Fate Grand Order ~歴史を紡ぐ者~ (牧弥潤巳)
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序章
その名は・・・


よろしくお願いいたします。


???「俺の・・・全魔力を使う。だから・・・保ってくれー!!」

 

???「マスター・・・それでよいのですね。」

 

???「あぁ、この子の未来を・・・ここで絶やすわけにはいかない!・・・すまない【セイバー】。」

 

セイバー「いいえ。・・・あなたはきっと素晴らしい父親になれたはずです。私も、そうできていたら・・・」

 

???「心太・・・お前は・・・生きろ。魔術の世界ではなく、ただの・・・普通の人間達の世界で。」

 

 

――――――――あぁ、またこの記憶だ。曖昧になっているはずの記憶の一部・・・

 

 

 

―――――全てが炎に包まれたあの日。

 

 

 

 

 

 

―――――意識がなくなりつつも、手を伸ばしたあの場所で。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――俺は【人】ではなくなった。

 

そう俺は―――――

 

 

 

剱崎龍斗・・・【存在するはずのない騎士】だ

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

龍斗「ん・・・」

 

朝の光で俺は目を覚ました。今でも鮮明に覚えているあの記憶から離れるかのように。

 

龍斗「・・・普通の人間の世界で・・・か。」

 

俺は胸に手を当てる。あの時に引き継いだ【二つの力】があるのだと・・・自分は人間ではないのだと思い知らされる。

 

あの時・・・俺は親父の魔力をもらって生き延びた。だがその時に――――【ある奴】を一緒に取り込んだのだ。

 

―――――

 

ここに入り込むのは久しぶりだ。

 

???『しぶといな。まだお前は俺に【喰われない】か。』

 

奥から悪魔と言ってもおかしくない奴が現れた。

 

龍斗『・・・悪いがおまかせに喰われるつもりはない。親父達が託したものを捨てない為に。』

 

???『フンッ!その思いがいつまで続くかな。』

 

龍斗「そもそも、【今のお前】じゃ俺は喰えない。【実体】を持たないお前じゃな。」

 

???『・・・』

 

龍斗『・・・』

 

俺達は黙りこむ。

 

???『フンッ!いいだろう。その時がくるまで待っていよう。だが忘れるな。お前が宿す俺の存在をな。』

 

すると奴は奥へと戻っていく。

 

龍斗『あぁ、分かってるさ―――

 

 

 

 

ソロモン72の魔神の1柱、バルバトス。』

 

―――――

 

龍斗「・・・」

 

奴は望んで入ったのではない。俺が親父から魔力を貰った時に偶然入り込んだ。奴の狙いは俺を器にして自分の姿を取り戻す事。【喰らう】とは、俺の人格、俺の精神を吸収し、体内に取り込む事。

 

ピンポーン

 

龍斗「・・・あ?」

 

ドアを開けると黒い服着た男が立っていた。

 

黒服「剱崎様・・・お迎えに上がりました。」

 

龍斗「・・・行くか。」

 

その日、俺はある場所へと向かう。そこは人理を守る為に戦う場所。あの時からそれを否定していたはずなのに・・・

 

俺は、いつも手にしているベースのケースを手に取り、見つめる。

 

龍斗「・・・これが答えなのか。」

 

それが俺の運命だと言うのなら、俺はそれを受け入れよう。なぜなら一度戦いに身を投じたのだから。

 

なぜなら、もう人である事を捨てたのだから。

 

ケースを左肩に背負い歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

人理を守る戦いに出るために。

 




今回ほ短いですが、次回から文字は長くなりますのでよろしくお願いいたします。


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戦いの始まり 前編

第二話です。次回を投稿した後に冬木に入ります。


穂乃花「うぅ・・・龍君。ちゃんと着いたら連絡してね・・・」

 

龍斗「いや、お前そんなに泣くことか。」

 

穂乃花「だってぇ・・・」

 

香菜「まぁまぁ穂乃花。終われば会えるんだから、ね?」

 

この自分が行くわけでもないのに大泣きする少女は松原穂乃花。そして、それを宥めているのは日暮香奈である。一応俺と同い年の15だ。

 

彼女達は俺の・・・なんだろう。友達、と言うべきなのか。俺が地元を出て、親戚の家に引き取られた時からの知り合いである。

 

・・・当然彼女達は俺の正体に気づいてない。

 

だが・・・それで良いのだと思う。【あれ】は人に伝えるようなものじゃない。

 

龍斗「じゃあ、行ってくる。」

 

穂乃花「うん・・・行ってらっしゃい・・・」

 

香菜「あぁもう。穂乃花泣かないの。」

 

穂乃花「うぅ・・・」

 

龍斗「まだ泣いてやがる。」

 

そんな泣かれると躊躇いが出るだろうが。

 

人理継続保障機関カルデア

 

そこは名の通り、人類の未来を保障するための機関である。

 

龍斗「・・・」

 

俺はそこに立っていた。

 

・・・俺が記憶にあったのはそこまでだった。

 

フォウフォーウ!

 

あ?動物?こんな鳴き声の動物なんて・・・

 

重い瞼を開ける。するとそこにいたのは

 

???「あの、朝でも夜でもないので、そろそろ起きて下さい先輩。」

 

・・・なぜか俺を先輩呼びする、少女だった。

 

龍斗「・・・誰?」

 

???「そうですね。・・・名乗る程の者ではない。」

 

龍斗「は?」

 

???「いえ、名前はあるんです。あるんです、ちゃんと。でも、あまり口にする機会がなかったので・・・印象的な自己紹介ができないというか・・・」

 

・・・こいつ、どこかあいつと似てる。が下手なくせしてこうやって人と話そうとする。

 

???「こほん。」

 

???「どうあれ、質問よろしいでしょうか。先輩。」

 

・・・結局俺はお前の先輩設定なのか。

 

???「お休みのようでしたが、通路で眠る理由がちょっと。硬い床でないと眠れない性質なのですか?」

 

龍斗「そういうわけじゃ、ここで寝てたのか俺。」

 

フォウフォーウ

 

???「失念していました。あなたの紹介がまだでしたね、フォウさん。」

 

???「こちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩する特権生物です。私はフォウさんにここまで誘導され、お休み中の先輩を発見したんです。」

 

フォウ、ンキュ、フォーウ!

 

???「またどこかに行ってしまいました。あのように、特に法則性もなく散歩しています。」

 

龍斗「ホントになんだ。あの生き物。」

 

???「私以外にはあまり近寄らないのですが、先輩は気に入られたようです。おめでとうございます。カルデアで二人目の、フォウのお世話係の誕生です。」

 

龍斗「んな大袈裟な。」

 

???「あぁ、そこにいたのかマシュ。ダメだぞ。断りもなしに移動するのはよくないと・・・」

 

・・・!なんだ。こいつからどこか【俺と同じもの】を感じる。

 

???「おっと、先客がいたんだな。君は・・・そうか。今日から配属された新人さんだね。」

 

レフ「私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ。」

 

・・・レフ・ライノール。こいつには警戒しておくか。

 

多少の警戒心を漂わせながら、俺はレフと会話をしていた。

 

レフ「君の名前は?」

 

龍斗「剱崎龍斗だ。」

 

レフ「ふむ。剱崎龍斗君と。招集された48人の適性者、その最後の一人というわけか。ようこそカルデアへ。歓迎するよ。」

 

レフ「一般公募のようだけど、訓練期間はどれくらいだい?一年?半年?それとも最短の三ヶ月?」

 

龍斗「・・・訓練はしていない。」

 

レフ「ほう?ということは全くの素人なのかい?あぁ、そう言えば、数合わせに採用した一般枠があるんだっけ。君はそのひとりだったのか。申し訳ない。配慮に欠けた質問だった。」

 

レフ「けど一般枠だからって悲観しないでほしい。今回のミッションは君たち全員が必要なんだ。」

 

レフ「魔術の名門から38人、才能ある一般人から10人・・・なんとか48人のマスター候補を集められた。」

 

・・・やはり、マスター関連か。

 

レフ「これは喜ばしいことだ。この2015年において、霊子ダイブが可能な適性者すべてをカルデアに集められたのだから。わからないことがあったら私やマシュに声をかけてくれ。」

 

龍斗「つか、こいつマシュって言うのか。」

 

レフ「あぁ。そう言えば、彼と何を話していたんだいマシュ?らしくないじゃないか。以前から面識があったとか?」

 

マシュ「いえ、先輩とは初対面です。この区画で熟睡していらしてたので、つい。」

 

レフ「熟睡していた?彼が、ここで?なるほど入館時のシミュレートか。霊子ダイブは慣れてないと脳にくる。」

 

レフ「シミュレート後、表層意識が覚醒しないままゲートから開放され、ここまで歩いて来たんだろう。一種の夢遊状態だ。彼が倒れたところで、ちょうどマシュが声をかけたのさ。見たところ異常はないが、万が一ということもある。医務室まで送ってあげたいところなんだが。」

 

レフ「すまないね。もう少し我慢してくれ。じき所長の説明会が始まる。君も急いで出席しないと。」

 

龍斗「・・・説明会?」

 

マシュ「はい。龍斗さんと同じく、本日付で配属されたマスター適性者の方達へのご挨拶です。」

 

レフ「ようは組織のボスから、浮わついた新人たちへのはじめのしつけってやつさ。所長は佐々井なミスも許容できないタイプだからね。ここで遅刻したら一年は睨まれるぞ。」

 

レフ「五分後に中央管制室で説明会がはじまる。この通路をまっすぐ行けばいい。いそぎなさい。」

 

マシュ「レフ教授。私も説明会への参加が許されるでしょうか?」

 

レフ「うん?まぁ、隅っこで立っているくらいなら大目に見てもらえるだろうけど、なんでだい?」

 

マシュ「先輩を管制室まで案内するべきだと思ったのです。途中でまた熟睡される可能性があります。」

 

レフ「君をひとりにすると所長に叱られるからなぁ。結果的に私も同席する、という事か。まあ、マシュがそうしたいなら好きにしなさい。剱崎君もそれでいいかい?」

 

龍斗「まぁ、それでもいい。」

 

レフ「他に質問がなければ管制室へ向かうけど、今のうちに訊いておく事はある?」

 

龍斗「どうでもいいことだが、何故こいつは俺を先輩とよぶ。」

 

マシュ「・・・!」

 

レフ「ああ、気にしないで。彼女にとって、君くらいの年頃の人間はみんな先輩なんだ。でもはっきりと口にするのは珍しいな。いや、もしかして初めてかな。」

 

レフ「私も気になってきたな。ねぇマシュ。なんだって彼が先輩なんだい?」

 

マシュ「理由ですか?龍斗さんは今まで出会ってきた人の中で一番人間らしいです。」

 

レフ「ふむ。それはつまり?」

 

マシュ「まったく脅威を感じません。ですので、敵対する理由が皆無です。」

 

逆に敵意剥き出しにしたら立場が危ういだろうが。

 

レフ「なるほど。それは重要だ!カルデアにいる人間は一癖も二癖もあるからね!私もマシュの意見には賛成だな。剱崎君とはいい関係が築けそうだ。」

 

マシュ「レフ教授が気に入るということは、所長がいちばん嫌うタイプ。・・・あの、このままトイレにこもって説明会をボイコットするというのはどうでしょうか。」

 

さっき案内するとか言ってたやつの言葉じゃない。

 

レフ「それじゃあますます所長に目をつけられる。ここは運に任せて出たとこ勝負だ。虎口に飛び込むとしようか剱崎君。なに、慣れてしまえば愛嬌のある人だよ。」

 

マシュ「ここが中央管制室です。先輩の番号は・・・一桁台、最前列ですね。」

 

マシュ「先輩?大丈夫です・・・」

 

そこから先の記憶がない。というよりはいつの間にか管制室から出ていたというほうが正しかった。

 




第二話終了です。剱崎君がレフに疑問を持ちました。まぁ、いずれ分かる伏線です。それではまた!


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戦いの始まり 後編

気づいたら管制室ではなく廊下に立っていた。それで俺は理解した。

 

龍斗「結局寝ちまったか。」

 

マシュ「はい。先輩はファーストミッションから外されてしまったようなので、部屋に案内します。」

 

フォウ!

 

龍斗「あ?」

 

フォウ!フォーウ!

 

鳴き声のした方をむくとあのフォウとか言う生き物もいた。

 

龍斗「お前いたのか。じゃ、部屋で待機してるか。」

 

フォウ!

 

了承したように鳴いた。個室に入ると、白衣を着た男がいた。

 

???「?はぁーい。入ってま・・・ん!?誰だ君は!?ここは僕のサボり場だぞ!」

 

そいつは堂々とサボり場と言う頭のおかしい人だった。

 

???「誰の断りがあって入って来たんだ!」

 

俺はため息をついて事情を説明した。

 

???「君がここの部屋に!?・・・あぁ、とうとう最後の子がきちゃったか。」

 

ロマン「僕はロマニアーキマン。皆からはドクターロマンって言われてるよ。」

 

龍斗「剱崎龍斗だ。」

 

互いに自己紹介を終えるとロマンが話し始めた。

 

ロマン「剱崎君か。説明によると、君は所長の逆鱗に触れちゃったってところかな。」

 

龍斗「随分把握が早いな。状況判断能力が高いのか。それとも、自分も同じ状況だからわかったのか。」

 

ロマン「君も中々だねぇ。僕の場合は後者かな?」

 

龍斗「あんたもあれを怒らせたと。」

 

ロマン「というよりは『ロマニがいると緊張感が消えるのよ!』って言われて追い出されてしまったのさ。だからここで拗ねてたんだよ。」

 

小学生のような事をしていたようだ。

 

龍斗「それは俺でもわかる。あんた緊張感無くすようなタイプだ。」

 

ロマン「ヒドイ!まぁ、ぼっちにメル友だ。外されたもの同士交友を深めようじゃないか。」

 

龍斗「おいこら、誰がぼっちだ。これでも知り合いはいるぞ。」

 

ロマン「ウソ!?」

 

龍斗「あのマシュってやつと・・・レフライノールだ。」

 

ロマン「なんでレフ教授には間があったのかは気になるけど、彼とは顔見知りか。」

 

龍斗「あいつはどうもおかしい。どこか違和感がある。」

 

それを伝えるとロマンは少し考えて。

 

ロマン「そうかな?確かに変な所はあるけど、君が言うような感じではないよ。とりあえず剱崎君にはここがどこなのかとかはなすよ。」

 

するとロマンはカルデアの事を話し始めた。

 

ロマン「ま、こんなところかな。レフ教授はここのカルデアスを読み取れるシバを作った張本人なのさ。・・・?」

 

ロマンは誰かと連絡をとり、切ると不味そうな顔をした。

 

ロマン「ヤバい、レフに適正者のメディカルチェックをやってくれって。二分で来いと。・・・間に合うわけないじゃないかここから!」

 

龍斗「ここでサボってるからだろうが。」

 

ロマン「返す言葉もない。」

 

正論を述べるとロマンは地に伏せた。

 

ロマン「仕方ない。こうなったら全力疾走で・・・」

 

ロマンが言い切る前に警報音が鳴った。

 

龍斗「警報?」

 

ロマン「どうしたんだ!」

 

パニックになっているとアナウンスが入った。

 

『緊急事態発生!中央発電所及び、中央管制室で火災が発生しました。』

 

ロマン「火災だと!?」

 

『中央区画の扉は240秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから・・・』

 

そこで思いだした。

 

龍斗「中央管制室・・・」

 

気づいた時には俺は一目散に走り出した。

 

ロマン「おい!剱崎君!」

 

管制室は瓦礫だらけとなっており、所々に火が回っていた。

 

ロマン「ヒドイ・・・人為的な破壊工作の可能性がある。」

 

龍斗「だな。」

 

『動力部の停止を確認。発電量が不足しています。』

 

ロマン「マズい!」

 

『予備電源への切り替えに異常があります。職員は手動で切り替えてください。』

 

ロマン「僕は地下の発電所に行く!」

 

龍斗「おい!一人だと危険だ。」

 

ロマン「カルデアの光を消すわけには行かない。君は急いで来た道を戻るんだ。」

 

龍斗「ドクターロマン!チッ!」

 

俺は誰か生存者がいないか捜索する。

 

龍斗「誰か無事な人はいるか!いるなら返事をしろー!」

 

コフィンの中には人がいたが、生存は絶望的に見えた。

 

『システムレイシフト、最終段階に移行します。座標西暦2004年、1月30日。日本、冬木。』

 

アナウンスを聞いて俺は驚きを隠せなかった。

 

龍斗「冬木!?しかも、2004年1月30日って。・・・いや、それどころじゃない!」

 

奥へ進むと。

 

フォウ!フォーウ!

 

龍斗「この鳴き声・・・」

 

そこにいたのはフォウとマシュだった。

 

龍斗「マシュ!」

 

マシュ「せん・・・ぱい?」

 

龍斗「おい!大丈夫か!」

 

マシュ「・・・それは。」

 

龍斗「・・・おいおい。冗談よせよ。」

 

瓦礫をどかそうとするが

 

龍斗「あちっ!」

 

あまりの熱で手を離すが、袖を使う。

 

マシュ「私はいいです。それより、早く逃げてください。」

 

それを無視してどかそうと試みるが、重くてどかない。

 

マシュ「いいから逃げて。時間が。」

 

龍斗「面倒事押し付けられて、目の前で知り合いを見殺しなんてごめんだな!」

 

『観測スタッフに警告、カルデアスの状態が変化しました。』

 

龍斗「あ?」

 

『シバによる近未来観測データを書き換えます。近未来百年までの地球において、人類の生存は確認できません。人類の未来は保障できません。』

 

マシュ「カルデアスが・・・」

 

龍斗「赤く・・・」

 

『中央隔壁封鎖します。』

 

龍斗「あ。」

 

『館内洗浄開始まで、あと、90秒です。』

 

マシュ「先輩、すいません。私のせいで・・・」

 

龍斗「は?・・・んな事で罪悪感持つなっての。・・・お前、体は大丈夫か。」

 

マシュ「はい。ありがとうございま・・・す。」

 

『該当マスターを検索中・・・検索中・・・』

 

マシュ「先輩・・・」

 

龍斗「あ?」

 

マシュ「ここは・・・ちっとも。空が見えない。」

 

龍斗「・・・ここは吹雪ばかりだ。いつか、お前にも見せてやるよ。」

 

マシュ「先輩・・・手、握ってくれませんか。」

 

『適応番号48を再設定します。』

 

『アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します。レイシフト開始まで、3、2、1━━━』

 

そして、俺達は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『全工程クリア。ファーストオーダー実行に移します。』




第三話終了です。 次回は冬木の第一章です。それではまた!


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特異点F 炎上汚染都市 冬木
再会と始まり


冬木第一章です。


龍斗「ここは・・・そうだ!俺冬木に!」

 

周りを見ると全ての建物が崩れかけて辺りが炎が包んでいた。

 

龍斗「・・・どういう事だよ。【あの時】はここまでにはならなかったのに。」

 

キャッ!

 

龍斗「あ?」

 

小さな悲鳴が聞こえた。俺はそこへと走り出した。

 

―――――――――

 

???side

 

???「ちょっと大丈夫?」

 

???「ごめんね。ちょっとつまずいただけだから。」

 

???「それにしてもここどこだろう?」

 

私達は辺りを見渡したけど、建物は全部壊れかけてた。もうここは街じゃないよ・・・

 

???「私達、誰かにここまで飛ばされたんだよね?」

 

タッタッタッタッ

 

???「?足音?」

 

???「穂乃花、気を付けて。」

 

私は少し身構える。ただでさえ、わけのわからない場所に来て混乱してるのに、また大変な事になると考えると怖くなる。

 

???「来るよ!」

 

???「ひぃっ!」

 

龍斗「・・・おいおい冗談よせよ。」

 

???「・・・え?」

 

するとそこには・・・私の友達がいた。

 

―――――――

 

悲鳴が聞こえた場所まで行くと何故か俺の知り合いがそこにいた。

 

龍斗「松原、日暮?お前ら、なんで・・・?」

 

穂乃花「り、龍君?」

 

香奈「龍斗君こそなんで?カルデアってとこに行ったはずじゃ。」

 

龍斗「いや、実はな、ギュウ・・・あ?」

 

穂乃花「・・・」

 

龍斗「いや、なにしてんのお前。」

 

下を見ると松原が俺に抱きついていた。

 

穂乃花「だって・・・また会えたんだもん。」

 

香奈「龍斗君。穂乃花結構寂しがってたから、少しそうさせてあげて?」

 

龍斗「はいはい・・・って、言いたいところだが。」

 

二人「?」

 

こいつらは知らないみたいだが、俺にはわかる。

 

龍斗「・・・いつまでこそこそと見てるつもりだ?」

 

???「あちゃー。バレちゃった?」

 

香奈「だ、誰!?」

 

???「あー!待って待って!敵じゃないよ!こっちは君に用があって来たんだよ。剱崎龍斗君。いや、【存在するはずのない騎士】様。」

 

・・・驚いた。まさかそれを知っていたとは。

 

龍斗「・・・ほう。そう言うことか。」

 

穂乃花「存在するはずのない騎士?」

 

香奈「なにそれ?」

 

龍斗「お前、名前は?」

 

カルマ「僕はカルマ。まぁこの名前、この人の真名をちょっといじってつくったんだけどね。」

 

龍斗「・・・剱崎龍斗だ。さて、早くここから移動するぞ。」

 

香奈「え!?ちょっとその人は?」

 

龍斗「敵ではない。多分な。」

 

カルマ「フフン。」

 

龍斗「ほら。お前も行くぞ。いつまでしがみついてる。」

 

穂乃花「だってぇ。」

 

松原をほぼ強引に引き剥がそうとするが、なんとも力が強くて離れない。

 

カルマ「・・・ねぇ、そこの短い茶髪の子?」

 

香奈「?私?」

 

カルマ「もしかしてあの長い髪の子ってさぁ・・・」

 

香奈「・・・やっぱりわかりますよねぇ。実は穂乃花って龍斗君にゾッコンなんですよ。まぁ当の本人は分かってないみたいですけどね。」

 

カルマ「君も大変だね。」

 

香奈「・・・まぁ。そうですね。」

 

・・・あいつらは何を話してるのだろうか?・・・おっと。この感じは。

 

カルマ「!これって・・・」

 

龍斗「やっぱり仕掛けてくるか。」

 

穂乃花「どうしたの?二人とも。」

 

カルマ「・・・どこ?」

 

龍斗「・・・!上だ!」

 

上を見るとそこには人影が写っていた。

 

カルマ「こっちからも来るよ!」

 

地上からは大量の骨軍団が迫っていた。

 

龍斗「上は任せる。」

 

カルマ「なら下はそっちだね。」

 

するとカルマは槍を取り出した。すると上空から無数の剣が飛んできた。

 

カルマ「そらっ!」

 

カルマが槍をふるうと業火が放たれ、剣を焼き尽くした。

 

龍斗「フン。」

 

俺はギターケースから剣を取り出し骨軍団へと向かう。そして手慣れたように軍団を切りさばいていく。

 

???「・・・ほう。ならば。そちらを狙うまで!」

 

再び上空から無数の剣が飛んできた。しかし、対象はカルマではなく、松原と日暮だった。

 

カルマ「しまった!二人とも!危ない!」

 

だめだ!【宝具】を使っても間に合わない!しかし二人に剣が当たることはなかった。

 

マシュ「お二人とも。怪我はありませんか?」

 

穂乃花「えっと・・・」

 

香奈「あなたは・・・?」

 

マシュ「説明は後に。・・・!」

 

再び来る攻撃をしのぎきった。

 

―――――――――

 

カルマ「・・・へぇ。これは驚きだ。まさかこれで三人目とは。しかも、人為的に成功したとは。」

 

龍斗「・・・はぁ。面倒なことになりそうだ。まさかマシュまで・・・」

 

マシュ「先輩。お怪我は?」

 

龍斗「ねぇよ。これでも・・・」

 

香奈「これでも?」

 

龍斗「いや、なんでもない。」

 

穂乃花「そ、それより!」

 

全員「?」

 

穂乃花「あなた!龍君とどういう関係なんですか!?」

 

困惑した顔で何故かそんな事を聞く松原。正直聞いてどうするよ?ただ先輩って呼ばれてるだけなのに。

 

マシュ「どういう?先輩は先輩ですけど。」

 

香奈「あぁ。そんな真面目に答えなくてもいいですよ。穂乃花。考えてもみなって。」

 

穂乃花「?」

 

香奈「あの龍斗君が自分から彼女とか作ると思う?」

 

穂乃花「それは・・・な、ないかも。」

 

香奈「でしょ?」

 

・・・なんだろう。何故かあの二人に貶されたような気がする。

 

龍斗「・・・とりあえずここから移動しよう。またいつ襲ってくるかわからない。」

 

俺は妥当な判断を提案した。いや、正直あの時口走ろうとしたことを聞かれる前に手をうった、と言ったほうが正しいのだろう。

 

龍斗「(あの時・・・これでも【あの人】に鍛えられたから、なんていえないからな。)」

 

――――――――――

 

これは、2004年1月30日の出来事である。冬木に一人の女性が訪れていた。

 

???「ここが【聖杯戦争】が起きた場所かぁ。・・・?ここだけ焼け野原になってる。」

 

そこにはボロボロになった姿でなにかをしている少年がいた。

 

???「あれ?男の子?」

 

女性は少年に近づく。

 

???「ねぇ、僕?何してるの?」

 

???「・・・」

 

少年は女性の問いには答えず穴を掘り、人を埋めていた。

 

???「これは・・・お墓?まさか、僕が一人でやったの?」

 

???「コクリ」

 

少し頷いた少年。

 

???「ここにいた人を弔ってあげてるのね。」

 

???「・・・みんな、死んだら同じ、ただの骸だから。」

 

???「・・・」

 

女性は少年を哀れみの目で見る。その年でこんな事をするような時代なんだと悲観していた。女性はすぐにそれをやめさせた。

 

???「僕、お名前は?」

 

心太「遠坂・・・心太。」

 

???「優しい名前。・・・けど、この惨劇を背負って生きていくなんてさせられない。そうだ!」

 

心太「?」

 

???「君は今日から・・・剱崎龍斗と名乗りなさい!」

 

心太「・・・」

 

そして、女性は手元から刀を取り出し少年に向けた。

 

心太「!?」

 

武蔵「私は宮本武蔵。君はいつか、大きな希望になる。」

 

心太「?」

 

武蔵「だから君に・・・私の剣を教えてあげる。」

それが遠坂心太の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剱崎龍斗の始まりだった。

 

 

 

龍斗「(俺が希望になる・・・本当にそうなのか?)」

 




冬木第一章でした。きんモザキャラで好きなキャラクターの穂乃花と香奈を導入しました。それではまた!


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合流

冬木第2章です。


松原達を拾いマシュと合流した後、俺の事情を話した。

 

マシュ「・・・つまり先輩はこの冬木での【聖杯戦争】に参加していた、ということですね。」

 

龍斗「正確に言えば巻き込まれたんだよ。俺が【この力】を手に入れたのもその時だ。」

 

穂乃花「けど、すごかったね。あれだけの敵をあっさりと。」

 

カルマ「それは多分、剱崎君自身の力じゃない?剣術ってやつ?けど、魔術面の技術がすっからかんだね。」

 

龍斗「・・・こいつ、俺が気にしてることをズバズバと。」

 

キャァァァァ!!

 

マシュ「・・・敵影反応です。」

 

龍斗「俺達が先陣を切る。マシュは松原達を頼む。」

 

向かうとそこにはカルデアの所長さんがいた。あの骨軍団に魔術で作った弾丸で対抗している。

 

オルガマリー「なんで私ばっかりこんな目にー!!」

 

などと言っていた。なんだあんたは、子供かよ、と突っ込みたいところだったが、骨軍団を先に仕留める為に飛びかかった。

 

すると後ろには槍を持つ骨が所長さんに襲いかかっていた。

 

オルガマリー「助けてレフ!!」

 

だが、敵の攻撃が所長さんに届くことはなかった。カルマが敵を仕留めていたからだ。

 

オルガマリー「・・・あなたは!?」

 

カルマ「あなたがカルデアの所長さん?」

 

オルガマリー「ど、どうしてそれを!」

 

カルマ「いやー。彼から聞いたから。」

 

オルガマリー「彼?」

 

何かを話しているようだが、俺は剣を取り出し斬りかかる。俺が【あの人】から教わった剣術は一対多数が得意分野。この状態で負ける可能性はゼロに等しい。

 

マシュ「所長。お怪我は?」

 

オルガマリー「ま、マシュ!?」

 

龍斗「ふぃー。」

 

オルガマリー「あなた!・・・え!?どういう事!」

 

マシュ「・・・ここは特異点Fとした冬木です。信じがたい事だと思いますが、私は・・・」

 

オルガマリー「デミサーヴァントでしょ!そんなの見ればわかるわよ!私が言ってるのは、どうして今になって成功したのかって聞いてるの!」

 

カルマ「なんか、気迫がすごい人だね。」

 

龍斗「それだけが取り柄なんだよ。そういや、お前どうやってデミサーヴァントになったんだよ。そこ聞いてなかったからな。説明を頼む。」

 

マシュ「・・・カルデアには、特異点捜索の為にサーヴァントを何騎か保管しているのです。霊子ダイブをする際、ある英霊から『自分の力を与える代わりに特異点を消滅してくれ』と頼まれ、私がデミサーヴァントになったのです。」

 

オルガマリー「・・・なるほど、で。補欠採用した一般枠がマスターに?」

 

龍斗「はぁ?俺もデミサーヴァントだぞ?俺がマスターになれるわけ・・・って、はぁ!?なんで俺に令呪が!」

 

オルガマリー「それをみてもマスターじゃないと言えるかしら?それで、この子にどんな乱暴を働いて言いなりにしたのかしら?」

 

龍斗「・・・は?」

 

突然の問いかけに俺は驚いた。

 

オルガマリー「おかしいわ!あなたのような一般人がマスターになれるわけがないもの!」

 

あまりにも飛んだ偏見の為、俺はもう呆れることしかできなかった。

 

カルマ「とんだ偏見だねぇ。そこから乱暴働いたとか推理力がある意味ぶっとんでる。」

 

オルガマリー「おかしいのはそれだけじゃないわ!あなた達よ!」

 

穂乃花「え?」

 

香奈「私達?」

 

オルガマリー「なんで一般人がレイシフトしているのよ!あなた達のような魔力もない人達が一流魔術師と同じ事をしないでくれる!魔力をもたずにここに来るなんてむしろ邪魔なのよ!」

 

穂乃花「邪魔・・・」

 

香奈「・・・」

 

二人は少し顔を歪める。なんか腹が立ってきたな。

 

カルマ「・・・剱崎君。僕なんかイラッてきた。」

 

どうやらカルマも同じらしい。

 

龍斗「奇遇だな。俺もだ。」

 

俺達は武器を取り出しオルガマリーに飛びかかる。カルマは槍を所長さんの首元に向けるが、俺が剣で捉えてるのは【もっと別】のものだ。

オルガマリー「ひぃっ!」

 

カルマ「偏見でものを言ってるんじゃないよ。彼女達の気持ちも考えるんだね。」

 

龍斗「それから・・・」

 

オルガマリー「・・・あれ、剣が刺さってない?」

 

龍斗「ここで周りを見ずに説教垂れると命取りだから気をつけろ。」

 

所長さんが後ろを見ると剣が刺さっている黒いサーヴァントがいた。霊核を確実に刺してるからほっといても消滅する。俺は剣を抜くとサーヴァントは後ろに下がった。

 

シャドウサーヴァント「何故だ!?」

 

龍斗「お前の気配くらいここに来てから分かってたっつの。」

 

カルマ「大方不意討ちでこの人を仕留めて後は僕達を殺るって算段だったろうけど。あんまり僕達を舐めてると、痛い目見るよ?」

 

シャドウサーヴァント「クソー!!」

 

黒く染まったサーヴァントは消滅した。

 

穂乃花「龍君。あのシャドウサーヴァント?がいること知ってたの?」

 

龍斗「大方どこいらに隠れてるとは踏んでた。動き出せば気配でわかるから出たとこ勝負って感じだったがな。」

 

龍斗「さてと、後は・・・」

 

俺は所長さん・・・の手前に剣を刺した。

 

マシュ「先輩!」

するとそこに魔方陣が出て来て、キャンプらしきものが出てくる。

 

オルガマリー「・・・え?これって。」

 

龍斗「霊脈のターミナルってやつに宝具を触媒にして、ベースキャンプを建てる。そこから特異点の捜索をするんだったよな?」

 

オルガマリー「な、なんで、あなたは寝ていて聞いてなかったはずよ!?」

 

龍斗「ちょっとしたサボり魔に聞いたんだよ。」

 

prrrr!

 

龍斗「あ、噂をすれば。」

 

ロマン「よかった!やっと繋がった!無事かい皆。」

 

龍斗「ドクターロマン。」

 

オルガマリー「はぁ!?なんであなたが仕切っているのロマニ!レフは?レフはどこ?レフを出しなさい!」

 

ロマン「うひゃゃゃ!?しょ、所長!?生きていらしたんですか?あの爆発の中で!?しかも無傷!?どんだけ!?」

 

龍斗「(・・・そういえば―――)」

 

オルガマリー「どういう意味ですか!それよりレフはどこ!?医療セレクションのトップが何故その席にいるの!?」

 

・・・仕方ねぇなぁ。目撃者である俺が庇ってやるか。

 

龍斗「仕方ないんじゃねぇの?人材がいないんなら。」

 

マシュ「人材がいない?」

 

穂乃花「龍君どういう事?」

 

龍斗「あんな大惨事だったんだ。大怪我をする人もいれば、最悪落ちてるって可能性もある。そこにいるのも大方あんた以上のランクの人がいないからなんだろ?」

 

ロマン「・・・君って本当に頭がキレるね。まさにその通りだよ。」

 

オルガマリー「!?」

 

ロマン「現在生き残ったカルデアの正規スタッフは僕を入れて20人も満たない。レフ教授は管制室で指揮をとっていた。あの爆発の中心部にいた以上生存は絶望的だ。」

 

オルガマリー「そんな―――レフ、が・・・?いや、それより待って、待ちなさい、待ってよね?その話が本当なら47人の適性者は?コフィンはどうなったの!?」

 

龍斗「俺が見た限りでも相当外面は破壊されてた。危険なのは確かだ。」

 

ロマン「うん。剱崎君の言うとおり、全員が危篤状態です。医療器具も足りません。何名かは助けることはできても、全員は―――」

 

オルガマリー「ふざけないで!すぐに凍結保存に移行しなさい!死なせないのが最優先よ!」

 

ロマン「そうか!すぐに手配します!」

 

ドクターロマンが席から離れると松原と日暮は何かわからないという顔をしていた。

 

穂乃花「凍結保存って・・・?」

 

龍斗「自分の肉体をその名の通り凍結させるんだよ。それで延命させて、その間に治らない病気とかのワクチンとかをつくったりする。」

 

香奈「すごいなぁ。」

 

龍斗「・・・だが、凍結保存を本人の許諾なく行うことは犯罪行為だ。」

 

マシュ「所長として責任を負うことより、人命を優先したのですね。」

 

オルガマリー「バカ言わないで!死んでさえいなければ、後でいくらでも弁明できるからに決まってるからでしょ!?47人の命なんて、私に背負えるはずがないじゃない・・・!」

 

龍斗「・・・」

 

オルガマリー「死なないでよ、頼むから・・・ああもう、こんな時にレフがいてくれたら・・・!」

 

・・・もしかしてこの人。




ご閲覧ありがとうございます。次回には必ずいろんな事の説明を含もうかと思います。

それではまた!



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説明~カルデアについて~

龍斗「いいか、今からこの状況について説明するぞ。」

 

二人「うん。」

 

龍斗「ここは特異点Fと呼ばれてる。特異点とは、人類史の流れとはまた違った流れ。本来起こるはずのない出来事が起きている場所だ。」

 

穂乃花「歴史通りにいかなかった場所なんだよね?」

 

龍斗「そんなとこだ。で、これを歴史通りの流れに戻すのが人理継続保障機関カルデア・・・俺が行ったところだ。」

 

香奈「ここの特異点の原因はその【聖杯】ってやつが関わってるんだよね?」

 

二人もある程度の知識がついたようだ。そんなところで俺はある質問をする。

 

龍斗「・・・さて、お前らがどうやってここにこれたのか説明してもらおうか?」

 

穂乃花「私達、いつも通り学校に行ってたんだけど・・・突然炎に包まれて全部が壊れていったの。」

 

香奈「その時にフォルネウスとフェニックスが助けてくれて。」

 

龍斗「フォルネウスとフェニックス?」

 

──────────

穂乃花side

 

私達は今学校へと向かっている。けど、私はどこか寂しい感じがあった。理由はわかっている。

 

剱崎龍斗君・・・いつもクールで、周りをちゃんと見てて、どこか悲しそうな目をしている。

 

私はそんな彼に惹かれていた。でも、カルデアって場所に行ったっきり連絡もない。

 

寂しいよ・・・

 

香奈『龍斗君今頃カルデアで頑張ってるんだろうなぁ。』

 

穂乃花『そうだね・・・また会えるんだよね?』

 

多分今の私はすごくしょんぼりしてるんだと思う。

 

香奈『穂乃花ってホントに龍斗君が好きだよね。』

 

香奈ちゃんからの突然の爆弾発言に顔が熱くなっていくのがわかった。

 

穂乃花『え!?えーっと・・・///』

 

ボォォォォン!!

 

突然街が炎に包まれて行った。

 

香奈『なにこれ!?』

 

穂乃花『いきなり街が炎に。』

 

すると炎が私達にも、襲ってきた。

 

二人『キャァァァ!!』

 

でも私達に炎がかかることはなかった。

 

???『大丈夫ですか?』

 

???『ったく、バルバトスの野郎、人間を守れなんてふざけたこと。』

 

どこかから声がすると思い目を開けると。

 

穂乃花『・・・人魚と』

 

香奈『・・・赤い鳥?』

 

???『誰が赤い鳥だゴラァ!』

 

香奈『ひっ!』

 

鳥さんはいきなり怒りだした。香奈ちゃんはびっくりしている。

 

フェニックス『俺にはフェニックスって名があんだよ。あ?』

 

???『ごめんなさい。フェニックスは少し短気なところがあるもので。』

 

フォルネウス『私はフォルネウスと申します。』

 

穂乃花『・・・フォルネウス?』

 

フォルネウス『私達があなた方をこの消された時間から守ったのです。』

 

香奈『消された時間?』

 

フォルネウス『【聖杯】によってあなた方が住む時間が焼却されてしまったのです。』

 

焼却された?どういう事?全く訳がわからないよ。

 

フェニックス『まぁ、そのままなのも困んだろ?このままならお前らはおっちんじまうからな。』

 

【死ぬ】という言葉を聞いた時、一瞬だけど香奈ちゃんも目を見開いた。

 

穂乃花『死んじゃうの?』

 

フォルネウス『フェニックス!・・・しかし、私達があなた方に憑依すればそれは免れます。』

 

香奈『憑依?とりつくってこと?』

 

フォルネウス『そうです。そしてある場所へと飛ばします。』

 

穂乃花『ある場所って・・・?』

 

フォルネウス『一人、人間に憑依している我々の仲間がいます。そこへ合流してください。そうすれば身の安全は保障されます。』

 

香奈『内容はいまいちわからないですけど・・・憑依しても大丈夫ですよ?』

 

穂乃花『香奈ちゃん!?』

 

香奈『向こうが私達に憑依させろっていうことは、そうしないと自分達も危ないってことですよね?』

 

フェニックス『はっ!同情か?』

 

香奈『そっちも安全になってこっちも安全になるなら、両方得でしょ?』

 

・・・確かに両方安全になるんなら大丈夫かも・・・?

 

フェニックス『ハハハッ!面白れぇ!気に入ったぜお前。望み通りお前に憑依してやる。』

 

赤い鳥のフェニックスさんは香奈ちゃんへと入っていった。

 

フォルネウス『まったく・・・そこの少女?構いませんか?』

 

穂乃花『えっと・・・はい!』

 

フォルネウス『では・・・』

 

香奈『これからどうするの?』

 

フェニックス『お前らを2004年に飛ばす。』

 

香奈『2004年!?それっていわゆるタイムスリップってやつ!?』

 

フェニックス『そんなとこだ。そこで奴とあう。』

 

香奈『やつ?』

 

フォルネウス『先程言った、仲間が憑依している人間に会うのです。』

 

穂乃花『その人もタイムスリップしてるの?』

 

フォルネウス『えぇ。・・・それではいきますよ。』

 

フェニックス『舌噛むんじゃねぇぞ!』

 

二人『キャァァァ!!』

 

突然私達は光に包まれた。

 

────────────

 

穂乃花「・・・って感じで私達もここにきたの。」

 

香奈「きたときには本当に頭が痛くて・・・」

 

ロマン『ちょっ、ちょっと君達!』

 

穂乃花「だ、誰!?」

 

龍斗「ドクターロマン。カルデアの医者だ。」

 

ロマン『今、フォルネウスとフェニックスって言わなかった!?』

 

香奈「い、言いましたけど。」

 

ロマン『君達の言うそれは、ソロモン72の魔神の二柱だぞ!』

 

穂乃花「ま、魔神!?」

 

龍斗「・・・そういう事か。」

 

穂乃花「きゃっ!」

 

香奈「なに?」

 

フォルネウス「私達を知っている者ですか。確かに私達はソロモンの魔神です・・・そして、私達は彼を探していたのです。」

 

ロマン『彼?』

 

フェニックス「こいつだよ!」

 

龍斗「・・・やっぱりお前の知り合いだったか。」

 

バルバトス「フンッ!」

 

穂乃花「ば、化け物!?」

 

龍斗「ま、第一のコメントはそれだよな。嫌われてんぞバルバトス。」

 

バルバトス「人間に嫌われたところでなにも感じんぞ。」

 

ロマン『バルバトスだって!?ソロモンの魔神が3体も。』

 

────────

 

オルガマリー「・・・さて、そろそろそっちも説明してもらえる?あなたは一体何者?なんでデミサーヴァントになってるの?」

 

龍斗「・・・そうだな。こっちも話さないと始まらない。」

 

龍斗「・・・俺の名前・・・剱崎龍斗は簡単に言えば二つ目の名前。・・・本名は・・・遠坂心太。遠坂一族ってやつの息子だ。」

 

オルガマリー「遠坂一族!?」

 

穂乃花「なにそれ?」

 

龍斗「魔術の世界で結構名の高い一族らしいぜ。親父が呼び出し食らった時にはめんどくさいってまだガキの俺に愚痴ってたくらいだし。」

 

香奈「それはそれでいろいろ問題が・・・」

 

日暮は呆れているが、安心しろ。それを思い出した俺も呆れてる。

 

龍斗「で、俺の生まれた場所が・・・ここ・・・冬木だったんだよ。」

 

香奈「ということは龍斗君が【聖杯戦争】ってやつに巻き込まれたって・・・」

 

龍斗「・・・俺の親父は、聖杯戦争の参加者だった。サーヴァントの戦いに偶然巻き込まれた俺は致命傷を負った。けどその時に親父が助けてくれた。・・・自分の命を犠牲にして。」

 

穂乃花「そんな・・・」

 

龍斗「その時、親父が召喚したサーヴァントは俺に自分の力を渡した。『俺なら、きっと自分ができなかった事をできるかもしれない』って。・・・その時に、最悪の出会いが起きた。・・・力を貰った時にバルバトスも入っちまったんだよ。」

 

カルマ「最悪の偶然だね。」

 

龍斗「で、こいつは俺を喰らって、自分の肉体を取り戻そうとしている。こっちから追い出そうにもできなくてな。」

 

事情を話していると松原がある質問をしてきた。

 

穂乃花「ちょっ、ちょっと待って。もし喰われたら・・・龍君は、どうなるの?」

 

龍斗「・・・死ぬと言った方が早い。」

 

穂乃花「・・・!」

 

大きく目を見開いた。だが、ある程度の語弊があるため一応説明する。

 

龍斗「正確に言えば、俺の精神が消滅する。簡単に言えばこいつが俺の体を乗っ取るってことだ。」

 

改めて話すと相当ぶっ飛んでる話だよな。みんな理解するのに時間がかかっているように見える。

 

龍斗「・・・とまぁ、これが俺の過去と現在までの経緯だが、わかったか?」

 

全員「・・・」

 

ここにいる俺以外の全員が愕然とする。

 

フォルネウス「・・・そろそろ私達は戻りましょう。」

 

フェニックス「・・・はっ!」

 

フォルネウスとフェニックスは二人の中へと戻っていった。

 

バルバトス「それほど衝撃を受けることか?人間とはやはりわからん。」

 

龍斗「わからない事をするのが人間だ。だから知ろうとするんだ。」

 

バルバトス「・・・俺には関係ない。いつか喰われるお前もな。」

 

バルバトスは俺の中へと戻っていった。

 

穂乃花「そんなの・・・ひどいよ・・・」

 

松原を見るといかにも泣き出しそうだった。

 

龍斗「!・・・悪い。少し外の空気吸ってくる。」

 

歩く速度を早める。

 

・・・現実とは非常に残酷なのである。どんなに否定しても、覆そうとしても、必ず現実の二文字が邪魔をし、理想や幻想を跡形もなく打ち砕く。松原のあの顔を見て戸惑った。何故あの時──────

 

いつかは喰われると知っているのに。

 

 

 

 

 

 

消滅すると知っているのに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを否定しようとしたのかを。

 

 

 

そして何故

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かに涙を流しているのか、自分にもわからなかった。

 





今回はここまでです。シリアスを入れてみました(入れたつもりです)次回はいよいよあいつが出てきます。それではまた!


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こぼれた感情

俺はベースキャンプから少し離れた橋に立っていた。あの顔がずっと頭から離れない。ずっと違和感がある。

 

龍斗「・・・なんでだよ。」

 

あいつが俺にそこまで歩み寄るのか、何故動揺するのか、

 

龍斗「・・・わからない。もう俺は人間じゃないのに。なんであいつは・・・そこまで・・・!誰だ!!」

 

サーヴァントの気配がした為戦闘体勢にはいる。

 

???「おいおい。そんなに怖い顔すんなや。【存在するはずのない騎士】よ。」

 

龍斗「・・・お前は。」

 

クーフーリン「俺はキャスター・・・いや、【クーフーリン】って言や、わかるか?」

 

クーフーリンって、俺が巻き込まれた聖杯戦争のランサーじゃねぇか。

 

龍斗「あの時のランサーがキャスターにねぇ。なんか用か?冷やかしにきたのか?」

 

クーフーリン「まさか。俺はこの聖杯戦争を終わらせる。だがどうしても俺一人じゃ無理だ。・・・俺と手を組まないか?」

 

奴の提案にはのるべきだと考えたが、先に問わなければいけないことがあった。

 

龍斗「・・・一つ確認させてくれ。この聖杯戦争を狂わせたのは・・・【あいつ】で間違いないか?」

 

クーフーリン「・・・読みは当たってるはずだ。」

 

龍斗「・・・わかった。」

 

すると突然キャスターはおれを煽り始めた。

 

クーフーリン「にしてもおめぇ、なに一人寂しく泣いてたんだよ。」

 

龍斗「泣いてねぇよ。」

 

クーフーリン「ウソつけ。こーんな感じで空見上げて、うるうるしながら・・・」

 

瞬速ともいえる速さで剣を取り出しキャスターに向けた。

 

龍斗「てめぇ俺の知り合いにこの事話したら、その首は吹っ飛ぶと思え。」

 

クーフーリン「おぉ、怖い怖い。」

 

穂乃花「龍君見つけた!」

 

そこに松原がやって来た。正直今一番会いづらい人物だ。

 

龍斗「松原・・・」

 

穂乃花「近くを探してもいなかったから・・・どうしたのかと思ったよ。・・・いなくなっちゃったのかなって・・・そんなの嫌だよ。」

 

またあの顔────

 

 

────何故かわからない。なんでそこまで俺に踏み込む。

 

その疑問は言葉ででていた。

 

龍斗「いや・・・?なんで?俺はもう人間じゃない。俺はもうこの手を血で染めた!何人もの命を奪った!もう俺は人殺・・・」

 

穂乃花「そんなの知らないよ!!」

 

龍斗「!」

 

いつもは大きい声を出さない松原が怒鳴り声を散らした。俺は少し後ずさる。

 

穂乃花「剱崎龍斗君は・・・人類の希望なんだよ?」

 

龍斗「・・・!」

 

その言葉が俺にどこか亀裂を与えた。

 

穂乃花「ずっと一人で抱えてたんだよね?何人もの命を背負ってきたんだよね。」

 

龍斗「・・・違う。」

 

穂乃花「ホントは誰かに助けてもらいたかったんだよね?皆と同じように生きたいんだよね?」

 

龍斗「・・・違う。」

 

穂乃花「大丈夫だよ。龍君が人類の希望なら─────

 

 

 

 

私が─────────

 

 

 

 

 

───龍君の希望になるから。」

 

もう・・・我慢の限界だった。

 

龍斗「・・・ポロポロ」

 

穂乃花「あ・・・」

 

龍斗「は・・・?なんで・・・なんで・・・」

 

穂乃花「ギュッ」

 

龍斗「!」

 

穂乃花「大丈夫・・・大丈夫だからね。」

 

悪い・・・あの日から、涙は捨てたはずなのに。流したらいけないはずなのに・・・悪い・・・今日だけは・・・今日だけはこれを赦してくれ・・・

 

──────

 

クーフーリンside

 

ありゃりゃー。泣き出しちまった。

 

クーフーリン「(ガキだったこいつが簡単にあんな惨劇を受け入れられるはずがない。だから自分から歩み寄ったっつーことか。ん?てことはもしかして・・・)」

 

こういう勘は鋭い俺はこの嬢ちゃんに訪ねてみた。

 

クーフーリン「おい嬢ちゃん。もしかしてあんた・・・こいつに惚れてんのか?ボソツ」

 

穂乃花「へ!?え、えーと・・・///アワワ」

 

あーあ。これは当たりだ。

 

クーフーリン「あぁ、わかったわかった。バラさねぇから心配しろや。」

 

穂乃花「は、はい///」

 

──────

 

やってしまった・・・醜態を晒してしまった。そんな事を考えてるなかベースキャンプへと戻ってきた。

 

香奈「もう!二人とも心配したんだよ!?」

 

穂乃花「ごめんね香奈ちゃん。ほら龍君も。」

 

龍斗「わ、悪かった。」

 

香奈「珍しい。龍斗君がちゃんと謝るなんて。」

 

カルマ「君のなかの剱崎君ってどんなイメージ?」

 

香奈「えーと、クールで、周りをみてるけど不器用で、言葉足らずで、ほぼ無表情?」

 

龍斗「お前の中の俺がどんななのかがよーくわかった。」

 

こんな軽口を叩けるのも、こいつらのおかげなんだろうな。

 

香奈「あと・・・」

 

龍斗「あ?」

 

香奈「肝心な時に鈍感。・・・ね、穂乃花?」

 

穂乃花「か、香奈ちゃん・・・///!」

 

鈍感といわれて心当たりはないのだが、松原が急に黙りこんだ。

 

香奈「そういえば龍斗君、目が赤いけどどうかした?」

 

龍斗「え・・・!?な、なんでだろうなぁ?目にゴミが入ったのかなぁ!?」

 

目を反らしながら誤魔化すが、自分でもバレバレだと考えてしまった。

 

香奈「・・・そっか。龍斗君よかったね。」

 

龍斗「あ?」

 

香奈「ちゃんと受け入れてもらって。私も気持ちは同じだから。」

 

龍斗「・・・そっか。」

 

マシュ「なんかいい雰囲気です。」

 

すると所長さんが咳払いをした。

 

オルガマリー「お楽しみのところ悪いけれど、そろそろいい?剱崎龍斗君、あなたの事情は分かりました。ならこちらにある程度の情報を提供してもらってもかまわないかしら?」

 

龍斗「わかった。まず、この狂った世界をどう終わらせるか。それはあるサーヴァントを討つしかない。」

 

香奈「あるサーヴァント?」

 

龍斗「クラスはセイバー。奴の相手は・・・恐らく俺がやったほうがいいだろう。」

 

クーフーリン「こっちに来るまでにライダーとアサシンは仕留めた。」

 

龍斗「バーサーカーはほっといても大丈夫だな。」

 

オルガマリー「残すはアーチャー、ランサー、セイバーね。こんなことを聞くのはタブーだけど、真名はわかる?」

 

何故タブーなのか、真名を知れば、そのサーヴァントの経緯と弱点が露になってしまうからだ。

 

クーフーリン「ランサーの真名は【メデューサ】。アーチャーは【エミヤ】だ。セイバーは・・・」

 

龍斗「セイバーは俺から説明する。」

 

穂乃花「龍君?」

 

龍斗「セイバーの真名は・・・俺に力を与えた奴と同じ名前だ。」

 

オルガマリー「なるほど。」

 

龍斗「・・・その者は、とある剣をもってる。」

 

香奈「とある剣?」

 

龍斗「王を選定する岩の剣の二振り目。俺達の時代でも相当有名な剣だ。その名は─────

 

 

 

 

────エクスカリバー。」

 

オルガマリー「!?エクスカリバーってまさか・・・!」

 

龍斗「あぁ、俺がもらった真名・・・そして、この狂った聖杯戦争を起こしたのは・・・騎士の王とも誉の高い、アーサー王だ。」

 

穂乃花「アーサーって、ブリテンの騎士王だっけ?」

 

香奈「仲間の暴動で致命傷を負って亡くなったっていう。」

 

龍斗「あぁ。奴で間違いないだろう。」

 

マシュ「もしアーサーさんをマスターが、エミヤさんをクーフーリンさんが相手するとして、メデューサさんの相手は・・・私ですか。」

 

ちょっと待て。メデューサって事は・・・

 

龍斗「いや・・・作戦を変える。メデューサは俺が相手をする。」

 

クーフーリン「フッ。そう言うと思ったぜ?」

 

龍斗「マシュ・・・アーサーの相手・・・できるか?【その状態】で。」

 

マシュ「・・・」

 

それを指摘するとマシュは黙りこんだ。

 

オルガマリー「ま、待ちなさいよ。その状態ってどういうこと?」

 

龍斗「気づかなかったのか?こいつは力をもらったサーヴァントの真名を知らない。」

 

オルガマリー「・・・まさか!?」

 

龍斗「そう。真名を知らなければ、宝具は発動できない。・・・だが、この盾がある。最悪の場合、時間稼ぎ程度にはなる。俺達もなるべく他のサーヴァントとケリをつける。・・・行けるか。」

 

マシュ「・・・やります。セイバーさんの相手は・・・私がやります。」

 

オルガマリー「マシュ・・・」

 

龍斗「決まりだな。」

 

───────

 

クーフーリンが外の空気を吸ってるとオルガマリーが石に魔術を仕込んでいた。

 

クーフーリン「精がでるねぇ。」

 

オルガマリー「こんなものでもないよりましでしょ?」

 

クーフーリン「ほぅ?」

 

石を手に取り弄んでるクーフーリン。それを止めにかかるがやめなかった。

 

オルガマリー「あっ、ちょっと!・・・剱崎龍斗君はあなたとも戦ったの?」

 

クーフーリン「・・・あぁ、戦ったさ。で俺が負けた。あいつの心は強い。あいつなら多分、絶望を希望に変えられるかもな。」

 

オルガマリー「本当かしら?」

 

なんだかんだで龍斗を評価しているクーフーリンだった。

───────

 

一方、穂乃花達は外を見ながら話していた。

 

穂乃花「私達、なんかすごいことに巻き込まれたね。」

 

香奈「そうだね。・・・ねぇ穂乃花?」

 

穂乃花「なに?」

 

香奈「・・・私達、このままでいいのかな?」

 

穂乃花「・・・私も同じ事考えてた。」

 

二人「うん。」

 

二人は見合うと新たに決意をする。

 

香奈「できることを探そう。」

 

穂乃花「龍君達が勝つために。」

 

─────

 

一方龍斗はロマンと通信をしていた。

 

ロマン『どうしたんだい?剱崎君。』

 

龍斗「ちょっとあんたに聞きたい事がある。」

 

──────

 

その中、ある者はこの状態を見て笑みを浮かべていた。

 

???「フフ・・・ここを潰したところで何も変わらない。人類は─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【終わる】のだ。」

 

 

 





はい。ここで終わりです。なんとか少しだけ説明いれられましたね。次回からいよいよ冬木攻略に入ります。それではまた!


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過去との決別

所々ナレーションsideがありますが、暖かい目で見逃してください(泣)


龍斗「作戦は決まった。」

 

クーフーリン「俺がアーチャー、こいつはランサーを相手する。で、その嬢ちゃんはアーサー王の相手だ。」

 

カルマ「で、僕が二人の護衛と最悪の場合の相手だね。」

 

オルガマリー「ちょっと待って!宝具が使えないんじゃ、太刀打できないじゃない。」

 

カルマ「そんな気にすることじゃないよ。宝具は簡単に言えば本能。本能が呼び覚まされれば、自ずと目覚める。」

 

するとカルマは俺に槍を向ける。そしてマシュは素早く盾を構えるが、それを所長さんが庇った。

 

二人「あ・・・」

 

カルマ「・・・そういうこと。その感覚が限界以上に達した時にどうするか、決めるのはマシュだよ?」

 

マシュ「はい。」

 

すると香奈が俺に問いかける。

 

香奈「・・・私達は。」

 

龍斗「一応お前らは巻き込まれたんだ。俺らが解決してカルデアまで連れていく。」

 

穂乃花「うん・・・龍君・・・死なないでね。」

 

心配するかのような顔をする松原。死ねないんだよなぁ。さっき教えてくれた事は無駄にしない為にも。

 

龍斗「わかってる・・・俺が最後の希望だからな。」

 

穂乃花「うん。」

 

クーフーリン「おーい、いちゃつくなよバカップル。」

 

龍斗「誰がバカップルだ誰が。」

 

穂乃花「私は・・・その・・・///」

 

龍斗「あ?」

 

香奈「はぁ・・・」

 

日暮がなんとも呆れたかのようなため息を吐いたきがする。

 

クーフーリン「おーっと。これは駄弁ってる暇はなさそうだぜ。」

 

槍を構えた女がいた。そいつはおれがよく知る人物だった。

 

メデューサ「おや?これは面白いお客が。」

 

クーフーリン「ランサー・・・いや、メデューサって呼ぼうか?」

 

メデューサ「ほう?真名を呼ぶとは、あなたも相当廃りましたね。」

 

龍斗「この狂った世界でルールもクソもねぇだろメデューサ・・・あのときの作った貸り、しっかり返させてもらうぞ。」

 

メデューサ「なんの事かはわかりませんが、あなたなら楽しませてくれそうですね。」

 

龍斗「先に行け。」

 

クーフーリン「フッ・・・勝てよ。」

 

龍斗「当たり前だ。」

 

クーフーリン達は先へと向かう。

 

メデューサ「なるほど。先程、貸りを返すと言いましたが・・・そうですか。あなたが。」

 

龍斗「あぁ、思い出して頂けたようでなによりだ・・・!」

 

勢いよくメデューサへと斬りかかった。

 

一方クーフーリン達は聖杯へと足を運んでいた。

 

穂乃花「あの・・・龍君は、あのメデューサって人と何があったんですか?貸りを返すって。」

 

クーフーリン「・・・あいつの家族は、メデューサに殺されたんだ。」

 

香奈「え・・・?」

 

クーフーリン「元々親父が聖杯戦争に参加していた。だが、メデューサを召喚したマスターはなかなかのクズでな。自分が勝つために、サーヴァントとマスターではなく、一家を抹殺するように命じたんだ。」

 

マシュ「ヒドイ・・・ヒドイです。」

 

オルガマリー「なるほど。その時殺されそうだった自分の息子である彼を助けたから、彼はデミサーヴァントの力を得た。」

 

クーフーリン「あぁ、それで聖杯戦争は終わった。いや正確には、あいつが聖杯を破壊したから、続けようにもできなかったんだよ。」

 

香奈「聖杯を壊した。」

 

クーフーリン「そうだ。あいつと俺が戦ったのはそのあと。・・・やっぱりお前も止めてくるよな。信奉者さんよ。」

そこには弓を構えた男が立っていた。

 

エミヤ「信奉者になったつもりはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ。」

 

クーフーリン「ようは番人じゃねぇか。何からセイバーを守ってんのかはしらねぇが、ここらで決着つけようや。」

 

エミヤ「フン・・・悪いがそこまで暇では、ない!」

 

アーチャーはマシュへと矢を放つ。

 

香奈「マシュさん!」

 

クーフーリン「エイワズ!」

 

すると放たれた剣は燃え去る。

 

クーフーリン「寂しいこと言いっこなしだぜアーチャー。それとも俺の相手は自信がないってか!?」

 

アーチャーの足元で爆発を起こす。

 

クーフーリン「今のうちにいけ!セイバーはあの中だ!」

 

エミヤ「・・・」

 

クーフーリン「嬢ちゃん。」

 

マシュ「?」

 

クーフーリン「お前の力・・・見せつけてやれ。」

 

洞窟の最深部へと着いた4人はそこにあった物をみて驚愕の表情をみせる。

 

オルガマリー「これが聖杯・・・?こんな超巨大な魔術功炉が?」

 

アーサー「ほぅ。これは・・・見たことないサーヴァントがいたものだ。」

 

穂乃花「あれが、アーサー王。」

 

アーサー「盾・・・構えるがいい。なの知れぬ娘。お前の守りが誠のものか。この剣で、確かめてやろう!」

 

龍斗side

 

一方で、龍斗とメデューサの戦いは激化していた。互いに近距離戦が得意な為、双方が引けを取らず火花を散らしていた。

 

龍斗「フッ!」

 

メデューサ「・・・!甘いです!」

 

メデューサは槍を俺の剣を手元に向け放ち、剣を弾き飛ばした。そして俺に槍を向ける。

 

メデューサ「知っているとは思いますが、私の槍は不死殺しの槍。例えあなたの回復力を持ってしても回復は不可能ですよ。」

 

龍斗「(どうする・・・どうすれば・・・!)」

 

父『ったく、お前も可哀想だよな。望んだわけでもねぇのに魔力を持つなんて。ま、ある程度役に立つ魔術を教えとくな。』

 

すると父親は指輪に似た物を取り出す。

 

父『まず俺達はこのリングに魔力を通して魔術を使う。これを持っておけ。』

 

心太『?』

 

父『二つの空間を繋げるリングだ。ま、使う機会があったら使ってくれ。それと──────』

 

ポケットを探るとそのリングがあった。

 

龍斗「・・・あったな。」

 

メデューサ「さて、これで終わりですね。」

 

龍斗「・・・さぁて、ホントにそうか・・・な!」

 

右の中指にもらったリングをつけると、剣がある空間と自分の空間に魔方陣が浮かぶ。

 

龍斗「そらよ!」

 

弾かれた剣を手元に戻し攻撃を凌ぐ。

 

メデューサ「なに!?魔術で剣を手元に戻した!?・・・こんな事が・・・!」

 

再び剣を構える。使いこなせるようになって以来だ。これを使うのは!

 

龍斗「束ねるは星の伊吹・・・輝ける命の奔流・・・受けるがいい!」

 

メデューサ「まさか!」

 

龍斗「約束された勝利の剣(エクス・・・カリバー)!!」

 

メデューサの元で大きな爆発が起こる。そこにボロボロのメデューサが立っていた。いや、消滅しかけていた。

 

メデューサ「これは・・・見事に返されてしまいましたね。・・・ごめんなさい。」

 

龍斗「・・・」

 

メデューサ「マスターの命とはいえ、あなたのご両親を殺めてしまったことを・・・謝罪します。」

 

龍斗「・・・昔の事を謝るなっての。けどホントにそう思うんなら・・・次会うとき、味方になれよ。」

 

メデューサ「次があれば・・・必ず。」

 

龍斗「使う機会・・・あったな。父さん。」

 

龍斗「・・・急ぐか。」

 

俺は急いでマシュ達の元へと向かった。

 




ランサーが消えて残るはアーチャーとセイバー、冬木は残り2話程で完結です。それではまた!


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戦う理由

今回はナレーションsideが多いです。


龍斗とランサーの勝負が決着した頃、キャスターとアーチャーの対決が熾烈化していく。

 

エミヤ「がら空きだ!」

 

アーチャーは矢を剣に変え放つ。だが────

 

クーフーリン「そらよ!大仕掛けだ!」

 

剣が消滅し、地面に魔方陣を設置する。アーチャーは空中に飛ぶが、それをルーンが妨害し、地面に叩き落とす。

 

エミヤ「空中にルーン文字を固定したのか。」

 

クーフーリン「おう。俺の師匠にゃ、冥界の門を呼ぶ術があってな。そいつの応用、パクりってやつさ。遠距離で打ち合っても埒があかねぇ。ここからは、いつもの喧嘩と洒落こもうぜ!」

 

エミヤ「フン。キャスタークラスでか?いつもより、頭が良くなったんじゃないのかね?」

 

クーフーリン「ハッ!頭の出来と、趣味嗜好は別って事さね!」

 

その頃、アーサーとマシュの対決はほぼ一方的なものへとなっていった。

 

アーサー「どうした?前には出てこないのか。」

 

マシュ「うっ!」

 

穂乃花「きゃっ!」

 

オルガマリーは石を地面に叩きつけ、魔方陣で弾き飛ばす。

 

香奈「所長さん。」

 

アーサー「答えよう。その瞳に。主を守らんとする。その胸懐に。」

 

穂乃花「やめて・・・可哀想だよ。」

 

オルガマリー「マシュも覚悟して戦ってるの。最悪こうなることをわかっていてもね。」

 

アーサー「約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガーン)!!」

 

肉弾戦になったキャスターとアーチャーの対決はキャスターが少しおしていた。

 

クーフーリン「勝負あったな。鈍ったんじゃねぇのかてめえ。・・・?」

 

黒い光が放たれている場所を見つめる。

 

エミヤ「全くだ。ここにきて、他人の心配とはな。」

 

隙をつき、首元に剣を突きつけた。

 

エミヤ「ここまでだな。」

 

クーフーリン「・・・あの盾は剣を通さないのか。あの剣は盾を通すのか。」

 

エミヤ「大昔にそれと同じ事を教わったよ。」

 

クーフーリン「へぇ、それで答えは?」

 

エミヤ「答えは"台無し"さ。矛盾が生まれるだけだ。」

 

クーフーリン「はっ。そいつはどうかねぇ。その話いつも思うんだよな。物が同じなら、後は使う奴の技量次第じゃないかって。つーかあれだ。武器の性能で負けてんなら、知恵で補うのが人間じゃねぇの?」

 

指で弾き飛ばした石が爆発しアーチャーの目を眩ませる。それをついて離れようとしたキャスターだが、瞬間にアーチャーに刺されてしまった。

 

エミヤ「フッ・・・!?」

 

勝ちを確信したアーチャーだが、木の縄で腕が縛られていゆ。る事に気づいた。

 

クーフーリン「森の賢者を舐めんじゃねぇ!」

 

木から離れたキャスター。離れたと同時に爆発する。

 

クーフーリン「悪ぃな。コッチは全部が新ネタでよ。」

 

杖を翳すと、巨大な腕が出現し、アーチャーを掴む。

 

エミヤ「ぐっ、がはっ!」

 

そしてその腕はアーチャーごと地面に叩きつけた。

 

エミヤ「・・・」

 

そしてアーチャーは消滅した。それをみたキャスターは石を放り、手に取る。

 

クーフーリン「確かにないよりはましだったな。」

 

マシュside

 

アーサー王の宝具を受け耐えていますが、いつまでもつかわかりません。このまま行けば、私が負ける・・・やっぱり私は仮のまま・・・

 

龍斗『俺が最後の希望だからな。』

 

希望・・・私は!───────

 

マシュ「あ、あああああ!!」

 

すると私の前に大きな壁ができました。

 

それは宝具を弾きましたが、私はそこで倒れてしまいました。

 

アーサー「エクスカリバー・・・」

もう一度、アーサー王は宝具を打とうとしています。ごめんなさい先輩・・・

 

クーフーリン「我が魔術は炎の檻。炎の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄をを清める森。」

 

クーフーリン「よくぞここまでもち耐えたな。」

 

穂乃花「キャスターさん!」

 

クーフーリン「倒壊するは・・・焼き尽くす炎の檻(ウイッカーマン)!!」

 

地面から炎の魔方陣が現れ、巨人が現れる。

アーサー「なに!?」

巨人はアーサーを捉え檻に入れるが、アーサーは宝具を放つ。

 

アーサー「くっ!」

 

そこには穂乃花と香奈が立っており、直撃する場所だった。

 

穂乃花「あっ!」

 

香奈「来る!」

 

カルマ「神々の王の慈悲を知れ。」

 

アーサー「なっ!」

 

カルマの槍はまさしく業火を越える程の炎を宿していた。

 

カルマ「絶滅とはこれこの一刺し・・・インドラよ、刮目せよ・・・焼き尽くせ・・・日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)!!」

 

アーサー「・・・!」

 

ウィッカーマンがアーサーを閉じ込め、カルマが炎をぶつける。

 

オルガマリー「ダメ。まだ足りない。」

 

だが、クーフーリンとカルマは勝ちを確信していた。

 

クーフーリン「行けるね。こんな時に来るたぁ。ホントに希望のような奴になったな。」

 

香奈「?」

 

カルマ「フッ・・・剱崎君!」

 

クーフーリン「今だ!!」

 

洞窟を破り、龍斗が現れる。と同時に龍斗は宝具を解放した。

 

龍斗「束ねるは星の伊吹・・・輝ける命の奔流・・・受けるがいい!約束された勝利の剣(エクス・・・カリバー)!!」

 

それはアーサーに直撃し、大爆笑を起こす。

 

アーサー「その剣・・・その盾・・・なるほど・・・汚れなき者の勝利か。」

 

安堵したかのような、どこか残念なような微笑みをアーサーは見せた。

 

アーサー「フッ・・・結局どう抗おうが、私一人では結果は変わらないと言うことか。」

 

龍斗「・・・どういう事だ。あんたは何を知ってんだよ?」

 

アーサー「いずれ知るであろう。私の力を持つ者よ。グランドオーダー。」

 

オルガマリー「!?」

 

突然オルガマリーは目を見開く。

 

アーサー「聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだと言うことに。」

 

アーサーは消滅しようとしていた。そして

 

クーフーリン「おい待て!どういう・・・!チッ。お前ら、後は頼んだぜ!」

 

穂乃花「キャスターさん!」

キャスターもここから消滅してしまった。

 

クーフーリン「次合うときにゃ、そん時はランサーとして喚んでくれ。」

 

龍斗「・・・次があったらな。」

 

 

 

龍斗side

 

マシュ「セイバー、キャスター、共に消滅を確認しました。私達の勝利・・・なのでしょうか?」

 

龍斗「・・・そうかもな。」

 

穂乃花「すごいよマシュさん!あの壁!」

 

香奈「あれが宝具かもしれないよね!」

 

マシュ「いえ、あれは宝具自体ではなくてですね・・・」

 

マシュ達は勝った喜びが溢れているが、俺はどこかずっと違和感と罪悪感があった。

 

あのアーサーの言葉にある違和感と────

 

 

────所長との別れの時間が迫っていることが。

 




冬木自体の戦いは決着しました。そして次回は新たな戦いの幕開けです。それではまた!

FGOの曲やBGMはどれもいいですよね!


※エクスカリバーの部分を編集しました。


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始まるグランドオーダー

まさかの三作連続投稿!

いろいろあるもので書いては保存をやってたので。


オルガマリー「グランドオーダー・・・セイバーはなぜその呼称を。」

 

マシュ「所長?」

 

オルガマリー「あ、あぁ。ご苦労だったわ。剱崎、マシュ。それからカルマも。」

 

カルマ「ペコリ」

 

オルガマリー「剱崎、あなた残念だったわね。マシュの力を見れないとは。・・・といっても、こうなることは想定内だったのでしょう?」

 

龍斗「まぁ、真名はわからなくても、仮として力は解放できるんじゃないかとは思ってた。」

 

オルガマリー「けど、使えた大きな理由は、マシュの仮でもいい。それでも戦うという覚悟なのかもね。でも、真名無しってのもあれよね。私がいいスペルを考えてあげる。」

 

オルガマリー「仮想宝具 擬似展開 人理の礎(ロード・カルデアス)なんてどう?」

 

なんか変な名前かと思ったが案外いい名前だった。

 

龍斗「おぉ、意外といい名前。」

 

オルガマリー「ムカッ!・・・まぁいいでしょう。これは帰ってから説教ですね。」

 

龍斗「帰ってから・・・」

 

────いや、説教は受けることはないだろう。何故なら

 

穂乃花「龍君・・・?」

 

松原が違和感を覚え俺に話しかけようとしてが、甲高い拍手によって邪魔された。

 

???「いや、まさか君達がここまでやるとは思わなかった。」

 

そこにはカルデアの中で警戒していた男がいた。

 

???「計画の想定外にして私の寛容さの許容外だ。」

 

マシュ「あれは・・・」

 

龍斗「レフ・ライノール。」

 

ロマン『レフ教授だって!?』

 

すると所長は涙を流しレフの元へと向かっていった。

 

オルガマリー「レフ!生きてたのね!あなたがいないと私・・・!」

 

レフ「オルガ。元気そうだね。随分と苦労したようだ。」

 

オルガマリー「そうなの!混乱することばかりで頭がどうにかなりそうだった。でも、あなたがいればもう大丈夫よね!」

 

レフ「もちろん。」

 

オルガマリー「パァッ」

 

レフ「本当に想定外の事態ばかりが起きて頭に来る。ロマニ、君にはすぐに管制室に来てほしいと言ったのに。」

ロマン『レフ?』

 

さすがにドクターも違和感を覚えた。

 

レフ「君もだよオルガ。爆弾は君の足元に置いたのに、まさか生きていたなんて。いや、生きていたと言うのは少し違うな。」

 

龍斗「やっぱりそうか。」

 

マシュ「先輩、やっぱりとは・・・」

 

龍斗「レイシフトの適性がなかった所長がなんで無傷でここまで来れるって話だ。お前らはソロモンの力で来れた。それはまだ納得ができる。だが所長は?」

 

穂乃花「ソロモンの力を持ってない。」

 

香奈「え?じゃあなんでレイシフトができたの?適性がないとレイシフトってやつはできないんじゃ・・・?」

 

龍斗「簡単だ。それは所長さんが・・・」

 

レフ「剱崎龍斗・・・君は薄々気づいていたようだね。そう。オルガ・・・君はもう死んでいる。肉体はとっくにね。」

 

全員「え・・・!?」

 

龍斗「クッ・・・」

 

所長は完全に驚愕し、言葉も出ていない。

 

レフ「君は生前、レイシフトの適性がなかっただろう?肉体があったままでは転移できない。君は死んだことで初めてあれほど悲願していた適性を手に入れたんだ。」

 

オルガマリー「ウソ・・・」

 

レフ「だから、カルデアに戻った時点で、君のその意識は消滅する。」

 

オルガマリー「消滅って・・・そんな・・・」

 

レフ「だがそれでは非常に哀れだ。生涯をカルデアに捧げた君のためにせめて今、どうなっているか見せてあげよう。」

 

するとレフは聖杯を手にとり、カルデアとここを繋げた。

 

オルガマリー「何あれ・・・カルデアスが赤く・・・ウソ・・・よね。あれただの虚像でしょ?レフ!」

 

レフ「本物だよ。君の為に時空を繋げてあげたんだ。聖杯があればこんなこともできるからね。」

 

カルデアにいる人達も驚きを隠せていなった。

 

レフ「さぁ、よく見たまえ。アニムスフィアの末裔。これがお前達の愚行の末路だ。」

 

するとレフは魔術を使って所長さんを浮かせた。

オルガマリー「え!?な、なに!?」

 

レフ「最後に君の望みを叶えてあげよう。君の宝物とやらに触れるがいい。」

 

オルガマリー「何を言っているの!?や、やめて!だってカルデアスよ!?」

 

レフ「あぁ、ブラックホールと何も変わらない。それとも太陽か。いずれにせよ、人間が触れれば分子レベルで分解される。生きたまま無限の死を味わいたまえ。」

 

所長さんは刻一刻とカルデアスに近づいていた。

 

オルガマリー「いや・・・いや!助けて!誰か助けて!どうして?どうしてこんな事ばかりなの?」

 

オルガマリー「いや、やめて!いやいやいや!だって、まだなにもしてない!まだ誰にも褒めてさえもらえなかったのに!いやぁぁぁぁぁ!!」

 

カルデアスに呑まれるかのように所長さんが消滅してしまった。全員が愕然とする中、俺はまだ戦闘体制をとっていた。

 

龍斗「・・・!全員下がれ。」

 

レフ「さすがデミサーヴァントと言ったところか。私が根底から違う種族だと見抜いたか。サーヴァントとしての気配がしなかったからてっきりただのノロマかと思っていたよ。」

 

龍斗「コッチは初対面の時点でヤバい奴だとは思ってたぞ。」

 

レフ「フフハ・・・さて、そろそろ改めて自己紹介をしよう。私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様ら人類を処理するために遣わされた2016年の担当者だ。」

 

穂乃花「人類を・・・」

 

香奈「処理・・・?」

 

レフ「そうだ。ドクターロマン。聞こえているな。」

ロマン『レフ教授・・・』

 

レフ「共に魔導を研究したものとして最後の忠告をしてやる。未来は消失したのではない焼却されたのだ。カルデアスの磁場でカルデアは守られているだろうが、外はここ冬木と同じ末路を迎えているだろう。」

 

ロマン『外部との連絡が取れなかったのは、通信の故障ではなく、受け取る相手がいなかったからなんですね。』

 

全員「・・・!」

 

レフ「貴様らは進化の行き止まりで衰退するのでも、異種族との交戦の果てに滅びるのでもない。自らの無能さに!」

 

レフ「自らの無意味さ故に!」

 

レフ「我らが王の寵愛を失ったが故に!なんの変哲もない紙くずのように、跡形もなく燃え尽きるのだぁ!!」

 

穂乃花「・・・地震?」

 

香奈「違う・・・これって!」

 

龍斗「まずい!」

 

ここの洞窟が崩れ始めていた。

 

レフ「この特異点もそろそろ限界か。セイバーめ。聖杯を与えられながら、この空間を持たせようなどと余計な手間を・・・」

 

瓦礫が崩れ、俺達に襲いかかる。

 

バルバトス「仕方がない。ここで死なれては俺が困る。・・・!」

 

龍斗「───!」

 

そこで意識を失った。

 

龍斗「う、うん。」

 

穂乃花「龍君?龍君!」

 

龍斗「・・・」

 

穂乃花「あ。良かった。目が覚めたんだね。」

 

龍斗「・・・ここは。」

 

穂乃花「カルデアって所。バルバトスさんが、ここまで飛ばしてくれたんだって。」

 

龍斗「バルバトスが・・・?そうだ!それより皆は!」

 

穂乃花「うん。無事だよ。ロマンって人に龍君が起きたら連れてきてっていわれてるから。行こう?」

 

龍斗「あぁ。」

 

管制室へ向かうとそこにはドクターと日暮、カルマ、マシュがいた。

 

ロマン「まずは生還おめでとう剱崎君。君のおかげで、マシュとカルデアは救われた。」

 

穂乃花「あの・・・所長さんは?」

 

ロマン「残念だけど・・・」

 

全員「・・・」

 

ロマン「冬木の特異点は君達のおかげで消滅した。しかし、新たに7つの特異点が発見された。冬木とは比べ物にならない時空の乱れだ。この7つの特異点にレイシフトし、歴史を正しい形に戻す。それが人類を救う唯一の手段だ。」

 

ロマン「マスター適性者は、君を除いて凍結。戦えるサーヴァントは君とカルマ君とマシュの3人だ。」

 

マシュ「・・・」

 

ロマン「こんな状態で君に話すのは強制に近いと理解している。それでも僕はこう言うしかない。48人目のマスター適性者、剱崎龍斗。君に・・・君のサーヴァントと共に、人類の未来を背負う覚悟はあるか。」

 

龍斗「・・・はぁ。なかったらとっくに帰ってるっての。」

 

穂乃花「フフッ。」

 

香奈「・・・」

 

龍斗「・・・あぁ。」

 

ロマン「・・・その言葉で、僕達の運命は決定した。これより、前所長、オルガマリーアニムスフィアが予定した通り、人理継続を尊命を全うする。目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は各年代、原因と思われる聖遺物、そして聖杯。」

 

ロマン「我々が戦うのは歴史そのものだ。君の前に立ちはだかるのは多くの英霊、伝説になる。それは挑戦であると同時に過去に弓を引く冒涜だ。我々は人類を守る為に人類史に立ち向かうのだから。生き残るには・・・未来を取り戻すにはこれしかない。例えどのような結末が待っていても・・・だ。」

 

ロマン「以上の決意を持って、作戦名をファーストオーダーから改める。これはカルデア最後にして原初の使命。人理守護指定グランドオーダー。魔術世界における最高位の使命を以て、我々は未来を取り戻す!」

 

ここから俺達の

 

 

 

 

────人類の未来を賭けた戦いが始まった。

 

 




ゲームだとOPが流れるはずなのに・・・!

水着牛若当たったー!ジャンヌも欲しいなぁ(わがまま)

それではまた!

※ここを編集しました。


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始まりの前夜

長く待たせてごめんなさい・・・


作戦を話終えた後、しばらく俺達はカルデアスの前にいた。

 

穂乃花「今思ったんだけど。あの赤い地球が、さっき言ってたカルデアスなんだよね。」

 

龍斗「あぁ、あれを元の地球の形に戻すのが役目だ。だがお前らは大丈夫だ。ドクターにも頼んで、なるべく戦闘から回避させる。」

 

香奈「けど、代わりに龍斗君とカルマ君とマシュさんが・・・」

 

龍斗「・・・俺に関しては大丈夫だ。戦闘、斬り合いに関してならある程度はなれてる。」

 

穂乃花「・・・」

 

カルマ「けどどうやってそこまでの実力を?聖杯戦争は君に力を与えたサーヴァントの宝具による聖杯の破壊で終わったって聞いたけど。」

 

龍斗「確かにそうだ。そしてその後、俺は師匠に拾われて、稽古をつけてもらったんだよ。」

 

カルマ「師匠?」

 

マシュ「しかし、一つ気になる事があります。先輩は自分に力を譲渡したサーヴァントを知っていたのですよね。その時に何故宝具を使える状態にあったのですか?」

 

龍斗「それに関してはわからん。真名を知ってたからなのか。もっと別の理由があるのか。その二択だろう。」

 

ロマン「君たち、ここにいたんだね。」

 

龍斗「ドクターロマン。」

 

穂乃花「あ、さっき連絡してた人だ。」

 

ロマン「そうか。君たちとこうして話すのは初めてなんだね。僕は───」

 

自己紹介を終えたとき、ロマンはなんか不味そうな顔をしている。

 

ロマン「さて・・・ここで一つ問題がある。」

 

龍斗「なんだよ。」

 

ロマン「彼女達の部屋・・・どうする?」

 

龍斗「あるだろ?48人も呼んだんなら。」

 

ロマン「いや、実はねぇ・・・」

その時衝撃の事実を知った。

龍斗「使える部屋が4つだけ!?」

 

ロマン「まぁね。治療を終えたスタッフを部屋で安静にさせてたんだけど、結構部屋を使ったから。使えるとしても4つか限界だ。」

 

龍斗「・・・なら、マシュとカルマと日暮と松原が使え。」

 

穂乃花「龍君は?」

 

龍斗「廊下ででもねとく。」

 

マシュ「ダメです先輩。それは休息とは言いません。」

 

龍斗「けど4人が限界だからなぁ。」

 

穂乃花「なら・・・」

 

龍斗「あ?」

 

穂乃花「龍君と一緒の部屋にする!」

 

龍斗「・・・」

 

全員「・・・」

 

俺の思考は珍しくショートした。というより、爆弾級の発言だと予測した為、判断が遅れてしまった。

 

龍斗「はい?」

 

穂乃花「だ、だって、部屋が4つだけなんでしょ?龍君も休まないとだし・・・」

 

龍斗「いや、それなら普通にお前と日暮が一緒の部屋になればいいんじゃね?」

 

これはご最もであろう。

 

香奈「はぁ・・・」

 

龍斗「ん?なんだ?」

 

カルマ「剱崎君って色々と鋭いのにこういう類は鈍いんだね。」

 

香奈「全くだよ・・・」

 

何故だろう。正論を言ったはずなのに、呆れられてるような気がする。

 

龍斗「どういう事だ?」

 

ロマン「おや?これはもしかして・・・?」

 

マシュ「・・・」

 

ロマン「マシュ?どうかしたかい?」

 

マシュ「!い、いえ。何でもないです。」

 

その後それぞれが部屋に戻った後────

 

穂乃花「マシュさん!」

 

マシュ「?穂乃花さん。」

 

穂乃花「あの、もしかして・・・マシュさんは、龍君が好きなんですか!?」

 

マシュ「!え、えーと・・・好きとはつまり、人間的ではなく、異性としてという意味ですから・・・えっと─────カァァァ!!!///」

 

理解する度に顔を赤らめるマシュ。もう爆発寸前まできていた。それを見た穂乃花は知った。マシュも自分と同じだと。

 

穂乃花「・・・マシュさん。」

 

マシュ「は、はい!」

 

穂乃花「私・・・負けませんから!」

 

マシュ「え?」

 

穂乃花はその後部屋に戻った。だがマシュはなんの宣言かわからない。

 

マシュ「・・・今のは、何でしょう。」

 

偶然居合わせたロマニに聞く。

 

ロマン「俗にいう、ライバル宣言ってやつだね。」

 

マシュ「ドクター。ライバルとは・・・?」

 

ロマン「もちろん、龍斗君との恋仲関係の。」

 

マシュ「え!?///」

 

再び顔を赤らめるマシュだった。

 

────一方その頃

 

???「フフフ・・・これは、面白い子だ。この4つのリング・・・使えるかもねぇ。」

 

赤いリング、青いリング、緑のリング、黄色のリングを懐においていた。

 

???「彼なら多分・・・このエレメントリングを渡せるかもねぇ。さぁて。ここは、この天才が色々なリングを創ってあげよう。」

 





リング・・・指輪・・・魔術師・・・あっ(察し)

わかった方は分かった上で目を瞑って欲しいですね。

できるか!って人はコメントで答え合わせを(コメ稼ぎ乙です)

それではまた!


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第一特異点 邪竜百年戦争オルレアン
プロローグ 救国の聖処女


龍斗「お前こんなに投稿遅れやがって覚悟してんのか?」

作者「いやごめんなさい。ホントに色々あったんだよ。」

龍斗「ほう。言ってみろ。」

作者「FGOのイベントが激アツすぎて書いてた事すら忘れてましたごめんなさい!」

龍斗「オーケーわかった今からエクスカリバーぶっぱなすからな。」

穂乃花「ヤバいこの人口を塞ぐとかのレベルじゃなくてこの世から抹消する気だよ!しかも相当目が本気だ!」

作者「こっちの方が人類最悪の脅威じゃねぇか!レフとかと怖さが段違いだよ!ねぇごめんなんか言って?そのハイライト消えた目で近づいてこないで!いやぁ誰か助けてぇぇ!絶対死ぬよりも辛い地獄が待ってるぅぅぅ!!」

穂乃花「・・・というわけで、龍君は作者さんをバラしに行ったのでしばらくは帰って来ませんので、このまま本編へどうぞ。」




とある場所にて、白い髪をし、黒い鎧を纏った少女が魔方陣の前で詠唱をしていた。

 

???『───告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ。』

 

???『誓いを此処に。我は常世総ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者────』

 

それはまさしく――――

 

???『汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーー!!』

 

―――英霊を召喚するためのものだった。

 

???『おお・・・!』

 

全身を黒い服で覆っている男が歓喜していた。

 

???『───よく来ました。我が同胞達。私が貴方達のマスターです。』

 

???『召喚された理由は分かりますね?破壊と殺戮、それが私から下すオーダーです。春を騒ぐ街があるのなら、思うまま破壊なさい。春を謳う村があるのなら、思うまま蹂躙なさい。どれ程の邪悪であれ、どれ程の残酷であれ、神は全てをお許し下さるでしょう。』

 

???『罰をお与えになるならば、それはそれで構いません。それは神の実在とその愛を証明する手段に他ならないのですから。───それではジル。彼を連れてきてちょうだい。』

 

ジル『はい、畏まりました。』

 

???『手は出してないでしょうね、ジル?』

 

ジル『もちろんですとも。ですがどうするかは考えておいでで?』

 

???『───』

 

ジルという男の言葉に少女は顔を歪める。

 

ジル『おや、私めのアイデアは必要ですか?』

 

???『あぁ。私が悩んでいる、と気を遣ってくれたのね。───は、バッカじゃないの。いつまでも愚かだと殺すわよ、ジル。あなたは食事をとる時、今日はフォークをどう使おうか?なんていちいち考えるの?』

 

???『それと同じですよ。彼をどうするかなんて、考えるまでもない些事ですので。』

 

その言葉に安心をしたのか、ジルは宣教師の衣装を身にする男を連れてきた。

 

???『な、何だ!?此処はどこで、お前たちは一体・・・!?答えろ、答えないか!そこの───』

 

ジルが男を睨み付ける。

 

???『ヒィッ!?』

 

男は恐怖のあまりに

 

???『あぁ。ピエール!ピエール・コーション司教!お会いしとうございました。貴方の顔を忘れた日は、このジャンヌ・ダルク一日とてございません!』

 

ジャンヌ・ダルクと聞いたとき、ピエールは顔を青ざめ、体を震わせた。

 

ピエール『バカな。バカな、バカな、バカな、バカな・・・!お、お、お、お前は───ジャンヌ・ダルク!?有り得ない!有り得るはずがない!三日前に死んだはずだ!殺したはずだ!じ───』

 

ジャンヌオルタ『地獄に堕ちた(・・・・・・)、と?かもしれませんね、司教。』

 

ピエール『これは、夢だ。悪夢だ。悪夢以外のなんだと言うのだ・・・!』

 

ジル『おやおや、現実から逃避し始めましたぞ。これはいけない。気付けをしなくては。』

ジルはピエールを痛め付け、これが現実なのだと思い知らせる。

 

ピエール『ぎゃぁぁぁ!?ひっ、ひっ、ひぃっ・・・!』

 

ジャンヌオルタ『さあ、どうします司教!?いが異端だと弾劾したジャンヌ・ダルクがここにいるのですよ?十字架を握り、天に祈りを捧げなくて良いのですか?私を罵り、嘲り、踏みつけ、蹂躙しなくてよいのですか?邪悪なジャンヌ・ダルクがここにいると!勇敢な獅子のように吼えなくて良いのですか!?さあ、さあ、さあ!』

 

ジャンヌはピエールを煽るかのように話す。

 

ピエール『た・・・』

 

ジャンヌオルタ『た?』

 

ピエール『たす、けて。助けてください。何でもします。助けてください、お願いします・・・!』

 

ピエールは顔を歪め、涙を流しジャンヌに命乞いをしていた。それを見たジャンヌは高らかに笑いだす。

 

ジャンヌオルタ『───は。アハハハハ!ねぇ、聞いたジル!?助けてください、助けてくださいですって!私を縛り、私を嗤い、私を焼いたこの司教様が!あれだけ取るに足らないと!私は虫のように殺されるのだと、慈愛に満ちた眼差しで語った司教様な、命乞いをしているなんて!」

 

ジャンヌオルタ『ああ───悲しみで泣いてしまいそう。だって、それでは何も救われない。そんな紙のような信仰では天の主には届かない。そんな羽のような信念では大地には芽吹かない』

 

ジャンヌオルタ『神に縋ることすら忘れ、魔女へと貶しめた私に命乞いをするなど、信徒の風上にもおけません。分かりますか司教。貴方は今、自らを異端者だと証言してしまったよです。』

 

ジャンヌオルタ『だから私は悲しくて悲しくて、もう気が狂いそうなぐらい笑ってしまいそう!ほら、思い出して司教。異端をどういう刑に処すか、貴方は知っているでしょう?』

 

ピエール『・・・!?嫌・・・嫌だ、嫌だ、嫌だ!!助け・・・たすけ、て・・・!』

 

ジャンヌオルタ『残念。救いは品切れです。この時代にはまだ冤罪符もありませんし。』

 

そう言いジャンヌはピエールの前に手をかざす。

 

ジャンヌオルタ『さぁ───足下からはじめましょうか。私が聖なる焔で焼かれたならば。お前は地獄の焔でその身を焦がすが良い。』

 

ピエール『ギャアアアアアアアアアアアアー!!』

 

その悲鳴を最後に、ピエールは炎に包まれ跡形もなく燃え去った。

 

ジャンヌオルタ『・・・塵の一つも残さず掻き消えましたか。下らない時間を使わせました。ごめんなさい、ジル。』

 

ジル『何を仰る。これも全て意義ある鉄槌ゆえ。他に生き残った聖職者たちはどうします?』

 

ジャンヌオルタ『そうですね。いちいち審問するのも面倒です。彼らに食わせて上げましょう。喜びなさい。私の卑しいサーヴァントたち。生き残った聖職者どもは貴方たちのものです。』

 

ジャンヌオルタ『マスターである私、ジャンヌ・ダルクが全て許します。魂を喰らいなさい。肉を咬み千切りなさい。湯水のように血を啜りなさい。だって我々はまさに。"悪魔"として顕現したのですから!』

 

ジャンヌオルタ『私の命令はただ一つ。この国を、フランスという過ちを一掃する。』

 

ジャンヌオルタ『刈り取るように蹂躙なさい。まずはいと懐かしきオルレアンを。そして地に蔓延した春の沃地を荒野に帰す。』

 

ジャンヌオルタ『老若男女の区別なく、異教信徒の区別なく、あらゆる者を殺しなさい。それがマスターとして、貴方たちに送る唯一の命令です。』

 

ジャンヌオルタ『そのために、貴方たちの全員にバーサーカーたしての特性を付与しました。聖女であろうと、英雄であろうと、壊れた精神で踊りなさい。』

 

ジャンヌオルタ『バーサークセイバー。

 

───バーサークアーチャー。

 

───バーサークランサー。

 

───バーサークライダー。

 

───バーサークキャスター。

 

───バーサークアサシン。

 

そしてバーサーカーの代わりに召喚した"彼"と私。この世界の裁定者(ルーラー)として、審判を下します。主の愛を証明できなかった人類に存在価値はありません。

 

 

──────恐ろしいまでに有罪です。人類はみな、善人であれ、悪人であれ平等である。故に全て殺しなさい。ただの一人も、逃すことは許されない。』

 

少女の言葉に慈悲はなかった。ただの殺戮を繰り返すと言っているようだった。

 

ジル『おお・・・おお・・・!なんという力強さ・・・!偽りのない真理なのか!これぞ救国の聖女!神を肯定し、人々を許す聖女に他ならないっっっっ!』

 

ジル『帰って来た・・・私の光が・・・貴方は本当に蘇ったのですね、ジャンヌ!では私も元帥として今一度奮い立ちましょう!まずは証を・・・我らが軍団の旗が必要ですな!ジャンヌ、何を旗印に掲げましょう。悪夢でしょうか。それとも───』

 

ジャンヌオルタ『それでは"竜"にしましょう。偶然か必然か、此度の召喚は竜に縁近い者が多い。』

 

ジャンヌオルタ『災禍の象徴たる邪竜を以て、我々はこの世界を徹底的に灼き尽くすのです。ああ、ついでにもう一つの命令です。笑いましょう。心の底から愉しそうに。』

 

ジャンヌオルタ『ふ・・・うう。あは、あはは───ははははは!あははははははは!!愉しい!愉しいわジル!こんなに愉しいのは、生まれて初めて!』

 

ジル『ええ───ええ、そうでしょうとも。それが正しい。それで良いのです。人々に担ぎ上げられ、人々の旗にされ、人々に利用され、人々に見捨てられた───だからこそ貴方は正しい。この地上の誰が、何が。貴方のその本心を裁くことができるのでしょう・・・?』

 

深夜、カルデアで眠りについていた少女、松原穂乃花が目を覚ます。

 

穂乃花「!・・・何?今の夢・・・って、まだ深夜だよぉ。もう少し寝ておこう。」

また眠りにつくと、今度は違う空間にきていた。

 

穂乃花『あれ?ここは?』

 

???『おっ!これは中々可愛い子がきたものだ。』

 

そこには着物に似た衣装をしており、刀を二本さしている女性がたっていた。

 

穂乃花『え!?だれ!?』

 

???『あっと、自己紹介がまだだったか。』

 

武蔵『私は宮本武蔵。お弟子君がお世話になっております。』

 

穂乃花『宮本武蔵!?えっと、歴史上の人物がなんで・・・あ、そういえば、英霊は歴史にいた英雄そのものだって龍君が言ってたような。というかお弟子君って?』

 

武蔵『?剱崎龍斗だよ?』

 

穂乃花『り、龍君とどういう関係ですか!』

 

明らかに何かを勘違いしている様子だった。

 

武蔵『?師弟関係だけど・・・あぁ~そっかぁ~君お弟子君に惚れてるんだぁ~』

 

穂乃花『うっ!』

 

何故バレたと言っているようだった。

 

穂乃花「っていうか、宮本武蔵って男だったんじゃ・・・」

 

武蔵『あぁ〜やっぱり?こっちじゃ男なんだ。しかも現代の人に知られている有名人。』

 

穂乃花「こっち?」

 

武蔵『そーなんだよ。こっちは私の知ってる歴史じゃないし、現代は結構色々と進歩してるし。』

 

穂乃花「まぁ、昔の人はそう思いますよね。」

 

武蔵『現代のおうどんは私の時代より大分おいしいしお金が簡単に手に入るし』

 

途中から穂乃花は違和感を覚える。

 

穂乃花「あれ?」

 

武蔵『お弟子君には色々と呆れられてこんなのが師匠とか信じられないとか言われたことあるしであの時は本当に泣きそうだった。』

 

穂乃花「最後の一個はなんかホントに言われてそうで怖いんですけど途中からおかしな方向にいってません?」

 

ハッと戻った武蔵はいきなりまじめ顔になっていた。

 

武蔵『っと、目的を忘れるところだった。』

 

穂乃花『目的?』

 

武蔵『私はあなたに話をしに来たの。人類史の崩壊はしってるよね。』

 

穂乃花『はい。』

 

武蔵『実はあの子に剣術を教えたのは・・・この状況を覆せる可能性があったから。』

 

穂乃花『じ、じゃあ、あなたはこうなることを知ってたんですか!?』

 

武蔵『まぁね。私はあの子のような存在を探してた。この地獄から人類史を救う為に。』

 

穂乃花『だとしても、どうして龍君が。』

 

武蔵『・・・2004年。とある都市である儀式が行われた。その名は・・・聖杯戦争。』

 

穂乃花『聖杯戦争!?まさかその都市って・・・冬木ですか?』

2004年の聖杯戦争と聞いた時点で冬木で起きたのだと穂乃花は理解した。

 

武蔵『そう。あの子を見つけたのは、聖杯戦争が終わった後。あの子は・・・ただ墓を掘ってたの。』

 

穂乃花『お墓を?』

 

武蔵『・・・自分の家の跡地で、聖杯戦争で亡くなった人達の墓を・・・たった一人、生き残ったあの子が。』

 

穂乃花『だから自分を人間じゃないって・・・』

 

武蔵『だからね・・・あの子を支えてあげて。』

 

穂乃花『え?』

 

武蔵『あの子、色々抱え込んじゃうから。』

 

穂乃花『わかりました。』

 

武蔵『よかった。・・・おっと時間だ。』

 

穂乃花『え?』

 

武蔵『頑張って。人理を救済してくれることを祈るよ。』

 

空間に光が生じ、穂乃花は目を覚ます。

 

穂乃花「・・・フォルネウス。」

 

フォルネウス『何でしょう?』

 

穂乃花『もし、あなたの力を使いたいって言ったらどうする?』

 

フォルネウス『・・・危険ですね。あなたは微量にも魔力はあるようですが、私の力を使うまでには至らない。』

 

穂乃花『・・・だよね・・・決めた。私、魔術を学ぶ。』

 

フォルネウス『!?』

 

穂乃花『私の魔力が上がればあなたの力を使えるかもしれない。』

 

フォルネウス『・・・あなたは不思議ですね。なら、少しは期待をして待っていましょう。』

 

その頃、剱崎龍斗の部屋では。

 

???「やっほー。」

 

青をモチーフにしたカラフルな衣装をした女性が跨がっていた。

 

龍斗「・・・誰。」

 

ダヴィンチ「なぁに。天才のダヴィンチちゃんさ。」

 

龍斗「天才・・・ダヴィンチ・・・あぁ、人類史上最高の天才か。」

 

ダヴィンチ「おぉ、知っているようだね。実は君にプレゼント。」

 

龍斗「このリング・・・」

 

ダヴィンチ「エレメントの魔力で出来たリング。リング系の魔術師のきみなら使えるかと考えてね。」

 

ダヴィンチ「そこの赤いリングは炎属性。青いリングは水属性。緑のリングは風属性。黄色のリングは土属性。そして・・・いろんな魔術を組み込んだリングを創ったのさ!」

 

龍斗「・・・早くね?まぁ、もらっとく。」

 

ダヴィンチ「さ!ブリーフィングに行ってきたまえ。」

 

 

 

ロマニ「お!やっと来たかい剱崎君。全員揃ったところでブリーフィングを始めよう。まずは・・・そうだね。君たちにやってもらいたい事をもう一度説明しよう。」

 

ロマニ「まずは特異点の調査、及び修正。その時代における人類の決定的なターニングポイント。それがなければ我々はここまで至れなかった人類史における剱崎な事変だね。」

 

ロマニ「君たちはその時代に飛び、それが何であるかを調査、解明して、これの修正をしなくてはならない。」

 

ロマニ「さもなければ2017年は訪れない。2016年のまま人類は破滅するだけだ。以上が第一の目的。これからの作戦の基本大原則ってワケ。」

 

龍斗「・・・で、一個気になる事があるんだが。」

 

ロマニ「ん?なんだい?」

 

香奈「・・・」

 

穂乃花「・・・」

 

カルデアの礼装を着た二人が立っていた。

 

龍斗「・・・なんでこいつら、行く気満々なんだ?」

 

ロマニ「彼女達には君とカルマ君、マシュのバックアップをしてもらう。レイシフトの適性もあったからね。いくらソロモンの魔神がいるからとはいえ、戦闘ができるわけじゃないから、あくまでもサポートとして。」

 

カルマ「なるほど。」

 

ロマニ「それで第二の目的は・・・」

 

龍斗「聖杯だろ?」

 

ロマニ「そこ!僕のセリフをとらない!まぁいいや。剱崎君なら聖杯もわかってるだろうし、ここからは交代ってことで。」

 

龍斗「へいへい。恐らくだが、この特異点の現象には聖杯が関わってる。こんな馬鹿げたことをするには奇跡なんかじゃ不可能だ。それを、万能の願望器がしたとするなら、やることは唯一つ。」

 

カルマ「その特異点で聖杯を回収して、特異点を消すんでしょ?」

 

龍斗「あぁ。」

 

ロマニ「うわぁ、ちゃっかり作戦とか立てちゃって怖いんですけど。まぁいいや。あと、任務の他にもう一つやってもらいたいことがある。といっても、そこまで重要じゃないんだけど・・・」

 

穂乃花「あの召喚サークルってやつですか?」

 

ロマニ「え、えーと・・・なんでそう思ったのかな?」

 

ロマニは顔に汗を流している。なぜならこれ以上喋る事をとられたら指揮官としてのプライド的なあれが消えてしまうからだ。

 

香奈「だって冬木の時も龍斗君がやってたし、カルデアから物資を送るにはそれがないとダメ何でしょ?そう本に書いてあったし。」

 

ロマニ「君たちには僕のセリフをとるのが流行ってるの?」

 

ダヴィンチ「おいそこのお調子者。いつまで私を待たせる気だ。」

 

龍斗「あ、さっきのダヴィンチ。」

 

ダヴィンチ「ひどいなぁ。ダヴィンチちゃんとよんでくれたまえ。」

 

ロマニ「剱崎君は対面済みか。」

 

龍斗「つか、こんなとこで雑談してる暇はないだろ。とっとと行くぞ。」

 

ロマニ「そうだね。それでは準備を始めよう。」

 

ダヴィンチ「君たち後で覚えときなよ。」

 

アンサモンプログラム スタート。

 

霊子変換を開始します。

 

 

 

 

 

 

 

レイシフト開始まであと3 2 1・・・

 

 

 

 

 

 

 

全工程クリア グランドオーダー 実証を開始します。

 




龍斗「というわけで、お前、なんか言っとく事ある?もし下らないことを言おうものならまたエクスカリバーぶっぱなすからな。」

作者「ちょっと待ってホントに怖いよ。絶対何を言おうが消し炭になるの確定じゃん!」

龍斗「はい3、2、1、どうぞ。」

作者「えぇー、数少ない読者の皆様、こんなに投稿が遅れてしまい、ホントに申し訳ございません。今後はこんなに遅れないように気をつけたいと思います。それともう一つ・・・マシュと穂乃花のどっちをメインヒロインにしたらいいんだぁぁぁぁ!!」

龍斗「約束された勝利の剣(エクスカリバー)。」

作者「あぁぁぁぁぁ!!」

穂乃花「・・・次回、第一特異点、邪竜百年戦争オルレアン、第一節。お楽しみに。」


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百年戦争の地

龍斗「・・・お前さぁ。バカなの?」

作者「・・・ごめんなさい。」

龍斗「・・・言い訳は?」

作者「ございません。」

龍斗「じゃあ遺言もないってことだな。今からお前をバラバラにする。」

作者「そんな物騒なことをここで言わないで!いや、やめ・・・アァァァァァァァ!!」

穂乃花「・・・作者が投稿をここまで遅らせなかったら龍君に殺られないですむのになぁ。あ、本編始まりまーす!」


 

四人がレイシフトした場所は何もない草原だった。マシュは英霊の状態にいる。

 

マシュ「・・・ふぅ。無事に転移できました。」

 

穂乃花「レイシフトって、こんなに頭がぐわんってくるんだ。」

 

香奈「ここっていつの時代?」

 

龍斗「見た限りだと、外国・・・だろうな。見渡す限り草原だから特定が難しい。」

 

マシュ「前回は事故による転移でしたが、今回はコフィンによる正常な転移です。身体状況も問題ありません。」

 

フォウ「フォーウ!フォーウ フォーウ!」

 

マシュ「フォウさん!?また付いてきてしまったのですか!?」

 

フォウ「フォウ・・・ンキュ、キャーウ・・・」

 

龍斗「つーかフォウもレイシフトできたのか。」

 

マシュ「・・・そのようです。私達のコフィンのどれかに忍び込んだのでしょう。幸いフォウさんに異常ありません。私達四人のどちらかに固定されているのですから、私達が帰還すれば自動的に帰還できます。」

 

穂乃花「なら問題ないのかな?」

 

マシュ「はい。私達は運命共同体です。マスター。時間軸の座標を確認しました。どうやら1431年です。現状、百年戦争の真っ只中という訳ですね。ただ、この時期はちょうど戦争の休止期間のはずです。」

 

龍斗「百年戦争・・・ってことはここはフランスか。」

 

香奈「でも、休止期間なんてあったの?戦争なのに?」

 

龍斗「百年戦争は名前のとおり百年間継続して戦争をしていた訳じゃないこの時代の戦争は比較的に温厚だったからな。」

 

マシュ「はい。捕らえられた騎士が金を払って釈放されるなどが日常茶飯事だったそうで・・・カルマさん?どうかしたのですか?」

 

カルマ「・・・空に、輪がある。」

 

四人「・・・え?」

 

上空を見上げると、そこには巨大な輪が空に存在していた。輪の中は何もなく、見続けるとブラックホールに吸い込まれるような感覚に陥る。

 

ロマニ「よし、回線が繋がった!画像は粗いけど映像も通るようになったぞ!って、どうしたんだい皆?揃って空を見上げちゃったりして。」

 

マシュ「・・・ドクター、映像を送ります。あれは、なんですか?」

 

ロマニ「これは―――」

 

回線上から見たロマニは驚愕する。この光の輪は人類が編み出した魔術に存在しないのだから。

 

ロマニ「光の輪・・・いや、衛星軌道上に展開したなんらかの魔術式か・・・?なんにせよとんでもない大きしだ。下手をすると北米大陸と同サイズか・・・?」

 

ロマニ「ともあれ1431年にこんな現象が起きたという記録はない。間違いなく未来消失の理由の一端だろう。アレはこちらで解析するしかないな・・・君たちは現地の調査に専念してくれていい。まずは霊脈を探してくれ。」

 

マシュ「ドクターの言うとおりです。周囲の探索、この時代の人間との接触、召喚サークルの設置・・・やるべきことは山ほどあります。」

 

龍斗「ま、一つずつやるしかないか。まずは霊脈を探しながら街を目指すか。」

 

穂乃花「街?なんで?」

 

龍斗「まずは情報がいる。」

 

マシュ「皆さん止まってください。確認・・・どうやらフランスの斥候部隊のようです。どうしましょう。を試みますか?」

 

穂乃花「危なくないかな?」

 

マシュ「見たところはヒューマノイドです。話し合えばきっと平和的に改源します。ヘイ、エクスキューズミー。こんにちは。私達は旅の者ですが」

 

マシュを見た兵士は固まる。それもそのはず、見たことのない格好をした人間にいきなり話しかけられたら不審に思うのは当然。

 

兵士「・・・」

 

マシュ「?」

 

龍斗「・・・カルマ、準備をしとけ、いつでも槍を振り回せるようにな。」

 

カルマ「了解。」

 

二人は察して、戦闘体勢をとっていた。

 

香奈「どうしたの?」

 

フォウ「フォウ?」

 

兵士「ヒッ・・・!敵襲!敵襲ー!」

 

ロマニ「ヤッホー、手が空いたら様子を観に・・・って、何でまわりを武装集団に取り囲まれてるんだい!?」

 

マシュ「・・・すいません、私の失敗です。挨拶はフランス語でするべきでした。」

 

龍斗「いや、反省点違うからな。」

 

マシュ「こうなっては戦闘回避は困難だと進言します。」

 

ロマニ「いきなり荒事か!しかもフランスの精鋭!ま、まぁ、とりあえず落ち着こう!その世界は隔離された状態だ。何が起きようとタイムパラドックスは発生しないから、彼等とここで戦闘になっても問題はないだろうけど・・・」

 

マシュ「ドクター。何かアイデアを。こういう時のためのフランスジョークとか知らないんですか?」

 

ロマニ「知るもんか、ぼっちだからね!でもちょっと待って、考えさせて。小粋な冗談を思い付けばいいんだろう?その帽子はドイツんだ、みたいな!」

 

兵士「どこからともなく軽薄な声がする!総員、構えろ!こいつら怪しすぎるぞ!」

 

ロマニの行動によりフランス兵は余計に焚き付き、戦闘は避けられなくなっていた。

 

マシュ「すみません、先輩。ドクターに期待をした私が間違っていました。」

 

龍斗「・・・仕方ないな。峰打ちでやる。」

 

香奈「どうやって?」

 

龍斗「こんな時にダヴィンチのこれが役立つとはな。たしか左指につけて、魔力を通す。」

 

魔術回路が起動し、龍斗の周りを炎が包み、龍斗の姿と髪色を少し変えていた。

 

穂乃花「スゴい!姿が変わった。」

 

香奈「髪が少しだけ赤色になってる。」

 

カルマ「エンチャント・・・所謂付加術ってやつだね。炎が出てたから、火属性を付加させたのか。」

 

龍斗「ダヴィンチのやつ、こんなもん創ってたのか。まぁ、峰打ち程度できない剣士はいないからな。」

 

次々と龍斗は剣の柄や逆刃で相手を気絶させていた。そこにマシュとカルマが参戦し、事態はすぐに終息した。

 

マシュ「・・・終わりました。」

 

香奈「なんか、盾で峰打ちってできるんですね。」

 

マシュ「結構疲れました。」

 

穂乃花「お、お疲れ様です。」

 

カルマ「けど、甘かったね。撤退していってる。」

ロマン「どうやら砦に逃げるようだね。そっと追いかけて状況を問い詰めよう。くれぐれも次は刺激しないようにね。ちゃんとフランス語で話しかけるんだぞ?」

 

香奈「わかりました。」

 

穂乃花「確か・・・ダンケシューンヘル?」

 

カルマ「何を言ってるの?」

 

マシュ「フランス語のつもりかもしれないのですが・・・それはフランス語ではないです。」

 

穂乃花達がしばし作戦を練っているなか、龍斗は一人、考え事をしている。そして、

 

龍斗「・・・」

 

自らバルバトスの元へと入った。

 

バルバトス『剱崎龍斗・・・お前は本当にレフ相手に戦えるのか?いや・・・おおよその見当はついてるだろう。お前らは今、【あいつ】にケンカを売ろうとしてることくらい。』

 

龍斗『前々から思ってたんだが、いちいちフルネームで呼ぶな。お前だってしんどいだろ。』

 

バルバトス『はっ、なら、龍斗と言っとこうか。だが、今のお前で、あいつに勝てるかどうか。』

 

龍斗『・・・やってやるよ。必ずな。』

 

バルバトス『・・・英霊の力を使えたとはいえ、未だに俺の力を使えない分際で・・・よくもそんな事をほざけるなぁ!!』

 

バルバトス『俺はソロモンの魔神バルバトスだ!お前のようなガキの冗談に付き合うほど落ちぶれてねぇ!』

 

バルバトスの怒号を聞き、逆に龍斗は笑っていた。まるで滾ってきたかのように。

 

龍斗『・・・上等!俺はお前が思ってるほどガキじゃないし、そっちの方が気合いが入る。』

 

そう言い残し龍斗は帰っていった

 

バルバトス『フン・・・』

 

再び眠りにつくバルバトスだった。

 

龍斗「・・・そろそろ、使えるようにならないとな。」

 

密かに決心をした龍斗だった。

 

 





龍斗「最近作者が水着聖女?を当てたらしいぞ。」

穂乃花「あぁ、fgoの水着イベントのガチャで出てくるキャラだよ。喜んでたねぇ。お蔭でまたスイッチが入ったらしいし。」

作者「今から・・・報告・・・事項が・・・あります。」

龍斗「なんだ、生きてたのかよ。」

穂乃花「まぁまぁ。で、報告って?」

作者「ぜ、前回・・・マシュか穂乃花の・・・どっちをヒロインにしようかと・・・考えてたのですが・・・」

龍斗「そういやそんな事言ってたな。」

作者「マシュも・・・捨てがたいの・・・ですが・・・私は・・・穂乃花を・・・メインヒロインに・・・することに・・・決めました。」

穂乃花「え!?本当!?」

作者「本当です・・・タグにも増やしますが・・・マシュがメインヒロインになるかもと考えていた数少ない読者の皆様・・・期待を裏切るようで申し訳ないのですが・・・これからも拝読していただけると幸いです・・・では・・・また・・・グフッ」

龍斗「あっ、逝った。」

穂乃花「あれだけ聖剣振り回せばそうなるよ・・・次回は第2話です!」


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フランス兵を追え

みなさん。大変お待たせしました。これから少しずつこの作品も復活していきたいと思います。それでは、どうぞ!


龍斗達一行が砦に向かうと、そこには負傷している兵達が治療されている光景が目に映る。しかし、その砦はあまりにも劣化していた。

 

マシュ「これは・・・酷い、ですね・・・」

 

香奈「中がボロボロ・・・」

 

ロマニ「外壁はそこそこ無事だけど、砦とは呼べないぞ、これ。」

 

穂乃花「怪我してる人がいっぱいいる・・・」

 

龍斗「おかしい。戦争中ではないはずだがな。1431年にフランス側のシャルル七世がイギリス側についてフィリップ三世と休戦条約を結んだはず。」

 

カルマ「小競り合いはあったかもしれないけど、ここまで行くもの?」

 

兵士「ひぃっ!?ま、また来たぞ。」

 

怯えながら兵士は武器を構える。

 

穂乃花「ま、また戦うのかな?」

 

龍斗「任せろ、んんっ!・・・ボンジュール。俺達は旅の者だ。あなた方に危害を加える者ではない。どうか武器をおいて欲しい。」

 

なんと龍斗はネイティブレベルのフランス語で、自分達は敵ではないと話し、情報をとろうと試みた。

 

穂乃花「フランス語・・・かな?」

 

マシュ「先輩外国語が話せるのですか?」

 

龍斗「まぁ、色々あってな。」

 

本当にこの男のスキルはとんでもないと、龍斗意外のメンバーが思った。

 

兵士「敵では・・・ないのか・・・?」

 

ロマニ「む。案外簡単に信用するね。理性を取り戻したのかな。それとも、戦う気力がないほど、萎えきっているとか・・・?」

 

マシュ「シャルル七世は休戦条約を結ばなかったのですか?」

 

兵士「シャルル王・・・?知らんのか、アンタ。王なら死んだよ。魔女の炎に焼かれた。」

 

マシュ「死んだ・・・?魔女の炎に・・・ですか?」

 

兵士「ジャンヌダルクだ。あの方は竜の魔女となって蘇ったんだ。イングランドはとうの昔に撤退した。だが、俺達はどこに逃げればいい?ここが故郷なのに、畜生、どうすることもできないんだ。」

 

本来ならば、ジャンヌ・ダルクは既に火刑に処されたはずだが、この特異点では蘇っていることになっている。

 

龍斗「(聖杯による影響か。本来の歴史とは違う道を行っている)」

 

カルマ「ジャンヌダルクが魔女・・・?」

 

穂乃花「クイックイッ」

 

龍斗「ん?」

 

穂乃花「龍君、その、誰?ジャンヌダルクって。」

 

あまり歴史に詳しくない穂乃花は龍斗に恐る恐る尋ねた。

 

龍斗「救国の聖女、ジャンヌダルク、世界的にも有名な英雄だ。百年戦争後期、征服されかかっていたフランスを救うために立ち上がった女性だ。十七才でフランスを救うために立ち上がり、わずか一年でオルレアン奪回を果たしたが、イングランド軍に捕縛され、異端審問の末に、火刑に処された。有名な話だ。」

 

カルマ「彼女か投獄されてこら火刑に至るまでの日々は、あまりにも惨ち拷問と屈辱の日々だったそうだよ。イングランド側は彼女を聖人としてではなく、異端者として発表したかった。その為に、あらゆる責め苦で彼女自身の口から私は主の声を聞いてはいないといわせたかった。」

 

ロマニ「でも、彼女は最期まで心を折らなかった。火にくべられた時でさえ祈りを放さなかった。その後に名誉回復が行われ、四百年後には正式な聖人として認定された。無力な少女の想いが世界を変えた。その例で言うなら、ジャンヌダルクは最高級の英霊だよ。」

 

兵士「・・・!来た!奴等がきたぞ!」

 

カルマ「・・・!魔力反応?」

 

説明が終わった直後に大量の骸骨たちが押し寄せてきた。

 

ロマニ「少量の魔力による人体を用いた使い魔・・・骸骨兵だな。今度はさっきと違う。思う存分暴れていいぞ、三人とも!」

 

龍斗「・・・炎属性付加。」

 

再び姿を変え戦闘態勢に入る龍斗達。因みに補足しておくと、この姿は仮面ライダーウィザードに寄せてます。

 

穂乃花「またエンチャントって魔術・・・」

 

香奈「・・・」

 

穂乃花「香奈ちゃん?」

 

香奈「え!?いや、なんでもない!」

 

ぼんやり、いや無力感が香奈を襲っていた。

 

香奈「(こんなに龍斗君達が頑張ってるのに、私は見てるだけなんて・・・)」

 

龍斗の戦闘スタイルは基本的に、自身が今まで鍛えてきた足を使って敵との間合いに入り込み、急所を狙って斬り付けるといったもの。これまでの経験を活かし、どこに急所があるのかを予測して行動していた。だが、

 

龍斗「なっ!しまった!」

 

彼が取り漏らした骸骨兵が香奈に向かって槍を突き出す。

 

マシュ「香奈先輩!」

 

香奈「・・・っ!」

 

瞬間、香奈の周りから冷気が発生し、骸骨兵達が後ろに下がっていく。

 

カルマ「これは・・・?」

 

穂乃花「寒い!・・・これもしかして。」

 

マシュ「冷気・・・」

 

香奈「これ・・・もしかして!」

 

全員が香奈を見る。そして香奈の腕や足には回路のような物が浮かび上がっていた。

 

龍斗「魔術回路が起動したのか・・・」

 

ロマニ「うっそ!このタイミングで魔術師としての才能を開花させたのか!」

 

香奈「これなら!」

 

骸骨兵達が香奈に襲いかかる。

 

香奈「はぁっ!」

 

一方向に冷気を放ち、兵達を怯ませる。そこを龍斗が兵達を斬り伏せる。

 

ダヴィンチ「ほーう?即席にしてはいいチームワークだ。それにしても香奈の力って。」

 

ロマニ「あぁ。氷属性の力。だけど・・・」

 

龍斗「・・・なんか、感じが違う。」

 

穂乃花「違う・・・?」

 

カルマ「氷属性の魔術は一般的に凍結系統のはずなんだけど、その割には・・・」

 

香奈「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

体がふらつき、地面に膝をつく香奈。そこを骸骨兵が襲いかかった。

 

龍斗「・・・!」

 

香奈「龍斗君・・・」

 

龍斗「とりあえず下がっとけ。後は俺がやる。」

 

マシュ「先輩!危ないです!」

 

龍斗「風王鉄槌(ストライク・エア)!」

 

龍斗が突きの構えを取り聖剣を突くと、そこからはとてつもない風が起き、骸骨兵達を吹き飛ばしてく。気がつくともう骸骨兵達は消え去っていた。

 

マシュ「今のは・・・?」

 

龍斗「風王鉄槌(ストライク・エア)。英霊アルトリアの力の一つだ。元々はこの聖剣、有名過ぎる為に風を何層にも重ねて、見えない状態にしてたんだが、その風を使って、暴風を起こす技だ。」

 

穂乃花「あれ見て・・・」

 

香奈「森が一部消えてる・・・」

 

龍斗が技を発動させた周囲の森が、骸骨兵と共に消えており、二人は愕然としていた。

 

龍斗「まぁ見ての通り、今の俺じゃロクにコントロールができない。結構抑えたはずなんだが。」

 

兵士「アンタ達、あいつら相手によくやるなぁ。」

 

マシュ「慣れです。それより申し訳ありませんが、一から事情をお聞かせください。ジャンヌ・ダルクが蘇ったというのは本当ですか?」

 

兵士「あぁ。俺はオルレアン包囲戦と式典に参加したかれよく覚えている。髪や肌の色が異なるが、あれは紛れもなくかつての聖女様だ。イングランドに捕らえられ、火刑に処されたと聞いて俺たちは憤りに震えたものさ。だが・・・彼女は蘇った。しかも、悪魔と取引して!」

 

カルマ「悪魔ねぇ・・・今の骸骨兵みたいなものか。」

 

香奈「違うと思う。」

 

穂乃花「香奈ちゃん?」

 

香奈「ちょっと戦って思ったけど、あの敵くらいなら、兵士の皆さんでもなんとかなるんじゃないかな。初めてやった私でも互角くらいだったし。」

 

兵士「そこのお嬢さんの言う通りだ。」

 

消えた森の方から咆哮が聞こえると、兵士達は顔を青ざめた。

 

兵士「くそ!やっぱりだ!来たぞ!迎え討て!ほらほら立て立て!ドラゴンが来たぞ!抵抗しなきゃ食われちまうぞ!」

 

龍斗「ドラゴン?」

 

ロマニ「君達の周囲に大型の生体反応!しかも速い・・・!」

 

マシュ「目視しました!あれは、まさか!」

 

カルマ「竜の亜種体・・・ワイバーンだ!」

 

竜の姿をした怪物ワイバーン。本来ならこの時代には存在はしないが、聖杯の影響により、この時代に出現している。

 

穂乃花「あんなのがこの時代にいたの!?」

 

龍斗「いや、この時代にワイバーンは存在していない。おそらくは・・・」

 

ロマニ「考えるのはあとだ!来るぞ!」

 

龍斗「カルマ、俺たちでやるぞ。さっきの骨共とはわけがちがう。」

 

カルマ「オーケー!」

 

再び龍斗達は武器を構える。すると

 

???「兵達よ、水を被りなさい!彼らの炎を一瞬ですが防げます!」

 

兵士「え・・・!?」

 

突然、少女の声が戦場に響いた。

 

???「そこの御方!どうか、武器を取って戦ってください!私と共に!続いてください!」

 

マシュ「彼女は・・・」

 

龍斗「サーヴァント?・・・の割には魔力量がそこまでだな。」

 

???「説明は後程!行きましょう!」

 

兵士達は少女の言う通りに水を被りワイバーンに立ち向かう。

 

龍斗はというと、一瞬でワイバーンとの間合いに入りこみ、胴体に一撃加えてワイバーンを倒していた。カルマは槍に炎を纏わせ一気にワイバーンの群れを薙ぎ払った。

 

龍斗「よし、これで一通り終わったか。」

 

ロマニ「ようし、よくやったぞ諸君!いやぁ、手に汗とゴマ饅頭を握って見入っちゃったな!」

 

マシュ「ドクター。それはわたしが用意したゴマ饅頭ですね。」

 

ロマニ「え?あれ?そうなの?管制室にお茶と一緒にあったから、てっきり・・・」

 

マシュ「このオーダーから帰還できた時を想定し、ささやかな労いとして用意していたのです。もちろんドクター用ではなく、現地で活躍したであろう先輩達ように。」

 

ロマニ「マシュ・・・なんて気の利く子に育って・・・もしゃもしゃ。うん。それにしても美味しいね、この饅頭。これなら龍斗君達も大喜びだろう!」

 

マシュ「・・・マスター。カルデアに帰る時、一回分の戦闘リソースを残しておいてください。もう一人、峰打ちを見舞わせたいエネミーを登録しましたので。」

 

香奈「マシュちゃんシャレになってないからやめよ?ね?」

 

カルデアトークの最中に、兵士達がまた怯え始める。

 

兵士「そんな、貴女は・・・いや、お前は!逃げろ!魔女が出たぞ!」

 

穂乃花「魔女?え!?ウソ、この人が!?」

 

龍斗「ジャンヌ・ダルク。」

 

この鎧を纏い、旗を掲げる少女こそが、ジャンヌ・ダルクだった。

 

 

 




はい。というわけで、いよいよ香奈が魔術を使い始めます。ですが予告しておくと、氷を主体に戦いません。フェニックスが色々と使い方を教えて行きます。投稿ペースは相変わらず不定期ですが、今後とも宜しくお願いします。それでは、また!


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