ジュラシック・ワールド2 パラレル (リナ)
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プロローグ

初めまして。
この度初めて小説投稿させていただきました。
至らない文章力ですが、暇潰し程度になれば幸いです。

知識については映画しか見ていません。


ジュラシック・ワールドでインドミナス・レックスの事件が起こった1年後。

 

ジュラシック・ワールドの研究リーダーを務めた遺伝学者であるヘンリー・ウーは、ロックウッドの所有地である地下実験室でインドミナス・レックスの遺伝子を使ったインドラプトルと呼ばれる新しい遺伝子組み換え恐竜の作成に成功していた。それが今から半年前の事だ。

 

しかし、制御不能であるインドラプトルを手なずける為の半恐竜人間を平行して作っていたが、それがまだ完成していなかった。だが、半年間遅れたものの…今日、この日。その悲願がようやく叶った。

 

個体名をC・I(コントロール・インドミナス)=S1(サンプルワン)。

 

今は培養液の中で目覚めてはいないが、見た目はそれぞれベースとなった恐竜の物が多く入っている。真っ白な肌目を開けば深紅の赤眼。漆黒の髪。足も人間の足の長さ程度にはなるものの、逆間接で漆黒の表皮がついており、鋭い爪がついたものになっているし、小さい体に似合わぬ太くて黒く先端に刺のついた蛇のように長い尻尾もついている。

 

人間の遺伝子をベースに、様々な遺伝子を使って恐竜を制御し、対話する為の生きた軍事兵器がようやく完成した。

 

入っている培養液を抜き、カプセルから出す。生きている事を証明する為に…今まで失敗した実験体とは違い、"それ"は生誕の産声を上げた。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「先生、今日の分終わりました。」

 

C・I=S1…通称1号が作り出されて1年半の間ずっと地下室で暮らし成長してきた。

早く成長するように作られた1号の身体はもう小学の高学年程度に育っており、言葉も流暢に話せている。

そして、将来恐竜と共に戦場に出向く事を考慮され、イーライ・ミルズの指示により軍事や一般知識、武器知識等、実技においては戦闘知識を叩き込まれているところだ。

現在はヘンリー博士の部下が1号の成長経過を見るという意味での実験を兼ね、先生として勉強を見てもらっている。実技については元軍人が先生になっているが。

1号には時間短縮の為、聞いたことは基本的に一度で頭に入れれるような優秀な作りになっている。ハイパーサイメシア(超記憶症候群)と言う忘れられない症状を意図的に作り出されていた。

 

毎日言い聞かされているのは絶滅した筈の恐竜を甦らせているのは人間であり、"人間は恐竜より優れている"。人間は恐竜を使役する権利があると言うことだ。

 

1号からすれば、それは果たしてどうなんだろう?というような疑問を持ったが、それを言った人に聞いたが「君は何か疑問に思っても考えなくてもいいよ。戦う時以外はね。」とはぐらかされて終わった。そして、そんな彼女は"人に言われたことに従えばいい"とそれを疑問にも思わないようにして素直に受け入れ、特に気に停めることはしなかった。

 

「今日はインドラプトルというハイブリッドの恐竜に会わせてやる。」

 

先生から発せられたその言葉に1号は飛び付いた。

 

「本当ですか!?今から、すぐに会いに行きましょう!!」

 

1号は今まで恐竜は図鑑や写真でしか見たことはない。図鑑等を見た際も、子供の見た目なだけあってか年相応の子供のようにキラキラと輝くような表情で図鑑や写真を食い入るように見つめていた。1号は勉強が嫌いではないが、恐竜の絵等を見る際のような笑顔で勉強はしない。人間の都合のいいように育てられる彼女には、無駄な情報を与えるテレビ等の娯楽は制限され、楽しめる物は買い与えられたが、それも情報を制限された少数の図鑑やファンタジー等の架空本程度でしかなかった。図鑑等と言えど地下室暮らしでの娯楽の一種。嬉しそうな表情に違わず、ぶんぶんと黒い尻尾を振り回す勢いな程だ。

 

 

そんな彼女は、未知の生物との対面に心踊らせ、軽快な足取りで先生についていった。




ここまで見ていただいたら分かると思いますが、この小説ではインドラプトルが喋ります。(他の恐竜もですが)
イメージと崩れるという場合も有りますので受け付けない方は読まない方がいいかも…捏造になりますので。
インドラプトルについての性格は
・俺様
・身内には優しい
・人間嫌い
のイメージになります。


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前編 1話

1号と呼ばれてる"私"は研究員である先生と檻の中の黒い恐竜…インドラプトルと対面していた。

 

鋭い爪や牙。一目見て思ったのは、"間違いなくこいつには勝てない"。私が感じ取った生物としての本能だった。

 

けれど、自分と同じ"何か"もそれと同時に感じ取っていた。

だが、"何故相手の戦闘力を無意識に計っているんだ?"と自分の思考に対して疑問を感じた。

戦いに関することだから疑問に思うの?そんな思考を張り巡らせている私を余所に、インドラプトルが鳴く。

 

[テメェが今日のエサかぁ?]

 

インドラプトルの鳴き声が言葉として伝わる。何故理解できるかはわからなかったが、私にはそれを理解できた。返事の仕方も瞬時に理解できた。私も"鳴いた"。

 

[私、君のエサじゃない。君を見に来ただけ。]

 

インドラプトルは鳴き声を聞き、物珍しい物が見れたからか、ニンマリと意地の悪そうで楽しそうな 笑みを浮かべて会話を始めた。

 

[俺様と会話できるとはな、通りで他の人間共と違い俺様と同じ感じがする訳だ。]

 

[私は普通じゃない、特別な人間だって言われてるから変わってるんだろうね。]

 

そんな一匹と1人を余所に後ろでは会話が出来ていると感じた先生は慌てて博士を呼びにいっていた。

 

[特別だと?テメーが"どういう意味で特別か"自分で理解してんのか?自分で考えた事はあんのか?]

 

自分が何者かを理解しているような言い方、更に自分に考えたのか問いかけるインドラプトルに私は首を横に振った。

自分に思考する事は不要だと、人に従って生きている事を伝えた。

 

 

 

 

ーインドラプトル視点ー

 

[(クソ弱ぇ人間共に媚びて生きてるとはなぁ、そりゃあ俺様みてえに檻に入れられねえワケだ。多分だが、同種の癖に随分大人しいと思ったんだよなぁ。言うこ聞くように調教されたか…?それにしても思考が不要とはな…人間共め、気に食わねえ。)]

 

同種と思われる存在が自分と同じく道具や兵器して扱われている様子にイラつきはしたが、先程の思考は言葉に出さず、俺様は短く唸った。人間で例えるならケッと吐き捨てるような感じだ。

 

[おい、メス。テメェの名前は?]

 

[1号って呼ばれてる。]

 

おいそれ、名前ですらねーじゃねーか。と思ったが、次は唸らずに表情を歪めた。

 

[あー、んじゃあ長げえしお前、これから名前"イチ"な。疑問に思う事、思考をする事は悪い事じゃねえ。それをテメーの近くに要る奴等は快く思わないんだろうが。考えてもみろ、テメェが本気出せばここにいる奴等、普通に殺れるだろ。]

 

[…そうだね。1人1人は私よりは弱いと思うよ。]

 

俺様に言われて初めて思考したようなイチに、何故強者が弱者に従う必要があるのか。と問うてみたが、イチは「うぅん…」と腕を組み首を傾げた。これは長くなりそうだな。研究員の奴もさすがにもう戻ってくるだろ。

 

[俺様と話したことはあいつらには秘密だ。イチ、解ったか。]

 

[うん、解った。]

 

イチは基本的に命令や指示されることに嫌悪感は抱いていないと踏んでいたからこの返事は想定内だ。

 

ちょうどその頃に俺様を作り出したクソ人間共がイチを呼びに来てあいつはつれてかれた。

 

此処で俺様を檻から出すように説得するのは、時間的にもなかなか難しい。初対面で初めて話すから人間共も流石に油断してるだろうし、会話内容は奴等には絶対解らない筈だ。後は、あいつが俺様から与えた情報を元に、自分の事を調べながら真実に迫っていけば…自ずと俺様が檻から出れるようになる筈だ。

 

奴等、俺様に知能を与えすぎたのが仇になったな。作られた上は力も頭脳も奴等の上をいってやる…利用できるものは利用してやる。

そんなの生きていく上で当たり前だろーがよ。

 

餓鬼だから目的はバレねぇかもしれねえと思って話したが、案外頭の出来は大人以上かもしれねえ、と後で抜かった可能性に気づいて頭を抱えることになったのは別の話だ。



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前編 2話

インドラプトルと会話した後、博士達に何を話してたか問い詰められてしまった。

 

インドラプトルって絶対肉食だよね。と思って私は咄嗟に「肉が食べたいって言っていたので諭してました」と嘘をついたのには罪悪感があったけれど、初めてできた"名前と呼べる物を与えてくれた友達"との約束を破りたくはなかった。

 

博士達には会話内容が解らないからそれで納得してくれた、良かった。会話内容を伝えたら博士達は会議の為に去っていき、自由時間が訪れた。

 

でも、何でインドラプトルは私の今まで疑問に思っていたことをわざわざ問いかけてきたんだろう。

…此処には私の味方はいない。

疑問に思った事を問いかけると、皆嫌な顔ををする。しつこく問いかけると、どうなるかは予想がついた。もっと小さい頃、言うことを聞かなければ痛い目にあわされていたから。

「思考は必要ない。」そう言われてから私は考える事を止めるようにした。

 

私が人間達の道具として育てられて、使われているのはもう解りきっている。それが、寂しくて辛くて苦しくて…利用しかされない、それしか存在意義が無いし愛されない。だから、考えるのは止めた。

 

きっと…インドラプトルも私を利用しようとはしていると思う。檻から出るためだろうと察しはつく。

 

インドラプトルの言うことも最もだ。私は自分が特別である事以外、驚くほどに自分自身の事は何も知らない。

 

此処が何処で、自分が何者で、どう生まれて、何をさせるつもりなのか。利用の果てに何をさせるかはおおよそ予想はつくが、いかんせん私は戦闘知識とある程度の一般しかないから不安が残るし…確証が得られることに越した事はない。

多分このまま使われていても自分が苦しむ未来しか見えないなら、足掻いてから死んでもいいんじゃないかな、と考えを改めた。

 

時期を見て、自分に関する資料やこの場所の事を調べよう。

名前をくれたあの子なら、人間達よりも信じていいんじゃないかな、と私は思った。

 

 

 

インドラプトルと初めて対面した数日後。

研究の延長という名の付いた監視を連れてインドラプトルとの面会が始まった。

 

面会が始まる前、博士の上司に当たるであろうイーライさんという男性は私に命令を言い渡した。

 

「君は命令に従順であると聞いている。インドラプトルを君の命令に従わせる事はできるかい。」

 

「会話はしましたが、試みた事が無いので何とも…」

 

「そうか、信頼関係を築くなり方法は任せるから命令に従わせれるようにしてくれ。」

 

薄々感じていたけど、やはりインドラプトルを命令に従わせるのが目的で私をそれに使っている、というところだった。

 

正直な話…重要な事を隠しながら、それでいて私の質問には一切答えず思考を不要とした博士達よりは、私はインドラプトルの方が信用できると感じている。

 

[よォ、イチ。少しは考えてきたか?]

 

そう鳴いて、ニタリと弧を描く目と口。相変わらず意地の悪そうな黒く狂暴そうな恐竜、インドラプトルと再び対面した。

 

[考えてきたよ、私なりにはね。君は、研究員達の手先ではないと信じていいんだね?]

 

私も返事をするように鳴き、不審に思われないように側に控えていた研究員にインドラプトルのエサの肉を持ってくるように 頼んだ。

 

[当たり前だろ、話せねえしな。…だからか!テメェ、前は研究員の奴等と同じ態度してやがったのは!]

 

グワッと大口を開けて威嚇するようにインドラプトルが吠えてきた。いや、実際は怒ったんだけど。そんなインドラプトルを軽くいなしながら会話を軌道に戻す。

 

[いきなり会った恐竜を信用したんだから誉めてほしいくらいだよ、こっちは。研究員よりは君の方が信頼できると思っただけだよ。時間ないから本題に入るけど、まだ私は君の望んでいる檻の鍵を誰が持ってるかも、この場所の構造も、自分の事も調べれてない。もう少し時間頂戴。]

 

[…檻の鍵目的でテメェを揺さぶったのは流石に解ったんだな。それでも研究員の奴等より信用に足ると思った、と。]

 

私は頷きながらも、研究員が持ってきたエサ用の肉をインドラプトルに差し出しながら返事を待つ。

 

[俺様がテメェの事を知ってんのは、自分の遺伝子がテメェに入ってる事くらいだ。家族の頼みくらい聞いてやる。しっかり調べてこい、テメェにしかできねぇからな…イチ。]

 

[やっぱり同じ感じがするのは私にインドラプトルの遺伝子が多く入ってるからなんだね。]

 

研究員の人が呼び掛けてくる。

面会時間が終わろうとしていた。

恐竜の家族。複雑だけれど、でも…初めて自分に向けて言われた、家族と言う言葉に胸が暖かくなった気がした。思わず顔が綻んでしまう。

 

[暫く待っててね、"イーラお兄ちゃん"。]

 

私は捏造の会話内容を記したノートを持ち兄に背中を向けて歩き去った。

 

[イーラお兄ちゃん…か。]

 

ワケ解んねえ妹ができちまったな。と思いながらもイーラと名付けられた恐竜は満更でもなさそうに何時もの意地の悪い笑みを浮かべていた。

 



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前編 3話

お兄ちゃんとの対面から様々な事を調べようとして数週間。

 

この屋敷のだいたいの間取り等とお兄ちゃんの牢屋の鍵はだいたい誰が持ってるか等はわかったが、私や恐竜遺伝子の情報に関してはかなり厳重に補完してあり、博士が資料のある鍵を持ち歩いている。

非常にやりずらい。

 

鍵を忘れていってくれるくらいに良いタイミング、もしくはその資料を持ち出しているタイミングで盗み見るくらいしかない。

 

そんな難しい情報の中、以外にも早いタイミングで好機は訪れた。

博士が研究資料の部屋の鍵を置いて会議に出て行った。

 

こんなタイミング、今しかない。

すぐに私は鍵を盗って急いで資料室に向かい鍵を開いた。

 

大量の研究成果を記したレポートが整理されて置いてある。

その中でも一番厳重そうに保管されている物を見つけ、背表紙見てみると"インドミナスコントロール計画"と書かれていた。

 

インドミナスと言う単語がひっかかり、ぱらりとページを捲る。

 

 

恐竜の兵器転用を目論むインジェン社の契約により、遺伝子操作を行い生物兵器として利用する予定であったインドミナス・レックスは制御不可能により失敗に終わった。

 

その、インドミナス・レックスの遺伝子を使い軍事用に改良した遺伝子組み換え恐竜、インドミナス・ラプトルと対話し、制御する為の型兵器C・I(コンール・インドミナス)=S1(サンプルワン)の開発に成功した。汎用性を高くするため、大半の恐竜と対話できる声帯に変え、耳はインドラプトルより優れるよう改良している。

高度な知能と身体能を生かし学習させてインドラプトルを手なずけれれば、インドラプトルと共に戦場で活躍する優れた兵器になるだろう。

 

使った遺伝子はインドミナス・レックス2割 インドラプトル4割 人間の遺伝子は…

 

 

気分が悪い。私の事もお兄ちゃんの事も人間の争いの道具としてしか考えられていない。その争いの中で傷付くのは私達だというのに、それをさも当たり前かのように綴られたこの文章に腹が立った。

そんな胸くそ悪い1ページにさっと目を通せば、ブシューと部屋の中に白い煙が流れ込んできた。集中していたからか気づくのが遅れた。

 

「げほっ、げほっ…」

 

恐らく吸入麻酔薬か催涙ガスか何かだ。

気付かれたか、と思い急いで部屋から脱出を試みる。

後ろを振り返った瞬間、数発の発砲音が部屋に響き渡り、体がドチャリと音を立てて流れた血の滴った床に倒れ込んだ。

 

腹部と脚ををやられた。意識が遠退く中、目にしたのは数人の軍人と博士の姿だった…私の意識はそこで途切れた。



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前編 4話

目を覚ませば、そこは牢屋の中だった。

手足は私の力では壊せないような鎖に繋がれ、自由は奪われている。

弾丸を打ち込まれた腹部と足は、何事もなかったのように打たれる前の状態に戻っている。

口は猿轡がつけられ、まともに声を上げれないし、尻尾もぐるぐる巻きにされ固定されている。用意周到な事だ。

 

きっと、博士が鍵を置いていったのはわざとだ。私が何か探っていたから泳がせて捕まえたんだろう、情けない。そこまで頭が回らなかったことを悲観していたところに、ギィ…と牢屋の扉が音を立てる。

 

入ってきたのは屈強な肉体を持った私が見たことの無い男だった。

 

「お嬢ちゃん。恐竜と人間の遺伝子で作られた、頑丈な人間モドキの恐竜操作兵器として作られたんだって?」

 

人間モドキ?お前等がそうであるように作り出したんだろ、家族だと解ったお兄ちゃんを操作なんてするもんか!

 

否定するように頭まで振って暴れるが、自由が効かずガチャガチャと鎖が音を立てる。

声もでないので、猿轡の端からグルルと獣のような唸り声が漏れるだけだ。

 

「うわっ!唸り声もそうだけど、本当に肉食恐竜みたいに物騒な暴れ方だな。おっかねぇ…けど、自分の立場を弁えた方がいいぜ。これからお嬢ちゃんは、人間様の言うことを聞くように拷問されるんだからな。」

 

一瞬は肩を震わせ驚いたものの、私が襲いかかれない様子を見ては「何だよ驚かせやがって、雇い主のミルズさんからの指示だから恨むなよ。」と言いその男の人は私の体を数発、恐らく全力で殴り付けてきた。鈍器で殴られたかのような痛みが何度もぶつけられる。

 

痛い。 痛い。 痛い。

 

治りかけてきた傷から衝撃でじわりと血が滲み出す。

 

最初から道具として見てこられた私には、出来て当たり前。やれて当たり前。そんな人間達の道具としての知恵や知識しか教えてこられず、期待はされていたけど誰かが愛情を与えてくれた事もなかった。

 

きっと、お兄ちゃんもこんな気持ちだったのかな。

都合のいいように作られて、言うことをを聞かなければ痛い目にあわされる。

私達は、道具じゃない。作られてはいるけど意思もあるし、生きてるのに。

 

 

いつか、ここを出て人間なんて食い殺してやる。

私が生きる残る為には、至極当たり前の事だよね。

 

自分で意地の悪いと思っていた、兄の意地の悪そうな顔と瓜二つの笑みを浮かべてニヤリと嗤った。

私はあれほど嫌がっていた痛みに耐える選択をする。

 

 

いつか、此処を出てお兄ちゃんと一緒に外の世界へ出るために。

 

 

 

 

 



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後編bad
後編 1話(bad)





牢に幽閉されてもう何日経っただろう。何ヵ月か経っているかもしれない。

時間感覚も、朝も昼も何もないからあれからどのくらい時が経ったのかも解らない。

 

けれど、情報が漏れるのを嫌ったのか、私の耳の性能でも外の音が聞こえない特別な防音室に隔離されている訳だが、部屋が開いた際に何となく気配はわかる。隔離されている此処でも分かるくらいには今日はいつもより周りの気配が騒がしく、いつもいる見張りの人間も少なかった。いつも拷問に来る男が入ってきたときに確認したが、外に見張りはいても、中にはいない。

 

此処から逃げるなら今日か…

 

そんな事を殴られながら考えていたら、結構重い一撃を腹部に食らった。痛い。ただの人間なら多分気絶してるか吐いてるだろう。

 

何故かは解らないが、いつも私を拷問している男は苛立った様子で私の髪をひっぱり、ぐいっと顔を引き寄せてきた。

 

「くそっ、未だに反抗的に睨み付けてきやがる…お前が言うことを聞かなかったせいで報酬がパアだ。無駄だというのに毎日毎日鎖がついてるのに暴れまわりやがって。どうせ今日までに言うことを聞かないなら殺処分だろ、今日は死ぬ直前くらいまで痛め付けてやる…」

 

男は何かを出そうとバッグを漁りはじめた。やるなら今かな。

 

何の為に無駄だと解って毎日暴れてきたと思ってるんだ、この馬鹿は。

肢体に、これでもかと言うほどに大きく力を込めれば、鎖がついている壁の一部が根元からバキバキと音をたてて捲れ上がる。

壁から鎖が外れて使えるようになった手で猿轡の紐と尻尾を拘束していた物も引きちぎる。

自由になった私に怯えるかのように、身を縮こまらせながら男はバッグからナイフを取り出して突きだすように構えた。

 

「こっ、このバケモンがッ!!」

 

さっさと牢から出てれば助かる確率上がったのにね。

突きだされたナイフを足で蹴り上げ、鞭のようにしなる尻尾で相手の腕を拘束してやった。

一瞬の事だ。殺人兵器として作られた私は、人間一人程度なら造作もないレベルで相手に出来てしまう。

 

「ひぃっ…め、命令だったんだ!仕方なくやっていたんだ!許してくれ、命だけは…!!」

 

顔を真っ青にしながら、この期に及び言い訳に続き命乞いを始める男に、こいつはなんて都合のいい頭をしているんだと呆れ果ててしまう。

私にしてきた仕打ちを忘れろと。そんな都合の良いこと有るわけない。腕を拘束している尻尾に力を込めてギリギリと締め上げる。

 

「寝言は寝て言え。今までずーっと我慢すてきたんだ。私が受けた100分の1でも同じ思いをしてもらわないと。いくら叫んでも助けは来ない。目いっぱい泣き叫んで、苦しんでよ…生きて食われながら感じる痛みをさぁ!!ねぇ、どこから食べてほしい?…あっはははは!!」

 

きっと、私は心底楽しそうな笑顔だっただろう。人間の物ではない鋭い歯をギラつかせながら言っただけで、男は失神してしまった。

止めてやるもんか。今日この部屋に響くのは苦痛に喘ぐ、いつもの私の呻き声ではない。私を拷問し続けてきた、この男の悲鳴、叫喚、絶叫だ。

そう思うと笑わずにはいられなかった。



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後編 2話(bad)

グチャ…グチャ…ズズ…ピチャ…

 

薄暗い牢の中で、物言わぬ肉塊となった愚かな男の肉を咀嚼し、血を啜り、血を滴らせながら久々の食事をする私は人間からしたら確かにバケモノ以外の何者でもないだろう。

 

この男の肉以外食べれるものもなければ、拷問されている間はまともな食事が与えられず、常に空腹だったのだから仕方ないと思う。

しかし、この男の肉は不味い。筋肉質だからスジ肉みたいだし、毛も多いから表面はナイフで削りながらじゃないと食べれたものではない。

人間の肉なら脂身の少ない女の肉か子供の肉をいただきたいものだ。

 

血で濡らした口元を拭い、男の持っていた鞄からこの部屋のものであろう鍵を使い、扉を開けた。

 

拷問しにきた男が入ってきた時には沢山あった人の気配が近くにはない。

 

足を進め、上階へ上がると血の臭いがきつくなってきた。間違いなく何かあったのだろう。

 

血の臭いが酷い、大きな檻がある広い部屋を通り、外に出る。僅かに感じたことのない気配とお兄ちゃんの匂いがした。

 

「お兄ちゃん…!」

 

物音を頼りにたった一人の家族の元へ向かうために、鋭い爪と尻尾を使い壁をよじ登っていく。今までずっと屋敷の地下で暮らしてきた私は、外の世界を堪能したい気持ちはあったけど、今はお兄ちゃんが優先だ。

 

漸く壁をよじ登り、恐竜博物館の透明な屋根の上までたどり着いた。

 

人間3人と、お兄ちゃん。お兄ちゃんは割れた屋根から今にも滑り落ちそうで、何とか端にしがみついてよじ登れそうだけど、遠くから別の恐竜が近づいてくる。

お兄ちゃんを助けようと屋根を走ったが、その恐竜がお兄ちゃんに飛びかかり、二匹とも落下してしまった。

 

まずい、下には…!

 

考えるより先に身体が動く。

屋根から博物館へ跳躍して身を投げ、お兄ちゃん達に尻尾を絡み付かせ、落下地点とは別の場所へ軽く投げつけた。

 

よかった…

 

そう思ったのもつかの間、私の体をトリケラトプスの模型の角が貫き、串刺しになった。

 

 

串刺しとなった私の体は大量の血を流しながらトリケラトプスの模型を汚して行く。

お兄ちゃんとは別の恐竜は人間が心配なのか急いで上階へ向かっていった。

 

[イチ!!]

 

投げつけられたお兄ちゃんが一鳴きして、私に気づいて駆け寄って来た。

お兄ちゃんのまともに歩いてるところ初めてみるや…

 

[お兄ちゃん…最後に会えて、よかった…]

 

お兄ちゃんはトリケラトプスの模型によじ登り、器用に私の体を引き抜いた。

もう眠くて仕方ない、瞼を開けていられない私は、唯一の家族に最後のお願いを頼む事にした。

 

[お兄ちゃん…最後しか役に立てなくて…ごめんね。私の最初で最後の我が儘…聞いてくれる?]

 



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後編 エピローグ(bad)

私のお願いは聞いてくれるようで、借りは返す。と言うようにお兄ちゃんは何も言わずに頷いてくれた。

 

[もう死んじゃうから、私が見れなかった世界を…見せてほしいの。私を食べて、お兄ちゃんの中で、一緒に自由な世界を見せて…]

 

傲慢で自信家なお兄ちゃんは、らしくない少しだけ情けない表情で私の頬を一舐めした。

 

[イーラお兄ちゃんのおかげで、"イチ"は自分で考えて…行動できた。人間の言いなりに、道具にならずに少しでも自分らしく、自由に生きれたんだ…あまりお話はできなかったけど、会えてよかった…ありがとう…情けなくて弱い妹で、ごめんね…]

 

一緒にこれからも居たかった、もっとお兄ちゃんの事を知りたかった。と言いたいことを言えた私は最後の力を振り絞り、私に顔を近づけているお兄ちゃんの頭を撫でて…静かに瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

ーインドラプトル視点ー

 

俺様の頭にに乗せられていたイチの手が、力を失いスルリと床に落ちて、事切れたのだと実感した。

まだ体は暖かいが、直ぐに冷たくなるのだろう。

少しの間目を伏せて、俺様はイチの望みを叶えるためにあいつを食い、体に納める。俺様の一部となり、共に外を…世界を見る為に。よく見ると、あいつは心臓部付近を貫かれていた。よくそんな状態で暫く話せたもんだと思う。何故か暫く流れていた血も止まりかけてはいたが。

 

"世界を見たい"

 

そう望んだあいつは…俺様が檻から出たいと言い靡かせなければ、どうにかなったのだろうか。

たった一人の同族である不憫な兄妹を救えたのだろうか。

俺様とあいつは似ている。人間に作られ、利用される為だけに作られた存在。自由は与えられず地下に閉じ込められて育った。

あいつが外に出たのは…あの様子からしてさっきが初めてだったんだろう。

 

床に水溜まりを作ったあいつの血を名残惜しく、別れを告げるように舐めとり、後ろを振り返る。

すると、あいつが死ぬきっかけを作った人間共がいた。俺様を殺す準備をしてやがったのか、さっきとは別の武器を持ってやがる。

 

 

目の前が真っ赤に染まる。

イチの命が消えたのが解った瞬間に感じた今まで感じた事のない訳の解らない感情と、いつも以上に身体を駆け巡る強烈な人間への殺意に俺は身を任せた。

 

 

 

俺様は、感情のままに食い散らす。人間共は皆殺しだ。

 

 

イーラ。"時代"の名を付けられた人に作られた恐竜は、愚かな人間の支配する時代を終わらせ、自分達の時代の幕開けを告げるかのように人間へ向かって巨大な咆哮を上げた。

 

 




イチがイーラと時代を掛けたのはただの偶然です。

インドラプトルは1号の頭文字を取り、イチと名前を付けましたがイチはインドミナス・ラプトルのそれぞれ最初の一文字をひっつけて名付けています。

お互い動物に近いものがあるので名前の意味等は特に考えていないだろうと思った結果です。


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後編 HAPPY
後編 1話(HAPPY)


前半は後編1話(bad)と同じです。


牢に幽閉されてもう何日経っただろう。何ヵ月か経っているかもしれない。

時間感覚も、朝も昼も何もないからあれからどのくらい時が経ったのかも解らない。

 

けれど、情報が漏れるのを嫌ったのか、私の耳の性能でも外の音が聞こえない特別な防音室に隔離されている訳だが、部屋が開いた再に何となく気配はわかる。隔離されている此処でも分かるくらいには今日はいつもより周りの気配が騒がしく、いつもいる見張りの人間も少なかった。いつも拷問に来る男が入ってきたときに確認したが、外に見張りはいても、中にはいない。

 

此処から逃げるなら今日か…

 

そんな事を殴られながら考えていたら、結構重い一撃を腹部に食らった。痛い。ただの人間なら多分気絶してるか吐いてるだろう。

 

何故かは解らないが、いつも私を拷問している男は苛立った様子で私の髪をひっぱり、ぐいっと顔を引き寄せてきた。

 

「くそっ、未だに反抗的に睨み付けてきやがる…お前が言うことを聞かなかったせいで報酬がパアだ。無駄だというのに毎日毎日鎖がついてるのに暴れまわりやがって。どうせ今日までに言うことを聞かないなら殺処分だろ、今日は死ぬ直前くらいまで痛め付けてやる…」

 

男は何かを出そうとバッグを漁りはじめた。やるなら今かな。

 

何の為に無駄だと解って毎日暴れてきたと思ってるんだ、この馬鹿は。

肢体に、これでもかと言うほどに大きく力を込めれば、鎖がついている壁の一部が根元からバキバキと音をたてて捲れ上がる。

壁から鎖が外れて使えるようになった手で猿轡の紐と尻尾を拘束していた物も引きちぎる。

自由になった私に怯えるかのように身を縮こまらせながら男はバッグからナイフを取り出して突きだすように構えた。

 

「こっ、このバケモンがッ!!」

 

さっさと牢から出てれば助かる確率上がったのにね。

突きだされたナイフを足で蹴り上げ、鞭のようにしなる尻尾で相手の腕を拘束してやった。

一瞬の事だ。殺人兵器として作られた私は、人間一人程度なら造作もないレベルで相手に出来てしまう。

 

「ひぃっ…め、命令だったんだ!仕方なくやっていたんだ!許してくれ、命だけは…!!」

 

顔を真っ青にしながら、この期に及び言い訳に続き命乞いを始める男に、こいつはなんて都合のいい頭をしているんだと呆れ果ててしまう。

私にしてきた仕打ちを忘れろと。そんな都合の良いこと有るわけない。腕を拘束している尻尾に力を込めてギリギリと締め上げる。

 

「本当はいたぶってやりたいけど、時間が惜しいからさっくり殺してあげる。感謝してよね、私のように…痛みで苦しまないだけマシだって。」

 

そう言って私は、その男の身体を鋭い爪で貫ぬき、心臓を抉り出した。

腕を縛っていた尾を離すと、息絶えた男の身体は重力に逆らわずグシャリと水音を立てて床に崩れ落ちた。

 

「…おなかすいた。」

 

この男の肉以外食べれるものは此処にはない。拷問されている間はまともな食事が与えられず、常に空腹だったのだから空腹は当然の事だ。

抜き取った心臓を食い千切りながら「不味…」と小言を漏らす。男の所持品であった鞄からこの部屋の鍵を取り出して扉に向かい、部屋を開け放った。



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後編 2話(HAPPY)

お気に入りして下さる方や、コメントまでいただいて、自己満足で書いてるので気に入って下さる方がいて嬉しいです。
ありがとうございます。


部屋の外へ出ると騒がしい気配を感じた。 この近くには何故か誰もいないが、上階からバタバタ走り回るような音も聞こえる。戦えはするけれど、多人数と闘うのは不利なのでバレて騒ぎにならないように隠れて移動する。

 

優先すべきはお兄ちゃんだ。

檻から出してあげないと。

 

以前間取りを探っていた為、お兄ちゃんのいた檻には直ぐにたどり着けた。

 

「いない…!?」

 

いなかった。何処かに移されでもしたの?

 

そんな事を思っていると、近くの方で此方へ向かってくる足音が聞こえる。…人の気配が近づいてきた。好都合な事に1人だ、捕まえて吐かせる。

 

曲がり角に身を潜め、近づいてきたところを尻尾で捉える。もちろん騒がれないように口をてで押さえる。研究員の男だ、流石にお兄ちゃんの居場所は知ってるだろう。

その人間の表情から察するに「何故コイツが外に出てるんだ!?」というような表情をしている。そりゃそうなるだろう、地下に幽閉されてる筈の実験台が出てきてるんだから。

 

「質問に答えろ、騒げば殺す、解ったか。」

 

低い声で睨み付けながら脅迫すれば、男は青ざめた表情でうんうんと首を縦にふった。

 

「インドラプトルの居場所は。何故此処にいない。」

 

騒げば何時でも殺せるように、喉元に尾を滑らせる。力をこめれば一発で首の骨が折れるだろう。

 

「インドラプトルは上の階の会場になっている広間にいる。オークション会場で試作品として見せ物にしているだけだ…話しただろ、さっさと解放してくれ!!」

 

見せ物と言われてこめかみに血管を浮き上がらせる。いつまでもいつまでも、道具扱いしやがって…!!

 

「騒げば殺すと言ったけど、話せば解放するとは言ってないから。…お前のような奴の存在が不快だ、死ね。」

 

尾に力を込めれば、男の首はゴキリと音を立てて呆気なくへし折れる。殺しの知識で、首の骨が折れること自体が死因となるわけではないのは知っている。いずれ死ぬだろうと、念の為にそのまま男を尾で引きずりながら非常口わ探して上階へ向かった。

 

 

 

恐らく部屋を出た際にバタバタと走り回る音が聞こえた部屋であろう、研究員が言っていた部屋、上階の部屋に向かって歩みを進める。

 

人の気配がしないので、ズルズルと道中引きずってきた男の腕を引きちぎり、肉を食べながら目的地であろう場所に到着した。グチャグャと何かを潰すような、咀嚼するような音。

それに酷い血の臭いと、お兄ちゃんの匂いがする。

 

部屋の隣にあるエレベーターで黒い生き物が人間を食べていた。

お兄ちゃんだ。

 

[イーラお兄ちゃん!!]

 

引きずっていた男をその辺に放り投げて、お兄ちゃんに駆け寄る。

 

[イチ…?お前今まで何処に…]

 

お兄ちゃんがぐるりと振り返り私を視界に入れた。

久しぶりにお兄ちゃんに会えた。感情が高ぶり、ぼろぼろと涙が溢れる。思わず抱きついて擦り寄る。

 

[勘づかれて今まで別の部屋に閉じ込められてたの。お兄ちゃんは見せ物にされたって聞いたけど、大丈夫みたいでよかったよぉ…]

 

[無事だったんだから泣くな、抱きつくな、鬱陶しい!!あとお前、前会った時と性格変わりすぎだ!!]

 

ぎゃーぎゃーと吼えるお兄ちゃんは爪が当たらないように、私を引き剥がす。何だかんだ見かけによらず優しい。

私は"考える"事を始めて前と変わってしまったけど、お兄ちゃんは前に会ったときから変わってなくて安心した。

 

[えへへ…ごめんね。お兄ちゃんのお陰だけど、考えるようになったんだし仕方ないじゃん。あと、お兄ちゃん。此処にいたら危ない。お兄ちゃんの事、試作品だって研究員の人が言ってた。下手したら殺処分されちゃうかも…。私絶対嫌だよ、お兄ちゃんがいなくなるの。此処から逃げよう!]

 

必死に事の重要性を伝えた。人間がお兄ちゃんに足りない完全に望むものができてしまえば、用済みとして殺されてしまう可能性は高い。

大事な家族がいなくなる。そんなの、絶対に嫌だ。

 

[…イチ、お前戦えたな。]

 

今なんでそんなこと聞くの、私の話聞いてた!?何て思ったけど戦えるとだけ返事をした。

 

[よし、なら逃げるより簡単な方法がある。逃げりゃあ追っかけてくる可能性は高い。最重要は組織の頭になる奴を潰さねえとだが…何となくそいつだろうと思った奴の顔は覚えてる。お前は解るか?]

 

多分ミルズさんの事だ。覚えてる。

私はコクリと頷いた。

 

[なら話は早ぇ、手伝えイチ。初めての共同作業だ。そいつを含めて、此処の人間共を皆殺しにするぞ。]

 

お兄ちゃんは何時もの意地の悪そうな表情を浮かべ、口元に弧を描いた。



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後編 3話(HAPPY)

屋敷を走って頭であるミルズを探すというお兄ちゃんの提案に乗り、部屋を後にした。

 

屋敷を駆け足で散策していると、近くで複数人の気配を感じる。

だんだん近づくと遠目ながら、誰がいるか解った。探していた本命ののミルズも居る。こんなに早く見つかるとは思っていなかったから、探す時間が省けた。

ミルズ以外は、人間5人くらいかな。

 

お兄ちゃんはミルズの隣にいた銃を構えていた軍人2人に向かって猛スピードで突っ込み、ブチリと音を立てて男を食い千切る。

 

[獲物が減るのは我慢できねえ。]

 

口を開いたお兄ちゃんの口元からダラリと血が滴る。

お兄ちゃんの出現で人間達は危険を感じ、一目散に逃げ出した。

私は人間より走るのは早いが、お兄ちゃんよりは多少遅い。

お兄ちゃん早い…私は遅れて到着した。

 

[二方向に別れたな。俺様は数が多かった方を追う。あのクソチビ、一回殺しかねてるのは我慢ならねえしな。]

 

[じゃあ私はあの組織の頭潰すね。お兄ちゃん、気を付けてね。]

 

誰に言ってんだ、ヘマる訳ねーだろ。と言葉を言い残してお兄ちゃんは颯爽と獲物を追いかけていった。

 

さて、私もあいつを追いかけないと。

人間の脚力程度で私達は撒けないしね。

ぐぐっと足に力を込めて走り出せば直ぐにミルズに追い付く。血が滲む程に爪を突き立て肩を握ってやれば、苦痛で悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。

 

「ぐっ、1号…悪かった。もうお前たちには関与しない。だから見逃してほしい…」

 

「あんた逃がして私達に何の特もないよね。…あぁ、いいこと思い付いたよ。」

 

私は笑いながら爪でミルズの片足を切断した。

当然、痛みで再び汚い悲鳴が響き渡る。

 

「今から1分間逃げる時間をあげる。捕まらなければ殺さないであげるから、無様に逃げ回って楽しませてよ!!」

 

「ぅ、ぐ…ひぃいッ…!!」

 

腰を抜かしたように、片足から血を流しながらズルズルと這いながら逃げていく様はまるで芋虫のようだ。

あれが自分達を道具のように使っていた人間だと思えば笑いが込み上げてくる。

 

「ねえ、自分達が作った道具に遊ばれるのってどんな気分なの!?ふふふ…ははははッ!!」

 

滑稽で、愚かで、汚い人間。だけど、無様に逃げる様だけは私の心を愉快にさせた。

 

金の為に道具として作り出された人間モドキの少女に、あれから一分後…彼は殺された。

彼の死体は肢体をバラバラに切り裂かれ、爪をもがれ無惨な姿となって。

 

命を道具のように扱うな、という少女の警告のようにも見えた。



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後編 4話(HAPPY)

この話ではブルーの会話シーンを含みます、確固たるイメージをお持ちの方はブラウザバック推奨。
あと、早くから前編読んでくれていた方には申し訳ないのですが、一部変更部分がありますのでご了解ください。


私はミルズを始末した後、お兄ちゃんの元へ急いだ。死体で多少遊んだりはしたが、お兄ちゃんの走っていった方向の音はミルズで遊んでいた際も聞き逃さないように細心の注意は払っていた。見取り図も頭に入っているから、だいたいの場所はわかる。

 

近くまで来たら、大きな音がした。

お兄ちゃんがいるであろう部屋に慌てて飛び込む。

 

[お兄ちゃん!!]

 

お兄ちゃんが床に倒れ伏していた。

私の真横には銃を持った人間の男。

頭に血が上る。何か別の気配と、掛けてくるような音近づいてくるが、知ったことではない。男は「何故子供が此処に!?」と言うような表情をしていたが、私の人間からかけ離れた姿を見て何かを察したらしく、直ぐ様銃を此方に向けてきた。

 

「お前かぁ、お兄ちゃんを撃ったのはぁ…!!死ね!!」

 

それは、爪を振り上げると同時だった。

 

[オーウェンママ、危ない!!]

 

「なッ…」

 

その声で一瞬の隙を疲れ、それは猛スピードで私の隣を駆け抜けていき、腕を食いちぎられた。

青い模様の入ったヴェロキラプトルだ。

その子は私の腕をペッと吐き出して銃を持った男を守るように立ちはだかる。[ママを苛める奴は食い千切ってやる…]と唸りながら威嚇してきた。

 

倒れていたお兄ちゃんは撃たれてはいるものの、傷は負っていないらしく[人間の屑が、舐めた真似しやがって殺す!!]とグルルと喉を鳴らして息巻いている。

 

「お兄ちゃん、ちょっと待って。確認したい事があるの。」

 

私は腕の血を止めながら私は人間の言葉で話した。

 

「貴方、ジュラシック・ワールドで恐竜監視員、管理人として働いていたオーウェン・グレイディで間違いない?」

 

「あぁ…そうだ。何故俺の名前を?」

 

「そのラプトルが"オーウェンママ"って言ってたから。…話の結論を言う前に解説しておくけど、私は恐竜と対話する兵器として作られたから、体はインドミナス・レックス2割 インドラプトル4割 人間の遺伝子3割 ヒトデ1割の遺伝子を組み込まれてる。」

 

私はお兄ちゃんのように、体が丈夫に作られてはいない。それでも、インドラプトル等と並び戦場に出すために加えられた遺伝子はヒトデの遺伝子だった。恐竜の兄より打たれ弱い代りに、高い再生能力を持って産み出された私の体は、心臓や脳を潰されない、大きく破損しない限りは再生できる。腕に銃弾を一発食らったくらいなら1分もせずに治るくらいだ。

だから、今食いちぎられた腕ももう血は止まっているしいずれ再生するんだけど。

 

「3割の人間の遺伝子。それに貴方の遺伝子が使われてる。要するに…貴方は予期しない事実にはなるけど、貴方の娘って事になるの。そこのヴェロキラプトルの妹ね。」

 

「…おいおい、嘘だろ。」

 

嘘じゃないよ。と、私が首を振れば、いつの間にそんな事に…と言うようにオーウェンさんは項垂れた。




変更部分は遺伝子の部分です。初期は人間4割としていましたが、インドラプトルと戦場に出たとしたらイチの方が絶対早く死ぬじゃん…と思い直した結果です。より人間離れしました。
ブルーの「ママ」もしくは「オーウェンママ」呼びはpixivやTwitterで見かけたとき凄く可愛かったので使用しました。可愛すぎか…


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後編 5話(HAPPY)

「と言うわけでお兄ちゃん。あまり身内に当たる生き物は人間とて殺したくはないんだけど…。ヴェロキラプトルも悪い人間じゃないからなついている訳だろうし、お願い、見逃してあげてくれない?」

 

お兄ちゃんには、何の関係もない人間。

お兄ちゃんは人間種全てを憎んでいるのに、私の我が儘なお願いなのは解ってる。

私も例え身内に当たるとて、お兄ちゃんを撃ち殺されていたなら迷わずこの人間を殺していただろう。他種の生き物に酷い扱いをする奴でも殺していたけれど。

オーウェンさんは、流石に弾丸を打ち込んでもケロッとしている様子のお兄ちゃんと戦うのは無謀だと思ったのか、静かに銃を下ろして返答を待っており、ヴェロキラプトルのブルーと呼ばれた彼女に襲いかかることに制止をかけている。

 

[…貸しだ、イチ。この人間共の身の回りには手を出さないでおいてやる。後で言うこと聞けよ。]

 

ため息をつくように唸りながら、お兄ちゃんは少し考えた様子で、譲歩として条件を出しながら渋々承諾した。

 

「ありがとう、お兄ちゃん。勿論私に出来ることなら何でもお願い聞くから。…オーウェンさん、お兄ちゃんに襲わないように頼んだからもう大丈夫だよ。そっちのベッドにいる金髪のお姉さんと…」[ブルーお姉ちゃんもね。]

 

お兄ちゃんが戦闘体制を崩して私の隣まで来れば、ようやく安心したように人間二人はほっと一息ついたようだ。

 

[あら、貴方アタシの言葉がわかるのね。オーウェンママに危害を加えないなら、争う気はないわ。]

 

クルルと頷きながらブルーお姉ちゃんが鳴く。アタシはブルーよ。と自己紹介してくれた。

 

[それなら良かった、私はイチ。こっちはお兄ちゃんのイーラだよ。]

 

勝手にお兄ちゃんも紹介したら、馴れ合うつもりはねーよ。と言うようにフンと鼻を鳴らされた。ブルーお姉ちゃんは無愛想なお兄さんね。と漏らしてちょっと険悪ムードになった、お願いだから恐竜同士で争うのは止めてほしい…

 

その後、オーウェンさんの知りあい?の人間の女の人が二人と男の人が1人合流した。

 

かいつまんでオーウェンさんが説明してくれたけど、終始フランクリンという男の人はブルーお姉ちゃんとお兄ちゃんにビビっていて少し面白かった。

 

けれど、合流した女の人…ジアさんが言うには水素ガスの流出で換気設備も動かない状態で屋敷の地下にが危ないらしく、更には競売にかけようとしていた恐竜が閉じ込められているらしい。

お兄ちゃんとブルーお姉ちゃんには危ないから外にいるようにお願いして、私達は慌ててシステムルームに向かった。

 

 

 

 

既に地下室にはガスが充満しつつあった。

 

後程合流した女の人の1人、クレアさんは恐竜達を閉じ込めていた檻を解放していく。

 

けれど、緊急時以外解放厳禁と書かれた檻ではなく外に繋がるドアを解放するとなると、オーウェンさんに「街中に恐竜を放つつもりか?それをするとなると後戻りはできないぞ。」というように言われ、流石に解放は躊躇われたようだ。

此処には人間の暮らしがある。それも、今まで全く恐竜と共存をしてきた訳でもない人間の暮らしが。

 

[[苦しい、助けて]]

 

私は直ぐ様、クレアさんが押さなかった解放ボタンを押した。

他の皆はぎょっとしたような顔をしていたが、どこか恐竜が助かった事にほっとしたような複雑な様子でもあった。ちょっと違う表情をしたのはフランクリンさんは本当にあり得ない!!みたいな表情をしていたが。

恐竜達の助けを求める鳴き声が、私には声となって聞こえる。助けないなんて選択肢は…私にはなかったんだ。

 

「人間に作られて、人間の身勝手で殺される。そんなの…私は認めない。」

 

それが間違えた考えだって言わせない、全て人間が勝手に仕組んだことた。連帯責任だよ。

恐竜達は解放され、皆街中に解き放たれていく姿を見送った。

 

どうか、人間に縛られず自由に生きてほしい。




次回、完結です


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後編 エピローグ(HAPPY)

恐竜達を解放し終わった後、私はお兄ちゃんのいる外へ戻ってきた。

道中、その辺に転がっていた"やたら大きい牙の入った容器"が邪魔だったので、勢いよく蹴飛ばしたら中身も粉々になったけど、まあいだろう。

 

[お待たせ、お兄ちゃん。]

 

[あぁ…あのヴェロキラプトルも食ってないぞ。]

 

暇だったと愚痴を漏らすお兄ちゃん。大丈夫、心配してないよ。ごめんね?と苦笑しながら私が言う隣では、ブルーお姉ちゃんが今後どうするか話をしていた。

 

「ブルー、俺が安全な所へ連れていってやる。一緒に行こう。」

 

ブルーお姉ちゃんは檻をチラッと見た。

 

[アタシ、もう檻には入りたくないわ。自由でいたいもの。アタシの事を気遣ってくれるのは嬉しいんだけど…ごめんね、ママ。]

 

そう言ってブルーお姉ちゃんはオーウェンさん達に背を向けて走り出した。ちょっと名残惜しそうに振り返ったりしていたけど。

そんなブルーお姉ちゃんを見送り、オーウェンさんは私達に話しかけてきた。

 

「イチ達はどうするんだ?」

 

[俺様も檻に入る気はねえ、自由にさせてもらうぜ。人間も食い殺したいしな。]

 

「お兄ちゃんもブルーお姉ちゃんと同じ意見らしいから、私もお兄ちゃんについていくよ。お兄ちゃん、ついてっていいかな?」

 

一応、人間を食い殺すとの発言は人間種のオーウェンさんにはとても言えないので説明は省く。

 

[言われるまでもねぇ、お前は俺様についてくりゃいいんだよ。]

 

ぶっきらぼうながら、OKの返事をもらえた。

言われるまでもなく、なんて当たり前のように言ってくれるお兄ちゃんに顔が綻ぶ。

 

「私もお兄ちゃんについてくから、オーウェンさん達とは此処でお別れ。オーウェンさん達を襲うつもりはないけど、私達が人間種の味方だとは思わないで。」

 

そう、あくまでも父親に当たるオーウェンさんとその周囲を襲わないだけだ。一応父親に当たる人だから目の前で死なれると目覚めが悪いから殺さないではおいたけど、他の恐竜に襲われたならそれはそれで私の知ったことではない。

そう言った私は[上、乗れ。]と言ってくれたので、有り難く上に乗らしてもらってロックウッド邸から離れた。

 

ーーー

 

私達はあれから森のな中の落ち着ける洞窟で居座る事にした。

 

[地下にいたからこんな気持ちのいい風初めて。]

 

[…俺様もだ。]

 

二人で空を見上げながら、今は森の中で風を感じながら何気無い時間を過ごしている。

ずっと地下室で閉じ込められて暮らしてきた私をお兄ちゃん。こんな自然の中で居座るのもお互いに初めての事だ。

 

[星が綺麗だなぁ…本で見て想像していたよりずっと綺麗だよ。]

 

手を伸ばして掴もうとするけど、掴めない。

地下に囚われ、軍事に携わる知識のみ培ってきたから、この世界はまだまだ私の知らない事はいっぱいだ。

 

[俺様にはそんなのわかんねえけど、お前と過ごすこんな時間も悪くはねえ。…イチ、お前はこれからどうするつもりだ。自由になって、やりたいことも多いんだろ。]

 

確かにその通りだ。

私はやりたいことがある。

そのまま、お兄ちゃんは言葉を続ける。

 

[お前と関わりのあったオーウェンって奴等は殺さなかったが、俺様は人間への殺意を我慢する気はねえ。出会った人間がいれば殺す。人間は嫌いだ。お前は俺様に付いてくると言った。それでも、お前は俺様と居たいか?]

 

そう言って、真剣な眼差しで言ってくるお兄ちゃん。

本人は自覚してるかわからないけど…お兄ちゃんは、優しい。

妹である私だから、同族だからか解らないけど。

家族として愛してくれる、気にかけてくれているような様子が…私には堪らなく嬉しいんだ。

 

[お兄ちゃん、勘違いしてるよ。私も人間が嫌い。人間に作られて、道具にされて、いたぶられたんだから。 憎くて、嫌いで、恨めしいよ。 人間が居たら殺したっていい。私はお兄ちゃんと、家族と一緒にいたい。一緒に色んな事したい。…一緒に世界を回れたら嬉しい、色々な物を目に写して感じたい。その過程でもし、私達みたいに人間に傷付けられたり、困っている恐竜達がいたら助けてあげたい。]

 

[…解った。イチ、さっき、俺様が言ってた命令に従えってやつ。あれは、お前が"俺様に一生付いてくる事"だ。一緒に世界を見せてやる、一生ついてこい。]

 

[…うん!!ありがとう、これからはずっと一緒だよ、お兄ちゃん。だーいすき!!]

 

きっと、今までは人間にレールを敷かれて利用された最低な人生。

けれど、これからはお兄ちゃんと一緒だ。

困難があっても、これからは1人じゃない。お兄ちゃんとなら、一緒に力を合わせて乗りきれる。

きっと、これからは最高の未来が待っている。

 

私はぎゅうっと満面の笑みでイーラお兄ちゃんに抱きついた。お兄ちゃんも私を振り払う事はなく、俺様もだと言ってくれているように初めてベロリと頬を舐めてくれた。

私は地下から解放された、今日この日から、世界一幸せな妹になった。

それはきっと、死ぬまで変わることはないーーー

 

ーーー

 

 

一人と一匹の人間に作られた生物は世界を渡り歩く。

傷付いた恐竜を助け、恐竜を捕まえて我が物にしようとする人間を殺し、自分達を捕まえようとしたり殺そうとしたりと襲い来る人間を返り討ちにして殲滅し、襲ってこようとする気を無くすくらいに惨い死体にしては世界を震撼させた。

それは、人間が支配していた時代の崩壊の物語の序章に過ぎない。

世界は恐竜が蔓延り、人間が愚かな選択を続けてきたことに悔い改める時代はそう遠くはないだろう。

世界は"ジュラシック・ワールド"へと変わった。人間は世界に散らばった恐竜達に怯え、暮らすことになる。

 

新時代の、幕開けだ。




完結です。
映画を見てから5日くらいで書き上げたものを投稿していましたが、思ったよりお気に入り登録してくださる方がいて投稿した甲斐がありました。
DNAの詳細変更により矛盾していた箇所は修正しています。
完結にあたり、説明不足がある箇所等ございましたらコメントお待ちしております。感想等も大歓迎です。

一応番外編も一話書き上げていますが、見直し等もしますので投稿暫くはお休みします。


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HAPPYEND 後日談1
HAPPYEND後日談1 プロローグ


お待たせいたしました、後日談(中編)になります。


お兄ちゃんと世界を見る事を共に決意してから数ヶ月。ブルーお姉ちゃんに食いちぎられた腕はとっくに治った。今では一緒に行動はしないものの、情報共有の為たびたび顔を合わす仲だ。ブルーお姉ちゃんからオーウェンさんに対してのノロケ話を聞かされているような気しかしないのはきっと気のせいだと思う。…そう思わないとあんな空気耐えられない。

 

TVで報道されるニュースや紙媒体で綴られる新聞等の人間達の情報では、私やお兄ちゃんは台風の目の存在として扱われている。それはもう、大々的に世界規模で放送されたりするレベルで。生中継もされかけた。カメラ持って追いかけてきてうざかったから、そのクソ羽虫は銃で撃ち殺してやった。後悔はしていない。人間で言うプライバシーの侵害というやつだ。あんたが悪いんだから恨まないでよね。

 

更に、私達が町を通れば死体の山が出来上がる。(ただし食べるぶんだけ殺してから運ぶので死体の山は消え去る)連日報道で所在地等詳しく書かれてもしょうがない。食料に困らなければ人間嫌いの私達は町に出ないけど。

 

ある一種の報道では、インドミナス・レックスよりタチが悪いなんてのも言われてたりする。正直、それも間違ってないと思う。インドミナス・レックスはジュラシック・ワールド内だけで暴れてたし、当のインドミナス本人も、クレーンで吊るされた肉しか食べていなかった事もあり、動くものを餌として認知してなかった説もあるくらいだ。

私達は自覚してるし、好きでやってるし、殺意持ってやってるから余計にタチが悪いって事なんだろう。こうした思考になったのは全部人間のせいなんだけど。

 

更にまた別の報道では、行きすぎた人類の遺伝子実験等をしてきた事で神からの鉄槌だなんて言われたりもしている。

恐竜や、はたまた他の生き物を助け、悪さをしていた人間を殺していた事が報道で知られた事がきっかけだ。私は人間の味方でないだけで、生きものを大事に扱わない人間が許せないだけなんだけど。

一部の人間がそれを知ったのをきっかけに、アホみたいな宗教を作っているなんて話もあるらしいが、残念ながら私達は君ら人間に作られた存在だからそんな神からの鉄槌だなんて物をしているつもりは全くもってない。

 

 

 

これは解き放たれた恐竜たちが自由となり、ジュラシック・ワールドとなっているこの時代で、歩く天災、災害なんて呼ばれたりもする人間により産み出された生命体である私たちのとある日常の話だ。



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HAPPYEND後日談1-1

私とお兄ちゃんは初めこそ森の中の洞窟等で暮らしていたが、最近はそうではない。

 

今日は私やお兄ちゃんが地下から脱出した際に行われていたオークションで恐竜を買い道具のように扱っていたクソ人間の屋敷を襲い、殲滅して屋敷を使うことにした。暫くはここを拠点にするつもりだ。

それに伴い、人間がするであろう事を日常的にするようになる事を考えると、指のを覆う太く鋭い爪がとてつもなく邪魔になるので思いきって爪を切り、ヤスリでみがいてやった。足の爪は健在なので、攻撃には困らないだろう。ナイフも使えるし。

 

また、屋敷の至るところに弾痕や爆発物でついたであろう焼跡、血痕、何やら人間の一部が飛び散ったであろう(何かはわからないし、興味がない)ものがついていたから、戦闘した当日は掃除に追われてなかなか大変だった。正直、戦闘より大変だった。衛生面的に掃除しなければ間違いなく体調が死ぬ。

 

日付けが変わってだいぶ時が経ち、ようやく掃除から解放された。大型の冷蔵庫も完備されていたので、損傷の少ない死体は冷蔵庫にしまう。当分食料も調達しなくていいのは楽だ、お兄ちゃんいっぱい食べるしね。私は血塗れの体をシャワーで洗いたかったので、心配しながら風呂場を見に行ったが、水は問題なく使えそうだ。体を綺麗にして、お兄ちゃんを呼びに行く。

 

リビングに当たるであろう無駄に大きくて黒と金、更には壁に宝石を散らして埋めている部屋についた。贅沢すぎる…

 

[お兄ちゃん、お風呂入る?血塗れにになっちゃったでしょ、洗うよ?]

 

これまた贅の限りを尽くしたような絢爛豪華な黒と金のソファーで、気持ち良さそうに体を休めていたお兄ちゃん。寝てるみたい。ソファーの色とお兄ちゃんの体の色が同化しており、正にお兄ちゃんの為にあるようなソファーだった。俺様なお兄ちゃんに豪華な雰囲気も似合っており、王様さながらだ。残念な事に、ソファーは既にお兄ちゃんの体に付着していた血で赤く染まっている部分があるけれど。私の声をを聞くと、大きな口を開けてあくびを漏らした。

 

[ごめんね、起こしちゃった?]

 

[ふぁあ…別に構わねえよ。風呂だっけか?洗うならさっさと洗ってくれ。]

 

昨日の疲れがあるのか、少しまだ眠そうなお兄ちゃんは、確か血がこびりついたまま寝たんだった…と呟きながらお兄ちゃんと共に風呂場に移動してシャワーで体を洗っていく。

因にだが、風呂場もあほらしい程に広い。でも、風呂場も広いのは有りがたい事だ。普通の風呂場じゃあお兄ちゃんデカくて入れないからね。…掃除大変だけど。

 

[なかなか、このシャワーってのは気持ちのいい物だな。]

 

[そうだねえ、私もそう思うよ。こんなの作れるの人間だけだもんね。]

 

ごしごしと泡をつけたブラシでお兄ちゃんを洗いながら、こんなに色々物を作れたりするのは人間だけなんだよなぁ…文明の発達と科学の力って凄いとしみじみ実感する。

だからといって、人間が好きになるわけではないんだけど。むしろ人間に利用されたぶん存分にこちらが利用してやる意気込みだ。

お兄ちゃんを洗い終わり、優しくタオルで拭き上げる。

 

[よしっ、もういいよお兄ちゃん。次は朝ごはんでも食べる?]

 

[あぁ、そうするか。]

 

持ってくるよ、リビングで待ってて!!と駆け足で冷蔵庫に向かう。

世界を見る事よりもお兄ちゃんとの何気ない普通の時間が私にはたまらなくいとおしく、尊いものとなっていた。




次回から独自解釈、ご都合主義展開。


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HAPPYEND後日談1-2

その異様な気配がやって来たのは、お兄ちゃんと一緒に食事をしている時だった。

微かに…だが、此方に近づいてくるような足音のようなものが聞こえる。何かは解らないが、何かが…感じたことのない異様な気配が近付いてくる。

 

お兄ちゃんの方を見れば、お兄ちゃんも何かを感じたらしく、下を向いて食事をしていた顔を上げ、険しい表情をして私の方を向いた。

 

[ヤベエのが近付いてくる。イチに会ったときに似てる感じがする。…比にならねえくらいにヤベエ感じだが。俺様達に似た感じの…このヤバさは絶対に人間じゃねえ、まさか人間共、また何か造りやがったか!?]

 

[うん…人間じゃなさそうで、なんかヤバそうなのはわかる。正直、お兄ちゃんよりヤバそう…。ちょっと確認しに行く…?]

 

確認する事に同意を示し、頷いたお兄ちゃんと一緒に静かにその場を離れ、近づいてくる気配が何かを確認する為にお兄ちゃんと一緒にこっそりと外を確認する。

お兄ちゃんはスンスンと外の匂いを嗅ぐ。

…おかしい。外には"何もいない"。お兄ちゃんに話しかけようと、そう思った瞬間だった。お兄ちゃんが叫ぶように吠える。

 

[…イチッ!! "目の前に居る"!!今直ぐにそこから離れろッ!!]

 

[…え??]

 

"何もいない"のではなく、正しくは"何も見えなかった"ようだ。

何もなかった目の前の空間が、白く歪む。

私は咄嗟に後ろに後ずさった。

その生き物は、紛れもなく…

 

[あぁ、嘘……だ。]

 

白い歪みは、姿をくっきり現した。

白く、巨大な…T-レックスにも似た姿。それでいて、T-レックスとは違い瞳の色は黒ずんだ琥珀の瞳、蛇を思わせる細長い瞳孔。がたついた歯。お母さんの事を調べていて、見つけた写真とそっくり、瓜二つの…それは、もうこの世界に存在しない筈の生き物だった。

 

[インドミナス・レックス…!!私と、お兄ちゃんのお母さん…。死んだ、筈じゃ…]

 

[インドミナス・レックスだと!?何の用だ!!]

 

目を丸くして、動揺を隠せない私とは違い、冷静にお兄ちゃんは私の前に立ちはだかり、唸りながら四つん這いになり、戦闘体制を取った。

 

[そう警戒すんなよ、オマエラがインドミナスの名を持つオレの後釜で合ってる?戦う気はないよ、オレはオマエラと話に来ただけだからな。]

 

オレもただじゃ済まないだろうし、穏便にいこうぜ?と緊張感もなくへらっと笑うインドミナス・レックスにお兄ちゃんと顔をあわせ、とりあえず話を聞くことにした。



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HAPPYEND後日談1-3

ご都合主の独自解釈があります


[あー、オレから話す前にさ。オマエラ、オレに聞きたいことあんだろ?わかる範囲なら答えるぜ。オレ、その辺のニンゲンより頭いーからさ。]

 

邪気の無さそうな顔で笑うインドミナス・レックスに警戒していた毒気を抜かれた私は、とりあえず一番聞きたいことを問うことにした。

 

[貴方は…ジュラシック・ワールドで暴れた私とお兄ちゃんのお母さんに当たるインドミナス・レックスなの?ブルーお姉ちゃんからモササウルスに食べられて死んだって聞いてたし…モサちゃん本人も食べたって言ってたの聞いたから裏は取れてた筈なんだけど…。]

 

一応これでも、気になりはしたからお母さんの事を調べたつもりではいた。死んだと聞いたので、何処で死んだか…どう死んだかとか。ジュラシック・ワールドで暴れていた当時の映像を手に入れたりもした。それらを統計して完全に死んだと思っていたのに。

別にモサちゃんもブルーお姉ちゃんも恨んではないよ。

 

[うーん、それは多分オレの姉ちゃんだな。オレはオマエラのお母さんの妹に当たるんだ。オレの知る限りでは、作られたインドミナス・レックスはオレと姉ちゃんだけだ。その後作られたやつがいたら知らないけどなー。]

 

妹の話なんかジュラシック・ワールドの事件の話には載ってなかった。見落としてたのかな…

 

[んー、じゃあ何で外に出てるの?ジュラシック・ワールドの事件については結構調べたつもりだったんだけど。]

 

[オレは、姉ちゃんがジュラシック・ワールドで暴れるもっと前に死んだことになってるんだ。生まれたら追跡装置を体内に埋め込まれるんだけど…それを姉ちゃんに取ってもらって潰した後に、赤外線調整能力でカメラを欺いて、擬態能力を使ってジュラシック・ワールドから出港する船でさっさとサラバしてたしな!!ニンゲンに全くバレてなくて、共食いしたと思ってたみたいだけど。まさか外に出たらオレ等みたいな恐竜いないなんてびっくりしたよ。]

 

そして、インドミナス・レックスはお母さんについて話し出した。

 

[姉ちゃんは…その時はまだ赤外線調整も出来なかったから出来るようになったら外に出るって言ってたから置いてきたんだ。それがあのジュラシック・ワールドで起こした事件の時だったんだろうな、残念だよ。]

 

ため息をつくように喉を鳴らす。

そっか…お母さんは妹に会うために外に出ようとしていたのかもしれない。

 

[…じゃあ私達のお姉ちゃんになるのかな?]

 

[そーだな!!オレの事はオマエラ、親しみを込めてお姉ちゃんと呼んでいいぞ!!]

 

…ずっと一匹で生きてきたインドミナス・レックス。

寂しかったのかな…と感じさせるようにお母さんの事を話したインドミナス・レックスは私達にとっては悪い恐竜ではないと思う。何となく、人間とかの悪意は感じたりするけど、インドミナス・レックスからは感じないしね。

もしかしたら、へらりと笑うのも空元気だからかもしれない。

きっと、この話は嘘じゃない。そう、信じたい。

 

[…お姉ちゃん。]

 

もう、寂しくないよ。そう心で思いながらインドミナス・レックスの逞しく強靭な足にむぎゅうと抱きつく。

いやー、妹できるってこんな気分なんだな!!なんて言いながら頭を撫でてくれた。




次の話一瞬間違えて投稿してました;


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HAPPYEND後日談1-4

[イチ、肝心な事聞いてねえよ。…インドミナス・レックス。テメエは何が目的だ。俺様はまだテメエを信用してねえ…答えろ。何故俺様達を探しに来た。]

 

鋭い眼光でインドミナス・レックスを睨み付けながらお兄ちゃんは警戒したままの様子で返答を待つ。

 

[結構簡単な話だ。オレはオマエラの群れに入りに来ただけだよ。]

 

あのインドミナス・レックスが私達と一緒に?と、お思わずきょとんとしてお兄ちゃんと目を合わせる。

 

[オレの姉ちゃんはニンゲンも恐竜も周りを侮りすぎて、一匹で戦って死んだんだ、慢心だね。オレは死なないために、最善の策で此処に来たつもりだよ。オレに次ぐ頭脳、上回るスピードと器用さを持ったインドミナスの名を持つ後輩のインドミナス・ラプトル。恐竜と話せてニンゲン離れした強さと、驚異の記憶力。オレ等にはできないニンゲンの姿でできる事のの多い…イチちゃんだっけ?それに早さこそインドミナス・ラプトルには劣るけどオマエラより戦闘特化のオレが組めばサイキョーじゃね?負け無しだろ!!擬態もできるしな!!]

 

はっはっはっ、オレってば我ながら冴えてると思って来ちゃったよね!!どう?どう??とか言いながら笑うインドミナス・レックスには怖さよりも愉快さを感じる。あと、行動力ありすぎでしょ。

 

[…ま、インドミナス・レックスの言うことは合理的だな。人間よりは信用できるかもしれねぇが…どうするよ、イチ。]

 

確かにそれを知ってるなら、俺様もそうするな。と理に敵っている理由を聞いて目的として来た理由をまあ、あり得るか。と思った様子のお兄ちゃんは私に判断を仰いできた。

 

[…正直、お兄ちゃんと私の戦闘に付いてこれる恐竜がいなかったから有りがたいかも。でも、一緒に来るならお願いがあるの。]

 

ん、何?言ってみ?と首を傾げるインドミナス・レックスに私はお兄ちゃんと共通の約束ごとを話す。

 

[思考は一緒じゃないから、考えが違うこともあると思う。そうなったら、皆で納得行くまで話し合いね。家族内で喧嘩や争い事は禁止!!皆対等な関係だからね。これは私からの勝手なお願いになるけど、助けを求めてる恐竜達の居場所がわかれば優先的に助けに行くようにしてるから、付き合ってね。]

 

それを承諾してくれるなら、お姉ちゃんに是非お願いしたいな。どうかな?とインドミナス・レックスに問いかけると二つ返事で承諾を得た。

 

[そんな事でいいなら全然大丈夫。オマエラ人間に容赦ない感じだし、オレも食い物には困らなさそうだなぁ、喧嘩はニンゲン共の方から売ってきそうだ。]

 

隠れて過ごしてきたからか、暴れたりないというような様子で愉快そうにインドミナス・レックスが笑う。

 

[そうだね、食料には困らないかな。インドミナス・レックスだからお姉ちゃんはイーレお姉ちゃんね!!]

 

安直だが、イーラお兄ちゃんと同じような形で名前をつけてみた。

 

[インドミナス・レックスだから、頭文字両方取ってイーレか。名前があるって、やっぱ種族名より良いな。うんうん、オマエラこれから宜しくな!!]

 

ピクニックでも行こうか。と私がお兄ちゃんとお姉ちゃんに声を掛けると、満場一致賛成となり、1人と2匹で町に向かった。

 

新しく"イーレ"の名前を有したお姉ちゃんが増えた私たちは更に過剰戦力となり、結果的に人間の死体の数がいつもより更に増える事となったのは言うまでもない。



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後日談1 閑話

本編短かったのでおまけがあります、おまけは台詞式でTwitterに上げてたものになりますので小説ではありません。


 

ーオーウェンサイドー

 

 

 

無事ロックウッド邸から脱出した俺は車を走らせていた。後ろには、クレアとメイジーも乗っている。

恐竜が解き放たれた事により連日、それらの件がラジオやニュースでも伝えられてはいるが、毎日のように聞くのは俺の娘を名乗った人間と恐竜の混じった少女と人間に作られた恐竜、インドラプトルの情報だ。

 

人間に作られ、使われてきたんだから人間を恨むのも当然だ。正直、父親だからというだけで周囲の人間も見逃してくれたのが奇跡だと思うくらいに。間違いなくあの少女、イチとインドラプトルのイーラと戦えば全滅は間違いなかっただろう。…正直ここまで暴れまわるとは予想外だったが。それに加え、今日のニュースで耳を疑うような情報が追加された。

 

<速報です。歩く天災と呼ばれる半恐竜の少女とインドラプトルが新たな恐竜を引き連れ人間を殺している姿が目撃されました。>

 

「ちょっと、オーウェン。TVの音量上げて。」

 

クレアが後ろから声を上げる。

俺達は襲わないとは言われたが、鵜呑みにできないので確かに聞いておくべき情報だと思い、クレアの言うとおりに音量を上げてから合間で珈琲を飲んだ。

 

<白く、T-レックスのような見た目からインドミナス・レックスではないかという情報も上がっております。インドミナス・レックスでもそうでなくても気を付けておくことに変わりはありません。>

 

人間を嬉々として殺して行くイチとイーラともう一匹、新顔の恐竜が映る。勿論死体などにはモザイクがかけられていたが。…あの白い恐竜はインドミナス・レックスかもしれない、ではない。紛れもなくインドミナス・レックスだった。思わず、俺は珈琲を吹き出しそうになった。未然に防いだが、お陰で噎せた。

 

「げほっ、げほっ…。インドミナス・レックス?嘘だろ。」

 

あり得ない…とも言い切れない。

何せヘンリー・ウーはまだ死んではないない。

あいつが作り出した可能性も否定はできなかった。

あのジュラシック・ワールドの惨事を思い出すだけで、悪寒を感じるくらいにはマズイ物がでてきている。

 

「間違いなくインドミナス・レックスね。」

 

クレアも絶望感からか、唖然としたように映像を見ている。正直無理もない話だ。俺だってもう関わりたくない。

メイジーが「インドミナス・レックスって?」と言っていたのでクレアが軽く説明に入る。

インドミナス・レックスにインドラプトル、イチが徒党を組めば人間では軍隊にしろ勝てはしないレベルだろう。

あんな凶悪なのに俺のDNAが入っていると思うと目眩がしてきた。

 

「なぁ、俺達はあいつ等と戦わなくて正解だったんだよな…」

 

あのロックウッド邸で戦闘を互いに放棄し、脱出はした。イチは約束を守り、俺達に手は出さなかった。

イチとイーラと戦かっていたら、こんな大事にはならなかったのだろうかなんて事も頭に過る。

 

「しょうがないわ、相手にすれば間違いなく私達皆死んでたもの…」

 

クレアも何処か諦めるような遠い目をしていた。

 

あんな途方もない力を持っている奴等が人間惨殺を目論んでいるなんて。

…いつか人類は滅びる気がしてきた。

 

海にはモササウルスをはじめとする恐竜。空にはプテラノドン。どこを見ても正直危ない事に変わりはない。

どちらにせよ、俺達は自分が生き残る為に戦うしかないんだ…

 

 

 

ーおまけ(Twitterの企画モノなので台詞式です)ー

 

 

(外出から帰宅)

 

イチ「ただいま、楽しかったね!色んなとこ見れたしピクニックできたし!」

 

イーラ「そうだな、俺様は観光よりもピクニックの方が好きだが…ククク」

 

イーレ「オレ、つっこんだ方がいいのかな…オマエラが言ってるピクニックはニンゲン共の言ってるピクニックと全然ちげーからな?」

 

イチ「でも人間達のピクニックと私たちのピクニックの定義がそもそも違うから仕方ないよ、多分!」

 

イーラ「俺様達の食事は人間共だしな、追いかけ回して運動して…イチの好きな観光も兼ねてる。どう見てもピクニックだ。」

 

イーレ「いや、うん…分かった。もういいぞ。」(どうでもよくなった)

 

イチ「イーレお姉ちゃんは楽しくなかった?おにごっこ!捕まったら惨殺だけどね!」

 

イーレ「運動不足解消にはなるけど、オレは歯ごたえある奴と戦う方が好きだなぁ…イーラは楽しそうだったけどな?」

 

イーラ「あぁ、首から頭むしり取って頭部でキャッチボールするのもなかなか楽しかったぞ。」

 

イーレ「でもなぁ、キャッチボールって言ってもイーラすぐ食っちまってたじゃん。それ、キャッチボールになってねーから!(ゲラゲラ)」

 

イチ「お、お腹すいてたんだよね…お兄ちゃん?(お姉ちゃんのせいでお兄ちゃんの機嫌が!)」

 

イーラ「んだと?テメェと俺様どっちが上手いか勝負するかぁ?」

 

イーレ「いいぞ、やr/イチ:「ちょっと、本当やめて…!この豪邸はね、金持ちのクソ人間から奪って(殺した)血まみれの家掃除して…電気とか止まらないようにお願いして(家族を人質にして脅した)3人でお風呂入ったりできるように改装(これも業者を脅した)してるんだよ!お願いだから暴れないで!!」

 

イーレ「えぇ…イチそんな事してたの…」

 

イチ「お姉ちゃんが来る前にお兄ちゃんとやってきた!使えるものは使わないとね?(ニッコリ)」

 

イーラ「当たり前だ、俺様達はもう利用される側じゃねえ…利用する側だ。精々ボロボロになるまで使って要らなくなったら捨ててやろうぜ、ククク…」

 

イーレ(こいつらヤベー…)

 

イチ「そうだよねー、あいつらにも痛い目みてもらわないと!捨てるってよりは要らなくなったらいっぱい遊んでから片付けしないとね!」

 

イーラ「イチは遊び癖あるからな、俺様もだが。人間共で遊ぶのは楽しい(ニヤニヤ)」

 

イーレ「おっかないなー、オマエラが味方でよかったよ…」

 

イチ「イーレお姉ちゃんは上手いこと脱走できたかかもだけど、お兄ちゃんと私は結構隔離されてたんだから人間に恨みたまってるのは仕方ないのー」

 

イーラ「イチは拷問もされたらしいしな、俺様は便利な道具扱いする人間なんて特に嫌いだから遊んでやってからぶっ殺すだけだ」

 

イーレ「そりゃあそうなるかー。(オレ恵まれてた方なんだなー…)」

 

イチ「それはさておき!血まみれになった身体綺麗にしようね!」




一応今書き上がってるのはここまでです。
続くかどうかは未定となります、もし思い付いたら書きます。


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