けないわ」

微笑みながら会話をする霊夢とレミリア。しかしその目は笑っておらず、霊夢は鬱陶しさ。レミリアは殺意。を込めていた。(俺の見解)

「なら早速始めましょうか」

「そうね」

そして二人は同時に言った。

「「今夜はこんなにも月が紅いのに」」

「楽しい夜になりそうね」

「永い夜になりそうね」

こうして紅霧異変最終決戦が始まった。

 

 

 




うーん。咲夜と霊夢の戦闘シーン。あれで良かったのか?意外と少なめにしました。後で調整しときます。
さて、第六話いかがでしたか?霊夢って本当に強いですね。次回は遂にレミリアとフランとの戦いです。どんな戦いになるのかお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 吸血鬼姉妹との戦い

私の夏休みも残り僅かになって来ました。皆さんはお盆はどんな事を予定していますか?青柳龍です。
さて、今回で第七話目となります。最終話の一つ前ですがレミリアとフランの二人と戦います。頑張って戦闘シーンを書くので最後まで読んでくださると嬉しいです。
それでは第七話始まり始まり。


俺達は今、紅魔館の上空に来ていた。さっきまではレミリアの部屋にいたがここじゃ狭いという事で外に出たのだ。

「はあっ!」

霊夢は弾幕を放ちレミリアの動きを封じた。そこに追撃を与えようとしたがそれをフランが霊夢に向かってスペルカードを使った。

「禁忌、レーヴァテイン!」

そう叫ぶとフランの手には炎の剣が握られており、大きく振り上げ霊夢に向かって振り下ろした。

「はぁぁぁあ!」

霊夢はレミリアへの攻撃をやめ、お祓い棒で剣を受け止めた。

「ちょっと!魔理沙!フランの相手は私がするぜとか言って無かった?フランがこっちに来てるんだけど!」

霊夢が叫ぶとフランに魔理沙の弾幕が襲った。

「ごめんだぜ」

「全く……」

霊夢はため息をつくと再びレミリアに魔理沙はフランへと向かって行った。

霊夢は接近戦へと持ち込むため、レミリアのふどころに入った。レミリアも接近戦を考えていたのか一枚のスペルカードを使った。

「神槍、スピア・ザ・グングニル」

右手に魔力の槍が出ると霊夢が振り下ろしたお祓い棒を受け止めそのまま横に薙ぎ払った。霊夢は身体を身体を回し受け流すとレミリアに回し蹴りを繰り出した。がそれはレミリアの左腕で防がれた。それを見て霊夢は分かりやすく舌打ちをした。

「ちっ!」

「まだ甘いわ。ふっ!」

レミリアは霊夢の足を掴み逃げられなくすると槍で貫こうとした。たが

「そっちこそ調子乗らないでよね!」

槍を上に弾くと至近距離の弾幕を放った。

「ぐっ……」

至近距離で弾幕を食らったレミリアはやむ無く霊夢の足を離した。霊夢はすぐさまレミリアから距離を取った。

「流石にあの程度じゃやられないか」

「当たり前でしょ?貴女の方こそよく冷静に私から逃れられたわね」

「ふん。私は博麗の巫女よ?常に冷静だわ」

嘘だ。さっきは八つ当たりで咲夜をボコしたじゃないか。

「せ、い、りゅ、う?」

「すいませんでした」

聞こえない程に呟いたのだが聞こえていたらしい。俺はすぐに謝った。

「ふふ。晴竜は思って無かったみたいだけど?」

「黙りなさい。行くわよ!夢符、封魔陣!」

そう霊夢は言うと無数の札を飛ばした。その札は真っ直ぐレミリアに飛んで行った。レミリアはそこから動かず槍を回し、盾のようにした。札はその槍に防がれヒラヒラと落ちていく。レミリアはお返しと言わんばかりにスペルカードを放った。

「天罰、スターオブダビデ」

するとレーザーが放たれ、それと同時に丸い弾とリング状の弾が霊夢に向かって行った。霊夢は避け、時にはお祓い棒で砕きながら弾幕を放っていた。俺は当分は決まらないと思って魔理沙とフランの方を見に向かった。

 

 

 

 

魔理沙達の方も凄まじい弾幕の撃ち合いになっていた。

「いくよー!禁忌、フォーオブアカインド!」

するとフランが四人に分身した。

「あははは」

「ねぇ魔理沙?」

「覚悟はいい?」

「いっくよー!」

四人のフランは魔理沙に飛びかかった。

「本当にフランは凄い怖いぜ。でも私は負けるわけには行かないんだぜ!魔符、スターダストレヴァリエ!」

星型の弾幕でフラン達を牽制すると一人ずつ弾幕で倒して行った。最後の一人、本物のフランに弾幕を放とうとした時にフランはにひひと笑いスペルカードを使った。

「秘弾、そして誰もいなくなるか!」

するとフランの姿が消え、何処からともなく弾幕が放たれた。

「このスペルカード、一番嫌いなスペルカードだぜ!」

様々な所から放たれる弾幕。魔理沙は紙一重でそれを避けていく。そして効力が無くなったのか、魔理沙の後ろにフランが現れた。

「あーあ。結局当たらなかったかー。やっぱ凄いね魔理沙は」

「お褒めにあつかり光栄だ。でもこれで終わりにしようぜ!」

すると魔理沙はミニ八卦炉を構え言った。

「恋符、マスタースパーク!」

フランはすぐにとっさの事に避ける事が出来ず食らった。そのまま後方に飛ばされたのをレミリアに受け止められた。

「ごめんなさいお姉様」

「大丈夫?まだ戦える?」

「うん。まだ行けるよ」

体勢を立て直したレミリアとフランは霊夢と魔理沙に弾幕を放とうとした。が、それは出来なかった。

「な!?これは……」

「結界!一体誰が……あ!」

そこで二人は気付いたようだ。ここにはもう一人居ることを。

「俺を忘れられちゃあ困る。やれ!二人とも!」

「ええ!」

「おう!」

霊夢と魔理沙は二人同時にスペルカードを使った。

「霊符、夢想封印!」

「恋符、マスタースパーク!」

ホーミング弾と特大のレーザーがレミリアとフランを包んだ。

「また、私達の、負け……」

「お、姉様……」

二人は力尽き地面に落ちて行った。

 

 

 

 

(また霊夢に負けたの?結局私は霊夢や魔理沙には勝てないの……)

(カチタイカ?)

(!?誰?)

(ソンナコトヨリ、ハクレイノミコト、マホウツカイニカチタイカ?)

(もちろんよ!)

(ナラカタセテヤル)

(本当に!?でも私は負けたのよ?もう力が出ないわ)

(ナラチカラヲカソウ。ハクレイノミコナドタオセルホドノナ)

(そんな力が……。あるなら早くして頂戴!)

(イイダロウ。タダシ……)

(ただし?)

(オマエノカラダモラウゾ)

(え?)

(サア。ハヤク)

(え?い、嫌よ……)

(サア。サア!)

(た、助けて!)

(サア。ソノミ、ワレニ、ササゲロ)

(助けて!助けて霊夢!たす、け、て……)

 

 

 

 

スペルカードを食らい地面に落ちていく二人を霊夢と魔理沙は受け止めようとした。その時だった。レミリアを受け止めようとした霊夢はある異変に気付いた。

「うん?」

レミリアが首から付けられているネックレスに水晶玉がありその水晶玉が光っていた。その水晶玉に霊夢が触れようとした時。俺の陰陽師の勘が触らせちゃいけないと警告を出した。

「霊夢!ダメだ!さわるな!」

「え?」

霊夢が俺の方に振り返った瞬間だった。水晶玉が禍々しい霊力が発せられ霊夢と隣にいた魔理沙とフランを吹き飛ばした。

「きゃぁぁぁあ!」

「うわぁぁぁあ!」

「霊夢!魔理沙!フラン!」

俺は輝龍に指示し、三人を受け止めた。そして俺達は目の前に立つ一人の少女を見て息を飲んだ。

「あ、あれは……」

「う、嘘だろ……」

「レミリア、なの?」

そこに立っていた少女は姿形はレミリアだ。しかし感じる力はレミリアが本来持っていた力じゃ無かった。そしてその少女は言った。レミリアの口でレミリアの声で。

 

 

 

 

 

 

 

「サア。ツツギ、ハジメマショウカ」

 

 

 

 

第七話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




レミリアのスペルカードである神槍、スピア・ザ・グングニル。実は東方紅魔郷で使われておらず、東方萃夢想で使われたスペルカードなんですが、接近戦のスペルカードがこれぐらいしか浮かばなかったので採用しました。ご理解の程よろしくお願いします。
さて、第七話、いかがでしたか?レミリアは一体どうなるのか次回をお楽しみに!
それではまた次回!
(感想や、お気に入り登録お願いします!)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 紅魔館の夜明け

再び暑い日が戻って来ました。お盆の事もあって私はだるいです。しかしこの小説は元気に書いて行きます。青柳龍です。
さて、今回で最終話になります。何かに乗っ取られたレミリアをどう助けるのかお楽しみに!
それでは最終話始まり始まり。


「サア。ツツギ、ハジメマショウカ」

そう言ったレミリアはいつものレミリアとは違う何かを身体の中に宿していた。

「レミリア?いつもと口調が____」

霊夢がレミリアに近付こうとするとレミリアは槍を霊夢に突き付けた。

「マダオワッテナイワ。サア。カマエナサイ」

霊夢は眉をひそめた。

「あんた。何を言ってるの?あんたは負けたの」

「アラ?ソレハドウカシラ?」

そう言ってレミリアはすっと手を払うように動かした。その瞬間

「?………!?」

霊夢はそっと頬を触った。するとそこに切り傷が出来ており血が一筋垂れていた。

「………」

霊夢はレミリアの方を睨みそして静かに構えた。

「ソウ。ソレデイイノ。フフ、ウフフフ……」

そして二人は同時に飛びかかった。

 

 

 

 

「やめて!お姉様!」

「一体レミリアに何があったんだぜ……」

レミリアを止めようとするフラン。それを見て呟く魔理沙に俺は説明した。

「……水晶玉だ」

「「水晶玉?」」

「そう水晶玉」

「水晶玉ってあのお姉様が首から下げているネックレスの?」

「そうだ」

「でもそれがレミリアがああなったのにどう関係してくるんだ?」

魔理沙の疑問に俺は知っている水晶について話した。

「水晶は俺の先祖様が生きていた時代では宝具や御守りの役割を持っていたんだ」

「御守り?水晶が?」

「そうだ。その水晶に霊力を込めるとその水晶は妖怪などの悪しき者から護る御守りとなるし、逆に悪い力を込めると呪いの道具になる」

「?」

「……お前達の所で言うとパワーストーンみたいなものだ」

「なるほどだぜ。じゃあレミリアが付けている水晶は……」

「確実に後者の方だな」

俺と魔理沙は霊夢と戦うレミリアを見た。よく見るとレミリアの目は輝きを失っている。このままじゃレミリアは下手すると元のレミリアに戻れなくなるかもしれない。

「晴竜!」

「え?」

魔理沙に怒鳴られ俺は驚いて魔理沙の方を向いた。そこには俺を睨む魔理沙と____俯くフランが見えた。そこで俺は考えていた事が口から出ていたいた事に気付いた。

「すまんフラン。大丈夫だ。必ずレミリアは元に戻る」

「本当に?」

フランは顔を上げ俺の方を見た。その目はうるうるとさせ、今にも泣き出しそうだ。

「ああ。しかし元に戻すには俺達だけじゃ無理だ」

「そんな……」

その時だった。

「おーい!みんなー!」

「アタイ達が来たぞー!」

「ちょっと二人とも待って!」

そこにやって来たのはルーミアとチルノ、大妖精だった。

「お前達。何でここに来たんだ?」

魔理沙が聞くと大妖精が代表して答えた。

「皆さんが紅魔館に向かってから何とか動ける程まで回復した時に嫌な力を感じて……それで私達二人とルーミアちゃんが合流して今に至ります」

「なるほどな。でも今は危ないから……」

「いや、丁度いい時に来た!」

「え?」

俺の言葉に魔理沙が怪訝そうな顔をした。

「晴竜?」

「確かに今は危ない。だが今の状況は少しでも人数が多い方がいいんだ」

そう説明していると何処からか声が聞こえた。

「なら、私達も協力するわ」

声がした方を向くと美鈴と小悪魔に支えられながら歩いてくるパチュリー、そして動ける程まで何とか回復した咲夜が紅魔館の屋上にいた。

「お嬢様は今まで私達が大変な時にいつも助けてくれたわ。なら、今度は私達がお嬢様を助ける番よ」

「お前ら……」

呆れる魔理沙にフランが話しかけた。

「呆れるのも分かるけど、でもやっぱり助けたいよ。だってみんな、お姉様の事が大好きだもん!」

フランが見せた屈託のない笑みを見た魔理沙は深いため息をつくと俺の方を見た。

「しょうがないぜ。晴竜、こいつらと私は何をすればいいんだ?」

「お前達にやって欲しいのは____」

俺は考えた作戦を説明すると魔理沙達は頷きレミリアに向かって行った。俺は深呼吸すると魔理沙達と共に向かった。

 

 

 

 

「アハハ!ヨワイ、ヨワイ」

「くっ!」

レミリアの思った以上の攻撃に霊夢は防戦一方になっていた。するとそこに、

「氷符、アイシクルフォール!」

チルノがレミリアに向けスペルカードを放った。レミリアは舌打ちをし、距離を取った。その間にレミリアを大妖精とルーミアが囲った。

「当分の間は私達が相手です」

「覚悟するのだー」

「フン。ムダノコトヲスルナ」

レミリアはルーミア達に向かって行く中、俺は霊夢に近付くと作戦を耳打ちをした。

「それって成功するの?」

「大丈夫だ。心配するな」

「晴竜がそう言うなら……。信じるわ」

霊夢はそう言ってレミリアの元に向かった。

「はあっ!」

「ていや!」

「せいや!」

「ムダダ!ハア!」

大妖精、チルノ、ルーミアの同時攻撃を容易く防ぐレミリア。それどころか大妖精達を吹き飛ばした。

飛ばされる大妖精達と入れ替わるように今度は魔理沙、咲夜、パチュリー、美鈴のスペルカードが同時に放たれた。

「マスタースパーク!」

「エターナルミーク!」

「プリンセスウンディネ」

「芳華絢爛!」

レミリアに特大レーザー、高速の弾幕、水の泡の弾幕、虹色の弾幕が襲ったがレミリアが当たる前に手を前に出すと結界が張られスペルカードは全て防がれてしまった。

「やっぱり無理か。なら、ルーミア!」

「行くのだー!」

魔理沙の掛け声にルーミアは能力を使いレミリアの周りを暗闇にした。

「シカイヲウバウテイドデカテルトオモッテイルノカ?」

レミリアは暗闇の中で動きを止めた気配がした。俺達はそれを狙っていた。その瞬間に霊夢がレミリアに近付いた。

「ダカラムダダトイッタダロ」

「別にあんたに攻撃を与えるんじゃないわ」

「ジャアナンノタメニ?」

「あんたのこれを奪う為よ!」

そう言って霊夢はレミリアから水晶玉のネックレスを奪った。

「ナニヲスル!」

レミリアが初めて慌てた。それを横目に霊夢は俺に向けてネックレスを投げた。

「晴竜!」

「ナイスだ霊夢!」

俺は刀印を結び投げられたネックレスに向け言霊を発した。

『滅!』

その瞬間ネックレスは綺麗に木っ端微塵になった。するとレミリアは糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。そのまま落ちていくのをフランが空中で受け止めた。フランはレミリアを抱きかかえながら紅魔館の屋上に降りた。俺達もすぐに屋上に降り、俺はパチュリーに治癒の術を任せ、俺はレミリアに残った異様な力を調服するために術を唱えた。

『悪しきもの全て八百万の神々の元で滅ぼし給え!』

するとレミリアの中にあった力は消えて行った。それを確認し、ほっと一息つくとレミリアがうっすら目を開けた。

「ここ、は……」

「お姉様!」

レミリアが目を覚まし、フランはレミリアに抱き着いた。

「ちょっ!フラン!」

「お姉様!お姉様!」

引き離そうとするレミリアに対してフランは泣きながらレミリアから離れようとしない。諦めたレミリアは俺達の事を見渡すと一言

「ありがとう」

と言った。こうして紅霧異変は無事解決した。

 

 

 

 

それから数日後、俺は一人で紅魔館に来ていた。理由はあの水晶玉についてだ。咲夜に案内され俺はレミリアの部屋にやって来た。

「あら?晴竜じゃない」

「お邪魔します」

「今日はどうしたの?」

「実はあの水晶玉の事なんだが……」

「ああ。あれね。ホント、余計な事をしたわ。拾うんじゃなかった……」

「あれは拾ったのか?」

「そうよ。あの日、お散歩の途中でキラキラ光る物があってね。よく見ると水晶で何故か持ち帰りたい気になったのよ。そして段々と紅霧異変の時と同じ感覚になって来て……」

「なるほどな。拾った時から水晶の影響を受けていたんだな」

「あれを破壊してくれて助かったわ。ありがとう」

「いいって事よ」

レミリアは俺の返事を聞いてふふと微笑んだ。今の様子を見る限り、何も変わりなく普通のレミリアに戻ったみたいだ。俺は安心して咲夜が持って来てくれた紅茶を一口飲んだ。

 

 

 

 

暗い暗い洞窟の奥。そこに大きく開けた部屋のような場所があり、その壁には一本のロウソクの火が灯され、その部屋の中心に一人の男が座っていた

「ほう。俺の術が破られたか……」

男は首から下げた水晶玉の数珠に触れた。

「また最初からやり直しか……」

男は数珠を取ると結び目を解き水晶玉を一粒取った。そして

『我命ずる、この禍々しい力ここにありて黄泉の国へと誘わん』

そう術を唱えると水晶玉は鈍く光った。

「今度は成功させる。この幻想郷の為にな………」

男は立ち上がるとロウソクの火をふっと消した。

 

 

 

 

 

紅霧異変の章〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?最後の謎の男の登場は今後の章にも関わって来ます。お楽しみに!
次は番外編ですがこのまま紅魔館をメインとします。(なんか紅魔館がメインなの多い気がする……)
そして次の章では守矢神社の三人がメインとなります。一体どんな章になるのかもお楽しみに。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 紅魔館のパーティー

お盆も終わり、一段落ついている人が多いでしょうが私はまだ大きな試練が待っています。その名は宿題!青柳龍です。
さて、今回は番外編と言う訳で紅魔館のパーティーに晴竜が向かいます。紅魔館出過ぎじゃない?と思ったそこのあなた!私も同感です。ですがこの番外編から次回の章に繋がる所もあるので読んで下さると嬉しいです。(語り手は晴竜のまま)
それでは番外編始まり始まり。


紅霧異変から数日が立った時、レミリアが紅霧異変のお詫びとして幻想少女を紅魔館に呼びパーティーをする事になった。そして今日、俺、霊夢、魔理沙、アリスの四人は宴に参加するため紅魔館にやって来た。

「あ、霊夢さん、魔理沙さん、アリスさん、晴竜さん、こんばんは」

珍しく起きている美鈴の挨拶ににアリスが答えた。

「こんばんは……。珍しいね。美鈴がちゃんと起きてるなんて」

「咲夜さんから今日寝なかったらパーティーに最初から参加していいと言われたんです」

「なるほど。それで」

「ねぇ二人とも話は終わった?そろそろ中に入りたいんだけど」

「あ、はい。どうぞ」

美鈴が門を開け、俺達は中に入った。

 

 

 

 

 

中に入りパーティー会場の入口に来ると既に多くの幻想少女達が中にいた。するとそこへレミリアがやって来た。

「あら?霊夢達もやっと来たわね」

「招待ありがとうね。レミリア」

「こちらこそ来てくれてありがとうね」

「どうせ全員暇だしね。それに異変を解決した私達が居ないと始まらないしね」

「ふふ、そうね。さ、楽しんでいって」

レミリアに言われ俺達はパーティー会場の中に来ると早速料理を取った。

「う、美味い!」

「流石紅魔館のメイド達だぜ」

「ちょっと霊夢。料理取りすぎじゃない?」

「アリス。ちょっとうるさい」

「キレられた!?」

そんな会話していると会場に作られた特設ステージにレミリアが上がった。

「みんな来てくれてありがとう。紅魔館の主として礼を言うわ。そしてこの前の異変の事はごめんなさい」

レミリアが謝り頭を下げた。すると周りにいた咲夜を含めた紅魔館のメイド達も頭を下げた。俺達はレミリア達の思わぬ謝罪に驚いていたが、たった一人、霊夢だけがふふっと笑った。

「何よ今更。それにこんな事今に始まった訳じゃないでしょ?それにこの異変を起こしたのはあんたが水晶に影響されていただけ何でしょ?晴竜?」

突然振るな。

「あ、ああそうだ。レミリアが持っていた水晶玉によって身体に影響を与えていた」

「だからレミリアや咲夜達は悪くないし、私達があんた達を責める事は出来ないわ。だから…頭を上げて、ね?」

「霊夢……」

レミリアは感極まって涙を見せた。俺達はステージから降りたレミリアを優しく迎えた。

 

 

 

 

 

門番をしていた美鈴も合流し、パーティーも終盤に差し掛かった時だった。ゴロゴロと外から聴こえてきたと思ったらドカーンと雷鳴がなった。

「おお……。さっきの鳴神は結構近かったな」

「鳴神?何それ?」

霊夢が聞いて来たので説明した。

「鳴神てのは雷鳴の事を言うんだ。昔の人々は何事にも神様が宿っていたと思っていたんだ。だが……」

「晴竜?どうしたの?」

「この鳴神。ちょっとおかしいんだよな」

「何がおかしいの?」

「うーん。何かと言われると……」

俺は何だろうと考えていると近くにいた早苗と諏訪子、神奈子が話しているのが聞こえてきた来た。

「諏訪子様、神奈子様。この鳴神……。まさか」

「そうだね。晴竜も気付いたようだし」

「後で必要な人だけに声を掛けてみよう」

 

 

 

俺はこの時はまだあんな事を頼まれるなんて知るよしは無かった。

 

 

 

 

 

番外編〜完〜

 

 

 




今回の番外編は短めにしました。そして次の章に繋がるように書きました。晴竜達は早苗達に何を頼まれるのか?お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鳴神異変の章
第一話 鳴神の原因


夏休みも後、二日……。やだ!終わらないで!青柳龍です。
さて、今回から新章突入です。その名も鳴神異変の章です。一体どんな異変が起きるのか?そしてメインとなる守矢神社は何をするのか?
それでは第一話始まり始まり。


ゴロゴロと鳴神の音が響く今日。俺はいつものように博麗神社にやって来た。博麗神社に来るとそこには魔理沙、アリスといったいつもの面子の他に咲夜、妖夢、そして早苗、諏訪子、神奈子の守矢神社の三人がいた。

「あれ?珍しいメンバーもいるな。どうしたんだ?」

俺がたずねると咲夜が答えた。

「昨日のパーティーの時に早苗から博麗神社に来て下さい。って頼まれたの」

咲夜の言葉に妖夢も同じくと言った。

「私も早苗から言われて」

「なるほど。それでこんなにいるのか……。それで、早苗達はどうしてこのメンバーを集めたんだ?」

俺が早苗に聞くと早苗は話し始めた。

「実は皆さんにやって欲しい事があるんです」

「やって欲しい事?」

「舞を……踊って欲しいんです」

『…………………は?』

早苗の言葉に俺達は訳が分からなかった。

 

 

 

 

 

「舞を踊る?」

俺が改めて聞くと早苗は頷いた。

「そうです。ただし、晴竜さんは楽器の方を担当してもらいますけど」

「俺も参加するのかよ……。それで、何で舞を踊るんだ?」

「あ、それは私が説明するよ」

早苗が説明しようとするのを諏訪子が止め、変わりに説明した。

「みんなは雷獣って知っている?」

『雷獣?』

霊夢達は?マークを浮かべるが俺は雷獣の事は知っている。

「雷獣って確か犬かタヌキのような姿をした雷を操る妖怪だったと思うが……。その雷獣がどう舞を踊るのと関係してくるんだ?」

「実はその雷獣を鎮める為に舞を踊るんだよ」

「雷獣を鎮める?どうして?」

「雷獣は元々妖怪の山にいるんだけど、時々人里辺りまで降りてくると雷を落としたり、纏わせている毒素を撒き散らす時があるんだ。それを止めるために舞を踊るんだ」

「なるほど」

「だいたいは守矢神社と山の四天王が舞を踊って鎮めるんだけど今回は霊夢達にも協力して欲しいんだ」

「そう言う事なら俺はいいぞ。霊夢達はどうだ?」

俺は霊夢達に聞くと全員頷いた。

「私は構わないわよ」

「踊りかー。何か楽しみだぜ」

「そうね。私も楽しみだわ」

「私も楽しみ」

全員、雷獣を鎮める為じゃ無く普通に楽しみたいようだ。

「なら早速これを渡そう」

そう神奈子は言って霊夢達にある物を渡した。

「え?何これ?」

霊夢達は頭を傾げるが神奈子はとにかくと言って霊夢達を博麗神社の母屋に連れていってしまった。残された俺は早苗と諏訪子に気になった事を聞いた。

「どうして急に霊夢達に頼んだんだ?」

「それは霊夢さん達が居た方が楽しいかなって……」

「それって嘘だろ」

「うっ……」

「ははは。早苗って嘘つくの下手だなぁ。しょうがないや。晴竜には本当の事を言うよ」

諏訪子は霊夢達に聞かれないように小さな声で言った。

「実はね。雷獣から感じる力がちょっと異様な力が混ざってるんだ」

「異様な力?」

「そうなんだよ。まあ最初に気が付いたのは早苗なんだけどね」

「早苗が?」

「はい。昨日の朝にいつもなら少ししか感じない雷獣の妖力が強いと思った瞬間異様な力を感じて……」

「そして早苗が気が付いた日の夜に鳴神がなったって訳なんだよ」

俺は二人の話を聞いて昨日の違和感が雷獣だけで無くその力もあるんだと分かった。

「その力を確かめるためにも霊夢達に協力して欲しいんだ」

諏訪子の言葉でこの依頼は簡単に終わる事はないと陰陽師の勘が働いた。俺がそう考えている時もまた遠くで雷鳴が轟いていた_____

 

 

 

 

第一話〜完〜

 




うわっ。駄文ぱねぇー。意味わからん所ご了承下さい。
さて、次回は舞のための練習をしていきます。霊夢達はどう舞うのかお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 練習開始

あーあ。夏休みも今日で終わり。さらば夏休み。青柳龍です。
さて、今回は舞の練習をメインで書いて行きます。短くなる予感がしますがとにかく書いて行きます。
それでは第二話始まり始まり。


俺が早苗と諏訪子から話を聞いていると霊夢達が帰って来たのだが………

「ちょっと神奈子!これを着るなんて聞いてないわ

よ!」

「そうだぜ!こんな動きずらい格好をするなんて」

「こんなタイプの服を着るのは初めてね」

「私はこれ意外と好きかも」

霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢の順に出てきたのだがその格好が霊夢のよく着る巫女服とは違うタイプの白い巫女服だった。

「しょうがないだろ。毎回踊る時はこの服を着てるんだから」

「でもねぇ」

「別にいいじゃない。たまにはいつもの服より違う服を着た方がいいわよ?」

「ねぇ咲夜。別にいつもこの服を着てる訳じゃないって前に言ったわよね?」

「あら?そうだったかしら?」

「あんたねぇ」

「喧嘩は後にして早速練習を始めようか?」

霊夢と咲夜が喧嘩しそうになったのを諏訪子が止め練習の催促をした。霊夢は渋々従った。

 

 

 

 

 

俺は神奈子と共に楽器の練習をする事になった。担当は横笛だ。

「晴竜は横笛をした事はあるのか?」

「一通りはやった事はあるが……」

「なら、すぐに曲の練習を始める事が出来るな。なら、まずは私の笛を見ててくれ」

神奈子はそう言うと自分の横笛を取り出し吹き始めた。

「おお………」

俺は思わずそう言ってしまった。神奈子の吹く笛はとても優しくそして力強くて息を呑む程だった。神奈子は吹き終えるとふぅと息を吐いた。

「晴竜にはこれを吹いて貰う」

「え?は!無理無理無理。俺じゃなくても分かるぞ。これ、何年か横笛をしてる人じゃないと吹けないやつだ!俺は修行の一環でしたぐらいでそんなにやった事無いんだ!」

「一通りは出来るんだろ?大丈夫だ」

「えぇ……」

俺は神奈子に説得され横笛を受け取ると神奈子に合わせ見よう見まねで吹いてみたが納得いくものじゃ無かった。

「まあ、最初はそんなもんさ。とにかくは指を覚えてくれ」

俺は(こうなりゃあとことんやってやる!)と心を決めると笛を構えた。

 

 

 

 

 

笛の練習を始めてから一時間ぐらいが経った。(と思う)神奈子は少し休憩だと言って母屋の縁側に座った。俺も神奈子の隣に座ると向こうで踊りの練習をする霊夢達を見た。

「じゃあ、さっき教えた所をもう一度やるよ。私と早苗についてきてね」

諏訪子がそう言って踊りの始めの構えをした。霊夢達は息を整えながら諏訪子と同じ構えをした。構えたのを確認した諏訪子は早苗に目線で合図すると

「いち、に、さん、し」

と言いながら振り付けを踊った。その舞を笛の練習をしながらちらっと見ていたがとても滑らかに動いていて時に綺麗に、時に妖艶に諏訪子と早苗は舞っていた。特に諏訪子の舞を見て俺は思わずあれは諏訪子か?と思う程だった。

「霊夢、そこ遅い!魔理沙、そこは逆!咲夜、横を見ない!妖夢、動きを大きく!」

諏訪子の指導にも熱が入り、本当に諏訪子なのか疑問に思えて来た。

「なあ神奈子」

「ん、何だ?」

「あそこにいるのって諏訪子だよな?」

「ん?ああー。あれは諏訪子だ」

「普段の諏訪子と性格違くね」

「諏訪子は昔から踊りが好きなんだ。だから教える時についつい熱が入っちまうんだ」

「へぇー。そうなのか」

諏訪子の意外な一面を見たなと思っていると霊夢達も休憩に入るようだ。

「よし!ちょっと休憩」

『キツいーーー』

そう言って霊夢達は地面にへたり込んでしまった。

「もうバテたの?まだ三分の一しかやってないよ」

『これで!』

よく声が揃えれるな。

「そう。これで」

そう言う諏訪子は笑顔だったが霊夢達にとっては悪魔の笑顔だろう。その証拠に

「あんた悪魔なの!」

「そうだ!そうだ!悪魔、鬼!」

「これ、筋肉痛になったら明日の仕事に響くわ」

「私も仕事が……」

「……………もっと練習量増やすよ?」

「まだまだやりましょう!」

「そうだぜ!練習あるのみだ!」

「お嬢様の為にも頑張らないとね」

「私もやるよ!」

「「「……………………」」」

俺と神奈子、隣で見ていた早苗は顔を合わせるとため息をついた。霊夢達には申し訳ないが楽器担当で良かったと思った。

 

 

 

 

夕方になり、神奈子が

「今日の練習はこれまでだ。お疲れ様」

「終わったー」

俺ははぁと息を吐いた。たかが笛だと思ったら大間違い。始めての曲だから慣れてないと息が続かず変な所で息を吸わなければならないし、ずっと吹いていると何故か力が抜けてくる。だから笛も一苦労する。と言っても霊夢達の事を見てると自分はまだまだ甘いなと思える。

「じゃあまた明日ね」

「え!明日もするの!」

霊夢が驚いて聞くと諏訪子は当たり前じゃないと答えた。

「霊夢達はセンスはあるけど素人は素人。魔理沙も言ったけど練習あるのみなんだ。だから本番まで毎日練習だよ」

「これって下手すれば命蓮寺の修行よりもキツいわ………」

そう言う霊夢の呟きは遠くで響く雷鳴によってかき消されていた。

 

 

 

第二話〜完〜




どうだったでしょうか?少し後書きを付け足しますが本当に書いていながらどう舞の表現をしようか考えましたがこうなりました。ごめんなさい。後、霊夢達の衣装はよく神社にいる巫女さんの巫女服だと思って書きたいと思いましたがどう表せばいいのか分かりませんでした。すみません。
さて、次回も引き続き練習模様だと思います。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 雷獣との邂逅

今日からまた書いて行きます。明日はカラオケに行くのですが天気予報は雨。でも行くんですけどね。青柳龍です。
さて、今回で三話目となります。まだ練習を続ける晴竜達に雷獣が近くまで迫ります。
書いててなんですが、いつも八話まで書いているんですが今回の章は八話まで行けるかどうか私は分かりません。何とかやりますが短くなった時はご了承ください
それでは第三話始まり始まり。


ここは博麗神社。俺はここで霊夢達と共に諏訪子、神奈子、早苗から雷獣を鎮めるための舞の指導を受けていた。そして俺達がある程度覚えてきていた時だった。人里の方で大きな雷鳴と稲光がした。

「うおっ!今のは近かったな」

俺は驚いて雷がなった方を向くと霊夢達もした方を向いた。

「そうね。人里に落ちなければいいけれど……」

と霊夢が心配したのも束の間、人里の方から黒い煙が上がるのが見えた。

「あれって……」

「ちょっと、やばくない?」

魔理沙と咲夜の言葉に全員顔を見合わせると急いで人里に向かった。

 

 

 

 

人里に着くと信じられない光景が広がっていた。燃える家に逃げ回る人々、そして背に羽を付けた大きな虎のような体躯をした妖怪がいた。

「なんだあの妖怪。見た事がないぞ!」

俺は驚くと霊夢達も同じく驚いていた。

「私もあんな妖怪、初めて見たわ。一体何者なの?」

「まさかあの憑姫とかの同じ昔、博麗の巫女から退治されて怨みを持って復活したっていう部類か!」

魔理沙がそう言ったのを咲夜が否定した。

「それは無いわ」

「何でそう言い切れるの?」

妖夢が聞くと咲夜は答えた。

「もしそうなのだったら何故霊夢を最初に攻撃してこないの?怨みがあるなら霊夢を攻撃した方が手っ取り早いと思うけど」

「確かに……」

二人が納得して頷いている時、早苗がある事に気が付いた。

「この妖力、この鳴き声、まさか!」

「早苗?」

俺達が早苗の方を向くと早苗は叫んだ。

「あれって雷獣ですよ!間違いありません!」

『え……えぇええぇ!?』

俺達は同時に驚愕の声を出していた。

「あれが雷獣?晴竜から言った姿と全く違うけど?」

霊夢は疑っていたが早苗に言われ改めて妖力を感じた俺と神奈子、諏訪子は頷いた。

「確かに………。言われて見ればあの妖怪から感じる妖力はこの前から鳴っている鳴神と同じ妖力だ」

「それにしても諏訪子?何で雷獣はあんな姿になったんだ?」

「私に言われてもも分からないよ」

「ちょっと!?あ、あれ!」

『グォォォオ!』

妖夢が雷獣に指をさしながら叫んだ。俺達が雷獣の方を見た瞬間、雷獣は遠吠えをした。すると急に雲が現れ、黒くなると俺達に向かって雷が落ちた。

『!?』

俺達は間一髪避けたが、落ちた所は地面がえぐれ、落ちた際に起きた雷光と雷鳴に怯んでしまった。

「ぐっ、み、みんな!大丈夫か!」

俺はチカチカする目を瞬きながら霊夢達に声をかけるとすぐ全員から返事が帰って来た。

「う。まだ耳鳴りがするわ」

「本当にあんな近くに雷を落とされたらそうなるぜ」

「それにしても急に攻撃してくるなんてね」

「このままじゃあ、いずれは周りの人達にも被害が出るよ」

そんな霊夢達の声を聞き、早苗達三人に尋ねた。

「なあ!術を使って雷獣を調服してもいいか?」

俺は札を取り出し術を唱えようとしたが早苗が慌ててそれを止めた。

「ダメです!雷獣は妖怪の山でも天狗、山の四天王に次いで力のある妖怪の上に山の妖怪達に信頼されてるんです!それがもし調服されたとなったら妖怪の山は大混乱に!」

雷獣が妖怪達に信頼されているとは思いもしなかった。そうなると、もし妖怪の山に住む妖怪達が調服した事に怒って暴ればめんどくさい事になる。そこで俺は思い付いた。

「うーん。なら、舞を踊るか?」

そう提案すると全員あっと気付いた。そして俺達は早速雷獣を止めるべく行動に移した。

 

 

 

 

第三話〜完〜




うーん。中々文字数が伸びない。このままだと短すぎる章になってしまう。後々、取り返さなければ!
さて、次回は雷獣を鎮めるために舞を踊ります。しかし、まだ練習途中の霊夢達は上手く踊れるのでしょうか?お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 踊り子の心

今日は友達とカラオケに言って来ました!いやー歌った、歌った。もう喉が痛いです。(微かに血の味もした)ですが今日も書いて行きたいと思います。青柳龍です。
さて、今回は遂に霊夢達が舞を踊ります。どんな結果になるのかお楽しみに。
それでは第四話始まり始まり。



霊夢達は雷獣を囲むように円状に立った。俺は縛魔術で雷獣を捕え同時に毒素を抑えるための結界を張ると横笛を取り出した。笛に口を当て霊夢達の方を見ると全員目線を俺に向けて来た。本来ならプリズムリバー姉妹の演奏も加わるのだが今は緊急事態。贅沢は言っていられない。俺は練習道理に笛を吹き始めた。霊夢達は俺の奏でる笛の音色に合わせ舞を踊った。舞を踊っていると雷獣は苦しみ出し身体から黒い煙のようなものを出していた。(これなら!)俺は心の中で成功を確信した。だが次の瞬間だった。段々と舞の力が弱くなっていき、遂には____

「う、うわっ!?」

妖夢の足が絡まり妖夢は派手に転んでしまった。すると雷獣から出ていた黒い煙のようなものは雷獣へと戻り、雷獣は妖力を爆発させた。妖夢が転んだ事に気が行ってしまっていた俺は結界の維持が出来なかった。俺が気付いた頃には既に雷獣は縛魔術と結界を破壊し、外に出ていた。

「しまった!」

俺は慌てて縛魔術を再び掛けようとするが雷獣は再び雷雲を呼び出すと無数の雷を落とした。

「くっ!『砕!』」

「二十結界!」

俺は落とされた雷を言霊で破壊し、霊夢は結界でみんなを守った。そして全ての雷が落ち切った時、雷獣はその場には居なかった。

 

 

 

 

「ちょっと妖夢!何であそこでつまづくのよ!」

博麗神社に戻って来た俺達。そこで霊夢は妖夢を正座させて説教をしていた。

「いや、だって「だってもさってもない!」ごめんなさい」

霊夢の迫力に妖夢は完全に縮こまってしまった。何だか可哀想になって来た。俺は妖夢をフォローする事にした。

「霊夢?そこまででいいじゃないか。妖夢はちゃんと反省してるし、急に本番だって言われても普通は出来ないものだぞ」

「でも、つまづいたせいで雷獣には逃げられるわ、人里の後片付けを手伝わせられるわで散々な目にあったのよ」

「霊夢?最後は妖夢と関係ないと思うんだが」

「晴竜」

「?」

「黙って」

ギロっと睨まれた。

「…………………………………はい」

すまん。妖夢。俺はここまでのようだ。

「はぁー。確かに最後のはただの八つ当たりよ。でも妖夢。あんたが次の本番の時にちゃんと踊って貰わないと舞は完成をしないの。そこは分かってね」

「…………うん」

霊夢の言葉に妖夢は俯き頷いた。

 

 

 

 

それからというもの。霊夢達は再び練習を開始したが中々上手く行かない。妖夢が所々で振り付けを間違えたり、転んだりしてしまうのだ。妖夢は失敗した所はしっかり直す性格だ。しかし今の妖夢は同じ所を何度も間違えてしまっていた。今の妖夢では練習は無理だと考えたのだろう。諏訪子は全員に「休憩!」と伝えた。俺は霊夢達から少し離れた所に一人で座った妖夢に近付いた。

「妖夢?」

「………晴竜。何?」

「どうした?いつものお前らしくないぞ?」

「……………」

俺が尋ねると妖夢は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「妖夢?」

「…………私、怖いんだ」

「怖い?何が?」

「本番の時に転んだらどうしよう。振り付けを間違えたらどうしよう。また霊夢達に迷惑をかけるとどうしよう。踊っているとそんな事が頭を過ぎるんだ。そしたら間違えてたりして………はは、ダメだよねぇ私」

(まずいな。間違えたらどうしようと言う心配で余計に間違えてしまう。完全な悪循環になってる)俺が何とか励まそうと妖夢に声をかけようとすると

「うん。ダメだね」

なんて事を言ったんだ!俺は声の主、諏訪子を睨んだ。

「ちょっ、諏訪子!」

「晴竜は黙って」

「………………………はい」

俺ってこんなに幻想少女に睨まれると勝てない性格なのか?

「ですよね。私はダメですよね………」

「そう。でも私が言っているのは今の妖夢の事だよ。決していつもの妖夢の事じゃないよ」

「え?」

妖夢は驚いたように諏訪子を見た。

「妖夢は決してダメじゃないよ。ダメなのは失敗を恐れて全力を出し切れない今の妖夢だよ」

「全力を出せてない………」

「そう。だから」

諏訪子は頷いて手を差し伸べた。

「失敗を恐れないで。確かに一度失敗すると再び失敗するのを恐れるのは誰だってなる。でもいつまでも恐れていては何も出来ないよ。なら一緒に乗り越えようよ。妖夢は一人じゃない。私達がいる」

妖夢はゆっくり霊夢達と俺を見ると諏訪子の手を取った。諏訪子はその手を引っ張り妖夢を立ち上がらせた。

「私、今まで何を悩んでいたんだろ?こんなの悩んでいても意味がないのに」

妖夢は微笑み、諏訪子に連れられて霊夢達の元に向かった。俺はほっと一息をつこうとした時、遠くで鳴神がなった。

「まだ、一息はつけないな………」

俺は遠くにいる雷獣を思いそう呟いた。

 

 

 

 

 

第四話〜完〜

 

 

 




今回も書き終わりました。この章ではだいぶ長くしましたがどうだったでしょうか。諏訪子、何者?
さて、次回は舞の練習を再び再開しますがそれだけではありません。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 新たな踊り子

あー。普通の学校生活に戻るのは大変だ。本当に早く一週間経たないかな。青柳龍です。
さて、今回は霊夢達に新たな踊り子が加わります。一体誰なのか。
それでは第五話始まり始まり。


妖夢がこの前の失敗から立ち直り、いつもの調子を取り戻しつつあったある日の事。俺達はいつものように舞の練習を(既に練習が日常化してきている)していたら諏訪子が遅れてやって来た。その後ろには何故か華扇、優曇華、お空、そして響子の四人がいた。

「諏訪子?後ろの四人は何なんだ?」

俺が聞くと諏訪子は説明した。

「雷獣と出会った時に予想以上に手強いと分かったからね。踊り子を増やそうと思って」

「なるほどな。確かにあの雷獣は予想以上の力を持っていた。それで人数を増やしたのか」

「そう言うこと。さ、早速練習を始めるよ!」

諏訪子の掛け声に全員が頷いた。

 

 

 

 

 

「うーん。ここ上手く出来ないよー」

「お空。そこはこうゆう風に動くの。いい?」

「ありがとう!咲夜!」

「ふふ。どういたしまして」

「ねぇ霊夢?ここはどのタイミングで回ればいいんですか?」

「華扇が聞いて来るなんて何か不思議だわ」

「だって私は舞を踊る事なんて久方ぶりなんです。聞くのは当然でしょう?それでタイミングの事なんですが」

「はいはい。ここはね____」

「妖夢さ。舞を踊れるのにどれくらいかかったの?」

「うーん。一週間ぐらいかな」

「え!?そんな簡単に出来る舞なの?」

「毎日スパルタ練習をすれば」

「全然簡単じゃなかった!?そんなに厳しいの?」

「うん。だから優曇華も覚悟しておいた方がいいよ」

「……………」

「よっしゃー!やって行くぜ!」

「よろしくお願いしまーす!」

「うおっ。流石響子だぜ。元気があるなぁー」

「へへぇ。ありがとう♪」

「よし。まずはここからな」

「うん!」

「一部を除けばやる気満々だな……」

俺は霊夢達を見てそう呟いた。諏訪子に言われ霊夢は華扇に。咲夜はお空に。妖夢は優曇華に。魔理沙は響子にワンツーマンで舞を教えていた。やる事がない早苗達三人は俺の笛の練習に付き合っていた。

「そうだね。これぐらいの元気がなきゃだめだからね。良かったよ」

俺の呟きに諏訪子はうんうんと頷いて言った。すると神奈子がある事に気が付いた。

「そう言えば、このメンバーを見ると各勢力から一人ずつ舞を踊る事になったな」

「え?あ!そう言えばそうだな」

神奈子の言う通り咲夜に妖夢、優曇華に、響子、お空といった幻想郷が誇る各勢力の一人がここに集まっていた。

「となると本番当日は各勢力が見に来るな」

「ここ最近では珍しい各勢力が一箇所に集まりますね」

「早苗の言う通りだな。各勢力が全員揃うのはここ最近は無かったし、もしもの事があれば何とかなるしな」

「………もしもの事なんて無い方がいいんですけどね」

早苗が願うかのように妖怪の山の方を見た。だが時折なる鳴神はそんな事は有り得ないと言うように雷鳴を轟かせていた。

 

 

 

 

第五話〜完〜

 




何とか八話まで書きたい。そう考えているとやっぱり短くしてしまいます。ですが何とか書いて行くのでお付き合いください。
さて、次回ではいよいよ本番前日になります。霊夢達はどのように準備をするのかお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 本番前日

大雨。それで学校が休みになった。……………やったー!青柳龍です。
さて、今回は題名の通り、本番前日です。霊夢達はどんな気持ちで挑むのでしょうか?
それでは第六話始まり始まり。


「おーい!こっちだ。こっち!」

「わっせ。わっせ。」

「そこ。もうちょっと右だぞ!」

「おー。やってる。やってる」

俺は目の前の光景にそう言った。ここは妖怪の山の麓にある野原。前に憑姫との戦いを繰り広げたこの野原に妖怪の山の天狗や、妖怪達が明日の舞の本番に向けて舞台の設置をしていた。俺は笛の練習に一区切りついたため舞台設置の手伝いに来ていた。

「あっ!陰陽師殿!どうなされたのです?」

俺は一人の天狗に呼び止められた。

「実は笛の練習に一区切りついたのでこちらを手伝おうと思ったので来ました」

「そうだったのですか。それは有り難いです。それではこの木材運びを手伝って貰えませんか?」

「分かりました」

俺はその天狗と共に木材を運んだ。運んでいる間に俺は気になった事を聞いた。

「最初に聞いた時は驚きましたけど、毎回雷獣を鎮める為に舞台を建てるんですか?」

「はい。まぁ、守矢神社の皆様は別に舞台なんて要らないと仰ってましたけど、文様が『記事にしますから豪華にしてください!』と言われたので作っているんです」

「なるほど………」

文よ。天狗達や、妖怪達に何やらせてるんだ?それに今更だが文って意外と天狗の世界では偉い位置にいるんだな。

「あ、ここで下ろします」

「分かりました」

俺達はせーので木材を下ろした。

「後どれくらい運ぶんですか?」

「後、数十本ですね」

「い、意外とありますね………」

俺はその後、予想以上の重労働に悲鳴をあげる事になる。

 

 

 

 

 

一方、霊夢達は前日の最終練習を行っていた。

「よし。これから全体を通して踊るよ。準備はいい?」

全員がうんと頷いた。

「じゃあ行くよ!プリズムリバー姉妹のみんなお願いね」

「「「了解!」」」

プリズムリバー姉妹の三人は目配せをすると演奏を始めた。奏でられる音色に全員体を委ねるように舞を踊り始めた。(流石プリズムリバー姉妹)霊夢達はそう思うほどプリズムリバー姉妹の音色は美しかった。そしてそれに合わせる舞は今までで一番しっくり来た。そして満足出来る舞を踊れた。

「うん。大丈夫だね。よくこんな短期間で踊れるようになったよ!」

「そりゃああんたがスパルタ練習をさせればね。上手くならない方がおかしいわ」

諏訪子の言葉に霊夢達は苦笑いした。その時、鳴神が鳴った。鳴神を聞いて諏訪子はふと真顔になった。

「……明日はどんな事が起きるか分からない。でも今皆ならきっと出来る!」

そう言って諏訪子は手を前に出した。霊夢達は最初、?マークを浮かべていたが諏訪子が何をしたいのか分かり、諏訪子の手の上に自分の手を乗せた。

「だから、明日は!絶対に成功させよう!」

『オー!』

諏訪子達は勢いよく手を上に上げた。いよいよ本番は近付く。雷鳴は未だに強く鳴り響いていた。

 

 

 

第六話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 




第六話書き終わりました。うん。短か!?せめて最終話ぐらいは長く書こう。うん。
さて、次回は本番当日になります。霊夢達は無事に成し遂げる事が出来るのかお楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 本番当日

最近日が落ちるのが早くなりました。秋の訪れを感じます。青柳龍です。
さて、今回は遂に本番です。霊夢達は無事に雷獣を鎮める事が出来るのでしょうか?
それでは第七話始まり始まり。


妖怪達がだんだん集まり始めている中。俺はプリズムリバー姉妹と共に舞台の端に座っていた。するとプリズムリバー姉妹の次女、メルランが目をキラキラさせていた。

「ねぇねぇ。ルナサ姉さん!いよいよ始まるんだね!またあの音楽を奏でられると思うと楽しみだよ!」

興奮する妹に長女のルナサは宥めていた。

「ちょっと、メルラン……。少し落ち着きなさい」

「だって!だって!」

メルランが興奮するのは無理は無い。今日は待に待った舞の本番の日だ。演奏する俺達は舞台の端にある演奏スペースで待機していた。

「いいじゃん。こんな風に演奏出来るのは少ないんだからね。そうでしょ?ルナサ姉さん?」

メルランを庇うように言ったのはリリカだ。ルナサは一つため息をつくと俺の方を向いた。

「ごめんなさい。騒がしくて」

「いいよ、いいよ。むしろこれぐらいの方が緊張しないで済むし。そう言えば俺って三人の演奏を聴いた事が無いんだよなー。最終リハーサルの時は俺は準備でいなかったからから」

「そうなんだ。でも、大丈夫だよ。むしろあの時聴くより今聴いた方が感動するって!」

「そうね。メルランの言う通りです。演奏しながらですけど、充分に聴き入ってくださいね?」

「うん。そうさせて貰うよ」

俺はプリズムリバー姉妹にそう言うとふと舞台袖を見た。そこには緊張した面持ちで本番を待つ霊夢達がいた。

「やっぱり緊張してるな………」

そう呟くと、プリズムリバー姉妹も同じ所を見て頷いた。

「確かに……。緊張してますね」

「でもさ。練習は充分にしたんでしょ?」

「霊夢さん達に限って失敗なんて無いから大丈夫でしょ」

「ちゃっかりプレッシャーかけてくるんじゃ無いわよ」

「うきゃ!?」

いつの間にか近くまで来ていた霊夢にリリカは驚き、変な声で驚いた。

「もーう!驚かさないでよ!」

「ごめんなさいね。でもわざわざプレッシャーをかける必要はないでしょ?」

「………ごめんなさい」

霊夢の言葉に反省したのかリリカは謝った。すると後ろから諏訪子の声がした。

「霊夢!そろそろ始めるからこっちに来て!」

「分かった!今行く!じゃあ演奏よろしくね」

霊夢はそう言うと舞台袖に戻っていった。

「さーて。俺達も最終の音合わせしますか?」

「「「おー」」」

俺達、演奏組も最終の音合わせを始めた。

 

 

 

 

 

数分後。いよいよ本番だ。さっきまでふざけたりしていたメルランとリリカも今は真剣な眼差しになっていた。そして

「それでは!ただ今より、雷獣を鎮める為の舞を踊って貰います!それでは皆様、よろしくお願いします!」

文がそう言い終わると文は舞台袖にいた霊夢達に目配せをした。霊夢達は小さく頷くと舞台に出ると円を描くように一人ずつ立った。立ち位置に立ったのを確認した俺は笛を吹こうとした。その時だった。

『ガオオオオォォォー!』

今まで遠くで鳴っていた鳴神が近くで鳴ったかと思うと上の方から大きな雄叫びをがした。俺達は慌てて上の方を見るとそこには雷獣が今にも雷を落とそうとしていた。

「まずい!全員逃げろ!」

俺は咄嗟に叫ぶと全員はっとし、舞台から飛び降りた。そして全員が舞台から飛び降りた瞬間。雷獣が舞台に雷を落とした。一瞬にして目の前は雷光により真っ白になり、耳を突き抜ける程の雷鳴が鳴り響いた。俺は思わず目を閉じた。

「う、うぅ……」

俺はゆっくり目を開けるとそこには雷によって破壊された舞台と舞台の中央に立つ雷獣の姿だった。雷獣は雷を落としても気が済まないのか。舞台をさらに壊し始めた。俺達は雷獣の出している毒素や雷で近付く事が出来ず、ただ舞台が壊されて行くのを見守る事しか無かった。

 

 

 

 

 

第七話〜完〜

 

 




書いている途中で何度か眠くなりました。基本は私は夜に書く派なのでどうしても眠くなります。本当に困ったものはです。
やっぱり上手く行きませんでしたね。霊夢達は頑張って欲しいものです。(もちろん晴竜も頑張って!)
次回は最終話です。霊夢達はちゃんと踊れるのか?お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 凶兆の前触れ

また予定通りに書けなかった!申し訳ございませんでした!青柳龍です。
さて、今回でこの鳴神異変の最終話となります。舞台を壊されて呆然とする晴竜達。晴竜達は無事に雷獣を鎮める事が出来るのか?この話は諏訪子とあいつが活躍します。後、題名が最終話っぽく無いのは本文を読んで下さると分かります。
それでは第八話始まり始まり。


『ガオォォォォオー』

雷獣が雄叫びを上げる中、俺達は雷獣を止めるべく各自動いていた。

「全く!大人しく私たちの舞を見てなさい!行くわよ魔理沙!」

「了解だぜ霊夢!」

霊夢と魔理沙は雷獣に向かって行こうとした。そんな二人を俺は慌てて止めた。

「駄目だ!」

「晴竜?何で止めるの?このままじゃあここにいる皆にも被害が」

「確かにそうだが、雷獣が出す毒素は俺達人間には有害なんだ。だから無闇に近付いても俺達がやられるだけだ!」

「なら何なの!私たちはこのまま指をくわえて暴れているのを見てるだけなの?」

霊夢は怒りに満ちた目でこちらを見てきた。何とかしたいのは俺も分かる。しかし結界が通用しない今の状況じゃあ見守るしか無い。そう諦めかけたその時だった。

「なら私が行くよ」

俺達は声のした方を見た。そこに居たのは諏訪子だった。

「人間には有害な毒素でも私には効かないよ。だって私は神様だからね。晴竜、私なら問題無いよね?」

「確かにそうだが……。でも危な過ぎる!」

俺はそう言った。神である諏訪子なら毒素は効かないが万が一の事がある。しかも今は神奈子や文、華扇、プリズムリバー姉妹はここに来ていた天狗や、妖怪達の避難誘導をしてるし、咲夜に妖夢。お空や優曇華、響子の五人は自分達の主の安全を確かめる為に主の元へ行っている。だからここに残された俺、霊夢、魔理沙、早苗、諏訪子の五人の内、雷獣に近付く事が出来るのは諏訪子しか居ない。そのため諏訪子が何かあっても俺達は近付く事が出来ないのだ。

「大丈夫。大丈夫。私は心配要らないって」

「………諏訪子様がそう言う時は絶対大丈夫じゃあ無いんですよ」

「早苗?」

諏訪子が目を丸くし早苗の方を見た。

「いつもなら私をこき使うのに。それなのに何でこんな大変な時は私を頼ろうとしないんですか!」

「早苗………」

諏訪子は少しずつ早苗に近付くとゆっくり手を頭に近付かせて行くと

「えいっ!」

「きゃ!」

早苗の額に指弾を打った。

「痛たたぁ。す、諏訪子様?」

「早苗を頼るのは早苗自身に危険が及ばない時だけなんだ。だから今は早苗に頼らないの?分かった?」

諏訪子の言葉に早苗は反論しようとするが、諏訪子の目が鋭い目付きになった。まるで反論は聞かないと言わんばかりに

「それじゃあ行ってくるね」

諏訪子はそう言うと俺達に手を振り、雷獣に向かっていった。

 

 

 

 

諏訪子は未だに暴れる雷獣の前に立った。雷獣は諏訪子に気付くとすぐさま威嚇をした。

『ガアゥゥゥウ』

「おーおー。怖い怖い。でも直ぐに私に怯える事になるよ」

次の瞬間、いつもの諏訪子の声から一気に声が低くなった。

「覚悟する事だね」

諏訪子はスペルカードを使った。

「開宴、二拝二拍一拝!」

諏訪子がそう叫ぶと雷獣に向かって赤と青のレーザーが放たれ、諏訪子はパンパンと拍手を打った。その瞬間に弾幕が放たれ、そして雷獣の左右から赤いレーザーが放たれた。よろめく雷獣に諏訪子はさらに追撃した。

「まだまだ!神具、洩矢の鉄の輪!」

諏訪子は手を上にかざすと諏訪子の手に鉄製の大きな輪っかが出てきた。

「はぁぁぁ!」

諏訪子はそれを雷獣に向けて投げるとその輪っかは赤い弾幕となり、雷獣を襲った。神によるスペルカードの攻撃に雷獣は為す術が無く、苦しんでいた。

「さぁ!これで最後だ!祟符、ミシャグジさま」

諏訪子が手を合わせると諏訪子の周りに米粒弾が出現し、雷獣に向けて放たれた。ただの弾幕みたいだがこのスペルカードの強さは効果時間の長さだ。雷獣が必死に耐えているが全く弾幕が止む気配が無かった。遂に雷獣は右前足の膝をついた。

「これでよしと。晴竜!ちゃちゃっと結界を張ってこいつの身動きを封じちゃって」

諏訪子が雷獣から目を離し、俺達の方を向いた瞬間。さっきまで苦しんでいた雷獣が一瞬の内に立ち上がった。

「まずい!」

「「諏訪子!」」

「諏訪子様!後ろ!」

「え?」

諏訪子は俺達の叫びに直ぐに慌てて雷獣の方に振り返った。そんな諏訪子に雷獣は諏訪子の首を喰らおうと牙を剥いた。霊夢達三人が悲鳴を上げる中、俺は諏訪子に結界で守ろうとしたが間に合いそうに無い。(くそっ!術が間に合わない!)そう思った時だった。俺の横を風が吹いたかと思うと雷獣が後方に飛ばされていた。そして雷獣と諏訪子の間にいる者の姿を見て俺は気付いた。ここにはもう一匹雷獣に近付ける奴が居たと。俺はそいつに叫んだ。

「諏訪子から雷獣を引き離せ!輝龍!」

『グォォォォォオー!』

俺の式神である輝龍は応と答えるように雄叫びを上げた。そして輝龍は雷獣の前に迫った。

『ガオォォォォオー!』

『グォォォォォオー!』

雷獣と輝龍は威嚇し合うと凄い勢いで頭突きで激突した。二匹とも後方に下がると輝龍は龍神の咆哮を放ち、諏訪子から雷獣を引き離すように攻撃して行った。毒素が諏訪子の居る所から消えたのを確認した俺達は諏訪子に駆け寄った。

「諏訪子!大丈夫か?」

「うん。大丈夫だよ。ありがとう」

「うぅ。諏訪子様ぁぁぁぁ。心配しましたぁぁぁぁ!」

「早苗泣くんじゃないよ」

泣きながら抱きつく早苗を諏訪子はごめんごめんと謝りながら頭を撫でていた。そして俺に声をかけた。

「ありがとう晴竜。助けてくれて」

「いや、俺じゃあ無い。お前を助けたのは輝龍だ。お礼を言うなら輝龍に言ってくれ」

「そう、だね」

諏訪子は雷獣と戦う輝龍に向かって叫んだ。

「頑張って!輝龍!」

『グォォオ!』

輝龍は返事をすると尻尾で空に飛び上がろうとしていた雷獣を上から叩き落とした。その光景を見ていると避難誘導や主の元に行っていた神奈子達が戻って来た。

「お前達!大丈夫か!」

「一応全員大丈夫だ」

神奈子の問いに俺が答えると神奈子達はほっと胸を撫で下ろした。

「それにしてもなんか凄い事になってるねー」

プリズムリバー姉妹のリリカが雷獣と輝龍との戦いを見て言った。リリカの言葉に頷く少女達。

「そうだね。まさか輝龍が戦ってるなんて。このまま雷獣をやっつけてくれないかな」

「それは無理だ妖夢。雷獣は妖怪の山には必要な妖怪だし、それに今は輝龍が優勢でもさすがの輝龍も長くは持たない」

「じゃあどうすれば………」

「そんなの。決まってるじゃん」

優曇華の言葉に諏訪子が答えた。

「舞を踊るんだよ。そうすれば雷獣の力は弱くなる。そして弱くなった所を輝龍が叩く。スペルカードの龍神の咆哮なら雷獣を調服しなくて済むでしょ」

「でも雷獣の雷や毒素はどうするの?」

「それは俺が何とかする。前は雷獣の身動きを封じながらだったが、今はその役目を輝龍がやってくれてる。今なら行ける!」

諏訪子と俺の言葉に全員顔を見合わせるとうんと頷いた。

「ならやろう!そして絶対成功させよう!」

『おー!』

諏訪子の掛け声に全員腕を振り上げた。そして俺達は雷獣と輝龍の戦う場所へと向かった。

 

 

 

 

「輝龍!その場で雷獣を食い止めろ!」

俺の指示に輝龍は雷獣の体に巻き付き、身動きを封じた。俺は身動きを封じたのを確認して結界を張った。そして霊夢達は雷獣を囲むように立った。俺は結界を維持しつつ笛を構えた。プリズムリバー姉妹の三人も楽器を構えると俺に目線を向けて来た。俺は静かに笛を吹き始めた。俺の笛の音色とプリズムリバー姉妹の奏でる楽器の音色に合わせ霊夢達は舞った。全員、練習以上に美しく舞っており、なおかつプリズムリバー姉妹の音色もとても綺麗で、思わず笛を止めそうになるほどだった。ふと雷獣の方を見ると今まで以上に苦しんでおり、黒い煙のようなものが体のあちこちから出ていた。そして遂に霊夢達は舞を踊り切った。踊り切った霊夢達は輝龍に向かって叫んだ。

『今よ!輝龍!』

『グォォォォォ!』

輝龍は雷獣を地面に抑えると空に飛び上がった。そして雷獣に向け渾身の龍神の咆哮を放った。

『ガオォォォォオ!』

雷獣は悪あがきの声を上げるとレーザーに包まれた。

 

 

 

 

 

雷獣との戦いが終わってから数日が経った。俺は博麗神社にやって来ていた。輝龍の龍神の咆哮をくらった雷獣はあれからいつもの姿に戻り力や意識もいつもの雷獣に戻ったとこの前にお礼しに来た諏訪子が言っていた。お礼を言われた輝龍は今は俺の膝の上でどくろをまき、寝ていた。するとお茶を用意しに行った霊夢が戻って来た。

「はい。お待たせ」

「ありがとう霊夢」

「どういたしまして。ん?」

「どうしたんだ?」

「晴竜が持っているそれって何?」

霊夢は俺が手に持っていた黒い結晶を見て聞いてきた。

「あぁ。これは雷獣と戦った後で落ちていたんだ」

「これって確かレミリアが持っていた水晶と同じよね?何で雷獣が?」

「分からない。でも一つだけ言える事がある」

「何?」

「前に起こしたレミリアの紅霧異変と今回の異変。どちらも何か裏で動いている」

「何かって何?」

「それは分からないけど。でも、何者かがレミリアと雷獣を使って異変を起こしたんじゃないかなと俺は思っている」

「もしも晴竜の言う通りならこんな風な異変は___」

「うん。まだまだ続くだろうな」

俺と霊夢は空を見上げた。鳴神が収まったこの幻想郷に、再び闇が襲おうとしていた。

 

 

 

 

鳴神異変〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 




予想通り書けて良かった。流石最終話。この章一番長く書けた。後、だいぶ章同士のリンクがあるのもよく出来たと自画自賛しています。
さて、今回で鳴神異変は終わりますが黒幕は今はまだ倒せていません。なので次の異変も大変な異変になると思います。また次回は紫さんをメインにして行きます。(紫さん!やりますよ!)それもふまえてこれからもお楽しみください。
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 舞の打ち上げ

台風接近で風が強い。家がミシミシいっていて少し怖いですが書いていきます。青柳龍です。
さて、今回は番外編と言う訳でこの章のメインだった人達で打ち上げをする事になりました。どんな打ち上げになるのかお楽しみに。
それでは番外編始まり始まり。


ここは地霊屋。古明地姉妹と地霊殿の妖怪達が経営する温泉施設だ。その地霊屋の大広間を貸切し、俺達はこの前の舞の打ち上げをする事になった。俺と霊夢、魔理沙が大広間に着くと既に他のメンバーは集結していた。

「俺達が最後見たいだな」

「そのようね。みんな打ち上げとか宴とかなると、ほんと早いんだから」

「ははは。いいじゃないか霊夢。これこそ幻想少女だぜ。それに今回は妖怪の山の天狗達や妖怪達もいるから新鮮だぜ」

「おーい!こっちだよ。こっち!」

声のした方を見ると諏訪子が俺達に向かって手を振っている。俺達は諏訪子に近付くとそこには幻想少女達が集結していた。

「ん?何でここに集まってるんだ?こんなに固まらなくてもいいじゃないか」

俺がそう言うと諏訪子達は苦笑いをした。

「それは、そうなんだけど……」

「みんな以外の者達に囲まれるって言うのも、ね?」

「そうそう。ちょっと居心地が悪いっていうか……」

なるほど。このような幻想少女達以外の人達と(人では無いが)このような宴をするのは新鮮すぎるらしい。周りを見ると少女達の心を察したのか他の者達もなるべく邪魔をしないように距離を置いている。

「ま、飲んでいればそんな事は考えなくても済むさ!さあさあ、飲め飲め!」

神奈子が全員に盃を渡すと早苗が一人ひとりに酒を注いでいった。全員に注ぎ終わると諏訪子は大広間中に声をかけた。

「えー。みんなのおかげで何とか舞が成功して、雷獣も元の姿に戻りました。本当にありがとう。それでは成功を祝って乾杯!」

『乾杯!』

 

 

 

 

 

俺は地霊殿の妖怪達が運ぶ料理に舌づつみを打っていると顔を赤くしすっかり出来上がった神奈子に絡まれた。

「なぁなぁ晴竜?」

「何だ神奈子……ってお前大丈夫か!?」

「何が大丈夫だって?ひっく」

「お前どれだけ飲んだんだよ?」

「え?一升瓶五本だけだが?」

「一升瓶五本!?神奈子。悪い事は言わない。もう飲むの辞めろ」

「えぇ。いいじゃないか晴竜。山の四天王の酒じゃ無いんだし」

「そう、なのか?なぁお空?この酒って何処から買って来たんだ?」

「そのお酒?それはね。萃香さんから貰ったの!」

「やっぱり鬼酒だった!やっぱ駄目だ神奈子。直ぐに飲むのを辞めろ!」

「いいじゃないかよ。晴竜ぅぅぅぅ。う、う」

「な、泣くなよ!しかも抱きついて来るな!最悪だ。神奈子って泣き上戸なのか!諏訪子!助けてくれー!」

助けを求めると諏訪子は直ぐにやって来た。そして俺から神奈子を引き離した。

「全く神奈子ったらまた派手に飲んだね」

「うぅ。諏訪子ぉぉぉぉぉ」

「はいはい。あっちで休んでようね」

神奈子に肩を貸し大広間から出て行く諏訪子。俺はほっと一息つくと今度は霊夢にに話しかけられた。

「晴竜」

「ん?何だ?」

「………」

すると霊夢は無言のまま俺に抱きついて来た。

「れ、霊夢さん?」

「少し黙って」

「………」

霊夢にそう言われては黙るしか無い。俺は言われた通りに黙っていると、段々と霊夢は抱き締める腕の力を強くして行った。流石におかしいと思った俺は声をかけた。

「霊夢?」

「………」

「どうしたんだ霊夢?いつもの霊夢じゃないぞ?」

「ねえ晴竜?何で神奈子に抱きつかれた時、引き離さなかったの?」

「そ、それは神奈子が力強くて」

「嘘よ」

「嘘じゃないって」

「嘘」

「嘘じゃない」

「嘘!」

「嘘じゃないってば!」

「……なら、私にだけこうしていて」

「!?」

霊夢らしく無いセリフに俺は顔を見ると霊夢と目があった。お酒のせいか恥ずかしいせいか顔を赤くし、上目遣いの目にうっすら涙を浮かべ、まるで小動物のような儚い顔をした霊夢に。

(ナンナノコノ、カワイイイキモノ)

「はあー。分かったよ。今度からはお前にだけしかやらないから」

「本当に?」

「ああ。本当だ」

「やった」

霊夢が見せた笑顔にドキッとした。霊夢はそのままギューと抱きついて来た。断る理由の無い俺はそのまま霊夢の頭を撫でていると何か忘れているような気がした。すると

「ん、ん」

「?。はっ!」

俺は魔理沙の咳払いで気付いた。ここは打ち上げの宴の会場だった事に。みるみる顔が赤くなるを感じながら俺は俯いた。

『…………………』

その光景を見た魔理沙達は料理を運んで来る妖怪に揃って言った。

『私にコーヒー。味は濃いめのブラックをください』

 

 

 

 

番外編〜完〜

 

 

 




どうだったでしょうか?本来はこんな結末にする予定では無かったのですが、『もっと霊夢とのイチャイチャを!』というリクエストがあったので急遽、このような結末にしました。キャラ崩壊が激しいような気がします。後、我ながらあまーーーーーい!
さて、次回の章は八話でも言いましたが紫さんがメインとなります。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神隠し異変の章
第一話 神隠し


昨日から北海道での大地震の事についてのニュースが流れています。ここ最近、大雨や地震という自然災害が多発しています。これを読んでくださっている皆様は十分に気を付けてください。青柳龍です。
さて、今回から新しい章に入っていきます。その名は『神隠し異変の章』です。まあそのままですね。そして遂にメインが紫さんになります。お楽しみに。
では、神隠し異変の章始まり始まり。


「……………」

ここは境界の狭間。ここに居る事が出来るのは八雲藍に橙。そして無言で立っている八雲紫だけだ。その紫が決意したかの様に頷くと藍と橙を呼んだ。

「何かお呼びでしょうか?」

「なにかおよびでしょうか?」

片膝をつく二人に紫は一つの命令とその命令の理由を話した。話終わると二人はショックを受けたような顔になったが、決して断ろうとはしなかった。そして三人はスキマから幻想郷に出ると早速行動を開始した。たとえその主の命が失われる命令だったとしても_______

 

 

 

 

 

 

「はぁー。いい湯加減だな」

「そうね。やっぱり温泉は違うわねー」

俺は霊夢の言葉に頷きながらお湯をすくうと顔にバシャとかけた。ここは地霊屋。俺は霊夢と二人で地霊屋に温泉を入りに来ている。その理由は、まぁ、察してくれ。

「おーい」

「何ー?」

「霊夢が持っていったシャンプー貸してくれー」

「嫌だー」

「いいじゃんかー」

「嫌だー」

「…………」

「じょ、冗談よ!冗談!ほら行くわよ!それっ」

俺は竹の仕切りの上から飛んで来たシャンプーを受け取った。

「ありがとう」

「どういたしまして」

それから俺は頭を洗うともう一度湯船に入った。

「ふぅー」

「あ。そういえば晴竜?」

「何だ?」

「今度さ、お母さんのお墓参りに行こうと思うんだけど付き合ってくれない?」

「霊花さんの?」

「うん」

霊花とは霊夢のお母さんで先代の巫女の博麗霊花だ。前に霊夢から聞いた話によると霊花は霊夢が小さい頃に博麗大結界を維持する為にその身を捧げた。(この話を聞いていて胸が苦しくなった)そして前に霊花の体を使って異変を起こした奴が居たがそれを無事に倒した時、霊夢はこのままじゃ駄目だと思い、安らかに眠って欲しいと願ってにとり達にお墓作りを頼んだ。だが、今まで色々な異変などがあり、やっと数日前にお墓が出来た。

「別に構わないけど………。俺がついて行っていいのか?」

「大丈夫よ。それにあんたも一緒の方がお母さんも喜ぶような気がするの」

「そうか?まあ霊夢がそう言うのなら」

「ありがとう晴竜」

 

 

 

 

 

温泉から出て温泉の入口で霊夢と合流した俺達はお腹が減ったため食堂に向かっていた。

「あー。いい湯だった」

「晴竜ったら、さっきから褒め言葉ばっかり」

「はは。そう言えばそうだ」

「ふふ」

こんな風に霊夢と会話しながら歩いていると前の方に地霊屋に来ている人々が何か話していた。気になった俺は話している人達の内の一人に話しかけた。

「どうしたんですか?」

「あ、これは晴竜さん。それに博麗の巫女様も。実はですね。さっき神隠しが起きたって言うんです」

「「神隠し?」」

俺と霊夢は頭を傾げた。神隠しとは突然人が消える事だ。

「神隠しって誰かきえたんですか?」

「はい。しかも同時に三人も」

一回に一人は分かるが三人が同時に消えるというのは中々無いパターンだ。更に詳しく聞くと神隠しにあったのは三人とも霊夢と同じぐらいの年頃の少女だと言う。

「私と同じぐらいの少女………」

「霊夢?」

「異変でもそうだけど、もしもこの神隠しが誘拐事件だったら犯人をコテンパンにするわね」

「霊夢よ。顔が怖いぞ」

「晴竜!」

「な、何?」

「早く行くわよ!」

「へ?ど、何処に?」

「もちろん神隠しにあった現場よ!現場!」

「マジで………」

(せっかく霊夢と二人で温泉デートを満喫しようと思ったのに!)俺はそう心で叫びながら調査に乗り出す霊夢と共に神隠しについて調べ始めた。

 

 

 

 

 

 

第一話〜完〜

 

 

 

 




うーん。やっぱり最初は中々伸びない。すいませんでした!次回はもうちょい長く書くのでよろしくお願いします。
さて、次回は神隠しについて調べていきます。紫さん達は何を企んでいるのかお楽しに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 犯人を追って

昨日はとても眠くて一話目を書いている途中で眠ってしまう時があって大変でしたが、今日は大丈夫です。青柳龍です。
さて、今回は神隠し異変の章第二話目になります。神隠しにあった人里の少女達、霊夢達の知らない所で動く紫達、一体何が起こるのでしょうか?後、新しい幻想少女が出ます。
それでは第二話始まり始まり。


神隠しにあった三人の少女を見つけるため俺と霊夢は地霊屋から飛んで神隠しにあったと思われる場所にやって来た。そこは人里から少し離れた田畑が並ぶ一本道だった。

「ここだと誘拐ってのは難しいな」

「そうね。でも消えたってのは本当なんでしょ?」

「ああ。人里の人達の話によると神隠しにあった少女達は慧音先生の寺子屋に通っている同級生らしくて、いつもこの道の先にある太陽の花畑で一緒に遊んでいたらしいんだ」

「そして今日も太陽の花畑に行こうとした所を神隠しにあったという訳ね」

「そういう事だ」

俺達は道に降りると三人の少女達が遊んでいた花畑まで歩いて見た。

「確かこの先の太陽の花畑って幽香が管理していたよな」

幽香こと風見幽香は太陽の花畑を管理している妖怪で、花を操る程度の能力を持っている。また、その能力から四季のフラワーマスターと言われている。周りからはとても恐れられているが花畑の花を傷付けるような事さえしなければとてもいい妖怪だ。(いい人ならぬいい妖怪)

「そうね。幽香なら何か神隠しについて知ってるかしら」

「少し聞いて見るか」

「そうしましょう」

俺達は早速、幽香の家に向かった。

 

 

 

 

「知らないわ」

「ですよねー」

俺達が幽香の家にやって来て数秒。神隠しについて聞くと幽香は即答した。ま、そう答えると分かっていたが。

「ごめんなさいね。役に立たなくて」

「別に大丈夫ですよ。一応の確認だったので」

すると今度は霊夢が聞いた。

「ねえ幽香?神隠しにあった少女達とは面識はあったの?」

「あったわよ。週に何回かここに来ては花の事を聞いてきてよく教えたし、一緒にクッキーを焼いたりしたわ」

(幽香って本当に妖怪達に恐れられているのか?)

「晴竜?私の顔に何か付いてる?」

「え?いや、何でもないです」

俺は幽香の事を考えていると幽香が顔を覗き込んできた。俺は慌てて頭を横に振ると幽香はふーんと言って霊夢の方を向いた。

「他に聞きたい事はある?」

「昨日はここに三人は来た?」

「来たわ。別にいつもの感じだったけど」

「分かったわ。聞きたい事はそれだけよ。ありがとう」

霊夢は礼を言って席をたつと玄関のドアへと向かった。俺も霊夢について行った。

 

霊夢と晴竜が家を出てから幽香は窓から二人を見送っていた。小さく呟いて。

「もう既に霊夢達は動いているわよ………。貴女に辿り着くのも時間の問題。どうする?紫」

 

 

 

 

幽香の家から出て今度は人里に向かって道を歩いていると霊夢がある事に気が付いた。

「ん?」

「どうした霊夢?」

「誰かから見られてる様な気がするんだけど……」

「おいおい。また憑姫が関係してくるなんて事やめてくれよ」

「違うわよ。そんな嫌な感じじゃないのよね……。なんて言うか、その、何か知っている様な感じがするのよ」

「でも周りには誰も居ないぜ?」

「うん。でも一人だけ心当たりがあるのよ」

「それって……」

「紫よ」

確かに紫ならスキマから俺達の事を見ていそうだ。それに____

「なあ霊夢」

「どうしたの?」

「紫なら神隠し、出来るくないか?」

「言われてみれば紫なら出来るわね……。でもあくまで可能性でしょ?それだけで疑うのも」

「そうだけど。参考までに紫に聞くってのもいいんじゃないか?」

「………そうね。紫にも聞いてみましょう」

そして俺達は早速、紫の元へ向かった。

 

 

 

 

 

「行くのはいいけど霊夢って紫の居場所分かるのか?」

「あ………」

 

 

 

 

第二話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




内容がぁぁ!内容がぁぁ!内容がぁぁ少ねぇぇぇぇええ!どうしようぅぅぅう!
さて、次回は紫達の元に晴竜達が向かいます。そこで待ち受けるのは一体何なのかお楽しみに!
それではまた次回!
(最近駄文が目立っております。出来るだけ改稿などで対処いたしますのでご理解のほどよろしくお願いします。)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 紫達の行方

日曜日。ゆっくりしながらダラダラしていたい。もちろんこの小説は気合いを入れて書いていきます。青柳龍です。
さて、今回は霊夢達が紫達を追います。後、紫達は一体何を企んでいるのか?
それでは第三話始まり始まり。


紫の居場所が分からない俺と霊夢は一番紫達の事を知っている幽々子のいる白玉楼にやって来た。早速、白玉楼の門をくぐり屋敷に向かっていると

「あら〜。晴竜に霊夢じゃない〜?」

とまったりとした声が聞こえて来た。声をした方を見るとそこにはどら焼きを左手に持ち、右手に持った扇子を振る幽々子と小さく手を振っている妖夢がいた。俺達が近付くと妖夢が声をかけてきた。

「どうしたの?それとも今日も何か食べに来たの?」

「あんたねぇ。いつもここに食べに来てるような言い方しないでくれない?………まぁ、あるんだったら貰わない事は無いけど」

「貰うんだ………」

「晴竜?何か言った?」

「何でもありません!」

「まあまあ。晴竜もどら焼き食べる?」

「あ、ありがとう」

俺は妖夢からどら焼きを受け取り一口食べた。

「あ、美味い」

「そうでしょ?このどら焼きを売っている和菓子屋って人気があるから買うの大変だったんだ」

「いいなー。私も買いに行きたかったんだけどその時に限って予定が入って来るのよねー」

「悪かったな。急に予定を入れてしまって」

「あ………」

「?」

「ごめんごめん。許して晴竜」

「そろそろいいかしら〜?ただどら焼きを食べに来た訳じゃないでしょ〜」

幽々子の言葉に俺と霊夢は忘れかけていた事を思い出した。

「そうだったわ。ねえ幽々子?紫って何処に居るか知らない?」

「紫?そうねぇ〜。いつもはスキマに居るからいつもどこにに居るのか分からないわ〜」

「そう、よね……」

「ただ、今の時間帯なら博麗神社に居るんじゃないかしら〜」

「博麗神社に!?」

霊夢の驚きに俺は頭を傾げた。

「霊夢?どうしてそんなに驚くんだ?」

「だって紫が博麗神社に来ていた事なんて知らなかったから」

「紫は、隠れて霊夢達を見守るのが日課だから〜。霊夢が知らないのは無理無いわ〜」

霊夢達を見守るのが日課ってどんだけ暇なんだ紫は。

「じゃあ、神社に戻って見るわ。ありがとう幽々子。後、ごちそうさま妖夢」

「どういたしまして〜」

「お粗末さまでした」

「俺もごちそうさま」

俺達は幽々子達に礼を言うと博麗神社に戻った。

 

 

「ふふ。久しぶりに霊夢達と話した気がするわ〜。さて、どら焼き♪どらや…………って無い!?」

「………さっき、霊夢が残りのどら焼きを全部持っていきました」

「れ、霊夢!?ちょっとぐらい残して行ってえぇぇえ!」

 

 

 

 

冥界から出ようとした時、何故か幽々子の声が聞こえたような気がした。

「ん?さっき、幽々子の叫び声聞こえ無かったか?」

「え?気のせいでしょ。もぐもぐ……」

「霊夢?さっきから何を食べてるんだ?」

「どら焼きだけど」

「白玉楼を出てからまだ食べてるのか。そんなに食べるの遅かったか?」

「ま、まあね」

「そうか?ま、それはさて置き、紫が博麗神社に居るって事は俺達の帰りを待ってるのかな」

「そうなるわね」

俺達は博麗神社に向け飛んでいると向こうから魔理沙が飛んで来た。

「おーい!霊夢!晴竜!大変だぜ!」

「どうしたんだ?」

「人里で神隠しが会ったんだぜ!」

「神隠し?三人の少女が消えたんだろ?それなら知ってるよ」

「違うんだ。その三人以外にまた神隠しが起きたんだ!」

「「何だって!」」

「どういう事魔理沙?説明して」

「分かったぜ霊夢。でもそれは神隠しがあった所に向かいながら説明するぜ」

「分かったわ。直ぐに行きましょう。晴竜も行くわよ!」

「でも、紫はどうするんだ?」

「紫に聞くよりまずはこっちが優先よ!さあ行くわよ!」

「わ、分かったから!引っ張るなよ!」

俺達は魔理沙と共に二度目の神隠しの現場に向かった。

 

 

 

 

 

第三話〜完〜

 

 




最終話以外で一度は三千文字越したいと頑張ってみよう。そうしなければ短すぎる。今回は二千文字も行かなかった。どうしょう!
さて、次回は二度目の神隠しの事と紫達との関連性が明らかになると思います。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 神隠しの犯人

秋になり、日中でも寒くなって来ました。体調管理気を付けてください。青柳龍です。
さて、今回は四話となります。再び起きた神隠し。神隠しの犯人は一体誰なのか?
では、第四話始まり始まり。


魔理沙から二度目の神隠しが起きた事を知らされた俺と霊夢は魔理沙を先頭にその現場に向かっていた。

「それで?神隠しに会ったのは誰なんだ?」

俺が聞くと前に居た魔理沙は振り返った。

「それがまた霊夢ぐらいの背格好の少女なんだ」

「またか。一体何の目的で………」

「私にもさっぱりだぜ」

俺と魔理沙はうーんと唸っていると霊夢が怒気を含めた声音で話してきた。

「本当に少女を狙うんなんて最低な事をする奴は絶対許さない!絶対見つけだして痛い目にしてやる」

「「…………………」」

神隠しの犯人、死んだな。これは。

「おっと、ここだ。二回目の神隠しの場所は」

そう魔理沙に言われ降りたのは最初の神隠しの現場同様に見晴らしのいい道だった。俺達が降りると既に人里の陰陽師達や警備隊が犯人の痕跡を探していた。すると一人の陰陽師に声を掛けられた。

「晴竜殿。来てくれましたか」

「どうもご無沙汰しております」

話しかけて来たのは人里の陰陽師達のリーダーをしている人だ。

「それでどうですか?犯人の痕跡ありましたか?」

「それが全くでして。我々も困っているんです」

なるほど。ここの陰陽師達は異変の時は人里を守るために人里から出ないが、ちゃんと実力を持った人達だ。そんな人達が調べて分からないとなると俺達も調べても分からないだろう。すると

「あれ?これって…………」

霊夢が何か見つけたようだ。俺と魔理沙。他の陰陽師達も霊夢の周りに集まった。

「どうした?」

「いや、気のせいだったわ。ごめんなさい」

霊夢の言葉に気を落とす陰陽師達と魔理沙。だが、俺には分かった。霊夢が嘘を付いていると。

「魔理沙、晴竜。私達はあっちを調べましょう」

「うん?ああ、いいぜ」

「…………」

俺達は陰陽師達と警備隊から離れ霊夢に付いて行った。

 

 

 

 

 

 

霊夢に連れられて人里の人達から離れると魔理沙が突然立ち止まった。

「で、霊夢。ここでいいだろ?何を見つけたんだ?」

「な、何の事を言ってるのかしら?」

「霊夢って嘘をつく時って必ず右眉をピクッと動かす癖があるよな」

「え!ウソ!」

慌てて目の上をを隠す霊夢。隠してももう遅いと思うが。ここで言っとくがこの癖は俺も知っている。だからさっき霊夢が嘘を付いていると分かった。

「何を見つけたんだ?」

魔理沙に問い詰められ霊夢は観念したようだ。

「実はさっき草むらでこれを見つけたの」

そう言って霊夢が出してきたのは帽子の様だったのだが

「これって紫がいつも被ってるナイトキャップじゃないか」

俺の言葉に頷く霊夢。このデザインと色は紫がいつも被っているナイトキャップだった。

「何で紫のナイトキャップがここに?」

「分からないわ。私だって見つけた時は驚いたんだもん」

「神隠しの現場に紫のナイトキャップ。これはますます紫に話を聞かないと行けなくなったな」

俺の言葉に二人はゆっくり頷いた。

 

 

 

 

スキマの中にあるハンモックのような物に紫は寝ていた。するとそこに藍がスキマから出てきた。

「紫様」

「藍?どうかした?」

「先程様子を見てきましたが気付いた様です」

「そう。流石に私の帽子を落とせば気付くわよね」

「紫様」

「何?」

「これで本当に良かったのですか?あの事を霊夢や、晴竜辺りに話せば何かしら案を出してくれると思うのですが」

「ううん。これは私の問題よ。出来れば知られたくないの。特に霊夢には」

「ですが____」

「藍は優しいのね」

「え?」

「ほとんど寝ている私の世話を嫌と言わずやってくれる上にあの事もしてくれる。あなたがいなければ私は生きていないわね」

「当たり前じゃないですか。私は、貴女の式神ですから」

「………ありがとう。藍」

紫はそう藍に伝えるとそっと横にしていた体を起こした。

 

 

 

 

 

 

第四話〜完〜




今回は早めに終わす事が出来ました。相変わらず短いですが。
さて、次回は遂に紫達と神隠しについて明らかになります。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 紫達の目的

三連休二日目です。今日はなぜか暑かった。でも書いていきます。青柳龍です。
さて、今回はやっと紫達と会います。紫達の目的とは。それを聞いた霊夢達はどうするのか?
では第五話始まり始まり。


霊夢が二度目の神隠しの現場で拾った紫のナイトキャップを見つけてから数分後。俺達は博麗神社に戻っていた。戻った理由はただ一つ。紫に会う為だ。

「紫!いるんでしょ!出て来なさい!」

「紫ー!」

「紫ー」

霊夢と魔理沙。俺は手分けして博麗神社の中を探したがどこにもいなかった。

「おかしいな。幽々子によれば紫はこの時間帯には博麗神社に居ると聞いたんだが」

「留守だからスキマに帰ったとか?」

「それは無いわ魔理沙。紫の事よ。絶対に近くに居るわ」

霊夢はそう言うが居ないのは事実だ。俺達はどうしようかと頭を悩ましていると突然声が聞こえた。

「あら?やっと帰って来たわね。霊夢?」

「紫!」

俺達がその声がした方を向くとそこにはスキマから出て来た紫と藍。そして橙の姿があった。それを見て霊夢は直ぐに紫達に聞いた。

「紫!やっと見つけたわ。ねえあんた。さっきまで神隠しの現場に居なかった?」

「居たわよ」

「それは良かったわ。なら、神隠しの犯人見なかった?」

「見たわよ」

「本当に!?それって誰?」

詰め寄る霊夢に次の瞬間、紫から有り得ない言葉が出てきた。

「誰って言われても。だってその犯人は私達ですもの」

「………………え?」

霊夢と俺、魔理沙は固まった。

 

 

 

 

「嘘、よね?あんたが、紫が人を攫うなんてこと。有り得ないわ!」

「……………」

霊夢の言葉に黙る紫。紫の突然の言葉に俺達は訳が分からなくなっていた。紫はこの幻想郷を作った妖怪にして、妖怪の賢者と呼ばれる程の実力を持った奴だ。そんな力を持っていながら紫は今まで、この幻想郷を支配しようとはしなかったし(俺が知る限り)、霊夢によれば紫はこれまでの博麗の巫女を全面的にサポートしてきた。言わば博麗の巫女の相棒的存在だったはずだ。それが何故このような事をしたのか?そんな疑問が浮かぶ中、霊夢は紫と話を続けた。

「ねえ!何とか言ってよ!」

「霊夢」

「何よ」

「あなた。勘違いしてない?」

「え?どういう事?」

「あなた忘れていない?私は妖怪よ?本来なら人を襲い、そして喰らう。それが妖怪の元々の行動よ」

「じゃあ何?あんたは喰らうために少女達を襲ったの?」

「そうよ。それ以外に理由はある?」

「そんな……………」

言葉を失う霊夢。そんな霊夢を見て紫は笑みを浮かべた。

「あなたは今まで様々な妖怪を退治してきたけど。この幻想郷にいる妖怪達は元々人をたべていたのよ?元々の生活に戻って何が悪いの?」

「…………そう。なら」

霊夢はそう言うとお祓い棒を手にした。

「これ以上あんたが人を襲えないようにここで倒すまでよ!行くわよ!魔理沙!晴竜!」

「おう!やってやるぜ!」

「分かった。やろう」

霊夢の掛け声に魔理沙はミニ八卦炉を、俺は手にスペルカードのアメノムラクモを出すと紫達に向け構えた。そして俺達は紫様に向け突進した。

「はあぁぁぁ!」

「ふっ」

霊夢の繰り出した攻撃を余裕で避ける紫。俺と魔理沙は霊夢を援護するため攻撃を仕掛けようとした。その時だった。

「ふふっ。霊夢とは一体一で戦うわ。藍。橙。よろしくね」

「はい。かしこまりました」

「はい!」

紫はそう言うと霊夢の攻撃をわざと受けるとそのまま霊夢ごとスキマに入って行った。

「くっ………」

「「霊夢!」」

俺と魔理沙は霊夢に駆け寄ろうとしたが藍と橙の二人に阻まれてしまった。そして霊夢は紫のスキマに入ってしまいスキマは閉じた。

「………藍?どういう事だ。何故紫は霊夢と一体一の状況に持ち込んだ?」

「それを聞きたいのであれば、私達二人を倒してからにしなさい!行きますよ!橙!」

「はい!藍しゃま!」

そう言って地を蹴った藍達。俺と魔理沙は黙って顔を合わせ頷くと藍達に向かって行った。

 

 

 

 

 

第五話〜完〜

 

 

 




書き終わりましたが、いやー。中々上手く考えていた通りにいったような気がします。この調子で最終話まで書いて行きたいと思います。
さて、次回は藍達VS晴竜と魔理沙になります。お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 式神達との戦い

だいぶ寒くなって来ました。秋だなぁー。と、とても思うこの日。青柳龍です。
さて、今回は紫の式神である藍とその藍の式神である橙との戦いです。後、紫はどうして霊夢と一体一の状態にしたのでしょうか。
それでは第六話始まり始まり。


霊夢が紫のスキマに入ってしまい取り残された俺と魔理沙は紫の式神の藍。そして藍の式神の橙と対峙していた。

「喰らえ!龍神の咆哮!」

「マスタースパーク!」

俺と魔理沙は同時に藍達に向けスペルカードを放った。だが藍達は読んでいたとばかりに俺達のスペルカードを避けると自分のスキマカードを放った。

「式神、前鬼後鬼の守護」

すると藍の左右から黄色と緑の大弾が放たれたと思えば二つの大弾が小弾をばら撒きながら俺達の方に迫って来た。

俺は迎撃するため、刀印を結ぶと真言を唱えた。

『ハビラウンケン、シャラクタン!』

そして俺が横に刀印を振るとその先の軌道が霊力の刃となって大弾を真っ二つに切った。その隙に魔理沙は二枚目のスペルカードを使った。

「スターダストレヴァリエ!」

その攻撃は藍に当たった。だがさらに追い討ちを掛けようとすると藍は後退した。藍が後退すると今度は橙が前に出てきた。

「藍しゃま!この二人は私が抑えます!そのうちに回復を!」

「ありがとう。橙」

橙はこっちに振り向くと直ぐにスペルカードを放った。

「仙符、鳳凰展翅!」

そう言うと橙の周りに魔法陣が展開し魔法陣から楔型の弾が放たれた。

「くっ。魔理沙!俺の後ろに隠れろ!五芒結界、急急如律令!」

俺達と橙との距離から回避は無理だと俺は考え、直ぐに結界を張った。

俺達が結界で弾を防いでいると橙はさらに追加のスペルカードを放った。

「まだまだー!鬼符、青鬼赤鬼!」

すると橙の横から青い弾と赤い弾がまるで生きているように動き俺達の結界を攻撃してきた。すると段々と結界にヒビが入った。(まずい。このままだと結界が破られる!)

「魔理沙!俺の合図で橙に向かってマスタースパークを放て!」

「何!?でもそんなことをすれば結界に跳ね返って私達に飛んでくるぜ?」

「大丈夫だ。俺を信じてくれ!」

「…………分かったぜ。晴竜!お前を信じる!」

魔理沙の言葉に頷くと俺は冷静にタイミングを見計らっていた。そして結界が破られた瞬間に俺は叫んだ。

「今だ!」

「マスタースパーク!」

魔理沙のマスタースパークがそのまま赤と青の弾を飲み込んでそのレーザーは橙に向かっていった。

「え!?」

橙が慌てて回避しようとするが遅い。マスタースパークは確実に橙に当たろうとした。(これはもらった!)

そう思った瞬間だった。

「幻神、飯綱権現降臨」

その瞬間色々な形、大小様々な弾幕が魔理沙のマスタースパークを打ち消した。

「何だと!?」

「魔理沙のマスタースパークが相殺された!?」

「…………橙だけには傷一つ付けさせない」

俺達は声のした方を見て冷や汗をかいた。そこには怒りのオーラを纏わせた藍の姿があった。

 

 

 

 

 

藍の本気モードに俺達は苦戦を強いられていた。

「絶対に逃がさない」

「くそっ!避け切れない!」

「晴竜。また結界を張れないのか?」

「無理だな。結界を張るにも張る隙が無え」

「じゃあどうすればいいんだぜ!」

藍が放つスペルカード。幻神、飯綱権現降臨は様々な種類の弾が次々と放たれるスペルカードだ。そのため隙が全く無く、結界が張れない。

「このままだと霊夢の助けに行けないぜ!」

「絶対に貴方達をここで止める!」

「藍しゃま!私もやります!」

藍のスペルカードに合わせ、橙も弾幕を放ってきた。そのせいか段々と回避が紙一重となり、遂に。

「うわっ!」

「魔理沙!」

魔理沙が被弾し、体勢を崩した。俺は魔理沙のフォローをするため魔理沙の近くに寄った。

「大丈夫か?」

俺は術で弾幕を迎撃しながら魔理沙に話しかけた。

「うう。すまん晴竜。当たっちまったぜ」

「別に謝らなくてもいい。逆によく今まで当たらなかったという事が凄いと思う」

「はは。そりゃあ霊夢とお前とで幾つもの異変を解決してきたんだ。そう簡単に当たるわけにはいかないからな。でもどうするんだ?これじゃあ負けるぜ」

「ああ………。そうだな」

「晴竜?どうした?」

魔理沙は俺の返事におかしいと思ったらしい。俺に尋ねて来た。

「大丈夫か?」

「え?あ、ああ。大丈夫だ」

「何かこの状況を打開出来る方法は無いか?」

「無い………事は無い」

「ホントか!」

「だが、成功するとは限らない………」

「自信を持つんだ晴竜!それでも霊夢の恋人か!」

「う///。き、急に何言うんだ!」

「早く藍達を倒して霊夢の所に行くんだろ!」

「!。そう、だったな!」

魔理沙の言う通りだ。俺達は霊夢の元に行かなければならない。そう考えると何故か力がみなぎってきた感じがした。俺は一つ深呼吸をすると魔理沙に言った。

「魔理沙。そっちに移っていいか?」

「晴竜がか?そっちは輝龍に乗ってるのにか?」

「ああ」

「別にいいけど………。ほら乗れ」

俺は魔理沙の箒に移ると輝龍に指示した。

「輝龍!藍達の上に行くんだ!」

『グォン!』

輝龍は藍達の放つ弾幕を器用に避けると藍達の頭上に陣取った。それを確認した俺は叫んだ。やっと作り上げた、俺の奥義のスペルカードを。

「龍停、終焉の龍の願い!」

そう叫ぶと輝龍は瞬く間に身体全体から凄まじい霊力の光を自分を中心として球状に放った。そしてその光は弾幕ごと藍達を飲み込んだ。

「晴竜がこんな奥義を持っていたなんて………」

「藍、しゃま…………」

 

 

 

 

 

 

俺の奥義を喰らった藍達は当分は動けない程のダメージを受けていた。俺はそんな二人に治癒の術を掛けつつ聞いた。

「なあ藍。何故紫は神隠しをやったんだ?」

「……………」

「藍。約束を守らないとは言わせないぞ」

「そうだぜ。さっさと話してくれ。私達は早く霊夢の所に行かないと行けないんだ」

魔理沙の言葉を聞いて藍はポツリと呟いた。

「博麗の巫女なら心配要らない」

「何?何故そう言い切れる?」

「何故なら、博麗の巫女は必ず勝つからだ」

「何?」

頭を傾げる俺達に藍の次の言葉を聞いた俺達は急いで霊夢の元へ向かった。

「急げ!晴竜!」

「分かってる!くそっ!間に合え!このままじゃ霊夢はまた家族を失うことになる!」

 

 

 

 

 

第六話〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 




だいぶ時間がかかりました。でも案外長く書けたので良かったと思います。それに考えていた晴竜の新しいスペルカードが出せたので良かったです。
さて、次回は霊夢と紫の戦闘です。幻想郷最強と最強の妖怪。どっちが強いのでしょうか?そして必ず霊夢が勝つとは一体?お楽しみに!
それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 妖怪の賢者との戦い

秋になって稲刈りする家が多くなってきました。私の家は農家なので私の家も稲刈りの準備しています。あと、土曜日書けなくてすみません。青柳龍です。
さて、今回は霊夢と紫の戦いとなります。紫の狙いとは一体何か?語り手は最近語り手になるようになった霊夢です。
それでは第七話始まり始まり。


紫によってスキマに誘い込まれた私は気付くと周りを木に囲まれた場所で倒れていた。

「ここ、は………」

私はゆっくりと体を起こすとどうしてこうなったのか思い出し直ぐに紫の姿を探した。すると少し離れた場所にある倒れた木に紫は座っていた。

「やっと起きた。あなたはいつも起きるのが遅いわね」

「うっさいわね。それよりあんたはよく私を倒すチャンスだったのに私が起きるまでずっと私を見てたの?」

「そうね。あなたの言う通りあなたが寝てる内に倒せたけど、それじゃあつまらないじゃない?それだったら起きるのを待って正々堂々と戦った方が楽しいわ」

「随分余裕ね」

「当たり前じゃない。ずっとぐーたらしているあなたに私が負けるはず無いもの」

「………へえー。結構な挑発をしてくるじゃないの」

「ふふっ。本当の事を言ったまでよ」

「…………最後の忠告よ。紫。直ぐに神隠しで攫った少女達を返しなさい」

この時、私はまだ紫の事を倒すのを迷っていた。私の事をお母さんの代わりに育ててくれたこの妖怪を。きっとこれは何かの間違いだと言う僅かな希望を。でも紫の返事はその僅かな希望を直ぐに打ち砕いた。

「それは、出来ないわ」

「そう。残念ね。なら問答無用で倒してあげる!」

私はお祓い棒を構え紫に飛びかかるとお祓い棒を縦に振り下ろした。

「あらあら。攻撃が甘いわよ?」

「黙らっしゃい!」

しかし紫は扇で口元を隠しながら横に避けるとスペルカードを放った。

「結界、光と闇の網目」

放たれたスペルカードは大玉の弾と無数の小玉の弾となり私に迫った。私は何とか紫から距離を取ると飛んでくる小玉の弾と大玉の軌道から放たれるレーザーの回避に専念した。専念しないともろに食らうからだ。

「ちぃ」

私は舌打ちをすると隙を見てスペルカードを放った。

「夢符、封魔陣!」

そう叫ぶと同時に札を投げると札は瞬く間に無数の札となって紫に向かって飛んで行った。だが紫は慌てた様子はなく次のスペルカードを放った。

「魍魎、二重黒死蝶」

そう言うと赤と青の蝶々弾が二つを交差させるように回転させて私の札を次々と打ち消した。そしてそのまま私の方に向かってきた。そのスペルカードを見て避け切れないと悟った私はもう一枚のスペルカードを使った。

「二重結界!」

すると私の周りに結界が展開した。展開した瞬間、紫の攻撃の衝撃が結界の中まで伝わってきた。結界の中まで伝わって来る程だ、もしも結界無しでこのスペルカードに当たっていたらやばかった。(悔しいけど流石紫ね。攻撃の威力もタイミングもみんなよりも桁違い。このままじゃあ負けるのも時間の問題ね)

「あら霊夢?私との戦いの中で考え事なんてね」

「え?しまった!」

私がどうしようか考えているうちに紫は私の結界を破っていた。私は咄嗟に距離を取ろうとしたけど、紫の弾幕を至近距離で食らってしまった。

「ぐはっ!」

食らった衝撃で地面を転がる私。やっと止まり体を起こそうとした時に少しお腹辺りから激痛が走った。

「これは、何本か折れてるかもね………」

お腹に手を置きそう呟く私は何故か微笑してしまった。そりゃそうだ。紫に対してあんなに強く啖呵を切ったにも関わらず紫に傷一つ付けられずその上、弾幕を何個か食らっただけでここまでなった。今の私は紫に敵わない。今更だけどそう思った。

「あら?博麗の巫女がこの程度?笑わせるわね」

「やっぱ、あんたはわざと挑発してるわよね……」

「ふふっ。どうかしら」

私はふんと鼻で笑うとゆっくりと立ち上がった。その間にも身体じゅうから悲鳴が上がる。私はその痛みに耐えながら紫を睨み付けた。

「随分と怖い感じになって来たわね」

「そうかしら?そりゃあ、今まで家族だと思っていた奴が急に敵になるだもん。そりゃなるわ」

「!」

私の言葉に紫は初めて不意を付かれたような顔になった。だが、その顔は直ぐに消えいつもの顔になった。

「そうよね。私はあなたを裏切った妖怪………。さあ、立ちなさい!あなたの本気で裏切った私を倒して見なさい!」

「…………ええいいわ。私の本気を見せてあげる」

私は右手に持っていたお祓い棒を横に投げ捨てた。そしてゆっくりと左手と右手を左の腰辺りに手をかざし、まるで抜刀のような構えを取った。

「霊夢何をしようと…………て、まさか!」

流石紫。もう分かったようだ。

「くっ!させないわ!二重黒死蝶!」

紫は私のしようとしている事に気付きスペルカードを再び使って来た。迫ってくる紫のスペルカードに気にせず私は目を瞑った。そして心の中で願った。

(お願い!力を貸して。お母さん!)

「はあぁぁぁぁ!」

目を開いた私は掛け声と共に抜刀をするように右手を横に動かした。すると迫っていた紫のスペルカードの弾幕が真っ二つに切られ、カウンターを予期して回避した紫の服に切れ込みを入れた。紫は私の手元を見て目を見開いた。紫の目線の先の私の手元にはいつの間にか鞘と刀が形成されていた。

「まさか、霊夢がそれを使うなんてね。正直驚いたわ」

「私もこれが使う時が来るなんて思いもしなかったわ。でもこれなら紫。あんたと戦える」

私は右手に持った刀を紫に向けた。

「お母さんの刀。霊刀、彼岸花でね!」

私は左手の鞘を地面に落とし彼岸花を両手に持つと構えた。

「何としてでもあんたを倒す。お母さんと一緒に!」

私は勢いよく地を蹴った。

 

 

 

 

 

第七話〜完〜

 

 

 




後で読んで見ないと分かりませんがちゃんと構成行ってるでしょうか?同じ事を何度も繰り返して言ったりやったりしてないでしょうか?それだけが心配です。あと、やっと彼岸花出せた。
さて、今回では紫と霊夢の勝負がつきませんでした。なので次回の最終話で決着をつけます。お楽しみに!
それではまた次回!




通信、改めて読んだ所、不十分な所が多数ありましたが自分が見た限りの修正は行いました。申し訳ございません。あと、感想、お気に入りなどよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 あなたの周りには

土曜日の分をこの日に!気合い十分書いていきます。青柳龍です。
さて、今回でこの神隠し異変は最終回となります。霊夢と紫の戦いの結果は?そして晴竜達は霊夢達との元へたどり着くのか?
それでは第八話始まり始まり。


弾幕を放ちながら私から距離を取る紫に対して私はその弾幕を彼岸花で薙ぎ払いながら紫に近付こうとしていた。紫との戦いは不利から優勢に逆転していた。

「全く。霊花の刀は本当に厄介ね」

「待ちなさい!」

私は札を取り出しそれを放った。

「封魔陣!」

無数の札が紫に降り注いだ。

「くっ!」

紫は避け切れず防御姿勢に入った。私はずっとそれを待っていた。

「貰った!」

私は刀を地面に刺すと両手を大きく広げた。

「霊符、夢想封印!」

放った私の夢想封印は真っ直ぐ紫に行き、全弾命中した。砂煙が舞う中、私はこれで紫が反省すると思っていた。しかし、安心した瞬間砂煙の中から弾幕が私に向かって飛んできた。

「!」

私は空中に飛び上がり何とか避け切ると砂煙を見た。するとだんだんと砂煙が落ち着いて行き、紫が傷を負いながらもこちらを睨み付けていた。

(これでもまだやるって言うの………)

私はゆっくりと下に降りると彼岸花を再び手に取った。

「あんたいい加減にしなさい。もう勝負は____」

「まだよ。まだ、ついて無いわ」

そう言う紫はスキマを開いた。私は逃げるつもりだと思っていつでも飛びかかれるように構えた。しかし紫は手だけをスキマに入れた。私は何をするつもりなんだろうと思っているとそのスキマから一人の少女を連れ出した。

「その少女は!?」

「最初の神隠しで攫って来た少女よ。ねぇ霊夢?よく見てご覧なさい。この少女の顔」

「何かある、の…………」

その少女の顔をよく見るとその顔は毎日鏡で見る自分の顔にそっくりだった。

「あなたにそっくりでしょ?」

「あなた、私にそっくりな少女を攫って食べようとしていたの?」

「そうよ。どう?本物では無いものの苦悶に満ちた顔になった時はとてもいい気分になるのよ」

この紫の言葉に私の何かが壊れた気がした。

「あんた。つくづく堕ちたものね」

「褒め言葉として受け取っておくわ」

「………もういい」

私はもう限界だった。こんな紫と相手してるぐらいなら____

「決めたわ。今までは〈倒す〉だったけど、今から私はあんたを〈殺す〉わ」

私の意思はもう変わらない。これ以上幻想郷に仇なすなら紫を殺す事に。

「それは良かったわ。それならこれを使えるわ」

そう言って少女をスキマに戻すと代わりに紫が取り出したのはレミリアや雷獣を操った黒い水晶玉だった。紫はそれを胸に当てると目を閉じた。すると水晶玉が黒く光り辺りを照らした。思わず目を閉じた私は目を開けるとそこにはさっきよりも禍々しい妖力を纏った紫がいた。

「さ、始めましょう〈殺し合い〉を」

「ええ。始めましょう」

私達は微笑み合うと同時に地を蹴った。

 

 

 

 

 

俺は魔理沙と共に霊夢と紫を探していた。

「くっそ!霊夢と紫はどこに居るんだ!」

「なぁ晴竜?本当に幻想郷に居るのか?スキマの中だったら私達は行けないぜ?」

「大丈夫だ。霊夢達は幻想郷に居る」

「何故そう言い切れるんだ?」

「俺の陰陽師の勘がそう言ってる」

「勘かよ!?」

「陰陽師の勘を舐めるなよ?意外と当たるんだから」

「まあ、晴竜がそう言うのなら___」

その時だった。魔法の森の方から霊夢の霊力と紫の妖力の衝突を感じた。

「!」

「晴竜!これは」

「間違いない。霊夢と紫だ」

「何か………やばくないか?」

俺は無言で頷いた。さっき感じた霊夢の霊力からは強い殺気を感じたし、紫の妖力からは異変の時のレミリアや雷獣から感じた力が含まれていた。

「急いで行こうぜ!」

「応!」

俺達は急いで霊夢達との向かった。

(頼む!間に合ってくれ!)

 

 

 

 

私達の戦いは既に弾幕ごっこでは無く、本当の殺し合いとなっていた。私は躊躇無く紫に向かって刀を振った。紫もさらに強くなった妖力を刃に変え放って来た。油断すれば腕などが切られる。そんな戦いをしていた。その時私はある事に気が付いた。紫がさっきから左手を固く握り締めている事に。恐らくあの中に黒い水晶玉が入っているのだろう。私はそう考え紫に近付くチャンスを探った。そして紫が一瞬、苦しそうにしたのを見て私は紫に急接近した。そして紫の左手を組手の要領で後ろに回すと左手から黒い水晶玉を奪うと距離を取った。

「霊夢!返しなさい!」

紫が怒りに満ちた表情で迫ってくるが私は水晶玉を上に投げると落ちてきた水晶玉を横に彼岸花で真っ二つに切った。すると水晶玉の効果が切れたのか紫の妖力から水晶玉の力が消えた。

「そんな!」

紫は最初は慌てていたがやがて諦めたのかその場にへたり込んだ。私は俯く紫に刀を向けた。

「紫。これでお別れね。最後に言い残す事はある?」

「………別に無いわ。さっさと斬ってちょうだい」

「そう。なら………さようなら。紫」

私はお別れを言うと彼岸花を真上に振り上げるとそのまま下ろした。しかし紫を斬ろうとした彼岸花は横から飛び出して止めた人によって弾き飛ばされてしまった。私は弾き飛ばした人を見て驚いた。

「待つんだ霊夢!」

「え?晴竜!?」

私の彼岸花を止めたのはアメノムラクモを出した晴竜だった。

 

 

 

 

(あっぶねえー。本当に間に合わないと思ったぜ)

俺が弾き飛ばした霊夢の刀を霊夢が拾う前に魔理沙が拾った。魔理沙が拾った刀を見た時、前に見た霊夢のお母さんの刀。霊刀、彼岸花だと分かった。

「何をするの晴竜!さっきと刀を返して!」

「駄目だ。これを返す訳には行かない」

「どうしてよ!」

「紫を殺させないためだ」

「何で殺しちゃ行けないの?こいつを生かして置けば必ずまた同じ事をやるわ!そうしたら今度こそ犠牲者が」

「それは違うんだ霊夢。紫は最初から犠牲者を出すつもりは無かったんだ」

「え?どういう事?」

霊夢が聞いて来た所で紫は逃げるようにスキマに入ろうとした。

「させない!『六芒捕縛。急急如律令!』」

「くっ………」

俺は強めの縛魔術で紫を捕らえた。いつもの紫なら直ぐに突破するだろうが、霊夢との戦闘でだいぶ力を使ったようですんなり捕まった。

「それで、犠牲者が出ないってどういう事なの?」

「それは___」

「晴竜!」

「!?」

急に紫が俺の名前を叫び、俺は紫の方を見た。

「お願い。言わないで!」

「駄目だ。これは霊夢にこそ言わないと行けない事だ」

「そうだせ。霊夢に話さなければお前と霊夢。どちらも苦しむ事になるぜ」

「う………」

「何なの!さっきから私だけ除け者にして!早く教えて!」

「霊夢。紫は犠牲者を出すつもりは無かったし、お前との戦いも紫はお前を勝たせるつもりだったんだ」

「え?何で?何でそんな事をするの?」

俺は霊夢に伝えた。紫の本当の目的を。

「紫は、霊夢の代わりに生贄になるつもりだったんだ。博麗大結界に空いた穴を、塞ぐために」

「え………」

霊夢はそこで呆然とした。そうなるのも無理は無い。俺と魔理沙だって藍から聞いた時そうなった。

「私の代わりに生贄になるって意味分かんないだけど?それに博麗大結界は前にお母さんが自分の命を捧げて………」

そこで霊夢は気付いたようだ。博麗大結界に起きている異変を。

「嘘。本当に穴が………。どうして………」

霊夢の呟きに紫が答えた。

「………ここ最近、レミリアと雷獣が起こした異変で使われた水晶玉が結界の穴が開いていた所に五個も落ちていた。しかもその五個が一つ一つ凄い力が働いていてそれが結界に穴を開けたのよ」

「それじゃあ、さっきの紫が使っていた水晶玉って」

「そう。その時に取った水晶玉よ」

「なあ紫?何故お前はこんなにも危険で、自分の信頼を失うような事をしたんだ?」

俺は一番の疑問を聞いた。

「それは霊夢に結界に穴が開いた事を気付かせないため。そして私を殺して貰うため」

「嫌わせるため?」

「そうよ。私が生贄になったら二度と霊夢には会えない。そうなれば霊夢は私が姿を見せない事を不審に思って調べ始めるはず。そうなると遅かれ早かれ私が生贄になった事が知られてしまう。だから霊夢に私を殺して貰ってそのまま生贄になるつもりだったの」

「………だから、わざと挑発したり、少女だけを攫ったりしたの?」

「そうよ。ここまですれば霊夢は必ず怒るから………。ま、晴竜によってその作戦は失敗したけどね」

ふふふと笑う紫に霊夢は俯いたまま近付くとパチーンと音が鳴った。霊夢が紫の頬を打ったのだ。紫は打たれた頬を抑えながら霊夢を見た

「れ、いむ?」

「………るな………」

「え?」

「ふざけるな!このバカ妖怪!」

「「「!!」」」

紫はもちろん、俺と魔理沙もビクッと身体を震わせた。

「あんたねぇいつもいつも一人で抱え込み過ぎなの!何?私に気付かれたく無かったから?私に殺されたかったから?何よそれ有り得ないんだけどそれに霊夢、霊夢って言うけど全部余計なお世話だから第一に何でそんな事を私達に相談しない訳?知られたくなかったって言うけどいずれは分かる事よね私だってバカじゃないの紫が居なくなれば当然調べるしこっちには晴竜が居るの占術とか使ってあんたの事を調べるわよ殺したなら今度は何故そんな事をしたのかを調べるからあんた達がやった事は無意味なの?分かった?」

「は、はい…………」

「「…………」」

俺達はあまりにも凄い速さで喋る霊夢に呆然とさせられていた。霊夢ははあーとため息をつくと結界の方を見た。

「それにしてもどうやって穴を隠したの?」

「そ、それは私がやったんです」

「そう」

紫が敬語になった事はスルーなんですね霊夢さん。

「さて、この穴はどうするか………。晴竜、魔理沙?何かいい案無い?」

「うーん。そうだな………」

俺と魔理沙はいい案が無いか考えていると俺は生贄と言うワードで思い浮かんだ。

「無いことは無い」

「本当に!何なの?」

霊夢に聞かれ俺はその方法をやりながら説明する事にした。

 

 

 

 

「それで、どうするの?」

「まずは霊夢。お前の髪の毛を何本かくれないか?」

「私の?」

「そうだ」

「どうしても必要?」

「どうしてもだ」

「それなら、仕方が無いけど。どうやって切るの?」

「そうだな………。魔理沙?確か魔力で短剣作れたよな。それを出してくれ」

「え?ああ、いいぜ!」

魔理沙はそう言って魔力で短剣を生み出した。(この技術は前に憑姫に取り憑かれた時に憑姫が短剣を生み出せた事により、魔理沙も生み出せるようになった)

俺は短剣を受け取ると霊夢の髪の毛を切ろうとしたが紫に止められた。

「ちょっと待って晴竜」

「何だ紫?」

「その短剣貸してくれないかしら?」

「「「え!」」」

「大丈夫よ。自殺はしないから」

そう言って紫は俺から短剣を貰うと霊夢の後ろに下げた長い髪の毛を見える方からでは無く、隠れている方の髪の毛を何本か切った。なるほど。これなら切った後が分からない。勉強になる。

「これでどうかしら」

「ありがとう紫。よし。これでこの紙に霊夢の髪の毛を合わせてっと」

「晴竜?何を作っているの?」

「ん?これは人型と言って、対象の髪の毛や、爪などを使って作る。いわば身代わり人形みたいなものだ。よし!出来た」

俺は髪の毛で結んだ人の形をした紙を結界の穴に投げ込んだ。そして俺は術を唱えた。

『力を注ぎし者。ここに写し身となれ!』

すると人形がみるみる内に霊夢の姿となった。そしてその人形は結界の穴に吸い込まれ穴は塞がれて行った。

「これで終了っと」

「ね?私達に相談してくれていれば数分で終わったの。いい?これからは必ず大事な事があれば相談する事。分かった?」

「ええ。分かったわ。ごめんなさい」

こうして紫が起こした神隠し異変は終結した。

 

 

 

 

数日後、俺は紫と藍、橙と共に人里に来ていた。理由は神隠しの被害にあった少女達を送り帰すためと謝罪するためだ。紫達が謝ると最初は人里の人達は怒声を浴びせていた。しかし、それを止めたのは意外にも神隠しにあった少女達だった。

「紫さん達は悪い人達じゃない!だって、殺すならも直ぐに殺していたはずだし、それに意識が無くなる前に耳元で『ごめんなさい』って謝っていたの!だからお願い。許してあげて」

少女達の説得もあってか人里の人達は許してくれた。そしてその日の夕方。俺達はそのまま博麗神社に戻って来た。

「良かったな。許して貰えて」

「そうね。あの少女達のおかげよ」

そう話しながら紫達と共に神社の母屋に入るとそこには。

「え!?幽々子に妖夢。幽香まで居るじゃない。どうしたの?」

幽々子と妖夢、幽香がおり、テーブルの上には色々な料理が置かれていた。

「それは異変解決の宴をするためよ〜。それより~」

そう言うと幽々子は何故か紫に近付きギュッと紫に抱きついた。

「幽々子!?何をするの!」

驚く紫に幽々子は普通の口調で言った。

「もう大丈夫よ。あなたは一人じゃない。あなたの周りには沢山の友がいる。たった一人の家族が居る。だから、自分を犠牲にしないで」

「幽々子……」

幽々子の言葉に紫は段々と目に涙を浮かべ、遂には

「う、う、うわぁーん!ごめんなさいごめんなさい!」

派手に泣き始めた。この時俺は初めて紫が泣く所を見た。いつも余裕があり、人をよくからかい、大人の雰囲気を出す妖怪である紫がこの時だけはまるで少女の様な顔をしていた。

 

 

 

 

 

神隠し異変の章〜完〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最終回プロット通りに書けず結局この時間。修正は翌日にしようと思います。
さて、これで神隠し異変の章は完結です。そして次の番外編ではあの企画をやろうと思いますのでお楽しみに!
それではまた次回!




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編 饅頭異変

また台風が来ています。本当にここ最近多いなーと思う青柳龍です。
さて、今回の番外編では霊夢達の身にとんでもない事が起きます。
では番外編始まり始まり。


ここは博麗神社。博麗神社の霊夢の元に魔理沙、アリスに妖夢、優曇華の五人が来ていた。居間でのんびりしていると霊夢が呟いた。

「暇ねぇー」

すると魔理沙はその呟きに答えた。

「暇だなぁー。ここ最近は紫とかが起こした異変で忙しかったけど、いざ解決すると何もやる事が無くて困るぜ」

「でも、それだけ平和って事だよ」

「あ、そうだ!」

妖夢が霊夢と魔理沙に話していると、優曇華が手をポンと叩いた。

「どうしたの?」

アリスが聞くと優曇華は得意げに持ってきた手包みを取り出した。

「聞いてください!他のみなさんも!実はですね………じゃじゃーん!饅頭〜」

「え!これって人里の和菓子店で期間限定の上に限定五十箱の饅頭じゃない!」

「さすが霊夢さん。よく分かりましたね。実は昨日師匠に頼まれてこの饅頭を買って来たんです」

「へぇー。永琳がねぇー。………また何か変な薬を作ってる訳じゃ無いわよね?」

「そんなはず…………無いと思います」

「自信は無いんだな」

「はい…………。と、とにかく!今は饅頭ですよ。饅頭!早く食べましょうよ!ね?」

「そうね。そんな事を考えていたら饅頭が食べられ無くなるわ」

霊夢の言葉に頷きながら優曇華は一人一人に饅頭を渡した。

「そういえば」

「どうしたんだぜアリス?」

「晴竜はどうしたの?」

アリスが聞くと霊夢はああと言った。

「晴竜は今、見回りに行っているわ」

「へぇー。そうなの」

「そうよ。もしかしたら今頃は紅魔館でレミリアとフランの喧嘩を止めてるかもしれないわ」

 

 

 

 

 

 

「ハックション!」

紅魔館に来ていた俺は派手なくしゃみをした。鼻をすする俺に咲夜は心配な顔をして聞いて来た。

「大丈夫晴竜?何?風邪?」

「誰か噂してるな…………。ああ、すまんすまん。大丈夫だ。それより………」

俺の目の前では_______

「何で私のケーキを食べたのフラン!」

「違うよ!あればフランのだって!」

レミリアとフランがいつものように喧嘩をしていた。

「嘘よ!あれは私が最後食べようと思って取っといたのに!」

「知らないよ!カットケーキのどれを食べようとも、何個食べようとも勝手じゃん!」

「何ですって!」

「何なのよ!」

「うーうー」

「うーうー」

「………………帰っていいか?」

「はいこれ、果物の詰め合わせ」

「ありがとうよ。じゃあ俺は行くよ。後、頑張れ」

「ええ。ありがとう」

俺は咲夜から果物の入ったカゴを受け取ると紅魔館を出た。

 

 

 

 

 

「それは有り得るわね」

「でしょ?」

「霊夢、アリス?食べないのか?」

「食べるわよ!何、私の饅頭を食べようとしてるの!」

「ちっ。バレたか」

「全く。魔理沙には油断も隙も無いわ。早く食べちゃいましょ。あーむ」

「惜しかったなー。あむ」

「うん?ちょっと苦い所ない?」

「妖夢もそう思う?私もそう思ったのよねー」

「あれ?饅頭が苦いはずが…………うっ!」

食べた瞬間、五人の体が突然熱くなり始めた。

「何なの………身体が、熱い………」

「身体が燃やされるようだぜ………」

「だ、誰か、助けて………」

妖夢の助けを求める声は当然届くはずがない。数分は目を閉じ、苦しみに耐えていたがやっと苦しみが無くなった。

(何だ。死ぬようなものじゃあなかったね。良かった………)

霊夢達は安心して目を開くと目の前の光景に呆然とした。

『え…………………』

 

 

 

 

 

見回りを終えた俺は博麗神社に来ていた。博麗神社の母屋の玄関に行くと魔理沙とアリス、妖夢、優曇華の靴が置いてあった。

(お、今日はアリスや妖夢。優曇華も来てるのか)

「おーい!咲夜から果物貰って来たぞー!」

そう中に声をかけるが返事が無い。

俺は不思議に思い、母屋の中に入った。そして居間の襖を開けるとそこには霊夢達がいたのだが

『あ…………』

「………………………………………………………どうした?」

『ロリった(ました)』

「やっぱりなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

俺は思っいっきり叫んだ。叫んではいられなかった。何故、霊夢達が幼女化したんだ!何故ロリったんだ!これを見て冷静で居られる奴は本当に凄いと思う。やっと落ち着いた俺はロリった霊夢達に事情を聞くとこうなったのは優曇華が持ってきた饅頭だったらしい。

「そうなるとやっぱり永琳か」

「そうね」

「そうだな」

「そうなるわ」

「そうなるね」

「ごめんなさい。師匠が…………」

謝る優曇華をなだめながら俺は玄関に向かおうとした時に霊夢に声をかけられた。

「晴竜?何処に行くの?」

「そりゃ永遠亭だよ。このロリ化が永琳の薬によるものだったら永琳は絶対に戻す薬もあるはずだ。ほらお前達も行くぞ」

「え!私達も行くの?無理無理無理!」

「何で?」

「だってこんな姿他のみんなに見せたくないもの。特に華扇や、文辺りには…………」

『……………………』

「な、何よ?私の顔をじっと見て?」

「霊夢よ」

「何?晴竜?」

「それ、俗に言うフラグでは?」

「え?」

その時だった。

「霊夢ー!居ますかー!」

外から華扇の声が聞こえて来た。

「…………………」

「見事なフラグ回収」

「でもどうするだぜ?このままだと華扇がこっちに来ちまうぜ」

「俺が時間を稼ぐから、お前達は何処かに隠れてろ」

「分かった。よろしく頼むわ」

俺は必死に隠れ場所を探す五人に背を向け外に出た。

 

 

 

 

 

 

玄関で靴を履いていると玄関の戸が開き華扇が入って来た。

「あ、晴竜」

「ど、どうした華扇?」

「霊夢は今居ますか?」

「え、あー。すまんな。今ちょうど用事があって居ないんだ?」

「そうですか?靴がここにあるのに?」

「あ、いや」

「晴竜。何か隠していませんか?」

「そ、そんな事ある訳無いだろ」

「本当ですか?」

「本当だよ」

「……………」

「……………」

(うっ。華扇がまじまじと俺の顔を見てる。ここで目を逸らしたら嘘がバレるかもしれない。ここは我慢だ!)

「……………」

「……………」

「…………//」

(あ、照れた)

「分かりました。では私は行くので言伝だけを頼めますか?」

「言伝?」

「はい。実は昨日。人里で見回りの途中で茶屋で団子を食べてる霊夢を見かけたのです。本当はあの時説教をすれば良かったのですが食べ終わって帰ってしまったので。なのでもし時間が開けば私の所に来るようにと伝えてください」

「……………」

「晴竜?」

「分かりました!きつく言っておきます!」

「!?ど、どうしたのですか?急に大きな声を出して」

「いえ、別に。なんとなくです」

「そうですか。なら言伝よろしくお願いします」

「はい」

そう言って華扇は帰って行った。俺は霊夢達の靴を持つと居間に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢!」

「はい。ごめんなさい」

「俺は真面目に見回りをやっているのに。本来するはずの霊夢はサボるってどう言う事だ!」

「はい…………」

「一瞬バラしてやろうと思ったけど。今回は魔理沙や、アリス、妖夢、優曇華が居るからやめた。だが、このロリ化が治ったら直ぐに華扇の所に連れて行くからな?」

「はい……………」

「何か凄いな」

「ええ。そうね」

「いつもとは逆になったね」

「晴竜さん。怒ると怖いです」

「はあー。さて、今度こそ永遠亭に行くぞ」

「そうね。文とかが来ない内に…………ハッ」

「だから!それはフラグだって!」

その時だった。

「どうもー!射命丸です!霊夢さん居ますかー?」

『…………………』

「もう………今日は喋らないわ」

 

 

 

 

 

玄関から出ようと戸に手をかけた時に文が戸を開けた。

「文」

「あ、晴竜さん。こんにちは」

「こんにちは。それで今日はどうしたんだ?」

「ええ。実はこの前の神隠し異変についてもうちょっと詳しく聞こうと思いまして」

「あの異変ならこの前霊夢と魔理沙、俺が説明したじゃないか?」

「確かにそうですけど、何かまだ知ってるような感じなんですよねー」

俺は文の勘の鋭さに舌を巻いた。確かに文には言っていない事がある。だがそれはあの結界の穴についてと黒い水晶玉の事だから話せるはずが無い。

(さて、どう説明したものか…………)

俺が考えていると置くからドンと物音が聞こえて来た。

「あれ?今、物音が…………霊夢さん居るんですよね?」

「すまんな。今は霊夢は留守なんだ。後、物音は気のせいだろ?」

「本当ですか?」

「本当だって」

俺が文の質問に必死に答えているとまたドンと聞こえた。

「「………………」」

「晴竜さん?」

「いやー。すまんな。今のは輝龍が物に八つ当たりしている音なんだ」

俺がそう説明した時後ろから『グォン!?』と聞こえたのは気のせいだ。気のせいだと思う事にする。

「輝龍って晴竜さんの式ですよね?それぐらいとめられないんですか?」

「ハハハ。まだ修行が足りなくてな」

「大変ですね………。ま、とにかく留守なら仕方がありません。また今度にします。それでは」

「ああ。またな」

文は飛び去って行った。

 

 

 

 

 

「霊夢!魔理沙!」

『グォン!』

「「ごめんなさい」」

「お前達が物音立てたせいで輝龍まで巻き込んじまったじゃねえか」

『グオ!』

「イテテテ。輝龍よ。尻尾で俺の頭をはたくな」

「さて、今度こそ…………」

その時だった。玄関の戸がドンドンとと叩かれた音がした。

『………………』

「いや。これは私のせいじゃないでしょ!」

「冗談だって。さて誰だ今度は」

「おーい。居るかー」

「この声………。師匠だ!」

「何!?永琳だと!?」

俺は直ぐに玄関に走り、戸を開くとそこには永琳と縄で縛られて背負われているてゐが居た。その光景からどうしてこうなったのか大体分かった。

 

 

 

 

 

「で、ようするに優曇華が持っていく用の饅頭の入った箱と幼体にする薬を入れた饅頭の入った箱をこのバカ兎が自分が持っていく用の饅頭を食べたのをバレないように薬入りの饅頭の箱とすり替えたと言う訳ね」

「そうよ。今回は迷惑をかけたわ。ごめんなさい。ほらっ!あなたも!」

「ううっ。すいませんでした。お願いしますから縄をほどいてくださいぃぃぃ」

「ダメよ。今日一日はその状態よ」

「そんなぁぁぁぁぁ!」

てゐがガックリと頭を下げる中、俺はこの状況をどうにか出来ないか聞いた。

「で、霊夢達のこのロリ化治せるのか?」

「それはちょっと無理ね」

『はあぁぁぁぁ!』

「どう言う事よ!一生この姿で過ごせって言うの!無理よ!」

「そうだぜ!この姿じゃあ、ろくに外に出られないぜ」

「私は人里で人形劇をしないと行けないのよ!」

「私は幽々子様の世話が………」

「さすがにずっと霊夢達を隠すなんて事出来ねぇよ?」

「大丈夫よ。そこは心配しないで。この薬の効力は制限時間付きだから」

「そうなんだ。良かったわ」

霊夢達が安心している横で俺は永琳に聞いた。

「ちなみに戻る時間ってどれくらいだ?」

「そうねぇ。大体明日までには戻ると思うわ」

「は?」

「え?」

『……………………』

誰一人何も言わずに壁時計を見た。今は午前10時になったばかりだ。

「………………」

俺はロリった五人の体が震えていることに気が付き耳を塞いだ。そして次の瞬間。

『ふ、ざ、け、る、なぁぁぁぁぁぁぁ!』

この後、この日に限って何故かやって来る幻想少女達に必死になって霊夢達を永琳と協力して隠した通したのは言うまでもない。そして後日、霊夢達がロリから普通に戻った後、華扇から一時間に渡って説教されたのはまた別の話。

 

 

 

 

 

番外編〜完〜

 

 

 




すいません。予定よりとても遅くなりました。書き始めたのが昨日ですが今日になりました。申し訳ございません。
さて、今回の番外編はどうだったでしょうか。一度ロリ化させようと思って書いて見たらまぁムズい。おかげでこんな日になりました。でも内容はある程度上手くいったと思います。
次回からは遂にバンバン出した黒い水晶玉の伏線を回収します!そして前に出した謎の男の正体も次回の異変で出すつもりです。
それではまた次回!
(後、ちょっとこれからは不定期になるかも知れません。ご了承ください)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。