この素晴らしい恋に祝福を! (みゃーー)
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2人の距離って?

新シリーズ!
ネタバレ&稚拙な文章注意!!


突然ですが皆さんは「デート」というものをご存じでしょうか?

 

それは何度経験しても楽しいものであり、

「仲間以上恋人未満」といういささか

中途半端な関係であっても例外ではありません。

 

まして、今回が初デートである

この俺、佐藤カズマにとって楽しくないはずがなく……

 

 

「どうしましょうカズマ!

幸せ過ぎて頭がボンってなりそうです!」

 

 

駆け出し冒険者の街アクセルのとある喫茶店にて、向かいに座る現在初デート真っ最中のめぐみんも俺と同じ気持ちのようだ。

 

「ああ。なんか……ヤバいな。」

 

ただ街を歩き、喫茶店でのんびり過ごす。

こんな何でもないことがまさかここまで素晴らしい事だったとは……

 

 

「カズマカズマ!!このパンケーキすっごく美味しいですよ!アーンしてあげますから一口食べませんか?」

 

めぐみんは何でもない事のように言う。

 

「いや、さすがにはずいから……」

 

この公衆の面前でそれはいくらなんでも

ハードルが高い…

 

 

 

…それに俺の中では、「仲間以上恋人未満」とはどのくらいの"距離"なのか計りかねていた。

 

普段ならそんな事気にしないが、今日何かやらかしてめぐみんに嫌われるなんて事になったら……俺は一生引きこもる自信がある。

 

 

「そうですか……やっぱりヘタレですね…」

 

そう言って少し寂しそうに笑うめぐみんを見ていると、少し胸がチクッとする。

 

「そ、そうだめぐみん!次はどこに行く?」

 

俺は気を取り直すように努めて明るく言った。

 

「次は……」

 

 

 

 

 

「カズマ見てください!このブレスレットすっごく良いです!」

 

ここはちょっと前にできた雑貨屋。

 

めぐみんがこんな普通の女の子の店に来るとは意外だ。

 

「おう!一般人の感覚からしてもいいと思うぞ?」

 

「その『一般人の感覚』とやらについて小一時間程問いただしたいのですが…

まぁ良いでしょう。」

 

めぐみんはそう言うと嬉しそうにレジに並んだ。

 

 

 

 

「ふふ……似合いますか?」

 

めぐみんは買ったばかりのブレスレットを手にはめ上機嫌に腕を振る。

 

「ああ!似合ってるぞ!」

 

俺がそう答えると

めぐみんは安心したように微笑んで言った。

 

「ありがとうございます!じゃあカズマ!手を繋ぎませんか?」

 

めぐみんからの突然の誘いにドキッとする。

 

「お、俺すごい手汗かくからな……」

 

手汗なんかでめぐみんに嫌われた日には

エリス様に会いに行く自信がある。

 

 

 

「そ、そうですよね…ごめんなさい。

"恋人"ってわけでもないのに…。」

 

めぐみんは目に涙を溜めながら言った。

 

「え!?いやそういう事じゃ…」

 

俺が慌て弁解するが

 

「今日は…ありがとうございました…!」

 

 

めぐみんは走り去ってしまった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

私は何をしているのだろう。

 

「仲間以上恋人未満」の関係になったからといって浮かれてしまった。

 

カズマに"彼女面するウザい奴"だと思われてしまっただろうか?

 

 

私は1人でポツンと広場のベンチに座っている。

 

太陽は既に傾き、空を赤く染めている。

 

カズマは何も悪くないのに…

 

今日1日付き合ってくれたのに…

 

あんな別れ方をしてしまった。

 

「カズマのあんな悲しそうな顔

初めて見ました。」

 

私は1人で呟く。

 

『今日は…ありがとうございました…!』

私がそう言った時の彼の表情が頭から

離れない。

 

好きな人にあんな顔をさせてしまった自分に腹が立つ。

 

さっきまでの浮かれていた自分に腹が立つ。

 

 

何より…

 

カズマが私を探してくれる事を期待している自分に腹が立つ。

 

「カズマ」

 

彼の名前を呟いてみる。

 

「カズマ…」

 

会いたい。

 

会って謝りたい。

 

「カズマ…!」

 

私がボロボロ涙をこぼしたその時だった。

 

 

 

「ハイハイ。カズマですよ。」

 

 

聞きなれた声がする。

 

私が涙を拭いながら顔を上げると、

 

「探したぞめぐみん!」

 

そう言って笑う私の好きな人がいた。

 

 

「カズマぁぁぁ!ごめんなさい!」

 

私はカズマに飛び付いた。

 

「わたし…私、カズマとデートできるのが嬉しくて…嬉しくて、つい…恋人ってわけでもないのに……」

 

 

「いやいやいや!!そんな事はまったくないんだ!俺の方こそごめん!!」

 

 

カズマは頭を下げたまま続けた。

 

 

「その…ほら俺達は『仲間以上恋人未満』の関係だろう?だから…変に"彼氏面"してめぐみんに嫌われたくなくて…だから…

今日はごめん!」

 

 

そこまで聞くと、そんな事も気づけなかった自分が馬鹿らしくなってきた。

 

「カズマ!私はカズマが好きです。

これは何があってもけっして変わりません!

それに…好きな人に彼氏面されるのは、

う、嬉しくもある…かもしれません…」

 

柄にもなく少し照れてしまい、頬が熱を帯びるのを感じる。

 

「そういう事なら…ほら…」

 

カズマはぶっきらぼうに手をだした。

 

「カズマ?」

 

カズマの顔が夕陽に照らされ、赤く染まる。

 

「いやその…初デートで女の子を泣かせたまま終わるなんて格好悪いだろ…?

それにほら…終わり良ければすべて良しって言うしさ…」

 

 

こんな適当な事を言う男が手をだしてくれる。

 

たったこれだけでこんなにも嬉しいだなんて、

私はおかしいのだろうか?

 

 

 

……いや。こんな男を好きになるのはおかしい私だけで十分だ。

 

 

「はい!!カズマ!!」

 

 

 

 

私は彼の手をぎゅっと握った。




どーも。みゃーーです。
文章力の足りない部分は皆様のご想像におまかせします。

この作品がおもしろいと思ったら、ぜひ他の作品もご覧下さい❗❗


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子供っぽい?

注意!

一応シリーズ物の2話です。

1話をご覧になってからの閲覧を推奨します!

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

コンコン…

 

俺は控えめなノックの音で目を覚ます。

 

カーテンの隙間から差す朝日が眩しい。

 

寝起きで重い体を起こし、ベッドに腰掛けると、

 

「ふわぁ〜どうぞー」

 

大きなあくびと共に返事をする。

 

「お邪魔します。」

 

遠慮がちにドアを開け、めぐみんがそろそろと入ってくる。

 

「おはようめぐみん。朝からどうしたんだ?」

 

「カズマ!私とデートしませんか?

完璧なプランを考えました!」

 

めぐみんが待ってましたとばかりに嬉しそうに言う。

 

「別にいいけど…急にどうしたんだ?」

 

「カズマは昨日の夜、クリスと一緒に飲んでいたのですよね?」

 

「え…?そうだけど?」

 

クリスとは次に忍び込む貴族の屋敷についての相談をしていただけ。

 

やましい事は何もない…はずだ。

 

「えぇ。別に私はカズマの彼女ではないですからとやかく言う権利はありません。

 

でも…好きな人が他の女の子と楽しそうに会話しているのを想像すると、

どうにも妬けてくるんですよ…」

 

「お、おう…」

 

なんだろう…なんかうれしい。

 

「ですから!今日は1日私に付き合ってください!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「で?最初はどこに行くんだ?」

 

「今この街の劇場には王都の有名な劇団が来ているのですが…あ!あそこです!

あれを一緒に見ましょう!」

 

「おーデートっぽい…めぐみんが考えたデートだから心配していたけど…まともそうでよかった!」

 

私が指を指した劇場を見ながら失礼な事を言うカズマ。

 

…まぁ、今日はせっかくのデートです。

聞き流してあげましょう。

 

 

「チケット2枚下さい。」

 

カズマが受付のおじさんにお願いする。

 

「はいよ!大人1に子供1ね!」

 

 

 

…ちょっと待て。

 

今聞き捨てならない事を言わなかったか?

 

受付には

 

 

『大人(12歳以上) 2000エリス

子供(12歳以下) 1000エリス』

 

 

と書いた紙が貼られている。

 

カズマがひきつった顔でこちらを見る。

 

…大丈夫。心の広い私はこの程度では

怒りません…たぶん。

 

「いや〜仲のいい兄弟で羨ましいねー!」

 

まだ、この深刻な状況が飲み込めていないおじさんはついに言ってくれやがりました!

 

 

「いいでしょう!!

こんな失礼な劇場は私がキレイさっぱり消し飛ばして差し上げましょう!!!!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「うう…」

 

「げ、元気出せよめぐみん」

 

あの後、爆裂魔法の詠唱を始めた私を

カズマがあわてて抑え、

この前の広場に連れてこられた。

 

「あのおじさんだけは許しません!

今度会ったら即、爆裂魔法を撃ち込んでやります!」

 

私は拳を握りしめベンチから立ち上がる。

 

デート中に子供チケットを渡そうとした

上に、兄弟呼ばわりまでした罪は重い。

 

「ま、まぁ気持ちはわかるけど、

あのおじさんも泣きながら謝ってたし

許してやれよ。」

 

カズマはやっぱり優しいですね…

でも、幼児体型の私はカズマのタイプではないのだろう…

 

 

 

プ、ププッ……

 

 

 

私がそんな事をもやもやと考えていると、カズマが口をむにゃむにゃしながら必死に何かに耐えている。

 

 

「カズマ。あなたの隣ではかわいい女の子が落ち込んでいるんですよ?

何が可笑しいのか聞こうじゃないか!」

 

 

私がカズマに飛びかかる。

 

「ごめんごめん!」

 

カズマは謝りながらもなぜか嬉しそうに続けた。

 

「落ち込んでるめぐみんもかわいかったけど、やっぱり元気なめぐみんの方がかわいいな!」

 

「な…!」

 

私は突然の攻撃にうろたえ、少し頬が暑くなる。

 

…なんですか。普段はそんな事絶対に言わないのにずるいです!

 

勝ち誇ったようにニヤニヤ笑うカズマ。

 

やられたらやり返す。

 

このままでは紅魔族の名折れです!

 

「じゃあカズマはそんなかわいい私の事をどう思ってるんですか?」

 

「えぇ!?」

 

動揺するカズマ。

 

「ちなみに、私はカズマの事が好きです。

大好きですよ?」

 

私はカズマの手を握りながら言った。

 

「俺もめぐみんの事…好きだぞ?」

 

カズマは見たことがない位顔を真っ赤にして、そんなうれしい事を言った。

 

「え、えぇぇ!?」

 

私は動揺のあまり声を上げ

 

「な、なんですか!

私の方が好きですよ!」

 

という意味不明な事を言ってしまった。

 

自分の顔がどんどん熱を持っていくのを

感じる。

 

「初めてめぐみんに勝てたかな?」

 

嬉しそうに笑うカズマ。

 

 

 

━━ずるいです。本当にずるい。

 

 

「カズマ。ちょっと耳を貸してください。」

 

ちょいちょいと指を動かしながら言う。

 

「はぁ?急にどうしたんだ?」

 

そう言いながらもカズマは

素直に耳をこちらに寄せる。

 

 

 

━━やられっぱなしでは居られません。

 

 

 

「カズマ。カズマも私を子供だと思っていますか?」

 

「へ?」

 

カズマはすっとんきょうな声をあげる。

 

私はそのほっぺたに……

 

 

Chu…

 

 

「………!」

 

カズマは無言でこちらを見て固まっている。

 

 

「ではカズマ!

デートの続きをしましょう!」

 

そう言って笑う私を見て、

カズマはうれしいような悔しいような

微妙な表情をしながら言った。

 

 

「やっぱり、悪女めぐみんは元気な方が似合うよ。」

 

 

それを聞くと、

私はカズマにぎゅっと抱きついた。



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