この鎧武者に祝福を! (竹内蔵人)
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この冒険者運命の出会いを!

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!?」
 オッス、俺カズマ。日本から女神によって異世界に転生された勇者候補だ。
 しかし、今の俺は今まで類に見ない危機を迎えていた。
「なんで、こんな森に一撃熊がいんだよぉぉぉ!!!?」
 俺は今、危険なモンスターとして有名な一撃熊に森の中で追い回されていた。

 こうなった経緯は一時間前まで遡る。

「……テメェ、今何つった?」
「何度でも言ってやるわよ!あんたなんて私達がいなかったら何もできない最弱職じゃない!それなのに女神である私に歯向かおうなんて頭が高いのよ!」
 俺はパーティメンバーといつものように依頼を受けに来ていたのだが、何故かそのパーティメンバーである。アークプリーストと口論をしていた。
 原因はなんだか忘れた、しかし、今思うとくだらない理由だった気がする。
 そして、その口論の相手は俺がこの世界に持っていける特典として連れてきた女神アクアだ。つっても女神っていうのは名前だけで実際はただの穀潰しだが……。
「テメェ!俺がお前等をまとめんのにどんだけ苦労してんのかわかってんのか!?おつむが弱いアークプリーストに、爆裂魔法しか使えないネタ魔法使い、攻撃力皆無のドMクルセイダー!こんなメンツでやってイケてるのは誰のおかげだと思ってだ!?」
「ちょっと、待ってもらおうか、ネタ魔法使いとは私のことですか!?いいでしょう受けて立ちます、表に出なさい!」
 背の低い、紅魔族の少女先程言ったネタ魔法使い、めぐみんまで話に入ってくる。
 俺は無言でめぐみんに近づき、眼帯を思いっきり引っ張った、
「あっ、あの、それは勘弁……。」
 めぐみんの言葉を最後まで聞かず俺はその眼帯を離した、当然ゴムが一気に伸縮するわけで。
「あぁぁぁ!!目が、目がぁぁぁ!!」
 目を痛めて、床に転げ回る羽目になった。
「だっ、大丈夫かめぐみん!?おいカズマ流石にやりすぎでは……」
「黙ってろ、変態!」
「クゥゥゥゥ!!」
 めぐみんを心配し、近づいてきた変態クルセイダーダクネスを言葉で人蹴りする。
 当然、変態にとってはご褒美なわけで床で悶える。
「もう限界だ!俺はソロでやらせてもらう、お前らは好きにするといい!おねぇさん、このクエストお願いします!」
「あっ、はい」
 俺はそのまま森に出るというゴブリン討伐のクエストを受けてギルドを出た。

 ゴブリンに関しては割とあっさり片付いた、初級魔法を組み合わせた目くらましや足元を凍らせたりと言う搦手だったが最弱職の俺には上出来だった。
 しかし、イレギュラーが起きた。そう一撃熊に遭遇してしまったのだ。

 そして、話は現在に戻る。

「ハァハァ、畜生、もう走れねぇ……。」
 俺は息を切らしてその場に立ち止まる。
「……一撃熊は?」
 振り返るがそこになやつはいない。
「たっ、助かったぁ〜……」
 俺は安心しその場にへたり込む。
 しかし、
「ここどこだ?」
 滅茶苦茶に走り回ったせいでどうやら俺は迷子になってしまったらしい。

『……………。』

 ん?

『……………。』

 何だ今の?

『……………。』

 まただ……。

『……………。』

 俺を、呼んでいるのか?

 俺は謎の音に誘われ、森の中をあるき始めた。
 そしてたどり着いたのは一つの切り株の前だった。
 その切り株には2つのものがおいてあった。布の袋と、よくわからない黒い物体、刀の形をしたレバーがついてるが何だこれ?
 袋の中身は、いろいろな果物や花の形をした錠だった。この形、ひょっとしてこの黒いのにセットするのか?
 などと考えていると突然目の前にジッパーが現れた。
「へ?」
 俺は驚きの余り、それしか言えなかったがそのジッパーがジジジと開いていき、俺が通れるくらいの穴が空間に空いた。

『……………。』

「入れってことか?」
 こんな訳のわからない穴に?でも、どっちみち俺迷子だし……。
「……畜生!男は度胸だ!」
 そう言って、俺は空間に空いた穴の中に飛び込んだ。ここで拾った訳のわからない二つのものと一緒に。


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佐藤和真オンステージ!

はい2話目です、正直ヘルヘイムネタ突っ込むかどうか悩んでますので投票行いま〜す。バンバン感想とともに送ってきてください。


「ここは……。」
 ジッパーを通り抜けた先は俺が森に入った場所だった。
「戻ってこれたのか?」
 通り抜けた穴を見ると再びジッパーが閉じて、そこには何もなくなった。
「何だったんだ一体?あっ、いっけね!」
 手に持っている袋と黒い塊を見て、思わず持ってきてしまったことを思い出した。
 どうすっかこれ?ってかなんだこれ?
 俺は改めてそれをまじまじと見る。すると、頭に2つの単語が浮かんだ。
「戦極ドライバーとロックシード……」
 なぜかはわからない、だが、おそらくそれがこれの名前なのだろうということだけは理解できた。
「ドライバーったことは腰につけるのか?」
 早速、黒いものを腰につけてみる。すると、いきなりベルトが伸びてきて腰に巻き付く。おまけにさっきまで黒かった部分の一部に鎧武者の横顔のようなものが現れた。
「これで、このロックシードってのをつければいいのか?」
 そう思い、みかんの描かれたロックシードを持つが、

ドゴーン!!

 アクセルの街近くで轟音を立てながら発生した火柱を見て、その手を止めた。
「あれはめぐみんの爆裂魔法……」
 なんで、あんな街の近くで、迷惑だからって止められてたはずなのに……。
 俺は喧嘩していたことも忘れ、内心嫌な感覚を感じながらもアクセルの街に向かった。

「なんで、あいつがまた来てんだよ……」
 街の近くまで戻って俺が見たのは、以前は住処に爆裂魔法を打たれたことに怒り狂って文句を言いに来た魔王軍幹部のデュラハン、ベルディアだった。
 因みに俺は『潜伏』スキルを使って隠れているので、結構近くにいてもバレてない。
 ここで逃げれば、俺だけは助かるだろう。しかし、俺はそれができなかった……。
 やつの足元に倒れている冒険者達、おそらく多対一なら勝てると思い突っ込んだのだろう。そして、まんまと返り討ちに……。
 おまけに今、やつを抑えているのはボロボロのダクネスだ。
 ……この状況で最弱職の俺にできることなんてない……。だけど、
「さらばだ、愚かで勇敢なクルセイダー!」
 そう言って、やつが剣を振り上げた瞬間俺の中で何かが弾けた。

「待てやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 気付けば俺は『潜伏』スキルをといて大声を出していた。
 その突然の出来事にベルディアも剣を止めた。冒険者達も驚いて固まっている。
 しかし、その中ですぐに正気に戻ったダクネスが顔を真っ赤にして叫んだ。
「馬鹿者!なぜ戻ってきた!?お前だけでも逃げて、援軍を呼んできてくれればよかったものを!」
 こいつ!俺の勇気をなんだと思ってんだ。
「そうだ!お前が来てもどうにもならねぇ!早く逃げろ!」
「最弱職のお前に何ができんだ!」
 ダクネスだけでなく、他の冒険者たちまでそんなことを言い出したときには流石にキレた。

「うるっせぇぇぇぇぇぇ!!!」

 俺の怒号によって、再び辺りは静まり返る。そこに追い打ちをかけるように俺は叫んだ!

「最弱職の俺に何ができるかだと?んなもん知るか!確かに俺は弱いし、正確だってろくなもんじゃない!知ってんだぞ!お前らが俺を影で鬼畜って呼んでること!」

 俺の言葉を受け、数人があからさまに目を背ける。

「でもなっ、弱ってる仲間ほっぽりだして逃げ出すほど外道になった覚えはねぇんだよ!」

 ここで逃げれば俺は間違いなく後悔するだろう、そんなのは死んでもゴメンだ、だったらここで死んだほうがいいに決まってる。まぁ、死ぬつもりもないけどな……。
 俺は手に握りしめたみかんのロックシードを見る。
 これがパワーアップアイテムなのかはわからない。しかし、今使わないでいつ使うというのか?
 鬼が出るか蛇が出るか……。
「だぁぁぁあ!もうどうにでもなりやがれ!」
『オレンジ!』
「おりや!」
 やけくそ気味にロックシードのロックを外し、腰のベルトにセットする。
「んで、もう一回錠をすると!」
『ロックオン!』
 ベルトにロックシードをセットして錠を通す。
 そして最後にこのカッティングブレードって名前の刀の絵をしたレバーを上げると……。
 ロックシードがまるで果物の断面のように開く。

『セイヤッ!オレンジアームズ!花道オンステージ!』

 そんな派手な音声とともに俺の体に変化が、変化が……。
「何も起きねぇじゃん!?」
 おいおい待てや!?あんだけ派手な御膳建てしておいてコケ脅しかよ!?
「嘘だろ、おい……。」
「か、カズマ……。」
「あ?なんだよ、アクア?」
 なんか指をぷるぷる震えさせたアクアが俺の頭上を指差す。
「上……」
「は?上って……」
 アクアに言われて上を見た、俺は唖然とした。
 俺の頭上に巨大なオレンジが浮かんでいたからだ。
 ていうか、落ちてきてない?落ちてきてるよね?
「やっべぇ……」
 すぐさまその場を離れようとしたが、急に落下速度が上がったオレンジが俺の頭に落ちて、俺の頭に突き刺さった。

『かっ、カズマーー!?』

 しかし、俺の頭に刺さったオレンジの中は空洞でやがて、オレンジが形を変え、俺の身体に鎧のようにくっついた。
「なっ、何だこりゃあ……」
 俺は自分の身体をペタペタと触る。いつの間にか身体中、鎧で覆われており、頭には兜が装着されていた。両手にはオレンジの断面のような模様の剣『大橙丸』と別のもう一本の剣『無双セイバー』を持っていた。
 この力があればもしかしたら……。
「貴様っ、一体何者だ!?」
 俺の変身を見た、ベルデイアが俺に問いかける。
 ……わかる、この姿の名が。
「俺は鎧武、魔王軍幹部ベルディア、ここからは俺のステージだ!!」
 俺は剣を構えて、ベルディアに突っ込んでいく。

ガキンッ!!

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 俺は二本の剣をベルディアの剣に交えて、そのまま奴を押し出すようにダクネスから引き剥がした。
「くっ、中々の剣戟だがまだ甘い」
「なっ!?」
 俺の剣は奴の大剣に弾かれてしまう。そして、そのすきにやつは俺の身体に強力な一撃を入れる。
 あまりにも強力な一撃をくらい、後方に吹っ飛ばされた。
 いってぇぇぇえ!!鎧のおかげで出血はしてないみたいだけど、これ絶対衝撃で肋何本かいってんだろ……。
 こんなん何発も食らったら先にやられちまう。
「となればこいつだよなぁ!」
『メロン!』
 腰から新たにメロンのロックシードを取り出して錠を外す、すると空中に俺が森から帰ってきたときに通ったジッパーの穴が空いた。あのオレンジそうやって来てたのか……。
 そして、ベルトにセットされているオレンジを取る。
 そして、メロンを新たにセットしてレバーを上げる。

『ロックオン!ソイヤッ!メロンアームズ、天下・御免!』

 みかんの鎧と『大橙丸』が消え、メロンが頭に突き刺さる。そして、鎧へと広がり、左手にメロンの皮をもした盾、『メロンディフェンダー』が現れる。俺は右手で無双セイバーを握り、もう一度、ベルディアに突っ込んだ。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
「何度来ても、同じことだ!」
 再びベルディアは剣を振るが。

ガキン!

「なっ!?」
 やつの剣は俺の『メロンディフェンダー』に完璧に防がれた。
 そして、今度は俺がその剣を『メロンディフェンダー』で弾き、がら空きになった胴体に、
「セイッ、デリャ!」
「グハッ!」
 無双セイバーで連続で切りつけた。
「おのれっ!」
「フンッ!」
 負けじと剣で応戦するベルディアだが俺はそれを危なげなく防ぐ。
 そして再びそれを弾き、更に剣でやつの剣を跳ね上げた。
 一気に方をつける!
『オレンジ!』
『ロックオン!』
『オレンジアームズ、花道、オンステージ!』
 俺は再び、装備をオレンジアームズにして、『無双セイバー』と『大橙丸』の二本でやつの胴を連続で斬りつける。
「セイッ!セイッ!セイッ!セイッ!」
 反撃のチャンスを与えるな、こんなすきは二度とこない!
「くっ……」
 俺の猛攻に耐えかねてとうとうベルディアが膝をついた。
 ここで決める!
 俺は『無双セイバー』と『大橙丸』の柄頭を合わせる。二本の刀が合体し、『無双セイバーナギナタモード』になる。
 さらに、オレンジロックシードを『無双セイバー』にセットして、錠をかける。
『ロックオン!一、十、百、千、万!』
「おりやっ!でりや!」
 『無双セイバーナギナタモード』の2つの刃でエネルギーの斬撃をベルディアに放つ。それを受けたやつはオレンジのような形のエネルギーに拘束された。
『オレンジチャージ!』
「うおおおおおおおお!!!セイハァァァァァ!!!」
 ベルディアに突っ込んでいき、すれ違いざまにナギナタによる強力な一撃を叩き込んだ。
 ……これで決まっててくれよ。
 振り返るとやつはまだ背中を向けて立っていた。俺は再び『無双セイバー』を構える。
 だが、
「……鎧武といったな、貴様ほどの相手と戦えたこと、騎士として誇りにおも……う……」
 そう言って前のめりに倒れ光の粒子となって消えていった。
「勝ったのか?」
「ベルディアが消えたってことはそういことなんじゃないか?」
『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
 それは誰かの呟きから、一気に歓喜の叫び声へと変わった。
「やりやがった!カズマが魔王軍幹部を倒しやがったぞ!」
「俺、あいつの事誤解してたよ!あんな男気のあるやつだったなんて知らなかった!」
「フンッ、俺は知っていたがなやつはいずれやる男だだと……。」
 全く、さっきまで早く逃げろだの最弱職に何ができるだの言ってくれたくせに……。
 さてと、取り敢えず変身とくか……。
 俺は戦極ドライバーを外して変身をとく。しかし、それと同時に……
「ガハッ!」
 口から何かがむせてきた。
 咄嗟に口に当てた手を見てみると手についていたのは俺の血だった。
 あのときの一太刀か……。
「どうやら、内蔵までダメージを追ってたみたいだ……な……。」
 俺は呟きながら倒れる。
『カズマッ!?』
 その光景に驚いた冒険者達の声と慌てて駆け寄ってくる足音を聞きながら俺の意識は闇に沈んでいった。


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この冒険者に休息を!

「あれ、ここは?」
 俺が目を覚ますと何故か一面白い部屋にいた。
 ここって、アクアと初めてあった場所に似てるな……。
 ん?ってことは何?俺また死んじゃったの!?
 ふっざけんなよ!折角、滅茶苦茶強くなれたのにそりゃあないだろう、あの力使ってこれからバンバン活躍して、他の冒険者達を見返してやるつもりだったのに!
『馬鹿者、お前はまだ死んでなどいない』
「誰だ!?」
 いきなりどこからか声が聞こえた、しかし、声の主は見当たらない。
「誰だっ!?どこにいる、姿を見せろっ!」
 声を張り上げて問いかけるが声の主は姿を表さない。
 代わりに返事をよこしてきた。
『悪いが、私に姿などない、故に声だけで要件を伝える』
「要件?」
『強くなれ』
「は?」
 いきなり何言ってんだこいつ。
『あの無様な戦いはなんだ?あの程度の相手に手こずっているようではまだまだだ』
 あの程度……、だと?ベルディアは魔王軍の幹部だぞ?それをあの程度だと?
「その言い方だと、まるで俺にあいつより強い相手と戦ってもらうって言っているように聞こえるんだが……。」
『無論だ』
 冗談じゃねぇ!あんなのより強い相手となんか戦えるか!大体、あいつより強い相手って誰よ?他の幹部?魔王本人?
『そんな生易しい連中ではない』
 なんで、人の心読んでるんですかね?ってか、天下の魔王を生易しい呼ばわりしたよ、どんだけヤバイんだよ。
『今は言えん、だが、その試練を乗り越えたとき、お前は全ての世界を制するのだ』
 なっ、なんか、話が一気にビッグになったな……。ニートの俺にそんな力があるのか?
『どうやら時間のようだ、佐藤和真これからの戦いに期待しているぞ』
「おい!ちょっと待て、まだ話の……」
 途中、と言い終える前に俺の意識はそこで途切れた。

「知らない天井だ……」
 いや、なんか一度言ってみたかったんだよね、この台詞……。
 えっと、どうやらどっかのベットみたいだけど、ここは一体……。

ガチャ

 などと思っていたら部屋の扉が開いた。
「カズマ、起きてる……」
「ちょっ!ダクネス急に止まらないでくだ……」
 部屋に入ってきたのはめぐみんとダクネスだった。二人は揃って俺の顔を見ると、固まってしまった。
 え?なに、俺なんかした?
 挨拶か、朝の挨拶がなかったのが駄目だったか!?
「お、おはよう……」
「「か、」」
「か?」
「「カズマ〜〜〜!!!」」
「うわっ!?」
 二人はいきなり涙を流しながら俺に抱きついて来た、なっ、なんかものすごい照れくさいんですけど。
 すると、また扉から誰かが入ってきた今度入ってきたのは顔なじみの男の冒険者だ。
「おいっ、騒がしいがどうし、カズマッ!?お前めが覚めたのか!?皆大変だっ、カズマが目を覚ましたぞ!?」
「なにっ!?」
「本当かっ!?」
 えっ、何何?何なの!?

「要するにあれか?俺はベルディアから受けた傷が思ってた以上に深くて一週間近く昏睡状態だったと?」
 俺の言葉に頷く冒険者一同、なるほどあの二人の反応はそれか……。しかし、なんだろう傷だけで寝ていたわけじゃない気がする、なんかこう身体が作り直されたようなそんな感じがする……。
 因みに俺が寝ていたのはギルドの医務室で今は酒場に移動している。
 しかし、なんかさっきからコイツラがよそよそしいような……。
 なんて思ってたら一人の冒険者が近づいてきて、
「カズマ、その、今まで済まなかった」
 そう言って、頭を下げた。
 確かこいつ俺を最弱職って馬鹿にしてたやつだったよな……。
「俺も済まなかった」
「俺も悪かった」
「私も御免……」
 え?なんなの、なんで皆さん頭を下げてんの?懺悔大会?
「俺はお前を誤解してた、今まで上級職があるのにろくにクエストもこなせない奴だと勝手に思ってたがそれは思い違いだった。実際お前はベルディアを倒したからな」
「あぁ、あのときの台詞には心打たれたぜ!」
 あぁ、なるほどつまりベルディアとのに戦いで俺を見直したわけね、それで今まで馬鹿にしてたせいで後ろ暗くなっちゃったわけか……。
 ったく、
「なぁ、お前ら今どんな気持ち?今まで散々最弱職だの役立たずだの馬鹿にしてたやつに助けてもらった今どんな気持ち!!?」
『うっ、うっわぁ……』
 俺は思いっきり煽ってやった。んな謝罪の1つや2つで今までのことが全部チャラにできるわけねぇだろうが!
「ねぇ!どんな気分よ!?散々馬鹿にしてたくせに目の前で自分より格段に強い魔王軍幹部を倒された気分は!?」
「こっ、こいつ!」
「こっちが下でに出てれば!」
 数人の冒険者が我慢の限界に来たようで顔を真っ赤にしている。数人武器を握ってるし。
 しか〜し、今の俺にはそれ以上の武器がある。
「おっ、やるか!?まさか、魔王軍幹部を倒した俺の力を忘れてねぇだろうな?」
『オレンジ!』
 俺は『オレンジロックシード』を解錠する。すると、頭上にクラックの穴が開き、そこから巨大オレンジが現れる。
 それを見た冒険者達が顔を青くする。
 魔王軍幹部を圧倒した力の象徴を出されたらそりゃそうなる。
「おらどうした!?かかってこいや!?魔王軍幹部を倒した俺に喧嘩売れるっつう肝のふてぇやつはいねぇのか!?」
「げ、外道だ……」
「やべぇよ、あいつ滅茶苦茶いってる目してるよ……」
「そんだけ我慢してたってことか……。どうしよう、俺、あいつのこと影で鬼畜って呼んでた……。」
「カッ、カズマ、落ち着いてください!」
「そうだぞ、そのへんにしておけ!」
 半分、暴走状態だった俺をめぐみんとダクネスが咎める。
 あっ、そうだ、そうだ……。
「めぐみん、ダクネス、この前はゴメンな、酷いこと言っちまって……」
「「え?」」
『外道が頭を下げた!?』
「おいお前ら、マジで覚えてろよ……」
『ヒッ!?』
 ドスのきいた声で今叫んだ冒険者を威嚇すると、短い悲鳴を上げた。
「どうしたんだ、カズマ、お前から頭を下げるなんて……」
「頭でも打ったのですか?」
 コイツラも大概だなこっちは割と勇気出していってるのに。
「いや、今回一人でクエストに行って気づいたんだよ、お前らには思ってた以上に、助けられてたって、こんな俺で良ければまたパーティを組んでくれるか?」
 一撃熊に追い回されたとき思った、二人がいればうまく足止めをしたあと『エクスプロージョン』で倒すこともできたんじゃないかと。
 二人は一度顔を見合わせると微笑んで、
「しょうがないですねぇ……」
「こっちこそ、またよろしく頼むぞ」
 そう言ってくれた。
「ありがとよ」
「うんうん、これで仲直り成立ね、それじゃ私にもなにか謝罪の言葉があるんじゃないかしら?」
 そこに駄目神が乱入してきた。
「何言ってんだ、お前?」
「え?」
「俺がパーティに必要と思ったのはこの二人だけだ、お前は必要ない。頑張れよ上級職様、『最弱職』と違っていろいろなことができるらしいからな」
 俺はそう言って、二人に向き直って、肩を掴んで、
「よし、そんじゃ仲直りの印に今日は宴会だ!俺のおごりだから、他の奴らもどんどん食え!あっ、支払いはベルディアの討伐報酬で、あと駄目神お前は自腹な」
『おおおお!!?』
「さっすが、カズマさん懐が深いぜ!」
「ねぇちゃん、シュワシュワ四つ!」
「こっちは、カエルの唐揚げどんどん持ってきてくれ!」
 他の冒険者達はテンションが上がり、お祭り騒ぎだ、全くチョロい奴らよ。
「よしっ、俺たちも始めるぞ!」
「あ、あのカズマ……」
「アクアはどうするんだ?」
 二人はこっちを涙目で見つめているアクアを指さしながらいう。
「えっ!?アクア?誰それ?うちのパーティにそんなやついないぞ?」
 その一言でブワッと涙を流して、
「うわあぁぁぁぁん!!カズマ様ごめんなさい!謝るから!私もパーティにいれてよぉぉ!!」
 そう言って、俺に泣き縋ってきた。
 ふっ、勝ったな。
「しょうがねぇなぁ!!!」
 俺は勝ち誇った表情で叫んだ。

「それで、カズマあの力は何だったのです?」
「そうだぞ、あんな力一体どうしたんだ?」
「拾った」
「「は?」」
 飯を食ってたら当然の如く二人に尋ねられた。(アクアは宴会芸の披露中)しかし、俺には拾ったとしか言えない。
「変な音に従って歩いてたら森の中にあったから持ってきた」
「ほほう、つまりその力そのものがカズマを主と認めたということですね?」
 流石、中二病そういうのに結びつけるの本当に好きだよなぁ……。でも、今思うと、
「確かにそのとおりかもなぁ……」
「どういうことだ?」
「なんかこれつけたとき妙にしっくりくる感覚があったんだよ」
 それに今思うと、俺はあのときなんで、丁度良く『メロンロックシード』を選んだんだろう?まるでその能力を理解しているような……。
「カズマ、カズマ、もう一回あの鎧姿になってみてくださいよ!」
「え?」
「折角のベルディア討伐の記念なんですから、それを倒した姿になってくださいよ、何よりあの鎧はかっこいいですし!」
「おっ、カズマが鎧姿になるらしいぞ」 
「私見てないんだよねぇ〜、見せて見せて!!」
 おお、冒険者達からも変身してくれコールが……。
「しょうがねぇなぁ!!」
 冒険者たちの前に出て、『戦極ドライバー』と『オレンジロックシード』を取り出す。
「変身!」
『オレンジ!』
 解錠とともに空からオレンジが現れる。俺は身体を半回転させたあとロックシードを持っている手を持ち上げ、それを落とすようにベルトにセットして、拳で錠をする。
『ロックオン!』
 そして、角笛のような待機音が流れる。
 んで、カッティングブレードを上げてロックシードを割ると。
『ソイヤッ!』
『オレンジアームズ!』
『花道、オンステージ!』
 オレンジが降ってきて、果汁がライダースーツに変わり、兜がセットされ、オレンジは鎧となる。
「しゃあ!」
『うぉぉぉぉぉぁ!!!』
 そのままテンションが上がりっぱなしなまま、俺達は夜まで騒ぎ倒した!
 
 


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