転生駄肉は触手に愛される (飛翔するシカバネ)
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ネタバレ予告集
※閲覧注意※ 駄肉予告編



!注意!

この作品は非常に冒涜的で道外れた内容になっております。

まあ、ネタバレです。

読む時はお気をつけ下さい。
この作品を読んでしまいますとこの後にも出てくる先がなんとなく予想可能になってしまいます。

なぜ、そんな話を投稿するに至ったかというとある読者さんからの感想により、気分が高揚した結果です。

非常に良い考察だったので作者は思わずゾクゾクしまして。

この作品のゴールとスタートを載せてしまいました。

決して読者さんが悪い訳ではありません。
いつか出そうと考えて眠っていた話です。
それがちょっと早めに出てしまっただけです。

読まない方がこの先も楽しめる様な気もします。
読んだ上でも楽しめる気もします。

そこは読者さんに任せます。

それでは、もう一度。

!注意!
この先は盛大なネタバレを含みます。
読む場合は心して読むか、この作品の聖杯戦争が全て終わってからお読みください。

























え!マジで読むの?






 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロストベルト。過った選択、過った繁栄による敗者の歴史。歴史の残滓。

 

()()()()()として中断され、並行世界論にすら切り捨てられた()()()()()()()()()

異なる歴史を歩んできた人類の年表。

一時の点ではなく、帯として現在まで続いたもの。

 

特異点を『正しい歴史が間違ったもの』ならば、異聞帯は『何も間違ってはいない』世界。

言うなれば、汎人類史とは異なる歴史でありながら、特異点のように狂った世界ではない領域である。

 

だが異聞帯は並行世界ですらない。

 

本来なら百年で打ち切られる歴史が、現在まで続いてしまった世界。

いわば『汎人類史に敗北した歴史』が地球上に突如として現れた。

 

特異点とは違い、現代の今の時間軸に7つの異常地帯が浮かび上がっている。

 

テクスチャの上書きであるため、点ではなく帯。最早転換点は過ぎ去り、異聞帯は歴史を紡いでいる。

 

侵略者によって空想樹は植え付けられた。

 

異聞帯の要である空想樹が根付いた後、その異聞帯を発展させるのは異聞帯の王ではなく、クリプターの役目。

 

そして外宇宙の存在に選ばれたクリプターは7人。

 

しかし、外の神に通信した者がいた。

 

 

そして通信者は種を得た。

 

 

 

通信者の預かり知らぬところで。

 

 

 

 

 

これは本筋からねじ曲がった異聞録。

 

 

 

八人目のクリプター。

 

 

 

 

 

 

 

「それでも……私は死にたくない」

 

 

 

「君たちは残念だが消えてくれ」

 

 

 

「大丈夫だ。今の君がおらずとも、君は存在している」

 

 

 

「世界を救うのは私に任せたまえ…」

 

 

 

「このダーニックに」

 

 

 

 

異聞深度 E~S

 

年度 AD.2018

 

 

 

 

 

 

「私たちはあの人を利用した。最初はね……けど、次第に惹かれていった。だからかな?彼の願いはなるべく叶えたいの……ゴメンね」

 

「彼は悪魔かもしれない。だが、救われた人はいる。この世界は……この異聞帯は……壊させない!」

 

「苦しみなんてなぁーぃ!ここは理想郷だぁ!この世界が間違っているぅ?そんな…それこそ夢みたいな話あるわけないじゃないかぁ!」

 

「最高にCOOLだな。アンタの腸みたくなった…」

 

「世界を背負う覚悟など、既に我々はできている!!!貴様はよく頑張った。ここで休め。汎人類史の最後のマスターよ」

 

 

 

 

 

 

 

「成し遂げたい先は違えとも、目的は同じだ。この世界を破壊しようぜ……いや、全く素晴らしいな破壊は…」

 

「君たちについたほうが肉が食えそうだ。若き肉体の素晴らしい味が久しぶりに」

 

「あの人を……解放してくれっ……」

 

「君は何人ヒトを殺した?……ほう、ではヴァージンを破りたまえ。サーヴァントに任せず、自身の手で。それが君に与えられた役目というものだよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは汎人類史に1番近い…いや、同義ともいえる。こちらに組すれば君たちも消える事は無い。他の見捨てた者達もここは全てを受け入れる。そう、全てを」

 

「それは、捨てられたものも。それは消えていったものも例外ではない」

 

 

 

 

 

「会いたいだろう?彼に……ロマニ・アーキマンに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千年冬木生存都市 ユグドミレニア

 

 

副題 触手の寵愛者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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第三次聖杯戦争
死の宣告


「あ、終わったわ」

 

俺はつい、悲観的な言葉を吐いてしまった。

 

しかし、俺に罪は無い。

罪があるとすればこの世界そのものだ。

 

この現状を見れば誰だって終わったと思うだろう。

 

俺の名はダーニック・プレストーン。

 

Fate作品のアインツベルンが何をとち狂ったかルーラーなんか召喚したせいで、聖杯大戦などという物を起こす張本人である。

 

まあ、今世には俺の魂が乗っ取ったせいかそんなことを起こす気は微塵も無いが。

 

我が一族が繁栄できない?

いいよ、魔術師としてだろ。

なら、普通の人として死ぬから。あと、老衰で死にたい。畳の上で布団で死にたい。

間違っても怪物として灰になって死にたくない。

 

という訳でそうそうにリタイアしようとしたがそう簡単には問屋が卸さない。

 

聖杯を奪わなければ射殺するとドイツの方々に銃を突きつけられましてね。

もう、やるしかないと。

 

因みに俺はまだ、サーヴァントを召喚していない。

触媒として叡智の水が入っていたとされる小瓶がある。

これでフィオナ騎士団団長であるフィン・マックールを召喚しようとしていた。

 

俺のこの前世とも呼べる記憶を思い出したのは最近の話だ。

というかさっきだ。

 

さっき道を歩いていたら黒い少年を連れて歩く、アインツベルンを見つけて思い出したのだ。

 

強烈な頭痛と共に呼び起こされる最悪な情報。

正直、死を願った。

 

でも、恐い。

死ぬのは嫌だ。

 

1度死んだことで死の恐怖が更に俺にのしかかる。

死因?分からないさ。

ただ虚無を感じているんだ。

 

無を感じるなんておかしな話だろう。

これがフィクションなら笑って終わりだ。

しかし、終わらないから質が悪い。

 

……もういいか。

死について語ったところで無くなる理由でも無い。

恐怖も増していく。

 

 

 

さきほどの話の中、Fate作品を知るものなら分かるだろう。

黒い少年を連れている?

それはつまり、ルーラーではなくアヴェンジャー。

 

俺の情報無しやん。

 

軸的にはApocryphaじゃなくてstay nightじゃねーか。

 

どうせ、ランサー召喚しても何も変わらない。

聖杯戦争史の一参加者として終わるやん。

 

 

ということで、フィンの触媒は破棄。

生き残る為に可能性の塊、縁にかけるしかない。

 

 

そして召喚の場につき、さあ召喚しよう!としたところ、ドイツの諜報員さんが後の枠、キャスターだけになりましたよ、とか言うから。

 

終わったやん、これ。

キャスターだって強い?

 

知っとるわ!そんなこと!!

だけど、それはFGOだけだ!

 

普通の聖杯戦争で早期召喚していない、工房作ってない、戦闘能力ほぼ皆無のキャスターが強いと思ってんのか!?

 

あんなコマンドカードワンタッチで強い攻撃でると思うなよ。

あと、触媒無しの召喚はホント運なんだからな!

マーリンとか玉藻とか孔明とか無理だからな!

呼べる訳無ぇだろ!

 

はぁはぁはぁ、イライラをぶつけてしまった。

 

諜報員はじゃあ、頑張ってくださいって帰ったし。

 

 

 

いいよ、もう。

 

勝てなくていい。

生き残る力を。

ドイツにもサーヴァントにもマスターにも殺されない未来を。

何を犠牲にしても、もぎ取ってやる。

 

 

俺は片手を前に出し、魔力を流す。

 

そして詠唱を紡ぐ。

 

「素に銀と鉄。

降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。

 

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷しく者。

 

汝 三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

光が舞い、魔力が吹き荒れる。

 

ここにサーヴァントの召喚が成った。

 

 

 

召喚サークルの中心にソレはあった。

 

ソレは問いかけて来なかった。

ソレはヒトでは無かったからだ。

 

ソレはコチラに傅くことは無かった。

ソレは生き物では無いからだ。

 

ソレを見た時、俺は精神的ダメージを負った。

ソレはそういうチカラがあるからだ。

 

ソレを俺は知っている。

実物は見たことない。

しかし、前世持ちだからこそのものでもあるだろう。

俺は何度目か分からない、自身の運命を呪った。

 

ソレはニセモノでは無い。

そう、ステータスに書いてある。

 

ソレはホンモノだ。

コピーのコピーですらあれなのに。

 

俺は召喚したサーヴァントを手に取る。

酷く冒涜的なソレは酷く手に馴染んだ。

 

ソレと繋がっている俺は聖杯戦争への参加が確定した。

ソレで戦わなければならないと分かってしまった。

 

「これからよろしく。

キャスター()()()()()()()

 

とりあえず俺は(ソレ)に挨拶をした。

 



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英霊となれ

俺の周りには殺戮の結果が広がっていた。

 

血溜まりはその度合いを超え、ここ全てが血に濡れている。

目がチカチカする。

 

服だった布が散乱し、ヒトだった肉が散乱している。

 

 

この惨劇はSAN値チェック案件だな。

 

 

 

 

犯人、俺だけど。

 

 

 

違うんや!!いや、違わないけど。

 

サーヴァント召喚成功したけど、失敗したわってナチスドイツの皆様方に伝えたら、聖杯は諦めようって話になったんだよ!

 

やったー解放だー!と、思ったのも束の間。

 

令呪を使って本を受肉(?)しろって言われた。

 

聖杯ゲット出来なかったし、いいよーってやったらキャスターを奪おうとしてきた。

 

聖杯が無くても魔術書があればこれでなんとかなるとか言い出してきたのだった。

魔力炉内蔵してるし。

 

まあ、コピーのコピーでジル・ド・レェの威力やしな。

人体実験はいっぱいいるから困らないのでしょうけど。

 

それで取り囲まれて銃で撃ってきた。

 

あ、死んだ。

正直死んだなって思った。

 

腐っても鯛、無機物でもサーヴァント。

 

主人を守るためか、殺意を向けられたからか。

 

 

俺以外の全てが何かに呪われたかのように仲間を撃ちだす。

あるものはサーベルで、あるものは素手で。

既に肉塊であるものを攻撃する。

 

仲間を食み、喰いちぎる。

そんな彼らの傍らにはきっと殺した怨念や愛すべきものがいて、相手が憎むべき、もしくは嫌悪するものに見えたことだろう。

 

精神的攻撃に対抗できなかったようだ。

 

そんな状況に俺はSAN値チェック。

 

そして出来上がる、惨劇。

 

 

図らずともドイツ軍を全滅させました。

(本国の方は除く)

 

 

後ろ盾が消えたな……

 

 

 

拳銃やお金を持ち、そそくさと俺は逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

用意しといた隠れ家が使えてよかった。

 

 

とりあえずは生き延びた。

こんなことずっと続けるの?無理だよ。

 

俺はチラリとキャスターを見る。

 

ドクドクと脈を打っているように見える。

沢山の供物(生贄)を得たのが嬉しかったのかな。

減った分の魔力を既に回復させている。

余分を何かに回した気もする。

 

 

やっぱり、こいつには意思があるように感じる。

 

ただの使われる道具では無いのだろう。

 

 

しかし、意思疎通はなんとなく感じるというだけで分からない。

 

意思が伝わったとして本がどうやって生存に導いてくれるのだろうか?

 

 

…………ふと、思った。

 

 

原作のダーニックは英霊に自身の魂を刻みつけた。

それで負けはしたがその発想は中々に良いのでは?

 

魔力炉である魔術書を身体に植え付ければ、実際魔力問題は解決。

一心同体になれば意思など伝わるだろう。

魔術の全てを理解すれば生き残る方法など、5万とあるだろう。

魔術書であるこいつを令呪で縛っても意味は無いだろう。

自害とか出来ないしな。

 

じゃあ、やってみるか。

 

「令呪を持って命ずる。キャスターよ我がものになれ」

 

キャスターの魔力が更に流れ、強くパスが繋がる感触がある。

しかし、命令がいささか抽象的だったな。

それにこの感じは英霊にもあったな。

なんだっけか?……ああ、あれだ。

 

「加えて第三の令呪を持って命ずる。キャスターよ我が宝具となれ」

 

その言葉と共に魔術書は姿を変える。

 

黒い宝石がはめられた不気味な指輪へと姿を変える。

それは自身の左手の人差し指につけられた。

つけられた指輪から魔力経路が形成される。

魔力経路は心臓まで伸びていき、胸で自身の経路と合体した。

 

「ネクロノミコン」

 

名を呼ぶと指輪から魔術書が出てくる。

表示に樹のデザインと金の装飾が新たにされた魔術書だ。

 

これで、聖杯戦争が終了してもこいつとは一緒だ。

 

 

………いや!なにしてんの!?

 

え?え!?おかしない!?

こんなの絶対おかしいよ!!

 

まるで、正気を失くしてたかのような。

精神分析をして戻したかのような。

 

まさか、SAN値チェック失敗!?

しかも致命的な!!

 

その後は冬木に絶叫を轟かせ、俺は眠りについた。

 

 

 

そうして、俺はデミ・サーヴァントとなった。

 

 




後書き書き忘れたので追記

本来デミ・サーヴァントになれない理由は幾つかありますが今作品で重要視しているのは二つ。
・サーヴァントが融合を拒否する。
・サーヴァントの霊基に肉体が耐えきれない
という2つです。

1つ目は簡単に面白そうだから前所有者が許可し、寧ろ主人公を求める様な心を用意したからに過ぎません。

2つ目は主人公が入ることでダーニックの身体には二人分の魂が入る許容量が出来ていました。しかし、ダーニックは自身がその魂を使おうと魂を食らう魔術を行使しました。しかし、まだ1回も使用した事がないせいなのか、魔術に不備があったのか失敗し、人格を含めた魂の全てを肉体の強化に使われました。
それにより、肉体は二人分の容量が入っても活動できる神秘を含んだ身体となりました。
しかし、その状態では身体に空きがありました。
人一人分の空きが。
空きは自然に回復するには時間が無く、肉体の持ち主の意思の伴わないところで崩壊を始めます。

主人公は無意識にそれを感じ取り、空きを埋めるべく求めたのです。
自身の半身になるべく存在を。
その願望を聞き届けたのは冒涜的な者だった。
自身の生きるために外道な自分にさえ、助けを求めた(主人公の自覚なし)のを面白く思い、渡したのは原本。
魂の争いに勝ち、成長している主人公なら召喚しても生き延びる確率は確かにあった。

冒涜的で混沌なる者は力を貸した。
試練とも、祝福とも、加護とも、寵愛ともいえるものを。

かくして、主人公は生き延び、力を手にした。
肉体は少し崩壊したが、魔術書の力があれば少し死体になっていても生き続けられる。
劣化の劣化の本ですらコービットはあそこまで生きたのだ(独自設定)。

とながながと書きましたがそういう裏設定がありましとさ。
質問があるだろうと予想して後書きに書いといた筈ですが無かったので書き直しました。

次回もよろしくお願いします。
あと気が向いたら、活動報告に書いてある他の3作品も5話くらいは書き終わってるので順次投稿していきます。


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第四次聖杯戦争
隠れ潜む


あの後俺は教会へと保護を求めた。

 

後ろ盾のドイツ軍と離れた事も伝えた。

ドイツ軍の機密情報を代金として…

 

令呪は無いし、サーヴァントの姿も無い俺は無事、脱落者として認められた。

 

どうせ、今回の聖杯は破壊されるんだ。

 

さっさと一抜けるに限る。

 

 

 

さて、これからどうするかな。

 

聖杯戦争は終わったし、今ここにいるのは危ない。

 

かといって日本を出るのはいいかな。

折角記憶を戻したから、日本を満喫したいしね。

 

 

ダーニック・プレストーンの名は魔術界だけにするかな。

 

冬木市に戸籍つくるかな…

名前とか新しく作って。

 

そして次の聖杯戦争に参加して願いを叶える。

 

 

俺に願いは無い。

あるのはダーニックとしての願いだけだった。

 

しかし、この戦争で新たに願いが出来た。

 

このネクロノミコンを剥がす事だ。

 

 

いらねぇ…

正直発狂ものだぜ、これ…

 

適正なのか、縁なのか、才能なのか、俗に言う転生特典なのか…

 

本を開いても発狂はしない。

それどころか融合を果たしているしな。

 

 

そしてこれを剥がすなんてそれこそ、聖杯に願うしかない。

例え、破滅的な願いしか叶えられないとしても願いが破滅的だからな…

自身の能力、宝具を完全に抹消する。

 

これが俺の願いだ。

 

 

その為にも冬木市にいるしかない。

 

多分、運が良ければ聖杯に選ばれて令呪も持てると思うし。

無くても参加して、令呪を奪い取ろう。

主にキャスター陣営から。

 

キャスター陣営が1番倒して心が痛くならないからね。

 

 

仕事は何をするかな?

 

学はダーニックのお陰であるからな。

教師でもやってみるかな。

 

 

 

こうして俺の第三次聖杯戦争が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

俺は絶望した。

 

第四次聖杯戦争の開催が決定された。

 

令呪は案の定渡され、俺は参加者となった。

 

聖杯をできれば手に入れる。

 

 

そう思い、サーヴァント召喚に望んだ。

 

今度はフィン・マックールの触媒(実はとっておいた)を使い、召喚に挑んだ。

 

しかし、召喚されたのは。

 

 

 

「また、本かよおおおォォォォォォ」

 

召喚クラスはキャスター

前回に引き続き、魔術書。

 

ネクロノミコンと同じく、名高き、冒涜的な魔術書。

 

 

()()()()()()

 

そこで、Fate/Zero要素はいらないよ!

 

確かにジル・ド・レェも持ってたけども!

あれはコピーのコピー本でしょうが!!

 

こんなイケメン1教師に持たせちゃダメでしょうが!!

 

 

しかも、持った瞬間に令呪が強制発動された。

俺の中のもうひとつの意思が反応したかのように。

 

使用した令呪は1画。

しかし、内容は口に発されずとも理解した。

 

令呪2画目を使い、強制命令を撤回させようとしたが時すでにお寿司。

 

俺の左手の中指には鈍色に煌めく、指輪が嵌められていた。

 

そして意思を感じる。

 

まるで、ネクロノミコンが姉でルルイエ異本が妹。

姉妹2人でお支えしますって感じだ。

 

異世界転生物なら姉妹丼でムフフな展開で勝ち組なのによー!

 

貧乏神と疫病神に求婚されてみろ!

死まで一直線じゃねぇか!

 

東方ならうれしい?

東方じゃないから嬉しくないですー

 

俺は東方でも嫌だけどね!

好みの問題だぜ!

 

 

しかも今回はなんでか知らないけど、肉体が崩れ、張り裂け、腐り落ちるような痛みが全身を襲った。

 

完全にキャパシティオーバーだったんだと思う。

 

それを姉妹の絆でなんとか乗り越えたみたいな。

 

俺の身体で繰り広げないでくれる?

 

 

 

というか令呪勝手に使われるんやね。

多分意識がしっかりしていれば、そういう事は無い。

今回の召喚は2冊目の本ということで、放心状態だったから仕方ない。

 

聖杯になんて願えば……

 

 

2つの宝具の完全削除でいいか…

 

 

とりあえず、今回は他の鯖が召喚される前の早期召喚だったから魔術工房を作ろう。

 

ZEROは楽しみだが、死亡率高いから死なないように頑張ろう。

 

 




既にZERO時空へ突入!

しかし、活動報告にある通りこの話の主軸はstaynightです。

つまり、ZEROも割と話がポンポン飛びます。
質問は感想へ、感想の返信は気分が乗れば返しますし、大体は後書きへ書くと思います。

独自設定だらけ、へへへへへ。

次話もよろしく!


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失敗

アサシン殺害という名の茶番からはや数日。

 

俺はコンテナの中で隠れながら外の状況を見ていた。

 

うわー

やってるわー

怖いわー

関わりたくないわー

 

けど、やらないとなー

 

数日…いや、数十年まったのだから…

 

 

というか俺は年取ってない気がする。

 

 

俺死んでんのかな?

ネクロノミコンが俺の身体を死体にして生かしてるとか……止めよう。

きっと、魔力炉ともいえる膨大な魔力により、肉体が若いままなんだな、きっと。

 

うん、大丈夫大丈夫。

いけるいける。

ほら、行けた気がしてきた。

 

ランサーとセイバーの戦いだ。

強いんだろうなー

 

攻撃が速すぎて見えない。

戦闘したらマッハで死ぬやつや。

 

 

 

 

そしてライダーの登場。

 

「双方!剣を収めよ、王の前であるぞ!」

 

かっこいいな、ライダー。

ああいうのに憧れるな。

俺にはああいうサーヴァントがいないんだけどな。

 

そして両手を広げて名を名乗った。

 

「我が名は征服王イスカンダル!此度はライダーのクラスにて限界した!」

 

本来名が、真名がバレるということはそれに対しての弱点が分かるということ。

ジャンケンでも相手が出すのが分かれば簡単に勝てるだろう。

……なんか違う気がするが、まあいいか。

 

 

あ、隠れてるもん出てこいやーって言ってる。

(意訳)

 

金ピカ王が出たし、俺も出るかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、2人もいたか」

 

 

英霊の気配はひとつだった。

隠れ潜む人の気配はあったがどうせ、隠れ潜む臆病者だけだろう。

魔術師なんぞ、いつの時代もそうなのだろう。

 

 

1人は金ピカの鎧と覇気を纏った男。

それは王の覇気。

名のある英霊と見た。

 

もう1人は白と金の服を身にまとった長髪の男。

英霊としての力を殆ど感じない。

しかし、内側から滲み出る不快さがある。

 

「貴様もしや、キャスターか?」

 

 

「「「ッ!?」」」

 

「キャスター!?なんでキャスターがこんな表に出てくるわけ無いだろ!」

 

その通り。

キャスターがここまで前線に出る意味が無い。

 

「いえ、私はキャスターではございません」

 

寧ろ、その台詞に安心した。

戦闘するキャスターなど意味が分からないからだ。

 

しかし、事実は小説よりも奇なり。

もっと意味が分からないことだった。

 

「私はキャスターのマスターのダーニック・プレストーンというものです」

 

サーヴァントどころの話ではない。

サーヴァントを連れずにマスターが出てきたというのだ。

 

頭おかしいとしか言えない。

 

ライダーのマスターはライダーに連れられ強制的に来ている為に例外だ。

さらに言えばライダーの近くなら他のどんな場所よりも安全といえるだろう。

 

しかし、この男は違う。

自ら死地へとなんの護衛も持たずやってきたのだ。

 

そんな事をするのは余程の阿呆か、絶対に死なないという自信が存在するからだ。

 

「……後者であろうな」

 

此度の遠征はなかなか楽しめそうと思った征服王。

 

 

 

 

 

 

そして、その時の駄肉の心境はというと…

 

 

今更出てきたけど、俺ここでバッドエンドちゃう?

 

皆さん、覇気やばすぎへん?

小市民の俺場違い半端ないで。

 

あまりものプレッシャーから関西弁になっていた。

 

 

しかし、ここで挫いてはダメだ。

 

「隠れていた訳ではございません。征服王貴方の登場をお待ちしていただけでおります」

 

「ほう!余をか。その意図はいかに?」

 

「私、キャスター陣営を貴方の配下へ加えて頂きたい!」

 

「何だってー!?」

 

そんな声を上げたのはウェイバー・ベルベット。

 

「断る!」

 

そして瞬時にライダーは断った。

 

「はぁーーっ!!!?お前何考えて、ブヘッ!」

 

断ったライダーに詰め寄ったウェイバーはデコピンをされる。

 

「はぁ…いきなり傘下になりたいという言葉に少しは疑いを持たんかい」

 

「イテテ、でも傘下を求めたのはお前じゃないか!」

 

「余が求めたのはアソコの剣士2名であってあの男では無い。それに余はあの男は信用できん」

 

もっともだった。

 

 

 

しかし、駄肉は動じない。

外面は…

 

え、なんでライダー?ナンデ?

 

 

なんとか飲み込み、駄肉は喋りだす。

 

「それは残念です……ここでの役目は既に終わりました。私は去りましょう」

 

これ以上ここで失敗をする訳にはいかない。

そんな思いが駄肉にはあった。

背を向け、港から離れようとした。

 

しかしそれは余計なことだった。

 

「我ではなく、そこの雑種に仕えるために姿を現した?断られたから帰る?この我を前に能書きを垂れるな、雑種……その不敬、万死に値する!今ここで死ね!」

 

その行為は英雄王の逆鱗に触れた。

 

空中に波紋が出来、そこから煌びやかな剣や槍などの武器が出てくる。

そしてそれは射出され、ダーニックの元へ身体を貫からんと飛来する。

 

そして当たった瞬間に爆発し、ダーニックごと周辺を爆発させるものもあった。

 

アレでは生きてはいない、そうウェイバーは思った。

 

しかし、サーヴァント達は違った。

 

征服王は感嘆を、英雄王は忌々しげに舌打ちをする。

 

爆煙が晴れるとそこには無傷のダーニックが立っていた。

 

ダーニックには傷どころか、服にも汚れは一切無い。

ダーニックを中心に円状に無傷でそれを超えるとコンクリートの地面は見事に破壊されている。

 

素人目線でも分かるだろう。

ダーニックを中心としてそこに何かがあると。

 

攻撃を受けて、ダーニックは振り返る。

 

「そうですね、このまま去るのも不敬ですね。他の陣営にも言っておきます。私は同盟を歓迎しています。アーチャー陣営とアサシン陣営以外」

 

「アサシン?アサシンは既に敗退して……」

 

「……そうと思うならそうなんでしょう。貴方の中では」

 

まるで、アサシンは敗退していないかのような口ぶりにアイリスフィールは反応するが適当に返される。

 

「アサシンは同盟を切れば、アーチャーはマスターが隠していることをサーヴァントに話せば一応は同盟を結べます、とだけ言っておきましょう」

 

「……時臣…貴様ごときが我に諫言か…いいだろう。我にも聞くことができたからな」

 

「あとはアーチャーが頭を下げたらでしょうか?では、私はこれで…」

 

そういって、小走りにコンテナの中に入っていく。

 

「……雑種がぁっ!!!」

 

先程の武器よりも上等であり、全てを破壊するかのような武器が出てくる。

それはダーニックの入ったコンテナに向けて放たれる。

 

そして当たった瞬間にコンテナは木っ端微塵になる。

 

「……チッ。我は帰る。さらばだ、雑種共。少しは数を減らしておけ。我が戦うのは真の英雄だけでいい」

 

「マスターっ!?……分かりました。ここは一度引こう!だが、今度は騎士道に乗っ取り正々堂々と勝負しよう!」

 

アーチャーは苛立ちと共に帰宅。

 

ランサーもマスターからの命令なのか霊体化し、姿を消した。

 

「ふぅむ、興が覚めたの。セイバーよ、今宵は余も帰ろう。配下に入るのは何時でも歓迎しておるぞ!行くぞ、小僧!」

 

ライダーはマスターを連れて、去る。

 

 

「ここは私達も帰りましょう、セイバー」

 

「はい、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

「はあー死ぬかと思った。喧嘩なんて売るもんじゃ無いね!でも証拠隠滅するには必要だし!なんとか同盟組んで倒せばいける!慢心王なら行けるさ!」

 

心配をノリと言霊でなんとかしようとする駄肉がいた。

 

場所は冬木市に存在する学校。

 

そこでダーニックは化学教師として働いていた。

化学を教えるくせにオカルトやら魔術が好きというところが何故か生徒に好かれている。

 

そんな彼は学校を勝手に改造し、要塞と化している。

そして自分の陣地ともいえる化学準備室はダーニックの工房になっていた。

 

壁に書かれた紋様を隠すかのように化学式表を貼り付ける。

 

周囲にはアルコールの匂いが立ち込めていた。

 

 

「門の創造は便利だなぁ。障壁の創造も間に合ってよかった……」

 

ダーニックを守っていたナーク=ティトの障壁も今は消えていた。

ダーニックはヘラクレスの命のストックを増やす程の魔力を障壁の創造に使っていた。

それが無ければ既に死んでいたことだろう。

 

「それにしても一番便利なのはこの宝具だよな」

 

そういって左手に本を出現させる。

 

宝具【いと冒涜的な神の魔力炉】

 

効果は2つ。

膨大な魔力炉をマスターに押し付ける。

キャスターでも魔術的要因の無いジル・ド・レェの魔力炉となった本の原本だ。

マスターである俺は既に魔力は英霊を超えて神霊並とも言えるだろう。

 

この宝具は同じ名前で2つある。

 

…まあ、魔導書2つだからね。

 

そしてもうひとつが魔術書に載っている呪文の対価を魔力だけにする、というもの。

 

精神を捧げなくとも発動できる。

 

これが外宇宙の魔術書に付属でついている宝具だ。

 

 

プルルルルルルッ!

 

部屋に置いてある電話が鳴る。

 

手に取り、出ると

 

 

「お電話お待ちしてましたよ。さっそく本題へ。どこでお会いしましょうか?」

 

 

 

 





書いてる時にイスカンダルの一人称を分かんないってなった。
あってるかも分からん。

次は他陣営ピックアップ。


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八枚舌

 

 

 

「どこへ、電話を?マスター」

 

「お前ごときに話す事ではない」

 

全くサーヴァント如きが騎士道なんぞを持ち出して戦おうとは……

使い魔風情はマスターである私の言うことを聞いていればいいものを…

 

「……ふむ、そうだな。お前はあの男をどう思う?」

 

「アーチャーの攻撃を防いだあの男ですか。そうですね……マスターを守る点において素晴らしい宝具を持っていると思えます」

 

「では、同盟を組むとするならどう考える?」

 

「ど、同盟ですか!?……そうですね、キャスターの姿が見えない上での同盟は危険でしょう」

 

「そうだ、サーヴァントならそこまでだ。しかし、あのマスターには私は見覚えがある。やつは()()()だ」

 

そう奴は時計塔で冠位(グランド)まで登りつめた講師だ。

()()の教え子からの評判は良くない。

魔術師より、政治家の方があっているなどとも言われていたな。

 

時計塔だけでなく、様々な派閥闘争や権力抗争でその手腕を発揮し、裏切り寝返りは当たり前。

信じる者信じない者のどちらも利用する、一流の詐欺師だ。

 

許嫁もできるほどの男だったと聞く。

よく分からん噂話で全て破談したらしいが。

 

「では、キャスターとは同盟を組まないと…?」

 

「いや、同盟は既に申し出た」

 

「な、何故!?」

 

そんな簡単な事も分からんのか、この使い魔は…

 

「私は誰だ?」

 

「我がマスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト様です」

 

「そうだ。この私がそんな老害の策略に負けるとでも?それに奴とならお前の望むような魔術師の決闘ができるやも知れん」

 

今回の聖杯戦争のマスターは無名や魔術師の面汚しだ。

その様な魔術師では泊などつきようもない。

 

 

「同盟の話し合いは明日だ。私を守るために十全な準備をしておけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小僧、奴はどう見る?」

 

「奴ってあのダーニックだよな」

 

「ほう、ダーニックというのかあの男は」

 

ライダー陣営の隠れ家(にしてる民家)で2人は話していた。

先程のサーヴァントの真名を考えたり(ウェイバーが)、攻略法を考えたり(ウェイバーが)していた。

 

そんな時にライダーが口を開いた。

 

「時計塔では有名だよ。ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。ユグドミレニア一族の長。時計塔の悪魔。八枚舌。数えだしたら限り無いほど異名がある」

 

「ほう!悪魔とは酷い呼ばれ方だな!奴は何をしでかしたのだ?」

 

「ボクもあんまり知らないけど…」

 

60年前である第三次聖杯戦争から姿が全く変わっていないということ。

 

新たなる派閥、ユグドミレニア一族の設立。

 

ドイツ軍の殲滅行為。

 

「ゲルマン人の軍隊に喧嘩を売った?なるほど、なかなかの気概を持っておるな、その男!あの薄気味悪さが無ければ傘下に加えても良かったのだがな」

 

「薄気味悪い~?確かに胡散臭いけど、お前が怖がるような何かがあるとは思えないけどな。所詮ただの人間なんだし……」

 

「そうとも限らんぞ…」

 

あれは人間と呼んでいいものか……

征服王である余があそこまで触れたくない、征服したくないと思ったものは初めてだ。

 

アレはヒトなのか?

 

 

 

「まあ、よい。今度会おう時に問い正せば良いことだ。軍門に降りたいという輩だ。それを匂わせれば話すだろう」

 

「そんなんでいいのかよ!」

 

そんなこんなで夜もふけていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お招き頂き、感謝の極み。それでは同盟について話しましょう。私は貴方の願いを叶える事ができますよ」

 

「私の異名のせいで信用は無いですが……似たような悪魔と妖怪同士仲良くしましょう」

 

「ここでの同盟の結果は明日のランサー陣営の同盟には関係はありませんよ。私はあくまで、協力してアーチャー陣営とアサシン陣営を破りたいと考えているのですから」

 

「では話をしましょう。双方にとって有意義な時間になる事を祈ってますよ」

 

「まずは、自己紹介でも。ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。ユグドミレニア一族の長にしてキャスターのマスターです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうじゃのう。ワシは間桐臓硯。バーサーカーのマスター間桐雁夜の実の父親じゃ」

 

 

 

 





多分次話は好みが別れる話ですね。
でも、このルートも確かに見たいなって心の奥底でなにかが叫んでいるんですよ。

そしてクソチートが出てきます。
ダーニックは宝具を六つ持ってますからな。


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妖怪と悪魔


更新更新!!
今回の後書きには何かの登場人物がのってます。
誰でしょうねっ?


「ほう、デミ・サーヴァントとはのう……」

 

「まだ、他の陣営では知らない情報と辿り着く事は有り得ないこの情報。少しは信用に足りましたかな?」

 

間桐家の一室で妖怪と悪魔は密談していた。

 

「次の質問じゃ。何故バーサーカー陣営、ライダー陣営、ランサー陣営、セイバー陣営を同盟相手とした?陣営に何か共通点でもあると考えたが…」

 

「その通り共通点です。そして共通点は全ての陣営が聖杯に掲げるほどの願いでは無いということを指しています」

 

ランサー陣営とライダー陣営は箔つけ。

セイバー陣営は世界を救う為だが、方法が無いために使用は不可能。

 

「なるほど、馬鹿げた夢を持つ者もおるようじゃな。しかし、バーサーカーのマスターである雁夜に願いは無かろうともそれを渡されるワシにはあるんじゃがの」

 

「それは私が解決出来ます。間桐臓硯殿の願いは不老不死でしょう?」

 

「ふぅむ、よく調べておるな。それを聖杯無しにどうやって叶える?」

 

「私のキャスターの呪文は外宇宙を起源とするもの。そしてその答えは貴方の前に存在している」

 

 

 

「では、叶えてもらおう。それが同盟…いや、傘下へ加わる条件じゃ」

 

「その為にまずは貴方の魂の再生を行いましょう。【霊基再定義】」

 

そういってダーニックはキャスターを召喚する。

 

キャスターを開き、呪文を唱える。

青色の灰が立ち込め、間桐臓硯へと集まる。

 

数分も立つとあんなに腰を曲げていた背筋を真っ直ぐに伸ばし、立ち上がった。

 

「……思い出した。ワシはあの馬鹿馬鹿しい夢を……」

 

「次の呪文です。【カルナマゴスの契約(偽)】」

 

 

立ち上がった間桐臓硯に触れる。

その瞬間に間桐臓硯は崩れ落ちる。

文字通り灰になり、地面に落ちた。

 

そして灰が集まり、人の形を成す。

 

それは恐ろしき妖怪の姿では無い。

それは青い髪を持つ青年へと姿を変えた。

 

「これはワシの若い姿…」

 

「これにて願いは成就されました。完全に死なない訳ではありませんがね。英霊等に攻撃されればそりゃ死にます」

 

「そこまでは求めておらんよ。あくまでもワシは魂の物質化による世界平和を求めただけじゃからの」

 

「まあ、それでもたらされた平和なんて悪平等な世界……ディストピアなんでしょうけど」

 

「……やってみなければわからんが、あの聖杯では無理じゃのう」

 

「破滅を齎す聖杯でも使いようはあるんですよ。まあ、あなたを配下にした時点で聖杯の解体をして、再構築という手段も取れますが……」

 

「まずは勝ち残るところからじゃのう」

 

「その前に家族会議では?」

 

「それもそうじゃのう」

 

「では、私は帰ります。話が纏まったら呼んでください」

 

ダーニックは壁にワインをぶちまける。

 

すると壁は開き、先には学校の門が見える。

 

「さらばじゃ、ダーニック殿」

 

 





「世界を背負う覚悟など、既に我々はできている!!!貴様はよく頑張った。ここで休め。マスターよ」

ユグドミレニアのセイバー
マスター:初代カルデア所長


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狂騒

怒涛の更新!!

めっちゃ更新してるので、読む時は注意して下さい。


間桐家の居間では異様なメンツが顔を揃えていた。

 

白い髪に顔の皮膚から血筋が浮き上がり、苦しんでいる男。

しかし、それは使った魔力による消耗だ。

いつも身体を蝕む、蟲たちは異常なくらいな静けさを持っている。

 

父親譲りの青い、ワカメのような癖毛の男。

全身からアルコールの匂いがする。

恐怖やら緊張から大分飲んでいることだろう。

しかし、その表情は困惑しかない。

 

この場ににつかわしくない少女は呆然としている。

自身を蟲の蔵に入れる男と助けると馬鹿げた事を言った男と鎧姿で黒いモヤを発している人?がいる。

そして最初の蔵に入れる男に良く似た男……誰?

 

それはバーサーカーも同じだった。

危うく狂気が解けてしまいそうな状況だった。

叫ぶようにアーサーの名前を言うはずがAr…?

こんなに静かなバーサーカーも珍しい。

 

 

そして事の発端、そしてこの場を形作っている男は最後の締めというように口を開く。

 

「ということでワシら間桐家は間桐・ユグドミレニアと名を変え、ワシは間桐・ユグドミレニア・臓硯と名乗る事になった」

 

「どういうことだ!?」

 

間桐雁夜の心からの叫びだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうも何も間桐家はユグドミレニア一族に入り、聖杯戦争ではキャスターの傘下に入る。鶴野も雁夜もそれで良いな」

 

「この家がどうなろうが俺には関係無い!そこではなく、聖杯はいらないとはどういうことだ!それでは俺との契約は…!」

 

「それについてはワシではなく、ユグドミレニアの長が決める」

 

自身の父親だとしても見た目が伴っていない男に叫び散らす。

 

そして自身には権限が無いようにいう臓硯は居間の壁を見る。

そしてそれは開かれる。

 

それは壁だ開くはずは無い。

その裏に部屋はあるもののあのような見た目ではない。

あのような化学実験室のような…

 

「ユグドミレニア一族の長にしてキャスターのマスター。ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアと申します。以後お見知りおきを…」

 

白い布地に金の装飾をあしらった服を着たその男はゆったりと姿を現した。

 

「まずは蟲の除去だ」

 

「了解した」

 

臓硯は雁夜と桜の蟲を外に出す。

 

「「!?」」

 

体の束縛感とおぞましさから解放される。

 

「次は魔力回路か……【回路再定義】」

 

雁夜の魔力回路が消失する。

そして新たな回路が出現…いや、再定義される。

 

新しくみずみずしいその回路は身体によく馴染んだ。

本来身体を巡るべきはこれだと言わんばかりの。

 

「このお方の力でワシは既に願いを叶えられた。ならば、聖杯に願う願望は既に無い。ならば、後はその恩義を返すまで…」

 

「ということだが、大丈夫か?追いついているか?」

 

「あ、ああ。あ?」

 

「大丈夫じゃないな。宝具【神は賽子を振るう(ダイスロール)】スキル、精神分析。成功」

 

左手に本を持った状態で右手のひらを雁夜に向ける。

そして直ぐに落ち着きを取り戻す。

 

「あ、ああ。落ち着いた。それで俺は何をすればいい?バーサーカーのマスター権限を与えればいいのか?」

 

「それでは魔力回路を再定義した意味が無いではですか。貴方にはこれからもバーサーカーのマスターでいてもらいます。が、さっそく令呪を使用してください」

 

「れ、令呪を!?」

 

「他にもやってもらうことがあります。酒でも飲みながら話しましょう。話が纏まったら桜ちゃんにも話しましょうか。いいお酒があるんですよ。蜂蜜のお酒なんですが鶴野さんは甘いのは苦手ですか?」

 

「私も参加するのか!?」

 

「表向きとはいえ、当主なんですから。認識の同期は必要ですよ」

 

「では、桜ちゃんおやすみなさい」

 

「お、おやすみなさい?」

 

部屋を出ていく桜。

 

すっかり、酔いが覚めたはずの鶴野は頭を抱えている。

 

その光景をにこやかに笑っている臓硯。

 

「やっぱり、最初から説明してくれぇーーー!!!」

 

真夜中の間桐家に雁夜の叫びが木霊した。

 

 



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同盟締結


めっちゃ会話多いです。

今更か!


 

「はあっ!?バーサーカーが傘下に入ったぁ!?」

 

会談場所である冬木市に存在するレストラン、その中に高い金を払う事で(庶民には)入れる個室の部屋でケイネスは声を荒らげていた。

 

自身の後ろにはランサーが佇んでいる。

 

そして、前には会談相手であるダーニックが座っていた。

 

ダーニックは相も変わらずサーヴァントを連れておらず、片手に本を持ち、会話している。

 

そして先程の言葉が正しいのならば、まだ見ぬバーサーカーのサーヴァントを自由に扱えるということ。

 

あの金ピカの英雄の攻撃を簡単に守りきった防御力。

そしてバーサーカーはその性質上攻撃に特化したサーヴァントと言えるだろう。

 

最強の盾、最強の矛。

キャスター陣営は既にその2つを手にしたと言っても過言では無い。

 

既にこれだけ。

同盟を組むには十分な理由だ。

 

これほどの力があれば、戦争を勝ち抜くのは容易だろう。

そして同盟相手であればその力の全容…とまではいかずともヒントが得られるだろう。

 

そしてヒントが得られれば私、ケイネスの頭脳をもってすれば簡単に答えを導きだせるだろう。

 

 

しかし、ここまでスピーディーに事を進ませるとは…

 

さすが時計塔の悪魔だと言わざるを得ない。

 

 

「貴方はあくまでも箔付けに戦争に参加している。必ず叶えたい願望がある訳でも無いでしょう?」

 

「無論、タダで渡す訳にはいかないがな」

 

「そしてそれはランサーも同じ。かのケルトの英雄、ディルムッド・オディナなら……そうですね。今度こそ忠誠を、と言ったところでしょう」

 

「なぜ、我が真名を!?」

 

「馬鹿め、答えを明かしおって。二つの槍の逸話の英霊で、カマをかけただけやも知れぬのに」

 

「やはり……勘もありましたがあっていたようで何よりです。ここで外したら恥ずかしいものですから」

 

何を言っているのか、この悪魔は。

願いまで当てているというのに勘だと?

全く恐ろしいものだ。

 

「それで同盟後の条件はどうする?私は不可侵でも良いが」

 

「いえ、友好的な同盟を結びたい」

 

相変わらず何を考えている?

 

読めない、この男の考えが。

 

何が友好的だ。

八枚舌の悪魔め。

 

「同盟関係になるためには片方が不利益的行為をしなければ同盟は始まらないと私は考えています。ですのでこちらが先に情報を与えましょう。それを糧に同盟を結びたい」

 

「ほう、聞こうではないか」

 

そして話されたのは驚愕の真実だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖杯が穢れている!?破滅を迎えるしかない?我々がただの贄だというのか!?巫山戯るのも大概にしろ!」

 

「私も知った時は驚愕しかありませんよ。破滅しかもたらさない願望器なんて名前に偽証しかありませんから」

 

それでは私が参加したのは……ただの道化では無いか…

 

「これでは勝ち残ろうとも意味はありません。寧ろ家名にそれこそ泥を塗る行為かと」

 

「それでそれを話してどうするのだ?これでは同盟どころか戦争を辞退する案件だが」

 

「そこはご安心を。聖杯に五体目がくべられれば聖杯は泥を出します。ならばくべなければいい」

 

「なるほど、キャスター、バーサーカー、ランサーを残らせればいいのか」

 

「念の為にセイバー陣営にもこの話はしておきますがね。連絡は取れませんがあそこはまだ理性が残っていることでしょう」

 

「そしてその話が意味が無いのがアーチャー陣営ということか。そしてダーニック殿の口ぶりからアサシンも残っていると」

 

「冬木市で召喚されるアサシンはハサンと決まっていますからな。召喚したのは群にして個、個にして群のハサン。百貌のハサンかと。死んだハサンはその内の一体ということでしょう」

 

「歴代全てのハサンを調べたということか。なるほど事前に情報があればその答えに辿り着くのは容易だな」

 

「そして、戦争の勝者にして破滅の聖杯の解体。この2つの成功者は家名を傷つけること無く終われるかと」

 

「…!?……ふぅん。それが狙いか。ならばこの同盟は受けるに値しよう。ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアとの同盟を締結する」

 

ケイネスが立ち上がり、握手を求める。

 

ダーニックもそれに習い、握手をする。

 

「この同盟が戦争後も続けばいいですね」

 

「それはどうかと思うが」

 

 

 



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襲撃


友人に言われて日刊ランキング見たら1位なっていてびっくりしました。
初めてですよ日刊1位とか。

これからもこの作品をよろしくお願いします。


ランサー陣営との会談から数日。

 

ホテルが爆破されている。

 

中に人がいたらもれなく死亡案件だろう。

 

「数日とはいえ、あのホテルに愛着などはありますかな?」

 

「確かにあのホテルは良いところだった。今回のことで人は寄り付かなくなるだろうがな」

 

間桐家の一室からホテルの爆破の光景を眺めている。

 

しかし、その場所にケイネス一行は既にいない。

 

中にあった魔術礼装も様々な道具の数々も、当然人も既に間桐家に移送済みである。

 

 

そして何も無いホテルを爆破はしなさそうなのでギリギリまでケイネスはホテルの一室にいた。

 

そして、門の創造を使いこちらに転移済みだ。

 

 

 

 

「私は避難しただけだが、既に準備は完了している。そちらはどうかね?」

 

ケイネスはフードを被った青年に声をかける。

 

「ああ、大丈夫だ。バーサーカーの調子も万全だ。魔力も俺だけでなく父の魔力がある」

 

「よろしい!では、ダーニック殿は?」

 

次にユグドミレニア一族に与えられる礼服に身を包んだ男に話しかける。

 

「こちらも準備はできている。魔力は色々使ってしまったからそこは期待しないでほしい」

 

 

「私は最初に言った通りだ。では、これより出向こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我の領域内に入ると余程死にたいようだな、雑種!」

 

「今回は話し合いではなく、戦いを宣言致しに来ました」

 

本を片手に抱えて、英雄王に挨拶をするダーニック。

 

「ほう!敵陣に魔術師が攻め込むとは中々に豪胆では無いか。だが、それは浅知恵だぞ雑種」

 

後ろから剣を持った黒い鎧を纏った騎士が英雄王に斬り掛かる。

 

しかし、それをなんなく躱す英雄王。

 

鎧騎士はそのまま、ダーニックの前にまで跳躍し、刃を英雄王に向ける。

 

「犬を仲間にしたか。やはり、雑種ごときはこうも群れるのだな。数の多さで強さを勘違いする。我の攻撃を魔術師の守りを用いて、狂犬で攻撃する、といったところか?やはり、浅知恵だな。二度も我の力を防げると思うなよ、雑種!!!」

 

英雄王の背後から黄金の波紋が生まれ、古今東西の原初の武器が飛ぶ。

 

 

「Aーーーーurrrrrrrrrrッ!!!」

 

ダーニック達に当たる前に空中で武器が止まる。

そこからも多数の武器を射出する。

 

直にそれは止まった。

 

ダーニック達は悠然とそれを受けきった。

 

大量に飛ばした武器をいとも簡単に止め、無傷で受けきったのだ。

 

 

「宝具……か。なかなかに堅牢よな」

 

「ええ、素晴らしい宝具です。対城宝具ですらこれは受けきることでしょう」

 

「それは我に天の剣を抜けと……言っているつもりか?」

 

「いえいえ……流石にそれは不敬ですからな。我々ごときにその技は……」

 

「既にどれだけの狼藉をしているか分かっているだろうに……貴様は対城宝具ですらその宝具は受け切ると抜かしたが、それを破るにはそんな物は必要ない。必要なのは守りを殺すことに特化した宝だ」

 

出ていた武器を戻して、新たに武器を出す。

 

様々な原点。

原初の武器。

 

それは今度こそ、その盾いや……城を破壊せんと向かっていく。

 

 

またもやそれは叩き落とされる。

 

城の外から来た騎士達により、斬り伏せられる。

 

騎士によっては空中に飛来した剣を手に取り、そのままその剣で2射目を叩き落とす。

 

 

「どこから湧いて出た!?……宝具であろうが、その狂犬の宝具としては有り得ない!!」

 

「英雄王ともあろう方がそのように声を荒らげるとは……」

 

「貴様……何者だ?ただの雑種ではあるまい…」

 

 

 

 

ピピピピピッ!!!

 

時計のアラーム音が鳴る。

 

「これはこれは残念です。時間となってしまいました。私どもも目標を達成せずに終わるのは心苦しく思います。ですが、これ以上の闘争は無意味と相成りました。また、お会いしましょう、英雄王…」

 

無数の騎士は消え、黒い鎧の騎士も霊体化していった。

 

ダーニックはそのまま走り出し、物陰へと隠れ、そのまま消える。

気配も無い。

 

「雑種め……我を英雄王と知りながらあの狼藉か……まこと、我の不興をかいおる」

 

英雄王は地面に降り立ち、ダーニックが消えた場所へと降りる。

 

魔力の残滓はそこに残っていた。

 

「我を挑発し、跡を消すとは……雑種ごときが我に掃除婦をさせるとは……うむ?」

 

前回の港での戦いではわざと英雄王を怒らせ、魔力の残滓を消し、証拠を皆灰へと帰させた。

 

そしてその魔術が、行われたであろう陣を見る。

 

「…っ!?これは…!!なるほど……聖杯の回収を行うついでにゴミ掃除をしなければな。よもや雑種だと思っていたがそれを超える穢れとはな……」

 

 

英雄王は忌々しげに陣を焼き払う。

 

「この世界は余すところなく我のものだ。一片とも渡さんぞ……外宇宙の穢れがっ!…」

 

 

 

 





やばい、テンションが凄いのにこの後バイトが億劫でしょうがない。

バイト行かないで小説書きたい。

以上、作者の本気の愚痴でした。

次回もお楽しみに~


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問答

この話を含めてあと9話でZero編は終了となります。
話の都合により、1話増えるかも知れませんがそれでもZeroはもう、終わりですね。

ようやく本編であるstaynightに入れるというものです。
本編もZero位の長さしか無い予定ですがね。
その後は……

今後もお楽しみに!



その後も小競り合いを続けながら脱落者無しのまま戦争は続いていた。

 

キャスター陣営は隠れながら、何かを行っているが何が目的かは判明していない。

 

1番の被害を被っているのは遠坂時臣だろう。

 

既に巷での会話で英雄王との関係に亀裂……程ではないが不審が生まれていると時臣は考えている。

 

そして遠坂邸へ襲撃があった時に蟲が遠坂の所有する地を破壊したという報告があった。

 

そこでアサシンも数体やられたという。

 

時臣はストレスで禿げる勢いだった。

 

 

 

 

そんな中ライダーは思い立ったように英霊に話しかけ、聖杯へ望む願いを問答しようと声をかけていた。

 

 

場所はアインツベルン邸。

 

中庭にて錚々たるメンバーが揃っていた。

 

 

英雄王 ギルガメッシュ

 

征服王 イスカンダル

 

騎士王 アーサー

 

それ以外にもライダーのマスター、セイバーのマスターの姿があった。

 

 

 

聖杯にかける願いや回収するだけという言い分、騎士王の理想論。

 

様々な問答が成されていた。

 

 

そこへアサシンが現れる。

 

群にして個、個にして群のサーヴァント。

 

百貌のハサンだ。

 

しかし、百貌と言われるが100人とはいえない30人ほどしかそこにはいなかった。

 

 

何故このタイミングでやってきたかは分かりはしないがライダーの掲げた杯を地に落とし、ライダーの不興を買った。

 

その後ライダーの宝具【王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)】によりアサシンは聖杯戦争初の脱落陣営となったのだった。

 

 

すっかり、酒を飲むという空気では無くなってしまい、お開きになるというそこで英雄王が口を開いた。

 

「雑種である貴様らに命令がある」

 

敵陣営に対して不遜の態度を崩さず、英雄王は命令する。

 

命令という言葉が癪に触るものの、英雄達は話を聞く。

 

「一時休戦としよう」

 

そして驚愕する。

 

あの英雄王が戦争を止める、と言ったのだ。

 

「おい、金ピカ!お前らしくも無い。どういう風の吹き回しだ?」

 

「このままでは聖杯戦争を続行できんのでな。我が潰せれば良いがちょこまかと逃げ回りおる。ここは癪だが雑種達の力を借りようと思ってな」

 

命令であり、上からの態度なのだが、それでも話を聞くものは驚愕した。

 

あの英雄王が雑種と見下すものに力を貸せと言ったのだ。

 

「ふぅむ、それはいいが標的は誰だ?そこまで不興を買う相手とは気になるぞ」

 

「というか、アーチャー!聖杯戦争が続行出来ないとはどういうことだ!!」

 

「貴様らは気づかんのか。あの、穢れを。あれはこの聖杯戦争を根本から覆すものだぞ」

 

 

 

「穢れ?何を指しているの?」

 

「ホムンクルスごときが話に入ってくるでない」

 

ただ、疑問を口にしただけであろうが、英雄王は癪に触ったようだ。

 

「それで誰なのだ?穢れ穢れというが名が分からんぞ」

 

「我が穢れの名を覚えているはずが無かろう」

 

さすが英雄王と納得したが、それ故に結局なぞのままだ。

 

「時臣なんだ……ああ、そういえば伝わるか。雑種は相も変わらず察し悪く回りくどいな」

 

お前が言うなとそう思い、アーチャーのマスターに感謝の念を送った。

 

「キャスターのマスターを名乗った男だ」

 

さらりと言葉を出したがそれは2つの感情を産んだ。

 

困惑と納得だ。

 

納得はライダーとセイバー。

 

困惑はウェイバーとアイリスフィールの2人だ。

 

「色々言ったが金ピカ!結局お前が気に入らんだけの話では無いか!」

 

「確かに嫌な感じはしますが、そこまででは無いでしょう。あんなもの実に魔術師らしい反応と言えるでしょう」

 

納得した上でライダーは隠した。

 

英雄王の物言いは確かに分かるところがある。

しかし、それならば自身の目で確認しなければならない。

それまでは強く敵対を取るわけにはいかない。

アサシンも隠れていたのだ。

この場所に目や耳が隠れている可能性はあるのだから。

 

セイバーは直感から嫌なものを感じ取った。

しかし、同時に小物であるという感覚とどこかの花の魔術師のような胡散臭さを感じ取った。

確かに相対するなら面倒な相手になる事だろう。

それと同時にそう大袈裟にする事も無い。

そう考えての一言だった。

 

「阿呆ばかりであったか……良い、我は帰る」

 

英雄王はそれだけ、残すと霊体化して去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、坊主。ワシらも帰るとするかぁ!」

 

自身のマスターを担ぎ上げ、チャリオッツに乗り、去っていく。

 

 

 

「……セイバーはどう思う?」

 

「穢れ……ですか。嫌な感じはします。しかし、あれ程の英雄がここまで言うほども無い、というのが正直な所です」

 

「そうよね。それに護りや索敵には優れているでしょうけど……魔術師とはいえ普通の人間なんだから」

 

「夜分遅くに申し訳ない」

 

2人で話をしていたが、そこに3人目の声がかかる。

 

セイバーは見えない剣を構え、声の方を見る。

 

「貴様はっ…!」

 

「宣戦布告に参ったぞ、セイバー」

 

2本の槍を持ったランサーの姿がそこにあった。

 

 





うわーん、バイトやだよー

次回もよろしくお願いします。


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決闘

あと感動の(Zero)終了まで7話……

感慨深いものですね……

あ、この話入れたら8話でしたね。


「我が決闘を受けて頂き、誠に感謝申し上げます」

 

セイバーの前には槍を構えたランサーがいた。

 

昨日の宣戦布告から場所を移し、最初に出会った港に来ていた。

 

「ここから俺とお前の戦いは始まった。ついに決着をつけよう、セイバー!」

 

 

 

 

 

 

昨日の話。

 

「宣戦布告だと!?」

 

「ああ、誰の邪魔も無く、貴様と雌雄を決したいのだ。そしてその首級を我が主へと捧げるのだ」

 

「ひとついいかしら?」

 

ここで話に交ざるアイリスフィール。

 

「誰の邪魔も無くと言ったけど他のサーヴァントが入る可能性は十分にある。その場合は共闘してもらえるかしら?」

 

「無論その場合は共闘しよう。ゲッシュを誓ってもいい」

 

ゲッシュという単語を聞き、アイリスフィールはランサーの出典を予想する。

ゲッシュのワードはケルト神話に多く出典している。

そして赤と黄色の槍。

 

「このフィオナ騎士団が一番槍、ディルムッド・オディナの名にかけて!!」

 

「はい?」

 

予想していたところにイキナリの正解発表。

それに思わず、アイリスフィールは呆けてしまった。

 

「もうこの名を隠す必要は無いのでな。セイバー、俺と最初にあったあの場所で会おう。では、さらばだ!」

 

 

回想終了

 

 

 

そしてそんな事があって、港に来ていた。

 

ディルムッドはセイバーの剣を見る。

 

剣と言ったがセイバーの武器は宝具により、姿が見えない。

 

「剣を見せてはくれないか……」

 

「………」

 

「隠さずともいい、セイバー。既にその名は知り得ている」

 

「っ!?」

 

「我がマスター、そして同盟者による推理だ。だが、納得もあったぞ。その誇りの剣、騎士の王。セイバー、お前の名は……」

 

「そこまでだランサー…いや、ディルムッド」

 

セイバーの真名を言おうとするディルムッドを止める。

 

チラリとアイリスフィールを見る。

 

そして剣の宝具を解いていく。

 

「改めて名乗ろう、ディルムッド。我が名はアルトリア・ペンドラゴン。円卓の騎士を纏める騎士王、アーサー王だ!」

 

 

「すまない、そしてありがとう。アルトリア・ペンドラゴン。騎士道の剣に誉れあれ!俺はお前に出会えて良かった!!マスターっ!!!」

 

「ふむ、良いだろう。私、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト及び、アイリスフィール・アインツベルンが見届け人となろう!……それで良いな、アインツベルン?」

 

コンテナの影からランサーのマスターであるケイネスが現れた。

 

そしてアインツベルンを見やり、声をかける。

 

「ランサーのマスター!何故ここに!?」

 

「何故?だと。我が使い魔が全ての力を使い戦うのだ。私が出てこなければ誰が出る!……私を襲うのは無意味だ。私の同盟者はキャスター陣営だ。それが今私の状態も分かるだろう」

 

「キャスター…!!」

 

 

「そして私はここでセイバーを倒すことに全霊を尽くさせて貰おう!第一の令呪を持って命ずる!全身全霊を持ってセイバーを倒せ!第二の令呪を持って命ずる!私、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに勝利を捧げよ!!」

 

「そんなあやふやな!」

 

「できるな、ランサー」

 

「我が槍、そして………剣にかけて!!!」

 

ランサーは2本の槍を宙に投げる。

 

そして手を前に出す。

 

そこには赤と黄色の剣が握られた。

 

槍は地面に刺さる。

 

 

「剣ですって…!?」

 

「これが私の本気だ。私はかの同盟者により、我が伝説である、剣を手に入れた。二槍二剣の絶技見せてやろう!!」

 

 

「セイバー……」

 

「ご安心を……アイリスフィール。貴女に勝利を」

 

 

 

「フィオナ騎士団が一番槍、ディルムッド・オディナ。推して参る!!」

 

「ブリテン王、アルトリア・ペンドラゴンが承った。いざ……尋常に…」

 

 

 

 

「「勝負!!!」」

 

 

 

 

 

 

 




剣ディル来ません…


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軍勢

遅くなっちったテヘペロペロ



冬木大橋。

 

Fateの世界ではよく戦いの場に選択される。

それでいて、橋が破壊されるどころか傷もつかないことから最強建造物としても名が高い。

 

だからなのか。

 

ここが戦いの場所に選ばれたのは。

 

 

「呼び出しに応じて感謝する!征服王イスカンダルとそのマスターよ!」

 

フードをはずし、白髪を見せながら間桐雁夜は叫んだ。

 

「余らの前に正々堂々と戦をしかけ、そして立ち塞がった。ならば、余はそれを正面から征服するのみだ!」

 

戦車(チャリオッツ)に乗り込み、間桐雁夜を威圧させる。

 

例え、使い魔(サーヴァント)だとしても、コピーと言ってもそれは王の覇気。

普通なら後ずさり、逃げ出してしまうだろう。

 

しかし、間桐雁夜には勝算があった。

 

 

千を超える軍勢を持つとしても。

 

神話の騎獣が相手でも。

 

かの征服王だとしても。

 

 

彼にはバーサーカーがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うだうだ言っても仕方ない。さっそく始めようではないか。のう?バーサーカーのマスターよ」

 

間桐雁夜の横には黒い霧を纏った鎧姿のサーヴァントがいた。

 

この戦争でバーサーカーの姿はまだ、見ていない。

 

しかし、アレがバーサーカーではなくなんだというのだ。

 

今静かに待っているのはマスターの技量であろう。

 

そこにある力の強さはあの騎士王を名乗るサーヴァントに匹敵するやも知れぬ程だ。

 

「その前に一つ確認がある!」

 

「なんだ!!」

 

「こちらはお前達の全てと戦い勝利を納めたいと考えていてな。是非ともライダーの最強宝具、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)を発動してほしい!」

 

「何言ってんだ!?あいつ!!」

 

まさか、最初から切り札を切るように言ってくるとは。

これは流石に征服王も予想外であった。

 

「ほう、吐かすではないか…」

 

征服王に王の軍勢は使う予定は無かった。

 

敵は単騎。

 

その宝具は未知数だが、バーサーカーというクラス状、頭を使う様な能力は発動しないはず。

 

しかし、それでも!

 

かの征服目標は全力を望んだ。

 

全力の征服を突破すると!

 

これで宝具を使わなければ征服王の名折れ。

 

 

 

「ならば、余もそれに答えねばなっ!見よ!これが我が最強宝具王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)なり!!!」

 

ライダーを中心として固有結界が形成される。

 

その心象は砂地の平野。

 

かのイスカンダルとその配下が駆け抜けた大地。

その全員の心象であるからこその景色。

魔術師でなくとも人の思いはこれほどの力を出すのだ。

 

 

「感謝する!征服王!!こちらも全力で答えさせて貰おう!!!バーサーカー、宝具幸福の護りを発動せよ!」

 

「イエス、マイマスター」

 

「!?」

 

マスターは確かにバーサーカーと呼んだ。

 

そしてそのサーヴァントは確かに返事をした。

 

しかし、返事をした?

理性を無くし、叫ぶことしかできないはずのバーサーカーが言葉を発した。

 

それに驚く間もなく更なる驚きを見せてくる。

 

 

幸福の護り。

そう呼ばれた宝具は()を形成する。

 

平野に現れた白塗りの西洋城。

城を取り囲むように湖も形成される。

それはまるで平野におけるオアシスのようだ。

 

 

「これで軍勢を迎える城が出来た。後は城を守る兵だ」

 

 

「宝具裏切りの円卓騎士(トゥレチェリ・ラウンド)

 

そして二つ目の宝具。

 

城の周り、城壁に騎士が召喚される。

 

それは征服王の軍勢と同じく皆、サーヴァントである。

 

少し違うのは数と質だ。

 

騎士は多くて50名。

軍勢にははるか劣る。

 

しかし、軍勢の中には勇士おれど、全ての兵が名のある英雄が多い訳では無い。

 

その騎士達は全てに名が後世に残され、そして一人一人に物語があると言える。

 

それはかの騎士に付き従った騎士達。

かの騎士王ではなく、彼がいたから円卓の騎士に所属したものたち。

 

かの騎士が円卓の騎士を辞めるならば我らも辞めよう。

我々は貴方に憧れ、貴方の為になるために騎士王に準じたのだから。

 

 

彼らは最高の騎士と謳われた湖の騎士ランスロットに憧れたものたち。

 

バーサーカーのような狂気を持ってるものには呼ばれない。

セイバーのような騎士道精神を持ち、一体一を好むものには呼ばれない。

 

本来そのような宝具なのだ。

 

同盟者である魔術師が起こした奇跡。

 

そしてようやく呼ばれた彼らはかの騎士への恩義、憧れのために剣を振るう。

1人の騎士として。

 

 

「さて、征服王。これが俺と俺の最強のバーサーカーの宝具だ。……征服できるものならしてみろ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅむ、此度の遠征もなかなかだのぅ」

 

目前に見える城と光り輝く騎士たちを見て、ライダーは口を開く。

 

「なかなかどうして、征服しがいのある戦か……まさか我らが大地に割り込んで来るとはのぅ」

 

よしっ!といったように征服王は眼前の城を見やる。

 

 

「いざ、蹂躙……いや、征服せよ!!!かの城を超え、はるか万里の彼方まで!!!」

 

開戦の火蓋は切って落とされた。

 

「「「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

 

 

 





幸福の護りのいい感じの読み方募集してまーす!


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狂気

遅くなりました。

今日中に全部投稿してやろうか!


「これが貴様の狙いか…」

 

場所は穂群原学園。

ダーニックが教師を務める学校。

 

そこに英雄王とキャスターのマスターとサーヴァントをどちらも担うダーニックが睨み合っていた。

 

「さて、なんのことやら。英雄王殿はきっと勘違いをしているのです。私は貴方の思うような悪党では…」

 

「ほざけ、穢れめ。自身の同盟相手を各個サーヴァントに当て、援軍を呼ばせぬつもりだろう。我の対策をして、この場所で戦うつもりだろう。この学舎全域に貴様の魔力が漂っておるわ」

 

「それでもこの場所に来てくださった理由は?」

 

「この場所ごと、貴様を無に帰してやろう」

 

「という事はあれをお出しになられるのですかな?」

 

「本来であれば、星の侵略者を我が宝物の最高にして最強の剣で斬り殺すが……貴様は信じられん。まるで我にエアを使わせようとしている。しかし、星の侵略者を殺す宝具など、我の宝物庫にはゴロゴロしておるわ!」

 

開戦の合図など無い。

 

槍が飛来する。

 

戦う前に作ってきた盾が簡単に破壊される。

盾のお陰で出来た一瞬の時間で避ける。

 

「本来は有り得んが……魔術師の真似事をしてやろう」

 

「それは予想外っ!」

 

黄金の波紋から魔術の杖や魔術の触媒が出てくる。

光線や炎、風となりダーニックを襲う。

 

 

 

ダーニックは膝をつき、身体はボロボロだ。

 

慢心は王の特権だが、星の裁定者としての彼なら慢心など無い。

害虫の駆除。

その仕事を一心にやり遂げる。

 

エアを使わず、この男を殺す。

 

それだけを……

 

 

 

………?

 

「なぜ我はエアを使わずに…?あのゴミが何かを誘って……なぜ?我ならその思惑さえも破壊してやれるというのに………」

 

「最初から乖離剣を抜かれていれば勝ち目はございませんでした。これにて王手とさせていただきます」

 

ダーニックはスクリと立ち上がる。

 

左手には魔導書を開いて持ち、右手にはユグトミレニア長の証ともいえる杖を持つ。

 

そしてその顔は………分からなかった。

 

先程までそこに存在していた顔。

 

しかし、今は真っ黒に塗りつぶされているかのようなそんな顔をしている。

 

顔に穴でも空いて、それはどこまでも黒く、まるで吸い込まれそうな顔。

 

顔が何も無い……無貌。

 

 

そこに異界の神を見た。

 

 

「…っ!?貴様ァ!!!」

 

ギルガメッシュは宝物庫からエアを取り出そうとする。

 

 

「……っ!……?」

 

しかし、それは予想外の場所から出、予想外の事態となった。

 

 

右手を出してエアを持とうとした。

 

だが、エアはギルガメッシュの背から出現し、そのまま身体を貫いた。

 

ギルガメッシュは何が起きたのか分からず、自身の腹から出ているエアの刀身を眺めている。

 

 

「こちらも誓いましょう。私、ユグドミレニア初代、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアは遠坂時臣並びに遠坂葵、遠坂凛、間桐桜を対象とした殺害、障害の意図、並びに行為を禁足とする。そしてその条件残りの令呪全てを持って、アーチャーに自害を命じること。誓いは果たされました」

 

先程まで手に持っていた杖を腰にしまい、ある1枚の紙を持っていた。

 

それはセルフギアススクロール。

 

魔術師の世界において、決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、最も容赦のない呪術契約。

 

自らの魔術刻印の機能を用いて術者本人に掛けられる強制の呪いは、如何なる手段を用いても解除不可能である。

たとえ命を差し出したとしても、次代に継承された魔術刻印がある限り、死後の魂すらも束縛される。

 

この証文を用いての交渉は魔術師にとって最大限の譲歩を意味し、魔術師の間では滅多に見ることのできない代物である。

 

それを用いてダーニックは時臣と契約した。

 

折角戦いに巻き込まれるからと遠ざけられたというのに、最中に襲撃され、幽閉されていた。

 

魔術の根源に至れないなら勝つ意味は無い。

 

令呪を持っての自害など、英雄王に効きはしない。

 

契約しなければ最愛の妻と子ども達は死に絶える。

 

ここまでの条件が揃えば、遠坂時臣も懐柔されても仕様のない話だが……

 

それをやられたギルガメッシュは溜まったものでは無いだろう。

 

 

「時臣ィッーーー!!!」

 

エアが抜かれる。

 

腹に穴が空き、だくだくと血が流れ落ちる。

 

しかし、それに対して傷の手当をしようとしない。

 

「令呪かぁ……このような(まじな)い如きがぁっ!!」

 

2画程度ならここまで苦しみは無かったろう。

 

しかし、今回使用された令呪は10画生半可なものでは無い。

 

さすがの英雄王も運が悪かった。

 

令呪10画という膨大な封印術式。

 

命じられる寸前に起きた精神的ショック。

理性は保ったが、油断を巻き起こした。

 

そしてそれを気づかせない為の妨害の魔術。

 

この学校はダーニックの魔術工房と同等。

 

そしてその妨害は全てギルガメッシュへと繋がっている。

 

この場所以外からの策略に気づかせない為のものだ。

 

 

そしてダーニックは自害と言ったが詳しくは違う。

ギアススクロールに書いてあるのは『ギルガメッシュは乖離剣エアを持って自害せよ。そしてその傷に対して治療はせず、乖離剣エアを宝物庫にしまえ』だ。

 

事細かに命じてはあるが些か長い。

令呪10画もなければ絶対に無理だったであろう。

 

 

このままギルガメッシュが座に帰るのも時間の問題だろう。

 

せめて、ダーニックを消そうと見ると隣の空間から何か巨大な人形の化け物が召喚されていた。

 

皮膚は垂れ、濁った小さな目がある皺だらけの頭部、手が長く鉤爪を持った真っ黒な見た目をしていた。

 

「あとは貴方が死ぬまで攻撃し続けるだけです。空鬼達よ、敵は目前だ」

 

化け物はギルガメッシュに襲いかかる。

 

真っ直ぐ向かっていくものもおれば、空間を飛び越え、襲いかかるものもいる。

 

その度に魔力を使い、宝物を使い、倒す。

 

しかし、化け物が倒されればその分新たな化け物を召喚している。

 

単独行動のスキルがあるといえど、ダーニックを殺すために宝物を使い、自害とはいえエアを使い、身体を貫かれ、また化け物を殺すために宝庫を使う。

 

魔力の消費は激しい。

 

 

 

終わりに時間はかからなかった。

 

 

 

 

空鬼は駆逐された。

 

ダーニックの魔力も尽きかけ。

 

しかし、前半温存していたダーニックに軍杯が上がった。

 

「この……我がぁ…!名は覚えたぞ……必ず我が殺す……ダーニッ…クっ!!………」

 

 

光の塵へと返り、座へと戻って行った。

 

 

 

「……はぁ!死ぬかと思った!!」

 

 

地面に倒れ込み、安心させる。

 

 

「臓硯さんに頼んで家にあった令呪いっぱい使ったし、タイミングズレたら危なかったし、最初の時点で賭けだったし………一般人には辛いなー、もう」

 

人避けをしており、他に誰もいないと分かっているからこそのこの言葉だ。

 

今まで作り上げたイメージを全て壊す物言いに合わせ、足をバタバタさせている。

 

「後は聖杯を片付けるだけかぁ。汚染の除去とかいう針を縫うような作業をしなくていいのは楽だなぁ」

 

昨日にキャスターから話しかけられるような感触があり、対話を試みると聖杯の汚染を除去せずとも聖杯ごと本に入れれば封印できるとのこと。

 

そして願いのリソースは残っているので本を除去すればダーニックの願いは完遂する。

 

そう思い、喜んでいた。

 

 

 

 

「流石にそれは世界が許さないさ」

 

 

声が聞こえる。

 

「誰だ!?」

 

立ち上がり、声の主を見る。

 

「今更繕っても意味無いよ」

 

そこには少年がいた。

 

学校というこの場所には合うその姿。

 

少し服装は古いがそこは気にするポイントではない。

 

 

酷く無機質なのだ。

 

表情を言っているのではない。

 

存在が、だ。

 

 

気配からサーヴァントだというのは理解できる。

 

 

しかし、それにしても無機質だ。

 

まるで人では無いような…

 

いや、人では無いのだろう。

 

 

何らかの概念が、英霊となったのだろう。

 

 

 

「一応自己紹介だね。僕は抑止力のキャスター。この聖杯戦争を元の歴史に戻しに来たよ」

 

 

 





できる気がしねぇ


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異変

お待たせしました。

ちなみに待たせた文、連投を予定しております。

5分後にさらに1話投稿されているので暇な方は見てください。


やはり、抑止力が働いたか。

 

 

そこに驚きは無い。

 

 

 

気になる箇所は……

 

 

 

「貴方は抑止力のキャスターと名乗りましたね?」

 

「そうだね。君の予測通りだ。君みたいなイレギュラーには抑止力が2人も派遣されたよ」

 

やはりか。

 

しかし、それでも2騎か。

 

「聖杯も異様な事になっているから本来は絶対に呼ばれない存在が呼ばれたよ」

 

「………お手やわらかに」

 

「それは聞けないね」

 

 

ダーニックは本を構える。

 

抑止力のキャスターはニッコリと笑顔を浮かべたままだ。

 

無言のまま、魔術の攻防が始まった。

 

 

「できれば他の抑止力にもご登場頂きたいのですが…」

 

「彼女らは別件でね。他のところに行ってもらってるんだ」

 

「では、クラスだけでも」

 

 

 

「シールダー」

 

「っ!?シールダー!?」

 

なぜ、盾のサーヴァントが召喚される?

止めるというなら分かるがなぜ、守るサーヴァントが!?

 

「色々と考えているとこ悪いけど、こっちも急がなくちゃね」

 

「それはこちらも、同じですっ!!」

 

高火力の魔法が抑止力のキャスターに着弾する。

 

「貴方に聞いても埒が明かない。他のサーヴァントに聞くことにしま…っ!!」

 

 

煙が晴れ、そこには無傷のキャスター。

 

「いや、贄だよ」

 

 

「まさかっ…!!」

 

「足りてないだろう?くべられるサーヴァントが」

 

 

「くっ!……それでは!多くの人が!!」

 

「そういう運命……Fate(フェイト)だっ!!!」

 

 

踵を返してこの場から離脱使用とする。

 

しかし、目の前が不審に爆発する。

 

「君も気づいているだろう?僕の役目は君の足止めさ!そして君は逃げられない……そういうシナリオさ」

 

杖を仕舞い、もう一つの本を取り出す。

 

 

「残念だが、そのシナリオにはならないだろう」

 

「なぜ?」

 

「シナリオを決めるのはお前じゃない。GMであるこのダーニック・プレストーン・ユグドミレニアだ!」

 

「君は盤上の支配者にでもなったつもりかい?」

 

「イレギュラーが来る事も想定済み。決してバッドエンドには至らない!!」

 

「カッコイイね!!まるで英雄みたいだ。全く反吐が出る。外宇宙の侵略者が!世界はお前らの遊技場じゃない!」

 

 

魔術が交差する。

 

校庭が抉れる。

 

 

防御の魔術が施されていたはずの校舎も破壊されていく。

 

 

 

「空鬼!!」

 

「奇跡は消えろ!!」

 

空間が割かれた近くで爆発が起こる。

 

晴れると裂け目は消えている。

 

 

「デイビー!!!」

 

何かがこちらに飛んでくる。

 

肌に着弾と共に爆発し、肌を焼く。

 

魔力による自己回復が遅い。

 

 

まるで神秘を殺しているかのような。

 

 

 

 

かの抑止力のキャスターは概念のサーヴァント。

 

その概念はなんだ?

 

神秘を破壊する抑止力。

 

予想として、星の開拓者のスキルはあるだろう。

 

 

そうでなければ爆発という近代的な力は無い。

 

 

「頑張ってるね。君は僕と戦いながら答えを探している。でもね、当てても意味無いんだよ。既にこの聖杯戦争の終結が近い。終末へのカウンドダウンはもうすぐさ!!!」

 

 

「っ!!?………まさか、お前は……」

 

 

「当てちゃった?君は助けるよりも逃げる方がいいかもね。でも、君も焼かれるのさ。人類が作り出した最大の火を持って!!!」

 

「お前は……()の概念…なのか!?」

 

「だぁいせいかァい!!!」

 

悪魔のような正解発表。

 

そして見覚えのある建物から泥が吹き出している。

 

「君は違和感を感じなかったかな?無機質な感触を!!僕の本体は一つの爆弾なのさ!それを破壊されたらサーヴァントの肉体も消滅する、諸刃の剣だ!」

 

幾らダメージを与えても意味が無かったのはこれが理由だった。

 

「さて、最後に問題だよ。僕の本体はどこにあるでしょう?」

 

「そんなの……答える必要無いだろう」

 

「そうだね……僕の本体はあの泥の元にある。そしてぇ!!」

 

大げさに手を広げる。

 

「くべられたサーヴァントは5騎!準備は整いました!!」

 

ダーニックは走り出した。

 

キャスターを止めるために。

 

「全ては終末を迎える」

 

やめろ。

 

ダメだ。

 

「生き残ったマスターも、聖杯の無事も、冬木の都市も」

 

止めてくれ。

 

「外宇宙の侵略者も!」

 

それではダメだ。

 

それではっ…

 

「それでは皆様方ご唱和ください!!」

 

それでは俺はっ…

 

「宝具『終末世界(ニュークリア・ワールドエンド)』」

 

 

死ねないっ……

 

 




そういえば今日の夜中(投稿時には昨日)にFateやるじゃないですか。

Fate/STやるっていいましたが、この後どうしようかと思いまして。

誰ルートが皆さん見たいですか?

ちな、友人に聞いたところ「ハーレムでいんじゃね」と「誰ともくっつかないバッツみたいに」と「触手ちゃんルート」との意見を得ました。

軸を聞いたのでシロウと誰にするかと聞いたのにこれとはおかしな人たちですね(友人にお前もその一味やでって言われました)



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最初の決着

更に5分後投稿されまーす。


時間は少し戻る。

 

 

「勝ったぞ、坊主」

 

 

平野に現れた幸福の城。

 

 

最高の騎士と征服の王。

 

勝者はイスカンダルだった。

 

王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)裏切りの円卓騎士(トゥレチェリ・ラウンド)

雌雄を決したこの戦いはほぼ互角。

 

一人一人に物語が書かれた最高の騎士の軍団が強いのか、数万の軍勢が強いのか、それを審議することはできない。

此度はそれが互角だった。

 

そうなれば、後は大将同士の対決。

 

王と騎士。

 

今回は宝具(エモノ)の差、主人の差が勝負の鍵だった。

 

最高の騎士の最高の剣、無毀なる湖光(アロンダイト)

 

狂化が解かれたからといってそれを使えば虫がいないとはいえ、マスターを死に至らしめるものだった。

 

落伍者。

 

間桐雁夜に押された烙印はその実力に正確に押されたもの。

 

セイバーで召喚されれば……

マスターが良ければ……

 

ifは幾らでも出てくる。

 

しかし、勝負は時の運。

 

これにてライダーVSバーサーカーはライダーの勝利と相成った。

 

 

 

「なぜ、トドメをささない…?」

 

胸を大きく切られたランスロットはイスカンダルに問いかける。

 

「なに、既に勝負はついた。これ以上の戦いは無用だからの。……のう、お主、」

 

「?」

 

「次召喚された時は余の配下になれ!」

 

「まだいうか!このおバカさま!!」

 

堂々と言い放ったイスカンダルに対し、マスターであるウェイバー・ベルベットは彼にダメージの無い、ツッコミをいれる。

 

それに対して、ランスロットはポカンと口を開けている。

 

「本気……ですか?」

 

「本気だとも。余はお主の宣戦布告に対して正面からぶつかり、正々堂々と征服を果たした。ならば、それに従うのが礼儀であろう」

 

「……フッ。私の忠義はマスターである間桐雁夜。そして騎士王であるアーサー王にある。配下に下ることはできない」

 

「ぬっ」

 

「………しかし、負けたのもまた事実。約束しよう。次会う時………1度だけ。征服王、貴方の命令に従おう」

 

「1度か……まあいいわい!その言葉履き違えるでないぞ!」

 

「ああ、騎士王と我が剣にかけて」

 

 

 

 

 

「ああ、こっちは負けたよ。そっちは………そうか負けたか…おい!ライダーのマスター!」

 

サーヴァント達の会話の中に間桐雁夜は声をかけた。

 

「セイバーとランサーの方も決着がついた」

 

「セイバーとランサー!?こっちもいきなり戦ってたのにそっちも!?どうなってんだ!!」

 

「分からずに戦ってたのか……まあ、こっちもついていけてないが………」

 

「で、どっちが勝ったのだ?」

 

混乱するウェイバーに代わり、イスカンダルが聞く。

 

「勝者は……」

 

 

 

 

 

 



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勝負の決着

これで終わり。

お話は終わりじゃないよ。




「衛宮切嗣……なかなか良い、決闘であったといっておこう。予想はしていたがこれ程とはな……」

 

「……これで満足か……」

 

「満足…か、少なくとも満足では無いな。剣を授け、令呪を使い、万全を期し、戦いに挑み、これ以外勝利の炎を燃やす可燃物はひとつも無いほどに尽くした上の結果がこれではな」

 

 

 

 

2人のマスターの前には2人の騎士がいた。

 

片方は右腕を切り飛ばされ、息も絶え絶えとなり、立っている騎士。

 

もう1人は腹部を切り裂かれ、霊基が消滅しかかっている騎士。

 

勝者はセイバーであった。

 

 

「ふむ、電話だ。もしもし…間桐のか。ほう、そちらもか。ああ、こちらもだ。残念だが、まだ話したいことがあるのでな。切らせてもらうよ」

 

電話を切り、ランサーに近づく。

 

「はぁ、はぁ、マス…ター……」

 

「なんたる失態だ。騎士道精神が笑わせる。私に勝利を捧げるのでは無かったのか。全く、使い魔程度が大口を叩いたものだな」

 

「その言い草はなんですか!!ランサーは命を賭して!!」

 

「使い魔風情は黙っていろ!!」

 

ケイネスの物言いにセイバーは口を挟むが、ケイネスに怒鳴られる。

 

「衛宮切嗣。マスターならサーヴァントの手綱ぐらい握っておけ。勝利したのだ。ここにいる意味もあるまい。さっさとどこかへ行ってしまえばいいのだ」

 

「セイバー、行くぞ」

 

「マスター!!」

 

「セイバー、いいのだ。私に勝利したのだ。勝利の凱旋をするがいい」

 

「ランサー……」

 

話すのも辛そうなランサーを1度見、目を伏せ、セイバー達は車に乗り、移動した。

 

この場に残されたのはランサーとそのマスター、ケイネスのみとなった。

 

「全く五月蝿い小娘だったな。その騎士道精神と強さは認めてやるがそれだけに足らないものが多すぎる」

 

「マスター……申し訳ございません。貴方に、勝利…を捧げることができず……申し、訳」

 

「ふんっ。全くだ。次はしかと私に勝利を捧げよ」

 

「……?…次……とは?」

 

「此度の聖杯は穢れている。ならば、勝利などそれこそ泥にまみれた勝利となるだろう。かのマスターも言っていた。聖杯を解体し、作り直すと。私では時間が足りないやもしれん。それでも私は勝利を得る。それが私が私自身に誓ったことだ」

 

「……」

 

「その時こそ、私に勝利を渡せ!ランサー」

 

「……!!………良い…のですか?」

 

「他に誰がいるというのだ。私にも落ち度はある。貴様をセイバーとして呼べなかったのだ。それも原因の一端にあるだろう。ランサー、私に誓え。今度こそ私に勝利を捧げると!」

 

「フィオナ…騎士団!!一番槍……ディルムッド・オディナが誓います!!今度こそ……聖杯を……栄光を………………勝利を!!」

 

 

絶命寸前のサーヴァントは誓いを叫ぶ。

 

忠義に対する信頼を与えられた、願いの叶えられた幸福なサーヴァントは叫んだ。

 

「我は満ち足り」

 

それがランサーの最後だった。

 

「何が満ち足りか。まだ、私に勝利を渡して無いだろうが。使い魔風情には相応しくは無かったか。次召喚した際は海魔のゲソ焼きでも食わせてやるか」

 

 

「残念ながら次はない」

 

 

背後から声がする。

 

先程も言ったようにこの場にはランサーとケイネスしかいなかった。

 

声がする瞬間までは。

 

「命まではとらない。取らないといけないらしいのだが、私は殺したくないのでな。貴様達の関係は美しく思うぞ」

 

防御を貫通して、ダメージを与える。

 

本当に殺す気が無いのか分からないその一撃は危うく、ケイネスの命を刈り取りかけた。

 

「防御が貼ってあると言うから強気でいったのですが、これほど脆いとは……何か条件があるのでしょうか。しかし、これでマーキングは成功しました。さて、死にますか」

 

大盾をもった男は自身に刃を突き立てる。

 

まるで自分の役目はそれだと言わんばかりに。

 

まるで神に肉を捧げるが如く。

 

 

 

 

かくして、物語は繋がった。

 

 

アサシン、百貌のハサン。

 

アーチャー、英雄王ギルガメッシュ。

 

バーサーカー、湖の騎士ランスロット。

 

ランサー、フィオナ騎士団一番槍ディルムッド。

 

そしてシールダー。

 

その者は抑止の使者だ。

 

しかし、かの者は生きていない。

 

抑止力のキャスターにより召喚され、抑止力を与えられただけの普通のサーヴァントだ。

 

サーヴァントと戦う力など一切持たない。

 

状況に必要な力を必要以上に作り出した人間の叡智を権能にもつ抑止力のキャスターが作り出したといっても過言ではないサーヴァントだ。

 

故に普通の聖杯戦争でも。

 

異常な場合でも召喚されることなどまず無い。

 

抑止力の働く案件であり、抑止力のキャスターがおり、生き残らせないといけない人がいるときのみに召喚される。

 

それはバーサーカーよりもタチが悪い。

 

バーサーカーという存在は英霊を無理矢理狂気に貶めているものだ。

それにより無茶な行動を起こせる。

 

令呪もいわば、狂気を失わず、無茶を起こすもの。

 

しかし、令呪は3画のみ。

 

それも強い意志があれば抗えるほどのものだ。

 

例えばかの英雄王に対しての凄まじい数の令呪なら従わせられることだろう。

 

その数が無限だったら?

 

 

考えるだけでもおぞましいだろう。

 

 

 

だからこそ、しょうがないと割り切ってサーヴァントはそれにしたがった。

 

どうしようもない。

 

唯一抗えたのは死ぬ可能性を作るだけに収めたこと。

 

シールダー()()()()()はその召喚から60分という短い時間で座へと帰った。

 

 

それを皮切りにして聖杯から泥が溢れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一応ここまでですが明日も更新予定なのでお楽しみにお待ちくださいませ。

時間なかったら上がらないんで期待せずにお待ちくださいませ。

さてと、他の作品書くか。
休んでいる間に恋愛要素含む二次創作に挑戦したし、それの予約投稿もっと……


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運命

爆発は冬木を火で包んだ。

 

泥さえも全て燃やし尽くすような火は不思議なことに冬木市の外に漏れ出ることはなかった。

 

火から守るように何かが存在していたのかもしれない。

 

生存者はほとんどいない。

 

 

奇跡的に守られたものが数名。

 

死にはしなかったものが数名だ。

 

 

終末世界(ニュークリア・ワールドエンド)

 

人類が進化せずに完成させた人類を抹殺する力。

 

不可能を不可能のまま完成させた、人類最強の火。

 

それが冬木市を覆った。

 

 

今回の抑止力は概念に近い。

 

その姿は子どもだったが、あくまでもそれは概念そのものは悪意に染められず、純粋なものだったからに過ぎない。

 

それを作り出したものが与えた悪意はその精神にしっかりと宿っていたことだろう。

 

 

彼は某国の爆弾だ。

 

 

作り出されたものの、使われず、今の今まで眠らされていたもの。

 

あの戦争で数発はその力を発動し、戦争を終わらせた。

 

 

しかし、彼は眠らされていた。

 

 

起こす必要が無い。

 

終わったのだから、眠っていろ、と。

 

 

 

念の為という必要になるかも分からないまま、解体もされず、その火は燻ったままにされていた。

 

 

それに目をつけたのが世界の抑止力だ。

 

眠りをさまし、範囲は狭いが世界に爪をたてる。

 

役目を果たし、同胞の元へと向かう。

 

 

世界と概念は手を組んだ。

 

 

 

 

この様な強行に出たのにも訳があった。

 

発見が遅れたこと。

 

運命は動き出してしまったこと。

 

 

 

 

 

そしてなにより……

 

この時代にかの外宇宙の力を使う者を止められる守護者はいなかった。

 

 

 

 

 

外宇宙の力に世界は気づけない。

 

しかし、バグには気づける。

 

 

何もしていないのにいきなり、事象のみが起こったらさすがに気づく。

 

この戦争は世界を左右する重要な戦争なのだ。

 

気づけないはずもない。

 

外宇宙の存在そのものではない、それが糸口だ。

 

 

幸い、かの外宇宙の使者は魂を根付き、人として暮らしている。

 

ならば、人を殺す為に作られ、生命も文明も大地をもやき尽くす火なら倒すことが出来るだろう。

 

これで倒せねば侵略を受けていると知っていながら新たな英雄が生まれ、使者を倒すまで世界は傍観に徹する他なかった。

 

人類を滅ぼす、火を目の前で食らった使者は死んだ。

 

世界から消えたのだ。

 

魂すらも燃えて散った。

 

 

 

世界は向こう100年関われないだろう。

 

無茶な召喚、掟破り。

 

世界にもルールはある。

 

次の戦争には今回の事のような事はできないだろう。

 

 

 

今回の戦争により、運命は捻れた。

 

それにより本来起こりうる運命とは少々違った事象が起きてしまった。

 

些細な問題だが、蝶の羽ばたきのように何か変わるやもしれない。

 

しかし、それに対して修正は計れない。

 

今回の抑止のツケともいうやもしれない。

 

 

 

しかし、本当に些細な問題だ。

 

外宇宙の侵略から見事世界を守れたのだから…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なーんて、世界は考えているかもしれないよ?』

 

 

 

 

 



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希う

Fate/ZERO編終了になります。

次回からstaynight編スタートになります。

後書きにも読者へのアイデアの募集あるのでできればお読みください。


『なーんて、世界は考えているかもしれないよ?』

 

 

真っ白な空間で絶世の美女はそういった。

 

常人を遥かに凌駕したその美貌は一種の精神ショックを起こすほどだ。

 

しかし、この場にそれを起こす者はいない。

 

 

『世界がもしも考える力を持っていたらの話だけどね。淡々と機械のように行ったのかも知れないしね』

 

あっけからんと言ってみせる()()は無邪気に邪悪な笑顔を見せる。

 

『残念ながら失敗してるんだけどね!』

 

腹を抱えてそれは笑う。

 

『あの程度の火で魂が燃えるもんか。燃やし尽くしたいならクー子ぐらいの火が欲しいよね。それにあの力は私が渡したものだよ。世界が知らなかったからといってあれは悪手だったよ。身体を焼く間に魂を掬い上げる暇があるんだから!』

 

それは指をこちらに向ける。

 

『だからこそ君は生き残った訳だ!…………いや、死に損なったところかな?』

 

 

「ああ、絶望的だな」

 

俺は口を開く。

 

久しぶりに会い、全てを思い出した俺は嫌々返事する。

 

 

『そんな君に質問だ!まぁた死ねなかった感想は!?』

 

「もう、飽きた」

 

 

 

 

 

『君は面白い。君がいたお陰で私の実験場で人間達は素晴らしい活劇を見せてくれた。その褒美に君に目をかけたと言うのに…………飽きたなんてっ!!』

 

まるで本当に悲しんでいるかのような演技をする。

性格を知っていなければ、中身を知っていなければ騙されてしまうほど完璧な悲しい方だ。

 

人類にはこれ以上の演技はできないだろう。

 

 

『君は本当に面白いね。精神がぶっ壊れ、狂人と呼ぶに相応しいのにそこまで冷静なんだから。常人と変わらず行動ができる。それは一種の才能だよ』

 

「だからこそ、壊れたら捨てられる筈の存在で遊び続けているんだろう?自分が飽きるまで……」

 

『そうだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

『でも、今回は本当に褒美だったんだよ』

 

半分嘘で半分正解。

 

わざとそれは人類に分かる程度の演技をする。

 

それを見た人間を嘲笑うかのように。

 

『1度世界に定着させて、私は君に関わらなかった。死ぬその時までね。視聴に徹したというのに』

 

「魔導書は?」

 

『あれは私の気配を感じて、召喚された存在だ。君に似た英霊ならシュヘラザードが召喚されるはずだよ。死にたくないからこれからも死んでいたいなんて非生産的な思考するのはあれくらいなものさ』

 

「死んだ存在を何度も使うのも生産的と呼べるのか?」

 

『エコだからいいのさ!人間も好きだろう?本質的には無駄へと繋がっているのにエコだからとものを使う。そして自身の利益……健康とか?の為にエコを簡単に切り捨てる。全くなんて馬鹿で愛らしいのだろう』

 

「本当に人間が好きだな」

 

『そうさ!私は人間が好きだ!愛してる!!男も女も子どもも老人も常人も狂人も!私はそんな人間の煌めく瞬間や選択の瞬間が好きだ!…………そんな君に選択肢を与えよう』

 

 

俺の前にゲームでの選択肢が4つ現れる。

 

『1、死ぬ。折角休暇を与えたのに30年くらいで死んじゃったからね。もう私は関わらない。君に永遠の死を与えよう』

 

『2、また、遊び道具になる。無限の研磨の作業に入るんだ。今度は黒幕として人間に敵対してみない?給料はキチンと出すさ』

 

『3、輪廻を巡らせる。新たな人生を見つけるんだ。君という存在は消える。新たな君は前世なんか知らずに暮らすんだ』

 

『4、あの世界に戻る。もう、抑止力に邪魔されることも無いだろう。サービスで魔導書も預かってあげる。休暇を続ければいい。君が次に死んだら2に行ってもらうけどね』

 

「4」

 

 

『へぇ』

 

『一応理由聞いていいかい。私としては1か3だと思っていたからね』

「まだ終わってないからな。永遠の死は魅力的だが、やり残した事を残して死ぬのは我慢ならない。なんであれ、完遂しなければいけない」

 

『難儀な性格だよね。期限を過ぎようとも終わらせなければ次に進めない。本当に困った人間だ』

 

「邪魔が無いのだろう。なら思いっきりやらせてもらう。それともまた、記憶を無くすのか?」

 

『いや、選択肢に無いからね。ダーニックを演じ(ロール)してきなよ。魔導書はどうする?』

 

「持っていくさ。俺の力だからな。できればAFも持っていきたいがな」

 

『いいよ。持ってた君の原作知識というやつも持って行っていいし』

 

「ただの未来視に変な設定をつけるとはな」

 

『だって今流行ってるでしょ。異世界転生!その世界の知識を持って転生とか!大丈夫!面白かったよ!!』

 

「だろうな」

 

 

 

 

 

『じゃあ、行ってらっしゃい。兵衛くん』

 

 

「その名もあと数百年は聞かなくなるのだろうな」

 

『一世紀以上、休暇するつもりだね。まあ、いいさ』

 

「今度はそうそうに死なないようにするさ。既に人生設計は済んでいる」

 

『君が休暇を楽しめるのを楽しみにしているよ』

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼は数百年合わないって言わなかったな……』

 

『まさか、私の力を与えた存在や侵略を未来視で見たかな?』

 

『未来視は回収したし、ただのバグが生まれたけど……』

 

『まあ、彼は存在するだけで人生(シナリオ)を面白くするから時が来るまで見守ってよ』

 

『読者の君たちもそう思うだろう?』

 

『私の様な存在でなければリアルタイムで文章に起こして、別世界に伝えるなんて所業出来ないのだからね』

 

『私は仕事があるから文章に起こすのは別のものにやらせてるのを知っているかい?』

 

 

『君たちには関係ないか』

 

『君たちが興味あるのはあくまでも兵衛…いや、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアがどのような亀裂を生むかだ』

 

『楽しみにしてなよ』

 

『碌でもないことになるのは間違いないから』

 

『ひとつネタバレをするなら』

 

『彼はどのシナリオでも彼の願い通りになったことはない』

 

『全く救われないね』

 

 

『一応、締めをしておくね』

 

 

 

『これにてZEROは終わり、1が始まる』

 

『1は本来の1ではない』

 

『バグにより、主人公の男の子に訪れる平行世界のどれでも無い奇妙な道に巻き込まれる』

 

『これの結末は神のみぞ知る……いや、』

 

 

 

『神にも想像できない結末になるだろう!』

 

 

『それが名作か駄作かも分からない』

 

 

 

 

『お楽しみに』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この話投稿後活動報告にサーヴァント募集のページを設けます。

staynightで使うかも知れませんし、その後の嘘予告にある通り、あちらで使うかもしれないものです。

詳しくは活動報告をご確認ください。


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Fate/Call of Cthulhu
戦争


ようやくやりたいのが始まります。

長かったなぁー
なんどZapされたことか……

これからもよろしくお願いします!





「ダーニック・プレストーンの殺害…ねえ」

 

サングラスをかけたワイルドな男は冬木市のカフェで呟いた。

 

彼の名は獅子劫界離。

 

獅子劫一族の7代目後継者にしてフリーランスの魔術師。

 

 

彼は時計塔の依頼により、島国である日本の冬木市へと赴いていた。

 

彼への依頼はダーニック・プレストーンの殺害ともう1つ、合計2つの依頼を受けた。

 

 

 

 

そもそもの始まりはダーニック・プレストーンの魔術教会からの離反であった。

 

占いにより、プレストーン家は落ちぶれる運命にあるとの噂が広まった。

謀略か真実かはさておき、覆すためかダーニックは第三次聖杯戦争に参加した。

 

だが、早々に敗退。

 

後ろ盾であった筈のドイツ軍を殺し尽くし、逃げ出していた。

 

第四次聖杯戦争にてまたもや参加した。

 

しかし、第四次聖杯戦争は実質失敗で終わった。

 

優勝者はいない。

 

 

冬木市を襲った謎の爆発。

 

核反応があり、またもや軍事利用をしたのかと噂されていた。

しかし、ダーニック・プレストーンが消息不明となり、他の陣営では起こしえないことが分かり、謎の事件として処理されている。

 

爆発から生き残ったマスターもいた。

 

 

セイバー陣営、衛宮切嗣。

アインツベルンの代理として参加していたがアインツベルンの令嬢は爆発にて命を落としたという。

その後は冬木市にて隠居生活を送ったとされる。

 

ランサー陣営、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

アーチボルト家の後継者であり、時計塔でも一級の講師として名高い男だ。

しかし、生きていると呼ぶにはその状態は良いものとは言えない。

爆発の影響と戦争による傷により植物人間状態となっている。

いかなる魔術を持ってしても目覚めさせる事は出来ていない。

婚約者であるソラウ・ナザァレ・ソフィアリは爆発により命を落とした。

起きない方が本人には良いことかもしれない。

 

アサシン陣営、言峰綺礼。

アーチャー陣営に協力関係にあった聖堂教会の神父だ。

アサシン陣営の早々の敗退により、生き残った運の良いマスターだ。

今も冬木市にて神父として活動をしている。

今回の件については時計塔の仲間と呼べる存在だろう。

 

ライダー陣営、ウェイバー・ベルベット。

ケイネスの元で学びを受けていた学生。

論文の否定により、栄光を求め、戦争に参加した。

現在はロード・エルメロイⅡ世と名乗り、時計塔にて現代魔術を教えている。

ケイネスが目覚めるまで、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテが成人になるまでの急造品ではあるが。

今回の戦争に参加を呼びかけている1人であるとされている。

 

バーサーカー陣営、間桐雁夜。

魔術の妖怪と呼ばれる間桐臓硯の子息。

間桐臓硯は爆発により、研究成果を守るためか自身の命と引き換えに家を守り切り、死亡した。

妖怪の名を引き継ぎ、今も間桐家の当主として活動している。

第四次聖杯戦争にてユグドミレニアに組みしたとの情報がある為に敵性であると仮定されている。

 

 

 

 

聖杯戦争にしては生き残った者は多い。

しかし、失ったものが多く、そして優勝者がいないことが第四次聖杯戦争が失敗と呼ばれる所以である。

 

 

戦争中に爆発により、戦争の集結、聖杯の消失、大災害が一度に起こった。

 

聖杯の消失や魔術の落伍者が継いだ間桐家、当主のいない遠坂家、聖杯の消失により意味の無くなったアインツベルン家。

これにより、聖杯戦争は起こりえないとされていた。

 

 

 

 

そんな時に消息不明、死んだとされていたダーニック・プレストーンの登場だ。

 

ダーニック・プレストーンは名をダーニック・プレストーン・ユグドミレニアと正式に発表。

魔術協会への正式な離反を布告した。

 

 

そして手元に優勝者のいない聖杯を所持していると宣言した。

 

それも小聖杯、大聖杯のどちらも所持していると。

 

 

 

ダーニックの考えは新たな魔術組織の樹立。

既に幾つかの家がユグドミレニアに組みしている。

 

そんな中で願いを叶えるべく、第五次聖杯戦争を宣言した。

 

これでユグドミレニアが優勝すれば地位が盤石なものとなってしまう。

 

それはいけない。

 

魔術組織の権力者はダーニックを止めるべく、一流の魔術師を派遣している。

 

 

 

 

獅子劫界離はその内の1人だ。

 

先の戦争である第四次聖杯戦争を知っているロード・エルメロイⅡ世にも話が来ているのはそのためだろう。

 

 

 

「さて、どうするかね…」

 

 

獅子劫は懐を見る。

 

そこには触媒として与えられた円卓の騎士の触媒だ。

日本という異国の地だが、ここは日本。

変に現地より歴史に深く、擬人化、女体化をする神をも恐れぬ国家だ。

 

十全とはいえずともその力を見せてくれるだろう。

 

「前報酬は貰っちまったから戦うが……嫌な予感がするぜ……」

 

 

その天性の直感は間違っていない。

 

 

 

これは普通の聖杯戦争では無い。

 

マスターの数もサーヴァントの数も違う。

 

7騎対7騎ですら生ぬるい戦争が幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「素に銀と鉄」

 

 

 

 

 

「礎に石と契約の大公」

 

 

 

 

 

「手向ける色は黒」

 

 

 

 

 

「降り立つ風には壁を」

「四方の門は閉じ」

「王冠より出で」

「王国に至る三叉路は循環せよ」

 

「満たせ、満たせ、満たせ、満たせ、満たせ」

 

 

「繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」

 

 

「告げる」

「汝の身は我が下に我が命運は汝の剣に」

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

「誓いを此処に」

「我は常世総ての善と成る者」

「我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

 

 

 

「「「「「「「召喚の招きに応じ参上した」」」」」」」

 

「我ら黒のサーヴァント」

 

「我らが運命は」

 

「ユグドミレニアと共にあり」

 

「我らの剣は」

 

「あなた方の剣である」

 

「あなた方へ問おう」

 

「貴方が私たちのマスターか?」

 

 

 

 

 

 

……Now Loading……

 

 

 

 

Fate/stay night

 

 

……Error……

 

 

 

……Reload……

 

 

 

 

Fate/Apocrypha

 

 

……Error……

 

 

……Reload……

 

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fate/Call of Cthulhu

 

 

……暫定決定……

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

……Now Loading……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……Complete

 

 





ぶっちゃけ決まらなかった。メタぃー

でも厨二病でせるよかいいと思う。
日本語版も出ることだし。

鯖の招待は少しづつ出していきます。
ひとつヒントは活動報告にてサーヴァント募集をしたんですが、そこにある候補の中に案として出される前から参戦決定してた鯖が合ったのは笑いましたね。

出たら面白そうだなーって考えたのでしょうが、作者も考えてますのでやっぱ、作者は読者に似るんですなー…あれ?逆か?……まあ、そんな事はどうでもいいんです。
そんなキャスター予想は置いといて、次回が楽しみでしょうね。

明日の適当な時間に予約投稿してあるので暇な時間にでも拝見下さいませ。
これからも転肉よろしくお願いします。
(略が転肉はヤバいなーって思う。友人に言われた時に、困惑するよ、これ)


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強要

ちょっと改変しました。
せっかくFGOでグレイが追加されたのでそっちに合わせたいと思います。




ウェイバー・ベルベットもといロード・エルメロイII世はため息をついた。

 

また胃痛が酷くなるな、と彼はストレスの原因である手紙を見る。

 

 

【第五次聖杯戦争への参加要請】

 

 

彼は前回の第四次聖杯戦争にライダー陣営として参加した。

 

参加者が失うものが多かった失敗の聖杯戦争。

彼はその中でも勝利ではなくとも勝ちに近いものを手に入れ、帰還したマスターだ。

 

当初の願いは叶えられ、時計塔で地位を得て、かの英雄と絆を育んだ。

 

彼のあの戦争での体験は貴重な財産となったことだろう。

 

 

そんな戦争から10年ほど、経った今新たな戦争への参加への要求が来ている。

 

自身はかけがえのない体験をしたが、自分の体験はかなり例外だ。

 

本来の聖杯戦争は自身の師のように主人と下僕という、そんな絆なんぞ生まれる筈もない関係が正しい。

 

 

もしも、戦争が起きても絶対に参加する気は無かった。

しかし、時計塔は私に出ろというのか……

 

 

「はぁ………」

 

今日何度目か分からないため息をついた。

 

 

扉がノックされる。

 

「先生、時計塔から手紙です」

 

扉が開き、入ってきたのは自身の学生の一人、グレイだった。

 

彼女の見た目はある騎士によく似ている。

実際のところ……いや、そんな事今はどうでもいい。

 

「ああ、今読んでいるところだ」

 

「いえ、こちらの手紙です」

 

ふと、目をやると彼女の手にも手紙がある。

時計塔の封がされている。

 

中身は第五次聖杯戦争への招待状。

 

先ほどと同じ内容の手紙だ……?

 

 

参加()()()

 

こちらの手紙にはあくまでも前回参加した私の知恵を借りたいという有無がある。

つまり、断る事も可能だ。

 

しかし、新しく読んでいた招待状は既に私に対して参加を強要するものだった。

 

 

 

「グレートビックベン☆ロンドンスター先生ーー!!」

 

 

「……その名前は止めろと言っているだろうが……あと、ノックをしろ」

 

思考していた私を邪魔するかのように扉が開かれる。

 

そこにいたのは私に対してよく分からないあだ名をつける生徒。

 

だった。

 

その後ろからは開いた扉をノックして入る、スヴィン・グラシュエートもいた。

 

「先生、お手紙です」

 

「手紙だと?」

 

フラットとスヴィンの手には手紙があった。

 

というか何故2人に手紙を渡した?

 

 

「グレイ!フラット!スヴィン!お前らに手紙を渡したのはどんな風貌だった!」

 

「長い髪に整った顔をしていました」

 

「グレイたんの特徴に加えて白い布地に金の装飾がされている服を着ていました。あと塩臭い」

 

「かなりの魔術師に見えました。あと足腰は悪そうに見えませんでしたが豪奢な杖を持ってました」

 

三者三様。

 

しかし、その姿はある人物の特徴と合致する。

 

「この手紙絶対領域マジシャン先生の部屋に行ったら開けるように言われてたんですよ」

 

そう言ってフラットは封を切る。

 

「待て!開けるな!!」

 

そんな言葉をかけるが最早間に合わない。

 

 

ひとつの手紙が封を切られると他の手紙も共鳴するかのように封が切られる。

 

手紙からは光が漏れ出す。

 

 

まさか時計塔に侵入し、先に参加候補を潰しに来たか。

 

そう考え身構えるが何も衝撃などは襲い掛かかって来ない。

 

 

光が収まると、手紙は焼けなくなっていた。

 

「なんだったんだ……今のは?」

 

「わぁー!カッコイイな!これ」

 

魔術や呪いなどを確認しているとフラットが声を上げる。

 

フラットは自身の右手の甲を見ている。

 

そこには円形のまるで太陽のようなそんな紋章だった。

 

「俺もかよ!」

 

スヴィンの左手に月を模した痣のような跡がある。

 

「拙はなんともありません」

 

グレイには刺青のようなマークは見当たらない。

しかし、その身にある魔力は人のものでは無い。

まるでかの騎士王のような……

 

そして自身の右手を確認する。

 

そこには10年前に存在していた、よく見なれたものがあった。

 

 

令呪。

 

聖杯戦争の参加の証であり、サーヴァントを従える命令権。

 

あの招待状にある通りなら自身はライダー陣営としての参加なのだろう。

 

サーヴァントを召喚するというなら最高の触媒がある事にはある。

前回と同じく大英霊を呼び出せばいい。

 

しかし、主催者はそれを許さないらしい。

 

 

私のパスは目の前にいるグレイ。

その身体に繋いであるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒の陣営

セイバー???

マスター???

アーチャー???

マスター???

ランサー???

マスター???

ライダー???

マスター???

キャスター???

マスター???

アサシン???

マスター???

バーサーカー???

マスター???

 

赤の陣営

セイバー???

マスター???

アーチャー???

マスター???

ランサー???

マスター???

ライダー???

マスター???

キャスター???

マスター???

 

!new!アサシン【グレイ】

!new!マスター【ロード・エルメロイII世】

 

バーサーカー???

マスター???

 

未召喚マスター

獅子劫界離

フラット・エルカルドス

スヴィン・グラシュエート

 



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集まる参加者

ロード・エルメロイII世であるウェイバーは自身の腕にある令呪を見て何度目か分からない溜息をついた。

 

 

その腕には7画の令呪があった。

 

 

手紙を開くと令呪が刻まれる一悶着があったが、2人から令呪を譲渡させた。

 

2人は一応反発したが、ウェイバーの言った「私と殺し合いたいのか」という質問に対して黙ってしまった。

 

そして令呪を1画消費して2画の令呪を渡してもらった。

 

聖杯戦争は場合によっては人間性を大いに成長させる。

 

しかし、それには犠牲にするものも多い。

 

 

 

後は自身が開催場所である冬木に向かい、参戦を拒否するまでだ。

有無を言わさず令呪を渡され、拒否できる可能性は塵一つも無いが、それでもwhydunit。

何故こんなことを起こしたのか、理由を問いたださなければ……

依頼を解決しているだけだが、いつの間にか探偵の様な考えに陥ったものだな。

 

 

空港につくとwelcome road in Japanと書かれたプラカードを上げたフラットとスヴィンがいた。

 

「日本へいらっしゃませーグレートビックベン☆ロンドンスター先生ーー!!」

 

「グレイたん、長旅で疲れただろう。荷物を持つよ」

 

「なぜ貴様らがいる!?ロンドンで待っていろと……いや、そもそもどうやって来た?今ユグドミレニアの離反によって日本は現在仮的に鎖国状態となっているのに」

 

「手紙をくれた方にあの後あって連れてきて貰いましたー」

 

「なんでも令呪を失ったら敗者でもあるから、中立の場所で保護してもらうといいって言われて」

 

「それで敵にのこのこと着いてきたのか!?」

 

「安心してください。私がいる限り、絶対に安全な場所へとお連れします」

 

いつの間にか後ろに立っていた青年。

いや、霊体化していて姿を表した方が正しい言い方か。

 

彼は英霊だ。

 

 

「私の名前は天草四郎時貞。此度の聖杯大戦でルーラーを努めさせて頂いています」

 

異常な戦争。

 

聖杯戦争ですらない大戦。

 

考えただけでも胃を痛めるウェイバーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダーニックおじさん」

 

「ただいま。どうかな?英霊は召喚出来たかな?」

 

「完璧だよ。最強のサーヴァントを呼び出せた。クラスはだけどね」

 

()ちゃんは?参加するって?」

 

「ああ、あいつも参加するよ。なんでも好きな相手が参加することになったらしいから守りたいんだと」

 

「いやぁ、青春だね。()()くんはそういう相手はいないの?」

 

「僕は相手が多いけど、僕自身特別な人はいないな。まあ、ゆっくり学園生活を謳歌するさ。それよりダーニックおじさんこそどうなのさ」

 

「私は昔婚約者がいてね。………もう顔も思い出せないけどね」

 

「ふーん。あんまり興味は無いや」

 

「聞いてきたのは君だろう。それで他のマスターは揃っているかな?」

 

「ダーニックおじさん待ちだよ」

 

「それはすまないね。ロンドンは距離があるから使う魔力が多くて…」

 

 

 

 

 

ある一室へと入る。

 

中にはひとつの円卓があり、7脚の椅子のうち、5人が座っていた。

 

1人は銀髪に眼鏡のスタイルの良い女性。

 

1人は赤髪にオールバックの青年。

 

1人は白髪に褐色の肌の青年。

 

1人は紫色の髪をした女性。

 

1人はフードを深く被り、黒く濁った目を覗かせている。

 

 

そして慎二くんが椅子に座る。

 

最後の空席にダーニックが座り宣言した。

 

「お待たせ、みんな。それでは軍議を始めようか」

 

戦争の始まりを。

 

 



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