ヒューマンエゴイズム (菊川 数時)
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ヒューマンエゴイズム

【多重可能性世界】
人の可能性が溢れ行き場をなくしたことによる世界変動。それは才能ある者や無いもの差異が酷くあるということの証明であり、世界を思い通りにしょうとする人間の欲による現象。


【平常の青(ノーマルブルー)】 
 世界が用意していない人間だけの理不尽、世界の変動を拒否し変わらない普通の世界を作り上げる力。だがそれは所詮人間にしかなく世界を思い通りに変化させることもできる、そして【人類の可能性】に反するもの、阻害する者、手に余るものを無くす。そして世界さえも。



【被害者】
 あらゆる物語における異常を中心を持つ主人公とその愉快な仲間たち以外の多数の【一般人】のこと。悪と正義とかその闘いに理由もなく巻き込まれ、哀しみ。平和を穢された者たち、誰よりも【理不尽】に会うもの。



才に優れた者、英雄と囃し立てられる者、天才だと称される者、負け犬の者、一般人だと語りながら異常性を孕む者、いつかの失敗を執拗に背負いそれの慰め役を探す者、必要以上に殺人する者。

 

 

 

 

 勝手に世界に絶望した者。

 

 勝手に世界に希望を抱いた者。

 

 

 

 そういった差異から始まる争いはそれ程珍しいものでは無いが、正直鬱陶しい。

 

 極端にマイナスかプラスかという存在は中間なる存在を蔑ろにしているのだ、いや実際そうだ。

 

 よくある少年雑誌の物語で特別な力に目覚めてそれを正当化した理由で悪いやつと戦う。

 とても素晴らしい、君は正しい、君が悪くない、だから『何も知らない一般人を巻き込んでも良い、知らんぷりでもなんの罪にならない』

 

 

 

 ………そんな虫の良いことがあるのか?

 

いや、あっていいはずが無い。世界が滅ぶから?独占的な征服によって人々が苦しみから?人類が絶滅するから?悪が存在しちゃいけないから?

 

 そんな物語の主人公は私達にすれば大犯罪者だ。テロリストとそう変わらない、むしろそれで『正義』だと豪語するのだからなおさら質が悪い。

 

 そしてそれに対抗するようにある『悪』という存在だ。異常な力を欲し、それを行使する。どう云った経緯でその答えに達したのかわからないが、どうかそれに巻き込まないでほしい。お前らのそれは自慰でしかない、独りよがりでどうしょうもない、駄々っ子とそう変わらない。

 

 

 

 私達は特別でも無ければ何でもない。

特別な力が持ってしまったとしても、それを他人の迷惑被ることに使ってはいけないのだ。

 

 それでも自己認証が欲しいのか、正義と悪を名乗る闘いは終わらない。

 

 どうしてだ?弱者の見苦しい叛逆譚も見たくはない、一般人を名乗る者の異常性は滞らない。異常を正常と言い張るセカイが広がっていくのだ。

 

 私達は傍観者、どこにでもいて異常者や正義や悪や弱者より数が多く、そしてそのどれよりも被害者である。

 

 魔法も超能力も天使も悪魔も神も行き過ぎた科学も英雄も、なにも要らない。

 

たがら願った。 “一般人”は祈った。

 

『全て、普通の平和を淀むもの全てなくなってしまえばいいのに』

 

 なんて人間らしい、エゴイズム。

だけどそれは、なにも変わらない青空であることを願うような純粋な願いなのだ。

 

 

 

 

だから、少年は産まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ハイスクールD×D》という物語の一幕、京都の修学旅行中に起きた『混沌の団』英雄派による妖怪の総大将八重の誘拐、それを解決すべく悪魔で赤龍帝の兵藤一誠は仲間たちとともに最後の対決に挑んだ。

 

 その最中、それは現れた。

 

 空気が世界にあるようにそれは当然のように闘いの中に現れた。英雄派と悪魔たちの丁度真ん中に憮然と立つ少年に英雄派は、最初久しぶりに会った旧友の様に接した、だが少年は言葉は紡がず徐々に英雄たちに歩み寄る。

 

 どうやら仲間が加勢にしに来たようだと悪魔たちは身構えた。

 

 仲間たちが応援を呼んでくれたのだと英雄たちは安堵した。

 

 でも、結果は理不尽の一言。

 

 英雄派のリーダーが握手を求めたそのときに少年はその掌を握らず唐突にその腕を掴んだ、英雄たちは身構えたが何も起こらない。

 

 フッと嘲笑が溢れる、それが誰のなのかはわからなかった。英雄派のリーダーはそんな無愛想な少年に『握手の仕方もわからないのかい?』と皮肉を言ってやろうとした時。

 

 

 

 

  サァーーーーー。

 

 砂になった。腕を掴まれた英雄派のリーダーが、砂のこぼれ落ちる音を刹那に消えていった。あっさりとこの世界から

 

 そこからの英雄たちの行動は迅速なものだった、リーダーを失った悲壮には浸からず全員が少年を取り囲み。各々力を振り下ろした。

 

 一人は巨体から放たれる豪腕

 一人は精製した聖剣の一振り

 一人は磨かれた魔法の一撃

 

 それぞれが最強の一撃、英雄の子孫の名を語るに値する力だ。しかしそれは少年の理不尽に遠く及ばない

 

 拳が少年に届く前に巨体は砂となり、剣は何処にも届かず腐れ落ちていく、魔法は色彩を無くし、無に還る。

 

 少年は何もしていない、ただそこに立って事の終いを眺めていただけだった。だからこそ悪魔たちは戦慄する、ただの人間一人で神器持ちの英雄たちを完封したのだから。得体のしれない力、それは魔王にも届きうるのではと大きな危機感を抱く。

 

 少年の足元には灰が積もり、生命だったものの証を何も残してはいない。一人の英雄は地面に這いつくばり、仲間だった灰を握りしめる。少女はジャンヌ・ダルクの子孫として誇りを持っていた、自分の力、英雄の力は絶対のものだと確信していた。しかし、それを踏みにじられた、たかが一人の子供ごときに。

 

ふざけるなぁ!!と心が叫ぶ。攻撃が通らなくても何をしても無駄でも私は勝つんだ!!自尊心の呵責、彼女は再び立ち上がるまさに不屈の英雄の名に相応しい出で立ち。

 

 だが、理不尽はこんなものではない。

 

 少年に向けて手を翳す、いつもの様に聖剣を精製しょうと。闘う力を己の才能から引き出す感覚を鳴らして。

 

「あれ?」

 

 ふと溢れた小さな言葉。彼女は何度もその手に力を込める、それでも聖剣は現れない。

 

 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 

困惑よりも絶望が瞳に表れていた、涙が力を入れるたびに零れていく。英雄は、少女はもう気づいていた、自分から力が消えたことに。

 

 受け入れられない現実、再び打ち砕かれた自尊心、新たに始まる英雄譚への期待。

 

 何もかも終わった。音を立てて崩れていく私の世界。

 

「おめでとう」

 

 頭上から声がした、ふと顔を上げるとあの憎き少年が少女を見下ろしていた。少年はおめでとうという言葉に対して無表情で淡々と言葉を紡いだ。

 

 

 

「君は《人間》に戻った。行き過ぎた力である君の神器を排除した、でもこれからは君は《普通の人生》を過ごすことができる。ある程度の能力と常識があれば君は立派にこの社会を生きることができるだろう、平和に、平凡に。もし君の平和を崩そうとすることがあれば僕がなんとかしてもいい、君の才能を消してしまったからね多少は責任を感じるよ。でもねこれは必要なことなんだよ、人は行き過ぎる力を持つとそれを持て余すことを許さないからね。本能的な事だ。でもそれは大きな被害や事件を孕んでいる厄物なんだよ。君はそういうものに振り回されてきたのではないのかな?英雄も悪者も悪魔も天使も神も、君とは程遠い"一般人"になった訳だ、さぁ、喜べよ」

 

 

支離滅裂な言葉の洪水は少女の精神を瓦解するのは容易いことであった。糸を失った操り人形の様に地面に力なく項垂れる姿に少年は、一瞥をくれるだけだった。

 

「さて………悪魔のグレモリーとその眷属、自己紹介をしょうか?」

 

 くるりと脚を翻しリアスグレモリー達に少年が云った。

 

「僕の名前は《平常の青(ノーマル=ブルー)》。あ、いや別に偽名ってわけでは無いんだけど一応名前はもう一つあるしそれは人間基準だけど、どちらかと言うとこっちの方がこの状況に相応しくてね。あと君たちにはこっちの方が一番気になると思うんだけど俺がこうして現れた目的は………

 

 この『世界』を滅ぼしに来たからなんだ」

 

 

 「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

 無表情の少年が淡々と吐いた非常識な悪宣言にグレモリー眷属達は息を呑んだ、その少年の言葉の信憑性は英雄派の瞬殺によって高められていた。

 

「でも、《世界を滅ぼす》って言っても環境破壊だとか、地球征服だとか、人類滅亡って訳ではないからね。むしろ逆『人間以外』を滅ぼすんだ」

 

 

「は、なんだよそれ。巫山戯んな!そんな『理不尽』赦されると思ってんのか!?」

 

「私達にも生きる権利がある!」

 

「むしろ、貴方にそれを決める権利はないのでは?」

 

「君が何をしょうと僕らが止めてみせる!」

 

「そんなこと、させない」

 

「人間以外の種族も生きてるんだ!」

 

 

 

 兵藤一誠を引き金に眷属たちが各々の言葉をかます、兵藤一誠達はあらゆる困難にも強大な敵にも打ち勝ってきた。どれだけ不利な状況だろうが、どれだけ傷つけられようがその足で幾度も立ち上がり、その拳で未来を切り開いてきた。

 

 だから今回も同じように立ち向かう、そして勝つ。そんなテンプレートを繰り広げようと、世界が、動く。

 

 

 しかし、少年は無表情に地面に転がっていた妖怪総大将八坂に向けて指を鳴らした。

 

『…………ハッ!?』

 

 それは刹那にも追いつかない一瞬、八坂はまるで最初から居なかったように虚空に消えた。リアスたちは意味がわからなかった、コンマ一秒もなく八坂がいたと思われる無にただ唖然と眺めることしかできなかった。

 

 それはまさに『理不尽』の所業。

 

「今、八坂を消した。表面上だけだけどね、まだ歴史から消してないから、名前だけ残っているだけの二度と見つからない失踪者になった訳だ。でもどうでもいい、それより君たちは今言ったよね。『理不尽』、『生きる権利がある。』、『俺にはそれを決める権利がない』っと。確かにそれはそうだ、ここは変化してしまった世界だけどここは俺の世界でもある。そこから産まれた生物には《生きる権利》がある。そしてそれを決める権利は俺にはない。」

 

 

 「そう、そうだとも俺は壱個人でしかなくてそんな横暴が許されるわけが無い、でも俺の性質上人間の可能性を食い尽くそうとする《世界》は壊さなくてはいけないだから、この日まで俺はこの世界に付いて調べてみた。実は3日前までは君たち人外とこの《世界》はほっといても良いんじゃないかなって思ってたんだ、それはまぁ神器使いの人間とか特別な異能を持つ人間とか人外たちに殺されてきたけどでもそれは普通の一般人には向けられていなかった、それはそれでまたいい関係性だと思ったよ。だから、俺は何もしなくても良い、そう、思った。」

 

 

 無表情の少年の声色が暗い色を落としていった、表面上は何も表していなかったがどこか哀しそうであった。

 

「………………ちょうど3日前、俺は三人の親友に出会った。この世界になる前の友達に会ったんだ、あいつ等は差どんな世界でもその世界に合った才能を秀でて持っていたんだ、で今回もそうだったんだよ。うん、だからこういう事態は察知できた筈だったんだ。…………なぁ、どうなったと思う?一人は悪魔たちに輪姦された?一人は堕天使に内蔵を弄られて苦しみ死んだ?一人は天使たちに処罰という名の殺人で死んだ?…………………で、滅ぼすことにしたこの世界をもお前らも。」

 

 突き刺さる殺意、背後から忍び寄る戦慄、リアスたちはその異常なほどの恐怖に打ちのめされていた。少年は俯き手を広げた。

 

「だ、だからって!そんな理不尽………「理不尽?あぁ、そうだとも公平さを失ったやつはもはや狂人だろ?だったら俺の親友はお前らが齎した《理不尽》で殺したお前らは《人間の理不尽》で殺されても問題ないはずだろ?」

 

 一息付き、

 

「俺は、俺はこんなに世界に苛立ちを覚えたのは二度目だよ。胸糞悪い世界も俺にも、俺はアイツらの辱めの死を見て涙が流れなかった。最低だよ、友達の死を悲しむことが出来なかったんだ。だから、この世界に八つ当たりする。普段だったらいつもどおり《普通の色》でこの世界も無くすが今回はお前らを蹂躙してから滅ぼすことにした。というかここは人間の世界だ、もうお前らは生きちゃいけないんだよ。」

 

 

 人間のエゴイズム、その体現である。

 

 今日を慈しみ、人の可能性を愛する。

 

 変わらない事は停滞かもしれぬが愛は育める。

 

 普遍の世界を。私達は願う。

 

「異能も神器も神も天使も悪魔も堕天使も妖怪も龍も宇宙人も、普通以外はなにも要らない。『人間の檻』、そう普通以外を滅ぼそう」

 

そして、世界は滅んだ




今回筆を取らせて貰ったこの作品は言わば物語におけるあらゆる悲劇を根本的に無くす言わば『おれがかんがえたさいきょうのきゅうさいほうほう』、簡単に言えばFateなら根源とか魔術とか無かったら悲劇なかったんじゃね?ですね。皆さんは、この駄作を読んで人間至高を論じていてばっかだろと思いでしょうが、究極的な平和っていうのは『平等な力関係』と『普遍的な普通の維持』ですから現在の地球の支配者は人間ですしそれを基準とした平和の方がいいですしね。

結局私のエゴイズムですよね。







追伸
私、ハイディーはアニメ1期しか知らんけどなんか変だったら感想で報告してほしいです。登場人物が変だったり、コイツいねぇだろとか。
続きは…………ナオキです。


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プラン:Demon

【情熱の赤(ブースト:レッド)】
 人間の理不尽、その一つ《情熱》の体現。
可能性を滾らせて人はなにかに夢中になったり、躍起になるその人間の持つ何もかもを燃やしつくそうする炎は誰にも消すことはできない。終わらない夢幻へと至ろうとする人間の傲慢さはこの炎の起源なのかもしれない。

 




【その後のリアスグレモリーと眷属たち】

【兵藤一誠】
 左手を灰にさせられて、行方不明。

【リアスグレモリー】
四肢の神経を全て引っこ抜かれ、脳と子宮を強制リンクさせられ延々と男たちに陵辱されている。その後回収する予定、存命。


【アーシア・アルジェント】
 神器と悪魔の駒を虚無に還され、ただの死体になる。
いや、戻ったというべきか。



【姫島 朱乃】
 電線に接続され、自家発電で駒王町の電力を担っている。まだ存命中。


【塔城 小猫】
 姉の黒歌に無傷で引き渡したあと、姉と共に脳みそを砕かれる。


【木場 祐斗】
 剣が好きそうだからっていうだけで穴という穴に自身が精製した剣を詰め込まれた。


【ゼノヴィア・クァルタ】
 聖剣とその因子、そして忘れず悪魔の駒を虚無られ、生きる意味について少年自ら講義し(一ヶ月不眠不休)、今では少年とともに社会で生きる方法を模索している。
存命中。


【ギャスパー・ヴラディ】
 吸血鬼ということなのであらゆる弱点の検証実験材料と化す。例えば20キロのニンニクを無理やり食わせたり、聖水プールに突き落としたり、一ヶ月太陽の元に放置させたり(サハラ砂漠でサボテンに括り付けられている状態)、まぁ彼は今日も頑張って生きています。





【ロスヴァイセ】
 コイツが一番厄介で、とりあえず悪魔の駒を虚無ったのは良かったが半神という厄介な立場でどうすれば良いのか難儀している。とりあえず足の腱を切り落とし、隠れ家に住まわせている、彼女自身少年との生活も満更ではないとか。だが、ロスヴァイセちゃん!少年はどうやったら君を正当に殺せるかいつも考えているぞ!












 読む前にグロ注意、性的描写があるから気をつけてください。



それは突如に降り注いだ『理不尽』だった。

 

 たった一日にして悪魔の総人口から100000人が殺され、無残に、残忍に、その死を壁に釣らされ散っていった。また同胞たちの首を団子のように一本の枝に突き刺さりその表情はこの世の悲劇を体現し恐怖と憎悪を混ぜ合わせた、何か。

 

 

 この自体に現魔王サーゼクスは手をこまねいているだけでは無かった。地上にいる上級悪魔を魔界に引き戻し、各勢力に応援を求めた。 

 だが…………各勢力は応援を出さなかった。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 見てしまったのだ。

 

 神も天使も龍も堕天使も神器使いも、画面越しで行われていた、たった一人の少年の蹂躙を。

 

 

 

 

 

 アフリカのサバンナ平原に一人の少年がいた。

 

 

 齢十代の細身の何もしなくても風が吹けばすぐに倒れてしまいそうな子どもが悪魔の第一連合部隊20000人に向かって、歩く。

 

 

 連合の隊長と思わしき悪魔が号令をだす。

 

 20000の怒号が込められた勇ましき声、大地を揺らし天に響かせる、報復と誇りの意志を力に第一陣の遠距離の魔法攻撃が空に目掛けて投擲された。

 

 それは一定の高さまで上がると少年目掛けて落下していく魔法の槍の群像、その光景はさながら古の大戦を彷彿させる神々しさがそこにあった。

 

 少年はそれを無表情に眺める、自身に投擲された殺意の鋭さに不動せずに。

 

 弾着ッ!!

 

 

 

 

 

 

 少年を中心に魔法の槍は周囲の地面に突き刺さり爆発とともに砂埃をあげる。

 

 やったか!?と悪魔の軍勢と騒ぐ、だが砂埃と灰が舞う煙からヌルリっと何事もなかったように少年が現れた。

 

『チッ、第二陣!!接近戦部隊行け!奴には触れるなよ、魔法は見ての通り効いていないことも忘れるなよ!』

 

 隊長からの迅速な指示に悪魔たちは直ぐに武器を構え、少年の元に翔ける。一人がトマホークを投げる、悪魔の非現実的な身体能力をフルに込められたトマホーク顔面に目掛けて投擲されたが、トマホークの刃を少年は掴み取る。

そこだッ!!と言わんばかりに十人の悪魔たちが少年の180度から襲いかかる。

 

 

 そして少年のマントが風に靡いた。

 

 

 グサッ!クヂャ!ブシャ!ドコォッ!!

 

 肉を傷みつける醜悪な擬音性が戦場に響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       19990>1

 

 

 

 

 そして、灰が舞った。

 

 

 

 肉と血を裂きながら血塗れのマントを着けた少年が先程まで命だったモノの中心に立っていた。

 

 その姿は異様どころか異端、畏怖にだったろう、その場にいた多数の悪魔たちは戦慄し今後去ろうとする。

 

 

 それに油に火を付けるように

 

 少年は一歩、また一歩と赤い大地を歩み。

 

歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、歩み、

 

 

 遂にその枯れ草の大地に踏み入れた瞬間に心が爆発した。

 

 

『ウワァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 悪魔の連合は2つに崩壊した。

 

一つは、恐怖で逃げ出そうとする者たち。

 

もう一つは、恐怖に抗おうと神風特攻隊の如く突進する者たち。

 

 

 

 緊縛した精神を一気に崩壊した彼らにもう、隊長の言葉は届かない。

 

 

 

    

 

       19910>1

 

 

 

  少年はトマホークを投げ、飛来する悪魔たちの首を切断する。

 

 

 

 

 

 

 

      

       18200>1

 

 

  少年は二人の悪魔達の顔を両手で掴み、それを盾に正面に突っ走る。その時盾になった悪魔に触れた悪魔は次々と灰に還した。

 

 

 

 

 

 

        16500>1

 

 少年はマントの中からトプソン機関銃を二丁取り出し、周囲に乱れ撃つ。

 

 

 

 

 

 

        9800>1

 

 少年を中心に色の無い空間が広がり、その空間に有ったあらとあらゆる生命体から色がなくなり次の瞬間、灰に還した。

 

 

 

 

 

 

    

        1500>1

 

 

 少年は空を翔けて逃げようとする女悪魔の捕まえ、首と胴体をオモチャの様に引き千切りその口に手榴弾を有りたっけ詰め込み、その他の空を飛ぶ悪魔たちの集団に投げつけた。そして火と光が爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

      

        1000>1

 

        殺した。

 

 

 

 

        650>1

        

        殺した。

 

 

 

 

 

        320>1

 

        殺した。

 

 

        120>1

        殺した。

 

 

 

 

 

 

        10>1

 

        殺した。

 

 

 

         1>1

 

 

      そして、殺した。

 

 

 

 

 蹂躙の跡がサバンナの大地に広がるその中心で、少年と連合の悪魔が対面していた。

 

 悪魔、セラフォルー・レヴィアタンが血と肉の腐臭が交じる地面に尻込み恐怖で涙を流していた。

 

 対する少年は無表情でその醜態を眺めていただけだった。

 

 

 

 

 

 

 彼女は、セラフォルー·レヴィアタンはいわゆるシスコンというモノだった。

 

 妹のソーナ・シトリー/ 支取 蒼那を誰よりも愛していた。妹はエセ魔法少女の姿とふざけた言動をする姉が恥ずかしがっていたが、それより魔王として君臨している姉の姿は誇らしかった。 

 

 

 二人は微笑ましい姉妹愛溢れる仲だった。

 

 

 

 そして、彼女は見てしまったのだ。

 

 妹の変わり果てた姿を。尊厳を踏みにじられた四肢のない死体を。

 

 

 そして、彼女の心から春の暖かさが消えた。

 

 瞳に地獄の獄氷を滾らせて、妹を殺った少年を心底恨んだ、憎んだ、一寸の一時もただ少年の死に様を連想し続けた。

 

 今回の作戦も率先して隊長を名乗り出た。

 

 この手で、妹と同じ目に合わせるために

罪を償わせるために。

 

 それなのに、それなにのに。

 

 

 

 なのに、なんでこうなったんだろう?

 

 

 

 

 無表情で眺める少年の目には何も写していなかった。私も、悪魔も何も。 

 

 だから、抗うことを辞めてしまった。

コイツにとって人間以外の事は興味が無いのだ、あまりにも『理不尽』だとどれだけ嘆いても無意味だ。

 

 むしろこんなの状況が滑稽だ。逆に笑えてしまう、期待の新人悪魔たち19999人が一気に血のプールの一滴に成って、一人生き残った私は恐怖で小便垂れ流しながら地面を這いつくばっている。

 

『………、く、クヒャ、クヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!』

 

 

 彼女ができる最後の事は無我の境地による狂いだった。少年は狂った様に笑い続ける彼女の首を左手で掴み持ち上げた、丁度下半身が彼の目線上に上げられた。彼女の下半身の先から地面に向かって残った液体がポツポツと零れていく。

 

 彼女は自身の死を悟った。

 

 きっと死んでいった他の同胞と同じように尊厳の無い死を迎えるのだと理解した。

 

 これが理不尽、直面したもの全てはどうしようもない現実に逃避を選び続ける事しかできない運命の一端。人間の運命。

 

 

 そこ始まるのは長い走馬灯、脳内のドーパミンが一気に溢れ出し感覚的時間を加速させる。

 

『ねぇさん、アタシは貴方を。尊敬しています』

 

 

 

 

 

 思い出した。妹の言葉、あれはとても嬉しかった。ある日ある時に唐突に突き出された言葉が今でも鮮明に思い出せる。

 

 

 

 ーーー嬉しかった、とっても。

 

 

 

 

 

 

 狂った彼女の精神に憮然と何かが燃えだした。身体の奥底から燃え上がる何か、それは狂いを説き伏せ彼女に正気を取り戻させた。

 

 ガッ!!

 

 咄嗟に彼女は自身を持ち上げている少年の左手を掴んだ、そして彼に睨みつける。その瞳にはもう冷酷な氷の世界は宿っていない、妹の愛に燃える一人の姉の尊い意志があった。

 

『絶対にゆるさ《ザキュッ》、こふぅ!』

 

 少年は空いた右手で彼女の下半身に手刀を突き刺した、そこを弄り何かを見つけ出そうとしていた。彼女は精一杯の反撃に彼の左手を握りつぶそうとするが痛みも相まってそれほどの力に、至らない。

 

 なんとか、なんとか。傷の一つでも!!

 

 でも、そんなこと『人間の理不尽』が許さない。彼は弄る肉の中から、それを見つけ出した。それを彼女の体から引張り出そうと手を引く、それは肉体から沢山の血管と共に引きちぎられ、彼女は地面に落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは何か?

 

 簡単だ、女性の揺り籠。新たな命を宿す子宮だった。

 

 

 子宮が千切られるその痛みはもう、肉体が感知できる痛みの次元を超えていた。朦朧とする意識の中、彼女は動かせるはずのない身体を少年に向かい立とうと動かそうとする。

 

 それは真の愛のなせる業だった。

 

 

 そして、彼女は何にも掴まず虚無へと還った。

 

 

 それを見届けた少年は右手に握られた子宮を口にもっていき、食いちぎった。

 

 ーーーグチャグチャ

 

 咀嚼音が死の大地に響き渡り、一人少年は呟いた。

 

 

『…………………、灰の味だ』

 

 

 

 

 

 そして、地上の悪魔すべてが殺された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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《平常の青》は悩んでいた。

 

 まずは悪魔の虐殺だと意気込んで、殺ったしまったがそれが仇となり悪魔の3分の2を悪魔の世界に逃げられてしまった。

 

 彼には『親戚』達と違い次元とか時間とか平行世界を渡る力はない、悪魔の世界に行ける手段が全て消されてしまっている以上自力で行くしかないのだが彼には異能と呼べる力はない、ただ『理不尽』と繋がることしかできない。

 

 前途多難、では他の奴らを虐殺に行くかと思ったがそれは直ぐに却下された。魔王サーゼクスに届け物があるのだそれが腐るうちになんとかこの手で送り届けたい。

 

 う〜ん、無表情で悩む姿は異常なほど不気味の極みであった。ふと頭の中の電灯がついた。

 

 

 『アレ』だったらできるんじゃないのか?いや、できる!

 

 決心したら彼は早い、胸に腕を当てこう叫んだ。

 

 

《情熱の赤(ブースト:レッド)!!》

 

 

 

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「サーゼクス様!!大変です、奴が!!現れました!!」

 

「何だとッ!?」

 

 少年の対処を思案中にイキナリ飛び込んできた最悪のニュース、あり得るはずがない人間が、たかが普通の子どもが次元を超えてこの世界にこれるのか!?

 

「奴は炎を纏って、魔界の3分の2を包み込んでいます!!」

 

 は? 

 

「既に上級悪魔の全員が殺され、バアル様、ベルゼブブ様がお亡くなりになられました!?」

 

 は?

 

いみがわからないとおくからけむりがあがってひめいがとおくからきこえてじかんがとんでぶかたちがわめきちらかしてわたしにすがって「たすけてください」っていっててそれでわたしはなにがどうしてなんで?

 

 

 

 

「サァーーーーゼェェェェェクゥッスゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 

 

 

 

 屋敷全体に響く大声、聞き覚えがある忌々しい声、それは明確に私を呼んでいた。

 

 

ーーー向かわなければ。

 

 

 サーゼクスはホトホトと魔王の威厳の一つも感じられない、全てに疲れていた。何かの諦念を感じていた。

 

 同胞たちの命が炎と成って熱く廊下の窓から熱く紅く照らしていた、屋敷に漂う煙ったい匂いが一つ一つに助けを求める声に聞こえてまま成らない。

 

 漸く屋敷を出たサーゼクス、数十メートル先に炎を背後にあの少年が立っていた。映像で見た無表情の顔ではなく見間違える程の獣の様な笑顔でこちらを睨みつけていた。ホントにあの少年か?と勘繰ってしまうほどの変貌をしていた。

 

 でもそんなこと直ぐにどうでも良くなった。

 

 つま先に何かが小突いた。下を見る。見てはいけなかった。

 

 

「……………そ、総司?」

 

 私の眷属の沖田総司が首だけで転がっていた。よく周囲を見渡すと他の眷属たちが無残な姿で転がっていた。

 

 そして、奴が掴んでいるのは四肢を失った妻の……、………………、ぐれーふぃあ?

 

 

 

「ウワァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 サーゼクスの怒りが天を超えた。一瞬にして滅びのエネルギーの人形へと進化し、大地を蹴り上げ少年の元へと急行する。一撃の拳が、少年の頬にうち込まれた。音を超えた速度と全てを滅ぼすエネルギーが乗った拳を幾度も少年に叩き込まれた。

 

 バキバキドコォッドコォッ!!

 

 少年の骨と肉が幾度も砕かれ、壊され、粉微塵になり、叩きつけられ、その繰り返しを何も言わず受け止めていた。ただ上向きの三日月の様に口を作りながら…………

 

 

 

 その蹂躙は3日3晩続いた。その間、魔界を覆い尽くしていた炎は勢いは収まらず延々と何かを燃やしつしていた。

 

 サーゼクスはもうどうでもよかった、魔界だとか復讐だとか、今はただ!

 

『世界のために、コイツを殺す!!』

 

 圧倒的使命感。失ってしまったものは二度と取り戻せない、悪魔は滅ぶだろうそう確信していた。だがここでコイツを殺さなければ他の種族達にも同じ悲劇が降り注ぐ、それはなんとしても防がなければならない!!

 

 無限に力湧き上がる、まるで今は亡き同胞たちが背中を押して力を分けてくれるようだ。見えない繋がりを全身に感じるよ、世界が、皆が、私の心が、勝てと言っている!!

 

 

 

 

  

 

 そして、遂にそれは終わった。

 

 サーゼクスは命の限り攻撃を続けた、少年はぎりぎり人の姿をしていた。

 

 炎は収まり、大地を焦土に化した。もうここには繁栄を見せた魔界では亡くなっていた、それでもサーゼクスは満足していた。これで誰かが泣くことは無くなったと、そう確信していた。

 

 

 

 

 

 

「すげぇ、痛え!けどオレ、ビックバン以上の攻撃を受けたことあるからそれほど痛くなかったぞ!」

 

 それでも理不尽は立っていた。

嬉々とした声で、ところどころ痣をつけた程度で、笑顔で。

 

 

 

 

 

「…………………………………、ナンデ、なんでだ!!!お前、何で私達を、世界を滅ぼそうとする!!!!!」

 

 

 だからこそ力尽きたサーゼクスはその理不尽に憤ることしかできなかった。少年は顎を擦りながら少し考えた素振りを見せた。

 

「う〜ん、やっぱりオレの親友を殺されたこともあるけど……………………」

 

間隔をあけ、サーゼクスを睨む。

 

「人間の《可能性》を守るためだ。お前たち人外は人の可能性を喰い潰している、それは到底許されるじゃない!!だからオレはお前らを全滅させて、世界を。人間の《可能性》が廻る世界にする!!その為に俺は人間の理不尽を振るう。」

 

 

 人間のため、人間の理不尽を使う。

 

 また理不尽とは異種の運命の異名。

 

 であれば、その運命を創り上げるのは

 

 

      【人の可能性】

 

 

 

 

 

「さて、じゃあ今度は俺の番だな。」

 

 そう少年が言うとサーゼクスは首をもたげた、そのアクションは少年にとってとても良いベストポジションだったりした。

 

 じゃあ行くぜと言わんとサーゼクスの首を掴み、天井に斜め75度に持ち上げた。右手に炎が無から発生するその熱量は一瞬にして、魔界の焦土を再び焼き始めた。

 

「(なんだ、これはぁッ!?アツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイ!!!!!!!!!?????????????????????????)」

 

 

 炎は既に太陽の中心温度を遥かに超えており、数十倍に膨れ上がり生命の存在できるものでは無い。

 

「必殺ッ!!」

 

 

その少年の掛け声とともに炎は少年の右拳に収縮されていく、サーゼクスは脳内で危険アラームがガンガンと鳴り響いていた。

 

「逃れなくては!!」

 

 首を掴む左手に最後の力を何度も叩き込むがそれをものともせず嬉々に力を込め続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、炎が全て収まった。

それと同時にサーゼクスの首の拘束が解かれ、地面へと落下していく。そして少年は笑顔で叫んだ。

「『宇宙ゥゥゥゥゥゥ砕きィィィィィィィ!!』」

 

 光の如く拳は瞬く間の空間も時間も超え、サーゼクスの脳天に打ち込む。

 

 

 

 

ドォグワァアアアアア!!!!!!!!!!

 

 

 炎はもはやビームと化し、世界を溶かし尽くす。その熱量は魔界の次元を超えて地球の外へ、太陽系外へ、銀河団へと一直線に吹っ飛びその直線上の木星、冥王星、天王星を破壊した。

 

 まさに宇宙さえも砕く、情熱。

 

溶けていく魔界にいた少年は頭をかいて呟いた。

 

 

「リアスグレモリーの胎児返すの忘れた」

 

 

 そういって、人のナリソコナイを握りつぶした。

 




なんか世界滅亡のプラン思いついたから打ち込んでやった(誇らしげ)!! たぶん後2話書いて終わりかな、不定期だけど。

 とりあえす結構エグい描写書いたけどダイジョブかな?まぁ平気やろ(適当)




そして、最後に普通以外よ。私達の人間の可能性を舐めるんじゃないぞ。お前らに明日なんて、未来なんて、一歩でも踏み荒らさせはしない、人間はいるぞ。







 読んでくれありがとうございました。


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継ぐもの、続ける者

【神】
 なんてことはない世界の偶像して妄想、人の可能性を制限し食い潰す虫以下の存在。元から存在する命ではないのだから。だがその存在もまた人間の安心するための依代だったのだ。



【人間】
 生命の一つ、可能性の申し子。その弱さと執念は時間をかけてあらゆる可能性を実現する、侮れない生物。起源は誰にもわからないが、神の創造物ではないことでは確かだ。





パンドラの匣、なるモノをご存知だろうか?

 

 簡単に話してしまうと、パンドラの匣にはあらゆる《厄災》を詰め込まれていたまさに禁忌の表し。だがある時、パンドラなる女性が何かの間違いかその匣を開けてしまった。

 

 世界には匣から湧き出した《厄災》が満ち溢れるようになった。

 

 命を運ぶそよ風は病魔を運ぶ死の風になり、母なる海は大いに荒れ近づく者全てを飲み込み二度と大地を踏めぬようになった、生命が育まれる大地は割れ、火山は噴火し灰の世界と化した。

 

 

 人は、生物は、何も出来ずに絶望していた。星は生命が住める世界では無くなってしまった、絶望がただ着実にけど見えずに世界を蝕んでいった。

 

 しかし、匣の奥底でまだ《希望》がありました。

 

 《希望》は匣から飛び出し、世界全体を愛おしく包み込みました。すると、どうでしょう《厄災》は《希望》によって打ち消され逆に《希望》が世界に溢れるようになりました。

 

 世界は今も続いています。

 

 

 

 といった神話の一節に綴られた一人の女の自業自得の物語、それが『パンドラの匣』。

 

 だが果たしてパンドラは愚かなのだろうか?《厄災》とは何だったのだろうか?《希望》とは世界に満ちたのだろうか?

 

 

 そして、どうして彼女は匣を開けることを望んだのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………今では分からないことだ、どれだけ推測したところで人間の感情を図ることは神だろうが理解できやしない。

 

 

 現在が、我々が継ぐ物語でしかないのだ。

あらゆる過去の業を全て、敬意を示さなければならないのだ。それが人間の可能性に対する慰めでしかないのだから。

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 現時刻は深夜三時前、夜の帳が開かれようとする数時間前。

 

 少年は埼京線の電車に揺られていた。行き先は『埼玉スーパーアリーナ』、その他の乗客も運転手の影も見かけない車内にポツンと流れていく夜景を眺めていただけだった。

 

 事の始まりは一通の手紙だった。魔界を溶かしきった後次のターゲットを求めてサハラ砂漠を放浪をしている時だった、空から白封筒の手紙が風に運ばれて少年の足元に落ちた。

 

 

 躊躇いなく手紙をこじ開けると読みにくいほどの達筆な文字で何かが書かれていた、ただ最後の行に『平常の青へ』と書かれていた以上、自分宛なのは理解した。

 

 数時間灼熱の砂漠で頭を捏ね繰り回して、手紙の解読に没頭した結果どうやら他の勢力全員と自分とで平和的解決を図りたいため埼玉スーパーアリーナにて会合を開きたい、どうかそれに参加してほしいという内容だった。

 

ーーーー罠だな。

 

 それはバカでも分かる罠だった。でも少年は敢えて引っ掛かる事にした、正直世界中あるき渡って人外共を駆逐していくのはイタチごっことそう変わらない状況で自分自身手を焼いていた所だった。ここでその会合(笑)に参加することで人外共を一網打尽出来ると考えた。

 

 

 そして、現在に至る。

 

 終電が過ぎたにも関わらずこの電車があった時点でここは奴らの領域と化した、しかし少年は警戒も何もせずに思い思いに寛いでいた。

 

 これは一種の慢心というやつだった、少年の存在上あらゆる異端異常の力を無に還す力が働いている。その効果は神々にも適応されているもちろん天使にも、堕天使にも、龍にも。

 

 

 だが、だからこそそれに人外共は気づき行動を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、少年の居た車両が吹き飛んだ。

 

 

 ただの爆発、魔力も神器も何も介していないただの自然的な爆発。火は線路を溶かし、車両の一部は住宅街までに吹き飛んだ。

 

 その様子を空から眺める数万の黒と白の翼を持った人型が居た。

 

 

「奴さんは、あらとあらゆる異能を無に還す。ならアイツにはどんなことをしても死なないのか?いやそんな筈はない、あいつは言った『人間の理不尽』だと『可能性』だと、だとしたら人間の引き起こすあらとあらゆる『現象』を受けなければならない。アイツは『普通の攻撃』しか効かないんだよ」

 

 堕天使の総督アザゼルは燃え盛る車両を淡々と眺めながら独白を作り上げた。その横には天使長の姿もあった。

 

 

 人外共は手を組んだ。少年の存在は自身らの存在の危機だと理解した上で勢力間のいざこざを洗い流した、表面上は。

 

 しかし、同一の敵を持った彼らは強い。どうやって奴をこの世界から排するか、そこで世界からの修正が掛かった。アザゼルの頭にこの妙案が閃いたのだ、まさに天啓と呼べる策だった。ただの推測で成り立っているこの作戦は勢力達にも危険な賭けだった、そして奴らはその賭けに勝った。

 

 

 

「まだ生きています!!」

 

 他の天使からの報告を受けアザゼルは双眼鏡を取り出し、覗く。そこには炎から這い出てくる少年の姿があった、しかし腕に鉄片が突き刺さり望んでいた少年の無表情の表情に苦悶の表情が浮かんでいた。

 

 ニヤリとしたり顔のアザゼルは次の支指示を繰り出した。天使と堕天使の複合隊は頷き

指示のとおりに少年を囲んだ。

 

 そして懐から、黒い凶器を取り出した。 

 

 少年はそれが何なのか嫌でも理解した。俗に言うマシンガン、人間が作り出した文明の日陰の代名詞『兵器』の一つ。

 

 瞬時に少年は落ちていた鉄の板を蹴り上げ、それを振り飛ばした。少年の火事場力の乗った鉄板は囲んでいた数匹の天使と悪魔の胴体を切断し、夜の闇に消えていった。 

 

ーーー今だ!

 

 少年は線路の上を走り出した。がむしゃらに後ろから迫り来る天使と堕天使から撒くために、奴らは銃を乱射しながらギリギリ少年に当たる寸前に撃ちながら、逃げ惑う少年で遊んでいた。もちろんこれも作戦の一つでもある為、その上で人外共は弄んでいた。

 

 

 ギリッと歯を喰い縛る。少年の心には悔しさが込み上げていた、自分が人外共に弄ばれ良いように誘導されているこの状況に憤慨していた。腕に深々と突き刺さったままの鉄片を抜く痛みは想像絶するモノだった。

 

 

 

 

「(奴らは俺を埼玉スーパーアリーナに誘導する気だな)」

 

 頭に血が登る、だがそれ以上に彼の心は冷静だった。人外共は広い羽を羽ばたかせ銃を乱射している、その気になれば急接近して鉛玉を直接打ち込めるはずにも関わらず少年に当たりかけるギリギリの距離を保ちながら飛行している。

 

 

 体力切れを待つ?それはない、五分も走れば着く距離で襲撃する面倒なんてしない。

 

 では目的地に追いやることで俺をどうするつもりなのか?知らん考えたところで分かりはしない。

 

ーーーだが、それと同時に分かることがある。

 

 

『埼玉スーパーアリーナについた瞬間、《情熱の赤》を発動させてアリーナごと焼き尽くしてやる!!』

 

 

 目的地は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 底知れない闇の中、それを世界と呼ぶ。

 

 人は何かから生まれたのか、聖書の神による創造か?

 

 それともただの猿からの進化か?

 

 

 それ以前に《神》とか言う存在は何が根源か、一説では自然現象の擬人化とかなんとか。人の想像絶する現象全てを昔の人々は《神》と呼んだそうな。

 

 それに比べ私達人間は何なのかさえ分かりはしない。だが生命の誕生は《奇跡》と名付ける事が出来た、それはいくつのも因果を超えて生まれた《可能性の末》。

 

 

 

 

私達は望まれて生まれたのか、それを決めるのは『私達』だ。

 

 たかが妄想の型を超えぬ存在と《可能性》溢れる生命、どちらかが素晴らしいか問うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 ただ『可能性』が齎す生命の神秘は影を創り光を喰い尽くす、そういう選択肢も私達人間に委ねられている。

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 少年はアリーナの扉を蹴り飛ばし突入した。

 

 

「…………………あれ?」

 

 

 覚悟を決め突入した死地はガランとしていた。人の影も見かけない、それどころか先まで追いかけていた天使と堕天使の姿もいつの間にか消えていた。

 

 拍子抜けに思えたその瞬間、ヒュンッと空を切る音。

 

 少年はふと天を見上げると同時に、一投の槍が少年の右肩から下までを割いた。

 

 欠伸をする様な合間もなく、多種多様の武器が少年の身体を豆腐のように切り刻んできた。

 

 光の速度を超える鮮やかな色とりどりの閃光は物理の干渉がやっとこさ追い付き、その威力を発揮した。

 

 音も光も何もかもが間に合った瞬間、宇宙の創造を少年は見た。

 

 

 そして、爆発した。

 

 

 エネルギーは光、熱と化しあたり一面を更地にした。

 

 その地平線の向こう側に光の化身たちが無数に立っていその筆頭に隻眼の老人が顎髭を弄っていた。

 

「……………まさか、生きとるとは。全く想定外もいいところじゃ」

 

 

 神々の武具その全ての山の中心に、少年の首があった。少年の血が人の許容量をとうに超えており、血の海を創り上げていたが。それでも少年は神々を睨みつけていた。

 

 

「惜しい、実に!惜しい………………、それほどの執念と殺意!!わしのところに来れば良い英雄として向かい入れたのに、実にもったいない。」

 

 

「だが、ワシも神話の長。人間の域を超え我々の危険因子となり得る存在は全力で排除しなければならないのだ」

 

 

 老人の言葉区切りとともに神々が再び武具を少年に突き刺さった物を引き寄せ構える。少年は糸なき人形の如く地面にへばり付いた。

 

 身体がまだ残っているのは奇跡にも近いが少年の体は今にも崩れ落ちる寸前、神経の全てが断ち切られ立つこともできやしない。

 

 

 彼を助ける者はない、人外側の勝利は確実だった。過去最大の虐殺事件が幕を閉じようとしている緊張の中、今にも解き放たれようとする神々の力。そんな中だからこそ……………

 

 

 

 

「…………………………………クヒィ…………………」

 

 

「…………………………………………、お主何故笑った。」

 

 

 

 命の末にも関わらず少年は心の中で大笑いしていた。それが思わず口に出たそれだけ、だがオーディン達にすれば意味の分からないことだ。

 

 

ーーー人間の域を超えた、だって?

 

 

ーーー俺が?

 

 

 

 少年は知っていた。あらとあらゆる苦難、理不尽、絶望、虚無、運命、宇宙、それらと戦ってきた『親戚達』のことを。

 

 『親戚達』の中で少年は格下の力の持ち主である少年が人間の域を超えた存在だと神々が言った、それは侮辱だ。

 

 

 湧き上がる怒りと嘲笑、親戚たちの一人が行った言葉を思い出す。

 

 

『化物じみた人間に成る、それが俺たちの《可能性》だ。それは俺たち人間の最後の尊厳、けっして踏みにじられるな』 

 

 

 意味の分からない言葉は今でも理解できないが、それでも心が理解していた。

 

 決して踏みにじられてはいけないライン、それを守る《人間の可能性》の守護者。

 

 もう一つの名前、少年の本当の真名。

 

ーーーー違う。ここで倒れ伏せる事が、『人間の域』だとかいうものを創り上げる付け上がった人外共を赦していけない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………、お、………、…おまえだちの、ゴブッ………………ろ、ろ…、考えの低さに呆れて、な。つい嘲笑っちまった。」

 

「なんだと?」

 

 

 少年の不遜な態度が最後の悪あがきと嘲笑う神々とオーディン、分かりはしなぁい何かが立ちはだかっていた。それは少年の言葉に耳を傾けてしまう効力を発揮した。

 

「お前らは……………、《人間の域》だとなんとか言ったな?」

 

「その通り、ワシらは貴様のような人外を許してはいけないのじゃ「ハンッ、俺が?人外?許されない?だから程度が低いんだよお前らは。」

 

 有無も許さない。

 

「お前らは、お山の大将気取って人間の力に、ビビっている小物でしかないんだよ!!わかるか?お前らは創造上の空っぽの存在なんだよ、そんなお前らが俺たちの可能性を決めんじゃねぇ!!!」

 

終わらない。

 

「所詮、その程度としか思っていないお前らはこの世界を。いやもう世界なんてどうでも良い、人間の未来だ。人間の未来を創らせる訳には行かないんだよ、そんな老害であるお前らはさっさと過去に沈んで消えてくれよ!」

 

 

 この世界は、いや、未来は人間の物だ。

 

 それら宇宙の果まで変わらない、命には、人間には、《無限の可能性》がある。それは時にして過ち、誤解、悲惨、絶望を齎すが、最後には《希望》が溢れる。

 

 禁忌は時にして災厄を齎すが人を更に《可能性》を高めてくれる。

 

 

 人は永遠にパンドラの匣を開け続ける。

 

 

「それでもお前らが虫けらの如く、人間の可能性を食い潰そうって言うなら。俺は!」

 

 

「俺は!お前らを駆逐して、子どもたちの未来を継いでいく!!」

 

 

 

 

 継いでいくのだ、繋いでいくのだ。

 

 

    《心義》の名のもとに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが、それで世界は廻っている。ワシらのお陰でこの世界の平穏を、豊かさを保っている。それは永遠に変わらないこれまでもこれからも、そのために貴様は死ぬべきじゃ」

 

「上ォォッ等ゥゥゥッじゃねぇかぁっ!!老害共ォォッ!!」

 

 

 正真正銘最後の力を振り絞り、流れ落ちる血液と共に立ち上がる心義の少年。対するは世界に長々と巣食った神々、何万柱。

 

 数と状況は絶望的、それでも諦めない。

 

 少年に宿った名前とその誇り高き役割の為に。

 

 

 

 

「あぁ、そうだ。消えてくれよ老害共。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーバシュッ。

 

 軽い音、それはオーディンの額から発せられた貫通音。

 

「はへぇ?」

 

 呆けた遺言を最後に北欧の主神オーディンは暗殺された。少年の仕業ではない、神々は突然の事態に混乱していた。

 

 

 ふと日の光が世界に差し込んだ。

 

 それによりその正体が現れた、地平線の向こう側からポツポツと黒い影と一つの大きな人型の影が現れた。それは少年たちを取り囲む様に360度全方位に。

 

 

「『我々は知っていた、貴様らを。その上で我々は貴様らに適わないことを過去の祖先たちは理解した。』」

 

 

 遠方はるばるから聞こえる拡声器から聞こえる男性の声。

 

「『そして我々の祖先たちは今の今まで貴様らの影に怯えながら、その対抗策を模索していた』」

 

「『本当に長い長い、道のり。二千年、それがお前らに対抗するまで我慢し続けた苦渋の歴史だ。』」

 

 

 そして聞こえてくる地を揺らすような足音。

 

 

 

「『貴様ら、人外共に怯える時代は終わりだ。後は我々だけの世界だ、いや、未来だ!!』」

 

 

 世界を変えるのも導くのも平和を齎すのも全ては『普通の人間たち』が行ってきた。英雄じゃない、神でもない、異能を持つ者ではない。

 

 全ては力なき人の業、決して歴史に残らない凡人達の偉業の証。

 

 

 それが、『未来』

 

 

 

「『全軍、未来のために。死ぬのだ!!!』」

 

 

「『『『《《《うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》》》』』』」」」

 

 

 

 

 未来守る者たちの咆哮、世界に響き渡り、太陽はその勇姿を照りてらし、戦士たちはその腕を振りかざし神々を蹂躙せんと意気込む。

 

 もう、誰にも止められない。

 もう、逃げ場はどこにもない。

 

 

 人類の、普通の人々の怒りが燃え上がり闘いへと挑む。

 

 その姿を天使長ミカエルは知っていた。遠い昔、神話の時代にパンドラという少女を殺したとき。

 

 彼女は笑っていたんだ。獣のようになにかに喰らいつかんと、嬉々とした光を絶やさない瞳を輝かせ、散っていく姿を。

 

「これが、人間か。創造主では作れない訳ですね」

 

 それを一言を最後に穏やかに笑うミカエルは、超重力砲に巻き込まれ塵もなく消えていった。

 

 

 

 

 

 

    あとは、『世界』だけ。

 

 

 

 

 




【パンドラの匣】
 人が永遠と開け続ける匣、その中には可能性の闇が詰め込まれてい未来を悪い方向へと差し向けるが、最後の希望によってその逆境からさらに発展させてくれるモノ。最後の希望とは人間誰しもが持つ、【愛】なのかも知れない。だから尊敬しょう最初にパンドラの匣を開けたパンドラを。








どうでしたでしょうか?
すいません遅れてしまって、一気に書いたせいで色々と変なところあるかもしれませんがご了承を。
あと一話でこの物語も終わり、弱いだけの人間は時にして愛するものを護るために可能性を武器に立ち上がりこの世界を守ってきました。それはなんてこともない普通の人々、決して歴史に名前が乗らないような平凡な人々。だから私はそんな人たちをきっと英雄と、言うのではないかと思います。

それではそろそろ、筆を降ろさせてもらいます。
感想くださいな。

追伸
真ゲッターロボ〜地球最後の日〜を見てて遅れたわけでは無いので悪しからず。
俺は悪かねぇ!!!


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争いの宇宙へと


 納得行くまで時間の掛かったが、どうにか完成しました。色々とめちゃくちゃなのは、目を瞑ってくれると嬉しいです。


 比較的に生まれてしまった。

他生命体とは関係なく、平等性が欠ける事はしたくないだけとか。

 

 色を教えてもらった。

『■』だとか、意味が無いのは分かっているのだろうか?ここは宇宙だけなのに、暗闇と点滅する星の光だけなのに。

 

 平等性に欠けた生命体が現れた。

だから洗いに行こう、この『世界』を。『人間』を。

 

 何だこれは、こんなの、生命体なのか?

人間の手は平行世界に渡っていた、様々な形を取り立ち塞がる『理不尽』を薙ぎ倒していく。

 

 分かる筈のない答えが広がるこの暗闇を自由に泳ぐ彼らは、高次元的な異能があるわけが無い。いや、ある者もあるがそれより輝いて見える者がある。

 

 特別じゃない、ただ『生きたい』?ただ『行きたい』?ただ『活きたい』?

 

 解らないんだ、彼らは。『人間』は。

高次元の『神々』に比べ劣った生命体なのに、その神々が創ったシステムを破壊していける。

 

 そのくせ大きな欲望を持つ癖に似合わない位の短命。

意味があるのか? 

 

 そしたら、気がついた時には同じ物を背負った『人間』がその摩天楼に穴を開けている。

 

 無限に紡がれる命の螺旋。

 破壊されていく次元の壁。

 喰い潰しあう同種の闘争。

 

 そして、誰もが望む。

 何も変わらない『平穏』

 

 それは『進化』と言った。生存しょうとする力、抗おうとする力。

 

「私はココにいる!!」と言う為に、自分がまだなんの為に生まれたのかも知らないけどそれでも。

 

 叫びたくなる、僕も『可能性』なんだと!

それは人間すべてが持つ力、それを捨てた異能。

 

 卑しく、賤しく、愚かしく、醜く、羨ましい。

 

 異能が。神々が。星星が。異生物が。理不尽が。

『人間』に近づき、這い寄りその力を奪おうとしているなら。

 

 

 

ーーーすべての『平穏』の為に虚無に還す。

 

 

 

 

 青色空、駒王学園の屋上で一人の少年が天を仰いだ。

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 兵藤一誠はそこで目を覚ました。

一人には大きすぎるベットと伽藍堂な部屋、ゆっくりと体を起こし、自身の右腕の存在を確かめる様に撫でた。

 

 あれは夢だったのか?目覚めたばかりの呆けた頭で、一誠は今までのことを振り返る。突如として現れた『少年』によって消された右腕、次々と灰と化す仲間たち。最後の景色は何処とも知らない路上で倒れ込んだことだけ。

 

「………そうだ、そうだよ。アレは夢だったんだ。」

 

 そう、あれは全て悪い夢。起きればリアス部長がいる、仲間たちがいる何も変哲のない『平穏』がある。そう一誠は己に言い聞かせた。悪夢と全てを片付け、いつも通りに夢を朧気な記憶の隅へと追いやる。

 

 そうなると次に湧き上がったのは不安だった。

一誠はやはりその不安を拭いきれずにいた、どうもあの感覚が脳にこびりついて離れない。そう右腕が灰へと『戻って』しまう感覚を、ならばといち早く部長達と会ってこの不安を拭いきろうと一誠は制服に袖を通し始めた。

 

 すると、ドアの向こう側から「一誠、起きてるの?」のと母親のモーニングコールが掛けられた。半開きに開けられた扉の隙間から母の顔が伸び、驚いた表情を見せた。

 

 なんだか久しぶりに再開した様な感傷が湧き上がった。瞳は微熱を帯びて、ホロッと涙出そうになった。

 あれ?と疑問符が浮かんだ。

いつも通りではない事が今一誠の身に起こっている、どうしてだろうと思考を張り巡らすが。矢張り、口に出して聞かなければ理解できない。

 

「母さん、リアス部長達は?今日はまだ寝てるの?」

 

 

 そう何時もなら、同居しているリアス部長かアーシアが起こしに来てくれるのが兵藤一誠の日常の始まりなのだが。それが今日に限って無い。

 

 だから、それを夢で片付けるものではなかったのだ。

母は意味の分からない風で首を傾げた、すると態度は言葉として明確に表現された。

 

「誰よ、その人?」

 

「……………は?」

 

 現実から遠のいた筈の夢が、真実に変わった瞬間。

人はその要領を得なくなる、受け止める事が出来なくなる。

 

 気付いたときには、もう家を飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして、

 

 

なんで、

 

質の悪い冗談なんだと、ドッキリなんだと。

 

 

首根っこを掴んでも、それに怒っても。

 

 

 

 皆は、口を揃えて。

 

『知らない』

 

 木場も、小猫ちゃんも、アーシアも、ゼノヴィアも、ギャスパーも、朱乃さんも、そして。リアス部長も、何処にも、最初から居なかった様に成っていた。

 

 旧部活棟の部室にも行った。朱乃さんの神社にも行った。先生たちにも聞いた。生徒会にも行った。

 

 取り敢えず、思いつく限りの場所へ

思い出がある筈の場所へ、息を切らして奔った。

 

 

 そして、結局何も無かった。

 

いや、最初から気付いていたんだ。本当は。

 だって、右手に宿っている筈のドライグの意志が感じられていなかったんだ。

 

 こうして、現実を突きつけられるまで盲信していただけなんだ。

 

 

 

 やっと、足を止めた時にそこが校庭だった事に気付いた。学校に備え付けられた大きな時計を見上げると、それはもう二時限目の半ばの時刻を指していた。

 

 現実が、兵藤一誠という人間を否定している、そんな疎外感が世界に満ちているように思えた。今までリアス部長達との思い出の痕跡が跡形もなく、いや、最初からあるはずの無い妄想に成っていた。

 

 一体どちらなのか?

悪魔の様な非現実的なあの日々が本物なのか、それとも偽物なのか………。

 

 不意に学校を見上げた。何かが足りない、そんな欠損した駒王高校を正面に兵藤一誠は膝から、崩れ落ちた。脱力感が唐突に彼から生きる力を奪ったのだ。

 

 このまま、息を止めてしまおうか。とも思った、それだからか。一誠はふと屋上に人影を見た気がした、こんな時間に誰が?最後の好奇心が腕を動かし、日差しを遮った。そして、息が止まった。

 

 

 あの『少年』が居た。

あの『悪夢』の元凶が屋上の鉄柵の向こうで、こちらを見ていた。

 

 こちらが『少年』の存在に気づくと、手の平を上下に降ってきた。どうやら、来いと言っているようだった。兵藤一誠は最後の力を振り絞った、皮肉なことにあの『少年』が自分にとって最後の希望なのだ。

 

 全ての平穏の為、リアス部長達との日常を奪い返す為。

 

 兵藤一誠は、再び駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勢いよく、屋上への扉が、開かれた。

二度目の全力疾走は、貧弱だった人間の頃と同じ体力に成り下がった一誠には、厳しいものだった。

 

 息を切らし、肺の隆起を繰り返す。

頭を上げると、あの『少年』が出会った頃と同じ無感情な表情でそこに居た。青空とコンクリートの境に、二人は再び対峙した。

 

 フツフツと一誠の中で、何がが煮えたぎってきた。

腸が燃え盛るような錯覚も憶え、無性に奥歯を強く噛み締めた。息も整っていない一誠は、小柄な『少年』に掴みかかり、鉄柵に叩きつけた。

 

「リアス部長達を、どこにやった!?」

 

 怒号の儘を吐き出す。

右手を灰にさせられた事など忘れ、今にも殴り掛かってやろうと考えたが、最後の理性が一誠を踏みとどめた。

 『少年』はそれがどうしたと相変わらずの鉄仮面であった、一誠はなにか真っ白いキャンパスに話しかけている錯覚をした。

 

「…………………、説明が欲しいなら、勿論説明をしょう。君には、その権利があるから」

 

 平坦な声音で告げられた一誠は、取り敢えず『少年』を地面に下ろし、話を聞くことにした。

 『少年』は乱れた襟を正すと、真っすぐにまるで大学教授のように言葉を紡ぎ出した。

 

 

「兵藤くん、君は何かスポーツはした事はあるかな?」

 

「は?何を言ってんだ、話が逸れている」

 

「君に『納得』してもらおう説明をする為に、必要なんだ。付き合ってくれ」

 

 スポーツ、そう言われても学校の授業でやったバスケとかサッカーしか思い当たらない。

 

「スポーツってのは相手と試合し、競い合うことを前提としなければ成り立たないモノなんだ。相手に勝つために技術と能力で競い合う。」

 

 何もスポーツに限ったことでも無い、人が努力し、何かに打ち込む。その根本には『相手に勝つ』という明確な目標がある。否定する事のできない確かな闘争心というモノを人は無意識に持っている。

 

「俺は、これが『戦争』を縮小したモノだと思っている。」

 

「は?」

 

「試合で勝っても負けたとしても、それは次の糧へとなる様に。戦争でも、効率よく人を殺す為の兵器を開発し、その科学力を高めていった。事実、その副産物が今の人間の暮らしの支えと成っている。」

 

 人の時代は良くも悪くも『戦いの歴史』で成り立っている、生きるために命を刈り取る武器を作り出し、それで文明と死体の山を築いてきた。

 

「人は闘いを辞められない、闘いとは、人類が、生命全てが本能的に知っている“進化への手段”だと………。けど人類同士の争いにも停滞の兆しを見せ始めた、人間にはその本能を抑える理性があった、そこが他の生命体との差だとも言える。」

 

_____このまま、闘い続けることは非効率的だと。

 

 一誠は身のしれない悪寒に襲われた、これ以上は聞いてはいけないと彼の本能を揺るがす。語る『少年』の声音が段々と興奮を感じさせた、これが理性から来るものなのか兵藤一誠はまだ分からない。

 

「だから、仮想敵を創ることにしたんだ。

それが悪魔、天使、堕天使、妖怪、龍、そして神と言った非人類だ。」

 

 息が詰まった。

兵藤一誠の思考が灰色に成った、五感はおぼつかないモノとなり、『少年』の語りが耳を通り過ぎていく。

 

「“大いなる存在”によって創られたソレ等は、人間のカタチと人間を遥かに超える力を与えられた。が、一つだけ与えられなかった物があった。それが、」

 

 

________《可能性》。

 

 これこそ、神々や人外共が恐れ、封じ込めようとした物。いずれ、可能性の餌食となるその“存在の運命”を変えようと奴らは人類を、食い物とした。

 

「そう。奴等にも感情があった。恐怖だ、矮小な奴らは人類の可能性を止めるべく様々なことを行った。それが君たちの世界で言う“神器”と呼ばれる物だ、あれは人間の可能性を力として分散し、人間を下位位存在へと陥れるシステムだ。あとはいい感じに管理、支配すればいい。」

 

「他の世界線では、“異世界転生”や“異世界特典”、あと“レベル表示”なんてものもあった。強大な力を授けられた人間に成長も進化もあり得ない、彼らには永い研鑽も無ければ“死”が敗北とも思わない」

 

 なにかに負けて弱いまま死んだ奴が、一体どうして次の世界でも強いはずがあるか。己の可能性を捨てた者に進化への栄華は有り得ない。

 

 成長とは、決して数値にして満足するものでは無い。

レベルの上限が100までだとして、そこが己の最終到達点だと足を止める、それは進化への怠慢でしかない。

 

 

 

 

「例えどれだけ強い力や"設定"が有ろうとも、いずれ人類の可能性によって敗れる。この工程を“進化”と言わずしてなんというか!!全ては“大いなる存在”と進化の果に意味が有る、人間にはその権利がある、資格がある!」

 

 

 この宇宙において、生命と呼べる者たちは余りにも無力な存在だ。しかし、生命には“生きる意志”が有る、その意志はこの世界を大きく変化させ、そして進化させる。闘いと可能性のサイクルは無限に続く、その果てに人類は何を見るか?それは永劫に続く人類の幸福な課題なのだ。

 

「それを邪魔する者は、“悪”だ。だから、俺が居る。全てが人間の『平穏』と『進化』為に、おれは全てを消す」

 

 

「…………なん、だよ、それッ!!?何なんだよ、リアス部長達は俺達の進化の為の消耗品なのかよ!!悪なのかよ!それじゃあ、よっぽど人間の方が……………!!“大いなる存在”ってなんだよ、進化の果てって何なんだよ!!」

 

 

 兵藤一誠が叫んだ。

進化だとか、可能性だとか。そんなものに己の人生が否定されてしまうのが嫌だった。叫ばずにいられるものか。

 

 そして、世界が突如暗転した。

夜とは違う暗さではない、まるで世界という一枚の絵に黒いペンキがぶち撒けられたかのような。いや寧ろホントにそうなってしまったと思ってしまいそうになる、五感すべてが暗黒へと染まり自己の存在が何処にあるのか解らない。

 

 でも、遥か遠くの地平線、そこにある街には太陽の陽射しが降り注いでいた。それで、兵藤一誠は気付くことができた。自分は今巨大な何かの影の中に居るのだと、闇が目に慣れ始め上空を見上げると“ソレ”はそこに居た。

 

 

 天を覆い尽くすほどの面積、微かに分かる土色からは生命の鼓動とうねりがある、ビルの光が天に点滅するとそれが巨大な何かの瞳だと思いついた。

 

 “ソレ”は漸くその頭部の全容を表した。

瞳は円形の口に沿うようにして6つ瞬かせ、星を容易く削り食えそうな口、土色の身体は軟体的で例えるなら“芋虫”。余りにも巨大過ぎる、銀河系では測りきれないその全長。

 

 何もかもを超越した生命体が大きくその口を開けた。

 

 その時、見てしまった。

口内に広がる虚空の宇宙を、瞬く間に星の光が消えていきあらゆる存在を許さない虚無の力。闇が語りかけてくる、お前は居ないと。この世界にいなかったと。

 

 この星を、生命の存在を根本から否定する虚無に兵藤一誠はただ諦めた。あれには敵わない、あれは戦えるモノでないと直感し、心を閉ざし、逃れられない天災にただ怯え、膝を抱いた。

 

 

 地球を食らわんとするソレが吹っ飛んだ。

 

「は?」

 

 

 絶望から一転、再び世界に日の光が降り注いだ。

一体何が起きたのか、要領を得ない所で宇宙に異様なモノが写っていた。

 

「…………拳?」

 

 それは巨大な拳だった、その拳があの虚無の虫を殴り飛ばしたのだ。拳の表面には緑と青と砂色の何かが張り付いていた。一体何者、いやなんの拳なのか?宇宙を見渡すと拳はこの地球と繋がっていた。

 

 そして、地面がうねった。

街が、海が、山が、空が、上下左右に移動していくそのたびに地表は割れ、大きく揺れ立つこともままならない。だが『少年』は微動だにせず変わりゆく宇宙と地球を眺めていた。

 

「進化の果てとは何か?それはまだ解らない、だが、我々は進化しなければ成らないんだ。平行宇宙を無意味に食い尽くす虚王蟲や全ての世界の生命を取り込もうとせんとする者達と戦い抗わなければならない」

 

 

「“大いなる存在”が何を齎せんとするか、それでも私達が生き残るためならば全てを糧としなければならないのだ。」

 

 

 揺れが収まると兵藤一誠はゆっくりと眼を開けた。

 

「これが………、進化なのか………」

 

 空は逆転し、大地は上空に、海は横に。

地球は変形したのだ、それも巨大な人形に。

 

 これがこの世界の本来の進化。

この人類が到達した、闘いの為の武器。

 

 進化とは、その種以外の生命を淘汰することと言う。が、生命そのものを淘汰するの者たちが居るなら。

 それは間違いなく、“正義”なのかもしれない。

 

 活きるため、生きるため。

闘争を繰り返し、人は進化し続けなければならない。

 

 それが、全ての生命の尊厳を護るためなら

 

 それが、肉の意志たる人間としての役目なら

 

 

「一誠くん、俺は最初に言ったように全ての生き物には生きる権利があると言ったね。そうとも君たちが正しい、生きる権利をたった一人の人間が決めていい物じゃない。」

 

 

_____けど、言葉が続く。

 

「けど、それでも逃げる続ける事はできない。いつか全ての宇宙の生き物達はあれ等に立ち向かわなければならない。“大いなる存在”は人類に進化の機会を与えられたなら、人はその義務として永劫に闘い続けなければならない。例え他の生命を滅ぼすことになっても」

 

 

 だから、と言葉が続く前に『少年』は兵藤一誠へと翻し、微笑んだ。

 

「君には、その義務を先に果たしに行ってほしい。君はこの世界に、可能性(主人公)に選ばれたのだから。」

 

 呆ける暇もなかった、背後にとてつもない速さのモノが迫り降り立ったのだ。その影が兵藤一誠を包む、兵藤一誠は恐る恐る振り向くとそれは視界を埋め尽くす程の朱だった。

 

 とてつもなく朱に染まった紅の鎧、胸には緑色の玉石埋め込まれ、頭部は西洋の龍の匠が施されていた。

 

 兵藤一誠はこれに覚えがあった。

 

「ドライグ?」

 

 

 彼の神器、赤龍帝の籠手の禁じ手。それそのものが兵藤一誠を見下ろしていた。何かに引き寄せられる様にそれへと歩み寄る、屋上から落ちないように差し出された腕に乗ると赤龍帝の鎧の胸に寄せられた。

 

 深緑の宝石が一誠に反応するように、光輝いた。その光が再び輝くと一誠を包み込み、一誠はそれを見た。

 

 

 

 

 

 

 生命だ。生きる歴史だ、光の中には生命の誕生の記憶があった。それは最初、小さな微生物として海で生まれやがて陸へ上がり太古の恐竜達の時代へと変わっていく。だが、度重なる異常気象に全滅してしまう。

 

 次に猿が現れた。猿は道具を作り、炎を起こし、文明を誕生させた。動物を捕食し、生活を作り上げていく。やがて、人は火と道具を持ち戦いへと駆り出していく。

 

 多くの命が失われた、そして多くの命が誕生した。

没落と繁栄の裏に、必ずと言って“大いなる存在”の意志があった。

 

 

『友よ、恐れることはない。生命はその存在が消えることは無い、皆そこへと先に向かうのだ。』

 

「ドライグ………、皆ここに居るんだな。独りじゃないんだな」

 

 

『そうだ、生命は無意識下に意志のネットワークを構築し、全ての存在の意志と重なり合うのだ。それは時に因果であり、空間であり、時間であり、概念であり、そして“大いなる存在”とも交わった』

 

『一誠、恐れることはないの。私達はここに居る、この宇宙がなくならない限り私達は共に存在し続ける。此処には全てがある、意味が有るの。』

 

「リアス部長……!皆!そうか、そうだったんだ。悲しみも怒りも憎しみもすべて意味があったことだったんだ」

 

『そうだ、私達は共に潰し合い憎しみ合った。だが、それも全て許せることだった。友になるのだ、共になるのだ』

 

『だから、進化する時なの。一誠、貴方が今の人類の進化の鍵なの、私達の存在意義を汚す“悪”を倒さなければならないの!』

 

『『『『『『『そう、旅立ちの時だ!!』』』』』』

 

「あぁ、皆一緒なら怖くない。行こう、共に。」

 

 

 

 赤龍帝の鎧が紅く、赤く光り輝く。

生命の炎が力に、可能性が無限の螺旋を刻む。

 

 

 次の瞬間、それは赤い軌跡を暗黒の宇宙に描いた。

独りだけの赤龍帝、だが彼らは一人ではない。

 

 可能性が、無限の軌跡を描き、それは無限の力へと進化する。その力は蟲を突き破り、遥か宇宙へと、旅立つ。

 

 

 

 

 

 

 

『地球()よ、人類()よ、共に並び闘うときを待っている。』

 

 

 

そう言い残し、彼らは旅立っていった。

 

 

 ただ一人駒王高校の屋上で、一人の『少年』が赤光に手を伸ばした。

 

 

「いつか、また、会おう。」

 

そういって、少年は新たな世界へと旅立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 いつか、僕たちも逢える日まで。


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