人理を修復した魔術師が異世界からくるそうですよ? (sloth.)
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第一話 新イベントスタート(?)

初めて書きます。
至らないところがあればコメント(>人<;)オネガイ




私は、藤丸立香。人理を修復したマスターだ。

ある日、私の部屋に一枚の手紙のようなものが()()()()()。内容は

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの〝箱庭〟に来られたし』だ。

 

 

「先輩!ここにいましたか。エラーが発生しました」

 

途端、私とマシュ、金髪の少年、気の強そうなツインテールの少女とどこか大人しそうなボブカットの少女と三毛猫が落ちていた。

 

 

「マシュ、令呪で援護するから落ちる前に全員を助けて!」

 

 

「了解しました。マスター!《誉れ高き雪花の壁!》」

 

全員怪我ひとつないようだ。とりあえず周りを警戒する。

 

少年と少女達は言いたいことを言っていた。

 

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

と、ツインテールの少女が言う。続いて、金髪の少年が口を開く。

 

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場で即ゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

次にボブカットの少女が

 

 

「…………大丈夫?」

 

 

『じ、じぬがぼおぼた………!』

 

と、三毛猫のことを心配していた。

 

 

「……いえ。石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

 

「俺は問題ない」

 

 

「そう。身勝手ね。それとそこの鎧の方、ありがとう。と、言っておくわ」

 

 

「此処……どこだろう?」

 

「さぁな。まぁ世界の果てっぽいのが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?……まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。ーーー私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。次に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとうよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶暴で快楽主義者と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

「で、そこのあなた達は?」

 

「私はマシュ・キリエライトです。こちらの美少女のサーヴァントです。手紙とは何でしょうか?」

 

「どうも、マスターやらせてもらってる藤丸立香です。私の方に手紙が来てたからマシュを巻き込んじゃったかも。ごめんね。マシュ」

 

「大丈夫です。先輩。私はマスターについて行きます。」///

 

(うわぁ……なんだか一癖も二癖もありそうな問題児ばかりみたいですねぇ……)

 

 鋭く観察している。本人は鋭く観察してると思っている。

 

十六夜はいい加減話を進めようと進言した。

 

「とりあえず、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

(全くです)

 

 耀の言葉に便乗してこっそりツッコミを入れる青髪ウサ耳の少女。

 

「そんじゃ、そこでコソコソ隠れてるやつに聞こうぜ?」

 

「あら、貴方も気づいてたの?」

 

 ギクッ

 

「当然。かくれんぼは大の得意だぜ?」

 

「…風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「マシュ、警戒して」

 

ビクッビクッ!

 

 理不尽な招集(立香:新イベントか……!)を受けた十六夜・飛鳥・耀の三人は、殺気の籠った冷ややかな視線を隠れている青髪ウサ耳の少女に向ける。

 

 美しさと可愛さが合わさったような少女。赤いミニスカートと、黒いガーターソックスで美しい脚を扇情的に見せ、黒のベストのような服で、谷間を魅せるエロいボディ。

 そんなエロボデーを持つ少女は怯えながら、彼女たちの前に現れた。

 

「や、やだなあ御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んでしまいますよ?

 ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵で御座います。

 そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいで御座いますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「御断りします」

 

「もしかして、サーヴァントですか?」

 

「あっは、取り付くシマもないですね。そして、私は人の従者にはなりません!」

 

と、どこからか取り出したハリセンで私にツッコミを入れる。

 

私は普通に話しているのに(´;ω;`)

恐らく、この特異点の原住民(?)だろう。

 

それにしてもここはいつのどこだろう。

 

 




どうでしたか?
こんな駄文ですいません。
立香ちゃんが強化されまくってますがそれはご勘弁。


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第二話 レイシフトではありません

サブタイトルとか浮かばないんで面白そうなのあったらコメントください。


彼女が思考に耽っていると。

 

「えい」

 

「フギャッ」

 

 耀さんが黒ウサギの背に忍びよりその可愛らしい耳を引っ張っていた。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にも程があります!」

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

 そう言って、今度は十六夜くんが右から掴んで引っ張る。

 

「………じゃあ私も」

 

「ちょ、ちょっと待―――!」

 

 今度は飛鳥が左から。左右に力一杯引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。

 

  「言いますから!説明しますからハイ、ストップ!!」

 

 黒ウサギはこの世界のルールなどを説明し始めた。

 

 

 〝ギフトゲーム〟。それは特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた〝恩恵〟を用いて競い合うためのゲーム。

 〝箱庭〟の世界とは、強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク(あまり重要ではないが)生活出来るために造られた舞台ステージ。

 そしてこの〝箱庭〟で生活するにあたっては、数多とある〝コミュニティ〟に属さなければならない。

 〝ギフトゲーム〟の勝者は、ゲームの〝主催者ホスト〟が提示した賞品を手に入れることが出来る単純シンプルな構造というものだった。

 その〝主催者〟は様々で、暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもあるらしい。

前者は、自由参加が多いが〝主催者〟が修羅神仏なだけあって凶悪且つ難解なものが多く、命の危険もあるが、その分、見返りは大きく〝主催者〟次第だが、新たな〝恩恵ギフト〟を手にすることも出来るという仕様。

 後者は、参加のためにチップを用意する必要があり、参加者が敗退すればそれらは全て〝主催者〟のコミュニティに寄贈される仕組みシステムがあるそうだ。

 

 チップは様々で、金品・土地・利権・名誉・人間………そしてギフトを賭け合うことも可能。但し、ギフトを賭けた戦いに負ければ自身の才能も失ってしまう。 ゲームの始め方は、コミュニティ同士のゲームを除けば、其々の期日内に登録すれば可。商店街でも商品が小規模のゲームを開催しているらしい。

 この〝箱庭〟の世界でも強盗や窃盗は禁止、金品による物々交換も存在する。ギフトを用いた犯罪などはNG。そんな不逞な輩は悉く処罰される。

 だが、〝ギフトゲーム〟の本質は真逆で、一方の勝者だけが全てを手にする仕組みシステム。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能。

 但し、〝主催者〟は全て自己責任でゲームを開催しており、奪われたくなければゲームに参加しなければいいだけのことと言うわけだ。

 

「さて。皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界に於ける全ての質問に答える義務が御座います。

 が、それら全てを語るには少々御時間が掛かるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。

 ここから先は我らのコミュニティで御話させて頂きたいのですが………宜しいです?」

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ。」

 

 静聴していた十六夜くんが威圧的な声を上げて立つ。

 

「………どういった質問です?ルールですか?ゲームですか?」

 

「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問い質したところで何かが変わるわけじゃねえんだ。

 世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。

 俺が聞きたいのは………たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

 そう言って、十六夜くんは視線を黒ウサギから外し、飛鳥さん・耀さん・私の順に見回し、巨大な天幕によって覆われた都市に向ける。

 そして彼は何もかもを見下すような視線で一言、

 

「この世界は………面白いか?」

 

 それに黒ウサギは笑顔で答えたのだった。

 

「―――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者達だけが参加出来る神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証致します♪」

 

「すいません。私からも質問なのですが……。」

 

「どうしましたか?唯一の正常なお二方」

 

「もしかして、私達って召喚されたんですか?」

 

「Yes!どうしてそんなことを?」

 

「「え?」」

 

つまり、レイシフトしてここに来た訳ではなく、召喚された?

とりあえず、サーヴァント達とのパスは繋がっている。

 

(マシュ、試しにサーヴァントを召喚出来るか、ためしてみるね。ダ・ヴィンチちゃんに話も聞きたいです。)




今回も駄文ですいません。
至らないところがあればコメントお願いします!


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第三話 私は穏便に済ませようとしてたんだよ?

(先輩。通信繋がりません)

 

(え?本当に?でも、なんで皆とのパスが繋がってるの?)

 

と、2人で慌てていると、

 

「どうした?御二方」

 

「ごめん。ちょっと考え事してた。召喚された理由とか今の状況とかについて考えてた」

 

『来て、ダ・ヴィンチちゃん』

ダ・ヴィンチちゃんを召喚する。

あれ?召喚サークルも成立してないのになんで召喚できそうな感じなの?

 

「ふっふっふ。私が教えて差し上げよう」

ダ・ヴィンチちゃんの召喚に成功してしまった。

 

「先輩!?え、召喚出来たんですか!」

 

「まず、ここに召喚された原因は、君の部屋に降ってきた手紙のせいだ。そして、サーヴァントとのパスが繋がっているのは、人理を修復した者ということでこの世界では、強化されてるんだよ。つまり、君自身の魔力でパスが繋がっているんだ。ただ、魔力が大量になっても、あれだけのサーヴァントを同時にパス繋いでいるので大半使われている。同時に実体化出来るのは、3人が限界だよ。私も節約のために戻るね。バイバイ」

ダ・ヴィンチちゃんが霊体化する。

 

「な、な、な、何ですか今のはー!」

と、黒ウサギの叫びが森に響いた。

 

 

説明をして一段落ついた所で、一同は黒ウサギの案内のもと、箱庭に向かっていった。

 

「おい、お嬢様たち。俺はちょっくら世界の果てまで行ってくるから。止めてくれるなよ」

 

「ええ」

 

「わかった」

 

そう、十六夜が言い放った。

黒ウサギは上機嫌で前を歩いて気づいていない模様。私は、少しどうするか迷ったが、心配なので、十六夜くんの方について行った。

 

「十六夜くん。私も一緒に行きたい!」

十六夜くんは少し考え、

 

「いいぞ。だが、しっかり着いてこいよ」

 

「先輩。私も一緒に行きます」

そう言って十六夜はコミカルな音とは裏腹に地面を足で砕き、飛んで行った。

そう言うと、マシュが私をお姫様抱っこして、十六夜くんについて行く。

 

森を抜けた世界の果て近くの川の周辺にて、私とマシュと十六夜は立っていた。

 

「十六夜さん。本当に人間ですか!?英霊の私でもついて行くこともギリギリです!それが十六夜さんのギフトですか?」

 

「ヤハハハハ!いや、人間だぜ?まあ、厳密には違うがそれの一端てところだな」

 

「一端で英霊と同じスピードで走れるなんて、下手な英霊なら倒せるんじゃない?」

 

そんな雑談をしていると、

 

「見つけましたよぉ!」

 

 先程の青髪が、急に緋色の髪に変わった黒ウサギが、憤怒の形相と共に私達が通ってきた森から凄い勢いで飛んで来た。

 

「あれ?黒ウサギ髪色ちがくないか?」

 

「ふむ……蒼かったあの髪もとても似合っていたが、その朱色もとても君に似合っているよ、黒ウサギ」

 

「あ、ありがとうございます………じゃなくて!何処まで来てるんですか!」

 

「世界の果てまで来てるんですよっと。そういえば黒ウサギ、お前もなかなか速いな。なんだ?箱庭の住人はみんなそうなのか?」

 

「い、いえ!箱庭広しといえど黒ウサギに勝る脚力を持つ生物は中々いないのですよ!」

 

黒ウサギってすごい人なんだ!こんなに足が速いなんてやっぱりすごい。ランサーくらいの速さだったな。

 

「ま、まぁ、十六夜さんと立香さんが無事でよかったデス。水神のゲームに挑んでしまったかと思って肝を冷やしましたよ」

 

「水神?」

 

「ーーーああ、アレのことかな?」

 

『まだ……まだ試練は終わってないぞ、小僧共ォ!!』

 

 川の水面で横たわっていた、身の丈三十尺はある巨躯の大蛇が勢いよく飛び出してきた。それは彼女の言う水神だった。

 

「水神……!ってどうやったらこんなに怒らせられるんですかお二人とも!?」

 

「いや、ここに着いたら急に出て来て『試練』がどうとか言い出したから、俺を試せるかどうか試させてもらった……まぁ、結果は大したことなかったがな」

 

 『貴様ら……付け上がるな人間!我がこの程度で倒れるか!!』

 

 蛇神の甲高い咆哮とともに、巻き上がる風が、川の水を大量に吸い込むかのごとく、水柱を上げて立ち昇る。あの大量の水でできた荒れ狂う水流に巻き込まれたら最後、普通の人間ならば容易く千切れ飛んでいくだろう。

 

「十六夜さん!下がって下さい!」

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺らが売って、アイツが買った喧嘩だ。部外者引っ込んでろよ。」

 

 そう十六夜くんは傲慢に似た面持ちで宣言した。

 

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言えよ駄蛇。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者が決まって終わるんだ。」

 

(俺、ら?)

 

私はもっと穏便に事を構えるつもりだったんだけど…。

 

『フンーーーその戯言が貴様の最期だ!』

 

 蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。

 竜巻のごときその水柱は蛇神の背丈をも超えてなお高く舞い上がる。

 竜巻く水柱が三本。

 それぞれがまるで、化物が他を補食するかのように十六夜に襲いかかる。

 

「十六夜さん!」

 

 黒ウサギが叫ぶ。その時、黒ウサギと蛇神は十六夜が粉々になるのを幻視する。

 しかし

 

「はっ、しゃらくせぇ!」

 

 そう言い放って、十六夜くんは竜巻く激流の中、ただの腕の一振りで嵐をなぎ払った。

 

「嘘!?」

 

『馬鹿な!?』

 

「おお!」

 

 驚愕する二つの声と、感心するような声が一つ上がる。

 それは最早人智を超越した力だった。

 

『むっ』

 

「ま、中々だったぜオマエ」

 

 大地を砕くような爆音。地面を蹴って勢い良く胸元に飛び込んだ十六夜は、そのまま蛇神に蹴りを放った。

 それが当たれば、例えこの大蛇さえブッ飛ばされそうな威力のある蹴りだった。

 当たれば、のはなしだが。

 

「十六夜くん。この神は先の攻撃を防げば勝利を認めると言ったよね。それにこの神も既に戦意は無いらしいし、そろそろ終わりにしよう?」



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第四話 黒ウサギの秘密

マシュが、盾を構えると、十六夜くんは動きを止めたのだ。

 

「・・・・・そうだな。確かに、相手の提示した条件に則れないような奴は、三流だ」

十六夜くんは、そう言って、すこし残念そうに、臨戦態勢を解いた。

 

「助かりました、水神さん。あなたもそれでいいですよね?」

私は一応、水神さまに確認をとる。

 

『ああ・・・・そうだな。では、ゲームをクリアした貴様らに報酬をやろう』

そう言って、水神さまは十六夜くんに水樹の苗を渡した。

 

 

黒ウサギは、放心していた。

水神を圧倒する力を持った十六夜と、それを止めさせたマシュと立香。

そんなアホ面を晒していても美人に代わりないことを、己の顔で実現させている黒ウサギに、忍び寄る影が。

 

「おい、どうした?ボーッとしてると胸とか揉むぞ?」

 

「えっ、きゃあ!」

 

「ちょっと!十六夜くん!」

 

私は、十六夜くんの手を弾く。

それに気づいた黒ウサギは何処からともなく出したハリセンで頭を叩いていた。

 

「なっ、ばっ、このお馬鹿様!

二百年守ってきた黒ウサギの貞操にキズをつけるおつもりですか!?」

 

「二百年守った貞操?うわ、超傷つけたい。」

 

「このお馬鹿様ぁぁぁ!!」

 

黒ウサギは、ツッコミと同時にハリセンを振るった。

 

 

そんな黒ウサギとは対照的に、不機嫌そうになる十六夜くん。 

 

「な、なんですか十六夜さん?怖い顔をされていますが、何か気に障りましたか?」

 

「……別にィ。なんかお2人に良いところ持ってかれたとか思ってないぜ。まあ、そんな事は置いておいてだな。黒ウサギ。」

一転、十六夜くんの表情から軽薄なものが消え、ひどく真剣なものになる。

 

「オマエ、何か決定的な事をずっと隠しているよな?」

 

「……なんのことです?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、ゲームの事も」

 

「例えば、オマエのコミュニティのこととか、その現状とか」

 

彼女の言葉に黒ウサギは一瞬で青ざめる。

 

「な…何故、それを………」

 

「え?どういうこと?」

 

「まぁ俺はほぼ勘だが、黒ウサギのコミュニティは弱小チーム、もしくは故あって衰退している。だから俺達を呼んで、組織の強化を図ろうとした。………そう考えれば、黒ウサギがどこか必死になるのもさっきの喜びようも合点がいく」

 

「っつ!」

 

「そしてそれを隠してたってことはだ。俺達にはどのコミュニティに入るのかを自由に選ぶ権利があると判断できるんだが、その辺どうよ?」

 

「………」

 

「沈黙は是、だぜ。黒ウサギ?この状況で黙りこんでも状況は悪化するだけだ。俺達が他のコミュニティに入ってもいいのか?」

 

「や、だ、駄目です!いえ、待って下さい!」

 

「おう、待ってやるから、さっさと話せ」

 

その言葉を聞いて躊躇いがちにだが、黒ウサギは十六夜に決心した表情を向ける。

 

「………話せば、協力していただけますか?」

 

「ああ。面白ければな」

 

「…わかりました。この黒ウサギが精々オモシロオカシクコミュニティの惨状をお話ししましょう」

 

黒うさぎが話した内容は、このようなものだった。

 

 

・まず黒うさぎたちのコミュニティには、名乗るべき”名”と”旗印”が無い。

 

・”名”がないコミュニティはその他大勢、”ノーネーム”と呼ばれる。

 

・中核を成す仲間は一人も残っておらず、ゲームに参加できるだけのギフトを持つのは、一二二人中、黒うさぎとリーダーであるジン=ラッセルのみ。他は十歳以下の子供ばっかり。

 

・元々は、結構名の知れたコミュニティだったらしいが”魔王”と称される存在にギフトゲームを挑まれ、敗北し、全てを奪われたそうだ。

 

・”魔王”にギフトゲームを挑まれれば拒否するのは不可能らしい。

 

 

途中、魔王という単語に目を輝かせる十六夜くん。まるで新しい玩具をもらったようだ。

 

 

「と言うことでございますですよ…」

 

「ふーん………コミュニティは魔王により誇りもメンバーも何もかも奪われ衰退。しかも黒ウサギは仲間が戻ってくる場所を守りたいためにも、その"ノーネーム"という状態でのせいで仲間が集まらない。コミュニティでゲームができる存在は二人。その現状で復興させる……か。崖っぷちだな♪」

 

「ホントですねー♪」

 

「そこで俺達が呼ばれたってわけだ。俺達はコイツの仲間達を全員集めつつ、魔王様をぶっ飛ばそうすのが役目ってことだ。

シンプルで実にオモシロそうじゃねーか?」

 

十六夜はとても楽しそうに言い放った。それを聞いた黒ウサギは驚き声をあげて十六夜くんに聞き返した。

 

「い、十六夜さん!今、仲間を集めるのに協力してくれると言いましたか!?」

 

「ああ言ったぜ。それともなんだ、俺なんて別に要らねえってか?失礼な事言うと本気で余所行くぞ。」

 

「だ、ダメですダメです!十六夜さんは私たちに必要です!」

 

「おう、素直でよろしい。………ところでだが黒ウサギ。さっきまであんなバカみたいに喜んでいたが、それなら何で自分で倒しに来なかったんだ?お前の方がかなり強く見えるが。」

 

「ウキャーーって言ってたぞ、お前?」

 

そう十六夜が聞くと顔を赤くして反応してしまう黒ウサギ。

 

「わ、忘れてください!…そ、そうですね。それはウサギ達が"箱庭の貴族"と呼ばれる事に由来する、特権を持ってるからです。ウサギ達には"主催者権限"と同じく"審判権限《ジャッジマスター》"があり、ゲームの審判を勤める事ができるのです。」

えっへん!という音が黒ウサギから聞こえそうなほどに胸を張る彼女。

 

「………それでですね。ゲームの審判勤めた場合、主催者と参加者は絶対にギフトゲームのルールを破ることができなくなり……いえ、正しくは違反者がその場で敗北します。」

 

「ってことは、ウサギと共謀すればギフトゲームで無敗にできるのか?」

 

「違います。そこまでうまい話なんてありません。ルール違反=敗北なのです。ウサギの眼と耳は箱庭の中枢に繋がっており、違反者が出た瞬間、ウサギ達の意思無関係に敗北が決定してチップを取り立てることができるのです。それも無理に判定を揺るがすと……」

 

「揺るがすと?」

 

「盛大に爆死します。」

 

「まじか。爆死か。」

 

「それは…見たくないな…」

ウサミミ美少女の爆発死は、全うな人間ならトラウマものだろう。さらに、黒ウサギの説明により審判権限の代償による縛りが明かされていく。

 

・ギフトゲームの審判を務めた日より15日間はゲームに参加できない。

 

・主催者側から認可を取らねばゲームに参加できない。

 

・箱庭外にて行われるゲームに参加できない。

 

 

「・・・・・じゃあ、世界の果てを見に行こっか」

微妙な雰囲気が流れ、それを打ち消すかのように世界の果てに向かった。




今回ぐだ子ちゃん空気ですいません。


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第五話 箱庭の神秘

UA2000人超えました!
いつも読んでいただいて、ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!


私がマシュにお姫様抱っこで運ばれていると、黒ウサギが尋ねてきた。

 

「さらっと流してしまいましたが、お2人はコミュニティはどうなさるおつもりですか?」

うるうるした顔で、泣きそうになりながらこちらを見つめてくる黒ウサギ。

 

「私は縁もあるし、ここに入るつもりだけど一応他の英霊たちと相談させて?」

 

「え、英霊ですって!?」

またもや、黒ウサギの叫び声が森に響いた。

 

「なあ、黒ウサギ。英霊ってそんなにすごいのか?」

そんな十六夜くんに黒ウサギが説明する。

 

「英霊というのは簡単にいうと、古今東西、過去、未来、現在の英雄の霊のことです。そして、立香さんは、それと契約して、それを実体化させられる魔術師(マスター)なんです!しかも、複数契約をしているって、え?」

一応、最初に軽く説明したはずなのに、やはり、人理継続保障機関カルデアのものという説明だけではたりなかったようだ。一応、世界を救ったのに、知名度は低いままのらしい。

 

「へえ、そんなに強いヤツがいるのか」

十六夜くんがヤハハっと笑いながら言った。

 

「怖いこと言わないでよ!絶対に挑発しなでね!」

私は、十六夜くんと英霊のみんなに呼びかける。

 

「あ、とりあえずみんなからの承諾を得ました。改めて、よろしくお願いします!」

泣きそうな黒ウサギを慰めていると、トリトニスの大滝についた。

そこは息を吞むような絶景だった。

これまで見たどのような光景よりも、美しかった。

英霊のみんなは、どこからか取り出したカメラで記念撮影をしていた。

 

「はい、チーズ!」

 

「フハハハハ!これは(オレ)の宝物庫に入れておいてやろう!」

その写真は、ギルの王の財宝(ゲートオブバビロン)に納められた。

つまり、それほどの価値のある宝だということだ。

 

「あわわわわわ」

黒ウサギは、驚きのあまり、あわあわしてしまっている。(可愛い)

 

「デュフフ。巨乳のけもみみ少女、萌えですぞ~」

どこかで変態(黒髭)がそんなことをほざいていた。

 

「ヤハハ!おい、お姫様、こいつら全員英霊なのか?俺より強い奴らもいるじゃねえか!」

そんなことを言いながら、英霊を見ながら不敵に笑っていた。

(お姫様って私のこと?じゃあ騎士はマシュだ!)

 

「先輩!こんなに皆さんを同時に実体化させて大丈夫ですか?」

マシュが、私の元に駆け寄って支えてくれる。

 

「大丈夫だよ。みんなが私に気を使って大人しくしてくれてるおかげでね」

英霊を尊敬してやまない立香とマシュであった。

 

「ふっふっふ!それだけじゃないさ!」

と、言いながらダヴィンチちゃんが説明を始めた。

 

要するに、こういうことだ。

 

・この世界は神代か、それ以上の神秘だった。

 

・有名な英霊は、知名度補正で本来の英雄としての姿に近ずくが、真名がバレやすくなる。

 

・逆に、知名度の低い英霊は、補正による影響は少ないが、真名がバレにくくなる。

 

・神秘が高いので、英霊にかかる魔力も、全体的に少なくすむ。

 

「というわけで、今のここでは君は君自身の魔力だけで、英霊を3人分くらいは戦闘させられるよ!」

ダヴィンチちゃんは、そう分析していた。

 

「まじか!さすがダヴィンチちゃん!天才だ!」

 

「ふっふっふ!もっとほめたまえ!」

と、ダヴィンチちゃんは胸を張って自慢している。

 

 

所変わり、急ぎ帰って来た黒ウサギ達は箱庭内の噴水広場で合流していた。その場で黒ウサギがジン達に何か変わったことは無かったか聞いた時、それは説明された。

 

 

「な、なんであの短時間で"フォレスト・ガロ"のリーダー相手に喧嘩を売る状況になってるのですか!?

しかもゲームの日取りは明日!?しかも敵テリトリーの中で戦うなんて!一体どういうつもりですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。反省はしてます」」」

 

「黙らっしゃい!!」

 

三人の息を合わしたような返事に激怒する黒ウサギ。

それを見て何が面白いのか、ニヤニヤする十六夜。

 

「別に良いじゃないか。別に見境なく喧嘩売った訳じゃないんだし。」

 

「十六夜さんは面白そうだから良いかもしれませんけど

、この"契約書類"を読んでください!」

 

そこには、ゲームのチップと商品が書かれており、内容曰く。

 

・参加者《プレイヤー》が勝利した場合、主催者《ホスト》は参加者側が言及した全ての罪を認め、箱庭の法の下、罰を受ける。

 

・主催者が勝利した場合、参加者は罪を黙認する

 

と、書いてあった。

 

「確かに時間はかかりますけど、彼らの罪は必ず暴かれます。その…子供達はもう…」

そこまで黒ウサギが話すと、今まで話に参加していなかった私が代弁した。

 

「その子供達は既に殺された後。そこを責めれば必ず此方が勝てる・・か。でもね?ジン君」

そういって、私は、ジンを呼び掛けた。

 

「は、はい。何でしょう?」

 

「今回は此方にリスクが無かったから良かった物の、君達が最初に景品を相手に提示させて喧嘩を吹っ掛けたんだよね。

そんなことをしたら、不利な条件をつけられてたり、相手に好きに景品を決められたり、コミュニティのみんなに迷惑がかかるんだよ?」

 

「そ、それは…」

 

「り、立香さん!ジン坊っちゃんはまだ10を越えてそんなに経ってないのですからもっと優しく…」

 

「だけどね、黒ウサギ。このコミュニティのリーダーはジン君でしょ?なら、甘やかしてはいけないんじゃないかと思うけど」

 

「もし、これで相手が私たちを"黙らせるために全員殺す"という負けた時の条件を出してきたらどうするの?」

そう言い放つ。

 

「しかも、相手がルールを決められるという不利なこの状態でだ。確かに二人のお蔭で勝ち目があるとは言え、もしそのアドバンテージが無くなるようなゲームを出された場合、私達は君の軽はずみな決定で死ぬんだよ?」

そう言われてあったかもしれない可能性を考え、顔を青くし怯んでしまうジン君。

 

「ちょっとキツすぎたかもしれないけど、ちゃんと考えてから動いて?」

すると、後ろで英霊のみんなが

 

「お前が言うな」

と、この説教を笑っていた。

 

 

 



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第六話 サウザンドアイズ

コホンと咳払いをした黒ウサギは、全員に切り出した。

「そろそろ行きましょう。本来なら色々と歓迎する予定でいたのですが…今日はお流れになってしまいました…」

それを聞いて、全く悪びれもせずにいる十六夜くん。

 

「ありがとう。黒ウサギ。でも私は全然大丈夫だから、気にしないでいいよ」

私も先輩に同意ですと、マシュ。

 

「別に良いのよ立香さん。黒ウサギに無理をしてまで

歓迎されるとわかったら素直に喜べないわ。」

それを聞いた黒ウサギは頭を下げた。

 

「申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが……」

 

「もう気にしてないから良いわ。」

 

「私も気にしてないよ。黒ウサギ。」

飛鳥さんと、耀さんは黒ウサギにそう言って慰めた。

 

「ありがとうございます御二方様!」

それを聞いていたジンは、黒ウサギに今後の行動をどうするか提案を求めた。

 

 

「それじゃあ今日はどうするの?」

 

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。

ギフトゲームが明日あるので皆さんの鑑定をしに"サウザンドアイズ"に行こうかと」

それを聞いた私達四人は首を傾げる。

「どこだ、そこ?コミュニティなのか?」

 

 

「YES。サウザンドアイズは特殊な"瞳"をもつ者達の群体コミュニティ。箱庭東西南北・上層下層のすべてに精通する超巨大コミュニティです。

皆さんの力の正しい形を把握した方が、引き出す力の大小も変わってきますし。皆さんも自信の力の正体は気になるでしょう?」

そう言って黒ウサギはサウザンドアイズが在るであろう道に向けて歩き始めた。

四人は思うところもあるだろうが、特に反論する材料もなく、黒ウサギに付いていく。

桜が満開に咲いた時に似た花を咲かせる木が綺麗に植えられていた。

 

「先輩!満開の桜ですよ!お花見イベント以来ですね!」

 

「桜の木?でも今って真夏よね?」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ?気合の入った桜があってもおかしくないだろ。」

 

「……?今は秋だと思うけど?」

 

「え?私たちは・・・確かバレンタインイベントが終わって一か月くらいだから、ちょうど春くらいかな?」

 

「イベ・・?まあ、いいわ。どういうことなのかしら、黒ウサギ?」

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から呼ばれたのデスよ。

多分、時間軸以外にも歴史や文化や生態系など、色々違う所があると思いますよ?」

 

「パラレルワールドってやつか?」

 

「近いですが違いますね。正しくは立体交差平行世界論というものです。」

二日ほどは説明が必要なのでそれはまた今度、ということでお願いします。

そう付け加えた後に、

 

「皆さん見えましたよ。あの旗の店が"サウザンドアイズ"デス。」

旗には蒼い生地、絵は向かい合う二人の女神が写されている。

その店の前で看板を降ろそうとしている割烹着の女性に、待ったをかけようとする黒ウサギ。

 

「ま」

 

「内は既に営業時間外です、お客様。」

間髪入れずに宣言する店員。

 

「そんな!まだ閉店五分前デスよ!?」

飛鳥さん、十六夜くんはそんな店員の態度に少し苛立ち、耀さんは我慢せずを貫く。私は、それは客として微妙ではないか、と思いが過り、会話を観察していた。

 

「なるほど、"箱庭の貴族"を蔑ろにするのも気が引けますね。中で許可を取りますのでコミュニティの名を言ってください。」

 

「うっ。」

黒ウサギは焦る。

(確か"サウザンドアイズ"はノーネームはお断りだったはず…不味いです。)

そんな黒ウサギにかわって十六夜は何のためらいもなく言った。

 

「俺達はノーネームってコミュニティ何だが。」

 

「そうですか。どこの"ノーネーム"様でしょうか?宜しければ旗をお見せしてもらえないでしょうか」

 

(…なるほど。名前と旗印を失うとこういうことになるんだ・・・)

 

「いいいぃぃぃぃぃやっほぉぉぉぉい黒ウサギィィィィィィ!!」

そんな声が聞こえた思ったらまた遠ざかっていた。

同時に白い髪をした幼女が黒ウサギを拉致ると共に川に突っ込んでいった。

下がミニスカートになっている黒い着物を纏い、胴を巻く部分の帯は朱色に、余った水色の部分の帯は尻尾のように垂れている。

髪も眉も輝いた白銀色で、ちょこんと白銀の頭から黒い角を生やしていた。将来絶世の美女になるであろう、少しヤンチャさが残った顔は、黒ウサギに抱きつきながらもその豊満な胸に埋まっていた。

その光景に十六夜は眼を輝かせ、店員は頭を抱えた。

 

「……おい店員。ここの店はドッキリサービスが」

 

「ありません。」

 

「何なら有料でも」

 

「やりません」

そんなカオスな空間の中、幼女は顔を胸に擦り付ける。

 

「白夜叉様!どうして貴女様がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来るだろうと予想してな!!

フフフッ、スーハースーハースリスリ、フホフホ。やはり、ウサギは抱き心地が違うのう!!ほれここかぁここがエエんかぁ!」

親父セリフと共にスリスリと顔を埋める幼女"白夜叉"。

 

「白夜叉!いい加減離れてくださいッ!!」

頭を掴んだ黒ウサギが、ブオンッ!と音がなりそうな勢いで白夜叉を投げた。

 

 

 

 

 

 



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第七話 白夜叉、登場!

UA3500到達!
ありがとうございます!


「あなたはこの店の人なのかな?」

 

「ムフフ…ああ、そうだとも。サウザンドアイズの幹部の一人である白夜叉様だ。今は黒ウサギのお蔭でとても気分が良い!仕事の依頼なら只で引き受けよう!!」

マシュを黒髭のような目で見ながら言っていたので、マシュに抱き着いて、自分のものだというアピ-ルをしておく。

 

「オーナー。売上が伸びません」

 

釘を刺す店員。

 

ハリセンを仕舞い、濡れた衣服を悲しそうに絞る黒ウサギ。

 

「私まで濡れるとは…」

 

「罰よ黒ウサギ」

 

「因果応報かな」

 

『お嬢の言うとおりや』

そして、一瞬真剣な顔になって、私たちを品定めするような目で見てくる。

 

「おんしらが、黒ウサギに呼ばれたノーネームの同志か。

ふむふむ・・これを機に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どんな機ですか!」

話の途中で遮って、どこからか取り出したハリセンで、白夜叉をたたく。

 

「良いんですか、オーナー?規定では"ノーネーム"は」

 

「良い。意地の悪い性悪店員の詫びだ。責任も私が取るしの」

そんな感じで案内されたのは、接客用らしき高級な部屋ではなく、私室だった。

 

「すまんな。もう暖簾は下げてしまったのでな、私室で勘弁願う」

だが、その私室も、結構豪華な部屋だった。

私のマイルームと比較すると・・・って比べる対象が低すぎたか。

白夜叉を上座に、その正面に座り込む五人。

 

「さて、改めて自己紹介をしようかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えるコミュニティの幹部、白夜叉だ。以前から黒ウサギを弄っていたのでな。コミュニティ崩壊後も、ちょくちょく贔屓してくれる美少女と認識してくれ」

 

「ハイハイ。いつもお世話になってるのですよー」

二人は軽いじゃれあいが出来る程度に仲が良好のようである。最も、弄られる黒ウサギが敬意を払う事がバカらしくなっただけかもしれないが。

 

その会話の中で気になった事に質問する耀。

 

「その外門って?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市中心部に迫り、同時に強大な力をもつ者達が、本拠やコミュニティを構えているのです。

箱庭は外壁から数えて七桁・六桁を下層とし、五桁を中層、それ以降の数字の桁を上層と区別して強さを分けているのです。

四桁ともなれば修羅神仏が数多くいる化物の巣窟なのですよ」

そう言って紙に描いた図を彼らに見せる。

それを見て、各々が感想を述べた。

 

「……巨大玉ねぎ?」

 

「いやバウムクーヘンだろ」

 

「そうね、バウムクーヘンね」

 

「うん、これはバウムクーヘンだね」

 

「ふふ、その例えでいくなら此処七桁の外門は一番薄い部分かの。一つ付け加えると、東西南北四つに別れており、ここは東側に当たる。その外側には世界の果てがあり、黒ウサギが持つ水樹の苗の持ち主もいるぞ。」

その言葉に少し興味を傾ける十六夜。

 

「なんだ?あいつの知り合いか?」

 

「そうだのう。そもそも奴に神格を与えたのは私だ。何百年前の話だったか忘れたがな。」

神格とは、生物に与えれば、その種が到達する最高ランクにまで種を底上げるギフトだ。

蛇は蛇神に。

鬼に与えれば鬼神と化す。

 

「ってことはお前はあの蛇より強いのか?」

 

「当然だ。私は東側階層支配者。つまり東の四桁以下コミュニティ全ての頂点に立つ者だ。そんじょそこらの神と同レベルに考えてもらっては困る」

胸を張り宣言する白夜叉。

最強の支配者 

その言葉に眼を輝かせる、十六夜、耀、飛鳥。

 

「……そう。つまり貴女に勝てば実質私達が最強になるということかしら?」

 

「無論そうなるな」

 

「いいなそれ。手間が省けたぜ」

三人は勢いよく立ち上がり、白夜叉に対し不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・挑戦欲のある童たちだな・・・面白い」

白夜叉もそれを受け入れるかのように彼らに見回す。

それに気づいた黒ウサギは焦り始めた。

 

「「「ちょっと!勝手に喧嘩売らないで(ください)!」」」

私とマシュと黒ウサギが、全力で止めにかかる。

 

「そうかそうか。私相手に勝負を挑むか。ーーーーーだがその前に一つ聞きたい。」

 そう言って立ち上がり、"サウザンドアイズ"の旗が記されたカードを取り出し"壮絶な笑み"を彼らに向け宣言する。

 

「おんしらが望むのは"挑戦"か?それとも

・・・・・"決闘"か?」

 

瞬間、景色が様変わりした。回る視界。様々な景色が視界の端から端へどんどん移っていく。

そして視点が定まる。

一面雪景色に染まった世界。遠くには、巨大な湖畔、その奥は雪で染まった山脈が白夜に照らされ幻想を醸し出す。

 

おお!すごい!

固有結界・・・じゃなさそうだ。

そんな彼らを尻目に白夜叉は笑みを絶やさず、彼らを圧倒する。

 

「今一度名乗ろう。私は白き夜の魔王。太陽と白夜の星霊・白夜叉。

おんしらが望むのは試練を受ける挑戦か?それとも。対等な決闘か?」

そう言って彼女は両手を広げ、君臨していた。

次いで十六夜も意識を戻した。普段とは違った雰囲気で彼もまた冷静に状況を分析する。

 

「水平に廻る太陽……そうか。"白夜"と"夜叉"。あの廻る太陽やこの土地は、差し詰めお前を表した世界と言うことだな。」

「如何にも。この白夜と湖畔、雪原の世界こそが、私のもつゲーム盤の一つだ。」

 

「さて、そろそろ決めようではないか」

魔王なんて名乗ったら、あの人が黙ってないはず・・・・・。

 

「我が眼前で王を名乗るか・・・・?

雑種!」

 

 




ついに、戦闘描写です。






・・・・・・・頑張ります。


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第八話 はじめてのギフトゲーム

かなりへたくそですが(いつもそう)ご容赦ください。


・・・・・・やっぱり。

この人出てきちゃったよ・・。

 

 

「その決闘、受けてやろうじゃないか。

マスター(オレ)に魔力をまわせ!

だが、援護はいらぬ!」

 

 

「ほう、決闘を受けるか・・・面白い!

して、おんしらはどうする?」

そう言って、私とマシュとギル以外を見て聞いてきたので、私もギルと参加なんだ・・・そう思っていると、3人答えた。

 

 

「これだけの舞台を用意してくれたんだ。

今回は試されてやるよ」

 

 

「同意」

 

 

「私もそうさせてもらうわ」

そして、白夜叉ちゃんがパンと手を叩くと、一枚の紙が空中から落ちてきた。

 

 

「すまんが、こやつらの後でもよいか?」

 

 

「良い。

特に許そう」

ギルはそう言って、つまらなそうな顔で、霊体化した。

 

 

「お互いにもう少し相手を選んでください!階層支配者に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う階層支配者なんて笑えません!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!」

と、叫ぶ黒ウサギ。

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうじゃったかな?」

とぼける白夜叉に、ガクリと肩を落とす黒うさぎと三人。

その時、彼方の山脈から甲高い鳴き声が響いた。

その声に耀が逸早く反応し..........

 

 

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

 

 

「ふむ...........あやつか。おんしら三人を試すには打って付けかもしれんの」

 

 

湖畔の向こう岸にある山脈に手招きをする白夜叉。

すると、5m程の巨大な獣が翼を広げて滑空し、風の如く三人の前に現れた。

 

 

「グリフォン.........嘘、本物!?」

 

 

「如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。《力》《知恵》《勇気》の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

 

 

グリフォンは白夜叉の元に降り立ち深く頭を下げ礼を示した。

 

 

「さて、肝心の試練だがの、これを見よ」

 

 

と白夜叉が言うと輝く羊皮紙が現れる。

それを手に取り、書き込んでいく。

 

 

『ギフトゲーム名 鷲獅子の手綱

 

 

・プレイヤー一覧 

 逆廻 十六夜

      

 久遠 飛鳥

      

 春日部 耀

 

 

 

・クリア条件  グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

 

・クリア方法  《力》《知恵》《勇気》の何れかでグリフォンに認められる。

 

・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

                             サウザンドアイズ印』 

 

 

「私がやる」

読み終わるや否やビシッ!!綺麗にと手を挙げる耀。

比較的に大人しい彼女にしては珍しい事だろう。

 

 

「ふむ。自信があるようだが、これは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我では済まんが」

 

 

「大丈夫、問題ない」

耀の瞳は真っ直ぐにグリフォンに向いている。

まるで、探し続けていた宝物を見つけたように輝いていた。

隣で呆れたように苦笑いする十六夜と飛鳥。

 

 

「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

 

「気を付けてね、春日部さん」

 

 

「うん。頑張る」

 

 

 

結果を言うとゲームは耀が勝利した。

ゲームクリアと同時にグリフォンの背から落ちるのを、耀は風を操り落下を止めた。

 

 

 

「さて、今度はおんしらの番だ・・」

 

 

「ようやくか.......」

 

 

向かい合うように2人は立つ。

他の者は少し離れてその様子を見ている。

 

 

「あれが英霊ってやつか・・・どっちが勝つと思う?」

 

 

「あの金ぴかの人が未知数だからわからない」

 

 

「私も一緒よ」

 

そんな3人の反応を気にせず、ギルと白夜叉ちゃんはものすごい雰囲気が流れている。

 

 

『ギフトゲーム名 太陽との決闘』

 

 

・プレイヤー一覧

ギルガメッシュ

 

マシュ・キリエライト

 

藤丸立香

 

 

 

・クリア条件  白夜叉の打倒

 

・クリア方法  決闘で白夜叉に勝つ又は白夜叉の降参

 

・敗北条件  死亡、敗北、降参、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

                              ”サウザンドアイズ”印』 

 

 

「なにか不満はあるかの?」

 

 

「特にないな、ただ(オレ)が勝ればいいだけの話よ」

 

 

平等な審判(ジャッジ)のため、黒ウサギが仕切る。

 

 

「では・・・・はじめ!」

 

 

ギルが指を弾く。

金の波紋が発生し、白夜叉ちゃんに向けて、飛び出す。

 

 

「友よ」

神を縛る鎖が、白夜叉ちゃんめがけて放たれる。

それを、白夜叉ちゃんはバックステップで躱す。

 

 

「神格を持った武具か・・・面白い!」

わりと余裕で躱されてしまう。

流石のガバガバエイムだ。

 

 

「ふん!くだらんな」

 

ギルは、大量の波紋を発生させ、多種多様の宝具が放たれる。

 

 

「ほう。神格級の武具をあれだけ・・・」

すこしずつ、白夜叉ちゃんから余裕が消えていく。

 

 

「やはり、面白い!」

そして、白夜叉ちゃんは、反撃に出ようと、踏み込む。

だが、そんなことは許されず、エルキドゥが白夜叉ちゃんを捕まえた。

金の波紋がさらに展開される。

 

 

「降参しよう」 

さっきまでの余裕のなさが、なかったかのように、けろっとした様子で立ち上がる。

 

「勝者、ギルガメッシュ様、藤丸立香様、マシュ・キリエライト様!」

こうして、黒ウサギの審判(ジャッジ)の下、決闘はギルの勝ちで終わった。

なお、実質白夜叉ちゃんとギルの対決だった。

だが、ギルは若干()()()()()()で、金の波紋と出していた財宝をしまった。

どうして、勝ったのに不満があるんだろう?

 

 




ギルの強化と白夜叉の弱体化してしまったのも、文才の無さです。

やっぱり、難しいですね・・・。
もうちょっと勉強しようかな・・・・。


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