天才少女に手を惹かれて (あまぽー)
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プロローグ
第0話 平凡な少年による平凡なあらすじ


どうも!天駆けるほっしーと言います!

友達の影響でバンドリを始めましたがみんな可愛い♪

特に日菜ちゃんは一目惚れです…w(°∀°)

まだまだ書き初めたばかりの新人なのでよろしくお願いします!

今回は主人公の語りから始まります。

ではでは始めまーす♪


皆さんにとって日常とはなんだろうか?

 

部活に励むこと?アルバイトに精を出す?それともただ淡々と学校生活を享受すること?まぁ人それぞれだろう。

 

俺も日常をただ淡々と過ごす。凡人だ。

ただ、昔からずーっとそうだった訳ではない。

 

ガキの頃はテレビのなかで戦うヒーローやヒロインにも憧れて変身オモチャではしゃいでたし

いつかはそんなのがふらーっと現れるのも想像していた。

 

だが、中学に入る頃から俺は現実的な考えばかりするようになった。

 

つまらない人間だって?確かにそう思われても仕方がないだろう。

 

だがな、人間どこまでいっても行き着くところは変わりない日常だ。

 

俺は勉強もほどほどした。部活?正直心動かすようなものは見つからなかった。

 

 

帰宅部だからといって1人ふさぎこんでいたわけでもない。友人も人並みに作って休日も遊びにいく。変わりない学生生活だ。

 

そんな風に中学まで過ごした俺は高校に進むわけだ。

 

高校も中学と変わりなーく…あ、アルバイトはするぞ?

 

スマホを持つなら月のお金は必要になるし小遣いくらい稼がないとな。

 

あと両親も健在だ。海外に~などといった設定も俺にはないぞ?すまんな。

 

 

ちなみに高校は家の近くだ。羽丘学園高校。元々女子高だったが共学化により男子も入れるようになった。

 

おかげで家から近くのここに入れているからラッキーだ。

 

 

さて、ここまでは軽ーく俺について触れた。お、名前言ってなかったな。

 

俺の名前は早川。 早川弘人〈はやかわひろひと〉

 

なんで今自己紹介したかって?

 

とりあえずアンタが一番この先を知ることになるだろうしおそらく俺の一番の理解者だろうだからな?

 

あーだからといって物語の途中に話しかけたりはしないからな?

 

俺は某ヒーローの様に第四の壁は越えられないからよ。

 

あくまで俺の心情ってわけだ。

 

 

物語は高校の入学式…に向かう途中から始まる。

 

あの日は自転車の鍵が壊れていたから歩いて登校していた。

 

今だから言おう。もし、あの時自転車の鍵が壊れてなくてのーんびり学校に通っていたらこの先の高校生活は中学までと同じ変わりなく平穏な生活だっただろう。

 

しかし、現実ってのは厳しい。コインに裏表があるのとのと同じように片方を選べなければもう反対を選ばされるってもんだ。

 

つまり、彼女と出会うという選択肢は避けられない強制イベントというわけだ。

 

 

「わー!こんなもう時間だよーーー!!」

 

 

 

 

――これは好きなものに全力を向ける天才少女とどこまでも平穏な日常を求めながらもそんな少女に惹かれていく少年の物語。

 

 

 

【挿絵表示】

 




うぅ…(>_<)日菜ちゃんちょっとしか出てこない~ごめんなさい!

次回から日菜ちゃんを魅力的に書けたらと思います。

ではではまた~(*^^*)ノシ


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第一章
第1話 天才少女と初登校


プロローグなのにお気に入りつけてもらって嬉しいです(*^▽^*)わーい

いよいよ日菜ちゃんとの出会いから始まります~♪

どーぞ!





「わー!もうこんな時間だよーーー!!」

 

 

後ろから大きな声が聞こえた。振り返ると凄い勢いで一人の女の子が走ってきていた。

 

いや、ホントに速い。陸上部のエースかなんかか??

 

そのままの勢いで――俺の前を通過していった。

 

朝からあんなに走れる元気が羨ましい。しかしだ、俺は急ぐ理由もない。のんびり向かうとしよう。

 

そう思っていたが再びその子は俺の前まで走ってきて

 

 

「遅れちゃうよ!走るよー!」

 

 

俺の手をガシッと掴むとまた走りだした。

 

水色の髪が風によってふわふわ揺れていた。

 

 

「ほらほら!急いでー!」

 

 

「ちょ、ちょっと待っー…」

 

 

ここで1つ問題だ。

1人で走るのはともかく自分より背の低い子に引っ張られて走るとどうなるか。

 

答えは簡単だ。足がついていかず縺れて――。

 

 

「ぐほぉ!」

 

 

顔から前のめりに転んだ。

 

 

「ちょ、ちょっとー!大丈夫!?」

 

 

「大丈夫…じゃねぇ…」

 

 

アスファルトから顔を離しながら言う。

 

 

「アンタも新入生か…?」

 

 

「そうだよ!遅刻しそうで急いでるんだよー!」

 

 

俺に腕時計を見せながらそう言った。

 

 

つまり何か、この人はそのためにあんなに全力で走ってたと…やれやれ…。

そう思いながらスマホを取り出して見せる。

 

 

「その時計…時間合ってないぞ?」

 

 

女の子は慌てて見比べる。

 

 

「あれー?ホントだー!アタシ、ドジやっちゃったよー!」

 

「だから時間はあるしのんびり行けばいいさ」

 

 

さぁ俺ものんびり行くとしよう…立ち上がり制服をはらう。そして数歩歩く。

しかし、服の襟を後ろから掴まれる。

 

 

「ねーねー!せっかくだから一緒に行こうよ!」

 

 

…コイツさっきから随分と距離近いな…。

顔立ちは凄くいい。美少女ってコイツのことを言うのだろう。

どうせ学校までの付き合いだ、たまにはそんな日があってもいいだろう。

 

 

「そうだな、一緒に行くか…えーっと名前は?」

 

 

そう訪ねると彼女は笑顔で言った。

 

 

「アタシは日菜!氷川日菜!」

 

 

「氷川さんね、俺は…『日菜!』

 

 

「もうアタシたち、友達なんだから日菜って呼んでよ!」

 

おかしい。まだ知り合って10分も立ってないが…まぁいいか

 

 

「日菜だな。俺は早川弘人…好きに呼んでくれ。」

 

 

「弘人…う~ん…はーくんじゃなくて、弘くん…うん!るん♪ってきた!弘くんね!」

 

 

確かに好きに呼んでくれとは言ったがな?随分とフレンドリーだなオイ。

 

 

「じ~…」

 

 

「じ~って声に出す奴初めて見たぞ」

 

 

そんなに見るんじゃない。なんか悪いことしたかな?って不安になるじゃないか。

 

 

「弘くんってやっぱり似てるよー!」

 

 

俺が誰に似てるって?

 

 

「まぁいいや!」

 

 

誰に似てるんだよぉぉ!

 

 

「よーし、どっちが先に学校着くか競争だよー!」

 

 

「お、おい!」

 

 

「負けたらジュース奢りねーー!」タッタッタッ…

 

 

「く、くっそぉぉぉぉぉおー!!」

 

 

笑顔で先に走る日菜を追いかける。

 

 

なんだよ!どのみち走ることになるじゃねーか!




はい!第1話どうでしたか?

日菜ちゃんの魅力を少しでも伝わればいいなぁと思って書きました!(*^^*)

短いですよね…今後はもう少し1話長く書けたらなと思います(。・ω・。)


次回はもう1人登場予定です!

宜しければ評価お願いします~(*^^*)ノシ


あ、あとオリジナル小説も書いてるので良かったら見てください♪


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第2話 クラスメイトは優しいギャル

お気に入りが10件突破してビックリしてます(゜ロ゜)

今回はリサちゃん登場回です。


うまく書けるかなー?(・・;)頑張ります!

タイトル変更しました!誤字でなくあえてこうしました!


校舎の入り口に着くと男女別にクラスの紙が貼られていた。

 

 

「俺は…1-Cか」

 

 

確認終えて下駄箱に向かおうとすると日菜がこちらにバタバタと走ってきた。

 

 

「弘くんはどこー?」

 

 

「1-Cだ」

 

 

日菜、短い付き合いだったな。達者に『一緒だー!!』

 

 

…どうやら長い付き合いになりそうだ。

 

 

靴を履き替え教室に向かいながら考える。

 

 

確かにコイツは悪い奴ではないだろう。しかし、だ。

 

 

コイツと一緒にいるとものすごーーーく大変な目に合いそうな気がする。直感、いや俺の第六感がそう告げてるような感じだ。

 

 

「クラスも一緒なんて!るるるるんって感じだよー♪」

 

 

そのるるるるんってのは何だ。俺に分かるよう言ってくれ…。

 

 

 

教室に着くと各席に名前が書いた紙が貼ってあった。

 

 

俺の席は窓側の後ろから2番目、なかなかいい席だ。

 

 

ちなみに席は名前順になっており、俺の後ろの席はな…早川(はやかわ)→氷川(ひかわ)となっていた。つまり

 

 

「弘くんの後ろー♪悪戯し放題だねー!」

 

 

「日菜、頼むからやめてくれ…」

 

 

そう言うと日菜はニヤリと笑って言った。

 

 

「ふふーん、そう言われると余計やる気出てくるよねー!」

 

 

嗚呼…授業中すら落ち着けないのか…

 

 

「やっほー☆」

 

 

声のほうを見ると茶髪のギャルがいた。

 

 

「ど、どうも…」

 

 

「アタシは今井リサ、よろしくー♪」

 

 

「俺は早川弘人、よろしく」

 

 

「氷川日菜だよー」

 

 

日菜は机にでろーっと伸びながら言った。初対面の人ならもう少し気を使おうな?

 

 

「えーっと…今井さん」

 

 

「リサって呼んで?アタシも二人の事弘人くんと日菜ちゃんって呼ぶからさ☆」

 

 

日菜ほどではないがこの人もフレンドリーな人だな…

 

 

「むー!弘くん!今失礼な事考えてなかったー?」

 

 

日菜は頬をむぅーっと膨らませながら言った。

 

 

「お、思ってないぞ?」

 

 

ナチュラルに心を読むな!

 

 

そんな様子を見てリサはニヤッと笑った。

 

 

ま、まずい…!この人も日菜と同じか!い、弄られる!

 

 

「二人とも随分仲いいねぇー♪付き合ってるの?」

 

 

「今朝知り合ったばかりだ」

 

 

「弘くんは友達だよー!」

 

 

「えー、つまんないなぁ…」

 

 

…まぁそうなるだろうと思ったよ。

 

 

「弘くーん!暇だよー!なんか面白い話してー?」

 

 

「リサがせっかく来てくれてるだろ?」

 

 

「リサちゃんより弘くんの話聞きたいのー」

 

 

オイオイ、失礼だろ…。

 

 

「すまないリサ、この埋め合わせは必ずする」

 

 

手を合わせてリサに謝る。

 

リサは笑いながら言った。

 

 

「大丈夫だよー☆アタシがお話中に入っていったからだし、それに…」

 

 

リサがじーっと俺の顔を見る。

 

日菜もそうだがリサも整った顔立ちをしているから無言で見られるとさすがに照れるぞ。

 

 

「な、なんだ?」

 

 

「いーや?アタシの知り合いに雰囲気似てるなーって」

 

 

…また俺に似てる奴か。

 

 

「そろそろ時間だから席戻るよ、またねー☆」

 

 

リサは手をヒラヒラ振って席へと戻っていった。

 

 

それからは担任、生徒の自己紹介と説明を行ってから

入学式に参加となった。

 

…式中も後ろからツンツンつつかれたり、肩を揉んできたりと日菜は自由に楽しんでいた。いやさ、楽しむのは良いことだ。だがな?俺をオモチャにするのはどうかと思うのだが?

 

 

今日は式を終えると帰りのHRとなり、終わり次第1人で帰ろうと思ったら後ろから袖を掴まれた。

 

 

「ねえねえ、一緒に帰ろー?」

 

 

「帰り道一緒だもんな、行くか」

 

 

「ねーねー、弘くん」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「弘くんの連絡先教えてー?」

 

 

「……なんでだ?」

 

 

「えー、いいじゃん!」

 

 

くっ、コイツに連絡先を教えるとおそらく尋常じゃない量のメッセージが飛んで来そうだ…!しかし…

 

「だめー?」

 

そんな目で見るんじゃない、俺がいじめてるみたいな気になってくるじゃないか。

 

 

「…分かった。でもあんまり夜中に連絡よこすなよ?」

 

 

「えへへ~ありがとー♪」

 

 

連絡先を交換する。

 

 

その後分かれ道で別れて自宅に向かう。

 

家に帰るとドッと疲れが押し寄せてきて着替え次第ベッドに沈んだ。

 

 

スマホが鳴って取り出すと日菜からメッセージが飛んできていた。

 

 

『今日は楽しかったー!またよろしくね~(^∇^)ノシ』

 

 

「こちらこそ、また明日っと…」

 

 

今日出会ったばかりなのに前から仲良かったような気がする。…氷川日菜、不思議な奴だ。今まで会った誰よりも楽しく過ごしているようなそんな感じだ。

 

明日はどんな事があるのだろう…俺らしくもないそんな期待もある。

 

だがな今日は初日だ。これだけは言わせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

あぁ…疲れた。




第2話どうでしたかー?


主人公はまだ日菜ちゃんに対してまだあまりよく思ってないイメージで書きました。

これから彼女と関わることで彼自身の心情の変化も楽しめればなと思います。(*^^*)


日菜ちゃんとリサちゃんが弘人を誰と重ねているのか…分かる人には伝わるかなー?(・・;)


次回も頑張って書きますので宜しければ感想、アドバイスお願いしまーす♪


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第3話 ファミレスとおねーちゃん

お気に入りが…30件突破しました!( ; ゜Д゜)


そして評価を下さった方も!


『パスタおにいそん』さん、『ツモられ』さん

星9と高評価ありがとうございます!嬉しいなぁ♪

ここまで皆さんに応援されるからには頑張っちゃいますよー♪



さて、タイトル通りにおねーちゃんが現れます。

弘人頑張れー(^∇^)笑


翌日から朝は日菜と一緒に登校するようになった。

 

クラスにも仲の良い友人が増えたため学校生活を楽しめている。

 

 

…いるんだがな。今の俺には癒しが足りない。と言うより誰かくれ。

 

 

「ねーねー!弘くん!男子の制服ってどーなのー??貸してー!」

 

 

「日菜、頼むから引っ張らないでくれシワがががが」

 

 

「いいからー!脱いじゃえーー!」

 

 

「アハハ、今日も二人とも仲いいねー♪」

 

 

リ、リサ!助けに来てくれたの『リサちー!弘くんの制服着てみたくないー?』

 

 

「へぇ~男子の制服かぁー、興味あるかも☆」

 

 

おのれ…日菜め、リサを味方にしやがった!

 

 

そう思っている内に後ろから日菜に掴まれる。

 

そして上着を捲られた。

 

 

「お、おい日菜!離せ!」

 

 

「リサちー、スポポーン!と脱がせちゃえ!」

 

 

こ、コイツなんでこんな力強いんだ!てか当たってる!

少しは恥ずかしがれ!

 

 

「ふっふっふっー☆よいではないかーよいではないかー」

 

 

リサは手をワキワキさせながらジリジリ近づいてきた。

 

 

「リサお前、その手はなんだ!やめろ!」

 

 

「んー、なんとなく?あとやめろと言われれば余計にやめたくなくなるよねー♪」

 

 

「く、来るなぁ…」

 

 

その時始業の鐘がなり先生が教室に入ってきた。

 

 

「おーし、皆席に……、何をやっているんだお前らは…」

 

 

「先生、弘人くんがふざけてました」

 

 

「オイ!裕哉」

 

 

嘘の密告者は仲良くなった高村裕哉《たかむらゆうや》

 

 

見た目はわりとカッコいいのに性格がちょっとアレだ。

 

 

初日の自己紹介で『女の子と仲良くなりたくて来ました!』と堂々と話せる、図太くも正直なアホな奴だ。

 

 

「弘人はちょーっといい思いしすぎだから…ねぇ?」

 

 

「そうだな」

 

 

「先生、間違いありません」

 

 

「私的には早川くんと高村くんの絡みも…」

 

 

オイ最後の女子誰だ。

 

そんな様子をみた先生はため息をついて言った。

 

 

「早川、放課後残って反省文を書いて出せ」

 

嘘だろ!?

 

 

「あーらら、ごめんね☆弘人ー…」

 

 

「ふふー、弘くん居残りだー!」

 

 

 

「今井、氷川、お前たちもな」

 

 

 

「「ええーっ!」」

 

 

 

だからやめろと言ったんだよ、俺は。

 

 

 

 

…そして、放課後。俺らは残って反省文を書くこととなった。

 

 

「う~こんなの全然るんってしないよ~…」

 

 

「お前から始めたことだろ?自業自得だ」

 

 

「まぁまぁ…さっさと書いて帰ろ?」

 

 

 

 

10分後に3人が書き終わった。

一番最初に日菜、次にリサ。そして俺の順番だった。

 

なんで遅かったかって?俺だけ2枚よこされたんだよ。

 

 

 

 

靴を履き替え、学校を出ると5時過ぎ。空は夕焼けに染まっていた。

 

 

「今日も疲れた…」

 

 

「弘くんいつも疲れたーって言ってるよね!」

 

 

誰のせいだと思う?お前だよ!

 

 

「そういえばさ、近くに新しいファミレス出来たの知ってるー?」

 

 

「知ってるよー!デザートいっぱいあるよね!」

 

 

「ファミレスか…」

 

 

「ねーねー!せっかくだから行こうよ!」

 

 

「アタシはいいけど…弘人は?」

 

 

 

反省文書くのに頭を使ったからか強烈に空腹感あるな。

 

 

「せっかくだ、行くか」

 

 

「やったーー!」

 

 

 

 

店内はまだ5時過ぎだからかそこまで混んでおらず、

スムーズにテーブル席につきメニューに目を通す。

 

お、そうだ。母さんに飯要らないと連絡送らないとな。

 

 

 

「アタシは決まったよー、2人は?」

 

 

「俺も決まったぞ」

 

 

「このパフェ!るん♪ってきた!これにするー!」

 

 

 

しばらくすると注文の品が運ばれてくる。

 

 

リサはパスタ、俺はチーズハンバーグのセット、そして日菜のパフェが…でかい。え?これ1人で食うのか?

 

明らかに複数人でつつくサイズだろ?

 

 

「いっただきまーす♪」

 

 

「ヒナ、大丈夫ー?」

 

 

「んー♪美味しい!大丈夫だよー?リサちー」

 

 

 

 

30分後,そこにはぐったりとテーブルに伏せている日菜がいた。

 

 

「うぅ~…おなか冷たーい…弘くん助けてー」

 

 

俺にどうしろと。

 

 

「あと食べてー…?」

 

 

「あはは…弘人がんばれー」

 

 

「リサちーもお願ぁーい…」

 

 

「え、アタシも!?」

 

 

日菜の残したパフェをリサと食べる。

 

リサの顔を見ると赤くなっていた。何故パフェ食べて照れているんだ…。

 

 

 

 

 

 

会計を済ませて店を出る。え?奢り?入学したての高校生にそんな財力はねーよ…、バイトも決めないとな…。

 

 

フラフラな日菜を脇から支えながら帰路につく。

 

 

リサも心配して着いて来ようとしていたが暗くなってきたので、無理せず帰るよう伝えると帰っていった。

 

 

「日菜、大丈夫か?」

 

 

「う~…さっきよりはねー?」

 

 

 

日菜に道を聞きながら日菜の家を目指す。

 

 

 

しばらく歩くと目的の家に着いた。

 

 

扉の前でインターホンを鳴らすと

 

日菜が「おねーちゃん…開けてー?」と言った。

 

 

するとガチャっとドアが開き

 

一人の女の子が出迎えてくれた。

 

 

「日菜、貴女家の鍵を持って行ってー……貴方は?」

 

 

日菜とそっくりだが髪が長くややクールな雰囲気の人だった。警戒されているのかやや目付きが厳しい。

 

 

「えーっと…とりあえず日菜を家に」

 

 

「…そうですね、中へどうぞ」

 

 

「おじゃまします…」

 

 

家の中に入り、日菜をリビングのソファーに座らせる。

 

 

「ありがとー、弘くん、おねーちゃん」

 

 

「弘くん?…貴方が早川弘人さん?」

 

 

「あ、はい。」

 

 

さっきまでの警戒が解けたのか表情が少し柔らかくなった。

 

 

「私は姉の氷川紗夜です、いつも日菜がお世話になっています」

 

 

そう言うと紗夜は頭を下げた。

 

 

「頭をあげて下さい、こちらも世話になっていますから!」

 

 

そう、世話に…なってるっけ??

 

 

 

「そうですか…。早川さんの話はいつも日菜から聞いています。何でもすごい面白い人とか」

 

 

「いえいえ、そんな…」

 

 

「せっかくなのでお茶でも飲んでいって下さい」

 

 

 

「すみません、かえって気を使わせてしまって」

 

 

そう言うと紗夜はお茶を準備しながら言った。

 

 

「お気になさらず、私も1度お話ししてみたいと思っていましたから」

 

 

「そ、それはどうも…」

 

 

 

日菜を見るとソファーですーすーと寝息を立てていた。

 

 

 

 

日菜、お前はねーちゃんに俺の何を話したんだ…?

 




なんか今回はスラスラ書けました!


でも紗夜ちゃんちょっとしか出せなかったなぁ…(>_<)


紗夜ちゃん推しの人ごめんなさーい!


次回は弘人と紗夜ちゃんの会話から書いていきますので
またよろしくね~(*^^*)ノシ


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第4話 似ている二人は話が合う

仕事がバタバタで更新遅れてます~ごめんなさい(>_<)


「峰風」さん 高評価ありがとうございます~♪


書いたら出ると聞いていたので10連回したのですが…

☆4のおたえちゃんが出ました! とても嬉しいけど日菜ちゃんはドコー…?


さて、話は逸れましたが今回は前回の続きで紗夜ちゃんとの会話から始めまーす!


ではど~ぞ(*^^*)


氷川さんとの会話は当初の彼女のイメージから話しにくい人と考えていのだが、話すと案外会話はスムーズだった。

 

彼女の趣味はギターで話の内容から熱心に練習もしているのも、伝わってきた。

 

 

 

「学校での日菜はどうですか?」

 

 

ここは素直にスゲー振り回されてますよぉ!と言いたいが言ったら怒られそうな気がする。

 

 

「そうですね、元気いっぱいでこっちも元気になりますよ」

 

 

元気にならんと付いていけないからな。

 

 

そう氷川さんは聞くとため息をついて頭に手をついた。

 

 

「つまり、家にいるときと同じようですね、はぁ…あの子ったら」

 

 

…アイツ家でもあのテンションなのか。

 

 

そういえば氷川さんを学校で見かけたことないな…双子なら歳も同じだろうに。

 

 

「氷川さん、学校は…?見かけたことなかったので」

 

 

校舎の各教室等は日菜に引っ張られてほとんど見て回ったよ、2日目にな。

 

 

「私は花咲川女子学園に通っています」

 

 

 

花咲川女子学園とは俺たちが通う羽丘学園からもう少し離れたところにある。ここは羽丘学園とは違い今も女子高だ。

 

 

 

…何故二人一緒の学校ではないんだ?中高一貫だからエスカレーター方式で上がって来れるはずなのだが…。

 

 

「何故、日菜と一緒じゃないのか…と思ってますね」

 

 

顔に出ていたのか氷川さんに先に言われた。顔を見るとさっきまで 違い厳しい顔をしていた。

 

…この話は触れられたくなかったのか。

 

 

「すみません…」

 

 

「謝らなくても大丈夫ですから…、これは私の身勝手な嫉妬ですから」

 

 

「…嫉妬?」

 

 

「あの子と仲がいい早川さんなら気づいたのではないですか?日菜の才能に」

 

 

「日菜の、才能…」

 

 

そうだ。羽丘学園では入学後すぐに学力を測るためのテストを行った。そこで日菜は全て満点を取っていた。

 

更に授業中でも机に伸びたり俺を弄っている時に問題を当てられても全てサラサラと答えていた。

 

 

…俺のテストか?…自分から公表しないときは…な?

 

 

 

「あの子は才能に恵まれている。私は…っ」

 

 

 

なるほどな、日菜と比べられるの嫌で…か。

 

 

 

「でもさ、氷川さんは氷川さんでしょ?」

 

 

「えっ…?」

 

 

「俺も氷川さんとは今日初対面だし、知らないこともたくさんありますけど、貴女にもギターという貴女だけの個性があります、それに…」

 

 

「…それに?」

 

 

「…あんまり上手くは言えないですけど、日菜も悩んでる気がするんです」

 

 

「今度ゆっくり話をしてあげて下さい。お互いに言いたいことを言えなくて苦しんでるようにも感じます…」

 

 

それを聞いて氷川さんは少し驚いた表情をした後に続けて言った。

 

 

「早川さん…。貴方は、不思議な人ですね」

 

 

「俺は、どこにでもいるような奴ですよ」

 

 

ため息をついてそう言うと氷川さんは「そうかしら…」

 

と微笑んでいた。

 

 

ふと時計を見ると針は8を指していた。

 

 

「もうこんな時間か…すみません、帰ります」

 

 

「あの、早川さん」

 

 

「はい?」

 

 

氷川さんはコホンと咳をしてから言った。

 

 

「…同い年なので敬語は止めてください」

 

「はい。いや、分かったよ」

 

「…あと、」

 

「ん?」

 

 

氷川さんは少し顔を赤らめながら言った。

 

 

「わ、私のことは紗夜と、呼んで下さい…弘人さん」

 

「え、いいの?」

 

 

思わずそう返すと氷川さんは身を乗り出して言った。

 

 

「日菜だけ名前呼びだと不公平です!」

 

「お、おう…じゃあ…『紗夜』」

 

「~っ!!」

 

 

うおっ!更に赤くなった!

 

 

「顔赤いけど大丈夫か?」

 

「大丈夫です!それより帰るのではないんですか!?」

 

 

お、怒られた…。

 

 

ちらりとソファーを見ると相変わらず日菜がスヤスヤ寝ていた。

 

 

ここまで大声聞いても起きないのか…まぁまた明日会うからいいか。

 

 

カバンをつかんで玄関に向かう。

 

 

「そういえば、紗夜は敬語のままなのか?」

 

「私のは…癖のようなものなので…ごめんなさい」

 

「俺は気にしてないさ、それより…」

 

 

ふと頭に浮かんだのは紗夜がギターの話をしている時の表情。靴を履いてもう一度振り替える。

 

 

「…今度、さ」

 

 

あぁ、俺は何を思って言おうとしているんだ。

 

 

「はい?」

 

 

でも、彼女の表情があまりに辛そうで――。

 

 

「今度、紗夜のギターを聴かせてくれ」

 

「えっ…」

 

「紗夜が夢中になれるギターに興味が湧いたから…さ」

 

 

紗夜は呆気にとられた表情のあとにフフっと笑った。

 

くっ、やっぱり俺らしくもない事を言うから笑われちまったじゃねーか!

 

 

「ええ、私のでよければ今度の機会に」

 

「え、あ、う…ありがとう」

 

「その代わり…といえばあれなのですが弘人さんの連絡先を教えて下さい」

 

 

確かに連絡先知らないと今度の機会はいつになることやら。

 

 

「じゃあ交換するか」

 

 

スマホを取り出して連絡先を交換する。お互い登録されたのを確認したあとに俺は家を後にした。

 

 

「…氷川、紗夜か」

 

 

性格が正反対なふたりだが笑えば笑顔はそっくりだな…そんな事を思いながら我が家に帰ることした。

 

 

 

 

 

 

――――――部屋の窓から彼が帰る姿を見つめる。

 

 

第一印象はぱっとしない男子。そう思っていたのだけれど彼と話した時間はあっという間に感じてしまうほど有意義なものだった。

 

 

「…早川、弘人さん」

 

 

そう呟くと後ろから声が聞こえた。

 

 

「いい人だったでしょ?おねーちゃん?」

 

 

振り向くと部屋の扉を開けて日菜が立っていた。

 

 

「日菜、部屋に来るときはノックをして頂戴」

 

「あー、ごめんおねーちゃん!でもでも弘くんよかったでしょー??」

 

「…そうね」

 

 

今まで男の人とそう話す機会もそうなかった。

あまり興味もなかった。ましてや1人のためにギターを聴かせてもいいと思えるなど同じ女性でもいなかった。

 

 

それでも彼に私はギターを聞いて欲しいと思った。

…彼の何が私にそうさせるのだろう…?

 

そう思いながら再び窓の外を見る。

 

 

もう彼の姿は見えなかったが私はしばらく見続けた。




紗夜ちゃんの魅力伝わったか心配…(・・;)


今回は日菜ちゃん全然出せずにすみません…。


でも、実は途中起きてたりするのが私の思う日菜ちゃんです♪(^∇^)


次回は弘人、リサちゃんと更にあの子が中心の話にしたいと思っています。ところで猫っていいですよね 笑


よければ評価、こんな話がいいなとかリクエストあれば感想に書いて貰えればなるべく反映していけるように頑張ります!

ではまた~(*^^*)ノシ








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第5話 猫好きに冷たい奴はいない。前編

皆さーん、天駆けるほっしーです。(^∇^)

バンドリの影響でギターを買って練習しています 笑

当面の目標は『ときめきエクスペリエンス!』を引けるようになることです!(出来るかなぁ…(・・;))


お気に入りが40人突破ですとー!?ありがとうございます!


更に高評価をつけて下さった『アイリP』さん

ありがとうございますー!嬉しいなぁ♪



さてさて今回はついにちょーっと彼女が出ます。

あと弘人は音楽経験もなく、才能も凡なのでライブの力に~というのは出来ません!笑


ではでは第5話始まりま~す♪




必要ない時にあっていざ必要なものが必要な時に見つからないという経験は誰しも1度は味わってはいないだろうか?

 

これは俗に「マーフィーの法則」というものに当てはまるらしい。詳しくは俺も知らないがな。

 

 

俺もこの前テレビのチャンネルを替えようとした際、あれ?リモコンねーな?と思い近くを探した。だが見つからない。

 

 

そして諦めてイスに座ってご飯食べてるときにテーブルの片隅を見るとあったんだ、リモコンがな。

 

 

このように人間ってのは目に見えるもの全て認識している訳ではなく、見えていても無意識に意識外に追いやることがある。つまり「隙」が出来るって訳だ。

 

これはどんな人間にも当てはまる。現にマーフィーの法則は当てはまるだろ?

 

 

 

さて、今回俺が学校生活を送るなかで新たに知り合った人がいる。その人は当初隙が見えないような冷静かつ他人に必要以上に干渉しないスタンスの人だ。

 

 

…そんな人が「隙」を見せたらどんなものが見れるか話していこう。あれは俺が紗夜と知り合って1週間ほどたった頃の話だ。その日は午前の授業を終えて、昼飯を食いに屋上へ行った時から話は始まる。

 

 

 

 

 

「飯の前の授業が数学だと余計に腹が減るぜ…」

 

 

「数学の授業…全然るんってしないよー」

 

 

俺と日菜はどちらも壁に背中を預けてでろーんと伸びる。

 

 

俺は数学は大の苦手だ。数字を見てるだけで疲れるくらいな。

 

 

日菜は天才ゆえの退屈だろうか。1度でいいから味わってみたいものだ。

 

 

「そーいや、リサ遅いな…」

 

 

いつも3人で飯を食っているから疑問を口にする。

 

 

「リサちーは先に向かっててっ言ってたよー?」

 

「あー…トイレか?」

 

 

そう言うと日菜に頬を引っ張られた。いてーなオイ!

 

 

「弘くん、女の子にデリカシーなさすぎー!」

 

 

お前は人としてデリカシーがないな。と言いたいがまた引っ張られたくないから止めておこう。

 

 

そう思いながら空を見る。季節は5月。少しずつ気温が上がってきているためか暑い…。

 

制服のボタンを外して風が通るように隙間を作る。

 

日菜を見ると風に当たって心地良さそうに目を閉じていた。日菜が静かだと本当に助かる…。

 

…あぁ、平和だなぁ。これこそ俺が愛してやまない日常。今日はこのままゆっくりす『おまたせー!』バーン!!

 

…分かってたさ。我ながらキレイにフラグを立てたと思うよ。

 

扉を勢いよく開けてたのはリサだった。それと…おや?

もう1人連れてきたようだ。

 

小柄な長髪の女子だ。

 

 

「ごめんごめん!もう1人探してたら遅くなっちゃった☆二人に紹介したくてさー!」

 

「リサちー、その人だぁれ?」

 

「この子は湊 友希那、アタシの幼なじみなんだ!ほら、友希那」

 

「…湊 友希那よ、よろしく」

 

 

表情変えず淡々と言った。

 

 

「氷川日菜だよー!よろしくね!」

 

「は、早川弘人だ、よろしくな?」

 

「そう…」

 

 

うーん、反応が薄い。冷たいな…。

 

 

「えーっと…友希那はちょっと照れてるみたいで…ごめんね?」

 

「リサ、別に照れてないわ、ただ興味がないだけよ。」

 

 

そう言うとクルっと後ろを向いて屋上を出て行った。

 

 

「ちょっと!友希那~!」

 

 

リサが、名前を呼ぶが戻ってくることはなかった。

 

 

「もぅ…二人ともごめんね?」

 

「いや、大丈夫だが…」

 

「なんか変わった子だね~…」

 

 

日菜、お前には言われたくないと思うぞ。

 

 

 

その後リサと3人でいつものようにご飯を食べた。

 

 

 

 

 

 

午後の授業は体育。少しずつ近づいてきた運動会に向けての練習だ。

 

 

 

全体の内容としては

 

 

・100㍍走

 

・二人三脚

 

・パン食い競争

 

・借り物競争

 

・部活動対抗リレー

 

・学年別クラス対抗リレーの六種だ。

 

 

俺は100㍍、クラス対抗リレーぐらいの参加ですむと思っていたのだが、パン食い競争か借り物競争はどちらか選択式、さらにクラスのタイム平均上位8名は二人三脚もやることになっていた。

 

…クラスで5番目だったので二人三脚もやらなきゃいけないとはな。

 

つまり、運動会は4種目もこなさなきゃならん。

 

…あぁ面倒だぜ。

 

ちなみに最速は日菜だった。勉強だけでなく運動もこなしてしまうとは…紗夜の気持ちがどんどん分かってきた…。

 

準備運動を終えて100㍍に移るために整列する。

 

先に女子が走るため我等男子は端で座って待機だ。

 

ぼんやり眺めていると後ろから裕哉が声をかけてきた。

 

 

「おい、弘人、ぼーっとしてる場合じゃないぞ?体操服の女子を楽しまないと」

 

 

…コイツは今日も平常運転らしい。

 

 

「服が変わっただけだろ?そこまで騒ぐな、あと顔が近いんだよ」

 

 

裕哉はため息をついて見せた。

 

そのヤレヤレ…みたいなポーズやめろ、殴りたくなる。

 

 

「まぁ、弘人は氷川さんや今井さんという有名人二人と毎日イチャイチャしてるから感覚が麻痺してるんだねぇ…」

 

「オイ、誤解を生む発言はやめろ」

 

 

俺が日菜に絡まれてるのは誰の目に見ても分かる筈だ。

 

 

リサは…普通に誰にでも話しかけれる奴だしな。

 

 

「あの二人そんなに人気だったのか…?」

 

「当たり前だろ?うちのクラスどころか学年でも上位の人気だ」

 

「へぇ…上位ってことはトップもいるのか」

 

裕哉は待ってましたとばかりに声高らかに言った。

 

 

「一番は1-Dの湊 友希那さんだ」

 

「えっマジか」

 

 

確かにすげー美人だったな。

 

 

「入学からかなりの男子に告白されてるがそもそも指定の場所にすら来ないらしい」

 

「…あの湊がトップねぇ…」

 

 

ボソッと呟いたのだが裕哉はそれを聞き逃さなかった。

 

 

「なぁ?弘人くぅん?」

 

 

肩をガシッと掴まれる。

 

 

「ん?どうした?」

 

「まさかとは思うが湊さんも知り合いだとか言わないよなぁ…なぁ?」

 

 

肩を掴む力が徐々に強くなる。

 

 

「えーっとな…昼にリサの紹介で挨拶したが…」

 

「「「「WRYYYYYY!!!」」」」

 

 

周りの男子は立ち上がり、裕哉は叫んだ。

 

裕哉は反対の肩にも手をかけて揺さぶってきた。

 

何をするだァーッ!ってかどこの吸血鬼だお前らは!

 

 

「だ、だけどよ、お、俺も『興味がない』って言われたからよ!」

 

 

そう言うと周りはスッと地面に座った。

 

裕哉の顔からも怒りが消え何故か慈愛に満ちた顔をしていた。俺の手を取り握りながら言った。

 

 

「…弘人、俺らはダチだ、皆で助け合っていこう。」

 

「そ、そうだな…」

 

 

持つべきものは友だ。ありが「弘くーん!シュババーンと走るから見ててよねーーー!!」

 

 

嗚呼…日菜よ、お前という奴は。

 

 

「てめーは、俺らを怒らせた」

 

 

オラオラされたくないから俺は先生にトイレに行くと言って走り出した。

 

 

逃げるんだよォ!弘人ーッ‼




という訳でどうでしたか?


唐突のジョジョネタを入れてしまいすみません…笑

私は4部が大好きです♪(^3^)/


次回の後編は友希那と弘人を中心に書いていく予定です。


ではでは~(*^^*)ノシ




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第6話 猫好きに冷たい奴はいない。後編

どうも! 天駆けるほっしーです~( °∀ °)ハロロン


☆10 デットホーンさん

☆9 優しい傭兵さん、ヤマシロ=サンさん

評価ありがとうございます!(*^o^)/\(^-^*)いぇい☆

遂に評価が赤色になりましたー!やったー♪


そしてお気に入りが一気に70件突破しましたー!

正直 謎の焦りが来ました…(・・;)笑


余談ですが高校の時に当時付き合ってた人と放課後学校近くの猫カフェに行きました。


あまりにも可愛かったのではしゃいでしまい、家に帰ると制服が猫の毛だらけで親にすごーく怒られたことを書きながら思い出しました。(-_-;)

皆さんも猫カフェ行く際は気を付けてくださいね?


ではでは後編始まり始まり~♪


あ、個人的に弘人は脳内で杉田さんの声で再生されてます 笑


放課後になり、日菜とリサに帰ろうと声をかけた。

 

 

「弘くんごめーん!るん♪ってする部活あるから見学に行くねー!」

 

 

日菜はそう言うとカバンをつかんで教室を飛び出して行った。

 

オイ、廊下を100㍍走感覚で走るんじゃないぞ。

 

 

「やれやれ…リサはどうだ?」

 

「弘人ごめん!アタシ今日バイトの面接なんだ」

 

 

リサは両手を合わせて頭を少し下げながら言った。

 

 

「面接か、まぁ頑張れよ?よい報告待っとくわ」

 

「ありがとっ☆それじゃ、また明日ね~♪」

 

 

さて、つまり…今日はの~んびり過ごせるのか!

 

ここ最近ずーっと二人と帰ってたから忘れていたが下校時こそ最高の寄り道し放題な自由時間じゃないか。

 

 

「よーし、本屋寄ってから久しぶりにゲーセンに行くかな」

 

 

1人で呟きながらカバンをつかんで教室を出る。

 

そーいや、当初は自転車通学を決めていた俺だったが3人で登下校するから結局使わずじまいだ。

 

その分休日使う際は思いっきり使ってやろう。

 

 

 

 

 

本屋で面白い本がないか見て回っているとギターの本が目に止まった。紗夜は今日何してるんだろうな…

 

そう思いながらその本を取ろうとした時隣から出てきた手と俺の手が同時に本を掴んだ。

 

 

「あ…すみません」

 

 

手が出てきたほうを見ると黒髪で前髪が赤のメッシュの女の子がいた。制服を見ると…中学生だろうか?

 

お互い本から手を放すとこちらをちらっと見て言った。

 

 

「…こちらこそすみません」

 

「えーっと、この本買うならほら」

 

 

雑誌を渡す。女の子は本を見てから言った。

 

 

「…いいんですか?」

 

「あぁ、俺はちょっと読んでみようかなと思っただけだからさ」

 

「…どうも」

 

 

その子は本を受けとるとこちらを見て言った。

 

 

「…ギター、興味あるんですか?」

 

「知り合いがな」

 

「…そうですか」

 

「蘭~!?」

 

 

声の方を見ると何人か同じ制服の女子がいた。この子の友達だろうか?

 

蘭と呼ばれた子は本を抱えてそっちへ向かっていった。

 

きっと、あの子はギター好きなのだろう。そう思いながら別の本棚を物色しに移動した。

 

 

 

 

ゲーセンにはクレーンゲームが好きで中学の頃からたまに通っていた。が、今回はそこまで欲しいものが見つからずブラブラしていると色んな動物のマスコットぬいぐるみがあった。

 

 

 

…正直に言うとぬいぐるみは少し興味がある。ちなみに内緒な?

 

全部で4種類

猫と犬が色ちがいで2種類ずつか…よーし、コンプするか!

 

俺は100円を、取り出しゲームに集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

…ちょっとムキになってやり過ぎたか。

 

無事に全部取れたのだが3人の野口さんが旅立った。

 

痛い出費だが達成感はある。あとは…帰るか。

 

のんびり歩いていると公園が見えた。

 

もう夕方だからか子供の姿は見えないがうちの学校の制服が見えた。というか、あれは…湊だった。

 

周りをキョロキョロと挙動不審に見ている。まるで他人を警戒しているように。

 

しばらくすると公園の木の下に座り込んだ。

 

草木が多いところでここからじゃ見えない。

 

気になったから近づいて見ると…

 

 

「ふふっ♪にゃ~んにゃん」

 

 

そこには満面の笑顔で猫を撫でている湊がいた。

 

 

「ゴロゴロ~…♪」

 

 

…目の錯覚ではないらしい。さて、どうしたものか。

 

とりあえず見てはいけないものを見た気がする、立ち去ろう。

 

そう思って一歩下がると足元には木の枝があった。

 

湊の方を見ていて気がつかなかった俺はまんまと枝を踏みつけてパキッと音を出してしまった。

 

 

「にゃ~…っ!?」

 

「あっ」

 

 

バッチリ湊と目があってしまった。あ、ヤベ。

 

 

「あ、貴方は!あっ…」

 

 

急に湊が立ち上がったことに驚いたのか、猫は逃げてしまった。

 

 

「猫…」

 

 

湊は俯いた後にこちらにゆらゆらと近づいてきた。

 

近くまで来たかと思うと俺の制服のネクタイをグッと掴んで言った。

 

 

「…見たわね?」

 

「お、おう」

 

「忘れなさい」

 

 

いや、それは無理があるんじゃないですか?

 

湊が顔をあげると真っ赤になっていた。

 

 

「す、すまん!誰にも言わないからさ!」

 

 

「信じられないわ」

 

 

ああぁ!猫が好きだけど見られたくなかったのは分かったよ!さて、どうしたものか…

 

 

「いっそ、忘れるまで頭を…」

 

 

…マ、マズイ!何かこの場を抜け出す方法が…!

 

 

すると俺はゲーセンで取ったマスコットに猫があったことを思い出した。

 

ええい、南無三!

 

 

「と、とりあえずこれを!」

 

 

袋から黒猫のマスコットを取り出して湊に見せる。

 

 

 

「…これは…」

 

 

 

…ダメ、か?

 

そう思っていたら湊は手をネクタイから離してマスコットを代わりに掴んだ。表情も穏やかになっていた。

 

 

「…可愛い」

 

 

どうやら気に入ったらしい。しばらく眺めたり触った後にそれを制服のポケットにしまった。

 

 

「…貴方はリサが会わせた人ね?」

 

「あぁ、早川弘人だ」

 

「…そう。今回はこの子で許すわ」

 

「湊、そのー…、すまん…」

 

「見られてしまったものはしょうがないわ、あと友希那でいいわ弘人」

 

「…分かったよ、友希那」

 

 

そう言うと彼女はゆっくり公園を出て行った。

 

…やれやれ、結局最後は落ち着かないじゃねーか。

 

沈む夕日を見ながら一人ため息をつく俺だった。

 




これにて後編も終了です!

本屋の子はゲストで出しました!(^3^)/

さて、5話まででだいぶメンバー揃いましたが次回はもう1人出したいな~と思ってます♪


今回のイベントで日菜ちゃんとの絡みが面白かったので 笑


では次回 第7話 「男子より男らしいのは儚い?」

お楽しみに~(*^^*)ノシ


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第7話 男子より男らしいのは儚い?前編

どうも~天駆けるほっしーですよ~(^∇^)


とうとう…お気に入りが100を突破し110人に!

更に☆9評価つけてくれた
とーーーーーーーーすと さん!


本当にありがとうございます!m(__)m


これからも頑張って盛り上げていきますよー!


さてさて今回は日菜の部活の部活の話から始まります。

更に同じ学年なのに出てこなかったあのキャラが登場!(°∀°)
イベントでは日菜ちゃんとの絡みが面白かったですね!



余談ですが日菜ちゃん欲しさに回しても出ませんでした…orz

悲鳴をあげる私を見て母親が「友希那、友希那言ってたと思ったら今度は日菜?名前呼びすぎたから来ないんじゃないのー?」と言ってました。


…物欲センサーですかねぇ?(>_<)



男らしさとは何か…それは男女ひとりひとりによって感じ方が違うものだろう。

 

 

国によっても違うらしく例えばイギリス。

 

イギリスでは古くは騎士道にのっとった生き方が男らしい、と思われていたがその後、紳士的であることが最大の男らしさと考えられた。

そして紳士道からレディーファーストって考えが発達し、ただ力を誇示するだけでなく、女性を尊重してこそ男らしいとされる文化が発達しているそうだ。

 

◯ikipediaさん ありがとう。

 

 

日本では武士道にのっとった生き方をすることだろう。

 

 

「まさにブシドーですね!」

 

 

え?誰!?…気のせいか…。

 

 

まぁつまり男らしさとはかっこよさの追加ステータス

と俺は解釈している。

 

 

 

しかし、だ。もし男よりも男らしいと言われる女子がいたら…?というかいた。

 

 

そんな俺らよりも男らしい女の子との出会いについて話していこう。

 

 

 

 

午前の授業中から始まる。

 

 

古典の先生の話をやる気半分で聞いていると日菜が後ろからちょんちょんと背中を触った。

 

 

「弘くん、弘くん」

 

 

…さすがに授業中は小声か。成長したな~偉いぞー。

 

 

「なんだ?」

 

 

「あたし、部活決めたよー」

 

 

「そうかおめでとう、んじゃ後で聞くから」

 

 

そう言って前を向こうとしたら襟をグイッと引っ張られた。

 

 

「いてぇよ…」

 

 

「弘くん、部活は?」

 

 

「やってないな」

 

 

運動するのも大変だしのんびり帰宅部でいいさ。

 

 

「それならあたしと同じ部活やろうよー」

 

 

「考えとくよ」

 

 

 

そう言うと日菜は手を離してくれた。

 

 

 

 

 

日菜が気に入った部活…なんだろうな?

 

 

 

 

昼休みになるといつもの屋上へ。

 

 

今回もリサが「先に行ってて!」と言ってたから日菜と先に屋上に向かう。

 

 

 

10分くらいしたらリサはやって来た。

 

 

「ごめん!遅くなった!」

 

 

「リサちー大丈夫だよー」

 

 

「おう。用事は済んだか?」

 

 

するとリサの後ろから声がした。

 

 

「ええ、私も一緒に来たから」

 

 

 

「み、湊…」

 

 

「友希那と呼んでと言ったのだけど…弘人?」

 

 

ぐ、こいつは苦手だ。日菜と別の方向で考えていることが分からん…。

 

 

「弘くん、友希那ちゃんといつの間に仲良くなったのー??」

 

 

 

「ま、まぁ色々…な?」

 

 

リサは友希那の発言に驚いてぽかーんとしていた。

 

 

「うっそ…友希那が男子を名前でに呼んだの初めてじゃない?」

 

 

え?マジか。でもな?俺は何もしてないぞ??

 

 

 

「そうかもしれないわね…それより弘人、貴方の連絡先を教えて頂戴」

 

 

あぁ…はいはい連絡先か。

 

 

制服のポッケからスマホを取り出す。

 

 

友希那もスマホを取り出したのだが…。

 

 

「友希那ちゃん、その猫かわいいねー!」

 

 

「友希那~かわいいのつけてんじゃん♪どしたの?」

 

 

スマホに付いていたのは紛れもなく俺が友希那の怒りを沈めるために差し出した黒猫!

 

 

 

「…弘人からのプレゼントよ」

 

 

 

その瞬間屋上の風がより冷たく感じた。

 

あぁこれが空気が凍るというものか…。

 

 

「さ、そろそろ飯を食おうじゃ「「ちょっと待って」」

 

 

チィっ!逃げられなかったか。

 

 

「友希那ちゃんだけずるーい!あたしにも頂戴!」

 

 

「ふ~ん…弘人は友希那だけにあげるんだ?」

 

 

え?リサ怒ってる?そんな欲しかったのか…

 

 

「分かったよ…あとであげるからよ…」

 

 

「「ありがとう(ありがとねっ☆)」」

 

 

 

それからは友希那も入れて四人で話しながらご飯を食べた。リサのバイトが決まったこと。運動会の事とかを話しているとあっという間に時間になった。

 

 

 

教室に戻ってからスマホを見ると早速友希那からメッセージが入っていた。

 

 

『よろしく』

 

 

堅苦しいな…。

 

 

猫の『よろしくニャ』と書かれたスタンプを貼る。

 

するとすぐに返事がきた。

 

 

『可愛いわ』

 

 

始業の鐘が鳴ったためスマホをしまう。

 

 

…今度は猫カフェの場所でも教えるか。

 

 

そう考えながら先生を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

時間が飛んで放課後。リサはバイトに行くため先に帰った。

鞄に教科書を詰め込んでいると日菜が声をかけてきた。

 

 

「ねえねえ、弘くん!」

 

 

「どうした?」

 

 

「この後部活あるんだけど見に来ない?」

 

 

ふむ…部活見学か。どうせ帰っても暇だしな。

 

 

「いいぞ」

 

 

「うん!るんってきた!先に行って準備してるねー!」

 

 

そう言って日菜は走って教室を出て行った。

 

 

「おい!何の部活なんだよ!」

 

 

急いで廊下を見るが既に日菜の姿はなかった。

 

 

 

何処に行ったのやら…とりあえず下駄箱を見る。ふむ、外靴があるから外には出てないな。とすると校内か…

 

 

俺は部室棟に向かう。途中メッセージを送ったが既読が付かなかったため気づいていないらしい。

 

 

部室棟を覗いて回る。とりあえず女子部活は省いてもいいだろう。俺は入れないから対象外だ。

 

 

それにしても奇妙な部活も多いな。

占い部、UMA研究部…部室に電気が点いてないが声は聞こえてくる…そっとしておこう。

 

 

 

そうして見ていると演劇部と書かれた部屋を見つける。

 

 

部屋を見ると1人の生徒が練習をしていた。

 

 

 

「ああ……風よ、吹け。 頬を吹き破らんばかりに吹け! 吹き荒れるだけ、吹け!」

 

 

「…すごいな」

 

 

しばらく見ているとこっちに気づいたのか演技を辞めてこっちに近づいてきた。

 

 

「おや?部活の見学かい?それとも、私に会いにきてくれたのかな?」

 

 

「スマン、どちらでもない。人を探していてな…」

 

 

「おや人探しか、どんな子猫ちゃんだい?」

 

 

子猫って…まぁいいか。

 

 

「氷川日菜って奴なんだが…分かるか?」

 

 

イケメンは納得したように頷いた。

 

 

「あぁ知っているとも」

 

 

そう話していると後ろから声が聞こえた。

 

 

「あ~!弘くん見つけたー!」

 

 

振り返ると日菜がこっちに向かってきた。

 

 

「来ないから探したよー!」

 

 

俺も探したさ。

 

 

「誰と話してたのー…って薫君じゃん!」

 

 

「やぁ子猫ちゃん、今日も美しいね」

 

 

「日菜、知り合いなのか?」

 

 

「うん!部活見て回ったときに仲良くなったの!」

 

薫と呼ばれたイケメンは思い出すように目を閉じて手を胸に当てて言った。

 

 

「あぁ…あの出会いは忘れられないよ…儚い…」

 

 

「あはは!薫君は相変わらず面白いなー!あたし、薫君大好きなんだー♪」

 

 

そう言うと日菜は彼の腕にくっついた。

 

 

「私もだよ、子猫ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

…え?お前らそういう関係なのかーーー!?

 




ということで前編終了です。(°∀°)

弘人の前に現れたイケメン、薫とは…笑

前から登場させたかったので嬉しいです~♪

ただ台詞が難しい…(・・;)


次回
軽く日菜と弘人の関係に進展がある…かも?


後編もお楽しみに♪(*^^*)ノシ


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第8話 男子より男らしいのは儚い?後編

☆4確定ガチャ来ましたね!☆三(°∀°)星トンデケー


私は持ってた麻弥ちゃんが当たりました 笑


皆さんは誰が当たりましたか?これから回す人に欲しい子来ますよーに♪(*^o^)/\(^-^*)



さてさて、後編始まりまーすっ!


【注意】この物語の天文部に先輩はいません!


この世界ではオリキャラの誰かがいる代わりに原作の誰かが居ません。

そういった差し引きによって成り立っています。

ご了承下さい。


「改めて瀬田薫(せた かおる)だ、よろしく頼むよ」

 

そう名乗って瀬田は右手を差し出してきた。

 

 

「…早川弘人だ、よろしく瀬田」

 

 

しっかりと手を握る。思ったより細い手だった。

 

 

「薫と呼んでくれ、私も弘人と呼ばせて貰うよ」

 

 

「分かったよ、薫」

 

 

俺らの様子を見て日菜は嬉しそうに言った。

 

 

「うんうん!るんってするよ~♪」

 

瀬田 薫か…

 

「ええっと…」

 

 

イケメンで背は高いな…

 

 

「すまないが…」

 

 

コイツ、男なのにまつ毛長いな…

 

 

「弘くん!!」

 

 

突然日菜が大声を出した。

 

 

 

「んっ?どうした?」

 

 

「いつまで薫くんの手を握ってるのー?」

 

 

「あ、スマン」

 

 

「か、構わないさ…」

 

 

 

あまり長くいると練習の邪魔だろう。

 

 

「日菜、そろそろ行くか」

 

 

「うん、薫くんまたねー!」

 

 

「ああ。またね、日菜」

 

 

「…。」

 

 

 

日菜の後をついて歩くと1つの部室に着いた。

 

 

日菜はくるっと回って俺の方を向くと言った。

 

 

「ようこそ!天文部へ!」

 

 

 

 

 

 

部室のなかは天体望遠鏡やら星座関連の資料がたくさんあった。

 

 

 

「まさか日菜の言ってた部活が天文部とは…」

 

 

 

「えへへ~驚いたー?」

 

 

「驚いたっつーか、意外というか…」

 

 

日菜は授業中、ぐでーとしているから天体観測とかそういった静かにやるものは苦手なイメージをもっていた。

 

 

 

「むー、弘くんアタシに失礼なこと考えてない?」

 

 

またバレた。

 

 

「え、なんで?」

 

 

「だって変な顔してたよー…」

 

 

変な顔は生まれつきだ、ほっとけ。

 

 

「なぁ日菜、天文部の先輩たちはいないのか?」

 

 

そう訊くと日菜は笑顔で言った。

 

 

「アタシだけだよー?それより、弘くんも天文部入るよね?」

 

 

「いや、待ってくれ、そもそも天文部って具体的に何するんだ?」

 

 

日菜は首を傾げながら言った。

 

 

「えーっとねー、星を見ることかなー?」

 

 

 

そりゃな?…こいつは天才だ。アホではないのだが…。

 

 

「あとは?」

 

 

「あとは入ってからのお楽しみ~!」

 

 

「よし、帰る」

 

 

「ま、待ってよー!」

 

 

日菜が俺の背中に抱きつく。

 

 

「おい!離れろ!」

 

 

「嫌ー!離れたら弘くん帰っちゃうでしょー!?」

 

 

いつもならなんら代わりのないやりとり。しかし今日はいつもとは違った。

 

 

…薫と日菜が楽しそうにしている様子が頭に浮かぶと気持ちがぐちゃぐちゃになっておかしくなった。

 

 

 

 

 

 

そして、頭に浮かんだのは1つの答え。

 

 

 

 

 

…そもそも日菜に好きな奴いるんだろ?

 

 

 

 

 

そう思うと自分でもゾッとするくらい冷たい声が出た。

 

 

「日菜、離れろ」

 

 

いきなり態度が変わったからか日菜がビクッとして離れた。

 

 

「…ひ、弘くん?」

 

 

後ろを向くと日菜は少し怯えた表情をしていた。

 

 

その表情を見て少し胸が痛くなったが冷えた感情は言葉を紡ぐのを止められなかった。

 

 

「…むやみやたらに抱きつくのは女子としてどうなんだ?」

 

 

 

「そ、それは弘くんだから…」

 

 

「どうだかな」

 

 

やめろ。

 

 

「現に好きな人いるのに他の男子に抱きついてるだろ?」

 

 

これ以上はいけない。

 

 

「す、好きな人なんてアタシには…」

 

 

「そうか」

 

 

何も言うんじゃない。

 

 

 

「弘くん、アタシ弘くんが嫌がることした?」

 

 

 

「…別に」

 

 

 

「じゃあ。なんで!」

 

 

 

言葉が――止まらない。

 

 

 

 

「…お前は俺の気持ちを何も分かってない、いつも振り回されてる俺の気持ちが分かるか?」

 

 

「ーっ!」

 

 

日菜は俯いてスカートの裾をぎゅっと握りしめた。

 

 

 

その様子を見て俺は我に返った。

 

 

 

「ひ、日菜…」

 

 

 

「…ないよ」

 

 

 

「日菜、俺は…」

 

 

日菜は顔を上げる。その瞳には涙が溜まっていた。

 

 

 

「ー他の人の気持ちなんてッ!アタシには昔から分からないよッ!!」

 

 

日菜はそう叫ぶと部室を飛び出して行った。

 

 

 

日菜が教室を飛び出すと部室には静寂が広がった。

 

 

人気が無くなった部室で壁を背に俺は床に沈むように座り込んだ。

 

 

 

 

思うことは後悔、自分への怒りと呆れ。

 

 

 

入学してすぐにできた居場所を、俺はこんなにも簡単に壊してしまったんだ。

 

 

 

無意識に力を込めて握りしめていた右手からは赤く血が滲んでいた。

 

 




後編短くてすみません。


いつかシリアスを入れようと最初からタグに入れていました。苦手な方すみません(>_<)


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第9話 色彩のない日常

どうも、天駆けるほっしーです。(*^o^)/\(^-^*)


気がつけばお気に入りが150名に!

☆10評価 じゃどあ さん

☆9 評価 生ナマコ さん

高評価ありがとうございます!


今回は前回に続きシリアス回です。




あ、ガルパでフレンド募集中です!笑


ID 23786606です!
よろしければお願いします♪(*^o^)/\(^-^*)




次の日、俺はいつもより早く1人で学校に来た。

 

 

教室には、数名いたがふたりはまだ来ていなかった。

 

 

 

だが俺は耐えられなく授業開始ギリギリまで校内を歩き回っていた。

 

 

俺は一体何故あんなことを日菜に言ってしまったんだ。

 

 

その答えが見つからない。だから今の俺には日菜に話しかける資格がない。

 

 

ふとスマホを見る。授業の5分前だった。

 

 

俺はもやもやを抱えたまま教室に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

いつも仲良く登校してくるふたりがバラバラに登校して来ているのを不審に思ったアタシは日菜に声をかける。

 

 

「おはよう、ヒナ」

 

 

 

「あ、リサちー…おはよー…」

 

 

そう言いながら振り返ったヒナを見て思わずアタシは言葉を失った。

 

 

 

日菜の目もとは真っ赤に腫れていた。

 

 

「ひ、ヒナ!?一体どーしたの?」

 

 

 

「えーっとね…昨日感動する映画を見てねー?」

 

 

 

あはは…とヒナは笑いながら言った。

 

 

アタシにはすぐに嘘だって分かった。

 

 

「ヒナ、なんで嘘つくの?もしかして弘人がー『弘くんは悪くないの!』

 

 

ヒナは目をぎゅっと閉じて大きな声で言った。

 

まるで痛みを堪えながら絞り出した悲鳴。そんな声だった。

 

 

「ヒナ…」

 

 

 

「弘くんは悪くない、あたしが弘くんの気持ちも知らずに傷つけてたから…」

 

 

 

あの元気なヒナがここまでなるなんて…

 

 

アタシはいつも彼が座っている席を見る。

 

 

「弘人…」

 

 

いつもため息をつきながらも楽しそうに話している彼がいない。鞄が掛けられて放置された席はいつもよりも冷たく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…授業は淡々と進んだ。

 

 

時より前のほうからリサの視線を感じていたが今の俺はリサにすらどう向き合えばいいのか分からなかったため気づかないふりをした。

 

 

…いつもなら肩を叩いたり背中を突いてくる日菜も今日は何もしてはこなかった。

 

 

そう、これが普通の生活。ありふれた日常。

 

 

…これがお前の望んでいた日常だろ?

 

 

 

うるさい、黙れ。

 

 

平和を謳歌するんだろ?

 

 

分かってる。

 

 

ほら、授業が終わったら思いっきり伸びて言ってみろよ。

 

 

『平和だなぁー』ってよ。

 

 

 

やめてくれ。

 

 

そんな自問自答を繰り返しながら空を見る。

 

 

今日は快晴。いつもより天気はいいのに…。

 

 

何故こんなにも色褪せて見えるのだろう。

 

 

 

昼休みになって教室を出てすぐに後ろから腕を掴まれた。

 

 

後ろを見るとそこにいたのはリサだった。

 

 

 

「弘人、どうしたの?」

 

 

「…何でもない」

 

 

 

「じゃあ何でそんな辛そうな顔してるの?」

 

 

「これは…」

 

 

 

「日菜もそうだった、いったい何があったか教えてよ…今の二人…とても見てられないよ…」

 

 

 

リサは目に涙を溜めながら言うと俺の手を引っ張って歩き始めた。

 

 

 

「お、おい…」

 

 

リサに連れられた先は屋上だった。

 

 

 

「…ここなら人来ないから」

 

 

 

「…。」

 

 

言葉が出ない。悔しくて、情けなくってリサの顔すら見れない。

 

 

 

「…もう!」

 

 

いきなり両頬を掴まれたと思ったらグイッと顔を上げられた。

 

 

 

「アタシには相談もしたくないの?弘人にとってアタシはそこまでの存在なの?」

 

 

 

そんなことない。リサだって、日菜だって。

 

「これ以上お前らに迷惑かけたくない…」

 

 

 

 

 

 

「1人で抱え込まなくていいから。アタシら友達でしょ?」

 

 

 

…ポロポロと涙を流しながらリサは言った。その様子を見ていた俺の目からも涙が流れた。

 

 

 

高校生になったのに泣くなんて情けない。

 

 

いつもの俺ならそう思っただろう。だけどな、これはリサと同じで誰かを思って流れた涙だ。

 

 

それなら別に泣いてもいいだろ?

 

 

 

先程まで色褪せて見えた空は涙で歪んで見えたが、そこにはしっかりと綺麗な青空があった。

 

 

 

 

それから少し時間をおいてからリサは話を始めた。

 

 

 

「よし!それじゃー弘人とヒナの仲直り大作戦始めよっか☆」

 

 

いつもの元気なリサを見て思わず笑みが溢れた。

 

 

「弘人、もう大丈夫?」

 

 

 

「あぁ…ありがとなリサ、お前が友達でホントに良かったよ」

 

そういってリサの頭を撫でた。

 

 

「え、ちょ、ちょっと!?」

 

 

リサは顔を真っ赤にして慌て始めた。

 

 

「ひ、弘人!?なんか違う方向でらしくないよ!?」

 

 

「こーゆーときじゃないとこんなこと言えないから受け取っとけ」

 

 

そう言うとリサは黙って頭を撫でられていた。

 

 

「んー、意外といいかも…♪」

 

 

リサは頭を撫でられるのは嫌いではないらしい。

 

 

よし、困ったときはこの手でいこう。

 

 

そう思ってるとチャイムが鳴った。

 

 

「このままサボるか」

 

 

「いつもならダメだけど…今日だけ賛成~♪ほーら、続けて?」

 

 

…そんなに好きなのか?

 

 

 

 

それから10分程撫でていただろうか、そろそろと思い手を離す。リサも満足したようだしな。

 

俺はリサに訊く。

 

 

「…日菜は許してくれるだろうか?」

 

 

 

するとリサは笑顔で言った。

 

 

 

「日菜も弘人をきっと待ってるよ」

 

 

 

 

そこからはリサと話をしていると放課後になった。

 

 

先生には保健室に居たと話すとため息を1つと小言を少しもらった。

 

 

 

 

 

リサはバイトに行くとのことでただ一言。

 

 

「明日は二人で登校してきなよー?」とウィンクしながら言われた。

 

 

 

 

そして1人とぼとぼ歩く日菜に追い付くと深呼吸してから言った。

 

 

 

「…っ!日菜!」

 

 

ビクッとしてから日菜が振り向く。俺の顔を見てから一瞬喜ぶが再び目を伏せてしまった。

 

 

「弘くん…?」

 

 

 

日菜ともっと話したい。ただそれだけだ。

 

なら日菜が望むように伝えよう。

 

 

 

 

「日菜、俺を天文部に入れてくれ」

 

 

謝ることはこれからでも出来る。まずは日菜と一緒の時間を取り戻していこう。

 

 




第9話終了です!


さてさて日菜ちゃんと弘人は無事に仲直り出来るのかー?

次回も頑張りますので宜しくお願いしまーす(*^^*)ノシ


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第10話 もう一度だけ歩き出すための勇気

皆さんどうも!天駆けるほっしーです(°∀°)

この度UAが1万突破しましたー!(*^▽^*)ワーイ


皆さんの応援のおかげです♪ありがとー☆
(評価も欲しいなーと言ってみたり…笑)



そしてバンドリのフレンドになってくださった方々ありがとうございます!(T0T)


プロフィールコメントが私への応援コメントになってて
るんってなりました♪


さてさて、今回は弘人が日菜と仲直りするために頑張ります!


ではどうぞー!


「日菜、俺を天文部に入れてくれ」

 

 

 

俺は深呼吸してからそう告げる。

 

 

日菜は驚いた表情の後にまた寂しそうな表情をして言った。

 

 

「弘くん…無理しなくてもいいんだよ?」

 

 

「っ!…俺は無理なんかしてない」

 

 

「…だってアタシにいつも振り回されてるんでしょ? 」

 

 

 

日菜はふっ、と笑いながら言った。

 

 

やめろ、そんな無理な笑顔を作らないでくれ。

 

 

「…確かにいつも振り回されていたさ、俺の思い描いた平凡な高校生活にはならなかったしな」

 

 

「…そうでしょ?…なら『それでもな?日菜』

 

 

「お前に会えたから、俺はこんな生活にも楽しさを感じることが出来たんだ」

 

 

俺は日菜に近づきながら続けて言う。

 

 

「あんな事を言った俺を許してくれとは言わない、だけどまた仲良くしてくれるなら…俺を天文部にいれてくれ」

 

 

 

「…弘くんっ!」

 

 

涙を流しながら日菜は正面から抱きついてきた。

 

 

 

 

「ごめんね!弘くん、ごめんね!…あたし、あたしぃ…」

 

 

 

 

 

俺は日菜を受けとめて出来る限り優しく頭を撫でる。

日菜が近くに居てくれる。それだけでこんなにも嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくたっただろうか。

 

 

日菜は顔を上げて言った。

 

 

「…今日の弘くん、いつもの弘くんじゃないみたい」

 

 

「どういう風に…?」

 

 

「ん~言ってるとこがキザって言うかー」

 

 

「うぐっ、」

 

 

「かっこつけてるっていうかー」

 

 

や、やめてくれ。恥ずかしくて死ぬ。

 

 

「でも…」

 

 

「でも?」

 

 

「…かっこよかったよー?///」

 

 

「っ!/////」

 

思わず日菜から顔を逸らす。

 

 

「むー!褒めてるのに聞いてるー?」

 

 

「あー、なんか言ったか?」

 

 

「そんな態度とるならー…」

 

 

 

日菜は顔を再び俺に埋めて両腕を少し引くと…

 

 

 

「それそれー!」

 

 

いきよいよく俺の脇をくすぐり始めた。

 

 

 

「あっははははは!ひ、日菜!や、やめろォ!」

 

 

 

「ふふっ!どんどん行くよー!」

 

 

こ、コイツ…!なんでこんな的確に弱いとこを…!

 

 

 

そして別の部活の生徒が来るまで日菜のくすぐり地獄は終わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜から入部の紙を貰って玄関に向かうとそこに居たのは薫だった。

 

 

 

「おや日菜に弘人、帰りかな?」

 

 

 

「あ、薫くん!」

 

 

 

「…よう」

 

 

相変わらずイケメンだな。

 

 

「夕日に照らされる二人、あぁ…儚いな」

 

 

コイツの感性もよく分からん。

 

 

 

「薫くんも帰るのー?」

 

 

「私はもう少し練習していくさ、二人の邪魔をするほど野暮ではないしね?」

 

 

「…そうか、頑張れよ」

 

 

「招かれないのに来た客は、帰るときにいちばん歓迎される。…と言うわけだね」

 

 

何故シェイクスピアの詩を言うのか分からないが薫はそのまま去っていった。

 

 

 

「あはは!薫くんは相変わらず面白いよねー!」

 

 

 

「確かにな」

 

 

…これだけは聞いておかなきゃな、友達として。

 

 

「なぁ…日菜」

 

 

「なーにー?弘くん?」

 

 

「日菜は…薫と付き合いたいのか…?」

 

 

 

もしそうなら出来る範囲で応援してあげたい。それが今の俺に出来る日菜への精一杯の…

 

 

『アタシと薫くんが? なんでーー??』

 

 

日菜が不思議そうに首を傾げた。

 

 

 

「何でって…お前、薫が好きなんだろ?」

 

 

「確かに薫くんは好きだよー?でもさー…」

 

 

「でも?」

 

 

 

 

『薫くん、女の子だよー??』

 

 

 

「そうか…女の子だから…ん?」

 

 

何だって、薫が…

 

 

「薫って女子なのかよーーーーー!!!???」

 

 

 

 

夕焼けに染まる校舎内に俺の叫びが響き渡った。

 

 

こうして日菜との仲直りと俺のアホな勘違いは無事に幕を閉じたのだった。

 




今回は短めですね…(・・;)


次回は友希那ちゃんとのお話になります。


あらすじ


友希那とメッセージをやり取りしている中で猫カフェについて説明する。そして次の日、放課後に友希那がクラスに来て…?

次回 第11話 お楽しみに♪(*^^*)ノシ


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第11話 猫の魅力は、彼女を動かす。前編

更新遅くなりました! 天駆けるほっしーです(^O^)

パスパレイベいいですねぇ~♪私も頑張ってますのでマッチングで見かけたら是非フレンド申請お願いします♪


新しいガチャ回しました!虹背景でやったー!と喜んでたら彩ちゃん、千聖ちゃんではなく七夕の紗夜ちゃん出ました!(・・;)


でも!ロゼリア☆4全くいないので良かった~♪
いぇい☆

紗夜ちゃん出たので近いうち紗夜ちゃんの話も考えてます!


さてさて、今回から友希那ちゃんがたくさん出ます!推しの方々お待たせしましたー!(*^▽^*)


ではどーぞ!



日菜と仲直りしてから数日が経ち気がつけば運動会の1週間前だ。

 

 

あれから変わったことは特にはないがしいて言えば、日菜との時間が増えたことか。

 

天文部に入部し夕方までのんびり話したりトランプをしたりして過ごす。

 

そして夕暮れ時に話しながら空の星を探したりする。

 

 

そんな生活だ。もちろん遅くなる時は連絡を入れる。

 

…何故か俺が紗夜にな。

 

 

『弘人さんが一緒なら安心ですので』

 

 

そこまで信頼されると逆にプレッシャーなのだが…。

 

さて、日菜を家まで送り、自宅へと帰る。

 

 

部屋で着替えているとズボンのスマホがブルブルと震えた。

 

取り出してみると新着メッセージが一件。

 

 

友希那からだった。

 

 

『リサから聞いたわ、最近色々あったそうね』

 

 

げ、知ってたか。

 

 

『まぁ、色々あったな…』

 

 

『私には直接話してくれなかったわね?』

 

 

え?怒ってらっしゃる?とりあえず謝っとこう。

 

 

『すまん、今度埋め合わせするから』

 

 

『弘人が私を満足させられるとは思わないのだけど』

 

 

随分とナメられてるな、俺。

 

友希那、俺には"切り札"があるんだぞ?

 

 

とうとう使うときが来たか。

 

 

 

 

 

―『友希那、猫カフェって知ってるか?』―。

 

 

 

 

 

 

 

――次の日。

 

 

「ふあぁぁ~…」

 

 

「弘くん、随分大きな欠伸だねー」

 

 

「あぁ…ちょっとな…」

 

 

日菜と登校しながら俺は眠気と戦っていた。

 

 

あの後、友希那から質問攻めにあったのだ。

 

 

建物の場所、名前、営業日までは答えられた。だがな、

 

いる猫の種類なんて分からねーよ…。

 

 

半目で登校する俺を流石に変に思ったのか日菜は心配そうな顔で続けて言った。

 

 

「あんまり夜更かしすると倒れちゃうよー?」

 

 

「倒れたりはしねーから安心しろって」

 

 

徹夜でゲームをやってきた男子はこれしきではやられはしないのだ。

 

 

だが眠いものは眠い。

 

 

学校について日菜とリサの話をぼんやりと聞き、いざ授業に入ると俺はまどろみの中に意識を沈めていった。

 

 

 

「―きなさい」

 

 

ん?誰かがなんか言ってるな。

 

 

「――人」

 

 

まぁもう少し寝かせてくれ。

 

 

「起きなさい、弘人―」

 

 

次の瞬間、俺は誰かに右耳をグイッと引っ張られた。

 

 

一気に意識が覚醒する。

 

 

「いってぇ!誰だ!」

 

顔を上げて右を見るとそこにいたのは――。

 

 

「やっと起きたわね、弘人」

 

 

俺の睡眠不足の原因、友希那だった。

 

 

 

 

 

一応男子にぶっちぎりで人気のある友希那がクラスに来たことからウチのクラスは騒然としていた。

 

日菜とリサは友希那が来たことに喜んでいたのだが…

 

 

「え?あの湊さんにも手を出してるの…?早川くんっていったい何者…?」

 

 

「まだよ!…まだ私は早川くん×高村くんだって信じてるから…!」

 

 

 

「オイオイオイ、まただアイツ」

 

 

「おのれ、早川…」

 

 

「怨怨怨…」

 

 

「別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

 

またか、また男たちから逃げなきゃいけないのか…。

 

そう考えていると誰かに肩を掴まれた。

 

祐哉だった。

 

 

「弘人、お前はよォ…」

 

 

祐哉は何故か泣いていた。

 

 

 

そんな祐哉の手を俺から払い除けるように退かして友希那は言った。

 

 

「私は弘人に用があるの、退いてくれないかしら」

 

 

急に話しかれられたのがびっくりしたのか祐哉はわたわたとしながら言った。

 

 

「湊さん、お、俺はですね…」

 

 

「退いてくれないかしら、邪魔よ」

 

 

友希那は祐哉にキッパリと言うと、ショックを受けたような顔をしてからか笑顔になった。

 

 

「こ、これはこれでご褒美だな…!」

 

 

…コイツはブレねぇなぁ…。

 

 

「んで?友希那、俺になんの用だ?」

 

 

話が全然進まないから俺から切り出す。

 

 

「弘人、今日は予定あるかしら?」

 

 

 

「うーむ、日菜。今日部活は?」

 

 

 

「うーん、今日はアタシ行きたいとこあるから…

友希那ちゃん!弘くん貸してあげるっ!」

 

 

俺はお前の所有物か!

 

 

「…どうやら大丈夫そうね」

 

 

 

「そうだな…なんかあるのか?」

 

 

 

そして友希那の一言で教室の時間が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

「弘人、私と放課後デートしなさい」

 

 

 

 

 

…………

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

 

 

え、デートってあのデート??

 

 

 

 

 

???「時は動き出す………」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「えぇぇーッ!!??」」」」」」」

 

 

「弘人、私おかしいこと言ったかしら…?」

 

 

 

「マジかよ…」

 

 

 

 

 

友希那よ…このタイミングで言うことか…それ?

 

俺は手を額に当ててため息をつくしかなかった。




前編は以上です!

皆さん楽しんで頂けましたかー??

思ったら即行動。今回の友希那ちゃんは純粋かつ大胆ですねー笑(・・;)


次回の後編では放課後に二人でデート回です。


お楽しみに~(*^^*)ノシ


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第12話 猫の魅力は、彼女を動かす。後編

皆さんどうも!天駆けるほっしーです。

遅くなりましたー!(>_<)ごめんなさいっ!


胃腸炎にてダウンしてました…。(;_;)

後編初めます!


放課後…クラスまで迎えに来た友希那と外へ向かう。

 

 

…途中廊下での視線が痛かった。

 

 

「で、友希那」

 

 

「何かしら?」

 

 

「何で『あの場』で、『デート』なんて言ったんだ?」

 

 

火に油どころでなく炎にガソリンだったぞ。嫉妬の炎にな。

 

 

「男女が一緒に遊びに行くのは一般的にデートではなくて?」

 

 

「んん…?まぁそうとも言うが…」

 

 

間違っちゃいないけどよ…

 

 

「それとも…弘人は私と出掛けるのが嫌?」

 

 

友希那は表情には出さなかったが明らかに声が沈んでいた。

 

 

「そんな事ないさ、行くんだろ?猫カフェ」

 

 

「…えぇ、エスコート頼むわ弘人」

 

 

そう言うと友希那はふっと笑った。

 

 

「…勿体ねぇな」

 

 

いつも無表情でばっかいると顔固まるぞ?

 

 

「……。」

 

無言でこっちを見たかと思うと友希那は俺の脇腹をチョップしてきた。

 

 

「いてぇな…」

 

 

「失礼な事考えたわね?」

 

 

「くっ…」

 

なんでコイツといい日菜といい、人の心読むんだよ…。

 

 

「ほら、早く行くわよ」

 

 

「あいよ」

 

 

俺らは並んで猫カフェに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

――そんな二人をこっそりと追う2つの影があったのを俺は気づかなかった。

 

 

 

「ふっふーん♪早速移動始めたね!」

 

 

「ちょ、ちょっとヒナ?やっぱり辞めない?」

 

 

「むー、リサちーは気にならないの?あの二人の関係」

 

 

「それは…気になるけどさー…」

 

 

「友希那ちゃんに弘くん取られるのがー?」

 

 

「ち、違うってもう!」

 

 

否定していたけどリサちーの顔は真っ赤だった。

 

 

アタシは人を好きになるとかよく分からないけど、リサちーが弘くんを見る表情はフツーとは違うのは分かった。

 

 

きっとリサちーは弘くんが好きなんだろうなぁ~♪

 

 

「ふふっ!るん♪ってきた!」

 

 

「もー…ヒナ?ついていくのはいいけどさ、邪魔しちゃダメだよ?」

 

 

「分かってるってー!」

 

 

「…ホントかなぁ…」

 

 

そんな話をしてると二人は随分大きな先に行ってしまった。

 

 

「もー!リサちーは話が長いよ、ほら、追いかけるよー!」

 

 

「あ、ヒナ待ってよ!」

 

 

二人には嘘ついちゃったけどこんなたのしい事見逃せないもんねっ!

 

 

二人を追いかけるようにアタシとリサちーは後を追った。

 

 

 

 

 

 

――――――学校を出てからしばらく歩く。

 

 

私はこれから猫達に触れ合える楽しみを抱きながら猫カフェへの道を進んでいく。そんな中隣を歩く少年をチラッと見る。

 

 

――――早川 弘人。

 

私が求める音楽の才を持っているわけでもなくただどこにでもいるような彼。でも、私はそんな彼との時間に癒しを得ていた。

 

私に対して下心を持って近づいてくる男子は少なくなかった。そうでない人は話しかけてもこない。男はそんな二種しかいないと私は考えてた。

 

 

しかし、彼はどちらでもなかった。下心を持っていなければ話しかけてもこないわけでなく。…不思議な人だ。

 

 

彼と会わなければこんな風に猫カフェに行ける男友達なんて一生出来なかっただろう。

 

私はもう一度彼の顔が見たくなってチラッと見る。

 

 

今度は彼が私の視線に気づいたのかこちらを見てきたので慌てて反対に目を逸らす。

 

 

「友希那、大丈夫か?」

 

 

「問題ないわ」

 

 

 

…これから彼と過ごす中で私はどう変わっていくのだろう。そんな想いを抱きながら歩き続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

――学校から15分程歩くと目的の猫カフェに着いた。

 

 

よし、ちゃんと営業してるな。

 

 

「おし、友希那、着いた―――『イラッシャイマセー』っておい!」

 

 

友希那は窓から見えた猫に吸い寄せられるように店に入っていった。

 

 

「やれやれ…」

 

 

ため息をついてから俺は友希那を追って店の中に入った。

 

 

 

店の内装はシックだったが周囲に猫がいるからか落ち着きのなかに癒しがある…といった感じか。で、肝心な友希那は…。

 

 

 

「ここが…天国なのね…!」

 

 

めっちゃ喜んでる。コイツがこんな目を輝かせるの初めてみたぞ…。

 

 

俺はカフェオレを注文し、イスに座って様子を見る。

 

たまに寄ってくる猫を撫でながら友希那を見る。

 

 

うわ、スゲー笑顔。

 

 

あまりに夢中になっているからそっとスマホで写真撮っても気がつかなかった。後でリサに送ってやろう。

 

 

…それにしても。

 

 

「ふふっ♪にゃーん」

 

 

どうやら連れてきて正解だったな。

 

 

 

 

―――猫カフェ・店の前――

 

 

 

「友希那、楽しそう♪」

 

 

「ねーねー!リサちー!アタシ達も中に入らない?」

 

 

「ダーメ。バレるよー?」

 

 

それに、今の弘人もいい表情してるしね?

 

 

「じゃああそこのお店入ろーよ!」

 

 

「ヒナ、見なくていいの?」

 

 

「あっつ~い…飲み物飲んで休もー?」

 

 

暑さにぐでーとしてるヒナを見てクスッと笑ってしまう。

 

 

「そうしよっか☆」

 

 

あたし達はここで帰るから、友希那をよろしくね?弘人。

 

 

…でもあたしも弘人と出掛けたいなぁ…なんてね?

 

 

 

そんな事を考えながらヒナと猫カフェを離れることにした。

 

 

 

 

 

 

―――猫カフェに入ってしばらく経っただろう。

 

 

ぼんやりと眺めていると眠くなって自然と眠ってしまったようだ。

 

 

「うわっと…友希那は…」

 

 

「呼んだかしら」

 

 

隣を見ると友希那がいた。

 

 

 

「すまん、寝てた」

 

 

「構わないわ。ね?」

 

 

友希那は膝に載っている猫を撫でながら言った。

 

 

猫はにゃーと鳴いて答えた。

 

 

「…それに」

 

 

「それに?」

 

 

「いえ、なんでもないわ、そろそろ時間かしら?」

 

 

スマホの電源をつけると【18:15】と表示されていた。

 

 

「そうだな、帰るとするか」

 

 

「…えぇ」

 

 

ホントはもう少し居たいのだろう。

 

膝に載っていた猫を下ろしながら周りを見渡していた。

 

 

「友希那?」

 

 

「…行きましょう」

 

 

入り口で会計を済ませ外に出ると夕焼け空が広がっていた。

 

 

「今日はありがとう…なかなかに楽しめたわ」

 

 

「そりゃ良かった」

 

 

「でも、もう少し居たかったわ…」

 

 

「だろうな、スゲー笑顔で満喫してたし」

 

 

「私が楽しんでたらいけないかしら」

 

友希那は少しムッとした表情で言う。

 

…今日1日でコイツの色んな表情が見れたな。

 

 

「そんなことないさ、猫と遊んでるときのお前可愛かったぞ?」

 

「ッ!?」

 

「…友希那?」

 

 

「…弘人のたらし」

 

 

おいおい、誉めたら悪口帰ってきたぞ。

 

 

 

――――――それからしばらく歩くと友希那はここでいいと交差点前で止まった。

 

 

「家まで送るぞ?」

 

 

「いいえ、貴方に家を知られたらどうなるか分からないもの」

 

 

「どうもしねーよ!」

 

 

「ふふっ、冗談よ?今日はありがとうね弘人」

 

 

「おう、こちらこそ」

 

 

「あー…友希那?」

 

 

「?何かしら?」

 

 

「お前が良ければまた行こうぜ、猫カフェ」

 

 

「ええ、もちろん良いわ」

 

 

こうして友希那と別れ帰宅する。

 

 

帰宅すると日菜、リサ、祐哉から今日の事についてのメッセージがたくさん来ていたから返事を送る。

 

もちろんリサには友希那の画像を送った。

 

 

 

その日、リサのスマホには二種類の画像が送られてきた。

 

 

1つは弘人からの猫と遊んでるときの友希那。

 

そしてもう一枚は気持ち良さそうに寝ている弘人の画像。送って来たのはもちろん友希那からだった。




後編どうでしたか?

着々と女の子達に影響を与える弘人…恐ろしい 笑っ


次回は運動会でのお話を書こうと思います。

良かったら感想、お気に入り登録、評価よろしくお願いしまーす♪

ではまた~(*^^*)ノシ


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第13話 運動会の始まり、野望の終わり

大変遅くなりました!(>_<)

天駆けるほっしーです!

ついに、お気に入りが250人になりました!

ありがとー!いぇい☆


Twitter見てくれた方はご存知かも知れませんが、友達とアキバに旅行してきました!


そこのバンドリのくじにて日菜ちゃんのサインカードが当たりました!書けば出るとはこのことですね(*^^*)♪


あとはお台場にガンダム見に行ったり、立川のコトブキヤ行ったり満喫してきましたよー(^∇^)エヘヘ


帰ってきたらお財布が軽くて、軽くて…。(・・;)


さてさて今回から運動会のお話となります。

ではどうぞ~


皆は運動会好きだろうか?

 

 

その答えは人それぞれだろう。体を動かすのが好きな人や女子にカッコいいとこ見せようと思う人にとっては絶好の機会だろう。

 

逆に運動が苦手、面倒くさいと思う人には嫌な日だろう。

 

 

もちろん俺は後者だ。運動は苦手ではないぞ?ただ面倒なのが嫌なんだ。

 

朝の目覚めしのアラームを止めて窓のカーテンを開ける。

 

…素晴らしい運動会日和の空だ。

 

 

スマホを見るとリサからメッセージがきていた。

 

 

『おはよー☆今日は頑張ろうねー!あとさ、お昼たくさん作ったから一緒に食べよー♪』

 

 

昼飯を作ってくれたのか…さすがリサだ。

 

 

体操服に着替え素早く準備をして家を出る。

 

今日は長い1日になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

日菜を待ちながらスマホをいじる。何が一番嫌なのかって?

 

せっかくの休みが運動会で潰れるのが一番嫌なんだよ…。

 

 

そう考えながらため息をつくと背中に誰かがくっついてきた。

 

 

「弘くん!おはよーーー!」

 

 

「おー、おはよ日菜」

 

 

抱きつかれて色々とあたっていたがなるべく平静な声で答える。

 

 

その様子がつまらなかったのか日菜は頬を膨らませながら言った。

 

「むーっ!可愛い日菜ちゃんに抱きつかれて反応ナシー?…弘くんってもしかしてそっち系なの…?」

 

 

「オイ、俺はそっち系ではないぞ」

 

 

「知ってるよー?それより、今日は楽しみだねー!」

 

 

日菜は俺から離れるとくるくると回った。

 

いつもと違い体操服での登校なので新鮮さがあった。

 

「俺はあまり楽しみじゃないけどな…眠いし…」

 

 

「そんなんじゃ1位とれないよー!」

 

別に1位じゃなくてもいいじゃないか。

 

 

「今から元気にいこーよ!」

 

 

そう言うと日菜は俺の手を掴んで走り始めた。

 

 

「お、おい!日菜!」

 

 

「今日はるんっ♪て日になるよー!」

 

 

「…そうだな!」

 

まぁ1日くらいはしゃいでもいいか。

 

そう思いながら俺たちは学校へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

長々と語る校長のありがたい話を欠伸をしながら聞き流す。

 

 

上級生の選手宣誓に拍手をしてから各自ワラワラと待機場所に向かう。

 

 

イスに座わると祐哉が声をかけてきた。

 

 

「弘人、今日は負けねーからな」

 

 

祐哉とは100㍍走を一緒に走ることになっていた。

 

いつもの俺だったら適当に答えていただろう。しかし、今日の俺はちょっと違うぞ?

 

 

「あぁ、俺も負けねーよ」

 

 

そう答えたのが意外だったのか祐哉は驚いていた。

 

 

「あの弘人がやる気を出している…だと…?」

 

 

失礼な奴だな。

 

 

「たまにはいいだろ?俺が本気出してもよ」

 

 

「なら、なんか賭けないか?」

 

 

祐哉がいきなり提案してきた。

 

 

「賭け?」

 

 

「あぁ、ただ走って勝負ならつまらねーからよ、お互い賭けるものあったほうがやる気出るだろ?」

 

 

「…確かに」

 

 

「なら決まりだな!俺が負けたらお前が欲しがってたノーパソやるよ!」

 

 

「…マジかよ」

 

確かにパソコンは欲しかったがこんな時に賭けてもいいのか…?いや、それだけ本気なのか…。

 

 

「ちなみに俺が勝ったら…」

 

 

「……勝ったら?」

 

 

 

「氷川さんと今井さんとデートさせてもらう!」

 

 

 

……は?

 

 

「弘人、お前から二人に一緒に行って貰えるよう頼み込んでくれ」

 

 

「いや、無理なんじゃねーかな…」

 

「そこをなんとかするのがお前だろ!」

 

んな無茶な。

 

 

「…なぁ、やっぱ辞めないか?」

 

 

もし二人にバレたらヤバそうだしな…

 

しかし、祐哉は引き下がらなかった。

 

 

「いや、乗った時点で拒否権はない!受けてもらうからな!!」

 

 

「…やれやれ」

 

 

 

「フフフ…俺の時代が始まるぜ!」

 

 

 

 

…30分後

 

 

 

そこには地面に手をついて項垂れる祐哉がいた。

 

 

まぁ簡潔にまとめると俺が勝った。というかスタートと共に祐哉は転倒+靴が脱げるといった笑いの神(ソーの弟じゃないぞ?)に祝福されたような珍プレーをかましてくれた。

 

ちなみに後ろで見てた日菜には指を指されて笑われていた。

 

 

「あははっ!カッコ悪すぎー!靴が飛んでったー!」

 

 

 

こうして俺と祐哉のパソコンと己の野望を賭けた戦いはあっさりと終わったのだった。

 

 




今回短めですね(・・;)


次回からリサちゃん、日菜ちゃんたくさん出番用意してます!


感想、評価よろしくお願いします!

ではお楽しみに~(*^^*)ノシ


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第14話 彼女達に手を引かれて

最近忙しくてなかなか更新出来ずすみません…(>_<)

今月は特に…orz

さて、今回は運動会の続きです!


では、始まり~♪


祐哉からノートパソコンをGETした100m走を終えて次は借り物競争だ。

 

この競技に俺は出ないため再び待機場所の席に座る。

 

ルールはオーソドックスなもので、走者が一斉にスタートし置かれているお題が書いた紙を拾ってお題の物を借りてゴールするというものだ。

 

スタートの合図と共に一走目の生徒が走りだして紙を拾いあちこちに向かっていった。

 

この競技見る側だとホントに面白いな。物だけでなく人もあるようで二人でゴールしている様子も見えた。

 

さて、第二走者には…日菜がいた。

 

スタートの合図と共に一斉に走り始めるが一番最初に紙を拾ったのはやはり日菜だった。

 

日菜は紙を拾って少し見ると俺らのほうへ走ってきた。

 

 

どうやらこっちにお題の物があるようだ。

 

 

「弘くーん!一緒に走るよ!」

 

「俺かよ!」

 

「早くー!負けちゃうよっ!行くよー!」

 

 

日菜に手を引っぱられて俺も走り出す。

 

 

…そういや、日菜と最初に会ったときも引っ張られてたな。

 

そんな事を考えながら日菜と駆け抜ける。

 

順位?もちろん最初にテープを切れたさ。

 

 

1位の旗を貰った日菜に訊く。

 

「なぁ、紙にはなんて書いてあったんだ?」

 

 

日菜は笑顔で紙を見せると、そこにはこう書かれていた。

 

 

【一番の人】

 

…果たして何の一番なのだろうか俺は。

 

なんとも複雑な顔をしていたのか日菜がニヤニヤしながら言った。

 

「ねーねー!何が一番か気になる~?」

 

 

…ちょっと腹立つがホントの事だから何も言えん。

 

俺は無言で頷くと日菜は舌をべ~っと出しながら言った。

 

 

「あははっ!教えなーい!」

 

そういうと待機場所に走っていった。

 

「オイ!日菜、教えろー!」

 

「弘くんが追い付いたらねー!」

 

もちろん最速の日菜に追い付けるわけなく結局何が一番か教えて貰えなかった。

 

 

 

 

それから淡々と借り物競争は行われ次の走者には友希那が並んでおり、髪は走りやすくするためか後ろにまとめて結っていた。

 

 

そういや、友希那が走ってるとこ見たことないな。

 

 

先生の合図で一斉にスタート!…したのだが…。

 

 

…マジか。

 

 

友希那も当然走っているのだが遅い。本人はわりと必死な表情なのだが…まさか友希那が走るのが苦手とは。

 

 

友希那は紙を拾うとなんとも言えない表情をしていた。

 

「ねーねー、弘くん。友希那ちゃんのにはなんて書いてるのかなー?」

 

後ろの席に座ってる日菜が言った。

 

「さぁな、でも難しいじゃないか?」

 

「あ、友希那ちゃんこっちに来たよ!」

 

「…そうだな」

 

友希那は真っすぐ俺達の前に来た。

 

 

「弘人、行くわよ」

 

「あー…どうしても?」

 

友希那は頷く。

 

「さっき日菜と走ったばかりなんだけど…」

 

 

「行くのよ」

 

友希那に腕を引っ張られる。え、なんでこんな力強いんだよ?

 

結果は最下位だった。うん、まぁ俺もすぐに動かなかったし友希那だけのせいではない。

 

「それより友希那、紙にはなんて書いてあったんだ?」

 

「…これよ」

 

紙には【親友】と書かれていた。

 

 

「リサでも良かったんじゃないか?」

 

幼馴染みだしさ。

 

「リサはこの後走るからダメよ、それに…」

 

「それに?」

 

友希那は後ろを向きながら言った。

 

「…貴方だってその、大切な友達…だからよ」

 

 

「そっか、ありがとな」

 

 

「分かったら早く戻りなさい」

 

「はいよ」

 

友希那、恥ずかしいからって後ろ向いてもよ、耳まで真っ赤だぞ…?

 

 

心のなかで不器用な友人にそうツッコミつつ俺は席に戻った。




髪結ったライオンズ友希那ちゃんいいよね…(^∇^)


次回はTwitterのアンケート結果を元に話を書きます♪

そして早く投稿予定です!

よろしければお気に入り、評価、感想お願いしまーす!

ではでは~(*^^*)ノシ


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第15話 一緒に走るに変わりはない。

皆さん、暑さにやられてませんかー?(>_<) 

天駆けるほっしーです!(^∇^)☆

ペルソナコラボ!始まりましたね~♪

私も早速回したら…

コラボひまりちゃんとモカちゃん当たりました!


そして! ついに! ☆4日菜ちゃん当たりました!

ずーっっっと待ってたよ~(T_T)


あとガルパフレンド申請ありがとございます♪(^^ゞ


プロフに応援コメくれる方もいて…ホント嬉しいです♪


まだまだフレンド募集してますので宜しければお願いします!

ID→23786606

さてさて、長くなりましたが今回はTwitterで行ったアンケート結果を元にしたお話です!


友希那が走ってから少しするとアタシが走る番になった。

 

正直なところ走るのは得意!っては言えないけど…。

 

やるからには負けたくない。

 

 

「では、位置についてー」

 

 

足に力を入れて構える。

 

 

「よーい!」

 

 

身体を前傾姿勢にしつつ合図を待つ。

 

 

 

パァン!

 

 

合図と同時に走り出す。

 

スタートはバッチリ、ただアタシより速い高校人が前を走っている。

 

まだ差はない。紙の内容によっては1位もイケる!

 

 

どうか簡単な内容で!

 

紙を拾って開くと…

 

 

「…えっ!?」

 

 

そこに書かれていたのは―――――。

 

 

 

 

 

「リサちー動かないね」

 

 

日菜は不思議そうに見ながら言った。

 

 

「友希那もそうだが、なんか…なぁ?」

 

 

リサが拾った紙には…何が書いてあったんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんでこんな事書いてるの…」

 

 

アタシは紙を恨めしそうに見る。そこに書かれていたのは…

 

 

 

【大切な人(Love♪)】

 

 

もぉぉぉ!誰!?こんなの書いたのー!

 

 

だいたい好き人なんて…

 

そう思って頭に浮かんで来たのは…弘人だった。

 

 

「なっ!////ち、違う違う!アタシは別に弘人の事は…」

 

 

その時ヒナと一緒に友希那と弘人のデートを思い出した。

 

 

 

『友希那ちゃんに弘くん取られるのがー?』

 

 

 

あの時…二人の友達が仲良くしているのに…なんでアタシは素直に喜べなかったのだろう。

 

 

弘人と出会って友希那は前より笑顔でいることが多くなった。

 

アタシも弘人に感謝してる。ああでもこの気持ちは恋なのだろうか。もしかしたら友希那も弘人の事…

 

 

そんな風に考えていると待機場所からヒナの声が聞こえた。

 

 

「リサちー!頑張ってーーー!!」

 

 

「ヒナ…」

 

 

そうだ。今はとにかく走らなきゃ!

 

 

アタシは待機場所目がけて走り出す。

 

 

ヒナの前にいる…彼のところへ

 

 

「弘人ーーーー!お願ーーい!!」

 

 

祐哉に背中を叩かれながら弘人は立ち上がってこっちに向かってくれた。

 

 

弘人が来てくれた!

 

 

そう思って油断したのだろう。アタシは自分の足に躓いた。

 

 

そして、派手に転んでしまった。

 

 

 

「リサ!大丈夫か!?」

 

 

慌てて弘人が駆けよってくれた。

 

 

急いで立とうとするのだが、転んだ時に挫いたのか左の足首が鋭く痛んだ。

 

 

「痛っ!」

 

 

うだうだ考えて走ったからバチが当たったのかな…?

 

 

「リサ、痛いか?」

 

 

無言で頷く。

 

痛みよりも情けなさで視界が滲む。

 

また弘人に泣き顔は見られたくなかった。

 

 

「やれやれ、今日はそこまで走るつもりもなかったんだがな」

 

 

上から聞こえる弘人の声色は面倒だというようなものだった。彼に嫌われる、そう思うと涙が溢れた。

 

 

だが次にアタシは浮遊感に包まれた。

 

 

「きゃっ…ひ、弘人!?」

 

気がつくとアタシは弘人に抱き上げられていた。

 

つまり…お姫様抱っこされていた。

 

 

「あまり動くな。余計に疲れるからな、申し訳ないと思うなら少しじっとしててくれ」

 

 

「で、でも!」

 

 

「この前の借りを返すと思ってくれ。それに…まだ負けた訳じゃない」

 

 

アタシを抱えて走りながら弘人は言った。

 

アタシも落ちないよう弘人の首に腕をかける。いつもより近い距離、真剣な表情にアタシの心臓はドキドキと高鳴っていた。

 

 

弘人に聞こえちゃうかも!?そんな事ばかり考えて何か話したくても頭が回らなかった。

 

 

やっと話せたのはアタシ達がゴールテープを越えてからだった。

 

 

弘人はそのまま真っ直ぐ医務の方へ向かってくれた。

 

 

「ね、ねぇ…弘人…アタシさ…」

 

 

「重くない?って話か?」

 

 

「ちょっと!」

 

 

「冗談だ。どうした?」

 

 

「弘人は…あ、アタシの事、どう…思ってるのかなって…」

 

 

思わず言っちゃったけどこれ遠回りに好きかどうか訊いてるみたいじゃん!

 

 

「んー…リサの事か」

 

弘人は少し考えるように唸る。

 

 

「…最初は随分とチャラい奴だと思った」

 

 

「うっ…」

 

 

アタシ、第一印象から最悪じゃん…

 

 

「でもさ、今はお前が傍にいてくれたから今の俺らがあるんだ。ほらな?」

 

 

「リサちー!大丈夫ーー!?」

 

 

「リサ、どこ痛めたの?大丈夫?」

 

 

声のほうを見るとそこに居たのは…

 

 

「ヒナ…友希那」

 

 

「転んだ時はびっくりしたよー…」

 

 

「その後弘人が抱えて走りだしたのも、ね?」

 

 

「周りの子達はキャーキャー言ってたよー?」

 

 

「ふえっ…!?////」

 

 

弘人の腕のなかで安心してたけど…忘れてた。

 

 

「み、皆に見られてたじゃん!」

 

 

「まぁど真ん中走るんだからそりゃな?」

 

 

弘人は不思議そうに言った。

 

 

「うぅ!弘人に恥ずかしい目に合わされたー!」

 

 

もう恥ずかしくてアタシは両手で顔を覆う。

 

「オイ!誤解を招くような事を言うな!」

 

 

「ホントの事だし!」

 

 

「こうしなきゃ負けてたろー!?」

 

 

「弘人のばかー!」

 

 

アタシは弘人の身体を手当たり次第叩く。

 

 

「いたっ!リサ、暴れるな!」

 

 

「弘人なんか知らないよーだ!」

 

 

「じゃあなんで俺を呼んだんだよ!?」

 

 

「教えてあげないっ!」

 

 

「だいたいお前とヒナはいつもいつも…」

 

 

 

言い合いしながら医務に向かう二人を日菜と友希那は呆れたように追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

…確かにすっごい恥ずかしかったけど、ちょっと嬉しかったよ?ありがとっ☆弘人♪

 

足を痛めたり、お姫様抱っこされたり色々あった今日の事はアタシの大切な思い出になるだろうな。

 

 

少しムッとしながら運んでくれる彼の顔はいつもよりかっこよく見えた。

 




これにて運動会編は終了とします!


えっ?他の競技?皆さんのリクエストがあれば書く…かも?


次回からは第二章。リクエストにあったNFOを書いていこうと思います。

よければお気に入り、評価、感想お願いします♪


では、また~(*^^*)ノシ


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第16話 NFO編その1~ネットでの邂逅は突然に~

どうも!天駆けるほっしーです!

いや~7月ももう終わってしまいますね(・・;)

私の地元も来月に大きな祭が始まります。暑いから参加しないと思うけど…笑っ


まずは多くの方がガルパでフレンド申請して下さり大変嬉しいです♪中にはプロフコメに応援コメント書いてくれる方も居てふふっ♪と笑ってしまいました☆

まだまだ枠空いてますので宜しければお願いします!

さて、今回より新章始まります!

最初の舞台リクエストにあったNeo Fantasy Online!

あの二人も登場しますので推しの方、お楽しみに!

では、始まりま~す(^∇^)♪


運動会を終えて俺は平日だがのんびーり寝てから起きた。

 

スマホを見ると【09:15】と時刻が表示されていた。

 

 

別に寝坊でもサボりでもない。今日は運動会の振り返り休日だ。

 

 

手早く朝ごはんを食べて自室のテーブルに向かい合う。

 

テーブルの上には祐哉からの戦利品であるノートパソコンが置いてある。

 

そして、俺は手早くネットを開きゲーム画面に移る。

 

そうこのゲームこそ俺が興味を持ったゲーム…。

 

『Neo Fantasy Online』だ。

 

簡単に言えばプレイヤーによって行われるオンラインRPGと呼ばれるジャンルのゲームである。

 

今日が初めてのプレイのため、まずは自分のネーム登録から始まる。

 

 

「あ~…名前何にするかな」

 

色々と悩んだ結果『ヒロ』にした。悪かったな、ありきたりでよ。

 

「次は職業か…」

 

ヒーラー…うーん違う。魔法より物理派だからなぁ…

 

 

お、タンク…メイン盾ってヤツだな。

 

これでいくか。

 

さぁ、ゲームスタート!

 

 

 

 

――旅立ちの村――

 

 

ある程度話を聞いて回ったが…

 

 

さて、まずはこのジェイクって人からのクエストだ。

 

『よく来てくれました……旅の方。実は、折り入ってお願いしたいことがあるのです。この手紙を鉱山のリンダに届けてもらえませんか?』

 

手紙を届ける…いかにもRPGらしいおつかいイベントだ。

 

「サクッとクリアするか」

 

俺は迷わずクエスト受注ボタンを押す。

 

 

『本当ですか!?ありがとうございます!リンダは村を出て西に進んだ先にある鉱山にいるはずです。どうかよろしくお願いします……。』

 

 

 

さて、村を出ようと思ったところでチャット欄にコメントが表示された。

 

 

『こんにちは( ‘ω` )』

 

村の中に黒髪のキャラクターがいた。このキャラを使用している人からのコメントだろう。キャラクター名は…

RinRinというのか。

 

『こんにちは』

 

 

『鉱山に行かれるんですか?(‘ω’*)』

 

 

『クエストで手紙を届けに行きます』

 

 

『私も鉱山にアイテム取りに行きたいので良かったらご一緒してもいいですか?あ、職業はウィザードなので魔法で攻撃します(ノ`ω´)ノ』

 

 

『自分、初クエストなのでよろしくお願いします』

 

 

『こちらこそよろしくお願いしますねヽ(*゚∀゚*)ノ』

 

 

とりあえずこのRinRinさんとパーティーを組んで村を後にした。

 

 

 

 

――アゼミチ村道――

 

 

鉱山は西にあると行ったので村を出て西に進む。

 

 

途中光るものがあったので拾うと「薬草」と表示された。

 

薬草はRPGの定番アイテムで、序盤の心強い味方だ。ましてや俺のタンク職は必然的にダメージを受けることが多くなるためより回復は必要だ。

 

ある程度拾うとRinRinさんからメッセージが飛んできた。

 

『薬草、たくさん拾いましたか?(‘ω’*)』

 

 

『結構拾いました』

 

アイテム欄の4割は薬草になっていた。多くて困るものでもないだろう。

 

『ヒロさん、薬草はそのままでも使えますがこうすると回復ポットになりますよ』

 

言われた通りにやると薬草は回復ポットへと変わった。

 

 

『おぉ!出来た!』

 

 

『鉱山にはモンスターも出てきますから気を付けて行きましょう!(`・ω・´)ゞ』

 

 

『hai!』

 

『ふふっ、変換ミスしてますよ?(p ‘∀’o)』

 

 

こうして俺の冒険は始まりましたとさ。

 




Twitterでアンケート取ったところRinRinが多かったので登場してもらいました!

もちろんあの子も後で出てきますから!

感想や評価を頂くとモチベが上がったりします!

宜しければお願いします♪笑っ

次回もお楽しみに!(*^^*)ノシ


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第17話 NFO編その2~小さな冒険譚~


皆さんどーも!天駆けるほっしーです!(^∇^)♪

気がつけばお気に入り350件、UA25000を突破!

これからもゆっくりですが更新しますのでよろしくお願いします♪(^^ゞ

さて、NFO編第2話!始まりまーす!


 

 

――ロゴロ鉱山――

 

RinRinさんと鉱山に入る前に確認しておきたい事がある。

 

 

『この鉱山は敵はどうなんですか?』

 

 

『はい。序盤なので基本的に敵はそこまで強くありません(ノ ‘ω’)ノ』

 

 

『なら安心ですね』

 

『でも、あんまり奥まで行くとかなり強いモンスターズがいますので気を付けて下さい!ヒロさんタンクですがまだレベルが低いので下手をすれば一撃でやられてしまうかもしれません…( ̄ω ̄;)』

 

まずは敵を倒してレベルをあげないとな。

 

『手紙を届けて終わりでもいいんですけど、ちょっとレベル上げしてもいいですか?』

 

RinRinさんが一緒の内にちょっとでも指導をお願いしたいところだが…

 

 

『もちろん、大丈夫ですよヽ“(*´ω`)ノ』

 

 

『ありがとうございます。では早速!』

 

 

とりあえず近くにいたモンスターを捉えて突っ込む。

 

さぁ、楽しいレベル上げと行こうか!

 

 

 

 

RinRinさんはウィザードだがタンクの俺にも分かりやすく的確にアドバイスをくれた。おかげでだいぶ立ち回りも理解出来た。

 

 

『だいぶ慣れてきましたね♪ヽ(*゚∀゚*)ノ』

 

 

『RinRin先生のご指導の賜物です。』

 

 

『先生だなんて…大げさですよ(*ノωノ)』

 

 

『いえいえ、本当ですよ。ありがとうございます』

 

 

実際にこの短時間でレベルもそうだがお金やアイテムもそこそこ集まった。

 

 

『私も欲しかったアイテム手に入りましたし楽しいですよ?(◯’ω’◯)』

 

 

時計を見るともう昼過ぎになっていた。

 

 

『RinRinさん、時間大丈夫ですか?』

 

 

『もうお昼過ぎてました!Σ(゚д゚lll)』

 

 

『ではそろそろ手紙を届けて村に戻りますか?』

 

 

『そうですねヽ“(・ω・;)ノ』

 

 

リンダさんに手紙を届けて旅立ちの村に帰還する。

 

 

ジェイクにリンダから受け取った手紙を渡す。

 

 

『これは……リンダからの手紙……?ありがとう旅の人、ありがとう……』

 

どうやら無事にクエスト完了のようだ。またおつかい覚悟してたのでホッとした。

 

 

『無事に終わりましたね♪(‘ω’*)』

 

 

『なんかあっという間でしたね』

 

 

『そうですね。あ、そうだ!(ノ ‘ω’)ノ』

 

画面に新たなメッセージが表示された。

 

 

【RinRinさんからフレンド申請が来ました。】

 

 

『よければまた一緒に冒険しませんか?ヽ“(・ω・;)ノ』

 

 

RinRinさんには敵わないなー。

 

そう思いながら【はい】をクリックする。

 

【RinRinさんとフレンドになりました】

 

 

『こちらこそよろしくお願いします、あと敬語じゃなくてもいいですよ?』

 

 

『ええっと、ならヒロさんもね?(‘ω’*)』

 

 

『ん、了解』

 

 

『じゃあ、またね?』

 

『また今度!』

 

セーブされたのを確認してゲームからログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

【ヒロさんがログアウトしました】

 

 

ログアウトしたのを見てから一息つく。

 

いきなり話しかけて迷惑かな?と思ったけどいい人だったな…。これからも一緒にゲーム出来るからもっと仲良くなれたらいいな…。

 

 

そう考えていると画面に新しいメッセージが表示された。

 

【聖堕天使あこ姫さんがログインしました】

 

 

それと同時にメッセージが飛んできた。

 

『りんりーん、お待たせー!』

 

 

『あこちゃん、こんにちは(‘ω’*)』

 

 

『りんりん暇だったでしょー?ごめんねー!』

 

 

『ううん、さっきまで別の人のクエスト手伝ってたよ(ノ ‘ω’)ノ』

 

 

『りんりんがあこ以外の人と一緒にクエスト行くなんて珍しい!どんな人だったのー!?』

 

 

『いいよ。始めたばかりの人なんだけどね…』

 

 

ちょっとお腹すいたけど、お昼はもう少し後にありそう。

 

ヒロさん…ヒロくんとのちょっぴりの冒険。

 

 

今度はあこちゃんと3人で冒険したいな。

 

 

 

 

 

 

 

昼御飯を食べて一息つくとスマホがポケットでブルブルと震えた。

 

 

画面を見ると紗夜からだった。

 

『お休みの中すみません。この後お時間ありますか?』

 

 

…どうやら午後の予定も埋まってしまった。

 




しばらく出番がなかった紗夜ちゃんにもとうとう出番が…ヽ(*゚∀゚*)ノ


NFO編の途中ですが、書いていきます!ヽ“(*´ω`)ノ

次回もよろしくお願いします!(*^^*)ノシ


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第18話 不器用な姉からのお願い

どうも~ヽ(*゚∀゚*)ノ天駆けるほっしーです!

気づけば8月も10日過ぎましたね~( ̄ω ̄;)ハヤイ

お気に入り400突破☆((((;゚Д゚))))

正直読んでくれる人くるかなー?と思って初めてここまで多くの方に読まれると思ってもいませんでした。笑っ

これからも皆さんが楽しめるようなお話を書けるよう頑張って行きますよー!o(>ω<)o


さて、今回は久しぶりにおねーちゃんが登場します。


 

『お休みの中すみません。この後お時間ありますか?』

 

紗夜からメッセージが送られてきてから1時間後、俺は待ち合わせの喫茶店に着いた。

 

ここのお店は珈琲が上手いと有名だが、実はケーキも美味しい。約束の時間まで1時間あるしちょっと食べてもいいな。

 

そう思いながら店に入った。

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 

元気な声が聞こえたと思ったらショートカットの女の子がニコニコ微笑みながらこちらに来てくれた。

 

 

「1名様ですか?」

 

「はい。1名で…!?」

 

 

ふと視線を少女から店の奥に移すと…紗夜はすでに席に座っていた。

 

…俺時間を間違えたか?

 

時間を見直すがやはり間違っていない。…なんで?

 

 

「あの…お客様?」

 

 

いつまでも立ったままの俺を見てか店員の子がちょっと困った顔をしていた。

 

 

「あ、あぁ…すみません。待ち合わせしてます」

 

「そうだったんですね!どうぞー!」

 

 

そう言ってぺこっと頭を下げると店の奥へパタパタと向かっていった。

 

とりあえず紗夜のいる席に向かう。

 

近くにいくと紗夜は髪をちょいちょいといじっていた。

 

 

「髪は変になってないわよね…」

 

「あー、紗夜。」

 

 

声をかけると紗夜はビクッと少し跳ねてからこちらを見た。

 

 

「…後ろから急に話しかけないでください!」

 

「す、すまん…待ったか?」

 

「いえ、私も来たばかりですのでご心配なく」

 

「あー、紗夜?」

 

「なんですか?弘人さん」

 

 

俺は人差し指で自分の口元をトントンと触れて見せる。

 

紗夜も不思議そうな顔でマネをすると人差し指に付いたものがある。

 

クリームだ。

 

 

「えっ!?///」

 

 

紗夜は急いでナプキンをつかんで口元を拭く。

 

 

つまりだ。紗夜も俺と同じく早く来てケーキを食べたのだろう。

 

 

色々聞きたいがこれ以上言うと怒らせてしまうだろう。

 

店員がお冷やを持って来てくれたのでコーヒーを注文する。ケーキはまた今度の機会にしよう。

 

そう思っているとコホンと一息ついてから紗夜が切り出した。

 

 

「まずは急な呼び出しに応じて頂きありがとうございます」

 

「紗夜から呼び出されると思わなかったからちょっと驚いたが…なんかあったのか?」

 

「いえ、大したことではないのですが…」

 

「遠慮するなよ?俺に出来る範囲内なら手を貸すからさ」

 

 

「弘人さん…」

 

「それに…ギター聴かせてもらうって言ったのにそれっきりだったからな」

 

「…そうですね。このまま無効にされると思ってました」

 

 

「いや、そういう訳ではないのだが…」

 

 

「ふふっ…冗談です」

 

 

「お前に言われると冗談の気がしないぞ…」

 

「そうでしょうか?雑談もいいですが、本題に入りましょう。弘人さん、この後もご予定はないのですか?」

 

 

「そうだな、一人でゲームする位には忙しいぞ」

 

 

「…それは暇というのではないのですか?」

 

 

「冗談の仕返しだ。問題ない」

 

 

「では…この後私と出かけて貰えませんか…?」

 

 

「俺は構わないが、俺でいいのか?」

 

 

「はい…貴方でないとダメなのです」

 

 

 

こうして紗夜とデートする事となった。

 

 

どうしてこうなったかって?そんなの俺が聞きたいくらいだ。




今回は少し投稿早めたので短くなっちゃいました~…( ̄ω ̄;)

次回は紗夜ちゃんとのデートです!何故デートする事になったのか…答えは次回!

よろしければ感想、評価お願いします!(*ノωノ)

リクエスト等はメッセージ送って頂けると嬉しいです♪

ではまた~ (*^^*)ノシ


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第19話 贈り物と迷子の少女

どうも~(*ノωノ)天駆けるほっしーです♪

いつもよりも更新早くて驚いてますか?笑っ

実は日刊ランキングで12位になりました!ヽ(*゚∀゚*)ノ

皆さんが読んでくれるなら頑張っちゃいますよ!

さて、今回はリクエストよりあの子が登場します。

もちろん紗夜ちゃんも出ますよー!(`・ω・´)ゞ




会計を済ませて店を出る。

 

店員の子は店の外まで見送ってくれた。どうやら男性の店員に対して「お父さん」と声をかけている様子からお店の手伝いをしているむすめさんだろう。どおりで若いわけだ。

 

今回はケーキ食べれなかったからまた来よう。そう思いながら店を後にした。

 

紗夜の後ろを歩きながら訊ねる。

 

 

「なぁ紗夜、出掛けるのはいいんだがどこに行くんだ?」

 

「ショッピングモールに向かいます」

 

「何か買うのか?」

 

「えぇ…父の日が近いのでプレゼントをと思いまして」

 

「父の日か…」

 

 

どうやら俺が呼ばれた理由はこれだな。

 

 

「その、男の人の喜ぶものが分からなくて…」

 

 

紗夜は凄く申し訳なさそうな顔をしながら言った。

 

 

「男友達とかは?」

 

「仲のいい男性なんて私には弘人さんしかいませんよ?」

 

 

喜んでいいのか微妙なとこだな…

 

「参考までに訊くが去年はどうしたんだ?」

 

 

「去年は…受験の事ばかりで忘れていました」

 

「そ、そうか…」

 

まぁいい…せっかく出掛けるんだし、楽しまないとな!

 

 

 

 

15分後…ショッピングモールに着いた俺たちは紳士服が売られているコーナーに向かう。

 

紗夜の話では紗夜のお父さんは仕事でスーツやネクタイを着用しているが、あまり種類が多くないためバリエーションに欠けているとのことだ。

 

ならばまずは無難にネクタイからにしておこう。

 

ネクタイの売り場にたどり着いたが、さすがここいらで一番大きい店だけあって種類が多い。

 

紗夜がおもむろに手にとって値札を見て顔を青くしていた。

 

…どうやらいい値段の物だったらしい。

 

「はぁ…弘人さん、どれを選べばいいのでしょうか?」

 

「とりあえず色で選んでみなよ」

 

 

「色…ですか?」

 

「そそ。こーいう時は本人に似合う色より好きな色を選んで渡されたほうが嬉しいと思うぞ?」

 

 

「そうですか…」

 

紗夜はネクタイ売り場をぐるりと回ったのち水色と白のストライプ柄と黒と紫のチェックの二種類を選んだ。

 

 

会計を済ませて紙袋を受けとると嬉しそうに抱えていた。

 

「改めてありがとうございます、無事に決められました」

 

 

紗夜はフッと微笑むとそう言った。

 

 

「気にすんなよ?困ったときはお互い様だろ?それに、さ」

 

「それに?」

 

「紗夜はもっと笑ったほうがいいぞ、可愛いし」

 

「か、かわっ!?///,」

 

紗夜の顔が一気に真っ赤になった。

 

…褒められ馴れてないのか?

 

 

「と、とりあえずお手洗いに行ってきます!」

 

 

「あいよ」

 

パタパタと駆けていく紗夜を見送りながらベンチに腰掛ける。

 

スマホでアプリゲームをしようとした時だった。

 

震えるような声が耳に聞こえた。

 

 

「ふぇぇ…」

 

 

顔を上げると水色の髪の女の子が辺りをキョロキョロと見ながらあっちをふらふら、こっちをふらふらとしていた。

 

「ふぇぇ…千聖ちゃぁん…どこー…?」

 

 

あー…もしかしてこの子迷子?しかし、歳も中学?くらいか

 

 

「ふぇぇ…」

 

 

…このままにしておけないな。

 

紗夜にちょっとだけ待っててくれと、メッセージを送り少女に声をかける。

 

 

 

「…えーっと、大丈夫か?」

 




19話はここまでです!ヽ(*゚∀゚*)ノ

タイトルで分かった方も多いと思いますが花音ちゃん登場☆

可愛いですよね~♪(‘ω’*)

なんか中途半端なところで終わってしまったので次回も投稿早く上げますね!

よろしければ評価、感想お願いします(*ノωノ)

ではまた~(*^^*)ノシ


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第20話 迷える少女に救いの手を!


どうも!先輩に水着ジャンヌ当たったと見せられて心で涙した天駆けるほっしーです!( ̄ω ̄;)

ついにUA30000突破☆ヽ(*゚∀゚*)ノイエーイ☆

これからも作品共々よろしくお願いします。

さて、今回は花音ちゃんメインです。


 

「ふえぇ…ここどこー?」

 

一緒に来た千聖ちゃんを探してどれくらい経っただろう

 

ショッピングモールにふたりで来てカフェに行く前にあちこち見て回っていたらはぐれてしまった。

 

 

「ふぇぇ…千聖ちゃぁん…どこー…?」

 

まっすぐ進んで来たはずと後ろに戻っても見慣れない光景が広がっており、さっきのところに急いで戻った。

 

私はどんどん心細くて涙が溢れそうになった。

 

そんな時だった、後ろから声が聞こえたのは。

 

 

「…えーっと、大丈夫か?」

 

「ふぇっ!?」

 

急に声をかけられて思わず小さく悲鳴を上げてしまった。

 

恐る恐る振り替えるとそこにいたのは男の子だった。

 

年齢はわたしと同じくらい…なのかな?悲鳴をあげたからか表情はちょっとびっくりしてた。

 

 

「な、なんでしょうか…?」

 

男の子と話すのに慣れてないわたしは小さな声で尋ねた。

 

男の子は困ったように笑いながら答えた。

 

「えーっと、あなたが困ってるように見えたからさ…なんかあったのかなーって」

 

 

「えっ?」

 

「違ったならいいんだけどさ…ちょっとくらいなら力になれるかもしれないし」

 

「えっとね…人とはぐれちゃったの…」

 

 

「んーと、彼氏さんとか?」

 

 

「ふえっ!?ち、違うよっ!」

 

 

「す、すまん…とりあえずどっちから来たんだ?北口?南口?」

 

 

「…それがわからなくて…」

 

 

「つまり……迷子?」

 

 

「…うんっ」

 

 

「なるほどなぁ…」

 

 

男の子は頭を抱えてしまった。

 

…嫌な思いさせちゃったかな…?

 

「ごめんね…?」

 

 

「謝らなくてもいいって、ただ連れに連絡させてくれ」

 

 

「え…?あ、うんっ」

 

 

男の子はスマホを取り出して電話をかける

 

「…あ、紗夜?この先のカフェあるだろ?そこに向かってくれないか?あとから合流するからさ」

 

 

カフェ…?もしかして!

 

 

「あ、あのっ!?」

 

 

「うおっ!?どうした?」

 

 

『女の子の声?…弘人さん?貴方は何をしてるのかしら?』

 

 

「さ、紗夜?これには事情が!」

 

男の子の服の袖を引っ張って言う。

 

 

「わ、私も…カフェ行きたい、ですっ!」

 

「えっ?」

 

『……弘人さん?』

 

 

「わ、分かったから待ってくれ!」

 

 

男の人は私の手を服からそっと離すと電話に頭を下げていた。

 

な、何だか電話の向こうの人が怒っているみたいだけど何とかカフェに着けそうだ。

 

目的地のカフェなら千聖ちゃんも来てくれる…はずだよね?

 

 

「あぁ!今から行くからよ?それじゃあな」

 

 

男の子は電話が終ったようでスマホをしまって私に言った。

 

 

「あー…とりあえずカフェに行きたいんだな?えーっと…」

 

 

そういえば名前を言ってなかったね。

 

「わ、私は松原花音、と言いますっ」

 

 

「松原さんか、俺は早川弘人だ。んじゃカフェに行くか」

 

 

「…うんっ」

 

二人同時に歩き出す。

 

「おい、そっちは逆だぞ?」

 

私は早川くんと逆方向に歩き出していた。

 

「ご、ごめんね…っ」

 

早川くんは頭を抱えながら言った。

 

 

「…松原さんってかなりの方向音痴なんだな…」

 

 

「ふえぇー!」

 

 

周りの人にジロジロ見られたので二人でその場を早足で離れた。

 

 

早川くんはカフェに着くまで私より半歩後ろを歩いていた。

 

なんで一緒に歩かないのか聞いてみたら

 

「いや、どっかに迷いこみそうだし…」と答えた。

 

 

ふえぇ…分かっているけど、言われるのは辛いよぉっ。

 

 

それでも彼と会えてよかった。

 

それから5分程で目的のカフェに到着した。

 

店の前にいた女の子に早川くんが怒られたのは…なんでだろう…?




迷子の花音ちゃんが無事にカフェに到着しました!

よかったーヽ“(*´ω`)ノ♪

弘人はこの後紗夜ちゃんにたくさん怒られます笑っ

その話は次回に続きます!

短いですが20話以上です!( ̄ω ̄;)

よろしければ感想、評価よろしくお願いします♪(‘ω’*)


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第21話 一難去ってまた一難

皆さんこんにちはヽ“(*´ω`)ノ♪

天駆けるほっしーです!最近ドラムも気になってますが部屋に置く場所ないです!笑っ

さて、今回は前回の続きから!花音ちゃんとカフェに着いた二人。

そこに続いて現れたのは…?


さて。カフェにて紗夜と合流したのは良かったのだがそこで待っていたのはすご~く機嫌が悪そうな紗夜だった。

 

「あー…紗夜?まずはすまんかった」

 

 

「すまんかった…?」

 

 

「あ、いえすみませんでした…」

 

 

「弘人さん?貴方は私の父に贈るプレゼント探しに私と、一緒に!…来たんですよね?」

 

 

「…おっしゃる通りです」

 

 

何故に『私』と『一緒』を強調したように話したのだろうか。

 

「…弘人さん?聞 い て ま す か ?」

 

 

「ハイッ!聞いています!」

 

 

余計な事は考えないでおこう。もっと怒らせそうだしな

 

 

「はぁ…で、迷った方をお連れしたと聞きましたが?」

 

 

「あぁ。おい、松原さん離れてくれ」

 

紗夜が怖かったのか俺の背中にくっついて隠れている松原さんに声をかける。

 

 

「ふえぇ、早川くん…」

 

 

「大丈夫だ。紗夜はいいやつだから」

 

 

「ふえ?紗夜さんってもしかして…」

 

 

「貴女は…松原さん?」

 

 

紗夜が松原さんを見て驚いた顔をしていた。

 

 

「知り合いか?」

 

 

「ええ。彼女も私と同じく花咲川女子学園の一年生です」

 

 

「…てっきり中学生だと思ってた」

 

 

「ふえぇ!?なんでかな?」

 

 

「だって迷ってるし」

 

 

「ひ、酷いよ~っ!」

 

 

ちょっと涙目になった松原さんを見て流石に言い過ぎたと反省した。

 

 

「ごめん、言い過ぎだったな」

 

そういって彼女の頭をふわっと撫でた。

 

俺が昔、近所のガキと喧嘩して泣いた時によくお袋がやってくれたっけか。

 

 

「ふえっ、は、早川くん!?/////」

 

 

「ん、嫌だったか?」

 

松原さんは顔を真っ赤にして答えた。

 

 

「嫌じゃ…ないよ?けど…」

 

 

「けど?」

 

 

「…氷川さんが怖い顔してるよ?」

 

 

…oh.

 

「…弘人さん?」

 

 

俺は松原さんから手をパッと離すとカフェの扉を指差した。

 

 

「の、喉乾いたし店に入ろう!あ~コーヒー飲みたいぜ!」

 

 

紗夜が口を開いてなにかを言おうとした時だった。

 

 

「花音!!」

 

俺らの後ろから声がした。

 

 

振り向くとそこにはサングラスをかけた金髪の少女がいた。

 

 

「ち、千聖ちゃん!」

 

 

「もう、心配したのよ?また迷子になってるんじゃないかって」

 

 

「ご、ごめんね?」

 

どうやらこっちも合流出来たようだ。

 

 

「で、でもね、早川くんが助けてくれたの」

 

 

そういってこちらを見る松原さん。さすがに照れるぞ…

 

 

「早川くん?」

 

 

ちさとちゃん?と呼ばれた子はこちらを不思議そうに見てから頭を下げた。

 

「友達が困っているところを助けて頂きありがとうございます」

 

 

「いや、俺が勝手にやった事だから…顔を上げてください」

 

 

「ふふっ、優しくて謙虚な人なんですね。良かったらこのまま一緒にお茶しませんか?」

 

 

「俺は構わないけどー…」

 

 

そう言って紗夜を見ると紗夜も「構いません」と言った。

 

 

 

こうして4人でカフェに入ることにした。

 

そーいや、今日2回目だなカフェ入るのは。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

店員ほ案内にてテーブル席に座る。

 

俺の隣に紗夜。向かいに2人だ。

 

手早く注文をすると待っている間に自己紹介が始まった。

 

 

「私は白鷺千聖といいます。改めて友人を助けて頂いてありがとうございます。そしてよろしくお願いします」

 

 

サングラスを外して笑顔で軽く頭を下げる白鷺さん。

 

なんか綺麗な子だなー…。

 

てか名前聞いたことあるようなー…。

 

その様子が顔に出ていたのだろうか。白鷺さんはふふっと笑って続けた。

 

「実は私、これでも芸能人なんですよ?」

 

 

「あー、どうりで聞いたことあるわけだ」

 

 

「俺は早川弘人、でこっちが氷川紗夜だ。よろしく」

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

「早川くんと氷川さんね」

 

 

「わ、私は松原花音っていいますっ。」

 

 

うん、松原さん?みんな知ってるよ?

 

 

思わずそうつっこみたいのを抑える。

 

 

そんな俺の様子を白鷺さんはじーっと見ていた。

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「ふふっ…ホントに面白い人」

 

 

意味深に微笑む白鷺さんを見て思わずドキっとした。

 

 

「弘人さん?あまり女性の顔をジロジロ見るのは失礼ですよ」

 

 

隣の紗夜に怒られた。

 

 

そこからはお互いの話をした。

 

 

松原さんと白鷺さんはカフェ巡りが好きでたまにこのように来るらしい。…案の定迷子やら何やら大変みたいだけどな。

 

30分くらい話してお互いの連絡先を交換した。まさか芸能人と知り合いなるとは…。

 

 

 

「では、お二人ともまた会いましょうね」

 

「早川くん、氷川さん、ありがとうございましたっ」

 

 

二人を見送ってから紗夜に声をかける。

 

 

「紗夜、この後どうしようか?」

 

ちょうど現在地を示すマップが置いてあったので近くにあったので見る。

 

 

「そうですね…まだ時間もありますし出来ればここに行ってみたいですね」

 

 

紗夜が指差したのは新しく出来た楽器を取り扱う店だった。

 

 

「楽器店か」

 

 

「弘人さんはいいのですか?」

 

そう言って心配そうにこっちを見る。

 

「今日は紗夜に付き合うと話したろ?」

 

 

「…そうですね」

 

 

ここからそう遠くないし俺も楽器見たいしな!

 

「んじゃ行くか!」

 

 

そう言って歩き出した時だった。

 

 

「弘くーーーーーーん!おねーちゃーーーーん!!」

 

 

「なっ…!うおっ!?」

 

 

そう言って飛び付いてきたのは日菜だった。

 

しかし、いきなりだったため押し倒される形に床に倒れた。

 

 

「っ!」

 

「んっ…」

 

「ひ、日菜…弘人さん…」

 

後頭部の痛みよりも口にある柔らかい感触。

 

 

目を開けると…視界いっぱいに見えた日菜の瞳。

 

 

そして俺の口に触れていたのは、日菜の唇だった。

 




21話はここまでです!

とうとうやったなー!弘人!笑っ

とうとつなラッキースケベ展開ですが日菜ちゃん、紗夜ちゃんはどうなるのか!

次回もお楽しみに!

よければ感想、評価もよろしくお願いします!

ではでは~ヽ“(*´ω`)ノ


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第22話 私を助けて

皆さんお待たせしました!

天駆けるほっしーです!ヽ(*゚∀゚*)ノ

今回は前回の続きですが…紗夜ちゃんメインです。


私、氷川紗夜は妹が苦手だ。

 

私がどれほど努力しても彼女、日菜は努力もなく生まれ持った才能で私を越えていった。

 

私はそんな妹にいつしか強い劣等感を抱いていた。

 

そんな私が1つだけ続けていたのがギターだ。

 

練習に練習を重ね自分の納得のいく音を奏でるために弾き続ける。

 

そう、ギターは私にとっての全てだった。

 

そんな時に彼が現れた。

 

 

早川、弘人さん。

 

最初は日菜を抱えて来たので警戒こそしたものの話してみると不思議と居心地が良かった。

 

同年代の男子とは話す機会もなかったので新鮮なのもあった。

 

時間があればギターを弾いていた私の生活に彼とのやりとりという心が安らぐ時間が増えた。

 

ちょっと怠け癖がある人だけれどもそんな彼に心を惹かれていった。

 

 

だから今回のショッピングも内心とても楽しみだった。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、現実は私に夢の終わりを伝えた。

 

 

 

日菜の声が聴こえて振り向くと日菜が彼に飛びついていた。

 

いつもの彼なら受け止められると思っていた。でも、彼はとっさの事で受け止めはしたけれどそのままふたり一緒に地面に倒れた。

 

勢いはそこまでなかったので日菜に対して叱ろうと思っていた。

 

しかしその光景を見た後、言葉を失った。

 

 

彼の唇と日菜の唇が重なって触れ合っていた。

 

「ひ、日菜…弘人さん…」

 

 

言いたいことがあるはずなのに口元が震えて声が出ない。

 

そうしている内に日菜が顔を赤らめて走り去っていった。

 

 

 

 

また日菜。

 

 

いつもそうだ。私は日菜にこんな思いをさせられる。

 

 

なんで私ばかりこんな思いをしなくてはいけないの?

 

 

――誰か教えてよ…。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

…いきなり日菜が突っ込んで来たのに反応出来なかった俺も悪いがこればかりは神に誓ってもいい。わざとではないんだ。

 

 

たまたま唇同士が当たっちまっただけだ。それに日菜はすごい勢いで走り去っていった。

 

これがあれか?当て逃げってやつか?

 

だがこんなところを目撃して一番ヤバイのは何か。

 

そう、紗夜だ。

 

妹が苦手と言っても目の前でキスするところを見たりしたら…

 

 

俺は震えながら紗夜のほうを見る。

 

 

「さ、紗夜さん…?これは事故で―――」

 

 

 

 

紗夜は怒ってなどいなかった。

 

その逆。涙を流していた。

 

 

「さ、紗夜…?」

 

 

「…どうしてなの」

 

 

下を見てぽつりと呟く。

 

 

「…紗夜…」

 

俺はかける言葉が思いつかなかった。

 

それでも、黙っていることが出来なかった。

 

俺は紗夜の頭をそっと撫でた。

 

 

「……弘人、さん?」

 

 

「泣きたいときは泣けよ。俺は止めはしないからさ」

 

 

「わっ、たしはっ、どうすればいいの…?」

 

 

「そうだな…とりあえず人に甘えることも覚えてもいいんじゃないか?」

 

 

「人に…甘える?」

 

 

 

「一人で抱え込み過ぎなんだよ、紗夜は」

 

 

 

「…ごめんなさい」

 

 

顔を上げるとショッピングモールの時計は17時を指していた。

 

「そろそろ帰るか」

 

「…ええ」

 

 

 

ショッピングモールを出て無言が続いた。

 

 

氷川家の前に着くと電気はついていなかった。

 

まだ帰ってきてないのか…?

 

 

「それじゃあ、また」

 

帰ろうとしたら紗夜に手を掴まれた。

 

 

「もう少し…もう少し一緒にいてはくれませんか?」

 

 

「紗夜…」

 

彼女の表情は涙こそもう流れてはいないが陰りがあった。

 

 

「分かった。ちょうどギターを聞かせてもらってもいいか?」

 

 

「はい!では、その…私の部屋にどうぞ」

 

 

「紗夜の…部屋?」

 

 

 

こうして俺は紗夜の部屋に招かれることとなった。




22話はここで終わります!

よろしければ次回もよろしくお願いします(‘ω’*)


ではまた!ヽ(*゚∀゚*)ノシ


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第23話 貴方に素直になりたくて

紗夜とのデート編最終話です。(‘ω’*)

遅くなってすみませんでした!(>_<)

ではどーぞー!


紗夜に誘われて向かった階段を登って右側にある部屋。

 

どうやらここが紗夜の部屋のようだ。ちなみに反対の部屋には《hina》と書かれた可愛い看板がぶら下がっていた。

 

成る程…日菜の部屋か。

 

 

「どうぞ。ここが私の部屋です」

 

「お邪魔します…」

 

 

部屋の中は白を基調としており所々に紗夜と日菜の髪の色に似た薄い緑色のカーテンなどがいいアクセントとなっていた。

 

 

「そんなに部屋中をジロジロ見られると恥ずかしいのですが…」

 

「あぁ、すまん。なんか紗夜らしい部屋だなぁと思ってな」

 

「私らしい…ですか?」

 

 

紗夜は自分の部屋をぐるっと見渡して続けて言った。

 

 

「面白みのない…と言うことですか?」

 

 

苦笑しながら自虐気味に言ったので俺は慌てて否定した。

 

 

「そんな意味で言ったわけじゃない。…なんというか…ずっといても疲れないというか…落ち着くんだよ、お前と一緒にいるとさ」

 

 

そう言って紗夜を見ると顔を下に向けていたので表情は見えなかった。しかし耳元は赤くなっていた。

 

 

「つまり…弘人さんは私といると落ち着くということですか?」

 

 

ポツリと呟くように発した一言。

 

俺までちょっと恥ずかしくなってきたので紗夜と反対の窓側に体を向けてから答える。

 

 

「まぁ、そうなるな」

 

「そぅ…ですか」

 

 

次の瞬間、背中に軽い衝撃があった。

 

それと共にふわっとした香りが伝わる。

 

視点を下に向けると背中から回された腕が震えていた。

 

紗夜が後ろから俺に抱きついていた。

 

 

「…私もです」

 

「……私も?」

 

 

「貴方といるとこんなにも心が満たされて…。ギターだけ灰色の私の日々に貴方が色をくれたんです」

 

 

「…俺が?」

 

「…はい」

 

 

 

一度紗夜の腕をゆっくりほどいて向き合う。

 

 

紗夜は涙を流しながらも、今まで見たことないような笑顔を向けていた。

 

 

一瞬、あの日。仲直りした時の日菜と重なった。

 

…やっぱり双子だから笑うと似てるじゃないか。

 

 

 

 

紗夜が泣き止んでから落ち着くとギターを取り出してゆっくりと弾き始めた。

 

 

音楽はこれっぽっちも分からん俺からでも紗夜の演奏はひとつひとつの音がハッキリと聞き取れるような正確性のある演奏だと思った。

 

 

3曲弾いてから紗夜は手を止めて言った。

 

 

「どうでしょうか?」

 

「んー?上手かったぞ」

 

「…随分簡単な感想ですね」

 

 

思ってたのと違ったのかジト目で睨んできた。

 

 

「いや、ギター分からないからよ…まあ、聴きやすかったよ音がハッキリとしててさ」

 

 

「そうですか」

 

 

ギターをケースにしまうと紗夜は俺の横に座った。

 

 

…なんか近くね?

 

そう思っていたら紗夜が俺の肩にもたれ掛かってきた。

 

 

「さ、紗夜!?」

 

「…ダメですか?」

 

 

う、上目づかいかよ…。

 

 

「いいけどよ…疲れたなら横になったらいいんじゃないか?そうなれば俺は帰るし」

 

「…まったく、貴方という人は」

 

 

え?なんで気をきかせたら怒られてんの?

 

 

紗夜のぬくもりを肩ごしに感じながら窓の外を見る。

 

 

空はあの日紗夜と知り合った時と同じように綺麗な夕焼け空だった。




ここまで読んで頂きましてありがとうございます!
(*ノωノ)


次回はTwitterでのアンケート結果からあの子をメインに書いていくつもりです(‘ω’*)

これからもよろしくお願いします♪ヽ“(*´ω`)ノシ


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第24話 恋の目覚めと逃げる彼と


皆さんこんにちはー!ヽ“(*´ω`)ノ♪

天駆けるほっしーです☆

大変お待たせしました( ̄ω ̄;)

今回からリサ姉のお話になっていきますー!


 

 

…最近、ヒナと弘人の様子がおかしい。

 

 

最初はもしかしたら前みたいにケンカしたのかなと思ったけど違うみたい。

 

なんというか…話しづらそうというか…。

 

 

どうしたんだろ?

 

 

 

昼休みになったらヒナに聞いてみるかな…。

 

 

授業終了のチャイムが鳴り終わり、先生が教室を出たのを確認してから弘人の元に向かう。

 

 

「ねぇ、弘人」

 

 

「お、リサ。飯に行こうぜ」

 

 

「うん、でもその前に聞きたいんだけどさ」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「弘人、ヒナとなんか…あった?」

 

 

「っ!?」

 

 

弘人は面を食らったような顔をしてから目をそらしながら答えた。

 

 

「ん、ま、まぁ…その、トイレ行ってくるー!」

 

 

そう言ったと思ったらすごい勢いで教室を飛び出していった。

 

 

「ちょ、ちょっと弘人ーー!」

 

追いかけようと廊下を見るとすでに遠くに向かっていた。

 

 

「スマン!リサー!いてっ!すみま…あっ!友希那!?ちょっと待て!わざとじゃ!…痛っ!引っ張るなぁぁぁぁぁぁー…」

 

 

 

「…あーあ」

 

友希那にぶつかって怒らせたみたい。これじゃ暫く戻って来ないなー…。

 

 

「リサちー、弘くん行っちゃったの?」

 

振り向くとヒナがいた。

 

 

「うん、聞きたいことあったのに逃げられちゃった」

 

 

「何を聞こうとしたのー?」

 

 

暫く弘人帰って来ないだろうし…もうヒナに直接聞いちゃおっかな。

 

 

「ねぇ、ヒナ?」

 

 

「なぁにー?リサちー」

 

 

「弘人と…なんかあったりしたのかなー?って」

 

 

「えっ!?」

 

 

日菜は顔を真っ赤にして驚いていた。

 

やっぱりなんかあったみたい。

 

 

 

「ひ、弘くんととと?//////」

 

 

「ヒナ!?大丈夫!!??」

 

 

ふにゃ~と力が抜けて倒れそうなヒナを受け止める。

 

 

そのままあたしの席に座らせる。

 

 

「リサちー、ごめんねー?」

 

 

ヒナは悪くないって!いきなり聞いたアタシが悪かったし…それで、聞いても大丈夫??」

 

 

「うん…お休みの日にショッピングモールに出かけてそこで弘くんを見かけたんだ」

 

 

ショッピングモール…あそこの一階にあるアクセショップいいの置いてあるんだよね…今度見に行きたいなー。

 

 

「それでね?駆け寄って驚かそうとしたんだけど弘くんがバランス崩して二人で倒れちゃったんだ」

 

 

「えっ!?怪我してない?大丈夫?」

 

 

「ううん、怪我はしてないよ?でも…」

 

 

「でも?」

 

 

ヒナは再び顔を赤くしてモジモジしながら続けた。

 

 

 

「倒れたときに…弘くんとキス、しちゃった…/////」

 

 

 

…えっ?

 

 

キス?誰が?ヒナが?誰と?弘人と?

 

 

そう理解した時ギュッと胸が苦しくなった。

 

 

…いつかは来ると分かってた。

 

 

ヒナが弘人への恋を自覚する時が。

 

 

友達として応援したい気持ちと好きな人を渡したくないという女の子としての気持ちがぶつかり合ってる。

 

 

「リサちー?」

 

 

アタシはどうすればいいの…?

 

 

弘人…苦しいよ…。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、弘人は―――――。

 

 

 

「ねぇ?私は貴方に見えないくらい小さいということかしら?」

 

 

「あだだだだだだ!!!!!ギ,ギブゥゥゥゥ!!!!」

 

 

 

友希那のアイアンクローによって悲鳴をあげていた。

 

 






今回はここまでです!

次回からちょっとシリアス入りますのでご理解頂ければなぁ~と思います!(>ω<)

よければ感想お願いしまーす♪(´ω`)ノシ


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第25話 早川弘人はゆっくり休みたい。1日目①

こんにちは!天駆けるほっしーです!o(>ω<)o


VRでバイオハザードやってみたのですが…すごく怖かった( TДT;)



ではでは早速25話をどーぞ!始まり始まり~(‘ω’*)



さて、俺こと早川弘人は平凡な日常をこよなく愛する男だ。

 

学校生活から私生活も静かにのんびり暮らす、平和を享受出来ることこそ今の若者の特権だろう。

 

しかし、最近の俺はどうにも忙しかった。

 

他人のためにここまで必死に頭を回して、体を動かしてどうにも俺自身のキャパシティをオーバーしてたと思う。

 

え?だからなんだって?…まぁそう言うな。

 

 

 

つまりな、それらの過程を経て俺は体調を崩した。

 

医者に見てもらったら疲労とストレスからだそうだ。

 

土日以外学校休めるってのはいいんだが…

 

日によって色んな奴が来てくれた。

 

そんな3日間を話すとしよう。

 

 

 

 

1日目の朝はやたらと倦怠感に包まれた体を動かしてから始まった。

 

 

スマホのアラームを止め時間を見ると6時半と表示されている。

 

「さてと…」

 

顔を洗って歯を磨き、机の上の宿題を教科書と一緒に鞄に放り込む。

 

いつの間にか俺の机には天体関係の本が増えてきていた。

 

これも天文部に入ったからだろう。まぁ、元から星には少し興味あったけど。

 

着替えをすませてご飯を食べ、家を出る。

 

暫く歩くといつもの場所に日菜が待っていた。

 

 

「あ!おはよー…弘くん」

 

 

「おう…おはよ」

 

 

「…?弘くんどうしたのー?」

 

 

「いきなりなんだ?」

 

 

「今日の弘くんなんだかいつもと違うよー?」

 

 

「そうか?特に変わりは無いけどな」

 

 

「そうかなー?」

 

んー?と日菜は首を傾げる。

 

 

別に髪型を変えたりもしてないしな…もしあるとしたら…そうだな、これだろう。

 

 

「ただ、怠い」

 

 

「あたしは眠い~」

 

 

そんな風にぐだぐだとしながら学校に向かった。

 

 

 

一時間目の数学を適当に聞き流して二時間目の古典を受けている時だった。

 

 

…頭がボーっとする。

 

 

教科書の古文がモヤモヤしてよく読めない。

 

「この問題を…早川くん。訳してみて」

 

 

先生に当てられた。

 

あぁ、こんな時に…!

 

タイミングの悪さに苛立ちを感じながら顔を上げる。

 

 

黒板の文をなんとか理解して書きに行こうと立ち上がった時、足の力がガクッと抜けた。

 

 

…え?

 

 

視界がぐるっと回る。

 

 

 

「早川くん!?」

 

 

 

――後頭部に強い衝撃。

 

 

 

次に視界に映ったのが教室の天井だった。

 

そして遅れてくる痛みと吐き気。

 

駆け寄って来た日菜、リサ、裕哉の姿が見えた。

 

 

 

「弘人!ねぇ弘人!!」

 

 

「誰か!保健室の先生を呼んできて!」

 

 

「オイ!弘人!しっかりしろ!!」

 

 

「弘くん!しっかりしてよ!!」

 

 

 

倒れて頭を打ったと理解したこは俺の意識は途切れる寸前だった。

 

 

 

日菜が朝言ってた「いつもとの違い」ってのは俺の体調の事だったのか…相変わらず伝わりにくいとこはまだまだあるぞ日菜?

 

そう思いながら俺の意識は途切れた。




さて、25話はここまで!( TДT;)

次回は早めに更新出来ればいいなぁ…( ̄ω ̄;)

よろしければ感想、評価お願いします!


こんな話も見たいというかたはどんどんリクエストお待ちしています!

それではまた(oゝд・o)ノシ


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第26話 早川弘人はゆっくり休みたい。1日目②

皆さんどうも!天駆けるほっしーです!ヽ(*゚∀゚*)ノ

皆さんお待ちかねの看病イベントです☆

ではどうぞ~


あの後目が覚めたら病院のベッドだった。

 

医者には疲労が原因と言われたのでとりあえず学校は熱が下がるまで休むことにした。

 

家に帰ってゼリー飲料を摂取、そのあと薬を飲んでその日は寝ることにした。

 

…今思えば一番身体は怠かったが気持ちは一番休めたのはこの日だったと思う。

 

 

―――2日目。

 

 

スマホの通知音と共に目を覚ます。

 

時間は…8時か。

 

メッセージは紗夜からだった。

 

 

『おはようございます。日菜に聞きました、体調はどうですか?もし宜しければお見舞いにでもと思いましたので連絡しました。行ってもいいでしょうか?』

 

紗夜らしい丁寧なメッセージだった。とりあえず『気が向いたら来てくれ』と返しておこう。

 

朝ご飯は食パンをそのまま食べて薬を飲んで横になる。

 

スマホも再度横に置いて目を閉じる。

 

今の俺に出来ることはとにかく休むことだ。

 

 

次に目を覚ましたのは美味しそうな匂いがした頃だ。

 

時計を見ると…もう昼か。そう思ったとき下から階段を上がってくる音が聞こえてきた。

 

紗夜だろうか?というか…玄関開けっ放しだったか。

 

ゆっくり体を起こしたのだが…。

 

 

「うおっ!?」

 

思ったより力が入らず床に倒れてしまった。

 

…痛みはそこまでないがやっぱり全身に倦怠感がある。

 

倒れた時の音が聞こえたのか登る足音がパタパタと早くなった。

 

勢いよくドアが開いたと思ったら部屋に入ってきたのは――。

 

 

「弘人!大丈夫!?」

 

エプロンと頭に三角巾を着けたリサだった。

 

 

 

 

――――弘人が起きる1時間前。

 

アタシは先生に弘人の住所を聞いて学校を早退した。

 

一度家に帰って着替えて再度向かう。

 

どうせ、弘人のことだもの。ご飯とかテキトーに食べてそうだしね。

 

途中食材をスーパーで買ってスマホを頼りに家に向かう。

 

途中、ここをいつもヒナと一緒に歩いてきてるんだなぁとか考えちゃったりもした。

 

アタシよりもいつも一緒にいる時間が長いヒナにアタシは最近嫉妬してると思う。

 

弘人はヒナをどう思ってるのかな…?

 

あー…そんな事今考えてもしょーがないのに!

 

アタシは頭を振って考えを消す。

 

今は弘人が早く元気になるようにアタシがご飯作ってあげるってだけ!

 

よし!と気合いを入れると向かう足を早める。

 

そこからはスマホを確認しながら歩くとあっという間に目的地に到着した。

 

 

一応確認…うん。表札には『早川』と書いてるしここだ。

 

アタシは少しドキドキしながらドアの前に立ち、インターホンを鳴らす。

 

ピーンポーン…

 

インターホンからは反応がない。

 

ドアノブを引くと鍵はかかっておらず、ドアが開いた。

 

「おじゃましま~す…弘人ー?」

 

無音。

 

玄関に買い物袋を置いて家に上がらせてもらう。

 

「弘人寝てるのかな…?」

 

近くのドアを開けるとキッチンだった。

ここじゃないなぁうーん…2階かな?

 

ゆっくり階段をのぼって2階に来るとドアがちょっと開いた部屋があった。

 

そーっと覗くと…いた!

 

部屋の中に入ると弘人はすぅすぅと寝息を立てて寝ていた。

 

掛け布団を蹴っ飛ばしてるのから察すると弘人は寝相が悪いみたい。今度の話のネタになるね~♪

 

アタシは思わず口元がにやけているのを自覚しながら弘人に布団を掛け直した。

 

いつもは軽口叩いてるけど…寝顔はなんか可愛いかも!

 

そう思いながら部屋の中を見渡す。

 

パソコンデスクにはよく分からないけど高そうなパソコン、テレビ、ゲーム機があった。

 

本棚には結構な数の漫画があり、中にはちょっと気になってた漫画もあった。アタシは男の子向けの漫画とかあまり読んだことないから今度貸してもらおうかなー?

 

そう思った時、弘人が咳き込んだ。

 

あー、アタシったら!今日は遊びに来たんじゃないのに!

 

とりあえず熱はどうなのかな…。

アタシは熱を測ろうとそっと弘人の額とアタシの額をくっつける。

 

…まだ熱はある。とゆーかアタシがなんだか顔熱くなってきたんだけど!

 

さっと額を離して部屋を後にする。

 

「まずはお粥作って、熱冷ましシートも…買ってきたから大丈夫だね」

 

買い物袋を持ってキッチンに向かうとカバンからエプロンと三角巾を取り出してパパっと着る。手を洗ってお粥と栄養のつきそうなものを作る準備に取りかかる。

 

「待っててねー弘人!」

 

たまにはアタシのいいとこ見せないとね☆




結構長めになりそう…?と思ったのでここまでにしました!笑っ(*ノωノ)

次回は早めに上げれるように頑張ります!(>ω<)

ではまた~ヽ“(*´ω`)ノシ


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第27話 早川弘人はゆっくり休みたい。1日目③


遅くなりましたー( ̄ω ̄;)

あと前回サブタイ間違ってたので修正しました。アワワ…

リサ姉パート最後です。

あと、リサ姉好きな人ごめんなさい!


キ ャ ラ 崩 壊 してます。笑っ


 

「弘人!大丈夫!?」

 

勢いよく部屋の扉を開けたのは紗夜ではなくリサだった。

 

「リ、リサ!?なんで俺の家に?」

 

ゆっくり体を起こそうとするとリサが肩を課してくれた。

 

「そんなことより!なんで無理に動こうとしたの!?まだ熱だって、あるのにさ!」

 

リサらしくない強い言葉。顔をあげてリサを見るとやっぱり怒ってた。

 

…自分のことじゃないのによ、ここまで怒れるってすげえことだと思うぞ?

 

「…リサ、ありがとう」

 

「まだそんな…!って、え?」

 

どうやら俺から言い訳を聞かされると思っていたのか突然の感謝の言葉に面を食らったような顔をしていた。

 

 

「お前はさ、日菜と一緒に俺の平穏な時間をがっっっっつり使ったり、削ってきたりするけどさ」

 

ありがとう。

 

「お前らと過ごすそんな時間もいつの間にか好きになっていた」

 

あの日、俺に声をかけてくれて。

 

「ありがとな、リサ」

 

 

今思えば、この一言がトリガーだったのだろう。

 

 

「弘人…弘人ーーーー!」

 

「うおっ!?」

 

 

名前を呼ばれたかと思ったらリサは勢いよく俺に飛び込んできた。

 

 

「オイ!離れろ!」

 

「んふふ~♪弘人~♪」

 

 

なんとかリサを離そうとするがガシっと抱きついているし、俺は風邪で力が入らないから振りほどけない!

 

そうしているうちにリサは俺の胸に顔をボフっと埋めた。

 

「あの~…リサさんや?」

 

 

リサは顔をそのまま言った。

 

 

「…弘人はくっつかれるの嫌?」

 

「嫌ではないが…その…」

 

「ならいいじゃん☆」

 

 

あー…リサの理性が吹き飛んだのか。

 

 

ピンポーン

 

 

「お、おい。リサ、インターホンが」

 

「聞こえないな~♪」

 

 

ピンポーンピンポーン

 

 

「鳴ってるから!」

 

「すんすん…♪」

 

 

ピンポーンピンポーンピンポーン

 

 

「嗅ぐな!汗かいてるから!!」

 

「それはつまり、かいてなかったら匂い嗅いでもいいってことー?」

 

 

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

 

 

「そういうことじゃねぇ!」

 

 

「弘人はいい匂いするから大丈夫☆」

 

 

「お前、匂いフェチかよ!」

 

 

「ふっふっふっー☆よいではないかーよいではないかー」

 

 

「お、懐かしいなそれ…じゃなくて!」

 

 

ガチャン

 

 

その頃インターホンを押した奴はすでに俺の家に入ってきていた。

 

そう、鍵は開けたままだったんだ。

 

 

そしてこれだけ騒げば俺たちが2階に居ることにもすぐ

気づくのは当たり前だった。

 

ゆっくり、ゆっくりと階段を上り俺の部屋の前に来た。

 

もちろん部屋の中には俺に乗っかって抱きついているリサと俺がいた。

 

…つまり訪問者に対して警戒などする余裕もなく、そいつは俺の部屋に入ってきた。

 

気づいたときには俺は血の気が引く感覚を全身に味わった。

 

 

 

…熱、下がったかな?





とゆーことでリサ姉の看病?パート終了です。

部屋に入ってきたのは誰なのか…。

次回をお楽しみに!


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第28話 早川弘人はゆっくり休みたい。1日目④


今回で1日目終了です!ヽ(*゚∀゚*)ノ


亀更新ですみません…。


 

「……二人共楽しそうね」

 

じゃれてくるリサをなんとか離そうとしていると背後から声がした。

 

なんだが聞き覚えのあり今ここで聞きたくない声だった。

 

「えっ!?」

 

リサも声の主に気づいたのかビクッと身体を震わせながら顔を上げる。

 

オレもゆっくり振り返るとそこにいたのは……。

 

「あら、邪魔したかしら?」

 

怒りを笑顔で隠した友希那がそこにいた。

 

 

「ゆ、ゆゆゆゆゆゆ友希那!?」

 

「リサ、何故動揺しているのかしら?」

 

 

リサは慌てて離れる。

 

その様子を見てから友希那は続ける。

 

 

「貴女は彼を看病していたんでしょ?」

 

「そ、そうだけど……」

 

「随分と情熱的な看病だったわね」

 

友希那がそう言うと、リサの顔がボンっと真っ赤になった。

 

「あわわわ……ごめーーーん!!」

 

顔を真っ赤にしたリサと目が合うとリサは部屋を飛び出していった。

 

 

部屋に訪れた静寂。

 

残ったのは俺と友希那の二人だった。

 

 

「えーっと……友希那?」

 

 

「何かしら、弘人」

 

 

あー……すげえ怒ってますわ。

 

友希那はゆったりと話しているが語尾が強い。

 

 

「言っておくが俺はやましい気持ちなんてなかったからな?」

 

 

「ふーん…あんなに抱きつかれても?」

 

「な、無かったぞ?」

 

「…リサのをあんなに当てられてたのに?」

 

「ブッ!ゴホッ!」

 

「図星ね。……そんなに大きいのがいいのかしら

 

 

「ん?なんだって??」

 

「なんでもないわ。ハァ……それよりリサは飛び出していってしまったのだけど」

 

あぁ……なんか悪いことしたな。すまん、リサ。

 

ぐぅ~。

 

 

そう思っていると、気が緩んだからかお腹が鳴った。

 

 

「お腹空いたの?」

 

「あぁ……そういや、リサが作ってくれてたっけか」

 

「なら取ってくるわ。横になって待っていなさい」

 

 

「あぁ……すまない」

 

「気にしないで」

 

 

そう言うと友希那は部屋を出ていった。

 

 

ちょっと興奮したからか頭がフラフラしてきた。

 

友希那が持ってきてくれるまで少し休もう。

 

俺は布団を被ると目を閉じた。

 

 

 

次に目を覚ましたのは友希那の声ではなく顔に当たった冷たい感覚だった。

 

 

「冷たっ……」

 

 

「目が覚めた?少しは熱が下がるといいのだけど」

 

 

……えーっと、友希那さん。冷やしてくれるのはありがたいのだけど。

 

「タオルを濡らしてくれてありがとう、でもさ……」

 

 

「でも?」

 

「びちゃびちゃなんだが…」

 

「?」

 

友希那は不思議そうに首を傾げる。

 

 

「いや、もう少しタオル絞るだろ?」

 

 

「冷やす時は濡らしてすぐに置いたほうが冷えるものじゃないの?」

 

「……お前、俺の看病してくれているんだよな?」

 

「当然よ」

 

「嫌がらせではないんだな?」

 

「当たり前じゃない」

 

「看病したことあるのか?」

 

「……ないわ」

 

やっぱりか。

 

「それよりご飯食べないの?冷めてしまうけど」

 

お盆に載っていたのはお粥と卵味噌だった。

 

 

「いただくよ」

 

 

そう言ってレンゲを取ろうとした時、横から出た友希那の手にレンゲを取られた。

 

「おい、友希那」

 

「病人は動かないで」

 

そう言うと友希那はお粥をすくって俺のほうに向けた。

 

 

「はい」

 

「はい?」

 

これはもしや……?

 

 

「あーん」

 

「マジかよ……」

 

予想通りのシチュエーションかよ。

 

 

「どうしたの」

 

「いや、その、恥ずかしいというかなんというか」

 

「弘人」

 

「自分で食べれるから」

 

「いいから、口を、開けなさい」

 

友希那から圧を感じ素直に口を開く。

 

「あーん」

 

ゆっくりと口にお粥が入る。

 

 

「どうかしら?」

 

「……旨い」

 

「なら全部食べて」

 

つまりこの恥ずかしいのをお粥が無くなるまで繰り返すのか……。

 

「はい、あーん」

 

 

なんか友希那が楽しそうに見えるんだが気のせいだろう。

 

 

 

お粥が食べ終わると再び横になる。

 

 

「……♪」

 

「あー、友希那?じーっと見られると寝にくいのだが」

 

「看病だもの」

 

「眠れなきゃ休めないって」

 

 

「仕方ないわね」

 

 

そう言うと友希那はゆっくりと、呟くように歌い始めた。

 

 

「~♪、~♪」

 

 

それはとても澄んでいながらもハッキリと強く伝わるような美声だった。

 

 

……すげえ上手いんだな。でも、何故だろう。

 

どこか寂しくも聴こえた。

 

 

ぼんやりと歌を聴いているとすぐ近くに友希那の手があった。

 

「んっ、弘人?」

 

気がついたら友希那の手を握っていた。

 

彼女から寂しさを感じたから?

 

自分でもよく分からない。ただ今は、友希那の歌を聴きながら眠りにつける幸せを噛み締めながら目を閉じる。

 

 

この歳になってから子守唄を聞くことになるとは……。

 

悪くないもんだな。

 




やっっっと1日目終わった( ̄ω ̄;)

次回からはメインヒロイン回です!


お楽しみに!ヽ(*゚∀゚*)ノシ


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第29話 早川弘人はゆっくり休みたい。2日目①

皆さん明けましておめでとうございますヽ(*゚∀゚*)ノ

天駆けるほっしーです!

今回は紗夜さん回です!

ではどうぞー(‘ω’*)


 

窓の外を飛んでいく鳥の声と朝日で目を覚ます。

 

昨日はリサと友希那が来てくれたのが正直嬉しかった。

 

帰った後に静寂を味わうとちょっと来るものがある。

 

熱を測ると昨日よりは少し下がったようだ。ゆっくり身体を起こし、シャワーを浴びに下に降りる。

 

脱衣所にて服を脱いでいるとスマホが鳴った。

 

紗夜からのメッセージだった。どうやら今日の放課後向かうとのことだ。

 

 

それまではゆっくり休めそうだ。

 

そう思いながら風呂場に入りシャワーを頭から被った。

 

 

「冷たっ!」

 

 

お湯が出るには時間がかかる。そこまで頭が回っていないほど体調にはまだ余裕はないようだ。

 

 

 

 

 

お風呂から上がりご飯を簡単に済ませて再度横になるとあっという間に眠りに落ちる。

 

次に目を覚まし時間を確認するともう4時過ぎだった。

 

 

「……思ったより寝てたな」

 

 

スマホを見ると新着メッセージが一件、紗夜からだった。

 

 

『学校が終わりましたのでこの後お邪魔します』

 

 

相変わらず几帳面な性格だな。

 

 

「えーっと『スマン、玄関は開けてあるから勝手にどうぞ。…あと2階の部屋だ』…っと」

 

 

返事を済ませてスマホをスリープモードにしてぼんやり外を眺める。

 

それから15分くらい経っただろうか。

 

外のインターホンが鳴った後に扉を開ける音が聞こえた。

 

そうだ、寝たふりして紗夜の反応を見てみよう。

 

俺はふと湧いたイタズラ心に突き動かされるように目を閉じる。勿論、薄目で確認を忘れない。

 

トントントン…と階段を上がる足音の後に部屋の扉がノックされる。勿論返事はしない。

 

 

「お邪魔します。弘人さん…あぁ、寝ていたのですか」

 

 

スマン紗夜、起きてるわ。

 

心の中で謝罪しつつ寝たフリを続ける。

 

紗夜は何か買ってきたのかビニール袋を置いてガサガサと中の物を取り出す。

 

体温計、熱冷ましシート、スポーツドリンク…etc.

 

わざわざ用意してくれたのか…。

 

それらをテーブルに置いてギターケースを壁に立てかけてから俺の寝ている脇に正座で座る。

 

そろそろ目を開けるかな。

 

そう思ったときに紗夜の手がふわっと俺の頬に触れた。

 

 

「ふふっ…意外と寝顔は可愛いのね」

 

 

普段あまり見せないような柔らかい笑みを浮かべて言った。

 

 

「こんな機会でもないと貴方に触れることも出来ないのがもどかしいわ。私も日菜みたいに素直になれればいいのだけど…」

 

 

こ、これは…起きてるのがバレたらマズイ!

 

しかし、ふと紗夜の髪が俺の鼻に触れた時にそれは来た。

 

鼻がムズムズしてきた。

 

あぁ…、これは…抑えられん。

 

 

「ぶぇっっっくしょん!!」

 

「きゃっ!」

 

 

慌てて寝たふりを継続するが遅かった。

 

 

「…いつから起きていたのですか?」

 

「えーっと…ずっと起きてました」

 

「~っ!!」

 

 

次に目にしたのは顔を真っ赤にした紗夜が右腕を振りかぶる姿だった。

 

バチィィィィン‼

 

興味本意で人をからかうもんじゃないなぁと頬の痛みを感じながら反省する俺であった。





次回2日目の後半も紗夜さんです。(*ノωノ)

感想、リクエスト、評価よろしくお願いしますヽ(*゚∀゚*)ノデハマター


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第30話 早川弘人はゆっくり休みたい。2日目②


お待たせしました。

紗夜編続きです!ヽ“(・ω・;)ノ


 

大きな紅葉が出来た頬を擦っていると紗夜がコホンと軽く咳をして話を切り出した。

 

 

「全く……寝たふりで反応を見るなんて、趣味が悪すぎると思いますけど?」

 

「すまん……」

 

「反省しているようなので今回は不問とします」

 

「不問ね……」

 

 

強烈なビンタ貰ってたから不問って気はしないが……。

 

そんな事を考えていたら紗夜がジト目で言った。

 

 

「不満ならもう少し反省してもらいますが?」

 

「不満なんてありませんよーHAHAHA!!」

 

「ならいいですけど」

 

 

やはり顔に出てしまうのか……今度鏡の前でポーカーフェイスの練習でもしたほうがいいかもしれない。

 

 

「それよりも、熱は測りましたか?」

 

「あー……午後になってからはまだ測ってないな」

 

「ならすぐに測って下さい。あとはそれからです」

 

「あぁ、分かった」

 

 

紗夜から体温計を受けとるとそれを右の腋下で測定を開始する。

 

2分程の静寂の後に電子音がなる。

 

腋下から体温計をゆっくり取ると数値を確認する前に紗夜にひょいと持っていかれた。

 

 

「37.8℃、今朝より低いですか?」

 

「少し下がったかな?」

 

「よかった……。それならまた横になって休んで下さい。このまま熱が下がるよう熱冷ましシートを貼りますので」

 

 

熱冷ましシートを箱から取り出すと封を開けて近づけてくる。

 

再びベッドに横になり、少しずつ近づいてくる紗夜に内心ドキッとしながら素直にそのまま任せる。

 

額に貼るため紗夜の手で前髪がすっとあげられる。

 

その際に触れた手がヒヤッとして気持ちがよかった。

 

 

「どうですか?少しは楽になりましたか?」

 

「冷たくて気持ちがいい。シートも……紗夜の手も」

 

「わ、私の手ですか!?」

 

 

予想外の一言だったのか紗夜は顔を赤らめて言った。

 

 

「でも、私の手は……」

 

 

そう言いながら紗夜は自分の手を見る。

 

ギターを初めて指先が固くなっており、爪もかなり短め切っているためとても女性らしくない手になっている。

 

特に気にせず練習に励んでいたが、こうして目の前に気になる異性がいると意識しないというのは出来なかった。

 

そんな思いの私に彼は続けていった。

 

 

「やっぱり……紗夜といると……落ち着くな……」

 

「それってどういう……弘人さん?」

 

「……」

 

「……寝るのずいぶんと早いのね」

 

 

ちょっと悔しいけれど、今度は嘘でなくホントの寝顔が見れたから善しとします。

 

こうして看病をしていると小さい頃を思い出す。

 

あの頃は私も日菜も一緒に外で遊ぶことが多く、よく風邪をひいていた。

 

 

「おねーちゃーん……苦しいよぉ……」

 

「ひな、おねえちゃんがいっしょにいるからね!」

 

「紗夜、ありがとうね。」

 

 

そんな私たちを見てお母さんは日菜も私も優しく頭を撫でてくれてた。

 

 

「そんな日菜にお母さんからのおまじない!」

 

 

そういうとお母さんは日菜の頬に優しくキスをした。

 

 

………

……

 

 

「……おまじない、ね」

 

 

そっと弘人の頬に触れる。

 

 

夕日が差し込む部屋の中で赤い空と同じように顔を赤くした少女は少年の頬におまじないをかける。

 

 

早く良くなりますように、と。

 

 





紗夜編はこれにて終了です!


次回はメインヒロイン登場です!

お楽しみに!


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第31話 早川弘人はゆっくり休みたい。3日目①

やっと……日菜ちゃん看病?回です!

全国の20億人の日菜ちゃんファンの人お待たせしました!ヽ(*゚∀゚*)ノ


「……よし」

 

 

三日目の朝。熱は37.0℃ついにここまで下がった。

 

多くの人の看病があってのものだろう。

 

リサ、友希那、紗夜……いい奴ばかりだ。

 

……うん?一人いない?

 

分かっているが素直にアイツには来て欲しくない。

 

何故かって?そりゃ、絶対休めないからだ。

 

イベント大好き、るんるんなアイツにとっては俺がダウンしたのもきっと見逃す訳がない。

 

ただ、アイツは俺の家に来たことがないから家に来る事はないだろう……たぶん。

 

体温計を枕の上に放り投げぼんやりと外を見る。

 

 

「……曇りか」

 

 

外は曇天。鼠色の雲が風によって流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

一時間もせずにぽつりぽつりと雨が降り始め、あっという間に大雨となった。

 

軽い雨音なら眠気を誘うのだが、勢い強く降られるとさすがに寝れない。

 

チラリとスマホを見ると……特にメッセージもなし。

 

 

「ったく、何を期待してんだよ……俺」

 

 

こう数日誰かが来てくれていたから気にならなかったが、やっぱ人間体調が優れないときはなんというか……孤独感がすごいものだ。

 

雨がまだまだ続くならカーテン閉めるか。

 

布団からゆっくり立ち上がり窓辺に立った時目に入ったのは雨の中周りを見ながら歩いている一人の少女だった。

 

 

「アイツ、なんで傘持ってないんだよ……」

 

 

部屋のドアを勢いよく開けて、一階に向かう。

 

靴を手っ取り早く履いて玄関を出る。

 

久しぶりに両脚を思いっきり動かす。

 

ずっと寝ていたからか体の節々が痛いがとにかく急ぐ。

 

足元の水溜まりを足で弾く。

 

着てた服に水が飛ぶのを構わず走る。

 

どうせこんな降ってるんだ。多少の水跳ねを気にしていられるかよ!

 

そして後ろ姿を見つけると息を深く吸い込み声を出す。

 

 

「こっちだ日菜ーー!!!」

 

「あー!弘くん家そこー?」

 

 

我らが天才少女の日菜は雨でがっつり濡れていながらもにしし、と笑った。

 

 

 

 

 

 

 

「何で傘をささなかったんだよ」

 

「いきなり降ってきたんだよー……るんってしない天気」

 

 

家に戻り玄関につくと日菜を玄関に残し干してあったタオルを一つ掴んで玄関に向かう。

 

 

「折り畳み傘くらい常備しとけ」

 

「だってー、邪魔にしなきゃっ!」

 

 

なんかタオルを投げたくなった投げたら日菜の顔にボフっと当たった。

 

 

「とりあえず拭けるだけ拭け。その後なんか暖かい飲み物出すから」

 

「飲み物よりもアタシ、お風呂貸して欲しいなー」

 

「……は?」

 

 

今なんて言った?コイツは。

 

 

「風邪ひきたくないしー……ダメー?」

 

「確かにそうだけどよ……ハァー……わかったよ」

 

「ありがとー!」

 

 

親しき仲にも礼儀あり。

 

……ちょっと遠慮なさ過ぎないか?日菜よ。

 

 

 

 

 

 

 

日菜に乾燥機の使い方を説明し、着替えがないから俺のジャージを渡し二階に向かう。

 

部屋に戻ってスマホを弄ったりするが一階で日菜が風呂に入っていると思うと嫌でも意識してしまう。

 

 

「落ちつけ……相手はあのるんるんるらるん言ってる日菜だぞ?向こうも何も思ってない、なら俺も思わない」

 

 

よし、大丈夫だ。

 

 

身体が熱い。また熱が上がってしまったのだろうか?

 

俺の焦りを表しているかのように空が黒く、ゴロゴロと鳴り始めた。




次回は……看病よりも関係に進展あると思います。

アンケート結果は……氷川家にお泊まりでした。

皆さん好きですねー笑っ(*ノωノ)


良ければ評価、感想お願いします!ヽ(*゚∀゚*)ノマタネー


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第32話 早川弘人はゆっくり休みたい。3日目②

今日は氷川姉妹の誕生日!日菜ちゃん、紗夜さん。

おめでとう♪ヽ(*゚∀゚*)ノ

さぁ日菜ちゃん回後半いくよー!


部屋でとにかく気をそらそうとスマホを弄って10分ぐらいたっただろうか。

 

時刻は5時半。

 

黒く濁った厚い雲のせいでどんどん暗くなってきた。

 

部屋の電気をパチッと点けてベッドに座った時だった。

 

部屋のドアが開いたと思ったらゆっくりと日菜が入ってきた。

 

 

「お風呂、ありがとね」

 

「お、おう……乾燥機回したか?」

 

「うん。服入れてしたよ」

 

 

日菜は俺が貸したジャージを着ていた。しかし、俺との身長差からかやはりブカブカだった。

 

 

「やっぱ弘くんのだからおっきいねー」

 

 

手の出ていない袖をブラブラ振って笑って言った。

 

いつもならため息一つついてから話していたが、今日は真面目に訊いた。

 

 

「……日菜、何でこんな雨の中歩いていたんだ?」

 

 

日菜が少し他人よりも感性がずれているのは分かっていたが、さすがに雨の中をずぶ濡れになりながら歩くほどずれているとは思えない。

 

日菜は両腕の袖を捲って腕を出しながら言った。

 

 

「弘くんに会いたかったから!」

 

「にしたって雨の中に来なくても」

 

「最初は降ってなかったよー?」

 

「引き返してもよかったじゃないか」

 

「それは……イヤだよ」

 

「何でだよ」

 

 

来てくれるのは正直言えば嬉しい。

 

あー恥ずかしいな!

 

でもな、それでコイツが風邪引くのはダメだ。

 

そう思いながら日菜の返答を待つ。

 

日菜は顔を伏せ両手を胸辺りで組んで言った。

 

 

「……あの時」

 

「ん?」

 

「あの時教室で弘くんが倒れた時ホントに怖かった。このまま目を覚まさないかと思った」

 

「日菜……」

 

 

日菜の着ているジャージにポタポタと滴が落ちる。

 

震える声で絞り出すかのように続ける。

 

 

「あれからの学校、目の前に弘くんがいなくて怖かった。いつものご飯も美味しくない……まるでアタシの中にぽっかり穴が空いたみたいで耐えられなかった!」

 

「……」

 

「こんな思い嫌だと思ったら……学校を出て弘くんの帰る方向に向かってた」

 

「お前は……」

 

「弘くん……怒ってる?」

 

 

日菜は涙目で俺に訊いた。

 

 

「あぁ。怒ってるさ」

 

「ぐすっ……」

 

「きっと紗夜がな。ずぶ濡れにして妹を泣かせた俺をな」

 

「弘……くん?」

 

 

そっと日菜の頭に手を乗せる。

 

日菜の身体がビクッと震える。

 

いつものようにチョップされると思ったのだろう。

 

そのまま ゆっくりと頭を撫でる。

 

 

「心配かけてごめんな?」

 

「っ!弘くん……弘くーん!!」

 

 

俺の胸に抱きつく日菜。

 

しかし、まだある微熱+運動不足の足腰+前からの衝撃では耐えれることが出来ず……。

 

 

「うおっ!」

 

「きゃっ!」

 

 

二人で布団に倒れ込む。

 

俺が下になったからか日菜にケガはないようだが……。

 

 

「弘くん大丈夫?」

 

「大丈ぶっ!?」

 

 

上に乗った日菜は俺のジャージを着ている、それが不味かった。

 

 

ブカブカのジャージの隙間から素肌が見えていた。

 

……肌しか見えない!?

 

 

「ひ、日菜!離れてくれ!」

 

「嫌!」

 

「何で!」

 

「落ち着くもん!」

 

「俺は落ち着かねぇ!」

 

 

身体に当たる柔らかな感触。

 

これはつけてない。

 

確実に。

 

 

その時だった。

 

 

外がカッ!と光ったと思ったら家の電気が消えた。

 

 

「えっ?」

 

「停電……か?」

 

暗くなった部屋の中、伝わるのは首に当たる日菜の吐息と鼓動。

 

先に話したのは日菜だった。

 

 

「前に」

 

「ん?」

 

「前にショッピングモールで会った時のこと……覚えてる?」

 

「覚えてるよ」

 

「あの時もアタシが弘くんに飛び込んでこんな感じに倒れたよね」

 

「あぁ後頭部をぶつけた。痛かったぞ?」

 

「……それだけ?」

 

 

それだけなものか。

 

忘れる訳もない。

 

事故ではあるが俺と日菜が……。

 

「キス……しちゃったよね?」

 

「……あんなのノーカウントだ」

 

 

そう答えると日菜は俺の胸をポカポカ叩きながら言った。

 

 

「ヒドイよー!アタシのファーストキスだったのにー!」

 

「それは俺だって……」

 

「俺だって……何?」

 

「……」

 

 

暗くて見えないけど絶対日菜はニヤニヤしてる。

 

恥ずかしさと悔しさで顔を背ける。

 

 

「ねぇ、弘くん?」

 

「……」

 

「ちょっとー?」

 

「……」

 

「聞こえないフリしてるー!」

 

「……」

 

 

あー!聞こえない!聞こえてないけどー!?

 

 

「そこまで認めたくないんだ」

 

「あぁ」

 

「……分かったよ!」

 

そう言った時、日菜の手が俺の顔をグッと動かし――。

 

 

「んっ……」

 

 

唇に柔らかい感触が伝わる。

 

忘れもしないこの感覚。

 

日菜の唇だ。

 

そのままどれくらいの時間が経ったのだろう。

 

現実の時間ではそう経ってはいないだろう。

 

だが、俺にはとてつもなく長い時のように感じた。

 

 

「……ふぅ」

 

「お……おおおお前なぁ!?」

 

 

慌てて体を起こしてベッドから離れる。

 

暗い中動いて色々とぶつかるがそれどころではない。

 

 

「えへへ♪」

 

「ななな……何してんだよ!」

 

「んー……キス?」

 

「それは分かる!けど何で!?」

 

「弘くんがファーストキス認めないからだよー!」

 

「えぇ……」

 

 

だからと言ってもう一回する奴がいるか!?

 

 

「でも……るんってした!」

 

「……そうかよ」

 

 

もはやつっこむ気力もない。

 

 

「ねぇねぇ!もう一回しない?」

 

「しねーよ!」

 

「ぶーぶー!いいじゃん!減るものじゃないしー」

 

「知るか!バカ!」

 

「弘くんより頭いいもーん」

 

「精神的な話だ!」

 

 

日菜と言い争いをしているうちに電気がパッとつく。

 

しかし、俺らはそんなことも気にせず話を続ける。

 

話が止まったのは停電にて乾燥機が止まり日菜の服が乾かせて無いことに気づいた日菜が飛び出すまで……約30分ほどかかった。

 

翌日、学校に登校して日菜にまた話を掘り起こされそうに口を押さえたところをリサに見られて不審に思われたりしたりと新しい問題があったがそれはまた別の話。




長かった弘人の体不調が終わりましたね( TДT;)

次回からの展開もお楽しみに!

良ければ感想(‘ω’*)評価(*ノωノ)よろしくねー!


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第33話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。①

お久しぶりです!ヽ(*゚∀゚*)ノ

体不調や、激務で更新遅れました……(>_<)すみません

さて、今回から攻めの雰囲気です!


退屈な授業。

 

指定された問題をサラサラっと解いて顔を上げる。

 

あたしの視界に映ったのは弘くんの背中。

 

その姿を見ただけで胸がドキドキしてる。

 

あの日、弘くんの家に行ってから家に帰ってからずっとそうだ。

 

暇な時や夢の中にも弘くんが現れちゃう。

 

特に夢の中なんてアタシは弘くんと……!

 

 

「そんなのまだダメだよー!弘くん!!」

 

「うおっ!?日菜!?」

 

 

あ、つい声に出しちゃった!

 

 

「氷川、早川。授業中に大声出すとは随分元気そうだな?なら、問題解けたんだろう。ここを氷川、次を早川が解いてみろ」

 

「俺も!?」

 

「はーい、(x+y+3)(x+2y+1)でしょ?」

 

「さすが氷川だ。で、早川は?」

 

「……まだ出来てません」

 

「早川、お前には課題のプリントだ。明日までに」

 

 

先生はそういってたくさんのプリントを弘くんに渡した。

 

弘くんが恨めしそうな目でプリントを見渡していると授業終了のチャイムが鳴った。

 

 

「起立、礼」

 

 

日直の人の号令で授業を終えると弘くんが首をゆっくりと動かしてこっちを見た。

 

 

「日ぃぃぃぃ菜ぁぁあぁぁ……?」

 

「なーにー?」

 

「……」

 

 

最早語るまい。

 

俺は日菜の頭部に手刀を落とした。

 

 

「いったーい!酷いよ弘くん!」

 

「酷いのはどっちだこのバカ!」

 

「弘くんより点数いいけどー?」

 

「勉強についてじゃねぇバカ!」

 

 

さすがに続けてバカと言われたのが頭にきたのか日菜は頬を膨らませながら言った。

 

 

「バカって何回も言わないでよー。もー」

 

 

そんな俺らの口論を聞こえたのかリサがやってきた。

 

 

「ちょっと二人とも、どうしたのー?」

 

「リサ、コイツのせいで俺が……」

 

「リサちー、弘くんにチョップされたー!」

 

 

そう言うと日菜はリサにくっついた。

 

こ、こいつ……リサを味方につけたか!

 

女子の強みによって俺の立場は劣勢になった。

 

リサはジトーっとした目で俺を見ながら言った。

 

 

「弘人?女の子を叩くなんて男としてどうなの?」

 

「だよねー!」

 

「そりゃ良くないけどよ……でも!コイツせいでこれが出されたんだぞ!リサ助けてくれよ」

 

 

そう言って机の上のプリントを指差す。

 

 

「うわ~……どれどれ」

 

 

リサが1枚手に取ってプリントに目を通す。

 

 

「これかなり難しいじゃん……アタシは無理だな」

 

「マジかよ……」

 

 

どうしたものかと考えていると日菜が突然思いついたように声を上げた。

 

 

「そうだ!弘くんアタシん家においでよ」

 

「「えっ?」」

 

「アタシが責任取って勉強教えるよ!」

 

 

確かに学年トップの日菜ならプリントなどすぐに解いてしまうだろう。

 

 

「教えて貰いなよー弘人」

 

「しょうがないか……」

 

「やったー!じゃあこの後すぐねー!」

 

 

この後下校時間になって目を爛々と輝かせた日菜に手を引っ張られて走ることになるのはこの時点でも容易に想像できた。

 

 

 

 




さて、今回から姉妹がメインで書いていきますのでよろしくお願いします!ヽ(*゚∀゚*)ノではでは


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第34話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。②

さて日菜へ勉強を教えてもらうことになり氷川家へお邪魔した弘人だったが……?

本編へ入ります。


「早く上がりなよー」

 

「ハァ……ハァ……ま、待てって」

 

 

氷川家に着いてすぐに膝に手をついて息を整える。

 

日菜はパパっと靴を脱ぐと二階へと続く階段を駆け上がっていった。

 

やはりというか日菜に引っ張られて走ることになり信号以外ノンストップで走らされた。

 

ホントに恐ろしいほどのスタミナ……というか身体能力か。

 

勉強も運動、見た目もトップクラスとくると逆に苦手なものはどれだけあるかも気になるな。

 

 

「ふぅ……お邪魔します」

 

 

息が落ち着いたので靴を脱いで上がる。

 

この家に来るのは3回目だが日菜に呼ばれて来たのは初めてで、2回とも紗夜に呼ばれて来ていた。

 

 

そう思っていると二階から日菜の声がした。

 

 

「弘くーん、はーやーくー」

 

「はいはい」

 

 

玄関にそれらしき靴が無かったので紗夜はいないようだ。

 

階段を上ると《Hina》書かれた看板がぶら下がっている扉を開ける。

 

 

「入るぞ」

 

「やっときた!いらっしゃーい」

 

 

日菜の部屋はオレンジのカーテンや緑色系の壁紙を使っており間取りもほぼ同じだったが、紗夜の部屋が物が多く年頃の女の子の部屋らしいなと感じた。

 

 

「座ったらー?」

 

「おう」

 

 

ふわっとしたラグマットが敷いてあるので座ると鞄から課題を取りだして四つ足テーブルの上に載せていく。

 

 

「やっぱり結構あるねー」

 

「パパっと片して帰るから教えてくれ」

 

「あ!飲み物持ってくるから先に解いててー!」

 

 

そう言って立ち上がるとパタパタと部屋を出ていった。

 

 

「はいよー……さて、と?」

 

 

ドアから視線を外すと日菜のデスクの上に夕日に反射しているものに目が止まった。

 

近づいて手に取る。

 

 

「これは……家族写真か」

 

 

写真には小さい頃の笑顔の姉妹と両親が写っていた。

 

……二人は母親似なんだな。

 

 

二人の母親は同じ髪の色をしており写真の中で優しく微笑んでいた。

 

二人も大人になったら母親ににて美人になるのかねぇ?

 

大人しそうに微笑む日菜を思うと可笑しくて一人で笑ってしまった。

 

 

その時だった。

 

一階から階段を上る音が聞こえた。

 

やっと課題に取りかかれるな。

 

そう思っていたのだが部屋に入ってきたのは日菜ではなかった。

 

 

「日菜?玄関に知らない靴があったのだけど、誰の――って弘人さん!?」

 

 

部屋に入ってきたのは学校から帰って来たのだろう紗夜だった。

 

 

「おー、紗夜おかえり。お邪魔してるぞ」

 

 

妹の部屋に入ったら男がいたらそりゃ驚くよな。

 

 

「い、いえ大声を出してすみません。ところで何を持っているんですか?」

 

 

紗夜は俺が手に取っていたものが気になったようだ。

 

 

「あーこれ?机の上にあった写真。家族写真だろ?二人とも小さい頃のだな」

 

 

それを聞くと紗夜が顔を真っ赤にして近づいてきた。

 

 

「み、見ないで下さい!」

 

 

そう言って写真を取ろうと手を伸ばしてきた。

 

 

「うおっ!?いきなりなんだよ!?」

 

「恥ずかしいので私が預かります!さぁ早く!」

 

 

同い年といえど男女の身長差ははっきりとしており紗夜は手を伸ばしても届かなかった。

 

顔を赤くして手を伸ばす紗夜の姿を見て面白くなってきた俺は写真を右手左手と移動させながら様子を見ていた。

 

 

「くっ、この!」

 

「可愛く写ってるから、いいだろ?」

 

「か、可愛っ!?何を言ってるんですかー!!」

 

 

そう言うと紗夜はどん!と俺を突き飛ばした。

 

床に倒れると紗夜が上に乗って手を伸ばす。

 

 

「ぐぅぅ!取ら、れる!」

 

 

ここまでくると取られるのが悔しい。

 

 

「あと、少しで……!」

 

 

紗夜の指先が写真盾のフレームに触れそうな時、部屋のドアが開いた。

 

 

「おまたせー!弘くんにはジュースを混ぜたスペシャルドリンクを……何してるの?」

 

「「……ち、違う」わ!」

 

 

この後ジトーっとした目で見てくる日菜の誤解を解くのに時間がかかり、課題に取りかかったのは日が沈んでからだった。

 




課題に取り組めない弘人。

果たして無事に終わるのかー?

次回に続きます。

良ければ感想お願いしまーす!ヽ(*゚∀゚*)ノではでは


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第35話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。③

お待たせしました!では、氷川家編続きます。


日菜の誤解も解け早速課題に取りかかった……のだが。

 

 

「弘くん!ここの答えはねー」

 

「日菜!答えだけ教えては課題の意味がないでしょ!」

 

「えー、でも簡単過ぎてつまんないしー」

 

「あなたはまたそんな事を……弘人さん、ここの数式はー」

 

 

……。

 

 

「てゆーか、おねーちゃん弘くんに近くなーい?」

 

「こ、これは問題用紙が小さいから……そう言う貴女も近いわよ。答えを教えるだけなら課題にならないのだから向かい側に座って見ればいいじゃない」

 

「そうしたらおねーちゃんが弘くん独り占めするじゃん!」

 

「そ、そんなことしません!」

 

「嘘だねー!顔真っ赤だもん!」

 

「貴女ねー!」

 

「だーーーー!!!人挟んで喧嘩すんじゃねぇぇえ!!」

 

 

思わず近くにあったテキストを両手に1冊ずつ掴んで掲げふり下ろす。

 

テキストは勢いをつけて姉妹両方の頭に下された。

 

もちろん角で。

 

 

「っ~!ひ、弘人さん!?」

 

「弘くんいったーーーい!」

 

「文句は聞かねーからな!反省しろ!!」

 

「……はい」

 

「はーい……」

 

「ったく……」

 

 

そこからは反省したのか二人は静かになった。

 

分からない時はこちらから聞くと紗夜がヒントをくれた。

 

そうして2時間が経った。

 

 

「お、終わった……」

 

「お疲れ様です。弘人さん」

 

「ありがとな紗夜。すげー分かりやすかった」

 

「いえ、弘人さんもすぐに問題を理解出来ていましたし、私はお礼を言われるほどのことをしていませんよ?」

 

礼を言われて照れたのかほんのりと頬を赤くした紗夜は柔らかく微笑んだ。

 

 

「それに引き換えコイツは……」

 

「はぁ……すみません」

 

「すぅ……すぅ……」

 

 

俺は少し重みを感じる方を向くと日菜が俺の肩にもたれ掛かるように寝ていた。

 

少し首を回して時計を見ると時計の針は7を刺していた。

 

 

「もうこんな時間か。わりぃ帰るよ」

 

「えっ……」

 

「日菜、起きろ。俺は帰るぞ」

 

「うぅん……?弘くんダメだよぉ……」

 

 

起こして離そうとしたらそのまま日菜が腕にしがみついてきた。

 

 

「オイオイ……」

 

「明日は学校だし……また今度来るからさ」

 

 

そう言った時だった。

 

日菜はバッと顔を上げこちらを見てきた。

 

その目はいつも以上にキラキラ輝いていた。

 

まるで新しいおもちゃを貰った子どものような目だ。

 

……これはマズイ。面倒なことになりそうだ。

 

気づいたが時すでに遅し。

 

日菜は続けて言った。

 

 

「じゃあ週末は弘くんがウチに泊まりに来てね!」

 

「「……は?」」

 

「楽しみだなー♪るんるるるん♪って気分だよ!」

 

「お、おい……日菜?」

 

「そうと決まれば何するか決めないと!」

 

「……すみません弘人さん」

 

「……ハァーーーー」

 

 

こうなった日菜は誰にも止められない。

 

俺は一人帰路につきながら休みのほうが疲れそうだとため息をついたのであった。




とゆーことで次回からアンケートで多かった氷川家お泊まりパート始まります!ヽ“(*´ω`)ノ


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第36話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。④

お久しぶりですね。端末壊れたり仕事が多忙でと言い訳させて下さい(>_<)ごめんなさい

これからゆっくりですが再開していきますのでよろしくお願いします。


日菜の提案により週末泊まることとなった。

 

てっきり紗夜が止めてくれるものだと思っていたんだがな…。

 

まぁ結果として宿題は全て出来たし、日菜の願いを聞いてあげるのもいいだろう。

 

黒板の古文をぼんやりと見ながらそう思っていると後ろから肩をツンツンと突っつかれた。

 

 

「ねーねー、お泊まりの件忘れてないよね?」

 

 

珍しく気をつかってか、日菜が小声で話しかけてきた。

 

 

「忘れてない」

 

「何して遊ぼうかなー?」カリカリ

 

「あまり疲れないのにしてくれよ…ん?」

 

 

珍しく日菜がノートを取っている?

 

羨ましいことに、この天才。俺が知っている限りではノートを取らない。

 

そんな日菜が珍しくノートを取っている。

 

一体どんな風に取っているのだろう?

 

やはり俺らとは違う独自の取り方でもあるんじゃないか?

 

 

興味が沸いた俺は後ろを振り返りチラリと日菜のノートに視線を落とした。そこに書かれていたのは……。

 

 

『☆弘くんの楽しい遊び方リスト☆』

 

 

「……」

 

 

うん、リストにまとめるのは見やすくなるからいいだろう。

 

問題はな?

 

弘くん『の』ってなんだよ!?

 

俺を遊び道具にするのか!?

 

大声でツッコミを入れたいがぁぁぁぁ我慢だ……!また課題を出されてしまう。

 

日菜が鼻歌混じりに真っ白なノートに丸っこい文字を並べていく。

 

 

①ピクニック

 

 

「オイ、どこにお泊まりに行くつもりだ」

 

 

小声で日菜へ指摘すると日菜は不思議そうに首を傾げながら答えた。

 

 

「えー?アタシのお家だよ?」

 

 

イラッ

 

耐えろ……。どこに家の中でピクニックする奴がいるんだぁぁ!!って言いたいが我慢だ。

 

 

俺が内なる怒りを堪えている中でも日菜は続けて書いていく。

 

 

②釣り大会

 

 

は?釣り?家で釣り??コイツの家にそんなのあったか?裏庭とか見てないから分からないが釣り出来るところあるのか?

 

 

「日菜、お前の家……魚いたりするのか?」

 

「いるよ!」

 

 

おお……。なら釣りは出来るな!

 

 

「冷蔵庫に鮭が入ってたなぁ~」

 

 

イライラッ

 

そりゃあいるだろうよ……!俺んちにもいるわ!!

 

ツッコミを抑えるに呼吸をするが乱れる。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

「弘くん……?」

 

 

大丈夫……このまま、落ち着いて……。

 

 

 

「なんだか犬みたい!」ケラケラ

 

 

ブチッ

 

 

「誰が犬だ!お前だって気まぐれの猫みたいなくせに!」

 

「え?猫みたいに可愛いってことー?」テレテレ

 

「んそう言うことじゃねぇよ!」

 

「……ではなんで授業中に騒いでるんだ?」

 

「そりゃあ…え?」

 

 

声の主を見ると笑顔で教科書を手のひらでトントンと叩く古文の教師。

 

当たり障りのない回答で切り抜けれる……か?

 

 

 

「よ、世のなかは空しきものとあらむとぞ この照る月は満ち欠けしける……」

 

 

教師は笑顔で答えた。

 

 

「今は月など出でたらず。このをこ」

 

 

返しと同時に振り下ろされた教科書はやはり角。

 

的確に俺の頭へと当たった。

 

……いやね、俺も頑張ったと思うんですけど?

 

まだまだ忍耐力ないですかね?

 

日菜のぶっ飛んだプランよりも寺へ修行しに行くべきかと考えながら俺は痛む頭を押さえてペンを持った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私の古文の先生はバイオハザード好きで、分からないのをバイオで例えてくれました。まぁそれが頭に入ったかどうかは別の話なんですけどねw

次回もよろしくお願いします!
感想とかも欲しいなぁ


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第37話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。⑤

遅くなりました(^_^;)

弘人泊まり準備編です。




あれから日にちはあっという間に過ぎて気がつけば金曜日。

 

日に日に週末までの日にちをカウントする日菜に呆れつつも、何故か少し楽しみにしている自分がいた。

 

忘れ物がないか確認し玄関のドアを開けると日菜が立っていた。

 

 

「おはよ弘くん!今日だよ!今日!」

 

「おはよーさん、わざわざ家まで来たのか?」

 

 

日菜の家からならそのまま学校に行くほうが早いだろうに。

 

 

「楽しみで早く起き過ぎちゃったよ!えへへ」

 

 

俺の問いに日菜は舌をペロッと出して答えた。

 

コイツらしい理由だな。

 

玄関の鍵を確認し並んで登校する。

 

学校までの道のりでの話の内容は週末をどう過ごすかの一点のみだ。

 

 

「日菜、飯はどうする?」

 

「うーん、アタシらあんまり料理しないからなー。弘くんは?」

 

「……簡単な物なら」

 

「弘くん、カップラーメンは料理じゃないんだよー?」

 

「知っとるわ。手の込んでないものならってことだ」

 

「意外だー」

 

 

中学から帰宅部の俺は家に居る時間が多く時間潰しも兼ねて料理が出来るよう色々作っていた。

 

 

「弘くん作ってくれる?」

 

「物によるな。ちなみに何が食べたいんだ??」

 

 

泊めてもらうなら俺もなんかしないと。

 

……俺が作れる料理のリクエスト頼むぞ!

 

 

「アタシは久しぶりにハンバーグ食べたいなぁー」

 

「ハンバーグか」

 

 

内心思ったよりも簡単な料理でホッとした。

 

紗夜にも訊かないとな。

 

スマホを取り出し、紗夜にもメッセージを送る。

 

 

「紗夜にも訊いてみてから最終決定だな」

 

「おねーちゃんもきっとハンバーグだよ!」

 

 

日菜は自信満々に答えた。

 

 

「……根拠は?」

 

「アタシには分かるもーん」

 

 

日菜の返事と同時にメッセージが届く。紗夜からだ。

 

 

『おはようございます。弘人が料理出来るのは正直意外でした。晩御飯を作っていただけるのならハンバーグが食べたいです。それと人参はいりません』

 

 

メッセージを一緒に見た日菜は嬉しそうに笑って言った。

 

 

「ほらねー!」

 

「ふ、双子パワー?」

 

 

世の中の双子にそんな超能力でもあるんじゃないかと考えてしまった。

 

 

 

*

 

 

授業をぼんやりと聞き流してメニューを考える。

 

ハンバーグの他にポテトをつけてもいいかもな。

 

あとはさっぱりするサラダとコンソメスープでどうだろうか?

 

……そういえば家族以外の人に料理を作るのは久しぶりだな。

 

授業終了のチャイムが鳴る中立ち上がり号令に合わせ一礼。

 

そうと決まれば帰ったら気がつけばと準備して買い物に行かないとだな。

 

 

『弘人、嬉しそうじゃん。なんかあったのか?』

 

 

教科書をしまっていると裕哉が声をかけてきた。

 

どうやら自然と笑みがこぼれていたようだ。

 

……今日か。

 

日菜の今朝の様子を思い出しながら答えた。

 

 

「待ちに待った週末だからな」

 

「思ったより面白くない返しだなぁ……」

 

「いや、面白いと思うぞ?」

 

「???」

 

 

俺の返しがよく分からないのか首をかたむける裕哉を横目に窓の外を見る。

 

ゆっくり流れる雲を眺めながら考える。

 

アイツらが喜んでくれるように作らないとな。

 




次回は待ちに待った氷川家でのお泊まり!

果たして弘人の料理の腕は……?

お楽しみに!

良ければ感想お願いしま~す(o・ω・o)ノシ


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第38話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。⑥

今回は早めに続けて投稿出来ました!(o・ω・o)


帰りのHRを終えて荷物を席を立つと後ろから日菜に肩を叩かれる。

 

 

「先に帰って準備してるからね!」

 

「……お前だけ急いでも俺の早さは変わらないからな?」

 

 

目をキラキラさせながら早口で話す日菜に軽口で返すと日菜は少し不満そうに頬を膨らませた。

 

 

「も~、弘くんのばかー」

 

「なるべく急いで買い物してくからさ」

 

「約束だよー?」

 

「分かったよ」

 

 

日菜にため息混じりに返事をして一度帰路につく。

 

ある程度の荷物は鞄に入れて準備していたので時間はかからないだろう。

 

 

 

*

 

 

家に帰って着替え終えるとインターホンが鳴った。

 

…もしかして日菜が待てずに来たのか?

 

 

鞄を持って玄関に向かう。

 

ドアの磨りガラスから特徴的な水色の髪が見えた。

 

どうやら予想は当たったようだ。

 

靴を履いてドアノブに手をかける。悔しいから文句の1つでも言ってやるか。

 

 

「いくらなんでも早すぎだろ!」

 

「す、すみません……!」

 

「え?」

 

 

ドアの向こうで待っていたのは日菜ではなく紗夜だった。

 

いきなり俺に大声を出されたからか申し訳なさそうな顔をして目線を床に向けていた。

 

 

「わ、悪い……日菜だと思って」

 

「い、いえ……。こちらも連絡もなく来てしまって」

 

「そうか……ところで紗夜はなんで家に?」

 

 

紗夜は俺の質問に本来の目的を思い出したのかハッとした後に答えた。

 

 

「弘人さんが買い物してから来ると聞いたので」

 

「確かに荷物は多くなるからな……一緒に来てくれるか?」

 

「もちろんです。行きましょう」

 

 

自宅を出て二人で商店街へ向かう。

 

道中は晩ごはんのメニューだったり、今日まで待ちきれない日菜の家での様子を聞いたりとお互いの話をしていたらあっという間に着いてしまった。

 

 

「弘人さん、まずは何から?」

 

「まずは八百屋で野菜、スーパーで飲み物類、最後に精肉店で挽き肉だなー」

 

 

調味料は氷川家にだいぶあるらしいから大丈夫だろう。

 

 

 

「分かりました。その順番で行きましょう」

 

 

 

日菜も待ってるからあまり時間かけずに行かないとな。

 

 

 

 

*

 

 

買い物をささっと済ませて氷川家に向かう。

 

買い物袋は軽い方を紗夜に、飲み物等重いのは俺が担当だ。

 

歩きながら一つの気になっていた点を紗夜に訊ねる。

 

 

 

「なぁ紗夜、今回俺が泊まることは両親知ってるよな?」

 

「勿論です。いきなり男性を家に呼んだりしたら何を言われるか分かりませんからね」

 

 

両親が知っていて俺が来てもいいと言うことは了承は得られているのだろう。一安心だ。

 

しかし、俺の安心は束の間、紗夜は続けて言った。

 

 

「ですがその……両親は明後日まで戻らないと」

 

「……へ?」

 

 

思わず変な声が出て、買い物袋を落としかけるもなんとか耐える。

 

 

……両親が不在?

 

つまりは俺は二人と過ごすのか?

 

そんな俺の気持ちを落ち着かせる時間もなく、氷川家に着いてしまった。

 

 

「さ、どうぞ」

 

「お、お邪魔します」

 

 

2階からパタパタと階段を降りてきた日菜は満面の笑みで俺らを迎えた。

 

 

「おねーちゃんお帰り!弘くんいらっしゃーい!」

 

 

嬉しそうに笑う日菜とは対象的に何故かここにきて一気に疲れを感じてしまう俺だった。

 




やーっと氷川家に着きましたね(*´ー`*)

では次回もよろしくです~(o・ω・o)ノシ


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第39話 恋焦がれる姉妹と気づかぬ星と。⑦


久しぶりですね!こんな世の中でも何とか生きてました
((o(。・ω・。)o))

では続きをどうぞー


 

「おねーちゃんお帰り!弘くんいらっしゃーい!」

 

「ええ、ただいま。日菜」

 

 

出迎えてくれた日菜は俺たちが手にした買い物袋を見て少し頬を膨らませた。

 

 

「もー!買い物行くなら一緒に行きたかったのに。おねーちゃんずるいよー!」

 

「ず、ずるくないわ!私はただ弘人さんの手伝いをしようと思って……」

 

「買い物デートしてきたんでしょー??」

 

「デ、デート!?////」プシュー

 

 

日菜の返しに思わず頬を赤らめる紗夜。

 

帰って早々姉を弄るんじゃない。

 

文字通り紗夜の顔が真っ赤っかじゃねーか。

 

 

「あー、とりあえずお邪魔していいか?アイスも溶けちまうしな」

 

 

アイスの入った買い物袋を日菜に見せると目をキラキラと輝かせた。

 

 

「アイス!?やったー!」

 

 

嬉しそうにピョンピョン跳ねる日菜を横目に靴を脱ぎ、未だにそこでオーバーヒート中の紗夜の頭に手を載せる。

 

 

「お邪魔するぜ?」

 

 

頭に手を載せられたからかハッと戻った紗夜がまだ赤みの残る顔ではにかむ様に微笑んだ。

 

 

「いらっしゃい、弘人さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングへと移動し1度カバンをソファー裏に。

 

買い物袋をテーブルの上へと置く。

 

その間紗夜は制服を着替えてくると部屋に向かった。

 

リビングを見渡し、以前来た時のことを思い出すと自然と笑みが零れた。

 

そんな俺の様子が気になったのか袋から物を取り出していた日菜が手を止めて俺へ聞いてきた。

 

 

「どーしたの弘くん??」

 

「いや、最初にここに来た時のことを思い出してな」

 

「前……あっ!リサちーと3人でファミレス行ったときだ!」

 

「俺らが止めたのにお前がでっかいパフェ頼んでギブした時のな」

 

「だって美味しそーだったんだもんー」

 

「限度ってもんがあるだろーが」

 

「もー、弘くんの意地悪ぅー」

 

 

ジト目で頬を膨らませる日菜を知らんとばかりに視線を外してると紗夜が降りてきた。

 

 

「お待たせしました……えっと、なんかあったの??」

 

 

不思議そうに小首を傾げる紗夜に俺は説明をした。

 

 

「俺が最初にここに来た時の事を思い出してな。ちょっと話してただけさ」

 

「最初…そうね。もう随分前のような気がします」

 

 

そして紗夜とも初めて会ったんだったな。

 

季節はもう6月後半。

 

春先の出来事だから2ヶ月前か。もう2ヶ月と言うべきかまだ2ヶ月というべきか。

 

過ぎた日々の出来事に思いを馳せているとどこからかお腹がなる音がした。

 

 

「アタシじゃないよー?」

 

 

聞く前に答える日菜。

 

俺でもなく、日菜でもない。

 

……残るは1人。

 

 

「は、早くご飯の準備しませんか!?」

 

 

再び真っ赤になった紗夜が声を大きく夕食の準備を促した。

 

 

 





今回も読んでいただきありがとうございます。(≧ω≦)

よろしければ次回もお願いします(öᴗ<๑)ノシ感想待ってまーす!


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第40話 HIRO’Sキッチン

日菜、紗夜お誕生日おめでとう!!!(*'∀'人)

こんな日こそ投稿ラッシュ!


少し早いような気もするが空腹な人もいるから作るか。

 

まずはサラダ。

 

レタス、サニーレタスをよく洗って、水の入ったボウルに入れ

 

そのまま放置。

 

 

「どうして水で洗ったのにまた水に浸けているんですか?」

 

 

隣で見ていた紗夜が気になったのか聞いてきた。

 

 

「まぁ食べる時にパリッと美味くするためだ」

 

「なるほど……」

 

 

ちなみに何故パリッとするかの理由は知らん。

 

5分後レタス類をちぎり、念の為家から持ってきたサラダスピナーに入れる。

 

すると部屋から戻った日菜がキッチンにひょこっと顔を出す。

 

 

「わたしもなんか手伝うよー?」

 

「それじゃこれを回して水分を飛ばしてくれ」

 

「うん!フフフ~ン♪」

 

 

日菜はスピナーをクルクルと回し始めた。

 

その間に玉ねぎを1個みじん切りにする。

 

 

「弘人さん、包丁使うの上手ですね」

 

「んー?まぁ両親家空けるの多いからな。1人で飯作るったら嫌でも慣れるさ」

 

「弘くん、だいぶ水無くなったよー」

 

「おう、皿にあけてラップして冷凍庫に入れといてくれ」

 

「はーい」

 

 

さて、次はハンバーグだ。

 

俺は肉をパックから取り出してボウルに開ける。

 

今回使う肉は合いびき肉。まぁ牛と豚の肉が混ざったものだ。

 

肉に塩を加え手早く1分ほど、とにかく素早く練る。

 

そこに冷水を少しずつ入れ練っていく。

 

入れすぎ厳禁。

 

その後パン粉、卵、牛乳、他材料をちょっとずつ入れながら練り続ける。

 

チラッっと横に目をやるとそわそわした紗夜が目に入る。

 

彼女の性格だ。

 

他2人がやっていて自分が見ているだけで落ち着かないのだろうな。

 

 

「紗夜、ちょっと代わってもらっていいか?」

 

「私がですか?構いませんが」

 

「俺、スープ作るからさ」

 

「ですがハンバーグ作ったことなど……」

 

「あと3つに分けて焼くだけだ。細かいところは俺がする」

 

 

紗夜が大きさに悩んでる間スープ作りに取り掛かる。

 

お湯にコンソメの元を入れ、切ったじゃがいもと玉ねぎを入れる。

 

紗夜もハンバーグの分けた大きさに納得したようだ。

 

 

「紗夜、ハンバーグの空気抜きって知ってるか?」

 

「ええっと、あの1人のキャッチボールみたいなのですか?」

 

「そそ。10回くらいかな。最後に上に窪みつけてくれ」

 

 

ゆっくり空気抜きを開始したのを確認すると今度は日菜が声をかけてきた。

 

「弘くーん、お皿でも出すー?」

 

「頼む」

 

「おっけ~」

 

 

最後にソーセージと塩コショウを入れて煮込む。

 

スープはこれでよし。

 

 

あとは中火でハンバーグを焼いていく。

 

紗夜の性格を表したように3つとも正確な大きさのようだ。

 

両面をしっかり焼いたところで火を止めて10分ほど放置。

 

よし、これで晩御飯のメニューは全て―――。

 

 

「ねーねー、弘くん。じゃがいも使わないの?」

 

 

 

あー、ポテトやるの忘れてたな。

 

 

「フライドポテト食べたいなー!おねーちゃんも好きだし!」

 

 

 

日菜のリクエストを聞きつつ紗夜に訊く。

 

 

「紗夜、フライドポテト好きなのか?」

 

「それは……はい」

 

「りょーかい」

 

 

それじゃ簡単に作っていくか。

 

まず鍋に油をたっぷり入れて火をつける。

 

こっからスピード上げないとな!

 

次に芋は皮を剥いて細切りに。

 

ここでビニール袋を用意。中に小麦粉、片栗粉、塩コショウを入れて切ったじゃがいもを入れて振る!

 

そして鍋の油が温まったらじゃがいもを放り込む!

 

揚げる音、色が変わってきたら

火を止めて完成だ!

 

ハンバーグ、ポテトを皿に盛って完成!

 

冷凍庫のサラダもいい感じに冷えたようだ。

 

 

「これは美味しそうですね」

 

「弘くんすごーーい!」

 

「適当にやっただけだよ」

 

 

それじゃあ食べるか。

 

 

「「「いただきます」」」

 

 

2人の笑顔で食べる姿を見て俺はふと思った。

 

たまにはこんな風に皆で食べるのも悪くないな。

 

揚げたてのポテトの暖かさとは違う熱を感じつつハンバーグへと箸を向かわせるのであった。

 




書いてて自分がどんどんお腹空いてきました。笑

良かったら皆さんも作ってみて下さい(≧ω≦)

良ければ感想、リクエストお待ちしてます!


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第41話 リビング、無音、布団にて①

お久しぶりですm(*_ _)m

最近は暗い話題ばかりで気持ちが沈み気味ですね。

この小説を呼んでくださった方々少しでも多くの人が明るくなって

貰えたら嬉しいです(*´ω`*)


食べ終えた後は食器を3人で片付ける。

 

最初は紗夜がゆっくりして下さいと言ったが、流石に好き勝手に

使ったからそのままというのはいくらなんでも悪い。

 

紗夜が洗って俺が拭く。そして日菜が棚へ閉まっていく。

 

やはり1人で片付けるより早いなとぼんやり考えていると日菜が思い立ったように言った。

 

 

「ねーねー、お風呂誰から入る?」

 

 

風呂の順番……そういや考えて無かった。

 

まぁ俺は後回しでいいだろうと思い日菜へ食器を渡しながら答えた。

 

 

「俺は最後でもいいぞ。順番に拘りないしな」

 

「それじゃ日菜が1番に―――」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 

いきなりフライパンを擦っていた手を止め紗夜が言った。

 

 

「どうした?紗夜」

 

「どうしたの?おねーちゃん」

 

 

紗夜は泡だらけの手をサッと流してこちらに顔を向けて続けた。

 

 

「弘人さんが最後に入るということはつまり……私の後に入るという事ですよね?」

 

「まぁそうなるな」

 

「い、嫌です!」

 

「おねーちゃん!?」

 

 

刺さる一言。

 

あれか、思春期の娘が父親にやるというアレか。

 

父親と洗濯物とか一緒に洗いたくないってやつ。

 

何となく父親の気持ちが分かった気がする。

 

それなら俺が紗夜より先に入ればいいだけだ。

 

そう思っていると紗夜が日菜に何か耳打ちする。

 

 

「……それならあたしも弘くんに先を譲ってあげるね」

 

「なっ……!?」

 

 

まさかの日菜からもか。

 

コイツはあまりそういった事は気にしなそうなのに!

 

 

「ならその順番で」

 

「うん」

 

「……おう」

 

 

再び食器を片付け始めた二人に動揺を悟られないよう作業を再開することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂を終えた俺らは新しい問題にぶつかった。

 

俺の寝床だ。

 

正直なとこ寝れればいいからこのまま居間の床でも構わないと言う俺に対して2人はこれを断固拒否。

 

 

「弘くん、あたしの部屋でもいいよ!寝るまでいっぱい話したいし」

 

「日菜!?」

 

「いや、流石に同じ部屋は……」

 

 

親しき仲にも礼儀あり。

 

俺と日菜と言えどいい歳の男女だ。

 

それは駄目だろう。

 

これは学校で模範に厳しい紗夜が黙っていないだろう。

 

そう思って紗夜のほうを見ると紗夜は頬を赤らめてからやや強い口調で日菜に言った。

 

 

「日菜、それは駄目よ!」

 

「えー!何でー?」

 

「そ、それは……弘人さんがあなたを襲うかもしれないでしょ?」

 

「いや、襲わないからな?」

 

「弘くん……あたしってそんなに魅力ない……?」

 

 

 

うるうると涙目で口元を抑える日菜。

 

しかし、指の隙間から笑っているのが分かった。

 

名演技しやがって!

 

 

 

「日菜が魅力ないって言いたいんですか弘人さん!」

 

「えっ?なんで俺怒られてんだよ……んなことねぇと思うぞ」

 

「当たり前です。少しでも不安要素があるのでやはり駄目です」

 

「むー、ざんねーん」

 

「なので私の部屋で様子を見ます」

 

 

「おねーちゃんずるい!実は弘くんと寝たいだけなんじゃないのー?」

 

「ち、違うわ!あなたの部屋に行かないように様子を見るだけよ」

 

 

様子を見るって何だよ、俺は拾われた犬か何かか。

 

 

「顔赤いけどー?」

 

「大きな声を出してるからよ!」

 

 

ワーワーギャーギャー

 

 

「やっぱり居間に1人で寝かせてくれ……」

 

 

 

俺を置いてお互い譲らない二人の会話は2時間にも及んだ。

 

二人を止めるのは料理をするよりも何倍も疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




長くなりそうなのでここで1度切ります…( ´•д•` ) 

次回も頑張りますので感想、アドバイスありましたら遠慮なく
お願いします。
*˙︶˙*)ノ"マタネー


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第42話 リビング、無音、布団にて②

お久しぶりです。

最近は仕事か多忙で更新出来ずすみませんでした!m(_ _)m


2時間近くの姉妹の攻防の末、仲介役の俺が中立案……つまり

俺がリビングを借りて寝ることを強気の提示したことで

幕を閉じた。

 

これ以上貴重な休日の睡眠時間を削られたくないと判断したからだ。

 

 

敷いた布団に横になると気持ちが落ち着いて自然と息が漏れた。

天井を見ながらふと考える。

 

二人もそれぞれ部屋に戻ったのだろうか?

 

先程まで賑やかだった氷川家は今や人が居ないかのように静まり返っていた。

 

あまりにも静かだと逆に気になって寝られないんじゃないかとも思ったが、慣れない場所で過ごすというものは新鮮でもあるが無意識に疲労が蓄積するものらしい。

 

つまりだ、俺もすぐに眠りに入ることが出来た。

 

最後に頭に浮かんだのは明日の朝食についてだ。

 

買ってきた材料から卵料理とベーコン、あとは味噌汁でいいか。

 

米はセットしてあるし一応パンも買ってある。

 

卵料理はー…卵焼き?スクランブルエッグ?2人はどれが好みなのだろう?

 

ふわふわオムレツ!とか日菜言いそうだな。

 

 

明日もまた騒がしくなるだろう。

 

心の中で苦笑しつつ俺は睡魔に身を任せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシがこんな時間にトイレに起きるなんてな〜」

 

 

1人で呟きながらトイレを出て手を洗う。

 

アタシは寝る前にはいつもトイレに行くし、寝付きがいいから夜中にトイレに起きたりなんて滅多にしない。

 

弘くんが来てるからちょっと変わったのかな?

 

そう思ってリビングの前の廊下を通ると扉のガラス越しに彼が寝ている布団が見えた。

 

少し立ち止まりある考えが浮かんだ。

 

弘くんの寝顔撮っちゃお!

 

ポケットからスマホを取り出し、リビングのドアをゆっくり開く。

 

音を立てないようにそーっと布団へ近づいて見てみると深めに布団を被って顔がよく見えないが布団が彼の規則的な呼吸に合わせて揺れており、よく眠っているのが分かった。

 

ゆっくりと布団に横になって布団をめくると弘くんがすーすー寝ていた。

 

スマホを構えて1枚撮る。

 

無音の部屋にシャッター音が響くが起きる様子はナシ。

 

そう思ってスマホを再度見ると画面越しに弘くんの唇が目に止まった。

 

弘くんが体調崩した時に彼の家でしたキス……。

 

思い出すと不思議とドキドキが止まらなかった。

 

 

 

今なら…また……。

 

 

そう思ってゆっくり体を彼に近づけた時に彼の腕が動いた。

 

かなり近づいていたアタシは反応出来ずあっという間に彼に抱きしめられていた。

 

ドキドキがどんどん大きくなってきた!

 

 

「……弘くん??? 」

 

「……」

 

 

返事は帰ってこない。

 

ゆっくりと顔を上げて顔を見ると……。

 

変わらずぐっすり寝てる!?

 

でも腕に力がしっかり入ってて抜け出せない。

 

何より弘くんの温もりと匂いに包まれると……。

 

幸せな気持ちで溢れてアタシは安心するように寝てしまった。

 




次回は紗夜の番です!(﹡ˆ﹀ˆ﹡)♡


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第43話 リビング、無音、布団にて③

今回は紗夜のターンです。


 

部屋でギターをそっと触り、ふと想う。

 

頭に浮かぶのはそう、今この同じ屋根の下、1階で休んでいる彼の事だ。

 

ただ日菜とは違う自分だけの物を求めて無我夢中に弾き続けた。

 

そんな時に彼と出会った。

 

彼は『あの天才の氷川日菜の姉』でなく一人の氷川紗夜として見てくれた。

 

その言葉に、その温もりに触れて私はどれだけ救われたことか。

 

もし、弘人さんに出会っていなければ日菜と向き合うことが出来なかっただろう。

 

そして彼と触れ合うことで人を好きになること、恋がこんなにも何もなかった私を変えていくことに気づけた。

 

あの頃の自分が今の私を見たらどんな反応をするのだろう?

 

失望?

 

 

怒り?

 

 

例えどんな罵声を浴びせられたとしても胸を張ってこう返すだろう。

 

 

私が彼と出会い、ここまで共に過ごした日々、紡いだこの想いは決して無駄などではないのだから―――と。

 

そう思いふけていると隣の部屋からドアが開く音がした。

 

そしてドアの音が再度聞こえた後に今度は階段をトン、トンと下っていく足音が静かな廊下に響いた。

 

 

日菜がトイレに行ったのだろう……。

 

そう思ってギターの手入れを始めたがしばらく経っても階段を上がってくる音が聞こえず、部屋に戻らない。

 

 

「……もしかして!」

 

 

私はギターをスタンドに戻して部屋を出る。

 

音をあまり立てないようそっと階段を降りて1階へ来ると

 

まずはトイレを確認する。

 

電気は消えており、日菜は居なかった。

 

今度はリビングのドアをガラス越しに覗いてみる。

 

……暗くて良く見えないけど声はしない。

 

ドアをそっと開け、リビングへ。

 

何故か高鳴る心臓を抑えながら彼の寝ている布団を見ると……。

 

 

「……ッ!!」

 

 

そこには日菜を抱きしめながら眠りにつく弘人さんの姿があった。

 

 

「んっ……!!」

 

 

怒りと悲しみ。

 

一瞬で両方の感情に包まれ怒声を上げそうになるが口元を手で抑えることでなんとか漏れず抑え込むことが出来た。

 

荒れる呼吸をゆっくりと深呼吸して落ち着かせる。

 

冷静に判断する事がこの場において求められているからだ。

 

見える範囲で2人の服装に乱れは無いからただ寝ているだけなのだろう。

 

まずは想定出来る最悪の自体にはなっていないようで気持ちが少し落ち着いた。

 

だけど、2人が起きて何かあってはいけない。

 

そうならないよう近くで見ている必要がある。

 

 

「これは必要な事……学生としての規律なのよ」

 

 

誰に対しての言い訳なのか小声で呟きながら日菜と反対側から

 

布団に入る。

 

目の前には弘人さんの背中。

 

起こしてしまうかもしれないから駄目と思いながらそっと触れてみる。

 

同い年、ましてや恋焦がれる異性の相手が目の前にいたら触れたいと思う。

 

そんな恋心が私を突き動かした。

 

そっと近づいて腕を軽く引いてみると彼はくるっと回り仰向けになった。

 

そのまま横に伸びた彼の腕に頭を乗せてみる。

 

……正直、とても恥ずかしいけれど!これはいいわ!!

 

でも、横を見ると彼の意外と可愛らしい寝顔が見れた。

 

部屋に充電したままスマホを置いてきて寝顔を撮れない悔しさを

胸に抱いたまま、彼を見つめながら徐々に訪れる眠気に身体を預ける。

 

 

日菜には悪いけど、彼だけは譲れないのだから。




現在 職業柄流行っている某ウイルスの対策に追われ非常に多忙な生活を送っています。

そのため更新速度が上がらず、読者の皆様に対してご迷惑お掛けしております。

それでも完走に向け少しずつ更新していきますのでこれからもよろしくお願いしますm(_ _)m


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