もしもロボ子さん(達)とそんな関係だったら (バタースコッチ)
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会社員の俺とロボット

まずは記念すべき第1作目?第1話?1話完結だからどうなんだろ…
とりあえず、長くなっちゃってますが気長にお読み下さいませ…


俺は〇〇、一応、会社員だ。

会社員は会社員でも、平社員と呼ばれる部類だ。

 

今日も係長からこっ酷く言われた…やる事はやっているはずなんだがな…とうとう頭のネジが取れたか…?

そう思いながらも、俺は自宅に向かう。

 

俺の勤める会社は、ロボットを作る会社…らしい…

らしいと言うのは、正直どこまで信じれば良いのか分からないんだ。

ロボットのイメージだと、言われた事をそのまま実行するようなイメージなんだ。

だから、普通なら感情とかは生まれないはずなんだ…そう、普通なら…ね…

 

俺は、この会社に入社するにあたってあるロボットを1ヶ月の期限で預かった。

いや、押し付けられたと言っても過言では無いかもしれない…

 

上司が言うには、何かの手違いで感情が芽生えてしまったらしい。

だったらスクラップにしてまた新しく作れば良いじゃないか、そう思ったが現実は厳しいらしく…そのロボットにかなりの額を注ぎ込んでしまったらしい。

だからスクラップにするとしたら莫大な損失になるそうだ…

 

そこで、新入社員の俺がこのロボットの面倒を見る事になってしまった…1人の方が気楽だったんだがな…

 

このロボットの名前はロボ子、ネコ耳が付いててメガネを掛けており、ボクっ娘の設定らしい。

正直属性詰め込んだなぁ…と思ったのが本音だ…

 

一応、自分で1通りは出来るらしいので、俺はあくまで面倒を見るというより監視に近いものだと解釈している。

 

自宅に着いた…ロボ子は基本自宅に待機させている。

元がロボットなのかそこら辺はちゃんと言う事を聞いてくれてるので楽ではある。

だが…ロボ子を預かってから1週間経つが、未だに慣れないんだ…

何が慣れないって?それは…

 

「あ、〇〇くんお帰りなさい、ご飯にする?お風呂にする?それとも…手錠する?」

 

コレなのだ…毎回帰ってくるとこの決まり文句が帰宅第一声なのだ…

 

「あのなぁロボ子、その言い方いい加減直さないか…?俺がお客さん連れて来た場合それ言われるとかなり酷い誤解をされかねないんだが…」

 

「えぇ…ヤダ…ボクは直さないからね!」

 

お分かりだろうか…?何故かロボ子はこの決まり文句だけは直してくれないのだ…俺としては一刻も早く直してくれないと困るのだ…

 

ロボ子の容姿は正直言うとかなり可愛い、100人に聞けば80人以上は確実に可愛いと言うのでは無いだろうか?それぐらいの容姿なのだ…

だが、俺はそんな彼女に心を未だに許せていない。

 

たかが1週間しか一緒に居ないんだ、まだ許せないだろう?という声もあるとは思う。

だが俺はそれもあるが他にも心を許せない要因がある。

 

俺は幼少期、好きな女の子が居た。ロボ子と比べるとそこまでなのかも知れないが、それでも可愛い部類の女の子だ。

俺はその女の子の家にお呼ばれした時、その子が飼っていたネコと戯れていた。

ここまで聞けばまだ、なんだ…可愛い思い出じゃないか…となるであろう。

 

違うんだ…その子はあろう事か俺にネコのコスプレをさせて写真を撮るという行為をしたんだ…

そしてネコと一緒にじゃれさせて楽しんでたんだ…

当時純粋だった俺は気にも留めず遊んでいた、しかし思春期に入った途端急に恥ずかしくなってしまってな…

その子と距離をとるようにしたんだ。

そうしたらその子は「あたしから離れるの…?ならこの写真ばら撒くからね」と…脅しをかけてきたんだ…

 

それから高校卒業まで弄り倒され…その子はおろかネタになっていたネコすら嫌いになってしまった…写真とかで見る普通のネコは好きだぞ?動かないから

 

そんな事があって、俺はロボ子に心を許せていない。

ネコ耳が付いてるからな…ロボ子には何も罪は無いんだが、それでも過去のトラウマは辛いんだ…

 

まぁ仕方ない、1ヵ月の期限で彼女を預かってる訳だし、1ヵ月経ったら速攻で返そう、俺の身が保たない。

 

「ねぇねぇ〇〇くん、今日はどうだったの?」

 

これだ、毎日同じ事を聞いてくる

 

「別に、毎日変わらないよ」

 

俺は毎回こう返す、話すのも辛いんだ、察してくれ

 

「何時も同じ答えだねぇ…つまんないなぁ…あ!そうだ今日はニクジャガ作ったんだよ!食べてみて!」

 

肉じゃがか…ロボ子は俺と同居して3日目から料理をするようになった。俺が毎日コーヒーとカップ麺、コンビニの弁当を食べてるのが気になったらしい。

気遣いは本音を言えば嬉しい、だが…

 

「悪い、今日はもう外で食べてきた。」

 

俺はこう返す、正直食べたい、食べたいがあまりロボ子に関わりたくないんだ。

過去が頭にチラつく。

 

「ちぇー、仕方ないからラップしとくね、後で食べてね。」

 

そう言ってロボ子は肉じゃがを片付ける。

すまんなロボ子…せめてお前が充電に入ったら食べるから…

別にロボ子の前で食べるのが恥ずかしい訳では無いぞ?

 

「ねぇ〇〇くん、これから何するの?」

 

「何もしないよ、風呂入って寝る」

 

「何それつまらない…遊ぼうよ!構ってよ!」

 

…駄々をこね始めた、こうなると暫く騒ぐから嫌なんだ。

 

「仕方ない、トランプ1回だけやってやるよ。」

 

俺はここで毎回折れる。無駄にほっとくとそれこそ面倒なんだ。

 

「やった!じゃあババ抜きしよう!」

 

ババ抜きか…これは5日目から遊ぶようになった。

俺が冷たいせいかつまらないらしく駄々をこねて落ち着かせる為にトランプでババ抜きをするようになった。

 

「いひひ♪ボクは高性能だからね!負けるなんて有り得ないよ!」

 

これも決まり文句だ…因みにババ抜きに関しては毎回俺が勝ってる、なんで毎回勝てるかだって?それは見てれば分かるさ

 

「フフフ…♪最後の1枚はどっちだ!」

 

ロボ子は高性能とか言ってる癖にババを上に上げてるんだ…俺がババを持ってる時?知らん…毎回ロボ子がババを持ってるんだ。

 

「んじゃこっち」

 

俺は躊躇いも無く上がってない方を取る。

 

「あー!また負けたー…(´;ω;`)」

 

本当にロボットなんだよな…?変なとこ学習しないんだよな…

 

「さぁ、遊んだんだからそろそろ寝ろ」

 

俺は早く風呂に入って寝たいのだ…ロボ子が充電に入ったら肉じゃが食べるのも忘れないが

おい誰だツンデレとか言った奴…俺はツンデレじゃないからな…

 

「分かったよ…〇〇くんおやロボ」

 

「はいよ、おやロボ」

 

このおやロボがロボ子のお休みという意味らしい、最初聞いた時何のことか分からなかった…

 

 

 

 

「やっと充電したか…まったく…子供みたいだな…」

 

俺は時々思う、ロボ子はまだ子供なんじゃないかと。

それでも俺は優しく接する事が出来ない…同じ事は繰り返さないから端折るぞ。

 

風呂も入ったし、ロボ子の肉じゃが食べるか…

「む?美味いな…あいつ料理上手いよなぁ…」

 

この時俺は失敗した、何を失敗したか?それは…ロボ子がちゃっかり起きてたんだ…

 

「〇〇くん…ボク嬉しいよ…」

 

ロボ子は涙を流しながら俺にそう言った。

ロボットなのになんで涙を流せるのか分からない、本当にロボ子は謎だ。

 

「うぉっ!ロボ子起きてたのか!?なんで寝てないんだ!?」

 

俺は本当に動揺していたようだ…ロボ子は充電ケーブルを引き抜いて俺に抱き着いてきた。

 

「〇〇くん…」

 

ロボ子はそう言いながら俺を離さない。

 

「ロ…ロボ子、離れろよ…苦しい…」

 

ロボ子の力はあまり強くない、だから苦しいというのは嘘だ。

 

「嫌…離さない…だって…初めてボクの料理食べてくれたんだもん…」

 

こうなるのが嫌だったから目の前で食べたくなかったんだ…ロボ子の事だからこうなるんじゃ無いかという予想はしてた…だから充電を狙って食べてたのに…

 

「そ…そうか…でも別に食べてもらおうがもらわまいが平気だろ?お前ロボットじゃないか…」

 

俺はついそんな事を言ってしまった、今思えば失言だったと後悔している。

 

「平気な訳無い!ボクは〇〇くんに食べてもらいたくて作ってるんだ!食べてもらって嬉しいって思って何が悪いんだよ!」

 

ロボ子は泣きながら、怒りながら俺に言う。

 

「す…すまん…そんなつもりで言ったんじゃないんだ…ごめんな…?」

 

俺は堪らずすぐ謝った、これは俺が全部悪いからだ。

 

「良いよ、ボクもちょっと落ち着かなきゃね…」

 

なんとか仲直り出来そうだ…ん?仲直り…?何でそんなこと思ってるんだ…?あくまで俺はこいつの監視役だぞ…?

俺は自分の感情が分からなくなりつつあった。

 

「じゃあ、今度こそ寝るね、おやロボ」

 

そう言ってロボ子は今度こそスリープモードに入った、本当に焦った…まさか寝た振りされるとはな…今度からは寝たかちゃんと確認しなければ…

 

 

 

それから更に1週間が経った、この1週間の間で俺はロボ子にちょっとした弱みを握られてしまった…

肉じゃが事件だ…あの時の失言をかなり根に持ってたらしく、今ではロボ子の前でご飯を食べなければいけなくなってしまった…

おい、誰だご褒美とか言った奴、俺はそんなんじゃ無いぞ!?

 

ロボ子はご飯をあまり食べない、食べるのはクーリッシュのバニラだ。

やはりロボットだから冷たいのを欲するのだろうか?やはりこいつは変なロボットらしい…

 

「ねぇ〇〇くん、明日お休みでしょ?お出かけしようよ!」

 

遂にきた…俺の休みを奪うつもりか…本当はここで否定したい、だが否定するとこの前の件を盾にしてくるからあまり強くも言えないのだ…

 

「仕方ないな、どこに行きたい?」

 

俺は折れる事にした、無駄に疲れたくないからだ…

 

「〇〇くんとなら何処でも良いけど…公園でマッタリしたいかな?」

 

意外だった…ロボ子の事だからもっと遠出したいのかと内心思っていた。

 

「良いぞ、じゃあ明日公園行くか」

 

公園ならすぐ帰ってこれるし、俺は快くOKした。

 

「ありがとう、お弁当作るからね、期待しててね!」

 

お弁当か…まるでピクニック感覚だな…と思いながらふと笑っていた

 

 

 

 

翌日、目覚めるとロボ子がせっせとお弁当を作っていた。

 

「あ、〇〇くんおはロボ!朝ご飯出来てるから食べてて!」

 

そう言いながらロボ子はお弁当作りに集中していた。

 

「あぁ、おはロボ、いただきます。」

 

今日の朝ご飯はシンプルな塩鮭に野菜サラダ、そして青汁だ。

ん…?青汁!?朝はコーヒーなはずなんだが!?

 

「おいロボ子、なんで今日は青汁なんだ?コーヒーはどうした?」

 

俺は堪らずロボ子にそう問う。

 

「〇〇くんコーヒー飲み過ぎ!罰として暫く青汁にします!」

 

いやロボ子よ…まさかお前俺がコーヒー飲んでる本数調べてるのか…?まぁ5本だから多いと言えば多いんだろうが…まぁ仕方ない、折角のピクニックを台無しにしたくないからな

 

「悪かったよ、んじゃ、青汁いただくよ。」

 

俺はそう返すしか出来なかった、ここで争うのは意味が無いからだ。

 

「うん、お弁当ももう少しで完成するから。」

 

うむ、やはり問題は起こさないに限る…

ん…塩加減丁度いいな…本当上手いな…素直に尊敬出来る。

 

「ご馳走様」

 

俺はそう言いながら片付けをし、ピクニックの準備をする。

 

「お粗末様、こっちは準備出来てるからね」

 

ロボ子の方は準備完了していたようだ…普段は子供っぽいのにテキパキしてるな…

 

「あいよ、こっちも準備出来たよ、んじゃあ…行くか?」

 

そう俺は聞くと

 

「うん!行こう!」

 

とロボ子は答え、腕に抱きついてきた…勘弁してくれ…少しは慣れてきたが、それでもまだ辛いんだ…

おいそこ、羨ましいとか思わないでくれ…

 

 

 

「さて、着いたぞ」

 

自宅から公園までの距離は徒歩で15分とそこまで遠くではない。

ちょっとした散歩コースにもなるのかもしれない

 

「んー!空気が美味しいよ!」

 

ロボ子はずっと自宅から出さなかったからな…一応企業秘密とかの絡みがあってな…万が一の事があったら不味いんだ。

 

「そうか、本当に公園で良かったのか?」

 

ふと疑問に思ったので聞いてみた、すると意外にも

 

「だって〇〇くん、遠くに行きたいって言ったら反対しそうな見た目だもん。」

 

と割と失礼な事を言われた、おいそれはどういう意味だコラ…

まぁ、俺は大人だからそんな事で一々怒りませんよ、えぇ…

 

 

 

昼の時間になった、ロボ子は待ってましたと言わんばかりにお弁当箱を取り出した。

 

「今日はねぇ…ちょっと頑張ったんだよ!ほら!〇〇くんの顔をイメージして作ったんだ!」

 

所謂キャラ弁ってやつか…?こんな手の込んだ物まで…

 

(ロボ子…お前なんでそこまで…)

 

声に出せなかった、それを聞いたらダメな気がしたからだ。

 

「ありがとう、んじゃいただきます」

 

俺はそう返すしか出来なかった、だがロボ子は

 

「ダメ!」

 

俺が食べるのを止めてきた、え…?食っちゃダメなの?

 

「今日はボクが食べさせてあげる!」

 

嘘だろ…?それってアーンってやつでは…汗

流石にそれは恥ずかし過ぎる…

 

「良いよ、自分で食うから」

 

そう言ったが

 

「ニクジャガ…」

 

うわ…それここでまた出すか…もうそろそろ償ったと思ったんだがなぁ…

 

「分かったよ…じゃあ食べさせてくれないか?」

 

俺はここでまた折れる、もうどうにでもなれと思った…

おいまた羨ましいとか思うなよ…こっちだって困惑してるんだ…

 

「うん♪んじゃはい!アーン…」

 

恥ずかしい…恥ずかしいが食べないとだしな…

 

「ア…アーン…」

 

「どう?美味しい?」

 

ロボ子は不安そうに聞いてくるが、正直味なんて分からん…

 

「美味しいよ、ロボ子は本当に上手だな」

 

俺はそう答えた、実際ロボ子の料理は上手だ、きっとコレも美味いだろう、そう思っての答えだ。

 

「ふーん…?おかしいなぁ…このおかずだけ味しないようにしたんだけどなぁ…?」

 

ニヤニヤしながらロボ子はそう言った。

嵌められた…なんて奴だ…こっちの反応で楽しんでやがる…

 

「変なとこで意地悪なんだな…」

 

俺は皮肉混じりにそう言った、なんか悔しかったからだ。

 

「フフーン♪これでニクジャガのは全部チャラにしてあげるね♪」

 

やっと本当のお許しが出たようだ…はぁ…

 

「んじゃ、今度は味がちゃんと分かるのをくれ」

 

正直もう腹が減ってヤバかった、許された安堵より空腹の満たしを優先したい。

 

「急かさないで、ご飯は逃げないからさ♪」

 

その後も昼ご飯を楽しんだ、ロボ子はまたクーリッシュのバニラだったが…

 

 

 

 

夕方になった、いくら近場と言えどあまり長い時間ロボ子を外に出す訳にはいかない。

 

「ロボ子、そろそろ帰るぞ」

 

俺はロボ子に帰るよう促すが、ロボ子は反応しない。

おかしいな…どうしたんだ…?

 

「ねぇ…〇〇くん」

 

ふと呼ばれた…

 

「どうした?ロボ子」

 

俺はロボ子の少しの違和感にその時気付けなかった…

 

「〇〇くん…ボクね…」

 

そう言いかけたが、その先をトラックの通る音でかき消された。

 

「ったくトラックこんなとこ通るのか…悪いロボ子、もう一度頼む」

 

俺は聞こえなかった部分をもう一度聞こうとするが

 

「ううん、何でもないよ」

 

ロボ子はそう答えた、その時のロボ子の顔は少し儚げだった…

 

 

自宅に着いた、ロボ子はずっと無言だった。

さっきの聞こえなかった部分で何を言っていたのか、気になってはいるが無理に聞くのもアレだ、また話してくれると信じよう。

 

「今日は楽しかったよ!疲れちゃったからもう寝るね、おやロボ!」

 

ロボ子はそう言いスリープモードに入った、今回は完全にスリープモードに入っている。

帰り際のが気になるが仕方ない、俺も寝よう

 

 

 

 

 

 

あれから3日経った、ロボ子は何時もと変わらない。

やはり気のせいだったのか…?

そう思いながら帰宅した、しかしそこにはロボ子の姿は無かった。

 

(ロボ子…?なんで居ないんだ…?鍵は掛けてあったし、アイツには鍵持たしてないぞ!?)

 

俺は焦りを感じた、上司から預かってるロボットだ、何かあれば俺の首だけじゃ済まない。

俺は探す為に公園に向かった、ロボ子と外に出たのはそこしか無かったからだ…

もしそこで見つからなかったら上司に連絡しなければいけない…クビ以上を覚悟して…

 

 

 

結果から言うと、ロボ子はそこには居なかった、俺は上司に連絡を取ることにした…

 

「あ、もしもし、帝さんですか?すいません、〇〇です、実は預かっていたロボットが居なくなってしまいまして…」

 

俺は出来る限りの説明をした、すると上司は

 

「あぁ、あのロボットは明日部品を再利用して新たに作り直すことに決まったよ、今までご苦労だったね、君も嫌々だったのだから気が晴れるだろう?」

 

何を勝手な事言ってんだこの上司…確かに最初は嫌々だった…過去のトラウマも絡んで本当に嫌だった…でも今はアイツが…ロボ子が居ないと物足りないんだよ…

 

「いいえ帝さん、俺は大丈夫です、あのロボットの預かり期間はまだあったはずです、もう少し一緒でも」

 

俺はそう言ったが途中で

 

「あぁそうだ、明日のロボット解体君も同席したまえ」

 

無慈悲な言葉を聞いた、俺は怒りを抑えながら

 

「分かり…ました…では失礼します」

 

そう言うしか無かった、社会なんて上下関係、役職が物を言うんだ…平社員の俺が何言ってもダメなんだ…

 

(ちくしょう…!ロボ子…帝さんの口振りからすると、ロボ子は会社で預かってる感じだったな…)

 

俺はその後何も考えずに会社に向かった。

 

 

 

 

会社に着いた、警備員に何の用か聞かれたが提出する資料を忘れたと良い乗り切った、我ながら苦し紛れだがこの際気にしない。

 

ロボ子が保管されてるとしたらきっと保管庫だ、まずはそこに行く為の鍵を探す。

鍵の受付役寝てやがる…まぁ、こんな時間に普通人来ないからな

(現在深夜2時)

保管庫の鍵を手に取り、保管庫へと向かう…

 

 

 

保管庫に着いた、早速鍵を使って侵入する。

言い方がアレだが、こんな感じだろう…

 

「やっぱりここか…」

 

俺はロボ子を見付けた、彼女は充電されてないのか弱っていた。

 

「ロボ子、俺が誰だか分かるか…?〇〇だ」

 

俺はロボ子に呼びかける

 

「う…?あ…〇〇…くん…」

 

弱々しくも俺を認識した、良かった、まだ意識はあるようだ。

 

「大丈夫か?誰がお前をこんなところに…」

 

俺はそう聞くとロボ子は

 

「顎がちょっと長い人…鍵開けロボットと一緒に来て…ここに押し込まれたの…」

 

顎が長い…思い当たるのはあの人しか居ない、帝さんだ…何のつもりで…?

 

「とりあえずここから出るぞロボ子、俺がおぶるから」

 

ロボ子はロボットの割に本当に軽いので負担にならない、そんな事言ってる場合じゃない!

 

「しっかり掴まってろよ…!」

 

俺はロボ子をおぶって監視カメラに引っかからないルートで脱出した、途中どうしても監視カメラを外せないとこもあったが…保管庫からくすねたパーツで破壊した。

(バレたらもう捕まるレベルだが…そこ気にしたらロボ子助けられないからな…)

 

 

俺の自宅はもう安全では無くなった…仕方ないからビジネスホテルに泊まることにした。

 

(これからどうするか…どう足掻いてもバレるのは目に見えてる…でもだからってロボ子を放ってはおけない…!)

 

俺の中でロボ子はもうかけがえの無い存在になっていたようだ…今じゃどんな事をしてでも守りたい、そう思えるほどに…

 

「う…ん…」

 

目を覚ましたようだ…

 

「ロボ子…?大丈夫か…?」

 

俺は出来るだけ平静を装ってそう問いかける

 

「〇〇くん…うん…大丈夫…」

 

やはり充電出来てないからか弱々しい…ここのコンセント借りるしか無いようだ。

 

「ロボ子、とりあえずここのコンセント借りて充電しておくんだ、スリープモードには入るなよ?すぐにでも出れるようにしておくんだ。」

 

「うん…分かった…」

 

なんとかこれで充電は大丈夫か…しかしこれじゃ…

そう思った時、携帯が鳴る

 

「っ!誰だよこんな時に…ってクロマル社長!?」

 

クロマル社長は俺の職場の社長、入社当日から良く話していて、連絡先も交換出来る程にまでの仲だ

(たった2週間そこらで仲良くなれるとか、この社長本当良い人だよなぁ…)

 

「もしもし!?クロマル社長ですか!?」

 

声が裏返ってるのも気にせず、すぐに電話に出た。

 

「あぁ、〇〇くん、今回はとんでもない事になったね、事情は聞いてるよ、ん?何で聞いてるかって?それはね…申し訳ないが君に預けたロボットに発信機、盗聴器を仕掛けさせて貰ったんだ。信頼はしていたがもしもがあると大変だからね…だから帝くんがやった事も分かっている、君には悪い事をした…だが、今回の件は全て水に流すのは出来ない、だからこうしようじゃないか、君には会社を辞めてもらう形になるが、そのロボットのモニターをお願いしたい。君達の仲はかなり良くなっている、それを引き離そうなんて出来ないからね、どうかな?」

 

俺にとってこれはありがたい話だった、これでロボ子と離れる事は無いし、モニターという役割になるがずっと一緒に居られる…

 

「ありがとうございます…!この度は本当にご迷惑おかけしました…。モニターの件、喜んでお受けしたいと思います。」

 

俺は精一杯のお礼と謝罪をし、電話を切った。

 

(良かった…これで…ロボ子と一緒に居られるんだな…)

 

「〇〇くん…誰だったの…?電話…」

 

ロボ子が心配そうに聞いてきた。

 

「クロマル社長だよ、簡単に言えば、ロボ子を作ってくれた一番の親って感じかな」

 

俺はロボ子にクロマル社長からの電話の内容を伝える事にした

 

「…という事なんだ、だから俺は仕事をクビになったけど、モニターとしてお前と一緒に居ることになるんだが…ロボ子が嫌なら」

 

俺はそこまでしか言えなかった、唇を奪われたのだ…

 

「っ!?プハッ…ロボ子!?何するんだ!?」

 

俺は急にそんな事をしたロボ子に聞いたが…ロボ子は涙を流しているだけだった。

 

「…離れたくない…離れたくないよ…ボク…〇〇くんとずっと一緒に居たい!もう離れたくない!」

 

駄々とは違う、はっきりとした意思表示だった…

 

「お前は…こんな俺でも良いのか…?最初お前の事を拒絶していたこんな俺でも…」

 

俺は戸惑いながらも、震えながらもそう聞いた。

 

「ボクはね…最初に会った時から…〇〇くんの事好きだったんだよ…?」

 

衝撃の事実だった…ロボットに心が、感情が芽生える事自体驚きなのに、恋愛感情までとは…

まさかロボ子から告白されるとは思わなかったな…それを聞いたら…俺だって腹を決めなきゃじゃないか…

 

「ロボ子、俺はな…最初はお前の事なんかどうでも良かった、上司からお前を預かった時も本当に嫌だった、1人が好きだった、でもな…?お前が居なくなった時、心にポッカリ穴が空いた感じになったんだ。もう俺は、お前が居ないとダメになっちまった…俺はお前が好きだ、こんな俺だが、これからも一緒に居てくれないか…?」

 

俺がそう言うと、ロボ子は俺に抱きついてきた。

 

「嬉しい…!嬉しいよ…!〇〇くん…好き…大好き…!」

 

ロボ子は嬉し涙を流しながら、俺を受け入れてくれた。

俺達は、この日を持って付き合う事になった。

 

 

 

 

 

 

時は経ち2年後…俺はあの後クロマル社長のツテでロボットに搭載するプログラムを作る会社に入社した。

お詫びも兼ねての計らいだった

 

「〇〇くん、ここのプログラム頼むよ」

 

「はい、直ちに取り掛かります!」

 

2年経った今、なんとか会社にも馴染み、チームのサブリーダーにまで役職を上げることが出来た。

辛い事もあったが、ロボ子と2人で乗り越える事が出来た。

 

「ふぅ…何とか時間までに終われた…じゃあすいません、お先に失礼します!」

 

今日はロボ子と出会ってから丁度2年目、無理言って早く帰宅出来るようになっている。

(なんとか終わった…ロボ子待ってるだろうな…)

そう思いながら帰宅し、ドアを開ける。

 

「お帰りなさい!ご飯にする?お風呂にする?それとも…手錠する?」

 

この変わらない感じ…相変わらずだなぁと思うが、これがあるからロボ子なんだって感じがする。

 

「ただいま、2年経つのに相変わらず変わらないなぁその感じ」

 

「フフン♪だってボクは高性能だから?変わらないでいるなんて朝飯前だよ♪」

 

ロボ子はロボットで、俺は人間、不慮の事故とか無ければ先に旅立つのは俺が先だろう…それでも、少しでもこの幸せな時間を大切にしていきたいと思う…




ここまで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
どうしても書きたくなってしまいこんな幼稚な内容に…
次の投稿が何時になるかは自分にも未定でございますが、次の話も読んでいただけると幸いですm(_ _)m


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高校生の俺と幼馴染み

はい、なんか意欲溢れて何か書けました…ただですね…まさかの前回より長いという大失態…今回はタイトル通りロボ子さんはロボットではありません、純粋な青春…?にしてみました。
こんなの俺の(私の)知ってるロボ子さんじゃない!ロボ子さんを返せ!と思う方は申し訳ありません…ブラウザバックを推奨させていただきます…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


俺は〇〇、高校2年だ。

受験の時推薦で合格し、学力ランキングは基本5位以内には入ってる、所謂秀才タイプらしい。

ルックスはまぁ普通、より少しだけ良いみたいだ…

正直自分では判断が出来ない、周りからカッコイイと言われればそうなのかもしれないし、カッコ悪いと言われればそうなんだろう。

 

頭が良いとやはりモテるのでは?と声があると思う。

だが俺はモテない、その理由を話そう…

 

俺には幼馴染みが居る、ロボ子と呼ばれている。

自分の事をボクと呼び、ネコ耳のカチューシャをよく付けてる、メガネも掛けてるが、たまにコンタクトをしてる時がある。

自分では気付いて無いんだろうが、あいつは基本ポンコツだ、何をやっても何かしら抜け、ドジが毎回発動している。

 

酷い時には味噌汁と卵焼きが両方共砂糖で凄く甘くなり、食べれるレベルを超えてしまうこともある…

幼馴染みと言うが、お互い両親が居ない。

俺の両親は事故で、ロボ子の両親は大企業KUROMARUの社長と秘書の関係、基本家に帰らないらしい。

 

だからお互い1人で家に住んでる為、たまに互いの家に泊まったりする事もある。

だが基本料理は俺が作ってる、ロボ子の腕前は書いた通りだ、酷いレベルを超えている…その為俺が作っている、腕前?一応お金取れるくらいの腕前はあるらしい(ロボ子談)

 

こう聞いてるとお前ハイスペックじゃねぇか!ってなると思う、だが俺は1つとても苦手な事がある、それは運動だ…

頭に全て集まったと言っても良いのかもしれないぐらいだ…

逆に、ロボ子は料理も出来ないが勉強も出来ない、代わりに運動がずば抜けて高い。

 

お前のスペック全部運動に持ってかれてるんじゃとか思えるくらいだ…100m走なんて女子なのに12秒台を出す、俺か?運動がダメと言ったよな…?察してくれ…

 

長くなってしまったが、俺とロボ子はまるで正反対なんだ、だからこそずっと一緒に居れるのかもしれない。

 

さて、そんな話をしてる間にも学校が終わるようだ…ここからはそんな日常を見てもらおう…

 

 

 

 

 

「あぁ…学校ダルイ…早く卒業したいんだけど…」

 

俺は毎日の学校にうんざりしていた

 

「もう…〇〇はそればっかり、ボクは勉強出来ないから必死だってのにさぁ…」

 

ロボ子は学力ランキング下から数えた方がかなり早いぐらい頭が悪い、さっきも言ったが運動に全て持ってかれてるぐらいだからだ。

 

「だから俺が教えてるんだろ、それなのにちっとも成績が上がらないからおかしい…」

 

俺達は毎日互いの部屋で勉強会を開いている、と言っても俺がロボ子に教えるだけだ、運動を教わろうにも無理だからな…

 

「〇〇の教え方は上手だよ?でも次の日になったら忘れちゃってるんだよねぇ…」

 

こいつ…ニワトリか何かか…?そんなすぐ忘れやがって…

 

「まぁ良いさ、帰ったらまた勉強教えるから」

 

なんだかんだ俺はこいつに勉強を教えるのは嫌いじゃない、寧ろ好きな方だ。

おいそこ、ツンデレとか言うな、男のツンデレとか誰得だ…

 

「毎日ありがとうね〇〇、キミが幼馴染みで本当に良かったよ!」

 

そんな真正面から言われると恥ずかしいな…まぁ、喜んでくれてるなら良いが…

だからツンデレとか(以下略)

 

 

 

 

とりあえず自宅に着いた、俺達の家はアパートで、隣同士だ

 

「んで、今回はどっちの部屋でやるんだ?」

 

ここは毎回聞いておく事にしている、ロボ子も女の子だ、仮に何も言わず突撃して変な物を見てしまったら気まずくなる。

 

「今日は〇〇の部屋で良い?ちょっと片付けが済んでなくて…」

 

…なるほど、やはり聞いておいて良かった。

ロボ子は料理の腕を上げたいらしく、毎日料理をしている。

その残骸が酷いのであろう…

 

「分かった、とりあえず着替えるから10分後に来てくれ、鍵は開けとくから」

 

俺はそう良い部屋に入る、早速着替えてロボ子に教える教科の準備をしなければ…

 

 

 

10分経ったが来る気配が無い…おかしいな…こんな事は無かったんだがな…

いくら幼馴染みと言えど女の子の部屋に無断で入るのは抵抗があるので、携帯で連絡をする。

 

「…出ないな、仕方ない…ロボ子すまんが入らせてもらうぞ?」

 

俺は申し訳なさを持ちつつもロボ子の部屋に入る。

一応俺達はお互いの合鍵を持っている、何かあった時用にだ。

 

 

部屋に入るとロボ子が倒れていた…部屋は荒らされた様子とかは特に無い。

 

「おいロボ子!大丈夫か!しっかりしろ!」

 

声をかけるもロボ子は反応しない、息はしてるのでとりあえずは大丈夫そうだ。

 

「はぁ…寝てるだけかよ…心配させんなよな…」

 

今日の授業は何時もより詰め込みだったせいか、ロボ子のキャパシティが超えてしまったようだ…

仕方ないので、ロボ子の寝室までロボ子を運んで寝かせる、無論お姫様抱っこと呼ばれるやつだ。

おい、これは健全な物語だ、変な想像はするなよ?

 

「ふぅ…とりあえず寝かしたし大丈夫かな…しかし…こうじっくり見るとロボ子って良い顔立ちだよな…」

 

何故その時そう思ったのかは分からない、ただじっくり見たらそんな事を思ってしまった。

おい、俺を変態扱いするな…

 

「さて…台所へ来たが…また酷い有様だなぁ…」

 

台所はとても人に見せる事が出来ない程の惨状だった、おそらく普通の人が見れば逃げだしたくなるんじゃないだろうか…?

 

「アイツが起きてからこれ片付けるとなると大変だろうしな…片付けとくか…」

 

この状況を放っておく事が出来ないので、仕方なく片付ける事にした。

 

「こんなに頑張ってるのにな…上達しないんだから1種の才能なんだろうな…俺も運動全く出来ないし…」

 

男性諸君よ…男ならやっぱり運動出来なきゃだよな…俺は悲しいよ…

 

片付けてるとロボ子が起きてきた。

 

「アレ…?〇〇どうして?」

 

ロボ子はやはり状況が理解出来てないみたいだ、仕方ないよな…

 

「時間になっても来ないから連絡したら出ないからさ、来てみたらお前倒れてるし、焦ったぞ…どこか違和感とかあるか?」

 

実際焦っていた、ロボ子に何かあったらロボ子の両親に顔向けが出来ないからな。

 

「ううん、なんともないよ、ごめんね〇〇。」

 

本人はそう言ってるが顔色は悪い、痩せ我慢しやがって…

 

「今日は勉強会無しだ、そんな状態でやっても頭に入らないからな」

 

むしろこの状況で勉強会出来るのだろうか?どう考えても無理だ。

 

「分かった、本当にごめんね?〇〇…」

 

お前が謝るなよ…変化に気付けなかった俺の落ち度もあるんだからさ…

 

「良いよ、とりあえず材料使わせてもらうぞ?何か作るからちょっと待ってろ」

 

せめて栄養のある物食べて少しでも体力回復して貰わないとな…

 

「冷蔵庫にあるのは好きに使っていいから、ありがとう〇〇…」

 

止めてくれ…そんな弱ってる状態でお礼言われても…

 

「とりあえずもう少し横になってろ、出来たら持ってくから」

 

今は少しでもロボ子を横にしなければ…

 

「分かった、待ってるね」

 

そう言いロボ子は寝室に戻った、心配だが今は料理を作らなければな…

 

 

 

 

 

とりあえず定番でお粥を作った、ロボ子の寝室に持っていき食べさせた。

ん?その描写が無いって?男のアーンって誰得だよ…女性の方が読んでくれてる場合は申し訳ない…主は男なので抵抗があったようだ…

次回以降頑張らせるから…

 

 

 

ロボ子はお粥を食べたらまたすぐ寝てしまった、やはり疲れていたのかも知れない…

 

「ごめんなロボ子、気付いてやれなくて…」

 

俺はそう言いながらロボ子の髪に触る。

サラサラしてて気持ちいいな…

 

「さっきも思ったがやっぱり綺麗な顔だよな…学校じゃモテてるのか…?」

 

ふと疑問に思った、何時も俺とばかり一緒に居るせいか全然気にもしなかった…

1度気になったらどうしようもない…悪い癖だ…

とりあえずロボ子とよく話してる後輩に連絡取ってみるか…

なんでも部活の後輩らしく、ロボ子を迎えに行ったら仲良くなり、連絡先を交換した仲である。

 

「もしもし、〇〇だけど…今時間大丈夫か?」

 

俺は後輩に連絡を取った。

 

「あ、〇〇先輩!お疲れ様です、どうされました?」

 

向こうは大丈夫そうだな、なら早速聞いてみるか…

 

「あぁいや、大した用では無いんだけど、ロボ子って学校じゃモテてるのかな?って…」

 

我ながらアホな質問であった…

 

「ロボ子先輩ですか?〇〇先輩は知らないかもですけど、凄い人気ですよ!学校のアイドルのときのそらさん並に凄いんですから!ちゃっかりファンクラブも出来てるとか…」

 

マジかよ…あのときのそらさんと同じくらいだと…?

あんな運動以外取り柄が無い奴が…?ビックリだわ…

 

「そんなに人気なのか…全然気付かなかったな…」

 

「気付かないのも無理は無いですよ、ファンクラブ暗黙のルールで〇〇先輩とロボ子先輩が居る時は一切手を出さないってなってますから…お似合いのカップルだって話になってますし」

 

おい…なんだそれ…?俺とロボ子がお似合い…だと…?

俺はただアイツのお守りやってるだけだぞ…?

 

「それは大袈裟じゃないか…?俺とロボ子がお似合い?ないない…」

 

俺は素直にそう言った、だが後輩は

 

「何言ってるんですか!学校で仲良く話してる姿を見せつけられてる私達は血の涙を流しながら幸せを願ってるというのに!」

 

それを聞いて流石に俺は引いてしまった…そこまでお熱だったとはな…汗

 

「わ…悪かったよ…とりあえず、凄いモテるって認識で良いな?」

 

俺は早々にこの話題を終わらせたかった、このまま聞いてるとどんどんヤバくなりそうだったからだ…

 

「勿論です!学校の男子の4割以上はロボ子先輩のファンクラブ会員ですからね!残りはときのそらさんのファンクラブ会員らしいです」

 

頭が痛くなった…アイツ人気あり過ぎだろ…

 

「分かったありがとうな、また連絡するよ」

 

もう無理やり話を終わらそう…

 

「はい!〇〇先輩もロボ子先輩をしっかり捕まえておかないとダメですからね!ではまた!」

 

そう言い電話を切る、まさかあのロボ子がなぁ…

確かにアイツは元気の塊で皆によく笑顔を振り撒いてる、それに運動も出来るから健康そのものだ…

勉強が出来ないがそこがまた人気が出る要因なのか…

 

「アイツがねぇ…?」

 

そう言いながら、俺はロボ子の寝室に戻る。

もう少し様子を見たかったからだ。

 

「ロボ子…お前学校じゃ凄い人気なんだな…この際誰かと付き合ってみたら良いんじゃないか…?」

 

ふとそんな事を呟いてしまった…ロボ子が居ないと寂しい気はするが…コイツの為になるなら…そう思っていた。

 

「ん…〇…〇…」

 

急にロボ子が寝言を言い始めたようだ…何だ?俺の夢でも見てるのか…?

 

「〇〇…好き…」

 

は…?コイツ今何て言った…?好き…?俺を?

んなバカな…

俺は突然の出来事で理解が出来なかった…なんでロボ子がそんな事を言ったのか…例え起きても聞くことが出来ないのがもどかしい…

 

 

 

 

それから1時間程様子を見たが、大丈夫そうなので俺も部屋に戻る事にした、もうさっきの事は一旦忘れよう…

 

「はぁ…寝よう…」

 

頭の整理が追いつかないので、何時も寝る時間じゃないがもう寝ることにする…

いくらハイスペックと言ってもな…無理なものは無理だ…

 

 

 

 

 

翌日、ロボ子は普通に元気だった、朝食もちゃんと食べてたし、お昼ご飯もガッツリ食べていた。

その昼休みの出来事だ…

 

「なぁ〇〇、今度のアレ出るのか?」

 

クラスメートの帝が俺に聞いてきた、帝の言うアレとは、3年に1度しか無いイベントで、勝ち残った1人だけが好きな願いを1つだけ叶える事が出来るという、校長自らが発案したものだ。

勿論、人の道を外れる行為等はダメだ、だが付き合うとかのレベルなら可能らしい…

 

「あーアレかぁ…どうするかな…あんまり興味無いんだよな…」

 

俺は素っ気なく返す、本当に興味が無いから仕方ないのだ…

 

「そうか、んじゃ俺が勝ち残ったらロボ子ちゃん貰おうかな」

 

何ともまぁイラつく言い方してくれたなこの野郎…ロボ子を貰うだって…?アイツは物じゃねぇぞ…?こんな奴にはロボ子は渡せないな…

 

「あ?お前には負けねぇからな…?俺も出るわ」

 

切れ気味に挑発を受け取ってしまった、もう後には引けない。

 

「ハッ運動出来ないお前があの体力必須なイベントに生き残れる訳ないだろ?せいぜい指咥えて見てるんだなぁ!」

 

コイツ…ずっとクズと思ったがここまでクズ野郎だったか…絶対負けねぇ…負けられねぇ…!

 

 

 

 

 

イベント当日、俺はロボ子に心配されながらも参加する事にした。

帝なんかにロボ子は渡せねぇ…絶対勝ち残ってやる!

 

「ねぇ〇〇、勝ち残ったら何お願いするの?」

 

ふとロボ子は聞いてきた

 

「ん?考えてなかったな…まぁ学校暫く休ませてくれとかじゃないか?」

 

言いつつもその願い良いなと思っていた、叶うならこの願いが良い…

 

「何そのお願い…苦笑」

 

ロボ子は苦笑いをしていた…こんなぐらいしか思い付かないんだ、仕方ないだろ…

 

その時帝と目が合った

 

「ジュルリ…」

 

コイツ…ロボ子をそんな目で見てやがるのか…絶対負けられねぇ…!

 

「〇〇、ここからは敵同士だからね、容赦しないからね!」

 

そう、このイベントは協力プレイは一応あるが基本個人戦なのだ…例えロボ子でも負けたらそこでリタイア…非情にならなければならない…

 

「あぁ、分かってる、こっちも容赦しない」

 

お互い健闘を称え、別の道を歩く…

 

 

 

 

イベントが始まり、やはり体力が無い俺は狙われた。

やはり弱い者から潰されるのは当たり前なのだ…だが俺はそれを逆手に取り全て返り討ちに成功した。

ん?そこの描写ちゃんと書いてくれ?主の文才…察してくれ…

 

 

 

その後も俺はなんとか勝ち残った、体力は既に限界がきてるが…それでも負けられない理由があるからな、限界なんて超えてやるさ…

 

 

準決勝、俺の相手は帝だった。

 

「〇〇…随分ヘトヘトじゃねぇか…いい加減負けを認めちまえよ!楽になるぜぇ?」

 

随分な事言ってくれるな…お前だけには絶対負けられないからな…

 

「俺にも叶えたい願いが出来たからな!こんなところで負けられないんだよ!」

 

互いに譲れない思いはある、1人はかなり不純だが…

 

「準決勝の種目はボクシングです」

 

おい…こんなズタボロでインファイトやれと…?運営さーん…俺マジで無理よ…?

 

「やってやる…帝!お前はここで俺が倒す!」

 

やっちまったぁぁぁぁ!俺のバカヤロー!

もう…どうにでもなれか…

 

「ヘッ…ボコボコにしてやるよぉ!」

 

帝も準備万端らしい…何としてでも勝たなければ…

 

「それでは始めます」

 

ゴングが鳴った、俺は体力がもう限界超えてるので自らは仕掛けられない、相手が来るのを待つ戦法で挑むしかない。

 

「ウラァ!」

 

早速帝が動いてきた、お前から来てくれるのは助かるよ…

 

「フンッ」

 

ボディがガラ空きだ…俺は知識だけはあるんだ、それをこなす体力が無いだけでな…

 

「グゥッ…」

 

上手く決まったようだ…後は顎を狙って頭を揺らせば…勝てる!

しかし、この時俺は勝ちを焦っていた。

 

「ガァァァァ!」

 

帝の当てずっぽうなアッパーが俺の顎にモロ入った…

しまった…これは…墜ちる…

 

 

カウントが進む…立たないと…立って帝を倒すんだ…そう頭では思っても、身体が動かない…限界を超えていたのにアッパーをモロ食らったんだ…無理もない…

 

(ロボ子…すまん…俺…ダメかもしれない…)

 

俺は心でロボ子に謝っていた…もうダメだと諦めていた…

 

「〇〇!立って!負けないで!」

 

そこにロボ子の俺を呼ぶ声が聞こえた…

不思議と力が湧いてきた…俺は立つことが出来た。

 

「ウッ…ウゥッ…」

 

それでもかなりフラフラだ、次攻撃を貰ったら今度こそアウトだ…

 

「早くくたばりやがれぇぇぇぇぇ!」

 

帝が血走りながら殴りかかってくる、もうこのタイミングしか無い…!

俺は最後の力で拳を振り抜いた。

 

「ガッアァッ…」

 

ボクシングでは良くあるクロスカウンター…もう最後の賭けだった…なんとか決まったようだ…

 

 

 

カウントダウンに入った…後は…俺がずっと立ってれば良い…

そう思っていたのに…勝利を確認する前に、俺は意識を失った…

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたらそこは、保健室だった。

もうイベントは終わっていたようだ…

 

「…イベント!ウッ…」

 

いきなり起きた反動であろう、身体中に痛みが走る…

ただでさえ体力無いのに無理をしたのだ…何も無い方がおかしい。

 

「ハァ…ハァ…俺は…負けたのか…?」

 

俺の問に答えたのは

 

「ううん…帝くんと引き分けたんだよ、〇〇…」

 

ロボ子だった

 

「ロボ子…優勝は誰が…?」

 

俺は優勝した人が気になった…まさかロボ子が誰かに取られる…!?

 

「優勝したのはボクだよ」

 

杞憂だった…

 

「そうか…優勝おめでとう、願いは何にしたんだ?」

 

俺は安心し、ロボ子に聞く

 

「願いはね、保留にしたんだ…」

 

保留にした…?何でだ…?

 

「その場で言わなかったのか、何でだ?」

 

俺は疑問に思った、普通ならすぐ願いを言うものだと思ったからだ。

 

「んー…聞いて欲しい人が居なかったからね」

 

聞いて欲しかった人…?

 

「誰なんだ?その聞いて欲しかった人って」

 

ボーッとしてるからか、間の抜けた質問をしてしまった。

 

「はぁ…鈍いなぁ…キミだよ、〇〇」

 

俺…?

 

「何で俺なんだ?俺が居なくても言えるだろ?」

 

普通なら特定の誰かが居ないと言えないとかはある願い以外はまず無いであろう…ん…?まさか…

 

「キミが居ないとボクの願いは意味無いからね」

 

何となく察してしまった…コイツは…ロボ子は…やっぱり…

 

「ボクはね、キミの事が好きだよ〇〇…幼馴染みだからっていうのじゃなくて、こんなボクでもずっと一緒に居てくれた、そんなキミが好きなんだ」

 

やっぱりか…あの時の寝言は聞き間違いでは無かったという事か…

 

「俺は別にお前に好かれたいから一緒に居た訳では無いぞ?」

 

止めろ…本当はもう気付いてるんだろ…?

 

「俺の両親は他界、お前の両親は殆ど帰らない、だから2人で居ればまだ寂しく無い、そう思ってるだけだ」

 

止めろ…お前の本心はそんなんじゃないだろ…?

 

「俺なんか好きになるんじゃなくてさ、もっといい奴は世の中沢山居るよ」

 

ちゃんと本音を言えよ…!馬鹿野郎…!

 

「そっか…皆の前じゃないとお願いの効果無いもんね…あーあ…振られちゃった…でも、ボクの想いは伝えたつもりだよ、〇〇」

 

そんな顔するなよ…何時もみたいに笑顔でいてくれよ…!

 

「ちょっと今日用事あるから、ごめん先に帰るね!」

 

そう言ってロボ子は走り去って行った…

 

 

 

俺は立てる程に回復したので、先生に挨拶してから帰宅した。

ロボ子からは「もう寝るから、入ってこないでね?入ってきたら襲われたーって皆に言いふらしちゃうんだから」とメールが来ていた。

何だよ襲われたって…人をケダモノ扱いしやがって…

 

俺は寝れず考えていた、何であの時気付いていたであろう気持ちを素直に言えなかったのか…何でロボ子を悲しませるような事をしてしまったのか…

 

考えた結果…俺もいつの間にかロボ子が好きだったんだ…

何時もずっと一緒に居たからこそ気付かなかったこの感情、分かった途端胸が苦しくなった…

 

「アイツ…こんな苦しみにずっと耐えていたのか…ロボ子…ごめん…ごめんな…」

 

俺は、ずっとその痛みに耐えながら夜を過ごした…

 

 

 

 

 

 

目が覚める、時計を見たら遅刻の時間になっていた…

は?遅刻!?ヤベェ寝過ごした!

ロボ子は大丈夫か…?そう思って携帯を手に取ると

 

「熟睡してるようなので起こさないで行きます、遅刻したらドンマイ♪」と書いてあった…ロボ子ー!

 

叫んでも仕方ない、とにかく急いで準備して行かなくては…

そして…ロボ子に…

 

 

 

 

 

学校に到着した、今日は全校集会からのスタートなので全員体育館に集まっていた。

 

「なんとか間に合って…無いやこれ…汗」

 

校長の話が始まっていた、遅刻は免れない…

 

「さて、私の話はこれぐらいにして昨日のお願いをそろそろ言ってもらいましょう、ロボ子さん、前に」

 

ここでロボ子が呼ばれた…そうだった…アイツ建前上保留にしてたんだった…

 

「さぁロボ子さんお願いを言ってください、人の道を外さない程度なら聞き入れますよ」

 

本当これ太っ腹だよな…なんでも1つだけ願い叶うなんて…

 

「はい、ボクの願いは…もう叶いません」

 

この発言で生徒、教師から戸惑いの声が出ていた。

勿論俺も戸惑っている

 

「それはどうしてですか?ロボ子さん」

 

校長も困惑してるようだ…当たり前だ、昨日保留にしてくれ言ったのに今日になったらやっぱり無理だなんてなったんだから…

 

「ボクの願いは、既に叶ってるようなものです、これ以上は望みません」

 

全体がどよめく…そうなると今回の願いはどうなるのか、その話が聞こえてくる。

 

「ではロボ子さん、願いを言わないで良いんですね?」

 

校長は最終確認をしてきた。

 

「はい、でも…もしワガママが許されるなら、この願いの権利を〇〇くんに譲渡したいと考えています」

 

は?何で俺に…?俺だけじゃない、皆もポカーンとしてる…

 

「それはどうしてですか?ロボ子さん」

 

校長は平静を装ってそう聞く

 

「〇〇くんは、学力はランキング上位です、ですが体力はからっきしダメです、それなのに準決勝で帝くんと相打ちにまで体力を使った、ボクはこの光景を見て出来る事なら彼にこの権利を渡したいと考えていました」

 

(驚いた…あのロボ子がここまで考えていたなんて…じゃあなんで昨日俺に…)

俺の問に答える者は居ない…

 

「少し待機してて下さい、教師の方達は集まってください」

 

どうするのよこれ…俺に権利譲渡されても…

いや…これを使ってやるのも良いのか…でも…

 

 

 

「お待たせしました、ロボ子さんの提案、承諾します」

 

…通っちゃったよ、俺逃げた方が良いのか…?

 

「おい、あそこに居るの〇〇だぞ!」

 

あ…バレた…もう手遅れか…

 

「〇〇くん、前に来てください」

 

校長からも呼ばれた…腹を括るか…

 

「さて〇〇くん、ロボ子さんからあなたに権利の譲渡が行われました、理解してますね?私達教師陣も、昨日のあなたの頑張りがあったからこそロボ子さんの提案を承諾しました。覚悟は良いですね?」

 

校長から変な圧力感じる…これ逃げたら本当に洒落にならないか…

 

「はい、覚悟は決まってます」

 

俺はそう答えた、もうこの際ヤケだ、当たって砕けろだ!

 

「では、願いを言ってください、人の道に外れない程度なら構いません」

 

きた…この権利を使えば…着飾らなくいけるか…

 

「はい、俺の願いは…ロボ子さんと付き合いたいです」

 

言った…これでどんな反応来ようとも耐えてみせる…

 

「ウォォォォォォォォォ!」

 

え…?何この騒ぎよう…汗

 

「〇〇…」

 

え…?ロボ子に至っては泣いてる!?

 

「ちょっロボ子何で泣いてるんだよ!?泣かないでくれって…」

 

俺はここ1番で動揺していた…

 

「おめでとうーー!」

 

何故か皆から祝福された…まさか後輩が言ってたアレは本当の事だったのか…

 

「はい、これでお願いの件も終わりましたね。これにて全校集会を終わります、授業の準備をして下さい、解散!」

 

俺状況把握出来てない…置いてけぼりだわ…でも1つ言える事は、ロボ子と…付き合えたって事…かな…

 

 

 

 

 

その日は皆から茶化されたり祝福されたりした、まさかの帝も祝福してきた。

何でも俺とロボ子の関係が煮えきらないから発破をかけたらしい…いやすまん…本気でお前をぶちのめそうと考えてたよ…俺…

だってジュルリだぞ!?普通やらないよあそこまで!

 

 

 

 

帰り道、ロボ子は終始無言だった。

俺もアレから声をかけていない、どんな言葉をかければ良いか分からなかった…

 

「「あの!」」

 

2人の声が被った…

 

「あ、ロボ子から良いよ」

 

俺はロボ子に先に言ってもらう事にした。

 

「何で願いをあんな使い方したの?休みたいんじゃなかったの?」

 

やっぱりそれか…まぁ分かりきってた事だ、答えなきゃいけないのはな…

 

「昨日、お前の辛そうな顔見てさ…その後帰ったろ…?アレからやっと俺も決心ついたっていうか…やっと自分の気持ちに素直になれたっていうか…」

 

俺の話を真剣な目でロボ子は聞いていた

 

「夜もさ、ずっと寝れなくて…そこでお前の事が好きって気付いたんだ…そしたらこう…胸がずっと苦しくてさ…こんな苦しみずっと味わってたと思うと申し訳なく思って…本当は起きた時にでも話したかったけど先に行っちゃってたから…」

 

ロボ子はそれを聞くと少し俯く…

 

「それで結局遅刻したけど、ギリギリ権利の話聞いて、俺に譲渡されて、あんな場面でお前と付き合いたいって言っちゃったんだよ…」

 

ロボ子は俯いた顔を上げ、まっすぐこちらを見る…

 

「その場の勢いで言ったって事…?ボクは本気で好きって言ったつもりだよ…?」

 

「違う!俺も好きだ!好きだったんだよ…」

 

俺は懺悔も込みながらそう言った

 

「じゃあ…証明してよ…ボクを好きだっていう証明を…!」

 

ロボ子は目に涙を溜めながら俺に訴えかける

 

「…分かった、ロボ子…目を瞑ってくれ…」

 

もうここまできたら決心しなきゃな…ちゃんと…伝えなきゃいけないんだ…

 

「ロボ子、俺は…お前が好きだ、これが…俺のお前への好きの証だ…」

 

そう言い、ロボ子の唇にそっとキスをした…

 

「っ!」

 

俺がキスをした途端、ロボ子は目を見開いて涙を流していた…

俺にはその涙が嫌悪の涙には見えなかった、幸福を帯びてるようにも見えた…

 

 

 

 

 

 

こうして、俺はロボ子と正式に付き合う事になった。

ロボ子の両親にも挨拶に行った、2人共俺達が付き合ったのを祝福してくれた。

ただクロマルさんからは「娘を泣かしたら…どうなるか分かるよね?」

と言われた…クロマルさん…後ろから出るオーラがドス黒かったですよ…滝汗

 

 

その後、俺の両親の墓参りにも行った、きっと喜んでくれてると思う…

 

 

「ほら〇〇!遅刻しちゃうよー?」

 

「ロボ子…いい加減塩と砂糖間違えないでくれ!食べられる料理が食べられなくなるのは辛いんだ!」

 

それからの生活は、俺が住んでた方の部屋を離れ、ロボ子の部屋で同棲する形になった。

学生だからな、不純な事は何1つ無い。

ただ…付き合い始めてからロボ子がベタベタとくっついてくるようにはなったな…

 

 

「もう!ボクだって料理上手になったんだから!〇〇だって褒めてくれたじゃん!」

 

そう、あれからロボ子は料理が上手になったのだ。

俺に美味しく食べて欲しいと決心し本気で料理の勉強をしたようだ…

え?学業の方の勉強?そっちは相変わらずからっきしだな…うん…

 

「そりゃ上手くはなったが最初に比べたらの話だ!今でもまだお世辞にも上手いとは言えないよ!」

 

俺だから食べられるってのもあるけどな…というか、ロボ子の料理を他の奴に食わせはしない、絶対に…ロボ子の料理は俺だけの物だ!

 

「むー!絶対上手いって言わせてやるんだからー!」

 

「はははっ俺のレベルになってから言うんだな!」

 

俺はちょっと意地悪風にそう言った。

 

「絶対負けないんだからー!」

 

 

 

 

 

 

 

付き合うに至っての過程がちょっとアレだったが、今では良かったと思ってる。

人よりちょっと違う感じでの過程だと、記憶に残りやすい、そう俺は思ってる…




ここまで読んでいただきありがとうございます
いや何ていうか…途中情景書けなくて端折りました…滝汗
これは自分の落ち度ですね…素直に反省しなければ…
これからもこんな感じのハッピーエンドになれるように頑張っていきますので、次のお話も是非読んでいただけると幸いです。


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とあるろぼさーの奇跡

どうもですm(_ _)m
有給を使いまして書いちゃいました…汗
さて、今回は前の2つのお話よりかなり短いです。
理由としましては、今回のお話は当初書く予定では無かったものなのです。
じゃあなんで書いたか…?それはちょっとした思いつき、と言いましょうか…やっぱり書こう!って思ったのです。
前の2つのお話より甘さは無いと思います…

ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


この世界には動画を配信する場所がある。

そこでは生身の人間が配信していれば、そうでない者も居る。

今回のお話は、そんな配信者を応援している人間のお話…

 

 

「はろーぼー!今日も来てくれてありがとう」

 

 

「あ!Aさん、Bさん、スパチャありがとう!あー!〇〇さんもスパチャ何時もありがとう!そんな無理しないでね?」

 

 

この配信者はロボ子さん、生身の配信者ではなく、バーチャルな配信者だ。

 

 

自分、〇〇はこのロボ子さんが好きで応援している者だ。

少し前に、スパチャという金額に応じて送ったコメントが滞在するシステムが実装されたらしい。

そこで、実装された初日から自分はスパチャを送っている。

金額?そこはよりけりだ…

 

 

「今日のふつおたはこれから、ペンネームCさん!」

 

 

ほぅ…今日はCさんが読まれたか…自分のも読まれたら嬉しいが難しいからな…

 

 

「ロボ子さんはろーぼー!僕もロボ子さんと同じ場所に行ってロボ子さんと握手したいんですがどうすれば行けますか?」

 

 

おいCさん…それはかなり無茶な質問だぜ…?自分達は人間、ロボ子さんはバーチャルな存在なんだ…奇跡でも起きない限り無理だと思うよ…?

 

 

「んー…それは厳しいかなぁ…でも、時代は進歩してきてるからもしかしたら皆がボクのとこまで来れる事もあるかもしれないね?」

 

 

上手いこと返したなぁロボ子さん…まぁでもそうだよな…時代は変わってるんだ、本当にあってもおかしくないかもな。

 

 

「今日は来てくれて本当にありがとう、おつロボ…です♪」

 

 

ロボ子さんの配信が終わった、初期から観てるが日々高性能になってるのが分かる。

説明するとロボ子さんは高性能ロボットバーチャルな配信者だ。

ネコ耳とメガネをかけており、ボクと呼ぶ所謂ボクっ子だ。

ネコ耳とメガネは外してる時もある、後はヘッドホン付けてたり

 

 

「はぁ…今日も楽しかった、バイト行ってくるか…」

 

 

自分はロボ子さんを応援する為にバイトをしている、接客業は大変だが、これもスパチャを送る為だ。

もっと応援したいからな

 

 

 

 

 

「…時間なんで、お先に失礼します。」

 

 

今日のバイトが終わった、後は帰って寝るだけだ。

ロボ子さんの配信は基本夜だから、朝方にバイトを入れるようにしてる。

たまに深夜ゲリラもあるが、その時は観れたり観れなかったり…

朝方バイト、寝る、起きて色々する、ロボ子さんの配信を観る、朝方バイト、というサイクルだ。

色々って何だって?炊事洗濯とかだよ、自炊出来なきゃ生きていけないからね。

 

 

「あぁ…今日も疲れた…早く寝よう…」

 

 

この時の自分は本当に疲れていた。

直ぐにでも寝たかった、でもそんな時程邪魔は入る…

 

 

ピンポーン

 

 

誰かがチャイムを鳴らした、こんな眠い時に止めて欲しい…

 

 

「〇〇さーん、お届け物でーす!」

 

 

お届け物…?何も頼んだ覚えは無いんだけど…

 

 

「どこからのだ…?〇△ライブ…?知らないところだな…」

 

 

届け物の中身は、USBメモリ1つと手紙が1通のみだった。

手紙には、夢を1度だけ叶えてあげます、とだけ書いてあった。

正直意味が分からなかった、夢?こんな事で叶ったら苦労はしないと思うのは自分だけでは無いはずだ。

 

 

「どうにも胡散臭いな…これは使わないでおくか…」

 

 

流石に危ないと思ったので、箱に戻してしまっておく。

 

 

「さぁ、もう寝よう…ロボ子さんの配信観れなくなる…」

 

 

自分の意識はそこで途切れた…

 

 

 

 

 

夢を見た…

 

 

そこで誰かが自分に声をかけてくる…

 

 

(夢を…叶えて…)

 

 

夢…?夢見てるのに夢って…それに何を言ってるんだ…?

 

 

(あなたには…夢を叶える権利がある…)

 

 

権利…?あの胡散臭いUSBメモリの事言ってるのか…?

流石に怖くて使えないんだが…

 

 

(夢を…叶えて…)

 

 

そこで目が覚めた…結局何を伝えたかったのか分からなかった。

 

 

「はろーぼー!今日も皆に会えて嬉しいなぁ」

 

 

ロボ子さんの配信は癒される…これがあるから毎日の辛いバイトも乗り越えられる…

 

 

今日も配信が終わった、これからバイトの準備をしなければ…

その時に気付いた、箱からUSBメモリが出ていたのだ。

ちゃんと箱に入れてたのに…まさか呪われてるのか!?

 

 

ズズッ…ズズッ…

 

 

USBメモリが動いてる!?

ヤバいマジで怖い!

ほっぺ抓っても痛みがあるから現実だよこれ!?

 

 

USBメモリはPCのUSBの差し込み口に向かっている…おい…止めろ…

願いは虚しく、USBメモリは差し込まれた…するとPCが急に光りだし、自分はその光に飲み込まれた…

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこは、桜が咲いていた。

この光景は見た事ある、前にロボ子さんがバーチャルお花見で使ってたとこだ…

 

 

「どうしてここに…部屋に居たはずなのに…」

 

 

情報整理が追いついてなかった…

 

 

「あれ?キミ誰…?」

 

 

振り返るとそこにはロボ子さんが居た…え…?何で…?

 

 

「え…ロボ子…さん…?」

 

 

「うん、ボクは高性能ロボットのロボ子さんだよ?」

 

 

あぁ…この声、この姿、間違いなくロボ子さんだ…でも何でだ…?ロボ子さんはバーチャルな存在…ん?バーチャル…?桜もバーチャル、ロボ子さんもバーチャル、それがここにいる…

まさか…自分がバーチャル世界に…!?

 

 

「ねぇ?大丈夫?」

 

 

ロボ子さんは心配そうにこちらを覗き込む。

 

 

「あ、大丈夫ですよ、自分の名前は〇〇です、初めまして」

 

 

自分はこんな状況でも律儀に挨拶をする、もうちょっと慌ててもおかしくないんだけどね…

 

 

「〇〇さん!?ろぼさーさんだね!何時もスパチャありがとう!でもあんなに大丈夫?無理してない?」

 

 

ロボ子さんはそう言いながら自分と握手をしてくれた、嬉しいなぁ…気遣いも高性能だ…

 

 

「自分は大丈夫ですよ、無理はしませんし、好きでやってる事ですから」

 

 

自分の本心を素直に伝えた、好きだから、応援したいからやってるんだ。

 

 

「なら良いんだけど…それよりも、どうしてここに来れたの?〇〇さんは人間だよね?」

 

 

それは自分も知りたい、ただ心当たりがあるとしたらあのUSBメモリだ…アレのおかげで来れたのかもしれない…

 

 

「えーっと…知らないところからの届け物で、USBメモリが入っててそれ繋げたらここに…奇跡みたいなものですよ」

 

 

嘘は言ってない、本当にそれで来てしまったのだから…

 

 

「そっか…ボクも奇跡を目の当たりにしたって事なのかな?」

 

 

ロボ子さんは笑いながら言う、自分も少し笑えてる気がする。

 

 

「そうだ〇〇さん、現実の世界ってどんな感じ?ボクに教えてくれない?」

 

 

ロボ子さんは高性能だから聞かなくても分かる気がするけど…まぁ当たり障り無い事だけで良いか…

 

 

「えっと…毎日誰かが働いたり、笑ったり、時にはいがみ合ってたり、色々大変ですよ」

 

 

間違ってはないはずだ、あまり多く語ってもアレだから…

 

 

「そっかぁ…ボクの配信の時くらいは辛い事忘れてもらえたら嬉しいなぁ」

 

 

ロボ子さん大丈夫ですよ…配信の時は何もかも忘れられてますから…

 

 

「少なくとも自分は楽しめてますよ、辛い事も忘れられてますし。むしろロボ子さんの配信観れなかった時が辛いです」

 

 

本当に楽しめてるからこそ偽りなく言える。

 

 

「ありがとう、そう言ってくれるとボクも嬉しいよ」

 

 

ロボ子さんは笑顔で自分にお礼を言ってくれた、お礼を言うのは自分達の方なのに…

 

 

「そうだ!折角だから何か聞きたい事とかある?何でも答えてあげるよ?」

 

 

願ってもない申し出だ、ここはちょっとイタズラでも…

 

 

「じゃあ…ずっと前から好きでした、付き合って下さい」

 

 

ん…?自分今何て言った…?イタズラのはずが告白して無かったか…!?

顔を上げるとロボ子さんは顔を真っ赤にしていた。

 

 

「…バカだなぁ、ボクはバーチャル、〇〇さんは人間だよ?」

 

 

だよね…我ながらアホな事しでかしたと思った…

 

 

「でも…嬉しいよ、その気持ちは本当に嬉しい、ありがとう」

 

 

まぁ、振られちゃうよね…というか実ったら実ったで危ない気がするけど…

でも振られたと言ってもそんなんで応援は止めない、好きでい続けるのは自由なのだから…

 

 

「これはお礼だよ」

 

 

ロボ子さんはそう言って、自分の頬にキスをした。

え…!?キス!?

 

 

「イヒヒ♪どうだった?ボクのキスは」

 

 

いきなりの事でどうと聞かれても…

 

 

「や…柔らかかった…です…」

 

 

そう答えるのが精一杯だった、自分の顔はきっと真っ赤になってるだろう…

するとロボ子さんはまた近付き…

 

 

「ボクのファーストキスだったんだよ?」

 

 

耳元で囁いてきた…余計に顔が真っ赤になった気がする…

 

 

「な…!?」

 

 

自分はもうあたふたするしか出来てない…

 

 

「〇〇さんって面白いね!ボク好きだなぁ…〇〇さんみたいな人」

 

 

ロボ子さん…恥ずかしいからもう止めて…そろそろニヤケちゃう…

 

 

「あれ…?〇〇さん身体が…」

 

 

そう、自分の身体は少しずつ消えていっていた。

そろそろ時間切れのようだ

 

 

「ロボ子さん、自分はそろそろ戻らないといけないみたいです。楽しい時間をありがとうございました。あ…後…ファーストキスも…」

 

 

自分は恥ずかしがりながらもお礼を言った、こんな奇跡はもう2度と起きないであろうから。

 

 

「うん、ボクも楽しかったよ!〇〇さん」

 

 

「次の配信も楽しみにしてますね、それじゃあ!」

 

 

自分がそこまで言うと、ロボ子さんの前から消えた…

 

 

 

 

 

 

気付いたら自室に居た、頬のあの感触はまだ残っていた。

 

 

「アレは夢じゃなかったんだな…」

 

 

そう思うとまた顔が熱くなるのが分かる。

ふと時計を見るとバイトまでの時間が残り僅かだった。

 

 

「ヤバい…!バイト遅れる!?」

 

 

自分はすぐ準備をしてバイトに向かう。

今日のバイトはいつも以上に頑張れる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はろーぼー!こんろー!」

 

 

今日もロボ子さんの配信を観ている。

皆スパチャ送ったりはろーぼー!と言ったりしている。

 

 

「Aさん、Bさん、Dさんスパチャありがとうございます、あ!〇〇さん!スパチャありがとう!」

 

 

自分のスパチャに気付いてくれたロボ子さんは気持ち声を高めてくれた気がする…何か嬉しいな

 

 

パチン

 

 

え…?自分を呼んだ後ウインクした…?

コメ欄まで荒ぶってるし…

 

 

「何時も応援ありがとう…皆無理しないでね…?」

 

 

囁き声で言ってくれた…

 

 

 

 

 

 

 

あの日バイトから帰るとあのUSBメモリは無くなっていた、お届け物の箱も消えていた。

あの思い出は誰にも言う事は出来ない、いや…言ったところで誰も信じないだろう。

生身の人間がバーチャル世界に入ったなんて、普通の人が聞いたら世迷言で済まされる。

でも、自分は実際に入ってしまった、そしてロボ子さんと出会えた。

奇跡、この言葉が1番しっくりくるだろう…

きっとこれからもロボ子さんはどんどん有名になるし、色んな方ともコラボをする、スパチャも気にしなくなるかもしれない…

それでも応援する事を辞めない、応援したいから、好きだからやれてる事だから…




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
今回のお話はタイトル通りもし奇跡があったら…という1幕でございます。
多少無理やり感あったのは否めないですがね…
これが現実になったら知ってる方は悶えたりするのでは無いでしょうか…?

ではでは、また次回のお話まで…失礼いたします…


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警察官の受難

まさかの連続投稿でございます…
ただですね…自分に戦闘描写は向いてないと痛感しました…
素直にラブコメ的なの書いてた方が良いのかもしれません…
そして今回も9000文字近い…さっきのは減らせたのに…何でだ…

ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


何時の世も犯罪は無くならない、それでも犯罪に立ち向かう人間は居る。

これは、情熱を持って犯罪に立ち向かった1人の人間のお話…

 

 

 

 

 

 

「観念しろ!お前はもう包囲されている、無駄な抵抗はするな!」

 

俺は犯人にそう告げ、拳銃を構える。

 

「うるせぇ!こっちには人質が居るんだ!テメェらは俺に手を出せねぇよ!」

 

その通りなのだ…今犯人の側には人質が居る、しかも同じ警察の人間なのだ…

 

「〇〇くん!ボクに構わずコイツを取り押さえて!ここで逃がしたらそれこそ大変だ!」

 

叫ぶ警察…婦警のロボ子だ、一応俺とコンビを組んでるヤツだ。

だがコイツ…ドジなんだ、犯人に捕まったのだって威嚇射撃するはずがロックを外してなかったなんてオチだ…アレで俺より警官歴先輩なんだぜ?笑っちゃうよな…

 

「いやアンタが変にジタバタするから撃ったら当たるっての!」

 

あんなんでも女性だ、傷でも付けたらこっちが訴えられたらたまったもんじゃない…

 

「〇〇くん…」

 

何故かロボ子は目をウルウルさせている、どこに感動する要素があったよ…バカか…?

 

「おいテメェら…俺様を無視すんじゃねぇ!」

 

犯人の怒りは更に上がってしまったようだ…いやまぁ…うん…ごめん、ちょっと同情するわ…

 

「隙アリ!」

 

犯人の怒りが上がって冷静さを欠いたところに、ロボ子が相手を取り押さえた。

久々に見たな…ロボ子が犯人取り押さえるの…

基本取り押さえるのは俺の役目だ、何でかって?それは…

 

「現行犯で逮捕する!」

 

ガチャン!

 

「あ…」

 

そう、さっきドジと言ったな…ロボ子は手錠をかける時何故か自分にかけてしまうんだ…

 

「バカヤロー!また自分にかけやがったなー!」

 

俺は堪らず叫んだ、何度も同じ光景見れば誰しも俺と同じ気持ちになるだろう…なる…よな…?

 

「ヘッバカめ!アバヨ!」

 

犯人はその隙に逃げ出していく、だがロボ子がこんなヘマして毎回取り逃すのは分かりきっている、だから俺は拳銃を発砲した。

 

ダン!ダン!

 

「グゥッ…」

 

射撃の腕はそんなに良くないがまだ至近距離だ、少し下手でも狙える

あ、麻酔弾だからグロッキーな事にはならないぞ?何でも1発で瞬時に動きを止められるらしい。

2発撃っちゃったなそう言えば…気にしないようにしよう…

 

「〇〇くんありがとう…本当ボクはダメだなぁ…」

 

今回のロボ子はしょげている感じだな…何時もは「〇〇くんありがとう!助かったよ!」な感じなのに…

そんな表情なのに怒れないな俺は…そう、俺は…

 

「気にすんなよ、もうアンタのドジは見慣れてる」

 

基本1日に10以上のドジを見れば嫌でも慣れる、酷い時はお茶を署長の頭にぶっかけたりだからな…あの時の署長は頭火傷していた…

 

「ボクはドジじゃないもん…ちょっと抜けてるだけだもん…」

 

それがドジって言われてるものなんだが…もう良いや…

 

「んじゃとりあえず、手錠かけてくれ」

 

犯人を連行する為に手錠をかけてもらう。

 

「うん、今度は間違えないからね」

 

ガチャン!

 

ん、今回はちゃんとかけたな…こんな動けないヤツじゃなくて動いてるヤツにかけられれば良いんだが…

 

「さて、これで完了かな…?んじゃ行きますよ、先輩」

 

年齢は一緒なんだが、警官歴は向こうの方が長いので一応先輩と呼んでる。

 

「あ、うん今行くね」

 

正直何でこんな人が婦警になれたのか疑問だ…拳銃のロックは外さないで撃とうとする、手錠は自分にかける、これでよく怒られないよなぁ…

 

 

 

 

ナニサー警察署、ここが俺とロボ子が所属している警察署だ。

ん?何か聞いた事ある?気のせいだろ…

 

コンコン「〇〇、ロボ子、戻りました」

 

戻る度に署長に挨拶を入れる、これが署のルールとなっている。

 

「ウム、入りたまえ」

 

許可が出たので部屋に入る

 

「失礼します、無事犯人を逮捕しました、ロボ子先輩は相変わらずでしたが…」

 

そう言うとロボ子は顔を少し青ざめた、だってなぁ…嘘ついてもダメだろ…

 

「そうか…ロボ子くん、君は〇〇くんにまた助けられたようだね」

 

「はい…お恥ずかしい話ですが…」

 

2人のやり取りを俺は遠目で見る

聞いた話だと、署長とロボ子は親戚らしい…まさかコネで入ったとかじゃないよな…?警察は市民の命を守る職業だ、ただの税金食らいなんて要らないんだぞ…?

 

 

 

 

 

その後、報告を済ませた俺達は少し休憩していた。

 

「はぁ…」

 

ロボ子はまだ落ち込んでいた

 

「そんな落ち込んでてどうするんすか?先輩」

 

正直ずっと落ち込まれてるとこっちも気が滅入る、早く元気になって貰いたいのだ。

 

「うん…でも〇〇くんに頼りきりってのも辛くて…」

 

まぁ俺も早くアンタには1人前になってもらいたいけどな…なんで後に入った俺が1人前になってるのにアンタはまだなのか謎だよ…

 

「そう思えるならまだ大丈夫っすね、これで何も考えて無かったらキレてましたけど」

 

キレるのは嘘だ、この人は多少大袈裟に言わないと危機感持たないからな…

 

「怒られるのは勘弁だよ…もっと頑張るから…」

 

そう涙目で訴えかける、可愛い…じゃない、ホントアンタ警察向いてないよ…

 

「はぁ、仕方ないパトロール行きますよ先輩」

 

そう言ってロボ子の手を取り、警察署を後にする。

さっきの犯人逮捕で俺達の仕事は一旦区切りが付いた、緊急要請が無い場合ある程度の自由が効く

その場合車はパトカーではなく普通の車に乗らなければいけないが…まぁパトカー乗って威嚇してはダメなんだろう…俺としてはどうでも良いが…

 

 

 

 

 

 

「はい、着きましたよ先輩」

 

そう言い着いたのはTDL(とてもデンジャラスなランド)だ

ここのアトラクションは基本何でもスリルがある、気分を晴らせるには近場だとここが1番だ。

 

「え…いくら何でも此処は…」

 

ロボ子は戸惑っている、無理もない…この場所は過去に大事件があった場所だからだ…しかも被害者多数出ており、その中には俺の家族が…ロボ子はそれを気にしてるんだろう…

 

「俺の事心配してるんなら気遣い無用っすよ、今はモチベ上げなきゃですから」

 

嘘だ、此処は今でも俺にとって因縁が大き過ぎる、そんな簡単に割り切れるものでも無い…

それでも今はこの人の元気を出させなきゃいけないんだ。

 

「うん…じゃあ行こっか」

 

ロボ子は何とか承諾してくれた、とりあえずは元気出させるか…

 

 

 

 

 

 

 

それから色々なアトラクションに乗った、高速回転するコーヒーカップ、上下に動き過ぎるメリーゴーランド、リアル過ぎるお化け屋敷、etc…アトラクションに乗っていく内に、ロボ子の表情はどんど明るくなっていった。

なんとか元気出てくれたみたいだな…何よりだ

 

 

 

 

 

「ほい先輩」

 

俺はロボ子にハチミツ入りのドリンクを渡した、絶叫してたりとかあったからな…喉は大事にしなければ…

 

「ありがとう〇〇くん、喉乾いてて…」

 

そりゃあね…あれだけ叫べばね…お化け屋敷の時なんて叫び過ぎてお化け役逃げたぞ…?鼓膜がどうとか言ってたし…

 

「少しは喉を労わって下さいよ、先輩」

 

喉は心配だが、ちゃんと元気にはなってるみたいだ。

 

「まぁ、元気出たみたいで良かったっすよ」

 

素直にそう言った

 

「うん、元気出たよ、ありがとうね〇〇くん」

 

これなら次の出動も大丈夫だな…

 

プルルル…プルルル…

 

突然携帯が鳴った、警察官に渡される専用の方の着信音…どこかで事件が!?

 

「はい、〇〇です」

 

俺はすぐ出た、内容からするとこうだ

長顎団がTDLに潜んでる事が分かったらしい、付近に居る警官は現場に急行せよ、との事だ…俺達現地なんですが…

 

「先輩、長顎団がここに潜伏してるらしいです、探しますよ」

 

俺はロボ子にそう伝える

 

「分かった、1度車に戻ろう、手錠と拳銃持たなきゃ」

 

ロボ子は1度車に戻ろうとする、だが俺は

 

「いや、ここはテーマパークですよ?そんな中拳銃持ってるのがバレたら営業妨害になりかねないです、それに俺達の他にも来ます、俺達が探し、他が捕まえる、これがベストかもしれません」

 

危険性を考えてロボ子を説得する、なんとかロボ子は折れてくれた…

 

「分かった、じゃあ探しに行こう」

 

そして長顎団の捜索が始まった…

 

 

 

 

 

 

 

捜索から30分、それらしい所を見付けた…

俺とロボ子が入ったリアル過ぎるお化け屋敷だ…

ロボ子は悲鳴あげまくってたから気付かなかったかもだが、厳重に守ってる扉が1つあった…関係者以外立ち入り禁止の立て札も特に無いのに厳重に守る…怪しい…

 

 

「先輩、もう一度お化け屋敷に入りますよ」

 

俺はお化け屋敷に入る為ロボ子に伝えた、しかしロボ子は

 

「え!?ボク嫌だよ!怖いの嫌だ!」

 

駄々をこねた…おい…アンタ大人でしょうが…

俺は面倒くさくなったので

 

「分かりました、じゃあ先輩は来なくて良いです、署に連絡だけはお願いしますね」

 

そう言い残し俺はお化け屋敷に入って行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

ここだ…ここが怪しい扉だ…

 

「すいません、警察の者なんですが少し調べさせていただきます」

 

俺は多少強引ながらも扉を開けようとする

 

「ちょっ困りますよいきなりそんな事言われても」

 

スタッフは困惑している、しかしこっちも任務なんだ、無理やりにでも入らせてもらうぞ…

 

「これ以上抵抗されるとこちらにも考えがありますが?」

 

ここだけ聞くと悪役こっちだな…でも仕方ない

 

「…分かりました、どうぞ…」

 

なんとか入れそうだ…

 

バリリリ!

 

「っ!?」

 

突然後ろからスタンガンらしき物を押し付けられた…俺は対応出来ずに倒れ込んだ。

 

「チッ…予想以上に早くバレたな…オイ、コイツ連れてけ」

 

微かに聞こえるがやはり黒だったようだ…マズイな…ロボ子…頼むぞ…

 

 

 

 

 

 

その頃のロボ子

「はぁ…ボクが悲鳴あげて大変だったってのにまた連れてこうとするなんて…〇〇くんは意地悪だなぁ…とりあえず連絡入れなきゃ」

 

〇〇の言った通り、署に連絡を入れる

 

「こちらロボ子、長顎団の潜伏場所らしきものを発見しました」

 

「ウム、そこに〇〇くんは居るか?」

 

「いえ、〇〇くんは居ません…単独で乗り込んで行きました…」

 

後ろめたさがあったが、素直に答えた

 

「やはりか…〇〇くんの発信器がロボ子くんの側に反応していない…」

 

え…?発信器なんて付けてたの…?

 

「ボクはこのまま待機して他の人が合流次第突入します」

 

ボクは1人で行きたくないので待機しようとした、けど

 

「いや、ロボ子くん、〇〇くんは1人で乗り込んで行ってから何分経った?」

 

「え…?15分…ですかね…」

 

そう言うと署長は

 

「おかしいな…彼ならどんな任務でも10分以内にケリをつけてた…何かあったか…?」

 

10分!?〇〇くんそんなに凄い人だったの…?

 

「ロボ子くん、すまないが1人で突入してくれたまえ…彼が心配だ」

 

署長はボクに1人で行けと言ってきた…怖いけど…やるしかないよね…

 

「分かりました、ロボ子、突入します!」

 

意を決してお化け屋敷に突入する、手錠と拳銃は持った、本当は合流してからが良かったけど仕方ないよね…

 

 

 

 

 

扉の前に着いた、すると下に〇〇くんのバッジが落ちていた…

 

「〇〇くん…!」

 

急いで扉を開けるとそこには…〇〇くんが1人で6人を相手にしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

長顎団の1人に殴られる…クソッ…まだ身体の自由が…

 

「どうしたよ警察官様よぉ!」

 

別の人間に蹴りを入れられる…やりたい放題しやがって…

 

ロボ子はちゃんと連絡入れたよな…?流石に忘れたなんてだったら洒落にならないぞ…?

何とか時間稼ぎぐらいにはならないと…

 

 

その時扉が開く…

 

 

「〇〇くん!」

 

ロボ子が来た…あれ…?1人!?

 

「おい…先輩…他の人は…?」

 

俺は微かに出る声でそう聞いた

 

「大丈夫、すぐ皆来てくれるよ、ボクが先んじて来たんだ」

 

そうは言ってるが…不安だ…とりあえず、あと少しで自由が効くようになる…

 

「おいおい…姉ちゃん1人で俺達を相手してくれるってかぁ?」

 

長顎団の1人が舌舐りしながら言う

 

「観念しなさい!直にお前達は包囲される!」

 

ロボ子…それじゃあまだ猶予がある言い方になっちまうからアウトだ…あ、痺れ取れた…

 

「じゃあ来る前に楽しまないとなぁ…!」

 

別の1人がロボ子に襲いかかる…

 

「させるか!」

 

俺はやっと自由になった身体でロボ子に襲いかかったヤツを蹴り倒す。

 

「〇〇くん…大丈夫なの…?」

 

ロボ子は心配そうに聞いてくる

 

「当たり前っすよ、俺は元々肉弾戦派なんで」

 

射撃の腕前はそんなになのは言ったな、俺は肉弾戦が得意なんだ

 

「チッ…おい囲めぇ!一斉に行くぞ!」

 

一際顎が長い奴が指示を出す、アイツが頭か…?

 

「先輩、俺が確実にさっきのヤツみたいに仕留めてくんで、手錠頼みますよ…ここでドジはマジ勘弁です」

 

俺は念押しに言った

 

「分かってるよ!ちゃんとやるよ!」

 

ロボ子は若干キレ気味にそう言った

 

「んじゃあ早速…制圧しますかぁ!」

 

俺は襲いかかってきた奴の意識を確実に刈り取っていった、回し蹴りに鳩尾にエルボー、etc…残りは頭らしきヤツだけだ。

 

「さぁ…後はお前だけだ…」

 

俺は狙いを定めながら、ゆっくりと近付く…

 

「クッ…こんなところで捕まってたまるかぁ!」

 

そう言い銃を取り出した、ヤバいな…アレは殺傷能力が一際高いやつだ…

万事休すか…?

 

「〇〇くん!」

 

ロボ子が俺を呼び麻酔銃を投げてきた…ナイスだロボ子…!

 

「さぁ…これで条件は一緒だ…ケリをつけようか…」

 

俺はロックを解除し銃口を向ける

 

「チックショウ!」

 

ダン!ダン!ダン!ダン!

 

お互いの銃弾が弾き合う…土壇場で俺凄いな…

 

パスン…

 

「え…?」

 

弾いた銃弾の1発が、ロボ子に当たった…

 

「!?」

 

「あ…」

 

ロボ子はその場で倒れ込んだ…

 

「ロボ子!」

 

俺はつい相手から目を離してしまった…

 

ダン!ダン!

 

無慈悲にも俺の身体に銃弾が命中する、痛みに堪えながらも麻酔弾を相手に撃ち込む…

 

ダン!ダン!ダン!

 

痛みでブレてるせいか、1発しか当たらなかった…だが、充分だ…

 

「ア…ガ…」

 

長顎団の頭は動けなくなった、俺も痛みで倒れ込む…

 

「ク…先輩…」

 

俺はロボ子に声をかけるが、反応が無い…

 

「何とか…しないと…俺がしっかりしないから…!」

 

俺が捕まったりしなければこんな事にはならなかった…後悔先に立たずって良く言うよ…チクショウ…

ここで俺は意識を失った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、病室だった…

あの後すぐ仲間が来てくれたらしく、長顎団は全員逮捕出来たようだ…

俺は脇腹と肺に1発ずつ、かなり危ない状態だったらしい…

ロボ子は、弾いた弾が肩に命中、俺より軽傷なのがまだ救いだった。

 

 

「ウゥッ…」

 

俺は何とか動こうとするも、やはり怪我が怪我なのでまともに動けない…

 

「今回の任務は結果的には成功…だが俺の中じゃ大失敗だ…よりにもよってロボ子を傷付けてしまった…」

 

俺は後悔してもしきれなかった…ロボ子は1ヵ月、俺は3ヵ月休職する形になった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3ヵ月後、あれ以来ロボ子と連絡すら取ってない、電話もしたが出なかった…

そりゃ事故とはいえ傷物にした張本人なんだ、連絡取りたくも無くなるか…

 

 

 

俺は署長に呼ばれた、どんなお叱りなのか想像したくない…

 

「やぁ〇〇くん、この前は大変だったね…」

 

あれ…?意外と柔らかい口調だった…

 

「署長、この度は本当に申し訳ありませんでした…」

 

俺は謝罪をした、どんな形であれ身内を危険に晒したのだ…例え本人にその覚悟があったとしても…

 

「ふむ、まぁそうだな…確かに君のした行為は身内としては許されない、だが警察官としては犯人逮捕出来たんだ、そこまで重く考えなくて良い…」

 

怒り半分、労い半分と言ったところだろうか…怒り全部の方がまだ良かったが…

 

「それで、先輩は…?」

 

俺はこの場にロボ子が居ない事に疑問を持ち聞いた。

 

「あぁ…彼女はね…身体に傷が付いたのに凄いショックを受けてね…未だに休職してるんだ…」

 

嘘だろ…もう3ヵ月なのに…やっぱり…

 

「そこでだ、復帰最初の任務はロボ子くんを連れ戻して来てもらおうかとね」

 

なるほど…確かに俺もコンビ相手が居ないと任務に行けないからな…

 

「分かりました、今先輩はどちらに…?」

 

そう聞くと署長は

 

「此処に今居るよ…今彼女は不安定な状態だ、くれぐれも気を付けてくれたまえ…」

 

署長から地図を受け取り、その場所へ向かう…

 

 

 

 

 

 

 

着いたけど…ここって俺が入院してた病院…?まだここに居たのか…

 

コンコン「先輩、〇〇です、入っても大丈夫ですか?」

 

とりあえず普通な感じでいくことにした

 

「良いよ…入って…」

 

許可貰えたので、とりあえず入る…

 

ガラッ

 

開けた瞬間、ロボ子が俺に抱きついてきた…

 

「ちょっ先輩…?」

 

「ごめん…ごめんね…ボクがしっかりしないから…」

 

ロボ子は俺に抱きつきながら泣いていた…

 

「先輩、俺は大丈夫ですよ…ちゃんと無事なんですから」

 

この人こんな泣き虫だったのか…全然泣き止まねぇ…汗

 

「だって…だって…」

 

「俺の方こそ、署長から聞きましたよ…ずっとショック受けてるって…怪我させて本当に申し訳ありませんでした」

 

俺は申し訳なく思い、謝罪をした。

 

「ううん…大丈夫だよ…むしろ〇〇くんの方が酷い怪我だったんだよ…?ボク…ボク…」

 

そう言いながらまたロボ子は泣きじゃくる…

 

「俺は丈夫ですから、大丈夫ですから…」

 

俺は必死に宥めた、こんなロボ子は見たくない…

 

「あぁもう…どうやったら泣き止んでくれるんすか…」

 

本当に困った…

 

「…して」

 

「え…?何て言いました?」

 

「〇〇くんの方もギュッてして!」

 

ハグしろと…?おいおい罰ゲームかよ…

 

「分かりましたよ…悲鳴とかあげないでくださいよ…?」

 

ギュッ

 

「あ…」

 

ロボ子の涙は止まった、だが…

 

「まだ足りない…」

 

えぇ…これ以上何をやらせる気だよ…

 

「まだ足らないんですか?今度は何すれば良いんすか…」

 

もう早くこの状態を解きたいので半ばヤケになっている。

 

「キスして!」

 

あぁはいキスですね分かりましたよって…はぁ!?

 

「いや先輩それはダメでしょ…」

 

「嫌!するの!」

 

…ダメだ全然聞いてない、どうするか…

 

「キスしてくれなきゃ離れないし悲鳴あげるからね!」

 

脅しですか…勘弁してくれよ…

はぁ…もう良いや…しよう…諦めよう…

 

「分かりましたよ、じゃあ目をつぶ」

 

チュッ

 

…は?向こうからキスなの…?

 

「!?」

 

「エヘヘ…しちゃったもんね…♪」

 

やられた…コイツまさかこれを狙って…

 

「先輩…じゃあキスしたんで離れますね」

 

「ダメ!」

 

えー…アンタしたじゃん…俺喋ってる間にしたじゃんチュッて…

 

「〇〇くんからしなきゃ離れない!」

 

俺にもう一度恥ずかしい思いをしろと…?

 

「今度こそそれで離れてくれますね…?約束して下さいよ…?」

 

「うん、約束する」

 

はぁ…早く終わらせよ…

 

チュッ

 

さて、これで離れれば

 

ギュッ

 

え…ちょっ…頭…離して…

 

「んっ…んっ…プハッ」

 

「先輩…これで気が済みましたか…?」

 

俺は若干イラつきながら聞いた、当たり前だ…こっちは軽くしてすぐ離れるつもりだったのに、頭抑えるなんて…

 

「ご…ごめん…つい嬉しくて…」

 

ロボ子はしょげていた、しょげられてもこればっかりは怒りたい…

 

「まぁ良いです、とりあえず退院しますよ、任務受けれないんですから」

 

なんとか怒りを抑えてそう言った、とりあえず早く出たい…

 

「分かったよ…手続きしてくるね」

 

はぁ…疲れた…なんでもロボ子は仮病を使って入院日数を延ばしてたそうだ、普通許されないだろ…署長のコネか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナニサー警察署に戻った俺達は、署長室に向かった。

 

コンコン「署長、〇〇です、先輩を連れて帰って来ました」

 

「ウム、入りたまえ」

 

ガチャ「失礼します」

 

「よく連れ帰ってきてくれたね、で?どこまでいったのかな?」

 

はい?署長何言ってんの…?

 

「〇〇くんは奥手でボクからキスしなきゃいけないぐらいでした」

 

おいロボ子!?何言ってんの!?

 

「ほうほう…〇〇くんは奥手だったのか…これはいかんな…」

 

いやだから何の話!?

 

「その後に〇〇くんからキスされました」

 

だーかーらー!何で言うのかなぁ!?俺ここで公開処刑なの!?

 

「ほほぅ…ちゃんとキスはしたんだね」

 

もう…許して…

 

「はい、これが証拠です」

 

そう言い携帯を署長に見せるロボ子、すると署長は笑顔になっていった。

 

「ふむ…これなら…」

 

あの…何を納得してるんですかねぇ…それに何で俺会話に混ざれないんですかねぇ…!?

 

「はい、ボクも彼なら…」

 

え…何が俺なら…?

 

「えっと…さっきから何の話を…?」

 

俺は我慢出来ずに聞いてみた

 

「あぁ、実はね…ロボ子もそろそろ良い年齢だ、その相手探しをしていてね…ロボ子くんは君になら、という事だ」

 

は…結婚相手探してたの…?この人…

 

「ボク、〇〇くんと一緒になりたい!」

 

あれぇ…?ロボ子先輩…俺の意思は…?

 

「そうかそうか、私もこれで安心出来るよ」

 

あれ…この流れ…詰んでる…?

 

「そんな感じだから〇〇くん、是非ロボ子くんとまずは付き合ってくれないか?ロボ子の身体に傷を付けたんだ…嫌とは言わせねぇぞ…?」

 

署長…後半だけ耳元は勘弁して下さい…しかも怖いです…

 

「〇〇くん…ボクじゃ…ダメかな…?」

 

あぁ…これは手遅れだわ…

 

「まずは付き合うで良いんですよね…?いきなり結婚なんていきませんよね…?」

 

俺は震えながら聞く…

 

「当たり前じゃないか、そこまで強制したら流石にダメだからね」

 

よく言うよ…さっきはもう脅しだったじゃないか…

 

「それじゃ署長、ボク達早速デートしてきますね」

 

え…任務は…?

 

「そうか、では〇〇くん、コンビ復帰の最初の任務だ、ロボ子くんとデートしてきなさい」

 

嘘でしょ…それが任務とか納得が…

 

「良いね?」

 

署長は黒い笑いで俺に言ってきた…

 

「はい…分かりました…行ってきます…」

 

あぁ…これは詰みだな、諦めよう…

 

「じゃあ署長、ボク達行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい、気を付けるんだよ」

 

こうして俺達は半ば強引に付き合う事になった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから半年が経った…今でも犯罪は減る様子が無い、寧ろ増えてる傾向だ。

俺達はあれからちゃんと付き合っている、結婚の話は何とかして躱している…

アレだ、純粋なお付き合いだからな…?

何かしようものなら俺はあの署長に処される…

 

「おーい〇〇くフギャッ」

 

相変わらずドジだ…いい加減直して欲しい…

 

「ロボ子…大丈夫か…?」

 

ずっと先輩と呼んでたが付き合い始めて名前呼びになった。

そして…同棲もするようになった…もう俺はロボ子から逃げられないのかもしれない…

え?恋愛感情は無いのかって?

…可愛いからあるにはあるんだが、表には出せんよ…

 

「エヘヘ…大丈夫だよ!」

 

「んじゃ、次の現場に行くぞ」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は付き合ってもコンビは解消せず、2人で任務をこなしている。

何時かこの世界から犯罪が無くなると良いと思う…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結婚は嫌だなぁ…

 




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
ハッピーエンドを目指してる割には、今回のは果たしてハッピーエンドだったのか…読む方によってはバッドエンドだったんじゃないかと思う方が居るかもです…

なるべくね…ハッピーエンドに向けますので…

ではでは、また次のお話まで失礼します…


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本当と嘘の中の想い

どもですm(_ _)m
まーた性懲りもなく仕事場で書きました…はい、たんこぶどころかその内もっとヤバい事になるんじゃないかと…
仕事しろ?ごもっともです…でも書いちゃうんです…危ないですね…末期ですね…亀更新どころの騒ぎじゃなくなってますね…

さて、今回のお話…少しだけあの要素入れました。
分かる方には…分かるかなぁ…?汗
今回も文字数結構いっちゃった…申し訳ないです、纏められない自分が悪い…


ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


いきなりだけど聞きたい、皆はどんな生活がしたい?

セレブな豪遊?ギリギリの綱渡りでスリルを味わう?

そういうのも良いと思う、だけど俺はひっそりと静かに暮らしたい…

それなのに…

 

ダダダダダダダ

 

「待ってぇぇぇぇぇぇ!」

 

俺は今、追われています…

 

 

 

 

 

 

何処にでもありそうなカフェ、the高性能を営んでる俺〇〇は3ヵ月前からオープンさせている。

この店のオススメはサンドイッチとフルーツドリンクのセット、お客さんからはナニサーセットと呼ばれている(何でそんな名前なのかは謎だ)

このセットの魅力は単品ずつで頼むとそれぞれサンドイッチが400円、フルーツドリンク類が200円なのだが、セットで頼むと450円、つまり150円お得になる。

こんなお得にして売上は大丈夫なのかって?ドリンクに使うフルーツは自家栽培してるから元は取れてる。

話が長くなってしまったな…ここからはそんな俺が何で追いかけられる羽目になったかを話そうと思う…

 

 

 

ある日の事だ、俺は何時も通りカフェの開店準備をしていた。

現在の時刻は8時10分、開店時間は9時、余裕を持って準備をしている。

そんな時、1人の女の子がフラフラしながら歩いてるのが見えた。

パッと見中学生くらいだろうか…?でも今時見た目で年齢なんて分からない、間違えた時が怖いので基本お口ミッフィーだ。

そんな事を考えていると、その女の子は倒れてしまった。

近くに居る人間は俺だけ、助けるしか無いか…

 

 

「おい、大丈夫か?俺が見えるか?」

 

少し揺さりながら声をかけてみる、これで反応しなかったら救急車呼ばなきゃいけない。

 

「う…うん…」

 

お…なんとか意識はあるみたいだ…

 

「俺はこの目の前のカフェの人間だ、君がここで倒れてるのが見えたから声をかけた。良ければ少し休んでいって欲しいんだが…」

 

目の前で倒れられたんだ、出来れば介抱したい

また別の場所で倒れられても後味悪いからな…

 

「はい…ご迷惑…おかけします…」

 

女の子は弱々しい声だったが、確かにそう言った。

 

「良し、んじゃちょっとだけゴメンよ」

 

俺は女の子を抱き抱え、カフェの中に入った。

店内の掃除は済んでいるので清潔ではある。

俺は女の子を椅子に座らせた、とりあえず食べ物と飲み物が必要だな…

 

 

 

 

 

(あぁ…やっぱりこの人だ…間違いない…)

 

この女の子、〇〇を知ってる風ではあるが〇〇は知らない様子だ…

 

 

 

 

 

 

「ほい、簡単な物だけど食べてくれ、飲み物もあるから」

 

俺はそう言って、ナニサーセットを出した。

割と簡単に作れるし、これぐらい手間にもならない。

 

「あ…ありがとう…ございます…」

 

女の子は俯きながらお礼を言った

 

「あむ…ん……美味しい…」

 

ん、口に合って良かった…まぁ一応人気メニューだからなぁ…否定されたらそれはそれで悲しいが。

 

モグ…モグ…チュー…ゴクン

 

お…もう食べ終わったか、あの早さからするとご飯食べて無かったのか…?

 

「お代わりいるか?すぐ出せるけど」

 

見た目は育ち盛りの女の子にしか見えない為か、ついそんな事を聞いてしまった。

 

「いえ…大丈夫です…ご馳走様でした…でもボク…お金持ってないです…」

 

あー…考えて無かったな代金の事…まぁ1食分くらい大丈夫だろ…

 

「気にしないで良いよ、倒れた子からお金取るほど意地悪でも無いし」

 

むしろこんな状態でお金取れるだろうか…?俺はそんな事出来ない、取る奴の精神を疑う。

 

「ありがとう…ございます…」

 

女の子はずっと俯いていた、俺は気になってつい口を出してしまった

 

「どうした?何か悩みでもあるのか?初対面の俺で良ければ聞くぞ?」

 

思えばこの時聞いたのが運の尽きだったのかもしれない…

 

「ボク…ある人を探してたんです…それが…やっと見付かったんです…」

 

人探しをしてたのか…まぁ見付かって良かったが…

 

「そうか、見付かったなら良かった…どんな人なのか教えて貰えたりとか出来るか?」

 

「はい…それは…あなたです…〇〇さん…」

 

頬を赤らめながら俺の名前を呼んだ…

え…?俺…?と言うか何でこの子俺の名前を…

 

「えーっと…悪い、俺は君の事知らないんだが…誰かと間違えてないか?」

 

心当たりの無い俺はそう返した

 

「そう…ですか…でもボクは…ボクだけは知ってますから…」

 

目を細めながら、その子は言った…

な…何だこの子…?ちょっと怖いんだが…

 

「そ…そうか…あぁすまない、そろそろ店を開けなきゃいけないんだ」

 

俺はこの話を早く切りたかった。

 

「分かり…ました…サンドイッチ…ご馳走様でした…」

 

そう言って女の子は帰って行った…あれ?結局あの子の事何も聞けずじまいだったな…いや、関わらない方が良いか…

 

 

 

 

 

 

それから数日経った、あの子はあれから見かけてない。

ちゃんと元の生活に戻ってると良いな…

 

カランカラン

 

「あ、いらっしゃ…いませ…」

 

噂をしたら来た…タイミング良すぎじゃない…?

 

「こ…こんにちは…」

 

オドオドした感じでその子は挨拶してきた、でも気のせいか少し明るくなったか…?

 

「あぁ、こんにちは、今日はどうしたんだい?」

 

動揺を出さずに俺は尋ねる。

 

「今日は…この前のお礼に…来ました…」

 

お礼か…そんなの良いのにな…

 

「そっか…まぁ座りなよ、今は空いてるからさ」

 

まぁなんだ、折角来てくれたんだ、門前払いするのは可哀想に思うのでとりあえず招く。

 

「ありがとう…ございます…失礼…します」

 

ん…?何か顔が少し赤くなってる…?気のせいに思っておこう…

 

「で、お礼なんて気にしなくて良かったのに…あんな状態放っておく方が問題なんだしさ」

 

それとなくお礼を受け取るのを拒もうとした、何となくなんだが急に悪寒がしたというか…

 

「いいえ…ちゃんとお礼…しなきゃ…ボクの…気が済まないです…」

 

律儀だな…だが受け取りたくないんだがな…

 

「それで…お礼なんですけど…」

 

そう言うと女の子は近付いてきた…え?何で来るの…?

 

「お礼は…ボクです…♡」

 

…この子ヤベェ奴だったー!?

 

「…冗談は止してくれ、俺はそこまで暇じゃないんだ」

 

ヤバイヤバイヤバイヤバイこの子本当にヤバイ早く帰らせなきゃいけない…関わってはいけない…

 

「ボクは本気です…それに…ボクはあなたの事知ってます…」

 

それだ、何で俺の事知ってるんだ…?

 

「何で俺を知ってるんだ…?俺は君の事知らないぞ…?」

 

「ボクは以前…路地裏で襲われそうになりました…そこをあなたが…〇〇さんが助けてくれました…」

 

思い出した…アレはこのカフェをオープンする前の話だ…あの頃はここも治安がそこまで良くなかった、良くなったからこそカフェをオープン出来たようなものだ…

 

「そうか…君はあの時の女の子だったか…名前聞いても良いか?」

 

ずっと君呼びも悪いと思い、名前を聞く事にした。

 

「ボクは…ロボ子です…」

 

「そうか、ロボ子ちゃん、あの時は怖かったね…」

 

「はい…でも…あなたに救われたから大丈夫です…」

 

この子…ロボ子ちゃんは俺に恩義を感じているのか…しかもこの前は倒れてるところを介抱もした、恩義が強まったという事か…だとしても

 

「折角無事だったのに、何で自分を差し出すような事を言うんだ?俺はそんな事して欲しくて助けた訳じゃ無いんだが」

 

俺は冷たく言い放ったと思う、確かにロボ子ちゃんはそこら辺に居る女の子より可愛い部類、告白でもされたら嬉しいだろう。

だがだからと言ってこんなやり方は良くない、俺は嫌だ

 

「ごめんなさい…でも…これくらいしか思いつかなくて…」

 

いや…普通にお礼言われるだけで嬉しいんだよ、俺は…

 

「そんな事されなくても俺は別に気にしないから、元気になってくれればそれで良い」

 

「でも…それじゃボクの気が済まないです…だったら…」

 

そう言ってロボ子ちゃんはまた近付いてきた…今度は何する気だ…?

 

チュッ

 

え…?

 

フニョン

 

え…!?

 

「ボクを〇〇さんの彼女にして下さい…何でもやりますから…」

 

今何が起こった…?キスされて…?俺の手がロボ子ちゃんの胸にくっついていて…?挙句彼女にしてくれと…?情報が一気に入り過ぎてる…

 

「ちょ…ちょっと待ってくれ!?何でキスした?何で俺の手を君のむ…胸に!?それに彼女!?話が急過ぎるぞ!?」

 

俺は動揺が隠せなかった、自分を差し出す発言でも充分ヤバかったのに、それ通り越した衝撃だった…

 

「ボクは何が何でもお礼がしたいんです…この身を捧げられないなら…せめて彼女にして下さい…!」

 

キスをして胸を触らせてるせいか、ロボ子ちゃんの顔は真っ赤になっており、涙目にもなっていた。

辛いならそこまでやらなきゃ良かったのに…

 

「と…とにかく、俺は彼女作る気は無いし、君を貰おうとも思わない、そういう事だから…」

 

俺は逃げた、というか…考え方がヤバくて怖い…

 

「ボクは諦めませんからね…お客さん多くなってきたのでこれで帰ります…」

 

そう言ってロボ子ちゃんは去って行った、もしお客さんにさっきの見られてたら俺社会的に終わりな気がした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから更に数日経った、この数日間ロボ子ちゃんは来なかったが、たまに視線を感じる事が多くなった。

決まってカフェを閉めた後なのだ…

この地域は治安は良くなったが、それでもまだあまり良くない方だ、ガラの悪い奴に目をつけられた場合切り抜けられるか不安だ

 

 

「はぁ…今日もそれなりにお客さん来てくれた、有難いわなぁ…」

 

今日も上出来な売上の為、気分は高まっていた。

 

ジー…

 

まただ…ここ数日ずっと誰かに見られている…まさか狙われている…!?

 

「誰だ!ここ最近ずっと見ているな!姿を現せ!」

 

俺は堪らず声を荒げた、こんなに毎回視線浴びるのは正直嫌だからだ

 

カッカッカッ

 

現れたのはロボ子ちゃんだった…

 

「君だったのか…ロボ子ちゃん…」

 

「〇〇さん…ボクを彼女に…」

 

本当に諦めてなかったのか…

 

「ロボ子ちゃん、俺は君とは付き合えない…君はもっと自分を大事にするべきだ…俺より良い人はもっと沢山居る」

 

俺は明確な拒絶をした、今のロボ子と付き合っても何も解決しないからだ。

 

「どうして…どうしてボクを拒むの…?こんなに…こんなに好きなのに…ボクは〇〇さんが好き…大好き…あなたが居ないと生きていけない…それなのに…ボクから離れるんだね…」

 

ロボ子ちゃんはそこまで言うと、ナイフを持ちフラフラと歩いてくる

おい…まさか結ばれないから心中か…!?それはゴメンだぞ…

 

「悪いけど俺も急いでるんだ、またな」

 

俺はそう言い、全力で走った…

あの状態を戻す勇気は俺には無かった。

 

「待って…!待って〇〇さん!待ってよぉぉぉぉ!」

 

ロボ子ちゃんも走って追いかけてくる、というか速い!あの子があんなに速いとは思わなかった…

このままだと追いつかれるのは時間の問題だ…

 

ガッ

 

そう考えてる内に躓いてしまった、マズイ…このままだと…

 

「やっと追いつきました…〇〇さん…」

 

ロボ子ちゃんに追いつかれてしまった…手にはしっかりとナイフが握られている。

俺…ここで死ぬのかな…

 

「〇〇さん…ボクはあなたを刺したくない…お願いです…ボクをあなたの彼女にして下さい…好きです…愛してます…」

 

俺はきっとこれを拒めば死ぬ、そう確信した…

 

「分かった…俺の彼女になってくれ…だから…そのナイフは捨てるんだ…」

 

俺は自分の命を優先させてしまった…これじゃ彼女の思うツボなのに…

 

「本当ですか…?本当に彼女にしてくれますか…?」

 

ロボ子ちゃんはやはり疑っていた、ずっと拒まれてたのにいきなり受け入れられたんだ、そうなるのも分かる…

 

「あぁ…俺も死にたくないからな…だからナイフを…」

 

俺は何としてでもナイフを捨てて欲しかった、持ってられると何かの拍子で…なんてあり得るからだ…

 

「分かりました…まぁこれオモチャのナイフなんで刺せないんですけどね」

 

は…?オモチャ…?嘘だろ…?それなのにあんな迫真的に迫ってきたっていうのか…?

 

「カットォォォォォォォ!」

 

え…?カット…?

 

「いやぁ良かったよ心ちゃん!ヤンデレシーンもバッチリじゃないか!流石天才子役だね!」

 

は…?ヤンデレシーン…?

 

「ロボ子ちゃん…君は一体何者なんだ…?」

 

俺はまだ彼女がどんな人間か良く分からなかった、だから聞いてみた

 

「ボクですか…?ボクはロボ子、でも芸名は闇乃心って言います、一応それなりに有名なんですけどね?」

 

闇乃心だって!?有名な子役じゃないか…!なんでそんな子がこんな事を…

 

「そうだったのか…それじゃロボ子ちゃ…いや、心さんはどうしてこんな事を?」

 

「ごめんなさい〇〇さん、つまりはコレ、撮影だったんです。後ロボ子で大丈夫ですよ」

 

「撮影!?」

 

俺は今までで一番の驚きをしたと思う、だって目の前のオドオドしてた女の子が実は天才子役で、あろう事か今までの狂気は全部演技、しかもこれが撮影ときたもんだ…驚かない方がおかしい。

 

「あぁ〇〇さん、私は監督の黒丸と言うものです、よろしくお願いします」

 

丁寧に挨拶された…

 

「あ、はいどうも…」

 

気の利いた挨拶が出てこない…

 

「〇〇さん」

 

ロボ子ちゃんが俺を呼んだ

 

「〇〇さん、今回は本当にごめんなさい…〇〇さんがあの時助けてくれてた時も実は撮影だったんです、でもリアリティ出す為にあえてカットしないでそのまま続けちゃって…そしたら監督が助けに入ったシーンを使っちゃって…関係者の人達があの男は誰だ!是非スカウトを!なんて騒いじゃって…」

 

あれも撮影だったのか…てかそのシーン使っちゃダメだろ…俺一般人なんだけど…

 

「それで、あちこち探し回ってようやく〇〇さんを見付けたんです…まさかカフェをやってるとは思わなかったです、あの場所で倒れたのも、周りに人が居なかったのも全部ボク達がやった事なんです」

 

あまりにも突然過ぎて、何を信じて良いのか分からなくなった…路地裏のも撮影、今のも撮影、そしてロボ子ちゃんを介抱した時も仕組まれてたって事か…なんだよそれ…踊らされてただけってか…

 

「そうか、全部…演技だったんだな、何もかも…あの時倒れてたのも、俺の料理を美味いって言ったのも、好きって言ったのも、全部演技だったんだな…」

 

もう俺は何も信じられなくなった。当たり前だと思う、こんなに全てが演技なんて人生であるか無いかなのだから。

 

「ち…違…」

 

「俺にキスしたのだって、胸に手を押し付けたのだって、色仕掛けのつもりだったのか?」

 

言葉がどんどん冷たくなるのが分かる…

 

「そんなつもりじゃ…」

 

「楽しかったか?大人をからかってよ…でも残念だったな、俺は揺るがなかった。俺には全く通用しなかったよ」

 

もうどうでも良いや…そんな感じだった…

 

パンッ

 

ロボ子ちゃんにビンタされるまでは…

 

「え…?」

 

俺は突然の事でまた思考が止まりかけた。

 

「バカ…!〇〇さんのバカ!」

 

ロボ子ちゃんはそう言って走り去って行った…

 

なんで俺はビンタされたのか…良く分からなかった…

 

 

 

 

 

ロボ子ちゃんを探しにスタッフが走って行く、残ったのは俺と監督さんだけだった。

 

「〇〇さん、少し良いですか?」

 

黒丸さんが話しかけてきた

 

「はい…何ですか?」

 

俺は今は誰とも喋りたくなかった、だが監督が話しかけてきたって事は何かあるんだろう、聞くことにした。

 

「心ちゃんを責めないであげて欲しいんです、彼女はあの路地裏の撮影の時、リアリティを出す為に本当に襲われる一歩手前まで撮りました…あなたが助けに入ったのは2度目のテイクなんです、1度目はもうダメでした…心ちゃんは襲われる恐怖心かとてもじゃないがそのシーンを使う訳にはいかなかった。そこをあなたが助けに入った…その姿が彼女の目には救われたんでしょうね…それからの彼女はメキメキと実力を伸ばした、そしてこの地で撮影をすると決めた日、彼女はあなたを探し回ったんです」

 

嘘だろ…?リアリティ出す為にそこまでするのか…?それなら助けに入ったのは間違いじゃなかったか…それでも、今回の件は許せない…

 

「あなたがカフェを営んでいると知った時、彼女は変装をして1度訪れたようです、帰ってきた時彼女は泣いてました…やっと見付けた、そう言って…遠目から見ても分かります、彼女は〇〇さん、あなたを本気で好きなんですよ…どうか、その気持ちだけは理解していただきたい…」

 

俺は何も言えなくなった、確かに騙されたのは許せない…でもそれ以前に本当に俺を…こんな俺を好きになってくれてた、それを思うと不思議と怒りがこみ上げてこなくなった…

 

「監督さん、すいませんが俺は失礼します」

 

俺はそう言い残しその場を後にする、ロボ子ちゃんが走り去って行った方向に歩き出す…せめて、酷い事を言ったお詫びはしなきゃだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

スタッフ達が探しても見付からない、そんな遠くに行ったのか…?俺は疑問に思った

ここら辺は土地勘が無いと迷う…意外と入り組んでいるからだ…

 

キャーッ

 

悲鳴が聞こえた…あの声は…ロボ子ちゃんか!

俺は声の方向に全力で走って行った、何度も言うがここは治安が悪い、多少改善されてもまだ悪いんだ。

 

「いや…やめて…」

 

ロボ子ちゃんを見付けた…男2人か…不利だけど間に入るしかないか…

 

「こんな夜に女の子1人は危ないなぁ…?」

 

「お兄さん達が安全な場所まで連れてってあげるよ…ヒヒッ」

 

完全に黒だな、あの2人…仕方ない、頑張って追い払わなければ…

 

「おい、大人2人で女の子襲うなんて良い趣味してんな?反吐が出る…!」

 

俺は2人の頭を掴み、互いにぶつけ合わせた。

 

「ガッ…」

 

「アァッ…」

 

怯んだ…!今の内だ!

 

「こっちだ!」

 

俺はロボ子ちゃんの腕を掴み、そのまま走り去る。

 

「あ…〇…〇…さん…」

 

ロボ子ちゃんは泣いていた…路地裏のアレが蘇っちゃったか…?

 

 

 

 

 

 

 

なんとか逃げきれた…と思う、俺はロボ子の方に向く

 

「ロボ子ちゃん…俺…」

 

「ごめんなさい」

 

俺が言う前にロボ子ちゃんは謝罪をしてきた

 

「嫌われてもしょうがない事をしたのは分かってます、ボクはあなたをずっと騙してた、これは紛れもない事実です、今更何を言ったって無駄なので…だから…ごめんなさい…」

 

ロボ子ちゃんは泣きながら、俯きながら俺に謝罪を続けた…

 

ギュッ

 

俺は知らない内にロボ子ちゃんを抱きしめていた。

 

「え…?」

 

ロボ子ちゃんも驚いているようだ、やってる俺も驚いてる、でも今言わなきゃ多分ダメだ。

 

「ロボ子ちゃん、俺の方こそごめん…監督から全部聞いたよ…リアリティを出す為に本当に危ない寸前まで撮ってたって…それに、俺を探してくれてたなんて…嬉しかった、ありがとう」

 

そこまで言うとロボ子ちゃんからも強く抱きしめられた。

 

「怖かった…凄く怖かった…男の人が嫌いになるかも…それぐらいだった…!でも〇〇さんが助けてくれた…カッコよかった…一目惚れしたんだよ…?颯爽と助けてくれた…だからここに戻ってきた時、あなたを探して…見付けた時…また会えてどれだけ嬉しかったか…どれだけ胸がドキドキしたか…直ぐにでも正体を明かしたかった…でもそんな事したら迷惑になっちゃうからずっと黙ってたの…」

 

ロボ子ちゃんは更に泣いた…俺を強く抱きしめながら…

 

「ごめんな…本当にごめん…君に酷い事散々言っちゃった…許してくれ…」

 

俺もロボ子ちゃんを強く抱きしめ、謝罪をする…

 

「こんなんじゃ今更かもだけど…俺はロボ子ちゃん、君を彼女にしたい…俺の彼女になってくれないか…?」

 

俺は卑怯な人間かもしれない…それでも…言わずにはいられなかった。

 

「ボクの方こそ…〇〇さんの彼女になりたい…ボクを…彼女にして下さい…」

 

そこまで言うと…2人の唇が重なる…

 

 

「ん…んっ…」

 

長く…長く…唇を重ね続けた…

 

「ちゅ…ちゅっ…」

 

お互いがお互いの唇を貪るように…長く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付いた時、2人の顔は真っ赤だった。

自分達がやった事に対して今更羞恥心が出てきたようだ…

 

「ねぇ、〇〇さん…一緒にドラマ出てみない…?〇〇さんならきっと良い役者さんになれるよ?」

 

ロボ子ちゃんは不意に俺に尋ねてきた

 

「ごめん、俺には役者は無理だよ…カフェのマスターが合ってるよ」

 

俺は、丁重にお断りさせてもらった…ロボ子ちゃんと一緒に役者も良かったけど、カフェの仕事も楽しくて辞められない…

 

「そっか…残念だなぁ…」

 

ロボ子ちゃんはそう言うが、あまり残念そうにはしてない…まるで俺が断るのを分かってたように…

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達は、監督の所へ戻り事の顛末を全て話した、ロボ子ちゃんが襲われかけてた事、誤解が解けた事、そして…恋人同士になった事も…

監督とロボ子ちゃんのマネージャーの意向で、その場に居た人間全員に誓約書を書かせた。

俺とロボ子ちゃんの関係がもしバレたら然るべき措置が出るようにだ。

 

その後俺達は明日ロボ子ちゃんがオフとの事なので、1晩だけ一緒に過ごす事が許された。

と言っても、もう夜遅いので寝るだけだが…

ついでに言うと、一緒のベッドで寝た。

変な事はしてないぞ、ロボ子ちゃんは未成年だからな…それに、俺が恥ずかしい…

 

 

 

 

 

 

 

それから7ヵ月が経った、俺とロボ子ちゃんは遠距離恋愛という形で交際が続いている。

ロボ子ちゃん、いや…闇乃心さんは人気子役だからな…一緒に居れる時間が短いんだ。

それは付き合う時に既に分かりきっていた、それでもお互い付き合ったんだ…

 

「以上!闇乃心さんのインタビューでした!」

 

すっかりテレビにも慣れて…やっぱり笑顔が一番だよな。

 

「なぁマスター、さっきの子可愛いよな?闇乃心ちゃん!この前のヤンデレなんてもう…好きにしてくれ!な感じでよぉ…!」

 

このお客、帝という人らしいがロボ子ちゃんに凄いお熱らしい、嬉しいんだがなんか複雑な気持ちになる…

 

「えぇ、彼女はもっと伸びますよ…」

 

俺はただ、それだけ言って仕事に戻る

ロボ子ちゃんが頑張ってるんだ、俺ももっと頑張ってロボ子ちゃんに釣り合うような男にならなきゃな。

 

 

 

そんなロボ子ちゃんも週に1日必ずオフを作っている、何処に居ても必ず1日取るそうだ…何故かって?それは…

 

「〇〇さーん!帰ったよー!」

 

カフェが閉まる頃に、毎回オフの時は来てくれるんだ、数少ないロボ子ちゃんとの時間、誰にも邪魔されたくない…

 

「ロボ子ちゃんお帰り、サンドイッチ余ってるから帰ったら食べるかい?」

 

「うん!食べる!」

 

 

 

 

今はこの少しの時間でさえも愛おしく感じる、何時かこの愛おしさがもっと長く感じれるように…もっとロボ子ちゃんの傍に居られるようにと…願ってる…




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
気付かれた方居ましたでしょうか…?ほんの少しだけ、ヤンデレ入れてみたんです…
でもね…上手く書けない…これはもっと数書かなきゃですね…!

こんな下手くそな文章で申し訳ないですが、読んで下さる方に本当感謝です、ありがとうございますm(_ _)m

ではでは、また次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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僕と俺と記憶と恋と1

どもです…一応書いたんですがこれは非常に酷いと思われます…何が酷いって1つのお話じゃ収まらなくて…2話完結になります…
駄文度が他より格段と高いです、それでも良いって方はどうぞです…


「バッカじゃないの!?アンタなんて生きる価値無いわよ!死んじゃえ!」

 

 

いきなりの罵声で戸惑った人は多いと思う、安心してくれ、俺も戸惑ってるから…

なんでいきなりこんな事になってるか説明しよう

 

 

俺は〇〇、今年大学3年になる。そしてさっきの罵声を浴びせたのがロボ子、幼馴染みであり、俺より1つ下の大学2年だ。因みに気付いた人も居ると思う、ロボ子はツンデレなんだ。あまりデレないツンデレだ…デレる時は凄いんだがな…なかなか無い。

 

 

あんなんでも昔は俺にベタベタだった、そりゃもう妹のように接したし可愛がってた。

だが思春期を迎えてから、どんどん冷たくなり、ツンデレになってしまったという訳だ…

 

 

俺としては昔のロボ子に戻って欲しいというのが本音だ、ベタベタにはなって欲しくはないが、少なくとも罵声は勘弁して欲しい…俺はMでは無いからな…

 

 

話が逸れたな、なんで罵声を浴びたかだったな…それは…俺がロボ子を起こしに行った時、ノックをせずにドアを開けてしまったからだ。

誰だ?ド定番やってくれたななんて言った奴…

 

 

まぁ、俺が悪いので甘んじて罵声を受けるんだが…その際に物を投げてくる時があってな…しかも割れ物を投げる時もたまにある…

分かる人は分かるだろう…割れ物を投げてきた時、避けたらどうなるか…答えは簡単、割れる。

 

 

割れたらどうなる?破片が飛び散る、そうなると後片付けが大変、しかも怪我の危険もある…

だからな…割れないようにする為、俺は避けずに割れ物を受け止めなきゃいけないんだ…キャッチに失敗して顔面に当たるなんてザラだ…

 

 

「バーカバーカ!〇〇なんてどっか行っちゃえ!」

 

 

なんとも可愛らしい罵声だ…この時の投げ物はパンダのクッションやクマのぬいぐるみ等、柔らかい系だから怒りのランクは低いようだ…

ロボ子は怒りのランクに応じて投げる物が変わるらしい、これは高校2年になってから分かった事だ…

今回の場合、あまり怒ってないな…怒りランク最大10として3ぐらいと見た、恥ずかしい方が強いみたいだ。

当たり前だ、着替え見ちゃったんだから…

おーい、ラッキースケベは止めてくれー?下手したらこの瞬間に命刈り取られる危険があるんだからな?

 

 

とまぁ、俺の日常は多分ロボ子の罵声から始まると言っても過言では無いかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

俺とロボ子が通う大学は同じで、私立ホロライブ大学という名前だ

名前だけ聞くと何かの映像を作る学校か?と思う人が居ると思う、だが全く違う、ごく普通の大学だ…名前はロボ子の父であり理事長でもあるクロマルさんが付けたらしい、センスをちょっと疑うのは内緒だ

 

 

「本当最悪!こいつなんかに着替え見られるなんて…!」

 

 

ロボ子はご機嫌ナナメのようだ…俺が悪いからなぁ…何も弁明が出来ないんだ…

 

 

「全く…よりによって勝負下着じゃないのを見られちゃったじゃない…」ゴニョゴニョ…

 

 

ん…?何か言ってるようだが聞こえんな…また俺に対する小言なのだろう…

 

 

1番怒りのレベルがヤバかった時は本当にヤバい、刃物が飛んでくるからな…

流石に刃物は避けないと大変なので、避けるかロボ子が持ってるクッションとかでガードをする。

その際クッションが傷ついてしまうので、後で新しいクッションとかをプレゼントするのは忘れない、結局俺が悪いからな…

 

 

「ちょっと、何こっち見てんのよ気持ち悪い…とっとと何処か行ってよ!」

 

 

これが幼馴染みにかける言葉なのか…たまに思う事はあるが、まぁツンデレだ…そこはそういうもんなんだと割り切ってるさ。

 

 

「それは無理だなぁ…俺達が向かう先は一緒なんだから、仮に俺が別の方向行ったら遅刻しちゃうじゃないか」

 

 

「関係無いわよ、アンタなんて遅刻しちゃえば?」

 

 

うん、今日もロボ子は平常運転だな…ただちょっとデレが欲しいなぁ…仕方ない、ちょっと意地悪するか

 

 

「分かったよ、じゃあ俺が居なきゃ良いんだね?それなら今日は休んじゃおっかな」

 

 

「はぁ?何それ…アンタと一緒に登校しないとパパに怒られるんだけど!」

 

 

クロマルさんは俺の事を息子のように可愛がってくれる、俺も父さんのように接しているしね。

あ、俺の父さんはちゃんと生きてます、ただ世界中旅してるから家に帰ってこないけど…母さんも居るけど、おっとりし過ぎてるから何とも…

 

 

「だって、俺と一緒が嫌なんだろ?それなら無理に一緒に居ない方がお互いの為だよ…俺は寂しいけどね、ロボ子と一緒に登校出来ないのは」

 

 

ここまで言えば大体ロボ子は折れる、罵声を浴びせる割には本気で俺を嫌ってないからだ。

 

 

「わ…分かったわよ…一緒に登校して良いから、休むんじゃないわよ!」

 

 

俺も何年もロボ子のツンデレを見てきたからな…ある程度の扱いは出来る、ただそれをするのは俺が悪くない時だ、今朝のような俺が悪いケースの時は甘んじて受ける…

 

 

「ここでアンタと離れたら嫌なんだから…!」ゴニョゴニョ…

 

 

何となく聞こえそうで聞こえないんだよなぁ…聴力悪くないはずなんだけど…まぁ、どうせ小言言われてると思えば気は楽だね…

ん?俺はロボ子の事どう思ってるかだって?

んー…素直に言うなら好きだよ、ロボ子の事は…ただあまりにもツンデレが強いからね、仮に俺が告白したら彼女はどの怒りレベルになる事か…

ガード出来る物が無ければ俺は串刺しなんてあり得そうだから言えないよ。

 

 

まぁ…両手両足を縛った状態でだったら告白出来るかもね…?

そんな事はしないけどね、間違いなく嫌われるし

 

 

「そうだアンタ、全校生徒参加の林間学校の班どうなったのよ、それぞれ班が分かれてるでしょ?」

 

 

ホロライブ大学は気前が良いのか、毎年全校生徒参加の催しがある。

今回は林間学校らしい

 

 

「あぁ、俺は確か2班だったな…ロボ子は何班?」

 

 

「アタシも2班…うわぁ…アンタと一緒かぁ…」

 

 

またもや冷たい態度かぁ…今日はいつにも増して冷たいなぁ…

まぁ好きだから気にしなくなるってのもあるけどさ

 

 

「ごめんねロボ子…そこまで嫌がられるとは思わなかったよ…それじゃ誰か班替わってくれる人探すからさ…それで良いだろ?」

 

 

そっちがその気ならこっちだって困らせてやる…ツンデレなのにツンばっかりってのはちょっといただけないんだよなぁ…適度にデレが欲しいのさ…

 

 

「フン!近付かないなら別にアンタでも良いわよ…まだ見知った顔の方が楽だし」

 

 

デレなのかなぁ…ちょっと微妙だけど…まぁ良いか…

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで林間学校当日、朝7時集合は眠いな…

ん?それまでの描写が無いって?書いたら文字数ヤバくなるよ?あまりにも長いと疲れるでしょ?だから割愛だよ

 

 

 

「あー楽しみだなぁ…林間学校…」

 

 

俺達の班は偏りが酷いのか4年生が居ない、必然的に3年生がリーダーになってしまう…他のメンバーもリーダーをやりたがらない為、俺が仕方なくリーダーになった。

 

 

俺達の班のメンバーは以下の通り

3年生俺〇〇、帝

2年生ロボ子、ときのそら

1年生白上フブキ、夏色まつり

(1部メンバー居ないぞ?な意見あると思いますがあまり人数多くしてもアレなので…ご了承くださいませ…)

 

 

 

 

「やっぱり4年生居ないと大変だな…なぁ?〇〇…」

 

 

帝は俺に弱音を吐いてきた、まぁ俺も分かるよその気持ち…

 

 

「だなぁ…でも3年生は俺達だけだし、しっかりしようぜ…じゃないと後輩からどやされる…」

 

 

「どやされるのはお前だけだよ〇〇…ツンデレで有名なロボ子ちゃんにな…」

 

 

俺も最近知ったが、ロボ子は男子からの人気がとてもある、ツンデレの需要って凄いんだな…

 

 

「〇〇ー、お昼作るわよー」

 

 

ロボ子が呼んでる、行かなくちゃな…

 

 

「あいよー、ちょっと待っててー」

 

 

今回のお昼はカレー、定番中の定番だ。

 

 

「〇〇先輩、野菜はこれぐらいの大きさで大丈夫ですか?」

 

 

1年生の白上フブキちゃんが俺に聞いてきた

 

 

「うん、大丈夫かな…あ、人参はもう少しだけ小さくても大丈夫だよ」

 

 

「はい!ありがとうございます!〇〇先輩優しいです…」

 

 

何か気に入られた…?まぁ俺も妹みたいで接しやすいけど…

 

 

「〇〇…デレデレしてんじゃないわよ!」

 

 

ロボ子はカンカンだった…いやロボ子…流石に包丁持ってこっち来ないで…本当に命の危険になる…

 

 

「ごめんロボ子、でも美味しいカレー作るにはちゃんと教えないとだから…」

 

 

「フン!次は気を付けなさいよね!」

 

 

一応許して貰えたかな…?

 

 

「〇〇先輩、ロボ子先輩と付き合ってるんですか…?」

 

 

この子は何を言い出すのかな…?

 

 

「付き合ってないよ、幼馴染みではあるけどね」

 

 

「そうなんですか…それならまだ…」ボソボソ…

 

 

ん…?何だろ…?おっと…そろそろカレーが良い具合になる

 

 

「おーい皆、カレー出来たよー」

 

 

とりあえず皆を呼んでカレーをよそい食べる。

 

 

「お、野菜の柔らかさ良いじゃん、誰切ったの?」

 

 

「あ、それ私が切ったの」

 

 

夏色まつりちゃんの質問に、フブキちゃんが答えた

 

 

「へぇ…流石フブキング!お嫁にすぐにでも行けるねー?」

 

 

まつりちゃんはフブキちゃんを茶化す、ほのぼのとしてるなぁ…

 

 

「ご馳走様」

 

 

ロボ子はあまり食べてないようだ…

 

 

「どうしたロボ子?まだ残ってるぞ?」

 

 

「もう要らない、お腹減ってないから」

 

 

ロボ子はそう言い、その場を後にする

 

 

「どうしたんだろ…ロボ子…」

 

 

そこで沈黙を貫いていたときのそらちゃんが口を開く

 

 

「〇〇先輩、ロボ子の扱い雑になってませんか?」

 

 

ん?雑になってる…?

 

 

「どういう事かな?」

 

 

「ロボ子は寂しがりです、構って欲しいからツンな態度とるんですよ…」

 

 

この子はロボ子の事分かってるな…俺も分かってるけど…何で急に…?

 

 

「大丈夫だよ、食べ終わったらロボ子の所に向かうから」

 

 

元々フォローは入れるつもりだった、そらちゃんに先に言われるとはなぁ…

 

 

「ご馳走様でした、帝悪いけど後は頼むな」

 

 

俺は帝に後を任せ、ロボ子を探しに行く

 

 

「おーい、ロボ子ー何処だー?」

 

 

俺はロボ子を呼ぶが、反応が無い

仕方ないので、また小芝居でもするか…別の人が反応したら不味いけど仕方ない…

 

 

「アッ…グッ…ウゥッ…グァァァァ…」バタン

 

 

クサイ演技だが、ロボ子は意外と引っかかってくれるのだ…

 

 

「ちょっ…〇〇!大丈夫!?しっかりして!」

 

 

ほら…ロボ子は来てくれる、多少心は痛むけど出てきてくれなかったロボ子にも非はあると思いたい…

 

 

「あ…ロボ子…良かった…無事だったか…」

 

 

「アンタ何してんのよ!何でそんな弱ってるのよ!?まさかさっきのカレーに毒が!?」

 

 

あ…ヤバい方向に向かうな…そろそろネタばらしを…

あれ…?何か本当に…フラフラしてきた…

俺の意識はそこで途切れた…

 

 

「え…〇〇?〇〇!しっかりしてよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると知らない天井だった…

頭がズキズキする…

 

 

「あ…〇〇!気が付いたのね!」

 

 

あれ…?この子は…

 

 

「あの…君は誰だい…?僕は…誰なんだい?」

 

 

「え…?」

 

 

〇〇は原因不明の記憶喪失になった…

食材には毒になる物も入っておらず、突発的なようだ…

 

 

「…彼の記憶喪失は原因が分かってない分、手出し出来ません…自然回復を待つのが1番です」

 

 

医者の判断は自然回復に任せる、との事らしい…

僕の名前は幼馴染みだというロボ子さんから聞いた。

こんな可愛い女の子が幼馴染みなんて…自慢出来るよなぁ…

 

 

「〇〇、どこか痛むとことか無い?」

 

 

ロボ子さんは優しく接してくれた、可愛いし優しいとかなんて良い人なんだろう…

 

 

「僕は大丈夫ですよ、心配してくれてありがとうロボ子さん」

 

 

「っ!べ…別に構わないわ、とにかく安静にしててね」

 

 

顔真っ赤にしてる…可愛いなぁ

 

 

コンコン「〇〇先輩、フブキとまつりです、入っても大丈夫ですか?」

 

 

あ…確か後輩の白上フブキちゃんと、夏色まつりちゃんだったっけ…

あれ…ロボ子さんの表情曇ってる…

 

 

「入って良いわよ」

 

 

僕じゃなくてロボ子さんが答えて扉を開ける

 

 

「あ、ロボ子先輩…」

 

 

あれ…?何か空気重くなった…?気のせいかな…

 

 

「〇〇はまだ無理出来ないわ、短めにね」

 

 

「分かってます、長居はしませんから」

 

 

何だろう…?ロボ子さんとフブキちゃんから変なオーラが見える…

 

 

「〇〇せんぱーい、罪な人っすねー」

 

 

突然まつりちゃんからそんな事を言われた

 

 

「え?どういう事かな…?」

 

 

僕は訳が分からなかった…

 

 

「別にー?分からないなら良いっすよー」

 

 

僕はまつりちゃんが言ってる事がサッパリ分からなかった

 

 

「〇〇先輩お見舞いに来ました、お身体は大丈夫ですか?」

 

 

フブキちゃんが心配そうに聞いてくる

 

 

「大丈夫だよ、心配してくれてありがとうね」

 

 

僕は笑顔でお礼を言った

 

 

「フン…」

 

 

あれ…?ロボ子さんが不機嫌になった…?

 

 

「それなら良かったです、あまり長居するとアレなので、これリンゴです」

 

 

「ありがとう、後で食べるね」

 

 

「では、私達はこれで」

 

 

そう言ってフブキちゃんとまつりちゃんは部屋を出て行く…

あれ?ロボ子さんも出て行った…?と思ったらすぐ戻ってきた…何だったんだろ…?

 

 

「ロボ子さん、どうしました?」

 

 

「別に、大丈夫よ」

 

 

んー…何か変な感じだけどまぁ良いか

 

 

「フブキが持ってきたリンゴ剥いてあげるわ」

 

 

「ありがとうロボ子さん」

 

 

こんな僕に優しくしてくれるなんて…やっぱり良い人だなぁ…

 

 

 

 

 

「はい、剥いたわ」

 

 

ロボ子さん器用だなぁ…リンゴがウサギさんになってる

 

 

「可愛いなぁ…ロボ子さん凄いね」

 

 

「別に、これくらい大したことないわよ…ほら、食べて」

 

 

ロボ子さんは頬を少し赤らめながら、僕にリンゴを勧めてきた

 

 

「うん、じゃあいただきます」ポロッ

 

 

あれ…手に力が入らないや…

 

 

「しょうがないわね…ほら、口開けて」

 

 

あれ…?心なしかロボ子さんちょっとニヤけてる…?しかもこれアーンだよね…?

 

 

「え…ロボ子さん?」

 

 

僕は戸惑いながらロボ子さんの名前を呼んだ。

 

 

「掴めないんじゃ、食べさせてあげるしか無いじゃない」

 

 

そう言って僕の口にリンゴを運んだ

 

 

シャクシャク…ゴクン

 

 

甘い…とっても甘い…

 

 

「美味しい…」

 

 

「ほら、もっと食べて」

 

 

ロボ子さんは僕にもっとリンゴを勧めてくる、僕はリンゴを食べ続けた。

 

 

「ご馳走様でした、本当に美味しかったよ」

 

 

僕は手を合わせながらそう言った

 

 

「お粗末様、どう?身体の調子は」

 

 

ロボ子さんは僕の身体を気遣ってくれる、僕って幸せ者なのかな…こんな可愛い女の子に心配してもらえるなんて…

 

 

「大丈夫だよロボ子さん、心配してくれてありがとう」

 

 

僕は笑顔でお礼を言った

あれ…?ロボ子さん顔真っ赤だ…可愛いなぁ…

 

 

「ア…アンタ…そんな無邪気に笑うのね…」ボソボソ…

 

 

何か言ってるけど聞き取れないや…

 

 

「とにかく、大丈夫そうなら良いわ…また来るから、ちゃんと寝てなさいね」

 

 

ロボ子さんはそう言って部屋を後にした…

僕も眠くなってきたな…少し…寝よう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(バーカバーカ!〇〇なんてどっか行っちゃえ!)

 

 

(〇〇…デレデレしてんじゃないわよ!)

 

 

 

この夢…何だろう…?懐かしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ボク、大きくなったら〇〇のお嫁さんになりたい!)

 

 

この夢は…知らないはずなのに知ってる感じがする…

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…」

 

 

僕は変な夢から目が覚めた、少し懐かしいような感じがした。

今は林間学校の途中らしい、迷惑かけちゃったし、出来る範囲でお手伝いしなきゃな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はまだ知らなかった、この林間学校で色んな想いが交錯してた事に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずは前半読んでいただきありがとうございます…駄文だったなぁ…って思う方は多いと思います…
これ投稿するの躊躇うレベルでしたので…
さて…後編は更に駄文度が加速しております…読まれる際はご注意を…
ではでは、失礼します…m(_ _)m


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僕と俺と記憶と恋と2

はい、これは続きでございます…
今回はまさかの2話完結となっております…
駄文度がヤバい程なので、読まれる際はご注意くださいませ…

では…ごゆるりと…m(_ _)m


僕の記憶はまだ戻っていない、それでも林間学校は続くので少しでもお手伝い出来る事があるならしていくつもりだ。

 

 

「おい〇〇、あまり無理するなよ?帝も居るんだ、頼っておけ」

 

 

先生は僕を心配してくれてるのか、あまり無理しないように言ってくれた。

それでも僕は迷惑をかけてしまったので、少しでもお手伝いがしたかった。

 

 

「先生、ありがとうございます、無理はしないようにしておきますね」

 

 

僕は先生にお礼を言ってその場を後にした

 

 

僕は自分の班に合流した、班のメンバーは帝君を除いて全員女の子だった。

班編成間違ってるんじゃないかなぁ…

 

 

「あ!〇〇先輩!もう体調は大丈夫なんですか!?」

 

 

フブキちゃんが僕の姿を見つけた途端、小走りで近付いてきた。

フブキちゃん、ちょっと近いかな…距離1mも無いよ…

 

 

「フブキングー、ロボ子先輩が怖い目してるから離れなー?」

 

 

まつりちゃんはフブキちゃんを引き離した…ちょっと助かったな、ありがとうまつりちゃん…

 

 

「さて、メンバーも揃ったし今の内に夜の肝試しのペアを決めとこうか」

 

 

僕が倒れてる間、帝君が代わりにリーダーをやってくれてるみたいだ。本当にありがとう帝君…

 

 

「普通にくじ引きの方が後腐れ無いわよ、ね?ロボ子」

 

 

そらちゃんはくじ引きを提案した、皆も異論は無いようだ

 

 

「それじゃ、ここに赤、青、白の3色の糸を用意した、同じ色の人とペアになってくれ」

 

 

帝君がくじ引きを作ってくれ、皆くじを引いた…

ペアはこちら

帝、まつりちゃんペア 僕、フブキちゃんペア ロボ子さん、そらちゃんペアになった

 

 

「〇〇先輩!よろしくお願いします!」

 

 

フブキちゃんは僕とペアになって嬉しいみたいだ…可愛いなぁ…こういう元気な子…しかもちょっと身長小さいから護ってあげたくなっちゃう…

 

 

「ロボ子、今は耐えて…なんとかしてあげるから…」

 

 

ロボ子さんとそらちゃんが何か話し合っているみたいだけど、僕は気にしない事にした。

 

 

「フブキングフブキング、ちょっと来てー」

 

 

フブキちゃんはまつりちゃんに呼ばれて耳打ちをされてる、まつりちゃん何ニヤニヤしてるんだろ…フブキちゃん顔凄い赤くなってるし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の肝試しの時間になった、僕達の班は2班なのですぐ出番が回ってくる

お化け役は先生達がやってくれるらしい、かなり気合い入れてるみたいだから気を付けなくちゃね…

 

 

1番手は帝君とまつりちゃんペアだ、2人共そこまで怖がらなそうなんだよな…楽に通りそう…

 

 

2番手はロボ子さんとそらちゃんのペア、そらちゃんは怖がらなそうだけどロボ子さんは少し怖がりそうだな…

 

 

3番手は僕とフブキちゃんのペア、僕はそこまで怖いの得意じゃないからなぁ…フブキちゃんも苦手そう…1番危ないかもね…

 

 

「じゃあ行ってくる、10分経ったら次来てくれ」

 

 

帝君はそう言ってまつりちゃんを連れて肝試しのエリアに入って行った、意外としっかりしてるから頼れるんだよね…

 

 

10分後

 

 

「じゃあ今度は私達ね、行こうロボ子…大丈夫…準備はしてるから…」

 

 

そらちゃんがロボ子さんを連れて肝試しエリアに入って行った、最後の方聞こえなかったけど…

 

 

更に10分後

 

 

「じゃあ僕達も行こうか、フブキちゃん」

 

 

時間になったので僕達も行く事にした

 

 

「はい…フブキ…怖いです…」

 

 

フブキちゃんはやっぱり怖いのダメだったか…僕もダメだから本当に大変だな…

 

 

僕達は肝試しエリアに入った…雰囲気がヤバいな…

 

 

ガサガサッ

 

 

「ひいっ!」

 

 

フブキちゃんは僕に抱きついてきた、フブキちゃん…茂みを通っただけだよ…

 

 

「大丈夫だよフブキちゃん、お化けは居ないし、居たとしても先生が化けてるだけだから…」

 

 

僕はフブキちゃんを落ち着かせる、こんな事で驚かれたら全然進めない…

 

 

「ご…ごめんなさい…」

 

 

目に涙を溜めながら僕に謝ってくる…僕がしっかりしなきゃいけないな…

 

 

その後進むと、お化け役の先生に遭遇した、かなり怖かったけど何とか切り抜けられた。

フブキちゃんは絶叫して僕から離れなかった…

 

 

 

中間地点に到着した、ここで1度落ち着かせなければ…

 

 

「フブキちゃん大丈夫?」

 

 

僕はフブキちゃんの状態を確認した

 

 

「はい…大丈夫です…」

 

 

大丈夫と言っても凄いゲッソリしている…これは途中でリタイアしなきゃかな…そう思っていると

 

 

「〇〇先輩!ロボ子が…!」

 

 

そらちゃんが血相を変えて戻ってきた、ロボ子さんに何が!?

 

 

「そらちゃん、ロボ子さんはどうしたの!?」

 

 

「ロボ子が…お化けに攫われて!私は逃げてきました…」

 

 

ウソ…ロボ子さん…!

 

 

僕はまだ万全じゃないフブキちゃんを置いて1人で先に向かう

 

 

 

 

「ロボ子さーん!どこー!?大丈夫ー!」

 

 

僕は叫んだ、お化けは信じないけどもしもがあったら嫌だから…

 

 

「あれ…〇〇…?」

 

 

見付けた…!

 

 

「ロボ子さん、大丈夫!?そらちゃんから連れ去られたって聞いたけど…」

 

 

(え…そらそんな事したの…?こんな心配かけて…)

 

 

「大丈夫よ、この通りだし」

 

 

ロボ子さんはどこにも怪我とか無く無事だった

 

 

「良かった…無事で…」

 

 

僕はホッとした、ロボ子さんが無事で何よりだった

 

 

「何よ…」

 

 

ロボ子さんは少しだけ頬を赤らめていた、何でだろ…?

 

 

「〇〇、アンタフブキはどうしたの?」

 

 

あ…そういえば置いてきちゃったんだよな…

 

 

「ロボ子さん探すので必死だったから…多分そらちゃんと一緒だと思う」

 

 

「そう…今から戻るのもアレだし…一緒に行く?」

 

 

「うん…フブキちゃんには後で謝っておかなきゃだね…それじゃロボ子さん、一緒に行こうか」

 

 

僕は心の中で1度謝り、ロボ子さんと共に行く事にした

 

 

「しょうがないから、一緒に行ってあげるわ」

 

 

そう言ってロボ子さんは僕の手を握ってきた

 

 

「あ…ごめん、嫌なら離すわ」

 

 

ロボ子さんは僕が驚いたのか手を離そうとした

 

 

ギュツ

 

 

「ううん…嫌じゃないよ、握っていたい」

 

 

「っ!そう…なら好きにすれば良いわ…」

 

 

ロボ子さんは顔真っ赤にしながら言った、コロコロ表情変わるの可愛いなぁ…

 

 

「ロボ子さんって可愛いよね」

 

 

不意にそんな言葉を口走った

 

 

「はぁ!?何言ってんのよ!」

 

 

怒らせちゃったみたいだ…というか何で言っちゃったんだろ…

 

 

 

 

 

 

その後の肝試しは、僕が驚いてロボ子さんがそれを笑うというものだった。

ロボ子さんは終始笑顔だった

 

 

 

 

肝試しが終わった後、僕はフブキちゃんに謝りに行った

結果的にフブキちゃんを置いて行っちゃったから…

 

 

 

肝試し後は、キャンプファイヤーがある

相手を1人決めて踊るそうだ…

僕は、フブキちゃんに謝りに行った時、お詫びを兼ねて踊りに誘った

埋め合わせってやっぱり必要だと思うんだ…

 

 

 

キャンプファイヤーが始まる、僕はフブキちゃんと踊る…

ロボ子さんが何か言いたそうだったけど何かあったのかな…?

 

 

「〇〇先輩、誘ってくれてありがとうございます、嬉しいです」

 

 

フブキちゃんからお礼を言われた

 

 

「ううん、こちらこそありがとうね、OKしてくれて」

 

 

フブキちゃんは凄い嬉しそうだった

でも僕はその笑顔の意味が分からなかった…

 

 

 

踊りもラストに入り、盛り上がりも凄い中フブキちゃんから声をかけられる

 

 

「〇〇先輩…この後少し時間貰えますか?」

 

 

「うん、良いけどどうしたの?」

 

 

フブキちゃんからそんな事言われるなんてどうしたんだろう?

 

 

「いえ…ちょっと…」

 

 

フブキちゃんは顔を赤らめながら俯いている

 

 

「分かったよ、終わったら時間作るね」

 

 

「はい、ありがとうございます…」

 

 

 

 

 

キャンプファイヤーが終わり、僕はフブキちゃんに呼ばれたのでついて行った、あんまり部屋から離れてないので多分大丈夫だと思う

 

 

「〇〇先輩、時間割いてもらってすいません…」

 

 

「僕は大丈夫だよ、フブキちゃん」

 

 

フブキちゃんはずっとペコペコしてた、そんなに気にしなくて良いのに…

 

 

「今の〇〇先輩は分からないかもですが、私に凄い優しくしてくれたんです」

 

 

記憶失う前の僕…そんなに優しかったのか

でもなんでそれを今言うんだろ…?

 

 

「私は…ずっとロボ子先輩が羨ましかった…幼馴染みで…ずっと一緒で…ロボ子先輩の立場がずっと私だったらって思ってました…」

 

 

フブキちゃん…それだとまるで…

 

 

「好きです…〇〇先輩…私と…付き合って下さい…!」

 

 

嬉しいけど…僕は…

 

 

「フブキちゃん、君の想いは凄い嬉しいよ、ありがとう」

 

 

「じゃあ…!」

 

 

「でもごめん…僕は君の想いには応えられない…僕は今記憶が無いし、君の事をちゃんと知らない…」

 

 

僕はフブキちゃんの告白をお断りした…嬉しいはずなのに本能が応えちゃいけないって言ってるんだ…もっと大事な人が居るって叫んでくるんだ…

 

 

「やっぱり…ロボ子先輩ですか…?」

 

 

フブキちゃんは俯きながら、そう呟いた

 

 

「かも知れない、でも僕は分からないんだ…こんな気持ちでフブキちゃんの想いに応えたら、それはそれで失礼だと思ったんだ…」

 

 

「そうですか…〇〇先輩…あのキャンプファイヤーにはあるジンクスがあるんですよ」

 

 

ジンクス…?

 

 

「あのキャンプファイヤーで踊った2人は結ばれるっていうジンクスがあるんです、だから私凄い嬉しかったんです…ロボ子先輩じゃなくて私を選んでくれたんだって…」

 

 

そんなジンクスがあったなんて…記憶を失う僕も知っていたのだろうか…

 

 

「ごめん…そんなのがあるなんて知らなかったんだ…」

 

 

「分かってますよ、今の〇〇先輩は記憶喪失ですもんね…そんな時に告白なんてズルいですよね…」

 

 

僕は罪悪感で押し潰されそうになった、何でこんな時に僕は記憶喪失になってしまったんだと…悲しませる真似させちゃダメなのに…

 

 

「本当にごめん…もし可能なら記憶戻ってからまた…」

 

 

「それは無いですよ、女の子の告白は特別なものなんです…そんなホイホイしてたらダメなんです」

 

 

「そっか…」

 

 

「〇〇先輩、ロボ子先輩とお幸せにです!今の〇〇先輩は分からないでしょうけど、ロボ子先輩は〇〇先輩の事好きですよ、きっと」

 

 

え…?ロボ子さんが僕の事好き…?そんなバカな…

 

 

「フブキちゃん、冗談は嫌だな…ロボ子さんが僕を好きになる訳無いよ」

 

 

僕は強く否定した、ロボ子さんが優しいのはただの親切だと思うからだ。

 

 

「はぁ…これはロボ子先輩も大変なはずだなぁ…素直になれないから余計なのかも…」

 

 

あれ…フブキちゃんロボ子さんを同情し始めたよ…?

これ僕が悪いの…?

 

 

「さて、振られちゃったしそろそろ戻りますか、あまり遅いとまたロボ子先輩に怒られますよ?」

 

 

「あ…そうだね…じゃあ戻ろうか」

 

 

僕達は部屋に戻ろうとする

 

 

「あ、〇〇先輩」

 

 

「ん?どうし」

 

 

チュッ

 

 

え…?

 

 

「振られちゃったけど、これだけはあげますね♪私のファーストキスです♪」

 

 

ファースト…キス…?

 

 

「じゃあ、先に戻ってますね!」

 

 

フブキちゃんは走って部屋に戻って行ってしまった…

キスされちゃったんだけど…

 

 

僕は、さっきの事で顔が熱くなってしまい、もう少しその場に居る事にした。

これで戻ってフブキちゃんと顔合わしたらまた大変になるからだ…

 

 

 

 

 

 

「はぁ…どうしよう…こんなんじゃ戻れないよ…」

 

 

僕はあれから30分経っても戻れなかった…

 

 

「こんな所で何してんのよ」

 

 

「あ…ロボ子さん…」

 

 

ロボ子さんが来た…多分探しに来てくれたんだと思う

 

 

「もうそろそろ戻ってくれないと困るんだけど」

 

 

ロボ子さんは少し呆れ気味にそう言った。

 

 

「ごめん…ちょっと考え事してて…」

 

 

「フブキの事?」

 

 

どうして分かったんだ…?

 

 

「どうして?」

 

 

「フブキが戻って来た時ちょっと雰囲気違ったから、それにアンタも居なかったから何かあったかなって」

 

 

凄いなロボ子さん…そこまで分かってるんだ…

 

 

「そっか…そうだよ、フブキちゃんの事でね…悩んでた」

 

 

「そう…告白でもされた?」

 

 

「何で分かるの!?」

 

 

僕はちょっと怖くなった…女の子はエスパーなのかな…

 

 

「アンタとフブキの帰りが遅い、フブキだけ先に戻って来た、雰囲気がおかしい、アンタは悩んでる、考えれば何となく分かるわよ…」

 

 

本当に凄いなロボ子さん…

 

 

「全てお見通しって事か…そうだよ、僕はフブキちゃんに告白されたんだ…でもお断りしたんだけどね」

 

 

「へぇ…キャンプファイヤーの時に踊った癖にそれで振ったんだ…」

 

 

ロボ子さんもそのジンクス知ってたのか…

 

 

「うん…本能がね…ダメだって言ってたんだ…」

 

 

「はぁ?そんなものでフブキの告白断ったの…?」

 

 

「うん…もっと大事な何かがあるって思えてね…」

 

 

「バカッ!」

 

 

突然ロボ子さんが叫んだ…

 

 

「アンタ…フブキの気持ち考えてないの!?どんな思いで告白したのか…」

 

 

ロボ子さんは自分の事のように怒っていた…

 

 

「…」

 

 

僕は何も言えなかった…

あんなに悲しそうな顔するなんて…

アレ…?何か頭が痛い…

 

 

「今のアンタを殴るのは気が引けたけど…もう我慢出来ない…!女の子の必死な想いを無駄にするアンタなんか…死んじゃえ!」

 

 

そう言い、ロボ子さんは拳を僕に振るってきた

 

 

ドゴォッ

 

 

鳴っちゃいけない音がなった気がする…僕はそのまま木にぶつかり…意識を失う…

 

 

「あ…やり過ぎた…〇〇…?」

 

 

ロボ子さんの問いかけに僕は応えられなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは…どこだろう…

 

 

僕は確かロボ子さんに思いっきり殴られて…それから…

 

 

 

(ここは俺とお前の心の中と言うべきか)

 

 

誰…?

 

 

(俺はお前だよ、〇〇)

 

 

え…僕…?

 

 

(そう…俺はお前になる前の〇〇だ、簡単に言えば記憶喪失になる前の〇〇だ)

 

 

なるほど…それで、何で此処に…?

 

 

(それは、お前の役目が終わりを迎えたからだ)

 

 

僕の…役目が終わる…?どういう事…?

 

 

(お前は俺が突然倒れた時に急遽作られたような人格な物なんだ…俺もようやく完全回復出来た…後は俺に任せろ)

 

 

君に任せた場合僕はどうなるの…?

 

 

(お前は消えるな…記憶は引き継がれるが)

 

 

そっか…僕は消えちゃうんだ…

 

 

(あぁ…すまないな…今までありがとう)

 

 

最後にさ…記憶引き継がれるなら…フブキちゃんの事お願い…

 

 

(分かってる、任せてくれ…)

 

 

ごめんね…僕がやれれば良かったんだけど…

 

 

(気にしないでくれ…元々は俺がしっかりしなかったからだしな)

 

 

あはは…それじゃあね…〇〇…

 

 

(あぁ…またな、〇〇…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこは、殴られて木にぶつかった場所と同じ場所だった…

 

 

「あ…〇〇!ごめん…やり過ぎた…大丈夫?」

 

 

ロボ…子…?

 

 

「あぁ…大丈夫だよ、ロボ子」

 

 

「え…今アンタ呼び捨てで…」

 

 

「何時も呼び捨てだろ?ロボ子」

 

 

「記憶…戻ったの…?」

 

 

「あぁ、戻ってる…それに、今まで何をしてたかも知ってる」

 

 

記憶は無事引き継がれていた…

 

 

「そう、なら良いわ」

 

 

そう言ってロボ子は部屋に戻ろうとする

 

 

「あぁ、ロボ子ちょっと待ってくれ」

 

 

俺はロボ子を引き止めた

 

 

「何よ?もう部屋に戻らなきゃいけないんだけど?」

 

 

ロボ子は嫌そうにこっちを睨んでいた

 

 

「すぐ済むから、近くに来てくれ」

 

 

「何よもう…早くしてよね」

 

 

ロボ子は早く戻りたいみたいだ…なら仕方ない、サクッといこうか

 

 

「ロボ子、好きだ、それだけだ…じゃあ戻るか」

 

 

随分アッサリしてると思う、でもロボ子が早く戻りたがってるんだ、仕方ないよね

 

 

「ちょっ…ちょっと待ってよ!今何て言ったの!?」

 

 

あれ…?戻りたいんじゃなかったの…?

 

 

「だから、好きって言ったんだよ、早く戻るぞ」

 

 

「そ…そんな簡単に言うもんじゃないでしょ!?もっとムード作って言うんじゃないの!?」

 

 

ロボ子は相当動揺してるようだ…そりゃ普通はね?ムード作ってからだけど…早く戻りたがってたじゃん…

 

 

「だって早く戻りたいんだろ?だから早く戻るためにサッと言ったんだよ」

 

 

「アンタねぇ…そんなんで納得出来る訳ないでしょ!」

 

 

ロボ子はやっぱり怒るか…だってなぁ…?

 

 

「ムード作ってもう一回言いなさい!」

 

 

もう一回言うの…?仕方ないな…

 

 

「分かったよ…」

 

 

俺は1度深呼吸をし…

 

 

「ロボ子…ずっと前から好きだった、ツンデレなお前が好きだ、仲間思いなお前が好きだ、フブキちゃんの告白を断ったのも、お前が好きだったからだ、誰にでも俺は優しく接してしまう、それでも俺が好きなのはお前だけだロボ子…俺と…付き合って欲しい」

 

 

思った事を全部伝えた、これで振られても後悔は無い…

 

 

「何で…何で今それ言うの…?」

 

 

ロボ子は嬉しいとも悲しいともとれる表情をしていた…

 

 

「ズルいよ…〇〇…アンタはズルい…卑怯よ…」

 

 

「…」

 

 

俺は何も言わない、きっと今言うのは間違ってると思ってるからだ…

それでも言ったのは、フブキちゃんの想いを踏みにじった自分自身へのケジメも含まれてるんだと思う。

どんな理由であれ女の子を泣かすのは最低だ…

 

 

「こんな時に言われたって…嬉しくないのに…嬉しくないのに…涙が止まらないよ…最低よ〇〇…!最低なのに…」

 

 

そうだロボ子、そのまま俺に罵声を浴びせてくれ…それが…せめてもの償いになる…

 

 

ポコン…ポコン…

 

 

ロボ子は力無く殴ってきた…

 

 

「アタシだって…アタシだって……それでも今は告白されたくなかった…!」

 

 

ロボ子は涙を流しながら俺を殴り続ける…

 

 

「う…うぅ…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁん…」

 

 

とうとう殴るのを止め、俺を抱きしめながら泣いた

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はロボ子が泣き止むのを待った、ロボ子に振られる為に

俺はフブキちゃんを振った、悲しませた、その罰を受けなきゃいけない…

 

 

「ロボ子、落ち着いたか?」

 

 

俺はそろそろ大丈夫かなと思い、声をかけた

 

 

「えぇ、悪かったわね…」

 

 

「それじゃ、答えを聞かせてくれないか?」

 

 

俺は振られる決心は出来てる、ズバっとやって欲しい

 

 

「…よ」

 

 

「え?」

 

 

よく聞こえなかった…

 

 

「だから!アタシも好きだから付き合ってあげるって言ってるの!」

 

 

マジか…俺は振られる為に言ったのに…踏みにじって欲しくて言ったのに…

 

 

「待ってくれ!それじゃ俺はフブキちゃんに償いが出来ない!」

 

 

俺はそんな事を言っていた

 

 

「はぁ?なんでフブキに償わなきゃいけないのよ?アイツはアイツの意思でアンタに告白した、それをアンタが振った、それだけの事でしょ?」

 

 

「そ…それはそうだが…」

 

 

「それなら、フブキも彼女にする?アタシは構わないわ」

 

 

ロボ子…お前何言っちゃってんだよ…出来る訳ないだろ…

 

 

「俺は2人を同時に愛する器は無いぞ…ロボ子だけを愛したいんだ…」

 

 

「アンタ本当クサイ台詞言うようになったわね…まぁ良いわ…」

 

 

「それじゃ戻りましょう、流石にアタシまでこんなに遅いと」

 

 

ダンッ

 

 

俺は戻ろうとするロボ子に壁ドンをした…

 

 

「何よ…?ビックリするじゃ」

 

 

チュッ

 

 

そして、そのまま唇を奪った…

 

 

「!?ちょっと!何すんのよ!」

 

 

「俺はロボ子が好きだ、だから…それを証明したいだけだ」

 

 

「っ///バカじゃないの!?アタシはとっくに好きだってば…」

 

 

「ありがとう…今度こそ戻ろうか」

 

 

 

 

 

 

 

その後戻った俺達は、俺の記憶が戻った事を皆に伝えた、そして…ロボ子と付き合う事になったのも…

フブキちゃんには本当に悪い事をしたので、後日2人でデートする事で許してもらえた、これはロボ子も了承している。

そらちゃんからは「ロボ子を泣かせたら許しませんから」と凄く冷ややかな声で言われた…あの子ヤンデレじゃないよな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、ロボ子ー開けるぞー」

 

 

俺は声掛けはすれどノックをせずに開けた

 

 

「だからアンタはちゃんとノックしなさいって言ってるでしょ!バカ!死ね!」

 

 

林間学校が終わってからも、俺達の関係はそこまで大きく変わっていない。

むしろ、変わらない方が良い事もあるのかもしれない

いや、1つだけ変わった事があるか、それは…

 

 

 

「ほら〇〇、早く行きましょ♪」

 

 

ロボ子が少しだけ、素直になった事かな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんな駄文レベルヤバいお話を読んでくださり、ありがとうございます…
このお話は戒めも込めて、暫く残すつもりでございます…
一定の期間が経ちましたら、削除しようと考えています…

次こそはまともなお話を投稿出来たらと思いますので…
何卒よろしくお願いします…
ではでは…次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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夏の恋と野球 by夏色まつり

どもですm(_ _)m
今回はロボ子さんのお話では無いんですね…
それをロボ子さんのシリーズで書くのどうかと思いましたが…
本来でしたら、このお話は数時間前に投稿しなければいけないはずでした…しかし投稿出来なかった…その理由は…
このお話書き始めたの…投稿した3時間前なんですね…
色々失敗しました…そんな後悔を持ちつつも、このお話を投稿させていただきます…

急遽書いたものなので、内容薄っぺらいですし…文字数も多くありません…
そして読んだ方から激怒されるかもと言う不安もあります、それでも書かずにはいられなかったし、投稿したかった…

とまぁ、長々と語るのもアレですので…
ごゆるりと…m(_ _)m


いきなりだが聞きたい、スポーツに必要な事って何だと思う?

練習?確かに必要だ、センス?それも必要ではある、やる気?それも必要だな…

だが、土壇場で1番必要なものがある…それは応援だ。

これは、そんな全力で応援する少女と1人のスポーツマンのお話…

 

 

 

 

 

カキーン!

 

 

「オラァ!〇〇行ったぞぉ!」

 

 

「オーライ!オーライ!」ポスン

 

 

「よーし、ナイスだ〇〇」

 

 

俺、〇〇はまつりす高校2年、野球部に所属している。

ここの野球部は甲子園には行けないものの、毎回決勝までは行ける。

それなりには強いのだ。

そんな強い部に所属している俺は外野手をやっている、しかし補欠の部類だ。

部員数は50人を超えており、レギュラー争いが激化している。

俺もそこまで下手くそな方では無いのだが、外野手レギュラーの3人とのレベル差は明らかになっている。

右の外野手2年海老野は同年代で既に肩が出来上がっている。

レーザービームなんてお手の物だ。

中央外野手3年獅子川さんは足が特に速い、普通なら届かない距離でもあっという間に追い付いてフライにしてしまう…外野手の要である。

左の外野手2年帝は小学校の頃から野球をやっている、両親からの英才教育?で外国のコーチから直接指導を受けているとかなんとか…

2人と比べるとレベルが上である。

 

 

俺は高校から野球を始めた、所謂初心者の部類だ

それでも補欠のポジションを確保出来てるのは、俺の代打での活躍が大きいからなんだろう…

守備こそ上手くはないが、打撃に関しては監督からも一目置かれている。

狙ったところに打てるコントロールに定評がある、得点圏にランナーが居る場合かなりの確率で起用してもらえる。

だがさっきも言ったが守備がそこまで上手くはない…これで守備も上手くなればレギュラーに抜擢される確率も大きく上がるだろう。

その為監督に無理言って毎日2時間の居残り練習をお願いしている、一応…少しずつ上達はしているはずだ…

 

 

「〇〇、今日はもうこれくらいにしておくぞ…そんなフラフラではもう捕球は出来まい」

 

 

監督は俺の状態を見て判断したようだ…俺はもう少し練習したいが、オーバーワークは身を滅ぼす、ここは大人しく従う

 

 

「はい!何時も付き合っていただきありがとうございます!失礼します!」

 

 

俺は監督にお礼と挨拶をし、片付けをした後グラウンドを後にする

 

 

「イテテ…流石に無理してるな…それでも早く上手くならなきゃいけないんだ…」

 

 

俺はレギュラーになる為焦っていた、夏の大会が迫っているのも焦りの1つだが…もう1つ理由がある。それは…

 

 

「アレアレェ…?〇〇先輩…まだレギュラーなれないんですかぁ…?」

 

 

後輩の夏色まつりからの煽りなのだ…

まつりはチア部に所属している、話に聞くと上手らしい…

まつりとは1つ賭けをしている、俺が夏の大会のレギュラーに選ばれたら、デートをするという賭けを…

デート?そんなの別に賭けの対象にならないだろ?って声はあると思う、まぁ分かるよ…だがこの賭けには続きがある。

それは、俺がレギュラーで見事サイクルヒットを打ったら付き合うという賭けだ…

どこにでも打てるコントロールがあれば楽勝だろ?と思うだろうが、俺は唯一ホームランだけは打てないんだ…

腕力がな…非力なんだ…

 

 

「こんなんじゃ付き合うはおろかデートも無理ですねぇ…?」

 

 

まつりは煽るように喋ってくる…

俺はこんなまつりの事が好きである、告白も実はしてる…

だがその条件な感じで賭けをする事になったんだ…

 

 

「今に見てろ…?直ぐにでもレギュラーになってやるからよ!人間努力すれば何でも出来るんだよ!」

 

 

俺は身体中の痛みなんて気にせずにまつりに言った、

もう少しなんだ…もう少しでレギュラーの道が開かれるんだ…

 

 

「そうですか、まぁ期待しないで待ってますねぇ?」

 

 

まつりめ…俺がレギュラーになれないと思ってやがる…絶対レギュラーになってやる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、今日までの成績、コンディションでレギュラー決めるぞ!」

 

 

とうとうこの日が来た…あれからも毎日2時間の居残り練習を欠かさずやった…捕球もかなり上手くなったと自負している。

 

 

練習が始まる、まずは打撃練習だ

 

 

カキーン!カキーン!カキーン!

 

 

「よーし〇〇、打撃はやはり素晴らしいな…期待しているぞ!」

 

 

監督から褒められた、しかし打撃では何時もなのでもう気にしていない。

 

 

「ありがとうございます!部に貢献出来るよう全力を尽くします!」

 

 

俺はそう言って打席から離れる。

周りの打撃評価を見ていると、打撃面ではレギュラークラスにはなれそうだ…問題は守備練習…ここでミスったら全てが終わる…まつりともデートが出来なくなる…俺は気合いを入れ直した。

 

 

 

 

 

守備練習が始まった、やはりレギュラー陣3人の守備スキルは高い…アレを越えなきゃ…いけないんだ…!

 

 

「次!〇〇!」

 

 

俺の名前が呼ばれる

 

 

「はい!お願いします!」

 

 

監督が10本打ち上げて捕球力、返球力、反応速度で決まる。

 

 

カキーン!パスッ!シュッ!

 

 

なんとか7球までは楽にいけた…しかし残り3球は横に大きく振ってくる…

 

 

カキーン! パスッ! シュッ!

 

 

流石に辛いか…でもやるんだ…!

 

 

カキーン! パスッ! シュッ!

 

 

後…1球!

 

 

カキーン!パスッ!シュッ!

 

 

最後の反応速度はかなり速く出来た…しかし2球がちょっとダメだったかもしれない…

 

 

「よし、〇〇終わりだ!」

 

 

監督から終了の合図を貰う

 

 

「はい!ありがとうございました!」

 

 

俺はグラウンドを後にし、走り込みに行った

 

 

(今回のでレギュラーが決まる…出来る事はやった、後は結果を待つだけだ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習終了の時間になる、監督が選手を集めた…レギュラーが決まる…

 

 

「お前達よく頑張った、これからレギュラーの名前を呼ぶ、しかし呼ばれなかった者も誇りに思って欲しい…」

 

 

監督は先に労いの言葉を皆にかけていった

 

 

「よし、それじゃ呼んでいくぞ」

 

 

とうとう決まるんだ…レギュラーに…なるんだ…

 

 

「次、外野手…獅子川、帝……〇〇」

 

 

え…?俺の名前…呼ばれた…?

 

 

「おい!〇〇返事はどうした!」

 

 

監督から言われ俺は覚醒した

 

 

「は…はい!」

 

 

「初レギュラーだったな…頑張れよ、努力が報われたんだ」

 

 

俺の努力は報われた…レギュラーになれたんだ…

海老野は肩の調子が悪いのか、自慢のレーザービームが使えなかったそうだ…その差で選ばれたのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はまつりにこの事を伝えた、1つ目の賭けに勝ったのだ…

 

 

「へ…へぇ…先輩レギュラーなったんですねぇ…やれば出来んじゃん…」

 

 

ん…?最後聞こえなかったが…まぁ良い

 

 

「賭けには勝ったんだ…デートしてもらうぞ」

 

 

「仕方ないなぁ…んで?何時デートします?」

 

 

なんか投げやりな気が…まぁ良いか…

 

 

「んー…練習もこれからまた激しくなるから、今から行こう」

 

 

デートは嬉しいが、それで練習の妨げになるのは正直嫌なので今から行こうとする

 

 

「今からですか!?」

 

 

まぁ驚くよな…普通土日とかの休みにするもんだろうけど、練習したいんだ

 

 

「まつりも面倒くさそうな感じしてるしな、サッサと済ませたいだろ?」

 

 

「はぁ…分かりましたよ、それじゃゲーセン行きましょ」

 

 

とりあえずデートスタートだ

 

 

 

 

 

 

 

ゲーセンに入って目に飛び込んだのはクレーンゲームだ、海老フライとライオンが合体してる海老フライオンというキャラのぬいぐるみが人気らしい…何か凄いな…

 

 

チャリン♪

 

 

とりあえず1回やってみるか…クレーンゲームとかやった事無いけど…

 

 

ウィーン…ウィーン…ガシャン…ウィーー…ポトン

 

 

取れちゃった…1回で…

 

 

「あー!先輩それ取ったんですか!?」

 

 

まつりが興奮しながら迫ってきた、可愛い…

 

 

「あ…あぁ、1回でな…」

 

 

「良いなぁ…何回やっても取れなかったし…」

 

 

なるほど…欲しいんだな…

 

 

「んじゃこれやるよ、俺にぬいぐるみは合わないから」

 

 

俺はまつりに海老フライオンをあげることにした

 

 

「本当ですか!ありがとうございます」

 

 

あぁ…可愛いなぁ…

 

 

その後ダンスゲームや某太鼓のゲーム等、色々やった…

ダンスゲームは流石チア部なのかキレが凄かった…太鼓は…まぁ…うん…

 

 

 

 

 

 

 

 

時間も遅くなったので、そろそろ帰ることにした

 

 

「今日はありがとうなまつり、嫌々でもデートしてくれて」

 

 

「別に嫌じゃ無いですよ、楽しかったし…」

 

 

そう言いながら海老フライオンを抱きしめていた、楽しんでくれたなら…良かったな…

 

 

「今日は良い思い出だ…もう付き合えなくても良いかな…」

 

 

俺は少し諦めながら言った、ホームランはどうやっても打てないからな…

 

 

「〇〇先輩そんな簡単に諦めるんですかぁ?まつりの事好きって言ったのは嘘だったんですかぁ?」

 

 

まつりはまた煽りながら言ってきた、いや打てないものは打てないんだ…

 

 

「どうやっても筋肉だけはな…それだけはすぐ解決しないんだ…」

 

 

「はぁ…もしまつりも〇〇先輩の事好きと言っても諦めるんですか?」

 

 

まつりは突然そんな事に言いだした

 

 

「なっ!?お前何言ってんだよ…冗談止めてくれよ…」

 

 

俺はつい否定的になってしまった…

 

 

「まつりは嘘付きませんよ、信じるかどうかは〇〇先輩の自由ですがね…」

 

 

信じて良いのだろうか…本当なら嬉しいが…

 

 

「はぁ…仕方ないのでやる気出してもらう為にまつりが1つおまじないしてあげますよ」

 

 

おまじない…?

まつりは俺から少し距離をとった

 

 

「フレー!フレー!〇〇先輩!フレッフレッ〇〇先輩!フレッフレッ〇〇先輩!」

 

 

まつりが俺だけに応援エールをしてくれた…凄い…嬉しいな…

 

 

「ふぅ…これで〇〇先輩はホームランきっと打てますよ、まつりの応援なんですから」

 

 

「ありがとうなまつり…俺頑張るから…」

 

 

まさかまつりに応援されるとは思わなかった、ここまでされたんだ…弱気になんてなれない!

 

 

「じゃあ、頑張ってサイクルヒット狙って下さいね」

 

 

まつりは頬を少し赤らめ、そっぽを向いた

 

 

「あぁ、頑張るよ…好きだし、付き合いたいからな」

 

 

そう言うとまつりは更に顔を赤くした気がする…

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、今日はどうもでした、大会ファイトですよ」

 

 

「あぁ、気を付けてな」

 

 

俺達はそれぞれの帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大会当日、俺は海老野のポジションの右外野手になった

ここまで来たんだ…何が何でもサイクルヒット取ってやる!

 

 

 

 

 

 

 

と、意気込んだのは良いんだが…やっぱりホームランだけは出なかった…3ベースは出来たぞ、必死に走り込みもしてたからな…

 

 

初戦は5-2で勝利した、俺はタイムリーを1回貢献した

 

 

 

 

 

 

2回戦7-1、3回戦6-3で勝利した、やはりホームランだけは出なかった…このままじゃダメだ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

試合を勝ち進み、とうとう決勝戦…

 

 

 

「良いか!決勝の相手はナニサー高校!毎回決勝であたる相手だ、今日こそは勝つぞ!」

 

 

オォー!

 

 

選手の士気はかなり高まっている、これを勝てば甲子園なんだ…頑張らなきゃな…!

 

 

1回の裏、俺は3番で打席に入る、1アウト2塁、得点のチャンスだ…

ここはホームランを狙うのではなく、手堅く点を入れる事を考えた

 

 

カキーン!

 

 

丁度外野手がどっちでも行けるようなとこに落とせた

 

 

ズサーッ

 

 

2塁ランナーホームイン、俺は2塁まで進めた…

その後2点追加し、1回の表で3点獲得した

 

 

相手の攻撃、やはり甲子園常連校…かなり強い

こっちの投手も決して弱くはない、だが的確に攻めてきてあっという間に同点にされた…これは打撃合戦になりそうだ…

 

 

 

 

案の定、打撃合戦になった…7回の時点で8-8、かなり辛い戦いだ…

俺は既にヒットとツーベース、スリーベースは達成した…ホームランだけ未だに出ない…

 

 

 

とうとう9回の裏…8-9と1点差で負けている…俺達も相手も共に疲弊している、そして2アウトで1塁…かなり状況は危ないところだ…

俺の今の状態だと、もう狙ったところに打つのは厳しい…決めるとしたら…ホームランしかない…

 

 

 

ビュッ!…ストライーク!

 

 

相手の投手の球威も落ちてる…狙うなら今しか無いが…ホームランを打てる力が…

 

 

「〇〇先輩ー!お願い!打って!負けないで!」

 

 

まつりが叫んでる声が聞こえる…そんな人前で特定の人間応援するのはダメだろ…

だけど…力は湧いてきた…今なら…打てるかもしれない…いや、打つんだ…!

 

 

ビュッ!カキーン!…ファール!

 

 

追い込まれた…だが、俺は打つ…こんなところで…負けられない!

 

 

ビュッ!カキーン!ガサッ…

 

 

 

 

 

 

 

俺は…打った…人生で初の…ホームランを…

 

 

 

ウォォォォォォォォォォ!

 

 

 

選手が…監督が…まつりす高校の皆が…雄叫びをあげた…

俺の初のホームランは、サヨナラ2ランホームランだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は甲子園出場を果たした…先輩も泣いてるし、監督もここ一番の笑顔だ…

 

 

「皆今日は良くやった!疲れを残さないようにゆっくり休んでくれ!」

 

 

監督の激励の後、各自解散になった…

 

 

「〇〇先輩」

 

 

振り返ると、まつりが居た…

 

 

「まつり…俺、やったよ…俺の手で…甲子園出場決めたよ…」

 

 

「見てましたよ、〇〇先輩のサヨナラ2ランホームラン…カッコよかったです」

 

 

ちょっと恥ずかしいな…でも…良かった…

 

 

「ははっ…ありがとうな…まつり…」

 

 

俺は疲れきってる為か…返事をするのもやっとだった…

 

 

「これで賭けは〇〇先輩の勝ちですね…」

 

 

まつりは頬を赤らめながら、微笑んだ…

 

 

「…そうだな」

 

 

「嬉しくないんですか?まつりと付き合うの」

 

 

「嬉しいけどさ…まつりは良いのか…?こんな事で俺と付き合う事になって…賭けなんてしちゃったが、お前がどうしても嫌なら別に」

 

 

そこまで言うと、まつりは俺を押し倒した…

今の俺はヘトヘトだ…抵抗する力も無い…

 

 

「〇〇先輩、まつりは本当に好きなんですよ、この前のデートの時だって嬉しかったですし、嘘は言いません」

 

 

まつりは真っ直ぐ俺を見ながら言う…

 

 

「まつり…」

 

 

「それに、まつりも付き合いたかったですし…ただ意地悪したくて賭けなんて提案したんです…本当にサイクルヒット達成するとは思わなかったですが…」

 

 

そこは信じてなかったのね…まぁ俺も信じられなかったからなぁ…サイクルヒット達成するなんて…

 

 

「だから、これでちゃんと付き合えるって思うと嬉しいんです…〇〇先輩…好きです…」

 

 

チュッ

 

 

 

まつりはそう言って、俺の頬にキスをした…

 

 

「唇はまだ早いので…ほっぺで我慢して下さいね」

 

 

まつりは顔を真っ赤にしながら言った

 

 

「まつり…俺も好きだ…大好きだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子園出場を決めた日、俺達は正式に付き合う事になった

しれっと隠れて見てた奴らから話は広まり、教室に入った途端質問攻めになったのは驚いた…

 

 

 

 

 

俺達まつりす高校野球部は、怒涛の勢いで決勝まで行った…

正直ここまで勝ち上がれるとは思わなかった…でもここまで来たら優勝しかないよな…!

 

 

 

「さぁ…泣いても笑ってもこれが最後、決勝だ!きっちり優勝して笑顔で帰るぞ!」

 

 

オォー!

 

 

さて…今回は打順変わって俺は一番バッターだ…

まずは得点圏に塁を進めないとな…

 

 

ビュッ!!カキーン!

 

 

絶対に…優勝するんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、俺達は勝てなかった…

でも誰1人諦めずに戦い抜いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けちゃいましたね…〇〇先輩…」

 

 

俺はまつりと帰っていた、付き合い始めてからずっと一緒に帰っている。

 

 

「あぁ…手も足も出なかった…悔しいよ…」

 

 

俺の打撃コントロールも通用しない程だった…自信を持っていただけに、ショックはある…

 

 

「それでも、〇〇先輩は来年があります!3年の先輩は残念ですが…〇〇先輩は後1年あります!次こそは甲子園優勝しましょう!」

 

 

まつりは元気に励ましてくれる…思えばまつりは意地悪だが励ます時はきっちり励ましてくれる、こういう所に救われる…

 

 

「ありがとうな、まつり」

 

 

チュッ

 

 

俺はまつりのおでこにキスをした、唇は未だにした事ない…

高校生だからな…ピュアな関係でいたいと思ってる。

 

 

「っ//〇〇先輩ズルいです…」

 

 

まつりの顔は一気に真っ赤になった…

付き合い始めてから照れる事が多くなった気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は甲子園優勝果たせなかったが、次こそは優勝を狙う…

まつりと一緒なら…本当に出来そうな気がする…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます…
読んだ方なら分かると思いますが、このお話は夏色まつりちゃんという方のお話でございます…
実はこのお話を投稿した数時間前まで、夏色まつりちゃんの誕生日でございました…本来だったらその日に投稿しなければいけないのにまさかの時間切れ…
おそらくファンの方からはブチ切れられるだろうなぁ…と思っております…
そして、自分が知ってる夏色まつりちゃんの情報が少なすぎるせいか、キャラや口調が違う、なんて事もあるかもしれません…
本当に申し訳ございません…

次のお話からはまたロボ子さんのお話になりますので、また宜しければ読んでいただけると幸いです…
ではでは、次のお話まで失礼します…m(_ _)m


追伸、ユーザー登録されてなくても感想等書けるようにしておりますので、応援でも叱責でも構いません…感想をいただけると今後の糧に出来るかと思いますのでよろしくお願い致します…


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人間と妖怪の恋路

どもです…(´・ω・`)
夜中に投稿させていただいたお話ではご迷惑をおかけしました…
まだ立ち直れておらず、今回は少し短めとなっております…

それで1つ質問が…
どうやったら砂糖吐けるような甘い話書けますかね…?

ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


僕は〇〇、普通のアルバイターだ。

両親は他界し、一人暮らしだ…

いや、一人暮らしは語弊があった、一人と一匹で住んでいた。

そう、だった、んだ…

 

 

この一匹と言うのがメスのネコ、名前はロボ子だ。

雨の日に家の付近の公園で捨てられていたのを見つけ、飼う事にした

ウチに来てもう2ヵ月ってところかな…最初はやっぱり警戒心が強かった、引っ掻くし噛むしで大変だった…

最近懐いてくれてきたのか、時折すり寄ってくる事もある。

ご飯は一応キャットフードをあげてる、たまに狐っぽいのとかリスっぽいのを捕まえてきてるが…食べてはいないようだ…多分玩具感覚なんだろう…

 

 

そんなある日の夜、急にロボ子はご飯を食べなくなった。

具合でも悪いのだろうか、でも至って元気そうだ…すり寄ってくるし…

 

 

「なぁロボ子、大丈夫か?んー?」

 

 

僕は喉を鳴らしながら言った。

 

 

「ニャーン♪ニャー♪」

 

 

喜んでくれてるみたいだ…僕の勘違いだったのかな…?

 

 

僕はお風呂に入った、ロボ子も一緒だ

ネコは水が嫌いらしくお風呂も苦手らしいが…ロボ子は好きらしく一緒にお風呂に入ってる。

僕がぬるま湯でかけてあげると何時も「ニャーン♪」と嬉しそうにする

まぁ最初の時は案の定身体中傷だらけだったけどね…今だからようやくってところかな…

 

 

僕はロボ子専用の湯船にお湯を入れて一緒に入っている、両親が居ない今ロボ子は唯一の心の支えかもしれない…

え?友達とか彼女はどうしたって?

僕は人が苦手でね…あまり人と話さないようにしてるんだ…バイトでも極力口数少なくしてるくらいだからね。

 

 

 

 

 

お風呂にも入ったし、そろそろ寝る時間だ…

ロボ子とはいつも一緒に寝てる、暑くないかだって?今噂の熱を逃がしてくれる敷き布団だから全然暑くないから大丈夫、ロボ子も快適なのかピタッとくっついてるからね。

 

 

「ロボ子、そろそろ寝ようか」

 

 

僕はロボ子にそう声をかけ寝室に誘導する

 

 

「ニャン!」

 

 

ロボ子は勢いよく掛け布団にジャンプした、そんなにはしゃがなくても逃げないのになぁ…可愛いやつめ

 

 

タイマーを7時にセットして僕は布団をかける

 

 

「お休み、ロボ子」

 

 

「ニャーン…」

 

 

僕はそのまま眠りについた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピ!ピピピピ!

 

 

あぁ…もう起きる時間か…起きなきゃな…

 

 

ムニュ

 

 

ん?何か柔らかい物が…

 

 

僕は目を開けるとそこには、ネコ耳を付けた裸の女の子が眠っていた…

 

 

「え…!?何で!?」

 

 

僕は寝起きドッキリでも仕掛けられたのかと思った…でも僕に仕掛ける人なんて居なかったね…

 

 

「ん…んー…」

 

 

女の子が起きたようだ…

 

 

「んにゃー…良く寝たにゃ…あ、ご主人おはようにゃ♪」

 

 

ご主人…?何の事だ…?

 

 

「君は一体誰なんだ?」

 

 

状況があまり飲み込めてなかったのかそんな事を聞いていた。

 

 

「んにゃ?ボクはロボ子ですにゃ、ご主人が付けてくれた名前にゃ、忘れちゃったのかにゃ…?」

 

 

ロボ子と名乗るその女の子は、ちょっと不機嫌そうに答えてくれた。

ロボ子…?まさかな…

 

 

「君はあのネコのロボ子なのか?」

 

 

「そうにゃ、ボクはあの時捨てられていたロボ子だにゃ」

 

 

僕は頭を抱えた、どんな間違いでネコが人型になるのかと…

 

 

「ご主人お腹減ったにゃー…何か食べさせて欲しいにゃー」

 

 

ロボ子は催促するようにすり寄ってきた、ちょっとロボ子…その格好で近付いちゃダメ…!

 

 

「わ…分かったからまずは何か服着てくれない…?そのままだとちょっと…目のやり場が…」

 

 

僕は顔を背けながらロボ子に服を着るようお願いした

 

 

「にゃー…?ネコはお洋服なんて着ないにゃ、ご主人疲れてるのかにゃ?」

 

 

ロボ子は呆れながら言ってきた…違うんだよロボ子…今のお前人型なのよ…

 

 

「ロボ子、自分の身体をよーく見てご覧…?僕と同じじゃないかい…?」

 

 

僕は何が何でも服を着てもらいたかった…

 

 

「にゃ?ご主人と同じだにゃー…」

 

 

やっと理解してくれた…

 

 

「だろ?人間はね、服を着なきゃいけないんだよ…お風呂は脱がなきゃなんだけどね…」

 

 

「仕方ないにゃー…」

 

 

ロボ子は嫌々ながらも服を着てくれた…これで多少はマシか…

 

 

「というかロボ子、何で君は人型になってるの…?普通のネコじゃなかったの…?」

 

 

僕はロボ子に重要な事聞いた…

 

 

「ボクは妖怪だにゃ、ネコ娘って言えば分かるかにゃ?」

 

 

ネコ娘…某ゲゲゲのアニメに出てたアレか…実在するんだな…妖怪…

 

 

「何となく分かった、でも何で今のタイミングでネコから人型に…?」

 

 

「それはボクにも分からないにゃ、でもなっちゃったものはしょうがないにゃ、慣れてほしいにゃ」

 

 

いや…いきなり慣れろと言われても…

ロボ子はネコの時も可愛かったが、人型になっても可愛かった。

出るとこは出てて引っ込む所は引っ込んでる、ナイスバディってやつだと思う(古い)

 

 

「あ、そう言えばご主人、ボクの胸さっき触ってたにゃ?エッチなご主人にゃ♪」

 

 

( °ω°):∵グハッ!!

考えないようにしてたのにロボ子…言っちゃったよ…

 

 

「あれは寝てて…しかもいきなりネコから人型に変わってたから…」

 

 

僕は必死に弁解をした…我ながら悲しいな…

 

 

「まあ良いにゃ、早くご飯にするにゃ」

 

 

ロボ子はそう言って朝ご飯の準備をする

ん…?何でロボ子が準備してるんだ…?

 

 

「ロボ子、よく準備出来るね…」

 

 

「ご主人の見よう見まねだにゃ、とりあえず簡単な物にしとくにゃ」

 

 

そう言ってロボ子はかつお節に醤油をかけていた、いわゆるねこまんまだ…

 

 

「はいご主人出来たにゃ、しっかり食べるにゃ」

 

 

僕にねこまんまを渡してきた

 

 

「う…うん、ありがとう…」

 

 

とりあえず折角作ってくれたので食べた、ちょっとしょっぱかった…

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず朝ご飯食べたので、今後の事を何とかしなきゃな…

 

 

「なぁロボ子、またネコに戻れないのか?」

 

 

僕はダメ元で聞いてみた

 

 

「折角人型に戻れたんだにゃ、ネコに戻りたくないにゃ」

 

 

戻れた…?

 

 

「自分で自由に変われないの?」

 

 

「変われないにゃ」

 

 

何とも不便なんだなぁ…

 

 

「ご主人ロボ子と遊んで欲しいにゃ、いつもみたいに」

 

 

え…何時もと言うと…

 

 

「これとか?」

 

 

僕は猫じゃらしを出した

 

 

「にゃにゃー♪にゃーにゃー♪」

 

 

凄いじゃれてる…やっぱり元はネコなのかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人次はボクを可愛がって欲しいにゃ!」

 

 

ロボ子…その格好で可愛がってくれってどっちの意味で…?

とりあえず…多分こっちだろうな…

 

 

僕はロボ子の喉を鳴らした

 

 

「にゃーん♪ゴロゴロ」

 

 

凄い喜んでる…間違ってなくて良かった…

 

 

「ありがとうにゃご主人、今度はボクがご主人を可愛がるにゃ!」

 

 

え…?何言ってるのロボ子?

そんな事思ってる内にロボ子に押し倒された…

アレ…これヤバくない…?

 

 

「にゃっふっふー…ご主人、観念するにゃ♪」

 

 

これ…僕食べられちゃうの…?

 

 

「いただきますにゃ♪」

 

 

ハムッ…ペロペロ…

 

 

耳…甘噛みされて舐められてる…何か…えっちぃ…

なんかゾクゾクしてくる…

 

 

「どうにゃ?ご主人…ボクの胸また触っても良いにゃよ?」

 

 

「ダメです!女の子なんだからはしたない事は禁止です!」

 

 

この子は何か抜けてそうだ…

 

 

「にゃひひ♪ご主人だからここまで許してるのにゃー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はバイトが無かったのに凄く疲れた…

アレからロボ子は凄くスリスリしてくるし、ペロペロするわハムハムしてくるわで…ドキドキし過ぎて疲れた…

挙句風呂も一緒に入ろうとして大変だった…

え?そこの描写?一応健全な小説目指してるから却下で…

そして今僕は左腕をロボ子に拘束されてます、ロボ子は寝てます…

このままの状態だと僕保たないよ…

 

 

 

「ご主人…大好きにゃー…」

 

 

まぁ、好かれるのは嫌じゃないよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日、バイトが無い日は同じ感じだった。

バイトがある日はロボ子にはお留守番してもらっている、帰ってきたら飛びかかってくるけど…

 

 

 

ロボ子がネコから人型になってから丁度1週間、事件は起きた

 

 

 

 

ロボ子が急に凶暴化したのだ…

 

 

「グルルル…ガァァァ!」

 

 

「ロボ子…どうしちゃったんだよ…」

 

 

僕はいきなり豹変したロボ子にそんな言葉しかかけられなかった…

 

 

「ガァァァァァ!」

 

 

僕はロボ子の攻撃をモロ食らって…意識を失った…

 

 

 

 

 

 

ピチャ…ピチャ…チュゥ…

 

 

何か変な音が聞こえる…それに口がちょっと湿っぽい…

僕は目を開けると…ロボ子に襲われていた…

 

 

「!?ロボ子…止めて…!」

 

 

僕は口を無理やり話して、止めるよう声をかける。

 

 

「ご主人…〇…〇…好きにゃ…大好きにゃ…」

 

 

ロボ子は話が聞こえてないのか、また僕の唇を狙ってくる…

まさかこれって…発情期!?

 

 

 

「ご名答、そこのネコ娘は発情期に入ってる、大人しく食われると良い…」

 

 

横から声が聞こえた…ロボ子をなんとか引き剥がして向いてみると

ロボ子より大人っぽいネコ耳の女性が居た…

 

 

「あなたは…?」

 

 

「私はロボ子の母だ、娘が世話になったな」

 

 

ロボ子の母を名乗るその人は、ロボ子に非常に似ていた…

 

 

「今まで世話になった礼だ、子作りすると良い」

 

 

何言っちゃってんのこの人!?

 

 

「嫌ですよ!何で子…子作りなんかしなくちゃいけないんですか!?」

 

 

僕は全力で拒絶した、人間と妖怪でもアウトなのに、一緒に住んでただけで子作りしろだなんてなんちゅう親だ…

 

 

「我が娘が好みでは無いと…?では私が相手しようか?」

 

 

だから違うってばー!

 

 

「それも結構です!僕は誰とも子作りなんてしません!」

 

 

僕は顔を真っ赤にしてるだろう…本当に恥ずかしかった…

 

 

「ふむ…だがそれだとロボ子の発情は止まらないぞ?」

 

 

そんな事言われても…僕はこんな状態のロボ子となんて嫌だ…

 

 

「ロボ子…正気に戻ってくれ…元のにゃーにゃー言ってるロボ子に戻ってくれ…!」

 

 

僕は懇願した…ロボ子の事は嫌いじゃない、むしろ好きだ…それでもこんな状態なのは嫌なんだ…

 

 

「〇〇…しゅき…チュゥ…」

 

 

ダメだ…正気に戻らない…このままじゃ本当に食べられちゃう…(意味深)

賭けだけど…ネコの習性を活かさなきゃだからな…

僕はロボ子の喉を出来る限り鳴らした、頭を撫でながら…

 

 

 

「にゃ…にゃー…にゃーん♪」

 

 

も…戻った…?

 

 

「ほう…発情から戻したか…」

 

 

「んにゃ…?ご主人どうしたにゃ?口周りベタベタしてるにゃ…」

 

 

今までの事憶えてないのか…?

 

 

「ロボ子…正気に戻ったか…良かった…」

 

 

「我が子よ」

 

 

ロボ子の母がロボ子に声をかけた

 

 

「お前はそこに居る人間に発情し、先ほどまで襲っておったのだ」

 

 

余計な事を…このまま穏便に行きたかったのに…

 

 

「んにゃ!?ご主人…冗談ですにゃ…?」

 

 

ロボ子は酷く驚いていた…

 

 

「…本当だよ、僕はさっきまでロボ子…君に襲われていた」

 

 

僕は隠す事無く伝えた

 

 

「ご…ごめんなさいにゃ…」

 

 

ロボ子は涙を溜めながら僕に謝ってきた、ロボ子が悪い訳では無い…人間にだって発情する時はある…仕方ないんだ。

 

 

「良いんだよロボ子…気にしないで?」

 

 

僕はロボ子を宥めた、こんな顔見たくないし…

 

 

「つまらんのう…そろそろ我が子も孕み頃なのにのう…」

 

 

この人は…!いや、この場合この妖怪は…!か…

 

 

「お言葉ですが…あなたは自分の子供を…子作りさせる道具と勘違いされてませんか!?ロボ子は1人の女の子です、物みたいな扱いは止めてください!」

 

 

僕は声を荒げた…自分の子供なのに扱いが酷すぎて腹が立った…

 

 

「ご主人…」

 

 

「ふむ…そんな事言ってもらえるとはな…我が子よ…良い人間を見付けたな…」

 

 

ロボ子の母は微笑しながらそう言った…

 

 

「え…?どういう事…?」

 

 

僕は何がなんだか分からなかった…

 

 

「失礼ながら試させて貰った…あのまま行為に及んだり、私の発言に共感しようものなら八つ裂きにしなければいけなかったからな…ロボ子の事を大切にしてもらって感謝する…これからもどうかロボ子を…我が子をよろしくお願いします」

 

 

ロボ子の母はそう言い、頭を下げてきた…

試されてたのか…ん…?という事はロボ子のアレは演技…?

 

 

「ロボ子…?もしかしてさっきのって…」

 

 

僕はロボ子に聞こうとしたが、ロボ子は顔を真っ赤にしてそっぽを向いている…あー…これはそういう事か…

 

 

 

 

 

 

 

話を聞くと、僕がバイトに行ってる時にロボ子とロボ子の母は会っていたようだ…そこで色々話した結果、今回のような騒動を引き起こしたらしい…

 

 

「事情は分かりました、でも正直僕は怖かったですよ…ロボ子がいきなり凶暴化したんですから…」

 

 

「ご主人…ごめんなさいにゃ…」

 

 

「私からもすまない…」

 

 

何故か2人をまとめて説教する形になってしまった…こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ…

 

 

「こんな事しなくても、ロボ子はこれからも大切にしていきますし…僕にとってかけがえの無い存在ですから」

 

 

「ご主人…」

 

 

あれ…またロボ子涙流してる…泣かしたくないんだけどな…

 

 

「フフッ…ロボ子…お前は本当に幸せ者だな…私はもう行こう…後は2人でよろしくしてくれ…」

 

 

ロボ子の母はそう言って消えてしまった…え…何この公認された状態…

 

 

「ご主人!」ガバッ

 

 

母が居なくなった途端ロボ子に抱きつかれた…

 

 

「ご主人…しゅき…だいしゅき…」

 

 

ロボ子は泣きながら僕に囁いてきた…

 

 

「大丈夫だよ…僕も好きだよ、ロボ子…」

 

 

チュッ

 

 

さっきみたいな激しくなく、軽くキスをした

 

 

 

「にゃー…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達はお互い好き同士だった、両想いだった…

必然的に付き合う流れになった。

最初は単純にロボ子が一匹だけで寂しいだろうという同情からだった、でも違った…寂しかったのは僕の方だった…

ロボ子と出会ってからの毎日は楽しかった…こんな生活がずっと続けば良いと思ってた…

それが叶ったのだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主…〇〇さん何してるにゃ…何してるんですか?」

 

 

あれからロボ子は僕の呼び名と喋り方を変えるようにしてる、恋人同士になったのにご主人呼びはおかしいと本人が言ったからだ。

僕は別に気にしないんだけど、本人が嫌らしい…間違うところがまた可愛いのだ…

 

 

「ほらロボ子…おいで」

 

 

僕はロボ子の喉を鳴らす

 

 

「にゃーん♪…ハッご主…〇〇さん酷いですにゃ!意地悪は止めてにゃ!」

 

 

「ははは、ごめんごめん…つい可愛くって…」

 

 

「にゃ…//ズルいですにゃ…」

 

 

僕達の生活はあれから変わらず、バイトの無い日はロボ子とイチャついてる、バイトのある日はお留守番してもらって帰ってから存分にイチャついてる…

え?もうバカップル…?それも良いかもね…

 

 

僕はこれからもロボ子と一緒に居たいし、離れたくない…

 

 

「ねぇ〇〇さん…そろそろ…」

 

 

ロボ子が急かしてくる

 

 

「あぁ…分かってるよ…」

 

 

僕達は今日もイチャついてます…そして明日も…明後日も…ずっと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
今回はロボ子さんがネコだったら…そこから更にもう一段階…な感じのお話でした。
仕事で殴られ続けながら書いたので途中話が変だったら申し訳ないです…

後…流石にR15で収まりますよね…?(白目)


ではでは、次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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ロボ子さんTwitterフォロワー数3万人突破記念のお話

どもです、今回はロボ子さんのTwitterフォロワー数3万人突破記念という事で、甘めに作り…たかったけどそこまで甘く出来ませんでした…いやもう短時間で書くのは大変ですね…3時間ちょいで書いたものなのでまた内容薄いんだよ…とか思うかもしれません…
突発的に起きた事なので時間かけられないのは仕方ないんですよね…
とまぁ長く語るのもアレなのでここでらで…

では、ごゆるりと…m(_ _)m


皆さんは昔の記憶をどこまで憶えてますか?

憶えてる人はきっと10年も20年も前の事をつい昨日のように思える人も居ると思います…

今回は、そんな記憶に関するお話…

 

 

 

 

 

 

「ぼく…おおきくなったらおねえちゃんとけっこんする!」

 

 

「ありがとう、とっても嬉しいよ!」

 

 

「だから、これこんやくゆびわのかわり!」

 

 

「お花で指輪作ってくれたんだね…ありがとう!」

 

 

「おねえちゃん…だーいすき!」

 

 

 

 

 

「ハッ!?」

 

 

小さい時の夢か…10年くらい前のだっけか…

 

 

俺は〇〇、中学2年の思春期真っ盛りだ

ルックスは中の下、勉強も得意じゃない…運動は…まぁ少しは得意かも。

俺には3つ上の従姉妹がいる、名前はロボ子、ルックスは可愛くて頭も良い、運動は少しダメらしいけど…後猫のコスプレが好きなちょっと痛い奴だ…

え?従姉妹に対して口悪いって?いやいやこんなもんだよ…最近の親戚関連なんてさ…それに…

 

 

 

「〇〇〜!起こしに来たよ〜!」

 

 

何でか寝室に堂々と来るんだよね…鍵かけても開けられてるし…

こんな従姉妹にどう敬意を持てば良いんだろ…無いわ…

 

 

「ロボ子姉、またピッキングかよ?もうちょっと考え方変えてくれない?」

 

 

「ごめんごめん☆だって…少しでも早く〇〇の顔が見たかったんだもん☆」

 

 

皆さん…高校2年ともあろう人が☆なんて出してるんですよ…痛いと思いませんか…?俺はかなり痛いと思います…

 

 

「あーそうですか…んじゃ起きるから部屋から出てってくれる?着替えたいんだけど…」

 

 

理由をつけて追い出そう…そして二度寝だ…

 

 

「え?ボク別に〇〇の着替え手伝うよ?」

 

 

俺は老人か…?それともこの痛い従姉妹が変態なだけか…?

もう頭痛くなってきた…

 

 

「何?中学2年男子の裸見たいって言うの?勘弁してよ…ほら出てって!」

 

 

俺は無理やりロボ子姉を部屋から追い出した、こちとら思春期なんだ…従姉妹だろうが裸なんて見られたくない。

 

 

「もう…いけずー」

 

 

部屋の外から何か言ってるが、無視だ無視…

 

 

 

 

 

 

着替えが終わり、部屋から出るとロボ子姉が扉の前に居座っていた

 

 

「ロボ子姉…何やってんの…?」

 

 

俺は呆れながら聞いてみた…

 

 

「え?扉に耳あてして着替えの音を聞こうと…」

 

 

神様…何故俺の従姉妹はこんな変態になってしまったんですか…助けて下さい…

 

 

「馬鹿な事やってないで早く学校行けば良いじゃん…」

 

 

こんな変態従姉妹でも高校の生徒会らしい…何を基準に選んでるんだか…やっぱり頭なのか…?

 

 

「だって〇〇と一緒に行きたいんだもん…中高一貫だし?」

 

 

そう、俺とロボ子姉が通う学校は8年前に出来た新設校で、中高一貫という…中学受験さえクリアしてしまえば高校受験無しというものだ。

今でこそ勉強は得意では無いが、小学校の俺はそれなりに頭が良かったらしい…あんまり憶えてないけど…

2年前の事なんだから憶えてるだろ?って思うだろうけど、俺は中学に上がる前事故に巻き込まれ…人間が記憶出来る3分の1の記憶力しか無い…これが俺が勉強が出来ない理由である…

 

 

「はぁ…分かったよ…朝食は出来てるの?」

 

 

「うん、〇〇のお母さんが作って行ってくれたよ、今日は目玉焼きだってさ」

 

 

俺の両親は共働きで、親父は単身赴任中、母さんは図書館の受け付けをしている…俺の記憶力が増えるように毎日色んな種類の本を借りてきてくれる…だけど俺は読まない、面倒だし…

 

 

「また目玉焼きか…まぁ忙しいし、作ってくれるだけ感謝だよな…」

 

 

母さんは朝早くから出るから、朝食作ってくれるだけありがたいのだ、酷いとトースターとパンが置かれている…

 

 

「ほら、早くしないと遅刻しちゃうよ!早く食べよ!」

 

 

なんで従姉妹のロボ子姉が家に居るか…それはロボ子姉が家に居候しに来たんだ…しかもロボ子姉の家の方が学校近いのにわざわざ俺の家に…おかげで毎日ピッキングしてまで部屋に来られるからキツイ…

 

 

 

 

 

 

 

朝食も食べたので、そろそろ出なきゃな…間に合わなくなる…

そしてどうこの変態従姉妹から逃げるか…

ロボ子姉は悪い奴じゃないんだけど…ベタベタしてくるのがちょっとキツい。

 

 

「それじゃ急ご!〇〇!」

 

 

ロボ子姉俺の腕に抱きつきながら走る、正直動きづらいから離れて欲しいんだけど…

 

 

「ロボ子姉…離れて…?恥ずかしいし動きづらい…」

 

 

「えー?良いじゃん減るもんじゃないし♪」

 

 

減るよ…俺の理性…

 

 

ロボ子姉のルックスが良いのはもう説明したと思うが…胸も…大きいんだ…だから、くっつかれると当たるんだよ…

 

 

「あぁもう!無理!」

 

 

俺はロボ子姉を振りほどいてそのまま猛ダッシュした…

 

 

「あ…もう…恥ずかしがり屋だなぁ…♪」

 

 

俺は猛ダッシュしてて気付かなかったけど、この時のロボ子姉は凄い笑顔だったらしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、帰ろうとしたらロボ子姉が校門で待っていた

 

 

「ロボ子姉…先に帰ってて良かったのに…」

 

 

「朝は逃げられちゃったからね…帰りくらいはちゃんと一緒に居たいよ…」

 

 

ロボ子姉はちょっと寂しそうにそう言った…

家でずっと一緒じゃないか…なんでしおらしくなるんだよ…

 

 

「まぁ…良いけど…」

 

 

少しだけ罪悪感あったから…これでチャラに出来るなら…

 

 

「エヘヘ…じゃあお言葉に甘えて」ギュッ

 

 

朝よりも強く抱きつかれてるんですが…これは…

 

 

「良いよね?〇〇…」

 

 

「もう勝手にしてよ…」

 

 

俺は諦めた…

 

 

「エヘヘ…♪」

 

 

だってこんな笑顔で抱きつかれたら…朝みたいに振りほどけないよ…

 

 

ズキン

 

 

っ…急に頭が…

 

 

「〇〇?どうしたの…?」

 

 

ロボ子姉が心配してる…普通を装わないと…

 

 

「大丈夫だよ、それより今日の夕飯何だろうね?」

 

 

俺は話題を変えて気を逸らさせようとした。

 

 

「…今日はすき焼きだってさ、お昼休みに連絡したらそう来てたよ」

 

 

ロボ子姉はまだ疑ってるみたいだけど…深くは聞いてこなかった…

 

 

 

 

 

 

 

ズキン…ズキン…

 

 

何だ…?今日はやけに頭が痛い…こんな事は無かったのに…

 

 

ズキン…ズキン…

 

 

何か…思い出せそうな気がするけど…思い出したらダメだと思ってしまう…

 

 

ズキン…ズキン…

 

 

とりあえず…頭痛薬飲んどこう…効くか分からないけど…

その時だった…

 

 

「うっ…」ドサッ…

 

 

俺は、そこで意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねえちゃんおねえちゃん!ギュッってしてー?」

 

 

「エヘヘ…甘えん坊だね♪〇〇…」

 

 

「ロボ子おねえちゃんのギュッすきー!」

 

 

「ボクも〇〇ギュッてするの好きだよ♪」

 

 

「はやくロボ子おねえちゃんとけっこんしたい!いつになったらけっこんできるの?」

 

 

「んー…もっと〇〇が大きくなったらだよ」

 

 

「じゃあ、もっともっとおおきくなる!」

 

 

「エヘヘ…待ってるね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

俺は目覚めた、するとそこは家じゃなく病院の病室だった。

 

 

「何だったんだ…あの夢は…アレは…ロボ子姉…?でもあんな記憶…ウッ…」

 

 

俺は夢の内容を必死に思い出そうとするも、頭痛が邪魔をした…

 

 

 

ガラガラ「…!〇〇!目が覚めたの!?」

 

 

ロボ子姉は俺が起きてるのを見ると驚き駆け寄った

 

 

「あ…ロボ子姉…俺どうしてここに…」

 

 

「リビングで倒れてて…すぐに救急車呼んだんだよ…医師が言うには記憶が関係してるかもしれないって…」

 

 

記憶…か…

 

 

「無理に思い出さなくて良いよ、今のボク達を覚えてくれてれば良いから…」

 

 

ロボ子姉はそう言うが…そんな悲痛な顔で言わないでよ…

 

 

「ロボ子姉…ごめん…」

 

 

俺はそれしか言えなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺は医師に記憶の事について聞いた

成功率はは低いが、手術で記憶の容量を戻す事が出来るそうだ…しかしそれは脳を弄るという事、下手をすれば今よりもっと状態が悪くなる、最悪記憶を全て無くすかもしれない…危険な賭けだ…

 

 

 

俺は親父に連絡する事にした、単身赴任であちこち行ってるが…息子のこの状況ぐらいは把握してるはずだろう…

 

 

プルルル…プルルル…「はいもしもし」

 

 

出た…

 

 

「もしもし、親父か?〇〇だけど」

 

 

「おぉ!〇〇無事か!?ロボ子ちゃんから聞いたぞ…」

 

 

「あぁ、その事なんだけどさ…」

 

 

俺は親父に医師に言われた事を全て伝えた、手術で治るかもしれないこと、失敗したら今よりもっと状態が悪くなる事こと…最悪記憶を全て無くすかもしれないことも伝えた…

 

 

「〇〇、お前は記憶を取り戻したいか?あまりにも危険な賭けだ、俺は正直賛成出来ない…だがな…お前がどうしても…記憶を取り戻したいなら俺は何も言わない、母さんは俺が説得するから、お前はロボ子ちゃんを説得しなさい」

 

 

親父は意外にも賛成してくれた…危険な賭けなのは百も承知だ…それでも、取り戻さなきゃいけないんだ…

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、ロボ子姉が病院に来た

 

 

「〇〇、体調どう?」

 

 

「ロボ子姉…大丈夫だよ、至って健康…それより、話があるんだ」

 

 

俺はロボ子姉にも話をした、ロボ子姉は真剣に聞いてくれてたが…どんどん顔が青くなっていった…

 

 

「…という訳なんだ、それで俺は手術を受けようと思う」

 

 

俺は手術を受ける事を伝えた

 

 

「…だよ」

 

 

「ロボ子姉?何?」

 

 

「ボクは嫌だよ!何で〇〇ばっかり辛い思いしなきゃいけないのさ…!何でなのさ…!ボクはこのままの〇〇で良いよ…!失敗するリスクの方が高い手術なんて受けて欲しくない…」

 

 

ロボ子姉はダムが決壊したと思うぐらいボロボロと涙を流しながら俺に手術を諦めるよう言ってきた…

 

 

「ごめんロボ子姉、でももう決めたんだ…親父も…母さんも納得してくれてる、俺は…全ての記憶を取り戻したいんだ…小さい頃どんな事をしてたのか…どんな遊びをしていたのか…思い出したいんだよ…」

 

 

「〇〇…」

 

 

ロボ子姉はその後何も言わなかった…

ただ、静かに俺を抱きしめた…

 

 

「〇〇…絶対成功してね…」

 

 

ロボ子姉…

 

 

「当たり前だよ…」

 

 

俺はロボ子姉を抱きしめ返した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手術当日、医師から改めて忠告を受けた

 

 

「〇〇君、今から手術を始めるが…失敗したら最悪記憶を全て失うかもしれない、それでもやるかい?」

 

 

俺は迷いなく言える

 

 

「先生…お願いします…!俺は記憶を何としてでも取り戻したい…大切な人を悲しませたくないんです…!」

 

 

俺はこれ以上ロボ子姉を悲しませたくない…何故そう思うのかは分からないけど…記憶戻ったら分かるのかな…

 

 

「分かった…こちらも全力を尽くそう…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はまた夢を見た…

 

 

「ロボ子おねえちゃん…チュウってなーに?」

 

 

「え!?チュウはねぇ…もっと大きくなったら分かるよ♪」

 

 

「えー?ロボ子おねえちゃんでもわからないのー?」

 

 

「な!?ボク知ってるもん!でも〇〇には早いから教えられないの!」

 

 

「じゃあ、おおきくなったらおしえてね?」

 

 

「わ…分かったよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで意識が覚める…

 

 

「ここは…病室…?」

 

 

「〇〇…?ボクが分かる…?」

 

 

 

 

「ロボ子…姉…」

 

 

「…〇〇!」ギュッ

 

 

ロボ子姉は泣きながら俺に抱きついた…

 

 

「ロボ子姉…俺…思い出した事があるんだ」

 

 

「な…何…?」

 

 

「俺…ロボ子姉が大好きだ」

 

 

「っ//きゅ…急に何言ってるの!?」

 

 

ロボ子姉は顔を真っ赤にしながら言う

 

 

「思い出したんだよ、俺は昔からロボ子姉が好きで、結婚もしたいとも言った…花の指輪…あげたよな…?」

 

 

俺は思い出しながらロボ子姉に過去にあった事を伝えていった

 

 

「ちょっ…確かに言ってたけど…ボクはそんな…」

 

 

「そっか…でも、俺は今でも大好きだよロボ子姉…ずっと…」

 

 

俺は、ロボ子姉の頬にキスをした…

 

 

「〇〇!?は…恥ずかしいよ…」

 

 

「人前で思いっきり胸を押し付けながら腕に抱き着くのもどうかと思うけど?」

 

 

俺は意地悪く言った

 

 

「〇〇…記憶戻った途端Sになったね…」

 

 

ロボ子姉は拗ねたのかそっぽ向きながらそう言った

 

 

「俺はただ素直にロボ子姉が好きって気持ちを伝えてるだけだよ?Sになんてなってないよ」

 

 

俺はそう言いながら後ろから抱きついた

 

 

「も…もぅ!恥ずかしいったら…//」

 

 

ロボ子姉は恥ずかしがってるけど振りほどこうとしない…つまりはOKって事だよね?

 

 

「ロボ子姉…」チュッ

 

 

後ろから抱きつきながら、耳にキスをする

 

 

「ひゃっ…〇〇…もう止めて…//」

 

 

「俺の好きって気持ち…伝わった?」

 

 

「わ…分かったから…もう…」

 

 

そっか…分かってくれたか…でも…

 

 

「それじゃ…ロボ子姉の返事聞かせて?」

 

 

「ボクも…だよ」

 

 

「聞こえないよ?」

 

 

「ボクも好きだよ!恥ずかしいんだから何度も言わせないでよ!」

 

 

ロボ子姉も好きだったんだ…両想いだったんだ…

 

 

「嬉しいよ…ロボ子姉…」チュウ…

 

 

俺は、ロボ子姉の唇にキスをした…

 

 

「んっ…!んっ…」

 

 

「…ハァ、ロボ子姉可愛いよ…顔真っ赤♪」

 

 

「〇〇…やっぱり意地悪だよ…でも…好きだよ」

 

 

ロボ子姉は笑顔で俺に好意を伝えてくれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は両想いだった、だけど学校が同じだから今まで通りの接し方にしようという結論になった。

いきなり接し方変わって怪しまれるのは良くないからだ…

 

 

 

ガチャ「〇〇!おはよう!朝だよ!」

 

 

ロボ子姉…ロボ子は変わらずピッキングして部屋の扉を開けてくる

一応付き合う事になってるので、家に居る間くらいは呼び捨てにしようって事になってる。

 

 

「んー…もう少し…」

 

 

俺は朝はちょっと苦手なので、二度寝したい派だ

 

 

「起きないと…キスしちゃうぞ♪」

 

 

耳元でそんな事言ってきた…それならこのままの方が良いな…

 

 

「(-β-)zzz」

 

 

「もぅ…だったら…!てぇーい!」ガバッ

 

 

「グェェ!お…重い…」

 

 

ロボ子にいきなりダイブされた…お腹…痛い…

 

 

「むー!女の子に重いはタブーなんだよ!失礼しちゃうな!」

 

 

そんな事言ってもな…寝起きにこれはキツいんだよ…

 

 

「ごめんロボ子…許して?」チュッ

 

 

俺は誤魔化す為にキスをした

 

 

「んちゅ…もぅ…仕方ないなぁ…」

 

 

「さて、そろそろ着替えるか…ロボ子、部屋出て?」

 

 

「ボクは別にこのままでも構わないよ?」

 

 

「俺が構うんだよ…だから出て?」

 

 

流石に付き合う関係になっても恥ずかしいものは恥ずかしい…

 

 

「しょうがないなぁ…じゃあ着替え終わったら朝ご飯だからね?」

 

 

ロボ子はそう言って部屋から出ていった、これで着替えられる…

え?二度寝?したらロボ子がまたダイブしそうだからね…

 

 

 

ガチャ「改めておはよう、ロボ子」

 

 

「うん、おはよう〇〇」

 

 

「今日も母さん居ないか…あれ?今日の朝ご飯何か違う…」

 

 

「今日はボクが作ったんだよ!お味噌汁は少し薄めにしたよ、あまり濃いとアレだからね…」

 

 

「ありがとうロボ子、良いお嫁さんになれるね」ニコッ

 

 

「は…恥ずかしいよ!もぅ…//」

 

 

ロボ子は両手を顔にあてながら恥ずかしがっていた

 

 

 

 

 

 

 

「さて、食べ終わったし…行こうかロボ子」

 

 

「うん、遅刻しちゃうからね…!」

 

 

「んじゃ、行ってきます」

 

 

「行ってきまーす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が14でロボ子が17…結婚する為には早くても後4年かかる…

それまでにどれだけの困難があるのかは想像がつかない…

それでも俺はロボ子と一緒なら…どこまでも行ける気がする…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
今回は記憶をテーマに一応書かせていただきました…
え?過去にも同じ感じのがあるって…?
そちらはクロレキシーになる予定なのでその内消えます…はい…

またのんびり書いていきますので良ければこんな駄文ですが読んでいただけると幸いです。
ではでは、次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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嫉妬と甘えん坊

どもです、これを書いてる丁度今の時間、台風が直撃してるそうです…
ここ最近日本は自然災害の連続で大変ですね…
自分は幸いにも被害に遭ってませんが、被害に遭われた方達が心配です
一人一人が少しずつ思いやりの心を持てば、多少はマシになるのかなぁ…と思ったり
綺麗事かも知れませんけどね…

ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


皆さんはどんな時に幸せを感じますか?

美味しい物を食べてる時?家族と一緒に居る時?良いですね

自分は…彼女と一緒に居る時…ですかね…

彼女は自分にベタベタです、何時でも何処でも…

そして、ちょっと嫉妬深いところもあります…

今回は、そんな彼女と甘くもちょっぴり怖いそんなお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン…チュン!

 

 

朝か…そろそろ起きないとなぁ…いくら休みでも寝過ぎるのは良くないや…

 

 

モゾモゾ…

 

 

ん?またか…

 

 

「こーら…ロボ子、またベッドの中に入ってきたな?ダメじゃないか」

 

 

この女の子はロボ子、自分の彼女です。

同じバイト先のハンバーガーショップの店員で、ロボ子から告白されて付き合った。

ロボ子は面倒見が良く、自分の手助けをしてくれる

 

 

「エヘヘ♪ごめんね♪だって一人じゃ寂しかったんだもん…付き合ってるなら同じベッドで寝ても問題無いでしょ?」

 

 

そう、ロボ子とは同棲している…なら一緒に寝てても不思議は無いって?まぁそうなんだけど…恥ずかしいんだよね…服もはだけてたりするから…

 

 

「まぁ良いけどさ、とりあえず着替えようか…くっ付いて寝てたのか汗がビショビショだから」

 

 

「はーい」

 

 

ロボ子はそう言ってその場で服を脱ぎ始めた

 

 

「ロボ子ー?はしたないよ?ちゃんと向こうで着替えてね?」

 

 

ロボ子は自分の前で脱ぐ癖があるのか、目のやり場に困るんです…

なので別の場所で着替えてもらってます

 

 

「えー?ボク別に〇〇君に見られても良いよ?なんならその先でも…」

 

 

ロボ子はちょくちょく自分を誘惑してきます…ルックスもスタイルも良い彼女からそんなお誘いされたら断らない人が多いと思いますが…自分は毎回心を鬼にしてます。

 

 

「はしたない子は嫌だなぁ…嫌いになっちゃうなー…」

 

 

「ご…ごめんなさい!ちゃんと向こうで着替えてくるから嫌いにならないで…?」

 

 

自分は突き放す言葉をかけると、ロボ子は毎回泣きそうになりながら謝ってきます…え?可哀想だよって?一応自分達はお互い19歳なんです、健全なお付き合いじゃないとダメですから。

一緒に寝てる時点で健全じゃないっていうのは無しデスヨ?

 

 

「嫌いにならないから早く着替えておいで、自分も着替えるから」

 

 

自分がロボ子を嫌う事は無いと思う、今は…そう、今は、なんです…

 

 

「うん!じゃあ着替えてくるね!」

 

 

ロボ子はそう言って別の部屋に行った

 

 

「ふぅ…これで良しと…前に比べたら大分落ち着いたよね…前は…怖かったな…」

 

 

今でこそロボ子はこんな感じなんですが、前はちょっと怖かった部分があったりなんです…これからその話をしますね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今から半年前、ロボ子がハンバーガーショップのバイトに入るようになりました。

同い年で話しやすいだろうとの事で、自分が教育係になりました

ロボ子は飲み込みが早く、すぐに教育係から外れました。

教育係から外れた日のバイトの帰り道、誰かから見られている感じがして、振り返ったらロボ子が木の影から自分を見てました。

ストーカー!?って思いましたが、バイト以外で話したかっただけみたいでした…

話してると、自分に一目惚れしたそうで…ロボ子の告白をOKしました。

職場恋愛はマズいので、バイト先には内緒です…

 

 

 

「いらっしゃいませ、はい、チーズバーガーとポテトのMですね、かしこまりました、少々お待ち下さい」

 

 

その後も自分達は何事もなくバイトをしていました、そんなある日です…

自分はバイト先で他の女の子と雑談をしていました、その現場をロボ子に見られました…

話してるだけなら別に問題無いと思いますよね?でもロボ子は…問題だったみたいです…

 

 

 

「ねぇ、〇〇君…」

 

 

帰り道、一緒に帰ってる時にロボ子に呼ばれました。

 

 

「ん?どうしたのロボ子さん」

 

 

この頃はまだロボ子の事をさん付けで呼んでました

 

 

「休憩の時…フブちゃんと楽しく話してたね…」

 

 

フブちゃんとはあだ名で、本名は白上フブキちゃんといいます。

自分達の一つ下で、甘えたがりな感じ…かな…

 

 

「え?うん…話してたけど…どうかした?」

 

 

自分は何も考えず答えてました、するとロボ子は…突然…

 

 

「なんでボクが居るのに他の女の子見てるの…?ボクはこんなに〇〇君の事好きなのに…あの女狐…消せば良いのかな…」

 

 

ロボ子の目はおかしかった、何時もの澄んだ瞳じゃなく濁ったような瞳に見えた…

 

 

「ロ…ロボ子さん…?」

 

 

自分は戸惑いを隠せませんでした…

 

 

「大丈夫だよ〇〇君…〇〇君を誑かす女狐はボクが駆除するからね…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、フブキちゃんがバイトに来ませんでした…

ロボ子が何かしちゃったんじゃ…そんな恐怖が拭えませんでした。

 

 

 

「エヘヘ…あの女狐昨日で辞める感じだったんだって♪手を下さなくて良かったよ…」

 

 

良かった…ロボ子は何もしなかったみたいです…でも本当に何かしそうで怖い…

 

 

「そ…そうだロボ子さん、次の休みデートしない?」

 

 

空気がまたヤバくなる前に、話題を変える事にしました

 

 

「デート!?行く!何時?何時にする?」

 

 

ロボ子の瞳はまた澄んだ瞳に変わり、キラキラが見える程になりました。

 

 

「うん、今度の日曜日とかどうかな?お互い休みだったはずだから」

 

 

「次の日曜日だね?分かった!絶対予定空けとくね!」

 

 

デートの約束をしました、でもこれが彼女の狂気を目の当たりにするとは思いませんでした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デートの前日、自分の携帯にフブキちゃんからの着信がありました

 

 

「ん?フブキちゃん…?どうしたんだろ…」

 

 

自分はフブキちゃんの着信に出ました

 

 

「あ…〇〇さんすいません…フブキです…」

 

 

フブキちゃんは何かに怯えるような声でした…

 

 

「フブキちゃん?どうしたの?」

 

 

「〇〇さん…ロボ子さんに気を付けて下さいね…あの人…何考えてるか分からないです…」

 

 

フブキちゃんは本当に怖がっているみたいでした…

自分もロボ子のフブキちゃんに対する嫉妬は怖かったです…

 

 

 

 

 

 

 

翌日、起きたらそこは自分の部屋ではありませんでした…

そして、両手には何故か手錠が…

 

 

「え…?どういう事!?ここどこ!?」

 

 

自分は驚きを隠せなく、辺りを見渡しました…するとそこは…自分の写真だらけでした…

 

 

「え…何これ…?」

 

 

「あ…起きたんだね〇〇君♪おはよう♪」

 

 

ロボ子は笑顔で挨拶してきました…

 

 

「ロボ子さん…?ここは…?」

 

 

「ここはボクの部屋だよ、見て?この沢山の〇〇君…ずっと見られてる感じ…幸せだよ…」

 

 

ロボ子の瞳はまた澱んでいた…それなのに表情は興奮しているような表情でした…

 

 

「ロボ子さん…これ外してくれないかな…?動けないよ…」

 

 

「それは無理だよ…今日はここでデートするんだし…」

 

 

え…ここでデート…?

 

 

「え…?」

 

 

「それに…あの女狐とも連絡取ってたみたいだしね…」

 

 

「な…何を…?」

 

 

「ボク知ってるんだよ…?あの女狐からの着信出た事…だって…女狐に連絡させたのボクだもの…」

 

 

何だって…?やっぱりあんなに怯えてたのは…近くに居たからなのか…

 

 

「だからね?これはお仕置きなの、ボクが居るのに他の女と連絡を取ったお仕置き…」

 

 

あぁ…これはヤンデレだ…しかもレベル意外と高いのかも…

自分は恐怖を覚えずにはいられませんでした。

 

 

「ごめんねロボ子さん…いきなりフブキちゃんが辞めたから心配だったから…それで出ちゃったんだよ…許してくれないかな…?」

 

 

本心だった…ロボ子から話は聞いてたけどそれでも心配だった。

 

 

「…仕方ないなぁ、じゃあこれからイチャイチャしてくれたら許してあげる♪」

 

 

そう言ってロボ子は自分の手錠を片方外してくれた、それでもまだ片方は繋がったままなので逃げる事は出来ない…

 

 

「エヘヘ…♪」

 

 

ロボ子は自分に擦り寄ってくる…可愛いんだけど…さっきの光景が頭から離れない…

 

 

「ねぇ〇〇君…頭撫でて…?」

 

 

ここで逆らったら自分はもっと状況悪くなるな…

それに…自分も少なからずこの子が好きなんだ…

 

 

「こんな感じかな?」ナデナデ

 

 

「気持ちいい…♪ねぇ…もっとして…?」

 

 

この感じなら本当に可愛い…

 

 

「あはは…ロボ子さん可愛いね」

 

 

つい口が滑った…

 

 

「あぅ…恥ずかしいよ…//」

 

 

あれ…?これは何とかなる…?

 

 

「恥ずかしがるロボ子さんも可愛いなぁ、食べちゃいたいぐらいだ」

 

 

あれ…自分も恥ずかしいセリフ言ってる気がする…でも今は気にしてたらダメだな…

 

 

「…良いよ…?ボク…〇〇君になら…」

 

 

あれ…?墓穴掘った…?

 

 

「〇〇君…チュウ…」

 

 

自分は望まぬ形でキスをする事になった…

でも今はロボ子を大人しくさせなきゃいけないと割り切らなきゃ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何とかロボ子を大人しくさせる事に成功しました…

手錠も外して貰い、自由です。

 

 

「ロボ子さん、本当にごめんね?これからもバイトの関係上話さなきゃいけない場面多いけど…許してね?」ナデナデ

 

 

自分はさっきまでずっとご機嫌取りしながら今後のバイトについての話をしました。

バイト先はどうしても女の子が多いため話す機会が多く、またロボ子に嫉妬されるのは辛いのです…

 

 

「うん…仕方ないよ…あのバイト先に行かなきゃ〇〇君にも出会えなかったんだし…割り切るよ…でも、あんまり長く話しちゃ嫌だよ?」

 

 

なんとかお許しを貰えて一安心です…

 

 

「うん、自分が好きなのはロボ子さんだけだからね」チュッ

 

 

自分はそう言いながら頬にキスをしました、約束代わりな感じですね…

 

 

「っ//〇〇君…」

 

 

 

 

 

 

 

その後もロボ子の部屋で1日のんびりしました、ロボ子は家事炊事何でもこなせる事がその時分かりました。

狂気が無いと本当に可愛い女の子で、皆に自慢出来るくらいなんですよね…

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻って現在

 

 

「〇〇君お待たせ!」

 

 

ロボ子は別室でちゃんと着替えてきた

 

 

「うん、今日のロボ子もまた可愛いよ」

 

 

ロボ子の格好は、ピンクのパーカーに黒のミニスカート…そして黒のソックス…絶対領域が眩しいコーディネートだ…

 

 

「エヘヘ♪だって今日は付き合って半年だもの…今日は何処に行くの?」

 

 

付き合って半年になる今日、ロボ子とデートをする事になっている

 

 

「んー…どうしようか?」

 

 

優柔不断なせいで目的地が決められない…

 

 

「じゃあ、ボク行きたいところあるんだけど良い?」

 

 

決められない自分に代わって、ロボ子が提案してきた

 

 

「うん、良いよ、それじゃ行こうか…」

 

 

ロボ子について行った先には…ロボ子の実家でした…

 

 

「あの…ロボ子…?何で君の実家に…?」

 

 

「エヘヘ…〇〇君をお父さんに紹介しようと思って♪」

 

 

お父さんに紹介する…ねぇ…?

早すぎないですかねぇ…?

 

 

「ロボ子…いくら何でもまだ半年しか付き合ってないのに早くない…?」

 

 

自分は時期尚早と思い止めるよう説得した。

 

 

「ボクのお父さんは彼氏が出来たらすぐに連れて来なさいって言ってたんだよ、それを半年も待たせちゃったんだ…これ以上待たせてたら後が怖いよ…」

 

 

ロボ子はしょんぼりしながら言った…

 

 

ロボ子のお父さんか…どんな人なんだろ…怖くないと良いけど…

 

 

「分かったよロボ子、お父さんに会うよ」

 

 

自分はロボ子のお父さんに会う決意を固めた…

 

 

「ただいまー!お父さん彼氏連れて来たよー!」

 

 

緊張するな…

 

 

「お…お邪魔します…」

 

 

自分は怖がりつつも入っていった…

 

 

「おぉロボ子お帰り、君が彼氏か…まぁ楽にしてくれ」

 

 

ホッ…どこにでもいる普通の人な感じだ…

 

 

「あ…どうもです、失礼します…」

 

 

とりあえず正座だな、変な素振りで逆鱗触れたくも無いし…

 

 

「お父さん、この人が彼氏の〇〇君!バイト先で知り合った同い年なんだよ!」

 

 

ロボ子から紹介を受ける、ロボ子のお父さんは自分をじっと見ていた…

 

 

「………ふむ、まぁ良いだろう…それで?ロボ子とはどんな付き合いをしているのかな?」

 

 

「はい、ロボ子さんとは健全なお付き合いを」

 

 

「一緒に同棲してるよ!」

 

 

…ロボ子、自分の立場危うくなるよ…

 

 

「…決して不埒な事は一切」

 

 

「キスも済ませてるよ!」

 

 

ロボ子…死んじゃう…自分死んじゃう…

 

 

「一緒に寝てもいるよ!」

 

 

あー死んだなぁ自分…短い人生だったなぁ…

 

 

「ロボ子、お前は少し外してなさい…〇〇君と少し話したい」

 

 

さよなら…自分…ここで幕引きです…

 

 

「はーい!じゃあ〇〇君、また後でね!」

 

 

そう言ってロボ子は部屋を後にした…

 

 

「ゴホン!さて〇〇君…君には聞きたい事があるんだが…?」

 

 

「は…はい…」

 

 

「ロボ子の言っていたバイト先とは…?」

 

 

「ハンバーガーショップです…」

 

 

「ふむ…では、同棲している件は?」

 

 

「3ヵ月前からです…」

 

 

「なるほど…キスと一緒に寝てる件は…?」

 

 

「…どちらも事実です」

 

 

ここで嘘偽り言えば間違いなく…やられる…それ程のオーラを出していた…何で?普通の人に見えるのに…

 

 

「そうか…ロボ子は…どんな感じかな?」

 

 

アレ…一気にオーラが消えた…

 

 

「どんな感じとは…?」

 

 

「恥ずかしながら私はロボ子とはあまり話さなくてね…あの子がバイト始めたと知ったのもつい最近なんだ…一人暮らしさせてたからね…」

 

 

「ロボ子さんはとても明るいです、バイト先でも仕事はテキパキですし、自分と一緒の時も料理を良く作ってくれます…一度ちょっとしたすれ違いもありましたが、誤解だと分かり今は仲良く、幸せな時間を過ごしています」

 

 

「今日挨拶に来たのは、ロボ子さんが彼氏出来たら直ぐに来るように言われていたからです、ですが…自分がその話を聞いたのがついさっきでございまして…挨拶が遅れてしまい、本当に申し訳ありません」

 

 

いくらロボ子が悪かろうと、付き合ってる自分の責任でもある為謝罪をした…

もっと言いやすい状況だったらこんな事にはなってなかったから…

 

 

「いや、気にしないでくれ…そうか…ロボ子は元気にやってるか…それなら良かった…」

 

 

「はい…自分もロボ子さんに助けられてばかりです…」

 

 

フブキちゃんの件で大変ではあったが、嫉妬を除けばロボ子は本当に良い子なんだ…嫉妬が強いだけなんだ…

 

 

「これからも、ロボ子をどうぞお願いします…」

 

 

「こちらこそ…よろしくお願いします…」

 

 

ロボ子のお父さんはただ心配なだけだったみたいだ…

 

 

 

 

 

 

 

「お父さんとどんな話してたの?」

 

 

帰り道、ロボ子は自分とロボ子のお父さんとの会話を聞いてきた

 

 

「ん?他愛も無い話だよ、お父さん良い人だね」

 

 

「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

 

「ねぇ〇〇君…今日一緒に寝たいな…」

 

 

何時もなら勝手に入ってくるのに、今回は事前に言ってきた…?珍しいな…

 

 

「うん、良いよ…どうしたの?」

 

 

「今日は一緒に居たいなって…ダメ…かな…?」

 

 

こんなに甘えるのは珍しいな…

 

 

「ダメじゃないよ、それじゃ一緒に寝ようか」

 

 

「エヘヘ…ありがとう」

 

 

モゾモゾ「やっぱり〇〇君と一緒に寝ると暖かいなぁ…」

 

 

「そっか…ロボ子も暖かいよ?」

 

 

「エヘヘ…♪ねぇ、頭撫でて?」

 

 

今日のロボ子は本当に甘えてくる…

 

 

「良いよ」ナデナデ

 

 

「エヘヘ…ありがとう、〇〇君…好きだよ…」

 

 

そう言ってロボ子は寝てしまった…

 

 

「自分も…好きだよ、ロボ子…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボ子のお父さんからも付き合う事を許してもらい、自分達はますます一緒に過ごすようになった。

たまにロボ子のお父さんとはお茶をする仲にまでなった

ロボ子のお父さんは毎回ロボ子を心配してて、自分の事も気にかけてくれるようになった

 

 

 

 

「ねぇ〇〇君、ちょっと試したい事があるんだけど」

 

 

ロボ子はふとそんな事を言ってきた

 

 

「試したい事?」

 

 

「うん、こんな事!」

 

 

いきなりベッドに突き飛ばされた…え…?

 

 

「イテテ…ちょっとロボ子何する」

 

 

ギュゥッ

 

 

突き飛ばされたと思ったら今度は強く抱きしめられた

 

 

「ロ…ロボ子…?」

 

 

「今日はね…ボクが〇〇君を虐める番だよ…」ペロ…

 

 

ロボ子はそう言って自分の首筋を舐めてきた…

 

 

「ちょっロボ子…くすぐったいよ…」

 

 

「何も聞こえにゃいよ…」ペロペロ…

 

 

ロボ子は舐めるのを止めない…どんなに嫌がっても…

 

 

「〇〇君…〇〇君…」

 

 

ロボ子はまた前みたいに瞳が澱んでいた…

 

 

「エヘヘ…〇〇君可愛い…」カプ…

 

 

今度は耳を甘噛みしてきた…痛くないけどもう…ダメだ…!

 

 

「ロボ子!」ガタン

 

 

「キャッ」

 

 

暴れた拍子にロボ子を押し倒していた…

 

 

「〇…〇君…?」

 

 

「もう…ここまでしちゃって…覚悟は出来てるんだよね…?」

 

 

散々ロボ子に弄られてしまったせいで理性が効かなくなっていた

 

 

「うん…良いよ…?来て…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後我に帰ったロボ子は顔を赤くするどころか青くしていた…

いきなり襲ってきたんだ…無理も無いかもしれない…

 

 

「ごめんね…〇〇君…ボク…どうかしてたよ…」

 

 

「う…ううん、大丈夫だよ…ちょっと驚いたけど…でもどうしたの?急に…」

 

 

「何時も〇〇君が頭撫でてくれたりだったから…ボクも癒してあげたいなぁって思って…それなのにあんな事…」

 

 

ロボ子…その気持ちだけで嬉しいよ…

 

 

「大丈夫だよロボ子、ロボ子が居てくれるだけで癒しになってるからさ」

 

 

「〇〇君…」

 

 

「これからもよろしくね、ロボ子」

 

 

「〇〇君…うん!」ダキッ

 

 

あぁ…この状況だと渡すのちょっと躊躇っちゃうなぁ…

 

 

ポロッ

 

 

あ…ヤバ…

 

 

「何これ?」パカッ

 

 

「え…これ…指輪…?」

 

 

あぁ…バレちゃったか…仕方ない…

 

 

「アハハ…バレちゃったか…ロボ子、これの意味は分かる?」

 

 

「え…え…?」

 

 

「ロボ子、自分と…結婚して欲しい…同棲じゃなくて、ずっと…死ぬまでずっと…一緒に居て欲しい…」

 

 

こんな形でプロポーズするとは思わなかった…けど、何時かはしなきゃいけなかった

 

 

「嬉しい…嬉しいよ〇〇君…」ポロポロ…

 

 

ロボ子は涙を流しながら言った…

 

 

 

 

 

 

 

 

「〇〇ー!早くー!」

 

 

「待ってくれよロボ子ー」

 

 

自分達は結婚をした、ロボ子のお父さんも祝福してくれたし、自分の両親も祝福してくれた。

自分達が住んでた所は引き払って、新しく一戸建てを購入した…ローン結構あるけどそこは頑張らなくちゃね…

 

 

「エヘヘ…捕まえてー♪」

 

 

「全く…その身体で無茶しないでよー?」

 

 

ロボ子のお腹には既に新しい命が宿っている、まだ性別は分からないけど、きっと元気な子に生まれてくれると良いなぁって思ってる…

 

 

「ねぇ…〇〇…ボクも…この子も…幸せにしてね…?」

 

 

「うん…頑張るよ…もっと…もっと幸せにしてあげるから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます
おそらく読まれた方は思う事が一つ、狂気何処行った!?
自分も書いてて思いましたが…あまりにも狂気出してると最後どうハッピーエンドに持っていけば良いか分からなくなりまして…ちょっと半端になっちゃいましたね…
もしかしてヤンデレ全開の話とか書いた方が良いのかな…そうなるとハッピーエンドにするのかなり難しいんですが…
まぁいつかは分かりませんがチャレンジしてみようかな…

とまぁ、こんな駄文ですが…懲りずにまた投稿していこうと思いますのでよろしくお願い致します…
ではでは、また次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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ケモ耳に固執する変た…ケモ耳好きな高校生 by白上フブキ

ど…どもです…(´・ω・`)
最近めっきり小説書く時間減りまして、遅れました…
そしてね…?タイトル通りなんですが…ロボ子さんのお話じゃないんです…
お前ロボ子さんの小説書くんじゃなかったんかよ…って突っ込みがある事でしょう…本当に…申し訳ございません…
そして今懺悔しておきます…おそらく次投稿するお話もロボ子さんのお話じゃないんです…その後輩さんのお話書く事になるかもです…
ロボ子さんのお話楽しみにしてる方…本当に申し訳ございません…
そしてもう一つ…このお話また1万文字超えちゃいました…もうちょっと短く出来たんじゃ…とか思っちゃいました…
で…ではでは…ごゆるりと…m(_ _)m


ケモ耳…それは存在だけで可愛いアイテム…

ケモ耳…それは着けると可愛さ倍増するアイテム…

ケモ耳…それは愛でる為に生まれたもの…

今回はそんなケモ耳をこよなく愛する変た…ケモ耳好きのお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ…眠い…」

 

 

俺は〇〇、17歳だ、年齢の通り高校生だ。

欠伸をしてるのは、夜中までずっとケモ耳女子の画像を眺めてたからだ…ケモ耳可愛くない?可愛いよね!もう愛でたくなるよね!

おっと…興奮するのも良くない、落ち着かなければな…

 

 

「あ、〇〇先輩おはようございます」

 

 

登校中に声をかけてきたのは、高校の一つ後輩の白上フブキ、この子は狐の耳のカチューシャを何時も着けている。

そして1年の中でのアイドル的存在なのだ…

キツネ耳…良いよね…愛でたい…

 

 

「おぉ、フブキちゃんおはよう、今日も可愛いねぇ」

 

 

これが俺の何時もの挨拶、可愛いんだなぁ…後輩ってだけでも萌えがあるのにそこにケモ耳だぜ!?もう最高じゃないか!出来る事ならお持ち帰りしてずっとhshsしてたい…

ちょっと待ってくれ、どこに連絡しようとしてるんだ?

俺は至って正常だからな?

 

 

「もぅ…〇〇先輩可愛いは止めて下さい!フブキはカッコよくなりたいんです!」

 

 

この狐っ子…じゃない、フブキちゃんはカッコよくなりたいらしい…

でもなぁ…可愛い路線でいった方が良いんだよなぁ…

 

 

「あはは!いやぁフブキちゃんは可愛いなぁ」ナデナデ

 

 

「ふにゃ!な…撫でないで下さい!」

 

 

フブキちゃんは俺が撫でるのが嫌なのか手を退かしてきた

 

 

「ごめんよフブキちゃん、君が可愛いからつい…」

 

 

「次は気をつけて下さいね!隙あらば撫でてきて…恥ずかしいです…」ボソボソ

 

 

あぁ…可愛い…本当にこれお持ち帰りダメかな…?

飼いたい…フブキちゃん飼いたい…

…だから通報は止めてくれないか…?俺は何も悪い事してない!

 

 

 

 

 

「それじゃ先輩、私はこっちなので」

 

 

フブキちゃんはそう言って自分の教室へと入って行った

俺の教室は2階、フブキちゃんの教室は1階だ。

 

 

「おはー」

 

 

俺は教室に入る時こんな感じで軽く入る

 

 

「あ、〇〇おはよう、今日もフブキちゃんと登校してたの?」

 

 

挨拶してきたのはロボ子、こいつもネコ耳のカチューシャを着けてる

前に愛でたくて撫でたんだが…鳩尾に拳がめり込んでな…それ以来触れなくなった…

 

 

「おぉロボ子、おはー…まぁ家近いしな、必然的に?」

 

 

実は俺の家とフブキちゃんの家は300m程しか離れていない、俺の家の方が高校遠いから、フブキちゃんが待ってれば自然と一緒に登校する流れになる。

フブキちゃん撫でまくったりしてるけど嫌われては無いんだなぁこれが…

 

 

「へぇ…まぁフブキちゃん可愛いからね、何時か後ろから刺されるかもよ?アイドルと登校してるんだからさ」

 

 

「そうだなぁ…その時はロボ子、俺を守ってくれよ」

 

 

俺は冗談混じりにロボ子に頼んでみた

 

 

「絶対助けてあげない!ボクのネコ耳カチューシャ狙ってるからね…」

 

 

おぅふ…そんな強く反対しなくて良いのに…まぁネコ耳カチューシャ可愛いからね…仕方ないね…

 

 

「へいへい、自分の身は自分で守りますよーっと…」

 

 

ガラガラ「ほらー席につけー、HR始めるぞー」

 

 

おっと…始まったか…面倒だけど真面目に受けるかぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

昼休みになった…

授業は面倒だったけどまぁ…それなりに受けた…

 

 

「腹減ったー…購買行くべ…」

 

 

俺は基本購買で昼ご飯を買っている、弁当作れれば良いんだけど、両親は作ってくれないし俺も作れない…まぁ仕方ないよね…

 

 

「おばちゃーん、焼きそばパンとコロッケパンちょうだい」

 

 

いつもこの二つのパンを買っている、というかそれしか買えないんだ…

ここの購買は毎日凄い行列で、残るのは大抵その二つ…

特に人気なのが昔ながらのお袋の味パンと、高級レタスのサンドイッチ…前者はちょっと高いけど500円、後者は高級なの使ってるせいなのかまさかの千円だ…

 

 

「はいよ、いつもありがとねぇ…」

 

 

俺は代金を払いパンを受け取ると、屋上に向かう。

雨の時は流石に無理だけど、屋上で食べるパンってのは最高なんだよな…共感してくれる奴…居る…?

 

 

ガチャ「さーて早速パンを」

 

 

「白上フブキさん、好きです!付き合って下さい!」

 

 

…タイミング悪くね…?

告白の場面に出くわすとか地獄じゃねぇか…とりあえず隠れなきゃ…

 

 

「あ…あの…急にそんな事言われても…」

 

 

んー?良く聞き取れないが…告白に戸惑ってるのは分かるな…

 

 

「僕…ずっとフブキさんの事好きだったんです…!」

 

 

ほほぅ…好きだった…ねぇ…?どんな奴なんだろな…コソッ

…っ!?あいつ…帝じゃねぇか…!あいつロリコンで有名なんだよな…

 

 

「こ…困ります…!私…好きな人が居て…ごめんなさい!」ダッ

 

 

あー…やっぱり振られたか、まぁロリコンだしな…仕方ないわな…

さて、早く食わなきゃ昼休み終わっちゃうわ…

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

あぁ…やっとこ学校が終わったよ…早く帰ろ…

 

 

「あ、〇〇先輩、一緒に帰りませんか?」

 

 

フブキちゃんが校門で待っていた…

 

 

「あれ?フブキちゃん今日部活は?」

 

 

フブキちゃんはすこん部という部活に所属している、どんな内容なのかは…教えてもらってない

 

 

「今日はちょっと部活に出る気分じゃなくて…」

 

 

フブキちゃんは目を逸らしながら答えた

 

 

「そっか…まぁなら良いけど…じゃあ帰ろっか?」

 

 

俺は面倒事になるのが嫌だから詳しく聞かない事にした

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

一緒に帰ってるは良いものの…昼休みのが頭をチラつく…聞いても良いのだろうか…?

 

 

「…?先輩…?〇〇先輩?」

 

 

「あ…あぁ、フブキちゃんどうしたの?」

 

 

考え事してたせいかフブキちゃんの声掛けに反応出来なかった

 

 

「〇〇先輩、何か考え事ですか?珍しいですね」

 

 

フブキちゃん…珍しいは失礼だと思うよ…?

 

 

「まぁね、俺だって悩みの一つや二つあるよ」

 

 

「へぇ…まぁ私も悩み事があるんですよ…」

 

 

ん…?これは…昼休みの件か…?

 

 

「私…今日告白されたんです、二年の先輩でした…」

 

 

まさかフブキちゃんからその話題くるとは…まぁ俺は知らない体でいかなきゃな…

 

 

「告白かぁ…フブキちゃん可愛いしモテモテだね」ナデナデ

 

 

「茶化さないで下さい!後可愛いは止めて下さい!」

 

 

またフブキちゃんを怒らせちゃったようだ…女の子って難しいな…

 

 

「まったく…〇〇先輩は何時も何時も私を撫でるんだから…もっとロマンチックなとこが良いのに」ボソボソ

 

 

怒ってるのは分かるんだけど…何言ってるのかサッパリ聞こえないや…でも怒ってるフブキちゃんも可愛いなぁ…

 

 

「ごめんごめん…んで、その二年の人に告白されてどうしたの?OKしたの?」

 

 

話題を戻そうと俺はそう聞いた

 

 

「いいえ、お断りしました」

 

 

まぁ、知ってたけど…

 

 

「断っちゃったの?まぁフブキちゃんはアイドルだし…相手に求めるものが大きいのかな?」

 

 

俺は何時もみたいにちょっと茶化す感じで返した、が…

 

 

「そうですね、〇〇先輩にはきっと分からないでしょうね」

 

 

フブキちゃんは素っ気なく答えた。

何か…刺を感じる…

 

 

「フブキちゃん、ちょっと言葉に刺を感じるんだけど…?」

 

 

「別に、何時も通りですよ?」

 

 

やっぱり何時もと違う…何か怒らせたのだろうか…?

 

 

「では〇〇先輩、私はこれで」

 

 

フブキちゃんは結局最後まで機嫌を損ねていた…

 

 

「あ、あぁ…またね?」

 

 

「はい、また」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は結局フブキちゃんが怒った理由が分からないまま帰宅した

考えても分からないので、ロボ子に連絡をとってみることにした

 

 

 

プルルル…プルルル…ガチャ「あ、ロボ子か?〇〇何だけど今大丈夫か?」

 

 

「うん?まぁ大丈夫だけど」

 

 

「そっか、悪いな…それでロボ子、何か知らないけどフブキちゃん怒らせちゃったみたいなんだけど」

 

 

「はぁ?〇〇何しちゃったの…?」

 

 

「いや…何で怒らせたのかも分からないんだ…」

 

 

「〇〇…女心分からないもんね…詳しく聞かせて?」

 

 

 

 

 

俺はロボ子に帰り道であった事を話した

 

 

「〇〇…それは君が悪いよ…アイドルなんて肩書きはフブキちゃんにとって嫌なんだよ…それなのに君がそんな事言っちゃうなんてね…バカだなぁ…」

 

 

ロボ子にまで怒られてしまった…

 

 

「明日しっかり謝ることだね…後は休日に遊びに誘ってみたら?」

 

 

「そうだな…ん?なんで遊びに誘わなきゃいけないんだ?」

 

 

謝るのは分かったが、何故遊びに誘うのかがよく分からなかった

 

 

「と・に・か・く!明日謝るのと遊びに誘う事!良い?」

 

 

ロボ子から念を押された…

 

 

「わ…分かったよ…んじゃまた学校でな…」

 

 

俺は電話を切った…何か凄い疲れた…

仕方ない…謝る為に何も無しはアレか…料理得意じゃないんだけど…少し頑張るか…

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン…チュンチュン…

 

 

あ…朝になってるし…ヤベェ…まさか朝まで料理する事になるなんて…とにかくもう準備しなきゃ…!

 

 

 

 

 

 

 

俺は何とか完成したのをカバンに詰め、学校へ向かった…

 

 

 

「あ…」

 

 

フブキちゃんが家から出てきた…

 

 

「お…おはよう」

 

 

昨日の今日だからか、挨拶がぎこちない感じになってしまった

 

 

「おはよう…ございます…」

 

 

フブキちゃんは俺と目を合わせてくれなかった

ここまでになるとは…正直思ってなかった…

 

 

「な…なぁ、フブキちゃん…」

 

 

俺は覚悟を決めてフブキちゃんに話しかける

 

 

「なんですか?〇〇先輩」

 

 

うっ…やっぱり顔合わせてくれない…何時もならこっち見てくれるのに…

 

 

「今日の昼休みさ…ちょっと時間貰える?」

 

 

「え…?」

 

 

フブキちゃんがやっとこっち向いてくれた…

 

 

「えっと…どうかな…?」

 

 

「分かりました、昼休みですね…どこに行けば良いです?」

 

 

「屋上で…良いかな…?」

 

 

昨日も別の奴に屋上に呼ばれてるんだ…ダメかもだけど…

 

 

「屋上…ですね、分かりました」

 

 

大丈夫みたいね…とりあえずは…

 

 

「それじゃ、私急ぐので」

 

 

フブキちゃんはそう言って走って行ってしまった…

やっぱりまだ…怒ってるかな…

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラ「おはー…」

 

 

俺は何時もの挨拶をするが、少し元気は無い…

 

 

「〇〇おはよう、元気無いね…まさか失敗したの?」

 

 

ロボ子が挨拶をして聞いてきた、だが俺の元気の無さは別にある…

 

 

「ロボ子おはー…違うんだよ…寝てないんだよ…作業してたら朝になっててな…」

 

 

「なぁんだ…安心したよ、これで失敗したなんて聞いたら…フフフ…」

 

 

ロボ子さん…笑いが怖いです…

 

 

「フブキちゃんにはとりあえず昼休みに話そうと思うから大丈夫だよ…フブキちゃん本当に人気なのな…」

 

 

「当たり前だよ、背も小さいし一年だし、守りたくなるタイプだよあの子は…なんで〇〇がずっと一緒に居るのか分からないくらいだよ」

 

 

だよなぁ…本当に可愛いんだ…ってロボ子…後半のは聞き捨てならんぞ…

 

 

「まぁ報告するから、待っててくれ」

 

 

「分かった、まぁ…頑張れ?」

 

 

その後はHRが始まったので話す事は無かった

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

昼休み…屋上に行こう…

 

 

ガチャ

 

 

フブキちゃんはもう居たようだ…俺も昼休みになってすぐ来たはずなのに…

 

 

「早いね、フブキちゃん…待たせちゃったかな?」

 

 

「いえ、大丈夫ですよ、今来たところですから」

 

 

「そっか…なら良かった」

 

 

「それで、何ですか?まさか…〇〇先輩も昨日の先輩みたいに告白する気ですか…?」

 

 

フブキちゃんは何故か顔を赤くしながら言った

 

 

「告白!?いや…しないよ」

 

 

流石に驚いた…まさかそんな返しとは思わなかった…

 

 

「…そうですか、じゃあ何の用ですか?」

 

 

あれ?何で今ちょっと残念そうに…?また冷たくなってるし…

 

 

「うん…その…昨日俺が変な事言っちゃったせいで怒らせちゃったからさ…謝りたくて…」

 

 

「そうですか、別に私は気にしてませんよ」

 

 

フブキちゃん…気にしてなかったらそんなに冷たくならないはずなんだよ…

 

 

「それでさ…こんなんで償いになるかは分からないけど…お茶でパンを作ってみたんだ…あんまり出来は良くないけど…」

 

 

俺は、フブキちゃんにお茶パンを渡した

 

 

「お茶…パン…」

 

 

フブキちゃんはお茶パンをまじまじと見ていた、ちょっと恥ずかしいんだけど…

 

 

「いただきます…」

 

 

ムシャ…モグ…モグ…

 

 

「美味しい…」

 

 

「そっか、それなら良かった」

 

 

フブキちゃんの舌に合ってくれたみたいだ、これで美味しくないってなったらもう取り返しつかなかったかもしれない…

 

 

「…ごちそうさまでした」

 

 

「お粗末さまです」

 

 

フブキちゃんの食べるスピードは分からないけど、それでも早いペースで食べてくれてたと思う。

 

 

「お茶パンに免じて、許してあげます…でも、〇〇先輩はもっと女の子の気持ちを理解出来るようにならないとダメです!」

 

 

許してもらったけど…やっぱり怒られるというね…

 

 

「ごめんねフブキちゃん…」

 

 

俺は頭を下げた、気持ちを分からなかった俺に非があるし…

 

 

「もう良いですよ、というか〇〇先輩、購買に行かなくて良いんですか…?」

 

 

「購買…?あっ…」

 

 

忘れてた…俺の今日のお昼…無いわ…

 

 

「…もう時間的に間に合いませんね」

 

 

「そうだね…まぁこれもフブキちゃんを怒らせた報いと思ってるからね…午後の授業寝てれば良いし…」

 

 

「ダメですよ!ちゃんとお昼ご飯食べて午後の授業も頑張って下さい!」

 

 

心なしかフブキちゃんのカチューシャぴょこぴょこしてない…?見間違い…?

 

 

「し…仕方ないですね、私のお弁当分けてあげます!」

 

 

はい…?フブキちゃんの…お弁当…?

 

 

「え…いや悪いよ、フブキちゃんが食べなよ」

 

 

俺は申し訳なく思ったのでお断りさせてもらう…

 

 

「お茶パン食べたので、全部は食べれません…残したら私が怒られます…」

 

 

フブキちゃんはションボリしながら言った、デザートにすれば良かったか…失敗した…

 

 

「わ…分かった、じゃあ少しいただきます…」

 

 

「はい!」

 

 

俺が食べると言った途端フブキちゃんは笑顔になった、やっぱりフブキちゃんは笑顔が一番だよな…

 

 

 

 

 

 

 

フブキちゃんのお弁当は可愛らしい物だった、食べるのが勿体無いぐらいに…

 

 

「〇〇先輩、遠慮せず食べて下さい!」

 

 

あぁ…そんな笑顔で渡されたら食べずにはいられないよ…

 

 

「いただきます」パクッ

 

 

!?美味い…美味いぞ!

 

 

「フブキちゃん…これフブキちゃんのお母さんが作ったの?」

 

 

俺は聞かずにはいられなかった…

 

 

「い…いえ…今日は私が作ったんです…」

 

 

フブキちゃんは恥ずかしそうに答えた

 

 

「これをフブキちゃんが…!?とっても美味しいよ!将来良いお嫁さんになれるね!」

 

 

きっとフブキちゃんは良いお嫁さんになれる、そう確信出来た

 

 

「あ…あぅ…//」

 

 

フブキちゃんは顔を真っ赤にしながら俯いた、でも俺は気にせずお弁当を食べていた…

 

 

 

 

 

 

 

「あ…ごめん…あまりにも美味しすぎて8割ぐらい食べちゃった…」

 

 

「いえ、大丈夫ですよ、美味しいって言ってもらえて嬉しかったです」

 

 

本当に美味しかった、まさかすこん部に所属してるのが関係あるのか…?はたまた元々料理上手なのか…?そんな考えが頭を駆け巡った…

 

 

「それじゃ、残りは私が食べますね」パクッ

 

 

フブキちゃんは残りを全部食べた、あれ…?お箸…一緒だよな…?

 

 

「なぁフブキちゃん、一つ良いかい?」

 

 

俺はもう食べ終わるフブキちゃんに聞く事にした

 

 

「ふぁい?何でふか?」

 

 

あ…モゴモゴしてるフブキちゃん可愛い…じゃなくて

 

 

「あのさ…その箸俺が口付けたやつなんだけど…それって…間接キス…だよね…?」

 

 

カランカラン…

 

 

あ…フブキちゃんの手から箸が落ちた…

 

 

「あ…あぁ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

フブキちゃんは悲鳴をあげながら俺の鳩尾に一撃を入れた…フブキちゃん…良いパンチだ…バタン

 

 

「あ…〇〇先輩?〇〇先輩!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…うぅ…」

 

 

目が覚めるとそこは保健室だった

フブキちゃんが誰か呼んでくれたのかな…フブキちゃんじゃ俺は運べないから…

 

 

「あ…〇〇先輩?起きましたか?」

 

 

右を向くと、フブキちゃんが座っていた

 

 

「フブキちゃん…俺は…」

 

 

「えっと…私が先輩の…お腹にパンチして気絶させちゃったみたいです…ごめんなさい…」

 

 

「あぁ…大丈夫だよ…俺の方こそごめんね…また変な事言っちゃったね…」

 

 

フブキちゃんが謝ってきたので、俺も謝った

仲直りしたのにまた拗れるのは嫌だから…

 

 

「い…いえ…大丈夫ですよ、私も嬉しかったし…」ボソボソ

 

 

また聞き取りにくいけど…怒ってはないみたいだ…良かった…

 

 

「それじゃ、そろそろ出ないとな…今何時かな?」

 

 

「今は…17時半ですね…」

 

 

え…俺5時間近くも気絶してたの…?ヤバくね…?

 

 

「そっか…んじゃ帰らないとな…フブキちゃん部活は?」

 

 

「今日は少しだけ顔出してすぐ抜け出しました…〇〇先輩が心配でしたから…」

 

 

「そっか…ありがとね、んじゃ帰ろっか」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道

俺はフブキちゃんと一緒に帰っていた

 

 

「なぁフブキちゃん、今度の休み空いてるかな?」

 

 

「え…休みですか?きゅ…急にどうしたんですか?」

 

 

やっぱり戸惑うよね…

 

 

「いや…仲直りは出来たけどさ…それでもやっぱりちゃんとお詫びしたくてね…」

 

 

「…分かりました、空けときますね、何時ですか?」

 

 

「んじゃ…土曜の11時、フブキちゃんの家の前でどうかな?」

 

 

「じゃあその時間で、楽しみにしてますね」

 

 

 

 

 

 

 

俺達はそのまま別れた、土曜の約束をして…

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅

とりあえず約束も出来たし、仲直りも出来たしで一段落か…

あぁ、ロボ子に連絡しなきゃな…

 

 

プルルル…プルルル…「あ、ロボ子か?〇〇だけど今大丈夫か?」

 

 

「ん?〇〇?どうしたの?」

 

 

「お前には報告しなきゃだからな…こうして連絡したんだよ」

 

 

「なるほどね、それで?フブキちゃんとはどうなったの?」

 

 

「結果的に、仲直りして遊ぶ約束もしたよ」

 

 

「結果的に?何か怪しいな…詳しく教えてよ」

 

 

途中恥ずかしいんだけどな…まぁ世話になってるし教えるか…

 

 

「…という事」

 

 

「〇〇…もう付き合っちゃえば?フブキちゃんと」

 

 

全部話したらいきなりこれである、意味分からない…

 

 

「はぁ?なんで俺がフブキちゃんと付き合う事になるんだよ…」

 

 

「だって〇〇ケモ耳好きじゃん?何時もモフモフしたいって言ってるじゃん?〇〇の話聞く限りフブキちゃんは少なくとも嫌ってはないよ、好意的にも見える」

 

 

…思い返せば確かに、毎日撫でたり可愛い言ったりしても嫌悪感は出してなかった。

本当に嫌なら関わってはこないか…

 

 

「まぁ後は〇〇がフブキちゃんの事をどう思ってるかによるから、ボクからは何も言わないよ、ゆっくり考えな?」

 

 

 

 

そうして電話は終わった、ロボ子は結局俺に悩みの種を残していっただけだった。

 

 

「俺がフブキちゃんを…どう思うか…ねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はそのまま寝てしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日

今日はフブキちゃんと遊びに行く日だ、と言っても何処に行くかは決めてないんだよね…

とりあえず、会ってから考えよう…

 

 

 

 

「〇〇先輩、こんにちは」

 

 

フブキちゃんは既に待っていた、少し早く来たはずなんだけどな…

 

 

「こんにちはフブキちゃん、待たせちゃったみたいだね…ごめんね?」

 

 

「いえ、全然待ってないですよ」

 

 

フブキちゃん…ちょっと汗かいてるよ…俺に心配させまいとか…

 

 

「それじゃ、何処に行こうか?何も考えてなくてさ…」

 

 

「それなら、カラオケに行きませんか?少し歌いたくて」

 

 

「分かった、じゃあカラオケに行こうか」

 

 

 

 

 

 

カラオケに着いた、ここは食べ物の持ち込みが出来るちょっと変わったカラオケだ

 

 

 

「いらっしゃいませ、ただ今カップル割がオススメとなっております」

 

 

へ…?カップル割…?

 

 

「カップル割でお願いします」

 

 

フブキちゃんは平然とカップルだって言いやがった…あ、でもちょっと顔赤いや…

 

 

 

 

 

 

「すいません〇〇先輩、安くする為にあんな事言っちゃって…」

 

 

「だ…大丈夫だよ、安くするために仕方なかったんだし…」

 

 

お互いが動揺してしまう事態になった…

 

 

「そ、それじゃ歌いましょうか!」

 

 

「そ、そうだね!」

 

 

空気を変えたく、歌を歌い始めた…

 

 

 

俺は基本無難な曲しか歌わない、あまり上手でも無いからな…

でもフブキちゃん歌上手いよなぁ…

 

 

 

「…はい、次は〇〇先輩が入れる番ですよ」

 

 

「あいよ、んじゃこれかな…」

 

 

 

 

 

 

 

フブキちゃん歌上手いんだけど…何かこう…好きって単語が多いんだよな…

某48人グループの大声だったり…某ツンデレタイガーのEDだったり…

 

 

「…ふぅ、歌うのやっぱり気持ちいいです!」

 

 

まぁ本人楽しんでるから良いかな…

 

 

「それは何よりだね、俺も久々に歌うからスッキリするよ」

 

 

「ですね!でもそろそろお昼ですね…お弁当作ってきたんですけど…どうですか?」

 

 

「作ってきてくれたの?食べたいな…フブキちゃんのお弁当美味しかったし」

 

 

「はい!どうぞ食べて下さい!後こっちは帰ってから食べて下さい」

 

 

お弁当とは別に違うお弁当箱を渡された

 

 

「ありがとう、それじゃいただきます」

 

 

やっぱり美味しいな…フブキちゃんのお弁当…

 

 

「あ、ちょっと席外しますね」

 

 

フブキちゃんは部屋を抜けていった

 

 

「んぐんぐ…食べ終わっちゃったか…こっちのお弁当箱…どんなのが入ってるんだろ…ちょっと開けてみても良いよな…?」パカッ

 

 

そこには手紙が入っていた

〇〇先輩へ、これを読んでるのは家なのか、また別の場所なのかは分かりません…

今回これを書いた説明しますと…

私はこの前告白されました、この事は多分話してると思います。

その時私は好きな人が居ると言ってお断りしました。

私は…〇〇先輩が好きです。

ずっと好きでした…この気持ちが届かなくても、何時も通りに接してくれると嬉しいです。

 

 

 

ロボ子…俺どうしよう…?本当にフブキちゃん俺の事好きだったよ…

そんな目でフブキちゃん見てなかったのに…

 

 

ガチャ「すいません戻りま…した…」

 

 

あ…

 

 

「あ…もう開けちゃった…んですね…」

 

 

「ご…ごめん…気になっちゃって…というか…この手紙…」

 

 

「う…うぅ…」

 

 

フブキちゃんが泣き始めてしまった…

 

 

「そうですよ…その手紙は私が書きました…私は〇〇先輩が好きなんです…!カラオケでそれとなくな曲歌ったのだって少しでも意識して欲しかったから…!それなのに…今読まなくっても…!」

 

 

フブキちゃんは泣きながら叫んだ

 

 

「ごめん…ごめんフブキちゃん…そんなつもりじゃなかったんだ…」

 

 

「分かってますよ!〇〇先輩優しいもん!意地悪だって優しかったもん!」

 

 

ギュッ

 

 

俺はフブキちゃんを抱きしめてた…

 

 

「ごめんなフブキちゃん…ここまでしてもらっちゃって…それでも気付けなかった俺を許してくれ…」

 

 

「〇〇先輩…」

 

 

「正直俺はフブキちゃんをそういう風に見てなかったんだ、妹みたいな感じに見てたんだと思う」

 

 

「…」

 

 

「でもさ…黙ってたけど屋上で告白されてた時、俺その場に居たんだよ…隠れてたんだけどさ…その時、もし他の男とフブキちゃんが付き合うって考えたら胸が苦しくなってた…だからさ…フブキちゃんが俺の事好きってなって嬉しかった、ここまでされてから思うのは卑怯かもだけど、俺もフブキちゃんの事、好きだよ…」

 

 

「〇〇先輩…!」

 

 

「本当は俺から言わなきゃいけなかったんだよな…ごめんねフブキちゃん…俺と、付き合ってくれないかな?」

 

 

「はい…!こちらこそよろしくお願いします…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな形でフブキちゃんと付き合う事になるとは思わなかった、フブキちゃん曰く、もっとムードがある場所が良かったそうだ…

ごめんフブキちゃん…

俺達が付き合った事は内緒にしている、フブキちゃんはアイドル的な存在なのに付き合ったなんて知られるとお互い大変な事になるからだ…

唯一、ロボ子にだけは事情を話した…

ロボ子は「良かったね、やっぱりフブキちゃんは〇〇の事が好きだったかぁ…えへへ、まぁこの事は内緒にしてあげるよ」と言っていた。

これでバレたらロボ子のせいだな…うん…

 

 

 

 

 

 

「〇〇先輩おはようございます」

 

 

「おはよう、フブキちゃん」

 

 

俺達は今日も変わらず挨拶をして学校に向かう…

 

 

「〇〇先輩、手繋いでも良いですか?」

 

 

「え…フブキちゃん、バレちゃうんじゃ…」

 

 

俺はバレるのを恐れていたが…

 

 

「校門前には離します、ダメ…ですか…?」

 

 

フブキちゃんは上目遣いで俺を見つめた…可愛いなぁ…そんなの断れないじゃないか…!

 

 

「良いよ、じゃあ繋ごうか」

 

 

ギュッ

 

 

フブキちゃんの手から体温が伝わる、ほんのり暖かい…

 

 

「〇〇先輩の手、ちょこっとひんやりしますね、気持ちいいです」

 

 

「フブキちゃんの手は暖かいね」

 

 

「えへへ…頭も撫でて欲しいです…」

 

 

「え?フブキちゃん頭撫でられるの嫌なんじゃ…?」

 

 

「良いんです!早く撫でて下さい!」

 

 

「わ…分かったよ…」ナデナデ

 

 

「はにゃー…〇〇先輩のナデナデ…好きです…」

 

 

あれ…?この子狐のカチューシャだよね…?ネコのカチューシャに見えてきたよ…?

 

 

「ねぇフブキちゃん、そのカチューシャ…狐だよね?ネコじゃないよね…?」

 

 

気になったので聞いてしまった…

 

 

「これは狐ですよ?ネコのもありますけど…あっちはまだ恥ずかしくて着けれません!」

 

 

やっぱりあるのか…ネコカチューシャのフブキちゃんかぁ…可愛いんだろうなぁ…

 

 

 

 

 

校門前になった、俺達は手を離す…

 

 

「あ…」

 

 

「また下校の時に…ね…?」

 

 

名残惜しいけど仕方ないんだ…

 

 

「はい…下校の時はもっと一緒に居たいです…!」

 

 

「俺もだよ…じゃあ、また」

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラッ「おはー」

 

 

「〇〇!」

 

 

ロボ子が駆け寄ってきた

 

 

「お…おぉ、ロボ子おはー…どうした?」

 

 

「別に?ただ…おめでとう」

 

 

ロボ子は耳元で俺に祝いの言葉をかけてくれた、だけど…

 

 

「〇〇…先輩…?」

 

 

何故かフブキちゃんがそこに居た…

しかもフブキちゃんから見るとロボ子が俺にキスしてるようにも見える角度だ…

 

 

「え?フブキちゃん…?何でここに…?」

 

 

「ロボ子先輩に呼ばれて…え…?これ…」

 

 

ロボ子がフブキちゃんを呼んだ…?何の為に…?

 

 

「ごめんねフブキちゃん、ボクもね…〇〇の事好きなんだよ、だからこれは宣戦布告、ちゃんと捕まえておかないとボクが奪っちゃうからね…?」

 

 

「はぁ!?ロボ子お前何考えてるんだよ!人に後押ししといてこれは無いぞ!?」

 

 

俺の頭はぐっちゃぐちゃだった…

 

 

「ボクはあくまで〇〇の幸せを願ってるからね、その幸せがフブキちゃんで達成出来ないならボクが奪っちゃおうと思って」

 

 

ロボ子…お前悪魔か…

 

 

「ロボ子先輩にはあげません!私が…〇〇先輩を幸せにしてあげるんですから!」

 

 

フブキちゃん…それもおかしいからね…?

 

 

「フフフ…負けないからね?」

 

 

「わ…私だって負けません…!」

 

 

俺…どうなるんだろ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっとフブキちゃんと付き合ったというのに、まさかロボ子まで俺の事を好きとは予想外過ぎた…

これはフブキちゃんと幸せにならないと危ないな…色々と…

 

 

 

「修羅場だけは勘弁してくれよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます…
今回はロボ子さんの後輩さんの白上フブキちゃんのお話でした…
いや…その…ちょっと励ましいただきましてね…?もう書くしか無いなぁって…出来心だったんですぅぅぅぅ!
すいませんでしたぁぁぁぁぁぁ!
次もロボ子さんじゃないですが…どうかお許し下さいませ…
ではでは…また次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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ツンツンメイドがデレる時 by赤井はあと

どもですm(_ _)m
今回も懲りずにロボ子さんじゃないお話…そろそろ怒られるレベルなのかな…
今回はサブタイトル通り、赤井はあとさんのお話です。
8月10日が誕生日と知り、急いで書いたお話…甘く出来てると良いなぁ…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


ここはメイド喫茶ホロライブ

このメイド喫茶には色んなメイドさんが居る…

元気いっぱいなメイドさんも居れば、癒しが満載のメイドさんも居る…

でも、そのどちらにも分類されず、素直になれないメイドさんが一人居る模様…

今回のお話はそんなメイドさんと一人の青年のお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カランカラン「おかえりなさいませ!ご主人様♪」

 

 

ドアを開けると、メイドさん達がお出迎えしてくれる

メイド喫茶に来てるんだから、当たり前なのかもだけど…

 

 

「ただいま、一人なんだけど」

 

 

僕は大抵一人で此処に来てる、友達が居ない?単純に友達と来るのが恥ずかしいだけだよ…友達はちゃんと居るよ…?居るよ…?

 

 

「はい!1名様ですね!何時もありがとうございます!」

 

 

僕はここホロライブの常連客、スタンプカードもあって一回来る毎に一個スタンプが押される。

スタンプがいっぱいになると好きなメイドさんを指名出来てその料金は無料で一定時間話す事が出来る

今日はスタンプカードがいっぱいになってるので指名をしようと思ってる…指名するのは…勿論あの子…

 

 

「今日はコレ使いたいんだけど…大丈夫かな?」

 

 

僕はメイドさんにスタンプカードを手渡す

 

 

「はい!大丈夫ですよ!誰を指名されますか?」

 

 

「じゃあ…赤井はあとちゃんでお願いします」

 

 

「かしこまりました!ではこちらでお待ち下さいませ!」

 

 

 

 

 

 

 

「お…おかえりなさいませ、ご主人様…」

 

 

はあとちゃんが来た

この子はこの喫茶では珍しいツンデレ属性の持ち主、なんだけど…ツンが強いみたいで人気が微妙らしい…可愛いのに…

ちなみに僕ははあとちゃんが好きです、ツンデレ可愛い…

 

 

「はあとちゃんこんにちは、よろしくね」

 

 

「アンタも物好きよね、私みたいなの毎回指名してさ…」

 

 

そう、僕は毎回指名ははあとちゃんにしてる、だって好きだし…可愛いし…

 

 

「こーら!はあとちゃんご主人様に向かってアンタはダメよ?」

 

 

他のメイドさんから注意が入る

 

 

「あはは、僕は大丈夫ですよ、僕と居る時くらいは自然体でいて欲しいから」

 

 

「申し訳ございませんご主人様!せめてものサービスでドリンク一つ無料にさせていただきます!」

 

 

別に良いのになぁ…僕は自然なはあとちゃんが好きなだけなのに

 

 

「はぁ…またやっちゃったか…どうも治らないわね…」

 

 

「ん?はあとちゃんどうかしたの?」

 

 

「別に、気にしないで」

 

 

はあとちゃんは気にしないでって言ってるけど…気になるものは気になるんだよね…

 

 

「ほら!ゲームとかしましょ?時間が勿体無いわ!」

 

 

はあとちゃんは誤魔化すようにゲームを勧めてきた…はあとちゃんがそのつもりなら、こっちだって考えがあるからね…

 

 

「分かった、じゃあ…愛してるゲームをしようか…罰ゲーム付きで、勿論大丈夫な範囲で」

 

 

「分かったわ!私が負けるなんて有り得ないもの!」

 

 

フフフ…僕も恥ずかしいなんて無いからね…これは自然にはあとちゃんに愛を囁けるものでもあるからね…

 

 

「それじゃ僕からいくね…はあとちゃん、愛してるよ」

 

 

「っ!私も愛してるわ」

 

 

最初からぐらついたな…これはあっけないかな…?

 

 

「はあとちゃんのツンツン可愛いよ…愛してるよ…」

 

 

「〜//あ…愛してる…わよ…」

 

 

もう一押し…

 

 

「はあとちゃん…心の底から愛してるよ」ニッコリ

 

 

「//もう無理!私の負け!」

 

 

はあとちゃんの顔は真っ赤になっていた…

フフフ…僕が負けるなんて有り得ないね!だって好きだから

 

 

「悔しい…!で?罰ゲームは何よ?」

 

 

あ、ちゃんと罰ゲーム受けてくれるんだね、それなら…

 

 

「はあとちゃんの悩みを教えて?」

 

 

「な…悩みなんて…」

 

 

「嘘だね、毎回はあとちゃん指名してるけど今日は少し落ち込んでる、隠しても無駄だよ」

 

 

何度も指名してるからね、これくらいは分かるよ…

え?ストーカーじゃないよな?って?僕を犯罪者にでもしたいのかな…?

 

 

「分かったわよ…2週間後にホロライブ内で人気ランキングがあるのよ、なのに私の人気はそこまでだから…不安で…」

 

 

何時もツンツンだけど勝気のあるはあとちゃんが弱気になるなんて…よっぽどなんだな…

 

 

「僕が…一緒に考えようか?人気の出る方法…」

 

 

「え…?」

 

 

「はあとちゃんは可愛いんだし、もっと人気出ても不思議は無いんだから…お手伝いしたいんだ」

 

 

「ア…アンタ…」

 

 

「ダメ…かな…?」

 

 

「フンッ仕方ないわね!そこまで言うなら一緒に考えてくれても良いわよ!」

 

 

はあとちゃんの了解も得たし、これで一緒に考えられる…

 

 

「それじゃこれ、コースターあげるわ私のサイン入りよ!」

 

 

はあとちゃんからコースターを渡された、裏にははあとちゃんのサインと…連絡先が書いてあった…

バレたら大変なんじゃ…

 

 

「ありがとうはあとちゃん、それじゃもう時間だからもう戻るね」

 

 

「えぇ、行ってらっしゃいませ、ご主人様!」

 

 

バタン

 

 

 

(あの人…あんなに愛してるなんて言って…ど、どういうつもりなのよ…ドキドキがまだ止まらないわ…!顔も熱いし…もう!何なのよ!)

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ…はあとちゃんの人気かぁ…どうやったら出るかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は夜、はあとちゃんから渡された連絡先にメールをしてみた

 

 

メール

こんにちは、昼間に指名させてもらった〇〇です

コースターに書かれてた連絡先で送らせていただきました

それで今後の相談なんですが、何時頃時間空きますか?

 

 

ポチッ…送信完了

 

 

 

 

 

ブーッブーッ

 

 

ん?メール?

 

 

メール

赤井はあとよ!

明日なら何時でも空いてるわよ!

 

 

短くそう書いてあった

 

 

 

メール

では、明日の午後1時にカフェ・ルージュでどうです?

 

 

ポチッ…送信完了

 

 

ブーッブーッ

早!?

 

 

メール

分かったわ!遅れたら打ち首よ!

 

 

打ち首…?汗

まぁ…とりあえずこれで日時は決まったから良いか…

 

 

 

 

 

翌日

僕は30分前にカフェ・ルージュに着いた

遅れたら打ち首がちょっと不安に思ったから…

 

 

「あら、先に来てたのね」

 

 

はあとちゃんがその5分後に来た、はあとちゃんも早いね…

 

 

「こんにちははあとちゃん、早いね」

 

 

「折角打ち首にしてあげようと思ったのに…残念だわ!」

 

 

はあとちゃん…本気で打ち首にしようとしてたの…?

 

 

「とりあえず、入って話そうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、とりあえずはあとちゃんの考えてる感じってどんなのなの?」

 

 

はあとちゃんの人気を上げる為の会議が始まる

 

 

「そうね…私が考えてるのは皆みたいに何かカチューシャでも付けようかしら?ロボ子先輩とフブキちゃんはカチューシャ付けてるし…人気も高いから…」

 

 

なるほどカチューシャか…

 

 

「どんなカチューシャが良いのかな?」

 

 

「そうねぇ…とりあえず1通りのカチューシャは持ってきたわ、この中で決まれば良いけど」

 

 

はあとちゃんは複数のカチューシャを出してきた

色々持ってるなぁ…犬に兎、これは…馬?流石に…ん?猫もあるのか…猫なら…

 

 

「はあとちゃん、猫のカチューシャはどうかな?」

 

 

僕ははあとちゃんに猫のカチューシャを勧めてみた

 

 

「え…猫…?ロボ子先輩と被るじゃない…嫌よ…」

 

 

はあとちゃんは乗り気じゃないみたいだな…

 

 

「一回だけお願い!ね…?」

 

 

「し…仕方ないわね…!一回だけよ!」

 

 

「に…にゃぁ…赤井…にゃあとにゃ…?」

 

 

………グハァ!ヤバい…ヤバイって…可愛すぎる!

 

 

「…」

 

 

「ちょっと!何か反応しなさいよ!」

 

 

「…ハッ!?可愛すぎて意識飛んでたよ…」

 

 

「な…何言ってるのよ!?もう…」

 

 

はあとちゃんは照れてるのかそっぽを向いた

 

 

「はあとちゃん、猫だよ…猫のカチューシャ付けてやれば人気上がるよ!絶対上がるって!」

 

 

僕は確信した…はあとちゃんは猫カチューシャを付ければ絶対人気が出ると…

 

 

「は…恥ずかしいわよ…!猫以外で決めて欲しいわ…!」

 

 

「ごめん…無理だよ…猫のはあとちゃんが可愛くてたまらないんだ!」

 

 

「う…うぅ…分かったわよ!猫でやれば良いんでしょ!」

 

 

勝った…計画通り…とかじゃないけど、良かった…

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、猫カチューシャでの対応の練習頑張ってね、はあとちゃん」

 

 

僕達はあれから猫カチューシャを付けての対応の練習をした、恥ずかしがってたけどはあとちゃんは真面目に取り組んでくれた。

 

 

「分かってるわよ…人気ランキング上げたいし…」

 

 

「うん、それじゃ頑張ってね、また喫茶で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、僕はホロライブに寄った

 

 

カランカラン「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 

 

「ただいま、はあとちゃん指名出来るかな?」

 

 

「はい、かしこまりました!」

 

 

少しすると、はあとちゃんが来た

猫耳カチューシャを付けて…

 

 

「お…おかえりなさいませ…ご主人様…」

 

 

「可愛い…」

 

 

「な…何を言ってるんですか…ご主人様…」

 

 

何だこの生き物…今までのツンツンが消えてる…!

愛らしい…モジモジしてるのが…もう…尊い…

 

 

「はあとちゃん…本当に頑張ったんだね…!これならきっと人気上がるよ…!」

 

 

「そ…そう…?なら嬉しいな…」

 

 

「でも、僕の前ならキャラ作らなくても良いよ?作らない方も僕好きだし」

 

 

「そう?なら少しだけ素に戻すわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから僕達は人気ランキングについての話や、他愛もない話をして楽しんだ

 

 

 

 

 

 

「それじゃそろそろ戻るね、またね」

 

 

「えぇ、行ってらっしゃいませ、ご主人様」

 

 

 

 

 

あの感じなら人気ランキングも大丈夫だと思った

はあとちゃんが頑張ってくれてると僕も嬉しい…

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、黒猫が僕を横切って行った…

よく不吉の象徴とか言われてるけど、僕はあんまり気にしてない

だって猫可愛いもん…

そう、だから何事も無く人気ランキングの日を迎えると思っていたんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、事件は起きた

はあとちゃんが行方不明になったとニュースが流れた…

 

 

カランカラン「おかえりなさいませ!ご主人様!あ…」

 

 

メイドさんは気付いたようだ…僕の顔がとても青くなってるのを…

 

 

「ご主人様…大丈夫ですか…?」

 

 

「うん…大丈夫だよ…はあとちゃんは…居ないんだよね…」

 

 

「はい…ご主人様がはあとちゃんと話した翌日…行方不明に…」

 

 

そうだったんだ…でもそうなると心配だ…

 

 

 

 

 

 

僕は暫く連絡をとってない知り合いに連絡をする事にした…

僕と同じメイド好きで今はハッカーのクロマルだ…

彼なら…はあとちゃんの居場所を割り出せるかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 

クロマルが居る場所は秘密の隠れ家みたいな場所、合言葉が無いと決して会う事は出来ない…

 

 

 

「合言葉は…?」

 

 

「メイド萌えラブキュン…」

 

 

恥ずかしい合言葉だけど…これを言わないと会えないんだよなぁ…

 

 

「久しぶりだな…〇〇…」

 

 

「久しぶりだね…クロマル…」

 

 

多分2年振りかな…一緒にメイド喫茶行ってたのが良い思い出だよ…

 

 

「今日はどうした…?」

 

 

「人を探してるんだ…メイドなんだけど…」

 

 

「…!赤井はあとか…」

 

 

流石クロマル…情報早いね…

 

 

「うん、はあとちゃんを探してるんだ…探してくれないかな?」

 

 

「止めておけ…」

 

 

え…?

 

 

「何で?」

 

 

「赤井はあとはゲリラオタク集団オタッキーズに攫われている…奪還は不可能だ…」

 

 

オタッキーズ!?なんであんな過激な奴らがはあとちゃんを…

 

 

「それでも…助けたい…!はあとちゃんは人気ランキングを控えてるんだ…その為に必死で努力したんだ…!それを無駄にはさせたくない!」

 

 

「決心は鈍らないか…」

 

 

「勿論…」

 

 

「仕方ない…これがオタッキーズのアジトの場所だ…」

 

 

え…クロマル仕事早すぎない…?

 

 

「何でもう場所割り出してるの…?」

 

 

「お前が来るのは想像がついた…この前カフェ・ルージュで赤井はあととお前が入っていくのを見たからな…今回の件で動くだろうと読んでいた…」

 

 

クロマルに見られてたのか…それにはあとちゃん変装してなかったし…仕方ないか…

 

 

「ありがとうクロマル…人数構成とかは分かる?」

 

 

「今の時間なら5人程だろう…焦るなよ…」

 

 

「ありがとう、それじゃはあとちゃん助けに行ってくるよ!」

 

 

「グッドラック…」

 

 

僕はクロマルの隠れ家を後にした…はあとちゃんを助けに向かう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか…」

 

 

オタッキーズのアジトに着いた…僕は一応護身用にグローブを着ける…

え?そこはもっとマシな武器だって…?

流血沙汰は嫌なんだよ…

 

 

バァン!「はあとちゃん大丈夫!?」

 

 

僕は勢いよくドアを開け突撃した

 

 

「あ…ご主人様…」

 

 

はあとちゃんは縄で縛られていた…

 

 

「待ってて、今解くから…」

 

 

「あっ…後ろ!」

 

 

 

ガン!

 

 

 

はあとちゃんが声をかけてくれた時にはもう遅かった…

後ろから何かで殴られた…

 

 

「っ…つぅ…」

 

 

「おいおい…一人で乗り込んで来たのか…?バカじゃねぇのか?」

 

 

オタッキーズの一人と思しき奴が何か喋ってる…

 

 

「ご主人様…ご主人様…!」

 

 

あぁ…はあとちゃんごめん…何か身体が重いよ…

クソ…折角クロマルが場所教えてくれたのに…肝心の僕がこんなザマだなんて…

 

 

「はぁ…仕方ない奴だ…だから焦るなと言ったのに…」

 

 

え…?この声…クロマル…?

 

 

「こんな所で友を失う訳にはいかないからな…少し手助けしてやるよ…」

 

 

クロマルはそう言って4人を素早く片付けた…あんなに強かったの…?

 

 

「うぐぐ…まだ頭が痛い…」

 

 

僕はなんとか立ち上がれた…頭を殴られてるからまだフラフラする…

 

 

「〇〇…大丈夫か…?」

 

 

「クロマル…ありがとう…というか強過ぎだよ…」

 

 

「あぁ、これはな…仕事柄必要だったからな…」

 

 

仕事柄…?ハッカーなのに…?

 

 

「畜生…てめぇら許さねぇ!」

 

 

オタッキーズの頭がバットを振りかざしてくる…

 

 

「流石に…頭にきてるんだよ…許さないのはこっちの台詞だ!」

 

 

ドゴォ!

 

 

グローブをはめた拳が頭の腹にめり込む…

 

 

「グ…グゥ…」

 

 

頭はよろけている…ここで…仕留める…!

 

 

「お前らが…オタクを語るなぁぁぁぁぁ!」

 

 

ドゴォォン…

 

 

「カハッ…」

 

 

僕は全力のパンチでオタッキーズの頭を倒した…僕は全力なのにクロマルは涼しい顔で4人倒したんだもんな…ヤバイなぁ…クロマル…

 

 

「お疲れ、〇〇…」

 

 

「あぁ…クロマル…ありがと…」

 

 

 

「とりあえず、赤井はあとの縄を解いてやれ…」

 

 

「そうだった!はあとちゃん大丈夫?」

 

 

「え…えぇ…そっちの人…」

 

 

「おっと赤井はあと…俺の事は詮索するなよ…?」

 

 

「え…えぇ…分かったわ…」

 

 

はぁ…はぁ…流石に…もう限界かな…

 

 

「ちょっとご主人様…大丈夫…?」

 

 

「う…うん…ちょっと疲れちゃった…もっと運動しておけば良かったよ…」

 

 

「〇〇は赤井はあと…お前が行方不明になったと知ってすぐ俺の所に来た…そしてこの場所に来た…この意味が分かるか…?」

 

 

「ちょ…クロマル…止めて…」

 

 

「普通なら警察に任せておくべき事だろう…だがコイツは行動を起こした…」

 

 

「クロマル…止めてくれ…」

 

 

「行動を起こした理由…それは…」

 

 

「赤井はあと…〇〇はお前に惚れてるんだ…」

 

 

クロマル…こんなところで暴露しないでよ…というか僕その事言ってないよ…?何で知ってるの…?

 

 

「ご…ご主人様…それ本当なの…?」

 

 

バレちゃったら仕方ないか…白状しよう…

 

 

「うん…僕ははあとちゃんが好きだよ、初めて訪れたあの日から…ずっと好きだった…まさかこんな状況で告白する事になるなんて思わなかったけどね…」

 

 

「ご主人様…」

 

 

「でも、メイドさんとの恋なんてやっぱりダメだなって分かってるから…これからも楽しく話せればそれで」

 

 

「ご主人様!」

 

 

「え…?」

 

 

はあとちゃんが突然大声を出した…

 

 

「わ…私は…正直ご主人様にそんな風に思われてたなんて思いもしなかったです…私は人気も無くて…言葉もキツいし…良いところなんて…」

 

 

「それは違うよはあとちゃん」

 

 

僕はそこではあとちゃんの言葉を遮った

 

 

「はあとちゃんに出会えたから今の僕があるんだ…それを否定されたら…僕自身が否定されちゃうよ…」

 

 

「違うんです…」

 

 

はあとちゃんは涙を流した…

 

 

「私も…ご主人様に出会えなかったら…今の私に自身を持てなかった…人気を上げたいなんて思わなかった…!ご主人様に喜んで欲しかったから…私は頑張れた…!」

 

 

「はあとちゃん…」

 

 

「私も…ご主人様が好き…好きです…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達は両想いだった、それでも僕達はメイドとお客の関係…付き合う事は許されない…それに…はあとちゃんには人気になる為のランキングがあるから…

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ遂にやってまいりました!ホロライブ恒例人気ランキング!各メイドさんがアピールをしてご主人様達がランキングをつけるこのイベントもいよいよ最後のメイドさん!赤井はあとちゃんだー!」

 

 

僕はこのイベントではあとちゃんが1位になれると信じてる…だってはあとちゃんは…

 

 

「にゃ…にゃあ…赤井…にゃあとだにゃ?よろしくにゃ?」

 

 

はあとちゃんは…可愛いんだから…!

 

 

「おい〇〇…何で俺まで連れてきた…」

 

 

クロマルがぶつくさ言ってる…

 

 

「クロマルにも是非はあとちゃんの魅力を知って欲しいからね、たまには良いでしょ?前みたいにこうやって二人でメイド喫茶も」

 

 

「ふむ…まぁ…良いものだ…」

 

 

僕達を余所に会場は今日一番の盛り上がり…はあとちゃん…やったね…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、僕ははあとちゃんに呼び出された、カフェ・ルージュの前に…

 

 

「待たせてごめんなさい」

 

 

はあとちゃんが来た、格好はメイド服のままだ

 

 

「ううん大丈夫だよ、どうしたの?」

 

 

「人気ランキング…1位を取ったわ」

 

 

はあとちゃんからその言葉を聞いた時、僕はとても嬉しかった

 

 

「やったね!はあとちゃん!僕も嬉しいよ!」

 

 

「全部…アンタのおかげよ…ありがとう…」

 

 

「ううん、はあとちゃんが頑張ったからだよ、僕は何もしてないよ」

 

 

全てははあとちゃんの頑張りがあったから、今回の結果なんだ…

 

 

「それでも、お礼言いたかったのよ…アンタには本当に助けられたから…」

 

 

はあとちゃんは顔を伏せながら僕に言った…

 

 

「そっか…今日はそれを言いに?」

 

 

「他にもあるのよ…私は…やっぱりアンタの事が好き…」

 

 

「ダメだよはあとちゃん、僕達は付き合えない…付き合ったらダメなんだよ…」

 

 

「だから…私はメイド喫茶辞めるわ…」

 

 

え…?

 

 

「は…はあとちゃん…?何で…?折角1位になったのに!?」

 

 

「私にとって人気ランキングで1位になるよりも…アンタと…〇〇と一緒に居たい方が勝ってるのよ!」

 

 

「はあとちゃん…」

 

 

「お願い…私と…付き合って…下さい…!」

 

 

はあとちゃんは涙を流しながら…僕に言ってきた…

 

 

「はあとちゃん…そこまで…」

 

 

「そこまでだ〇〇…」

 

 

クロマルが来た…

 

 

「クロマル…?何で此処に…?」

 

 

「流石に赤井はあとに辞められるとこっちも困るんでな…」

 

 

「それってどういう…」

 

 

「このクロマルさんは…ホロライブのオーナーなの…」

 

 

「え…!?クロマルが…ホロライブのオーナー!?」

 

 

「あぁ…一応肩書きはそうなってる…だから辞められると厄介なんだ…1位が辞めるなんてのは商売に響くからな…」

 

 

「で…でも私達はメイドとご主人様の関係よ…?このままじゃ付き合えないもの…」

 

 

「付き合えるかどうかは知らないが…一つお前達が一緒になる方法がある…〇〇…お前ホロライブの料理係になれ」

 

 

え…?僕が…料理係…?

 

 

「オーナー!?〇〇をホロライブの料理係に出来るんですか?」

 

 

はあとちゃんも驚いてる…僕も驚いてる…

 

 

「ちょ…ちょっと待ってよクロマル、話が急過ぎない?」

 

 

「お前が赤井はあとと一緒に居たいなら…この話は飲むべきだが…?」

 

 

「それは…そうだけど…」

 

 

「〇〇…俺はお前とメイド喫茶巡りをして、コイツには幸せになって欲しいと思った…そんなお前が従業員である赤井はあとを好きになり、赤井はあともお前の事を好きになった…両想いだ…このままだと赤井はあとは辞め商売が成り立たなくなる…それを止めるには…お前がホロライブの料理係になってもらうしか無いんだ…頼む…俺を助けると思ってホロライブで働いてくれないか…?」

 

 

クロマルは普段人に頼み事なんてしない…そんなクロマルが頼むなんて…

 

 

「クロマル…」

 

 

「〇〇…私からもお願い…一緒に働かない…?私は…アンタと一緒に居たい…!」

 

 

「はあとちゃん…」

 

 

はあとちゃんまで…そんなに僕と…

 

 

「分かったよ、僕ホロライブに就職する…料理係やるよ!」

 

 

「そうか…」

 

 

「〇〇!」ダキッ

 

 

はあとちゃんが僕に抱きついてきた

 

 

「〇〇…ずっと…ずっと一緒よ…?」

 

 

「うん…ずっと一緒だよ…はあとちゃん…」

 

 

「これで良し…か…それじゃ〇〇…早速明日から働いてもらうぞ…」

 

 

え…いきなり…?

 

 

「わ…分かったよ、頑張る」

 

 

明日からか…忙しくなるなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カランカラン「お帰りなさいませ!ご主人様!あ…今日から料理係になる方ですね!…それでぇ、はあとちゃんとどこまでいったんですかぁ?」

 

 

あれ…この子後半の台詞何でニヤケながら言ってくるの…?

 

 

「こんにちは、よろしくお願いします。どこまでって何も無いよ…?」

 

 

「それはいけませんねぇ?もっとイチャイチャしてくれないと…」

 

 

「あの…何か楽しんでない…?」

 

 

「いえいえ〜楽しんでませんよ〜」

 

 

絶対楽しんでる…

 

 

「あ、〇〇来たのね、こっちに作業着あるから来て」

 

 

はあとちゃんが僕を呼んできたので、その場所に向かう

 

 

バタン「〇〇!」ギュッ

 

 

扉を閉めた途端はあとちゃんが抱きついてきた

 

 

「これから一緒に働けるのね…」

 

 

「うん、そうだね…これからよろしくね?」

 

 

「えぇ…」

 

 

「うわぁ…あの二人とてもアツアツですよ?しぇんぱい…」

 

 

「そうだねぇ…甘々だねぇ…」

 

 

僕達が抱き合ってる現場を他のメイドさん達に見られた…

 

 

「あ…あぁ…いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

はあとちゃんの悲鳴が店内を包んだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから僕はホロライブの料理係になり、メイドさん達のお手伝いをするようになった。

自分で注文する時はそこまで気にならなかったけど、ここのメニューもなかなかな名前だなぁ…とか思ってしまった…

 

 

「オーダー入りまーす!メイドさんの萌え萌えオムライスお願いしまーす!」

 

 

注文が入った、さて…また今日も頑張りますか!

 

 

 

 

 

 

 

 




読んで下さりありがとうございますm(_ _)m
いかがだったでしょうか?
自分のイメージだとはあとさんはツンデレなイメージを持っております…
そんな彼女をデレさせるのはちょっと考えました…
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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クールな彼女は病みました

どもですm(_ _)m
先に謝ります、申し訳ございません…m(_ _)m
今回のお話…ハッピーエンドとは到底言えないものとなっております…
何をとち狂ったのかこんなお話が書けてしまい…投稿するか迷いました。
それでも投稿しなきゃなんだろうな…と思い、投稿させていただきました。
胸糞悪い展開にはならないと思ってますが…もし不快に感じられた場合ブラウザバックでも構いません…
ではでは…ごゆるりと…m(_ _)m


小学3年、母さんが他界した

僕は母さんが居なくなってから笑えなくなった…

中学1年、父さんが再婚した

俺は笑えないでいる

再婚相手には連れ子が居た、名前はロボ子…俺の1つ下らしい…

恥ずかしがってたが、時間が経てば平気になるだろう

 

 

挨拶が遅れたな、俺は〇〇、今は高3の18歳だ

ロボ子は高2の17歳、互いに思春期真っ盛りだから話す事は無い

ただ、最近はロボ子の視線が妙に刺さる、特に何もして無いけど…

これは、笑顔を無くした俺と…ロボ子の話…

 

 

 

 

 

 

 

(ねぇ、お父さん…お母さん…動かないよ…?)

 

 

(〇〇、お母さんはな…もう起きないんだよ…お空の上で俺達を見守ってるんだよ…)

 

 

(お母さん…死んじゃったの…?)

 

 

(………あぁ、お母さんは…死んじゃったんだ)

 

 

(そっか…お母さん…………)

 

 

「母さん…」

 

 

久々に母さんの夢を見た…最後の方は聞き取れなかったけど、多分お別れの挨拶でもしてたんだと思う

 

 

コンコン「〇〇、起きてる?朝よ?」

 

 

母さんが起こしに来た、いや…義母さんと呼ぶべきなのかな…

俺の本当の母さんは小学3年の時に他界してる

何が原因で他界したのかは憶えてない。

 

 

「あぁ、大丈夫…起きてるよ」

 

 

俺は扉の向こうに居るであろう義母さんに返事をし、俺は起きる

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

 

「あぁ〇〇、おはよう」

 

 

リビングに行くと既に親父は朝食を食べ終え、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた

 

 

「おはよう…」

 

 

俺の後にロボ子も起きてきた

 

 

「あらロボ子、おはよう」

 

 

義母さんが挨拶するが、ロボ子は反応しない…

というか…高校に入ってからのロボ子がおかしい。

ロボ子は学校では明るいと聞くのだが、家ではそんな素振りは一切見せない…家に居ても基本部屋に篭もりっきりで食事の時ぐらいしか顔を出さない…

俺や親父達が何かしたかって?何もしてないから分からない。

人間なんだから学校と家でのギャップがあるのは理解出来るが、極端過ぎる

 

 

「なぁロボ子、そろそろ昔みたいに仲良く出来ないか?」

 

 

親父はロボ子にそう尋ねるが

 

 

「…」

 

 

ロボ子は反応しない…

 

 

「ごちそうさま…行ってきます」

 

 

ロボ子は先に行ってしまった、俺も食べ終わるのでそろそろ出なきゃいけない

 

 

「〇〇」

 

 

親父に呼び止められる

 

 

「〇〇、昔のロボ子はあんな感じでは無かった…とても心配だ、ロボ子の事、気にかけてくれな?」

 

 

気にかけてくれと言ってもな…俺ですらまともに話してないんだぞ?

無茶言わないで欲しい…

 

 

「まぁ、やるだけやってみるよ」

 

 

俺はそう答えた

 

 

「それじゃ、行ってきます」

 

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

2人に送り出され、俺は家を出た…

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボ子に追い付いた、表情は家の時と変わらない、無表情な感じだ

 

 

「ねぇ」

 

 

ロボ子から声をかけられた、結構久々な気がする

 

 

「ん?どうした?ロボ子」

 

 

「並んで歩かないでくれる?迷惑」

 

 

俺嫌われてるのかな…

 

 

「悪かったよ、じゃあ先に行くわ」

 

 

俺はそう言って先に向かった

 

 

 

 

 

「今は関わりたくないんだよ…」

 

 

ロボ子の呟きを聞く者は居ない…

 

 

 

 

 

 

 

 

「HRを始めます」

 

 

学校での俺は、なるべく目立たないようにしてる

勉学も普通、人当たりも普通、(ただし笑えないけど)運動が少し出来るくらい。

ロボ子と正反対だって?あいつはキャラを作ってるだけだと思ってる。

どっちが素なのか分からなくなってきたけど

 

 

 

 

 

 

 

 

HRが終わり、授業の準備をする

 

 

「なぁ〇〇」

 

 

クラスメートが話しかけてきた

 

 

「ん?何だ?」

 

 

「〇〇の妹さん可愛いけどさ、彼氏とか居るの?」

 

 

この手の質問も何度目か…

ロボ子の容姿は可愛いと思う、学校でのあいつはよく笑うしその笑顔でグッとくる奴も多いんだろう。

勉強も出来て可愛い、そして運動神経も良いんだから人気が出るのも頷ける。

 

 

「あー…んー…居ないとは思うが…」

 

 

俺は曖昧に答えた、ロボ子とはほぼ関わって無い為、彼氏が居るとか分からない。

 

 

「お、マジで?じゃあちょっとアタックしてみようかな?」

 

 

義妹とはいえ他の男と付き合うのは複雑だが、止める権利なんて俺には無いし好きにすれば良いと思う。

 

 

「あぁ、まぁ頑張れ」

 

 

ロボ子が告白してきた奴を好きと思うなら何も言わないし、邪魔するつもりもない。

ただ幸せになってくれれば良い。

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、俺は学食で昼食を食べる

日替わりメニューが500円で食べれるんだ、下手に弁当でおかず代使うよりもよっぽど節約出来ると思う。

 

 

「〇〇先輩、前良いですか?」

 

 

声をかけてきたのは、ロボ子のクラスメートのときのそらさん、ロボ子と良く絡んでくれる優しい子だ。

 

 

「あぁ、どうぞ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

何時もロボ子と一緒に食べてるはずなのに、珍しいな…

 

 

「今日はロボ子と一緒じゃないんだな?」

 

 

「ロボ子は今屋上に呼び出しされてますから…」

 

 

あぁ…さっきのクラスメートか…?

 

 

「そうか、まぁあれだけ人気だと兄ながらも妬けるな…」

 

 

「本当にそう思いますか?」

 

 

え?

 

 

「どういう事だ?」

 

 

「ロボ子は無理してるように見えます、何でそんな事してるのか分かりませんが…〇〇先輩なら分かるんじゃないですか?」

 

 

君もなのか…だが俺は関わって無いから分からないんだよ

 

 

「いや…俺も分からないな、でもよく無理してるって分かったな」

 

 

「入学してからずっと一緒でしたから、少しの変化も分かりますよ…今日の下着は何時もと違って実は」

 

 

「ストップストップ!そこまで言わなくて良いから…」

 

 

「あれ?〇〇先輩顔赤いですよ?妹の下着事情で興奮したんですか?」

 

 

こいつ…からかってるな…?

 

 

「そんな訳ないだろ、ただこんな場所でそんなの言われても困るだけだ」

 

 

ここは食堂だぞ…?人が沢山居るのにそんな話してどうする…

 

 

「それもそうでしたね、それなら今度二人っきりで…」

 

 

「お断りだ」

 

 

誰がそんな話するか…

 

 

「相変わらず堅いですねぇ〇〇先輩…まぁ良いですけど」

 

 

そらさんはそう言って食事を進めた、俺はもう食べ終わるので戻るつもりだが…屋上か…行ってみるかな

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

 

屋上に来たが何か話してるな…

 

 

「嫌!離して下さい!」

 

 

!?ロボ子…?

 

 

「どうしてだよ!誰とも付き合ってないなら俺と付き合ってくれても良いだろ!」

 

 

この声は…やっぱりクラスメートか…

 

 

「離して!」

 

 

「チッ…この女…下手に出てれば…!」

 

 

「嫌!」

 

 

クラスメートはロボ子を押し倒して馬乗りになった…

 

 

「こうなったら無理矢理にでも俺のモノにしてやる…!」

 

 

アウト、お前はやっちゃいけない事をした…

 

 

ガァン!「おい…何人の妹に手荒な真似してんだ?」

 

 

「〇〇…」

 

 

「兄さん!助けて!」

 

 

「おい帝…今すぐどけろ…」

 

 

俺は笑えないが他の感情はしっかり出せる、怒りも勿論出せる

 

 

「〇〇…お前応援してくれたじゃねぇか!邪魔すんなよ!」

 

 

あぁ…応援はしたよ、だがな…それとこれとは別だ

 

 

「こんな無理矢理な事してるのを見過ごせと…?ふざけんなよ…家族傷付けられて黙ってる奴居ると思ってんのか…?」

 

 

「〇〇…テメェ…」

 

 

「ロボ子、待ってろよ…すぐ何とかしてやるから」

 

 

俺はロボ子を安心させる為に声をかけた、その時

 

 

「引っ込んでろよ〇〇!」ブゥン

 

 

帝が俺に殴りかかってきた

 

 

「おっと…もっとちゃんと狙わないと当たらねぇぞ?」

 

 

俺は帝を挑発しながら、ロボ子から離れさせた

 

 

(ロボ子、今の内に逃げろ)クイックイッ

 

 

俺はロボ子にだけ分かるようにジェスチャーをした

 

 

(コクリ)ダッ

 

 

「あっロボ子ちゃ」

 

 

「お前の相手は俺だ帝」

 

 

「〇〇…俺とロボ子ちゃんの邪魔すんじゃねぇよ!」

 

 

帝は激昴した…周りが見えなくなってきてるようだ…

 

 

「オラッオラッ!」ブゥン!ブゥン!

 

 

大振りになってるな…これなら当たらないな…っと…壁か…

 

 

「もう逃げれねぇぞ…くたばれ〇〇!」ブゥン!

 

 

「くたばるのはお前だ」

 

 

俺は帝のパンチに合わせてしゃがんだ

 

 

ガッ「うがぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

帝の拳からは血が滲み出ていた

 

 

「これは…ロボ子を傷つけようとした分だ!」

 

 

俺はしゃがみ帝の拳を回避しつつ、鳩尾に拳をめり込んだ

 

 

「あ…が…」

 

 

手を出したのはお前だからな帝…

 

 

数分後教師が屋上に来た、ロボ子も一緒だ。

呼びに行ってたようだ…気にせず逃げてくれてれば良かったのに

 

 

「立て帝!詳しく話を聞かせて貰うからな!」

 

 

「ク…クソ…〇〇…覚えてろよ…」

 

 

帝はそう言い放ち教師に連れて行かれた

 

 

「〇〇君、ロボ子さん、大丈夫ですか?」

 

 

ロボ子の担任が声をかけてきた

 

 

「俺は大丈夫です、ロボ子は…?」

 

 

「ボクも大丈夫です、ご心配おかけしました…」

 

 

「そうですか…二人はもう帰宅して下さい、後で事情を聞きますので」

 

 

「分かりました…」

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、やはり俺達に会話は無い

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着いた、親父はまだ仕事だし義母さんも出掛けているみたいだ。

 

 

「あのさ」

 

 

ロボ子が声をかけてきた

 

 

「どうした?」

 

 

「ありがと、それだけ」

 

 

ロボ子はそう言い残し部屋に戻った

 

 

「ありがと…か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、俺とロボ子は事情聴取を受けた

結果ロボ子を襲った帝が悪かったので、あいつは停学処分になった。

 

 

 

 

 

その日の昼休み、俺は何時もの日替わりメニューを頼んで食べていた。

一つ違うのは目の前にロボ子とときのそらさんが居る事だ…

 

 

「何で普通に俺の前に二人が居るんだ…?」

 

 

「え、私達居ちゃダメですか?」

 

 

そらさんがそう言ってきた、ロボ子は黙々と食べていた

 

 

「いやダメじゃないけど…ロボ子は購買でそらさんは弁当でしょ?何で此処に…」

 

 

「知らないの?此処で弁当や購買のを食べても平気なんだよ」

 

 

ロボ子からそう言われた、いや知らなかったわ…

 

 

「なるほどね、初耳だったよ」

 

 

俺はもう食べ終わるので戻ろうとする

 

 

「あ、〇〇先輩ちょっと待って下さい」

 

 

そらさんに止められた

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「今度の土曜に三人でプールに行きませんか?」

 

 

「ちょっとそらちゃん…」

 

 

「ロボ子、あんたこのままで良くないって言ってたでしょ?少しでも歩み寄らなきゃ」

 

 

何の話してるんだか…

 

 

「まぁ…俺は良いけど…」

 

 

「じゃあ決まりです!詳しい事はメールしますね」

 

 

土曜に三人でプールに行く事になった、これが俺とロボ子の関係を変えるとはその時は思わなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メールにはこう書かれていた

 

 

〇〇先輩は10時半にろぼさー公園に来て下さい、私とロボ子はその少し後に行きますので

 

 

 

一緒に行っちゃダメなのか…よく分からないな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日、俺はメールの通りに10時半にろぼさー公園に向かった

その10分後、ロボ子が来た

 

 

「そらちゃんは?」

 

 

「いや、まだ来てないけど…」

 

 

「ちょっと連絡する」

 

 

そらさん遅いな…

 

 

「…あ、そらちゃん?今何処…え?ちょっと待ってよ!そんなの…」

 

 

何かあったみたいだな…

 

 

電話を切ったロボ子は俺に近寄ってきた

 

 

「そらちゃん…来ないって…二人で楽しんでこいって…」

 

 

そらさん来ないの…?俺とロボ子だけって気まずいぞ…?

 

 

「そうか…」

 

 

「そらちゃん来ないし、別にプール行かなくても」

 

 

「行くか?プール、二人で」

 

 

「え…?」

 

 

俺が二人で行こうと言うと、ロボ子は驚いた

 

 

「いや…たまにはお前と遊びたいなって…嫌なら良いんだけどさ」

 

 

「…分かった、行こ」

 

 

ロボ子は少し考える素振りをしたものの、即答した

 

 

 

 

 

 

 

 

プールに着いた、ここはここら辺の中で一番大きいプールで、名物はウォータースライダーだ。

 

 

「それじゃ、更衣室出たらすぐで」

 

 

俺達はそれぞれ更衣室に入り、水着に着替えた

 

 

 

 

 

 

更衣室から先に出たのは俺の方だった、まだロボ子は出て来てないみたいだ。

やはり女子は時間がかかるんだろうな…

 

 

「お待たせ」

 

 

「あぁいや、待って…」

 

 

俺はそこで言葉を切らせた…

ロボ子の水着姿に見とれてしまったからだ

俺の知ってるロボ子は中学で止まってる、しかも多く関わって無いから余計だ。

話が逸れたな、ロボ子の水着はピンクのビキニ…アレは何カップだろうか…大きい…言うなればそれはボンッキュッボン…スタイル良いな…あまり直視するのは避けなければ…

 

 

「何?ジロジロ見ないでよ」

 

 

「いやすまん…そんなつもりじゃない…」

 

 

そんなに見てないのについ謝ってしまった…

 

 

(へぇ…ちゃんと鍛えてるんだ…腹筋も割れてるし…)

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「別に」

 

 

何か見られてた気がするが…まぁ良いか

 

 

「それじゃ、軽く泳ぐか」

 

 

俺達は泳いだ、俺とロボ子は水泳の成績はそれなりに良いのでこれを機に競争してみた、結果は俺が負けた。

運動神経の良さはロボ子の方が高いらしい

 

 

「速いな、ロボ子」

 

 

「別に…と言うかさ…手抜いたでしょ」

 

 

褒めたはずなのに何故か疑われた…何故だ?

 

 

「いや…手は抜いてないよ、気のせいだろ」

 

 

「あっそ…」

 

 

「喉渇いたな…何か飲むか?買ってくるぞ?」

 

 

「自分で買ってくるから良い、何飲むか言って」

 

 

「あ…じゃあサイダーで…」

 

 

「ん、行ってくる」

 

 

俺が買いに行くのに…やっぱりそこまで関わりたくないのか…?

 

 

 

 

「すいません、サイダー2つ下さい」

 

 

「はい、300円になります」

 

 

「…はい、ありがとうございました」

 

 

と…戻って渡そ…

 

 

 

その頃の俺は…ナンパされてました…

 

 

「ねぇお兄さん、一人?あたし達と遊びません?」

 

 

「丁度一人足らなくてぇ、良いでしょぉ?」

 

 

「一緒に楽しい事しましょ?」

 

 

どうするか…ロボ子が買いに行ってる間に断らなければ…これ以上関係悪化は本当に不味い…

 

 

「いや俺は」

 

 

「○○さんお待たせー、サイダー買ってきたよー!」

 

 

声のする方へ顔を向けると…ロボ子が笑顔で向かってきた…

 

 

「チッ…女居んのかよ…お兄さんまたねー」

 

 

そう言ってナンパしてきた連中は立ち去って行った…

 

 

「良いご身分だね?」

 

 

「助かったロボ子…すまん…」

 

 

「別に…それ飲んだらウォータースライダー行くから」

 

 

「あぁ、分かった」

 

 

俺達はサイダーを飲む為休憩をした、相変わらず会話は無いが…さっき俺がナンパされてからロボ子がチラチラ俺を見てくるようになった…本当に悪かったって…

 

 

(やっぱり人気あるんだ…早くしないとダメかな…)

 

 

 

 

 

「さぁ、休憩も済んだしウォータースライダー…行くか」

 

 

 

 

ウォータースライダーに着いた、が一つ問題が発生した

 

 

「こちらは身長160cm以下の方は滑る事が出来ません…」

 

 

絶望的だった…

俺は身長160は超えてるから良いんだが…ロボ子は超えていない…曰く、ロボ子は滑れないのだ…

 

 

「あー…ロボ子…?大丈夫か…?」

 

 

「べ…別に…」

 

 

流石に落ち込んでるか…名物を滑れないってのは辛いよな…

 

 

「160cm以下の方はお連れの方が後ろから抱き抱えれば滑る事が可能です」

 

 

は…?それって俺がロボ子を後ろから抱き抱えるって事か…?

 

 

「滑りたい…」

 

 

ロボ子は俺を見つめていた…ロボ子…お前俺に抱けと…?

 

 

「兄らしい事してよね…」

 

 

「分かったよ…」

 

 

結局俺はロボ子に圧され、一緒に滑る事になった…

 

 

「それでは、女性の方が前であなたは後ろからお願いします」

 

 

はぁ…流石に抵抗あるんだが…前で楽しみにしてるしな…やるか…

 

 

ギュッ

 

 

「ヒャッ」

 

 

「大丈夫か?ロボ子…」

 

 

「だ…大丈夫…」

 

 

そりゃそうなるよな…今まで手を繋いだ事も無いし…

 

 

「男の方、もうちょっとくっついて下さい」

 

 

まだくっつけと…?

 

 

ギュゥッ

 

 

「ヒィッ」

 

 

「ロボ子すまん…我慢してくれな…?」

 

 

「あ…あぅ…」

 

 

「はい、大丈夫です!それでは行ってらっしゃい!」

 

 

「お…おぉぉぉぉぉぉぉ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

流れが速い…!ロボ子は悲鳴をあげてるが楽しんでくれてる…よな…?

ってヤバい手が離れ…

 

 

ムニュ

 

 

!?何か…柔らかいのを掴んじゃったような…

 

 

ザパーン!

 

 

「…ぷはぁ!凄いなここのウォータースライダー…なかなか良かった…!」

 

 

「ねぇ…聞きたいんだけどさ…胸触ったよね…?」

 

 

あ…やっぱりアレはロボ子の…

 

 

「いや…あの…アレは事故で…」

 

 

「最っ低!」

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

 

帰り道、ずっと無言だ…

こんな事は日常的だから普段なら辛くないんだが…今日のは俺が悪い為罪悪感が…

 

 

「ただいま」

 

 

「ただいま…」

 

 

俺達は帰宅した…結局一言も交わさず…

 

 

「もう寝る…」

 

 

「あ…ロボ子」

 

 

「何?変態」

 

 

「うっ…いや…その…楽しかったか?」

 

 

変態呼びは…辛いな…

 

 

「変態が居なかったら楽しかったかもね」バタン

 

 

親父…俺…ロボ子と関わっていけないよ…凄い嫌われてる…

 

 

 

 

 

 

(もう…実行しなきゃ…抑えられない…)

 

 

それから一時間後、俺も寝ることにした…

 

 

 

 

 

 

夜中2時

ガチャ…

 

 

「これを…でそれをやって…」ボソボソ

 

 

…何か声が聞こえる、何だ…?

 

 

「起きて…兄さん…」

 

 

ロボ子…か…?

 

 

「う…ん…?ん!?何でロボ子が此処に?」ガチャガチャ

 

 

しかも手錠…?何故…

 

 

「兄さん…あなたはモテるね…学校でも…プールでも…」

 

 

「ロ…ロボ子…?」

 

 

「だから…兄さんが取られる前に…ボクの物にしちゃうね…?」

 

 

何が起きてるのかサッパリだ…寝てたはずなのに手錠されてるし、ロボ子は部屋に居るし…何かおかしくなってるし…

 

 

「ロボ子…一旦落ち着け…俺には何が何だか分からないんだが…」

 

 

「はぁ…はぁ…兄さんが悪いんだよ…ボクの知らないところで他の人と話して…デレデレして…」

 

 

「待て…俺はデレデレしてないし話なんて…」

 

 

「口ではどうとでも言えるよ…だったら証明してよ…」

 

 

「証明…?」

 

 

「ボクを受け入れて…」

 

 

ロボ子はそう言うと俺の口にキスをし…舌を絡めた

 

 

「ん…ちゅ…れろ…はぁ…」

 

 

「えへへ…ボクのファーストキスあげちゃった…」

 

 

「ロボ子…お前…」

 

 

手錠が外れない為強くでれない…

それでも止めないと…俺も危ないしロボ子を放っておくのはマズい…

 

 

「ロボ子…手錠外してくれよ…お前を抱き締められないじゃないか…」

 

 

本心と嘘半分ずつだ、早く外して脱出したい…

 

 

「分かった…でも片方だけ、両手はダメだよ…逃げちゃうかもだから…」

 

 

鋭いなロボ子…しかし片方だけか…どうするか…

 

 

カチャン…

 

 

「はい、右だけ外してあげたよ…」

 

 

ギュッ

 

 

ロボ子は俺に抱き着いてきた

 

 

「ボクはね…ずっと前から兄さんの事好きだったんだよ…でもね?兄さんと話してるとどんどん顔が赤くなっちゃうし…恥ずかしくて…今まで冷たい態度とっちゃったんだ…それに…ボク達は血が繋がってない、問題無いよね…?」

 

 

禁断の恋ってやつか…

 

 

「ロボ子…お前の気持ちは嬉しい、お前が俺に対する態度の件も分かって安心した、だけどな?俺達は兄妹だ…血の繋がってなくても、兄妹なんだ…結ばれる事は出来ない…結ばれちゃダメなんだよ」

 

 

「嫌だ…ボクは兄さんと一緒になりたい…周りがどう言おうと一緒になるんだ…!」

 

 

ロボ子は泣いてた…それ程までに好きだったのか…

だけどそれなら何でここまでになるまで我慢してたのか…俺には理解が出来なかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後俺はロボ子と日が昇るまで話し合った、幸いにも日曜日だ…ゆっくり休める。

結論を言うと、俺達は付き合ってない

これは、俺が必死に説得したからである…

まだ俺達は学生だ、親の力を借りて生活しているようなものだ。

その状況下で仮に付き合った場合、バレた時の問題がマズいと思う。

だから、お互いが卒業し、成人してからまたちゃんと話し合って付き合うかどうかを決める事にした。

ロボ子はあまり納得していなかったが、俺に嫌われたくないのか渋々従った。

俺の判断に賛否両論があるのは十分分かっているつもりだ、それでも…俺は決めきれなかった。

俺がロボ子をちゃんと知れてなかったのもあるが…俺は笑えないんだ、笑えないというのは喜びを共有しづらいというのもある、そんな事無い、ちゃんと共有出来るという人も居るだろうが、俺は共有出来ないと思ってしまう派だ…

だがこれだとロボ子は俺を好きな為辛いと思う、だから土日のどっちか一緒に遊びに行くようにする事にした…

これで何とか帳尻合わせして貰えればと思う…

そのお出かけで俺の笑えなくなってるのを改善させようと努力してくれるそうだ…勿論俺も頑張ろうとは思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の土曜日

早速俺とロボ子は出かける事にした

 

 

「ほら、兄さん行こ」

 

 

家でのロボ子は何時も通り冷たい感じだ

 

 

「あぁ、分かってる」

 

 

「「行ってきます」」

 

 

外に出て少し歩くと

 

 

「兄さん…」ギュッ

 

 

ロボ子は俺の右腕に抱き着いてきた、俺に想いを伝えたせいか我慢が解けたらしい…それでも家では抱き着いてこない、そこは配慮してくれてるみたいだ。

 

 

「今日はカラオケにでも行くか」

 

 

「うん!」

 

 

ロボ子は笑顔で言ってきた、俺も…こんな笑顔が出来ればな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺とロボ子が歩む道はとても険しいものなんだろうと思う、それに…ロボ子には最低後3年我慢して貰う事になる。

それまでに俺が笑えるようにならないと…親に迷惑かけないように自立しなければいけない。

やる事はいっぱいだし、乗り越えなきゃいけない壁も多い。

それでも俺達は歩み続ける…いつの日か俺達が認められるまで…俺が笑えるまで…

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
どうだったでしょうか…?書いた自分としてはまだ胸糞悪い展開では無いとは思うのですが…
ハッピーエンドのお話書くと言った手前、こんなお話はアウト…分かっております…
次のお話はハッピーエンドに出来ると思いますので、読んでいただけると幸いです。
ではでは…また次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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留学生は金髪美少女 byアキ・ローゼンタール

お久しぶりです、今回はタイトル通りアキ・ローゼンタールさんの小説になります。
ただですね…今回のお話は自分が独自解釈してる部分がありまして…読まれた方はあれ?これおかしくね?って思う事もあるかと思います…
そして更に…前後編なんです…やらかしました…
1つに纏めると文字数がヤバい事になる為分けさせていただきました…
そして、後編にはキャラ崩壊?もあります…
もし不快に感じられたなら無理せずブラウザバックして下さいませ…
では、ごゆるりと…m(_ _)m


ここは私立ホロライブ学園、俺はそこに通ってる○○、高校1年だ。

この学園に入学してもう2ヶ月、やっと馴染んできた頃だ。

そして今日、なんでも留学生が来るらしい…男だと嬉しいが…

何故男だと嬉しいかだって?それは…

この学園何故か分からないが女子率8割越えなのだ…

俺のクラスも何故か男子は俺ともう1人だけ…他は全員女子だ…

肩身が狭いったらありゃしない…

 

 

 

「はい皆さんおはようございます、今日から新しく留学生がこのクラスに入ります、ではどうぞー」

 

 

「ハ…ハイ…」

 

 

入ってきたのは金髪の女子…女子かぁ…

脚はスラッとしてて太ももが良い感じに絶対領域が…って、これじゃただの変態じゃねぇか…

髪型は…ショート…なのか…?いや…何か浮いてないか?アレ…外国の技術ヤベぇな…

 

 

「初めマシテ、ワタシ、シャルイースという所からキマシタ、アキ・ローゼンタールとイイマス、よろしくオネガイシマス」

 

 

アキ・ローゼンタールと言う人はカタコトながら日本語はペラペラみたいだ、これならコミュニケーションは大丈夫なんだろうか…?

 

 

「「キャー!可愛いー!」」

 

 

女子からの歓声が凄い…まぁ、確かに可愛いんだろうな…でも何か引っかかるんだよな…あの人見てると…

 

 

「はいはいそこまでにして下さいねー、アキさんの席は○○君の隣です、○○君よろしくお願いしますね」

 

 

「…!ハイ…」

 

 

ん?アキさん俺の名前聞いて驚いた…?気のせいか…

 

 

「○○サン、よろしくオネガイシマスネ」

 

 

「あ…あぁ、よろしく」

 

 

 

 

 

休み時間、アキさんは他の女子から質問責めされていた

 

 

「ねぇねぇ、アキちゃんってどんな男の子がタイプなの?」

「アキちゃんプリクラ撮らない?」

「アキちゃん一緒に愛を育まない?」

 

 

最後だけおかしい気はするが突っ込まないでおこうか…

 

 

「え…えと…ワタシ…好きなヒトイナクテ…」

 

 

「んー…じゃあこのクラスだったら?2人しか居ないからパッと見で良いよ!」

 

 

選ばれたいような欲しくないような…複雑な気持ちになるんだが…

 

 

「ソレナラ…○○サン…ですかね…」

 

 

俺か…喜んでも良いんだよな…?

 

 

「○○君か、まぁ妥当だよねぇ…帝君も良いんだけど…顎がね…」

 

 

クラスの女子よ…聞こえてるぞ…消去法じゃないか…

 

 

「イ…イエ…○○サン優しそうダナッテ…」

 

 

アキさんは顔を少し赤らめながら言った…こっちまで恥ずかしくなるじゃないか…

 

 

「え…アキちゃん○○君に惚れちゃった?恋?恋?」

 

 

あの女子グイグイいくなぁ…アキさん引いてそう…

 

 

「そ…そんなコトハ…」

 

 

「授業始めるぞー、席につけー」

 

 

タイミング良く先生が来た、とりあえずはこれで中断だな

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、俺は教室に居たらまた変に飛び火しそうだったので屋上で昼食を摂ることにした。

 

 

「アキ・ローゼンタールね…まぁあの感じならすぐ馴染めるだろ…クラスの女子仲良いし…」

 

 

「果たしてそうかな?」

 

 

声のする方に顔を向けるとそこには帝が居た

 

 

「帝…どういう意味だよ?」

 

 

「言葉通りさ、女子の妬み嫉みは凄まじいからね…あの子が標的にならないと良いけどね」

 

 

帝はそれだけ言うと屋上を後にした

 

 

標的…ね…そうは思わないけどな…

 

 

 

 

 

 

 

その後も授業を受け放課後、俺は下校していた。

ただ1つ気になる事がある、それは

 

 

「アキさん…何で着いてくるの?こっちの方向は俺しか居ないはずなんだけど…」

 

 

そう、俺が通ってる道は学園の中でも俺しか通らないぐらいな珍しい道なのだ。

 

 

「えと…ワタシ…」

 

 

アキさんがそこまで言うと俺の携帯が鳴る

 

 

「何だよこんな時に…親父…?どうしたんだよ…」

 

 

「おぉ○○、今日留学生が来たろ?その子家にホームステイだからよろしくな」

 

 

親父はそれだけ言うと電話を切った

はぁ…ホームステイね…ホームステイ!?

 

 

「アキさん…家に来るってマジ…?」

 

 

「ハイ…ご迷惑オカケシマス…」

 

 

「いや、大丈夫だけど…部屋とか大丈夫なのかな…」

 

 

俺は、いや俺達は家に着いた

 

 

「ただいま」

「お邪魔シマス…」

 

 

「おぉ、お帰り○○、それにようこそ!えぇと…」

 

 

「アキ・ローゼンタールと申しマス、アキで大丈夫デス」

 

 

「そうかアキちゃんか、よろしくなぁ」

 

 

「とりあえず飯食いたいんだけど…母さんは?」

 

 

「ただいまー!あらぁあなたが留学生さんね?」

 

 

「おぉ母さんお帰り、こちらはアキ・ローゼンタールちゃん、アキちゃんで大丈夫だそうだ」

 

 

「アキちゃんねぇ、よろしくねー!」

 

 

「よろしくオネガイシマス」

 

 

「挨拶済んだならさ…飯食べたいんだけど…」

 

 

「そうね、じゃあすぐ準備するわねー」

 

 

 

 

 

 

夕食、両親もアキさんに質問責めしていた…学校でもされてたんだから止めてやれよ…疲れてるんだろうしさ…

 

 

「ご馳走様、俺もう部屋に戻るわ…そういやアキさんの部屋どうなるの?」

 

 

「あぁそれなんだがな○○、お前の部屋に一緒になってもらおうと思ってる」

 

 

「はぁ!?ちょっと待ってくれよ、俺は男でアキさんは女子だぞ!?少しは常識考えろよ!」

 

 

何で今日会ったばかりの人と一緒の部屋にならなきゃいけないんだ…しかも女子だし…男ならまだマシなのに…

 

 

「ん?何だ○○…アキちゃんに欲情しちゃうのか?まぁ可愛いしなぁ…分からないでもないが…」

 

 

このエロ親父…そういうんじゃねえっての…!

 

 

「○○サン…ワタシは別にここのソファで大丈夫デスカラ…気にしないでクダサイ…」

 

 

「いや、そうじゃなくて…良いやもう…一緒の部屋で良いよ…」

 

 

もう折れた、ここで言い合っても疲れる…

 

 

 

 

 

 

 

寝る時間になった、俺の部屋のベッドは2人ぐらいなら普通に寝れるが…女子と一緒に寝るのはハードルかなり高いし、学生だし…

だから押し入れから布団を出した、俺はこっちで寝させてもらう…

 

 

「アキさんはベッド使って、一応消臭スプレー使ったけど辛いなら言ってくれ、またかけるから」

 

 

「イエ、大丈夫デスヨ、それに…○○サンの匂い…何かオチツキマス…」

 

 

匂いフェチなのか…?そんな嗅がれると恥ずかしいんだが…

 

 

「そ…そうか…とりあえずもう寝るか」

 

 

「ハイ、おやすみなさい」

 

 

「おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

(○○、ワタシ…イッショニイタイ)

 

 

(でも…ちゃんはもうかえらなきゃなんだよ?)

 

 

(ダカラ…マタキマス、アナタノモトニ…ソノトキハ…)

 

 

 

 

 

 

 

何だ今の…昔の俺と…誰だ…?黒髪ロングの…女の子…?

まぁ良い、そんな事より今は…

 

 

「何でアキさん俺の布団に入ってるのかなぁ…」

 

 

「んー…ムニャ…」

 

 

ガッチリホールドされてるし…起きるまで無理か…

今朝4時か…寝れねぇ…

 

 

 

 

 

 

 

6時

「ん…んー…」

 

 

起きたかな…

 

 

「アキさん…朝だよ…起きてくれ…」

 

 

「んみゅ…?あぁ…○○サンおはようゴザイマス…」

 

 

「おはよう、とりあえず…今の状況落ち着いて受け入れてくれ…アキさん…俺に抱き着いてるよ…」

 

 

「え…?あ…あぁ…」

 

 

アキさんは覚醒してきたのか状況把握すると顔がみるみる赤くなっていった…

 

 

「落ち着いてくれ、俺は何もしてない…起きたらこんな状況だった、それだけだ…」

 

 

「あ…スミマセン…ワタシ…寝相ワルクテ…」

 

 

寝相ねぇ…しかし…こう近くで見るとかわ…やっぱり変態じゃねぇか…困惑

 

 

「大丈夫だ、とりあえず離れてくれないかな…?」

 

 

「ハイ…」

 

 

とりあえず着替えて、朝食を食べた…

着替え?ちゃんと俺が部屋出て行ってるぞ…一緒に着替えてたら俺変態じゃないか…

 

 

「行ってきます」

「行ってキマス」

 

 

そうか…暫くアキさんと一緒に登下校になるのか…何時も1人だったからなんか違和感だな…

 

 

「○○おはよう」

 

 

登校中声をかけてきたのはクラスメートの夏色まつり、クラスの中でも元気な部類の代表格だ

 

 

「あぁ、夏色か…おはよう」

「夏色サンおはようゴザイマス」

 

 

「2人一緒に登校してるんだね」

 

 

「ハイ、○○サンのお家でホームステイを…」

 

 

アキさん…正直に喋っちゃダメだぞ…ばら撒かれるんだから…

 

 

「夏色…この事は内緒で頼む…知られたら厄介だ」

 

 

「良いよ、アキちゃん…○○スケベだから気を付けなよ?」

 

 

おい何言ってんだ…信じたらどうするつもりだコラ…!

 

 

 

 

 

 

学校に着いた、登校中終始夏色に弄られ過ぎてちょっと気が滅入った…

 

 

「○○サン、大丈夫デスカ?」

 

 

「大丈夫、大丈夫だから…」

 

 

アキさん心配してくれるんだな…優しいんだな…

 

 

「おはよ」

 

 

「○○ー!くたばれー!」

 

 

いきなり帝が殴りかかってきた

 

 

「お…おい待てって帝…何をそんな興奮してるんだよ…」

 

 

「お前…アキちゃんと付き合ってるってどういう事だー!」

 

 

はぁ…?何でそんな話…まさか…

 

 

「おい…夏色…お前…」

 

 

「…てへぺろ♪」

 

 

夏色…お前…やってくれたな…!

 

 

「ア…アワワ…」

 

 

ヤベ…アキさんショートしてる…

 

 

「○○ー!」

 

 

帝も暴走してるし…夏色はニヤニヤしてるし…勘弁してくれよ…

 

 

「帝、落ち着け…俺とアキさんは付き合ってなんか無い」

 

 

「本当か…?」

 

 

「本当だ…第一昨日の今日で付き合える方がおかしいだろ?」

 

 

「そうか…そうだよな…!悪かったな○○…おい夏色!デマ流すなよな!」

 

 

とりあえずこれでこっちは大丈夫か…問題は…

 

 

「ア…アゥ…ワタシが…○○サンと…」

 

 

こっちは重症っぽいな…

 

 

 

 

 

 

俺はアレからアキさんに声をかけようとしたが、その度に邪魔が入って昼休みになった今でも声をかけられずにいる…

下校前には話しておきたいんだが…難しいのだろうか…

 

 

「アノ…○○サン」

 

 

教室で昼食を食べてると、隣でアキさんが声をかけてきた

 

 

「ん?どうしたの?アキさん」

 

 

「ワタシと○○サン…周りの皆サンからは付き合ッテルように見えるンデスカ?」

 

 

っ!?食べ物が喉に詰まった…

アキさん…何ていう事を…

 

 

「ごめんなアキさん、夏色が変な事言ったせいで帝は暴走するわ、周りも誤解するわで…嫌だったろ?俺とそういう風に見られるなんてさ」

 

 

「イエ…ワタシは…ちょっと嬉シカッタです…」

 

 

嬉しい…?俺とそういう風に見られるのが…?

 

 

「そうか…まぁ、嫌じゃないなら良いけど」

 

 

「アノ…放課後何処か行キマセンカ?」

 

 

「放課後…?まぁ明日休みだから良いけど…」

 

 

「ありがとうゴザイマス!」

 

 

放課後か…何処に行くか…

 

 

 

 

 

 

放課後になった、アキさんと寄り道だが…うん、あの場所で良いかな…

 

 

「○○サン、何処に行キマスカ?」

 

 

「あぁ、駄菓子屋に行こうと思うんだけど」

 

 

「ダガシヤ…デスカ…?」

 

 

「まぁ、行けば分かると思うけどね」

 

 

 

 

 

 

駄菓子屋

「おーい、おばちゃん元気か?」

 

 

「おんやまぁ○○ちゃんじゃないの!どうしたね今日は?」

 

 

「あぁ、ちょっと久々に来たくてさ…」

 

 

「そうかいそうかい、そちらのお嬢ちゃんは…あぁ、あの時のお嬢ちゃんじゃないのさ」

 

 

え…?おばちゃんアキさん知ってるの…?

 

 

「アキさん、此処に来た事あるの?」

 

 

「エット…ワタシ…」

 

 

「おや…間違っちゃったかねぇ…?歳なもんでごめんなさいね…」

 

 

「あ…○○サン、あれはナンデスカ?」

 

 

「あぁ、あれはね…」

 

 

俺達は駄菓子屋でおばちゃんと話しながら過ごした、アキさんは駄菓子に興味を持ったらしく、色々買っていた。

アキさんは過去にこの駄菓子屋に来たみたいだけど…俺も小さい時に女の子と来たな…もう顔も覚えてないけど…

 

 

「そろそろ時間か…アキさん、帰ろうか」

 

 

「ハイ」

 

 

「今日は来てくれてありがとうね、あぁお嬢ちゃん、ちょっとこっち来ておくれ」

 

 

おばちゃんに呼ばれアキさんは何か話しているみたいだ

 

 

「お嬢ちゃん、○○ちゃんの事好きなのかい?」

 

 

「エッ…どうして…デスカ…?」

 

 

「○○ちゃんを見てる時のお嬢ちゃんの顔がねぇ…乙女の顔だったからだよ」

 

 

「…」

 

 

「頑張りなーよ?あの子は鈍感さね…押しを強くしないと気付かれないからね」

 

 

「ハイ…ありがとう…ゴザイマス…」

 

 

アキさんが戻ってきた

 

 

「お待たせシマシタ」

 

 

「大丈夫、何話してたの?」

 

 

「えっと…内緒…デス…」

 

 

内緒なら無理に聞くのもあれか…

気にせず帰ることにした

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「ただいま戻リマシタ」

 

 

「おかえりー!晩ご飯出来てるわよー」

 

 

「どうしましょう○○サン…さっきダガシ食べすぎてオナカガ…」

 

 

「うん…俺もそんなに食えないや…」

 

 

「どうしたの?二人共…まさか買い食い…?」

 

 

「ごめん母さん、俺のワガママで駄菓子屋行ってたんだ…晩ご飯もう少し後で頼むわ…」

 

 

「仕方ないわねぇ…アキちゃんも?」

 

 

「ハイ…ゴメンナサイ…」

 

 

「良いわよ、じゃあもう少ししたらまた来なさいな」

 

 

「あぁ、そうだ俺先に風呂入るわ…」

 

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ…やっぱり風呂は落ち着く…何でだろうな…小さい時に駄菓子屋に行ったあの子と…アキさんが微妙に重なる…

 

 

「○○サン、湯加減ドウデスカ?」

 

 

「あぁ、丁度良い感じだけど」

 

 

「そうですか、ではワタシも」

 

 

アキさんはそう言うと風呂場に入ってきた

俺入ってるのに…?

 

 

「アキさん…入りたいならもう少し待っててよ…もう出るからさ」

 

 

「イエ、ワタシは○○サンと一緒に入リタイデス」

 

 

えぇ…急にどうしたんだろ…

 

 

「とりあえず、俺は後ろ向いてるから…」

 

 

俺は後ろを向き、アキさんが洗い終わるのを待つ

 

 

「○○サン、ワタシも入りますね」

 

 

アキさんが湯船に入ってきた…え…マジでどうしたの…

 

 

「ふぅ…良いお湯デスネ…」

 

 

「そ…そうだな…」

 

 

今すぐ上がらなきゃ…でも俺何も巻いてないぞ…

 

 

「○○サン、ここの人達良い人バカリデス、ワタシみたいなのも受け入れてクレタ…トテモ…嬉シイデス」

 

 

「そうか…まぁ俺は聞かされた時は驚いたけど…」

 

 

それに…初めてな感じがしないんだよな、過去に会った気がするぐらいに…それでも俺はアキさんと会った事は無いはずなんだ…

 

 

「ワタシ…ココに来るの初メテジャナインデス」

 

 

「前に来た事あるんだ」

 

 

「その時は数日でまたシャルイースに戻らなきゃイケナカッタノデ…あまり記憶が無イデスガ…」

 

 

「ソシテ、ワタシは○○サン…あなたと会った事がアリマス」

 

 

俺と会った事が…あるだって…?

 

 

「ワタシがココに来てから、公園で遊ンデル時にアナタと出会いました…アナタは元気がアッテ、来たばかりのワタシにも優シクシテクレマシタ」

 

 

「アナタとワタシは、ワタシがシャルイースに戻ルマデ毎日遊んでマシタ…ソシテ…」

 

 

「そして…?」

 

 

「ワタシはアナタに…プロポーズシマシタ」

 

 

プロポーズ…?アキさんが…俺に?

 

 

「それは間違いだろう、俺には取り柄が無いし好かれる要素なんて無いよ」

 

 

「イイエ、アナタはワタシに優シクシテクレタ、それだけで十分デス…ワタシが○○サンを好きにナル理由なんて…」

 

 

そういうものなのか…?でも俺は…

 

 

「ワタシは今でも○○サン、アナタが好きデス、大好きデス」

 

 

「アキさん、俺を好きでいてくれてたのは嬉しいよ、でもさ…俺はアキさんの事を知らない、覚えてないんだよ…金髪の女の子なんて…」

 

 

「ソウデスヨネ…仕方ないです、ゴメンナサイ、忘れて下さい」

 

 

アキさんはそこまで言うと風呂場から出ていった

 

 

ごめんアキさん…

 

 

 

 

 

 

俺は風呂から上がるとリビングに向かった、既にアキさんは夕食を食べてるみたいだ。

 

 

「おぉ、○○上がったか…夕食終わったらちょっと話がある」

 

 

親父は普段見せない真剣な目で俺に言ってきた

 

 

 

 

 

「どうしたんだよ、親父」

 

 

「○○、お前アキちゃんと風呂一緒に入ったらしいな…」

 

 

何で知ってるの…?

 

 

「いや…アレはアキさんが勝手に入ってきただけで」

 

 

「アキちゃんの身体…どうだった?」

 

 

ただのエロ親父じゃねぇか…

 

 

「そんなくだらない話ならもう戻るぞ」

 

 

身構えて損したわ…戻ろ…

 

 

「待て○○、ふざけるのはここまでにして真面目な話をしよう」

 

 

真面目…ねぇ…

 

 

「○○、お前は忘れてるだろうがアキちゃんとお前は過去に一度会っている、まだ小さかったからな…覚えてないのも無理は無いが」

 

 

いや…さっきアキさんから聞いたんだけどなそこ…

 

 

「アキちゃんのご両親とは少し交流があってな、今回のホームステイも向こうからの頼みがあっての事だ…○○、お前の事も気に入ってたからな」

 

 

なるほど、アキさんの親が頼んでたと…俺が野獣だったらどうするつもりだったんだろ…

 

 

「まぁアキちゃんがお前の事を好きなのも知ってるからな、ちょっと応援したくて部屋も一緒にした訳だ…お前に襲う度胸も無いしな」

 

 

言ってくれるじゃないか…いやまぁ確かにそんな勇気は無いが…

 

 

「まぁアキちゃんがここに泊まるのも3ヶ月だ、振るのも良いし、付き合うのも良い、ただちゃんとはっきりさせろよ?あやふやが一番失礼だ」

 

 

「分かってるよ…ちゃんとはっきりさせるよ」

 

 

というか…もう振ってる感じなんだけどなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻るとアキさんはもう寝ていた、ついさっきの事だから顔合わせるの辛かったから助かった…

 

 

「お休み、アキさん」

 

 

 

 

 

 

深夜1時

「ん…寝れないデス…」

 

 

横を向くと○○サンが寝テマス…○○サンは遠回しにお断りシテマシタけど…ワタシは…やっぱり…

 

 

「○○サン…ワタシどうしたらイインデスカ…?好きで…好きでタマラナイ…胸が苦シクナッテ…ツライデス…」

 

 

気がつくとワタシは涙を流シテマシタ…でも、○○サンに迷惑はカケレマセン…諦めなきゃナンデスカラ…

 

 

「寝てる時ダケハ…良イデスヨネ…?」

 

 

ワタシは○○サンの頬に…口づけをシマシタ…

 

 

「オヤスミナサイ…○○サン…」

 

 

 

 

 

 

 

 

アキさん…ごめん…それでも俺は…

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
前編はどうでしたでしょうか?
いきなり急展開になってる感が否めない気がしますが…後編はもっと…ですかね…
ではでは、後編まで失礼します…m(_ _)m


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留学生は金髪美少女2 byアキ・ローゼンタール

はい…こちらはタイトルの2と書いてある通り後編でございます…
読まれる際は是非前編から読んでいただけると幸いです。
そして…この後編はキャラ崩壊?もございます…
色々ネタを考えた結果、詰め込みすぎてこうなってしまいました…
もうちょっと少なくしなければですね…
それでは、ごゆるりと…m(_ _)m


あれから1ヶ月経った、あれ以来アキさんが風呂場に入ってきたりとかは無くなった。

アキさんとの関係は悪くはなってないとは思う、普通に会話出来てるし、一緒に登下校も出来てる。

だけど…事件は起きた…

 

 

「ふぁ…そろそろ寝るか…アキさんは寝ないの?」

 

 

「ワタシはもう少しオキテマス、先に寝ててクダサイ」

 

 

「そっか、んじゃお休み」

 

 

「オヤスミナサイ」

 

 

俺はアキさんに挨拶をしてそのまま寝る事にした

 

 

 

 

 

「ウゥ…ダメ…モウ…タリナイ…」

 

 

 

 

「んー…眠い…アキさんは…?」

 

 

「オハヨウゴザイマス、○○サン」

 

 

既にアキさんは起きていた、俺より後に寝たのに早いな…

 

 

その後朝食を食べ終え、学園へ向かう

 

 

「おはよー…○○…」

 

 

「あぁ、夏色おはようって…顔色悪いぞ…?どうした?」

 

 

「うん…寝てるのに寝れてない感じなんだよね…」

 

 

「寝不足か…?寝る前にホットミルクとか飲むとまた寝れるんじゃないのか?」

 

 

「まつりサン大丈夫デスカ…?」

 

 

「アキちゃんおはよう…いやそれは毎日やってるんだよ、それでも今日はダメだったんだよねぇ…」

 

 

「ふーん…まぁ寝れると良いな…」

 

 

俺は夏色にそんな事しか言わなかった、夏色だけだと思っていたから…

 

 

 

 

 

教室に入ると夏色みたいにゲッソリしているクラスメートばかりだった。

 

 

「流石におかしくね…?皆ゲッソリしてるし…」

 

 

「…ソウデスネ、何かあったンデショウカ…?」

 

 

 

 

 

その日の授業は皆終始疲れてる感じだった、昼休みも昼食を摂らずに寝ているのがチラホラ見えた。

 

 

 

放課後

「アキさん、アキさんは大丈夫か?皆ゲッソリしてたけど」

 

 

「ハイ、ワタシは大丈夫デスヨ、しっかり寝てます」

 

 

アキさんは大丈夫なのか…俺も大丈夫だけど何でクラスメートが…?

 

 

 

 

それから3日経った、皆のゲッソリ具合は更に悪化しており先生達もどうしたら良いのか分からない状態になってしまった。

俺とアキさんはゲッソリしていない、何で俺達だけゲッソリしないのかは謎だ…

 

 

「○○…お前は大丈夫なのか…?」

 

 

帝が声をかけてきた、あまりにもゲッソリしていて顎が小さくなってないか…?

 

 

「あぁ、俺は平気だけど…帝大丈夫か…?凄いやつれてるぞ…?」

 

 

「夜寝れなくてよ…寝ても寝た気がしないんだよ…病院に行って睡眠薬貰っても効果無いんだ…」

 

 

睡眠薬が効かない…?明らかにおかしいぞ…?

 

 

「あぁそうだ…夢に悪魔が出てきたんだ…凄い可愛くてな…○○にも見せてやりたいぐらいなんだ…」

 

 

悪魔?可愛い?って事は女の悪魔なのか…?

 

 

「悪魔か…その悪魔は一度だけ見たのか?」

 

 

「いや、ここ最近毎日だな…夢の中が楽し過ぎるから寝れないのかな…?」

 

 

そういうもんなのか…?分からないけど…

 

 

「帝ありがとうな、ゆっくり休んでくれ」

 

 

俺は帝から得た情報を元に、ゲッソリしているクラスメートに聞いて回った。

得られた情報は以下の通りだ

夢の中に悪魔の姿をした女の子が出てくる(全員同じ人物らしい)

その夢を見るまではぐっすり寝られていた

起きると凄い倦怠感がある(個人差はある)

睡眠薬等は一切効かない(全員共通)

 

 

この夢の中に出てくるというのが謎の1つ、まるで夢魔…いや、まさかな…アレは空想上のものだ…実在するはずが無い…

 

 

「○○サン、どうしたんデスカ?難しい顔して…」

 

 

「いや、ここ最近クラスメートがおかしいだろ?それで聞き込みをしてたんだよ…そしたら…」

 

 

俺はアキさんに説明した、するとアキさんは顔色を悪くしていった…

 

 

「ソウナンデスカ…そんな事が…デモ、○○サンは何でそんな事スルンデスカ?」

 

 

「そりゃ…クラスメートがこんな状態なのはマズいだろ…?授業にもならないし…」

 

 

「ソウデスカ…そうですよね…」

 

 

アキさんはそれ以来口を開かなかった、下校の時も無言だった

 

 

 

 

その日の夜

「モウ…コノママジャタリナイ…○○サンヲ…」

 

 

俺はこの日もアキさんより先に寝ていた

やはり早寝早起きは基本だから…

そして、俺の推測は思わぬ形で当たった…

 

 

「うぅ…ここは…夢…?」

 

 

寝てる時に夢は見てるらしい、ただそれを記憶として保持出来るのは難しいとかなんとか…

 

 

「アラ…?アナタは…」

 

 

声をする方に振り向くとそこには、俺が小さい時に会った女の子が大きくなったような姿の女性が居た…

 

 

「君は…?」

 

 

「ワタシはクロ、それだけ名乗っておくわ」

 

 

「クロさん…ね…それで、何で俺の夢の中に…?」

 

 

「そんなの決まってるじゃない…アナタの…精気を貰いに来たのよ」

 

 

精気…?それって…クロさんは夢魔…?

 

 

「クロさん…何で精気なんて必要なんだ?」

 

 

「ワタシは夢魔、サキュバスだからよ?必要だから貰う、当たり前じゃない?」

 

 

「夢魔…実在したんだな…それでも渡す訳にはいかない!」

 

 

俺はクロさんから逃げた、いや…逃げようとした

だけど後ろを振り向いた瞬間既にクロさんは俺の目の前に居た

 

 

「あら…逃げちゃダメじゃない…」

 

 

俺はクロさんに押し倒された、両腕は何か分からない力で拘束されており、動かす事が出来ない…

 

 

「ぐっ…動かない…!」

 

 

「フフフ…さぁ…アナタの精気…戴くわよ…」

 

 

「く…そ…アキ…さん…」

 

 

俺は何故か咄嗟にアキさんの名前を出した、するとクロさんは動きを止めた。

 

 

「待って…何で今その名前が出てくるのよ…?」

 

 

「え…?」

 

 

「チッ…興が冷めたわ…運が良いわね…」

 

 

クロさんはそう言うと夢から去っていった、腕の拘束も解かれている

 

 

「何だったんだ…?それに何で俺はアキさんの名前を…?」

 

 

俺は何でアキさんの名前を出したのか、分からないでいた…

 

 

 

 

 

 

 

夢から覚めると、アキさんはもう起きていた

 

 

「おはようアキさん」

 

 

「○○サン…おはようゴザイマス」

 

 

心無しか元気が無さそうだが…どうしたんだ…?

 

 

「アキさん、どうしたの?寝れなかったの?」

 

 

「イエ…大丈夫デスヨ…?」

 

 

アキさんは何かかくしてるように見えたが、深くは聞かない事にした。

 

 

 

 

 

学園に着き、教室に入るとやはり皆ゲッソリしていた、中にはもう寝てるのも居た…

 

 

「もう皆危ないな…でも…あの人は…」

 

 

「○○サン、ドウシタンデスカ?」

 

 

「いや…これ聞いても良いのかな…アキさん、クロさんって…知らないよね…?」

 

 

俺はダメ元で聞いてみた、すると

 

 

「エ…クロサン………?知らないデス…ケド…」

 

 

「そうだよな、分からないよな…ごめんアキさん」

 

 

俺は謝ったが、アキさんが言葉を詰まらせてるのを見逃さなかった。

 

 

 

「さて、これから夏休みだ…お前らあまりハメ外すなよ?」

 

 

先生からの忠告も終わり、これで夏休みが始まる

皆はゲッソリしてるせいかあまり話が耳に入らないみたいだけど…

俺はこの夏休みでアキさんの事、そしてクロさんの事をなんとかしないと…明らかに、アキさんとクロさんは…何かある

 

 

 

 

 

 

 

夏休みを過ごし、もう8月になった

この時期は花火や祭りがあるし…家族で行くのもアリだな

 

 

「○○、俺と母さん3日間旅行行ってくるからアキちゃんと2人で過ごしてくれな」

 

 

祭りや花火に行こうとしたらこれである…

 

 

「は…?アキさんと2人っきりって事か?」

 

 

「そうだ、あぁ…襲うなよ?」

 

 

「うるせぇ…エロ親父…」

 

 

「はっはっは、それじゃ行ってくるからなー」

「2人共お留守番よろしくねー」

 

 

2人は俺とアキさんを残して旅行に行ってしまった、いや…いくら何でもアキさんと2人っきりか…

 

 

「○○サン、何かアソビマスカ?」

 

 

アキさんは俺に提案をしてきた

 

 

「あぁ、そうだね…それじゃレースゲームでもしようか」

 

 

俺は有名な某配管工のオッサンのレースゲームを出した

 

 

「ワァ…楽しそうデスネ!やりまショウ!」

 

 

アキさんのゲームの腕前は分からないが、俺もこのゲーム割とやりこんでいる、そう簡単には負けられない…!

 

 

「あ!キノコ!」

 

 

アキさんはキノコに好かれてるのかな…しかもキングだし…どんどん飛ばしていく…

俺?何故かフラワーだよ…どうしろと…?

 

 

「やったー!○○サンに勝ちマシタ!」

 

 

アキさんはそれからキングキノコ、キラーを連発させて俺を抜いていった…俺…フラワーと甲羅、その甲羅は緑だった…せめて赤にして欲しかった…

 

 

「アキさん強いね、おめでとう」

 

 

「アリガトウゴザイマス!」

 

 

その後もアキさんとレースゲームを楽しんだ、俺もアキさんに勝ったけどそれでもアキさんの方が勝ちは多かった…ちょっと自信失くすな…

 

 

「○○サン、今日って花火大会がアルンデスヨネ?夏色サンから聞きマシタ、一緒に行きマセンカ?」

 

 

確かに今日は花火大会ある…夏色め…何時の間に…

 

 

「まぁ、あるけど…俺で良いのか?他の女子と行った方が楽しめるんじゃ…?」

 

 

「ワタシとじゃ…イヤデスカ…?」

 

 

アキさんは寂しげに俺を見つめてきた、そんな目で見つめるのは反則だよ…

 

 

「分かったよ、俺で良いなら一緒に行くよ」

 

 

「アリガトウゴザイマス!楽しみデス!」

 

 

まぁ、たまには良いよな…

それから花火の時間までレースゲームを楽しんだ、ズタボロだったけど…アキさんが楽しんでたし良かったんじゃないかなと思う。

 

 

 

 

花火大会の時間が近くなった、そろそろ出発の時間だ

 

 

「○○サン!早く行きマショウ!」

 

 

アキさんは凄いはしゃいでいた、シャルイースでは花火が無いのかな…?

 

 

「あまりはしゃいでるとコケちゃうぞ?」

 

 

「大丈夫デスよ!早く行きま…アッ…」

 

 

「アキさん!」

 

 

俺はコケて倒れそうになったアキさんを抱きかかえた

 

 

「ア…○○サン…」

 

 

「言わんこっちゃない…大丈夫か?」

 

 

「ハイ…ゴメンナサイ…」

 

 

アキさんは俺と目を合わせてくれなかった、恥ずかしいのかなやっぱり…

 

 

 

 

 

 

 

花火会場に着いた、道中ずっとアキさんは黙ったままだった、顔も少し赤かったかな…

 

 

「なぁアキさん」

 

 

「ヒャイ!?」

 

 

「あぁごめん…会場に着いたからさ、何か買ってこようか?」

 

 

「あ…それならワタシが」

 

 

「大丈夫だよ、俺が買ってくるから、何食べたい?」

 

 

「アリガトウゴザイマス…じゃあ…アレを」

 

 

アキさんが指さしたのはりんご飴だった

 

 

「分かった、ちょっと待ってて」

 

 

「ワタシも行きマス、はぐれるの怖イデス」

 

 

確かに、人混み凄いもんな…

 

 

「じゃあほら、手繋いどこう?はぐれないように」

 

 

「…ハイ!」

 

 

 

 

 

 

屋台でりんご飴を買った俺達は、花火が打ち上がるのを待っていた

 

 

「○○サン、今日は一緒に来てくれてアリガトウゴザイマス」

 

 

「平気だよ、俺も花火見たかったから」

 

 

「エヘへ…ワタシ、嬉しいデス…またアナタとこうして会えた事に、ソシテ一緒に過ごせてるコトに…」

 

 

「…」

 

 

「○○サンが覚えてくれてナクテモ、ワタシは全部覚えてマス」

 

 

アキさんは笑顔で俺に言う

 

 

「ごめんアキさん、やっぱり俺は思い出せないよ」

 

 

「良いんデスヨ、大丈夫デスカラ」

 

 

やっぱり…似てる…でも似てるだけで完全に一致しない、聞いてみるか…

 

 

「なぁアキさん、俺と会った事あるって言ってたよね?その時ってさ…黒髪のロングだった…?」

 

 

「…!」

 

 

「それじゃもう一つ、確証無いからアレなんだけど…アキさん、クロさんを知ってるよね?」

 

 

「…ドウシテ?」

 

 

「クロさんはアキさんに似てたんだよ、とても…最初はクロさんが俺の小さい頃に会った事のある女の子かと思ったけど、ちょっと違う感じだったし…」

 

 

「…ヤハリ○○サンにはお見通しダッタンデスネ、そうです、クロさんは…ワタシデス」

 

 

「そっか、やっぱりアキさんだったんだ…でも何で…?精気なんて集めてどうする気なの?」

 

 

「ワタシは…人間ではアリマセン、エルフとサキュバスのハーフナンデス、ソシテ夢の中ではクロとして姿を変エテマス、精気が必要ナノハ…生きる為デス…ワタシは半分エルフなので大丈夫ダッタンデスガ…ここ数日で急に必要にナッテ…」

 

 

「エルフと…サキュバスのハーフ…?」

 

 

「ワタシは恋をする事で精気を必要とシナカッタンデス、曰く○○サンを好きでいることで大丈夫だったという意味デス、でも○○サンを責めてる訳デハアリマセン、もっと違う解決策があるはずデスカラ…ただ、今は解決策が見つからなくて仕方ナク…皆さんから精気をイタダイテマシタ」

 

 

俺を好きでいてくれたから…今まで平気だったと…?何で…何で俺なんかを好きになってくれたんだよ…

 

 

「俺じゃなくても、他に好きな人とか見つかるはずなのに…何で…」

 

 

「ワタシはエルフとサキュバスのハーフデスヨ?純粋な種族ジャナイト、忌み嫌われる存在ナンデスヨ…それでも○○サンはそんなの気にしないで接してクレタンデス、それがどれだ嬉シカッタコトカ…」

 

 

なんだよそれ…種族ってのはそんなに交わっちゃダメなのか…?

ん?というかエルフにサキュバス…?

 

 

「待ってくれアキさん、外国からの留学生…なんだよな…?まるでファンタジーな世界から来たような内容なんだけど…」

 

 

「そうですよ?ワタシは…異世界シャルイースから来マシタ、内緒デスヨ?」

 

 

俺は夢でも見てるのか…?異世界?ファンタジー…?現実とは到底思えない…

 

 

「デモ…もう皆さんに迷惑カケレマセン、この夏休みが終ワッタラ、ワタシはシャルイースに帰リマス…○○サンとも、お別れデス」

 

 

「え…?」

 

 

「これ以上精気を吸い続ケタラ、皆サンは死んでシマイマス…ワタシは半分シカサキュバスじゃないデス、コントロールの術を知リマセン…これ以上…皆サンを苦しめたくナインデス…!」

 

 

アキさんはボロボロと涙を流しながら語った

 

 

「アキさん…」

 

 

俺はアキさんを抱きしめた、自分でも何でそうしたのかは分からない、けどしなきゃいけないと思った

 

 

「○○サン…?イヤ!離して!」

 

 

「嫌だ、離さない」

 

 

「ドウシテ…?やっと…やっと諦めラレテキタノニ…こんな事サレタラ…」

 

 

「ごめんねアキさん…俺がアキさんの気持ちに応えられなかったのは、俺にも好きな人が居たからなんだ…その人は小さい時に少しだけ遊んだ女の子、黒髪ロングの女の子なんだ」

 

 

「…」

 

 

「俺は過去にアキさんと会ってる、その事が事実なら…俺はきっとその黒髪ロングの女の子がアキさんなんだろうなって思ってる、違うかな…?」

 

 

「…ソウデス、ワタシは…黒髪ロングデシタ」

 

 

「そっか…やっぱりか…それじゃ尚更ごめんねアキさん…俺は前からアキさんが好きだったんだね…」

 

 

俺が当時好きだった、いや…今でも好きな女の子はアキさんだった

それなのに俺は酷い事ばかり言ってしまっていたんだな…

 

 

「○○サン…○○サン…!」

 

 

アキさんは涙を流しながら抱きしめ返してきた

 

 

「アキさん、振っちゃった俺が言うのもアレだけど、俺はアキさんが好きです、俺と…付き合ってくだ」

 

 

俺の言葉はそこで途切れた、アキさんに口を塞がれた…

 

 

「……ハァ、アキさん…?」

 

 

「ズルい…ズルいです○○サン…ワタシはずっとアナタの事が好きナンデスカラ!」

 

 

アキさんは涙を流してはいたものの、笑顔で俺に応えてくれた…

 

 

 

 

 

 

 

俺達はそれから花火を楽しんだ、焼きそばやたこ焼きをお互いに食べさせ合いとかもした

 

 

「○○サン」

 

 

「ん?どうしたのアキさん」

 

 

「ソノ…アキさんって呼び方からアキって呼んで欲しいデス…」

 

 

「え?いや…恥ずかしいよ…」

 

 

流石に呼び捨てにするのは耐えられない、さっきだってアキさんを抱きしめちゃってたんだし…

 

 

「ダメ…ですか…?」

 

 

アキさんはまたそんな目で見つめてくる…

 

 

「分かったよ…ア…アキ…」

 

 

「ハイ!」

 

 

俺がアキさんを、いや…アキを呼び捨てで呼ぶと満面の笑みを見せてくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの話が正しいならアキは俺を好きでい続けてくれる限り精気は奪わないという事になる。

俺もずっと前からアキの事が好きだった、アキも俺の事をずっと好きでいてくれた、知らず知らずに両想いだったんだ…そんな簡単には離れたくないし、離れてやらないつもりだ。

 

 

俺達は家に帰った、帰り道アキが駄々をこねて俺と一緒に寝たいと言いだした…昨日までなら何かしら理由つけて回避なとこだけど、今日は付き合った日だ、一緒に寝る事にした。

やましい事はしないからな…?正直恥ずかしいんだ…

あぁ、後アキはシャルイースに帰らない事にもなった、もう精気吸わなくなるからな…

親父達もアキの家族の事知ってたみたいだし…って事はサキュバスとエルフの事も知ってたって事か…?俺襲われてたらどうするつもりだったんだよ…

 

 

 

 

 

「○○サン、起きてください朝デスヨ?」

 

 

「んー…後5分…」

 

 

「もう…起きナイト…んちゅ…」

 

 

「!?」

 

 

「あ…起きた…オハヨウゴザイマス、○○サン♪」

 

 

まさか寝てるだけでキスされるとは思わなかった…やっぱりサキュバスの血が…?いやまさかな…

 

 

「朝ご飯出来てマスヨ、食べて早く学園行きマショ?」

 

 

「おはようアキ、そうだね…今日から2学期頑張るか…」

 

 

まさかアキがファンタジーな世界の住人だったとは本気で思わなかった、でもそれが何だっていうんだ…

人を好きになる気持ちに種族は関係無い、その人をどう思うかが大事なんだと俺は思う…

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
どうでしたか?急展開でしたでしょうか?キャラ崩壊でしたでしょうか…?
自分が言うのもアレですが、ぶっ飛んだなぁ…と思ってしまいました汗
まぁそれでもこれが今の自分の全力なんだろうなぁ…と思っております。
この後活動報告を更新する予定ですので、そちらもお目通し願えればと思っております。
ではでは、次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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ママと呼ばないで

お久しぶりです、書きました
文字数少ないです、申し訳ないです…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


今現代は少子高齢社会で子供が圧倒的に少ない時代になっている。

だがこう考えてみたらどうだろうか?

逆に子供が圧倒的に多くなり大人が少なくなっている世の中だったら…?

これは、1人の青年が子供に揉みくちゃにされながらも奮闘するお話…

 

 

 

 

「うわーん!うわーん!」

 

「おやおや…どうしたの?大丈夫かい?」

 

「おひざすりむいたの…」

 

「あぁ、それは痛いね…絆創膏貼ろうね」

 

「ありがとうママー」

 

「ママはやめい…」

 

 

僕は○○、ろぼさー幼稚園に勤めてる。

僕は男なのに何故かママと呼ばれてる…普通はパパだよね?

まぁもう3年も勤めてるから抵抗無くなってきちゃったんだけど…

 

 

「あれ?○○さんどうしたんです?」

 

この人はロボ子さん、僕の1つ上の先輩で、皆からの人気はとても高くよく落とし穴に落とされる。

そして…密かに僕が恋をしている女性でもある。

 

 

「あぁロボ子さん、フブキちゃんが膝を擦りむいたらしいので絆創膏を…」

 

「そうだったんだ、フブキちゃん大丈夫?痛いの痛いの飛んで行けー♪」

 

「ありがとうロボ子せんせー!もういたくないよ!」

 

 

あぁ…かわいい…あの仕草、あの笑顔、癒されるなぁ…

このろぼさー幼稚園には園児が合計500人と、とても大きい幼稚園である。

普通の幼稚園ならせいぜい150人ぐらい…なのかな…?

そう考えたら大きいと思う…

 

 

「○○さんもお疲れ様、休憩しましょ?」

 

「ありがとうございます、少し休憩してきます」

 

「ボクも休憩ですから、一緒に行きましょ?」

 

 

ロボ子さんと休憩か、ちょっと嬉しいな…

何時もは帝さんと休憩一緒だからな…

 

 

「はい、○○さんお茶と煎餅です」

 

「ありがとうございます、ロボ子さん」

 

 

僕達は2人で休憩を取っていた

 

 

「あの…ロボ子さん、1つ聞きたい事が…」

 

「ん?何ですか?」

 

 

ちょっと気になるから…この際聞いてみよう

 

 

「ロボ子さんは…その…好きな人は居るんですか?」

 

「え…ボク…?うーん…居ないですよ、好きな人」

 

 

え…本当…?

 

 

「○○さんの方こそどうなんですか?好きな人居るんですか?」

 

 

え…!?まさか返されるとはなぁ…

 

 

「僕ですか?居ませんよ…あえて言うなら、園児達ですかね」

 

「ふふっ…○○さんって面白いですね」

 

 

間違ってはない返し方だと思う、実際園児達は好きだし、ロボ子さんも好きだし…

 

 

 

 

 

 

休憩も終わり、また園児達の相手をする

ここの園児達は本当に元気だから、あっちこっちで遊んでる。

 

 

 

 

今日も園児達を帰す時間になる、基本バスでその子のお家まで送り届ける事になってる。

 

 

「ロボ子せんせー!ママー!またあしたー!」

 

「はい、また明日ねー」

 

「また明日ー、でもママは止めてねー…」

 

 

「○○さん皆からママって呼ばれてますよね、何でですかね?」

 

「僕も知りたいですよ…普通ならパパなのに…」

 

「でも何か分かるかも」

 

 

え…?分かるの?

 

 

「どうしてです?」

 

「だって○○さん園児達に凄い優しいですし、まるで女性みたいに見えますもん」

 

 

ショックだ…ロボ子さんにとうとう男として見られなくなるなんて…

今日はヤケ酒かな…

 

 

「ロボ子さん…僕は男ですからね…?」

 

「分かってますよ、○○さんは男性ですもんね」

 

 

ロボ子さんはいたずら顔で僕をからかってくる…そんなロボ子さんも好きだけどね…

 

 

 

 

 

翌日、今日は遠足で近くの公園まで行く事になっている。

1人で約30人を見ることになってるので気を引き締めなければ…

 

 

「はーい、今日は皆で遠足に行きますよー、準備は出来たかなー?」

 

「「「はーい!」」」

 

「それじゃ出発ー!」

 

「「「しゅっぱーつ!」」」

 

 

 

 

 

公園に着いた、園児達は大はしゃぎしている…怪我とかはしないで欲しいな…

 

 

「○○さん、そんな心配しなくても大丈夫ですよ?ボク達だって居るんですから」

 

 

ロボ子さんは僕が心配してるように見えたのか、そう言ってくれた。

まぁ実際心配してるさ…園児達は元気いっぱいだからね、怪我なんて日常的にあるから…

 

 

「ロボ子さん、そうですね…ちょっと心配し過ぎてたのかもです、楽しみつつのんびりしますか」

 

「はい!」

 

 

僕達は園児達を見つつ、お茶を飲み寛いでいた。

 

 

「ロボ子せんせー!ママー!いっしょにあそぼー?」

 

 

園児が遊びに誘ってきた

 

 

「うん、いいよ?○○さんも大丈夫ですよね?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ、でも…ママはやめて…?」

 

「わーい!やったー!ねぇねぇ、おままごとしよー?」

 

 

おままごとか…懐かしいなぁ…まぁこれなら僕はパパだよね…

 

 

「いいよ、おままごとしよっか」

 

「わーい!パパはロボ子せんせーで、ママはママね!」

 

 

おい!?何か違うぞ!?そこパパ役僕でしょ!?

 

 

「○○さん、ママ役お願いしますね?」

 

 

ロボ子さんは満面の笑みで僕にそう言ってきた、仕方ないな…まぁ子供の遊びだし…

 

 

「分かりましたよ、ママ役やりますよ…」

 

 

ここからおままごとモード

配役

子供、園児

パパ、ロボ子さん

ママ、僕

 

 

 

 

「ねーママー、パパまだー?」

 

「そうねぇ…もう少しで帰ってくると思うからもう少し待っててね?」

 

「はーい…」

 

 

パパまだかしら…?心配だわ…

 

 

「ただいま、今帰ったよ」

 

「パパー!おかえりなさい!」

 

「あらあなた…おかえりなさい、今日は遅かったのね」

 

「あぁ、○○ただいま、ちょっとな…」

 

「パパー!あそんであそんで?」

 

「こーら、パパは疲れてるのよ?また後にしなさい」

 

「いや大丈夫だ、遊ぼうか?」

 

「ちょっとあなた…」

 

「わーい!」

 

 

 

30分後

 

 

「すー…すー…」

 

「あらあら…寝ちゃったわね…全くこの子は…」

 

「たまには良いものだろ、遊び疲れて寝るのも」

 

「そうだけど…」

 

「さて…話がある…俺と離婚してくれ」

 

「…!いきなりどうしたのかしら?」

 

「簡単な話だ、お前と一緒にもう暮らせない、子供の親権は俺が持つ、慰謝料もちゃんと払うから」

 

「嫌よ!私は別れないわよ!ちゃんと理由言ってよ!」

 

「すまない…この子が寝てるのが救いだった、じゃあな…」

 

「待って…待ってよ…あなたぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

「あー!楽しかった!ロボ子せんせー、ママ、ありがとう!」

 

「ねぇまつりちゃん…これ…まつりちゃんが考えたの…?」

 

「うん!そうだよ、まつりがいっしょーけんめーにかんがえたの!」

 

「そ…そっか…」

 

「うん!あ、ふぶきんぐとあそんでくるー!」

 

 

まつりちゃんはそう言ってフブキちゃんのとこに向かっていった…

残った僕達は…

 

 

「…」

 

「…」

 

 

凄い気まずい雰囲気になった…

当たり前よね…おままごととはいえ何であんな内容をやらなきゃいけなかったのか…

 

 

「あの…ロボ子さん…?」

 

「は…はい…何でしょう?」

 

「子供の遊びですから、気にせずにいきましょ…?」

 

「そ…そうですね、○○さんのママ役やっぱり凄かったですよ、本当のママみたいでした」

 

「止めてくださいよ…僕はパパ役やりたかったのに…」

 

「でも、何時の日か本当にパパになると思いますよ?」

 

「え…?それってどういう…」

 

「ふふっ…」

 

 

ロボ子さんはその先を話してくれなかった、いじらしいというか何というか…かわいい…

 

 

 

 

 

「はーい、そろそろ帰りますよー」

 

「「「はーい!」」」

 

 

そろそろ帰る時間になったので、園児達を連れて幼稚園に戻った。

皆楽しそうだったみたいで僕達も一安心した。

 

 

「先生方、今日もお疲れ様でした、明日は休園日なので今夜飲み会を開こうと思うので良かったら参加お願いします」

 

 

飲み会か…どうしようかなぁ…

 

 

「○○さん、飲み会参加されるんですか?」

 

「ロボ子さん…ちょっと悩んでますね…」

 

「○○さんが参加するならボクも参加しようかな…」

 

 

え…それってどういう…

 

 

「ねぇ、参加しませんか?○○さん」

 

「ロボ子さんがそこまで言うなら…」

 

「それじゃ、園長先生に言っておきますね!」

 

 

まぁ、飲み会だし…普通に飲んでれば良いよね…誰も暴走して欲しくないなぁ…

 

 

 

 

 

 

「皆さん、今日はお疲れ様でした…これからもよろしくお願いします、かんぱーい!」

 

「「「「「かんぱーい!」」」」」

 

 

 

飲み会が始まった、と言っても…僕は梅酒しか飲まないんだけどね…

 

 

「○○先生、今日もお疲れ様です、どんどん飲んで下さいね」

 

「園長先生お疲れ様です、いや…僕はそこまで飲みませんよ…」

 

 

前々からこういう時に限って変な事が起きるんだよね…

 

 

 

 

1時間後

「イエーイ!皆ノッてるかー!」

 

「「「イェェェェイ!」」」

 

 

はい、案の定皆ヒャッハーしてますね…どうするかなぁ…これ…介抱し始めたらキリ無さそう…

 

「○○さぁん…のんれますかー?」

 

「ロボ子さん…えぇ、まぁ飲んでますよ」

 

 

ロボ子さんはべろんべろんになっていた、お酒弱かったのね…

 

 

「もっと飲みましょうよ○○さぁん…ぐいーっと!」

 

「ちょ…ロボ子さん…?」

 

 

ロボ子さんは無理やり僕にお酒を勧めてきた、普段の優しい彼女とは思えなく結構強引だ。

新しい一面が見れてちょっと嬉しかったりする…

 

 

「じゃあ、いただきます…」

 

 

僕はそう言いながら梅酒を飲んだ。

今回の梅酒はロック、たまにソーダ割りとかも飲むけどやっぱりロックが一番…かな…

 

 

「○○さん良い飲みっぷりですねぇ…ボクも飲もうっと」

 

 

ロボ子さんはその後赤、白ワインにビール、焼酎…とにかく色々なお酒を飲みまくった。

こんなに飲んだらどうなるか?そんなの分かりきってるよね、つまり

 

 

「気持ち悪いー…」

 

 

案の定戻されました、はい…

複数のお酒を飲むからこうなるんだよ…

 

 

「ロボ子さん、大丈夫ですか…?」

 

「うぅ…なんとか…」

 

「とりあえず、もう飲まないで下さい、危ないですから…」

 

「おやおや…ロボ子先生ダウンされたようですね…それじゃそろそろお開きにしますか」

 

 

園長先生がお開き宣言をして、その日は解散になった。

僕はというと…何故かロボ子さんのお家にお邪魔する事になった…

園長先生が送れって言うんだもの…まぁこの状態のロボ子さん放置出来なかったから良かったけど…

 

 

午前1時、ロボ子宅

「ごめんね○○さん…家まで送ってもらっちゃって…飲みすぎちゃったよ…」

 

「いえ…良いんですよロボ子さん、とりあえず水飲んでください」

 

「ありがとう…んっ…んっ…ふぅ…うん、落ち着いたかも」

 

「それは良かった、それじゃ僕はこれで…」

 

 

ロボ子さんも落ち着いたみたいだし、これでお暇しようとした。

 

 

「あ、待って○○さん…もう夜中ですよ?いくら○○さんでも帰すのは…」

 

「大丈夫ですよロボ子さん、僕は男ですし襲われませんって」

 

「皆からママと言われてるのに?」

 

「それは止めてください…とりあえず、失礼しますね」

 

「むー…なら意地でも帰しません!」ガバッ

 

「え…?」

 

 

僕は振り返るとロボ子さんに押し倒された。

 

 

「え…ちょっ…ロボ子さん!?離してくださいよ!動けませんって…」

 

「離しませんよーだ、今日はここに泊まっていってください!」

 

 

はぁ!?ここに泊まれ!?ロボ子さん何考えてるの…

 

 

「それは無理ですよロボ子さん、流石にそれはダメです…」

 

「ふーんだ、ボクは今酔ってますから?何言ってるか分からないなぁ?」

 

 

駄々っ子か…!?かわいい…じゃない、この状況なんとかしないと…

 

 

「ロボ子さん、落ち着いて考えましょう、僕は男です、ロボ子さんは女性です。万が一僕がロボ子さんを襲うなんて事あったらどうするんですか?」

 

「へぇ…○○さんはボクを襲いたいの?」ジトー

 

「い…いやそうじゃなくて…」

 

「○○さんはボクを襲いませんよ、だって優しいですもん」

 

 

どんな信頼なんだろうか…素直に喜べないなぁ…

 

 

「はぁ…分かりましたよ…分かりましたから離してください…泊まりますよ…」

 

「えへへ…ありがとう○○さん」

 

 

なんでこうなっちゃったんだろう…ただ送り届けるだけの筈だったのに…

 

 

 

 

 

 

 

「○○さん、ちょっとこっち来てください」

 

「なんですか?」

 

 

僕はロボ子さんが呼んでたので近寄った、すると

 

 

「ボクの膝に頭乗せてください♪」

 

 

膝枕してくれるとの事だった…

 

 

「あの…ロボ子さん…恥ずかしいんですが…」

 

 

僕はロボ子さんに従い、膝枕されている。

ここで拒否したら次はどんな事言われるか分からないから…

 

 

「んー?ボク分からないなぁ?それに○○さん何時も甘えられてるから、たまには甘えてくださいよ」ナデナデ

 

 

あぁ…この感じ…良い…じゃない!このままじゃ先に僕が寝てしまう!?

 

 

「あの…ロボ子さんそろそろ」

 

「ボク、○○さん好きですよ」

 

 

え…今なんて…?

 

 

「あの…ロボ子さん…?」

 

「んー?このまま寝ちゃいましょうか、ボクは大丈夫ですから」

 

 

何も言えない雰囲気になってしまった…

 

 

「おやすみなさい」

 

「はい、おやすみなさい…」

 

 

僕も…大好きですから…

 

 

 

 

 

午前3時

「ん…」

 

 

寝ちゃってたみたい…そっか、ボク○○さんを膝枕しながらだったのか…

 

 

「すー…すー…」

 

 

可愛い寝顔…見てると本当に男の人って思えないなぁ…そんな事言っちゃったら怒るかもなぁ…○○さん…

 

 

「ロボ子…さん…好きです…」

 

「…!ありがとう○○さん、嬉しいよ…」

 

 

こんな時間味わえるなら…無理に飲んだ甲斐があったかな…えへへ…

 

 

「おやすみなさい、○○さん…」

 

 

 

 

 

 

「う…うーん…ここは…そうか、ロボ子さんの家に泊めてもらって…」

 

「あ、○○さんおはよう、よく眠れました?」

 

「あ…ロボ子さんおはようございます…まぁ…はい…」

 

 

ロボ子さんは先に起きてたみたいだ…本当に泊まっちゃったよ…どうしよ…

 

 

「さて、○○さんにあんな事されちゃったしどうしようかなぁ…?」

 

「え…!?僕何しました…?え…?」

 

「んー?内緒です♪」

 

「ちょ…ロボ子さん!?」

 

「ほらほら、早くしないと幼稚園に間に合いませんよ」

 

 

僕はロボ子さんに押されながら、ロボ子宅を後にした…

 

 

 

 

 

 

 

その後家に帰った僕は、すぐ支度をして幼稚園に向かった。

ロボ子さんの言葉も気になるけど、まずは仕事しないと…

 

 

「みんなー!おはよう!」

 

「「「おはよー!ママー!」」」

 

「だからママはやめいって…はぁ…まぁ、元気があって何よりだよ」

 

「○○さんおはようございます」

 

 

皆からのママ扱いにため息をついてた僕に、ロボ子さんが話しかけてきた。

 

 

「あ…ロボ子さんおはよう…ございます」

 

「どうしたんですか?ちょっと顔赤いですよ?」

 

 

ロボ子さんはからかうように僕に言ってきた。

だって…今朝の事思い出しちゃったから…

 

 

「ほらほら、皆が見てますよ?頑張ってください」

 

 

ロボ子さんは耳元でそう言った…頑張りますよ、えぇ…

 

 

「あー!ママとロボ子せんせーいちゃいちゃしてるー」

 

「いちゃいちゃー!いちゃいちゃー!」

 

 

園児達が茶化してきた…やめてくれ…

 

 

「ママー、ロボ子せんせー、おしあわせにー!」

 

「皆待って!?僕とロボ子さんはそんな関係じゃ…」

 

「ありがとう皆、幸せになるね♪」

 

 

えぇ!?ロボ子さんまで何を…

 

 

「ちょっ…ロボ子さん!」

 

「ほらほら、園児達と遊びますよ○○さん」

 

「あ…待ってくださいよロボ子さーん!」

 

 

何か凄い振り回されてる感があるけど…嫌いじゃないな…

ロボ子さんが僕の事本当に好きなのか分からないけど…今はこの距離感が心地良いかも…

 

 

「「「ママー!早くー!」」」

 

「だからママはやめい!まったく…」

 

 

ママか…抵抗無くなってきちゃったけど…まぁ良いか…

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます
次いつ投稿出来るか分かりませんが、なるべく早く頑張りますゆえ…
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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君の笑顔が見たくて

お久しぶりです、お菓子です
結局1ヶ月後ですねぇ…更新出来たの…
まぁ、近日にまたすぐ投稿しますので…お待ちください…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


「行ってらっしゃい!今日も頑張ってね!」

 

 

俺の一日はこの言葉から始まる

俺は○○、普通の会社員だ

さっきの声はロボ子、俺の…彼女だ

高校1年の時から付き合ってる、今年で7年経つ。

そんなに付き合ってるなら結婚しないのか?って質問が出てくると思う、俺もそうしたい。

だがな、俺の仕事は…

 

 

「○○、来週から北海道に出張だ」

 

「はい、分かりました…」

 

「今回は1ヶ月は向こうに居てもらう」

 

「そんなにですか」

 

「頼んだぞ」

 

「分かりました…」

 

 

俺はしょっちゅう出張に駆り出される、仕事が出来るからあちこちに行かされるんだな…

そのせいか、俺は地元に住んでるのに全然滞在出来ていない

ロボ子は地元の会社のOLをしている

可愛いからなぁ…社内でも人気が高いそうだ

それでもロボ子は渡さないぞ、俺の彼女だ

 

 

「また出張かぁ…ロボ子になんて言おうか」

 

 

俺は帰り道、そんな事をボヤいていた

 

 

「ただいまー」

 

「あ、おかえりなさい!お風呂とご飯の準備出来てるけどどうする?」

 

「んー、先に風呂入ってくるよ」

 

「分かった、一緒に入る?」ニヤニヤ

 

「バーカ、そんな事出来ないくせに言うもんじゃないぞ」

 

「ちぇっ…」

 

 

ロボ子はからかってくる割には、風呂も一緒に入れない程の奴だ、前にからかい返した事があったがその時は顔を真っ赤にしてちょっと涙目でプルプルしてたな…これが可愛いんだ

 

 

チャポン「ふぅ…何時言おうか迷うな…」

 

 

俺は湯船に浸かりながら何時ロボ子にまた出張に行く事を伝えるか悩んでいた

この仕事に就いてから出張がもう15回を超えている、ロボ子はもう慣れたって言ってくれてるが、俺が出張に行く事を伝えると毎回寂しそうにする。

だからなるべく出張になんか行きたくないんだが…それでも行かないといけないのが辛い

 

 

「とりあえず、ご飯食べた後に言うか…」

 

 

俺は風呂から上がり、リビングへ向かった

 

 

「お湯加減どうだった?」

 

「あぁ、丁度良かったよ、ありがとうな」

 

「えへへ…じゃあご飯食べよ?今日はビーフシチューだよ」

 

「美味そうだな…じゃあ、いただきます」

 

「いただきます」

 

 

おぉ、このお肉スプーンでほぐれる…よく作り込んでくれたんだな…

それにやはり美味い、赤ワインも使ってくれてる

ロボ子は最初の頃料理は上手くは無かった、だが俺に美味い料理を食べてほしいとの事で猛勉強したそうだ

本当によく出来た彼女だよな…それなのにまた俺は悲しませる事になると思うと…心が痛い

 

 

「ねぇ、どうしたの?元気無いけど」

 

「ん?あ、あぁちょっとな…」

 

「もしかして、出張…?」

 

 

もう何度も俺が出張に行ってるんだ、流石に察するか…

 

 

「あぁ、また出張に行く事になった、今度は北海道だ」

 

「そっか…お仕事だもん、仕方ないよね…ボクの事は大丈夫だから頑張ってきて?」

 

 

ロボ子は大丈夫と言ってるが、それは痩せ我慢だ

出張5回目までの時なんて、泣いて叫んで止めにきたからな…もう回数が回数だから泣かなくなったんだろう

 

 

「ごめんなロボ子、毎回出張になっちゃって」

 

「大丈夫だよ、何年彼女やってると思ってるの?」

 

「ロボ子…」

 

「さぁ、ビーフシチュー冷めちゃうよ?食べて食べて」

 

 

俺達はそこで会話を終わらせ、食事を済ませた

 

 

 

 

食事が終わり、そろそろ寝ようとしたが、俺の部屋の布団が無い

え…俺地べたで寝るの?

 

 

「なぁロボ子、俺の布団無いんだけど?」

 

「…」

 

 

ロボ子は何も答えなかった

 

 

「まぁいいや、おやすみロボ子」

 

 

俺はそう言い寝室に向かおうとした、しかし後ろから服を引っ張られる

 

 

「ロボ子…?」

 

「今日は…一緒に寝たいな?」

 

「…は?」

 

「だって…出張行っちゃうんでしょ?たまには一緒に寝たい」

 

 

やっぱり寂しいんじゃないかロボ子…

 

 

「分かった、一緒に寝ようか」

 

「うん!」

 

 

 

 

最後に一緒に寝たのは何時だろうか?軽く2ヶ月は一緒に寝てないな

え?一緒に住んでるなら毎日一緒に寝てるだろって?

だからさ、俺が出張ばっかりだから少しでも慣れる為に別々で寝てるんだよ

 

 

「久しぶりだよね、一緒に寝るの」

 

「そうだな」

 

「えへへ…でも暑いね…」

 

「そりゃそうだろ、今6月なんだしさ」

 

「そうだね、6月だもんね…暑いね…」

 

「今度の出張はどれくらいなの?」

 

「1ヶ月はかかるらしい」

 

「そっか、1ヶ月か、長いね」

 

「毎回ごめんな?」

 

「大丈夫だよ、向こうでもちゃんと食べてよ?」

 

「あぁ、分かってる」

 

「うん、じゃあおやすみ」チュッ

 

「あぁ、おやすみ」

 

 

 

翌日

目が覚めるとロボ子はもう起きていた、時間は6時を回ったところ

普段は俺の方が早く起きるんだが…

ちなみに、出張に備えて今週の残りは休みになっている

と言っても今日は金曜日、土日を挟んで月曜には北海道だ…

 

 

「あ、起きたんだね、おはよう!」

 

 

ロボ子は元気に挨拶をしてきた、ピンクのエプロンをしてる辺り朝ご飯を作ってくれてるのだろうか?

 

 

「あぁ、おはようロボ子」

 

「今日はお仕事?」

 

「いいや、今日は休みで土日も休みだよ、そして月曜から…」

 

「そっか、じゃあ残り3日間一緒に居たいな?」

 

「今日仕事じゃないのか?」

 

「有給使うもん、大丈夫」

 

「そっか、んじゃ一緒に過ごそうか」

 

「じゃあ、残りの日全部一緒に寝よ?」

 

「それくらいお易い御用さ」

 

「後お風呂も」

 

「それはダメだ」

 

 

いくら一緒に寝てるといっても、風呂はダメだ

ロボ子は抵抗無いっぽいが俺が恥ずかしくてな…

 

 

「ちぇっ…残念だなぁ…」

 

「とりあえず、朝ご飯出来てるから食べよ?」

 

「そうだな、食べるか」

 

 

今日の朝食はシンプルなものだ

焼き鮭に野菜サラダ、そして味噌汁に漬け物

 

 

「今日はどうするんだ?」

 

「今日は洋服買いたいなって」

 

「分かった、行くか」

 

 

朝食を食べ終え、準備をし始める

どの店に行くのかは聞いてないので、そこはロボ子に任せるかな

 

 

「ロボ子、準備出来たか?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「んじゃ、行くか」

 

 

 

 

ロボ子は凄く楽しそうにしていた、店の場所を聞いてもはぐらかすばかりだ

 

 

「到着!」

 

「ここって…」

 

 

着いた先は、洋服屋なにさー、俺が予想していたのは近くのデパートホロライブだった…

 

 

「ロボ子、ここで良いのか?」

 

「うん、ここの洋服好きなんだ」

 

 

ロボ子はそう言って洋服を漁りにいった、俺は荷物持ちだ

 

 

「これと、それと…あ、アレも良いかも!」

 

「ロボ子、急がなくても良いんだぞ?」

 

「ううん、急がなきゃだよ…一緒に居れる時間は限られてるんだから!」

 

 

ロボ子…だからと言って俺が埋もれるくらい集めるのは…ちょっとアレじゃないか…?

 

 

「ふぅ…とりあえずこんなもんかな…ってあれ?○○?どこ?」

 

「ここだよ…」

 

「あっ…ごめんね?」

 

「大丈夫…とりあえず、この中から決めるのか?」

 

「うん、大体3着ぐらいにしようかなって」

 

 

3着ね…この膨大な衣服の中からか、大変だな

 

 

「決めた、この3着にする」

 

「え、早いな…本当に良いのか?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

 

ロボ子が選んだのは水色のワンピース、オレンジのパーカー、そしてピンクの下着だった…

前者2つは良いけど最後のは見せなくても良いんだぞ…?ロボ子…

 

 

「じゃあ、買ってくるね」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

ロボ子は駆け足でレジに向かった、そこまで急がなくても良いのに…

 

 

「ただいま」

 

「おかえり、次はどこ行くんだ?」

 

「今日はもういいや、帰ろう?」

 

「良いのか?まだ12時回ったばかりなんだけど」

 

「良いの!ボクの手料理食べて欲しいんだもん…」

 

 

確かに出張に行ってしまえば手料理が食べれなくなるか…

 

 

「分かった、じゃあ帰ろうか?食材はまだあったか?」

 

「あ、ちょっと少なくなってたね…少し買って行こっか」

 

 

俺達は帰りにスーパーに寄って帰宅した

 

 

 

「ただいまー!少しと言いつつ沢山買っちゃったね」

 

「ただいま、まぁ良いと思うぞ?沢山美味いの食えると思うと俺も楽しみだし」

 

「えへへ、腕によりをかけて作るよ♪」

 

 

ロボ子はそう言って張り切って昼ご飯を作ってくれた

本当に張り切り過ぎて豪勢になっててちょっと食べるのを躊躇ったが…全部平らげた

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末さまでした」

 

「ふぅ…食べたから少し眠くなってきた…」

 

「お昼寝する?」

 

「そうだな…ちょっと昼寝するか」

 

「じゃあボクも寝る」

 

「2人で昼寝だな」

 

「うん、それじゃあおやすみ」

 

「おやすみ」

 

 

思えばここで寝てしまったのが失敗だったのかもしれない…

 

 

「ん…んん…今何時だ…?」

 

 

時間を確認するとまだ15時だった、と思っていた

まさかの翌日の15時であった

 

 

「え…もう土曜日の…15時!?寝過ぎじゃん!?」

 

「あ…○○やっと起きたんだね…」

 

 

振り向くとロボ子は凄い不貞腐れていた、当たり前だ…ほぼ24時間丸々寝ていたのだから…

 

 

「ロボ子…おはよう…あの、その、ごめん…」

 

「別に良いもん、寝てる○○ずっと見てたから」

 

「本当にごめん」

 

「じゃあ明日はお祭り行きたいなぁ」

 

「祭り?」

 

「うん、ちょっと早い夏祭りなんだって」

 

「分かった、それじゃ明日は夏祭りに行こう」

 

「うん!」

 

 

こうして明日夏祭りに行く事になった、今日はこのまま家でのんびり過ごす事にした

既に15時回っていて出かけてもすぐ帰る事になるからな…

 

 

「にゃ…にゃぁ…」

 

「えへへ…○○可愛い」

 

 

突然の事で驚いてると思う、俺も困惑してる

今丸々1日寝てしまったお詫びとして俺は猫の物真似をさせられている、それをロボ子が愛でているって感じだ…

 

 

「ロボ子…もう恥ずかしいにゃ…」

 

「ロボ子、じゃなくてママ、でしょ?」

 

「うぅ…ママ…恥ずかしいにゃ…」

 

「まだ止めちゃダメだよ?もっと楽しみたいもん」

 

「にゃぁぁ…」

 

 

それから夕飯までずっと猫の物真似をさせられた…すっごく恥ずかしかった…

 

 

「ごちそうさま…」

 

「大丈夫?○○」

 

「なんとかね…」

 

「今日は早く寝よっか?」

 

「そうだな…24時間寝たのにまだ眠いのはヤバい気もするけど」

 

「大丈夫じゃないかな?眠れないならボクをギュッてしてくれてても良いよ?」ニヤニヤ

 

「そこは…その時に考えるよ…」

 

「それじゃ、お風呂入ってきて?片付けはしておくから」

 

「あぁ、ありがとう、入ってくるよ」

 

 

 

風呂はちょっとぬるめだった、暑くなる時期だからあまり熱いと汗が凄い、だから助かった

 

 

「あ、上がったんだね、冷たいのあるから飲んで」

 

「ありがとうロボ子」

 

 

俺はロボ子に入れてもらった飲み物をグイッと飲んだ

うん…美味しい…

 

 

その後は何も無く寝る事が出来た、ロボ子の体温がより眠気を引き出してくれたのだろうか…

 

 

午前9時、起きた時にはロボ子は既に居なかった

リビングに向かうと書き置きがあった、16時まで戻らないそうだ

一緒に居るって言ってたのにこれはちょっと悲しかった…

 

 

 

 

15時半、ロボ子が戻ってくるまで残り30分となった

俺はその間1人で食事を摂っていた…

朝ご飯はロボ子が作り置きしてくれていたのでそれを食べた

昼ご飯は…俺しか居ないからな、久々にラーメンを食べた

 

 

30分後

「ただいまー!」

 

 

ロボ子が帰ってきた

 

 

「おかえり…ってその格好は…」

 

「えへへ…ごめんね?どうしても着付けして欲しくて…」

 

 

ロボ子が長時間外出していたのは、浴衣の着付けをしてもらっていた為だったらしい

それならそうと言ってくれれば…

 

 

「綺麗だよ、ロボ子」

 

「えへへ…ありがとう○○」

 

「それで、何時祭りに行くんだ?そろそろか?」

 

「うん、着付けもしてもらったからもう行けるよ」

 

「そうか、じゃあ行くか?祭りに」

 

「うん!」

 

 

 

夏祭り会場に到着した

俺の格好は普段着だ、そんな準備する程でも無いと思ってたし

 

 

「○○!何から食べる?」

 

 

ロボ子は屋台を見ながら俺の腕を引っ張ってきた

 

 

「そうだなぁ…焼きそばとかどうだ?」

 

「焼きそば!食べる♪」

 

 

ロボ子ははしゃいで買いに行った、まるで子供のように

 

 

「おいおいロボ子、気を付けろよ?」

 

「大丈夫だよ!ボク出来る女だもん♪」

 

 

すまんロボ子…フラグに聞こえる…

 

 

「おじさん!焼きそばください!」

 

「あいよ、500円」

 

「えっと…財布…あれ…?財布が無い…」

 

 

言わんこっちゃない…

 

 

「あーおじさん、500円だよな?頼みます」チャリン

 

「毎度あり」

 

 

 

「○○…ごめんね…?」

 

「心配するなって、ほら食べよう?」

 

「うん…」

 

 

ロボ子はそう言い焼きそばを食べた

 

 

「美味しい!?これすっごく美味しいよ!」

 

「それは何よりだ」

 

「○○も食べて?ほら!あーん」

 

 

ロボ子…それ間接キス…

なんて言えずに俺は口を開いた

 

 

「あむ…ん、確かに美味いなこれ」

 

「でしょ!これならもう1つ買えば良かったなぁ…」

 

「でもさロボ子、まだ屋台は沢山あるんだし焼きそばでお腹一杯にしたら勿体無いだろ?」

 

「あ…それもそうだね、残念だけど…」

 

「じゃ、次の屋台でまた何か食べるか」

 

「うん」

 

 

それから俺達はお好み焼き、唐揚げ、じゃがバター、チョコバナナ、かき氷と様々な屋台で買い食いをした

どこの屋台も美味しく、量もそれなりにあった

 

 

「○○…もうお腹いっぱいだよ」

 

「そうだな…俺も満腹だ」

 

「ねぇ、○○は楽しめた?」

 

「俺は楽しめたぞ、ロボ子は楽しめたか?」

 

「…うん、ボクも楽しめたよ」

 

 

ロボ子は即答しなかった

 

 

「ロボ子…?」

 

「…はぁ、楽しい時間はあっという間なんだね」

 

 

ロボ子は、涙を流しながらそう言った

 

 

「ダメだなぁボク…今日は楽しく過ごして明日笑って見送りたかったのに…どうしても涙が出ちゃうよ…」

 

「…」

 

「ねぇ○○、本当に出張は行かなきゃダメなんだよね…?」

 

「…あぁ、本当に…ごめん」

 

「謝らないでよ、○○が頑張ってるの、ボク知ってるんだから」

 

「ロボ子…」

 

「それでも1ヶ月は寂しいなぁ…ねぇ、毎日メールしても良い?声も聞きたいよ…」

 

「あぁ、良いぞ…メールも、電話も」

 

「ありがとう…」

 

 

ロボ子はそう言って、俺に抱きついてきた

俺の背中に回してる手が、微かに震えているのが分かる

俺はそんなロボ子をそっと抱きしめ返した

 

 

「○○…○○…!」

 

 

ロボ子はそれから泣き続けた、俺の服はロボ子の涙で濡れていった

 

 

 

「ごめんね○○、沢山泣いちゃって」

 

「良いさ、泣きたい時は思いっきり泣いてくれよ」

 

「うん…」

 

「時間もあれだし、帰るか?」

 

「うん」

 

 

俺達は帰ろうとした、その時にロボ子の草履の鼻緒が切れてしまった

 

 

「あっ…」

 

「あぁ、これは切れちゃってるな…ロボ子、おんぶしてやるから乗っかって?」

 

 

俺はロボ子をおんぶする為しゃがんだ

 

 

「は、恥ずかしいよ…」

 

「でもこのままじゃ歩けないぞ」

 

「…分かったよ」

 

 

ロボ子は渋々了承し、俺の背中に抱きついた

 

 

「よっと…ロボ子、あれだけ食べたのに全然軽いぞ?ちゃんと食べてるんだよな?」

 

「ちゃんと食べてるもん…重いよりは良いでしょ?」

 

「そこは気にしないさ…ほら、ちゃんと掴まって」

 

「分かった」

 

 

ロボ子は俺の首に両腕を回した、背中越しにロボ子の体温を感じる

 

 

「なぁロボ子」

 

「どうしたの?」

 

「あぁいや…やっぱり何でもないよ」

 

「気になるじゃん…言ってよ」

 

「…やっぱり言えない、また今度な」

 

「ぶぅ…」

 

 

その後は他愛もない話をしながら帰宅した

ロボ子は疲れたのか着替えたらすぐ寝てしまった

幸せそうに寝息をたてている

 

 

「ロボ子、俺な…さっきは言えなかったんだけど、出張から帰ったら本当は言いたかった事があったんだ…でも、今なら良いよな…?」

 

 

俺はロボ子の頭を撫でながら続ける

 

 

「俺とロボ子が付き合い始めてもう7年だ、歳も大人になってるし、そろそろかなって思った」

 

「ロボ子、俺と…結婚してくれ」

 

 

俺はそう言い、ロボ子の頬にキスをした

 

 

「ま…まぁ…まだ面と向かって言えないから、こんな時にしか言えないけどさ、良い夢見てくれな、おやすみ」

 

「…」

 

 

 

出張の日の朝、俺は目覚める、時間は午前4時半

凄い早いがこれぐらいにはもう準備しなければ間に合わない

ロボ子はまだ寝てるようだ、俺はロボ子を起こさないように寝室を後にした

 

 

「必要な物はこれで全部か…次に帰るのは…1ヶ月後…もっと早く帰れると良いんだが仕方ない、行ってくるか」

 

「○○」

 

 

振り向くとそこにはロボ子が居た

 

 

「おはようロボ子、起こしちゃったか?」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「そっか、俺もう出張に行ってくるな」

 

「○○!」

 

 

ロボ子は俺に抱きついてきた、昨日のような震えは無いみたいだ

 

 

「帰ってきたら、楽しみにしてるね?結婚の話」ボソ

 

「!?ロボ子お前それ」

 

 

俺のその後の言葉は出なかった、口を口で塞がれた

 

 

「えへへ…行ってらっしゃい!」

 

「まったく…あぁ、行ってきます」

 

 

 

あの夜の話を聞かれていたのは恥ずかしかったが、これで帰ってきた時にすぐ話せるのかな…

俺も実績積み上げてきてそろそろ次の役職になってもおかしくない、そうしたら出張に行く回数も減ってくれれば良いなって思ってる

出張に行く回数が減れば必然的にロボ子との時間も増えるから…

 

 

 

 

 




ありがとうございますm(_ _)m
とまぁ、今回はこんな感じですね…
時期が完全にズレてるじゃないか…って思ってる方居るかもですが、書いてる自分も思ってましたので…
ではでは、次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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黒いあの娘は高圧的?by黒上フブキ

どうもです、この話は前から書いており実は前回投稿した話より先に完成していた話になってます。
何故投稿が逆になったか?
この10月5日は、ホロライブ所属1期生の白上フブキちゃんの誕生日なのです。
あれ?お菓子前にもフブキちゃんの話書いたよな?って?
書きましたね…なので今回はフブキちゃんはフブキちゃんでも別のフブキちゃんを書きました。
意味が分からない?そんな方は是非お調べになってくださいませ…
自分は欲望出しながら小説を書くだけでございます…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


俺は白上○○、16歳の高校1年だ。

妹が1人と、両親の4人家族だ

妹の名前はふぶき、5歳だ。

よく「おにぃちゃん〜」って甘えてくる、可愛い妹なんだ。

 

「○○、そろそろ支度をしなさい」

 

そうだった、俺は今日学校に行かないといけないんだった…

今日は日直だから少し早目に家を出なければいけない

 

「おにぃちゃん…もういっちゃうの?さみしいよ…」

 

あぁ…可愛いなぁふぶきは…出来ればずっと一緒に居てやりたいが…学校休むのはダメなんだ…

 

「ふぶき、ごめんな…兄ちゃん学校行かなきゃだから…帰ってきたら遊ぼうな」

 

「うん…いってらっしゃいおにぃちゃん!」

 

 

 

 

さて、早く行こう…

 

 

 

学校まで半分の距離まで来た、実はこの近くに近道があるんだ…そこを通ればもっと早く着ける…使うか…

この近道は割と入り組んでるが、普通に進むよりは早く済む。

っと…そろそろ抜けるな…

 

 

キキーッ…ガシャン!

 

 

飛び出した俺と、自転車が激突した…

 

 

「痛っつつ…」

 

「おい貴様…死にたいのか?馬鹿なのか?急に飛び出してくるな」

 

 

自転車の持ち主であろうその女性は、辛辣な口ぶりで俺に言ってきた

 

 

「あ…悪い…急いでたからさ」

 

「フン…次から気を付ける事だな…死にたくなければ」

 

 

自転車の持ち主はそのまま自転車で去っていった…

 

 

「俺が悪いのは分かるが…ちょっと口悪くないか…?ふぶきにはあんな成長はして欲しくないな…」

 

 

そんな事をボヤきながら、俺は学校に向かった

 

 

 

 

 

「おーっす」

 

「あ、白上君おはよう」

 

「あぁ、夜空か…おはよう」

 

 

俺の挨拶に反応したのは隣の席の夜空メル、八重歯が出てて可愛い。

しょっちゅうアセロラジュースを飲んでおり、口から垂れていると血でも吸ったのか!?と誤解される時もあるらしい。

アセロラジュースで誤解されるってどんだけなのか…

 

 

「朝から疲れてるね…アセロラジュース飲む?あげるよ?」

 

「いや大丈夫、自分で飲みなよ」

 

「そう?じゃあ飲んじゃうね、ちゅぅぅぅぅ…」

 

 

夜空って見た目可愛いのにアセロラジュース飲む時何故か血を吸うみたいに見えちゃうんだよな…それがまた堪らない奴もいるとかだが…

俺か?まぁ可愛いとは思うが…トキメキは無いな…うん…

 

 

「白上おっはー、朝黒様に遭遇しちゃったんだね」

 

「あぁ…お前か…夏色」

 

 

こいつは夏色まつり、割とグータラやってる女子だ、よく俺の家に来てふぶきと遊んでる。

そして…何故か胸に対しての執着心が凄い、何故か?本人がぺった…どこかから殺意を感じた…止めとこう…

 

 

「んで?黒様って何だよ?」

 

「白上知らないの?黒上フブキ様、通称黒様だよ」

 

「フブキ!?妹と同じ名前なのか…へぇ…」

 

「あの方は同じ学年なんだけど、とても同い歳とは思えないんだよねー、威厳というか風格というか…凄いんよー、そして黒様に関わった人は皆…大変な目に遭うんよ」

 

「大変な目…?って何だよ?」

 

「さぁ?それは関わった人それぞれ違うらしいからねー、ドブに落ちる程度もあれば骨折したとかも…まぁ、白上も気を付けなー」

 

「あぁ…ありがとな…」

 

 

夏色から忠告を受けたが、やはりにわかには信じられない…何だよ大変な目って…

 

 

予鈴が鳴り、授業が始まる

俺はさっき夏色が言ってた事が気になり、授業に集中出来なかった。

 

 

 

 

昼休み、俺は食堂で昼食を摂ることにしてる

弁当を持ってくる事もあるけど、親はふぶきの世話もあるから無理せず食堂が楽って訳だ。

 

 

「今日は何食べるか…うどんも良いな…でもやっぱり定食か…」

 

「おばちゃん、日替わり定食」

「日替わり定食を頼む」

 

 

「え…?」

 

「む?貴様は…今朝自転車にぶつかってきた馬鹿ではないか」

 

 

ぶつかった俺が悪いのは分かるが、それでも馬鹿呼ばわりは癪に障るな…

 

 

「お前が…黒様ってやつなのか…?」

 

 

俺は少し躊躇いながらも聞いてみた

 

 

「ふむ…あまりその呼び名は好かんのだがな…そうとも、私が黒様こと、黒上フブキよ…」

 

「へ…へぇ…あの黒様がこんなべっぴんさんとはな…驚いたよ」

 

「フン…世辞などいらぬ…まぁ、私に関わらぬ事だ…」

 

 

黒様、いや…黒上フブキはそう言い残しその場を後にした

 

 

「はぁ…マジか、アレが黒様ねぇ…」

 

 

俺はボヤきながら定食を食べた

 

 

 

 

午後の授業は、とりあえず聞いてる感じで終わった

黒上フブキか…何か見た事あるような気がするけど…

 

 

放課後

「白上君、今日どこか遊びに行かない?」

 

「すまん夜空、妹迎えに行かなきゃいけないからパスさせてくれ」

 

「そっか…じゃあまたね!」

 

 

俺は夜空の誘いを断り、ふぶきの居る幼稚園に向かった

 

 

「すいません、白上ふぶきの兄ですが…」

 

「あぁどうも、ふぶきちゃーん!お兄ちゃんが迎えに来てくれたわよー」

 

「あ!おにいちゃーん!」ダッ

 

ゴスッ「お…おぉ…ふぶき、良い子にしてたか?」

 

「うん!ふぶきいいこにしてたー!」

 

「そっか、偉いぞ」ナデナデ

 

「えへへー」

 

「それじゃ、先生に挨拶して帰ろうか」

 

「うん!せんせー!さようなら!」

 

「はいさようなら、またね」

 

 

俺はふぶきと一緒に家に帰った、その帰り道…

俺達は黒上フブキを見かけた

 

 

「ねぇおにいちゃん、どうしたの?」

 

「ん?あぁ、何でもないよ、帰ろうか」

 

 

俺は何も見なかった事にして帰ろうとした、しかし

 

 

「おいおい、人の事見かけておいて何も無しか?貴様薄情だな」

 

「黒上…よ…よお、奇遇だな」

 

「そうだな、奇遇だな、む?そっちは……!?」

 

「あ!フブキちゃんだ!こんにちは!」

 

 

ふぶきは黒上に挨拶をした、そこは良い…だが、何で黒上の事を知っている…!?

 

 

「ふぶき、このお姉ちゃん知ってるのか?」

 

「うん!フブキちゃんはとおいしんせきのおねぇちゃんなんだよ!さいきんひっこしてきたんだって!」

 

「は!?親戚!?いや…俺は知らないんだけど…」

 

「しらないのもむりないよ、フブキちゃんずっとひきこもりさんだったらしいもん」

 

「お…おいふぶき…それ以上は…」

 

「フブキちゃんね、とってもかわいいんだよ!おへやのなかぬいぐるみでいっぱいなの!」

 

「へ…へぇ…ぬいぐるみ…ね…」

 

 

俺はいきなりの情報量に頭が痛くなった…黒上が親戚?それでいて引きこもりだった?更にぬいぐるみがいっぱい…そう考えると可愛く思えてきた…

 

 

「や…やめろ!そんな目で私を見るな!」

 

「いや…その…本当に親戚なのか…?」

 

「そ…そうだ…私は従姉妹にあたるな…うむ…」

 

 

マジか…これ学校で顔合わせる度に気まずいぞ…?

 

 

「そ…そうか…」

 

「う…うむ…」

 

 

重い…空気が重い…

 

 

「ねぇおにぃちゃん、フブキちゃんつれてかえろうよ!」

 

「え?ふぶき何言ってるんだ?」

 

「だめ?」

 

 

うっ…そんな顔しないでくれよふぶき…

 

 

「わ…分かったよ…黒上、お前さえ良ければ…来るか?」

 

「な…何を言うか…私は別に…」

 

「フブキちゃん、きてくれないの?」

 

 

ふぶき…そのつぶらな瞳はダメだ…可愛すぎる…

 

 

「うっ……分かった、では寄らせてもらう…」

 

 

こうして、黒上を家に招く事になった…

 

 

白上家

「ただいまー!」

「ただいま…」

「邪魔する…」

 

「おかえり、あら…?あなたは…」

 

「ど…どうも、黒上フブキです…」

 

「あら〜黒上さんのところの娘さんね!こんな綺麗になって…!」

 

「あ…あぅ…」

 

 

黒上は俯きながらモジモジしていた

 

 

「なんだ黒上、トイレ行きたいのか?」

 

「馬鹿者!そんなのでは無いわ!」

 

「○○…デリカシー無さすぎよ…息子ながらに悲しいわ…」

 

「おにぃちゃん…」

 

 

待ってくれふぶき…お前にも引かれたら俺は…

 

 

「とりあえず、上がって上がって!」

 

「お邪魔します…」

 

 

まぁ、とりあえず団欒からかな…

 

 

父帰宅後

「ガッハッハッ!そうかあの黒上さんとこの嬢ちゃんか!こんなに綺麗になったんだ、貰い手なんてわんさかだろうなぁ」

 

「い…いえ、そんな事は…」

 

 

さっきとは違って凄い大人しくなってるな…まぁ元引きこもりらしいし、仕方ないのか…?

 

 

黒上は両親の質問攻めに疲れていた、そりゃ久々に会うんだ、話を聞きたくなるのも分かるが…

 

 

「黒上、大丈夫か?」

 

「な…何…これしきの事…平気よ…」

 

 

痩せ我慢だ、実際黒上の顔は青くなってる。

何かごめんな、黒上…

 

 

「○○ー、フブキちゃんに泊まっていくように伝えてあげて、あちらの御両親には話つけてあるから」

 

「あぁ、分かった」

 

「おーい、黒上今日泊まっていけってさ、お前の両親にも話してるらしいぞ」

 

「何…?いや、私は帰るぞ」

 

「いやもう外暗いし…帰るの危ないぞ?」

 

「し…しかし…」

 

「フブキちゃん、いっしょにねよう?」

 

「うっ…」

 

「ダメ…?」ウルウル

 

 

ふぶき…いつの間にそんな技術を身に付けたんだ…5歳なのに恐ろしい妹よ…

 

 

「わ…分かったからそんな顔しないでくれ…泊まるよ…泊まるから…」

 

「わーい!やったー!」

 

 

とりあえず、良かったのか…?

 

 

「じゃあ、おにぃちゃんもいっしょにねよ!」

 

「え…?俺もか!?いやダメだろ…黒上も居るんだし…」

 

 

流石にダメだ…ふぶきだけならまだ寝れたが、黒上も居るんだ…難癖つけられるのもごめんだ…

 

 

「そ…そうだぞふぶき、私もこんな奴と一緒に寝るのは…」

 

「もぅ…フブキちゃんはだまってて!おにぃちゃんとはなしてるの!」

 

 

ふぶきが反抗した!?

え…初めてだぞこんなの…

 

 

「おにぃちゃん!いっしょにねるの!」

 

「ふぶき…ふぶきはまだ小さいから分からないかもだけど、ふぶきは女の子、黒上も女の子、俺は男の子なんだよ、本来は一緒に寝るのはダメなんだ…分かってくれ」

 

「うぅ…おにぃちゃんなんてきらい!」ダッ

 

 

嫌い…か…泣きそう…

 

 

「黒上…ふぶきの事…頼んだ…」

 

「あ、あぁ…その、大丈夫か…?」

 

「ん?大丈夫だが?」

 

「そうか…なら良いが…」

 

 

 

 

結果、俺はふぶきに嫌われた…が、一緒に寝るのは回避した

ふぶきは黒上と一緒に寝る事になった、俺は寝室で一人だ。

悲しくないぞ…?涙なんて…流してない…グスッ

 

 

(フブキちゃーん!にゃふー!)

(お、おい止めろふぶき…ちょっくすぐったい…)

 

 

楽しそうだなぁ…でも良いんだ、間違いなんて起きたら大変だからな…

いや、従姉妹と間違いなんて…ヤバいだろ…

 

 

 

 

「ん…今何時だ…?」

 

 

俺は何時の間にか寝ていた

ふぶき達は…楽しくやってたのかな…

 

 

「おはよう」

 

「おにぃちゃんおはよう」ムスッ

 

「おはよう白上」ゲッソリ

 

「お前ら…何があった…?」

 

 

起きて二人に挨拶したが、黒上は疲れてる様子で、ふぶきは拗ねていた…

 

 

「フブキちゃんすぐねちゃってつまんなかった…」

 

「いや…ふぶきがあったかくてだな…その…」

 

 

あぁ…そういう事ね

 

 

「ふぶきはあったかいからなぁ…寝ちゃうのも分かるぞ、うん」

 

「そうなんだよな!もうあったかくてな…最高なんだ…」

 

「あらあら、二人して凄い会話ねぇ…なーに?夜は楽しめたのかしら?」

 

 

黒上とふぶきのあったかさトークをしてると、母さんが来た、そこまでは良い…なんだよ楽しめたとかさ!?

 

 

「母さん…黒上は従姉妹なんだぞ…?間違い起きたらダメだろ…?」

 

「あら、従姉妹じゃなかったら間違い起きても良かったみたいな言い方ね?」

 

「なっ!?おい白上貴様…!」

 

「ち、違うわ!俺は例え話をしただけで…」

 

「おにぃちゃんとフブキちゃんかぞくになるの?そしたらいっしょにすめるね!」

 

 

ふぶき…何故お前はそんなにノリノリなんだ…?

 

 

「誰がこんな奴と家族になるもんか!?」

 

「そ…そうだ!俺だって流石に嫌だわ!」

 

「そ…それにそういうのはもっと段階をだな…」ボソボソ

 

「ん?黒上何か言ったか…?」

 

「何でもないわ!馬鹿者!」

 

 

何故いきなり罵倒されるのか…謎だ…

 

 

「はいはい、夫婦喧嘩はそこまでにして早く朝ご飯食べちゃって」

 

「「夫婦じゃない!」」

 

「「あっ」」

 

「息ピッタリじゃない」フフッ

 

 

俺と黒上は何も言えなくなった、言った瞬間また同じ事を言うかもしれないからだ…

何でこうなってしまったんだ…

 

 

 

今日は休み、普段ならふぶきと遊ぶんだが…

 

 

「フブキちゃーん!えへへ…」

 

「ふふ…かわいいな…」

 

 

黒上とふぶきが遊んでます、はい…俺は蚊帳の外です

まぁ、ほっこりするから良いんだけどさ

仕方ない…ちょっと作ってくるか…

 

 

 

「はーい!おやつの時間よー、今日のおやつはアップルパイよー」

 

「わーい!おやつー♪」ダッ

 

「あっ…」シュン

 

 

ふぶきは一目散にアップルパイに向かって行った、黒上は…少し寂しそうにしてるな…

 

 

「黒上、俺達も食べようぜ」

 

「う…うむ…」

 

「いただきまーす」アム

 

「「いただきます」」

 

「おいしいー!ママがつくったの?」

 

「それは○○が作ったのよ、ねぇ?○○?」

 

「ん?あぁ、まぁな…」

 

「おにぃちゃんありがとう!だいすき!」

 

 

はぅあ!ふぶきの大好きが…身体に染み渡る…

 

 

「む…確かにこれは美味いな…貴様やるではないか」モグモグ

 

「そりゃありがとよ…」モグモグ

 

「貴様本当に私と結婚するか?」ニヤリ

 

「んぐっ!?ゲホッゲホッ…何言ってんだよ!?」

 

 

黒上からのあまりにも唐突な事を言われ、俺は噎せてしまった

 

 

「なに、このような美味い物を食べれるなら…一緒に居ても良いかなと思っただけよ」

 

 

黒上は食べながらなのか顔がよく見えないが、微かに頬が赤らんでるようにも見えた。

 

 

「だ…だから俺はお前と一緒になる気は…」

 

「そうか?私は本気だぞ?」

 

 

黒上はそう言って、俺の頬に手をあててきた

 

 

「ば、バカ!止めろよ…」

 

「フフッどうした?顔が赤いぞ?」

 

 

こいつ…俺をからかって楽しんでやがる…

そうか、お前がそういうつもりならこっちにだって考えがあるからな…?

 

 

「分かったよ、じゃあ結婚するか」

 

「ほぅ?その気になったのか?」

 

「あぁ、でも俺達はまだ学生だからな、卒業してからになる」

 

「私は一向に構わんぞ?」

 

 

ここまでは大丈夫なのか、なら次で…

 

 

「じゃあ、先にキスでも済ましておくか、結婚するんだし普通だよな?」

 

「な…何…?」

 

「何を驚いてるんだ?俺達結婚するんだろ?」

 

「そ…それはそうだが…」

 

「ならキスぐらいで戸惑う事も無いだろ?」

 

「だ…だが…」

 

「ほら、するからな」

 

「え…ちょっ…」

 

 

俺は黒上のその後の言葉を聞かずに唇にキスをしようとした、が…

 

 

「こんちわー、ふぶきちゃん居ますー?遊びに来ましたー」

 

「あ!まつりちゃんだー!」

 

「ふぶきちゃんこんにちは、お兄ちゃんはどこかな?」

 

「おにぃちゃんこっちにいるよ!」

 

 

誰かが来たようだ、この声は…夏色か…?

 

 

ガチャ「あ、白上やっほー、遊びに来たよーって…あれ?何で黒様がここに居るん…?」

 

「よぉ…夏色…」

 

「…」

 

 

ヤバい…夏色にバレた…?

 

 

「ふーん…あ、ふぶきちゃん今日はお外で少し遊ぼっか?」

 

「うん!」

 

「じゃあ行こっか」

 

「お、おい夏色…」

 

「お幸せに」ニッコリ

 

 

夏色はそう言い残しふぶきを連れて出て行った…

これ言いふらされたらかなりヤバくないか…?

 

 

「く、黒上…?」

 

「…」カァッ

 

 

あ…ダメだ黒上の顔真っ赤になってる…

 

 

「おーい、黒上ー?黒上フブキさーん?」

 

「…ハッ」

 

「気付いたか、大丈夫か?」

 

「う…うむ…」

 

 

流石にこの状況でキスは…不味いだろうな…からかい過ぎたか…

 

 

「さて…ふぶきも行っちゃったしどうするかな…」

 

「キスをするのではなかったのか?」

 

「お前…本気か…?」

 

 

俺は冗談混じりのつもりだったんだが…

 

 

「何だ、貴様は本気ではなかったのか?腰抜けめ」

 

「なっ!?そこまで言うなら本気でするからな…」

 

 

俺は黒上を抱き寄せ、頬に手を触れ…キスを…

 

 

「ちょっ押すなって…撮れないだろ?」

 

「声大きいですよ、バレちゃいますから」

 

 

何か声が聞こえる…その方向を向くとそこには親父と、知らない男の人が居た…

 

 

「え…誰…?」

 

「父様!?」

 

 

え…?父様…?アレ黒上の親父さん!?

 

 

「やぁフブキ、どうだ?どこまで進展した?」

 

「あ、あの…その…」

 

「その様子じゃダメだったか…」

 

「ごめんなさい…」

 

 

え…何がどうなってんの…?

 

 

「やぁ白上君、私はこのフブキの父だ」

 

「あ、どうも…」

 

「さ、私達に構わずチュッとしてくれ」

 

「いや…何でカメラ持ってるんですかね…?」

 

「そりゃ娘と君のキスシーンを撮るためさ」

 

「何故…?」

 

「何故って…それが娘の願いだからね」

 

「と…父様!?」

 

 

願い…?俺とキスするのが…?

 

 

「もう良いだろうフブキ、隠す必要は無くなった」

 

「…」

 

「娘は引きこもりでね、今の高校に来るまではロクに話せない状態だった、だが高校で君を見た時に何か吹っ切れたみたいでね…」

 

「はぁ…」

 

「父様もう止めてくれ!」

 

「やれやれ…」

 

「黒上…」

 

 

黒上は顔全体が真っ赤どころか噴火しそうなくらいだった…

というか少し泣きかけてる…

 

 

「父様なんて…嫌いだ…うぅ…」

 

「おやおや…泣いてしまったか…白上さん、すいませんが私は一度帰ります」

 

「分かりました、俺も少し出ます」

 

 

俺の親父と黒上の親父さんは家を出て行った、俺はこの泣いてる黒上にどうすれば良いんだか…

 

 

「うっ…ぐすっ…」

 

「どうすりゃ良いんだよ…」

 

 

俺は困った、本当に困った、ふぶきはあまり泣かない子だったからあやさなかったし…

 

 

「なぁ黒上、そろそろ泣き止んでくれないか…?」

 

「…た」

 

「何?」

 

「貴様に…知られた…」

 

「知られたって何を?」

 

「私の願い…」

 

「あぁ、俺とキスしたいってやつか…」

 

 

しかし今時キスしたいが願いってなかなか…黒上って変わってるんだな…

 

 

「知られたく…なかった…」

 

「黒上…お前何でそんなにキスしたがるんだ?」

 

「…だから」

 

「え?」

 

「好きだから!貴様が!好きだから!」

 

「…はぁ!?」

 

 

唐突過ぎて何が何だか分からなかった、黒上が俺の事好き?信じ難いけど…泣いてるしな…

 

 

「引きこもってた時、話だけは聞いてた…その後、高校で見かけて話通りの人間だったって分かった…そこから何故か好きになってた…」

 

「…」

 

「何でだろうな…貴様を想ってるだけで心が満たされていた、それでも…一度で良いからキスをしてみたかったんだ…」

 

「黒上…」

 

「だがもう良いんだ、私の気持ちも知られてしまったし、もう諦め」

 

「黒上」

 

「え…?」

 

 

俺は黒上を抱き締めた、泣いてる顔を何時までも見たくなかった。

 

 

「や…止めてくれ、離してくれ!こんな事されたら私は…」

 

「良いんだよ、黒上…好きでいてくれて嬉しいから、俺は」

 

「白上…」

 

「ごめん、俺お前に結婚するか?って言われてドキドキした、その後に俺からキスしようとしたのはお前が慌てる様子が見たかったからだ、でも今は違う…本気でキスしたい」

 

「だ…ダメだ…」

 

「ごめん、後で存分に煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

 

「あ…」

 

 

俺はそのまま唇にキスをした

どれくらいしたかは分からない、俺が離れようとすると黒上が唇を押し付けてきたから…

 

 

 

 

「…」

 

「…」

 

 

キスした後、俺達は無言になってしまった…

無理も無い、俺が半ば強引にキスしてしまったから。

 

 

「なぁ、黒上」

 

「フブキ」

 

「え?」

 

「フブキと…呼んでくれ…」

 

 

黒上は口を尖らせながらそう呟いた

 

 

「分かった、フブキ」

 

「何だ?」

 

「ありがとうな」

 

「何故貴様が礼を言うんだ、本来なら私が言うべきであろう?」

 

「こんな俺を好きになってくれたからだよ」

 

「…」

 

「なぁフブキ、お前はもう満足なのか?俺とキスして、それで満足しちゃったのか?」

 

「何が言いたい?」

 

「俺は…その先に進みたい、お前と…付き合いたい」

 

「白上…」

 

「ダメか…?」

 

「馬鹿者…ダメな訳…無いだろう?」ニコッ

 

 

黒上は、いや…フブキは、俺に笑顔を見せながらそう返した…

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

 

休みが終わり、また今日から学校が始まる

本来なら行くのはダルい、けど今は…

 

 

「ほれ○○早くせんと置いて行くぞ?」

 

「待ってくれよフブキ」

 

「おにぃちゃん、フブキちゃんいってらっしゃい!」

 

「「行ってきます」」

 

 

フブキと一緒に登校出来るんだ、ダルいなんて言ってられないし、むしろ嬉しい…

急いで行こうとすると、服を引っ張られた

 

 

「ん?」

 

「その…少しだけ…手を繋ぎたい…」

 

「あぁ、良いよ」ギュッ

 

「あっ…すまぬな…」

 

 

フブキは照れながらもそう言った、俺もちょっと恥ずかしかったりするけど、表には出さないようにしてる

 

 

「さぁ行こうか、フブキ」

 

「あぁ、行こう…○○」

 

 

 

俺達が付き合って初めての登校、夏色にバレてる感あるから多分弄られるんだろうけど、もう気にしてられないからな…

もうドンと来いだ!

 

 

「なぁ○○、式は何時にするか…?」

 

「気が早いぞおい!?」

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
この話は誕生日で書いたものなので、次は本当に書かないかもです…
自分が本来書いてるのはロボ子さんのお話なので…
まぁ、誕生日の時は書くかもですが…
ではでは、また次のお話まで失礼します…m(_ _)m


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ロボ子さんチャンネル登録者数5万人突破記念小説(のはず)

どもです、最後に投稿したのは今月の最初辺りでしたかね?
さて、今回はタイトル通りです。
配信中に達成されたとの事で、前々から書いてたこのお話をここで出そうと思ってました。
甘さは…控えめですかね…
今月もう一つお話投稿予定なので、良ければよろしくお願いします
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


よく結婚をすると幸せに満ち溢れると聞く

だが全てが全てそう幸せな事では無い事だけは知っていて欲しい

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリ

 

 

「んー」

 

 

ジリリリリリリリ

 

 

「んーー!」

 

 

ジリリリリリリリ

 

 

「だぁぁぁぁぁ!うるさい…昨日も激しかったから眠いんだが…」

 

「ふぇ…もう朝?」

 

「あぁ、ロボ子起こしちゃったか、ごめんな…おはよう」

 

「ううん、大丈夫だよ、おはよう」

 

 

このロボ子は俺の嫁だ、2週間前に結婚したばかりの新婚ホヤホヤだ。

馴れ初めは俺の一目惚れ、合コンで知り合った。

ロボ子は最初会った時からそれとなくほんわかしてる感じで、付き合い始めてからも居心地がとても良かった。

俺のプロポーズも快く受けてくれた、笑顔がとても素敵な自慢の嫁だ。

 

 

「痛つつ…腰が痛い…」

 

「昨日あれだけ頑張ってたもんね、ボクもまだ怠さがあるよ」

 

「だな、でも仕事だから起きなきゃだ」

 

「うん…朝ご飯作ろうか?」

 

「いや、今回は俺が軽く作るよ、ロボ子はゆっくり休んでてくれ」

 

「ありがと、じゃあお願いしちゃうね?」

 

 

俺はロボ子の為に料理を作る、朝食だからな…目玉焼きとかが良いかな。

目玉焼きを作る前にまずは朝食に欠かせないもの、味噌汁を作る。

使う味噌は○コメと呼ばれている味噌だ

何?あ○げ?ふざけるな、1から作るのを信条にしてるんだ…本当に時間が無い時以外は使わない。

具材は…豆腐とワカメで良いか、シンプルイズベストって言うしな…

 

 

「うん、良い感じだ」

 

 

味噌汁を作りながら目玉焼きを作る、味噌汁が塩気あるから目玉焼きは敢えて何も味付けしないでおく、調味料はあるからその場その場で味付けは出来る。

 

 

「ふわぁ…いい匂い…」

 

「お?ロボ子もう良いのか?」

 

 

ロボ子が匂いに釣られてきた

 

 

「うん、匂い嗅いでたらお腹減っちゃったよ」

 

「そっか、もうすぐ出来るから座って待っててくれ」

 

「うん!待ってるね」

 

 

ロボ子を待たせるのもアレだから、ササッと作る事にする

 

 

 

 

「よし、出来たぞ」

 

「わぁ…美味しそう」

 

「さ、食べよう」

 

「そうだね、いただきます!」

 

「いただきます」

 

 

ロボ子と朝食を食べ、仕事の準備をする。

俺の仕事は小説書き、恋愛モノを書いている。

書いているんだが…最近手詰まり状態になっている…

一応作業する際は別の場所に部屋を借りており、そこで執筆をしている。

 

 

「○○君、最近どう?」

 

 

ロボ子は心配なのか聞いてきた

 

 

「大丈夫だよ、もう少しで良いところまでいけるから」

 

 

嘘だ、本当は全然出来ていない、それでも嘘をつくのはロボ子に心配をかけたくないからだ…

 

 

「そっか、なら良いんだけど…あんまり無理しないでね?」

 

「あぁ、ありがとう、それじゃ行ってくるよ」

 

「うん、行ってらっしゃい!」

 

 

俺はロボ子に見送られ仕事場に向かった。

 

 

 

電車内

俺の仕事場は電車を使わないとかなりの時間がかかる、これは近場だと途中で投げ出してしまいそうになる為だ

しかし、今日はやけに混んでいる…一応通勤ラッシュの時間帯は外してるが、それでも多い

 

 

「窮屈だな…早く空かないかな…」

 

 

そんな事を思っていた時

 

 

「ぃ…ぃゃ…」

 

 

微かに声が聴こえた

 

 

「ん…?何だ…?」

 

 

声の方へ向いてみると中年の男性が女子高生だろうか…のお尻を触っているところを目撃してしまった。

 

 

「うわ…本当にやる奴いるのか…」

 

 

俺は内心ドン引きだった、痴漢なんて人間のクズがやる事だと俺は思ってるからだ。

 

 

「ヒヒッ…」

 

 

中年の男性はゲス顔で痴漢を止めない、俺はどんどんイライラしてきた。

 

 

「次は○○駅ー、○○駅ー」

 

 

良いタイミングだ、もう我慢の限界だ

 

 

「おい、次の駅で一緒に降りてもらおうか」

 

 

俺は男性の腕を掴みながらそう言った

 

 

「なっ!離せ!」

 

「離すとでも思ってるのか…?このクズ野郎!」

 

 

俺は駅に着いた瞬間男性を引きずり出した

被害に遭った女子高生にも降りてもらった

 

 

「ありがとうございました、本当に怖かったです…」

 

 

警備員に男性を引渡した後、女子高生からお礼を言われた

 

 

「いやいや、どうって事無いよ、それより大丈夫か?学校とかあったでしょ」

 

「あの…私学生じゃないです」

 

 

女子高生と思い込んでたが学生じゃないと知らされた、見た目女子高生でも全然通るのに…

 

 

「そ、それは申し訳ないです、学校の制服みたいな格好してるからつい…」

 

「あぁ、これは自作なんです」

 

「自作…?凄いですね」

 

「えへへ、それでまさか痴漢に遭うとは思わなかったですけどね」

 

「そうですね…」

 

 

しかし、よく見ると本当に女子高生でも通る風貌である

 

 

「あ、名乗ってませんでしたね、私、アキロゼと言います、よろしくお願いします」

 

「俺は○○って言います、こちらこそよろしくお願いします」

 

「この後お茶でもどうですか?お礼がしたくて」

 

 

実は悩んでいる、アキロゼさんは美人だしお茶したいけど…仕事場で小説も書かなきゃいけなくなる…

 

 

「ご迷惑…ですか…?」

 

 

「お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

俺の心は弱かった、結婚してるってのに他の女性と…お茶…ロボ子にバレたら俺はどうなるんだ…?いや、事情話せばきっと…

 

 

 

 

「今日は本当にありがとうございました、また何時か」

 

「いえ、こちらこそです」

 

 

結局午前中丸々お茶してしまった、幸いここは仕事場からそんなに離れてないみたいだし、徒歩で急ごう…

 

 

「…」

 

 

「ん?」

 

 

視線を感じ振り返るとそこには誰も居なかった

 

 

「気のせいか、とりあえず急がないと」

 

 

 

仕事場に到着した、鍵を開けようとしたら既に開いている

 

 

「あれ…?何で開いてるんだ…?」

 

 

俺は警戒しつつもドアを開ける、するとそこには

 

 

「あ、〇〇君お疲れ様」

 

 

ロボ子がそこに居た

 

 

「あれ…ロボ子…?何でここに」

 

「えへへ、来ちゃった♪」

 

「どうしたんだ?急に」

 

 

ロボ子には一応スペアキーを渡してあるから別に来ても何ら不思議では無いが、ちょっと気になった

 

 

「ううん、〇〇君の作業どんな感じかなぁって思って、そしたらまだ来てなかったみたいだから掃除してたの」

 

「そっか、ありがとうなこっちに来てまでやってくれて」

 

 

ロボ子はマメに掃除をしてくれたり、俺の肩もみ等のマッサージをよくしてくれてる。

本当にありがたい、俺には勿体無い嫁さんだ

 

 

「気にしないで?ボクが好きでやってるだけだから」

 

「ありがとうな」

 

「それでね?1つ聞きたいんだけど」

 

「あぁ、どうした?」

 

「朝に家を出たはずなのに、何で今頃着いたのかな…?」

 

 

ロボ子の後ろから変な影が見えたような気がした、怒ってるのだろうか…?

 

 

「え?いや電車で行ってるのは知ってると思うんだけど、そこで痴漢があってさ…助けたらお礼にお茶をご馳走になって…」

 

「へぇ…痴漢があったんだね」

 

「そうなんだよ、同じ男として恥ずかしかった」

 

「でもさ、ボクが居るのに他の女の人とお茶を何でしたの…?」

 

「そ…それはごめん…断りきれなかったんだよ…」

 

 

やはりロボ子は怒っているようだ、でも誠心誠意謝れば許して貰える…と信じてる。

 

 

「はぁ、まぁ良いよ、今から執筆するんでしょ?お茶とか用意しとくね?」

 

「あ、あぁ…本当にごめんな?」

 

「もう良いってば」

 

 

ロボ子は笑顔でそう言うが、俺の中には罪悪感が残ったままだった。

 

 

「…」

 

「…」

 

「…なぁロボ子」

 

「ん?どうしたの?」

 

「何でずっとこっち見てるんだ…?」

 

 

俺は堪らずロボ子に聞いてしまった

 

 

「〇〇君の真剣な姿見てたいなぁって、迷惑だった?」

 

「いや、そんな事は無いよ、じゃあロボ子が見てるんだ、少しは頑張らないとな」

 

「うん、頑張って!」

 

 

 

 

それから数時間、俺は黙々と執筆活動をした。

ロボ子はその間俺の小説資料や掃除の続きをしてくれた。

本当に頭が上がらない…

 

 

「ん…んー!時間は…もう18時か、そろそろ帰るかな」

 

「〇〇君お疲れ様!帰る準備は出来てるよ?」

 

 

ロボ子は既に荷物を纏めていた、仕事が早いなぁ…

 

 

「準備良いな、じゃあ電車で帰るか」

 

「うん!」

 

 

俺達は仕事場を後にした

 

 

 

電車内

「すー…すー…」

 

「寝ちゃったか…ずっと掃除とかしてくれてたもんな…」

 

 

ロボ子は疲れたのか電車の中で寝ていた

 

 

「ロボ子、ありがとな」

 

 

俺はロボ子の頭を撫でた、気のせいかロボ子が笑ったようにも見えた。

 

 

 

 

地元の駅に着いた、ロボ子はまだ眠ったままだ。

 

 

「ロボ子、駅に着いたぞ」

 

「すー…」

 

「寝たままか…仕方ないな」

 

 

俺はロボ子をおんぶして駅を後にした

 

 

(ん…何時の間にか寝ちゃってたんだ…あ、〇〇君がおんぶしてくれてるんだ…嬉しいな…でも、あの女の事はいただけないな…ボクが居るんだから他の女なんて見ないで欲しい…)

 

 

この時のロボ子の想いに〇〇は気付く事は無かった…

 

 

 

自宅に着き、ロボ子をベッドに運ぶ

熟睡してるせいかここまで一度も目を覚まさなかった。

 

 

「ふぅ、ロボ子もベッドに運んだし俺は夕飯でも作るか…」

 

 

今回は俺1人なので、簡単に済ませた

 

 

「ん…?ここは…そっか、家に着いたんだね」

 

「お?ロボ子起きたか、グッスリ寝てたからなぁ…大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ、夕ご飯はもう食べたの?」

 

「あぁ、簡単にだけどな」

 

「そっか、じゃあボクはこのままもう少し寝ようかな」

 

 

ロボ子は俺が夕飯を食べた事を知るとまた寝ようとした

 

 

「ロボ子、あんまり大変なら態々仕事場まで来なくても大丈夫だぞ?」

 

「何…?ボクが居ると何か不都合でもあるの…?まさか…浮気…?」

 

 

何か変な誤解をされてる気がする、結婚したばかりだと言うのにそんなすぐに浮気するとでも思われてるのだろうか…

 

 

「違うって、ロボ子が倒れたら心配だから言ってるんだよ」

 

「ボクは大丈夫だよ!皆から高性能なんて言われてるんだから!」

 

「そ、そうか…ロボ子が大丈夫なら俺はこれ以上何も言わないよ」

 

 

何となくムキになってる感が否めないが、深く追及しないでおこうと思う。

 

 

「それじゃ、お休みロボ子」

 

「うん、お休み〇〇君」

 

 

この日はそのまま寝る事にした、俺も執筆活動で神経すり減らしているし、ロボ子も疲労が取れなくなってしまう。

 

 

 

 

「〇〇君、朝だよー!起きて!」

 

 

ロボ子に揺さぶられながら目覚める

 

 

「おはよう、ロボ子」

 

「うん!おはよう!〇〇君、朝ご飯出来てるよ!」

 

「ありがとう、顔洗ったら食べるよ」

 

「うん、待ってるね」

 

 

俺は顔を洗いリビングに向かう

 

 

「〇〇君、料理の準備出来てるよ、食べよ?」

 

「あぁ、いただきます」

 

「召し上がれ!」

 

 

朝食はおにぎりだった、3つあり鮭、ツナ、昆布だった。

具の味を楽しむ為か塩味は控えめだった。

 

 

「ごちそうさま、美味しかったよ」

 

「お粗末さまだよ、今日も仕事場に行くの?」

 

「あぁ、なるべく早く完成させておきたいからさ」

 

「そっか、頑張ってね!」

 

「ありがとう、それじゃ行ってくるよ」

 

 

俺は家を出て仕事場に向かった。

 

 

 

電車に乗ると、昨日会ったアキロゼさんが居た。

向こうもこちらに気付いたようで、会釈してきた。

 

 

「おはようございます〇〇さん、今日はどちらへ?」

 

「おはようございます、これから仕事場に行くんですよ」

 

「そうなんですか、どんな仕事を?」

 

「一応、小説書いてます」

 

 

アキロゼさんは興味を持ったのかそこから質問責めしてきた、俺は答えられる範囲で答えていった。

 

 

「…という感じですかね、話せるのは」

 

「なるほど、貴重なお話ありがとうございました」

 

「いえいえ、こんな話で良ければですが」

 

 

アキロゼさんはとても満足気な様子だった

 

 

「さて、俺は次の駅で降りますね」

 

「あの…流石に仕事場にお邪魔するのはご迷惑ですか?」

 

「あー…流石にちょっと…」

 

「で、ですよね…」

 

 

アキロゼさんは明らかに落ち込んでいった、何となく罪悪感湧いてくる…

 

 

「あ、あー…少しだけなら…」

 

「良いんですか!?」

 

「えぇ、まぁ減るようなものでも無いので…」

 

「ありがとうございます!」

 

 

アキロゼさんは俺の手を握りながらお礼を言ってきた

 

 

「……」

 

 

何かまた視線を感じる…何だ…?

 

 

辺りを見回してもこっちを見てる人は誰も居ない、俺はちょっと不安になってきた。

 

 

駅に着き、アキロゼさんと一緒に仕事場へ向かった

その後ろの影には2人は気付かなかった…

 

 

「あまり広くないですが、どうぞ」

 

「お邪魔します」

 

 

アキロゼさんを仕事場に招いた、アキロゼさんは物珍しそうに辺りをキョロキョロしている。

 

 

「ふわぁ…ここが〇〇さんの仕事場なんですね…凄い整理されててしっかりされてるんですね!」

 

「あぁいや、それは俺の嫁がやってくれたんですよ」

 

「〇〇さんご結婚されてたんですか!?それなのに私ったら…怒られませんか…?」

 

「んー…多分怒られますね、きっと…でもまぁそこは何とかして」

 

「何とかするってどうやって?」

 

「ん?それはほらちゃんと説明…して…え…?」

 

 

アキロゼさんの声じゃない声に反応したと思ったらロボ子がそこに居た。

 

 

「ロ…ロボ子…今日も来たのか」

 

「うん、そしたらこんな綺麗な人連れ込んで…何をしようとしたのかな…?」

 

「いや、そういうつもりじゃ…」

 

「あ、あの私先日痴漢に遭ってるのを〇〇さんに助けられたんです…」

 

「あぁ、あなたが痴漢の被害者さんだったんだ、こんにちは、ボクはそこに居る〇〇君の妻のロボ子って言います」

 

 

何だろう…ロボ子の顔が鬼の形相に見えてきた…

 

 

「私はアキロゼと言います、このお部屋もロボ子さんがお掃除されたとか…」

 

「えぇ、ボクが毎回綺麗にしてますよ?掃除しないと空気も悪くなるんで」

 

 

俺…蚊帳の外になりかけてるな…いやまぁこの時間で小説進められるから良いんだけど…

 

 

 

それから2人は何をどうやったのか意気投合して仲良くなっていた。

俺としてはありがたいが…ちょっと怖くも感じた…

 

 

「へぇ、アキちゃんはりんごが好きなんだね!」

 

「はい、アップルパイとか好きです」

 

「美味しいよねぇ、アップルパイ…」

 

 

うん、さっきまでのピリピリした雰囲気消えたな…

良かった良かった…

 

 

「あ、いけない…そろそろ行かないと」

 

「アキちゃん何処に行くの?」

 

「これからダンスのレッスンなんです」

 

「そっか、じゃあまたね」

 

「はい、お邪魔しました」

 

 

アキロゼさんはそう言って帰って行った。

 

 

「〇〇君」

 

 

ロボ子の方を向くとロボ子は俺の事を睨みつけていた

 

 

「ど、どうした?ロボ子…」

 

 

俺はおそるおそる聞いてみた

 

 

「どうしたじゃないよ…何で他の女をこの部屋に連れて来るの…?ボクが居るのにどうして?ボクの事嫌いになったの?」

 

 

ロボ子は涙を流しながら俺に詰め寄ってきた

 

 

「ち、違うよロボ子、アキロゼさんはただの興味本位でこの仕事場に来ただけなんだよ。俺が小説書いてるって知って興味持ってくれたらしくてさ、話してる内に仕事場に行きたいってなって…一度は断ろうとしたんだけど、俺の心が弱いばっかりに招いちゃったんだ…ごめん…」

 

「…バカ」

 

 

ロボ子はそう言い俺を抱きしめた

 

 

「ボク内心不安だったんだよ…?魅力無いのかなって、ちゃんと〇〇君のお嫁さんになれてるのかなって…」

 

 

俺を抱きしめるロボ子の腕が震えていた

 

 

「ごめん、ごめんな…ロボ子…俺が好きなのは、これまでもこれからもロボ子だけだよ」

 

「〇〇君…」

 

 

俺はロボ子の目から溢れた涙を拭う

 

 

「ほら、泣いてると折角の可愛い顔が台無しだぞ?笑顔笑顔」

 

 

「うん…」

 

「…今日はもう小説書く気分になれないな、帰るか」

 

「うん…」

 

「落ち込まないでくれよロボ子、たまには早く帰りたくもなったんだしさ」

 

「うん…」

 

 

ダメだ、何を言っても落ち込んでいる…

 

 

「なぁロボ子」

 

「どうしたの…?」

 

「好きだよ、ロボ子」

 

 

俺はそう言ってロボ子にキスをした

 

 

「!?」

 

 

ロボ子は突然の事で驚いていた

 

 

「どうだ?少しは元気出たか…?」

 

「ズルイよ〇〇君…ボクもキスしたくなっちゃうじゃん!」

 

 

ロボ子は俺にキスをしてきた

何秒キスしてたかも分からない

 

 

「えへへ…♪」

 

「元気出たか?」

 

「うん♪」

 

「それは良かった」

 

「それじゃ、帰ろう?〇〇君」

 

「あぁ、帰ろうか、我が家に」

 

 

自宅に着いた、今日は別の意味で疲れた…

 

 

「ただいま」

「ただいまー」

 

「すぐ夕ご飯の支度するね?」

 

「ロボ子、今日は俺も手伝うよ」

 

「ありがとう○○君」

 

 

思えば結婚してからロボ子と一緒に料理を作るのはこれが初めてだ、そのきっかけをくれたアキロゼさんには…やっぱり感謝なのかもしれない。

勿論、褒められた事では無いかもだけど…

 

 

「えへへ」

 

「どうした?ロボ子」

 

「ん?何か楽しいなぁって、一緒に料理するのがさ」

 

「そうか、それならこれから少しずつ増やすか?一緒に料理するの」

 

「良いの?」

 

「仕事場に行ったりしてるとさ、どうしてもロボ子と一緒に居られないからさ」

 

「○○君…ありがとう!」

 

 

それから料理を完成させて、2人で食べた。

今日のロボ子は積極的で食べさせ合いもした、1つの箸で…そう、間接キスだ

と言っても、結婚してるからそこまで抵抗は無い。

付き合ってる頃は2人して顔を真っ赤にしながら食べさせ合った。

 

 

「ごちそうさま」

「ごちそうさまでした」

 

「それじゃ、風呂入ってくるよ」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

 

 

風呂に入って、疲れを取っていた頃のロボ子

「○○君にも困ったもんだなぁ…あんな女を連れ込むなんてさ、ボクというものがありながら…でも良いんだ、○○君はちゃんとボクを好きでいてくれる、ボクを愛してくれる…今はそれでも良いよ、何時かはボク無しじゃ生きれないように…シテアゲル…フフフ…」

 

 

 

「上がったぞー」

 

「じゃあボクも入ってくるね」

 

「あぁ、行ってらっしゃい」

 

 

ロボ子の機嫌が良さそうだ、風呂入ってる間に何があったんだろうか…?

 

 

 

ロボ子が風呂から上がり、そろそろ寝ようと思っていた時、ロボ子がいきなり抱きついてきた。

 

 

「おっと…どうした?ロボ子」

 

「えへへ…今日は一緒に寝たいな…?」

 

「ん、良いぞ」

 

「やった♪」

 

「それじゃ、寝室に行くか」

 

「うん♪」

 

 

俺達は寝室に行き、ベッドの中に入った

 

 

「ねぇ○○君」

 

「ん?どうした?」

 

「ううん、何でもないよ、呼んだだけ」

 

「そっか」

 

 

ロボ子はまるでイタズラ好きな少女のような笑顔で俺に微笑んだ。

 

 

 

そこから先は直ぐに寝てしまった為覚えて無いが、ロボ子は終始笑顔だったのは覚えている。

俺はロボ子と結婚出来て幸せだ…この幸せを何時までもロボ子と一緒に分かち合いたいと思っている…

 

 

 

 

 

それから2年経った、俺はコツコツと小説を書き続け出版もする事が出来た。

まだまだ無名だからこれからもまた大変なのは変わらないけど、ロボ子と…いや、ロボ子達となら乗り越えられる。

そう、達というのは、俺達の間で子供が産まれた。

元気な男の子だ

子供が産まれたからこそ、更に頑張らなきゃと思える自分がいる。

 

 

「あなたー、夕ご飯出来てるよー」

 

「今行くよ」

 

 

ロボ子も名前呼びじゃなくあなた呼びになった、子供が産まれてから呼び方を変えた。

 

 

「ろぼさーも元気にミルク飲んでるな」

 

「うん、かわいいよね」

 

「そうだな」

 

 

ミルクを飲み終えたろぼさーの頬を人差し指で撫でた

 

 

「これからまた忙しくなるの?」

 

「あぁ、出版もしたからな…」

 

「身体、気をつけてね?」

 

「ありがとな、ロボ子も気を付けろよ?」

 

「大丈夫、気をつけてるよ…お腹の子も…ね…」

 

 

ロボ子のお腹にはもう1つの命が宿っている、2人目の子供だ。

俺はもっと有名になってロボ子や、子供達を食わせていきたい…そう決意した…

 

 

 

これから2人目も産まれて、ますますロボ子に負担をかける事になる、せめて…少しでも裕福な生活をさせてあげたい、ずっと…ずっと…幸せに暮らしていこうと思ってる…

 

 

 

(えへへ…あなた…もう他の女なんてミサセナイカラネ…?)




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
まぁアレですね、今回はもし最初から結婚していたら、っていう感じで書いてみました。
社畜で時間取りにくくなりましたが、これからも書き続けますので気が向いたらまた読んでいただけると嬉しいです。
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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見た目なのか心なのか by夜空メル

夜中にこんばんはです、ハロウィンですね…
お菓子をあげなきゃイタズラされちゃいますねw
さて、そんなハロウィンですが今回はハロウィンの話ではなく、夜空メルちゃんという方の誕生日なのです
その為またロボ子さんのお話ではありません
甘さ控えめになってると思います
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


静かで小さな街に住んでいる青年はある日、1人の少女が倒れているのを発見する

少女を家に連れて帰り介抱すると、少女は目を覚ます

名前を聞くと少女は夜空メルと名乗る

しかし、夜空メルは名前以外の事を覚えておらず、所謂記憶喪失の状態であった

そこで青年は暫く家に滞在する事を提案し、夜空メルもそれを承諾する

この話は、そんな2人が同棲生活を始めて1ヶ月後経った後から始まる…

 

 

 

 

 

朝日が部屋に射し込む、今日も清々しい朝だ

俺はこの朝日を浴びて何時も起床する

 

 

「ん…んー…朝か」

 

 

今日も気持ちよく目覚められた、そろそろ同居人を起こさないといけない。

この朝日なら自分で起きれる、それぐらいのレベルなんだが…あいつは起きれない、何故か?それは

 

 

コンコン「おーいメル、朝だぞー」

 

 

俺はメルの部屋に入る、見事に真っ暗な部屋だ

メル曰く、暗くないと落ち着かないらしい

ちなみに布団も頭から被っている、そこまで暗くしないとなのかと思うが…

 

 

「うー…まだ寝てるのー…」

 

 

メルは朝がとことん苦手らしい、というか昼間外に出ないほどらしい

こいつ夜行性か…って、最初は思った。今はもう慣れてる

 

 

「はぁ…じゃあ朝ご飯作ってくるからもうちょい寝てろ」

 

「うー…」

 

 

俺は朝食を作る為キッチンに向かう

普段から1人で住んでたから、一応の家事は出来る

今日作るのはシンプルに目玉焼きとウインナー、そして野菜サラダ、至って普通なメニューだ

さて、料理も出来たしまた起こしに行くか…

 

 

1度起こしに行ったし、もうノックはしなくても良いよな…

 

 

ガチャ「メルー、朝ご飯出来た…ぞ…」

 

「あっ…」

 

 

俺がドアを開けると、メルは自分から起きてたのか着替えをしており、下着姿だった。

 

 

「…」

 

「あ、あの…悪い…」

 

「〇〇のバカー!エッチー!」

 

 

俺はすかさずドアを閉めた、てっきりまだ寝てると思ってノックしなかったのは失敗だったか…

 

 

暫くすると、メルがドアを開けて出てきた

 

 

「あ…メル…その…ごめんな?」

 

「〇〇なんて知らない…」

 

 

メルは俺と目を合わさずにそう言った、でも本気で言ってる訳では無さそうだ…ちょっと顔が赤くなっていた。

 

 

「それじゃ、俺仕事行ってくるから」

 

「行ってらっしゃいー」

 

 

俺の仕事は街の警察…みたいなものかな、自警団って言うのが正しいのかもしれない。

まぁこの街は平和だから、たまに出る食い逃げを取り締まるぐらいしか仕事は無い

 

 

 

 

昼時になった、今日は近くの寿司屋[みなと]に行く事にする

昼から寿司なんて大丈夫かって?大丈夫だ、海鮮丼食うだけだから

ここの寿司ネタはちょい高いが、海鮮丼はボリュームあって1200円で食える。

まぁリーズナブルだと個人的には思うが…

 

 

「〇〇、今日も何も無いな」

 

「そうですねぇ、まぁ平和が一番っすよ」

 

 

話しかけてきたのは俺の先輩の田中さん、この街の自警団の中で一番の古株で、来年定年らしい

 

 

「俺もそろそろこの仕事が出来なくなる、後は若いもんに任せなきゃいけねぇんだ…〇〇、しっかりやっていけよ?」

 

「この感じなら大丈夫かと思いますよ?」

 

「いや…俺の勘が言ってるんだ、近い内に事件が起こるってな…」

 

「止めてくださいよ…本当になったらどうするんすか?」

 

 

この田中さん…勘がよく当たるらしく、宝くじの当たりや失くし物なども見付けられるらしい…

 

 

「まぁ、そん時は〇〇お前に任せた、俺はもうあまり戦えないからな」

 

「そんな時が来ないことを祈りますよ…」

 

 

とりあえずその日は何も起きずに勤務時間終了した、本当に警戒しとくかな…

 

 

「ただいま」

 

「おかえりー」

 

 

俺の声にメルは反応したが、顔はこちらに向けてはくれなかった

まだ怒ってる…訳じゃないよな…?

 

 

「なぁメル」

 

「なーに?」

 

「今朝の事…怒ってるか?」

 

「別に怒ってないよ?」

 

 

その反応にも顔を逸らしている

 

 

「じゃあこっち向いてくれよ」

 

「…はぁ、もう何?今忙しいんだけど」

 

 

メルはジト目でこちらを見てきた、この感じだと怒ってはなさそうだが…

 

 

「いや…怒ってないなら良いんだ」

 

「変な〇〇」

 

「あはは…まぁ気にしないでくれ、今日の夕飯は何?」

 

「今日?んー…ステーキ?」

 

「ステーキ…?そんな金あったっけ…?」

 

「〇〇の部屋のベッドの裏側に張り付いてたお金で買ってきたよ?」

 

「はぁ!?アレ俺のへそくりなんだけど!?」

 

「てへぺろ♪」

 

 

かわいい…じゃない!人のお金なんだと思ってるんだ…メル…

 

 

「ほら、神〇牛買ってきたよ」

 

「…」

 

「どうしたの?」

 

「人の金使ったんだ…言うこと無いのか…?」

 

「あっ…ごめん…でも仕事頑張ってる〇〇に美味しいもの食べて欲しくて…ごめん…」

 

 

美味しいもの食べて欲しいのは分かるが…へそくり勝手に使うのはなぁ…

 

 

「良いよもう、でも勝手に使うんじゃなくて次からは聞いてくれな?」

 

「うん…」

 

「じゃあ、夕飯の準備しようぜ?流石に腹減ったし」

 

「うん!」

 

 

神〇牛のステーキは美味しかった…疲れも取れそうな感じに…

今回の料理はメルがしてくれた、まぁ焼くだけだからそこまで手間は多くないし…

 

 

「ふぅ…お腹いっぱいだよ…」

 

「ちと腹きついな…ご馳走様」

 

 

メルは満腹になってるみたいだな…

一応俺はメルを養ってる形になってるから、ちゃんと食わせてやりたいと思ってる。

 

 

「先にお風呂入って良い?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

「ありがとう、それじゃ行ってくるね」

 

 

メルはそう良い風呂へ向かって行った

俺はその間洗い物をしようと思う

そう言えばメル…自分で肉を買いに行ったのか…昼間外に出れたんだな…

 

 

 

「ふんふふーん」

 

 

今日は朝から〇〇に下着姿見られて恥ずかしかったなぁ…見られるんだったらもっと良い下着の方が良かったのに

って私何言ってるんだろ、これじゃ〇〇に見られたいって思ってるみたいじゃない…!

 

 

「メルー、寝るなよー?」

 

「もう…ゆっくり浸かってるだけなのに…大丈夫、寝ないからー」

 

 

はぁ、これ以上入ってると心配されちゃうのかな…もう出るかなぁ…

 

 

 

 

「お風呂上がったよー」

 

「ん、おかえり、アセロラジュース冷やしてあるぞ」

 

「アセロラジュース!ありがとう!」

 

 

メルはアセロラジュースの単語を聞くと目の色を変えた

メルはアセロラジュースが大好きらしい…

記憶を失ってても好み等は覚えていたらしい、他にも肉が大好きで、野菜は…あまり食べないっぽい…?

市販の野菜ジュースを飲ませるようにはしてるけど…基本アセロラジュースだからどうなんだろうか…

 

 

「んー♪アセロラジュース美味しい!」

 

「それは良かった」

 

 

メルはアセロラジュースを飲む時とても幸せそうな顔になる、その顔を見てると俺まで嬉しくなる、何でだろうな?

 

 

「ご馳走様!じゃあもう寝るね、おやすみ!」

 

「あぁ、おやすみ」

 

 

メルは寝室に戻った、俺はもそろそろ寝ようと思う

しかし…あいつの記憶喪失何時になったら戻るんだろうか…?

記憶が戻ってどんな風に変わるか分からないが、メルは思い出したいんだろうか…?

 

 

 

 

午前3時

「う…うぅ…」

 

 

身体が…暑い…何で…?こんな事今まで無かったのに…

 

 

「あぅ…あぁぁぁぁ!」

 

 

メルが苦しんでいるのを〇〇は知る由もない…

 

 

 

午前7時

「ん…寝ちゃってたか…メルを起こすか…」

 

 

俺はメルの寝室に向かい、ドアをノックする

 

 

「メルー朝だぞ、起きろー」

 

 

しかし、メルは反応しない

 

 

「またか…仕方ないな…入るぞメル」

 

 

俺はドアを開けると、メルが大量の汗をかいてベッドから落ちていた

 

 

「メル…?メル!大丈夫か?しっかりしろ!」

 

「うぅ…あぁ…」

 

 

声をかけるも、ずっと苦しんでるだけで返事はなかった

 

 

 

「ダメだ、私では手の施しようがない…」

 

 

俺は医者に来て貰ってメルを診てもらったが、結局何も分からずじまいだった

 

 

「メルは…メルはどうなるんですか…?こいつを助けられる方法は…?」

 

「すまないが、今は何も手が出せない…とにかく傍に居て介抱してやってくれ」

 

 

この医者…ヤブじゃないよな…?

せめて何か薬の1つでも処方してくれよ…

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「メル…俺が居るからな」

 

 

俺はメルの右手を握りながらそう言った

 

 

 

 

どれくらい時間が経っただろうか、メルは苦しそうに寝ていたのが少し落ち着いた感じに見える

 

 

「メル…」

 

「う…ん…」

 

「メル?大丈夫か…?」

 

 

メルが目を覚ましたようだ

 

 

「ここ…は…」

 

「メルの部屋だよ、ずっと辛そうにしてたんだぞ」

 

「あ…」

 

 

メルは俺に抱き着いてきた、が…

 

 

ガブッ

 

 

俺の…首筋に噛み付いてきた…

 

 

「うっ…メル…?」

 

「貴様…誰だ…?」

 

「何言ってるんだ…メル…うっ…」

 

「馴れ馴れしく私の名を呼ぶな…!下等な人間め」

 

 

メルは首筋から離れ、俺を突き飛ばした

 

 

「カハッ…ど…どうしたんだよ…メル…」

 

「この…!まだ呼ぶか!」

 

 

メルはそう言って俺を蹴った、俺はもう反応出来なくなっていった…3回目の蹴りの後はもう記憶が無い…

 

 

 

 

「…い…おい…〇〇、おい!」

 

「うっ…」

 

「目が覚めたか…お前酷い傷だが大丈夫か?何があった?」

 

「田中…さん…俺…」

 

 

田中さんの口振りからすると、俺の身体の傷は相当ヤバいらしい…今は麻酔が入ってるのか痛みが無い。

 

 

「まぁ目覚めたばかりだ、後で事情聞きたいからまた来るからな」

 

「はい…すんません…」

 

 

俺はそのまままた眠りについた…

 

 

 

 

次に俺が起きたのは、それから3日後だった

この3日間で状況はかなり変わっていた、まず田中さんが言っていた通り事件が起きた。

街の男達がヴァンパイアに襲われたという

容姿が金髪の女、との事…俺はこれを聞いて一瞬メルを思い出した。

メルは金髪で俺がこうなる前に首筋に噛み付いてきたから、それとなく想像がついた。

襲われたと言っても命に別状は無い、ただ襲われた男達は皆貧血になっているらしい。

ヴァンパイアだから血を欲していたのだろうか…?

自警団の方針はこのヴァンパイアを退治するらしい、俺としては話し合いで穏便に済ませたいところだ。

実際人の命までは取られてないのだ、そこまでする意味があるのかと俺は疑問に思っている。

 

 

「それでは、これからヴァンパイア捜索に入る、各々気を付けてくれ」

 

「「「おぅ!」」」

 

 

俺と一緒に捜索するのは田中さんだ、ただ田中さんはあまり戦えないから実質俺しか…な状況、まぁ俺は戦わないんだが…

 

 

「〇〇、気を引き締めていけよ、奴が活発になるであろう夜に態々捜索をやるんだ…いつ襲われても不思議は無いからな」

 

「はい…」

 

「大丈夫か…?まだ病み上がりなんだ、無理しなくても」

 

「いや、俺も捜索します…もしかしたら…俺の知ってる奴かもしれないんで」

 

「それってどういう事だ?」

 

「それは…」

 

 

俺がそこまでしか言葉を言えなかった、目の前にヴァンパイアが…メルが現れた。

 

 

「出やがったなヴァンパイア!俺が殺してやる!」

 

「待ってください田中さん!まずは話を聞かないと…」

 

「〇〇、お前は甘い、甘過ぎるんだ…ヴァンパイアなんてのはな、人間の血を吸って眷属にしたり、血肉を貪る…それ程ヤバい奴なんだ…」

 

「田中さん…」

 

「貴様は…あの時呼び捨てにした下等な人間か…!」

 

「メル…」

 

 

メル…お前どうしちゃったんだよ…まさか…記憶が戻った状態が今のお前だって言うのか…?

 

 

「下等な人間…!まだ呼ぶか…!」

 

 

メルは俺に襲いかかってきた、田中さんは急な反応で動けないようだ

俺は避けずにそのまま迎える形をとった

 

ガブッ「ぐぅ…」

 

「貴様…何故避けない?そこの老いぼれは別として貴様はまだ避けれたはずだ」

 

「っ…お前と…短い間でも一緒に居たからな…寂しかったぜ…?」

 

「何を言って…」

 

「ほら…早く帰ろうぜ…?皆には…俺が説明してやるから…」

 

「〇〇!離れろ!」

 

 

田中さんが銃を構えてこちらを向いていた

 

 

「田中さん…それを降ろしてください…こいつは…俺の同居人です…」

 

「〇〇、悪いがそれは無理だ、そいつは何人も人を襲っている…そのまま離れないならお前諸共撃つぞ」

 

「チッ…やはり人間は下等な生き物だ…」

 

「なら、俺ごと撃ってください」

 

「な…!?」

 

「○○、お前本気か…?」

 

「はい」

 

「何故そこまでそのヴァンパイアを庇う?」

 

「それは…分かりません、でもメルとは1ヶ月一緒に生活したんです、一緒に生活してた奴を庇うのに理由ありますか?」

 

「貴様ら…私を差し置いてペラペラと…ふざけるなよ…!」

 

 

俺と田中さんが話してるのが気に食わないのかメルは苛立ってきた

 

 

「チッ…○○に構ってられない、こいつを仕留めないと…」

 

「田中さん、だから待ってって」

 

 

パスン

 

 

「え…?」

 

 

俺の…胸に…穴…?

 

 

「あ…ガフッ」

 

 

「○○、お前の事は嫌いじゃなかったよ、だがな…お前がヴァンパイアを庇うならお前も標的だ」

 

 

田中さん…本当に撃ちやがったな…

 

 

「人間…やはり儚いものだな…」

 

 

メルは○○を抱き抱えた

 

 

「ヴァンパイア!○○をどうするつもりだ!」

 

「躊躇いも無く撃ち抜いた奴が何を言う?安心しろ、この人間は私が弔う」

 

「お前は…ここで仕留める」

 

「ほう…?私の方が先に貴様の喉を掻き切るぞ…?」

 

「クッ…」

 

「さらばだ、下等な人間」

 

 

メルはそのまま○○を抱えながら去って行った

何故メルは○○を抱えて去ったのか…

 

 

 

「人間よ…見事に撃ち抜かれてるな」

 

「ぅ…ぁ…」

 

「フン…良い気味だ、私の名前を軽々しく呼ぶからだ」

 

「メ……ル……」

 

「貴様はまた…いや、もういい疲れる」

 

「お…れは…もぅ……ダメなん…だよな…?」

 

 

○○は自分が死ぬ事を悟ってきているようだ

 

 

「まぁ、このままでは間違いなく死ぬな」

 

「そう…か…」

 

「…」

 

「どう…した…?」

 

「貴様は、私を知っているようだった、どんな事を知っていた?」

 

 

メルは、瀕死の○○に自分を聞いてきた

 

 

「……ったく…こんな…時に何を……聞くんだよ…」

 

 

○○は、言葉切れ切れながらもメルに話した

 

 

「…まぁ……今だから…言えるが……お前の仕草…かわいかったんだ……普段は…言えないけど…な…もしかしたら……好きだった…のかも…な…ガフッ…」

 

「もう喋るな、死期が早まるぞ」

 

「はは…はぁ…はぁ…どうせ死ぬんだ…良いだろ…?」

 

 

○○の目はどんどん虚ろになっていった、そろそろ命の灯火が消えるのだろう

 

 

「なぁ…教えて…くれ…今のメルは…本当のメル…なのか…?」

 

「ふむ…そうだな、前の私を知っていると言うならば、今の私が本来の私…という事だろうな」

 

「そう…か…今のお前でも…きっと……好きに…なれる自信……あるぜ…」

 

「愚か者、私は高貴なるヴァンパイアだ、貴様に好かれるのは虫唾が走る」

 

 

メルは冷たくあしらった

 

 

「冷たいなぁ…はぁ…はぁ…」

 

「………貴様、まだ生きたいか?」

 

「はぁ…はぁ…何を…言ってんだ…?」

 

 

○○には何を言ってるのか分からなかった

 

 

「簡単な事、私の血を飲んでヴァンパイアの力を得れば良い」

 

「ふざ…けるな…俺は…ヴァンパイア…なんて…」

 

 

○○は死の間際というのに、生き永らえる選択を拒絶した

 

 

「ヴァンパイアの回復力は高いぞ?今の貴様の傷なんかすぐに塞がる」

 

「それでも…俺は…嫌だ…」

 

「まぁ貴様が拒絶しようと、私が勝手に血を飲ませれば良い話だがな」

 

 

メルはそう言うと自分の腕を噛み、その血を口に含み始めた

 

 

「や…やめ…ろ…俺は…」

 

「…」ニコリ

 

 

メルは○○に口づけをし、血を流し込んだ

 

 

「ん…!?」

 

「ふふ…これで貴様もヴァンパイアの一員だな」

 

「ぐ…ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

突然○○は苦しみだす、ヴァンパイアの血と人間の血で拒絶反応でも起きてるのだろうか

 

 

「安心しろ、苦しいのはほんの一時だ、すぐ馴染むであろう」

 

「はぁ…はぁ…メル…お前…」

 

「貴様に興味が湧いてな、独断で血を流し込ませてもらった、強い生命力のおかげで胸の傷も塞がってるだろう?」

 

 

メルの言う通り、田中に撃たれた傷は既に塞がっていた

 

 

「それに、興味のその先に貴様に好意を持つかも知れんぞ…?」

 

「な…何を言って…!」

 

 

○○の顔はみるみる赤くなっていく

 

 

「ふふふ…面白い奴だ、これからが楽しみだ」

 

「俺が好きだったのは、今のメルじゃない!俺と一緒に生活していたメルだ!」

 

「やれやれ…そう頭に血を上らせるな」

 

 

メルはそう言うと○○に近寄り、耳元で囁く

 

 

「私が好きになっちゃ…ダメなの…?」

 

 

その声は、○○が一緒に生活していた時の声色だった

 

 

「メ…メルんむぅ!?」

 

 

○○は声の方に振り向くと唇を再度奪われた

 

 

「ふふ、貴様の唇、しかと頂いた」

 

「お…お前…!」

 

「さぁ、貴様ももうあの場所には居られないであろう、何せあの老いぼれから話がいくだろうからな…貴様が死んだと…」

 

 

そう、○○はあの時点で既に急所を撃ち抜かれていた、普通なら死んでいる

だが、○○はメルの血でヴァンパイア化し生き永らえる事に成功している。

本人の意思は無視されてはいたが

 

 

「そうか…俺…無職に…」

 

「何、私と一緒に世界を旅するのもまた良いものだぞ?さぁ、行こうか…○○…」

 

「メル…お前…俺の名前」

 

「貴様はもう人間では無いからな、下等な人間とは呼ばんて」

 

 

メルはそう言い、歩んで行った

 

 

「ったく…おい待てよ!メル!」

 

 

 

 

メルは記憶を取り戻した、しかし俺の事は覚えておらず俺を襲うまでになっていた

それでも田中さんからは守りたかった、今のメルと前のメルとじゃ人格が違うのは分かっていたのに

結果俺は死人扱いになり、メルに勝手にヴァンパイアにされてしまったが…

なってしまったのは仕方ない、メルと一緒に世界を周ってみようと思う

昔のメルと、今のメルは違うけど…メルそのものを好きになっていたんだとしたら、きっとすぐ好きになるんだろうな…

 

 

 

「ところで○○、北はどっちだ?」

 

 

(前途多難だな…)




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
はい、という訳で今回は記憶喪失スタートでした。
タイトルの意味は主人公が記憶喪失のメルちゃんを好きなのか、はたまたその後のメルちゃんが好きなのか、という感じにしてみました。

ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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主従関係の行く末 by湊あくあ

お久しぶりです、本当にお久しぶりです…
いや…あの…実は先月風邪を引きまして…
小説全く書けなくなったんですよね(周りの目が厳しくて)
まぁそんな事はさておき、今回はロボ子さんの後輩さん、ホロライブ2期生の方のお話…
1期生の方のお話書いてる時点で自分の中で何となくこうなるのは察してました、はい
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


ここは由緒正しきホロライブ家の屋敷

そこには複数のメイドと父、母、兄、○○の4人がいた

父と母は厳しく、兄のクルーズは優秀で全てにおいて完璧に出来る。

対して○○は勉学も出来ず、運動も出来ない所謂ダメ人間

唯一あるとすれば心が優しいところ、兄は冷酷である為正に正反対な兄弟である。

この家族をかき乱すはメイドの湊あくあ、彼女がもたらすは平和かそれとも…

 

 

 

「旦那様、奥様、おはようございます」

 

「おはようございます」

 

 

メイド長の癒月ちょこが挨拶をすると他のメイドも挨拶をしていった

 

 

「あぁ、おはよう」

「おはよう」

 

 

父と母もそれぞれ挨拶をする

 

 

「…」

「おはー」

 

 

兄のクルーズは無言、俺は軽い感じで挨拶をした

 

 

「クルーズ坊っちゃま、今日のスケジュールですが…」

 

「分かってる、言わずとも頭に入ってる」

 

「ありがとうございます」

 

 

兄貴は頭が良い、一度見聞きした事は大抵忘れないハイスペックだ

それに比べて俺は

 

 

「○○坊っちゃま、今日のスケジュールですが」

 

「あー俺パス、どうせ出来ないし」

 

「しかし」

 

「構わん、放っておけ」

 

「…かしこまりました」

 

 

そう、この扱いである

兄貴がハイスペックな反面、俺は何も出来ないダメ人間らしい

実際兄貴と同じ学校に通ってるが必ず何事も比べられる、これは兄弟の宿命でもあるから仕方ない事だけど

 

 

「クルーズ、今日は19時26分に急遽カバー家との会談がある、良いな?」

 

「分かりました」

 

 

何故半端な時間に会談が入ったか?

俺の屋敷は多忙で分刻みにスケジュールが組まれてる、まぁ俺には関係無いけどね

 

 

「さて、ごっそーさん、部屋戻るわ」

 

「はぁ…何故お前のような無能が生まれたんだ…恥を知れ」

 

「…」

 

 

俺はその問いに答えず部屋に戻った

が…

 

 

「んー!んー!」

 

 

何故か洗濯物に埋もれてる屋敷のメイドが居た

 

 

「おーい…何してんのあくあ?」

 

 

この埋もれてるメイドは湊あくあ、最近入った新人のメイド

なんだけど…屋敷の壺割るし紅茶もこぼすしで付いたあだ名が駄メイドあくあ、何となく親近感が湧いてくる

 

 

「ぷはっ…あ、○○坊っちゃま」

 

「人の部屋散らかさないでくれるかな?」

 

「も、申し訳ありません…」

 

「はぁ…まぁ良いよ、一緒に片付けるよ」

 

 

俺は自分の洗濯物をたたみ始めた

 

 

「あの、○○坊っちゃまは怒らないんですか?」

 

「ん?怒って欲しいの?」

 

「い、いえ…そういう訳では…」

 

「まぁ良いじゃん、早くやるよ」

 

「はい」

 

「そういえば埋もれてる時パンツ見えたよ、水色なんだな」

 

「なっ!?違いますよ!今日のパンツは白…あ…」

 

「へぇ…」

 

「○○坊っちゃまのエッチ…」

 

 

あくあは口を尖らせながらそう呟いた

 

 

「ん?」

 

 

俺は洗濯物の中から濡れている洗濯物を見付けた

部屋に運ばれる洗濯物は基本乾いてるので、不審に思う

 

 

「なぁあくあ、この洗濯物濡れてるんだけど」

 

「え?そんな…ちゃんと乾かしてきたのに」

 

 

あくあはそう言うが、こいつはかなりのドジっ子である

あまり言う事が信用出来ない

 

 

「ちょっと失礼しますね」

 

 

あくあはそう言うと俺から洗濯物を取った

 

 

「あっ…これ…あたしの涎だ…」

 

「はぁ!?」

 

 

こいつ涎垂らしてんのか!?汚ぇ…

 

 

「申し訳ございません、〇〇坊ちゃま…この洗濯物はまた洗濯し直しますね」

 

「あ、あぁ…てかあくあの涎付いてるの触っちゃったのか…げぇ…」

 

「な!?そんな反応しなくても良いじゃないですか!こんなかわいい女の子の涎ですよ?貴重なんですよ?」

 

 

あくあは何を熱弁してるのだろうか、そんな事言われても汚いものは汚いと思う

 

 

「はぁ…お前見てると色々と馬鹿らしく思えてくるよ」

 

「何かあったんですか?」

 

「ん?俺がこの屋敷で邪魔者扱いされてるのは知ってるだろ?いい加減そんな暮らしも嫌になってきてさ」

 

「あたしもここに勤め始めてから何一つお役に立ててませんから…お気持ち分かりますよ」

 

「そっか…意外と似たもの同士なのかもな」

 

「ふふっ…そうですね」

 

 

それから洗濯物を畳み、暫くあくあと喋っていた

癒月メイド長に見つかって叱られるまで…

 

 

 

 

それから数日が経った

俺は相変わらずの扱い、あくあも色々割ったりしている

あくあはそろそろクビにならないか心配だけど…

 

 

パリーン

「またですか…」

 

「あっ…申し訳ありません…」

 

「あなたは何回割れば気が済むんですか?これは全て旦那様に報告させていただきます」

 

「…」

 

 

(あいつ…また割ったのか…流石に心配になってきたな)

 

 

俺はあくあが癒月メイド長に叱られてるのを陰から見ていた

 

 

「はぁ…」

 

 

あたし何やってんだろ…メイド長からは毎日叱られるし、壺や皿も割っちゃうし…向いてないのかな、メイド…

 

 

「おい!待て〇〇!」

 

「待たねぇよ、もうこんな屋敷に居てもしょうがないだろ俺なんて」

 

「それは自覚していたか、だがなこれ以上好き勝手されるとこちらとしても迷惑なのだぞ」

 

「知らねぇよ、俺はここに居ても厄介者だ、好きに動かせてもらうわ」

 

 

あれは〇〇坊っちゃまと旦那様…?

何で〇〇坊っちゃま荷物を持って…まさか…

 

 

「それに、俺とあくあどっちか追い出そうなんて思うなら俺は自分が消えるのを選択するわ」

 

「!?」

 

 

え…あたしと〇〇坊っちゃまを…?

何で〇〇坊っちゃまは自分を犠牲に…

 

 

「貴様…」

 

「じゃあなクソ兄貴、俺が消えるんだからあくあは追い出すなよ」

 

「あいつにどうしてそこまで構う?お前にとって何なのだ?よもや恋愛感情なんて持ってないだろうな?」

 

「あ?別にそんなんじゃねぇよ、ただ…俺とあいつは似てるなって思っただけだ」

 

 

〇〇坊っちゃまは、そう言い残して屋敷を出て行きました…

 

 

 

 

俺はあくあがメイド長に叱られてるのを見た後、自分の部屋に戻ろうとした、その時親父と兄貴の会話が聞こえたんだ

俺とあくあどちらかを追い出そうって話が…

元々、俺は今の生活に嫌気がさしていたからこれを機に屋敷を出る決意をした

あくあに恋愛感情は…無いとは言いきれないけど…

あいつには妙な親近感があるから

 

 

 

「父上、○○が屋敷を出て行きました」

 

「構わん、放っておけ」

 

「しかし」

 

「ワシが良いと言っている」

 

「分かり…ました…」

 

(何故○○をあんなに自由に…)

 

 

この時クルーズにそんな疑問がよぎった

 

 

 

「さぁて…これからどうするかな」

 

 

俺は屋敷を抜けたがその後の事を考えてなかった

直ぐにでも行動しないとあくあが追い出されるかもと思ったからだ

そう言えばあくあに何も話さず出て行ったけど、良かったのだろうか?

 

 

「ん…?」

 

 

悩みながら歩いている内に、路上占いを見付けた

この際占ってもらおうかと思う

 

 

「すいませーん、ちょっと占って下さーい」

 

「はいはい、何を占いますか?」

 

「んじゃ…今後の俺の未来で」

 

「はいはい、お安い御用で」

 

 

そして俺の占いが始まった

気のせいか何かこの人髪の毛浮いてないか…?風なんて吹いてないんだが…

 

 

「出ました、あなたはこれから大きな決断を迫られます、1つは全てを失ってでも1人と添い遂げる、もう1つは全てを手にするも1人を失う、という結果です」

 

 

随分変な結果が出てしまった…俺の未来ロクでもなさそうだな…

 

 

「あー…どうもありがとうございました…」

 

「お待ちなされ」

 

「はい?」

 

 

突然占い師に止められた

 

 

「直ぐに戻られた方が良い、選択の時は直ぐです」

 

「は…はぁ…?」

 

「急がないとどちらも失い、最悪の結果になります」

 

 

何でこの人そんな事言うんだろうか?

俺には分からなかった

 

 

 

「おい、あくあ」

 

「はい、どうなさいましたか?クルーズ坊っちゃま」

 

「ちょっと必要な物があるんだ、買ってきてくれ」

 

「かしこまりました、何を買って来れば宜しいですか?」

 

「あぁ、欲しい物は…」

 

 

 

クルーズ坊っちゃまが私に買い出しを頼むなんて思わなかったです

ここはきちんと全うして、お役に立たなければ!

 

 

あくあはクルーズに頼られたと思い奮起していた、しかしそのあくあを尾行する2人の影が迫っていた

 

 

 

 

「父上、あくあを買い出しに行かせました、後は手筈通りに」

 

「良くやった、これで準備が整う、奴隷市場のな…」

 

 

「ん…んー…ここは…」

 

 

私はクルーズ坊っちゃまに買い出しを頼まれたはずなのに…誰かが後ろから何かを口にあててきてそのまま…

 

 

「え?何で手錠されてるの…?だ、誰かー!誰か居ませんかー!」

 

「起きたか」

 

「あっ…旦那様…?ここは何処なんですか?何故手錠を…」

 

「お前は○○のようにクズで使えなかったからな、せめて他の客に買われるんだな」

 

「そ…それはどういう…」

 

「まだ分からないのか?お前を奴隷市場に出すんだよ」

 

 

奴隷市場…?何で…?私は一生懸命にやってるのに…

 

 

「フン…言葉も失ったか…まぁ良い、騒がれるよりかはマシだからな、始まるまで大人しくしてるんだな」

 

 

旦那様が何か言ってる気がしましたが、そんなの耳に入りませんでした…

○○坊っちゃま…助けて…ください…

 

 

 

あの占い師、俺に戻れってどういう事だよ…

他人に従うのは嫌だけど、何か不思議な感じだったし、少しだけ戻ってみるか…あくあにも別れの挨拶しとかなきゃだったし

 

 

「あれ…?」

 

 

おかしい、あくあが居ないのは勿論だが、兄貴と親父の姿も無い

何があった…?

 

 

「あら、○○坊っちゃまお戻りになられましたか」

 

 

声をかけてきたのは癒月メイド長だった

 

 

「なあ、あくあは何処だ?兄貴と親父も見当たらないけど」

 

「あくあさんなら…買い出しに行かれましたよ、クルーズ坊っちゃまと旦那様は…この事は○○坊っちゃまには言わない約束でした」

 

 

あくあが買い出し?何やっても失敗だらけのあいつが?

ありえない、俺でも頼まないのに…

 

 

「兄貴と親父は何してんの?教えてくれよ」

 

「しかし…後悔されますよ?」

 

「良いから答えて」

 

「今日はあるオークションがありまして、そちらの準備に行かれております」

 

「なんだ、オークションなら別に」

 

「奴隷市場の」

 

「は?」

 

 

癒月メイド長から出てきた言葉は、予想外なものだった

 

 

「奴隷市場です、人身売買の」

 

「な…なんで兄貴と親父が…?それに今日はカバー家との会談があったはず…」

 

 

そうだ、会談があるのにそんな事してる場合じゃないだろ…

 

 

「アレはフェイクです、○○坊っちゃまを騙す為の。本当は19時半から奴隷市場の開催です」

 

 

「ふざけるな…言え、あくあは何処に居る?」

 

「…」

 

「言え、癒月メイド長」

 

「申し訳ありません、それは申し上げられません。しかし、会場の場所なら申し上げられます」

 

「それで良い、言え」

 

 

俺は苛立つように催促をした、一刻も早くその場に向かいたいからだ

 

 

「かしこまりました、場所は…」

 

 

俺は場所を聞いて走った、元々運動も出来ないせいかすぐ息切れを起こしてるが、それでも走った

あくあは…奴隷市場になんて出ないよな…?

今はあくあの無事をただ祈りながら走る…

 

 

 

18時半

「はぁ…はぁ…やっと着いた…」

 

 

走り続けて数時間、奴隷市場の会場に着いた

正直ずっと走り続けて吐きそうなレベルになっている、しかしまだ休む訳にはいかない

こんなふざけた催しは潰さなければならない、そして兄貴と親父も…

 

 

 

「あくあ、起きろ」

 

「う…?」

 

「そろそろ奴隷市場が開催される、お前の買い手が現れると良いな?居なかった場合…楽しませて貰った後そのまま…って事も有り得るからな」

 

「!?」

 

 

そんな…私はもう自由にはなれないの…?

嫌…誰か…助けて…○○坊っちゃま…!

 

 

「おい!どう言う事だ入れないって!」

 

「ですから、招待状が無いと会場には入れないんですって」

 

「俺はホロライブの人間だ、良いからそこをどけ!」

 

「聞き分けの無い方だ…これ以上は時間の無駄ですね…実力で排除します」

 

 

ガードマンが4人、俺を囲う

力も無いんだ、この状況は俺が確実に不利だ…

 

 

「おい、そいつは余の同行者だ」

 

 

ガードマンが一斉に声のした方に振り向く、俺も振り向いた、そこには…

 

 

「あやめ!?」

 

 

俺の数少ない知り合いの百鬼あやめが居た

ひゃっき、と読まれるケースが多いがこいつは、なきり、と読むらしい…最初間違えた時は泣きながら殴られた

 

 

「あやめ、何でここに…」

 

「警備員よ、そいつに手を出す事は余が許さん、持ち場に戻るが良い」

 

「これはあやめ様、失礼しました…」

 

 

ガードマンは立ち去って行った…

 

 

「ふぅ、とりあえずは安心じゃな、久しいのぉ○○、最近どうじゃ?」

 

「お前…何でこんな所に居るんだよ」

 

「ふむ…その問に答えるならば…お前様のとこからこんな物が来てな?それで来たという訳だ」

 

 

あやめはそう言うと奴隷市場の招待状らしき物を取り出した

確かにホロライブの文字が入っている、本当に裏でこんな事やってるとは思わなかった

 

 

「して○○よ、お前様は何故ここに居るのだ?」

 

「俺は…ここに俺のとこのメイドが居るかも知れないと思ってな」

 

「○○のとこのメイド…じゃと?」

 

「あぁ、実はな」

 

 

俺が事情を説明していると、あやめの表情がどんどん曇っていった

 

 

「○○…もし本当にここにそのあくあとやらが居るならば…危ないぞ?ここは特殊な趣味を持つ輩も多いと聞くぞ」

 

「最悪の場合…俺があくあを買うしか無いか…カード止められてないと良いけど」

 

「○○、余も手伝うか?」

 

「いや、流石に巻き込めないわ…俺一人の力で何とかするよ」

 

「そうか、ではせめて会場には入れるようにしておこう、先程余の同席者と言ったしな」

 

 

あやめにはもう頭が上がらないかもしれない…

 

 

「ありがとう、そこからは俺だけで頑張るから」

 

「うむ、頑張れよ○○」

 

 

 

「皆様、今宵はようこそ奴隷市場にお越し下さいました。今回も選りすぐりの奴隷がございます故、存分にお楽しみ下さいませ…!」

 

 

司会の挨拶でオークションが始まった

奴隷の中には筋骨隆々な男も居れば、絶世の美女のような女性も居た

あくあは見当たらなかった

 

 

「さぁ、次の奴隷はとある屋敷のメイド、湊あくあです!」

 

 

オークションが進むにつれ、あくあの出番が来たようだ

俺が…あくあを買ってこんな場所さっさとぶっ壊す!

 

 

「では500万からスタートです」

 

 

あくあの金額がどんどん上がっていく、どこかで大きく上げて周りの意欲を削がなければ…

 

 

「現在1億です、他には居ませんか?」

 

 

ここだ、ここで更に上乗せする…

 

 

「3「6億だ」億だ!え?」

 

 

俺の声に被せてきたのは、明らかにヤベぇ事をしてそうな奴だった

6億なんて俺の全額出しても足らない額、ここで…終わりなのか…?

 

 

「仕方ないのぉ○○よ…一つ貸しだぞ?」

 

 

俺が振り返るとそこにはあやめが居た

 

 

「あやめ…いや、お前に頼る訳には」

 

「あのメイド、お前様にとって大切なのだろう?気にするでない…10億じゃ!余は10億出す!」

 

 

あやめは俺の言葉など聞かず、10億という大金を提示した

 

 

「10億!他にございませんか?」

 

 

これ以上現れないでくれ…

 

 

「……居ないようですので、10億で落札とさせていただきます!」

 

 

あくあを落札出来た、と言ってもあやめが強引にやったんだが…

 

 

「お客様、こちらで手続きを」

 

 

入口で俺を包囲した1人があやめのところに来た

 

 

「うむ、あぁ○○よ、これから何があっても気にしないでくれ?」

 

「は?それってどういう」

 

 

ウーウーウーウー

 

 

「な…何だこの音?」

 

「全員そこを動くなッス!警察ッス!」

 

「警察…?にしては人数少ないが…」

 

 

パトカーは2台、警官は4人と余りにも少ない

 

 

「ふふふ…私が居れば警官なんて必要無いッス!行け!スタンド!」

 

 

は…?スタンド…?

そう思った矢先警官の後ろから変な影が現れ、瞬く間に会場に居た人間達を捕縛していった。

顔は…見ない方が良いだろう…

俺は捕縛されていなかった、他全員は捕縛されてるのに

 

 

「ふむ、流石仕事が早いな」

 

「あやめ…お前も無事だったのか」

 

「無事も何も、警察を呼んだのは余だからな」

 

「アレ…お前が呼んだのか…なかなかヤベぇ警官だな…」

 

 

あのスタンド?を出した警官は本人は何もせずスタンドで全て片付けてしまっていた、他の警官は奴隷の人間達を解放していた

 

 

「この度は通報ありがとうッス!おかげで一斉検挙出来たッス!ご協力感謝するッス!」

 

「うむ、助けになれたなら何よりだ」

 

「それじゃこいつらを全員連行するッス!皆行くッスよー」

 

 

警官はオークション参加者を全員影の中に押し込んでいった

あの影は一体どうなってるのか…

 

 

「離せ!ワシは…ワシは…!」

 

「父上…抵抗はみっともないです、受け入れましょう」

 

「クルーズ…貴様ぁぁ!」

 

「さぁ、早く連れてってくれ」

 

 

親父…兄貴…しっかり償ってくれな…

 

 

「○○坊っちゃま…」

 

「…?あ、あくあ…」

 

「○○坊っちゃまー!」

 

「うぐっ…」

 

 

あくあが突然抱きついてきた、その身体は小刻みに震えていた

 

 

「坊っちゃま…坊っちゃま…!あたし…怖かったです…!」

 

「あくあ…大丈夫だ、もう大丈夫だから…」

 

 

あくあは俺の胸でずっと泣いた、余程辛かったんだろう

 

 

「あ、あー…そろそろ良いか?」

 

 

あやめが事情聴取から戻ってきたのか、こちらに目を向けずにそう言ってきた

 

 

「あっ…申し訳ありません…」

 

「すまん、あやめ…」

 

「いや、良いんだが…」

 

 

何とも気まずい空気になってしまったが、とりあえずはここを離れた方が良いのかもしれない

 

 

 

 

ホロライブ邸

「さて、とりあえずは戻って来たが…」

 

「…」

 

「○○はこれからが大変だな」

 

 

あくあはずっと無言で、あやめは同情の眼差しを向けられた

 

 

「まぁ大変だけどさ、頑張らないとだから」

 

「そうだな、余から借金もあるしな」

 

「あれか…大分時間かかるが…大丈夫か…?」

 

「うーむ…あまり待てないからなぁ…ここで一つ提案させて貰おうか」

 

「提案?」

 

「○○、余のとこで働かないか?」

 

「…は?」

 

「あくあもどうだ?余のとこで働かないか?」

 

「え…その…」

 

 

俺もあくあも戸惑った、あくあはメイドだから次のとこ探せば良いけど俺は…一応それなりのとこの家の人間なんだが…

 

 

「あくあと一緒に働きに来れば暫くは一緒に居られるし、借金も返せるぞ?」

 

 

あやめが戸惑う俺に耳打ちをしてきた、確かに一緒に居られるが…って待て?俺はあくあの事大好きって訳じゃ…

 

 

「おいあやめ、俺は別に」

 

「あくあは乗り気らしいぞ?」

 

「は?」

 

「○○坊っちゃまと…一緒に…」

 

 

あくあは一人でボソボソと言いながら頬を赤くしていた

 

 

「あくあ…お前俺と一緒に居たいのか…?」

 

「え!?あの…その…」モジモジ

 

「○○、後はお前様だけらしいぞ?」

 

「………はぁ、分かったよ、その代わり、ここのメイド達も頼む」

 

「分かった、面倒を見よう」

 

「んじゃ…色々と手続きするか…」

 

 

 

 

 

「わー!○○坊っちゃま似合ってますよ!」

 

「あくあ…もう俺は坊っちゃまじゃないから呼び捨てにしてくれよ」

 

「いいえ、坊っちゃまは坊っちゃまですから」

 

「はぁ…もう良いよ」

 

「準備は出来たか?」

 

 

俺の執事服姿にあくあは興奮してたが、俺は冷静だった

そんな中、あやめが入って来た

 

 

「あぁ、まぁ大丈夫だ、いや…大丈夫ですあやめお嬢様」

 

 

そう、俺は今日から執事になる

あやめをもうタメ口で話せなくなる訳だ

 

 

「あやめお嬢様、あたしや他のメイド達も一緒になんて…どうお礼を言えば良いか…」

 

「良い良い、○○とお幸せにな」

 

「え!?あの…」

 

「あやめお嬢様…あくあを虐めないでいただけますか…?」

 

 

あくあを弄るのを俺は止める

 

 

「いやすまない、弄るのは彼氏の特権だったな」

 

「彼氏!?あぅ…」

 

「おい…」

 

「はっはっは…そう怒らないでくれ…さて、もう少ししたら仕事に入ってもらうからな、残りもゆっくりしてくれ」

 

 

あやめはそう言うと部屋から出て行った

 

 

「あの…○○坊っちゃま」

 

「だから坊っちゃまは止めろって…え…」

 

 

あくあの顔が紅潮し、潤んだ瞳でこちらを見つめていた

 

 

「あの…あたし達ってそういう風に見られるんでしょうか?」

 

「そういう風にって…何だよ…?」

 

「その…お付き合いしている2人に…です…」

 

 

あー…来てしまったかこの質問、俺もあくあの事は嫌いじゃないけど…あくあは俺の事好きっぽい気がするんだよな

どう答えれば良いのやら…

 

 

「あの…○○坊っちゃま…?」

 

「ん?あぁ…そうだな…そう見える人も居るんじゃ…ないか…?」

 

「そ…そうですか…!そうですか…」

 

 

あくあはとても嬉しそうにしていた、俺も何故か笑みをこぼしてた

 

 

「じゃあ、そろそろ仕事するか?」

 

「あ…あの!」

 

「ん?どうした?」

 

「あの…あたし…ずっと前から○○坊っちゃまの事をお慕い申してました!」

 

「…」

 

「これからも…この気持ちを持ち続けても…良いですか…?」

 

「……良いんじゃないか?俺は別に、お前の事は嫌いじゃないし」

 

「…はい!」

 

 

あくあは満面の笑みだった、何時かはあくあの想いにもケジメをつけなきゃいけない。

今はまずあやめお嬢様からの借金を返さない事には何も始まらない

その後かな…あくあとの事は…

 

 

「んじゃ行くぞ、あくあ」

 

「はい!○○坊っちゃま!」

 

「だから坊っちゃまは止めてくれな…?」

 

 




読んでいただきありがとうございます。
既にメイドネタを使ってしまってましたが、この湊あくあちゃんはメイドが本業ですからね(ゲーム好きのですが)
小説の話とは全く関係ありませんが、もし興味のある方はどうぞなのです
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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想いは人を強くする by紫咲シオン

どもです、3つ投稿の2つ目でございます
相変わらずロボ子さんの話ではありませんが…
ですが、じゃあ何で投稿したか、もうご察しかもしれませんね
そう、今日はタイトルの通り、ロボ子さんの後輩さんの紫咲シオンちゃんの誕生日なのです
彼女は魔法が使えるらしく、今回のお話もそんな感じに仕上げてみました。
ただまぁ…魔法というのは詠唱がかなりの確率であるもの。
自分で書いてて恥ずかしくなっちゃったんですよね苦笑
まぁともあれ、もし良ければ読んで頂けると幸いです。
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


ここは魔法使い養成施設ホロワーツ

名前が何となーく似てる気がするのは気のせいだ…

ここでは日々魔法の勉強が行われている

ここに魔力を持った2人の少年少女が訪れる

2人に待ち受ける運命は…

 

 

 

 

 

「これより、魔法適性検査を始める。名前を呼ばれた者は速やかにこの水晶玉に手をあてるのだ!その色によって適性を判断する」

 

 

施設の人間に呼ばれ1人ずつ水晶玉に手をあてていった

今回の希望者は1000人を越えているらしい、例年は600人前後らしく今年は群を抜いて多い。

俺、○○と腐れ縁の紫咲シオンも、この1000人の中の2人だ

俺は両親を魔物に殺され、シオンの両親は魔物討伐の為日々あちこちに出ている。

俺の両親は至って普通の両親で、魔法とは縁が無かった

それなのに俺がここに居るのは…

 

 

「ねぇ○○、人多過ぎない?吹っ飛ばして良いよね?」

 

「バカ止めとけよ、入る前にアウトだぞ」

 

 

こいつ、シオンのお守りみたいなとこだ

シオンの両親は魔物討伐に出ているのはさっき説明したが、魔力がとても高いらしい。

その血があるのかシオンも小さい頃から魔法を使える、と言っても下級呪文を更に小さくしたような程度だ。

前にシオンと喧嘩した時下級呪文しか唱えられないのに中級呪文唱えた時は焦った、万が一成功しても魔力を上手く扱えないだろうから暴走して辺り一面焼け野原になっていたかもしれないからだ…

その時はどうしたか?慌てて土下座した、俺も命は惜しかった

 

 

「○○、まだ?いい加減待ちくたびれるんだけど」

 

「少しは落ち着けよシオン、魔法の修行は忍耐力も必要なんだから、これぐらい耐えろよ」

 

「あー…ぶっ飛ばしたい…」

 

 

シオンはまだお子様だから忍耐力が足らない、それを抑えるのが俺の役割みたいなとこだ

曰く、俺の魔力はそんなに高くなくても構わない、シオンを最低限抑えられれば良い。

 

 

「次!紫咲シオン!」

 

「お?シオン呼ばれたぞ」

 

「分かってるって、んじゃサクッと行ってくる」

 

 

シオンは水晶玉の目の前に立ち、手をあてた

すると、水晶玉は赤く光り輝いた

 

 

「ほぅ…貴様はなかなか魔力が高いようだな、そして炎魔法の呪文に特化しているようだな」

 

「ふっふーん!あたしは天才だから」

 

 

もう一度言う、シオンはお子様だ

だから今凄い調子に乗ってるがあれは素だ

施設の人の頭に怒りマークが見えてる気がするが、きっと気のせいだ…うん、気のせいだ…

 

 

「よし、下がれ…次!○○!」

 

 

俺も呼ばれた、さて…俺はどんな適性なんだか…

俺はシオンと違って普通の家庭で育っている、だから今まで魔法の呪文を唱えようとした事も無いし、魔導書を読んだ事も無い

 

 

「んじゃ、いきますか」

 

 

俺は水晶玉に手をあてた

すると水晶玉は緑の輝きを放った

 

 

「ふむ、貴様は木の魔法か…しかし攻撃向けでは無さそうだ、防御と回復の魔法の適性が高いようだな」

 

「へぇ…回復ねぇ…」

 

「喜べ、防御、回復魔法の使い手はそう居ない、極めれば小隊にすぐ入れるだろう」

 

「それはどうも」

 

「フン…では下がれ、次!」

 

 

魔法の適性があったので、これで俺もホロワーツに入る事が出来る

俺が戻るとシオンはドヤ顔で俺を見ていた

 

 

「へぇ…○○も魔法使えたんだ、でも回復ねぇ?確かに珍しいだろうけどあたしの方が上ね」

 

「へいへいそうですね、シオンの方が強いですよー」

 

「何か棒読みな気がするんだけど」

 

「気のせい気のせい」

 

 

俺は適当にシオンをはぐらかした、あまり構ってるとすぐ調子に乗るからだ。

 

 

「これで全員の適性審査が終わった、貴様らはこれよりホロワーツで魔法の勉強をして貰う、そして来たるべき日に向けて魔法の修行をして貰う、この世界は魔物が蔓延っており人々を脅かしている。その脅威を1日でも早く無くす為に頑張って欲しい」

 

 

説明が終わると紙が配られた、部屋割と時間割だった。

2人で1部屋らしく、俺はシオンと一緒だった。

普通女子と一緒にしないと思うんだが…

 

 

「げぇ…ここでもあんたと一緒?変な事したらぶっ飛ばすから」

 

「安心しろ、誰もお前に欲情しないから」

 

 

俺はここで地雷を踏んだ

 

 

「は?それどういう意味?」

 

「そのまんまの意味だ、胸無シオン…」

 

 

俺は肩ポンしながら言った

 

 

ブチン「へぇ…○○…あんたそんなにぶっ飛ばされたいんだ…じゃあお望み通りぶっ飛ばしてあげる…!」

 

「は…?」

 

「炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!」

 

 

シオンは詠唱を始めた、この屋内で。

こんな所で魔法を使ったら部屋は吹き飛んでしまう…

 

 

「お、おま…こんな所で何しようと…今唱えられる防御魔法とかあったかな…あ、あった!」

 

「ファイアボール!」

 

 

しかし俺が詠唱を始める前にシオンの魔法が放たれてしまった

 

 

「や…やば…」

 

 

詠唱しようとするも、シオンの魔法は俺に直撃した

咄嗟に窓を開けて飛び出してから直撃した為、部屋の被害は最小限で済んだ。

 

 

「ふん!あたしの事馬鹿にするからそうなるんだよ」

 

 

シオンの声は俺には届かなかった、直撃した後、地面にめり込んでいたからだ…

 

 

「シオンの…バカヤロウ…」

 

 

 

翌日から魔法の勉強が始まった

俺は初めての単語や内容だらけで新鮮だったが、シオンは元々知っている内容なので退屈そうだった。

 

 

それから2週間、今度は魔法の実践が始まった

シオンは炎魔法に磨きをかけ、俺は攻撃魔法が使えない為防御と回復魔法の練習をした

初級魔法として、プロテクトとヒールの魔法を覚えたが…まだあまり上手く使えない、魔力が足らない為なのだろうか…

 

 

「○○、ちょっと練習相手になってよ」

 

 

ある日シオンが俺にそう聞いてきた

 

 

「練習相手?んなの他の魔力高い奴にしろよ、よりによって攻撃魔法使えない俺にしなくても良いだろ」

 

「は?あんたは防御魔法使えんじゃん、それの強度上げの為にもなんだから」

 

「なるほどな、別に良いけど」

 

 

俺とシオンは練習場に移動した、練習場は申請すれば誰でもすぐに使えるのが良いところだ。

 

 

「じゃあ、軽く初級魔法からいくよ」

 

「あいよー」

 

 

俺とシオンは互いに詠唱を始めた

 

 

「炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!」

「大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

「ファイアボール!」

「プロテクト!」

 

 

俺は目の前に透明の盾を出し、ファイアボールを迎え撃った

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

「くっ…シオンの奴、また魔力上がりやがったな…!」

 

 

俺は何とかファイアボールを凌いだ、しかしプロテクトはあちこちでヒビが入っていた

 

 

「へぇ、まぁこれは防いで貰わないと話にならないよね」

 

「お前…少しは加減しろよな、込める魔力増やしただろ?」

 

「あんたならこれくらい平気かなって」

 

「もし防げなかったら俺どうなると思ってんだ…?」

 

「んー…黒コゲ?」

 

 

こいつ…俺が死んでも良いのか…?

 

 

「さ、次はもっと強いのいくよー」

 

「は!?お前俺の魔力知ってて言ってんのか!?」

 

「炎よ、我が行く手を阻む障害を貫き崩せ!」

「だぁぁ!もう…大地よ、我が身を守る力となれ!そしてもう1つ、大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

「ファイアランス!」

「アーマー!プロテクト!」

 

 

シオンは新しい魔法を、俺はプロテクトの上書きと肉体強化魔法のアーマーを同時に唱えた。正直同時詠唱は魔力を込めるのも難しいし、負担が大きいからあまりしたくはなかった…

 

 

「ぐぅ…やっぱりキツイな…」

 

「ほらほら、集中切らすと怪我するよー」

 

「くそ…俺だって意地があるんだよ!」

 

 

プロテクトの重ねがけとアーマーで、なんとかシオンのファイアランスを防ぎ切った、しかし俺はもうフラフラになってしまった

 

 

「もう終わり?○○もう少し魔力上げたら?」

 

「だ…誰もがお前みたいに魔力が多い訳じゃないんだよ…」

 

「あっそ、もう出来ないっぽいし終わりにするね」

 

 

シオンは練習場を去って行った、残った俺は

 

 

「くそ…慣れない事はしないに限るな…まだ身体に力が入らねぇ…これじゃ魔物討伐になんて…」

 

 

俺の呟きは誰の耳にも届かない…

 

 

 

それから更に2ヵ月半の月日が流れた、シオンは相変わらず魔力が上がっていき、中級魔法も覚えたらしい

流石に俺に使ってくる事は無いが

俺はこの2ヵ月半で回復魔法と、プロテクトとアーマーの強化に取り組んだ。

元々攻撃魔法が使えない俺は元の魔法の強化の方がやりやすい

そんな時だった

 

 

「1週間後に遠征を行う、各自準備をしておくように」

 

「遠征かぁ…どこに行くんだろうな」

 

「さぁ?どうせまたあたしはあんたと一緒だよ…」

 

「それは…否めないな」

 

 

案の定、遠征班は俺とシオンは一緒だった、他に2人が居て計4人の班だ

遠征場所はべロス火山、ドラゴンが棲んでいると有名な火山だ

 

 

「暑い…溶ける…」

 

「言うな、もっと暑くなる」

 

「だってさー…」

 

「じゃあ僕が魔法で涼しくするよ」

 

 

そう言ったのは同じ班になった奴だった

 

 

「あ、マジ?お願い」

 

「では…水よ、全てを癒す雫をここに」

 

 

水魔法か、しかも詠唱を聞く限り回復系らしい

 

 

「アクアドロップ!」

 

 

男の魔法で俺達は暑さを緩和する事が出来た

 

 

「助かったよ、えっと名前は」

 

「僕はドラン」

 

「…私はルーン」

 

 

男の方はドラン、女子はルーンと名乗った。

ルーンの魔法はまだ分からないが、まぁ遠征部隊に入ってるんだからそれなりの実力はあるはずだ。

 

 

「えっと、それじゃ今回の遠征内容をおさらいするぞ。今回はここに生息しているリザードマンの鱗を集める事だ、数はそれなりにあるが…そんな時間かけずに達成すると俺は思う。俺とドランで補助魔法を使うし、攻撃魔法はシオンがいる。んで…ルーンはどんな魔法が?」

 

「あたしも、攻撃魔法使える」

 

「おけ、ドランは攻撃魔法使えるか?」

 

「勿論、使える」

 

 

ドランも使えるという事は、補助に専念出来るのは俺だけか

 

 

「分かった、じゃあフォーメーションは…」

 

 

 

「ギシャァァァァ!」

 

「シオン、ルーン、そっち行ったぞ!」

 

「分かってるって!しっかりサポートしてよね!」

 

「…風よ、全てを引き裂く刃となれ、ウィンドカッター!」

 

「炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!ファイアボール!」

 

 

ルーンが風魔法、シオンが炎魔法を放つ

魔物は4つに切り裂かれ、焼き尽くされた。

 

 

「お疲れ二人共、俺達援護しなくてもいけたな」

 

「おっつー、まぁあれくらい楽勝だね」

 

「あれは単体だったし、群れてきたら危ない、油断大敵」

 

 

俺達は魔物を討伐し、一休みしていた

先程の戦闘の振り返っていた。

 

 

「まぁ、とりあえず無事なんだし良いだろ、早くリザードマンの鱗を集めるぞ」

 

「はいはい、さっさと終わらせちゃおー」

 

 

俺達は魔物が居る場所にいるのに、緩みきっていた。

だから、気付かなかった…上空からの攻撃に

 

 

ドォォォォォォン!

 

 

「うぉっ!?なんだ!?」

 

「上に…何かいる…?」

 

 

俺達は上を見上げた、そして正体に気付いた時、俺達は戦慄した

 

 

「な…なんで…ドラゴンがいるんだよ!?」

 

 

ガァァァァァァ!

 

 

「嫌だ…死にたくない…嫌だぁぁぁぁ!」

 

「お、おいドラン何処行くんだよ!」

 

 

ドランはドラゴンを見るや逃げ出した、しかしドラゴンがそれを見逃すような甘いやつではなかった

 

 

ガァァァァァァァァァ!

 

 

「は、離せ!助けて…助けてくれー!」

 

 

ドランの叫びは虚しく、ドラゴンの手によって潰された

 

 

「ドラン…クソッ…」

 

「どうすんの…?○○…3人で何とかできるレベルじゃないよ…?」

 

「…」

 

 

シオンは顔を青ざめ、ルーンは言葉も出なくなっていた

 

 

「シオン、ドラゴンに当てないで上空に炎魔法飛ばせるか?それを信号代わりにする」

 

「分かった」

 

「ルーンはシオンが信号を出すまでドラゴンを誘導してくれ、俺が補助魔法で援護する」

 

「いや」

 

「え?」

 

「やるなら2人で勝手にやって、あたしは関わりたくない」

 

 

ルーンはこの状況で拒絶をした、本来ならドランが居ても相当不利なのに、3人しか居ないのに拒絶は何を考えているのか

 

 

「風よ、我が身にかかる脅威からその身を護りたまえ…インビジブル!」

 

 

ルーンは魔法を唱えると姿を消した

 

 

「消えた!?」

 

「姿を消す魔法か、アレを使えれば良かったのに」

 

「シオン、そう言うな…2人になってしまった以上、もう逃げるしかない。俺が全力で補助魔法かけるから、逃げろ」

 

「○○はどうするの?攻撃魔法使えないじゃん」

 

 

シオンは不安そうに俺を見つめていた

正直俺だけじゃ切り抜けられないけど、シオンだけは生き残って欲しかった

 

 

「大丈夫だ、お前に隠れてある魔法を会得した、それを使えば簡単に切り抜けられる、ただ自分にしか使えないからさ…ルーンが使った感じの魔法と思ってくれ」

 

「…」

 

「大丈夫だから、じゃあいくぞ…?」

 

「○○…」

 

「大地よ、我が身を守る力となれ!そしてもう1つ、大地よ、我が身を守る盾となれ!そして…大地よ、継続なる癒しを与えたまえ…!」

 

 

前は2つの魔法を同時詠唱でフラフラだったが、修行を経て多少負担はあるが可能になった。

だが、今は3つの同時詠唱…負担は大きい

 

 

「アーマー!プロテクト!そして…リジェネ!」

 

「○○、凄い汗だよ…?一緒に逃げようよ…」

 

「ばーか、何の為にお前に魔法をかけたんだよ…早く行け」

 

 

正直立ってるのも辛い程になっている、やはり3つは無理をし過ぎた…

 

 

「でも…」

 

「早く行け!生き残れ!」

 

「っ!?」ダッ

 

 

シオンは走り去った、後はドラゴンがシオンの方に向かわないように足止めすれば良い。

 

 

「おら!ドラゴン!こっちだよ!」

 

 

ガァァァァァァ!

 

 

ドラゴンがこちらに照準を合わせてきた、あの巨体での体当たりも致命的である

 

 

「はぁ…はぁ…まだ辛いけどやるしかないか…大地よ、我が身を守る力となれ!そしてもう1つ、大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

 

ドラゴンは逃げてるシオンには気付いていない、これで良い…

 

 

「アーマー!プロテクト!」

 

 

ドラゴンと激突する直前、防御魔法を2つ唱えた

しかし唱え終わると足がよろけてしまい、回避に遅れてしまう

 

 

ドゴォ「ぐはっ…」

 

 

ドラゴンの体当たりが直撃する、防御魔法をかけてるのに意味が無いほどのダメージを受けてしまう。

 

 

「ヤバいな…たかが体当たりでこのザマか…だが、もう少し時間を稼ぐんだ…シオンを逃がさないと…」

 

 

俺の頭にはもう生き残る算段なんて無かった、兎に角時間を稼ぐ事だけしか考えてなかった。

だから、あいつが戻って来たのに気付かなかった…

 

 

「エクスプロード!」

 

 

グガァァァァァ!

 

 

「今の魔法は…中級の炎魔法…何で…何で戻って来たんだよ…シオン!」

 

 

俺は魔法の来た方向へ振り向くと、シオンにそう言った

 

 

「○○の嘘つき…逃げれるなんて何でそんな事言ったんだよ!逃げれるならさっさと逃げてよ!何でボロボロなの…?」

 

「あー…アレだ、もっと危機的状況になって使おうと」

 

「ファイアボール!」

 

 

シオンは突然詠唱破棄して俺に炎魔法を放ってきた

 

 

「うぁ!?シオン、お前…!」

 

 

パァン!

 

 

「…っ!シオン…?」

 

 

突然シオンは俺を叩いてきた

 

 

「バカ…」

 

 

シオンは涙を流していた

 

 

「アンタは死なせない、あたしが守る」

 

「止めろシオン、お前は逃げろ」

 

「あたしが逃げてその後は?○○死んじゃうじゃん…」

 

「俺は大丈夫だから…俺はシオンが居なくなるのが怖いんだよ、両親も死んでしまった、そこに更にシオンまで死んだら…俺は…」

 

「だったら、2人で生き延びようよ、2人でやれば、怖くない」

 

「シオン…」

 

 

シオンの表情は柔らかく微笑んでいた、この死んでしまうような状況で

 

 

「○○、好きだよ」

 

「え…?突然何言ってんだよ…?」

 

「答えは、帰ったら聞くね」

 

「ちょ…俺の話聞けよ」

 

 

突然のシオンの告白に俺は戸惑った

まるで、死ぬ間際とかで言うセリフにも聞こえてしまったからだ。

 

 

「さぁ!気張っていくよ○○!しっかりフォローしてよね!」

 

「お…おぅ…!」

 

 

何かシオンのペースに持ってかれてるが、この際ヤケだ…まずはこの状況を切り抜くしかない。

 

 

「爆炎よ、その身を焦がす炎と共に悪しき者を討ち滅ぼせ…!」

 

 

シオンは詠唱を始めた、だが気になるのは詠唱の初め、炎じゃなく爆炎になっている…

あれは…上級魔法の詠唱だ、シオンはまだ中級までしか使えないはずなのに…

 

 

「シオン止めろ!それはまだお前には…!」

 

「ドラゴン倒すにはこれぐらいじゃないとダメでしょ?アンタはしっかりフォローしてれば良いの!」

 

 

ガァァァァァァ!

 

 

ドラゴンが炎のブレスを放ってきた、炎のドラゴンに炎魔法は効果あるのか不安だが…

 

 

「ちょっと魔力キツいな…でも…やるんだ…!」

 

「シオン…」

 

「いくよ…!プロミネンスノヴァァァァァァァァ!」

 

 

シオンの手から巨大な炎が、龍の形になってドラゴンに向かっていく

 

 

「ブレスから…守らないと…大地よ、大いなる加護で我らをを包み込め!ネイチャーシールド!」

 

 

俺は中級防御魔法でシオンの前に巨大な土の壁を出した、だけど俺の魔法は木、ドラゴンは炎、相性は最悪だ…

 

 

「ニンゲンメ…コシャクナ…」

 

「ドラゴンが喋った!?」

 

 

ドラゴンは高位の魔物なのは知っていたが、喋れるのは知らなかった。

 

 

「ワガブレスヲフセグトハ…ダガコレハフセゲマイ…」

 

 

ドラゴンはそう言うと翼を羽ばたかせて空へ飛んだ

 

 

「ドラゴンインパクト…!」

 

 

ドラゴンが右手を前に突き出しながら、こちらに向かって急降下してきた

 

 

「ヤバい…アレはもう中級防御魔法じゃ防げない…!シオン逃げ…」

 

 

俺はシオンに声をかけようとしたが、シオンは倒れていた

 

 

「シオン!?おい!大丈夫か!」

 

「…」

 

 

シオンを抱き抱え声をかけるも、シオンは反応しなかった

 

 

「シオン…無茶しやがって…」

 

「クタバレニンゲン…!」

 

「うるせぇ…シオンだけは絶対守る!」

 

 

俺の中で怒りが湧いてきた

今はドラゴンを止める力が欲しい、そんな風にも思った。

 

 

「大自然よ…その怒りの息吹をもって悪しき者を無に還せ…!」

 

 

自分でも不思議に思った

今俺が詠唱してるのは攻撃魔法だ、しかも…上位魔法だ

俺は覚悟を決めてるのかもしれない、死ぬ覚悟を…

元々俺の魔法は攻撃に果てしなく向いていない、回復や防御魔法しか使えない。

これはきっと心の奥底で誰かを守りたいという気持ちが強いからなのかもしれない、俺はそう解釈している

両親を魔物に殺されてから、シオンはずっと俺の傍に居てくれた、それが本当にありがたかったし、嬉しかった

今は、この命を燃やし尽くしても…ドラゴンと刺し違えても、シオンを守る…!

 

 

「ユグドラシル!」

 

 

俺の背後から巨大な木が出現し、シオンを包み込んだ

ここまでは防御魔法に近いものがある、だがこの魔法はここからが違う

巨木から凄まじいエネルギーが蓄積されていく、この魔法は攻防一体の魔法である。

対象者を巨木の中に取り込み守り、外敵を迎え撃つ、それがこの魔法の特徴

 

 

「ソノマホウハ…キサマ…ナニモノダ…!」

 

「あ?俺は…ただ1人の女の子を守りたいちっぽけな人間だよ!」

 

「ナラバナゼソノマホウヲ…!」

 

「ぐだぐだうるせぇ…これで…消し飛べぇぇぇぇ!」

 

「ユグドラシルレイ!」

 

 

ユグドラシルが溜め込んだエネルギーをドラゴンに解き放った

 

 

「グォォ…ニンゲンゴトキガ…禁魔ヲ…」

 

 

魔法がドラゴンに直撃した、右半身を魔法で吹き飛ばす事が出来た…

 

 

「はぁ…はぁ…ゴポッ」

 

 

上位魔法を使った影響か、口から血が止まらない…

 

 

「ニンゲン…キサマ…コレカラドンナコトガオキルトオモッテルノカ…ワカッテルノカ…」

 

「んなの…知らねぇよ…ただ俺は…あいつを守れればそれで良い…」

 

「ワスレルナ…キサマハソノマホウヲツカッタ、イヤ…ツカッテシマッタ」

 

「はぁ…はぁ…何言ってんのか分からねぇよ…」

 

 

ドラゴンはまるでユグドラシルを唱えてはいけない口ぶりだった

 

 

「キサマハ…」

 

「うっ…ガハッ…」

 

 

ドラゴンがまた何か言いかけたが、俺の意識はそこで途切れてしまった、ユグドラシルが解けてシオンが横たわってるのが最後に見た光景だった。

 

 

 

「うっ…ここは…」

 

「ニンゲンノムスメ…ソコノニンゲンニツタエロ…ココロヲツヨクモテ、ソノココロユレルトキ、サイアクヲマネクト…」

 

 

身体を半分失ってるドラゴンがあたしにそう伝えてきた

何であんな姿になってるのか、それに気付くのは容易かった。

〇〇がやったんだ、そう確信出来た

 

 

「○○は!?」

 

 

辺りを探すと○○を見付けた、けどその周りには赤い血溜まりが出来ていた。

 

 

「○○!?ちょっと!しっかりしてよ!死んじゃ嫌だ!」

 

「おい、大丈夫か!って何だこれは…?ドラゴンが倒されている…?お前ら何をした…?」

 

「今はそんな事よりも○○を助けて!」

 

 

あたしは状況説明よりも○○を優先させた、折角想いを伝えたのに…答え聞く前に死なれちゃ嫌…!

 

 

「おい、誰かこいつらにテレポートを!」

 

「はっ!直ちに」

 

 

魔法使いの1人があたしと○○にテレポートをかけ、拠点に戻した

 

 

 

「○○…もうすぐ手当てしてあげるからね…もう少し頑張って…!」

 

 

拠点に戻り、救護班が○○に回復魔法をかけていく

しかし傷がかなり深く、そう容易く回復は出来なかった…

 

 

 

 

 

「あ…?」

 

「○○?気が付いた…?」

 

「ここは…」

 

「拠点だよ、テレポートっていう魔法で戻されたみたい」

 

「そう…か…」

 

 

俺は、あの後倒れてたんだな…

 

 

「なぁ、シオン…」

 

「何?」

 

「もっと顔を見せてくれないか…?まだ身体が動かせなくてさ」

 

「ほら、これでよく見える…?」

 

「あぁ、ありがとう…」

 

 

俺は痛む身体を無理に動かし、シオンを胸に抱き寄せた

 

 

「え、ちょ…○○?どうしたの?」

 

「良かった、シオンが生きてる…」

 

「何バカな事言ってるのよ」

 

「生きてる…生きてるんだ…」

 

 

俺は涙が止まらなかった、もしあの時、シオンを守れずに俺だけ生き残ってた場合…自分を保てなかったかもしれない

 

 

「あたしは生きてるから、アンタが…○○が守ってくれたんだよ?ドラゴンを倒すなんて凄いよ…!○○」

 

「あの時は無我夢中だった…使えないはずの魔法も使えたんだ」

 

「使えないはずの魔法…?」

 

「攻撃魔法だよ、俺は一切使えないはずだったのに…あの時だけは詠唱が頭に浮かんで咄嗟にそれを唱えてた、しかもそれが発動出来たんだ…代償でその後がアレだったけど…」

 

「それでもドラゴンを倒したのは○○だよ、誇って良い、偉いよ○○」

 

「そう…かな…ぐっ!?」

 

「まだ無理しちゃダメだよ、ゆっくり休んで」

 

「あぁ…ありがとうな、シオン…」

 

「おやすみ、○○…」

 

 

 

2週間後、俺の身体の傷は塞がった

しかし、代償はあった

両目の視力が低下していた

そこは眼鏡をかけるかとかで対処出来るからまだ良かった。

その代わり、1つ良い事もあった

俺も攻撃魔法が使えるようになった、と言っても初級魔法しかまだ使えないが…それでも使えるようになったのは嬉しかった。

 

 

「○○ー、魔法の練習相手になってー」

 

 

シオンがまた練習相手に俺を呼びに来た

 

 

「またか…?まだ万全じゃないんだから休ませてくれても…」

 

「ダメ、○○にはもっと強くなって貰わなきゃ困るし…それに、あたしを守ってくれるんでしょ…?」

 

 

そう、俺は1週間前にドラゴン戦でシオンから告白された返事をした

内容は恥ずかしいから言えないが、シオンの顔が茹でだこになるぐらいのセリフは言った気がする。

まぁ部屋も同じな訳だから、寂しい思いもしなくて済むし

ちなみに、あまりの恥ずかしさで俺に向かってファイアボールを詠唱破棄で撃ってきたりもあったけど、それは別の話…

 

 

「じゃあいくよー、炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!」

 

「お前容赦無いなまったく…大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

「ファイアボール!」

「プロテクト!」

 

 

今ならシオンのファイアボールもプロテクトだけで軽く防げる、それぐらいあのドラゴン戦から強くなったみたいだ

ずっと寝てたから何で強くなったのかは謎だけど…

 

 

「へぇ…強くなったね○○」

 

「そりゃあな、お前を守る為だから」

 

「…っ!しっかり守ってよね!」

 

「守るさ、大事な人だからな、シオンは」

 

「…//」

 

「それじゃ、もう少し練習するか」

 

「うん!」

 

 

ドラゴンは倒した、けど他にも凶悪な魔物はまだ沢山居る

それを全滅させるにはかなりの年月が必要だろう、それでも俺は、俺達は戦い続ける…

1日でも早く平和にする為に…!

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
甘くは…無いでしょうね汗
彼女は子供や姪っ子etc言われてるので、もしよろしければって感じですかね
次の更新予定は実はそんなに日が無いんですよね汗
そちらも…ロボ子さんのでは無いのですが汗
次のお話も読んで頂けると幸いです。
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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恋する乙女の行動力は凄い by百鬼あやめ

どもです、今月3回目の投稿でございます
例の如くロボ子さんでは無いですが…
もうお分かりと思います、今日はホロライブ2期生の、百鬼あやめちゃんの誕生日でございます。
なので、毎度ながらの拙い文章力ですが、書かせていただきました。
実はこのお話、まさかの誕生日前日まで書いてました…
というのも、先月風邪引きまして、治ってからも散歩とか放浪してた為書けてなかったのです…
これは自分が招いた事なので、重く受け止めます

さて、きっとこんな前書きよんでもくだらないとか言われそうなので、ここらで…
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


 

ここは幽世

なんでも妖怪とかお化け…?が沢山居るとか

僕は気付いたらこの世界に居た、前の世界の記憶は無い。

家族が居るかも分からない、本当に何も覚えてないみたいだ

鏡を見て自分の容姿を見てみると、おそらく15歳か16歳前後なんだろうと思う。若い印象だ

学校にも通ってるらしい、基本妖怪だらけだけど。

僕は分類されるなら人族だから、よくイジられる。

そんな中、僕は1人の女の子に目をつけられた、百鬼あやめという女の子だ。

自分の事を余と言うちょっと変わってる感じだ

と言っても、ここの人達(妖怪達)は皆変わってると思うからそこは何とも…だと思う

 

 

「おぉ、○○おはよう!」

 

 

ほら、また絡んできた…

この人は本当に絡んでくる、ありがたいようなありがたくないような…感じだ。

 

 

「おはよう、百鬼さん」

 

「むぅ…余の事はあやめと呼べと言ってるのに…」

 

「そこまで仲良くないからね」

 

 

仲良くなるつもりも無いけど

 

 

「ふむ、ならもっと親睦を深めるとするかの、学校が終わったらデートするぞ!」

 

「はい…?」

 

 

いや、仲良くないからってそんないきなり仲良くなろうとするのかな…

僕はあまり関わりたくないのに…

 

 

僕が何故百鬼さんと関わりたくないのか、理由を説明しないと思うからしとこう…

僕が学校に登校し始めた頃、鬼族の不良に絡まれた事がある。

そこを百鬼さんが助けてくれたんだけど…

でもその不良、百鬼さんに惚れてたみたいで、僕に対するヘイトが更に高まっちゃったらしいんだ。

何というか…僕は不運みたいだ。

それ以来、百鬼さんが居ない所で僕に対する鬼族からのいじめが起きてる

僕はそれを百鬼さんに伝えてない、というか伝えるつもりも無い。

伝えたら…どうせまた関わってくるから

 

 

 

「では、学校が終わったら校門で待っとるからな!」

 

「え…あの僕まだ何も」

 

「待っとるからなー!」

 

 

百鬼さんはそのまま走って行ってしまった

僕の話…聞いてくれないんだよね…

 

 

 

 

学校に着き、教室に入ると既に何人かのクラスメートが居た。

ろくろ首、一つ目、狼男、雪女、他にも色々な妖怪が居る

 

 

「お、○○来たんだ、おはよー」

 

「おはよう」

 

 

雪女の雪子が話しかけてきた、僕が登校するようになってから初めて出来た友達…かな…

 

 

「○○…」

 

「あ…」

 

「お前…また生徒会長に話しかけられてたな…」

 

 

河童のQ太郎が負のオーラ全開で迫ってきた

 

 

「ちょ…Q太郎…落ち着いて…」

 

「これが落ち着いていられるか…何で…何でお前ばっかり…百鬼会長と話せるんだよぉぉぉぉぉ!」

 

 

そう、百鬼さんは…この学校の生徒会長らしい

 

 

「そんな事言われても…僕だって迷惑してるんだけど」

 

「お前ぇぇぇぇぇぇ!」

 

「ちょっとQ太郎落ち着きなさいよ!」

 

 

雪子や他のクラスメートがQ太郎を止めてくれた、百鬼さんの話になるとQ太郎は何時も暴走する。

百鬼さん本当に人気なんだな…

 

 

あれからQ太郎の暴走は止まり、なんとか授業を受ける事が出来た。

もうQ太郎に百鬼さんの話は禁句だな…

 

 

授業が終わり、下校の時間になる

僕は教室の窓から覗くと、既に百鬼さんが校門の前で仁王立ちしている。

何でそんなに早く待ってるのか…僕は分からなかった。

 

 

「おぉ!○○待っておったぞ!」

 

「あぁ、うん…お待たせしました…」

 

 

結局僕は百鬼さんとデートする事になった…

嫌だけど…今日でもう絡まないでって言わないと…

 

 

「では早速、行こうかの」

 

「何処に行くの…?」

 

「何、来れば分かる」

 

 

百鬼さんはそう言うと僕の手をとって歩き出した

 

 

「ちょっ…百鬼さん、自分で歩けるよ」

 

「むふふー」

 

 

百鬼さんは僕の声が聞こえてないようだ…

 

 

 

「さぁ、着いたぞ!」

 

 

百鬼さんに連れられて、辿り着いた場所は…ドーナツ屋だった

 

 

「一度来てみたかったんだがな、一人だとどうしても恥ずかしくてな…二人で入れば平気と思ったんだ」

 

「そっか」

 

「いらっしゃいませ、ご注文は…ってテメェは!?」

 

「あ…鬼族の…」

 

「おぉ、羅刹じゃないか、バイト頑張ってくれなー」

 

 

百鬼さん、軽い、軽いよ…僕その人に敵視されてるんだから…

 

 

「チッ…ご注文は?」

 

「余はポンポンリングを頼む」

 

「僕は…プレーンで」

 

「少々お待ちを…」

 

 

鬼族の羅刹と呼ばれてる彼は、僕を睨み付けながら消えていった

僕何もしてないのに…

 

 

「ふふふ…楽しみだなぁ」

 

「本当に楽しみなんだね、百鬼さん」

 

「だからあやめと呼べと…まぁ良い、余は甘い物に目がなくてな、ここにこの店が出来た時から来てみたかったんだ」

 

 

百鬼さんはとても嬉しそうに話してきた

 

 

「そっか、まぁ…僕も甘い物は嫌いじゃないかな」

 

「そうか!○○も好きなのだな!?余達気が合うではないか!」

 

 

百鬼さんはそう言うと僕に抱き着いてきた、あの…周りの目が痛いです…百鬼さん…

 

 

「お待たせしました…っておいテメェ…何してやがんだ…?」

 

 

うわぁ…最悪のタイミングだよ…僕本当に何なの…

 

 

「おぉ!それがポンポンリングか!?」

 

「あ…はい、これがポンポンリングでごぜぇやす、お嬢」

 

「ここでその呼び名はするな、羅刹」

 

「す、すんません…」

 

 

僕には何の事だか分からないけど、多分知らなくて良いんだろうな

 

 

「では、戴こうか」

 

「う、うん…いただきます…」

 

 

うん、プレーンはシンプルで美味しいな

 

 

「お…おぉ…このモチモチした食感、たまらん…!素晴らしいな!」

 

「美味しいんだね」

 

「あぁ、もうとびっきり美味くてな!ほっぺたが落ちそうだ!」

 

 

百鬼さんは満面の笑みで僕に語ってきた

 

 

「なぁ○○、お主のプレーン1口くれぬか?」

 

「…え?」

 

 

百鬼さんが僕のドーナツを狙ってる…?

いやいや、これは僕のドーナツだからあげないよ…?

 

 

「食べたいなら自分で買いなよ、これは僕のだし」

 

「そう堅いこと言わずに、な?」

 

「いやだからこれは」

 

 

パクッ

 

 

僕が言い終わる前に、百鬼さんが僕のドーナツを食べた

 

 

「あ…」

 

「むぐむぐ…おぉ、このぷれーんとやらも美味しいな!」

 

 

当の本人は笑顔である

しかし、後ろを振り返るとあの鬼族が凄い目つきで睨んでいる

 

 

「1口貰ったお礼だ、余のも1口食べるといい」

 

 

百鬼さんはそう言うと自分のドーナツを差し出してきた

 

 

「あの…大丈夫だから、僕は」

 

「良いから良いから、遠慮なく食べてくれ!」

 

 

百鬼さんは笑顔でドーナツを口元へ寄越してくる

正直これ食べると、間接キスになるんだよな…

百鬼さんそれ気にせずに僕のドーナツ食べたけど…気付いてたのかな、間接キスしてる事

 

 

「百鬼さん、それ食べると間接キスになるよ?というか、僕のも食べて間接キスになってるんだけど」

 

 

思い切って聞いてみた、これで恥ずかしがってくれれば僕の勝ちだ

 

 

「ん?別にお主となら間接キスぐらい構わんぞ?お主は…嫌…なのか…?」

 

 

ズルい…そんな言い方されるのは、本当にズルい

 

 

「嫌というか…なんというか…」

 

「むぅ…煮え切らないな、そうだ!じゃあこれなら嫌でも食べさせてやるぞ」

 

 

そう言うと百鬼さんはドーナツを口に咥え、僕に抱き着いてきた

 

 

「ちょっ…百鬼さん!?」

 

「んー!」

 

 

百鬼さんと僕の距離は、ドーナツの差分が無いともうキスまで出来るぐらいの距離になっていた

これ、ドーナツ食べちゃったらキスになっちゃうんじゃ…口移しにも近いよ…?

 

 

「百鬼さん、離して…これは流石にヤバいって、色々ヤバいって…」

 

「○○がたふぇてくれふぁいからだほ(食べてくれないからだぞ)」

 

「だからって…」

 

「ふぁあくたふぇてふえ!(早く食べてくれ!)」

 

 

百鬼さんはどんどん涙目になってきた、ずっと咥え続けるのも大変なんだろう

 

 

「わ…分かったよ、じゃあ…いただきます」

 

 

僕は観念して食べる事にした

 

 

パクッ…チュッ…

 

 

「!?」

 

「んー!やっと食べてくれたか、ここまでしないと食べてくれないとはなぁ…苦労したぞ」

 

 

頭が追いついてない、食べたのは理解しているけど…その後のアレは…何…?チュッて…え…え…!?

 

 

「ん?何を驚いているんだ?○○まさか…1口食べただけでドキドキしたのか?」

 

 

百鬼さんはニヤニヤしながら僕をからかってくる

 

 

「まぁ、余の唇を奪った訳だ、どうなるかは…後で存分に知る事になるぞ」

 

 

耳打ちでとんでもない事を言ってきた、どちらかと言うと食べた直後百鬼さんが唇を押し付けてきた形なんだけど…何で僕が奪った事になってるんだろ…

 

 

 

 

「今日は楽しかったぞ、○○、また来ような!」

 

「楽しかったですけど…何かこう、モヤモヤするんですけど…」

 

「何、気にしないでくれ、その内分かるからな」

 

 

百鬼さんはそう言い残して去って行った

残された僕は、周りから何とも言えない眼差しを向けられていた…

 

 

 

 

翌日

僕は学校に登校する為に歩いていた

でもおかしい、道行く人皆僕の事をジロジロ見てくる

何か変な事したのだろうか…?

 

 

 

「おはよ…」

 

「○○お前ぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

ドアを開けた途端Q太郎が襲いかかってきた

 

 

「うぁ!?」

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

 

「ちょっ…Q太郎落ち着いてよ」

 

「○○、生徒会長とキスしたって本当なの?」

 

「雪子…いや、アレは事故で」

 

「キスしたの?」

 

「う…うん…成り行きで…」

 

 

雪子に詰め寄られて白状した、すると雪子の目が鋭くなっていった

 

 

「それが本当だと、○○、あなた大変よ?」

 

「え…何で?」

 

「そう言えばあなたは転校してきたから、話を知らないのも無理は無いわね…あのね、生徒会長は誰ともキスした事無いのよ、それでキスした相手と結婚するとかって噂があるのよ」

 

「何それ…」

 

「まぁ、生徒会長とよく話す事だね、私達はあくまで噂しか知らないから」

 

 

 

その後も、僕は周りからずっと見られ続けた。

正直居心地凄い悪かった…

 

 

放課後、僕は生徒会長室に向かった

百鬼さんに真意を聞かないといけないから

 

 

「失礼します」

 

「ん?おぉ!○○ではないか!どうしたんだ?」

 

「あの、噂聞いたんですけど…百鬼さん…キスした事無かったんですか?それに、結婚って…」

 

 

僕は怖かったけど聞くことにした、結婚とか冗談じゃない…

 

 

「ふーむ…そうだな、○○はどう思ってる?」

 

「え…?」

 

「余がキスしたのは、○○だけだぞ?それに結婚は…」

 

 

僕はそこまで聞いたら走り出していた

何かもう自分が嫌で仕方なかった、どんな形であれ百鬼さんの…ファーストキスを奪ってしまったのだから…

 

 

 

 

2時間後

「○○…急に走り出しおって…何処に行ったのだ…?」

 

「あやめ様」

 

「カルマか、どうした?」

 

「シラヌイが○○殿の居場所を突き止めました」

 

「そうか、場所は?」

 

「黄泉谷です」

 

 

 

どれくらい歩いただろうか?

知らない間に遠い所まで来たみたいだ…

この深さなら…自力で這い上がれないよね…

 

 

「ごめん百鬼さん、さよな」

 

「○○!」

 

「百鬼…さん…?」

 

 

僕が谷に落ちようとするところを、百鬼さんが止めに入った

 

 

「はぁ…はぁ…間に合った…シラヌイ…感謝するぞ…」

 

「なん…で…?」

 

「馬鹿者!」

 

 

僕の問いに答えず、百鬼さんは罵倒を浴びせてきた

 

 

「百鬼…さん…?」

 

「何で余の話を最後まで聞かなかった」

 

「…」

 

「何も言わないのか」

 

「僕は…百鬼さんのファーストキスを…」

 

「そうだ、余のファーストキスは○○が奪った」

 

「っ!」

 

 

僕はそれだけ聞ければ十分だった、また自責の念が襲ってくる

 

 

「だがな、余は全然後悔してないぞ?むしろ、嬉しく思ってる」

 

「え…?」

 

「余は家柄の都合上、妖怪と関われないからな…余に話しかける者は皆、余を大事な物のように接してくる。余はそれが嫌だった、だが○○、お前だけは…ちゃんと、余を普通の女子として接してくれた、それだけで十分好感が持てるんだ」

 

 

百鬼さんの口ぶりだと、何処かしらのお嬢様なのだろうか?

それに、鬼族の人とのやりとりも…

僕はただ、波風を立てたくないだけだった

記憶も無い、特別な力も無い、ただの人間…

そんな奴が注目されでもしたら、どうなるか…妖怪の方が力は強い、きっと僕は八つ裂きになるだろう

自分自身を守りたかったから、そういう態度をとってただけなのに…

 

 

「違うよ百鬼さん、僕はそんな風に接してはいなかったよ。ただ、話しかけてくるからそれに対応しただけだよ…」

 

「それでもだ、お前は余の事をちゃんと見てくれた、それが嬉しかったんだ」

 

「百鬼さん…」

 

「っと、それと、結婚の噂の事だが…」

 

 

そうだ、僕はその部分だけ聞かずに飛び出してた

頭の中ではキスの事でいっぱいだったから…

 

 

「そんな噂、ただのデマだ。余はそんな事で結婚なんぞ決めないし、そんな相手は居なかった、前までは」

 

「そっか、デマだったんだね…それなら良かっ…前までは…?」

 

「うむ、今は居るという事になるな」

 

 

僕はそれを聞いて何故か嫌な予感がした

 

 

「それって…誰…?」

 

「ん?余が今抱き着いてる奴の事だが」

 

「僕の事…?」

 

「他に誰が居る?」

 

「あの…僕百鬼さんの事そんな風には」

 

「分かっておる、これは余の片想いって分かってる。それでも、想いは伝えておきたい」

 

「余は、○○が好きだ。ドーナツを使ってキスしたのも、ちゃんと接してくれたお礼のつもりだった。でもな、キスしてから抑えていた好きって気持ちが溢れてきてな…生徒会長室に来てくれた時は飛び跳ねるぐらい嬉しかった…○○の方から会いに来てくれたって思えると…もうな…」

 

 

百鬼さんは喋る度に、涙を流していく

最後の方は、声が小さくなって聞き取れにくくなる程に

 

 

「百鬼さん、ごめん…本当に…」

 

「謝らないでくれ、余は…大丈夫だから…」

 

「僕は、百鬼さんとは結婚出来ない…今は」

 

「分かっておる…ん?今は…?」

 

「僕はまだ百鬼さんの事全然知らないから、もっと知りたい。そこから好きになっていきたいんだ」

 

「○○…」

 

「だから…まずは友達からお願いします…!」

 

 

僕がそう言うと、百鬼さんは更に僕を抱き締めた

 

 

「ありがとう○○…余は拒絶されてもおかしくなかったのに…ありがとう…ありがとう…!余の方からも頼む、友達に…なってくれ…!」

 

 

 

 

この日、僕達は友達になった

百鬼さんはそれでも僕に対する想いは変わらず接してくれてる

僕も少しずつ歩み寄って、仲良くなれればと思ってる。

ついでに鬼族からのイジメも無くなった、百鬼さんには伝えた憶えは無いんだけど…ちょっと不思議だった。

そして、その日の内に明かされた事だけど…

百鬼さん、実は百鬼組って呼ばれるところのお嬢様だったらしい

これを知ってるのは極一部らしく、鬼族の羅刹も知ってる。

というか…羅刹も百鬼組の一員らしい…

何で明かしたのか聞くと、「○○には全てを知って欲しかったからな、隠し事はしたくなかった」と言っていた

僕は自然と受け入れられた、普通なら困惑するとかの反応すると思うけど

後、影でサポートしてる懐刀…?の2人も紹介された

カルマと、シラヌイという名前らしい

実際2人の戦闘能力は高く、この2人が居るなら百鬼さんに手を出そうなんて輩は居ないんだろうなぁって思ってる。

カルマと握手した時、何故か凄い力で握られたけど…嫌われてるのかな、何もしてないはずなんだけど…

 

 

「○○おはよう!」

 

 

百鬼さんは今日も元気に挨拶してくる、でも1つ変化がある。

それは…スキンシップがちょっと激しくなった事

友達になったばかりなのに、このスキンシップはどうかと思う…

具体的に挙げれば、今の挨拶なんてハグしながらしてる。

人目も気にせずにしている、僕は恥ずかしいけどきっと言っても聞いてくれないから、もう良いやってなってる…

 

 

「おはよう、百鬼さん」

 

「むぅ…友達になったのだ、名前呼びしてくれても良いのに」

 

「そうもいかないよ、いきなり呼び方変えるのも大変なんだから…」

 

 

気のせいかな…百鬼さんの頭に付いてないはずの犬耳が見える気がする…

疲れてるのかな…

 

 

「さぁ○○!今日の放課後はあいすなる物を食べに行くぞ!」

 

「え、今日も行くの…?」

 

 

実は、友達になってからほぼ毎日あちこちに連れ回されている

これもう友達というか付き合ってるんじゃ?って言われたらそれになりかねない…

僕は友達にはなったけど、そういう仲になるとは言ってない訳で…

 

 

「あ…すまぬ、○○にも予定はあったよな…」

 

 

やはり見えないはずの犬耳が垂れ下がってる風に見えてしまう…

何だろ…可愛い…

 

 

「いや、大丈夫だよ。アイス食べに行こうか」

 

「本当か!?今更やっぱり行かないは無しだからな?」

 

「だ、大丈夫だよ…」

 

「むふふー、では放課後楽しみにしてるからなー!」

 

 

百鬼さんは校門が近くなったのか離れて、そのまま走り去って行った

いや本当に付き合ってないからね…?

誤解しないで…?

周りの目もそれっぽい目になってるけど、そんな事無いからね…?

 

 

「おい」

 

「あ、羅刹…さん」

 

「俺の事は呼び捨てで良いって言ってるだろ」

 

「いやまぁ、そうなんだけど…」

 

 

百鬼さんと友達になってから、羅刹も僕と話すようになった

前は怖いイメージしか無かったけど、それも百鬼さんを守るためにやってた事らしい。

 

 

「今日も出かけるのか?」

 

「う、うん…百鬼さんが乗り気で」

 

「お嬢があんなにはしゃいでるのも、お前のおかげだろうな」

 

「そんな事無いと思うけど…」

 

「謙遜すんな、何かあってもカルマとシラヌイ、俺も居る。今は楽しんでこい」

 

「ありがとう」

 

 

羅刹も随分丸くなったなぁって思ってる

僕に対して敵意どころか殺意を持ってたから

これも百鬼さんと友達になったからなのだろうか…?百鬼組ってそんなに凄いのか…

 

 

一応、学校の中では友達になってる事は秘密にはしている

Q太郎みたいな暴走タイプがいると僕の命が危ないからだ。

だからなのか百鬼さんも大人しくしてくれてる、学区内から抜けるとベタつきが凄いけど…

 

 

「○○ー、今日一緒に帰らない?」

 

「あ、雪子…ごめん今日は」

 

 

そこまで言いかけた時、教室のドアが開く

 

 

バン!「○○!早速行くぞ!」

 

「え…百鬼さん…?」

 

「おい、生徒会長が○○の名前を」

「どうなってるの?」

「あぁ…生徒会長…」

 

 

皆違う反応してるけど、全員一致で思うのは何でここに来たのだろうか?だと思う

というか、何で教室にまで来ちゃったんだろうか百鬼さん…

 

 

「もう待ちきれないんだ!さ、早く荷物を持って行くぞ!」

 

 

百鬼さんは僕の荷物を持ち、腕を引っ張っていく

無論、皆の目は驚きと困惑だと思う

 

 

「あの…百鬼生徒会長…?○○とは一体どんな関係で…?」

 

「ん?○○とは友達の仲だ、告白はしてあるがな」

 

 

百鬼さん、最初の方はまだ良いとしよう。

別に何ら問題は無いと思うから、でも後半はダメ…

 

 

「おい、○○に生徒会長が告白したんだとよ」

「嘘…あの○○に…?」

「○○ユルサナイ○○コロス」

 

 

あー…やっぱりこうなるよね…てか最後の人殺意に満ちてるよ…?

 

 

「さ、○○よ、でーとに行くぞ!」

 

 

待って、百鬼さん待って…その発言だけは絶対ダメだと思う、僕へのヘイトが凄い事になる…

 

 

「○○と生徒会長がデート…だと…!?」

「そんな…生徒会長が○○と…?」

「コロスコロスコロスコロス」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!○○死ねぇぇぇぇぇ!」

 

 

何か増えた!?

っていうかQ太郎じゃないか…

Q太郎は我を忘れて僕に襲いかかってきた

 

 

「ったく…おじょ…生徒会長が突然走って行ったと思えばやっぱりここか」

 

「アグァ」

 

 

Q太郎は変な声を出しながら、意識を失った

羅刹が止めてくれたみたいだ

 

 

「○○早く行け、ここは俺が鎮めといてやる」

 

「でも…」

 

「オラァ!俺は生徒会書記の羅刹だ、文句ある奴居んのか?」

 

「「「…」」」

 

 

てっきり羅刹は不良とばっかり思ってた、羅刹…ごめん、考え改めるよ…

 

 

「ほら、○○行くぞ!」

 

「あ…ちょっと百鬼さん…羅刹、ありがとうね」

 

「フン…」

 

 

僕と百鬼さんはその場を羅刹に任せて後にした、今日は乗り切っても明日からが大変になる…

本当に僕、生き残れないと思う

 

 

「百鬼さん、何で教室に来たの?」

 

「うっ…それはだな、待ちきれなくてつい…」

 

「何時もは校門のとこだったのに?」

 

「…すまん、軽はずみな行動だった」

 

「大丈夫…だよ、羅刹も上手くやってくれると思うし」

 

「すまん…」

 

 

百鬼さんの表情はどんどん暗くなってくる

いくら付き合ってないとはいえ(ここ重要)落ち込んでる姿は見たくない

だから僕は、百鬼さんの両のほっぺを横に引っ張った

 

 

「にゃにふるんふぁ(何するんだ)」

 

「大丈夫だって、そんなに落ち込まれると…アイス屋に行っても美味しく食べれないよ?」

 

「しょれふぁ(それは…)」

 

「反省してくれてるだけで、僕は大丈夫だから」

 

 

僕は両手を離し、百鬼さんの頭を撫でた

 

 

「な…!?」

 

「あ、ごめん…嫌だった…?」

 

 

百鬼さんが驚いた様子だったので、僕は手を引っ込めてしまった

 

 

「い、いや!もっと…もっと撫でて欲しい!」

 

 

百鬼さんは目をうるつかせながら、僕に言う

 

 

「うん、良いよ」

 

「はにゃぁ…」

 

 

僕が再度撫でると、百鬼さんは蕩けるような表情を浮かべる

前に犬耳が見えた時があったけど(疲れて)今は尻尾まで見えそうな気がする…何でだろ…?

 

 

「…はっ!?あまりの気持ちよさに余はどうかしていたようだ」

 

「元気になったみたいだね、それじゃ…行こうか?」

 

「あぁ、ありがとうな○○、余は今とても幸せな気分だ」

 

「これからもっと幸せになるんでしょ?アイスを食べてさ」

 

「うむ!」

 

 

 

 

百鬼さんは可愛い、それは認める

でもまだ好きっていう感情にまでは至ってない

その感情を覚えるまでに、後どれくらいの時間が必要なのか分からないけど、不思議と一緒に居るのが心地良い

きっと、本当に好きになって、恋人同士になって…結婚もするのかもしれない。

凄い漠然としてるけど

 

 

 

 

 

その頃の教室

「俺だってなぁ…生徒会長が好きだったんだ…でもなぁ!それを押し殺してでも○○を応援してんだ!お前らあいつと生徒会長を邪魔したりからかったりすんじゃねぇぞ!?」

 

「「「○○、俺(私)達が悪かったからこいつ(この人)何とかして…」」」

 

 

羅刹が泣き叫びながらクラスを説得していた…




読んでいただきありがとうございます
もしご興味湧きましたら、是非ご自身でお探しになられてはいかがでしょうか…?
自分自身、とても好きで癒されております
(歌も上手との話が…?)

ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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健康管理はしっかりと

あけましておめでとうございますm(_ _)m
今年もロボ子さん(達)の話を書いていきますので、お暇な時に読んでいただければ幸いでございます。

では、ごゆるりとm(_ _)m


皆は疲れた時どうしてる?

すぐ寝る?美味いもの食って過ごす?

俺は違う、更に無理してる

そうなるとどうなるか?身体を壊すに決まってる

これはそんな無理をして身体を壊し、風邪を引いた馬鹿の話

 

 

 

 

 

39.2度か…流石に無理をし過ぎた

いくら時間が無いからといって、エナジードリンク7本は飲み過ぎた

その後に襲いかかる疲労感でそのまま寝落ち、気付けば風邪を引いていた。

身体も重いし、頭もクラクラする…重症だ

今日は先輩が来るから色々準備しておきたかったのに、こんな状態になってしまったから何も出来てない

ちなみに先輩は、俺が風邪を引いてる事も多分知らない。

だからこそ、焦ってる

 

 

ピンポーン

 

 

ま、マズい…先輩が来てしまったかもしれない

ここで自分が反応しなければ、不審に思って連絡してくる

あの先輩は心配性なとこがあるから、急いで準備しなければ…

 

 

「は、はーい…今行きます」

 

 

俺は重い身体に喝を入れ、玄関に向かった

 

 

ガチャ「あ、先輩…どうもです」

 

「こんにちは○○君、最近どう?」

 

「は、はい、ボチボチってとこですかね」

 

「ふーん…?」

 

 

今来たのは俺の先輩、ロボ子さん

俺の2つ上の先輩で、普段はコンタクトをしてる

ただ、仕事の時になるとメガネをかけるので、そのギャップが良いらしい。

実際俺もそのギャップにヤられてる1人だ。

 

 

「そ、それより今日はどうしたんすか?連絡貰った時は話があるって言ってましたが」

 

「うん、それなんだけど…その前に」

 

 

先輩はそこまで言うと、突然右手を俺の額を触ってきた

 

 

「ちょっ…先輩…!?」

 

「熱い…○○君、君熱あるよね…?」

 

 

ギクリ…早速気付かれた

先輩鋭い時は本当に鋭いから隠し事するのは一苦労になる。

 

 

「そんな事…ないですよ、俺は至って元気ですよ」

 

「ふぅん…?」

 

 

ロボ子さんは靴を脱ぎ、俺の部屋に入って行った

 

 

「あ、先輩ダメっすよ勝手に入ったら…」

 

「ここに体温計があります」

 

「はい」

 

「そして、39.2度とも記されてます」

 

「…はい」

 

「○○君、熱、ありますね?」

 

「………はい」

 

 

バレた、チャイムが鳴った時体温計を仕舞っておけば良かった…

思考能力が低下していたのだろう…

 

 

「はぁ…今回来た目的は後回しにして、まずは君の看病をします」

 

「え?いや大丈夫っすよ、移しちゃうとアレですし」

 

 

ロボ子さんに看病なんてされたら逆に風邪が悪化する…

何故悪化するかって?

そりゃあんな可愛い人に看病されたらドキドキするからに決まってる

 

 

「ダメです、ちゃんと治します。ほら、布団の中に入ってください」

 

 

ロボ子さんは目を細め、俺を布団に誘導した

 

 

「あ、いやだから」

 

「口答えする気なの?」

 

「…すんません、布団の中に入ります」

 

 

気のせいかロボ子さん若干キレ気味な気がした

俺何かしたか…?

 

 

「○○君、ご飯は?」

 

「いや、食欲無いっすよ流石に」

 

 

ロボ子さんはそう聞きながら、冷蔵庫の中を見る

熱があるのだ、中には熱あっても食欲ある人は居るが、俺は食欲湧かない部類だ。

 

 

「○○君、ちゃんと食べてる?冷蔵庫の中殆ど無いけど」

 

「ちゃんと食ってますよ、ただ買い出し行こうとしたらこうなっちゃいましたけど」

 

「へぇ…」

 

 

ロボ子さんはゴミ箱を開ける

そこまで調べるのは流石にちょっと怖いんだけど…

 

 

「○○君…これ…なーに…?」

 

 

ロボ子さんはゴミ箱からカップ麺の空容器を出してきた

それも、1つや2つじゃなく、5つ…

割と底に沈めてたはずなのにそこまで漁った事に驚きだ

 

 

「そ…それは…」

 

「ちゃんと食べてないから風邪なんて引くんだよ」

 

 

ごもっともである

ここ最近忙しくてロクにまともな飯を食べてない

 

 

俺の仕事は配達業、トラックを運転しながら荷物を家庭に届ける

ロボ子さんはそこで受付をしている

 

 

「すんません先輩…」

 

 

俺は平謝りするしかなかった、なんでもロボ子さんは怒らせると怖いとか

誰かが言ってたがクマも倒すとか…

流石にそれはやり過ぎな気がするが

 

 

「もう…冷蔵庫の中あまり入ってないから、お粥ぐらいしか作れないね」

 

「ちょっと作るから、待ってて」

 

 

ロボ子さんはそう言うと、キッチンに向かっていった

 

 

「はぁ…俺何やってんだろ、折角先輩が来てくれたのにこのザマだし…」

 

 

俺の呟きはロボ子さんには届かない

 

 

俺は元々、今日ロボ子さんが来てくれた時に告白しようと思ってた

さっきも言ったが、ギャップ萌えで惚れた訳だ

単純とか言わないでくれ…

 

 

それなのに、風邪なんて引いちゃってしかも結局ロボ子さんに心配される始末、俺がもう1人居るならぶん殴ってやりたいぐらいだ

 

 

「○○君お粥出来たよ」

 

 

自責の念に苛まれてる間に、ロボ子さんが戻ってきた

手にはお粥を持っていた

 

 

「あ、先輩…ありがとうございます…」

 

 

俺は起き上がり、お粥に手を伸ばした

 

 

「ダメ」

 

 

しかしそれはロボ子さんに阻まれてしまった

 

 

「え…先輩お粥…」

 

「ボクが食べさせてあげる」

 

 

ロボ子さんが…食べさせてくれる…?

いやいや待て待てそれは所謂あーんってやつでは…

 

 

「え、ちょっ…」

 

 

俺は気が動転してるのかまともに喋れてない

 

 

「ふー…ふー…はい、あーん」

 

 

マジであーんだった…

あのロボ子さんがあーんしてくれる、そう考えるだけでも熱が上がってる気がする

 

 

「あの…自分で…」

 

「あーん」

 

「だから自分」

 

「あーん」

 

「あの」

 

「あーん」

 

 

ロボ子さんは問答無用で食べさせる気だ

俺の声なんて届いてないのかな…

 

 

「…あーん」

 

 

俺は根負けして食べた

うっすら塩気があって美味しい

 

 

「どう?」

 

「美味いです」

 

「そう、良かった」

 

 

少しは気が利いた事を言えよ俺…

熱を言い訳にして良いのか分からないが、頭が回らないんだ…

 

 

 

 

俺は終始ロボ子さんからあーんされ、全て食べることになった

何度か自分で食べようとしたが、全てロボ子さんに拒否された

というか、無言の圧力があった

 

 

「…ごちそうさまでした」

 

「お粗末さまだよ」

 

 

お粥を完食すると、ロボ子さんは微笑みながらキッチンに戻る

不謹慎だけど、今のこの状況彼氏彼女みたいなんだよなぁ…

ちょっと幸せとか思ってしまう

 

 

 

 

お粥を食べてからだろうか、身体が暑い…汗をかいてきたようだ

 

 

「○○君大丈夫?」

 

 

ロボ子さんは心配してくれている、でもあまり心配される訳にもいかない

 

 

「大丈夫っすよ」

 

 

虚勢を張ってみた

 

 

「嘘だね、見るからに辛そうになってきてる」

 

「え…?」

 

「ご飯を食べたからかな、汗かいてきてるんじゃない?」

 

 

ロボ子さん…流石に鋭過ぎないすか…?

ロボ子さんはタンスを探し、タオルを取り出した

 

 

「ちょっとタオル借りるね」

 

 

ロボ子さんはタオルを持ちながらキッチンに向かった

 

 

「まさか…」

 

 

俺は考えられないけど考えた

まさかロボ子さんが身体を拭いてくれるんじゃとか淡い期待を持ってしまった

 

 

「お待たせ、はいこれ」

 

 

ロボ子さんは俺に濡れタオルを渡してきた

 

 

「流石に身体は自分で拭いてね」

 

「あ、はい…ありがとうございます」

 

 

そりゃそうだ、仕事仲間とはいえ他人

好きでもない奴の身体なんて普通は拭かないよな

 

 

俺は服を脱いで、汗を拭き始める

 

 

じー

 

 

ロボ子さんからの視線が痛い

そんな見ないで欲しい…恥ずかしい

 

 

「あの、先輩…?」

 

「どうしたの?」

 

「そんな見られると恥ずかしいんすけど…」

 

 

ロボ子さんは何とも思ってないだろうが、こっちは惚れてる訳で…

ドキドキしちゃうんだよな

 

 

「見られるのそんなに嫌?嫌なら止めるけど」

 

「あぁいや、嫌とかじゃなくて恥ずかしいんすよ…」

 

「そっか…じゃあちょっと外すね」

 

 

そう言ってロボ子さんは部屋から出て行った

 

 

「俺の…馬鹿野郎…!」

 

 

俺は言葉を間違ってしまったかもしれない事に後悔した…

 

 

「ふぅん…○○君良い体付きになったんだね」

 

 

笑いながら呟いたその言葉は○○には聞こえる事もなかった…

 

 

 

 

身体を拭き終わり、新しく着替えた俺はまた寝ようとした

ちゃんと寝ないとロボ子さんがまた怒りそうだから…

 

 

「はい、布団の中に入って」

 

「先輩大丈夫っすよ…ちゃんと入りますから」

 

「○○君たまに嘘つくからね、きちんと見届けないとね」

 

 

嘘ってあれですか…ちゃんと食べてなかった事ですか…

いや虚勢ぐらい張りますよ…心配されたくなかったんですもん…

 

 

なんて事は言えず、素直に布団の中に入った

これ以上心配かけたくなかったし、されるのも心苦しい

 

 

「先輩、俺もう寝るんで大丈夫っすよ…?本当申し訳なかったです」

 

「ちゃんと寝るまで見届けるよ」

 

 

ロボ子さん、それは寝るまでずっと居てくれるってやつですか…?

逆に寝れなくなるんですが…

 

 

「そ、そうすか…」

 

「嫌なら帰るけど?」

 

「いやいや、嫌とかじゃなくてですね…その…恥ずかしくて」

 

「へー…?」

 

 

気のせいかロボ子さんの顔がニヤニヤし始めてきた

 

 

「あの…先輩…?」

 

「決めた、○○君、君が寝るまでずっと居る事にしたよ」

 

「はい?」

 

 

ロボ子さん、俺…寝れないっす…

ドキドキして…

 

 

「ほらほら、布団被って寝ないとねー」

 

「そりゃ寝ますけど…え…?」

 

「はい、羊数えよっか♪羊が一匹、羊が二匹…」

 

 

俺、置いてけぼり状態…

 

 

「早く寝ないと、治らないよ?」

 

「寝れる訳無いじゃんこの状況…」ボソリ

 

「?」

 

 

俺はとうとう口に出してしまった…

でも、ロボ子さんには聞こえてないみたいで安心した

 

 

 

 

ロボ子さんの羊数えが50を過ぎる頃、俺もウトウトし始めた

 

 

「ふふっ、ゆっくり休んでね○○君」

 

「先輩…おやすみ…なさい…」

 

 

俺の意識はそこで途絶えた

 

 

「…寝たかな?まったく、驚いたよ…昨日凄く疲れてる顔してたんだもの。だから今日労をねぎらおうと思って来たら風邪引いちゃうなんてね」

 

「本当に頑張ってたもんね…汗水流して働くとこ、ボクは好きだよ」

 

「まぁ、あえて寝てる時に言わせてもらったけどね…聞かれたら恥ずかしいもの…」

 

「えへへ、本当は違う料理食べて欲しかったけど今は風邪引いてるから、また今度ね」

 

 

ロボ子さんは○○の髪を撫でながら、微笑んだ

 

 

その頃の○○は、見事に爆睡していた

 

 

 

 

翌日

「う…うーん…お…?怠けが無い?」

 

 

俺は体温計を使って熱を測ってみる

 

 

「36.5度…熱下がってる…」

 

 

ロボ子さんが来てくれたからだろうか、普段風邪引くと数日寝込むはずなのに、今回はたった1日で治った、ロボ子さんに感謝しなくては…

 

 

「あ、起きたんだ、おはよう」

 

「あ…先輩おはようございま…ってえ!?先輩!?」

 

「どうしたの?」

 

「えっ…だって先輩…まさか1日ずっと!?」

 

「そんな訳無いでしょ、ちゃんと帰ってまた朝に来たんだよ、管理人さんに戸締りしてもらってね」

 

「あ、あー…なるほど…?」

 

 

待て、もし管理人さんに戸締りしてもらえてなかったら俺…強盗入られてたのか…?

もしやロボ子さんと同じ空間で1晩明かしてたと考えると…

俺何してんだよ本当に…

 

 

「さて、○○君」

 

「はい?」

 

「風邪も治った事だし、今日はボクに付き合ってもらうよ?」

 

「え…付き合う!?」

 

「何を想像してるの…?買い物に決まってるじゃん」

 

「あ、デスヨネー…」

 

 

まぁロボ子さんと付き合えたら俺また倒れそうになるかもだからなぁ…

買い物…荷物持ちだな、うん

看病してくれた訳だし、それくらいはお安い御用だわ

 

 

「じゃあ行こうか、○○君」

 

「はいっす!」

 

 

何時かロボ子さんに想いを伝えられると良いけど、タイミング逃しちゃったからまだ暫くかかるかもだな…

ちゃんと何処かで告白…したいな…

 

 

 

 

「あ、そうだ○○君の寝顔可愛くて写真撮っちゃった♪」

 

「え…?」




読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
今回はかなり短めにしました
というのも、新年一発目に長いの読んでも大変だろうなぁ…と思ったのです
やはり、お正月は家族で過ごされたり忙しい方が多いだろうなぁと思ったからです
次の小説はロボ子さんのではありませんが、興味を持っていただけるなら読んでいただけると幸いです
では、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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気付いたのはその告白(とき)だった by夏色まつり

どもです、今日は別に何の記念日でも無いぞ?と言われそうですが、本当にそうですね
誕生日とかでも無いのにロボ子さん以外の小説何で書いてるの?とでも言われそうですね
今回、Twitterの方でアンケートをとらせてもらって、書く方を決めさせていただいた次第です
ではでは、ごゆるりとm(_ _)m


10年前

 

(パパ、このお兄ちゃんは誰?)

 

(このお兄ちゃんはね、今日からあなたのお兄ちゃんになる子だよ、まつり)

 

(そうなんだ、お兄ちゃん、これからよろしくね!)

 

(…)

 

(ほら、○○挨拶しなさい)

 

(……よろしく)

 

(ごめんなさい、うちの息子無愛想で)

 

(良いんですよ、これから一緒に暮らすんですからその内仲良くなれます)

 

 

 

 

 

現在

 

コンコン「兄ちゃん朝だよー」

 

「んー…」

 

 

俺は夏色○○、今ドアを叩いてきてるのは俺の妹、まつり。

2つ下の16歳だ

俺は18歳、卒業したら就職しなければいけない

まつりはチア部た入ってるらしい、よく部活で帰りが遅い

俺?俺は帰宅部だ、勉強して良い成績とっておかないといけないからな。

 

 

「あーもう…早く起きてよバカ兄い!」

 

 

まつりは俺の部屋のドアを思い切り開けてきた、鍵をかけてたはずなんだが…今ので壊れたのか…?

 

 

「ほら!兄ちゃん早く起きて!」

 

 

まつりは俺の布団を剥がしてきた、俺は抵抗出来ずにそのまま布団を持ってかれる

 

 

「さっむ…まつり止めてくれよ…まだ寝てたい」

 

「ダメ、早く起きて。パパとママが下で待ってるんだから」

 

 

まつりは俺が2度寝するのを許してくれないようだ

一応言っておく、今日は休みだ

休みなのに、俺は叩き起されている

 

 

「…ったく、仕方ねぇな」

 

「ほらほら、早く着替えてね」

 

「あいあいよー…」

 

 

俺は服を脱ぎ出した

 

 

「ちょっと!まつりが居るのに急に脱がないでよ!」

 

 

急に怒鳴られてしまった、何でだ?着替えろって言ったのはまつりなのに

 

 

「悪かったよ、じゃあ早く部屋から出てくれ」

 

「まったく…早く降りてきてよね!」

 

 

まつりはドアを強く締めていった、そろそろ部屋のドア壊れないか心配だ…

 

 

 

 

それから着替えた後、下に降りた

既に3人は席に座っていた

 

 

「おはよう、○○」

 

「おはよう母さん」

 

「○○、早く座りなさい」

 

「親父挨拶くらいしろよ…」

 

 

俺は席に着き、朝食をとった

 

 

朝食後、親父と母さんは仕事に行った

俺は用事も無いし家でくつろぐつもりだ、と思ったんだが…

 

 

「兄ちゃん、今日フブキング来るからどっか出掛けてて」

 

 

そう、くつろごうとしたらこれである

フブキングとは、まつりと同い年の女の子、白上フブキちゃんのこと。

まつりはフブキちゃんの事を溺愛してるらしく、よく「フブキングー!結婚しよー!」とか言ってるらしい

俺はそれ眺めててぇてぇ…って思ってるけどまつりに見られると凄い目つきで睨まれる。

まるで「まつりとフブキングの空間に居ないでよ!」と言わんばかりだ

 

 

「あいよ、何時来るん?」

 

「10分後」

 

「もうすぐじゃねぇか…」

 

「だから早く出掛けて」

 

 

あまりにも急だし、酷いと思わないか…?

俺にも都合というものがあってだな…(暇人)

 

 

「はぁ…何時ぐらいまでだ?」

 

「18時ぐらいかな、ちょっと話したい事もあるし」

 

「あいよ、じゃ出掛けてくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

俺は家を出ると、まずは公園に向かった

高校生だし金もロクに無いから、遊びにも行けない

 

 

「ふぅ、冬場に外に出されるのは辛いな…風邪でも引いたらあいつどうしてくれるんだ、こっちは就職控えてるってのに」

 

 

 

 

その頃の自宅

 

 

「お、お邪魔しまーす」

 

「いらっしゃいフブキング」

 

「あれ?お兄さんは?」

 

「んー?出掛けたよ?」

 

「そ、そっか…居ないんだ…」

 

 

なんでフブキング落ち込んでるんだろ?

 

 

「ねぇフブキング」

 

「ん?どしたのまつりちゃん?」

 

「兄ちゃん居た方が嬉しいの?」

 

「ふぇ!?え…えーと…お兄さんと話してみたいなぁって…」

 

 

フブキング顔真っ赤にしてる…可愛いなぁ

話したいなら呼び戻そうかな

 

 

「ちょっと待ってて、連絡するから」

 

「え!?良いよ、お兄さん迷惑になっちゃうし」

 

「へーきへーき、ちょっと待っててねー」

 

 

 

 

「あー…寒ぃなぁ…帰りてぇなぁ…ベッドゴロゴロしながらゲームしてぇ…」

 

 

公園のブランコに座りながら、俺はそんな事を考えていた、そんな時

 

 

プルルル、プルルル

 

 

「ん?携帯か…まつり?」

 

 

突然まつりから電話がきた

 

 

「はい、もしもし、どしたん?」

 

「あ、兄ちゃん?一旦帰ってきて」

 

「何かあったのか?」

 

「フブキングが話したいんだってさ」

 

「フブキちゃんが?まぁ分かった、んじゃ帰るから」

 

「はーい、3分以内ね」ブツッ

 

「は?3分は無理…って切りやがった」

 

 

今居る公園から自宅までは頑張っても7分はかかる

曰く、無理だ

ゆっくり帰ろうか…だがフブキちゃんが待ってるらしいし、急ぐしか無いか…

 

 

 

「フブキングー、呼び戻したからすぐ来るよー」

 

「あ、まつりちゃん…なんかごめんね?」

 

「良いって良いって、んで?兄ちゃんに何話したいの?」

 

「え…?それは…」

 

 

フブキングはモジモジしてる、え…何でそんな顔するの…?

まつりには分からないよ…

 

 

「ただいまー…」

 

「あ、帰ってきた、ちょっと待ってて」

 

「あ、うん」

 

 

 

「兄ちゃんおかえり、って…何で汗だくなの?」

 

「お前が3分以内とか無茶言うからだろ…?」

 

「いやアレ本気にしないでよ…何処に居たの?」

 

「ん?エビフライオン公園」

 

「近いじゃん」

 

「あのなぁ…近くてもダッシュすると疲れるんだよ」

 

 

7分かかるとこを4分で到着させた俺は、汗だくになっておりとてもじゃないがフブキちゃんにすぐ会える状態では無かった

 

 

「まつり、悪いがフブキちゃんにもう少し待ってくれるように言っておいてくれ、ちょっとシャワー浴びる」

 

 

せめて汗だけでも流したい俺は、フブキちゃんに伝えてもらうようにまつりに頼んだ

 

 

「じゃあ後で何かお願い聞いてね」

 

「対価違い過ぎないか…?まぁ良いや、頼むわ」

 

「はいはーい、んじゃシャワー行ってらっしゃい」

 

 

俺は対価にしては大きいものを支払う代わりに、シャワーに向かった

 

 

「フブキングー、兄ちゃんちょっとシャワー浴びてから来るみたい、もうちょい待って?」

 

「う、うん…ありがとまつりちゃん」

 

「んじゃまつりは飲み物取ってくるから、何がいい?」

 

「あ、じゃあお茶で」

 

「分かったー」

 

 

あたしは部屋を後にした

その時のフブキングの表情をあまり確認してなかった…

 

 

 

 

シャァァァ「ふぅ、あったけぇ…」

 

 

俺は呑気にシャワーを浴びていた、物音がその時していたが、シャワーの音でかき消されていた

 

 

「あ、あの…お兄さん!」

 

「!?フブキちゃん…?」

 

 

俺は突然のフブキちゃんの声に驚き、つい後ろを振り返ってしまった

幸い、ちゃんとドアは閉めている為間違いは起きていない

 

 

「フブキちゃんごめん、まだシャワー浴びてるからもう少し待ってて」

 

「あの、このままで…恥ずかしいので」

 

 

フブキちゃんは恥ずかしがってるようだが、俺のこの状況の方が恥ずかしいんだが…

 

 

「あの、お兄さん…年下の子はどう思いますか…?」

 

「え?急にどうしたんだ?」

 

 

ドアを閉めてる為、表情は分からないが…

 

 

「お兄さんの事好きな子が居るんです」

 

「…そうなのか」

 

 

 

「フブキングーお茶持って「お兄さんの事…です」え…?」

 

 

フブキングにお茶持って来たけど、そこにフブキングは居なかった

声をかけたら風呂場の方でフブキングの声が聞こえた

断片的にしか聞こえなかったけど、フブキング…兄ちゃんに告白してる…のかな…

 

 

ズキン「っ!?」

 

 

何でだろ…急に胸が苦しくなったよ…

 

 

 

 

「フブキちゃん、悪いけど今俺は色恋沙汰にうつつを抜かす訳にはいかないんだ、その子には申し訳無いんだけどさ」

 

「その相手が私だとしてもですか?」

 

「…あぁ」

 

「そう…ですか…」

 

「ごめんな」

 

「気にしないで下さい、大丈夫ですから…」

 

 

大丈夫と言うが、その声は震えていた

申し訳なく思うが俺はその想いに応える事は出来ない

確かにフブキちゃんは可愛いけど

俺は…早く家を出たいのだから

 

 

 

3年前

 

俺とまつりはとても仲が良かった、それこそ普通の兄妹以上に

中学に入ってもまつりは俺に良く接してくれていた

まつりは本当の妹じゃない、義妹にあたる

10年前に俺とまつりは出会い、家族になった

当時の俺は、まつりとはあまり接していなかった

だが、まつりが毎回話しかけ、笑顔で接してきたおかげで俺も心を開いていったんだと思う。

 

 

「お兄ちゃん、遊ぼ!」

 

「お、良いぞ、勉強も終わったし何する?」

 

 

この頃はまだまつりは兄ちゃん、じゃなくてお兄ちゃん呼びだった

そんな大した違いでもなかったが…

 

 

「プロレス!」

 

 

まつりは身体を動かすのが好きらしく、遊ぶ時は毎回スポーツ系になる

 

 

「プロレスか、良いぞ、どういうルール」

 

「とりゃあ!」

 

「ぐぇっ!」

 

 

俺が言い切る前に、まつりはタックルを仕掛けてきた

まつりの頭が腹にめり込む

 

 

「おりゃおりゃー!」

 

「ちょっ…まっ…」

 

 

一気に空気を吐き出してしまった俺は、息が出来なくなり抵抗出来ずにいる

 

 

「さぁお兄ちゃん降参するなら今だよー!」

 

「こう…さんどころ…か…息が…」

 

 

俺は薄れゆく意識の中で、腕を伸ばした

 

 

フニュン

 

 

「っ!?」

 

 

何かに触れた、俺はその時そうとしか思わなかった

 

 

フニュフニュン

 

 

「やっ…」

 

 

急にまつりからの攻撃が止んだ、俺はようやくまともに呼吸が出来た

 

 

「ゲホッゲホッ…まつりお前息が出来なくなるまでするな…よ…?」

 

プルプル「…」

 

 

まつりは胸を隠すようにし、顔を赤くして震えていた

 

 

「ま…まつり…?」

 

「お兄ちゃんの…エッチィィィィ!」

 

 

まつりは叫びながら右ストレートを鳩尾にかましてきた

 

 

「グェッ…ま…つ…り…」

 

 

そこから1時間は意識を失ってたと思う

目を覚ますと俺はまつりに膝枕してもらってる形になっていた

まつりは冷静になっており、事情を聞くと俺が伸ばした手はまつりの胸を触ってたらしい

そりゃ怒るのも無理はない、兄妹とはいえ触られるのは嫌だろう

 

 

「ごめんなまつり、嫌いになったろ」

 

「…ううん、まつりは平気だよ、まつりこそごめんねお兄ちゃん」

 

 

まつりは怒るどころか、謝ってきた

事故とはいえ触った俺の方が悪いと思うんだが…

 

 

「大丈夫さ、俺は頑丈だからな」

 

 

この時仲直りしたが、思えばこの日を境にまつりとは遊ばなくなった気がする

俺が高校に進学したのもあっただろうが…

もしかしたら密かに恨まれてたりとかも思ってたりする

 

 

 

 

現在

 

だからこそ、俺は早く家を出たいのだ

まつりは普通に接してくれてはいるが、人間些細な事を何時までも恨んでるなんてザラだ。

俺は、義妹に、まつりに嫌われたくない

 

 

 

「お邪魔しました」

 

「フブキングもう良いの?まだ兄ちゃんシャワーから出てないけど」

 

「まつりちゃん…うん、もう大丈夫だから」

 

 

フブキングはそう言うけど、表情は暗いままだ

 

 

「じゃあねまつりちゃん、また学校で」

 

 

フブキングはそのまま帰って行った

兄ちゃん…まさか何かしたのかな

 

 

「ふぅ、さっぱりした」

 

「ねぇ兄ちゃん」

 

 

髪を乾かしているとまつりが声をかけてきた

 

 

「ん?どうした?」

 

「フブキング帰っちゃったけど」

 

「そうか」

 

 

やっぱり帰っちゃったか…ちゃんと謝っておきたかったんだが

 

 

「フブキング、悲しい顔してたよ」

 

「…そうか」

 

 

俺は表情に出さないように、タオルで顔を隠すように髪を拭くのを続ける

 

 

兄ちゃん何か知ってる、でも話そうとしないみたいだね

どうしてちゃんと話してくれないの…?

 

 

ズキン

 

 

また…胸が痛む…なんで…?

 

 

「うっ…うぅ…」

 

「まつり…?どうした?」

 

「苦…しい…」

 

 

まつりは胸を抑えながら、うずくまった

 

 

「待ってろ、今病院に」

 

「待って…兄ちゃん…」

 

 

まつりは俺の足を掴んでいた

 

 

「どうした、まつり」

 

「傍に…居て…」

 

「まつり…」

 

「お願い…」

 

 

俺はまつりの意を汲み、抱きかかえながらまつりの部屋に行った

 

 

「うぅ…あぁ…」

 

「まつり…どうしたってんだよ」

 

 

(お兄さんの事…です…)

 

 

嫌…まつりから取らないで…

あたしの…大好きなお兄ちゃんを取らないで…!

 

 

「はっ!?」

 

 

気付くとそこは自分の部屋だった

凄い汗びっしょりになっていて、右には兄ちゃんが傍に居てくれていた

 

 

「兄ちゃん」

 

「ん…まつり!大丈夫か?」

 

「うん、まつりはもう大丈夫」

 

 

胸の苦しみも不思議と今は無くなってる

 

 

「そうか、なら俺はもう出るな」

 

「ねぇ兄ちゃん」

 

「ん?どうした?」

 

「…」

 

 

まつりは話そうとしているが、言葉が出ないでいる

 

 

「何も無いなら、俺は行くぞ?」

 

「兄ちゃんはさ」

 

 

俺が出ていこうとすると、まつりはぽつりぽつりと話してきた

 

 

「兄ちゃんはさ、これからどうするの?進学…?就職…?まつりはさ、まだ高校1年だから先の事そんなに考えられないけど…」

 

「俺は…」

 

 

まつりに本当の事を伝えても良いのだろうか?

いや、わざわざ言わなくても良いか…

大事な部分だけ隠して伝えれば良いだろう

 

 

「俺は、就職かな。俺の本来の父さんが死んでから、女手一つで育ててくれた母さんに、再婚して家族になった親父にも恩返ししたいから」

 

「そうなんだ…後ちょっとしか一緒に居られないんだね」

 

「まぁ、そうだな。就職したらアパートとか借りる事になるから」

 

 

この言い方なら大丈夫だろう、ごく普通の理由だ

 

 

「まつり達の家からじゃダメなの…?」

 

「それだと親父達に負担かけるだろ、恩返しにはならないよ」

 

「でも…」

 

 

まつりは食い下がってくる

何故そうまでしてくるのか分からない

 

 

「まぁ後少しの辛抱だから、まつり」

 

「それどういう事?」

 

 

失言だった、使う言葉を間違えてしまった

まつりの目は心配から疑いに変わっている

 

 

「兄ちゃん」

 

 

まつりは俺の左腕を掴んで離さない

 

 

「ちゃんと話して、兄ちゃん」

 

 

こうなってしまった以上、話すしかなかった

俺が何でその考えに至ったか、全て洗いざらいに

 

 

 

「何それ…何でそうなっちゃうの兄ちゃん」

 

「…」

 

 

まつりの顔はどんどん険しくなっていった

 

 

「まつりはあの時の事何とも思ってないよ?むしろ…」

 

「俺が嫌なんだ」

 

「っ!」

 

「一緒に居るのが…辛いんだ、怖いんだ…俺はあの時からずっと罪悪感を持ってた。まつりだって、あれから俺と遊ばなくなっただろ?だから俺は恨まれてるとずっと思ってた」

 

「まつりはそんな」

 

「だから俺は勉学を頑張って、高校でも頑張ってたんだ。だから後少しなんだよ…」

 

「兄ちゃん…そんなにまつりと一緒に居たくないの?」

 

「逆だ、お前が俺と居たくないんだと思ってる」

 

「まつりはそんな事思ってない!」

 

 

まつりは俺の腕を更に強く掴む

 

 

「まつりは…兄ちゃんとまだ居たいよ…」

 

 

まだ居たい…か…

そう思ってくれるのは嬉しいが

 

 

「ごめんまつり、もう決めた事だから。お前が何を言おうと、何をしようと、もう止まれない…俺は就職してこの家を出る」

 

 

俺はまつりに決意を伝えた

例え誤解だとしても、気付くのが遅過ぎた

今更変える事は…出来ない

 

 

「…か」

 

「まつり…?」

 

「兄ちゃんのばか!ばかばかばかばかばかばか!大ばかだよ兄ちゃん!」

 

 

まつりは掴んでいた左腕を離し、その場で泣き崩れた

俺はまつりを泣かせたい訳じゃなかった、それなのに…

 

 

「…っ!」

 

 

俺はその場を去ってしまった、泣いてるまつりを置いて…

俺が今までやってた事は全部無駄だったのか、そう思えてしまった

 

 

 

 

その後両親が帰って来てからも、俺達は会話する事無く食事をしていた

不審がられたが、そこだけは何故か息が合って切り抜けていた

 

 

それから就職試験の日まで、一切まつりとは口をきかなかった…

 

 

 

「兄ちゃんのばか!ばかばかばかばかばかばか!大ばかだよ兄ちゃん!」

 

 

あたしはただ泣くしか出来なかった、兄ちゃんはそのまま部屋を出て行った

兄ちゃんが出て行った後、また胸が苦しくなってきた

流石にもう訳が分からなくなっちゃった…だから、パパが帰って来たら聞いてみよう

 

 

夕食後の出来事

「ねぇパパ、聞きたいことがあるんだけど」

 

「どうしたんだい?まつり」

 

「あのね、特定の人の事を考えると胸が苦しくなるの…これ病気…?」

 

「ふむ、まつりももう高校生だからね、知らないといけないね。それはねまつり、恋だよ」

 

 

パパから聞かされたのは、まつりが恋をしてるという事

でもその相手は…兄ちゃん、血は繋がっては無いけど…それでも兄妹

許される事じゃ…

 

 

「まつり、ずっと抱え込んでると辛いと思う、お兄ちゃんにも聞いてみると良いよ」

 

「う、うん…」

 

 

その兄ちゃんに恋をしてるんだよ、パパ…

聞ける訳…無いよ…

 

 

それから兄ちゃんの就職試験の日まで、兄ちゃんと話す事が出来なくなった、顔を見るだけで…胸がドキドキしちゃうから…

 

 

 

 

ピピピピ!ピピピピ!

 

 

目覚ましが鳴る、前は目覚ましなんて要らなかった、まつりが起こしてくれていたから

でもあの日から…全てを話してしまったあの日から目覚ましが必要になった

 

 

「…着替えるか」

 

 

俺は着替えて、部屋を出る

 

 

「あ…」

 

「まつり…」

 

 

ドアを開けると、そこにはまつりが居た

もしや起こしに来てくれたのだろうか、淡い期待があった

 

 

「まつり、おは」

 

「…っ!」

 

 

まつりは無言で俺の前から立ち去って行った

まぁ、こうなるのも分かり切っていた訳だ、辛くは無い

 

 

「○○おはよう、朝ご飯出来てるわよ?」

 

「おはよう母さん、いやいいよ、このまま行ってくる」

 

「そう、行ってらっしゃい」

 

「行ってきます」

 

 

母さんに挨拶をし、そのまま試験会場に向かう

 

 

「兄ちゃん」

 

 

俺が家を出てすぐ、まつりが追いかけて来た

 

 

「まつり…」

 

「…行ってらっしゃい、それだけ」

 

 

まつりは目を合わせてくれなかったが、確かに行ってらっしゃい、と言っていた

言ってすぐ家の中に入ってしまったから声はかけられなかったが…

 

 

「行ってきます、まつり」

 

 

 

試験は無事終わり、俺は内定を勝ち取る事が出来た

何故かそこはその場で合否を発表するという妙なシステムだった

倍率も高く、受かるかは半々だったが…

 

 

「もしもし、母さんか?俺受かったよ」

 

 

試験会場を後にした俺は、母さんに連絡をとった

親父は仕事が忙しいから、後で連絡する

 

 

「そう、本当に良かったわね…じゃあやっぱり?」

 

「あぁ、予定通り家を出るよ」

 

 

母さんには、ある程度の事は話してあった

就職が決まり次第、家を出る事を…

アパートも、すぐ借りられるように手筈は整っている

問題はまつりだが…

 

 

「親父、後で話がある」

 

「ん?良いよ待ってる」

 

 

俺は夕食時、親父に話を切り出した

その時まつりが僅かに反応したようにも見えたが…気にしないでおこう

 

 

 

「親父、入るぞ」

 

「どうぞ」

 

 

夕食後、少し時間を置いて親父の部屋に行った

 

 

「さて、話はなんだい?○○」

 

「内定取ってきた」

 

「おぉ、おめでとう○○」

 

「それで、俺は家を出ようと思う、もうアパートは借りれる段階になってる」

 

「そうか、もうそこまでやってるなら私からは何も言わないよ、これから頑張ってね」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

俺は親父の部屋を後にしようとした

 

 

「まつりにはこの事伝えてあるのかい?」

 

「いや?伝えてないけど」

 

「そうか、どこかのタイミングで伝えておくと良いよ、今伝えろとは言わないからさ」

 

「…あぁ」

 

 

そこまで話して、部屋を後にした

 

 

「さて、そろそろ出ておいで、まつり」

 

「…」

 

「○○の話は聞いたね?」

 

「うん…」

 

「まつりのこの前の話…相手は○○だね…?」

 

「………うん」

 

 

パパには全てお見通しなのかな…

兄ちゃんの話も隠れて聞かせてくれたし

 

 

「それで、まつりはどうするんだい?このままだと○○は直ぐにでも出て行くけど」

 

「まつりにはもう…止められないよ」

 

「そうかな?もっとよく考えてみて、何も止めるだけが全てじゃないんだよ?伝える事も、また必要なんだからね」

 

 

パパが何を言ってるのか、よく分からなかった

 

 

 

 

一週間後、俺が家を出る日が来た

 

 

「○○、いよいよね」

 

「あぁ、そろそろ出ようと思う」

 

「学校とはまた違った大変さがあると思うけど、頑張ってな」

 

「ありがとう親父…まつりは…?」

 

「あの娘は部屋に…」

 

「そっか」

 

 

やはりまつりは、来てくれないか…

でもこれで良いんだ、これで…

 

 

「じゃあもう行くよ、たまに帰ってくるから、多分」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

俺は荷物を持って、駅に向かった

実家からアパートまでの距離は60キロ、そんな簡単には来れない距離になってる

自分自身を追い込むと同時に、まつりと離れる為にこうした

だからこそ、遠い場所を就職場所に選んだ訳だ

最後に会えなかったのは残念だったけど、会ったら逆に辛かったかもしれない

 

 

「電車が来るまで30分か」

 

 

俺は電車の時刻と時計を照らし合わせながら、呟いた

 

 

 

「まつり、入るよ?」

 

「パパ…」

 

「お兄ちゃん行っちゃったよ…?良かったのかい?」

 

「…」

 

「今伝えないと、後悔しないかい?」

 

「でも…」

 

 

まつりはもう…

 

 

「焦れったいなぁ…今行かないと次いつ会えるか分からないから言ってるんだよ、下手したら数年単位で帰って来ないかもしれないんだ」

 

「パパ…」

 

「死んだママもきっと…私と同じ事を思ってくれるはずだよ」

 

「…!」

 

「さぁ、行くんだまつり」

 

「…うん!」

 

 

パパに背中を押されて、兄ちゃんを追いかけた

 

 

 

 

 

その頃の駅

「後10分か…この景色も暫くは見れないんだよな…」

 

 

やっぱり地元を離れるのは辛いな…

まぁ、そう思っても向こうで仕事してれば忘れるだろう、そんな感情…

 

 

これより、電車が参ります

黄色い線より内側にお下がりくださいませ

 

 

「もう来るか、じゃあな…まつり」

 

「兄ちゃん!」

 

「え…まつり…?」

 

 

振り向くと、まつりが息を切らしていた

多分、走ってきたんだろう

 

 

「に、兄ちゃん…はぁ…はぁ…」

 

「まつり、何で…?」

 

「やっぱり…ちゃんと会いたかったから」

 

「そうか、わざわざ来てくれてありがとな、まつり」

 

「…」

 

「どうした?」

 

 

急にまつりが黙り込んだ

 

 

「兄ちゃん、まつりは…兄ちゃんが好き!」

 

「…お前何言ってんのか分かってるのか?」

 

「分かってる、でもこの気持ちは我慢出来なかったよ。あの時からずっと胸が苦しかったのは、兄ちゃんに恋をしてたからなんだって…フブキングが兄ちゃんの事好きって言ってた時、胸が苦しかった、兄ちゃんが傍に居ると胸が苦しくなかった。」

 

「…そうか」

 

「兄ちゃんはやっぱり、受け入れてくれない…?」

 

「…俺は」

 

「良いよ兄ちゃん、分かってるから。まつりは…ちゃんと気持ちを伝えたかっただけだから…」

 

 

まつりは涙を流しながら、それなのに笑顔で俺に話す

 

 

「本当に、大好きだよ…兄ちゃん…」

 

 

俺を抱きしめながら、好意を伝えてくる

 

 

「まつり…」

 

「えへへ、迷惑だよねこんなの…ごめんね?兄ちゃん」

 

 

ギュゥ…

 

 

「…兄ちゃん?」

 

「ありがとう、まつり…お前の想い、本当に嬉しい」

 

「…うん」

 

「でも、今はお前の想いに応えられない、高校卒業しても…まだ俺の事思ってくれてるなら…その時は…」

 

 

これが俺が言える、精一杯の言葉…

 

 

「高校卒業したら、兄ちゃんのとこに行っても良い…?」

 

「あぁ、卒業したらな…?」

 

「…うん!」

 

 

そろそろ発車致します、ご乗車の方はお急ぎくださいませ

 

 

「もう行かなきゃ」

 

「兄ちゃん」

 

「どうした?まつ…り…」

 

 

左頬に柔らかいのが当たった、それをキスと気付くのに数秒かかった

 

 

「これは予約だからね?ちゃんと会いに行くっていう予約」

 

「…あぁ、待ってるからな」

 

 

扉が閉まります、ご注意ください

プシューン

 

 

まつりが何か言ってるが、もう何も聞こえない

大きく両腕を振ってくれてる

 

 

「まつり、暫く会えないけど…待ってるからな」

 

 

プゥゥゥゥゥン

 

 

「兄ちゃん…ううん、○○…大好きだよ、待っててね…?」

 

 

 

 

3年後

まつりと別れてから、3年が経った

まつりは卒業してるとは思うが、まだこっちには来ていない

俺はこっちに来てから一度も実家に帰っていないから状況が全く分からない

でもきっと、元気にやってるんだろうなとは思ってる

来れない理由は…まぁ色々あるんだろう、他に好きな奴が出来たとかもあるだろうしな

そう言えば管理人さんから連絡あったな…凄いニヤニヤしながらだったけど…

 

 

アパートに着いた、鍵を使って開ける

 

 

「開いてる…?」

 

 

ガチャ「おかえり、○○」

 

「まつり…?お前まつりか!?」

 

 

扉を開けると、そこにはまつりが居た

3年も経ってるととても大人びていて、パッと見だとまつりとは分からなかった

 

 

「というか今名前で…」

 

「うん、ちゃんと区別しようと思ってね。まつりが好きなのは、兄ちゃんじゃなくて…○○だから」

 

「そ、そうか…鍵はどうして?」

 

「行く前に管理人さんに連絡して、着いたら鍵を預かったんだ」

 

 

だから管理人さんあんなに…

 

 

「そうか、何というか…綺麗になったな」

 

「そうかな?まぁ女の子は変わるからね、好きな人の為なら余計にさ」

 

 

ウインクしながらまつりは言う

しかし本当に綺麗になった、3年前に見たまつりは元気があって可愛気があったが、今はお淑やかな感じがある

 

 

「何か…照れるな」

 

 

あまり直視出来ない自分が居る、俺も3年で変わったとは思ったが、俺がまつりと釣り合うのかちょっと怪しい…

 

 

「照れてる○○、可愛いね」

 

「バカ、よせよ…」

 

 

その後少し話し、今後の話になった

 

 

「んで、これからどうするんだ?まつり」

 

「ん?こっちに住もうかなって思ってるよ?」

 

「そうか、何処かのアパート借りるのか?」

 

 

まつりも自立出来る年頃、一人で生活か…

 

 

「え?ここに住むんだけど」

 

「そうだよな、やっぱりここに住むよな…は?」

 

「パパもママもOK出てるし」

 

「は…?」

 

 

おいおいちょっと待ってくれ…それは同棲しろって事か…?

良いのか親父…母さん…

 

 

「まつりは先に来て荷物の整理してたんだ、ドタバタしないようにね」

 

「そ、そうか…」

 

「もしかして…ダメだったかな…」

 

「いや、ダメって訳じゃ…」

 

「そうかな…?まつり避けられてたしなぁ…」

 

 

昔の事を出さないでくれ…俺だってあの時は色々…

 

 

「大丈夫だ、ここに住んで良いから」

 

「ありがと、○○」

 

 

ひょんな事から、俺とまつりは同棲する事になった

まつりは今でも俺の事を好いてくれていた、それは嬉しいが…あまりにも容姿が変わっていてドキドキしてしまった

こんなの本人には言えないから心の中にしまわせてもらうが…

 

 

「それじゃ○○、改めて…これからよろしくね!大好きだよ」

 

「あぁ、こちらこそよろしくな、まつり」

 

 

 




読んでいただきありがとうございます
えぇ、言いたい事もある方居ると思います
今回白上フブキちゃんのファンの方々には申し訳ないことしたかなと思っております
元々、夏色まつりちゃんと白上フブキちゃんは仲が良かった為、出させてもらったのですが…役割が酷かったかもですね…
次は誕生日のお話になります
次も読んでいただけると、幸いです
では、次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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隣人は残念系 by癒月ちょこ

ども、お菓子です
そして今日は、バレンタインデーですね
自分ですか?男ですがあげる立場ですね
ダークマターのチョコを配りに…ふふふ…

まぁ冗談はこの辺にして、今回もまた誕生日小説になってます
今回書いた方は、悪魔の保健医、癒月ちょこ先生
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


高校を卒業し、親の元を離れた僕は、一人暮らしを始めた。

始めたと言っても、ボロいアパートの一室を借りたに過ぎない。

ボロいだけあって、家賃は安い

僕が引っ越してきた地域は土地代が高いらしく、最初来た時は失敗したと思った。

でも運良くこのアパートを見つけ、借りる事が出来た。ボロいけど

僕がこの土地に引っ越してきたのには訳がある、その訳は…

大学に入ったからである

 

 

僕が大学に入ってからもう3年が経った

勉強のレベルも高く、何度か単位を落としかけた。

何とかここまで頑張ってやっていけていた矢先、物語は動き出す

 

 

 

「えー、産休に入られた桜先生に代わり、新しく保健医を招く事になりました。挨拶をお願いします」

 

 

校長先生の紹介で登場したのは、金髪美女だった。

男子は騒ぎ、女子は嫉妬の目をしていた

 

 

「皆様、初めまして、私癒月ちょこと申します。気軽にちょこ先生って呼んでくださいね、よろしくお願いします」

 

 

声を聞いた男子達は更に騒いだ、というより発狂した。

女子は…うん、知らない方が良いかもしれない

 

 

「えー、癒月先生には」

 

「ちょこ先生」

 

「…ちょこ先生には、保健の授業も担当していただきます」

 

 

一瞬黒いオーラ的なの見えたけど、気のせいだよね…?

 

 

教室に戻ると、話題はちょこ先生一色だった。

 

 

「ちょこ先生綺麗だよなー」

「毎日保健室通おうかな」

「食べられたい」

 

 

綺麗なのは認めるけど、毎日行くのはダメでしょ…後最後どうしたの?

 

 

「何よ男子達…ちょっと胸が大きいからってさ…」

「胸…」

「ムネ…」

 

 

女子達まで変な空気になってる、最後のはちょっと違う単語に聞こえるんだけど…

 

 

 

講義中もクラスはずっとソワソワしていた、と言うよりも男子達がソワソワしていた。

理由は簡単、授業が終わったと同時に保健室に行く為だろう…

 

 

「…であるからしてこの図式にはこの方式を当てはめてだな」

 

 

皆とは違うけど僕も早く講義が終わって欲しかった。

この講義が終わると昼食だからだ

まぁ、皆は保健室に行くからのんびり食べれると思うし

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「「「ウォォォォォォォォォ!」」」

 

 

チャイムが鳴ると同時に男子達は教室を飛び出して行った

皆お腹空かないのだろうか…

僕はのんびり食堂に向かい、昼食をとった。

後から聞いた話だけど、保健室に行ってもちょこ先生は居なかったらしい…

午後の授業はちょこ先生に会えなかったのがショックだったのか、全員落ち込んでいた。

 

 

 

放課後、僕は友人と近くのファミレスで軽く雑談していた。

話題は勿論、ちょこ先生

僕は保健室に行ってない組だから、話を聞いてるだけでちょっと楽しかった。

 

 

その後僕は友人と別れ、自宅に帰り少しの間仮眠をとった。

寝てる間に隣がバタバタしてた気がするけど、多分気にしたら負けだと思うから気にしないようにする。

思えば今日は変な一日だった、新しい先生に皆かき回されてる感じだった。

明日は休みだから、ちょっと出かけて気分転換しようかな…

 

 

 

 

目が覚めると時間は11時を過ぎていた、明らかに寝すぎた。

お昼は優雅にランチしたかったけど流石に無理になった

ふざけた事言ってないで、早く行かないと…

 

 

 

 

はい、という訳で到着したのがカフェ「スイート」、ここのスイーツが美味しいと評判なので来てみた。

中に入ると女子ばかり、男なんて僕だけだ。

それでも僕はここのスイーツが食べたい、だから来た。

昼食をとるはずが何でスイーツかって?

お昼よりも優先させたいと思ったから来た、ただそれだけ。

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」

 

「ベリーベリーセットで」

 

「かしこまりました」

 

 

番号札を受け取り、席を探す

だが、どこも席が埋まっており、空きがない。

 

 

「あら?あなたは」

 

「?」

 

 

振り返ると、そこには癒月先生が居た。

 

 

「あ、昨日の先生」

 

「こんにちは、私の事はちょこ先生って呼んでいただけると嬉しいわ」

 

「いや、癒月先生って呼びます」

 

「あら、そう」

 

「癒月先生もここのスイーツを?」

 

「えぇ、ここのグランドショコラプディングが好きなの」

 

 

何か変な名前のメニューと思う方も居るだろう、要約するとプリンアラモードの全部チョコバージョンとでも思ってもらえれば良いだろうか。

チョコだらけだが、部分的にビターなとこもあるので美味しく食べれるんだとか

僕は頼まないけど…

僕が頼んだベリーベリーセットは至ってシンプル

ショートケーキが3つで、それぞれイチゴ、ブルーベリー、ラズベリーのソースを使っている。

上には勿論それぞれの素材を乗せてある、一つ一つのケーキがそこまで大きくないから、お腹も圧迫しないであろう。

スイーツは別腹と聞くが、僕は別腹じゃないから…

 

 

「そうなんですね、んじゃ僕はこれで…」

 

「待ちなさい、あなた席はあるのかしら?」

 

「え、いや無いですけど」

 

「私のところ、空いてるのだけど…良かったら一緒にどうかしら?」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

ただ同じ席でスイーツを食べるだけだ、やましい気持ちは無い。

癒月先生に案内された席は、外からも目立ちやすい位置にあった。

更にこのカフェは大学の付近にある、万が一在校生に見られたら僕の残りの学校生活に影響が出そうで怖い。

だが、もう一緒に座ると言ってしまった手前断れない

 

 

「さ、どうぞ」

 

「ども」

 

 

癒月先生に言われるまま、席に座る。

やはり目立つようだ、その理由が場所によるものか、男の僕が居るからなのか、はたまた別の理由なのかは知る由もない。

 

 

「お待たせしました、こちらご注文のスイーツでございます」

 

 

僕達が席に着いたタイミングで、店員がスイーツを持ってきた。

人気なカフェなのにこうも仕事が早いのは感心する

それでいて仕事も雑ではなくきっちりこなしている、これは確かに人気になるはずだ。

 

 

「さぁ、待ちに待ったスイーツですわ、早速戴きましょう」

 

 

癒月先生は早速一口食べる、途端に頬が緩んでいくのが目に見える

 

 

「とても美味しいですわ、甘味の中に微かにくる苦味、バランスが良いですわね」

 

「それは何よりかと思います」

 

 

僕も食べようと思う、まずはブルーベリーから。

…ふむ、酸味と甘味のバランスが良い。

これなら他の2つも美味しいのだろう

 

 

 

結論から言う、残りもとても美味しかった。

詳しい説明は省かせてもらうが、頼んで後悔はしなかったとだけ言っておく。

ちなみに、癒月先生は僕がブルーベリーを食べ終えた時に既に食べ終わっていた。

僕が食べてる間ずっとこっちを見つめていたが…

 

 

「ごちそうさまでした、では僕はこれで…相席ありがとうございました」

 

「どういたしまして、ではまた学校で」

 

 

僕達は席を立ち、店を出た。

までは良かったんだが…歩く方向が同じである

 

 

「…奇遇ですね、癒月先生もこっちに?」

 

「えぇ、私もこっちなのよ」

 

 

…まぁ、偶然なんてのは良くあること、どうせ次の交差点で別れるはず

 

 

「じゃあ、今度こそ…」

 

「えぇ、また学校で」

 

 

僕は癒月先生に別れを告げ、交差点を右に曲がる、が…癒月先生も右に曲がってきた。

流石にここまで偶然が重なるだろうか?

普通はこんなに偶然が起きるとは考えにくい

ふと、僕の頭に1つの考えが浮かんだ。

癒月先生が実はストーカーだったんじゃないかと

流石に考え過ぎだろうか…?

 

 

 

その後、3つの交差点も同じだった。

もう疑惑どころか恐怖すらあった、なので僕は1つの行動に出た。

 

 

ダッ

 

 

逆方向に全力ダッシュをした、いくら癒月先生でも女性、更にはヒールを履いているのだ、そう簡単には走れない。

結果、癒月先生と離れる事に成功した。

ダッシュを始めた直後、何か聞こえた気がしたが聞かなかった事にしておく。

 

 

 

大分遠回りになってしまったが、やっとアパートに着く事が出来た。

 

 

「はぁ、はぁ、やっと着いた…何であんなに曲がる方向一緒だったのか分からない…」

 

 

僕はそのまま部屋に入った、すると10分経たない内にドアを叩く音が聞こえてきた。

帰って来て早々休ませてくれない、まぁタイミングは待ってくれないものだ、仕方ないと割り切るしかない

 

 

「はーい、今開けます」

 

 

扉を開けるとそこは、癒月先生が居た

 

 

「あ、すいません先日隣に越して来た者…ですが…え?」

 

「癒月…先生…」

 

 

隣に引っ越して来た人はまさかの癒月先生だった

 

 

「あ、あー…あの…とりあえず、これどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

住民の皆に配っていたであろう粗品を受け取るが、その後の話が続かない

 

 

「そ、それでは私はこれで…」

 

「あ、はい…また」

 

 

新任の先生が隣の部屋とは…何でこうなったのか分からない

 

 

 

「はぁ、学校の方が隣のお部屋に居るなんて…引越し先間違えたのかしら…?」

 

 

 

 

月曜日

隣の部屋のドアが開く音が聞こえる、やはり教師という役職上、早く学校に行くのだろう。

僕はもう暫くしたらになる、というか行くか迷う。

休みの日の事がもし教室に拡散されている場合、男子達に命を狙われるんじゃないかと思ってしまった。

案の定、クラスの一人からメールが来た。

内容は

○○、お前今日来たら血祭りになるぞ

だそうだ、この文面だけでお分かりいただけただろうか、既にバレテーラなのだ。

だがあまり休むのはいけない、単位落としてしまうと進級出来なくなってしまうのだ。

なので、朝からは行かない、午後から少しだけ行く事にする。

 

 

 

 

午後になった、今の時間帯だと皆昼だろうか?

いや、癒月先生の居る保健室に居るのかもしれない

とりあえず、今が行く時か…

 

 

「よぉ○○…待ってたぜ…?」

 

 

教室に入った途端、クラスの1人が僕に近付いてきた

 

 

「この写真、何が写ってる?」

 

 

クラスメートが僕に携帯を見せつけ、そこには僕と癒月先生が写っている。

 

 

「僕と…癒月先生だね」

 

「何か…言う事あるか?」

 

 

凄い笑顔で聞かれる、だが…目は笑っていない

 

 

「あの…さ、僕は別にそういうつもりじゃなくて」

 

「問答無用じゃー!」

 

 

 

癒月先生のせいで僕の大学生活、かなり変わってしまうかもしれない

普段の僕はあまり目立たず、ソツなくこなしていたのに…

 

 

学校から帰宅した僕は、全身ボロボロだった。

僕が来た事を聞きつけたクラスの連中が、僕を見つけるなり襲いかかってきたのだ。

とにかく、疲れが出たので少しだけ休む事にする…

 

 

 

午後22時頃だろうか、僕は突然目が覚めた。

何故覚めたか、それは隣がバタバタしていたからだ。

きっと癒月先生が帰って来たのだろう、遅くまでお疲れ様だ

 

 

ドンドン

 

 

「ん…?はーい」

 

 

こんな時間に誰だろうか、僕はドアを開ける

 

 

ガチャ「こんばんは、ちょっと付き合って下さらないかしら?」

 

 

そこには酒を片手にドアに手をかけてる癒月先生が居た。

 

 

「どうしたんですか?癒月先生、お酒なんて持って」

 

「せっかくだから一緒にと思って」

 

「はぁ」

 

 

なんとも腑抜けたような声を出したと思う。

とりあえず癒月先生を部屋に招き、飲み始めた。

のだが…

 

 

「んっ…んっ…はぁ…♡」

 

 

飲む度にこんな色っぽい声を出すのだ、飲んでるこっちまで変な気持ちになっていく。

というか癒月先生、明日も仕事なのに酒瓶換算で3本も飲んで大丈夫なのだろうか…?

僕はあまり飲めない為、烏龍茶を飲んでる

 

 

「癒月先生、飲み過ぎでは…?」

 

「○○様…飲まなきゃやってられないのよ…?」

 

「でも飲み過ぎだと思うんですけど…」

 

 

それに何故か様付けだし、かなり出来上がってるような気がする

 

 

「うるさいですわね…飲んでない方に言われたくありませんわ!」

 

 

癒月先生は怒声を上げながら酒を更に飲んでいった。

部屋に招いたの失敗だったのかもしれない…

 

 

 

「うぅ…私だって…私だって…!幸せになりたいわよぉ…」

 

 

酒を飲み始めて2時間、かなりのハイペースで飲んでいた為か顔が凄く赤くなっている。

更には泣きながら飲んでいる、泣き上戸ってやつなんだろうか?

 

 

「…」ゴクゴク

 

「ちょっと○○様?聞いてますの?」

 

 

泣き上戸に絡み酒もある様子だ、非常に厄介だ…

 

 

「ちゃんと聞いてますよ、大丈夫です」

 

「他の先生方から、独身なんですか?結婚しないんですか?って言われるの…本当に辛いのよ…私だって結婚したいわよ…でも相手が見つからないのよ、チヤホヤされるのも歳下の学生ばかり、でも皆が見てるのは…うぅ…」

 

 

そこまで言うと癒月先生はまた泣き始めてしまった。

 

 

「何ででしょうね?世の男性ほっとかない気がするのに」

 

「そうよ!私はこんなにも綺麗で!艶めかしくて!ボンッキュッボンなのよ!なのに何でよー!」

 

 

あー…分かった、癒月先生残念系な人なんだ

普段隠してるんだろうけど、もしかしてバレてる節でもあるのだろうか…

 

 

 

その後、更に2時間も癒月先生は飲み続けた。

流石に時間もマズかったから、必死に止めてお開きにしたんだが…

 

 

「すー…すー…」

 

「どうしよ、癒月先生寝ちゃったよ…」

 

 

部屋に戻ってもらおうとした矢先、癒月先生は机に突っ伏しながら寝てしまった。

 

 

「癒月先生ー…部屋に戻りましょう…?」

 

「結婚…したいわよ…」

 

 

ダメだ、もう完全に寝てる…

このまま寝かすのもアレなんだが…

 

 

「毛布だけ掛けとくか…癒月先生おやすみなさい」

 

 

僕は毛布を癒月先生に掛け、そのまま就寝した。

 

 

 

午前3時半

「ん…寝ちゃってたみたいね、うぅ…寒いわ…布団に入らなきゃ…あら?今日の布団と抱き枕は暖かいわね…よく寝れそうだわ…」

 

 

この時癒月先生は忘れていた、その部屋は○○の部屋であり、抱き枕と思い込んでる物は○○だという事を…

 

 

 

午前8時

「んー…ふわぁ…それなりに寝れたか、けど何か動けない?何で…って!?」

 

 

目が覚め身体を起こそうとするも、身動きがとれない○○は驚愕した。

癒月先生が自分の布団に入り込んでいたからだ

 

 

「ちょっ待っ…」

 

 

僕は急いで布団から離れた、癒月先生が抱きついていたのでそれも振りほどいた。

 

 

「な、何がどうなってるんだ…」

 

 

「ん…騒々しいわね…あら?私の部屋じゃない…?」

 

「あ、癒月先生おはようございます…」

 

「おはようございます、何で私はあなたの布団で寝てたのかしら?」

 

 

僕は知らないぞ、癒月先生に毛布掛けてそのまま寝たんだから…

癒月先生が自分で布団の中に入ってきたとしか思えない。

 

 

「僕は何もしてませんよ」

 

「…本当に?」

 

「何で自分の通ってる教師に手を出さなきゃいけないんですか…」

 

「それは…私が魅力的だったから襲ったとか?」

 

 

※この小説は健全な小説です、変な展開は期待しないで下さい

 

 

「そりゃ癒月先生は綺麗だし魅力的だとは思いますが、襲いませんよ」

 

「…私をそういう目で見てなかったのに、そういう風に言ってくれるのは嬉しいわね///」

 

 

言葉を間違えたのだろうか、癒月先生凄い照れてる…

 

 

「あっいけない…出勤の準備しないと間に合わなくなるわ…」

 

「あー、時間的に危ないですね」

 

「あなたも早く準備しなさい、遅れるわよ?」

 

 

癒月先生は酒瓶を片付けた後、急ぐように部屋を飛び出して行った。

 

 

(普段言わない方があんな事言うのは…ドキッとするわね、あれがギャップ萌えなのかしら…)

 

 

その日を境に癒月先生からの絡みが多くなった気がする。

それに、部屋も隣同士だから余計に…

僕と話す時いつもニコニコするようにもなった、何故なのかは僕にも分からない。

仕事の愚痴も聞くが、辛いような表情は一切なく話してくれる

(仕事の話を生徒にして良いのか疑問だが)

 

 

癒月先生と話してると僕の方も楽しくなってくる。

それに…何かドキドキもするようになった

もしかして僕は…癒月先生に…

 

 

 

「ちょこ先生、今日時間あります?」

 

「あ、茶羅先生…いえ、今日はちょっと…」

 

 

この茶羅先生、凄くチャラい事で有名

女性教師に次々と絡んでいくらしい

 

 

「ちょこ先生毎回断るじゃないですかー、もういつ空いてるのか教えて欲しいぐらいなんすけど」

 

(この人苦手なのよね、絡みたくないのよ…絡むなら○○様が良いわ…)

 

「はー…マジしらけですわ…」

 

 

茶羅先生は愚痴を零しながら去って行った、しかしその様子を見る者が一人…

 

 

「癒月先生…」ズキッ

 

 

(癒月先生と茶羅先生が話してるのを見ただけで、胸が苦しくなった…やっぱりこれは…)

 

 

その日の夜、癒月先生はまた僕の部屋に来た。

この光景はもう日常茶飯事になりつつある。

 

 

「今日もお疲れ様、成績の方はどうかしら?」

 

「…まぁ、それなりに」

 

 

癒月先生と話すのは楽しいはずなのに、今日は楽しめてない自分が居る。

理由はきっと、昼間見たあの光景…

 

 

「どうかしたの?何か元気無さそうね」

 

「いえ、元気ですよ」

 

「…そう、なら良いのだけど」

 

 

だが実際元気が無いのは事実、元気を出そうにも昼間のを思い出してしまう…

 

 

「今日は、僕もお酒飲みます」

 

「珍しいですわね、普段は飲まないのに」

 

「…まぁ、たまには」

 

 

今は飲まないと辛いのかもしれない、それに…酒を飲めば…

 

 

「グイッ…グイッ…ぷはっ…あぁ…」

 

「○○様…飲み過ぎですわよ?」

 

「これくらい…大丈夫ですよ…」

 

 

あの時と状況が丸っきり逆な感じになってしまってるが、僕は大丈夫だ…今は、飲まなきゃ…

 

 

「グイッ…グイッ…グイッ…グイッ…」

 

「もう止めなさい、それ以上は危ないわ」

 

「止めないでください!僕は…僕は…!」

 

「ダメよ、自分を大事にしなさい?」

 

 

癒月先生は必死に止めてくれる、でも僕は飲むのを止めない。

 

 

 

それから1時間、僕は飲み続けた

元々そんなに飲まない方だ、酒の回りは早かった。

 

 

「う…うぅ…」

 

「もう…本当に飲み過ぎよ…?もう今日は横になりましょ?」

 

「癒月先生…僕は…」

 

 

言うなら今しかない、酒の力を借りるというあまり良くない方法だが、普段言えない事を言うにはこうするしか無かった。

 

 

「僕は…先生が…好きだ!」

 

「えっ…!?」

 

「最初は別に、好きじゃなかった…皆が騒ぎ立てる中、僕だけは凄い冷静になるぐらいに」

 

「隣の部屋だった時も、厄介事としか思えなかった…でも、ずっと話してく内にどんどん…楽しくなっていった」

 

「何時の間にか、話してる時が幸せに感じるようになった、胸がドキドキしてきたんです、茶羅先生とのやり取りも実は見てました…それを見ただけで、胸が凄く締めつけられた…」

 

「○○様…」

 

 

 

その後も僕は内に秘めた想いを全部吐露した、癒月先生は黙って全部聞いてくれた。

決して笑わず、最後まで…

 

 

「…僕の想いは、貴女に届きますか?」

 

 

全てを言った今、後悔が多少あった。

これで拒絶でもされようならこの部屋に住み続けるのも辛いからだ

下手したら大学にも行けなくなるかもしれない

 

 

「もう…私が言いたい事まであなたが纏めて言っちゃってるようなものじゃない」

 

「え?」

 

「私も、自分の美貌には自信があるわ、それなのにあなただけは私に無関心だったわね。カフェの後にあなたが隣の部屋の方と知った時も引っ越し先間違えたと思ったわ、それでも一緒に飲んでる時、少しずつ楽しい時間に変わっていった。最近じゃ学校で生徒様や先生方の相手よりあなたの相手の方がとても楽しかったりしてたわ」

 

「癒月…先生…」

 

「あなたと過ごす夜の晩酌、とても…とても楽しくて素敵な時間だわ、これからも…ずっとあなたと一緒に居たい」

 

「私も、あなたが好きよ」

 

 

癒月先生も…僕を好き…?

胸の鼓動が…より早くなってきた…

 

 

「癒月先生…ってうわっ!」

 

 

立ち上がろうとしたら酒の回りが酷いのを忘れていた

そのまま癒月先生を押し倒すような形になった

 

 

「あら…気持ちを伝えた途端これ?随分積極的ね…?」

 

「あ…違…これは…」

 

「ふふふ…可愛いわね…本当に」ギュウ

 

 

凄い体勢で抱きしめられてる、自分の鼓動が癒月先生に聞こえてるんじゃないかって思うぐらい強く抱きしめられてる。

癒月先生は、あちこちが柔らかくとても甘い匂いがする…

 

 

「本当に、私の事好き?」

 

 

その言葉は、微かに声が震えていた

 

 

「はい、好きです…大好きです」

 

「…っ!私、嫉妬深いですわよ?」

 

「僕だって、結構ジェラシー感じる人間ですよ」

 

 

それを聞いてから癒月先生の力がより強まった、そろそろ痛みがきてるが、それ抜きにしてこのまま時間が止まっても良いと思える。

 

 

「じゃあ…癒月先生、じゃなくて…ちょこって…呼んで…?」

 

「そ、それは…」

 

「ダメ…かしら…」

 

 

寂しそうに呟くその言葉は、僕の胸を締めつけるには充分だった。

 

 

「ちょ…ちょこ…先生」

 

「もう、呼び捨てでも良いのに」

 

「そこは…学生と教師ですから」

 

 

 

 

その後、お互い気持ちを伝えあった2人は一緒の布団で一夜を明かした。

主に、ちょこ先生に抱き枕にされてただけだったが…

 

 

 

翌日

「良いですかちょこ先生、学校内では癒月先生って呼びますからね?これは付き合った事を悟られない為ですから」

 

「分かってますわ」

 

「では、ちょこ先生が先に行く番ですからね、行ってらっしゃい」

 

「むー…」

 

 

行ってらっしゃいと言った後、何故かちょこ先生はむくれていた。

 

 

「ん?どうしました?」

 

「ー…」

 

「え?なんて?」

 

「行ってきますのチューして欲しいの!」

 

 

チュー…付き合って初日にハードル高くないですか…?

 

 

「あの…チューはちょっと…」

 

「あなたがしてくれないなら私からしますわ!」

 

 

ちょこ先生は僕を掴み、そのまま胸元に引かれた。

 

 

「えっ…ちょこ先生…?んっ!?」

 

「はぁむ…チュッ…」

 

 

僕のファーストキスは、ちょこ先生から襲われるような形で奪われました…

 

 

「チュッ…チュッ…」

 

「んー!んー!」

 

「ぷはぁ…ご馳走様」ペロリ

 

「あ…あぅ…」

 

「では、行ってきますね」バタン

 

 

ちょこ先生は満面の笑みで出勤して行った、あの様子じゃその内バレそうでちょっと怖いが…

 

 

 

学校内では教師と生徒、部屋の中では恋人同士

この関係をバレずにやるのはかなり大変だろうけど、残り1年と少し頑張れば卒業、晴れて表立ってちょこ先生と一緒に歩けると思うと頑張れる。

そして何時かは…けっ…結婚…出来れば良いな…




読んでいただきありがとうございます
この方は一日に配信する回数も他の方より多く、とても有意義な時間を過ごせると個人的に思っております。
たまに(割と)ちょっぴりおやぁ…?な事もあったりですが…
もし興味持たれましたら、幸いです。
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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変わるきっかけ byアキ・ローゼンタール

どもです、お菓子ですm(_ _)m
数日ぶりですね、これも誕生日が近いと起きる現象なので、まぁ御容赦くださいませ…汗
さて、今回のお話はタイトルの通り、アキ・ローゼンタールさんのお話です。
まぁ御察しの通り、誕生日です。
以前一度書きましたが、アレはまた別件でしたので。
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


喧嘩に明け暮れた日々、俺は一人の女子を助けた。

よくあるナンパに絡まれてるところを、通りがかった俺が助けた。

女子は礼がしたいと言った、だが俺は関わりたくないから断った。

断った…はずなのに、俺の家に居候している。

親父は居ない、俺とおふくろを捨てた。

俺が小学5年の話だ。

中学生になってから、母子家庭の事でちょっかいをかけられるようになった。

それが原因で俺は荒れた、元々成績は良くない方だった、それに拍車をかけ悪評が出回った。

高校には行ってない、どうせこの成績と評判でアウトだ。

だから昼間から街を出歩いてたら、さっきの話になる。

おふくろは、女子の事を歓迎していた。

だが俺は嫌でたまらなかった、その理由は…凄い構ってくるからだ…

 

 

「○○さん、朝ですよ!起きてください!」

 

「うるせぇ、あっち行ってろ」

 

 

そう、毎回起こしにくる、俺はこれが嫌でたまらない。

 

 

「ダメですよ、お母様から○○さんの事しっかり見るように言われてるんですから!」

 

「…うぜぇ」

 

 

おふくろは、この女子、アキ・ローゼンタールを居候させて3日後、急に出掛けちまった。

今はどこをほっつき歩いてるのか検討がつかない。

 

 

「ほーら、朝ごはん出来てますから早く起きてください」

 

「ちっ…面倒だ…」

 

 

俺は仕方なく起きる事にした、前に無視し続けていたら布団に潜ってきた事があった。

俺は女が嫌いだ、何故なら…俺の事を母子家庭でちょっかいかけてきたのは女子が最初だったからだ。

流石に女子を殴る事は無かったが、近くの物を壊しまくっていた。

それを見ていた他の生徒が、噂を誇張させて拡がったという事だ。

 

 

「改めて、おはえんたーる♪○○さん」

 

「…」

 

「むぅ…挨拶くらいしてもいいじゃない…」

 

 

俺は着替えてリビングに下りる、と言っても全身ジャージだ。

服装なんて、着れればなんでもいいと思ってる。

 

 

「さぁ、召し上がれ!」

 

 

あいつが用意したのは、おにぎり…しかも数は軽く10は超えてる。

そして一際大きいおにぎりが2つ…

 

 

「おい、これ何だよ?」

 

「何って…おにぎり」

 

 

あいつは何食わぬ顔でそう言う、そんな事は分かりきってる。

 

 

「俺が言いたいのはそれじゃねぇ、この大きいおにぎりは何だって聞いてんだよ」

 

「…ぎり」

 

「あ?」

 

「シャケおにぎり!大好きなの!だから大きく作ったの!」

 

 

あいつは恥ずかしがりながら大声で叫んだ。

そんなに恥ずかしいのか今にも泣きそうになっていた。

 

 

「…まぁその、なんだ、食うぞ」

 

「…うん」

 

「「いただきます」」

 

 

俺は普通のサイズのおにぎりを食べる、中身は昆布…他にも梅、おかか、明太子…色々な具材を入れてるようだ。

 

 

「どうかな…?美味しい?」

 

 

さてどうするか、さっきも言ったが俺は女が嫌いだ。

喜ばす事も、悲しますのも嫌いだ。

なら答える選択肢は1つ

 

 

「食えれば何でもいい」

 

「むぅ…」

 

 

この答えが恐らく最善手だろう、喜ばせる事もせず、悲しませる事も無い。

俺の答えが気に入らなかったのか、残りのおにぎりを全部1人で平らげた。

大きいおにぎり2つを残して

 

 

「お前…そんな細い身体でよく食うんだな」

 

「んっ!?ダメ…?」

 

 

俺の一言はそんなにくるものだったのか、一瞬で涙目になった。

 

 

「ダメじゃねぇよ、いっぱい食うことは、良いことだ」

 

 

何で俺はフォローをしてるのか分からない、嫌いなはずなのに。

 

 

「そ、そうだよね!いっぱい食べないと大きくなれないもんね!」

 

 

あいつは若干ヤケになってるのか、大きいおにぎりを頬張っていた。

 

 

「食うだけじゃ成長するのは腹だけだろうに…」

 

 

俺はボヤきながら大きいおにぎりをかじる、中身はシャケみたいだ

口には出さないが、どのおにぎりも美味い。

料理の腕はあるようだ、おふくろが家を出てから自炊で食っていた。

あいつの料理を食うのは今日が初めてだった。

 

 

「ごちそうさま!」

 

 

先にあいつが食べ終わった、それもそのはず…一口が大きくとてもにこやかに食べていた。

食事を楽しんでるように…

 

 

「おい、付いてるぞ」

 

「付いてるって…?」

 

 

俺はあいつの頬に米粒が付いてる事を指摘したのだが、気付いて無いようだ。

だから仕方なかった

 

 

「ったく…ほれ」ヒョイパク

 

「!?」

 

 

おふくろもよく頬に米粒付けて、それを食ってた事もあったのかあいつに付いてる米粒も食べた。

が…あいつの顔がまた赤くなっていく。

 

 

「どうした?」

 

「あ…あぁ…」

 

 

あわあわしながら両手で顔を覆っていく

 

 

「そ、そういうのは…もっと親しい人とするべきだと思います!」

 

 

顔を真っ赤にしながらあいつは言う。

説得力があまり無い

 

 

「知るかんなもん…」

 

 

俺はおにぎりを食べ終え、自室に戻ろうとする。

 

 

「あっ…待って、今日一緒にお散歩しない?」

 

「あ?何で?」

 

 

あいつが提案するのはこれが初めてだ、なので少し警戒している。

 

 

「あの…その…」

 

「早く言えよ、部屋戻るぞ?」

 

「全然お話した事無かったから、話してみたいって思ったんだ…」

 

「…」

 

 

俺は別に、あいつと話したいとも思わないが…

 

 

「はぁ…」

 

 

俺は部屋に戻る

 

 

「あっ…」

 

「何だよ?散歩行くんじゃねぇのか?準備してくるんだよ」

 

 

俺はそう言い部屋に戻った。

 

 

「あの人…素直じゃないなぁ…でも、助けてくれた時はかっこよかったんだよね」

 

 

 

 

 

「やめてください!離して!」

 

「良いじゃん、暇でしょ?俺達と楽しい事しようぜ?」

 

「へへへ…金髪美女…そそるじゃん」

 

 

この時のワタシは、一人暮らしの為に各地を歩いていた。

どこか良い場所が無いか探してる途中で男の人達2人にぶつかり、このような状況になってしまっている。

 

 

「おい、もう連れてこうぜ」

 

「あぁ、そうだな」

 

「嫌!嫌!誰か助けて!」

 

「おい」

 

「あ?誰だお前?」

 

「俺は女は嫌いだが、テメェらのような奴らはもっと嫌いだ」

 

 

その時助けに入ってくれたのが、彼

ワタシと男2人を見て苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

 

「何コイツマジ鬱陶しい…おい!」

 

「あぁ、殺るか」

 

 

2人はナイフを取り出し、彼に襲いかかった。

ワタシは怖くて目をつぶっていた、そのまま逃げるのもあったのだろうけど、足がすくんで動けなかった。

 

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

「手…手が…手が…!」

 

「こんなもんか、武器使わなきゃ勝てねぇなんて情けねぇ奴らだ」

 

 

男の叫びを聞いて目を開けると、2人組はうずくまっていた。

ワタシは彼に救われた。

彼が助けに来てくれなかったら、ワタシはどうなってたか分からない。

きっと酷い目に遭ってたのだろうと思う。

 

 

「おい、早く行け、ここに居たら騒ぎになるぞ」

 

「で…でも…足が…」

 

 

もう危険が無いと分かっても、未だにワタシの足は動かない。

 

 

「これだから女は面倒くせぇ…こっち来い、広いとこまで連れてってやる」

 

 

彼はワタシの腕を掴み歩く、力強く、でも決して痛くない加減。

 

 

「…この辺りなら良いか、じゃあな、もう変なのに絡まれんなよ」

 

「あの!」

 

 

彼が去る前に呼び止める

 

 

「あ?」

 

「お、お礼をさせて下さい!」

 

「いらねぇ」

 

「お願いします!」

 

「しつけぇ」

 

「聞いてくれないならここで叫びますよ、アナタに襲われたって」

 

 

我ながらセコい事してると思った。

お礼をしたいのに困らせてるのだから。

 

 

「…っ!礼って何だよ?」

 

「ご飯作らせてください!腕には自信あります!」

 

「はぁ…こっちだ、今の時間おふくろも居るがな」

 

 

その後彼の名前を知り、○○さんのお母さんに会った。

○○さんのお母さんはとても優しく、ワタシの事情を話したらここに住んでいいと言ってくれた。

○○さんは反対していたが、○○さんのお母さんが有無を言わさず納得させていた。

ご飯を作ろうとしたが○○さんのお母さんがササッと焼きそばを作ってくれていた、あのスピードは凄いと思う。

それでいて美味しいから悔しい、ワタシだって負けられない。

その後、ワタシが居候し始めて3日経った時、突然○○さんのお母さんが出掛け、そのまま帰らなくなっていた。

そして話は今に戻る…

 

 

 

「準備出来たぞ」

 

「じゃあ行きましょう♪」

 

 

俺と散歩とか正気なのかこいつ…

 

 

スタ…スタ…スタ…スタ…

 

 

自分から誘っといていざ歩くと無言かよ…

女は自分勝手だな…

 

 

(ど、どうしよう…いざ話そうとすると全然内容浮かばないよ…せっかく一緒に歩けてるのに)

 

 

「お?あれ○○じゃね?」

 

「本当だな、よぉ○○、元気か?って…女連れてるのか、あの堅物がなぁ」

 

「トラ…ジョブズ…」

 

 

トラとジョブズは、所謂不良仲間と言うべきか。

いや、2人は学校には行ってるし、そこまでの不良でも無いか…

 

 

「わーお、○○が彼女連れかぁ…」

 

「おいトラ、こいつはそんなんじゃ」

 

「初めまして、ワタシ○○さんの彼女のアキ・ローゼンタールっていいます」

 

 

俺の左腕に抱きつきながら、あいつはそんな事を言った。

 

 

「おいバカ…お前…」

 

「はっはっは!○○にも春が来てたか、良きよきだな」

 

「いやぁ…めでてぇわ、ジョブズ、俺達邪魔っぽいし行こうぜ」

 

「そうだな、じゃあな○○、彼女さん大事にしろよ」

 

「だからこいつはそんなんじゃ…っておい!待てよお前ら!」

 

 

トラとジョブズは誤解をしたまま去って行った。

 

 

「おい…お前…何であんな事した?」

 

「…」

 

「答えろ」

 

 

こいつに対して今一番怒ってる、冗談でもやっていい事と悪い事はある。

 

 

「迷惑…だった…?」

 

「当たり前だ、俺は女が嫌いなんだ。お前がやった事は俺に対する嫌がらせだ」

 

「…ごめんなさい」

 

 

その時の俺は冷静ではなかった、あいつの声が震えてるのにも気付かなかった。

そして、最低な言葉も言うことになる

 

 

「お前さ、ずっと俺に構ってきて鬱陶しいんだよ。お前を助けたのもあのクズ共を見たくないからで、助けたのはついでだ。おふくろはお前の事気に入ってたみたいだが、俺はその逆、気に入らねぇ。まさか俺に惚れたとかじゃ無いだろうが、もう絡まないでくれ」

 

 

「…っ!」

 

 

あいつは目を見開き、口を手で覆っていた。

酷い事を言った自覚はある、だがここまでしないときっと離れないであろうと思った。

 

 

「…なの…?」

 

「あ?」

 

「惚れちゃダメなの!?」

 

 

あいつは目に涙を溜めながら叫んだ

 

 

「男の人2人に絡まれて、嫌でたまらなかった。そこを○○さんが助けてくれて嬉しかった。ワタシの腕を引いて歩いてくれた後ろ姿がかっこよくて、胸がときめいた…ワタシを毛嫌いしてたのは分かってた、それでも、少しでも好きになってくれたら…って思ってめげずに声をかけてたよ…?」

 

「…」

 

 

あいつもあいつなりに頑張ってたのだろう、だがそれでも…

 

 

「帰る」

 

 

俺はあいつの言葉に反応せず、来た道を引き返した。

 

 

「うっ…うぅ…」

 

 

あいつは動かずその場で泣き続けていた

 

 

 

 

帰宅した

あいつもその内帰ってくるだろう、そう思っていた。

だが、日付が変わってもあいつが帰ってくる事は無かった…

 

 

翌日

何時もならあいつが起こしに来るが、それも今日は無い。

久しぶりに11時まで寝ていた。

 

 

「…起きるか」

 

 

昨日あいつは帰ってこなかった、流石に言い過ぎた手前、心配ではある。

だが嫌いなのは変わらない

 

 

リビングに行くと、1枚の紙があった。

 

 

○○さんへ

ずっと迷惑かけてごめんなさい

あの時助けてくれたのは、本当に嬉しかったです

もうアナタの前には現れません

大好きでした、一目惚れでした

 

 

一部滲んで読めなかったが、これだけは読めた。

結局俺はあいつを悲しませた、この事実は変わらないだろう。

 

 

「…ゲーセンでも行くか」

 

 

今は何も食う気にならず、そのままゲーセンに向かう事にした。

 

 

 

 

ゲーセン「アローナ」に着いた

ここでは主にパンチングマシーンを叩いている。

ランキングは一応中の中ってとこか、イライラしてる時にやると上の中ぐらいまではいく。

 

 

チャリン「…やるか」

 

 

結果は下の上、酷い結果だった。

何故こんなにも不調なのか、俺にも分からなかった

 

 

「あれ、○○今日は1人なん?」

 

「トラか、何の用だよ」

 

「べっつにー?ただ昨日彼女と歩いてたのに今日は1人だったのが気になっただけ」

 

「別に何もねぇよ」

 

 

こいつに事情話す必要も無いと判断した為、軽くあしらう事にする

 

 

「ふーん…?んで?あの…アキちゃん?とはどこまでいってるん?」

 

「だからアレは誤解だっつってんだろ、始まってもねぇよ」

 

 

こいつおちょくりに来たのか、俺のイライラが溜まっていく。

 

 

「まぁ良いや、じゃあこれだけ伝えとくわ。知ってるか知らないけどあの子今不良グループに捕まってるよ」

 

「は?お前今何て言った?」

 

 

あいつが…捕まってる?何でそんな事になってるんだ?

 

 

「だーかーらー、あの子が不良グループに捕まって今にもヤバい事になりそうだって言ってんの」

 

「おい!それ何時の話だよ!」

 

「目撃したの30分前かなぁ…てっきり耳に入ってると思ってたけど」

 

「初めて聞いたわ、どこのグループだ?」

 

「それ聞いちゃう?奴らはシャケオレ、かなりヤバい集団だって話は聞くね」

 

 

シャケオレ…噂は聞いた事ある、やられたら必ずやり返す集団で、報復の際は20〜30人は1人に対してぶつけるとか。

鈍器、刃物なんでも使う集団とも有名だ。

 

 

「何でそんな奴らにあいつが…」

 

「ん?報復だー!って言ってたの聞いたけど。2人程ボロッボロだったし」

 

 

2人…ボロボロ…?

まさかあの時ナンパしてた奴らか?

 

 

「なるほどな、あいつらの場所は分かるのか?」

 

「んー…それはジョブズがやってた気がするけど…」

 

「今戻った…って○○、お前も居たのか」

 

「ジョブズ、場所を教えろ」

 

 

俺はジョブズに迫りながら聞いた

 

 

「待て、落ち着け…場所は口で言うより案内した方が早い、着いてこい。トラ、お前も来い」

 

「えー…俺も?」

 

「人手は多い方が良い、来い」

 

「へいへい…行きますよーっと…」

 

 

俺とトラはジョブズに案内され奴らが居る場所に辿り着いた。

廃工場なようなとこだ、あちこちがボロくなっている。

 

 

「…!」

 

 

中から声が聞こえる、奴らが居るのは間違いなさそうだ。

 

 

「お前らは関係ねぇからここで待ってろ」

 

「おい○○、それは無理な相談ってやつよ?ここまで来ちゃったし」

 

「そうだな、ここでお前だけ行かせたら俺達は退屈だ」

 

 

トラはともかくジョブズはスイッチが入ると戦闘狂になるらしい。

それをトラがセーブさせてる役割だ。

 

 

「勝手にしろ、俺は俺のやりたいようにやる」

 

「あいよー」

 

「雑魚は任せろ」

 

 

俺達は扉をこじ開け、中に入っていった

中にはざっと見た限り100人は居るだろうか、1人で乗り込んでいたらまず不可能だったろう。

3人でも大して変わらなそうだが…

 

 

「あ?なんだ?」

「ボス、あいつです、あの真ん中の野郎です」

「あいつが俺達を…」

 

 

奥の方でゴチャゴチャ言ってるが、こっちには聞き取れない。

どっちみち全員潰さなきゃならない訳だ、関係無い。

 

 

「あららー、結構人数いるのね」

 

「関係無い、全員潰す」

 

「やれやれ、雑魚は任せろと言ったが…これは流石に…」

 

 

ジョブズは自分が言った事を若干後悔しているようだ

 

 

「○○…さん…?」

 

「…!お前…本当に捕まってたのか」

 

 

声のした方へ向くと、あいつが両腕を鎖に繋がれていた。

近くには5人程いる、内2人はこの前潰した奴らだった。

 

 

「てめぇ…この前はよくも!」

「ぶっ殺してやる…」

 

 

2人は殺気むき出しになっている、クズな事したのはテメェらだろうが…

 

 

「やぁ、ようこそ来てくれた…まだお誘いすらしてなかったのにね。まぁ良いさ、今日はこの子との営みをゆっくり見ていてくれ」

 

 

シャケオレのボスであろうそいつは、あいつの顔に触れながら神経逆撫でさせるような事を言ってきた。

 

 

「…それだけか」

 

「ん?聞き取れなかったな、もう一回言ってくれるかい?」

 

「テメェの言いたいことはそれだけかって言ったんだよ!」

 

「あっ…○○まだ早いって!」

 

 

俺はトラの制止を振り切ってボスに殴りかかった、俺の中で怒りが、憎悪が、膨れ上がっていった。

 

 

「良い闘争心だ、だが…オレに殴りかかるのは得策じゃないね」

 

「ガフッ…」

 

 

ボスに殴ろうとした時、左右からバットが鳩尾と胸を強打する。

酸素が全て吐き出される

 

 

「あっちゃー…○○ヤバいじゃん」

 

「しかし、こっちも人数が人数だ、加勢に行けん…」

 

 

トラとジョブズは周りの不良達を相手するだけで精一杯になっている。

 

 

「○○さん…○○さぁぁぁぁん!」

 

 

あいつが…叫んでる…

俺は…何度あいつを悲しませれば良いんだ…

だから…女は嫌いなんだ…

 

 

「さて、お前らをこんな目に遭わせた野郎は虫の息だ、さぁ…楽しもうかお嬢さん…」

 

「嫌…嫌ぁぁぁぁ!○○さん!助けて!」

 

「○○!お前このままだとアキちゃんが大変な事なるんだぞ!」

 

「○○、お前は何の為にここに来た!こいつらを潰す為に来たんだろ!立ち上がれ!」

 

 

あいつの叫びが…トラと…ジョブズの声が…聞こえる…

そうだ…俺はこいつらを…潰す…

 

 

 

あいつを…アキを助ける…!

 

 

 

 

「…ァ」

 

「ん…?何か聞こえたか?」

 

「アァァァァァァァァァァ!」

 

 

俺は、復活した

骨も何本も折れてるだろう、だがそれでも俺は立ち上がる…

守る為に…助ける為に…

 

 

「立ち上がるか、なら…殺っちゃえ」

 

 

ボスの一言で不良達は一斉に襲いかかる。

不思議と痛みが無い、そんなの気にしないぐらいの意志が、そこにあった。

 

 

「効かねぇよ…こんなの…全然な…」

 

「ヒィッ」

「アギャッ」

 

「おいおい…○○どうしちまった…?」

 

「あれは…かなり久々に見るな…」

 

 

トラのボヤきにジョブズは反応する、何か知ってるようだがあえてそれは口にしなかった。

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

「驚いたよ、後ろの2人の腕前にも驚いたが、一番驚いたのはお前だ。何故そこまで傷付いて動ける?何故骨も砕けてるであろうにそこまで暴れられる?お前一体何者だ?」

 

「あ…?俺は…ただ女とクズが嫌いなだけだ…!」

 

「○○さん…」

 

「いいから…待ってろ、アキ」

 

「あっ…名前…」

 

「気に食わないなぁ…オレを無視するなよぉ!」

 

 

ボスはバットで俺に殴りかかってきた

 

 

「やはり…テメェもクズなのか…男なら拳できやがれぇぇぇ!」

 

「あがぁぁぁぁぁ!」

 

俺はバット諸共ボスをぶん殴った、手の骨も砕けている。

 

 

「なぁ、ジョブズ…○○…ボス倒したぞ…?」

 

「そうだな…」

(あいつがあの状態になるとはな…彼女はそこまでの存在だったか)

 

 

「ア…アキ…」

 

「○○さん…」

 

「ま…まだだ…オレをここまでやりやがったテメェらを…逃がさねぇ…!」

 

 

ボスは隠し持っていたスイッチを押した、工場内に爆発音が響き渡る。

 

 

「あいつ…まさか爆薬仕掛けてたのか!?」

 

「早く逃げなくては危ないな、○○と彼女を回収するぞ」

 

 

トラとジョブズが2人に近付くその時、一際大きい爆発音が起き、天井が落下してきた。

○○とアキ、トラとジョブズが分断されてしまった。

 

 

「ヤベぇ…○○ー!」

 

「俺はいい…先に逃げろ…」

 

「しかし…」

 

「いいから行けっつってんだよ!ぐっ…」

 

 

トラとジョブズの方の天井も崩れていく、2人も逃げなければ危ない

 

 

「○○…絶対死ぬなよ…!」

 

「…」

 

 

2人は先に離脱した、○○とアキは…

 

 

「ハァ…ハァ…待ってろ、今鎖を…」

 

「○○さん、そんなボロボロになって…何で?何で助けに来たの?ワタシの事嫌いなんでしょ?」

 

「確かに嫌いだ、女なんてな」

 

「だったら」

 

「でもだ」

 

 

そう、確かに嫌いだ。

女はすぐ泣く、陰口が酷い、男よりも醜い一面を持ってる奴も居る。

そんな奴らをどうして好きになれようか

だが…アキは違った、俺がどんな反応しようが、悲しい顔こそするが、笑顔は忘れてなかった。

俺が過去を乗り越えるには…アキの存在が不可欠なのかもしれない

 

 

「お前は、他の女とは違う。スっと俺の心に入り込もうとする、俺の心をかき乱してくる奴だ。俺は最初それが辛かった」

 

 

その後嫌いになった理由、どうして今の状況か、全てを打ち明けた。

アキは黙って聞いていた、時々何かを考える素振りもあった。

 

 

「笑っちゃうだろ…?たかがこんな事でこういう人生になるんだ。お前も…悪かったな、強く当たっちまって…そして、こんなクズ野郎を好きになるのは勿体無ぇよ…」

 

 

俺は自虐気味に言った、今でこそ思う後悔もあった。

だけどアキはそんな俺を抱きしめた。

 

 

「ア…キ…?」

 

「○○さん、話してくれてありがとう。でもね、ワタシは○○さんを好きになったの後悔してないですよ…?今もこんなにドキドキしてる、ワタシを…2回も助けてくれた。これ以上ドキドキするのが辛いくらいだよ?」

 

 

アキは涙を流しながら、俺を優しく包み込む。

 

 

「…バカ野郎、絶対勿体無ぇのによ」

 

 

辺りが火の海になってる状況で、俺達のところの天井も崩れ始めてきた。

 

 

「ここもそろそろヤバいか…アキ、立てるか…?」

 

「ワタシは大丈夫、だけど○○さんが…」

 

 

アキが不安がるのも分かる、今の俺の状況は肋骨はまずほぼ折れてる、胸骨もヒビは入ってるだろう…手もバットを殴ったせいで砕けてるし、相当ボロボロだ。

 

 

「大丈夫だ、俺は丈夫だから安心しろ」

 

「…うん」

 

「さて、帰るぞ…お前の料理、また食いたいからな」

 

「…!うん!」

 

 

その時天井が崩れ、アキへと降りそそぐ

 

 

「…!アキしゃがめ!」

 

「え?キャッ!」

 

 

俺はアキに覆い被さるようにした、アキは何が起きたのか分からないようだ。

 

 

「ぐっ…!」

 

「○○…さん…?○○さん!?」

 

「気にするな、無事か?アキ」

 

「ワタシは大丈夫だけど○○さん…血が…」

 

 

俺の腹に天井からの落下物が刺さっている、血が止まらず流石に危うい。

 

 

「俺の事は良い、それよりアキ…」

 

「な、何…?」

 

「俺の事、まだ好きでいてくれるか?」

 

「勿論だよ!大好きだもの!」

 

 

アキ…その言葉だけで救われたよ、なら今俺がする事は…

 

 

「そうか、ありがとうな」

 

 

俺はアキの頭を撫で、礼を言った。

 

 

「さぁアキ、先に脱出してくれ、俺は後から脱出するから」

 

「だったら○○さんも一緒に」

 

「良いから、俺の事好きなら、言うこと聞いてくれ、な?」

 

「うん…絶対戻って来てね!?待ってるから!」

 

 

アキが脱出したのを確認して、俺は安堵したと共に、吐血した。

 

 

「むしろよく今まで吐血しなかったよな…ボスも仲間諸共俺達を道連れにしようとしやがって…バカ野郎…命は大事にするもんだろうが…」

 

 

まぁ、ここで死のうとしてる俺が言うのもおこがましいか…

アキはもう遠くまで逃げれただろうか…それだけが心配だ…

 

 

「血の出過ぎか…朦朧としてきやがった…また…アキの料理…食いたかったな…」

 

 

俺の意識はそこで途絶えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅ…ここは…」

 

「○○さん…?良かった…」

 

「アキ…?ここは…」

 

「ここは病院だよ、トラさんとジョブズさんが消防と救急車呼んでくれてたみたい」

 

 

そうか…あいつらが…

しかし、起き上がろうにも身体が全く動かない。

 

 

「俺動けないんだけど」

 

「それは…」

 

「あなたは全身に深刻なダメージを受けています、今動けば吐血は疎かそのまま死んでしまいますよ」

 

 

アキが説明しようとしたのを、医者が入ってきて説明してきた

俺の容態は本当に死ぬ一歩手前だったらしい、砕けた骨が心臓や肺に刺さるのを食い止め、輸血もかなり使ったらしい。

病室にはおふくろも駆けつけ、酷く叱られた。

おふくろ曰く「女を泣かせるのは最低だよ!」だそうだ。

そんな事言ったら俺既に最低なんだが…

 

 

俺が退院出来るのは軽く見ても3ヶ月、この期間俺は病食生活になる

味が薄くて嫌いなんだ俺は…

 

 

「早く治らねぇかなぁ…」

 

「治るまではずっと来るよ、ワタシは」

 

「あぁ、ありがとうなアキ」

 

 

あれだけ酷い事を言ったりしたのに、それでも好きでいてくれる…アキは本当に良い奴なのかもしれない。

 

 

「あの…それでね…?」

 

「ん?」

 

「ワタシの事…どう思ってるのかなって…ほら、嫌いだってのは分かってるんだけど…少しでも嫌いじゃなくなってたらなぁって」

 

 

アキ…俺が嫌いだって言ったの引きずってるみたいだ。

ここは少しからかってみるか…?

 

 

「あー…そうだな…嫌いだな」

 

「…っ!そうだよね、知ってた」

 

 

案の定落ち込み涙目にもなった、流石に意地悪はもう止めておこうか…

 

 

「嘘だよ、嫌いじゃない」

 

「…本当に?」

 

「あぁ、本当だ」

 

「…へぇ、ワタシを悲しませて楽しんでたんだ」

 

 

あれ…?何か不穏な空気になったんだが…

 

 

「ア…アキ…?」

 

「そんな酷い事する人はこうしちゃうんだから」

 

 

アキはそう言いながら俺の布団を剥がし、腹の傷口に向かって指を強く押し当ててきた。

 

 

「ま…待て…アキ…それは傷口開いちゃうって…俺逝っちゃうから…!逝っちゃうから!」

 

「ふーんだ!これは躾です、もう嘘をつかないようにね…!」

 

 

アキの目が怖い…このままじゃ俺は…

 

 

「止めてくれアキ!本当に逝っちゃうから!」

 

 

俺のこの悲痛な叫びは、あらぬ方向へ向かう事に…

 

 

「○○元気かねぇ…?死にかけてたけど」

 

「さぁな?まぁ、あいつは丈夫だ、多分大丈夫だろう…」

 

 

その時この声が聞こえた

 

 

「止めてくれアキ!本当にイっちゃうから!」

 

 

「「!?」」

 

 

お分かりいただけただろうか…

2人はあらぬ勘違いをしたようだ…

 

 

「ジョブズ…やっぱ帰ろうか」

 

「…そうだな、あいつも楽しくやってる事だしな」

 

「「○○、幸せにな」」

 

 

こうして2人は、後日○○とアキを見る度生暖かい目で見るようになったとか…




読んで下さりありがとうございますm(_ _)m
まず1つ謝罪を…読んでくれた方は分かるかと思いますが…今回の話、甘くないんですね…本当に申し訳ありません…
この話、実は前日の16日に突貫工事で書いたもので…
集中し過ぎたせいで甘さがどこか行ってしまったんですね…
つ…次書く時は甘くしますので…御容赦を…滝汗
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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告白練習

どもですm(_ _)m
今日はなんて事ない日な訳ですが…自分にとっては結構重要な日でして。
昨日突貫工事よろしくまた書きました、はい。
元ネタは…分かる方多いと思います、後悔は無いです。
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


人を好きになるのは良いことだと思う

僕もある女の子が好きだ、その子はいつも笑顔で僕とも仲良くしてくれてる。

僕は友達が多い方では無い、でも彼女や彼女の友達が絡んでくれてるから苦ではない。

たまに嫉妬の目を向けられる事もある、彼女達は皆可愛いから…

そんな時だった、僕は彼女に屋上へ来るように言われた。

 

 

 

これは僕が屋上に行ってから始まる物語…

 

 

 

 

「あ、来てくれたんだね、ありがとう!」

 

「ううん、大丈夫だよ。それよりどうしたの?」

 

 

僕を屋上に呼んだのはロボ子さん、僕が好きな女の子。

高校1年の時からずっと好きで、3年になった今でも想いが変わらない。

 

 

「うん、あのね…?」

 

 

ロボ子さんは急に顔を赤くし始めた、これは…もしかして…?

 

 

「ずっと前から好きでした!ボクと付き合ってください!」

 

「!?」

 

 

本当に告白された…僕の心臓の鼓動が早くなってるのが分かる。

 

 

「あ…あの…」

 

「どうだったかな?ボクの告白練習」

 

「へ?」

 

 

僕は何の事か分からなかった

 

 

「あれ?ちゃんと話聞いてなかったの…?ボク、告白の練習したいから屋上に来てって言ったんだけど…」

 

 

…完全に忘れてた、僕は屋上に来てくれってだけで舞い上がっていた。

 

 

「あ…あー…そう言えばそうだったね…」

 

「○○君、何かごめんね…?」

 

 

ロボ子さんは申し訳なさそうに謝ってきた。

ロボ子さんは悪くない、悪いのは肝心な部分を忘れてた僕だ。

 

 

「大丈夫だよ、僕が忘れてただけなんだから」

 

「そっか…それでどうだったかな?ボクの告白は」

 

 

告白の感想…か…正直されてから後の方が衝撃あって忘れちゃっていた。

 

 

「んー…そうだね、直球で良かったと思うよ」

 

「そっか、この告白で上手くいくと思う?」

 

 

ロボ子さんのこの感じ、誰か好きな人が居るのかな

そして僕を練習相手みたいにするって事は僕ではないと…告白してないのに振られちゃった感じだなぁ…

 

 

「そうだね、こういう直球のも良いけど、もっとしおらしく言うのもアリだと思うよ?普段のロボ子さんは元気で笑顔いっぱいな感じだし、ギャップを感じれると思う。」

 

「なるほど、ギャップ萌えってやつだね!」

 

 

何故僕は細かにアドバイスしてるんだろうか、ロボ子さんが好きなのは僕じゃなくて、別の人なのに…

いや、きっと別の人の方がロボ子さんにはお似合いだろうし釣り合うんだろうな、と思っておこう。

 

 

「じゃあ早速いくよ?」

 

「OK、ドンと来い!」

 

 

ロボ子さんが想いを寄せる人と結ばれるように良い告白を選ばなきゃね、僕はそれだけでもう…

 

 

「あのね、ボク…ずっと前から君の事が好きだったんだ。君の事を考えるだけで、胸が締め付けられる…こんなにも愛おしい。ボクと…付き合ってくれませんか…?」

 

 

さっきの直球と変わって、しおらしいと言うか…凄い想いが込められてる。

これを言われる人はどれだけ幸せなんだろうか…?

僕が万が一ロボ子さんを好きでなくても、こんな事言われたらコロッと好きになってしまう。

 

 

「…」

 

「どう…かな…?」

 

「うん、凄く良いよ!僕的にはこっちがグッときた!」

 

「ほんと!?嬉しいなぁ…ありがとう!○○君!」

 

 

これで良い、これで良いんだ…

 

 

「そういえばロボ子さん、ロボ子さんの好きな人って誰なの?」

 

「んー?まだ内緒♪」

 

「えー…?」

 

「もう少ししたらね?」

 

 

結局その日は教えてくれなかった、その日から僕はロボ子さんの告白練習に付き合ってる(何故か)

ロボ子さん曰く、僕ぐらいしかお願い出来る相手が居ないそうだ。

ロボ子さんを好きな自分からすると、ちょっと辛いところがあるがこの練習の時間だけは誰にも邪魔されずロボ子さんと2人きりでいられる。

好きという気持ちがあると、例え想いが届かなくても一緒に居れるだけで幸せなんじゃないだろうか…?

少なくとも僕は、幸せだ

まぁ、ロボ子さんが他の人と付き合ったら辛いけど、それはそれでロボ子さんの幸せになるなら…割り切ろうと思ってる。

割り切るのも相当辛いだろうけども

 

 

 

 

告白練習を開始してから2週間

「○○君、今日は練習無しでも良い?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

 

この時僕はロボ子さんも用事があるんだろうなぁ…ぐらいしか考えてなかった。

 

 

「それじゃ○○君、また明日!」

 

「また明日」

 

 

ロボ子さんは走って教室を後にする、僕は1人帰宅準備をしていた。

 

 

「ロボ子しぇんぱーい居ますー?って…○○だけか」

 

「一応僕歳上なんだけどな」

 

 

僕の事を呼び捨てしてるこの子は夏色まつりちゃん、2年の子だ。

前にクラスメートがあの子に対してセクハラをしたら、何故か僕にもとばっちりがきて若干の敵意を持たれている。

僕は普通に友達と喋ってただけなんだけどな…理不尽である。

 

 

「○○ロボ子しぇんぱいは?」

 

「だから歳上…今日は用事あるみたいで先に帰ったよ」

 

「へぇ…てっきり別れたのかと」

 

「僕とロボ子さんは付き合ってないよ?」

 

 

なんでそんな事言うのか不思議だった

 

 

「まつりのクラスでは○○とロボ子しぇんぱいが付き合ってるって噂になってましたよ、あんなに可愛いしぇんぱいがこんな冴えない奴とどうして…ってね」

 

 

冴えないは余計だけど、ロボ子さんが可愛いのは激しく同意させて貰おう。

 

 

「そうなんだ、とりあえず今日は諦めて明日とか出直しなよ」

 

「言われなくてもそうしますー、はぁ…なんでしぇんぱいはこんな冴えない奴を…」

 

 

…何か馬鹿にされてる気がする、けどここで反応するのもアレだから流す事にした。

 

 

その後僕は下校した、その途中でロボ子さんと会った。

ロボ子さんはバツが悪そうにしていた、隣には歳上だろうか…?男の人が居た。

 

 

「あっ…○○君」

 

「素敵な人だね」

 

「ロボ子、この人は?」

 

「あ、こっちは○○君、クラスメートだよ」

 

「そうか、クロマルと言います、よろしく」

 

「どうも」

 

 

クロマルさんは凄い大人な人だった、それでいて若く見える。

年齢的にも20代後半とかだろうか…?

 

 

「じゃあ僕はこれで」

 

「あっ、○○君」

 

「素敵な人だね、頑張ってね」

 

 

僕はロボ子さんに耳打ちをしてその場を後にした。

僕が去る時ロボ子さんが何か言ってた気がしたけど、聞く余裕が無かった。

完全敗北だった、あの人と僕を比べると全てにおいて向こうが上回っている。

あの人ならきっとロボ子さんに釣り合うんだろうなと思った

 

 

 

 

翌日

教室に入るとロボ子さんと目が合った

 

 

「おはよう○○君」

 

「…おはようロボ子さん」

 

「あのね、昨日の事なんだけど」

 

「大丈夫、黙ってるから。歳の差の付き合いって大変だもんね」

 

「ち、違うよ、あの人はね?」

 

「HR始まるよ?」

 

 

僕は半ば無理やり話を切った。

クロマルさんを思い出すのが辛かった。

程なくして先生が来てHRが始まった、その後の授業も何事も無く受けた。

 

 

昼休み

「○○君あのね、昨日の」

 

「帝君一緒に食堂行こうよ」

 

「む?私は良いが…」

 

 

帝君はロボ子さんをチラ見しながら答える

 

 

「んじゃ決まり、行こうか」

 

「あっ…」

 

 

この日僕はロボ子さんを避け続けた、話すのが怖かった。

ロボ子さんが誰と付き合おうとそれはロボ子さんの自由だから何も言わないけど、軽く劣等感を持っていた。

 

 

 

 

放課後

ロボ子さんが何か話そうとしていたが、僕は無視して下駄箱へ向かった。

 

 

「待って!」

 

 

ロボ子さんは僕の服の裾を掴んでいた

 

 

「…ロボ子さん、離してよ」

 

「イヤ」

 

「もう告白練習はほぼ完璧だよ、だから大丈夫だよ」

 

「そうじゃなくて」

 

「そうだ、今日スーパーで肉が安いんだよ。早く行かなきゃ売り切れちゃうんだ」

 

 

僕は理由をつけて離れようとする、しかしロボ子さんは離さない。

裾から僕の腕を掴んできた

 

 

「お願い、ボクの話を聞いて…」

 

 

ロボ子さんは今にも泣きそうな声だった

 

 

「…ごめん」

 

 

僕はその手を振りほどいて下校した

後ろですすり泣く声が聞こえた…

 

 

辛かった、今のロボ子さんと話すのが

だから、冷たい態度をとった。

それが余計ロボ子さんを傷付ける事になるとも知らずに。

 

 

 

 

その日の夜、ロボ子さんからメールが届いた

短い文で「明日の放課後、時間をください」とだけ書かれていた。

そのメールに返信せず、そのまま目を閉じた。

 

 

 

翌日

朝起きるとメールが1件届いていた、差出人はロボ子さん。

「今日の放課後、説明させてください」と書かれていた。

 

 

教室に入ると、ロボ子さんと目が合うが今回は話しかけてこなかった、僕も話しかけなかった。

 

 

放課後になった、ロボ子さんが僕の席に来て小さく「屋上に来て」と耳打ちして走って行った。

 

 

本音を言うなら、屋上に行きたくない。

このまま終わった方が自分的には楽だから

でも…最後くらいはしっかり振られるかな、それで綺麗サッパリ終わろう。

 

 

 

 

 

屋上に着くと既にロボ子さんが居た

 

 

「ごめんね○○君、来てもらって」

 

「大丈夫」

 

「それでね、早速だけど…この前の事の説明させて欲しいんだ」

 

 

大丈夫、もう覚悟は出来てる。

だから…楽にして欲しい

 

 

「うん、お願い」

 

「じゃあ…ボクとあの人はね、こういう関係なんだよ」

 

 

ロボ子さんはそう言うと僕に1枚の紙を見せてきた。

 

 

「ロボ子、娘…クロマル…父親!?」

 

「うん…あの人はボクのパパなんだ」

 

「えっ…だって…めちゃくちゃ若い…」

 

 

衝撃が大き過ぎたのか僕はまともに喋れなくなっていた。

 

 

「あの日はね、パパに呼ばれてて練習が出来なかったんだよ。それで○○君とばったり会ったって訳…」

 

「ほ…本当に親子…?」

 

「うん」

 

 

世の中にはあんなに若く見える親父さんが居るのか…僕の父なんてまだ40代の癖に頭がツルツルだって言うのに…

 

 

「だからね?アレは誤解なの、分かってもらえた…かな…」

 

「う、うん…分かった…」

 

 

なんとか冷静に少しずつなってきた

 

 

「それじゃ、明日からまた練習するの?」

 

「ううん、もう練習はしないよ」

 

「練習しないの?もう告白したの?」

 

「まだしてないよ、でも今日しようと思ってさ」

 

 

なるほど、今日で色々と終止符を打とうとするんだな

じゃあ僕は消えなくちゃね

 

 

「そっか、頑張ってね、僕応援してるから」

 

「待って、もうね…ここに呼んでるんだ」

 

 

もう…呼んでる…?何処かに隠れてるのかな

 

 

「それじゃ尚更僕ここから離れないと」

 

「ううん、大丈夫だよ、そこに居て?」

 

 

おかしい、ロボ子さんは僕の目の前でその人に告白でもするつもりなのだろうか…?

 

 

「ちょっと目を瞑ってて?呼んでくるから」

 

「わ、分かった」

 

 

僕はロボ子さんに言われるがままに目を閉じた

 

 

 

「そろそろ良いよ」

 

「ん…」

 

 

目を開けるとそこには、ロボ子さんだけしか居なかった

 

 

「あれ?呼んだんでしょ?」

 

「うん、呼んだよ?」

 

「でもここに居るのは僕とロボ子さんしか…え…?」

 

 

その時僕は何となく察した、ロボ子さんが好きな人って…

 

 

「じゃあボクの好きな人を発表します、ボクが好きな人はね…○○君だよ」

 

「…」

 

「嘘つきでごめんね、ずっと前から、高校に入学してから好きでした。」

 

「な…何で…?普通好きな人相手に告白練習なんて…」

 

 

そう、普通ならありえない…そんな事してもその人は脈ナシと判断されてしまうのだから。

 

 

「そ、それは…○○君と少しでも一緒に居たくて」

 

 

何それ可愛い…でもずっと告白練習聞いてた僕は…

 

 

「でもね、ボクは告白する権利無いんじゃないかなって思ってたんだ。○○君を傷付けたし、苦しめたりもしたし…それでも、好きだって事だけは伝えたかったんだ」

 

 

ロボ子さんが発する声は震えていて、涙も流していた。

相当の勇気を振り絞ってくれたんだって思った。

 

 

「ロボ子さん…」

 

「だからね、振って欲しいな…それが、ボクの君への罪滅ぼしだから」

 

 

ロボ子さんは涙を流しながら僕に微笑んだ

 

 

「分かった、じゃあ言わせてもらうね」

 

「うん」

 

「僕もロボ子さんが好きです、ずっと前から好きでした。こんな僕で良ければ付き合って下さい!」

 

「え…?」

 

 

ロボ子さんは酷く驚いていた、それもそのはず振られると思っていたからだ。

だが僕はロボ子さんが好きだ、そんなロボ子さんから本当の告白されて、振るなんて選択肢がある訳無い。

 

 

「なんで?何で振ってくれないの?ボク…酷い事したのに」

 

「あれ?聞こえて無かったのかな…僕はロボ子さんが好きって言ったんだよ」

 

「それは聞こえたよ、でも何で?何で好きって…」

 

「好きになるのに理由って必要なの?一目惚れとか、気付いたら好きになってたとか、理由あるとすればそれくらいなんだけど」

 

 

実際僕は一目惚れだ、そこからクラスが一緒だったりで話す機会が増え、更に好きになった。

まさかここにきて告白の練習相手になるとは思わなく、更には告白されるとは全然思ってなかった。

 

 

 

「あぅ…」

 

「それで、答え聞きたいな。ロボ子さんのさっきの告白が嘘じゃないなら両想いって事になるんだけど」

 

「うぅ…○○君意地悪だよね、ボクの気持ち知ってから告白するなんてさ」

 

 

意地悪なのだろうか、単に順番が逆だったら分からなかったけど…

 

 

「そうかな?そんなつもりは無いんだけど」

 

「…やっぱりいじわるだ」

 

 

ロボ子さんは拗ねたような表情で僕を睨みつけた、不謹慎にも拗ねた顔も可愛いとか思ってしまった。

 

 

「ボクはもう告白したもの、○○君がどうするか決めてよ」

 

「えー…?僕だって告白したんだよ?ロボ子さんが決めてよ」

 

「…じゃあ、一緒にどうするか言おうよ」

 

「分かった、それでいこうか」

 

「いくよ…?せーの!」

 

 

 

「「こちらこそよろしくお願いします」」

 

 

 

 

 

 

下校道

「ねぇ○○君」

 

「どうしたの?ロボ子さん」

 

「手、繋がない…?」

 

 

ロボ子さんは恥ずかしそうに呟いた

 

 

「うん、良いよ、繋ごうか」

 

「えへへ…うん!」

 

 

手を繋ぐと、そこからロボ子さんの温もりが感じられる。

 

 

「ロボ子さんの手、暖かいね」

 

「○○君の手も暖かいよ」

 

「そっか」

 

 

 

 

「やれやれ、やっと本当にあの2人くっついたんだねぇ…まったく、○○には困ったものだな本当に。でもまぁ、お幸せにですよ、ロボ子しぇんぱい、○○先輩」

 

 

 

2人歩く姿を遠くで確認し、溜息混じりで呟く彼女の姿を2人は知らない。

 

 

 

「ロボ子さん」

 

「ん?」

 

「好きだよ」

 

「ボクも○○君の事好きだよ」

 

「…グハッ」

 

 

僕はその場で倒れてしまった

 

 

「え?○○君!?大丈夫!?きゅ、救急車ー!」

 

 

まずは好きと言われる耐性をつけなきゃと思った。




読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
まぁね、こんな経験あったら良かったなぁ…なんて思ったりした訳です。
青春に戻りたい…切実にそう思いました。

ではでは、次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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それでも俺は(あたしは)1 by紫咲シオン

はいどうもこんばんは、前回投稿してから1週間経ってないという速さでまた書きました。
このお話は続編となっております。
内容を少しでも理解しておきたい方は、過去に自分が投稿しました「想いは人を強くする」を読んでいただけると分かりやすくなるかもしれません。
そしてこのお話は…前後編になってます。
文字数がですね…とんでもな事になってしまったので…
そして今回は初の試みをしました、ちょっと新鮮な気持ちで読めるのかなぁ…って思ってます。
いや変わらねぇよ!ってなる方もきっと居ますけども…それはそれ、これはこれで…汗
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


ドラゴンとの戦いから1年が経った、俺とシオンは互いに切磋琢磨し魔力を高め、新たな魔法を会得していた。

しかし、俺の方は元々攻撃魔法より防御魔法が得意である為、あまり多くの魔法を覚えられない。

シオンとの力の差はどんどん開いていった、俺は内心焦っていた。

何故焦りを感じているか、その原因は…精霊だ。

俺達はホロワーツに入って1年経つと、各々に精霊と契約出来るようになる。

 

 

俺は木の精霊であるノームと契約した、本来なら俺はノーム、シオンは炎魔法だからサラマンダーと契約するはずなんだが…

あいつはサラマンダーと契約出来なかった、これだけ聞けば俺の方がマシじゃね?となるだろう。

だが違う、あいつは…上位精霊のイフリートと契約した。

サラマンダーだとシオンとの契約で流れてくる魔力に耐えられなかったらしい。

 

 

それを見かねた施設の人間が閲覧禁止のエリアからイフリートの契約書を持ってきた、そしてダメ元でやったら契約成功したらしい。

俺はその場に居なかったから、らしいとしか言えない。

部屋に戻ってきた時、あいつは困惑していたが数日もすれば何時ものドヤってるシオンになっていた。

 

契約が完了してから、1ヶ月経った頃…

 

 

 

 

 

(ごめん○○、もう一緒に居られない)

 

(な、何でだよ…?)

 

(だって、あたしと○○じゃもう差がつき過ぎて話にならないんだもん)

 

(だから、さよなら…)

 

(おい、待ってくれよ…俺もっと頑張るから、だから…!)

 

 

「…はっ!」

 

 

酷い夢を見た、しかも割と現実になりそうなレベルの夢だ。

俺とシオンの実力差は既にかなり開いている、シオンはそんな事言うとは思えないけど、絶対とは言いきれない。

 

 

「すー…すー…」

 

 

当の本人はグッスリ寝ている、それもそのはず、今は午前3時を過ぎたぐらい、普通に寝ている時間だ。

 

 

「シオン…」

 

 

俺はシオンのベッドに座り、髪を撫でた

サラサラしていて気持ちいい。

 

 

「ん…んー…」

 

 

シオンは嫌がってるのか寝返りで回避した。

あまりちょっかい出さずに寝た方が良いようだ。

 

 

「ごめんなシオン、寝てるとこ邪魔しちゃったな、おやすみ」

 

 

俺は自分のベッドに戻り、布団を被った。

 

 

「…」

 

 

 

 

 

翌日

「○○おっはー」

 

「おはようシオン」

 

「訓練終わったらまた魔法の練習付き合ってくれない?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

 

現在の時刻は8時、訓練が終わるのが11時半だ。

希望を出せば訓練の時間を延ばす事も可能だが、今回はシオンとの事があるからそのまま終わらせる事にする。

普段は1時間ぐらい多めに訓練している、少しでもシオンに追い付きたいし、魔法を強化したいから1人ひっそりとやっている。

シオンには勿論内緒だ、バレてるかもしれないが…

 

 

 

 

 

 

訓練後

 

「それじゃ○○、準備は良い?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

「それじゃいくよ…炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!」

「ふぅ…大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

 

互いに初級魔法を詠唱する、初級魔法は詠唱スピードが早く、込める魔力も少なく済むから良いウォーミングアップにもなる。

 

 

「ファイアボール!」

「プロテクト!」

 

 

互いの魔法が発動し、俺の魔法は目の前に盾を、シオンの魔法はその名の通り火球が飛んでくる。

ただし、1年前と比べて火球の大きさは段違いになっており、俺の盾も前より厚みがある、属性相性は悪くとも、防げると思っていた。

そう、思っていたんだ…

 

 

バリン…「なっ…!」

 

「え…○○…!?」

 

 

俺のプロテクトは簡単に砕け散り、ファイアボールは威力変わらず俺に直撃した。

全然軽減する事無く、砕けた…

 

 

「ゴホッゴホッ…嘘だろ…?精霊と契約して魔力も上がったんだぞ…?それなのに…」

 

「大丈夫…?○○」

 

「あ、あぁ…」

 

 

俺の焦りは更に加速していった、やっと少しずつ追い付いてきたのに、精霊との契約でまた差が開いていたのだから。

 

 

「すまん、ちょっと今日はこれで終わりにさせてくれ」

 

「う、うん…」

 

 

俺は逃げるようにその場を後にした。

泣きたくなった、あんなに頑張ってたのにそれでも追い付けない…

自分が無力にも思えてしまう。

 

 

「父さん…母さん…俺…どうすりゃ良いんだよ…あいつを…シオンを守りたいのにこんなんじゃ守れねぇよ…」

 

 

俺は過去に、上級魔法を使った事がある。

ドラゴンとの戦いの時だ、あの時初めて攻撃魔法が使えた、シオンを守りたい、その一心で…

だがあれ以来詠唱すら出来ない、詠唱口上を忘れてしまっていた。

覚えていたとしても、あの魔法を唱える程の魔力があるかと言われたら…精霊と契約した今でもかなり難しいだろう。

あの時使えたのも、全魔力を使い果たし、おそらく命も少し削っていたかもしれない。

あのレベルの魔法がまた使えれば…シオンを守れるのに…

 

 

 

 

 

チカラガホシイカ…

 

 

 

 

 

「…?」

 

 

何処からか声が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか…?

 

 

チカラガホシイナラ…ソレヲヨメ…

 

 

「…!?」

 

 

いや、気のせいじゃない…確かに声が聞こえた。

だけど姿はどこにも無い。

 

 

「誰だ…?」

 

 

辺りを見回していると、突然上から書物が降ってきた

手に取ってみるとそれは、前に俺がノームと契約したのと同じ契約書だった。

だがその契約書はノームのではない、どの精霊の契約書か文字が掠れて読めなかった。

 

 

「な…何だこれ…?何で契約書が…?」

 

 

俺はその契約書を開いた、内容はやはり契約の詠唱が書かれているだけだった。

 

 

「…やっぱり普通の契約書だよな、何でこれが…?」

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

俺は咄嗟に契約書を手放した、契約書から突然魔力が溢れたのだ。

そしてその魔力は、黒く禍々しかった。

 

 

「ど、どういう事だ…?この魔力…普通じゃない…」

 

 

 

 

サァ…チカラヲテニシロ…

 

 

 

 

また声が聞こえた、だがやはり姿は見えない。

 

 

「何処にいるんだよ!姿を見せろ!」

 

 

しかし俺の問いには反応しなかった、そして契約書の魔力が更に溢れ、俺を包み込んだ。

 

 

「ぐっ…何だ…これ…あぁぁぁぁぁぁ!」

 

「…!」

 

 

契約者に危険が迫ったのか、ノームが現れた。

しかしノームはあくまで精霊、何も出来ない。

 

 

「ノーム…逃げ…!ぐぁぁぁぁぁ!」

 

 

俺の命令でノームはその場から逃げた、この契約書が何なのか分からないが、今は被害が出ないようにするしか無い。

 

 

「ぐっ…ぐぅぅぅ…」

 

 

 

 

 

 

ウケイレロ…ワガチカラヲ…

 

 

 

 

 

「何で…訳分からないものを受け入れられるんだよ…!無理に決まってるだろ…!」

 

 

俺は必死に抵抗した、しかし禍々しい魔力に徐々に侵食されていく…

 

 

 

 

 

 

「ジカンガカカッタガ、ヨウヤクモノニシタゾ…「ユグドラシル」ヲ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい、あれから○○が何処にも居ない。

○○の酷く驚いた顔なんて、見たこと無かった、だから尚更心配になった。

 

 

「…!」

 

「ノーム…?どうしたの?」

 

 

○○のノームが凄い勢いで移動してきた、そしてあたしの腕を引っ張ってきた。

 

 

「え?何?ついてこいって事…?」

 

 

ノームの行動に違和感を持ちつつ、ノームの後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

「何だこの力…みるみる溢れてくる…」

 

 

俺は軽くジャンプした、すると照明灯を軽々と越すぐらい飛ぶ事が出来た。

 

 

「はは…何だよこれ、こんなに強くなるのか…」

 

 

俺は愉悦に浸っていた、最初は戸惑ったがその後にくる溢れ出る魔力でそんな事はどうでも良くなっていた。

 

 

 

 

「…!」

 

「○○!」

 

「…シオン」

 

 

シオンがノームに連れられて来た、そう言えば何でノームに逃げろなんて言ったのだろうか…?

 

 

「ねぇ○○、どうしちゃったの…?その魔力」

 

「あー…これか?この契約書からさ、とてつもない魔力が俺に流れ込んできたんだよ、おかげでこんなに強くなれた。そうだシオン、もう1回魔法の練習しようぜ?今度は負けないからさ」

 

 

俺は今ならシオンに勝てる、そう思い魔法勝負の提案をした。

 

 

「…分かった、またあたしが負かしてあげる」

 

 

○○に何があったか分からないけど、あたしはこの提案を受け入れた。

○○から○○自身の魔力の他に、変な魔力が混じってるのが分かった、その魔力はとても気持ち悪かった。

 

 

「あぁシオン、本気できて良いぜ?今なら全然平気な気がするからさ」

 

「…へぇ、そんなに自信あるんだ、分かった…本気でいくから」

 

 

やっぱりおかしい、○○は普段あんな強気にはならない。

警戒をしながらするしかない。

 

 

「んじゃいくから…業炎よ、果てしなく燃えるその炎で全てを燃やし尽くせ…!」

 

 

あたしは中級魔法を詠唱し始めた、この魔法はあたしの得意な魔法の1つ、火力調整もちゃんと出来る。

○○が危険な事になる前に威力を弱められるように。

 

 

「…シオン、中級ぐらいで勝てると思わないでくれよ…憎悪の闇よ、喰らい、砕き、無に帰せ…!」

 

 

…!?

○○の詠唱がおかしい、普段使う詠唱は大地〜のはず…でももう魔法は止められない。

 

 

「エクスプロード!」

 

 

魔法が放たれ、○○へ向かう。

エクスプロードはファイアボールが複数集まった集合体のような威力を持つ、あたしのならファイアボール10個分はあってもおかしくない。

 

 

「甘い…甘いんだよ…シオン…イビルショット!」

 

 

俺は頭に浮かんだ詠唱をそのまま唱え放った。

詠唱口上的にも初級魔法だろうか?それでも威力は桁違いだった。

イビルショットはエクスプロードを飲み込み、消滅した。

本来魔法はレベルにもよるが初級は初級、中級は中級で相殺出来る。

だが俺は中級魔法のエクスプロードを、初級魔法であろうイビルショットで相殺出来たのだ。

 

 

「嘘…エクスプロードが…」

 

「ははっ…マジか、あのシオンの魔法と互角の威力とはなぁ…」

 

「どうして…?あたしの方が実力はあったのに…」

 

 

シオンは中級魔法を初級魔法で消された事に酷く動揺してるようだ、だが俺は高揚感が高まっていっていた。

 

 

「なぁシオン、俺…強くなったぜ?これでお前を守れるよな…?俺さ、ずっと辛かったんだよ。俺はノーム、お前は上位精霊のイフリート…精霊でさえ差がついた、魔力もどんどん跳ね上がるし俺は置いてけぼり…だけどそれも今日で終わりだ。俺は今、シオンを上回る力を手に入れた、もうお前は戦わなくても良いんだ…ずっと俺が守ってやるからな」

 

 

俺はシオンに近付いて行った、しかしシオンは怯えている。

 

 

「来ないで…!○○、アンタ変だよ…?何で魔法が変わってるのさ!あんたの属性は木じゃないの!?」

 

「?何言ってるんだ?俺の属性は…うっ…」

 

 

急に頭が痛くなる、そして頭に声が響いてくる…

 

 

ワガモトニ…ツドエ…

 

 

「○○…?」

 

「呼んでる…」

 

「呼んでるって…誰が?」

 

 

突然○○は頭を抱えうずくまった、○○の身に一体何が起きてるのだろう…?

 

 

「行かなきゃ…」

 

 

○○はフラフラしながら歩きだす

 

 

「待って○○!」

 

 

必死に○○を止めるも、動きを止めず歩き続ける。

 

 

「呼んでる…あの人が…」

 

 

○○は空に浮き、飛び立った…その背中には、黒い羽根の様な物が見えた。

 

 

「○○…○○ーー!」

 

 

シオンの叫びは○○には届かなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ホロワーツに居る人間全員が招集された。

 

 

「今日集まってもらったのは他でもない、昨日闇の魔力を感知した」

 

「闇の魔力とは?」

「魔法は4属性じゃないんですか?」

 

「ふむ、まずそこから説明しなければなるまい」

 

 

ホロワーツの責任者が全員に魔法の説明をした

元々魔法は火、水、風、木の4属性、そして光と闇の合計6属性があった。

だけど光と闇は少量の魔力でもあまりにも強過ぎる為、ホロワーツでは封印していたらしい。

その封印が少し前に破られたらしく、闇の契約書が紛失してしまった。

その事実を隠してはいたが、闇の魔力を確認してしまった手前隠し通す訳にもいかなくなったという。

 

 

 

 

「…そして、闇の魔力を纏った者を確認した、名は○○、これより○○を討伐対象にする」

 

「待って!何で○○を倒そうとするの?」

 

「あいつは闇の力を手にしたからだ、あの力はこの世に出してはならないのだ」

 

 

ホロワーツの上の人間は○○を頑なに倒そうとする、いくらあたしが言っても聞く耳を持たない。

 

 

「良いか、闇の魔力は4属性より強力になっている。生半可な魔法では太刀打ち出来ないと知れ!」

 

「なんで…○○…」

 

 

 

 

 

結局○○を討伐する事になってしまった、あたしは…どうすれば良いんだろう…?

 

 

「…!」

 

「ノーム…あんたも困るよね、契約主の○○が居なくなっちゃってさ…」

 

「…」

 

「大丈夫、○○はあたしが連れ戻すからさ、待ってて?」

 

「…!!」

 

 

 

 

 

○○…絶対連れ戻すからね…

 

 

 

 

 

 

「あんたが俺を呼んだのか」

 

「…」

 

「まぁ良いさ、あんたには感謝してる、この力さえあればシオンを守れるんだからな」

 

「…」

 

「あぁ、その代わりあんたの目的にも協力してやるよ、ただし…シオンだけは手出しさせないからな」

 

「…」

 

 

 

シオン…待ってろよ、俺が…守ってやるからな…

 

 

 

 

翌日、○○を討伐する為にホロワーツに居るほぼ全員が捜索に出た。

あたしはまだ捜索に出ていない、ノームと一緒に居る。

 

 

「…」

 

「ノーム…大丈夫だからね、絶対連れて帰るから」

 

「…!」

 

「うん、じゃああたしも行ってくるね」

 

 

 

ノームに別れを告げ、あたしも○○を探しに出た。

今回の捜索で全員に魔力探知機という代物が配られた、これは魔力の属性で識別する事が出来、黒い反応があるとそれが闇の魔力だという。

1時間程捜索したぐらいから魔力探知機に反応があった。

黒い反応だ、曰く○○が近くに居るという事になる。

あたしは不安だった、1人で○○を止めて連れ戻す事が出来るのかと。

中級魔法を唱えたのに○○は初級魔法で相殺する程の魔力にまで上がっている、いくらイフリートと契約して魔力が上がっても太刀打ち出来なかった。

上級魔法…使えなくはないけどきっと使わないとダメな状況になってしまうだろう。

 

 

 

 

「反応が近い…ここら辺かな」

 

 

付近を探すと、○○の後ろ姿を発見した。

しかしやはり禍々しい魔力を纏っており、後ろ姿だけでも昔の面影が消えつつあるのを悟ってしまった。

不意打ちでも魔法を放った方がいいのだろうか…

 

 

「…居るんだろシオン、隠れてないで出て来いよ」

 

「…何時から気付いてたの?」

 

「お前がノームと離れてから…かな」

 

 

○○の魔力感知能力も闇の魔力のせいなのか、かなり高まっているようだ。

ホロワーツからこの場所までは距離がある、その中で探れるという事は、つまりそういう事になる。

 

 

「そっか、じゃああたしがここに来た理由も分かるよね?」

 

「あぁ…」

 

 

○○は悲しげな表情であたしに手をかざす、あたしも…○○に手をかざしている。

 

 

「ねぇ○○、今ならまだ間に合うよ…そんな力捨てて帰ろう?この世界を平和にする為に頑張ろうよ…」

 

「シオン、この力があればさ…どんな奴にだって勝てるんだよ、この力さえあれば…父さんと母さんを殺した奴にだって勝てるんだよ…!」

 

 

○○は悲痛な表情であたしに訴えかけてきた。

 

 

「シオン、お前こそ俺の元に来いよ。これからは俺がずっと守ってやる、ようやく大事な人を守れる力が手に入ったんだ、俺はもう…お前を危険な目に遭わせたくないんだよ」

 

 

○○は少しずつ、こちらへ歩いてくる。

その表情はまるで何かに縋るようにも見える。

 

 

「…ファイアボール」

 

「…!」

 

 

あたしは○○の足元に詠唱破棄のファイアボールを撃った。

今の○○は、○○であって○○じゃない。

 

 

「ふざけないで…○○、アンタはあたしと一緒に世界を平和にしたかったんじゃないの!?あたしは…あんたに守られるだけの存在なの?ちょっと強くなったからって大口叩かないで!」

 

 

溜め込んでいたものが爆発したかのように○○を責めたてた、○○は静かに目を閉じた。

 

 

「…そうか、じゃあ仕方ないな。だったらこの力でもう一度お前より強くなったって事を証明するしか無いよな」

 

 

お互いにもう話し合いでは解決しない事を悟り、構えた。

 

 

「シオン、次こそ本気でこい。もう手加減はしない」

 

「…」

 

「いくぞ…深き闇よ、奪い、憎み、全てを喰らえ!」

 

「…爆炎よ、その身を焦がす炎と共に悪しき者を討ち滅ぼせ!」

 

 

○○はおそらく中級魔法、あたしはドラゴン戦でも使った上級魔法を詠唱する。

○○の魔力はどんどん黒くなっていく、もう木の魔力を感じられない程に。

 

 

「上級魔法か…それぐらいのやつなら…」

 

「…」

 

「せめて耐えてくれよ…?ネメシスジャベリン!」

 

「バカっ…プロミネンスノヴァァァ!」

 

 

○○の手から黒く染った無数の槍が、シオンの手から巨大な炎が龍の形になり○○へ向かう。

槍が炎の龍に当たる度に蒸発し、意味を為さない。

そのまま炎の龍は○○へ直撃する。

 

 

「ぐぅぅぅ…あぁぁぁぁぁぁ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

魔法の放出が終わり、視界が開くと…○○は無傷だった。

シオンの上級魔法、プロミネンスノヴァでも○○には傷一つ付けることは叶わなかった。

 

 

「シオン、本気…だったんだよな?あの時よりも強化されてた上級魔法だ、疑いはしないよ。でもよ、こんなもんなのか?お前の力は」

 

「闇の魔力は…そんなに強力なんだね…そうだよ、これがあたしの本気。だから何…?嘲笑うつもり?」

 

「そんなつもりは無い、ただ…これではっきりしただろ?お前は俺に守られてれば良いんだ、俺が…世界を平和にしてやるから」

 

 

2度の敗北で圧倒的な力の差を見せつけられ、シオンはもう反論する気力さえも失っていた。

どうやっても○○に勝つ事が出来なくなっていたからだ。

しかし、手段が無い訳ではない。

あるにはあるのだ、だがそれを使う場合、シオンは間違いなく倒れる。

精霊との合体魔法、これが対抗策である。

本来はサラマンダーやノームといった精霊と、初級魔法や中級魔法の合体が一般的である。

例えば、サラマンダーとファイアボールでブレイズボールに、エクスプロードだとインフェルノになる。

ただし、原則上級魔法との合体は禁止されている。

精霊にも多大なる負荷がかかり、術者本人も危険にさらされるからだ。

だが、上位精霊のイフリートなら話は別である。

イフリートとの合体魔法なら上級魔法ですら耐えられる、術者本人の負担は変わらずくる為、上位精霊ですら制限をかける程になっている。

 

 

シオンは1つの考えを持っている、制限をかけられているイフリートと上級魔法の合体魔法を詠唱しようと…

先程既に上級魔法を詠唱してる状態で、上級魔法の合体魔法を詠唱するのはとても危険、倒れるどころか命の危険すらもある。

だがそこまでしなければ、○○を取り戻すのは不可能と考えていた。

 

 

 

 

 

「さぁ、行こうぜシオン…お前もあの人に会わせてやる、あの人はお前の事も気にかけてくれてるんだ」

 

「…」

 

「シオン?」

 

「……」

 

「…何だその魔力は、火の魔力が…どんどん上昇している?」

 

「…燃え盛れ、灼熱の炎…今ここに、その強さを顕現せよ!」

 

「!?」

 

「イフリート!」

 

 

 

シオンは諦めていなかった、最後の賭けでイフリートを召喚した。

という事はアレをするつもりなのだろうか…?

俺はもういい加減諦めて欲しかった、これ以上シオンに魔法を放つのも心が痛くなる。

 

 

「シオン…もう諦めろよ…」

 

「嫌、諦めない」

 

 

シオンの目はまだ諦めていない、だが俺もここでずっと油を売る訳にもいかない。

 

 

「アンタを助ける、それしか今は考えないから」

 

「はぁ…もういい加減」

 

 

そこまで言いかけた時、突然地響きがした。

 

 

「何!?」

 

「あー…始めちったか…アシッドレイン計画」

 

 

アシッドレイン計画、それは超広範囲に雨雲のようなものを出現させ、ネメシスジャベリンを降らせるというもの。

基本的に魔物しか狙わないから、人間には当たらない予定だ。

 

 

「○○、アンタ達何考えてるの…?」

 

「何って…魔物殲滅計画だよ、俺は早く平和な世界にして、お前と一緒に暮らしたい、それだけだよ」

 

「それならホロワーツでも」

 

「あそこじゃダメだ、それに…俺はこの力を手にした時あの人の計画にも手を貸すって約束したんだ」

 

「あの人って…誰…?」

 

「それは「それはこのボクの事だよ」!?」

 

 

○○の背後から突然人影が現れた、○○よりも禍々しい魔力を身に纏っており、姿はまるで…

 

 

「魔族…?」

 

「なんで来ちまったんだよ、ロボ子さん」

 

「あはは♪○○くんがあまりにも遅いからさぁ、迎えに来てあげたんじゃないか」

 

「○○…なんで魔族がここに…?」

 

 

魔族はドラゴンよりも戦闘力、魔力が共に高く、人間を毛嫌いしている種族だ。

 

 

「それは「それはボクがこの計画の首謀者だからさ」俺が喋る時に被せないでくれるか?」

 

「ずっと待ってても戻ってこないんだもん、ほら…早く行こうよ」

 

 

ロボ子と呼ばれる魔族は○○の腕に絡みつきながら話す、それをシオンに見せつけるように。

 

 

「アンタ!○○にくっつかないでよ!」

 

「何?この女…舐めた口きいてるとコロスヨ?」

 

 

ロボ子の言葉は重みがあり、殺意が込められていた。

 

 

「…っ!」

 

「ロボ子さんやめてくれ、あいつはシオンだ。前に話しただろ…?俺の彼女だ」

 

「このちんちくりんが?子供だよ?胸も無いし」

 

「あ?」

 

 

ロボ子に自分の容姿を馬鹿にされたシオンは即沸点を突破した、本人も少し自覚しているのだろうか、指摘されるのは好きではないようだ。

 

 

「シオン落ち着け、ロボ子さんも止めてくれ」

 

「ボクの方がカワイイし胸もあるし楽しめると思うんだけどなぁ…?それに○○くんタイプだし」

 

「…イフリート、あいつ倒すよ」

 

「…!」

 

「おいシオ「○○は黙ってて」ン…」

 

「いいねぇ♪○○くんの目の前でボクの強さを見せればあんな女の事なんて忘れてくれるに違いない!かかっておいでよ、チビ!」

 

 

俺は蚊帳の外になってしまった、だがどうやってもシオンに勝ち目は無い。

ロボ子さんは…俺より強い、この闇の魔力で強化されてても尚、勝てない。

 

 

「業炎よ、果てしなく燃えるその炎で全てを燃やし尽くせ…!そして…イフリート!エンチャント!」

 

「…!!」

 

 

シオンはエクスプロードの詠唱をし、イフリートの魔力をエクスプロードに込めた。

エクスプロードの炎はみるみる大きくなり、上級魔法に匹敵するであろう程までになっていた。

 

 

「へぇ…合体魔法か…でもそんなのボクには通用しないんだけどね♪」

 

「それはこれを食らってから言いなよ!インフェルノォォ!」

 

 

シオンは中級魔法とイフリートの合体魔法、インフェルノを詠唱しロボ子に向かって放った。

だがロボ子は涼しい顔をしながら、虫を払い除ける程度の力で払うとインフェルノは消えてしまっていた。

 

 

「う…そ…」

 

「お前つまんない、やっぱり○○くんはボクと居た方が幸せだなぁ♪」

 

「くっ…だったら上級魔法を…って…魔力が…!」

 

「シオン、流石のお前ももう魔力は無くなってるだろ。上級魔法に中級魔法とはいえ合体魔法を使ったんだ、無くならない方がおかしいんだよ」

 

「あはは♪じゃあここからは…ボクが痛めつける番だね」

 

 

ロボ子はそう言うとシオンの首を掴みあげた。

 

 

「がっ…はっ…」

 

「おいロボ子さん、シオンに手をあげるのは流石に許さないぞ」

 

「でもさぁ…ボクだって攻撃された訳だし、仕返しくらいはしたいんだよねぇ…」

 

 

ロボ子はシオンを掴んでる手の力を強める、シオンの顔はみるみる苦痛の表情に変わっていく。

 

 

「イビルショット!」

 

 

俺はたまらず詠唱破棄で魔法をロボ子に放った、ロボ子は躱すこと無くそのまま食らったが、勿論ダメージは無いだろう。

 

 

「…何のマネかな?○○くん」

 

「シオンは俺の大事な恋人だ、それ以上するなら容赦はしない」

 

「なんで…?ボクの方がコイツなんかよりずっと良いのに…コイツを消せばボクだけを見てくれるのかな…」

 

「かはっ…」

 

 

ロボ子の目が虚ろ目になりシオンを投げた、シオンは壁に激突し気を失った。

 

 

「シオン!」

 

「…消えちゃえ」

 

 

ロボ子の手から爪が伸び、シオンの腹を貫いた…

 

 

「シ…オン…?」

 

 

フラフラとシオンに近付く、ロボ子の腕からは血が、シオンの腹から血が溢れていた。

 

 

「シオン…目を開けてくれよ…」

 

「○○くん無駄だよ、もうそいつは助からないよ」

 

「ふざけんな…何でこんな事した!シオンは…関係無かったはずだ!俺はシオンには何もしないって言うから…」

 

「だってこいつが喧嘩売ってきたからさ…仕方ないよね」

 

「こいつ…!いや、先にシオンだ…今回復を…」

 

 

俺はロボ子に怒りを覚えたが、先にシオンの治療を優先させる。

 

 

「大地よ、その大いなる恵みで彼の者を癒せ!ヒール!」

 

 

回復魔法を唱えるが、魔法が出る気配が無い。

○○は知らなかった、自分の中に木の魔力が無くなってる事に。

既に闇の魔力しか身体に残って無い事に…

 

 

 

「何でだ…?どうしてヒールが使えない!?ヒール!ヒール!ヒール!」

 

「分からないの?木の魔法が使えないって事は、木の魔力が無いって事さ。○○くん、もう君は闇の魔法しか使えないんだよ…例え君がユグドラシルの生まれ変わりだとしてもね」

 

 

 

 

 




はい、まずは前編を読んでいただきありがとうございます。
一応ですね、区切りとしてはそこら辺なのかなぁ…?って思いながらでした。
1話完結にしてる手前、あんまり前後編に分けたくなかったのですが…読む時疲れちゃうだろうなぁ…って思ったので…
ではでは、後編ももしよろしければなのですm(_ _)m


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それでも俺は(あたしは)2 by紫咲シオン

どもです、こちらは後編となっております。
もし読まれる際は前編からの方が内容は分かるかと思います。
ではでは、ごゆるりとm(_ _)m


今何て言った…?

俺が…ユグドラシルの生まれ変わり?

何を馬鹿げた事言ってるんだ?俺は人間だ、ちゃんと父さんと母さんも居た。

居たはずだ…

 

 

 

 

「ロボ子さん…何言ってるんだ?」

 

「あれ?もしかして記憶が無いの?君は大昔に消滅したユグドラシルの生まれ変わりなんだよ」

 

「ふざけるな!俺は人間だ!ドラゴンとの戦いだって血は出てた、赤い血がちゃんと出ていた!」

 

「そのドラゴンとの戦いが引き金だったんだよ、○○くん。ドラゴンはね、戦闘力が異常に高いんだ。例え防御魔法を使ってたとしても直撃すればまず無事では済まない、あいつらは魔法を一部無効化出来るからね。それなのに君は生きてた、多分そこでユグドラシルの力が目覚めたんだろうね」

 

 

ロボ子の説明を聞いてもイマイチピンとこなかった、だが…確かにあの時は不思議だった。

攻撃魔法が使えないはずなのに使えるようになったし、身体中ボロボロで血も足らなかったはずだ。

それでも生きてた、最初は救護班が必死になってくれたと思っていた、だけど…ユグドラシルは木の最上位の精霊、その魔力があれば傷なんてすぐ塞がるだろう。

 

 

「それに、今なら多分もう血は出ないよ。試してみるかい?」

 

 

ロボ子は爪を伸ばしながらこちらへ歩みを進める、既に壁際に居る為逃げ場は無い。

 

 

「足掻きでも…やらないよりはマシだ!憎悪の闇よ、喰らい、砕き、無に帰せ…!」

 

 

俺は詠唱の速い初級魔法を詠唱する、ロボ子のスピードは速い、おそらく間に合わないだろう。

それでも、何もしないでやられるよりはマシだと思った。

 

 

「イビル「だから遅いってば」ショッ…」

 

 

俺の身体をロボ子が爪で切り裂いた、しかし不思議な事に血が出ない。

俺の身体は本当に…人間じゃ無くなってしまったらしい。

 

 

「…」

 

「ね?これで分かったでしょ?君はもう人間じゃない、精霊ユグドラシルなんだよ」

 

 

俺に出来た傷から血は出なく、魔力が漏れ出ていた。

 

 

「○…○…」

 

「…!?シオン…?」

 

 

振り返ると、シオンは呼吸が荒くも俺をしっかり見ていた。

 

 

「ごめんシオン…俺、もう人間じゃないみたいだ。精霊に…なっちまったみたいだ」

 

「…そっか」

 

「それに、木の魔力が無くなってる…お前の傷を塞ぎたくても…塞げないんだ」

 

「いいよ…大丈夫…あたしこそごめん、もっと…○○を見てれば良かった…悩んでる事に気付けてあげれば…」

 

 

シオンは喋るのも辛いはずなのに、涙を流しながら俺に謝る。

シオンは悪くない、悪いのは…俺だ、意志が弱い俺だ…

 

 

「お涙頂戴の展開なんてボク要らないんだけど、それにまだ息あったんだ…今度こそ息の根を止めてあげるよ」

 

「…うるさい」

 

「?」

 

「そろそろ黙ってくれ…俺は今、シオンと喋ってるんだ」

 

 

一際低い声で呟いた、そしてロボ子につけられた傷が塞がり始めていた。

 

 

「○○…傷が…ガハッ…」

 

「シオン!」

 

「ボク忘れられてる…?まぁ良いか、どうせもう死ぬし」

 

「あはは…もうダメかもね、あたし」

 

「諦めるな!俺が…俺が何とかしてやるから!」

 

 

シオンは自分の死期を悟ったのだろう…

 

 

「あーあ…○○ともっと一緒に居たかったなぁ…アンタがさ、あたしに言った恥ずかしい告白だって今でも覚えてるんだから…」

 

「…何で今そんな事言うんだよ」

 

「世界が平和になってさ、一緒にデートなんかしちゃってさ…それで…それでね…?」

 

「もういいシオン…もう喋るな、傷に響く…」

 

「だけどそれももう叶わないなんてね…それに、○○に負けて終わるなんてなぁ…」

 

 

シオンから次々と叶えたい事や悔しさが滲み出る言葉を聞く、○○はただただそれを聞いて涙を流す。

 

 

「そうだよシオン、俺に負けて悔しくないのか?強くなって俺を見返してみろよ…!」

 

「無理だよ、もう…時間が無いから…だから…最後に伝えておくね…」

 

 

シオンの息が更に上がる、しかしそれでも笑顔を○○に向ける。

 

 

「あたしは…○○が大好き、ずっと…ずっと大好きだよ」

 

「シオン…!」

 

「闇の魔力に…負けちゃダメだよ…?あんたは…木の魔法使いなんだから…!」

 

「…!」

 

「もっと…顔見せて…?」

 

 

シオンの願いを聞くように俺は、顔を近付ける。

シオンの表情は痛みに耐えながらも笑顔だった…

 

 

「シオ」

 

 

俺の言葉はそれ以上出なかった、シオンからキスをされた。

告白してから付き合うようになったが、1度もキスをした事が無かった。

そのキスを今された、初めてのキスは…血の味がした。

 

 

「…えへへ、あたしのファーストキス…大事にしてよね?」

 

 

シオンはその言葉を最後に、目を閉じた。

身体は、冷たくなっていった…

 

 

「シオン…?おい、目を開けてくれよ…シオン!」

 

「…もう良い?ここまで待ってあげるボク偉いよね?」

 

 

○○の叫びはシオンに届かない…

シオンの身体を抱きながら、○○は涙を流し続けた。

 

 

「シオン…お前の分まで、俺頑張るから…!だから…見ていてくれ」

 

 

○○はロボ子を真っ直ぐ見る、その目は決意に満ちていた。

 

 

「やっとこっち向いてくれたねって…ボクと戦る気なんだね。ボク、好きな人でも容赦しないよ」

 

「…上等だ」

 

 

俺の中に流れている魔力は闇の魔力、木の魔力は消滅してしまっている。

だが…仮に闇の魔力を使い果たしたらどうなるだろうか?

俺は精霊ユグドラシル、木の精霊だ。

闇の魔力が無くなれば…少しずつとはいえ木の魔力が戻るのでは無いだろうか?と、俺は考えた。

一歩間違えれば…そのまま俺はロボ子に殺されるだろう、だけど…少しでも可能性があるなら…俺はそれに賭けたい。

 

 

「一撃で終わらせる…!殺意と破壊に満ちた大いなる闇よ…全てを憎み、全てを拒絶し、怨敵を絶望の彼方へ…!」

 

 

俺は闇の魔法の上級魔法を詠唱する、この魔法で全ての魔力を込める。

ロボ子も何かを詠唱しているようだが、小声過ぎて聞こえない。

 

 

「これで…終わりだ!ディザスター!」

 

「ふふっ♪ディスペル♪」

 

 

俺の手から上級魔法が発動する…はずが、何も出なかった。

ロボ子が唱えた魔法が関係しているのだろうか。

 

 

「…!?魔法が出ない…?」

 

「驚くのも無理は無いね、ボクが唱えたのは魔法を無効化させる魔法ディスペル、ちょっと多く魔力を使うんだけど対象の魔法をボクの実力以下のを無効化出来るんだよね」

 

 

魔法を無効化する魔法なんて初めて聞いた、そしてディザスターを無効化させたという事は…俺の上級魔法でもロボ子には届かない事を意味した。

 

 

「ぐっ…」

 

 

身体がよろけ、片膝をつく、しかしこれで魔力を全て使い果たした。

思惑通り、ほんの少しずつだが木の魔力が回復してきた。

普通の人間だったらまず有り得ない事だが、それが実現出来るのは俺が精霊だからだろうか…?

 

 

「…○○くん、わざと魔力を使い切ったね?せっかくの闇の魔力から木の魔力に変わってる」

 

「…だからどうした、俺は…もうそんな力には頼らない。ここからは…俺の力でお前を倒す」

 

「ははっ♪言ってくれるねぇ…闇を捨てた君なんてもう興味は無いよ、ここで死んじゃえ」

 

 

ロボ子の目つきがシオンを見ている時のような冷酷な目に変わる。

完全に敵と認識したようだ。

 

 

「君は魔法で苦しめるんじゃなくて、この手で直接傷付けてあげるよ。」

 

「お前を倒す…!」

 

 

ロボ子の爪が俺に襲いかかる、スピードが速過ぎる為少しずつ傷が増えていく。

そして傷が出来る度に傷口から魔力が漏れ、思うように魔力の回復が出来ない。

 

 

「ぐっ…うぅ…」

 

「威勢は最初だけかい?ほらほら!」

 

 

ロボ子のスピードは更に上がる、そしてとうとう○○の胸をその爪が貫く。

 

 

「ぁ…」

 

「これで終わりだよ」

 

 

しかし○○は諦めなかった、胸を貫いている腕を掴み、小声で詠唱を始める。

 

 

「大いなる…恵みを司る地母神よ…我が身を糧に…癒しと…赦しを…与えたまえ…!ぐぅぅ…」

 

 

俺は新しい魔法を詠唱する、この魔法は禁忌とされている魔法…膨大な魔力を引き換えに発動する。

故に…俺は自らの命を、魔力に変換している。

 

 

「○○くん…君はどんな魔法を詠唱してるか分かってるの?その魔法は…!」

 

「あぁ…分かってるさ…これを唱えれば…もう俺は助からない、お前を道連れに出来るなら…本望さ」

 

 

俺の身体が徐々に光り輝いていく、ロボ子の顔には焦りが見える。

 

 

「シオン…今、呼び戻してやるからな…」

 

「や、止めろ…それを唱えるな…!その魔法はディスペルも効かないんだぞ!?」

 

「シオン、俺の分まで生きてくれな…ジェネシス…」

 

 

 

 

 

 

 

ここは何処だろう…?

あたしは…確かイフリートとの合体魔法をして…あの女に負けたんだ。

そしてあたしは…○○の腕の中で…

 

 

「思えば○○と付き合うようになったのに、恋人らしい事しなかったなぁ…ずっと魔法の練習に明け暮れてたし。だからこそ○○の気持ちに気付けなかったのかもね」

 

 

少しでも○○との時間を作ってれば、○○は闇の魔力に手を染めなかったかもと思うと、あたしの胸は苦しくなるばかりだった。

 

 

「○○が精霊だったのもまた驚いたけどね…って、あたし精霊とキスしちゃったって事…?」

 

 

(シオン…)

 

 

「誰…?」

 

 

不意にあたしを呼ぶ声が聞こえる

ここはあたししか見当たらないのに

 

 

(シオン…俺だ…○○だ…)

 

 

「○○!?どこ?どこに居るの?」

 

 

声の正体が○○と分かり周りを見渡すも、やはり誰も居ない。

 

 

(すまん、時間が無いから簡潔に言う。俺がロボ子さんを弱体化させるから、お前がトドメを刺してくれ。)

 

 

「弱体化?何言ってるの…?あたしはもう…」

 

 

(大丈夫だ、俺が何とかしてやるって言ったろ…?ただ、ロボ子さんを倒す事は叶わなかったからそれをお前に頼みたい。今ならお前の魔法もちゃんと効くから…頼んだぞ)

 

 

「待ってよ!もっとちゃんと説明してよ!」

 

 

(最後に…お前にある魔法を授ける。魔力の事は心配しなくていい、この魔法で…ロボ子さんを倒してくれ)

 

 

「○○…」

 

 

(………この魔法できっと倒せる、どんな事があっても動揺せず、その魔法をぶつけるんだ、良いな…?俺は近くで見守ってるからな)

 

 

「それどういう意味…?ねぇ!?」

 

 

(愛してるぞ、シオン)

 

 

「○○!○○ーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

「やめろ…やめろ…!こんな近くでそんな命に溢れる魔法を使うな!」

 

「もう…遅い…!この魔法でお前は…酷く弱体化するはずだ…俺の役目は…ここまでだな…」

 

 

「くっそぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

ロボ子は強引に腕を引き抜く、○○は魔法を使った後で力が入らない。

 

 

「ぐっ…うぅ…」

 

「許さない…許さないよ○○…でもまぁ、もうボクが手を下さなくても勝手に消えるか」

 

 

引き抜かれた傷痕からは魔力が溢れ出る

 

 

「あぁ、俺は消えるさ…俺はお前を倒せない、そう…俺は、な…」

 

「?何を言って」

 

「後は頼んだぞ…シオン…」

 

 

○○はそう言い残し、消滅した。

そして消滅した先に見えるのは、傷が塞がり立っているシオンだった。

 

 

「なっ…どうして!?確かにお前はあの時」

 

「確かにあたしは死んだよ、でもね…○○が助けてくれた、文字通り命を懸けて、あたしを救ってくれた」

 

 

シオンの目には涙が溜まっていた、今にも溢れ出るくらいに。

それでも流さないのは、○○が作ってくれたチャンスを無駄にしたくなかったからだ。

 

 

「だったらもう一度殺してあげるよ!」

 

 

ロボ子は爪を伸ばしシオンに襲う、しかし…

 

 

「プロミネンスノヴァ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 

 

シオンは詠唱破棄で上級魔法を放った、本来詠唱破棄した魔法は威力が格段に落ちるのだが、シオンが放った魔法は落ちるどころか数段上がっている。

 

 

「本当に効いてるんだ、○○…ありがとう…」

 

「ちくしょう…ちくしょう…!」

 

「…もう終わらせよう、こんな戦い」

 

「ボクの方が強いんだ…!こんなクソガキに負けるはず無いんだぁぁぁぁぁ!」

 

 

ロボ子は狂ったように叫び、魔力を全解放して襲いかかる。

 

 

「哀れだよ…アンタ。万物を統べし万能の神の力よ…創り、壊し、幾度と繰り返す輪廻より解き放て…!」

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「さよなら…ビッグバン!」

 

 

シオンが魔法を放った瞬間、辺り一面が消し飛んだ。

建物も、木々も、全て…上空にある雲もまた…消滅した。

これによりアシッドレイン計画は消える、世界は…一時の平穏を送ることになる。

 

 

「あ…あぁ…ボクは…つよ…い…」

 

 

辛うじて肉体を保っていたロボ子も、最後まで言葉を紡げずに消滅した。

 

 

「これで…終わったのかな…○○…」

 

 

シオンは静かに、涙を流していた。

その涙が意味するのは、何なのか…誰にも分からない…

 

 

 

 

 

 

 

「紫咲シオン、そなたは魔族を討ち倒し、街を守った事をここに評する。よくやった」

 

 

価値の無い紙切れを渡されると、周りから拍手や賞賛の声が聞こえてきた。

そんな事されてもあたしの心は晴れないというのに。

あの日の事はきっと忘れられない、目の前で○○が消滅した。

ロボ子を倒してから、あちこち探し回った。

しかしどこにも○○は居なかった、本当にこの世から消えてしまったのだ。

その事実だけで、シオンの心が砕けるには十分だった。

他の魔法使いから声をかけられるも、言葉は耳に入らない。

まるで抜け殻になってしまったかのようだった。

 

 

 

 

 

「…!」

 

「ノーム…ごめん、○○…助けられなかった。目の前で…消えちゃったよ…!」

 

 

ノームを抱き締めながら、自分を責めるように泣いていた。

連れ戻すと言ったのに、連れ戻せなかった…

 

 

 

部屋に戻ると、何時もみたいに○○が迎えてくれる気がしてた。

でも現実は…そうはいかない、○○は消えたのだから。

○○は…死んだのだから。

 

 

 

「○○…○○…!」

 

 

シオンは○○のベッドで、○○の布団にしがみつきながら寝落ちた。

 

 

 

(シオン…)

 

 

あの時と同じ声が聞こえる

 

 

(シオン…よくやってくれた、ロボ子さんは魔族の中でも高位の存在だったらしい、暫くはまた平和が続くだろう)

 

 

「○○…でもアンタは…」

 

 

(大丈夫だ、俺はシオンの傍に居る。ずっと一緒に居るから)

 

 

「○○…」

 

 

(さぁ、そろそろお別れだ。またな、シオン)

 

 

「うん…またね…」

 

 

 

 

目を覚ますとノームが心配そうに覗き込んでいた、かなりの時間寝ていたのか、辺りは暗くなっていた。

 

 

「…ノーム、ちょっとついてきて」

 

 

あたしはノームを連れて、あの場所へ向かった。

あたしとロボ子が激突し、○○が消えたあの場所へ…

 

 

 

 

 

「…ここだよノーム、ここで…あたし達は戦ったんだ」

 

「…!」

 

「ここでね?○○は…消えちゃったんだ…あたしの目の前で…消えちゃったんだよ…」

 

 

ノームに説明をしていく度に、涙が止まらなくなる。

あの戦いから数日経った今でも、記憶が鮮明に残っている。

 

 

「○○…会いたいよ…!」

 

「…!…!」

 

 

横でノームが飛び跳ねている、何をそんなにはしゃいでいるのか。

 

 

「ノーム…どうした…の…」

 

 

あたしは言葉を失った、そこに居たのは…○○だった。

あの時消滅した、○○が目の前に居た。

 

 

「な…んで…?」

 

「おいおい…俺が居ちゃダメなのか?シオン、せっかく戻ってこれたのに」

 

「…!」

 

 

ノームは○○に飛びついた、○○はしっかりとノームを受け止め、そこに実在する事を証明した。

 

 

「ノーム、悪かったな…寂しかったろ?」

 

「…!…!」

 

 

ノームは震えながら○○を抱き締めていた

 

 

「よしよし、ノームは素直だなぁ…」

 

 

○○はノームを宥めながらシオンを見る。

 

 

「…別に寂しくなんかなかったもん」

 

「○○…会いたいよ…!って言ってたのにか?」

 

 

○○は黒い笑いをしながらシオンに詰め寄る。

 

 

「〜!ファイアボール!」

 

「どわっ!?ノームに当たったらどうするんだよ!?」

 

「うるさい!エクスプロード!」

 

「おま…止めろって!?命ある大地よ、湧き上がる力で脅威からの守りを!エナジーウォール!」

 

 

シオンの連続詠唱破棄をくぐり抜け、中級魔法を中級防御魔法で防いだ。

 

 

「お前なぁ「バカ!どれだけ心配させれば気が済むの!」!?」

 

 

魔法を防ぐと、シオンは俺の胸に顔を埋めた。

その力は弱々しく、身体は震えていた。

 

 

「…ごめんな、肉体を再構築するのに時間かかっちまってな。本当は直ぐにでもお前の前に出たかったけど」

 

「うっ…うぅ…」

 

「もう離れないから、ずっと一緒に居る。言ったろ?傍に居るって」

 

 

シオンを抱き締め、後ろ髪を撫でる。

シオンはずっと、ずっと…泣いていた。

 

 

 

 

 

「…」

 

「落ち着いたか?」

 

 

俺の問いにシオンは頷いた、涙も止まっている。

ノームは俺の隣で正座している。

 

 

「まず、俺が復活出来た理由だが…俺は精霊ユグドラシルの生まれ変わりらしい、そのおかげなのか死んでもこうやって時間をかけて復活出来るようになったんだ。まぁ…俺は実感無いんだけどな」

 

「…」

 

「そして俺があの時教えた魔法…アレは…木の魔力と、俺の命を込めた唯一無二の魔法、爆裂魔法だ。あの時詠唱口上を伝えた時に、俺の魔力を一部分け与えた結果アレが使えたって訳だ」

 

 

俺が説明している最中、シオンはずっと下を向いていた。

無理も無いか、俺は人間じゃないし、目の前で1回死んでるし。

 

 

 

 

 

その後、シオンと俺はお互いの情報交換のような事をした。

俺が闇の魔力に染まった後の事、俺が消滅した後の事、色々と。

ホロワーツでの俺の扱いは戦死扱いになっているらしい。

その方が俺的にも都合は良い、このまま消えていた方が俺は行動しやすい。

 

 

「…さて、情報も集まったしそろそろ行くかな」

 

「行くって…どこに?」

 

「ん?俺は木の精霊だからなぁ…即ち大地に関連してる訳だ。まずは色んなとこに行って魔物や魔族が今どんな事になってるか知らなくちゃいけない」

 

「ならあたしも」

 

「お前はダメだ」

 

 

シオンは俺に同行しようとしたが、俺はそれを拒絶する。

 

 

「…何で?」

 

「俺の調査はどのくらいの時間がかかるか分からない、1年で済むかもだし、数十年かかるかもしれない。その間だって魔物や魔族は襲ってくる、そんな状況でお前を連れては行けない。お荷物だからって訳じゃない、お前を…愛してるからだ。愛してるからこそ…一緒に来て欲しく無いんだよ」

 

 

「だったら…あたしを試してよ、○○の旅に邪魔になるのかどうか」

 

「シオン…」

 

 

シオンの目は絶対退かないと言わんばかりだった。

俺は…そんなシオンの気持ちを汲むしか無かった。

 

 

「分かったよ…幸いここなら被害も出ないだろう…ノーム、ちょっと離れててくれ。危ないからな…」

 

「…!」

 

 

ノームを避難させ、2人は距離をとる。

シオンは本気で一緒に来る気だ、そんな事だけは…避けなくてはならない。

 

 

「それじゃいくぞ…?これを超えなきゃ…お前は絶対連れて行けない。大自然よ…その怒りの息吹をもって悪しき者を無に還せ…!」

 

「上等だよ!燃え盛れ…灼熱の炎…!今ここにその強さを顕現せよ!イフリート!」

 

「…!」

 

 

シオンはイフリートを召喚した、本気で…一緒に…

 

 

「爆炎よ、その身を焦がす炎と共に悪しき者を討ち滅ぼせ…!イフリート!エンチャント!」

 

「上級魔法をエンチャント…!?お前…!?」

 

「ここまでしないと…アンタを倒せないからね!」

 

 

シオンの本気、しかと見た…!

だが勝つのは…

 

 

 

「俺自身の魔法…負けられないよなぁ!ユグドラシル!」

「アンタに勝って…一緒に行くんだ!クリムゾン・ノヴァ!」

 

 

ユグドラシルと、イフリートと上級魔法の合体魔法、クリムゾン・ノヴァがぶつかる。

名前の通りまるで太陽のような熱量を持っていた。

ユグドラシルの大樹が、どんどん焼かれていく。

 

 

「…っ!やっぱり属性相性最悪じゃねぇか…!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

シオンは全力でぶつかってくれている、なら俺もそれに応えなくてはならない。

 

 

「俺も全力でいかないとな…!ユグドラシル!モードイージス!」

 

 

ユグドラシルの形態が変わり、○○の身に纏う。

モードイージスは、その名の通り防御形態。

身に纏う事で絶大な防御力を誇る。

 

 

「このモードイージスを突破出来れば、シオン…お前を連れて行ってやるよ!」

 

「言ったな?だったら…イフリート!あたしの魔力全部持っていけ!この一撃に全てを込める!」

 

「…!!」

 

 

シオンの呼びかけにイフリートは応え、合体魔法は更に威力を強める。

そのパワーにユグドラシル・モードイージスにヒビが入る。

 

 

「…!?モードイージスが…」

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

 

俺は負けた、絶対の防御を誇るモードイージスを破られた。

シオンは立っているだけでやっとのようだ、本当に全ての魔力を込めたらしい。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「シオン…お前…無茶するなぁ…」

 

「はぁ…これで…一緒…に…」

 

 

シオンはそこで倒れ込む、俺はフラフラな中シオンを抱き寄せる。

シオンは気を失ったようだ。

 

 

「バカ野郎…ここまで無茶するかよ普通…なぁ?ノーム…」

 

「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…」

 

「気が付いたか?」

 

「○○…あたし…」

 

「勝負はお前の勝ちだよ、シオン…約束通り連れて行くよ」

 

 

俺も手を抜いていた訳では無いが、まさか負けるとは微塵も思わなかった為軽くショックを受けている。

 

 

「えへへ…じゃあ今すぐ準備して」

 

「いいや、先にまずは休め。俺がホロワーツまで送ってやるから」

 

 

シオンは無理に起きようとするも、俺がそれを止める。

無理を重ねさせるのも悪いと思ったからだ。

 

 

「ありがと…」

 

「いいよ別に、1つ聞かせてくれよ。俺のユグドラシル・モードイージスは絶大な防御を誇ってる、それを何で突破出来たんだ…?」

 

 

俺は純粋な疑問をぶつけてみた、しかし返ってきた答えはシンプルだった。

 

 

「そんな事も分からないの…?アンタを想う気持ちがあったから、だよ。人はね、想いがあればどんなに強い敵にだって立ち向かえるんだよ。そして、試練を乗り越える事だって…ね?」

 

 

 

 

 

 

 

翌日早朝

「準備は出来たか?シオン」

 

「うん、もう平気」

 

 

俺達は人目につかないようにする為、早朝に出発する事にした。

俺は所謂幽霊的な扱いになる為、ここの人間に見られるのは非常に不味い。

 

 

「書き置きとかしたのか?」

 

「あたしが他の人間と絡んでた事ある?」

 

「…無いな」

 

「じゃあ、とっとと行くよ、○○」

 

 

シオンは先に歩く、行き先を知ってるのは俺なのに。

 

 

「おい待てよシオン、あんまり離れるなよ」

 

 

 

 

 

ドラゴンと戦ったり、闇の魔力に取り憑かれたり、魔族と戦ったりと、現実味が無い事ばかり起きてるが…全て現実だ。

シオンは俺との勝負に勝ち、同行する。

実力はあるんだ、だから心配はしてないが…

シオンはここ最近で大人になってきてる気がする、それでも…まだ俺がお守りする事が多いだろうな。

ずっと、ずっと…俺はもう二度とシオンの傍を離れない、この身が滅びようとも…

 

 

 

 

 

「あー…○○、眠いからおんぶ」

 

「…」

 

 

 

 

やっぱりすやシオンだよなぁ…




読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか…?
今回初めて主人公を悪役に最初起用してみました。
もちろん賛否両論あると思うのでアレなのですが…
もしかしたらまた、別のお話で主人公が悪役のパターンを書くかも…しれません。
あくまでかもなので、断言出来ませんが…
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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種族が違えど

お久しぶりでございます、最後に投稿してからどれくらい経ちましたでしょうか…
今回の話は、ロボ子さん…そして、誕生日でございます!
ロボ子さんお誕生日おめでとうございます!
という訳で、小説書きました。
今回の文字数は12000文字オーバーです、そして前回の話と違い分けてはおりません。
1話で投稿させていただきました。
ではでは、もし宜しければ一緒にロボ子さんをお祝いしていただければ幸いです、ごゆるりと…m(_ _)m


一家に一体ロボットがあるこの時代、俺は一人暮らしを始める。

ロボットと言っても色々なロボットがいる、基本はお手伝いロボットが多いが、中にはゲーム専門や勉強専門のロボットも居るらしい。

だがそういう機能もお手伝いロボットには搭載されている、専門ロボットの方が機能は多いが…

 

 

一人暮らしを始めるに伴い政府からお達しがあり、ロボットを購入しろという内容だった。

だが俺はあまりお金が無い、家賃とかを考えると高いロボットは買えない。

必ず購入しないといけないのがまた面倒くさい、法律にまでされているのだから厄介だ。

一応、安めのロボットもあるにはある。

俺みたいに貧乏な人間にもロボットを持てるように…

 

 

 

 

ロボットショップに着く、ここには高いロボットだと億を越える値段のもあるらしい。

それが買えるのはかなりの富豪ぐらいだろうか?

一般人は高くても500万とかが妥当だろう、俺はそれすらも出せないが…

安いロボットでも70万程する、このご時世の1人に対する給料は110万、節約すれば全然いけるだろう…と思うが、物価も高い。

昔は800円ぐらいあればそれなりの食事が出来、腹も満たされていたが今は最低でも3000円無いと満たされないレベルだ。

この物価上昇の原因は…やはり環境変化だろう。

ミカドウィルスと呼ばれる病原菌が出現した事により、牛や豚、作物類へ甚大な被害が出てるのが原因となっている。

ミカドウィルスに感染すると、動物は暴れまわり共食いを始める。

作物に関しては味の品質が極端に落ち、酷いものは3日経たない内に腐ってしまう。

電化製品にもミカドウィルスは害をもたらす…一度感染すれば最後、電化製品から個人情報がばら撒かれる。

一応それぞれ作物や電化製品には、ワクチンを入れてあるのがあるが、ワクチン入りの作物や電化製品は割高になっている。

ワクチンが入ってない物は安いが。

 

 

 

「いらっしゃい、どんなロボットをお探しで?」

 

 

店に入ると店主が聞いてくる、俺は安めのロボットを探してる事を伝えると店主は苦い顔をした。

 

 

「申し訳無いが、今ここにあるロボットで安いのは無いんだ。あるとしたら…こいつぐらいか、しかしこいつはポンコツだぞ?役立たずも良いとこだ。こいつで良いなら10万で売るが…こっちも処分に困ってるからな、買ってくれるならこれぐらい安くするさ」

 

 

役立たずだろうとロボットを10万で買えると聞いた俺は即決でそのロボットを購入した。

購入したロボットは人型で、分類的にはお手伝いロボットらしい。

そして、女の子のロボット…俺の好みではあるがロボットなのでそういう気持ちは湧かない。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…そんな重くは無いけどアパートまで運ぶのはやはり骨が折れるな…」

 

 

てっきりアパートまで運んでくれるのかと思ったが、店主は

 

 

「そこまで面倒は見れんよ、安く売るだけで勘弁してくれ」

 

 

だそうだ…

その為、俺が1人でロボットを背負って帰ってきたという訳だ。

 

 

「さて、起動させるか…えっと…?まず人型のロボットは首の後ろにボタンがあります、それを押しながら真正面から抱きしめれば起動します…?何で抱きしめなきゃいけないんだ…?」

 

 

別に後ろのボタンだけ押せば起動するようなシステムにしておけば良かったのでは無いかとかこの時の俺は思ってしまった。

 

 

「はぁ、じゃあ仕方ないからこれの通りにするか…ボタンを押しながら…抱き締めると…」

 

 

手順を踏んで起動させてみる、すると何故かロボットは抱き締め返してきた。

これがロボットの反応なのか少し困ってしまったのは内緒だ。

 

 

「え、えぇと…」

 

「初めまして!ボクの名前はロボ子!元々ロボ子さんって名前だったんだけど、皆さん付けしなくなったんだ…あぁでも、さん付けしてくれると嬉しいなぁ…?」

 

 

ロボットは起動するとペラペラと喋っていた、とりあえず名前がロボ子って事だけは把握出来た。

 

 

「それで、君の事は何て呼べば良いのかな?」

 

「普通に○○で良いよ」

 

 

一瞬顔が少し幼く見えたせいでお兄ちゃんやにぃに呼びを思いついたが、何となく危ない気配を感じたので控えた。

しかし、メガネをかけてて?ネコ耳生えてて?ボク呼びで?属性多過ぎないか…?

 

 

「それじゃ○○くん!ボクの最初のお仕事は?」

 

 

ロボ子はやる気満々で俺に仕事を聞いてきた、まずはロボ子の仕事の出来栄えが知りたい俺は

 

 

「んじゃ飯がまだだったから、飯作ってくれ」

 

 

生活に大事な料理を頼んでみた、この結果によって俺の今後の生活が変わると言っても過言では無い。

 

 

「分かった!ちょっと待ってて?何かリクエストある?」

 

「んー、んじゃ卵焼きで」

 

 

無難に卵焼きをチョイスした、形が悪かろうとも大抵は上手く作れる。そう、大抵は…

 

 

 

 

10分後

「お待たせー!卵焼き出来たよ!」

 

「お、出来たか、どれどれ…!?」

 

 

ロボ子が持ってきたのは、黒焦げになった何かだった。

何をどうしたらこんな可哀想な物になってしまうのか…

 

 

「なぁロボ子」

 

「んー?」

 

「これ、何?」

 

「卵焼きだよ?」

 

「焦げてるどころか、判別出来ないんだけど…」

 

 

俺は堪らず指摘した、どこからどう見ても卵焼きには見えず、言い方悪いがダークマターに近いのでは無いか…?と思うぐらいの物だった。

 

 

「料理は見た目じゃなくて味だよ?○○くん!ほら、食べて食べて?」

 

 

ロボ子は純粋なのだろうか、卵焼き(らしい)を食べるよう勧めてくる、しかし俺はその見た目をどうしても意識してしまい、食べる事が出来ない。

するとロボ子はある行動をとった。

 

 

「分かった!○○くん1人で食べれないんだね、じゃあボクが食べさせてあげる♪」

 

 

突拍子も無い事を言い、卵焼き(ダークマター)を箸で掴み俺の口に運んできた。

あーん状態だ…

 

 

「待てロボ子、違うそうじゃない…」

 

 

俺の抵抗は虚しく、ダークマター(卵焼き)は俺の口へと押し込まれた。

結果から言おう、クッソ苦い…というか何故か辛味がある。

卵焼きに辛味はあっただろうか…?否、無い…

このロボット、どこかおかしい…

店主が超格安で売るのも何となく分かるかもしれない…

 

 

 

食事で酷い目に遭った俺は、ロボ子に部屋の片付けを頼み、1人牛丼屋に行った。

リーズナブルな価格で定評のある牛丼屋でさえ、やはり2000円程してしまう。

昔は500円や700円で食べれたというのに…

 

 

 

アパートに戻り、ドアを開ける。

すると部屋の中には何も無かった、そう…何も無かった…

 

 

「あ、おかえり○○くん!お片付けしておいたよ♪」

 

 

ロボ子は笑顔で言うが、俺の顔は引きつっていた。

当たり前だろう、部屋の片付けを頼んだはずなのに、本当の片付けになってしまったのだから。

普通ならゴミ掃除とかが関の山…家具家電まで片付ける事があるだろうか?

 

 

「ロボ子…冷蔵庫とかどうしたんだ?」

 

「え?業者さんに頼んで持って行ってもらったよ?」

 

「…」

 

 

絶句した、もうこいつに頼むのは止めた方が良いのかもしれない。

あまりにもポンコツ過ぎて辛い、これじゃ居ない方がマシだ…

 

 

「次は何する?○○くん」

 

「…いい」

 

「んー?」

 

「もういいって言ったんだよ!」

 

「っ!」

 

 

俺はつい声を荒げてしまった、ロボ子は自分に課せられた命令を実行しただけなのに。

それでも、今の俺は…

 

 

 

「出て行け」

 

「え…?」

 

「この部屋から…出て行け!」

 

 

頭に血が上っていた、俺は…ロボ子を追い出した。

 

 

ドンッドンッ「○○くん!開けてよ!ボク謝るから!ねぇ!」

 

 

暫くドアを叩く音と共にロボ子の叫びも聞こえていたが、程なくして音が止んだ、気配も消えている。

本当に大失敗だった、いくら安くてもあそこまでポンコツだと流石に扱えない。

俺は翌日改めてロボットを買いに行くことにした。

 

 

 

翌日

「いらっしゃ…って、あんたかい…どうした?」

 

 

俺は昨日買いに行ったロボットショップに来た、もう多少高くてもちゃんとしたロボットを買う為だ。

 

 

「あのロボットはダメだったわ、だから新しいの欲しいんだが」

 

「おいおい…1日で手放すか?まぁ良いが、ちゃんと停止させたんだろうな?」

 

「いや、してないけど…」

 

 

店主が言うには、ロボ子のタイプは主が居なくなると暴走するらしい、それが欠陥の1つでもあるとか…

止める方法は起動する時より恥ずかしく、首の後ろのボタンを押しながらキスするのだそうだ。

これ異性型のロボットじゃなく、同性型だった場合地獄なのではなかろうか…?異性型でもキツいものはあるが…

尚、止めないまま放っておくとミカドウィルスより厄介な事になるらしい…

 

 

 

 

「ったく…あの店主とんでもな奴を売りつけやがって…」

 

 

俺はロボ子を探し走り回っていた、ミカドウィルスより厄介となると…政府に捕まった時俺の立場が危うくなる。

中には暴走したロボットを取り締まる組織があるらしく、暴走させた主は罰されるらしい。

そんな人生は真っ平御免だ、だから早く見つけなければいけない。

 

 

「そういえば俺ロボ子が居るような場所知らないわ…どうするかな…」

 

 

昨日買ったばかりだったし、ロボ子とまともに喋った事は無かった。

その為どういう行動をとるのかさっぱり分からなかった。

 

 

 

「ダメだ、見つからない…一旦帰るか…」

 

 

俺は諦めて一度アパートに戻る事にした、このまま探し続けても手がかりが無い為だ。

 

 

 

 

辺りが暗くなり、アパートに戻ると人影が見えた。

 

 

「あ…」

 

「ロボ子…」

 

 

ロボ子がドアの前で座り込んでいた、身体中泥に塗れていて汚れていた。

 

 

「○○くん…」

 

「どこ行ってたんだよ、心配したぞ」

 

「だって…ボク…」

 

「良いから、入れよ」

 

 

落ち込むロボ子を部屋に入れる、ロボ子はずっと下を向いていた。

 

 

「○○くん、あのね…?」

 

「ほら」

 

 

ロボ子が何か言おうとしたが、俺はそれを遮るようにお風呂セットを渡した。

 

 

「あの…これ…」

 

「入ってこいよ、まずはそれから」

 

「う、うん」

 

 

まずは汚れた状態のを何とかしなければいけない、だから風呂に入るよう勧めた。

ロボットが風呂?と思うのも無理は無い、だが説明書に書いてある。

 

このロボットは風呂に入れます、身に付けているパーツも洗えます。

乾燥機は使わないでください、水洗い、天日干しでのみ可能です。

人間の洋服を着せる事も可能です、そこはご本人でご購入ください。

 

だそうだ、水洗いと天日干しのみって…繊細なんだな…

 

 

「…ただいま」

 

 

30分後、ロボ子が風呂から上がってきた。

とりあえず俺のお古のジャージを着てもらっている、だが俺のが大きいせいか、ダボダボになっている。

不覚にもドキッとしてしまった、相手はロボットなのに…

 

 

「ん、とりあえずはそれで我慢してくれ。後で何か買ってくるから」

 

「ありがとう、○○くん。でも何でボクを見ないで話してるの?」

 

 

そう、俺はロボ子をまともに見れないでいた。

直視したらマズい気がした。

 

 

「ねぇ、どうして?」

 

 

ロボ子は這うように俺の元へ歩み寄る、俺はそれを後退りするが、直ぐに壁にぶつかった。

 

 

「ちょ、ロボ子それ以上は…」

 

「何で?」

 

「な、何でもだよ!」

 

 

俺はヤケ気味に叫んだ、ロボ子はキョトンとしたままだった。

 

 

その後、ロボ子は俺に謝ってきた。

料理の件、そして掃除の件…

ロボ子も自分がポンコツな事は薄々気付いていたらしい、それでも俺からの命令が嬉しくて頑張ったそうだ。

俺も冷静になって話し合いが出来た、ロボ子は自分を停止させるように求めてきたが、ロボットとはいえ女の子に簡単にキスするのは抵抗があった為、却下した。

1人でやって失敗するなら…2人でやれば良い。

料理も、掃除も、その他も…1人じゃなく、2人で。

ロボ子はそれでも1人でこなしていきたかったらしいが、黒焦げダークマターや家具全掃除の件がある為、渋々了承した。

 

 

翌日から、俺とロボ子で1つの作業をこなす生活が始まった。

俺が手本を先に見せて料理をし、それをロボ子にやってもらう。

そうする事で、少しずつロボ子に知識を与える事にした。

今回作ってるのはこの前ダークマターにしてしまった卵焼き、材料や調味料の分量も全部俺が指示しながら作っている。

機材もリサイクルショップで安く売ってる物を買ってきた、ロボ子は全部片付けてしまったから…

 

 

「よし、そろそろひっくり返してみな」

 

「う、うん」

 

 

ロボ子がそれをひっくり返すと、多少の焦げはあるものの綺麗な色付きの卵焼きが出来上がっていた。

 

 

「○○くん…出来た、出来たよ!卵焼き!」

 

 

ロボ子は自分の手で料理を完成させた事に喜びを感じているのか、はしゃいでいた。

 

 

「あぁ、出来たな、偉いぞロボ子」

 

 

料理を成功させたロボ子を俺は撫でた、撫でてる時のロボ子の顔はふにゃふにゃしてて可愛かった。

なんと言うか、本当にロボットなのか疑問に思えるくらいだった。

 

 

「えへへ、さぁ食べて食べて!」

 

「あぁ、いただきます」

 

 

味付けはシンプルに塩のみ、醤油をかけても良かったが、しょっぱくなりそうだったから今回はパスだ。

 

 

「んむ……うん、美味しい。ちゃんと出来てるぞロボ子」

 

「良かったぁ…美味しく出来て…」

 

 

ロボ子は食事を必要としない、ロボットだから。

俺が食事をしてる間、ずっとこちらを見ている。

あまり見られていると食べにくいが、まぁそこは後で言えば良いだろう。

 

 

テレビも無い為、携帯のワンセグでニュースを見ている。

流石にリサイクルショップにテレビは売っていなかった、アレは昔と違って更に価値が上がっている。昔の価値で15万程度の物が今じゃ800万はくだらない。

本当に物価がおかしくなってしまった…

 

 

「あ、ねぇねぇ○○くん、これ何?」

 

 

ロボ子が指さしたのは、所謂テーマパークだ。

だが俺は人混みが苦手だ、だから俺は

 

 

「ん?あぁ、それは危ないとこだ」

 

 

あえて嘘を言った、興味を持たれて行きたいとか言われたら大変だから。

だがロボ子は興味津々だったみたいだ、俺の言葉を信じずに行きたいと駄々をコネ始めた。

相手はロボット、人間では無い。

だから電源を切れば済む話だが、前も話した通り俺はその手段を行使する事が出来ない。

その結果…

 

 

「行きたい行きたい行きたい行きたい!テーマパークにいーきーたーいー!テーマパークに行けないならもうボク何もしないもん!」

 

「………」

 

「絶対やらないからね!」

 

「分かったよ…行けばいいんだろ、行けば」

 

 

結局俺は根負けし、テーマパークに行く事になった。

しかしロボットは普通主に従うものらしいんだが…ロボ子はむしろ反発してるような気がする。

自我がはっきりしてるというか…なんというか…

ロボ子はちょっと他のロボットとはかなり異なるようだ。

 

 

 

 

 

 

「うわ〜!○○くん見てよ!ミ○キー可愛いよ!写真撮ってもらおうよ!」

 

「…」

 

 

はい、という訳で俺とロボ子は何故かテーマパークに来ちゃいました。

ワンセグで見たのが3日前、その間ロボ子はずっと楽しみにしていた。

浮かれて手を止める時もあれば、楽しみ過ぎて俺に何故か抱き着いてくる時もあった。

ロボ子はロボットの癖に柔らかいんだよな…どこがとは言わないが。

抱き着かれる度にドキドキしてしまう…

 

 

「○○くん!メリーゴーランド乗ろうよ!」

 

「…あいよ」

 

 

さっきも言ったが俺は人混みが嫌いだ、だがロボ子にちゃんと働いて貰わないとこちらも困るから、仕方なく来た。

別にテーマパークが嫌いって訳では無い、むしろ好きだ。

まぁ、適当に付き合えばロボ子も満足するだろう。

 

 

〜♪〜♪〜♪

 

 

「わぁ…ぐるぐる回って楽しいよ!○○くん!」

 

「あーそうだな、楽しいな」

 

「次はジェットコースター乗ろうよ!」

 

「あいよ」

 

 

 

ジェットコースター

 

 

「うぉぉぉぉぉぉ!はやーーーーい!」

 

「ぐぉぉぉ…」

 

 

ロボ子はジェットコースターを楽しんでる反面、俺は苦い顔をしながら乗っている。

メリーゴーランドや、コーヒーカップ、お化け屋敷も平気なのだが…絶叫マシンだけは苦手だ。

だがロボ子は楽しんでる、あまり苦い顔も出来ない…

 

 

「次はお化け屋敷行こ!」

 

 

ロボ子はとうとう俺の返事も聞かずに腕を引っ張ってお化け屋敷に向かった。

ロボットに怖いもの耐性はあるのだろうか…?いや、普通ならまず感情すら無いだろうから平気なのだが…ロボ子は喜怒哀楽はっきりしてるから…

 

 

「ウァァァァァァァァァァ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

「おー、良く出来てるなぁ…」

 

 

ロボ子が叫び俺に抱き着いてる中、俺はゾンビのクオリティに感心していた。

 

 

「○○くん、怖い…怖いよ!早く出ようよ!」

 

「いやこんなの怖くないだろ?むしろ出来が良くて凄くないか?」

 

「凄くないよ!早く!早くぅ!」

 

 

ロボ子は俺の言葉になど耳を貸さず、今にも泣きそうな顔で頼んできた。

泣き顔が可愛いとか思ったのは内緒だぞ?

 

 

お化け屋敷を抜けると、ロボ子はその場で座り込んでしまった。

そんなに怖かったのだろうか?俺は平気だったが。

 

 

「うぅ…」

 

「怖いというか面白かったんだけどなぁ」

 

「むー!ボクは怖かったの!」

 

 

今度は怒り顔で俺に詰め寄ってきた、こうもはっきり感情を出せるって本当に凄いよな。

 

 

「そういえば○○くん、お腹空いてない?大丈夫?」

 

「ん?あーそうだな、何か食べるか」

 

 

朝早くロボ子に叩き起され、すぐにテーマパークに向かったので昼食の準備はしてなかった。

ロボ子は食事をしないし、一応充電の為特殊な電池を口に含む。

5分も口に含んでいればある程度は充電出来るらしい。

人間で言うおやつに分類されるのだろうか?

 

 

「ケーキ屋さんがあるね、あそこで食べる?」

 

「いや俺ちゃんとした昼飯を…」

 

「…ダメ?」

 

 

ロボ子が上目遣いで俺に頼んでくる、素直に可愛い。

何故か断れなくなってしまう…

 

 

「…分かったよ、ケーキ屋に行くか」

 

 

結局俺はロボ子の頼みを聞き、ケーキ屋に向かった。

中は混雑しており、空いてるのは窓際の隅だけだった。

 

 

「混んでるねぇ」

 

「そうだな、別に違うとこでも」

 

「ダーメ、ここにするの!」

 

 

結局押し切られ、ケーキ屋で昼食をとる事になった。

ケーキ屋は本来おやつだと思うのだが…

 

 

とりあえず頼んだのがデラックスパフェ、直径30cmのパフェにミニケーキが付いてる。

想像するだけで胸焼けするだと?こっちは腹が減ってまともな食事摂れないんだ、仕方ないだろ…

 

 

「さて、食べるか」

 

 

俺はパフェを、ロボ子は特殊な電池を口に入れる。

うん、甘い…甘ったるい…が、もう腹の中に入ればこの際何でも良いと思えている。

ロボ子は電池を口の中でコロコロしながら充電していた、感覚的には飴みたいな物なのだろうか…?

 

 

「じー」

 

「ん?どうした?」

 

「それ美味しい?」

 

 

ロボ子はパフェに興味を持ったようだ、俺は食べてみるか勧めるが、ロボ子はロボットで食事を摂らない為断った。

が、ロボ子は俺に

 

 

「ねぇ○○くん、あーんしてあげようか?」

 

 

と、また俺を困らせるような事を言ってきた。

 

 

「ロボ子…この前はアパートの中だったからまだ良い、だけど今は外だぞ?周りの人間が見てるんだし」

 

「はい!あーん♪」

 

 

俺が全部言い切る前にロボ子は俺からスプーンを奪い、パフェを掬って俺の口元へ差し出してきた。

 

 

「なぁロボ子」

 

「あーん♪」

 

「だからロボ子」

 

「あーん♪」

 

「ロボ」

 

「あーん♪」

 

 

…有無を言わさずのあーん連呼、逃げる事は出来なそうだ。

俺は諦めてロボ子からのあーんを受け入れた。

 

 

「んぐ…んぐ…」

 

「どう?美味しい?」

 

「あ、あぁ…」

 

「えへへ…良かったぁ」

 

 

ロボ子は満面の笑みでまたパフェを掬い俺の口元へ差し出してきた。

俺はもう諦めてロボ子からのあーんを受け入れる、甘ったるいのが更に甘ったるくなった気がする。

 

 

「ねぇねぇまつりちゃん、あの2人カップルなのかな?」

「カップルじゃないの?男女が一緒でここに来るのなんてデートだし、あーんしてるし、フブキングーまつり達も食べさせあいっこしよ♪」

 

 

は…?俺とロボ子が…カップル…?デート…?

いやいや、ロボ子はロボットだぞ…?そんな…

 

 

「あらメル様?お口にクリームが付いてますわ?」

「あ、ちょこ先生ありがと!あのカップル見てたら間違って付けちゃったみたい」

「あら…熱々ですわね」

「メルもデートしたいなぁ…」

「あらメル様?私とのこれはデートでなくって?」

 

 

おいおい、俺とロボ子は別にそんな…

 

 

「○○くん、どうしたの?大丈夫?」

 

「だ、大丈夫だ…」

 

 

俺はロボ子にそう答えるが、内心冷や汗が出ていた。

急に動悸が早くなるのが分かる、俺はおかしくなっていた。

 

 

「ちょっとごめんね?」

 

 

ロボ子は立ち上がると、自分のおでこを俺のおでこに付けてきた。

 

 

「んー、熱は無さそうだけど…」

 

「バッ…何してんだよ!」

 

 

ロボ子の行動で、俺の顔は熱くなる。

ロボ子はきょとんとした顔でこちらをずっと見つめていた。

 

 

「…もう出るぞ」

 

「え?でも」

 

「良いから!行くぞ!」

 

 

俺はロボ子の腕を掴んで店を後にした、俺は…自分が分からなくなっていった。

 

 

 

 

その後、どのアトラクションに行ったのか、俺は何も覚えてなかった。

頭の中に残ってるのは、俺とロボ子がカップルに見えていた…という事だけだった。

 

 

 

 

時間は既に夕方17時、そろそろ閉まる時間帯。

ケーキ屋から後のアトラクションは何も覚えてなかったが、ロボ子は楽しそうにしていたようだ。

 

 

「ねぇ○○くん、最後にあれ乗りたい」

 

 

ロボ子が指さしたのは、観覧車だった。

締めのアトラクションには好都合と俺も思った。

 

 

「んじゃあれ乗って帰るか」

 

「うん」

 

 

観覧車の列はさほど混んでなく、そんな時間を待たずに乗る事が出来た。

観覧車に乗るとロボ子は景色をずっと眺めていた。

 

 

「ねぇ○○くん」

 

 

ロボ子は景色を眺めながら俺に聞いてきた。

 

 

「ボク達さ…カップル…に見えたのかな、ほら…ボクロボットじゃん?普通の女の子みたいに見えたのかなぁって」

 

 

ロボ子はゆっくりと俺の方へ向いて話していく、向かい合って座っていたが、少しずつ…俺の方へ近付いてきた。

 

 

「ボク…○○くんの彼女に見えたのかな…?」

 

 

それを言い終わる頃には、俺の隣に座っていた。

正直なところ、ロボ子は確かに可愛いけどそういう目では見てなかった。

理由は単純、ロボ子がロボットだから。

俺は人間だし、人間の女の子を好きになるのが普通だろう。

それなのに、ケーキ屋の1件から俺の心は掻き乱されてく一方だった。

記憶が無いはずなのに、ドキドキしていたという結果だけが俺の中に残っていた。

ロボ子は、何か期待するような眼差しで俺を見ていた。

だけど俺は

 

 

「俺は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前をそういう目では見ていない、お前はロボットだから…人間の女の子じゃないから」

 

 

きっと俺は、ロボ子にとても残酷な事を言ったのだと思う。

俺の返事を聞いたロボ子は顔を曇らせていき、俯いてしまった。

 

 

「そう…だよね、ボク…ロボットだもんね。ごめんね○○くん…変な事言って」

 

 

ロボ子の目から何かが零れ落ちる…涙だ。

ロボットから何故涙が出るのか、その時の俺には分からなかった。

俺はその後何も声をかけれずに、観覧車を降りた。

観覧車を降りる時、ロボ子は乗る前と変わらない様子になっていた。

 

 

 

 

アパートに帰るまで、俺達は無言だった。

俺は罪悪感で、ロボ子は…いや、止めておこう。

アパートに着くと、外はすっかり暗くなっていた。

中に入ると、俺は夕飯も食べずに寝た。

ロボ子に何も言わずに…

 

 

 

 

 

 

ボクは基本スリープモードに入る、けど今日は入れなかった。

眠りたくなかった…

今日は○○くんと、その…デート…したんだ。

本人は最初気付いてなかったけど、後から気付いたみたい。

多分、ケーキ屋さんで○○くんは気付いたんだ。

あの時の○○くんの反応は普通じゃなかったから。

○○くんとのデートは楽しかった…途中までは。

ケーキ屋さんに行く前の、メリーゴーランドやジェットコースターは楽しかったなぁ…!

お、お化け屋敷は…楽しいというより怖かった。

それなのに○○くんは早く行ってくれないし…気のせいか歩くスピード遅くなった気もしたよ。

意地悪だなぁって思った…

 

 

 

 

ケーキ屋さんで他の人達にカップルとか、デートとか言われて…ボクはちょっと嬉しかった。

何で嬉しくなったのかは分からないけどこう…人間でいう心臓の辺りがキュってなった。ボクロボットなのにね。

あの後、○○くんは心ここに在らずな感じだったけど、マスコットキャラクターと一緒に写真を撮ったり、う…腕組みもしたりしたんだよね。

また…○○くんと一緒に出かけたいなぁって…思えた。

ボクは観覧車で○○くんに、何かを期待してた。

でも…○○くんの中ではボクは…ロボットなんだ…

もう傍に居るだけで辛い…

 

 

 

 

「さよなら、○○くん。好きだったよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

目が覚める、辺りを見渡すとロボ子が居ない。

もう起きたのだろうか?

そう思いキッチンを覗くも、居なかった。

俺は嫌な予感がした、頭をよぎるのはロボ子が暴走した場合のリスク。

政府に捕まるのも嫌だが、ロボ子が居なくなるのはもっと嫌だ。

昨日あいつの事ロボット扱いした癖に…

 

 

 

 

「おい店主!居るか!」

 

 

俺はロボ子を探しに行く前に、ロボ子を買ったロボットショップに立ち寄った。

 

 

「あー?なんだこの前のあんちゃんかい…今度は何の用だ?」

 

「ロボ子は…どんなロボットなんだ?俺はあいつの事をちゃんと理解出来て無い、頼む…教えてくれ」

 

「お前さん…また追い出したのか?」

 

「違う、だけど教えてくれ」

 

「はぁ…ったく…これは俺の専門外なんだがなぁ…」

 

 

店主は嫌々ながらもロボ子について教えてくれた。

ロボ子は元々欠陥品って事は聞かされていた、ポンコツだと。

だけどそれだけじゃないらしい、ロボ子は…あのシリーズで唯一感情を持ってるロボットだという。

普通のロボットならかしこまりました、や…ありがとうございます、といった反応だが、ロボ子は分かった!や、えへへ…ありがとう!といった反応だ。

確かにロボットらしくない、俺も薄々は気付いてたが…

だが、俺が次聞いた事が余計に焦りを覚えた。

ロボ子は、ロボ子のシリーズは主から離れると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最も深い思い出の地で自爆すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのバカが!どんだけ人を心配させれば気が済むんだよ!」

 

 

店主から聞かされてから、俺はテーマパークに向けて走っていた。

思い出深い場所といったらここしか思い当たる節が無かったから。

メリーゴーランド…いや、これは違う。

ジェットコースター…確かに楽しんでたがこれも違う。

お化け屋敷は絶対無い、怖がってたし…となるとケーキ屋か?

 

 

「…いえ、このような方は見ていません」

 

 

ケーキ屋の店員に聞いたが、ロボ子はここに来ていなかった。

記憶を思い出していっても、この後の記憶は抜けている為もう分からなくなっていた。

 

 

「どこだよ…ロボ子、ここに居るのは間違いないのに…」

 

 

結局俺は色んなアトラクションの係員にロボ子が来たかどうか聞いて回る事にした。

 

 

結果、どこのアトラクションにもロボ子は来ていなかった。

誰も見かけてもなかった、そして…夕方になった。

夕方になってから思い出したが、俺はまだ一つだけ探しに行ってない場所がある、観覧車だ。

アレをアトラクションと言っていいのかは分からないが、そこだけは行ってなかった。

無意識に行くのを躊躇ったのだろうか?

いや、怖かったのかもしれない。

あの場所は、俺がロボ子を傷付けた場所…

それでも、もしかしたら観覧車にロボ子は居るかもしれない。

そう思い俺は観覧車へ向かった。

 

 

 

 

 

観覧車乗り場に着くと、人影が見えた。

いや、ロボ影が見えたと言うのが正しいのだろうか?

そのロボットは1人で、観覧車に乗ろうとした。

俺はそのロボットの腕を掴んだ。

 

 

「…っ!」

 

「すいません、こいつ俺の連れなんで一緒に」

 

「お客様?」

 

「…(コクリ)」

 

 

俺とロボットは、観覧車に乗り込んだ。

 

 

「…」

 

「…」

 

 

観覧車に乗って、どれだけの時間が過ぎたのだろうか?

俺もロボット…ロボ子はずっと無言だった。

 

 

「…んで」

 

「?」

 

「なんで…来たの…?」

 

 

先に口を開いたのはロボ子だった、その言葉は冷たく…棘を感じた。

 

 

「何でって…それはこっちのセリフだぞ。何でまた出て行ったんだ」

 

「君には分からないよ、ボクの気持ちなんて」

 

 

ロボ子は俺を見ずに冷たい言葉を投げかけてくる。

 

 

「分からないよ、俺はお前じゃないし、ましてやロボットでも…」

 

「そうだよ!ボクはロボットだ!人間じゃないよ…」

 

 

ロボ子は立ち上がり俺に叫ぶ、最後の一言が弱々しく聞こえた。

 

 

「知ってるんでしょ…?ボクがどんなロボットなのか、君から離れたらどうなるか」

 

「…あぁ、知ってる。と言うより…教えてもらった」

 

「じゃあ何で?もうボクの事なんかほっといてよ…」

 

「ほっとける訳…無いだろ…」

 

「ボクの事ロボットとしか見てない癖に!」

 

「…」

 

 

ロボ子の叫びで俺は黙り込んでしまった、実際俺はロボ子の事をロボットとしか見てなかった。

それをロボ子は根に持ってるのだろう…

 

 

「ボクは…ボクは…!」

 

 

ロボ子が何かを言いかけた時突然観覧車が揺れた、俺は咄嗟にロボ子を抱き寄せていた。

 

 

「お客様にご連絡致します、当観覧車はトラブルにより暫く稼働出来ません、暫くお待ち下さいませ」

 

 

いきなり観覧車が止まってしまった…

 

 

「おいロボ子、怪我は…」

 

「あ…あぁ…」

 

「ロボ子…?」

 

 

俺とロボ子の距離は、顔を数センチ動かすだけでキス出来るくらいまで近くなっていた。

 

 

「…(プルプル)」

 

「ロボ子、落ち着け…な…?今暴れたら…その…」

 

「今更そんな大切に扱わないでよ!」

 

 

ロボ子の叫びと同時に、俺の左頬は熱を帯びた。

ヒリヒリと、ジンジンする…

 

 

「…ごめん」

 

「分かったら離してよ」

 

 

ロボ子は俺の腕をどかして離れようとする、だけど俺は腕の力を強め離さなかった。

 

 

「…離してよ」

 

「嫌だ」

 

「離してよ!」

 

 

ロボ子は俺の腕の中でもがく、それでも俺は離さない。

強く掴まれようとも、叩かれようとも…

 

 

「離してよ…お願いだよ…」

 

「ごめんな、ロボ子。お前をずっとロボット扱いしてたのは、俺がお前を好きになっちゃいそうだったからだ。お前は可愛いし、ぶっちゃけ好みだったから…でもな、人間とロボットが恋人関係とか世間は許さないと思うんだ、白い目で見られる、分かり切ってるんだ…」

 

 

俺は内に秘めた想いをロボ子に話していった、ロボ子は大人しく俺の話を聞いてくれた。

そして全部の話を聞いてくれた後ロボ子は

 

 

「周りがダメって言ったら…ダメなの…?ボク達の意思は…?ボクは君の事が好きだよ…?ケーキ屋さんで、ボク達がカップルとか、デートとか言われてボクは嬉しかったよ…?少なくともあの人達は…ボク達を認めてくれてるよ…?」

 

 

ロボ子は涙を流し震えながらも、俺にはっきりと告げた。

 

 

「ボク達で、変えようよ…人間とロボットがお互い好きでいられる世界に」

 

「ロボ子…」

 

 

その後はどちらが先に近付いたかは分からない、だけど俺とロボ子の唇が合わさったのだけは覚えている。

キスの味は…ちょっと鉄っぽかった。

 

 

 

 

 

 

「なぁロボ子」

 

「なに?」

 

 

2人でアパートに帰ってる途中、俺はロボ子に聞いた。

 

 

「出来るかな…?俺達で…人間とロボットが愛し合うのを認めさせるって」

 

「それは…やっぱり難しいとは思うよ?でも…」

 

「でも?」

 

「周りがどう思っても、ボクは○○くんの事好きだよ」

 

 

ロボ子の笑顔は、夕焼けに照らされてとても輝いていた…

 

 

 

 

 

 

人間とロボットが愛し合う、世間はやはり認めないだろう。

それでも、俺はロボ子を…ロボ子は俺を好きになった。

好きになったものは仕方ないし、もう気持ちを抑えたくもない。

俺達が世間を変える事が本当に出来るのか、それも分からない。

でも…どんな事があってももうロボ子を…手放したりはしない、絶対に。




読んでいただき、本当にありがとうございます。
今回書かせていただいたネタはロボット、原点回帰させていただきました。
と言うのも、自分が最初書いた話がロボットネタ、書き方なんて分からない状態で書きました。
今もこんなに書いてるのに書き方が分からなくなる時があったりしますが…
ロボ子さんの誕生日の話を書きましたが、これからもまだまだ書いていくつもりですので、温かい目で見守って下さると幸いです。
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m


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あなたに感謝を

今回これを投稿するのは、今日が特別な日だったからです。


出会いと別れの春、人はそれぞれ違う学校に進んで行く。

受験に受かり望んだ学校に行く者、滑り止めで仕方なく行く者、家業を継ぐ為進学をしない者も居るだろう。

俺はどれにも当てはまらない、そもそも受験という手段すら無かった、あるのは転入試験のみ。

何故転入試験なのか?それは親が転勤族だからだ。

父親の仕事の都合で長くても半年、短いと1ヶ月で俺は転校している。

過去に転校した回数なんてもう数えたくもない。

小学校、中学校、そして…高校。

高校くらいどこかアパートを借りて1人暮らしをしながらでも良いのでは無いかと俺は思っているが、許してくれないようだ。

故に俺は仕方なく、高校でも転校を続けている。

 

 

転校が多いメリットは、色んな地域の名物を食べやすい事。

デメリットは、その地域をすぐに離れてしまうから名残惜しいケースが多い事だろうか。

学校の人間関係はどうなのか?

もう数えたくもないくらい転校をしている、人に関心なんて皆無だ。

今の俺は次の学校は何ヵ月で転校するか、ぐらいだ。

 

 

 

 

 

 

「今日は転校生を紹介します、○○君です、皆さんに挨拶を」

 

「はい、○○です、よろしくお願いします」

 

 

先生から紹介を受け、軽く名乗り挨拶する。

何度もこれの繰り返しなのだ、挨拶も簡易になる。

拍手がまばらに鳴り響く中、1人だけやけに拍手してる女子が居た。

その女子を見つめると、女子はにっこりと笑ってきた。

 

 

ホームルームが終わると、途端に質問攻めになる。

何処から来たのか、好きな食べ物は何なのか、好きなタイプetc.....

それを止めたのが、俺に笑顔を向けてきた女子だった。

 

 

「もう、皆そんなに質問ばかりだと、○○君疲れちゃうよ?

何時でも話す事は出来るんだし、今は授業の準備しなきゃ」

 

「ちぇっ、まぁろぼちゃんが言うなら…」

 

「へいへい、委員長は厳しいぜまったく」

 

「あ、ありがと、助かったよ」

 

「ごめんね、皆転校生が珍しくって。

ボクの名前はロボ子、皆からはロボ子さんって呼ばれてるよ、よろしくね」

 

 

笑顔を向けてきた女子、ロボ子さんに助けられその場を乗り切った。

委員長とさっき呼ばれていたので、おそらく学級委員なのだろう、俺には関係無いが。

 

 

「休み時間にでも校舎の案内するね、それじゃまた!」

 

 

ロボ子さんはそう言い自分の席に戻り、次の授業の準備にかかった。

案内をされてもどうせすぐ転校なんだが…そんな事はこの時言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1限目の事

「…よし、この数式を誰に解いてもらおうか」

 

 

黒板に書かれた数式は、前の学校で既に習っていた箇所だった。

授業スピードは学校毎に違うだろうが、ここは少し遅めなのかもしれない。

 

 

「ったく、誰も目を合わせないのか。

仕方ない、○○、これを解いてみてくれ」

 

「あ、はい…」

 

 

運悪く教師と目が合ってしまい、俺が解くことになってしまった。

まだ習ってある箇所だから良かったが、過去に習っていなかったら俺も御免蒙る。

 

 

「これが、こうで、ここにx²を…どうですか?」

 

「ん、正解だ!席に戻ってくれ」

 

 

席に戻る際、あちこちで羨む、何かを認める、敵意の視線をそれぞれ感じた。

椅子に手を掛ける直前、ロボ子さんとも目が合った。

相変わらずにっこりと笑っていた。

 

 

 

 

 

休み時間

「○○君、校舎を案内したいんだけど大丈夫?」

 

「あ、うん、お願い」

 

 

案内して貰っている最中、先程の授業の話になった。

先程の数式の解答法はまだ習っていなかったのでそうだ、あの教師はわざと間違えさせ、それを楽しむ陰湿な教師だったらしい。

それを俺が解いた為かクラスが少しザワついたらしい。

 

 

「ねぇ、○○君は今まで何回転校したの?」

 

「え?もう覚えてないよ」

 

「覚えてないくらい転校したの…?」

 

「うん」

 

 

ロボ子さんはとても驚いている様子だった、普通経験する転校回数は、多くても2回か3回くらいだろう。

俺は…2桁は軽く超えているからな…

 

 

「○○君は、暫くここに住むの?」

 

「うーん、多分またすぐ転校かな。今まで半年以上留まった事無いから」

 

「そっか…じゃあ「俺に関わらなくて良いから」え?」

 

 

ロボ子さんが何か言いかけたのを俺は被せるように言った。

 

 

「どうして?」

 

「……関わらなくて良いから、案内ありがとう、後は自分1人でいいから」

 

「あっ…」

 

俺は逃げるようにロボ子さんから離れた、これ以上ぺらぺら喋る訳にもいかなかったから。

俺は怖い、人と関わるのが。

折角仲良くなってもすぐ転校してしまう、喧嘩別れなんてした時はもっと心にくる。

だったらいっその事関わりなんて持たない方が良い、1人の方が気楽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転校してから1週間、ロボ子さんは執拗に俺に話しかけてきた。

だが俺は毎回ロボ子さんを避けた、もう関わらないで欲しかったから。

クラスメートは1週間も経てば、反応も普通になる。

転校生なんてちやほやされるのは最初だけなのだ、時間が経てばただのクラスメートになる。

 

 

「なぁ○○、放課後寄り道してかね?良いとこ知ってんだけど」

 

「ごめん、俺用事あるんだ」

 

「そうか、じゃあまたな!」

 

「あぁ、また」

 

(おいお前あいつ誘うの止めろよな、ノリ悪いんだからよ)

(だってよー…)

(だってじゃねぇよ、良いから行くぞ)

 

 

地味に聞こえている、だがこれでいい。

俺は1人で下校する。

 

 

 

 

 

1人下校していると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

振り向くとその正体は、ロボ子さんだった。

 

 

「はぁ、はぁ、やっと追いついた…」

 

「なんか用?もう関わらないで良いって言ったんだけど」

 

「あのね」

 

 

俺はロボ子さんの次の言葉に、言葉を失う事になる。

 

 

「ボクと一緒に出掛けない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は晴天、日向ぼっこ日和だ。

こんな日は縁側に腰掛けて、お茶を啜るのが1番なのだろう。

それなのに…

 

 

「あ、○○君こっちこっち!遅いよもー」

 

「ごめん、迷ってた」

 

 

何でこうなったのだろうか、俺はもう関わりたくないだけだったのに。

今日来たのは何故か遊園地、イベントもやってる為人がいつも以上に多い。

 

 

「さぁ、早速入ろう!」

 

「何か、イキイキとしてるな、ロボ子さん」

 

「んー?だって遊園地だよ?楽しいんだよ?わくわくしない?」

 

 

ロボ子さんはウキウキしながら俺の腕を引き歩いた。

彼女は案外子供っぽいのかもしれない、高校生にもなって遊園地ではしゃぐだろうか?

 

 

 

 

 

コーヒーカップ

「お〜!目が回る〜!」

 

「…うっぷ」

 

 

ロボ子さんが存分に回したせいで、他のカップより多く回った。

俺は初っ端からフラついていたが、ロボ子さんに主導権を持っていかれ次のアトラクションへ向かった。

 

 

 

 

 

お化け屋敷

「ぴぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「へぇ、よく作り込まれてるな」

 

「何でそんなに冷静なの!?早く、早く行こうよ!」

 

「むしろロボ子さんが何でそんなに冷静じゃないんだ?」

 

 

自分からお化け屋敷に行ったのに、見事に自爆した。

自信満々に「ボクに怖いものなんて無いよ!」とか言っていたのが嘘のようだった。

 

 

 

 

 

休憩

「うぅ…もうお化け屋敷はこりごりだよ…」

 

「あんなに張り切ってたのにね」

 

 

俺は振り回されて体力が低下、ロボ子さんは叫び過ぎて喉が乾いていた。

 

 

「…ふぅ、○○君、楽しい?」

 

「何が?」

 

「遊園地、楽しい?」

 

「…まぁ、楽しいといえば楽しいかな。遊園地初めてだったし」

 

 

転校が続くと引越しに金がかかる、その為遊びに行く、ましてや遊園地は夢のまた夢だった。

 

 

「それなら良かった、ボクがただ1人で楽しんでたらダメだったから」

 

「?」

 

「○○君、転校してきてから全然笑わなかったからさ」

 

「…」

 

 

笑わなかった、か…

 

 

 

 

 

スペースシューティング

「○○君、そっち!」

 

「お、おぅ…」

 

 

ロボ子さんの射撃センスは高く、俺に指示を出しながら着々とポイントを稼いでいった。

俺は射撃センスは高くない為、指示を出されても上手く当てられず終始悪戦苦闘だった。

 

 

「お疲れ様、○○君」

 

「以外だったよ、ロボ子さんのんびりしてるイメージだったのに」

 

「むぅ、それはどういう意味さ?」

 

 

頬を膨らませながらロボ子さんは俺に詰め寄った、近い…

 

 

「ごめんごめん、バカにしてる訳じゃないよ、人は見かけによらないんだなって」

 

「やっぱりバカにしてるじゃん!もー!」

 

「ほら、あんまり怒ってると幸せ逃げちゃうよ」

 

「怒らせてるのは誰さー!」

 

「はははっ」

 

「あ、○○君笑った」

 

「え?」

 

 

不思議だ、最後に笑ったのは随分前なのに、こんなに自然に笑えるなんて…

 

 

「○○君の笑った顔、素敵だね」

 

「や、止めてくれよ…」

 

「えへへ、照れちゃって可愛い♪」

 

 

休憩の間、ずっと俺はロボ子さんにからかわれ続けた。

 

 

 

 

 

「ねぇ、○○君」

 

「ん?」

 

 

色んなアトラクションを回り、最後に観覧車に乗ってる時にロボ子さんは口を開いた。

 

 

「今日は楽しかったね」

 

「うん、楽しかった。こんなに楽しかったのは久々だよ」

 

「○○君の可愛いとこも見れたしね♪」

 

「それは止めてくれ…」

 

 

観覧車が頂上に達するまで、そんな他愛無い話をしていた。

が、頂上に達した時に出てきた話題で笑顔を失う事になる。

 

 

 

 

 

 

「○○君はさ、ずっと転校を繰り返してたんでしょ?そして繰り返す内に、転校先のクラスメートと話さなくなった…んだよね?」

 

「…うん、どうせ仲良くなってもすぐお別れだから、だったら最初から話さない方が良いかなって思ってる」

 

 

この質問は、何時か来るとは思っていた、覚悟はしていた。

 

 

「でもボクとこうして遊んでるよね?少しは仲良くなったと思わない?」

 

「それは…」

 

「ボクだけじゃなく、クラスの皆もきっと、○○君と仲良くなりたいとおもってるよ」

 

「もう、無理だよ。

俺は皆に冷たい奴と思われてる、今更「そんな事ないよ!」ロボ子さん…?」

 

 

俺の手を握りながら、ロボ子さんはこう言った。

 

 

「ボクが、皆と仲良く出来るように協力する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で転校してきた奴にこんなに構うのだろうか、俺は不思議に思った。

俺はつい聞いてしまった、何故俺にここまで親身になってくれるのかを。

 

 

ロボ子さんは「ボクはね、クラスの皆が仲良く出来る、学校の皆が仲良く出来るような学校にしたいなぁって思ってるんだ。

勿論そんなの難しいのは分かってるけどね、それでも考えるのはタダだからね♪」

 

 

と言っていた。

 

 

 

 

 

翌週月曜日の昼休み

俺はロボ子さんと屋上で会議をしていた。

 

 

「さて、○○君が皆と仲良くなる為には」

 

「なる為には?」

 

「共通の話題を作る事!」

 

「…なるほど?」

 

「○○君何か趣味とか特技ある?」

 

「趣味に特技か…」

 

 

ロボ子さんとの会議で、とりあえずクラスメートの中から3人、気が合いそうな人を選んで仲良くなろうという事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

「あ、あのさ…」

 

「ん?あぁ○○か、どうしたん?」

 

 

まず1人目は、サッカーが好きなクラスメートに話しかけた。

実際のサッカーが好きらしいが、ゲームのサッカーも好きという情報をロボ子さんから教えてもらっている。

彼に話しかけようとしたのは、俺もゲームのサッカーを少しだが遊んでいたからだ。

 

 

「輝く11人っていうゲーム、知ってる?」

 

「っ!お前、まさか」

 

 

ゲームの名前を出した途端、クラスメートの表情が変わった。

 

 

「覚醒したライバル達のバトルが勝てないんだけどさ、攻略法とか分かる…?」

 

「あぁ、あぁ!任せろ!あいつらは攻撃は凄いが防御は手薄なんだ、だからオフェンス技とドリブル技で攻めていけば大丈夫だ。不安なら比較的育てやすい山内と疾風丸を育てておけばDFもそれなりに大丈夫だと思う。

いやちょっと待て、俺の知識だけじゃ偏るな…おーい、ちょっと来てくれ!○○もあのゲームやってるみたいなんだ、皆詰まりやすいあの場所で苦戦してるらしい」

 

 

1人に話しかけたら、ゲーム繋がりで俺の周りに6人も集まった。

各々が攻略しやすい編成やスキルを教えてくれ、試行錯誤しながら応援してくれた。

その甲斐あってか、ずっと勝てなかった相手に勝つ事が出来、応援してくれた6人とも仲良くなる事が出来た。

その内の1人に聞いたが、このクラスは何故かゲームのサッカーが人気らしく、女子もそのゲームをやってるらしい。

理由はイケメンのキャラのスキルが強いからだとか、よくあるカップリング…?が捗るらしい。

ゲームをやってるクラスメートの中に、以前敵意の目を向けていた奴も居たが、彼曰く「普段コンタクトなんだが、その日だけ忘れてしまって…しかもメガネを持ってないのに後ろの席だったからあんな目つきになってしまった」だそうだ、何とも紛らわしい話だ…

 

 

「やったな、○○!お前案外話しやすいじゃん、何であんな態度とってたんだよ?」

 

「そ、それは…」

 

「まぁ良いじゃない、これからは同じゲーム仲間…疾風丸くんをすこるのよ…!」

 

 

まだ全員とはいかないだろうけど、それでも…俺にも友達が出来た。

上手く口では言えないが、胸の奥が熱くなる感覚がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

2週間後

俺とロボ子さんはまた屋上で話していた、だが今回は会議ではない。

 

 

「まさかサッカーゲーム1つであんな事になるとはね、ボクもびっくりだったよ」

 

「俺もだ、たまたま買ったこのゲームが、友達を作るきっかけになるとはなぁ」

 

「でも良かった、○○君に友達が出来て。ボクだけじゃ寂しいからね」

 

「え…?」

 

「え…?って、ボクと友達じゃ…嫌…だったかな…」

 

 

ロボ子さんは悲しそうな目をして、そう呟いた。

俺は必死に弁解しようと考えたが

 

 

「…ふふっ、冗談だよ、ほんと○○君は可愛いなぁ」

 

「それはマジで勘弁してくれ…」

 

「えへへ♪」

 

 

俺は意を決して、お礼を言おうと思った。

諦めずに話しかけてくれて、友達を作るきっかけをくれたお礼を。

だけど神様は、意地悪なのかもしれない。

 

 

「なぁ、ロボ子さ「居た!2人とも早く教室戻って!候補者選ぶって!」ん…ん?候補?」

 

「あ、そっかもうそんな時期なんだね。○○君ごめん、戻ろっか?」

 

「あ、あぁ…」

 

 

急いで教室に戻ると、皆既に席に着いていた。

普段なら予鈴が鳴るはずなのだが、昨日からシステムの点検で予鈴が鳴らない事を忘れていた。

 

 

「さぁ、全員そろったようなので、早速始めたいと思います。

1ヶ月後に生徒会選挙が始まります、各クラス1人ずつ、立候補者を出さなければいけません。

自薦他薦構わないので、どなたか居ますか?」

 

 

一斉に皆が教師から目を逸らした、俺も流石に目を逸らさざるを得ない。

だが、1人だけ手を挙げる人物が居た。

 

 

「はい」

 

「はいロボ子さん、自薦ですか?他薦ですか?」

 

「他薦です、ボクは○○君を推薦します」

 

 

…今何て聴こえたのだろうか?

俺が生徒会選挙の立候補者に挙げられてなかっただろうか?

幻聴では無かろうか?

 

 

「では、まず○○君…と」

 

 

教師が俺の名前を書いている、聞き間違いでは無かったようだ。

何で…俺なんだろうか…

 

 

「他に居ませんか?居ないなら、○○君にお願いしようと思いますが」

 

「異議なーし!」

 

「○○頑張れー」

 

 

次々と声が上がり、流れるように俺が候補者になってしまった。

俺は休み時間にロボ子さんを呼びつけた。

 

 

「なぁロボ子さん、何で俺を推薦したんだよ?自分で立候補した方が良かったんじゃないのか?」

 

「んー…ボクはちょっとね…

でも、ボクはろぼさー君が生徒会に入ってくれると良いなぁって思ってるよ」

 

「な、何だよそれ…」

 

「そういう事だから、それじゃね!」

 

 

ロボ子さんはそう言うとその場から走り去ってしまった、俺は納得いかない部分があれど、決まってしまった事なので仕方なく飲み込む事にする。

 

 

 

 

 

候補者としてのスピーチ練習をしているが、あまり身が入らなかった。

俺はいつまた転校するか分からない、それなのに生徒会に入ってどうすれば良いのかと思っている。

 

 

「○○君、調子はどう?」

 

「調子なんて最悪だよ、全然上手くいかないし、そもそも俺いつまで居れるか分からないのに」

 

「んー、そうなのかな、○○君はどんなスピーチ考えてるの?良かったら聞かせてよ」

 

 

俺はロボ子さんの前で一応考えたスピーチを披露した、ロボ子さんはジッとこっちを見つめながら、目を逸らさずに聞いていた。

 

 

「どう?」

 

「そうだね、何か色々と漠然としてて心に響いてこないっていう感じかな?」

 

「…だろうね、俺自身納得いかないから」

 

「学校全体の事を無理に入れてるからダメなのかな、ねぇ○○君、1回クラスの皆だけの事で考えてみたら?」

 

「それってどういう事?」

 

 

俺の頭には?でいっぱいだった。

生徒会なのだから生徒全体や、学校全体に起因するような事をスピーチに盛り込む必要があるのでは無いだろうか?

 

 

「○○君は、どうやったらクラスの皆とより良い学校作りが出来ると思う?そう考えていくと、きっと上手くいくんじゃないかな」

 

「クラスの…皆と…」

 

「うん、ボクが言えるのはこれくらいかな。後は○○君自身でまた考えて欲しいな」

 

 

ロボ子さんはそう言い残し、帰宅していった。

クラスの皆とどうやったら…か…何となく、少しだけイメージが出来た気がする。

ロボ子さん、君は一体…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の自宅

「…であるからして、私が当選した暁には、以下述べた項目を実行していきたいと考えています、ご清聴ありがとうございました」

 

 

部屋で1人、スピーチ練習をしていた。

するとドアを叩く音が聞こえ、ドアを開くと父が居た。

 

 

「おぉ、何の練習だ?」

 

「生徒会選挙のスピーチ練習だよ、俺が候補者になったから」

 

「そうか、こっちもそろそろ落ち着きたいんだがな…お前や母さんには苦労かけるな」

 

「良いよ、もう慣れてる。でも、叶うならさ、今の学校に居続けたいなって」

 

「珍しいな、お前がそんな事言うのは」

 

「…まぁね」

 

 

今のクラスから離れたくない、ゲームからだけど、友達も沢山出来た。

もう転校なんてしたくない、皆と一緒に…一緒に居たい。

最初は嫌だったスピーチ練習も、ロボ子さんからアドバイスを貰ってからは、やる気が出てきた。

 

 

生徒会選挙まで、あと2日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会選挙前日

「…であるからして、私が当選した暁には、以下述べた項目を実行していきたいと考えています、ご清聴ありがとうございました」

 

「…うん、良いと思うよ。○○君頑張ったね、凄い上達してるよ!」

 

 

俺はこの前日、ロボ子さんに最終確認をしてもらっていた。

何でロボ子さんに確認してもらってるのかは、俺にも分からない。

だけど、転校してきた当初から、ずっと俺の事を気にかけてくれてたから、無意識に頼っていたのかもしれない。

 

 

「これで、当日は大丈夫そうだね」

 

「本当に大丈夫かな」

 

「大丈夫だよ、自信を持って♪」

 

 

ロボ子さんはあの時のように、俺の手を握りながら俺を励ましてくれた。

何故かロボ子さんに励まされると、心が落ち着くような…

 

 

「それじゃ、念の為もう少し練習しよっか?」

 

「うん、お願い」

 

 

いよいよ明日は、生徒会選挙当日…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会選挙当日

やれる事はやったし、練習も沢山してきた。

正直言うと凄い緊張している、そんな俺の背中を思い切り叩いてくるクラスメートがいた。

 

 

「おいおい○○、大丈夫か?」

「俺達がついてるから、安心していってこい!」

「輝く11人に出てくる山内みたいに、ドッシリと構えてやれば大丈夫だ」

「○○君なら大丈夫、応援してるから!」

 

「皆…」

 

「「「「頑張れ!○○(君)!」」」」

 

「ありがとう皆、俺…行ってくる!」

 

 

ステージ裏でスタンバイし、次が俺の番になる頃肩を叩かれた。

振り向くとロボ子さんが居た。

 

 

「どう?○○君、緊張してる?って…聞くまでも無いかな?」

 

「ロボ子さん…あぁ、大丈夫だ。今ならいけるさ」

 

 

今の俺には自信に満ち溢れていた、根拠なんて無いけど、皆が応援してくれてるって思うと勇気が湧いてくる。

 

 

「そっか、じゃあボクからはこれだけ。行ってらっしゃい!頑張ってね!」

 

「行ってきます!」

 

「次のスピーチは、2年、○○さんです。お願いします」

 

 

名前を呼ばれ、壇上に立つ。

俺は意を決して、スピーチを始めた。

 

 

「皆さんこんにちは、私は2年の、○○です。

これより演説を始めさせて頂きたいと思います、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後

俺は、生徒会役員になった。

学校全体に重きを置かず、生徒一人ひとりに重きを置いたスピーチ内容で票を集められたらしい。

個人的には当選するとは思わなかったし、演説する事に意味があったのかなくらいしか思わなかった。

そして俺は登校し、とある部屋のドアを開ける。

その先には見慣れた人物が居た、ロボ子さんだ。

何故ロボ子さんが生徒会選挙に出なかったのか、それは元々ロボ子さんは生徒会役員だったからだ。

しかも副生徒会長の役職で、今は生徒会長に。

俺は書記の役職に就いた。

 

 

「おはよう、○○君」

 

「おはよう、ロボ子さん」

 

「当選おめでとう!こうやって一緒に生徒会を運営出来るの、嬉しいよ」

 

「ありがとう、俺も当選するとは思わなかったから」

 

 

実際、俺より良いスピーチをしてる人は多かったが、それを抜いて俺が当選した。

何か裏で働きかけでもあったのかと疑うレベルだったが、あまり深く考えないようにしようと思う。

 

 

「○○君が皆の為に頑張った結果だね」

 

「いや、俺がここまで頑張れたのは…転校してからずっと、俺の事を見てくれてたからだよ。

挫けてる時も、悩んでる時も、何時もロボ子さんが手助けしてくれたからだよ」

 

「ボクはそんな…ただ皆が仲良く出来る学校にしたいってだけだよ」

 

「今だからこそ言いたいんだ、ロボ子さん。

俺に声をかけてくれて、ずっと気にかけてくれて、クラスの皆と話すきっかけをくれてありがとう」

 

 

ロボ子さんは驚いた表情で俺を見つめるが、表情がどんどんニヤケ顔になりながら

 

 

「は、恥ずかしいよ…でも、これからは転校までこっちでも一緒だね、よろしくね?」

 

「あ、それなんだけど…

実は一昨日、つまりは土曜日なんだけど、親父からここで新しく拠点を作って、数年単位で常駐するって話を聞いたんだ」

 

「じゃあ…!」

 

 

俺が次に言う言葉は、きっと満面の笑みで言えてる自信があった。

 

 

「あぁ、もう転校は無いよ。

これからもよろしく、ロボ子さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ロボ子さんが急に抱き着いてきたりもあったけど、とりあえずは他の生徒会メンバーが来る前には落ち着いた。

抱き着かれた時、やけに胸の鼓動が早くなって、離れた瞬間ちょっと締めつけられるような感覚があったけど、この気持ちに気付くのはまだ先の話…



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貴女が居たから俺は

知らないうちに人を好きになっていた、そんな経験は無いだろうか?

ある程度の人はそういう事もあるだろう。

その人の事を好きになるだけで、普段出来なかった事も出来たりするものだ。

例えば、好きな人が居る学校を受験して、偏差値が高かろうとそこを受かったり。

だが、それでもし好きな人と偶然会ったらどうだろうか?

普通に話す人もいるだろう、びっくりして言葉が出なかったりもあるだろう。

狙ってその学校を受験してるのだから、遅かれ早かれ出会うのは必然である。

なのに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?○○くんだ、ここに入ってたんだね」

 

「あ、あぅ…ロボ子姉…その…」

 

 

このザマである。

彼女はロボ子、周りからはロボ子さんと呼ばれている。

そして俺は彼女の事をロボ子姉と呼んでいる、別に家族という訳でも無い。

ロボ子姉は、従姉だ。

歳の差は3つといったところか、既にロボ子姉は成人している。

噂だと7つ上の彼氏が居るとか、俺は…生まれてから1度もそういうのは居ない。

気弱だし、何かに秀でている訳でも無い。

ただ、ロボ子姉と同じ学校に行きたくて必死に…なっただけだ。

入学してからはずっとクラスで最下位、周りからもバカにされている。

 

 

「○○くん、勉強はどう?ここ結構難しいからさ、また前みたいに」

 

「い、いいよ…ほっといてくれ…!」

 

 

俺はその場から走ってしまった、恥ずかしかった。

ロボ子姉の顔を見るだけでドキドキしてしまう。

その後の講義は頭に入らなかった、ずっと顔は熱いままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

誰も居ない部屋に帰る、この学校に行きたいが為に、もとい…ロボ子姉に会いたいが為にあの学校に行き始めた。

だが、既に講義の内容も分からず、教師にさえ自主退学を勧められる始末だ。

俺は何であの学校に行ってるのか…ただ、ロボ子姉と一緒に居たかっただけなのに。

今日学校に行き始めて、初めてロボ子姉に会って、話せるかと思ったらあの体たらく、俺自身情けなくなってきた。

 

 

「もう寝よう」

 

 

俺は夕飯もそこそこに布団に入る。

ただ会いたいからってだけでは…ダメだったのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺は学校をサボってしまった。

単位も危ないが、今日は行きたくなかった。

学校の周りには小さな商店街に、ゲームセンターがある。

一応の娯楽は揃っているらしい。

学校には行かないが、勉強はしないと本当に危ない為、教科書等一式持ってカフェに向かう事にした。

 

 

「アイスコーヒー1つで」

 

 

席につき、勉強を開始する。

が、全然進まない。

どの教科も分からないが、英語は特に分からない。

 

 

「訳が分からねぇ…何だこれ」

 

「そこはね、初めて見た時からあなたの事が好きでした、私と付き合ってくれませんか?だよ」

 

 

声のする方へ顔を向けると、そこにはロボ子姉が居た。

 

 

「ロボ子…姉!?」

 

 

カフェでは静かにしなければいけなかったが、突然の事で大声を上げてしまい店員に注意された。

 

 

「ごめんね、あんまり真剣にやってたからつい。

でもどうしたの?この時間まだ講義とかあったはずだけど?」

 

「ロ、ロボ子姉こそ…何でこんなとこに居るんだよ、そっちこそ講義は良いのかよ?」

 

「ボクはもう単位昨年で殆ど取ってるからね、多少は余裕あるんだ。でも○○くん入ったばかりでしょ?最初のうちにサボると大変だよ?」

 

「お、俺は…別に…ほっといてくれよ」

 

「もぅ、でもそういうとこ可愛いね♪」

 

 

ロボ子姉は俺の頬をつついてくる、嬉しい感情もあるが、恥ずかしいという気持ちが大きくなる。

 

 

「や、やめろよ!」

 

「あっ…」

 

 

ロボ子姉の手を退けようと振り払うと、アイスコーヒーまで倒してしまった。

いや、それだけならまだ良い。

ロボ子姉の洋服にアイスコーヒーがかかってしまった。

 

 

「ご、ごめ…」

 

「あちゃ、大丈夫だよ、熱かったら流石に危なかったけどね、跡が残ったりとかしたらお嫁に行けなくなっちゃうし」

 

 

後半部分は何故かいたずら顔な気がした、俺は「じゃあ俺が嫁に貰う」なんて言いたかったが、そんな事は言えなかった。

 

 

「でもこのままじゃシミになっちゃうか、どうしよう…?」

 

「…こっち」

 

「え?あっちょっと」

 

 

俺は早々に片付け、ロボ子姉の腕を掴み自宅へ向かう。

こうなってしまったのは俺の責任、せめて洗濯くらいはしなきゃいけないと思った。

 

 

「こんなもんしか…無いけど…」

 

「ううん、ありがとう」

 

 

渡したのはジャージ、ファッションに興味無く着れれば何でも良い感覚だったからこんな物しか無かった。

今思えば少しは流行の物買っておけば良かったと後悔している。

 

 

「ほんと、ごめん」

 

「気にしなくていいのに」

 

「…適当に、くつろいでて良いから、俺、向こうに居るから」

 

「あ、○○く」バタン

 

 

ロボ子姉が呼び止めてたが、それを無視してドアを閉める。

ずっと大好きだったロボ子姉が来てるというのに、これである。

ただ単に恥ずかしいだけだが、きっとロボ子姉には冷たい奴と思われてるかもしれない。

 

 

「勉強…しなきゃ…」

 

 

机に向かい、勉強を始める。

カフェではロクに進まなかった為、また1からのやり直しだ。

 

 

「初めて見た時からあなたの事が好きでした、私と付き合ってくれませんか?か…」

 

 

俺がロボ子姉を好きになったのは、別に一目惚れって訳じゃなかった。

ただ、ロボ子姉はずっと優しかった。

ロボ子姉が大好きだった皿を割っちゃった時も、怒らないで「大丈夫?怪我してない?」が最初だったし、その後も「大丈夫、怒ってないよ。怪我無くて良かった」と言うくらいだった。

ロボ子姉が入ってるのを知らずに風呂に入った時も「あれ?一緒に入る?」なんて返ってきたものだ。

 

 

 

 

 

 

いつからだろうか?

俺がロボ子姉に素直になれなくなったのは。

好きって自覚し始めてから、真っ直ぐにロボ子姉の顔を見る事が出来なくなっていた。

 

 

「この気持ちに気付いた時に伝えられたら、良かったのかな」

 

 

机に飾られた写真を、俺は無意識に手に取っていた。

この写真になら、俺は…

 

 

「ロボ子姉、好きだ」

 

 

 

 

 

「ボクが何だって?」

 

「!?」

 

 

振り向くとロボ子姉が居た。

 

 

「な、何勝手に…!」

 

「ずっとノックしたよ?でも反応無いし、鍵開いてたから。ごめん」

 

「い、いや…こっちこそ、ごめん」

 

「あれ?これって昔の写真だね、懐かしいね!」

 

 

ロボ子姉が俺に近寄り、密着する。

既に服は乾燥まで済んでいたらしく、ロボ子姉はカフェで会った服装になっていた。

普通の洗剤を使っていたはずなのに、何故かいい匂いがする。

これが女性特有の何とかなのだろうか…

 

 

「この頃は○○くん可愛かったなぁ、今も可愛いけどね」

 

「男に可愛いは…無いだろ…」

 

「そう?でも可愛いんだもん」

 

「ちょっ!やめ…」

 

 

ロボ子姉は突然抱き着いてきた、柔らかい感触が全身を包み込んでいて、色々危ない。

 

 

「は、離れてくれよ…!」

 

「えへへ〜、恥ずかしがって可愛いなぁ」

 

「とにかく、勉強すんだから出てってくれよ、服も乾いてるみたいだし、これで鍵閉めて、ポストに鍵は返してくれれば良いから」

 

 

今ロボ子姉とずっと居ると、勉強に集中出来ない。

嬉しいのに、素直になれない。

 

 

「分かったよ…洗濯ありがとうね、また学校で」

 

 

ロボ子姉は俺から鍵を受け取り、部屋を出て行った。

出て行ったのに、俺は勉強をする気が起きなかった。

 

 

「くそっ…何で…何で…!」

 

 

どうして本当の事を言えないのか…嬉しかったのに、どうして…

 

 

 

 

 

「○○くん…」

 

 

 

 

 

気が付いたら寝ていた、机に突っ伏していた、日付も変わっていた。

夢の中でも俺はロボ子姉に告白出来なかったみたいだ。

臆病なのか、恥ずかしがり屋なのか、もう俺には分からなくなっていた。

 

 

今日は流石に学校に行った、単位取れないと余計バカにされるから。

でも、学校で俺は不穏な噂を聞いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボ子さんがストーカーに付きまとわれてると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の講義も頭に入らなかった、元々最初の段階から分からなかったのだ、今の講義を聞いても分かる訳無い。

それに、今日は余計に頭に入らないと思う、ロボ子姉の事だ。

ロボ子姉にストーカー…有り得ないと思った。

ロボ子姉には彼氏が…居るし。

だが、ロボ子姉が彼氏と一緒に居るところを見た事が無い。

単にロボ子姉の事をあんまり見てないからかもだが。

 

 

今日の講義が全て終わる、やる事も無いので自宅に帰ろうとする。

校門の前で誰かがこちらを見ていた。

ロボ子姉だった。

 

 

「あ、○○くん、あのね?」

 

「なんだよ、ほっといてくれって言ったじゃん」

 

 

俺はまた顔を背けてしまう、後ろめたい事は何も無いのに。

ただロボ子姉の事が、好きなだけなのに。

 

 

「あのね、ちょっと付き合って欲しいんだ」

 

「は…?」

 

 

 

 

 

渋々着いて行った場所は、この前のカフェだった。

それも、一番人目につかない席に誘導された。

 

 

「何でこんなとこに来たんだよ」

 

「うん、あのね…?」

 

 

俺はこの時、ロボ子姉のお願いを聞かなければ良かったと心の底から思った。

それは、俺にとっては…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクと、付き合って欲しいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌週、俺は登校の支度をして玄関のドアを開ける。

そこにはロボ子姉、いや…ロボ子がそこには居た。

 

 

「おはよう、○○くん」

 

「おはよう、ロボ…子…」

 

「何かぎこちないね笑 なるべく早く慣れてね?」

 

「…」

 

 

俺とロボ子は付き合い始めた、いや…付き合うフリを始めたと言った方が正しい。

こうなった経緯は、この前のカフェでのロボ子の発言、付き合って欲しい…だ。

理由を話すと、歳上の彼氏は居なかったらしい。

彼氏は噂が作り出したものだったようだ、それを聞いて俺はどこかほっとしてしまっていた。

そして、もう1つの噂…ストーカーの件、これは本当だったらしい。

俺と学校で会うより前から頻繁にでは無いが、ストーカーの気配を感じていたらしい。

それが俺と会ってからなのか、ストーカーの気配が強くなってきたとの事。

ここ最近何度かストーカーを目撃もしたらしい、だがちゃんとは見れていない、後ろ姿のみだ。

警察に相談した方が良いのだが、聞く耳を持たなかったらしい。

警察は何か起きてからじゃないと大抵動かないというのが本当どうしようも無いと思う。

事件を未然に防ぐのも立派な仕事の内だと思うのだが…

話が逸れた、そして俺に相談を持ちかけたのは、話せる相手が俺しか居なかったらしい。

他の友達も居たが、迷惑をかける事になるからと。

俺には…良いのだろうか…

 

 

「じゃ、行こうか」

 

「あ、うん…!?」

 

 

ロボ子は俺の右腕に抱き着いてきた、柔らかい感触が感じられる。

そして俺の顔も熱くなってきた、嬉しさなのか、恥ずかしさなのか分からない。

 

 

「どうしたの?」

 

「い、いや、何でも、ない」

 

「変な○○くん」

 

 

その後右腕に抱き着かれながら登校した、動きにくかったと同時に、ちょっと幸せでもあった。

だが、これは仮初なのだ、本当に付き合っては、無いのだ。

だからこそ、俺はこの頼みを聞いて良かったのか悩んでいる。

幸せでは…あるのだが…

 

 

昼休みも一緒に食べるようになった、普段は一人で食べているからか、誰かと食べるだけで楽しかった。

流石に「あーん」まではしなかったが…それでも楽しかった。

 

 

下校時は、いつものカフェで勉強会をした、主に俺の。

全体的に点数が低く、このままでは本当に単位が取れなく留年もしくは退学になるレベルだった。

俺自身ロボ子に勉強を教わるのは避けたかったが「付き合ってるフリして貰ってるんだし、それくらいはしてあげたい」だそうだ。

やはり先輩なのか、的確なアドバイスを受けながら最初の方で教わる文法や知識を身に付ける事が出来た。

これを応用すれば今やってる範囲までは何とか追いつくそう、最初は嫌だったのに、今ではこの「付き合ってるフリ」の関係が心地良く感じていた。

そんな日常が1週間続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間経った頃、ロボ子の家にロボ子宛の手紙が届いた。

差出人は不明で、赤い文字で全て書かれていた。

[キミは私のものだ、絶対に他の男にはワタサナイ]と…

とりあえずは警察に相談する材料が増えた為、一応は相談に行った。

が、警察は頼りにならない。

解決までは暫く時間がかかるだろう、それを待っていたらロボ子はずっとストーカーに怯えながら過ごさなければいけない。

好きな人が悲しんだり苦しむ姿を見たい人は、おそらくそんなに多くは無いだろう。

俺は見たくない側だ、だから…

 

 

「ロボ子、今日は別の道で帰らない…?」

 

「どうしたの?急に」

 

「あえて人気の無い道に行く」

 

「え!?そんな事したら」

 

「つけていたらおそらく、襲いに来るかもね、俺を」

 

 

俺は自らを餌にする事にした、ストーカーは俺に対して相当な憎しみを持っているだろう、それを利用する。

警察が解決してくれるならそれが手っ取り早かったが、遅かれ早かれ襲われるなら先に手を打つ。

 

 

「大丈夫、一応厚めの本とかを腹に入れとくから」

 

「でも…」

 

「俺は、ロボ子姉の笑った顔を1日でも早く見たいんだよ」

 

 

この時また俺は、ロボ子の顔を見る事が出来なかった、また背けてしまった。

でも不思議と顔は熱くない、自然に言葉を出せた。

 

 

「○○くん…」

 

「心配しないでくれ、任せて」

 

「…うん、でも無理はしないで?」

 

「あぁ、大丈夫」

 

 

下校時、もう少し暗くなってからの方がストーカーは現れると予想し、ゲームセンターで少しは時間を潰す事にした。

クレーンゲーム、ホッケー、そしてレースゲーム、色々なゲームで遊んだ。

クレーンゲームはお互い結構下手で、ぬいぐるみ1つ取るのに樋口さんが飛ぶくらいまでいってしまった、流石に使い過ぎたと反省だ。

ホッケーは、ロボ子の見た目は意外とおっとりしてるが、反射神経抜群であっさりと負けてしまった、恐るべし…

レースゲームは、アイテムを駆使して相手を蹴散らせるので、俺にもチャンスがあった。

あえてロボ子の後ろにつきアイテムで攻撃する、そして追い抜き勝つ。

ロボ子は納得いかない顔だったが、既に使った金額が金額なだけに抑えてもらった。

 

 

ゲームセンターを出ると外はもう暗く、闇に紛れてストーカーも出やすいくらいになっていた。

今日で決着を付けたい、それだけを頭に残す。

ゲームセンターで浮かれていた頭を切り替える。

 

 

「○○くん」

 

「行こう」

 

 

俺とロボ子はいつもとは違うルートで帰る、街灯も少ない暗い道。

念の為ロボ子には携帯を常に手に持ってもらい、何時でも警察に連絡出来るようにしてもらっている。

狙われるならおそらく俺だ、だが俺は死ぬつもりは無い。

ロボ子には…指一本触れさせない。

 

 

 

 

 

気配を感じる、ストーカーだろうか?

ロボ子に顔を少し向けると顔が青くなっている。

 

 

「ロボ子、もしかして」

 

「…うん、この感じ、間違いないよ」

 

 

ビンゴらしい、その日のうちに出てくるとは思わなかった。

ストーカーを捕まえて、万事解決にするんだ。

 

 

「おい!居るんだろ?分かってんだ、出て来い!」

 

 

普段から強い言葉はあまり使わないようにはしている、俺はそんな柄では無いから。

だがこの場合、強い言葉を使わなければ出てこないだろう。

 

 

「…」

 

「出たな」

 

「え…?何で…?」

 

 

ロボ子はとても驚いた様子だった、まるで信じられないとでも言うかのように。

 

 

「ロボ子さん…何故そのような男を」

 

「帝くん…」

 

「私はずっと貴女の事を」

 

 

ストーカー、もとい帝が近付いてくる、俺はロボ子の前に出て庇う立ち位置になる。

 

 

「お前か…お前がロボ子さんを狂わせたのか…私はずっとロボ子さんの事を見続けていた、入学した時からずっとね。

お前とは年季が違うんだよ、あぁ…ロボ子さん…私の女神…それなのに…ソレナノニ…ソンナオトコハコロシテワタシトイッショニ…」

 

 

ダメだ、コイツとは話しても無駄なようだ。

ロボ子は完全に怯えきっている、脚も震えて動くに動けなさそうだ。

本格的に覚悟を決めなくてはいけなくなった。

 

 

「アァァァァァ!死ねぇぇぇぇぇ!」

 

「くっ!」

 

 

帝はナイフを取り出し襲いかかって来る、俺はゲームセンターで手に入れたぬいぐるみで防御する。

本当ならこんな事には使いたくなかった、折角2人で頑張って手に入れたぬいぐるみなのだ、大切にしたかった。

だがこんな状況ではそんな事も言ってられない、すまないぬいぐるみ…

 

 

「邪魔だァァァァァァ!」

 

 

帝はぬいぐるみごとナイフを捨て、新しいナイフを取り出した。

そして俺目掛けて襲いかかる、手元には防御出来る物は無い、覚悟を決めた。

 

 

「ぐぅ…」

 

「○○くん!」

 

「ヒャハハハハ!死ねぇぇぇ!」

 

 

帝のナイフが俺の腹部に刺さる、厚めの本を入れているはずなのにそれを貫通している。

痛みがジワジワとくる、今すぐにでも倒れたい、だが俺は倒れずに声を上げた。

 

 

「逃げろ!ロボ子!早く!」

 

「○…○くん…!」

 

「逃がさないよ…ロボ子さん…」

 

 

刺したナイフを引き抜かれ、血が飛び散る。

引き抜かれた拍子に身体がよろける、このまま倒れたらどれだけ楽だろうか、それでも倒れる訳にはいかない。

俺が倒れたら、ロボ子に危険が及ぶ。

だから…

 

 

「ぐぁぁぁぁ!お前の相手は俺だぁぁぁ!」

 

「あぁぁぁぁぁ!」

 

 

帝にタックルをし、ナイフを弾く。

動く度に傷が痛むが、何かの分泌物だろうか?痛みが少し感じなくなってきた。

ロボ子との距離もタックルで少し出来た、後は俺が守ってロボ子が通報で、終わりだ。

 

 

「も、もし、もし?いま、スト、おそ…」

 

 

電話出来てるようだがあてに出来そうに無いか…

 

 

「クソ…死ねよ…早く死ねよぉぉぉぉ!!!」

 

 

帝はナイフを振りかざしてくるも動きがどんどん単調になっていく、単調になるにつれて避けやすくなる。

だが、俺はよろけてしまいナイフがまた刺さる。

 

 

「ぐっうぅ…」

 

「死ね!死ね!死ね!」

 

「あっ…あぁ…○○くん…やだ…やだぁぁ!」

 

 

ロボ子の悲痛な叫びが聞こえる、俺はロボ子にそんな顔して欲しくない、そんな声を出して欲しくない。

ただ、笑っていて欲しいんだ…

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「ロボ子…逃げ…ろ…」

 

「う、うぅ…」

 

 

俺はとうとう倒れてしまった、ロボ子はその場で泣いてるだけで、逃げなかった。

俺は逃げて欲しかった、このままだとロボ子にも危険が及ぶ。

そんなのは…嫌だ…

 

 

「さぁ…ロボ子さん…ワタシト…」

 

「ま…ちやがれ…」

 

 

残りの力で帝の足を掴む、今にも力尽きそうな力で。

 

 

「離せ!死に損ないが!」

 

 

掴む手を離される、複数の刺傷から血が溢れてくる、意識も薄くなっていく。

何故か今ロボ子との思い出が頭に浮かんでくる、走馬灯…だろうか…うっすらと声も聞こえる。

 

 

「おい!そこで何をやっている!」

「こちら△△、現場に到着しました、被疑者発見確保します」

 

「クソッ離せ!私は…私は!」

 

「大丈夫ですか!声は聞こえますか!」

 

「○○くん!お願い、目を開けて!ねぇ!」

 

 

あぁ…やっと…来てくれたんだな…これでロボ子姉も…安心する…

心配しないでよロボ子姉、ちょっと疲れたから、寝るだけだから…

 

 

 

 

 

俺の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、こは…」

 

「○○くん?」

 

 

目を向けると、ロボ子姉が涙を浮かべながらこちらを覗いていた。

 

 

「良かった…本当に良かった…!」

 

 

ロボ子姉はそのまま泣きながら俺に抱き着いた。

ただ、身体中あちこち痛い為あまり強くは…

 

 

「痛っ…ロボ子姉、落ち着いて、ちゃんと、生きてる、から」

 

「ご、ごめんね、でも良かったよ…うっ…うぅ…」

 

 

ロボ子姉をあやしてから、俺が寝てた間の事を聞いた。

まず、帝は逮捕された。

ナイフを所持していたし、俺を刺したし、ストーカーの事も追求されるだろう。

俺の状態だが、何ヶ所も刺されていて出血が酷かったそう。

後少し遅かったら手遅れになっていたかもしれないらしい。

ついでにだが、俺の単位は足らなくて既に留年もしくは退学コースらしい。

学校曰く、事件に巻き込まれたのは不幸だったが、普段から頑張っていれば万が一事件に巻き込まれていても単位は足りていた、との事…何も言えなくなってしまう…

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、○○くん」

 

「…?」

 

「本当に、ありがとう」

 

「お礼を言われる事じゃないよ、良かったね、ロボ子姉」

 

 

ロボ子姉はまた泣いてしまう、泣いた顔より、笑った顔が見たい。

俺はロボ子姉が笑っていて欲しいから、協力したんだ。

 

 

「ロボ子姉、泣かないで、笑って?泣いてばかりだと、気持ちが沈んじゃうから」

 

「うん、うん…」

 

 

それから2週間、ロボ子姉はお見舞いに来てくれた。

最初の1週間で、車椅子で動く事が出来るようになり、2週間目で何とか歩けるようになった。

回復がとても早かったらしく、そこから数日後には退院出来た。

学校は退学するつもりだ、ロボ子姉に教わって何とかいけるかと思ったが、単位が足りないし留年する余裕も無い。

それに、フリとはいえロボ子姉と付き合えた。

幸せな経験が出来た、悔いも後悔も無い。

後は、ロボ子姉の幸せを祈るだけで、良い…

 

 

 

 

 

「お世話になりました」

 

 

退学届を出して、学校を後にする。

どこかでバイトでもしようか?

 

 

「○○くん」

 

「ロボ子姉」

 

「行っちゃうの?」

 

「うん、ロボ子姉と会えてから凄い楽しかったよ、ありがとう」

 

 

今ならちゃんと顔を見て話せる、何で今更なんだろうか。

もっと前から、せめて付き合ってるフリの時に顔を見て話せられていたら、まだ良かったのに。

 

 

「帝くんから守ってくれた時の○○くん、かっこよかったよ」

 

「…ありがとう」

 

 

俺は今どんな顔をしてるのだろうか、嬉しいのだろうか、それとも複雑な顔をしてるのだろうか…

ロボ子姉の言葉を、素直に受け取れなくなっている。

 

 

「ボクね」

 

「?」

 

「誕生日、なんだ」

 

「そっか、お誕生日おめでとう、ロボ子姉」

 

「誕生日プレゼント…欲しいなって…」

 

「誕生日プレゼントか」

 

 

困った事になった、誕生日を忘れていたから何もプレゼントなんて用意していない。

 

 

「良いよ、あんまり金無いけど」

 

「ううん、多分ね、お金はかからないと思うんだ」

 

 

助かった、治療費でかなりの金が消えてしまったからプレゼントを買う余裕がそこまで無い。

割と切実だし、生活もあるから死活問題だった。

 

 

「じゃあ、言ってみてよ」

 

「うん、あのね…?

 

 

 

 

 

ボクの彼氏になって欲しいんだ」

 

 

 

 

 

「……はい?」

 

 

誕生日プレゼントで、あまりお金かからないとなると飯奢ってとか、ケーキ食べたいとか、そんなもんかと思ったが…彼氏…?

 

 

「ちょ、ちょっと待ってよ。何で?またフリをするの?」

 

「違うよ、ボクは○○くんが好きなんだ。

もう憶えてないと思うけどね、キミが小さい頃に、ボクと結婚するんだって、何度も言ってくれたんだよ。

ボクはそれが凄い嬉しかった、あまりにも小さい時の話だから、普通は鵜呑みにしないけどね、ボクはしちゃってたよ。

それに、ボクを帝くんから守ってくれてる時の○○くん、本当にかっこよくて、あんな状況だったのにドキドキしてた。

ボクの事を身体を張って、こんなに守ってくれてるんだって。

○○くんが搬送されて眠り続けてる時、ずっと傍に居たいって思った。

流石に面会時間とかもあるから無理だったけどね。

目が覚めてから、少しでも一緒に居たいってなった、○○くんの傍に居ると胸の奥が満たされる感じになる、それでいて胸の奥がキュッて締め付けられる。

これからも、一緒に居たい。ずっとずっと、一緒に居たい。

誕生日だからって、図々しいって分かってる。それでも…」

 

 

ロボ子姉の想いに俺も応えたい、でも俺は…

 

 

「ロボ子姉…俺は…俺は…!」

 

「ううん、ごめんね、こんな事急に言われても困るだけだよね。

今のは忘れて?またね…!」

 

 

ロボ子姉は学校の方へ戻って行く、これでさよならは嫌だ、俺だってロボ子姉の事が好きなのに。

声に出せ、俺…!

ロボ子姉を呼び止めろよ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロボ子姉!!!」

 

「○○…くん…?」

 

「俺もロボ子姉の事大好きだ!本当なら今すぐにでも付き合いたい。でも、今の俺じゃダメなんだ。だから、だから待っててくれ!

どれくらい待たせるか分からない、でもきっと、ロボ子姉と隣を歩くに相応しい人間になるから!だから、だから…!!」

 

「…うん!うん!ボク、待ってるから!ずっと待ってるからね!!」

 

 

 

 

 

この時付き合わなかったのは俺の意地でもあった。

今付き合ったら、確実にロボ子姉にばかり頼ってしまう。

そんなのはダメだ、もっと対等に、並び立ちたい。

だから…頑張るんだ、もっともっと、頑張るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校を辞め15年、俺は独学で学んだ。

色んな参考書を購入し、片っ端から勉強をしたのが10年。

長い年月ではあったが、苦では無かった。

俺の心には何時もロボ子姉が居る、それだけで頑張れた。

残りの5年でその職に就くための所謂修行…だろうか?の期間だった。

あの学校はある職業の育成校みたいなとこだったから、考えが変わっていなければあるいは…

 

 

「さて、と…とうとうだ、やっと隣を歩く事が出来る、かな」

 

 

俺は目の前の建物のドアを開け、どの部屋に居ても聞こえる声で話した。

 

 

 

 

 

「失礼します!今日からここ[高性能法律事務所]でお世話になります、○○です、よろしくお願い致します!」

 

 

 

 

 

これが俺の、新たな一歩だ。

隣を歩いていけるようになるから、もうちょっとだけ、待ってて…

 

 

 

 

 

「ふふっようこそ、ううん…おかえりなさい、かな…?○○くん、ボクの大好きで、大切な人」



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