灰へと至る巡礼 (カルガモ大将)
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第1話

俺の家系は騎士の家系だった。上流階級で、敬虔な白教の信徒。みんな大好き騎士の国、アストラ。なんか昔に襲われたらしいが、おそらくはそいつから作られたのが邪眼の指輪だろうと推測できる。

で、まあ、御察しの通り、なんでか知らんが俺はダークソウルの世界にいる。運が良ければ人のままで死ねたのだが、悲しいかな、俺の身には呪われた証が浮き出てしまった。人間性が無い時にはお世話になるダークリングだ。

だが、まあ、白教だからなのか、不死になった俺は司祭から不死の使命を伝えられ、防御力重視の騎士装備と、竜紋章の盾、それに、強力な祝福が施された上質な武器ことアストラの直剣、そしてエスト瓶を渡され、ロードランへと送り出されてしまった。

 

カラスの運搬だと思ったら、デーモン郵送で火継ぎの祭祀場まで送られた時はおしっこちびるかと思った。

まあとにかく、俺はこんな感じでダクソの世界で生きのこらなければいけなくなってしまったのだ。

だが、祭祀場にはペトルスが居ないし、青ニートも居ないしで、これ、一番乗りが俺って困りますよ。篝火も勿論火がついてない。これはヤバイ。詰んでる。階段を降りてかぼたんの確認をしたが、やっぱり居なかった。

 

……いやー、キツイっす。

 

取り敢えず、篝火の起こし方から確認しようか。

不死の遺骨を燃やしてるとかなんとか言ってたから、篝火を点火するには、亡者を殺して骨を集めて、ソウルを燃料にすれば燃えるはずなんだ。ほら、火継ぎをするのに王のソウルが必要ってのは、それすなわち莫大なソウルが燃料ってとれるしね。

じゃあ、骨はまあ集められるとして、燃料はどうするのか。

 

……マラソンかなあ。

 

よし、と覚悟を決めて火の付いて居ない篝火から腰を上げる。

 

さて、まずは坂の上の亡者からやりますか。

坂を登り、盾を直剣の柄の部分で叩くことで、近くにいた1人をこちらに気づかせ、襲わせる。

 

緩慢な右の振りを受ける前に右手を上から切り落とし、返す一手で胴体を横に切り裂き、二分割する。

 

よし、まず一体は無力化した。

 

こうしている間にも、もう一体が坂の上から降りてきていた。飛びかかりながら襲ってくるが、それを半身になることで避け、背後からの致命の一撃で殺す。

 

ここから上に行くと火炎壺と斧持ちのコンビネーションがウザいので、今殺したこの2人を祭祀場へと持って帰る。そして、肉を削いで骨だけにし、それを砕いて小さくして篝火の地面に埋めて、今手に入れたばかりのソウルを篝火に突き刺さっている螺旋剣へと注ぎ込む。

 

──ボッ

 

「うぉわぁっ!?」

 

まさか本当に着火するとは思わなくて、驚いて声が出てしまった。だが取り敢えず、これで仮説は証明された。

 

もしも火を継いだとしても、ソウルだけ置いてけば余熱でなんとかなるかもしれない!!!

 

どこぞの上級騎士が余熱でなんとかなるって言ってたのは間違いじゃなかったかもしれんな。

 

さてさて、取り敢えずは篝火で暖をとりますか。

腰を下ろし、とても弱々しい火を眺め、これから先のことを考える。

 

ペトルスと青ニートが居ないってことは、恐らく、他の面々も来ていないだろう。だって、ダークサインが出て直ぐだもんな。いやまて、リロイさんってたしか白教最初の不死人じゃなかったか……? いや、無理だな。今から地下墓地行っても助けられる気がしない。そもそもアッチとコッチで世界線がズレてる可能性もある。あの人鬼強いけど、これはキツイなあ。

……まさか、タルカスやファリスもここに来る可能性があったりするか? いやどうだ? バーニス騎士団とかは別ルートで来た可能性もあるが、ううむ。団体客はどんな感じでロードランに巡礼してるのかが分からんな。

というか、そもそも俺に火は継げるのか? オンスモとか倒せる気がしないんだけど。あんなん白呼ばんと無理じゃって。人間性がゴリゴリ減っちゃうよぉ〜。

 

あ、そうじゃん。俺以外にも巡礼者が来るんだから、そいつらに継がせればいいじゃないか! なんたる名案! 俺は天才か!

そうと決まれば早速行動だ。篝火から腰を上げ、亡者たちをバッタバッタ薙ぎ倒しながら今度は城下不死街まで進み、篝火を点火……あれ、ないぞ。篝火が無いぞ。え、篝火が無いって、え? なぜに?

 

……また篝火を作らないといけないのかあ。

 

殺した亡者達はソウルの業で取り込むことが出来ないので、それを引きずりながら、祭祀場と不死街までを行ったり来たりして全部持って帰る。

 

「まじかあ……」

 

だが、祭祀場の篝火の火が消えていた。やっぱ、火力が足りなかったのかね。また亡者たちを骨だけにして着火。だが、やはり火の力は足りない。ゲームだと、座れば世界線が変わるからなのか雑魚MOBが復活していたが、この世界では、というか、火が弱いからなのか、雑魚MOBが復活しない。取り敢えず、この調子だと雑魚MOBは復活しない世界だと捉えるのがいいだろう。

 

今度は城下不死街で見かけた、まだ殺していない亡者を殺して周り、不死の商人の元へと向かう。

 

「おやおや、あんた、珍しい。まともな奴が来るとはね」

 

「そんなにもか」

 

「ああ。呪いの証が出てから、そうだな、それなりに経ってるんだ。この街はお互いに殺しあって、結局、まともな奴は居なくなっちまったよ」

 

そうか、ここは不死を迫害する地域だったのか。それとも、不死人しかいない街だから、城下不死街なのか。まあ、どちらでもいいか。

 

「なあ、あんた。取引しないか?」

 

「何とだ」

 

商人の干からびた顔が、笑みに変わる。

 

「俺はあんたに道具を売る。代わりにあんたは俺にソウルを渡す。悪い話じゃあないだろう? 騎士サマなら、戦いのイロハってやつを知ってるはずだからな。どうだい?」

 

まるで、俺が断るという選択をしないかのような口ぶりだ。

 

「乗った。だが、亡者から手に入るソウルは少ない。まともな取引が出来るようになるまでは時間がかかるだろうよ。」

 

「そうかい。ああ、そうだ。あんたには1つ忠告しといてやるよ」

 

そう言って商人は、上の方を向きながら語り始めた。

 

「不死の証が浮かび上がって直ぐに、デーモンが下の方に住み着きやがったんだ。もし下に行くなら気をつけろよ。まあ、上も上でデーモンがいるんだがな」

 

キヒヒヒヒッ、っと気色悪い笑い声と共に、商人は話を終えた。

 

「そうか。情報提供感謝する」

 

もうデーモンが居るのかあ。辛いなあ。

商人に背を向け、再び祭祀場へと戻り、また亡者達の肉を削いで骨だけにし、砕いて地中に埋めた。火が消えていたので、再び点火した。

 

「はあ〜」

 

やっぱり火力が足りないのか、ここから離れている間に火は消えてしまうようだ。溜息が出る。まったく、ままならないものだ。

 

「黒騎士、行ってみるかあ?」

 

再び不死街を進み、亡者を倒して安全を確保し、黒騎士がいる細道を進む。足音が立たないよう、気づかれぬよう、息を殺し、ゆっくりゆっくり歩みを進める。そして、直剣を両手で持ち、心臓に向けて背中から突き刺した。

急いで剣を引き抜き、黒騎士から離れる。鎧を貫通して心臓があるはずの位置に剣を突き立てたにも関わらず、黒騎士は元気そうにこちらを追いかけて来る。黒騎士の走りながらの突きを──

 

「ッッッだりゃあ!」

 

──パリィ。

 

黒騎士が咄嗟に盾で胴体を隠す。だが、狙いは胴体ではない。今度は首を狙って剣を突き刺し、引き抜く。だが、まだ死なない。今度は剣を振り下ろして来るが、またパリィ致命でパパッと沈めた。黒騎士の肉体が宙へと溶けて消えていく。

 

「うっそやろ」

 

ドロップアイテムは楔石の塊のみ。悲しいなあ。黒騎士の盾が欲しかったなあ。まあ無い物ねだりをしても仕方あるまい。

 

じゃ、デーモンを倒しに行きますか。

階段を登り、霧の壁を潜り抜ける。まずはハシゴを登って上にいる亡者をパパッと倒し、下へ降りる。そのまま気づいていないふりをして歩みを進める。だが、目は上を向けている。

 

あ、来た。

 

デーモンがジャンプしてこっちに来るのが見えたのでダッシュでハシゴへと向かい、上へ登る。

 

「オォォォォォォ!!!」

 

うわー、怒ってそーな声が下から聞こえるなあ。ま、運がなかったと思って諦めてくれ。

直剣を両手で持ち、高台から飛び降りる。

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

全体重を込めて直剣をデーモンの頭に突き刺し、グリグリと、脳味噌を搔き回してぐちゃぐちゃにする。勿論デーモンも暴れるが、根性で耐えるしかない。

一度剣を引き抜き、もう一度差し込む。

 

「グオオオオオオオオオ!!!」

 

今度はさっきよりも深く刺さった。

 

「うおおっ!?」

 

が、デーモンに掴まれ、投げ飛ばされた。

ゴロゴロと転がって壁にぶつかり、衝撃で肺から空気が溢れでる。

やっべ。メチャクチャ痛え。これ確実にどっかの骨が折れてる。エストを飲み、傷を癒す。

 

「ぷはぁ〜生き返るわあ〜」

 

じゃ、トドメを刺しましょうか。相手はもううまく動けないようで、倒れ伏した状態でこちらを睨め付けるだけだ。

 

タリスマンを手に取り、祈りを捧げる。

 

「太陽万ざああぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

雷の槍を作り出し、デーモンへと投げつける。

 

「グオオオオオオオオオ……」

 

これがトドメになったのか、デーモンの姿が宙へ溶けて消えていった。

 

「はぁ〜疲れた」

 

その場に座り込み、愚痴を言ってしまう。

 

「なんで脳天二回も突き刺してんのに死なないのさ。やっぱデーモンおかしいわ」

 

まったく、お陰で死にかけたわ。取り敢えず、また祭祀場に戻るとするか。

その場から立ち上がり、デーモンが落とした人間性と骨片を拾って祭祀場へと戻る。まぁ、案の定と言うか、やっぱり篝火の火は消えていた。

 

「はぁ〜クソゲー」

 

点火、そして腰を下ろす。

 

「……はあ」

 

どないせえっちゅうねん。

 

 

 

 




次は明日0時。


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第2話

どうやらこの世界にはまだヘルカイトが来てないようだったので、ガンガン探索を進めてアンドレイから狭間の森経由で不死街への扉を開けてハベル君をパリィ致命でパパッと沈めて指輪を貰ったのだが、いやまさか、帰ったタイミングで人が来るとは思わなかった。

 

「やあ、ようこそロードランへ。この人間性はサービスだから、まずは落ち着いて生身を取り戻して欲しい。うん、私しかいないんだ。済まない。 ロイドの顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、この篝火を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。 殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい 。そう思って、篝火を作ったんだ。 じゃあ、君の話を聞こうか」

 

話によると、どうやら彼は白教の信徒で不死の使命でここに来たらしい。なるほど俺と同じパターンか。てか上級騎士装備てあなた、マジですかい。結構高い地位のお方? 正義感すんごおい。ノブリスオブリージュってやつかね。

 

産廃……破壊天使砲……重量過多……ウッ、頭が……

 

「じゃ、先輩として少しだけ情報提供させてもらうよ。ここから上に行けば最初の鐘がある。ここから下に行けばもう1つの鐘がある。不死の使命は、この2つの鐘を鳴らすことだ」

 

「なるほど。上と下に鐘があるのだな。感謝する」

 

そう言って彼は一礼し、上へと向かって行った。

 

「貴公に、炎の導きのあらんことを」

 

デーモンは倒してるし、ガゴは彼に任せますかね。

さて、じゃあ俺は、篝火を見張ってましょうか。ほら、俺が見張ってないと消えちゃうし、あの上級騎士様が死んだ時に火が消えてたら、もしかしたら生き返れないかもしれないし、念の為ってやつだよ。

 

篝火に座り、意味もないのにこれからのことを考える。

これからここに来るのは、分かっているだけで、ロートレク、大沼のラレンティウス、ヴィンハイムのグリッグス、ローガン、ペトルスと聖女御一行、アナスタシアちゃん、真鍮の乙女、青ニート、そして主人公だ。

リロイ、タルカス、ドーナル、ファリス、ビアトリス、ソラール、パッチ、センの古城の商人、玉葱、カー君、ミル姉さん、団体客は微妙。

 

あとは、各地に落ちてる装備から推測して、まあ、色々と来そうだな。こりゃ、篝火から目が離せないなあ。

 

おっと、またデーモン郵送か。またさっきと同じこと言うのは疲れるし、パパッと手短に話すか。

 

 

 

 

 

 

色んな人を迎えて、ついでに、ソウルに余裕がある時は篝火にソウルを注いで貰っていたのだが、最近めっきり人が来なくなった。ちょっと前まで、やれデーモンが倒せないだの、ガゴがキツイだの、クラーグ姐さんがエロくて殺せないだの愚痴を言いに戻って来てた癖に、最近は祭祀場に帰って来ることもない。

 

寂しくなったなあ。

 

……おっと、久し振りにデーモン郵送か。今度は誰かね。

 

運ばれてきたのは、酷く汚れた衣服を着た亡者だった。おっとこれはやばい。どうやら亡者はぼーっとしてるのか、地面に降ろされてから動く気配がないので、人間性を突っ込んで篝火に座らせる。

 

「……あ、あれ?」

 

生身を取り戻し、ついでに意識も戻ったのか、自分の手を触ったり頬を触ったりしている。あとこの子可愛い。声からして女の子。あざと可愛い。

 

「ようこそロードランへ。こうやって腰を下ろしての会話になるが、まあ、礼儀なんてここではあってないようなものだ。気にするな」

 

こちらに気づいたようで、隣に座らせていた彼女がこちらを向いて座り直す。

 

「ああ、楽に座ってくれればいいよ。そんな畏まらなくてもいいさ」

 

「あ、貴方は……」

 

「そういえば、私のことを話してなかったな。私はここで篝火の火を守ってるのさ。探索は他の巡礼者に任せてるよ。ああ、別に、君は探索に出なくていい。亡者の状態でここに送られて来るってことは、恐らく、白教の信徒で迫害されて送られたんだろ。元々戦闘に秀でていない奴が探索に向かったところで、意味はないからな。ま、こんなもんか。次は君について教えてくれ」

 

彼女はゆっくりと頷き、語り始めた。

 

「……私は、元々白教の聖女として、火守女をしていました。ですが、私にも呪いの証が浮かんで、それで迫害を受けて。それからのことは、あまり……」

 

そこまで話して、彼女は自分の身体を抱きしめ、震えを抑えようとしていた。

 

「安心してくれ。この祭祀場は安全だ。誰も君を迫害しようとはしないさ。日がな一日中篝火の火が消えぬよう、見守り続ける日々だ。ゆっくりと、心の傷を癒すといい」

 

俺には、それ以上の言葉が見つからなかった。震える女性を横目に、ただ、火を見守ることしか出来なかった。

 

「……はあ」

 

まったく、面倒なことになったな。

元火守女とは言え、トラウマ持ち。これは、火守女を任せる訳にはいかなさそうだな。はあ、仕方あるまい。俺はまだ篝火の番をするとしよう。

 

──ボッ

 

篝火の火が強まり、火を吹いた。

どうやら、久し振りに誰かが死に戻ってきたらしいな。

 

「人が戻って来るのは久し振りだな」

 

目の前で亡者の肉体が構成されていく。目の前の亡者は手慣れた様子で人間性を捧げ、生身を取り戻す。

 

「クソが。なんで俺がこんな目に……」

 

久し振りに戻ってきたのは、上級騎士の格好の男だった。こいつ、不死の使命が簡単だと思ってたのか、最初の頃は結構な頻度で死に戻ってたんだよなあ。

 

「今度はどこまで探索を進めたのだ?」

 

「……チッ」

 

あらら。やっぱり嫌われてんのな、俺。

 

「……なんでお前は探索に行かねえんだよ」

 

すっげードスの効いた声で聞かれた。こっわ。

 

「なぜ、と問われても。私が篝火の火を見守らなければ、火は消えてしまうから、としか答えようがないな」

 

「ケッ」

 

なんでやねん。しゃあないやん。どないせえっちゅうねん。

これが三段活用だ(大嘘)。

 

「そういやあ、そこの女。俺はオメーを見たことがあるぞ」

 

びくっと、隣の彼女が肩を震わせた。

 

「オメー、アストラでは名の知れた聖女だったぜ。不死人だから、どれだけ適当に扱おうが怖れることのない、最高の性処理道具だってなあ」

 

うわおっも! 話がおっも! こんなんトラウマ抉られるどころじゃねぇわ! 心が持たんわ! いっそのこと殺してやった方が彼女のためだったわ!

 

「元々火守女なんだからよお、オメーが火を見守ればいいじゃねぇか。それともあれか? また輪姦して欲しいのか? いいぜ、メチャクチャにしてやるよ」

 

そう言って男は彼女へと手を伸ばした。

 

「あん?」

 

俺が男の手を払ったことで、不機嫌そうにこちらを向いた。

 

「悪いが、騎士としてこれ以上は見逃せん」

 

強姦、ダメ、ゼッタイ。

 

「ほお〜。騎士サマが偉そうに高説垂れ流すとはなあ。あんた、見た限りだとあんまり階級は高くないよなあ? 俺と違って、普通の騎士装備だもんなあ。オメー、戦場ではどうしてた? 男はどうした? 女はどうした? ほら、言ってみろよ。街へ攻め行った時、裸にひん剥いて、無理やり犯してやったってなあ!」

 

「……ハッ」

 

まったく、笑えるよ。

 

「ッ! テメェ、何がおかしい!」

 

本当に、くだらな過ぎて、笑えてくる。

 

「私は、無辜の民を手にかけた事は無いのでな。貴公の言っていることがサッパリ理解できん」

 

「……チッ」

 

おや、意外と冷静な部分が残ってるようだ。それとも、そこそこ頭はいい方か?

 

「いいことを思いついたぜ。なあ、お前。篝火は何を燃料にしてんだ」

 

いかん。それはまずい。怒りの方向性が彼女に向かうのはマズイ。

 

「篝火にはソウルが必要なんだってなあ。だったらこの女を殺して、ソウルにすりゃあいい燃料になるじゃねえか」

 

男が剣を両手で持った。

 

マズイ!

 

急いで彼女の前に躍り出て、背に庇う。

 

「下級騎士が俺に逆らうか。下級騎士らしく、ロンソでもブンブンしとけやおらあ!」

 

男が両手でツヴァイヘンダーを振るう。避ければ螺旋剣に当たってしまう。だったら、やる事は一つだ。

 

「っしゃらあ!」

 

バスターソードでツヴァイヘンダーの剣身を上から叩きつける事で、ツヴァイヘンダーの軌道を変えて地面に叩き落とす。ツヴァイヘンダーが地面に突き刺さっている間にバスターソードから手を離し、左手を伸ばして男の兜を掴み、上方向にずらす。右手からはソウルの業で盗賊の短刀を取り出し、男の兜を上にズラすことで生まれた鎧との隙間に差し込んだ。

 

「グフッ……ッッッ!!!」

 

掻っ捌くことで動脈も切り、男の身体から血が勢いよく流れ出す。

 

「ッ! ッッッ!!!」

 

声を出そうとしているようだが、もう声も出ないらしい。全身から力が失われ、倒れ込んだ。

 

「貴公のような存在は、許せないのでな。死んでくれ」

 

男から兜を外し、首を切り落とす。

これで男は死んだ。だが、このままでは生き返ってしまう。だから俺は、まず男の鎧を奪ってソウルの業でしまい込み、男の全身をぶつ切りにして加工しやすくし、肉を削いで骨だけにして、砕いて篝火の地面に埋めた。

 

──ボッ

 

そこそこのソウルだったのか、篝火の火が少し強くなった。

 

彼は死ぬことなく、燃え尽きるまで、篝火の燃料として燃え続けるのだ。火継ぎENDだし、喜んでもらいたいものだ。

 

「ふう。久々のいい運動だった。私は少し、休ませてもらうよ」

 

そう伝え、私は篝火の近くで仰向けになった。不死人には人間の三大欲求は存在しないが、まあ、生身の間はそれなりに名残があるようで、寝ようと思えば眠れるのだ。

 

「ここはロードランだ。もう、過去のことを気にする必要はない。好きなように生きて、好きなように死ぬといい。人間の本質はそれだ。周りのことなど、気にしなければいい」

 

それだけ言い残し、目を閉じた。

彼女にも、色々と、考える時間が必要だろうしな。私が起きていては、色々と不都合もあるだろうよ。

 

ああ、そういえば。

 

 

俺って

 

 

 

ロードランに来て

 

 

 

 

初めて

 

 

寝るんだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……騎士様?」

 

声をかけても返事がない。近寄ってみると、呼吸の音が聞こえた。どうやら、本当に寝ているらしい。

 

「あなたは、なぜ……」

 

なぜ、私のような穢れた存在を庇ったのですか?

 

あの貴族のように、私を、道具として扱った方が、貴方のためになったでしょうに。あなたは、とても強いお方です。あの貴族は、あれでも、アストラではかなり強いと言われていた方でしたのに、それをあれだけあっさりと殺してしまうだなんて。

 

火守女にもなれず、不死の使命すら達成出来ない私なんて、存在価値がないのに。

 

ふと、騎士様の言葉が脳内でもう一度語られる。

『好きなように生きて、好きなように死ぬといい。人間の本質はそれだ。周りのことなど、気にしなければいい』

 

「好きなように生きて、好きなように死ぬ……」

 

私も、本当は恋愛をして、結婚して、子供に囲まれて、幸せな暮らしをしたかった。

でも、聖女なんて祭り上げられて、火守女に成らざるを得なくて、それで、結局、あんなことに。

 

「私だって、私だって、好きに生きたかった!!!」

 

修道院になんて入りたくなかった!

聖女なんて祭り上げられて、自由に行動出来なくなるなんて嫌だった!

火守女だって、好きでなった訳じゃあない!

純潔だって、好きで散らした訳じゃあない!

 

「私だって、好きに死にたかった!」

 

あんな迫害を受けたくなかった!

人間性が蠢く醜い姿を、人に見られたくなかった!

あんな辱めを受けたくなかった!

あんな心に傷が残るような事、されたくなかった!

 

あんな無慈悲に、無邪気に、殺されたくなかった!

 

神さまに祈ったって、助けてくれなかった!

私は何も悪いことをしていないのに!

 

呪いの証だって、浮かんで欲しくなかった!

 

私は、好きに生きたかった!

 

「ねえ、騎士様。私はどうすればいいの?」

 

寝ているから無駄だと分かっているのに、語りかけてしまう。私の心をこんなにも掻き乱した人。許さない。

 

「責任、取ってもらいますからね」

 

ねえ、騎士様。

 

私は、どうすればよいのですか……?

 

 




次は12時。


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第3話

俺が目覚めた時の彼女の第一声が「チカラガホシイ」だったのは流石に緑化草生える。オマケで花付き苔玉もあげよう。

 

しゃあないんで、女の子でも筋力的な問題で比較的扱い易そうなレイピア渡して適当に稽古をつけてたんだが、この子やりおるわ。暗黒面に堕ちただけあって、力に貪欲だわ。レイピアでパリィ取ろうとするとか、この子変態かな? こえーよ。舐めプしてる場合じゃねぇわ。

 

ロンソを振るタイミングをずらす事でパリィしようとした手を剣の腹で叩きつけ、左のロンソを彼女の首にピタリとつける。

 

「っと。まあ、今回はこのくらいにしておこう」

 

「ッ! まだ、まだ動けます!」

 

彼女が凄い形相でこっちを睨み付けてくる。コエー。

 

「いや、これ以上やったら君の身が保たない。確かに不死人らしい戦い方の練習にはなるだろうが、まだやらなくてもいいだろう」

 

「でも!」

 

「落ち着け。時間はそれなりにある。今はゆっくりと休め」

 

そう言って肩をゆっくりと叩き、落ち着くように促す。たしかに首を切り落とされようが、死にはしない。まだ暫くの間は動けるだろう。だが、その戦い方はまずい。

 

「……はい」

 

めっちゃしょぼくれてる。可愛い。

 

ま、こんな感じの日々が結構続いてる。ロードランに来てから時間の流れがよくわからないんだが、まあ、一ヶ月くらいはこんな感じかな? で、まあ、特訓が終わると、彼女はいつも同じことを聞いてくる。

 

「……騎士様。私は、どうすればよいのでしょうか」

 

知るかボケ。

 

「好きなように生きるといい」

 

これしか言えんわ。

 

「……好きなように」

 

で、彼女は思考の海に没頭する。水没してたりして。

 

「……はあ」

 

いつまでこんな日が続くんじゃろ。そろそろかぼたんが欲しいなあ。篝火の火を見守るだけって、流石に飽きるんだよなあ。あと、燃料補給したい。

 

「……騎士様」

 

「ん? どうした」

 

「騎士様は、なぜ、探索に向かわれないのですか? 私は元火守女です。置いて行っても問題はないでしょう」

 

んなこと言われてもなあ。

 

「君が、辛そうだったからな」

 

やっぱ、孤独ってのは確実に心を蝕んでいくのよ。やっぱりメンタルケアは大事よ、うん。無害な人が側にいる方が、たぶん、心が安心するはず……もしかして俺、お邪魔虫?

 

「そうだな。私が邪魔だと言うのならば、探索に向かうとしよう。火守は君に任せるよ」

 

「そんな! 違うんです!」

 

「うん?」

 

なんか、切羽詰まってんな。

 

「邪魔だなんて、思ってません。私は、ただ、私のせいで、騎士様の足を引っ張っちゃって、それで……」

 

あーもうまた入っちゃったよ自己嫌悪スイッチ。こーゆー時は全肯定するしかないんだよなあ。

 

「いや、私も助かっているさ。一人で火守をするのは寂しいからな。君も火守をしてくれているおかげで、心が安らぐよ」

 

「でも、でも、騎士様には不死の使命が……」

 

「いいんだ。他の誰かが達成してくれるならば、私はそれでいいのさ」

 

でもこれ、未だに一度も鐘が鳴ってないし、世界線が違うのか、それともただ単にみんながクソ雑魚ナメクジなのかが分からんのよな。

 

「でも、でも……」

 

「大丈夫だ。安心してくれ。君のことを迷惑だと思ったことは一度もない。私は君の味方だからな」

 

「……騎士様」

 

あれ? なんかミスった? このこメッチャ泣きそうな顔で俺のこと見上げてるんだけど。え? 泣かせちゃうの? 騎士が女の子泣かせちゃうの? ヤッベ。騎士失格やん。

 

「ど、どうしたと言うのだ、そんな泣きそうな顔をして。なにか気に触るようなことを言ったのならば、心の傷に触れてしまったのならば、謝罪する。だから、お願いだから泣かないでくれ」

 

うわあああああん泣きたいのは俺だよおおおおおおおお。

 

どうすりゃいいか分からなくてオロオロしてると、急に彼女が笑った。くそ、俺の情けない姿を見て笑いやがって……! ゆるさんゆるさん! もしやさっきのも嘘泣き? つまり俺はハメられた……? なんて小悪魔! 恐ろしや。

 

「ふふっ。騎士様って、おかしな人ですね」

 

いやんなこと言われても。

 

「……そうか」

 

こう返すしかないやん。

 

「……でも、ありがとうございます。私、決心がつきました」

 

「そ、そうか」

 

「私は、やはり火守女にはなれません。ですが、巡礼の旅には出られます。たぶん、何度も死ぬでしょうけど、でも」

 

──死ぬことには、慣れてますから

 

その時の彼女の表情は、本当に、見ていて痛々しかった。

 

「そうか」

 

俺には、彼女を止める権利はない。あれだけ好きなように生きろと言ったんだ。でも、これだけは言っておこう。

 

「私からの忠告だ。巡礼の旅は、何が起こっても自己責任だ。助けを求めたところで無駄だ。信頼できるのは己だけだ。それを理解した上で、旅に出て欲しい」

 

「……はい!」

 

「そして、不死の使命とは、二つの鐘を鳴らすことだ。一つは上にある城下不死教区。一つは下にある病み村。二つ鳴らすと何かが起こるらしいが、私は知らない。さあ、行った行った! 気が変わらぬ内に行くがいい!」

 

「はい! 行ってきます! 騎士様」

 

そう言って彼女は俺に背を向け、歩き出した。心に傷を負ってるし、まともな防具も身につけてないが、まあ、死んだら死んだでその時だ。心折れぬ限り、挑み続けるがよい。

 

「貴公に、炎の導きのあらんことを」

 

彼女の姿が見えなくなる。

 

寂しくなるなぁ。

 

 

 

 

 

 

ひっさし振りにデーモン郵送で人が運ばれてきた。また女の子だ。純白の衣装で……え? なんでスカートが血塗れなん? 取り敢えず篝火に座らせて、傷を癒させる。

 

「分かっているだろうが、まあ一応言っておこう。ロードランへようこそ。ここには火守女がいないんで、私が代わりに火の番をしている。昔はよく巡礼者が来ていたんだが、最近は見かけなくなった。まあ、私についてはこのくらいか。君について教えてもらいたい」

 

彼女は、消え入りそうな程小さな声で語り始めた。

 

「……わ、私は、アストラの、アナスタシアです。ひ、火守女を、やっていました……」

 

ん?

ア ス ト ラ の ア ナ ス タ シ ア ?

 

来た! かぼたんきた! これで勝つる!

 

「そうか、元火守女か。前にも火守女が来たんだがな、彼女は心に傷を負っていて、火守女にはなれなかった。もし、君が火守女をしてくれると言うのならば、君に火守を託したいのだが、頼めるだろうか?」

 

「わ、わかりました。巡礼者の為になるなら、やります」

 

「ありがとう。本当に助かる。君が来てくれて、本当に良かった。ありがとう。心の底から礼を言うよ」

 

ありがとうかぼたん。

感謝、圧倒的感謝……!

 

「いっ、いえ、私なんか、代わりが効きますし……」

 

「そんなことないさ。君が火守女だからいいんだ。むしろ君じゃなきゃダメなんだ」

 

君が火守女じゃないと、原作崩壊してしまう……!

 

「で、でも、私は穢れた存在で」

 

そういや君、汚い声を聞かせたくないとかなんとか言ってたっけ。ここは全肯定してあげるといいか。

 

「君のどこが穢れた存在だと言うんだい? その服は聖女が着るものだ。穢れた存在じゃあ着ないだろう。それに、火守女は人間性を受け入れなければ成れるものじゃあない。君は、他人の為に己を犠牲にすることができる、尊い存在だ。それに、穢れた存在が、君のような美しい声を出す筈がないだろう?」

 

「そ、そんな、騎士様、ダメです……美しいだなんて、そんな……」

 

堕ちたな(確信)。ヘヘッ、チョロい聖女様だぜ。

自分の身体を抱きしめてくねくねしてる辺り、生娘だな。

 

じゃ、俺、探索に行くから。

放置プレイで焦らしに焦らした方が絶対いいと思うの。

 

「では、火守を頼む。私は探索に向かうとするよ」

 

「はう、ダメです騎士様、そんな……」

 

なんやこいつトリップしてやがる。

もうダメだ、助からねえ。

ちょっとほんとに怖くなってきたし、放置しよ。

 

リフトを使って上に行き、アンドレイに挨拶をする。

 

「修理を頼む」

 

「あん? ああ、お前さんか。久し振りだな。どっかでおっ死んでるかと思ったぜ」

 

「ハハハ、冗談がキツイな」

 

いつものやり取りをしながら、使った武具を渡していく。鎧も勿論脱ぎ捨てて修理してもらう。

 

「そういや、オメーさんよお」

 

「ん? どうした?」

 

「弟子がいるらしいじゃねぇか」

 

「……は?」

 

弟子? 弟子なんてとった覚えねえぞ。

 

「ここに来るやつはよお、みんなお前から忠告を受けたりしたやつだ。だがよお、弟子だって言った奴は一人だけだった」

 

なにそれこわい。

 

「そいつあ女でよお、鎧も着込まずにここまで来やがった。盾もなく、レイピア一本でな。流石に可哀想だから、チェインメイルと適当な盾を仕立ててやったが、お前さん、いくらなんでも、あれは可哀想じゃあねえか?」

 

あー、あの子か。

 

「まさか、巡礼の旅に出るとは思わなくてな。勢いで送り出してしまったんだ。それについては、まあ、あまり掘り返さないでくれ」

 

「そうか。お前さんらしくもねえドジだったからよお、気になって聞いたんだ」

 

「……そうか」

 

沈黙。金属を叩く音のみが断続的に聞こえる。

 

「お前さん、なんで自分から進んで巡礼の旅に出ねえんだ?」

 

アンドレイが尋ねた。

 

「私が鐘を鳴らさずとも、誰かが鳴らせばいい。ただ、それだけのことだ」

 

「そうか。いやなに、お前さんの腕なら、直ぐにでも二つの鐘を鳴らせそうだったからな。気になって聞いただけだ」

 

「そうか」

 

再びの沈黙。

 

「よし、これで修理は終わりだ」

 

「そうか、助かる」

 

修理してもらった武具をソウルの業でしまい込み、鎧を着込む。

 

「うむ。いつも通り、最高の仕事ぶりだな」

 

「ハッハッハ。職人としちゃあ最高の褒め言葉だぜ」

 

「では、また今度」

 

「ああ、あんまり気張るんじゃねえぞ。ま、あんたには無縁な話だろうがな! ガハハハハ!」

 

まったく、お茶目なおじさんなんだから。

 




次は0時。


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第4話

俺は火を継ぐ予定は無いので、飛竜とダークレイスを狩ってから祭祀場へと戻った。原盤も鱗も落とさないとかつらたん。

 

で、問題はここから。

 

「騎士様、お願いです騎士様。私を置いていかないで下さい……」

 

こんな感じで懐かれちゃったというか、依存されちゃったというか、クッソ面倒(直球)。

優しくされたらコロッと堕ちちゃうとかメンヘラかな? いやでも逃げ出さないために足の筋を切り落とされた説もあるぐらいだし、メンヘラっちゃうのも仕方ない説。迷惑だがな!

 

まあかぼたんがこんな感じだから、後から来た巡礼者からはよく思われない。俺だってよく思わないさ。リア充爆発しろって思うさ。でもさ、この子めんどくさいねん。だから許してくれや。

 

おかげでペトルスからは「火守女と恋仲になるとは、罪作りな方ですね」なんて言われるし、ロートレクからは「貴公の人間性も限界と見える……」って、ドン引きされながら言われたわ。おいテメェら後でアノロンな。復讐霊として殺しに行くわ。

 

だが、まあ、恐らくは、役者は揃った。

俺がかぼたんとイチャイチャしてる間に原作の登場人物たちがここに降り立ち、巡礼の旅へと出た。そして先程、上級騎士がカラスに連れて行かれるのを見た。ようやくだ。ようやく主人公がこの地にやって来る。

 

「では次は、大回復の奇跡について語りましょうか」

 

いや知ってるわ。信仰あるから知ってるし使えるわ。もうその奇跡の物語だけで20以上は聞いたわ。もうやだこの子ネチっこい。

 

かぼたんが俺にべったりくっついてるせいで、まともに探索にも行けない。最下層でネズミマラソンして人間性稼ぎたいけど、たぶんあそこも、篝火が無いか、あったとしても火が弱くて雑魚モブが復活しないかのどちらかなんだよなあ。うーむ、悲しい。

 

「来たか」

 

「へ? どうかされたんですか? 騎士様」

 

羽ばたく音が聞こえた。ようやくだ。ようやく主人公が来る。

音が更に近く。大きな影が篝火を通り過ぎていく。小さな影を落としながら。

 

「ようこそ、ロードランへ。君を歓迎しよう」

 

「……」

 

騎士装備のそいつは、ただただ突っ立っていた。

 

「まさか……」

 

ベンテールを動かして顔を確認すると、亡者だった。

 

ああ、うん。そうだよね。俺が悪かったわ。

 

残り少ない人間性をぶち込み、篝火に座らせて生身を取り戻させてやる。

 

「……はっ!? 私は何を……」

 

「意識が戻ったか。ここはロードランだ。恐らくは君も聞いただろうが、不死の使命を成し遂げるための場所だ」

 

「あ、あなたは……」

 

「ああ、私か。まあ、気にする必要もあるまい。お互い、明日も知れぬ身だ。それよりは、これからをどう生きるかを話した方がいいだろう」

 

「た、たしかに」

 

納得しちゃうんかい。もっとこう……あるだろ?

 

「で、では、不死の使命について、詳しく教えてください。オスカーさんの為にも、聞かなければならないんです」

 

「そうか、そうきたか。面白い」

 

「へ? 面白い?」

 

首を傾げてる。可愛い。あざと可愛い。

あっ、ちょっ、アナスタシアちゃん。足踏まないで。今ここシリアスなシーンだからやめて。シリアルになっちゃうから。

 

「いや、なんでもないさ。さて、不死の使命とは、二つの鐘を鳴らすことにある。一つは上の方にある不死教区の鐘。一つは下の方にある、病み村の鐘だ。二つ鳴らすと何か起こるらしいが、まあ、その目で確かめるといい」

 

「そうなんですか。では、私はまずは上の方から探索することにします。騎士様、ありがとうございました」

 

丁寧な一例をして、彼女は上の方へと向かっていった。

ノロノロとした歩みで。

 

……あれ、明らかに装備可能重量足りてないよなあ。騎士装備は誰かからパクったのか? だとしたら、誰からパクったんだ? うーむ分からんなあ。意外と、オスカーが渡してたりして。そのまま彼女の姿が見えなくなるまで見送っていたのだが、腰に正拳突きを食らった。地味に響くから止めてください。

取り敢えずかぼたんの頭を撫でてその場を誤魔化しておく。

 

──カーンカーン

 

「は?」

 

え? え? 鐘鳴らしたの? え? は? 早くない? RTAなの?

いや、俺もこの鐘の音は何度か聞いたけど、こんなに早く鳴ったことはねぇぞ!

 

俺が呆然としてると、リフトの方から生身のロートレクとさっきの主人公が仲良く並んで帰って来ていた。嘘やろお前なんでロートレクも生身なんだよ。いやそれよりもさ、ロードランは時の流れが歪んでるからって、幾ら何でも歪み過ぎでは?まだ全然時間経ってないんですけど。

 

「騎士様! 無事に鐘を鳴らせました! ロートレクさんも手伝ってくれました!」

 

「ああ、うん、そうか。おめでとう」

 

駆け寄って飛びついて来た彼女を受け止め、労いとは言えないような言葉をかける。仕方ないね。動揺から立ち直れていないんだ。あ、ちょ、アナスタシアちゃん。足踏まないで。地味に痛いから。

 

「ククク。やはり貴公、押しに弱いと見える」

 

「お前は黙ってろ」

 

「図星か? 余裕がないと見える」

 

もういい俺が黙るわ。

 

「騎士様騎士様! 私頑張りました! 私のお話を聞いてください!」

 

なにこの子勢いが凄い。

 

「あ、ああ、そうだな。立ち話もなんだ。座って話してくれ」

 

くそ、勢いに負けた。

 

「はい!」

 

篝火に座り、アナスタシアちゃんに横から抱き憑かれながら話を聞く。

 

「まずは城下不死街で亡者となってしまった方々を殺して回りながら探索をしていたんですが、正気を保った亡者の方が居たんです」

 

不死の商人かな?

 

「最初は普通に会話出来ていたんですが、途中から幻覚でも見ているのか、存在しない犬の事について語り始めたんです」

 

ユリアか。桶のことをユリアって呼んでるあたり、本当に謎だよなあ。

 

「このままでは襲われてしまうと思い、先に殺しました」

 

え? 殺しちゃったの? え? マジ?

 

「私も本当は殺したくなかったんですが、仕方なかったんです」

 

せ、せやな。ダトゥーの為には仕方ない犠牲やな。

 

「その後、なんだか黒くて太くて大きくて長くて硬いモノを振り回している人がいたので」

 

大竜牙のことを悪く言うのはヤメロォ!(建前)

ナイスゥ!(本音)

 

「パリィして倒しました。あの人が落としてくれた指輪のお陰で、今は快適に動けてます」

 

ああ、道理で重量過多じゃない訳だ。

 

「あ、そうそう。デーモンが居たんですよ。私、デーモンを初めて見ました。あんまり強くなかったので拍子抜けしましたけど」

 

ん? 初めて? もしや、北の不死院にはデーモンがいなかった?

 

「その後、アストラのソラールって人に会ったんです。彼は太陽が好きっていう、変な人でした。近くに飛竜がいたので、2人で協力して倒したんです! 彼、すっごく強かったです!」

 

ええ……ワイにもそーゆーイベント欲しかったなあ。ヘルカイト共闘イベとか燃えそう(色んな意味で)。

 

「その後、祭壇でソラールさんと太陽の戦士の誓約を交わして、一緒に不死教区を探索しました」

 

え、なにそれ羨ましい。いいなー。いいなー。なんでそんなにイベント豊富なんだよお。ズルいぞ。チートだチート。

 

「そこで、間抜けな事に、牢屋に閉じ込められているロートレクさんを見つけたのでした」

 

「……」

 

ロートレクが呆然としてるよ。まさかここで自分が標的にされるとは思わなかったんだろうなあ。

 

「あとは3人で鐘を鳴らしにガーゴイルを蹴散らして終わりです。途中でアンドレイって人に武器を鍛えてもらったりしました」

 

「そうか。大変だったんだな」

 

主にロートレクの胃が。

 

「ええ、すごい大変だったんですから」

 

そう言って彼女はゴロンと寝転がった。

 

「今日は大変だったので寝ます。疲れました。おやすみなさい」

 

彼女はすぐに寝息を立て始めた。

寝付きの早いことはいいこって。まるでタマネギだな。

あとアナスタシアちゃん、そろそろ離れてもらおうか。

アナスタシアちゃんを身体から引き離す。

 

「ククク。貴公、せいぜいその女には気をつけることだな」

 

あ、こいつ俺に押し付ける気だな。

 

「まあ待ちたまえ」

 

立ち上がり、背を向けて歩き始めたロートレクの肩をガシりと掴む。ククク、生贄になるのはお前の方だ。

 

「私も久し振りに探索に行こうと思ってな。貴公は探索を終えて帰ってきたばかりなのだから、暫く休むといい。私が代わりに探索に行こう」

 

「クッ……いや、貴公にはそこの火守女の面倒を見るという仕事があるだろう。貴公こそ、ここで待ち続けた方がいいだろう」

 

「いやなに、私もそろそろ不死の使命とやらを達成すべく、動き始めようと思ったのだ。では後のことはよろしく頼む」

 

急いでその場から走って抜け出す。ロートレクが肩をつかもうとするのを、身体を捻って避けて、リフトへ駆け込む。

 

後ろを向くが、ロートレクはついて来ていない。

 

「……ふう」

 

危ないところだった。

だが、これでいい。まずは下層に行って犬のデーモンを倒し、それから最下層で人間性マラソンをしよう。人間性を稼ぐために人間性を削るとはこれ如何に。

 

そんなことを考えながら下層の鍵を使って扉を開け、下へと向かう。不死街とのショートカットである扉を開け、近くにいる亡者を倒して安全を確保する。また下へと向かい、突っ込んでくる犬を盾で受け、アス直で首を切り落とす。

そのまま進み、家の扉を破壊して中の亡者盗賊を殺していく。更に進んで犬の突進を受け止め、再び首を切り落とす。

今度は亡者盗賊が先に扉を開けて襲いかかって来た。

クロスボウを取り出し、引き撃ちをする事で安全に処理し、奥へと進む。このまま進むとボス部屋だが、すぐ横の階段から下へと降りて行き、正面に見える亡者盗賊を弓で頭部を射抜き、こちらへ誘い出す。近づいたところで首を切り落とし、壁に隠れていた亡者盗賊も斬り殺す。

 

そのまま進んで螺旋階段を上って、みんな大好き苔BBAに会った。

 

「正気があるのは久し振りに見たよ。ヒヒヒッ、私の苔を買っておくれ」

 

私の苔(意味深)。うーん汚い。

残り少ないソウルで毒苔と花苔を数個買い、そこを後にする。そのまま走って扉を開け、これで祭祀場とのショートカットが開通だ。

 

よし、準備は整った。

 

来た道を戻り、霧の壁を潜って犬のデーモンと対峙する。

まともに攻撃を食らえば鎧がへしゃげて一回休みとなるだろう。だから、ヤギの方に気を配り、犬は鎧で受け止めることにした。

ヤギの大振りの攻撃を躱し、階段を駆け上がる。追ってくる犬2匹を槍で刺し殺し、地味に痛い傷を治すためエストを飲む。

 

ヤギがこちらを追って来たので再び攻撃を避けて後ろに回り込み、今度はバスタードソードで尻尾を切り落とす。

 

「グオオオオオオオオオ!!!」

 

やはりかなり痛いのか、悶えながら数歩前進した。その間にバスターソードで背中を何度も突き刺し、体力を削っていく。

 

「フーッ! フーッ!」

 

ヤギがゆっくりと振り向き、血走った目でこちらをガン見してきた。

 

ヒェッ。こわっ。これはガチギレですわ。

 

ヤギが大鉈をブンブンと振り回して、こちらを近づけぬように荒ぶっている。これじゃあ近づけないので、右手のバスターソードをタリスマンに変え、雷の槍を投げる。

 

「太陽ばんざああああああああい!!!」

 

この掛け声は気合を込めるのと、詠唱だ。決してテキトーな理由で叫んでるのではない。ないったら無い。奇跡ってのは結局、奇跡の物語を読んで信仰心を育むもんだが、要は信仰心さえあればいいんだから、俺は太陽信仰でぶん投げるだけだ。

 

雷の槍がヤギの顔にクリーンヒット!

 

「グオオ!」

 

結構な衝撃なのか、ヤギが顔を手で押さえて仰け反った。

 

「オラァ!」

 

この隙を逃す訳にはいかない。これでも俺はアストラでは名の知れた(と思う)騎士だった。だから俺はアストラの大剣を所持している。それを両手で持ち、走って近づきながらホームランを狙うよう思い切り横に振り、遠心力と重心移動によって振り切られたそれは、ヤギのデーモンの首をいとも容易く跳ね飛ばした。

 

びくとりぃあちぃぶど。

もしくは、でーもんはんてぃっど。

 

これにて犬のデーモン戦は終わり。ゲームと違ってヤギの方が強かったです(小並感)。

 

それじゃあ最下層、イクゾー。

 

 

 

 

 

 

 

 

人間性マラソンしてました。結果はどうなのかって? 驚異の134! フハハ! これで何も怖くない!

まあ、人間性がゴリゴリ削れて、壁をガリガリ噛んでる時がありましたけどね。流石にヤバイと思って、人間性パリンしましたよ。そういや、最下層の篝火はなぜか消えてないんだよな。あれかな? 火守女の数が増えたから篝火間ネットワークが強化されて、消えなくなったとかそーゆーことかな? それとも、王の器を誰かが置いて、篝火間ネットワークが強化されたとか? もしくは両方? あり得そうでなんだかイマイチ信憑性に欠けるなあ。

 

まあそれはそれとして、人間性もソウルも十分集まったし、そろそろ祭祀場に戻るとしよう。

 

ルンルン気分で祭祀場へと戻る。

が、様子がおかしい。妙に静かだ。静かすぎる。まるで、時が止まったように。

近づくと、祭祀場の火は消えているのが確認できた。また、歩いて回ってみると、ペトルスと聖女御一行も消えている。祭祀場に帰ったはずのラレンティウスも居ない。

 

いや、まさか……。

 

篝火の真下に位置する牢の前に立つ。

 

「ああ、そうか……」

 

血の匂いだ。

 

ランタンで明るくし、牢の奥へ進むと、そこには彼女の骸があった。

 

「すまない……」

 

そして彼女は、黒い瞳のオーブを両手で握りしめていた。

 

──騎士様、今日はこの奇跡についてお話ししましょう。

 

「すまない」

 

これは俺の傲慢だ。

 

──見てください! あの雲、剣のような形ですよ!

 

「すまない」

 

膝から崩れ落ちる。

 

──えへへ、なんでもないです。

 

「すまない」

 

ただ、彼女の両手を上から包み込んで、赦しを請うように、言葉を紡ぐ。

 

──騎士様のおち○ち○、あまり大きくないんですね。

 

……いや、これは違う。思い出す思い出を間違えた。

 

「……すまない」

 

そこには、哀れな男の姿があった。

彼女によってもたらされた差異。ただ、篝火の火を眺め続けるだけだった騎士に、変化という刺激を与えた彼女。毎日毎日、幸せそうに笑って話し掛けてくる、そんな彼女に、影響されてしまったのだろうか。この過酷極まりない残酷な世界で、人を信じてしまったが故の罰。いや、それは人を信じたのではない。大丈夫だろうと楽観し、思考を放棄した結果そのものである。

 

人は罪を犯す生き物である。それは、神でも同じことである。教戒師に免罪などしたところで、なんの意味があるだろうか。人の罪とは火と異なり、決して消えることなく、残り続けるものだ。消えることの無い、呪いの証のように。

 

「今、助けに行くよ」

 

もういい。最早、言葉(祈り)など既に意味を成さない。

 

ならば、行動で示すのみ。

 

目指すは、神々の住まうアノール・ロンド。

 

立ちはだかるは神々の試練。

 

鐘守。

 

イザリスの魔女。

 

巨像の兵士。

 

はてさて、この不死人はアノール・ロンドへの巡礼が許されるのか。それとも、志半ばで心折れてしまうのか。

 

「ああ、絶対に助けてやるさ」

 

騎士の瞳の内には、昏い焔が燃えていた。

 

そう。

 

それこそが、人が内に宿している──

 

 

 

 

 

──呪いの証(ダークリング)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次も0時。
タイトルのせいで誰も読まないと気づいたので、それっぽいタイトルに変更しました。


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第5話

そもそも原作ダクソの二次創作を読む奴なんていねえよ!
みんなお手軽にダクソの住民が蹂躙する作品読むに決まってるわ!
前提条件からミスってるじゃねーか!
アカーン!


騎士の行動は早かった。リフトを使って城下不死教区のガーゴイルの元へと赴き、黄金松脂を塗りたくったアストラの大剣を振り回すことでガーゴイルを一瞬で殺し、鐘を鳴らして一度アンドレイの近くの篝火に座ってマーキング。そしてそのまま狭間の森を駆け抜け、リフトを降りて飛竜の谷経由で病み村へと向かい、毒の沼を根性で駆け抜けて休むことなくクラーグと対峙し、再び黄金松脂で強化されたアストラの大剣を振り下ろし、攻撃を受け、身体を焼かれながらもクラーグ本体を真っ二つにし、鐘を鳴らして骨片でマーキングしておいたアンドレイの所の篝火へと戻る。篝火に座り傷を癒した後、そのままセンの古城を駆け抜ける。

蛇人を誘導して道を開けさせ、時に叩き潰し、時に攻撃を防いで駆け抜けて、最上階の巨人を斬り殺し、霧を潜り抜けた。

 

アイアンゴーレムの真空の刃を瓦礫に当てさせ、攻撃を潜り抜けて背後に回り、再び黄金松脂を塗ったアストラの大剣で足を切りつける。するとアイアンゴーレムが体勢を崩してぐらつき始め、そのまま足を攻撃し続けると、アイアンゴーレムは尻餅をつき、位置が悪かったため、そのまま奈落の底へと堕ちていった。

 

黄金の輪を調べ、ガーゴイル達に運ばれて、とうとうたどり着いたアノールロンド。

 

マーキングの為篝火に座り、立ち上がった所で声をかけられた。

 

「貴公、余裕がないと見える。何が貴公をそこまで駆り立てる」

 

その問いに、騎士は答えなかった。

 

騎士は駆け出し、リフトを使って下に降り、細い道を通って割れた窓から建物内に侵入し、絵画守を突き落としながら細い梁を駆け抜け、回転式レバーを押すことで仕掛けを動かした。ガーゴイルが襲ってくるのを無視して階段を駆け上がり、巨人衛兵も無視し、レッサーデーモン達も無視して細い道を駆け抜け、銀騎士による狙撃を回避しながら銀騎士へ肉薄し、アストラの大剣による突きで銀騎士を吹っ飛ばし、安全確保。そのまま建物内へ侵入し、階段を駆け上がってから反転、ジャンプしてショートカットし、そのまま聖堂内へと入った。近場の銀騎士を排除し、巨人衛兵も処理した。だが、霧の壁付近までうろついたり、レバーを回してショートカットも開通させたが、黒い瞳のオーブは反応しない。

 

「なぜだ! なぜなんだ!」

 

本来ならば、ここで瞳のオーブが震え出し、罪人ロートレクの世界へと侵入出来る。だが、黒い瞳のオーブは反応していない。

 

「うそ、だろ……?」

 

黒い瞳のオーブは、下の方を見ていた。

 

「墓場系か、小ロンドか、それとも灰の湖か」

 

自分に言い聞かせるように、そう呟いた。

 

「クソッ! クソッ、クソッ、クソッ!」

 

上手くいかない事への苛立ちに、汚い言葉が口から飛び出す。

 

なぜだ、なぜなんだ。なぜこうまでして、運命は俺を翻弄するのだ。

 

「あれ? 騎士様?」

 

「ッ!?」

 

反射的に背後を振り向く。

そこには、二人の人がいた。

 

「あ、やっぱり騎士様だ。久し振りです〜」

 

「ほお、貴公が彼女の話していた騎士様、か」

 

騎士鎧を身に纏った者と、バケツ頭に太陽が描かれた鎧を着た者。

 

「……ああ。久し振りだな」

 

知り合いに会ったのだ。弱みを見せぬようにするのは当たり前のことだった。

 

「あ、紹介しますね。こちらの太陽の戦士がソラールさんです!」

 

「紹介に預かった、アストラのソラールだ。貴公の話はよく聞いている」

 

「で、こちらが……そう言えば、名前、聞いてないです。いい機会ですし、私にも教えて下さい!」

 

ああ、そうだった。そういえば、俺は誰にも名前を告げていなかったなと、ふと思い出した。たしかに、いい機会だ。

 

「……そうだな。私はフリッツ。フリッツ・バーンだ。貴公と同じ、アストラの出身だ。よろしく頼む」

 

「アストラのフリッツだな。よろしく頼む」

 

「ああ。こちらこそ、よろしく頼む」

 

差し出された手を握り返す。

 

「私も握手ー」

 

彼女も手を出してきたので、空いている左手で握手をする。

 

「さて、これから先には強敵が待ち構えているようだが……どうだ? 共同戦線を組まないか」

 

握手も終わり、ソラールが霧の壁を指差してそう言った。これはいい運命に恵まれた。一対二の戦いは辛いが、三対二ならば、かなり優位に立ち回れる。

 

「ああ、乗った」

 

その誘いに、俺は乗ることにした。

 

「では、急ごう。俺たちがあとどれだけの間、同じ世界に居られるか分からんしな」

 

「ああ、そうだな」

 

「よし、頑張りましょう」

 

各々が気合を入れ、手を繋いで霧の壁を潜る。こうしなければ、ズレてしまう可能性があるからだ。

 

霧の壁を潜ると、そこには巨大な槌を担いだ大男が居た。

 

「やっときたあ。でへへ、おれ、ころす」

 

ねっとりと絡みつくような低い声。人殺しに快楽を見出すような、狂人。処刑者スモウがそこにいた。

 

「では、始めるとしよう」

 

上から、金色の獅子が降ってきた。いや、違う。獅子鎧を纏った、歴戦の騎士だ。

 

「我こそは四騎士の長、オーンスタインである。不死の勇者達よ、試させてもらうぞ」

 

放たれる威圧感。流石は石の古竜達を屠ってきただけの事はある。だが、こちらとて、負ける訳にはいかんのだ。

 

「竜狩オーンスタインか。その鎧は雷に強いと聞いたことがある」

 

「うむむ、それだと俺の雷の槍は役に立たなそうだ。よし、俺は巨漢の方を相手しよう」

 

「ごめんなさい。騎士様に任せっきりになっちゃうんですけど、私も巨漢の方に行きます。槍の相手は苦手なので」

 

どうやら、俺一人で竜狩オーンスタインと戦うことになるようだ。

 

「了解した」

 

「話し合いは終わったか。では、行くぞ!」

 

律儀に待っていてくれたオーンスタインがこちらへ突撃する。

 

──疾い!

 

咄嗟に盾で防いだはいいものの、途轍もない衝撃が全身を襲う。

 

二撃目はどうにか避けることが出来たが、三撃目は自分から後ろに飛びながら盾で受けることで衝撃を減らした。

 

「好機」

 

だが、それ以上にオーンスタインは速かった。俺まだ地に足を着けていないというのに、四撃目が空中の俺に向けて放たれた。薙ぎ払いのそれをどうにか防いだが、吹き飛ばされ、無様に血をゴロゴロと転がる。

 

「そんなものか!」

 

オーンスタインから雷の槍が放たれる。辛うじて発動を認識できたそれを盾で防ぎ、お返しとばかりに今度は、こちらが雷の大槍を返す。

 

「うおおおおおおおおお! 届けえええええええ!!!」

 

放たれたそれを、オーンスタインは槍の穂先を突き出す事で受け止めた。だが、受け止めただけで、雷の大槍の勢いは、まだ消えていない。

 

「……見事。よく練られた信仰心だ。だが、まだ足りん!」

 

槍を一振り。それで、俺の雷の大槍はかき消された。だが、俺もそれで倒せるとは微塵も思っていない。これは、エストを飲むための時間稼ぎだ。そして、エストを口に含んでおいて、すぐに回復するための時間でもある。

 

「さあ、私を超えて見せよ!」

 

今度は槍から雷球が放たれる。それを回避したが、罠だった。

 

「仕留める」

 

目の前に突き出された槍。あの雷球は、俺の行動を誘導させるためのものだった。だが俺とて、四騎士の長相手に無傷で済むとは思っていない。

 

「ッッッ!」

 

口に含んだエストを吐き出さぬよう我慢する。

腹を思い切り貫かれ、身体が真っ二つに割かれるが、これでいい。根元まで刺さる勢いだったが故に、刺されている最中に口に含んだエストを飲んだお陰で身体が裂けながら回復したおかげで、俺は今、槍の根本に居る! ここなら、オーンスタインに攻撃が届く!

 

「竜のウロコを貫くのなら、雷を投げてはならぬ。その手で直接、竜に杭を突き立てるのだ」

 

「……まさか」

 

「神を狩るのならば、何を突き立てるのだ?」

 

右手に持ったタリスマンに、人間性の闇が集まる。左手はオーンスタインの右手をしっかりと掴み、離さぬよう気合を入れる。俺が馬鹿みたいに人間性マラソンをしたのは、この奇跡を扱うためだ。出し惜しみはしない!

 

「奇跡【闇の杭】」

 

オーンスタインの胸元に、思い切り叩きつけた。

 

「グゥッ!!!」

 

ドゴン、という爆発音と共に、オーンスタインが大きく仰け反った。だが、オーンスタインは槍から手を離す事はなかった。

 

「もう一度!」

 

再び、右手に人間性の闇が集まる。

 

「褒美だ。受け取れい!」

 

だが、こちらが奇跡を発動させる前に、オーンスタインの左手がこちらへ向かう。

 

「マズッ!?」

 

オーンスタインの左手から身を守る様、再び同じ奇跡を放つ。

 

──奇跡【雷の大槍】

 

オーンスタインが放ったのは、何の変哲も無い雷の大槍。だが、触媒を必要としない神族で、尚且つ、太陽の化身に忠誠を誓う四騎士の長が放つそれはどうだろうか?

 

「ぐあああああああああ!!!」

 

結果的に言えば、出来立てホヤホヤの奇跡が勝つはずも無く、多大な信仰心によって練り込まれた雷の大槍に、真正面から撃ち抜かれたのである。

 

フリッツの身体から力が抜け落ち、腕がダラリと垂れ下がる。

 

「よかったぞ、名も知れぬ騎士よ」

 

オーンスタインが、フリッツから槍を引き抜く。

フリッツはそのまま地面へと倒れ込んだ。

 

「ふむ。向こうはスモウを下したか」

 

スモウは倒れこみ、息をするのがやっとの状況であった。だがそれは相手をしていた二人にも言えることで、どちらも肩で息をしており、エストの残りも殆ど無かった。

 

「まだまだ荒削りと見える」

 

オーンスタインが近くにいたソラールに狙いを定め、ゆっくりと槍を構える。

 

「出直すがいい」

 

──ドゴン!

 

「グフ……ッ!」

 

貫かれたのは、オーンスタインの方だった。

 

ゆっくりと後ろを振り返るオーンスタイン。そこには、全裸で両手にタリスマンを握りしめたフリッツがいた。

 

「もう一発!」

 

既に詠唱が終わっていた闇の杭を再び撃ち込む。

 

「グオオ!」

 

オーンスタインが崩れ落ちる。

 

「……見事。汚い勝ち方だが、勝ちは勝ちだ。煮るなり焼くなり、好きにするといい」

 

両膝をついたオーンスタインが、痛みを堪えながらそう言った。

 

「ううむ。俺としてはもう動けないし、かの四騎士の長であるオーンスタイン殿と、その相棒? であるあの巨漢に敬意を表し、殺したくはないのだが……」

 

自分の考えを伝えてくるソラール。

 

「そもそも殺せるだけの体力が残ってないし、痛み分けってことでいいと思うんだけど……」

 

そうか。ここで俺が違う意見を唱えたらマズイ空気だな。

 

「俺も同じ意見だ。無闇に殺す必要もない」

 

「……フッ。甘いな、お前たちは。だが、その優しさがいいのだろうよ。リフトを上がり、王女に謁見するといい。そして」

 

「ぬっ? どうやら、時間切れの様だな」

 

「……みたいだね」

 

二人の体が見えなくなっていく。

 

「またどこかで会えることを期待しているぞ。俺が書くサインは金色に輝いているからな。もし見つけたら呼んでくれ! 力になろう!」

 

ソラールがそれだけ伝え、姿が完全に見えなくなった。

 

「フッ。いい仲間を持ったな。貴公が闇に堕ちようと、引きずり上げてくれるだろう」

 

オーンスタインの言葉を無視し、リフトへと向かう。

 

「貴公、勝つ為ならばなんでもするようだが、まだ、完全に闇に堕ちてはおらぬようだ。人は闇に強いが、だがそれ以上に、闇に堕ちやすいことを、肝に命じておくといい」

 

リフトを上がり、王女の間の扉を開き、定型文を聞き流して王の器を手に入れた。

 

篝火はここにはないので、竜狩りの大弓が落ちているところから落下してデーモンを倒し、巨人鍛冶屋へのショートカットを開通させた。

 

そして巨人から竜狩りの矢をある程度買い、アノールロンド最初の篝火へと移動する。

 

「……どうやら、試練を乗り越えたようだな」

 

黒い瞳のオーブは、まだ下の方を向いている。やはり、地下墓地もしくは巨人墓場、灰の湖あたりが有力か? それとも、イザリスだったりするのだろうか。

 

「貴公、そのオーブは……!」

 

「……どうした」

 

変に反応していたせいで、思わず聞き返してしまった。

 

「ついてくるといい。どうやら貴公には、我が主人に謁見する資格があるようだ」

 

ああ、これは、面倒な事になった。

言われるがまま、真鍮の女騎士について行く。だが、何処へ行くかなんて、知っているさ。

 

『汝、火守女の遺したオーブを所持しているようだな』

 

「……ああ」

 

『どうやら、資格はあるようだ。よろしい。汝、神の剣として、その罪人を裁く気はあるか?』

 

「これは、私が裁き、裁かれねばならぬ問題だ。神は関係のない事だ」

 

『なるほど。だが、いい。気に入った。汝にはこれを送ろう』

 

頼んでもないのに暗月のタリスマンと青い瞳のオーブが送られてきた。

 

『オーブの瞳を覗き込め。そこに罪人はいる』

 

それだけ言い残して、陰の太陽グウィンドリンの気配は奥へと消えて行った。

 

再び彼女について行き、篝火へと戻る。

 

「貴公の復讐に、暗月の加護のあらんことを」

 

その言葉を聞きながら、俺は篝火へと身体を溶け込ませ、不死教区の篝火へと転送した。

 

アンドレイに武具の修理を頼み、終わったのを確認すると再び不死教区のリフトを使って祭祀場へと戻り、オーブを確認する。まだ下を向いている。まずはリフトを使って小ロンド、そしてそこから病み村へと向かい、クラーグの住処の篝火で一度休憩してマーキングし、オーブの確認をする。どうやら、高さ的にはここら辺らしい。だが、ここからは下にしか行けない。つまりは、地下墓地か巨人墓場だ。

 

転送で再び城下不死教区へ。祭祀場まで降りて、今度は地下墓地へ。骨をメイスで砕きながら進み、術師を撲殺してスイッチを押し込む。

 

外に出てまた骨を蹴散らし、ショートカットを使って全身をグチャグチャに潰しながら下に降りる。激痛を無視して人間性を砕き、傷を癒す。

 

そのまま落下攻撃で車輪骸骨を砕き、全力でボスの霧のところまで走る。そして霧を潜り抜け、三人羽織と対峙する。走りながら人間性を消費して人間性の闇をアストラの大剣に纏わり付かせ、三人羽織をそのまま一刀両断。それだけで三人羽織は死んだ。篝火の秘儀について記された書物を回収し、そのまま先へ進む。篝火を点け、パッチが居るところへ行ったが、パッチの姿が見えない。そしてここで、オーブが震え出した。

 

「今行くよ」

 

持参していたランタンで明かりを点け、オーブをじっと見つめる。

 

……ああ、見えてきたよ。

 

身体がソウルへと変換され、オーブに吸い込まれて行く。そして、一瞬の浮遊感。

 

【罪人ロートレク・ペトルスの世界に侵入しました】

 

そうか、お前達なのか。

 

呼び出された場所は、パッチが居たはずの崖の上。

背後を確認するが、誰も居ない。

 

「ついてねえ、ついてねえよ!」

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

下からは、パッチとペトルスの声が聞こえてきた。

なるほど、そういうことか。ロートレクに落とされたか。じゃあ、手始めにペトルスから殺そうか。

 

ペトルスは片手にランタンを持っているようで、ニコとヴィンスのどちらかは分からないが、そいつと戦っている。聖職の戦士だけあって、どちらも強いのだろう。

 

だが、俺には関係ない。

 

上から飛び降り、先ずは亡者化している方をそのまま一刀両断する。

 

「あっ、あなたは! 助かりました! 先程ロートレクに襲われてですね」

 

ペトルスが警戒を解いた。バカな奴だ。これから死ぬというのに、詰めの甘い奴だ。

 

「なんにせよ、無事でよかった」

 

左手で肩を掴み、動けないようにする。

 

「ええ、死ぬかと思っ!?」

 

アストラの大剣を心臓へと突き刺し、引き抜く。

 

「お、おま、え……」

 

驚愕と苦痛に目が見開かれ、此方を強く睨みつけた。

 

「死んでいたら、復讐が出来ないからな」

 

今度は両手で持ち、水平に全力で振るう。

こうしてペトルスの身体は真っ二つに分かれ、俺にソウルとして変換、吸収された。が、こんなソウル必要ない。取り込むのではなく、一時保留しておく。

 

「お、おい、あんた! こっちも助けてくれ!」

 

まあ、パッチは恩を仇で返すようなことはしないだろう。グレイラットの件もそうだったしな。

 

もう一人の聖女の付き人をバックスタブで殺し、安全を確保する。

 

「た、助かったぜ兄弟。もしも会うことがあったら、よろしく頼むぜ」

 

「ああ、そうだな」

 

さて、ロートレクはどこにいるだろうか。俺だったら、ここから上に向かう道で待ち構える。勿論、白を呼んでだ。

 

だが、ここでペトルスとパッチ、聖女レアが死にかけるのを待つなら、事情を知らない白は呼ばないだろう。つまり、ロートレクは一人で待っているはずだ。

 

俺はそう考え、上へ向かって進み始めた。そして、やはり、ロートレクは梯子の前で、たった一人で待ち構えていた。

 

「ククク、やはり貴公か」

 

「ああ」

 

「ああ、哀れだよ。まるで炎に向かう蛾のようだ」

 

「そうか」

 

「ククク、仕方あるまい。お前はこの世の真実を知らぬまま逝くがよい」

 

ああ、そうか。お前、ダークレイスになっちまったんだな。闇撫でのカアスに唆されて、調子乗ってるんだな。

 

「死ぬのはお前の方だ」

 

先程手に入れたソウルを変換し、武器を強化する。ソウルとは生命の根源、即ち力である。武器を強化するならば、これが一番手っ取り早い。

 

アストラの大剣を上段から振り下ろすが、隙も大きく、攻撃範囲も狭いため簡単に避けられてしまう。

 

「フン!」

 

アストラの大剣を収納し、即座に左手に竜紋章の盾を構えてショーテルの攻撃を防ぐ。そして、防いでいる間にアストラの直剣を取り出し、盾で防ぎながら突きを出す。

 

「チッ」

 

舌打ちと共に、ロートレクが背後へと下がった。この空間は狭く、手数で勝負する武器の方が向いている。

 

つまりは、そう。狭い空間を活かせることをすれば良い。

 

左手の盾をタリスマンへと変える。

 

「やらせん!」

 

恐らくは、平和の歩み、もしくは雷の槍だと踏んで詰め寄ったのだろう。だが、俺が使う奇跡はそれではない。

 

「死ねいクソホスト!」

 

「グアッ!」

 

神の怒りだ。だが、俺の神の怒りは、普通とは違う。太陽信仰により、雷属性の衝撃波を放つようになったのだ。

 

金属鎧には、電気と衝撃波がよく効くだろう。オマケに、ここは狭い空間。

 

「死ねい!」

 

俺の怒りを燃料に、もう一度神の怒りを放つ。

 

「グゥッ!」

 

スライムを壁に向かって投げつけた時のように、ロートレクが壁に吹っ飛んで張り付けられる。

 

「くたばれ!」

 

これでトドメだ。

 

「ッ!」

 

壁と鎧とでサンドイッチされて、今頃は肉汁溢れ出す具材になっている事だろう。

 

「……せいぜ──うかい──こ─だな……」

 

途切れ途切れの掠れ声で完全には聞き取れなかったが、どうせしょうもない、負け犬の遠吠えだろう。

 

ロートレクの姿が宙に溶け、ソウルへと変換されていく。

 

【火守女の魂を奪還しました】

 

【復讐を終え、元の世界へ戻ります】

 

あばよ、酔っ払い。

 

 

 

 

 

 

魂を取り戻したのはいいが、どうすればいいのか分からない。取り敢えず、人間性を突っ込む感じでかぼたんに突っ込む。

 

その時、不思議な事が起こった。

 

死んで瑞々しさを失っていたその肉体が、生まれたての赤子のようにツヤとハリを取り戻し、生気を取り戻したのだった! ドクンドクンと血が全身を巡り、胸が上下に動き、呼吸の音を確認する事ができた。そう、今、彼女は生き返ったのだ!

 

「う、うう……」

 

苦しそうな声をあげ、もぞもぞと動き始める彼女に対し、彼は思わず抱きついた。安心したのだろう。

 

「う、冷たい。あれ? ええと、貴方は……」

 

「ああ、良かった」

 

「ええと、その状況の理解が出来ないのですが」

 

「……ああ。すまない。色々あったんだ。すまない」

 

「いや、その、貴方様は──」

 

 

 

 

 

 

 

──どちら様でしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

「……俺は、フリッツだ。アストラの、フリッツ・バーンだ」

 

「そうなのですか。申し訳ありません。私は、貴方様の事を覚えていないようです。きっと、アストラの何処かでお会いしたのでしょう。私の名は──」

 

「いや、いい。知っているんだ。自己紹介は、大丈夫だ」

 

「やはり、知己の仲だったようですね。申し訳ございません」

 

そう言って彼女は、申し訳なさそうに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ああ。心が折れそうだ。

 




次も0時。
実はこれでやりたいこと書ききった。心を折るためだけにアナスタシアちゃんには犠牲となってもらった。ほら、フロム的な愛の形だし、ハッピーエンドだよ。

Q.オンスタ戦で裸の主人公。
A.人間性で回復。音を立てぬよう、鎧を脱ぎ去る。


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第6話

やっぱダクソ原作でやるなら、これみたいに文書軽めにするんじゃなくて、クッソ真面目に情景描写してネットリ戦闘描写しないとダメっぽいですね。再走? (し)ないです。
あ、そうそう。言い忘れてたけど、最終話です、ハイ。無駄にダラダラと続けてもグダるだけだし……ねぇ?
クソ3編は気が向いたら書きます。というか、たいようのなく頃にを見ろ。書こうとしてる話は大体そんな感じだ。書く必要無くない? 無いよね? じゃあまたクソ3で考察するか(支離滅裂な言動)


俺は、アナスタシアが殺されて、その魂を抜き取られていたのでそれを取り返し、彼女の肉体に戻したのだとザックリと説明した。ありがとうございます、と彼女は感謝の意を伝えた。そして、彼女から今の自分について語られた。どうやら記憶の大部分が穴抜けらしい。アストラにいた事、そこで火守女をした事、最後に、ここでも火守女をしていた事。大体そこら辺しかないらしい。そして、再び火守女をしてくれるそうだ。だが、ああ、そうか。これはこれで、彼女は幸せなのだろう。苦しい記憶を捨てる事が出来たのだから。

 

……でも、そうだな。ああ、辛いな。いつも幸せそうに笑って、奇跡について語っていた彼女が、一切笑みを見せなくなった。それを見ていると、なんだか彼女が『人間味』を喪ってしまったようで、心が痛い。古傷と一緒に人間味を喪うぐらいなら、それなら……いや、もういいんだ。俺じゃあ、ダメだったんだ。

 

そうだ。主人公じゃなきゃ、ダメだったんだ。

 

 

 

 

 

 

「あっ、ソラールさん!」

 

「おお、貴公か。久しいな。アノールロンド以来か」

 

太陽の戦士である二人は、太陽の光の届かぬ、鬱蒼とした森の中で出会っていた。地面は湿気からか、歩くだけで足跡が残る程度にはぬちゃぬちゃと柔らかく、なんだか気が滅入ってしまうような所だ。

 

「そうだねー。いやー、ジメジメした所ってあんまり好きじゃないから、探索したくなかったんだけど、アルトリウスを探せとかなんとかって言われたから」

 

「どうやら、同じ理由みたいだな。だが、どうしたものか、この先には話を聞いてくれない者たちが居てだな、事情を理解してくれないのだ」

 

困ったように言うソラール。実際困っていた。あまり事を荒立てる気は無いからだ。

 

「えー? 火継ぎっていいことなんでしょー? なんでダメなんだろうねえ」

 

「うむ。そこで、だ。貴公と力を合わせれば、この森の者たちを返り討ちにし、探索を続けられるだろう」

 

返り討ちとはつまり、生きたまま返すという事だ。殺しはしない。きっと、何かしらの事情があるのだと考えていた。例えば、そう。墓を守る為、とか。紋章が無いと開かぬ扉の内にいるのだ。それ即ち、何かしらの使命を受け、それを果たすためにいるはずだ。

 

どうだ? 協力してくれるか? と、ソラールは聞いた。

 

「もっちろん! ソラールさんの頼みなら、なんでも聞くよ!」

 

彼女はなんでも無いように、軽く返した。その明るさは、この場所ではとても頼もしい。

 

「ハハハ! 貴公の好意は嬉しいが、年頃の娘がそんな事を言ってはいけないぞ! ハハハハハ!」

 

「もちろんソラールさんぐらいにしか言わないのだ! ウハハハハ!」

 

なんとも奇妙な光景。だが、これが彼らにとっては当たり前の光景だった。

 

「よし。では、探索と行こう」

 

「エイ、エイ、オー!」

 

こうして2人は黒い森の庭の探索を始めた。襲い掛かる盗賊団を返り討ちにし、ニャルガクルガをボコボコにし、気がつけば道順から外れて狭間の森へと来ていた。襲い掛かるクリスタルゴーレムとヒュドラを倒し、とうとう2人は宵闇と出会う。そして、右腕(あんなもの)によって、3人まとめて連れ去られてしまったのだ。

 

連れ去られた先には、なんだかよく分からない生き物(キメラ)。そいつを倒し、先へ進むと、篝火と謎のキノコがいた。キノコの話によると、名はエリザベス、宵闇の乳母らしき立ち位置らしい。そして、宵闇は何者かによって連れ去られた、と。

 

話を聞き、ソラールは考えた。深淵歩きアルトリウスに、今なら会える。彼ならきっと、深淵歩きの業を教えてくれるだろう。そして、ウーラシールが深淵に飲み込まれるのを防ぎ、宵闇も救ってくれるだろうと。

 

ソラールは即座に行動した。単眼の竜に睨まれ、少し怯えながらも探索を進め、自分と同じ境遇のチェスターと出会った。どこか胡散臭い上、販売している消耗品も割高。ソラールは誘い頭蓋だけ買い、その場を後にした。

ウーラシール市街を探索するソラール。闇の術に対抗して雷の槍を放っていたのだが、途中で拾ったスクロールによると、闇の術は人間性に触れたことによって産まれただとか、元々の魔術や呪術、奇跡を改造したものらしかった。そこでソラールは気づいた。気づいてしまった。これ、なんかすごい奇跡を自分でも作れるんじゃね? と。

ソラールはウーラシール市街の大体中層辺りまで探索した後、篝火へ戻って奇跡の改造に勤しんだ。球状にした雷を作ってみたり、幾つにも分かれて飛んでいく雷を作ってみたのだが、どうにも違う。しっくり来ない。

……そういえば、と。ふと、ソラールは思い出す。フリッツが使っていた、この深淵に飲まれかけている、闇に溺れたウーラシールの市民たちが使っている闇の術に酷似したものを。あれを雷にしたらどうだろうか? もし剣が手元に無くなったとしても、接近戦が出来るではないか。そうしてソラールは試行錯誤を繰り返して完成させた。奇跡【雷の杭】を。ソラールは満足した。そして、フリッツはなぜ闇の術を扱う事が出来たのか、不思議に思った。闇の術について記された書物があったのだから、フリッツがなんらかの手段で手に入れたのだろうと、取り敢えずはそう思っておくことにした。

再び探索を始め、今度は陽の光もあまり届かぬ下層まで辿り着いた。ウーラシール市街の篝火付近へのショートカットであるエレベーターから真っ直ぐ進んだ所にあるちょっとした広間に、人よりも一回り程大きい、そう、竜狩りオースタインと同じ程度の大きさの人影を見つけた。盾を構え、警戒しながら近づくと、向こうから非常に落ち着いた声色で話しかけられた。

 

「君が何者かは知らないが、離れてくれ。もうすぐ、私は飲み込まれてしまうだろう。奴らの、あの闇に」

 

ここまで聞いたところで、ソラールはもしやと思い、尋ねてみた。

 

「もしや、貴公はかの有名な四騎士の一人、狼騎士アルトリウス殿ではなかろうか?」

 

ソラールの問いに、彼は応えた。

 

「……ああ、その通りだ。深淵の拡大を防ぐ為、私はここに来た。だが、私には何も出来なかった」

 

「何も出来なかった? 深淵を歩く業を持っていると聞いたのだが。それに、闇に飲まれてしまうとは、一体……」

 

ソラールの問いはもっともなモノだった。

 

「私には……アノールロンドの秘宝の一つ、闇に対するモノを渡された。だが、私はそれを紛失してしまったのだ。私はそれに気づく事なく、奴に……深淵の主に戦いを挑んだのだ」

 

騎士アルトリウスの兜の房から、ドロリとした黒いナニカが地面へと滴り落ちた。

 

「私は奴に敗れ、こうして深淵に飲まれてしまった」

 

よく見れば、全身の至る所に、ドロリとしたナニカが纏わりついていた。だが、今はそれよりも大事な情報がある。

 

「その秘宝とは、いったい……」

 

「銀色に輝くペンダントだ。それにソウルを流し込めば、フォースと同じ要領で扱う事ができる」

 

そこでソラールは、ソウルの業で銀色のペンダントを取り出した。

 

「もしや、これの事だろうか?」

 

「ああ、それだ。すまない。私にはもう、あまり時間が残されてはいない。人間よ、君は強い。人間ならば、より純粋な闇に近いはずだ」

 

ゆっくりと、だが、力を振り絞って、騎士アルトリウスは言葉を紡いだ。

 

「頼む。お願いだ。深淵の拡大は、防がねばならない! 私に代わり、どうか、頼む」

 

憧れの騎士からの頼みごと。奮い立たずには居られなかった。だが、それとは別に、もう一つの想いも内に燻っていた。

 

「……承知した。最善を尽くす」

 

「ああ……感謝する、名も知れぬ小人よ。名前を教えてもらえないだろうか」

 

「ソラール。アストラのソラールだ」

 

きっと、これが最後の会話になるだろうと、分かっていた。

 

「ソラール。いい名だ。グッ……もう、時間が無い。急いで私から離れてくれ。君を傷付けたくない」

 

ソラールは騎士アルトリウスの言う通り、ウーラシール市街の上層に戻った。

 

「ォォォォオオオオオオオオオオオ!!!」

 

アルトリウスの雄叫びを聞きながら。

 

ソラールは思考を巡らせる。まず間違いなく、一人では彼処から先へと進めない。騎士アルトリウスが完全に闇に呑まれてしまったであろう今、彼との対話は望めないだろう。つまり、殺してでも(解放してやって)進むしかないのだ。

 

だが、一人では勝てないだろう。相手は四騎士の一人、無双のアルトリウスだ。ソラールは悩み続けていた。

 

「ああ、やっぱり。ソラールさんも来てたんだね」

 

「貴公か……」

 

ソラールの座っていた隣に、逸れていた筈の彼女が座った。

 

「ソラールさんも、アルトリウスに会ったんだね」

 

「……ああ。だが、あれではな……」

 

深淵を歩いたと言われた騎士が、深淵に呑まれていた。誰もが憧れた無双の騎士が、自分に弱々しい姿を見せていた。左腕はへし折れ、闇に汚染された影響か全身から力が抜けており、人の身には余る大きな剣を地面に突き刺し、それにもたれかかる様にして自分と話していた。

伝説に語られる騎士が、憧れの騎士が、それとはまったく逆の姿をしていた。端的に言って、ソラールにはショックだったのだ。

 

「深淵の拡大を防いでくれって、私達に頼んだ。それはきっと、闇に呑まれた自分も殺してくれって意味よ」

 

「……そうか」

 

それを聞いてソラールは、やはりそうか、と思った。だが、どうしても動けない。

 

「ねぇ、ソラールさん。ソラールさんは何の為にロードランに来たの?」

 

「それは……」

 

「でっかくて熱い太陽に憧れて来たんでしょ? 太陽だって、雲に隠れてみんなを明るく照らせない時があるけれど、結局、また顔を出して輝いてるでしょ?」

 

ソラールは彼女の話を聞いて、己の原点を思い出していた。

 

「ああ、そうだ。俺は、俺だけの太陽を探しに来たんだ」

 

「じゃあ、私にとっての太陽はソラールさんだね」

 

「……なに?」

 

彼女の言葉に、ソラールは動揺した。自分が彼女にとっての太陽だと? いや、自分はあの光り輝く太陽からは遠い存在だ。だって、今だって、落ち込んでいて、彼女の言葉でやっと元気を貰えたのだから。

 

「だってソラールさんは、いつも苦しんでる私の事を照らしてくれるから」

 

「は、ははっ……」

 

ソラールは思わず、笑いが溢れた。

なんだ。自分にとっての太陽を探すことも、太陽になるってのも、案外簡単な事じゃないか。彼女にとっての太陽が自分だったように、彼女も、いつも突っ込んで行く自分をフォーローして、今だって、こうやって自分を支えてくれたじゃないか。

ああ、そうだな。俺にとっての太陽は、彼女だったんだ。

 

「は、は、ハハハハハハッ」

 

なんだ。太陽ってのは、案外近くにあったじゃないか。

 

「ありがとう。お陰で、やるべき事が分かったよ」

 

誰かにとっての太陽になるのが、こんなにも簡単だったんだ。なら、みんなの太陽になるのも、そう難しくはない筈だ。

 

「よかった。いつものソラールさんに戻ったね。その方が、太陽みたいに輝いてていいよ」

 

「ああ、ありがとう。それでは、行こうか」

 

「そうだね」

 

重い腰を上げ、太陽の絵を描いたタリスマンを強く握り締める。

 

さあ、騎士アルトリウスの願いを叶えに行こう。

 

 

 

 

 

 

ウーラシールの惨劇は、何一つ変わることなく、アルトリウスによって救われたと後世に残された。2人の活躍を知る者は、今や居ない。いや、2匹だけは居た。

 

「ああ、あんたかい」

 

人の言葉を話す化け猫アルヴィナ。黒い森の庭にて、アルヴィナと、ウーラシールの本来の英雄が出会っていた。

 

「あんたには、あの子達が随分と世話になったようだね。いいさ、先に進みなよ」

 

──あんたには、その資格と貸しがあるからね。

 

アルヴィナの言葉を受け止めた(彼女)は、その先へ、扉の向こうへと進む。身の丈を軽く越す重厚な扉を開いた先、奥の方に、大きな何かがある。近づくと、墓石と剣である事が確認できた。

 

そして、彼女()と1匹は再会した。

墓石の上から顔を覗かせた灰色の大狼は、(彼女)の前に飛び降り、近づいていく。彼女()の匂いを嗅ぎ、そして、思い出したのだろう。大狼が、口からペッ、と何かを吐き出した。そして背を向け、墓の前で丸くなり眠りについた。まるで、役目は終えたと言わんばかりに。

 

ちょっと嫌だなあと思いながらも、大狼が口から出したものを拾うと、どうやら指輪だったようだ。取り敢えずそれを見せるため、小ロンドへ向かった。イングウァードに確認すると、どうやらその指輪を装備していると深淵を歩けるようになるらしい。胡散臭いと思いながらも、その指輪を装備して四人の公王を倒した。

 

そこで、フラムトに似た蛇が現れた。蛇は自分をカアスと名乗り、この世界は欺瞞に包まれており、グウィンを殺し、火を継がず、人の世界(闇の時代)にする事が本来の世界のあるべき姿だと語った。考えさせてくれ、と(彼女)は答え、他の王のソウルを集め、ついに最初の日の炉への扉を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

あれから、ボーッとしてることが増えた。気がついたらカアスに連れられて火の炉への扉を開いていたし、幾ら何でも亡者化が進みすぎだわ。取り敢えず人間性を砕いて頭の中をサッパリさせる。

 

よし。じゃ、取り敢えず黒騎士マラソンでもしようかね。そう思って火継ぎの祭壇から階段を降りて火の炉に入ると、いつぞやの2人が居た。

 

「どうやら、ここまで辿り着いたようだな」

 

「……ああ。どうやら貴公も辿り着いたようだな」

 

「……あ、久し振りだね。元気してた? 前会った時は項垂れてたけど」

 

そう言う2人の方が元気がない。

 

「どうした。何か嫌なことでも知ったか? 例えば、グウィンが人間の事をただの薪としてしか見ていないとでも教えられたか?」

 

「「な、なんでそれを!?」」

 

2人してハモるな。

 

「なんだ、やっぱりか。で、どうするんだ? 欺瞞に満ちた神の時代を続けるべく、神の狗として無様に走り続けるのか。それとも、神に復讐すべく、神の時代を終わらせ、人の時代を迎えるのか」

 

「それは……」

 

悩むねえ。

 

「……貴公は、どうなのだ?」

 

絞り出すように、ソラールが問いかけてきた。

 

「私か? 私はどっちだっていいさ。貴公たちの手伝いとして来ただけだからな」

 

俺としちゃあどうだっていいさ。俺は火を継ぎたくない。かといって、殺される可能性の高い闇の王にだってなりたくない。ただ、手伝いをするだけだ。どっちに転んだって、俺は、幸せにはなれない。

 

「亡者達で溢れかえる真の世界にするも良し。偽りの平穏に満足するもよし。好きにするといい。よく悩め」

 

さーて、どうするのかね。

 

「……私は、火を継ぎたい」

 

彼女が覚悟を決めたようだ。

 

「ほう? 理由を聞こうではないか」

 

「例え偽りの世界だったとしても……それでも、私は美しいものを見る事ができた。それに、太陽の無い世界なんて、あり得ないから」

 

太陽の無い世界なんてあり得ない、か。

 

「そうか。それもまたよし、だな」

 

「く、ハハハ! どうやら、俺はまた貴公に救われたようだ。そうだな、太陽の無い世界なぞ、あり得ないものな。ハハハハハ!」

 

なんだ。やっぱり、こいつらは太陽の戦士じゃないか。そうだ、それでいいんだよ。お前らは、そうしてる間が一番輝いてるよ。

 

「覚悟は決まったようだな。後は、向かうだけだな」

 

「ああ、そうだな」

 

「うん、そうだね」

 

じゃ、火を継ぎに行こうか。

 

黒騎士を難なく倒し、最初の火の炉の最深部へと入る。

 

「来たか」

 

かなり離れた距離だと言うのに、その声は体の芯まで届くものだった。

 

「火を継ぐに値するか、試させてもらうぞ。もしダメだとしても、そのソウルで以って、火を守るだけだ」

 

俺たちが盾を構え、衝撃に備える。

 

「いくぞ、不死の勇者よ」

 

バチバチバチ、と激しい稲妻の音と共に、大王グウィンの手に雷で出来た大きな槍が作られる。

 

「古の竜の鱗をも貫いた我が槍、受け取るといい!」

 

グウィンの腕が振るわれる。放たれるのは、太陽の光の槍。

 

盾で受け止めてはダメだ。避けの一択。

 

「くうっ!」

 

彼女が避けきれず、下半身が吹き飛んだ。

 

「これで回復しろ!」

 

人間性をぶち込んで、強制的に元の体へと戻す。

 

「近づけるものなら、近づいてみるがいい!」

 

今度は左腕が真上に振るわれる。槍が上に飛び、そして──

 

「んなっ!?」

 

「マジか!」

 

「嘘でしょ!?」

 

──幾つもの雷の大槍が、俺たち目掛けて降って来た。

 

明らかにオーバーキル。確実に殺す気だ。そして、これでグウィンは燃えカスだと言われている。全盛期のグウィンを考えると、恐ろしい。

 

全力で槍を避け、人間性を砕いてスピアに纏わり付かせてグウィンへと投げつける。

 

「ヌッ!?」

 

軽く剣で弾かれたが、かなり動揺したようだ。

 

「ウォォォォォォォ! 大王グウィンよ! 私の思い(信仰)を受け取ってくれ!」

 

グウィンが此方を向いている間に、ソラールが雷の槍を作っていたらしく、バチバチと激しい聞こえた。ソラールの方を見てみると、それは、雷の槍ではなかった。

 

「嘘だろ?」

 

思わず声が漏れた。

雷の槍の様な黄色ではなく、太陽の様に明るく照らし、全てを包み込む優しさを持ったオレンジ色。それが、ソラールの右腕、肩までを覆い尽くし、まるで、杭の様な形を取っていた。

 

「面白い! 面白いぞ! あのボンクラを思い出す!」

 

グウィンが両手で剣を構えた。マズイ!

 

「こっちを向けっ!!!」

 

人間性を砕いて、捨ててもいい武器に纏わり付かせて、ひたすら投げる。

 

「小癪!」

 

グウィンが思い切り剣を振るう。熱波が俺へと向かい飛んで来た。投げつけた武器はあらぬ方向へ飛ばされ、俺は盾を構える間も無く吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

「カハッ!」

 

肺から空気が溢れる。多分結構な骨をやられた。でも、不死人はその程度じゃあ行動不能にはならない。元々持つ回復力で神経を繋ぎ直し、右手で人間性を砕いて傷を癒す。

 

ソラールがグウィンに辿り着くまで、後4歩。

 

グウィンが返す一振りでソラールに対応しようとしている。ソラール、頼む! 当ててくれ。

 

そこで俺は気づいた。彼女が居ないことに。

 

「背中がガラ空きだね」

 

「ッ!?」

 

グウィンが気づいた様だが、振りかぶり始めている剣の軌道を変えることは出来ない。

 

彼女によって思い切り振り抜かれたグレートクラブが、背後からグウィンの脇腹を思い切り打った!

 

「グオ、オッ!」

 

姿勢が崩れ、グウィンの剣の軌道がブレる。

 

「俺の思い! 受け止めてくれ!」

 

グウィンの剣を潜り抜け、ソラールの右腕が、グウィンの心臓のある位置へ向けてぶつけられる。

 

──バチィ!!!

 

激しい雷音と閃光。そして、焦げ臭い匂い。

 

「……ああ、そうだな。」

 

両膝を付き、項垂れる様な姿勢のグウィンの胸には、大きな穴が開いていた。

 

「あいつの事を、もう少し考えるべきだったか」

 

自嘲するように言葉を紡ぐグウィン。

 

「よくやった、不死の勇者よ。我を殺し、ソウルを吸収するといい。そして、火を継いでくれ」

 

グウィンはソラールの方を見つめる。だが、ソラールは動かない。

 

「大王グウィンよ。俺は、火を継ぐには値しない。俺はまだ、未熟だからだ。だから俺は、彼女に継いでもらいたい。俺は、彼女のお陰でここまで来れたからな」

 

「私はソラールさんの方がいいと思うけど……いいの?」

 

「ああ。貴公に継いで貰いたいのだ。貴公は、俺の太陽だからな」

 

そう言ってソラールは「ワハハハハ」と大声で笑った。

 

「そっか……じゃ、そういう事だから。不本意だろうけど、ゴメンね」

 

そう言って彼女はグレートクラブでグウィンを叩き潰した。莫大なソウルが彼女の肉体へ吸い込まれていく。

 

「これで火を継げば、不死の呪いが解けるんだね」

 

「フラムトによれば、そうらしいな」

 

彼女が螺旋剣に向かって歩き出した。

 

「色々あったけど……まあ、いい旅だったかな」

 

「そうか。それはよかった」

 

ソラールと彼女のやり取りを、俺はただ見るだけだ。

 

「じゃ、火を点けるね」

 

彼女が螺旋剣に触れた。火が灯り、そして、彼女の肉体をも燃やしていく。

 

「なに、これ……? 嘘、やだ、死にたくない! やだ、やだやだやだやだ、やだ! やめて! お願いだから!」

 

「な、何が起きているのだ!?」

 

ああ、やはりか。

 

「熱い、熱いよ。なんで、そんな、火を継げばいいって、そういう事なの? やだ、やだ、やだよう。死にたくないよう。私だって、まだ、ソラールさんと一緒に──」

 

そこから先は声にならなかったのだろう。火の勢いが爆発的に増加し、火の炉最深部が炎に包み込まれる。

 

「熱い! 熱い! フラムトは騙したと言うのか!? クソッ! これなら私が火を継ぐべきだった!」

 

ソラールの言い分もわかる。でも、主人公が注がなきゃダメなんだよ。

 

恐らく、火を継いで直ぐは不死の呪いが消えていないはずだ。だから君は、後世に伝えなきゃあいけないんだ。

 

火の炉最深部が火で包まれ、そして、爆発。

 

──ああ。やっと死ねた。

 

もう痛覚も無い状態で、俺は、それだけを思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──これにて火継ぎの物語は終わり

 

 

 

──そして、王を狩る物語が始まるのさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────陽はまた昇る───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうさね

 

そこはロスリック

 

火を継いだ、薪の王たちの故郷が、流れ着く場所さね

 

だから巡礼者たちは北に向かい、そして、予言の意味を知るのさ

 

”火は陰り”

 

”王たちに玉座なし”

 

継ぎ火が耐えるとき、鐘が響き渡り

 

古い薪の王たちが、棺より呼び起こされるだろう

 

深みの聖者、エルドリッチ

 

ファランの不死隊、深遠の監視者たち

 

そして、罪の都の孤独な王

 

巨人のヨーム

 

けれどね

 

きっと王たちは、玉座を捨てるだろう

 

そして、火の無き灰たちがやってくる

 

名も無き、薪にもなれなんだ、呪われた不死

 

けれど、だからこそ

 

灰は残り火を求めるのさね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Sunrise for me


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メモ帳、またの名を掃き溜め
読む価値はない。読みたければ読んでくれと言った程度のもの。
書き忘れてることとかも結構ある。思い出したら書き足す程度には重要じゃあない。


篝火

不死を燃料に燃やしてるらしい。ソウルがあれば燃える。エストも篝火の火から汲んでるって事は、エスト=ソウルとなる。ソウルを飲んで傷が治るってことは、傷は現実の傷ではなく、ソウルが肉体から溢れるとか、そんな感じだと予想。

デーモンとかが宙に溶けて消えて行くのって、アレ、水風船をイメージすればいいのかもしれない。

穴が開く(傷つく)と、水(ソウル)が溢れる。で、全部溢れると外殻である風船だけが残る。多分、この風船がボスソウル。水(ソウル)を貯め込めば溜め込むほど風船(ボスソウル)は大きくなる。

プレイヤーとかの一般不死に置き換えると、外殻はレベルアップで取り込んだもの。レベルを上げれば上げるほど、肉体はソウルに置き換えられていく。だから死体は残らず、消えて無くなる。

 

 

世界に起こす差異

火の炉は世界に影響を及ぼす。じゃあミニマムサイズの篝火は? まあ霧の壁辺りまでだろう。じゃあなんでボス部屋は霧の壁がかかってるの?

取り合えず、磁場的なのをイメージしてもらいたい。磁場が狂うと、コンパスは正常に方角を観測できなくなるよな? それをロードランに置き換えると、強大なソウルの持ち主の周りは、時空の流れが歪む。そう、瀕死まで追い詰めたはずが、もう一度会った時には無傷になっている! そんな感じだと思います。結構ゴリ押しな意見だけど、まあまあ当たってると思う。だってほら、最初の火って莫大なソウルだし……ね? どうやって莫大なソウルが集まったかって? それはほら……ね? (フロム)のみぞ知るってね。

 

 

忘れそうだから吹き溜まりの考察を先にやる。

取り敢えずコップに水を入れてくれ。この何も変化のない状態が灰の時代。で、そこに砂を入れると砂が暴れまわってまともに視認できなくなる。変化が起きてるって事でこれが火の時代。砂が沈殿してくるのを火が消えかけてるって捉えて、上から砂を追加でぶち込むのを火継ぎ。だから下の方には昔の時代が積もってる。じゃあ輪の都は? コップをひっくり返すんじゃなくて、上下逆に見れば、上に溜まってるのが吹き溜まり、下のスカスカのスペースが輪の都になる。どうせ時空の流れが歪んでるんだし、ろ過的なアレで現代で尚且つ未来に輪の都は位置してるんでしょう(クッソ適当)。

取り敢えず、底の方に集まるわけだから、それでマグマ的なアレでソウルとして変換、凝縮されてまたボーンと派手に燃え盛るんでしょう(投げやり)。

 

 

火守女

薪の王は自分を燃料にしてる。それってつまり、火守女も自分を燃料にしてるってことだよな。んで、人間性を溜め込むと表面化したりする。真鍮の乙女は皮膚に出て、雲姫様は出産。誰の子だ! 言え!!! ……はっ!? 俺が人間性を捧げば実質俺の子では? 天才かな。

んで、アナスタシアちゃんは何も異変が無い。自分の声を穢れた声と言っていたが、生き返ったのを聴くとそんなこたぁない。じゃなんで? 死んで人間性をロストしたから? それとも、妄想とかの類? 喘ぎ声が汚かっただけ? そこら辺は分からなかったので、精神面に出るタイプの子もいると考え、彼女にはヤンデレになってもらった。しょうがないね、これもフロム脳の一つだと思って諦めてくれ。それか自分で考察して。

取り敢えず、一般プレイヤーが持てる? 人間性は99(左上のやつ)。じゃあ、それ以上使ったら? もしかしたら火守女みたいに、身体に異変が起こるのかもね。

 

 

 

篝火と火守女と……

火守女居ないと火が消える。まあ、燃料が無いからだってことで、分かるな。じゃあ燃料があればいい、余熱でもいいとも考えられる。まあこれも良しとしよう。

……なんで公爵の書庫に篝火あるの? まあ、伝道者のためって考えられるか。

まあいいとしよう。

なんでウーラシールにあんの?

これがかなりの難題だった。人が不死になるのは最初の火が弱まってから。でも、それが何時なのかは分からない。まあ、このタイミングで弱まってきてたと考えれば取り敢えず解決。んで、篝火もよく分からん。3ではボスを倒すと篝火が現れる。ボスの死体?で出来てるってのは分かる。じゃあ、螺旋剣はなんなのさ。どっから出てきたのさ。最初の火の炉にもあるし、なんなのさ。辛うじて思いついたのが、三位一体のダクソバージョン。肉体(ソウル)、精神、魂(ダークソウル)、そして、魂(これが本当の意味での魂)。この魂ってのは誰でも持ってる、つまりは、世界に差異を齎す最初の火に一番近い。世界に差異を齎すのは、自分で考えて動ける奴。植物は動かないしね。え? まじないばらだいき君? あれは長い時を得て魂(ダクソ的な方)を手に入れて動くようになったから……例外ってことで。

で、ここで話が戻る。なんでウーラシールに篝火があるのか。たぶん、深淵に呑まれた奴と呑まれなかった奴で2種類居たはず。んで、呑まれなかった奴はウーラシールの魔術では到底太刀打ちできずに殺され、その死体から人間性とかソウルを奪われて更に殺戮は加速。これはダメだと思って正気の奴が死体を持ち帰って、霊廟になる。あれって、クソ2で腐れ(ニト?)が作ってたのと似てるよね。元々は霊廟じゃあなかったはず。後から霊廟になった。エリザベスが治療とかしてたとも予想できる。で、死体が集まって、「その時不思議な事が起こった」的な感じで篝火ボン! 僕にはこれが限界だったよ。メタ的には拠点として必要。本気で考えると辛い。

じゃ、他の篝火関係。なんで不死街になかったのか。だってあそこ、篝火要らなくない? むしろ必要なのは教会だよな。ってな感じでアンドレイの近くには設置。ついでに、教会のかぼたんの魂があるところにも設置。これで白教は聖女とか偽って篝火に触れさせることで傷を治すわけだ。流石白教汚い。

 

グンダ君は?

魂(魂)

魂(ダークソウルとか)

精神

肉体(ソウル)

 

魂(魂)から螺旋剣を抜き取った事で思考能力が消える。人間なので人間性が暴走(人の膿)するが、螺旋剣で封印。

まあこんな感じでいいのかな。

 

じゃ、どうやって螺旋剣自体はポンポン製造してんの?

そこでロイドの護符。ロイドの護符が出てくるのは1度目の火が消えかけた時。つまり、まだグウィンがアイキャンファイヤーして無い時。この時ロイドの護符で人狩りをしてたはず。ロイド使うと回復できないってのはつまり、神の加護? 的なのを受けると不死の能力が無くなる。ダークリングが消えると考えればいいのかもしれない。そう考えると、自分から殺してくれと志願する人も出てきたはず。家族を襲いたく無いしね。これでポンポン殺してソウルから螺旋剣を製造。火は光と闇を生み出す。螺旋剣は主に燃えてる。火はソウル。ソウルを纏わり付かせる(制御?)為には螺旋剣が必要。亡者はソウルを求める。多分こんな感じで、亡者の特性を持つが闇に染まってない(闇を一時的にでも封印した存在?)からしか作れない的な感じで作ったんでしょう(テキトー)。じゃ、本格的に篝火作り始めたのはいつ? そりゃあやっぱり1度目の火が消えかけてからだろう。優秀な戦士を数で潰されたら困る。そう言えば神も人もみんな、最初の火で温まってなあ。あ、最初の火のミニマムサイズの作ればいいやん! 的な感じで出来たのかもしれない。

で、篝火を製造。亡者に回復されても困るから、安全な場所に基本的に作る。こんな感じかもね。自分でもクッソ長い上、考えがまとまってなくて困ってる。誰か助けて。

 

 

最初の死者ニト

謎。王のソウルを見つけて死の概念とかに力を割いてるらしい。つまり君が死んだら死の概念があやふやになるのでは……?

でもニトのソウルは手に入らないよな。じゃあニトのソウルは何処へ……? きっとグウィンみたいにばら撒いてたんでしょう。

お前王のソウルに説明あったやんけ……何やってんの昔の俺。ニトのソウルという名前はないが、王のソウルが実質ニトのソウルっぽい?

ところで君、篝火の秘儀持ってたのをパクられたみたいだけど、なんで君が篝火に詳しいの? あれか? 死を担当してるから、闇に近い人間とは相性がいいとかそんな感じなのかね?

 

 

ダクリン帰還システム

ダークリングを使うとなんで篝火に帰れるのか。

篝火間の移動は恐らく身体をソウルに変換して火から産まれる的な感じ。

じゃあダクリンは? なんで家路でもダクリンでも篝火に帰れるの?

家路には故郷が篝火になるとかなんとかって書いてあるけど、なんでだろね。

とりあえず、ダクリン帰還システムは、篝火と不死人がイコールで繋がってると考えればいいのかもなあと思った。だって篝火も不死人だし。家路については知らん。メタでいいよ。最初の火という生まれ故郷に帰りたいのかもね。

 

 

 

アンディールと苗床

どっちも最初の火のせいで植物になってる。真理とか根源的な感じで、ロクなことが起こらないのね。

 

 

 

 

デーモン

混沌から産まれた。混沌も最初の火も人間性も、なんもかんも最初は一緒。んで、デーモンは人間性を落とす。つまり、イザリスとかデーモン遺跡以外にいるデーモンは、デーモン化した人間なのかもしれない。デモンズソウルだね、うんうん。ソウルに飲み込まれる=デーモン化と考えると、ゲール君はあのまま行くとマヌスになってたのかもね。人間性の暴走で。

 

奇跡

マジで意味わからん。奇跡を知らないと使えないってのは、イリーナで分かったが、なんで放つフォースとか裂ける雷の槍とか使えるの? 結局思い込みなのかね? それか、大体合ってれば使えるとか。フォースも大体合ってるから神の怒りの劣化版として使えるもんね。

でも奇跡って、物語でしょ? 直接見れば使えるんじゃね? そんな感じでソラールに太陽槍を使わせる為に、グウィンに太陽槍を使わせた。ここら辺は御都合主義。しょうがないね。

 

そうそう。家路が神の物語の内の一つってことは、神はテレポーテーション使えるって事だよね?

つまり、ホモワープが出来るロスリックの穢れた血の営みって……

 

 

オンスモ

幻影説とか色々あるけど、肉体=ソウル説のお陰でそこら辺はクリア。

見直して、何をクリアしてるのか自分でも分からない。多分、消滅シーンで溶けていく事について言ってる。ソウルも手に入るし、本体って事で良いと思うけど、分け与えられた王のソウルという前例がある以上、オンスタが適当な槍使いに自分のソウル分け与えて竜狩りやらせてた疑惑ある。スモウ? ああ、あいつは……知らん。

 

なんでオンスタが大きくなるのかって? そらあれよ。ソウルを身体を大きくするのに使ったんでしょ。風船も膨らむのに限界があるし、内側に収まらなかったんでしょ。レベルカンストしてたのかな? まあ、竜狩ってたんだし、あり得るでしょ。じゃあ、影武者説の場合だと? うん。こっちもこっちで、収まり切らなかったってのが正しいかもな。 じゃあ主人公は? 無限にソウルを貪り続ける存在だね、うん。流石はイレギュラーだあ(白目)。

 

 

 

神の加護

神って身体が大きかったり小さかったり適当やな。昔は神とかそーゆー区別がなくて、人も神も巨人も、みんなで糞塗れになって繁殖してたのかもね。やったぜ(変態太陽親父)。長男と未子と三人でヤッてそう。まあそれは置いといて、なんで神は数が少なくて人は数が多いのか。やっぱり神ってだけあって、子供が出来にくいとかそーゆー不利な点があるのかもね。じゃあ銀騎士軍団は? 太陽の光の加護を受けた人間かもしれん。故も知らぬ小人と人間は別だからね。まあそんな感じで神の加護を受けた結果、身体が大きくなったのかもね。ドーピングすんごおい。

故も知らぬ小人はそれなりに子供作って、最終的に不死人の数が増える。で、結果的に9割は不死人になったと。呪いの証が出なかった奴は、運悪く?血を引かなかった奴かもしれない。

じゃあ神の場合は? グウィンが自分のソウルをちょくちょく分け与えてたのかもね。ほんの少しだけ分けることで、血が繋がらない奴も神としての力を得たのかもね。

 

 

グウィンドリンきゅん

触手うねうね可愛いよ。

産まれながらにして月の力を持ってたんだっけ? まあ置いといて、太陽の力を受け継いでるのに月の側面がデカイ。んで、触手うねうね。もしやグウィン。お前、シースとヤッたな。シースも竜っぽく無い触手うねうねだし、月だし魔術だし、やっぱお前やったよな。

じゃあプリシラとかヨルシカちゃんは?

まさか長男と未子がヤッて出来た……たまげたなあ。まさか♂同士で子供ができるとは。いやまてやはりグウィンドリンきゅんは女の子では?

まあそんな感じで、グウィンがシースとヤッた以上、長男が竜と仲良くしたところで追い出す必要性はないはず。なんで追い出したの? そら近親相姦はマズイでしょう。なんて妄想。これは考察でもなんでも無いですハイ。

とりあえず、グウィンとシースは恐らくヤッた。これだけは考察。他は妄想。

 

 

 

 

霊体

精神(アストラル)にソウル纏わり付かせてるんじゃね?

 

 

 

 

蛇の目的

何がしたいんだか(白目)。火を継がせようとしたり、亡者の国にしようとしたり、お前らマジで何がしたいの?

蛇は竜のなり損ない。じゃあ、竜→神→人→蛇みたいな感じで、蛇の時代が欲しいのかもな。それが灰の時代で、蛇がすくすくと育って竜になるのかもね。

ところでカアス。なんでお前火の炉とか火継ぎの祭壇の場所知ってるの?

 

 

 

 

 

時系列

 

火が生まれる

神の時代

火が消えかけて、グウィンが燃える

また消えかける

ダクソスタート

 

大雑把だとこんな感じ。

ローガンは長いこと研究してたみたいだから、かなり長い間不死の証が出たまんまっぽい。

グウィンが燃えるころの時期に、ロイドの護符やら篝火ができたと予想。

 

 

 

人間の寿命

グウィンとかの神族が長いってのは、まあ、神だしって感じですスルーしてるけど、さあ。あのさあ。神も巨人も人も、みんな寿命って同じなんじゃ……って思ったり思わなかったり。

だって、根本的には変わらんよな……?

まあ、ただの妄想だから考察ではない。

 

 

太陽の戦士

誰が語り継いだ?

あり得そうなのはラレンティウス、パッチ、ゴー、キアラン。

パッチはソラールのこと知ってたみたいだし、白教関連でアストラ出身だったりするのかもな。なんだかんだで義理堅いし、パッチがバカ話の一つとして客に話してた可能性はある。

 

 

この小説の主人公について

別に、いようがいまいがどうでもいい存在。物語はちゃんと進む。ただ、導き手は必要だった。太陽を再び登らせるための。アストラの大剣持ってる以上、それなりには優秀だったはず。名前がフリッツ・バーンなのは、あわよくばAC沼にも引きずり込もうとした名残。本当はフライトナーズとかそんな感じの名前の騎士団に所属してたとかそーゆー設定があったが、明かすタイミングが無かった。

ソラールと自己紹介した時に「もしや貴公……?」って言わせればすんなり入るだろうが、典型的なオレツエー小説になるし、なによりソラールさんに言わせるってのが最高に寒すぎてやめた。

憑依タグあるけど誰に憑依したの?

アス直と竜紋章、それにそこそこ強かったとされる実力。これだけだと飛竜の谷のあの死体かな? ってなるけど、この小説、青ニートが出てません。だからどうしたって話だけど。

まあ、数ある○○のソウル的な感じでロードランに転がってるうちの一人に憑依したとでも考えてください。

 

 

 

心が折れてからの行動

フラムトがニョキッと伸びてきてASMR催眠音声やって王のソウルを集めさせる。

さり気なくDLCをクリアして(キアランとゴーさんは殺された)シフも殺して深淵に行き、カアスにASMR催眠音声されたけど、口臭の酷さに正気を取り戻してソラールと主人公と合流。

 

 

 

 

 

ダクソ世界の主人公が女の子の理由

ラストシーンで主人公が野郎だと「フラムトー!」みたいな感じで世界を呪いながら死ぬやん。それだとつまらん。じゃあ女の子だと? 女の子が「いやだよう。死にたくないよう」って言いながら死ぬのと、どっちの方が心にダメージが来て、辛そうだと感じるよ。そら女の子が苦しんでた方が辛く感じるわ。野郎が「いやだよう。死にたくないよう」なんて言ったって、「軟弱者!」 って思われるだけだしね。

え? そこが作者の腕の見せ所? いやーキツイっす。

 

 

 

 

 

火のない灰

死んでも亡者にならないし、記憶もすり減らない。つまり、なんらかの力によってダクリンの力を抑えられてる? ヨエル君に任せれば穴空いて亡者になるよなあ。

てかなんで薪の王が灰として生き返るの? 燃え尽きたんじゃないの? ソウルの一欠片も残さず吸われたんじゃないの? でもルドレスは生きとるね。

つまり、火が弱いから「暖かいなり……」的な感じで燃え尽きる事なく肉体は残ったのかもしれんな。

じゃあ誰がそう仕組んだ?

アンディールお前の仕業だろ。

 

暗い穴

なんらかの方法でダークリング? の力が弱まった。たぶんアンディールのせい。暗い穴を穿つことで本来の力を取り戻し、亡者化する。でも亡者なのに正気を保つとか言うなんかすごい事が起こる。

で、火を体内にぶち込んで簒奪することがカアスの目的。

なんやこれ意味わからんわ。火を消しても残り火的なアレが残るから体内に入れちゃえばええやんってのはまあ分かるが、いや、よく身体燃えずに済んだね。普通の火継ぎエンドでも地味に燃えてるのに。ダークリングすごおい。

 

 

 

人の膿

大体アンディールのせい。

意図的に人間性? ダークソウル? ダークリング? を抜き取ろうとした結果でしょう。毒抜きすれば良いと思ったら、身体が保たなかったんだね、きっと。ならなんで竜にも寄生してるの?

竜に寄生してるのか、それとも、竜からも人の膿が出てくるのか。これで結構見方が変わるよね。

人が最終的に竜になるのか、それとも、やはり人間性は万物に潜んでいるのか。

 

 

 

 

 

画家

フロムの化身。慈悲はない。

適当な調整ばかりしやがって!

オラ! モタコブで穴だらけにしてやるよ! オラ!

なんならコンテナミサと連動も追加だ!

オマケで投擲銃だ! オラ! この! この! 許さんぞ!

バッドエンドを量産しやがって! ACの新作を作りやがれ!

 

 




クソ3を書くのかは本当に分からない。あと、これはあくまでフロム脳の内の一つで尚且つ小説にする際に、色々な考察やらなんやらを取捨選択しているので、勿論正解からは遠ざかってると思われる。流石にこれは違うやろとか、これとかええんちゃう? みたいなのがありましたら、活動報告の方で色々とぶちまけて下さい。
感想とちょっとした考察だけなら感想欄で問題ないと思いますが、ガッツリ考察する方は、運営からなんか言われるとアレなので、手間をかけるようですが活動報告の方でオナシャス(流石にガッツリ考察するような変態はいないだろ……)。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=188496&uid=76236


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