GATE バグネコ 得地でも一撃撃破せり (榛猫(筆休め中))
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故郷への帰還ニャ!

ヤホヤホニャー!

 

初めましての方は初めまして、そうでない方はいらっしゃいませニャ!

 

とあるアイルーの鎧袖一触でお馴染みのアイルーこと、シュラですニャ。

 

現在ボクが何をしてるかと言うと……。

 

 

「グルルオオォォォォォッッ!!!」

 

 

「待ちなさーい!逃がさないよー!!」

 

台詞だけじゃ分かりづらいかもしれないけど星焔竜(スフィア)さんと祖龍(ルーツ)さんに追い回されている最中なのですニャアアァァァァァッッ!!

 

 

「お、お二人さん?ちょ、ちょっと落ち着きましょうニャ…」

 

【ボッ!!!!】

 

【ガガガッ!!!!】

 

ギニャアアァァァァッッ!!これ話なんて出来る状態じゃございませんニャアアァッッッ!!

 

と、とにかく今はどうにか逃げきらニャいと……。

 

んニャ?なんニャ?アレ……。

 

逃げてる最中に、とても奇妙なモノがボクの視界の隅に入って来たニャ。

 

 それは森の中に唐突に出現していたのニャ。

 

自然の中にあって異物でしかないあからさまな人工物ニャ。

 

街にだってこんな辺鄙な建物みたいなものないのニャ。

 

 近づいてみてようやく正体が解ったそれは……半透明に揺らぐ門……?らしきものだったニャ。

 

 それを……。

 

 それを目にした時ニャ。

 

 まるで心臓を鷲掴みにされたような強い衝撃がボクを襲ったニャ。

 

 な、なんなのニャあれ……。 

 

まるで理解できないニャ。

 

 理解できない……いったいどうなってるのニャ?

 

けど、そんなことはどうでもいい。

 

どうでも良いのニャ。

 

 アレ……。

 

アレが繋がってる先は…先の世界は……。

 

ボク…いいや、『自分(・・)』の故郷ニャ。

 

言葉説明できない。けど、なんでか分かるのニャ。

 

なぜだか知らないがわかるのニャ!

 

感じる…そう、感じるのニャ。

 

忘れ難き『自分(・・)』の全てがあそこで待ってるのニャ。

 

でも、そんなことより今は……。

 

 

「生き残るのが先決ニャァァァァッッ!!!」

 

「「逃がさない!!」」

 

【ボッッガガガッ】

 

ギニャッ!?金の焔と雷は反則ニャ…ッ!

 

もうっ…こうなればイチかバチかニャ!

 

 

「こんなところで死ぬ訳には…いかないニャァァァァッ!!」

 

 

ボクは激突する勢いで門に触へと突進するニャ。

 

けど、予想していた衝撃は一切来ることはなかったのニャ。

 

その代わりに、まるで水中に沈んでいくような感覚が身体全身を覆い、真っ白な光だけが目にとびこんでくる。

 

その様はまるで、某青タヌキの時を越えるあの空間にそっくりだったのニャ。

 

数秒か、それとも数時間経ったのか……。

 

そんな事を考えながら光の奔流の中を夢中になって飛んでいると、唐突に閃光が消えた。

 

そしてボクの目に飛び込んできたのはどこまでも続く青い空、そして白い雲。更には連なり建つ高層ビルの数々。

 

 ボクは歓喜したニャ……。

 目に写るもの、耳に聞こえてくるもの、鼻で感じているもの、肌で感じているもの。どれもこれも、ここが日本なのだとしっかりと伝えてくれる。

 

 帰ってきた……。

 

ボクは…帰ってこれたのニャ。あの懐かしい故郷、日本に……。

 

 あまりの喜びに一筋の涙が頬を伝い落ちる。

 

 嬉しい。良かった。助かった。安心した。言葉にならない。この喜び、安堵の気持ちをボクはどう表現すればいいのか分からニャい……。

 

ただし、その感動は唐突に覚める。いや、妨げられたといった方が正しいかニャ?

 

ボクの目の前で起こっていたのは、そう……

 

 

殺戮だったのニャ。

 

 鎧を着た人達。豚の頭をした怪人。その他諸々のヘンテコな種々雑多な奴ら……。

 

テロリスト…かニャ? けど、それにしたって格好がおかしすぎるニャ。コスプレテロリストか何かかニャ?

 

その誰もが、無抵抗の人達に一方的な暴力を振るっている。

 

 な、何をしている…のニャ?

 

何をしているのニャ…?あの人達は……?

 

 目に映る光景を、脳が受け入れるのを拒否している。

 

 いや違う。拒否しているのは『自分』だニャ。

 

『ボク』から見れば至極当然な、なんてことはない命のやり取りのはずニャ。

 

 けれど。あの人達が行っているのは。

 

 生きるため、食らうために命を奪うのではない。

 

 只々、他者の命を踏みにじるための殺し。

 

 眼下で繰り広げられるその行為に、怒りで瞬間的にボクの怒りが爆発する。

 

「何をしてやがるニャ!!お前達ィィィッッ!!」

 

 内に溜め込んだ龍脈を用いて、ボクは身体を鋼龍(クシャルダオラ)のものへと変異させていく。

 

 

「シャルウゥゥゥゥゥッッ!!」

 

一声咆哮を上げ、テロリスト目掛けて突風のブレスをぶっ放してやったニャ。

 

ソレを喰らい、まともに回避すらできなかった連中が中に舞ったり同じく舞い上げられた翼龍らしきものに叩き落とされていく。

 

その様はまるで玩具のように吹き飛んでいく。

 

 バサリと空へと飛び上がり、そのままに今度は風のブレスを撒き散らしながら敵群に突っ込むと、巻き込まれた騎士たちが乗っている馬ごとミンチになった。

 

 逃げ惑う日本の人達を庇うように、ボクは連中の前に立ち塞がり、更にもう一度咆哮する。

 

 これで慌てて逃げ出すならまだ見逃してやるのに、どうやらまだテロリストどもの心は折れてやがらニャいみたいニャ。

 

 槍と盾を構えた戦士達が突撃してくるけど、鋼龍(クシャルダオラ)となったボクには全く無意味ニャ。

 

体を勢いよく突進させて風の壁をそのままテロリスト達へと叩き込んでやると、まとめて吹っ飛んでいったニャ。

 

 ギャアギャアと頭上を小うるさく飛び回っているのが居るなと見たら、小型のガブラスに似た翼龍に乗った騎士達が健気にも攻撃してくる。

 

けどニャ?

 

『生ける災害』と名高いクシャルダオラとしては、許しがたい不遜な訳なのニャ。

 

 即の場で飛び上がり、追いかけると、騎士と飛竜は揃って必死の形相で逃げだし始めたニャ。

 

逃げるくらいなら止めとけば良いのに…バカな奴らニャ。

 

一飛びで追い付くと、その翼龍ごと騎士を噛み潰してやる。

 

グシャリと鈍い音と共に口の中に鉄のような血の味が広がって来たのニャ。

 

うっ…とてもじゃないけど美味しいとは言えない味ニャ……。

 

ベッ…とその場で噛み砕いたモノを吐き出す。

 

ついで、他の翼龍達にも同じように喰らいついてやったニャ。

 

ある程度噛み潰すと、奴らの戦意は最早無いに等しくなっていたようニャ。

 

 地上いた連中はてんでバラバラで、我先にと散り散りに撤退し始めてた様子だったニャ。

 

 逃がすと思うのニャ?ボクを怒らせて助かろうなんてどうしようもない奴らニャ……。

 

トドメとばかりに逃げていく奴ら目掛けて渾身の風ブレスをお見舞いしてやるのニャ!

 

 

 

 

【ズゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!】

 

 

逃げ惑う奴らを大勢巻き込みながら巨大な風のブレスが突き進んでいく。

 

風ブレスが通りすぎて消え失せると、そこには見るも無惨なコスリスト達のだったモノの残骸が散らばっていたのニャ。

 

そこまでやってボクはようやく冷静になることが出来たニャ。

 

けど、そうなって初めて事の重大さに気が付くのニャった……。

 

ヤバい…ち、ちょっとばかしやり過ぎたかもニャ……

 

本気の欠片くらいしか出してないけど…これはやり過ぎたニャ……。

 

すると、どこからか、大きな風切り音?が聞こえて来たニャ。

 

 音のする方向に振り向くと、そこには五機のヘリコプターがこちらに向かってくるのが見えたニャ。

 

わー…ヘリだニャ、なつかしー…

 

テロリストでも捕まえに来たのかニャ?。

 いや、違いますニャね。

 あの人達はボクを駆除しに来てるのニャ。

 

 当たり前といえば当たり前かニャぁ……。

 

 ボクみたいな生き物、野放しにしたら大変なことになるのは想像に難しくニャい。

 

……………

 

 うん、帰ろう。

 もう、ここ(日本)には『自分』の居場所はないし、『ボク』の居場所なんか作れる訳が無いニャ。

 

 帰ろう……。

 ボクのもう一つの故郷へ。

 これはきっと明晰夢というやつだったに違いないニャ。

 

 攻撃何てされたくないし、さっさと帰るニャ。けど……。

 

 あれ? 帰り道ってどっちニャ?

 

キョロキョロと辺りを見回す。

 

ない…ない…ないっ…ないっ…!?

 

右を見ても左をボクが入ってきた門らしきモノは見つからない……。

 

そこでボクはハタと思い出す。

 

あっ…そういえばボク今変身したまんまだったニャ。

 

もしかしたら元の姿じゃないと見られないモノなのかもしれないニャ。

 

そう考えて戻ろうとしてふと考える。

 

このままここで正体バラしちゃったら面倒なことになるようニャ……。

 

捕まる可能性も高くニャるし、ここは一旦一目につかない所まで避難だニャ!

 

そう結論付けると、ボクは空高く飛び上がったニャ。

 

とりあえず、雲の上にでも逃げて、その後で戻るとしますかニャ。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

そんなこんなで難なく雲の上まで逃げて、元に戻って地上に降り立ったボクだったけど、ふと気になるものを見つけたのニャ。

 

 

「あれって…門…なのニャ?」

 

ボクが来たときのものとはまた違った形。古代風…具体的にはローマの建物のような門が街の中にそびえ立っていたのニャ。

 

入ってきた入り口は見つからニャいし、この姿で歩いてたりしたらすぐに見つかって面倒なことにニャるだろうし……

 

そもそも、この世界には龍脈が全くといって良いほど感じられないのニャ……。

 

これじゃあいつ古龍の力が使えなくなっても不思議じゃ無いニャ。

 

ボク、いったいこれからどうすれば良いのニャ…?

 

悩みあぐねていると、ふと門の向こうから、不思議な力を感じて、ボクは顔を上げた。

 

不思議な感覚…だけど、何処か懐かしい力の波動……。

 

ボクはこれをよく知ってる……。

 

そうニャ、これは龍脈の波動ニャ!

 

感じる先は……門の向こう…かニャ?

 

 

でも…向こうは確実にボクのいた世界じゃないはずニャ。

 

逃げていったコスリスト達があの門の向こうに消えていったのを見てるからそれは確実ニャ。

 

けど、このままってわけにもいかニャいし……。

 

うーん……。

 

 

 

 

………………………

 

 

 

ええい、ままよ!獣人種シュラ!いざ出陣ニャ!!

 

意を決してボクは門の中へと飛び込んで行くのでしたニャ。

 

それが、また厄介ごとに巻き込まれるとも知らずに……。




続きは…多分かなり遅くなりますニャ……m(_ _)m


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少女との出会い…ですニャ!

|д゚)チラッ

|д゚)オマタセシマシタニャ

|д゚)っ⌒・ (最新話)

|≡サッ


「腹へったのニャ…」

 

日本で暴れたボクは、門?を潜って数日が経過していたのニャ。

 

門の先へと辿り着いたボクは何もない緑が生い茂る広大な丘に放り出されたのニャ。

 

そこからはとにかく生き延びようと全力でその場から離れたのニャ……。

 

何故逃げたのかって?そりゃ、門が開いたままになっていたからですニャ!

 

あのまま彼処にいたら確実に向こうから軍隊…というより自衛隊とかが来ると分かってたからさっさとその場を離れたのニャ。

 

で、離れたのはいいんだけど……。

 

(グ…ググゥゥゥ)

 

門を潜ってからこの数日間、一度も何も食べれてないのニャ……

 

オマエのその力なら簡単に見つかるだろって?

 

それがそうでもないのニャ……

 

仮にボクが獲物や植物っぽいものを見つけて食べようとするニャよ?

 

(ピタァッ)

 

「ニャ…ニャぐぅぅぅ…!!う、動けニャァっ…ボクの身体ァ…!!」

 

と、まあこんな風に身体が食べることを拒否してくるのニャ。

 

おかげでここ数日、何も飲まず食わずで数日を過ごしているのニャ……。

 

なんで数日食べずにいて平気なのかかニャ?

 

平気なわけないニャ!龍脈の力でなんとかしてるだけニャ!!

 

「あぁ…大声だしたら余計に腹へったニャ…もうダメニャぁぁ……」

 

溜め込んだ龍脈も底をついたし、空腹で身体に限界が来たみたいニャ……

 

ボク、こんなことろで死ぬのかニャ……?

 

そんなことを考えていると、不意にガサガサと何かがこっちに近づいてくる音をボクの耳が捉えたのニャ。

 

あぁ、ボクを食べにきた猛獣かナニかなんだろうニャァ……。

 

もう、意識を保ってるの…も…げんかい…ニャ……。

 

そこでボクの意識は完全に暗転していくのだったニャ

 

そんなボクの視界に、ヒトのようなナニカが近づいてくるの瞳に写しながら……。

 

 

 

 

◆◇◆◇(SideChange)◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その子?との出会いは突然だった。

 

私はレレイ・ラ・レレーナ、賢者カトーの弟子であり、流浪の民『ルルド』だ。

師匠に頼まれて村まで買い出しに行ったその帰りのこと……。

 

 

「~~ッ……」

 

呻きのような、だが喋り声にも聞こえるそれを私は聞いた。

 

猛獣が深手を負って隠れているのだろうか、そうであるなら傷を癒した後に私達や村の人達が襲われるかもしれない。

 

それならば今のうちに処分しておこうと声のする方向に向かうと、そこには一匹の猫のような獣が伸びていた。

 

その猫らしき獣は私に気付いてか気づかずか、そのまま気を失ったようだった。

 

完全に気を失っているようなので近寄ってみると、見たこともない獣だった。

 

怪我という怪我はないが、身体はやけに痩せ細り、衰弱しているようだった。

 

見た限り、薄汚れてはいるが、毛並みがかなり立派なので、珍しいものなのかもしれない……。

 

あまりの毛並みに少し撫でてみたら驚いた。

 

とてもサラサラで手触りがよく少しのつもりがこれでは手を離せそうにない。

 

というかより、もう離れたくなくなってきそうなほどである。

 

しかし師匠が許してくれるだろうか…断られたら困る。

 

かと言ってこの子を捨てていくのも嫌だ。

 

暫く気絶したその子を撫で繰り回して考えた後、結局連れていくことにした。

 

断られたら何処かで隠れて飼えばいい。

 

その時の私には、もう離す気など頭からスッポリと抜け落ちていた。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

結論から言えば師匠は快く許可してくれた。

 

寧ろなぜか喜ばれた。

 

 

『レレイがようやっと女らしく…』

と、涙ぐんでいたが、失礼にも程がある。

 

私だって可愛いものは可愛いと思うし、ときめきもする。

 

ただ顔に出にくいだけなのだから……。

 

ムカついたので師匠には魔法をぶつけておき、とりあえずあの子を自身のベッドに寝かしつけ…る前に軽く身体を拭いておく。

 

汚れたまま寝かせるのはなんだか嫌だった。

 

本当は治療してあげたいのだが、傷という傷もないので目を覚ますまで待つしかない。

 

早く目を覚ますと良いのだけど……。

 

 

 

 

◆◇◆◇(sidechange)◆◇◆◇

 

 

 

 

「……知らない天井ニャ」

 

目覚めて第一声にして、それが憐れにもネタになってしまったニャ……。

 

いや、こんなのネタに走るしかないじゃないですかニャ!

 

オレはある森で気絶した。気絶したと思って起きたらどっか知らない建物の中のベッドの中だった……。

夢遊病とか寝相だとかそんなもんじゃ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったニャ……

 

え?ふざけてないで早く状況の説明をしろ?

 

いや、これがふざけずにいられるかニャ!!なんで森の中だったはずがこんなところで寝てるのニャ!!!

 

どういうことかこっちが聞きたいニャァァァァ!!

 

はぁ…はぁ…なんか精神的に疲れたニャ……。

 

とりあえず落ち着こう、落ち着いて考えるニャ。

 

そうしてボクが冷静になったその時だった。

 

 

「あっ、目が覚めたか?」

 

そこには銀髪のショートカットに質素なローブのようなものを着た少女…?(そのはずニャ)が立っているのでしたニャ。



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飼いネコになります…ニャ?

今回は早め…のはずニャ。


「え、えーっと…」

 

ボクは困惑していた。この目の前の状況にニャ……。

 

目が覚めたら知らない部屋の中で、しかも少女…らしきヒトに助けられたようなのニャ。

 

けど、それ以上に困惑したのは……。

 

 

『あのぉ…ボクを助けてくれたのって、あなたですかニャ?』

 

 

「……??(コテンッ)」

 

これニャよ…ボクの言葉が、全く通じてないのニャ。

 

目の前の少女らしきヒトは真顔に少し不思議そうな顔を交え多用に小さく首を傾げている。

 

こ、これは駄目そうニャ…なら!

 

 

「ボク、助けたのはあなたですか…ニャ?」

 

 

「あ、あー…アーユーミーヘルプ?」

 

未だに忘れていない日本語と、合っているかも分からない英語も話してみる…。けど

 

 

「………???」

 

こ、これは駄目ニャ…もうどうしたら良いのニャァ……。

 

助けてスフィえもーん!!!

 

某未来ロボットの眼鏡のダメダメ少年の如く、あちらで好き勝手生きているだろう星焔竜さんの名を内心で叫ぶのでしたニャ。

 

 

 

 

◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆

 

 

 

 

その子は不思議な獣だった。

 

用を済ませ、私が様子を見に来ると、その子は目を覚ましていた。

 

しかし私を見ても警戒どころか怒った様な素振りも見せない。

 

強いて言うなら突然入ってきた私に多少驚いていると言った程度だろうか。

 

 

少しの間その子は私を眺めていると、不意に口を開いた。

 

 

「§☆∩∋▼∪?」

 

……?今、何を言った?

 

聞き慣れない言語だった。唯一不思議そうに首を傾げていたから、何か疑問を投げ掛けたのだろうことだけは辛うじて理解出来たが……

 

この子達の種族特有の言語なのだろうか…?

 

私にはニャーニャー言ってるようにしか聞こえないが……

 

 

「……ッ!」

 

私に言葉が通じていない事を理解したのだろう。

 

二回ほど別の言葉を話していたようだが、全て理解はできなかった。

 

私が分からず小首を傾げていると、その子はとても困ったように天井を見上げていた。

 

しかしすぐに何か別の方法を考え付いたのようで、今度は身振り手振りで何かをやり始めた。

 

 

最初に自分を指し、その後に私を指した後、何故か両腕を伸ばして先端を合わせるようにして地面に手を押し付けるような仕草をした後、こちらを見てくる。

 

最初と二つ目はなんとなく分かったが三つのものはよく分からなかったので首を傾げてみる。

 

すると、私に伝わっていないことを理解したのか、別の仕草をやりだした。

 

今度は理解できるように注意深く見守っていると、その子は不意に倒れ、そのまま自分を指すようにしてから私を見た。

 

確認をとっているようだったので頷いてみると、次の仕草を始めた。

 

今度は私を指差した後、何かを運ぶように両腕を上げてその場を軽く歩き始めた。

 

どうやら、自分をここまで運んできたのは私なのかと聞きたいらしい……。

 

そうだと言うように頷くと、その子は嬉しそうに顔を輝かせた後、ペコリと頭を下げた。

 

私はすぐさまそれを止めさせるために身体を起こさせて出来るだけ優しく笑って見せる。

 

そんな私をみて、苦笑しながら頬を掻いているその子を見て私も少し笑ってしまった。

 

するとそんなとき……

 

 

【グ…ググゥゥ】

 

唐突に凄い音がなった。

 

なにかと思って探ると、そこには恥ずかしそうに顔を俯けるその子だった。

 

その様子を見るにどうやら、その子のお腹の音だったらしい……。

 

 

「ご飯を作ってくる。少し待っていて」

 

簡単な仕草とその言葉を告げると、なんとなく察したのか、ニャ~と可愛いらしく鳴いていた。

 

それを聞いて私はキッチンへと向かうのだった。

 

というか、ネコって何を食べるのだろうか……



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緑の服の人達…デスニャ!

 

ボクがこの世界にきて、少女に飼われるようになってから早数日……。

 

気がついたら、コダ村に見覚えのある人達が来ていたですニャ。

 

少女(名前は知らないニャ…)の目を盗んでコッソリと、龍脈を探しに外に出かけてみたところ、生前に見覚えのある服装の人達が村の人となにやら話していた。

 

ちょっと気になったので聞き耳をたてていたら聞こえてきた言語に驚愕したニャ。

 

それはボクが生前によく聞いていた日本語だったのですからニャ。

 

後をつけて聞いていたところ、あの冴えない感じの中年の男性はイタミというらしいことが分かったニャ。

 

自衛隊がわざわざこんなとこまで出向いてくるなんてニャァ……。

 

 

「まさか…ボクの正体がバレて駆除しにきたのかニャ…?」

 

それだったらシャレにならないニャ!すぐにあの人のとこから逃げなくちゃニャ!

 

……けど、ようやく落ち着けた矢先、また倒れるのも嫌だしニャァ。

 

と、とりあえず、どうして向こうの自衛隊がこっちにきたのか探って見るニャ!

 

そう決めると、ボクは彼らに見つからぬように後をつけていくのでしたニャ。

 

 

 

 

◆◇◆◇nowloading◆◇◆◇

 

 

 

 

「しっかし、何だったんすかね?あの龍」

 

 

「あの龍って…あの渋谷事件の?」

 

 

「そうっすよ、何処からともなくいきなり現れたと思ったらテロリスト達を皆殺しにしたんすよ?しかもこっちには見向きもしないでテロリストを潰した後は雲の彼方に消えちまうし…何がしたかったのかワケわかんないすね」

 

後をつけていく最中に二人の自衛隊の男性が話しているのに耳を傾ける。

 

どうやら、ボクが向こう(日本)で暴れたときの事を話してるみたいだニャ。

 

 

「アイツのお陰で民間人の被害は確かにかなり少なかったすけど、他の建築物やらの破壊はとんでもない被害になってるんすからね」

 

 

「まあ、相手は怪獣だからねぇ……こっちのそういう被害は考えてないと思うよ?ほら、某光の巨人が出てくる作品とかがそうじゃない?」

 

 

「それはそうっすけどね…こっちとしては溜まったもんじゃないっすよ!ただでさえ福○やら○本やらの復興とかだってまだまだ人手が足りない状況でこれっすよ!」

 

 

「まあまあ、倉田もそんなに怒ってやるなよ…アイツだって悪気あった訳じゃないはずだしさ…それに、犠牲者が少数で済んだんだ。建物なんかは建て直せるけど、人の命は代わりは効かないだろ?そこは感謝するべきなんじゃないかな?」

 

うげっ…そういえばそういう被害は想定してなかったニャ。

 

前までそんなの気にする必要もなかったしニャァ……。

 

というか、あれでもかなり手加減してあげたのニャよ?

 

ボクがこのまま戦ってたら渋谷?は火の海どころか更地に様変わりしてたのニャから。

 

でも、二人の話を聞くに、ボクの正体はバレてないみたいだニャ。

 

それならもう用はないから、早々に退散するニャ!

 

そう決めて、ボクは少女の家に帰っていった。

 

 

帰ったらあの少女が真顔で凄い雰囲気を纏っていて滅茶苦茶怒られたニャ……。

 

 

解せぬ……ニャ

 

 



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逃避行ですニャ!

気づけば旦那さんと飼い主(女性だから一応ニャ)さんが荷造りを始めていたのニャ。

 

 

んニャ?何を言っているのかさっぱり分からニャいって?大丈夫、ボクにも何がなにやらさっぱりニャ。

 

今朝方、村の人がなにやら伝えに来たと思ったら、今度はお二人が堰切ったように慌てて荷造りを始めたんだからニャァ......。

 

まあ、原因はなんとなく分かるニャ、昨晩に遠くから感じた龍脈を使ったであろう生物の仕業だってニャ。

 

けど、今はその気配も感じないし、お二人もなんだか忙しそうだしニャァ......

 

とりあえず、荷物運びならボクもお手伝いするニャ!

 

 

 

 

◇◆◇◆◇sideChange◇◆◇◆◇

 

 

 

 

コダ村の中心から少しばかり離れた森の中に小さな小さな家が、一軒建っている。

 

そう、ご存じ異世界から迷い込んだアイルー事シュラを助けたレレイという少女がその師匠と共に暮らしている家だ。

 

その家の前には馬車が停められている。

 

荷台には木箱やら、袋やら、紐で結わえられた本やらが、山の如く積み上げられていた.

 

傍らで草を食んでいる驢馬がその荷馬車を引くとするならちょっと多すぎるんじゃないか?と尋ねたくなる。

 

それほどまでの荷物量だった。

 

その山のような荷物を前にして、更に一抱えもあるような本の束をどうやって載せようかと苦心惨憺している者がいる。

 

年の頃十四~五といった感じで貫頭衣を纏ったプラチナブロンドの少女と、二本足で歩き、少女の倍ほどの荷物を両腕で軽々と持った白と茶のシャムのような見た目の獣だった。

 

 

「お師匠。これ以上積み込むのは無理がある」

 

最早どこをどう工夫しようと、手にした荷物は乗りそうもない。少女はその事実を屋内へと冷静な口調で伝えた。

 

 

「レレイ!どうにもならんか?」

 

 

窓から顔を出した白い髭に白い髪の老人は『まいったのぅ』と眉を寄せる。

 

 

「コアㇺの実と、ロクデ梨の種はは置いていくのが合理的」

 

レレイが腐るものではないのだから......と、荷馬車から袋を一つ二つ下ろす。

 

そして空いたスペースに本の束を載せた。そしてシュラの持つ荷物をどうするかとまた考え込む。

 

白髪の老人は袋を受け取ると肩を落とした。

 

 

「だいたい炎龍の活動期は五十年は先だったはずじゃ。それが何で今更......」

 

ブツブツ呟く老人を見て、シュラが首を傾げている。どうやら言葉が理解できないらしい。

 

老人の言う通り、エルフの村が炎龍に襲われて壊滅したという知らせは、瞬く間に村中に走った。

 

これが普通ならば、着の身着のまま逃げ出さなければならないところであった。

 

だが、今回に関しては通報が早かったため、荷物をまとめるだけの時間があった。その為に村全体が、逃げ出す支度で大騒ぎしているのである。

 

老人はぶつくさ言いながらも、レレイの下ろした袋を小屋へと戻した。

 

寝台の下に隠し扉があり、そこにしまい込もうという腹積もりなのである。

 

その間にレレイは驢馬を引いてきて荷馬車とつないだ。

 

 

「師匠も早く乗ってほしい」

 

 

「あ? 儂はお前なんぞに乗っかるような少女趣味でないわいっ! どうせ乗るならお前の姉のようなボン、キュッ、ボーンの.........」

 

 

「.........」

 

レレイは冷たい視線を老人に向けたまま、おもむろに空気を固めると投げつけた。

 

空気の固まりといっても、ゴムまりみたいなものだが、次々にぶつけられるとそれなりに痛い。

 

 

「これっ!止めんかっ!魔法とは神聖なものじゃ。乱用するものではないのじゃぞ!私利私欲や、己が楽をするために使っていいものではないのじゃって......やめんか!」

 

痛がる老人を見てシュラは『ニャーニャー』と腹を抱えて笑っている。

 

そんなシュラを抱きかかえ、レレイは荷馬車に乗り込んで膝に乗っけると老人に言う。

 

 

「余裕があると言っても、いつまでもゆっくりしていられるわけではない。早く出発したほうがいい」

 

 

「わかった、わかった。そう急かすな……ホントに冗談の通じん娘じゃのう...。お主も笑うでないわ!」

 

老人はシュラに一言怒ると杖を片手に、レレイの隣によっこらせと乗り込む。レレイは冷たい視線を老人に向けたまま語った。

 

 

「冗談は、性的なものの場合互いの人間関係を破壊する恐れもある。大人なら弁えて当然」

 

その言葉に、分かってか分からずか、シュラがうんうんと頷く。

 

弟子の言葉とペットの仕草に老人は大きなため息を吐いた。

 

 

「...疲れる。年は取りたくないのぅ」

 

 

「客観的事実に反している。師匠はゴキブリよりしぶとい」

 

それを聞いていたシュラがまたも大笑いを始める。

 

最早本当に分かっているような態度だ。

 

 

「無礼なことを言う弟子じゃのう」

 

老人はシュラに関してはスルーすることにしたようだ。

 

先程からレレイの膝の上で笑い転げているペットに何も言わない。

 

 

「これは、幼年期から受けた教育の成果。教育したのは主にお師匠」

 

それに、とレレイは膝上のシュラを撫でて続ける。

 

 

「この子の教育に悪影響」

 

 

そう言ってレレイは驢馬の手綱を握り鞭をひと当てした。

 

驢馬はそれに従って前に進もうとする。ところが荷台の余りの重さからか馬車はピクリとも動かなかった。

 

 

「.........」

 

 

「.........オホン。どうやら荷物が多すぎたようじゃのう」

 

 

「この事態は予想されていた。構わないから荷物を積めと言ったのはお師匠」

 

 

「.........」

 

レレイが老人に冷たい視線を送っていると、不意にシュラがレレイの膝元を離れて驢馬の方に走っていった。

 

そして驢馬に何かを伝えるように鳴くと、驢馬の代わりに馬車を引っ張り始めた。

 

すると、先程は一一ミリたりとも動かなかった馬車が動き出したではないか。

 

レレイと老人はその事実に目を見開く。

 

まさかその小柄の身体のどこにそんな力があるのか......。

 

想像もできないほど軽々とシュラは馬車を引いていく。

 

だが、ただ引いているだけなので馬車にも限界が来る。

 

やがて車輪がギシギシと嫌な音を立て始めた。

 

それを聞こえたのか、シュラも馬車を引く手を止める。

 

馬車が止まると、レレイが馬車からぴょんと飛び降りた。

 

チラリと車輪に目をやると、車輪は地面に三分の一程めり込みながら、数メートルほど穴を開けていた。

 

あの重さで無理矢理引っ張ったからだろう。

 

これでは車輪が何時壊れてもおかしくない。

 

 

「お師匠。馬車から降りるのに手が必要なら言ってほしい」

 

 

「し、心配するでない。儂らにはこれがあるではないか?ただ人のごとく歩く必要はないのじゃよ」

 

老人が杖を掲げると、レレイは日頃口うるさい師匠の口調を真似て見せた。

 

 

「魔法とは神聖なものじゃ。乱用するものではないのじゃぞ。私利私欲や、己が楽をするために使って良いものではないのじゃ......」

 

 

「......あー...」

 

レレイの温度差を感じさせない視線に、老人が動きを見せるまでしばしの時間が必要だった。

 

やがてなさけなさそうにな表情を張り付けた顔をレレイへと向ける。

 

 

「す、すまんかった」

 

 

「いい。師匠がそういう人だと知っている」

 

レレイとは、そういうことを口にする身も蓋もない娘であった。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

魔法を使うことで重量が軽くなれば、荷物山盛りであってもシュラに力を借りることなく驢馬のみの力で容易に引くことが出来る。

 

こうしてレレイと師匠、そしてペットのシュラを乗せた馬車は、長年住み慣れた家を後にしたのである。



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ジエイタイ遭遇...?ですニャ!

|・ω・`)ヒョッコリ(オマタセシマシタニャ)

|・ω・`)ノ⌒(最新話)

|)彡 サッ


ハニャァ...なんというか、凄い混み様だニャァ......。

 

今現在、ボクはレレイ(飼い主)さんの膝の上で目の前に広がる荷馬車の渋滞を見ているのニャ。

 

もう見渡す限り馬車、馬車、馬車!!

 

しかも、かなりの全部の荷物を積んでるからその重さで進むに進めないでいるみたいだニャ。

 

まあ、ボク達のところも変わらないからヒトの事は言えないけどニャァ

 

 

「.........」

 

そう言えば、さっきからレレイ(飼い主)さんの様子がちょっと変ニャね......。

 

無表情なのだけど、どこか村人達を冷めた目で見つめているような気がするニャ

 

 

......まあ、それでもボクをモフる手は止まらないのニャケドネ......

 

そんな飼い主さんの様子に気づいてか、カトー(旦那)さんが口を開くニャ。

 

 

「賢い娘よ。誰も彼もが、お前の目には愚かに見えることじゃろうなぁ」

 

そんな旦那さんの言葉に反応して飼い主さんも話し出したニャ

 

 

「炎龍出現の急報に、これまでの生活を捨てて逃げ出さなければならなくなった。だけど、避難先での生活を考えれば、持てる限りの物を持って行きたいと考えるのは、人として当然のことと言える」

 

 

「人として当然とは、結局のところ、愚かしいと言うことであろう?」

 

 

「............」

 

なんだか飼い主さんがいきなり黙り込んでしまったけど、いったい何の話をしてるのかニャァ......。

 

あ、とりあえず捕捉しておくと、ボクには二人がなんて会話をしてるのかさっぱりわからないのだけどニャ

 

飼い主さんは相変わらずジッと黙り込んだまま荷車の渋滞を眺めたままニャ。

 

 

「この先はいったいどうなっているのかね?」

 

旦那さんがなにやら進行方向から歩いてきた村人さんに話しかけてるニャね。何を話してるのかニャ?

 

村人さんと旦那さんの会話を尻目に渋滞を眺めてたらまた見覚えのある服のヒト達がボク達の横を通り過ぎていくのを見かけたニャ。

 

 

「避難の支援も仕事の内だろ。とにかく事故を起こした荷車をどけよう!伊丹隊長は村長から出動の要請を引き出してください。戸津は、後続にこの先の渋滞を知らせて、他の道を行くように説明しろ!言葉?身振り手振りでなんとかしろ!黒川は事故現場で怪我人がいないかを確認してくれ」

 

 

うーん、理解出来る言語ってとっても良いものだニャぁ......

 

って、事故が渋滞の原因だったのニャねぇ。早くどうにかならないかニャぁ......

 

そんなことを考えながらボーっとしてたら不意に荷馬車を降りた飼い主さんがボクを抱き抱えられたのニャ

 

ニャ...?いったいどうしたのニャ?

 

ボクの訳が分からないまま、飼い主さんはボクを抱き抱えたまま渋滞の先頭に向かって歩き出し始めたのニャ。

 

えーと?飼い主さん?何処に行くのニャ?

 

 

「......?」

 

あぁ、こんな時伝わらない言語がもどかしいニャぁぁぁ......ッ!

 

連れてこられた先は事故現場だったのニャ。

 

そこには壊れた荷車に横転した馬、そして撒き散らされてしまった荷物が飛び散っていたニャ。

 

その現場に近づいて行こうとする飼い主さん。それに気づいた自衛隊の一人が気づいて声を掛けてくるニャ

 

 

「君。危ないから下がっていて」

 

 

「......?」

 

自衛隊のヒトの言葉が伝わっているのかいないのか、飼い主さんは事故現場まで行ってしまったのニャ。

 

そこでようやく飼い主さんはボクを降ろすと、倒れている女性と少女に気がついて駆け寄っていった。

 

そのすぐ側では倒れてて暴れている馬がいる。

 

けど、飼い主さんは気にした様子もなく少女と女性の容態を確認しているみたいニャ。

 

ボクも気になって二人に近づいて様子を見てみるニャ

 

少女の方は頭を打ったのか、血の気の失せた顔色でぐったりとしてる。母親と思しき女性の方は気を失ってるだけで得に対した怪我もなさそうだニャ

 

そんな風に見ていると、不意に声が聞こえてきたのニャ。

 

その言葉に振り向くと、そこには見知らぬ村人さんがいたのニャ

 

飼い主さんもそれに気づいてなにやらやり取りをしてるニャ。

 

その様子を尻目に、ボクは変わらず少女の様子を確認してみるニャ

 

これは危ないニャ...早く治療しないと......。

 

...方法といえば、回復薬を飲ませるか、ボクの龍脈の力で治癒力を高めないとだけど...今のボクは龍脈がスッカラカンだからダメニャ...。回復薬も材料がないから作れないし......

 

詰んだニャね......

 

ボクが悩んでいたら、自衛隊らしき女性のヒトもやってきて少女を診始めたのニャ。

 

女性自衛隊のヒトはボクが少女を診ていることに少し驚きつつもサッと容態を確認して誰かに伝えていたニャ

 

飼い主さんがそれを興味深そうに見ていたその時だったニャ。

 

周りから突然悲鳴が上がったのニャ。

 

見るとそこにはパニックを起こした馬が起き上がっており飼い主さんにその蹄を振り下ろそうとしていたのニャ......

 

飼い主さんはそれに気がつくももう遅い......。

 

それを見た途端、ボクの身体は瞬時に動いていたのニャ。

 

「危ない!!」

 

そんな日本語が聞こえて来た時にはボクは飼い主さんを抱きしめその場を瞬時に離脱したのニャ

 

 

「.........ッ!!?」

 

飼い主さんがその無表情の顔を驚きに少し染めてボクを見ているけど今は無視だニャ

 

その直後、バンバンバンッ!!と3回ほど懐かしいような懐かしくないような音が響き渡ったのニャ。

 

見れば先程の馬がドウッ!と音を立てて倒れ込んでいたニャ。

 

よく見ると、額の所に三発ほど穴が穿たれており自衛隊のヒトが打ったのだと言うことが分かったのニャ

 

けど、それよりも視線を集めていたのはその自衛隊のヒトよりもボクの方でしたのニャ......。

 

 

 

皆さん、なんでボクを見てるのニャ......?



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飼い主さん救出...ですニャ!

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|)彡 サッ


加筆修正しましたのニャ...m(_ _)m


side三人称

 

 

それは、一瞬の出来事だった......。

 

頭部を撃ち抜かれた馬が少女を巻き込むように倒れていく。

 

少女は動かない、否、咄嗟のことに体が動かないのだろう。このままいけば少女は馬の巨体に押し潰されてその命を落とすだろう。

 

だが、そこに紛れ込む影があった。

 

影は少女と巨体の間に割り込むとその場から少女共々、その姿を消した。

 

ズズンッ!

 

そんな音を立てて馬が倒れ込む。

 

しかし件の少女は何事もなかったかのように別の場所にいた。

 

......その横にいる獣に抱き抱えられるように......。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇

 

 

 

 

俺、伊丹耀司は目を疑っていた。

 

今しがた目の前で起きた出来事に......

 

村からの脱出の為、荷物をまとめ先を急ごうと混み合う村の馬車の行列......。

 

その最中、一台の荷馬車が事故を起こしてその対応をしていた時だった......。

 

一人のネコ?(のような獣)を抱えた少女が後方より現れ、被害者の容態を見ていたその時だった。

 

荷馬車を引いていた馬が驚いたまま走り回り、その少女を勢いのまま蹴り飛ばそうと迫っていた。

 

桑原曹長(おやっさん)が咄嗟に馬の頭部を撃ち抜いて蹴り飛ばされる事態は免れたが、問題はその後だった。

 

脱力した馬が少女の方に倒れかかってきたのだ。

 

蹴り飛ばされる危険を避けるため距離を取っていたのが仇となり、またも少女に危機が迫っていた。

 

少女目掛けて迫る馬の巨体......しかしその最中、少女と馬の間に一つの影が飛び込むのを俺は目撃した。

 

そして地面へと倒れ込む絶命した馬の巨体。

 

だが、その下から赤い血溜まりが出来ることはなかった。

 

なぜなら、それは少し離れた所でそっと少女を降ろしているネコの姿があったのだから......

 

特地のネコって、みんなあんな感じなの...??

 

 

 

 

◆◇◆◇◆sidechange◇◆◇◆◇

 

 

 

 

ん...んん〜?なんだかさっきから、皆さんの視線がやけに気になるのニャ......。

 

ボク、何かしたかニャ?

 

ただレレイ(飼い主)さんを危険から助けたってだけニャのだけど......

 

 

「......▽□◆―♀♀ฅ♯」

 

んん〜...飼い主さんも何か驚いてるみたいニャけど、全然何言ってるのか分かんニャいし......

 

と、ともかく戻りましょうニャ!!賢者カトー(旦那さん)のところに!!

 

そういう意味も込めてグイグイと飼い主さんの腕を引っ張ると、思いのほかあっさりと、立ち上がると抱き上げられたので、ホッとため息を吐きながらボクは戻って行くのでしたニャ。

 

というか、さっきから自衛隊の皆さんが凄くボクを見てくるのニャけど...ボク、何かしちゃいましたかニャ?

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

その後、なんだかんだで動き出した馬車の群れは村を離れ別の場所を進んでいた。

 

先頭には自衛隊の車がつかづ離れずの距離を保ちながらゆっくりと走っている。

 

ボク達が乗ってる荷車はまだいいけど、他の人達の所は馬車が壊れたり、負傷する人たちが出てきたりと中々進みは悪い......。

 

それに、前の雨で道がぬかるんだ影響で荷車が溝に引っかかって動けなくなるなんて事もよく見かける......

 

その度に自衛隊の方々が出向いてはその手助けをしてるのと見掛けるのニャ......。

 

......けど、こんな宛のない旅路、いつまで続けるんだろうかニャ......

 

龍脈の使えないボクじゃあ皆さんを助けてあげることも出来ニャいし...ここはネコらしく飼い主さんの膝の上で寝てることにしますかニャ!

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

.........さっきから先頭がやけに騒がしいのニャ

 

なんだか、嫌な感じの強い気配を感じるけど、先頭のクルマ辺りからその気配が動くこともないし、気にする必要もなさそうニャ

 

飼い主さん達もまだまだ余裕のありそうな様子ニャし、ボクはまた一眠りさせてもらいますかニャ〜

 

 

ところで飼い主さん、余り尻尾や髭は触れないでくれませんかニャ?

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

・・・・・気づいたらなんだか赤くて大きな龍が目の前に居たのニャ

 

何を言ってるのか分からねーと思うがボクも何が起きてるのか分からなかった...瞬間移動とかワープとかそんなものじゃ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったニャ......

 

ニャんてふざけてみたけど、正直に言えば、寝てた所に轟音と痛みを感じて目が覚めたら目の前に龍の顔があったってだけなんですけどニャ?

 

というより、この龍はなんなのニャ?リオレウス...のようだけど赤すぎるし...黒い模様?なんかも入ってないからレウスさんの遠縁というわけでもなさそうニャ。

 

で?ボクを喰うつもりかニャ?

 

 

「......グルルルルルッ...」

 

!...へぇ、少しは言葉が通じるようニャね、面白いニャ。後ろが何か騒がしいけど、ボクを満足させてくれることを期待するのニャ!

 

 

「...ゴルアアアァァァアアアッ!!」

 

うーん、まずは咆哮...20点ニャ

 

 

「ゴルアアアァァァァッ!!」

 

ふむふむ、噛み付き30点。

 

引っかき(引き裂き)35点。

 

突進10点。

 

 

「...ッ!!......ゴルアアアァァァァッ!!」

 

おっとと...ここで火炎ニャね、中々の力を感じるニャ。50点...。

 

 

「......っ!グルッ...」

 

なんニャ?もう終わりかニャ?なら...さっさと......んニャ?

 

なんでしょう...ニャんか飛んで...ってアレまさか、ロケットランチャーッッ!!!?

 

ちょっなんで急にそんなもの放っ...んニャアアアアァッ!!



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