FAIRY TAIL/無銘 (ドライヤー)
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プロローグ
「置いて行くぞルーシィ!」
「待ってよ〜ナツ〜!はぁ…何でそんなに急いでるの〜!」
「ルーシィは走るのが遅いね」
「ナツが速すぎるのよ!ハッピーは飛んでるじゃない!はぁはぁ…」
それは私が憧れていた魔導士ギルド"妖精の尻尾"に加入してから1週間が過ぎ、ギルドの仲間も一通り紹介してもらい下宿先も決めてひと段落済んだ頃。突然ナツとハッピーが私の家に不法侵入し、文句を言う暇もなく外へ連れ出されたのだった。目的地も分からない私は前を走るナツと飛ぶハッピーから引き離されないように必死になって後から追い掛けて行く。
「行く場所くらい教えてよ〜」
息を切らし、乾いた口を動かし声を何とか振り絞りナツに問いかける。するとナツは急停止し、それに反応出来なかった私はナツの背中に思い切りぶつかった。
「あだっ」
「あっ悪りぃ。ていうか場所言ってなかったっけ?」
「聞いてないわよ」
「実はじっちゃんからある人を紹介しといてくれって頼まれたんだ」
「ギルドの仲間?」
「んーなんていったらいいんだ?なあハッピー」
「たまにギルドに顔を出して料理作ってくれる人だよ。魚料理がすごく美味しいんだ」
「でもあいつって鍛治職人じゃなかった?」
「あい、でも魔道具も作ってたような…」
「まあとにかく俺たちの仲間みたいな奴だ!ギルドには入ってないけどな」
聞けば聞くほど人物像は霧のように揺らぐ。男か女かもナツ達の話では判断がつかない。鍛治職人というからには男なのだろうか?なんとなく男の人が就く仕事のように思えるのだ。もちろん私のイメージと偏見なのだが。
「でもなんで急に止まったの?」
「ついたから」
「え?ここ?」
ナツはとある店を指差す。そこは"錬鉄"という名の店だ。名前だけみれば鍛治職人がいかにもつけそうな店だなと思ったが、鍛治場というにはあまりにもオシャレな外観をしており、店の前には花が飾られていて鍛冶場と称するよりはむしろ喫茶店みたいだった。その店にナツは何の躊躇もなくズンズンと足音を鳴らしながらドアを開け中へ入って行く。私もナツに続いて入ろうとしたが、ハッピーは何故か店には入らずにいた。
「ルーシィも外で待ってたほうがいいよ」
「なん…「うおー!燃えてきたぜ!」」
私がハッピーに声をかけようとした瞬間に店の中でナツが叫ぶ。そして驚いたのも束の間、突如店は喧騒とした。
「どわー!」
ドカン!という音とともにドアを破壊しながらナツが飛び出してくる。そのまま2、3回転しナツは地面に仰向けになって倒れた。
「くそー!やっぱ勝てねぇ!」
「君も懲りないな。いつまでこのような事を続けるつもりだ」
「また負けたんだナツ。これできっかり0勝500敗だね」
「次は勝ぁつ!」
「挑んでくるのは構わんがドアの修理費だけは支払って貰おうか」
「うっ」
そう言いながら店の中から顔を出したのは真っ白の髪の毛を下ろしており褐色の肌をした男だった。身長も高く190㎝ぐらいはあるんじゃないだろうか。
「む、君は…」
私の方は向き、困惑した顔で見てきた。恐らくこの人がナツ達の言っていた人物だろう。マスターがわざわざ挨拶をしておくように言われた程の人物なのだからよっぽど大物に違いない。私はギルドに加入する時並みに緊張しながら自己紹介をした。
「はっ初めまして。ルーシィ・ハートフィリアと言います」
「ああ、ギルドの新メンバーかな?そんなに身構えなくてもいい。私の名はエミヤ。しがない鍛治職人だ。気軽にエミヤと呼んでくれ」
そう言って私の緊張をほぐすかのように微笑みながら返事をしてくれた。初めて会う人物に気を使ってくれたのか、とても優しい人だなと思った。
「エミヤ〜。魚料理作って〜」
「相変わらずだなハッピー。先程、旬の魚を釣ってきたところだ。君達も店へ入るといい。いつまでも客を外で立たせるわけにはいかんからな」
「はっはい!」
そうして私は錬鉄の英雄と対面する。これは私達の周りで起こる事件、それを影で支えてくれたエミヤさんの物語だ。
文支離滅裂。正直続けるか分からない。すぐに消すかもしれなあい
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始まりは唐突に
「さて、どうしたものか…」
聖杯戦争、それは7人のマスターと7人のサーヴァントにより行われ勝ち残った最後の1人には何でも願いを叶えることができる聖杯を獲得することができるもの。そして私は第5次聖杯戦争に召喚され凛と共に参戦した。聖杯戦争では通常では叶えることのできない願いを持ったサーヴァント達が参戦する。
私の願いとは過去の自分の抹殺。これから過ちを犯す過去の私を殺す事によってタイムパラドックスを起こし、エミヤの存在を座から消し去ろうとしたのだが…過去と未来の剣戟の果てに自分の抱いていた理想は正しいものだと、間違いではなかったのだという事を気付かされたのだ。
そして汚染された聖杯をセイバーが破壊し、聖杯戦争も終結向かう。全ての結末を見届けた後、凛と別れ、座へと戻るだけだったはずなのだが…
「凛に召喚された状況に似ているな。まあ凛の召喚より随分荒々しいものだが」
なぜか上空に放り出されている。しかし前とは比べものにならない高度、視線を下に向けると雲が広がっている。落下し続けているのにまだ地上には到達できない。初めての状況ならば多少なり狼狽えただろうが、不本意ながら2回目だ。平常心を保つことができる。経験の差といったところか…非常に不本意だが。
己の不幸を嘆いている内に雲を突き抜け地上の様子を視認する事ができた。海の真上に放り出されてしまっては少々面倒な事になっていたのだが、不幸中の幸いと言うべきなのだろうか落下した先には孤島の存在を確認することができた。その孤島は巨大な大樹が島全体を覆っている。そのまま地面に落下すればいくら英霊といえど霊基の損傷は免れないだろうが大樹の葉と枝で上手く衝撃を緩和することができれば、九死に一生を得ることが出来るかもしれない。
「大樹を無用に傷つけたくはないのだが…この際は致し方あるまい」
念のために『熾天覆う七つの円環』を展開し落下の衝撃に備える。
「む?」
『熾天覆う七つの円環』が自分が思っていたより出力が出てしまう。それほど魔力を注いでいないはずなのにだ。原因は不明だが好都合なので後で考えうとしよう。今は目先の問題に集中しなくては…
そして展開した直後に大樹の枝に突入したが、自分の思惑通りに『熾天覆う七つの円環』が目の前の葉と枝をクッションにして衝撃を緩和していく。
枝を通り抜けた頃にはすっかり落下速度は衰え、そのまま地面へと着地し辺りに砂が捲き上る。砂がはれた後、見上げてみれば上からは私が枝を通り抜けた所為か木の葉や枝がポツリポツリと落ちてくる。落ちてくる葉などを払いながら辺りを見渡すが遺跡などがあり、人が住んで居るといった印象は受けない。
「これほどの自然が育む環境、人が共存するのは難しかろう」
しかし1つ気になるのがここには私の知る植物が全くないということだ。まさか神代にでも飛ばされたんではないだろうな、と運がついてない自分に嫌気がさすが、いつまでも嘆いている訳にもいかないのでそろそろ行動しようとしたとこだった。着地したすぐ近くに文字の書かれた長方形の石を発見する。私が着地したのが原因で砂が被さっていたので、それを払いながら書かれていた文字を読む事にした。
「アルファベットか?人物の名前のようだが…」
そこにはメイビス・ヴァーミリオンと書かれている。これは墓ではないだろうか。つまり私はこの墓の近くに落下し、砂を被せたということか。
「これは悪い事をした。直ぐに綺麗にしよう」
生憎と私は墓荒らしなど趣味は持ち合わせていないので、汚したまま放置するのは忍びない。掃除道具を投影し、墓と辺り一帯を綺麗にする。これでこの墓の人物は私の無礼を許してくれただろうか。だが死人に口なし。確かめる術もなく、ただただ祈ることしかできない。
「さて、私は行くとしよう。すまないなメイビスとやら」
「いえいえ、大丈夫ですよ。綺麗にして下さったので」
突如背後から声が聞こえる。ここは見知らぬ地、警戒など怠る筈もなく私は剣を投影し声のする方向へと剣を向ける。そこに立っていたのは小さく可愛らしい少女。この少女を目の前にしても気配などは微塵も感じることができない。
「驚かせてしまってすみません。私の名前はメイビス・ヴァーミリオン。ええと…幽霊みたいな感じですかね?んー死んだ人が目の前にあると言われても信用できませんよね。どうしましょう?」
「 私に質問されても困るのだが…」
目の前で困惑する少女に対しての警戒心が次第に薄れていく。聡いのに振る舞いは少女のそれ。雰囲気はイリヤに似て居るなと思ったからだ。
それが故人筈のフェアリーテイル初代ギルドマスターであるメイビス・ヴァーミリオンとエミヤとの出会いだった。
だが3話目は当分ないと予告する
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天狼島出発前夜
当分ないとか言っていたのに投稿します
私はメイビスと出会ってから数日が経ち、私達は互いに自己紹介を済ませ、情報交換をする事にした。聞いた話をまとめるが、どうもこの世界は私がいた世界とは根本的に異なっているらしい。ここはマグノリア大陸にある魔導士ギルド『fairy tail』の聖地、天狼島という場所であるらしい。日本などといった国家はなくフィオーレ王国に服属しているそうだ。
特に驚いたのが魔法が一般的に普及しており、魔術のように『根元の渦』を目指す魔術師は存在せず、秘匿する必要もない。むしろ日常生活をおくるためには魔法が必須で、魔水晶などの魔法道具を中心として生活が成り立っているとのことだ。
私がいた世界の事をメイビスに話した時、「それって生きづらくないですか?」などと真剣に言われて苦笑したものだ。確かに神秘の漏洩を防ぐ為に隠蔽工作などを行なっていたりしていたので、的にえてるが。
その他にも情報を提供して貰ったが私がここに呼ばれた理由、それに通づる肝心なものは得られなかった。マスターとのパスが繋がっている事は確認できず聖杯戦争に駆り出された訳でもないので、抑止力による対象の抹殺の為に呼ばれた可能性が1番高いのだが…
「結局は分からずじまいか。誰かは知らんが傍迷惑なものだ」
「すみませんエミヤ。私では力不足です」
「君のせいではないメイビス。今は立場を忘れて羽を伸ばすことができる折角の機会だ。この状況を楽しむとしよう」
「ふふ、前向きですね」
「なに年の功というものだ」
「私だって見た目と違って年を取っているのですよ」
「随分と若く見えるのだが」
「ふふーん幽霊ですからね。いつまでもピチピチです。成長も止まってますが…」
「なに、君は今のままでも充分魅力的だ」
「からかってますよね」
「さあ、何のことやら」
ムーっと頰を膨らませて怒っている。メイビスとは情報交換を繰り返していくうちに軽口を言い合えるほど仲は進展した。
しかし話せば話すほど見た目や声、性格は似ていないのにイリヤの事を思い出す。いずれかは私がこの世界に来た原因を究明する為にこの島から旅立とうと考えているのだがこの少女を1人島に残す事に、今は亡きイリヤの事が脳裏によぎり決意を鈍らせてしまう。
そんな迷いを察知したのかメイビスは私に笑いかけ一言告げる。
「私は大丈夫ですよエミヤ。私を島へと置いていく事に罪悪感を抱いているのなら大きな間違いです。貴方は貴方の使命があるのでしょう?」
心の迷いを的確に突かれ一瞬身体が強張ってしてしまうが、その言葉は私の迷いを取り払っていった。
「痛い所を突いてくるな。読心術でも持ち合わせているのかね?」
「まさか、これも年の功ですよ」
「まいったな、君には敵わない。さて、君にも諭されたとこだ。早速準備に取り掛かるとしよう」
「イカダでも作るのですか?」
「それしかないだろうな。船などは一度も作ったことはない。見様見真似で造船などして沈没してしまっては面倒だからな。多少移動に手間はかかるが仕方あるまい」
「では、私は何をすればいいでしょうか?」
「君は重いものなどは持てないだろう。それにこれは私の問題だ。君が手伝うまでもない」
「見てるだけでは暇なので側で応援だけでもさせて下さい」
「ふむ。君の応援があれば百人力だ。よろしく頼む」
「ええ、任されました」
イカダを作るべく作業に取り掛かる。極力曲がっていない木を探し出し投影したノコギリで伐採していき、ばらけないように横に並べた木に杭を差し込んで固定し、遺跡などに張り付いていた蔦らしき植物を編み縄にして木をまとめていく。帆などは自然の素材から取るのは無理があったので投影で補う事にした。
素人の出来る範囲では所詮この程度、荒波がこのイカダに襲いかかれば大破してしまうだろう。不安にはなるが、隣では着々と組み上がっていく不出来なイカダでさえ褒めてくれるメイビスの姿に励まされ多少の不安は脳の片隅に追いやる事にした。
途中で雑談などを挟みながら作業を始めて半日経ち、辺りは夕焼け色に染まりあと少しで夜になる頃にイカダは完成した。
「何とか形にはなったな」
「初めてなのに凄いですね」
「なに。君の応援が支えになった」
「応援した甲斐がありました。しかし…もう少しで夜が訪れますね。出航は明日にした方がいいんじゃないですか?」
「そうだな。確かにこのイカダで暗闇を進むのは危険が付き纏う。明日の早朝に出航するとしようか」
「それがいいと思います。では今日はイカダ製作記念と送別会を兼ねてパーティーでも開きましょう!といっても山で採れた木の実しかないのですが…」
「少し味気ないな。料理の方は私が何とかしよう。君はこの木の実をもう少し採ってきてくれないか?」
「エミヤは料理も出来るのですか!とても楽しみです!急いで採って来ますね!」
ピューっと走り去って行くメイビス。その意気揚々とした後ろ姿に微笑みながら、私の料理を楽しみにしてる彼女の期待に応えようと意気込む。皿などは無いので巨大な葉を真水で丁寧に洗い流し、皿の代用品として用いたりした。そして木の実を何とか味付け出来ないかと試行錯誤を繰り返しているうちにある疑問が脳裏によぎる。
それは…
「幽霊でも食事はできるのか?」
至極当然の疑問であった。
エミヤとメイビスは仲良し設定。最初はマカロフとエルザがS級試験の途中でエミヤと遭遇させる予定でしたが後々の事を考えるとメイビスの方がいいかなと思って変更しました。
次話で天狼島から旅立ちます。天狼島出発までをこの話で書き切ろうとしたんですが文字数が半端ないってみたいな事になるんでここで切らせていただきました笑
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